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2017-03-09 第193回国会 衆議院 東日本大震災復興特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年三月九日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 吉野 正芳君    理事 亀岡 偉民君 理事 島田 佳和君    理事 谷  公一君 理事 橋本 英教君    理事 藤原  崇君 理事 金子 恵美君    理事 郡  和子君 理事 高木美智代君       秋本 真利君    伊藤信太郎君       石川 昭政君    小野寺五典君       大串 正樹君    大隈 和英君       勝沼 栄明君    門  博文君       門山 宏哲君    菅家 一郎君       小泉進次郎君    小松  裕君       古賀  篤君    斎藤 洋明君       坂井  学君    鈴木 俊一君       鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君       田野瀬太道君    高橋ひなこ君       土井  亨君    中村 裕之君       長坂 康正君    西村 明宏君       根本  匠君    野中  厚君       藤丸  敏君    小熊 慎司君       大畠 章宏君    岡田 克也君       落合 貴之君    黄川田 徹君       玄葉光一郎君    階   猛君       輿水 恵一君    中野 洋昌君       真山 祐一君    高橋千鶴子君       畠山 和也君    浦野 靖人君       木下 智彦君     …………………………………    国務大臣    (復興大臣)       今村 雅弘君    復興大臣        橘 慶一郎君    復興大臣        長沢 広明君    経済産業大臣      高木 陽介君    環境大臣        伊藤 忠彦君    文部科学大臣政務官    樋口 尚也君    復興大臣政務官      田野瀬太道君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君    政府参考人    (復興庁統括官)     関  博之君    政府参考人    (復興庁統括官)     樺島  徹君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君    政府参考人    (消防庁国民保護防災部長)           杉本 達治君    政府参考人    (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           中井川 誠君    政府参考人    (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君    政府参考人    (厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君    政府参考人    (農林水産省大臣官房危機管理政策評価審議官)  塩川 白良君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君    政府参考人    (資源エネルギー庁次長) 多田 明弘君    政府参考人    (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     松本 年弘君    政府参考人    (国土交通省鉄道局次長) 水嶋  智君    政府参考人    (環境省総合環境政策局環境保健部長)       梅田 珠実君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)           山口  博君    衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君     ————————————— 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   小泉進次郎君     大隈 和英君   瀬戸 隆一君     中村 裕之君   高橋ひなこ君     長坂 康正君   根本  匠君     藤丸  敏君   岡本 三成君     輿水 恵一君 同日  辞任         補欠選任   大隈 和英君     小泉進次郎君   中村 裕之君     斎藤 洋明君   長坂 康正君     高橋ひなこ君   藤丸  敏君     根本  匠君   輿水 恵一君     岡本 三成君 同日  辞任         補欠選任   斎藤 洋明君     瀬戸 隆一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  東日本大震災復興総合的対策に関する件      ————◇—————
  2. 吉野正芳

    吉野委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。  来る十一日で東日本大震災の発生から六年を迎えます。改めて、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復興復旧を祈念いたします。  これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  全員の起立をお願い申し上げます。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 吉野正芳

    吉野委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ————◇—————
  4. 吉野正芳

    吉野委員長 東日本大震災復興総合的対策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長山口博君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官多田健一郎君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、復興庁統括官関博之君、復興庁統括官樺島徹君、総務省大臣官房審議官池田憲治君、消防庁国民保護防災部長杉本達治君、法務省大臣官房司法法制部長小山太士君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、厚生労働省大臣官房審議官井川誠君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長堀江裕君、農林水産省大臣官房危機管理政策評価審議官塩川白良君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、資源エネルギー庁次長多田明弘君、国土交通省総合政策局公共交通政策部長松本年弘君、国土交通省鉄道局次長水嶋智君、環境省総合環境政策局環境保健部長梅田珠実君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君及び原子力規制庁原子力規制部長山田知穂君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉野正芳

    吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 吉野正芳

    吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。
  7. 亀岡偉民

    亀岡委員 皆さん、おはようございます。自由民主党亀岡です。  今村大臣所信に対し、最初に質問をさせていただきます。  今村大臣所信に、本当におかげさまで、これから復興創生を同時になし遂げるという思いをいただきました。全体的にはかなり進んできておりますが、やはり残念なのが、福島が大分おくれております。インフラ生活環境整備、ようやく少しずつ進んできましたが、帰還困難区域を除くほとんどの地域では、まだなかなか厳しい状況の中で解除されていくという状況になります。避難者の数は四十七万人から十二万人に減少しましたが、今でも多くの方々が不自由な生活を余儀なくされております。  ただ、この中でも、これからどんどん解除していただけるということで解除が始まっておりますし、飯舘もそうなんですが、三月三十一日解除ということで、今、いろいろな意味希望を持って、帰りたい人たちが夢を見始めたという、すばらしいことが起こっておりますが、逆にまた、帰らない人たちもたくさんふえております。  当初考えていたよりも多くの方が帰らないと答えてきているのは非常に残念なんですが、なぜ帰らないのかということは、やはり帰還困難区域での特定復興再生拠点を設けていただけるということがまだ浸透していない、または帰還しないという人たちが少しずつふえてきてしまっているがために、逆に、帰らないという輪が広がってきている可能性がある。  ですから、一番大事な帰還困難区域での特定復興再生拠点というものが物すごく重要なことになってくると思うんですが、大臣思いを伝えていただければと思います。お願いします。
  8. 今村雅弘

    今村国務大臣 いよいよもう少しで七年目に入っていくわけであります。改めまして、緊張感を持って、一日も早い復興にまず取り組んでいくという決意を申し述べたいと思います。  そして、その上で、今言われました福島帰還困難区域への帰還拠点をつくってやっていこうということ、これも全力でもって我々も進めていきたいというふうに思っております。  何といっても、やはり帰るにしても、帰る拠点がどう整備されていくのか、学校とか医療機関とかあるいはなりわいの場とか、そういったものがどうなっているんだろうかということも判断材料になるわけでありますから、そういったものをできるだけ早く見える化して、そしてふるさとに帰ろうよという気持ちをしっかり持ってもらうことが大事だと思いますので、そういう観点からしっかり取り組んでいきたいと思います。
  9. 亀岡偉民

    亀岡委員 帰還困難区域方々は、しっかりといろいろな形で新たな取り組みをしていただけることによって、帰らないと言っている人たちが、やはり帰ろうかなと思う。これが多分、二〇%を切っている状況の中で、これを少し頑張っていただくことによって過半数ぐらいにまで行くんじゃないか、そうしたらもっと復興が進みやすくなるし、今度は若い人たちの新たな夢と希望につながっていくんじゃないかと思いますので、ぜひそこはお願いいたしたいと思います。  それからもう一つイノベーション・コースト構想について私はちょっと前から疑問を持っていまして、なかなか厳しい状況の中で、たくさんの国からの支援をいただいて、環境創造センターや、またはモックアップ施設、そして今度はロボットテストフィールドを含めていろいろな形で支援をしていただいておりますが、一番大事なのは、箱物はできているんですが、それでは、できたときにすぐにそれがスタートして多くの成果を上げられるような機能を果たしているかというと、これは非常に問題があると思うんですね。  これはどうしてかというと、よく調べてみると、国が一生懸命箱物のお金は出してくれるんですが、県が一生懸命追いついていこうとしても、やはり県の人材とか持てる力というのは限られています。  やはり世界じゅうの人たちの力をかりる上においては国の力をかりない限り、科学技術会議がありましたり、経産省も含めて、それから文科省も含めていろいろな人脈を持っているわけですから、こういうものを集結させていかないと、せっかくつくってもまだなかなか機能しない状況がずっと続いてしまう可能性がある。  だから、せっかく今から復興に向けて一番活性化させなければいけないこの一番大事な事業をいかに早く理解してもらえるかということをやっていかなきゃいけない。そのためのこのロボットテストフィールドというのは、僕は、逆に言えば物すごく期待が持てるんじゃないかと思うんですが、これもまた、つくったけれども、後、いつどんなことが行われるかわからないというような状況にしてしまうと市町村も困ってしまう。  ですから、本来であれば復興庁司令塔機能として、まさにこの中で使える、活性化するような研究者や、またはロボットテストフィールドを有効に活用できるようなイベント、こういうものをしっかりとやっていってあげないといけないと思うんですが、ぜひ大臣取り組みを教えていただければと思います。お願いいたします。
  10. 今村雅弘

    今村国務大臣 先般の所信でも言いましたが、とにかく福島、とりわけ相双地域についての復旧復興というものは大変大きな課題であります。まだまだ廃炉でありますとか除染土処理等がありますが、これは中長期にわたってしっかり取り組んでまいりますが、それと並行してぜひ新しい相双地域をつくろうということ、これは非常に大事なことだと思っております。  そういう意味で、新しいこういった産業を呼び起こすいろいろな、ロボットでありますとかあるいは水素関係でありますとか、そういったものを研究機関を含めてここに持ってこようということで今計画しているわけでありますが、これは物をつくっただけではだめでありまして、やはりそれをどう活用していくか、そういったことが大事だと思います。  そういう意味では、まず政府機関等が先鞭を切っていろいろな取り組みをしていく、そしてまたそれに合わせて民間企業も、ではここで一丁やってみるかということで大きな流れができるようにして、そしてその流れがまたさらに流れを呼ぶということで復興の大きな力になる。そういうことで、しっかりとソフト面を充実してこれも進めていきたいというふうに思っております。
  11. 亀岡偉民

    亀岡委員 まさに今大臣が言われたように、大事なのは民間の活力を生かすことだ。多分、もう多くの福島県内中小企業が集まって、研究会なりいろいろなものをつくっています。いかにこれを後押し等していただけるかという、その期待感はかなり多いと思いますので、各省庁に任すのではなくて、やはり司令塔としての復興大臣今村大臣指導力でしっかりとこれを取りまとめしていっていただければもっともっと効果が上がっていくような気がしますので、よろしくお願いいたします。  それから、実は、官民合同チームがかなり成果を上げています。本当に、官民合同チームができてから、いろいろな中小企業のところを回ってくれて、そして皆さん意見を聞いていただきながら、それをフィードバックしながらという効果も聞こえてきております。  これはすばらしいことだと思うんですが、残念ながら商工業者ばかりでして、これから営農を再開したいという農家のところにはほとんど行っていない。ぜひ我々のところも来てほしい、これから戻る人たちにとっては、一割か二割まだいるけれども、その中の人たちほとんどが農業を再開したい、こう言っているんですね。  ですから、この官民合同チーム営農再開に向けての大きな取り組みというのはこれからしっかりと一致させていかなければいけないと思うんですが、大臣としてどう考えるかをぜひお聞かせくださればと思います。
  12. 今村雅弘

    今村国務大臣 商工業関係は、今おっしゃったように、かなりいろいろな取り組みを進めておられます。ただ、農業関係になるとどうしても、一つ農地整備、やはりこれをきちんときれいにしなきゃいけないということで、それに時間がかかっている面がある。そしてもう一つは、やはりどうしても共同作業的な要素が強いですから、個人個人でなかなかやることが、だから、できる商工業とはちょっと様子が違います。  ですから、これから高齢化も進む中で担い手がどれだけいるのかを含めて、農地整備も含めて、そしてそういった担い手体制整備ということで若干時間がかかっているかと思いますので、しかし、これも着々といろいろな下準備が進んでおりますから、ぜひ新しい力を結集して、そしてこの農業の問題についても強力なチームをつくってやっていくように、いろいろな制度を使いながら我々も御支援していきたいというふうに思っております。
  13. 亀岡偉民

    亀岡委員 ぜひこれはお願いいたします。多分、官民合同チームが一軒一軒歩いていただくことによって、結構同じ苦しみを味わっている農家方々があると思うんですね、この場合はそれを取り除くべく新しい制度や法律が必要になるかもしれない、ぜひこれは真剣に取り組んでいただいて、そういう問題点を洗い直していただきたいと思います。  それから、もう一つなんですが、今、漁業はようやく、漁業再開に向けて漁業家皆さんはみんな頑張っています。ただし、まだ出荷制限がありまして、この出荷制限はいつごろ解除になるのか、これがわからなければ。せっかく今頑張って、ほかの職業に行かないで何とか漁業にとどまっている若者、これを離さなくて済む。  ですから、そういう意味では、一番大切なこれからの漁業見通しについても、司令塔としてやはりここは復興庁大臣に頑張ってもらわなきゃいけないと思いますので、一言お願いいたします。
  14. 今村雅弘

    今村国務大臣 漁業についても、とにかく一日も早い復興を目指していろいろなことで頑張ってもらっておりますし、また我々もいろいろな支援をしているつもりであります。  現状でいうと、調査対象魚種が大体四十四種類あって、そのうち三十二の魚種についてはオーケーということになっております。あと残りは十二なんですが、これも早くいろいろな検査をして、オーケーが出るようにやっていかなきゃいけないわけであります。そうすると全面的に福島の水産物も大丈夫よということになると思いますが、まだやはり十二も残っていれば、ちょっとイメージ的にマイナス面が大きく出るようなところもありますので、そういったことを含めて、とにかく、いろいろな検体確保がなかなか難しいんですよ。そういったことにもっと力を入れて、大丈夫だよという発信をしっかりして、そしてその安全と安心の担保ができた上で、いろいろなところに市場を拡大していくということでいきたいと思います。  福島県沖は、常磐カレイとか、あるいはアンコウ等も大変おいしいですよね。しかも、東京という大マーケットがあるわけでありますので、そういったところの市場開拓も含めて、両面でこれからしっかり取り組んでいくように頑張っていきたいというふうに思います。
  15. 亀岡偉民

    亀岡委員 ありがとうございます。  全量検査のときの検査農家が頑張ってやっているんですが、復興庁にはまずそれを一緒に、お手伝いを先にしてあげられる環境もぜひつくっていただければと思います。よろしくお願いします。  少し話はかわりますが、伊藤大臣が来ておられますが、この間、福島でちょっと問題が起こりました。やはり除染の問題でこれが起こってしまったんですが、できる限り早くしなきゃいけないという中でああいう問題が起こってしまうと、またおくれるんじゃないかという不安感を持っています。  ですから、そういう不安感の起きないような、除染も含め、中間貯蔵も含めしっかりやっていただきたいと思いますので、一言、決意のほどをお願いします。
  16. 伊藤忠彦

    伊藤大臣 お答えを申し上げたいと存じます。  まず、福島皆様及び復興に取り組まれている多くの関係者皆様国民皆様方に、信頼を大きく揺るがせるような事態が生じてしまいましたことについて、深くおわびを申し上げたいと存じます。  福島環境再生事務所が行っている除染中間貯蔵施設事業などは福島再生復興に不可欠な事業でございまして、地元を初め関係する皆様方の御理解と御協力なしには進められないものでございます。それにもかかわらずこのような事態を招いてしまったことについて、極めて残念であります。改めて綱紀粛正、適正な業務執行に取り組んでまいり、信頼回復に努めてまいりたいと存じます。  このような事態により、環境省が実施をいたします除染事業につきましては、ただいま委員が御指摘のとおり、工期のおくれが生じないように、今年度中の完了に向け、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  以上でございます。
  17. 亀岡偉民

    亀岡委員 ありがとうございました。  この除染は当初から疑問を持たれてなかなか信用回復ができなかったわけですから、最後はぜひしっかり頑張っていただきたいと思います。  最後に、今村大臣、ようやく福島もオリンピック、野球とソフトボールが何とか決まるようであります。これは、二〇二〇年、何よりも風評対策になりますので、ぜひ復興庁全員挙げての御支援をお願い申し上げて、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  18. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、島田佳和君。
  19. 島田佳和

    島田委員 おはようございます。自由民主党島田佳和でございます。  きょうは、大臣所信に対する質疑ということでございますけれども、所信の中では、今被災地が抱えられている主要な課題を大体網羅していただいていたかと思います。その中で、私は、やはりキーとなるのは、例えば、産業再生にしても観光振興にしても、アクセス道路であったりアクセス鉄道、いわゆるインフラをしっかりつくっていくことが大きな鍵になっていくんだろうというところで、きょうはちょっとインフラに焦点を当てた質問を二つさせていただきたいと思います。  一つは、インフラといいますと、今、道路鉄道と言いましたけれども、それ以外にも、例えば海岸砂浜というのも重要なインフラになってきますので、砂浜再生についてお伺いしたいと思います。  震災の津波で多くの砂浜、砂が消失しまして、また地盤沈下等も起こって、いまだ海水浴場等も再開できていないところも多数あるかというふうに思っております。  私の両親は今、新地町というところに、もともとの出身地でありますけれども、住んでいるんですが、この新地町でも、毎年八月のちょうど仙台の七夕と同じ週末に、釣師浜という海岸で「遊海しんち」という大きなイベントをやっておりました。田舎町にしては非常に規模の大きい花火大会もあって、ちょうど子供を連れて夏休みに帰省するには非常にいいきっかけといいますか行事といいますか、ということで、観光資源として大きな役割を果たしていた。そういう意味でも、海水浴場砂浜というものは大きく期待されるところであります。  この砂浜再生という事業は、市であったり県であったり、地元の自治体が主体的に行うものだというふうに考えておりますけれども、国としてどういうふうにこの砂浜再生事業にかかわってきたのか、その概要を教えていただければと思います。
  20. 樺島徹

    樺島政府参考人 お答えいたします。  被災地において、津波及び地盤沈下により消失した砂浜再生につきましては、再生可能性調査、そして砂を蓄積していきます養浜等に対して、復興交付金により支援している事例がございます。  具体的には、岩手県の山田浦の浜海岸、大槌町浪板海岸釜石根浜海水浴場、宮城県南三陸町のサンオーレ袖浜海水浴場など六市町六カ所について、復興交付金を活用した調査あるいは養浜等の工事に着手、実施しているところでございます。
  21. 島田佳和

    島田委員 ありがとうございます。  今、六例紹介していただきましたけれども、ちょうど二月の報道で岩手県の根浜海岸浪板海岸の方も紹介されていましたが、平成三十二年度、復興創生期間内ということから考えて逆算すると、今調査をしているというのは非常に遅いのではないかというふうに思いますけれども、と言っていてもしようがありませんので、しっかりと平成三十二年度の復興創生集中期間の間に養浜事業が終わるのか、そういう見通し等を聞かせていただければ、また復興庁としての方針、決意を改めてお聞かせ願えればと思います。
  22. 樺島徹

    樺島政府参考人 お答えいたします。  御指摘のありました両海岸につきましては、現在、岩手県から、砂の定着が確認できるか等砂浜再生技術的検討、あるいは経済性評価を含む総合的な砂浜復元可能性調査についての御相談を受けているところでございます。  復興庁といたしましても、こうした取り組みについてしっかり御相談を進め、適切に対応してまいります。
  23. 島田佳和

    島田委員 砂浜が自然再生するには、釜石市の試算ですと三百六十年かかるというふうにも言われております。これはやはり人工的にしっかりと手を入れながら養浜をしていかなければいけないものでありますから、大臣の方からも強い決意をお聞かせ願えればと思いますが、いかがでしょうか。
  24. 今村雅弘

    今村国務大臣 先ほど委員が言われましたように、砂浜というのは、昔から日本では白砂青松ということで、日本の自然にとってもいろいろな意味で大変貴重な財産だというふうに思っております。ですから、これを取り戻すということは、やはり我が国のいろいろな、暮らしあるいは観光その他にとっても大事なことだというふうに思っておりますので、先ほどお話がありましたとおり、復興庁としても、あるいは国土交通省等でも、全力を挙げてこれに取り組んでいきたいというふうに思うところであります。
  25. 島田佳和

    島田委員 ありがとうございます。  福島県の浜通りからずっと北上した太平洋沿岸は、海水浴場もたくさんありましたし、またサーフスポットとしても非常に人気のあるスポットもありますので、観光振興に役立てる意味でも、ぜひこの砂浜再生、しっかりと復興庁の方でも進めていただきたいというふうに思っております。  かわりまして、今度、鉄道の方に移らせていただきたいと思います。  昨年十二月に常磐線相馬—浜吉田間が開通されまして、新地駅の方で開業式も行っていただきました。  先ほどちらっと言いましたけれども、私の両親は新地町に住んでおります。父親は隣の坂元というところの出身でございまして、この二人は、相馬まで常磐線で毎朝高校生のころ通って、電車で出会って結婚して私が生まれたというものでありますから、もしこの常磐線が通っていなければ私はここにいなかったかもしれませんけれども。  それに加えて、実は、父方の方は鉄道員が多くて、祖父も国鉄の駅で、坂元駅、浜吉田駅で駅長をしておりましたし、おじも二人ほど国鉄の職員で、働いておりました。そういう意味でも、非常に思い入れの多いこの常磐線の開通、再開業を感慨深く見守らせていただきました。  とはいえ、やはり浜通りに住む人間からすると、常磐線が、昔、井沢八郎さんの「ああ上野駅」ですか、ありましたけれども、やはり上野とつながって初めて常磐線のあるべき姿が戻ってくるというところであります。  この常磐線の全線開通、今後の見通し、できれば具体的なタイムテーブルもお聞かせ願いたいところでありますけれども、今後の見通しについて説明いただければと思います。
  26. 水嶋智

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  JR常磐線につきましては、平成三十一年度末までに全線開通させるということとしております。  不通区間の開通見通しを申し上げますと、まず、北側の小高駅—浪江駅間につきましては、平成二十九年春の浪江町の避難指示解除に合わせて運転再開される予定ということでございます。また、南側の富岡駅と竜田駅間につきましては、平成二十九年内の開通を目指しているところでございます。また、真ん中の浪江駅—富岡駅間につきましては、平成三十一年度末までの開通を目指しているところでございます。  委員指摘のとおり、浜通りの復興の加速化を図る上におきまして、JR常磐線の復旧は大変重要ということでございまして、引き続き、JR東日本、関係省庁などと緊密に連携をいたしまして、JR常磐線の一日も早い全線開通の実現に向けて鋭意取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  27. 島田佳和

