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2017-04-28 第193回国会 衆議院 財務金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月二十八日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 御法川信英君    理事 井上 信治君 理事 土井  亨君    理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君    理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君    理事 伴野  豊君 理事 上田  勇君       石崎  徹君    大岡 敏孝君       大野敬太郎君    大見  正君       勝俣 孝明君    神田 憲次君       斎藤 洋明君    坂井  学君       助田 重義君    鈴木 隼人君       竹本 直一君    武部  新君       津島  淳君    中山 展宏君       福田 達夫君    宗清 皇一君       村井 英樹君    八木 哲也君       山田 美樹君    今井 雅人君       近藤 洋介君    坂本祐之輔君       重徳 和彦君    高井 崇志君       古川 元久君    前原 誠司君       鷲尾英一郎君    伊藤  渉君       中野 洋昌君    宮本 岳志君       宮本  徹君    丸山 穂高君       小泉 龍司君     …………………………………    財務大臣    国務大臣    (金融担当)       麻生 太郎君    内閣府副大臣       越智 隆雄君    財務大臣        木原  稔君    内閣大臣政務官     武村 展英君    国土交通大臣政務官    藤井比早之君    政府参考人    (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君    政府参考人    (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君    政府参考人    (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      佐々木清隆君    政府参考人    (財務省大臣官房長)   岡本 薫明君    政府参考人    (財務省理財局長)    佐川 宣寿君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君    参考人    (日本銀行理事)     宮野谷 篤君    財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   津島  淳君     武部  新君   福田 達夫君     八木 哲也君   今井 雅人君     坂本祐之輔君   古本伸一郎君     近藤 洋介君   前原 誠司君     高井 崇志君   大口 善徳君     中野 洋昌君 同日  辞任         補欠選任   武部  新君     津島  淳君   八木 哲也君     福田 達夫君   近藤 洋介君     古本伸一郎君   坂本祐之輔君     今井 雅人君   高井 崇志君     前原 誠司君   中野 洋昌君     大口 善徳君     ————————————— 四月二十八日  消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税応能負担の税制を求めることに関する請願(島津幸広紹介)(第一〇五三号)  同(田村貴昭紹介)(第一〇五四号)  同(高橋千鶴子紹介)(第一〇五五号)  同(畑野君枝紹介)(第一〇五六号)  同(畠山和也紹介)(第一〇五七号)  同(藤野保史紹介)(第一〇五八号)  同(堀内照文紹介)(第一〇五九号)  同(真島省三紹介)(第一〇六〇号)  同(宮本岳志紹介)(第一〇六一号)  同(宮本徹紹介)(第一〇六二号)  同(本村伸子紹介)(第一〇六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  銀行法等の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)      ————◇—————
  2. 御法川信英

    御法川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事宮野谷篤君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局長池田唯一君、監督局長遠藤俊英君、証券取引等監視委員会事務局長佐々木清隆君、財務省大臣官房長岡本薫明君、理財局長佐川宣寿君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 御法川信英

    御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 御法川信英

    御法川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内孝胤君。
  5. 木内孝胤

    木内(孝)委員 民進党、木内孝胤でございます。おはようございます。  きょうは、銀行法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  その前に一つ日米経済対話が先週ございましたけれども、これについてお伺いをさせていただきます。  共同プレスリリース等も拝見はしておりますが、経済対話の必ずしもアジェンダではないと承知していますし、なかなか、お話しできること、できないことは十分承知した上で、ゴールデンウイーク中も国際会議、さまざまなカンファレンス、そういう場でも恐らく聞かれることかなと思っていまして、財務金融委員会として北朝鮮問題、ちょっと範疇ではないと思いますけれども日米経済対話の中あるいはその前後、私的な会話等々も含めて、北朝鮮問題につきましてペンス大統領と何か会話を交わした、あるいは安倍総理との会話の中での何かフィードバック、いろいろ毎日聞かれることがあるかと思うんですが、率直に言って北朝鮮どうなんだという漠とした質問になりますけれども、もし副総理から御答弁いただければと思います。
  6. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ペンス大統領ウィルバー・ロス商務長官等とお目にかかる機会がありましたし、このゴールデンウイーク中もまたお目にかかることになりますけれども、今回のペンス大統領との間で、いわゆる正式対話の中で、北朝鮮に関する議論というものが公式の場であったかといえば、ありませんでした。  ただ、北朝鮮につきましては、副大統領から安倍総理への表敬のときにおいて、北朝鮮というものが新たな脅威の段階になっているという認識というものは、これは間違いなく共有をされているということは事実だと思っておりますので、北朝鮮対応に当たって日米双方での綿密な連携が極めて重要なんだという話になっていましたし、そのときには中国が果たすべき役割が極めて大きいということで、その役割を果たすよう働きかけているし、働きかける必要がさらにあるということを確認したというぐあいに承知をいたしております。
  7. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  よく対話圧力という言い方をしますけれども外交努力は当然のことながら、ぜひ圧力の方も含めて、対話するためには圧力も必要ということで、対話も頑張る、圧力も頑張るということで、引き続き御努力いただければと思います。特に質問ではございません。  前回委員会質問の際に、麻生大臣が、北朝鮮で事が起こったら、あるいは体制が崩壊した場合のその後の影響について、いろいろなところで誰か検討しているかもしれないみたいなコメントがございました。  私も九二年から九五年までドイツに駐在しておったものですから、当時の東西ドイツの統一後のさまざまな研究大使館等あるいはシンクタンク等でもしていまして、その際に必ず、北朝鮮がもし南北統一した場合にどういう影響があり得るのかというような、結構、皆さんいろいろオープン議論していたことがございます。  この間、そんなような、どこかで研究されているかもしれないということではございますけれども、これはいろいろな省庁にまたがりますし、余りにも大きな話過ぎて、特に担当部署が厳密に調査、分析はしてないかもしれませんけれども、ぜひ副総理の方で、何らかの形で、明確な指示ということかはわかりませんけれども、もう既にやってはいると思うんですが、そういうようなお考えというか御決意というか、コメントをいただければと思います。
  8. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは金融部分もあります、幾つか、広範にわたりますので。  金融でいえば、例えば韓国系銀行等々に、日本に今六つ支店があると思いますけれども六つ支店に今預け入れられておられる方々は、在日韓国方々が預金をしておられるんだと思いますが、何か起きたときに、それが引き出されるということになったときに、その銀行にどんな担保があるんですかといった場合、その担保のほとんどは本店で持っていかれていると思いますので、こっちには多分担保をお持ちじゃないんだと思うんですが。そのときに、おたく銀行で貸し出しに見合う担保をお持ちですかとか、また、信用組合等々がありますので、その信用組合日本でいえば日銀との直接のつき合いがありませんので、その信用金庫等々の銀行については、それこそ、担保はどうなっておられますかといって、全部北朝鮮の方で持っていて、こっちにはないとかいうことになり得る可能性もある等々、いろいろなことが銀行だけで起きます。  それから、今言われましたように、もし何かあったときに、体制が崩壊したときに、どのような後の体制ができるかというのは、これは今からの話でよくわかるところではないんですが、それにあわせて、いわゆる南に大量の難民が押し寄せるとか、北に大量の難民が押し寄せるとかいう点も考えなきゃいけませんけれども、同時に、船で潮流に乗っかって大体二日で日本東北日本海側に漂着する。これは北陸から東北にかけて漂着することは、いろいろな流出物が流れついてくる現実を見ましても間違いございませんから。そうなってくると、それは難民ですか、武装していたらどうされますかとかいうようなことについては、これは十分な対応が我々にあるかといえば、今まで、有史この方、こういう例は過去にありませんので、それに対応するにはいかにするか等々、いろいろ今研究が各部署でされつつあるように、NSCの方から指示が出ていることも確かです。  同時に、邦人の引き揚げ、約六万二千人の邦人韓国におられるということになって、そのほかに観光客はどのくらいかということになろうかと思いますが、その方の救出に当たって飛行機を飛ばすといって、民間飛行機が行けばいいけれども、そうはいかぬでしょうから自衛隊を飛ばす、容量が足りませんから船でということになったときに、これまで自衛隊飛行機もしくは自衛隊の艦船が韓国に入ったというのは過去に例がありません。ただ、一回だけ、日中韓首脳会合というのを済州島で行ったときに、私が乗っておりました自衛隊飛行機済州島におりた、七十年間でそれ一回しかありませんので、そういった意味では、今その種の話は全然韓国側とできない。おまけに、向こうは今政府がちょっとようわからぬことになっておりますので、さらにできないという状況にありますので、私どもとしては、その点は非常に危惧をしておるというのが今の状況。  自衛隊飛行機は入れないとかいうことになりましたら、ほかの国の飛行機に乗せて帰るとか、ほかの国の船に乗せて運ぶとかいうことになりかねませんので、そういったようなことに関しては向こう側と交渉しておりますけれども向こう側もしかるべき人が、はっきり言って大統領がおられませんものですから、私どもとしては、極めて、そういった点に対しては対応ができないというのが正直なところなので、何回もやっておりますけれども、返事が来ないというのが現状であります。
  9. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。引き続き、危機対応危機管理、お願いできればと思います。  ごく最近、細川元総理とお話しする機会がありまして、当時、一九九四年も北朝鮮との緊張状態が非常に高まったということがあって、一方で、具体的なことを進めようとするとさまざまな障害があったということも承知しておりますので、引き続き御努力いただければと思います。  経済対話の中のプレスリリース文言で、二つありまして、一つは、二国間の貿易及び投資関係を強化とございます。恐らく、これは米国サイドのFTAを進めたいということに相当する文言なのであろうと。もう一つは、これは日本側文言だと思うんですが、アジア太平洋地域に自由で公正な貿易ルール、これはTPPとは書いてありませんでしたけれどもTPPということかと思います。  米国が入りませんということでトランプ大統領は宣言していますけれども、ここら辺の、今なお米国を一緒に巻き込もうとしているのか、あるいは、向こうは二国間ということで言っていますけれども、そこら辺のせめぎ合いみたいなのがあったのかどうか。プレスリリースを見ると極めて玉虫色で、何となく書いてあるというふうに見えるんですけれどもコメントをいただければと思います。
  10. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御指摘のあったとおり、TPPというものについては、これはもうなし、これはオバマがやった話で、俺はないということを今の政権になってから一方的に向こうから言われた。国際連盟を自分でつくってみずから入らなかったという歴史のある国ですから、別に驚くような話じゃないんですけれども、そういうことになっておるというのが現状であります。  それに対して、TPPというのは数年かけて、甘利先生を初め大いに苦労されてやられたという経緯がありますので、これは大いに生かしてやるべきであり、世界じゅうのGDPで約四〇%弱のものがこれだけのグループででき上がるというのは非常に大きなものなので、我々としてはあらゆる選択肢というものがあるのであって、今、除いて十一カ国だけでやろうとか、いろいろな話が進みつつあることは事実ですけれども。  少なくとも、二国間でやったからというのは、今のTPPよりアメリカがとれるものが多いという前提になっていないとおかしいんですが、とれますかと。あれはTPPだったから十何カ国もあったので、おたくに出した分は、うちはほかのところからとかいうのができたからあれだけのことができましたけれどもバイでやった場合は、少なくともうちはあのものは出せませんよ、そういったような話を我々はしなくちゃならぬことになろうと思います。  これは今から二国間でいろいろやっていくことにもなろうかと思いますけれども、そういったのを十分に比較をしながら、何がおたくにとってもいいか、うちにとってもいいかというのをよく比較しながら話をさせていただかないかぬところだという話はこの間既に申し上げましたから、向こうもそれは知らないわけじゃありませんし、ペンスさんとかウィルバー・ロスという人はいずれもTPPに賛成の人たちですから、そういった意味では、言っている意味はもう、こっちが何を意味しているかすぐわかりますので、それは全く反論せず、うんというところになっております。  前回、第一回目ですけれども、これからそういった話で、私どもとしては、日本にとって何がベストかということを引き続き交渉してまいりたいと考えております。
  11. 木内孝胤

    木内(孝)委員 私も、TPP、いろいろ慎重な部分はあるんですが、一方で、今副総理おっしゃったとおり、多国間でやるのとバイの場合を比較しますと、多国間の方が何となくアメリカとは交渉しやすいのかなという部分もございますので、ぜひ、副総理のところで引き続き頑張っていただければと思います。  それと、分野別協力の中で、高速鉄道等インフラ投資とございました。これはリニアモーターカーのことを指しているんでしょうか、それとも新幹線なのか。もうちょっと具体的に踏み込んで、具体性があるのか。あともう一つエネルギーとありました。エネルギー問題で、東芝のことは何らか議論にのったか。その二点を教えてください。
  12. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今の御指摘のあった分に関して言わせていただければ、エネルギーというものから言わせていただければ、エネルギーは、私どもの方は例の超超臨界という石炭の技術がありますので、これはオバマ政権のときは全くだめだったんですけれども、今度のトランプ政権になってすばらしい技術じゃないかといって前向きになっておられるのは、我々にとっては非常に大きなアドバンテージだと思っております。  それから、今の話の中で、インフラの中で、マグレブと称する、地図はおわかりだと思います、ニューヨーク—ワシントン間にボルティモアという場所があるんですけれども、このボルティモアのところまで、まずは新幹線マグレブでやりたいという希望が来ております。そして、これは国策、いわゆる公共事業でやるという意向だそうです。  この公共事業でやるという話に関しては、これは、ニューヨーク—ワシントンといったら、そこらのダコタとかあの辺でやるのとはわけが違って、人口密集地ですから、そんな簡単にいかないんじゃないんですかと思っておりますけれども土地買収やら何やらは、三割ぐらいはやっておるという話をしておられました。技術は確かに日本にあるんですけれども、それをやるだけのきちんとした、もとの土地買収しておいてもらわないと、どうにもこっちはなりませんから、そういう点が一点。  それからもう一つは、ダラス—ヒューストン、テキサスでこれをやっておられるんですけれども、この話も結構土地買収なんかは、これは民間で事が進んでいると伺っていますが、この話も事は進んでいますが、やおら牛とかカウボーイの方から反対が出て、そんなものが通ったら牛が通れないとかいう話になって、高架でやるんだという話が出てきたりなんかしておるので、コストがまた上がったりしますと、今度は、こっちは民間ですから、技術的なことは可能ですけれども、そのお金は誰が出すのかという話になりますので。これはもうかるか、もうからぬか、よくよくフィージビリティースタディーというものをやらないかぬところだと思っております。  そういったものを含めて、こういった交渉というのが、いわゆる分野別の中で出てくるもので申し上げれば、その二つがすぐわかるところだと思っております。
  13. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  次は、フィンテックの方についてお伺いをしたいと思います。  その前に、資料をお手元に御用意させていただいておりますが、フィンテック法案があると言いましたら、いろいろな方からヒアリングをいただく機会がございました。  二〇〇七年末時点の時価総額世界上位十社というのがございます。これを見ていただくとおわかりのとおり、トップテンうち、四社が中国会社エネルギー会社が五社ございます。これが二〇〇七年末、リーマン・ショックの前でございます。  それが、二〇一六年末現在を見ますと、アップルグーグルマイクロソフトと、米国勢が、十社でトップスリーIT会社が独占しているというような状況でございます。  下の方のグラフを見ると、ごく最近の世界IT時価総額上位日本IT会社上位アップルとかグーグルは、七十一兆、六十一兆、あるいはマイクロソフトも五十五兆という数字でございます。一方で、日本の、ITの定義もちょっと広いのであれですが、キーエンスが四・九、キヤノンが四・四、ソニーが四・一という、これぐらい大きな開きがございます。  この中で、今回、フィンテック法案についての審議をしなければならないという状況だと。  フィンテックというと、やはり当然、技術金融ということなので金融機関を我々は想定しがちではあるんですが、世界での常識としては、ほぼ独占、寡占になっている。ここにある、まさにトップファイブ会社アップルグーグルマイクロソフトアマゾンフェイスブック。私も毎日、電車に乗るときとかは、このアイフォーンで決済していますし、本を買うのも全部アマゾンでやっていますし、フェイスブックも毎日、私の行動を考えると、確かにもう彼らに全部生活が支配されているというか、そういう印象を持ちます。  一方で利用者保護とかいろいろな問題を抱えながら、この銀行法を改正しなければならないわけですけれども、細かい法案の中身はお伺いするとしまして、麻生金融大臣に、こうした状況を踏まえて、フィンテックについてどういうふうに対応をしようとしているのかと。  麻生大臣は、いつもジーパンをはいた若者とネクタイを締めた人がいてというような話をされていますけれども、厳しくすればそういう成長を阻害するし、緩くすると利用者保護ができない、なかなかバランスのとり方が難しいんですが、そこのバランスのところも含めて、フィンテックに対する対応をお聞かせいただければと思います。     〔委員長退席土井委員長代理着席
  14. 麻生太郎

