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2017-04-14 第193回国会 衆議院 厚生労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月十四日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 丹羽 秀樹君    理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君    理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君    理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君    理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君       赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君       穴見 陽一君    井上 貴博君       江渡 聡徳君    大隈 和英君       木内  均君    木原 誠二君       小松  裕君    佐々木 紀君       白須賀貴樹君    新谷 正義君       田中 英之君    高橋ひなこ君       谷川 とむ君    冨岡  勉君       豊田真由子君    中川 郁子君       長尾  敬君    丹羽 雄哉君       福山  守君    古川  康君       堀内 詔子君    務台 俊介君       村井 英樹君    山下 貴司君       阿部 知子君    大西 健介君       岡本 充功君    郡  和子君       中島 克仁君    長妻  昭君       初鹿 明博君    水戸 将史君       横山 博幸君    伊佐 進一君       角田 秀穂君    中野 洋昌君       高橋千鶴子君    堀内 照文君       河野 正美君     …………………………………    議員           初鹿 明博君    議員           井坂 信彦君    議員           阿部 知子君    議員           水戸 将史君    厚生労働大臣       塩崎 恭久君    厚生労働大臣      橋本  岳君    厚生労働大臣      古屋 範子君    厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君    政府参考人    (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君    政府参考人    (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君    政府参考人    (厚生労働省社会援護局長)           定塚由美子君    政府参考人    (厚生労働省老健局長)  蒲原 基道君    厚生労働委員会専門員   中村  実君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   秋葉 賢也君     木内  均君   穴見 陽一君     佐々木 紀君   木原 誠二君     井上 貴博君   務台 俊介君     古川  康君   初鹿 明博君     横山 博幸君 同日  辞任         補欠選任   井上 貴博君     木原 誠二君   木内  均君     秋葉 賢也君   佐々木 紀君     穴見 陽一君   古川  康君     務台 俊介君   横山 博幸君     初鹿 明博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案初鹿明博君外六名提出衆法第七号)  介護障害福祉従事者人材確保に関する特別措置法案初鹿明博君外六名提出衆法第八号)  厚生労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  去る四月十二日の当委員会運営につきまして、円滑なる運営とならなかったことは、まことに残念に存じます。まことに申しわけございませんでした。  私といたしましても、今後、円満な委員会運営に努めてまいりますので、委員各位におかれましても、御協力をよろしくお願い申し上げます。      ————◇—————
  3. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 厚生労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長神田裕二君、職業安定局長生田正之君、社会援護局長定塚由美子君、老健局長蒲原基道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。
  6. 大西健介

    大西(健)委員 おはようございます。民進党の大西健介でございます。  今冒頭委員長から、一昨日の閣法の採決についての発言がございました。  私も正直びっくりしました。介護を受けている方々はもちろんですけれども、その御家族皆さんを含め、非常にその方々にとって死活的なこの法案について、質疑を一方的に打ち切って強行的に採決をしたというのは、私は言語道断だというふうに思います。これまでの与野党間の協議に沿って、予定どおり、きょう、我々が提案している対案とともに採決をしていただければ、これは穏便に済んだ話ではないのか。それを、何でこんな荒っぽいことをしなきゃいけないのか、私は全く理解に苦しみます。  それどころか、今回は、私たちも最初から反対ありきではなくて、私たち考え方対案という形でしっかりとお示しした上で、そして修正協議可能性も探りながら、丁寧に協議を進めてきたつもりであります。しかし、一方的にその信頼関係をぶち壊す暴挙に対しては、私は残念な気持ちでいっぱいであります。  さらに、田村理事は、その理由として、柚木委員が対総理質疑冒頭法案関係のない森友学園についての質問を行ったことを挙げていますけれども、このことは私は言いがかりだというふうに思います。こんな質問は……(発言する者あり)静かにしてください。委員長、注意してください。
  7. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。
  8. 大西健介

    大西(健)委員 こんな質問はやるなということ自体が私は質問権の侵害だというふうに思いますし、総理にとって嫌な質問をするなら質疑を打ち切るなんということは、めちゃくちゃな話だというふうに思います。  私は予算委員会理事ですけれども……(発言する者あり)
  9. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。
  10. 大西健介

    大西(健)委員 それを言うんだったらば、それを言うんだったらば、約束どおり、ちゃんと予算委員会集中審議を開くという約束を与党は守っていただきたいというふうに思います。国会運営までもが安倍総理にそんたくして行われるということは、これは私は立法府のこけんにかかわる問題だというふうに思います。  まず、委員長に、二度とこのような委員会運営を行わないことをぜひ重ねてお願いして、質問に入らせていただきたいというふうに思います。  まず、介護分野人手不足に関して質問したいというふうに思います。  私の地元は、愛知県の西三河地域自動車産業が盛んな地域でありますけれども、今、自動車産業製造業も大変な人手不足です。多くの部品関連企業下請企業自動車業界が好条件求人を行うために、介護業界人手不足というのは、私は、ほかの地域よりも逼迫した状況にあるというふうに思っています。直近の介護有効求人倍率も、愛知県は五・六二という非常に高い数字を示しています。  資料として今皆さんのお手元に、ある大手部品メーカー期間従業員求人広告をお配りしました。まず時給を見ていただきますと、時給は千四百二十円です。残業手当や深夜手当を加えると月収三十万円を超えるということであります。加えて、契約更新謝礼金、それから、勤務月数掛ける一万円の生産協力金というのが払われます。さらに、正社員登用制度もあるということで、大手がこの条件求人をかけると中小は全く歯が立たないということを、私もしょっちゅう地元でこういう声を耳にします。同じ製造業でも中小では非常に人材確保が困難になってきている。こういう中で介護はなおさらのことであります。  そして、介護保険には、こういうこともあるので、人件費が高い都市部地域では報酬に上乗せする地域区分という制度があるんですけれども、この上乗せ率というのは、国家公務員の給与の地域手当基本に決められているということであります。したがって、この求人広告にもある安城とか刈谷とか碧南というのは私の地元地域なんですけれども、この地域地域区分でいうと六級地。六級地ということで上乗せ率が六%ということになっているんですけれども、一方で、東京二十三区は一級地上乗せ率が二〇%。  私の感覚でいうと、先ほど言いましたように、私の地元東京と差がないぐらい介護人材確保が困難な地域だというふうに私は感じています。そこで、この国家公務員地域手当に準拠した地域区分というのは実態を反映していないのではないか、これは算定の仕方の見直しが必要ではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  11. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 この地域区分でございますけれども人件費地域差介護報酬に反映するものでありまして、公平性客観性観点から、国家公務員そして地方公務員地域手当に準拠するということを原則として、今日まで運用をされてまいりました。  一方で、隣接地域設定状況等によっては柔軟に対応をしているルールがございまして、具体的には、平成二十七年度改定におきまして、地域手当設定のない地域地域手当設定がある複数地域隣接をしている場合、そういう場合には一定程度引き上げるということや、平成三十年度改定において、地域区分の高い地域に囲まれている場合に一定程度引き上げるということを認める予定でございます。今後も、必要に応じて、審議会意見を踏まえて適宜見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。
  12. 大西健介

    大西(健)委員 今大臣が答弁していただいたのは、例えば多摩地域とか、そういうところで、今言われたように、隣接地域地域区分の指定を受けているけれども受けていないところがある、そういうところは柔軟に考える、こういうことはしていただいているということですけれども、先ほど言ったように、私の地元地域時給千四百二十円ですよ。さらにそういうお祝い金とかがつくということですから、これは、やはりもっと考慮していただかなきゃいけないんじゃないか。  例えば、二級とか三級に指定されたというならまだわかるんだけれども、六級ですよ、六級地。本当に東京と変わらないぐらい人手不足なんですよ、みんな自動車産業に行っちゃうわけです。ですから、トヨタ関係のラインで働くところに人が流れちゃうので人が確保できないんですよ。だから、こういうところはちゃんと、もっと柔軟にその地域事情に応じた地域区分というのを私はやるべきじゃないかと。  そもそも、これが国家公務員地域手当に準拠しているという考え方自体が私は明らかに実態と離れているというふうに思いますので、この点は、今、隣接区のところについて柔軟なことを考えていただいているということですけれども、こういうところがあるんだということを、ぜひこれからも検討していただきたいとお願いをしておきたいというふうに思います。  こういうふうに、介護事業者側も、人が集まらないので、ハローワークで募集しても人が来ない。だから、派遣会社に頼らざるを得ない状況があります。  そこで、まず、全国で働く介護職員のうち、今、派遣社員の方がどれぐらいの割合いるのか、これは事務方からお答えいただきたいと思います。
  13. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答え申し上げます。  派遣会社により提出された事業報告書の集計結果によりますと、二十八年六月一日現在、介護サービス職業に従事する派遣労働者全国で一万五千四百三人となっております。一方、厚生労働省介護サービス施設事業所調査推計によりますと、平成二十七年十月現在、介護職員は全体で約百八十三万人でございます。  若干時点は異なりますけれども、これらの数字から派遣労働者割合を機械的に算出いたしますと、一%弱になっている、こういう状況でございます。
  14. 大西健介

    大西(健)委員 今一%というお話でしたけれども、私もちょっといろいろ調べてみたら、もう少し高い数字を挙げているところもあったようであります。  私は、これはちょっとふえていくんじゃないかなということを思っていて、それは一つには、今言っているように、非常に求人が逼迫しているということであります。  もう一つは、資料の二ページ目をごらんいただきたいんですけれども介護の現場では、正社員より派遣で働いた方が得ということが、一般的にそういう話が出回っている。  この資料は、リハートサポートという、看護師とか介護職求人サイトに載っていた記事ですけれども、これを読んでいただくと、派遣の方が給料が高いだけではなくて、例えば派遣会社はしっかり残業代も算定して請求する、だから、派遣の人にはなるだけ残業をさせないようにするというようなことがあるので、残業もしなくていい。つまり、派遣の方が正社員よりも給料も高いし責任も軽いみたいな、こんなことになってしまっている。  これでは正社員のモチベーションが上がらないというふうに私は思いますし、派遣会社に払うマージン、これはマージンですから、単に派遣会社が、言葉は悪いですけれども、ピンはねというかマージンを取るわけですけれども、本来これは処遇改善に充てられるべきであって、公費保険料利用者負担で賄われている介護保険というものに、そもそもこの人材派遣というのはなじまないんじゃないかというふうに思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  15. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 派遣についてのお尋ねでございますけれども介護分野において、派遣で働く方と正社員のいずれの賃金が高いか、あるいは、いずれの責任が重いかといったようなことについては、これは事業所によっていろいろ異なるんだろうというふうに思いますので、一概には比較はできないということだろうと思います。  労働者派遣事業は、働く方が希望する仕事を迅速に確保いたしまして、また、有利な条件を実現できる面もあるわけであります。今御指摘のように、コスト高になるという側面がある場合もあるということで、私自身も、実際事務所派遣の方に来ていただいたときに、結局コストが高いなと思ってやめた経験がございます。  また、介護事業所にとって、直接雇用するよりも割高になったとしても、今御指摘がございましたけれども、そうだとしても、むしろ迅速に労働力確保できるというところを評価して、労働者派遣を利用することにメリットがある、そう考えられる方々もたくさんおられるというふうに私どもは思っています。  介護派遣が正式に許されるようになったのは平成十一年、ネガティブリスト化をした以降ずっと可能になっているわけでありまして、したがって、今申し上げたように、メリット、デメリットいろいろあるわけでありますけれども介護業務労働者派遣制度対象となっていること自体は否定をすべきではないというふうに考えているところでございます。
  16. 大西健介

    大西(健)委員 今大臣が何か事務所の話をされましたけれども、民間と違うのは、まさにいつも言われるように、公費保険料利用者負担で成り立っているわけですよ。そこから派遣会社マージンを払うということが本当にいいのか。限られた保険財政、その中で処遇改善もままならないと言っているのに、そこから何で派遣会社に払ってやる必要があるんですか。私は、やはりこれはそもそも派遣というのになじまないというふうに思います。  次に、本委員会における審議の中で、介護保険サービス受給者所得だけを基準にして考えるのではなくて、例えば家族構成なんかも考慮すべきじゃないかという意見は、複数委員から出ていました。先日、参考人質疑の中でも、例えば一人っ子同士夫婦両方の両親四人を介護しなければいけないみたいなことが起きているんじゃないかというような話がありました。  もともと介護保険制度そのものが、介護を受ける人に着目して、そこにどれだけのサービスが必要かという視点でつくられているので、私は、家族介護する側の視点というのがどうしても欠けている部分があるんじゃないかというふうに思います。  介護保険制度設計当時では、まだ家に元気な主婦がいて、経済的にも豊かであった、そういう状況の中で制度設計が行われたというふうに思いますが、ここ二十年で家族のあり方というのも非常に多様化して変わってきている。そういう中で、先ほど申し上げましたように、一人で複数介護をしているような、多重介護というのが起きてきているというふうに思います。  この多重介護のケースでは、仕事が続けられなくなって、経済的にも困窮するおそれがあります。介護者に対して、こういう多重介護について経済的な支援をするような考え方があってもいいのではないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。
  17. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今の大西委員から、制度設計をされた、私も当初からかかわってまいりましたが、状況が随分変わっているということは御指摘のとおりだと思います。  去年の年金の審議の際にも、高齢化が進む中で、所得が低い独居の方々がふえるとか、いろいろな議論をしていただきましたけれども、そういう意味で絶えず見直しをしていくということは大事なことだということで、全く大西委員問題意識を共有させていただくところでございます。  今、多重介護の問題について御指摘をいただきました。  それに対する、介護者に対する経済的な支援という御指摘でございますが、介護を行う家族に対する支援という点については、市町村が、介護保険事業として、家族に対する慰労金等の贈呈とか、あるいは介護知識技術等に関する研修、あるいは介護者同士交流会の開催などをもって意識共有をするとか、それから、昨年度は、ケアマネジャー研修でも家族介護者への支援に関する内容を強化しているわけであります。さらに、今後、私どもも、地域包括支援センターにおいても家族相談支援の強化に取り組むということにしているわけであります。  なお、介護保険利用者負担というのは、介護をする家族ではなくて、高齢者個人所得に応じて負担割合が決められる仕組みになっております。そして、世帯の中で複数の方が介護サービスを御利用される場合であっても、世帯ごと所得に応じて一カ月の負担上限額設定しているというような、指摘のような御家族の場合でも一定の配慮は現制度のもとでもなされているところでございます。  なお、冒頭申し上げたように、変わり行く状況の中でどうすればいいのかということについては絶えず考えていかなければいけないというふうに思います。
  18. 大西健介

    大西(健)委員 先ほども言いましたように、例えば一人っ子同士夫婦であった場合に、両方の親ということは一遍に四人ということだって理屈の上ではあり得る。ですから、やはりそれは介護を受ける人の所得だけに着目していたのでは私はだめなのではないかというふうに思います。  それから、複数介護を必要とする家族の生活を支えながら自分も生活していくということになれば、これは肉体的にも精神的にも非常に負担が重い。もちろん、先ほど言いましたように経済的な負担も重いです。そうなると、もう自分のことは何もできなくて、ひたすら介護だけに縛りつけられる、私の人生って一体何なんだろう、この親さえいなければという気持ちが芽生えてしまうということにもなってしまうかもしれません。それが虐待や介護殺人につながっていくというおそれがあると私は思います。  この点、イギリスでは、介護者が要介護者から離れるレスパイトの機会社会参加を得る機会権利として認めて、その権利支援するためのケアラー法介護者支援法を制定しています。我が国においても、そろそろ、介護する家族の側の視点に立って介護者支援法というのを制定してはいかがかと思いますけれども、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今、イギリスケアラー法についての御指摘をいただきました。  このケアラー法では、介護を行う方が介護能力等についてのアセスメントや介護者向けサービスを受ける権利を有することなどについて規定をされているものと理解をしておりまして、我が国介護保険制度では給付の対象者として要介護者等を位置づけておりまして、例えば、要介護者がショートステイなどの介護サービスを利用することによって本人やその家族支援を受けるという形になるわけでございます。  介護保険制度における家族の位置づけということにつきましては、さまざまな議論を経て現在の形となっておりまして、現在、見直すことは検討課題としては持っていないわけでございますけれども介護を行う家族に対する支援重要性はそのとおりでありますので、そういうことに鑑みて、これまでさまざまな取り組みはやってまいっておるわけでございます。  具体的には、介護知識技術等に関する研修とか介護者同士交流会市町村介護保険事業としてそういったものを開催しておりますし、ケアマネジャー研修においても、家族負担ということ、それから家族の方が介護をする意欲などについて、モニタリング手法等を講義あるいは演習をするというようなこともやってきているわけであります。  いずれにしても、家族によく目配りをしながら、介護がうまく回っていき、当事者の方にとってより自立に近づくようになるようにしていくことが大事ではないかというふうに思います。
  20. 大西健介

    大西(健)委員 今の御答弁の中では、現状では、家族の側に立ったということは、施策ではやるけれども、そういう法律というのは考えていないということでありましたが、私は、やはりそろそろそういう時期に来ているんじゃないかと。  先ほど多重介護の話をしましたけれどもダブルケアという問題があります。ダブルケアというのは、子育て介護を同時に抱えている状態ダブルケア自体は昔からあるんですけれども、この言葉ができたのは大体二〇一二年ごろというふうに言われています。  一九七五年の女性の結婚年齢平均二十四・七歳、第一子の出産年齢は二十五・七歳でした。それが二〇一四年には、それぞれ、二十九・四歳、三十・六歳。第一子を出産するのが三十歳を超えてくるということであります。子育ての次に介護という順序が崩れて、子供が幼いうちに介護に直面しなければならない状態が起こっているということであります。  私ごとで恐縮ですけれども、私の父親も七十五歳です。今のところ元気ですけれども、いつ介護が必要になるかわかりません。私のうちも実はまだ七歳と三歳の子供がいるんです。ですから、このダブルケアというのは他人事ではないというふうに思っています。  内閣府の調査によれば、ダブルケアを行う者の推計人口は約二十五万三千人、そのほとんど、八割が三十代、四十代の方です。  資料をお配りしましたけれども新聞記事です。これはソニー生命保険が先月発表した調査結果です。  ダブルケアに必要な費用は月平均で八万一千八百四十八円。ダブルケア世帯にとっては、介護支援子育て支援になる、子育て支援介護支援になるということであります。そういう意味では、子育て支援という観点でも、私は、ダブルケア世帯に対して、先ほどの話じゃないですけれども経済的支援というのが考えられるんじゃないかというふうに思っています。  また、経済的支援以外にも、例えば横浜市では、ダブルケアサポート横浜という団体が、ダブルケア体験談や役立つ情報アドバイス等をまとめた冊子を作成して配布したり、当事者同士座談会情報交換の場を設けて、相談機会確保を行っているということであります。  国レベルでも、こうしたダブルケアというものに焦点を当てた施策が私は必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  21. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今、育児と介護ダブルケアというのがふえているという御指摘がございましたが、身体的な負担のみならず、精神的にも経済的にも負担になる、あるいは、それに加えて、仕事、働くことについても影響を受けるという、さまざまな不安の原因にもなり得るのがこのダブルケアではないかということで、きめ細かな対応をしていくことが大事だということは、今お話のあったとおりだと思います。  このダブルケアの問題に対しましては、保育や介護サービスを量的にまず拡充していくということ、それから、小規模多機能型の居宅介護のような柔軟なサービスを普及させていくことによって対応していくということがまず基本だろうというふうに思います。  それに加えて、介護、育児をあわせて相談をできる窓口があるべきだと思いますし、地域ダブルケア経験者にアドバイスをしていただけるような横展開の仕組み、あるいは介護、育児もあわせて支援サービスが受けられるような場所、そういったようなことを期待される声というのがふえているわけであります。  だからこそ、私どもは、我が事・丸ごと地域共生社会づくりということを申し上げているわけでありますし、それから、介護事業所と保育園を併設する、合築する、そういう場合には、一定の場合に職員の兼務とかあるいは設備の共用などが可能であるということを明確にしたガイドラインについての周知を今図りつつあって、一体的にサービスを提供することは極めて重要だというふうに思っています。  経済的な負担についての御指摘がございまして、これにつきましては、保育の利用者負担というのは、世帯所得に応じてきめ細かにまず設定をされている。その一方で、介護保険利用者負担は、介護する家族ではなくて、高齢者個人所得に応じて負担割合が決められておりまして、現在でも必要な配慮を行っておりますけれども、今のような、年齢構成がだんだん上がってきているという中でダブルケアがふえていくことについて、今後もきめ細かな対応を心していかなければいけないというふうに思います。
  22. 大西健介

