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鈴木(義)
委員 会社に所属する人間が
会社の名前をかたって、私は平なんですけれども勝手に個人で上げましたと言って、普通は通らないよね。ぜひ今後は注意をしていただきたいと思います。
時間がもったいないので、次に参ります。
昨年の
予算委員会でも麻生
大臣にお尋ねした、海外収益の国内還流と内部留保の使途についてお尋ねしたいと思います。
財務省の国際収支統計を見ると、二〇〇六年から二〇一五年の直接投資収入は、四兆七千五百八十億円から十兆八千四百五十億円と伸びている。支払いも、一兆七千七十七億円から二兆七千二百九十九億円。海外でもうけているのがこの数字から見てもわかります。また、証券投資収益も十三兆から十六兆に伸びていたり、支払いも二兆から四兆。これはざっくりした数字で申しわけないんですけれども、リーマン・ショックの翌年に低下したとはいえ、確実に上昇しているのがうかがえる。
先ほど石原
大臣とやりとりしましたけれども、GDPで見たって、ドルベースで見るのと円ベースで見るのは違うのかもしれません。ただ、この数字も、去年の二月のときもお尋ねしたと思うんですけれども、海外では稼いで戻ってきているよというのが如実にとれるんだと思います。
しかし、景気が悪くなると、必ず
企業の内部留保が何に使われているのかというのが議題になって、それをもっと国内に還流させろとか、労働者の給与に回せといった話をよく聞くんです。私も同じような考え方。それじゃないと、国内の投資はふえないし、給料も上がっていかない。リーマン・ショック以来、利益余剰金のうち投資有価証券と現預金の額の比率がどんどん高まってきている、これはデータで見ればわかると思います。
内部留保が何に使われているのかというと、大和総研のレポートを目にした中に、内部留保は直接投資、主に
企業の海外展開の原資として活用されており、また、運転資金の確保のため、一部は現預金となっている、ここは御案内のとおりです。直接投資残高は過去最高になっており、海外で子
会社、工場を設立したり、現地法人との合弁
会社を設立したり、現地
企業を買収する資金に充てられている、これはもう御案内のとおりだと思います。
内部留保が増加して留意しなければならないとここで
指摘しているんですけれども、負債調達コスト、自己資本調達コストと、難しい言い方なんですけれども、
企業全体の資本コストを引き上げて
企業価値の低下要因になる、内部留保は返済の必要がないとはいえ、株主に帰属する資金であって、内部留保を事業資金に充てるのであれば、配当とキャピタルゲインの合計のリターンを求められたり、借り入れや社債発行といった負債調達コストより高いことが
一般的であるというふうに
指摘されているわけです。
ですから、内部留保がどんどんどんどん積み上がっていけばいくほど、外部から資金調達するときにはいい金利を出さなければお金が集まらないということなんだと思います。
これで資本コストがどんどん高くなっていって、それ以上に利益が上げられるのであれば
企業の価値は向上するんですけれども、資本コストが高い
企業は総資本に対する利益率、ROAというふうに言うんでしょう、も高い傾向が
確認できたという報告書なんですね。
内部留保をためて、その資金を海外に出して利益を還元し、またそれを海外に出していくことがずっと行われてきたんだと思います。国内の設備投資をしないとか、賃金にそれが反映されないとか。
それで、逆に言えば、内部留保を高くすればするほど、先ほど申し上げましたように、自己資本の調達コスト、だから、外部から入れる調達コストを上げていくために国内の下請
企業だとか賃金を抑制しているがために、海外にどんどんお金を出していって工場をつくったりするんですけれども、戻してきてまた戻す、海外に出すんです。それで、いつになっても、国内の
企業、下請だとか孫請だとか中小零細の方にはなるべく安い単価で加工させるということをずっとやってきたんじゃないかと思うんです。
だから、そのために、もう時間が来ているんですけれども、例えば
日本でも、資本金一億円以上の特定同族
会社に限って、各事業年度において一定額以上の所得等を内部留保した場合に、その留保所得に対して追加的課税する留保金課税制度が存在しているんです。これを一定の条件をつけて非同族
会社にも適用したらどうだという考え方です。いかがでしょうか。