○井出
委員 基本的には、
犯罪が行われる実行からの離脱ではなくて、実行の前の計画と準備行為から離脱することでありますから、これを、要件を厳しくすれば厳しくするほど、離脱できないような条件を課せば、逆に考えれば、
犯罪に突き進むということにもなりかねませんので、その離脱の要件というものはやはり緩和するべきであるということは申し上げておきたいと思います。
それから、さきの
参考人の
質疑を踏まえて、少し
お話をさせていただきたいんですが、きょうも監視社会という言葉がございました。監視社会になることはない、通信傍受
捜査の予定はしていない、そういう話がありましたが、
参考人の言葉をかりれば、
大臣、そのときいらっしゃらなかったから、考えていただきたいんですが、
大臣の公用車、私用車に、全くわからないように秘密裏にGPSが一カ月間つけられて、その
行動を監視されていたら、それを違法とか
憲法上の疑義があると思わないのか、そういう問いかけを、先日、
日本維新の会がお呼びになった指宿先生がされました。
それから、もっと言えば、今世界で使われている携帯電話の通信傍受をするための基地局、そういうものが、自宅、
大臣の執務室、
議員会館の部屋、そういうものに秘密裏に置かれているとしたときに、それにどう向き合うか。そのことについては、その
捜査は予定していないと。監視社会はあり得ないとおっしゃったのは
井野政務官ですけれ
ども、松浪先生も、この間、
大臣に、通信傍受用の携帯基地局も把握もしていないというその
答弁は何なんだとおっしゃっていましたけれ
ども、やはり私、余りにもそこに対する
認識というものが甘いと思います。
これは、一般、一般じゃない人になってきますけれ
ども、GPSの最高裁判決は、前も申し上げましたが、十九台の車、交際相手、知人、家族、中には、
容疑者がそんな
犯罪に手を染めているなんということを全く知らない人もいるでしょう、そういう者が対象になったという事実があることを、よく踏まえておいていただきたい。
この
テロ等準備罪、共謀罪というものは、
TOC条約に入る、ずっとそれが一番の目的とされてきた。前に
お話をしましたが、
TOC条約に深くかかわってきた、今国際的な裁判所の方で裁判官をされている尾崎久仁子さんという方は、
捜査に与えられた力がいろいろな
人権とかを損なわないように、きちっと
人権保障しなければ、そういう立法をしなければいけないと。しかし、この
法律は、過去の共謀罪の
法律のように、その配慮規定すらない。
二〇一三年の特定秘密保護法、あれは、懸念をされたのは、例えば
政府内で何か悪いことを告発しよう、それを報道しようとする、そういう限られた人たちが懸念の対象にありましたけれ
ども、配慮規定がついたし、それでも大
議論になった。しかし、この特定秘密保護法ですら、今、国会の中にチェックする
機関がある。それも全くない。
通信傍受
捜査の大幅拡大は、あれは大幅拡大をされたものの、まだ令状をとる仕組みというものは
維持をされております。
GPSは、十年間秘密裏に、任意
捜査というもので少なくとも十年間は使われたことがわかっている。そういう中で、今回の
テロ等準備罪、共謀罪で、任意
捜査というものを果たして適正に、指宿さんがおっしゃったようなルール化もないままでできるのか。
指宿さんは、この法案に賛成で、そのために歯どめが必要とおっしゃったわけではありません。そういうものに対する歯どめがない限り、この法案に反対だということをはっきりと申し上げられたと思います。
きょう、これで採決をするというような提案がされて、その後、場内で
協議をするということになっておりまして、古川筆頭はここにお座りになっておりますので、場内
協議はまだされていない。ぜひ、思いとどまっていただきたいと思いますし、まさにその
議論はこれからだ、そして、これだけの
議論のある
法律を簡単に通すということは決してあってはならない。
法務省も、後ろでペーパーを出す方が今回いろいろテレビでもクローズアップされて、大変御迷惑をおかけしましたが、その中でも、
法務省の
皆さんは、一度、私の記憶に残っているのは、
大臣が
答弁を終わって戻ったときに、最後の一ページを読んでくださいと私は聞こえたんですね。その一ページは
法務省にとっても重要な
答弁でしたし、聞いている我々にとっても、ぜひ伝えていただきたい
答弁だったと思います。
私は、これまで
大臣に辞職を求めてまいりましたから、この
法律の将来的な
責任は、やはり
法務省全体、林さんもそうですし、
皆さんもそうですし、しっかりと負っていかなければいけないと思いますし、まず、政治家同士の
議論がここまで深まっていないのは大変残念でありますので、引き続き政治家同士が、まず、
法務省にしっかりと
仕事をしていただけるように、
議論の続行を求めて、私の
質疑を終わります。