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2017-03-28 第193回国会 衆議院 本会議 第13号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十九年三月二十八日(火曜日)
—————————————
議事日程
第八号
平成
二十九年三月二十八日 午後一時
開議
第一
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
(
内閣提出
) 第二
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
(
内閣提出
)
日程
第二
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
)
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
並び
に将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)及び
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時二分
開議
大島理森
1
○
議長
(
大島理森
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
大島理森
2
○
議長
(
大島理森
君) この際、御紹介申し上げます。 ただいま
ミエーゴンボ・エンフボルド・モンゴル国国家
大
会議議長
御一行が
外交官傍聴席
にお見えになっておりますので、
諸君
とともに心から歓迎申し上げます。 〔
起立
、
拍手
〕
————◇—————
日程
第一
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
(
内閣提出
)
日程
第二
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
)
大島理森
3
○
議長
(
大島理森
君)
日程
第一、
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
、
日程
第二、
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
、右両案を一括して
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
農林水産委員長北村茂男
君。
—————————————
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
及び同
報告書
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
及び同
報告書
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
北村茂男
君
登壇
〕
北村茂男
4
○
北村茂男
君 ただいま
議題
となりました両
法律案
につきまして、
農林水産委員会
における審査の経過及び結果を御
報告
申し上げます。 まず、
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
は、最近における
農業
をめぐる
状況
の
変化
に鑑み、
農業機械化促進法
を廃止するとともに、
国立研究開発法人農業
・
食品産業技術総合研究機構
の業務に係る
規定
の
整備
を行うものであります。 次に、
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
は、最近における
農業
をめぐる
状況
の
変化
に鑑み、
主要農作物種子法
を廃止するものであります。 両
法律案
は、去る三月七
日本委員会
に付託され、翌八日
山本農林水産大臣
から
提案理由
の
説明
を聴取し、二十三日
質疑
を行いました。
質疑終局
後、
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
に対し、
自由民主党
・
無所属
の会、民進党・
無所属クラブ
、公明党及び
日本維新
の会の四
会派共同提案
により、
国立研究開発法人農業
・
食品産業技術総合研究機構
が
実施
する
農業等
に関する
技術
上の
検査
を農機具についての
検査
に限定する
修正案
が
提出
され、
趣旨
の
説明
を聴取いたしました。 次いで、両
法律案
及び
修正案
について一括して討論を行い、順次
採決
をいたしましたところ、まず、
農業機械化促進法
を廃止する等の
法律案
につきましては、
修正案
及び
修正部分
を除く
原案
はいずれも
賛成
多数をもって可決され、
修正
議決すべきものと議決した次第であります。次に、
主要農作物種子法
を廃止する
法律案
につきましては、
賛成
多数をもって
原案
のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
大島理森
5
○
議長
(
大島理森
君) これより
採決
に入ります。 まず、
日程
第一につき
採決
いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は
修正
であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
6
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり
修正
議決いたしました。 次に、
日程
第二につき
採決
いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は可決であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
大島理森
7
○
議長
(
大島理森
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり可決いたしました。
————◇—————
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
並び
に将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)及び
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)の
趣旨説明
大島理森
8
○
議長
(
大島理森
君) この際、
内閣提出
、
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案並び
に
初鹿明博
君外六名
提出
、将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
について、順次
趣旨
の
説明
を求めます。
厚生労働大臣塩崎恭久
君。 〔
国務大臣塩崎恭久
君
登壇
〕
塩崎恭久
9
○
国務大臣
(
塩崎恭久
君) ただいま
議題
となりました
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御
説明
いたします。
高齢化
の
進展等
に伴い、
介護
を必要とする
高齢者等
の
増加
が見込まれる中、
高齢者等
が住みなれた
地域
でその有する
能力
に応じ自立した
日常生活
を営むことができるようにしていくことが重要です。 このような
状況
を踏まえ、
介護保険制度
の
持続可能性
を高めるとともに、
介護保険
の
保険者
である
市町村
の
取り組み
を
推進
することなどを通じて、
地域包括ケアシステム
の
強化
を図るため、この
法律案
を
提出
いたしました。 以下、この
法律案
の
内容
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。 第一に、
高齢者
の
自立支援
や要
介護状態
の
重度化防止等
に向けた
取り組み
を効果的に
実施
するため、
市町村
が
地域
の
課題
を分析して、
介護保険事業計画
に具体的な
取り組み内容
や
目標
を記載することとするほか、
都道府県
による
市町村支援
や、これらの
取り組み
を
支援
するための
交付金
など、
保険者機能
を
強化
するための
仕組み
を
法律
に位置づけます。 第二に、今後、
増加
が見込まれる
慢性期
の
医療
・
介護ニーズ
に
対応
するため、日常的な
医学管理
が必要な要
介護者
の受け入れやみとり、
ターミナルケア等
の
機能
と、
生活施設
としての
機能
とを兼ね備えた新たな
介護保険施設
として、
介護医療院
を創設します。 第三に、
地域共生社会
の
実現
に向けた
取り組み
を
推進
するため、
高齢者
に限らず、
障害者
、
子供
など、全ての
地域住民
が抱えるさまざまな
分野
にわたる
生活課題
を解決するための
包括的支援体制づくり
などを
市町村
の
努力義務
とするとともに、
高齢者
と
障害児者
が同一の
事業所
で
サービス
を受けやすくするための
共生型サービス
を
法律
に位置づけます。 第四に、
介護保険制度
の
持続可能性
を高める等の
観点
から、
一定
以上の
所得
を有する者の
給付割合
の
見直し
を行うとともに、
被用者保険等保険者
の
介護納付金
を
標準報酬総額
に応じた
負担
といたします。
最後
に、この
法律案
の
施行期日
は、
平成
三十年四月一日など、
改正事項ごと
に所要の
施行期日
を定めることとしています。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
—————————————
大島理森
10
○
議長
(
大島理森
君)
提出者初鹿明博
君。 〔
初鹿明博
君
登壇
〕
初鹿明博
11
○
初鹿明博
君 ただいま
議題
となりました、将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案並び
に
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
、いわゆる
介護崩壊防止法案
につきまして、
提出者
を代表して、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
いたします。 まず、二
法案
の
提案理由
について御
説明
いたします。
平成
十二年四月の
介護保険制度創設
から十七年が経過しました。
介護保険制度
は着実に
社会
に定着し、
高齢者
の
介護
を支える、なくてはならない
仕組み
となっています。
制度創設
時の
理念
は、これまで
家族
が抱え込んでいた
介護
を
社会
全体で支える
介護
の
社会化
を
実現
し、
社会的入院
に追い込まれていた
高齢者
を、
地域
の中で暮らし続けられるように、
在宅
での
サービス
を
充実
させていくことであったはずです。 しかし、
団塊
の
世代
が
後期高齢者
になる二〇二五年問題を控え、
高齢者
の
在宅サービス
を支えるために
介護保険制度
を
充実
していくことが求められているにもかかわらず、
安倍政権
における
介護保険制度
への
対応
を見ていると、どうでしょうか。
看板政策
のアベノミクスの三本の矢の
一つ
に
介護離職
ゼロを掲げながら、
史上最大
の
介護報酬
の
引き下げ
を行い、
軽度者
の
サービス
、それも
在宅生活
に欠かせない
生活援助
や
福祉用具レンタル
の切り捨てを
検討
するなど、むしろ
介護離職
を増大させる
方向
に進んでいます。 つまり、
安倍政権
の
介護政策
は、
介護離職
ゼロと
国民
に聞こえのよい言葉を使いながら、
サービス
は縮小、
事業所
は
倒産
、
介護従事者
は
離職
、
家族
は
介護離職
と、
制度
があっても
サービス
が利用できない
介護崩壊
に突き進んでおり、
言行不一致
です。
安倍総理
、これ以上
国民
を欺くのはやめてください、そういう思いを込めて、以下、具体的な
