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2017-05-16 第193回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宇都 隆史君     理 事                 阿達 雅志君                 堀井  巌君                 山田  宏君                 大野 元裕君                 浜田 昌良君     委 員                 佐藤  啓君                 佐藤 正久君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 中西  哲君                 山本 一太君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 浅田  均君               アントニオ猪木君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     稲田 朋美君    副大臣        外務大臣    岸  信夫君        外務大臣    薗浦健太郎君    大臣政務官        外務大臣政務官  小田原 潔君        外務大臣政務官  武井 俊輔君        外務大臣政務官  滝沢  求君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 和夫君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        内閣官房内閣人        事局内閣審議官  加瀬 徳幸君        外務大臣官房審        議官       飯田 圭哉君        外務大臣官房審        議官       三上 正裕君        外務省総合外交        政策局長     石兼 公博君        外務省北米局長  森  健良君        外務省中南米局        長        高瀬  寧君        外務省欧州局長  正木  靖君        財務省主税局参        事官       吉田 正紀君        国税庁調査査察        部長       柴崎 澄哉君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省地方協力        局次長      谷井 淳志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○所得に対する租税に関する二重課税除去並び  に脱税及び租税回避防止のための日本国とス  ロベニア共和国との間の条約締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税除去並び  に脱税及び租税回避防止のための日本国とベ  ルギー王国との間の条約締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税除去並び  に脱税及び租税回避防止のための日本国とラ  トビア共和国との間の条約締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税除去並び  に脱税及び租税回避防止のための日本国とオ  ーストリア共和国との間の条約締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○脱税防止のための情報交換及び個人所得  についての課税権配分に関する日本国政府と  バハマ国政府との間の協定改正する議定書の  締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国スロベニア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件外四件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田和夫君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国スロベニア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国ベルギー王国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国ラトビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国オーストリア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件及び脱税防止のための情報交換及び個人所得についての課税権配分に関する日本国政府バハマ国政府との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。  五件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 堀井巌

    堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌でございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず、北朝鮮情勢であります。  一昨日の早朝、北朝鮮が新型の弾道ミサイル発射いたしました。高高度に達するいわゆるロフテッド軌道と言われるミサイル発射であります。断じて容認できないものであります。我が国安全保障にとって深刻な脅威だというふうに感じております。今こそアメリカを始めとする同盟国と更に連携強化しながら、しっかりとした体制を取っていく必要があると改めて感じているところでございます。  そのような中で、ゴールデンウイーク中に、ここにおられます藤田幸久委員と御一緒させていただきまして、アメリカワシントンを訪問いたしました。国務省、国防総省、連邦議会議員方々、そして日米関係有識者方々意見交換をいたしました。貴重な機会でありました。  その中で一点、非常に印象的な、私にとって印象に残る見識をいただきました。それは、北朝鮮にとって一番の利益となるのは、この日本アメリカ韓国日米韓が離間をすることだという見識であります。逆に言えば、この北朝鮮情勢問題に対応する際には、日米韓の三か国の緊密な連携、これが極めて重要だろうというふうに私は受け止めたところでございます。  この三か国の緊密な連携こそが北朝鮮挑発行動の抑止につながると考えますし、また、他の国々、例えば中国等北朝鮮にどのような対応をするかと、そういったところにも一つの影響を与えるものであろうと思います。また、万が一の際に、例えば在韓邦人韓国居住あるいは訪問している邦人を円滑に本国に移送するという観点からも、やはりこういった国々連携は重要ではないかと考えるところでございます。  岸田大臣におかれては、四月末にニューヨークを訪問された折に日米韓外相会合出席をされるなど、この三か国の連携に積極的に努力をされておられますけれども、この日米韓三か国の連携重要性についての御見解あるいは今回の北朝鮮情勢見解も含めてお伺いしたいと存じます。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) おっしゃるように、北朝鮮の核・ミサイル開発を始めとする朝鮮半島の安全保障の課題について、日米日韓、そして日米韓、こうした連携、極めて重要であると認識をしています。  日米韓の間においては、四月の二十八日ですが、今年二回目の日米韓外相会合を開きまして、緊密に連携することを確認し、そして政策のすり合わせを行った次第です。  そして、五月十四日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて、尹炳世韓国外交部長電話会談をさせていただき、情報交換を行い、そして、しっかりと日韓あるいは日米韓で緊密に連携していくことで一致をいたしました。  そして、日米の間においても、つい先ほどですが、九時三十分過ぎから二十分間にわたりまして米国レックス・ティラソン国務長官電話会談を行いました。私の方から、今般の北朝鮮弾道ミサイル発射は断じて容認できるものではなく、北朝鮮に対して断固たる姿勢で応ずる必要がある、北朝鮮とは対話のための対話では意味がなく、今は北朝鮮に圧力を掛けていくことが必要であるということを述べ、ティラソン国務長官からは、自分としても全く同様の考えであるという反応がありました。緊密な連携確認し、さらには北朝鮮問題への対処に当たり中国が更なる役割を果たすよう求めていく、こういった点でも一致をしたわけであります。  日米の間においては、今日の午後はハリス太平洋軍司令官会談をする予定にしております。  このように、日米日韓、そして日米韓連携を、様々な形で連携しているわけでありますし、国連安保理においてプレスステートメントを既に発出しており、今後、安保理緊急会合も開催される予定にしております。こういった場においても連携をしっかりと行っていきたい、このように考えます。
  7. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  このように、もう本当に緊密に、同盟国であるアメリカ、そして韓国と緊密な連携を図るために尽力をされておられることを改めて敬意を表したいと存じます。  その関係で一点確認をしたいことがございます。いわゆる慰安婦問題に関する日韓合意についてであります。  こういった緊密な連携をしっかりと強化していくためにも、新しい韓国の文新政権との関係、非常に重要でありますけれども、そのためにも、新たな韓国文政権が慰安婦問題に関する日韓合意、しっかりと履行することは極めて重要だと考えております。  報道等によれば、国連人権条約に基づく拷問禁止委員会が、韓国からの様々な情報に基づいて、韓国政府に対して日韓合意見直しを勧告したというふうな報道もございまして、これは私は適切でないと、このように思っております。  日韓合意を履行を一貫して求めていく姿勢に変わりはないか、微動だにしないということについて岸田大臣確認をしたいと存じます。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 一昨年末の日韓合意ですが、これは日韓両国間で約束したものです。この国際社会からも高く評価された合意が着実に実施されることが重要であると考えます。  十一日に日韓首脳電話会談を行いました。その際にも安倍総理から、日韓合意を含む二国間の関係を適切にマネージしていきたい、こういった旨発言をしております。  政府としては、引き続き韓国側に対し粘り強くあらゆる機会を捉えて合意の着実な実施を求めていく方針、これは全く変わりはありません。そして、こういったことを国際社会にもしっかり理解してもらう努力を続けながら、粘り強く取り組んでいきたい、このように考えます。
  9. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。更なる御尽力を心から期待をしております。  次に、租税条約関連質問を二点させていただきたいと思います。  まず一点目、今回、スロベニアベルギーラトビアオーストリア、それぞれの国についてこの租税条約締結を目指していられるわけですが、この交渉に至った背景、経緯、及びこの締結をすることの意義についてお聞かせいただきたいと存じます。
  10. 滝沢求

    大臣政務官滝沢求君) お答え申し上げます。  スロベニア及びラトビアについては、我が国両国との間の投資経済交流活発化しており、両国から累次の機会にわたって締結要望があったこと、また、他のG7や中国などが両国との間で租税条約締結済みであることなどを踏まえ、租税条約新規締結に向けた交渉に至ったところでございます。  ベルギー及びオーストリアについては、進出日系企業も多く、緊密化する両国との経済関係に照らして、全体的に古い内容となっている現行条約の全面的な見直しに向けた交渉に至ったものでございます。  いずれの交渉も、二重課税除去を図るとともに、国際的な脱税租税回避行為に適切に対応するための内容となっており、我が国企業海外での経済活動をより活発にするとともに、相手国との健全な投資経済交流を一層促進することができると期待されているところであります。  政府といたしましては、引き続き、新規租税条約締結や既存の租税条約改正のための交渉に積極的に取り組み、租税条約ネットワーク拡充を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  11. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  今の滝沢政務官の御答弁をお伺いしまして、改めてこの四つの条約、極めて大きな意義があることが分かりました。また、今後様々な国との関係でも、経済的な連携強化、円滑な経済活動活発化に向けて御努力いただきたいというふうに思います。  もう一点、今般、バハマとの間で現行協定改正するということでありますが、非居住者に係る金融口座情報自動的交換ということが行われるということですけれども、このことによってちょっと具体的にどのようなことが可能となるのか教えていただきたいと思います。また、こういった取組、その他の国との間でどのように今後行っていくのかということについて教えていただきたいと存じます。
  12. 高瀬寧

