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2017-06-01 第193回国会 参議院 外交防衛委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年六月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      佐藤  啓君     片山さつき君  五月三十一日     辞任         補欠選任      片山さつき君     佐藤  啓君  六月一日     辞任         補欠選任      佐藤 正久君     小野田紀美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宇都 隆史君     理 事                 阿達 雅志君                 堀井  巌君                 山田  宏君                 大野 元裕君                 浜田 昌良君     委 員                 小野田紀美君                 佐藤  啓君                 佐藤 正久君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 中西  哲君                 山本 一太君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 浅田  均君               アントニオ猪木君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     稲田 朋美君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      進藤 秀夫君        外務大臣官房審        議官       森 美樹夫君        外務大臣官房審        議官       三上 正裕君        外務大臣官房参        事官       四方 敬之君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   相川 一俊君        外務省アジア大        洋州局南部アジ        ア部長      梨田 和也君        文部科学大臣官        房審議官     増子  宏君        経済産業大臣官        房原子力事故災        害対処審議官   平井 裕秀君        経済産業大臣官        房審議官     小林 一久君        資源エネルギー        庁資源エネルギ        ー政策統括調整        官        小澤 典明君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省人事教育        局長       鈴木 良之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○原子力平和的利用における協力のための日本  国政府インド共和国政府との間の協定締結  について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官進藤秀夫君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 原子力平和的利用における協力のための日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 阿達雅志

    阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。  本日議題となっておりますこの日印原子力協定、五月三十一日の委員会におきましては、四人の参考人の方から本当にいろいろな御意見をお聞きをいたしました。非常に充実した審議をさせていただいたと思います。  また、この原子力協定の問題、日本にとってやはりこの原子力の問題というのは非常に重いものがあるというふうに私も思っております。まず一つは、やはり世界唯一被爆国としての日本立場、そしてまた福島原発事故を経験した日本、こういう部分がございます。福島原発事故以降、やはり民間原子力利用についても、日本の中でももう本当にいろんな議論が出てきているところでございます。そしてまた、今現在、北朝鮮における核実験あるいはミサイル実験という中で、この核兵器というものが非常にまた大きな問題になっている、こういう中での日印原子力協定ということでございますから、これについてはまずしっかりと、日印原子力協定必要性、また意義ということについて、外務省の方からこの意義日本にとっての意義、そしてインドにとっての意義について是非御説明をいただきたいと思います。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国にとりまして、インドは戦略的に最も重要なパートナーであり、このインドとの関係強化、これは二国間のみならずインド太平洋地域の将来にとっても極めて重要です。  こうしたインドとの様々な協力の中で、この原子力協力ということについて、各国は、NPT体制前提とするNSG、すなわち原子力供給国グループインドに表明した核実験モラトリアム継続あるいはIAEA保障措置適用等前提例外的に可能としたこと、これに基づいて行っています。要は、NSGが厳しい条件を付けた上で認めたこの例外、こうした決定に基づいて取り組んでいる、こういった状況にあります。  その中にあって、我が国取組、この本協定でありますが、本協定も同様にインド核実験モラトリアム継続等前提としています。本協定締結によって、インド我が国との間においても核物質平和的利用あるいは不拡散義務等の新たな国際法上の義務を負うことになり、インドがこの原子力平和利用について責任ある行動を取ることが確保される、このように考えます。各国がこのインド原子力平和利用において取り組んでいる取組について、我が国取組を行い、重層的な取組体制をつくっていこうということになるわけです。  このように、インドと本協定締結することは、インドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させるための国際社会の重層的な取組において大きな意義を有することになる、このように考えております。
  7. 阿達雅志

    阿達雅志君 ただいま外務大臣から、やはりこのNSG例外化決定、そしてまた核実験モラトリアムインドが宣言したこと、これが前提となった上でのお話ということでございました。  ただ、やはりこのNPTとの関係でいった場合に、今確かに外務大臣からは実質的参加になるのではないかと、こういうお話だったわけですけれども、ただ、その一方で、やはりこの日印原子力協定を結ぶということが、こういう核不拡散条約への参加、これが余り意味がないものだと、こういうメッセージを場合によっては北朝鮮に与えかねない。そういう中で、ちょっとこれは繰り返しになりますが、もう一度この日印原子力協定NPT体制との関係について外務大臣の所見を改めてお聞きしたいと思います。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず我が国として、このNPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制維持強化、そしてNPT普遍化、こうしたことを重視する立場、これは全く変わらないということであります。  その上で、NPTに入っていないインドとの原子力協力考えるに当たって、先ほど申し上げましたように、まずこのNSG原子力供給グループ、あれ四十五か国あったと思いますが、こうした各国インドとの原子力協力考えるに当たって厳しい条件の下に例外的な措置決定した。我が国も、こうした決定前提としながら、インド原子力平和的利用についての責任ある行動、これを法的に確保する、こういったことを検討してきた、こういったことであります。  この原子力平和利用において、我が国技術、これは国際的に最高レベルのものであります。我が国がこうしたインドを国際的な不拡散体制に実質的に取り込もうという取組参加することは、こうした取組をより重層的にする意味大変意義があると考えて、こうした協定締結することを考えているということであります。  いずれにしましても、NPT体制普遍化、そして国際的な不拡散体制維持強化、これについては全く立場は変わっておらず、我が国は、昨年十一月の日印首脳会合を含め、機会あるごとにインド側NPTそのものへの加入を求めるという立場、これをしっかり伝えております。  これからもこうした我が国立場考え方インドに訴え続けていきたい、このように考えます。
  9. 阿達雅志

    阿達雅志君 御丁寧な説明ありがとうございます。  では、次の質問に行かせていただきたいと思います。  先日の参考人の方からの御意見の中でも、まず、この協定の特に十四条第二項について、これが玉虫色規定ではないかという、こういう御指摘がございました。この十四条二項、読み方としてですね、どういう読み方をすればいいか、あるいはこの交換公文を含めてどういう読み方をすればいいかというところで、日本側インド側玉虫色の中で進めているのではないかという、こういう指摘だったと思うんですけれども、この日本側としてどういう理解をされているかについて確認をさせていただきたいと思います。  私は、この第十四条二項というのは、日本理由いかんを問わず一方的に、多少の時間的な問題はございますけれども、一方的に協力停止できると、こういう内容を含んでいるのではないかというふうに思うわけですけれども、この点について、ちょっと幾つかの具体的な例で外務省見解をお伺いしたいと思います。  先日の参考人お話の中でもありました未臨界実験、この場合に、今までの定義であれば確かにこれは核爆発には当たらないということではありますけれども、ただ、核爆発に当たる当たらないを問わず、日本としてはこの理由いかんを問わず協力停止する権利を有するのではないかというふうに思うんですけれども、その点について外務省見解をお尋ねいたします。
  10. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) まず、十四条の規定でございますけれども、委員指摘のとおり、協定終了及び協力停止は、我が国に対して、理由いかんを問わず、協定終了させ、協力停止する権利を認めております。  その上で、ちょっと細かくなりますけれども、十四条二項では、協議終了に関する協議に加えて、考慮を払うという規定がございます。これは、我が国協定終了させ、協力停止する権利行使自体は制約されません。すなわち、協定十四条一項において、理由を問わず終了の通告後一年で協定終了させることができる、また、十四条二においては、この協定終了を求める締約国政府は、未解決の問題について相互に受け入れることができる解決が得られなかった旨又は協議により解決することができない旨を当該締約国政府決定する場合には、この協定の下でのその後の協力の全部又は一部を停止する権利を有すると明記されております。  以上のことをもちまして、我が国は、協議の後、我が国限りでの決定協力停止できると、一方的にできるということは明確であります。
  11. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  では、この慎重な考慮を払う、これはやはりお互いの国と国の関係であるから、当然のことであろうと思います。ただ、その上であっても、やはり日本としてはしっかり権利を持っているんだと、こういう理解をさせていただけるかというふうに思います。  その上で、あと幾つかの事例をちょっと具体的に挙げた上で、確認をいただきたいと思います。  こういう協定の中で、インドパキスタンとの間で例えば非常に緊張関係が高まった場合、この場合、やはり場合によってはインドがまた核に関して何らかの、核兵器という意味での核の軍事利用について何らかの動きをする可能性もある、こういう状況が出てくることもあり得るかと思います。あるいは、インド政府自体が、先ほど前提となっていた核実験モラトリアムのこの宣言について、場合によっては方針を変えかねないという状況、こういった状況もある。  あるいは、これはまた別の観点で、インドは今、核燃サイクルを実施していくと、核燃サイクル政策というのを持っているわけですけれども、これについても、将来的に本当に核燃サイクルを進めていくのかどうか怪しいような状況ができた場合、こういったいろんな状況があると思いますけれども、こういう状況の場合に、先ほど御指摘された、もちろんいろんな慎重な考慮を働かせた上で、そしてその後の、今後の協力については一方的に停止ができる、こういう条文であるという理解でよろしいでしょうか。
  12. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) ただいま委員から様々なケースにおける協力停止可能性についての御指摘がございました。我が国政府としては、例えばインドが、たとえパキスタンとの関係での対抗上実験を行ったというようなケースであっても、いかなる理由であれ、核実験を行った場合には、協定終了させ、協力停止するという考えに立脚しております。  それ以外にも、元々この協定出発点としては、二〇〇八年の九月にインドが表明した核実験モラトリアム等を含む約束と行動、それを踏まえたNSGにおける例外化決定前提となっておりますので、その前提が崩れるような事態が生じれば、まあ様々なケースがあろうかと思いますけれども、我々としては、今申し上げたとおり、協定終了協力停止を実施する考えであります。
  13. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  ただいまの御説明をお聞きすると、答弁をお聞きすると、前回、玉虫色、確かにこの第十四条二項の表面だけを見ると玉虫色なんですけれども、ただ、権利ということで突き詰めていった場合には、私は、今までのほかの国との原子力協定に比べても、むしろ一歩踏み込んだ強いものになっているのではないかというふうな印象を受けたわけでございます。  ただ、この原子力協定十四条二項で、協力停止した場合、その後の処理ということが次に問題になってくると思います。十四条四項におきまして、協力停止の場合の後の処理についてのいろいろな規定がございます。この場合、これ主語が当該国となっておりますから、例えば停止した後に資機材を引き揚げる、あるいはこういう補償ということについては、これは基本的に国の問題である、実際の協力をした民間企業でなく国の問題であるという、こういう理解でよろしいでしょうか。
  14. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 今委員の御質問は十四条四項の返還請求に関するお尋ねだと思います。  この場合の費用というのは、委員指摘のとおり、我が国民間企業ではなく、我が国政府が負担いたします。  ただ、細かく申し上げれば、資機材等返還要求を行うことということ自体我が国義務ではございません。我が国が有する権利でございます。ですので、その要否の判断ということは、我が国が様々な事情を踏まえて自主的に行い得るものでございます。  参考までに申し上げれば、インドがこのような権利を認めている協定アメリカ日本協定のみでございます。
  15. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  この部分については返還請求という形で国と国との間で協議をしていくと、そういう理解をしたわけですけれども、ただ一方で、この協定の下で実際に日本民間企業がいろんな資機材契約としてインド側に渡していく、あるいはその渡す途上であったという場合に、こういう原子力協定そのもの効果、効力が止まると、多分その時点で実際にはそれ以降の契約履行ができなくなるのではないかと。この場合は、私の理解としては、これは民間企業がそのシステムの供給契約の中でしっかり契約条項としていろんなリスクを書き込んでいく、そしてまたその上でその部分について何らかの形での保険付保というのを考えていくと、こういう理解をしているわけですけれども、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  16. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 委員指摘のとおり、この協定は、理由いかんを問わず、協定終了協力停止ができることとなっておりますので、日本インド原子力協力はそういった前提大前提を踏まえて行われるものと承知しております。今後、各企業がそれぞれの判断事業を行う場合は、そういった前提を十分御理解していただいた上で、適切な形で個別の契約が結ばれるものと考えております。  いずれにしても、この協定日本インドの間の原子力平和利用に関する協力のための法的枠組みを定めるものでございますので、特定のビジネス、契約の在り方を定めるものではありません。ただ、政府としては、今後、必要に応じて民間企業を適切に支援していきたいと考えております。
  17. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  ちょっと時間の方も迫ってきましたので、一問飛ばさせていただきます。  この協定自体は、私は、そういう意味で非常に大きな意義も持っているものであると、今日の御答弁でも御説明をいただきましたし、私もそのように思います。ただ、もう一つの大きな問題として、じゃ、こういう協定を結ぶ日本自体原子力政策は本当にどういうことになっているのか。こういう協定を結んで日本原子力技術インド側に提供するといっても、これはやはり日本自体が、原子力政策がもしふらふらしているようであっては、これはインドに対しても非常に失礼な話になってくるのではないかというふうに思います。  そういう観点では、今の日本における原子力政策の現状、あるいは核燃サイクル政策についての考え方について、やっぱりしっかりとお聞きをしたいというところでございます。それは、やはり福島原発事故以降、原子力の再稼働、これ六年たっても、PWRについては大分進んでまいりましたけれども、BWRについては全然進んでいない。そういう中で、本当にこれ、日本自体が今後原子力政策どういうふうに進めていくんだろうか、それから、この核燃サイクルについても本当にどういうふうに進めていくのかという、この点について経済産業省の方から御説明をいただきたいと思います。
  18. 平井裕秀

    政府参考人平井裕秀君) お答え申し上げます。  まず、大原則に立ち返らせていただきますけれども、資源に乏しい我が国といたしましては、安全性の確保を大前提に、経済性及び気候変動の問題に配慮しながらエネルギー供給安定性を確保するという大前提に立って原子力を位置付けることが必要かと考えております。  我が国の現在の電力供給につきましては、一見すると何の問題もなく見えるかもしれませんけれども、化石燃料に八割以上も依存する構造という脆弱性をはらんでおります。エネルギー安全保障地球温暖化の対策、発電コストの上昇といったような面では大きなリスクにさらされていると言わざるを得ません。  そうした、国内にある燃料だけで数年にわたって発電を続けることができて、運転時に温室効果ガスを排出せず経済性の高い電源であるという利点を持ちます原発活用につきましては、こうしたリスクに対処する上で引き続き重要であり欠かすことのできない電源であるというふうに認識をしているところでございます。  こうした点を踏まえますと、我が国として責任あるエネルギー政策を実行するためには原発活用は欠かせないということを既に表明しているところでございまして、その点につきましては既に長期の見通しの中でも、計画の中でもお示ししているところでございます。  ただ、こうして申し上げましたけれども、委員指摘の再稼働といったようなものを進めつつあるところにつきましても、全て安全性が最優先であるということを忘れてはいけないというふうに考えているところでございます。  何度か委員指摘のありました福島事故ということを経験した我が国といたしましては、そうした安全性第一であるということは、国内ではもちろんでございますが、国外でそうした原発の輸出ということを考えるに当たっても、まず第一に我々が考えなければならないというところであると思いますし、逆に世界各国から、こうした事故を経験した国の安全基準であり、そうしたメーカーの責任ということに対しての負託に応えていかなければならないというふうに考えているところでございます。  その上で、委員からは、サイクルお話についてもお話がございました。サイクルにつきましてでございますけれども、高レベル放射性廃棄物の量の減少、それから放射能レベルの低減、資源有効利用というところから、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則の下ではございますけれども、プルサーマルの推進などによりプルトニウムの適切な管理利用を行いながら核燃サイクルを推進する方針であります。  こうした観点から、電力自由化等の新たな事業環境下でも再処理等が将来にわたって滞りなく行われるよう、国会にて御審議いただきました再処理等拠出金法、これが平成二十八年五月に成立したところでございます。  昨年十月には、この法律に基づきまして使用済燃料処理機構が設立されたところでございまして、今後は六ケ所の再処理施設の竣工も含めて、機構工程管理計画策定を行いながら、これに国も関与することで再処理事業を着実かつ効果的に実施されるよう取り組んでいるところでございます。  また、電事連におきましては、引き続き十六基から十八基の原子炉プルサーマルを行うことを目指すことを表明しておりまして、実際に現在、伊方原発三号機など、プルサーマルを実施する原発三基が原子力規制委員会審査を終えているところでございまして、七基が現在審査を受けているところでございまして、こうした原発の再稼働も増えていくものというふうに考えているところでございます。  サイクルにつきましては、様々な課題があることも事実ではございますけれども、それぞれについてしっかり検討し、問題点を明らかにした上で、一つ一つ進めていくという所存でございます。
  19. 阿達雅志

