運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2017-04-10 第193回国会 衆議院 決算行政監視委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成二十九年四月三日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 四月七日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       甘利  明君    加藤 鮎子君       河村 建夫君    鈴木 馨祐君       田中 英之君    田畑 裕明君       玄葉光一郎君    馬淵 澄夫君       伊藤  渉君    中村喜四郎君 四月七日  伊藤渉君が委員長指名で、主査に選任された。 平成二十九年四月十日(月曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 伊藤  渉君       甘利  明君    加藤 鮎子君       鈴木 馨祐君    田中 英之君       田畑 裕明君    武部  新君       玄葉光一郎君    篠原  孝君       玉木雄一郎君    馬淵 澄夫君       中村喜四郎君    兼務 逢坂 誠二君 兼務 宮崎 岳志君    兼務 輿水 恵一君 兼務 梅村さえこ君    兼務 田村 貴昭君 兼務 木下 智彦君     …………………………………    法務大臣         金田 勝年君    国土交通大臣       石井 啓一君    法務大臣        盛山 正仁君    外務副大臣        薗浦健太郎君    国土交通大臣      田中 良生君    国土交通大臣      末松 信介君    法務大臣政務官      井野 俊郎君    国土交通大臣政務官    藤井比早之君    国土交通大臣政務官    大野 泰正君    国土交通大臣政務官    根本 幸典君    会計検査院事務総局事務総長官房審議官       山口  亨君    会計検査院事務総局事務総長官房審議官       原田 祐平君    会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君    政府参考人    (法務省民事局長)    小川 秀樹君    政府参考人    (財務省理財局次長)   北村  信君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局長)        山田 邦博君    政府参考人    (国土交通省道路局長)  石川 雄一君    政府参考人    (国土交通省道路局次長) 青木 由行君    政府参考人    (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君    政府参考人    (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君    政府参考人    (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君    政府参考人    (国土交通省航空局安全部長)           高野  滋君    法務委員会専門員     齋藤 育子君    国土交通委員会専門員   伊藤 和子君    決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君     ————————————— 分科員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     武部  新君   馬淵 澄夫君     篠原  孝君 同日  辞任         補欠選任   武部  新君     河村 建夫君   篠原  孝君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     玉木雄一郎君 同日  辞任         補欠選任   玉木雄一郎君     馬淵 澄夫君 同日  第一分科員宮崎岳志君、田村貴昭君、第二分科員梅村さえこ君、木下智彦君、第三分科員逢坂誠二君及び輿水恵一君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成二十六年度一般会計歳入歳出決算  平成二十六年度特別会計歳入歳出決算  平成二十六年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十六年度政府関係機関決算書  平成二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十六年度国有財産無償貸付状況計算書  平成二十七年度一般会計歳入歳出決算  平成二十七年度特別会計歳入歳出決算  平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十七年度政府関係機関決算書  平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (法務省及び国土交通省所管)      ————◇—————
  2. 伊藤渉

    伊藤主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました伊藤渉でございます。よろしくお願いいたします。  本分科会は、法務省所管及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。  なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明会計検査院検査概要説明及び会計検査院指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。  平成二十六年度決算外二件及び平成二十七年度決算外二件中、法務省所管及び国土交通省所管について審査を行います。  これより法務省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。金田法務大臣
  3. 金田勝年

    金田国務大臣 平成二十六年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳入につきましては、歳入予算額は一千四十二億三千八百十万円余であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は九百八十四億八百八十一万円余であり、歳入予算額に比べますと五十八億二千九百二十九万円余少なくなっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千八百八十億八千百四十九万円余であります。  これに対しまして、支出済み歳出額は七千五百九十二億五千三十万円余であり、翌年度へ繰り越した額は百二十七億六千六百三十三万円余であり、不用額は百六十億六千四百八十五万円余であります。  引き続きまして、平成二十七年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳入につきましては、歳入予算額は一千十六億七千八百四十四万円余であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は一千三百八十五億二千六百五十七万円余であり、歳入予算額に比べますと三百六十八億四千八百十三万円余多くなっております。  次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千六百五十二億四千七百三十九万円余であります。  これに対しまして、支出済み歳出額は七千三百七十九億五千三百四十二万円余であり、翌年度へ繰り越した額は百十六億四千六百十五万円余であり、不用額は百五十六億四千七百八十一万円余であります。  以上をもちまして、平成二十六年度及び平成二十七年度決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  4. 伊藤渉

  5. 山口亨

    山口会計検査院当局者 平成二十六年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたのは、不当事項一件及び意見を表示しまたは処置を要求した事項一件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  これは、刑務所における歯科診療契約において、契約で定められた算定要件を満たさない診療費を支払っていたものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、刑事施設生産している刑務官制服に係る原材料調達数量に関するものであります。  検査いたしましたところ、制服に係る原材料について、生産施設における原材料在庫数量生産状況等を考慮しないまま調達している事態が見受けられました。  したがいまして、法務省において、今後は、生産施設から制服に係る原材料在庫数量生産状況等報告させ、生産状況を踏まえて制服生産計画数量を算定するとともに、当該生産計画数量生産施設における原材料在庫数量等に基づき原材料調達数量を算定するよう是正改善処置を要求いたしたものでございます。  なお、以上のほか、平成二十五年度決算検査報告に掲記いたしました刑事施設における診療所管理運営業務委託費の支払いについて処置を要求した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。  続きまして、平成二十七年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたのは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一六号は、サーバー上で稼働しているソフトウエアが提供する機能パーソナルコンピューターで利用するための権利調達に当たり、既に保有している権利状況を確認していなかったため、調達数量が過大となっていたものでございます。  同一七号は、自給製品生産に使用するために刑務所において調達した原材料について、工場の倉庫における払い出し数量等管理していなかったり、適切に保管していなかったりするなどしていて、管理が適正を欠くと認められるものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、収容施設の被収容者外部医療機関で受診させる場合に、被収容者の健康に支障を及ぼすなどの特段の事情がない限り、診療点数一点当たり十円の単価により医療費を請求する外部医療機関受診先とするなど経済性を考慮した選定を行うよう改善させたものであります。  なお、以上のほか、平成二十六年度決算検査報告に掲記いたしました刑事施設生産している刑務官制服に係る原材料調達数量について処置を要求した事項につきまして、その結果を掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。
  6. 伊藤渉

    伊藤主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。金田法務大臣
  7. 金田勝年

    金田国務大臣 法務省平成二十六年度及び平成二十七年度予算執行に関しまして、会計検査院から各年度決算検査報告において御指摘を受けたことにつきましては、極めて遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、真摯に受けとめ、是正に向けた措置を講じたところでありますが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図り、予算の適正かつ効率的な執行に努めてまいる所存でございます。
  8. 伊藤渉

    伊藤主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 伊藤渉

    伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  10. 伊藤渉

    伊藤主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  11. 伊藤渉

    伊藤主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。輿水恵一君。
  12. 輿水恵一

    輿水分科員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。  本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。  私の方からは、最近地元でさまざま御相談を受けております成年後見制度、このことについて質問をさせていただきたいと思います。  平成二十四年末の調査では、この後見制度利用者は十六万六千人にも上り、ここ数年は毎年一万人以上のペースで増加をしている。今後、高齢化社会がさらに進展していく中で、利用者というのは急増する、このようなことが考えられると思います。  この成年後見制度は、知的障害精神障害、また認知症などにより判断力が十分でない方が不利益をこうむらないように、家庭裁判所に申し立てをして、財産管理サービス等契約などについて当事者を援助してくれる人をつけてもらう、そういった制度でございます。  この中で、法定後見人制度任意後見人制度ということで、任意後見人制度は、まだ、将来に不安を感じている方が、将来を見越して事前公証人役場任意後見契約を結んでおき、判断能力を欠く状態になったときに家庭裁判所に申し立てる。事前に、意識というか、いろいろわかる状態で、こういうことをこういうふうにしていただきたい、こういう形でお願いをしたいということで事前お願いをしておく、そういったことができるということでございます。  いろいろ、やりたい方も一生懸命やりたいけれども、最近、財産の問題で後見人不正行為が多発をしている、そういう状況もあります。しっかりやらせていただきたいんだけれども、そういうことを疑われそうで何か手を挙げにくいとか、また、お願いしたい方もちょっと心配だなというところで、なかなかその辺でちゅうちょしているケースも現場ではあると伺っておりまして、後見人によって財産が不正に使用される、こんなケースが出ますと、成年後見制度自体の信用がなくなってくる。また、本人が当然被害を受ける。そんなことがあってはいけないわけでございます。  この問題に対処するために、最高裁判所中心となって、平成二十四年から、後見制度信託後見制度支援信託、そういう制度が開始されました。これは、日常で被後見人が使用するお金は別にしておいて、それ以外のものを信託銀行に預けて、そして財産不正使用を防いでいく、そういったものでございますが、これは不動産は無理で、当然現金のみ、あるいは、信託銀行の御協力でやっていただくということで、一千万円以上の預貯金がある方という形で、ある程度限定的になっている。  そこで質問なんですけれども、この後見制度支援信託を利用することができない被後見人不動産や一千万円以下の金銭等に対してもそういった不正行為があってはいけない、このように考えるわけでございますが、法定後見人制度、さらに任意後見人制度、それぞれの現状と、今後そういったことを防ぐためにどのようなことを考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。
  13. 小川秀樹

    小川政府参考人 お答えいたします。  まず、法定後見制度では、成年後見人不正行為防止するため、家庭裁判所成年後見人を直接監督いたしますほか、家庭裁判所が必要があると認めるときは、成年後見人事務監督させるため、成年後見監督人を選任することができます。その監督の結果、成年後見人について後見任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所成年後見人を解任することが可能でございます。  次に、任意後見制度では、本人判断能力などが不十分な状況になったときに、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されることによりまして、任意後見契約の効力が発生するものとされております。そして、任意後見監督人は、任意後見人事務監督し、その事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすることとされ、家庭裁判所も、必要に応じて、任意後見監督人報告を求めたり調査を命ずることができることとされております。その結果、任意後見人にその任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所任意後見人を解任することができるとされております。  このように、法定後見制度任意後見制度のいずれにおきましても、家庭裁判所後見監督人の直接間接の監督により、後見人事務処理の適正を図るものとされております。  もっとも、御指摘ありました後見人不正行為防止という点は重要な課題でございますので、法務省といたしましても、引き続き関係機関連携しつつ、後見人による不正行為防止のための方策の検討に取り組んでまいりたいと考えております。
  14. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  どちらも後見監督人という形で監督をしていく、そういった中で今後さまざまな検討もしていただけるということなんですけれども、やはり、先ほどの信託関係信託銀行協力でということで、今後、一般銀行においても、ちょっといつもと違うものをおろすときには一応確認をするみたいな、銀行協力等もいろいろ協議をしながら、そういった預金者預金を守るという視点からも、協力をいろいろな形で調整していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、法定後見制度における成年後見人事務につきましては、平成二十八年の民法改正により、成年後見人が、成年後見人の死後も、火葬、埋葬に関する契約等一定事務を行うことができる、このようになりました。  これは法定後見制度ということでございますが、任意後見制度においての任意後見契約における任意後見人は、本人死亡後、成年後見人のような事務を行うためにはどのようにしたらいいのか、また、どのようになっているのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。
  15. 小川秀樹

    小川政府参考人 お答えいたします。  御指摘いただきましたとおり、成年後見人は、改正民法によりまして、成年後見人死亡した場合において、必要があるときは、その相続人意思に反しない限り、家庭裁判所の許可を得て、遺体火葬などの一定事務をすることができるものとされております。  これに対し、任意後見人につきましては、法律上そのような規定はございません。しかし、先ほども御指摘いただきましたように、任意後見は基本的には契約がベースでございますので、委任契約で委任する事項を自由に定めることができますことから、任意後見人となる者との間で、任意後見契約とは別に、本人死亡後の事務委任契約を締結することによりまして、任意後見人がその契約に基づいて遺体火葬などの事務を行うことができると考えられるところでございます。
  16. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  では、また別の契約というか、そういったことで進められるということが確認できました。ありがとうございます。  成年後見制度が始まった当初は、本人親族成年後見人に就任することがほとんどであったと伺っておりますが、最近では、親族以外の第三者が過半数を超えている、このように伺っております。  今後また、第三者後見人という、そういった必要性が高まってふえてくるかと思うんですけれども、一方、成年後見人財産だけではなくて、本人生活とか医療だとか介護だとか福祉、そういったところもしっかりと、お願いする方としては、身の回りのことにもしっかり目を配ってほしい、そういった思いがあるのかと思います。  しかし、後見制度制度上、財産管理あるいは契約ということに限られている中で、今後、そういった皆様の期待に応えていくためには、財産管理に非常に詳しい方が後見人になっている中で、さまざまな医療介護福祉あるいは生活支援サービスを的確に知って、それにちゃんとつなげていく、そういう取り組みが非常に重要であるのではないかと思うわけでございます。  一方、任意後見人で余りそういった契約のことが詳しくない方でも、逆に、そういった契約のことについてしっかり連携をとりながら後見人としての使命を果たせる、そんな環境の整備も必要かと思うんです。  そのように、後見人が責任を持って被後見人に適切なサービスを迅速につなげていくためにも、また、利用者が安心して成年後見制度を利用するためにも、後見人をサポートしていく体制整備が必要ではないかと考えますが、きょう、せっかく盛山法務大臣にいらしていただいたので、では、盛山法務大臣の方に、その点について御答弁をお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
  17. 盛山正仁

    ○盛山副大臣 輿水委員が御指摘のとおり、成年後見制度は、精神上の障害により判断能力が不十分である、そういったことで契約等法律行為における意思決定が困難な方について、成年後見人等がその判断能力を補い、御本人権利を擁護する制度ということで、法律上ですとかそういうことがそもそも中心でございます。  しかしながら、先生御指摘のとおり、現状を考えますと、御本人が、法律上だけではなく広く適切なサービスを的確に受けられることができるように、成年後見人等介護医療に関する迅速かつ適切な契約締結等をすることが重要になってきていると我々も認識しております。  去る先月、本年三月に閣議決定されたばかりでございますが、成年後見制度利用促進基本計画、この閣議決定によりまして、各地域において、保健、医療福祉と司法を含めた連携仕組みである権利擁護支援地域連携ネットワーク、そして、その中核となる中核機関整備することとされております。  そして、この基本計画では、地域連携ネットワーク及び中核機関が担うべき機能後見人支援機能が含まれております。  具体的には、後見人と、本人に身近な親族福祉医療地域等関係者がチームとなって日常的に本人を見守り、本人状況を継続的に把握し適切に対応する体制をつくること、そして、専門的知見が必要であると判断された場合において法律福祉専門家本人を支援することができるよう、専門職団体協力を得られる仕組みをつくることなど、身上保護等を重視した後見活動が円滑に行われるよう支援するとされております。  地域における成年後見制度の活用に関しましては、市町村に今後大きな役割を果たしていただきたいと考えておりますけれども、法務省としても、基本計画を踏まえ、地域連携ネットワーク構築状況を注視しつつ、関係機関連携し、この関係機関というのは厚労省内閣府、最高裁、専門職団体、そして市町村等になるわけでございますが、これらと連携しながら、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
  18. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  まさに地域連携ネットワークがしっかり機能して、さまざまな個々のニーズというのは非常に広いと思うんですが、そういったものに的確に、多くのいろいろな方の協力の中で後見制度がうまくつながるような、そういった制度になるように私もしっかりと応援してまいりたいと思いますし、地域の皆さんも安心して利用できる後見制度になるようにまた期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。  きょうは第四分科会ということで、次に、国土交通関係の内容についても質問をさせていただければと思います。  きょうは、高速道路ネットワークということについて質問をさせていただきたいと思います。  国土交通省が発表した首都圏地域広域ネットワーク、新首都圏広域地方計画というんでしょうか、それが発表されて、私も資料を見させていただきまして、まさにそのネットワークというのは本当にすばらしいなと。  首都直下型の地震が想定される中で、首都圏に集中しているさまざまな産業ネットワークの中で高速道路沿い地域に分散をしていくことによって、日本のそういった経済活動等が持続的に進むような、そんな中でのネットワーク、あるいは観光をさらに活性化していく、あるいは、もし災害が起こったときに、災害のさまざまな人や物資を適切に運ぶためのネットワークということで、これからそのネットワーク大変期待をされるわけでございます。  そんな中で、まず、北関東道整備について伺います。  三月三十一日に経済産業省より発表された二〇一六年の工場立地面積、茨城県が四年連続の全国一位だったというふうに発表されました。これは、常陸那珂港や平成二十三年に全線開通した北関東自動車道等の充実したインフラによるものだと考えられます。また、北関東道東西方向で結ばれていることにより、栃木県や群馬県等の、そういった内陸のストック効果も相当出ているのではないか。  そういった中で伺いますけれども、この北関東道全線開通により、具体的にどのようなストック効果が発揮されていると認識されているのか、お答えをお願いいたします。
  19. 青木由行