    政府参考人高瀬寧君) お答えいたします。  バハマとの現行協定におきましては、個別の税務調査に関しまして相手国税務当局に必要な情報の収集、提供を求める要請に基づく情報交換というのが可能でございます。これに対しまして、今般の改正議定書締結によりまして、日本バハマの間におきまして、OECDが策定しました国際基準に基づいて、非居住者に係る口座残高ですとか利子、配当等年間受取総額等金融口座情報を年一回自動的に交換することが可能となります。  我が国は、国際基準に基づく自動的情報交換をできるだけ多くの国・地域との間で可能とするとの観点から、多数国間の情報交換枠組みでございます税務行政執行共助条約というものを通じまして自動的情報交換を行うことを基本としております。他方、今回のバハマのように、二国間の枠組みを通じて行う意向が示された場合には、二国間協定締結改正交渉を行っていくということにしております。  我が国といたしましては、多数国間そして二国間双方枠組みを活用しながら、各国・地域との協調をしつつ、国際的な脱税租税回避防止に適切に対処してまいりたいと考えております。
  13. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  脱税防止に非常に大きな意義を有する今回の改正だというふうに思います。こういった取組、今後引き続きしっかりと進めていただければというふうに期待をいたしたいと存じます。  次に、外交力強化について、大きく二つの分野についてお伺いをしたいと存じます。  一つは、JETプログラムと言われるものでございます。語学指導等を行う外国青年招致事業ということで、全国の小学校や中学校等々で英語の助手として、あるいはまた全国自治体職員として世界から派遣をされて働いておられるという事業でありますが、一九八七年、昭和六十二年に始まって、昨年三十周年を迎えたというふうに伺っております。これまで六十五か国から約六万五千人の卒業生参加者を輩出しているということであります。  私、先日、在京アメリカ大使館あるいは英国大使館JETプログラム経験者で今大使館勤務をされている外交官方々と懇談をする機会がありました。例えば、在京米大だけで、もう既にJETプログラム参加者参加経験者卒業生が十名以上、二桁の数で今在京米国大使館で働いておられるようであります。また、アメリカ国務省の中で働いている外交官の方でこのJET経験者というのは百名を超える、いわゆる三桁に上っているということであります。  また、私も時々ワシントンを訪問したときに、日米関係のシンクタンクや何かを訪問したときに、いや、実は私はJET経験者ですという方にも多く出会うわけであります。とある国の外交官の方がおっしゃっておりました。これは本当に日本にとってすばらしいソフトパワーだと、日本外交戦略上最も成功した外交戦略一つではないかと、そんな言葉も聞いたことがございます。  私も、これは日本子供たちにとっては直接ネーティブの方々英語を理解する、あるいは様々な自治体勤務をしながら他国のこういう文化に触れながら多文化共生を進めていくという意味で国内においても意義が大きいと思いますけれども、同時に外交上の意義も極めて大きいというふうに思っているところでございます。  私は、これは、今、三十周年を迎えて、今回、このJETプログラムというものについて更にこれまで以上にこの外交上の意義ということをしっかりと受け止めて、この事業に関する様々な施策、例えば採用段階から卒業生との連携強化に至るまで、新たな視点も導入しながら、例えば、アメリカの場合だと例えば五十州ありますけれども、これまでは応募者の少なかった地域にも積極的に出かけていって草の根、裾野を広げていくような新たな取組を行うなど更なる取組を行い、このJETプログラム事業を戦略的に拡充強化していくことが極めて重要だというふうに考えております。  予算の方も、なかなかこういった部分というのは例年の形でやっていると光が当たりにくいところがあるかもしれませんが、減少してきたという経緯もあるようですけれども、私は、今、これこそ本当に日本ソフトパワーとしてしっかりとした位置付けを持って、外務省において戦略的に拡充強化の方向で対応していただきたい、このように強く期待をしておりますが、岸田大臣の御見解伺いたいと存じます。
  14. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  15. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を起こしてください。
  16. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のとおり、元JET参加者はこの三十年間で六万四千人を超えています。世界各地親日派知日派として我が国との関係草の根レベルで支え、官公庁や議会、学界においても活躍する方もおられます。これは貴重な外交資産であると思っています。  そして、在外公館等では、元JET参加者との連絡を維持し、情報発信在外公館事業実施に当たっても貴重な存在となっています。また、元JET参加者は、同窓会組織JETAAを組織し、JETプログラム広報、選考に協力したり、日本文化紹介活動を行ってきてもいます。  JETプログラムは、昨年度の行政事業レビューにおいても外部有識者から全体として意義の高い事業であるとされ、同事業を全般的に一層強化することが望ましいと高い評価を得ています。こうした重要な役割や高い評価に鑑み、外務省としては、今後も関係省庁、団体と緊密に連携しながら、JETプログラム事業強化を図るとともに、海外における募集広報活動強化できるよう一層努力をしていきたい、このように考えております。
  17. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  是非とも、これは三十年が四十年になったときに、五十年になったときに、更にこのJETプログラムというものがより広く世界認識をされ、また支持をされ、理解されることを心から望んでおります。外務大臣の御尽力を心から期待をいたしております。  次に、外交力強化に関してもう一点お伺いをしたいと思います。国際機関への日本人職員派遣、これの数の増加という点であります。  まず、政府は、国連関係機関における現在八百人の日本人職員を二〇二五年までに千人まで増やすというふうなことを目標にしているというふうに承知しております。この約八百人の日本人職員のうち、今日私が特にここの中で質疑をしたいのは、国家公務員政府から国際機関派遣をされているという、この方々についてちょっと議論をしたいと思いまして、まず、こういった国際機関派遣されている国家公務員からの政府出向者の数について教えていただければと思います。
  18. 石兼公博

    政府参考人(石兼公博君) 国連関係機関におけます国家公務員等政府関係者出向者に関するお尋ねでございます。  まず、国連関係機関における邦人職員数でございますが、昨年の最新の数字は現在取りまとめ中でございまして、手元にございます一番新しい数字が二〇一五年十二月三十一日時点でございますが、これによりますと、国連関係機関における邦人職員数、全体像としては七百九十三名でございます。そのうち、国家公務員等政府関係者出向者は七十四名でございます。
  19. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  今現在、七百九十三名の方々国連関係機関日本人職員として働いておられる、そのうち七十四名がこれは国家公務員政府からの派遣であると、このように今伺ったところであります。  昨日の決算委員会も私出席しておりまして、この国際機関への日本人派遣について増強すべきだという質疑がありました。これ、今、政府の方で、特に外務省の方ではJPOという制度で、まず若い三十五歳までの日本人方々をその入口でもって二年間なら二年間国際機関派遣をして、そして正規職員として採用されるような、そういった支援を行っている。  私は、これは極めて重要なことだと思いますし、是非ともこれはしっかりと支えていただきたいというふうに思うわけでありますが、もう一点、この国家公務員として働いている方々国際機関に出られる方、そして将来そのまま国際機関に残ったり、あるいは何度か行き来をしながらも最終的には国際機関事務局長になられたりというような方々もこれまでもたくさんいらっしゃったというふうに思うところでございます。この数も、今国際機関の中で、私は日本国家公務員というのは非常に信頼も評価もされている方々であろうというふうに思いますし、日本人職員を増やすという意味でこの流れもしっかりと充実強化できるものならしていけば有り難いなというふうに思うところでございます。  もちろん、今外務省職員の方で国際機関に出られる方々もいらっしゃると思いますが、一つの省だけで、あるいは財務省だけでとか厚生労働省だけだと、どうしても人的な限界があろうかというふうに思います。そういった中で、やはりこれは政府全体で様々な省庁の枠を超えて、例えば国際機関に出ようとすると、まずは修士号とか博士号を取得していることが非常に重要でありますけれども、政府全体で人事院留学という制度があって修士号を取られた方々もいらっしゃるわけであります。そういった方々で、各省で働いている、一回は海外勤務もあった、そういった方々でも、将来は国際機関で働けるものだったら働いてみたいなという希望があっても、なかなかそういうものを受け止める形がなければ、それぞれの各省人事の中でこれまでの人事によるキャリアパスを歩いていくということになると思います。  これから公務員方々は、恐らく近い将来、六十五歳まで基本的に役所の中で公務を全うするという人生が主流になってくると思います。そういった中でも、しっかりとした国際機関への派遣ということも政府全体で、これは各省庁人事の枠を超えてしっかりと目配りしながら人事政策として行っていくことが必要だと、重要だと考えますけれども、内閣人事局の御見解をお伺いしたいと存じます。
  20. 加瀬徳幸

    政府参考人加瀬徳幸君) お答え申し上げます。  国際連合も含めまして国際機関への派遣に関しましては、内閣人事局発足後に平成二十六年六月閣議決定をいたしました採用昇任等基本方針におきまして、国際社会の中で国益を全うできる人材育成の観点から国際機関への派遣等の機会の充実に努めることとされております。また、これを踏まえまして、将来の幹部候補として育成対象となる各省庁の若手、中堅職員に対しまして国際機関などの多様な勤務経験を統一的に付与することとしておるところでございまして、今後、派遣実態等の具体の育成状況についても把握をしてまいりたいと考えておるところでございます。  国際機関で活躍する日本人を増やしていくためには、国際機関のニーズを的確に把握するほか、例えば国際機関の要職を務める日本人を増やすなどの総合的な取組が必要と認識をしておるところでございます。内閣人事局、平成二十六年に内閣官房の機関として新たに設置されたものでございますけれども、今後とも外務省を始めとする関係機関と連携をいたしまして、まず情報共有など取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  各省庁の中には修士号を留学して取って海外経験もある、そして中堅職員で、心の中ではできればそんな機会があれば行ってみたいなと思っている、希望している方々にも私も出会ったこともございます。うまくマッチングをすることによって国際機関への派遣の数も増えていくんじゃないかというふうに期待をしておりまして、内閣人事局の御尽力を御期待申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  22. 大野元裕

