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神山(洋)
委員 ここで金額の多寡であるとか中身の是非を別に議論しようと思って実は聞いたわけではないわけですが、先ほど来の話もありますように、物事は何でもそうですけれども、いろいろなことのレベルを上げていこうとすると、どうしてもその分野は細分化をしていくことになろうかというふうにも思うわけです。恐らくこれから、特に予防という領域は、
強化をしていくのであれば、場合によっては
予算の立て方とか考え方とかそういったところにまで
影響し得るのではないかというふうにも思いますので、柔軟にそこはこれから考えていただきたいと思うんです。
ここまでは前提とさせていただいて、ここからが実は本論であります。
先ほど来の話でいう事前
防災のところ、具体的に言えば、
災害が起きることが非常に、確かであるとまでは言えないけれども確実性が高くなってきたときに、いかなる対処をするかということ、これが近年一つ私は
課題になっているのではないかなと思います。
その話を具体化するために、私の
地元で、これはもう二年前になりますが、
大臣も神奈川でいらっしゃいますのでよく御承知かもしれませんが、二年前に箱根の大涌谷で噴火をするのではないかという話がありまして、非常に
地元では大きなインパクトがあって今なお受けとめられているという事例がありました。その事例を引き合いにして、こういうことを考えなければならないんじゃないかという議論をさせていただきたいと思っています。
きょう、お手元に資料をお配りさせていただきましたが、一枚めくっていただいて、二枚目の年表みたいなところを少しごらんください。
もう間もなく二年になろうとしていますが、二年前のゴールデンウイークのこれは最終日でした。朝起きたら、気象庁が、箱根火山とここは書いてありますけれども、箱根山の噴火警戒レベルを二に引き上げましたというニュースが、枕元で私の携帯がブンブン鳴っていて入ったということを今でも覚えております。気象庁が警戒レベルを上げたことを踏まえて、ここでいうと箱根町が主体になるんですが、町が大涌谷
周辺に立ち入り規制をしいたというのがゴールデンウイークの最終日でありました。
いろいろここには書いてありますが、五月六日のその事態の後、一カ月半ほどたったところですが、今度は六月の三十日、これは非常にごく小
規模な、噴火といっても、一般で言う噴火というよりは、いわゆる水蒸気爆発でぽんといった、学術上は噴火というカテゴリーに入るという意味でありましたけれども、小
規模な水蒸気噴火があって、今度は警戒レベルが、二を三に気象庁が上げ、今度はそれを受けて箱根町が立ち入り規制範囲をさらに広げたということになります。
このゴールデンウイークの終わりの
段階からそうですけれども、非常に報道も殺到しまして、ちょうどゴールデンウイークであり、それから夏に向かっていくという
状況の箱根、ここにお集まりの
委員の
方々も一度ぐらいはもしかしたらお越しをいただいたことがあるかもしれませんが、観光客がウナギ登りにふえていく局面で実はこうなったというところで、まあキャンセルの山でありまして、キャンセル率九十何%とか。
事業者は、もちろん雇用も抱えていられませんので一時的に帰宅をしてもらうということもありましたし、シンボリックに言えば、有名なあの大涌谷の黒卵屋さんは、そもそも黒卵をつくっているところが規制をしているど真ん中でありますので、生産すらできませんし、販売することはもちろんできないし、仮に売ったところでお客さんは来ないしということで、もうどうにもならぬという
状況に実はなっていったわけです。
もちろん、火山の恵みである噴煙であるとか、場合によっては温泉であるとか、そういったものから、自然の営みを享受しながら観光地として
形成をされてきた
地域でありますので、
地域の方はもちろんそのリスクはわかっているし、それが全て誰かのせいだとか、誰かに何とかしてくれということはおっしゃっていない。もちろん、当然でありますが観光客の安全が第一であるがゆえに、規制をしくとか、そういったきちんとした情報提供は大事だよねということで、かなりそこは密にやっていらっしゃったなという印象が実はあります。
ただ、これは実は非常に長くなったわけです。結果的には一年ぐらい続きました。そのときにやはり問題になってくるのは、例えば規制の範囲ということ一つとっても、もっと小さくていいんじゃないかとか、もっと大きくなきゃいけないんじゃないかといういろいろな議論があるわけです。
先ほどの予防という観点に戻って考えれば、危険性をあらかじめ除外するために予防措置をとる、私はこれは正しいと思うんです。しかし、では、その予防をどの程度やるか。でき得るだけ保守的に予防しようとしたときにはどうなるかといえば、より長期に規制をする、より広範囲に規制をするということに当然なるわけです。しかし、そのことと付随をして、長期に規制をし広範囲に規制をすればするほど、
地域の
生活、経済、雇用、具体的に言えば町の財政も含めてですが、非常に大きな害を及ぼす、マイナスの
コストが出てくるというのは、これは必然的にそうなるのかなというふうに思うわけです。
裏を返すと、ここで
大臣とこの後議論させていただきたいのは、予防措置をやればやろうとするほど、より広くやろうとするほど、より保守的にやろうとするほど、当然そこには誰が負担するかは別として
コストが
発生をする。方針として予防を
強化していこうということは私は正しいと思っています。しかし、それをより
強化をしようとすればするほど、その
コストを一体誰が負担をするべきなのか。今回の事例でいえば、それは全部
地域であり、
地域の
事業者であり、町民が負担をするべきということで果たしていいのだろうかということは、実は、少し私は問題意識を持っています。
今までの政策の領域の中では余り議論されてこなかった中ではあるわけですが、ここで結論めいたことには至りませんが、まず問題意識として、
大臣、ここは共有をいただけるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。