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2017-05-17 第193回国会 衆議院 総務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十七日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       青山 周平君    池田 道孝君       大西 英男君    鬼木  誠君       金子万寿夫君    菅家 一郎君       小林 史明君    新藤 義孝君       鈴木 憲和君    高木 宏壽君       谷  公一君    土屋 正忠君       冨樫 博之君    宮川 典子君       武藤 容治君    宗清 皇一君       山口 俊一君    山口 泰明君       逢坂 誠二君    黄川田 徹君       近藤 昭一君    鈴木 克昌君       高井 崇志君    武正 公一君       稲津  久君    梅村さえこ君       田村 貴昭君    足立 康史君       吉川  元君     …………………………………    総務大臣政務官      冨樫 博之君    参考人    (岡山真庭市長)    太田  昇君    参考人    (中央大学名誉教授)   今村南雄君    参考人    (日本自治体労働組合連合中央執行委員長)   福島  功君    総務委員会専門員     塚原 誠一君     ————————————— 委員異動 五月十七日  辞任         補欠選任   金子めぐみ君     宮川 典子君 同日  辞任         補欠選任   宮川 典子君     青山 周平君 同日  辞任         補欠選任   青山 周平君     金子めぐみ君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本自治体労働組合連合中央執行委員長福島功君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 竹内譲

    竹内委員長 本日は、本案審査のため、参考人として、岡山真庭市長太田昇君、中央大学名誉教授今村南雄君及び日本自治体労働組合連合中央執行委員長福島功君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、各参考人からそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは、まず太田参考人、お願いいたします。
  5. 太田昇

    太田参考人 真庭市長太田でございます。  参考人として、私から、今回の地方自治法等の一部を改正する法律案について意見を申し述べたいと思います。  まず一点目、内部統制についてでございます。  どのような組織であっても、事務適正性を確保する、そして効率的、効果的な業務を推進していく、そのためには、適切に情報が集められ、重要度に応じて各レベルでの判断をしなきゃならないというふうに思っております。これは地方自治体であろうと同じでございます。  しかしながら、職員異動ということがございます。そしてまた、新しい案件もあります。複雑な、各部局にまたがるようなものもございます。それから、真庭市が九カ町村合併ということで、そういうふうに合併をして、十年たっても一緒になってまだまだというところもございます。そういうようなところで、適切に情報が集められ、共有され、そしてレベルに応じた判断、これがなかなか難しいという現実もあります。  そうしたいわゆるリスク、これを、事前にそういうものがあるものだというのを認識して体制を整えていく。そして、そういう中で一定の、過度の安心はしたらだめですけれども、安心感を持って首長政策判断に集中していくということ、それが大事だと思っておりますから、民間でも進んでおりますが、こういう内部統制について進めていくというのは大事であり、その根拠というのは必要だろうというふうに思っております。  次に、監査制度充実強化についてでありますが、私は、従来から、地方自治体監査機能をもっと充実させなきゃならないというふうに思っておりました。  ある改革をした県の首長さんがおっしゃっていましたけれども、監査委員事務局にやり手の職員を持っていったんだということを言われていましたが、そういうことで、いい意味強化をする必要があると思っております。先ほど述べました内部統制というのが一方ではある。一方では、監査についても、いい意味強化していく必要があるというふうに思っております。  そういう中で、監査あり方を徹底するということで、各自治体において監査基準をつくっていくということは大事だと思います。ただ、なかなか、真庭のように人口五万を切るようなところで、一からつくれと言われるよりは、少し参考になるものがあった方がありがたいと思っております。  そういうことで、今回の改正については必要なものだというふうに思っております。ただ、それをうのみにするのではなくて、それぞれがまた監査基準をこなしていくということが大事だと思っています。  その次に、首長等損害賠償責任の見直しでございます。  住民訴訟制度、これ自体は本当に必要な、緊張感を持つのに非常にいい制度だと私は思っております。ただ、いたずらに萎縮をするようなことがないことも大事だろうというふうに思っております。  過去の経験から、そしてほかの事例から、国の方が法律解釈誤りをして地方自治体違法性を問われたとか、それから、相手方との交渉が必要な土地の購入で、過失がないのになと思うようなことで責任を問われるケースなどもありました。  私は、京都府の職員をしておりました。そのころ、その中の京都市さんのことでありますけれども、京都市長さんに対して二十六億円余の損害賠償を認めた判決がなされました。  つまびらかには存じませんけれども、住民ニーズに応えてゴルフ場開発を不許可にした、そしてその結果、開発業者から損害賠償を求められて用地を購入した、その価格決定が高過ぎたということで損害賠償を求められたものですけれども、この価格そのものは、民事調停において裁判所判断に従った、そしてまた鑑定もし、議会議決も得ているというものでありますが、住民訴訟では、裁判所が決定するときに異議を申し立てなかったことに首長市長過失があるというようなものでありました。  こういうものについてまで、二十六億円という損害賠償は、結局、相続の方が限定相続したというようなことをお聞きしておりますけれども、こういうことについては、やはり少し制度として考えていただく必要があると常々から思っておりました。  今回の改正は、条例によって、善意でかつ重過失がない場合に賠償責任限度額を設けるというもので、これぐらいは、会社法でもあるように、していただかなければならないというふうに思っております。  一方、損害賠償請求権議会による放棄の議決ということもございますけれども、これについて、監査委員意見聴取を義務づけるということでありまして、やはりこういうことは安易にすべきじゃないということもありますから、まさに、監査制度強化とともに、監査委員意見を義務づけるというのは必要なことだろうというふうに思っております。  今回の改正で、首長職員個人責任あり方について、自治体条例によって事前にルールを決めた上で、事後的に請求権を放棄する際に監査委員意見を聞く、先ほど申し上げましたけれども、そういうことで、これまで以上に、首長の方も議会に対して説明をする責任強化されるというふうに思っております。  次に、地方独立行政法人業務への窓口関連業務等の追加についてでありますが、各自治体それぞれ、行政を経営するという観点から仕事をしていると思っております。  市町村の、特に地域福祉関係仕事とか、仕事量も権限も非常に増しております。そういう中で、市役所が担う業務、それを、行政サービスを提供して、市が何でもすればいいんだというのから、自治体地域を経営して、そして市が経営責任を果たすとともに、住民との協働の中で一緒仕事をしていくという住民参加という観点も必要だろうというふうに思っております。  そういうことで、真庭市でも、市がやるべきこと、できること、それは徹底的にしよう。しかし、協働すること。そして、一定、出せるものは出していく。全体として、行政が円滑に、そして行政サービスを上げていくということになることはやろうというふうにしております。  その中で、民間委託もそうでありますけれども、中山間の地域では一人の職員が多くの仕事を抱えています。そういう中で、民間に委託することがなかなかできないような、そして、しようにも民間企業がないというようなこともあります。  そういう中で、民間企業ではなくて地方独立行政法人というような、行政にほぼ近い、また首長関与もできるというような、そういうところに一定業務を負わせるという方がかえっていいんじゃないかという思いを持っております。  今回、地方独立行政法人窓口業務を行わせるということで、いろいろな意見はあるかもしれませんけれども、みずからつくった法人でその一連業務を、今の民間委託ならば受け付けと引き渡しという機械的なことしかできない、一定、定型的なものに限り全体を任せることができるということは、これはコスト削減にもつながりますし、そしてまた、一定の縛りを法律改正の中で関与してかけるということですから、これはこれでいいものだというふうに思っておりますし、そういう選択の余地を広げていくということが必要だろうと思っております。  そういうことで、安易なアウトソーシングがいいとは言いませんけれども、先ほど申し上げましたように、まとめれば、行政仕事が非常に多様化して多くなっている、その中で、安易に職員をふやすわけにもいかないという中で、公平性公正性を担保しながら、地方独立行政法人関与を強めながらそこに定型業務を出していくということは、私は、一つ選択、それができるようにしておくということが必要だろうというふうに思っております。  以上、私の参考人としての考えを陳述させていただきました。  御清聴ありがとうございました。(拍手
  6. 竹内譲