    大西(健)委員 私は、やはりダブルケアというものに焦点を当てた施策が必要だと思います。  というのは、今、少子化対策だといって子供を産んでくださいと言っているわけじゃないですか。例えば、親の介護でもう手いっぱいになっていて、経済的にも介護にお金がかかる。それから、おじいちゃん、おばあちゃんの介護をしなきゃいけない。いや、こんなので子供を産めるんだろうかという人がいるわけですよ。ですから、子供を産んでくださいと言っているけれども、産めない状態なわけですよ、介護をやっていたら。  だけれども介護をしつつ、ちゃんと妊娠、出産ができるような環境を整備するという意味では、私は、このダブルケアというのは、ちゃんと子育てをできるような環境を整備するという意味では、ここに焦点を当てるということは必要だと思います。実際に横浜市さんではそういうような取り組みをなされているわけですから、こういうことも参考にしていただいて、ぜひ国の方でも考えていただきたいというふうに思います。  きょうは、介護する家族への支援という観点質問させていただいていますが、同じ観点で続けて質問したいと思います。  地元を回っていますと、時々こんな声を耳にします。自分は、自分の親を施設に預けるんじゃなくて、自分の手で介護したいというふうに思う、でも、外部サービスを利用すれば介護保険から費用が支給されるのに、自分でやると、何もとは言いませんけれども自分の労働の部分というのは、何もこれは支援がないというのは不公平じゃないか、こういう声を聞くんです。  この点、家族介護者がいる場合には、介護保険サービスを使わないので、その分、現金給付を行ったり、家族自体をヘルパーとして雇ったと考えて賃金を払ってはどうか、そういう意見があります。こういうことは、実際、お隣の韓国だとか、またドイツなんかでは行われているんですね。我が国では、現金給付が認められないことで施設介護に過大な需要を発生させているという見方があります。  これも先ほどのダブルケア記事の次の新聞記事を配っていますけれども家族介護の現金給付は、一般的に、介護保険サービスよりも安価に設定される。ドイツの場合には大体六割ぐらいということであります。  ですから、確かに、介護保険スタート時点ではこれは見送ったわけですけれども、現在のように介護保険利用が進んだ段階においては、現金給付を認めた方がトータルでの介護費用を安く抑えられる可能性もあるというふうに思います。  ちなみに、前回の選挙で生活の党さんが介護者への現金給付というのを公約に掲げています。我が国でも、介護者への現金給付を選択、あくまで選択できる。自分介護したいので、家族介護したいんだという人は現金給付を選択できるという道をそろそろ開いても私はいいんじゃないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
  23. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 これは、大西先生、先ほどの、制度設計をしたころに大議論になりました。今御指摘のように、ドイツでは現金給付を認めたわけでありますけれども、以前にも申し上げたとおり、介護保険を保険として導入すべきかどうかというときに問題になっていたのは、一つ介護地獄。つまり、お嫁さんがおしゅうとさん、おしゅうとめさんの面倒を家庭でもう張りつきになって見させられるということをどうするか、この地獄からどうやって救うかということが一つ。もう一つは、老老介護で、御夫婦で二人とも介護が必要、片一方の重い介護が必要な人が介護をされる、その介護をされる方も高齢でかなり厳しい。  そういう中で、現金給付をすることをどうだろうかというので、介護社会化する中で、やはり、まずは現物給付でいくということをやって、この介護地獄やあるいは老老介護からの解放というものを図ろうじゃないかということになったというふうに思っております。  もし、家族介護を行うことへの支援というふうになるということで現金給付を行うことになりますと、介護保険料が増加をすることになることが見込まれる中で介護費用がさらに増大する。家族介護を担う、そのことを固定化する。今回、育児休業を二年に延長する際に、女性に育児を固定化してしまうんじゃないかという御指摘もありました。介護ではないことに使用をしてしまう現金給付をどう考えるのかといったようなこともありまして、慎重に検討をすべきだろうというふうに思っているところでございます。
  24. 大西健介

    大西(健)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私はきょう、ダブルケアの話とか、介護者支援の話とか、今の、介護する者への現金給付の話とか、それなりに提案をさせていただいたつもりでございます。  ぜひこういう提案も真摯に受けとめていただいて、制度設計当時と大分状況が変わってきている。ですから、いろいろな意味で、これは与野党を超えてしっかり議論をしていきたいというふうに思っています。  資料の最後につけましたけれども、これは、愛知県の奥三河地域の東栄町というところで、町内に三カ所しかない施設が一カ所なくなってしまった、これは前回の介護報酬のマイナス改定のあおりでこうなっている。それから、この四月からは総合事業が完全移行になっています。  多分、地域、特に地方、ここにしっかり目を当てていかないと、東京都心部と地方では、当たり前ですけれども、全く介護を取り巻く事情が違うんです。ですから、私たちは、本来、地方公聴会を開いて、そして地方の声をしっかり聞いてこの法案審議を行うべきだと言ってきましたけれども、それが行われないまま採決されてしまったことは、非常に残念だというふうに思います。  きょうも、まだまだ質問を残しています。本当はもっともっと質問をさせていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  25. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、柚木道義君。
  26. 柚木道義

    柚木委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。  冒頭委員長からも、前回の委員会運営につきましては、まことに申しわけなかったというお言葉がございましたので、そこは私たちとしてもしっかりと受けとめさせていただいて、先ほど大西委員の方からも、そこは御指摘をさせていただいたわけでございますが、もちろん、それぞれの考え、お立場があります。あるいは、表ではなかなか申し上げられない筆頭間のやりとりもあります。  そこは認識の違いはあると思うんですが、一つだけ共有させていただければありがたいのは、これは質問権の、触れていただいたんですが、もちろん程度の問題はあるんですけれども、やはりそこは、それぞれが与党、野党を経験して、総理入りの重要広範の際にも法案以外のことの質問というのは、実は自民党さんも野党時代にされておられます。それも含めて、もちろん程度の問題はあると思いますが、この質問をしたらもういきなり採決だというのは、そこはやはり、ちょっと切り離してお考えをいただくということが私も必要だと思っておりまして、委員長から、そのようなことのないようにというお話と、申しわけないという話がありましたので、そこはしっかりと受けとめさせていただいて、質問に入らせていただければと思います。  そして、法案審議でございまして、ちょうど大西委員が、最後、ダブルケアの問題をかなり詳しくやっていただいて、これはもう大臣はお気づきのように、私もきょう、まだ短くしかその問題をできていなかったので、かなり重複しておりますので、そこから入った方が、多分まだ頭の中にダブルケアのことがあると思うので、重複部分は余りないような形で、財源の部分についてのやりとりも若干させていただきたかったものですから、通告できていないような範囲については御所見で結構ですから、ちょっとダブルケアの問題に先に入らせていただければと思っております。  大西委員が七歳、三歳のお子さんとあったんですが、我が家は六歳、三歳でございまして、二〇二五年問題、これは団塊世代の方が全員七十五歳以上に入る、我が家の両親がちょうど二〇二五年に七十五歳ということでございまして、これは本当に人ごとではなくて自分のこととして、以前、母親が倒れて、国会に向かっていたんだけれども、飛行機も乗らずに飛んで帰ったみたいなことを少し申し上げた記憶もあるんですが、そのとき、本当に思いました。もしそれで後遺症等が残って、今、私、弟、妹がいますけれども、それぞれもう結婚して県外に出ているものですから、私も同居はしていないものですから、あしたからどうしようとか、本当に思ったんですね。  そういうことも含めて、人ごとではなくて、やはり私も、祖父母の介護を両親が育児をしながら、仕事をしながらやっている姿を見てきて、これは二〇二五年問題も含めて、要介護者の方は本当に、少し前の調査からいえば一・五倍増ぐらいになっていく。そして子育て、これはまさに待機児童問題の取り組みも含めて、非常にまだまだ乗り越えていかなければいけないハードルが多い中で、このダブルケア対策、先ほど大西委員から、やはり経済的な支援、やりとりがあったと思うんですね。  では、その経済的な支援を行っていく上で、どのような支援のあり方があるのかということを、少し具体的に、まあ、この間、大臣とはやりとりさせていただいてきた部分もあるので、多少それのおさらいにもなるんですが、ちょっと私なりの提案を申し上げさせていただいて、大臣の御所見をまず伺いたいと思うんです。  実は先ほどの大西委員資料と全く同じ資料を、私も四ページ目につけさせていただいておったんですね。やはりこの年代はみんな、心配する、気になることは同じなのかなと思いながら同僚委員質問を聞いていたんですが、親の年金も含めて、そういったことで賄い切れる、そういう方がではどれだけいるのか、あるいは、どのようなそういう意識を持っているのかのところについては、赤線を引かせていただいております。これは、六一%の方が親の年金や預貯金から支出しようと考えているが、経験者で、それで全額を賄えたのは、その三分の一程度の二一%、自分世帯の収入から全て払っている人は八・七%。だからこそ、一番ニーズとして高いのが経済的支援ということでございます。  そこで、私の方からは、これは実は、消費税が八%、そして今後一〇%となっていく中で、総合合算制度という、いわゆる負担上限制度でございます。医療、介護はもとより、子育て、あるいは障害に関するさまざまな支出を、一定程度の支出を設定し、それを超えたら無償化をしていくという制度で、例えば三百万円であれば三十万円以上トータルでかかれば無償化されていくとか、そのような仕組みなんです。  私はやはり、まさに子育てから老後の安心までをパッケージでの、そういう負担上限制度の創設というのが、実はこの介護保険制度の、我々が法案対案として出した、利用抑制がかかったときの調査大臣も何度も御答弁いただいている、影響を多角的に分析をして対策を講じていく、そのときにその影響が出ているのであれば、では、その対策をやはり前倒しで検討を講じながら、場合によっては、制度の持続可能性、財源を担保するために、利用負担の引き上げの議論というのはあり得ると思うんですが、その対策の中に、やはり利用抑制の先に、場合によっては家族介護負担増大、介護離職、もっと先にはもっともっと深刻な事例になりかねない中で、そういった歯どめとなる負担上限制度の創設を、私は非常に一つの大きな対策として考えていくことが可能だと思っております。  その点について、まず総合合算制度負担上限制度、これはもちろん、制度設計はまだまだ生煮えの状況でありましたから、今後いろいろなバリエーションがあり得ると思うんですが、このダブルケア対策の経済的支援としての総合合算制度負担上限制度についての有効性は十分認められると私は思いますが、大臣、その点も含めて、どのような経済的支援があり得るか、改めて御答弁いただけますか。
  27. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 これは一体改革の際に、軽減税率か、総合合算か、給付つき税額控除でいくか、この三つの選択肢が議論になって、結果として軽減税率ということで私どもはさせていただいているわけでありますが、いずれにしても、一体改革で俎上に上がったメニューの一つとして、今、総合合算制度どもあるわけであります。  育児と介護ダブルケアがふえているということは、先ほど大西委員とのやりとりの中で、私どももその問題意識は十分持っているということでありますが、保育の利用者負担世帯所得に応じてきめ細かに設定をされている、一方で、介護保険利用者負担については、これは家族ではなくて高齢者個人所得に応じて負担割合が決められていて、一号被保険者の配偶者がいるような場合には若干の配慮がある、こういうことだと思います。  今、総合合算制度などについての新たな、言ってみれば、経済的な支援を考えるべきじゃないかという御提案をいただいているわけでありますけれども、保育・介護分野において、このような、現在でも必要な配慮を今申し上げたようなことでやっているわけでありまして、今後もきめ細かくやっていかなきゃいけないかなというふうに思っております。  医療と介護については上限が設定をされているわけでありますけれども、今、育児と介護ダブルケアについては、今申し上げたような背景で成り立っているというふうに思っております。  ダブルケアとなっている方に対するきめ細やかな対応としては、当然いろいろあるわけでありますけれども地域包括支援センターにおける家族への支援の強化に平成二十九年度予算から取り組むことにしています、これは土日とか電話相談とか、そういうことでありますが。それから、ダブルケアを含む、地域や個人が抱えるさまざまな生活課題を、地域住民と行政などが協働するという意味において、我が事・丸ごとの包括的な、縦割りではない支援体制づくりというものを地域地域で色を出しながらおつくりいただく、そしてこれをまた政府としても応援していくということを今考えているところでございますので、そんな中で、今御指摘をいただいたようなダブルケアの問題について、今後ともよく注意をしながら検討していきたいというふうに思います。
  28. 柚木道義

    柚木委員 ぜひ、これは二〇二五年になってからではあれなので、二〇二五年に向けて、先ほども、早く対策を講ずることをというお話があったとおりで、やはり今からそのような施策をどんどんどんどん前倒しでやっていくことで、初めてその先、二〇二〇年、二五年の段階で、そういう意味での対応の実効性も上がると思いますから、これはぜひ関係部局が連携をして、もちろん省庁も含めて連携をしての取り組みをお願いしたいと思うわけです。  ちょっと財源論という意味で、総合合算制度というのは、当然、一体改革の中で消費税だったわけですね。けさの新聞報道等にもたくさん取り上げられておりますが、自民党さんの中で、人生百年時代の制度設計特命委員会、これは小泉進次郎議員が事務局長でいらっしゃって、各紙、きょうも出ていまして、日経が一番詳しかったので、ちょっと私も日経をコピーをとってきたんですけれども、財源という意味で、ちょっと大臣に、大臣の個人的なお考えも含めてでいいので、御所見をいただければありがたいんですが、このこども保険という考え方一つ考え方だと思います。小泉議員のコメントをかりれば、自民党さんは教育国債、民進党こども国債、国債VS国債の構図だった、その姿を一変させたとコメントされているんですね。  一変させることも別に結構ですし、大いに私は、実は、次の総選挙がいつあるのかわかりませんが、消費税の引き上げ、二年後の秋に向けて、もう来年の今ごろは、まさにどうするかということも決めていかないと、予算編成もある、そういう中でやはり財源論に真っ正面から向き合っていく、そういうことは非常に重要だと思います。  私は、このこども保険というものを、別に、全部がいい、全部が悪いということではございません。むしろ、機会があれば、この勉強会にも伺って話を聞いてみたいと思うぐらい、自民党さんの中でも熱心に議論がされておられるというふうに拝察をいたします。  ただ、問題点として、ちょうどこれは報道もありますが、子供さんがおられる、おられない、その中で、保険料を一律、これは勤労者と事業者の保険料率をそれぞれ当面〇・一パー引き上げ、自営業者などの国民年金加入者には月百六十円負担を求める内容となっておりますが、これは、保険料をちゃんと納めている、納めていない方も含めて、当然、公平感の部分については論点があるところだと思います。  伺いたいのは、こういった総合合算制度も含めて対策を講じていくときに、これを税という中でやるのか。税の中にも、もちろん消費税以外のあり方もあります。それから、保険料としたときに、さまざまな保険料がありますから、この自民党さんのこども保険の制度設計が、私もきのうちょっと勉強させてもらいましたが、詳細に承知しているわけではありませんが、どの保険料を、どれだけ、どういう方々に御負担をお願いしていくのか、それぞれ論点があるわけですが、大臣として、もちろん所管の大臣としてのコメントでも結構ですし、個人的な見解も含めて、この財源調達の部分について、私は、もちろん総合合算制度は消費税が前提だと思っていますが、いかがでしょうか。
  29. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今回、自民党の中で、きのう第一回目の会合があった、小泉さんたちがいろいろな提案をしていることについて議論するという会が始まったということでありますが、今御指摘のこども保険の問題については、やはり一つ大事なことは、子育て支援社会全体で支えていくという考え方は私どもとしても大変大事だし、そして、財源が絶えず問題になるわけでありますから、それについての大胆な提案をするということは、前向きに評価をしているわけであります。  一方で、この間の諮問会議でも出ましたが、やはり、保険という形にした場合の保険料を、どなたがどういう形で負担されるのかというようなことが、いろいろな意見があって、経済界からはかなり慎重な意見が出ていたというふうに理解をしています。  したがって、どういうふうに具体的に組み立てていくのかということについては、やはりこれから本当に議論をしていただいて、あの一体改革のときと同じように、いろいろな選択肢を考えながら、新しい発想も含めて、しっかりと子育て支援社会全体で守っていくんだということをやっていく。  そして、当然その際に、その他の社会保障やいろいろな政策課題を、では、それとどうリンクをしていくのかということを同時に考えていかないと、何か一つだけ見ても、きっと、必ずしも全体としての正解にはならないかもわかりませんから、しっかりこれは議論を深めていただけたらありがたいなというふうに思っているところでございます。
  30. 柚木道義

    柚木委員 私も御答弁と共通する認識です。  そういう中で、では、そうはいっても、自民党さんの中での議論ももちろんしっかりなされると思うんですが、もともと社会保障・税一体改革は、もちろん、当時実際に担当された田村大臣もおられるんですが、社会保障制度改革国民会議の中でさまざまな議論があって、もちろん有識者の方にもお入りをいただいてということだったんです。  ちょっと私も直近の状況を正確に把握している自信はないんですが、これは設置期限の部分も含めて、これはやはり今後、この国民会議なのか、あるいは、それをさらにリバイスして、もちろん、この会議は消費増税を一体改革で前提とした会議でしたから、そういうことに限定するのではなくて、財源調達のあり方、もちろん各党それぞれのお考えがありますから、税なり保険料なりその他なりありますから。  ただ、まさに二〇二五年に向けての、あるいは高齢化がピークアウトしていくもっと先に向けての財源調達の議論からは避けられない話でありますので、ぜひそういったことを、これはもう本当に超党派で議論ができるような受け皿があることによって、政権が仮にどういう状況になっても、そこでの議論はしっかりと担保された状況議論が前に進んでいくというような受け皿をやはりつくっていくことが、政策の実現可能性を飛躍的に高めていくことにつながると私は思うんです。  ぜひ、国民会議という事例を出しましたが、そのような財源のことを議論できるような受け皿を、有識者の方も入っていただいて、特定の財源に限定しちゃうと超党派になりづらくなりますからね、それは、そういうことをもう少し幅広に議論できるような、まさに国民会議的な受け皿をつくっていく必要性、有効性を私は認識しているんですが、大臣、そういう受け皿があれば、このような財源論の議論も進むと思うんですが、ちょっと御所見を、もしよかったらお述べいただけますか。
  31. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今、新しい国民会議的な会議体をつくって、英知を集めていろいろな議論を、特に財源についての幅広い議論をしたらどうだという御指摘がございました。  これはもう一人の政治家として、そういう前向きな提案をされること自体は、しかと受けとめないといけないと私は思いますが、すぐれてこれは政治的な問題だろうというふうに思いますので、そこはそれで議会人として、どういうふうに政党を超えて考えていくかということはよろしく御検討いただきたいと思いますけれども、政府としては、やはりこれは、社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえてプログラム法というのが制定をされております。その中に検討課題があるわけでありまして、それをしっかりと対応していくということが、まず、政府は法律によって、法律に従って対応する立場でございますので、そのことをやっていくということが大事で、これは年金のときにもありましたが、柚木委員からもたくさん、その中にある宿題をたくさん提起をいただきました。そういう問題についても、まだまだ決め込まれていない問題として残っている宿題がございますので、そういうようなことを、しっかり私どもとしても考え方を整理しながら、どうするかということを考えてまいりたいというふうに思います。
  32. 柚木道義

    柚木委員 二年後の消費税一〇%がどういう扱いになるのか、これも、正直見通せない部分も私は感じています。その結果、仮に財源が担保されないということで、年末のまさに介護報酬、診療報酬同時改定もあるわけですが、別に負担増がいいとは私も正直思いません。選挙も不利です。しかし、その財源が調達されないことで必要な介護が受けられない、ダブルケアで大変な状況になっていく、待機児童問題が解消されないということであっても、これは直らないと思っておりますので、この財源論をしっかりと、国会の場はもとより、先ほど申し上げた国民会議的な受け皿も含めて、やはりその中での議論も、有識者の英知もというまさに御答弁いただいた部分を、私は個人的にはぜひ進めていくべきだと考えておるところでございますので、一政治家としてもしっかり、大臣等の答弁としても、受けとめなきゃいけないとありましたので、そこはぜひ今後、建設的なやりとりを引き続きさせていただければと思います。  そのまま次の通告のとおり参りますが、在宅における要介護認定者の負担能力も含めた実態調査の実施について、これは私もこの間、資料のちょうど次の五ページ目に、二割負担者、一割負担者の介護サービス利用状況について、ちょうど三月三十日に、質問の直前に、私がここに座っているときに手元に届いた資料を紹介させていただいたんですが、これ、上側を見ると、一割から二割になって、いわゆる利用抑制が十六万七千百六十三人。四十万人強のうちの四割、利用抑制ということなんですが、その中で、では在宅の要介護認定者の方がどの程度おられるのか、どうなのか。  これは当然、要介護認定を受けたお年寄りの方の中で二割負担となった方の中には、施設利用料が二倍になって補足給付から外れる、二重の負担、これは初鹿委員も再三取り上げておられました。自宅におられる配偶者の方、介護をされるお子様、その世帯の家計が圧迫をされる例が複数というか、多々あるということも紹介、共有されました。  特に、在宅で介護サービスを受けている方の中には、二割負担になったためにサービスを減らしている例、これはさまざまな介護相談を受けられている方から直接私もお聞きした話でございますが、サービスを利用することを諦める、そういう方が本当にどんどん出てきていて、そして、ではその分、誰が介護を担うのか。当然ながら、これは御家族の方ということでなっておられます。その結果として、やはり介護離職あるいは介護休業がふえている。これは本当に、私も現場の方から、そういう実態をお聞きしてまいりました。  これは、在宅サービスが、ある意味、減少となっていく今後の方向の中で、ますます御家族方々負担、経済的あるいは身体的あるいは心理的な負担がふえていく。その結果が、まさに過去最悪を更新している高齢者虐待とか、あるいはもう本当に悲しい実例としての介護殺人、心中、この間も御紹介をさせていただきました、その原因にもなっているというのも、これは実際に、そういう事例を直接対応されてこられた方々の声でございます。  これはもう制度が始まって十七年、利用者の八割を占める在宅の認定者の実態調査については、実はそこに特化しての調査はないというふうに認識をしておりまして、これはぜひ、今回、まあ、法案採決は前回あったわけですが、やはり三割負担、この実施前に、少なくとも在宅の認定者の負担能力、自己負担能力も含めた実態調査をぜひ行っていただきたい。  この間の積み重ねてきたやりとり、その真価が問われる答弁だと思いますので、大臣、ぜひお願いを申し上げたいんです。利用者の八割を占める在宅認定者の実態調査、これを、三割負担を行う前に、在宅認定者の自己負担能力も含めた実態調査をぜひ行っていただきたい、御検討いただきたい。御答弁をお願いいたします。
  33. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 二割負担の導入に当たってどういう影響があったのかということをしっかりと踏まえ、また現状を踏まえ、その上で法の施行に当たるべし、こういうことだと思います。私どもも、何度も申し上げているように、実態調査については施行までにしっかりやりたいというふうに思っております。  前回の改正で導入をいたしましたこの二割負担、これについて、先ほど実数の、きょうお配りをいただいておりますけれども、この影響の割合というか、率で見た場合の問題がどこにあるのか、あるいは受給者数とか利用回数などに関しての全国的なデータ分析、それから自治体とか介護事業者などの関係者から、やはり実態がどうなっているんだと。  例えば、サービスを少し減らして困っていらっしゃる方、別に余り困っておられない方、いろいろおられるんだろうというふうに思いますから、それが一体どうなっているんだということなどを通じて、影響の実態把握は私どもとしてはやってきているつもりでございますし、在宅サービスについても、サービス利用への顕著な影響は出てはいないのではないのかなということを何度も申し上げてまいったところでございます。  しかし、今申し上げたように、サービスを受けなくなった方が仮におられたときに、それで本当にどのくらいの困り方なのか、あるいは困っておられないのかなどについても、そして今、在宅の方々負担能力、特にダブルケアや、あるいは高齢者同士のカップルであったり独居であったり、年金がどういうふうになっているのか等、いろいろあろうかと思いますので、どういう工夫ができるか、よく考えて実態調査に臨みたいというふうに思います。
  34. 柚木道義

