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2017-04-06 第193回国会 衆議院 総務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月六日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       池田 道孝君    大隈 和英君       大西 英男君    金子万寿夫君       川崎 二郎君    菅家 一郎君       小島 敏文君    小林 史明君       佐々木 紀君    新谷 正義君       新藤 義孝君    助田 重義君       鈴木 憲和君    田畑 裕明君       高木 宏壽君    土屋 正忠君       冨樫 博之君    中川 郁子君       中谷  元君    中山 展宏君       鳩山 二郎君    福山  守君       武藤 容治君    宗清 皇一君       八木 哲也君    山口 俊一君       山口 泰明君    若狭  勝君       逢坂 誠二君    黄川田 徹君       近藤 昭一君    鈴木 克昌君       高井 崇志君    武正 公一君       稲津  久君    梅村さえこ君       田村 貴昭君    足立 康史君       吉川  元君    長崎幸太郎君     …………………………………    総務大臣         高市 早苗君    総務大臣        あかま二郎君    総務大臣政務官      冨樫 博之君    財務大臣政務官      三木  亨君    防衛大臣政務官      宮澤 博行君    政府参考人    (警察庁情報通信局長)  村田 利見君    政府参考人    (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君    政府参考人    (総務省政策統括官)   今林 顯一君    政府参考人    (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     和田 浩一君    参考人    (日本放送協会専務理事技師長)         森永 公紀君    総務委員会専門員     塚原 誠一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   池田 道孝君     八木 哲也君   金子めぐみ君     福山  守君   菅家 一郎君     中川 郁子君   田畑 裕明君     新谷 正義君   谷  公一君     鳩山 二郎君   山口 俊一君     大隈 和英君 同日  辞任         補欠選任   大隈 和英君     山口 俊一君   新谷 正義君     佐々木 紀君   中川 郁子君     菅家 一郎君   鳩山 二郎君     助田 重義君   福山  守君     若狭  勝君   八木 哲也君     小島 敏文君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏文君     池田 道孝君   佐々木 紀君     田畑 裕明君   助田 重義君     谷  公一君   若狭  勝君     中山 展宏君 同日  辞任         補欠選任   中山 展宏君     金子めぐみ君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)      ――――◇―――――
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事技師長森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁情報通信局長村田利見君、総務省情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、情報流通行政局長南俊行君、総合通信基盤局長富永昌彦君、政策統括官今林顯一君及び国土交通省航空局航空ネットワーク部長和田浩一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  5. 竹内譲

    竹内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。
  6. 小林史明

    小林(史)委員 皆さん、おはようございます。自民党の小林史明です。  きょうは、質疑機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  前回大臣に、図らずも電波利用料の件で、サイバーセキュリティーをもっと追加するべきではないかということを質疑させていただきましたし、それに加えて、マイナンバー健康保険証との一体化、これをやはりお尻を決めてしっかりやって、マイナンバーの普及をしっかりやるべきではないか、こういう質疑をさせていただきました。  今回の電波利用料の改定の中で、私は、まず申し上げたいのは、総務省方々は、地デジ化、これを本当に頑張られたな、こういうふうに思っています。これのやはりよかったところは、ちゃんと勇気を持って何年までに終わりますと言い切った、それに向かって全力を挙げて補助もして、広報も頑張ってやり切った、こういうことだと思っていまして、この御努力には本当に心から敬意を申し上げたいと思います。  そういう意味では、その成功体験を今度はマイナンバーカードで、ぜひ覚悟を示していただいてしっかりやっていく、そういうこともやっていただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。  それでは、今回の質問に入らせていただきたいと思います。  今回の法改正では、使い道を変えていくということ、そして利用料を幾らいただくかというのを変えるということで、ここで重要なのは、これまでは地デジ対策に大変なお金を使ってきました。これが無事終えられた。そして、これからの時代というのは、オリンピックパラリンピック、そしてその前のラグビーワールドカップを迎えて多くの外国人観光客がこの日本にやってくる中で、どう電波を有効に使っていくか、ここが大変重要になってくると思っていまして、集中利用期間がこの三年間に当たるだろうと私は思っています。  そういう意味で、その電波利用予算を活用した具体的な対策取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  7. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  二〇二〇年に向けまして、電波利用環境を整備していくことは非常に重要だと認識しております。  平成二十九年度予算におきまして、電波利用料を活用した各種の施策をお認めいただいております。  具体的には、多数来訪される観光客を含めまして、携帯電話やWiFiの通信支障なく利用可能とするための環境整備、本格的なIoT時代を支えるICT基盤としての5Gを二〇二〇年に実現するための研究開発周波数が逼迫する中、競技大会の運営で利用する多数の無線システムが混信を起こさないようにするための技術試験競技会場中心として、このような電波利用が円滑に行われるようにするとともに、重要無線通信支障が出ないようにするための電波監視などがありまして、これらの取り組みを総合的に実施することで、二〇二〇年に向けて電波利用環境を整備してまいります。  以上でございます。
  8. 小林史明

    小林(史)委員 これは与党の私が言うことじゃないかもしれませんが、重要だというふうにお答えをいただいた、でも、なぜか予算前回の七百億から今回は六百二十億に減っているんですね。これは何で減るのか、これだけ重要なのに。おかしいわけですよ。説得力がない。足立先生ちょっとうなずいていただいたので、私はうれしいなと思いますが。  これは何でかというと、結局、シーリングの枠内におさまっちゃっているからなんですね。  私、これはおかしいと思っていまして、受益者負担者が全く一致をしていて、納めている金額が納められる、それをその人たちのために使うよということで法整備をしてある、なのに、集めるときはしっかり集めて、使うときは、シーリングの枠内ですからもちろんちゃんと下げてくださいねと言われる範囲に入ってしまう。それによってどうなるかというと、毎年の通常予算では、ちゃんと下げていかなきゃいけないということになっているわけです。  結果、どうなるかというと、補正で何とかしよう、こういう話になっちゃうので、結果的には、将来を見据えた予算として使いづらい状況になっちゃっているし、それによって総務省方々施策の頭の範囲というのが限られてしまって自由に使えない、こういう状況になっちゃっているんじゃないか、私はこういうふうに思うんですね。  そもそも何でこれはシーリング範囲内に入っちゃっているのかというのを、財務省からお伺いしたいと思います。
  9. 三木亨

    三木大臣政務官 小林委員の御質問お答えしたいと思います。  安倍政権発足以降、御指摘電波利用共益費につきましては、施策優先順位を洗い直し、予算の中身を大胆に重点化するとの考え方が重要との考え方のもと、所管省庁ごとに、対前年度比プラス一七%増の要求要望が認められる裁量的経費の一部として取り扱うこととしておりまして、その上で、予算編成過程において、予算全体のめり張りづけを行う中でその措置額を決定しているというところでございます。
  10. 小林史明

    小林(史)委員 余り、理由がちょっとわからないんですけれども、更問いするわけにもいかないんでしょうから、そうしますが。  これは、払う側と受ける側が全く一致しているんだったら、それを枠にひっかけて抑えるというのはやはりちょっとおかしいんじゃないかな、こういうふうに思うわけです。  ぜひ、これはもう少し考えていただきたいと思いますが、一方で、配慮ということなんだと思いますが、法律上、それで上限として決められたとしても、残った分は別のタイミングでちゃんと使えるよということで用意してくれる、こういうふうになっているというふうに確認をしています。  これは何でこんなことが起きるかというと、今回六百二十億ということで決める。その裏づけになるのは、利用料として納めてもらう金額を今回決めているわけですから、それでもってお金が入ってくるんですけれども、これは毎年シーリングがかかるわけですから、今回は六百二十億です、そこからまた毎年下がっていく。でも、決めた利用額は、これは三年間変わりませんから、利用額はむしろ伸びていく方向に上がるわけです。どんどん利用者数がふえていくわけですから、携帯端末がふえる、利用者数がふえる、そうすると電波利用料収入がふえる、そうすると収入と出の差が、どんどんたまっていく、こういう構造になっているわけです。  今では、端末上限も決まって、この差額、少なくなるようにはなっていると思いますが、これはこれまでもずっと発生をしていて、たまっているというふうに認識をしていますが、どういった差額がたまった状況になっているのか。これまでの、近年の状況総務省にお伺いしたいと思います。
  11. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  近年の電波利用料の収支の状況ということでございますけれども、直近十年間ということで、決算の平均ということにいたしますと、歳入が七百十二億円でございます。それから、歳出が六百五十六円でございます。したがって、歳入歳出差額は約五十六円というようなのが直近十年の平均でございます。  以上でございます。
  12. 竹内譲

    竹内委員長 富永局長、五十六億円ですね。(富永政府参考人「はい、五十六億円です。失礼いたしました」と呼ぶ)よろしいですか。(小林(史)委員「大丈夫です」と呼ぶ)  小林君。
  13. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  この十年の平均が五十六億円です。ですから、五十六億掛け十で五百億以上のお金差額として生まれているということなんですよね。  この金額、では、どうするんですか、このようになっているわけで、これは基本的には、法律たてつけでは、たまった分は必要になったらちゃんと使えます、こういうことになっているわけなんですけれども、お答えをいただけなかったのでもう一回基盤局長にお伺いしたいと思いますが、これは本当に必要なときに使えるのかというところが我々心配なんですけれども、使えた事例が過去あったのか教えていただきたいと思います。
  14. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  歳入歳出差額につきましては、電波法にその取り扱いが明記されております。予算で定めるところによりまして、電波利用共益費用の財源に充てることができるとされております。  実際に、平成二十一年度でございますけれども、その差額利用して、地上デジタル放送への移行支援ですとか携帯電話等エリア整備事業のために約二百四十四億円の補正予算を計上させていただいております。  以上でございます。
  15. 小林史明

    小林(史)委員 ありがとうございます。  それぐらいのたまったお金があって、ちゃんと使い道が決まれば、それだけ引き出して補正では出せます、こういうことだと思っています。  そこで、総務大臣にお伺いをしたいと思っています。  これからの東京オリパラ、そして、この間、ソサエティー五・〇を目指す、それに向かって総務省としても新しい政策を打ち出していくんだという方針を打ち出されています。  これからの時代において、やはりデータ利活用というのが圧倒的にこの国を動かすエンジンになることは明白でありまして、それを上手に集めるということと、その成果を届けるという意味でも、電波をどう使っていくかというのは大変重要だ、こういうふうに思っています。  加えて、オリンピックパラリンピック、そしてラグビー、このスポーツをどう楽しませるかというところでいっても、スタジアムをどうIT化していくかというのも実はすごく重要で、海外の有名スポーツスタジアムなんかは、圧倒的にIT投資があって、それでかなり資金を回収しているということがもう明白になってきています。  なのにもかかわらず、今のオリパラスタジアムには、実はIT投資が明確には予算化されていないという問題があったり、別の地方のスポーツのアリーナや競技場では、全くIT化が進んでいない、こういう問題があると思っています。  この三年間だからこそ、これまでたまっている数百億、しっかり使って、地域も含めてIT化を進める、私は大変重要な取り組みだと思いますが、大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。
  16. 高市早苗

    高市国務大臣 まさにIoT時代の到来に向けて、電波というのは社会基盤を支える上で不可欠なものでございます。特に、使い勝手のよい周波数帯中心に、必要な電波利用環境の確保というのは喫緊の課題になってきております。  こういう状況に対応するために、電波利用料を活用しながら、電波有効利用を進める技術研究開発ですとか導入を加速するための技術試験、それから周波数再編や共用の促進、携帯電話エリア無線公衆LANの拡充、また大切な不法電波等監視実施といった施策に取り組んでおります。委員会でも多くの御要望をいただきました、電波遮蔽エリア対策も進めてきております。  今後、二〇二〇年に向けましては、電波利用のニーズがさらに高まるということが見込まれますので、今委員からも御提案ございましたさまざまな御意見参考にさせていただきながら、電波利用料を活用した施策を一層強力に進めてまいります。
  17. 小林史明

    小林(史)委員 大臣、心強い答弁をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ応援をさせていただきたいと思います。  大臣の御答弁にあった中で、やはり有効活用、そして使い勝手のいい帯域を上手に使えるように、こういうことでありました。  私からは二つ最後意見を申し上げて終わりたいと思うんですが、一つは、この再編をするに当たって、今、少し注目をしているのは、警察そして防災等無線帯域、これは別々に使っている、こういう問題があって、このあたりをもう少し見直して有効的に使えないかという問題意識が世の中でも上がってきていると思っています。  加えて、どの帯域を誰がどれぐらい使っているのかというのが、実は日本は物すごくクローズになっています。これはアメリカですらかなりオープンにしていて、ここが防衛で使っています、ここは警察で使っていますというのをすごくオープンにしているんですね。これをもう少しオープンにすることによって、どの帯域がどれぐらい、もう少し有効活用が可能なのかというのが外からも見えるようになっていくと思いますので、これは改めて御提案をさせていただきたいと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  そして、もう一つ。  これからの将来を見据えていらっしゃる高市大臣だからこそ、これも頭の片隅に入れていただきたいのは、今、テレビ放送波、これがかなり帯域を持っているわけですね。もちろん利用料も払っていただいている、こういうことです。これが、4K、8K、本当に送れるのかというところでなかなか頭を悩ませているところで、一方で、インターネットだったら大丈夫だとか、ケーブルだったらもう送れるよね、こういうことになっている。なので、地上波じゃなくて、衛星か、もしくはインターネット経由で送ろう、こういうことになってきているわけです。実際にテレビ局は、IIJなんかと組んで、共通のインターネット放送基盤ネットワークをつくって、インターネット同時再送信にももう備え始めている、こういうことだと思っています。  ここで御提案なんですけれども、5Gが実現をされると、放送波は多分要らなくなると私は思います。そういう意味では、近い十年ぐらいの間に、放送波じゃなくて、映像を届ける方法は全て5Gのネットワークでやるということが十分考えられる。これはぜひ研究所なんかの話を聞いていただきたいと思います。  そうするとするならば、これは放送帯域を全部自由にまた再編で使える、こういうことですし、テレビ局にとってはその設備というのはまた別の使い方ができる、こういうことになってくると思いますので、ぜひそういった大きな枠組みでこの電波再編検討いただいて、この国が大変すばらしい、ICTで発展する国にできるよう、大臣にはリーダーシップを発揮していただきたい。それをお願いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  18. 竹内譲

    竹内委員長 次に、輿水恵一君。
  19. 輿水恵一

    輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。  本日、質問機会をお与えいただきまして、感謝を申し上げます。  それでは、電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。  今、テレビ、ラジオ、携帯電話を初め、私たちの暮らしのさまざまな場面電波が活用されているわけでございます。携帯電話PHS等の契約の件数、昨年の今ごろのデータで見ますと一億六千万ということで、非常にこの利用が広がっている状況でございます。  そんな中で、あらゆるものが、またあらゆることがインターネットにつながり、情報を相互に交換してさまざまなものの制御を行うIoTが進展する中で、電波利用の分野というのは今大きく大きく広がろうとしているわけでございます。  このような状況の中、今後私たち日常生活のあらゆる場面で活用されるであろう電波がより安全に、安心して、さらに安定的に利活用できる環境を構築し、また、その環境を守り抜くことがますます重要になってくると思います。そのためには、電波利用する受益者から適切な利用料を徴収し、その原資を有効に活用していくことが大変重要であると考えます。  そこで、まず、あかま副大臣にお伺いいたします。  このような状況の中で、今後私たち日常生活のあらゆる場面で活用されるであろう電波を安全に、安心して、安定的に利活用できる環境を構築する。そして、今回、平成二十九年度の電波利用料予算歳入歳出におきましてちょっと聞きたいんですけれども、二十八年度までは、その歳出の約四三%、金額で約三百億円を占めていた地上デジタル放送総合対策、こういったものがおおむね二十八年度で完了するということで、二十九年度は、今度新たに、電波利用する環境が大きく変化するわけでございます。  そのような状況の中で、電波利用料予算がどのような考え方のもとで組み上げられたのか、お聞かせ願えますでしょうか。
  20. あかま二郎

    あかま副大臣 お答えいたします。  委員指摘のとおり、電波利用料歳出の多くを占めておりました地上デジタル放送総合対策、これについては平成二十八年度をもってほぼ終了することから、歳出予算の構成が大きく変わることとなっております。  このため、平成二十九年度以降の電波利用料のあり方については、平成二十八年に、有識者によります懇談会電波政策二〇二〇懇談会において検討をされたところでございます。  また、この検討会においては、我が国無線インフラサービス国際競争力のある有望なビジネスとして育てていこうという方策、こういったことも検討をしながら、そうしたこととあわせて、これまで検討を行っているものと理解をしております。  そして、この懇談会では、電波利用料の使途というものについては、無線局全体の受益を直接の目的とするといういわゆる共益費用の趣旨を遵守しつつ、電波社会インフラとして国民生活に不可欠となっておりますことから、既存の施策に加えて、電波利用を通じた社会貢献に有効な施策についても実施していくことが適当というふうになされたところでございます。  こうしたことを踏まえて、平成二十九年度予算は、こうした提言に基づいたものが要求されて、お認めいただいたものであるというふうに思っております。  以上です。
  21. 輿水恵一

