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2017-04-04 第193回国会 衆議院 総務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月四日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       池田 道孝君    大西 英男君       金子万寿夫君    金子めぐみ君       菅家 一郎君    小林 史明君       新藤 義孝君    鈴木 憲和君       田畑 裕明君    高木 宏壽君       谷  公一君    土屋 正忠君       冨樫 博之君    中谷  元君       武藤 容治君    宗清 皇一君       山口 俊一君    山口 泰明君       逢坂 誠二君    黄川田 徹君       近藤 昭一君    鈴木 克昌君       高井 崇志君    武正 公一君       稲津  久君    梅村さえこ君       田村 貴昭君    足立 康史君       吉川  元君     …………………………………    総務大臣         高市 早苗君    総務大臣        原田 憲治君    総務大臣        あかま二郎君    総務大臣政務官      金子めぐみ君    総務大臣政務官      冨樫 博之君    財務大臣政務官      三木  亨君    農林水産大臣政務官    細田 健一君    衆議院庶務部長      岡田 憲治君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 田中愛智朗君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君    政府参考人    (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君    政府参考人    (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君    政府参考人    (総務省行政管理局長)  山下 哲夫君    政府参考人    (総務省自治行政局長)  安田  充君    政府参考人    (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君    政府参考人    (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君    政府参考人    (総務省自治税務局長)  林崎  理君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君    政府参考人    (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       安藤 英作君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 金子  修君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君    政府参考人    (厚生労働省保険局長)  鈴木 康裕君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 隆正君    参考人    (日本放送協会会長)   上田 良一君    参考人    (日本放送協会理事)   松原 洋一君    参考人    (日本放送協会理事)   黄木 紀之君    参考人    (日本郵政株式会社専務執行役)          衣川 和秀君    参考人    (日本郵政株式会社常務執行役)          立林  理君    総務委員会専門員     塚原 誠一君     ――――――――――――― 三月三十一日  電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号) 同月三十日  地方自治体の臨時・非常勤職員労働条件改善に関する請願(田村貴昭紹介)(第六五四号)  同(高橋千鶴子紹介)(第六五五号)  同(畑野君枝紹介)(第六五六号)  同(畠山和也紹介)(第六五七号)  同(藤野保史紹介)(第六五八号)  同(堀内照文紹介)(第六五九号)  同(真島省三紹介)(第六六〇号)  同(宮本岳志紹介)(第六六一号)  同(宮本徹紹介)(第六六二号)  同(本村伸子紹介)(第六六三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)  行政基本的制度及び運営並びに恩給地方自治及び地方税財政情報通信及び電波郵政事業並びに消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  行政基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長上田良一君、理事松原洋一君、理事黄木紀之君、日本郵政株式会社専務執行役衣川和秀君及び常務執行役立林理君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

  4. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  5. 竹内譲

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。
  6. 田畑裕明

    田畑(裕)委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。  質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  私、三月にこの総務委員会の方に移動してまいりましたので、総務委員会での質問は初めてということになりますが、十五分という質疑時間、有効に活用させていただき、質問をさせていただきたいと思います。  さて、四月三日、昨日、各企業総務省もそうでありましょうが、新入社員新規職員辞令交付式、いわゆる入省式等が行われたかと思います。高市大臣訓示をなさったんだと思います。通告はしておりませんから訓示は聞きませんが、新たなスタートを切られた全ての方に、何のために働くのか、また働くことによって何を実現するのかを問いながら、何事も積極的に挑戦をし、豊かな人生を歩んでいただきたいなとも思います。また、何より、変化に対応する多様性を身につけた、そうした資質を身につけるような社会人としての歩みを期待したいと思うわけであります。  さて、全国四十七都道府県の二十九年度の税収見積もりが、いろいろ報道もされておるわけでありますが、約十八兆九千億円規模と、昨年比三千六百億円の減収見込みとも仄聞をしているわけであります。昨年の円高等によりまして、特に地方法人住民税地方法人事業税減収が主たる要因とも言われているわけであります。地方税収の伸びが鈍化をするということ、減退するということは、地方経済の発展にも、足踏みにつながるわけであります。  総務省では、二十九年度の交付税総額確保に精いっぱい努力をされ、臨財債の発行も極力抑制をされた予算として本年度スタートしたところであります。さらに、総務省として、地域経済の好循環のさらなる拡大に向けて、地方財政対策、これは現場の声を大切にして、実効性を伴って推進に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、きょうは、都市経営行政コストを意識した地方自治体運営についての観点質問をさせていただきたいと思います。  地方に仕事をつくり、また安心して働ける基盤づくりというのは大変大切なことであろうかと思います。二十九年度、総務省としても、チャレンジ・ふるさとワークですとかローカル一万プロジェクトなど、人材を含む地域資源を活用した地方自治体等への支援を強化し、地方交付税を含む地方自主財源確保増収への取り組みを強化することが、自立した地方住民サービス向上につながると確信をするものでございます。  そこで、まず一点目でありますが、総務省として、公共施設等立地適正化事業を創設し、新たな地財措置を講じてコンパクトシティー形成というものを図ろうと目指しているわけでありますが、どのように図るのか、まずは見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  7. 原田憲治

    原田大臣 お答えを申し上げます。  人口減少を迎える中にあっても、地域社会の活力と魅力を維持向上させるためには、コンパクトシティー形成によって人の居住生活サービス施設集約化して、住民生活利便性向上生産性向上投資誘発による地域経済活性化行政コスト削減等を図ることにより、持続可能な都市構造を実現する取り組みが重要であると考えております。  また、平成二十八年度末時点で、およそ百都市当該取り組み推進するための立地適正化計画作成公表済みでありまして、平成二十九年度以降、地方団体取り組み当該計画に基づく政策実行段階に移行することから、省庁横断的な支援が求められておるところでございます。  こうした状況を踏まえて、立地適正化計画に基づき、国庫補助制度を補完し、また一体となって実施される地方単独事業支援するため、今回創設をされる公共施設等適正管理推進事業債の中に立地適正化事業を設け、新たに地方財政措置を講ずることといたしておるところでございます。
  8. 田畑裕明

    田畑(裕)委員 副大臣、ありがとうございます。  まさに、省庁を横断してこうした地方自治まちづくり取り組み支援することは、もちろん大変意義深く、有意義だと思います。  これまで、コンパクトシティーといえば、国交省が音頭取りとして取り組みを進めてきたわけであります。国交省的にはコンパクトプラスネットワークというような施策ということになろうかと思いますが、総務省とすれば、そうした財政措置をしっかり裏づけした形の中で、今ほど御答弁ありますように、公共施設適正化を含めた支援をしていくということであろうかと思います。  そこで、きょうは国交省審議官にもお越しをいただいているわけでありますが、今ほど百都市ほどと御答弁もありましたが、コンパクトシティーへの取り組みというのが全国各地で行われているわけであります。  都市中心部生活利便性を高め、住民への求心力を持った拠点を設けるということは、無秩序な都市開発による行政コスト肥大化抑制して、ひいては利便性のよさがさらなる投資を呼び込む好循環というのが幾つかの地方都市では生じてきているというふうに認識をしているわけであります。  コンパクトシティープラスネットワーク化取り組みの成果として、人口集積であったり地価上昇といったようなことが見られるところもあるのではなかろうかと思うわけでありますが、人口集積、また地価上昇、そのような相関関係の分析について、どのように捉えていらっしゃるでしょうか、お聞きをさせていただきます。
  9. 廣瀬隆正

    廣瀬政府参考人 お答えいたします。  今後人口が急激に減少することが見込まれている地方都市などでは、一定人口密度に支えられてきました医療福祉子育て支援商業等生活サービス提供が将来困難になることが懸念されます。  このため、都市中心拠点生活拠点にこれらの都市機能を集約し、拠点中心とした公共交通を持続的に確保するとともに、拠点周辺公共交通沿線居住を誘導するコンパクトシティー形成推進することが重要だというふうに考えております。  議員お尋ねの、コンパクトシティー形成地価についての相関関係でございますが、地価はさまざまな要因によって決まります。その中で、都市人口密度地価には一定相関関係があることがわかっております。  特に、拠点地域におきましては、基盤整備が行われ、民間投資が呼び込まれる結果、人口が減少する中にあっても、地価維持などにつながるものと考えられます。  例えば富山市においては、コンパクトシティー取り組みの結果、中心市街地及び公共交通沿線人口の割合が増加し、中心市街地地価につきましては、路面電車環状線新設区間だけでなく、それ以外の地域についても、平成二十六年度以降、上昇の傾向を示しております。  地価維持、とりわけ拠点地域地価維持することは、地方自治体の基幹的な財源である固定資産税収等維持を図る上でも重要と考えております。
  10. 田畑裕明

    田畑(裕)委員 御答弁ありがとうございます。  最後の方、固定資産税維持強化のためにも重要であるということでありますが、実際、私、富山市でありますが、地価上昇というものも実績としては出ておるわけでありますし、それはそのまま固定資産税にはね返るということであります。単純に住民の皆さんの負担がふえるのみならず、そのことによって、周辺部も含め、郊外部も含めた、税の還元といった意味でのシャワー効果というものも出るのではなかろうかなというふうに思います。  固定資産税は、やはり地方自治体、特に基礎的自治体基幹税ということに相なるわけでありますので、今、国交省さんの御答弁ということでありますが、総務省もしっかり連携をしていただいて、特に地方交付税総額も非常に、なかなか厳しい中での地方財政のやりくりというのが顕著であるということでありますから、そこの取り組みについてはこれからも私も注視をしたいと思うわけでありますし、そうした成功事例、しっかり展開できるようにもお願いをしたいと思うわけであります。  もちろん、今ほどのそうした中心部拠点部開発利便性の高まりのみならず、住民生活拠点というのは、いろいろな市域の中であれば、当然、郊外部であったり中山間地であったり農地に囲まれた、そうしたいろいろ多面的な機能を発揮するという立地条件の中で生活をされている方も非常に多いわけであります。そうした方々も含めてその都市地域を支えているということになろうかと思います。むしろそうした郊外部周辺部の方においては、より愛着を持って代々住み続けているというような地域、場所というのは圧倒的に多いのではなかろうかなと思っております。  改めて国交省さんにもお聞きをしたいと思いますが、行政側の視点のみならず、コンパクトシティー取り組みによる地域住民の具体的なメリットについてどのように整理をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  11. 廣瀬隆正

    廣瀬政府参考人 お答えいたします。  コンパクトプラスネットワークまちづくりは、人口減少社会におきましても、福祉医療等生活機能確保され、高齢者を初めとする住民が安心して暮らせる町を実現しようとしているものでございます。  すなわち、中心部だけではなくて、郊外地域住民にとってのメリットとなるコンパクトシティー政策効果としては、まず、生活利便性維持向上が挙げられます。  ある程度の人口がまとまって居住することによりまして商圏が成立して、サービス業生産性採算性向上することで、福祉商業等生活サービスが持続的に維持され、これらのサービスに徒歩や公共交通で容易にアクセスできるようになります。このように歩いて暮らせる町となることで、外出が促進され、健康の増進にもつながると考えております。  また、都市コンパクト化は、財政面での持続可能な都市経営に寄与する効果がございます。公共施設やインフラの維持管理業務、あるいは除雪、ごみ収集などの行政サービス効率化等により、市民一人当たりの財政支出抑制につながることが期待されます。  このような行政経費の縮減、先ほどお答えいたしました地価維持を通じた固定資産税収等維持は、ひいては行政による市域全体の住民サービス確保、充実につながり、広く市民メリットになると考えております。
  12. 田畑裕明

    田畑(裕)委員 ありがとうございます。  先ほどの一問目では、公共施設等立地適正化についてちょっと触れさせていただいたわけでありますが、老朽化した公共施設の改修ですとか、廃止された未利用地整備ですとか、また、防災拠点となる公共施設耐震化への対応というのも地方自治体は迫られているわけであります。  昨今、PFIですとかPPPですとか、民間企業との連携というものも大いに実績も上がってきているところであります。総務省では、地方自治体公共施設等総合管理計画作成を依頼し、二十八年度末で一〇〇%計画が策定されたとも聞いています。本年度から実行段階に移るというわけでありますが、財政面ばかりを強調すれば、地域コミュニティーの崩壊を懸念しての住民の反発というものも懸念をされるわけであります。  改めて、今年度、新たに地財措置として公共施設集約化複合化事業長寿命化推進するわけでありますが、その狙いについてお聞きをしたいと思います。
  13. 原田憲治

    原田大臣 お答えをいたします。  今まで整備されてきた住民サービス提供してきた公共施設が、委員御指摘のように、これから大量に更新時期を迎えることを踏まえますと、それらの施設が今後も必要な機能を発揮できるよう、集約化複合化長寿命化などさまざまな手法により総合的かつ計画的な管理を進めていくことが極めて重要となってまいります。  そのため、総務省では、各地方公共団体に対し公共施設等総合管理計画の策定を要請してきたところでありまして、同計画に基づく公共施設の適正な管理取り組みによって、適切な維持管理修繕実施や、トータルコストの軽減、平準化国土強靱化、将来のまちづくりを見据えた施設配置などが実現されると期待しておるところでございます。  総務省では、こうした公共施設適正管理推進するため、公共施設集約化複合化事業長寿命化事業、先ほど申し上げたコンパクトシティー形成のための立地適正化事業等に対して地方財政措置を講じることとしており、引き続き地方公共団体取り組み支援してまいりたいと思います。
  14. 田畑裕明

    田畑(裕)委員 ありがとうございます。  時間ですから、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  15. 竹内譲

    竹内委員長 次に、稲津久君。
  16. 稲津久

    稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。  きょうは、三点にわたり質問をさせていただきます。  時間もありませんので、早速本題に入りますけれども、まず最初は、先般、三月三十一日に申請提出されましたゆうちょ銀行認可申請についてお伺いしたいと思います。  このことはもう既に報道等でも明らかにされていますけれども、例えば、口座の貸し越しサービス限度額五十万円を想定ということ、それから地域金融機関との連携に係る業務、それから市場運用関係業務、この三点の認可申請がゆうちょ銀行からありました。二〇一二年の九月に認可申請をされておりましたいわゆる個人向けローン損害保険募集業務法人向け相対ローン等につきましては今回取り下げるということであったというふうに承知をしております。  それで、既にゆうちょ銀行定期預金担保融資をしているわけですけれども、これは、無担保で、貯金の残高がゼロになっても自動的に融資をする機能をつけるわけですから、例えばクレジットカードなどで公共料金を引き落とすことができるということで、もちろん、利用者が求めれば現金もお借りできるわけですか、五十万を限度に。大変利便性が高まるというふうに私は思っております。  大臣も、所信の中でもこのことについて、ゆうちょ銀行からの申請について、いわゆる新規業務認可については、もう既に申請から四年以上経過している、そして、ゆうちょ銀行の現在の考えをしっかりと伺って、郵政民営化法にのっとり、金融庁とも連携をし、適切に対処してまいります、このように述べていらっしゃいまして、私も、このことは大変希望を持って今日まで参りました。  そういう中での今回のこの申請でございます。ぜひこのことを受けとめていただいた上で進めていただきたいと思うんですけれども、この要請についてどのように今後応えていくのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  17. 高市早苗

    高市国務大臣 ゆうちょ銀行が、平成二十四年九月三日にあった新規業務認可申請については取り下げた上で、改めて新規業務認可申請が去る三月三十一日にございました。内容については、今、稲津委員が言ってくださったとおりでございます。  ゆうちょ銀行は、現下の金融環境変化の激しさというものを踏まえて、さらなる企業価値向上のために何を優先すべきかということを検討されて、新たに認可申請をされたと思っております。  総務省としては、郵政民営化法にのっとり、既に郵政民営化委員会に対しまして、この申請について意見を求める手続をとったところでございます。同委員会意見も踏まえながら、速やかに審査を進めてまいります。
  18. 稲津久