    島田委員 ありがとうございます。  新地駅といいますと、ちょうど震災直後、二両編成の常磐線が津波で打ち上げられてくの字に曲がっていた、幸い人的被害はありませんでしたけれども、非常に象徴的な写真が新聞、テレビの報道でも多く流れましたし、震災を記録する写真集なんかでも本当に象徴的に取り上げられておりました。  新地駅を中心にずっと海までぽつぽつ集落はあったんですけれども、全部津波で流されまして、今、夜は、駅が開業するまでは真っ暗な状態になっておりました。そういう意味でも、今回駅が開業して、昔は、小さい町ながらも、朝夕、通勤通学のときは駅前に送迎の車が並ぶほどにぎわいを見せていたところはありましたけれども、震災以降、昼間は工事の車両等が行き交うんですが、夜は本当に電気一つつかない、しんとした、全くそれまでと違う風景が広がっておりました。  今、十二月に再開業して以来、かつての、朝夕の通勤通学の送迎の車も行き交うようになりましたし、駅の方も非常にきれいになりまして、田舎の方というと皆さん名字が多いですので、名字を呼び合うというよりは、地名で判別するんですけれども、うちの本家は駅の横にありましたので、停車場というふうに言われていたんですね。ですので、私のおやじは克雄という名前なんですけれども、島田克雄じゃなくて停車場の克雄というふうに言われていました。今、まさにその停車場という雰囲気は残念ながらなくなってしまいましたけれども、非常にきれいな駅をつくっていただきまして、仙台までも直通になりましたし、六年前に比べると、震災直後に比べると、本当に震災復興が進んでいるなと実感するところでございます。  今回、浜吉田—相馬間、各駅が開業しましたけれども、駅が地域に戻ってくる、そういった意味合いも含めて、何かトピック等があれば御紹介いただければというふうに思っております。
  28. 今村雅弘

    今村国務大臣 先ほど、「ああ上野駅」の話が出ました。たしか、あのせりふには、上野はおいらの心の駅だというせりふがあったと思います。まさに駅はそのとおりでありますし、また鉄道そのものも、やはり鉄道がつながっているということの何とも言えない安心感、力強さというものは、特に日本国民にとっては強いものだというふうに思っております。そういう意味で、私も鉄道の出身として、今委員のお話を聞いて大変うれしく、また心強く思ったわけであります。  先般、先ほど新地駅と言われましたが、この開通式には総理と一緒に私も行きました。そうしたら、大変な皆さん方の歓迎ぶりで、総理ともども、いや、よかったなということで、喜んで祝ったわけであります。  鉄道というのは、単に物や貨物を運ぶだけじゃなくてやはり文化も運んだんですね。ですから、そういう意味で、単に交通機関として便利だということもさることながら、もっともっと大きな、心理的な意味でも大変力強いものを地元に与えるというふうに思っております。  もちろん、こういうことで、これが一日も早く全線開通してやっていけば、いろいろな企業に対するイメージも変わってきまして、先ほど言ったイノベーション・コースト等の推進にもこれは大きな力になると思っております。そういう意味で、一日も早く全線開通を目指したいと思っております。  そのための課題としては、やはり除染のピッチを上げてやっていくということが一番課題のようでありまして、しかし、どんなことがあってもオリンピックまでには必ず全線開通しようじゃないかということで、今、各方面に指示を出してやっているところであります。  以上です。
  29. 島田佳和

    島田委員 ありがとうございます。  私も、この六年間、思い返してみますと、震災直後のときは、新地の両親を訪ねるのに、新潟を回って磐越道を通ってといったところから始まりました。その後、東北道が復興しまして、東北道で行くんですけれども、またそこから浜通りまで下の道を通って、これは二時間、三時間、山を越えて運転しなければいけなかったフェーズがありました。その次は、常磐道がいわきの方までつながりまして、とはいえ、いわきの方から北上していっても、いわゆる原発影響エリアを迂回していかなければいけませんでしたから、さらにそこでも三時間かかっておりました。  今、常磐道も仙台まで通りまして、そして電車も今、仙台まで新幹線で出て、前はバスで代替輸送されていたんですけれども、それも電車で行けるようになりました。バスがあるからいいじゃないかというお声もあるかと思いますけれども、実際使ってみると、バス停まで仙台駅からちょっと歩かなければいけなかったりとか、大きな荷物を持っていたり雨が降っていたりすることを考えると、やはり利便性は低くなってしまうわけであります。  そういった中、常磐線が相馬—浜吉田間で再開業されたということは、震災復興一つの大きなマイルストーンになってくると思います。ぜひ、常磐線を全線開通させることによって、さらに災害復興を新たなステージに上げていただきたいと思いますし、それがやはり地元皆様にとって大きな夢と希望になってくると思います。  ちょうど時間の方も終了いたしましたので、私の質問は以上で終わらせていただきますけれども、ぜひ今村大臣には今後とも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  30. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、中野洋昌君。
  31. 中野洋昌

    ○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  通告に従いまして質問をさせていただきます。  次の三・一一で震災から六年ということでございまして、私ども公明党は、震災の復興というのは、風評と風化、この二つの風と戦っていかないといけないということを常々申し上げさせていただいております。復興が進んできたとはいえ、いまだ十二万人以上の方が避難を余儀なくされておられるわけでございます。そして、そのお一人お一人が置かれた状況が全く違う、こういうことでございますので、お一人お一人に寄り添った復興を進めていかないといけない、復興を風化させていってはいけない、こういう強い思いを持っております。  先月も、私、福島県の方に行ってまいりまして、現地の状況も伺ってまいりました。そうしたお声も踏まえながらきょうは質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  先ほど、風評と風化、二つの風と申し上げさせていただきました。福島の方で非常に強い御要望として、風評被害対策、これがやはり大変にまだ強うございます。特に農業に関して言えば、私も発災の直後から福島県は行かせていただいておりますけれども、とにかく、原子力災害ということで、食品の安全性というものを証明しないといけないということで、もう本当に皆さん大変な中でこれに取り組んでこられました。  安全であるということはしっかり証明できている、いろいろな取り組みもしている、そういう状況にもかかわらず、米にいたしましても、あるいは肉にいたしましても、全国の平均の価格よりも福島県産というと価格が低いままになってしまっていて、これがなかなか改善をしない。やはり、この風評被害対策というものをもう一重、もっと力を入れていってほしい、こういう御要望でございました。  こうした原因の調査も含めて、この風評被害、農業に対してどうした取り組みを今後進めていかれるのかということをまず御答弁いただきたいと思います。
  32. 塩川白良

    塩川政府参考人 お答え申し上げます。  農林水産省におきましては、これまで、福島県の農林水産物につきまして、放射性物質に関する正確でわかりやすい情報提供、テレビコマーシャルの放映、流通業者や消費者向けのイベントの開催というような広報活動への支援などを行ってまいりました。  また、我が国産の農林水産物や食品に輸入規制を行っている国、地域に対しまして、政府一丸となって撤廃、緩和に向けた働きかけを行ってまいりました。この結果、規制を行っている国、地域の数は、事故後の五十四から三十三にまでなっております。  こうした中で、福島県の農林水産物の価格は、キュウリでは震災前の水準まで回復してきている一方、米などの主要農産物では震災前の水準まで回復していない状況にありまして、風評の払拭は引き続き重要な課題というふうに認識をしておるところでございます。  このため、風評の払拭に向けました取り組みをより一層強化するため、平成二十九年度の予算案におきまして、新たに、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援に必要な予算を計上いたしました。  具体的に申し上げますと、生産段階では、第三者認証GAPなどの取得、有機農産物などの環境に優しい農産物の生産拡大、水産エコラベルの取得、水産物の高鮮度化に必要な取り組み、農林水産物の放射性物質検査、それから、流通、販売段階におきましては、先生御指摘の農林水産物の販売不振の実態とその要因の調査、生産者の販路開拓等に必要な専門家による指導助言、それから量販店での販売コーナーの設置、あるいはポイントキャンペーンの実施などに対しまして支援を行うこととしております。  今後とも、風評払拭に向けまして、関係省庁が連携いたしまして、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。
  33. 中野洋昌

    ○中野委員 まさに政府一丸となって、またあらゆる、生産から流通等々も含めて、もう一度総点検ということであります。  国会といたしましても、やはりこれは全面的にしっかりバックアップをしていきたい、何とかこの風評被害対策というものを進めていきたいというふうに思っております。  農業ともう一つ、観光に関してもやはり引き続き取り組みをしてほしいという御要望を強くいただいております。  観光に関しては、インバウンドも含めてかなり改善の傾向が近年あるというふうにお伺いをいたしました。しかし、観光でいいますと、インバウンドというのは日本全体でいうと物すごく伸びている、こういう状況の中で、東北全体で、大分戻ってきたとはいえ、日本全体でいうとインバウンドの伸びをどんどん、四千万人であるとか、高い目標でやっていくという中ですので、やはり東北全体の伸びというものをもっと上げていかないといけない。あるいは、福島県に関して見れば震災の前にはまだ戻っていない、あるいは教育観光分野の回復、まださまざまな課題はあるというふうに思っております。  この観光に関する風評被害対策についても、さらに取り組みを進める必要があると思いますけれども、答弁をいただければと思います。
  34. 長沢広明

    ○長沢副大臣 お答え申し上げます。  観光復興は、風評の払拭、そして地域経済の活性化という意味でも大変重要というふうに思って取り組んでおります。  政府におきましては、平成二十八年度を東北観光復興元年としまして、二〇二〇年に外国人の宿泊者数を、二〇一五年の三倍、百五十万人泊とする目標を設定して、観光復興取り組みを強化しております。  先日発表された統計によりますと、平成二十八年の東北六県の外国人宿泊者は、震災前の水準を超えて堅調に推移しております。ちなみに、六県で、対前年比で二二・〇%の増加、震災前に比べますと一・三倍ということでございます。  福島県につきましては、厳しい状況にはありますけれども、インバウンドも教育旅行も回復傾向が見られておりまして、インバウンドは、福島県においては、対前年比四九・四%の増加。ただし、これは震災前に比べると〇・八倍という状況でございまして、東北全体が震災前の一・三倍、しかし、全国は震災前の二・五倍までインバウンドが伸びているということを考えますと、まだまだ力を入れなければいけない。  教育旅行につきましても、学校数で大体七割ぐらいまで戻っておりますが、少子化の影響もあるかもしれませんけれども、お子さんというか学生さんの人数でいくと、まだ五割ちょっとぐらいという状態でございます。  そういう意味で、引き続き、福島県への教育旅行誘致の強化を初めとした国内観光の振興、そして、さらなるインバウンドの増大などという観光復興取り組みは重要と考えておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
  35. 中野洋昌

    ○中野委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。  福島では、私、官民合同チームの活動も、直接、回られている方のお話も伺ってまいりまして、避難指示区域が解除されていく、こういう中で、まさになりわいを再建していくというのが非常に大きな課題というふうに思います。  このため、福島相双復興官民合同チームというものを結成していただいて、事業者の方に直接アプローチを個別にしていただいて、個別に訪問をしていただいて、それぞれの状況に寄り添って、どうやったらなりわいの再建ができるかというのを支援していく、こういう取り組みで、非常に頑張っていただいているというふうに思います。  しかし、ここでお伺いをしたのが、事業者の方が、再建をしたい、こういうやる気があっても、実際に求人をしても人がなかなか集まらなかったりして人手不足で事業再開ができない、こういう切実なお声もいただきましたし、あるいは、商工業を中心に取り組みをされていると思うんですけれども、農業分野、こうした分野の再建というのがまだまだ課題である、こういう御指摘もいただいたところでございます。  こうした分野は特に取り組みをぜひ強化していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。答弁ください。
  36. 星野岳穂

    星野政府参考人 お答え申し上げます。  福島相双復興官民合同チームは、平成二十七年八月の創設以来、これまでに約四千六百の被災事業者の方々を個別に訪問いたしまして、事業者お一人お一人に寄り添った支援を行ってまいりました。  委員指摘課題でございますけれども、まず人材の確保につきましては、政府と官民合同チームで連携をいたしまして、製造業、小売業、介護といった幅広い分野におきまして、被災事業者の方々の求める人材ニーズをきめ細かく把握いたしまして、福島県の内外の人材と事業者の方々のマッチングに取り組んでまいりまして、今後もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  それから、営農再開でございますけれども、官民合同チームの中に営農再開グループがございまして、このグループがこれまで市町村あるいは集落を御訪問いたしまして、地域農業の将来像の策定などを支援してまいったところでございます。  今後は、ことし四月からこのグループの体制を強化いたしまして、昨年、国と県が行いました農業者の方々の個別訪問の対象を拡大いたしまして、御要望の調査ですとか、あるいは支援策の御説明などを行うこととしております。  さらに、こうした課題にしっかりと腰を据えて取り組むために、このチームの中核でございます福島相双復興推進機構を福島復興再生特別措置法に位置づける改正案を今国会に提出させていただいてございます。この改正をお認めいただけますと、国の職員を同機構に派遣可能とするなど体制を強化いたしまして、国、県、民間が一体的かつ持続的になりわいの再建支援に取り組んでまいりたいと思っております。
  37. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  合同チームでお話を伺ったときは、ここのチームは、相双地域復興なくして福島復興はないんだ、福島復興なくしてやはり日本の再生はないんだ、こういう思いで頑張っていますということで、お話を伺いました。やはり一人一人に寄り添った、個別にそれぞれ全く状況が異なりますので、そこに寄り添った支援というのは非常に大事だというふうに思います。しっかり力を入れていただきたいと思います。  先ほど来述べてまいりました風評被害への取り組み、あるいはなりわいの再建、御答弁いただきました。しかし、福島復興に関しては、やはりいろいろな課題が、これからいよいよまさに避難からの帰還を進めていく、こういうこともございます。先ほど御質問でも出てまいりました福島イノベーション・コースト構想、こうした取り組みを推進する、いろいろなことが必要になってくると思います。  事務方からは長沢副大臣も含めていろいろ御答弁いただいておりますけれども、今後の福島再生に向けまして、ぜひ大臣の御決意を伺いたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  38. 今村雅弘

    今村国務大臣 ふるさとを取り戻すということ、これは一番大きな課題であります。取り戻すためには、そこにやはり人が住まなきゃいけないということも大事だと思います。そのためには、いろいろな生活環境整備、医療とか教育とか商業施設とかそういったものを、あるいはいろいろな道路等の整備も必要であると思いますし、もう一つは、働き場の確保、そしてそれを通して将来に対する明るいビジョンと言えるものを持てることが私は大事だと思っております。  そういう意味で、このイノベーション・コーストというのは、先ほどの質問でも申しましたが、とにかく新しい相双地域の未来をつくる大きなインパクトを与えるものだと全力を挙げて取り組んでいくし、そして、先ほど亀岡委員の話の中にもありましたとおり、できるだけまず役所も先頭を切っていく。  そしてまた、いろいろな箱物をつくるだけじゃなくて、ソフト面でも実際の活動を充実していく、民間もそれについていくということをしっかりやっていきたいと思っております。具体的には、いろいろな、ドローンでありますとかロボットでありますとか水素でありますとか、あるいは医薬関係福島県は非常に大きなウエートを占めていますから、そういうことも大事だと思います。  もう一方で、やはり内陸部の、特に中山間地等々、そういったところをどうするかということも大きな課題でありまして、そこにやはり柱になってくるのは私は農林水産業であるというふうに思っております。  福島農業というのは非常に多彩なものがあって、お米もおいしいし、いろいろな果物もおいしい、そういったものをぜひこれからもう一回盛り返さなきゃいけないわけであって、もう安全、安心の担保というのは非常に全量検査等々をやって確立している面がありますから、それをもっと全国にも強くアピールしなきゃいけないと思います、絶対安心なんだよと。  その上で、実際買ってもらう。まず隗より始めよという言葉がありますが、隗は買いにする、英語で言うとバイですね、そういった実行に移ってもらう必要があると思いまして、そのためには、役所の食堂その他でももっと福島のものを使ってもらう。そしてまた、いろいろな流通関係にもお願いをして、特に東京という大マーケットがすぐそばにあるわけですから、東京都の人が一日にお米を茶わん一杯食っただけでも大変な消費量になるわけですよ。そうやって実績を積み重ねることが、全国に対しても、ああ、福島、大丈夫だねという安心につながっていくというふうに思っております。  いろいろな流通関係で、何か悪意を持ってと言ったら失礼かもしれませんが、買いたたきが行われていたような嫌いもありますので、そういったことについても、今度の特措法でもって徹底的にそこは追及、解明するということも考えるつもりでおります。  そういったことで、とにかく全力を挙げて、官民挙げて、オール・ジャパンで浮揚対策をしっかりやっていこうじゃないか。それは、食品だけに限らず、いろいろな、いじめの問題等々にもこれはつながっていくわけですよ。やはり、そういったきちんとしたリスクコミュニケーション等々をやっていけば、このいじめの問題も解消に向かうというふうにも思っておりますので、とにかく全力をもって取り組んでいきたいと思います。
  39. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  後半は、心のケアということを中心にちょっと何問か御質問をさせていただきたいと思います。  福島にはよく行かせていただいているんですけれども、私の選挙区自体は兵庫でございまして、阪神・淡路大震災で被災をした地域ということで、震災から二十二年になりました。いろいろな教訓があると思います。それを生かしていかないといけないという思いもございます。  阪神・淡路大震災では、被災者のメンタルヘルス、メンタルケア、これが我が国で初めて注目をされました。こうしたノウハウを蓄積していこうということで、平成十六年にこころのケアセンターというものも設置をされまして、現在でも活動を続けられております。  こうしたものに関連して何点か質問をさせていただきたいんですけれども、一つは、震災で障害を持たれた震災障害者の方についてでございます。  阪神・淡路では、多くの方が負傷されまして障害者となられまして、しかし、実態が余り把握をされていない。御本人たちも大変な思いをされたんですけれども、命は助かったじゃないかということで余り目が向けられてこなかったんだ、こういう御意見もいただいて、平成二十二年になりましてようやく実態調査というものを県の方で行いました。  そうすると、障害者手帳を申請するときに、原因が何なのかというので、自然災害という項目が特にない、だから実態把握というのが非常に難しい、こういう課題がございましたり、災害時にはやはり、震災で障害を持たれた方、こういう方を心のケアというものの対象としてしっかり支援をしていく必要があるんだ、こういう課題指摘をされたところでございます。  そこで、厚労省の方にお伺いをするんですけれども、震災で障害を負われた方の実態把握というものを容易にするためには、やはり、障害者となった原因というものを書く項目が申請書にあるんですけれども、ここに自然災害というものがないと把握が進まない、こういう御意見がございます。これはぜひ改善をしていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  40. 堀江裕

    堀江政府参考人 お答え申し上げます。  阪神・淡路大震災の教訓から、震災により障害者になった方の把握が重要ということで、ごもっともなことだと存じます。  御提案のように、身体障害者手帳の申請に用いる診断書、意見書の原因欄に、自然災害などの選択肢を追加すること、それは、御地元の兵庫県では平成二十五年の一月から、神戸市では二十四年の四月から、独自の診断書の様式ということで震災などの選択肢を設けているものでございまして、実態把握に有効なものだというふうに考えております。  私どもの方で、こうした自治体のお取り組みを受けまして、全国的な対応について進めさせていただこうというふうに考えてございます。具体的には、今月中に、全国に向けましてこうした書式が可能であることについて通知して、周知させていただきたいと存じます。
  41. 中野洋昌

    ○中野委員 検討を進めていただけるということで、ありがとうございます。  東日本大震災の心のケアという点で申しますと、今、被災三県で事業がまさに行われております。こうした中で私が課題として感じておりますのが、先ほど申し上げた震災障害者、なかなか実態把握が今回の災害についても進んでいない、相談窓口の設置なども含めて丁寧なケアがやはり必要だというふうに思っております。  そしてもう一点。今、岩手、宮城、福島それぞれで、心のケアということで事業を行われているわけでございますけれども、やはりここから得られた知見あるいはノウハウ、こうしたものはしっかりと将来にわたって蓄積をしていって、そして生かしていく、こういう必要があるというふうに思います。  そしてまた、各県でそれぞれ行われている事業でございますので、そういう意味では、しっかり横の連携も図っていただいて、そしてこの知見をさらに蓄積していく。これは今後のそれぞれ各県の心のケアを進めていく上でもやはり有用であるというふうに思います。  そしてもう一点。今回、非常にほかの大きな災害と異なる点が、特に福島県において県外避難者の方が非常に多いということだと思うんです。長期の避難となっている、そういう中で精神的な御負担が非常にふえている、こういう状況であるというふうに思います。  こうしたさまざまな課題について、心のケアの支援にさらに力を入れていく必要がある、このように感じておりますけれども、いかがでございますか。
  42. 堀江裕

    堀江政府参考人 お答え申し上げます。  震災により障害者となった被災者、ほかの被災者の皆さん生活再建に迫られているところでございますので、こうしたところから取り残されないようにするということは大変大事だと思っておりまして、一般の被災者の方に必要である以上に、障害者に対しては心のケアについて幅広い配慮が必要だな、こういうことだというふうに考えてございまして、震災障害者についても十分に意識しながら、被災三県の心のケアセンター間の情報共有、連携、それから、福島県外の避難者を意識しました情報提供と課題や悩みの聞き取り、それから、避難した方々から受けた相談の集約、分析と、いろいろな研修などへの反映、こういったことに取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  また、震災障害者を初めといたしまして多様な生活状況にある被災者の方々生活再建にかかわります課題や悩み、これを把握するに当たりましては、課題もなかなか広範なものであるわけでございまして、きょうも、以前に先生御質問されているような生業との関係とかもいろいろあろうかというふうに存じます。こうしたことで、復興庁を初めといたしまして、関係省庁や被災自治体が密接に連携して対応することが必要と考えてございまして、ばらばらではなく対応していきたいというふうに考えてございます。
  43. 中野洋昌