    ○大野元裕君 おはようございます。民進党・新緑風会、大野元裕でございます。  早速質問に入らせていただきますが、北朝鮮から、防衛大臣にまずお伺いをさせていただきたいと思っています。  累次の安保理決議に違反をし、十四日に北朝鮮弾道ミサイルと見られる飛翔体を発射させました。これは受け入れられない暴挙であって、民進党としても強く抗議したところであります。特に、本ミサイルロフテッド軌道で二千キロ高度に達したとすれば、現在のブロックⅠAはおろかブロックⅡA、開発中のブロックⅡAでも迎撃が困難になるのではないかとも言われています。  一方、米軍はこのミサイルはICBMではないというふうに言っているようですけれども、そうだとすると、これIRBMになると思うんですが、防衛省が提供する資料によれば、その最長のムスダンの飛距離は四千キロですから二千キロの高度までは通常上がるとは思われないんだと思います。  そうだとすると、防衛大臣にお伺いします、北朝鮮側が主張するとおり、この新たに開発された中距離弾道ミサイル発射されたというふうに理解をされておられるんでしょうか、教えてください。
  23. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今回、北朝鮮発射をした弾道ミサイルの種類について、そのミサイルは三十分程度飛翔し約二千キロメートルを超えた高度に達したものと推定され、北朝鮮発射翌日に発表した画像を見る限り、今回発射された弾道ミサイルは、スカッド、ノドン、ムスダンとは弾頭の形状が異なることなどを踏まえれば、新型の弾道ミサイルであった可能性が考えられるところでございます。また、弾道ミサイルの射程については総合的、専門的な分析を慎重に行う必要があって、詳細は分析中でございます。  そして、北朝鮮メディアが、新たに開発した地対地中距離戦略弾道ロケット試験発射を成功裏に行ったと述べていると承知をいたしておりますし、米太平洋軍が今回の飛翔はICBMとは一致しないと述べていることも承知をいたしているところでございます。一般的にICBMは射程五千五百キロ以上飛翔するものとされております。他方、北朝鮮が言う中距離戦略弾道ロケットがいかなる定義で使用されているかについては必ずしも明らかではございません。  いずれにせよ、防衛省としては、引き続き総合的、専門的な観点から詳細に分析してまいります。
  24. 大野元裕

    ○大野元裕君 民進党は、岡田安全保障調査会長名で声明を出しまして、政府に対して新たな事態が判明した際には国会への報告を求めております。是非、大臣におかれましては、今は調査中だと思いますけれども、新たに事実関係が判明したときには随時国会に御報告をお願いをさせていただきたいと思っています。  さて、その上で外務大臣に、今回、今議案となっております条約についてお伺いをいたします。  バハマ国については、これまで租税回避地として指摘をされ、いわゆるバハマ・リークスでは日本企業の名前も取り上げられる等、その影響は我が国にも及んできていました。そんな中で、バハマが、OECDが定める共通報告基準、CRSに署名をしましたが、その基準に基づく情報交換を自動的に実施することについて合意する本協定については、このような経緯もあり、我々は賛成であります。  その一方で、アメリカなんですが、アメリカはこれ、CRSに参加していないんです。最近では、これまで租税回避地とされてきた国や、例えばバハマのような国や、それらの地域から、逆にアメリカのネバダ州やワイオミング州あるいはサウスダコタ州、そういったところに資産を移す動きもあると承知をしています。  そこで、大臣、適正な租税の徴収と公平性の確保という観点からも、我が国としてアメリカに対してCRSへの参加を強く働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) OECDが策定した共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報の自動情報交換制度、これは可能な限り多くの国々が足並みをそろえて実施することでその効果が発揮されるものであると認識をします。  我が国としては、米国、御指摘の米国を始め、本制度実施にコミットしていない国々に対して、多国間の場あるいは二国間の協議、こういった機会を通じて積極的に働きかけを続けているところですが、これ、引き続き、参加国の拡大に向けて取り組んでいかなければならないと思います。御指摘の米国を始め各国に対し、働きかけ、続けていきたい、このように思います。
  26. 大野元裕

    ○大野元裕君 実効的な租税の公平性とそれから徴収という観点からも、是非お願いをさせていただきたいと思っています。  さて、再び北朝鮮情勢についてお伺いをいたします。  北朝鮮は、我が国に対してこれまでも挑発を繰り返してきました。政府はこれまで武力行使に至らずとも着手と認められれば武力攻撃事態に認定されるとし、それについては具体的な例も示してこられました。そこではこうおっしゃっています。例えば、我が国を攻撃するということを明示して、攻撃のためのミサイルに燃料の注入その他の準備を始めた場合、あるいは東京を火の海にしてやる、灰じんに化してやるといったような表明をして、かつ弾道ミサイルに燃料注入を開始し、又は起立をさせた場合という場合が考えられるというふうに述べてこられました。  そこで、防衛大臣にお伺いしますけれども、昨今、北朝鮮我が国に対し恫喝とも取れる発言を繰り返しています。それは配付資料の一枚目を御覧いただくと、例えば昨年からだけでも大変な、失礼なというか、挑発的な発言を繰り返しています。こういった一連の発言、そして、既に弾道ミサイルの燃料注入、起立どころか、もう発射しているんですね。こういった中で、武力行使の着手という事態認定が行われる事態に至っていると防衛大臣はお考えでしょうか。
  27. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) どの時点で相手が武力攻撃に着手をしたかは、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等様々な事情を勘案して総合的に判断する必要があって、仮定の事例において限られた要件のみであらかじめ確定的にお答えすることは困難であります。  その上で、今お尋ねの昨年から現在までの一連の北朝鮮の言動については、現時点で武力攻撃の着手に当たるとは考えていないところでございます。
  28. 大野元裕

    ○大野元裕君 ちなみに、仮定ではなくて既にこれだけの発言が行われ、その数日後あるいは十日後とか、そういった時期にミサイルが撃たれている、起立しているという現実があるから私はお伺いをしているのであって、そうすると、大臣、今のところまだ当てはまらないというお話でございました。  だとすると、これ、防衛大臣は内閣官房の関係の任務を補佐するということを防衛省設置法の中で任務として負っていますけれども、これ、北朝鮮の一連の発言やミサイル発射が着手に当てはまるか当てはまらないかは内閣官房、NSCで検討がされたということなんでしょうか。もし、それが言えない場合に、検討したという事実関係自体は特定秘密になるんでしょうか。その二つについて教えてください。
  29. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) まず、NSCは、議長である内閣総理大臣の下で関係閣僚が自由闊達な意見を述べ合う合議体であって、関係閣僚から率直で忌憚のない発言が行われることをできるだけ担保するため、情報の取扱いについて最大限秘匿するよう意を用いており、政府部内でも情報の共有は極めて限定的とし、また、国家安全保障会議において審議の具体的な内容を非公開とするよう定めております。したがいまして、その議論の内容について、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  そして、NSCで検討したか否か言えないのであれば、仮に検討したとすればそれは特定秘密に当たるのかというお尋ねですけれども、仮定の御質問へのお答えは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、事実関係として申し上げれば、平成二十九年に国家安全保障会議において指定された特定秘密は、同年に開催した国家安全保障会議の会合の審議を経て確認をした国家安全保障会議の議論の結論のうち、当該会合において特定秘密に該当すると確認されたものでございます。
  30. 大野元裕

    ○大野元裕君 要するに、その着手についてNSCで議論したかどうかは言えないと。そして、言えない場合に、検討したという、仮にですよ、事実関係についてはお答えはできないが、しかし、例の政府の報告にある結論部分というところが示されていると、こういうお答えだったんだろうと思います。  私、これしっかり、着手かどうかはもちろん分かりませんけれども、私には、それはもう政府としてしっかり判断をいただくことですけれども、そこについては議論をしたということはやはり言っていただいた方がいいのではないかと思っています。  さて、この配付資料でちょっと見ていただきたいんですが、そうすると、ちょっと具体的な話をしたいんです。これ、もう既に行われているケースについて伺います。  当てはまらないとおっしゃいましたが、北朝鮮による恫喝はケースとして二つに分けられます。一つは、仮に北朝鮮が攻撃されたり、あるいは朝鮮戦争が再開、再発した場合にという条件を付けた上で、その場合には我が国をどうのこうのすると、こういう恫喝するケースが一つです。もう一つは、北朝鮮に対して直接的な軍事行動が行われることが想定されないにもかかわらず、例えばここにレーダーを配備するみたいな話がありますけれども、行われることが想定されないにもかかわらず、それでも我が国を恫喝、脅迫しているケースであります。  着手を認定するに当たって、これら二つの異なるケースは異なる判断を導く判断の基準、前提となり得るのかどうか、是非大臣教えてください。
  31. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今委員は、恫喝の前提についてお尋ねがありましたけれども、どの時点で武力攻撃に着手したかどうかということについては、そのときの国際情勢、明示された意図、攻撃の手段、態様といった様々な事情を勘案して総合的に判断をするということに尽きるということでございます。
  32. 大野元裕