問題点
を指摘いたします。
平成
二十六年度の
介護保険法改正
では、要
支援者
に対する
訪問介護
及び
通所介護
が
地域支援事業
に移行されました。この大きな
改革
に対して、多くの
市町村
は
対応
に苦慮しており、
自治体
によっては、
事業者
に支払われる
報酬
を
引き下げ
ることなどで要
支援者
に適切な
サービス
が今後
提供
されなくなるのではないかとの懸念の声が上がっております。 また、
平成
二十六年
改正
では、
一定
以上の
所得
のある
利用者
の
負担割合
が二割に
引き上げ
られました。二割
負担
となる者の
所得水準
は
政令事項
であり、国会の
審議
を経ることなく勝手に
対象者
の
拡大
をできるという問題を含んでいるほか、この
改正
は
平成
二十七年八月に施行されたばかりであり、
負担増
による
利用抑制
も起こっており、その
影響
すら十分に検証されておりません。それにもかかわらず、今回の
政府提出法案
では拙速に三割
負担
を
導入
することとしております。
平成
二十七年四月の
介護報酬改定
では、
事業所
の手元には残らない
処遇改善
や新設の
加算
などによる
引き上げ部分
はありますが、
サービス単価自体
の
引き下げ
は四・四八%もの大幅なもので、
介護事業所
、特に
在宅サービス
を
提供
している
事業所
は大打撃を受けました。その結果、
老人福祉
・
介護事業所
の
倒産件数
は、
平成
二十七年、二十八年と二年連続して過去最多を更新するなど、
介護事業者
は非常に厳しい
経営環境
に置かれています。 さらに、今回の
政府提出法案
には盛り込まれませんでしたが、
軽度
の要
介護者
や要
支援者
に対する
サービス提供
の切り下げ、保険給付外し、
福祉用具レンタル
の
原則自己負担化
という
制度改悪
の
方向
で
検討
が進められています。目先の
サービス
を切り下げ、保険外しは、
状態
の
重度化
、ひいては
介護給付
の増大を招くということがなぜわからないのでしょうか。 そして、
介護
の
現場
における深刻な
人材不足
の問題であります。
介護従事者
は重要な役割を担っているにもかかわらず、その
賃金
はほかの業種と比較して著しく低い
水準
にあります。職員の
確保
ができないという
理由
で、ベッドがあっても
利用者
を受け入れられない
特別養護老人ホーム
が、
要員不足
と回答した
施設
のうち約一割もあるとの
調査
結果も
報告
されています。
安倍政権
は、
平成
二十九年度において、臨時に
介護報酬改定
を行い、
月額平均
一万円相当の
処遇改善
を
実施
することとしています。これ
自体
は
評価
いたしますが、不十分であり、さらなる
処遇改善
が求められています。なお、こうした
処遇改善
が求められているのは、
障害福祉
の
分野
においても同様であります。
介護
の
現場
は疲弊し切っており、
利用者
やその
家族
が満足できる質の高い
介護サービス
を
提供
することが困難な
状況
に陥っています。
介護事業者
が撤退したり、
介護職
で働く人がいなくなったりしたら、
家族
が仕事をやめて
介護
を担うしかなくなります。世の中ではこのような
事態
を指して
介護離職
というのです。 つまり、
安倍総理
は威勢よく
介護離職
ゼロと言っていますが、実際に行っていることは
介護離職
ゼロとは真逆の
方向
に向かっているのです。 我々は、こうした現状を打破し、
介護
の
崩壊
を
防止
するため、
サービス低下
につながる
軽度者切り
の
防止
、
利用者
の
生活
を守るため、二割
負担
の安易な
拡大防止
、
介護従事者
が安心して働き続けられるようにするための
介護従事者
の
賃金月額
二万円
アップ
、
事業者
が安定的に
事業
を継続できるようにする次回
改定
での
介護報酬
の
アップ
、
家族
に
介護
が必要となっても働き続けられるよう
介護休業等
の
改善
を五本柱としたこの二
法案
、
介護崩壊防止法案
を
提出
した次第であります。 以下、二
法案
の
概要
を御
説明
いたします。 まず、将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げます。 第一に、
介護保険制度
の
理念
として、要
介護状態
になった場合においても、
日常生活
の質を維持向上させるよう、また、
介護離職等
を
防止
するため、要
介護者等
の
家族
の
負担
を十分に軽減するように配慮されなければならないことを明記することとしております。 第二に、国、
地方公共団体
、
介護事業者
の
責務
として、
利用者
及びその
家族
の
介護サービス
に対する
評価
の把握に努めるとともに、
当該評価
を向上させるための
措置
を講じるよう努めなければならないことを追加することとしております。 第三に、
利用者負担
の
割合
が二割となる
所得額
をおおむね上位二〇%の
所得額
以上の額において定める旨を
規定
し、
政令委任
の
趣旨
を明確化することとしております。 第四に、
軽度
要
介護者
、要
支援者
に対する
保険給付等
に係る
サービス
が将来にわたりあまねく
全国
において十分な
内容
及び
水準
で
提供
されるようにする旨の
規定
を設けることとしております。 第五に、
政府
は、当分の間、
介護保険制度等
の
改正
が行われた場合、
調査
、分析及び
評価
を行い、今後、
改正
を行おうとする場合には、この結果を踏まえ、
調査
、予測及び
評価
を行わなければならないこととしております。 第六に、
介護離職
を余儀なくされる
事態
が生じないよう、
介護休業
の日数及び回数の
増加等
、速やかに
検討
を加え、その結果に基づき必要な
措置
を講ずることとしております。 次に、
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
について申し上げます。 第一に、
都道府県知事
は、
賃金
を
改善
するための
措置
を講ずる
介護
・
障害福祉事業者等
に対し、その申請に基づき、
介護
・
障害福祉従事者処遇改善助成金
または
介護
・
障害福祉従事者等処遇改善特別助成金
を支給することとしております。 具体的には、二つの
助成金
を各
事業者等
に選択していただき、
処遇改善加算
の
対象職種
には
月額
一万円、または、
処遇改善加算
の
対象職種
を含む全ての
職種
に
月額
六千円の
賃金引き上げ
を想定した
助成金制度
を創設し、国は、
都道府県
に対し、
助成金
の
費用
の全額及び事務の執行に要する
費用
を交付することとしております。 第二に、
介護報酬
及び
障害福祉サービス等報酬
の
改定
に当たっては、全ての
介護
・
障害福祉事業者等
の
サービス
の
提供
の安定的な継続、
介護
・
障害福祉従事者
の
賃金
の
改善
による将来にわたる
職業生活
の安定及び
離職
の
防止
に資するよう配慮しなければならないこととしております。特に、
平成
三十年度
介護報酬改定
に当たっては、
介護報酬
の
引き上げ
を想定し、
平成
二十七年度
改定
による
報酬引き下げ
の
影響
を勘案することを明記することとしております。 以上が、二
法案
の
提案理由
及び
内容
の
概要
であります。 何とぞ、速やかに御
審議
の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。(
拍手
)
————◇—————
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
並び
に将来にわたる質の高い
介護サービス
の
提供
の
確保等
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)及び
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
に関する
特別措置法案
(
初鹿明博
君外六名
提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
大島理森
12
○
議長
(
大島理森
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
小松裕
君。 〔
小松裕
君
登壇
〕
小松裕
13
○
小松裕
君
自由民主党
の
小松裕
です。 ただいま
議題
となりました
政府提出
の
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
自由民主党
・
無所属
の会を代表して
質問
いたします。(
拍手
) 我が国では、二〇二五年には、いわゆる
団塊
の
世代
が七十五歳以上になるなど、一層の人口の
高齢化
の
進展
が見込まれています。 私の
地元長野
県は、
平均寿命
が男女とも
全国
一位で、
健康長寿
の県として知られています。これは、各個人の意識の高さとともに、食
生活
の指導や
健康スポーツ
の
推進
など、
地域
で健康を支え合う
仕組み
が根底にあるからです。 健康で長生きしたいという多くの願いを将来にわたって支えていくためにも、
介護保険制度
を初めとした
高齢者
の
方々
の
生活
を支える
仕組み
を
強化
し、持続可能な
制度
としていくことは、現在、私たちにとっても待ったなしの最
重要課題
であります。 まず最初に、今回の
改正
のポイントについて伺います。
介護保険制度
の
理念
である
高齢者
の尊厳の保持や
自立支援
を
実現
していく
観点
からも、
医療
、
介護
、住まい、
予防
、
生活支援
が身近な
地域
で包括的に
確保
される
地域包括ケアシステム
を
強化
していくことは大変重要と考えます。 今回の
制度改正
で、
高齢者
の
方々
にとって何が変わり、どのような
メリット
があるのでしょうか。
厚生労働大臣
にお伺いします。 次に、
在宅医療
と
介護
の
連携
について伺います。
地域包括ケアシステム
を
構築
するためには、
急性期
の
医療
から
在宅医療
や
在宅介護
までの一連の
サービス
を
切れ目
なく
提供
することが必要不可欠です。 七十五歳以上の
高齢者
の
方々
は、
慢性疾患等
、複数の疾病にかかりやすく、
認知症
や要
介護状態
となる方も多いことから、
地域
の
医療
や
介護
の
関係者
が密接に
連携
し、必要な
医療
・
介護サービス
を一体的に
提供
することが求められます。 今回の
改正
でも、
医療
と
介護
の
ニーズ
に
対応
していく
観点
から、
慢性期
の
医療
と
生活支援
としての
機能
を一体的に
提供
する
介護医療院
を創設しますが、これも
一つ
の
取り組み
であります。
医療
と
介護
の
連携
については、
平成
二十六年の
介護保険法改正
で、全ての
市町村
が、
関係者
との協議や多
職種研修
などを行う
在宅医療
・
介護連携推進事業
に取り組むこととされました。 しかし、これまでは
医療政策
は主に
都道府県
が担ってきたため、
市町村
にはノウハウが乏しいなどの
理由
により、
市町村ごと
で
事業
の進捗に差が見られると聞いています。
市町村
における
在宅医療
・
介護連携推進事業
の着実な
実施
や
充実
を図っていくためには、
都道府県
による
市町村支援
の
充実
を図ることが重要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか、
厚生労働大臣
にお伺いいたします。 次に、
制度
を支える
費用負担
のあり方について伺います。 四十歳から六十四歳までの第二号被
保険者
の方の
保険料
については、
介護納付金
として、
健康保険組合
などの
医療保険者
に賦課されています。
介護納付金
は、
加入者数
に応じて
保険料負担
が決められており、被
保険者
の総
報酬
が高い
保険者
も低い
保険者
も、一人当たりの
介護納付金
は同額となっています。 今回の
法案
によって総
報酬割
が
導入
されれば、それぞれの総
報酬
に応じて
負担
していただく額が決まることになります。
世代
内の