    阿達雅志君 非常に御丁寧な答弁ありがとうございます。  原子力政策については、やはりこれ、こういう日印原子力協定を結んだ以上、日本としてもしっかりと、今までの原子力政策が不変である、そしてまた日本原子力産業技術をしっかり持続していくんだという御説明だというふうに理解をいたしましたし、これは、やはり、この日印原子力協定で今議論をしているのと同じ状況が、日米原子力協定、これ来年の七月に見直しになりますけれども、ここでもやはり同じ疑問をアメリカ側も持つんじゃないかというふうに思うわけです。ですから、日本のこの原子力政策、引き続きしっかりと経産省で進めていただくというふうに要望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 山田宏

    山田宏君 おはようございます。自民党の山田宏でございます。  今日も、我が国の尊厳と国益をしっかり守るという立場から御質問させていただきます。  まず冒頭、昨日午前中、アフガニスタン・カブールにおきまして大規模な爆発テロがございました。その中で四百人以上の方々が死傷され、我が国大使館員も二人が負傷されたと聞いております。まず、亡くなられた方々に対して哀悼の意をささげると同時に、負傷された皆様のお見舞いを心から申し上げたいと思います。また、大使館員、そしてまた在アフガニスタンの日本人の方々の今後のやはりきちっとした安全対策を取っていただきますよう、まず冒頭に申し上げたいと思います。  さて、今日も、今日は六月一日、正岡子規は、六月をきれいな風が吹くことよ、六月よきれいな風が吹くことよと、猪木委員じゃないですけど、まず俳句からスタートをさせていただきたいと思いますが、六月、うっとうしい、そこにきれいな風が吹いてくる、そういった気持ちよさを歌った歌だと私は思いますけれども、そのような答弁を期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  さて、今、今回の日印協定について質問阿達委員の方からございました。私、一問だけ。  この協定によって、日本原子力技術インドの方に平和利用のために輸出されるということになるわけでありますけれども、インドへの参入を狙っている企業は、ウェスチングハウスと東芝、まあ東芝は撤退してしまいましたけれども、そしてまたGEと日立、またフランスのアレバと日本企業、こういったことを聞いているんですが、東芝がああいう形になったためにウェスチングハウス単独になりました。しかし、日本企業はいっぱいぶら下がっております。  このウェスチングハウスなんですけれども、今、中国企業が買収に掛かっているという情報を得ております。これがもし買収されるとなると、日本の大事な東芝の技術が中国に行ってしまうということを大変懸念をしておりまして、そういったことを経産省はつかんでおられるのか、また今後どういうふうに対応されるのか、その点だけお聞きをしておきたい。
  21. 平井裕秀

    政府参考人平井裕秀君) 東芝、ウェスチングハウスの今後の在り方につきましては、あくまで民間企業個社の経営に関わる事案でございますのでコメントは控えさせていただきたいと思いますが、本件に関しましては日米両政府間でも関心を持っているところでございまして、情報交換を行うことで一致しているところでございます。  引き続き、こうした観点からのお話を進めていきたいと考えております。
  22. 山田宏

    山田宏君 簡潔な答弁をありがとうございました。  それでは、次に、日本海表記、またやります。  四月の二十四日から二十八日の間、先日も御質問、先月も御質問させていただきましたけれども、モナコで国際水路機関の総会が行われました。まず、この総会の状況、特に韓国は、日本海に対して東海、韓国の主張は東海、東の海、これを併記せよ、又は東海単記にせよと、こういったことをずっと要求をしてきております。今回、韓国が大代表団を送り込んでの総会でございましたけれども、その結果と、それから日本側の総括を簡潔にお聞きしておきます。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 四月二十四日から二十八日までモナコで開催された国際水路機関第一回総会では、日本海の単一表記がなされているIHO出版物であります「大洋と海の境界」という出版物、S—23という出版物でありますが、この改訂について、韓国及び北朝鮮から提案がなされました。そして、今次総会の結果として、「大洋と海の境界」のこの現行版の改訂について何ら決定等は行われず、IHOの今後三年間の次期作業計画にも盛り込まれないこととなりました。  他方、今後、このIHO事務局長の招請によって、「大洋と海の境界」の改訂に関する関心国による非公式協議が開催され、三年後の次期総会にその結果が報告されることとなりました。今後の非公式協議においても、日本海呼称に関する日本立場、しっかり主張してまいりたいと考えております。
  24. 山田宏

    山田宏君 今回は皆さん大変な御努力をされて阻止したということであります。よく頑張ったと。私も、これ韓国側の主張がちょっとでも通るなら日本に戻ってこなくていいというようなことも申し上げましたけれども、まあ、ここは阻止したと。しかし、三年間韓国と協議せいと、こういうことになりました。まあ、ある面では振出しに戻ってしまったということであります。この三年間、私、非常に大事だと思うんですね。日本も相当な決意でこれ臨まないと両論併記になってしまうというふうに、非常に危惧をしております。  そこで、先日私の方から、これ、ばらばらで対応するよりも、外務省、国土交通省など、ひとつ交えた中できちっと対策、日本海表記に対する対策チームですね、もっと言えば東海表記を阻止する対策チームをつくるべきだと、こう申し上げましたけれども、その点についてはどうなりましたでしょうか。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の点ですが、委員からの御指摘も踏まえ、地図上の表記等の問題に効果的に対処するため、外務省内にアジア大洋州局審議官をヘッドとし、関係部局をメンバーとするタスクフォースを立ち上げました。このタスクフォースは、関係在外公館と連携しつつ、地図上の表記等について恒常的に情報収集を行い、戦略的に対応する、このことを目的としております。
  26. 山田宏

    山田宏君 さて、その情報収集ですけれども、前も、グーグルとかいろいろ、もう全部両論併記になっているんですね。だから、こういったものも含めて、又は飛行機の中でのナビですね、こういったものも含めて、国民全般から、こんなところにこんな表記あったよ、東海書いてあったよというようなことをきちっと通報できるような、そういった仕組みを考えてもらいたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  27. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この日本海呼称問題等について、多くの国民の皆さんにも投稿していただけるような仕組みを考えるという観点から、五月ですからもう先月になりました、五月に、我が国の全在外公館に対し、竹島又は日本海呼称に関する我が国立場に相反する地図、刊行物等を発見した場合には各公館に連絡するよう呼びかけるホームページを作成し、それへのリンクをこのホームページのトップページに掲載する、このことを指示をいたしました。  先月、今日は六月一日ですから、まだ指示を出して作業を始めたばかりですが、現在までに、二百四十三の在外公館のうち五十七の在外公館のホームページに、今申し上げました内容を掲載しているところです。引き続きこの作業を進めたいと思います。取組強化していきたいと考えております。
  28. 山田宏

    山田宏君 本省のホームページもやってくださいね。これはどうなっていますか。
  29. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本省のホームページにつきましても、現在掲載するべく準備を行っております。
  30. 山田宏

    山田宏君 ありがとうございます。  さて、ここでいろんな情報を得ながらそれを潰していくんですけれども、しかし、三年間韓国と協議をしなきゃいかぬと。  今までは日本の主張は何だったかというと、国際法日本海が単独の呼称だと認められてきたと、国際法をバックに話をしているわけです。韓国は全然違うんです。これは歴史上、二千年前から東海なんだということを、私は、捏造で、こういったことをどんどんどんどんいろんなものを出して、そういうことを主張し続けてきたわけです。だから、我が国国際法上、向こうは、一九二九年、国際法で認められた以前から、二千年前からそうなんだと、こう言っているんだから、全然話が平行線なんだと。それをずっと聞かされていると、結局、ああ、両方とも正しいこと言っているなと、こうなって、両論併記になっちゃうんですよ、これ。  だから、私たちの国がやっぱり失敗したのは、国際法上なんて言ったって、これはもう駄目。向こうが歴史上東海ということであれば、歴史上東海なんて存在していないというふうに歴史問題として日本が理論武装して、それを論破しなきゃ、そうでなきゃ国際社会は信じちゃうんだから。これが、慰安婦の問題も竹島の問題も、そういったものはみんなその歴史問題を、本当は領土問題じゃなくて歴史問題なのに、これを避けて、国際法国際法と言って、結局ずるずるずるずる後戻りしているんです。だから、今回、この三年間、日本の体制を整えて、東海などというものはなかったということを韓国の資料を使ってばちっとやっぱり論破するような、そういう体制をつくってもらいたいと思っているんですね。  資料を今日、今回お配りをしております。韓国の、向こうの東海の主張の一つであります新増東国輿地勝覧という韓国の地図です。この地図の一番端っこ、東海と、こう読めるんですけれども、これは東の方大海に至ると書いてある。東の方大海に至る、だから大海なんです。なぜそれ大海と言うかというと、右上の角を見てください。東北の方大海に至ると書いてある。東北も大海なんです。要するに日本海は大海なんです、ただの。だから、東海というのは沿海部だけなんです、昔から。もっと言えば、渤海も黄海も西側にあるのに東海言っていたんです。なぜかというと、中国の東だから。私は東海なんという言葉はないというふうに考えているわけです。  その下に写真があります、ちょっと見にくくて申し訳ないです。これは鬱陵島、リョウという字が間違っている、ごめんなさい。鬱陵島の独島博物館ですね、竹島。博物館の下に、山肌にあったスローガン、二〇〇〇年のやつですけれども、ここに書いてあるのは何なのかというと、東海は方位概念、朝鮮海が固有名称と書いてある。韓国だって分かっているんですよ。東海は方位概念、朝鮮海が正式名称、書いてあるんですよ。  だから、結局この論理を、彼らが東海なんて言うのはうそだということをばちっと言うために、日本にこの三年間交渉、いや、これは国際法だ、これは歴史上だなんて言っているんじゃなくて、向こうの歴史の主張に対して、ばんという資料をやっぱり持って、外務省の職員だけじゃなくて研究者、研究者の歴史チームをつくって東海呼称について論破する。  そして、三年間もうまなじり決して、いろんな資料を出して、いっぱいあるんだから、探せば、私でも見付けるんだから、これはおかしいということをがんがん言って、それを国際社会に発表してもらいたいと、こう思っているんです。そういう歴史チームをつくってくださいよ、どうですか。
  31. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日本海という呼称は、当該海域の国際的に確立した唯一の名称であって、国連や米国を始めとする各国政府も公式文書等において日本海という名称を使用しているわけですが、その中にあって、外務省としては、先ほど取組紹介させていただきました。従来から包括的な調査を行っていたわけでありますし、必要な働きかけを行っていたわけですが、新たにタスクフォースも設置いたしました。そして、今委員の方からさらにチームをつくれという御指摘をいただきました。我が国としましても、しっかり今後も対応していかなければなりません。  その中で、本年度の予算で、領土・主権・歴史調査研究支援事業補助金という予算をお認めいただいております。こうした予算も活用しながら、何ができるのか、これ是非検討してみたいと思います。その中で、どのような体制をつくるのがいいのか、これは検討をし、適切に対応していきたい、そのように考えます。
  32. 山田宏

    山田宏君 研究者主体のチームをお願いしたいと思うんですね。韓国は、東北アジア歴史財団なんというのをつくって、五、六十人の体制でこういう歴史戦に臨んでいるわけです。そのトップは、理事長は閣僚級なんです。それぐらい力を入れて掛かってきていますから、日本の場合もやっぱりきちっとした対応をしていただきたいと思います。  それでは、時間がないので次の話題に、テーマに移ります。  文在寅政権と日韓合意についてお聞きをしておきたいと思うんですが、さて、この間、文在寅新大統領の特使として文喜相議員が来られて、外務大臣と五月十七日に会談されました。日韓合意についてどんなやり取りがあったのか、外務大臣の方から慰安婦像の撤去について申入れをされたのかどうか、この点について確認をしておきたいと思います。
  33. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 五月十七日から二十日まで、韓国の文喜相大統領特使一行、訪日をされました。私も面会をさせていただきました。その際に私の方から、日韓合意を含む二国間関係について適切にマネージしていきたい、こうしたことはしっかりと発言をいたしました。ただ、それ以上詳細につきましては、外交上のやり取りとして控えさせていただきたいと思います。日韓合意は取り上げております。
  34. 山田宏

    山田宏君 さて、その日韓合意なんですけれども、やはりこれ、今、文在寅政権は、国民の感情的に受け入れられていない現実を認めて賢く対応したいというような、こんなことを言っていますよね。要するに、日本は日韓合意の履行を求める、向こうは見直しを求める、もっと言えば破棄も求めてきた、期間中。なぜこんなふうになっているのかということなんですけれども、この日韓合意について、日本側の認識と韓国側の認識がずれてきている、だんだんだんだん。その結果、この間の国連の一委員会である拷問禁止委員会の方から韓国政府に対して、日韓合意は見直しなさいと、こんなばかみたいな勧告も出てしまうという事態なんです。  これは、裏に韓国の政府がやってきたことがあるんですね。それを最後ちょっと皆さんにお話をしておきたいと思いますが、まず、私たちの認識としては、日韓合意によってこの慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決したと、したと、過去ですよ、解決しましたと、これが日本政府の基本的な解釈ですね。
  35. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) 委員指摘のとおり、一昨年末の日韓合意におきまして岸田大臣と尹炳世外交部長官が共同記者発表の場で発表したとおりでございまして、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されるということについて一致を見たということでございます。
  36. 山田宏

    山田宏君 いや、不可逆的に解決されるじゃなくて、解決したんでしょう、合意によって。ここ大事なんです。過去形なのか、まだ解決していないのか、どっちですか。
  37. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) 日韓合意におきましては、先ほど申し上げましたとおり、慰安婦合意が最終的かつ不可逆的に解決されるということで、現在形ということでございます。合意の時点において解決されるという書きぶりになっております。
  38. 山田宏

    山田宏君 いや、もう一回聞きますよ。解決されるという意味は、まだ解決されていないのか、もう終わった話なのか、どっちなんですか。
  39. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) 日韓合意におきましては、この合意の履行ということで双方の努力ということが、取組が必要になっておりますので、そういう前提で日韓の間で、先ほど申し上げましたとおり、最終的かつ不可逆的に解決されるということについて一致を見ておるということでございます。
  40. 山田宏