    ○中野委員 特に県外避難者の方が多いということに関して言えば、大臣も少し触れていただきましたけれども、子供たちが学校でいじめられる、こういう深刻な課題があるというふうに思います。福島県に伺った際も、やはりこれは福島では何ともならない、全国を挙げて対応していただきたい、こういう切実な御要望もいただいたところでございます。  このいじめ対策につきまして、きょう文部科学省に来ていただいておると思いますので、どう進めていくのか、答弁いただきたいと思います。
  44. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  原子力発電所事故により避難をしております児童生徒がいじめに遭うという事案が各地で発生していることを受けまして、文部科学省においては、昨年十二月、被災児童生徒を受け入れている全国の学校に改めて対応を求める通知を発出いたしました。  この通知においては、被災児童生徒がいじめを受けていないかどうか、あるいは悩みや不安を抱えていないかどうか確認を行い、把握した場合は直ちに対応を行うことや、いまだ故郷に帰れず不安の中で過ごしている被災児童生徒に対して、心のケアなど日常的に格別の配慮を行うことを求めるとともに、広く児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めることができるよう、放射線副読本等の活用を含めて、放射線に関する教育の充実に努めることなどの対応を求めているところであります。  さらに、現在、いじめの防止等のための基本的な方針において、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめの未然防止、早期発見を明記すべく、今月中の改定を目指しており、今後、各学校における取り組みを一層促してまいります。  文部科学省といたしましては、原子力発電所事故の避難者である児童生徒に対するいじめや心のケアについて適切な対応がとられるよう、各教育委員会等に対し、引き続き必要な指導助言に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  45. 中野洋昌

    ○中野委員 県外の避難者の方がかなり長期にわたって御避難をされているという状況が続いております。ですので、この対策というのは本当に重要な対策だというふうに思います。  そしてまた、先ほどの心のケアの点も含めて、それぞれの都道府県に点在をされているような状況でもございますし、こうした支援の情報自体も非常に届きにくいような現状もあるのではないかというふうに思いまして、これは粘り強くやはり続けていくしかない、そして発信をしていくしかないんじゃないかというふうに私は思いますので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。  最後に、心のケアに関連して、大臣に御答弁いただければと思うんですけれども、阪神・淡路大震災の経験からも、心のケアをしっかり進めていくには、生活の再建が一番大事、なりわいを復興して生活を再建していくというのがやはり一番大事だというふうなお話を伺いました。  しかし、それはもちろんそうなんですけれども、仮設住宅にいたときよりも、実際に復興住宅の方に移って、そうするとコミュニティーもやや希薄になったり孤立化したりして、実は、仮設のときより復興住宅に移ったときの方が心の状態としてはより悪化したようなケースもかなりあったというふうなお話も伺います。あるいは、阪神・淡路の後、長い年月を経て東日本大震災のニュースの映像をさまざま見て、そしてトラウマが、フラッシュバックというかPTSDということで、かなり年月がたっても大きな事故があるとそれで再発をしてしまうというふうな、いろいろなケースがあって、そうすると、心のケアというのはフェーズに、それぞれの段階に合わせて支援をしっかり考えていかないといけないし、やはり息の長い取り組みというのが必要なのではないか。  特に、復興創生期間で、仮設から高台移転とか、新しい、生活の場がまた移っていく局面であるというふうに思いますので、こうしたいろいろなフェーズに対応をして、一人一人に寄り添った心のケアというのが、心のケアを含めてやはり寄り添う支援というものが必要である、力を入れていく必要がある、このように思いますけれども、最後大臣に御答弁いただければと思います。
  46. 今村雅弘

    今村国務大臣 一瞬にして家族を失い、家財を失い、そしてまた、原発という被災で心ならずもふるさとから避難せざるを得なかった方々、そういった方々の心の傷というのは、本当にその人でないとわからないものがあると思います。  ですから、そういった心のひだの中に触れていくというのは非常に難しい課題だとは思います。しかし、できるだけ寄り添って、そういった方の心情に思いをいたして、ただ頑張れ頑張れと言っても、これは難しいんですね。だから、その辺をよく、本当に心を砕いてやっていくことが大事だと思います。  予算面等々はそれなりに確保しているつもりでございますので、できるだけそういったものを活用して、そして本当に丁寧にいろいろなケアをしていかれるように、また我々も、いろいろな問題が起きていないかどうか、アンテナを高くして、そして、いろいろな自治体の皆さん等々にも、あるいはそれに従事する、ケア等に当たる方々にもしっかりとお願いをしていきたいということで考えております。
  47. 中野洋昌

    ○中野委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  48. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、小熊慎司君。
  49. 小熊慎司

    ○小熊委員 民進党の小熊慎司です。  まず初めに、東電の山口社長初め東電の皆様方、急なお呼び出しをおわび申し上げますとともに、急なお呼び出しにもかかわらず応じていただいたことに感謝を申し上げます。  また、吉野委員長、そして谷筆頭理事初め理事会の皆様方にも、急な対応についてお取り計らいをいただいたことに感謝を申し上げて、質問に移っていきます。  先ほどの中野委員と大分重なるわけでありますけれども、大事な話でありますので、より深掘りするためにも、重複はなるべく避けながら、同じようなテーマについて質問していきたいと思います。  まず初めに、原発避難いじめについてでありますけれども、昨年もこの委員会質問いたしまして、樋口政務官より御答弁をいただきました。適切に要請をしていくということでしたが、そのときに私は、実態把握をちゃんとしてくれ、実態把握をしなければ対応もできないんだということで、そのときに樋口政務官も、ちょっと適切ではない表現を使われましたが、すぐ訂正をいただいたというのはありがたかったというふうに思っています。  今の中野さんへの答弁でもあったとおり、その後も対応している、状況を把握しながら要請しているということでも、これはとまっていないというのも事実でありますし、ショッキングだったのは関西の方の大学でも起きたということで、それも大分前のことが今明らかになっているということで非常に根が深いなというふうに思っていますし、通告が終わった後だったので、NHKのニュースを見たときに、NHKと早稲田大学の調査では大人にもそうしたことがあるという意味においては、振り返ってみれば、吉野委員長もそうですけれども、私も震災直後は福島県というだけで、地元のナンバーの車に東京で乗っていたりしたときも唾を吐きかけられたというような経験を踏まえれば、子供だけでもないというのはもっと早く気づかなきゃいけなかったなというふうに思っています。  改めて、やはり状況をまずしっかり、これは犯人捜しとか魔女狩りみたいにしてはいけないのは事実であって、昨年の樋口政務官の答弁の趣旨というのはそういうところだったと思います。ただ、現状をしっかり把握する、調査を徹底的にしていく、そういう意味では、大人の部分も問題が明らかになりましたから、いじめ問題に対してまず状況をしっかり把握していくということについてお伺いいたします。
  50. 樋口尚也

    ○樋口大臣政務官 小熊委員が御熱心にこの問題を取り上げていただいていることに、まず敬意を表したいと思います。  被災児童生徒に対するいじめ問題につきましては、各学校が一人一人の児童生徒について、いじめを受けていないか、悩みを持っていないかを丁寧に確認することが最も重要であると考えており、昨年の十二月十六日に発出した通知において、各教育委員会に対して、個別の確認によりいじめ等を把握した場合には迅速、適切な対応をとるように求めているところでございます。  文部科学省といたしましては、引き続き、被災児童生徒に対する個別のいじめ事案について、その必要に応じ各教育委員会からの報告を求めるなどして、その背景を含めて詳細な実態把握に努め、教育委員会等に対する指導助言を行ってまいりたいと思います。  今、小熊先生御提案の実態把握でございますが、被災児童生徒に対するいじめの全国の状況把握について、各地方自治体の把握の状況を踏まえながら検討させていただきたいというふうに思います。
  51. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひ検討をしっかり実行していただきたい。  その上で大事なのは、その結果を各教育現場、地域ごとに共有していかなければ、その把握したことに関して。これは、先ほど言ったとおり、魔女狩りになるような、変な犯人捜しになるようなことではなくて、しっかり問題を共有するという意味でも、実態を共有するという意味でも、調査を検討して実施された場合には、日本の社会として、また、本当は広く言えば、大学の場合は外国人講師でありましたから、国内外問わずこの情報、実態をどう共有するかということが大きな鍵になってくると思います。  もし調査されて、これは仮定の話かもしれませんが、それで終わりではなくて、調査をした上で共有していくということがまた問題解決には重要だというふうに思いますので、調査の結果の共有という点についてはどうお取り組みになるか、お伺いいたします。
  52. 樋口尚也

    ○樋口大臣政務官 全国の状況把握について各地方自治体の状況を踏まえながら検討するということでございますので、共有についても検討させていただきたいというふうに思います。
  53. 小熊慎司

    ○小熊委員 そこで、この問題については今村大臣も非常に深刻な課題だということで認識をしていただいていまして、大臣としてのマスコミのインタビューの中でも、全庁挙げて民間にも呼びかけてキャンペーンを始める、わかりやすい資料をつくり偏見をなくす、子供だけでなく教員や親、大人の問題でもあるということをおっしゃっていただいております。  この問題についても、「はじめての福島学」という本を著した立命館大学の開沼准教授、大変有名な方であって、福島にも大変な御尽力をいただいている方でありますけれども、この開沼准教授も、大人が現状を理解していないことからいじめが起きているという現実から目をそらしてはいけないんだということを、このいじめ問題に関して言及されております。大臣もそういった視点でインタビューに答えられておりますけれども。  そういう中で、昨日のNHKと早稲田の調査においても大人においてもあるんだという意味では、大臣が言われたとおり、これは教育現場だけではなくて、社会全体、大人、地域も含めたものをやっていかなければいけない。  キャンペーンとかいろいろ言及されていますが、具体的に今答弁できるものならば、具体的に何をやっていくのか。そしてさらに、この大人の部分というのは、学校現場だと一つのくくりがありますから調査しやすいわけですけれども、社会で起きていること、大人の部分で起きていることに対する状況把握というのもこうした点においてはしていかなければいけないと思っています。それについて、大臣、どうお考えか。
  54. 今村雅弘

    今村国務大臣 この問題はいじめの問題から話題になってきたわけでありますが、私は、今委員が言われたように、この問題は決して子供の問題あるいは教育現場だけの問題ではないと。そもそも、日本の社会、大人も含めて、いろいろなところでそういった誤解といいますか、そういったものがあるんじゃないかということを常々感じてまいりました。  例えば、放射能に対する知識といいますか、いわゆる放射線というのは、そこに放射線を発生する物体があって、その周辺に影響を及ぼすわけですね。ところが、何かウイルスに感染したような、そういうイメージを持っている方がかなりいるような気が私はしています。そういうものじゃないよということを、放射能に対するきちんとした正確な知識をもっともっと皆さんにわかってもらわなきゃいけない。  そのためには、これは官民挙げて、そしてマスコミの皆さん方にも協力をいただいてやっていく必要があるし、我々も、簡単なビラをつくっていろいろなところに周知徹底を図るということで、今、全力を挙げてやるように準備を進めているところであります。
  55. 小熊慎司

    ○小熊委員 この際ぜひ留意していただきたい点というのは、このいじめの問題に対して地元の川内村の村長は、これは問題ではあるんだけれども最終的には子供たちに打たれ強くなってほしいという言葉もあるんですが、でも、そもそも福島県民は誰も悪くないわけです。原因はこちら側にあるのではなくて、国策で進めた原発であり、そして事業者の東電。福島県民に何の罪もない。  今言われた放射線の知識、御承知のとおり、民主党政権であれ、自民党政権にかわってからであれ、さまざま努力してきて風評被害もなくなってきましたけれども、どうしても二割程度は知見に基づかないで、福島県を避けるという消費者が多い。これもある意味偏見です、誤解です、今ほど大臣が言った。いじめ問題だけではなくて、福島のものを理由なく買わないということも、ある意味いじめといえばいじめですよ。一緒です、構造は。  なおかつ、リテラシーを上げていくということだけではなくて、今回の大人に対するいじめは、補償金をもらっているからいいだろう、そういうような言葉を浴びせられているという点に関しては、単なる原発被害の状況、放射線の知識を、知見を国民全体で上げていくということだけでは足りないんです。賠償金は償いです。償いであるのに被害者が文句を言われる、ひどい言葉を浴びせられるという意味では、より広く取り組みをしなければならないというふうに思います。  そうした意味では、大臣、原発事故災害の正しい知識、啓蒙だけでは足りないわけですから、そうした点にも留意してしっかり対応していく、そしてこの大人の問題に対してしっかり取り組んでいくことがひいては地域、学校現場にもしっかりと波及していきますから、教育現場と大人に対して、社会に対しての、そして国外に対してもですけれども、しっかりと早急に、実態把握に努めながら有効な手だてを行っていただきたい。  震災から丸六年、七年目に向かおうとしている現在でも、こうした問題が逆に新たに明らかになっているというのは非常に深刻な問題です。かつて、公明党さんは人間の復興だと言った。いろいろな町が直っていく、帰れるふるさともふえていく、でも、一番大事なのは人間の復興ですよ。これが阻害されている今現在、これはしっかりと対応していただくことを求めて、次の質問に移らせていただきます。  大臣所信の中に、観光の問題なんですけれども、ちょっと私は足りていないなと思ったのは、昨年と比べて伸びたということだけ言及をされていました。  ただ、先ほど長沢広明副大臣の中にも、福島県においては四十何%伸びたけれども、全国の例を言えば前年比五%ぐらいですけれども、そもそも震災前を基準にすれば、伸びたのが一四六、七、だから二・五倍だということを副大臣に言っていただきました、先ほどの中野委員への答弁で。まさにそこが大事なんですよね。  大臣が書かれたんじゃなくて役人の皆さんが書いたと思いますが、取り組む上で大事な視点というのは、それでよかったということで終わらせない。大臣も、きちっと指摘して、これは足りていないだろう、この所信の中で説明がと。  昨年比は伸びたけれども、やはり震災前と比べればへこんでいるし、あのお配りした資料のとおりです。全国的には伸びたのが一五〇%近く、二・五倍伸びているということを踏まえれば、我々も数字では、ざっくりそれに当てはめて計算すると、二十八年度の宿泊者数は福島県は七万一千八百二十ですけれども、対二十二年比で全国の伸び率、伸びたのが一四六・二。二・四六倍に当てはめたら、二十一万四千六百十二人になっていなきゃいけないんですよね。  ということであれば、やはりまだまだ厳しい。もちろん、復興元年ですよ、これからもやっていきますということでありましたけれども、この説明においても、これはうがった見方なのかどうなのかわかりませんが、昨年比は伸びたけれどもやはり厳しいんだと、先ほどの副大臣答弁みたいなことを最初から入れていただかないと、何だ甘く見ているのかなというふうに思わざるを得なくなってきますので、ぜひその点については留意をされていただいて。  質問に移りますけれども、さらにどういうふうにやっていくのか、先ほど中野さんへの答弁にもありましたが、もう一度あえてお聞きをいたします。
  56. 橘慶一郎

    ○橘副大臣 お答え申し上げます。  今ほど小熊委員からもお話がありましたように、単年度で見れば伸びは出てきているわけですけれども、震災の発生前から見ますとまだ八割弱、八割ぐらいというところになっております。  東北六県の中で見ても、全国等を見ても、まだまだ伸ばしていかなきゃいけない、そういう問題意識を持って、しかし、今伸びているものについてはさらにこの勢いを伸ばしていくということによって、まず早く震災発生水準を超える、そして全国に追いついていくように努力しなければいけないと思っております。  六県全体でのインバウンドの取り組み、また福島のさまざまなPR、こういうことに努めるとともに、あわせて教育旅行の方も大変大事だと思っております。震災の発生前には福島に多くの方々がお訪ねになっていたということでありますので、こういったところも、PTAさんや旅行会社あるいは教育委員会、いろいろなところにやはり体をかけてお願いをしていかなきゃいけないと思っております。そういった形で人がたくさん訪れていただくということも、委員最初にお話のございました人の思いの問題、偏見の問題、いろいろな問題についても、人が交流し現地を知っていただくということによって解決していく部分も大いにあると思っております。  ぜひ、インバウンドそして教育旅行という視点で福島の観光交流を盛り上げていきたいと思っております。よろしくお願いします。
  57. 小熊慎司

    ○小熊委員 日本への二千万人を超える訪日外国人観光客、この委員会でもやったのかはちょっと、私は外務委員会でもやっているんですが、この七割を超える方々が中国、韓国、台湾の方々なんですね。これは復興庁のホームページにも風評被害対策とかで出ていますが、規制がかかっているところもあるんだと。そこの一番日本に来ていただいている、パイの大きいその国々が規制をかけているわけですよ。それはもちろん、来ていただけるならどの国がいいとか悪いとかはないんですが、現実には一番大きく来ているところが規制がかかっちゃったり残っているという意味では、より一層やっていかないと。  五輪では、私の地元の会津若松市がタイのホストタウンになる、猪苗代が野口英世の関係でガーナのホストタウンになる、あと、吉野委員長には大変お世話になって、私の家内が協力隊で行っていたサモアがいわきのホストタウンになるとかとはなってはいるんですけれども、その大きなパイ、市場でいえばこのアジア地域を呼び込みたい、でも規制がかかっているという意味では、そういった現状に合わせて、通り一遍の発信ではなくてやっていかなければいけないというのがまずありますので、国別においての対応策でもきめ細かに今後はやっていただきたい。  ただでさえ国際的な風評被害もある中で、そういう意味では適正な競争ができないわけですから、風評だけではなくて実際の規制もかかっているということで、ハンディ戦です、我々は。ハンディ戦を踏まえた対応をぜひお願いしたいというふうに思います。  また、一つ御提案申し上げたいのは、いろいろ政府の情報発信もやってはいただいているんですけれども、今、民間取り組みで、福島県内民間放送各社と協力しながら、ユーチューブでの情報発信が始まりました。  そこでの留意した点というのは、ローマ字でfukushimaとユーチューブで入れちゃうと当時の映像がばたばた出てきちゃうので、あえてfukushimaというのを使わないで、一般の観光地みたいな感じで、風光明媚なところみたいなところで情報発信をしているようでもあります。福島県だけではなくて、隣県の、東京を起点にして茨城、栃木を回る観光ルート、ダイヤモンドルートの紹介のPR映像がユーチューブに使われています。  今、御承知のとおり、日本は観光ガイドブックというのが非常に多い国ではありますが、全世界を見れば、そうした観光ガイドブックよりもSNS発信や個人の口コミの情報で観光地がにぎわうというところもまさに今現在の状況であるというふうに思いますので、いろいろな公式なPRとか観光ガイドブックではなくて、こうしたSNSの有効活用、ユーチューブの有効活用といった部分にもぜひ着目をしていただいて今後取り組んでいただきたいと思います。もう一度、副大臣、お願いします。
  58. 橘慶一郎

    ○橘副大臣 大変貴重な御提案をいただきました。  ことしの復興庁事業の中でも、いろいろな事業者さんに参加をいただいてモデルコースをつくっていただく、あるいは、観光のPRにおいて今お話のあったような映像を使うとかあるいはSNSを使うとか、そういった取り組みのモデルコースもいろいろつくって実証実験をしていただいたりもしております。そういった取り組みを新年度も引き続き予算の中で続けてもまいりますので、今お話のあった提案も含めて、またしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  59. 小熊慎司

    ○小熊委員 政府が前面に立つのも重要ではありますが、こうした民間取り組みを支えていく、広げていくということも大事だと思いますので、これは地元の新聞ですけれども、後でお届けしますので、御参考にしていただきたいと思います。  また、教育旅行についても、まだまだ厳しいという認識は結構でありますが、これは一応、政府においては教育長、学校長等に要請をしているんだと。これは足りていないんですよね。実際、これは何の支援も受けていません。支援も受けていないんですが、地元の首長さんなり、あとはその観光地での民間団体が自費で各学校に回っている、もう一回来てくださいと。原発事故がなければ要らなかった営業経費です。そこには補助金も何も落ちていません。自分たちの努力で、かつて来ていただいた現地に赴き、やっていただいているというのもまた現実であります。  要請する、紙っぺら一枚で要請する、やっていますよ、そうじゃない。やはり現実に行ってもらわなきゃいけない。  この先週末の土日に、我が党の復興本部が岡田本部長を先頭に宮城県を視察してまいりました。私も、二日間は参加できなかったんですが、日曜日に塩竈また七ケ浜と回ってきたときに、塩竈の市長さんに涙が出そうな大変いい言葉をいただきました。修学旅行はなかなか戻っていないでしょうと。その市長さんが、でも、塩竈では、私がちゃんと行けと、会津にかつて来ていただいたので行ったらいいじゃないか、同じ被災地で助け合わなきゃいけないだろうと。やはりPTAの中には反対する人がいると言っていました。でも、その意見も賜りながら、行くんだ、行ってほしいと校長先生に言って、実際来ていただいています。  やはり文書一枚では無理ですよ。やりましたと、アリバイ的と言っちゃうと語弊がありますが、それでは物は動かない。だって、先ほどのいじめ問題でも言ったとおり、風評被害でも言ったとおり、何割かの人は理屈なく反対なんですもの。もっと積極的にやっていただかなきゃいけないし、実際、現場では何の支援もなしで自分たちの自費でキャンペーンで学校を訪ねているという現状を踏まえれば、もっとここは政府が、国が支援したり前面に出ていって、学校での理解、実施に向けた動きをしなきゃいけないんじゃないですか。
  60. 橘慶一郎

    ○橘副大臣 お答え申し上げます。  おっしゃるように、体をかけて実際取り組んでいる、あるいは決定をされている方々にやはり声を届けていくということが大事だというのは私も痛感しております。  全国のPTAの会長さんであったり、あるいは全国の教育長の出身の方であったり、そういったところからも含めて、私どもも体をかけるところは体をかけて、お願いをするところはお願いをしていかなきゃいけない、そんな思いで今取り組んでいるところであります。  PTAの方は、ことし、全国大会を仙台で、八月に行われるそうであります。そういったときに、また多くの全国のPTAの会長さん方が仙台を起点に福島も含めていろいろと見ていただく、そういったことでまた理解を深めていただく、そういったことを含めていろいろな動きが出てくるように、また私も体をかけて、微力ではありますが努力していきたいと思います。
  61. 小熊慎司