負担
の公平、
負担能力
に応じた
負担
を求めるという
観点
から、総
報酬割
の
導入
は必要であると考えます。 また、そもそも、
平成
二十四年二月、
民主党政権時代
に閣議決定された
社会保障
・
税一体改革
においては、「今後の急速な
高齢化
の進行に伴って
増加
する
介護費用
を公平に
負担
する
観点
から、
介護納付金
の
負担
を
医療保険者
の総
報酬
に応じた
按分方法
とすることを
検討
する。」とされています。 それがこの
法案
でようやく
実現
に近づいているわけですが、今般の
介護納付金
への総
報酬割
の
導入
の
趣旨
について、
社会保障
・
税一体改革
の考え方との
関係
も含めて、改めて
厚生労働大臣
よりお聞かせ願います。
最後
に、
総理
にお伺いいたします。
介護
や
医療
を初めとする
社会保障制度
は、
国民
の安心した
生活
を支える大切な
制度
であり、将来にわたって持続可能なものにしていかなければなりません。これは与野党を超えて皆が共有できる
目標
だと考えています。 今回の
法案
も、持続可能な
社会保障制度
を目指して、
地域包括ケアシステム
を
強化
するものです。持続可能な
社会保障制度
、とりわけ
地域包括ケアシステム
の
推進
に向けた
総理
の御決意をお伺いし、
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
14
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君)
小松裕議員
にお答えをいたします。
地域包括ケアシステム
の
推進
についての
お尋ね
がありました。 二〇二五年は、いわゆる
団塊
の
世代
が七十五歳以上になる超
高齢社会
を迎える年であり、その中においても、
国民
一人一人が
状態
に応じた適切な
介護
や
医療
を受けられるよう、持続可能な
社会保障制度
を
構築
し、
介護
と
医療
の
提供体制
をしっかりと整えていく必要があります。 このため、
政府
としては、
医療
、
介護
、
予防
、住まい、
生活支援サービス
が
切れ目
なく
確保
される
地域包括ケアシステム
の
構築
を進めることとしており、今回の
法案
も
地域包括ケアシステム
を
強化
するためのものであります。 具体的には、
高齢者
の
自立支援
や要
介護状態
の
重度化防止
を図るとともに、
制度
を持続可能なものとしていくため、
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
からの
見直し
などの
改正
を行うものです。
政府
としては、本
法案
を
審議
いただき、成立させ、着実に
実施
していくことにより、
地域包括ケアシステム
の
構築
をより一層進め、
安倍内閣
の重要な
責務
として、
社会保障制度
を持続可能なものにしてまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩崎恭久
君
登壇
〕
塩崎恭久
15
○
国務大臣
(
塩崎恭久
君)
小松裕議員
にお答え申し上げます。 今回の
制度改正
による
変更点
と
メリット
についての
お尋ね
がございました。 本
法案
は、
地域包括ケアシステム
を
強化
するための
制度改正
を行うものでございます。 具体的には、全ての
市町村
で
保険者機能
を
強化
する
仕組み
を
制度
化することにより、
高齢者
の
自立支援
や
重度化防止
につながる
介護サービス
などが受けやすくなります。 また、新たな
介護保険施設
として
介護医療院
を創設し、今後ますます
増加
する
慢性期
の
医療
・
介護ニーズ
に
対応
するための受け皿を
強化
いたします。 さらに、これまでの
縦割り
の
福祉サービス
を丸ごとへ転換し、
高齢者
、
障害者
、
子供
など、全ての
地域住民
が抱えるさまざまな
分野
にわたる
生活課題
を解決するための包括的な
支援体制
の
整備
を進めることとしております。
政府
としては、こうした
制度改正
により、
高齢者
を初め、全ての
方々
が住みなれた
地域
で安心して暮らし続けることができる
地域共生社会
の
実現
を進めてまいります。
在宅医療
・
介護連携推進事業
の着実な
実施
と
充実
についての
お尋ね
がございました。
高齢者
が住みなれた
地域
で自分らしい暮らしを続けるためには、
在宅医療
と
介護
の
連携
を
推進
し、
充実
させていくことが大切でございます。 このため、今回の
法案
においては、
事業
の
実施主体
である
市町村
を
都道府県
が
支援
に努めることを
法律
上位置づけることとしておりまして、具体的には、
医療
や
介護
に関するデータを収集、分析すること、広域的な入退院時の
連携体制
を
整備
すること、
在宅医療
に係る
体制
を
整備
することなどの
支援
に取り組んでいただくことを予定しております。
厚生労働省
としても、
自治体向け
の手引を示すことなどにより、
市町村
における
在宅医療
・
介護連携推進事業
が着実に
実施
されるよう、しっかりと取り組んでまいります。
介護納付金
の総
報酬割
の
導入
の
趣旨
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
世代
内の
負担
の公平、
負担能力
に応じた
負担
を求めるという
観点
から、
介護納付金
に総
報酬割
を
導入
することとしております。これにより、総
報酬
の低い
医療保険者
については
介護納付金
の額が軽減されることとなり、被用者保険の被
保険者
のうち約六割の方は
介護保険
料の
負担
が軽減されると見込まれます。 御指摘のとおり、
介護納付金
の総
報酬割
については、民主党政権下の
社会保障
・
税一体改革
大綱において、その
導入
を
検討
することとされていたものであり、今回の
法案
は、
社会保障
・
税一体改革
とも整合的であると考えております。(
拍手
)
—————————————
大島理森
16
○
議長
(
大島理森
君) 中島克仁君。 〔中島克仁君
登壇
〕
中島克仁
17
○中島克仁君 民進党の中島克仁です。 私は、民進党・
無所属クラブ
を代表して、ただいま
議題
となりました、
政府提出
、
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
及び民進党
提出
、
介護崩壊防止法案
に対して
質問
をいたします。(
拍手
) 大事な
介護
の問題を少しでも多く
質問
したいところ大変残念ですが、重要な二点について、まず
安倍総理
に
お尋ね
をいたします。 先週、衆参予算委員会において、森友学園籠池前理事長に対する証人喚問が行われました。籠池氏の発言は具体的かつ詳細で、
一定
の信憑性もあるという受けとめが大勢だったと考えられます。 いずれにしても、疑惑解明のためには、一方の当事者のみならず、当事者双方から事情を聞くのは基本中の基本であります。各種世論
調査
でも、大多数の
国民
が
政府
側の
説明
に納得できないと答えています。自民党総裁でもある
安倍総理
は、昭恵夫人を初めとする当事者の証人喚問を
実現
するよう、指導力を発揮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
安倍総理
の答弁を求めます。
安倍総理
は、二月二十七日の予算委員会において、森友学園に関する認可あるいは国有地払い下げについて、自分や妻、事務所も含めて、もしかかわっていたのであれば、間違いなく
総理
大臣も国
会議
員もやめるとおっしゃっておりました。その後、
内閣総理大臣
夫人付の谷査恵子さんが、籠池氏の依頼を受け、財務省本省に問い合わせを行い、昭恵夫人にも
報告
していたことが判明しております。これをかかわっていたと言わずして何と言うのでしょうか。
安倍総理
はみずからの御発言にどう責任を持つのか、
お尋ね
をいたします。 以上二点を
お尋ね
して、
政府提出法案
、民進党
提出
法案
について
質問
をいたします。
政府提出法案
においては、中身に入る以前の問題として、本則、附則に係る合わせて三十一本の、論点の異なる、多岐にわたる
内容
の法
改正
を一括に束ねた極めて乱暴な
法案
であることをまず指摘いたします。また、ほとんどが政省令に委ねられており、このようなことがまかり通ってしまえば、立法府の意思、すなわち
国民
の声が反映されず、
制度
は維持できたとしても、
国民
の
生活
は立ち行かなくなってしまいます。
国民
生活
に密着する
介護
の問題を軽視する、また独善的な
安倍政権
の姿勢そのものであり、強く抗議をいたします。 さらに、
安倍政権
は、
介護離職
ゼロの看板とは裏腹に、前回
報酬
改定
で実質
史上最大
のマイナス
改定
を行い、
介護サービス
の基盤をぶち壊しました。
総理
は、その責任を感じているのでしょうか。
安倍政権
の施策が、今後さらに
介護
の基盤を
崩壊
させるものにならないかどうかという
観点
から、
質問
します。
政府提出法案
のタイトルは
地域包括ケアシステム
の
強化
をうたっておりますが、一方で、
政府
は、経済・財政再生計画により
社会保障
費の伸びを圧縮する方針を示しています。
地域包括ケアシステム
は、例えば
在宅医療
、二十四時間定期巡回・随時
サービス
などに象徴されるように、効率性は必ずしもよくなく、
整備
するにはコスト高とも言えます。実際に
整備
は進んでいないのが現状であり、私も、
在宅
医として地元山梨県の山間部で
在宅医療
に従事し、そのことは実感しております。
安倍総理
に
お尋ね
をいたしますが、
地域包括ケアシステム
の
構築
には経済的合理性があると考えているのでしょうか。考えていないのであれば無責任だと思いますし、合理性があるというなら、その根拠をお示しください。合理性がない、コスト高というのなら、
政府
が実行している、経済・財政再生計画による
社会保障
費の伸びを圧縮していることとの整合性をどのように
説明
するのか、
お尋ね
いたします。
安倍政権
は、
平成
二十七年度
介護報酬改定
で二・二七%と、実質過去最大の
引き下げ
を行いました。その
影響
が如実にあらわれています。
介護
現場
が一体どうなってしまったのか、
総理
は御存じでしょうか。実際足を運んで、
現場
の切実な声に耳を傾けておられますでしょうか。
総理
は、実際の
介護
現場
の現状をどのような方法で把握しておられるのか、
お尋ね
いたします。 東京商工リサーチの
調査
結果によれば、二〇一六年一年間の
老人福祉
・
介護
事業
の
倒産件数
は百八件に達し、
調査
開始以来最多となっています。厚労省の
平成
二十八年度
介護
事業
経営概況
調査
によれば、各
介護サービス
の収支差率について、
介護報酬改定
前の
平成
二十六年度と
改定
後の
平成
二十七年度の
状況
を比較すると、多くの
介護サービス
において収支差率は低下しています。
平成
二十七年度の
介護報酬
のマイナス
改定
によって、
施設
サービス
も居宅
サービス
も厳しい経営を強いられていることは素直に認めるべきではありませんか。
総理
の答弁を求めます。
地域包括ケアシステム
の
強化
、
介護離職
ゼロと言っておきながら、よもや、
平成
三十年度、次回
介護報酬改定
を
引き下げ
るということはあり得ないと考えますが、
引き下げ
ないと断言できますか。 来年の
報酬
改定
は、六年に一度の診療
報酬
、
介護報酬
同時
改定
であり、
地域包括ケアシステム
の
構築
のためにも大変重要となります。来年の診療
報酬
、
介護報酬
同時
改定
をどのように位置づけているのか、
総理
の答弁を求めます。 また、議員立法提案者に、
平成
二十七年度の
介護報酬改定
に対する
評価
と、
介護崩壊防止法案
で
介護報酬改定
をどのように位置づけているのか、伺います。
安倍政権
は、要
支援
高齢者
に対する
訪問介護
と
通所介護
を
地域支援事業
に移行しました。ことし四月からは全ての
自治体
が移行することになっています。このいわゆる要
支援