    稲津委員 ぜひ、しっかり進めていただきたいと思いますし、この申請に対して、しっかりとそれを進めるようにお願いをしたいと思っております。  郵政民営化法を制定して以降、一番求められているのは、いわゆるユニバーサルサービス提供ということで、しかし、現場では相当御苦労なされて事業運営されているのも承知をしております。  現実に、このユニバーサルサービス維持していきながら、では、例えば日本郵政グループ状況はどうかというと、もうこれも御存じですけれども、日本郵便取扱枠が減ってきている。それから、金融代理業務、これはふえているので営業収益は若干増加していますけれども、人件費が非常にかかってきているので、ここも結局は増収減益になっている。かんぽ生命、ここも、新規契約数は増加したけれども、保有契約数減少等により収益は減ってきているということ、減収減益ですね。  それから、今お話のあったゆうちょ銀行預金残高百八十兆ということで大きく変化していませんけれども、いわゆる低金利により資金利益が減少している、約一千億円ぐらい減っているということで、こういったことを踏まえていくときに、ユニバーサルサービスをいかにこれから継続して提供していけるかということは、これは我々も真剣に考えて対応していかなければいけないところにあると思います。  そのようなことで、ぜひ、今回のこの申請に対して、しっかり取り進めていただくことをお願いさせていただきます。  二つ目質問なんですけれども、これは余り国会でも取り上げてこられたような形跡はないというふうに思っておりますが、非常に大事な観点ですので、きょうはあえてこのことを取り上げさせていただきます。  北海道の室蘭市、ここにおります私どもの同僚議員から市長に対する質問がありまして、それは、国保の治療用装具補装具ですね、例えばギブスとか義足とかですけれども、こういったものの療養費について、受領委任払い、受領代理制度、これを導入するということを方針として決めました。  このことに関連して伺いますけれども、今私が申し上げましたように、義肢とか義足とかいったもの、いわゆる治療に基づいた上での装具を購入するというか使用していく、この取り組みなんですが、現行の制度では、患者が一旦治療用装具の費用を全額払う、全額払った上で、領収書をもらって、市の国保の窓口等に行って、そして後から療養費として受け取る、償還払いシステムになっているということ。  では、患者の側から見るとどうなるのかというと、今の制度ですと患者が一旦費用を全額払うわけですから、時に大変高額な費用になります。例えば義足などですと、一足当たり四十万は超えるだろうと言われています。そして、その高額な費用を、後に、国保ですと七割分返ってくるということになるんですが、結果的に事務手続を経ると約一カ月半後ぐらいになるということで、これは患者、利用者の側からも何とかならないだろうかという声があったというふうに聞いています。それを、室蘭市が、ではやりましょうということになったわけなんです。  行政の側から見ると、これは大変厄介なことかもしれませんが、もう一方では、いわゆる行革の観点で見ると、職員の事務処理負担も軽くなるのではないか、こういった見解もあります。  室蘭市の場合は、市はもちろんですけれども、医師会、関係業者等々とよく話し合って、制度設計に向けて協議に入るということで、大きな前進であるという評価が報道等でもありました。  このようなことで、このことについてお伺いしたいんですけれども、まず総務省、室蘭市を初め幾つかの自治体でこうした取り組みを行っていますが、このことについてどのように理解をしているのか、お伺いいたしたいと思います。
  19. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  行政改革の観点で申し上げさせていただきたいと存じますが、総務省といたしましては、厳しい財政状況にありましても、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地方公共団体において、ICTの活用や民間委託等の推進などによる業務改革を進め、簡素で効率的な行政体制を実現することが必要との基本的認識を持っているところでございます。  このため、総務省では、平成二十七年八月に総務大臣通知を発出いたしまして、各地方公共団体における地方行政サービス改革の推進を要請しているところでございます。  各地方公共団体においては、地域の実情を踏まえ、コスト削減やサービス向上が図られる業務を適切に選定した上で、自主的、主体的に業務改革に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。  なお、御指摘の治療用装具につきましては、厚生労働省において、患者や保険者などさまざまな意見を踏まえて検討がなされているというふうに聞いているところでございます。
  20. 稲津久

    稲津委員 今、一般論としてのお話を伺いました。行政サービス、行革の観点等々でお話しいただいたわけなんですけれども、きょうは厚労省の方からもお越しいただいています。  ぜひこの機会にお話を伺いたいんですけれども、ナショナルミニマムとして、こうした受領委任払い制度について、今後考えていくことを検討できないだろうか、このことに対しての認識、どう対処していこうとしているのか、お伺いします。
  21. 鈴木康裕

    鈴木政府参考人 治療用装具療養費の支給に関する受領委任払いについてお尋ねがございました。  療養費の受領委任制度導入につきましては、過去の判例を踏まえますと、御指摘のように償還払いが原則になっている中で、受領委任制度導入による弊害の生じる危険性の有無、それから導入の必要性、相当性の有無、この二点が重要というふうに考えております。  このため、治療用装具療養費への受領委任制度の導入につきましても、これを認めても弊害がないか、特に、療養費を請求する方が患者様本人ではなくて事業者になることから、架空請求もしくは水増し請求が行われないか。二点目は、現在は治療用装具療養費の代理受領に応じておられる保険者は二%であるということを踏まえて、受領委任制度を認めるべき必要性、相当性があるかなどについて十分な検討が必要であるというふうに思っております。  さらに、治療用装具療養費に関しましては、現状で、既製品の装具療養費の支給対象とするかどうかについて保険者の間でも対応に差があること、また既製品の装具の適正な基準価格の設定についても課題になっていることから、まずは、支給対象とすることが適当と認められるような既製品のリスト化作業を優先して進めさせていただきたいというふうに思っております。  受領委任制度の導入については、こうした対応を見きわめた上で検討すべき課題というふうに考えております。
  22. 稲津久

    稲津委員 今の答弁でおわかりのとおり、今のところ決して前向きな方向に向かってはいないんだろうなと認識しています。  問題は、患者の側に立ってみたときに、病院に行って診察を受けて、そして医師の指示が補装用具の製作事業者に行くわけです。そして、患者はその補装用具の事業所に行って義足などをつくってもらうわけですね。そこで全額払って、今度はその領収書を持って国保、市町村の窓口に行って、そして請求するわけですよ。それは、例えば、今申し上げましたように、体に障害が残ったり、高齢者の場合もある。全国で、少ないとはいえ、二%行っている自治体があることを考えてみると、これはぜひ今後受けとめて、しっかり取り組んでいただきたいことです。  問題は、監督官庁とか所管先が今のところはっきりしていないんですよ。厚労省、ぜひそこは重く受けとめて進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  最後に、時間がなくなりましたが、夕張市の財政再建計画の変更の大臣同意について伺います。  三月七日に、夕張の向こう十年間の財政再建、再生とあわせて、地方創生の観点から、今後どういうまちづくりをするのかということで、積極的な事業も提案しました。それで大臣同意を得られたということで、私は、まず総務大臣に大変感謝を申し上げたいし、このことは多くの方々に高い評価をいただいているというふうに認識をしております。  具体的な事業の中身については触れませんけれども、いずれにしても、これらのことを着実に行っていくことが、将来夕張市の再生に確実につながってくる、こう思っています。  ただ、その中で特に取り上げておきたいのは、職員給与。これは現行の平均一五%削減から九%削減に変更していただいた。これも大変な御英断をいただきました。  問題はここから先のことなんですけれども、一つは、職員の新規採用がほとんどなされていないので、部分的に、世代的にエアポケットができているということ。例えば、研修等に行きたくとも、小規模自治体共通の悩みかもしれませんけれども、実は、研修に行けばその分の事業が穴があいちゃいますので、ここをどう担保するのかという問題もある。  そこで、確かにこの夕張市の職員の確保については全国の最低基準のところに位置づけられていますけれども、今後、夕張市の努力次第で採用の若干増は可能かどうか、ぜひそういったことを検討していただきたい。  こういうことを踏まえて、大臣に、これらの所見と職員の新規採用また職員研修についてお伺いしたいと思います。
  23. 高市早苗

    高市国務大臣 今回、財政再生計画の見直しに当たっては、財政再建と地域の再生の両立を目指す中で、歳入の確保や歳出の削減によって生み出された財源は、住民サービスの充実ですとか地域再生に資する事業の実施に優先的に充てるということにしまして、対応できる財源の範囲で一定の増員を認めるということといたしました。  ですから、本来でしたら新規採用の職員数をさらにふやせばということで、今、稲津委員からの御指摘だと思いますが、今申し上げましたような事情から、北海道などからの派遣職員をできる限り活用することにして、夕張市における新たな職員採用は、その中で必要となる範囲において行うこととしました。  今後の職員の増員ですけれども、夕張市における財源確保ですとか他の都市の職員体制の水準の状況などを踏まえて、必要に応じて夕張市と協議をさせていただきます。  それから、夕張市だけではないのですが、小規模な自治体においての職員研修でございますが、これは非常に大切だと思います。特に、地方分権の推進ですとか地方創生の必要性などで、小規模な自治体においても、地域の課題についてみずから考え解決していく政策形成能力を持った職員の育成というのが不可欠でございます。  これまで、総務省では、各自治体に対して、人材育成基本方針や研修に関する基本的な方針の策定と取り組みを促してまいりました。それから、各自治体に対して、広域共同研修の活用ですとか、自治大学校など全国的な研修機関の有効な活用など、職員研修の充実と多様化に向けた要請を行ってまいりました。  今後も、各自治体における人材育成の先進的取り組み事例の発信ですとか、自治体のニーズに即応した研修の充実といったことを通じて、人材育成を応援してまいります。
  24. 稲津久

    稲津委員 終わります。
  25. 竹内譲

    竹内委員長 次に、逢坂誠二君。
  26. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 おはようございます。民進党の逢坂誠二でございます。  それでは、質問させていただきたいと思います。  私は、民主主義を考える上で情報というものは非常に大事なものである、主権者である国民の皆様にしっかりと情報が伝わっていること、あるいは、求めに応じて単に情報を出すということだけではなくて、求められる、求められないにかかわらず、主権者としてさまざまな判断をしていく上で重要な情報についてはきちんと提示をされていること、これが非常に大事だというふうに思っています。  その意味で、我が国では、おくればせながらではありますけれども、二〇一一年に公文書管理法が施行されて、公文書管理についてもある一定のルールが定められたわけであります。この公文書管理法については、福田元総理が非常に強い熱意を持ってこの法律を国会に出され、当時、福田元総理から声がけをいただいて、私もこの制定に随分お手伝いをさせていただきました。  そして、公文書管理法もできた、それから、以前から情報公開制度もあるということで、日本の情報公開や公文書管理、情報管理は少しレベルアップするのかなというふうに思っていたんですが、どうも状況を見ると必ずしもそうも思われない。逆に、毎度の国会のたびに、文書があるとかないとか、情報を出すとか出さないとか、出せとか出せないとか、こんなやりとりに終始する場面が非常に多いわけであります。  これは私は非常に無駄なことだなというふうに思っていますし、行政の持っている情報というのは、何もこれは行政のものだけではありません、国民の財産だというふうに思いますので、そういう観点からいうと、この公文書管理や情報公開の仕組みをもう少しブラッシュアップしていく必要があるんだろうというふうに思います。  そこで、きょう、少し細かい話になるんですけれども、何点か、この公文書管理あるいは情報公開についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、山下行管局長にお越しいただいておりますけれども、保存期間一年未満の行政文書というのは、これは情報公開の対象になっているんでしょうか。
  27. 山下哲夫

    山下政府参考人 お答えいたします。  情報公開法上、開示請求の対象となる行政文書の定義については、第二条第二項において、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」とされております。  したがいまして、この行政文書の定義に該当すれば、保存期間の長短を問わず開示請求の対象となるものでございます。
  28. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 保存期間一年未満の行政文書も開示請求の対象になるということなんですが、私は、ただ、国民の立場に立ってみると、保存期間一年未満の文書というのは、ほとんど国民にとってみると存在すらわからないのではないか。保存期間一年を超えると、行政文書ファイル管理簿に登載されるなどして文書の存在というのは明らかになってくるわけですが、一年未満の文書だと、ほとんど存在がわからないうちに廃棄されてしまうという気がするわけです。  引き続き総務省にお伺いしますけれども、保存期間一年未満の行政文書の情報公開実績はあるのかということと、あわせて、もしわかればなんですけれども、情報公開の全件数のうち、保存期間一年未満の行政文書の公開割合というのはどのぐらいになっているのか、わかれば教えていただけますか。
  29. 山下哲夫

    山下政府参考人 今お答え申し上げましたように、情報公開法上、開示請求の対象となる行政文書について、保存期間というものを要件としていないため、開示の実績についても、保存期間に着目した把握は行っておらないところでございます。
  30. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 保存期間の長い短いによって開示するかしないかのルールがないので、それに基づく情報の整理はしていないという答弁だったと思いますが、それはそれで仕方がないのだろうと思うんですが、私は、現実問題として、一年未満の文書を国民が情報開示請求によって請求するということはほぼ、場合によっては、あり得ないのではないか。よっぽどその問題に精通していて、近づいている人でなければわからないのではないかという気がするわけであります。  今後、これは公文書管理法上の問題になるんですけれども、保存期間一年未満の文書というものの存在について、これを認めるべきかどうかというのは少し議論が必要だろうなというふうに思っています。これは多分ここの委員会ではなくて内閣委員会ということになるのかもしれませんが、一つ問題意識をお示ししておきたいと思います。  そこで、次に、きょうは内閣府から田中審議官にもお越しいただいておりますが、これも我々よく公文書を議論するときに問題になる話なんですが、公文書の保存期間が満了した。満了すれば、廃棄をするか公文書館への移管かという判断をされるわけでありますけれども、保存期間が満了しても、廃棄も移管の手続もしないでたまたまそのまま文書を置いてあったというケース、これは結構あると私は思っています。この際に、その文書をそのまま当該役所で保持していた場合は、それは行政文書というふうに言えるのかどうか、この点、いかがでしょうか。
  31. 田中愛智朗

    ○田中政府参考人 お答え申し上げます。  公文書管理法においても行政文書は情報公開法と同じ定義でございまして、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」というふうにされております。  したがいまして、公文書管理法上、仮に保存期間満了後も当該行政機関が保有しているものが存在する場合には、それが当該行政機関の職員が組織的に用いるものであれば行政文書に該当するものというふうに考えているところでございます。
  32. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 田中審議官、追加してもう一点お聞きしたいんですけれども、今、保存期間を満了してもそのまま置いてあればそれは行政文書であるというふうにおっしゃった中で、組織的に用いるものであればという限定がつきましたけれども、それはどういう概念なんでしょうか。
  33. 田中愛智朗

    ○田中政府参考人 お答えいたします。  組織的に用いるものであるかどうかという点でございますけれども、職員が、例えば個人の便宜のためにのみ作成または取得するものかどうかといった文書の作成または取得の状況、他の職員もその職務上利用しているかどうかといった当該文書の利用の状況、それから、組織として管理している職員共用の保存場所で保存されているものかどうかといった保存の状況などを総合的に勘案して実質的な判断を行うということになってまいります。
  34. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 くどいようですけれども、保存期間が満了した、満了して、そのまま廃棄の手続もあるいは移管の手続も行っていない、そういう場合、役所ではその文書をどこかへ移すということは通常考えがたいような、例えば紙媒体の文書であれば考えがたいようなイメージを持つんですが、要するに、保存期間中の行政文書であったものが保存期間満了後もそのままの状態でもしあるとするならば、これは行政文書という理解で一般的にはよろしいでしょうか。
  35. 田中愛智朗

    ○田中政府参考人 お答えいたします。  行政文書の該当性の判断につきましては、保存期間の満了をもって直ちに変更されるものではないというふうに考えております。  したがいまして、行政文書として保存されていたものについて、保存期間満了後も当該文書の置かれた物理的状況に全く変更が生じていない場合には、当該文書は行政文書に該当し得るものというふうに考えてございます。
  36. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それでは、それを踏まえた上で総務省に改めてお伺いしたいんですけれども、保存期間満了後の行政文書を破棄もしない、移管もしない、そうして当該役所内で保持していた行政文書、これは情報公開の対象になり得るかということ。  あわせて、これはもしお答えになれるようならお答えしていただきたいんですが、先ほどの内閣府の答弁によりますと、保存期間が満了した文書で、要件が変わればそれは行政文書にならないものも場合によってはあるかもしれないという可能性を言っていたと思うんですが、保存期間が満了後の行政文書を廃棄も移管もせず当該役所内で保持していた単なる文書、かつては行政文書であったけれども、それは情報公開の対象になるか。  この二点、お伺いしたいと思います。
  37. 山下哲夫

    山下政府参考人 情報公開法上、開示請求の対象となる行政文書については保存期間を要件としておりませんので、現に当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有している文書であれば、保存期間が満了しているものであっても行政文書に該当し、開示請求の対象となるものでございます。  後段でお尋ねいただきました、具体的に行政文書に該当するか否かにつきましては、例えば当該文書が組織として管理している共用の保存場所で保存されているものかどうかといった保存の状況などを総合的に考慮して実質的に判断が行われるもの、そういうこととされております。
  38. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 そこで、きょうは三木財務大臣政務官にお越しをいただいているんですが、財務省の文書管理についてお伺いをしたいんです。  以前のさまざまな委員会の中でももう既に事務方の方から答弁はいただいていると思いますが、改めて、確認の意味で答弁お願いしたいんですが、今回の森友学園への国有地売却の経過を記録した文書、面会録のようなもの、誰がどういう発言をしたかといったようなことを細かく多分財務省ではメモにとっておられると思うんですが、これらの文書は今存在はしているんでしょうか。
  39. 三木亨