    青木政府参考人 お答えいたします。  お話ございました北関東自動車道でございますが、これは、群馬栃木、茨城、いわゆる北関東三県の県庁所在地そして茨城港を結ぶ、それから関越道、東北道、常磐道を連結するという四車線の高速道路でございまして、平成二十三年三月に全線開通をいたしてございます。  この全線開通によりまして、内陸部から茨城港への大幅な時間短縮を初めといたしましたアクセス性が向上されたことから、例えば、北関東の沿線では工業団地の造成、企業立地が進みまして、北関東三県の工場立地件数が全国平均の約二倍の伸びになってございます。また、茨城港における完成自動車等の出荷量が全線開通前の平成二十年と比較いたしますと約二倍にふえているというようなことでございまして、御指摘ございましたように、内陸にも広く、地域産業の活性化に寄与してございます。  また、観光面でも、群馬県の草津温泉、それから栃木県の日光東照宮、茨城県のひたち海浜公園をめぐる広域ツアーが造成されるなど、北関東三県が連携いたしました広域周遊観光が促進されまして、例えばひたち海浜公園では、観光客が全線開通前、これも平成二十年度と比較いたしますと約二倍になるなど、観光振興の効果も見られてございます。  国土交通省といたしましても、引き続き、国、地方の経済再生に資する、御指摘のありましたストック効果の高い事業、これを着実に推進してまいりたいと存じてございます。  以上でございます。
  20. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  まさにその効果は非常に絶大だということを改めて感じたわけでございますが、さらに、その茨城の港に天然ガスですかが着いて、そこからパイプラインでずっとそのラインが結ばれているということで、内陸部にガスの火力発電所もできて、そういったエネルギーの供給体制も今整っている、このように伺っておりまして、さらなる発展、進展につき期待を申し上げるところでございます。  続きまして、北関東道に加え、ことしの二月二十六日に、待ちに待った圏央道の境古河インターからつくば中央インターまでつながれました。このことによって、何と成田空港から湘南までが全部結ばれるという夢のようなラインがまたこういうふうにできたわけでございます。  このことは、まさに産業や観光、さまざまな面で、北関東道とまた同等以上に沿線地域に対して広く効果をもたらすのではないか、このようなことが期待されるわけでございますけれども、圏央道の開通により、具体的にどのようなストック効果が発揮されるのか、認識を伺います。
  21. 青木由行

    青木政府参考人 お答えいたします。  お話ございました圏央道は、都心から半径四十から六十キロメートル圏域にございます首都圏の環状道路といたしまして、首都圏の慢性的な渋滞の緩和による移動時間の短縮など、物流の効率化、省力化において大きな役割を果たす重要な路線でございます。  一昨年十月に埼玉県区域が全線開通をいたしましたが、お話ございましたように、ことし二月二十六日には茨城県区間が全線開通をいたしまして、圏央道全体約三百キロメートルのうち約九割がつながりました。  お話ございましたように、湘南から成田空港までつながったということでございまして、このことによりまして、いわゆる首都圏の放射の高速道路、湘南の方向からいいますと東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関道、この六つの放射の高速道路が圏央道とつながったということでございます。  こういったことから、その整備効果が近年顕著に出てございまして、例えば物流面におきましては、圏央道によりまして都心部を通過せずに地方間を結ぶことが可能になる、こういったことから、圏央道沿線におきまして、物流施設の年間立地件数、これが二十年前と比較いたしますと約四・六倍に増加をしてございます。  特に、平成二十一年から平成二十六年の五年間で見てみますと、一都三県の圏央道沿線市町で、大型物流施設が新たに約九十件、それから従業員者数が約九百件増加ということで、民間設備投資や雇用の増加にも顕著な効果が出ていると思ってございます。  また、企業立地等によりまして、市町の税収について見てみますと、法人住民税が約百五十億円、建物の固定資産税などが約六十億円増加してございまして、今回の開通によりましてさらなる効果が期待されているといったことでございます。  また、観光面におきましても、先ほど申し上げましたように、六つの放射道路に圏央道はつながりましたので、例えば、川越、富岡製糸場、日光・那須、筑波山、湘南海岸などの関東各地の観光地の間のアクセスが向上いたしまして、訪日外国人を初めとした旅行者による観光周遊の促進が期待されているところでございます。  引き続き、こういったストック効果を生かしながら、圏央道における未開通区間の整備促進を図るとともに、開通した道路をより賢く利用して、ストック効果を拡大する取り組みを進めてまいりたいと存じております。  済みません。先ほど、一都三県の沿線市町の従業員者数をちょっと言い間違えたようでございまして、約九千人の増加でございます。大変失礼いたしました。  以上でございます。
  22. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  まさに観光、経済、そういったものを非常に支えて、またそこからさらなる発展に向けての大きな力になっているということがわかりました。  一方、やはり高速道路は、そういったものと同時に、災害が発生したときのそういった機能も非常に重要である、このように考えるわけでございます。  私、住んでいるのがさいたま市なんですけれども、さいたま市は、TEC—FORCEの活動拠点になっている。また、防災公園、日赤等のさまざまな、そういった防災のための機能が集約している。  そういった状況の中にあって、大宮上尾道路について、今途中で、さいたまの新都心でとまっているんですけれども、今の圏央道にしっかりとつながることによって、今、東名まではちょっと遠いかも、東名から中央、関越、そして東北、常磐、そういった形で全部つながっているわけで、そこからいろいろな物資とか人が来る、そして、そこへ来たものを上尾道路を通して大宮のTEC—FORCEの拠点までしっかり運べるような、そういったつながりも大事なのかな、このように考えるわけでございます。  そこで、この新大宮上尾道路について、首都直下型地震への備えの観点から、首都高速大宮線から圏央道までしっかりとつなげることが重要であると考えますが、国土交通省の考えをお聞かせ願えますでしょうか。
  23. 青木由行

    青木政府参考人 お答えいたします。  お話ございました新大宮上尾道路、この与野—桶川北本間、これは開通済みの首都高速大宮線と合わせまして、外環と圏央道をネットワークでつなぐ延長約十五キロの道路でございます。  この道路は、現行の国道十七号などにおける慢性的な渋滞の緩和に役立つとともに、首都圏広域防災拠点に位置づけられてございますさいたま新都心へのアクセス性が強化されるなど、災害時における首都機能のバックアップ体制を担う観点からも重要度が高いというふうに認識してございます。  その中でも特に課題が大きい与野—上尾南間の約八キロ、こちらを平成二十八年度に直轄事業として事業化をしたところでございます。また、本年三月三十一日、首都高速道路株式会社への事業許可を行いまして、直轄事業と有料道路事業で分担して事業を進めていくことになりました。  今後とも、地元地方公共団体さんなどの協力を得ながら、早期開通を目指しまして事業を進めてまいりたいと存じてございます。  以上でございます。
  24. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  まさに高速道路ネットワークがつながって初めて効果を発揮するということで、首都直下型地震の発生リスクが高まる中、東京一極集中を防ぎ、災害に強い都市構造とするとともに、産業や観光など、首都圏の国際競争力をさらに高めることを期待するわけでございます。  さらに、きょう触れたこと以外にも、もうちょっと内側に目を向けると外環、またもうちょっと外に目を向けると中部横断自動車道、そういった形で、さまざまな形でネットワークがつながることによって、それぞれの地域の観光、産業がさらに、先ほど紹介があったような効果が期待される、このように考えるわけでございます。  このような今の北関東道、圏央道、そして新大宮上尾道路、さらには外環や中部横断自動車道等を含めて、ネットワークとしてつなげることの必要性について、きょうは大野政務官に来ていただいておりますので、国の、国土交通省のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
  25. 大野泰正

    ○大野大臣政務官 どうもありがとうございます。  今ここまでずっと委員御指摘いただいたとおりでございまして、道路は、ネットワークとしてつながることにより、企業立地や観光交流が進むほか、リダンダンシーの確保により防災機能が強化されるといった多様なストック効果が生じていくことは間違いありません。地域の活性化にも大きく寄与いたしますとともに、何より東京の一極集中の是正にも大きくつながっていくこと、これも期待されているところであります。  関東圏においては、御質問にありました北関東道や圏央道などの高規格幹線道路とともに、先ほど来お話がございます新大宮上尾道路などを整備することで、都心に集中する交通を分散し、北関東道や圏央道の沿線における企業や物流施設の立地促進、世界遺産などを周遊する広域観光の促進、また、災害時における首都機能のバックアップ体制確保などのさまざまな効果が期待されております。  今後とも、委員御指摘のとおり、より一層広い範囲でネットワークがしっかりとつながれるように、そしてストック効果を発揮できるよう、必要な道路ネットワークの強化を力強く進めてまいります。
  26. 輿水恵一

    輿水分科員 どうもありがとうございました。  まさにネットワーク、物が動くだけではなくて、輸出の部分も、東京湾から今物を出すと一日余計にかかるんですけれども、茨城の港から出すとそのまますっと出せる。また、何かあったときに、ここだけだと動きがとまる中で、そういったネットワークによっていろいろな港を活用できる。  そういったこともこれから期待されるわけでございますし、先ほどのネットワークによって、箱根が世界的には有名なんですけれども、箱根から日光へとか、群馬を通って日光の方まで、そういったルートだとか、あるいは伊豆から軽井沢みたいな、そういったさまざまなルート、また、これから、インバウンドも年々ふえているという中で、そういった観光にも寄与できる。そして、もしものときの、災害のときにもしっかりと対応がとれる。そういった高速道路ネットワーク網をこれからもしっかりと進めていただきながら、また、その維持をしていただければと思います。  本日は、まことにありがとうございました。  以上で質問を終わらせていただきます。
  27. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて輿水恵一君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  28. 伊藤渉

    伊藤主査 これより国土交通省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。石井国土交通大臣
  29. 石井啓一

    ○石井国務大臣 国土交通省平成二十六年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  収納済み歳入額は一兆八千七百九十七億五千九百万円余であります。支出済み歳出額は七兆三十四億六千七百万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千四百四十三億七百万円余であります。支出済み歳出額は三千九百三十七億七千六百万円余であります。  このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成二十六年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  引き続き、国土交通省所管平成二十七年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  収納済み歳入額は八千六百三十六億二千二百万円余であります。支出済み歳出額は六兆三千四百十八億七千百万円余であります。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  まず、自動車安全特別会計でありますが、保障、自動車検査登録、自動車事故対策及び空港整備の四勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千六百七十一億五千五百万円余であります。支出済み歳出額は四千二十五億九千四百万円余であります。  このほか、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成二十七年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  30. 伊藤渉

    伊藤主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院戸田第三局長
  31. 戸田直行

    ○戸田会計検査院当局者 平成二十六年度国土交通省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十九件、意見を表示しまたは処置を要求した事項八件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項七件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号三四四号及び三四五号は、設計が適切でなかったもの。  三四六号は、使用料の徴収が適切でなかったもの。  三四七号から三八二号までの三十六件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  その一は、河川工事に伴う附帯工事により改築を実施した工作物の維持管理及び費用負担等に関して意見を表示し、及び是正改善処置を要求いたしたもの。  その二は、国有港湾施設の管理及び使用に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善処置を要求し、並びに意見を表示いたしたもの。  その三は、省エネ改修事業に係る経理等の適正化等に関して是正改善処置を要求し、並びに改善処置を要求し、及び意見を表示いたしたもの。  その四は、地域公共交通確保維持改善事業費補助金によるノンステップバスの導入及びその活用の状況に関して意見を表示いたしたもの。  その五は、独立行政法人奄美群島振興開発基金に対する出資による保証基金の積み増しに関して意見を表示いたしたもの。  その六は、共同溝の有効利用等に関して意見を表示いたしたもの。  その七は、住民参加型まちづくりファンド支援事業の実施に関して改善処置を要求いたしたもの。  その八は、空港施設の維持管理に関して改善処置を要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、国庫補助事業等により実施される工事等において、工事等の実施に直接必要となるものではない保管管理システムのデータ登録に係る費用に関するもの。  その二は、シールド工法による下水道管渠築造工事における工事費の積算に関するもの。  その三は、船舶工事の予定価格の積算に関するもの。  その四は、総価契約単価合意方式を採用した河川、道路等の工事のうち、処分費等を含む工事に関するもの。  その五は、国が管理する橋梁の診断業務に係る委託契約に関するもの。  その六は、委託契約において受託者が取得し、委託契約終了後に国が返還を受けた物品に関するもの。  その七は、インターネット上からの通信が可能なサーバー上で利用していたサポート期間が終了しているソフトウエアの更新等に関するものであり、これら七件について指摘したところ、それぞれ改善処置がとられたものであります。  続きまして、平成二十七年度国土交通省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四十六件、意見を表示しまたは処置を要求した事項六件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項九件であります。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号二六〇号は、会計経理が適正を欠いていたもの。  同二六一号及び二六二号は、設計が適切でなかったもの。  同二六三号から三〇五号までの四十三件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  その一は、道路事業、河川事業及び砂防事業において取得した電気通信設備の物品管理簿への記録に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善処置を要求いたしたもの。  その二は、都市防災総合推進事業における防災情報通信ネットワーク整備に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善処置を要求いたしたもの。  その三は、木造公営住宅等の設計及び施工における事業主体の確認等に関して是正改善処置を要求いたしたもの。  その四は、電線共同溝整備事業に係る建設負担金の算定に適用する年利率に関して意見を表示いたしたもの。  その五は、新重点密集市街地の解消に向けた事業の実施等に関して意見を表示いたしたもの。  その六は、離島航路運営費補助金の交付額の算定方法等及びその審査に関して意見を表示いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、既設橋梁の耐震補強工事の実施に関するもの。  その二は、橋梁等の補強工事の実施に関するもの。  その三は、簡易公募型プロポーザル方式及び簡易公募型競争入札方式により建設コンサルタント業務等を発注しようとする場合の手続開始の公示に関するもの。  その四は、官庁営繕事業に関するもの。  その五は、道路の復旧を伴う下水道の函渠埋設工事の実施に関するもの。  その六は、空港の用に供する固定資産に係る国有資産等所在市町村交付金に関するもの。  その七は、火山観測装置の簡易点検の実施に関するもの。  その八は、重要物品に該当するのに仮設物として記録されて物品増減及び現在額報告書に計上されていなかったものに関するもの。  その九は、重要国際埠頭施設における保安措置等に関するものであり、これら九件について指摘したところ、それぞれ改善処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  32. 伊藤渉

    伊藤主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。石井国土交通大臣
  33. 石井啓一

    ○石井国務大臣 平成二十六年度決算及び平成二十七年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして、国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。  所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成二十六年度及び平成二十七年度決算検査報告におきまして、不当事項等として御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。
  34. 伊藤渉

