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中村参考人 三陸鉄道の
中村でございます。
本日は、このような
機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私の方からは、六年前、三陸鉄道も大変大きな
被害を受けましたけれども、国を初め多くの
皆さんの御
支援によりまして、三年前に全線運行再開を果たすことができました。現在の
状況それから今後の見通し等につきまして本日はお話をさせていただければというふうに思っております。
お配りしておりますパワーポイントの
資料をごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
一枚目のこの写真でございますけれども、三年前の全線運行再開、北リアス線の宮古駅でのセレモニーの様子でございます。このときには、各駅ごとに多くの
住民の
皆さんが全線運行再開を祝っていただくということで集まっていただきました。ちょっと写真が見づらくて恐縮ですが、くす玉を割っているのは、駐日クウェート大使の御夫妻と藤原紀香さんに当日おいでいただいております。
それから、下の方の
資料でございます。三鉄の概要でございますが、
岩手の三陸
沿岸部の真ん中に宮古がございます。宮古から北の久慈までが北リアス線という区間でございます。それから、南側が釜石から大船渡の盛、こちらが南リアス線。この二区間を三陸鉄道は運行させていただいております。
この間、宮古から釜石につきましてはJRの山田線の区間でございます。こちらも大きな
被害を受けまして、いろいろ紆余曲折はございましたけれども、現在、JRの方で
復旧工事を進めていただいております。二年後には私ども三陸鉄道の方で移管を受けて、移管運行するということになってございます。
一枚おめくりいただきまして、こちらは上下とも
震災直後の
被災の
状況でございます。特に、下の方の島越駅、これは
震災前と直後の写真を並べてございます。
震災前は鉄道のすぐそばに島越駅がございましたけれども、これがもう跡形もなく、この右側の写真のように全て流されてしまいました。島越駅周辺には当時百
世帯を超える一般の住宅もございましたけれども、右側を見ていただきますと、この高台にあるこちらは、
二つ建物がありますが、一
世帯でございます。こちらの一
世帯を残しまして全て
津波で流失してございます。現在、こちらも、駅も新たに再建されましたけれども、住宅については高台移転をしているということもございまして、駅周辺にはこの残った一
世帯のみというような
状況になってございます。
その次でございますが、
復旧でございますけれども、
被害を受けなかったところについては、望月前社長の判断もありまして、もう大至急動かせるところから動かせということで、社員に号令をかけながら、
関係機関にも御
支援をいただいて、三月中に約三十数キロは動かしてございます。
復旧工事が必要なところについては、一次から三次まで三つに分けまして、順次運行再開をしております。三次
復旧が全線運行再開ということでございますので、こちらで晴れて百七キロ全てが二〇一四年の四月に運行再開を果たすことができたということでございます。
下の方の写真は、全線運行再開を祝っていただいている唐丹駅の様子の写真を掲げてございます。こちらを見ても、本当に地域の
皆さんが総出で集まっていただいて、大漁旗であったりとか、小旗を振っていただく、ないしは地元の太鼓、郷土芸能でお祝いをしていただくということで、私も一番列車に乗せていただきましたけれども、非常に感動的な光景が各駅で繰り広げられているということが、本当にきのうのことのように私も思い出されます。
また一枚おめくりいただきまして、三陸鉄道は昭和五十九年度から運行しております。初年度は、ここにございますように、二百六十八万人の利用人員がございました。しかし、残念ながら、年々、
人口減少その他の要因によりまして利用客が減少しているといった
状況が続いておりました。
そこに三・一一の大
震災が発生したということで、
平成二十三年、当然これは、
震災でかなりの区間が動いていませんでしたので、ここで一回底を打つ形になるんですが、その後少しずつ運行区間がふえていったということで徐々に伸びていきまして、
平成二十五年に実はNHKの「あまちゃん」という放送がありまして、三陸鉄道も大きな舞台ということで取り上げていただきました。その翌年、
平成二十六年が全線運行再開ということなので、この
平成二十六年の運行再開に当たりましてはマスコミの
皆さんからも大々的に取り上げていただいた、それから前年の「あまちゃん」のブームといったようなこともありまして、この年には六十八万人の利用客の方々に御利用いただいております。ただ、その後、二十七、二十八とやはり少しずつ減少してきているという
状況がございます。
何とか、我々といたしましては、二年後、先ほど申し上げました山田線の宮古—釜石間の経営移管を受けるということもありますので、しっかり減少
傾向に歯どめをかけていきたいということで、今、社員一丸となって頑張っているところであります。
山田線の
復旧問題がその下にございます。先ほどお話しいたしましたように、今、JRの方で工事を鋭意進めていただいております。
復旧後につきましては三鉄の方で移管を受けるということでありますし、JRの方からは三十億円の移管協力金というような形で地元の方に交付をいただく予定になっておりますし、鉄道施設、用地につきましては、地元の
自治体が無償で譲り受けるという合意に基づいて順次進められてございます。
今後の
課題と対応策でございます。
課題につきましては、これは三鉄だけではない、
全国のいわゆる過疎地の
地方鉄道が抱えている共通の
課題だろうというふうに私は思っておりますが、
少子高齢化、
人口減少といったようなことがやはりかなり鉄道経営に厳しい影響を与えているということがございます。それから、モータリゼーションの進行ということで、特に今沿岸
被災地では高速道路の建設も急ピッチで進められておりますが、それは鉄道経営にとってはやはり