    ○小熊委員 PTAの中には、とりわけ大きな学校が実施できないんですね。ちっちゃい学校だと頑張りましょうといって意外とそれが動くんですが、大きい学校だと一割、二割というのも数として大きくなりますから。  そういう意味では、そういったものがあると踏まえつつ、容易ではないということを踏まえつつやってほしいと思いますし、いろいろなところで私も分を越えた発言をしますが、塩竈の市長さんもみずからこれをやっているわけですよ。であるならば、大臣、政務三役だけではなくて、我々国会議員一人一人も呼びかけてほしいと思います、自分の御地元で。  それが実施をされなくても議論してほしい、地域人たち、PTAの人たちと。必ずそれは反対する人が何割かいる、でも、まず議論から始めなければ、行ってください、はい、行かなかったで終わっちゃうだけですから。まさにこの福島の原発事故というのは国民全体の問題でもありますから、ぜひとも委員長初め議員各位、地域方々でしっかりと向き合っていただきたい。  そういうつもりでこの対応を今後も向けていただきたいわけでありますし、政府のわからないところで、支援策の横でそうした営業、キャンペーンをしている人たちに対しても、支援を今までしてこなかったけれども、今後どう支援できるか。風評被害対策、営業損害補償もやっていましたけれども、ここは欠けていた部分ですよ。営業損害だってこれから打ち切られて、まだ損害は続くと言っていながらですね。相当程度の因果関係がなければといったって、なかなか証明できないものはいっぱいありますよ。  でも、確実にこの事故が起きてから変わっている状況もありますから、ぜひ、目に見えない努力をしている点については新たな支援としてちょっと検討して、どう国が支援できるかもあわせて検討いただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  先ほども出た官民合同チームでありますけれども、その中で中小・小規模事業者の事業再開支援支援策があるわけでありますけれども、今は受け付けが三次まで来ているということもお聞きをしています。  大臣初め皆さん御承知だったのかどうかわかりませんが、最初に何千か事業所を回った人たちの中には、全員とは言いません、非常に使い勝手がいいよ、グループ補助金と同じようなものだと言ってふれ回っちゃったんですね。でも、実態はなかなか、補助金でそんなモラルハザードをしちゃいけないというのもありますから、実際そうした事件も起きてしまいましたし。そういう意味では、適正な説明もなされていた現場もありますが、一方で、適当な言葉かどうかわかりませんが、大風呂敷を広げてしまって説明していた実態もあります。  それによって地元では勘違いをして、勘違いをしたというか、間違った認識のもとに申請をしてみたら申請がおりなかった、何なんだといった不満もたまっています。誤解した方が悪いんじゃありません。丁寧な説明をしても相手がしっかり理解しなかったら、やはり説明が悪かったということです。  出だしが失敗をしたというか、つまずきました。この点について政府としては認識があったのか、現状を知っていたのかどうか、まずお聞きをいたします。
  62. 高木陽介

    高木大臣 今御指摘いただきましたように、官民合同チーム委員御存じのように、一昨年の八月にスタートさせていただきました。これも、ある意味でいうと、今までの霞が関の文化を変えるような発想でやらせていただきました。今まで、こういう補助金ができたときには、商工会議所ですとか商工会を通じながら事業者を集めて、こんな補助金があるよ、こういうような形でやりましたけれども、十二市町村で避難された八千の事業者の方々はそれぞれいろいろな事情を抱えておりますので、ここを丁寧にしっかりと回ろうと、個別訪問という発想をとりました。  八千の事業者に対しましてお手紙を官民合同チームから送らせていただいて、御返事のあった六千の事業者、その方々の中にはもう来なくていいよという方もいらっしゃいましたが、それから電話等でアポをとって、四千六百の事業者を今回っております。その後、一回だけではなくて二度三度と複数、二千八百の事業者を再訪問させていただく中でさまざまなお話をお伺いして、この補助金について御説明をしてまいりました。  認識があったかというと、今こうやって御指摘も受けましたし、またその前にもそういう話も聞きましたので、訪問するチームに対してしっかりと研修も今やらせていただいておりますし、やはり大切なことは、一人一人の事業者の方々が御理解をいただくだけではなくてしっかりと事業再生にいわゆる着手できるようにすることが目的でございますので、そういった部分では、これでよしということではなくて、今後も丁寧な、寄り添った形をやらせていただきたいと考えております。
  63. 小熊慎司

    ○小熊委員 出だしがそうした形でつまずいたということは認識があるということでありましたので、ぜひそこは丁寧に、今後はより一層、今後もではなく今後はより一層やっていかなきゃいけないということでありますし、やはり補助金ですからこれはそんな野方図にやるわけにもいかないんですけれども、聞いていく、いろいろな書類が出てくる、採択、不採択がある、不採択の中にも、残念ながら合致しなかったんだけれども、やはりこういうことをやらないと復活しないよねというようなものもあると思うんです。  そういう意味では、単に採択したものをやって支援していきますよではなくて、不採択の中にもいろいろな今後の対応に対するアイデアとか対応しなければいけない課題とかというのが詰まっているというふうに思いますし、今回のこの支援策だけでは救えない、支援できない分野が出ているのも事実です。そこをしっかりと見きわめて、この制度もしっかりと充実させていくこともあわせながら、これで救い切れなかった、支援し切れなかった部分についても今後しっかり対応していくことが必要だと思います。その点についてお答えをお願いします。
  64. 高木陽介

    高木大臣 今議論になっている中小・小規模事業者の事業再開支援事業、これは、御存じのように、二十七年度の補正予算で獲得させていただきました。これは実は、一昨年の八月に回り始めて、二千の事業者を回ったときに、グループ補助金みたいなグループではなくて個社に対して補助金をいただきたい、こういう話で、財務省との交渉でかなり難航しましたが、新たな補助制度をつくった。  しかし、この一年半回ってきて、今委員指摘のように、それでは救われない部分というのも見えてきました。次の段階は、新たな補助金、または補助金だけではなくてさまざまな形で支援体制を、例えば、一つの例を挙げさせていただきますと、今この官民合同チームの約二百人の中で五十人のコンサルティングチームをつくっています。この八千の事業所の中には例えば商店のおじいちゃん、おばあちゃんもいらっしゃる、その方々は補助金なんか申請したこともない、そういうような方々とも寄り添いながら、事業計画といってもなかなか、解除しても人が帰ってこないから、どうやって売ったらいいのか、販路の開拓ですとか、そういったソフト面支援も含めて丁寧にやっていくこと。  まだまだこれで十分だと私も思っておりませんし、最後最後まで寄り添って取り組んでいきたいと思います。
  65. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひその方向でやっていただきたい。スタートがマイナスから始まってしまった、誤解だったとしても、この認識のもとにこれからしっかりと対応していただきたいと思います。  次に、東電に御質問いたします。  これは、今答弁いただいた高木大臣に先日の予算委員会の分科会でもお聞きした点であります。  福島における県内の原発施設の全基廃炉というのは、県初め県内市町村、さまざまな意見書が提出をされております。一回だけではありません。県議会においても三たび昨年出されましたし、私の地元の会津若松市の市議会でも先日意見書が採択されたということを聞いているところであります。  第二の廃炉については今、我が党も全党に呼びかけて、第二そのまま狙い撃ちではありません、ちゃんと財産権や経営権に憲法上抵触しない形で、第二を含む法案も出させていただいているところであります。  これまでの政府答弁でも、東電の皆さんの答弁でも、第二については第一の廃炉のバックアップをしているんだと。ではそれは何ですかと聞いたら、そこでタンクをつくっているとか港を活用しているとかいうので、そこじゃなきゃいけない理由が見出せないんですね。  第二の原発施設が、施設がですよ、要員とかではなくて、施設そのものが第一の廃炉にどのように使われているんですか。お聞きいたします。
  66. 山口博

    山口参考人 お答え申し上げます。  福島第二につきましては、福島第一の近距離にあり、港湾を有している、さらには技術的な要員も常駐しているということもございまして、地点及び人的なリソースの両面から福島第一のバックアップとして貴重な存在として考えておりますし、通常物流が届かない福島第一への物流を運ぶための重要な拠点でもある、そういう意味合いも持ちまして、ここを活用しているということでございます。  以上です。
  67. 小熊慎司

    ○小熊委員 だから、今言ったとおり、施設そのもの、第二原発の施設そのものをどうやって使っているんですかと。地点は、違う意味でいえば、土地でいえば違うところだってあるわけですよ、あそこは使われていない土地がいっぱいあるわけですから。そうですよね。要員にしたって、人員配置で、人までは否定していないわけですから。その施設がどうなんだ、使われているんですかと。  先日の高木大臣の答弁では、モックアップ機能、モックアップは第一の五、六でやるんだと。あと楢葉にもこれをつくったわけですよ。足りなければもう一回つくればいいんです、モックアップ機能を。  第二が絶対条件という理由はどこですか。
  68. 山口博

    山口参考人 お答え申し上げます。  私どもとして一番大事なことは、福島第一の廃炉措置を円滑に進めていくこと、これが極めて重要な課題であり、最優先の課題であるというふうに認識しております。  したがいまして、ここの地点全体が我々の社員あるいは協力会社の皆さんも含めて円滑に機能を発揮できるようにしていくことが大事だという意味におきまして、ここの地点を活用しているということでございます。  以上でございます。
  69. 小熊慎司

    ○小熊委員 答えていないので。地点の話ですから、施設がどうなのかと今答弁していません。  時間もないから、次は違う形で、質問を変えますけれども、これは副大臣も踏み込んだ答弁をしていただきました。  御承知のところで、第二の第一号機が五年後に四十年を迎えます。順次、数年ごとに迎えていくわけです。  五年後に判断じゃないです、六十年へ延長するかどうかというのは。申請は一年前から十三カ月前にしなければいけない、それまでに特別点検を半年間かけてやらなきゃいけない。では、今定期点検も受けていない第二のことを考えれば、新基準に合わせようと思ったら、それなりの予算化をして工事して直さなきゃいけない。  そのスパンを考えるとやはり一年では足りない、二年以上かかるであろうということであれば、東電もあと一年かちょっとで、六十年ルールを申請するのか、四十年のところで終わるのかという経営判断をしなきゃいけないんですけれども、その点についても白紙だと言ってきていますね、いろいろなところで。優秀な職員さんがいらっしゃる東電において、あと一年ちょっとで判断しなきゃいけないのに全くの白紙ということがあり得ないんです。これは推測でしかありませんけれども。  高木大臣はいいことを言っていただきました。よく今村大臣も使われまして、いろいろな大臣も使っていますけれども、第二を東電はほかの原発と一種同列にはできないと。では具体的にどうと聞いたら、先日、高木大臣は法的には同列なんだと。これが現実ですよ。心情的に同列に扱っていないだけで、そうしたら、実際は具体的に何も動かないということですから、口だけの世界になっちゃう、言葉だけの世界になっちゃうんですね。  でも、現実、やはり四十年を前にこれをどうするかを判断しなきゃいけない、東電がしっかり判断しなきゃいけないというのは高木大臣に先日言っていただきました。その時期がもう迫っています。  今この現時点においても四十年を六十年へ延長するかどうかというのは判断されていないのかどうか、まず確認します。
  70. 山口博

    山口参考人 お答え申し上げます。  福二につきましては、運転の延長の可能性につきましても現時点におきましては未定でございます。したがいまして、今後、総合的に皆様の御意見等も踏まえた上で検討を進めたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  71. 小熊慎司

    ○小熊委員 総合的に皆さん意見というのは、政府のエネルギー計画とか、福島県の地元の我々の答えはもう出ていますから、検討すべきいろいろな材料はそろっているんですよ。あと一年ぐらいのスパンでやらなきゃいけないのに、今の白紙と言っていること自体が、東電の側に立てば第二も第一の重要な役割を担っている、廃炉を担っているというのであれば、あと一年後に判断しなきゃいけないときに、何も考えていません、白紙ですということ自体が、第一の廃炉は考えていない、あなたたちの論理に乗っかればそういうことになるんですよ。  第二がなくなったら、その機能を別個に持たなきゃいけないんでしょう。そうですよね、東電の側に立てば、第二が第一の廃炉に役立っているというのであれば。
  72. 吉野正芳

    吉野委員長 小熊先生、申し合わせの時間が来ていますので。
  73. 小熊慎司

    ○小熊委員 はい。そういうことであれば、これは今後もやっていきますから、第二の明確な施設の利用の理由と四十年、六十年の判断、今後はしっかりと検討して答弁いただきたいと思います。  ありがとうございました。
  74. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、金子恵美さん。
  75. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。  きょうの読売新聞の一面に大きな記事がありました。いじめの問題であります。福島の避難をされているということでのいじめ、独自の調査をしたということですけれども、四十四件あったと。  本当に、先ほど来このやりとりを見ていて、そして聞いていて、いろいろな取り組みをしていて、ふるさとの再生のために心を一つにしている、そういう状況であるというふうに信じたいんですけれども、でも一方で、やはり風は厳しいんだなと改めて感じています。  その中で、やはりこのふるさとの再生を阻むような、そういう事件がありました。大変残念なニュースが入ってまいりました。先ほどもお話がありましたけれども、環境省の出先機関、福島環境再生事務所の専門官が収賄容疑で逮捕されたということでありました。  先ほども伊藤大臣から御答弁はあったんですけれども、改めて、この福島環境再生事務所が担う除染中間貯蔵施設の事業などは、福島再生復興に不可欠な事業です。そして、地元皆さんの理解と協力がなければ進められないものであります。今回の事件で、地元皆さん信頼を失う、そういう結果となったというふうに思います。  その信頼回復のためにどのような取り組みをしているのか、そしてまた、さらには、絶対にあってはならないことでありますけれども、この再発防止対策をどのようになさっているのか、改めてお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
  76. 伊藤忠彦

    伊藤大臣 お答えを申し上げたいと存じます。  改めまして、本当に、福島皆様方及びこうして六年余にわたりまして復興に取り組まれている多くの関係者皆様、そして国民皆様方信頼を大きく揺るがせるような事態が生じてしまったことについて、深くおわびを申し上げる次第でございます。  福島環境再生事務所が行っている除染、そしてまた中間貯蔵施設の事業は、ただいま委員からお話がございましたとおり、福島再生復興に不可欠な事業でございまして、これは、地元を初め関係する皆様方の御理解と御協力なしには進められない事業でございます。それにもかかわらずこのような事態を招いたことについては、極めて残念であり、反省するしかない事態でございます。  環境省といたしましては、基本的に、まず捜査に全面的に協力するとともに、当該職員につきましては、今後の司法当局の取り調べ結果などに基づき、厳正に対処をいたしたいと存じます。また、こうした事態を踏まえまして、改めて綱紀粛正、適正な事務執行に取り組んで、信頼回復に努めてまいりたいと思っております。  三月の二日に、大臣と次官から、福島県知事及び浪江町の町長さんにお電話をさせていただきまして、まず事の御報告とおわびをさせていただきました。そしてまた、次官が三日に福島県及び浪江町に直接足を運ばせていただきまして、おわびを申し上げたところでございますとともに、福島再生の事務所に行き、職員に訓示をさせていただいたところでございます。  職員教育の問題等、これからもう一度しっかり見直していかなければならないというふうに認識をいたしておりまして、この職員教育等につきましても、倫理規程の遵守等について個別指導を行うようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、こうした問題が二度と発生しないように全力を尽くし、皆様の御信頼の回復に向けて環境省として取り組んでまいりたいと思っております。  なお、こうしたことがございますけれども、この除染事業につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたとおり、きちっと期日までに間に合うようにまた全力を尽くそうということにさせていただいております。  以上でございます。
  77. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 ありがとうございます。  しっかりと再発を防止していくということではあります。そしてまた、こういう事件があったからといって復興がおくれることがないように、除染そして関連事業等がおくれることがないようにということをおっしゃっていただきました。  しかし、残念ながら、例えば中間貯蔵施設事業についてはもうおくれているわけです。まだ土地取得、契約は二〇%ぐらいだということでありますので、これをもっともっとしっかりと前進させていかなくてはいけないわけでして、特にこの中間貯蔵施設の関係であれば、本当に信頼構築にも今まで大変な努力の積み重ねがあったというふうに思います。今回のことで環境省のイメージというのはすごく悪くなっていると思うんです。  ですので、大臣、副大臣そして政務官のそれぞれのお立場はあると思いますけれども、しっかりと丁寧な対応をしていっていただきたい、誠実に、そして誠意を持った対応をしていただきたいというふうに思っています。  もう一言、いかがでしょうか。
  78. 伊藤忠彦

    伊藤大臣 大変我々は今回のことについて深く責任を痛感させていただいております。  そしてまた、ただいまお話がございました中間貯蔵施設につきましても、とはいえ、大勢の皆様方の御理解をいただきまして、実は土地取得も、今となりましては少し順調に進んでおる状況ではございます。二十八年度に運び込みたいと思っておりました十五万立米につきましては、二月の十六日の日に運び終えさせていただきまして、次は五十万という数字に向かってまいりたい。  しかし、これも、やらせていただいている地域皆様方にとっては、大きなトラックがどんどん走りますし、御心配をおかけすることはたくさんございます。そうした心配をかける作業を目前にしてこうしたことが起こったわけでございまして、先生御指摘のとおり、環境省信頼を落としておりますので、ぜひ御信頼をいただいてこのような作業がきちっとできますように我々も心配りをしっかりさせていただきたい、こう思っております。どうぞよろしくお願いいたします。     〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。  福島県民としても、繰り返しになりますけれども、本当に誠意を持った対応をしていただきたいとお願い申し上げます。  復興の現状についてどのような御認識をお持ちかということを、改めて今村大臣にお伺いしたいと思うんです。  福島県は、今もなお約八万人の方々が避難されているという状況にあります。既に帰還困難区域を除いて避難指示が解除された楢葉町、葛尾村、田村市、川内村、広野町、南相馬市は、ふるさと再生のためにさまざまな課題に取り組んでいるということでありますが、その一方で、またこの春には、飯舘村、浪江町そして富岡町が解除ということで動いています。これらの自治体も新たな課題を持つことになっていくというふうに思います。  こういう状況の中でも、イノベーション・コースト構想を上げたり、そしてまた風評被害との戦いをするいろいろなイベント等の開催もしている。ただ、先ほども申し上げましたように、一方ではいじめというものもまだまだ残っていて、そしてさまざまな闇という部分もあるということです。  いわば光と影があるこの復興状況、どのような取り組みをこれからもしていかなくてはいけないか。両面のサイドからしっかりと見ていかなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 今村雅弘

    今村国務大臣 今委員がおっしゃったように、福島復興関係については、いろいろな角度から、またいろいろな状況があることはよく承知しております。  まず第一に言いますと、やはり、第一原発の廃炉あるいは除染土処理等々、これは中長期にわたる大変な課題であると思っておりますし、しっかりと腰を据えて取り組むことが必要だ。そしてもう一つは、心ならずもふるさとから避難されている方、あるいは仮設の住宅に入っているような方等々、そういった方へ寄り添って、そしてしっかりとケアをしていくということ、これも極めて大事なことであります。  その上で、今、復興道路でありますとかいろいろなインフラ整備は着々と進んでおります。そしてまた、イノベーション・コースト構想もかなり具体化しているわけであります。こういったことも着実にこれからやっていかなきゃいけない。  もう一つは、ふるさとに帰ろうよ、そして帰るためのいろいろな環境整備等々をぜひやらなきゃいけない。それには、ある意味では時間との戦いのようなこともあります。やはり、長引けばどうしても避難先に住みついてしまうというようなこともあるでしょうし、そしてまた、ふるさとが少しずつ寂れていくと今さら帰ってもということになるわけであります。  ぜひ、そういう意味では、最後に申しました、どうやってふるさとに帰るかということの環境整備等々をしっかりやっていかなきゃいけないわけでありまして、これも先ほどから言っておりますが、いろいろな、教育とか医療とか商業施設とかそういったものの整備、あるいは道路等の整備を含め、そしてそこで仕事ができる働き場づくり、そういったこともしっかり取り組んでいくということであります。  こういったものは非常に緊急を要する対策でありますから、先ほど言ったいろいろな風評被害等々の対策も含めて、これは喫緊の課題として全力をかけて取り組んでいきたい。そのために、今回も特措法の改正もお願いし、そういった要素をしっかりと織り込んでいるつもりでございます。
  81. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 今おっしゃっていただいたように、避難指示の解除の準備もあるし、そしてまた、新たな課題に向けての特措法の改正ということも進めているということでありますけれども、例えば、避難指示が解除されても当然直ちに帰還できるわけではない、帰還の意向があっても希望をかなえることができない人たちもたくさんいるということをしっかりと認識していなくてはいけないというふうに思います。  特に、例えば、南相馬市の小高区、原町区の一部は今一五・二%帰還、田村市の都路は七二・一%、楢葉町は一〇・七%、川内村六九・一%、葛尾村八・八%、広野町六八・七%ということで、帰還が進んできたところと進まないところと、それぞれの事情も違っているというふうに思います。  繰り返しになりますが、帰還するかどうかの選択をする中でも、まずは、帰還を望んでいても、生活環境整備されない状況にあって帰還できない状況にある方もいれば、あるいは、生活環境整備されていないので帰還するかどうかという決定をすることができない、つまり判断をしかねている人たち、やはり生活環境整備のおくれに不安を感じ、そして判断をしかねている人たちもいるのではないかというふうに思います。  そういったところで、やはり避難指示解除後の生活環境整備、今もまさになされているわけです。避難指示解除に向けてなされているけれども、さらに進めていかなくてはいけないというふうに思っているところでありますが、その取り組み状況はどうなっているのか。特に、私は、住宅の確保とか、そして公共交通手段の確保とか、医療福祉サービスの充実、こういうことは大変重要な部分だというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  82. 今村雅弘