    麻生国務大臣 木内先生、このフィンテックというのは、単なる金融サービスというもののIT化だけにとどまらないんじゃないか、私自身はそう思っております。  例えば、ブロックチェーンなんという技術が着実に進歩してくると思いますので、こういったことによって金融仕組み自体がもう大きく変化してくることになりゃせぬかなという感じがするんですが。  いわゆるAI、アーティフィシャル・インテリジェンスなんかの話で、従来では考えられなかったような、いわゆるICT、インフォメーション・コミュニケーションズ・テクノロジーですか、ICT関連技術の取り込みなんというのを考えていくと、金融の将来的な姿というのは猛烈に変わってきて、例えば銀行支店なんかはほとんど要らなくなって、ATMとスマホがあれば大体普通の生活、全く銀行関係の仕事がなくなっていくんだというような感じもするんですけれども、こういったようなものによって、生活利便性プラス生産性というのも上げて、日本金融とか企業というものの発展につながっていかないとこれは意味がないんだ、私はそういう気がしますので。  これはさまざまな方々がプレーヤーとして参加してこられるんだと思いますけれども、その際に、利用者保護とか不正の防止とかいう、いいかげんな者もいっぱいいますし、そういった不正を働こうと思って入ってきている人もいるでしょうから、そういった者に対するシステムの安定性というのを確保する必要があるんだと思っているんですが。  環境整備を図っておかないと、これは利用する方が大丈夫かなということになるとだめなので、金融庁としては、そういった意味で必要な環境整備というものには取り組んでいかないかぬところだと思っておりますが、それこそ我々の想像力をはるかに超えたようなものが出てくる可能性というのは常に考えておかないかぬものなんです。そういった技術の進歩がこれから出てくる時代になってくるんだろうなと思っております。
  15. 木内孝胤

    木内(孝)委員 麻生大臣ゴールデンウイーク中の日程を拝見していましたら、開銀の総会とか、あるいはその後の、連休後のG7とかいろいろ大切な会議がございますが、その中で、私は一つ注目しましたのが、ミルケン・グローバル・カンファレンス出席なさいます。  今までの大臣というのは余りその手のものに積極的に出ていないイメージがあったのが、ああいうところに出ていますと、今御答弁いただいたような、非常に前向きというか、フィンテック一つとっても、世の中の動きを、最先端を走っているなということで、非常に心強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  一つ成長を阻害する大きな要因としましては、金融機関がその優越的地位を利用してベンチャー企業等の参入を阻んだり、電子決済等代行業者の過度な囲い込みを行ったりするというのが一つのリスクというか、成長阻害要因だと考えております。  こうしたことが起こらないように、金融庁さんにお伺いしたいんですけれども、どのような形でそうしたことを把握したり監督を行ったりするのか、教えていただければと思います。
  16. 越智隆雄

    越智大臣 まず、本法案の考え方でございますけれども、我が国においては銀行のネットワークが比較的高度に発達しているという現状認識がございまして、そのネットワークをしっかり生かして、フィンテック企業がそのアイデアを実際の金融サービスにつなげていけるようにオープンAPIを推進する、そのための環境整備を図るということでございます。  このこと自体、銀行にとってもプラス、メリットが大きいと考えていて、フィンテック企業との連携、協働を進めることによって、創意工夫を生かして、ITの進展等の環境変化に積極的な対応を図ることが可能になるというふうに考えています。  こういった法案の趣旨に鑑みれば、できる限り多くの銀行がオープンAPIを導入して、フィンテック企業と幅広く接続することが重要と考えています。  このために、本法案では、銀行に対して、幾つかございまして、一つ目は、附則の中で、銀行等の努力義務というところで、オープンAPIの導入に努める、体制整備をするということを書いてあります。あと、五十二条の六十一の十一の基準策定等というところで、ここが肝だと思いますけれども電子決済等代行業者との契約に関する基準を策定して、銀行はそれを公表するということを求めていて、その上で、策定した基準を満たす電子決済等代行業者に対しては、不当に差別的な取り扱いを行ってはならないというふうにしておりまして、そういった規定を設けているところでございます。  委員指摘の御懸念の点のところは、特にここの、不当に差別的な取り扱いを行ってはならないというところがポイントだというふうに思っております。  本法案を実施することによりまして、銀行電子決済等代行業者との適切な連携、協働が幅広く図られて、利用者保護及びイノベーションの推進につながっていくように、金融庁としても関係者の積極的な取り組みを促してまいりたいというふうに考えているところでございます。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  今回、びっくりというか、いろいろ調べていましたらば、IT業者の意見をかなり幅広く、金融庁さんが積極的にヒアリングなさっていたという印象がございます。具体的な要望もきちっと法案のレベルで出して、それでも若干いろいろ重いところとかはございますけれども、こういった姿勢は引き続き、始まってからでもいろいろな問題がこれから生じると思います。かつて、NTTと、第二電電とかソフトバンクが参入したとき、やはりNTTが既得権益者であり、新規参入者に対してなかなかハードルを設ける。企業活動としては当然の行為とはいえ、銀行は相当優越的な地位であるのは間違いございませんので、引き続きその点を御留意いただければと思います。  第二条十七項の内閣府令を定めるに当たりましては、政府は、情報セキュリティーのリスクや利用者の権利保障の観点から、問題が少ないものにつきましては電子決済等代行業者の適用除外とすることを、可能なのかわかりませんけれども、御検討をぜひいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  18. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のあります電子決済等代行業者につきまして、その中で、特に、リスクという観点から規制の対象とする必要がないと認められるものにつきましては、内閣府令等の規定の整備によりまして、一定の範囲で適用除外をするということを可能とする法律になっております。  これまでの議論では、例えば家賃や公共料金の支払いなど、特定の者に対する定期的な支払いを目的として行う決済指図の伝達ですとか、あるいは国、地方公共団体への支払いを目的として行われるものなどについては相対的にリスクが限定されているのではないかといった指摘をいただき、そうしたことについては、利用者保護の観点から、必ずしも規制の対象とする必要がないものについては、私ども内閣府令の中で必要な手当てをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  利用者の権利保障についてお伺いをいたします。  金融庁さん作成のさまざまな資料は、利用者の保護という表現を使っていらっしゃいますが、消費者基本法では権利の保障という形で表現をしております。損害が生じた場合における負担を利用者に負わせることがないよう、電子決済等代行業に係る契約を適切に締結するとともに、当該利用者に当該契約の内容について具体的に知らしめること。  現在は、銀行の損失について定めがございません。そういう意味では、今回は、法案では契約で定めることとしていますので、一定程度前進なのかなという捉え方もございますし、ただ、一方で、まだ不十分という考えもございます。一つ不明な点は、契約でやるといっても、契約の中身については規定されていないというのが問題というか、将来生じ得るリスクかなと承知をしております。  権利保障の観点からは、電子決済代行業者が入った場合でも、民法四百七十八条の対象とするべきではないのか、もしくは損失の割合などを府令で規定するべきではないでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  20. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  顧客に損害が生じました場合の責任分担、損失分担のルールにつきましては、特に、こうしたものを金融法制の中で一般的に定めますということについては、電子的な取引等をめぐる私法上のルールが現状必ずしも確立されていないという中において、難しい面があると考えております。  ただ、そうした中で、利用者の保護あるいは利用者の権利の保障ということを適切に図っていくためには、金融審議会の議論などでも、全銀協その他の関係団体において、例えば、申し合わせというような形での取り組みが行われていくことが望まれるということが指摘をされております。  これを受けまして、現在、全国銀行協会の方でオープンAPIのあり方に関する検討会というものが組織されておりまして、銀行あるいはフィンテック事業者等の皆さん方が参画されて検討が進められているところでございまして、そうした中で、利用者保護を確保していくための一定の考え方の整理が行われ、利用者保護が確保されていくということを期待しているところでございまして、私ども、そちらの検討会における議論の進展を注意深く見守っているということでございます。
  21. 木内孝胤

    木内(孝)委員 法案にいろいろ盛り込む限界も承知はしておりますけれども、ぜひ、監督等を通じて、今御答弁いただいたような内容がきちっと担保されるように、御努力をいただければと思います。  今、オープンAPI導入というお話がございましたが、いわゆるメガ銀行等々は、大きな金融機関は特段問題ないのかと思いますけれども、やはり中小の金融機関につきましては、さまざまな導入コストというのが生じるのではないかと承知しております。  口座の情報系システムであれば数百万円程度で済むというような話もあるようでございますけれども、更新系の場合はさらにコストがかさむというような問題もございます。これは、どの程度負担が生じるというふうに見込んでいるのかということと、銀行の経営には特段問題ないというふうに捉えていいのか、御答弁いただければと思います。
  22. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたように、APIの導入に伴うコストは、具体的にどういう情報を念頭に整備するかということで変わってくるところが強くございます。  更新系のことですと、コストがかかってまいります面があります。私ども、ヒアリングなどで聞いておりますと、数千万、あるいはケースによっては数億円ということも聞いておりますが、他方、情報系にとどめてということであれば、今ございましたように、百万円程度で提供が可能なサービスも存在するというふうに理解をしております。  また、例えば協同組織金融機関などにおきましては、今回の法律でも、電子決済等代行業者が中央機関と一括して契約をすれば、その会員である協同組織金融機関との間でも電子決済等代行業を営むことができるように規定をさせていただいておりまして、また、実際、中央機関の中には、電子決済等代行業者と中央機関とで一括して契約をして、全国の会員金融機関の口座情報等を全て取得可能とするような形でのAPIの導入を検討しておられるところもあると承知をしております。そうした取り組みを組み合わせていくことで、中小金融機関の負担軽減も一定程度図られていくものと考えております。  そうした取り組みも、私どもとしても推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 木内孝胤

    木内(孝)委員 先ほどの過度な規制とならないように御配慮いただくと同時に、きちんと適切な監督体制整備するということが肝要かと思います。その際に、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の整備に努めていただきたい、これは御要望でございますので、御答弁は結構でございます。  次の質問に移りたいんですが、お配りしております資料がございまして、申しわけありませんが、二枚目をごらんいただければと思います。  これは各国がフィンテックに投資した二〇一五年の額が載っております。日本は約七十億円ぐらいということでございますけれども、一方でアメリカは一・三、四兆ぐらいの金額でございます。アメリカ日本の約百八十八倍、イギリスは日本の投資額の約十五倍、投資をしております。  非常に日本でも有望な分野だとか、成長分野、イノベーションだと言われていますけれども、やはりお金がないとなかなかこうした分野は伸展しないわけですけれども、なぜこれだけ差があるのか。これは日本の規制が厳し過ぎるからとかなのか、それとも、この資料にもちょっと書いてありますけれども、リスクマネーの供給が足りないからなのか、何でこんなに差があるのかなということで、若干違和感があるといいますか、その理由というか分析がもしございましたら、教えていただければと思います。
  24. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  お尋ねの点について、お示しいただいております民間の調査につきましては、この後、二〇一六年の投資額、これは二〇一五年の数字かと思いますが、二〇一六年の投資額で見ますと、日本は約一・五億ドル、世界ベースでは二百三十二億ドルということで、足元、日本は決済サービス分野を中心に前年比で一〇〇%以上の伸びということではあるんですが、全体を見ますと、全世界ベースの一%未満という状況は残念ながら変わっていないということであります。  こうした状況の背景には、お示しいただいております資料の中にも記載されておりますが、民間の調査レポートなどにおきましては、我が国では、起業文化がまだ必ずしも進展していないというようなこと、あるいは言語の問題、さらに経済の成熟度、あるいは金融市場の特性などさまざまな要因が挙げられているところであり、こうしたものが複合的に影響しているんだろうと推察をするところでございます。  いずれにしても、御指摘のあるように、我が国において、少なくとも現段階では世界的な展開を視野に入れた先進的なフィンテックベンチャーが次々と登場するという状況には至っていないということは私どもも認識をしているところでございまして、今回はオープンイノベーションの推進に向けた環境整備ということで法改正をお願いしておりますけれども、それにとどまらず、今後とも、必要な環境整備には積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  25. 木内孝胤

    木内(孝)委員 フィンテックといいますと、いろいろな分野があるかと思います。決済や投資、資産運用、保険、預金、融資や資金調達等々さまざまな分野がございますけれども、今後、市場として有望だと見込まれる分野、よく決裁とか認証の部分とかいろいろ言われますけれども、どういった分野が市場として有望だというふうに見込んでいらっしゃいますでしょうか。
  26. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  フィンテックの市場規模ということでは、必ずしも具体的な数字を十分に把握しているわけではございませんが、例えば、今お示しいただいております投資額の規模をベースに考えてみますと、全世界ベース、二〇一六年で約二百三十二億ドルのうち、これを分野別で見ますと、その二八%が融資の分野、それから二三%が資産運用サービスの分野、こうしたところが比較的大きな割合を占めているということが言えようかと思います。  一方で、我が国では投資規模約一・五億ドルのうち決済関連分野が全体の四〇%を占めているということで、現状を見ますれば、我が国では比較的進んだ展開が示されている分野として決済関連サービス分野ということが挙げられるかと考えますが、他国の状況等を踏まえますと、今後、フィンテックの動きは、金融業、市場のさまざまな分野に及び得るものというふうに考えております。  したがいまして、私どもとしては、こうしたフィンテックの動きを決裁関連分野にとどまらず幅広く利用者利便の向上につなげるとともに、利用者保護あるいは金融システムの安定性確保のための環境整備に努めていく、そうしたことが重要であると考えているところでございます。
  27. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  ある意味日本フィンテック市場の特徴とポテンシャルは、いろいろな業界からヒアリングした結果をまとめますと、日本の場合、現金決済の割合が極めて高い。これは、高いというのは、ある意味、おくれているということでもありますので、今後伸びる余地が非常に大きいというのが一点。あと、その認証の仕組みが、印鑑あるいは暗証番号、カード、非常に古典的な認証の仕組みですので、ある意味、ここもおくれていたからこそ今後伸びるポテンシャルがあると言えるのではないかと思っています。  もう一つ、非常に大切かなと思っていますのは、資産運用の分野でフィンテックがどの程度伸びていくのか、私もちょっとよくわからないところではございますけれども日本の資産、個人の資産運用の運用利回りなんですが、日本は二〇一五年度千七百五十二兆円の個人金融資産に対して、配当や利回りが約十四兆円ですので、〇・八%でございます。片や米国あるいはユーロ圏、これは三・二%であったり四・一%。やはり〇・八%というのは極めて低い利回りでございまして、例えば日本のこの千七百五十二兆円が米国並みの三・二になれば、個人の金融資産は今よりも四十二兆円ふえます。あるいはユーロ並みになれば五十七兆円ふえます。  日本の抱えている大きな課題として、資産運用がおくれているということでございますけれども、先日四月七日に森金融庁長官が御講演をなさいました。これが顧客本位の業務運営についてということで、かなり私は、手厳しいけれども実のある講演の内容であったのではなかろうかというふうに承知をしているんですが、資産運用面でフィンテック影響というのはどういうような感じで、私も想像がいま一つつかないんですけれども、何かプラスになるような動き等々、分析はございますでしょうか。
  28. 武村展英