切りによる弊害が出るかどうかもわからないうちに、
政府
は、
軽度者
の
生活援助
サービス
を
地域支援事業
に移行することを
検討
してきました。また、
軽度者
の福祉用具貸与や住宅改修を原則自己
負担
とすることも
検討
しています。 世論の批判を浴びて、すぐに
実施
することは見送られましたが、
政府
はその旗をおろしていません。実行されれば、
軽度者
の
介護
度を
重度化
させ、
訪問介護
等の他の
介護保険
サービス
の利用が増大することになりかねません。その結果、保険給付の抑制という目的に反して、財政
負担
の増大を招き、
介護職
員の
人材不足
に拍車をかけるおそれがあります。さらに、
政府
が掲げる
介護離職
ゼロとは大きく矛盾します。 昨年、私が独自に、ケアマネまた要
介護
度一、二の
介護者
を
在宅介護
する御
家族
にアンケート
調査
をした結果、
生活援助
サービス
を
介護保険
から切り離した場合、九割以上のケアマネ、
家族
の方は、
介護離職
がふえると回答をいたしました。
介護保険
から切り離さないとしても、まさか、
介護報酬
を切り下げて、事実上
軽度者
への
サービス提供
ができなくなるようなことは考えていませんよね。
軽度者
に対する
サービス
は現行
制度
を維持すべきであると考えますが、
総理
並び
に議員立法提案者に御見解を
お尋ね
いたします。
一定
以上の
所得
のある人の
介護保険
の自己
負担割合
については、
平成
二十七年八月に一割から二割に
引き上げ
られたばかりです。
政府提出法案
では、二割の
対象者
のうち、現役並み
所得
の方の
負担割合
を三割に
引き上げ
ることとしていますが、まずは、二割
負担
に
引き上げ
られたことの
影響
を丁寧に検証すべきです。どのような
調査
、
検討
を行い、どのような検証結果となったのか、
お尋ね
いたします。
総理
の答弁を求めます。 二割
負担
の
対象者
は、
所得
の上位二〇%の人が対象となるように設定されていますが、政令で決められるため、
対象者
の
拡大
が危惧されます。今後、
対象者
を
拡大
することはないのか、お伺いいたします。 また、三割
負担
の
対象者
は年収三百四十万円以上の人が想定されていますが、こちらも政令で決めることができ、国会
審議
を経ずに簡単に対象を
拡大
することができます。年収要件を
引き下げ
、
対象者
を
拡大
することはないと断言できるのか、
対象者
が
拡大
しないように
法律
に明記するべきだと考えますが、
総理
の答弁を求めます。 また、
対象者
拡大防止
策の必要性についてどのように考えるか、議員立法提案者に
お尋ね
いたします。 加えて、今回の
負担増
が
政府
の掲げる
介護離職
ゼロとは逆に
介護離職
をふやしてしまう可能性について、
総理
の見解を求めます。 私たちが昨年、
介護職
員の月給一万円
引き上げ
の
法案
を
提出
したことにより、
平成
二十九年度予算案に
介護職
員の月一万円の
処遇改善
が盛り込まれたことは
評価
をいたします。しかし、
介護職
員の平均給与と全産業の平均給与には十万円程度もまだ差があり、まだまだ不十分です。さらなる
処遇改善
を行う考えがあるのか、
総理
の見解をお伺いします。
政府
の
介護職
員の
処遇改善
は、
介護
に直接携わる人だけが対象であり、
介護事業所
で働く事務や調理などの
職種
の職員の
処遇改善
に充てることはできません。このような
仕組み
では、全ての職員に公平に
処遇改善
しようとすると、
介護職
員以外の
処遇改善
に要する経費は
事業所
の持ち出しになってしまいます。
介護
現場
での使い勝手をよくするために、
処遇改善
は
介護
に直接携わらない職員も対象とすべきではないでしょうか。
総理
の答弁を求めます。 また、
介護崩壊防止法案
では、
介護職
員等の
処遇改善
についてどのように
対応
されるのか、議員立法提案者にお伺いいたします。
介護保険
による
サービス
は、
介護
を受ける方、御
家族
の
方々
にとってまさに命綱です。 我々は、
介護報酬
の大幅
引き下げ
、要
支援
切りといった
安倍政権
の施策によって
介護サービス
の基盤が
崩壊
することがないよう、命綱が断ち切られることがないよう、要
介護者
の
地域
生活
の継続、
生活
の質の維持向上、
介護従事者
の
離職
や
介護離職
の
防止
を図り、全力で取り組む所存であります。 両
法案
の
審議
は、十分に時間をかけ、
政府
・与党には、丁寧かつ慎重な議論を行うよう強く求めます。
最後
に、冒頭の森友学園問題、加えて、金田法務大臣、稲田防衛大臣など、
安倍内閣
閣僚のたび重なる失態に対する
安倍総理
の任命責任、
安倍総理
御自身の信頼が問われている今現在、
安倍総理
はどのような覚悟を持って落とし前をつけようと考えておられるのか
お尋ね
をして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
18
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 証人喚問の
実施
及び私の国会での発言について
お尋ね
がありました。 証人喚問など国会運営については、国会においてお決めいただくことと認識しております。 今回の夫人付からのファクスでは、籠池氏側の要望に沿うことはできないときっぱりとお断りをしたと承知をしており、ゼロ回答であり、そんたくはしていないことは明らかであります。 また、回答
内容
については、財務省に問い合わせを行った結果として、夫人付が作成したものであり、法令や契約に基づく
対応
を
説明
したものです。国有財産に関する問い合わせに対する一般的な
内容
であって、仮に籠池氏側から財務省に対して直接問い合わせがあったとしても、同様に答える
内容
であると承知しております。 したがって、今回の、夫人付が財務省に問い合わせた行為やファクスで回答した行為が、国有地の払い下げに私の妻が関与したことには全くならないと考えております。
地域包括ケアシステム
の経済的合理性について
お尋ね
がありました。
地域包括ケアシステム
は、できる限り住みなれた
地域
で安心して
生活
を継続できるようにするための
仕組み
であります。 今回の
法案
は、
高齢者
の
自立支援
や
重度化防止
などのため、
市町村
の
取り組み
を
全国
的に
強化
することなどによって、結果として給付費の伸びを抑えることにつながります。
介護保険制度
の
持続可能性
を高めることにも寄与するものであり、合理的なものと考えております。
介護
現場
の現状の把握と
介護報酬改定
について
お尋ね
がありました。 私自身、
介護
の
現場
で働く方や
介護サービス
の
利用者
、御
家族
のお話をお伺いするとともに、
政府
としても、
介護事業者
の経営
状況
等の把握に努めております。
平成
二十七年度
介護報酬改定
後の
状況
については、
介護事業者
の経営
状況
に関する
調査
結果によれば、多くの
サービス
で収支差率は低下してはいるものの、おおむねプラスとなっており、
介護報酬
の請求
事業所
数については
介護報酬改定
後も
増加
しているなど、
介護サービス
は安定的に
提供
されているものと考えております。 また、
平成
三十年度の診療
報酬
と
介護報酬
の同時
改定
は、いわゆる
団塊
の
世代
が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、
医療
と
介護
の
提供体制
を
構築
していくための非常に重要な分水嶺と考えており、
関係者
の御意見も伺いながらしっかりと
検討
してまいります。
軽度者
向け
サービス
について
お尋ね
がありました。
軽度
の要
介護者
に対する
生活援助
サービス
等については、昨年末に
改定
された経済・財政再生計画
改革
工程表に沿って、
高齢者
の
自立支援
等の
観点
から引き続き
検討
を行ってまいります。 なお、前回の
介護保険法改正
では、要
支援
の方を
介護保険
の対象外とするのではなく、引き続き
介護保険
の
地域支援事業
の対象とし、
市町村
が必要な
サービス
を
地域
の実情に応じて効果的かつ効率的に
提供
できるよう
仕組み
を
見直し
たものであります。要
支援
切りとの批判は当たりません。
介護保険
の二割
負担
の
導入
による
影響
等について
お尋ね
がありました。
平成
二十七年八月の二割
負担
の
導入
前後において
サービス
の受給者数の伸び率は、これまでの傾向と比較して顕著な差は見られていません。引き続き、
サービス
利用の実態把握に努めてまいります。 今回の
改正
案では、
制度
の
持続可能性
を高める
観点
から、特に
所得
の高い層に三割
負担
を
導入
しますが、これは、二割
負担
、三割
負担
の今後の
対象者
の
拡大
を前提としたものではありません。 なお、
医療
保険
制度
等を見ても、対象の具体的な基準は政令で定めるのが一般的です。 また、今回の三割
負担
の
導入
については、三割
負担
者の対象は、二割
負担
者よりも一層範囲を限定した特に
所得
の高い層であるとともに、一カ月の
負担
の上限額を据え置くといった配慮を行っており、
介護離職
をふやすとの指摘は当たりません。
介護職
員の
処遇改善
についての
お尋ね
がありました。
介護職
員の
処遇改善
については、ニッポン一億総活躍プランに基づき、
平成
三十年度の
介護報酬改定
を待つことなく、来年度から、技能や経験に応じて昇給する
仕組み
を
構築
し、
月額平均
一万円相当の処遇の
改善
を行うこととしました。 さらなる
処遇改善
を行うことについては、まずは、来年度からの
取り組み
を着実に
実施
していくことが重要であると考えております。自公政権のもとでの合計
月額
四万七千円の
処遇改善
を確実なものとしてまいります。 なお、民主党政権での
処遇改善
の効果は、
月額
六千円にすぎないことを申し添えておきます。 また、
処遇改善
の
対象者
を
介護職
員以外に広げることについては、
介護職
員の給与が他の
職種
に比べて低い
状況
にある中、まずは、
介護職
員の
処遇改善
をしっかりと進めていくことが重要であると考えております。 どのような覚悟を持って落とし前をつけようとしているか。落とし前というのはどういう意味か理解しにくいわけでありますが、これは恐らく、
安倍内閣
における閣僚の任命責任等についての
お尋ね
だと思います。 もとより、閣僚の任命責任は
内閣総理大臣
たる私にあります。その上で、各閣僚にあっては、みずからの職務に真摯に向き合い、誠実に職務に当たっているものと考えております。 今後とも、
安倍内閣
は一丸となって、経済再生を初め各般の政策を力強く前に進めることにより
国民
への責任を果たしていく決意であります。(
拍手
) 〔井坂信彦君
登壇
〕
井坂信彦
19
○井坂信彦君
平成
二十七年度の
介護報酬改定
に対する
評価
と、
介護崩壊防止法案
で
介護報酬改定
をどのように位置づけているのかという
お尋ね
がありました。
社会保障
の
充実
のために消費税を増税したにもかかわらず、
政府
は
平成
二十七年度の
介護報酬改定
で、全体では二・二七%、
加算
部分を除いた
サービス
単価のみで見ると四・四八%と、大幅な
引き下げ
を行いました。
国民
との約束をほごにしたと言っても過言ではありません。 議員も御指摘のように、二〇一六年の
老人福祉
・
介護
事業
の
倒産件数
は
調査
開始以来最多となり、東京商工リサーチは、
倒産
の
増加
要因の
一つ
に、
介護報酬
の実質マイナス
改定
による収益の
影響
を挙げています。 仮に二回連続で
介護報酬
を
引き下げ
ることになれば、
介護事業所
の経営は深刻度を増し、
介護サービス
の基盤は
崩壊
してしまいます。幾ら
介護職
員の
処遇改善
をしても、
介護事業所
の
倒産
が続けば、
国民
は必要な
介護サービス
を受けることができなくなってしまいます。 本
法案
では、
介護報酬
及び
障害福祉サービス等報酬
の
改定
に当たっては、全ての
介護
・
