○丸川
国務大臣 二〇二〇年東京
オリンピック・
パラリンピック競技大会を担当する
国務大臣として、私の
所信を申し上げます。
二〇二〇年
東京大会の開催まで三年となった今、大会の成功に向けては、開催都市である東京都や、大会の計画、運営及び実行に
責任を持つ
組織委員会、競技会場が存在する関係自治体等と緊密に情報を共有し、
連携しつつ、それぞれの
役割をしっかり果たし、着実に
取り組みを進めていく必要があります。
政府においては、一昨年に閣議決定した基本
方針に基づいて、各府省庁の関連
施策を一体として確実に実行し、
オールジャパンでの
取り組みを
推進するために必要な措置を講じてまいります。そのために関係
大臣等と緊密に
連携し、大会の円滑な
準備及び運営に関する
施策の総合的かつ集中的な
推進を加速させるとともに、その進捗管理に取り組んでまいります。
東京大会を日本全体で盛り上げ、
世界じゅうの多くの人々が夢と希望を分かち合える歴史に残る大会とするとともに、
世界の注目が日本に集まる機会を捉え、
復興五輪として、震災
復興の後押しとなるよう、聖火リレーや被災地での試合開催など、被災地や
関係機関と
連携を進め、
東日本大震災の被災地が見事に
復興をなし遂げた姿を
世界へ向けて発信できるよう取り組んでまいります。
パラリンピック開催は、
日本人の
障害者に対する意識を大きく転換するチャンスであり、これまでにない最高の
環境を整え、
世界じゅうの皆様に感動と勇気を届ける大会といたします。大会を契機として、ユニバーサルデザインに基づく町づくりと、
教育などを通じた心のバリアフリーを
全国的に展開し、
障害の有無等にかかわらず、お互いの人権や尊厳を大切にし支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受できる
共生社会の
実現を目指して、
障害当事者参画のもと、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画に定めた
施策の
実現を
推進してまいります。
昨今、海外においてテロ事件が続いており、テロ情勢は非常に厳しい状況になっております。また、サイバー攻撃は、一層
複雑化、巧妙化しており、その脅威は深刻化しております。
東京大会の成功のためには、セキュリティーの万全と安全、安心の
確保が必須であることから、サイバーセキュリティー対策、テロなど
組織犯罪への対策の
強化など、あらゆる対策を講ずる努力を行ってまいります。
また、防災対策による安全、安心、経済活動への影響に配慮した輸送の円滑化、CIQの体制
強化など
外国人旅行者の受け入れの
推進などのため、関係
大臣等と
連携協力し、
オールジャパンで大会成功に向けて
施策を着実に進めてまいります。
東京大会は、
スポーツの祭典のみならず
文化の祭典でもあります。二〇二〇年以降を見据え、全ての人が参画できる
社会に向け、多言語
対応やバリアフリー
対応など、企業等の行動に変革を促すため、ビヨンド二〇二〇プログラムを統一的なマークのもとで
全国展開するとともに、試行プロジェクトの実施を通じた
課題の抽出、普及
促進を図ってまいります。
また、
東京大会には多くの
外国人が訪日することが見込まれることから、これを契機として、日本の
魅力を発信するため、選手村における日本食の
提供や国産食材の活用に加え、多様な食
文化への
対応等の
推進、競技会場における木材利用の
推進などについて、関係
大臣等と
連携して取り組んでまいります。
東京大会を日本全体の祭典とするため、大会参加国・
地域と人的、
文化的、経済的交流を行う地方自治体をホストタウンとして登録し、大会成功に向けた機運を高めるとともに、
地域活性化や
観光振興等へつなげてまいります。
そして、
外国人観光客への道案内や、
障害者、高齢者等を
支援する意思を持つ人々が、
全国統一のマークを着用し、サポートの輪を広げていく仕組みを創設してまいります。
東京大会は暑さが厳しい時期に開催されるため、アスリート、観客が過ごしやすい
環境を
整備することは極めて重要となります。ソフト、ハード両面にわたり、しっかりとした対策を講じてまいります。
受動喫煙対策の徹底については、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を関係
大臣と
連携しつつ
強化してまいります。
新
国立競技場については、一昨年八月に策定した新
国立競技場の
整備計画に基づき、昨年一月には事業者との設計委託契約を、十月には請負工事契約等を締結し、十二月から本体工事を開始しました。現在のデザインは、
整備計画の基本理念である、アスリート第一、
世界最高のユニバーサルデザイン、周辺
環境等との調和や日本らしさを体現したすばらしいものであると考えております。新
国立競技場が
世界の人々に感動を与える場となるよう、二〇一九年十一月の完成を目指して、着実に
整備プロセスを進めてまいります。
過去の
オリンピック・パラリンピックレガシーの知見を蓄積することは重要であり、私も、本年一月、ロンドン大会のレガシーである
オリンピックパークや、パラリンピックの発祥の地であるストークマンデビル病院を視察するとともに、ロンドン大会当時の問題意識及びこれを解決するための
取り組みや、そこから得られた教訓について、イギリス政府の方々などからお話を伺ってまいりました。
さらに、
東京大会の成功に向け、地方における機運醸成を図るとともに、大会開催の効果を
全国に広げ、地方活性化に資するため、地方の経済界等と意見交換を実施しました。これらを通じて得た知見を生かし、基本
方針に基づく政府の
取り組みを
推進し、大会の成功とともに成熟
社会における次世代に誇るレガシーを
全国各地で創出してまいります。
東京大会の前年に開催されるラグビーワールドカップ二〇一九に関係する
施策については、
東京大会と共通する
事項が多く含まれることから、大会を所管する
文部科学大臣等と
連携してまいります。また、
東京大会をドーピングのないクリーンな大会とするためにも、
文部科学大臣等と
連携してまいります。
国、東京都、
組織委員会及びIOCによる四者協議への参加等を通じ、政府としても、大会開催経費の抑制に協力し、限られた予算と時間で最高の大会を
実現できるよう取り組んでまいります。昨年十二月には、
組織委員会から、大会開催経費の総額が一兆六千億円から一兆八千億円との見積もりが公表されました。現在、関係自治体ごとに、国、東京都、
組織委員会、関係自治体による作業チームが設置され、大会を円滑に実施するための情報共有を図る作業が行われています。各主体の
役割分担については、なるべく早く結論に至るよう、国としても議論に参加し、調整を続けてまいります。
また、政府の
取り組みの状況についての報告を
国会に
提出し公表することや、オープンなプロセスによる意思決定、関連
施策の進捗と効果の点検などについて、国民の皆様からの御理解が得られるよう、しっかりと取り組んでまいります。
昨年のリオデジャネイロ大会では、
世界じゅうの人々が注目するひのき舞台で、大きな期待を背負いながら懸命に立ち向かっていく選手たちの姿が、国民の皆様に夢と希望をもたらしました。
東京大会については、国民から祝福されるとともに、皆様の期待に応え、大成功をおさめられる大会を目指します。また、大会開催を契機として、誰もが共生できる
社会づくりを進められるよう、
全力で担当
大臣の職務に取り組んでまいりますので、
委員長、
理事、
委員の皆様方の御
指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。