    ○大野元裕君 既に先ほどその御答弁、私も聞きました。まだ記憶力はっきりしておりますので、大丈夫でございますので、繰り返していただかなくても。  私が言っているのは、実際にあったケースを聞いています。実際にあったケースの中で二つに大分できるんです。二つに二分できるんです。一つは、仮に北朝鮮が攻撃を受けたり朝鮮戦争が再開した場合といったようなケースで我が国に云々する。もう一つは、全くそれが想定されないにもかかわらず、我が国を攻撃すると言っているケース。そして、その後、ミサイルの起立がどうかと、最終的にはまだ至っていないという話ですけれども、この二つのケース、別々なケースですが、それは異なる判断をもたらす基準になり得るんでしょうか、もう一度お答えください。
  33. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 相手方の意図また恫喝に関し、それらが認定の一つの要素ではありますけれども、要素のうちの一つだけを取り出して議論するということは適当ではなく、武力攻撃事態等、着手ですね、武力攻撃の着手に関しては、あくまでも事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するものというふうに考えております。
  34. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、もう一つ、じゃ質問します。  北朝鮮のメディアというのは、基本的には自由度はないというか、政府のことをそのまま言うようなプロパガンダ機関だろうと思います。その意味では我が国のメディアとは多分違うんだろう。とはいっても、最近では、党内向けの発信を商業新聞で行って、それを国会で問われるとその新聞を熟読しろという党総裁までが現れていますが、それでもなおかつ、北朝鮮の恐らく報道機関と我が国報道機関の位置付けというのは大きく異なるんだろうと思います。国境なき記者団の発表によれば、北朝鮮のメディアの自由度は百八十か国中何と百八十位であります。メディアは政府見解を忠実に報道することしか許されないというふうにも言われています。  その上で伺いますが、これ、配付した資料だと労働新聞とか民主朝鮮とか朝鮮中央通信社とか書いてありますけれども、この我が国を脅迫、恫喝するようなケース、例でおっしゃっていましたよね、かつて、これまでも政府が言っていますけれども、着手を認定するに当たって、これらのいわゆる言った主体は、北朝鮮の公的な報道機関は、北朝鮮政府若しくは要人と同列に並ぶことになるんでしょうか、教えてください。
  35. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  先生が今御指摘になりました労働新聞、それから北朝鮮では公営の放送もあるわけですけれども、こういうところで様々な言説が流されることというのがございます。これは、一応メディアがキャリーをしているわけですから、それがそのままダイレクトに北朝鮮の公式の見解だというわけではございませんけれども、先生が今御指摘になりましたような北朝鮮の体制等々を考えると、そこで言われていることというのが一定程度北朝鮮政府の意図、見解というものを反映されているという観点もそれはあると思います。  したがって、そういうものも参考にしながら我々は情報の分析に努めていると、こういうことでございます。
  36. 大野元裕

    ○大野元裕君 参考にはしてください、是非。そうではありません。着手のときの判断の対象になり得るかと聞いているだけです。
  37. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) 今お答えしたとおりでありますが、判断に際しましては様々な情報を集約して総合判断をしてまいります。そのときの判断の一つの要素にはこれはなってくるであろうと、このように考えます。
  38. 大野元裕

    ○大野元裕君 公的な通信社や新聞社がそういった判断の要素の一つになるということ、大臣、お答えになられませんでしたけれども、これ、着手、武力攻撃ですよ。我が国に戦争が起こるということです。  大臣、これ、政府としてきちんとした見解を持つ必要がありますが、今の前田さんの答弁は、政府として共通で共有をされているということが確認された答弁ですか、教えてください。
  39. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今、前田局長が御答弁申し上げましたのは、そういった北朝鮮報道を参考にする、すなわち、総合的な判断をする中の一つの材料として考慮するということでございます。
  40. 大野元裕

    ○大野元裕君 では、なぜ、大臣、それ答弁できないんですか、先ほど。是非そこは聞きたいですね。  武力攻撃事態については、着手を含めて内閣総理大臣が対処の基本方針を定めることになっています。それはもうよく御存じのとおりだと思います。その対処の基本方針には、事態の認定とその認定の前提となった事実を記すことになっています。これ、すぐですよ、そんなに時間ないですよ。事実を記すことになっています。  その一方で、大臣、防衛省は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、そのために自衛隊を管理運営し、事務を行うことを任務とし、そのために大臣は、この任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助け、この任務を遂行するに当たって内閣官房を助けるものとされています。  そうだとすれば、先ほど来議論となっている着手にしてもこの事態認定についても、防衛大臣は、想定し得る様々なケースについて、少なくともここに書き込む事態の前提となる事実の判断基準は持っていなきゃいけないんじゃないんですか。何で前田局長が答弁するんですか。大臣が答弁するべきじゃないんですか。そこはそうお思いになりませんか。大臣、いかがですか。
  41. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 私は、ですから、先ほど来御答弁申し上げておりますように、その時点での国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるもので、個別具体的な状況に即して判断する必要があるので一概にお答えすることは困難であるというところをお伝えをしており、その中の一つの要素として先ほど委員が御指摘になったものも当然総合的な判断の中の一つとして入るということでございます。
  42. 大野元裕

    ○大野元裕君 当然入るんだったら、私が質問したら答えりゃいいじゃないですか。私、大臣質問しているんですよ。ずうっとしばらく何か皆さん下向いて、誰もお答えになりたがらない様子で、前田さんがおずおずと手を挙げて。それ、役所の言うままに戦争するんですか。大臣の責任じゃないですか。私はそこは、大臣には是非そこの責任は取ってほしいんです。細かい話はいいんです。当然役所の方々とか自衛官とかいろんな方々の知見を集めながら、大臣、是非やってください。ただ、最後の責任は大臣です。特に、書き込むべき事態の前提については、これ書いてあることですから、そのほかのことじゃありませんから、大臣が当然そうだとおっしゃるんだったら、なぜ当然最初から手挙げてお答えにならないんですか。もう一度答えてください。
  43. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) ですから、一つ一つの要素を個別具体的、個別に議論することではなくて、総合的に判断をする中の一つの要素として入り得るということを申し上げたということでございます。したがいまして、一貫して私は委員に対して答弁しておりますとおり、その時点の状況、個別具体的な状況に即して判断をする必要がある、しかもそれは総合的な判断であるということでございます。
  44. 大野元裕

    ○大野元裕君 一貫してお話、答弁はされておられません。前田さんが途中で、先ほど大臣がお立ちにならないときに手を挙げて。これ、こういう状況になるんですか、着手あるいは事態の起こるときに、大臣が下向いていて、役所が言うとおりそのままが書かれて、で、結局、自衛隊、自衛官、自衛隊員は戦争に向かわされるんですか。国民は、いやあ、これで事態に当てはまりました、というのは役人の言うとおりでしたからと、こういう話ですか。  大臣、ならば伺いますよ。これ、今不安に感じる国民も当然おられます。こうやって事態が動いていて、しかもすぐ近くの地域で起こっていることです。さらには、仮に大臣が行動されるときには、自衛官が、ああ、大臣は確固とした確信の下にそういった正しい判断をされたんだなと、そういう確信の下に行動をするというのが当然の理想だと私は思いますし、そこに近づいていただけるよう私は大臣も御努力をいただいているんではないかと思います。  また、これまでも個別のケース、何で判断基準聞いたかというと、これ個別のケース既に起こっていますからね。至らないとしても、国民を代表する国会に対して、個別のケースについてここはどうなんですかということが示すことができない。  しかし、そんな中で、ある日突然、政府は、着手なんだ、武力攻撃事態なんだと言って、突然基本方針が閣議決定されて、大臣は自衛隊に対して、さあ戦争に行けと、こう言うんですか。だからこそ、一つ一つ既に起こっているケースですから。  では大臣、お伺いしますけれども、着手に満たないというふうに総合的に判断されたというのであれば、例えばそれぞれのケースについてどこの部分が満たなかったのか是非教えてください。具体的にお答えください。
  45. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) まず、武力攻撃、武力攻撃の着手に当たるかどうか。武力攻撃は、一般に我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使をいうものであります。そして、どの時点で先ほど来御議論いただいている武力攻撃の着手に当たったかどうか、これは様々な事情を総合して総合的に判断をする必要があるということであります。  そして、昨年から現在までの一連の北朝鮮の言動については、そういった様々な事情を総合的に判断した結果、現時点では我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使がなされているとは認められないことから、武力の着手に、武力攻撃の着手には当たるとは考えてはいないということでございます。
  46. 大野元裕

    ○大野元裕君 そこはもう既に分かりました。どこが満たないのか教えてください。  例えば、これまでの歴代の大臣もおっしゃっていました。例えば、我が国を攻撃するということを明示して、攻撃のためのミサイルに燃料の注入その他の準備を始めた場合、また東京を灰じんに化すと言って、そしてミサイルを起立した場合とありますけれども、例えば、日本の破滅を招く、瞬間に焦土化してしまう、日本が真っ先に放射能雲で覆われる、こういった脅迫とも取れるような話があります。  先ほども、条件があるんですか、ないんですかという話も聞きました。その上で伺いますけれども、そこに満たないというのであれば、着手に満たないというのであれば、どこが満たないのか教えてください。
  47. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 一つ一つのですね、一つ一つの事象に関して判断をしているということではなく、現在までの一連の北朝鮮の言動について総合的に、総合的に、様々な事情を総合的に判断をした結果、現時点で我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使がなされているとは認められていないということでありますし、今、先ほど来委員が御指摘のような、今までの答弁に関しても、それはあくまでも例示にすぎなく、あらかじめ確定的にお答えしているわけではなく、政府としても、これまで一貫して、一概にお答えすることは困難であり、着手の場合の事態認定の基準になるかあらかじめ確定することは、お答えすることは困難で、総合的に判断をしているということでございます。そして、そういった総合的な判断、すなわち国際情勢や明示された意図、攻撃の手段、態様、様々な事情、そういったものを勘案した上で、武力攻撃の着手には当たるとは考えてはいないということでございます。
  48. 大野元裕

    ○大野元裕君 総合的判断までは分かったんです。でも、既に起こったことだから、ここはどこが足りなかったんですかと聞いているだけです。  大臣、だとすると、一点だけ、これはもう明確にお答えしてほしいんですけれども、では今まで例示されていた、例えば東京を火の海にしてやると同じ文章で、そして、それを言った後に、数日後でも十日後でもいいんですが、弾道ミサイルに燃料注入を開始した場合にも、それでも着手には当たらない場合があるということですね。そこは明確にお答えください。
  49. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) したがいまして、今委員がおっしゃられたこと以外にも、様々な状況、国際情勢や意図、手段、態様に関して、様々な状況を勘案した上で総合的に判断をするということでございます。一概には言えないということでございます。
  50. 大野元裕