    ○三木大臣政務官 お答え申し上げます。  財務省におきましては、文書管理法の規定に基づき制定されております財務省行政文書管理規則にのっとり文書管理を行っているところでございます。  同規則に基づきまして、契約書を含む国有財産の取得及び処分に関する決裁文書については三十年の保存期間が定められておりまして、本件に関する経過を記した文書として存在いたします。例えば、国有財産の売買に係る決裁文書に関して言えば、売買契約書に加えて、財産の概要、相手方から提出された売り払い申請書、登記関係文書等が含まれております。  委員のお話の中にありました面会等の記録についてでございますけれども、面会等の記録については、その保存期間は一年未満とされておりまして、保存満了時期については、時期を明確化する観点から事案の終了後とする取り扱いをしておりまして、本件については、昨年の六月、売買契約締結をもって事案終了としておりますので、それについては存在しないというところでございます。
  40. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 一年未満の保存期間だから、それは売買契約完了と同時に、今、最後のところはよく聞き取れなかったんですが、それは完全に廃棄されたということなんでしょうか。それとも、一年未満の保存期間のものだから、それはもうお見せする必要がないという判断なんでしょうか。現実にそれは全て廃棄されているということなんでしょうか。このあたり、いかがでしょうか。
  41. 三木亨

    ○三木大臣政務官 先ほど最後に述べさせていただきましたけれども、事案終了後、速やかに廃棄されたというふうに聞いております。
  42. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 事案終了後、速やかにということでありますけれども、廃棄の時期、廃棄の方法、あるいは廃棄の枚数、こういったものは記録されているでしょうか。
  43. 三木亨

    ○三木大臣政務官 お答えいたします。  売買契約締結をもって事案終了としていることでございますので、日にちというものは確定しておりませんけれども、速やかにその事案終了の時点で廃棄されたというところでございます。  また、どのように、何枚廃棄したのかということでございますけれども、公文書管理法上、保存期間が満了した行政文書は国立公文書館等に移管し、または廃棄しなければならないとされておりまして、財務省行政文書管理規則では、内閣府のガイドラインを踏まえまして、歴史公文書等に当たらないものは廃棄することとしております。  また、同規則では、保存期間が満了した行政文書を廃棄した場合は、当該文書に関する行政文書ファイル管理簿を削除するとともに、廃棄簿に記載されなければならないこととされておりますけれども、保存期間一年未満の行政文書については、公文書管理法上、行政文書ファイル管理簿への記載を要しないとされていることから、廃棄簿にも記載しておりません。  このように、廃棄の記録は残っていないため、具体的にいつ廃棄されたか、あるいは何枚廃棄されたかということは、お答えすることは困難でございます。
  44. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 そうなんですね。契約をしていく上で一番もとになる、もとデータといいましょうか、どういう具体的なやりとりをされたかというところの文書については、それは存在すらも、行政文書のファイル管理簿にも載せないし、いつ廃棄したかもわからないし、これは全く、国民の目線から見ると、一番大事なところの情報がマスクされている、そう思わざるを得ないんですね。  私、ここで、予算委員会のように、それは悪いだろう、出せとか出すなというようなことをあえて言いたいわけではなくて、公文書管理法上、あるいは国民の共有の財産である公文書が、そういう観点から見ると、最も大事なデータがないがしろにされているような気がしてしようがないんですよ。そのもとになるデータがなければ、後につくられた契約書やいろいろな経過も、幾らきれいに書いてあっても、浄書されてあったとしても、それを裏づける、それが本当に正しいのかということが私はわからない、そういうふうに思うんですね。これは問題点として指摘をしておきたいと思います。  次に、財務省にお伺いしたいんですけれども、それでは、森友学園への国有地売却の意思決定の経過がわかる文書というのは存在しているんでしょうか。先ほどは契約書などの存在はお示しをいただきましたけれども、いかがでしょうか。
  45. 三木亨

    ○三木大臣政務官 今回の森友学園の国有地売却につきましての意思決定に関する文書ということでございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたけれども、財務省行政文書管理規則にのっとり文書を管理しているところでございます。  国有財産の売買に係る決裁文書に関して言えば、売買契約書に加えて、財産の概要、相手方から提出された売り払い申請書、そしてまた登記の関係文書等は存在しているというところでございます。
  46. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 形式的な文書は存在しているということは、それは当然だと思います。それがなければ役所としては全く不備なことでありますから、そういうものはあるのは、私はそうだとは思うんですが。  それでは、今、政務官が御説明いただいた、現に残っている保存期間三十年の文書と、それから既に廃棄をしたという文書、その両者にどんな違いがありますか。
  47. 三木亨

    ○三木大臣政務官 お答え申し上げます。  各文書の保存期間につきましては、文書管理法施行令別表に基づきまして、内閣府ガイドラインに従って、財務省行政文書管理規則の別表において定めておるところでございます。この規則に基づいて保存することとされている文書は、重要な経緯に関する文書として、三十年、十年、五年といった保存期間が定められております。  他方、個別の面会の記録は、組織で共有した後に、最終的には決裁文書の形で組織としての意思決定として集約されていくことから、一年未満の保存期間とされている。そこが違いであるというふうに認識しております。
  48. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 もう少し具体的に教えていただきたいんですけれども、廃棄した文書と、契約書などの類いのものが残っているものと、載っている情報でどんな違いがありますか。
  49. 三木亨

    ○三木大臣政務官 一年未満というルールにのっとって廃棄された文書といいますのは、保存されている文書、最終的には決裁文書の形で組織のもとに組織の意思決定として残されている分のもとになったものでございまして、その意思決定の過程であるとか、あるいは概要、そういったものは残されておる決裁文書の中に集約されているというふうに受けとめております。
  50. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 残されている決裁文書に集約されている。そこに集約されなかった情報とはどういうものがあるんですか。
  51. 三木亨

    ○三木大臣政務官 一年未満というルールにのっとって廃棄された文書につきましては、もはや存在しないものでございますので、細かな部分についてはお答えできかねますけれども、先ほども申し上げましたように、その内容、エッセンスというものは最終的に残された文書の中に集約されている、組織の意思決定というものがその文書の中に集約されているというふうに考えておるところでございます。
  52. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私、そこが問題だと思うんですよ。  私も、役所にいたころは熱心にメモをとりました。メモをとって、そのメモからやはりそのエッセンスをとるというのは、私もそれはそうだと思います。  だけれども、そのもとになるメモが残っていなければ、何の情報を取捨選択したのかということがやはりわからない。これは役所に都合のいい情報だけが残されているというふうに疑われても仕方がない。  だから、私はきょうここでこれ以上これをぎりぎりやりませんけれども、いわゆる一年未満のメモ的なるもの、面会記録、この公文書上の扱いも変える必要があるというふうに思っています。  この問題はちょっと脇に置くとして、それで、政治家としての政務官にお伺いしたいんですけれども、私、今回の森友問題の大きなベールというか、よくわからないところの要因の一つは、財務省がほとんど情報を出さないということだと思うんですよ。財務省がもう少しいろいろなことをつまびらかに言っていれば、私はこんなにこの問題を引きずる必要はないというふうに思うんですね。  しかも、私は事務屋さんとして聞いているのではなくて政治家として聞いているんですが、三十年や四十年前のことだったら、文書がありませんからわかりませんと言うことは、これは可能だと思いますよ。そういう場面も仕方がないと思いますよ。だけれども、たかだか二年や三年、そのぐらいの時間軸の中の話ですから、関係者から聞き取りをすることだって十分に可能だろうし、メモだって私は本当に廃棄されているのかどうかわからないんですけれども、少し財務省のこの対応を見て、政治家として、これは真っ当な対応をしているかなというふうに思われますか。いかがですか。
  53. 三木亨

    ○三木大臣政務官 公文書管理法の制定にかかわられた委員の思いというものも重く受けとめておりますし、その御労苦とか御努力に対して心から敬意を表するものでございます。  その上で申し上げますと、公文書管理法というものが制定されて、残すべき文書と廃棄してもいい文書というのが分けられているというのは、まさに国家の意思決定の過程を後世に残すため、歴史的価値であるとかあるいは国民に対する、国民の知る権利に対する国の責任を果たす、そういった意味での文書の保存というものがこの法律の中に詰め込まれ、そこで保存されているというふうに我々も認識しております。  その上で、今回の財務省の対応についての所感でございますけれども、財務省としましては、公文書管理法やガイドラインに基づきまして制定された行政文書の管理にのっとって適切に文書管理を行っておるというふうに認識しておりまして、それに基づいて、委員からいただいた御質問また疑問点について真摯にお答えしているというふうに思っております。
  54. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 公文書管理法上のルールあるいはガイドライン、そういうものにのっとってやっているというその発言は、それはそう聞きますよ、聞こえますよ。だけれども、具体的にその中身がわかるような対応を全然されていないじゃないですか。それで本当によいのですかという問いかけなんですね。まあ、これ以上は答えられないと思いますので、やめにしますが。  最後に、政務官。  もし、今回の個別の面会記録のようなものでありますとか、いわゆる廃棄されたと言われているものが万が一現に存在していた場合は、先ほど来の総務省内閣府とのやりとりの中で、行政文書としての扱いになる可能性が非常に高いわけです。これは情報公開の対象になります。  情報公開請求があったときに、その文書は存在しないというようなことで情報公開請求に応じないということになれば、これは法律違反ということになりますけれども、その認識でよろしいでしょうか。
  55. 三木亨

    ○三木大臣政務官 委員の御質問でございますけれども、仮定としての御質問お答えすることはできかねますけれども、繰り返しになりますが、財務省は、公文書管理法の規定に基づき制定されている財務省行政文書管理規則や同規則細則にのっとり文書管理を行っております。  その上で、仮に保存期間満了後も文書を廃棄せず保存し続ける場合には、公文書管理法の規定に基づき保存期間の延長の手続を経ることになりますけれども、本件国有地の処分に関する面会の記録につきましては、その延長の手続を経ていないため、残されてございません。
  56. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 全く釈然としないんですが、あえて政務官に来ていただいたのは、やはり事務屋さんではない、一歩踏み込んだ政治家としての見地からの判断みたいなものを発言していただきたかったなというふうに思っています。ちょっときょうは残念な気がいたします。  ただ、公文書管理法上の問題点、一年未満の文書についてはこれは相当問題がありというふうに私は思っていますので、今後、この問題は、田中さん、別の場でまたやらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、政務官、おつき合いいただきましてありがとうございました。お引き取りいただいて構いません。  それでは次に、ふるさと納税の話をさせていただきたいと思います。  ふるさと納税は、随分、全国でもいろいろな自治体が活用している。ただ、返礼品の問題があって、総務省も四月の一日に自治法に基づく技術的助言を発信しているわけです。  改めて、ふるさと納税を議論していたときにどんな話がされていたかというのを振り返ってみたいと思うんですが、平成十九年の十月にふるさと納税研究会報告書というものが出されております。これは、総務省でふるさと納税についていろいろ議論をしたときの報告書であります。  これを見てみると、非常におもしろいことが書いてある、おもしろいというか、有益なことが書いてあります。  「ふるさと納税」が実現すれば、「納税」を受けたい全国各地地方団体は、その出身者や関心を持ってくれそうな多くの人々に、その魅力をおおいにアピールする必要が出てくる。「ふるさと納税」されたお金がどのように使われるのか、それによってどのような成果が期待されるのか、など効果的な情報提供の自治体間競争が刺激されるだろう。   この切磋琢磨は、「ふるさと」の地方団体住民に、納税をしてもらうに相応しい地域のあり方をあらためて考えてもらう貴重な機会となるだろう。   地方自治は民主主義の学校と言われるが、地方自治の根幹を支える個人住民税の世界に「ふるさと納税」を導入することは、地域地方団体にとって、自らの自治のあり方を問い、進化させる重要な契機になるはずである。 こういうことが研究会報告書では期待されているわけですね。  それから、   さらに、「ふるさと納税」の実現により、納税者と地方団体との間に新たな関係が生まれることが期待される。地方団体においては、その団体を応援し、見守ってくれている納税者が全国各地に存在することを認識し、「ふるさと納税」により得られた収入を納税者の「志」に応えられる施策に活かしていくことを通じて、その地域活性化し、内発的発展が促されることが期待される。 こんなようなことが研究会の報告書には書いてあるわけであります。  さらに、こういうことも書いてあります。  「ふるさと納税」によって、納税者と地方団体の間にいわば「相互に高め合う」新しい関係が生まれるのである。  ふるさと納税を導入するときの研究会の議論では、こんなメリットが生まれるんだ、だから自治が進化していくんだということを言われていたわけですが、率直に、高市大臣、ふるさと納税をこの間やってみて、今の時点でこの研究会報告書が期待しているような状況になっているかどうか、いかがでしょうか。
  57. 高市早苗

    高市国務大臣 さまざまな地方団体がございますが、その中には、それぞれの地域の実情ですとか課題をみずからお考えになって、ふるさと納税の活用を想定する事業をPRすることによってふるさと納税を募ってこられたところも多々ございます。  それから、地方団体からは、これまで、ふるさと納税は、交流人口の増加や子育て支援の充実など、各地域が抱える課題に対する域外からの支援として積極的な御評価をいただいてまいりました。  今回、返礼品の送付に関する検討をしたんですけれども、その議論の中でも、有識者の方や地方団体の実務者からも、市外の方がその市を好きになってもらえることによって、市民にとっても誇りとなり、郷土愛の醸成につながっている、寄附者との継続的なつながりを維持するよう努めた結果、町を訪れた寄附者が町のよさを発信し広がりを見せているといった、積極的な御評価もいただきました。  各地方団体が創意工夫によってふるさと納税を活用されるということによって、各地域にはさまざまな効果は生まれていると思います。報告書が言及していた地域活性化と内発的発展にこのふるさと納税が寄与したということの証左ではないかと思っております。
  58. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私は、多分、この研究会報告書が出たときはもう少し別のイメージだったのかなというふうに思っているんですが、今のふるさと納税は、自治を進化させるというよりも、やはり納税した人がどれほど返礼品によって見返りをたくさんもらえるかというところに力点が行き過ぎているような気がするわけであります。  実は、この研究会報告書の中でもこの点を指摘されておりまして、こういうふうに書いてあるんですね。  寄附を集めるため、地方団体が寄附者に対して特産品などの贈与を約束したり、高額所得者で過去に居住していた者などに対して個別・直接的な勧誘活動を強く行うなど、「ふるさと納税」制度を濫用する恐れへの懸念もある。過度な濫用を防止するため、一定制度的措置を講ずる必要があるとの意見もあった。   しかしながら、このような事態は、基本的には各地方団体の良識によって自制されるべきものであり、懸念があるからといって直ちに法令上の規制の設定が必要ということにはならないと考えられる。   各地方団体の良識ある行動を強く期待するものである。 ということで、今回のこの返礼品競争のようなことを研究会報告の段階でも懸念していた。だがしかし、本来それは自治の現場で解決してくださいというようなことで、良識ある行動を地方団体に期待するということになっていたわけであります。  私は、この時点ではこれは非常に冷静だったというふうに思うんですが、今回、総務省が四月一日に、返礼品についてある一定の考え方を技術的助言として提出しました。それから昨年の四月にも似たような、今回とは若干内容は違っていますけれども、出していますけれども、総務省がこうしたものを出さざるを得ないその背景、これはどういうことになっているんでしょうか。
  59. 高市早苗

    高市国務大臣 当時の報告書では、逢坂委員おっしゃったとおりの記述がございます。  返礼品の送付は、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っているものでございますから、まさに報告書にあったように、本来、地方団体の良識ある行動が期待されるものでございます。  一方で、このふるさと納税の実績額が大きく増加する中で、民間事業者が運営するポータルサイトも充実してきて全国の返礼品の比較が容易になったということも相まって、地方団体間で返礼品競争が過熱している状況になっています。  これまでも総務省は、通知を発出して、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品を用いないよう地方団体に要請をするということとともに、個別団体の返礼品の見直しについて担当部局が都道府県と連携しながら働きかけをしてきたんですけれども、なかなか改善が見られず、こうした状況を踏まえて、今般、有識者や地方団体の実務者の御意見をお伺いした上で、一定の改善策を取りまとめました。  しかしながら、やはりまずは通知を発出してお願いをするという立場の中で、四月一日付で、返礼割合のあり方も含めて具体的な考え方をお示しし、各団体に対して、ふるさと納税を健全に発展させるという観点から、制度の趣旨に沿った御対応をいただくように、責任と良識ある御対応をいただくようにお願いをしたところであります。
  60. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私は、総務省がこういった通知、技術的助言をせざるを得ないその背景については、必ずしもそれを理解しないわけではないんですけれども、本来、制度発足の趣旨からいけば、自治体みずからが、こういう状況が発生したときに、自分たちの力でこれを解決していこう、そういう動きになっていくことが健全な、当初予定されていた姿ではないかと思っています。  私は、このふるさと納税に限らず、二十数年前の、地方分権の声が上がってきた、衆参で一致して地方分権の決議をしたわけでありますけれども、あのときの精神が、あれから二十数年経過して、徐々に失われてきているのではないかという懸念を持っているんですね。確かに、分権分権、我々の言葉では地域主権改革なんという言い方もさせていただきましたけれども、私は、その精神が薄れてきているような気がして、これが非常にゆゆしき状況だなという感じを持っています。  最後に一言だけ、この点について、大臣、何かあれば聞いて終わりたいと思います。
  61. 高市早苗