    山田宏君 駄目ですよ、そんなのは。意味が分からぬ。じゃ、まだ解決されていないんですね。  前提と言いましたね。前提は二つなんです。日本が十億円出すこと、税金から、そして、韓国はそれを受け入れる財団を、癒やし財団をつくること、これが前提でしょう。日本は十億円出したじゃないですか。財団もできて、配られているじゃないですか。解決したんでしょう。
  41. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、日本政府は、この合意に基づきまして韓国に設立された財団に対して、昨年八月、約十億円を支出する等、合意に基づく日本側の責務を果たしてきたところでございます。  日韓両国で約束をして、国際社会からも高く評価されている合意が引き続き着実に実施されることが重要と考えておりまして、政府としまして、引き続き、韓国側に対して粘り強くあらゆる機会を捉えてこの合意の着実な実施を求めていきたいと考えております。
  42. 山田宏

    山田宏君 ちょっと、私、与党だから、野党のようにやりたくないんですよね、野党のような質問。ちょっと勘弁してください、時間短いんだから。  合意は解決されたのかされていないのか、合意によって最終的に慰安婦問題が解決されているのか、それともまだ解決されていないのか、これから解決されるのか、最終的、不可逆的に。どっち。右か左か、どっち。
  43. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) 先ほど申し上げましたとおり、解決されるということにつきまして、韓国政府の明確かつ十分な確約を日韓合意の発表のときに得たものと受け止めておりますので、私どもとしましては、この合意によって解決されるということについて一致を見たということでございます。
  44. 山田宏

    山田宏君 もう、ちょっと、これ、なぜ言っているかというと、韓国は、資料を見ても分かるように、これ、ウィル・ビー、要するに、日本の場合は現在形で書いてあるんだけれども、韓国の文書を読むと、国連に提出したやつを読むと、まだ解決されていないと。要するに、この問題は、ウィル・ビー、リゾルブド、ファイナリー・アンド、不可逆的にと書いてある。ウィル・ビーと書いてある。まだ解決していないんです。日本がちゃんと謝って、ちゃんと法的責任を認めて、そしてちゃんと履行しなければ、我々はこれ合意はまだ実行されていないと見ていますよ、だから、最終的、不可逆的に解決とは見ていませんと、韓国は、この英文を見れば、書いてあるじゃないですか。だから言っているんですよ、向こうは。  そうしたら、向こうはそういう解釈、日本は合意で不可逆的、最終的に解決したと、向こうはまだ解決していないと。そうしたら、合意内容について解釈が違うんだから、結局、向こうは何と言ってくるかといったら、まだこれが解決できていないのは日本がちゃんと履行していないからだと言い始めているじゃないですか、合意内容を。この文書はそうですよ、国連に出した文書は、韓国の。  だから、そういうことをいえば、今度は日本のせいになる。日本がちゃんと合意しないから我々はこれは不可逆的に解決されていないと見ているんだ、日本が悪いんだ、だからこの合意については見直すべきなんだと、こう来るに決まっているじゃないですか。駄目ですよ、そんなことを言っていたら。国益守れないですよ。
  45. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  日韓の合意の時点でこの問題は解決されたということで、韓国側がその義務を果たすということが前提になっているということかと存じます。
  46. 山田宏

    山田宏君 そうですよ。この問題でもう四分もたっちゃったから。ちょっと、前もって質問の要旨を出しているんだから、ちゃんと答えてください。これは日本のため。私、外務省を突き上げているんじゃないんですよ。  日本の国益がこれから侵される可能性、なぜここまでこう来ているのかというのが、韓国は少しずつゴールポストをずらしているんです。最初は、我が国が十億円出す、向こうは財団を設立して配る、もうこれで、これが前提解決される、こういうふうに言ってきた、向こうも最初は。そうしたら、最近は、韓国の出している文書、これは一々もう読んでいると時間が掛かるんだけれども、見ると、三つの条件日本が履行することを約束する、その条件の下でこの慰安婦問題は最終的、不可逆的に解決、ウィル・ビー、解決されるだろうと、こういうふうに韓国は動かしてきている。  一番の条件、何か。日本がちゃんと法的責任を認めなさいと、アクノレッジと書いてある。日本の場合は、ビー・アウェア・オブだ。アクノレッジといったら、認知するとか、もう認めちゃう、完全に、法的に、そういう言葉ですよ。こんな言葉を我々は使っていないですよ、アクノレッジなんて。それから、総理が日本国の総理大臣としてきちっと謝罪せよと、こう書いてあります。そして三つ目は、この財団の問題です。この三つに条件を今度は増やしてきて、それを解決することが実は前提で合意したんだというふうに韓国は言ってきているんですよ、出しているんですよ、それ。駄目ですよ、これ。だから……
  47. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 質問をおまとめください。
  48. 山田宏

    山田宏君 こういうことになったら、もう答弁が長いから質問こんなになっちゃうんだよ。  だから、やはり日本政府としては、この問題、きちっと国際社会に向かって韓国のうそを、うそをきちっとよく調べて、発表してください。  簡潔に答えてください。
  49. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 時間が来ていますので、簡潔に。
  50. 四方敬之

    政府参考人(四方敬之君) 委員からの御指摘も踏まえまして、韓国側の発表において、先ほどの仮訳の話も私どもの認識と違うということで、引き続き、韓国側あるいは国際社会に対して積極的に我が国立場説明してまいりたいと思います。
  51. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 終わりです。
  52. 山田宏

    山田宏君 終わります。
  53. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。  今日は余り時間がありませんので、行きます。で、穏やかに最初は行きたいと思います。  まず冒頭、昨日、アフガニスタンの首都カブールで大きなテロ事案がありました。少なくとも、今の報道でいえば八十人の方が亡くなって、三百五十人が負傷されて、心からお見舞いを申し上げたいと思いますが、負傷者の中には日本大使館の職員二人も含まれていると聞いております。  私、実はカルザイ大統領の就任式にカブールに行きました。政府の特使として行って、一泊してきました。大使館は合宿のようなところで、それぞれが、余りにも危険なので、大使館員の職員がもう全部そこに集まって、食堂みたいなところで食事もされて、その周りはコンクリートの壁に囲まれているような、非常にある種、環境の悪いところでの勤務でございました。私、そのことを思い出しまして、けがが二名ということで、まあ良かったのか悪かったのか、不幸中の幸いなんですが、しかし、恐らく大使館員の動揺もあると思います。  大臣におかれましては、是非、大使館の職員に対するケア、それから一時帰還も含めて対応いただきたいと思いますが、大臣、よろしくお願いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。
  54. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 大変重要な御指摘だと受け止めます。  今回の事件発生後、外務省本省には連絡室を立ち上げ、現地には現地対策本部を立ち上げました。情報収集、事態の把握に努めているわけですが、あわせて、委員の御指摘になられました、今後の大使館員を始め在留邦人に対するケアにつきましてもしっかりと対応を考えていきたい、このように考えます。
  55. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 どうかよろしくお願い申し上げます。  河野統合幕僚長の発言についてお伺いをします。  先週、日本外国特派員協会で、幕僚長が、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されることになれば非常に有り難いという発言をされました。非常に私は問題があると思っておりまして、政治的行為を制限した自衛隊法に違反をする可能性もあるし、シビリアンコントロール上も問題があると思いますし、憲法遵守義務に当たっても問題があると私は思っております。更に申し上げれば、まあ少し余計なことですが、一昨年の安保法制の審議で、この統幕長は、審議で法案が通る前に、訪米中に、来年の夏までには成立するという見通しを語っていたことも明らかになって、国会の委員会でも問題になりました。実は、統幕長、二度目です。  自衛隊の国民の信頼がこれだけ高い、自衛隊に対する国民の本当に応援も含めて支持が広がっている中で、統幕長がこういう発言をすることが逆に自衛隊の信頼を失うことになりかねないということも含めて、大臣、これはやっぱり強く注意しなければいけないのではないかと。個人の発言としては問題ないと、そういういつもの安倍政権得意の使い分けではなく、そこで毅然ときちっと注意することが、逆に防衛大臣等の信頼、更に言えば自衛隊の信頼につながると私は思っておりまして。  まずは一つ、この委員会に、今日、私、時間ないので参考人としてはお呼びしませんでしたが、参考人として御出席いただくことを理事会でもう一度協議をいただきたいということと、それから、防衛大臣におかれましては、このことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  56. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまの件につきましては、後刻理事会におきまして協議をいたします。
  57. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今回の統幕長の発言でございますが、記者からの質問を受けて、憲法という非常に高度な政治問題でありますので統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思いますとまずは明確に述べた上で、個人的な感想を述べたもので、政治的目的を持って発言したものではないことから、この発言が不適切であったとは考えてはいないところでございます。  また、安保法制の成立時期における発言についても、今委員指摘いただいたわけですけれども、今御指摘の発言は、平成二十七年九月の参議院平和安全法制特別委員会で共産党の議員が提示をした資料の中に記されている統幕長が訪米時にしたとされる発言のことだというふうに承知をいたしておりますが、その資料については、防衛省において、同一のものの存在は確認はできなかったということでございます。  なお、統幕長の訪米時の一連の会談はその内容を公表することを前提に行われたものでないことから、相手方との関係もあり、御指摘のような発言の有無も含め、具体的なやり取りの内容はお答えは差し控えさせていただいているところでございます。  また、一般論としては、自衛官……(発言する者あり)
  58. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 御静粛にお願いします。  答弁どうぞ。
  59. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) はい。  一般論として、自衛官の最高位にある統合幕僚長として、公の場における発言については、様々な配慮が必要であることは委員が御指摘のとおりだと私も思います。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 文書が確認できないのは安倍政権の得意技でございますから、その話をしているのではなくて、そんな紙を、書かれたものを読むような質疑をしているわけじゃないんです。だって、御本人ですら統幕長として発言するのは不適切なのでと留保しながら言っているんでしょう。留保するぐらいだったら言わなきゃいいんですよ。そうでしょう。それが責任というものでしょう。だから、不適切だということは、防衛大臣の責任として不適切だと言えばいいんですよ。そのことを今みたいにつらつらつらつらと弁解がましいことを言うから逆に言うと信頼をなくすんだと思いますよ。だから、参考人として呼ばないと決着付かないみたいな話になるわけです。何でそんな、何か書いたもの、弁解べらべらべらべらしゃべって、余り意味のない答弁されるのか、すごく残念です。それは政治家同士なんだから。私だって無理やり何か言えとか言っているわけじゃないじゃないですか。そのことについてはもういいです。  ただ、先ほど委員長が後刻協議いただくということで、この防衛大臣の不誠実な答弁も含めて、参考人としてお呼びしたいと思いますので、よろしくお願いします。  北朝鮮がまたミサイル発射を二十九日しました。三週連続です。余りにも度重なっているわけですが、非常に遺憾でございますが、この北朝鮮の意図、このような状況で三週連続ミサイルを発射する意図について、防衛大臣、どのようにお考えですか。
  61. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 北朝鮮のミサイルの発射の意図についてのお尋ねでございますが、我が方として断定的にお答えすることは差し控えさせていただいております。  しかしながら、一般論として、昨年も核実験二回、そしてミサイルは二十発以上、そしてどんどんと技術も発展をさせていっているわけでございます。そういった意味で、弾道ミサイルの開発の一環、すなわち、ここ三週間連続で弾道ミサイル、そのうち二発は新型の可能性があるということで、当方も分析をして、今詳細な分析を専門家の間でやっているところでありますが、そういった意味において、開発の一環、また何らかの訓練、そして国際社会からの圧力への反発など考えられるのではないかというふうに考えております。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 前田局長はどう思われますか。
  63. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) 今大臣御答弁いただいたとおりであります。開発、訓練、そして圧力への反発、これは一般論としてはいろいろ考えられると思います。  五月に入ってからのミサイルは、大臣もおっしゃったように、二つは新型ということになっていますので、やはり開発の要素というのも無視はできないんじゃないかと思います。意図については断定的に申し上げられませんけれども、分析としてはそのように考えてございます。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その開発がどの程度進んでいるのか、本当に分析を進めていただければと思います、この場で言える言えないかは別に。  防衛大臣と防衛省の方、もう今日は結構でございますので、御退席いただいて結構です。
  65. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 防衛大臣及び防衛省の皆さんは御退席いただいて結構でございます。
  66. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それでは、日印の原子力協定について質問いたします。  今日は、すごく僕は複雑な思いでこの場に立っています。なぜなら、私は、この原子力協定、二〇一〇年六月、日印首脳会談で、交渉開始を決めたときの首脳会談に、私はカナダで総理の横に同席をしておりました。ですから、私は、この原子力協定については交渉開始をしたときの一人ですので、責任の一端を感じております。  まず、二〇一〇年のその交渉開始の一月前に、私は国連本部で、NPT運用検討会議の首席代表として、追加議定書を伴った包括的保障措置IAEA保障措置の基準となるべきと考えますと、NPT未加入国に対し、非核兵器国としてのNPT加入を引き続き求め、NPTの普遍性を実現することが重要ですという日本政府立場を発表しました。ですから、NPT未加盟のインド原子力協定の交渉を始めることに抵抗がなかったと言えばうそになります。相当葛藤がありました。  その二年前の二〇〇八年、NSGインド例外化の決定にも当時大きな矛盾を感じていたことも事実です。私の上司であった岡田外務大臣も非常に深く悩まれていました。  今日、お手元に資料をお配りをさせていただきました。実はその二〇一〇年の五月の外交防衛委員会、実は私の横に今お座りいただいている浜田先生、それから山本委員長が当時も質問されて、この日印の原子力協定について質疑をされて、私は実は向こう側に座っておりました。岡田大臣もいらっしゃいました。  実は山本委員長質疑のやり取りは、実は今日、済みません、資料としては用意していなかったんですけれども、山本委員長も、ひょっとしたらインドとの交渉が始まるかもしれないというので、インドは非常に政治、経済で重要だと、しかしNPTに加盟していない懸念もあると正直に、当時、山本委員が言われていて、そして、最後に、すごいんですよね、やっぱり。モラトリアムの継続を約束させるとか、IAEAの保障措置条件、一定の施設への条件として締結させるとかいろんな考え方があると思うんですけどと言って岡田大臣に質問されています。山本予算委員長のそのときの定見というか、その方向で今これが進んでいるわけですが。  さらには、山本委員は、当時の委員は、岡田大臣に向かって、インド原子力発電所を造るという大きな流れの中で、世界中が、日本だけが孤立するのはいかがなものかという前向きな姿勢を示されたと、岡田大臣の姿勢を前向きだと山本委員は言われました。それに対して実は当時の岡田大臣が、私の先般の答弁を前向きというふうにおっしゃっていただいているのですが、果たして前向きと言うべきかどうかということでもあると思いますと正直に、当時の岡田大臣が、これ交渉開始の直前ですけど、前向きかどうかとやっぱり悩まれているんです。  で、浜田先生なんです。浜田先生、NSGに対して、山本委員からは、右側見てください、今後、インドとの原子力協定日本とも考えるべきじゃないかみたいな、積極的な意見もあったんですが、私はもう少し慎重な意見なんですと浜田先生はおっしゃっているんですね。当時野党ですが、そのNSGの時代は与党でいらっしゃったわけです。それで、やっぱりNPT体制のダブルスタンダードをつくったんじゃないかというNSGに対する批判があるということについて、浜田先生も懸念をされています。  面白いのは、岡田大臣が、いろんな議論があるんだと思います、ただ、この米印原子力協定NSGで合意したというのは、これは政権交代の前の政権の時代の話でありますと。次です。ですから、それは私がどういうふうに言っても、それは批判に受け止められたり、必ずしも客観的に評価することになりませんので、むしろ委員の方からお聞かせいただいた方がいいぐらいではないかと思っていますと言って、自民党さん、当時の与党がNSGを合意したからといって、批判に取られるから自分は発言を控えたいと言われたんです。済みません、ちょっと皮肉を言うと、今のように、何かあれば民主党政権が悪いんだといって引っ張り出してきているどこかの総理とはえらい違いです。  で、浜田先生が、面白いんです、これ。勝手に外務省がやった、はっきり言って、そういう状況ですよと浜田先生、このいつも冷静な、温厚な浜田先生が大分お怒りなんです。私、そこで聞いていたのでよく覚えているんですね。  当時の佐野参考人が、外務省の方がいろいろ言われたら、浜田先生が、右側ですけど、余りうその答弁しない方がいいですよと、まず、外交部会で、こういうことを承認するなんて、あなた、しゃべらなかったよと。それでその後、佐野さんが何か言ったら、浜田先生が、日本が最後の最後まで頑張れ、これ、NSGについて了解するなということだと思いますが、軽々と乗っちゃったのはあなたじゃないかと、それをもう、そういう事実を変えるような答弁はやめてほしいですねと浜田先生がおっしゃっているんですね。  その後、次、続きがあるんですけど、保障措置の対象の問題についてやっぱり言及されているんです。  実は今回の日印原子力協定って、与野党替わっていますが、NPT非加盟のインド被爆国である日本が本当に協定を結んでいいかという本質的な問題について言えば、実は状況は余り変わっていないんです。先ほど阿達委員意義があるかどうかという御質問をされました。それは、インドとの関係でいえば意義があると私も思います。だって私は、交渉のスタートを、悩みながら、仕方がないなと思ったからです。だけど、そのときに阿達先生、NPTの未加盟の問題については余り言及をされませんでした。  私は、やっぱりこの問題は本当に難しいと思います。当時は今と違って、原子力ルネサンスとずっと言われていました。原油価格は一バレル百ドルを超えていました。東芝はウェスチングハウスを買収して、世界中に原発を輸出する準備をしていました。我々の政権も、成長戦略に原発輸出を組み入れていました。今思えば至らなかったと思います。日本製の部品をインドに輸出するニーズが出てきていました。具体的には、フランスのアレバがインド原子炉を造る際に日本のメーカーを使いたいということでした。こういう時代でした。それでもこんなに葛藤があったんです。浜田先生の葛藤も、僕は真っ当な議論だったと思います。山本委員の御意見も、当時でいえば真っ当な議論だったと思います。  でも、今、原子力ルネサンスなどとは全く言われなくなりました。いまだに福島では十万人以上が避難されて、廃炉まで気の遠くなるような歳月を要します。世界各国では脱原発の動きも出ています。世界の設備容量は再生可能エネルギーが原発を抜きました。  この状況で、なぜ今なのか。安全保障上でいえば、北朝鮮の核の開発、朝鮮半島の非核化が日本にとっても最大の今安全保障上の課題だと思います。核の不拡散は日本にとっては至上命題です、被爆国として。そして、イランの問題もあります。そして、韓国や中国は再処理に向けて今非常に関心を強く持っている。NPT体制の堅持、NPT体制が不安定化していると言われている中で、NPT体制を堅持することは日本としてはどうしても引き下がれないライン、それが、こういうアリの一穴を日本がやることが、フランス、アメリカがやるのはそれはそれで結構ですが、そのときと状況も変わってきた。その中で、なぜ今なのか。ましてや、北がミサイルを何発も撃ち込み、核実験をするかもしれないと言われるときに、なぜ今なのか。そして、何でこんなに時間が掛かったのか。  我々のときに交渉は中断しました。外務省は中断というのは言い方嫌みたいなので、それは表現の仕方いろいろありますが、三・一一の後、さすがに原発事故の後にインドとの原子力協定の交渉はできないということで、二〇一〇年の十一月の交渉から二〇一三年、安倍政権まで実は交渉は止まっていました。じゃ、これからこの三年間、それからの三年間、何を交渉して何を担保して、そしてこの環境の変化に対してどういう対応をして、外務大臣、意思決定されたんですか。  そもそもの話をして恐縮ですが、僕は非常にこの日印の原子力協定というのは本質的な問題だと思うので、大臣、お答えいただければと思います。
  67. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、NPT体制というのは、私自身もこの国際的な核軍縮・不拡散を考える際の基本、礎であると認識をしています。よって、NPT普遍化を進めていく、追求していく、こういった方針はこれからも変わることはないと思います。  そして、インドに対しては、従来からNPTへの加盟あるいはCTBTへの署名等、これはずっと働きかけていたわけですが、インドは独自の判断NPTには加盟してこなかった、こうした現実が続きました。その中にあって、このNSGグループにおいて、インド原子力平和利用に関してどのように協力をするのか、こういった議論が行われ、我が国もこの四十五か国の一つとしてこの議論参加をしてきたわけです。  その時点から、そして、この協定の交渉、始まってからも当然でありますが、日本としては、NPT参加していないインドを実質的にこの国際的な不拡散体制に取り込むためにはどうあるべきなのか、更に言うと、インド核実験をもし行ったとしたならばこれ確実にこの協力停止する、これをしっかりと確保しなければならない、こういった点を重視してインド原子力平和利用への協力について議論をしてきたわけです。こうした観点を重視しながら二〇〇八年のNSGのコンセンサス合意にも参加したわけですし、二〇一〇年以降、こうした考え方に基づいてインドとの交渉を続けてきた、開始し、そして続けてきた、こういったことであったと思います。  様々な環境は変化しました。しかし、NPT普遍化を追求するという我が国の基本的な姿勢は変わりません。もちろんNPTに、本体にこのインドが加入するようこれからも求めていきたいと思いますが、現実の中で実質的にインドを国際的な不拡散体制に少しでも取り込むためにはどうあるべきなのか、こういった観点から本協定についても協議を続け、そして一つの結論を得た、そして今国会にお諮りをさせていただいている、これが今日までの我が国インドとの原子力平和利用に対する協力についての取組のありようであったと認識をしております。
  68. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 なぜ今かということについてはお答え、まあはっきりいただかなかったんですが、大臣のその答弁は、僕はそうおっしゃるしかないと思うので分かりますが、大臣、何回もNPT普遍化とおっしゃいました。  そもそもNPTは、いわゆるグランドバーゲンです。非核兵器国が核保有を断念することを義務付けて、そして保障措置を受ける見返りとして原子力平和利用における協力を受ける権利を与えるというのがもうそもそもNPTの大原則です。NPTが無期限延長を決定された一九九五年には、原則と目標において、原子力平和的利用における協力は包括的保障措置受入れが望ましいということが決議されています。  先ほど、浜田先生の議論にもありました、包括的保障措置というか、今回は全く軍民分離です。NPTに加盟せず、軍民分離で保障措置部分的なままで協力を受けられる、これは本当に、大臣が言うように、NPT体制、核不拡散にインドを引き入れることなのか、逆に、NPTの理念を覆し、原則を曲げ、NPTに加盟している非核兵器国に著しい不平等感を生じさせることにならないのか。唯一の被爆国であり、NPT体制が重要なものであるという日本だからこそ、そうした原則をゆるがせにしていいのかと私は思います。  ましてや、NSG参加国の中でインド原子力協定を結んでいる国は一体何か国ありますか。
  69. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) お答えを申し上げます。  九か国でございます。
  70. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 NSGは四十八か国です。全部が全部、もちろん技術を供与できない国はたくさんあります、受けるだけの国もたくさんあるから、四十八か国全部だとは思わないけれども、本当にこの時期に日本が、ましてや東芝の今の状況、ウェスチングハウスの状況福島原発事故が起こっている状況の中で、本当に日本はこの時期に原子力協定を結ぶ意味があるんでしょうか。逆に、NPTの弱体化に結び付くんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  71. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今、NSGグループ四十五か国のうち九か国だけではないかという御指摘もありましたが、こうした国々は、やはり原子力平和利用において世界においてトップクラスの技術を持っている国々であります。そして、その協力大前提は、二〇〇八年のNSG決定、すなわちインド核実験モラトリアムを始めとする発表した政策をしっかりと遵守するということを前提としています。もし、こうした核実験モラトリアムを始めとする、インドがこうした発表した政策に反することをしたならば、これは結果としてインド原子力平和利用における世界最高水準の技術を失うことになります。インドに対して平和利用について責任ある態度を取らせるという意味において、これは大変重い取組、仕組みとなると考えております。  こういった核軍縮・不拡散においても、大変厳しいときだからこそ、実質的にインド原子力平和利用における責任ある行動に引き込むためにはどうしたらいいのか。様々な取組を行うこと、これは重要でありますし、それから、前提とされているインドの政策の中にはIAEAの保障措置の受入れもあります。このインドの現状の中で、よりIAEAの保障措置の範囲を広げるということにもつながる、これはまた大きな意味がある、このように考えます。  この厳しい核軍縮・不拡散の状況の中で、少しでもインドという国を国際的な不拡散体制の中に取り込む意味で、こうしたNSG関係国の取組意味がありますし、また日本がその取組参加することの意味は大変大きいのではないか。  今、なぜなのかということについては、今厳しい環境の中で、できるだけ早くこういった取組を進めるべきだ、そのような判断の下に取り組んでいるというのが答えだと考えます。
  72. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 理解したいと思いますけど、なかなか理解できません。別に日本が今あえて原子力協定に踏み込む必要ないですよ。だって、逆に言えば、ほかの誤解をいっぱい与えますよ、北朝鮮に。  例えば、じゃ、今のところ、外務省、経産省が把握している日本企業インドへの原子力関連資材、機材の輸出の可能性、見通しについてお答えください。
  73. 平井裕秀