    ○大野元裕君 例示しているから聞いているんです。これ例示そのままを聞いています。この例どおりにしゃべって、この例どおりのことが起こっても着手には当たらない場合があるということでよろしいですね。
  51. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 一概には言えないということでございます。
  52. 大野元裕

    ○大野元裕君 だったら、何で例示するんですか。国民に対するこれは欺くような態度じゃないですか、だったら。この例示どおりですよ、例示どおりしゃべって、例示どおりのことが起こっても着手には当たらない場合があるんですねと聞いているんです。
  53. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今委員御指摘のように、それは例示にすぎず、これまで、これからやるぞと言って燃料を注入することは着手を総合的に判断する一つの要素たり得るのではないか、着手があったというふうに評価できることもあるのではないかと答弁されており、あらかじめ確定的にお答えしているわけではなく、政府としても、一貫して、総合的に判断をするということを申し上げており、一概にお答えすることは困難であるということを申し上げているところでございます。
  54. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうだとすれば、これは国民を、こういう事態になってどういうふうに今後なっていくんだろうということを考える上で、若しくは自衛官は恐らくもっと深刻に考えていますよ。  そういう中で、例示までこれ政府側からしているわけですから、例示をしているものが、全く同じことが発生しても総合的に判断するというのであれば、どういう要素が実際に加味されなければならないのか。これだけで足りないとすれば、先ほどおっしゃいましたけれども、国際情勢とか、それについて是非政府の統一見解示してください。  というのは、我々は、今までの国会答弁でも、あるいは政府統一見解と言ってここに付してあります、付してある中では、そんなことは、三枚目、これは違うか、これは、済みません、戦闘作戦行動だ、失礼しました、別な政府の統一の、失礼しました。政府が出した例示についてそれをそのまま読んで理解をしています。だとすれば、大臣、改めてこれ、政府統一見解を着手と事態認定についてお出しをいただけないでしょうか。
  55. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほど答弁いたしましたように、それも、今御指摘になった答弁も例示にすぎず、あらかじめ確定的にお答えしたものではないということでございます。  政府としては、今までも一貫して、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであって、個別具体的な状況に即して総合的に判断するということを述べているところでございます。
  56. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く納得が私にはできません。  先ほど申し上げたとおり、大臣は、総理を補佐しながら、最終的には自衛隊に対して派遣の命令なり様々な命令をお出しになる立場でございます。この例示と当てはまらない場合にも、仮にあると私は今理解をしましたけれども、だとすれば、さっき言った事態の認定の理由書くわけですからね、それについて国会は報告を受けるんです。それが事前に政府が言っていたことと合っていたかどうかって判断できないじゃないですか、それじゃ。  それを判断するためにも、国会、そして国民に対する政府説明責任を果たすためにも、委員長、強く私は政府統一見解の提出を求めて、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  57. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 後刻理事会において協議をいたします。
  58. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は租税関連五条約の審議でございますが、いわゆる二重課税防止というのは企業の国際活動に資するわけでありますけれども、逆にそれが租税回避を助長してはしようがないわけでございます。特に最近はいわゆる電子商取引という形が増えてまいりまして、いわゆる結果として租税回避になってしまうということもあるんだと思っています。  そのような状況の中で、いわゆるOECDがBEPS、いわゆる税源浸食と利益移転プロジェクトを二〇一二年にスタートしたわけですが、まずこのプロジェクトの概要について簡単に御説明いただきたいと思います。
  59. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) お答えいたします。  お尋ねがありましたBEPSプロジェクトでございますけれども、これは、多国籍企業がグローバル化した活動実態と各国の制度のずれを利用することで課税所得を人為的に操作し課税逃れを行うことがないように、国際ルールを見直すプロジェクトでございます。  OECDの租税委員会では、二〇一二年六月にBEPSプロジェクトを立ち上げまして、二〇一五年十月に最終報告を公表し、同月のG20財務大臣会合、十一月のG20サミットに報告を行っているところであります。  現在、この報告書の合意事項の着実な実施に向けて各国の取組が進められているところと認識しております。
  60. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 このプロジェクト、スタートしたときのOECDの税務委員会委員長日本の財務官が務めていたと理解をしておりますが、そういう意味では日本もリーダーシップを発揮していけると思います。  今回の五条約のうち、いわゆる二国間の租税条約スロベニアベルギーラトビアオーストリアでございますが、この租税条約の中でいわゆる租税回避、いわゆる濫用防止措置ですね、これがどのようになっているかにつきましては、先ほどもいわゆるOECDのCRS、共通報告基準を満たしているという話もございますが、我が国は数多くの租税条約を他国と結んでいるわけですね。一応五十五本という数え方ありますが、情報交換協定を除いて。そういうものについては、こういうBEPSの勧告に基づいたものになっているんでしょうか。また、逆に、なっていないものがあるんであれば、今後そのような勧告を踏まえてどのように改定していくのか、外務大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  61. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員御指摘のように、今回の四本の租税条約についてはBEPSプロジェクトの最終報告書の勧告に基づいて租税条約の濫用を防止するための各種規定を設けておりますが、我が国締結している二国間の租税条約計五十五本のうち、今回御審議いただく四本の条約同様に、BEPSプロジェクトの勧告を踏まえ取引等の目的に着目した濫用防止規定を設けている条約は二条約、チリとドイツ、この二つの条約であります。  なお、そのほかにも、条約締結がBEPSプロジェクトの最終報告書がまとまる前であったために、その勧告を踏まえた形とはなっていないものの、十四本の条約においては同様の規定を含んでいるということであります。  今後の租税条約交渉においても、BEPSプロジェクトの勧告内容を踏まえつつ、条約特典の濫用防止を目的とする規定が設けられるよう交渉を行っていきたいと考えます。
  62. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非、その勧告内容を十全に反映するように、今後も相手国と話合いを進めていただきたいと思います。  また、今回のバハマ協定でありますけれども、この協定を含めまして、我が国租税情報交換協定締結する国・地域は十一か国・地域と理解をしております。そういう国・地域がどういう地域になっているのか、また、我が国は、多数国間条約税務行政執行共助条約を含め、二〇一七年五月現在、百十の国と地域との情報交換が可能となっておりますが、当該多数国間条約と比べて、このようなバハマを含め二国間の情報交換協定は機能として十分なものとなっているのかどうなのか、どう評価をされているのか、外務省からお聞きしたいと思います。
  63. 飯田圭哉

    政府参考人(飯田圭哉君) まず、委員御指摘がありました、どこの国と結んでいるかということでございますけれども、我が国が二国間で租税に関する情報交換を主たる内容とする条約情報交換協定と呼んでおりますが、それを締結している国は、バミューダ、バハマ、マン島、ケイマン諸島、リヒテンシュタイン、サモア、ガーンジー、ジャージー、マカオ、英領バージン諸島、パナマの十一か国であります。  これらの国・地域のうち、バハマについては、二国間の情報交換枠組みである租税情報交換協定により自動的情報交換を行うとの意向が先方から示されたことから、今回の改正議定書において自動的情報交換に関する規定を盛り込むこととしております。  このマカオ及びバハマを除く九か国の地域については、多数国間の情報交換枠組みである税務行政執行共助条約というものがございまして、同条約に基づいて金融口座情報自動的情報交換を行っていく方針であるというふうに考えております。  したがいまして、自動的情報交換に関する枠組みがないのはマカオということになりますけれども、これについては、税務行政執行共助条約、すなわちマルチの締結に向けた同地域の今後の対応をちょっと見極めつつ、多数国間でいくのか、それとも二国間の枠組みを通じてやるのか、同地域との間で、いずれにしましても、国際基準に基づく金融口座情報自動的情報交換が実現できるように、政府としても適切に対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  64. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今御答弁ございました、百十の国との情報交換が可能でありますが、この自動交換規定があるのがほとんどでありますけれども、マカオについてはそれが満たされていないと、それを二国間協定の改定で行うのか、又は多数国間協定への参加を促すのか、それは両方、どちらでもいいのかもしれません。是非、その外交努力をお願いしたいと思います。  このBEPSプロジェクトによりますと、国際的な租税回避により失われる法人税の規模を一千億ドルから二千四百億ドル、十兆円から二十五兆円と推定されているようでございます。我が国の多数国間協定、今言われました税務行政執行共助条約であったりとか五十五の二国間租税条約、また十一の二国間情報交換協定といった我が国租税条約ネットワークですね、これが質量共にこれらのこの租税回避防止、摘発するために十分なカバー率となっていると、こう評価できるのか。一応、OECD等でもいわゆるブラック国とかグレー国というレポートも昔出たりはしました。そう評価できるのか。  また、今後、租税回避に対する国際的議論、今までもリードしてまいりましたが、今後もリードしていくことについて、外務大臣の決意を最後にお聞きしたいと思います。
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際的な課税逃れは公正な競争条件や課税の公平性を損ない、税制に対する納税者の信頼を揺るがす大きな問題であるという認識に基づいて、我が国としてはG20、OECD等における租税回避防止に向けた国際的な取組を先導してきたところですが、租税条約は国際的な脱税租税回避防止する上でも重要な役割を果たすものであるところですが、我が国租税条約ネットワークは百十か国・地域、そして我が国からの対外直接投資、金額ベースで約九五%、これを既にカバーしています。相当程度対応できていると認識をしています。  もっとも、この課税逃れに対処するためには、我が国のみならず各国が国際的な協調の下で対策を実施するとともに、情報交換といった租税当局間の協力関係を充実させていく、こうしたことも重要であります。  我が国としましては、こうした観点から、引き続き、租税条約ネットワーク拡充に努めるとともに、国際的な脱税及び租税回避防止のため、様々な機会を捉えて各国に対してBEPSプロジェクトや金融口座情報自動的交換などの着実な実施を働きかけ、今後とも、リーダーシップ、しっかり発揮をしていきたい、このように考えます。
  66. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  67. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  租税条約に関わってこの間大きな問題となってきたのが、今もありました課税逃れ、租税回避による二重非課税の問題であります。OECDはBEPSプロジェクトを立ち上げて多国籍企業による租税回避への対策に取り組んで、二〇一五年十月に最終報告書が出され、十一月のG20サミットで了承された、先ほどあったとおりであります。  まず、財務省にお聞きいたしますが、この租税回避に利用されてきた一つが、外国法人が日本国内で事業を行っていても、恒久的施設、PEがなければ課税されないというこれまでのルールであります。PEなければ課税なしというものでありますが、これが租税回避に悪用されているということが問題になってまいりました。  そこで、BEPSの最終報告では、行動七で恒久的施設認定の人為的回避の防止が盛り込まれて、OECDのモデル租税条約改正をされました。これまでの規定がこの租税回避防止をする上でどういう問題があって、それがどのように改正をされたんでしょうか。
  68. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 岸田外務大臣。(発言する者あり)
  69. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) じゃ、まず、財務省の後、発言いたします。
  70. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) じゃ、まず先に財務省主税局吉田参事官
  71. 吉田正紀