    高市国務大臣 ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして返礼品送付をしておられるわけですから、逢坂委員おっしゃるとおり、本来、やはり地方団体がみずからの責任で自主的に良識ある取り組みを行っていただくということが望ましいんですね。  今回、通知を発出する前に有識者や地方団体の実務者からヒアリングをしたと申し上げましたが、その中でも、地方団体から、国において具体的な基準を示してほしいとの意見が多くあるという御指摘もあり、また有識者の方々からも、地方団体間で自主規制すべきだけれども、その動きがなければ国が基準を示すこともやむを得ないといった御意見がございました。  今回、通知を発出するに至りました。しかも、返礼品に特化した形の通知を発出するに至りましたけれども、何とか今度こそ各地方団体制度の趣旨に沿ったお取り組みをいただくように期待をいたしております。
  62. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 ありがとうございます。
  63. 竹内譲

    竹内委員長 次に、高井崇志君。
  64. 高井崇志

    ○高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。  きょうも、質問の機会をいただき、ありがとうございます。  きょうは、NHK会長に、お忙しいところ、またお越しをいただきました。三月二十一日の当委員会でNHK予算審議がありましたが、時間が大変短くて、また会長にも十分お答えいただけなかった点もありますので、少し最初にNHKの会長に何点かお聞きをしたいと思います。  三月二十一日の当委員会で、私は、公共放送であるNHKが視聴率というのをそんなに気にする必要があるのか、スポンサーがいないわけですから、視聴率を気にしたり、あるいは視聴率をとるためにスクープなどを追い求める必要があるのかという質問をしました。その際に、会長からはこういう答弁がありました。「正確かついち早く視聴者に伝えることは、報道機関の重要な使命の一つ」だという認識だということなんですが、私は、報道機関はそうかもしれませんが、まさに公共放送の報道機関として、「正確かつ」というのはこれはもう当然だと思います。しかし、「いち早く」というところが、どこまで必要なのかと。  改めてスクープという言葉を辞書で調べましたら、他のメディアが報道していない重要なニュースを独占的にいち早く報道することということであります。特だねとか言ったりするわけですが、こういった独占的にNHKが報道することにどれほどの意味があるのかと。  当委員会で逢坂委員から取り上げました「NHKスペシャル」、北方領土の交渉、私も改めてこの資料を見たら、NHKオンデマンドの資料ですけれども、「スクープドキュメント」と。まさにスクープだといって、ホテルの一室で安倍総理と外務省幹部と秘書官が外交機密を話しているところを独占的にNHKだけがカメラで撮って流しているということがあったり、あるいは、三月二十一日も言いましたけれども、南スーダンの撤退の情報をいち早く岩田解説委員が入手をして、それを夕方のニュースで他社に先駆けて長々と放送されていたと。  あるいは、これも当委員会で去年取り上げたんですが、去年の六月、文芸春秋、メディアは違いますけれども、この岩田明子解説委員が、安倍洋子さん、安倍総理大臣のお母様に、自宅に行って四時間半のインタビューをした。これは、NHKの解説委員が他のメディアで出したということはどうなんだということでも取り上げましたが、そもそもこういった、特に内閣総理大臣、政権の中枢に対して深く入っていって、そのスクープをとるために近づくということは、私は、これは一方で、政権に取り込まれる、政権寄りの報道をしてしまうという非常にリスクも抱えた行動だと。  そういう意味では、公共放送機関たるNHKがこれほどのスクープをなぜ追い求める必要があるのかということを、改めて、このスクープという点、今私が申し上げた点に鑑みて、会長の御答弁お願いいたします。
  65. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今先生の方で前回の答弁を引用していただきましたけれども、NHKといたしましては、報道機関として、視聴者の判断のよりどころとなる情報を、正確かついち早く視聴者に伝えることが重要な使命の一つだというふうに認識いたしております。  そのためにも、取材や制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする姿勢を徹底することが大切と考えております。今後も、社会に必要とされる情報をいち早く伝える努力を重ねてまいりたいと考えております。  先生の方で引用されました番組等、いわゆる政権との距離ということに関しましては、番組やニュースについては、たびたび答弁させていただいていますけれども、公平公正、自主自律の原則のもと、報道機関としての自主的な判断に基づいて取材、制作に当たっております。  個別の編集判断や取材の過程などの詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。
  66. 高井崇志

    ○高井委員 会長、改めて聞きますけれども、いち早くというところは百歩譲ってそうかもしれませんけれども、独占的に、スクープというのは独占的に放送することです。独占的にNHKが流す必要はあるんですか。
  67. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、正確かついち早く視聴者に伝えることが重要な使命だというふうに認識いたしております。
  68. 高井崇志

    ○高井委員 答えていただいていないんですが。  これは本当に、政権との距離との関係で、特に私は、これも百歩譲って、ほかの分野のスクープをとることはまだよしとしても、まさに政権との距離というものは公共放送として最も気を使わなければならないことでありますから。別に、NHK全体の体制というよりも、一解説委員であったり記者だったりかもしれません。ぜひ、こういう大きな視点から、会長として指導力を発揮していただきたいということをお願いしておきます。  それでは、次の問題です。  NHKの子会社のことも先回取り上げましたが、その後、会計検査院が、剰余金が九百四十八億円ある、二〇一五年度ですね、これは読売新聞の記事なんですが、二〇〇五年度、十年前にも子会社の剰余金が七百五十九億あって、これを過剰にならないように改善の指導をしていたと。しかし、十年たっても何も変わっていない、むしろふえているということで、今回も検査院は、適切な規模を検証して配当を要請するなど指導監督を適切に実施することを、NHKそして子会社に対して求めています。  私が問題にいたしました前回、NHKの子会社がそんなに競合他社を追い越して利益を追求する、しかも、それがNHKの関連会社であるから有利な状況を生んでいるということを質問させていただきました。それは、具体的には、NHKエンタープライズあるいはグローバルメディアという映像をつくる会社が、NHKが持っている映像素材を有利な条件で貸し出しができちゃっているんじゃないかと。  それは、会長は調査したけれどもそういう実態はないというお答えですが、正直、NHKが子会社にやっているかと言って、いや、やっていますなんという答えが返ってくるわけなくて、やはりこれは、第三者が調べる、あるいはNHKがヒアリングする先は競合他社であったり、あるいは仕事を発注しているクライアントが、そういった営業をNHKの子会社がしているという疑いを私は聞いているわけですから、そういった声を聞いているわけですが、それに対してきちんと調査をすべきだと考えます。  改めてこれは、そういった形の、第三者なり、別な角度からの調査をしていただくという考えはありませんか。
  69. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  お尋ねの点につきましては、子会社にもヒアリングを行うなどして確認をいたしました。その結果、子会社が独自の事業でNHKの映像素材を使う場合は、NHKが定める二次使用料を支払っておりまして、子会社だからといって、他社より有利に活用していることはないことを確認いたしました。  また、そもそも、素材を提供するかどうかの判断はNHKが行っておりまして、子会社が独自に判断できないルールになっております。  第三者に絡む部分ですけれども、関連団体の事業運営につきましては、まずNHK本体が適正に管理するという取り組みを、NHKグループ経営改革としてただいま推進しております。  それに加えまして、NHKは、関連団体の事業活動に関する外部からの意見、苦情を受け付け、その適正性を審査するため、平成十四年度から関連団体事業活動審査委員会を設置いたしております。この委員会には、外部の公認会計士、弁護士にも参加していただいております。  その審査結果につきましては、経営委員会に報告し、公表をいたしております。
  70. 高井崇志

    ○高井委員 NHKの職員の方に聞くとそういうお答えなんですが、これは実は結構構造的な問題でもあって、NHKが持っている素材をNHKの子会社がほかの会社にどういうふうに、最後を決めるのはNHKかもしれませんけれども、運用しているのは子会社です。ですから、これは実はいろいろな、例えばNTTなんかでも、接続するところとそれを許可するところが同じ会社、同じグループであるということは、やはり公正性が担保されないんじゃないか、そういう問題がありますので、これは場合によっては、会社を分けてくれというような話にもならなければならない。  やはりNHKがみずから自助努力でしっかりここのルールを厳格にやらないとそういう話になりますので、これはぜひ、子会社にただ聞くだけではなくて、そういったクライアントである発注元であったりあるいは競合他社からも聞いて、本当にそういう実態がないのかということを、改めてそれは調べていただきたいと思います。  それから次に、ちょっと時間がないのでどんどん行きますが、受信料の集金。  これは、外部委託されて、先般も、本当に言葉にするのも恥ずかしいような不祥事が起こりました。相変わらずこの不祥事が続いていますが、実は、私は、この外部委託というのに大変疑問を持っています。  私自身、学生時代にNHKの受信料集金アルバイトをやって、本当にこれはモラルが、相当高いモラルを持ってやらないと、結構、インチキというか、できなくもない。やはり本当に個人の資質というかモラルに支えられている。そういう意味では、やはり本来、職員がやるべきである。  ですから、私は、受信料をただ集めて営業経費を削減すればいいという問題ではないと考えています。こういった不祥事もありますし、受信料を集めるということは、単に集金するだけじゃなくて、いろいろNHKの役割とかを視聴者の方にもわかっていただく、そういう大きな使命もあるわけですから、もう私はこれ以上外部委託を進めるべきではないと考えますが、会長のお考えはいかがですか。
  71. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  受信料制度に支えられた公共放送にとりまして、支払い率を向上させ公平負担を徹底することと、営業経費を抑制することは極めて重要であり、効果的、効率的な業務体制の構築に向けて、法人委託の拡大を進めてまいっております。  その上で、契約収納活動においては、受信契約をいただく際に、受信料制度の趣旨をよく説明し、理解していただくことが大切であると考えておりまして、これまでも委託先事業者の指導、育成に努めてまいりました。  今後も、視聴者に対する丁寧な対応を徹底するなど、外部への委託に当たっては、拡大ありきではなく、委託先の指導、育成に重点を置いていきたいと考えております。
  72. 高井崇志

    ○高井委員 この問題は、私は、籾井体制の大きな弊害の一つだと思っています。上田会長には、改革を期待していますので、この点もぜひ考えていただきたいと思います。  それでは、最後にNHK会長にお伺いしたいのは、人事の話であります。  前回も、これも私は籾井体制の大きな弊害だったと。優秀な、公共放送の使命を理解した多くの職員が仕事をかわらされた、あるいはNHKの外に出ていったということがありました。ぜひ、私は、この人事を改めて会長のリーダーシップで見直していただきたいと思っています。  実は、会長の任期と、それから副会長がやはり非常に重要なわけですけれども、副会長の任期が同じなんですね。三年というのは、これは放送法に定められているので、法改正しないとしようがないんですが、同じ時期に就任されているという慣例がずっと続いている。もう過去四代、外部の方がいきなりNHKに、上田会長だけは監査委員を務められていたから内部のこともわかっているでしょうけれども、ほかの方は、いきなり来て副会長を任命しろと、そんなの選べるわけないですよね。大体、誰かから推薦をされた方がなって、それが三年間ずっと同じ副会長を務める。理事も、就任してすぐに新たな理事の任期改選期を迎える。私は、この人事のローテーションがちょっとおかしいんじゃないかと。  これは実は、海老沢会長が辞任をした時期がちょうど一月で、それに合わせてもうずっとそれ以降は一月なんですが、かつては七月三十一日だったと聞いています。  私は、この人事ローテーションをどこかで戻さないと、特に副会長という極めて重要な方を選任するのがおかしくなってしまうと思うんですが、これはなかなか、変え方、放送法を変えることでもない。いつから選ぶかというのは、これはもうNHK会長の判断だと聞いていますので、例えば再任をして、少したってから辞任をしていただくとか、過去、理事でそういうケースもあったと聞いていますし、あるいは、任期途中でも自発的にやめるということも含めて、こういったことを会長の代にぜひ戻してほしいと思うんですけれども、会長、そういうお考えはございますか。
  73. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今、先生の方からありました副会長の任命に関して、私の場合は、会長に就任することが決まりましてから経営委員会に同意を求めるまで、二カ月の検討期間がありました。それと、堂元元副会長とは、三年間ともに仕事をする機会を持つ中で、会長を補佐し、業務を遂行してもらうのに適任であると考え、副会長に任命いたしました。  副会長の任期は放送法で三年と規定されており、そのあり方について、法律を遵守する会長の立場でコメントすることは差し控えたいと思いますが、理事の任期につきましても、同様に放送法の方で二年ということで規定されておりますので、会長の立場でコメントすることは差し控えたいと思います。
  74. 高井崇志

    ○高井委員 現時点ではそういうお答えかもしれませんけれども、これはぜひ、三年間ありますので、猶予というか、よく考えてみていただいて。  あと私は、もうそろそろNHKの内部から会長になっていただくようなことも、次にバトンタッチするということも上田会長の大きな仕事ではないかなと思っていますので、三年間ぜひじっくり考えていただきたいと思います。  それでは、会長、どうぞ、もうここで結構でございます。ありがとうございました。  それでは、次は総務大臣にお聞きをしたいと思います。  実は先般、去年の年末、横浜市で情報漏えいがあったというのが産経新聞のトップに、マイナンバー関係で千二百人の、内規違反で情報漏えいが起こったという記事があって、その翌一月四日、ことしの一月四日に、職員の不正会計や情報漏えい防止を首長に対策を義務づける、地方自治法改正へという新聞がありました。  地方自治法改正が近々もう国会審議にも入ると聞いておりますが、ちょっとその審議の前にぜひ聞いておきたいんです。  この改正案で、内部統制を行うという案だと聞いておりますが、これは私もいいことだと思います。ただ、情報漏えいとか不正会計とか、こういったものを求める余りに、自治体の職員に過度な負担になってはいけない。今、ただでさえ自治体の職員は大変な業務をたくさん抱えて、社会問題が複雑化して、いろいろなことが自治体任せというか、自治体に頼らなきゃいけないという状況になっていますから、やはりリスクを防止するためのシステムというのはできるだけ簡易なもので、そして効果的な方策であるべきだと考えますが、大臣のお考えはいかがですか。
  75. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の地方自治法改正案でございますが、内部統制制度地方公共団体に導入するということによって、行政サービス提供などの事務上のリスクを評価、コントロールし、組織として事務の適正な執行を確保する体制を整備、運用するというものでございます。  この内部統制制度の導入ですが、地方公共団体において、リスク管理の徹底による問題の防止や最小化などに資するものと考えるんですけれども、非定型業務への対応など、一定の限界もございますから、コストと効果が見合わないような過度な内部統制とならないように留意すべきだと考えております。  総務省からは、先行的なモデル事例を御紹介したりして、必要な情報提供と技術的助言によって支援をしてまいりたいと思います。
  76. 高井崇志

    ○高井委員 ありがとうございます。ぜひそういった情報提供などをして、簡素な、そして効果的なものをしてほしいと思うんです。  そこで、一つ提案があるんですが、特に私はITを専門にやっておりますので、実は、情報漏えいを防ぐ方法として、結構これはもう民間企業では取り入れられている仕組みですけれども、暗号化して、たとえその情報が漏えいしたとしても、それがもう無価値になるような仕組みというのがあります。例えば、ファイルが破壊されてしまうとか、文字が読めないような形にする、そういう技術がありまして、こういったものを採用すれば、私は自治体の負担は大きく軽減されると考えています。  こういったものを例えば国として認証して推奨するとか、あるいは、そういったものを導入する自治体に対して補助金を交付する、そういったことを御検討する考えはありますか。
  77. 高市早苗

    高市国務大臣 例えばマイナンバー制度におきましても、情報連携がことし始まる予定でございますけれども、情報のやりとりについて符号を使い、番号そのものでやりとりをしないといった対応、これをまさに地方公共団体と一緒に行っていくということになります。  今回の地方自治法改正案について申し上げますと、これは、都道府県・指定都市に対しまして財務に関する事務を対象とする内部統制を義務づけるものでございますが、その他の事務については、地方公共団体の御判断によって内部統制の対象に追加するということが可能になっています。  情報のリスク管理というのは非常に重要なものですから、既に総務省で策定したガイドラインをもとに、各地方公共団体でセキュリティーポリシーを策定していただき、また、最高情報セキュリティー責任者の設置を初めとした人的セキュリティーの強化、インシデント即応訓練の徹底などに努めていただいております。  情報漏えいなどのリスクに対しては、職員端末からの情報持ち出し不可設定などを図って住民情報流出を徹底して防止する方法ですとか、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割すること、それから、都道府県と市区町村が協力して自治体情報セキュリティクラウドを構築して高度な情報セキュリティー対策を講じることによって、多重的、総合的な抜本対策を推進しています。  しかし、情報に関するリスクというのは日々多様化しておりますので、これからも技術などの動向にしっかり留意しながら、全国地方公共団体と密接に連携して、セキュリティー対策に万全を期すべく努めてまいります。
  78. 高井崇志