    ○武村大臣政務官 委員指摘のように、フィンテックへの対応を考えるに際しましては、我が国の金融業をめぐる状況を踏まえていくことが重要であるというふうに考えます。  これまでITが十分に活用されていないとの指摘がある分野におきまして、ITを活用し新たな金融サービスを提供することになれば、利用者利便や企業の生産性向上など、日本金融、経済の発展につながる可能性も高いというふうに考えます。  今御指摘のございました件について申し上げますと、ITを活用したロボアドバイザーなどは個人の資産運用について大変可能性のある分野ではないかというふうに考えております。  以上です。
  29. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ありがとうございます。  来週ですか、ミルケン・グローバル・カンファレンスに行って、フィンテックが話題になったり質問が出たりするのかも承知しておりませんけれども日本フィンテックはどうなっているんだという問いかけがもしありましたら、残念ながら今はおくれている、おくれているけれども、現金決済が多いし、規制も、今回の銀行法改正でどこまで緩くなったかというのはちょっと微妙なところではございますけれども、ちょうど銀行法改正もあった、これから一気に、一番ポテンシャルがあるのは日本だということでぜひ宣伝していただければというふうに思います。  これは金融機関の方といろいろ話をしていましても、これはどれぐらい収益に影響が出るのか、皆さん、ちょっと予想がつかないぐらい脅威に感じて、危機感を持っていらっしゃいます。危機感を持っている割には、駅前とかに行くと、何かどでかい一等地に金融機関が店舗を構えていたり、ATMが物すごく多くて、いまだに窓口で何か送金したり、ネットバンキングの割合が低いのかなと思われるような状態であったりと、危機感がある割には、あんな高い家賃を払ってどうするんだろうというような気もするんです。  特に決済部分の収益が減るかもしれない。特に海外送金系は非常に収益が減るリスクというのも今後あると思います。そこら辺の展望と、どういうような形で、店舗をもう少し統合したり数を減らした方がいいんじゃないかとか、あるいは場合によっては、法人営業であれば路面店舗じゃなくて二階にして家賃を下げたらどうだとか、そういうような指導等というのはあり得るんでしょうか。現在、なさっているんでしょうか。
  30. 遠藤俊英

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、フィンテックが、従来銀行が担ってきた決済業務において新たなサービスを提供する動きが活発化しております。  金融機関におきましても、フィンテックを活用した決済業務の検討というのを行っております。例えば、フィンテック企業と複数の金融機関が共同で国内、国外の銀行に安い手数料で即時に送金できるシステムを開発、あるいは割安な手数料で送金ができる独自の仮想通貨を開発といった事例も見られるところでございます。  こういった動きが銀行の手数料収入とか収益に与える影響については、収入に対するマイナスの影響として考えられるのは、フィンテック企業の送金機能というものの活用が増大して、そのために銀行口座を介さなくなる、銀行口座を介さない取引というものが増加するということによって銀行の手数料収入が減ってしまう、そういう影響も考えられますけれども、一方、プラスの影響といたしましては、例えば金融機関自身がフィンテック技術というものを取り込んで、送金スキームのコスト削減等を行うことが考えられるわけでございます。現時点で、こういった要因銀行の収益にどういった影響を与えるのかを見込むことというのは困難でございますけれども金融機関対応に引き続き注視してまいりたいなというふうに思っております。  それから、先生が御指摘の店舗戦略でございますけれども、確かに、御指摘のように、今後フィンテックの進展によって多くのサービスが、例えばスマホのアプリなどの非対面チャンネルで可能になるということが考えられます。ただ、その場合も相談とかアドバイスといった対面で、フェース・ツー・フェースで行う窓口業務というのは、これは引き続き重要な、必要な役割を果たすのではないかなというふうに考えられます。有人店舗に対する顧客ニーズの変化を踏まえまして、効率的な運用を目指す観点から店舗のあり方というのを見直すことが必要になる等も考えられます。  実際、例えば、大手金融機関といろいろ議論してみますと、中期経営計画の中では、有人店舗でのサービス提供のあり方とか事務プロセスなどを見直して店舗のあり方そのものを変革していこうとか、あるいは、具体的に店舗を移転しよう、建てかえしよう、廃店しよう、あるいは人員の削減などを行うことによって、コストを削減するといった方針を既にもう掲げて取り組んでいるところも見られております。  金融庁といたしましては、銀行フィンテックの進展をどのように見込んで、それをみずからのビジネスモデルにどう反映させて店舗戦略を検討していくのかを注視するとともに、金融機関との深度ある対話を行ってまいりたいというふうに考えております。
  31. 木内孝胤

    木内(孝)委員 もう時間も参りましたので。  今回の銀行法改正は、さまざまなIT業者の声も吸い取った形でつくられていると私は評価しております。一方で、ちょっとまだ重たいところもありますし、運用面では、ぜひ、成長イノベーションということ、消費者の権利の保障ということ、両方やるというのはなかなか難しいですけれどもIT業者、いろいろな業界関係者の声に真摯に耳を傾けて、引き続き頑張っていただければというふうに思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  32. 御法川信英

    御法川委員長 次に、高井崇志君。
  33. 高井崇志

    高井委員 岡山から参りました高井崇志です。きょうは質問機会をいただき、ありがとうございます。  私、去年のフィンテック法の改正でも質疑に立たせていただき、また、財務金融委員会の一般質疑でも何度か質問し、また、ほかの委員会でもこのフィンテック質問してまいりました。本当に重要な法案だと思いますので、きょうはたくさん質問を用意しているんですが、ただ、ちょっとその前に、どうしても、私も森友学園の問題で、納得がいかない点が少しありますので、フィンテック質問に入る前に、二、三、質問をさせていただきます。  まず、この委員会でも何度か議論になっていますけれども、二〇一五年の九月四日の近畿財務局でのやりとりの文書が、紙の文書はもう破棄されてしまったということなんですが、これは電子データでは必ず残っていると思うんですが、この電子データも削除したというのが財務省の答弁でありますが、いつ削除したのかということをお聞きしたいと思います。  四月十日の決算行政監視委員会で、玉木委員が同じような質問をしました。削除すればログが必ず残っていますから、その削除した日付を教えてくださいと。そうしたら、中尾政府参考人は、通告をいただいておりませんので、ちょっと即座に答えられませんということでした。  きょうは、二日前に通告をしております。これは間違いなく削除のログはあるはずですから、調べていただいていると思いますが、この記録はいつ削除されたんでしょうか。
  34. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  ログについてはまた別途御答弁をさせていただきたいと思いますが、今委員が御指摘の平成二十七年九月四日の、おっしゃっておられる面会記録でございますが、私ども、ここで答弁をさせていただいておりますけれども、九月当時の、有益費に関する会議が行われていたというのは承知してございますし、その資料につきましては、これも答弁してございますけれども、事案終了後に処分してございます。  それで、今委員指摘の電子データの方でございますけれども、電子データにつきましても、私ども紙と同様に公文書管理法の規定に基づいて取り扱っておりますので、電子データにつきましても、保存期間満了になった後、速やかに処分をしているということでございます。
  35. 高井崇志

    高井委員 ですから、削除した日付をお聞きしております。ログというのが残っていますから、それを調べてくださいと、明確に二日前に通告していますので、いつ削除されたのかお答えください。
  36. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  財務省のシステムにおきましては、削除したそういったファイル等々の操作に係りますログというものは、確かに、先生御指摘のようにシステム上にございます。  ただ一方で、先生も御案内のとおり、ログそのものは基本的に数字等の羅列として残っておりますので、そこから何か特定をするということは非常に困難だということに加えまして、このログの情報そのものも、ファイル名、職員のIDなど、システム攻撃者を利するおそれがある情報があるということで、私ども、このログの扱いというのは極めて慎重な取り扱いを要するものと考えておるところでございます。  ただ、いずれにしましても、本件につきましては、理財局長から答弁しておりますとおり、御指摘の面会記録の電子データにつきましては、公文書管理法等の規定にのっとり、保存期間満了後に適切に削除されたものと考えておりまして、ログから何らかの確認をするということは非常に困難なものと考えておるところでございます。
  37. 御法川信英

    御法川委員長 高井君、もう一回質問してください。
  38. 高井崇志

    高井委員 別にログを開示してくれとか言っているわけじゃありません。機密に当たるのであれば、財務省の中で調べて、時間がかかるとおっしゃいましたけれども、私はそんな、何日もかからないと思いますが、少なくとも四月十日に玉木委員が聞いていて、私も二日前に聞いているわけですから、出していただきたいですし、もし、万が一きょう出せないのであれば、いつまでに出せるかということを御答弁ください。
  39. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  ログにつきましては、ログの性格は今申し上げたとおりでございまして、また、本件につきましては、規定にのっとって、保存期間満了後に適切に削除されたものと考えているところでございます。また、ログの性格上、そこから特定の文書を特定して何らかの確認を行うということは、これは極めて困難であるというふうに考えております。  いずれにしても、本件につきましての種々電子データにつきましても、規定にのっとりまして適切に削除されたものと考えているところでございまして、今回、恐縮でございますが、ログから何らかの確認を行うということは困難であるというふうに考えているところでございます。
  40. 御法川信英

    御法川委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  41. 御法川信英

    御法川委員長 速記を起こしてください。  高井君。
  42. 高井崇志

    高井委員 なぜ困難なんですか。なぜ困難なのかお答えください。
  43. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  ログに含まれておりますいろいろなデータをもちまして、これが何らかの特定の記録のデータであるということは私ども判断できないというふうに考えておりまして、そういった意味から、ログから確認をするということはできないものと考えております。
  44. 高井崇志

    高井委員 それは、財務省の職員の皆さんではできないかもしれませんが、きちんと専門の人が調べれば必ずわかりますから、ちゃんと専門の人に確認をして、そして答弁いただけませんか。確認してから、いつ開示するということを、また改めて約束してください。
  45. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  再度、専門業者にも確認をさせていただきます。
  46. 高井崇志

    高井委員 これを見た方は、ITのちょっとした、そんな専門の方じゃなくても、どう考えても、隠そうとしているという意図はもう明らかなんですね。  もう一つ、次の話をしますけれども、同じ関連です。  では、この文書が、まあ、紙の文書はもう捨ててしまったというのはしようがないですが、削除したとしても、パソコンなりサーバーのハードディスクの中には必ず残っています。これを復元して、御提示いただけませんか。
  47. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  財務省のシステムにおきますデータにつきましては、財務省のシステムの運営業務を委託しております会社の専門家にも確認いたしましたところ、システム上削除された電子データは基本的に復元できない状況にありますが、一方、システム障害が生じた際の復旧を目的として、一定期間、これは十四日間でございますが、そのバックアップの期間につきましては、このバックアップの機能により当該専門家による復元が可能となっております。ただ、この期間を過ぎますと、この専門家であっても、専門業者であっても、復元ができないということでございます。  また、先生お尋ねの、恐らく、それ以外での復元ということができないのかということをあらかじめ伺っております。これにつきましても、財務省のシステムの運営業務を委託しております会社の専門家に改めて確認いたしましたが、他社によるデータ復元の可能性について必ずしも厳密にコメントをする立場にはないんですが、ただ、財務省のような規模のシステムにおきまして、過去に削除したデータを復元するということはできないのではないかとのことでございました。  いずれにしても、このシステム運営会社としては、削除後のバックアップ期間を経過すればデータの復元はできないとのことでございます。
  48. 高井崇志

    高井委員 それは、非常に今曖昧に答弁されているんですね。システムを運営している会社ではできない、それは確かに事実なんだと思います。しかし、専門の会社があるんですよ、こういったデータを復元する。これはもう、民間企業でもそういったことを、間違って消失してしまったときに復元することもありますし、あるいは、犯罪捜査なんかではやっているということはもう皆さんよく御承知のとおり。だからこそ、パソコンを物理的にドリルで壊したり海に捨てたりするわけですから。こういったところに頼めばできるわけですよ。  それは、システムの運営会社はできない、しかし、今の御答弁で、その会社が、コメントする立場にはないとおっしゃっていましたし、あるいは、可能性はあると聞こえるような御答弁でしたから、これはきちんと、そのシステム運営会社にだけ聞くのではなくて、より幅広い専門家あるいは復元できる会社に問い合わせて、そして答えを下さい、そういうふうに通告では申し上げているはずですけれども、いかがですか。
  49. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  本件につきましては、これまでも理財局長から答弁をさせていただいておりますとおり、財務省の規則、公文書管理法等に基づきます規則にのっとりまして、保存期間が過ぎたものにつきましては適切に削除されたということでございます。  加えて、私どものシステムの運営業務を委託しております専門家に確認いたしましたところ、先ほど申し上げたとおりでございまして、それ以上の何らかの手段を検討するということは私どもとしては考えていないというところでございます。
  50. 高井崇志

    高井委員 これはちょっと、この後の質問をしていきますけれども、私は復元しなければならない事態だと思うんですね。  では、もう一つ聞きますけれども、報道によれば、ことしの六月に財務省は全部システム更改をすると。これをやると、本当にもう見られなくなるんですよ。今ならまだ見られるんです。これだけの国民の関心が集まっている状況の中で、この六月のシステム更改を本当にやるんですか。これはもう完全に、隠蔽だというふうに国民には映ると思いますけれども、それを延期する考えはないですか。
  51. 岡本薫明

    岡本政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま財務省のシステムの更新のお尋ねであったかと存じます。  先生御指摘のとおり、ことしの六月に向けてシステムの更新を進めているところでございますが、その際には、旧システムから新システムに全てデータを移行いたします。その後、移行した後、旧システムの古い機器からデータを消去する。これは通常のシステムの更新のときと同じ扱い、一般的な作業であると考えておりまして、そのようなことで、現システムにあるデータは基本的に全て新システムに移行するということでございます。
  52. 高井崇志

    高井委員 システムにあるデータはそうなんですが、もう削除したとされる、しかしそのハードディスク、磁気ディスクの中に残っているものを移管するとは思えないので、これは本当に、六月に移行したら、なくなってしまうんですよ。ですから、その前にしっかりこれを、今から御質問申し上げますけれども、出していただく必要があると私は思うんですね。  それはなぜかというと、公文書管理法です。私は内閣委員会なので、公文書担当大臣の山本大臣、あるいは横畠法制局長官にも質問しました。実は、内閣府の公文書管理委員会委員長代理である三宅弘さんという方は、テレビの番組などでも、今回のこの国有地の値引きは、明らかに、最低五年間は文書を保存しなければならなくて、これは公文書管理法違反だというふうに言っています。  これに対して、所管大臣である山本大臣と、それから内閣法制局長官に問いましたが、これはもう大臣が、つまり財務省の財務大臣が判断することなんだということで答弁を逃げられました。これは私は本当に、これじゃ法令解釈の意味が何もないじゃないかと思いますが。  それでは、その財務大臣にお聞きしたいと思いますが、なぜこの文書を復元してでも出さなきゃいけないかといえば、財務省の文書管理規則にはこう書いてあるんですね。これは国有財産の処分ですよね、国有財産の処分に関する重要な実績が記録された文書、これは十年間保存と決まっているんです。重要な実績が記録された文書。  百歩譲って、去年の六月の時点ではまだこの問題が全然明るみに出ていませんから、重要ではなかったといって紙の文書は廃棄してしまった。あるいは、電子データも、表面上は、ソフトウエア上では削除してしまった。しかし、今、これだけの、まさに国民の大関心事になっている段階においては、この文書管理規則に言う重要な実績が記録された文書に当たるのは誰が見ても明らかじゃないですか。しかし、もう紙の文書はなくなってしまったからどうしようもないんですというのが今までの佐川理財局長の答弁ですが、しかし、電子データとして復元すればあるんですよ。間違いなく復元できますよ。  ですから、これを復元してでも十年間保存をする、そして保存をすれば情報公開請求で出さざるを得なくなりますから、私はこれは復元をしなければいけないというふうに考えますが、大臣、これは山本大臣も法制局長官も大臣が決めるんだと言って逃げておられるわけですが、大臣はいかがですか。
  53. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御指摘のあった文書というのは、これは公文書管理法というのに基づいて、制定された規則にのっとって保存期間を一年未満としたものだということがまず第一ですが、保存期間の満了をもって適切に廃棄したものであって、紙と同様、電子データについても削除したものだと承知をしております。  また、御指摘のありました削除した電子データについては、システムの運営会社の方から、一定期間を経過すれば復元することはできないと聞いておるというのは、先ほど参考人岡本の方から、官房長の方から答弁しているとおりでありまして、したがって、御指摘のような対応をとるというようなことを考えているわけではありません。
  54. 高井崇志