    柚木委員 今のは前向きな答弁をいただけたと思います。  この資料につけた五ページの、まさに一割から二割になった十六万七千百六十三人、利用抑制がかかっている方々の、ではその内訳、在宅の方がどうで、そして今御答弁をいただいたような内容をぜひ分析して、まさに三割負担施行前にやると今明言されましたので、出していただいて、そして、まさに総理答弁でもあった、負担拡大を前提としているわけではない、しかし将来は否定するものではないという答弁もあった中で、ぜひ国会の場でしっかりそれが議論できるように調査をやはり出していただいて、そしてさまざまな場面でそこも検証、議論させていただける、そういうことを今確認させていただいたと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  もう一問だけお願いをいたします。  要支援認定、要介護認定率、これは、見方はさまざまありますが、場合によっては、それを低下させるために、自治体、市区町村が認定申請を、当事者にとってみれば拒否されるような、そういう受けとめ方をされる事例が多々あって、それもまさに、仕事としてそういう相談を受けていられる方から直接伺った話で、ぜひそれについては問題意識を共有していただければとお願いしたいんです。  今回の法改正で、財政インセンティブ付与の規定の整備として、介護給付の額を、地域別、年齢別、要介護度認定、要支援認定別に公表し、それにより交付金の金額を変更する仕組みが盛り込まれておりますが、これは逆に、介護の成果が出なければ市町村への交付金が減るということであれば、要介護のお年寄りを、これも本当に、私たちにはなかなかやはり想像がつかない、いろいろな制度改定で影響を受けとめられているんだなと感じたんですが、精神的に追い詰めることになる。そして、何か自分の町に迷惑をかけられないとかいって、要介護認定をためらうお年寄りもおられて、これは何というか、本来必要で、受けるべきサービスまで受けずに何とか自立しなきゃと、自分の住んでいる町の財政を考えちゃうとか、そういう方までおられるというふうに私も聞いて、ちょっと、本当にこれは驚いておりまして、そういうようなことが起こらないように、さまざまな対応策が考えられると思います。  これは、きのうも通告でやりとりもさせていただいておりますので、そのような、どういいますか、適正でない、そういう認定率を低下させるような、認定申請の拒否のような状況が生じないような対策をしっかりと講じていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  35. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今回の法案で、高齢者の自立支援とか、あるいは重度化防止を進めるという観点から、市町村の保険者機能を強化するということで、財政的インセンティブの付与など必要な仕組みをつくるということを盛り込んでいるわけでありますが、大事なことは、今お話があったように、必要なサービスが受けられなくなるようなことが起きる事態はやはり避けないといけないというふうに思いますので、財政的インセンティブに関する指標をどう設定するのかというのが非常に重要だと考えております。適正なサービス利用の阻害が起こるのでは本末転倒でありますから、これは、そういうことが起きない、クリームスキミングが起きないということが大前提だと思います。  したがって、単純なアウトカムの指標だけではだめだということで、アウトカム指標とプロセス指標の両方をしっかりと組み合わせて見ていくぞということが一つ。それから、アウトカム指標も、今御指摘があったように、要介護度を軽減するということだけをもって物事を判断するということはとらないということで、複合的にやはり考えていかないといけないし、何よりも大事なのは、要介護者御本人にとって何がいいのかということをよく考えた上で、その必要な状態に向けての必要なサービスというものがなされないといけないということだと思いますので、もちろん、要介護度が軽くなって本人にとってもプラスということもありますけれども、そうじゃない方が、なかなか改善しない方が排除をされるようなことがあってはならないというふうに考えておりますので、公平な指標については、自治体関係者の皆様方や事業者の皆様方ともよく話し合って、また、科学的に考えていかなきゃいけないというのが最も大事なことではないかというふうに思っております。
  36. 柚木道義

    柚木委員 通告の半分も行かなかったんですが、もうこれで終わりますが、利用者の選別が、これは事業者側からも進みかねませんし、今おっしゃっていただいたことを、ぜひ、見直し、検証を必要があれば前倒しでやっていただく中で、やはり必要な対策はしっかりと講じていただくことがこの間の議論に資することだとも思いますので、ぜひそれをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  37. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、井坂信彦君。
  38. 井坂信彦

    井坂委員 井坂信彦です。  介護保険法に関して三十分間質疑をさせていただきます。  まず、介護報酬改定について伺います。  厚生労働省の昨年末の調査によると、かつては八%あった介護事業の収支差率、すなわち利益率が、前回、二〇一五年の介護報酬大幅マイナス改定後には三・八%まで低下をしたということであります。  先週五日の大臣答弁では、大臣はこのように答えておられます。多くのサービスで収支差率、利益率の低下、それから給与費割合の上昇が見られるということはそのとおりでございますが、一方で、収支差率、利益率はおおむねプラスが維持をされているということも事実でございます、このように塩崎大臣は答えているわけであります。  そこで、まず現状認識を伺いますが、まだ介護事業平均利益率がプラスなので次回の報酬改定でも介護報酬を引き下げる余地があると考えておられるのか、あるいは、報酬を引き下げる余地はもうほとんどないと考えておられるのか、介護報酬の引き下げ余地について政府の現状認識を伺います。
  39. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、直近の経営概況調査では、その改定前後の収支差率について把握をいたしております。その中で、多くのサービスで収支差率は低下しているものの、収支差率はおおむねプラスが維持されているという状況でございます。  御質問についてでございます。介護報酬については、介護事業者の収支差率がプラスであるということのみをもって引き下げるという性格ではないというふうに考えてございます。  いずれにしても、これは経営の実態をきちっと把握することが大事なものですから、平成三十年度改定に向けて、経営概況調査に続いて、本年五月に、サンプル数をふやした上で経営実態調査をやるということになっていますので、そうした実態調査の結果等を踏まえながらしっかりと検討していきたい、このように考えております。
  40. 井坂信彦

    井坂委員 引き下げ余地に関しての現状認識は持ち合わせていないという答弁なのかというふうに思います。  大臣、ちょっと関連でお伺いをしたいんですが、収支差率、利益率、これはあくまで全事業所平均であります。平均値が三・八%、平均利益率がプラスだといえば、まだまだ黒字じゃないかという御認識もあり得るのかもしれませんが、私は、平均値だけで物事を考えると大変間違ったことになりかねないと。  本日持ってまいりました資料の一枚目、右下に2と書いてあるのは前回できなかった質問資料をそのまま持ってきていますので、一枚目の方を見ていただきたいんですが、これは福祉医療機構というところの特別養護老人ホームの経営状況という資料でございます。下線を引いておりますが、赤字施設割合は四・一ポイント上昇し、赤字施設は三一・四%に、こういうタイトルで、資料を持ってまいりました。  介護事業所の利益率というのは、当然、経営状況によってばらばらで、利益率が高いところから低いところまで幅がございます。  そこで、大臣にお伺いしますが、平均値がプラスであっても、しかし、前回の大幅な介護報酬マイナス改定によって平均値が下がったということは全体が下がったわけで、もともと経営状況が厳しくて、利益率がプラスであっても低かった、こういう介護事業所は前回の大幅マイナス改定で赤字になって、平均値が下がっただけでなく赤字になった事業所がふえたという認識は大臣はお持ちですか。
  41. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今お配りをいただいた資料、赤字割合の増加傾向について、特養でございますが、こういうことについてどう考えるんだ、こういう御質問をいただいたわけであります。  私どもは、前回、介護報酬改定の際にも、当然のことながら、サービス種別に事業者がどういう利益率であるのか、もちろん、地域的にもいろいろございます、それから事業規模別にも、その中でもいろいろありまして、そういう統計的に見られる範囲は全て見て物事を決め込んでいくということをやっているわけであります。  今御指摘になったように、赤字の事業所割合がふえているということについては、そういうことももちろんあろうかと思いますが、全体を、私どもとしては一本の数字で見ているわけでは決してないわけで、それぞれいろいろな特性をよく勘案しながらバランスを持って見ていく中で、収支差率がどういう影響を受け得るのかということをよく考えながら、そして、今回の改定で、やはり加算を、私どもとして持っていきたい中重度とか、あるいは在宅であったり、あるいはみとりの重視であったり、そういうような体制を整える加算をとっていただいているところは黒字化をしている、あるいは黒字幅が広がっているというようなことも同時にあるわけでございますので、確かに赤字の割合がどうなっているのかということを見るのも大変大事なことではありますが、全体を見た上で総合的に判断をさせていただいているということでございます。
  42. 井坂信彦

    井坂委員 赤字の事業所割合がふえているという御認識は一定持っていただいているんだろうというふうに思います。  大臣にお伺いしたいのは、来年の介護報酬改定、ここで前回に続きマイナス改定にしてしまうと、これはもう、介護施設の倒産件数が一昨年、昨年と過去最多を更新したのに、さらに倒産やあるいは介護事業所の赤字、赤字化がふえるのは私は明らかだというふうに思います。  そこで、お伺いしますが、こういう介護施設の倒産、赤字がふえるということがわかっていて、来年の介護報酬改定は、それでも場合によってはマイナス改定にして構わないというふうに考えておられるのか、大臣にお伺いいたします。
  43. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 前回、一番力を入れていたのは処遇改善でありました。何といっても人手不足で、そして、人数が少ないがゆえに介護の現場の方々に過重な負担になっている、あるいは処遇が十分ではないということでなかなか人が集まっていただけないということがあったのが一番でございましたが、そういう意味で、処遇改善については、ニッポン一億総活躍プランに基づいて今回も臨時に介護報酬改定を行うということで、月額平均一万円相当の処遇改善を行うということで、これは改定率でいきますとプラス一・一四%に相当するものでございます。  そこで、三十年度の介護報酬改定に向けてどうするんだ、こういうお尋ねをいただいているわけでございます。  先ほどの介護事業所の経営状況については、さっき申し上げたように、さまざまなサービスの種類があって、それぞれの事業所について細かく見ているわけで、ジャンルによっては黒字の企業がふえているというところもあるわけでありますし、それから、特養にあっても、さっき申し上げたような加算をとっていただいているところは黒字幅が広がっているというところもあるわけであります。私どもとしては、ぜひ、現場の介護ニーズに沿った形で介護報酬も組み立てをしているわけでございますので、そういうことに応じた場合の経営状況というものも考えながら、そちらの方にできる限り移っていただくようなことも想定しながら、介護報酬を決め込んでいかなきゃいけないというふうに思っております。  当然のことながら、介護事業所の経営状況についてはまた実態調査をするわけでありますので、その上で、介護サービスを安定的に提供していく必要性、あるいは、保険料などの国民負担あるいは介護保険財政そのものに与える影響、こういったことも踏まえながら必要な対応についてしっかり考えていき、何よりもやはり自立と重度化の防止というものに役立ち、なおかつ国民負担としても過重にならないように配慮をしていく。そして、何よりも御本人にとって一番最適な介護が提供できるようにしていくということに配慮しながら、次なる介護報酬について考えていくべきではないかというふうに思います。
  44. 井坂信彦

    井坂委員 大臣がいろいろ答弁されたわけですけれども、私は、やはり介護報酬改定で今一番大事なのは、加算ももちろん大事です、加算のいろいろな工夫は私は大事だと思いますが、しかし今、本日議論させていただいている赤字の介護事業所がふえているということに対しては、介護報酬の本体部分、加算を除いた本体部分が上がるのか下がるのかというところが死活的に大事になってくるというふうに思います。  処遇改善加算、これは、我々が二〇一四年の、まさに春の法案審議の中で処遇改善法案を出して、これは与野党で一緒に通してということで、処遇改善加算、障害者部分も含めてやったわけでありますけれども、あれは、処遇改善加算をもらえば、それは全部、職員さんのお給料に当然使っていただくわけでありますから、介護事業所の赤字、黒字には影響しない加算であります。  前回の介護報酬改定がまずかったのは、処遇改善加算は確かにふえた、しかしそれ以上に大幅に本体部分の介護報酬が引き下げられた、マイナス四・四八%、これが大きく響いて赤字の事業所がふえた、さらには倒産件数が二年連続で過去最多を更新した、こういうことだというふうに思います。  大臣に重ねてお伺いをいたしますが、この介護報酬の本体部分です、加算を除いた本体部分をなお次回の介護報酬改定で下げるということは、赤字の事業所がふえることに直結をする、これは間違いないことだと思いますけれども、それがわかった上でなお介護報酬の本体部分を引き下げる可能性があるということですか。
  45. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 大前提は、経営実態をよく見た上で物事を決めていかなきゃいけないということだと思います。  そこで、本体と加算とのどういう、言ってみれば使い分けをしながらよりよい介護を実現していくかということだと思いますが、さっきから申し上げているとおり、これは井坂委員もお認めになっているように、加算は加算で意味があるということを言っていただきました。まさに政策的に、これからのニーズに対応した介護が行われるようにするために特に大事なものについて加算を設けるということでいくわけでありまして、それと本体で、特に個別の、言ってみれば、サービス種別に、努力をするしないに関係なく収入になる本体部分についてのあり方というのは、どういう組み合わせでいくことがよりよい介護がお一人お一人に提供できるのかということにかかってくるんだろうというふうに思います。  したがって、私どもとしては、先ほど申し上げたように、サービス種類ごとに、そして事業規模別にもいろいろありますし、また地域別にもいろいろある、そういうことをよく子細に見ながら、よりよい介護が提供できるように、そして、当然、介護事業所もより強くなった方が、経営的にもよくなれば働いていらっしゃる方々もより納得のいく働き方ができるようになるわけでありますので、そういうことをあわせ考えていかなければいけない。  もちろん、今御指摘をいただいた本体部分でどういう影響が出るのか、これは大事な問題ですから、それはそれでしっかりと見ながら、しかし、やはり政策的に引っ張っていかなきゃいけない方向に引っ張るための加算も大事でありますので、そこのところも皆さん方によくお考えをいただくためにも、重点も置いていきたいというふうに思います。
  46. 井坂信彦

    井坂委員 経営実態をよく見ることが大事だという答弁がありました。  ちょっと参考人に、これは通告にないことですけれどもお伺いしたいんですが、前回の大幅な介護報酬マイナス改定の結果として赤字の事業所がふえたのかどうなのか、こういう実態はつかんでおられますでしょうか。
  47. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答えいたします。  先ほど、先生の資料ではWAMのデータが載っておりましたけれども、実は、平成二十七年度のまさに介護事業経営概況調査の中で、各サービスごと平均の利益、率が出ておりましたけれども、それぞれその分布状況も整理しております。  それによりますと、例えば、先ほど来話が出ております特養では、収支差率がマイナスの事業所割合ですけれども、三五・四という改定前のところから三七・二%に少しふえている。あるいは、訪問介護について言いますと、もともと赤字が三四・八%だったものが三八・四%になっている。  ただ、前回の改正のときは少しめり張りをつけていまして、例えば小規模多機能だとかそういうところには中重度対応という意味で少し手厚く配慮いたしておりまして、そうした小規模多機能型居宅介護の場合は、もともと赤字のパーセンテージが四〇・二%だったんですけれども、これが三六・一%に下がっている、こういうものもございまして、一応そんな状況は把握しているところでございます。
  48. 井坂信彦

    井坂委員 ありがとうございます。  大臣がおっしゃった加算で政策誘導が大事だというのは、まさに今参考人がおっしゃった、中重度加算などがきいて、そういうサービスをよくやっているところは経営状況もプラスに多少なっているということだというふうに思います。  最後にこの問題で大臣にお伺いしたいのは、私は特に処遇改善加算をずっと求めてきた側ですので、処遇改善加算は大事ですが、介護事業所の赤字、黒字という問題に関しては、処遇改善を除いた部分、ほかの中重度加算とかそういうのは確かに経営にプラスになる要素もありますのでそこは入れていいと思うんですが、処遇改善加算を除いた基本部分とそれからその他もろもろの政策誘導加算ですね、そのあたりは合わせて少なくともプラスにならないと全体としては赤字の事業所がふえる、これは構造上明らかなことだというふうに思います。  処遇改善加算を除いた、経営にちゃんとプラスになる加算は含めても私はいいと思いますが、せめてそのあたりはきちんとプラスにしていくんだということを目指していただきたいと思いますが、最後に大臣、一言お願いします。
  49. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 介護報酬改定がどういう影響を経営に及ぼすかということについて絶えず考え、配慮するということ自体は大変大事だというふうに思います。したがって、処遇改善加算あるいはその他の加算以外の部分で、本体とおっしゃっていました部分についてどういう影響があるかということは当然見ていかなきゃいけないと思っておりますが、それをプラスにするかどうかというような問題については、先ほど申し上げたように、さまざまなことを考えて、そしてさまざまな角度から見ていくことが大事なので。  私どもは、やはり、経営としてもおおむね全体として成り立つようにしていかないといけないということは、一般的にはそのとおりでございますけれども、言ってみれば、必ずしも頑張っていなくてもやっていけるという状況では、これは保険料にはねるわけで、もちろん自己負担にもはねるわけでもございますし、税金にもはねるということでありますので、そこのところは、事業者が健全な経営の中でいいサービスをしっかりと提供して効率的にやっていただけるということが確保できるように、私たちは、本体部分についても配慮していかなければいけないということはそのとおりでありますけれども、その辺については、まずは経営実態をしっかりと調べて、その上でどういうことをなすべきなのかということを考えていかなければいけないと思います。  大事なことは、やはり、一人一人の方々介護サービスが、そのニーズに応じた形で提供をしっかり過不足なくできるかどうかということが一番大事なことだと思っていますので、ぜひ、そこのところを、経営の実態とあわせていくことではございますが、一人一人の高齢者の要介護者がどういうサービスを納得できる形で得られるかということが大事だというふうに思います。
  50. 井坂信彦

    井坂委員 次の介護報酬改定でも大幅なマイナス改定となって赤字の事業所、倒産する事業所がふえれば、これは、介護が必要なのに、しかし事業所が潰れてしまって必要なサービスが受けられない、こういう利用者の側にとって大きな問題となりますから、ぜひその点は真剣に考えていただきたいというふうに思います。  続きまして、お配りしている資料の二枚目は、これは一昨日の私と総理との介護に関する質疑の速記録でございます。  私が、政府の三割負担導入を提案している今回の介護保険法の改正案、この施行後五年後の見直し時期までは三割負担、二割負担対象者の拡大はない、せめてこれぐらいは確約してくださいと質問したのに対して、総理の答えは、「すぐさま変更する考えはない」と。このすぐさまというのは、二年、三年ということはすぐさまの範囲内だが、五年、六年となると、すぐさまとしか答弁のしようがない、真ん中に線を引いておりますが、そういう答弁でありました。  五年は確約していただけなかったけれども、三年、施行後三年はさすがに対象拡大はないですよと確約をいただいた答弁だというふうに思っておりましたら、その直後に大臣がとんでもない答弁をされたわけであります。これは、傍線を引いてあります、左側ですけれども。  五年後の見直しとしても、施行になってから五年でしょうから、そうすると今から六年かかるわけで、その間に二回、介護報酬見直しがあります、そこでどういうサービスを提供するか皆さんと一緒に議論して、それが決まって初めて負担が決まるんだ、こういう答弁をされているわけであります。  確かに、平成三十年に、今議論されている政府案が施行されて、見直し時期の平成三十五年までに二度の介護報酬改定があります。そのタイミングでは負担のあり方を考えるという大臣答弁でありました。大臣、これはとんでもない答弁だというふうに思います。今から、施行後五年、通算六年の間に二度の介護報酬改定が確かにあります。二回のうち一度目は、来年の介護報酬改定です。  大臣にお伺いいたしますが、来年の介護報酬改定でいきなり介護サービス利用料三割負担や二割負担の年収要件を引き下げて、対象者を拡大する可能性も否定できないということですか。
  51. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 そのようなことを考えていることはございません。
  52. 井坂信彦

    井坂委員 今、国会では、年収三百四十万円以上の人は三割負担、年収二百八十万円以上の人は二割負担、そういう説明をして大臣は今回の介護保険法を、衆議院を通そうとしておられるわけでありますが、来年四月の介護報酬改定で、二割負担の年収要件を二百八十万円より下げたり、あるいは三割負担の年収要件を三百四十万円より下げる可能性は、これはもう完全に今否定をされたということでよろしいですか。
  53. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今回の利用者負担見直しというのは、二割負担対象者の範囲を拡大しないことを前提とした上で、二割負担者の中で特に所得の高い、現役並みの所得を有する方々について三割負担をお願い申し上げるということを提案しているわけでありまして、三割負担導入の実施時期は平成三十年八月、来年の八月ということでありまして、平成三十年四月実施予定の次期介護報酬改定に合わせて、改正法の施行前にこれらの基準を見直すというようなことは全く考えていないということでございます。
  54. 井坂信彦