    竹内委員長 次に、今村参考人、お願いいたします。
  7. 今村都南雄

    今村参考人 一連地方自治法本体の一部改正とあわせて、御承知のとおり、地方独立行政法人法、この改正が提案されております。  私は、まずはこの冒頭陳述では、地方独立行政法人法の一部改正、この問題を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。  申しおくれましたが、私の専攻は行政学でございまして、これまで、国の行政改革との関連では、かつて、ちょっと古い話になりますが、総理府に置かれておりました行政改革委員会官民活動分担小委員会の参与として、いわゆる官民関係あり方について調査審議する機会がございました。また、地方自治との関係では、小泉内閣時代に、地方制度調査会委員を二十七次と二十八次、二期務めた経験がございます。  さて、御承知のとおり、我が国独立行政法人制度は、イギリスエージェンシー、いわゆるエグゼクティブエージェンシー、これがモデルでございました。  その導入、制度化に先駆けて、これまた古い話になりますが、ちょうど私が行革委員会官民活動分担小委員会にかかわっていたころでございますが、当時の総務庁長官武藤嘉文国務大臣みずからがエージェンシー調査のために英国に出かけられまして、その調査結果の概要を記したペーパーなどが資料として提供されたことがございます。  ところが、その年、といいますのは一九九七年のことでございますが、その年の暮れ近くに、御承知のとおり、行政改革会議最終報告におきまして、日本版エージェンシー独立行政法人制度制度設計が出されたわけですけれども、これは率直に申し上げて、行政スリム化を急ぐ余り、イギリスエージェンシーとは似て非なるものになってしまいまして、いわばエージェンシー化の外国産モデルをつまみ食いするところにとどまってしまったのではないか、そういう印象を私は持ちました。  その結果として、私見では、我が国独立行政法人制度、これは一般国民にとって非常にわかりにくいものになっている。一部では、ぬえ的な存在になっている、正体不明だと。実は、そのことは、独立行政法人通則法及び地方独立行政法人法定義規定、今度の法律案関係資料におきましても二条は参考の中に入っておりますけれども、見ましても、そもそものこととして、なぜ独立法人格を有する独立行政法人なのか、そのことがすんなりと理解できないわけでございます。  しかし、今さらながら恐縮でございますけれども、我が国独立行政法人制度は、独立法人格を有する独立行政法人、これを設立するところに最大の特徴があるわけでして、イギリスのようなエージェンシーではございません。だからこそ、制度名称自体に、独立行政法人、この用語が用いられているわけでございますから、この点に鑑みましても、地方独立行政法人法に即して申し上げますと、地方独立行政法人とは何か、このことに関して、その設立主体たる地方公共団体方々も含めて、なぜ当該普通地方公共団体とは別個に独立法人格を有する独立行政法人設立する必要があるのかということを十分に自治体関係者に理解していただくことが出発点ではないか、そのことが肝要ではないか、このように考えるわけであります。  このことと関連しまして、といいましても、定義規定の第二条、これは、この法律案関係資料では地方独立行政法人法第二条に関しましては四十一ページですかにございますので、それをごらんいただければと思いますが、この定義規定の第二条は改正対象になっておりません。おりませんけれども、今度の一部改正一つの焦点となる対象業務、すなわち窓口関連業務について、公権力の行使に係る事務も含めて、包括的に新設申請等関係事務処理法人にその業務を行わせることの当否、これを取り上げさせていただきたいと思います。  地方独立行政法人とは何か。このことに関する地方独立行政法人法第二条の定義規定との関連で見ますと、このたびの法改正、具体的には、別表、改正法律案の百十三ページ以下に一括して掲げられておりますが、この申請等関係事務について、それを地方独立行政法人業務範囲に新しく追加する、法の二十一条の第五号がそれでございますが、さらに、新設の、申請等関係事務処理法人に関する特例を定めた、これは第八章の二の諸規定、これに従って、同法人にその業務を行わせることとする。そうなりますと、法文上、それらの業務は、定義規定、二条で言うところの「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、」そこに含められてしまうことになります。  しかしながら、現時点でそうなることを前提にすることができない個別の地方公共団体におきましては、そうした窓口業務が果たして地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないものなのかどうなのか、それを判断しなければなりません。  ですから、本来でありますと、この第二条の条文につきましても、地方独立行政法人とは何かに関する定義規定でございますが、一部修正をすることがせめてものこととして必要ではないかと私は考えまして、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないものと認めることが、認めることができるもののうちぐらいですね、語を差し挟まないと、地方公共団体は、これは自分の問題として受けとめかねる問題ではないか、こういうふうに思うわけです。  ここでは、その点、ひとまずおきますが、一体、このたびの改正時宜を得た改正であるかどうか、この点を問題にさせていただきたいと思います。  窓口業務現場に行ってみれば一目瞭然のことでございますけれども、とりわけ基礎自治体各部署で現に行われている窓口業務は、来庁した住民の求めに応じてぱっぱと処理できるような、単なる定型的な事務ばかりではございません。個別の申請をきっかけにして、定型的な事務処理にはなじまない住民側のさまざまな事情を察知して、各部署の協力を得ながら対処しなければならないことが少なくないわけであります。  昨今では、このことをアウトリーチという片仮名用語で表現することが多くなっているようでございますが、元来それは、行政分野でいいますと、福祉行政分野で、通例の業務範囲を超えてアウトリーチ、手を差し伸べることが必要になる場合にその言葉を使いますけれども、まさにそのアウトリーチが、昨今では福祉行政以外の他分野でも非常に多くなっております。  要は、自治体窓口業務は、定型的な申請事務処理であっても、申し上げたアウトリーチ必要性を察知するアンテナ機能、これが殊のほか重要になっているわけです。したがって、定型的な申請事務処理を一括して外部委託するとか、あるいは申請等関係事務処理法人に委ねるとかいったことは、現場の実情を見ますと簡単にはまいりません。  このようなことから、窓口業務に関するこのたびの法改正が果たして時宜にかなっているのかどうか、ましてや、人口減少社会における自治体間の連携強化、その連携強化の方策としてそれを役立てようとする狙いが戦略的に有効なものであるかどうか、これらの点について慎重に考える必要があるのではないかと思う次第でございます。  最初の意見陳述は以上でございます。(拍手
  8. 竹内譲

    竹内委員長 次に、福島参考人、お願いいたします。
  9. 福島功

    福島参考人 日本自治体労働組合連合福島といいます。  本日は、参考人として意見陳述を御承認いただき、ありがとうございます。  地方自治法等の一部を改正する法律案のうち、地方独立行政法人法の一部改正について意見を述べたいと思います。  結論的には、地方独立行政法人業務申請等関係事務を追加することは、窓口業務行政サービス水準を低下させ、地方自治体業務の集約そして統廃合を促進して地方自治体を空洞化させることにつながるものと考えており、反対であります。  窓口業務地方独立行政法人に委託することは、以下の三つの点で重大な問題があるというふうに考えています。  第一は、窓口業務地方自治体業務から切り離すことによって、住民基本的人権を守る自治体機能が損なわれることであります。  自治体窓口業務役割は、出生から死亡まで、住民生活権利取得にかかわる重要な場面において、憲法が保障する基本的人権保障することにあると考えています。国民主権地方自治に基づく主権者としての確認や証明、そして生存権幸福追求権に基づく権利保障としての各種保険、そして年金、生活保護、保育など、さらには、家庭生活における権利に基づく権利保障としての戸籍や結婚、離婚、相続など、さらに納税の義務に基づく各種業務などがあります。  先ほどの今村先生が述べられたアウトリーチにかかわる問題でありますけれども、こういった業務がある上で、窓口に訪れる住民の方は、自分家族の抱えている問題が十分に整理をされないまま役所を訪れる方が少なくありません。とりあえず訪れた窓口で、自分の抱えている問題や家族状況を話してから用件に入る方もおられます。窓口業務にかかわる自治体職員は、住民の話を聞いて相談に応じ、さまざまな制度窓口にもつなぎながら、その人の抱えている問題を解決していきます。  滞納している税金を納めに訪れた住民生活の状態を聞いて、減免の要件に該当すると認められる場合については、減免申請ができることを説明したり、生活保護窓口につなぐこともあります。  また、税金のほかにも滞納している公共料金がないかを尋ね、国民健康保険料も滞納しているのであれば、保険証を取り上げられて病院に行けなくなる、こういうことがないように、生命や健康を優先する立場から、国保料をまず支払うよう助言することもあります。  住民基本的人権保障する最善の対応ができるように、職員には深い専門的な知識が必要です。窓口に訪れた住民とコミュニケーションをとりながら、他の窓口部署とも連携をして、住民の求める課題にきめ細かに対応できる総合的な判断力が求められます。  窓口業務を定型的な業務とそうでない業務に切り分けて、定型的な業務とみなした業務外部に委託すれば、本来は一体であるべき窓口業務が分断されることになります。自治体職員地方独立行政法人職員との間で業務について直接的なやりとりをすれば、それは偽装請負になってしまいます。  結果、窓口業務を委託することで業務が非効率的になるとともに、自治体職員窓口に訪れた住民状況を直接に把握することもできず、関連する行政部門との連携にも支障が生じます。また、自治体職員専門性やノウハウも失われることにつながります。  第二の問題点は、住民個人情報管理や不正な請求などに対して、適正な対応ができなくなる、こういうおそれがあることであります。  自治体が保有する個人住民情報は、常に外部からの窃盗や漏えいの危機にさらされています。窓口では、犯罪や不正な目的による申請が行われることが少なくありません。成り済ましによる虚偽申請を見抜いたり、家庭内暴力闇金融などの不正な請求から住民の安全、権利を守らなければなりません。  申請に訪れた方に対して、不審な点があれば質問をし、相手の挙動などを観察しながら虚偽を見抜く熟練した能力も求められます。  窓口業務を担う職員には高い専門性が必要であり、業務に必要な専門性は、経験を積み重ねる、そういう中で養われるというふうに思います。専門性を育成、そして維持、継承するためには、地方公務員として安定した身分を保持し、安心して業務に従事できる賃金労働条件保障することが必要であります。  一方、地方独立行政法人は、原則として企業会計原則によることとされ、毎年度の目標設定により、段階を追って経費削減などのリストラを推進することが求められており、住民福祉の増進を図る役割を持つ地方自治体とは異なる運営が求められています。  地方独立行政法人業務効率化を優先することにより、法人職員が低賃金短期間雇用の非正規職員にされれば、業務についての専門性が蓄積されなくなります。短期間のうちに地方独立行政法人職員が次々と入れかわることになれば、住民個人情報管理にも支障が生じてまいります。  法案では、地方独立行政法人業務の適正を確保するためとして、設立をした市町村から法人への立入検査や監督命令を行えるようにする、このようにしていますが、問題が発生してから事後的に対応を行うものでは、住民情報漏えいなどで失われた損害は回復できないというふうに思います。  第三番目は、複数の市町村窓口業務を一括して地方独立行政法人に委託するようにすることで、地方自治体業務の集約、統廃合を加速させることにつながることであります。  政府は、骨太方針の二〇一五の中で公的サービスの産業化を打ち出して、このように言っています。「市町村で取組が遅れている分野窓口業務などの専門性は高いが定型的な業務の適正な民間委託の取組の加速をはじめ、公共サービスの広域化、共助社会づくりなど幅広い取組を自ら進める。その際、窓口業務のアウトソーシングなど汎用性のある先進的な改革に取り組む市町村数を二〇二〇年度までに倍増させる。」このように述べているわけであります。  窓口業務を一括して地方独立行政法人に委託をすることで、地方自治体の空洞化が一層進められるおそれがあると思っています。  二〇一四年に東京都の足立区が戸籍業務民間企業に委託したところ、戸籍法違反であるとかあるいは偽装請負の問題が発生して、住民からも批判を呼び、一部を直営に戻さざるを得なくなりました。  今回の法案は、骨太方針の二〇一五に基づき、地方独立行政法人を突破口にして、窓口業務の包括的な委託を進められるようにする意図で提出されたものであるというふうに考えざるを得ません。  自治体窓口業務は、これまで述べてきましたように、住民基本的人権にかかわる重要な業務を担っており、地方自治体がみずから主体となって、正規の自治体職員が直接担うことが必要であるというふうに考えています。したがって、今回の法改正に反対であることを改めて表明し、陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手
  10. 竹内譲