    高井委員 これは、大臣、さっきの答弁ではちょっと曖昧だったんですけれども、運営会社はできないけれども、およそいろいろな人に聞いて全て復元はできませんと言い切っているわけじゃないんですね。ですから、これが復元できるとすれば、今私が質問したこの十年間の保存に該当しませんか。重要な実績が記録された文書、十年間保存しなければいけないと考えますが、いかがですか。
  55. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  委員が冒頭御質問されました、三宅委員長代理がおっしゃっている、会計検査院に出す計算書、証拠書類が、保存すべき五年間とかおっしゃっているお話でございますけれども、私ども、ここの、財務省の文書管理記録の、行政文書の保存期間に、それぞれ、各項目、国有財産もそうですし、予算、決算もそうなんですけれども、まず、三宅委員長代理の話を申し上げると、予算、決算に関する事項というのがありまして、委員長代理の三宅さんという方がおっしゃっている歳入歳出の決算報告の中の話で、会計検査院に提出または送付した計算書、証拠書類、こうおっしゃっているわけでございます。そこについては、会計検査院の定める計算証明規則におきまして、歳入に関しては決議書、契約書というふうに書かれて、面会の記録は該当しないというのはまず、そもそもでございます。  それから、今、最後の方でおっしゃられました国有財産の重要な経緯というようなお話でございますけれども、これも同じところに書いてございまして、国有財産の売り払い決議書等の決裁文書に係るものは三十年、貸し付け云々のところは十年、今委員が御指摘のところの、「国有財産の管理及び処分に関する決裁文書又は管理及び処分に関する重要な実績が記録された文書」と書いてございますが、ここに書いてありますように、行政財産等の管理状況の監査報告とか向こうからの要望書とか、そういうものについては行政文書に該当しますが、面会の記録につきましては、ここの重要な経緯に該当しないということでございます。
  56. 高井崇志

    高井委員 局長、もう一度聞きますけれども、これだけ国民の皆さんが関心のあるこの文書、もう破棄して、ないものはしようがないけれども、復元されるのであれば、重要文書に当たりませんか。それでも、もしあったとしても、これは重要文書じゃないとおっしゃるんですか。
  57. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  私ども、済みません、何度もお答え申し上げておりますけれども、面会の記録等につきましては、一つの事案が終わるまでそういうやりとりをいたします。したがって、そこまではもちろん保存してございますけれども、今回みたく一つの売買契約ができて、その契約の中に、今までの面会記録とかやりとりの全ての行政機構としての意思がそこに集約されておるということで、それぞれの面会記録は保存期間一年未満、そして時期を明確化する観点から事案終了までというふうにしてやっておりますので、そういう意味では、面会記録等につきましては決裁文書等に全て集約されているということで、そこは一年未満ということで、事案終了で処分ということだと考えてございます。
  58. 高井崇志

    高井委員 財務省の文書管理規則は、職員が日々業務を行うに当たってそういうルールを定めているわけです。しかし、これだけの話になって、これが今復元できるとなったら、それは国民誰に聞いたって、これは重要な文書で、残してほしいということになると思いますよ。もうこれ以上やりとりしても、私は、フィンテック企業の皆さんから聞いてほしい質問たくさん言われているので、もうここでやめます。  しかし、これは本当に重要な視点であって、あと、くれぐれも申し上げますけれども、六月に本当にシステム更改しちゃったら、本当になくなりますから、今ならまだいろいろな手を尽くせば復元できるんです。それを財務省も明確に否定できませんでした。否定できるわけないと思います。ですから、これは引き続きまた私も取り上げますし、同僚議員にまた譲りたいというふうに思います。  それでは、前置きというか、冒頭が長くなりましたけれどもフィンテック法案質疑に入りたいと思います。  ちょっと質問しにくい空気になってしまったんですが、私は、このフィンテック法案は非常に大事で、ぜひいい形で成立してほしいと願っている一人でありますが、先般、二月二十二日のこの財務金融委員会で、このフィンテック事業法案ができる前にフィンテック事業者の方とよくよく意見交換してくださいということを局長にお願いしましたけれども、その後、そういったことは行われましたでしょうか。行われたとしたら、どんな内容であったかをぜひお願いいたします。
  59. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  フィンテック企業方々とは、連日、本法案の内容を含め、緊密に意見交換を重ねてまいりました。実際、これまでフィンテックについて、小規模の事業者の方々も含めて、私どもの担当官は数百社以上の方と面会をさせていただいております。  また、本委員会での高井先生からの御指摘を受けまして、この三月三十一日に、一般社団法人フィンテック協会それから一般社団法人金融革新同友会FINOVATORSの皆さんとともに、フィンテック企業の活動拠点であります大手町のFINOLABにおきまして、金融庁との座談会、ミートアップFSAということで開催をさせていただき、率直な意見交換をさせていただきました。  この座談会には、約七十社のフィンテックベンチャーの皆様方などが参加をされて、私どもの方から、フィンテックサポートデスクあるいは今回の法案の概要など、フィンテックに係ります金融庁の取り組みを説明させていただき、活発な意見交換をさせていただきました。  今回の法制の整備に当たりましては、これらの意見交換を通じて、フィンテック事業者の実情を把握しながら制度設計を進めさせていただいたつもりでございます。
  60. 高井崇志

    高井委員 済みません、ちょっと私が先を急ぎ過ぎまして。  先ほどの森友学園の件、私がお願いいたしました、まずは削除した日付、これはログが必ず残っていますから、ある程度時間と専門家を入れれば必ずわかります。その日付。  それから、復元されたデータが、財務省が委託している会社はないと言ったそうですが、コメントする立場にないというのがさっきの答えでしたから、そういった会社とは別の専門の会社を入れて、しっかりこれを調査して、報告していただく。  このことを、委員長、お取り計らいをお願いできますか。
  61. 御法川信英

    御法川委員長 後ほど、理事会で協議をいたします。
  62. 高井崇志

    高井委員 それでは、続けますが。  今、池田局長がわざわざ出向いていただいて声を聞いていただいたということで、これは本当に感謝を申し上げますが、今後が大事なんですね。今後、法案が通っても、政府令で具体的なことがかなり決まってまいります。こういった政府令の策定あるいは実際の運用に当たって、フィンテック事業者からの意見を取り入れていく、そういう考えはありますか。
  63. 池田唯一

    池田政府参考人 御指摘政府令につきましても、フィンテック企業の皆様方が非常に高い関心を寄せておられることは、私どももよく存じ上げているところでございます。  引き続き、さまざまな機会を通じて意見交換を重ねさせていただいて、実情をよく踏まえた対応に努めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 高井崇志

    高井委員 それでは、大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の法改正の趣旨なんですけれども、我々はオープンイノベーションを促進する、進めていくというふうに理解をしていますが、それで間違いないでしょうか。
  65. 麻生太郎

    麻生国務大臣 簡単に、時間がないようなので。  間違いないです。
  66. 高井崇志

    高井委員 そう答弁していただければ結構でございます。  オープンイノベーションの促進なわけです。しかし、具体的に法案を見ると、少し、疑義が幾つかあります。まず、オープンイノベーションの促進という割には、対象事業者の範囲がちょっと広過ぎるんじゃないかと感じます。APIを活用する事業者以外にも、例えばですけれども、既存のペイジー接続による収納事業者であったりとか、エレクトリックコマースでのインターネット振り込み、こういったものも対象になるように読めますけれども、対象になるんでしょうか。もし、なるんだとすれば、なぜこういった事業者まで対象になるんでしょうか。
  67. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法案におきましては、預金者からの委託を受けて金融機関に対する決済指図の伝達等を行う者を電子決済等代行業者としているわけでございますが、これは、その業務が適切に遂行されない場合に、不正決済ですとか、あるいは誤った決済等のリスクがあることから、利用者の保護あるいは決済の安定性といった観点で規制の対象とさせていただいているものでございます。  そうした中で、ただいま御指摘のありました、例えばインターネットショッピングで銀行口座から即時に引き落としを行う業者、こうした者が登場しているわけですが、こうしたサービスにつきましては、支払い先や支払いがなされる時期が限定されておらず不正アクセス等によるリスクは相対的に高いということ、また、即時に引き落としがなされることから被害の回復が必ずしも容易ではないという面があると考えております。  また、ペイジーを用いた決済サービスの中には、銀行のインターネットバンキングに画面を遷移させる方式で銀行に支払い先や支払い額の決済の内容に係る情報を伝達する者も存在していると認識しておりまして、そうした形のサービスでございますと、実質上、決済指図そのものを伝達している場合と同様、不正決済あるいは誤った決済等のリスクというものが存在し、こうしたリスクについては適切に評価する必要があると考えているところでございます。  いずれにしましても、私ども、サービスの実態等を十分に把握しながら、同時に利用者保護が適切に図られていくよう、今後、内閣府令の整備及びその適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  68. 高井崇志

    高井委員 それでは、登録を想定している事業者数というのはどのくらいですか。そのうち、このAPIによるイノベーションの効果を享受できる事業者の割合というのはどのくらいだと想定していますか。
  69. 池田唯一

    池田政府参考人 電子決済等代行業者は、現時点で当局の監督対象ではありませんので、その数を必ずしも正確に把握しているわけではございませんが、現在、把握している限りで申しますと、全体で数十社が電子決済等代行業に該当し得るサービスを提供しているというふうに私ども認識をしているところでございます。  今回の法律案では、利用者保護の観点から、電子決済等代行業者銀行と接続をする場合には、銀行と契約を締結するということを求めておりますが、接続の方法についてはオープンAPI以外の方法によることも認めているところでございます。また、各事業者の情報セキュリティーの対策状況等について、現状、その詳細を全て把握しているものではない。  そうしたことで、実際にオープンAPIによりサービスを提供する業者の数を現時点において具体的に申し上げるのは正直困難というところがございますが、本法案によってできるだけ多くのフィンテック企業のイノベーションの推進が図られることが期待されるところであり、そうしたものになっていくよう、私どもも努力を積み重ねてまいりたいというふうに考えております。
  70. 高井崇志

    高井委員 それでは、金融審議会の金融制度ワーキング・グループの報告においてこういう記述がございます。セキュリティー上のリスクが相対的に少ないと見込まれることから、口座振替契約に基づき定期的に特定の口座のみに振替を行っている事業者については、適切な要件を定めた上で、登録対象としない方向で整理されることが検討されるべきと。  これはそのとおりだと思うんですが、今申し上げた、口座振替で毎月落とされていくというようなそういったもの以外にも、このワーキング・グループが言うように、セキュリティー上のリスクが相対的に少ない事業者やあるいは業態については、これは広く事業者なんかからヒアリングを行って、今回の登録の対象外とすべきだと考えますが、いかがですか。
  71. 越智隆雄

    越智大臣 電子決済等代行業者の登録の対象に関してでございますけれども、今委員も御指摘ございました部分で、まず、家賃や公共料金の支払いなど、特定の者に対する定期的な支払いを目的として行う決済指図伝達サービスのほか、国や地方公共団体への支払いを目的として行われるなど、これと同様に、リスクが比較的限定されており、利用者保護の観点から必ずしも規制の対象とする必要がないと認められるものについては、内閣府令において適用除外することとしております。  この府令の検討に当たってというところでありますけれども、引き続き、さまざまな機会を通じまして事業者等と意見交換、ヒアリングを重ねていきたい、実情をよく踏まえた上で対応していくことに努めていきたいというふうに考えております。  ただ、一方で、不正決済や誤決済等のリスクがあるものに関しては適切に対応を行う必要があることにつきましては御理解いただきたいというふうに思います。
  72. 高井崇志

    高井委員 それでは、この電子決済等代行業の代行の意味は何でしょうか。そのメルクマールみたいなものはありますか。加えて、入力補助というような、金融機関が、かわって入力するような、そういったものも代行に含まれるのでしょうか。もし含まれるんだとすれば、それはちょっと過剰規制ではないですか。
  73. 池田唯一

    池田政府参考人 本法案におきます電子決済等代行業の代行ということですが、これは、預金者等からの委託を受けて当該預金者等にかわって銀行等に対して決済指図を伝達すること、あるいは、銀行から口座に係る情報を取得することを意味しているものでございます。したがいまして、預金者等からの委託を受けこれらの行為を行っているかどうかが重要な要件、メルクマールになるものと考えております。  そして、入力補助ということに関してのお尋ねでございました。  先ほどもお答えを申し上げましたように、今回、電子決済等代行業者を規制の対象にしております趣旨は、不正決済あるいは誤った決済等のリスクに鑑みて、利用者保護、決済の安定性等を図るということでございます。  そうした中で、入力補助という点については、これは個別のサービスの内容によるところが多いとは考えておりますが、例えば、銀行のインターネットバンキングに画面を遷移させる方式で銀行に支払い先や支払い額などの決済の内容に関する情報を伝達するサービスということについては、実質上、決済指図そのものを伝達している場合と同様の不正決済あるいは誤った決済等のリスクがあると考えておりまして、こうしたリスクを適切に評価する必要があると考えているところでございます。
  74. 高井崇志

    高井委員 それでは、この電子決済代行業の登録の要件とか監督というのはどのようなものを想定しているんでしょうか。フィンテックの事業者とよく相談しているんでしょうか。また、あわせて伺いますが、詳細は内閣府令でつくることになると思いますけれども、そのスケジュールはどのようなスケジュールでしょうか。
  75. 池田唯一

    池田政府参考人 まず、電子決済等代行業者の登録要件でございますが、一つに、業務を適正、確実に遂行するために必要な財産的基礎を有していること。これは詳細は内閣府令で規定していくことになりますが、現時点で申し上げますと、純資産がマイナスでないことといったようなことを規定することを検討しております。それから、第二に、業務を適正、確実に遂行するために必要な体制整備が行われていること。三番目に、過去に銀行法等の罰金を科され、あるいは登録を取り消されてから一定の期間が経過していない者などの、いわゆる不適格者ではないこと等の要件を定めさせていただいているところでございます。  また、電子決済等代行業者に対します監督につきましては、電子決済等代行業者に帳簿書類の作成保存義務、事業報告書の作成提出義務を課すとともに、電子決済等代行業者に対する当局の報告徴求、立入検査、そして、特段の問題があった場合には業務改善命令等の行政処分の権限を規定させていただいているところでございます。  今回の法制の整備に当たりましては、先ほども申し上げましたが、フィンテック企業の皆さんとも意見を重ね、その意見を踏まえて制度設計をさせていただいたつもりでございます。  関係政府令等の今後の整備のスケジュールにつきましては、今回の法律は、電子決済等代行業者の方あるいは金融機関の方などの準備期間を確保するために、施行日は公布後一年以内の政令で定める日とさせていただいております。したがいまして、関係政府令については、それまでの間にパブリックコメント手続等を経て策定することになると考えております。その過程におきましては、フィンテック事業等の皆さんとも引き続き意見交換を重ね、対応してまいりたいというふうに考えております。
  76. 高井崇志

    高井委員 やはり、事業者さん、特にベンチャー企業の皆さんは、過度な規制にならないかというのを大変心配していますので、政府令をつくるときには本当によく意見交換していただきたいと思います。  それでは、今度は金融機関のことを伺いますが、金融機関がAPIを開放する努力義務がかかっているわけですが、努力義務というのはどの程度の内容なんでしょうか。そして、どの程度の金融機関がこの努力義務の対象になるのか。何か具体的な目標値などはあるんでしょうか。
  77. 越智隆雄

    越智大臣 金融機関のAPI開放に関する努力義務についてでありますけれども、まず、オープンAPIの推進につきましては、本法案によりまして法制の整備を行った上で、関係者おのおのが適切に取り組みを進めて、全体として積極的に展開されることを期待しているものであります。  そういう中で、APIの努力義務につきましては、法律の附則の中に規定されておりまして、ここで体制整備をするようにというふうにしているところでございます。  このオープンAPIへの対応につきましては、金融機関等の民間事業者によって行われるものであることから、基本的に経営判断だということでございますので、具体的なKPIとか目標設定になじむものであるかということについては、これは慎重に考える必要があるというふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、オープンAPIは金融機関にも大きなメリットがあるものだというふうに考えておりまして、特にインターネットバンキングを実施している全ての金融機関に対しては、このオープンAPIの導入を働きかけていきたいというふうに考えているところでございます。
  78. 高井崇志