    井坂委員 それは八月の施行で四月に見直したらとんでもない話で、そんなのないのは当たり前だと思うんですよ。来年の四月に介護報酬改定をして、新しいサービスができたり加算ができたりして、大臣のおとといの答弁では、そういうのを見て負担のあり方を考えるとおっしゃっているんですよ。  来年四月の介護報酬を受けて何かサービス状況が変わったとか介護の財政状況が変わったといって、来年四月の介護報酬改定、またサービス体系の変更を理由に三割負担対象者が三百四十万より下がったり、二割負担対象者が二百八十万より下がったりすることはないと、もうこれぐらい確約してくださいよ。なぜなら、これは政令で勝手に変えられるんですから、今ここで、この国会で議論をして大臣にはっきりした答弁をいただく以外に、ここを確定させるすべは私はないんです。はっきりおっしゃってください。
  55. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 きょうお配りをいただいているこの議事録に、とんでもないということを御指摘いただいておりますが、これは一般論として申し上げた、給付があって、負担があって、負担の中に三つしかないということを申し上げている、それは、総理井坂議員との間でやりとりがあって、大分、無限定に、将来、時間別にどこかで切っているわけではないお話になってきたものですから、私は一般論を申し上げて、給付と負担があって、その負担の中は保険料と税とそして自己負担、この三つしかないということを一般的に申し上げたわけであります。  今の三割、二割の御負担をお願いするということに関しては、先ほども明快に申し上げたとおり、平成三十年四月実施予定の次期介護報酬改定に合わせて、改正法の施行前にこれらの基準を、つまり二割、三割の所得基準でございますが、これを見直すことは全く考えていないということを申し上げているわけでございます。
  56. 井坂信彦

    井坂委員 時間が参りました。  この答弁を見ると、五年後の見直しまでの二回目の平成三十三年改定のときには逆にやる気満々なのかなという大変心配な答弁なわけでありますけれども、いや、笑っておられる。では最後に、そこもないよとはっきり言ってください。それで終わりにします。
  57. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、一般論を申し上げたところでございます。
  58. 井坂信彦

    井坂委員 三十三年にないということは、ここまでお願いしても言明されなかったということで、大変心配をしております。  これで質疑を終わります。
  59. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、岡本充功君。
  60. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 きょうも、前回に引き続き、介護人材確保、本当にできるのかということをもう一回確認していきたいと思います。前回時間切れになりました。  皆さんにお配りをしている一枚目の絵、前回もパネルで皆さんにお話をしましたが、これは、本当にこれだけの人材が確保できるのかという議論をしていたところ、大臣から気になる発言がありました。  二〇二〇年の段階で二百二十三万人の人材を確保するというのが前回の答弁でありまして、八万人のギャップがある、こうおっしゃられたわけですね。二百二十三万人というのは、具体的にどういう計算で二百二十三万人という数字になったのか、事務方からでいいです、数字の確認だけ。
  61. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  前回の委員会において、二〇二〇年の段階で約八万人のギャップがあるという答弁がございました。こちらは、過去の五年間のトレンドのまま継続した場合になお不足する介護人材数ということで計算をいたしておりまして、具体的には、平成二十二年度から二十七年度までの過去五年間のトレンド、年八万人ベースの増加でございますけれども、これで試算をした場合に二百二十三万人であるという計算をしております。  これで、二〇二〇年代初頭までの確保目標である二百三十一万人との差が八万人であるということを申し上げたわけでございますけれども、二十七年度以降の追加的な対策で取り組んでおりますので、追加的に必要な人材については、全員確保すべく全力で取り組んでまいりたいと考えております。     〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕
  62. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 確保に向けて頑張るという決意はわかるんですが、八万人の人材が確保できなかった場合、これは二枚目に示しております計算の方法、前回もこのボードでお話をさせていただきましたけれども厚生労働省みずからつくったこの試算でいくと、五万人の介護労働者の不足は十二万人の介護の受け皿の欠乏につながり、この十二万人の方が介護を受けられないという可能性だと、逆に向かっていくと、厚生労働省の試算だと、十二万人の方だと、全体で一万五千人ほどの方がサービスが利用できず、やむを得ず離職した、これが一万五千人につながるんだというのが厚生労働省の推計でありました。  八万人の方が介護従事者として足りないという状況になると、この試算でいくと、一体何人の方が、サービスが利用できなかったため、やむを得ず離職することになるのか、数字だけ教えてください。
  63. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から御提示がありましたパネルの推計でございますけれども厚生労働省としては、左から右への推計、つまり、介護離職が一・五万人のときに必要な確保するサービス量が十二万人である、それに対して必要な人材が五万人ということを推計しているわけであって、右から左に推計しているわけではないということを申し上げたいと思います。  その上で、仮に、委員からの御指摘でございますので、前回御紹介いただいたように、この一・五万人とそれから人材五万人ということを単純比例的に計算した場合には二・四万人、前回、委員から御紹介がありました二・四万人という離職者数という試算はできるものと考えております。
  64. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 結局、介護離職ゼロと言っているけれども、一万五千人の見立てどころか、むしろ、このままでいくと、二万四千人が介護を理由に、介護サービスが利用できなかったことを理由に離職をしなければならない社会がやってくる今介護労働者の確保状況だということをくしくも答弁されたわけです。  もう一つ気になることは、先ほど、五年間で確保できた人材と言われましたが、私の資料、繰り返し出していますが、九ページ目、五年間というと、民主党政権のときに、総理は、雇用状況が悪かったから、その中で介護が吸収したという、何か本当にひどい答弁ですね。介護は、雇用条件が悪ければ、吸収として人が集まる業界だ、こういう話ですから、とんでもないひどい話ですけれども。  しかし、その言葉、ひどいですが、その言葉のひどさ以前に、そもそも自民党政権でどうなんですか。毎年六万人しかふえていないんですよ、毎年六万人しか。民主党政権のときに十万人ふえていた、毎年十万人ふえていたから、あわせると八万人になるけれども、自民党政権になってから六万人しかふえていない。処遇改善したといっても六万人しかふえていない。これは事実なんですよ。  このペースでいってしまったらどうなるのか。どうなるんですか。六万人ずつしか毎年ふえなければ、定塚さん、実際、二〇二〇年、何人足りなくなるんですか。
  65. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  介護人材の数は、当然のことながら、経済情勢や雇用状況などにより左右されるものでございまして、御指摘いただきました資料の中で、平成二十一年度から二十七年度までの増加を御紹介してありますけれども、これら経済状況、雇用状況などの一定の変動を踏まえた上でということで、過去五年間のトレンドでの試算した数というのを前回も答弁させていただいているわけでございます。  仮に、委員の御指摘のとおり、過去二年間の平均でということで単純に計算した場合には、過去二年間の平均というのは年平均六万人増となっておりますので、二〇二〇年度には二百十三万人という数となりますが、先ほども申し上げましたが、必要な人材の確保策、二十七年度以降に追加的に講じておりますので、こうしたことをしっかり周知をして、目標量を達成してまいりたいと考えております。
  66. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 したがって、二百十三万人ということは、これでいうと、どうですか、確保しなければいけない人員、目標としていた二百三十一万人から比べると十八万人足りない。十八万人足りないとなると、先ほどの推計、右から左は推計と違うんだと言わんばかりの話をされましたけれども、これは、だって計算式ですから、左から右が正しければ右から左も正しいわけですから、これでいくと、十八万人足りないと、本人の意思に反して介護離職しなければならない人は一体何万人出てくるんですか。数を答弁願います。
  67. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  介護離職者というのはさまざまな理由により生じるものでございますので、先ほど申し上げたように、右から左への試算というのは必ずしも正しいとは考えておりませんけれども、機械的な試算ということで申し上げますと、先ほどの二百十三万人、これが目標との差分が十八万人でございます。十八万人を機械的に計算をいたしますと、離職者のところでは五・四万人という試算となります。
  68. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 すごい話ですよ。ここで離職しなければならない、大臣、二枚目のピンクのところの、いや、そもそも一万五千人、こう言っていた介護離職者が、今の自公政権での介護人材の増加のペースだと五万人を超えてくる。五万人を超える方が介護離職をする。介護離職ゼロどころか、ふえるという話なんです。  いや、二十七年度から施策をやっているんだから、見てくれ。いや、二十七年度の施策は、前々回もやりましたけれども、数十人程度のいわゆる再就職のための支援金の貸し付けですか、千六百人程度の学生への奨学金の貸し付けですか。千人や数十人の単位じゃないんですよ、もう十八万人の単位で足りなくなる可能性があると言っているのに、千人程度の対策をとっていますから、ぜひごらんあそばせといって、待っていてください。いや、これでは、二〇年はすぐ来ちゃうんです。二〇年に足りないということがわかってから、さあ困ったという話ではありませんから。  これは二十七年度の対策で、では、ふえたということがわかるのはいつですか、今度の秋でしょう。もっと言えば、私の委員会での指摘を受けて、こうした施策にアクセルを踏んだとして、ことしさらにふえるんだからといって、ことしの頑張った分が見えてくるのはいつですか、二十九年の秋ですよ、二十九年の秋もしくは三十年の秋。ことし頑張ったら三十年の秋。つまり、二〇一八年の秋になって、いや足りないという話になって、二〇年までに何とかできるんですか。  事務方の答弁は、いや、二十七年度からやっています、頑張っています。でも、二十七年度はどうでしたか、実績は数十人と千六百人ぐらい。二十八年度頑張ります、頑張りますといって、わかるのはいつですか、二〇一八年の秋ですよ。秋になって足りないといって、二〇二〇年の頭に一年半で追いつくんですか、十何万人も。どう考えたって、そんなことできっこないんです。  だから、事務方が二十七年度からやっているなんという答弁ではなくて、大臣、政治的な決断として、介護人材確保のアクセレレーションしなきゃいけない。ぜひ、政治的決断として御発言いただきたいと思います。
  69. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、介護人材が極めてタイトな状況であるということはそのとおりで、今試算を幾つかいただきましたけれども介護離職ゼロというのを目指す安倍内閣として、今のような厳しい状況を踏まえた上で、これまでの対策が必ずしも功を奏していないというか、利用されていない部分があることをこの間も御指摘いただいたわけでありますから、ここは本当にやらなければいけません。  同時に、これはこの間も申し上げましたけれどもサービス量の多寡だけではなく、むしろ職場での働き方改革のおくれというものがアンケート調査などでも介護離職につながる大きな原因だということもあって、そういうこともありますから、働き方改革について私どもの行動計画が三月末にまとまりましたけれども、これをさらに大車輪でやっていくということと、既に、介護休業については分割の取得、ことしの一月から既に分割取得、あるいは、手当について六七%に引き上げをしたわけでもございますし、恐らく介護休業をとっても問題がない、あるいは休暇をしっかりととっても問題がないという職場をつくっていくということも同時に大事だというふうに思いますので、あらゆる手を尽くして介護離職がゼロに向かっていくように努力をしなければいけないというふうに考えております。
  70. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 いや、介護休業を幾らとれても、介護人材がいなきゃ入れないんですから。ずっと介護休業をとれるわけじゃないんですから。介護休業の取得の話と介護人材の確保の話は別ですからね、大臣。  介護人材を確保するのに一番何がきくんですか。前回、総理はこう私に答弁しましたよ、「介護の現場を若い皆さんがそこに将来をかける現場と考えていただけるような施策」。  これは一体何だといったら、若い人に介護現場を見に行ってもらうんだそうです。しかし、見に行ってもらって、介護現場に行ってもらって、どうなんですか。全産業に比べて圧倒的に短い期間でみんなやめているじゃないですか。介護現場を見たって、働いたって長く続けられていないこの現状。若い人が介護現場を見に行ったって、勤めたって、やめちゃいますよ、今の状況。何か自信ありげに答弁されたこの内容は何だときのう聞いたら、そういう話でした、現場を見に行ってもらう、介護体験してもらうと。  体験して、それで本当に若い皆さんがそこで将来をかける現場と考えるのか。むしろ、こんなことではやれないんじゃないか、そう思う人たちが出てくるんじゃないですか、みんなどんどんやめている話になったら。  何が最もきくかといったら、やはり待遇の改善ですよ。これは自民党政権でやっている、やっていると言うけれども、現にふえていない。もっと言えば、介護の職場だけ、職員だけじゃなく事業所全体が、先ほども井坂委員だったか質問をされていました、この厳しい状況を改善していくためにはやはり介護施設全体の底上げをしなきゃいけないんじゃないんですか。先ほどの井坂委員観点とはまた別の観点で、これは本当に人材は逼迫していますよ。  もう一つ、人材が逼迫している話をしていきたいと思います。  お手元の十番、最後のページで申しわけありません。これは私も思い入れがあって、私がそちら側に座っていたときに、この定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスをやるんだという話をして、自公の皆さんから質問されましたよ。それで、好事例があるといって答弁をした記憶もありましたよ。では、好事例はあるのか、うまくその後いったのか。非常に気になる。非常に気になる。  見てみたら、給付実績がある市町村はわずか三五%、給付実績がないところは千二十三カ所。つまり、定期巡回・随時対応型のサービスを受けたいと思っても、住んでいる市町村、千市町村でこのサービスは受けられないんだよ。これはすごい話で、訪問介護だ、訪問診療だ、ちょっとまた後で話しますけれども、在宅だといっていながら、そもそも受けられない市町村がこれだけある。  ここに住んでいる高齢者の方は何人で、ここに住んでいる介護サービス受給者は何人なのか、人数の御答弁をいただきたいと思います。
  71. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答え申し上げます。  委員資料にございますとおり、給付実績を市町村の保険者ベースで見ると、三五%の五百五十六ということでございます。  ただ、このサービスについては、どちらかというと都会で、大都市の方が割と普及が進んでいる、相対的にはそういう状況にございまして、委員指摘の高齢者の数ベースで見ますと、これは、給付実績がある市町村の一号被保険者の数が約二千五百万人、ないところが約九百四十万人で、人数ベースで見ると、約七割の人数がいわば給付実績があるところに住んでいる。  ちなみに、そこで受けている受給者の数でございますが、直近の受給者数で見ますと、約一万六千人という状況になってございます。
  72. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 そしてまた、事業所の数も七百カ所なんですよね。サービスが受けられない方が約一千万人いらっしゃる。サービスを受けたいと思っても受けられない方が一千万人いるというこの実態は、私は大変大きな問題を生んでいると思います。  実際に、これから先、定期巡回・随時対応の訪問介護看護サービスをやっていこうとするのであれば、一体どういう事業所が必要なのか。大体、一事業所当たり二十一人の利用者数を抱えて、一事業所当たり介護職員は大体九・五人必要だ、こういうことであります。  今できていない自治体、そして今現にサービスが受けられない皆さん方が、サービスを受けたい、こう思われ始めたときに、つまり在宅でこれからも過ごしていきたいと思ったときに、一体何人介護職員が要るんでしょうか。現実に、私は、やはり人が足りないからこうしたサービスができないところもあると思うんですよ。住んでいる場所によって在宅で暮らしていくことができないなんていう非合理があっちゃいけない、そういう意味で、これをきちっと均てん化していく。  これも理論上の数字ですが、一体何人の介護職員がいないとこれだけのサービスを展開できないのか、人数でお答えいただきたいと思います。
  73. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 委員の御指摘の、仮定の置き方によると思います。質問の趣旨がちょっと間違っていたら大変申しわけありませんけれども、この定期巡回・随時対応型訪問介護看護というのは、地域で暮らすために非常に大事なサービスだというふうに思っております。  ただ、それが、全体のいわば在宅の受給者、全体の受給者が大体、今介護で五百万人のうち、要支援、要介護を入れると三百五十万ぐらいが在宅、そのうち二百五十万ぐらいが要介護だと思いますけれども、そうした方々が二十四時間のこのサービスを受けるということについての前提が、ちょっとこれは、実は、実際は、いろいろなサービスを受ける中で、これも選択肢の一つということでございますので、何かこれだけを受けてどのくらいかということの推計については、ちょっと仮定の置き方についていろいろなところがありますので、単純に計算というのはなかなか難しいかなというふうに今思っております。
  74. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 そもそも、これはどれだけの人にニーズがあるのかということすら調べていないでしょう。  つまり、サービスがきちっと行き渡っている自治体があって、その中で一体何人の人が受けているかというのがわかれば、実際にこのぐらいのニーズのあるサービスだということがわかる。しかし、自治体の中できちっとこのサービスが網羅的にできる自治体があるかどうかすらわからない。これはきのう言われていました。それは事実でしょう。あっ、網羅的にできる自治体はあるんですか。わからないんですよ。答えられないと言っている。わからないんです。  つまり、網羅的にきちっとサービスが展開できる自治体があるかどうかすらわからないというこの状況は、まず、これから先在宅でのサービスを充実させていくというのであれば、もしかしたらあるかもしれませんよ、網羅的にサービスが受けられる自治体があるかもしれない、それはないかもしれない、それすらわからないわけですから、こうした在宅サービスの提供体制について調べるべきだと思いますが、大臣、これは調べるということでちょっと答弁いただけますか。
  75. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今御指摘いただいたように、ニーズをしっかり把握するべきではないかということかと思いますが、高齢者が地域で暮らし続けられるようにするということで、二十四時間三百六十五日の在宅生活を支えられるようなサービスとして定期巡回・随時対応型の訪問介護看護というサービスが用意をされているわけでありまして、その役割自体は岡本委員もこっち側で主張していただいたということでございます。  介護保険制度では、各自治体の介護保険事業計画において、地域のニーズをまず的確に把握する、その上で定期巡回の今のサービスを含めた各サービスの見込み量を設定することとされておりますから、国としてサービス量を示すことは考える立場ではございませんで、むしろ地域地域で、どういうニーズがあるのかということをしっかり的確に把握することがまず第一かなというふうに思っておりますので、そういうために、では、私どもが自治体に対してどういう支援ができるのか、それが正確なニーズ把握になるのかということを、しっかり支援の仕組みを考えていきたいというふうに思います。
  76. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 いや、支援の仕組みじゃなくて、こうした在宅サービスのニーズがどれだけあるのかですよ。  後でお話をしますけれども、在支診の話もそうです。訪問診療でサービスを受けたい人もいるでしょう。それから、こうした二十四時間見守り型で見守ってもらいたい人もいるでしょう。もちろん、そんなの要らないよという人もいるでしょう。どういうニーズがあるのか国全体でやはり見なければ、サービス量というけれども、例えば、どういう資格の人を今後養成していくべきなのか、どういう資格の人がこれから要るのかということすら立てられない。自治体が決めるんですよ、市町村が決めるのはそのとおりなんです。しかし、市町村は、そうした資格者の養成などについて責任を持って養成していくことができる立場にはないわけですから。  したがって、看護師の数がどう必要なのか、またそれ以外の介護職員がどう必要なのか、こういったことを見積もる上でも必要だから、今お話をしているように、これから質問しようと思っていましたが、在宅の訪問診療、在支診の数をどうしていくのかにかかわってきます、こうしたサービスのニーズ、それから、いやいや、それよりも私は二十四時間見守り型がいいんだ、こういうニーズ、そういうニーズを把握して、どのくらい要るかということをちゃんと推計しなさいよと私は言っているんです。そういう意味で、その調査をしますか、しないんですか。
  77. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 先ほど申し上げたつもりだったんですけれども、当然のことながら、市町村がまずニーズ調査をした上で、それは私どもとしても全部吸い上げていかないといけないわけで、そういう意味において、今、調査をするかしないかという意味においては、市町村のデータを集める中で、分析をしながら、これは、今の定期巡回は重度の方が対象になることがほとんどでありますから、そういう中身も含めて、私ども、しっかりとニーズの把握をした上で、要介護度の程度もよくわかった上で、人材についても、今お話しのとおり、これは看護も介護両方携わるわけでありますから、それをどういう組み合わせでいくのかということ、あるいは人材育成も、おっしゃるとおり、私たち国レベルで考えていかないといけないということはそのとおりだというふうに思います。
  78. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 ぜひそれは、調べていただかなければ始まらないということでありますから、調べていただけるということでよろしいんですよね。はい。  そうしましたら、続いて、介護の人材からは少し話が離れますが、三枚目、死亡数の将来推計について少し議論したいと思います。  人はいつか亡くなるわけでありますが、一体いつ亡くなるのかということについては、これはもう推計の世界ですから、なかなかわかりません。わからないからといって、出たとこ勝負というわけにもいかないわけでありまして、これは、現にこれまで出ている死亡者数、二〇一〇年から一五年の死亡者数を岡本事務所の方で点線にしてつくりました。推計は、二〇二〇年、二〇二五年、二〇三〇年と、これから先、今のペースよりも多い死亡者数が出てくることが想定をされています。  なお、これは厚生労働省の人口動態統計による出生及び死亡数が使われていて、そしてまた、これは出生も死亡も中位、中くらいの推計、つまり、これより高い死亡数になるということも、あわせて低位もありますよ、高くなる可能性もあると言われている数字を使って、それでもなお上にはみ出てしまう、こういう状況です。  ちなみに、この点線に使っているデータは、四ページ目の、これもいわゆる死亡診断書から得られた数字だそうですけれども、人口動態統計における死亡の場所別に見た年次別死亡数、この総数のところで見ています。  その上で、まず議論をしていきたいのは、大臣、二〇二五年、三〇年、今のままの、いわゆる施設や老人ホームなど、こうしたところでの死亡をこのまま機械的に伸ばしていく、つまり、四ページにありますけれども、今お亡くなりになられる方の大部分が病院及び診療所、もしくは介護老人保健施設、老人ホームなどでお亡くなりになられています。これが、このままのペースで施設整備が進んで、もしくは在院日数等も短縮する取り組みは進めるものの、このままのペースでいったら、大部分のこうした、今みとりの場となっている病院では足りなくなるんじゃないか、これは数字が上回ってくるんじゃないか、こう考えられるわけですが、こうした皆さん方は一体どこでどのようなみとりを迎えるというふうに想定をされているのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。大臣から。
  79. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 御指摘のように、いわゆる多死社会というのを迎えるわけで、今後の医療並びに介護を考えるに当たって、この多死社会を前提に、どういう医療や介護を誰が担っていくのか、そしてどこで担うのかということも考えなきゃいけないのはそのとおりであって、この間、先週公表いたしました医療の将来ビジョン、そしてそのもとでの医療・介護関係者の働き方のビジョンというのを、提言が出たわけでありますけれども、さまざまなことをやっていかないとこの社会の問題を乗り越えることができないということで、いろいろな提言をいただきました。  いわゆる団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、今、当面、国民一人一人が状態に応じた適切な医療とか介護を受けられるように、そして多死社会に向けていけるかということで、医療と介護の提供体制を再構築していくということで地域包括ケアシステムの構築ということを申し上げているわけであります。  平成二十八年度において、全都道府県で策定が完了いたしました地域医療構想、ここで、二〇二五年に向けて、構想区域ごとに、病床の機能分化、連携に伴って追加的な整備が必要となる在宅医療、そして介護施設の必要量を示してございます。  平成二十九年度には、都道府県の医療計画と市町村介護保険事業計画、これを同時に策定することになるわけでありますけれども、両計画の整合性を確保して、地域で必要な在宅医療・介護サービス確保できるように、都道府県と市町村とが協議、連携をしながら策定を進めることにしております。  在宅におけるみとりでしっかりと対応できるのかという御指摘を今いただきましたが、国民が望む場所で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けていくというためには、さまざまなことをやっていかなきゃいけないことはもう御指摘のとおりであります。  一つは、地域医療総合確保基金、これを活用して在宅医療等を担う人材の育成を今行いつつあること、それから平成三十年度の診療報酬介護報酬の同時改定において、在宅医療、そして医療と介護の連携の強化の検討もしなければならない、そして、在宅における死亡診断を看護師協力のもとで医師が遠隔で行うことができるようなことも、本年度から開始をする看護師への研修などによって、在宅を含めた医療と介護の提供体制をしっかりと構築し、国民のニーズに対応しなければならないと思っております。  先ほど申し上げた将来の医療のビジョンと働き方のビジョンの中では、さまざまな、いわゆるタスクシェアリング、タスクシフティングということで、担い手が今まで以上に柔軟な形で連携をしていく中でこういう多死社会の問題を乗り越えていかなければならないという提言をいただいておりますので、今後、何をどういうふうに具体的に制度化していくのか、これについて考えてまいりたいというふうに思います。     〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 いや、通告していないから人数は聞きませんけれども、では、本当に、在宅医療を担う人材を育成しているという答弁書を読んでいますけれども、これはどのくらい養成されているのか、実際、どのくらいの人が在宅医療、特にみとりをやるんですか。  現に、見てくださいよ、五ページにあるように、在宅でみとりをやっている在支診は三千四十二施設ですよ、全国で。たった三千四十二ですよ。やはり、人材育成しているといったって、よくよく調べてみたら、介護のときの人材確保の話で、数が、桁が違っていてずっこけるという話になりかねませんよ。だから、それを読むのは結構ですが、やはりこれだけ少ないという実態があるわけですから、それは物すごい数でふえているとはなかなか思えない。  私は、これも大臣に提言、お願いなんですけれども、この三ページ目の、これは私、岡本事務所でつくりました。つくったのは、余り数字の出どころからして信頼性が高い直線というわけではないです、そもそものデータが違うから。それはわかっているんです。ただ、ないんですよ。一体どのくらいの方が今後このままでいくと、今の施設のキャパシティー、それから在宅のみとりの伸び、これではみとってもらえない人が出てくるんじゃないかということを私はきょう指摘をしたわけです、三ページ目で。実際、上に出ているんですから。きのうも議論になりましたよ、数万人じゃないかという声もありましたが、数万人かどうかもわからない。  これは、いろいろなシンクタンクなんかが出しています、厚生労働省として、ぜひ一度推計してもらって、これから先、今のままの自然体でのいわゆるみとり施設また在宅の推移では見切れない死亡者の数が一体何人出てくるのか。これはしっかりと出して、それ用にきちっと当てはまるような施設整備をしていく、もしくは在宅のみとりの人材を育成していく、こういう必要があると思いますから、本当にこういう、上に突き抜けちゃわないかどうか、確認をする必要があると思いますが、調査していただけますか。
  81. 神田裕二