    ○高井委員 情報漏えいというのは、本当に私は、不正会計と並んで、あるいはそれ以上に、今センシティブな、重要な課題だと思いますので。しかし一方で、過度にやり過ぎると、本当に自治体の職員には際限ない負担がかかるというものでありますから、私は、やはり効率的なITの技術というものを活用した方策というのをぜひ検討していただきたいと思います。  きょうは個人情報保護委員会にも来ていただいていますが、マイナンバーの中で、既に自治体職員に情報漏えいに関しては大変厳しい規制というか報告義務がかかっていて、現場の職員と話をすると、かなり、二重三重のチェックが必要だったり、萎縮してしまうというような点があると聞いております。  今私が申し上げましたような暗号化の技術であったり、そういったものを導入すればこの報告義務なども免除されるというようなことを、例えば、これは特定個人情報保護委員会名のものなんですけれども、「特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応におけるQ&A」というのを出しておられますけれども、こういったものの中に書いていただくというだけでも、大きく自治体の負担は軽減されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 其田真理

    其田政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の漏えいに関する報告についてでございますが、当委員会といたしましても、マイナンバー制度について、公的部門におけるしっかりした体制を構築して国民の信頼を確保するといった観点から、報告を受けた委員会におきまして、必要に応じて、再発防止策等について助言指導を行っております。  それから、委員会に寄せられた報告を分析いたしまして、他の機関におきましても、漏えいなどが起きたデータの内容あるいは状況のいかんによらず、同様の誤りやエラーが起きないようにする啓発も大事だというふうに思っております。実際にも、四十七都道府県におきまして説明会を開催するなど、広く周知活動を行っております。  また、報告内容の検討に当たりましては、事前に自治体等の御意見を聞いた上で、自治体の現場の事務に過度な負担とならないように、事実関係、再発防止策など、A4二枚程度の必要最小限のものに絞っております。  このような前提を踏まえてということになりますけれども、漏えい事案等の報告については、マイナンバー制度の運用が進む中で、実効性のある手法について、その実態を踏まえて検討してまいりたいと思います。
  80. 高井崇志

    ○高井委員 考え方は大変結構だと思いますので、ぜひ、こういったITの技術を活用した効果的な具体策を考えていただきたいと思います。  それでは、最後のテーマに入ります。  個人情報保護条例が、個人情報保護法が大改正され五月三十一日から施行されますが、実は、自治体の条例が全部ばらばらだという、これは二千個問題なんという言い方をしていますけれども。  これを、実は三月二十九日まで、地方公共団体が保有するパーソナルデータに関する検討会、総務省の検討会で検討して、取りまとめが行われた。そこで、ではモデルになる条例をつくろう、そのモデル条例に合わせて各自治体に変えてもらおうということなんですが、ただ、これはモデル条例が一つ示されただけなんですね。  自治体ごとに全然ばらばらな個人情報保護条例、特に大きなところでは、例えば、個人情報ファイルや保有個人情報という極めて重要な、その用語の定義もない自治体がかなりたくさんある。これは、モデル条例一つだけでは対応できないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  81. 時澤忠

    時澤政府参考人 お答えいたします。  今回の地方公共団体にお示ししようとしています条例改正のイメージでございますが、これは、個人情報の定義の明確化でありますとか、要配慮個人情報の取り扱いでありますとか、非識別加工情報の仕組みの導入に関する行政機関個人情報保護法等の改正を踏まえまして、条例の改正を行う場合に考えられます改正後の条文というものを想定しております。  このイメージでございますが、個人情報ファイル簿の作成、公表について規定しているなど、個人情報保護条例に行政機関個人情報保護法と同様の規定を置いている場合というものを想定して作成をしたものでございます。  他方で、現在、個人情報ファイル簿ではなく、個人情報取扱事務登録簿を作成している地方公共団体が多くございます。こうした団体におきましては、個人情報ファイル簿を作成しつつも、いわゆるデータベース化されていないものも含めました個人情報の保有状況や保有する個人情報が取り扱われている事務の内容を明らかにする観点から、引き続き個人情報取扱事務登録簿を公表するという場合も考えられるところでございます。  また、個人情報ファイル簿の作成を待つのではなく、当面、個人情報取扱事務登録簿によりまして、非識別加工情報の提案を募集するということも考えられるということが検討会でも議論されたところでございます。  このような場合には、現行の条例におけます個人情報取扱事務登録簿の規定は存置しつつ、条例のイメージでお示ししている個人情報ファイル簿の規定を整備することとなるものでございますけれども、私どもとしましては、条例イメージの前提となります考え方や異なる場合の対応も想定をいたしまして、地方公共団体に対して、個別のことも想定しながら、丁寧に説明をしつつ、個々の相談にも応じていきたいというふうに考えております。
  82. 高井崇志

    ○高井委員 これは、既にもう三月二十三日に鳥取県が先行して条例案をつくっているんですが、まさに今の問題ですね。個人情報取扱事務登録簿というのを鳥取県は使っているんですが、そこに新たに、今回の条例で個人情報ファイル簿という、全く同じ概念なのに二つの言葉が出てくる、あるいは、個人情報取扱事務というのと同じ概念の保有個人情報という言葉が同じ条例の中に二つも出てきて、非常に法律あるいは条例のたてつけとしては二重構造になってしまっておかしいのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  83. 時澤忠

    時澤政府参考人 鳥取県におきましては、これまで、個人情報取扱事務登録簿を作成されております。  今回の条例改正では、個人情報取扱事務簿に加えまして、非識別加工情報の仕組み導入等のために、個人情報ファイル簿の策定の規定を設けることとしたと承知をしております。  これは、先ほども若干申し上げましたけれども、いわゆるデータベース化されていないものも含めまして個人情報の保有状況や保有する個人情報が取り扱われております事務の内容を明らかにする観点から、現在の個人情報取扱事務登録簿を公表しつつ、加えまして、非識別加工情報の仕組みを導入するに当たりまして、国と同様、個人情報ファイル簿により事業者からの提案を受け付けることにするということで、鳥取県において、両者を併存させるという判断のもとにこのような仕組みとされたというふうに承知をしております。
  84. 高井崇志

    ○高井委員 これは最後の質問にしますけれども、さらにちょっと細かいですけれども、このモデル条例案の中に、第一条や第四十四条のところに、住民生活という言葉が、国民生活住民生活と置きかえているんですが、今回のビッグデータの収集、分析をして、それを活用しようという事業は、決してその地域住民だけのためじゃなくて、まさに国民生活全般にかかわる新たな産業の創出とか活力ある経済社会を目的とするものなので、ここは国民生活とすべきじゃないかと考えますが、いかがですか。
  85. 時澤忠

    時澤政府参考人 御指摘のとおり、行政機関個人情報保護法では、審査に当たりましての基準といたしまして、国民生活の実現、経済社会もしくは豊かな国民生活ということがうたわれております。  この点に関しまして、条例改正のイメージでは、豊かな住民生活の実現に資するものというふうに示しておりますけれども、これは、個人情報保護条例が、地方公共団体が保有する個人情報を対象としたものでございまして、主に、当該地域住民の権利利益を個人情報の有用性に配慮しつつ保護するということを目的としたものであることを踏まえまして、改正のイメージの規定例として示したところでございます。  地方公共団体の立場といたしましては、保有する個人情報を加工して得られる非識別加工情報の活用によりまして、まずは、地域における豊かな住民生活の実現に役立つかどうかという視点が求められているものと考えておりますが、データ利活用という新しい取り組みが豊かな国民生活につながっていくということも期待をしているところでございます。
  86. 高井崇志

    ○高井委員 時間が来たので終わりますが、大臣、これはかなり、経団連あるいは新経済連盟、それから首長の有志連合、規制改革推進会議でも大きなテーマとして取り上げられていて、正直、このモデル条例、非常に短期間でつくったイメージがあって、結構、いきなり案文が出てきて、皆さん、えっと驚いているような状況でもありますし、そもそも、やはりこれは国の法律で統一してつくるべきだというのが、自治体の中からもそういう声がたくさん出ておりますので、ぜひこの問題、真剣に御検討いただきたいということをお願いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  87. 竹内譲

    竹内委員長 次に、足立康史君。
  88. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは、裏で財務金融委員会もやっていますが、財務金融委員会は何かまだいまだに森友学園一色みたいで、それに比べてこの総務委員会は、竹内委員長のもと、ほぼちゃんと総務委員会らしい質疑がなされていること、感謝を申し上げたいと思います。私が感謝しても仕方ありませんが。  今、高井委員から二千個問題の話がありました。私、質疑はしませんが、本当にこれは大事な問題だと思っていまして、私も、ちょっときょうはやりませんが、また改めてこれはやりたいと思います。大変、何といいますか、できの悪いと言ったら怒られるな。ね、高井先生。ちょっと真面目にやっているのかと思えるような報告書がまとまっています。これは、そのままではとても、今これからの時代に対応できるとは思えません。二千個問題に本当にどう対処していくのか、これは改めてまた時間をいただいて、私も政府に対して問いただしてまいりたい、こう思います。  さて、きょうは、幾つかあるんですが、まず、高市大臣、恐縮でございますが、報道もされています寄附金控除の話ですね。  これは実は、政治家、衆議院議員であれ何であれ、議員がみずからの政党支部に寄附をして、寄附控除を受けるということが結構蔓延している部分があります。  我が党は早々に、内規、党の規約にもう書いたかもしれませんが、寄附金控除等を通じた国会議員の利益享受については禁止をしています。加えて、利益享受禁止法案というものを提出させていただいています。  高市大臣、今後、こういう形で利益を、いわゆる寄附金控除を受ける、政党支部に絡む、これはもう控えられるということでよろしいでしょうか。
  89. 高市早苗

    高市国務大臣 法律に関しての御質問でしょうか。(足立委員「まずは大臣の」と呼ぶ)  まず、寄附金控除の対象となるかどうかということは、最終的には、国税当局の御判断、それから政治資金規正法及び租税特別措置法上の規定によるものだと思います。  基本的に、政党支部というのは政党の一分枝でございますから、例えば政党支部の支部長になっている者だけの政治活動をサポートする組織ではございませんので、そういった意味から、政治資金規正法及び租税特別措置法上は問題はないとされていると思います。  私自身のことについての御質問でございましたら、報道されたのは平成二十四年度の確定申告でございます。例年二月に、今もそうでございますが、税理士から、団体への寄附、それから医療費、保険料などの領収書を送るようにということで、まず一覧表が来ます。もちろん、支払い調書も含めて、一覧表が来ますので、そこに書かれたものを全てまとめて送付し、税理士が精査した上で確定申告を行い、国税当局において適切に判断された上、その年は控除を受けたと理解をしています。  しかしながら、さまざまな批判を受けるというのは私としても本意ではございませんから、今後は、政党支部に対して寄附をしたという場合であっても、その領収書を自分の税理士に送付することはいたしません。
  90. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  大臣は、制度はともかくとして、個人、高市大臣が、一人の政治家としてはこれはされないという御決意を伺いました。私は、これは大変賢明な御判断だと思っていまして、さすがであると思います。もともと私は高市大臣のことを尊敬申し上げておりますが、本件についてもさすがだなというのが率直なところです。  ただ、加えて、やはり制度に、私は、これはもちろん租特ですから、財務省あるいは国会でまた議論していけばいいと思いますが、これはひどい制度でして、国民の皆様にぜひマスコミもしっかり報道していただきたいと思います。  例えば、政治家が、自分が支部長を務める政党支部に二千万円まで年間寄附できます、二千万円まで。例えば、年間五千万の収入がある議員の場合、高市大臣は公表されている数字はそこまではないんですが、五千万の収入がある議員であれば、それから年間二千万の寄附を目いっぱいするとしましょう。すると、五千万の収入に対して二千万の寄附金控除を受ければ三千万になります。したがって、二千万円分の、例えば所得税が四〇パーであれば、要は一千万円以上のキックバックというか利益享受、要は税金をまけてもらえるということになるわけであります。  これは適正な寄附金控除だから、今大臣がおっしゃったように、政党支部は自分と同一じゃないんだから別にいいんだという議論もあるかもしれませんが、これは山尾さんと一緒ですよ。山尾さんが、後援会が供花を出していた、これは法律違反だと責められたら、いや、間違っていました、これは政党支部の供花でしたと言うわけですよ。でも、民進党の愛知県七区支部の支部長は山尾さんですから、だから我々は、それはあかんだろう、こう言って、大臣も、いろいろ御批判があるならやめておきましょう、こういう話でありますが。  もう余り時間がないのでさらっとやりますが、これの問題は、例えば高市大臣が、高市大臣という例はよくないですね、誰か議員が自分の政党支部に例えば一千万の寄附をしましょう。これは帳簿上そうしておけばいいんですね、実際にお金が動かなくても。それはいかぬか、法律違反だな。だから、例えば政党支部に一千万の寄附をします。その一千万を丸々、組織活動費として議員に戻すこともできます、政党支部ですから。できますね、できます。それから、その政党支部から一千万を自分の後援会、大臣の後援会に移すことだってこれはできるんですよ。大臣がされているかどうかは、私は確認していませんが。  結局、政治団体を使えば、幾らでも政治家だけは税金を逃れる、所得税を逃れることができる。今大臣から、疑念があるならやめるということですが、いわゆる昔の自民党、昔の社会党、民進党はないですか。(発言する者あり)ちょっと民進党には小川筆頭を筆頭に、また御調査をいただければと思いますが。  たくさんの議員がこれをやっています。私は、国民の皆様が、大変厳しい中、税負担に耐えていただいている、負担をしていただいている中で、ひとり国会議員だけがこういう形で税の控除を受けるというのは、とても国民の理解するところにはならない、こう思っています。  大臣には、個人として控えるというのは、私はそれはそれで御見識だと思うので敬意を表しますが、これは租特だけじゃなくて、政治資金規正法や総務省が持っている制度も関連しますので、総務省として、真面目にちょっと制度を、これで本当にいいのか、今のままの制度で国民の理解が得られるのか、御検討いただく余地はないですか。
  91. 高市早苗

    高市国務大臣 現在、総務大臣としての立場でございますので、総務大臣としての立場を離れた答弁ができないことは御理解をいただきたいんですが。  政党支部への寄附に係る寄附金控除ですが、これは政党活動の自由に係る問題でございますので、総務省の方から、例えば租税特別措置法ですとか政治資金規正法の規定について、これは誤った規定であるというような、規定の適否を申し上げたり、また改正の要否について申し上げるということは適当ではないと思っております。  特に政党活動の自由ということになりますと、それぞれの政党によって支部の活動の態様は違うかもしれませんけれども、少なくとも私ども自民党の支部で考えますと、自分の小選挙区の領域内にある全部の市町村支部に対して、毎年交付金も出しておりますから、大方、自分の政治活動に使えるという金額はかなり限定されているものだろうと思います。  さまざまな態様があると思いますので、これはやはり政党活動の自由という観点から、法律改正の是非も含めて、各党各会派で御議論いただいて、その改正ということが了承された場合には、それはそれで結構なんじゃないかと考えます。
  92. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。ぜひ、これは私は検討していったらいいと思います。  また党としてしっかり提案を、これまでも申し上げていますが、しっかり御提案をしてまいりたいと思います。  マスコミにはぜひお願いしたいのは、やはりこういうふうに、政治家がどういうふうにお金を動かしているのかというのをちゃんと報道した方がいいと思いますね。国会議員全員、少なくとも国会議員については調べるのは簡単ですから、こういう形で寄附金控除等を受けているか受けていないか、受けているなら幾らか。これは、国籍の履歴とあわせて、国会議員のお金の問題と国籍の問題は、突然国籍の問題が出て恐縮ですが、そういう経緯は明らかにしていくべきであるとお訴えをしておきたいと思います。  さて、委員長委員長と言ってもあれだけれども、毎回総務委員会では、私、竹内委員長に大変お手間をおかけして、議事録の修正に応じてきたところでありまして、特に総務委員会では今後、委員長のお手を煩わすことがないように身を正していきたい、こう思っております。身を正すとは変ですかね。  それで、先月の中旬に、竹内委員長が議運委の佐藤委員長に申し入れをしていただきました。議事録を削除しても、衆議院の公式映像には残っているよなという議論があるわけですね。それを私がここで申し上げたら、ありがたいことに、それを議運に持ち込んでいただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。  実は、週末、私、自分の、いろいろな方が私の質疑をユーチューブに上げていただいているので、それをちょっと見ていたんですね。自分で自分のを見るのも余りないんですけれども。  すると、二月の十六日の総務委員会において、私が地方自治法、住民訴訟ですね、小池さん、石原さんが打たれているものとか、私の地元でもいろいろあります、沖縄でもいろいろあります。ああいう住民訴訟のようなことが頻発をして、元職が、それも、例えば小池さんが石原さんを責めるとか、普通は行政は元職を守ればいいと思うんですけれども、裁判で逆の反面に立つということが最近多いわけですね。現職が元職を刺すというようなことが最近ふえているわけです。  それは、住民訴訟の議論は、今国会にまた地方自治法が出てくるということですので、提出されていますので、そのときにゆっくりやりたいと思いますが。  その議論をしたときに、余りそういうことをやっていると大変なことになりますよ、それこそ韓国みたいになっちゃいますよと申し上げたんですね。韓国、そういうのが多いです。元大統領を現政権が、三権、司法府とか、いろいろ立場はあるので、直接、大統領府が元大統領を刺しているわけではないと思いますが。韓国みたいになっちゃいますよ、こう申し上げた部分が実は公式映像から抜けているんですね。  これは調査していただきましたか、どうですか。
  93. 岡田憲治