    輿水委員 どうもありがとうございます。  いよいよ、新しい電波を活用して社会的なあらゆる部分に貢献をしていこう、そういった中での電波基盤をしっかり整備していく、こういった取り組みが二十九年度からまたさらに力強く進められるということがわかったわけでございます。  いよいよ、電波関連産業というものの市場規模、今は約四十兆円と言われている規模が、二〇三〇年には八十四兆円に拡大するとも言われております。こういった市場において、電波利用料を有効に活用し、電波利用価値を大幅に高めていく、そういったことが非常に大事だと思います。  そんな中で、ワイヤレスに着目して成長産業として育てていく、こんな取り組みも今回考えられているのだと思うわけでございますが、特に二〇二〇年には世界の注目が集まる東京オリンピックパラリンピック競技大会我が国で開かれる、そんな中で、先進的な技術サービスを世界じゅうの皆様に体感していただく、まさにショーケースとしてこれを活用していく、そういったことが非常に重要であるのかなと考えるわけでございます。  そういった中で、ここでまず、今度は富永総合通信基盤局長伺いますけれども、あと三年、どのような技術に着目をして電波資源の拡大を図りながら新しいサービス東京で展開しようと考えているのか、考えをお聞かせ願えますでしょうか。
  22. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  移動通信トラフィック、これは急激に増大していくわけでございますが、二〇二〇年の東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けて、新たな無線通信技術として、第五世代移動通信システム、5Gの実現を目指しております。  この5Gは、3Gや4Gを発展させた超高速だけではなくて、身の回りの多数のものが同時にネットワークにつながる多数接続、遠隔地にいてもロボット等の操作をスムーズに行うことができる超低遅延といった特徴を持つ次世代の移動通信システムでございます。  5Gが実現されることで、例えば、超低遅延の通信が必要となる自動運転システムの実現に寄与いたしまして、公共交通機関が利用しにくい地域でも自動運転タクシーで好きなときに好きな場所に出かけることができる、高度なモビリティー社会の実現が期待されます。  それから、災害時には、町の中に多数設置された高精細な映像センサーによりまして収集されたデータを活用することで、被災状況を網羅的に把握するとともに、被災者に最適な避難経路情報を迅速に届けることができる、災害に強い社会の実現が期待されます。  このほか、移動中でも高精細の映像を用いた遠隔手術などの先進医療が提供される社会ですとか、バーチャルリアリティー技術による迫力あるスポーツ観戦などの超臨場感をどこでも楽しめる社会が実現できるものと期待されます。  このような本格的なIoT時代を支える5Gの実現には新たに大幅な周波数の確保が必要となることから、昨年十月より、情報通信審議会におきまして5G用の周波数の確保に向けた検討も進めております。  総務省といたしましては、東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年には5Gを確実に実現しまして、先ほど申し上げましたような新たなサービスですとかビジネスが開花していくようにしたいと考えております。  以上でございます。
  23. 輿水恵一

    輿水委員 どうもありがとうございます。  5Gということで、超高速で、そして多数の同時接続が可能になって、また超低遅延ということで、自動運転にも適切に対応していく、そんな技術が今開発を進められているということでございます。  まさに電波利用した各種ワイヤレスサービス、今までは電話だけだったのが、あらゆるものにつながるということで、東京オリンピックのときには何と五百五十億個というちょっと考えられない数のものがつながって、それを支える電波技術というものがまた必要になってくる。それをしっかり支えるための大きなポイントが5Gのそういった開発である、このように考えておるわけでございます。  また、その5G、大容量ということで、最近はコンテンツも動画というか大容量になって、そしてそれをどうやってきちっとした形で安定的に、またストレスなく送るか、そういったこともこの技術に期待されているものと考えます。  そういった中で、電波政策二〇二〇懇談会の報告書、私、非常におもしろかったのは、最後の方にこのサービスの社会実装のイメージが持てるようにイラストが載っていまして、例えば先ほどの質問にありました、スタジアムの中でも、東京オリンピックのときは、携帯で選手の名前とかそういうのが自動的に見られるようになるとか、いろいろなところでいろいろな施設の画像が見られる、そういった、どこでもいつでも見られるようなサービス。  あるいは、外国の方とか、いろいろな属性に応じて、近くを通ると、デジタルサイネージというか、看板が英語になったり中国語になったり言葉を発したり、いろいろな形で、その人に合った形で案内をするとか、いろいろなことができるようになるのがこの電波だということで、このイラストにありました。  また、今我々はドクターヘリとかいうのをやっていたんですけれども、ドクターヘリというのは、ドクターが乗って、ヘリで治療する。でも、将来は、診療室というか手術台がそのまま飛んでいって、遠隔で手術もできる、低遅延とか安定的な電波があればできる。そんなことも目指されているような絵がありまして、非常に夢が持てる、そんなことを感じているわけでございます。  さらに、最近救急車が忙しいということで、私も非常に興味を持っているんですけれども、トイレが電波につながると、毎日自然に尿検査をしてもらって、倒れる前に携帯電話に、このまま放っておくと一カ月以内に救急車で運ばれるかもしれないので早く病院に行ってくださいと教えてくれるような、そんな人の命を守るようなシステムも電波でできるということで、ますますこの電波利用価値、または電波への期待が非常に高まっているわけでございます。  そんな中で、日本でちょっと残念なことは、よく、技術では勝つ、5G、しっかりやりました、こんなことができます。しかし、ビジネスで負けている。具体的にうまく総合的に皆さんが本当に必要なサービスがなかなかコーディネートできないというか、そういった欠点があるとも言われているわけでございます。  今回、このIoT時代、また5G、日本が先頭に立って開発をしているわけでございますが、それがしっかりとビジネスに結びつくような取り組みが非常に重要かと考えているわけでございます。いよいよこの日本から新しいサービスを、東京で世界じゅうの人に実感していただいて、そしてそれを地方に、また世界に大きく広げていくチャンスであると考えるわけでございます。  そこで、高市大臣にお伺いいたします。技術は当然やりながら、新しいサービスや製品を生み出すために電波利用料等を活用してどのような取り組みを進めようとされているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
  24. 高市早苗

    高市国務大臣 輿水委員今おっしゃっていただいたとおり、技術で勝ってサービスで負ける、また国際展開で負ける。一番もうかるところを他国の企業に持っていかれるという現象はたびたびこの情報通信の世界でも起きてまいりました。アーキテクチャー設計といったところ、そういう価値、また利用の姿全体を提案するような取り組みというのが必要だと思っております。  5Gは、先ほど富永局長からも答弁させていただきましたとおりさまざまな分野で利活用が期待できますので、さまざまな業界と連携しながら総合的に推進することが重要です。  総務省では、この5Gの実現に向けて、まず要素技術を確立するための研究開発の推進、それから、国際的な標準化、ここが非常に重要ですので、これを進める観点からの国際連携の強化、5G用に割り当てる周波数の確保に取り組んでいます。  今年度から、電波利用料を活用して、5G実現による新たな市場の創出に向けて、具体的な利活用を想定しながら、さまざまな分野の関係者が参加する実証試験を、東京だけではなく地方でも実施することにいたしております。  二〇二〇年に向けて、5G実現を目指してしっかりと取り組みを加速させてまいります。
  25. 輿水恵一

    輿水委員 どうもありがとうございます。  まさにその国際展開も考えていく中で、5Gの国際標準化もしっかりして、それをリードしていただいて、その製品が日本でも海外でもそうやって使える環境の整備という部分でも、非常に今大事な視点で取り組まれているということがわかったわけでございます。  まさに、その5G、現在の百倍のものがつながる、つなげることが可能になってくる、そういったシステムであり、また、百倍速いブロードバンドサービスを提供できる5G、さらに、ITSクラウド等自動運転において低遅延ですぐ反応できる、そんな仕組み、この5Gが私たちの生活をしっかりと支える、また、私たちの、この日本が抱えていく社会的な課題、そういったものにも適切に対応できるような、そんな電波環境をしっかりと進めていただくことを期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  本日は、大変にありがとうございました。
  26. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  27. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  4K、8Kの実用衛星放送の開始に伴う問題について、及びその対策について質問をいたします。  左旋円偏波を使用する4K、8Kの実用放送では、旧式の設備や不適切な施工によって、電波が漏えいするとしています。漏えいによってどういう問題が生じるのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  28. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、旧式の受信設備、これは宅内配線部分のブースターでございますとか分配器、端子、心線がむき出しで直づけされているような設備から電波が漏えいをする、それによりまして、既に運用されているほかの無線局に混信を与えることが心配をされているところでございます。  具体的な事例で申し上げますと、例えば、電波が漏えいしました場合に、既に使われているWiFiと言われるものの通信速度が低下をして、ウエブサイトの表示が遅くなったり、あるいは動画を再生しているときに動画がとまってしまうといったような実態的な影響が出てまいるというふうに考えてございます。
  29. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 総務省からの「旧式の衛星放送用受信設備の例」という資料をお配りさせていただいています。二枚目の方が拡大しているのでわかりやすいかなというふうに思います。  例えば、自宅で従来のこうしたコネクターそれからブースターを使って左旋放送を受信して視聴するとします。隣の家ではWiFiを使って無線LANを利用されているとします。そうすると、その端末にフリーズが起こったり、あるいはテレビに受信障害が起こってしまう、そういうことがあり得るという理解でよろしいでしょうか。
  30. 南俊行

    ○南政府参考人 委員指摘のとおり、左旋の対応した中間周波数というものから、使用しますと電波が漏れ始めるということで、同じ中間周波数を使っております他の無線局ということで、今御指摘のように、WiFiが当面想定されているものでございますけれども、そういったものに影響を及ぼすおそれがあるということでございます。  旧式の設備が左旋の中間周波数に対応していない場合に、伝送される信号品質そのものが劣化してしまう場合がございますので、その場合は、4K、8Kのアンテナに取りかえたとしても信号自体が受信できない、そういう事態も起こり得るというふうに考えております。
  31. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ですから、それぞれのテレビにつなぐときに、こうしたコネクターあるいはブースターが必要になってくるということであります。  もう少し理解を深めるためにお聞きしますけれども、例えば、集合住宅、マンションに左旋の対応の共同アンテナをつけたとします。そして、この放送が各戸で見られるようになるんですけれども、見る見ないにかかわらず、各戸においてこうした新しい受信設備を設けなければ電波障害が発生するということでよろしいんでしょうか。
  32. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  集合住宅において右左旋両方に対応するような共同アンテナに取りかえるというふうにいたしました場合で、かつ、宅内配線部分につきまして旧式な設備が引き続き使用されてしまっているというケースにおきましては、先ほど申し上げましたとおり、左旋の中間周波数に対応していないものですから、信号品質が劣化しますので、そもそも4K、8K放送が受信できなくなってしまうというケースもございますし、電波の漏えいによって、既に運営されているWiFi等の無線局に混信を与えますので、それによって通信速度が低下するという問題が生じる。  特に、集合住宅のケースでございますと、近接する複数の部屋に同時に思わぬ影響が及ぶというケースも考えられるというふうに考えてございます。
  33. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 やはりこれは大変なことだと思うんですね。とりわけ集合住宅では、全戸でこういう対策をしないと、自分はもうテレビを見ないという方もおられるし、4K、8Kはまだ先だと思っていても、電波の漏えいによってWiFi無線に干渉する、それから、テレビを見ておられる方はそこで受信障害が起こってくる。そういう相互干渉があるということは、これはやはり大変な事態になってくるんじゃないかなというふうに思うわけです。  そこで、お伺いしますけれども、来年十二月から実用衛星放送が始まります。そのときでもいいんですけれども、あるいは二〇一九年でもいいんですけれども、左旋電波受信世帯というのはどのぐらい想定されているんでしょうか。
  34. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  今後さらに数字は精査をしてまいりたいというふうに考えてございますが、一応、二〇二〇年、全国の世帯の約五〇%、二千六百万世帯が4K、8Kが視聴できる状況をつくるというのが私どもの目標でございます。  ケーブルでごらんになられている場合は支障は全くございませんので、衛星放送を直接受信する世帯というのは現在約三分の一ぐらいございます。そのうち、先ほど申し上げました左旋円偏波を受信するようなアンテナを取りかえて、かつ、宅内配線部分は旧式の設備に対応しているというケースは、さらに一定の割合、絞られてくるというふうに考えてございますので、現在は二百万から四百万程度の世帯が左旋の受信を行う可能性があるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。  今後、精査はさせていただきたいと思ってございます。
  35. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 国の目標は、この間も私、質疑のときにも述べましたけれども、ちょっと予想がつかないということであります。  私も素人で、例えばテレビの接続子がふえたら、勝手にこれをいじって、分配器を買ってきてやったりもしたことがあるんですけれども、これはちょっと素人の手に負えないような、言ってみれば、網線ですね、網の部分と中心線、これが露出していてはいけない、ちゃんと被膜する、覆っていくという形にならないと、左旋電波そのものも落ちてしまうし、そして干渉が起こってしまうから、余り素人的にさわってはだめだということでしょうか。
  36. 南俊行

    ○南政府参考人 私どもも、承知しております限りにおきましては、やはり素人が簡単な工具でいじることによってさらに混信が起きる可能性があるというふうに聞いておりますので、そこは専門の業者に、その施工方法も含めてきちんと周知をした上で、適切な対策を施していただく必要があるというふうに考えてございます。
  37. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 お話を聞いていたら、ますます大変だなというふうに思うわけです。  つまり、集合住宅だったら各戸でしないといけない、そして、どの家でも各部屋にテレビ、F型コネクターの接続端子があれば、その中の対応もやっていかなくちゃいけない、そうじゃないと万全が期されないというお話だったというふうに思います。  そこで、法案では、衛星放送用受信環境整備事業というのが掲げられているわけですけれども、この受信環境整備に対する支援というのは、誰が、どこに、どのようなことをする事業なんでしょうか。
  38. 南俊行

    ○南政府参考人 御説明申し上げます。  受信設備環境支援事業の中身でございますけれども、4K、8Kの実用衛星放送の開始に伴いまして、先ほど申し上げました宅内配線部分のうち、旧式の設備と申しますのはこれから定める技術基準を超えて電波が漏えいするものでございます。そうした場合に、当該技術基準に適合するような必要な改修、施工工事といったようなものに対して一定の支援を行ってまいりたいということでございます。  実は、これにつきましては、以前、地デジを移行させるということの際に、デジサポと言われております間接補助事業者等をちゃんと中心にいたしまして、工事事業者、施工管理者が連携して、視聴者の皆さんの申請をいわば代行していただくような、そういう形で円滑に工事を実施したという経験も私どもございますので、そういった経験をベースにしまして、今後、工事事業者、施工業者をどういうふうに関与させていくのか、あるいは販売店における周知啓発をどうするかということも含めて、具体的な対策方法を検討してまいりたいと考えてございます。
  39. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それでは、この整備事業の予算はどの程度を見込んでおられるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  40. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  電波の、こういった形で、新しい、漏えいするということの実態調査については、今、速やかにこれから実施をしてまいりたいというふうに考えてございまして、夏までにきちんとした規模を算出していこうというふうに考えてございます。  平成三十年度、三十一年度の二カ年にわたってこの支援を実施する予定でございますけれども、それにつきましては、現在、調査のために必要な経費として十二億円ほど予算を積んでございますが、それと同程度の規模になるのではないかというふうに見込んでございます。  これは、今後さらに、実態調査も踏まえて、全国的な調査も踏まえて精査をしてまいりたいと思っております。
  41. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 対策の事業は打ち出したんだけれども、その予算規模についてはまだわからないということであります。  そもそもなぜ左旋円偏波で実用放送が開始されるのかという、そもそもの疑問があります。これにかわる方法はないのでしょうか。先ほども議論がありましたけれども、わざわざ二・五ギガヘルツに落としていく、そこでは、WiFiと干渉して無線LANの端末ではフリーズが起こったり、あるいはテレビそのものが見られなくなってしまうという問題がある。なぜ、そもそも左旋回で電波を送ることになるんでしょうか。
  42. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合というところにおきまして、4K、8Kの衛星放送を実用化する際の伝送路のあり方につきまして、関係者とよく議論をさせていただきました。  この中で、いわゆるBSあるいは百十度CS、この全ての帯域は、右旋の帯域はもう全て埋まっておりまして、これ以上周波数的に割り当てる余裕がないという状況でございましたものですから、4K、8Kの実用放送をスタートするに当たっては、同じ帯域なんですけれども、回転方向が反対側の、右旋に加えまして左旋と言われる円偏波を使うことによって、いわば同じ帯域でダブルの放送をすることができるというやり方を使うことによって、左旋による実用放送を可能にしていきたいというふうに考えたところでございます。  なお、中間周波数の御指摘につきましても、回答してよろしければ回答させていただきたいと思うんですが、これは、国がというよりも、電波産業会という、民間規格が定められておりまして、低い周波数から順番に埋めていくという作業をしていただいております。右旋の電波につきましては、一から二ギガヘルツという一番低い中間周波数をお使いになられて、左旋につきましては、そのすぐ上の二ギガヘルツから三ギガヘルツというものを使用してございます。  先生のおっしゃるように、混信を全く与えるおそれのない、誰も使っていないようなもっと高い中間周波数を使えばいいじゃないかという御議論はもちろんあろうかと思うんですけれども、そうしますと、機器がそもそもないということもございますので、一から機器を開発すると製造コストがやはり高くなってくるという問題、あるいは、宅内配線の伝送距離が、周波数が高くなればなるほど距離が短くなってまいりますので、そうすると、非常に技術的な制約があって実用化するのが難しくなるという問題があるというふうに考えてございます。
  43. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 なかなか難しい問題だなというふうに思います。  NHKにもお越しいただいております。  NHKは、来年十二月、8Kで左旋円偏波の放送事業を開始すると伺っております。NHKとして、こうした電波干渉の問題等々についてどう考えておられるのか、対策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  44. 森永公紀