    今村国務大臣 まさに今委員が言われたように、これはまず、ふるさとにぜひ帰りたい、帰るぞ、そういう強い意思を持ってもらうことが私は一番大事だと思います。  その上で、しかし、そうはいっても、なかなか帰るだけの条件が整っていないじゃないかという問題もあるわけでありまして、ではどういうふるさとづくりをしたらいいのかといったようなことがこれから大きな課題になるわけでありまして、その辺は、避難している方の御意向を聞いたり、あるいは、地元のまちづくりに携わる行政の人等々の意見もしっかり聞きながら、よくマッチングをしていくように今後進めていく必要があると思います。  その上で、今、住宅等々の課題もそういったいろいろな条件整備の一環ということでありまして、できるだけ弾力的な運用をして、そうやって帰還しやすい環境づくりをしっかりやっていくということで、これはよく地元皆さん方とも、行政の皆さんとも相談しながら進めていきたいというふうに思っています。
  83. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 住宅については具体的にどのような対応をしていただけるんでしょうか。  例えば、楢葉町では、解除から一年半たっても一〇%の帰還率なんですけれども、三月の一日に県が発表した県の住まい意向調査というものがございます。平成三十年三月末で仮設住宅や借り上げ住宅の無償提供が終了する楢葉町の避難者を対象にしたこの意向調査でありますけれども、回答した千百四十九世帯のうち、六百六十五世帯、五七・九%が町内に帰還するというふうに答えていらっしゃるんです。  しかし、この楢葉町に戻りたい六百六十五世帯のうち、住まいが決まっている方々というのは四百七十三世帯、七一・一%はありますが、一方で、決まっていないと答えている方、百九十二世帯で二八・九%ということなんです。三割は決まっていません。その住まいが未定の理由は、自宅の修繕が必要である、適当な住宅が見つからない。自宅の修繕が必要であるというふうにおっしゃっている方々の中で、やはり自宅の修繕は二、三年待ちの状態であるということなんですね。  ですので、そうなりますと、これから、一部の町民の皆さんは、平成三十年四月以降も、仮設住宅でお暮らしになるのか、借り上げ住宅でお暮らしになるのか、そういう対応をしなくてはいけないのか、あるいは、国として、直接的な支援をしっかりと受けて住まいを確保できるのか、そういうことをしていただかなくてはいけないという状況にあるんです。  こういった不安感、こういうまだ決まっていない、本当に自分のふるさとに帰還をしたいという思いはあっても、住宅が決まらない、住まいが決まっていない人たちというのがこれだけいるという状況、やはりこれは復興の影の部分だというふうに思うんですが、ここにしっかりと対応していくことこそが重要だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  84. 今村雅弘

    今村国務大臣 まさに今委員がおっしゃったような状況があるわけであります。  そういう意味で、住宅支援等々につきましては、例えば整備費については、通常は四分の三のところを八分の七国が支援します。あるいは家賃の低廉化でも、二十年間八分の七低廉化します。そして特別家賃低減についても、漸減はありますが、十年間四分の三、そういったことは既にあるわけであります。  問題は、さっき言ったように、では、帰ってくるから、帰ってくるだけの、それだけの住宅はそろっているの、あるいはそういうことがありますね。しかし、そこの非常にマッチングというのが、さっき言ったように住宅だけの問題じゃないものですから、どの程度の、働き場があるなら戻るよとか、あるいは医療関係がどうなったら戻るよとか、そうじゃなきゃ戻らないよという、全体を組み合わせた中での帰還の判断ということになりますから、住宅だけではなくて、いろいろなそういった諸条件をどういうふうに整備すればいいのかということを、やはりきめ細かく、こうやって避難している方々の意向も聞きながら、それに合わせた整備をしていく。  言ってみれば、まさにお互いに相補う関係になってくると思いますので、そういったことをよく意向を聞きながら丁寧にやっていきたいというふうに思います。
  85. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 済みません。今おっしゃっていただいたように、家賃の補助とかそういう対応はある。それで、今、私が申し上げたような、家の修繕もできない状態にある、つまりは、人とそして資材も足りないという状況なんですね。それに対してもしっかりと認識を持った対応をしていかなくてはいけないと思うんですが、いかがですか。
  86. 今村雅弘

    今村国務大臣 そういったことも含めて、さまざまな見地からそういう対応をしていきたいということであります。  特に、家の修繕云々については、非常に人手不足、そしてまた、そういう山の中だ何だになってくると、やはりどうしても工賃等が高くなってくるんですね。そういった問題点は、意識はちゃんと町当局等々も我々も持っておりますので、今後具体的にどういうお金をそっちに少しでも運用しながらやっていくかということも、これから考えていかなきゃいけないなというふうに思っています。
  87. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 具体的にぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。  せっかく、なかなか帰還が進まない楢葉町ではあるけれども、それでも戻りたいというふうに決めている方々が、住まいもない状況である。待ち続けて、そして、最終的にはその方々が本当に、もう帰還しなくてもいいという判断にまた変えてしまうという状況になってはいけないというふうに思います。待ち続ける人たちはいつかは心が折れてしまうのではないかと私は心配もしています。ぜひしっかりとした御対応もいただきたいというふうに思います。  これは本当に国として、この状況を、しっかりこういうところを認識していないと、生活環境整備事業をやっています、いろいろな課題をしっかりとクリアしていくんだということを先ほど来おっしゃっているんですけれども、やはり、本当の生活の場、そして家族と一緒にいられる場、それの確保をするというのが一番最初にしなくてはいけない部分でありますので、ぜひ具体的な検討を進めていただきたいというふうに思います。  そしてまた、被災地の中では、公共交通に依存するといいますか、頼りにされる高齢者の方々等も多くなっているわけですが、やはり帰還をするというふうに決めていらっしゃる方々の中では、大変人生の先輩である高齢者の方々が多くなっています。そうであれば、その方々のしっかりとした生活の足の確保というのは重要な課題であります。  国は、地域公共交通確保維持改善事業というものを持っていまして、これまでは地域間輸送とか地域内輸送とかそういうもので対応もしていましたけれども、改めて、避難指示が解除した後の地域の中での公共交通の確保というものはこれからどのようになさっていくのでしょうか。これは特措法の中にも盛り込まれていくものというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 今村雅弘

    今村国務大臣 こういった交通機関の整備というのも、私が先ほど言った帰還に向けての条件整備一つだというふうに位置づけて、我々も考えております。  具体的には、これからもいろいろなアイデアが出てくるんでしょうけれども、いわゆるバスとかあるいはジャンボタクシー、そういったものをできるだけ機動的に運用するような仕組みもこれから考えてありますし、そして具体的な予算も、例えば、難しい名前で言いますと、被災地地域間幹線系統確保維持事業ということで、これは約十三億六千万円ほど二十九年度の予算で組んでいるところであります。  こういったことをさまざましつらえをして、ぜひ環境整備に努めたいと思います。
  89. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 今大臣がおっしゃっていただきましたのは、私が申し上げました地域公共交通確保維持改善事業の中の一つである地域間輸送の補助対象にもなっている、東日本大震災被災地域における応急仮設住宅経由系統ということでよろしいですか。
  90. 今村雅弘

    今村国務大臣 はい、一例として申しました。
  91. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 そうしますと、これはあくまでも応急仮設住宅経由ということになっているように見えるんですけれども、今ほど申し上げている、例えば楢葉町の中で、避難指示はもう解除されています、その中で、特に仮設住宅がない地域の中で新しく住宅にお住まいになる方、あるいは自宅に戻られた方々も含めて活用できるような、そういう地域間の公共交通をしっかりと支えていくという仕組みづくりのためにこれが使われるということでいいんでしょうか。
  92. 今村雅弘

    今村国務大臣 先ほどちょっと説明不足でありましたけれども、例えば十二市町村内の災害公営住宅を経由する地域間輸送、そういったものについても平成二十九年度予算から追加をしています。
  93. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 では、災害公営住宅でなければならないということですか。
  94. 今村雅弘

    今村国務大臣 今のところ、一応そういう考えでおります。
  95. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 それでは、ぜひこれは柔軟な対応ができるように検討していただきたいと思うんです。必ずしも災害公営住宅を経由しなくても、それぞれの地域の中で、避難指示が解除された地域の中で公共交通の手段のしっかりとした確保をしていくことができるような仕組みというのをつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  96. 今村雅弘

    今村国務大臣 ですから、これも先ほどから言っていますように、どういうニーズがあるのかということをよく地元皆さんとも相談をしながらやっていくということであります。
  97. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 それでは、そのニーズに合わせた形での御検討をいただきたいと思います。  そしてまた、ちょっと公共交通手段の部分でさらにおただししたいと思いますけれども、ちょうど、富岡町の役場庁舎の件であります。  富岡町の役場が町内で再開したということであります。今、富岡町も避難指示解除に向けて本当に前向きに頑張っているというところではありますけれども、富岡町では、避難指示解除後も、住まいが町外にある多数の町の職員の方が役場に遠距離通勤することになるということであります。  職員向けのバスの運行が六日から始まったということでありますけれども、例えば、町外というと郡山であるとか、郡山から役場のある富岡町まで通うと遠距離通勤になるということでございます。二時間半ぐらいかかるということですけれども、状況によってはやはり心身のケアもしっかりとやっていかなくてはいけないというふうにも思います。  一方で、このようなバスを出すということでありますけれども、交通手段の確保という点で、支援はなされているんでしょうか。
  98. 今村雅弘

    今村国務大臣 まだ、その辺についての状況がどうなっているのか、私どもは聞いておりません。  ただ、今言われたように、二時間以上もかかって行くというのは大変な状況でありますので、どういうやり方がいいのかを含めて、町の責任者の人たち等を含めていろいろ相談をしていきたいと思います。
  99. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 大変幅広の質問をしてしまって大変恐縮ではありますけれども、町内で公共交通の手段をどういうふうに確保していくかということと、そしてまた、今言ったように、避難先とふるさとと、どのような形で公共交通の手段を確保して、そして行き来ができるような体制を整えることができるのか、これは二つの角度から質問させていただいています。  でも、いずれにいたしましても、しっかりとふるさととのきずなを持ち続ける、そのために何ができるかということの観点から質問させていただいていますし、特に今の富岡町について言えば、職員の方々が遠距離通勤をする上でどのような形での支えをするかという点ですので、ぜひ、しっかりと調査をしていただくなりして、前向きな御検討をしていただきたいというふうに思います。  それから、今申し上げましたこれにちょっと関連しますと、職員の方々の心身のケアというのはとても重要になってくると思いますので、本当にバスの中でリラックス、二時間半の中でリラックスができればいいんですけれども、そういうわけにはいかないというふうにも思いますので、その点についての配慮というのも必要になってくるんだというふうに思いますし、それをつけ加えさせていただきたいと思います。  そしてまた、避難指示を解除した自治体内では、やはり医療福祉サービスの充実、これが重要になっていますが、現段階でどのような対策を進めていらっしゃるでしょうか。
  100. 今村雅弘

    今村国務大臣 これも先ほどから言っていますように、医療、福祉、あるいは教育等々は、生活環境の充実ということで非常に大きな要素を占めているわけであります。  そういう意味で、こういったことに必要な予算等々は二十九年度の予算でも組んでおります。幾つか申しますと、例えば、相双地域医療機関再生支援で百十四億ほど、避難先地域の医療提供体制の支援で三十六億ほど、それから、医師の育成、資質向上等々、そういった医療従事者の確保支援で八十五億ほど組んでおります。また、介護サービス等々についても施設の復旧補助金等々を組んでいるところであります。
  101. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 影の部分を申し上げたいと思います。  看護師とか介護士の、人がとにかく不足している状況というのは大変な状況にあるというふうには思うんですけれども、特別養護老人ホームを再開すると赤字になるのではないかというふうに迷いを持っている、そういうホームがあります。それは、再開のめどがとにかく立たないということなんですが、南相馬市小高区の特別養護老人ホーム梅の香です。  定員は六十床ですけれども、再建するなら、職員数の確保の見込みによって、二十人の入所者での運営というのが恐らく限度になるということであります。しかし、二十床では、入所率が一〇〇%で計算しても入所者の数がとにかく少なく、利益にはならないということです。反対に、利用料の収入から人件費と光熱費などを差し引けば、年間四千万から五千万円の赤字となる計算になるということで、このホームは残念ながら今再開のめどが立っていないという状況にあります。  そうしますと、解除されている小高区の中でも、やはり安全、安心の確保という点で、頼りにしたい、そういうホームが必要だというふうに帰還した住民の皆さんは思っていらっしゃると思います。実際には、帰還した住民の半分は六十五歳以上ということでありますので、一言で言うと、その高齢者の方々の言葉をかりれば、お世話になれる、そういう施設が必要だということでありまして、再開を望んでいる方は多いんですけれども、しかし、こういう現状があります。  この運営補助については制度化がなされているのでしょうか。
  102. 橘慶一郎

    ○橘副大臣 お答え申し上げます。  今のところ、被災地域における介護サービス再開支援のための施策の方で、社会福祉施設等災害復旧費補助金ということで、再開準備経費の補助をすることにしております。  ただ、今委員いろいろお話がありますように、この地域において、これから実際、事態がいろいろと変化していく中で、さまざまな問題、例えばショートステイとかデイサービスとかいろいろなことを含めて、介護の問題、いろいろあると思っております。医療、介護、こういったことを含めて、厚生労働省さんの方でプロジェクトチームをつくっていただいて、この事情を把握しながらまた手を打っていくということも考えたいと思っております。  また、先ほどお話にもありました職員のこういったことについても、やはりステージによってだんだん動いていく、例えばその職員の方がバス通勤が続くのか、あるいは町内において住宅等を確保していくような形に変わっていくのか、これはまたお一人お一人の御判断もあると思っております。  こういったことについて、どうしても最初から制度という形で固められない部分もありますので、事態をいろいろ聞かせていただいて、また実情もお伺いをしながら、しっかり対応していきたいと思います。
  103. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 ありがとうございます。ぜひ現場の声を聞いていただきたいというふうに思っております。  先ほどありますけれども、医療福祉サービスをしっかりとやっていく、それが生活者の視点でいえばとても重要な観点で、そしてその上で、帰還するかどうか、そういう決断をする方もいらっしゃるというふうに思います。帰還するかどうかを決める、そういう材料になっていくのがこういうサービスでありますので、ぜひ柔軟な対応ができるような仕組みづくりというのをしていっていただきたいというふうに思います。  次の質問に行かせていただきます。  福島避難者数の関係質問させていただきたいんですが、三月一日に福島県が発表した福島県からの県外避難者の数というのは三万九千五百九十八人ということでありますが、この数字は少しずつ減少しているということです。しかし、全ての都道府県に今もなお福島県民が避難している状況にあるというのは変わりません。  この数字の減少についてはどのように捉えていらっしゃるでしょうか、お伺いします。
  104. 今村雅弘

    今村国務大臣 これは個々の皆さん方の事情ですから、余り無責任なことは言えないと思いますが、総括的に見た中では、福島にもう既に帰還された方もいらっしゃるわけですね。それから、もう帰らないよということで、そういうふうに決められた方もいる。そうなってくると、この避難者の数というのは減っていくというふうに思っています。
  105. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 おっしゃるとおりでありまして、もう戻ってきた方もいるかもしれない、しかし、もう戻るということすらも諦め、あるいは御自分の意思で避難先に定住するということをお決めになった方々もいるんでしょう。復興庁の方にお伺いしたときに、この数字の定義という明確なものはないのだけれども、みずからが避難者である意識を持ち、そして福島に帰る意思を持っている人というふうに伺いましたので、そういうことなんだと思います。  そうしますと、反対に、この数字がただ単に減っていったからといって喜んでいいのかということもあります。つまりは、もう福島に戻らない、これから、定住は決めてはいるけれども、やはり福島県民としての思いは持ちつつ、ふるさとへの思いは持ちつつも、第二のふるさとでお暮らしになっていらっしゃる方もいる。そういう方も含めて、やはり一生涯福島県民でいていただきたいというふうにも私は思っています。なぜならば、この原発事故がなければ、第二のふるさとを持つ必要がなかった方々だというふうにも思っています。  ですので、そういう方々に対しましての継続した支援というのもこれからもやっていかなくてはいけないというふうに思いますし、また、その中には自主避難をされている人たちもいるわけでして、そういう方々に対する支援をどこまで継続できるかというところをしっかりと考えていただきたいとも思うんです。  住宅の支援打ち切り後の住まいがまだ決まっていないという人たち、自主避難されている人たちもおいでになります。同じ県民として放っておくわけにはいきません。当然、福島県として、住宅支援打ち切り後の引っ越し費用の補助など支援策も進めているところではありますが、住まい自体が決まらず、途方に暮れている人たちもいるのではないかというふうに思います。  そういう方々への支援について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  106. 今村雅弘

    今村国務大臣 それぞれ、個々人の方々の家庭の事情等々あるかと思います。そういう中でも、この住宅の補助の問題等については、これは自主避難者の方もそうでない方も、いろいろいるわけでありますが、できるだけの個々の事情に応じた丁寧な対応を福島県を中心にやっていただくということ、そして、我々もそれをしっかり見守っていきたいということで対応していきたいというふうに思っています。
  107. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いいたします。  最後になりますけれども、今回、福島復興再生特措法の改正案には、帰還困難区域除染を国費で行うことや特定復興再生拠点区域についても盛り込まれているわけですけれども、この復興拠点、どういうものになっていくのかということを明確に今示すことはできないかもしれませんけれども、当然、しっかりとそれぞれの自治体の声というのを反映させていただきたいというふうにも思っていますし、それが恐らくその計画の中には反映されていくんだというふうにも思っています。  そのことと、そしてもう一点お伺いさせていただくんですが、今回、帰還困難区域について、これだけの内容が特措法に盛り込まれているんですけれども、帰還困難区域津波瓦れきの処理についての方針というのはまだ明確に示されていないんですが、その点についてはどのようなお考えを持っているんでしょうか。
  108. 今村雅弘

    今村国務大臣 復興拠点に指定されれば、そこは国費でもってやりますということは、法案の骨格として、考え方として持っております。  それ以外の地域の瓦れきの処理等々については、これは従来のスキームをそのまま適用するしかないわけであって、そうはいっても、ほったらかしにはできないので、例えば草刈りであるとか、そういった生活に非常に、どうしてもというようなところについては、今までやってきたようなことでやっていくことになると思います。
  109. 金子恵美

    ○金子(恵)委員 時間が参りましたので終了させていただきますけれども、ぜひ帰還困難区域のビジョンというものをもっと明確に示していただくようにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  110. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、郡和子さん。
  111. 郡和子

    ○郡委員 民進党の郡和子です。  私たち民進党の復興本部は、岡田克也本部長を先頭に、この間、被災地を視察させていただいております。定期的に回らせていただいておりますけれども、この四日、五日、土日は宮城県の沿岸部を、かなりの距離になりましたけれども、回らせていただきました。十一日で震災から丸六年が経過します。土日も、一足早い七回忌法要なども行われていました。改めてですけれども、課題の解決に向けて取り組んでいく決意というのを新たにしたところでございます。  では、質問に入らせていただきます。  まず、復興のために全国の自治体から応援職員が派遣されているわけですけれども、岩手、宮城、福島三県の三十九の市町村の九五%に当たる三十七の市町村がこの応援は二〇一七年度以降も必要だというふうに、継続を強く望んでおられます。それぞれの自治体でいつまで職員の派遣が必要なのかということを共同通信が聞いたということですけれども、最も多かったのは二〇年度ごろまでというふうなことだったそうです。震災から丸六年がたっても深刻な職員不足が続いているということです。  気仙沼の菅原市長さんが、一緒にお話を聞かせていただいたんですけれども、働き方改革が言われ、長時間労働についても考えていかなくちゃならないんだが、何とも頭が痛いところだ、そんなふうに胸のうちを明かしてくださいました。  実際、被災した自治体が派遣を望んでおられても、全てが実現するわけではありません。一六年度に受けた応援職員数、二十四の市町村でまだ足りなかったというふうに答えておられて、その数は二百四十人に上っています。ですから、その分、被災地の職員というのは一人一人に過重な負担が強いられているわけです。  復興事業が今もピークであり続けていて、職員不足に対して国として一段と力を入れていただきたいというふうに思います。  そこでなんですけれども、改めての確認になりますけれども、被災地支援のための職員の採用、派遣についてどのようなスキーム、メニューがあるか、教えてください。
  112. 関博之

    ○関政府参考人 お答えいたします。  被災自治体の職員不足対策、マンパワーの確保、大変重要な課題でございます。  そこで、具体的な現在のスキームでございますが、まず、総務省などの関係省庁や全国知事会、市長会、町村会の御協力によりまして、全国の自治体から職員を派遣いただくという仕組みがございます。また、被災自治体の方みずからも任期つき職員の採用に取り組むという形がございます。これらの応援職員あるいは任期つき職員の人件費などについては、全額国費で支援をしております。  加えまして、復興庁におきましても、行政実務経験者、民間実務経験者、青年海外協力隊の帰国隊員などを、一般公募によりまして、国家公務員の非常勤職員などとして採用しております。被災自治体に駐在していただいて、復興業務を直接支援するなどの取り組みを実施しているということでございます。  今後とも、総務省などの関係省庁や地元都道府県、市町村などとも連携しまして、さまざまな手法により、それぞれの地域の実情に応じた人材確保に取り組んでまいりたいと考えております。
  113. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。改めて確認をさせていただきました。  きょう資料を配付しておりますけれども、一枚目は、宮城県の総務部が出している、仙台市を除く沿岸十四の市町の不足の数であります。宮城県だけで百四十七人が足りていないというふうになっています。ハードの土木職だけじゃなくて、最近では、なりわい支援を行う事務職も不足しているのがわかると思います。  熊本や鳥取地震を初めとした自然災害での復旧事業に人材を充当せざるを得ないという事情もわかりますし、それぞれの自治体も職員をスリム化している動きもありますけれども、六年たって人的支援が細っていくことをとても心配しております。復興は道半ばだというふうに思います。  今御説明のあった、さまざまなスキームで採用された人たちに大変この間も頑張っていただいていることに感謝をするわけなんですが、ちょっと気になっていることがあるんですね。  さまざまな自治体が独自に期限つきで職員を採用して被災地に派遣していただいている場合は、災害派遣手当が支給されております。復興庁で採用して被災地に送っていただく方々には、どうやら災害派遣手当は支給されていないようでございます。もちろん、当該自治体が採用した復興支援のための職員にも支給されておりません。  そこで、災害派遣手当の概要と、手当、日当について教えていただきたいと思います。
  114. 杉本達治