    竹内委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 竹内譲

    竹内委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。
  12. 谷公一

    ○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。  きょうは、それぞれ御予定のある中、三人の参考人の皆さん、わざわざ足を運んでいただきまして、ありがとうございます。  それでは、順次御質問をさせていただきます。  先ほど来お話がございましたように、今回の法改正は、自治体内部統制体制の制度化監査制度充実強化自治体の長等に対する損害賠償の一部免責、窓口業務について地方独立行政法人の活用等々があろうかと思います。  さて、太田市長にお尋ねをいたします。  京都府副知事時代に大変お世話になりまして、隣の兵庫県でございますので、ありがとうございました。市長二期目ということで、人口減少に歯どめをかけるために、地元の中山間の地域資源を最大限に活用しながら、地域エネルギー自給率の先進地と言われ、また、合計特殊出生率が全国トップクラスの二・二一というしっかりとした成果を上げていることに、まず心より敬意を表したいと思います。  さて、まず、自治体の長等に対する損害賠償の話であります。  先ほどのお話の中で、これはいろいろ、過去の地方行政に従事した経験から、評価するというお話でございました。  そうしますと、次に具体論になりますけれども、では、どの程度までがということでございます。  法案では政令に委ねるということでございますけれども、民間のベース、民間企業などとの均衡などから、年収の六倍程度という意見もございます。それについて、太田参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 太田昇

    太田参考人 今の御質問でございます。  果たしてどの程度の基準、最低基準がいいのかということ、いろいろ御意見ありますけれども、私は、やはり民間と同じ程度というのがふさわしいのかなと。それ一つしかないという思いがあります。  仮に六倍ということになりますと、知事ですと二千万を超えているところもありますけれども、二千万弱のところ、首長ですと一千万から一千五百万ぐらいのところが多いと思いますけれども、そうすると、六千万から、市町村長でも、一億ですね。やはりそのぐらいがふさわしいのかなと。  それも、要件として、先ほど申し上げましたように、善意または重過失がないときということでありますし、そして、一定、参酌基準を決めていただいて、あとは、やはり地方自治体議会で議論をしていただく、そして、首長の方もまた具体的な提案をするということでやっていけばいいのではないか。そういう意味では、地方分権の中で、参酌ということになっておりますから、あとは、市民意見も入れながら自治体で決めていくということであります。  具体的に、やはり、結論を申しますと、民間並みということが妥当な参酌基準だということを申し上げておきます。
  14. 谷公一

    ○谷委員 ありがとうございます。  次に、内部統制の話に移させていただきたいと思います。  同じく、太田参考人にお尋ねします。  内部統制に関する整備ということが必要だというふうに先ほどおっしゃられたと思います。  そうすると、人口五万人の真庭市、どうされますか。参考人市長としてのお考え。真庭市という、それぐらい全国たくさんあると思うんです。十万人を切る地方の普通の都市といいますか、そういう場合どうあるべきか。法律では義務づけられてはおりませんけれども、今の参考人のお考えをお尋ねしたいと思います。
  15. 太田昇

    太田参考人 御承知のとおり、都道府県で既につくっているところもありますし、大きな自治体は、事務能力を含めてかなりつくりやすいのかなと思います。  そういう意味では、御質問のとおり、なかなか、人口五万弱のところ、つくるのは難しいなという思いは正直ございます。しかし、私は、ちょっと時間はかかりますけれども、真庭市でも挑戦していきたいと思っております。  というのは、そんな高尚な話じゃなくて、恥ずかしい話ですが、結構、基本的なところの認識が不十分で大きなミスが起こってしまうということがございます。  実は、私が市長になっても、町村時代ですけれども、固定資産税の評価のときに、鉄筋コンクリートを、鉄骨を鉄筋というふうに認定してしまって、そうすると、鉄骨の方が安いのに鉄筋で十年以上取っていまして、時効は五年ですけれども、あと内部基準もありまして、十年分返したということがありまして、そうすると七千万ぐらい。それがたくさん出てきたんですね。事務の基本をきちっとこういうふうにすべきだみたいな、そういうレベル内部統制方針はこれはぜひとも必要だと思っておりますし、そういうことで行政緊張感を持っていく、つくる過程でも緊張感を持つ、つくっても緊張感を持つということは大事だろうと思っておりますので、挑戦していきたいと思っております。  以上です。
  16. 谷公一

    ○谷委員 ありがとうございます。  さすがに真庭市らしく、義務づけられていないけれども、できる限りそれらに取り組んでいきたいという決意を述べられたのではないかと思います。  さて、監査制度について、三人の参考人の方にお尋ねしたいと思います。  少し主要な論点ではございませんが、今回の法改正のうち、監査委員、「条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。」という規定がございます。  私も、県の職員であったり、あるいは当時の自治省でしばらくいたこともありますけれども、個人的にはいかがなものかなと思っていました。県会議員が監査、一年ですね。大抵、役の一つですわ、議長、副議長、監査委員とか。そういうことが果たして有効なのかなと。果たして職員の方に、なかなか、プレッシャーというのか、しっかりとした監査あり方としていかがなものかなと思います。そういう意味で、条例で議員のうちから監査委員を選任しないという仕組みができたということは、私は評価します。  三人の方にお尋ねします。  こういうような規定をどう捉えて、どう評価されるのかということをお尋ねしたいと思います。
  17. 太田昇

    太田参考人 私も、選択の余地を広げておくということがいいと思っております。  議員さんには、議会には悪いんですけれども、谷先生がおっしゃるように、一つのポスト的な感じになっている一面はあります。  それと、大統領制で、市民の代表である議会と議員と、そして首長と、そこがきちっと対峙する意味でも、私は、議員の方に、審議会委員に入るとか、そういうようなことはいかがなものなのかという思いであります。  議員は議員で、市民の代表として市民からの意見をまとめて議論していく、そして首長の執行部とという形でやるのが本来で、とかく、正直言いまして、行政の方も、取り込もうと思って、逆に審議会委員なんかにするケースがありますが、私は意識的にそういうことを、制度をきちっと説明した上で外していっております。そういう方が健全。  ただ、いろいろな考え方がありますから、少なくとも選択の余地。私は、自治法全体、選択の余地を広げていっていただきたい。昔は都道府県の部の名前まで自治法で決まっていた、そういうがんじがらめの規制から、どんどん選択の幅を広げて、あとは自治体責任を持つ、有権者が最後は責任を持つ、そういう地方自治が本来あるべき姿だと思っております。
  18. 今村都南雄

    今村参考人 私が地制調、地方制度調査会にかかわっていたころのことを思い出しますと、ついにここまで来たかと。百九十六条ただし書きが入ったこと、やはりこれはどきりとさせられました、率直なところ。  やはり監査委員の伝統的なあり方、これは例えば政治学でいいますと、アリストテレスの政治学からもう始まっておりまして、非常に歴史がございます。ですから、こうあるべきだというようなことを話しますと、いろいろな意見が開陳されるのではないかと思います。  しかし、私がかかわっていたころは、せいぜい、識見を有する者から選任する監査委員、これをもっと増加した方がいい、そういうのが二十七次だったですかな、二十八次ですか、地制調でございまして、今、太田市長がお答えになりましたように、選択の余地を広げるということにしろ、ただし書きで「監査委員を選任しないことができる。」というこの文言は時代の流れかなというふうに感じております。  積極的に、それについて、こうすべきだという考え方が今まとまっているわけではございません。  以上でございます。
  19. 福島功

    福島参考人 私が所属をしている自治体労働組合の見解ということではなくて、私個人の見解で少し述べさせていただきたいというふうに思います。  私も、昨年の三月まで京都府の職員として二十九年間、府の、京都仕事をさせてもらいました。当然、我々の業務について、監査委員の皆さんが監査されるということが定期的にございました。  私は、地方自治は、首長とそして議会というその二つの、いわゆる二元代表制をとっていることのやはり意味というのを、今回の制度においても考える観点ではないかなというふうに思っております。  そういう意味で、議選の監査委員の方を義務づけを外すということは、ある意味議会の中でのチェックというのも当然できるわけでございまして、そういう点からどう自治体判断をするのか、そういったことにもつながる点では一つ選択の幅を広げた、そういうものじゃないかなというふうに思っているところであります。
  20. 谷公一

    ○谷委員 ありがとうございました。  もう時間となりますのであれでございますけれども、今の太田市長の立法府と行政府のあり方は、我々国家についても言えるかと思います。幾つかの法律で、国会議員も審議会委員になっている。個人的にはどうかなと。そういう意味で、国会の方も見直してはどうかという太田市長の思いを遠慮がちに言われたというふうに受けとめさせていただきたいと思います。  きょうは、三人の参考人の皆さん、どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  21. 竹内譲

    竹内委員長 次に、鈴木克昌君。
  22. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 民進党の鈴木でございます。  まず、お三方の参考人、本当に御多用の中お越しいただきまして、ありがとうございます。私からもお礼を申し上げたいと思います。  太田市長さんにおかれましては、二期目の御当選おめでとうございます。ただ、人口四万八千人という市で、しかも、二〇〇五年ですか、九町村の合併という、私も実は首長経験してまいっておりますので、そういう意味では非常に悩みもわかるし、大変だなというふうに思っております。  それから、福島さんにおかれましては、いわゆる自治体の職場の中での偽装請負や、きょうお話にはなかったんですけれども、違法派遣とか、そういった関係について非常に情報を発信されておるというお姿、大変敬意を持って拝見させていただいておるところでございます。  きょうはやはり今村先生に中心的にお伺いをしたいと思って、先生の「“古希”を迎えた地方自治法」という自治研の本を読ませていただいて、これだけで三時間ぐらい先生の御指導をいただきたいと思うんですが、限られた時間が十五分ということでありますので。  いずれにしましても、日本の戦後教育で最も頻繁に使われた地方自治に関する格言として、イギリスのジェームズ・ブライスの地方自治は民主主義の学校という表現がある、古希を迎えた地方自治法のもとにおいて、果たして地方自治は民主主義の学校になぞらえることができるのかどうかという先生のお話や、それから、地方自治法が制定されて今日に至るまで、いわゆる昭和の大合併や平成の大合併がやってきたことの中で、小地域における自治がどうなっていっておるのかというような御指摘や、それから、国から地方へ、プラス官から民へという、これもちょっと長くなるので割愛させていただきますが。  本当にそういった御指摘については私も非常に一々ごもっともだというふうに思うところがありまして、本来ならこれでお伺いしたいところでありますが、きょうは地方自治法等の一部を改正する法律案ということでありますので、それに沿って御質問をさせていただきたい、このように思っておるところであります。  住民訴訟なんです。  きのう、この中におみえになるんですが、武蔵野の市長をやられた土屋議員が、自分の任期中に、被告になったり原告になったり、両方やっている、こういうお話をされました。実は、私も蒲郡の市長時代に、被告になったり原告になったり、経験をしておるんですね。そういう中で、まず最初に、この住民訴訟についてのお考えをお伺いしたいと思います。  太田市長は十分御理解されると思うんですけれども、やはり市長になると、何としても地方を活性化させたい、そして流れを変えていきたいということで、新しい事業にチャレンジをするわけです。また、それがなければ首長を目指す意味はないわけでありますけれども、そういう中で、いわゆるいろいろなケースで高額な賠償を求められるということはあるわけですね。これはやはり市長の手足を縛るというか、やる気をそぐというか、極端なことを言えば、なり手がなくなってしまうというようなケースもあるのではないかなと思うんです。  太田市長にお伺いするには余りに生々しいので、今村先生に、その辺のところをどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  23. 今村都南雄