障害福祉事業者等
の
サービス提供
の安定的な継続、
介護
・
障害福祉従事者
の
賃金
の
改善
による将来にわたる
職業生活
の安定及び
離職
の
防止
に資するよう配慮しなければいけないこととしています。特に、
平成
三十年度
介護報酬改定
に当たっては、
平成
二十七年度
改定
による
報酬引き下げ
の
影響
を勘案することを明記しております。
平成
三十年度は
介護報酬
を
引き上げ
ることを想定しており、この
介護報酬
の
アップ
が本
法案
の五本柱の
一つ
となっております。 次に、
介護職
員等の
処遇改善
について
お尋ね
がありました。
介護職
員の有効求人倍率は、
平成
二十九年一月時点で三・五〇倍で、職業全体の一・三六倍を大きく上回っています。
介護職
員の
人材不足
は、
介護職
員の平均
賃金
が全産業平均よりも十万円程度も低いことが原因です。
政府
は、
平成
二十九年四月から
介護職
員の
賃金
を
月額
一万円
引き上げ
る
処遇改善
を行うことにしていますが、十万円程度の開きを考えれば不十分です。 本
法案
では、
平成
三十年四月から、
介護
・
障害福祉従事者
の
人材確保
のための
措置
として、
政府
の
平成
二十九年度予算案に計上されている
月額
一万円の
処遇改善
に上乗せして
処遇改善
を行うこととしています。 具体的には、
介護
・
障害福祉従事者
のみの
賃金
を
改善
する
事業者
について、
介護
・
障害福祉従事者
の
賃金
を
月額平均
一万円
引き上げ
る
助成金
を支給します。この
介護従事者
が安心して働き続けられるようにするための
介護職
員の
賃金月額
合計二万円
アップ
が、本
法案
の五本柱の
一つ
となっています。 さらに、
介護
・
障害福祉従事者
以外の従業者も待遇
改善
をしたい
事業者
に配慮して、
介護
・
障害福祉従事者
とその他の従業者の両方を対象に、平均して
賃金
を
月額
六千円
引き上げ
られるオプションも用意しています。(
拍手
) 〔阿部知子君
登壇
〕
阿部知子
20
○阿部知子君 続きまして、
軽度者
に対する
サービス
は現行
制度
を維持すべきとの中島議員のお考えに対する私どもの見解について
お尋ね
がありました。
安倍政権
は、
軽度者
に対する
介護サービス
を縮小することを
検討
しておられます。
軽度者
の
生活援助
サービス
を
市町村
が行う
地域支援事業
に移行することや、
軽度者
の福祉用具貸し出しやあるいは住宅改修を原則自己
負担
とすることなどです。 議員御指摘のように、財政上の
理由
から
軽度者
向けの
介護サービス
を縮小すれば、
軽度者
の
介護サービス
の利用機会の減少や
利用抑制
を招き、要
介護状態
を悪化させかねません。その結果、悪化してしまった要
介護者
がふえて、かえって
介護保険
財政の逼迫に拍車をかけるおそれがあります。朝三暮四、中長期的視野に立って
検討
しなければ、本末転倒の
事態
が起こりかねません。 本
法案
では、
軽度
要
介護者
、要
支援者
に対する保険給付に係る
サービス
が、将来にわたってあまねく
全国
において十分な
内容
及び
水準
で
提供
されるようにする旨の
規定
を設けております。
介護保険
の空洞化につながる
軽度者切り
捨ての
防止
が、本
法案
の五本柱の
一つ
となっております。(
拍手
) 〔水戸将史君
登壇
〕
水戸将史
21
○水戸将史君 中島議員から、二割
負担
の
対象者
拡大防止
策の必要性について
お尋ね
がありました。
平成
二十七年八月から、
一定
以上の
所得
のある人の
介護保険
の自己
負担割合
が二割に
引き上げ
られました。議員御指摘のとおり、二割
負担
の
対象者
は政令で決めることができ、
法律
に政令を定める際の考え方が明記されていないため、
政府
は、国会の
審議
を経ずに、政令においてその
対象者
を
拡大
することが可能であります。 現時点では、二割
負担
に
引き上げ
たことによる
影響
はきちんと検証はされておりません。そのため、二割
負担
の対象となった方が
介護サービス
の利用をやめたり利用回数を少なくする、あるいは食費等を削る、そのような
影響
が出ているかどうか、さらには
家族
の
負担
が
増加
していないのか、きちんと把握はされておりません。こうした
状況
の中で、三割
負担
の
導入
を拙速に進めるのは言語道断であります。 仮に、二割
負担
によって深刻な
影響
が出ていないといたしましても、要
介護者
が必要な
サービス
を利用できるようにするためには、二割
負担
の
対象者
を安易に
拡大
するのは大いに問題があります。 本
法案
では、
対象者
の
拡大
に
法律
で歯どめをかけるため、二割
負担
となる
対象者
の考え方を法文に明記し、おおむね上位二〇%の
所得額
以上の額において定める旨、政令への委任の
趣旨
を明確化しております。
利用者
の
生活
を守るために、二割
負担
の安易な
拡大防止
を図ることが、本
法案
の五本柱の
一つ
となっております。 以上です。(
拍手
)
—————————————
大島理森
22
○
議長
(
大島理森
君) 桝屋敬悟君。 〔桝屋敬悟君
登壇
〕
桝屋敬悟
23
○桝屋敬悟君 公明党の桝屋敬悟でございます。 私は、公明党を代表し、ただいま
議題
となりました
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
をいたします。(
拍手
)
平成
十二年から始まりました我が国の
介護保険制度
は既に十七年が経過し、三年単位の
介護保険事業計画
ごとに
制度
を
見直し
ながら今日を迎えているわけであります。 人口減少時代に突入した我が国にあって、当面は、現役
世代
の人口が減少する中、
高齢者
の数がふえていく時代を突き抜けていかなければなりません。支え手が減少し、支えられる
高齢者
が
増加
するという、
社会保障制度
にとっては極めて困難な時代であります。 今なさねばならないことは二つあると考えます。
一つ
は、今を生きる
高齢者
の皆様方に安心していただける
社会
とすること、いま
一つ
は、未来を生きる現役
世代
の皆様に納得と希望の持てる
社会
とすることであります。 初めに、
安倍総理
に伺いたいと思います。 こうした困難な時代を乗り越えるため、ただいま
社会保障
・
税一体改革
の作業に取り組んでいる最中でありますが、消費税の
引き上げ
が延期され、
社会保障
の
充実
策もスケジュールの変更を余儀なくされております。
団塊
の
世代
が七十五歳以上の
後期高齢者
となる二〇二五年が年々近づいている中で、
社会保障
・
税一体改革
のメニューの中でも、とりわけ
介護保険制度
を中心とした
地域包括ケアシステム
の
構築
を進めることが急務であると考えます。 今回の
法律案
が、
高齢者
世代
の安心と現役
世代
の納得と希望を生み出すものとなっているかどうか、
法律案
の目的も含めて、
総理
の御見解を伺いたいと思います。 三割
負担
の
導入
について伺います。
介護保険
の
利用者負担
については、
平成
二十七年八月から、
一定
所得
がある場合、二割
負担
が
導入
されたところでありますが、さらに、二割
負担
者のうち特に
所得
の高い層の
方々
に三割
負担
をお願いするという
法律案
であります。 これは、民主党政権時から
取り組み
が始まりました
社会保障
・税の一体
改革
の考え方に沿ったものであると考えておりますが、三割
負担
となる
所得
の高い
高齢者
の
対象者
はどのようになるのか、また、あわせて、
負担増
となる
方々
へのきめ細かな配慮が必要と考えますが、具体的な
対応
策について
厚生労働大臣
にお伺いしたいと思います。 今回、
介護保険制度
の
持続可能性
の
確保
の
観点
から、
介護納付金
の総
報酬割
の
導入
が行われておりますが、
後期高齢者
支援
金の総
報酬割
導入
に続く
見直し
であることから、被用者保険団体からは給付の伴わない
負担増
と厳しい声もあるわけであります。 現役
世代
の皆様の御理解をいただくためにも十分な
負担
軽減
措置
を講ずる必要があると考えますが、塩崎
厚生労働大臣
の回答を求めます。 次に、
保険者機能
の
強化
について伺います。 今回の
法案
では、増大する給付費に対して、
保険者
が
地域
の
課題
を分析し、
高齢者
の
方々
に対して適切な
サービス
を
提供
するため、
保険者機能
を
強化
することとされております。 既に、
地域
ケア
会議
を中心に適切な
サービス提供
を行う
取り組み
が先進
自治体
で行われており、そうした
取り組み
の横展開であると考えるわけでありますが、例えば要
介護
の認定率の画一的な
目標
設定などは、
介護保険制度
の入り口を狭め、結果的に必要な
サービス
が受けられないという
事態
が生じるのではないかと危惧されます。 さらに、本年度からの
実施
が義務づけられております
市町村
の総合
事業
について、いまだに、その
実施
体制
が十分
整備
されていない
自治体
も多くあります。
高齢者
の
自立支援
、
介護
予防
、
重度化
予防
といった
介護保険
の
理念
に即した
取り組み
を全ての
保険者
がしっかりと行っていくことが重要と考えますが、
市町村
の規模、職員の
体制
、ノウハウなどに大きなばらつきがあります。 全
市町村
が
保険者機能
を発揮するためには、
都道府県
や国の積極的な
支援
が必須と考えますが、
厚生労働大臣
の御見解を伺います。
厚生労働省
では、塩崎大臣のリーダーシップのもと、
子供
、
高齢者
、
障害者
などを含む全ての人々が役割を持ち活躍できる
地域共生社会
の
実現
のため、我が事・丸ごとと銘打って施策を進めようとされています。 公明党においても、塩崎
厚生労働大臣
に負けないぐらい、
地域
を舞台にした共生
社会
の
実現
が極めて重要であると考えておりまして、党内の
地域
包括ケア
推進
本部を改組し、
地域共生社会
推進
本部を立ち上げて、ただいま懸命に
取り組み
を進めているところであります。 その心は、
介護保険制度
発足後、
障害者
総合
支援
法、子ども・子育ての新システムなどの
制度
に基づき、それぞれの
制度
の拡充、深化や人材の専門性の向上などに取り組まれてきましたけれども、結局のところ、
地域
においては、ダブルケアなど同一世帯内での多問題重複ケースについてはどの専門機関も
対応
できず、
制度
の谷間になっているという実態がある、ここに
対応
しなければならないとの思いであります。
地域
を舞台に改めて共生
社会
を
構築
することが今求められていると強く感じているところであります。このため、
制度
間の
連携
や各
制度
に精通した人材の
確保
などを進める必要があると考えます。 塩崎大臣、大臣が訴えておられます我が事・丸ごとの
取り組み
は、
現場
の
地域
包括
支援
センターの皆さん方からは、さらに仕事がふえると悲鳴すら上がっているのであります。我が事・丸ごとは大ごとなのであります。そのようなことも知っていただいた上で、今回の
法案
では
地域共生社会
実現
に向けてどのようなことができるようになるのか、
厚生労働大臣
にお伺いします。 福祉用具の貸与について伺います。 昨年来、同一商品であっても貸与
事業者
ごとに価格差があり、中には非常に高価な価格請求が行われるケースも指摘されてきたわけであります。
介護保険制度
の中で、福祉用具貸与については、住宅改修とあわせ、要
介護者等
の
生活
の利便、
重度化
予防
などに大きな役割を果たしてきたところであります。 今後とも、
介護保険制度
の中で、
制度
の
理念
を堅持し、必要な方に必要な
サービス
が
提供
されることが求められるところでありますが、今回の
見直し
ではどのように取り組まれるのか、
厚生労働大臣
にお伺いします。
最後
に、いま一度、
安倍総理
にお伺いしたいと思います。 今回の
介護保険法等
の
改正
を経て、
平成
三十年度は
介護報酬
の
改定
が行われます。診療
報酬
と同時
改定
の時期を迎えるわけで、
医療
・
介護サービス