    伊藤主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 伊藤渉

    伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  36. 伊藤渉

    伊藤主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  37. 伊藤渉

    伊藤主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。
  38. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 おはようございます。民進党の篠原孝でございます。  一時間、時間をいただきまして、きょうはダムの関係、二つに分けて質問させていただきたいと思います。  ダムは日本のあちこちの川にいっぱいつくられております。しかし、世界の状況を見ますと、ダムは無駄だ、土砂で埋まって、百年後、二百年後、三百年後は撤去しなくちゃならない、何よりも、自然環境を壊している、生物、特に魚に優しくないということで、考え方が違ってきているんですね。  私は、数字がわからなかったので、ダムの現状はどうだというのを金曜日に伺いまして、夜中だったので、その質問をすることにしましたけれども、皆さんのお手元にお配りしてありますけれども、きちんとした資料が出てまいりまして、少なくなっているんだろうと思いますけれども、まだこれだけ建設段階にあるダムがある。後で聞きますけれども、計画段階のダムもある。直轄ダムと補助事業のダムですね。なかなか多いと思います。  また、後の方に出ておりますけれども、今、日本で、天然の川で、砂防ダムとか、そういうのもありますけれども、小さなダムもあります、一応ダムと認識されているものはどのぐらいあるんでしょうか。
  39. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えをいたします。  我が国では、治水、利水の課題に対しまして、流域の特性に応じて、河川改修、あるいは遊水地、放水路、導水路、そしてダム等の手法を組み合わせながら対処してきているところでございます。  ダムは洪水を一時的に貯留して下流の浸水被害を防止、軽減するとともに、渇水時には必要な取水量を確保するため用水を補給するなど……(篠原(孝)分科員「幾つあるかだけでいいです」と呼ぶ)今、実際にあるという意味でございますか。(篠原(孝)分科員「はい」と呼ぶ)済みません、全体として、ちょっと今調べます。
  40. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 調べておいてください。数え切れないほどあるんだろうと思います。僕はいろいろな環境関係の本を読んできたりしていますけれども、三千から四千あるんじゃないんですか。相当あるわけです。  この資料、国土交通省の皆さんにちょっとお願いしておきますけれども、何とかダム何とかダムと書いてあっても、どこの県のどこだかわからないので、後で県名を入れてください。それからあともう一つ言っておきますけれども、信濃川、千曲川水系のダムも、これも長野県の場合は何町にあるかというのをちゃんと書いたのを再提出していただきたいと思います。  ダムの歴史はまだ日本でも百二、三十年ですね。明治の最初に外国人技術者なんかに来ていただいてつくったわけですけれども、百数十年、それですっかり日本の川の環境を変えたんじゃないかと私は思います。  これは皆、土木関係の人たちは知っていることだと思いますけれども、ヨハネス・デ・レーケというオランダの築堤職人の息子が日本に一八七三年、お雇い外国人として来て、一九〇三年まで三十年間日本にいて、相当功績があって、叙勲にも何回も浴しておられるそうです。この方が日本に来て、オランダなんて真っ平らなところですから、びっくりして、日本の川は、川ではない、滝だと。  そして、グラハム・ベルは、もっとずっと後に日本に来たわけですけれども、水力発電の適地ばかりだ、日本は永遠に水力発電だけでやっていけると。こんなに電力を使うような国になるとは誰も思わなかったんですね。だから、そう言われていたんです。  それで、いろいろつくり尽くしたんですね。黒四ダムとかいうのが映画にもなっています。そういうのがありました。  だけれども、今数はわからなかったですけれども、信濃川だけでもよくわかると思います。では、ついでに見ていただけますか。信濃川の後にありますけれども、物すごいんですよ。山ほどあるんですけれども、二ページにわたって。  常識的に見て、私はもう、日本に少なくとも巨大ダムの適地は残っていないと思うんですが、この点についてはどうなんでしょうか。
  41. 山田邦博

    ○山田政府参考人 ダムにつきましては、建設地の地形、地質条件ですとかあるいは地域社会経済等を調査した上で、治水、利水上の必要に応じながら適切に建設事業を実施してまいったところでございます。  現在では、六十一のダム建設事業を実施するとともに、三事業におきまして、ダムの形式や位置等を決定するための詳細な調査を今実施しているというところでございます。  六十四のダムについて、今、建設あるいは調査をしているという状況でございます。
  42. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 これは通告してありませんけれども、六十四もあるというのは、僕は、ある程度自然環境を壊しても、電力も必要ですし、仕方がないと思いますけれども、先進国のほかの国で、先進国です、発展途上国は、まあ、ちょっと必要でしょうけれども、欧米諸国でも、同じような状況で、ダムは建設中のものがいっぱいあったり建設計画がいっぱいあるという国があるんでしょうか。日本は特殊な国のような気がするんですけれども、いかがですか。
  43. 山田邦博

    ○山田政府参考人 ちょっと今の手元にある中で、例えばアメリカの例でございます。一九九四年に内務省の開拓局ビアード長官がアメリカにおけるダムの建設の時代は終わったと発言をいたしましたけれども、その後もダム建設は行われているということを、衆議院の調査局の調査等もございまして、確認をしているという事例がございます。
  44. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 そうですか。  ですけれども、日本のように昔ながらのことをやっている国は私はないんじゃないかと思いますけれどもね。それをちゃんと調べていただきたいと思います。  だけれども、もったいないといえばもったいないんですよね。日本には高い山があって、冬はシベリア高気圧がせり出してきて日本海に大きな雪をもたらす。夏は台風で同じように雨をもたらす。だから、世界の平均が八百ミリか九百ミリのはずですが、日本は千八百ミリですか、それだけ降雨量、倍以上の雨が降る。それで、デ・レーケじゃないですけれども、滝のようだと。位置エネルギーがあると。  だから、川が流れていて、ちょっと傾斜があったりしたら、水力発電の適地だとかなんとかというのはどうやってやっているのか、僕はわかりませんけれども、ありとあらゆるところがやはり適地なんだろうと思うんです。  ただ、そこに住民が住んでいて、そして迷惑をかける。特に山村の、湖底に沈むような人たちがいっぱいいて、今までもさんざんそういうことをしてきたわけです。  ですから、そういう不幸な人たちがいたりするというので、そこが問題で、そこと折り合いがつく、例えば山奥の誰も住んでいないところの谷だったらいいんだろうと思います。しかし、そういうところはもうほぼつくり尽くしたと思う。  だから、今後どうしていくかというのをよく考えなくちゃいけないと思います。だけれども、この位置エネルギーを利用しない手はないんじゃないかと私は思います。原発の関係もあります。原発に代替する、必要悪として、ある程度有効活用していかなくちゃいけないというような気がするんですね。  ですけれども、やり方がいろいろ問題でして、皆さん御存じだと思いますけれども、宮中取水ダム、二枚目の四ページのところの真ん中、上の方に、東日本旅客鉄道、宮中取水ダムというのがあります。これは皆さん御存じだと思います。さんざっぱらインチキして、何年にわたってですかね、相当取水量を超えて、しらばっくれてやっていた。  私はよくわかりませんけれども、国土交通省はこの点は偉いと思います。厳罰に処したんですね、取水させなかった。  だけれども、この下は悲惨なんですね。とり過ぎていたというのも問題ですけれども、とり過ぎなくても、ルールどおりだとしても、そこでみんな水をとってしまうので、そこから下流はろくすっぽ水が流れていないんですよ。  私は、およそ先進国の川で、ダムをつくって川に水がほとんど流れていない、そんなことは、今環境問題に敏感になった国民が許すはずがないと。日本の従順な人たち、特に田舎の人たちは、黙ってそれに従っている。私は、こんなことをさせておくべきではないと思うんですよね。  私は、これはほかにもあるんじゃないかと思って、質問取りのときに聞きましたら、そんなのは本当に少ないので、宮中取水ダムの跡ぐらいです、ほかのところには存在しないと言うんですけれども、本当にそうなんでしょうかね。水をみんなとってしまって、そしてその水がまた川に戻るまで数十キロにわたってちょろちょろ流れているだけ、そういう状況の川が日本にもいっぱいあるんじゃないかと思うんですけれども、それは事実でしょうか。ほかにないんですかね。
  45. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えいたします。  全国の河川にあります発電ダムでは、発電のための水量を下流の発電所にバイパスさせることによりまして、ダム下流の流量が著しく減少する減水区間が長い距離にわたって発生することがございます。  国土交通省では、発電ダムを対象として、そのような減水区間に放流を促すために発電ガイドラインを作成しまして、その解消に努めてきたところでございます。  全国の発電ダム等を対象といたしました平成二十七年度末の調査によりますと、複数の発電取水口があることから不連続となっている区間も含めまして、ほとんど水の流れがない状態の総延長が十キロ以上にわたっている、そういう箇所は、山間部にありますけれども、三カ所ございます。  それから、先ほどの数をお答えしてもよろしいでしょうか。(篠原(孝)分科員「はい」と呼ぶ)  全国で、直轄のダム、それから水資源機構のダム、そして補助、都道府県が管理しているダム、全部含めますと五百五十八ダムございます。  そして、千曲川、信濃川、これは支流を含めまして、国土交通省直轄ダムが二十二ダム、利水ダムが三十三ダムということでございます。  大変失礼をいたしました。
  46. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 中山間地と。多分、それは人が住んでいるんでしょうね。  ちょっとしか影響を受けないからいいんだという感じで、やはり中山間地域の人たちに対する配慮が欠けているんです、そこに住んでいる人たちに。下流の住民は、水も電力もみんな、ダムのおかげで電力があり、飲料水もある。上流の人たちに思いをはせていないんですね、その人たちが犠牲になっていると。  私は、宮中取水ダムについて前に質問したことがあるんですけれども、東日本旅客鉄道はさんざん迷惑をかけていたんだから、あのあたりの農家の皆さんの米を三倍の価格でみんな買い取れ、迷惑かけ賃でというようなことを言ったんですけれどもね。そのぐらいの気持ちを持っていただかないといけないと思います。  川は公共財です、だからみんなのために使わなくちゃいけない、だから日本の国策なんだといって、大分昔に、これは西大滝ダムのお話ですけれども、長野側の、私の選挙区のところですけれども、つくって、そして、みんなそれを認めている。  その犠牲になっているのがいっぱいあるんです。何かというと、魚です。  一番後ろにありますけれども、五ページにありますけれども、河川法、こういう法律がちゃんとできたのは、日本は一番なんだそうですね。フランスが二年後にできている。利水と治水、治水が中心で、洪水を起こさないというのが一番で、水を利用しようというのがつけ加わったと。そして、一九九七年に、この五ページのところでは四行目ですかね、「及び河川環境の整備と保全がされるように」と。これはなかなか僕は英断だと思っております。環境を整備すると。  ところが、環境のところで、国土交通省、どこまで配慮しているか。やはり水質とか水量がせいぜいであって、川に生きている魚、水生植物、そういったものに対する配慮がほとんどないんじゃないか。  それで、魚道ですよ。魚道というのはずっとつくられているんですけれども、魚道は、ダムをつくったりするときに設置しなくちゃいけないという義務があるんでしょうか、ないんでしょうか。どのように位置づけられているんでしょうか。
  47. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えをいたします。  ダム建設時に魚道の設置を直接義務づけている法律はございません。  ただし、平成九年に制定されました環境影響評価法におきまして、貯水面積百ヘクタール以上のダムは必ず環境アセスメントを行う事業として、また、貯水面積が七十五ヘクタールから百ヘクタールのダムは環境アセスメントが必要かどうかを個別に判断する事業として、それぞれダム建設に際しまして環境影響評価を行うこととされております。その結果を踏まえて、環境保全のための措置として魚道が必要と判断した場合には、魚道を設置することとなります。  また、利水ダムを建設する際の河川法によります水利使用の許可に当たりまして、従来から、河川を使用しております漁業権者を含む関係河川使用者を十分保護することとしておりまして、河川法に基づいて、当該水利使用について、関係河川使用者との調整を図り、同意を受けることとなっております。  そのため、漁業者等から魚道の設置が求められた場合には、設置が必要となる場合がございます。
  48. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 法律上は全然なまくらですね。多分、これはもう僕は、後で調べていただきたいんですけれども、それで資料で提出していただきたいと思いますけれども、そんななまくらのことで済ませている国は、私はないんじゃないかと思います。  私の経験をちょっと話させていただきますと、アメリカのワシントン州のシアトル、私は、そこのユニバーシティー・オブ・ワシントンという大学に留学させていただきました。はるかかなた昔の話ですけれども。レイク・ワシントンというのがシアトルのところにあるんです。ユニバーシティー・オブ・ワシントンもその近くにある。  一旦は汚染されて、汚くなっちゃったんです。しかし、シアトル市民がもとに戻そうということできれいにし、だから、リムノロジー、湖沼学というのも非常にきちんとした学問として確立してきている。UWがその中心になっている。そこのところに、きれいにして、サケが遡上するようになっている。その川を通ってまた上流に、水門のようなところがあって、海からの、それでレイク・ワシントンがあって、そこからまた川が支流に行くと。サケが遡上してくるんです。  それはどこにでもあるのかもしれませんけれども、びっくりしたのは、ヨットが行ったり来たりする、そこのところにトンネルが設けてあるんです。そしてガラスがあって、サケが遡上するのを見れるようになっているんです。見れるようになっているだけじゃなくて、環境教育の一環として、正確には調べてありませんけれども、私の長野県では、政治にちゃんと関心を持ってもらうために、小学校六年生が必ず国会見学に来ます。私は、この人たちに政治に関心を持っていただくために、時間があったら必ず自分で案内しています。下手な案内でちょっと余りよくないと思うんですけれども。  ワシントン州ではどうしているかというと、小学生の間に全部が、うんと遠いところは知りません、少なくとも、シアトル市内の小学校は全部必ず在学中にサケの遡上するのをガラス越しで見れるわけです。それを見に行かせるんです。サケはこうやって上がってくるんだよ、だからこの川はきれいにしておかなくちゃいけないんだよということをしているんです。私も見に行きました。何十年ぶりかに行きましたけれども全く同じですね。そして、子供たちが同じように見学に行っている。サケの帰ってくるような湖にしておかなくちゃいけないし、川にしておかなければいけないということをしているんです。  それで、もっとすごいのは、ここの現場は見ていませんけれども、下手すると、ダムをつくる金額よりも魚道をつくる金額の方が高くなっているようなダムもあるそうです。それだけ気を使っているんです。魚が遡上できない、遡上するだけ、我々はサケばかりのことを言っていますけれども、アナドロマス・スピーシーズとかいうので、遡上をするのと逆に戻っていくのと、ウナギとサケを見ていただくとわかるんですけれども、いっぱいあるんです。そういう魚がいて、それを妨げてはいけないんだと、物すごい気を使っているわけです。  日本はそういうことに対して全く配慮がないですね。北海道の方ではサケが戻って、こんなにふ化放流事業が成功しているのはないんです。だけれども、日本海側なんか遠賀川、九州のところまでみんなサケが上っていきましたし、太平洋側でも千葉県のところまで来ているわけです。ところが、そういうのもみんなずたずたにされている。こんなことでいいのかと思います。  そして、魚道。今、せっかく一九九七年に河川環境の整備と保全と。だけれども、人間にとっていいような環境であって、魚にとっての環境など全く考えていないんですね。私は非常に時代おくれだと思います。先人の努力で我々の、人間の安全は確保できたわけです、治水で。そして、利用もしている、農業用水に、都市用水に、そして水に。だけれども、魚のことを全く忘れているんです。これは多分、先進国ではこういうことは本当に許されないことだと思います。それで、これだけ魚にこだわっている国民ですね。  私は、千曲川の沿川の中野市というところで生まれ育ったんです。サケも上がってきていたんです。私のときはもう、私が生まれたときはないんです。コイやナマズですよね。サケはもう上がってきていない。豊かな川だったわけです。  今、局長は漁業権云々と言われました。今もそれはないことはないですよ。漁業権さえ保障していればいいというのは、それは浅はかな考えです。そんな、今は川の漁業だけで生計を立てている人なんてほとんどいないわけです、汚染されていますし。私は、魚が戻ってくる川に絶対しなくちゃいけないと思っているんですけれども、この点は本当に情けないですね。  二ページ目と三ページ目、四ページ目、ちょっと大臣、よく見ていただきたいんです。地図、ちょっとカラーじゃないし、わかりにくいなと思いますけれども、ちゃんと見ると、これを見ただけでも、日本の河川の歴史がよくわかるわけです。  千曲川、信濃川は、日本で一番長い川。それだけじゃありません。水量も日本で一番です。利根川が多いように皆さん錯覚されているかもしれませんが、利根川の倍なんですね。なぜかというと、雪なんです。そして、いろいろ、ここのところで分水路をつくったりしています。ここで洪水が起きないようにしたりとかいうんですけれども。  どれだけダムがあるかというと、この表の方を見ていただきたいんです。これだけダムがあるんです。ちょっとよく見ていただきたいんですが、どういうダムか。多目的ダムなんです、ほとんど。そして、発電に全部利用しているかというと、これは後で触れますけれども、余り利用していないんですね。  私は、これは町名が書いていないからおわかりにならないと思いますけれども、新潟県側にもこれだけダムがあり、長野県側にもこれだけあって、もう全部敷居が設けられているんです。だから、かわいそうなんですよ。  僕はエコロジストの端くれですし、そういうのを皆さんが知っていますから、僕のところに声をかけてくるわけです、カムバックサーモン運動。子供たちがサケを放流する、篠原さんも来てくださいと。何回も行きました。あいているときは行きます。だけれども、帰ってこれないわけです、宮中取水ダムでストップ、西大滝ダムでストップ。これは先進国の出来事ではないんですね。全然そういうことに配慮がなされていない、不思議なんですよ。  大臣、こういう現状を御存じだと思います。私は、大臣のお力で、ぜひこういった状況を直していただきたいと思っているんです。真田丸で有名になりましたけれども、上田ですね。僕は、どこまでって、うんと山奥のところまで上っていってとは、本当はそこで産卵するんですよ、だけれども、そこまでは言いません。ですけれども、でっかい川のところを、そこそこのところまではサケが遡上してくるようにということを配慮して当然だと思いますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  49. 石井啓一