    森永参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、アンテナで受信した信号が屋内の受信設備から外部に漏えいすると、同じ周波数で提供される電気通信サービス等に影響を与える可能性があることはNHKとしても認識しているところでございます。  受信環境整備のために、適切な受信機器の導入や工事に国が支援を行うことは、4K、8K衛星放送の普及に大変重要だというふうに考えております。  NHKとしては、国などと連携し、適切な受信環境が整備されるよう、技術指導など関係業界への働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
  45. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 お話をまとめますと、どの程度の電波障害が起こるのかということについてもなかなかわからない、それから、対策補助制度を設けるとしているんだけれども、具体的な方策が決まっているわけでもない、それを幾らかけるかも未知数である、しかし、来年十二月からはもう実用衛星放送が開始されるということです。  何か順序が逆立ちしているような気がしてならないんですけれども、局長、いかがですか。
  46. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  4K、8Kの実用衛星放送、やはり東京オリンピックパラリンピックが開かれます二〇二〇年というものを大変意識して、それよりも前に、その時点で本格的に普及させるために前倒しをして実用放送も実施することとしたものでございまして、今後、4K、8Kに対するニーズもさらに顕在化してくるというふうに私ども期待をしているところでございます。  したがいまして、4K、8K実用衛星放送が二〇二〇年の時点で本格的に普及をするということを可能にするために、前倒しで衛星放送の受信設備からの電波漏えい対策というものについてもしっかり取り組む必要があるというふうに考えてございまして、平成二十九年度から、漏えいの実態調査あるいは技術基準策定のための調査、あるいは受信環境整備のための周知啓発というものには速やかに取り組む予定に考えてございまして、改めて、平成三十年度から、受信設備の改修支援についても、財政当局とよく相談をした上でスタートさせてまいりたいというふうに考えてございます。  いずれにしても、実際に視聴されようとする方、要するに右左旋専用のアンテナに取りかえる方は早ければもう来年中にも出てまいりますので、適切な機器の使用や適切な施工を呼びかけながら、万全の対策を早目早目に打っていく必要があるというふうに考えてございます。
  47. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 高市大臣にお伺いします。  こういう電波障害が起こり得る可能性がある、そして電波干渉が起こる可能性がある。その手だてがあって、対策があって、国民合意があって初めて実用放送ではないかなと私は思うわけなんです。  二〇一八年の実用放送、今、局長は、東京オリンピックパラリンピックがあるから前倒しと言われたんですけれども、これは、前倒しは前倒しなんですけれども、少々前のめりしているのではないかなと思いますけれども、いかがですか。
  48. 高市早苗

    高市国務大臣 今、衛星放送をごらんの御家庭でも、先ほど来答弁させていただいたとおり、CATVを御利用のところは心配がないわけでございます。  しかしながら、今後、視聴を希望される方がまず販売店において左旋対応アンテナを購入される際に、まずは適切な機器を使っていただくように視聴者への周知、広報というのは徹底してまいりますし、また、アンテナの設置や交換にあわせて施工業者が受信設備のふぐあいを確認するということによって、漏えい対策についても万全を期するということは重要だと考えております。  先ほど来御説明申し上げましたが、平成三十年の実用放送開始に先立って、平成二十九年度からは総額十二億円の予算措置を行い、平成三十年度からは電波利用料の使途を追加した漏えい対策を行って、万全の準備を整えてまいりたいと考えております。  周知、広報は特に重要でございますので、しっかり行ってまいります。
  49. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 周知も行うというところまでお答えいただきましたけれども、やはり実用放送はもう来年始まると決まっているわけですね。  その対策については、きょう審議しましたけれども、よくわからない、見えてこない、具体的でない。これは実用放送が始まってトラブルが起こってしまってからでは遅いと思うわけですよ。だって、WiFiというのはもうほとんど国民はいろいろなところで利用していますよね。こうした問題が生じることがわかっていて、その対策が不透明な中で実用放送が開始されるというのは、やはり国民の納得するところではないかなというふうに思うわけであります。  そこで、この対策を万全なものとすること、それから、せんだっての質問の中では、4K、8K、テレビは売っています、4Kテレビは売っていますけれども、これがチューナーがないと見られない、必要な機器が要るという話もして、それも周知徹底するというふうに言われました。  私は、NHKが、やはり放送の中で、こうした問題がありますよ、こうした対策が必要ですよと放送することが一つの周知徹底になるのではないかなと思いますけれども、NHK、その辺はいかがでしょうか。
  50. 森永公紀

    森永参考人 お答え申し上げます。  確かに、左旋を受信するための方法や電波干渉の対策方法などの周知、広報というのは大変大事だというふうに思っております。国及び我々放送事業者、受信機器メーカー等の関係団体が一体となって取り組みを進めていくものというふうに考えております。  NHKとしても、4K、8K衛星放送の普及に向けて役割を果たしてまいりたいと思います。
  51. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 4K、8K放送の開始に当たっては、あくまでも国民合意を経てやっていくことを望みまして、きょうの質問を終わります。  ありがとうございました。
  52. 竹内譲

    竹内委員長 次に、梅村さえこ君。
  53. 梅村さえこ

    ○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。  きょうは、電波法改正案、航空機局の無線設備について質問いたします。  まず、空の安全は、今、国民、市民の大きな関心、そして不安事になっていると思います。二〇二〇年、羽田空港増便計画で、埼玉県南部での飛行計画、また住民からの不安の声があるか、お答えください。
  54. 和田浩一

    和田政府参考人 お答えをいたします。  我が国国際競争力の強化、また急増する訪日外国人旅行者の受け入れ等の観点から、羽田空港の機能強化は必要不可欠と考えており、飛行経路の見直し等によりまして、発着枠を、二〇二〇年までに約四万回、一日当たり五十便になりますけれども、拡大することを目指しております。  これを実現するためには、できる限り多くの方々に御理解をいただくことが重要と考えておりまして、現在、説明会の開催で、御理解を得るべく努力をしているところでございます。
  55. 梅村さえこ

    ○梅村委員 事前に御質問すると言った内容が全然お答えになっていないんですけれども、こういう住民説明会を行っていると。そういうところは飛行ルートとして考えているというところに近づいていると思うんですけれども、埼玉県は、飛行ルートと考えられるさいたま市、川口市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、朝霞市、和光市、八潮市、吉川市、松伏町と連絡協議会をつくっています。  きょう、首都圏がどんな飛行ルートになるのかという国交省の資料を示させていただいておりますが、埼玉南部だけではなく、まさに、今まで東京湾、海から離着陸が行われていたのが、首都圏、皆さんの上空の上を通って今後離発着が行われていく。  こうした中で、埼玉南部では、風の向きによっては、A滑走路では四分に一機、C滑走路では二分に一機の頻度であり、高度も約九百メートルから千二百メートルであるという説明がされております。さいたま市南区で行われた国主催の説明会には、二百六十人、二百十人とそれぞれ市民の参加もあり、特に、騒音や落下物、万が一の墜落による被害、大変な不安の声が上がっており、計画は見直しすべきだと考えます。  こうした航空機の飛行に対する不安が広がる中での今回電波法の改正、航空機局の検査体制の変更を行うものだと思います。そこで、まず端的に変更の内容を御答弁ください。
  56. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答えを申し上げます。  今回の法案の中で端的に変更の内容を答えると申しますれば、今まで、航空機局に関しましては、年一回定期検査をやっていたわけでございますが、この定期検査に加えて、あらかじめ点検等のやり方を大臣の認定を受けることによって常時点検をできるような体制を組んでおいて、点検をしっかりやっていただいた場合に検査を省略することができるということで、従来の検査コースに加えて、新たに点検のコースを加えさせていただくというようなものでございます。
  57. 梅村さえこ

    ○梅村委員 加えさせていただきますということですけれども、資料を見ていただければわかりますけれども、一年に一度、これまで定期検査を受けて、その報告書を総務省に提出して、一〇〇%国がかかわって、合否判断を今までは仰いでいたと思うんですけれども、今後は、航空事業者が日常の予防的整備や管理で担保する体制を整えていると総務大臣が認める場合、定期検査は必要ない、報告のみになるということだというふうに確認できると思います。  こうした変更は、安全性が大変危惧されるものだと考えます。  事前の総務省の説明では、今回の改正案へのターニングポイントとなった、二〇一六年三月の航空機局の定期検査に関する第五回評議会の議事録がきょうもいまだ公表されていないということになっているようで、どうしてそういう大きな検討をされた評価会の議事録がきょうもいまだ公表されないままこの審議が行われるのか、強く指摘をしておきたいというふうに思います。  同時に、事前にそういう御説明だったので、私なりにいろいろ調べてみましたが、当初、二〇一二年の七月十日の規制・制度改革に係る方針の閣議決定において、航空機無線設備の定期検査の制度の見直しについて、検討会を立ち上げることが決められました。そして、その二〇一二年度中に検討、結論を得ることとされましたけれども、そのときの検討一つとして、電気的特性の点検、つまりベンチチェックですね、これを年一回の定期検査から周期を延長するということが当初検討するとされていたということは、事実で間違いないでしょうか。
  58. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  航空業界の一部からは、年一回やっておりました定期検査につきまして、その頻度を延長するというような要望がございました。そういった要望も踏まえまして、二〇一三年の段階で、私ども総務省において、評価会ということで、検討する会議を開催したものでございます。
  59. 梅村さえこ

    ○梅村委員 航空業界からは、大変な負担だということで、点検の期間をもう少し長くしてほしいということだったというふうに思います。ただ、これはやはり安全性がしっかりと担保をされなければできない問題だというふうに思うわけですね。  それで、この結論が今日まで来ているということは、当初、結論を出すのよりは非常に議論が長引いているというのは私たちから見てもわかるんですけれども、何で長引いたのかということについて、やはり無線機器の信頼性がその間に大問題になってきたのではないか。  特に、私、調べてびっくりしたのは、二〇一四年七月の中間報告を見たんですけれども、そこでは、無線機器の信頼性、各社最大五年程度、定期検査及び通常運航時のふぐあいデータ調査を調査、結果、無視できないほどのふぐあいがあることが明確だというような記述が、資料の中では、中間報告で出てくるわけですね。今からわずか二年半前の中間報告で、無視できないほどのふぐあいがあるということが言われているわけです。  さらに、では、どういう無視できないほどのふぐあいかということを調べてみますと、A社からJ社までずっと一覧となっていて、そして定期検査、通常運航時の検査、それぞれのふぐあい件数が一覧となっているんです。  通信不能や他の通信に影響を及ぼす事象に直接つながったレベル一から、レベル四まであるわけですけれども、例えばB社では、六年間で、電波高度計などで、定期検査時において、レベルが、十二件など、計二百十三件もふぐあいがある。通常運航時でも、気象レーダーなど計二百三十五件もある。J社でも、五年六カ月で、定期検査で六百三十四件、通常運航時で六百六十八件のふぐあい件数となっているという一覧が、事実、発表をされているかというふうに思います。やはり、これは重大な結果だというふうに思うわけですね。  多分、こういう結果も踏まえて、何とかしなきゃいけないということで、この間されてきた結果だと思うんですけれども、では、それが二年半たって今改善されているのかということでいいますと、その後の資料を見ていきますと、例えば、中間報告以降の作業チームの検討状況と今後の検討の方向性についてという案を見る限りでは、A社は、二〇〇八年から二〇一三年度での定期検査時におけるふぐあい発生率は九二%だったのを、二〇一四年度には八五%にしたとあります。少なくなったかもしれないけれども、A社については、皆さんが出している資料、報告書の中ですけれども、それでも二〇一四年には八五%のふぐあい発生率だと。B社については、二〇一四年度のふぐあい発生率七四%を、二〇一五年度の第一・四半期には二三%に低減したとあります。ですから、この資料では、いまだふぐあいの発生は大きい状況だというふうに述べているわけです。  しかし、その会議で、なぜかその検査体制を、一年に一回ということをさらに変えて、冒頭御説明のあった一回の点検をなくして、そういう設備状況、点検状況があれば認可をして、報告だけにしていくという制度にしたかというふうに思います。しかも、私が言いたいのは、その重要なターニングポイントとなった会議の議事録が、私たち、見ることもできないわけですね。  では、安全性についてはどのように議論されて今日になっているのか、しっかりと安全性を担保して今回の改定を出してきているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  60. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答えを申し上げます。  先ほども委員から御指摘のありましたように、私の方からも申し上げましたけれども、もともと私どもで平成二十五年に評価会を開催いたしましたのは、航空業界の一部から、定期検査の周期を長くしてほしいという要望があったからでございます。  実際に、平成二十五年に航空機局の定期検査等に関する評価会というものを開催いたしました。その中では、専門家の皆様方も当然いらっしゃいますし、消費者に近い方もいらっしゃいました。そういう検討を行っている途上で私どもがわかりましたのは、故障率などのさまざまな技術データを出していただきました結果、先ほども委員から御指摘ございましたけれども、故障率が一定程度高いといったことがわかったわけでございます。  ですから、当初は定期検査の周期を長くしてほしいというような要望を受けて開催したこの評価会でございましたが、むしろ、二十五年の、中間報告の段階では、定期検査にかわる恒常的な点検整備を実施することが望ましいという趣旨の中間報告を出していただいております。  したがって、ほかの評価会におきましても、しっかりと故障率といったものを見据えた上で、こういう恒常的な点検が大事だというような結論を出していただいたものと認識しております。
  61. 梅村さえこ

    ○梅村委員 これだけ今御答弁があったような大きな不安がある、安全性に。であるならば、やはり、事業者任せではなく、むしろ国がもっと、航空会社を超えて、どういうところに故障があるのか、どういうメーカーに問題があるのかというのを、もっとデータを集めて、そして、国が責任を持ち、航空機の電波機器の安全性を高めていくことが、逆に私はもっと強めるべきだと思います。  それを、国のそういう年に一回の点検、これまでは一〇〇%合否を与えていたという関係だったと思いますけれども、それが今度なくなるわけですよね。しかも、日常的な対策をしてもらうんだというんですけれども、航空会社に技術的にチェックする能力があっても、自社の航空機の搭載無線設備に対して厳正なチェックができるかどうかというのは疑問。第三者的なそういう機関が本当にできて、ちゃんとチェックができるのか、そこら辺は大変大事なところではないかなというふうに思っております。  その点はいかがでしょうか。
  62. 富永昌彦

    富永政府参考人 無線局の検査につきましては、国が実際にみずから検査を行うというやり方に加えまして、登録検査等事業者制度というものを持っております。これは、民間の能力のある皆様方に、検査するという道を開いているわけでございます。  実際に、航空機局に対しましては、この登録検査等事業者制度を活用して、民間の能力のある事業者が検査をしておるという実態が現時点でもございます。  以上でございます。
  63. 梅村さえこ