    神田政府参考人 死亡数の推計で、どこで亡くなられる方がどの程度出てくるのかということでございます。  この推計につきましては、社会保障・人口問題研究所で行っているわけでございますけれども、今は内訳についての推計は行っていないところでございます。ただ、先生御指摘のように、直近で申しますと、二〇〇五年が、在宅、自宅で亡くなられた方が一二・二%であったのに対しまして、二〇一三年に一二・九%に上がっておりますけれども、先生の資料にもありますとおり、最近は横ばいになってきております。  今後ふえていくというふうに考えられますけれども、このトレンドをどのように見るのかといった問題、それから、人生の最終段階におけます医療の意思表示がどこまで進むのかといったことでございますとか、地域の特性に応じた医療、介護の提供体制がどのように進むのか、訪問診療なども、島嶼部ですとか北海道ですとか長野といった町村部ではなかなか訪問診療が進まないといった実態もございますので、やはり地域の特性に応じて、そういう地域では高齢者住宅というような形で集住しながら、できるだけ住みなれたところで暮らしていくというようなことも検討していく必要があると思いますので、どのような前提を置くかによってかなりの幅が考えられます。  したがいまして、どのような推計が可能なのか、研究者の方々とも相談しながら、検討していきたいというふうに考えております。
  82. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 多死社会に向けて、その担い手が本当にいるのかどうか、亡くなる場所が、みとりの場所が確保できないんじゃないか、こういうことでございます。その問題意識はおっしゃるとおり大変大事で、これはしっかりと対応していかなきゃいけない問題であります。  一方で、人材育成の話もおっしゃっておりましたが、棒読みするなという話でありますけれども、書いてあるわけではなくて私が申し上げているので。  それは、先ほど申し上げた将来ビジョンと働き方のビジョンの中でも書いていると思いましたが、例えば、在宅医療について医学部で講座があるのはたった一つです。それは東京大学医学部一校。私はそれを聞いて愕然としました。つまり、教育からして在宅医療の頭になっていない。これは、地域医療も余り教えられないと聞いていますが、少し前よりはよくなっていると聞いていますけれども、本格的な地域医療を教えている医学部がではどれだけあるのか。少なくとも、今申し上げたように、在宅医療を教えている講座は一つしかない。これではやはり人材育成にもならないので、これは文科省にもしっかりと問題提起をしております。  そういう問題提起を受けているからこそ、我々としては、タスクシェアリング、タスクシフティングをする中で、人材育成の問題は、御指摘のとおり極めて大事な問題としてやっていかなきゃいけないし、そもそも、今からこれをやったって時間が多少かかるので、これは早くやらなきゃいけないということで、私は事務方に指示をしているところでございますので、事務方が書いたものを読んでいるわけでは、そんなこと、全然書いていませんから、改めて申し上げておきます。
  83. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 事務方が書いていないものを読み上げると、文科省の話をしていたけれども、厚労省も恥をかきますよ。臨床研修で、在宅みとりの臨床研修、メニューに入れている病院がどれだけあるのか、調べられたらいいですよ。文科省に言う前に、自分の足元に大きな穴があいていますから。臨床研修のあり方を見るのは誰ですか、厚生労働省ですよ。  したがって、ぜひ、そういった意味で、どういうふうな人材が必要なのか、何人必要なのか、やはりそれをしっかり調査し、把握し、対応していく。これは、早くしなければ、今言ったように、私がつくった表だと、二〇二〇年に上を突き抜けちゃっていますからね、中位推計で。これはもう間もなくですよ。そういう意味で、ぜひ対応をしていただきたい。  大臣、何かあれば。
  84. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 二年の初期研修、臨床研修は、初期研修のことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、これが厚労省であることはそのとおりであります。  しかし、今回、その後の三年の後期研修、この専門医研修の問題についていろいろ議論があることは御案内のとおりであって、特に地域医療の観点から懸念が非常に提起をされています。  私どもとしては、やはり六年の医学部教育と二年の初期研修と三年の専門医の後期研修、六年、二年、三年、合計十一年の中で、どういう、効率的にこれからのニーズに合った人材が育成されるのかということについて改めて考えるべきじゃないか、考え直すべきじゃないかということ、それを一気通貫で考えるようにしていこうというふうに思っておりますし、たちまち今、専門医の研修について、一年先延ばしになっているわけでありますから、これについては答えを出さなきゃいけないということもあります。  いずれにしても、医師の養成のあり方について、これは、どこの役所とかなんとかいうことじゃなくて、やはり我々は、最終的には地域医療にかかわることであり、もちろん医師の免許を出しているのは厚生労働省ですから、厚生労働省として、医師をどう養成していくかということについて考え直すための検討をしっかりやりたいと、今準備をしているところでございます。
  85. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 この話は、機会があったらまたやりましょう。  最後に、大臣、これは六ページ目の話、やはり触れざるを得ない。  臨床研究法が成立をしたのが四月の七日、土日を挟んで月曜日にこの話が出てきましたよ。余りにタイミングがよ過ぎる。  バイエルがやっていたのはアンケート調査じゃないですね。これはやはり疫学研究ですよ、研究。なぜなら、その後に論文を出しているんだもの。七ページ目に、論文を出している。やはりこれは研究なんですよ。  臨床研究法案で、臨床研究とは何ぞや、そして、それに含まれない疫学研究とは何ぞや、これは分けたわけですよ、研究を。この議論が、まさに成立をした翌日、土日を挟んでいますけれども、翌日にこの話が出てくる。  いや、偶然だ、きのう事務方が言っていましたけれども、偶然と言うにはタイミングがよ過ぎる。これはいつから知っていたんですかと言ったら、去年の夏から知っていた。ことしの一月から、バイエルは、少なくとも、問題があったということで謝罪をしなきゃいけないんじゃないか、厚労省に伝え続けていたんでしょう。にもかかわらず、厚労省は、こうした発表をすることを促してこなかった。ここまでのところは事実ですよね。もし事実じゃないんなら、言ってください。  それを踏まえて、厚労省として、今回、国会にこうした問題があるということを法案審査のときに出してこなかった。しかも、臨床研究と関係ないといって、特にこれは法案とは関係ないんだと開き直る態度はあり得ない。研究の中で、臨床研究と疫学研究に分けたわけだ。そしてなお、今回の法案では、接遇費は公開の対象から外すという一つの指針を示したわけです。  しかし、今回、報道によると、かなりの接遇費がこの宮崎の営業所で使われていたという話も出ています。そういう意味で、医師と製薬メーカーのMRとの関係に不適切な関係があったのかなかったのか、これも議論になるはずだった。しかし、全てそれをすっ飛ばして、法案が成立をした翌日にこれをリリースする。これでは、私は、誠実な対応だった、偶然だった、この主張は通らないと思いますよ。  大臣、ここで明確に、対応にまずいところがあった、何がまずくて、これからどうするのか、ちゃんと反省を込めてここでお話しください。大臣です。大臣に言っています。
  86. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 では、事実確認もありますので、先に神田医政局長から。  神田医政局長。
  87. 神田裕二

    神田政府参考人 まず、事実関係についてお答えさせていただきます。  先ほど先生御指摘のように、この事実を知りましたのは昨年の七月ということでございます。その後、具体的にバイエルに対して調査を指示いたしまして、最終的に一月の末に向こうから調査の報告が出てまいりました。  その後、バイエルにおいて公表を検討するということで、三月の下旬には公表資料等についても我々に報告ございましたので、バイエルの判断において公表していただくようにということを三月の下旬にはお伝えをしております。  その判断について、我々から、おくらせるようにという働きかけを行ったことは一切ございませんけれども、バイエルの判断として、四月の十日の公表になったというところでございます。  それから、今回の接遇費について、臨床研究法案では情報提供の範囲に入れないということにいたしておりますけれども、それは、医療用医薬品公正取引協議会がございまして、そちらの方で、公正競争規約で、一定の金額の限度であるとか、そういうことを決めているということでございます。  これにつきまして、最近、接待を受けていたという報道がございましたので、私どもの方から、昨日付で、この点についてもきちっと報告を、違反の有無があったかどうかということを報告するようにということでバイエル社の方にも指示をいたしておりますし、公正取引協議会の方にも報告をして、必要に応じて調査をしてもらうように通報をしているところでございます。
  88. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今回の事案に関して、厚生労働省は、昨年の七月に社員から本件に関する情報提供を受けたという点は今御指摘をいただいたとおりでありますけれども、その後に、八月二十三日にバイエル社に対して本件に関する説明を要請して、現在まで、アンケート調査の内容であったり、論文取り下げの経緯とか、疫学研究に関する倫理指針違反の有無などについて説明を求めるなどをやってきたというふうに私は聞いております。  厚生労働省としては、多くの患者の方々のカルテが不適切に閲覧をされた可能性がある、これはもう重たいことだというふうに受けとめております。それから、本件を速やかに解決させるに至らなかったこと、これは反省すべき点があるというふうに思います。  今般、新たな問題として、バイエル社による医師の接待とか論文の下書きに関する報道があったことを含めて、現在、バイエル社に対して事実関係調査、そして報告について改めて指示をしております。したがって、今後、迅速かつ丁寧に対応をしていかなければならないというふうに考えております。
  89. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 これは、バイエル社、宮崎だけかどうかも含めて、全般どうなっているのか、ちゃんと調べた方がいいですよ。そうしないと、またぼろぼろ出る可能性がありますよ。  最後に、委員長、これは、きちっと出てこなかったということについて、やはり厚生労働省の対応に問題があったと思いますので、理事会で何が問題だったのかということをきちっと文書で明らかにしてもらうように理事会で協議をいただきたいと思います。
  90. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 理事会で協議いたします。
  91. 岡本充功

    ○岡本(充)委員 終わります。
  92. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、初鹿明博君。
  93. 初鹿明博

    初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。  ちょっと今の岡本先生のバイエル社のお話で、私からも一つ、つけ加えたいんですが、私も、これはTBSのニュースで見ただけなんで、ちょっと確認はとれていないんですけれども、ニュースの報道だと、内部告発をした社員の方にそこの所長が、退職をするように、そういう圧力をかけていたということが報じられているんですよね。ですので、カルテを見たということと、加えて、やはりこういうパワハラのようなことが行われていたのかという、労働という観点からもぜひ調査もしていただきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いをいたします。  よろしいですか、答弁。いいですか。
  94. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 御指摘を受けて、検討したいと思います。
  95. 初鹿明博

    初鹿委員 では、ぜひよろしくお願いします。  それでは、介護保険法の方に入りますけれども、残念ながら政府案の方は先に採決がされてしまっておりますが、我々もこの介護法案に対して対案を出させていただきました。  私たちとしては、決して皆さん方と方向は違っているとは思わないんですけれども利用者負担が過度に拡大をしていくということはやはり避けなければならない。そして、少なくとも、拡大をしなければならないという状況になったら、国民の代表である我々国会の場できちんとした議論をするべきだということで、法案に、二割の対象者の範囲をはっきりと明確にするということを条文に入れさせていただきました。  そしてまた、今、要介護一、二の軽度と言われる方のサービスが縮小されるのではないか、そういう懸念があるわけです。参考人の質疑の中でも、参考人の皆さんが心配をされておりました。こういう軽度者のサービスが、こちらの方も安易に切られることがないようにきちんと防止をしなければいけない、そういう趣旨も入れさせていただきました。  また、介護の職で働く介護従事者の方々の処遇、今回、政府案でも一万円の加算というものがありますけれども、これではまず不十分だということと、参考人の質疑の中でも、事業をやっている三人の参考人の方に私が伺いましたけれども、やはり対象者がヘルパーだけだと非常に使いづらい、ヘルパー以外の従業者の方に対してもきちんと処遇改善できるようにしてもらいたい、そういう意向が強かったと思うんです。ですので、我々は、それに対応する介護障害福祉従事者処遇改善特別助成金という、ヘルパー以外の方も対象になる助成金を、額は下がりますけれども、設ける、そういう法案を出させていただきました。  そして、何よりも、この処遇改善を確実にするためには、三十年度の次回の報酬改定で引き下げにならないように、全体の報酬が下がってしまったら、幾ら加算をしても、事業所が苦しくなるだけで、場合によっては事業所が倒産をして、働く人の働く場所自体がなくなってしまうということになりかねないので、報酬のアップということをきちんと法律に書くということで、こちらの介護崩壊防止法案というものを提案させていただいております。  きょう、採決ということですので、与党の皆さんも、決して皆さん方が反対をするような中身ではないと思いますので、ぜひ御賛同いただきますようにお願いをいたします。やはり、立法府と行政府は違いますので、我々国会議員は立法府ですから、行政府の下請ではないので、行政府がこうだと言ったからといって、それに我々立法府が常に従い続けるということではないということをぜひお考えになっていただいて、採決に臨んでいただきたいというふうに思います。  それでは、質問に入らせていただきますが、きょうは、事業所の立場や、また働く人の立場に立って、少し質問させていただきたいと思います。  この前の私の質問で、塩崎大臣に生産性ということについて質問をした際に、こういう答弁をされているんですよね。「生産性というときには、そういう本来の責務を果たすための時間ができるためのその他の領域での、言ってみれば効率の向上、これをやったときに生産性は上がっていると言うけれども、」という答弁をされているんですが、どういうことかというと、本来のサービス以外のところに手間がかかっていると。例として、これは医療の方ですけれども、石巻の方の例を出していて、何か、在宅で診療に行ったときに、スタッフが声を聞いて電子カルテをつくって、本人が書かないでもつくれるということで生産性が上がっているんじゃないか、そういう例を示していたと思います。  きょうは、そういう大臣の答弁もありましたので、やはり事務負担とか、そういう負担の軽減ということをちょっと伺っていきたいと思うんです。  事業所方々と話をしていると、やはり事務の負担というのは非常に大きいということと、整えなければいけない、残しておかなければいけない書類が物すごい多くて大変だという指摘を受けるんです。  監査が入ってくると、その残しておくべき書類をずっと見るんですよ、四時間ぐらいいて見るんですよ。それで、書類がないということで指摘をされたりするんですね。サービスの中身は全然見ないんですよ、書類だけ見るんですよ。この監査のあり方自体、私も変えていただきたいと思うんですが、その書類を保存していくのに、かなりのスペースが要るんです。  サービス提供記録だと大体二年の保存期間ですよね。それで、ほかの報酬の申請しているものだと大体五年ですから、結局、記録も五年分ぐらい大体保存していると思うんですが、利用者がふえていくと、鍵つきの書庫じゃないといけませんから、どんどん書庫がふえていって、結局、私のところは東京ですから、みんな事業所が狭いんですよ。これ以上書庫がふやせないということで、みんなどうしているか、知っていますか。トランクルームを借りているんです。そうしないと、保管義務のあるものを保管できないんですよ。監査のときになると、トランクルームまで行って、とりに来て、持ってくるんですよ。そこまでやらなければいけないんですね。  まず、残さなければいけない記録、紙じゃなきゃいけないんでしょうかね。私は、データできちんと、フロッピーとか、今はUSBとか、いろいろありますけれども、そういう記録媒体で保存をすることも認めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 原則的に初鹿先生の御意見に全く賛成でございます。  私どもも、既に文書量半減ということを特に介護について申し上げておりまして、ところが、文書量というのは二つ意味があって、一つは、ですから、紙をやめようということと、もう一つは、そもそも、ダブって報告を、例えば市と県と両方にやるとか、それから意味のない報告とか、いろいろあるということ。それから、今御指摘のように、役所から来たときに、プリントアウトして紙で見せろみたいなことが、これは実は医療でも審査なんかの場合にあるんですね、再審査の場合なんか。こういうのはやはり電子的にもうやれるわけですから。  そういう意味で、文書量半減というのは、そもそも無駄なことはもうやらない、ダブりを省く、そして紙をできる限り減らして全体として半分にする、こういうことで、保存も、当然データで保存できちゃうわけですから、今は。そういうことをフル活用する。  今、データヘルス改革を厚労省で、一月から本部を立ち上げて、これは、健康、医療、介護、全てにわたってデータベースを整えて、そしてデータのプラットフォームを国民の皆さん方にも、つまり、研究者であろうと、製薬メーカーであろうと、個人であろうと使えるようにしようじゃないかということでやっているので、そういう中で、今御指摘のような点も、現場で働いている人たちの過剰負担、これはもうできる限り減らすということが、これは実は仕事の魅力を増すための大きなファクターになっているということでもあろうと思いますので、しっかりやっていきたいと思います。
  97. 初鹿明博