    ○石井国務大臣 国土交通省におきましては、平成年度より魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業に取り組んでおります。多摩川など代表的な十九河川をモデル河川に指定をして、取り組みを実施してまいりました。  その成果も踏まえまして、平成十七年の三月に魚がのぼりやすい川づくりの手引きを作成したところであり、魚道の設置等により魚が遡上でき、また下れるような河川の連続性確保に努めてきたところでございます。  これらの取り組みによりまして、全国の直轄河川の本川におきましては、遡上可能距離というのがございまして、平成五年に管理区間の六四%でありましたが、平成二十六年には八七%までふえているところでございます。  委員御指摘の千曲川におきましては、河口から長野県上田市付近まで魚道により河川の連続性が確保されておりまして、平成二十二年、平成二十四年及び平成二十七年には上田市付近でサケの遡上も確認をされております。  引き続き、国土交通省といたしましては、千曲川の魚道の機能改善、維持等に取り組むとともに、全国的にも堰等の河川横断施設に魚道を設置する等、魚類の遡上、降下環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
  50. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 初めて聞きましたけれども、その十九河川の中に信濃川、千曲川は入っているんですか、局長
  51. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えいたします。  信濃川は第三次に、平成六年に指定をいたしておりますけれども、その中に河川として入っているところでございます。
  52. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 大臣、丁寧にお答えいただきましたけれども、平成二十二年、二十四年、二十七年と。そうすると、二十三年や二十五年や何かは上がってきていないんですよ、一匹たりとも。みんな討ち死にしているんですよ、宮中取水ダムと西大滝ダムで。  それで、遡上可能河川が、八七%、いっぱいふ化放流している、その中の数匹しか上ってこないのに、一匹や二匹が上ってきただけで可能な河川だなんて、そんなことは言えないんじゃないですか。大臣、もう一回答えてください。
  53. 山田邦博

    ○山田政府参考人 西大滝ダムでも、魚道の改修後、調査をしたところでございますけれども、平成二十七年の調査でも十四種の魚が遡上をしているということが確認されているところでございます。  これは、西大滝ダムにつきましては、学識者あるいは河川管理者、流域自治体、それから漁業関係者が参画をいたしました西大滝ダム魚道構造検討会におきまして、魚が上りやすい構造等の検討が行われて、平成二十四年に魚道の改修が実施をされたところでございます。  これは大型魚と小型魚の魚道を分離して上りやすくしたということでございますけれども、先ほど申しましたように、改修前後の調査によりますと、魚道を遡上する魚種が大きく増加をいたしまして、平成二十七年度には、サケそしてサクラマス、ウグイなどの十四種の魚の遡上が確認されているところでございます。  宮中取水ダムにつきましても、学識者あるいは河川管理者、流域自治体、漁業関係者が参画をいたしました信濃川発電所の宮中取水ダム魚道構造改善検討委員会がございまして、ここで魚が上りやすい構造等の検討が行われまして、平成二十三年度に魚道の改修が実施をされております。  改修前後のサケの遡上調査によりますと、魚道を遡上するサケの捕獲数が大きく増加したところでございまして、昨年度調査では、九月と十月で約五百個体のサケの遡上が確認されているところでございます。
  54. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 そんな数十匹や何かで遡上が可能な河川だなんて、それはないですよ。国民に聞いてみてください。そんなことはほかの国でなんか絶対通用しないですね。やめてください、そういう認識は。とてもじゃない。皆さん、普通に上ってこれる、もとの状態に戻してほしいというのなんです。  恥ずかしい話ですけれども、カムバックサーモン運動、もうカナダ、アメリカでは、そんなのは環境教育としてやっていません。なぜかというと、人間が手を加えなければ上がってこれない状況にしてはいけない、自然に上ってくるようにしなくちゃいけないというものなんです。そこまでしているんです。日本はおくれているんですよ。それで、ちょっとしか帰ってこない。いや、十匹帰ってきた、上田まで一匹か二匹帰ってきたから遡上可能になっていると、とんでもない話ですよ。みんな戻ってこなくちゃいけないんです。  魚がすめる川というのは、きれいになった川ということにもなりまして、絶対必要なんです。私は全部取っ払えと言っているんじゃないですよ、あったもの、つくったものはしようがない、ある程度使わなくちゃいけない。もうけているんですよ、さんざっぱら。今まで利益を得ているんですから、義務を課して魚道をちゃんとつくらせたらいいじゃないですか。どうしてそういうことをしないんですか。もうここがずれていると思うんです。  傑作なんですけれども、宮中取水ダム、JR東日本、どこからか指摘されてすぐやめたようですけれども、環境に優しい電力を使っていますというのをJRの列車の中に広告を出したんだそうです。僕はそれを見ていませんけれども。しかし、水力発電が環境に優しい、その点では正しいかもしれません。正しいかもしれませんけれども、魚を全然上がらないようにしておいて、何が環境に優しいか。魚には全く優しくないわけです。どうしてこういうことを放置しておくか。  今まで利益をいっぱい得ているんです。だから、その何百分の一、何千分の一の費用しかかからないかもしれないんです。うんと大型ダムの、百メートルのダムとかいうのは難しいと思いますよ。だけれども、西大滝ダムなんてちょっといじれば、横に魚道をつくれば、ちゃんともっともっと上がれるようになるんです。宮中取水ダムも同じですよ。そんなばかでかいものじゃないんです。高さ百メートルのダムじゃないんですよ。どうしてこんなことぐらいできないのか。  本当に日本の行政はずれていると思います。水質、水量だけじゃなくて、ちゃんと魚にも配慮した行政をしてもらわないと困りますよ。私は、絶対に、これも河川法にはなくて、何法といいましたか、平成九年に完成したところにちょっと出てくる、あとは地元の人たちにやってもらっているというようなものじゃだめですよ。  信濃川、千曲川を見てください。これだけ分断されているんですよ。上の方だけだったらいいんですけれども、下の方でもいっぱいダムがあってストップしているわけですよ。  どこまでサケを遡上させるかというのは問題はあると思いますけれども、できる限り多く上流まで上ってそこで産卵ができるようにすべきだと思います。そのようにぜひ法律改正していただきたいと思います。それで、義務づけていただきたいと思います。そのぐらいやったって罰は当たらないです。  大臣、この点についてお答えください。
  55. 山田邦博

    ○山田政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。  国土交通省としては、千曲川の魚道の機能改善あるいは維持等に今後とも取り組み、全国的にも、堰等の河川横断施設に魚道を設置する等、魚類の遡上あるいは降下環境の改善にこれからも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。(篠原(孝)分科員大臣に聞いています。大臣の決意」と呼ぶ)
  56. 石井啓一

    ○石井国務大臣 委員、私、ちょっと現場をよく知らないものですから、ちょっと軽々に言うと申しわけないんですけれども、今委員がおっしゃっておりましたJR東日本の発電用のダムについても魚道は設置しているというふうに理解をしておりまして、魚類が遡上可能ないろいろな工夫は、私ども、やってきていると思います。  足りないんじゃないかという御指摘かと思いますが、引き続きそういう努力はしていきたいと思っております。
  57. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 超足りないんです。義務づけられていませんから、一応形だけつくりましたよというだけの話で。上ってくるって、そんなのだったら、何十匹、何百匹も上ってこれるはずなんです。そんなんじゃないんです。横にちょっとつくっているだけなんです。百メートル、二百メートルあってなだらかな勾配でつくったりする、そういう配慮がなされていないんです、全く。僕は外国のを見ています、日本のも見ています、つくっていますよというだけなんです。  ですから、いっぱいあるダムで率先垂範してください。直轄ダムでできそうなところ、それを環境評価し直すんですよ、魚道を含めて。魚道を含めてというか、魚道だけでもいいです、あちこち分かれるといけないから。  なぜかというと、世界の趨勢は、ちょっと申し上げましたけれども、二〇〇〇年に世銀が世界ダム委員会報告書をつくって、もうダムは、いろいろ効果があるようだけれども効果はない。水質が何か汚染されている。それから、富栄養化によりアオコが発生したりする、日本にもありますけれども。それから、洪水後は長く濁った水が続く。底の水が冷たくて、放流したりしたら下流の魚に迷惑もかかる。稲の生産にも影響しているんですよ。だから、選択取水というので、上の方の温かい水を流すようにという配慮、これも人間のためにある。  人間はぎゃあたらぎゃあたら文句を言いますけれども、魚は日本語をしゃべれませんから、黙っているわけです。完全に虐げられているんですよ。  大々的な、つくるときだけじゃなくて、みんな環境評価して魚道をつくっていく、そういうことをしていただきたいんですけれども、大臣、お答えください。
  58. 石井啓一

    ○石井国務大臣 国土交通省管理するダムにおきましては、平成十四年度より、ダム等の管理に係るフォローアップ制度に基づきまして、ダム周辺の魚類調査を含むモニタリング調査を行い、学識経験者から成る委員会において意見を伺いながら、環境に関する分析、評価を行っているところでございます。  国土交通省といたしましては、引き続き、環境のモニタリング調査等を継続しながら、必要であれば改善措置等を行ってまいりたいと考えております。
  59. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 大臣、現場をぜひ見ていただきたいと思います。  私なんかは、週末のたびに長野に帰っています。週末のたびに千曲川、犀川、ちゃんと立派な土手ができています。土手の上が、穴場の、交通渋滞がない非常にいい道路なんです。ですから、ちょっと長野から北の方に行くときはいつも犀川の土手の道路を使っているんです。しょっちゅう見ています。  ダムというのはいろいろなメリットもありますけれども、デメリットもあるなというのを、ちょっと、千曲川河川事務所のいいことを御紹介いたしますと、いいことといっても、しようがないからやっているわけですけれども、ダムがこれだけできているわけです。だから、水が流れなくなるからどうなるのかというと、川中島です、川中島合戦の川中島、善光寺平がずっと、真っ平らで一番水がゆったり流れているところです。木が物すごく生えて、でっかくなっちゃうんですね。これが、ダムがなかったら、洪水が来るたびにそういう小さいときに木を流しちゃうから、そんなに木が生えないんですよ。  木が生えて、ニセアカシアです。ニセアカシアがいっぱい生えている。これでメリットを受けている人たちがいるんです。蜂蜜であります。リンゴは、私はよくないと思いますけれども、しようがないんですが、消毒をいっぱいしている。だから、人工授粉しなくちゃならなくなったりしている。そんなもの、消毒ばかりしているリンゴ畑の蜂蜜というのもありますし、みんな嫌う。まあそれは蜂蜜には余り関係ないんですが、嫌がる人もいる。しかし、千曲川河川敷のニセアカシアの花の蜂蜜だというと、天然蜂蜜なんです。汚染されていません。  それから、木はどうするかというと、最初、千曲川河川事務所で切っていましたけれども、環境意識が高まっているんです。だから、バイオマス発電なんて言っていますけれども、バイオマス発電の前に、熱源として利用できるわけです、まきを切ると。自分たちで切って、どうぞ、皆さんに使ってもらうんだから来てくださいと。今は、この期間、自分で切っていっていいというふうにして、それをみんな知っていて、ホームページに載る。  だから、近隣の意識の高い人で、まきストーブです。まきストーブで一生懸命やっていて、リンゴや桃やブドウの廃園になったのを、農家と契約してというか、頼んで使ってくれというのでやっている人がいるんですけれども、それでは底をつきます。千曲川河川敷のニセアカシアの木、ニセアカシアだけじゃないですけれども、それでまきストーブの原料になっています。  ダムというのは、だから、いろいろな弊害をもたらしているんですね。何もなかったりしたら、そういう木も生えないんですけれどもね。だから、ここのところ、手を加え出したんですから、もうそれを前提としてうまく活用していかなければならない。だけれども、魚については本当になっていないんですよ。ちょっと手を加えるだけでいいんです。僕は、これはぜひやっていただきたいと思います。  それで、私などは、当然、おわかりだろうと思いますけれども、ダムはなるべく少なくした方がいいと思っているんです。つくった以上は、さっきの魚道のところがあるんですけれども、もう一つ大事なのは水力発電なんです。  再生可能エネルギーというのになると、風力発電、それから太陽光発電、バイオマス発電と。ところが、水力発電というのはなかなか聞かれないんですね。玄葉さんは我が党の環境エネルギー調査会の会長で、今、エネルギー問題、一生懸命まとめていただいているわけですけれども、そこになかなか出てこないんですよ。  国土交通省は、ダムによる水力発電についてどのようにお考えなのでしょうか、大臣からお答えいただきたいと思う。大臣
  60. 山田邦博

    ○山田政府参考人 済みません。お答えいたします。  国土交通省といたしましては……(篠原(孝)分科員「いや、細かいことはいいので、大臣のお考えを聞いているので、ちゃんと大臣事務方のを分けてやってあるはずですから、大臣、お答えください」と呼ぶ)
  61. 伊藤渉

    伊藤主査 まず、答弁を続けてください。
  62. 山田邦博

    ○山田政府参考人 水力発電を初めとする再生可能エネルギーの導入については、積極的に取り組んでいるところでございます。  国土交通省及び水資源機構が管理をいたします百二十三ダムでは、既に九十一ダムにおきまして発電事業者が参画して水力発電を行っているほか、ダム管理者みずからが行います管理用発電を三十七ダムで実施しておりまして、重複を除きますと、全体の約九割に当たる百十二ダムで発電を実施しているところでございます。
  63. 伊藤渉

    伊藤主査 それでは、もう一度、篠原委員、どうぞ。御質問をもう一度。
  64. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 大臣
  65. 石井啓一