    ○梅村委員 能力があるところが今までもやってきて、報告書を出して許可を受けるということだったのではないかなと。なのに、なぜそういうふぐあいがデータ的に発表されているのかということは、とても矛盾を感じます。  時間の関係で、今後の問題になりますけれども、能力のある検査体制があるかどうかというその規程の認定の内容は、今回の法案でどういうふうに想定されているのか。  また、確認の頻度はどのように考えていらっしゃるのか。  また、日常的な点検整備ということでいうと、PDCAサイクルのことだというふうに思いますけれども、では、今まで一応年に一回やってきたわけですけれども、日常的というのなら、これからその検査が一回よりも多くなるのか、二回、三回行われる担保があるのか、この点は改正案の中ではどんなふうに想定されているのでしょうか。
  64. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員の御質問、今回の新しい制度によりまして、点検する体制、しっかりしているのか、点検の頻度はいかがか、そういった御質問だったと思います。  今回の制度におきましては、あらかじめ点検のやり方を認定するわけでございますが、認定の基準といたしまして、保守規程をつくっていただく際に、この保守規程の中身が、総務省令で定める時期ごとに無線局の基準適合性を確認するといったものであること、これが一つあります。それからもう一つ無線局の基準適合性を確保するために十分なものであることということを確保することとしております。  現段階では、まだ具体的な認定の要件といったところまでは至っておりませんけれども、今後、法律の施行までの間に、専門家の御意見なども聴取しながら、しっかり認定の要件をまとめていく予定でございます。  それから、無線局の点検の頻度につきましては、現在の定期検査の時期、頻度などを勘案いたしまして、電波の質が維持されるように具体的な周期を検討してまいる所存でございます。  以上でございます。
  65. 梅村さえこ

    ○梅村委員 今御答弁があったように、無視できないほどのふぐあいがあることが明確だということで、安全性の議論をされてきたと。しかし、年一回の定期検査と一〇〇%国が行ってきた合否判定をなくすこと、これは決める。あとのいわゆる審査基準だとか内容だとか認定の中身については、今後、政省令だとか審査基準で決めていく、この法律を通した後で決めていくと。  それでは、国民の皆さんから見たら、本当に安全性が担保されるのか。逆に言えば、政省令を変えれば規制緩和がもっとどんどん進んじゃうじゃないかというような不安にも私はなっていく問題だというふうに思います。  これだけ危険性が、たった二年ぐらい前に議論されてきた問題ですから、しっかりと、安全性の担保なしに、私はこの法案というのは強行すべきではないというふうに思います。  そもそも、電波法の目的は、電波の公平かつ効率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進することだと言っています。一旦事故が起これば多くの人命を失う航空機の安全にかかわる大問題ですから、やはり今の時点で、国の関与を無線機の点検について後退させるべきではないのではないかというふうに思います。  最後、総務大臣伺いたいと思います。
  66. 高市早苗

    高市国務大臣 航空機に搭載される無線設備の安全性確保というのは、委員おっしゃったとおり、人命にかかわりますから、非常に重要なことでございます。それは重々承知をいたしております。  ちなみに、航空法におきましても、航空機の整備などにつきましては、既に航空運送事業者が、国土交通大臣の認可を受けた整備規程に基づいて日常整備などを行っているという状況でございます。  今回、確かに、年に一回の検査のかわりに日常的な点検整備ということになりますけれども、これはもう安全をしっかり担保していただくということ、特に、総務大臣が認定をするわけでございますから、かなり重い責任を私どもも負うわけでございます。  今後、認定制度の詳細につきましては総務省令で定めることになりますが、この省令の整備に当たりましては、電波監理審議会の諮問事項でもございますから、電波の質が維持されて、航空機の安全性が確保されるという形で、電波監理審議会の審議をいただき、そしてまたパブリックコメントによる御意見もいただきながら、詳細な制度整備を行ってまいります。責任を持って、そして安全性に十分配意をしながら進めてまいります。
  67. 竹内譲

    竹内委員長 申し合わせの時間が来ていますので、短くお願いします。
  68. 梅村さえこ

    ○梅村委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  69. 竹内譲

    竹内委員長 次に、奥野総一郎君。
  70. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 民進党の奥野でございます。きょうもよろしくお願いいたします。  それでは、時間が十八分ですので、どんどん行きたいと思います。  まず、V―HIGHの問題。  鳴り物入りで始まったんですが、残念ながら昨年終了してしまったということでありまして、なぜこういうことになったのか。  それから、この帯域がもったいないですから、今後、その反省を踏まえというか、どういうふうに使って、跡地利用をどうするのか。これはやはり、あけておくのはもったいないですから、一刻も早くその跡地利用を決めていただきたいんですが、どのようにお考えか。  まず、大臣伺いたいと思います。
  71. 高市早苗

    高市国務大臣 V―HIGH放送でございますが、地デジ化によって生み出された周波数帯域の有効活用の一環として実施されたものですが、この普及が進まなかった、当初の期待どおりに進まなかったということは大変残念でございます。  その原因でございますが、放送事業者は、インターネット動画配信サービスが登場、普及して競合することになったということ、それから、スマートフォンが急速に普及する中で、V―HIGH放送対応端末がふえなかったという二点を挙げておられます。  V―HIGH帯域の今後の有効利用ということなんですが、この周波数帯放送用に優先的に割り当てられたものでございますので、まずは放送事業者の御意見伺いながら、どのような放送サービスに視聴者ニーズがあるのか、ここは研究してまいりたいと思います。  ただ、当面は、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会がございます。この際に各国放送事業者からの多様な電波利用ニーズも想定されますので、このV―HIGH帯域についても、御希望があれば利用していただくということも考えられると思います。
  72. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 なかなか時代の変化が難しくて、事業者の方が読み切れなかったということだと思いますけれども、先を見据えてやっていかなきゃいけないんですが。  4K、基本的に左旋でいくという話で来ていますが、一方で地デジの、地上波での技術の公募、予算をつけて今始まったということなんですが、これは多分、データを圧縮していく、そういうことを考えなきゃいけないと思うんです。では、これは、韓国なんかは地上波で進めているようですけれども、日本で地上波でやる余地があるのか、どういう狙いでこれをやっているのか。  それから、ちょっとV―HIGHの帯域では足りないと思うんですけれども、こういうところの活用も考えているのかどうか。  ちょっとお願いします。
  73. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  お隣の韓国では、現在、首都圏のソウルで地上4K、これは多分、世界で初めてだと思いますが、地上4Kの試験放送がスタートしておりまして、五月末には実用化をして、順次、放送対象地域を拡大するというふうに伺っております。  我が国取り組みにつきましては、放送事業者、メーカーさん、国が一緒になって、4K・8K推進のためのロードマップというものをつくって推進してきてございます。  この中で、地上4K、8Kの取り扱いにつきましては、こういうふうに記述をされてございます。技術やコスト等の解決すべき課題は多い、このため、より効率的な伝送を実現すべく、速やかに総合的な研究開発取り組みを進める、その上で、技術的な可能性を検証するために、都市部における地上波によるパブリックビューイング向けなどの伝送実験等を検討するというふうにされてございまして、まずは、必要な予算を確保しまして、伝送容量の拡大でありますとか伝送の効率化といったような研究開発を、今、NHKさんにも協力していただきながら、進めさせていただいているところでございます。  先生御指摘のとおり、今のUHF帯という地デジのために割り当てられた周波数は、もう全て地デジのために使い尽くされてございますので、この中で全国的に4K、8Kを実現するということのために周波数を確保することは難しいというふうに考えてございます。  したがいまして、先ほどV―HIGHという話もございましたけれども、V―HIGHだけでも全国的な放送サービスが本当に実現できるのかどうかという問題もございますので、地上の4K、8Kにつきましては、今後、圧縮技術はさらに進化してまいるというふうに考えてございますし、放送の安定的な運用というものとどうバランスをさせるのかということも踏まえて、やはり引き続きさまざまな角度から検討、検証を進めさせていただきたいと思っております。
  74. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 なかなか今の時点で見通すことは難しいと思いますし、今の時点では帯域がないということですけれども、技術が進めば、あるいはダイナミックな周波数再編を行えば、できるかもしれない。それも、では本当にどこまで放送に使うのかというのはありますね。  先ほど小林委員もおっしゃっていましたけれども、5Gが普及する、あるいはネットの配信なんかも進むと、地上波の電波を使う必要性というのは相対的に低下してくる可能性もありますから、その辺も見据えて慎重に考えていただきたいと思うんです。  ちょっとごめんなさい。そこで、通告していなかったんですが、今の話と関連で、動画配信プラットホームへの出資ですね。民放十五社が日テレの動画配信プラットホームに出資を発表した、こういう記事が出ていました。その記事によれば、ちょっとうがった見方なのかもしれないけれども、同時再送信にそのプラットホームを使うんじゃないかという観測が書かれていたと思います。  そのあたりは、大臣はどのようにお聞きなんでしょうか。
  75. 高市早苗

    高市国務大臣 見逃しサービスですとか、今、ニーズの高いところで一緒に対応されるようなことは仄聞しておりますが、同時配信サービスというものにすぐさま対応するためのものであるというようなことについては、私は現時点で承知いたしておりません。
  76. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 重ねてで申しわけないんですが、NHKの同時送信の話が今議論になっていますが、それをやはり実現するには民放の理解も不可欠だと思うんですね、ローカル局との関係、兼ね合いですけれども。このあたりについては、どのように今議論を進められておるのか。  前回質問したときに、夏にも報告書を取りまとめてと、NHKの同時配信に前向きな話をされていましたけれども、それまでに民放さんの御理解も得なきゃいけないと思うんです。今、そこはどういう話になっているでしょうか。
  77. 南俊行

    ○南政府参考人 先ほど大臣から答弁いただきましたように、JOCDNが、民間でそういうCDN、いわゆる配信のネットワーク部分について連携を深める動きがあるというのは私どもも承知しておりますが、配信のプラットホーム部分のシステムを共通するかどうかというのは、これはまた別の問題だというふうに我々も承知をしております。  そういった技術的な課題につきましては、現在、情報通信審議会の中で、NHKさんも民放さんも両方加わっていただいた形で、その配信機能、具体的な機能を、どういうものが想定できて、そのコストはどうなるのかというのを膝を突き合わせて整理していただいているところでございまして、その審議会の、技術的な課題につきましては、夏までに中間答申をいただけるよう、今、作業を加速させていただいているところでございます。
  78. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 済みません、ちょっと話がそれてしまって申しわけなかったです。  今のところ、そういう前提ではないという答弁だ、そう理解します。  それから、今度は5Gですね。これは今これから規格を考えていくんだと思うんですけれども、どのぐらいの周波数の幅が必要なのか、それからどの帯域を使うのか。電波政策懇の前回の報告書だと、六ギガ帯以下と、それから二十四ギガ帯以上でしたか、のところで使うんだということを言っておられるようですけれども、どの周波数帯を使うのかということ。  それから、あわせて、これは規格の問題ですから、日本に有利なように話を、どの周波数を使うかも含めて有利なように使わなきゃいけないんですが、規格の標準化、これについて日本がちゃんと押さえられるのかということ。第二世代、第三世代ではなかなかうまくいかなかったようですが、ここはやはり、きちんと日本の有利なように周波数帯域を押さえて、そして規格の標準化も有利に進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  79. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の第五世代移動通信システム、5Gでございますけれども、もう言うまでもございませんけれども、4Gを発展させた超高速だけではなくて、多数接続ですとか超低遅延といった新しい特徴を持つ、次世代の移動通信システムでございます。  国際的にも、ITU等におきまして、周波数ですとか技術の標準化に関する議論が活発に行われております。  まず、議員御指摘周波数でございますけれども、今、国際的な議論の中では、六ギガヘルツ以下と六ギガヘルツ以上という二つの帯域に分けて議論がございます。5Gの場合には相当量の情報伝送をする必要があるということで、伝送帯域が確保できる非常に高い周波数帯電波が必要だろうということで、六ギガヘルツ帯以上という、今まで移動通信にも使っていなかった周波数帯を皆さん議論しているわけでございます。その中で、少し先ほどお話ございました二十八ギガヘルツ帯という帯域につきましては、米国、韓国等、一部の国が非常に注目しております。  私どもといたしましては、そういった帯域も含めまして、情報通信審議会におきまして、昨年十月から周波数に関する基本戦略を検討しておりまして、この夏にも取りまとめを行おうとしております。  それから、当然、六ギガヘルツ以下の周波数帯につきましても、電波の性質上、非常に飛びやすいということがございますので、5Gの時代の中でも非常に有効に活用していけると考えています。  それから、技術につきましては、例えば、超高速を実現するアンテナ技術ですとか、超低遅延を実現するネットワーク制御技術など、新たな技術が5Gの実現には必要となります。私ども、今、電波利用料を活用して、盛んにそういった要素技術研究開発をしているところでございます。  総務省といたしましては、こうした我が国の5Gに関する研究開発の成果、これはできるだけ国際的な規格の中に入れ込んで、ワールドワイドで使っていただけるようにしようということを考えておりまして、積極的にこれからも取り組んでいきたいと思っております。  以上でございます。
  80. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 私が危惧しているのは、日本としてどうやってそこで稼いでいくかということなんですが、やはり規格をちゃんと押さえるというのが大事だと思います。せっかくここで電波利用料を使っているわけですから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。  今の中で、どれだけの周波数帯域が要るかなんという話はお答えいただけていないんですけれども、三年前の電波政策ビジョン懇談会報告書では、六ギガヘルツ帯以下で二千七百メガヘルツを生み出すと。それから、六ギガヘルツより上のところで、二十三ギガでしたか、生み出すというようなことを言われていたと思います。  ただ、状況は変わってきていると思うんですね。もう一度、必要な周波数帯域、考えなきゃいけないと思うんですが、ちょっと時間がなくなったので一問飛ばします。  では、少なくとも、電波、六ギガヘルツ帯以下で二千七百メガを生み出すと言っていますが、これをどうやって生み出すのか。例えば、公共業務用無線局について、一・七ギガヘルツ帯、二・三ギガヘルツ帯について、周波数の共用や再編について検討を推進すると今回の電波政策ビジョン報告書に書かれていますけれども、具体的にどのような検討を行うのか、伺います。
  81. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員指摘前回電波政策ビジョン懇談会の中で、六ギガヘルツ以下の周波数帯でどれくらいの周波数を確保すべきかという議論がなされました。その段階で、それまでは二〇二〇年までに合計二千メガヘルツ幅程度と言っておりましたものを、その電波ビジョン懇談会の中で新たに積み増しいたしまして、二〇二〇年までに合計二千七百メガヘルツ程度ということにした、これはもう委員おっしゃったとおりでございます。  この取り組みの中身でございますけれども、例えば携帯電話では、国際的に広く使用されている周波数帯、ITUにおいて当面確保すべき周波数帯として検討されている周波数帯、これを全て検討対象として、何とかできるだけ六ギガヘルツ以下の帯域でたくさん確保していく。  それから、無線LANにつきましては、特に五ギガヘルツ帯で今後拡大が期待されますので、この五ギガヘルツ帯の付近を対象として議論していくということにしております。  そうしますと、公共業務用無線局ですとか衛星通信無線局などの既存の無線局との周波数共用が不可欠でございます。こういったことを進めることによりまして、二千七百メガヘルツ程度という確保を目指したいということでございます。  六ギガヘルツ以下でございますので、合計が六千メガヘルツ幅でございますので、その中で二千七百メガヘルツ幅でございますので、相当の頑張りをしないといけないということでございます。
  82. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 まさに相当な頑張りという中で、今言ったような公共用の無線の共用化とかそういうのが出てくるわけです。これは規制改革推進会議でも取り上げられていまして、ネットを見ると、その座長のメモが出ていたりして、では、政府部門から民間部門にどの程度、この二千七百のうちどのぐらいをこれで賄うのかとか、あるいは、ではそれは具体的にいつまでにやるのか、こういう目標をちゃんと掲げるべきだなんという意見が座長のメモに出ていたんですけれども、そのあたり、重ねて伺いたいんです。  どのぐらいの周波数帯をこれで生み出せるのか、では、それはいつまでにどうやってやるのか、重ねて伺いたいと思います。
  83. 富永昌彦

    富永政府参考人 内閣府の規制改革推進会議の中でワーキンググループを構成されておりまして、公共業務用無線局について、民間での活用といったことも議論の対象になっていると私ども承っております。  それで、実際今はどうなっているかということでございますけれども、我が国の場合は、相当多くの、公共業務用無線局に使用している帯域を、既に民間とともに共用して活用しているという実態がございます。実際に、占用で公共業務用に使っている帯域の方がむしろ少のうございます。  平成十五年からは私どもは無線局情報インターネットで公表しておりまして、必ずしも、国の安全とか外交とか犯罪の予防等の理由から公表できないもの、公表することが適当ではないものというものがございまして、なかなか表には出ておりませんけれども、かなりの多くの量が共用しているという実態にございます。
  84. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 我が党も対案で、きょうはちょっと審議はできないようでありますけれども、電波の見える化というのを言っていまして、この規制改革推進会議の方でも議論になっているようですが、政府部門の周波数の割り当て状況について、安全保障にかかわる情報の機密性などに配慮しながらも、より積極的に開示すべきだ、こういう議論があります。  いろいろ、もちろん防衛用とか警察用も問題はあると思うんですが、今回、三年間の調査というのを随時行えるようにするということで、機動的な運用になっているんですが、もう少し踏み込んで、これを公表するということはないでしょうか。
  85. 富永昌彦