    杉本政府参考人 お答えいたします。  災害対策基本法第三十二条に基づきます災害派遣手当は、災害応急対策または復旧のため、地方公共団体等の職員が派遣により住所または居所を離れ、派遣を受けた地方公共団体の区域に滞在することを要する場合に、派遣を受けた地方公共団体が支給するという手当でございます。  手当の金額につきましては、災害対策基本法施行令におきまして、総務大臣が定める基準に従い、地方公共団体の条例で定める額とされているところでございます。  その総務省の基準におきましては、公用の施設またはこれに準ずる施設に滞在する場合は一日につき三千九百七十円、その他の施設に滞在する場合は、三十日以内の期間では六千六百二十円、三十日を超えて六十日以内の期間では五千八百七十円、六十日を超える期間では五千百四十円となっているところでございます。
  115. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。  復興へ貢献したいということで、家族から離れて単身で被災地に赴き、同じ職場で、同じような年齢で、同じようなスキルを持ちながら、当該自治体採用の職員と他の自治体採用で派遣された職員との間に給与の差が開いていくわけですね。このことは、被災地の自治体が採用する、これは当該自治体に御在住になっている方々だけではありません、そういうふうな方々の採用を難しくしている面もありますし、また職員同士のやる気、チームワークにも深くかかわってくることも心配をされているわけです。  ぜひ、是正策として、国が前面に出るということができないのかどうか。宮城県からもこの間ずっと、復旧復興業務に従事する任期つきの職員については国で一括採用して派遣する制度の創設、これは何を意味しているのか、一括採用で派遣をするということにはさまざまなことが含まれると思うんですけれども、重点項目として要望されているわけです。できないとすれば、その理由は何でしょうか。
  116. 今村雅弘

    今村国務大臣 これは、マッチングの問題も一つあります。もちろん、人材がなかなか集まらないという需給の問題もあるわけでありまして、特に前段のマッチングになってくると、今でもいろいろな全国の自治体から応援に行ってもらっている方もいる。あるいは、被災自治体が実情に応じて採用している人もいます。それから、復興庁から非常勤職員として出している人もいる。いろいろな形があります。  それは、それぞれの地域の事情、あるいはまたそこに応募される人の能力、あるいは向き不向き、そういったものであわせてこういうことが今成り立っているわけであって、それを一括して国が採用して云々ということ、これをまたそれぞれのニーズにマッチングさせて採用するというようなことは非常に難しいと思います。  そしてまた、仕事の内容も刻々と変わっていきます。派遣される場所もまた必要に応じて変わっていくわけでありますから、やはりこの辺はそれぞれの自治体で頑張ってもらう。それについてのいろいろな、足らざる指導なりなんなりが必要だということであれば、我々としてもしっかりと応援をしますという形でやっていくしかないんじゃないかなというふうに思います。
  117. 郡和子

    ○郡委員 今、今村大臣はいろいろお話しになられました。本当に大変なことだろうというふうに思います。  なかなか被災地に人材が集めにくいということもあって苦労されているのも重々承知した上なんですけれども、今私が申しましたような格差の問題もあってなかなかうまく回らないところもないわけではないということだけ御認識をいただきたいというふうに思います。  復興の当初の見込みからおくれているというふうに認めざるを得ない自治体もまだまだあるわけでして、この復興が進まない第一の理由は、今申し上げた人材の不足というのもあるんだろうというふうに思います。ぜひ復興庁が前面に立って頑張っていただきたいと思います。  二枚目の資料に挙げましたのは、工事を行う職員の不足による労災件数についてです。  工事現場の労災件数も、増加傾向に歯どめがかかりません。労安法の改正などもあって、全国的に見れば労災件数は減少傾向にあるのですけれども、昨年、宮城県では、石巻の道路の舗装工事中に重機が斜面からずれ落ちてきて作業中の男性が死亡する、そういう事故も起きました。  資料は、被災地三県に特化して一般全業務と建設業に分けて示させていただきましたけれども、震災直後に比べれば、数は減ったとはいえ、今も震災前よりは多く、高どまりの状況になっています。この原因分析を行って対応に当たっているのかどうか、尋ねます。
  118. 田中誠二

    田中政府参考人 お答えいたします。  岩手、宮城、福島の被災三県における建設業の労働災害は、御指摘のとおり大変多くなっております。  具体的な数字で申しますと、労働災害で亡くなった方と、けがをして四日以上仕事を休んだ方の合計数で見ますと、建設業で、震災前の平成二十二年、七百六十二人であったものが平成二十七年には千百十四人と、四六・二%の増加となっております。一方、全国の建設業では同期間で三・五%の減少となっておりますので、その差は非常に大きいと考えております。  御指摘のとおり、こういった中で、どういう形でこの原因を考えているか、また対応しているかという状況でございますけれども、基本的に、復旧復興工事によりまして工事量が急激に増加をして高どまりしていることの中で、まず、建設業で働く人のニーズが高まっておるわけですけれども、そのために、震災以降、新たに建設業に入職した人が多いこと、いわゆる作業にふなれな方が多いということが一点。それからもう一つは、建設需要の増加で建設の現場がふえて人がふえているわけですけれども、その方々の安全衛生管理を担う側の人材も不足しているというようなことを労災の増加の原因というふうに考えております。  厚生労働省としては、震災以降、労働基準監督署が建設現場に立ち入って行う安全衛生指導を大幅に拡充いたしておりますし、さらに加えて、建設現場での巡回指導とか、あるいは新しく現場に入った方などに対する安全衛生教育の支援というものを、民間の労働安全衛生の専門家も活用しながら行ってきているところでございます。  こうした取り組みによりまして、今後とも、被災三県における労働災害を着実に減少させるように取り組んでまいりたいと考えております。
  119. 郡和子

    ○郡委員 復興を担っていただいている方々も、今お話を聞いたように、職員もあるいは工事に携わる方々もなかなか人材が確保できなくて過酷な状況にあるということ、これを改めて私たちは認識していかなくちゃいけないんだというふうに思います。  次に、実は、冒頭、四日、五日と宮城県沿岸を回ったと申しましたけれども、五日の日曜日には浦戸諸島に船に乗って行ってまいりました。旧浦戸第二小学校の施設を活用して大規模改修を行って、二〇一五年の十二月に新たな施設としてオープンした桂島のステイ・ステーションでちょうど島民定期総会が開かれておりまして、大勢の島民の方々が集まっておられたところでちょうど挨拶させていただいたんです。  この旧浦戸第二小学校は被災の直後は避難所として使われていたところで、岡田本部長は当時与党の幹事長として訪問をしておりまして、島の皆さんたちから、また来てくれたんですね、うれしい、こんなふうに立派なものができましたよ、よく見ていってくださいというような感謝の言葉もかけられまして、大変うれしく思いました。  また、野々島では、住民の皆さんたちからいろいろお話を聞かせていただきましたが、被災後に災害復旧工事で整備した岸壁、荷揚げのところが、震災後、地盤が隆起していて、施設の高さが想定よりも高くなってしまっていて、実はちょっと水揚げ作業に不便を感じているんだというようなことも聞かせていただきました。  私が一番、こうかと思ってびっくりというか残念に思ったのは、道路工事あるいはかさ上げが必要なところなども含めて、工事が余り進んでいないということだったんですね。船で資材を運搬してこなくちゃいけないこともありますから、コストが高くなる。その分、いろいろと上乗せをしていただいて頑張っていただいているとは思うんですけれども、コスト高で、入札の不調というのがずっと続いているんだということです。  宮城県内、石巻、塩竈等々、離半島があるわけですけれども、離島での復興事業の進捗状況と、不調対策について取り組みを伺います。
  120. 橘慶一郎

    ○橘副大臣 お答え申し上げます。  宮城県内の離島部における復興事業として、主なものとしては防潮堤、防災林、漁港関係事業また漁業集落整備事業等を実施しております。御指摘道路関係だと、恐らく漁業集落整備事業の中でやるものだと思います。進捗状況でありますけれども、その事業によって異なるわけでありますが、今、地元からの聞き取りでは、復興創生期間内には完了する予定ということにはなっております。  ただ、個々の事業において、今、さまざまな事業において入札不調、不落という事態が起こっていることは、御指摘のとおりであります。  これについての対策でございますが、復興事業における入札の不調、不落の対策、国側としては、実態を踏まえた公共工事設計労務単価の引き上げ、復興係数による間接工事費の補正、地域外からの労働者確保等に伴う設計変更による適正な支払いなどに努めているところであります。  そしてまた、実際発注業務を行うのは県であったり市町村になるわけであります。そういった事業実施主体におきまして、不調、不落が発生した場合においては、地域要件の緩和など入札参加資格の見直し、受注意欲の向上につながる複数工事の大くくり化、また関連する既契約工事への追加、随意契約の検討など、契約に至れるようにきめ細かく対応していくことになる。これは、どうしても個々それぞれの自治体、地域の実情によってとる対策は異なると思いますが、こういったことをきめ細かく進めていくことになるかと思います。  こういったこと全体につきまして、復興庁といたしまして、関係省庁、事業実施主体と連携をしながら、計画的な復興事業の進捗が図られるよう努めてまいりたいと思っております。  委員指摘の部分についても未契約のところが残っておりますので、契約につながるようにまた注視をしていきたいと思っております。
  121. 郡和子

    ○郡委員 離島だと、資材を運ぶのにも、また工事をする人を運ぶのにもコストがかかるわけですし、そしてまた、船で出ていって作業をしてまた帰ってくるという、普通のところより、普通のところと言うと変ですけれども、作業する時間も短くなっちゃうわけですね。なので、その辺も考慮した上で御配慮いただけるように、いろいろと見ていただければというふうに思います。  ところで、大臣は先日の所信でも、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックについては「復興をなし遂げた姿を世界に発信する意味でも意義深いこと」というふうに発言をされました。  しかし、復興五輪と位置づけられていることに対して、地元の河北新報が、地震や津波そして原発事故の被災地である被災三県の四十二の市町村長にアンケートを行っています。きょう、資料として記事を配付しています。被災地復興に役立つか何とも言えないというふうに捉える首長さんが五四・八%、また、復興五輪の理念は明確だと思うかという問いには、七一・四%が何とも言えないというふうに回答しています。  大臣ももちろんこの記事を目にされたと思いますが、どのように受けとめられましたでしょうか。そして、復興五輪という位置づけを大臣はどのように捉えておられるんでしょうか。
  122. 今村雅弘

    今村国務大臣 復興五輪は、まさに大災害に遭って、そして世界の方々からいろいろな力強い御支援をいただきました、そういった方に対して、おかげさまでこんなに立派に復興しましたよと感謝の念をあらわす、そういったことが一つあると思います。  もう一つは、やはり被災地皆さんが、こういった復興五輪をまた一つのエネルギーにして、もっと復旧復興を加速化していい町をつくっていこうじゃないか、ビルド・バック・ベターという言葉がありますが、そういった元気づけるものになっていけばいいというふうに思っております。  そして、今アンケートを見ましたけれども、これはいろいろ考え方があると思いますが、一つには、まだ、どういうふうに復興五輪の具体的な進め方になっていくのかが、そしてまたそれが、キャンプ地だとか聖火リレーだとかいろいろ今進めようとしているわけでありますが、いま一つ見える化がよくできていないところがありますから、期待するにしても、なかなか判断がつかないということもあるかと思います。  ですから、こういったものは、そういったものが徐々に浮き上がってきて、そしてもう一つは、俺のところでこういうことをやりたいけれども、頼むよ、僕のところはこういうところでやりたいという声をどんどん地域から上げていただくと、さらにまたそれが盛り上がりを見せていくというふうに思いますから、せっかくのオリンピックですから、みんなでしっかり盛り上げてやっていこうではありませんか。  以上です。
  123. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。  被災者にとっては、目の前の景色で、例えば居住できなくなってしまった被災元地と言われるところが、どうなるんだろう、いつまでたっても何ともならないなみたいなものですとか、あるいは、かつてのお隣さんたちももう別のところに引っ越していっちゃったわですとか、復興というものが本当に目に見えないところも少なくない中で、やはり思いは複雑なんだというふうに思います。  首長さんたちも、オリンピック事業に人員が割かれて復興がおくれると感じる、そういうふうな思いを持っている地域住民がいることをわかっているからこそ、はっきり、今大臣がおっしゃったような全面的に前向きというところになかなかなれないのだろうなというふうに思います。  もちろんオリンピックそのものは楽しみではありますけれども、復興した姿を世界に発信すると言われても、まだ暮らしぶりは以前のようではないし、復興も道半ばだし、今も不便や不安に駆られている人が少なくないということをやはりずっと心にとめておいていただきたいと思います。  仮設住宅と災害公営住宅、高齢化率がとても高いというふうに伺っておりますけれども、それぞれの高齢化率、独居率を尋ねたいと思うんです。  まず、仮設住宅の状況はどうでしょうか。
  124. 関博之

    ○関政府参考人 お答えいたします。  まず、建設型の仮設住宅の数字でございますが、県によって若干統計のとり方にばらつきがございますが、私どもで把握している六十五歳以上の方の割合です。岩手県は、高齢者のみの世帯が二四%、宮城県は、世帯主が高齢者の世帯の数字が四〇・六%、福島県は、入居者のうち高齢者の方の数が四二・九%となっております。  また高齢単身世帯の割合でございますが、岩手県は一四・七%、宮城県は一五・七%、福島県は二〇・五%となっていると承知をいたしております。
  125. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。  仮設にお住まいになっていらっしゃる方は、やはりほかの地域よりも高齢化率が高くて独居率も高いなというふうに思いますし、残念ながら、仮設住宅での孤独死というのもいろいろ出てまいります。警察庁、この数を確認しているかと思うんですが、教えてください。
  126. 高木勇人

    高木政府参考人 岩手県、宮城県及び福島の三県警察における取扱死体のうち、仮設住宅に居住し、死亡時に単身居住であった死者数につきましては、東日本大震災から平成二十八年末までに二百三十名と承知をしております。
  127. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。  それでは、災害公営住宅に入居した被災者の状況はどうでしょうか。
  128. 関博之

    ○関政府参考人 お答えいたします。  災害公営住宅の関係でございますが、高齢化率については、岩手県が四〇・五%、宮城県が三八・一%、福島県が四〇・六%と承知をしております。  また、高齢単身世帯率でございますが、岩手県が二七・八%、宮城県が二三・五%、福島県が二六・一%と承知をしております。  また、災害公営住宅におきます孤独死の件数でございますが、私どもに報告いただいていることで申し上げますと、岩手県が現在までに十件、独居の方で自室で亡くなられた方でございます。それから、福島県で現在まで二件、これも独居の方で、誰にもみとられずに自室で亡くなられた方。宮城県については数字は、定義が定まっていなくて、調べていないという御報告をいただいております。
  129. 郡和子

    ○郡委員 宮城は定義が定まっていないので調べていないということなんですが、これは県にいろいろ言ってみたいなというふうに思います。  でも、今お話しいただいた数字を聞いていても、これからもどれだけ見守りが大切かということを確認できたんじゃないだろうかと思うわけです。  災害公営住宅も、見守りがきちんと行われているのかどうかの評価について、やはり復興庁はもっと神経質に取り組んでいただきたいと思うんですね。仮設住宅につくられていた見守りのサポート拠点、災害公営住宅にはありませんけれども、同じような見守りのサポートが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  130. 中井川誠

    ○中井川政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、仮設住宅に入居されている方のみならず災害公営住宅へ転居された方など、被災された方々生活環境の変化に対応して孤立防止や地域コミュニティーの再構築を着実に支援していくことは、厚労省としても極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。  このため、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置いたしまして、仮設住宅に入居する方のみならず災害公営住宅に転居した方等に対しまして、住まいですとか、被災者支援制度ですとか、その他の日常生活上の相談支援ですとか、孤立防止のための見守り、地域コミュニティーの構築等の支援を行っているところでございます。これは、被災者支援総合交付金のメニューの中に被災者見守り・相談支援事業というのがございまして、その中で実施しているものでございます。  今後とも、このような取り組みの周知を図りながら、復興庁とも連携を密にし、被災者の御支援をしてまいりたいと考えております。
  131. 郡和子

    ○郡委員 ぜひよろしくお願いいたします。  それから、せっかく住宅再建を高台で果たした、あるいは災害公営住宅に入居したといっても、ぽつんとそれぞれがあって、周りは商店もない、病院もないというふうなこともあって、移動するのにとんでもない時間がかかる、高齢で車の運転もできないという方々が多くいらっしゃるわけです。実際にお話を聞きますと、よかったんだか悪かったんだかと、どうも切なくなるようなお話をなさる方々も少なくないんですね。  先ほど金子委員とのやりとりにもありましたけれども、仮設を回って商店とか病院だとかを回るバスなどの運用に対して措置をしていたわけですけれども、新たな災害公営住宅ですとか新たな団地を回って移動する制度というのは継続すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
  132. 松本年弘

    松本政府参考人 お答えいたします。  東日本大震災被災地生活交通を確保するため、復興特会による地域公共交通確保維持改善事業被災地特例において、応急仮設住宅と病院、商店等の間のコミュニティーバスなどの運行を支援してきたところです。  復興特会によるこの事業については引き続き応急仮設住宅を経由する運行を支援してまいりますが、現在までの被災地状況に鑑みれば、災害公営住宅も経由する運行が大半となっております。  また、応急仮設住宅が解消された後、応急仮設住宅を経由せずに災害復興公営住宅を経由する場合については、一般会計による地域公共交通確保維持改善事業において、交通不便地域の移動確保を目的に支援できるものと考えております。  なお、一般会計によるこの事業支援を受け、残りを地方公共団体が負担する場合、その負担分の八割は特別交付税で措置されることとなっております。  今後とも、被災地の声をよくお聞きしながら、地域生活交通の確保に向けた必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
  133. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございました。  ところで、石巻の仮設住宅が残っている総合運動公園に、一九六四年の東京オリンピックの聖火台が貸し出されていることを大臣は御承知でしょうか。  日曜日に、メダリストの室伏広治さんも訪れて、イベントが開催されました。子供たちと一緒に聖火台を磨いて、ぜひ石巻から聖火リレーをスタートさせてほしいと、地元も経済界も一緒になって要望を上げています。また、その聖火にバイオガスを活用してはと、東北大大学院農学研究科の多田准教授らが取り組んでいます。  二〇一六年の昨年の写真を資料に加えました。この五日の日も、聖火台への点火式が行われて、ミニ聖火台にこのバイオガスの火がともされました。圧縮の問題また運送の問題、課題はあるようですけれども、夢のある話だと思われませんか。  福島原発事故を経て、再生可能エネルギーで聖火の炎をつくることができたら、それこそ復興五輪の名にふさわしいんじゃないかと私も思うわけですが、みんなも聖火の炎づくりに参加できるわけです。既に、このバイオガスを聖火台に提供できるというふうに回答した施設が、東北、関東、東海地方で十施設ぐらいあるというふうに聞きました。  取り組もうじゃありませんか。いかがでしょう。
  134. 多田健一郎

    多田(健)政府参考人 お答えをいたします。  二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会につきましては、復興五輪として、東日本大震災からの復興の後押しとなるよう被災地と連携した取り組みを進めるとともに、被災地復興をなし遂げつつある姿を世界に発信することがこの大会の大きな目的の一つであるということが、政府のオリパラ基本方針に定まっているところでございます。  お尋ねの聖火リレーの件でございますけれども、これにつきましては大会の組織委員会が実施するものでございますが、先月、組織委員会におきまして聖火リレーの検討委員会が設置をされたところでございます。今後、コンセプトあるいはルートの基本的な考え方などの検討が始められるところでございますけれども、第一回目の昨月の会合におきましても、被災地復興の後押しとなるような聖火リレーといったことが議論されておりまして、この委員会の中でも復興という意識は十分に入っているものと認識をしてございます。  私どもオリパラ推進本部事務局におきましては、オリパラ基本方針の考え方を踏まえながら、御指摘の聖火リレー、さらには地域被災地におけます大会のイベント、あるいはホストタウンといったさまざまな取り組みを、復興庁などとも連携しながら、被災地復興の後押しとなるような取り組みを、積極的に関係機関が協力して取り組んでまいりたいと考えております。
  135. 今村雅弘

    今村国務大臣 ただいまの委員のお話、私も本当にいいねと思いました。  ぜひそういった、これは仙台あるいは石巻だけじゃなくて、福島でもどこでもいろいろあると思います、本当に悲しみを乗り越えて、そして涙をかみ殺してでも前に向かって進んでいこうじゃないかということが私はこの復興オリンピックの大きな役割だ、またそれだけの価値があるものだと思っておりますので、私も復興大臣として、今言われたようなことについては、東北最優先ということで頑張っていきたいと思います。
  136. 郡和子

    ○郡委員 ありがとうございます。うれしく思います。  最後に、もう一問だけ、福島県県民健康調査について伺いたいと思います。  原発事故を受けて、県民の被曝線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握して、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげるとして実施されているもので、当時十八歳以下だった福島の子供たちを対象に甲状腺の検査を行っているものです。  直近の福島県民健康調査の発表の資料、これも資料としてつけましたけれども、ことしは三巡目になるようですけれども、一番下のところを見ていただきたいんです。がんの診断がされた方、百四十五人です。  ところで、福島原発事故の被災者支援に取り組む医師や弁護士、市民らが、甲状腺がんと診断された子供への経済支援を行う療養費給付事業、手のひらサポートというのを御存じでしょうか。  具体的には、甲状腺がんとして診断されて手術を受けたお子さんに十万円の療養費を給付する事業だそうで、去年の七月に、医学博士で、元国会事故調査委員会委員だった崎山比早子さんが代表理事、立ち上げた団体であります。募金を呼びかけ、集まった資金から患者さんへ給付を行っているんですが、ことし二月末で、福島県で五十人に、福島県外で十六人の患者さんに療養費を給付したというふうに聞きました。アイソトープ治療の患者さんにも支払われているそうです。お話を詳しく聞きますと、福島県内でも、県民健康調査ではなくて、自覚症状からがんが発覚して手術をしたお子さんからの申請もあったということです。  私は、環境省のこの健康調査の受診率が下がっていること、それからまた医療機関の数も少ないんじゃないかという問題意識を持っているんですね。  医療機関をふやしているとはいえ、どのぐらいになっているのか、また受診率を上げる対策はとられているのか、それからまた医療機関まで遠くて受診できないという方々への交通費など、例を挙げればですけれども、金銭的支援を考えているのか、尋ねたいと思います。
  137. 梅田珠実