    ○石井国務大臣 我が国の電力は、水力が長い間主力であった時代もあったと思います。もともと、急峻な地形も生かして、この水力発電というのは、明治政府ができてから積極的に取り組んできたと思っております。  現在でも、国土交通省としましては、再生可能エネルギーの導入については積極的に取り組んでいるところでございます。
  66. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 そうなんですかね。  資料の三ページと四ページを見てください。これは局長、答えてください。  では、ここのところに多目的ダムと書いてあって、最大発電量と書いてある。何にも書いてない、バー、バーというのがあって、この四ページも、四ページになるといっぱい発電量が多いところがありますけれども、これは本当に有効活用しているんでしょうか。余りしていないで、つくってそのままになっていて、ほったらかしになっているような気がするんですけれども、フル活用しているんでしょうかね。
  67. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、国土交通省と水資源機構が管理をいたします百二十三ダムでは、全体の約九割に当たる百十二ダムで発電を実施しているということでございます。それ以外は県の管理ダムということになっていると思います。
  68. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 県ですけれども、県についても国が積極的に、こういう御時世ですし、水力発電への活用を考えたらいいじゃないですかというのはあるんじゃないんですかね。そういうことはしておられるんでしょうか。
  69. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えいたします。  都道府県のダムに関しましても、私どもは、いろいろな機会を通じまして、発電を含めたさまざまな、多目的な利用ができるように、いろいろとお願い等、調整をしているところでございます。
  70. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 本当ですかね。私は、魚道の方は、そんなに利益にならないから、一歩譲ってこれからやってもらわなくちゃいけないと思いますよ。だからなかなか難しいと思いますけれども、これだけ再生可能エネルギーということを言っているんですよね。そのときに、どうも冷たいような気がするんです。  どういうことかというと、農林水産省は、バイオマス発電、間伐材を活用して何とかしなくちゃいけないんじゃないかということを一生懸命やり出していますよ、バイオマス発電について。  それから、太陽光発電。太陽光発電についても、いっぱい農地はある。ソーラーシェアリングという、どういうことかというと、遊休農地をみんな太陽光発電のパネルをやってしまうのは僕は反対ですし、あんなこと、まして平らなところをそんなことをするのは大反対です。農地として利用すべきだ。しかし、知恵のある人がいるんですよ。三メートルぐらいの高さにして、下でトラクターもコンバインも田植え機も、みんな行き来できるようにする。だからソーラーシェアリングです。太陽を発電と農耕と両方でやろう、こういうことをして、やろうとしているんです。新しいことに取り組んでいるんですよね。  それから、どれだけ熱心にやっているか。こちらの方はやはり前からあるので気がつかないでおくれちゃっているんですけれども、農業用水路があります、土地改良のところ。ここのところでも、信濃川、千曲川のところでも、川西土地改良区というのがいっぱい出てきますよね、ダムで。土地改良にしか使っていなくて、発電に使っていないんですよ。だけれども、ダムを使っているんだったら傾斜があるから、利水だけで、利水で農業用水としてやっているんだけれども、発電にもできるんですよ。これを農村振興局も一生懸命やり出しているんですよ。  だけれども、いっぱいダムを持っていて、やっているところの国土交通省が率先して取り組んでもらう、そうすると全国に広まっていくような気がするんですけれども、そういう姿勢には欠けているんじゃないですか。ここで考え方を直していただきたいと思います。
  71. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えいたします。  再生可能エネルギーの導入につきましては、国土交通省においては積極的に推進すべきと先ほど申し上げましたけれども、先ほど申しましたように、多目的ダムにおけます発電事業者による水力発電に加えまして、小水力発電の促進や管理を行っている、そういうダムにおけますダムの管理用発電設備の導入など、そういう未利用の水力エネルギーの活用も今進めているところでございます。  小水力発電に関しましては、その促進を図るために河川法を改正いたしまして、平成二十五年の十二月から、水利権の許可を得た農業用水を利用して発電を行う場合に、許可制にかえて登録制を導入し、水利使用手続に要する期間の短縮につながる緩和措置を講じております。また、地方整備局等に相談窓口を設置して、許可申請に係る相談を行う等、小水力発電のプロジェクトを支援しているところでございます。  国土交通省としましては、みずから行う発電も含めまして、関係省庁や電気事業者と連携協力して、水力エネルギーの活用に取り組んでまいりたいと考えております。
  72. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 いろいろやってきておられるのは知っているんです。なぜかというと、小水力発電協議会というのを御存じだと思いますけれども、そこの中島事務局長は、私、彼が大学在学中からつき合っているんです。私の書いた本にそんなようなことをちょっと書いてあった、水力発電だけじゃないんですけれどもね。それで彼の主宰する勉強会に行って、彼は就職などしないで、この小水力発電に一生をかけてやってきているんです。そして、いろいろな規制を取っ払ってというのは、規制は取っ払われてきているんです、やりやすくなってきているんですけれども、積極性が余り見られないんですね。  やりようがあるというのを、私は、竹村公太郎さんという皆さんの先輩の方の著書、それから講演、それからDVD、三つでとっくりと勉強させていただきました。  ダムは要らないと言う人たちがいます。私は、そんな極端なことは言いません。原発は絶対だめだと言っているんですけれども、ダムも似たようなんですが、そんなに危険じゃない。  だけれども、竹村さんの本を見てびっくりしました。何でこんなことぐらいができないのかと。治水ダムだ、だから、雨が降ったときにためて、洪水が起きないようにしなくちゃいけない。全部満水にしていなくて、相当低い水位にしてある。これはもったいないなと。  これは、はるかかなた昔、天気予報も余りきちんとできない。だから、洞爺丸事件というのを皆さん御存じだと思いますけれども、あのときは、台風がどうやってどこへ行くかとか、どれだけ雨が降るかというのはわからなかったわけです。だけれども、今や、どこへ行くかというのもわかるし、雨がどのぐらい、一時間にどれだけ降るかというのも相当精緻に予測できるようになったんです。  ですから、そんなことをしないでいて、台風が来るとなったら、三、四日前には水を吐き出して、もっと吐き出していいんです。その間に発電する、それでためるということをしてやればいいのを、その改正が行われていない。何でなんですかねと竹村さんに聞いたら、いや、国土交通省は昔から、使わせてくれといって頼んできたのを許可しているだけで、自分からする気がないんだというお答えがあったんですが、この点について、どうなっているんでしょうね。  僕は、こんなことは、さっき言った積極的な姿勢を示してもらえばすぐできることで、治水は大事だ、しかし、予測可能なんだ、だから満水にしておいて水力発電に積極的に利用すればいいんだと。これだけで、通達一本でできる、法律改正など要らないと思うんですけれども、この点については、局長、どうなっているんですか。事実関係をお答えください。
  73. 山田邦博

    ○山田政府参考人 委員御指摘のように、降雨の予想、これが今、かなり精度が上がってきているということもございますけれども、まだそれでも、その精度には、日時によりまして、何日か先というところまでの精度まではないということもありますけれども、現在も、ダムの弾力的運用ということでございまして、事前に洪水時に流せる範囲のものについては流しまして、洪水の治水容量をあけておいて、そこに洪水をためる、あるいは治水容量に水をためておくという、そういうようなことも、弾力的運用も今現在やっているところでございます。
  74. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 弾力的運用、運用ばかりで、これもやはり、大臣に御登場願わなければなりませんよ。これは大臣の鶴の一声と言ってはなんですけれども、積極的に利用していこうということで、運用を変えて、満タンにしろ、満タンにしておくんだ、それで水力発電に積極的に利用しろ、これだけでも相当発電量がふえるはずなんです。  竹村さんの本を皆さん読んでおられると思います。ぜひそうしていただきたい。制度的にそのように直していただきたいんです。治水は大事です、洪水が起きないようにするのは大事ですけれども、発電というのもあるんです。それで、技術は進歩している、予測技術もずっと進歩している。  この点、ぜひ改良していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  75. 石井啓一

    ○石井国務大臣 水力発電を増強する方策として、既存ダムの洪水調節容量を発電容量に活用することが考えられます。ただし、その際に、洪水が予想される場合には、降雨を的確に予測しながら、下流の河川の安全を確保した上で、貯水位を事前に所定の水位まで速やかに低下させる必要がございます。  このような運用を行うに当たっては、いまだ降雨予測精度等の技術的な制約がございます。委員は、降雨が精度が上がっているじゃないかと。確かに徐々に上がってきてはおりますけれども、では、台風の進路が本当に的確に予測ができるかというと、昨年の台風十号のように迷走する台風もあるわけであって、いまだ現代の科学技術では、なかなかピンポイントで台風の進路等が予測をできるところまではいっていないというのも現実でございます。  ただ、そういう中にありましても、国土交通省としては、水力発電を含むさまざまな用途にダムの容量を活用できるように、個々のダムの状況を勘案しながら、可能なところから洪水調節容量を活用したダムの弾力的運用を開始しているところでございます。また、今後の技術革新等も踏まえながら、こういった取り組みについては今後も積極的にやっていきたいと考えております。
  76. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 地震や津波もそうですけれども、予測できませんよね。百年に一遍とか千年に一回とか言われています。わからないんです。千年に一度が二度起きて、前の千年と次の千年が続けて起きたりなんということもありますし、そういうこともあるわけでして、完璧には予測できませんけれども、私が知る限りでは、昔の古い制度のままで直っていない、つまり、水力発電に積極的に関与していこうという姿勢が国土交通省全体に見られないということではないかと思います。予備放流とかいうのも、問題があったりするときのものもあるかと思いますけれども、ちゃんとやれば幾らでもできるんですよ。だから、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。  そして、もう一つ。竹村公太郎さんは、もう新しいダムはつくるのは無理だと言っております。私、そういう人はいっぱいいると思います。ほかの、ダムは要らないという本を数冊読んでいます。だから、その話はやめておきます。僕はそういう極端な姿勢はとりません。ですけれども、ある、つくったものをフル活用する。  宮ケ瀬ダムの話が竹村公太郎さんの本の中にありました。観光地になっていると。しかし、そこで働いているおばさんは、湖底に沈んでいると、一度も遊覧船に乗ったことがない。なぜか。自分の住んでいた家の屋根の上を通るのは嫌だ、遊覧船に乗らないというんですね。本当に物すごい犠牲のもとにでき上がっているんです。そうやってつくった。  だけれども、つくってしまったものはもうしようがない。それを有効活用する手段として竹村さんが提言されておられるのは、古いダムをかさ上げして、水量を多くしてやればいいんじゃないかと。これは非常にいい知恵だと思うんです。霞が関の官僚を長くやられて、今どうやってやろうか、極端な考えはとらない、どうするんだ、罪滅ぼしもある。  それで、せっかくつくったのをもっと頑丈にして水量を多くすればというので、この図を見てください。皆さん、プロだからわかると思います。一番最後のページ。わかりますか。かさ上げ後。ダムのかさ上げ、下を見てください。下の夕張シューパロダムのところ、八千七百万立米から四億二千七百万立米で五倍近くになっているんですね。五倍近くに容量がふえる。皆さん苦労される土地買収だとかそういう交渉はしなくて済むんです。こんな簡単なことなのに、なぜできないのかなという気がするんです。  そして、そのできない理由はどこにあるか。法律で書いたってすぐ進むわけじゃないですけれども、五ページに戻っていただきたいんですけれども、私は、一九九七年の、河川法の第一条、非常に大事だと思います。それから二十年ですよ。魚道についてはまだ意識が低過ぎるというのを指摘いたしました。しかし、前よりはずっとましなんです。  私は、残念ながら、農林水産省の地方振興局の方はだめだと思います。三面コンクリートにして、メダカも絶滅危機品種にしてしまう。大体、卵を産めないわけですから、減るのは当たり前ですよ。ちょっとばかり効率よく水を田んぼに入れたからといって何だ、パイプにしてしまう、僕はそんなことをすべきじゃないと思います。効率が悪くたって自然との共生を考えなくちゃいけない。  そういうことだったら、究極の手段です。役人は真面目です。目的が改正されたら、それに沿ってやるんです。この五ページのところに、水力エネルギーの最大活用というのを入れてください。利水の一つかもしれません。しかし、そんなに一生懸命やっていないんです。この改正をぜひしていただきたいと思います。  もし、これを私は内閣提出でやるべきだと思いますけれども、皆さんがやる気がないんだったら、やる気がないなんて言っちゃ悪いんですけれども、余りないんだったら別の手段を考えますけれども、大臣、この点についてどのようにお考えでしょうか。ぜひこれは受けていただきたいんですが。
  77. 石井啓一

    ○石井国務大臣 その前に、委員がおっしゃったダムのかさ上げ等も、できるところは徐々にやってございます。  例えば、昨年度完成をいたしました津軽ダム等のほか、現在、北海道の新桂沢ダムにおきましても、かさ上げによって発電容量を拡大する事業を実施しています。また、栃木県の五十里ダムというところは、ダムの堤体に新たに穴をあけて、河川環境の改善等のために放流する機能と発電を行う機能をあわせ持った設備を新たに設置し、もともと発電目的でもあったんですけれども、水力発電の増強を実施している。  こういう事例もございますので、今後、既存ダムを水力発電に有効活用する方策につきましては、地形や地質条件、また関係者の意向等を踏まえつつ、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  それで、今お尋ねの河川法第一条でありますけれども、この中では、災害発生の防止等と並んで、河川が適正に利用されるようこれを管理するという趣旨が規定をされております。  これは、御指摘の水力エネルギーの利用、すなわち水力発電を初めとしてさまざまな形で河川が利用されることであることから、利用者相互の調整等を図り、河川の利用の増進を図ることと解されております。  したがいまして、水力エネルギーの活用は、既にこの河川法第一条において位置づけられていると考えております。  国土交通省といたしましては、河川法の目的規定において水力発電などの河川利用の増進の観点が位置づけられることから、水力エネルギーの活用促進に向けまして、関係省庁や電気事業者と連携をして取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  78. 篠原孝

    篠原(孝)分科員 質問時間が終わりましたので、やればできるということだと大臣が今お答えいただいたんだと思いますね。  それで、役人的な考えからすればわかりますよ、三行目の「河川が適正に利用され、」の中にみんな入っていると。しかし、それをもっと政治意思として明らかにするということで、やはり再生可能エネルギーの振興というのに国土交通省も挙げて取り組むという姿勢を示す、それを示すためにこの河川法をぜひ改正していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  79. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤鮎子君。
  80. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 おはようございます。山形三区選出、自由民主党の加藤鮎子です。  質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。  まず最初に、政府の津波対策についての質問です。  昨年、私の地元の山形県では、自治体として、最大クラスの津波を想定した場合のいわゆる津波浸水想定を設定し、その上で被害想定を取りまとめまして、それを公表いたしました。その取りまとめによりますと、海沿いの鶴岡市五十川で十六・三メートル、酒田港で十三・三メートルなどとされております。  災害が少ないと言われる山形県庄内地区ですが、先日、庄内地方に三十七メートルを超える津波が押し寄せた可能性があるという報道がなされたということもありまして、今、私の地元の地域の住民の方々は大変心配をしています。  災害は、いつ発生するかわかりません。それだけに、いつ発生しても対応できるだけの準備が必要だと思います。  東日本大震災以降、被災地を中心に全国で津波対策を行っているものと認識しておりますが、太平洋側より津波事例の少ない日本海側では現在どのような対策をとっておられるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
  81. 山田邦博