    高井委員 働きかけるというのはなかなか微妙な言葉で、やはり金融機関がオープンAPIをやってくれないとフィンテックは進まないし、この法律自体も意味がなくなりますから、それはもうしっかり働きかけていただきたいと思いますが。  それでは、副大臣、これも通告していますのでお聞きしますが、API接続の基準、これは公表することになっている、それから、不合理に接続を拒否できないというふうになっていますが、では、その不合理かどうかというのは、これは一体、誰がどうやって判断するんでしょうか。  金融機関側に全部委ねられているのであれば、本当に金融機関がそれをやってくれるのか、開放してくれるのかということになりますし、金融機関に対して、開放が進まない場合、具体的にどのような指導監督というのをしていくんでしょうか。
  79. 越智隆雄

    越智大臣 API接続の基準でありますけれども、枠組みは法律また府令によりまして決まってまいりますが、具体的なところにつきましては金融機関が策定するものであります。  本法案では、利用者保護等の観点から、金融機関フィンテック企業とのオープンAPIによる接続を推進していこうということでありますので、そうした趣旨に鑑みれば、金融機関が過度に厳格あるいは恣意的な基準を策定することは適当でないというふうに考えております。  加えまして、委員指摘のあったところですけれども金融機関はかかる基準を満たす電子決済等代行業者に対して不当に差別的な扱いをしてはならないということも規定をされているところでございます。  金融庁としては、基準の策定の状況などについて注視していくということとともに、本法制の趣旨について金融機関の理解が十分に得られるように対話を深めてまいりたいというふうに考えております。
  80. 高井崇志

    高井委員 ここも非常に重要な肝だと思いますので、あえて副大臣に御答弁いただきましたけれども、ぜひ先頭に立って頑張っていただきたいと思います。  それでは次に、もう一つ大きな論点ですが、銀行代理業と電子決済代行業、これが二重規制になるおそれがあるんじゃないかということを心配しています。これはぜひ回避すべきだと思いますが、そのためには、銀行代理業のガイドラインというのがどういうものになるかに大きくかかわってまいります。銀行代理業のガイドラインも、今回、この法律とセットで、同じスケジュールで変えていかないと、二重規制の問題が解消しないと思うんですが、いかがですか。
  81. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  銀行代理業に係りますルールと電子決済代行業に係りますルールは、それぞれ目的を異にしているところがございますので、二重規制という御指摘は必ずしも当たらないかとは考えておりますが、しかしながら、銀行代理業規制の適用関係がどうなるかということは関係者の方々に大変大きい影響をもたらすものであるということは、私ども十分認識をしているところでございます。  従来、この点に関しましては、銀行代理業をやられる方が銀行から直接または間接に経済的対価を受領している場合には、実務上、かなり広く銀行代理業に該当すると考えられてきたという指摘がございます。  しかしながら、この点については、現在、ITの進展などに伴いましてさまざまな形態でのサービスが登場しておりまして、仮に銀行から何らかの経済的対価を得ていたとしましても、必ずしも、契約の条件の確定あるいは締結の対価とは異なるというような事例も存在していると考えられるところでございます。  したがいまして、御指摘のように、今後、この改正法に伴う政府令等の整備を行いますのとあわせまして、業者が銀行から受領する経済的対価が契約の条件の確定または締結の対価であるか否かについて、その実質に着目して判断されるよう、ガイドライン等で必要な明確化を行う方向で検討をしていきたいというふうに考えております。
  82. 高井崇志

    高井委員 もう時間がなくなってきましたので、少し速く行きますが。  報告徴収とか立入検査などの運用面でも、冒頭、大臣がイノベーション促進がこの法の趣旨だとおっしゃいましたけれども、やはり、このイノベーションを阻害しないように留意すべきではないでしょうか。具体的な対象者は一体だれなのか、委託先も含まれるのか、そして必要最小限の範囲となるようにガイドラインなどで明確化すべきと考えますが、いかがですか。
  83. 遠藤俊英

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず、具体的な対象者についての法案のたてつけでございますけれども、まず、電子決済等代行業の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認めるときは、電子決済等代行業者に対し報告徴求、立入検査を実施することができる。そういった電子決済等代行業の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認めるとき、その必要の限度において、電子決済等代行業者と電子決済等代行業の業務に関して取引する者、あるいは電子決済等代行業者から電子決済等代行業の業務の委託を受けた者に対しても、報告徴求や立入検査等を実施することができるというたてつけになっております。  この点、具体的な事案におきまして、報告徴求、立入検査の対象にするかどうかは、当該事案の個別具体的な事情を勘案した上で判断することになります。  したがいまして、ガイドライン等によって報告徴求、立入検査等の基準を一律にお示しすることは困難ではございますけれども、いずれにしましても、報告徴求、立入検査等の運用におきましては、利用者保護を図りつつ、電子決済等代行業者の自由な活動を基本的には尊重し、イノベーションを阻害しないように留意してまいりたいというふうに考えております。
  84. 高井崇志

    高井委員 それでは、少し話が変わりますが、仮想通貨というとちょっと違うかもしれませんが、第三者型の前払い式というのと自家型の前払い式という手段があります。これが、日本は自家型の前払い式、ポケモンGOのポケコインなんかがこれに該当するということで、多くの供託金を払っている、LINEも、去年の五月、百二十五億払っているという記事が出ておりますが、諸外国でこんなような規制をしている例はあるんでしょうか。また、そのときの供託金の割合というのはどのくらいなんでしょうか。
  85. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  諸外国におけます自家型前払い式支払い手段の規制の状況については、利用者保護の確保等の観点を踏まえ、各国におけますサービスの普及実態や規制の趣旨、体系に応じた内容になっているというふうに考えております。  その上で、お尋ねの点につきましては、先生の方から例えばOECD加盟国などについて調査できないかという宿題をいただいていることは認識をしておりまして、私ども、現在調査中ですが、まだ十分な回答が得られていない状況にありますが、現時点で把握している限りでは、例えばEUにおけます主要な規制でありますEU電子マネー指令では、第三者型の電子マネーについては未使用残高に係る資産保全義務が規定されておりますが、自家型の電子マネーについては規制の対象外になっているというふうに承知をしているところでございます。
  86. 高井崇志

    高井委員 最後に、副大臣、我が国だけやるのは、国際競争上、問題じゃないですか。
  87. 越智隆雄

    越智大臣 諸外国におけます自家型前払い式支払い手段の規制の状況につきましては、利用者保護の確保などの観点を踏まえて、各国におけるサービスの普及実態や規制の趣旨、体系に応じた内容になっているものと考えております。  一方で、我が国においては、自家型前払い式支払い手段についても、利用者が発行者に対して信用供与しているにもかかわらず、発行者の破綻によりまして決済に利用できないこととなれば利用者が不利益をこうむることから、第三者型前払い式支払い手段と同様に、その発行者に対して、未使用残高の半額の発行保証金の供託等を行わせることとしておるところであります。実際に、自家型前払い式支払い手段の発行者が破綻をして、供託された発行保証金から還付が行われた事例もそれなりに件数が存在しております。  こうしたことも踏まえまして、現時点においては、自家型前払い式支払い手段に係る供託等の規制自体を見直すことについては慎重な対応が必要だというふうに金融庁としては考えているところでございます。
  88. 高井崇志

    高井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  89. 御法川信英

    御法川委員長 次に、宮本徹君。
  90. 宮本徹

    宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。  質問します。  我が党も、本法案は賛成であります。  初めに、法案にかかわって、基本的な点を三点お伺いします。  一つは、フィンテック企業の電子決済等代行について、現状では、利用者保護で具体的にどんな問題が出ているのか。二つ目に、本法案では電子決済等代行業は登録制とされておりますが、EUではよりハードルの高い免許制も適用されております。なぜ登録制に落ちついたのか。三つ目に、どのレベルでの事業者規制が必要かというのは、まず登録制で始まるにしても、今後、法の運用を見ながら、実態に即してさらなる検討が必要ではないかと思います。三点、お願いします。
  91. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、第一点につきましては、少なくとも我が国におきましては、これまでのところ、大きな問題が顕在化した事例ということは承知をしておりません。他方、海外では、例えば米国で、大手銀行が、顧客情報の保護を理由に、顧客のパスワードを使用する業者のアクセスを一時的に遮断するというトラブル事例があったというようなことは承知をしております。  そういうことで、我が国では、これまでのところ、幸い、大きな問題は顕在化していないわけですが、同時に、電子決済等代行業に該当するサービスにつきましては、銀行口座に関するパスワードといった重要な認証情報が業者に取得される場合がありまして、顧客情報の漏えい、認証情報の悪用等のセキュリティー上の問題がないかとの不安があると指摘されているということを認識しております。  本法案は、そうした課題等を踏まえ、利用者保護の観点から必要な法律上の措置を講じようとするものでございます。  二番目の免許制、登録制の問題でございます。  一般に、免許制におきましては、免許の付与に際して、行政機関に一定の裁量が与えられるのに対しまして、登録制におきましては、登録拒否要件に該当しない限りにおいて、金融機関は登録を拒否することはできないものとされておりまして、一般に免許制の方が重い規制態様であるとされているかと思います。  そうしましたときに、電子決済等代行業者は、その定義上、利用者の金銭を預かることが想定されていないところでございまして、現行法制上、例えば、金銭の預託を受けることが前提とされております資金移動業者が登録制とされていることなどに鑑みますと、電子決済等代行業者について免許制とすることには慎重であるべきものと判断しているところでございます。  ただ、御指摘にありましたように、三番目の点でございますけれども、私どもとして、まずはこうした法制の整備を通じて利用者保護の確保を図っていきたいと考えておりますが、フィンテックは今後もさまざまな発展を遂げていくことが想定されるところでございまして、金融庁としましては、その動向を十分注視し、必要があれば適切に対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 宮本徹

    宮本(徹)委員 法の運用の実態がどうなるかということに即して、いろいろな問題が出てきたら、その段階でまた必要な規制をしっかりとっていただきたいというふうに思います。  次に、犯罪対策について聞きます。  インターネットバンキングによる不正支払い事件というのがかなり起きているわけですが、まず近年の件数の推移、あと被害金額、これを教えていただけるでしょうか。
  93. 遠藤俊英

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  全国銀行協会の公表によりますと、インターネットバンキングによる不正支払いの被害件数を平成二十三年度から順次申し上げますと、平成二十三年度百六件、二十四年度百六件、同じくです。平成二十五年度は、大きく伸びまして千七十一件、平成二十六年度千二百十五件、平成二十七年度千二百八十三件、平成二十八年度は、速報ベースでございますけれども、五百六十九件となっております。  平成二十五年度に大きく増加した後に、平成二十七年度まではほぼ横ばいで推移し、平成二十八年度は前年度比で減少している状況にございます。  金額について申し上げますと、平成二十三年度は二億三千五百万円、二十四年度は一億二千四百万円、二十五年度は十四億三千四百万円、二十六年度十六億八千万円、二十七年度十七億八千二百万円、二十八年度は八億二千四百万円といった推移でございます。
  94. 宮本徹

    宮本(徹)委員 二〇一三年度に急激に拡大して、一四年度、一五年度とぐっと伸びて、一六年度は若干下がったわけですけれども、かなり高どまりしている状況ということだと思います。  近年急拡大した原因と、犯罪の主な手口というのはどういうものなんでしょうか。
  95. 遠藤俊英

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず、犯罪の主な手口から御説明させていただきたいと思います。  インターネットバンキングの不正送金の主な犯罪手口といたしましては、特定ホームページの閲覧を通じて利用者のパソコンをウイルス感染させた上で、ユーザーIDとかパスワードなどを盗み取り、犯罪集団が利用者に成り済まして不正送金する手口、犯罪集団が利用者のパソコンを乗っ取り、遠隔操作で不正送金する手口、あるいは、ウイルスがあらかじめ送金依頼データをセットし、自動的に不正送金する手口などが存在すると承知しております。  また、ウイルス以外の手口といたしましては、フィッシングサイトに利用者を誘導してユーザーIDやパスワードなどを盗み取り、犯罪集団が利用者に成り済まして不正送金する手口も存在すると承知しております。  近年、被害件数が、特に平成二十五年度に急拡大している原因でございますけれども、専門家等によって指摘されている理由については幾つかございます。  一つは、ウイルスやフィッシングサイトを作成するツールがインターネット上に安価で出回るようになったこと。一つは、海外の犯罪集団に日本語が比較的堪能な協力者が加わることによって、日本語のにせのホームページを作成することができるようになり、日本も犯罪対象にされてきたことなどが要因ではないかという指摘がございます。  また、従前は被害者の中心が個人でございましたけれども、法人にもこの被害が拡大していることなども要因一つではないかというふうに考えられます。
  96. 宮本徹

    宮本(徹)委員 今回の法案というのは、こういう事件への対応は何らか抑止できるような力になるんですか。
  97. 池田唯一

    池田政府参考人 今回の法案は、現行の電子決済等代行業者の多くが利用者から銀行口座のパスワード等を取得し、利用者に成りかわって銀行のシステムにアクセスすることによりサービスを提供しているため、仮にこれらの情報が漏えいした場合に、利用者が不利益をこうむるおそれがあることなどを踏まえて法制の整備を図っているものでございます。  この法律案は、インターネットバンキングを利用した不正支払いの抑止自体を直接の目的とするものではございませんけれども電子決済等代行業者に対して顧客情報をより適正に管理することを求めておりますので、顧客情報の悪用等による不正支払いの未然防止にも資するものであるというふうに考えてはおります。
  98. 宮本徹

    宮本(徹)委員 中国ではフィンテックが物すごい勢いで拡大しているようで、雑誌で見ましたら、ネット人口は七億人を超え、九割以上がモバイルを使っている、スマホ決済もばんばんやられていると。驚いたのは、ことしのお正月に四百六十億件ものお年玉がスマホ決済で送られているという話でした。銀行に行かなくても送金できるというのは非常に便利なわけですけれども、安全性という点では疑問もつくわけですね。  中国では、スマホ決済を利用した犯罪や不正送金というのはどういう状況なんでしょうか。
  99. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  中国におけますスマートフォン決済に係る犯罪等の実態について、その詳細を具体的に把握しているものではございませんけれども中国におきましては、御指摘のように、IT関連企業が提供します決済サービスが急速に拡大しておりまして、そうした中で、顧客の情報を不正に取得し、送金を行う等の事案が発生しているとの報道があるということは、報道ベースでございますが、承知をしているところでございます。
  100. 宮本徹

    宮本(徹)委員 不正が中国でも起きているということであります。  日本でも、フィンテックはさらにぐっと普及していくということを考えたら、いろいろなことが想定されるわけですけれども、きょうは全銀協がつくっている振り込め詐欺の警戒を呼びかけるチラシをお配りしましたが、振り込め詐欺にスマホ決済も利用されるのではないかという懸念もあるのではないかと思います。  今は、これに出ているように、携帯電話で高齢者に指示してATMに振り込ませるということになるわけですけれども、仮にスマホ決済が普及すれば、ATMに行かなくても、家でスマホを使って送金させられる、こういうおそれがあるわけですよね。そうすると、今、ATMの前で声をかけてとめようというのもできなくなるわけですよね。  フィンテックの普及によってふえそうな犯罪の抑止について、どのような対策を考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  101. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の問題は、必ずしも電子決済等代行業者の問題ではなく、インターネットバンキング全般にかかわる問題であろうかとは考えますが、スマホ決済等の利用が広がっていく中で、そうした動きに乗じた不正送金等の問題についてもきちんと考慮していくべきことは御指摘のとおりかと思います。  金融庁におきましては、これまでも関係省庁あるいは関係団体と連携して振り込め詐欺被害等の未然防止に向けた取り組みを行ってきたところでございますが、こういう状況を踏まえ、振り込め詐欺被害等への注意をより強く呼びかける等、リーフレットの作成、政府広報等、そうしたものの実施に一層の工夫をしていくということが求められようかと考えております。  引き続き、関係省庁、業界団体等と連携して、振り込め詐欺あるいは不正送金等の未然防止に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  102. 宮本徹