    富永政府参考人 確かに、規制改革推進会議の中で、もっと電波の見える化といったような議論もございまして、私どもとしては、これまでのさまざまな取り組みに加えまして、さらに、公共業務用にどういった周波数がどういうふうに利用されているかということを公表できるのではないかということで、規制改革推進会議の中での議論を踏まえて、関係する国、自治体などの免許人の意見もさらに踏まえて、電波利用状況の公表のあり方について引き続き検討していきたいと現在考えているところでございます。  以上でございます。
  86. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 これからいろいろな技術が出てきます。きちんとその予想、見通しを誤らずに考え、そしてもう少し大胆な周波数再編なんかも必要だというふうに思います。  時間が来てしまいましたので、もう一問聞きたいところですが、ここで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  87. 竹内譲

    竹内委員長 次に、鈴木克昌君。     〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
  88. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 民進党の鈴木でございます。  電波法について少し、時間の範囲内でお伺いをしていきたいというふうに思います。  まず最初に、公衆無線LANの整備、そしてまた、今後のありようといいますか予定といいますか、それについてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。  平常時というか、ふだんには、この公衆無線LANというのは、非常に意義のあるというか、有用なものであります。例えば、観光関連情報の収集とか、災害時の情報の受発信とか、それから、特に地域活性化のツールとしても非常にこれは有効である、このように思っております。  この公衆無線LAN、WiFiというふうに言った方がわかりがいいのかもしれませんが、これをどのように生かしていくかというのは、ある意味では、我が国の非常に大きな分野になってくるというふうに思います。  全国地域情報化推進協会がまとめた自治体によるWiFi利用の現状ということでありますけれども、全国の市町村のうち、約四割がWiFiを設置しておる。それから、自治体別に見ていくと、特別区、政令都市では六一・五%に対して、他市では四四・八%、町村では三三・六%ということでありまして、自治体規模が大きいほどWiFiの整備が進んでおるということであります。  それから、WiFiを整備している自治体のうち、住民サービスの向上、行政事務の効率化を目的としたWiFiの提供を行っている自治体が六四・八%と最も多く、次いで、観光目的の自治体が六四・四%、防災・減災が三一・〇%となっております。  さらに、現状を見ていきますと、住民サービス向上、行政事務効率化や防災・減災では、各整備件数の約九割が公設及び約八割が公営になっているということに対して、観光を目的としたWiFiは、公設の割合が約八割、公営の割合が七割以下にとどまっておるということでありまして、民間の整備や運用の割合が高くなっているということです。  さらに、観光及び防災・減災を目的としたWiFi整備を行っていない理由を聞いたところ、観光については、コストに見合う効果が期待できないこと、それから、費用を集めることが難しいことが多くの自治体で課題として認識をされているわけであります。  また、防災・減災については、費用を集めることが難しいに続いて、コストに見合う効果が期待できないということや、運営団体をつくることが難しいということも認識をされておるわけであります。  そこで、お尋ねをするわけでありますが、平成二十九年度の予算で、公衆無線LANの環境整備支援事業として三十一・九億円が計上されているわけでありますが、自治体によるWiFi利活用の具体的な内容、それから、二〇二〇年のオリンピックパラリンピックに向けた今後の公衆無線LANの整備に向けた計画等について、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  89. 今林顯一

    今林政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、WiFiは、免許不要、誰でも使えるということと、サービスエリアは狭いんですけれども、高速大容量の無線通信が可能ということで、今ではIoT社会を支える重要な社会インフラになっております。  総務省の方では、例えば、先生御指摘になりましたような観光や防災の観点からの整備が必要としました日本再興戦略、あるいは電波政策二〇二〇の懇談会の提言を踏まえまして、事業採算上、その整備が進みにくい無料WiFi環境の整備について、電波利用料財源を活用して、地方公共団体における整備を加速する方針でございます。  具体的な利活用の内容でございますが、例えば観光ということで申しますと、これは総務省の補助事業を活用したものでございますが、徳島県では、観光情報の提供やイベント情報の発信、あるいはSNSを活用した県の魅力の世界への発信、こういったことに御活用されておられますし、熊本市におきましては、熊本地震の際に、市のホームページを防災サイトに切りかえて、災害情報、被災者の支援情報などを避難者に提供されたところでございます。  さらに、今後は学校教育において、ICTを利活用した効果的な授業を行うことが挙げられますけれども、京都市などでは、例えば既存の教育情報ネットワークに接続することによって、クラブ活動や体育の授業などで活用しているところでございます。  総務省では、特に防災面での利活用の緊急性、重要性に着目をいたしまして、地方公共団体の指定する避難所などでの無料WiFi環境実現ということで、昨年の十二月に整備計画を策定いたしました。  計画では、二〇一九年度までに、全国の指定避難所などの防災拠点三万カ所の整備を実現する、完了するということを目標といたしまして、先生言及されましたとおり、既に整備済みの箇所もありますので、その一万四千カ所を除く残る一万六千カ所について、例えば国の支援、地方財政措置などを活用して、特に財政力の弱いような自治体の支援を厚くして、整備を推進していくこととしております。  現在、WiFi環境の必要性とか、防災面のみならず、平時の観光も含めた活用を通じた地域活性化の面での有用性、それから支援方策、具体的な手続、こういったことについて、地方公共団体、地域の関係者などに周知、働きかけを全国行脚しながらやっておりまして、二〇二〇年の東京オリンピックパラリンピック競技大会に向けて、整備計画の着実な達成に努めてまいりたいと存じます。     〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 私が冒頭申し上げましたように、これは非常に大事だというのは、一つの経験則といいますか、東日本大震災のときに、私、総務省で仕事をしておりました。本当にあのような大混乱の中で、現地の状況が全くわからない、役所に連絡をしようとも役所自体が流されてしまっておる、町長さんその他がお亡くなりになっているというような状況の中で、本当に大混乱を来したわけですね。  したがって、私は、今お示しをいただいたようないろいろな例を全国に発信していただいて、本当に防災等々の面においても、また、もちろん観光の面においても、これは非常にすごいツールになっていくわけですから、今御努力いただいておるのはわかっておりますが、さらにひとつ、まさにこれで日本を変えていくんだぐらいのつもりで頑張っていただきたいなというふうに思っております。  ちょっと質問の順番を変えまして、ドローンについてお伺いをしたいというふうに思うんです。  ドローンというのは無人航空機ということで、通称ドローンということになるわけですけれども、我が党もドローン議連ということを立ち上げて、この研究開発、それから活用、そして関連産業まで含めて振興を進めていくということで考えておるわけであります。  言うまでもありませんけれども、ドローンの遠隔操作やドローンからの画像データの伝送には、これは当然のことながら電波を使うわけであります。我々は前々から、大容量通信を可能とするということ、それから、複数の運用を行うために通信チャンネルをふやすこと、万が一のためにバックアップ回線を用意すること、そして、コスト抑制のために汎用的な周波数帯であること等々、要望をしてまいりました。改正も進んできたわけであります。  いずれにしましても、先ほど言ったように、遠隔操作、それからドローンからの画像データの伝送ということで、これは当然電波を使うということでありますから、今市販されているドローンは、いわゆる無線局の免許を必要としないWiFi機器が用いられているものが多いわけでありますけれども、今申し上げたように、より高画質で長距離の映像伝達ということになると、電波利用の高度化、多様化に関するニーズが高まってくるというふうに思います。  そこで、使用可能周波数の拡大や、それから最大空中線電力の増力等について、現在、総務省はどのように考えてみえるのか、お示しをいただきたいと思います。
  91. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  総務省といたしましては、ドローンを初めといたしますロボットの利活用を推進するということで、電波利用環境整備を積極的に進めることとしております。  具体的には、今委員指摘のとおり、高画質の映像伝送ニーズに対応するために、二・四ギガヘルツ帯ですとか五・七ギガヘルツ帯の周波数をドローンで利用できるように拡大したり、それからまた、長距離伝送を可能とするために電波の出力を引き上げたりということで、技術的条件を検討してまいりました。昨年三月の時点でこの技術的条件を取りまとめまして、昨年の八月には制度として整備を完了しております。したがって、新たな周波数ですとか、より高出力がドローンで活用できるということでございます。  今後、これらの電波を活用してさまざまな分野でドローンが活用されること、これを私どもは期待しております。それから、今後も、高度化、多様化するニーズに応えられるように、引き続き電波利用環境整備に努めていきたいと思っております。  以上でございます。
  92. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 言うまでもありませんけれども、ドローンについては関係省庁が非常にたくさんなんですね。農水省から国交省から、本当に多岐にわたっております。  しかし、一番やはり肝心なところは、もちろん技術的な飛行物体自体の開発能力のアップというのも大事なんですけれども、さっきから言っているように、やはり電波というのは最も重要な部分であるわけですよね。電波がなければ、これはもう全然、飛ぶこともできなければ、映像、画像を送ってくることもできないわけでありますから。  そういう意味で、私は、将来、ドローン自体に今と違った形の目を持たせるということを、東京大学のある先生なんかはもう一生懸命研究されておるわけですけれども、そんなふうな状況になってくると、これはもうまさに日本のドローンが世界を凌駕していくという可能性もあるわけでありますので、くどくなりますけれども、やはりその中心電波であり、総務省がきちっとこのことについて相談に乗り、そしてまた革新的な政策を進めていただくことが大事だということを、重ねて申し上げておきたいと思います。  最後の質問になると思いますが、防災行政無線のデジタル化等の成果について総括をしてまいりたいというふうに思います。  無線機器のデジタル化は、地上波テレビ放送が一番生活に密着をしておるわけであります。電波利用料によってその対策が長年行われてきた、これは御案内のとおりであります。それ以外にも、防災行政無線や消防救急無線についてもデジタル化が図られてきており、それぞれ電波利用料を含めて総務省は支援を行ってきたわけであります。  そこでお伺いするわけでありますが、昨年度で電波利用料による防災行政無線や消防救急無線のデジタル化に対する支援は終了したというふうに聞いておるわけでありますが、電波利用料によるものとそれ以外のものも含めて、総務省がこれまで行ってきた支援の概要、そして整備の成果についてお伺いをしたい。  いま一点、周波数縮減以外の、防災行政無線及び消防救急無線がデジタル化することによるユーザーの利便性の向上などの効果についても、お伺いをしたい。  二つまとめて御答弁いただきたいと思います。
  93. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員質問の中の、まずデジタル化のメリットといいますか、ユーザーにとってのどういったいい特徴があるかということから御説明いたします。  防災行政無線や消防救急無線のデジタル化、これは、音声の明瞭化ですとか、秘匿性の向上、伝送効率の向上といったメリットがございます。国民の安心、安全の確保、それから地域の防災の高度化に資するということで、総務省としてもこれまで推進してきたわけでございます。  具体的には、電波利用料財源によりまして周波数有効利用促進事業というのを実施しておりまして、これでこれまで七十一件、それから一般財源によりまして、緊急消防援助隊設備整備費補助金等によりまして二百七十件の補助事業を実施しております。それからさらに、地方財政措置といたしまして、緊急防災・減災事業債の対象とすることによりまして、整備支援を進めてきたということでございます。  その結果でございますけれども、消防救急無線につきましては、平成二十八年五月末の段階でデジタル化が完了いたしました。  それから、防災行政無線につきましては、平成二十八年三月末現在で、同報系または移動系のいずれかをデジタル化した市町村ということで割合をとりますと、全市町村の約五〇%にまで来ております。  総務省といたしましては、今後もデジタル化のメリットについてしっかり周知啓発を行いながら、移行を進めていきたいと考えております。  以上でございます。
  94. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 もう本当に時間がなくなりましたが、最後に、船舶地球局による海難事故防止の効果についてお伺いをしていきたいというふうに思います。  海難事故の際の救助などに衛星AISは非常に役立つというふうに考えられるわけでありますが、今後の実際の導入に向けての具体的なスケジュール、また導入に伴う航行の安全性を含めたメリット等について、お示しをいただきたいと思います。
  95. あかま二郎

    あかま副大臣 お答えいたします。  衛星AISでございますけれども、人工衛星を介して通信をするものであり、これによって、通信エリアの拡大が図られ、船舶の航行安全のための通信が広範囲な海域で行うことができるというものでございます。  海象また気象情報や船舶の荷役情報などの情報も取り扱うことができるというふうになることから、効率的な航路の設定に加えて、津波観測など、幅広い分野に応用されることが期待をされております。  スケジュールでございますけれども、総務省といたしましては、早ければ平成三十一年に衛星AISを利用したサービスを開始される見込みでありますことから、円滑な導入を図るという意味で、平成三十年夏ごろまでに関係政令及び省令の整備を行うというふうに考えております。  以上です。
  96. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 終わります。
  97. 竹内譲

    竹内委員長 次に、武正公一君。
  98. 武正公一

    武正委員 民進党の武正公一でございます。  電波法について質疑を行わせていただきます。  過去、平成十五年、十六年、そして平成二十五年、二十六年と、当時民主党は、電波法の改正法案、いわゆるオークション法案並びに通信放送委員会設置法、これを過去四回提出し、この総務委員会大臣と並んで質疑を行ってまいりました。政権与党のときにも電波法の提出を目指したんですが、審議入りしないまま、閉会中審査となり、廃案となっております。  こうした中、今国会では、民進党としての対案、これを関係各位の御尽力も得て提出させていただきました。  ただ、内容については若干変えております。すなわち、オークションについては、附則、検討条項にいたしまして、先ほど本委員会委員からも提案があったというふうに承知をしておりますが、電波の見える化、やはり電波利用状況について、これをもっと見える化したらどうかというのをまず第一に掲げております。  今、政府の電波法では、「総務省令で定めるもの」そして「総務省令で定める無線局を除き、」とダブルで対象をはじいておりまして、例えば国防だったり、あるいは警察だったり検察だったり外務省だったり海保だったり、こういったものを原則公表するということで法案をまとめさせていただきました。  具体的な内容について申し上げますと、電波の見える化の推進に寄与し、電波有効利用を促進するため、無線局に関する情報の公開の対象となる事項の範囲を拡大することといたしました。  現行法においても、無線局に関する情報の公表の制度が設けられておりますが、先ほど申し上げた「総務省令で定める無線局」、すなわち国等の機関に関係する無線局の一部などが公表の対象外となっておりまして、公表する事項も包括的に総務省令に委ねられていて、裁量の範囲が広範に過ぎるものとなっており、電波有効利用の促進を図る観点から不十分なものとなっております。  そのため、現行では公表対象外となっている国等の機関に関する無線局を含め、全ての無線局を公表制度の対象とするとともに、公表する事項についても、行政機関情報公開法第五条の規定を参酌して総務省令で定める事項を除き、免許状等に記載された事項等は原則として公表することとし、総務省令への委任の範囲を明確化いたしました。これが第一点であります。  第二点については、電波利用料の算定基準を定める際の勘案事項として、電波利用に係る経済的負担の程度を追加いたしました。  これは、今回、電波利用料の見直しでこれまでと大きく異なるのは、地デジ対策の三百億円が抜け落ちた。ある面、ターニングポイントという観点からこれを追加し、また、従来から、電波利用共益費用として、必要な金額から算定される現行の電波利用料制度を改めるべく、電波の経済的価値が適切に反映される算定基準に基づいて電波利用料を決定する制度を提案いたしました。これがまた、今回の法案の第一の骨子となります。  今までも、この後触れますが、防衛省さん、警察庁さんお見えですが、民主党、そして今回の民進党の案でも、公的なセクターには電波利用料をお支払いいただく仕組みになっております。これは欧米でも同じようなことが行われておりまして、公的なセクターが電波利用料を払わないために、いわゆる電波を死蔵、すなわち使わなくてもそれを蓄え込んでしまうことがないようにということで、電波利用料を賦課しております。これは今までとも変わりありません。  そして、もう一つのやはり大きな点は、通信放送委員会というものを提案しております。  今、総務省電波情報通信について振興と規律を一緒くたにやっている省庁でありまして、これを、やはり振興と規律は分離しよう、規律、すなわちルールメーキングは国家行政組織法の三条委員会にしよう、これがもう一つ提案でございます。  特に、NHKに関することは、これも通信放送委員会が行うことになりますので、例えば、NHK予算に関する総務大臣意見ということがこの委員会でよく取り上げられますが、これも通信放送委員会に移るということになります。  また、電波監理審議会、この間会長にお見えいただきましたが、電波監理審議会の事務局は総務省が行っておりますが、これは、独立した事務局を置くというのがもう一つの柱でございます。  なお、放送法一条、三条の自律を体現しておりますBPOについては、その存在を極めて尊重する立場でございます。  残念ながら、NHK会長、かわりましたが、この場に来て口にする最初の言葉は、公平公正という言葉を口にされます。この公平公正は放送法の四条にのっとった言葉だと思いますが、放送法は一条で自律を、そして三条で独立をうたっております。四条はあくまで準則であります。このことがまだ新会長は御理解いただいていないということもあって、通信放送委員会でNHKに関することを扱うということがNHKの自律と独立のためにも必要ではないか。  こういった観点で今回対案を提出しておりますので、このことをまずこの総務委員会で申し上げ、議事録にも記載をさせていただきたいと思います。  その上で、質問に移りたいと思いますが、やはり電波有効利用、これが必要だ。電波のトラフィック、逼迫状況を何としても変えるためということが一つであります。  残念ながら、総務省、二〇一五年十一月、ITU、国際電気通信連合の世界無線通信会議、5Gの周波数割り当てに関しては、日本は六ギガから八十六ギガの幅広い帯域提案しましたが、会議では二十四ギガから八十六ギガで合意ということでありまして、今総務省が進めている幅広い帯域電波有効利用するといった戦略が見直しを迫られております。このことはぜひ総務省も、政府も重く受けとめていただいて、広範な意見がこの電波有効利用に集う仕組み、そして意見の聴取、これをぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  そこで、まず、電波の見える化についての取り組み、お手元の方の資料をお配りしておりますが、この一ページ、二ページ、三ページ、四ページが、今総務省が示しております電波利用状況の一部のものでございます。  例えば、きょう防衛省政務官お見えでございますが、三十メガヘルツから三百三十五・四メガヘルツ帯の領域、ここで、陸自、海自、たくさん電波利用されております。しかし、この一ページや二ページを見ても、どこにもそのことが記載されておりません。  しかし、きょう皆様に御提示をする「周波数帳」、この分厚い「周波数帳」、千七百ページありますが、六百五十三ページから千七百ページまで、ですから約千ページ、一ページに六十項目、どこが利用しているということが書かれております。  このかなりの部分が陸自、海自で占められております。特に、例えばこの三十メガヘルツ帯を申してまいりますと、三十メガヘルツから四十メガヘルツまでについては、船舶、漁業、レジャーが使っておりますが、この「周波数帳」を見ますと、陸自、海自の演習、これでたくさん使われております。それから、四十・六メガヘルツ帯から四十三・四メガヘルツ、また四十四メガヘルツから五十メガヘルツまでは、今度は陸自、海自が訓練とか観閲式でこれをたくさん使っています。これは一例であります。  これはもう「周波数帳」で公開されているんですが、総務省のこの電波の見える化の資料ではどこにも出てこない。今の電波の規則で、国防とか警察とか、これを除くとされているがゆえにこういったことになっておりますが、これについて、防衛省、そして警察庁。  特に警察庁については、百五十メガヘルツ帯、ここは警察が今使っている。消防、この後総務大臣にも伺えればと思いますが、先ほど同僚委員が触れたように、防災行政無線であったりあるいは消防無線は百五十メガヘルツ帯から二百六十メガヘルツ帯にデジタル化で移っております。百五十メガヘルツ帯については今警察ということになっていますが、これもどこにもそのことが記載されておりません。  これはやはり見える化ということで明らかにしていくべきなのではないのか。そして、電波利用状況をより公表して、どこに電波があいているのか、そのことを明確にしてこれを有効利用していくのが今のトラフィック解消、電波の逼迫状況解消に利するのではないかと思いますが、防衛省、警察庁、それぞれ御意見伺いたいと思います。
  99. 宮澤博行