    政府参考人(吉田正紀君) お答えを申し上げます。  いわゆる多国籍企業などが進出先の国に置いている拠点が恒久的施設、いわゆるPEと認定されることを人為的に回避して、それによって進出先で生じる事業所得への課税を免れるということが問題となっているところは委員御指摘のとおりでございます。  BEPSプロジェクトの行動七におきましては、こうした問題に対応すべく、PEの定義を拡大する方向でOECDモデル租税条約を改定するということを勧告したところでございます。例えば、現行条約ではPEとみなされない一定の倉庫でありますとか代理人などをPEと認定し、そこから生ずる事業所得を進出先の国で課税できるようにすることとしているところでございます。  これらの措置を含めまして、BEPSプロジェクトで勧告された措置の実施によりまして、人為的にPE認定を回避することをより効果的に防止することができ、租税回避行為に対して一層的確に対応することが可能になるものと考えておるところでございます。
  72. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務大臣、また後でお聞きいたしますが。  今、倉庫ということがありましたけれども、これ、「租税研究」という雑誌に財務省の主税局の緒方健太郎さんという方が去年書かれておりますが、もう少し明確に、従来は、倉庫や情報収集のための場所等については、外形的にそれらの形態に該当していれば準備的、補助的活動しか行っていないものとみなしてPEには該当しないと、こういうふうにしてきたけれども、今後は、そういう倉庫や情報収集のための場所についても、事業活動の本質的部分になっているか、それとも準備的、補助的性質を有しているにすぎないかを確認をする、その上できちっと課税をできるようにするんだというような説明をされております。大体こういうことでよろしいでしょうか。
  73. 吉田正紀

    政府参考人(吉田正紀君) お答えを申し上げます。  倉庫についての御質問でございますけれども、現行のOECDのモデル租税条約におきましては、商品等の引渡しのみを行う倉庫のような施設についてはPEとみなされないということになっておるところでございますけれども、このモデル条約見直しの後には、その施設が準備的、補助的な活動にとどまらずに、企業のビジネスの本質的に重要な部分を担っている場合にはPEと認定できるということにしているところでございます。
  74. 井上哲士

    ○井上哲士君 巨大倉庫があっても恒久的施設でないとして租税回避をすることは、日本では通販大手のアマゾンに関わって問題になってまいりまして、本社のアマゾン・ドット・コムの報告書を読みますと、日本税務当局がアマゾンの子会社に対して百四十億円の追徴課税を行ったとしておりますけれども、その後、日米間の話合いの中で日本税務当局は大部分を解除したというふうに書かれて、当時大きな問題になりました。  今回のBEPS報告を踏まえて、多国籍企業の租税逃れ、回避の対策を強化すると。体制も含めて、どういうふうに取り組んでいくのか、国税庁、いかがでしょうか。
  75. 柴崎澄哉

    政府参考人(柴崎澄哉君) お答え申し上げます。  近年、多国籍企業によります各国の税制や租税条約の違いを巧みに利用した国際的な租税回避世界的な問題になってございまして、G20のサミットやOECDのBEPSプロジェクトによってその対策が講じられてきているところでございます。  こうした問題への対応方針といたしまして、国税庁といたしましては、昨年の十月に国際戦略トータルプランというものを公表いたしまして対応を図ってきているところでございます。  具体的には、情報リソースの充実ということで、国外送金等調書など、あらゆる資料、情報を収集、分析、検討し、海外取引について重点的に調査を行うこととしております。また、調査マンパワーの充実ということで、主要な国税局に国際課税を専門的に担当する部署を設置するなど、税務調査の体制の整備を進めているところでございます。さらに、グローバルネットワークの強化を図り、外国税務当局連携して租税条約等に基づく情報交換を積極的に実施するなどによって問題取引の実態解明を行いまして、個別の事案に応じて、法令にのっとり、租税回避に適切に対処することとしております。  今後は、BEPSプロジェクトの勧告を踏まえまして新たに導入されます国別報告書を始めとする多国籍企業情報が提供されてくることになりますので、国税当局といたしましては、これらの資料情報も活用して適正かつ公平な課税に努めてまいりたいと考えてございます。
  76. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非この点はしっかりやっていただきたいと思うんですが、このBEPSの最終報告に盛り込まれた内容を実行するには各国と結ばれた租税条約に盛り込んでいく必要があります。  外務大臣にお聞きしますが、今回承認が求められている四つの租税条約はどういうふうに盛り込まれているのか。それから、今後、各国と結ばれたものに盛り込んでいく上で、多国間条約が昨年十一月に採択をされております。アマゾンの本社のあるアメリカとの租税条約も含めて、今後どういうふうにそれぞれが改善をされていくのか。いかがでしょうか。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のBEPSプロジェクトにおける行動七ですが、多国籍企業が進出先の国に置く支店等の拠点が課税対象となる恒久的施設、いわゆるPEと認定されることを人為的に回避することによって、進出先で生じる事業利益への課税を免れる行為に対処すべく、PEの定義を拡大する方向でOECDモデル租税条約を改定すること、これを勧告したものですが、今般提出しておりますスロベニアベルギーラトビア及びオーストリアとの租税条約においては、個々の規定ぶり及び規定内容交渉の結果としてそれぞれ若干の相違はありますが、いずれもこのBEPSプロジェクトの勧告の趣旨を踏まえた内容となっております。  そして、今後の対応ですが、我が国としては、この二重課税除去観点のみならず、脱税及び租税回避行為防止観点からも、米国を含め今後の租税条約においてBEPSプロジェクトの各勧告を踏まえた内容とするべく、しっかり対応していきたいと考えます。
  78. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほどありましたように、こういう税逃れによる逸失規模は世界全体で日本円で約十兆から二十五兆円という巨額になっておるわけで、日本はこうした租税回避防止の上で国際的に重要な役割を果たしてきたと思います。  ただ、新しい対策を取れば新しい税金逃れ対策も出てくるわけでありますから、更に取組強化が重要でありますし、是非、国内においても様々な不公平税制の是正もしていくことが大事だということも申し上げまして、質問を終わります。
  79. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  まず、租税条約についてお尋ねしたいと思います。  今回のこのバハマとの改定は、要請に基づく情報交換から自動的な情報交換を可能にする規定を盛り込むとされております。このような規定に改められるのは、日・パナマ租税情報交換協定に続いて二例目ということでございます。  バハマとの協定改正するにつきまして先方から示されたという答弁が先ほどありました。バハマという国から協定改正について、中身について示してきたということにつきまして、その背景にどういう事情があったのか、ちょっと教えていただきたいと思うのですが。
  80. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このOECD、G7あるいはG20において、国際的な脱税及び租税回避行為をより一層効果的に防止する観点から、租税当局間における非居住者に係る金融口座情報自動的交換実施に向けて国際協調の取組が行われてきたところであり、OECDが策定した国際基準、共通報告基準に基づく金融口座情報自動的交換について、現在、我が国及びバハマを含め百か国・地域が二〇一七年末又は二〇一八年末までにこれを開始する意図、これを表明しております。  その中で、バハマとの間においては、二〇一一年に発効した現行の日・バハマ租税情報交換協定においては、国際基準に基づく金融口座情報の自動交換を可能とする条項がないということ、また、バハマが国際間の交換枠組みである租税執行共助条約にはよらずに二国間の条約協定等に基づいて実施する方針であることを表明したこと、こうしたことを踏まえて、今般、両国間において金融口座情報自動的交換に関する条項を導入すべく、現行協定の早期改正に向けて交渉を行いました。その結果、本年二月に改正議定書への署名が行われた次第であります。
  81. 浅田均

    ○浅田均君 外交交渉ですからお答えになりにくいと思うんですけれども、やっぱりそういう範疇化されて、この国はグレーであるというふうな認定をされておったということがこの背景にあるというふうに理解していいんでしょうか。
  82. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) グレーという判定という表現ですが、そういう判定をしたというようなことは何も我が国として申し上げたことはありませんが、実際の現実を見た上で何が必要なのかという認識の下に対応を行ったわけであります。  先ほど説明させていただきましたバハマの考え方、そして現行協定における条項の内容、こういったものを考えた上で何が必要なのか、こういった認識の下で両国間で交渉を行い、これが結果として今お示ししているこの条約になったということであります。
  83. 浅田均