    今村参考人 答えにくいですね。というのは、初めに月刊自治研のつい最近書いたもののことを触れられましたけれども。  住民訴訟については、先刻御承知のとおり、やはり戦後入った新しい仕組みでございまして、特に、我が国に非常に独自なものと言われているのは、住民監査請求が前置主義になって、前に置かれていて、住民訴訟がある。  住民訴訟がもたらす効果というのは、非常に、首長さんなんかは特にそうなんでしょうけれども、びっくりするほどの損害賠償額の請求がそのまま認められるようなケースもあるわけですね。古い例では、三セクや何かの事案を見ましても、これは気の毒だと正直に感じました。にもかかわらず、私は、この住民訴訟制度、この重要性に鑑みて、そういう問題はあるんですから、物には限度という、請求一つの限度を設けるとか一部減免の仕組みを導入するとかいったことはあってもいいと思うんですが、この制度そのものは大変重要。  これは、やはり自治体において住民主権者でございますから、ここの考え方に立つ限り、いろいろな工夫、試行錯誤があるかとは思いますけれども、この制度の拡充が求められることが原則的には必要であるという認識。その上で、いろいろな工夫をしていく。  今度の改正でもそうでございますけれども、特に、今度の提案との関係でいきますと、議会権利放棄の議決ですね。この扱い方について、私は、新設の二百四十二条の十項ですか、ちょっとこれは、条文上は自由に権利放棄できるような読み方ができるわけであります。  これを、もっと要件を限定する必要があるのではないかという印象を持ちました。このままでは少し、言葉は語弊がありますけれども、ずぼらな規定になっていないかなという印象を、このたびの改正、条文を拝見した限りでは持っております。
  24. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 ありがとうございました。  私も、ちょっと過激に、市長のなり手がなくなるのではないかというような言い方をしたわけでありますが、確かに大事なことであることは十分理解をしておるつもりなんですが、やはり大きな矛盾のないように、制度を少しずつでも見直していく必要があるんじゃないのかな、こんな思いで質問をさせていただいたということでございます。  次に、監査についてもお伺いをしたいと思うんです。  先ほど、谷公一議員の方からお三方に御質問がありました。太田参考人は、監査については、選択の余地を残すのはいいことだ、こういう御趣旨だったと思います。今村参考人は、時代の流れを感じる、こういうお話だったと思います。それから福島参考人は、地方自治首長議会の二元代表制だからという御趣旨だったというふうに思います。  いずれにしましても、私は、やはり監査というのは非常に大事なことだというふうに思います。形骸化ということでなくて、本当の意味での大所高所からアドバイスをし、そしてきちっとした指摘ができるような、そういう体制であるべきであるというふうに思うんですが、非常に重要な問題なものですから、あえてお三方からもう一度端的にこの監査についてのお考えをお示しいただければと思います。太田参考人からお願いいたします。
  25. 太田昇

    太田参考人 申し上げます。  先ほども申し上げましたように、監査の重要性については述べたとおりでありまして、首長として、事務局も、人数はなかなかふやせないんですけれども、いい職員を入れて、そして、単なる事務監査じゃなしに、行政監査というようなことで、勧告できるようなことまでしてもらえるようにしたい、そういう配慮をしていきたいと思っています。  そういう中で、選択制でもって、それぞれの自治体で考えていくということの改正は賛成であります。  以上でございます。
  26. 今村都南雄

    今村参考人 この監査制度の部分は、一般的なことはともかくとしまして、改正法案の百九十八条の四第五項、これは若干疑問があります。  つまり、「総務大臣は、普通地方公共団体に対し、監査基準の策定又は変更について、指針を示すとともに、必要な助言を行うものとする。」これが新設で入っています。  なぜ監査委員だけにこれが入るのか。御承知のとおり、自治法二百四十五条の四の方に基づきまして、総務大臣は技術的助言をすることは可能なわけですね。加えて、総務大臣に対する義務づけ的な規定が、「監査基準の策定又は変更について、指針を示すとともに、」という部分をどうしてここで挿入する必要があるのかということが私としては疑問に思っております。  監査が重要だということについては、全く異存はございません。
  27. 福島功

    福島参考人 法案についてはちょっとコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、監査の重要性という点でいえば、私も、先ほども述べたように、京都府の職員として毎年のように監査を受けていました。  そういう中で、職員の側からすると、ついうっかりミスをしてしまうというふうなことも含めてあったりしますし、そういったことに気づかされるという点であるとか、あるいは、本当に今、人が少なくされている中で、そういう制度も含めて職員が十分勉強するという機会もなかなかなく、日々仕事に追われているという状況なんかもございます。  そういう点では、その時々、状況を振り返りながらという点でも、一般的な議論にはなりますけれども、監査体制そのものが強化をされるという点でいえば大変重要なことだというふうに考えております。
  28. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 質問もあと五分を切ってしまいましたので、最後に今村参考人にお伺いをして終わりたいと思うんですが、今村先生は、行政学、行革委員として、いわゆる行政改革にずっと取り組んでみえた。先ほどの御発言の中で、スリム化を急ぐ余りに不完全な形になった部分があるというふうにおっしゃったわけですね。  地方独立行政法人法の一部改正について先生にお伺いしたいんですが、この地独法については、何なのか、それから必要性ということを人々にもっとしっかり知らせる必要があるんじゃないか、こういうお話をされたわけです。そこについて、いわゆる行革の一環だというふうに捉えることもできるし、それから逆に、先ほどのように、非常にスリム化を急ぐ余りに問題も残したということですよね。  いわゆる地独法について、先生は今、行革を唱えてみえた立場でどのようにお考えになっているのか、お示しをいただきたいと思います。それを最後の質問にしたいと思います。
  29. 今村都南雄

    今村参考人 古い話で、二十年前の話になりますけれども、先ほどちらっと言及しました前の武藤総務長官の武藤ペーパーというものをごらんになれば、現実の独立行政法人制度とのギャップがおわかりになると思います。  イギリスの場合には、エージェンシーというのはあくまで行政機関でありまして、日本の特殊法人というものとはわけが違うわけでございます。したがって、その武藤ペーパーにも、エージェンシーの仕組みというのは、これはコンスティテューションの変革にかかわるものではない、あくまでもマネジメントの変革だというようなことから説き起こし、さらには、エージェンシー制度を具体化するのには市民憲章的なアイデアをきちんと同時に入れなくてはいけないというようなことも書いてあるわけです。そのいずれもがきちんと理解されないままに日本の独立行政法人制度は急がなければならなかった、こういうことであります。  今申し上げましたように、日本の、国の独立行政法人に関しては特殊法人改革と密接に絡んでおります。問題は、地方独立行政法人。これについては、実際に大学の講義などをしますと、ほとんどの学生は、皆目わからない、こういうふうに率直に言います。  ですから、先ほども言いましたように、定義規定、この関係資料では四十一ページにありますが、この第二条、「「地方独立行政法人」とは、」と規定があります。せめてと私が先ほど言いましたのは、地方公共団体がみずから主体となって直接に従事する必要のないもの、これが前提にあるんです。これは誰が判断するか。言うまでもなく、設立主体地方公共団体である。地方公共団体判断でそういうふうに実施する必要がないと認められるもののうちということがここに明記されれば、かなり地方公共団体側の受けとめ方も変わってくる。  観念ではわかっているんです。設立主体地方公共団体。しかし、これは、地方公共団体がみずから主体となって直接に従事する必要のない、それを考えるのは国側だろう、それには反対という考え方があるわけです。  その辺からもう議論がすれ違ってしまうわけでありまして、そういう、これは全く今度の改正案には入っていませんけれども、第二条の定義規定をもっとごく普通の、例えば法学部の学生なんかが見てわかるように書くのが必要だということを申し上げたということでございます。
  30. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 どうもありがとうございました。
  31. 竹内譲

    竹内委員長 次に、輿水恵一君。
  32. 輿水恵一

    ○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。  参考人の先生方には、きょうは、本当にお忙しい中を、貴重な御意見を賜り、まことにありがとうございます。  私の方からは、初めに、地方独立行政法人業務への窓口関連業務等の追加につきまして質問をさせていただきたいと思います。  実は、昨日、当委員会で、この関連なんですけれども、板橋区役所を視察させていただきました。  板橋区役所では、窓口業務を、独法ではないんですけれども、民間に委託して市民サービスの向上を図ると。  どういった目的で、市民サービスの向上をということでありますけれども、やはり窓口が、季節にもよるんですけれども、非常に混んで、待ち時間が長い、そういった区民の皆さんの苦情を受けて、その待ち時間をいかに短縮していくか。また、通常の判断を必要としないルーチンの業務等をきちっと振り分けて、そういったものに関してはということで、同じ窓口業務とはいっても、全てを民間がやるのではなくて、定型的なもので判断等を必要としないものについては処理的にしっかりやっていく、そして判断が必要なものについては職員がきちっと対応する。そのような流れの中で、民間委託というものが進められておりました。  今、政府も、地方行政サービス改革ということで、このような民間委託だとか、あるいは指定管理制度だとか、そして今回、窓口業務に関しては、地方独立行政法人制度の活用という形で選択肢がふえてくる、こういう形になるのかと思います。  先ほどの議論の中で、相談をちゃんとして、安心してやっていきたいという方は当然いらっしゃるわけで、そこはそこできちっと立て分ける、そういうやり方も確かに必要で、そういう形の工夫もされていたのかなというふうに感じてはいたんですけれども、このような形で、もう一度先生方に確認をさせていただきたいんです。  この行政サービス、今回の法改正も含めて、アウトソーシングの推進といった流れが今あるんですけれども、そういったものに対して、せめて、進めている中でどういった点に留意した方がいいのか、また、アウトソーシングによってどういったところが改善の可能性があるのか、この二点につきましてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。
  33. 太田昇