の今後の展開を考えるとき、
関係者
が固唾をのんで見守っている、そのときを迎えるわけであります。 我が国の
社会保障制度
を持続可能な
制度
とするため、両
報酬
改定
に臨む
総理
の決意を伺って、私の代表
質問
とさせていただきます。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
24
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 桝屋敬悟議員にお答えをいたします。
法案
の目的等について
お尋ね
がありました。
社会
全体が
高齢化
する中、
医療
、
介護
への需要が
拡大
しております。そのような
状況
においても、
国民
一人一人が
状態
に応じた適切な
介護
や
医療
を受けられるよう、持続可能な
社会保障制度
を
構築
し、
介護
と
医療
の
提供体制
をしっかりと整えていく必要があります。 このため、今回の
改正
では、
地域包括ケアシステム
の
強化
を図り、
高齢者
の自立を
支援
し、真に必要な
サービス
が
提供
されるようにしつつ、
負担能力
に応じた御
負担
をいただくための
改革
を行います。
高齢者
が住みなれた
地域
で安心して暮らし続けることのできる
体制
を
強化
するとともに、
世代
間や
世代
内の
負担
の公平や
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
から
負担割合
を
引き上げ
るなど、現役
世代
の
方々
にも御理解いただける
改正
であると考えています。
介護報酬
と診療
報酬
の同時
改定
について
お尋ね
がありました。 御指摘のように、
平成
三十年度は、
医療
と
介護
の
サービス提供
等に関する計画である
医療
計画と
介護保険事業計画
が初めて
全国
で同時に
改定
される年であります。二〇二五年までの残された期間を考えると、今回の六年に一度の診療
報酬
と
介護報酬
の同時
改定
は、非常に重要な分水嶺と考えております。 このため、今回の同時
改定
においては、
医療
と
介護
の
連携
強化
、効率的な
サービス提供
体制
の
構築
や
医療
機能
の分化、
連携
の
推進
等を強力に進めたいと考えております。 二〇二五年以降の超
高齢社会
においても
国民
皆保険を維持していくため、適正化、効率化すべきことは
実施
しつつ、質が高い
医療
や
介護
を安心して受けていただけるよう、
関係者
の御意見も伺いながら、
平成
三十年度の同時
改定
に向けてしっかりと
検討
してまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩崎恭久
君
登壇
〕
塩崎恭久
25
○
国務大臣
(
塩崎恭久
君) 桝屋敬悟議員にお答えを申し上げます。 三割
負担
の
導入
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
介護保険制度
の
持続可能性
を高めるため、
世代
内、
世代
間の
負担
の公平や
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
から、現役並みの
所得
を有する方の
負担割合
を二割から三割に
引き上げ
ることとしております。 三割
負担
の対象となる方については、二割
負担
者よりも一層範囲を限定した、特に
所得
の高い、現役並みの
所得
を有する方とすることとしており、また、
月額
四万四千四百円の
負担
の上限額は据え置くといった配慮を行います。
介護納付金
の総
報酬割
の
導入
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
世代
内の
負担
の公平、
負担能力
に応じた
負担
を求めるという
観点
から、
介護納付金
に総
報酬割
を
導入
することとしております。 これにより、総
報酬
の低い
医療保険者
につきましては
介護納付金
の額が軽減されることとなり、被用者保険の被
保険者
のうち約六割の方は
介護保険
料の
負担
が軽減されると見込まれております。 また、今回
負担増
となる
健康保険組合
などに配慮をするため、総
報酬割
は
平成
三十二年度に向けて段階的に
導入
するとともに、
負担
の
増加
が特に大きい
健康保険組合
などについて、被
保険者
一人当たりの
介護納付金
の額に上限を設ける等の激変緩和
措置
を講ずることとしております。
市町村
の
保険者機能
の発揮に向けた
支援
についての
お尋ね
がございました。
高齢化
が
進展
する中で、
地域包括ケアシステム
を
推進
するとともに、
制度
の
持続可能性
を維持するためには、
保険者機能
を
強化
し、
高齢者
の
自立支援
、
重度化防止
に向けた
取り組み
を
推進
することが重要でございます。 一方、これを担う
市町村
の人員
体制
やノウハウの蓄積等の
状況
は
地域
によってさまざまであり、
厚生労働省
や
都道府県
が積極的かつ丁寧に
支援
していくことが必要でございます。 具体的には、
都道府県
が
市町村
を
支援
することを
法律
上明記し、
都道府県
による
市町村
職員に対する研修の
実施
、リハビリテーション専門職等の派遣に関する
関係
団体との調整等を
推進
すること、また、
厚生労働省
は、
市町村
が多角的に
地域
課題
を分析することを
支援
するとともに、
都道府県
職員に対する研修を行うことなどにより、
市町村
の
取り組み
をしっかりと
支援
してまいります。
地域共生社会
の
実現
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
地域
や個人が抱えるさまざまな
生活課題
を、
地域住民
と行政などが協働して、公的な
体制
による
支援
と相まって解決していくことができるよう、
市町村
においてこれを包括的に
支援
する
体制
を
整備
していくこととしております。 これにより、
介護
と育児に同時に直面するいわゆるダブルケアなどの複合的な
課題
をお持ちの方や、みずから相談に行くことが困難な方などを確実に
支援
するとともに、
支援
を必要としていた方が
地域
を支える側にもなるような
地域
づくりを目指してまいります。 福祉用具貸与の
見直し
についての
お尋ね
がございました。
介護保険制度
における福祉用具を貸与する現在の
仕組み
につきましては、同一商品の平均的な価格と比べ、非常に高額な保険請求が行われているケースが存在するなどの問題があります。 このため、今回の
制度改正
により、
厚生労働省
が、商品ごとに
全国
平均の貸与価格を把握し公表するとともに、商品ごとに貸与価格の上限を設定することとします。また、
利用者
が
機能
や価格帯の異なる複数の商品から選択しやすくする
仕組み
を設けることとしており、こうした
取り組み
により、
介護保険制度
のもとで、必要な方に適切な価格で福祉用具を貸与する
制度
としていきたいと考えております。(
拍手
) 〔
議長
退席、副
議長
着席〕
—————————————
川端達夫
26
○副
議長
(川端達夫君) 堀内照文君。 〔堀内照文君
登壇
〕
堀内照文
27
○堀内照文君 日本共産党の堀内照文でございます。 私は、日本共産党を代表して、
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
いたします。(
拍手
)
介護保険制度
が始まって十七年を迎えます。
目標
とされた
介護
の
社会化
に誰しも希望を見出しました。しかし、この間、
介護離職
は毎年十万人の規模で推移し、
介護
殺人、
介護
心中も後を絶ちません。
家族
によって引き起こされた、六十歳以上の要
介護者
に対する殺人、心中事件は、未遂も含めればほぼ一週間に一度のペースで発生しています。
介護
疲れが動機の自殺者もふえています。献身的に
介護
し続けた末、経済的に追い詰められ、
家族
介護
が限界になり、悲劇が生み出され続けているのです。
総理
は、悲劇を生み出す原因はどこにあるとお考えですか。
医療
、
介護
の
制度
で相次ぐ
負担増
、給付抑制が、過酷過ぎる
家族
介護
に追い打ちをかけているのではありませんか。 とりわけ、二〇一四年の
介護保険
法改悪では、給付を抑制するため、要
支援
一、二の
訪問介護
やデイ
サービス
を
介護保険
から外し、
市町村
に丸投げしました。 このもとで、無資格者やボランティアによる
支援
が推奨されました。その結果、専門職の
支援
を受けられず、心身の
状態
が悪化する
高齢者
がふえ、また
生活援助
の時間を削られて
家族
の
負担
が一層重くなるなど、深刻な悲鳴が上がっています。
総理
は、こうした
事態
をどう認識していますか。 ところが
総理
は、昨年十一月の未来投資
会議
で、これからは、
高齢者
が自分でできるようになることを助ける
自立支援
に軸足を置くと述べられました。この
会議
では、要
介護
度
改善
のみを尺度とする
自立支援
介護
が提起され、そのための
報酬
改定
が
検討
されています。 一体、
総理
が考える
高齢者
の自立した
生活
とは何ですか。
介護サービス
を使わないことなのですか。 本来、自立とは、障害があっても、病気になっても、公的
制度
、
社会
的
支援
を利用し、尊厳を持って生きることです。年をとって、次第にできることが限られていく中にも、その人らしく暮らしていけるよう
支援
することが
介護保険
の役割ではありませんか。
介護保険
からの卒業を求め、
サービス
を使わない自立を強要することは、
高齢者
の尊厳を傷つけ、
介護者
の一層の
負担増
を招き、
地域
で安心して暮らすことを困難にするものです。明確な答弁を求めます。 以下、
法案
について具体的に
質問
します。
法案
は、
自立支援
、
重度化防止等
に向けた
市町村
の
取り組み
を
支援
するため、
目標
の達成
状況
を
評価
し、
交付金
を支給するとしています。 国は、何を指標に
評価
するのですか。要
介護
認定率の低下や
介護給付
費の縮減を競わせるのですか。
介護保険
からの卒業を
目標
に、
交付金
によって
介護
度軽減を競わせれば、
サービス
利用の阻害につながりかねないではありませんか。答弁を求めます。 次に、
利用者負担
の
見直し
についてです。 前回の
改定
で、
一定
以上の
所得
や預金がある方へ、利用料二割
負担
の
導入
や
施設
利用時の食費、居住費補助の打ち切りが行われました。
負担増
の
影響
を
調査
した
認知症
の人と
家族
の会は、
施設
を退所させる、ショートの回数を減らした、
家族
の
生活
も破綻してしまう、こつこつためた老後の
介護
資金は見る見る減るなどの実態を示し、余りに過酷と
見直し
を求めています。
全国
百を超す
介護
施設
で、支払い困難を
理由
にした退所者が出ているとの
報告
もされています。厚労省は、受給者数だけを取り上げ、
変化
なしとしていますが、それで深刻な実態をはかることはできません。
総理
、この間の
負担増
は、要
介護者
を支える
家族
の
生活
をさらに窮地に追い込んでいるのではありませんか。 本
法案
では、この上に三割
負担
を
導入
しようとしています。 前回
改定
の検証もせず、年金収入等三百四十万円であれば三割
負担
が可能であるとどうして言えるのですか。
利用抑制
や
介護者
、
家族
の
生活
圧迫につながらないのか、その根拠を明確に示すべきです。
高齢者
を狙い撃ちにした
社会保障
の
負担増
と年金削減の中で、これ以上の重い
負担
を課せば、
高齢者
のみならず、
介護者
、
家族
の暮らしが破綻しかねません。今後、二割
負担
、三割
負担
の
対象者
を
拡大
することはないと断言できますか。
総理
の答弁を求めます。
介護医療院
について伺います。
法案
は、
介護
療養病床を廃止し、新たに
介護医療院
を創設するとしています。
介護
療養病床は、
医療
的ケアが必要な重
介護
の
高齢者
の受け皿として、
施設
や
在宅介護
の困難な
高齢者
、
家族