    政府参考人平井裕秀君) お答え申し上げます。  本日御議論いただいておりますこの協定締結されてない現時点におきまして、日本が主体となってインド原発を建設する計画というものはないというふうに伺っております。
  74. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 現時点におきまして、インドのプロジェクトに対して参加を公表している日本企業はないと承知しております。
  75. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、協定締結されれば参画をする予定の企業はありますか。
  76. 平井裕秀

    政府参考人平井裕秀君) これからの可能性につきましては、あくまで企業の御判断でございますので、政府としてその将来の可能性をコメントできる立場にはないということでございます。
  77. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、政府は、いや、先ほど僕申し上げたはずです。二〇一〇年交渉締結のときにはフランスから相当厳しく、日本技術を使ってインドに出したいから何とか頼むという話は、フランスからもアメリカからも来ました。  今、政府は把握してないんでしょう。何のために、NPT体制を揺るがしてまで原子力協定日本が、ましてや、北の問題を抱え、それは国際社会でいえば、大臣よく私なんかより御存じのように、イランの問題も抱え、そして、先ほど申し上げたように、韓国は再処理に非常に今関心を持っている状況の中で、俺らにもやらせろと、NPT未加盟のインドにすら認めたんじゃないかと言われる口実を幾つもつくるようなことをなぜ日本がやらなきゃいけないのか、大臣、お答えください。
  78. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) インドとのこの原子力平和利用における協力については、国際社会NSGグループを始め、国際社会全体として取り組まなければいけない課題であると思います。  このインドの現状において、まずは平和利用におけるしっかりとした責任を担ってもらうということ、あわせて、インド原子力開発においてより透明性を高めるという点、これも大変重要なポイントであると認識をしています。こういったことによって、この実質的な不拡散体制に取り込んでいこうというのが今行われている取組の本質であると思っています。  原子力平和利用において責任ある行動を取らせる、それについて様々な条件を付けているわけですが、あわせて、このIAEAの保障措置の下に置かれるインド原子力施設をより拡大するということにおいて、今回の取組意味があると思います。  我が国協力がIAEAの保障措置の下に置かれる、これは当然のことでありますが、国際社会全体としましても……
  79. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 簡潔にお願いいたします。
  80. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 様々な取組を行う中で、原子力施設の数が増えている、これはしっかりと指摘しておかなければなりません。一方で、このIAEA保障措置の外にある施設の数が現実に減少している、こういった点も指摘をしておかなければなりません。  このように、この両面におきまして、今インドをこうした取組の中に組み込むということの意味、この核軍縮・不拡散においてこれは大変大きな意義がある、このように考えています。
  81. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だって、それは今、日本インドとの原子力協定を結ばなくても、米印原子力協定でもう既に部分的な保障措置は始まっているわけじゃないですか、同じじゃないですか。  それで、大臣いろいろ言われるんですけど、実はこのNSG例外措置がとられた後、中国はパキスタン原発建設に対する協力をしています。パキスタンNSGガイドラインの例外とされていないので、ガイドラインに従えば、NSG参加国の中国はNPT非加盟国のパキスタンに対して原子力協力は普通提供できないんです。中国は中国の理屈がありますよ。しかし、一つ例外を認めると、こういう例外が広がる可能性が出てくる。先ほど申し上げたように、北もイランも、状況によっては再処理をしたいと思っている韓国も、そういうところに対する隙や議論の場を与えることになるんじゃないですか。大臣、いかがですか。
  82. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず前半の、日本があえて、ほかの国々に加えて日本がこのインド原子力における平和利用に関する取組参加する必要がないのではないか、こういった御指摘につきましては、日本はこの原子力平和利用において最も国際的にも高い水準の技術を持っています。加えて、日本は国際的にも第三の経済大国であります。もし、こうした取組日本参加し、そしてインドがその期待に裏切ったならば、その代償は誠に大きいということで、こうした取組を重層的にする意味でこれは意味があるということをまず申し上げます。  そして、後半の質問についてですが、これは中国もNSGグループに参加をしているわけです。この取決めに反するようなことがあれば、これは当然NSGの中で大きな議論になるわけであります。これ、そうした枠組みの中に中国があり、その枠組みの中で国際社会がしっかりと監視をしながらこの議論を進めていくことの意味、これは大変大きいものがあると思います。中国がもしそれに反することがあったならば、これは当然のことながらこの議論の中で厳しい批判を浴びることになると考えます。
  83. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 よく余りはっきりとした理由が分かりません。公文の位置付けも法的拘束力の問題もインド日本の中で解釈が分かれています。核爆発に対する具体的な文言もありません。  もちろん停止する権利日本は有しますが、そこには、先ほどのお話にありましたように、考慮するという留保条件がたくさん付いているし、特に安全保障上の考慮が必要だと書いてあります。それは、もちろんパキスタンとずっと歴史的に対峙してきたインドが、今パキが核兵器を手放さないのに手放すことはあり得ないと私は思います。  先ほど行動と約束の話もありましたが、この行動と約束には先制不使用の政策を確認していますが、今インド国内では、先制不使用をやめるべきではないかという国内議論も盛り上がって、この行動と約束自身が現実問題としてもう揺れています。  それは、大臣言われたように、原子力による平和利用は必要、インドにとって必要かもしれないけれども、しかしながら、安全保障上のリスクはもっと多分インドにとっては大きな問題で、私は、非常に核実験なり、それから先ほど議論があった未臨界の実験とかいろんな可能性があると思います。そのときにどれほど本当に日本協力停止できるのか、非常に担保できる部分が私は今回緩いと思っています。  さっき梨田さんが答えられたので、済みません、大臣お答えください。  未臨界実験の場合、例えば、相手はパキですから、パキとの安全保障上の関係でいえば、ある種の抑止力も含めて、未臨界実験を行ったとインドが外で声明を発表する可能性は否定できません。どういうわけか、この実験の定義だけは、CTBT、これインド加盟していないので、何で加盟していないCTBTの定義が必要だと衆議院の審議で言われたのか、僕、これも理解に苦しみますが、未臨界の実験で例えばインドが外へ表明をし、若しくは日本に対して、未臨界の実験をした場合でも日本にちゃんと報告するように求め、そのことがあった場合には日本停止をすると、大臣、まず明確にお答えください。
  84. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、未臨界については、今、国際社会の現状は、未臨界については定義が定まっていない、あるいは検証方法が確立していないということで、この未臨界実験自体を把握することが現実には大変難しいというのが実情であります。その中にあって、このCTBTの枠組みの中にあっても、未臨界実験については、これは将来の課題という取扱いをされています。  そして、インドも、二〇〇八年の九月五日声明の前提としてCTBTの義務の範囲内で約束を果たすということでありますので、これは、今の国際社会において、未臨界実験ということについて何か枠組みをはめる、コントロールする、そういった枠組みが全くないというのが実情であります。その上に立って、今回の協定においては、この協定十四条の中にあって、いかなる理由においても我が国はこの権利を行使することができる、こういったことを明記しています。  先ほど言いました国際的な状況の中ではありますが、我が国は、こうした協定インドと結んだ以上、未臨界実験についてもし把握することができたならば、これは当然、この協定の内容に基づいて適切に対応しなければならない、このように考えています。
  85. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だから、私、わざわざ条件付けたじゃないですか、パキとの関係でいえば表で言うことがありますよと。表で未臨界実験したと発表した場合には検証なんかする必要ないんですよ、インドがやったと言っているんだから。そのときには自動的に停止でいいんですねと聞いたら、大臣は今、適切にと言って、実は、そうすると、パキとの関係でそういう状況になるということを安全保障上の考慮に入れなきゃいけなくなるんです。そうすると、ぐるぐる回るんです、この議論は。だから聞いたんです。もし明らかに未臨界実験をやったという状況になったら停止をするという、権利を行使するということで、大臣、よろしいんですね。
  86. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 未臨界実験については、先ほど言いました、今の国際的な枠組みの外側にあるわけです。その中にあっても、この協定を結んだ以上、そして、おっしゃるように未臨界実験を明確に把握するということができたならば、協定に基づいて適切に対応するということを申し上げています。
  87. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 協力停止すると言ってください。適切に対応するって、どの辺が適切か分からないじゃないですか。そこに考慮規定の、パキとの安全保障の問題があれば、あれじゃないですか、停止しないこともあり得るということですか、大臣。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申しました、今の現状の国際社会においては、未臨界実験についてコントロールするものはないと。その中にあって、その上乗せでこの協定があるわけです。ですから、現状において、上乗せとしてこの協定活用するということを申し上げているわけです。(発言する者あり)
  89. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  90. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を起こしてください。
  91. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国としては、インドの未臨界実験確認したならば、協定十四条におけるこの権利を行使いたします。
  92. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 続いて、もう時間ないんですけど、ちょっと北朝鮮インド関係とかについても聞きたかったんですけど、時間ないので、ちょっと具体的なことを申し上げます。  アンマンや、ヨルダンとの合意された協定書では、両国政府は、協定の適用を受ける核物質、資材、設備及び技術の最新の在庫目録を毎年交換することが確認されるとか、生産された核物質を対象とする国内核物質計量管理制度が確立されており、及びこれが維持されることが確認されるというような具体的な実はお互いの情報共有についての表記があります。  残念ながら、日印の原子力協定では、非常にここは抽象的な話になっております。このアンマンレベル、ヨルダンレベルまでの協定効果的な実施のための、毎年交換をする等々の、こういう仕組みをつくっていただけるおつもりがあるかどうか、これはできれば前向きに答弁いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  93. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) ヨルダン等との協定の中で、若干言葉、表現は違う部分はございますが、この協定でも今おっしゃったような情報交換の規定は既に入っていると認識しております。
  94. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いや、情報を交換するとしかここはなくて、実は、アンマン、ヨルダン等は、在庫目録を毎年交換するとか、より具体的なんです。核物質計量管理制度が確立されており、これが維持されることが確認されるとか、具体的なんです。こういう具体的なやり方で、インドとの間で毎年対応いただけるということをお約束いただきたいと思うんですが。
  95. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) おっしゃるとおりでございます。  各個別の核物質プルトニウム等を含めまして、詳細な情報を把握できるというふうに考えております。
  96. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そこは具体的なやり方について、是非インド側と交渉して対応していただきたいと思います。  実はもっとほかに聞きたいことがあったんですけれども、もう時間がないので終わりますが、条約に対しては、政府の専権事項なので、一般的にいえば委員会の附帯決議は付けません。しかし、過去の例でいうと、条約に対する附帯決議とは別に、委員会として、いろんな懸念に対して委員会の単独として決議をすることは過去の例にございます。  例えば今の未臨界の問題、それから今の情報のやり取りについての問題、残念ながら自然成立をすることが見えているので、逆に、この参議院の委員会として、与野党を超えて、先ほど私が山本委員や浜田委員のやり取りを御紹介したのは、与野党共にこの問題については、非常に複雑、かつNPTの運用や被爆国としての責任や福島原発事故を今抱えている日本として不拡散・核軍縮に取り組むという姿勢も含めて、この委員会の決議として具体的な提案を政府側に求めるような御努力を理事、委員長の御配慮でお願いしたいと思っておりまして、是非そのことについて前向きに御検討いただきますことをお願いして、私の今日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまの福山委員の発言につきましては、後刻理事会におきまして協議をいたします。
  98. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は、日本インド原子力協定審議でございますが、今まで日本は十四か国と原子力協定を結んでまいりました。しかし、今回の協定は特別な意味がやはりあると思っています。いわゆるNPTの枠外の国との原子力協定というのはどういう意味を持つのかという問題でございます。  これについては、むしろNPTの実質的な体制強化、いわゆる普遍化につながるという見方もあれば、それが形骸化するのではないかという両方の意見があったわけでございますが、やはりこれについて慎重審議をしていくというのは我々も、与党も野党もかかわらず、やってきたわけでございます。  先ほど福山委員から野党時代の質問も御紹介いただきました。特に、この原子力協定となりますと国会審議ができるんですが、NSG協定じゃないものですから、実は与党プロセスも十分ではありませんでした。しかし、当時も外交部会長でありましたので、これは割としつこくやりました。おかげさまでNSGは一回流れました、当時。流させて、頑張れと、それで頑張っていただいてこういう形になったと。そして、今回それを受けて、その原子力協定が更にそれを一歩進めるものかどうなのかというのが重要だと思っております。  そこで、まず外務大臣にお聞きしたいと思うんですが、二〇〇八年にNSG例外化が合意されて以降、IAEAの保障措置下の施設の割合状況などはインドでどうなっているんでしょうか。また、当時インドに求められましたいろんな条件の遵守状況がどのように評価されているのか、まずこれについてお答えいただきたいと思います。
  99. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) インドとのこの原子力協力、これはNSGが、インドが表明した約束と行動前提例外的に可能としたことに基づくものでありますが、インドは、核実験モラトリアム継続、そしてIAEAの保障措置の適用、軍民分離の実施、厳格な輸出管理措置を含む約束と行動と呼ばれる政策を表明し、これまでこれを着実に実施していると認識をしています。  この中で、IAEAの保障措置の適用につきましては、この適用対象、これ確実に拡大しています。インドが表明した九月五日の声明以降、合わせて対象施設は二十二へと増えています。これは、九月五日の声明以前は六、原子炉六基だけでありましたので、この数は着実に増えておりますし、逆に、保障の外にある原子炉の数、かつて十六基だったものが八基まで減少しています。こういった形で具体的に透明性の向上が図られている、このように認識をしております。  今後、日印協定、日印のこの協定締結されたならば、この協定の下で新たに建設される再処理施設も保障措置に置かれるほか、インドは将来新たに建設される全ての民生用原子炉も保障措置の適用対象とする、こういったことを決定しております。  このように、インド原子力平和利用について責任ある行動を取る上において、こうした取組は重要な意義を持っていると認識をしております。
  100. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今大臣から答弁がございました。いわゆる保障措置の対象施設が六から二十二、対象外が十六から八ということで、完全ではありませんが拡大はしてきていると、保障措置の対象施設が。それについては一定の評価をしていきたいと思いますが、では、今回の原子力協定でございます。  特に問題になりますのはやっぱり二点だと思っていまして、一つはいわゆる十四条の終了停止条項、これが従来のいわゆる非核兵器国との原子力協定と同等なのかどうなのかという点が一点。もう一点は、やはり核保有国ではありますので、いわゆる濃縮また再処理の条項、いわゆる十一条、これがどういう構造になっているのかがやはり大きな論点だと思っています。  まず、この十四条についてお聞きしたいと思いますが、一昨日、参考人質疑がございました。こういう御発言がございました。大国意識の強く、自尊心の強い国であるとともに、独立以来、戦火を交えた隣国、これは中国とパキスタンですが、共に核保有国であるインドとの間でこのような、これは公文ですね、これは見解及び了解に関する公文ですね、結べたのは、約六年という長期の日本外交の一つの成果でもあるかもしれないというような陳述もありましたが、外務省としては、六年間、ほかの国の場合は割と短い期間で、長くても数年ぐらいで、短い場合は一、二年でこの原子力協定を結んだわけでございますが、日本の場合は六年間掛けてきて、苦心した点、またこの成果をどのように評価しているかについて外務大臣にお聞きしたいと思います。