一つ大きな脅威になってくるという側面が否めないということがあります。そういった中で、どのようにして地域の足である鉄道を守っていくのかということが大きな
課題だというふうに認識してございます。
ここに、鉄道がなくなって栄えた町はないというふうに書かせていただいております。これは、望月前社長が日ごろよく口にされていた
言葉であります。そういった思いのもとに三鉄の
復旧をなし遂げたということでありますけれども、我々としては、単に鉄道を維持していくというようなことではなくて、いかにそれを利用、活用していくのかということに今地域を挙げて知恵を絞って取り組んでいくといったようなことを進めているところであります。
下の方の対応策でありますが、そういった、事業者はもちろんですけれども、行政、
住民を巻き込んだ利用促進の
取り組み、これを引き続きしっかりやっていく必要があるだろう。もう一方で、やはり大切な点は交流人口の拡大、よそからも来ていただきながら鉄道に乗っていただく、もう
一つ、
被災地としての特色といいますか責務として、今回の
震災で我々が学んだこと、ないしはまた後世にしっかり伝えなければならないことといったようなことも我々鉄道会社としても果たしていかなければならないというふうに考えて、
震災学習列車といったようなものも走らせてございます。それから三点目でございますが、今
地方鉄道に対しての一定の
支援のスキームがございますけれども、やはり厳しい路線についてはいま一段の
支援をしていただくような制度、仕組みが必要ではないのかなというふうに私は思ってございます。
またおめくりいただいて、上の方は、「あまちゃん」で取り上げていただきました、番組では袖が浜という駅で登場いたしましたが、堀内駅の様子、下の方は、北リアス線の景勝の
一つでございます大沢橋梁での写真でございます。
その次の写真が、先ほどちょっとお話をいたしました
震災学習列車ということで、子供たちが乗っている写真が出ております。子供たちだけではなくて、企業の
皆さんとか学生の
皆さん等々も御利用いただいて、
被災地の今の
復興の様子でありますとか今後の
震災への備えといったようなことについても学んでいただいております。
それから、その下に貸し切り列車の
資料を載せていただいております。
ちょっと時間の
関係もありますので、先を急がせていただきます。
その次、めくっていただいて、上の方が北リアス線でやっておりますお座敷列車の概要でございます。お弁当を食べていただくといったような列車が走ってございます。南リアス線の方は、同じように、ランチ&スイーツといったような列車も走らせていただいております。
下の方は、主なイベント列車ということで、ここに記載のような、これも本当に一部でございますが、こういった
取り組みをしながら、できるだけ多くの
皆さんに御利用いただきたいということで日々頑張っているところであります。
その次のところが、これは昨年つくりました三鉄の二枚組のポスターでございます。
またちょっと一枚おめくりいただいて、驚くほどの経済効果ということで真ん中に記載させていただいております。我々三陸鉄道は経営的には非常に厳しい
状況ではあるんですが、多くの
皆さんに来ていただいて、地域にはそれ相応の経済効果を果たしているというふうな自負も一方では持っております。ですから、そういったことで、単に会社の収支だけではない、より大きな観点でやはりこういった鉄道を考えていく必要があるのではないかというふうにも思ってございます。
下の方は、先ほどちょっとお話しいたしました、今盛んに進めていただいております
復興道路。これができると、またかなり、特に仙台圏、八戸圏との時間距離が短くなるといったようなところでございます。
その次のページの下の方でございます。三鉄を核とした三陸の観光振興ということで、我々としては、地域の
皆様の足だけではなくて、観光を大きな柱として
取り組みを現在進めております。DMOといったような
取り組み、これは県、市町村と連動しながら現在
取り組みも進めておりますし、より多くの
皆様においでいただけるようにしてまいりたいと思っております。
またちょっと一枚おめくりいただきまして、二〇一九年、あと二年後が三陸にとって非常に大きなターニングポイントになる年だろうと思っております。
一つは、山田線を引き受けまして、第三セクターとしては日本一長い、百六十三キロの鉄道に生まれ変わります。それから三番目のラグビーワールドカップ、釜石でも実は会場として予定されていますが、これが秋に予定されております。実はこの春と秋の間で、今、県、市町村の方でいろいろ計画をしておりますが、沿岸地域で大きな観光イベントを開催しようということで、この年にできるだけ多くの
全国の
皆様においでいただきたいということで現在進めてございます。
それから、
参考のところで三鉄オーナーの
資料を掲載させていただいております。これは、ふるさと納税を活用いたしまして三陸鉄道を
全国の
皆様に御
支援していただこうという制度で、今我々としてはPRして
取り組みを進めているところであります。この写真に載っている方は実は
岩手出身で、現在三重県に住んでいる方でありますが、第一号のオーナーの方であります。国
会議員の先生の中にも、オーナーになっていただいている先生方も実はいらっしゃいます。ぜひ
皆様方も、もしよろしければ御
支援賜れればと思います。
その次、実は、ことしの春、六名の新入社員を迎えました。山田線を引き受けるに当たって社員を増強しなければならないということで、新たな戦力として採用したものであります。
そして、一番最後、三陸鉄道はやはり、地域の足という側面と、多くの観光客に来ていただいてそれを地域振興につなげていくという
二つの側面、役割があるというふうに思っております。ぜひ今後ともこれをしっかり果たしていきたいと思っております。
ぜひ
皆様の引き続きの御
支援、御協力を賜れればというふうにお願い申し上げまして、私の御説明を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)