    太田参考人 私の基本的な考え方は、アウトソーシングそのものに反対ではございません。ただ、安易なアウトソーシングも問題があると思っております。  現実には、委員のおっしゃるように、非常に業務がふえております。大都市もそうですけれども、地方都市も、先ほど申し上げましたように、地域福祉とかを含めて、非常にふえている。その中で、それは職員をふやせばいいんでしょうけれども、そうふやすわけにはいかない。そういう中の一つの方策として、機械的なものについては一定の縛りをかけながらアウトソーシングしていくということが現実的だというふうに思っております。  その場合に、民間委託も、地方都市の場合で考えますのは、なるべく大企業に委託したくない、人件費は地元の人に入るかもしれませんけれども、あとの利益は東京に行くということで、なるべく地元でと。地方独立行政法人をそれでは小さいところでつくれるのかというような問題もありますけれども、大手の民間委託でするよりは、そういう地元の首長責任を持ってという方がいいと思っておりまして、今回の選択の余地を広げるというような意味も含めて、賛成であります。  特に、こんなことをやっていてはと思いますのが、今、例えば住民異動の届けで行きますと、受け付けとそれから入力は委託できる。審査といっても、正直言ってそんな大したことないんですけれども、確認とかそういうことは行政がやらなきゃならない。また、それを打ち出して渡すことは民間委託。  こんな、本当は切れないようなものを切っていくよりは、定型的なものについてはもう一連の流れの中で、ただ、定型的なものに限る、そういう今のような規定をきちっと入れる中でということが現実的だろうと思っておりますから、今回の改正には、私は賛成であります。
  34. 今村都南雄

    今村参考人 いわゆるアウトソーシングは全くだめというような考え方は持っておりません。  ただ、アウトソーシングというのも、このたびのきっかけの一つとなりました三十一次地制調の答申の用語でも「外部資源の活用」、外部資源の活用というアウトソーシング、それが本来の使い方であります。  しかしながら、アウトソーシングの実態というのは、安上がり行政、安ければいい、少しでも安くと。これはもちろん国民の税金のことを考えるとそのとおり重要なことでありますが、アウトソーシング、外部の知恵を、例えば、古い話ですと、電算化を必要とする、しかし大型コンピューターに関するノウハウがわからない、だから外部のそういうしかるべきところの人々の知恵をかりる、助けをかりる、行政が助けをかりる。しかし、今のアウトソーシングというのは、従前は行政がみずからやっていたものを民間に委ねる、なぜ、安上がりで済むから、そういうアウトソーシング。ベクトルが逆なんですね。  だから、そういうベクトルが全く、外部資源の活用という本来のものにはなっていないということについて、待ったをかけているというのが必要です。  それから、先ほど、アウトリーチと。同じアウトで進むんだったらアウトソーシングじゃなくてアウトリーチの時代なんだ、そのことをもっときちんと留意した上で制度設計をする必要がある、そういうことを強調したかったからでありまして、このアウトリーチという考え方に立ちますと、やはり外に出せば済むというような、そして残った人材をより有効に活用できる、それは随分幻想にすぎないのではないか。  まして、最後のときに言いました、この三十一次地制調の理論は、人口減少社会の到来、それに対する戦略として、これをかなり重視しているようでございます。しかし、そのようなものとして本当に今度の仕掛けが有効かどうか。  私は、そんなに期待できないのではないかという認識を持っているものですから、むしろ今は、基礎自治体、特に重要なのはアウトソーシングじゃなくてアウトリーチ、この重要性に思いを寄せてしっかりと考える、そして、その中で、この独立行政法人の仕組みへの理解を十分なものにしながら、当該自治体がどう判断するか、主体的に判断をして進めていく必要がある、こういうことでございます。
  35. 福島功

    福島参考人 私どもは、自治体に働く職員や、また公務公共関連の職場で働く職員でつくる労働組合でございますので、基本的には、自治体業務を外に出すというアウトソーシングについては反対でございます。  それは、一つは、やはり住民サービスというのがどうなっていくのかということを考えるという点では、先生が言われたいわゆる留意点というところにかかわる問題ではないかなというふうに思うのと、もう一つは、やはりアウトソーシングをする理由は、先ほど今村先生の御発言にもありましたようにいわゆる安かろうという自治体側からの判断だけではなくて、そのアウトソーシングされた方で働く労働者の状況というのを考える必要があるのじゃないかというふうに思います。  アウトソーシングをした結果、安い非正規の労働者で働かせるということがどうなのかということがやはり大きな問題になって、結果として今の働き方改革のような議論につながっているのではないかというふうに思っています。
  36. 輿水恵一

    ○輿水委員 どうもありがとうございました。  いずれにいたしましても、今回、選択肢はふえてくる。まさに、先ほどおっしゃられたとおり、具体的に地方のそういった行政を進めていくのは自治体主体性、自主性、自立性の中にあるわけでございまして、やはり身近な現場でその辺のあり方というものをよく議論されながら、きのうの板橋も、相当議論をして、そして、何とかこれだったら区民の皆さんに喜んでいただける、そういう視点で進めていたというふうに伺いましたので、そういう現場でのきちっとした練り上げの中で適切に進められることが望ましいというふうに感じました。ありがとうございます。  その上で、もう一つ、せっかくの機会なので、今度は、損害賠償責任の最低限度額条例で決められるということで、せっかく太田参考人にいらしていただいているので、太田参考人。  いろいろ、地方を創生しようということであれば、ある程度挑戦的な事業を進めながら、新しい地域の活性化、そういったものも必要な中で、今回、最低の責任限度額というものが定められるということで、具体的に仕事をする上で、どのような効果といったもの、あるいは、本来はそういったことがないという前提できちっと地域のためにということで進められている中でも、こういったことが決められるという中では、どのような感想をお持ちか、改めてお聞かせ願えますでしょうか。
  37. 太田昇

    太田参考人 これが可決されて制度ができたからといって、住民にとって、自治体にとって、損害を与えない、そういう思いを強く持って仕事をしなきゃならないということは変わりないと思います。  ただ、先ほど例を申し上げましたように、これはとてもと、裁判を否定したり信用しないわけじゃありませんけれども、どう考えても理不尽なようなことになってくると、首長としてやはり二の足を踏むようなことも出てまいります。  そういうことで、民間と同じ程度の最低限度額を、それも、何回も申し上げますが、善意、重過失がない場合、そういう限度をはめて、きちっと議論した上で条例でという、これはぜひお願いしたいし、そういうことによって首長もいい意味で前向きな仕事ができるというふうに思っております。
  38. 輿水恵一

    ○輿水委員 どうもありがとうございます。  また、せっかくの機会でございますので、あと若干時間がございますので太田参考人に伺いたいんですけれども、今回、決算で不認定になった場合ということで、どういった取り組みをしたかということをまた説明する、そういった改正もあるんですけれども、これは委員会でも確認させてもらったんですけれども、直接聞かせていただければと思うんです。  本来、議会というのは、決算でいろいろな議論があった、その議論の中身を踏まえて執行側は次の予算できちっとした対応をして応えていく。そういった流れの中で進んでいる中で、今回の改正というものはどのような意味を持つのかにつきまして、改めてお聞かせ願えますでしょうか。
  39. 太田昇

    太田参考人 不認定のケースを見ていますと、書類でですから本当はわからないところはありますけれども、どうも本来の不認定じゃなくて、両者の感情的対立あるいは政治的な思惑の不認定というようなものも見受けられ、それは地方全体にとって不幸なことだと思います。  そういう意味では、地方の方も、不認定にするときには本当にきちっと議論してすべきだという地方の側の自制というのが要ると思いますが、しかし、不認定になって、やはりこれは当然措置をとるべきだというものをとる、そうした場合には当然議会に報告する義務という今回の改正というのは、私は、今までない方がおかしい、むしろあってしかるべきだ、やはり議会に対してこういうことをこうしたというのをきちっと言う制度というのは当然だというふうに思っております。  こういう改正を機会に、不認定をする方もよく考えて、そしてまた、執行機関の方も堂々と、そして、もしなったら、誠実に改めるところは改めて、議会、市民に報告をするということでいけばいいと思っております。
  40. 輿水恵一

    ○輿水委員 貴重な御意見、ありがとうございました。  時間でございますので、終了させていただきます。ありがとうございました。失礼します。
  41. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  42. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 三人の参考人の皆さん、本日はどうもありがとうございます。  日本共産党の田村貴昭です。どうぞよろしくお願いします。  最初に、自治労連の福島参考人に何点かお尋ねしたいと思います。  窓口業務住民権利に基づくものであり、そして、住民生活のさまざまな場面が窓口にあるとの御指摘でありました。  その窓口業務が委託されれば、申請に訪れた住民状況を直接把握することはできず、関連する行政部門との連携にも支障を生じてまいります。同時にそれは、お尋ねしたいのは、自治体職員専門性やノウハウも失われていくことになりはしないかと私は懸念するんですけれども、いかがでしょうか。
  43. 福島功