    梅田政府参考人 お答えいたします。  県民健康調査、甲状腺検査検査実施機関につきましては、福島県から委託を受けた福島県立医科大学が、福島県内外の医療機関等と連携して実施をしております。  医療機関数ということで御指摘がございましたが、まず、この一次検査につきましては、対象者の利便性を考慮し、福島県内各地の医療機関においても検査が受診できるように調整を進めておりまして、平成二十六年十月三十一日時点で県内十カ所から平成二十八年十二月三十一日時点で五十八カ所に、そして二次検査につきましては、県内四カ所から五カ所に拡大をし、検査が可能となっております。  また、福島県から県外へ避難された方々が県外において受診される場合の甲状腺検査でございますが、こちらは福島県立医科大学と契約した医療機関に県外検査実施機関として検査の御協力をいただいておりまして、一次検査実施機関については、平成二十六年十月三十一日時点で九十二カ所から平成二十八年十二月三十一日時点で百五カ所に、そして二次検査実施機関につきましては二十五カ所から三十六カ所に拡大し、検査が可能となってきております。  甲状腺検査は、利益のみならず不利益も発生し得ることなども含めた丁寧な説明と、そして検査結果を踏まえた心のケアなど質の向上も重要でございますので、検査に携わる人材の育成に力を入れております。  また、受診率についての御懸念の御指摘がございましたが、福島県におきましては、検査を長期にわたって受診いただくための取り組みとして、理解促進のためのさまざまな情報提供、パンフレット、説明会の開催ですとか、あるいは土日の検査の実施ですとか、転居後も受診が可能となるように転居先の住所把握などの住居の把握を行って、働きかけを行っております。  環境省といたしましては、こうした福島県の取り組み支援するとともに、受診者の利便性の向上のために必要に応じて働きかけを行ってまいりたいと考えております。
  138. 郡和子

    ○郡委員 時間が過ぎていますので短くしますけれども、栃木県の塩谷町、千葉県の野田市など、市民の声から甲状腺検査の助成を開始したという自治体も出てきているんですね。せめて環境省がこうした自治体の健康調査支援を行うべきじゃないかというふうに思います。あり方検討会でも、福島県外での健康調査が必要だというふうな意見も出ているので、ぜひこれを検討していただきたいということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  139. 吉野正芳

    吉野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後二時四十五分開議
  140. 吉野正芳

    吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高橋千鶴子さん。
  141. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  本日は、女川原発の再稼働問題と復興について伺いたいと思います。  宮城県女川町は、三・一一大震災で震度六強の大きな地震を受けました。人口一万十四名の町で、死者・行方不明者合わせて八百二十七名にも上ります。建物は三分の二が全壊。被災規模の最大はお隣の石巻市ですが、被災率は女川町が最大ということです。  私が震災後、女川町に伺ったのは三月十九日でした。何もかも流され、変わり果てた町の姿に言葉を失いました。高台にあるために避難所かつ仮庁舎となっていた小学校で、安住前町長が私に、また一からやり直すさと気丈におっしゃったことが忘れられません。その後に引き継いだ須田善明町長のリーダーシップのもとで、町の再生、高台移転も進んでおります。  そんな中、昨年十二月二十六日の河北新報にこんな記事が載りました。資料の一枚目につけてあります。一番上の段のアンダーラインを読みます。「大きな復興工事はあと二、三年で終わってしまう。それまでには何とか再稼働してもらわないと……」女川原発関連の物品納入や関連工事を請け負う業者の協同組合の理事長さんの声です。とても切なくなりました。復興事業が終われば再稼働しかない、そう言わせることにです。  原発と共生してきた方たちの気持ちも尊重しながら、しかし、原発ではない新たな道はないのか、それがきょうのテーマであります。  まず、今村大臣に伺いますが、大臣就任後、各地の被災地を回っておられると思います。女川原発は被災した原発だという認識は共有されているでしょうか。
  142. 今村雅弘

    今村国務大臣 私も、女川は被災直後も行きましたし、つい先般も三カ月ぐらい前に行きましたけれども、まさに今おっしゃったとおり、被災した原発であるという認識は持っております。一番大事なところまでは壊れていなかったというところでとどまってはいるということであったかと思いますが。
  143. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。  資料の二を見ていただきたいと思います。  女川原発は、三陸海岸南端にある牡鹿半島の中ほどに位置して、印をつけてあります震源地、この震源地から約百二十三キロ、実は福島第一原発より震源地に近く、そして、右側に表をつけてありますけれども、地震加速度も福島が五百五十ガルに対し女川は五百六十七ガルと大きかったことがわかります。  地震発生の瞬間、女川原発一号機、三号機は運転中で、自動停止しました。二号機は実は定期点検が終了し、まさに制御棒を抜いていた途中でありました。すぐに戻したわけでありますけれども。災害時の拠点となるはずのオフサイトセンターは全壊し、当時の所員が犠牲になっています。外部電源は五系統のうち一系統のみ使いました。  そして、資料の三についてありますが、津波に備えた対策ということでこれまで東北電力がやってきたんだと、上の方が女川原発、下の方が福島第一原発と比較しているわけなんですね。要するに、高台に、一定の高いところに置いたからとか、引き波対策で取水路を斜めに、たとえ引き波でもちゃんと冷やす水がとれるようにとか、そういう構図にはなっているんです。  でも、よくよく見ていただきたい。地盤が一メートル沈下しました。なので敷地の高さは十三・八メートル、津波の高さは十三メートル。ですから、その差わずか八十センチで難を逃れたのであります。備えたはずではありましたが、実際には、ここの海水ポンプが水圧で持ち上がり、地下三階まで浸水し、熱交換器や補機冷却水ポンプも水没をいたしました。  当時は経産省所管の原子力安全・保安院でありましたが、保安院はその後、どのように三・一一大震災による女川原発への影響評価を行ったのでしょうか。
  144. 山田知穂

    山田政府参考人 東北地方太平洋沖地震による女川原子力発電所の原子炉建屋等への影響評価については、当時の原子力安全・保安院が平成二十四年九月三日に中間取りまとめというものを公表してございます。この取りまとめにおきましては、地震に対して原子炉建屋や設備の機能維持が確認された一方で、東北電力が当時実施していた原子炉建屋等の点検結果も踏まえ、耐震評価手法の妥当性の確認が必要であるなど、課題が示されてございました。
  145. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。  その中間取りまとめが資料の四枚目につけてあります。日付を入れていなくて大変失礼しましたが、九月三日、今お答えがあったように、課題があるということが提起をされたということで、今後も見ていくようにという話だったと思うんですね。  ところが、保安院は、九月三日に中間取りまとめですから、本当なら最終報告と行くんでしょうけれども、その後、九月十九日には廃止をされて規制委員会に引き継がれたわけなんですね。ですから、これが本当に引き継がれたんだろうかと、実は議論をしていく中で規制庁からこういう経過があったんだよということを聞いて、あれっと思ったわけであります。  それで、ちょっとそういう問題意識を持ちながら続けていきたいと思うんですが、女川原発は、福島第一と同じ沸騰水型軽水炉、マーク1と言われる形ですけれども、一号機から三号機まであるうち、一番新しい二〇〇二年運開の三号機がプルサーマルであります。  二〇一三年の十二月に、女川原発二号機の再稼働審査が申請されました。現在、審査中であります。東北電力は、二〇一七年の四月を目指してきた安全対策工事の完了時期を来年度後半まで延期すると発表し、まだまだ再稼働というところまでは至っていないと思っております。  そこで、資料の五を見ていただきたいんです。  これは昨年十二月二十五日の河北新報です。中ほどに「繰り返しジャブ」という見出しがあると思うんですね。それはどういうことかというと、下のアンダーラインを読みます。宮城県の有識者検討会のメンバーで東北大災害科学国際研究所の源栄正人教授が、過去の地震が設備に与えた影響を指摘した。「完工から二十年以上、繰り返しの揺れでジャブを打たれてきた。これだけアクティブに揺らされた原発はない」と指摘をしています。  大震災からさかのぼると、岩手・宮城内陸地震もありました、宮城北部連続地震もありました。ずっと地震が実はあったんですね。こうした原発の再稼働審査に当たって、特別に考慮する基準はあるのでしょうか。
  146. 田中俊一

    田中政府特別補佐人 過去に地震を受けたかどうかにかかわらず、施設が満足すべき基準は同じであります。地震について言えば、施設の安全重要度に応じ、想定される地震動に耐えられる必要があります。  過去に地震に遭遇したプラントのための特別な基準があるということはありません。
  147. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 基準はないということ、過去にどんな地震があったかどうかにはかかわらないというお答えでありました。  例えば、昨年九月八日の宮城県主催、第十回女川原子力発電所二号機の安全性に関する検討会、この中で、原子炉工学が専門の岩崎智彦氏が、三・一一の地震に被災しているということで、この適合性審査とかいう規制庁の枠の中に被災プラントとしての審査というものはどういうふうになされているかと質問をしています。  今言った委員長のお答えは特にないというお答えだったと思うんですが、東北電力は、自主的に地震後健全性確認ということで進めているということをるる説明をされています。しかし、岩崎氏は、では宮城県としても規制庁の方にやはり意見を言うべきだ、被災プラントとしての審査をどのようにされているんですかと求めるべきだというふうに言っています。  このことは県議会でも取り上げられておりますし、市民団体からの公開質問状など、さまざまな形で要望が寄せられていますけれども、国の方には伝わっているのでしょうか。
  148. 田中俊一

    田中政府特別補佐人 私どもには、宮城県の有識者会合における専門家の意見について、宮城県から何の連絡も届いておりません。
  149. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今、衝撃な答弁でありました。何の連絡も受けていないということでありました。これは県議会でまた大きな問題になるのかなと思いますけれども。  実は、宮城県には今、脱原発をめざす宮城県議の会という超党派の会がございます。市民団体とあわせて、昨年の十二月に公開質問状をしているんですね。  その中で、県の答えは、これは明確に口頭で答えをしていただいて文書もあるんですけれども、原子力発電関係団体協議会において国に要望する機会があった、つまり立地団体、宮城県だけではなくそういうことがあった、十一月にそれを行って、代表幹事である福井県の安全環境部長から、東日本大震災等の巨大地震や大津波により大きな影響を受けた原子力発電所について施設の健全性を考慮した審査を行うよう求めると直接要請した、そして原子力規制庁総務課広報室がそれを受けて出席していたという答弁があるんですね。  これは全然委員長の方には伝わっていないということですね。  では、改めて、私は、こうして宮城県だけではなくて立地自治体として要望が上がっている、一応規制庁の方で受けとめている、これは事務局のミスかもしれませんけれども、しっかり受けとめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  150. 田中俊一

    田中政府特別補佐人 宮城県の専門家の御意見は直接承ってはおりませんけれども、私どもとしては、審査の中で、女川原子力発電所二号炉については、東北電力より、大震災により発生したひび割れ等、耐震壁に千百三十カ所ぐらいのひび割れ等が発生しているということで、その耐震壁の力が十分に耐震性を持つかどうかというようなことについて今評価をしておるところでございます。  事業者の方は影響はないという説明をしておりますけれども、私どもとしては、被災を受けた原子力発電所として十分注意深く建屋の耐震性等について確認するということで今進めているところでございます。
  151. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今、次の質問にもかかわる答弁をいただきました。  資料の六に、実は今委員長がひび割れとおっしゃったものが、ことしの一月十八日の朝日新聞に載っているものなんですけれども、女川原発の建屋、ひび千百三十カ所ということです。地震など外部の力に対する変形のしにくさをあらわす表現だということなんですが、剛性が低下しているということで、それも、地震に弱い、揺れが大きくなる建屋の上部ほど多くて、三階に集中していた。これは図を見るとわかるんですが、剛性が七〇%も低下していた。しかも、下の方は二階から下も二五%も減ったということが報道されています。  これは東北電力に直接私聞いたんですけれども、千百三十カ所というのは全部数えたんですかと言ったら、確かに一つずつ数えましたと言っていました。ただし、当然数えられないものもありますと。つまり、高線量とかで近寄れなくて、それを全部数えたということは無理だということをおっしゃっていました。  ただ、この審査会合を規制委員会の主催でやっている中で電力が説明しているのは、結局、さらに、損傷を受けてひび割れが多く発生した耐震壁の終局耐力はその影響を受けていない耐震壁と同等だと確認をしておりますと。つまり、今、田中委員長がおっしゃったように、影響がないという説明だったわけですね。  逆に納得いかないんです、私は。数字は確かに見せられました。余裕があるんですよということで説明を受けました。しかし、さっきから言っているように、そもそもこれは東北電力の自主調査なわけですね。ですから、電力が出した数字をまるっと、余裕があります、大丈夫ですと規制委員会が追認するということになっては困るということを今言いたかったわけなんです。  委員長は先ほど十分注意深くというふうにおっしゃっておりますが、たった今届いたきょうの河北によりますときのうも会合があったわけで、規制委員会の側からは、被災して剛性が低下したところにさらにハザード、つまり災害などに耐えられるかどうかは極めて技術的に難しいということを述べたということで、これは田中委員長も同じ見解でよろしいでしょうか。
  152. 田中俊一

    田中政府特別補佐人 昨日の委員会でそういう発言がありまして、私もそのとおりだと思います。
  153. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。  今後はやはり、こうした地震を受けたプラント、しかも大きなプラントへの影響ということを基準にぜひ考えていただきたいなと思います。  この剛性が、女川原発について東北電力はこの七ページの資料を出しているわけです。大きな地震に何度も遭ったということがこの資料を見るとわかります。ちっちゃい字でよく読めないんですけれども、三・一一のときは大きく剛性が低下して、四・七のときにもやはり低下していた、でも持ち越してきたから大丈夫なんてことを言っているわけなんですね。でも、繰り返し繰り返しこれだけの被害を受けてきたんだから普通であるはずがないだろうということを、あえて指摘させていただきました。  雑誌「科学」の六月号には、二〇一一年秋の米国の原子力学会の定期会合にマサチューセッツ工科大学の専門家が世界の原子力発電所の地震による影響の受けやすさというのを発表していますが、これは三・一一の前の数字を使っての評価なんですが、実は女川原発は世界一危ないという米国のマサチューセッツ工科大学の評価でありました。大変衝撃を受けたわけですけれども、やはり世界じゅう地図に落としても地震大国であることはもう明らかで、そこに原発が集中しているということではそうした評価になるのかなというふうに思っております。  次の質問は、一言だけ言ってくださればいいんです。  この審査会合のあった翌日の一月十八日には、今度は規制委員会主催で、主要原子力施設設置者、いわゆる電事連関係者の原子力部門の責任者との意見交換会をやっております。今国会、原子炉等規制法が出されるということで、規制に対する緩和の要求も出されているということがあるわけですね。  例えば、一月二十日付の原子力産業新聞には、原子力比率が二〇から二二%というエネルギーベストミックスとの関係でいうと、四十年運転していっても二〇二〇年代前半、六十年運転していっても二〇四〇年前半にはこの比率を割り込む、だから、再稼働、稼働率の向上、四十年超えて運転、新増設、リプレース、こういうことを電事連の側は申し上げたということがあるわけですけれども、やはり規制委員会が主催して意見を聞いて持ちつ持たれつみたいになっちゃったら困るんです。その点で一言、そうではないということで田中委員長に確認をさせていただきたい。
  154. 田中俊一

    田中政府特別補佐人 国際的にもIAEA等の安全基準においても、全ての安全関連課題で許認可取得団体との対話のための公式及び非公式の仕組みを構築しなければいけないとされています。  私どもも、米国等の例に倣いまして、原子力部門の責任者と原子力規制についての全体的な枠組みあるいは新規制の円滑な導入、予見性を高めるための規制基準の明確化等について技術的な意見交換を行うことによって双方の理解を深めるという試みとして、こういった会合を持ったわけであります。  安全を高めるということは規制側だけの責任ではなくて、事業者がその趣旨を十分に理解してそれに沿った取り組みをしていただくということが大切でありますので、そういった意味で、こういった対話を今後も継続的に持ちたいというふうに考えております。
  155. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 この意見交換会、被規制者という言葉が使ってあるわけですね、規制者と被規制者との意見交換会。確かに今、国際的にも標準であるという答弁をいただいたわけなんですけれども、規制委員会としてはたくさんの審査を抱えていて技術的にも人的にも大変である、原発の側、電力の側は、早く通してもらいたいな、審査が長引けば長引くほど四十年という残りの中でその分が大分削られちゃうよと率直な意見を交わしているわけで、それが持ちつ持たれつになっては困るという趣旨で指摘をさせていただいたので、これは指摘のみに、まさかそうではないという趣旨で受けとめさせていただきたいと思います。  そこで、資料の八を見ていただきたいと思います。  下の写真は東北電力の体育館なんですね。震災で東北電力の体育館にこれだけの方が避難をされました。最多受け入れ者数は三百六十四名だそうであります。  実は、私、この方たちが半分くらい減ってからですけれどもこの場所に行きました。そのときに、町民の皆さんが口々に電力さんにはお世話になっているとおっしゃいました。それは私はそのとおりだと思うし、それを否定するつもりは一切ないんです。町の建物をそこの町から見て一番頑丈だということで原発に避難をしたわけなんです。だけれども、上を見たらわかっていただけると思うんですが、赤いバツは道路が寸断したところであります。注釈が書いてありますけれども、このほかにも多数ありと書いてあるわけですね。  だから、とりあえず女川原発ではなかったから避難ができたと思うけれども、実際に女川原発に福島のような事故が起きたら、それは逃げ道はないということになる。まさか原発に逃げるというわけにはいかないわけですよね。これは電力に実は話をしたことがあるんですが、いやいや、大丈夫です、シェルターをつくりますからと言っていましたけれども、一体幾つつくるつもりなんだ、いつまでいるつもりなんだ、そういうことになるわけなんです。  それで、資料の最初に戻っていただいて、下の段に今の須田町長の言葉を紹介しています。「今の三機はいつか止まる。原発に依存し続けるのではなく、自分たちで地域の仕事と価値を生み出していかなければならない」と。  もちろん、町長さんが今、再稼働反対と言っているわけではないんです。ですが、これ以上ふやすつもりもないんだなというのがわかると思うんですね。いつかは自立したいという気持ちが込められている。私は、だったら、とめるのは今でもよいのではないかと思うんです。これから先リスクを背負う必要はないわけで、町をゼロに近い状態から復興する今だからこそ、原発も廃炉にして新しい道を歩むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  156. 高木陽介

    高木大臣 原発の廃炉の問題でございますが、これまでも福島第二原発の話でずっと申し上げてまいりましたけれども、一応、廃炉につきまして、炉の設置者であり、現場に精通している事業者がみずからの責任で判断するもの、これが基本的な原則でございます。  ただ、今御指摘されたような、道路が寸断された場合にはどうなるんだ、これはまさに大変な問題でございますので、今、女川の地域の避難計画につきまして、国と関係自治体などが参加する女川地域原子力防災協議会の枠組みのもと、関係者が一体となって検討を進めており、引き続き、避難経路の検討も含め、その充実化に向けてしっかりと取り組んでいくこととしている。伊方が今再稼働されておりますけれども、伊方も道の問題がございましたので、避難計画としては海に船で避難をするという計画もございます。ですから、しっかりと地元と国、そして県も含めまして協議を進めていくということが必要であろうか、このように考えています。
  157. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今、避難計画の質問をしているわけではなくて、もちろん事業者がみずから決めることだという答弁があるのはわかりつつ、あえて質問させていただきました。やはりそういう道を開いてもいいんじゃないかということであります。そもそも、伊方だって、船に乗るといっても津波が来たら乗れないよなと思いますし、もう片側は原発の脇を逃げなければならないわけで、これは女川も同じなんですね。そこを切り離して再稼働審査と別にやっているということ自体もやはり責任がないことだと指摘をさせていただきたいと思います。  それで、ちょっと前に進める議論をしたいんですが、一般論として、原発の立地自治体には交付金や税収があり、それで潤っているから原発をなくすのは難しいのではないか、そういうことがよく言われます。仮に不交付団体であっても、地方交付税は基準財政需要額と収入額の差で見るのですから、そこでもし税収が不足すればその分を地方交付税が充当することになると思いますが、いかがでしょうか。
  158. 池田憲治

    池田政府参考人 お答えいたします。  毎年度地方団体に対して交付される普通地方交付税の額は、地方交付税法に基づきまして、当該地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える額となります。これは、例えば過去に不交付団体であったかどうかなどは問わないものでございます。
  159. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。  極めてシンプルな答弁でありましたが、資料の九を見ていただきたいんですね。  これは総務省につくってもらった資料なんです。不交付団体はまだいっぱいあるんですが、原発立地自治体の中での不交付団体の状況であります。実は、女川町は二〇一三年から不交付団体から交付団体に転じているので、この中にはありません。  見ていただきますと、基準財政収入額のうち固定資産税の占める割合が圧倒的に多いわけなんですね。もちろん固定資産税といったときに原発だけではないわけですけれども、全国平均が三六・五%、ここと比較すると例えばその上の玄海は八〇%ですし、泊村は九一・七%、六ケ所村が八三%というふうに極めて割合が高いわけですから、原発関連の固定資産税が大きく収入を占めているということは見てとれると思うんですね。  だけれども、これがもし入らなくなったとしても、財政需要額と収入額との差では、普通に、過去不交付団体だったからといって地方交付税の対象にはなるんだと。当たり前のことを確認させていただきました。そういうことだと思います。  では、もう一つ、エネ庁に伺いたいんですが、いわゆる電源立地地域対策交付金は廃炉を決定すれば廃止されます。では、廃炉を決定した町にどんな支援策があるでしょうか。また、今どんな全国の原発の状況かというのを一番最後のページにつけてあります。これは御丁寧に東北電力が持ってきてくれた資料なんですけれども、白いところが、廃炉を決めた島根とか玄海とか敦賀とかがそういうのに入るわけなんですね。こういうところはもう既に出ておりますので、実際にそういうところに対する支援策が何か今具体化されていたら教えていただきたい。
  160. 多田明弘