    宮本(徹)委員 より強く呼びかけていくというのは当然必要なことなんですけれども、もっと技術的に対応できるようなことがないのかということも含めて検討していく必要があるんじゃないかというふうに思いますので、その点の検討もお願いしたいと思います。  それから、きょうは、証券等監視委員会にも来ていただきました。  最新の報告書を見ますと、「(AI)による投資アドバイスや資産運用、プログラムによる高速取引等、FinTechの進展に伴う最先端の金融技術・手法の動向について、証券監視委内横断的に外部の市場関係者等から情報収集を行い、証券市場や市場仲介者等への潜在的な影響等について調査を行っている。」という記載がありましたけれども、この調査の着眼点というのは何なんでしょうか。結果はまとまったら国民に対して公表されるんでしょうか。
  103. 佐々木清隆

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  証券監視委におきましては、市場の公正性、透明性確保の観点から、フィンテック等のIT技術の進展等に伴いまして生じます新たな取引形態、商品などに着目いたしまして、現在の監視システムや手法で十分な監視が行えるか、また、そのためにどのようなシステムを構築すべきかといったことにつきまして、外部の市場関係者等から情報収集を行うなど、検討を進めているところでございます。  今後、調査結果を踏まえまして必要な監視システムや手法の構築に努めまして、必要に応じて今後の監視委員会の活動方針などに盛り込んでいくなど、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
  104. 宮本徹

    宮本(徹)委員 方針に盛り込むと同時に、調査結果についても国民に対してぜひ公表していただきたいというふうに思います。それでこそ国民の側も安心、安定ということになっていくと思いますので、お願いしたいと思います。  次に、異次元の金融緩和、それから、マイナス金利政策の銀行への影響についてお伺いしたいというふうに思います。  まず初めにお伺いしたいのは、この間、金融機関の収益の源泉である預貸金の金利の利ざやが縮小しているわけですけれども、これは異次元金融緩和導入前と現時点では具体的にどうなっているでしょう。     〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
  105. 宮野谷篤

    宮野谷参考人 お答え申し上げます。  金融機関の預貸し金利ざやは趨勢的に低下しております。  具体的に申し上げますと、量的・質的金融緩和導入前の大手行では、二〇一二年度の預貸し金利ざやは一・一七%でございましたが、二〇一六年度の上期は〇・八八%となっております。また、地域銀行の二〇一二年度の預貸し金利ざやは一・五六%でありましたが、二〇一六年度上期は一・二二%となっておりまして、いずれも低下しております。
  106. 宮本徹

    宮本(徹)委員 この利ざや縮小について、ことし四月のIMFのレポートも分析しております。こう言っています。「長短金利の差は平たん化しています。一般的にいって」、「銀行にとってそれは収入が減ることを意味します。また、銀行が預金金利をマイナスに引き下げるのは通常難しいことなので、金利低下は利ザヤを縮小させがちです。そして人口の高齢化と成長が減速したままであれば家計からの需要が減退しやすいため、融資量の増加による低利ザヤを補うことができなくなります。」こうした上で、「対照的に」銀行の「手数料ベースの売買サービスが増加する」というふうに書いております。  日本銀行にお伺いしますが、日本のメガバンクというのは、手数料収益の増大の傾向というのはどう出ているんでしょうか。
  107. 宮野谷篤

    宮野谷参考人 お答え申し上げます。  日本の大手行の手数料収益の推移を見ますと、基調的には、海外のシンジケートローンの関連手数料などを中心に緩やかに増加傾向にあると認識しております。
  108. 宮本徹

    宮本(徹)委員 緩やかに増加傾向とありますけれども、例えば、住友三井トラストのホームページを見ましたら、手数料ビジネスの拡大というのをどんと書いてあるわけですよね。こう銘打って、この間、手数料ビジネスからの収益は二七%増加、手数料収益比率は五〇%を超過ということを言って、そこに走っているわけですね。  もう一点お伺いしますが、近年、日本のメガバンクは、海外向け与信を増加させて国内減少分をカバーしている傾向というのは見られるんでしょうか。
  109. 宮野谷篤

    宮野谷参考人 お答え申し上げます。  日本の大手行につきましては、海外向け貸し出しの伸びが国内向け貸し出しの伸びを上回っております。ただ、国内向け貸し出しも伸びてはおります。  具体的に申し上げますと、大手行の海外向け貸し出しは、前年に対してプラス一割程度の高目の伸びを続けております一方、大手行の国内向け貸し出しにつきましては、伸びてはおりますけれども、その伸びは前年比一から二%程度の伸びとなっております。
  110. 宮本徹

    宮本(徹)委員 つまり、今、低金利政策のもとで、手数料ビジネス、そして海外での貸し出し、こういうことになっているわけですよね。そういうのが広がっているわけです。  一方、資本規模の小さい地方銀行は、低金利政策で経営体力を奪われております。  地方銀行の資産構成の変化がどうなっているのか、地方銀行の資産の有価証券の種類別の内訳、異次元金融緩和の導入前と現在を比較したらどうなのか、報告していただけるでしょうか。
  111. 宮野谷篤

    宮野谷参考人 お答え申し上げます。  地方銀行と第二地方銀行における有価証券保有残高を見ますと、国債につきましては、量的・質的金融緩和導入前の二〇一二年十二月末が四十三・〇兆円でありましたが、これが二〇一六年十二月末は三十二・二兆円となっておりまして、この間で十・七兆円の減少となっております。  一方、外国証券につきましては、二〇一二年十二月末の七・六兆円から二〇一六年十二月末の十五・一兆円まで、七・五兆円の増加となっております。  また、その他有価証券につきましては、二〇一二年十二月末の三十七・七兆円から二〇一六年十二月末の四十六・六兆円まで、この間、八・九兆円の増加となっております。
  112. 宮本徹

    宮本(徹)委員 今お話がありましたように、国債は減って、外国証券、その他有価証券がふえているわけですよね。地方銀行が、より高い利回りを求めて、リスク性資産に資金をシフトしているというのは明らかだというふうに思います。  あと、もう一点、地方銀行企業向け貸出金について、規模別では中小企業向け、業種別では不動産業向け、これについて、異次元金融緩和導入前と現在、比較すればどうなるでしょうか。
  113. 宮野谷篤

    宮野谷参考人 お答え申し上げます。  地域銀行における中小企業向け貸出残高を見ますと、量的・質的金融緩和導入前の二〇一二年十二月末は八十八・七兆円でございましたが、二〇一六年十二月末は百二・二兆円となっておりまして、この間で十三・五兆円の増加となっております。  次に、地域銀行の不動産業向け貸出残高につきましては、二〇一二年十二月末の二十六・七兆円から二〇一六年十二月末の三十四・六兆円となっておりまして、この間で七・九兆円の増加となっております。
  114. 宮本徹

    宮本(徹)委員 不動産向けの融資が大きくふえているわけですけれども、この間、相続税の引き上げがありましたから、私も地元を回っていましたら、特に農家の皆さんなんかは、相続税対策で、宅建会社がどんどんやってきて、アパートを建ててくれ、こういう話があるというのを幾つも聞いているわけです。  これは大臣にお伺いします。  アパートローンの実態をどう把握しておられるのか、不良債権化するリスクというのはどう見ているのか、そしてどう対応されているのか、お伺いしたいと思います。
  115. 麻生太郎

    麻生国務大臣 足元で、アパートローンを含めまして不動産業向けの貸し付けというものの伸びというのを見ますと、残高の伸び自体は、これまでの拡大局面と比較しての話ですけれども、必ずしも高くはありませんが、新規融資額は、二〇一六年におきましては、通期での比較においては過去最高ということになっております。ちなみに、額でいえば、二〇一六年でいきますと、十二兆二千八百六億円、前年比で一五・二%でありますので、そういった意味では最高ということになりましたが。  金融システムの健全性という点からいきますと、アパートローンなどにつきましては、これはデフォルトという意味でいきましたら、その率というものでは極めて低位で推移をしておりますし、また、担保によって債権は保全されているというように我々としては認識をいたしております。したがって、足元で金融機関全体の健全性を懸念しているという状況ではありません。  ただ、先生おっしゃるように、アパートローンというものにつきましては、これは不動産業者による持ち込みで持ってこられる話がほとんどですから、いわゆる家主、ローンの借り手ということになりますけれども、家主は、アパートがいいぞとかいう話で乗せられる話はよくある話なんだと思いますが、アパートというのは、借りてくれる人がいて初めて金が入ってくるわけなので、そういった意味では、空き室とか賃貸料とか、そういったいろいろなものを考えにゃいけませんので。そういったリスクを十分に理解していないおじさんなんというのはいっぱいいますよ。私どものところにもいっぱいいましたから。別に驚く話じゃないのであって、どこでもそういった話は、おいしい話というのはそういうものがついて回るのは当たり前の話なんですけれども。  そういったものに対しては、金融機関に対して、金融の貸す方としては、今後、貸している金利の上昇が考えられますよとか、また、賃料というものは低下するという面もあるわけなので、そういったリスクについて、融資を審査する際に、じいちゃんとかばあちゃんにちゃんと教えてやらぬと、極めて難しい、不親切ということにもなりましょうし、わかりやすく借り手に伝えているなどというのは、銀行人たちは忙しかったりなんかすると、それはよく読んでおけばわかりますなんていったって、読むのに虫眼鏡がなきゃ読めぬようなおじいちゃん、おばあちゃんというのはいっぱいいるわけですから、そういったものに対して、こういった貸出業務を運営するに当たっては、ちゃんと丁寧にやって、きちんとそういったリスクの話もするような指導をしてやるべきということは、我々の方から申しているところであります。
  116. 宮本徹

    宮本(徹)委員 だまされたという話もこの手の問題ではたくさん聞くわけですので、しっかり対策をお願いしたいと思います。  あと、きょうは国交省の藤井政務官にも来ていただきました。  住宅政策としても、今空き家がどんどんふえている、そういう中で、相続税対策ですよということでアパートをどんどん建てられているという状況があって、空き室の率もずっと高まっているという報道もあるわけですが、今これは率直に言って供給過剰になっているんじゃないかというふうに思いますが、国交省は現状をどう認識されて、どう対策を打とうとしているんでしょうか。
  117. 藤井比早之

    ○藤井大臣政務官 宮本委員にお答えいたします。  平成二十八年の貸し家の着工戸数は、四十一・九万戸、前年比一〇・五%増と、平成二十年以来の高い水準となっております。この増加の要因といたしましては、平成二十七年一月の相続税の課税強化に伴います節税目的での建設や低金利継続による影響といった見方がございます。  賃貸住宅につきましては、地域によっては空室率の上昇や賃料の低下といった状況も見られることから、今後、こうした市場の動向等を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
  118. 宮本徹

    宮本(徹)委員 見守るだけじゃなくて、住宅政策としてどうするのかというのは、やはり検討が必要だと思います。一方で空き家対策、空き家対策と言っているのに、どんどん野方図にアパートがふえて建っていくというのは、これでいいのかというのをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  いずれにしても、長期化している低金利政策は、銀行の経営ももちろんそうですけれども日本社会全体にいろいろなひずみを広げてきているというふうに思います。異次元の金融緩和路線は改めるべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。  次のテーマに移りますので、ここで、日銀、国交省、それから証券取引等監視委員会は御退席していただいて結構でございます。  続きまして、私も森友学園の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  二〇一六年三月十五日に籠池氏が財務省に来て理財局と面談した際の音声データ、録音、これが今報道されております。私どものところにもあるということで公表しておりますけれども、籠池氏がみずから録音したものということです。なぜ八億二千万円もの値引きが行われたのか真相を明らかにしていく上で、極めて重要な交渉の録音記録だというふうに思います。  この記録によりますと、理財局との面談の目的について、籠池氏はこう言っているんですね。今回お邪魔した主たる目的というのは何かというと、財務省の近畿財務局の方が、殻とか有害物質が入っている土を、もうそのまま埋め戻してほしい、運ばないで場内に埋め戻してほしいなんということが発生したと。これが三月十五日に籠池氏が財務局までやってきた目的だということをはっきりおっしゃっています。つまり、二〇一五年九月四日のあのペーパーですよ、財務省職員の指示で埋め戻された廃材等のごみについて、どうしてくれるんだ、これで来たわけですよね。その中で、籠池さんの奧さんからも、何でこんなので借地料を払わなきゃいけないんだという話も出されているわけであります。  この問題については、今週二十五日に同僚の宮本岳志議員が質問いたしました。この面談で財務省職員の埋め戻し発言について籠池氏側からクレームがあったのではないかと聞いたところ、佐川理財局長はこう答弁されました。本人の記憶では、新たに発見された埋設物への早急な対応についてそこでやりとりしたということで、そのほかにつきましては、具体的な内容等については記憶していないと。記憶していないということだったわけですね。  今までは、田村室長の記憶がないということで国会への説明というのは済まされてきたわけですけれども、しかし、この記憶を補う記録というのが今や明るみに出てまいりました。もう個人の記憶頼みではなく、真相究明できる段階に入ったんだというように思います。  まず、佐川局長に確認したいんですが、報道されている音声データが本物の記録かどうか、田村室長や同席した職員なりに確認されましたか。
  119. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  報道されていることにつきましては承知してございます。ただ、その音声の記録とされるものが実際どのようなものなのか私どもは承知していませんので、そういう音声の記録等につきまして、報道につきましてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  その上で、三月十五日の面談の御質問でございますので、ここについてお答え申し上げますと、私ども、籠池氏が昨年三月、財務省を訪問した際の面談の内容につきましては、実際に面会をしました、この審理室長に聞いてございます。それで、先方より、これまでの経緯についての説明があり、その後、新たな埋設物が発見されたので至急対応してもらいたい旨の要望がありまして、当方からは、事実を踏まえ法令等に従って対応する、引き続き、現地で近畿財務局が大阪航空局と連携して対応する旨対応したというふうに聞いてございます。  それ以外に、先日も宮本先生の方からありましたので、先方のこれまでの経緯についての説明の中で、地下埋設物の撤去に係る有益費の関係などにつきましても先方は言及されたかもしれないけれども、大きな話として、新たな埋設物の話についてそういうやりとりをしたということで、その他についての詳細、具体的な内容については記憶をしていないというような話でございました。
  120. 宮本徹

    宮本(徹)委員 コメントを差し控えたいという話じゃないんですよね。新たに音声データがこれだけ報道されているわけですよ。音声を聞かれましたよね、報道ステーションだとかメディアで流れた音声を、理財局長も。聞かれていないんですか。     〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  複数のメディアで報道されていることは承知してございますが、私もニュースで少し流れているのは聞いてございますけれども、音声も余りはっきりもしておりませんし、現実にそういう音声の記録というものがどういうふうに録音されて、どういうものなのかというのは私どもよくわかりませんので、各局が多分同じものを録音されているので、複数やっているだろうとおっしゃいましても、それは同じものをやっているんでしょうけれども、どういうものなのか承知してございませんので、報道、音声そのものについてはコメントを差し控えたいというふうに思います。  ただ、先生が先ほど御指摘になりました九月四日の記録について、埋め戻しがあったのではないかというようなことを、今、宮本先生御指摘になりましたので、その点について御答弁させていただきますと、その話につきましては、先般この委員会でも委員長の方から御指示いただきまして、近畿財務局の職員に私は自分で確認をしてございます。それで、産業廃棄物の場内処理を求めるような発言についての確認をしようということで私がしまして、近畿財務局の当事者に確認をして、そういう発言を行ったことはなかったということで、この委員会でもお答えをさせていただいている、こういうことでございます。
  122. 宮本徹

    宮本(徹)委員 報道を理財局長は聞かれたということですよね。  田村室長の声もはっきり流れていたわけですけれども、田村室長の声でしたよね。
  123. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  本人かどうかは全く私はわかりません。
  124. 宮本徹

    宮本(徹)委員 驚きの答弁ですね。  それで、本人には、この報道が流れて以降、確認したんですか。田村室長や同席した職員の方々に、何人も同席されているようですけれども、報道があった後、どうですか。
  125. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  三月十何日ですか、その三月の半ばの籠池氏が財務省に訪問した際の面談の内容については、ここで何度も御答弁申し上げますが、私は審理室長の方に確認をしてございます。  そういう意味で、先ほど答弁したとおり、室長の方から、先方から新たな埋設物が発見されたので対応してもらいたいと、当方からは法令に従って対応する、引き続き現地で近畿財務局と大阪航空局と連携して対応する、こう対応したというふうに聞いていると、ここで何度も御答弁させていただいているところでございます。
  126. 宮本徹