    ○浅田均君 グレーという範疇化したのはOECDであります。そういうところに範疇化されているというのはまずいという認識があったんだと思います。  それで、先ほどもそういう議論があったんですが、租税条約締結してタックスヘイブンと言われているところがだんだんなくなってきていると、減ってきているということでありまして、当初の目的の脱税租税回避防止につながっているようには思えるんですが、これも具体的な額として、先ほど浜田委員の方から十兆円から二十五兆円のお金が回避されてしまっているというふうなお話がありましたけれども、この租税条約締結して、またバハマあるいはパナマと改定することによってどれぐらいの税収増につながっているというふうに推定されているのか、ちょっとお尋ねいたします。
  84. 吉田正紀

    政府参考人(吉田正紀君) お答えを申し上げます。  租税条約は、投資経済交流の促進を目的とするものでございまして、企業等の投資判断においては、租税条約の有無ということだけではなくて、その時々の世界的な景気動向でありますとか当該国の政治経済状況、様々な要素が勘案されるものと考えているところでございまして、租税条約のみに起因する経済効果を定量的にお示しすることは極めて困難であるということをまず御理解をいただきたいと思います。  更に申し上げますと、租税条約締結我が国の税収に与える影響について、一般的には、租税条約に基づく租税の減免が行われることによって、我が国を源泉地国とする所得につきましては外国企業に対する我が国の税収が減少するという効果がある一方で、相手国を源泉地国とする所得につきましては、本邦企業に対する相手国での課税が減免されるということの反射的効果といたしまして、我が国での外国税額控除額が減少して、結果として税収が増加するという影響が考えられます。  ただ、具体的な影響額については、この税収の影響を推計する際に企業の経済行動を具体的に予測する必要がありますとか、経済行動はそのときの経済金融情勢を始めとする経済環境に大きく左右されるなど、その予測は極めて困難であるということ、それから、今申し上げました影響をいずれも勘案する必要があり、条約締結が一方的に増収又は減収を生ずるというものではないということから、一概にお示しすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。
  85. 浅田均

    ○浅田均君 それはよく理解いたしております。  実効税率について、多国籍企業だけを見た場合、実効税率が極めて低くなっていると。すなわち、当然納めるべき税金を納めていないというような報告もありますので、この点につきましてはまたいつかの機会質問させていただきたいと思います。  時間がないので、防衛大臣外務大臣にお尋ね、確認しておきたいんですが、これ通告していないんですが、そういう理由でお答えできないということであればそれはそれで結構ですが、今まで北朝鮮の非核化ということについていろいろ議論させていただいております。  確認したいんですが、北朝鮮の非核化を進めるという表現になると思うんですけれども、この意味するところですね。北朝鮮はいまだ核兵器の開発を完了していない、だから核兵器を将来的に持つことがないようにするという意味で朝鮮半島の非核化とおっしゃっているのか、あるいは、北朝鮮は既に核兵器の開発を終えて核兵器を所有してしまっている、この既に所有している核兵器を放棄させるという意味で朝鮮半島の非核化とおっしゃっているのか、現状認識についていずれか、どちらであるのか、お答えいただきたいと思います。
  86. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) どちらがお答えになりますか。  岸田外務大臣
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 済みません。  今二つおっしゃいました。一つ目が、未来に向けて……(発言する者あり)はい。要は、北朝鮮はもう既に核実験を今まで五回行っております。こうした北朝鮮に対して国際社会が協力して非核化に向けて強いメッセージを発している次第です。六者会合の共同声明においては、検証可能な形で朝鮮半島の非核化を目指すというのが六者の中で確認をされている目標でありますので、この目標に向けて国際社会は協力していかなければなりません。  五回核実験を行っている北朝鮮でありますが、自ら非核化に向けて真剣な意思と具体的な行動を示すことが重要であるということを訴え続けております。当然のことながら、未来に向けて核兵器を持つことがない状態を目指していると認識をしています。
  88. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 時間ですので、おまとめください。
  89. 浅田均

    ○浅田均君 時間ですので、続きは次回やらせていただきたいと思いますけど、まだ保有するに至っていないという御認識だというふうに受け止めました。  続きは次回やらせていただきます。
  90. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があればアルプスの少女ハイジにも会えるということで、連休中にオーストリーのアルプスに行ってまいりました。  行った仲間に、ある、言っちゃいけない言葉なので、不美人な女性ハイジがいいか、あるおばさんのハイジがいいか、どっちがいいと言ったら、やっぱり若い方が良かったようですけどね。先ほどもちょっと出ました、禁止用語がいっぱい出るので、言葉に気を付けなきゃいけないという。  そんなわけで、今回は日・バハマ租税情報協定ということで、またオーストリーも入っておりましたが、租税情報交換協定改正議定書は、海外の金融機関を利用した国際的な脱税租税回避防止する観点から、これまで要請に基づく情報交換を前提だったものを自動的に情報交換ができるように改正したと。  情報交換が自動的になれば、報告件数も当然増えると思います。サイバー攻撃のニュースが毎日出ておりますが、その点について、セキュリティーについてどのような対策を立てているのか、具体的にお聞かせください。
  91. 高瀬寧

    政府参考人高瀬寧君) お答えいたします。  日本バハマ租税情報交換協定の第八条におきまして、協定に基づきまして一方の締約国が受領しました情報については秘密として取り扱うものとされております。また、原則として租税目的以外の使用は許されないというふうに規定されているところでございます。  これを踏まえまして、我が国におきましても、交換された情報につきましては個人情報保護等の観点から厳格な取扱いがなされることとなっております。
  92. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、先日、ちょうど昨日ですか、幕を閉じました一帯一路、三月の二十三日の外交防衛委員会でもその点について質問をさせてもらいましたが、大臣に、五月、首脳レベルの会議を開催すると聞いておりますが、どのような構想が具体化されていくのか注視しなければならないと御答弁をいただきました。  十四日に一帯一路に関する国際サミットフォーラムが北京で開催されました。本当に、二十九か国の首脳や百三十か国の千五百人が参加したとありますが、中国の経済力を通じて他国に対して政治や軍事的な力を強めていくのではないか等懸念はまだあるようです。  前にもタイの運河の質問もさせてもらいましたが、シルクロードをずっと、スリランカとか、海と陸のシルクロードということで、その辺も私も見てきたことがありますが、日本として一帯一路がどのようにこれから関わっていくのか、今回のフォーラムに参加した上で政府見解、メリット、デメリットを含めお聞かせください。
  93. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨日まで二日間にわたり北京において開催された一帯一路国際協力ハイレベルフォーラムですが、日本からは二階自民党幹事長等が出席され、一帯一路の取組地域の持続的な発展に貢献する上での重要な観点等について議論が行われた、このように承知しております。  こうした議論も踏まえつつ、日本としては引き続き、地域の持続的な発展に資するものとなるか否か、こうしたことを含めて一帯一路構想がどのように具体化されていくのか、これを是非注視していかなければならないと考えます。  我が国のこの会議に関しての評価は以上でございます。
  94. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 本当に、中国の百年、前にも百年のマラソンという例えで話をさせてもらったことがありますが、その辺が、本当に長いスパンで計画を立てて、その一環かと思います。  次に、シリアの問題で、シリア少数派クルド人が主体の民兵組織、シリア民主軍は、十二日、イスラム国が首都としている北部ラッカを奪還するため最終攻撃を行う方針を表明したという記事があります。トランプ政権がシリア民主軍に武器供与をすることを表明し、近いうち武器を受け取る見通しとなったことで、六月には攻撃が始まるのではないかと言われていますが、トルコはこれに反発する可能性があるということです。  現状についてお聞かせをください。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のシリア民主軍ですが、ラッカに迫りつつあり、最近、シリア民主軍の報道官は、米国から効果的な武器、弾薬を受け取った後、ラッカに対する攻撃を開始する、こうしたことを述べたと承知をしています。シリアではISILは徐々に勢力を減退させており、ラッカの制圧に成功すれば象徴的に大きな意味があると考えます。  他方、このISILの撃退によって、現在のシリア政府と反体制派の対立を中心とするシリア危機が収束するものではないと考えています。現在、国際社会においては、アスタナ・プロセスや本日からジュネーブで開催されます国連主催のシリア政府と反体制派の対話、こうしたものを通じてシリア問題の解決に向けて取り組んでいるところです。  我が国としても、シリアにおける暴力の停止、そして人道状況の改善、こうしたものに向けて国際社会連携をしてまいりたいと考えます。
  96. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、先ほども申し上げたオーストリアですが、なかなか、観光客は行きますけれども、その中に入ることは余りないんではないかなと思いますが、委員会でもお話ししたことがありますが、ホルミシス効果ということで、ヒトラーが金を掘らすために千八百メートルの坑道を掘ったんですが、金はそれほど出なく、そこで働いている人たちが本当に元気でということで、今町おこしで、ヨーロッパ中から一日五百人ぐらいですかね、もう予約が取れないような感じです。トロッコに乗っかってずっと入って、ステーションが四段階あって、そこにシーツ持っていって、ベッドがあるものですから、一時間、それでトロッコが音が聞こえるのが、ああそろそろかなと思うとそれから十五分ぐらい掛かって、本当にすごい四十一・五度という温度で、普通のサウナとはまた違った汗が出てまいります。そういう意味で、そこの石が今、一時大人気で売られたりしましてね、大変な、こんな小さな石でも何十万ということで売られておりました。そういうことで、いろいろなじみの薄い国、今回の租税条約ということで、いろんな部分での、私も勉強をさせていただきますが、時間が来ましたので今日は終わりますので。  ありがとうございました。
  97. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  議題の租税関連条約については、二重課税除去あるいは租税回避防止を目的とするもので、賛同できるものであります。  さて、昨日、五月十五日は沖縄返還から四十五年になります。七十二年前の沖縄戦で占領された沖縄が、二十七年間米軍統治、いわゆる異民族統治の後で返還をされたわけでございますが、これから四十五年たっても今なお米軍基地問題というものは沖縄では続いております。  今日、通告しておりますのが嘉手納のパラシュート降下訓練でありますが、この二週間を見ても、この訓練だけの問題だけでなくて、読谷におけるつり下げ訓練とか、あるいはまた同じ嘉手納における米州軍の訓練というような問題がございます。米州軍の訓練は、今、F15がグアムで日本のお金で訓練、負担軽減のために訓練に行っているさなかでありまして、そういう中で米州軍が沖縄にまで来て訓練をするということが当たり前化しています。  そういう意味では、二十七年間異民族支配という中で、沖縄県民はこの米軍に対して様々な形で闘いを続けてきたわけでありますが、本土復帰をしたらこれがなくなると思っていたら、四十五年たっても変わらずに今いるという状況、これは私たち沖縄にいますととてもおかしい話だと思っております。例えば、フィリピンのドゥテルテ大統領が外国の軍隊がいるというのは良くないということで今、米軍駐留を拒否しておりますけれども、本来ならば、やはりそういう外国の軍隊がこれだけ占めている国というのはないわけでありまして、日本の在り方そのものが沖縄を通して問われるということであります。そのことをこの外交防衛委員会でやはり問うていきたいなと思っております。  さて、稲田防衛大臣は十二日の会見で、嘉手納基地で十日に行われたパラシュート降下訓練について、例外的な場合のみ許されると強調し、今回は例外的な場合に当たらないと指摘しました。SACO合意違反という認識をにじませていたわけでございますが、県民は明確なSACO合意違反だと受け止めています。改めて大臣認識伺います。
  98. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 平成八年のSACO最終合意において、パラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場に移転することを日米政府間で合意をしたところです。その後、平成十九年の日米合同委員会において、引き続き基本的に伊江島補助飛行場を主要な訓練場として使用することとし、嘉手納飛行場は例外的な場合に限ってのみ使用されることを日米政府間の共通の、認識の共有をしております。  それにもかかわらず、五月十日には嘉手納飛行場で実施されたパラシュート降下訓練について、なぜそのような例外的な場合に当たるのか、米側から十分な説明もなく、事前に日米認識を共有するに至らないまま訓練が行われたことについて、先日の私の記者会見において遺憾である旨を申し上げており、地方協力局長等からも米側に対してその旨を申し入れているところでございます。  防衛省としては、SACO最終合意に沿って伊江島補助飛行場においてパラシュート降下訓練実施するよう、引き続き米側に対して求めていきたいと考えております。
  99. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 先月も、四月二十四日に二〇一一年以来のパラシュート降下訓練を米軍は行っております。そしてまた、今回このように行うと。毎月のような形で恒例化する懸念があるというのが県民の大きな懸念であります。  そういう意味で、この例外という表現でありますが、例外というものはどのような基準で判断しているのか、そしてまた、今回その例外ではないと当たるものについて、そういう例外的に当たるか当たらないかという問題の判断の基準について、どういう基準で判断しているか御説明願いたいと思います。
  100. 谷井淳志