    福島参考人 地方独法を設立したとしたら、定型的とはいえ、公権力の行使を含む業務をいきなりこなすレベル職員というのは多分できないんだというふうに思います。そのためには、現に市町村窓口業務につかれていた方を派遣するだとか、あるいは移行させる、こういった対応しかないというふうに思います。  そうしたら、移行した段階で、いわゆる移行元の行政にとってはノウハウがなくなるわけでありますし、また、派遣をした人間が、行ってそこでノウハウが蓄積できて、戻ってきて異動してしまったら、やはりその職場にノウハウは蓄積されないということで、徐々にではあると思いますけれども、自治体職員専門性やノウハウというのは薄れていくのではないかというふうに思います。
  44. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 その公権力の行使も含めた包括的な業務地方独立行政法人に担わせようとしているわけであります。  それは、自治体が直接強い関与をするから大丈夫だ、だから自治体が直接執行する理由はない、必要はないというふうな理由があるんですけれども、私としては釈然としないものがあります。御見解をお聞かせいただければと思います。
  45. 福島功

    福島参考人 先ほども述べましたように、自治体職員専門性やノウハウというのが徐々に失われていくということになります。そうなった場合に、法人職員がしている業務がわからないにもかかわらず、どんなときにどんな関与が必要なのか、その点も的確に判断ができるというふうには思いません。  したがって、市町村が強く関与しようにも関与できない状況というのがつくられていくのではないかというふうに思っております。
  46. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 複数の市町村窓口業務を一括して地方独立行政法人に委託すれば、地方自治体業務の集約、統廃合を加速させかねない旨の御意見だったというふうに思いますけれども、これはどういうことでしょうか。
  47. 福島功

    福島参考人 今、総務省は連携中枢都市圏構想というのもやられております。住民にとっては行政サービスを受けるために必要なことかもしれませんけれども、中枢都市に対して業務をしてもらう、さらに、今回のように窓口業務独立行政法人にしてもらう、このように次々と業務をアウトソーシングしていくというふうになれば、自治体業務そのものが空洞化をしていく。そのことが、ひいては、その後、市町村合併など、そういった問題に突き当たっていくのではないかというふうに考えているところです。
  48. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ちょっと先ほどの質問にも戻るんですけれども、地方独立行政法人自治体業務窓口業務を委託していきますと、独法の形も公務員型、非公務員型とかいうふうにもあると思うんですけれども、それぞれの場合において、今の時点で福島さんが想定される懸念というものがあったらちょっと教えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  49. 福島功

    福島参考人 過去に独立行政法人になった例が、地方独法が生まれてからあるというふうに思いますけれども、やはり非公務員型というのは、それこそ我々職員もそうですが、やはり公務員として住民のためのサービスを行おうということで志を持って入った者が、制度が変わることによって公務員であることを奪われるわけでありますから、そういう点での身分保障などの問題というのが職員の側にとってはあるのではないかというふうに思っております。
  50. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 私は九州なんですけれども、福岡です。たくさんの自治体を回ってきましたけれども、小さな自治体、町、村に行けば行くほど、一人の職員の方が幾つもの業務をこなしておられます。窓口において、住民票と戸籍、あるいは年金と国民健康保険、そういう複数の業務をこなしておられます。  そうした業務の中から、定型的業務判断したり、権力行使を伴うものまで、切り出すといっても、なかなかそれは難しいことになるのではないかなと思いますけれども、福島参考人はいかが思われるでしょうか。
  51. 福島功

    福島参考人 私も、京都府の職員のときに、統計課という、国の業務をいわゆる法定受託していることがありました。  その際に、京都府の職員は八十人ほどその統計課にいまして、国勢調査や家計調査、さらには工業統計調査などさまざまな統計調査を行っていたんですけれども、それをさらに受ける市町村によっては、特に町村がそうなんですけれども、一人の職員で全ての統計業務を行うというふうなことがございました。  さらに、その人がほかの業務まで持つということもありましたので、今回、先生御指摘のように、窓口業務においても、戸籍や住民票、さらには国民健康保険などを含めて、複数の業務を持っている方がおられるというふうに想定をされます。  その際に、その業務を切り分けて、一人でやっている方の一部を、では、独立行政法人に預けようというようなことについては、私は効率化には決してつながるものではないというふうに思っております。
  52. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 次は、委託される業務情報公開の関係についてお聞かせいただきたいと思うんです。  窓口業務の一部を委託している自治体において、住民がその民間業者の業務報告を情報公開請求しました。しかし、出された文書は、いわゆる墨塗りの、一部非公開、一部公開の資料だったというふうに伺っております。  導入されようとしている地方独立行政法人情報を積極的に公開するであろうかという私の懸念は、どのように受けとめておられるでしょうか。
  53. 福島功

    福島参考人 今、先生が御指摘のところについては、東京の足立区のことではないかなというふうに思います。  独立行政法人、国の行政法人については独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律というのがございますが、地方独立行政法人についてはございません。  一方で、地方独立行政法人法については、二十五条の中期目標や、二十六条の中期計画、さらに二十七条の年度計画、二十八条の業務の実績に関する評価、さらに四十八条や五十六条で規定されている給与支給基準、こういったものについては公表の義務がありますけれども、業務状況を積極的に公表するというふうな規定はございません。恐らく、そのような中で、民間委託されなければ公の業務として開示をされる情報が開示をされなかったのではないかというふうに思っております。  この状況は基本的に変わっていないというふうに思いますので、独立行政法人であっても、積極的に情報公開するということにはならないと考えます。結果、住民の代表である議員のチェックが入らない、このことについては問題だというふうに考えています。
  54. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 よくわかりました。  続いて、今村先生にお伺いいたします。  先ほどの先生の意見陳述の中で、アウトリーチ、手を差し伸べることが必要だ、そして、窓口業務というのは住民の求めに応じてぱっぱと処理できるものではないということで、アンテナを張る必要がある、たとえそれが定型的な業務であってもということで、私も大変共感をいたしました。  しかしながら、自治体のアウトソーシングがすごい勢いで広がっております。そして、人員削減もこの間大きく進められてきました。  そうした中で、外部委託、アウトソーシング、それそのものが評価をされる、政府からも評価をされるというような状況の中にあって、先生にお尋ねしたいのは、今、地方自治体に求めること、そして、政府に対して先生が意見を申し上げるとするならば、どういった点にあるかということをお聞かせいただけるでしょうか。
  55. 今村都南雄

    今村参考人 細々したことではなしに申し上げますと、既に言ったとおりでありまして、アウトソーシングとアウトリーチだったらアウトリーチこそが大事だ、そういう状況認識を持っております。  特に、先ほどのような、アウトソーシングという意味内容が大きく変わって、外部資源の活用よりも、従来の行政がやっていたサービスを民間に出していく、これだけで、経費の節減ということ、その効果をもってその正しいことを吹聴するというのは、私は間違っているのではないかと。  特に、自治体の場合には、自治という観点をゆるがせにできないわけでありまして、この自治の観点からやはり考えていく必要がある。  しかし、にもかかわらず、アウトソーシング全てを私は否定しないという意味は、ちょっと横にそれてしまうかもしれませんが、特に市民的活動の団体とかNPOとの連携というようなことを考えていく場合には、その部分は高く評価していく必要があるものも多い。  社会全体の中で行政と市民活動とのそういうスクラムがますます必要になってきている、そういう状況認識を持っているために、その部分についてはその人々のまさに協力、力をかりる必要があるという、そこに考えがあります。  以上です。
  56. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ありがとうございました。  真庭市の太田市長にもお尋ねいたします。  真庭市のホームページから、真庭市アウトソーシング基本方針というのが発表されていて、ちょっと目を通させていただきました。  自治体窓口業務の委託の案件が今審議されています。そこで、真庭市、御市におかれましては、アウトソーシングになじまない事務業務として、戸籍謄抄本、印鑑証明等の発行等市が直接行う事務業務、法令等の規定によるもの、それから許認可等の公権力の行使に当たるもの、例えば税の賦課とか税減免の決定であるとか、そういったことが書かれているわけです。一方では、アウトソーシングに適した業務として、例えば窓口業務では各種受け付け、証明書の発行といったものが書かれておられました。  今後、地方独立行政法人というのは、この扱う業務というのがふえる方向にはある、必然的にふえていくのではないかなと私は思うんですけれども、地方独立行政法人においてもなじまない業務、そして委託してはならないといった窓口業務市長としてはどのようにお考えになっておられるか、教えていただければと思います。
  57. 太田昇

    太田参考人 私も、この改正には賛成ですけれども、危惧といいますか、そのこともよく理解はできるつもりであります。  やはり行政として公平、公正、平等に判断をし、仕事をしなきゃならないということは必要でありますから、そういうことで、改正で書いてある定型的なそういうもの二十四項目、その中には、例えば申請の受理でも、生活保護の受給申請だとかそういうものは除かれている。現実に生活保護申請を受理すれば、それをなかなか覆すのは難しいような、だから、同じ受理でも、かなり公権力というか法的効果の強いようなものとか、そういうものは除かれている。  この二十四項目をずっと見ると、それは法律の別表ですから、ふやすときには法律をまたこういうことで改正しなきゃいけない、そういうことでやっていますから、私はいいんだろうと思っております。  お尋ねの真庭市についても、一方では業務がふえる、本来、企画的なこととかしなきゃならないものがいっぱいある。その中で、人的資源についても、財政という財源資源についても、どこにどう配分するのが次の時代をつくっていく上でいいのかということを考えざるを得ない。そうすると、先ほど申し上げました行政の本来の公平、公正、平等とかに反しないというものについては外に出していく。  ただ、今村先生がおっしゃったように、それでは、安易な安上がりの労働力に頼るということもこれはまた考えなきゃならないと思いますけれども、女性の人で、昼間のこの時間に働きたいというような方も結構いらっしゃいます。そういう方の力を機械的な労働については活用していくということもあり得るというふうに思います。  そういう意味で、中央政府の方から、こう決めたからこうしろと言われる、それは困りますけれども、また、それはないと思いますが、選択の余地を広げていただいて、自治体住民意見も聞きながら、もちろん議会で決めていくわけですが、そういう形で、幅広い選択というのは私はいろいろな意味で必要だというふうに思っております。
  58. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 時間が来たので、これで質問を終わりたいと思います。  三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
  59. 竹内譲