    初鹿委員 ぜひ、これは難しい話じゃないんですからね、お金もかからないし、事業所にとっても皆さん方にとっても、恐らくメリットはあると思います。  データだったら、パソコンに残しておいて、仮になくなっても復元できますよね。理財局は何か復元できないで、そういうシステムを持っているらしいですけれども基本的に復元もできると思うんですよ。ですから、火事になったりしてなくなったという、紙だとなくなっちゃうかもしれませんが、データだったら復元できる可能性もあるわけですから、私はデータで保存をすることを進めた方がいいというふうに思います。  では、事務負担のところに入るんですが、皆さんのお手元に、ずっと質問しようとして資料で出していたんですが、なかなか時間がなくて至らなかったので三回目になるんですが、介護職員処遇改善に係る実態把握に関する調査研究事業の報告書をつけさせていただきました。  一枚めくっていただいて、これは、最後、結論に当たるような部分で、こう書いてあるんですよ。「介護職員処遇改善加算において検討すべき課題」というので、二点だと。  一つは、「対象範囲の拡大」。先ほど我々の案を紹介させていただきましたが、つまり、ヘルパーだけに限っていると、ほかの職種の人の処遇がなかなか改善できなくて、これを拡大できないか、そういう指摘ですね。ここでは、そうはいっても財源の問題があるからやむを得ないという結論になっているんですが、やはりここは指摘をされている。  もう一つが、やはり「事務負担の軽減」なんですよ。事務負担の軽減をしろということがやはり大きな課題だなと。  ここの2のところをちょっと見てください。どう書いてあるかというと、2の二行目、「現在、行政担当者に多く寄せられる質問として、「申請書や実績報告書の記入方法を知りたい」というものがある。」この次、皆さん、よく読んでくださいね。「書式が複雑なため、担当者が独力で完成することが難しい内容となっている。」担当者が独力で完成することが難しい内容となっているという指摘ですよ。この指摘はやはり真摯に受けとめないといけないと思います。そうやって四苦八苦しているんですよ。  そういう状況なのに、ちょっと一枚めくっていただいて、今度の処遇改善加算拡充後のイメージ。拡充していただくのはありがたいし、段階をつくっていただいて、上の段階だと月額三万七千円相当となって、非常にありがたいなと思うんですけれども、逆に、段階をつくることによって事務の負担はふえるんじゃないんですかというふうに思うんですよね。  事務の軽減と、こうやっていろいろな要件をたくさんつけていくことと、私は何か相反しているような感じがするんですけれども、これはどうやって事務の負担の軽減を行おうと思っているのか、お答えいただけますか。
  98. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 処遇改善加算の算定額につきましては、介護職員の賃金引き上げに確実に充てられることが必要だということで、かつて、確実ではない時期がございました。それで、随分国会でも御指摘をいただいて、結果として下がっているのに何で加算をとっているんだみたいなことがございました。  このため、介護事業者には、加算の取得に当たっての計画書とか、処遇改善の実施を確認するための実績を、事後に、今度は報告書として都道府県知事宛てなどに提出をいただくというようなことが行われてきているわけでございますが、特に二十七年からは、実績について、しっかりと書面で出していただくということになりました。  処遇改善加算は、約九割の事業所が取得をしているわけでありますから影響が大きい。介護事業者の事務負担については、可能な限り配慮をすることが当然必要でありますので、本年三月には都道府県宛てに通知を発出いたしまして、確認に当たって必ずしも必要ではない記入項目を届け出の様式から省くというようなことを負担軽減として行うようにお願いしているわけであります。  しかし、いずれにしても、介護報酬の今度参ります改定の際に、どのような負担軽減を図ることができるのか、その中で明らかにしていくために、検討を深めてまいりたいと思います。
  99. 初鹿明博

    初鹿委員 私も障害の事業所をやっているんですけれども、来週の月曜日が締め切りなんですよ、処遇改善の。それで、きのうちょうど担当と話をしましたけれども、事前に、何人に対して幾ら、そして月の昇給は幾らとか、一時金で幾らとか、そういうところまで全部決めなければいけなくて、非常に煩雑なんですね。それで出すということになるんですが、これは法律が通るとまた上乗せになるわけですよね。上乗せになるわけですから、今この時点で、現状のところで申請をしていて、さらに申請をするということになると思うんですが、なるんですか。これはどういう手続になるんでしょうか。
  100. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  101. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 速記を起こしてください。  塩崎厚生労働大臣
  102. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 事前通告がなかったので、もたもたして済みません。  今の、実は加算につきましては予算でございますので、法律ではなくて予算で対処するということになっています。
  103. 初鹿明博

    初鹿委員 では、今のでもう対応できているということでいいんですね。  では、次に行きますけれども、そもそも、キャリアパス要件という要件づけをしていることが果たして意味があるのかということを、ちょっと指摘させていただきたいんです。  戻っていただいて、先ほどの、「処遇改善の効果検証」というところを見ていただきたいんですけれども、ここでも、4と書いてあるところ、真ん中から下ぐらいのところですが、六行目から、「現行の介護職員処遇改善加算の要件が「給与表の作成」「キャリアパスの作成」といった、制度設計や新設を重視しており、その制度の運用や実効性を要件として設定していないためであるとの指摘が出た。」そういうことを書かれているんですよ。要は、つくることだけが要件だから、本当にキャリアパスがうまく実行されているのかということが確認されていないし、確認しようがないと。  ただ、「結論としては、実効性については、加算の算定要件には追加すべきではない、との意見が大勢を占めた。これら処遇改善の取組は実効性を伴う場合、介護事業所サービスの質の向上や定着率の向上等の効果をもたらすはずである。これらの指標は既に別の制度実態を把握しており、」云々と書いてあって、結論からすると、加算の算定要件に追加すべきではないという結論になっていて、私、これは正しい評価だと思うんですね。なぜかというと、キャリアパスをつくって、では、それが本当に実行できるかということなんですよ。  もう二枚めくっていただいて、処遇改善加算におけるキャリアアップの仕組みのイメージというところを見ていただきたいんですが、経験、資格、評価と書いてあって、一般、班長、主任、職位、そういうことを書いてあるんです。  これは、ある程度の人数のいる事業所ではこういうことが成り立ちますけれども、デイサービス一カ所でやっているところとか訪問介護事業所でやっているようなところは、従業員が十人未満だったりして、誰かがやめない限り、例えばサービス管理責任者になるとか、そういうことはないわけですよ。つまり、キャリアパスで幾ら要件をつくったって、職位なんて上がらないんですよ。  そういう実態があるのにキャリアパスの要件があるというのは、私は非常に、何か意味がないことを事業所につくらせているというように思います。それか、そうじゃなければ、小規模なところはどんどん大きいところに吸収されていくということを目指しているのか。どちらかじゃないかと言わざるを得ないなと思います。  大きな、力のある法人は、事業所の数をふやすことによって管理職のポストをふやせるからだんだんキャリアを積んでいけますけれども、そうじゃないところは、誰かがやめない限り責任者になれませんから、処遇改善で処遇がよくなって定着率が上がれば、キャリアは上がらなくなるわけですよ。そういう実態があるのに、キャリアパスの要件を処遇改善の加算の要件にしているのは、私は、いささか無理があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 古屋範子

    ○古屋副大臣 処遇改善加算の取得のための要件としましては、職位、職責、職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること、また、経験や資格等に基づく昇給の仕組みを設けること等を事業者に求めております。  しかし、これらの要件につきましては、例えば、職位の内容や、昇給に当たり必要な経験年数、取得資格は事業者の設定に委ねられておりまして、各事業者の規模や実情に応じて設定いただければよいこととしております。  また、今年度には、自治体を対象とした補助事業を実施し、処遇改善に関する制度を周知、広報するとともに、賃金規定を整備する事業者に助言指導を行いまして、その仕組みを支援することとしておりまして、処遇改善加算の取得をさらに促進してまいりたいと思います。
  105. 初鹿明博

    初鹿委員 事業所ごとにつくればいいということなんですが、つまりは、結局、キャリアパスをつくっても、それは実行できない事業所が多くて、つまり、加算をつくるためだけの目的でつくっているということになっているわけです。つまり、これが事務量を過度にふやしているということになっているんじゃないかと私は思うんですよ。  では、大きい法人で、こう上がっていく。毎年、定年していく人がいて、新しい人が入ってくるところだったら成り立つけれども、そうじゃないところには成り立ちませんから、そのことをやはり考えて、本当に意味のあるような要件というか、処遇改善の策というのを考えていただきたいと思うんですよ。  そもそも、福祉の仕事が、何でなかなか昇給がしていかなくなるかといったら、入所施設とかデイサービスとか、定員が決まっているところは、定員いっぱいになったら、同じことをやっていたら、入ってくる報酬は同じじゃないですか。同じなんですよ。だから、なかなか、利益をどんどんどんどん圧縮していって人件費を上げていくということでしか昇給できなくて、やはりどこかで頭打ちになるわけですよ。  それを昇給させようと思ったら、事業所の数をふやして、若い社員を入れて職員の平均賃金を下げるとか、そういうことをやるか、それか、やはり年齢が高くなったらやめていってもらうかとか、そういうことしかないわけですよね。そうすると、やはり定着率とかいうのを考えるといかがなものかなと思うし、訪問介護だったら、それこそ一対一のサービスですから、一人の働く人が、目いっぱい、利用者のサービスを、時間を持っていたら、新しい人を雇う以外に利益をふやすということはできないんですよ。  だから、そういうことを考えると、もう構造的に昇給がどこかで頭打ちになるようになっているということも考えていただきたいんです。つまり、処遇改善を本当にやるなら、この加算で上乗せをするだけじゃなくて、やはり、経験年数とか勤続年数とか、そういうものを相当加味したような仕組みにしていかないと、定期的にずっと上がり続けるようにはならないと思います。今の加算だと、加算をしたその年の上乗せはあるけれども、それが毎年毎年上がり続けるということにはならないという指摘をさせていただきます。  やはり、経験年数とかそういうのを加味するような、そういう報酬体系というのをつくっていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  106. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 特に大きな、例えば特別養護老人ホームのような場合には、人数的にもかなり規模が大きいからキャリアパスをしっかりつくり得るということで、小さいところ、十人未満とか、そういうところではいかがなものだろうかという、そこはやはり御指摘のように、柔軟に少し考えていくべきだろうなということを私も感じます。  保育については今回、やはりキャリアパスというか、経験と能力に応じて四万円ぐらいを引き上げるということをやりますけれども、これでも二十人、三十人ぐらいは保育園の場合はおられるかもわかりませんが、今、初鹿委員のお話だと、十人足らずというようなところで同じことをやれといったってなかなか難しいよ、こういうことは理解できるところだというふうに思いますので、そこはある程度、考え方はしかし同じだろうと思いますので、そこは持っていただきながら、柔軟に対応すべきなのかなというふうに思います。
  107. 初鹿明博

    初鹿委員 やはり事業所の規模ごとにこの要件を少し変えるとか、何か工夫は私は必要じゃないかなというふうに思います。  今ちょっと保育のことを言ったので一つ指摘させていただきますが、保育士さん、今回、経験年数の高い人は四万円ですよね。これ自体、私、いいことだと思うんですが、社会福祉法人の中には、保育園もやっています、特養もやっています、いろいろそういう複数やっているところもあるわけですよ。そういうところからすると、非常に困るんですよ。保育士さんだけ四万円上がって、介護の職員は一万円、それ以外の、ヘルパーさん以外のところは加算がつかない。でも、同じ年次で入ってきた職員に、片っ方は四万円上げるけれども、片っ方は一万円で、もう一方は一切上がりませんよというわけにいかないじゃないですか。そうすると、上に合わせるとなると持ち出しがふえて非常に困るという指摘を受けています。  職務によって変えるんだ、そういうこともできないことはないと思いますけれども、そうすると、法人の中で働いている人たちもぎくしゃくするし、やはりやるなら全体の基本報酬を引き上げて、この職種だから上げる、そういうやり方で、ありがたいけれども事業所としては苦しくなるんだということは理解をしてほしいという指摘を受けておりますので、一言言わせていただきます。  大臣、何か答弁ありますか。
  108. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 お気持ちはわかりますが、我々はやはり、仕事に応じて、特に全産業などのお給料と比べて十分ではないということが大分認識として定着をしているということで、保育士に関しては特に厚目に、そしてまた、子育て支援は特に今大事で、待機児童を解消するためには、保育士さんがいないとなかなかこれの解消は難しいので、そこで重点的に、政策的に今焦点を絞ってやっているわけであります。  皆さん方の法律も、たしか五万円ずつ、保育の全員に、引き上げるという法律がたしかあったかと思いますが、それはやはり、今の先生の御指摘をしてみると、もっと厳しい状況が待ち構えていたということであろうと思いますので、いずれにしても、いい人材に来ていただくための工夫を、できる範囲内で精いっぱいやるということを心がけていきたいというふうに思います。
  109. 初鹿明博

    初鹿委員 なかなか難しいことではあるんですが、全体的に、こういう保育も介護も、福祉にかかわる職種というのは賃金が安い。その原因は、やはり国の出す報酬自体が低いということにあるんだというふうに私は思いますので、そういう意味でも、やはり次の報酬改定はきちんと引き上げないと、処遇改善なんていうのは絶対にうまくいかないという指摘をさせていただきます。  次に、キャリアパスというところでいくと、資格を取得するということも出てくると思うんですね。  介護福祉士の資格についてお伺いしますが、先般試験があって、受験者数が過去最低で、一番少なくなったということでございました。その理由としては、学校を出たのではなくて、実務経験で受験をしよう、そういう方々が、実務研修が加わって、それがかなり足かせになっているんじゃないか、そういう指摘がされておりますよね。  実務研修四百五十時間に、もともと六百時間と言っていたのを、いろいろな反対があって四百五十時間になって、いろいろ反対もありながら、延長して延長して実施をされるようになったということを理解しながら言うんですが、そうはいっても、やはり、働いて、今現に仕事をしている人が四百五十時間の研修時間をクリアするというのは、結構しんどいんだと思うんですよね。  特に、従業員の多い、でかい事業所だったらいいんですけれども、やはり小さい事業所だとなかなか難しいと思います。それと、小さい事業所、例えば十人、二十人のところで、では、研修を受けるのに、本人の負担にするのか、それとも事業所コスト負担してあげようとするのかということを考えたら、やはり小さい事業所はなかなか難しいですよね。そうなると、キャリアをアップして、また資格をつけてということに、なかなかいかないんじゃないかというふうに思います。  こういうことを考えると、やはり、研修時間の確保とか、そもそもの研修時間がこれで、四百五十時間というのが適当なのかどうかも含めて、私は、もう一回、実態を見て検討すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  110. 堀内詔子

    堀内大臣政務官 実務者研修の実施に当たっては、働きながらでも受講しやすい環境を整備するために、ほかの研修で既に履修した科目については受講を免除することや、通信教育の実施のほか、例えば事業主さんが小さい規模の場合には、事業主が研修参加者の代替職員を雇う際の助成、そしてまた、受講者に対する返還免除つきの受講費用の貸し付けなどの負担軽減を図っているところでございます。  今後とも、このような受講者や事業主の負担軽減に配慮しながら、質の高い人材の養成に取り組んでまいりたいと思っております。
  111. 初鹿明博

    初鹿委員 小さい事業所からすると、例えばサービス管理責任者がいますよね。それで、そうじゃない人が介護福祉士を取る。介護福祉士を取ればサービス管理責任者になれるんですけれども、一人いるとなれないんですよ。なった場合に、ほかの事業所に移られるんじゃないか、そういう心配もあるんですよ。  そうなってきて、やはり職員が資格を取るということに後ろ向きというか、時間を割いてまで取ってもらって、いなくなられたら嫌だなという意識も出るんですよ。これだけ介護人材が不足をしていると、資格を持っている人を欲しがっている事業者はたくさんいますからね。資格を取ったら、別のところに、少しでも、一万円でも二万円でも高い給料のところに移る、そういう意識になってしまうので、ここも考えていただきたいということを指摘させていただいて、かなり質問を残してしまったんですが、これで終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  112. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  113. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。
  114. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  初めに、一言だけ言わせていただきます。  一昨日、少なくとも金曜日まで、きょうまでは審議が続くという合意がほぼあった中で、まさかの審議打ち切り、採決がなされたことに強く抗議をしたいと思います。  質問の中身に対して、議題外には触れない約束だった、その約束がほごにされたというものでありますけれども、そもそも議員には質問権があります。仮に、何か問題が仮にあったとしても、それはあくまで個々の質問者の責任に属する問題であって、なぜそれが採決に結びつくのか。我々の質問権まで奪い、そして、きょうもたくさん来てくださっている傍聴者を初め、この法案の行く末に関心を寄せている方々に対し、申し開きができないわけです。きょうは、そうした点で補充的質疑の時間をいただきました。しかし、本来なら採決をやり直すべきです。二度とこのようなことがないように重ねて指摘しておきたい、このように思います。  質問に入ります。  三月末までに地域医療構想が全都道府県で策定されました。今後はその具体化に入るということで、年内には、医療機関の具体名を挙げて、どの機関を削減するのか、そういう段階になると思います。報道では、トータルで約一割の十五万六千床くらい削減などとありますが、どのようになっているのかがまず一つです。  続けて聞きますが、資料の一枚目に、四月十二日の経済財政諮問会議大臣提出した資料をつけておきました。介護施設や在宅医療で約三十万人吸収するというイメージになっております。  例えば、我が青森県では、一割どころか三割減の三千四百床削減と示されたわけなんです。県当局は、在宅医療でカバーしますと言いました。それしか言いようがなかったんだと思うんですね。ですが、いち早く県内でも公立病院の再編成を行い、地域医療構想をまとめた西北地域、その中心となる五所川原の市長に聞いたときに、在宅医療、そんなものできませんよ、医者がいないんだから、こう言われたわけなんですね。  そもそも医師がいないから再編統合したのに、それを今度はまた在宅で見ろというのは当然無理な話なわけで、先ほど岡本委員指摘をしたとおりだと思うんですね。そこで、受け皿についてどのように整備していくのか。二点、伺います。
  115. 神田裕二

    神田政府参考人 お答えをいたします。  先生御指摘のとおり、地域医療構想につきましては、平成二十八年度中に全ての都道府県で策定が完了しているところでございます。  平成三十七年、二〇二五年時点の全国の病床の必要量というのは全国合計で約百十九万床というふうになってございまして、平成二十五年の医療施設調査で把握している病床数であります百三十五万床と比較しますと、約一割の十五万床ということになります。  ただ、この中には稼働していない病床というのがございます。実際に、平成二十七年の病床機能報告で、病床機能の報告のあった病床数は百二十四万床というふうになってございまして、その差は約五万床というふうになります。  また、その中で申しますと、慢性期の病床について、医療の必要性の低い方を在宅医療に移行していく、また、療養病床の入院受療率の地域差を解消していくということを進めていくことにしていることから、慢性期の病床は約七万床少なくするという目標になってございます。  この受け皿をどうしていくのかということでございますけれども、慢性期病床等が減少した場合の受け皿といたしましては、介護施設、それから在宅医療、在宅介護、それから新しく法案で御提案させていただいております介護医療院等が考えられるわけでございます。これは、地域に応じてその受け皿を整備していく必要があるというふうに考えております。  平成二十九年度には、都道府県の医療計画と市町村介護保険事業計画を同時に策定するということになってございます。この病床の転換によって必要となる在宅医療等をどのように確保していくのか、その受け皿となります在宅医療・介護サービス確保できるよう、都道府県と市町村による協議の場を設けて、連携しながら策定を進めていくこととしているところでございます。
  116. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 忘れられないのが、二〇一四年の四月二十三日の本委員会でありました。今の地域医療構想と、その後、今協議の場とおっしゃいましたが、実際に減らしていく過程、これについて私が質問したわけなんですね。自主的な取り組みだけでは機能分化、連携が進まない場合に、都道府県知事が権限を発揮するということであります。  当時の原医政局長が、話し合いをしてもうまくやらない場合に、都道府県知事から、公的病院には指示をしたり、あんたのところはやめなさいという命令をしたりできる、民間の医療機関には、要請をして機能を変更していただく場合もあろうかと思います、それに従わない場合には、最終的には名前の公表もしますよということをおっしゃって、それを例えて、「一応、懐に武器を忍ばせている、」こういう表現をされたわけなんですね。正直びっくりしたわけです。  その後に言った言葉は、「実際に使うということを想定しているわけではない」とおっしゃいましたけれども、実際に強制力をきかせていくという場面があるのかどうかということで、今も懐に武器はあるのか、あるいは、使う出番はあるのかないのか。いかがでしょうか。
  117. 神田裕二