  101. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、唯一の戦争被爆国としてインドを国際的な不拡散体制に実質的に取り込むことを最優先にし、またインド核実験を行えば我が国協力停止する、こうした方針の下に交渉を続けてきました。一貫した姿勢で臨んできたわけであります。  本協定においては、インド核実験を行えば我が国協定終了させ協力停止する権利を確保いたしました。加えて、インドがいずれの国との間でも作成していない公文を作成し、日本側のかかる権利をより明確化することができました。  このように、先ほど申し上げました国際的な不拡散体制取組、あるいは核実験を行えば協力停止する、こういった所期の目的を、この交渉、粘り強い交渉の中で、協定、そして公文という形でしっかり確保することができたと認識をしております。  是非、こうした協定、公文のありよう等を含めて、国会の御了承をいただきたいと考えています。
  102. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今までもございましたように、今回は、公文という形でインド核実験をした場合には協力停止するという内容を含むものができたというのは、今までのインドが結んでいる九か国との原子力協定にはないものでございますので、一歩前進だと思っています。  この公文、また十四条自体の効力、効果について更に突っ込んでお聞きしたいと思いますが、たとえこれがインド核実験によって協力停止をするとした場合には、一般的な停止条項でありますと、日本側の損害賠償とかそういう賠償責任みたいなのが発生することもあるんですが、きっかけがインド核実験の場合はそういう賠償責任は生じないという理解でいいんでしょうか。一部機材とかの供与はしていますので、機材を引取りする場合にはそれの代償ってあるかもしれませんけれども。  またあわせて、今回の公文では、インド核実験をすれば再処理停止をするというふうなことが書かれております。再処理によっては発電の中断によるインド経済に及ぼす影響というのも条文、条約や協定にもありますし、公文にもあるんですが、これに対する補償措置についても日本は負担をしないと、そういう理解でいいのか、これ外務省参考人からお聞きしたいと思います。
  103. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) インド核実験を行った場合に協定終了するという場合に、まず我が国政府の賠償責任というものは一切生じません。  それから、もう一つのお尋ねでございます再処理停止による発電等への影響に対する、確かに補償のための協議をするという規定がございますが、一方、公文では、我が国はそれに関して留保という規定も置いております。  以上を考慮して、仮にインド核実験理由とした協定終了協力停止であれば、我が国として補償を行う考えはありません。
  104. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 我が国として補償を行う考えはないと表明がございました。この十四条自身が非常に長い条項になっておりまして、いろんな条件考慮するとあるんですが、とはあるものの、きっかけがインド核実験によるものであれば、それは日本は補償することはないということが確認されたわけでございます。  もう一つ、今回の原子力協定、この終了停止条項に関連して出てくる論点として、いわゆるインドの核保有を認めてしまったのかどうなのかということなんですが、実は日本は核保有国とも非核兵器国とも原子力協定を結んでいます。それぞれ協定の書きぶりが違うんですね。いわゆる非核兵器国の場合は、一切の核実験をした場合にはこれは停止しますよという書きぶりになっているわけでございます。つまり、核爆発装置を爆発させる場合の停止終了という書き方になりますが、一方、アメリカとかロシア等の核保有国との関係では、日本から移転された核物質技術などを用いて核爆発を相手国が行った場合の停止終了という、こういう書き方をしているわけです。今回のインドとの協定の場合は、日本が供与した、協力したものに限定していないわけですから、そういう意味では相手国を核保有国と認めたわけではないと、私はこの公文上も言えると思っています。  続きまして、二番目の論点、濃縮、再処理の問題でございます。これについては、一昨日の参考人、鈴木達治郎長崎大教授から、これは優、良、可でいうと不可だという厳しい評価がいただきました。これについて質問させていただきます。  まず、濃縮の関係なんですけど、濃縮についていいますと、この協定十一条一項にあります、本協定に係るウランの濃縮については、二〇%以上の濃縮については書面による事前同意が、こう書かれておりますので、これは逆に言うと、韓国やオーストラリアとかそういう原子力協定とほぼ同じ協定でありますし、多分これは規定ぶりの違いはないと思います。  じゃ、逆に言うと、この事前同意を日本が与えるのかどうなのかという問題になります。これは外務大臣にお聞きしたいと思うんですが、そもそも、他の原子力協定でも書面による事前同意で協定に係るウランの二〇%以上を相手国に認めた例があるのか、また、今後インドに対しても認めることは想定しているのか、この辺について明確にお答えいただきたいと思います。
  105. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これまで我が国締結した原子力協定で、二〇%以上の濃縮を書面による事前同意により総合的に規制する規定を有するものについて、二〇%以上のウラン濃縮を相手国に認めた例はございません。そして、我が国日印原子力協定の適用を受ける核物質インドにおける二〇%以上の濃縮に同意する考えはありません。
  106. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、明確に答弁ございました。まず、濃縮については、二〇%以上の濃縮については認める意思はないということでございます。  次に、再処理なんですけど、再処理については若干誤解もあるのかもしれません。この協定の二条第四項で、これはウランの濃縮とか再処理とかプルトニウムの転換とかそういうものの技術、設備、またプルトニウム自身についての移転についてはこの協定を改正しないとできないという規定があるわけです。  これはちょっと通告はしていないんですが、事務方にお聞きしたいんですが、当然これは協定の改定というのは国会の承認が必要な条項と思いますが、よろしいですね。
  107. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。  各国との原子力協定の改正については国会の承認事項と理解しております。
  108. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ということは、これについても、プルトニウム自身、また再処理技術自身についてはこれは移転はないんですよ。要は、再処理施設に対する一般的な資機材協力というのが問題なのかどうなのかというところの論点なんですね。  それについて、次の質問に移りたいと思いますけれども、まず、再処理された物質などがIAEAの保障措置の下に置かれまして、軍事転用がされない仕組みは協定上どのように規定されているんでしょうか。また、附属書B三において、協定上求められる再処理はあくまでも新規に設置された施設において行われるもの、当初二施設となっていますが、に限定されるという理解で私はいいと思うんですけど、確認をいただきたいと思いますし、従来の施設と一線を画す趣旨についてお答えいただきたいと思います。
  109. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 委員指摘のとおり、この協定におきましては、協定に基づいて移転された核物質等の再処理は、新しく建設されるIAEAの保障措置下にある再処理施設のみで行われると限定されております。また、再処理により分離されるプルトニウム等は、IAEAの保障措置下にあるインド国内の民生用施設においてのみ貯蔵、使用されるということになっております。  このように、再処理を認める以上、厳格な内容、軍事転用を決してされることがないという趣旨からこのような厳格な規定を設けたということが背景でございます。
  110. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今答弁ございました。  あくまでもこの協定によって生じる核燃料物質で出てくるプルトニウム等の再処理というのは、新たに設置される保障措置下にあるものでしか使われないということなんですが、実は、一昨日の参考人質疑では、実はインドは今高速増殖炉って持っているんですね、原型炉。今年の秋ぐらいに初臨界をするかもしれないと、それが保障措置の対象外だから、よって、そこで使われるんじゃないかと、だからけしからぬという話もあったんですが、そういうことは私は起こり得ないんだと思うんです。そういう軍民転換はないと私は理解しておりますけれども、これについて明確に外務大臣からお答えいただきたいと思います。
  111. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、使用済核燃料を再処理してプルトニウムを作るわけでありますが、我が国協力によって再処理されたこのプルトニウムにつきましては、IAEAの保障措置の対象外の施設において軍事転用されるということは全く認められません。そして、この貯蔵、使用についても、IAEAの保障措置の下にあるインド国内の民生用施設においてのみ貯蔵、使用がされる、こういったことも規定をされています。  そういったことによって、この軍事転用、少なくとも我が国協力した物質等においては、しっかりとしたこの保障措置の下に置かれ、軍事転用が行われない、こういったことを保障している内容になっております。
  112. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今答弁ございましたように、新たに設置される保障措置下にある施設のみで使われる、再処理がされるというものでありまして、現在インドが持っている高速増殖炉では、それが今後更にIAEAの保障措置下に移れば別ですけれども、現在それは対象外になっていますけど、保障措置の外にありますので、そこでは使われることがないということはここで明らかにしておきたいと思います。  その次に、この軍民転用の問題というのは、IAEAの保障措置にいかに入れていくかという制度的担保が中心なんですが、制度的担保だけじゃなくて技術的担保も重要じゃないかという議論が国際的になされています。  ちょっとこれはテクニカルな問題になるんですが、役所側で結構なんですけど、核のいわゆる拡散抵抗性という言葉があるんですが、これについて御存じの範囲でちょっと簡単に説明していただけますか。
  113. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。  拡散抵抗性と通常言われておりますのは、機微な核物質、機器が他国、特に他国、それからテロリスト等に渡らないようにする、その度合いのことをいうものと理解しております。
  114. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今簡単に答弁ございました。いわゆるウランの場合は濃縮度合いで軍事用か民生用かと分かりやすいと、二〇%で分けると。プルトニウムは同じだと、一般に議論されるのは。若干、同じでもないんですね、軍用と民生用で。軍用の場合というのは、プルトニウム239の純度が九〇%以上なんですよ。それを低くする又は、日本なんかの場合は最後にウランを混ぜるんですよ。ウランを混ぜることによって軍用に使えないようにすると。日本は、一遍純度の高いプルトニウムにしてから混ぜているのは、もうできる段階で、プルトニウムできる段階でウランも混ぜたものしか作らないと。となると、軍事転用されないんですね。そういうもの、今国際的に議論されています。  技術自身は、先ほど言いましたように、日本は再処理技術は出せませんけれども、今後、この再処理インドとの協力に当たっては、こういう拡散抵抗性の高い分野において、日本が一般的な資機材を提供する場合もそういう分野で協力していくという方向に向けていくことが重要と考えますが、外務省見解をお聞きしたいと思います。
  115. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 委員指摘のとおり、プルトニウム等が軍事転用されない協定上の法的な仕組みということはIAEAの保障措置で担保されているところではございますけれども、あらゆる側面から不拡散の取組を強固にしていくということは重要であり、御指摘の点も踏まえて、更に軍縮・不拡散の諸課題についてインドとの議論を深めていきたいと考えます。
  116. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 これはインドとだけじゃなくて、日本アメリカやロシアや中国という核兵器国との言われるような協力もあります。そういう中にあって、この拡散抵抗性の議論という、まだ研究段階で実はまだそれほど実証的に使われている段階ではありませんので、これについては日本自身も研究をしておりますので、技術は出せませんが、そういうものをなるべく世界で広げていくということが世界のこの軍民転用の問題の防止になると思いますので、是非日本のリーダーシップをお願いしたいと思います。  続きまして、残りの時間で、パキスタンへの影響という問題ですね、これについては今までも御議論がありました。  最初にちょっとお聞きしたいんですが、NPT枠外国、先ほどインドは聞きましたので、パキスタン、イスラエルなどの枠外国でかつ核保有国の保障措置の適用状況、核関連物質の貿易管理の実施状況について、どうなっているでしょうか。
  117. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。  NPT三条二項でございますけれども、それにおきましては、NPT締約国は、供給される核物質に対してIAEAの保障措置が適用されていれば、当該国NPT締約国であるか否かにかかわらず、当該国に平和的目的のための核物質、資材を供給することは認められております。パキスタン、イスラエル、NPT未締約国でございますけれども、そういう条項の下で、IAEAとの間で二国間で移転された核物質原子力資機材を対象とする保障措置協定締結してございます。IAEAの報告によりますと、当該IAEA保障措置下に置かれている両国の原子力施設における核物質等は平和的活動にあるという結論が出されていると承知しております。  それから、輸出管理体制でございますけれども、イスラエル、パキスタン共にNSGガイドラインを遵守するということは公に表明してございます。実質面におきましても、パキスタンにつきましては、従来、御承知のカーン・ネットワークと言われる核の闇市場が存在していたことが指摘されておりますけれども、近年は同国は輸出管理に関して厳格な実施に向けて努力していると承知しております。イスラエルに関しても近年何らかの懸念する事項が提起されているということは承知しておりません。  以上であります。
  118. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 割と楽観的な答弁もあったんですけれども、国際的なテロリズムの蔓延という現状を踏まえまして、やはり枠外国に対しましては、保障措置対象施設の拡大、輸出管理などに向けて積極的外交、これは是非外務大臣にお願いしたいと思うんですが。
  119. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、パキスタンあるいはイスラエルなどのNPT締結国との間においても、IAEA保障措置、そして核セキュリティー、輸出管理等を含む不拡散の問題について緊密に意見交換を行っております。  核セキュリティーに関しては、我が国が本日及び明日主催いたします核テロ対策国際会議において、国際社会が直面するセキュリティーの現状、効果的なテロ対策、また人材育成の在り方、こういったことにつきまして、このイスラエル、パキスタンNPT締結国を含む約七十五か国の出席を得て話し合うことを予定しております。  輸出管理支援については、一九九三年以降、毎年、アジア輸出管理セミナーを実施し、輸出管理能力の強化を通じたアジア地域及び国際的な不拡散体制強化、こういったものに貢献をしてきている、こういった取組を続けている次第であります。
  120. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 もう時間もなくなりましたので、一言だけ最後に言って終わりたいと思います。  技術の流出という問題を考えると、インドよりもパキスタンの方が深刻なのかもしれません。そういう意味では、パキスタンという国もどういうふうに扱っていくのか。今回、インドという国についてはいろんな条件を満たすことによってNPTを実質的に拡大していくということにしたわけですが、場合によってはパキスタンという国も、しっかりと輸出管理もさせ、そしてその保障措置も拡大させて、そういうことに、枠内に入れていくことも私は個人的に必要なのかなと。これをずっと外に置きながらやっていくのも非常に難しい状況もありますので、これについては、実質的にいかに核の拡散を防いでいくかという観点から、是非いろんな外交努力をしていただきたいとお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  122. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として小野田紀美君が選任されました。     ─────────────
  123. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 休憩前に引き続き、原子力平和的利用における協力のための日本国政府インド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  124. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  インドとの原子力協定は、日本が結ぶ十四番目の二国間協定であります。しかし、インドとの協定は、日本がこれまで協定締結したどの国との協力にもなかった極めて重大な問題があります。今日も指摘されてきましたように、世界の核不拡散に反してNPTに加盟せずに核開発を行った核兵器国への協力を行うものであり、世界の核廃絶に真っ向から反すると言わなければなりません。NPTの下で原子力平和利用の推進という従来の日本政府立場とも全く整合しないと思います。  では、インドにとってはどうか。インドは九か国と二国間原子力協定締結しておりますが、日本との協定はその他の国とは比較にならない重要性があるに違いないわけです。それは、日本が唯一の戦争被爆国だからです。世界の核廃絶、核軍縮にも核不拡散にも反して二度の核実験を行って核兵器保有国になったインドは、この保有を不問にした協力を得られるだけでなく、唯一の戦争被爆国に核保有を認められることになるというのがこの協定だと思うんですね。  そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、唯一の戦争被爆国として、インド原子力協定を結ぶことによってその核保有を認めるというのは、私は重大な誤りだと思いますが、世界の核軍縮に反すると考えますけれども、まず大臣の見解を伺います。
  125. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の方から、この協定を結ぶことによってインド原子力の保有を認めるということになるのではないかということでありますが、我が国立場は、午前中から申し上げておりますように、NPT普遍化を目指す、核兵器のない世界を目指す基本的な立場は全く変わっておりません。この現実の中で、インドを国際的な不拡散の体制、不拡散体制に実質的に取り込むためにどうあるべきなのか、こういった議論を積み重ねた結果として、こうした協定についても締結を国会にお諮りしているわけであります。  我が国のこの基本的な立場は全く変わることなく、これからも引き続き、インドにもNPT本体への加入等しっかり働きかけを続けていきたい、このように考えます。
  126. 井上哲士