    多田(明)政府参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、電源立地地域対策交付金は廃炉が行われますとその翌年度から原則交付されない、こういう仕組みになってございます。  そして、今も地図で御紹介がありましたとおり、震災後、福島第一原発の六基のほかにも、敦賀でありますとか玄海でありますとか島根あるいは美浜といったところ、さらには翌年ですけれども伊方、こうしたところが廃炉が決定されております。最初に廃炉が決定されましたのが平成二十七年の四月でございました。したがいまして、今申し上げましたように翌年度から交付されないので、二十八年度からはその分交付金が交付されないということになるわけでございました。  したがいまして、私どもといたしまして、廃炉が行われた自治体、これは自治体の判断ではなく事業者の判断でございますので、こうした自治体向けの支援として平成二十八年度予算の中で工夫をいたしまして、先生の資料にございます十ページでございますけれども、上にあります原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金、この制度の中で廃炉の自治体といったものも対象といたしまして、立地地域に与える影響を緩和するためにこの事業を使える、こういうふうなことにいたしまして、廃炉が行われた市町村に対しましては十年にわたって支援を行えるようにするといった措置を一つ行いました。  それからもう一つ、下にございますエネルギー構造高度化・転換理解促進事業費補助金でございますが、こちらにつきましては立地地域などがエネルギー構造の構造転換あるいは高度化といったものを図るために手当てするというものでございまして、これも同じく平成二十八年度予算からつくったものでございます。その中で、既に二十八年度予算の執行の中で、例えば敦賀市においては水素社会の構築に臨む、あるいは松江市においては地熱の活用を進める、こういったことに取り組んでいるというふうな状況になってございます。
  161. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 新たなメニューができているということを紹介いただきました。資料も紹介していただいて、ありがとうございます。十ページにつけておきました。  私は、やはり今度は廃炉を選択できる新しいスキームを検討すべきだ、立法措置も含めて検討すべきだと思います。女川町は全国初の復興モデルではないかと思うんですね。かつて、潤沢な原発マネーによって同じような箱物建設や維持管理に大きな予算を充当していた町であります。  しかし、そうした中、前町長の時代に九九年のあのジェー・シー・オーの事故があって、あるいは、松島基地があるんですが、ブルーインパルスの墜落事故などもありました。あのときに、やはり女川だって事故を起こすかもしれない、そういう危機感を持って、避難道路の建設のため国や県にも要望して二カ所のトンネルを建設し、町の財政はやはり身の丈に合った行政にしようじゃないかと切りかえて、ポスト原発を見据えて基金を造成してきました。  今は復興予算ですから桁が違う町の予算になっていますけれども、それを除くと財政規模が大体六十から七十億前後なんですね。それに対して百三十億円程度の基金を積み上げてきたんです。そういう町の努力をしっかり後押しして、本来の水産業、観光業など、そうした持てる力を引き出す自治体づくりを応援していくということをやっていったらいいんじゃないかと思います。これは経産省と復興大臣にお願いします。
  162. 高木陽介

    高木大臣 今御指摘いただきましたように、それぞれの町がどう自立していくか、まさに地方創生という流れで国の方も今バックアップ体制もとっております。そういった中で、原発、廃炉の問題でございますが、今、多田次長からも答弁させていただきましたように、平成二十七年に五基、二十八年に一基の廃炉が決まる中で、さまざまな形で立地地域への影響を緩和するための財政措置というのを行ってまいりました。  さらに、それ以降どのようにその町が、また自治体が自立していくかということは、しっかりと立地自治体の声に耳を傾けながら応援していかなければいけない、このように考えております。
  163. 今村雅弘

    今村国務大臣 今委員がおっしゃったこと、言われようとすることは私もよくわかります。  しかし、現実には、では具体的に何をどうやってやるかといったときに、原発のあるところの地理的な条件であるとか、あるいは時間がかかるとか、そういった課題もあるわけでありまして、そういう意味で、原発は原発としながら、そしてまた並行的に新しい事業スキームをつくってやっていくというようなやり方もやはり必要なんじゃないかなというふうに思っております。  しかし、基本的に、いろいろなことをやっていこうということについては賛成であります。
  164. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 きょうは問題提起をさせていただきましたので、復興事業が終わったら再稼働しかない、こんな悲しい判断ではなくて、本当に町が財政的にも自立をして、新しいまちづくりができるように一緒に応援していきたいなと思っております。  終わります。
  165. 吉野正芳

    吉野委員長 次に、木下智彦君。
  166. 木下智彦

    ○木下委員 日本維新の会、木下智彦です。  本日は、本会議の後、皆さんお疲れのところおつき合いいただきまして、ありがとうございます。  きょう、ちょっと、用意させていただいた質問の前に、一つPRさせていただきたいなと思うことがあります、PRすることはいっぱいあるんですけれども。  去年の十一月に同じように質疑に立たせていただきまして、そのときに、石巻で行われたポケモンGOのイベント、この話をさせていただきました。相当な数の方が来られまして、一日目なんかは、石巻の町に一万人ぐらいが集まられたということだったんですね。  あのときに言ったのは、そうやっていろいろな地域から東北に、被災地に人がどんどんどんどん行くような、そういうものをどんどんやはり進めていくべきと。帰還ということがまず最初にあるべきだと思いますけれども、帰還とともに人々が戻ってくるためには、人々が行くような場所をつくっていかなければいけない、行くようなソフトをつくっていかなければいけないという感じの話をさせていただいていたと思うんですね。  そういうことをちょっと思い浮かべながら、たまたまきのう通告した後に思い出しまして、私なんかは大阪の選出で、では大阪でどんなことをしているのかなというふうなことを、逆に、東北何県かでやられているようなことだけではなくて、各地、違う地域でどんなことがやられているんだろう、どういうことをして日本全体で何とか盛り上げていこうとしているのかなというふうに思ったら、たまたま出てきました。  私の地元は、今話題になっている豊中市。あの国有地がある目の前に、私、自分の家があるんですね。三百メーターぐらいしたところにある。  その隣に吹田市というところがありまして、吹田市に、これまた今ちょっと話題になりつつある、昔、一九七〇年に万博、エキスポが行われたところがあります。このエキスポの広場に、一年、二年ほど前に相当いろいろな、水族館をつくったりショッピングセンターをつくったりとかして、今、人が物すごくあふれているような場所があります。そこで何と、たまたまなんです、本当にたまたまなんですけれども、三月十二日、今度の日曜日ですね、ふくしま・いわき観光PRキャラバン、こういうのをやると。  ちょっと詳しく話をさせていただきますと、このイベントは、いわき市や一般社団法人のいわき観光まちづくりビューロー、福島県大阪事務所のほかに、大阪府、立地自治体の吹田市、いわき市を初めとした福島県の復興について研究を続けている関西地方の大学生、主に関西大学と龍谷大学の学生、それから昨年十一月に福島県と包括連携協定を締結した吉本興業さんが連携して実施する。中を見ていると、結構いろいろなことをやるんですね。ちょっと近いからこの十二日に時間があったら行ってみようかなと思っているんですけれども、こういうことをやる。  やはりこういうことを各地各地で続けていくことというのが、復興一つのやり方なのかなと。よく言われるんです。私、きょうも、この委員皆さんの中で、大阪の人というのはなかなかいなかったり、大体東北の方々、御地元の方が多かったり、昔からそういうことに関与しておられた方がたくさんいらっしゃったりというところなんですけれども、そうじゃないところでもできることとは何だろうなというふうに思っていて、こういうことをもっとほかの地域人たちもやっていくことが必要なのかなと。  たまたま、言いました私の豊中市も、大阪国際空港、伊丹空港と通称で呼ばれているところが福島空港と就航都市になっています。ずっと昔から、この地震がある前からずっと交流を続けていて、大阪の豊中のイベントなんかではお店を出していただくんですよ。  話題になっている森友学園の土地の向かい側に公園があります。豊中市の公園があるんですけれども、野田中央公園といって、十四億で売られた。ここで言っておきますけれども、あれは十四億円といいながら、国庫補助金が十四億円入っているんです。ですから、豊中市は、実は二千万円しか負担していないんですよ。ただ、あの下にはごみはまだ埋まったまま、その瑕疵は豊中市が今持っているという状態なんです。これはちょっと余談ですけれども、言わせていただきます。  そこの上で、毎年夏にお祭りみたいなことをするんですね。豊中南部フェスティバルというのをやりまして、そこにも、私の記憶では、福島の方に来ていただいていたはずです。お店を出していただいていたと思います。私は、去年はジュース、おととしは唐揚げをつくって皆さんに提供するというようなことをしていたんです。  そういったことを積極的にやられています。福島の方、その他の県の方もいらっしゃいますが、わざわざ来て、どれだけ効果があるかわからないけれども、そういうことを地道に続けられている。これを皆さんにわかっていただきたいので、予定したことより先に、大分時間を使ってこの話をさせていただきました。  それでは、本題の方に入ります。  本題の方もちょっとPRに近いような話になってしまうんですが、実は、御存じの方は、委員長はもう御存じで、わざわざ電話していただいたんですけれども、私ども日本維新の会は、国会議員全員が毎月一人頭十八万円ずつを党に寄附して、党がそれを被災地にまとめて寄附するというような形のことをさせていただいております。  たまたま前回は富岡町ですね。いろいろなところへこれからも行くことになっているので今月も行くんですけれども、富岡町へ行った。私が行って、新聞に写真を撮っていただいたんですね、町長と私と。翌日すぐに委員長が電話していただきまして感謝の意を述べていただきましたが、そういうことをやっております。  これは理由があるんです。皆さんもお忘れではないと思うんですけれども、これはなぜかというと、そもそも私ども、身を切る改革をしようというふうに言っています。そこの根底にも近い部分だと思うんですけれども、そもそも、この地震があった後、二〇一二年の五月一日から復興費用として一二・八%、それから同年の十二月から七・一二%を定数削減の代替措置として上乗せして、ですからこれは二割ですね、二割をカットして国会議員はやっていたわけですね。しかし、二〇一四年四月、早々にしてこのカットというのをやめてしまった。皆さんも、記憶を持っていらっしゃる方があるかと思うんです。  では、国民はどうなのか。  一つは、復興特別法人税。これについては、復興特別法人税という形のものがあったのは廃止しました。ただ、個人に対する所得税は二〇一三年一月から二十五年間、それから住民税については二〇一四年六月から十年間の特別税が上乗せされているまま。これは、この間ちょっと数字が出ていたんですけれども、大体、税収総額で年間三千億円ぐらいになるんじゃないかというふうに言われています。  これだけの額を国民に負担させておきながら国会議員はこういうことをしない、もうやめた、これっていいのかなということもあって、何とか寄附できる方法はないかということで編み出したのが、この十八万円を毎月払いに行く。といいながら、全部合わせると一月五百万円弱なんですね、経費もちょっと削って。  これは皆さんに協力していただきたいと私は思うんです。では、どうやってやるのか。特に、御地元の方はなかなか難しいと。私ども日本維新の会に寄附していただきたいなと思っているんです。寄附していただいたら、ちゃんと皆さんのお名前を出します。それで、まとめて寄附をしに行く。国がやらないんだったら、こういうふうにしてもいいんじゃないかなと私は思っております。  しゃべっているうちに熱くなってしまって、質問を忘れてしまいましたけれども、このお金、こういうことを考えたら、今の税金部分だけで三千億とか言っているんですけれども、国として、では、今まで国民皆さんがいろいろな形、国民だけじゃないです、世界から、いろいろなところから、発災から現在に至るまで、東日本大震災に当たることに関して寄附というのは総額どれぐらいされた、これは把握されていますかね。これをまず聞きたいんです。よろしいですか。
  167. 関博之

    ○関政府参考人 お答えいたします。  今お話がございましたように、震災直後から今日に至るまで、多くの皆様から義援金をお寄せいただいております。大変ありがたいことと思っております。  私どもの方で承知している数字を申し上げます。  まず、日本赤十字社などに寄せられた義援金でございますが、約三千七百九十九億円、日本政府に直接寄せられたものが約三十七億円ということでございまして、これらは被災した地方公共団体の方に送金をされていると承知しております。  また、被災三県には直接義援金が寄せられておりまして、これが本年一月末時点で約六百七十六億円となっております。同じように多くの被災市町村にも直接義援金が寄せられているものと承知しておりますが、ここは額は承知しておりません。  それから、諸外国というお話がございました。震災の翌年までに合計で百二十八の国・地域・機関から寄附金をいただいておりまして、総額が百七十五億円以上受けているということでございます。  以上です。
  168. 木下智彦

    ○木下委員 ありがとうございます。  もっと把握していないのかと思ったんですけれども、意外と把握されているなと。ただ、まだまだあるんだろうなと感じさせる。でも、相当な額ですよね。  皆さん、感じていただきたいんです。大臣にも感じていただきたいんです。これだけ皆さんから義援金、寄附という形でお金が集まっている。なぜ国会議員は二割削減をやめちゃうんですか。大臣なんかは、大臣の報酬の一部を削減されている、総理も言われていますね。こういうことを言われています。もっと呼びかけていただきたいんですよ。少なくともここにいらっしゃる方はそういう考えに共感される方もいらっしゃると思います、自分の身を削るのはなかなか難しいと思いますけれども。  何とか、大臣、そういうことを呼びかけていただくような考えはないですかね。ちょっと一言お話しいただけますか。
  169. 今村雅弘

    今村国務大臣 御党がそういう取り組みをしておられることは私もよく承知しております。  これについて、では、各党あるいは各議員がどうするか。これはそれぞれの党派あるいは議員個人のことにかかってくると思いますので、閣僚の立場から呼びかけるということは、ちょっとこれは差し控えたいと思います。
  170. 木下智彦

    ○木下委員 難しいことはわかります。今も公明党さんなんかは、うちもやっていますというふうに言われていました。やっていらっしゃる方はやっていらっしゃるんですよ。ただ、やはり規範になるべきだし、そもそもこれは二割削減していたんですよ。わざわざやめちゃうことはないんだと思う。そんなものだったら、余計なことと思うんですよね。だから、もうちょっと考え直していただきたいなと。  わざわざ私はちょっとPRじみていると言いましたけれども、これはPRでも何でもないんです。みんながやればいいんですよ。やるべきことだと思いますということをちょっと一つ、つけ加えさせていただければと思います。  次にお話をさせていただきたいことにかわります。  いろいろな自治体で、東日本大震災と原発事故による被災者に対する住宅支援策というのをやられているかと思います。これはいろいろな自治体がやっています。これは大阪でもやっているんですね。東日本大震災で震災に見舞われた方、大阪に避難してきて住まわれている方がいらっしゃる。  いろいろな自治体がそういう形で住宅を提供したりということをされているというふうになっているんですけれども、政府が把握するその実情、実績なんかも含めて、それから、主な、今どれぐらいの都道府県でそういうことが行われているか、こういったことをちょっと説明いただけますか。
  171. 関博之

    ○関政府参考人 お答えいたします。  各自治体でどのような支援策を行っているかということでございますが、私たちの方でも、国土交通省と連携して、例えば公営住宅の入居につきまして、その円滑化の支援をお願いしております。全国で四十都道府県、十七の政令市で、この関係でいろいろな円滑化のための独自の取り組みをされているというふうに承知いたしております。それぞれ、戸数を設定したりとか、あるいはいわゆる収入要件を緩和したりとか、それにつきましてはそれぞれの自治体で御判断されて進められていると承知しております。
  172. 木下智彦

    ○木下委員 そうなんですね。今、私が言いたいことをかわりに言っていただいたと思うんですけれども、それぞれ独自にやられている。国がどうこうというふうに言っているんじゃなくて、協力は要請している。過去には、福島県として都道府県に要請されたりもしております。  それは確かにいいとは思うんです。なぜならば、その地域地域によって、自分たちの公営住宅、戸数が余っているところと余っていないところがありますから、その実情に合わせた策というのを考えていく。  ただ、この間、私、大阪でテレビを見ていたら、夜中にドキュメンタリーみたいなものをやっているんですね。どんなことを言っているかといったら、私は例えば大阪府に住んでいます、それとか兵庫県に住んでいますといって避難されてきた方がインタビューを受けられている。顔を隠されてインタビューされていました。そうしたら、その支援策がこっちの都道府県とかこっちの自治体では期限が切れてしまうので、もうここに住めないんですというような感じのことを言われているんです。ううん、こういうこともあるんだなと思って聞いていたんですけれども、でもこっちは違いますとかやり出したんです。  そもそも根幹は、何でそんなことになるかというと、この支援策自体、もともとその設計図自体が要はこういう原発事故に対応したように考えられていない。だから、もともと自分たちが戻ろうと思っている地域除染されていない、放射能がまだ残っているかもしれないというような、そういう心配がある。帰ろうと思ってもなかなか帰れないから、当初設定された期限というのを延長、延長、延長と各都道府県だとか自治体がやってきた。でも、そのかわり限界があるのでやめるというような、そういう形になってしまう。  だから、やはりこの東日本大震災はちょっと特異なんだよねというような、そういうことをテレビで言っているんですけれども、それだけじゃないんですよね。例えば、大阪市とかはもう打ち切っちゃう、何なんだみたいな感じの、そういう風潮も言っているんです。いろいろなところを比べて、こっちはあるけれどもこっちはないというような感じのことを言う。私は、ええっ、それはちょっと違うんじゃないのというふうに思って見ていた。  私、ちょっと調べてみたんですね。そうしたら、これまた私の地元のことで言いますけれども、大阪弁護士会。これは、大阪市がこういう形で今まで施策をしていたのをこれから先どうしていくかというパブリックコメントを求めている、それに対して大阪弁護士会が紙を出しているんですね。何と書いてあるかというと、要約すると、そもそもこういった対策については国であるとかに対してこういうことを要望してきた、それもそうだけれども、大阪市も優先入居枠の設定それから継続的な住宅支援制度などを独自に確立すべきであるというようなパブリックコメントを、大阪弁護士会は大阪市に対して出しているんですね。  僕は、いいのかなと思ったんですよ。そもそも国に出しているからこっちにも出したんだと言っているけれども、独自にやるとか言うよりも先に、その辺のことも含めて国に指針をちゃんとつくってもらうように言うことがまずやはり大前提だと思うんです。じゃないと、ここの地域はこうやって被災者に対して優しい地域、ここの地域は違うというふうに思われてしまうんですよね。こういうことも避けなきゃいけない。  それぞれの特色というのか、地域により、実情があるわけですね。そこの中でやっていかなきゃいけないから、一律である程度のものは決めてやる、それを、地域に任せる部分もあるけれどもという線引きも含めてちゃんとやらないと、今、これだけ時期がたってきてこういう問題が出てきている、ちょっとこの辺、どういうふうにしていったらいいのか。  さっき、国は関与されていないというふうなことを言われていたんですけれども、これは国がある程度これから先も、数は減ってきているけれども、やはりそれなりのちゃんとした指針、関与というものをもう一度考え直していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  173. 長沢広明

    ○長沢副大臣 今のは、避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与終了がいわゆる災害救助法に基づいてということでこれまで行われてきて、福島県が復興公営住宅の整備あるいは住居の確保の市町村ごとの状況を踏まえて判断して、内閣府と協議をなされ、供与終了ということが決定されたということに基づいての御質問だというふうに理解をしております。  自治体の皆様方が独自の支援をこれまでしてくださったということは、大阪府を初め、例えば東京都、神奈川県、鳥取県それぞれ、公営住宅とか職員住宅とかそういうところを提供してくださったりという、自治体独自の支援取り組みというものは地域地域で、やはり住宅事情が地域によって違います、そういう住宅事情を総合的に勘案しながら取り組んでいただいたもので、国として一律に指針のようなものを示すことは、それぞれの地域事情ということを考えますと、やや困難であるというふうに思います。  復興庁としては、いわゆる避難先で、あるいは福島県で公営住宅への入居の円滑化あるいは相談支援を行っているところでありまして、福島県の支援策が円滑に進むよう、引き続き支援をしていきたいと思います。  福島県が今、避難先の自主避難者方々とも、ずっと通って相談活動というか個別訪問して御意見状況を、移動先、住居が決まりましたか、決まっていませんかとお伺いして、三回目をやったところでございます。  そういうことをしながら、住居の支援は、それぞれ御家庭の事情もございますので、個別にやはりきちんと相談に乗っていく、この体制をきちんとすることがすごく大事だと思っていまして、福島県が今、県外避難者に向けて二十五カ所いわゆる生活再建支援拠点というのをつくっています。その生活再建支援拠点でそれぞれ相談していただいて、住居のことあるいは生活再建のことを相談していただける体制を福島県がつくっておりますので、これをしっかり稼働させて、動かしていくということが一つ。  それからまた、県外の避難先で、見守りとか住居のさまざまな相談あるいは支援をしてくださる民間団体の方がいらっしゃいます。民間のいわゆる県外避難者支援団体の活動支援、こういうことに対しては、県もやっているわけなんですけれども、私たち復興庁としても、被災者支援総合交付金を活用して、県のそうした住宅への相談活動、避難先での見守り、コミュニティーの形成、こうしたことに対する支援をしっかりやっていきたい、こういうふうに考えてございます。
  174. 木下智彦

    ○木下委員 いろいろやられているのはわかるんですけれども、やはり、私が言ったようなそういう懸念というのか、いろいろちょっとコンフリクトが出てきていますので、この辺も含めてしっかり対応していただきたいというふうにお願いして、終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございます。
  175. 吉野正芳

    吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十六分散会