○坂本祐之輔君
民進党の坂本祐之輔です。
私は、
民進党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
国家戦略特別区域法及び
構造改革特別区域法の一部を
改正する
法律案について
質問いたします。(
拍手)
冒頭、一昨日、大津市で開かれた、地方創生セミナーでの山本地方創生担当大臣の発言について伺います。
山本大臣は、一番のガンは学芸員という
人たち、一掃しないといけないという発言をされましたが、この発言の
趣旨を伺います。また、学芸員の
皆様に対しても、そして、がんと闘っている患者の
皆様、その御
家族の
皆様に対しても、配慮の足りない発言であったと考えますが、いかがでしょうか。山本地方創生担当大臣に伺います。
次に、国家戦略特区を活用した獣医学部の新設について伺います。
事業主体に認定された学校法人加計学園は、
安倍総理が腹心の友と呼ぶ方が
理事長を務め、同学園が経営するこども園の名誉園長に安倍昭恵
総理夫人が就任するなど、
安倍総理夫妻と非常に親密な関係にあると報道されています。
獣医学部新設については、これまで五十年もの間認められてきませんでしたが、
安倍政権での
日本再興戦略二〇一五で、これまでの積み残しや、
全国から募集した提案に加えて、国家戦略特区でのさらなる規制改革検討事項の一つとして掲げられ、わずかな期間で運営事業者の公募を行った結果、加計学園が名乗りを上げ、
愛媛県今治市が三十六億円を上回る用地を無償譲渡することとなった経緯があります。
これまでに判明した事実を勘案すると、初めに特区という器をつくり事業者を公募したというのではなく、初めに加計学園ありきで、これに合わせて
制度設計をしたと疑わざるを得ないのですが、いかがでしょうか。山本地方創生担当大臣に伺います。
獣医学部の新設については、文部科学省は一貫して慎重姿勢を示してきたにもかかわらず、急遽方針転換し、新設を認めたのはなぜでしょうか。松野文部科学大臣に伺います。
また、
安倍総理夫妻からの働きかけ、あるいは
安倍総理夫妻に対するそんたくなど、
安倍総理夫妻の
影響は全くなかったと断言できるのでしょうか。山本地方創生担当大臣に伺います。
国家戦略特区
制度の成果について伺います。
国家戦略特区
制度は、アベノミクス第三の矢である成長戦略の中核をなす政策として、二〇一三年十二月に創設され、四年目を迎えています。そして、二〇一三年の
日本再興戦略では、国家戦略特区
制度を初めとする立地競争力
強化策により、二〇二〇年までに、
世界銀行のビジネス環境ランキングで
日本がその当時の先進国十五位から三位以内に入ることを成果目標としています。この目標は、その後の
日本再興戦略の改訂版にも引き継がれています。
ところが、最新のビジネス環境ランキングで、我が国は
世界三十四位、OECD諸国中二十三位となっており、しかも順位は低下傾向にあります。先進国で三位以内という目標からはほど遠い惨状となっていますが、この現状について、山本地方創生担当大臣はどのようにお考えでしょうか。何が原因で、今後、目標達成のためにどのような改善策を考えているのか、伺います。
次に、国家戦略特区
制度の活用における地方公共団体の二極化について伺います。
現時点での国家戦略特区の認定事業数は二百三十三件。このうち、東京圏が七十五件、福岡市・北九州市が四十件、関西圏が二十六件となっており、大都市部で過半数を占めています。特に、東京圏では、特区
制度を活用した容積率緩和による都市再生プロジェクト案が三十件近くもあり、東京都の試算では、経済波及効果は約十兆円に膨らむ見通しとも言われています。
一方で、特区指定を受けたものの、事業数が一桁にとどまっている地方公共団体もあります。
政府も、こうした格差を意識したのか、国家戦略特区の枠組みを活用した地方創生特区を設けたものの、その利用は広がっていません。
国家戦略特区
制度は、それまでの特区に比べると国主導である点に大きな特徴があるわけですが、これでは、国主導で東京一極集中を促進させていると言わざるを得ません。安倍
内閣が地方創生を掲げる一方で、東京圏への事業の集中により格差が生じている現状は、言っていることとやっていることが違っている典型です。
この状況をどのようにお考えなのか、山本地方創生担当大臣に原因と対策を伺います。
世界で一番ビジネスのしやすい環境を創出するはずが、成果目標を達成できず、むしろ弊害が生じているのであれば、
制度自体、あるいは運用を大きく見直す必要があるのではないでしょうか。そのためには、国家戦略特区の取り組みの進捗状況について客観的に評価し、改善する必要があります。
しかし、この評価のあり方も問題です。
集中取り組み期間とされた一五年度までの取り組みの進捗状況については、区域
会議が昨年三月までに評価をまとめ、特区諮問
会議が評価の総括をしています。そこでは、岩盤規制を含めた五十項目の規制改革に取り組んだ点、各事業がスピーディーに進捗している点などを高く評価しています。
しかし、評価
内容と
実態には大きな乖離が生じています。
まず、進捗速度について、この評価ではスピーディーな進捗だとされていますが、