    ○山田政府参考人 お答えいたします。  津波対策に当たりましては、東日本大震災におきまして、これまでの想定をはるかに超えた巨大な地震、津波により甚大な被害を受けたことから、二つのレベルの津波を想定することを全国の基本として、現在、津波浸水想定の区域、これを決めようとしているところでございます。  最大クラスの津波、いわゆるL2津波に対しては、何としても人命を守るという考え方に基づきまして、ハード対策とソフト対策を組み合わせた多重防御により被害を最小化させることとしております。  また、比較的頻度の高い一定程度の津波、いわゆるL1津波に対しては、人命あるいは資産等を守る観点から、海岸堤防の整備などハード対策を基本として被害の防止に取り組んでいるところでございます。  日本海側につきましては、津波浸水想定の設定に必要な知見が乏しいことから、国土交通省内閣府、文部科学省が連携をして基礎調査を行いまして、最大クラスの津波浸水想定の設定が可能となりました。  これを用いまして、日本海側の道府県により最大クラスの津波浸水想定の設定が進められているところでありまして、十六道府県のうち十一の道府県において現在設定済みとなっております。また、未策定の県におきましても、現在検討が進められているところでございます。  国土交通省といたしましては、津波浸水想定の設定、ハザードマップの作成、避難対策、海岸堤防の整備など、ソフト、ハード対策の実施に当たりまして、引き続き、道府県、市町村を支援してまいりたいと考えているところでございます。
  82. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。  ぜひ、日本海沿いに暮らす方々の安心、安全のためにも、引き続き、ハード、ソフト両面からの対策の推進をよろしくお願いいたします。  次に、国道四十七号の整備について質問させていただきます。  平成二十九年度より、東北中央自動車道におきましては、秋田県と山形県の県境の真室川雄勝道路が新規事業化をされ、ようやく全線事業化に向けて道筋が見えてまいりました。  ただ、同じミッシングリンクでも、宮城県大崎市の旧鳴子町と山形県最上町を横断する国道四十七号の県境部分、こちらの方はいまだ道筋がついておりません。  この国道四十七号は、日本海経済圏と太平洋経済圏を結ぶ大動脈でありまして、両県の産業、観光、文化、地域連携を支える極めて重要な幹線道路だと思います。  しかしながら、宮城県の鳴子温泉から最上町の堺田地区までの区間は、非常に道幅が狭くて、くねくねとした路線でありまして、通称七曲がりと言われるほど急カーブ、急勾配が連続しております。それが車両通行のネックとなっておりまして、冬の期間は特に、スリップ事故などによる全面通行どめや片側通行なども発生して、交通の大きな障害となっております。地元住民の方々やその幹線道路を利用する産業界の方々にとっても、安全に通行するための整備促進は悲願となっております。  この道路は、東日本大震災の際にも多大な貢献をいたしました。宮城、岩手、福島の各県が甚大な被害を受けた影響で物流が滞り、燃料などの物資不足が深刻化したのは御記憶に新しいところだと思います。その状況下、国道四十七号は、日本海側からのルートとして、被災地に向けた大量の物資の緊急輸送に役立てられました。  また、緊急輸送という面でつけ加えるのであれば、近年頻発するゲリラ豪雨による崖崩れ、地すべりなど、土砂災害のときの非常事態に対応した緊急輸送道路としても、国道四十七号は極めて重要な道路だと思います。  そうであるにもかかわらず、国道四十七号の整備状況はいまだ脆弱で、一旦事故が発生しますと、迂回路もなくて、全面通行どめともなれば、緊急輸送道路としての機能が果たせない状況に陥ります。  このような状況を踏まえまして、国道四十七号の県境部分のバイパス化を国交省はこの後どのように進めていらっしゃいますでしょうか。御回答をお願いいたします。
  83. 石川雄一

    ○石川政府参考人 お答えいたします。  国道四十七号は、宮城県仙台市と山形県酒田市を連絡する広域幹線道路であり、宮城県と山形県の交流促進等を図るための重要な路線と認識しております。また、委員御指摘のとおり、東日本大震災時においては、日本海側から太平洋側に緊急物資を輸送する道路として重要な役割を果たしたところでございます。  御指摘の山形、宮城県境付近につきましては、現在二車線となっておりますが、委員御指摘のとおり、急勾配や急カーブが連続し、交通事故や冬期速度低下などに課題があることから、走行環境を改善するため、付加車線の設置を進めるとともに、地域や道路ネットワークの課題について調査を実施しているところでございます。  また、四十七号線に加えまして、国道四十八号、国道三百四十七号における山形、宮城県境部の道路網につきましては、平成二十六年七月に山形県、宮城県、仙台市及び国土交通省東北地方整備局をメンバーとする懇談会を設置し、ネットワークの課題解決、地域間の交流、連携の強化等を目的として、広域的な観点から道路の課題について議論をしているところでございます。  引き続き、山形県、宮城県の交流促進等を図られるよう、必要な事業や調査を推進してまいります。
  84. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。  ぜひ前向きにお取り組みいただくことをお願い申し上げたいと思います。  次に、庄内空港についての質問に移りたいと思います。  庄内空港は、庄内地域首都圏を結ぶ交流、物流の拠点として、地域産業や文化の発展に大きな役割を果たしております。平成三年の開港以来、累計の搭乗者数は実に九百万人を超えます。また、搭乗率も非常に優秀で、特に庄内と羽田を往復する東京便につきましては、開港以来、累計の搭乗率でいえば七割近いものになっております。  近年、特に十一月の月間の搭乗率は七割から八割と非常に高くなっておりまして、便によっては座席を確保するのも困難になっております。私も、地元とこちらと往復をするのにしょっちゅう利用しておりますが、獲得するのに時々困ることがあったりします。ビジネス利用だけでなく、観光客にとっても支障を来す状況にあるという話を、地元からも声を受けているところです。  今、庄内地域は、鶴岡市の慶応義塾先端生命科学研究所や酒田市の酒田港の活況などを通じまして、ビジネス出張や研究活動、また、国際コンベンションなどを初めとした交流人口増加の契機が今非常にふえてきています。地域経済の牽引役となるビジネスプレーヤーの方々からの切実な要望は、東京便の運航拡充、空港機能の充実などによる一層の利便性の向上であります。  就航会社である全日空さんには、機材の大型化などさまざまな御協力をいただいておりますが、この点につき、国交省として、地方空港への運航拡充の支援などのお取り組みについてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
  85. 高野滋

    ○高野政府参考人 お答え申し上げます。  一般論でまずお答え申し上げますが、航空路線の新規開設でありますとか増便などにつきましては、運航する航空会社の経営判断により行われることが基本でございまして、それぞれの空港に着目した路線拡充につきましては、それを促すような地方の自治体でありますとか地元の企業などの地元関係者の取り組みが重要であるというふうに考えています。  一方、国土交通省といたしましても、国内の地方航空ネットワークの維持であるとか充実というのは、委員御指摘のように、地域の活性化、地方創生の観点からも極めて重要であるというふうに考えておりまして、航空会社の路線維持、拡充を側面的に支援する施策として、航空機燃料税の軽減でありますとか、地方と羽田を結ぶ路線に係る羽田空港の着陸料の軽減などの措置を講じてきております。  また、国際線の就航につきましても、二〇二〇年四千万人という訪日外国人旅行者の目標達成という観点から極めて重要であると考えておりまして、平成二十九年度予算におきまして、地方空港への乗り入れを促進するための、着陸料などのコストの低減、CIQ施設等の整備促進に係る予算を計上させていただいています。  今後とも、国土交通省としましても、地方航空ネットワークの維持、充実、LCCなどの就航促進に向けて取り組んでまいりたいと思います。  ありがとうございます。
  86. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 交流人口の拡大に資する支援をありがとうございます。さらなる御支援の拡充の検討もぜひお願いしたいところでありますし、私自身も、飛行機が、いっぱい航空会社の方が便をふやしたいと思うような地域の活性化、そういったところも地域を巻き込んで取り組んでまいりたい、そのように思います。  次に、庄内空港の滑走路の延長についてお伺いをしたいと思います。  庄内空港の国際利用につきましては、台湾、韓国からのチャーター便を誘致しておりまして、今後は、日本海対岸諸国との交流が活発化する中で、庄内空港に対する期待はさらに拡大していくものと見込まれております。  そんな中、現状の施設整備で、拡大が期待される需要に対して柔軟に対応し切れるかといえば、残念ながら、まだ十分ではないのかなと言わざるを得ません。例えば、滑走路の長さは開港以来の二千メートルのままであり、非常に厳しい庄内地方の気象条件をもって、冬期間は中型機の就航が難しい状況にあります。  厳しい気象条件の地方空港における滑走路延長について、国庫補助事業の採択要件の拡充等が求められるかなと思いますけれども、空港機能を拡充する施設整備の支援についてどのように御検討されているでしょうか。お考えをお伺いいたします。
  87. 高野滋

    ○高野政府参考人 お答え申し上げます。  庄内空港についてのお尋ねでございます。  庄内空港は、先ほど委員から御指摘があったように、地域の国内外との交流拠点として極めて重要な役割を果たしていると認識しています。  しかしながら、滑走路延長の実現に向けましては、例えば、さらなる利用促進への取り組みというのがもちろん必要でございますし、それに加え、それを行った上で、事業の必要性であるとか費用対効果、周辺環境への影響などについて、さまざまな課題について十分な検討を行っていくことが必要でございますし、そういった検討を通じた関係者間の合意形成を行っていくことがまずもって重要であろうというふうに認識をしています。  庄内空港における施設の拡充につきましては、設置管理者でございます山形県が滑走路延長に向けた検討を行う場合には、国土交通省としても、十分な技術面に関する助言などの支援、協力を進めてまいりたいと思っております。  ありがとうございます。
  88. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。  県内の意識醸成にもしっかりと働きかけをして、引き続き国交省としても温かく見守っていただくことを心からお願いしたいと思います。  次に、ドローンの活用についての質問に移らせていただきます。  近年、ドローンの活用の場面が広がっております。これまでは、空から撮った映像をインターネット上でSNSなどを通じて投稿するといった個人の趣味の範囲での使い方が主流だったように思いますが、最近は、離島への物流ですとかインフラの点検、自動測量や自動警備など、幅広い分野への応用が進み始めました。  ドローンの持つ可能性には、民間企業に限らず、地方自治体などの公的な機関からも高い関心が寄せられているところであります。  例えば、赤外線カメラなどを装備したドローンを山林上空に飛ばして、鹿や猿、イノシシなどの居場所を把握して、害獣の撃退につなげるなど、鳥獣被害の対策に取り組んでいる自治体もあると聞きます。  また、横浜市は、大口径、大きな太い下水管の中でドローンを飛ばして、老朽化した管の場所を素早く見つける実証実験、こういったことを始めたそうであります。下水管内は有毒ガスが発生したり、また、豪雨による水位の急上昇のリスクなどもあって、ドローンの利用を促進することで作業する方々の身の安全を確保できるという利点もあろうかと思います。  また、老朽化した橋の点検や緊急時の偵察など、今まで難しかった土木上の作業もドローンで行えば効率的ですし、民間では、夜間のビルの内部をドローンが巡回飛行するという、警備で、セキュリティーで活用されるような警備サービスも始まりました。  こうしたサービスは、人が担ってきた仕事を機械が代替するという側面もあります。少子高齢化が進む中で、ドローンが人手不足対策の一助になることを大いに期待したいと思います。  そのような中で、今後の課題の一つとしては、墜落などの安全性の問題があろうかと思います。ドローンを安全に飛ばすためには操縦者の技能向上は不可欠だと考えますけれども、国交省は、操縦者の技量確保のためにどのような支援を行っていらっしゃいますでしょうか。お願いをいたします。
  89. 高野滋

    ○高野政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、昨今ドローンを活用したさまざまな活動が行われてきておりまして、そういった中で安全の確保というものが非常に重要な課題になってきていると考えております。  そういった状況を受けまして、実は、一昨年に航空法を改正いたしまして、無人航空機の安全確保のための運航のルールというものを定めさせていただきました。それによりまして、例えば農薬散布であるとか人口集中地区を飛行させる場合には、無人航空機の飛行の安全を担保するための措置を講じていただいた上で、操縦者の技量などを確認させていただいた上で、国が許可、承認をしてきているところであります。  一方で、操縦者の技量向上につきましては、民間の取り組みとして、いろいろな団体がドローンの操縦者の技量向上のための講習会であるとか訓練を行ってきていると承知しています。  国土交通省におきましては、そういった民間での取り組みも活用することといたしまして、一定の基準を満たす無人航空機の技能講習を行う団体等につきましては航空局のホームページにも掲載をいたしまして、当該団体の講習を修了した方については、先ほど申し上げた飛行の許可、承認を受ける際の書類の一部省略であるとか手続の軽減をできる仕組みをことしの四月から導入させていただきました。  このことによりまして、質の高い講習会の受講というものを促進して、無人航空機の操縦者の技量向上につながることを期待しています。  国土交通省といたしましては、引き続き、無人航空機の飛行の安全を確保しつつ、無人航空機が我が国産業の発展に貢献していけるように措置してまいりたいと考えています。     〔主査退席、田畑(裕)主査代理着席〕
  90. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。  安全のための技量の確保の支援に感謝をしたいと思います。ぜひこの分野で、国交省としてリードしていっていただくことを御期待申し上げます。  また、これは質問ではなくて希望でございますけれども、今後は、各専門分野ごとの操縦技術の向上というものがいろいろな分野で求められてくると思います。ベースアップも大事でございますが、徐々に、各分野ごとの操縦技術向上に向けた国交省としての支援もぜひ御検討を進めていただければありがたい、そのように思います。  最後の質問に移らせていただきます。  今後、ドローンが急速に普及をして、さまざまな分野で利用が広がっていきますと、土地の上空の所有権がどこまで及ぶのかという疑問が出てくるのではないかと思います。  改正航空法などにより許可を必要とする空域が設定されていたり、あるいは各自治体の条例によって、ここの公園はだめですよ、ここの文化財の上はだめですよといった特定の区域の上空での飛行の制限などは地区地区でされているようでありますけれども、民家の上空の所有権についての規定は見当たりません。  屋根から何メートル上までだとその民家の人が、勝手に飛ばさないでくれよと言えるのか、また言えないのか、そういったところの議論だと思いますが、ドローンの普及が先進している海外、特にアメリカなんかではこういったことがだんだん問題になってきているというふうに聞いております。  法務省の皆様にお伺いします。ドローン使用時の土地の上空の所有権はどこまで及ぶのでしょうか。お願いいたします。
  91. 小川秀樹

    小川政府参考人 お答えいたします。  民法の第二百七条は、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」と定めております。そして、一般に、土地の所有権は、その土地を所有する者の利益の存する限度でその土地の上下に及ぶものと解されております。  そこで、土地所有者の利益の存する限度内か否かという問題でございますが、この点につきましては、個別の土地の具体的な使用態様に照らして判断すべきものと考えられますので、所有権が土地の上空のどこまで及ぶかということについて、一般論として一概にお答えすることはできない性質の問題ではないかというふうに考えております。
  92. 加藤鮎子

    加藤(鮎)分科員 ありがとうございました。  個別具体にという話になるのかもしれませんけれども、急速な進展が期待されるドローン活用の分野であります。業者の方々がちゅうちょしなくて済むように、ある程度見通しが立つような方策を徐々に進めていただくことも必要なのかなというふうに思います。  発展、進展が急速なだけに、ルール整備の方もスピーディーに御対応いただくことを期待申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  93. 田畑裕明