    宮本(徹)委員 全く説明になっていないですね。  今までの確認は記憶に基づくもので詳細はわからないというのをずっと、今週の火曜日まで、理財局長は答弁されていたわけじゃないですか。記憶以外のところは出てこなかったわけですよ、理財局長の答弁から。だから、もっと確認が必要じゃないかということを私たちはずっと質問してきたわけですよ。そして、記録が出てきた。  これは本人に、田村室長に聞けば、これが本物かどうかというのはすぐにできる話じゃないですか。なぜ確認しないんですか。
  127. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 御答弁申し上げます。  委員の御指摘は、報道されております音声の記録そのものについて、それが事実であって、そういうものを確認すべきだということの御指摘なのかもしれませんが、私どもは、そういう音声記録がどういうものなのか、どういうふうにでき上がっているものなのか、承知をしてございませんので、それについて確認をせよと言われても、ちょっとそういう確認は控えさせていただきたいというふうに申し上げております。
  128. 宮本徹

    宮本(徹)委員 そんなおかしな答弁はないでしょう。  同じことがありましたよ。九月四日の建設会社、業者がつくった打ち合わせ記録のペーパーがありましたよね。当時、理財局長は、同じような、どういう筋合いのものかわからないから私たちは確認しないというふうに言われていましたけれども、最終的には、委員長指示で確認されるということになったわけですよね。  委員長から指示が出れば、では、報道されている音声データ、これは本物かどうか、田村室長や職員にちゃんと確認されるということでいいわけですね。
  129. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  委員長指示というお話であれば、もう私が答弁する立場にはございませんので、そこは控えさせていただきます。
  130. 宮本徹

    宮本(徹)委員 委員長、九月四日のペーパーと同じ話ですよ。それよりももっと生々しいですよね。九月四日のペーパーは、音源はあるけれども、それを起こしたものですよ。今回は音源そのものですよ。メディアでもこれだけ流れているわけですから。  委員長指示していただけますか、理財局長に。田村室長や三月十五日の会議に同席していた職員の皆さんに、本物かどうか、確認していただく指示を出してください。よろしくお願いいたします。
  131. 御法川信英

    御法川委員長 この件については、後ほど理事会で協議をいたします。
  132. 宮本徹

    宮本(徹)委員 本当に、委員長から指示が出るまで調べようともしないというのは、私は公務員の姿勢としてどうかと思いますよ。  理財局長、当然、憲法を読まれたことはありますよね。私たち特別公務員も皆さんも、一部の奉仕者ではなくて全体の奉仕者なんですよ。全体の奉仕者の立場に立って、これだけ国民が疑念を持っていて、ここまで明らかになっているのに調べようともしないというのは、公務員になったときの初心に照らしてどうなのかということを真剣に考えていただきたいというふうに思います。  その上で、今回、表に出てきた音源というのは、佐川局長のこの間の答弁にもかかわってくるわけですよね。  二〇一五年九月四日の業者が作成した打ち合わせ記録について、この間の佐川局長の答弁は、全く承知していないということをおっしゃっておられました。しかし、音声記録は、三月十五日に籠池氏が田村室長に、この九月四日の打ち合わせ記録を渡して見せながら読み上げているんですね。映像はないですけれども、報道されている音源だけでもはっきりしていますよ。  改めて確認したいと思いますが、三月十五日の面談でも、この業者が作成した打ち合わせ記録というのは財務省側には渡されていない、手元にもない、全く承知していない、これが今でも理財局の認識なんですか。     〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
  133. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  何度も答弁をさせていただいておりますが、私は、昨年の三月に籠池理事長夫妻がお見えになって、うちの国有財産の審理室長に面会をし、会ったということをきちんと確認して、御答弁はしているところでございます。  その上で、その先方と当方のやりとり以外についても、先方からこれまでの経緯についてるる説明があったということについて、そこについても御答弁をさせていただいてございます。  そういう中で、今おっしゃった、その業者が作成されたとするメモ等につきましては、そういうことに関することも含め、具体的にどういう内容だったかについて本人に聞いてみたところ、詳細な記憶を持っていないということを御答弁しているということでございます。
  134. 宮本徹

    宮本(徹)委員 記憶を持っていないと本人は言ったわけですね、九月四日のメモについて。  ですけれども、音源記録を見たら、記憶がないどころか、渡されているのは確かですし、この間の理財局長の答弁というのは、九月四日のペーパーについては承知していないという答弁を繰り返してきましたよね。承知していないということを繰り返してきたわけですよ。承知していないどころか、渡されて、一緒になって読んでいるわけですよ。  籠池さんの音源、テレビでも流れていましたけれども、どういう意味かというと、そこに書いてありますよ。下から一、二、三、四、五、六、七、八、財務局。この打ち合わせ記録も、一、二、三、四、五、六、七、八、財務局。そのとおりですよ。そして、確かにこの八番目のところには、財務局の側が、場内処分の方向でお願いしますというふうに書いてあるわけですよ。  あの報道を見たら、これまでの理財局長の承知していない、財務省としてこのペーパーを承知していないというのは、全くのうそ偽りの虚偽答弁になったということじゃないですか。
  135. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 御答弁申し上げます。  先日、宮本岳志先生の方にも御答弁申し上げましたが、先方からの説明で、これまでの経緯についての説明の中で、地下埋設物の撤去に係る有益費の関係などについても言及されたかもしれないが、具体的な内容については記憶をしていないというのが室長の話でございました。  したがいまして、その九月四日の業者の打ち合わせのメモというものについて、そういうものに基づいて先方はお話ししたのかもしれません、その有益費の関係について。  しかし、そういうことも含めて、その中身について詳細については本人は記憶していないということでございます。
  136. 宮本徹

    宮本(徹)委員 だから、はっきりさせてほしいんですけれども、今、手元にない、記録は渡されていないということは、もはや全否定はできないということでいいわけですね。かもしれないとか記憶にないとかと言いますけれども、音源を見る限り、はっきり渡されていますよ。これは、手元にある可能性もあるということでいいわけですね。
  137. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  二十七年の九月のその業者が作成したとされるメモにつきましては、私ども、参議院と衆議院の財金の委員長から御指示を受けまして確認しておりますので、そういう意味では、当然、私ども、そのメモにつきましては見てございます。  ただ、その場で、その三月の時点で、籠池理事長御夫妻がお見えになったときに、うちの室長たちが向こうとの間で面会、会話をした中で、そういうメモについて、どういうふうに取り扱われたかについて、本人たちも詳細を覚えていない、こういうことを申し上げてございます。     〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 宮本徹

    宮本(徹)委員 結局、覚えていないとか記憶にないというので、言い逃れしてきただけの話じゃないですか。  今までの国会の説明と違う話になってきているわけですよ。覚えていないというだけで、実際はあったというのが、渡されているというのも、音源データではっきりしているわけですよ。  委員長指示を持たずに、自分のこれまでの国会の説明にもかかわる、矛盾する話なんですから、みずから調べようという思いを持たないんですか。
  139. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたが、その業者のつくったメモにつきましては、そういう意味では、委員長の方から御指示を受けて、私ども確認をしてございますので、もうその存在は当然知ってございます。  ただ、その三月のところでそういうメモがどう取り扱われたかについては、本人たちが覚えていない、こう申しているわけでございます。
  140. 宮本徹

    宮本(徹)委員 どこまで調べようとしないのかというのは、本当に国民の皆さんに対して、申しわけないという思いを持たないですか。  委員長、この点も、九月四日の面談記録を、二〇一六年三月十五日、籠池氏が財務局とお会いした際に渡しているというのは、音源データからもはっきりしています。これは渡されているかどうかというのもはっきり確認するように指示を出していただけるでしょうか。
  141. 御法川信英

    御法川委員長 理事会で後刻協議いたします。
  142. 宮本徹

    宮本(徹)委員 もう一点、お伺いしたいと思います。  音声データを聞いていますと、特例という言葉が何度も出てまいります。財務省の側からの発言でも、この件の経緯がね、貸し付けするってことが特例だったものでと言っているんですよね。籠池氏の側も、特例にしていただいたことは非常にありがたいことというふうに応じております。  確認しますけれども、森友学園への土地の貸し付けというのは、財務省としては特例だったという認識でよろしいんですね。
  143. 佐川宣寿

    佐川政府参考人 お答え申し上げます。  その音声記録についてのコメントは差し控えさせていただきますが、今おっしゃった特例処理のお話でございますが、説明をさせていただきます。  私ども、個別の普通財産の管理、処分につきましては、当然、国有財産法等に基づきまして、各財務局に分掌されているわけでございます。それで、各財務局におきましては、国有財産関連の法令あるいは通達に基づきまして、事案に応じて、もちろん適切に財産の管理、処分を行っているわけですが、案件によりましては、その法令、通達の適用に関しまして、各財務局から、私ども本省も相談を受けます、それは当然だと思いますが。  そういう中で、個別の事案、事情に応じましては、本省の承認を得て処理します特例処理という規定が通達上に定められてございます。したがって、その事案に応じて、通達に基づきまして、各財務局から本省に特例処理の承認申請を行って、その承認を得た上で処理を行っているということもございます。  それで、今御指摘の本件でございますが、本件は、通達上、貸付期間というのは通例三年以内というふうになってございますが、ただ、これは、通例の貸し付けでございますと、借地借家法上、借り主は貸し付けを継続するというのは可能でございます。したがいまして、貸付期間が延びていく可能性があるわけでございますので、私ども、この森友学園に対しましては、貸付期間中に確実に買い受けをしてもらおう、こう思ってございまして、そういう意味では、期間満了後に更地返還が必要になります事業用の定期借地とするのが適当だと考えてございました。  それで、借地借家法上、定期借地というのは、これは最短期間十年でございますので、そういう意味では、通達上、通例三年となっております貸付期間を、必ず十年後には更地で返してもらうという定期借地にするためには、通達上、特例処理という項目に沿って本省の承認が必要になりますので、本件の土地の処分につきましては、十年間の定期借地の契約とするということを、私ども本省において承認をしたというのを特例というふうに表現しているということでございます。
  144. 宮本徹

    宮本(徹)委員 時間が参りましたので、もっとたくさん質問したいことがあったわけですけれども、特例中の特例でやりとりをしていたというのは、この間の経緯を見てもはっきりしているわけですよね。特例的なものは我々のところにも相談が来ます、こういう事実を踏まえてどうしたらいいのか、これはちゃんと検討しますとかいうことでやっているわけですよ。  しかも、音声記録では、繰り返し籠池さんの側からは、昭恵夫人の方からも、たしかここも聞いてもらったこともあると思いますけどと、自分のバックには安倍総理夫人がいることも何度も示唆している、そうやって交渉しているわけですよね。  ところが、この間の同僚議員の質問に対して、総理夫人の話を出されたんじゃないかと聞いても、田村室長に聞いたけれども、記憶にないと言っていると。およそ信じられないですよ。  結局、バックにそういう方がいるんだということをそんたくして、八・二億円引きという特例をしていったということなのではないかというふうにますます疑念が深まらざるを得ないわけです。  当委員会にて、田村室長及び籠池前理事長に話していただかなきゃいけないというふうに思いますので、委員長参考人招致を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  145. 御法川信英

    御法川委員長 後刻理事会で協議をいたします。  時間が来ておりますので。
  146. 宮本徹

    宮本(徹)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  147. 御法川信英

    御法川委員長 次に、丸山穂高君。
  148. 丸山穂高

    ○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。  きょうは銀行法の改正の質疑だと思うんですけれども、改めて確認するんですが、銀行法の改正の質疑だと思いますので、次に一般もありますし、そこでしっかりやっていただければいいと思うんですけれども、時間を食っておりますので、私の方はしっかりと銀行法の方を確認していきたいというふうに思います。  まず最初に、今回の改正、いわゆるフィンテック対応する形での改正、法制度の整備ですね、電子決済等代行業者、いろいろなものがあると思うんです。例えば、今、国民の皆さんに身近なものとすれば、スマホに、家計簿アプリみたいな形で、パスワード等を入れると自動的に口座の動きを確認して、アプリで表示される。  私も、便利なので実は使っているんですけれども、本当に便利でして、カード決済、またあとスマホの、シャリーンと、iD、あとSuicaみたいな形で、決済したものが全部そこにまとめられて、しかも、家計簿も、昔だったら、これは食費でこれは交際費でみたいなものを自分で分けなきゃいけないのが、自動的に振り分けてくれる。間違いがあれば、自分が修正すれば、それは後々にその修正は反映されて、何カ月かやれば、その月の全ての自分の、大体幾らぐらいこれに使った、ここは使い過ぎたなとか、ここは大分節約できたなみたいなのがわかる、非常に便利な時代になっているんです。  一方で、それは、全部、個人情報も漏れる可能性があるというのと同義なので、非常にこれに対して、国としてもきっちり確認していかなきゃいけないという趣旨は重要だと思いますし、我が党としても、これは賛成していく立場でございます。  ただ、細かい部分も含めて、では、この法の改正の趣旨等がどのようなところにあるのかは詳しく聞いていかなきゃいけないと思いますので、以下、るる聞いていきたいと思います。  まず最初に、今回の法制度の整備は、国内、海外も含めて、事故とか、今申し上げたような何か問題が発生をして今回の改正となっているのか、つまり、立法事実はどこにあるんですかというところの改めての確認なんですけれども、こうした事故や問題発生といったものを認識されているでしょうか。もしありましたら、その立法事実としての具体例を挙げていただけますでしょうか。お願いします。
  149. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、海外で申しますと、例えば米国で、大手銀行が顧客情報の保護を理由に顧客のパスワードを使用する業者のアクセスを一時的に遮断するというトラブル事例があったというような報道を承知しておりますが、我が国におきましては、幸い、これまでのところ大きな問題が顕在化したという事例は承知しておりません。  ただ、電子決済等代行業に該当するサービスにつきましては、利用者は、銀行口座に関するパスワードなどの重要な認証情報を業者に取得、保有させる場合が多く、顧客情報の漏えい、認証情報の悪用等のセキュリティー上の問題がないかというような不安が指摘されているところでございます。  また、業者による決済指図の不適切な伝達等による決済リスク、あるいは業者からのアクセスの増大に伴う銀行システムへの過剰な負担の可能性など、決済、銀行システムの安定性に与える影響についても指摘があるものと承知をしております。  さらに、電子決済等代行業者にとりましても、現在のようにスクレーピングという手法で接続をしますことには、APIによる場合に比べまして業者のコストが増大する場合も少なくないと承知をしておりまして、そういったさまざまな指摘を踏まえ、今回、利用者の保護を図りつつオープンイノベーションを促進するということで法案を提案させていただいたということでございます。     〔委員長退席土井委員長代理着席
  150. 丸山穂高

    ○丸山委員 なるほど。  大臣、ちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど来、具体例も挙げましてフィンテックのお話をさせていただき、私なんかは家計簿アプリを使っているんですが、余り麻生大臣が家計簿アプリを使われている姿は想像できないので、恐らくそういうふうなものはお使いになったことはないんじゃないかなと思いながら、ただ、その他、今回登録制になるような電子決済代行業といったサービスというのはるるあると思うんですけれども、こうしたものを利用されたことがあるかどうか、もしくは、されたことがなくても、こうしたものに対する印象、まず大臣としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えいただけますでしょうか。
  151. 麻生太郎