    ○岡田参事 お答えいたします。  先生御指摘の事象につきましては、映像は映っておるんですが、一、二秒、音声が途絶したというものでございます。  これは、極めて機械的なふぐあいで発生したという推定のもとで、現在、鋭意調査中でございます。
  94. 足立康史

    ○足立委員 こういうことは過去にも頻繁にあるんでしょうか。
  95. 岡田憲治

    ○岡田参事 過去にこのような事象が生じたということはちょっと把握してございません。
  96. 足立康史

    ○足立委員 録画で公式にちゃんと衆議院に蓄積していくというのは、ごめんなさい、通告していないけれども、大体でいいですよ、いつごろからやっているんですか。わかりますか。わからなかったらいいや。わかる、大体。
  97. 岡田憲治

    ○岡田参事 平成十年ごろと承知してございます。
  98. 足立康史

    ○足立委員 だから、もう二十年近くやっている中で、実は初めてらしいんですね。初めて公式映像が、さっきあったように、配信はされたんだけれども、だから、ここで抜けているとかいうことではなくて、ちゃんと映像としては配信されたんだけれども、録画する時点で抜けたと。これは、この二十年の衆議院の映像録画史上初めてらしいんですが。  私は、これは事故だと思っていますよ。辻元清美議員の何か関係者が衆議院の中にいるとか、そういうことは言いませんが、事故ですね、これは。いや、意図的だったら、これはもう大変な問題になると思います、衆議院の中で。  事故だと思いますが、ちゃんと事故調査をやるべきだと思いますが、お願いできますか。
  99. 竹内譲

    竹内委員長 岡田庶務部長、手を挙げて発言してください。
  100. 岡田憲治

    ○岡田参事 先生には御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げつつ、しっかりと原因の究明に努めてまいります。
  101. 足立康史

    ○足立委員 ぜひお願いします。  私も、頻繁にあるのかなと思って、公式映像とはそんなものかなと思っていたんですが、音声が欠損しているのは、二十年間で、この足立の韓国と言っているところが初めてだということだそうです。  別に私は、韓国云々と言うつもりは全くないんですよ。小池都知事のように、現職が元職を余りたたくと、それは、だって、組織でやって、退職金も限られている中で、議会の承認も得ている中で、それを余りやりますかと。地方自治法の問題が私はあると思いますが、住民訴訟の。  いずれにせよ、初めての欠損ですので、調査をしっかりしていただきたいと思います。  最後に、法務省、来ていただいているかと思いますが、実は、森友学園の問題はもう私は総務委員会ではやらないつもりですが、ある弁護士が私にこういう指摘をしてくれています。なぜ財務省や国交省に文書がなくても許されるのか、交渉記録が一切なくても許されるのか、これは国民訴訟がないからじゃないかと。  国民訴訟、何でないか、ちょっと一言いただけますか。
  102. 金子修

    金子政府参考人 お答え申し上げます。  国または公共団体の法規に適合しない行為の是正を求めるタイプの訴訟、これは民衆訴訟と呼んでおりますが、これが、行政事件手続法に定めておりまして、同法によりますと、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができるとされています。  したがって、現行法のもとでは、委員御指摘のような訴訟を提起することは、制度が用意されていない以上、できないということになります。  では、住民訴訟と類似の仕組みをつくって、国民からの訴えに基づいて、国のする契約や支出の適法性を裁判所が審査する仕組みを制度として新たに設けることについて考えられないかということになるかと思いますが、この点につきましては、財政に関する国会の権限との関係、それから会計検査院の憲法上の位置づけ、司法権の本質と裁判所の役割、その他憲法上の問題を含めて検討する必要があるというふうに考えられます。  このように、憲法との関係もございまして、慎重に検討する必要があるということで、現行法のもとでは制度として設けられていないということになろうかと思います。
  103. 足立康史

    ○足立委員 もう時間が超過しましたので終わりますが、会計検査院が調査に入ると思います、森友学園については。もし会計検査院が、国民が納得するような検証結果が出ない場合には、国民訴訟の法制化、これが必要になるという意見を申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  104. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  105. 田村貴昭

    田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  国営諫早湾干拓事業と有明海再生についてきょうは質問をします。  開門差しとめ訴訟の和解協議がこの一年余り続いてまいりました。しかし、三月二十七日に、長崎地方裁判所はこの和解協議を打ち切りました。  一九九七年、今から二十年前に潮受け堤防の排水門が閉め切られて、その後に有明異変が生じました。  地方議会では、多くの意見書が可決されました。開門を求める意見書七十六件、有明海の再生を求めるものは五十六件、そして開門の反対を求めるもの二十七件を含めれば、百五十九件もの意見書が政府に対して出されました。  国策が、九州の有明沿岸四県の自治体と、そして住民、関係者を長期にわたって翻弄し続けてまいりました。そして、今、和解協議決裂のもとで、ますます溝が深まっています。  このことについて、最初に、高市大臣、個人的なことでも結構ですけれども、思いがあれば、また御所見があれば伺いたいと思います。
  106. 高市早苗

    高市国務大臣 諫早湾の干拓事業につきましては、総務省の所管外のことでございます。現在、総務大臣としての職責にありますことから、個人的な考え方といったスタンスで私から答弁しがたいということについては御理解を賜りたいと思います。  本件は、やはり所管省において適切に対応されるべき事柄だと思います。
  107. 田村貴昭

    田村(貴)委員 では、きょう、農水省細田政務官にお越しいただきました。ありがとうございます。  では、和解協議が実らなかった、今後どうしていくのかということであります。訴訟を長引かすということは、これは農林水産省も望むところではないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  108. 細田健一

    ○細田大臣政務官 今、先生御指摘ございました諫早湾の潮受け堤防の開門問題をめぐっては、裁判所の相反する判断が存在し、複数の争訟が現在でも提起されているという非常に困難な状況にあるというふうに認識をしております。  このような中で、長崎地裁による開門を前提としない和解勧告を受け、長崎地裁での一年を超える和解協議を行ってきたところでございますが、その結果として今般和解に至れなかったことは、大変残念に感じております。  私ども農林水産省としては、問題の解決に向けて、引き続き、争訟が提起されております本件をめぐる一連の争訟に適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  109. 田村貴昭

    田村(貴)委員 この訴訟を続けていくということは、一つは、確定判決に農水省は従っていませんので、これまで約八億円近い制裁金を漁民原告に払い続けている。これからも、毎日九十万円、間接強制金を延々と支払い続けていく。  確定判決に従わず、そして制裁金を支払う、それを国民の原資の税金から払うことについては、これは国民は納得しない話であります。裁判を延々と続けていってもらちが明かないから和解協議になった。和解協議が成功しなかったんだったら、やはり歩み寄ることが大事ではないかなと私は思うわけです。  この一年間は一体何だったのかということで、漁民、営農者双方から落胆の声が報道されています。有明海問題を何とか解決したいから、三者は和解協議のテーブルに着きました。裁判を続けていけば、今政務官がおっしゃられた、その相反する二つの法的義務に縛られて、農水省も望まぬところの係争を続けていくことになります。そうであるならば、これは仕切り直しをするしかないわけなんです。協議をし続けるしかないんです。その協議の場をやはり設ける必要があると思います。  私は、そのために国がイニシアチブを発揮すべきではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  110. 佐藤速水

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  国といたしましては、長崎地裁が一年以上の和解協議を経てお示しになりました本年一月の和解勧告を重く受けとめまして、これを基礎にいたしまして協議の進展を図るべきというふうに考えておりましたが、本件をめぐりましては、開門を求める方々と開門に反対する方々との主張には大きな隔たりがございます。今回、裁判所の和解勧告に基づく和解協議では問題の解決に至ることができませんでした。  そのような状況にございますので、委員の御指摘につきましては、現状において極めて難しいと言わざるを得ないというふうに考えてございます。
  111. 田村貴昭

    田村(貴)委員 六つの裁判を延々と続けていっても、これは光は見えません。今までの裁判がそうだったじゃないですか。和解協議に至っても、合意は得られなかったじゃないですか。  長崎地裁の訴訟指揮は、開門によらない解決案が前提でありました。これに無理がありました。その長崎地裁をしても、二月二十四日、開門しない案だけでなく、開門する場合に関する協議を並行して行う、このことも提案されたんですよね。今度は、もうこの訴訟指揮はなくなったわけですので、開門を前提としないということに縛られないはずであります。これから、営農者、漁民、そして農水省が、和解あるいは新たな場面での協議をぜひ探求していただきたいと思います。  そのためには、やはり開門も選択肢の中に入れていく、これは当然のことです。そして、農漁共存の知恵を出し合うことがやはり何といっても解決への道につながると思いますけれども、この基本的なスタンスについては、政務官、いかがでしょうか。
  112. 細田健一

    ○細田大臣政務官 今、種々お話がございましたが、長崎地裁の和解協議においては、先生から御指摘があったとおり、裁判所から開門を前提としない和解勧告というのが行われました。これが開門を求める方々には受け入れられず、開門にかわる基金と開門についての並行協議を行っても和解成立の見込みが高いとは言えないので、和解協議を打ち切るという長崎地裁の判断が示されたところでございます。  他方で、福岡高裁の和解協議においては、同高裁から、長崎地裁の和解協議が進行しないとなれば、審理に戻さざるを得ないという考えが示されているところでございます。  このように、現在、複数の争訟が並行して行われているということもございます。私ども農林水産省としては、今後、福岡高裁の訴訟指揮に従いつつ、本件をめぐる一連の訴訟に適切に対応してまいる所存でございます。
  113. 田村貴昭

    田村(貴)委員 一連の訴訟に適切に対応していくということでは、これはいつまでたってもらちが明きません。それはもう御存じですよね、ずっとやっているんですから。和解協議で歩み寄ろうとして、それでだめだったんだったら、やはり協議しか解決するすべはないわけなんですよ。  そこで、漁業者の原告は、和解のステージにやはりみんなが着くことを望んでいます。農水省のイニシアチブを発揮していただくことを強く求めたいと思います。  毎日新聞三月二十八日付に、武田真一郎成蹊大学法科大学院教授のコメントが載っております。少し紹介します。「裁判所は法的判断しかできない以上、政策判断を含む解決策を示すことはそもそも無理がある。和解が決裂したことで足踏み状態が続くだろうが、開門して影響を調べるなどこれまでにない一歩を踏み出す時期に来ている」。こう識者も指摘しているではありませんか。  事態打開には、開門を含めて協議しなければなりません。国が決断する、その状況に来ていることを強く指摘しておきたいと思います。  和解案の中にあった有明海振興基金についてお尋ねします。  この百億円の振興基金の目的は、水産資源の回復と漁業経営の発展にありました。和解は決裂しました。しかし、四県の漁民、漁連、漁協は、この基金案の実現を願っています。そうですよね。  農水省の方から示された基金の中身は、タイラギ、アサリなどの生育に向けた施設整備や母貝団地の造成、漁場管理などでありました。これは今の有明海に必要だからということで、基金の中で提案されたんですよね。しかし、この和解協議は実りませんでした。しかし、必要だと思って提案したことだったら、やるべきではないですか。  有明海再生事業に加えて、この水産資源の回復の事業をこれからしっかりと行っていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  114. 佐藤速水

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  国といたしましては、引き続き、有明海特措法に基づきまして、関係省庁、関係県と連携しながら、漁業者等の御意見も伺いながら、有明海の再生に向けた取り組み推進してまいりたいというふうに考えてございます。  今後の有明海再生対策につきましては、現在進めております取り組みの成果なども踏まえまして、検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  115. 田村貴昭

    田村(貴)委員 この間の和解協議を、私も地元で、あるいはこの国会の場で見守ってまいりました。そして、去年の決算委員会においても、私、質疑に立たせていただきました。そのときにも苦言を呈させていただいたんですけれども、農水省の漁民、漁業団体に対する対応というのは非常にまずいものがあったというふうに思います。これが連続しています。  例えば、和解協議が不成立の場合、基金ばかりでなく有明海再生に係る予算もなくなるか、減額される、こうしたことを漁民に対して説明されましたね。これについては、三県漁連の大きな反発を買い、山本農水大臣は、国会で、それは本意でなかったというふうに釈明されました。  さらに、開門調査をする場合、原因特定のためには現行の再生事業がとまる可能性がある、これは佐藤局長、当事者なのでよく覚えておられると思うんですけれども。こうした旨の発言というのは、漁民、漁業関係者に対して、再生事業を人質にしたおどしだということで、これもまた大きな反発を生むことになったわけであります。  きわめつけは、漁業団体幹部に対する、基金受け入れを求めての想定問答でありました。漁協のトップの想定問答、セリフまでつくった想定問答については、せんだっての農水委員会で我が党の畠山和也議員がただしたところでもあります。  こうした漁業関係者に対する高圧的な、上から目線、そして誤解を生むような接し方は、今後、この問題の解決に当たって、やはりそういう姿勢は改めるべきだというふうに思います。とりわけ想定問答集については、地元も含め、マスコミからは、失策であった、対応のまずさがあった、問題をこじらせてきた責任は国の姿勢にあると厳しく批判されているところであります。  漁業者から反発と不信を招いたこれまでの対応について、これを総括して改めるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  116. 佐藤速水

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  国といたしましては、長崎地裁による開門を前提としない和解勧告を受けまして、有明海全体の漁業環境の改善に向けた総額百億円の基金の検討ですとか、漁業団体への意見聴取といった長崎地裁の訴訟指揮に従いまして、昨年の一月以来、この和解勧告に沿った和解の成立に向けまして、真摯に努力してきたつもりでございます。  これに対しまして、漁業団体におきましては、それぞれの漁業団体が組織内で議論を重ねていただきまして、国の提案した基金の受け入れの可否について御判断をいただいたものと承知をしております。  そうした中で、長崎地裁の和解協議におきまして和解に至れなかったことは、大変に残念に思っております。  いずれにいたしましても、国といたしましては、問題の解決に向けて最善の努力を図っていくという必要があるというふうに考えてございます。
  117. 田村貴昭

    田村(貴)委員 問いに答えていません、局長。  今までの局長も含めた農水省の漁業関係者に対する、不信を買ったこと、そして怒りを買ったこと、このことについて、やはり総括とそれから反省が必要ではないですかと私は問うているんです。いかがですか。
  118. 佐藤速水

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  この諫早湾干拓問題につきましては、長年の経緯のある難しい問題だと考えてございます。  漁業団体を初めとした関係者の御意見、御提案に耳を傾けながら、それらを踏まえまして、今後とも真摯に協議を重ねていきたいというふうに考えてございます。
  119. 田村貴昭

    田村(貴)委員 農水省は和解の実現に誠実に対応してきたのか。今の答弁に見られるように、余り真摯な反省がないというふうに私は思わざるを得ません。漁業者と信頼関係を損ねる事実が余りにも多過ぎました。猛省を求めたいと思います。  営農者側に肩入れするような姿勢が、長崎地裁の和解協議打ち切りの判断に傾けさせたともとれる、こうした地元の厳しい指摘もあります。報道からの指摘もあります。想定問答の提出を求めたいと思います。  そして、国と営農者と漁業者の三者による協議の再開を農水省がイニシアチブをしっかりとってやっていくことを強く求めて、きょうの質問を終わります。  ありがとうございました。
  120. 竹内譲

    竹内委員長 次に、梅村さえこ君。
  121. 梅村さえこ

    ○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。  きょうは、日本郵便の働き方改革について質問いたします。  その前に、六月から郵便はがきの値段が五十二円から六十二円へと、十円の値上げとなります。郵便のユニバーサルサービスとの関係で、国民への影響をどう認識しているか、まず総務大臣に伺いたいと思います。
  122. 高市早苗