    竹内委員長 次に、足立康史君。
  60. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史と申します。  きょうは、三人の参考人の皆様、ありがとうございます。  私からは、住民訴訟を中心に、お三方に御意見を賜りたいと思っております。  議論をちょっとわかりやすくするために、ちょっと具体例を申し上げます。具体例についてコメントしにくい場合は、一般論でも結構であります。  委員会質疑でも議論してきたいろいろな最近の事例、例えば、東京都で、小池都知事が石原元都知事の豊洲移転をめぐってさまざまな動きをされています。  御承知のとおり、もともとこれは住民訴訟が、要すれば、石原知事の時代に豊洲移転を決定した、これについて五百七十八億円の価格で取得した、これは違法だということで全額返還を請求した。  当初は、都庁は当然同じ立場で弁護団をつくってやっていたわけですが、小池都知事になってから、この都側の対応を見直すということで、むしろ弁護団をもう一回編成し直して、石原元都知事をどちらかというと追及する側に立ってやっている。まだ実は、その方針が二転三転というかごたごたして、結局、裁判所に都側が具体的な都の方針というものを決めずに、ずっと時間ばかりたっているという異常な事態が続いています。  地方公共団体というのは本来首長を支える、もちろん、債権を首長に対して持っている、元首長に対して持っているわけですから、イコールの立場ではないにしても、選挙を経て、政治的立場が違う、政治的ですよ、政治的立場が違う立場から違う立場を、都の組織を使って、弁護団を編成して追及するというのは私は法の趣旨に反すると思いますが、御意見をもしお持ちでしたら御教示をいただきたいと思うんです。三先生にお願いします。
  61. 太田昇

    太田参考人 参考人という立場から、具体的な今の足立先生の事例に対しては何とも申し上げにくい、それと、私が十分実態を把握する立場にないということで、あくまで一般論で申し上げます。  選挙でその後任の首長がどういう主張で、あるいはどういう立場で出て主張して選ばれたかということによって、それはかなり異なってくるのかなというふうに思います。  人物が違いますから同じ政策でということにはなりませんけれども、例えば私の場合なら、これも評価はいろいろでしょうけれども、前任者の推薦というか後継候補というか、そういうことでありました。そういうような場合と、まあ東京都のことをつまびらかには存じませんけれども、やはりかなり違うだろうなというふうに思います。  特に、先ほどの住民訴訟の絡みとかで自治体にトップが損害を与えたか与えないかとか、非常に有権者にとっても大きな問題、そして現在の首長にとっても大きな問題という場合に、これはいろいろな動きが出てくるのかなというふうに思います。  以上でございます。
  62. 今村都南雄

    今村参考人 全くお答えできないなという感じであります。  ただ、住民監査請求が現知事に対して行われて、どうなるのかなという好奇心はありますけれども、住民訴訟観点からどうあるべきか、コメントの用意はありませんし、何かこういうことを言うべきかなというアイデアも浮かんでまいりません。申しわけございません。
  63. 福島功

    福島参考人 済みませんが、私の方もよくわかりませんので、コメントについては差し控えさせていただきます。
  64. 足立康史

    ○足立委員 きょう、これ一本で議論しようと思っていたので、ほとんど空振っちゃうんですけれども。  東京のこと自身はいろいろお立場もあるので難しいと思いますが、私は、えてして政治化する、政治的な動き、意図があって、意図というか政治的な力が働いて、この一連地方自治法の規定が使われるということに対して非常に危惧をしている立場です。  もう少し、一つ事例を申し上げると、これは今回の改正事項とは違うかもしれませんが、私の地元で、これも選挙がありました。大体、最近選挙で、地方というか郡部では、多選というか、首長が非常に安定的な政治的なポジションをとられることが多いですが、確保されることが多いんですが、私の地元なんというのは大都市近郊、大阪の、京都、兵庫の境みたいなところでして、いろいろあります。  大体、選挙でがたがたするわけです。選挙で大戦争して、それで政権交代が起こる。その選挙の前に大体、百条委員会とかが行われて、そのときの市長は選挙で、結局それで敗退をするわけですけれども、百条委員会を非公開でがんがんやるわけです。ただ、そのやられた現職の市長は、非公開でやられたらたまらぬ、公開でやってと。普通、逆ですよね。追及される方が非公開でやってくれと普通は言うんですが、私の地元では、議会側が非公開でやりたい、結果だけ出したいと。ところが、その首長が、公開でやってくれと言って、公開なら出ていくと言って、出頭を拒否したわけですね。公開なら出ていくと。結局、その首長は、出頭拒否ということで今告発をされています、議会の多数から。わかりますか。  告発というのは、地方自治法でどうなっているかというと、百条の規定で、正当な理由なく拒否したら告発しなさいと書いているわけです。では、その正当な理由というのは誰が判断するかというと、議会判断するわけです。結局、議会の多数が、こいつだめだと思ったら告発できるんですね。  こういうふうに、地方自治法の規定というのは、地方自治を尊重する余り、議会の多数に大変大きな権限を与えているので、それが政治化すると大変おかしな、本来の法律の趣旨に反するような事態が、私の周りでは、地元であれ東京であれ起こっている、私はこう思っているわけです。  そういう、地方自治法一般で結構ですが、今回の住民訴訟の問題、あるいは、改正事項から外れますが、百条の問題、百条委員会の問題、いろいろな問題を取り上げたときに、政治化する問題というのはあると思われますか、それはないと思われますか。これも三先生にお願いします。
  65. 太田昇

    太田参考人 現実には、政治化といいますか、政争的なものになることが結構あるというふうに思います。  具体的なことは差し控えさせていただきますけれども、その場合、私は、やはり最後は主権者判断だと。選挙までに通常なら四年かかりますけれども、そういう中で、不幸な事態ですけれども、最終的には主権者判断をすると。それも、ちょっとこの時代に四年間とか何年、時間がかかるのは長いかもしれませんけれども、民主主義の一つあり方だと。  特に地方で多いのは、ちょっとあれですけれども、例えば基地問題とかいろいろ、そういう大きな論争があれば別ですけれども、地域地域の感情的対立みたいな、それが選挙になる場合、それは本当に不幸です。理屈なしに、もうそれでもめてしまうんですね。人口減少で過疎化が進む中で、そんなことでいいのかということですけれども、そうなってしまう。しかし、それも冷たい言い方をすれば、最終的にはその主権者責任だ、そういうふうに思います。  ですから、性善説かもしれませんけれども、主権者の意識が高まる中で、地方自治がよくなっていく、充実していくということを期待すべきだという思いでございます。
  66. 今村都南雄

    今村参考人 御指摘の、政治化というよりも、まさに政争の具になってしまうということ。まず、私も、率直に言って、眉をひそめるような事案が少なくないということは承知をしております。  それから、先ほど申し述べたことと今度の条文のことで、地方議会権利放棄ですね、損害賠償及び不当利得、その権利放棄がかなり自由にできるような書きぶり。監査委員の同意を得るのは、それはもちろんいいアイデアだと思いますけれども、何とそれだけで、何の縛りもないというのはいかがなものかなと。  私も、町村議会議長会とのつき合いがかなりありまして、議会がもっともっと強くならなくてはいけないというようなことはよく言います、首長との関係において。よく言いますけれども、しかし、野方図に、議会の例えば権利放棄の判決が全てそれだけで認められるというようなことについては、これはどういう思想なんだろうと、思わず首をひねることがございます。その程度の認識を持っております。  よろしいでしょうか。
  67. 福島功

    福島参考人 あくまで一般論でございますけれども、本来、やはり行政というのは継続性というのを持っていくべきだというふうに思いますが、それが時々というか、よくあることというのか、政治問題化するということはあるのではないかなというふうに思います。それをどう解決するのかというのは、私も、太田参考人と同じように、主権者である住民が、いろいろな手だてがあると思いますので、それをどういうふうに活用していくのかということではないかなというふうに考えております。
  68. 足立康史

    ○足立委員 もう時間が一分、二分でございますので、最後に、せっかくの機会ですので、私、福島参考人一つ、ちょっと議題から離れるかもしれませんが。議題から離れたら怒られますが。  福島参考人日本自治体労働組合連合というのは、いわゆる自治労連と言われているんですね。私、思い出すのは、橋下市長と自治労連というのは壮絶なバトルを繰り広げまして、例の立ち退き訴訟というのがありました。立ち退き訴訟。大阪市から組合の事務所は出ていってくれというものですね。最後は、最高裁で橋下市長側が勝訴をして終わっています。  私は、いろいろ大阪でのそういう政争を見ていると、この自治労連さんというのは、ちょっと、あっ、もう時間、やめておけということですね。そういうことで、ちょっと議題から離れますのでやめますが、せっかくきょうお会いできたので、また後ほど、ゆっくり食事でもしながら御意見交換をさせていただければと思います。  どうもありがとうございました。
  69. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  70. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  三人の参考人の皆さん、大変忙しい時間の中でこの当委員会に御出席いただき、また貴重な御意見をいただいていること、私の方からも感謝を申し上げたいというふうに思います。  それでは、早速何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、太田参考人にお聞きしたいというふうに思います。  監査制度に関してなんですけれども、地制審の答申なんかを見ますと、統一した基準でというようなお話があります。今後は、総務省の方で指針をつくって、余計な助言ですかね、が来るんだろうというふうには思いますけれども、どんな感じで指針がつくられるのかによるんだろうというふうに思うんですが、ただ、統一した基準が果たして必要なのかどうなのかというのは、私、疑問に思わざるを得ません。  といいますのも、自治体によっては規模の大きなところもありますし、それから非常に小さな規模の自治体もございます。これは直接自治体関係ありませんけれども、当委員会で郵政民営化の問題で議論した際に、いわゆる金融庁の金融検査の際に、果たして特定郵便局も同じ基準でやるのかどうかというような議論がかつて行われたこともございます。  太田参考人は、今は真庭市長ということで、四万五千人強ぐらいの、五万人弱の市長ということでありますが、以前は京都府というところの副知事で、二百六十万人の人口を抱える大きな、府と市ですから同列には言えませんけれども、大変規模の違う自治体でそれぞれ責任ある職務につかれていらっしゃるということで、果たして、統一した基準というようなものが大きいところから小さいところまで必要なのかどうなのか、この点についていかがでしょうか。
  71. 太田昇