    神田政府参考人 御指摘地域医療構想の実現の方向についてでございますけれども、まずは、機能分担に必要なデータを提供いたしまして、それに基づきまして、それぞれの医療機関で担う機能につきまして、各構想区域ごと地域医療構想調整会議で具体的に協議をしていただくということを念頭に置いているところでございます。その中で、具体的に話し合いが調ってくれば、地域医療介護総合確保基金によりまして機能転換等を支援していくことといたしております。  御指摘法律上の権限についてでございますけれども、病床が既に過剰となっている機能にあえて転換しようとするようなことについて協議をしてもなかなか協議が調わないような場合には、公的病院については、病床機能を変更しないことを命令することができる、民間病院については、要請をして、要請に従っていただけないような場合には勧告をすることができるというふうにされております。  また、協議が調わない、例えば、回復期機能が今後は必要であるという場合に、どこが回復期機能を担うのかということについてなかなか協議が調わないというような場合には、不足する医療機能について転換することを、公的医療機関については、指示することができる、民間の医療機関については、要請をし、先ほど申し上げたのと同じように、要請に従っていただけないような場合には勧告することができるというふうになってございます。  勧告にも従っていただけないような場合には、名前の公表ということも定められているところでございます。これは、あくまでも、こうした協議が調わない場合ということでございますので、まずは、地域でデータによってしっかりと話し合いをしていただくことが基本だというふうに考えております。
  118. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 直接の、使うかどうかというお答えはなかったわけですが、しかし、そういう法的な手段があるということでお答えになったと思うんですね。  それで、今、データの話がございました。今度は大臣に伺いたいと思うんですが、大臣に対して私はこれまでもこの問題を何度も質問しております。医師が足りないために病棟が閉鎖をしている状態や、結局、そのために都市部に通院とか入院せざるを得ない、その受療動向が結果として、それをデータでとってしまうと固定化してしまう、つまり、病院がいっぱいある地域に通っていて、そこで間に合っているので病院がなくてもいいというふうなデータが出てしまうと困りますよねという指摘をしてきたことがありました。  そのときに大臣は、私の指摘した意味をよく理解してくださって、例えば、北海道の議論をしたものですから、札幌と旭川にだけしか人が行かなくなるとなったら大変ですよねということで、わかっていただいたかなと思うんですね。そのときに、協議の場があるからとおっしゃいました。  ただ、この資料にもあるように、大臣、るる説明をされたと思うんですが、今度はもっと細かい、病棟ごと、疾病ごとのデータを活用するんだと。もっと細かく、実際にどれだけの手術をやっているのか、どれだけのリハビリをやっているのかということで、一層これが、データの分析ということになると機械的になっていって、本当に地域の個別事情、今言ったような事情なんかがますます反映されなくなっていくんじゃないか、いよいよ協議の場になったら。いかがでしょうか。
  119. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 御指摘の病床機能報告制度がございますが、毎年十月に、七月一日時点のデータとして、各医療機関の持つ病棟が担う医療機能とか手術件数などの診療実績などについて報告をされるものでございまして、各地域の直近の医療提供体制を把握する重要なデータとしてあるわけでございます。  諮問会議で、お配りをいただいておりますけれども、機能分化、連携のための診療等のデータ提供という部分がございます。今後、地域医療構想の達成に向けては、今御指摘をいただいたように、地域医療構想調整会議、そういう場において、各地域の医療関係者とかあるいは保険者が議論をして、そこで、毎年報告される病床機能報告の情報だけではなくて、各地域の人口構成の変化によって、例えば脳卒中の患者数など、その地域の疾病構造がどのように変化をするかといった将来の医療需要に関するデータを照らし合わせながら議論を進めていただく、そういう中で調整を図っていただくということになるわけでございます。  そうなりますと、当然、都道府県が調整をされるということであれば、私どもから、疾病ごとの患者数等々、データをNDBから取り出して送るなり、いろいろな形で提供してお考えをいただくということをやっていただくわけでありますから、都道府県にしっかりとそれだけの読み込む能力と、そしてそれを調整会議にかけてまとめる能力を持って調整をしていただきたいな、こう考えているところでございます。  厚労省としては、こういうデータが適切に活用されるように都道府県への丁寧な支援をしなければいけないというふうに思っておりまして、御懸念のような、一部の都市部だけに医療が集まる、そして過疎地では医療がなかなか提供されないというのでは困りますから、そこのところもしっかりと踏まえた議論を、個々の地域事情にも配慮した上でお決めをいただきたいというふうに考えます。
  120. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 逆に言うと、ここでは今は医療資源が不足しているんだけれどもしっかりと支えて再建していきたいんだ、そういうところにも、やはり国はきちんと応援していくということでよろしいんですね。
  121. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 都道府県で既にいろいろな問題が起きておりますけれども、特に北海道のような広大な土地で暮らしていらっしゃる皆さんのお話をいろいろ、私も稚内や女満別とかああいう地域で医療機関あるいは行政の方々から聞きますと、やはり医療がなくなるとその地域はなかなか成り立つことが難しくなるということをひしひしと感じさせるお話を何度か聞いたことがございます。  そういうことを考えてみると、やはり、そういう地域にも工夫をしながら医療がちゃんと提供されることによって、そこで暮らしていくことができるというふうにしていかなければならないと思いますので、先般の医療のビジョン、働き方のビジョンの中でも、いろいろなこれからの医療職の中での責任あるいは役割の分担のあり方等々についても、しっかりと議論をしていかないといけないなというふうに思っております。
  122. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今のところはまた別な機会質問したいと思っているんですけれども、ちょっと続けていきたいんですね。  医療介護総合法で三年前にやったときに、川上から川下へということが言われたわけなんですね。やはり、ベッドを一定削減をして、それを、最初のこの絵にあるように在宅に切りかえていく、そのときの受け皿が大きな問題になったわけであります。それを一つずつ聞いていきたいと思うんですけれども、まず、さっき答弁がありました介護医療院、これについて簡潔にお答えをいただきたいんです。  これは、介護型療養病床は六年後に廃止と延長したわけですけれども、やはりこういう形が必要であったという方針の転換だと見てよいのか。ですから、今残っているのは六万一千床でしょうかね、これよりも結果としてふえることもあるのかということです。あり方検討会の議論の整理では、地域のマンパワーで対応可能な形態と書いてある。マンパワーで対応可能、つまり、配置基準を緩和するという意味なんでしょうか。
  123. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答えいたします。  幾つかございました。  平成十八年の改正のときに、療養病床につきましては、医療と介護の役割を明確化するという観点から、医療の必要性が高い方は医療療養病床で、介護の必要性の高い方は老健施設等で対応するということにいたしまして、介護療養病床については廃止することとし、老健施設等への転換を進めてきた、これが平成十八年の方針でございます。  しかしながら、結果として、患者の医療ニーズの把握が不十分でありまして、既存の老健施設等については、この受け皿として十分な機能を有していなかったということから、これらの施設への転換が進んでいないものというふうに考えております。  介護療養病床についてもう一度考えてみますと、ここで提供されております日常的な医学管理だとかあるいはみとりやターミナルケア等の医療機能は重要なものと考えておりますが、一方で、長期的な療養が必要なために、入院先が実質的に生活の場となるような利用者にとっては、それにふさわしい環境も必要だ、こういうことを踏まえまして、今回の制度改正では、当初申しました平成十八年の方針のもとで、ただ、受け皿のところについて、新たな受け皿として介護医療院という新しいものを創設するということにしたわけでございます。  具体的には、先ほどのいろいろな経緯を踏まえまして、長期的な医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者を対象に、一つは日常的な医学管理あるいはみとりやターミナルケア等の医療機能に加えまして、生活施設としての機能を兼ね備えた施設というのを創設するということにしたところでございます。  この数についてお話がございました。介護医療院が最終的にどのくらいになるかということで、六・一万床との関係がございましたけれども介護医療院につきましては、今話がありました介護療養病床からの移行というのも一つありますし、このほか、医療療養病床からの移行、あるいは新設の可能性も考えられるものでありまして、その意味でいうと、今の六・一万床というのが何か上限としてあらかじめあるということではございません。  以上でございます。
  124. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 もっとふえるかもしれないということですよね。そうすると、やはり方針の転換だということだと思うんです。これまで議論してきたことが、やはり当時はなかなかお認めにならなかったわけですよね。やはり医学的管理が必要な方がいるんだということに対してお認めになった。  でも、肝心なことを答えていません、今。配置基準の問題、地域のマンパワーで対応というのはそういうことなんじゃないんですか、緩和するということなんじゃないんですか。
  125. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 失礼しました。  新しくつくります介護医療院のマンパワーあるいは基準でございますけれども、これは、これまでの関係審議会の合同のメンバーによる特別部会等によって議論されてきております。一つは、今の介護療養病床の医療機能と同様の、似たような基準という一つのパターンと、もう一つは、今の老健施設相当以上という言葉を使っていますけれども、そうした基準という二つのパターンをつくっていこうということで、具体的にはこれから介護給付費分科会で議論するということでございまして、その意味では、二種類のものを頭に置いてこれから具体的に検討していきたい、こういうことでございます。
  126. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 お答えにならなかったわけですが、昨年十一月の財政審の建議でも、介護療養病床については、法律により二十九年度末で廃止するとともに、これは廃止はまた延びたわけですが、人員配置等の面で現在より効率的な新施設を設け、医療の必要度が高くない者についてこれにより対応していくべきであると書いている。つまり、人員配置で効率的にしなさいと。  要するに、これまでベッドを減らす減らすと言ってきて、結果として受け皿がないんだと認めた途端に、いっぱいというのは考えにくいわけですね。だから、人員配置をうんと緩くして受け皿としてやるというのでは、それもだめなわけなんです。やはり必要なものは必要なんだという立場に立って、しっかりとした配置をするべきだということを指摘しておきたいと思います。  もう一つ介護の新しい要支援の受け皿となった総合事業についてなんですが、これもことしの四月から全都道府県で義務化がされました。  資料の四を見ていただきたいんですが、途中経過はなかなか、計画する予定がない、そういう自治体もあったわけですが、昨年四月の段階では五百十六だった保険者が、ことし四月には残り九百五十三が実施をし、一〇〇%だということになっております。  要支援外しという指摘を我々はしてきたわけですが、専門的なサービスが必要な人はそのまま受けられると当時説明していました。それがどうなったかということで、少し見ていきたいと思うんですね。  資料の六を見ていただきたいんですが、これはサンプル調査だと思いますが、今実施しているうちの七十八自治体で、訪問サービスと通所サービスの中で、これは二十七年、二十八年の比較ですけれども、どちらも圧倒的に従前相当のサービスが多いということが見てとれると思います。  同時に、めくっていただきますと、それを誰が担い手となっているのか。生活支援サービスは、一定、専門職以外の方が担っているんですけれども、訪問サービスと通所サービスは、それぞれ五七・一%、五六・五%というように、介護専門職がやはり担っている。つまり、多様なサービス、緩和型でありながら専門職が担っている。  こういう状況が見てとれるわけですけれども、どう受けとめておりますか。
  127. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど先生の資料にございましたとおり、ことしの四月から全ての自治体で総合事業に移行しているということでございます。  既に二十七年四月に移行した七十八の自治体でいろいろな状況を確認したところ、話がございましたとおり、多様なサービスが出現しているものの、従前の介護予防訪問介護あるいは通所介護に相当するサービスを提供する事業所が多数を占めているということでございますし、もう一つは、三割ぐらいですか、基準を緩和したサービスあるいはまた住民参加型のサービス、こうしたものもございますけれども、基準を緩和したサービスの提供をする事業所の約半数以上が、御指摘のとおり介護専門職が担当しているということでございます。  私ども法案改正のときに、多様な担い手ということを申し上げてまいりました。その意味でいうと、今のところ、いわば専門職の担当している割合が割と多い状況になってございます。これは、やはり総合事業というのは、市町村が、地域の課題の把握だとかあるいは社会資源の発掘、あるいは地域関係者のいろいろな関係づくり等の検討、あるいは必要な担い手も含めたサービスの創出といったプロセスの中で、地域の事情を踏まえた事業内容としていくことが必要であるというふうに考えてございます。  その意味でいうと、例えば、地域のニーズと支え手をつなぐ役割を持っております生活支援コーディネーターという方が各市町村に配置されておるんですけれども、こうした生活支援コーディネーター等のいろいろな取り組みについて、さらにいい事例を周知するだとか、あるいはそうしたことに関する研修等を行って、できるだけ多様な担い手という方々がいろいろな形で参画できるようにしていくことがますます必要であるというふうに考えております。
  128. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 どう見るかと聞いたんですから、現状認識を聞いているわけなんですね。  もう一回資料の六を見ていただきたいと思うんですけれども、さっき言ったように、訪問サービスと通所サービスは従前型のサービスが圧倒的に多いです。ですが、二十八年の四月になりますとその他のサービスが出てきます。だけれども、その他のサービスの内訳を見ますと、圧倒的に多いのは、どっちもサービスA。七一・七%、六四・九%というように、サービスAが圧倒的に多いわけですね。このサービスAというのは何かというと、人員基準を緩和したもの、つまり、専門職プラス、ボランティアという形ですよね。  そうすると、結局、多様なサービスというけれども、従前型のサービスが主役である、そして、その他のサービスといっても、結局、専門職が中心となって、まして、人員基準を緩和している、そういうものを担っている、これが現実ではありませんか。
  129. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 まさに、現状ということで申しますと、ここの資料、これは我々が介護保険部会に出した資料でございますけれども、先生御指摘のとおり、いわば現行相当サービスが一番多くて、かつ、緩和型、その他多様なサービスの中でも、おっしゃるように緩和型が多いし、その際には専門職が一定の役割を果たしているわけです。  ですから、これをベースにしながらも、先ほど申しましたとおり、生活支援コーディネーター等のいろいろな活動の支援をすることによりまして、多様な担い手といったことを各市町村において引き続き、育成あるいはいろいろ事業に参加するように支援していくことが必要であろうというふうに思っています。
  130. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ですからじゃないんですよ。  介護医療総合法の議論のときに現場から出された意見は、これは担い手がいないだろうと。結局、介護予防を中心に取り組んできた事業所の撤退が始まっている。結局、実際には担い手が見つからず専門職が担うことになるんじゃないか、同じようなサービスをやっているのに、実費五百円のボランティアと同じ仕事をさせられるんじゃないか、こういう危惧があったんです。現実にそういうことになっているわけなんですよ。  私たちがずっと指摘してきたことは、生活援助だって単なる家事援助じゃないんだ、少しでも本人ができることを助け、尊厳を生かしていく専門職なんだと指摘をしてきました。そういうことに対してやはりきちんと評価してほしいと言ってきたんですね。  きょうもずっと、午前中も議論があったように、介護人材確保のためのキャリアパスだとか加算だと政府も言いますけれども、一方でこうして従来型のサービスを低賃金でやらせるようなことは、絶対あってはならないと思います。大臣、いかがですか。
  131. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 もともと、この緩和型のサービス、特に地域移行する総合事業ということでありますが、これはやはりそれぞれの地域地域でのニーズにバラエティーがあるわけでありますから、そこで、それぞれの地域の担い手がサービスを担う。むしろ、専門性のある方々は本当に専門性のある方々がやるべきサービスに特化していただいて、そちらも人手不足なわけでありますから、そういう形で幅広く担い手を広げていく中で、それぞれのニーズに合った人たち、それぞれの得意わざを持った方々サービスを提供する、そういうことで始めているというふうに思います。  この四月から完全移行ということで、まだ移行期でいろいろなことがあろうかと思いますけれども、今局長から答弁申し上げたように、そういった多様な人材を地域で育てていくということで、やはり、専門性のある方々には専門性のある方々にふさわしい仕事に専念をしていただけるようにしていかなければいけないのかなというふうに思っております。
  132. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ですから、専門性のある方々にふさわしい仕事、まさか実費五百円の仕事を肩がわりするということはあってはならない、低賃金で専門職がやることがあってはならないということを確認させていただきたい。
  133. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今申し上げたように、専門性のある方には専門性のある方にふさわしい報酬が払われるべきだということでございますから、基本的には同じ考えではないかというふうに思います。
  134. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 確認をしました。しかし、そうなっていないので、対策をとっていただきたいと思います。  それで、そうした中での我が事・丸ごとなわけです。私は、地域共生そのものを否定するつもりは毛頭ないんです。それぞれが地域で助け合って暮らしていくということはとてもいいことだと思います。だけれども、それは理念法だったらあり得るんですよね。それがなぜ地域包括ケアシステム強化のための介護法案の中に入っているのか。丸ごとなのに、なぜ厚労省が所管なんでしょうか。
  135. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 この我が事・丸ごとについてはいろいろ御議論を、桝屋先生の一言で盛り上がってまいりましたが、社会福祉法の改正案によって実現を目指すというのがこの地域共生社会ということでありますけれども、それについて、なぜ厚労省だけがやるんだ、こういうお話でありました。  確かに課題が複合化しておりますし、それから、もちろん、高齢者に対する地域包括ケアシステムだけでは適切な解決策を講ずるというのは難しいケースにも対応できるようにしなければいけないわけでありまして、地域包括ケアシステムの強化につながるものであって、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案ということで出させていただいたわけでございます。  何といってもやはり、福祉の中で今まで一番重きを置いてきているのは当然、高齢化が進む中で高齢者に対するものでありますけれども、福祉の縦割りというものでは、お互い、助けられる側、助ける側、それぞれ攻守所を変えるときもしばしばある中でございます。  それから、福祉、介護、保健医療、そして住まい、あるいは就労、働くこと、そして地域社会からの孤立など、地域住民の世帯が抱える課題は大変多様であるわけでありまして、そういったものに対して実効ある対策を講じていくためには、生活に密着した分野の支援策を広く所管する厚生労働省がまずは中心となって、省内の部局横断的な体制をしっかりと構築する。  それから、省内だけではなくて、これは、昨年の十二月に国土交通省と局長級の連絡協議会を、住まいに関して既に話し合いの場を、協議の場を設けてお互いに詰めているわけでありますが、御指摘の、例えば他の分野でいくと教育とか、それから今申し上げた住宅の分野などの関係省庁とも問題意識を共有しながら、御指摘のように、ひとり厚労省だけではなくて、他の役所ともしっかり連携をして、取り組みを主導していくのが厚労省の役割かなというふうに思っているわけでございますので、そのようなことで、今回、我が事・丸ごとを、社会福祉法の改正という形で、介護保険法の改正とともに出させていただいているということでございます。
  136. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 時間の関係で、問いの順番を変えます。  最後の資料を見ていただきたいんです。  改革工程には「福祉事業者には、地域社会の一員として、地域住民とともに、地域づくりに積極的に取り組む責務がある。」と明記をしました。これが、前回の社会福祉法改正であえて書き込まれたわけでありますね。そういう中でこの三月三十一日付の通達が出されて、「社会福祉施設等の職員が行う地域活動の推進について」、前回、河野委員がこれをお取り上げになっておりますが、真逆の立場で、申しわけありません、質問させていただきます。  これは何を言っているかといいますと、最後の「記」のところで、二つのことを言っていると思います。アンダーラインを引いていますが、「各社会福祉施設等の職員が取り組む地域活動のうち、当該社会福祉施設等の利用者を参加させる目的をもって行われるものは、利用者の自立等に資するものであり、」「福祉サービスの一環として行うことが可能です。」多分これは、介護であれば介護報酬の範囲だという意味だと思うんですね。  「一方、各社会福祉施設等の利用者を参加させる目的をもたない地域活動は、当該社会福祉施設等がその利用者に提供している福祉サービスとは別に行われるものであり、」「時間帯と当該地域活動に従事する時間帯とを明確に区別すれば、当該地域活動を行うことができます。」これは、要するにボランティアをしなさいという意味かと思いますが、なぜこの時期にこういう通達を出したんですか。
  137. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  昨年三月に成立した改正社会福祉法におきまして、先ほど御紹介いただきましたように、社会福祉法人において、より積極的に地域の福祉ニーズに応じたきめ細かい取り組みが推進されるよう、その社会福祉法人の本旨を明確化するという観点から、地域における公益的な取り組みを責務という形で法律上規定をしたところでございます。  また同時に、ことし二月に取りまとめた「当面の改革工程」の中で、社会福祉法人を初めとする福祉事業者には、地域社会の一員として、地域住民とともに、地域づくりに積極的に取り組んでいただきたいということを述べているわけでございます。  この二つのことを踏まえまして、ことし三月三十一日の通知は、社会福祉事業に従事する職員が、一定の要件のもとであれば地域活動を行うことができるということを明確に示して、積極的な取り組みを促すということとしたものでございます。
  138. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 具体的にどういうことなのでしょうか、この下の部分ですね。時間帯を分けて、例えば休暇のときに自発的に地域のボランティアに参加する、それは関係ない話ですけれども、業務命令であれば、当然、労働者なわけであります。そうしたら、賃金はどこから出るんですか。
  139. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  この通知の第二段落のところで、時間帯を明確に区別すれば当該地域活動を行うことができるというふうに書いてございます。  まず、社会福祉法上の地域における公益的な取り組みの実施、これ自体は責務を社会福祉法人に課しているものでございますので、責務として、法人の取り組みとして、いわば職員に参加を法人が促して、求めて、地域公益活動をやってくださいという場合、これはあると思います。こうした形で地域公益活動を実施する場合には、これらに従事する時間については、ほかのサービスの時間と切り分けて考える。ただ、この時間は勤務時間、労働時間でございますので、職員に、賃金については、就業規則や職員と法人との労働契約に基づいて適切に払われるべきと考えております。  また、別の形として、職員の全く自発的なボランティアというのもあり得ると考えております。その場合は、当然のことながら、法人の方が強制的に参加させる、あるいは参加しなくてはならないという形ではなくて、本人の自発的な自由意思での取り組みということでのボランティアでなければいけないと考えておりまして、こうした場合には労働時間ではないというふうに考えられると思います。
  140. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 もちろん、どんな立場の人だって、自発的に自分の時間の範囲でボランティアをすることはあると思うんですね。  だけれども、今明確におっしゃった、命令があった場合は労働時間である、それは切り分けてと。切り分けるのはいいんですけれども、それは報酬からは出ないわけですよね。それは、法人の余力で賃金を払いなさいと言っているわけ。だから、最賃ならいいんですかという話になってきて、非常におかしい話になっているんです。  しかも、そのことは一切この通達には書いてありません。ですから、通達のとおり命令をしてボランティアをやってもらいました、報酬を出しませんでしたということだってあるわけなんですよ。なぜそれを明確にしなかったのか。  これは、ずっと議論をしてきた、我が事・丸ごとはいいけれども、結局、公的なところが補えないものをこうした形で法人のボランティアに期待しているということじゃないですか。
  141. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  さきの社会福祉法人制度改革におきましては、地域公益的取り組みと同時に、各社会福祉法人で内部留保が生じた場合には、それに基づいて、その剰余金を公益的な取り組みや地域活動あるいはほかの公益事業社会福祉事業に回すべきだという規定も置かれています。  こうした法人内部の財源を使いまして、当該職員が仮に勤務としてボランティアを命ぜられたという場合には、当然のことながら、きちんとした労働契約に基づいた賃金が支払われるべきであると考えております。
  142. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 我が事・丸ごと、響きはいいですけれども、かなりその中身が透けて見えたのかなと思います。  もっと時間が欲しいです。これで終わります。
  143. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、河野正美君。
  144. 河野正美

    ○河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。  国会議員になって五年目ですけれども、何か国会というのは非常にわかりにくいし、不思議なことがいっぱいあるなと思いまして、既に採決が終わった法案について質問を重ねていくというのは初めての経験でございます。  そして、わかりにくいといえば、我が党も採決に賛成をさせていただきましたので、よくわからないという御意見もあるかと思いますが、我々は筆頭間協議にお任せしている立場でございますので、決裂したのかもしれませんが、筆頭間協議の結果が採決ということであれば、採決には応じましょうということで、応じさせていただいて、賛成の意を表させていただいたというところでございます。  それでは、前回までの残りの質問をさせていただきます。  まず、水曜日の質疑を踏まえて、幾つか外国人人材について確認をさせていただきたいと思います。  安倍総理から、いまだ低い水準であることは事実であり、本協定に基づく、EPAですね、看護師候補者の円滑な受け入れと、受け入れ後の学習支援を初め、合格率が向上するための支援について検討を重ねてまいりたいとの答弁がありました。  これまでも、日本に来る前の研修や、在留期間の延長などといった支援策が講じられてきております。支援について検討を重ねるに当たって、現状をどのように評価して、課題がどこにあって、どのような支援策があり得ると考えておられるのか、より具体的な答弁をいただきたいと思います。
  145. 古屋範子