    ○宮澤大臣政務官 お答えいたします。  防衛省・自衛隊といたしましては、部隊の活動に必要な周波数につきましては、電波の所管省庁であります総務省から承認を得て使用しているところでございます。  周波数の使用状況につきましては、各自衛隊が、災害派遣や弾道ミサイル対処などの各種事態や各種訓練等を目的といたしまして、無線機やレーダー等において超長波帯からミリ波帯までを使用しているところでございます。  そして、防衛省・自衛隊が使用する電波利用状況につきましては、先生御存じのとおり、電波法の第二十五条及び電波法施行規則の第十一条の二の規定によりまして公表されていないものと認識しているところでございます。  いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、引き続き適正な電波利用に努め、各種事態等に適切に対処してまいります。  以上です。
  100. 村田利見

    ○村田政府参考人 お答え申し上げます。  警察は、情報共有等を目的とした音声通話、映像伝送等のため、超短波帯からミリ波帯までの電波のうち、総務省から承認を得た一部の帯域を使用しております。  警察としては、無線システムの整備にあわせ、デジタル化、それから狭帯域化等を図るとともに、同一の周波数を繰り返し使用するなど、電波有効利用取り組みを行っております。  詳細な周波数情報については、妨害や傍受の可能性が高まり、警察の活動に支障を来すおそれがあることから、開示が適切でないものもあると考えております。他方、そうしたおそれのない情報については開示しておるところであります。  以上です。
  101. 武正公一

    武正委員 総務大臣、今それぞれ防衛省、警察庁の答弁がありましたが、総務省消防庁も、先ほど触れたように百五十メガヘルツ帯から二百六十メガヘルツ帯にデジタル化で移っているんですけれども、ここには消防ということが書かれていないわけなんですね。  こういったことのやはり見える化、公表、これは電波有効利用に資すると思いますし、オークションについては今回検討条項に移していますが、どこがあいているかということがわからなければオークションをやろうとしたってできないということで、今回そうした法案の提出になっておりますので、まず、どこがあいているか、これを明らかにしていくということが必要ではないかというふうに思うんですが、総務大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  102. 高市早苗

    高市国務大臣 総務省としては、従来から、電波法に基づいて無線局情報インターネットで公表しておりますけれども、先ほど武正委員がおっしゃっていただきましたとおり、国の安全、外交、また犯罪の予防の理由からも、一部の公共業務の無線局情報は公表しておりません。  先般、規制改革推進会議で、米国、英国に比べて公表する内容が少ないのではないかという御指摘もありましたので、総務省におきまして、公共業務の無線局情報公開のあり方について検討を開始いたしました。  一方で、公共業務の無線局には、その業務の性格上、今防衛省、警察庁からも御答弁がありましたが、情報の公開に向けた検討に関して関係府省庁からさまざまな御意見があるというのも事実でございます。  規制改革推進会議での御議論も踏まえ、それから公共業務用の電波利用しておられる省庁と協議しながら、一層周波数有効利用が図れるようにということを期しながら検討を進めてまいります。
  103. 武正公一

    武正委員 総務省としての検討もさることながら、これは全省庁にかかわることなんですね。やはり政府として、電波有効利用し、電波ビジネス、これは三十兆円とも五十兆円とも言われる広がりを持っておりますし、国民共有の財産でありますので、その有効利用のためにぜひこの見える化を、政府としての取り組みをお願いしたいというふうに思います。  そこで、時間も限られております、資料の方では五ページ目で電波利用料収入の推移を示しておりまして、今回の見直しで、特に放送局の電波利用料がなぜ減ったのか。これはある面あめとむちで、これまで厳しく放送局に対してきた総務省がここであめをちらつかせたのではないのかなというような指摘もあって、これについてちょっと質問をと思いましたが、時間がないものですから、最後の質問に移らせていただきます。  電波監理審議会会長、吉田会長、この場にもお見えいただきましたが、第五世代モバイル推進フォーラムの会長を兼任されております。このことは電波法九十九条の三の三の三もしくは四に抵触するのではないのかという指摘がありますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。総務大臣、お願いします。
  104. 高市早苗

    高市国務大臣 ちょっと先ほど、放送局の料額についてあめとむちという表現がありましたが、ほかの無線システムと同様、これまでの算定方法を踏襲させていただいております。  それから、電波法第九十九条の三の第三項で、委員の欠格事由というものがございます。放送事業者、通信事業者または無線機器の製造販売業者の役員または議決権の十分の一以上を保有する者、これら事業者の団体の役員というものを規定して、審議事項に直接の利害関係を持つ者を排除しております。  他方、第五世代モバイル推進フォーラムでございますが、これは、平成二十六年九月に設立されて、企業のほか、大学の研究者やNICTを初めとする研究機関など約百五十者で構成されるもので、法人格を持たない任意団体であり、総務省も特別会員でございます。  このフォーラムは産学官の多様な関係者で構成されており、放送事業者、通信事業者または無線機器の製造販売業者の役員または議決権の十分の一以上を保有する者にも当たらず、これら事業者の団体の役員にも該当いたしません。  フォーラムの活動ですが、5Gに係る情報収集、他国の5G団体との情報交換や連絡調整、普及啓発などにとどまりますので、電波監理審議会で審議するような省令、告示の制定、改廃ですとか、個別の免許、認定に関する事項というものを取り扱っているものではございません。
  105. 武正公一

    武正委員 時間が参りましたので終わりますが、電波監理審議会は八条委員会で、そういった意味で、電波通信放送の規律を決めるというような立場であります。やはりその会長が、通信放送電波の振興もこの第五世代フォーラムは行っておりますので、それを兼ねるというのはいかがなものかなということとともに、やはり独立した通信放送委員会、三条委員会ということが必要であるということを改めて申し上げ、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  106. 竹内譲

    竹内委員長 次に、高井崇志君。
  107. 高井崇志

    ○高井委員 岡山から参りました高井でございます。  きょうも、質問機会をいただき、ありがとうございます。  私も、各委員と同じように、電波有効活用周波数有効活用について質問したいと思います。  まず、今、IoTが大変普及をする、もうありとあらゆるものが、自動車であり、あるいは家電であったり、さまざまなものがインターネットにつながる時代になっております。そうなってくると、当然、電波が足りなくなるということが容易に想像されるわけですが、総務省としては、電波がどのくらい逼迫する、足りなくなるということを予想されているんでしょうか。
  108. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおり、さまざまなものがインターネットにつながるIoTの普及が進展をしておりまして、新たな電波利用が拡大しつつある状況でございます。それから、国民の日常生活に不可欠なものとなっている携帯電話につきましても、近年、スマートフォンの普及が急激に進展して、かなり多くの情報がダウンロードされるというような状況になってございます。  移動通信データトラフィックにつきましては、平成二十六年度に開催いたしました有識者による懇談会におきまして、二〇二〇年には二〇一〇年度比で最小に見積もっても約五十倍になるという予想がなされております。  それから、総務省では定期的に移動通信データトラフィックを推計しておりますけれども、これにおきましても、現在、対前年度比で約一・三倍の勢いでトラフィックが伸びているという状況でございます。  今後も、高精細な映像の伝送需要ですとかIoTの本格的な普及によりまして、移動通信のトラフィック、ますます増大していくと考えております。  総務省といたしましては、こうした増大するトラフィックを収容するとともに、本格的なIoT時代を支えるICT基盤として、5Gの実現に向けて、引き続き、周波数の共用、再編電波資源拡大のための研究開発など、電波周波数有効利用につながる施策を積極的に進めていきたいと考えております。  以上でございます。
  109. 高井崇志

    ○高井委員 今御説明あったように、大変逼迫しておりますし、また、周波数の共用であるとか再編が大変重要だという認識が示されたわけですが、その点については、もう先ほど来ずっと公用電波、公共業務用の電波有効活用ということが話題になっているわけでございます。  これについては、先ほど総務大臣からも、総務省としても検討を始めたという御答弁だったんですが、これは実は先般の三月三十日に規制改革会議の投資等ワーキング・グループというところで議論がされて、米英に比べて日本情報開示であったり共用がおくれているという、きょうちょっとこの資料を持ってきたんですが、このワーキンググループは大臣出席されていたんでしょうか。
  110. 高市早苗

    高市国務大臣 私自身は参加をいたしておりません。
  111. 高井崇志

    ○高井委員 それでは、こういった詳細な資料が、かなり電波有効活用について米英と差があるという資料があるんですけれども、こういった資料はごらんになっていますか。
  112. 高市早苗

    高市国務大臣 概要についてレクを受けました。まあ、全部ではないと思いますけれども。  それを承知の上で、総務省検討を開始しております。
  113. 高井崇志

    ○高井委員 これは大変よくまとめられている資料だと思うんですね。そんなに専門家じゃなくてもわかりやすくなっていて、例えば、アメリカでは連邦政府用の周波数利用状況調査というのをやっている。我が国でも調査はやっているんですけれども、やはり細かさが全然違うという具体例が書いていまして、例えば地理的条件、人口がどのくらい密集しているかとか、あるいは地理的に利用可能率が何%であるかということをアメリカでは詳細に書いている。それから、利用時間、推定利用時間で、五〇%から一〇〇%使っている局は何局、それから一〇%から五〇%が何局、一%から一〇%が何局というような形で書かれておりまして、例えば、例に出ている資料では、二百五十一の無線局のうち、一〇%しか時間を使っていなかった無線局が二百四十八あった、三局以外、全部は、一〇%未満だと。  こういう、周波数帯ごとに利用時間とか利用率みたいなものを詳細に公開して、そしてまたそれを評価しているというのがございます。また、イギリスもアメリカも目標値というのをきちんと決めているんだというようなことも書かれています。  これは、専門家がいろいろ調べてつくった、我が国とアメリカ、イギリスと比べて、我が国の場合は、こういった面の情報公開もおくれている、ブラックボックス化という表現にもなっていますけれども、おくれているし、また、周波数の共用もやはりおくれている。  これがやはり現実だと思いますので、こうした状況を踏まえて、改めて、何度も大臣答弁いただいていますけれども、この公共用周波数、もちろん使っている人たち意見も聞かなきゃいけないということはわかりますが、しかし、やはり国民共有の財産であり、今局長から答弁もあったように、大変逼迫をしている、この電波をいかに活用するかというのは、我が国にとって本当に重要な、切実な課題でありますから、これは総務大臣のリーダーシップでぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  114. 高市早苗

    高市国務大臣 総務省でも、増大する電波利用ニーズに対応していくために、公共業務を含む周波数の共用や再編を進めていくこととしております。昨年開催した電波政策二〇二〇懇談会でも、こうした方針を打ち出させていただいております。  この内閣府の会議の審議状況、今後ともしっかりと注視をして、また、周波数共用のための技術試験の結果なども踏まえて、新たな電波利用のニーズに応えるために必要な施策も進めてまいります。  先ほど来、公用電波情報公開の話もございましたが、これも検討を開始しましたので、関係省庁からしっかり御意見伺いながら、規制改革推進会議での御議論も踏まえながら検討を進めてまいります。
  115. 高井崇志

    ○高井委員 総務大臣はたくさん重要な仕事を所掌されていますけれども、本当にこれは最も重要な一つだと思いますので、大臣みずから、事務方から聞くと、十分公開しているんだ、アメリカと比べても遜色ないんだというような答えも聞くんですけれども、私は、専門家から聞いて、冷静にこうやって見てみると、やはりまだまだ日本は足りないなと思いますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。  それでは、電波ということでいいますと、携帯電話、これも国民生活にとって大きなかかわりがある問題でありますが、一昨年の九月に総理から、携帯電話料金が高過ぎるんじゃないかという、値下げの指示というんでしょうか、総理がそういうことを指示するのはいかがなものかという思いもあるんですが、それによって、総務省は去年いろいろ施策に取り組んできました。  ガイドラインを発表したり、ゼロ円端末をなくすというような取り組みをやってきましたが、しかし、結局、それをやってみて、果たして、では、この携帯電話料金が家計に占める割合というのは下がったのかどうか、お聞かせください。
  116. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  家計調査によりますと、二人以上の勤労者世帯における消費支出に占める移動電話通信料の負担の割合でございますけれども、二〇一六年は四・四%となっております。二〇〇六年の二・八%から一・六%増加しております。  この主な原因でございますけれども、まず、携帯電話の世帯当たりの保有台数が増加したというのがございます。それから、従来のフィーチャーフォンと比べて料金が高いスマートフォンの普及が急速に今進展しているということがある。そういうふうに考えております。  これまでの総務省取り組みによりまして、大手携帯電話事業者におきまして、ライトユーザー、長期利用者、ヘビーユーザー向けの新たな料金プランが導入されるなど、通信料金の引き下げで一定の進展は見られると思っております。ただ、以前よりも料金負担を軽減できるようになっておりますけれども、なお一層低廉化が必要と私どもとしては認識しております。
  117. 高井崇志

    ○高井委員 今御説明があったとおり、かなりふえていますよね。  もちろん、局長がおっしゃったような要因は否定はしません。しかし、実際、現実にゼロ円端末がなくなって、端末代は最低でも一万円払うようになり、では、その分通信料金が下がるということが政策の目的だったんですが、やはりそれほど下がっていないから、結果としては、割高感というか、消費者からは、いや、かえって高くなったんじゃないかというようなクレームが随分聞こえてまいります。  私は、やはりより根本的な競争政策をやって、今、三社の寡占状態ですから、これを、より競争を進めていくためには、MVNO、格安スマホと言われているようなこういった会社を、もっと競争政策を進めるべきだ。現実にこの携帯三社は今回のこの制度をやっても増収増益になったというふうに聞いておりますので、そういう意味ではまだまだ競争が働いていないんじゃないかと思いますが、大臣、見解はいかがですか。
  118. 高市早苗