    政府参考人(谷井淳志君) お答え申し上げます。  御指摘の例外的な場合につきましては、個別の事例ごとにその具体的な事情に即して判断する必要があり、あらかじめ一概に述べることは困難でございます。  その上で申し上げますと、天候等の制約により伊江島補助飛行場で訓練が行えない一方、即応態勢を維持するために訓練を行う喫緊の必要がある場合等につきましては例外的な場合に該当するものというふうに考えてございます。
  101. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 伊江島でできないというのは風向きとかいろんなことがあるというふうに聞いてはおりますけれども、しかし、やはり私たちは、沖縄はいろんな形で米軍基地負担があるわけですから、やはり政府として、通告もなく行われるものに対しては毅然としてやはりこれはいけないということをきちんと伝えなきゃいけないんだろうと、このように思っております。  そういう意味では、再発防止に向けては当然抗議をすべきだと思いますし、防衛省としてどのように抗議をしたのか、改めて説明を願いたいと思います。
  102. 谷井淳志

    政府参考人(谷井淳志君) お答えいたします。  先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、五月十日に嘉手納飛行場で実施されたパラシュート降下訓練につきましては、先日の記者会見で防衛大臣の方から遺憾である旨申し上げており、地方協力局長等からも米側に対してその旨申し入れているところでございます。これに対して、米側の方からは今後日本側と密接に調整していきたいという旨の回答がございました。
  103. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 二度にわたり米軍に対して政府から抗議し、日本政府のトップである防衛大臣が遺憾の意を表明しているにもかかわらず、その後の十二日には沖縄県の副知事が嘉手納基地の米第一八航空団のアムライン副司令官に抗議していますが、その際にアムライン副司令官は、日米合同委員会で調整済みだと答えています。地方協力局や防衛局からの抗議に慣れてしまっていて、このような発言、まさに大臣の遺憾の意の重みも理解されていないのではないか。  このようなことでは、日本政府として現地米軍に何も言えないということがあたかも当然だというふうなことになってしまいます。大臣が在日米軍司令官や駐日大使を呼び付けるなどして、よりハイレベルの役職に対して厳しい抗議の意思を伝えるべきではないでしょうか。
  104. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) まず、五月十日のパラシュート降下訓練については、同日の朝に発出されたノータムについて米側に問い合わせて、結果、初めて事実関係が明らかになったものでございます。  また、五月十日に嘉手納飛行場で実施されたパラシュート降下訓練について、日本側からの申入れ、先ほども御答弁いたしましたけれども、日本側からの申入れに対し、米側からは日本側と密接に調整していきたい旨の回答があったところでございますが、さらに、今後、日米間で様々な会議、協議等の場において我が方の考え方を説明することを考えているところでございます。  いずれにいたしましても、SACOの最終合意に従って伊江島補助飛行場においてパラシュート降下訓練実施するよう、米側に対し求めていく考えでございます。
  105. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 先ほど申し上げましたように、アムライン副司令官が日米合同委員会で調整済みだと言ったと言っているんですね。そうすると、それは誤解であるのか、あるいはどういうことであるのか、やはりしっかりと確認する必要があると思います。そのことについてもっと御説明を願いたいと思います。
  106. 谷井淳志

    政府参考人(谷井淳志君) お答えいたします。  日米合同委員会における日米間のやり取りにつきましてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、五月十日のパラシュート降下訓練につきましては、同日の朝に発出されたノータム、これは航空情報でございますが、これについて米側に問い合わせた結果、事実関係が明らかになったものでございます。
  107. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 先ほど申し上げましたように、昨日、復帰四十五周年であるわけでありますが、沖縄の基地問題というのは、解決するどころかますます混迷の中に入っているというふうに思います。  私は、これまでも委員会の中でも議論させていただきましたが、日本政府が三千億円以上のお金を掛けてグアムに訓練場を造り、あるいは演習場を造り、あるいは基地を造っていくという流れの中で、沖縄基地負担が減らないという現実、そしてそれに対して、今の副司令官の発言のような形で、沖縄の感覚を全然受け止めていないという状況があります。  やはり、そこにおいては日本政府の態度が問題なのではないでしょうか。今沖縄がこれだけ、四十五年経てもやはり基地の負担が変わらないという感覚を県民が持っていることについて……
  108. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 時間ですので、おまとめください。
  109. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 防衛大臣として今後どのような対応をしていかれるのか、所見をお願いしたいと思います。  以上です。
  110. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 伊波洋一君、時間ですので。  じゃ、最後、防衛大臣から一言、簡潔に御答弁願います。
  111. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 戦後七十一年を経て沖縄に大きな基地の負担を負っていただいている、こういった現状は是認できるものではなく、負担軽減を図ることは政府の大きな責任であり、安倍政権において着実に実績を積み上げておりますけれども、今後ともしっかりとその負担軽減に全力を尽くす考えでございます。
  112. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  113. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表し、日本スロベニア日本ベルギー日本ラトビア及び日本オーストリアの各租税条約に反対の立場で討論します。  四つの租税条約は、投資所得課税に係る源泉徴収税率を減税ないし免税を含めて措置しています。BEPS最終報告に基づく租税回避防止措置が一定盛り込まれていますが、四つの条約により、日本の大企業とその海外子会社は、当該国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、その上、租税条約によって投資に対する源泉地国課税が劇的に軽減されるなど、税制優遇措置を二重三重に享受することが可能になります。  日本経団連が、かねてより租税条約について、国際的な二重課税の排除を行うことは我が国企業海外における安心かつ確実な事業展開に欠かせない、投資所得に係る源泉地国課税を軽減することは海外からの資金還流及び国内における再投資という好循環の実現に資するなど、投資に係る税コスト低下を要求してきました。  日本共産党は、海外進出した多国籍企業が源泉地国においてもうけに応じた税負担をすべきとの立場から、租税条約の大企業優遇税制に反対をしてまいりました。今回、その四つの租税条約は、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外で更に拡大強化するものにほかならないものであり、反対であります。  以上、討論といたします。
  114. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国スロベニア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  115. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国ベルギー王国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国ラトビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税除去並び脱税及び租税回避防止のための日本国オーストリア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、脱税防止のための情報交換及び個人所得についての課税権配分に関する日本国政府バハマ国政府との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、五件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会