    ○古屋副大臣 EPA関連の御質問をいただきました。  平成二十八年度に実施をしました国家試験におけるEPA協定に基づく看護師及び介護福祉士候補者の合格率は、看護師候補者では、日本人と比較すると低いものの、看護師候補者全体では一四・五%となっており、前年度一一%より三・四%向上し、過去最高の合格率となっております。  また、介護福祉士候補者では、介護福祉士候補者全体では四九・八%となっておりまして、前年度に引き続き約五割という一定の合格率を確保できたところであります。  EPAに基づく看護師介護福祉士候補者の受け入れにつきましては、二国間の経済活動の連携強化の観点から実施しているものでありまして、政府としてこれまでも、訪日前の日本語研修、国家試験の得点が一定水準以上の者など一定の条件に該当した場合に、在留資格の在留期限を一年延長、また、国家試験に向けた候補者に対するEラーニングなどの学習支援などによる支援を実施してまいりました。  さらに、EPA候補者への国家試験の特例としましては、全ての漢字に振り仮名を付記、病名等への英語併記、試験時間について看護を一・三倍、介護を一・五倍と延長も実施をしてまいりました。  このような取り組みによりまして、候補者の国家試験の合格率については、受け入れ当初に比べ、着実に合格率の向上が見られますけれども看護師候補者の国家試験の合格率は、御指摘のように、いまだ低い水準にあることは事実でございます。  看護師候補者の合格率向上に向けまして、各候補者における学習状況等を把握、分析し、これを踏まえて、学習支援を初めとした支援についてしっかりと検討を重ねてまいりたいと考えております。
  146. 河野正美

    ○河野(正)委員 ありがとうございます。  実は、受け入れた側の先生方からいろいろなお話を聞いておりまして、外国人の方、日本の習慣になじんでいただくように一生懸命努力をして、住居であるとか寮とか、そういうものを完備させたり、そこにエアコンをつけたり、さまざまな取り組みをされて、また、あと予防接種の問題とか、あるいは受け入れる看護部長さんが東京までわざわざそういった研修を受けに来たという話も聞いておりますし、いろいろな努力をされて受け入れている中で、日本人が大体、看護師八割後半、九割ぐらい合格しているところに、過去最高なんですけれども、今一四・五%というかなりの低率ということで、やはり受け入れている方としてもこれは何とかしなきゃいけないなということを思われていると思います。  ただ、民間医療機関が頑張ったからといって、そう全国レベルで上がっていく問題でもないでしょうし、その辺をいろいろとお願いしながらお尋ねをしているところであります。  受け入れ施設の数は、本当に今のように苦労されているわけですけれども、どのように推移していて、今後ふやしていく考えなのか、施設への支援については負担削減に努めるという答弁をいただきましたが、具体的にどのような対応を考えておられるのか、現時点でのお考えを伺いたいと思います。
  147. 生田正之

    生田政府参考人 お答えいたします。  EPAによります看護師介護福祉士候補者の受け入れ施設数でございますけれども平成二十八年度におきまして、看護師候補者につきましては、インドネシアからの受け入れが二十一施設、フィリピンからの受け入れが二十八施設、ベトナムからの受け入れが十施設になってございます。それから、介護福祉士候補者につきましては、インドネシアからの受け入れが九十九施設、フィリピンからの受け入れが百十六施設、ベトナムからの受け入れが七十九施設となってございまして、近年は特に介護福祉士候補者の受け入れ施設数が大幅に増加している状況でございます。  厚生労働省といたしましては、こうした受け入れ施設がふえる、円滑、適切に受け入れが進むということが非常に大事だというふうに考えてございまして、受け入れ施設に対しまして、施設におきます候補者の学習、指導経費の助成を行いましたり、あるいは国家試験合格に向けまして、看護師につきましてはEラーニングを、それから介護福祉士につきましては通信添削指導などを提供するなどの支援を行っておるわけですけれども、引き続き、受け入れ施設の負担軽減のためにさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
  148. 河野正美

    ○河野(正)委員 ありがとうございます。  それだけ、やはり日本人人材も不足しているし、海外から日本で介護、看護をやろうという方は優秀な人材だと思いますので、そういった方を積極的に受け入れたいという医療機関、介護施設は多いんだというふうに思いますが、実際、受け入れてみたら、合格できずに帰らなければいけないという状況があるわけでございますので、その辺をしっかりと検討していかなければ、見直ししていかなければいけないというふうに重ねて申し上げておきます。  EPAはあくまで特例でありまして、インドネシア、フィリピン、ベトナムの三カ国との間の経済活動の連携というのが目的とされております。今後、技能実習制度を活用して各国から人材の受け入れが始まってくるのでしょうが、EPAと両立し得るのかどうか、介護職種の技能実習に人が流れてEPAの候補者が減っていき、制度が成り立たなくなる可能性はないのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  149. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  技能実習制度に基づく受け入れは、開発途上国などの経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度でございまして、実習の終了後は、我が国で学んだ技能を生かして母国で御活躍いただくことが期待されているものでございます。  一方、EPAに基づく受け入れは、先ほど先生からも御紹介がありましたが、二国間の経済活動の連携の強化の観点から公的な枠組みとして特例的に行うというもので、候補者の方は資格取得を目指して我が国研修、就労して、資格取得後も引き続き日本に滞在できるというものでございます。  このように、EPAと技能実習の受け入れはそれぞれ趣旨、目的、内容が異なるとともに、EPAにおきましては、二国間の経済活動の連携の強化という観点から、政府として受け入れに当たっては特別の支援を行っている。具体的には、施設における候補者の学習、指導経費の助成や、試験合格に向けた通信添削指導の提供など、候補者や受け入れ施設に対しての手厚い支援を行っているという違いがございます。  このため、技能実習が開始されたとしても、直ちにEPAから人材が流れるということではなくて、両制度は両立するものと考えておりまして、引き続き、EPA介護福祉士候補者の受け入れに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  150. 河野正美

    ○河野(正)委員 これまで述べましたように、現在のEPAの枠組みをただ続けていくのであれば、制度の行く末に不安も感じるところであります。  今後、現在受け入れている三カ国以外へ拡大する可能性があるのかといった点を含めて、看護師介護福祉士のEPA候補者の受け入れ制度の将来的な見通しを塩崎厚生労働大臣に伺いたいと思います。
  151. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 ただいま、ベトナム、フィリピン、インドネシアという三カ国と、EPAの枠組みのもとで介護あるいは看護師の候補者の受け入れを行っているわけでありますが、この目的については、二国間の経済活動の連携強化の観点だということは先ほど局長からも答弁申し上げたとおりでありまして、このEPAの交渉は、言うまでもなく、外交当局であります外務省が中心となって、政府全体で判断をして、その三カ国以外に広げるかどうかという問題については議論をしていくんだろうというふうに思います。  厚労省としては、これまでも、EPAに基づく看護師そして介護福祉士の候補者の受け入れをしっかりと進める中で、先ほど来答弁申し上げているように、Eラーニングであったり、あるいは、試験も全ての漢字に振り仮名を振るであったり、細かなことも含めていろいろな支援をやって、できる限りEPAの制度のもとで介護士そしてまた看護師の受け入れが進むようにということでやってきているわけであります。  先ほど合格率の話があって、かなりまだ低いじゃないかという御指摘をいただきました。しかし、平成二十年の制度の発足当時と比べますとかなり改善はしてきていますので、これを、さらに改善をどうやって図っていくかということについて、私どもとしてもしっかり考えた上で、資格を取って日本に残るなり、また母国に帰ってリーダーとして活躍をしていただくなりしていただけるように、しっかりやっていきたいというふうに思っております。     〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕
  152. 河野正美

    ○河野(正)委員 私も医師の資格を持っておりますけれども、この委員会は医療系の資格をお持ちの先生方がたくさんおられるかと思いますけれども、日本の国家試験というのは、結構、ひっかけ問題と言われるような、日本人が読んでいてもよくわからないような問題というのもありますので。やはりそういったものも含めて、一制度に対して国家試験は一つだという基本方針があるそうですので、そういったことを考えると、日本人でもひっかかるような問題というのはどうなのかな、そういった指導も現場でしていかなければ合格率向上にはつながらないのかなと思いますし、いろいろと考えて、知恵を絞っていかなければいけない問題だというふうに思っております。  介護分野への技能実習制度の導入に当たっての議論では、介護現場で働く人たちの待遇がさらに悪化することを心配する声が聞かれました。社会保障審議会介護保険部会の意見でも、日本人労働者の処遇の確保介護サービスの質の担保のためにも、日本人と同等の処遇を確保するように求められています。他の職種で日本が受け入れている技能実習生を取り巻く労働環境の厳しさはこれまでに何度も指摘をされており、技能実習生が多く入ってくれば、労働者の待遇が低い方向で競争が生じかねないといった懸念も根強く聞かれているところでございます。  こうした指摘について、政府の受けとめを伺いたいと思います。
  153. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 お答え申し上げます。  現在、ことし十一月一日に予定をされております新たな技能実習制度の施行と同時に、技能実習制度介護職種を追加するということを予定しておりまして、このために、介護職種の技能実習制度についての詳細な制度設計を進めているところでございます。  御指摘の点につきましては、御紹介もいただきましたけれども厚生労働省で有識者に参集いただいた外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会の取りまとめにおきましても、技能実習外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇、労働環境の改善の努力が損なわれないようにすることとされておるところであり、また、技能実習制度本体におきましても、技能実習生に対する適切な待遇を確保するため、報酬の額が日本人と同等以上であるということが要件とされているところでございます。  このため、今後実施する介護分野への技能実習生の受け入れに当たりましても、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であるということを徹底し、日本人労働者の処遇、労働環境の改善の努力が損なわれないような制度としてまいりたいと考えております。
  154. 河野正美

    ○河野(正)委員 先月、私の地元福岡の西日本新聞に出ていた記事ですが、これを引用してちょっと伺いたいと思います。  「「逃げる」介護人材 ミャンマー 交差するアジア」という見出しであります。ミャンマーで、ことしから始まる介護の技能実習生の面談や採用、研修を進めている業者の声を紹介し、より待遇のよい他業種の仕事、他国の事業者に有力な人材が逃げられている現状を示しております。  幾ら日本で介護に必要な技能が学べると宣伝しても、他国の若者にとっては、異国での挑戦に報いられるだけの待遇のよさがあるかどうか、これが重要になってくるはずであります。  外国人材も競い合って確保しなければならない状況にあると思いますけれども我が国はこの競争に勝っていくことができるのか、そういった魅力のある国になり得るのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  155. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 御質問の点につきましては、例えば、技能実習制度については、先ほど申し上げたように、日本人との同等処遇を確保するということがまずあるということ、また、これに加えまして、日本の介護技術を学ぶというニーズにつきましては、ベトナムやモンゴルから要望が出されていることなどを踏まえますと、必ずしも待遇だけではなくて、日本の介護技術を身につけたいということを目的として来日する方がいるものと考えております。  また、ことし十一月から施行される新たな技能実習制度におきましては、この制度の適正化とともに、技能実習生の保護の充実が図られることとされておりまして、このことにより、技能実習生にとってより魅力的な制度となるものと考えております。  もとより、介護分野での外国人の受け入れは、人材確保を目的とするものではございませんが、以上、申し述べたように、制度趣旨に沿った形で、より多くの外国人が我が国介護現場で活躍いただけるように取り組んでまいりたいと考えております。
  156. 河野正美

    ○河野(正)委員 今月発表されたあるレポートがあります。外国人労働力介護人材不足を解消しないといったものであります。このレポートによれば、ドイツは日本と同様、専門資格の保有者を中心に介護人材が不足しており、EU域内からの外国人労働者を積極的に受け入れてきたものの、専門人材は限定的であり、人材獲得競争も激化したということであります。人材確保が難しくなっているため、EU域外の国々とプロジェクトや協定を結び、中長期的には永住許可申請を可能にしているということです。  例えば、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、フィリピンの看護師をドイツのヘルスケア分野に受け入れるトリプル・ウイン・プロジェクトが二〇一二年に立ち上げられ、二〇一六年八月までに約九百十名の看護師が参加し、約六百二十名が実際にドイツ国内で就労を開始されているということであります。  このプロジェクトは、ドイツにとっては人材不足の緩和、母国での就労機会の提供、送金や技能移転による外貨獲得、経済的発展への寄与といった形で三者がそれぞれにメリットがある、それでトリプルウインということだと思いますが、そういったものが特徴だと思います。  こうしたドイツの例を見ても、単純な就労支援や技能獲得にとどまらず、人材が求めているニーズを広く酌み取って、それぞれの仕組みをつくり上げていかなければならないのかなと思います。  介護人材の確保に悩む他の国々の状況とその取り組み、我が国状況を比較し、どのような分析をされているのか、政府の見解を伺いたいと思います。
  157. 定塚由美子

    ○定塚政府参考人 ただいま先生からドイツについての御紹介をいただきましたので、日本での外国人介護人材への支援ということで申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、EPAに基づく受け入れにつきましては、介護福祉士資格を取得できるということ、取得をして、引き続き、我が国に滞在をして介護現場で活躍いただけるということ、このために、学習支援や国家試験合格に向けた通信添削指導の提供など、さまざまな支援を実施しているところでございます。  今後、技能実習への介護職種の追加や、在留資格「介護」がスタートいたしますけれども、例えば、技能実習におきましては、実習生の方の日本語学習環境の整備としてEラーニングの提供を行うなど、それぞれの制度趣旨に沿って必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  外国人材の方をどのように受け入れて、どのようにその定着を図っていくかは、それぞれの国の受け入れの考え方制度にもよることから、一概に海外の取り組みを評価して日本に入れるということは難しいとも考えますが、参考となる海外の取り組みがあれば、今後の支援などに生かしてまいりたいと考えております。     〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 河野正美

    ○河野(正)委員 果たして、介護分野における外国人材を受け入れる仕組みが今のままで維持し続けられるかどうか。  例えば、九州経済連合会のワーキンググループによる調査によれば、福岡市にある特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護などに取り組む千二百八十四事業所のうち、回答のあった二百八十七事業所の約七割で介護スタッフが不足していると答え、外国人の雇用を望む事業所も五九%に上っております。その理由は、やはり人材不足の解消ということが挙げられております。また、資格がなくても外国人材を受け入れられるような仕組みを求める声も聞かれました。  このように、介護現場における外国人材受け入れの期待は人手不足の解消にあるのは確かですが、政府は、EPAや資格取得者への在留資格付与、ことし始まる技能実習と、受け入れる仕組みは広げているものの、あくまで人材不足への対応ではないという姿勢を変えられておりません。  一昨日の総理の答弁でも、外国人材の受け入れについては、それぞれの制度趣旨に沿った形でということでありました。現場の実情と政府の姿勢とのずれが若干あるのではないかなと。そうすると、実際に働く人たち介護サービスを受ける方々にしわ寄せが来る可能性も否定はできません。  互いに満足のいく成果を得るということは極めて難しい問題だと思いますが、人手不足への対応として考えていかなければならないのではないか、考え方を見直す時期も迎えているのかなと思いますが、塩崎厚生労働大臣のコメントをいただきたいと思います。
  159. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 今、河野先生から御指摘いただいたように、総理が申し上げたとおり、それぞれの制度趣旨に沿った形で介護現場で外国人材に活躍いただけるように積極的な受け入れを進めているということはそのとおりでございまして、介護人材の確保が重要な課題であることは、もう何度も何度もこの委員会でも議論していただいております。  国内人材の確保対策を充実強化していくことが基本だということは、これも明確にさせていただいておりまして、この四月からの月額一万円相当の処遇改善などの総合的な取り組みのほかに、介護職員の労働実態調査などを踏まえたさらなる介護人材確保策に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  その上で、我が国における外国人材の受け入れのあり方につきましては、日本再興戦略二〇一六に加えて、働き方改革実行計画がこの間ございましたが、真に必要な分野に着目をしつつ、総合的かつ具体的な検討を進めていくというふうにしております。国民的なコンセンサスももちろん大事でありますから、それを踏まえて政府全体で検討していく必要があると考えております。
  160. 河野正美

    ○河野(正)委員 時間がありませんので、次に行きたいと思います。  介護医療院について伺っておきたいと思います。  介護療養病床は、医療と介護の役割を明確化するために、平成十八年に平成二十三年度までに廃止することが決まったものの、廃止、転換が進まず、平成二十九年度まで期限が延長され、さらに今回、経過措置期間が六年延長されることとなります。  これまで十分に転換が進まなかった理由について、厚生労働省の見解を具体的に伺いたいと思います。
  161. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 平成十八年の改正におきまして、ただいま委員からお話がございましたとおり、役割分担を明確化する観点から、対応方針を決めたところでございます。  しかしながら、結果といたしまして、患者の医療ニーズの把握というところが不十分でありまして、既存の老健施設等について見ますと、いわゆる、介護の必要性の高い方々を受け入れるという意味での受け皿としての十分な機能が、特に医療面で十分な機能を有していなかったということから、これらの施設への転換が進んでいなかったということでございます。  今回の改正では、こうした状況を踏まえて、一定の医療機能を持って、かつ生活施設としての機能を持つ介護医療院というものをつくろう、こういうことでございます。
  162. 河野正美

    ○河野(正)委員 今回の改正案で導入される介護医療院は、長期的な医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者を対象とし、日常的な医学管理やみとり、ターミナルケア等の機能と生活施設としての機能とを兼ね備えた施設とされます。  しかし、実際に移行が進むかどうか、介護報酬や人員配置基準などのほか、転換を支援する仕組みの内容など、その詳細にかかわってくるんじゃないかと思います。  にもかかわらず、そうした詳細は今後の報酬改定での議論で決まるものとされ、現時点では内容がまだ把握できないと思います。法律制定時に細かい制度設計まで固めておくのは難しいことと理解するところでありますが、法の目的を実現する形となるかどうか、立法府としてもチェックしていく必要があると思っております。議論の過程を明らかにし、透明性の高いプロセスでの検討を望みます。  また、経過措置期間は六年と設定をされましたが、この間に全て移行させるのが目標か。移行しない場合の措置や、六年経過後に、介護報酬など、評価が引き下げられることを心配する声も聞かれるところでありますが、この点についてもお答えいただきたいと思います。
  163. 蒲原基道

    蒲原政府参考人 お答え申し上げます。  介護医療院のさまざまな基準、報酬等についてでございますけれども、これは関係者が非常に気にされているということは十分認識しております。  この点については、関係審議会から成る特別部会の議論の中で、一定のたたき台、これは、例えば医師の配置の数だとか、そうしたものについて一応出しておりますけれども、いずれにしても、それを踏まえながら、報酬も含めて、介護給付費分科会でこれから議論するということでございます。  いずれにしても、できるだけ、そういう案というのを早目に示しながら、最終的には、年度末になるかもしれませんけれども、見える形での議論ということをきちっとやっていくことが大事だというふうに思っております。  あわせまして、経過措置期間について話がございました。今回は、六年間、経過措置期間を延長するということでございます。  これは、一つは、御本人の、利用者の方の観点ということで、介護療養病床を利用されている方々が、いわばその療養生活に悪影響が生じないよう円滑に移行できるという観点がございますし、もう一つは、経営されている方々観点でございます。介護医療院の基準や報酬が明らかになって、きちっと判断できる一定の期間が必要でありますし、移行に当たっては、職員の再配置だとかそういうこともあわせてやらなきゃいけないので、そういった意味では一定の時間が必要だということで、今回、六年間の経過措置期間ということで、六年間延長するということにしたわけでございます。  そうした仕組みの中で、できるだけしっかりとした移行に向けた支援を行いまして、移行状況等もきちっと把握しながら、適切な支援というのを続けてまいりたい、このように考えております。
  164. 河野正美

    ○河野(正)委員 ずっと質問を繰り返させていただいておりまして、あと、保険者機能の強化、インセンティブの付与などについて最後残しておったわけですけれども、時間があと、五分前ということになっておりますので、もう質問はやめにさせていただきます。  いずれにせよ、今回の質疑の中で、介護保険制度、やはりいろいろな問題があることが明らかになったかと思います。持続可能な制度としなければなりませんし、利用者の方々視点にも立って考えていかなければなりません。そして、将来世代を担っていく方々のためにも、この制度は、走りながら考えていくというお言葉がありましたが、続けてやっていかなければならない問題だというふうに考えております。  国民の方々に不安を与えるのではなくて、不安を払拭するような議論をこれからもやって、この制度を維持していかなければいけないと思いますし、今後も、厚生労働委員会運営については、また、これからも何かたくさん大変な法案があるかと思いますけれども、しっかりと与野党整えながら、円満に議事が進んでいくことを祈りまして、というか、我々も含めて祈っております。  それでは、これでこの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。      ————◇—————
  165. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次に、初鹿明博君外六名提出、将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案及び初鹿明博君外六名提出介護障害福祉従事者人材確保に関する特別措置法案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありませんので、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  166. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 この際、初鹿明博君外六名提出介護障害福祉従事者人材確保に関する特別措置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣
  167. 塩崎恭久

    塩崎国務大臣 衆議院議員初鹿明博君外六名提出介護障害福祉従事者人材確保に関する特別措置法案につきましては、政府としては反対であります。
  168. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 塩崎厚生労働大臣は御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  169. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、初鹿明博君外六名提出、将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、初鹿明博君外六名提出介護障害福祉従事者人材確保に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  173. 丹羽秀樹

    丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十八分散会