    麻生国務大臣 年をとってきますと、大体行く店も決まっていますから、大体これで終わりです。したがって、こういうのを使ったことはほとんどありません。現金を払ったこともほとんどありません。大体、後でみんなツケが回ってくるものだと思っています。  そういうものだと思っていますので、余りないんですが、ホテルなんかで使うときがあるし、いろいろなことに使うことがあるんですが、私どもは、こういったサービスというのは間違いなく普及してきますよ、人手が足りないんだから。どんどんどんどん人が足りなくなってきたら、銀行なんかでどんどん回っているよりは、これでやった方がよっぽど速いから、間違いなくそうなってくるんだと思っていますので。  私どもが一番気にするのは、便利というのは、裏にはそれを悪用する人がいるという前提で、ある程度、法律をつくるときに考えておかないと、後で、えらいことになったという騒ぎになってから、ちゃんと取り締まりの法律をつくってなかったじゃないかと言われるのは大体こっち側ですから、我々行政側としては、必ずそう言われますので、そこのところを考えて法律というのはある程度つくっておかないといかぬ。  それを余り締め過ぎると発展しないじゃないかという話を先ほどしておられましたけれども、それも事実なので、そのバランスをどれくらいとるかというところが一番難しいところだと思っております。
  152. 丸山穂高

    ○丸山委員 さすが大臣、格好いいですね。ツケでということですね。おもしろい御回答だったと思うんですけれども。私なんかの若い議員だと、なかなかツケでというわけにはいきませんし、いつもので通るのは、この下の、分館のあかねのカレーぐらいで、いつものと言うといつものカレーの種類が出てくるんですけれども、それぐらいなんです。  しかし、いろいろなサービスがある中で、この電子決済のサービス、特に若い人を中心に、非常に使っている人がふえていると思います。年齢のことをおっしゃいましたけれども、まさしく、使用者の年齢分布、民間研究を見ますと、若い人が多いですよね。そういった意味で、今後の、さらに変わっていく、若い世代が使い始めた技術だというふうに思うんです。  ただ、一方で、欧州等を見ますと、先んじて進んでいる国もありまして、日本の制度と少し違う部分もあるので、そういった部分を少し詳し目にお伺いしていきたいんです。  先ほど挙げた欧州だと、銀行もそうなんですが、電子マネーの事業者も、そして今お話ししたような決済サービスの提供者も、全部免許制だということなんですが、一方で、日本は、銀行は免許制ですね、でも、今回の決済事業者は登録制にするという違いがあるわけで、この辺の違い、日本がこういう形にした理由、もしくは、他国との比較の点でどのように理解すればいいのか。  また、特にこのフィンテック世界も、国際金融世界も、非常に急速な勢いで国際化というのが進んでおりますけれども、これらのあり方について、将来的に整理をされていく、統合も含めて、統合というか、ある程度近い形の制度にしていくような流れにもなり得るのか、そのあたりも含めて、役所としてどのような見解でいらっしゃるか、お答えいただけますでしょうか。
  153. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  決済サービス分野の法制につきまして、御指摘のとおり、我が国では、銀行は免許制、資金移動業者や前払い式支払い手段発行者は登録制とされておりますのに対しまして、御指摘のありました欧州の決済サービス指令におきましては、決済に係ります横断的法制の整備が図られておりまして、その中では、銀行も電子マネー事業者等の決済サービス提供者も、いずれも免許制とされているところでございます。  この点につきましては、例えば、欧州の決済サービス事業者は取扱金額の上限なく送金サービスを営むことができるとされているのに対しまして、我が国の資金移動業者は一定額以下のサービスに限って営むことができるようにされているなど、日本と欧州では、そもそも各業者に認められている業務の内容や範囲が異なるという点がございますので、必ずしも欧州と同一の参入要件を措置しなければならないというものではないと考えております。  他方、例えば、今後ITの進展などに伴いまして、異なる規制領域にある業務が、IT技術を用いて実態上極めて近似した機能を提供するようになるということも想定されるところでございまして、そうした場合に規制が区々となっておりますと、利用者保護上の問題が出たり、利用者利便、あるいは事業者のビジネス選択にゆがみを生じさせたりするということになるのではないかという指摘もあると承知しております。  また、我が国の決済事業者が、仮に、今後サービスの国際的な展開を志向していくという可能性を踏まえてまいりますと、決済に係る規制体系についても国際的な視点を持つことが重要ではないかという指摘もあろうかと考えます。  したがいまして、金融庁としましては、決済業務等を取り巻く環境変化が進む中で、まずは今回の法案により制度を整備することが重要と考えておりますが、今後、ITの進展等の環境変化はさらに進むことが想定されるところ、それらに対応するための法制のあり方については、引き続き幅広く検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 丸山穂高

    ○丸山委員 本当に変化が激しい世界ですので、しっかりこれに対応していただくことが重要だと思います。  ちょっと脇道にそれちゃうかもしれませんけれども、この間、質疑させていただいて、早速、金融庁も確認いただくという話をいただいた、例のオークションサイトでの現金の出品とかそういった部分に関して、ヤフーオークションとかメルカリといった最大手もしっかり取り組んでいまして、現金も見つけ次第削除する、そして、ICカード、Suicaみたいなものも削除するみたいな話が出て、やっているんですね。  しっかりやっているんですけれども、すごく変化の激しいインターネット上のオークション取引なので、それが削除されたら次はパチンコの交換景品が出てきたり、あとは、お札をオブジェみたいな形に折って、現金を折って作品だみたいな形で出品したり、本当にあの手この手で、何か最近は領収書まで売り出して、買った方は領収書を何に使うんだみたいな、非常に変化の激しいイタチごっこの世界でもあるなというふうに思いますので、このフィンテック世界も、サービスによってはこういった規制が必要になるものも出てくると思います。そういった意味で、登録制にしていくというのは、一つ非常に大事な観点かなと思いますので、流れに合わせた一つ一つ対応をお願いしたいと思います。  ちょっと脇道にそれちゃいましたが、フィンテック自体は、銀行業だけじゃなくて、保険もそうです、証券もそう、先ほどの貸金業のお話もそうですけれども、さまざまな金融業の形態との融合が想定されるというふうに思います。今回、銀行法の改正ということでございますけれども、他業も含めた法整備とか規制の今後のあり方については、政府としてどのようにお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
  155. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  現状におきましては、ITを活用しました仲介サービスというのは、我が国においては特に決済の分野においてさまざまな業者が登場、拡大しているという状況にあると考えております。  加えまして、こうした決済に関連しますサービスが適切に提供されない場合には決済の安定性が害されるということになりますことから、今回の法律案では、特に決済、その中でも、特に重要な役割を担う銀行等の預金取扱金融機関と接続してサービスを提供する業者について制度整備をさせていただくということで御提案を申し上げているところでございます。  例えば、証券会社などの他の金融機関ITを使って仲介をするサービス業者については、その接続の状況などについて今後とも注視をしていく必要があると考えておりますが、同様の法制を整備する必要があるかどうかということについては、そうしたサービスの実態や、あるいは利用者保護の要請が、この決済の安定性と同様に、そういう要請が強いものがあるのかどうか、そうしたことも総合的に踏まえてそれぞれに検討、判断していく必要があるというふうに考えております。
  156. 丸山穂高

    ○丸山委員 これも、その場の状況に応じてまた見ていくということだと思いますので、しっかりお願いします。  今回のこの代理業者との、まあ銀行ですかね、契約締結のための基準作成は、個別行ごとに、銀行ごとに課せられているという制度のたてつけになっていますけれども、国の方で一律に、大体こういうものでしっかりしてくださいねというふうな形にしなかった理由は何でなんでしょうかね。基準が銀行ごとに差が生じてしまったら、セキュリティー面もそうですし、個別行できちんとそういった基準を定めることもやはりコストがかかるし、負担にもなるところなので、そういった意味で、非常にコスト面とかセキュリティー面でも問題が生じかねないかもしれないなというふうに考えるんですけれども、そのあたりについてもどうお考えですか。
  157. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  電子決済等代行業者との契約に係る基準の詳細の内容について、仮に一律に定めることとしますと、各銀行がそれぞれの経営方針などに基づき戦略的に対応していくことの妨げとなり、イノベーションを場合によっては阻害し、また、かえって銀行電子決済等代行業者の連携、協働が図られないことになる可能性があると判断をしたところでございます。  他方で、御指摘にありましたように、各関係者が定める基準に不必要に過度なばらつきが生じますと、フィンテック企業に過大な負担を強いるということになるおそれもあろうかと考えます。  このため、例えば、特にばらつきの生じかねない、御指摘にもありました情報セキュリティーに関する基準などにつきましては、現在、全銀協にオープンAPI検討会という組織が立ち上がっておりますが、銀行のほかフィンテック事業者の関係の方も参加していただいております。そちらの方で、情報セキュリティーなどの基本的な考え方、あるいはAPIの仕様の標準化について議論をいただいております。  また、金融情報システムセンター、FISCと呼んでおりますが、そちらを中心に、業界団体等の関係者におきまして、銀行がAPI接続先の適格性を審査する際に使用するチェックリストについて標準化などを図ることについての議論を行っていただいております。  こうした関係者による議論を通じまして、必要な範囲で一定の共通化が図られていくということが適切かと考えておりまして、そうした方向で進んでいくことを期待しているところでございます。
  158. 丸山穂高

    ○丸山委員 国の方で一律に決めるんじゃなくて、業界団体等でしっかりやっていくことで、個別行のリスク、コスト面も含めたそうしたものを減らしていくというのは非常にいい流れだと思いますので、しっかり連携してやっていただきたいと思います。  ちょっと、二つほど細かい話を聞いておきたいんですけれども、今回、銀行代理業者が行う変更届け出義務の緩和のところで、政令事項になっているんですよ。現行でも、銀行業の出張所の設置等は例外規定になっていますけれども、同じように、そういった届け出義務の緩和について設けるという想定をされているということでいいんでしょうか。内容についてお伺いしたいんですけれども
  159. 池田唯一

    池田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、今回の法律改正案におきましては、銀行代理業者の営業所の位置を変更した場合の届け出に係る規定を緩和することとしております。  これは、これまで、銀行の営業所につきましては、増改築その他のやむを得ない理由により一時的な位置変更を行う際には届け出は不要としてまいりましたが、銀行代理業者については、同様の規定が存在しない結果、一時的に位置を変更した場合、変更する際とまたもとに戻る際と、両方で届け出が求められるという結果になっております。  したがいまして、今回、銀行代理業者につきましても、銀行の営業所と同様、そういった届け出を不要にしようと考えております。具体的には、御指摘のとおり、内閣府令に譲られておりますので、現在、銀行について内閣府令で規定されていると同等の規定を銀行代理業者についても設けるということを考えているところでございます。
  160. 丸山穂高

    ○丸山委員 あともう一つなんですけれども、今回、銀行等で、少しお話のありましたオープンAPIの体制整備の努力義務規定が設けられていますけれども、これを見ていますと、施行から二年以内に行うべきという形であって、二年というのは、何で二年だというのがぱっと見たときに思ったんですけれども、この期間の設定はどのような理由でされているのか、お伺いできますか。
  161. 池田唯一

    池田政府参考人 オープンAPIの導入につきましては、銀行等におきましてシステム上の対応が必要になるところでございます。銀行等からは、その対応に二年ないし三年程度が必要だという声が寄せられていたところでございます。  こうした状況のもと、銀行等におけるオープンAPIに向けた体制をできるだけ早期に整備するため、公布から一年以内において政令で定められる日が施行日とされておりますので、その施行日から最大二年間を要すると判断し、御指摘のような規定とさせていただいたところでございます。  なお、これは期限でございますので、こうした期限を待たずに、オープンAPIの整備が可能な金融機関においては、できるだけ早期に体制整備を行っていただくことが適当であると考えておりまして、そうした動きを期待しているところでございます。
  162. 丸山穂高

    ○丸山委員 二年というのは、あくまでも二年なんですけれども、もっと早くできるところはやってほしいということだと思いますので、それができるような環境整備をやることが法律を定めた方の仕事でもあると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  細かいところをるるお伺いしてきましたが、最初に申し上げましたとおり、我が党としても、これはしっかりやるべきだというふうに考えていますので、ただ、運用の仕方次第では少し、御指摘もありましたけれども民間のイノベーションを阻害しかねないというのは確かなところだと思いますので、そのバランスをとりながら運用をよろしくお願い申し上げます。  大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、非常に、この間の法案もそうでした、まばたきを一回している間に何百回という高速取引をできるような時代になっている。今回も、家計簿みたいに、昔は鉛筆なめなめつけていたのが、決済を全部自動化して、全部出るような時代になって、それがもう国際的に恐らくなっていく、決済取引はさらに、フィンテックという形で、想像もできないような恐らくイノベーションがあるかもしれない、非常におもしろい時代になってきたなというふうに思うんですけれども。  こうしたフィンテックの今後のあり方も含めて、麻生大臣、どのようにお考えかを最後にお伺いして、終わりたいというふうに思います。
  163. 麻生太郎

    麻生国務大臣 このファイナンシャルテクノロジー、略してフィンテックというものが、いわゆる金融ICTとをうまいこと結んで、金融というものの将来的姿というのは、ちょっと我々の想像をはるかに超えて大きく変わる。我々の想像できるところで、支店は多分激減して、ATMとスマホがあれば支店はほとんど要らないというような話になるというところぐらいまでは想像はできますけれども。  いろいろなものがもっと、若い人の間でイノベーションとして、使える業者がどんどん入ってこられるということになるんだと思うんですが、日本の場合は、特に、銀行というもののシステムとしては、これはほぼ完璧なぐらいによくできていますし、また、お札というものに対する信用がやたら高いですから、新券をもらった方が、お金がちょっと値打ちがあるようなものをもらったような気になる国なんというのは日本ぐらいで、普通は、大体、汚い札をもらった方が、これは流通した比率が高いということは、間違いなくこっちの方が信用があるお札、そうやって考えるのが、私のように低開発国に長く住んでいると、そういうのは覚えますよ。新券をもらうと、大体こうやって、別のお札を要求されますから。そういった国と全然違う国なんですよね、日本の場合は。  したがって、これがどれくらい発達するかというのは、ちょっと、信用がある分だけ、その分だけ、別に困っていませんから。ほかの国は、振り込んでも信用ができないから、みんな現金をトラックに積んで持ってきて、自動小銃を持った者を後ろに座らせて、両方でお金を勘定して、偽札が何%出るかという。あのような現場に長くいた方からすると、これは日本の場合は、むしろ発達してくるのは遅いよ、信用がある分だけ遅いよという感じがするので。遅い国の方が、大きなお札がありませんでしょうが。五百とか百とかいうのじゃなくて、全部二十しかないというお札は、それは、それ以上つくると偽札がふえるからというので、そういったところは多分、こういったものは物すごく普及していくんですよ。だって、信用ができないんだから。  だから、そういうところに比べれば、頭を使う方面が必要だからというのと、こっちは別に、便利だなと思っているのと、それ以上のあれをというのでいくと、どうしても若い人に、生産性を上げてくれ、これを使って生産性を上げてもらわなきゃいかぬのだということを刺激するというのが、我々にとっては大きいかなと思って、丸山さんなんかの世代が頑張らないかぬところです。頑張ってください。
  164. 丸山穂高

    ○丸山委員 非常に示唆に富んだお話だったと思います。信用の話、おもしろいですね。やはり、おっしゃるとおりだと思います。日本の場合は、逆に、現金に信用があり過ぎるがゆえに、今回のような電子取引というのが、実はほかの国よりスピードが遅くなる懸念があるというのは、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、金融庁の方は、どうしても、規制官庁なので、促進というのは苦手だと思います、やるよとおっしゃるのかもしれませんが。苦笑いされていますけれども。  しかし、一方で、規制の側じゃなくて促進の側の省庁もあるわけで、総務省にしても経産省にしても、そして何より、民間でできることは民間でですから、それを阻害しないような制度づくりをしていくというのが、一番、最も大事な部分だと思いますので、そういった意味で、しっかりとやっていただくということを期待申し上げまして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  165. 御法川信英

    御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  166. 御法川信英

    御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  銀行法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 御法川信英

    御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  168. 御法川信英

    御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、土井亨君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。木内孝胤君。
  169. 木内孝胤

    木内(孝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     銀行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 本法に基づく制度の運用に当たっては、情報通信技術の急速な進展等を踏まえ、金融機関金融関連IT企業等との適切な連携・協働の推進及び利用者保護の観点から、実効性のある検査及び監督体制整備すること。    その際、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の整備に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  170. 御法川信英

    御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 御法川信英

    御法川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣麻生太郎君。
  172. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  173. 御法川信英

    御法川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 御法川信英

    御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  175. 御法川信英

    御法川委員長 次回は、来る五月九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会