    高市国務大臣 スマートフォンの通信料金の低廉化は、通信料金そのものの低廉化は着実に進んでいると考えております。  この通信料金の低廉化をさらに促すということを考えますと、やはり大手三グループによる寡占的状況となっている携帯電話市場において、MVNOを含めた競争を加速するということが重要でございますので、そのための取り組みを今進めています。  これまでの取り組みによりまして、大手携帯電話事業者においては、従来よりかなり低廉な新たな料金プランが、しかもライトユーザー向け、ヘビーユーザー向け、長期ユーザー向けといった形で導入されましたし、また、大手携帯電話事業者の半額以下の料金で利用できるMVNOも急速に拡大しています。ですから、利用者の方々通信料金の負担軽減については、一定の進展は見られてきているなと今感じております。  ただ、なお一層料金の低廉化が必要だと私どもは考えていますので、引き続き、MVNOが大手携帯電話事業者に支払う接続料の適正化を進めてまいります。これは、ことしの二月十五日に省令改正を行いました。おおむね一割から二割の低廉化が見込めます。  それから、SIMロック解除の期間短縮、端末販売のさらなる適正化というものもしっかりと進めていくつもりでございます。
  119. 高井崇志

    ○高井委員 もう時間もなくなってきたので、最後にもう一問。  同じように、競争という観点でいくと、スマートフォンのOSのシェアが、これは経済産業省が発表しているんですけれども、アップルが七二%、それからグーグルが二七%、九九%の携帯、スマートフォンのOSがこの二社で占められているということで、経済産業省が去年七月に、第四次産業革命に向けた横断的制度研究会というところで問題にしている。GAFAといって、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、この四社がさまざまな情報を握っている。  こういったことに対して、我が国として問題ないのかということを経済産業省は取り組んでいるわけでありますが、私は、これは携帯電話を所掌する総務省としても重要な課題だと思いますが、総務省としてはこの問題についてどのように取り組むのでしょうか。
  120. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  グーグルやアップルが行うOSの提供でございますけれども、これは電気通信事業には該当せず、OS提供事業者には電気通信事業法の規律は及ばないこととなっております。  また、外国法人に対する電気通信事業法の適用につきましては、一般的に我が国の行政法の及ぶ範囲日本国内に限られるということで、日本国内に拠点を置かない場合には同法の規律は及ばないこととなっております。  他方、国内で販売されるスマートフォンの大半はグーグルまたはアップルのOSが実装されているということで、携帯電話事業者とOS提供事業者の事業は密接な関係にあります。OS提供事業者の行動は、電気通信事業に影響を及ぼし得ると考えております。  総務省といたしましては、電気通信事業の健全な発達、それから利用者利益の保護の観点から、公正取引委員会を初め関係省庁と密接に連携しつつ、携帯電話事業者及びOS提供事業者の動向を注視していきたいと考えております。  以上でございます。
  121. 高井崇志

    ○高井委員 今答弁があったように、国内法、電気通信事業法は、海外の企業に及ばず、国内だけ。ですから、通信の秘密保護とかそういった規制の部分は国内事業者にだけ、かえってそれが不公平になっているという実態がありますので、これはぜひ、大臣、経済産業省ともよく連携していただいて、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  122. 竹内譲

    竹内委員長 次に、足立康史君。
  123. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは電波法の審議ということで、二十分と限られた時間でありますが、質問させていただきます。  大臣に特に通告しておりませんので、のんびりやっていただければと思います。もし、ここは私だというところは、手を挙げていただければ結構であります。電波法、本当はもちろん大臣にも御答弁いただきたいこともあるんですが、技術的なことも多いので政府参考人で結構ですよということを申し上げていますし、ここは大変難しい行政分野ですので、下手に大臣に御答弁を求めても、政府参考人と同じような答弁になると思いますので、きょうは、さっきの一覧表を見ると大臣のところに丸がついていませんので、のんびりしていただければと思います。  さて、電波法、ちょっと質問に入る前に、実は、きょうは閣法の審議ということでありますが、日本維新の会も、僣越ながら、僣越でもないかもしれませんが、周波数オークション法案というのを出しています。去年も出しまして、ことしまた通常国会に提出、参議院ですけれども。我が党は、今、参議院が十二名、大阪で定数四に対して二人をいただいたことを初めとして、国民の皆様の御支持をいただいて、参議院では法案を提出する会派を組めるということでありまして、衆議院はまだ十五名で足りないということで、大体我が党は法案を提出するときには参議院から提出をするということで、今させていただいております。  我が党は周波数オークション法案ということでありますが、私、きょうちょっと席を外していて十分伺いませんでしたが、もう既に民進党武正委員の方から民進党の法案の御紹介もあったと仄聞をしております。民進党、尊敬する高井先生がいらっしゃいますが、これは大分もめましたね。まあ、うんとは言えませんね。  せっかくの機会ですから、民進党の法案もちょっとレビューをしておきたいんですが、私が承知している範囲内で申し上げれば、百五十六回国会で結構どんと、我々が今出しているのに近いような法案が出ました。オークションのやり方とかで議論があって、百五十六回国会、百五十九国会、これで、内容は微修正をされていますが、オークションの対象免許の範囲については限定なしの、結構深掘りをした法案を出されています。  ところが、民主党政権をとられると、民主党政権としての閣法が出ています、成立していませんけれども。これはねじれ国会だったということもあるかもしれませんが。  そのときに民主党がオークション法案を出されていますが、そのオークションの対象免許の範囲携帯電話基地局に限定する、そういうのを出されているんですね。だから、やはり政権をとると、限定なしのオークションというのはなかなか提案しづらかったのかもしれません。そこの力学はまた調査したいと思います。調査する必要もないかもしれませんが。携帯電話基地局に限定をされています。  では、政権をとったら、やはり政府の中に入ると、限定されたということで、その後はずっと限定で来るのかなと思ったら、また百八十三国会、百八十六国会では限定なしの議員立法を出されています。不思議ですね。その際にも、しかし、一定の進化というか、後退はされていて、ただし放送は除くと。  限定なし、政権をとったときは携帯電話に限定、政権からおりると今度はまた限定なしに戻るんだけれども、放送は除くというふうにされていまして、だから、我が党も周波数オークション法案ということで出させていただいていますが、これはやはり野党ならではで、我々がもし政権に入れていただいた、あるいは政権交代した暁にこういう抜本改革というものを本当にやり切れるのかということは、日本維新の会としても、そこは我が身を本当に真剣に検討していかなあかんというふうに思っています。  きょう、武正委員が多分紹介をされた今回の民進党の議員立法は、さらに後退をして、もうオークションはなし、なしというのは、本則からは落ちて、附則で検討条項が入っている、こう仄聞をしています。  だから、今の民進党は、まあ民進党さんについて多くを語る場ではないと思いますが、結局、もうまとまらないんですね。オークション、かつて政権をとったときに出していた法案でさえもう出せない。要は党がまとまらないんです。原子力もそうだし、電波法電波制度でさえもそうだし、したがって、森友学園しかできない、こういうことだと承知しているという私の見立てを一言御紹介申し上げておきたいと思います。  さて、中身でありますが、きょう冒頭、自民党の小林史明委員初め、大変鋭い御指摘をるるされています。民進党の高井委員もそうだけれども、いわゆる有効利用ということ、こういう議論がありますが、総務省としては、今、電波有効利用されていると考えているのか、されていないと考えているのか、どっちですか。
  124. 富永昌彦

    富永政府参考人 情報通信分野、特に電波の分野は、技術の進展が非常に早うございます。デジタル化をするなどしていろいろな技術が出ておりまして、常に新しい技術を採用して電波有効利用していただくという方向に私ども誘導しております。  そういう意味では、例えばアナログからデジタルに早々に変えていただけている状況にあるような無線局ですと、それはかなり有効使用していただいておるというようなことで、私ども評価しております。  以上でございます。
  125. 足立康史

    足立委員 まあまあわかったようなわからないような御答弁でありましたが、確かに技術の変化ということがやはり一番大きな背景にはあると思いますし、土地利用とのアナロジーでよく議論されますが、多くの委員が、やはりそこは有効利用がもっとできるんじゃないかということをおっしゃっています。  先ほど、これも小林先生だったかな、アメリカと比べると公開されていないんだみたいな御指摘がちょっとあったと思いますが、それはどうですか。例えばアメリカと比べて、周波数帯域がそれぞれどういうふうに利用されているかについての開示の程度は低いのか同じなのか、わかれば教えてください。
  126. 富永昌彦

    富永政府参考人 日本とアメリカで制度が若干違うということでございますので、なかなか直接的に比較は難しゅうございます。  私ども日本の場合、総務省では、従来から、電波法の二十五条に基づきまして、無線局情報としてインターネットで公表しております。先ほど来御議論ございましたように、国の安全とか外交ですとか犯罪の予防の理由ということで、一部の公共業務の無線局情報につきましては現在公表しておりません。したがって、もし仮にアメリカがそこまでやっていらっしゃるとすれば、それは確かに私どもの方が公表していないということになるわけでございます。  規制改革推進会議では、米国、英国に比べて公表する内容が少ないのではないかという御指摘もありまして、総務省としては、公共業務の無線局情報公開のあり方について、先ほど大臣からもお話ございましたように、検討を開始してございます。  今後、免許人様の意見も聞きながら、しっかりと検討していきたいと思ってございます。  以上でございます。
  127. 足立康史

    足立委員 すると、検討しているということは、検討の余地があるということで、すなわち、アメリカ等と比べると課題がある、こういうことでいいですね。
  128. 富永昌彦

    富永政府参考人 例えば、ある無線局情報を公開するときに、周波数のピンポイントの情報まで公開するか、あるいは周波数が属している周波数帯域を公表するか、そういった違いがございまして、例えば、周波数のピンポイントまで公開するとその業務に著しく支障を及ぼすというような御意見もあることも想定されますものでございますから、どの程度まで公表するかということでは、検討の余地はあると私どもは考えております。  以上でございます。
  129. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  その有効利用ということで、よく、前回もNHKの予算の審議のときに私も申し上げましたが、いわゆるアナログ停波の跡地の問題で、マルチメディア放送等の議論をちょっとパネルを使ってさせていただきました。  例えば、アナログ停波の跡地に手を挙げたマルチメディア放送の事業者の方々、この方々が、必ずしもそのビジネスが当初想定していたとおりフライしているかというのは若干議論が、議論があるというのは、必ずしもフライしていないと私は思っています。  だめなら、もうどこかでどいていただいて、別の新規参入を促した方がいいと一般的には思っていますが、今、そこの周波数帯でビジネスをされているマルチメディア放送の事業者、この方々は、みずから撤退ということはもちろん理屈上あり得ると思いますが、当局から、もう、ちょっと勘弁してくれ、あなたはこの帯域を使うには低い活動過ぎる、有効活用できていないということで、だめ出しをするスキームはあるんでしょうか。
  130. 南俊行

    ○南政府参考人 お答えを申し上げます。  V―HIGHの帯域は既にサービスを終了させておりますので、そこは現在あいているという状態でございます。マルチメディア放送、二種類あるうちの、V―HIGHはもうサービスを終了しております。  V―LOWのマルチメディア放送につきましては、平成二十六年に、FM東京系のVIPという会社が、特定基地局の開設計画を認定いたしました。  これは五年間の期間でございます。現在、全国七ブロックに分けまして、関東、東海、近畿、九州、そういった四ブロックで無線局を開設して、サービスを開始しているところでございます。今後、この五年の間に、中国・四国あるいは東北、北海道と順次サービスエリアを拡大していくという計画になってございます。  この認定の有効期限というのが平成三十一年の七月でございますので、それまでにこの計画に沿って全国的な放送エリアを整備していただくということを私どもは期待しているところでございます。
  131. 足立康史

    足立委員 すると、V―LOWのところは平成三十一年かもしれませんが、それは自動更新というようなイメージで考えたらよろしいかというのが一点。  それから、ごめんなさい、ちょっと勉強不足で、V―HIGHの方は、逆に言うと更新されていないということでしたか。ちょっと確認まで。
  132. 南俊行

    ○南政府参考人 お答えを申し上げます。  V―HIGHのマルチメディア放送が使用しておりました帯域は、現在あいているという状況でございます。昨年六月にサービスを終了して、今、無線局の撤去作業を順次進めているところでございます。  先ほど、実は大臣の方からも御答弁いただいたんですが、これは放送事業用に優先的に割り当てられた周波数でございますので、それをさらにどう有効活用していくのかということは今引き続き研究をしてまいりたいと思っておりますが、当面、二〇二〇年の東京オリンピックに向けた一時的なニーズがあるかなというふうに考えてございます。  それから、V―LOWのマルチメディア放送を五年間で認定したというふうに申し上げましたけれども、これは認定計画が五年ということでございます。それに従って順調にエリアを拡大していくたびごとに無線局の免許というのを取っていただきます。認定計画は一回きりでございます。
  133. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  さて、冒頭申し上げたオークションですが、メリット、デメリット、リターンもあればリスクもあるというのが制度だと思います。  したがって、制度の見直しを我々も提案するに当たっては、メリットあるいはデメリット、こういうふうなリターンが見込めるが、こういうリスクはある、そういう議論は党内ではしておりますが、総務省から見てオークションのデメリット、リスクと言ってもいいのかもしれませんが、もしお考えやお気づきの点がありましたら御紹介ください。
  134. 富永昌彦

    富永政府参考人 総務省から見たオークションのデメリットということでございますが、落札額が高騰するおそれがありまして、高額な落札額の支払いによって設備投資がおくれるなど、落札者のその後の事業運営に支障が発生するというようなおそれがまず考えられます。それから、資金力のある事業者が多くの周波数を落札することによる公正競争上の問題が生じるという可能性も考えられます。  デメリットとしては、以上のようなものが主なものとして考えられます。  以上でございます。
  135. 足立康史

    足立委員 まさに、これは競争政策とも絡むところで、我々も党内でまたじっくり議論していかなあかんと思っています。  まさに今御答弁があったように、落札額の高騰という御紹介があったように、高騰すれば今のお話では公正競争に影響があるというようなロジックもあり得るのかもしれませんが、普通の経済観念でいえば、今の基幹放送局、例えば地上波のキー局、そういうところは、逆に言うと低い電波利用料で事業を行っているという見方もできるわけで、先ほどおっしゃったことは、私は、リスクやデメリットではなくて、むしろ今電波利用している方々が低い価格で使っているんだ、こういうことになりませんか。
  136. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答え申し上げます。  電波利用料の制度でございますけれども、この制度に基づいてそれぞれの免許人が支払う利用料額はさまざまでございます。  この制度は、結局、もともと、電波の適正な利用の確保のために、無線局免許人の受益となるような事務を行うために必要な料額を徴収するということでございます。そういう趣旨の制度ということで料額が算定されているということでございますので、必ずしも経済的活動との関係ということで算定しているものではございません。
  137. 足立康史

    足立委員 まさに、今御答弁いただいたように、根本思想が、政策思想が、少なくとも我が党が中で議論していることとは本当に対極にあるというか、違うんだなということを痛感します。  我が党が提案している周波数オークション法案は、いわゆるオークションを経た免許人からは電波利用料はもう徴収しない。むしろ、オークションの、まさにさっき高騰し過ぎるんじゃないかとおっしゃった、高くなるであろう、そういう競売とか競落金を納付いただくという形で市場原理を働かせて、まさに競争をして、競争に負けた事業者は脱落をする、より高い能力を持っている事業者が参入をする、そういう世界があり得るはずだということで法案を出させていただいています。  政権をとるまでには、本当に、民進党のように左に行ったり右に行ったり小さくなったり大きくなったりするような一貫性のない法案提出となることがないように、党内での議論もさらに深めていくことを国民の皆様にお誓い申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  138. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  139. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  最初に、電波利用料歳入歳出について伺います。  電波利用料は、無線局の免許人に対して、電波利用共益費用、つまり事務費のような形で負担を求め、三年ごとに見直すものと承知をしております。  来年度といいますか、もう今年度ですけれども、見ますと、過去三年間の予算規模よりも八十億ほど縮小された形となっております。  規模縮小に至った主要な要因をまず教えてください。
  140. 富永昌彦

    富永政府参考人 規模縮小に至った主要な要因でございますけれども、電波利用料の使途といたしまして、これまで複数年度にわたり毎年度約三百億円規模を充当しておりました地上デジタル放送関係の費用、これが昨年度でほぼ終了しております。  一方で、周波数が逼迫する中、今後ますます高度化、多様化していく電波利用ニーズに対応していくため、周波数有効利用につながる研究開発ですとか、携帯電話エリアそれから公衆無線LAN環境の整備、こういったことを推進していくことが必要となっておりまして、これらに必要な経費として約二百億円を増額しております。  こういった歳出構造の変化ということで、平成二十九年度予算は約六百二十億円ということで、前年度予算規模である約七百億円から約八十億円減少したものでございます。  以上でございます。
  141. 吉川元