    ○井上哲士君 その変わらないという基本的立場と大きく矛盾をすると思うんですね。  インドがモラトリアムを宣言をしていると言いますけれども、これはいろんな事情の中で実験を止めているだけにすぎないわけで、二度とやらないと宣言をしたわけでもありませんし、核の保有は続けるわけですね。その下でこの協定を結ぶということは、結局は私は、日本はこの核保有を是認をしたことになると思います。少なくとも国際社会にそういうメッセージを発することになると思いますけれども、改めていかがでしょうか。
  127. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、インドへのこの原子力の平和的な利用に対する協力については、NPT前提とするNSG決定、これがこの基本になっています。この基本に基づいて我が国としての協力考えてきた、これがこの議論のありようであります。  インドを実質的に国際的な不拡散体制の中にしっかり取り込むためにはどうしたらいいのか、こうした問題意識の下に様々な議論が行われてきたわけでありますが、結果として、原子力平和利用においてインドに責任ある行動を取らせることになる、そして、IAEAの保障措置の適用範囲を現状よりインドにおいて拡大することにつながるなど、これ実質的な意味で、現状と比較した場合において、よりNPTの理想の形に近づくことになる、このように認識をいたします。  是非、こういった意味で、この現状を前進させるためにインドとの協定をしっかりと活用していかなければならない、このように考えます。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 様々言われましたけど、先日の参考人質疑の際も、核兵器の禁止条約にも反対をして交渉会議もボイコットする、そして、インドとのこの原子力協定を結ぶことに対して世界のNGOや国々から厳しい視線が向けられているということもお話がありました。  更に聞きますけれども、インドはこのNPT規定によって核保有国に課される核軍縮の義務というのを負っていないんじゃないですか。
  129. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) インドは御指摘のようにNPTには加入しておりません。よって、このNPTの第六条の核軍縮の義務、これは負ってはいないというのが現状だと思います。  この中にあって、インドに責任ある行動を取らせるためにはどうしたらいいのか、こういった観点からNSGを始め国際社会取組を進めていると理解しています。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 条約に入っていないわけですから、当然第六条の核軍縮義務は負っていないわけですね。ですから、核保有国としての条約上の核軍縮の義務は負わない、一方で、この協定によってNPT加盟国と同様に平和利用権利を受けるということになるわけですよ。  我々は、NPT体制、様々な意見を持っておりますけれども、政府は核軍縮の政策に位置付けてきたわけで、そこに例外を認めるということはやはりこれまでの立場をないがしろにするものだと私は思います。  先ほど、NSG決定が基礎にあるというお話がありました。二〇〇八年のNSGでのインド例外措置承認は、二〇〇五年にインド原子力協定締結したアメリカが、実際にインド原子力関連貿易をするために必要だったから行われたという流れでありました。ですから、アメリカ主導で始められたNSG議論は大激論になって、午前中の質疑でもありましたけれども、数度にわたって延長や中断をしたわけですね。当時、アメリカ主導によるNSGの崩壊政策だといって、オーストリアやアイルランド、ニュージーランドは強く反対いたしました。オランダやノルウェーなども反対をいたしました。日本も強い懸念を表明をしたわけですね。  NSGは全会一致が必要であります。ですから、大激論の末にこの問題を採択をして、結果、全会一致が崩れればNSGが崩壊をしてしまう、それを意味すると、だから各国は独自の判断インドとの貿易を実行する、それを可能とするということにして、このインド例外措置決定したという経過だったと思うんですね。  午前中来、当委員会にこのいろんな経過に関わっている人の名前がたくさん出てまいりましたが、このNSG決定が国会で議論になった直後ですね、国会で議論になったときの外務大臣は中曽根外務大臣だったわけでありますが、採決に当たって、大局的観点からぎりぎりの判断としてコンセンサスに加わったと、こう言われております。  ぎりぎりの判断というのはどういう趣旨だったんでしょうか。それが、なぜ、これを乗り越えて積極的にインドとの原子力貿易をするということに転換をしたんでしょうか。
  131. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員指摘のように、これまで国際社会としてNPT参加していないインドを国際的な不拡散体制の中にどうやって実質的に取り込むのか、何よりも、この原子力平和利用において責任ある行動を取らせるためにはどうしたらいいのか、こういったことで議論が行われてきました。  御指摘のぎりぎりの判断についてですが、インド原子力関連資機材等の移転を例外的に可能とするNSG声明は、二〇〇八年九月のNSG臨時総会において、参加各国による激しい議論の結果、コンセンサスで採択されたものであります。  その中での我が国立場考え方ですが、我が国は、唯一の被爆国として、特にインドによる核実験モラトリアム継続を重視しつつ、インド例外化に係る議論参加し、そして、このNSG決定は、国際社会が、インド核実験モラトリアム継続IAEA保障措置の適用、厳格な輸出管理措置等を含む約束と行動を重視した結果であり、我が国として、それまでの議論の結果を踏まえて、仮にインドによる核実験モラトリアム維持されない場合には、NSGとしては例外措置を失効又は停止すべきこと、また、NSG参加各国各国が行っている原子力協力停止すべきであるということ、これらを明確に表明した上でコンセンサスの採択に参加した、こういった経緯でありました。こうした取組につきまして、ぎりぎりの判断という表現で説明されたものであると考えております。
  132. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本自身も、このNPT体制が崩れていくということで懸念を表しながらも、先ほど言いましたように、個々の国が判断をしていくということになった中でぎりぎりの判断ということもあったんだと思うんですね。  先ほど反対した国を挙げましたけれども、反対した国々の中で、その後、インド原子力協定を結んだ国はありません。特に、強く反対したオーストリア、アイルランド、ニュージーランド、これは核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議の提案者となるなど、核なき世界に向けて大きな役割を果たしているわけですよ。ですから、当時、ぎりぎりの判断、懸念を示した日本だけが全く逆の方向に進んでいるということが私は今実態だと思うんですね。  更に聞きますけれども、インドだけ核兵器を保有しているにもかかわらず平和利用を認めても構わないと特別扱いをするのはどういう理屈なんでしょうか。他の国が同様の協力を求めてきたら、一体どう対応をするんでしょうか。
  133. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、国際社会としてNPT参加していないインドを国際的な不拡散体制の中にどのように実質的に取り込むのか、原子力平和利用において責任ある行動をいかに確保するのか、こういった観点から国際的な議論が行われてきたわけであり、そしてその結果が先ほど御指摘がありましたNSG声明のコンセンサス採択にもつながったと考えます。  そして、その他の国が原子力協力を求めてきた場合どうするのかという部分でありますが、インドの場合は御案内のように厳しい条件の下に例外を認めたわけでありますが、その他の国がもし求めてきた場合、これは、核不拡散の観点、相手国の原子力政策等を総合的に勘案し、個別具体的に改めてNSGにおいてこの議論が行われる、そこから国際的な取組のありようが確認されていくことになると考えます。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 やはり、一度例外をつくれば、私は、他の国から二重基準と言われることがあっても仕方がないですし、核廃絶に例外を認めるようなことは、やり方は重大な禍根を残すと思います。  今、北朝鮮の核問題でも、日本は、国際的な一致した圧力、そういう中での対話による解決ということを我々は求めてきたわけでありますが、こういう北朝鮮に対しての核保有に対しても国際的な圧力を掛けていくという点で、一方で、こういうインドの、保有している国とこういう協定を結ぶということは、こういうやっぱり国際的な取組についても私はマイナスになると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  135. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 元々、インドNPT参加していませんでした。よって、国際的な核不拡散体制の外側に存在していた国であります。この国をいかに実質的に国際的な不拡散体制の中に取り込むのか、こうした観点から議論が行われてきたと思います。  元々、こうした管理体制の外側にいた国を実質的に取り込む、インド原子力平和利用に関する責任ある行動を取らせる、核実験が行われたならば協力停止をする、そしてIAEAの保障措置の適用範囲をより拡大させる、こういったことを実現することは、現実問題、かつてのインドの置かれた立場と比較して、国際的な不拡散体制を充実させる上で、これは前進であると認識をいたします。
  136. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 時間が来ております。
  137. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 厳しい国際環境の中で、是非一歩でも二歩でも現実を前進させることは重要であると考えます。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 北朝鮮の問題の解決に逆行するんじゃないかという質問だったんですが、お答えはありませんでした。また、次回ただしたいと思います。  以上です。
  139. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  午前中、阿達委員の方から質問がありましたけれども、私はまず国内原子力政策について何点か確認をしておきたいと思っております。    〔委員長退席、理事堀井巌君着席〕  まず、福島原発事故以来、我が国が抱える原発の問題は二つあって、大別すると、一つ目が安全性の問題、それから二点目が核燃料サイクルと最終処分場の問題だと思っております。一点目の安全性に関しましては、世界最高水準の規制基準が設定されたと私は思っておりますが、二点目の核燃料サイクルと最終処分場は方針がまだ明確ではありません。これが我が国が抱えておる原発問題の実態だと思っております。  そこで、まだ解決を見ない核燃料サイクルについてまず質問させていただきます。  これ、高速炉開発の方針という、平成二十八年十二月十九日、高速炉開発会議の文書でありますが、我が国方針として、「我が国は、高速炉開発の推進を含めた核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。」と書かれてあります。ところで、その原型炉であります「もんじゅ」の廃炉が決定しております。しかし、高速炉開発は続けるということでありますが、原型炉の次の実証炉開発の現状について御説明くださいませんか。
  140. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、昨年、原子力関係閣僚会議、これを開催いたしまして、高速炉開発の方針というものを確認させていただきました。その中でも、「もんじゅ」は廃止ということに至りましたけれども、高速炉開発は引き続き推進をしていくということにしてございます。  実証炉につきましては、国内で実証炉という形はまだないわけでございますけれども、フランスとの間でASTRIDという実証炉の研究開発の協力というものを現在進めておりまして、今、基本的な協力というものを二〇一四年から始めておりますけれども、それを推進しているという状況でございます。
  141. 浅田均