実態は、着手したばかりか、あるいは未着手の事業が相当数に上っています。また、特区の評価も、特定
措置の活用の有無に偏っています。
本来、評価は、規制改革を行うことのメリットとデメリット、または、想定していなかった運営上の
課題などを踏まえてなされるべきです。実際、
農業改革や外国人家事
支援人材の受け入れ事業等においては、事業の進展に伴って新たな
課題に直面しており、成果の面では十分と言えない面があります。そうした
課題も明記した上で、規制改革を広げることのメリット、デメリットを明確に示すべきです。
さらに、評価の客観性を高めるためには、第三者評価を取り入れることも一つの選択肢だと考えます。
こうした評価
内容、第三者評価導入の是非について検討し、改めるお考えはあるか、山本地方創生担当大臣に伺います。
次に、個別の論点について伺います。
農業外国人の就労解禁の件について伺います。
政府は、今回の法案で、我が国で深刻化する
農業分野での人手不足を解消するため、
一定水準以上の技能や知識を有する専門
人材を特区において受け入れることとしています。
確かに、我が国の
農業就労人口は、二〇一六年には百九十二万人と、一九九〇年に比べて六割も減少し、さらに、
農業従事者の高齢化もより一層進行しております。
人材の確保は、我が国の
農業の衰退を防ぐためには喫緊の
課題です。
しかしながら、
農業従事者がこれだけ減少、高齢化したのは、
政府・自民党の
農業政策が、効率性、市場性を重視する余り、小規模農家を潰してきた結果にほかなりません。
農業分野での人手不足は、
農業経営の
持続可能性を失わせた
政府・自民党農政の結果であって、ただ外国人
人材の導入によって根本的な解決が図られるものではないと私は考えますが、山本農林水産大臣の見解を伺います。
また、
農業分野の人手不足は
全国的な問題ですから、今後、
全国で同様の解禁を行うのか、そして、それが人手不足の根本的解決策とお考えなのか、山本地方創生担当大臣に伺います。
次に、子育てに係る環境の整備などについて伺います。
本法案では、小規模認可保育所における
対象年齢を、現在の原則としてゼロから二歳児までを五歳児まで拡大することを可能とする
内容が盛り込まれています。
しかし、これまで小規模保育所を二歳までとしていたのには
理由があります。二歳くらいまでは、家庭的な雰囲気の中で少人数で保育された方が子供
たちは落ちつきます。また、
活動量も比較的少ないため、園庭がないことの不都合も幼児ほどではないこと等が指摘されてきました。
それが、本法案によると、動きが活発になる三歳以上の子供とゼロ歳児の赤ちゃんが同じ小規模の保育所で過ごすケースが出てきます。動き方が全く異なる年齢の子供が小さな空間で一緒に過ごすことで、他の保育所では発生しないストレスがかかったり、子供同士の事故が生じたりすることも予想されます。現場の保育士も、従来よりも神経を使う必要があり、大きな
負担となると思われます。
このような保育のあり方をどのようにお考えなのか、
塩崎厚生労働大臣に伺います。
また、特区で保育、子育ての規制を緩和する際の
政府としての留意点があれば、山本地方創生担当大臣に伺います。
子供の命を預かる現場で保育の質を落とすことはできません。待機児童を減らすためであっても、質を落とすことを
民進党は認めることはできません。
政府は、場当たり的な細工で量をふやすのではなく、質を落とさずに量をふやす待機児童解消の王道を進むように求めます。
次に、テレワーク推進に向けた相談拠点整備について伺います。
テレワークの普及を促進し、仕事と生活の調和を図ることができる環境を整備することができればよいですが、反面、自宅に仕事を持ち帰り、睡眠を削って仕事をするような事態に陥る
可能性もあります。そのような過重労働にならないよう、しっかりと
実態調査を行い、適切な労働時間管理が行われるようにすべきだと考えますが、
塩崎厚生労働大臣の見解を伺います。
また、国家戦略特区
制度により働き方の規制を緩和する際の歯どめについてどのようにお考えなのか、山本地方創生担当大臣に伺います。
二〇一四年一月のダボス
会議で
安倍総理は、国家戦略特区が動き出すことによって、向こう二年間、いかなる既得権益といえども、私のドリルから無傷ではいられないと大見えを切りました。それから三年以上が経過しましたが、残念ながら、国家戦略特区によって経済社会に大きなインパクトのある成果はもたらされていません。
一方、働き方や子育て分野で規制の特例
措置に行き過ぎがあると、国民の健康や子供
たちの健全な発育を害する
可能性もあります。また、目立った成果が出ない一方で、東京一極集中が一層促進されようとしています。こうした矛盾だらけの
政治は改めなければなりません。
我々
民進党は、幸福のための成長に向けて、安全、安心を旨とした上での規制改革と、地方の目線で、自立を可能とする改革を誠実に推進することをお誓い申し上げ、私の代表
質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔国務大臣山本幸三君
登壇〕