    太田参考人 あくまでも、技術的な支援ということで基準がつくられるということであります。  なかなか、小さな自治体の場合、まあ大きな自治体でもそうですけれども、監査でこういう問題点があったとか、そういうのを一つ自治体で集めるというのは難しいと思います。そういう面では、総務省の方にそういう情報がかなり集まって、それを一定、普遍化するというようなことは私はありがたいと思っています。  長年地方自治に携わってきて、やはり機関委任事務が廃止されてからは相当違います。それまでの自治省、京都府におりましても、何だと思うような、中にはありました、上意下達的な。しかし、今の時代は本当に私は変わってきたというふうに思っております。  そういうことで、全国の英知を集めた一つの基準、それも参考にするには、これは大規模であれ小規模であれ参考になると思いますから、その中から取捨選択していけばいいという思いであります。
  72. 吉川元

    ○吉川(元)委員 それに関連いたしまして、今、太田参考人の方からは答弁いただきましたので、また、先ほど今村参考人からも助言についてお話をいただきました。私も全く同意見で、技術的助言と言いながら決して技術的にとどまらず、助言と言いながらほぼ強制的にやらせるというようなのがこの助言という恐ろしい言葉でありますけれども、福島参考人についても、同様の、必要な助言というのは、既に技術的助言というものがあるにもかかわらず屋上屋を重ねるようなものだというふうに感じるんですけれども、福島参考人はどのようにお感じでしょうか。
  73. 福島功

    福島参考人 我々労働組合にとって、いろいろな賃金などの確定に当たって、地方自治体と交渉して物事を決めていくというのが基本になっております。それは地公法にも書いてある話でありまして、我々はそれに基づいて当局と交渉したりして進めるんですが、ただ、そこでやはり問題になってくるのが、総務省から出されるいわゆる技術的な助言というものになります。  その点では、今村参考人と私も同じような見解を持っているわけでありますけれども、それに屋上屋を重ねるということについてはいかがなものかというのが私の考えているところでございます。
  74. 吉川元

    ○吉川(元)委員 続きまして、民間委託の話を少しさせていただければというふうに思います。  実は、先ほど他の委員からもお話がありましたが、昨日、板橋区の方を見てまいりまして、短時間ではありましたけれども、現場を見させていただいたということで、非常に参考になりました。  当然、先ほどもお話がありましたとおり、板橋区の場合は、公権力の行使の部分は取り除いて、それ以外の部分を民間委託する。今回の法改正が行われれば、当然これは公権力の行使も含めて外部委託が可能になっていくということになります。  実は、その際に私の方から少し質問させていただいたのは、先ほども少し福島参考人のお話がありましたけれども、ノウハウの話であります。  板橋の場合は、二〇一五年四月に新しい庁舎がグランドオープンいたしまして、そこから二年ちょっとたっておりますが、その際に、ノウハウの低下、いわゆる本体といいますか、公務員が本来持っていなければいけないノウハウの低下というものをどうするのかというのが一つ大きな課題として浮上してきているという。わずか二年でこれだけ、ノウハウを今後どう維持していくのか。  板橋の場合は判断基準書というのをつくっていますから、その判断基準書をみんなで勉強しながらノウハウを維持しようとか、あと、区民事務所が五つか六つあるそうで、そこでは依然として直営で窓口業務をやっておりますから、それを残したところで、そこで技術のノウハウの低下がないようにというふうにしているということであります。  これは、わずか二年ちょっとでこういう課題が浮上してきている。しかも、今度、公権力の行使の部分も含めて出してしまうというふうになったときに、果たしてノウハウをどのように維持していくべきなのか。  といいますのも、今回、自治体関与を強める、関与をさせるということで、停止命令も出せます。停止命令を出したときに、では、その業務をどうするんですか。先日の対政府質疑を聞いたときには、それは本体がやるんです、直営がやるんですと言いましたけれども、そのとき既に何年もたっていて、技術、ノウハウを失っていたとすると、これは一体どうするんだ、そういうふうな懸念を私は持たざるを得ないんですけれども、この点について、それぞれ参考人の三人の皆さんはどういうふうにお考えでしょうか。
  75. 太田昇

    太田参考人 ノウハウの継続あるいは専門性を維持していくというのは大事なことだと思いますけれども、これは行政の中でもそういうことがありますので、外に出すからといってという問題ではないと思います。  ただ、地方独立行政法人に初めて出すときに、そこの社員が何にも知らないというのでは、これはやはりできない。ですから、多分、そういうときには、ふさわしい独立行政法人として、市の職員のそういうことに携わったOBがいるとか、そういうような、当然、工夫をする中でというふうに思います。  先ほど、公権力、お言葉をお返しするようですけれども、公権力といっても、この二十四例を見る限り、受理によって法律効果が生じるという、そのようなものですから、先ほど申し上げておりますように、要介護認定だとかも除かれているし、生活保護も除かれているし、ですから、お言葉のように慎重な対応は必要ですけれども、私は、今のこれに限れば、特に問題はないというふうに思います。  それから、もう一言だけ申し添えれば、どこの自治体もそうですけれども、あらゆる相談をするような窓口はつくっておりますから、いろいろお困りの場合には、そこで一つの振り分けといいますか、こういうことでこういうところに行ってくれとかいうことで、ですから、本当にこれは、機械的にやれるものだなということをそちらの方に持っていくということになると思います。  やはり、首長というのは、そんな無責任なことをする首長は私はいないと思いますから、こういうことを決めてもらえれば、それなりにきちっとやっていけると思っております。
  76. 今村都南雄

    今村参考人 今の太田市長のことにつけ加えることはございません。  アウトリーチこそがと先ほどから言っていますけれども、その部分、それが非常に気がかりということでございます。繰り返して申しわけありませんが。
  77. 福島功

    福島参考人 先ほど、田村先生の方に、ノウハウの問題について私の危惧を申し上げましたけれども、正直、今、先生の方から、板橋区で二年という短期間の間にそういう問題が起こっているということについて、ちょっと衝撃を受けたところであります。  ただ、板橋区としては、区民事務所ですか、そこが直営でやっているということで、そういう形で、人事異動を恐らくやりながら、ノウハウを保っていくということだというふうに思いますが、そういうことのできない、いわゆる小規模、町村などのところについてどうするのかということが大きな課題ではないかなというふうに思いますし、先ほど言われた関与の中で、停止をさせて直接執行するということになれば、それ自体非効率ですから、そういったことを本当に効率化を理由にやるのかということが問われているのではないかというふうに考えます。
  78. 吉川元

    ○吉川(元)委員 私も、二年でそういうことが、課題が出たということについては驚いていますし、偽装請負にならないようにということで、職場の中で会話をなるだけしないようにする、本当にそういう説明を受けました。同じフロアにいるんですけれども、何か、まるで断絶したかのような、その後、いろいろ窓口をつくって、その中で意見交換をすることを通じて、板橋の中では比較的まだ一体感を持ってやっているというお話ではありましたけれども、これが何年も何年も続いていったときにどうなるのかというのは私も少し心配でありますし、何か起こったときに直営のところが対応できないということでは、これは私も問題が大きいなというふうに感じております。  あと、時間が余りもうありませんので、最後に今村参考人に、基礎自治体と広域連携関係について少しお聞きしたいと思います。  平成の大合併以降、地方の公共サービスの提供のあり方をめぐって常に強調されるのが広域連携ということであります。確かに、自治体事務の共同処理のあり方としては、広域連携というのは一つのやり方ではあるだろう。ただ、地方の方に行くと、小さなところばかりというところもありますし、広域連携というものも、全てを解決できるツールだというふうにはなかなか思えないところでもあります。  住民に直接サービスを提供する基礎自治体というものをどう捉え直すのか、主人公に捉えながら、広域連携あるいは都道府県によるサービス提供の補完のあり方について、何かお考えがあればお聞かせいただければと思います。
  79. 今村都南雄

    今村参考人 連携というようなこと、広域連携というようなことは、もうかなり古い歴史があるわけです。水道一つとりましても、もう一九六〇年半ばぐらいからの話になりまして、決して新しいことではございません。私は、そういう、事業によって、広域連携というのが非常に重要な活路になる場合もあり得る、ですから、広域連携、直ちにノーというような考え方は持っておりません。  しかし、先生の御質問の中にもありましたように、このところ、人口減少に伴って、それに対する効果的な対応策ということから、広域連携ということが改めて言われております。何を狙っているのか。これも、現場へ行ってみれば、例えば、同一県の中で、一つの消防の事務組合も広域でやる、これが一つもまとまらないわけです。それほど大きな県でないにもかかわらず、それが、給与水準とかそういうものの違いによってまとまらない。広域連携と一口で言いますけれども、それは非常に大変なことであります。  それから、今御指摘になられた県の補完のあり方、これも、私はむしろ積極的に活用していった方がいいのではないかというふうに考えておりまして、妙案があるわけではないでしょうけれども、この連携、あるいは広域自治体による補完のあり方等も含めて、地道なところからやっていくしかないのではないかという程度の認識でおります。
  80. 吉川元

    ○吉川(元)委員 長い時間ありがとうございました。  以上で終わります。
  81. 竹内譲

    竹内委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人の皆様方には御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  82. 竹内譲

    竹内委員長 この際、本案に対し、奥野総一郎君外一名から、民進党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。     —————————————  地方自治法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  83. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  政府原案は、地方公共団体の長等の損害賠償責任について、軽過失の場合における一部免責や、放棄に関する議決における監査委員意見聴取規定を設けるなどの見直しを行っております。軽過失の場合における一部免責については妥当なものと考えておりますが、住民訴訟対象となる地方公共団体の長等の損害賠償請求権等の放棄については、放棄が政治的状況に左右されてしまう、また、安易に放棄を認めると住民訴訟制度意味がなくなってしまうなどの批判があるにもかかわらず、放棄をすることができる場合を制限しておらず、不十分なものとなっています。  そこで、本修正案においては、地方公共団体の長を含む職員の違法な行為または怠る事実に関する当該職員等に対する損害賠償または不当利得返還の請求権は、やむを得ない事情によるものであると認められる場合等を除くほか、放棄することができないことといたしました。  以上が、本修正案の趣旨であります。
  84. 竹内譲

    竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会