    ○浅田均君 今お話の中にありましたASTRID、二〇一〇年頃から新たな実証炉ASTRIDの開発をフランスが始めた。実証炉BN800というのが、これはロシアですが、二〇一四年に初臨界に達して送電を始めたということであります。高速炉開発を更に進める動きも顕在化しておりますが、高速炉開発の今若干御説明があったんですが、日仏ASTRID協力、これ二〇一四年から開始ということで、現状、今まだ実証炉の開発には至っていないというところでありますが、このASTRID協力の成果について今どの程度まで来ているのか、御説明いただけませんでしょうか。
  142. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、日仏のASTRID協力は、二〇一四年に日仏の首脳間で合意をいたしまして、それで開始をされてございます。  具体的には、フランスが二〇三〇年代に実現を目指してございます六十万キロワットの実証炉に関する共同研究項目として、現在九つの設計タスクと二十六個の研究開発のタスクにつきまして両国で取り組んでいるという状況でございます。  そのうち我が国が担当する分野の中では、高速炉の安全対策のうちシビアアクシデント対策、いわゆる重大事故対策として重要な手段となります崩壊熱除去系、それから原子炉停止系に関する技術などが含まれてございまして、過去三年間の協力を通じて最新の設計、ノウハウ等を取得してきている状況でございます。  今後とも、我が国が獲得し得る重要な技術へのアクセスが拡大していくよう、フランスとしっかりと協議をしながら進めていきたいというふうに考えております。
  143. 浅田均

    ○浅田均君 ASTRIDにおいて、シビアアクシデントが起きたときの、どういうふうな装置を稼働させるかというところが一番の問題になっていると思うんです。  それで、これまた別に、アメリカのアルゴンヌという国立研究所が、これはもう三十年ぐらい前になりますが、一九八六年の四月に統合型高速炉、インテグラル・ファスト・リアクター、IFRと呼ばれておりますが、IFRの原型炉で、これフルパワーで稼働時における緊急停止装置、スクラムなしの電源喪失という過酷事故を想定した実験を行っております。だから、福島事故では地震直後にスクラムが起動したけれども、津波によって全電源喪失ということになってメルトダウンが起きたということになっております。ところが、このアルゴンヌの実験では受動的安全装置を備えていたおかげでメルトダウンには至らなかったと。電源喪失後に炉内の温度はかなり上がったけれども、すぐに下がり始めて炉は自動停止したという記録があります。  それで、これ、理由、原因は私調べていなくてよく分からないんですけれども、これ中断されております、このアルゴンヌのIFRの開発については。どういうわけか中止になっております。  こういう事実があるにもかかわらず、フランスのASTRIDの方に行かれているということで、今申し上げましたアメリカのアルゴンヌ国立研究所で開発されていた統合型高速炉、IFRについての評価をお伺いしたいんですが、これ、本当に実用化されていて、福島原発で同じような仕組みが導入されていたら、全電源喪失でも自動的に炉は停止すると、それと核燃料サイクルにも貢献できるということで、話だけ聞いていたら理想的な炉であると思うんですけれども、アメリカはそういうのを中断してしまったと。でありますが、このIFR、統合型高速炉に関してどのような評価をされているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  144. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 先生御指摘の統合型高速炉、IFRでございますけれども、これは金属燃料を用いた小型炉、小型の高速炉ですね、それから乾式再処理施設あるいは燃料加工施設を同一サイト内に設置する概念でございます。非常にコンパクトな原子炉システムの概念でございますけれども、燃料の輸送等に係るリスクというのが非常に低減されるといったメリットがあるというものでございます。主にアメリカにおいて御指摘のように研究開発が進められていたものというふうに認識しています。現在も一部の民間企業において開発は継続されているというように認識してございます。    〔理事堀井巌君退席、委員長着席〕  他方、我が国は、これまでの高速炉の開発におきましては、重点的に投資していくべき対象として、ナトリウム冷却炉、それから湿式処理、それから簡素化ペレット法燃料製造の組合せ、これはいわゆるMOX燃料のことでございますけれども、これを選択することとして長年取り組んでまいりました。この大きな概念とフランスが開発をしようとしていますASTRIDというのは非常に親和性がございますので、そういった意味でフランスとの協力ということを進めてきているものでございます。
  145. 浅田均

    ○浅田均君 アルゴンヌの研究所とそのフランスのASTRIDというのは、何か直接的な情報交換とかそういう関係はあるんですか。何か御存じの範囲でお答えいただけたらと思うんですが。
  146. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) アメリカの国立研究所とフランスがどういう情報交換、やり取りしているか、ちょっと私も直接は存じ上げてございません。
  147. 浅田均

    ○浅田均君 それで、肝腎の核燃料サイクルの核心の部分ですね。原型炉の「もんじゅ」の廃炉が決まったと、次の段階の実証炉はまだ開発の段階であると、ただ、フランスのASTRIDといろいろ開発を進めていると、そういう段階というふうに承りました。  言わば原型炉を廃炉にすると、その後、実証炉がまだできていないと、そういう言わばはざまの段階で核燃料サイクルというものをどのようにして維持していこうと考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  148. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答え申し上げます。  我が国は、エネルギー基本計画でも閣議決定してございますように、核燃料サイクルを推進していく方針でございます。まずは軽水炉サイクル、高速炉サイクルはその次の段階でございますけれども、まず軽水炉サイクルをしっかりと進めようということで現在取り組んでいるところでございます。  現在、電力自由化などが進んでおりまして、事業環境、相当変化がございますけれども、そういった中でも使用済燃料の再処理、そして核燃料サイクルがしっかりと進められるよう、昨年十月に法律に基づきまして使用済燃料処理機構というものを設置いたしました。これによりまして、六ケ所の再処理工場の竣工あるいはMOX燃料加工工場の竣工などを含めて、機構工程管理計画策定を行い、国がしっかりとそれに関与する形で再処理事業等が効率的かつ着実に進むように取り組んでいくということでございます。  核燃料サイクルにつきましては、様々な課題がございますけれども、それぞれについては随時しっかり検討させていただいて、一つ一つ解決しながら進めていきたいというふうに考えてございます。
  149. 浅田均

    ○浅田均君 通告の中にないんですけど、今の流れで行きますと、核燃料サイクルを続けていく、しかし原発依存度はやっぱり下がっていくだろうという御答弁が午前中にあったと思うんですけれども、どの程度減っていくと。核燃料サイクルは続けると、日本原子力政策はこのまま続けていきたいというふうに御発言されておりますけれども、電源構成の割合における原発の割合というのを大体何割ぐらいと想定されているんでしょうか。例えば二〇三〇年代に一五%にするとか二〇%にするとか、そういう決定はまだないんですか。
  150. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 二〇一五年の七月、一昨年の七月でございますけれども、長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスというものを決定させていただいております。その中では、二〇三〇年の電源構成として、原子力については二〇から二二%程度という見通しを立てておるという状況でございます。
  151. 浅田均

    ○浅田均君 パリ協定の話をしようと思っていたんですけど、今お答えいただきましたので。  確かに、二十二基ですよね。二二%で、大体百万キロワットのやつが、大型軽水炉が二十二基という計算になると思うんですけれども、その時点で多くのものが廃炉の段階に、一九七〇年から始まったやつは四十年たって二十年延長で大体二〇三〇年辺りに大概が廃炉ということになると思うんです。  廃炉にして、その後、何で補填してその二二%、大型軽水炉が廃炉になると、その代替ですね、穴を何で埋めていこうと、どういう原子炉で埋めていこうという方針でしょうか。
  152. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  エネルギーミックス、二〇三〇年のエネルギーミックスの中では二二から、二二%程度というのを原子力の割合として示しております。これは、もちろん原子力稼働は、新規制基準をクリアした、原子力規制委員会の厳しい審査をクリアしたものが稼働していくということでございますが、これ、一定の条件の下で計算させていただきますと、そういった申請に基づいて原子力稼働していき、それから一部の炉について四十年を超えて六十年まで運転延長ができるという仕組みがございますので、そういったものを活用させていただくと二〇から二二%は達成可能というように見込んでおります。
  153. 浅田均

    ○浅田均君 防衛大臣外務大臣には大変失礼いたしました。インドへは、インドへ至る道は非常に長かったということで、インド洋まで至らず、日本で終わってしまいました。  次回、この日印原子力協定について質問させていただきます。おわび申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  154. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる、元気があれば幸せも感じられるということで、インドの小ばなしにこんなのがあります。息子とお父さんが会話をしたんですが、息子が、お父さん、ゲイという意味はどういう意味だいと聞いたら、お父さんが、ちょっと困って、それは幸せだ、幸せだということだよと話したら、息子が、じゃ、お父さんは幸せなんだねと。お父さんが慌てて、違う、違う、俺は奥さんがちゃんといるよという話なんですが。結構、世界の小ばなし、拾っていくと面白いものがいっぱいありますが、今日はインドということで、ちょっとインドに引っかけてみましたが。  日本インド原子力協定の再処理技術についてお伺いしたいと思います。  インドは既に独自の再処理技術を持っているので、今回の協定では条件付でインドにおける再処理を容認するとあります。厳格な条件とありますが、詳細を聞かせてもらいたいんですが、本当にいろんな資料を拾っていくと、この問題は大変難しいなというところにぶち当たりました。そんな中で、できる限りのお答えをいただきたいと思います。
  155. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本協定におきましてはインドにおける再処理を容認することとしましたが、これはあくまで厳格な条件の下でのみ認めたものであります。具体的には、本協定において、協定に基づいて移転された核物質等の再処理は、新しく建設されるIAEAの保障措置下にある再処理施設のみで行われることとしていること、さらには、同施設に適用される厳格な保障措置の内容、これも定めています。また、再処理により分離されるプルトニウムがIAEAの保障措置の下にあるインド国内の民生用の施設においてのみ貯蔵、使用される、こういったことも定めております。こうした条件下で再処理を認めたものであるということであります。
  156. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、核燃料サイクルについて成功している国、また、インドの原型炉の研究開発についても詳しくお話ししていただければと思います。
  157. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) 委員指摘の核燃料サイクルにつきましてですが、現在核燃料サイクルを進めている国としては、日本以外にフランス、ロシア、イギリス、中国、インドがあるというふうに承知をしてございます。  各国取組状況に差異はあるわけでございますが、特にフランスにつきましては、商業用として再処理を行い、回収されたプルトニウム等を燃料に加工し、発電を行っているという状況でございまして、核燃料サイクル事業として行われている状況でございます。また、ロシア、イギリスも同様のレベルにあるというふうに認識をしてございます。
  158. 増子宏

    政府参考人(増子宏君) インドの原型炉の研究開発についてお答えします。  インドにおきましては、高速炉の研究開発を継続して実施しておりまして、原型炉につきましては、インド原子力庁傘下の公営企業によりまして、電気出力五十万キロワットのPFBR500という炉の建設が二〇〇四年より開始されておりまして、二〇一四年に建設を終了しているところでございます。現在、本年十月の運転開始を目指しまして、規制当局と調整を行っているところと承知しております。
  159. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 原子力平和利用についてお伺いをいたしますが、本当に原子力については、専門知識というか、いろんな大学の先生にも話を伺ったことがありますが、あの東北の震災の後、テレビに出られたいろんな専門家が、メルトダウンは起きていない、起きているなんかで、的を得た学者さんが誰もいなかったというのが記憶にあるんですが、我々もこの専門ではありませんが、発電以外に原子力利用する方法はどんなものがあるのか、現状をお聞かせください。
  160. 進藤秀夫