を支えてきました。
介護医療院
は、この
介護
療養病床とどう違うのですか。なぜ
介護
療養病床を廃止するのですか。
介護医療院
は、
生活
の場としての
機能
を強調し、みとり、ターミナルケアの場であるともしています。そうであれば、患者の
生活
の質の向上と尊厳が守られるよう、
医療
、
介護
の人員配置、
施設
基準について、現行の
介護
療養病床より抜本的に拡充することが当然必要ではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。 続いて、
共生型サービス
についてです。
共生型サービス
は、
障害福祉
の
事業所
が
介護サービス
も
実施
できるよう、基準緩和を行うものです。 しかし、障害を持つ方たちが真に望んでいるのは、六十五歳になったというだけで、
サービス
支給の縮小、打ち切りとともに定率
負担
が課せられる
介護保険
優先原則を廃止することです。
障害福祉
事業所
が
介護事業所
を兼ねれば済むということでは断じてありません。大臣の見解を求めます。
障害者
自立支援
法違憲訴訟団との基本合意は、障害
福祉サービス
と
介護保険
の統合を明確に否定しています。本
法案
は、この基本合意に反するのではないですか。
障害者
サービス
の
介護保険
への統合に踏み出したのではないと言えますか。
障害者
の生存権、平等権、尊厳を公的に保障する
障害者
福祉
制度
を確立すべきであり、保険原理を持ち込むことは許されません。 本
法案
は、我が事・丸ごと
地域共生社会
づくりを進めるとしています。厚労省の目指す
地域共生社会
とは、効率化、生産性向上、自助、互助、
地域住民
の助け合いを最優先に求め、公的責任を後退させ、福祉、
介護費用
の抑制を狙うもので、今後の
社会
福祉のあり方を大きく変質させかねません。 厚労省は、この
地域共生社会
で、
障害者
も
高齢者
も子育て
支援
も含めた包括的な
支援体制
を提起しています。 この
体制
とは、効率化や
人材不足
解決のために、相談
支援
窓口や
施設
、専門職員の共用、兼務を進めることにすぎません。本来必要なことは、福祉労働者の処遇を抜本的に
改善
し、それぞれの専門職をしっかりと配置することではありませんか。 また、厚労省の提起する
地域共生社会
は、
地域
の困難はまず住民同士の支え合いで解決せよと言うのですか。
地域
の助け合いやボランティアは、不足する人材を補うものではありません。厚労大臣の答弁を求めます。 憲法二十五条は、
国民
の生存権を保障し、そのための
社会保障
の向上、増進へ国の
責務
を定めています。その国の責任を果たすことこそ今最も切実に求められているということを強く指摘して、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
28
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 堀内照文議員にお答えをいたします。
介護保険制度
について
お尋ね
がありました。
介護
をめぐる悲劇を防がなければならないということは言うまでもありません。ただし、その原因は事案ごとにさまざまであり、一概に申し上げることはできません。
医療
、
介護
の
利用者負担
の
見直し
は、
所得
の低い
方々
などにはきめ細かな配慮を行いつつ、
負担能力
に応じた御
負担
をいただくものであります。 また、総合
事業
は、要
支援
の方を
介護保険
の対象外とするのではなく、引き続き、
介護保険
の対象として、
地域
の実情に応じて、必要な
サービス
を効果的、効率的に
提供
する
仕組み
です。これによる
利用者
の
状態
悪化や
サービス
利用の減少は確認されておらず、指摘は当たりません。 昨年十一月の未来投資
会議
においては、二〇二五年に向けて、
介護
については、
高齢者
が自分でできるようになることを助ける
自立支援
に軸足を置くと述べましたが、これは、本人が望む限り、
介護
が要らない
状態
までの回復をできる限り目指すものであり、
サービス
を使わないことを強要するといった指摘は当たりません。
介護保険
の
利用者負担
の
見直し
について
お尋ね
がありました。
平成
二十六年の
利用者負担
の
見直し
は、
保険料
の上昇を可能な限り抑えつつ、
制度
の
持続可能性
を高めるため、
負担能力
に応じた
負担
を
実現
する
観点
から、
所得
の低い
方々
などにはきめ細かな配慮をしつつ行ったものであります。 今回の
改正
案は、同様の
観点
から、特に
所得
の高い層について
利用者負担
の
見直し
を行うものですが、一方で、
所得
の低い
方々
の
負担
は
引き上げ
ないなど、配慮を行っています。 したがって、
負担
できない人からも
負担
を求めるものではなく、要
介護者
を支える
家族
の
支援
を破綻に追い込むとの批判は当たりません。
制度
の
持続可能性
を高める
観点
から不断の
見直し
が必要ですが、今回の
利用者負担
の
見直し
は、今後の
対象者
の
拡大
を前提としたものではありません。
地域共生社会
について
お尋ね
がありました。 今回、
市町村
の
努力義務
とした、
法律
に新たに位置づける
地域共生社会
の
実現
は、
地域住民
が主体的に
地域
の
課題
に
対応
し、
関係
機関が総合的に相談
支援
を行う
体制
をつくるものです。
地域住民
の自助努力に全てを委ねるものではなく、
社会
福祉の
実施主体
である
自治体
がしっかり責任を果たすことに変わりはありません。 公的責任を後退させる、
社会
福祉のあり方を変質させるなどといった批判は当たりません。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩崎恭久
君
登壇
〕
塩崎恭久
29
○
国務大臣
(
塩崎恭久
君) 堀内照文議員にお答えを申し上げます。
自立支援
、
重度化防止
に向けた
取り組み
に関する
評価
指標等についての
お尋ね
がございました。
高齢者
の
自立支援
や
重度化防止
の
取り組み
を進めていくためには、PDCAサイクルを活用して
市町村
の
保険者機能
を
強化
していくことが重要であり、今回の
法案
でも必要な
仕組み
の創設を盛り込んでおります。 この一環として、
保険者
のさまざまな
取り組み
を
評価
できるよう、客観的な指標を設定した上で、
市町村
等に対する財政的インセンティブの付与を予定しております。 具体的な指標等については、適正な
サービス
利用の阻害につながらないことが前提であるとともに、各
保険者
における
高齢化
率や
地域
資源の違い等も踏まえ、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせて、
関係者
の意見も伺いつつ、公平な指標を設定してまいります。 三割
負担
の
導入
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
介護保険制度
の
持続可能性
を高めるため、
世代
内、
世代
間の
負担
の公平や
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
から、現役並みの
所得
を有する方の
負担割合
を二割から三割に
引き上げ
ることとしております。 三割
負担
の対象となる方につきましては、二割
負担
者よりも一層範囲を限定した、特に
所得
の高い、現役並みの
所得
を有する方とすることとしており、また、
月額
四万四千四百円の
負担
の上限額は据え置くといった配慮を行います。 今回の
見直し
の
趣旨
や
内容
につきましては、
利用者
の方に丁寧に
説明
を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
介護医療院
についての
お尋ね
がございました。
介護
療養病床につきましては、
医療
と
介護
の役割を明確化する
観点
から廃止することとし、老健
施設
等への転換を進めてきましたが、
介護
療養病床で
提供
される日常的な
医学管理
や、みとりや
ターミナルケア等
の
機能
は重要なものと考えております。 一方で、長期間の療養が必要なため、入院先が実質的に
生活
の場となるような
利用者
にとっては、それにふさわしい環境も重要です。 そのため、今般の
制度改正
では、日常的な
医学管理
や、みとりや
ターミナルケア等
の
機能
だけではなく、
生活施設
としての
機能
を兼ね備えた
施設
として、
介護医療院
を新たに創設することとしております。 また、
介護医療院
の具体的な基準や
報酬
等については、適切な
サービス
が
提供
できるよう、今後、
社会保障
審議
会
介護給付
費分科会等で
検討
してまいります。
共生型サービス
の創設等についての
お尋ね
がございました。
共生型サービス
の創設により、
障害者
が六十五歳以上になっても、従来から障害
福祉サービス
として受けてきた
サービス
を継続して受けやすくなります。このことは、障害
福祉サービス
を
介護保険制度
に統合しようとするものではなく、
障害者
自立支援
法違憲訴訟団との基本合意に反するものでもありません。
地域共生社会
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
は、
高齢者
、
障害者
、児童などの
分野
ごとの相談
支援
機関が、それぞれ直接対象とする方の
課題
のみならず、それ以外の、世帯全体の
課題
も含めて、丸ごと受けとめる
体制
をつくるものであり、効率化のために相談
支援
窓口等の共用や兼務を進めるものではありません。 福祉人材の
確保
については、希望を持って保育や
介護
などの道を選んだ皆さんの高い使命感にしっかりと応えていくことが重要であり、本年度予算においても、
処遇改善
に取り組んでいくこととしております。 また、今回の
法案
では、包括的な
支援体制
の
整備
を新たに
市町村
の
努力義務
として
規定
し、
自治体
の関与を強めており、決して、
地域住民
に解決の全てを委ねたり、
地域
の支え合いやボランティアを福祉人材として補ったりするものではございません。(
拍手
)
—————————————
川端達夫
30
○副
議長
(川端達夫君) 河野正美君。 〔河野正美君
登壇
〕
河野正美
31
○河野正美君
日本維新
の会の河野正美です。 私は、
日本維新
の会を代表して、ただいま
議題
となりました
地域包括ケアシステム
の
強化
のための
介護保険法等
の一部を
改正
する
法律案
に関して
質問
をいたします。(
拍手
) 我が党は、年金、
医療
、
介護
について、
社会
保険における受益と
負担
のバランスを見直すべきと主張してまいりました。例えば、
医療
費の自己
負担割合
は、年齢ではなく
所得
に応じて変えるべきと訴えてまいりました。 以上のような立場から、本
法案
で、現役
世代
並みの
所得
のある
利用者
につき、自己
負担割合
が二割から三割に
改正
されることは
一定
の
評価
ができます。 しかし、自己
負担割合
が二割に
引き上げ
られてから二年もたっておりません。たびたび自己
負担割合
を
引き上げ
られることは、
国民
の視点に立てば、
介護保険制度
への信頼を損なうことにもつながりかねないと危惧しております。 効果の検証が不十分という声もあります。実際、二割への
引き上げ
によってどのような効果があったのでしょうか。
介護保険制度
の
持続可能性
は
改善
したと考えているのでしょうか。安倍
内閣総理大臣
の見解を伺います。 今回の
改正
案では、特に
所得
が高い層が
利用者
自己
負担割合
の
引き上げ
対象となり、約十二万人、受給者の三%のみと見込まれております。このような
見直し
では、中途半端なものにとどまり、
制度
の
持続可能性
が見えてまいりません。実際に
負担
がふえる人たちからすれば、痛みの割には将来に向けて得られる安心感もほとんどないと感じることでしょう。 そこで、塩崎
厚生労働大臣
にお伺いいたしますが、今後、三割
負担
の
対象者
を政令でさらに広げていく可能性もあるのでしょうか。また、