    ○吉川(元)委員 免許人が納める利用料は、一般会計に組み込まれるものの、その相当金額電波利用共益費用の財源に充てることが電波法には規定をされております。  したがって、本来は利用料収入歳出額が一致するということが望ましい、好ましいというふうに思うんですが、電波利用料制度が創設された一九九三年度以降、ほとんどの年度で利用料収入が、いわゆる歳入歳出を上回る状況が続いております。とりわけ、ここ数年のその差額がかなり大きくなっているようにも見受けられます。  具体的には、二〇一二年度が百一・七億円、それから二〇一三年度は百二十七・一億円、二〇一四年度はそれほどではないんですが、一五年度になりますと再び百七・八億円、いずれも歳入歳出を百億円以上上回る状態となっております。  電波利用料予算規模、これまでの過去の三年間でいいますと七百億円ということですから、百億円上回るということは、全体の規模の約一五%ぐらい、これは上振れという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、ぐらいにまで達しております。  差額は一般会計に入ってしまいますから、このままだと、利用料を払っている免許人事業者に対し、電波利用以外の全く関係ない施策にまで費用負担をさせているということにもなりかねません。  なぜこうした歳入歳出を大幅に上回るような事態になったのか、説明いただきたいと思います。
  142. 富永昌彦

    富永政府参考人 電波利用料の料額につきましては、三年間に必要となる電波利用共益事務の費用を見積もった上で、その三年間に見込まれる無線局の開設状況を勘案して設定しております。  電波利用料の見直しの年、これは三年ごとに来るわけでございますけれども、その見直しの年に当たる二〇一一年度、二〇一四年度につきましては、直近無線局の開設状況に基づく初年度の無線局の見込みが実態と大きく乖離しなかったということで、歳入決算と歳出決算がわずかな乖離にとどまっております。  一方、委員指摘のとおり、二〇一二年度、二〇一三年度、二〇一五年度につきましては、スマートフォンの急激な普及などによりまして、携帯電話やBWAの端末数が想定を超えて増加いたしました。こういったことで歳入が当初の見込みに比べてふえたということで、歳入決算が歳出決算に対して比較的大きく上回ったということでございます。  以上でございます。
  143. 吉川元

    ○吉川(元)委員 利用者がふえたということで、歳入が上回るということでありますけれども、一方で、決算を見ますと、歳出の決算、これは二〇一五年までしかまだ決算が出ておりませんが、それぞれ、もともとの三年前の計画では七百億円ということですけれども、歳出の方、実際に七百億円支出しているかといいますと、一四年度が六百六十四・四億円、それから二〇一五年度が六百三十九・二億円ということで、歳出についてもかなり、歳入の方はそうやって後からふえていったからふえたというのはわかるんですけれども、歳出というのは、ある程度、三年間見て、その中で七百億円ずつかかっていくんだということで見積もるわけですけれども、これがそれぞれ、二〇一四年度でいいますと三十六億円程度、それから二〇一五年でいいますと約六十億円、つまり一〇%近く歳出が少ないというのは、これは一体どういう原因があるんでしょうか。
  144. 富永昌彦

    富永政府参考人 確かに、歳出の一般的な傾向といたしまして、三年間の中で、初年度に比べて、第二年度、第三年度、より緊縮する方向でこうなっております。  これはやはり、毎年度の、次の年度の予算要求段階で、より効率的な予算編成ということを心がけているというのが一つございます。  それから、予算の執行段階におきましても、より予算の効率的な執行ということで、予算額を上回らないように、かつ、より少額で、いい事業ができるようにということに努めておりますので、どうしても乖離が出てくるということがございます。  以上でございます。
  145. 吉川元

    ○吉川(元)委員 いや、もちろん、より効率的に使うということについては、全然反対するものではありませんし、そうしていただかなければならないと思いますけれども、最初の初年度の段階での計画が、ある意味でいうと、あえて大きくとって、その中で切り詰めるものを切り詰めていってこれだけ浮いていくという、このやり方というのはちょっといかがなものなのか。  最初の三年間、もちろん、三年の間にいろいろな技術革新等々が進んでいくことは当然ありますけれども、ただ、二〇一四年度、初年度で見ましても、実際に支出したのが六百六十四億円ということになっておりますから、この時点で既に五%程度歳出が予定よりも少ないということは、これは最初の見積もりの段階が少し甘いのではないかというふうにも思うんですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
  146. 富永昌彦

    富永政府参考人 電波利用料制度は、三年間の電波利用共益事務を見積もって、その三年間の事務に必要な経費を、三年間にわたって、開設される無線局の免許人さんからいただくということでございます。  ですから、そういう意味では、三年度分の共益費用の見積もりを、やはりより精度よくやる必要があると私ども考えております。  一方で、予算の編成段階では、政府全体として、一般会計全体として、より効率的にというような力をどうしても働かせておりますので、総務省の中におきましても、一般会計の中の一般財源と特定財源を合わせた形で、一定の枠の中でより全体として情報通信施策をしっかりしていくということになりますので、どうしても電波利用料予算だけで十分に予算が確保できないということが、第二年度、第三年度ということで起こるということもございます。  こういったことから、今のような現象が起こっているわけでございます。  以上でございます。
  147. 吉川元

    ○吉川(元)委員 それでは、次に、来年度は八十億減るということで、先ほど説明いただいたとおり、歳出の構造変化ということでありますけれども、研究ということでありましたが、具体的にどのような研究を予定されているんでしょうか。
  148. あかま二郎

    あかま副大臣 お答えいたします。  周波数の逼迫状況を緩和し、新たな電波利用ニーズに的確に対応するため、周波数の効率的な利用や共同利用を促進する必要があることから、電波資源拡大のための研究開発を実施しております。  具体的にということでございますけれども、本格的なIoT時代を支えるICT基盤として、超高速、多数接続、超低遅延といった特徴を有する5Gを導入するための技術、さらには、電波を効率的に利用しながら、4K、8K等の放送サービスを導入するための技術などの研究開発を拡充する。あわせて、増大するIoTの需要に的確に応えるため、周波数の共同利用を促進する新たな研究開発に取り組むこととしております。  あわせて、東京オリンピックパラリンピック大会に必要となる電波の確保のための周波数の共用の技術試験、これにも取り組むこととしております。  総務省といたしましては、より一層電波有効利用を推進するため、引き続き電波資源拡大のための研究開発等にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
  149. 吉川元

    ○吉川(元)委員 次に、電波利用の負担についてですけれども、これは他の委員からも質問があったかというふうに思いますが、携帯電話事業者の利用料放送事業者はかなり差があるということで、その理由というのはどこら辺にあるのかということ。  それから、あわせまして、今回、まあ今回だけではないと思いますけれども、携帯電話事業者からは負担軽減を求める要望が出されているものと承知をしております。恐らく、携帯電話事業者は、放送事業者には適用され、携帯電話事業者には適用されていない負担軽減係数、国民への電波利用の普及に係る責務、係数二分の一の適用を求めたものではないかというふうに思いますが、今回、その適用は見送られております。その理由もあわせて答弁いただければと思います。
  150. 富永昌彦

    富永政府参考人 電波利用料の料額につきましては、先ほども申しましたが、三年間に必要となる電波利用共益事務の費用を見積もった上で、その三年間に見込まれる無線局の開設状況を勘案して設定しております。  具体的には、使用する周波数幅ですとか、送信出力ですとか、設置場所の違いなどに応じて、無線局の種別ごとに料額を算定しております。  携帯電話放送局とを比較いたしますと、周波数幅につきましては、携帯電話放送局のおよそ倍の周波数を使用しております。無線局数につきましては、携帯電話は約一億六千万局に達する無線局数でございますが、放送局の場合は約一万局ということでとどまっております。  こういった周波数幅ですとか無線局数の違いをもとに電波利用料を算出した結果ということで、携帯電話事業者の負担額が、放送事業者の負担額に比べて、大きく上回る結果となったということでございます。  それから、議員御指摘のように、携帯電話事業者が負担の軽減について今回の議論の中で要望してきたということは、これは事実でございます。それで、軽減係数といったものを利用料額の算定のアルゴリズムの中で適用してございます。その軽減係数の一つの要素として携帯電話事業者が要望されておりましたのが、国民への電波利用の普及に係る責務等、これは携帯電話事業者もこういう責務を負っているではないかということで、この二分の一を適用してほしいというような趣旨でございます。  私ども、昨年一月から七月にかけまして有識者による懇談会を開催いたしまして、その中で電波利用料のあり方も議論する、そういった議論の中で、この携帯電話事業者の御要望も御議論いただきましたが、放送事業者の場合と異なりまして、あまねく受信できるように努める義務が法律において課せられているわけではないという点を考慮いたしまして、携帯電話事業者にはこの二分の一を適用しないことが適当という結論が出たわけでございます。  以上でございます。
  151. 吉川元

    ○吉川(元)委員 確かに、放送法の二十条五項や九十二条、ここでは、あまねく受信できるように、NHKは義務でありますし、民放は努力義務ということになっております。  ただ一方で、今後、放送通信が融合する時代において、これはNHK予算の中でも議論がありましたけれども、受信料のあり方をどうしていくのかということがございます。こうした放送通信の融合の中でどういうふうに分けていくのか、あまねくという問題も含めてですね。これについては、今後しっかりと検討していく課題ではないかというふうにも思います。  次に、電波の混信、干渉に対する施策について伺いたいというふうに思います。  電波の混信や干渉については、昨年二月の電波政策二〇二〇懇談会制度ワーキンググループの第二回会議で、携帯電話事業者からも対策要望提案が出されております。それを受けてどういった対策がとられているのか、あるいは今後とられるのかについて尋ねます。
  152. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  電波政策二〇二〇懇談会で、携帯電話事業者や放送事業者などの免許人から、4K、8Kの普及促進を図るため、受信設備からの漏えい電波による混信防止を図り、周波数の共用に資するための電波利用料の活用等に御要望をいただきました。  これを受けて、報告書の中で、受信環境整備に向けた取り組みを拡大していくということは時宜を得ているという御提言をいただいて、今回の使途の追加と言われるものを実施しようとするものでございます。  具体的には、4K、8Kの衛星放送のうち、特に左旋円偏波を使う視聴を希望される場合に電波の漏えいが起こりやすくなるという事態がございまして、その漏えいに対する対策につきまして、電波の適正な利用を確保する観点から、その実態をきちんと把握して精緻な技術基準を策定していくための調査、それから受信環境整備のための周知啓発活動というものに加えまして、もう一歩踏み込んで、その漏えいが起こる、技術基準に適合しなくなる設備の改修に対する支援というものも実施してまいりたいというふうに考えてございます。
  153. 吉川元

    ○吉川(元)委員 ちょっと関連してですけれども、第二回のワーキンググループの議事録を読んでおりますと、今おっしゃられた電波の干渉対策に必要な工事等々についてですけれども、費用負担をどうするのかということで、その中で、構成員の方から、最終的な費用負担は各家庭が負担すべきなのか、それとも事業者が負担すべきなのか、あるいは国が負担すべきなのか、どのような正当性で誰が支出するべきなのかがよくわからなかったとした上で、これは今後検討したいというふうに述べられている箇所がございます。これは昨年二月ですから、ちょうど一年がもう過ぎておりますので、最終的にどういう形で費用負担が行われるのかということ。  それから、あと、今回、使途に追加されている4K、8Kの実用化に伴う電波の漏えい対策で、今も言われました調査研究、啓発活動、それから受信環境整備に対する支援、この三つだということですけれども、この三番目に対しては、電波の漏えいや混信を遮断するために、各家庭で適正な機器に取りかえたり、ケーブルの接続に適切な施工を講じたりする際の支援というふうに理解をいたしますが、これは各家庭の財政負担を減らすための支援というふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
  154. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  漏えいの原因となりますのはいわゆる宅内配線部分と言われる部分でございまして、なかなか容易に交換できなくて、仮に左旋の衛星放送を受けることになった場合に電波が漏れ出すおそれが出てくるんですけれども、そうした場合も、実際のテレビの視聴には支障がないものですから、一般の視聴者の皆さんは、混信が生じるので改修をしてくださいと言っても、なかなか自発的な改修は期待できないという側面もございます。  これはあくまで視聴を希望せられる視聴者の御負担というのが基本ではあるというふうには思っておりますが、これを放置しますと無線局に対する混信が継続的に発生してまいりますので、電波監理をする観点から、やはり国がその支援、費用の一部を負担するという形で、旧式の設備の宅内配線部分を持っている場合で、その技術基準に適合する形で必要な改修をする工事費の一部につきまして、国が一定の支援をしてまいりたいと考えてございます。
  155. 吉川元

    ○吉川(元)委員 もう余り時間がありません。最後に、トラフィックの需要の増加についてお尋ねをいたします。  先ほどもありましたけれども、直近でいいますと、年率換算で一・三倍ずつ需要が高まっているということで、どうやって対策をするのかというのは喫緊の課題だというふうにも思っておりますので、その対策をどう考えていらっしゃるのかということ。  それからもう一点、携帯電話事業者間で格差が生じているというような、逼迫の度合いについて、指摘がございます。それについてどのような認識をお持ちなのか、またこの格差の解消等々に向けて何かしらお考えがあるのか、お聞かせください。
  156. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員指摘のとおり、移動通信データトラフィックでございますけれども、二十八年十二月の月間平均で、前年同月に比べて約一・三倍の増加を示しております。  こういったトラフィックの増加に対応するため、総務省では、新たな移動通信周波数の確保ですとか、周波数有効利用技術研究開発を進めてまいります。  具体的には、昨年開始された第四世代移動通信システム、4Gの普及拡大に向けた周波数の確保、それからデータオフロードを念頭に置いた無線LANの周波数の拡大を図ってまいります。  それから、携帯電話事業者と連携して、例えば、複数の周波数を束ねて利用する技術ですとか、複数のアンテナによって送受信を行う技術など、割り当て済みの周波数を効率的に利用する技術の活用を引き続き推進していくほか、現在のLTE方式と比べて百倍以上のデータ伝送が可能となる、先ほど来出ております5G、この実現に向けた研究開発を推進してまいります。  それから、委員指摘の後者の方、逼迫状況の差異の話でございますけれども、確かに、逼迫度合い、これは、携帯電話事業者が利用できる周波数幅に対して、それぞれの事業者がどの程度多くの加入者を獲得するかですとか、獲得した加入者がどの程度の量の通信を行うか、こういったことに依存するところがございまして、どうしても事業者間で一定程度の差異は生じるものと考えております。  近年、スマートフォンの利用者が非常に増加している状況にございますが、この増加によりまして、各事業者の周波数利用状況は、より逼迫する、全体として逼迫するという傾向にあると認識しております。  こういった周波数の逼迫に対応するため、まずは、携帯電話事業者におきまして、基地局の増設ですとか、複数の周波数を束ねて利用する技術などの、先ほどちょっと申しました技術、高度化のための技術の導入を図って、割り当て済み周波数の効率的な利用を図ることが必要だと考えております。  あわせて、無線LANなどへのデータオフロードの取り組みを引き続き推進していく、これが重要だと考えております。  その上で、総務省といたしましては、今後、第四世代移動通信システムの普及拡大に向けて新たな周波数、必要な周波数を確保するとともに、携帯電話事業者における周波数の逼迫状況の差異などをも勘案して、新たな周波数を割り当てていくということを考えていきたいと思っております。  以上でございます。
  157. 吉川元

    ○吉川(元)委員 終わります。
  158. 竹内譲

    竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  159. 竹内譲

    竹内委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。梅村さえこ君。
  160. 梅村さえこ

    ○梅村委員 私は、日本共産党を代表して、電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案への反対討論を行います。  航空機の無線設備等の検査に創設される総務大臣による認定制度は、航空機に搭載される無線機、レーダー、着陸誘導装置等の安全性チェックを航空会社に任せ、国による審査、合否判定を省略する規制緩和です。航空会社に技術的にチェックする能力があっても、自社の航空機搭載無線設備に対して厳正なチェックができるかは疑問です。航空機運航の安心、安全を支える無線機検査の国の責任の後退であり、反対です。  そもそも、定期検査の負担軽減、規制緩和の要望は、事業者から出されたものです。国民、消費者の願いは、航空機の安全運航の確保です。国が行ってきた判定までも事業者に委ねてしまうことは、国民の願いと逆行するものです。  以上指摘して、討論を終わります。(拍手)
  161. 竹内譲

    竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  162. 竹内譲

    竹内委員長 これより採決に入ります。  電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 竹内譲

    竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  165. 竹内譲

    竹内委員長 次回は、来る十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会