    政府参考人進藤秀夫君) お答えいたします。  原子力平和利用を大別しますと、原子力発電によるエネルギー利用のほかには、放射線利用というのがございます。放射線利用、科学技術、工業、農業、医療、環境保全など、幅広い分野において利用されています。例えば、科学技術ですと、エックス線などを利用しました構造解析、材料開発など。工業でも、精密計測や材料の改良あるいは機能性材料を作ると。例えば、医療では放射線診断とか治療といったようなものが活用されております。  ちょっと古い数字になりますが、平成十七年度における放射線利用我が国の経済規模は四兆一千億円となっておりまして、エネルギー利用の経済規模と比較しましても、エネルギーが四兆七千億円ぐらいですので、匹敵する規模と言えると思います。  以上でございます。
  161. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 日本を始め、フランスや中国、核燃料サイクルを行い、使用済核燃料からプルトニウムを取り出して、それを燃料に高速炉を運転させようとしている。  再処理政策については、危険な上に費用も掛かるという考え方もあります。研究している過程で、事故や失敗の例について私もいろいろ見たんですが、報道されない部分でいろんな事故が起きておりますが、そんな中で、他国の例を含め、お聞かせください。
  162. 増子宏

    政府参考人(増子宏君) 我が国におきましては、昭和五十二年に当時の動力炉・核燃料開発事業団の東海事業所で再処理試験を開始しまして、平成十八年までに一千百四十トンの使用済燃料を再処理しているところでございます。この施設で得られた技術開発の成果は、六ケ所再処理工場への技術移転をほぼ完了しておりまして、現在は施設の廃止措置に向けた準備を行っているところでございます。  委員指摘の研究過程でのトラブルにつきましては、原子力機構がまとめた報告書によりますと、東海再処理施設におきましては、原子炉等規制法に基づく法令報告等が平成十六年六月末までに三十四件生じているところでございます。また、海外の事例につきましては、海外の再処理施設における事故、故障といたしましては、今申しました報告書で把握している限り、平成十年までに計三十六件生じているものと承知しているところでございます。
  163. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 プルトニウムを取り出すのに成功したという過程ですが、残ったごみについてはどう処理するのか、これも併せてお聞かせください。
  164. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  原子力発電に伴いまして発生する使用済燃料、これについては再処理をして、その過程で発生する廃液がございます。これをガラス原料と混ぜ合わせまして、いわゆるガラス固化体という非常に固い状態にいたします。これを地下三百メートル以深の安定した地層に埋設して処分をする地層処分ということを行うこととしております。  地層処分は、安定した厚い岩盤で放射性物質を閉じ込めることになりますので、地表の人間と自然から長期的に隔離をするということになります。その安全性安定性につきましては、国際的にも評価されているものでございます。
  165. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 プルトニウムを取り出すのに、先ほど、またダブってしまいますが、直接処分の方がより危険性が低く迅速に対応できるという見解を述べられた人がいますが、前に、確かに、トイレのないマンションという話がはやった頃があります。確かに、その廃棄したものをどうするかと、これも最近余り問題になっていないかもしれませんが、大分昔ですけど、台湾の方から話があって、衣服ですね、原発の中で使った衣服や何かをどう処理しているか、これをある国に、預かってくれる国はないだろうかなんという話もありました。そんな中で、この廃棄物の処理についてお聞かせください。
  166. 小澤典明

    政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。  委員指摘は、恐らく直接処分と再処理の違いと、それぞれの比較ということとも思いますので、その点についてお答えさせていただきますが、まず、直接処分をするということを考えますと、これは使用済燃料をそのまま処分をするということになりますので、再処理をした場合、先ほど申し上げましたガラスのように固めた状態に比べまして、放射性物質の閉じ込め性能、これは劣った状態でございます。  それから、使用済燃料からウランあるいはプルトニウムを回収しないまま処分をするということになりますので、その放射性物質の体積自身が大きくかつ有害度がまだ高い状態で残っていると、こういった技術的課題には留意する必要があろうかと思います。  再処理をいたしますと、高レベル放射性廃棄物の量が減少して放射能レベルも低減をし、回収されるプルトニウム等の資源有効利用ができるということでございますので、こういった再処理を含む核燃料サイクルを推進していくというのが政府方針でございます。
  167. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 インド日本インド原子力協定に対する反対運動が起こっていると耳にしましたが、状況についてお聞かせ願いたいと思います。
  168. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 原子力発電をめぐりましては、ほかの国と同様に、インドでも様々な考え方議論があると承知しております。  我々よりインド外務省を通じて照会しましたところ、この協定に関しては大きな反対活動等があるとは承知していないとのことでありました。また、インターネットなどの公開情報に数件抗議活動があるということは報じられておりますことは承知しております。  いずれにしても、インドにおきましては、原子力発電の実施機関である原子力開発公社が、原子力その他関連する事項に関する啓発のため、説明会、展覧会の開催などを実施していると承知しております。引き続き、インド政府がそのエネルギー政策を国民に適切に説明し実施していくものと考えております。
  169. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 協定とは別になりますが、先ほども言ったように安全性というのが一番大事なわけですから、その点で、インド南部のタミル・ナド州の原子力発電所で事故が起きたという、ちょっと記事も目にしました。その辺をひとつ、先ほど大臣も言われていました、最高のレベルという発言をされていましたが、その辺、先ほども東芝の問題やいろいろ技術の問題の話が出ておりましたが、ひとつ、一番不幸な事故が起きないように、これだけ、先ほど見ましたらすごい数の、幾つですかね、四百三十九基という原子力発電が動いているわけですが、これから事故を起きないことを願いながら、その辺の、日本最高レベルであればそれをどんどん指導して安全性を高めていただきたいと思います。  終わります。
  170. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  まず、北朝鮮のミサイル発射に関連して一点質疑いたします。  米海兵隊のネラー総司令官は、五月二十四日の米上院歳出委員会の小委員会で、最近のニュースに見られるように戦略的な情勢は変わった、敵国の能力が力学を変えたと述べ、さらに、私は、ハリス米太平洋軍司令官が、高まる脅威のため、少なくとも一時的に、どこに航空機を配置するかということについて異なる選択肢を検討していると考えていると証言しています。  北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえて、米軍が在沖海兵隊のグアム移転計画の修正を検討していることが明らかになりました。確かにネラー氏は今のところ計画にコミットしていると言っていますが、部隊の安全、リスクにさらされないことが確保されなければならないとも発言しています。  海兵隊の軍事的な観点からも、北朝鮮や中国のミサイルの射程内にある辺野古の新基地は望ましいものでないことが読み取れます。沖縄県民の民意を踏みにじって建設が強行されつつある辺野古新基地は、今や海兵隊からも歓迎されていません。  日本政府としてどのように考えていますか。辺野古新基地建設を停止し、米国と再協議すべきではありませんか。
  171. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 委員指摘の証言については承知をいたしておりますが、日米間では、二月の共同声明において首脳レベルで在日米軍の再編に対する日米のコミットメントを確認をしているところです。また、同共同声明において、辺野古基地が普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることも確認をいたしております。  いずれにいたしましても、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減、これを早期に実現するため、引き続き、日米間で緊密に協力しながら辺野古移転に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  また、ミサイルの射程内にあることに関連して、北朝鮮のミサイルの開発に関連して米国と再協議すべきではないかという点でございますけれども、アジア太平洋地域の安全保障環境、一層厳しさを増す中で、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策であると、この考えには変わりがないところでございます。  我が国は、弾道ミサイルへの脅威に関しては、我が国自身の弾道ミサイル防衛システムを整備するとともに、日米安保体制による抑止力、対処力の向上に努めることにより適切に対応することといたしているところでございます。  普天間飛行場の移設を含む在日米軍の再編事業については、米側と累次の機会を捉えて計画状況確認しながら進めており、引き続き、日米間で緊密に協力をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
  172. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 関連については次期の委員会にまた延ばします。  日印原子力協定について質疑します。  これまでも日本政府インドに対し、非核兵器国として、NPTへの早期加入、CTBTの早期署名、批准等を求めるとの我が国立場は変わりはないと繰り返してきました。どのような理由でしょうか。
  173. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国の核軍縮に対する基本的な立場は一貫しております。核兵器の非人道性に対する正確な認識と、厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を得つつ現実的、実践的な取組を進めていく、こうしたものであります。  御指摘NPTあるいはCTBT、これは核兵器国と非核兵器国双方が参加をする大変重要な枠組みであると認識をしております。我が国として、先ほど申し上げた基本的な立場を追求する上において、粘り強くこうしたNPTやCTBTといった枠組みを追求していかなければならない、このように考えている次第であります。そういった考え方に基づいて御指摘のような発言をしている次第であります。
  174. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 現在、国連は、核兵器禁止条約を七月にも制定する予定だと言われています。しかし、我が国は唯一の戦争被爆国であり、非核三原則を有する非核保有国にもかかわらず、核保有国、米ロ中や英仏とともに日本政府はこの核兵器禁止条約に反対し、一連の会議には参加していません。北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返しているなど、我が国周辺の安全保障環境の改善、特に朝鮮半島の非核化を求める我が国立場からして、核兵器禁止条約に全世界が積極的に合意し参加することを訴えるべきではないでしょうか。  来る国連での開催予定の核兵器禁止条約の制定のための採択において賛成投票すべきではありませんか、政府見解を求めます。
  175. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国の基本的な立場については、先ほど申し上げたとおりであります。二つの大切な認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を得て現実的かつ実践的な取組を進めていく、こうしたものであります。これが核兵器のない世界を目指す上において再短の道であると信じております。  御指摘核兵器禁止条約交渉でありますが、我が国はその初日に出席をし、我が国の基本的な考え方を申し述べました。ただ、開催されました核兵器禁止条約交渉の現実、交渉には核兵器国は一国も参加していませんでした。また、我が国とともに核軍縮・不拡散に取り組んできたカナダですとかオーストラリアですとかドイツといった中道国と言われる非核兵器国も参加をしていませんでした。また、その会場の外では、この核兵器禁止条約交渉に反対するアメリカを始め多くの国々が反対の記者会見を開いている、こうした現実を目の当たりにいたしました。この厳しい現実を見た上で、これは逆に核兵器国と非核兵器国の亀裂を深刻なものにしてしまう、こうした懸念から、我が国としまして、二日目以降の交渉に不参加決定した次第であります。  こうした核兵器禁止条約に向けて、たしか賛成投票をするべきではないかという御質問でありましたが、今後、この核兵器禁止条約がどのようなものになり、そしてどのように扱われるのか、現時点ではこれは明らかではありませんが、いずれにしましても、我が国は、先ほど申し上げました基本的な立場に基づいて具体的な行動決定していきたいと考えます。
  176. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 CTBTについても、米国、中国、エジプト、イラン、イスラエルは署名済みで未批准国と、北朝鮮インドパキスタンは未署名で未批准国です。我が国はこれまで、国際原子力機関の保障措置と並び、核兵器拡散条約を中核とする核不拡散・核軍縮体制の不可欠の柱と捉えて、CTBTの早期発効を核軍縮・核不拡散分野の最優先課題として重視してきました。また、仮に核保有国が当面は参加しなくても、国際政治、経済、社会において核兵器が禁止されるべき兵器であるとの規範が確立すれば、核兵器の廃絶、核なき世界に向けた大きな一歩になることはこれまでの非人道兵器の廃絶の歴史を見ても明らかです。是非、核兵器禁止条約についても積極的に関与していくことを求めます。  昨年来、日本政府インドNSG加盟を推進しています。日本政府インドNSG加盟を進める理由は何でしょうか。
  177. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。  我が国政府は、国際的な不拡散の取組強化する目的で、インドNSGの完全なメンバーとなるために共に取り組んでいくことという立場を取っておりまして、このことは二〇一六年十一月の日印首脳会談において発表された日印共同声明においても再確認されているところでございます。  より具体的に申しますと、インドNSG参加した場合に、自国からの原子力の関連資機材技術の輸出に当たって、NSGガイドラインに従って適切に規制を行うことを新たに国際的にコミットすることになります。これによって、懸念国・地域やテロリスト等がインドから機微な原子力関係資機材技術を入手することがより困難になる効果が期待されると考えております。  このように、インドのように原子力関連資機材技術の生産供給能力のある国に対してNSGガイドラインを遵守するように国際的にコミットさせることは、国際的な不拡散の取組強化に資するものと考えているところでございます。
  178. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 日本政府は、〇八年九月の原子力供給グループNSG第二回臨時総会において、ぎりぎりの判断としてコンセンサスに加わった、その際、我が国は、仮にインドによる核実験モラトリアム維持されない場合には、NSGとして例外措置を失効ないし停止すべきであること、また、NSG参加各国各国が行っている原子力協定停止すべきであることを明確に表明したと述べ、我が国も含めたコンセンサスでインドとの民生用原子力協力に関する声明を採択したと報告しています。この記載のとおり、NSGの意思決定はコンセンサス、全会一致制となっています。  質問です。仮にインド核実験を行った場合、インドNSGのフルメンバー、加盟国であった場合には、日本政府が表明するようなNSG参加各国各国が行っている原子力協力停止すべきとの決定は全会一致制である限り不可能になるのではないでしょうか。
  179. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) 御指摘のとおり、NSG決定というのはコンセンサスで行われます。インドは現時点ではNSGには参加していないということで、ただ、NSG参加したいという意思を表明しておりまして、まさに現在、NSGで本件の議論が行われているところでございます。  インドがどういう条件でどういう形で参加するかというのが決まっていない段階で、インド参加した後NSGの対応がどうだということを予断して申し上げることはなかなか難しいところがあるかと思います。  その上であえて申し上げますれば、NSGにおけるインド例外化決定というのは、インドが表明した核実験モラトリアム継続を含む約束と行動に基づくものでございまして、NSGにおけるインド参加問題に関しての議論においても、NSG参加国はこういう点に関して十分認識しつつ議論参加していると我々は考えております。インド自身もこういう状況は明確に認識していると承知しております。
  180. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 その協定の中でも、安全保障の問題を含めて様々な留保事項がある中で、このNSGの件については、先ほど〇八年の報告にありますように、日本がそういう立場であるということを述べているわけですが、今、日本政府インドNSG加盟を支援することと、日印協定後に核実験を行ったインドに対して日本政府NSG参加国に協力停止を求めることはできなくなり、やはり矛盾するのではありませんか。
  181. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) どなたが答えられますか。
  182. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) 大臣が先ほどから何回も答弁されておりますとおり、今NPT体制の外にあるインドを、これを加入させるということは実質的な強化に……(発言する者あり)
  183. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) どうぞ、答弁続けてください。(発言する者あり)いや、答弁続けてください。
  184. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) 失礼申し上げました。失礼しました。(発言する者あり)
  185. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  186. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を起こしてください。
  187. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) 失礼申し上げました。  委員おっしゃられたとおり、日本NSGインドに対する例外決定がなされたときに、そのインド例外措置の、インド核実験という重大な事態が生じた場合には、我が国として、インド例外措置の失効又は停止につきNSG参加国と協議することをインド例外化コンセンサスの採択時に明らかにしているところでございます。  こうしたNSG声明及びNSGガイドラインを踏まえれば、万が一インドによる核実験の重大な事態が生じた場合には、NSGインドへの原子力協力関連資機材等の移転の終了を含む適切な対処及び行動に関して合意するものと我々は考えております。
  188. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 コンセンサス合意という中で、NSG加盟という問題がやっぱり矛盾を生じると思いますね。  政府NSG加盟支援は、インドが仮に核実験をしても、例外措置や他国の原子力協力に影響を与えないような抜け道を用意するものであり、インド核実験をしたら原子力協力停止するというこの間の政府説明が全く意味を持たないものになるのではないでしょうか。引き続き、次期委員会でまた議論していきたいと思います。  以上です。
  189. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時一分散会