    田畑(裕)主査代理 これにて加藤鮎子君の質疑は終了いたしました。  次に、梅村さえこ君。
  94. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 日本共産党の梅村さえこです。  本日は、JR蕨駅での視覚障害者の転落事故と再発防止障害者の駅利用について伺いたいと思います。  まず確認させていただきます。ことし一月十四日朝七時十分に発生したJR蕨駅の事故、昨年八月に東京地下鉄銀座線での視覚障害者の転落事故を受けて、国交省として駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し、十二月に中間取りまとめが出され、JR東日本が声かけ、サポート強化キャンペーン中に起きた事故でありました。  改めて、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りしますとともに、二度と同じ悲劇を繰り返さない決意をしたいと思います。  それで、視覚障害者の方からは、なぜ強化キャンペーン中にもかかわらず事故が起きたのか、一体何人の命が犠牲になれば済むのかの声が出ておりますが、当然のことだと思います。  そこで確認させていただきます。事故当時の駅員の配置は改札に一人だったと聞きます。声かけがなかったと聞きます。そして、その後、再発防止のためのホームドアの設置の計画、ソフト面、マンパワーの強化などはどうなっているのか、確認させていただきたいと思います。
  95. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  ことし一月十四日、JR東日本京浜東北線蕨駅におきまして、視覚障害者の方が転落して亡くなる事故が発生をいたしました。この事故を受けまして、JR東日本は、蕨駅につきまして、目の不自由な旅客への声かけや誘導案内を目的としたガードマンを事故後直ちに終日配置をする、また、目の不自由なお客様に対する駅構内放送の実施でありますとか、ホーム端部の危険性の注意喚起を行うCPライン、これは、先生御案内かと思いますが、カラーサイコロジー、色彩心理の略でありまして、人が危険と感じる度合いが高い色彩を用いてラインを引くことにより、視覚的、心理的にホーム端部の危険性に対して注意喚起を行うものでございますが、これを二月に整備した。  また、二〇二〇年度末までとしていたホームドアの整備時期を二〇一九年度末へ前倒しをするなどの対策を講じたところでございます。  JR東日本においては、事故の再発防止に向けて、対策にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  96. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 JR蕨駅は私が住んでいる町でありまして、毎日駅を使って通ってきております。  残念なことなんですけれども、事故後はそういう努力があるということは十分認識しておりますし、また、ホームドアの設置の前倒しは、蕨市長初め、党派を超えた多くの議員の皆様、市民の皆さんの強い要望で実現したものだと思います。一年前倒しの計画の努力に感謝いたしますとともに、引き続き一日でも早く設置ができるよう努力をお願いしたいと思います。  同時に、声かけ、サポートキャンペーン中にもかかわらず、この事故が起こったということで、やはり中間とりまとめの内容が現場まで周知されていなかった、当日は、改札にお一人いましたが、声かけがされなかったという問題があろうかというふうに思います。  蕨駅だけがよくなればいいということではございません。この中間取りまとめが現場まで行き届いていないという、前回、総務委員会質問させていただきましたけれども、当時はそうでしたが、その後、この現場への徹底というものは、周知徹底などは強化されているんでしょうか。
  97. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  国土交通省といたしましては、一月十四日の京浜東北線蕨駅における転落死亡事故を踏まえまして、検討会の中間取りまとめについて、特にソフト面での駅員の対応について早急に現場への周知徹底を図るよう、各鉄軌道事業者に要請し、その結果の報告を求めております。  さらに、一月十八日、二十三日には、全国の鉄道事業者を対象に、中間取りまとめに関する説明会を開催いたしましたが、現場への周知徹底について、直接各社の担当者にも要請をしたところでございます。  周知徹底の結果につきましては、これまでのところ、ホームドア未設置のホームがある事業者百六十一社の全てより報告を受けており、各事業者とも、現場に対し、駅員等の対応に係る具体的措置について周知済みであることを確認いたしております。  ちなみに、駅員等の対応に係る具体的措置につきましては、誘導案内希望の申し出があった視覚障害のある方に対して乗車及び降車の誘導案内を実施すること、また、誘導案内を実施することが視覚障害のある方にも認知されるよう情報発信に努めること、誘導案内の希望の申し出がない場合であっても、駅構内で介助者がいない視覚障害のある方に気づいた際は声かけを行うこと、視覚障害のある方に転落の危機が迫っていると認めるときに、視覚障害のある方が明確に気づく声かけや注意喚起を行うことといったようなことでございます。  また、各鉄道事業者が現場に対して発出いたしました周知文書でありますとかマニュアルにつきましても確認を行いまして、中間取りまとめの内容と異なるケースにつきましては、その修正を求めているところでございます。  駅ホームの安全性向上を図っていく上で、現場への周知徹底は重要であり、今後とも現場に対し適切に周知徹底を図っていくことを各社に求めてまいります。     〔田畑(裕)主査代理退席、主査着席〕
  98. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 本当にとうとい命が失われたということで、十八日に周知徹底を再度されたということでしたけれども、既に中間取りまとめは出ており、JR東日本が声かけ、サポートキャンペーン中であったということで、もしこれがもっと早く機敏に行われていれば、四日前に起こった一月十四日のこの転落事故、朝七時十分ですけれども、起こらなかったかもしれない。せっかく検討会をやって、そういうまとめを出し、やろうということでしたから、どうぞ、やはり機敏にもっと対応が必要だったということをぜひ重く受けとめていただきたいというふうに思います。  それで、石井大臣にお伺いしたいというふうに思います。  非常に視覚障害者の事故が、特に二〇一六年度は三件起こりました。青山一丁目の事故、そしてその間には近畿鉄道の河内国分駅で起こり、そして蕨駅で、三件立て続けに起こっております。  ちょっと振り返ってみますと、二〇一〇年以降、二〇一〇年にはお一人、二〇一一年にお二人、二〇一四年にお二人、ですから、二〇一〇年以降だけでも八人の視覚障害者の方が駅から転落し、そのとうとい命を失われているということだと思います。  特に、二〇一〇年には一度検討会を行いまして、そのときに、十万人以上の駅についてはなるべく早くホームドアを設置していくというような検討会の結果が出ていると思いますが、そういう検討会や対策を打ってきても、この間、視覚障害者の皆さんの転落事故、視覚障害者の皆さんだけではなくて健常者の皆さんの転落事故もむしろふえているんです。今、年間約三千件から四千件近く健常者の方も含めてホームから転落され、うち視覚障害者の転落というのは五百二十件です。そして、二〇〇九年と二〇一五年の七年間を比べると、三十九人から九十四人へと二・四倍も視覚障害者の方々が転落していらっしゃる。  手を打ってきていると思うんです、検討会も開いてきていると思うんです。にもかかわらず、やはりこれだけの転落がいまだ起こり、そして二〇一六年度は三人も、そして検討会中にもまた起こった。こうした事態を見ておりますと、今までどおりの対策ではなくて、やはり抜本的な強化、こういうことがいよいよまた必要だというふうにも思います。  この間お亡くなりになられている方も大勢いらっしゃいます。その方々に対する御認識、またこの間の対策がどうだったのかという御認識を大臣から伺えたらというふうに思います。
  99. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、目白での事故とかああいう事故のたびにそういった検討会を開きまして、事業者が集まって議論をしてまいりました。  一番初期の段階では、そもそもホームドアをつくるということ自体も、設置費用の関係とかいうことでなかなか議論がございましたけれども、そうやって会を重ねるにつきまして、今回の中間取りまとめでは、例えば、条件の整ったところであれば、十万人以上の駅については三十二年までに整備をしようとか、十万人未満でも必要性を見きわめながら整備を進めていこうとか、また、それができない間もソフト対策を充実させようといったような、やはりそういった取り組みが強化されてきていると思います。  残念ながら、おっしゃったような事故は発生をしておりますけれども、そういった取り組みを強化しておりますので、そういった事故ができるだけ起こらないように、我々も事業者とともに努力していきたいというのが今の認識でございます。
  100. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 人の命がかかっていることですから、一人でもそういう犠牲者を生まないという立場でやはり取り組むことが必要だというふうに思います。  それで、これは大臣に伺えるかなと思うんですが、中間取りまとめの委員、この中に当事者である視覚障害者の方が入っておられません。なぜ入っておられないのか。委員はほとんど国土交通省と鉄道会社の方ばかりだというふうに思います。当事者を入れるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  101. 石井啓一

    ○石井国務大臣 駅のホームの安全性を検討するに当たりまして、視覚障害者の皆さんの視点を取り入れ、施策に反映することは重要であると考えております。  このため、昨年末の検討会の中間取りまとめに先立ちまして、第二回、第三回の検討会におきまして、視覚障害者団体等合計八団体から御意見を伺っております。  委員としては参画いただいておりませんでしたが、このような形で意見を把握するとともに、中間取りまとめの作成に当たっても事前説明するなど、十分にその意見を反映したものになったと考えております。  なお、本年二月二十日に開催されましたユニバーサルデザイン二〇二〇関係閣僚会議で決定をされましたユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画におきまして、障害のある人が委員として参画することとし、障害のある人による視点を施策に反映することが重要である、こういうふうに位置づけをされましたので、今後、この趣旨にのっとりまして、次回以降の検討会、これはフォローアップのための検討会ですが、ここには障害者団体の方に委員として参加していただく予定としてございます。
  102. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 当事者の皆さんから大変強い要望があり、私もその二回、三回目の会議の資料を見させていただきましたけれども、大変具体的な資料が団体の皆様から出ておりますので、ぜひ直接入っていただいて、主体者として一緒に計画をしていっていただいたらというふうに思います。  さて、次に、中間取りまとめの具体的な内容について伺いたいと思います。  ホームドアの設置について、乗降客十万人以上の駅を優先してつけるとともに、十万人未満でも、転落事故の発生や視覚障害のある人の利用状況整備状況などを勘案するとあります。  例えば、私の地元埼玉県でも、二〇一一年に東武鉄道の川越駅で視覚障害者の転落事故が起きております。ここには、実は近くに盲学校があります。盲学校の学生さんも転落するというような、大変危ないところなわけですね。  この東武の方の川越駅は、もうつけるという計画が進んでおりますが、JR川越駅のホームドアの計画、この中間取りまとめでは、視覚障害のある人の利用状況整備状況を踏まえて検討もするとありますので、当然、そういう必要な駅については、私は国交省はつかんでいらっしゃると思うんですけれども、JR川越駅のホームドアの計画はどうでしょうか。
  103. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 申しわけありません。ちょっと、そういう具体の御通告をいただいていなかったかと思います。ちょっと今、手元に資料がございませんので、また調べて御報告します。
  104. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 このJR川越駅の問題、東武の川越駅の問題、中間取りまとめで視覚障害者などの状況を踏まえて、事前に聞いたときには、率直に言って鉄道事業者の判断に任せるんだという御説明があったんですよ。ただ、この中間取りまとめを見ますと、十万人以下のところでも、つかんで取り組んでいくというふうにあります。  では確認いたしますけれども、この取り組みというのは、事業者に任せる問題ですか。この十万人以下の、視覚障害者など、そういういわゆる社会的な弱者の皆さん方がいる駅については、国交省としても、一緒につかみながら一緒に推進するというお立場に立たれているかどうか、それだけ確認させてください。
  105. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  ホームドアの整備につきましては、平成二十七年度末時点において、ホームドアが設置されております全国六百六十五駅のうち、一日当たりの利用者数が十万人以上の駅は八十二駅、十万人未満の駅は五百八十三駅となってございます。  昨年八月に発生をいたしました東京メトロ銀座線青山一丁目駅における視覚障害者の方の転落死亡事故を受けまして、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し、昨年末に取りまとめをした、これは先生御案内のとおりでございます。  この取りまとめにおきまして、ホームドアにつきましては、一日当たりの利用者数が十万人以上の駅のうち、車両の扉位置が一定などによりホームドアの整備条件を満たしている場合、原則として平成三十二年度までに整備を行うこととしたところですが、これは、ホームドア整備を効率的に進めていくために、整備の優先順位を検討する必要があり、一駅当たりの転落、接触事故の発生件数は利用者十万人以上の駅が最も多く、また、事故件数の半分近くが利用者十万人以上の駅で発生していることを踏まえまして、利用者十万人以上の駅について優先的に整備を進めるとしたところでございます。  一方、利用者数十万人未満の駅につきましては、ホームの混雑状況でありますとか、転落事故の発生状況、視覚障害者の方の利用状況整備要望などを勘案した上で、優先的な整備必要性検討し、必要と認められる場合には整備を行うこととしたところでございます。  御指摘利用者数十万人未満の駅の状況を国としても把握すべきという点に関しましては、利用者数十万人未満の駅につきましては、ホームドアが設置されていない駅は八千六百四十四駅ございます中で、まずは、個々の駅の状況を熟知している鉄道事業者において、ホームの混雑状況、転落事故の発生状況、視覚障害者の方の利用状況でありますとか整備要望といったようなものを踏まえまして、ホームドア整備必要性検討する必要があると考えております。  国土交通省といたしましては、そのような各鉄道事業者における検討を踏まえまして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  106. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 それを受けた必要な対応がどうなのかということを聞いているんです。特に、川越は二〇一一年に事故が起きているんですよ。県議会でも問題となって、埼玉県の方から、川越駅についてはJRの方も早くつけるべきだということで、行政、県自身は乗り出して、JRに対して要請しているんですよ。  私は事前に、レクチャーの段階でも、いろいろな段階も含めて、この川越駅ということは言ってきているわけですから、そういう一般的な御答弁ではなくて、やはり、近くに盲学校があり、東武の方では転落していて、JRにもつけてほしいという駅ですから、そんな通り一遍ではなくて、やはりここの駅は十万人以下かもしれないけれども早くつける必要があるというところをもうちょっとピンポイントで握って、一緒になって解決をしていく、そういう姿勢がやはり私は必要だと。そうしないとまた再び事故が起きてしまう可能性がある、そういうような声が現場から上がっているということを強く指摘させていただきたいというふうに思います。  それで、やはり、改めまして鉄道は公共交通機関だというふうに思います。さらに、では、検討会の内容を、今、ヒアリングで視覚障害者の皆さん方から出た意見を踏まえてつくっているとおっしゃいました。私も読ませていただきました。視覚障害者団体の皆さんからは、ホームドアやホーム下の退避空間の設置、点字ブロック、明かり、壁や床、柱などの色調のコントラストなどハード面の要望とともに、特にソフト面ですね、人員の問題。日本盲人会連合からは、全ての駅に安全監視員を配置してほしい、全日本盲導犬使用者の会からは、全ての駅ホームに安全員など駅係員の増員を、ふやすとともに、その所在時間帯を長くしてほしい、全日本視覚障害者協議会からは、全ての駅における徹底調査に基づく駅員の配置、このことが繰り返し、いわゆるハード面とともに、発言、要望されております。  こうしたいわゆる人員の増員、配置、この問題については、中間取りまとめにはどのように反映されているのでしょうか。
  107. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  駅ホームの安全性向上のための検討会におきましては、ヒアリングを行いました視覚障害をお持ちの方から、駅員の配置に関して、今御提示ありましたような意見、例えば、我々がホーム上を歩行するのは非常に危険であり駅員を配置することが重要である、転落の要因調査お願いしたい、それに基づいて駅員を配置してもらいたい、マイクで注意するだけでは転落は防げない、視覚障害者が転落しないようにする駅員の配置が必要であるといったような御意見を頂戴したところでございます。  検討会におきましては、こういった、いただきました御意見を踏まえまして、検討、調整を行いました結果、駅員配置に関する次のような記述を入れたところでございます。すなわち、駅ホームにおけるさらなる安全性向上に向けた施策、ソフト面での対策というところで、駅員等による誘導案内の強化と接遇能力の強化という項で、駅員等の配置については、各駅の利用実態等に鑑み、鉄道事業者みずからが判断するものではあるが、さまざまな意見や個々の利用実態等を踏まえ、必要に応じて見直すといった対応が重要であるといったようなことを記述させていただいております。  このような状況に適切に対応した柔軟な駅員配置を行うよう、鉄道事業者を促してまいりたいというふうに考えております。
  108. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 今、柔軟な対応とおっしゃいましたけれども、視覚障害者団体の皆さんは駅員の増員を求めているんです。ホームドアがつくまでは危ない、だからそれまでは増員をして、安全監視員などを置いて、しっかりとフォローしてほしいということを望んでいるわけですね。それは間違いないと思います。  それで、中間取りまとめではそうなっておりますけれども、しかし、その要望に沿うどころか、今、各地でやはり無人化が進んでいる。これに対して、視覚障害者の皆さんから、悲鳴というか批判が広がっているのだと思います。  私の地元の埼玉でも、宇都宮線、高崎線、川越線など二十八駅で、この間、始発から六時半まで無人化、遠隔操作となり、前日までに連絡して介助を受けるようになっております。  それで、先ほど言われましたユニバーサルの問題、改正された高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法では、バリアフリー化を進めることにより、どこでも、誰でも、自由に、使いやすくを進めること、そして、身体障害者のみならず、知的障害者、精神障害者、発達障害者を含む全ての障害者が法対象というふうに述べていると思います。  そして、このもととなる障害者差別禁止法でも、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有することとしてその尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえとしております。  こういう趣旨でいきますと、どこでも、誰でも、自由に、使いやすく、障害者の皆さんが健常者の皆さんと同じように基本的人権を享有する。ですから、歩行の自由、尊厳が重んじられる、そういうことでいいますと、やはり、無人化にして、駅を使いたいというときに前の日までに連絡してください、もしかしたら、夜中に御親戚の方が急病になることもある、次の朝、急に使いたい場合もある、これは生活の中ではよくあることだというふうに思うんですね。  ですけれども、鉄道事業者のコストの問題を優先にして、障害者の皆さん、とりわけ車椅子の皆さん、早朝使いたくても使えない。これはやはり、バリアフリー法で言う、こういう、どこでも、誰でも、自由に、使いやすくという趣旨や、障害者の差別禁止法、健常者と障害者を差別してはならない、こういう法からいえば趣旨に反するものではないでしょうか。
  109. 石井啓一

