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井出委員 私は、
民進党・
無所属クラブを代表して、
民進党提出の
民法の一部を
改正する
法律案に対する
修正案に賛成の立場から討論をいたします。
政府提出の
民法の一部を
改正する
法律案は、
民法、
債権法が一八九六年に制定されて以来初の大
改正となるものであり、およそ二百条にも及ぶ大型
改正であります。
民法が制定された明治から、大正、昭和を経て平成の世となり、制定当時とは
社会経済情勢も大きく変わりました。一方で、
法律条文が変えられず、制定後に積み重ねられた判例、解釈論が実務の中に定着をしたため、条文だけを理解しているのでは実務に
対応できない状況になっているということが今回の
改正議論の出発点でした。今回の
法改正は、この問題を解決することを目的とし、
法制審議会においても長期間にわたり多角的な検討を行った上の
答申が行われ、本
改正案につながったものと
承知をしております。
本
委員会では、三十時間を超える
審議、
参考人質疑を行ってまいりましたが、百二十年間積み重なってきた課題を解決しようとする
改正案であるがゆえ、さらなる
審議時間が欲しかったという
思いは捨て切れません。
また、
共謀罪の
審議入りを背景に
終局を迎えたことには、強く抗議をいたします。
現時点におきましても、
政府提出法案では十分な
改正と言えない点が明らかであり、その手当てを行うために
民進党は
修正案を提出いたしました。
以下、
民進党修正案に賛成する主な
理由を申し上げます。
第一、
国民一般にわかりやすいものとする
改正の
観点から考えれば、判例で認められている
暴利行為の無効について条文化を見送ることは不合理であり、明文化をするべきです。
第二、職業別
消滅時効を廃止することで、対象
債権の
時効期間は長期化することになりますが、その多くは
少額債権であり、弁済後に受領した領収書等の証拠を保存しないことが多いため、弁済後の二重請求の危険性が生じます。これを排除するため、短期
消滅時効を導入することに
合理性があります。
第三、損害賠償における損害額の算定に使用される
中間利息控除の
利率は、運用金利を参照して
決められるべきであり、
法定利率よりも低い割合とすることが被害者
保護に資すると考えます。
第四、最重要ポイントですが、
保証契約は
個人的な間柄に基づいて行われることが多く、その
リスクを十分自覚せず締結される場合が少なくありません。とりわけ、
個人による
事業用融資の
保証による過大な
保証債務の負担により、自己破産、夜逃げ、さらには自殺という
保証人の生活の破綻を招く
事例が数多く生じていることは周知の事実です。
公正証書があれば
第三者保証を可能とする
政府案規定は、
金融庁監督指針及び
中小企業庁ガイドラインによって、
第三者保証に頼らない
事業融資を促進してきた流れに沿ったものとは言えず、
修正が必要です。
第五、今回の
法改正で
定型約款が新たに設けられるに当たり、
変更の
合理性の
考慮要素はできる限り具体的に
規定すべきと考えます。
以上五点に鑑みれば、
修正案は、本法の立法目的を達成するために必要不可欠の項目を盛り込んでおります。本
修正を加え、こうした
論点に成案を得てこそ、
民法、
債権法制定後百二十年を経た
改正に値するものになると確信をしております。ここに
修正案を明示し、今後の
国会審議の中でさらに
議論を深めていくことを強く望みます。
なお、
政府案につきましては、
第三者保証を減少させようとする流れをせきとめるものであり、
民進党の
修正案のように
第三者保証の
禁止の第一歩を踏み出すか、そうではない
政府案と、大きな開きがあることから、意義のある
改正とは到底言いがたく、
政府案並びに暦年の
修正案については反対をいたします。
以上です。(拍手)