法案
の
検討
段階では、
軽度者
の
利用者負担
を大幅に
引き上げ
る案も挙げられていたようですが、こうした案がなぜ見送りとなったのか、御認識をお伺いいたします。 また、そもそも
所得
で判断されるため、資産が多くても
所得
が少なければ自己
負担割合
の
引き上げ
対象外となってしまうことから、不公平感は拭えません。マイナンバー
制度
も始まっており、
所得
と資産の両方を対象とし、より
生活
実態に近く、公平な形で
負担
を求めていくべきではないかと考えますが、
厚生労働大臣
に見解を伺います。 次に、
介護納付金
における総
報酬割
の
導入
についてお伺いいたします。 これにより、大企業の健保組合に加入するサラリーマンの
負担
はふえます。
負担能力
に応じた再分配ではありますが、現役
世代
の
負担
がふえるという一面もあります。この
改正
が
世代
間公平の点で問題がないかどうか、塩崎
厚生労働大臣
の御認識をお伺いいたします。 次に、新たに創設される
介護保険施設
について
質問
いたします。
介護
療養病床の問題については、残念ながら、
医療
の必要性の低い入院患者と高い入院患者が混在している
状況
がなかなか解消されておりません。
平成
十八年に、
介護
療養病床を
平成
二十三年度までに廃止することが決まりましたが、廃止、転換は進まず、その後、
平成
二十九年度までの廃止延長となりました。今回、さらに経過
措置
期間が六年間延長されます。
厚生労働大臣
にお伺いをいたします。
介護
療養病床の転換につき、二度の延長をしたことを踏まえ、
介護医療院
への転換が本当に進むのか、本
法案
が
介護
療養病床問題の解決に本当につながるのか、具体的な見通しとともにお答えください。 次に、
介護
と
医療
の担い手についてお伺いします。
地域包括ケアシステム
で期待されている民間の担い手は、NPO法人等を含む非営利の主体が中心ですが、
地域
のあらゆる力を結集していくためには、必要な規制をしっかりかけて、質を担保することを前提に、営利法人の力を取り入れていくことも一案です。 このような考え方に立って、我が党は、
医療
・
介護
・保育における法人
制度
改革
法案
、
医療
・
介護
への参入に係る障壁除去
法案
を
提出
いたしました。
医療
、
介護
等に関する
事業
は、どの法人形態でも税制や財政
支援
の扱いを同じにする、開設や設置に関する規制を
見直し
、参入の間口を広げるといった
内容
です。 こうした
制度改正
によって多様な
地域
の力を生かすことが
地域
の
介護
と
医療
を持続可能にするものと考えますが、塩崎
厚生労働大臣
の御所見をお伺いいたします。 また、
介護
制度
は、日本
全国
一律に決めるのではなく、
地域
の事情に応じた
制度
にすべきです。もともと、
地域包括ケアシステム
も、
地域
ごとに柔軟な
サービス提供
を可能にするために
導入
されたはずです。 我が党は、
介護
規制の地方分権化
法案
を
提出
しております。国の基準は残しつつ、それを従うべき基準から参酌基準に変えることで、
地域
特有の合理的な
理由
がある場合には、条例で
地域
ごとの
対応
を認めるものです。いわゆる待機老人問題の解決のためにも、
介護
分野
でこうした地方分権を行うべきではないでしょうか。
厚生労働大臣
の御認識をお伺いいたします。
介護
現場
での人手不足は、その厳しい労働環境や待遇によるところが大きく、この間、
処遇改善
を進めてきたことは
一定
の
評価
ができます。しかし、職員の処遇をよくする一方、
介護報酬
の
引き下げ
が続いたことで
介護事業者
の
経営環境
が非常に厳しくなり、
事業
継続への危機感を訴える声も聞かれます。 職員の
処遇改善
を進めて
事業者
が存続困難に陥ってしまっては本末転倒であります。
処遇改善
と
介護事業者
の経営安定化を両立させていく必要があり、来年度に予定される
介護報酬改定
は、
制度
の
持続可能性
を高める上で重要と考えますが、安倍
内閣総理大臣
のお考えをお聞かせください。 我が党は、
社会保障制度
がより公平で持続可能なものとなるようにするとともに、各
地域
のあらゆる力を結集して、どの
地域
でも
高齢化
社会
を乗り切れるような
制度
の
構築
を目指してまいります。 御清聴ありがとうございました。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣安倍晋
三君
登壇
〕
安倍晋三
32
○
内閣総理大臣
(
安倍晋
三君) 河野正美議員にお答えをいたします。
介護保険
の二割
負担
の
導入
の効果について
お尋ね
がありました。
平成
二十六年の
介護保険制度
の
見直し
では、
一定
以上の
所得
のある方の
利用者負担
を二割としました。このことにより、
平成
二十九年度予算において給付費を約七百億円抑制している一方、
サービス
の受給者数の伸び率には顕著な
影響
がないことから、
制度
の
持続可能性
を高める
一定
の効果があったと考えています。
平成
三十年度
介護報酬改定
について
お尋ね
がありました。
高齢者
が
増加
する中、
介護保険制度
の
持続可能性
を
確保
しつつ、必要な
サービス
と人材の
確保
を両立していくことは重要な
課題
です。 このため、
介護
人材の
処遇改善
については、ニッポン一億総活躍プランに基づき、
平成
三十年度の
介護報酬改定
を待つことなく、
平成
二十九年度から、技能や経験に応じて昇給する
仕組み
を
構築
し、
月額平均
一万円相当の
改善
を行うこととしました。
平成
三十年度
介護報酬改定
においては、
地域包括ケアシステム
の
構築
に向けて、
介護事業者
の経営
状況
を適切に把握した上で、適正化、効率化すべきことは
実施
しつつ、
介護サービス
が安定的に
提供
されるよう、しっかりと
検討
してまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から答弁させます。(
拍手
) 〔
国務大臣塩崎恭久
君
登壇
〕
塩崎恭久
33
○
国務大臣
(
塩崎恭久
君) 河野正美議員にお答えを申し上げます。 三割
負担
の
導入
と要
介護
度に応じた
利用者負担
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、
介護保険制度
の
持続可能性
を高めるために、
世代
内、
世代
間の
負担
の公平や
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
から、現役並みの
所得
を有する方の
負担割合
を二割から三割に
引き上げ
ることとしております。 三割
負担
の対象となる方については、二割
負担
者よりも一層範囲を限定した、特に
所得
の高い、現役並みの
所得
を有する方とすることとしております。 なお、
高齢化
が
進展
する中で、
増加
が見込まれる
介護サービス
の
負担
については、
保険料
と公費と
利用者負担
を適切に組み合わせていくことが必要であり、
制度
の
状況
を常に検証し、必要な
措置
を講じていくことが重要と考えていますが、今般の
見直し
は、今後の
対象者
の
拡大
を前提とするものではございません。 また、要
介護
度に応じて
利用者負担
に違いを設けることについては、
社会保障
審議
会
介護保険
部会において、
自立支援
や
重度化防止
の意欲をそぐのではないかなどの御意見があり、今回の
法案
では、先ほど申し上げたとおり、
負担能力
に応じた
負担
を求める
観点
からの
見直し
を行うこととしたものでございます。
利用者負担
における資産の勘案についての
お尋ね
がございました。
平成
二十六年の
介護保険制度
改正
では、
施設
入所者等の食費、居住費の
負担
の軽減に限って預貯金等を勘案する
見直し
を行いました。 これを
利用者負担
割合
の判定に
拡大
することについては、事務執行や
負担
の公平性等の
課題
を整理する必要があると考えているところでございます。
介護納付金
の総
報酬割
の
導入
の
趣旨
についての
お尋ね
がございました。 今回の
法案
では、現役
世代
内の
負担
の公平、
負担能力
に応じた
負担
を求めるという
観点
から、
介護納付金
に総
報酬割
を
導入
することとしております。これにより、総
報酬
の低い
医療保険者
については
介護納付金
の額が軽減されることとなり、被用者保険の被
保険者
のうち約六割の方は
介護保険
料の
負担
が軽減されると見込まれます。 また、あわせて、
一定
の
所得
を有する
高齢者
の方にも三割
負担
の
導入
などの御
負担
をお願いする
見直し
を行うこととしております。 こうした
取り組み
により、
世代
内、
世代
間の公平を図り、現役
世代
の方にも納得して
保険料
を納めていただけるよう努めてまいります。
介護医療院
への転換についての
お尋ね
がございました。
介護
療養病床については、
医療
と
介護
の役割を明確化する
観点
から、既存の老健
施設
等への転換を進めてまいりましたが、これまで転換が十分に進んでいないものと考えております。 今般の
制度改正
では、既存の
施設
等では十分な受け皿が
確保
できていなかった、長期的な
医療
と
介護
の
ニーズ
をあわせ持つ
高齢者
を対象とし、日常的な
医学管理
や、みとりや
ターミナルケア等
の
機能
と
生活施設
としての
機能
とを兼ね備えた
施設
として、
介護医療院
を新たに創設することとしております。
介護医療院
への移行につきましては、六年間の経過
措置
期間中にしっかりと
支援
を行い、移行
状況
等を把握しつつ、適切に進めてまいります。
医療
、
介護
等の
事業
への参入規制の
見直し
などについての
お尋ね
がございました。
日本維新
の会からは、株式会社等の営利法人も病院や
特別養護老人ホーム
などを設置できるようにすることなどを
内容
とする
法案
が
提出
されていると承知をしております。 ただし、病院や
特別養護老人ホーム
等については、高い公益性を有する
事業
であり、
利用者
の保護を図るため、株式会社などの営利法人に対しては参入を認めておらず、御提案については難しいものと考えております。 一方、
介護保険制度
のもとでは、営利法人も
在宅サービス
等の
事業者
になることができ、株式会社等を含めた多様な主体が実際に参入しております。 このように、
サービス
の性質等に応じた適切な役割分担のもと、
地域
の多様な主体がそれぞれ活躍することは、
地域
包括システムを支える
観点
から、重要であると考えております。
介護
分野
における地方分権についての
お尋ね
がございました。
介護
施設
等の設備、運営等の基準につきましては、
平成
二十三年の地方分権一括法等において、
地方公共団体
の創意工夫を生かせるよう、
全国
一律の基準という位置づけを
見直し
、全て
自治体
の条例に委任することとした上で、その基準の大部分を、条例の制定に当たって
自治体
に
一定
の裁量を認める、参酌すべき基準といたしました。 しかしながら、
高齢者
の
一定
水準
以上の処遇と
生活
の質を
確保
するために最低限不可欠な人員配置基準、居室面積基準、人権に直結する運営基準に限っては、例外的に
全国
一律の最低基準を維持しており、各
自治体
の裁量を認めることは適当ではないと考えているところでございます。(
拍手
)
川端達夫
34
○副
議長
(川端達夫君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
川端達夫
35
○副
議長
(川端達夫君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時五十六分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣総理大臣
安倍 晋三君
厚生労働大臣
塩崎 恭久君 農林水産大臣 山本 有二君 出席内閣官房副長官及び副大臣 内閣官房副長官 萩生田光一君 厚生労働副大臣 古屋 範子君