    高市国務大臣 昨年の十二月二十二日に、日本郵便から料金見直しの届け出がございました。  日本郵便におかれましては、郵便物が中長期的に減少する中で、郵便事業の収支改善を図るために必要な見直しを行った結果、消費税率改定による値上げを除いて、平成六年以来二十三年間据え置いているはがきの料金を値上げすることになったと理解をしております。  値上げが実施されます六月一日に向けて、特に大切なのは広報だと思います。日本郵便におかれましては、利用者への周知徹底を図るということとともに、引き続き、収益の拡大、コスト削減にも取り組んでいただき、経営基盤の強化に努めていただくことを期待いたしております。     〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
  123. 梅村さえこ

    ○梅村委員 ユニバーサルサービスは、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉推進することと規定されていると思います。郵便事業全体で見るべきで、民営化十年、そして千二十九億円の配当額もあると聞いております。効率化や収益拡大の追求の結果でもあると思います。  今御答弁がありましたように、消費税の値上げを除いては実に二十三年ぶりの、十円ですけれども、やはりはがきとしては、五十二円から六十二円になるということは、大きな値上げだというふうに思います。今回、国民の皆さんの暮らし、声を十分聞きながら進めたものではないという指摘をここでさせていただきたいと思います。  さて、安倍政権は働き方改革を掲げております。  日本郵便に伺いたいと思います。  昨年十二月のブラック企業大賞二〇一六で、大賞の電通に続いて、日本郵便がウエブ賞と特別賞の二冠に選ばれたと聞きますが、御存じかということと、その結果をどのように受けとめていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
  124. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  ブラック企業大賞につきましては承知をしているところでございますけれども、その受賞理由といたしまして、パワーハラスメントを原因とする訴訟があるというふうなことが理由とされているというふうに見聞きしております。  一部係争中の事件もございますので、コメントにつきましては差し控えさせていただきたいと存じますけれども、社員の意識向上に向けた対策を講じるなど、パワハラを生まない職場環境の整備に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  125. 梅村さえこ

    ○梅村委員 そうですね。今、電通で大変大きな問題となる中、ウエブ投票では電通の二倍の、断トツ一位の、日本郵便に対する、働き方に対するさまざまな御意見があったというふうに聞きました。  今御紹介がありましたけれども、その受賞理由としては、まあ受賞といっても、本来は喜ぶべきものなんですけれども、今回はなかなか喜ぶことはできない受賞だとは思うんですけれども、まずは、福岡の飯塚市、郵便局に勤めていた当時四十一歳の男性社員がうつ病などで休職をする、販売用の年賀はがきを受け取るため局を訪れた際に、駐車場にとめて、心疾患のため死亡された。  遺族が、死亡したのは上司のパワハラによるストレスが原因だとして一億円の損害賠償を提訴し、これについては、昨年十月福岡高裁で判決が言い渡され、死亡とパワハラとの因果関係は認めなかったですけれども、裁判所は、局長が面談でいつやめてもらってもいいぐらいだと発言したことをパワハラと認定し、三百三十万円の支払いを日本郵便に命じたという判決になっているかというふうに思います。  また、私は埼玉に住んでおりますけれども、さいたま新都心郵便局も、年賀状販売など厳しいノルマがあって、そしてミスをした、その結果、大勢が出席する朝のミーティングでお立ち台に上げられて、大勢の中で反省を迫られる職場環境の中でうつ病を発し、そしてそれを治すために異動願を何度も出したけれども拒否をされ、結果的にお子さんも残されて自死をされた事件もありました。昨年、これについては和解となっているというふうに聞いております。  こうした事例があるということを重く受けとめていただいて、そして、ミスをしたらみんなの中でお立ち台に立たされて言われるということは、やはり人としての尊厳が傷つけられるような、そういう実態が告発されているということをぜひ重く受けとめていただいて、現場の声を聞き、こういう労働環境を正していく。まさに安倍政権が今働き方改革を言っているわけですけれども、その先頭に立っていただきたいということをまずお願いしたいと思います。  それで、この間、国会論戦や若い方々の運動もありまして、真の働き方改革が求められる中で、厚労省が、長時間労働の是正について、企業名の公表もしながら是正をしていくということで、この一月にもまたその内容が強化されたと聞きますが、それについて御説明をお願いしたいと思います。     〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 土屋喜久

    土屋政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の企業名の公表につきましては、従来から労働基準法などの違反の疑いで送検した事案につきまして原則公表しておったところでございますが、平成二十七年の五月からは、一歩踏み込んで、複数の事業場で違法な長時間労働が行われている企業の名前を、是正指導した段階で公表するという仕組みを導入したところでございます。  さらに、昨年末に厚生労働大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部において取りまとめた「過労死等ゼロ」緊急対策に基づきまして、本年の一月からは、企業名の公表の要件につきまして、その要件に過労死等の労災認定があった場合を追加するとともに、違法な長時間労働の要件につきまして、月百時間超から月八十時間超に拡大をするなど、強化を図ってきたところでございます。
  127. 梅村さえこ

    ○梅村委員 労働者の皆さんから出されている声との関係では、まだこれについても実効性が乏しい条件もあると思いますが、ただ、国の制度として企業名の公表が初めてスタートをしているということなど、いろいろな到達もあるかというふうに思います。  きょうは時間の関係でこちらから述べさせていただきたいと思いますけれども、先ほどの御紹介は、資料の一にあります、平成二十七年の五月の段階は月百時間超だったのが、高橋まつりさんの事例なども踏まえてだと思いますが、月八十時間超、そして過労死や過労自死での労災支給決定などについてもその指標の条件にされていくということが新たに加わったかというふうに思います。  本当に、労働者の皆さんの命と健康を守るためには、やはりしっかりした基準が私は改めて必要だというふうに思います。  それで、日本郵便につきましては、こちらから御紹介させていただきますけれども、二枚目に、この間、三六協定違反そしてサービス残業も含めた労基署からの是正勧告がこのように行われているという資料があります。やはり是正勧告というものは、法令違反であり、日本郵便としても重く受けとめて改善を図っていただきたいというふうに思います。  同時に、きょう聞きたいのは、まだ是正勧告にはなっていないんですけれども、労働者の皆さんが泣き寝入りしているケースがあるのではないか、サービス残業などもあるのではないか、この点の認識はどのようになっているかを御答弁いただきたいと思います。
  128. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  当社におきましては、未払い残業につきましてはあってはならないことというふうに考えておりまして、従来から、勤務時間の適正管理に取り組んできたところでございます。  したがいまして、労働時間を適正に管理するために、社内におきまして、管理者による事前の超勤命令、超勤命令簿への記録の徹底、日決め帳票等客観的証左と超勤命令簿との対査、勤務時間等に関する職場の問題点を社員が申し出ることができる勤務時間相談室の設置、そして、遅くまで残ることが美徳といった職場風土の改革などに取り組んでいるところでございます。  こうした取り組みを徹底させ、引き続き、適正な勤務時間管理推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  129. 梅村さえこ

    ○梅村委員 そういう努力をしているということですけれども、その結果、そういう事例は余り現場ではないのか、そういう努力をしているけれどもまだやはりサービス残業はあるのか、そこら辺の、御努力の中身はわかりましたけれども、実態としては現場はどうなっているのかという認識ではいかがでしょうか。
  130. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  日本郵便の、特に郵便、物流関係の事業におきましては、労働力の確保が重要な課題ということになってございますけれども、私どもといたしましては、正社員につきましては必要数を採用してございますし、また、期間雇用社員につきましても、地域ごとの状況を踏まえた募集活動、定着に向けた取り組みを行い、必要な労働力の確保に努めているところでございますので、現状におきましては、総体としては必要な労働力が確保されて、皆様への業務運行に特段の問題は生じていないものというふうに考えてございます。  先ほども申し上げましたとおり、未払い残業につきましては、従来からの勤務時間の適正管理というふうなところをこれまで以上に徹底させて推進してまいりたいと考えております。  以上です。
  131. 梅村さえこ

    ○梅村委員 そこの乖離が、私は、働き方改革を日本郵便で行っていく上では一番大事なところだというふうに思います。  今、いろいろ手だてをする中で必要なサービスができているということの御答弁だったというふうに思いますけれども、働いている方々がかなり無理をしてその穴埋めをして、そして時に病気に追い込まれたりしながら、そういう必死な中で何とか保たれているのが今の現場ですし、また、もう保たれ切れなくなって、誤配だとかいろいろな問題が出てきているということを私たちは聞いております。  例えば、春闘も行われましたけれども、その春闘アンケート、これは五千人以上の方々が参加するアンケートです。どんな声があるかといいますと、深夜勤において休憩、休息がとれないのが当たり前となっている、労働者の超過勤務を当然視した上での政策は異常だ、サービス残業がなくならない、こういう声がこの春闘アンケートを見るとかなりあるわけですよ。  それを読んでいらっしゃれば今のような御答弁はできないというふうに思いますが、こういう働く皆さんの出された長時間労働やサービス残業の問題、超勤があるんだということを言っていると思いますが、こういう声というのは聞いていらっしゃいませんか。アンケートとかは読んでいらっしゃいませんか。確認させていただきたいと思います。
  132. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  繰り返しで恐縮でございますけれども、私ども、勤務時間管理に関する取り組みを引き続き徹底させることにより、未払い残業を根絶してまいりたいと考えております。
  133. 梅村さえこ

    ○梅村委員 その徹底がやはり現場の皆さんとの関係ではできていないところが私は問題点があるのではないかなというふうに思いますし、その現状認識にまずしっかりと立っていただくことが、対策の違いになっていくのではないかなと思います。  私、ある都内の郵便局に勤める方にお話を聞きましたら、大体六十人ぐらいの皆さんが集配をしていらっしゃるというふうに聞きました。昔は、ただおうちのポストに入れていく、そういう配達が多かったのが、今は競争が激しくなって、追跡番号を含めた郵便物がとても多くなっている。そうなると、ピンポンと一回押して、いなければまた帰っていくことも含めて、その番号順に、郵便番号順に並べるのと、追跡のものを、やはりどういうふうに配達するのかという手間暇が以前よりもとても現場ではかかるようになってきているわけですね。  ですから、八時からチャイムが鳴って勤務が始まるんだけれども、それからそろえていては終わらないということで、その職場では、三分の一ぐらいの方々が、八時ではなく七時ぐらいに来て、自分なりに準備をし、やっている。  では、それは働く人の勝手じゃないかというふうに言われるかもしれませんけれども、でも、それは、それをやらなければ終わらない、しかも、そういう方々は、今お昼休みもとらずに配っている現状があるというお声を聞きました。そういう現状をどんなふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  134. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  繰り返しで恐縮でございますけれども、私ども、郵便、物流関係の事業につきましては、現在、労働力の確保がとても重要な課題ではございますけれども、現状におきまして、総体としては必要な労働力を確保しているものというふうに認識してございます。  また、未払い残業につきましても、当然あってはならないことでございますので、繰り返しで恐縮でございますが、管理者による事前の超勤命令、そして超勤命令簿への記録の徹底等の従来から取り組んでまいりました諸施策を徹底させることにより、根絶をしてまいりたいと考えております。
  135. 梅村さえこ

    ○梅村委員 現場のアンケートでは、今サービス残業があるんだというふうに言っております。  公社時代には、当時の生田総裁が決断し、全国調査を行い、当時、三十二億円の未払いを解決したというような決断をされた時期もありました。  これだけ働き方改革が社会問題となり、今御指摘させていただきましたように、ブラック企業特別賞にもなるような日本郵便への社会的な評価が現在あるわけですから、やはり労働者からの申告を待つのではなく、公社以来の実態調査を今だからこそ本社先頭に行い、積極的に未払いがあれば支払う、そうした取り組みを私は今やるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  136. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  現時点におきまして、全事業所を対象とした勤務実態調査を行う予定はございませんけれども、繰り返しになりますが、勤務時間管理に関する取り組みを引き続き徹底させ、未払い残業を根絶してまいりたいと考えております。
  137. 梅村さえこ

    ○梅村委員 先ほどの御答弁ではそういうものがあれば解決していくということですから、労働者の皆さんからそういう声が上がれば積極的に解決していただけるということでよろしいでしょうか。
  138. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  先ほどのとおり、取り組みを徹底させることにより、未払い残業を根絶してまいりたいというふうに考えております。
  139. 梅村さえこ

    ○梅村委員 その点で大事なのが、ことし一月二十日に労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというのが出たというふうに思います。  これは、自主申告に頼るのではなくて、使用者がしっかりと超勤時間をつかむことに責任を負うということで、これも高橋まつりさんの事件を踏まえて強化をされた部分だというふうに思いますが、これに基づいて、日本郵便としては対策を打つ点はございませんか。
  140. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  労働時間の適正な管理のために、管理者による事前の超勤命令や超勤命令簿への記録の徹底等の措置を引き続き徹底させてまいりたいと思っております。
  141. 梅村さえこ

    ○梅村委員 今は現認ということですよね。タイムカードだとかそういうので客観的につかんでいくという対策には踏み出すつもりはないんでしょうか。
  142. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  あくまでも、この超勤につきましては、業務量に応じまして事前に管理者によりまして超勤命令が発せられ、それに対して超勤を行っていただくということでございますので、お答えのような形にはならないかと思います。
  143. 梅村さえこ

    ○梅村委員 その問題がずっと、このサービス残業だとかそういう問題を繰り広げられている一番の大もとになっているわけですね。現認という制度、超勤名簿でやっていると言いますが、日本郵便現場で働く皆さんのお話を伺うと、残業時間をあらかじめ記載する超勤名簿が後でなかなか修正しづらい、翌日修正しづらい。なぜかといえば、勤務評価が問われるわけで、その時間内に配れなければ結局勤務評価が悪くなってしまうということで、働いていても泣き寝入りしていらっしゃる方がたくさんいる。これはもう十数年前からずっと指摘をしているところであります。  この問題にしっかりとメスを入れなければ、真の働き方改革を日本郵便ではできないのではないか。まさに高橋まつりさんが、百三十時間働いていたのにそういう名簿的には百時間ちょっとしかなかった。その差をどうやって是正していくのかということで、今必死になって働き方改革ということがされていると思います。ですので、この点でのやはり改善、決意が私は要るのではないかということを御指摘させていただきたいというふうに思います。  時間の関係がありますので、最後に聞きたいと思います。この表で、三六協定の問題について伺っていきたいと思います。  この間、特別条項について、表の三なんですけれども、二カ月、これまでは百六十九時間が百六十時間になりましたけれども、九時間減らしたこの根拠というのは、どういう点でこういう時間になりましたでしょうか。
  144. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  社会的な長時間労働是正の動きに対応をさせていただいたものでございます。
  145. 梅村さえこ

    ○梅村委員 しかし、二カ月百六十時間だと、過労死危険ラインの八十時間にひっかかってしまうという御認識はありますでしょうか。
  146. 立林理

    立林参考人 お答えいたします。  あくまでもマックス、最長の時間ということでございます。  以上でございます。
  147. 梅村さえこ

    ○梅村委員 その最長の時間が過労死危険ラインになっているということは、それを超える可能性があるということも否定しないということですか。
  148. 立林理

    立林参考人 お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、社員の健康管理に十分注意しながら対応をしてまいりたいと存じます。
  149. 梅村さえこ

    ○梅村委員 過労死や過労自死をされた遺族の方々が、今政府で議論されている月八十時間の過労死ラインを上限規制にしようとする問題に、長時間労働にお墨つきを与えるようなものだということで本当に声を上げていらっしゃるんですね。  一番冒頭に、ブラック大賞の特別賞になったというようなのは、パワハラ、そしてそういう労働問題があった、そして自死をされた方々だというふうに思います。やはりそういう方々の声を聞けば、この八十時間をいわゆる特別条項に掲げるのではなくて、しっかりと、大臣告示の週十五時間、月四十五時間、年間三百六十時間、この時間に、規制に穴をあけるような特例は設けるべきではないということを最後に要望したいと思います。  日本郵便の働き方改革について、大臣に最後に御認識を伺いたいと思います。
  150. 高市早苗

    高市国務大臣 日本郵便から平成二十九事業年度事業計画を提出いただきました。その中でも、「人材は最も重要な経営資源」とされておりました。  この事業計画認可に当たり、私からも、「将来に向けた経営基盤強化のための投資を行うに当たっては、「働き方改革」を含む社会経済情勢を踏まえつつ、利用者利便の向上等に配意すること。」という要請を行いました。  今後、具体的な取り組みについては日本郵便の経営判断によって適切に対応いただくことになりますけれども、社員の方々、ユニバーサルサービス提供するために本当に懸命に活躍をいただいておりますので、心身ともに健やかに、生き生きと仕事をしていただける環境づくりを期待いたしております。
  151. 梅村さえこ

    ○梅村委員 最後の御答弁、本当に私も求めたいと思います。  労働者が安心して働けてこそ、ユニバーサルサービスを果たすことができると思います。長時間労働やノルマ、パワハラなどで悲劇は生んではならないと思います。対策、改善を強く求めて、質問を終わりたいと思います。
  152. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  153. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  本日は、GPSを利用した捜査の適法性が問われた三月十五日の最高裁判決に関連して、何点か尋ねたいと思います。  一昨年、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインが見直され、その際、当委員会でも取り上げた経緯がありますので、今回質問させていただきます。  さて、今回の最高裁判決、大きく分けて三つの重要な判断を示していると思います。  一つは、GPS捜査が個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うことから、個人のプライバシーを侵害するものという判断を明確に示し、公権力による私的領域への侵入を伴う捜査だと断じた点です。これは、裁判において検察側が主張した、尾行や張り込みと比べ、プライバシー侵害の程度は大きくないという主張を退けたものと理解します。  二点目は、GPS捜査が、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害することを理由に、令状を必要とする強制捜査であることを明らかにしたことです。これも、裁判所の令状が不要な任意捜査だという検察の主張が覆りました。  そして、三点目、大変重要なポイントなんですが、現行の刑訴法が規定する令状では適正手続の保障の観点から疑義が残るため、GPS捜査に当たっては、憲法と刑訴法の諸原則に適合した新たな立法措置が望ましいと指摘した点です。仮に令状が必要だとしても、現行刑訴法が定める令状で可能だという検察の主張、これもまた真っ向から否定をする内容であります。  このように、最高裁の判決は、これまで検察が主張し警察が行ってきた捜査を否定する内容と言っていいと思いますが、この判決、まず警察庁はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  154. 高木勇人

    高木政府参考人 お尋ねの判決は、広域にわたる連続侵入窃盗事件において、被告人を含む犯人グループが夜間に車で高速度で広域移動するなどして尾行が困難であったため、移動追跡装置を被告人らの使用車両に取りつけて、その位置情報を取得した事案に関するものであります。  車両に使用者らの承諾なくひそかにGPS端末を取りつけて位置情報を検索して把握する、いわゆるGPS捜査については、これまで警察において任意処分として実施可能と解釈して運用してきたところ、複数の公判事件においてその適否が争われ、任意処分の範囲内にとどまるか否かについて裁判所の判断が分かれておりましたが、先日、最高裁判所において、強制処分に該当する旨の判決がなされたところであります。  警察庁といたしましては、最高裁判所判決を真摯に受けとめ、即日、都道府県警察に対して通達を発出し、移動追跡装置を用いて車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう指示したところであります。  今後の対応については、本判決の内容を踏まえ、関係省庁とも必要な連携を図りながら、適切に検討してまいりたいと考えております。
  155. 吉川元

    ○吉川(元)委員 次に、大臣に伺いたいというふうに思います。  一昨年四月の本委員会で、ガイドラインの見直しについて質問させていただきました。  その際、令状を必要としても、本人の知らないところで端末の位置情報が把握されたとすると、やはりプライバシーの侵害になるのではないか、本人が全く知らないままでは、不服申し立てすらできなくなるのではないかという指摘をさせていただきました。  そのとき、大臣答弁は、プライバシーが不当に侵害されるのではないかといった捜査の適正性については、刑事訴訟法に基づく令状の取得などの手続において担保されるものと考えている、そういう答弁をいただきました。  しかしながら、今回の最高裁判決、GPS捜査については、刑訴法が規定する令状を発付することには疑義が残るとして、新たな立法措置を求める内容となっております。  そもそも、このGPSの捜査という、これはやはり技術が進歩していった中での新たな捜査方法ということになろうかと思いますが、そうしたことについて刑訴法が十分想定を私はしていなかったんだろうと思います。  そこで、大臣に伺いますけれども、今回の最高裁の判決、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  156. 高市早苗

    高市国務大臣 総務省では、通信の秘密や個人情報の適正な取り扱いに関して電気通信事業者が遵守すべき基本的事項を定めた、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの中で、電気通信事業者が捜査機関から位置情報の取得を求められた場合は、裁判官の発する令状に従うときに限り行うことを求めております。  先ほど来出ております最高裁判決でございますが、これは、令状なしにGPS端末を車両に付着させるということなどによって、警察がみずから位置情報を取得する捜査手法について違法と判断したものでございますので、電気通信事業者が位置情報を取得する場合について判断したものではございません。  総務省としましては、おととしも答弁させていただきましたが、捜査による不当なプライバシー侵害の防止など、捜査の適正性については、刑事訴訟法に基づく令状の取得などの刑事司法手続において担保されるものと考えています。  今回の判決を踏まえた対応につきましても、刑事訴訟法の関係省庁、つまり法務省、警察庁において適切に行われるべきものと認識をしております。
  157. 吉川元

    ○吉川(元)委員 引き続き、何点か警察庁にお聞きします。  二〇〇六年の六月に、警察庁は、移動追跡装置運用要領を発出しております。そこでは、最後の項目に「保秘の徹底」、いわば秘密を保持せよという指示をしております。取り調べではGPS捜査をしたことを捜査対象者に明らかにしない、捜査書類にも記載しない、そして、広報の際にもGPS捜査を実施したことを公にしない、具体的にこういう記載がされております。この記載については、今は公開はされておりますけれども、かつては、情報公開請求しても黒塗りだったものだと承知をしております。  なぜ、このGPS捜査について、ここまで秘密にすべきだと考えておられるのでしょうか。
  158. 高木勇人

    高木政府参考人 お尋ねの運用要領においては、連続的に発生する窃盗等の一定の犯罪の捜査において、犯罪の嫌疑、危険性の高さなどに鑑み、速やかに犯人を検挙することが求められる場合であって、他の手法では対象の追跡を行うことが困難であるなど、捜査上特に必要があるときに限って、捜査対象車両にGPSを使用する移動追跡装置を取りつけて、その位置情報を検索する捜査を行うこととしていたところであります。  移動追跡装置を用いた捜査の具体的な手法を推知させることは、犯罪を企図する者に設置対象物の点検等といった対抗措置を講じられるおそれがあることから、お尋ねの運用要領において、保秘の徹底に関する留意事項を規定していたものであります。  今後、運用要領の内容も含めて、移動追跡装置を用いた捜査のあり方について、最高裁判所の判決の趣旨を踏まえ、関係省庁とも必要な連携を図りながら、適切に検討してまいりたいと考えております。
  159. 吉川元

    ○吉川(元)委員 続いてお聞きいたしますが、この運用要領を見ますと、「使用要件」の項目の(1)のところで、GPS捜査の対象にする犯罪が挙げられています。これもかつてはこのように真っ黒く潰されていたんですけれども、今回明らかになりました。さらに、(2)のところで、「犯罪を構成するような行為を伴うことなく、次に掲げる物のいずれかに取り付けること。」というふうにして、アとして「被疑者の使用車両」、これはつまり今回の最高裁の判決の、この事件の話だと思いますが、これもかつては黒く塗られておられましたけれども、今回はこれが明らかになっております。  さらに、その下にイ、ウ、エと三つ書かれております。これは依然として黒塗りのままなのですが、これについて何が書かれているのか、教えていただけますでしょうか。
  160. 高木勇人

    高木政府参考人 お尋ねの運用要領の項目におきましては、移動追跡装置を取りつけることができる対象物を定めているところ、これを具体的に明らかにした場合、犯罪を企図する者に設置対象物の点検などといった対抗措置を講じられるおそれがあることから、不開示としているものであり、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  161. 吉川元

    ○吉川(元)委員 簡単に言えば、アの「被疑者の使用車両」というのは、これはばれちゃったから黒塗りを外したけれども、イ、ウ、エについてはまだばれていないから黒塗りは外さない、そういう答弁だというふうに思います。  なおかつ、今回、この最高裁の判決によって、こうしたことはだめだよというふうに言われて、そういう捜査はしないというふうに今通知を出されているはずです。だとするならば、イ、ウ、エも明らかにすべきなのではないんですか。  もう一度答弁を求めます。簡潔にお願いします。
  162. 高木勇人

    高木政府参考人 先般の最高裁判所判決は、移動追跡装置を捜査対象車両に取りつけて行う捜査手法についての判断であるものと認識しておりますが、こうした捜査手法は、これまで複数の公判事件において争われ、報道等も通じて一般に広く知られるところとなってきたものでありまして、こうした状況も踏まえて、情報公開請求に対して開示することとしてきたものであります。  一方、それ以外の手法については、そうした事情はなく、また、そのあり方については、今後の検討課題であると認識しているところ、その具体的な内容を明らかにすることは、将来における捜査に支障を及ぼすおそれがあることから、なお不開示としているものでございます。
  163. 吉川元

    ○吉川(元)委員 この移動追跡装置運用要領ですが、今回の判決を受けて、これはこの後どういうふうに扱われるんでしょうか。
  164. 高木勇人

    高木政府参考人 移動追跡装置を取りつけて捜査対象車両の位置情報を取得する捜査について、先般、強制処分に当たるとする最高裁判所の判断が示されたことに伴って、警察庁としては、即日、都道府県警察に対して通達を発出し、移動追跡装置を取りつけて捜査対象車両の位置情報を取得する捜査を控えるよう指示したところであります。  お尋ねの運用要領の扱いについても、本判決の趣旨を踏まえて、今後適切に検討してまいりたいと考えております。
  165. 吉川元

    ○吉川(元)委員 結局、これは、この中には、つまり最高裁の判決によっては、これはだめなんだという判決が出たんじゃないんですか。そうじゃないんですか。  先ほど質問しました塗り潰したところ、では、これはまだ生きていると。イ、ウ、エについては引き続き、何をやっているのかわかりませんけれども、やるということなんですか。
  166. 高木勇人

    高木政府参考人 まずは、最高裁判所が直接判示をした移動追跡装置を用いて車両の位置情報を取得する捜査について、これを控えるよう指示したところでありまして、この趣旨を徹底してまいりたいと考えておりますが、その上で、運用要領の全体の取り扱いを含めて、移動追跡装置を用いた捜査のあり方全般について、判決の趣旨を踏まえて、今後適切に検討してまいりたいと考えております。
  167. 吉川元

    ○吉川(元)委員 判決の趣旨を踏まえれば、これはだめでしょう、この要領は。  余り時間がないので、ちょっと次の質問に移ります。  もう一つ警察庁に確認したいのは、今回、新聞報道等を見ますと、警備会社と契約をして、警備会社からGPS端末の貸与を受け、位置情報を取得してきたというようなことを目にしております。実際のところ、どのような業者から位置情報の提供を受けてきたんでしょうか。
  168. 高木勇人

    高木政府参考人 各都道府県警察が使用している移動追跡装置に係るサービス提供する事業者について、網羅的には把握しておりませんけれども、その多くは大手警備事業者のサービスを利用していたものと承知をしております。
  169. 吉川元

    ○吉川(元)委員 ちょっとこれは通告していないんですが、総務省の方に伺いたいと思います。  ガイドライン二十六条に関する解説がホームページに記載をされております。その解説の中の(三)「なお、移動体端末を物体に設置して、その物体の所在地の情報を把握するような場合であっても、物体を通してその所持者の権利が不当に侵害されるおそれがあることから、上記に準じた必要な措置を講じることが適当であると考えられる。」これはどういう意味なんでしょうか。
  170. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員御指摘の今の解説でございますけれども、このガイドラインはもともと、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインでございますので、電気通信事業者向けでございます。したがって、電気通信事業者がGPS情報等を扱う際のガイドラインということでございます。  今回の最高裁の案件は、警察機関が電気通信事業者ではない事業者から位置情報を取得してということで理解しておりますので、必ずしもこのガイドラインのとおりということではないかと存じます。
  171. 吉川元

    ○吉川(元)委員 大手警備会社と先ほど警察庁の方から答弁がありました。大手警備会社の中には電気通信事業者は含まれているんじゃないですか。
  172. 富永昌彦

    富永政府参考人 委員御指摘のとおり、電気通信事業が自由化されて以降、非常に多くの事業者が参入しておりますので、大手警備事業者の中にも電気通信事業者として業を行うというものがあるかと存じます。  最高裁の今回の対象となりました事案につきましては、電気通信事業者のサービスを利用しているか否かについて、私どもとしては承知しておりません。
  173. 吉川元

    ○吉川(元)委員 では、仮に、電気通信事業者の警備会社、大手の警備会社からGPS端末を借りて、その上で車両にぺたっとひっつけた、その場合には、この(三)の移動体端末を物体に設置したということになるんですか。
  174. 富永昌彦

    富永政府参考人 今の委員の御指摘ですと、警備会社から端末を借りて、その端末を単に設置しただけでございますと、ネットワーク側ということで、電気通信事業者として大手警備会社が業をしているということにはならないのかと存じます。
  175. 吉川元

    ○吉川(元)委員 いや、GPSという、これは移動体端末ですよね。GPS機能を持つものですからそこは当然電波が発しているわけで、それを通信事業会社、通信事業を行っている会社から借りて張ったということになると、これは(三)に当たるんじゃないんですか。
  176. 富永昌彦

    富永政府参考人 端末を付着させて、そこから情報をとる際に、大手警備会社が電気通信事業者として情報をとるというケースと、大手電気通信事業者が自営の無線通信システムを介して情報をとるというケースがあろうかと存じます。  どちらのケースかにつきましては、総務省としては把握しておりません。
  177. 吉川元

    ○吉川(元)委員 では、警察庁に伺います。  どちらですか。
  178. 高木勇人

    高木政府参考人 警備会社における事業の具体的な運営のあり方については、私どもとしては承知をしておりません。
  179. 吉川元

    ○吉川(元)委員 では、総務省として把握するおつもりはありますか、どういうふうな形で行われたのか。
  180. 富永昌彦

    富永政府参考人 個別の機関が個別の電気通信サービスを受けられる案件について、総務省としては個別に把握する予定はございません。
  181. 吉川元

    ○吉川(元)委員 このガイドライン、非常に重要なことが書かれているんです。  移動体端末について言えば、これは通信の秘密ではないけれども、プライバシーとして保護されるべき事項であって、通信の秘密に準じて強く保護をする、外部提供できる場合も通信の秘密の場合に準ずることとした、こういうふうにガイドラインの解説には書かれています。  (三)のところで、まさに、どちらかわからないと言われていますけれども、もしそうだったとすれば、ここに書かれている「必要な措置」が講じられているかどうか、これは総務省が事業者に対してきちんとチェックをして、守られているかどうかを見る必要があるんじゃないんですか。
  182. 富永昌彦

    富永政府参考人 お答えを申し上げます。  ガイドラインの第二十六条、「位置情報」のところの三項でございますけれども、「電気通信事業者は、」「捜査機関からの要請により位置情報の取得を求められた場合において、裁判官の発付した令状に従うときに限り、当該位置情報を取得するものとする。」ということでございますので、私どもとしては、このガイドラインの内容を電気通信事業者に徹底するということをしております。
  183. 吉川元

    ○吉川(元)委員 答えになっていないんですけれども、お調べになるつもりはないということなんですか。その点だけ最後お聞きして、終わります。
  184. 富永昌彦

    富永政府参考人 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、個別の機関が個別の通信についてどういった通信をされているかということにつきましては、特段、私どもとしては調査する予定はございません。
  185. 吉川元

    ○吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、これはプライバシーの侵害にかかわる大変重要な問題です。しっかりとガイドラインが守られるように、総務省、取り組んでいただきたいと思います。  終わります。      ――――◇―――――
  186. 竹内譲

    竹内委員長 次に、内閣提出電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。     ―――――――――――――  電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  187. 高市早苗

    高市国務大臣 電波法及び電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国のあらゆる社会経済活動の基盤となる電波の有効利用を促進し、及び情報通信技術の進展に対応した規制の合理化を図るため、電波利用料の料額の改定、電気通信業務を行うことを目的としない船舶地球局の実用化に係る規定の整備、登録検査等事業者及び登録認定機関がその業務に使用する測定器などの校正に係る期間の延長などの措置を講ずる必要があります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、電波利用料について、電波法附則第十四項の規定において、三年ごとにその適正性の確保観点から見直すこととされており、電波利用共益費用及び無線局の開設状況の見込みを勘案して、その料額を改定することとしております。  第二に、電波利用料の使途として、新たな衛星基幹放送に対応する空中線を接続した場合に技術基準に適合しないこととなる既設の受信設備について、当該技術基準に適合させるために行われる改修のための必要な援助を行うことを可能といたします。  第三に、電気通信業務を行うことを目的としない船舶地球局の実用化に伴い、免許申請書の添付書類に係る記載事項を定める等の規定の整備を行うこととしております。  第四に、登録検査等事業者及び登録認定機関がその業務に使用する測定器などの校正について、現在一年以内とされている校正に係る期間を、すぐれた性能を有する測定器などについては、一年を超え三年を超えない範囲内で柔軟に規定できることといたします。  以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、電波利用料の使途に関する改正規定等は公布の日から、電気通信業務を行うことを目的としない船舶地球局の実用化に関する改正規定等は公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  188. 竹内譲

    竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会