    ○石井国務大臣 御指摘のあった駅につきまして、JR東日本に確認をいたしましたところ、駅員不在の時間帯で、これは始発から朝六時半までの時間帯ということのようでありますが、前日までの御連絡がない場合であっても、各駅に設置されたインターホンを通じて連絡をいただければ、最寄りの駅からできるだけ速やかに職員を派遣し案内を行っているとのことでございます。  国土交通省といたしましては、こういった取り組みを含めまして、日ごろから鉄道事業者において、各種障害をお持ちの利用者の方々とのコミュニケーションを図り、また、こうした方々の利用実態も踏まえながらサービスの見直しを行うことで、安全性の確保やサービス水準を可能な限り確保することが重要であると考えているところでございます。
  110. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 そもそも、インターホンが、車椅子からいうと手が届かないとか、隣とか少し遠くの駅から来るわけですから、急いで電車に乗りたい、朝ですから時間がありません、そういうときに、ピンポンと押して来てもらうのにしばらく待つ。このこと自身も、やはり、障害を持っていらっしゃる方が自由に町を移動する権利、こういうのが阻害されている。やはり駅にはしっかりと人を置いて、障害のある方もこういう権利が保障されるような、そういう駅のバリアフリー化を進めていただくことが必要だというふうに私は思います。そのことを要望しておきたいと思います。  最後になりますけれども、吾妻線の無人化についても伺いたいというふうに思います。  四月一日から、吾妻線十八駅のうち十四駅で、新たに群馬原町と万座・鹿沢口の二駅が無人化となりました。この無人化がいわゆる村に提起をされたのが二月十三日、そして、三月二十八日に再びJR高崎支社の方がいらっしゃったということです。  渋川の方まで学生さんたちが行くわけですけれども、そもそも始発が非常に遅いので、それに乗っても渋川の方の高校に着くのは八時五分になっちゃう。ですから、その地域に住んでいらっしゃる高校生の子たちというのは、朝の部活ができないわけです。ですから、お父さん、お母さんたちが、車で三十分かけてもう少し早く出る駅まで連れていって、渋川まで高校生の皆さんが行っていらっしゃるという現状があるものですから、ぜひ始発をもっと先まで、早い時間に来てほしいというのが、村長さんを初めとして、この間繰り返し要望してきた。それが去年の十二月にされていたそうです。  その要望が、受けとめるかと思いきや、それではなくて、二月十三日に、新たに二つを今度は無人化するということが出てきたと。どうやら、聞くと、相談する暇もない。嬬恋村の方は、ぜひ駅の人を置いてほしいので、村がお金を出してもいいから人を置いていただけないかというような相談もしていらっしゃるそうですけれども、JR高崎の方では、予算の関係があって、今までいた人たちは違うところに行かなきゃいけないから無理だということで、そこまで、お金を出してもぜひ駅に人を置いて、その地域の窓口として整備してほしいという相談を持ちかけているんですけれども、それもままならないというようなことを聞きました。  この間、石井大臣初め、元太田大臣も、この駅の無人化の問題については、しっかりと丁寧に安全性を確保する、そして、利用者の皆さんにしっかりと丁寧に説明をし、合意をとりながら丁寧に進めていくよう、例えばJR九州の問題も含めてやるといって答弁していらっしゃるんですよ。その答弁との関係でいえば、今私が説明した限りですけれども、こういった吾妻線での二駅のやり方というのは、到底丁寧にやっているとは言えないやり方ではないかと思います。  ぜひ、実態をつかんで、村長さんもお金を出して何とかしたいというふうに言っているわけですから、きょうはお願いです、ぜひ国交省として、実態をつかんで、相談に乗ってあげてほしい、相談に乗るべきだというふうに石井大臣に直接お願いしたいと思いますが、ぜひ実態を調べていただけないでしょうか。
  111. 石井啓一

    ○石井国務大臣 駅の無人化に際しましては、サービス水準を可能な限り確保するとともに、安全性を確保することが重要でありますが、具体的な対応については鉄道事業者が判断すべきものであります。  御指摘の万座・鹿沢口駅については四月一日より無人化されたところでありますが、JR東日本に確認したところ、二月中旬に群馬県や駅のある嬬恋村に対し説明を行い、特段の意見はなかったと聞いております。  いずれにいたしましても、鉄道事業者が無人化を行う場合には、地域の理解を得られるよう、鉄道事業者から地元自治体等に丁寧に説明を行うとともに、安全性の確保やサービス水準を可能な限り確保することが重要と考えております。
  112. 梅村さえこ

    ○梅村分科員 特段の意見がなかったということですけれども、あったんですよ。お金まで出して何とかしたいという意見ですので、きょう、私、質問させていただきましたので、ぜひその実態をまずつかんでいただいて、そういう状況があれば一緒になって検討をしていただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  113. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて梅村さえこ君の質疑は終了いたしました。  午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  114. 伊藤渉

    伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  法務省所管について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。逢坂誠二君。
  115. 逢坂誠二

    逢坂分科員 まばらな拍手の中に迎えられまして、質問させていただきます。  まず冒頭に、先週の六日、与野党の合意なしに衆議院の本会議がセットされて、そこで共謀罪法案、趣旨説明、そして質疑に入らざるを得ないという状況になりました。このことは、我々にとってみると非常に残念なことでありまして、性犯罪厳罰化法案が先に閣議決定されて国会に出てくる、これが通常のルールだろうと思っておったわけであります。  特に、性犯罪の厳罰化法案は、全国に多くの方々が、この法案の成立を待ち望んでおられる方がたくさんいるわけであります。あの法案を一日も早く成立させるということは大変重要なことだったというふうに我々は今でもそう思っておりますし、あの法案の成立をおくらせればおくらせるほど、その法で救える方々を放置するということになりますので、ぜひ、いろいろなタイミングでこの法案は審議ができると思うので、そのことをまた主張していきたいなというふうに思っております。  それで、きょうはいわゆる共謀罪について質問させていただくんですが、この間、本会議で共謀罪のことについて各党でいろいろな質問をしましたが、あれを聞いていて、私はやはりどうもよくわからないんですね。わからないのは、今回の共謀罪法案を制定する理由、これはどういうことなのか。何を目的に、何が必要で制定するのかというのをもう一度わかりやすく、大臣、簡潔に、国民にわかりやすく、どうもあの議事録を読んでも私はよくわからないんですよね。わかりやすく御説明いただけますでしょうか。
  116. 金田勝年

    金田国務大臣 逢坂委員の御質問にお答えをいたします。  昨今の国内外のテロ組織による犯罪を含む組織犯罪情勢に鑑みますと、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することは急務である、このように考えております。  近年、世界各地で大規模なテロが続発をしております。その一方で、我が国においても、暴力団による組織的な殺傷事犯、違法薬物事犯といったような各種の組織犯罪が多発をしている、平穏な市民生活を脅かす状況にある。こういう中で、国内法においてTOC条約が創設を求める犯罪を整備して、このTOC条約を締結することによって、テロを含む組織犯罪による重大な結果の発生を未然に防止することが可能になるんだ、また、国際的な逃亡犯罪人引き渡しや捜査共助が可能ないしはさらに充実をしていくことができる、情報収集においては国際社会と緊密に連携することが可能となる。  このように、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための国際協力を可能とするTOC条約を締結することを目的としてテロ等準備罪を創設する、このように考えておる次第であります。
  117. 逢坂誠二

    逢坂分科員 大きく言えば二つということでよろしいんでしょうか。テロ等を含む組織犯罪の防止のために共謀罪法案を提出する。それからもう一つは、TOC条約を締結するために国内法を整備する。端的に言うとこの二つということで、大臣、よろしいんでしょうか。
  118. 金田勝年

    金田国務大臣 二つとおっしゃられました。  先ほど申し上げましたが、TOC条約を締結することの必要性、そのための国内法の整備ということをきっちりやることが、現下の情勢の中で、テロ等の組織犯罪の未然防止と、それから国際協力を可能にしていくことができるということになろうかと思います。
  119. 逢坂誠二

    逢坂分科員 今のところは明確には割と言えないものなんですか。今の話、二回目の答弁からすると、TOC条約を結ぶためにやるんだというふうに聞こえましたけれども、そこはどうなんでしょうか。
  120. 金田勝年

    金田国務大臣 委員御指摘のとおり、TOC条約を締結することを目的としていく、その中で、未然防止ができる、あるいは国際協力を可能とする、そのためにテロ等準備罪を創設するということになろうかと思います。
  121. 逢坂誠二

    逢坂分科員 それじゃ、国内のテロあるいは組織犯罪の防止という目的は、必ずしも主目的ではないということでしょうか。
  122. 金田勝年

    金田国務大臣 あくまでも条約の締結というものを考えていくべきだ、このように考えております。
  123. 逢坂誠二

    逢坂分科員 それじゃ、TOC条約を締結するために国内法の整備が必要である、そのために今回の共謀罪法案を提出した。でも、結果として、そのことが付随的に国内のテロ対策あるいは組織犯罪防止にも資する、そういう理解なんでしょうか。
  124. 金田勝年

    金田国務大臣 既に御存じの逢坂委員に申し上げるのもなんなんですが、組織犯罪を防止する、その中のメーンがテロの防止である、このように考えております。
  125. 逢坂誠二

    逢坂分科員 どうもよくわからないんですが、TOC条約を結ぶのが主目的だというふうに私には聞こえる。そのために国内法の整備が必要である、国内法の整備をした結果として、テロもしくは組織犯罪、この防止に資するんだという意味の発言なんでしょうか。それとも、また別の発言なんでしょうか。そのところを、目的をまずはっきりさせていただきたいんですが。
  126. 金田勝年

    金田国務大臣 先ほどもお答えしたつもりでおるんですが、テロを含む組織犯罪を未然に防止する、そして、これと闘うための国際協力を可能とする、そのためのTOC条約を締結することを目的としてテロ等準備罪を創設するものである、このように考えております。
  127. 逢坂誠二

    逢坂分科員 改めて整理をさせていただきたいんですが、それじゃ、国際組織犯罪の防止、それが主目的であるということでよろしいですか。国内のテロ、国内の組織犯罪については付随的なものであるという理解でよろしいですか。
  128. 金田勝年

    金田国務大臣 逢坂先生は非常に精緻なお尋ねをされますので、何回も同じようなことを答えていて申しわけないですが、テロを含む組織犯罪を防止するというのが、このTOC条約の、担保する国内法の整備につながっている、このように考えております。
  129. 逢坂誠二

    逢坂分科員 冒頭におっしゃられた、テロを含む組織犯罪を防止するためのTOC条約、その際のテロを含む組織犯罪というのは、国際的な組織犯罪、テロのことなのか、それとも国内にも主眼を置いているのかというところを聞いているんです。ただそれだけです。
  130. 金田勝年

    金田国務大臣 国外に限るものではない。ですから、国外も国内も、国内外というんでしょうか、テロ等の未然防止に資するその条約の国内担保法をつくる、こういうことであります。
  131. 逢坂誠二

    逢坂分科員 余り釈然とはしないんですけれども、こればかりやっているわけにはいきませんので、きょうの段階では、それでは、国内外のテロ等を含む組織犯罪を防止する、それと、TOC条約を締結する、この二つの目的だということで理解をしてよろしいですか。
  132. 金田勝年

    金田国務大臣 お尋ねにお答えしているつもりなんですが、いずれにしましても、TOC条約を締結することが目的であります。
  133. 逢坂誠二

    逢坂分科員 わかりました。  きょうこの時点では、TOC条約の締結が目的である、それで、テロを含む組織犯罪の防止という点においては、国内外が、どちらに重きがあるのかという点については必ずしもはっきりしない、とりあえずそういう整理をさせていただきたいと思います。  そこで、次なんですが、今回の共謀罪法案の対象犯罪、二百七十七あるというふうに承知をしておりますが、マスコミ報道によると、このうち百十がテロ関連犯罪であるというふうに報道されているんですが、どれがその百十に該当するのか私はよくわからないのでありますけれども、これについて、大臣、大変数が多くて恐縮なのでありますけれども、テロに該当する犯罪名を列挙していただけますでしょうか。
  134. 金田勝年

    金田国務大臣 委員からのお尋ねは、テロ等準備罪の対象犯罪、二百七十七、法文上明記しておりますが、この対象犯罪の類型についてお尋ねであります。  マスコミの資料というものを前提に今、百十ということをおっしゃいました。  テロ等準備罪の対象犯罪は、長期四年以上の懲役または禁錮の刑が定められている罪のうち、組織的犯罪集団が実行、計画することが現実的に想定される罪を選択したものであります。  このテロ等準備罪の対象犯罪は、おおむね、一つはテロの実行に関する犯罪、一つには薬物に関する犯罪、一つには人身に関する搾取犯罪、一つにはその他資金源犯罪、さらに一つには司法妨害に関する犯罪に大別できるものと考えております。  その中で、最初の類型のテロの実行に関する犯罪として列挙してくれ、こういう今のお尋ねだったと受けとめております。  テロ等準備罪の対象犯罪のうち、テロの実行に関する犯罪としては、例えば、組織的犯罪処罰法の組織的な殺人罪、刑法に出てきます現住建造物等放火罪、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律に出てきます航行中の航空機を墜落させる行為等の罪、サリン等によります人身被害の防止に関する法律にございますサリン等の発散罪、それから、流通食品への毒物の混入等の防止に関する特措法に出てまいります流通食品への毒物の混入等の罪があろうかと考えております。
  135. 逢坂誠二

    逢坂分科員 私、マスコミ報道が正しいかどうかはわからないんですけれども、マスコミ報道では百十がテロに直接関係のある犯罪だというふうに出ている。今大臣が例示されましたのは、私、今、指を折るのをちょっと忘れましたけれども、二十なかったような気がするのでありますけれども、数としては百十ぐらいあるという認識なんでしょうか、大臣としては。
  136. 金田勝年

    金田国務大臣 非常にお詳しい質問になってまいりましたので、時間がかかりながらお答えしていくようなプロセスはお許しください。  テロに関する犯罪が百十個というのは本当かというお尋ねだと思います。  報道の根拠は承知しておりません。けれども、そのような報道があったことは承知をいたしております。  テロ等準備罪の対象犯罪の中には、五類型の中で複数の類型に該当し得るものというのが少なくないわけであります。そして、そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもあります。  したがって、テロ等準備罪の対象犯罪のうち、テロに関する犯罪に該当する罪の数をお答え申し上げるというのは困難であることを御理解願いたいと思います。
  137. 逢坂誠二

    逢坂分科員 多分、私も、あの類型に全部きちっきちっと当てはめるというのはなかなか簡単ではないというふうに思っているんです。ところが、マスコミ報道では百十とかということで決め打ちで出てくるものですから、いや、不思議なものだなと私は思っていました。  ということは、法務大臣、百十ということは法務省が言っているということではないという理解でよろしいですか。
  138. 金田勝年

    金田国務大臣 ただいま御指摘のように、それを法務省側が発表したというような事実は私は承知をしておりませんので、そのように受けとめては……。まあ、マスコミの報道の中にそういう数字があったというのは承知をしております。
  139. 逢坂誠二

    逢坂分科員 それでは、改めて確認ですが、公式には発表していない、だけれども、非公式にそういう考えを持っていたということもないという理解でよろしいですか。公式には発表していないということは、多分、今の答弁で、そうなんだろうと思います。非公式には、実は百十ぐらいあるんだけれどもなというようなことでマスコミにしゃべったとか、そういう事実もないということでよろしいですか。
  140. 金田勝年

    金田国務大臣 先ほどから御説明を申し上げました。  報道に出ているその根拠を私は承知をしておりません。したがって、それが事務レベルでどういうふうな流れにあるかというものについては、ただいま御質問がありましたが、それについては私は承知をしておりません。  したがいまして、先ほど私が申し上げましたように、その五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくない上に、そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもある、このように申し上げました。  まさに、そういう状況の中で、事務的にどういうふうな検討を現在進めているかについて、この場で直ちに申し上げられる状態にはありません。
  141. 逢坂誠二

    逢坂分科員 この問題については明確に、私は、文字で、文書で通告をさせていただいておりました。共謀罪法案対象の二百七十七犯罪のうち、テロの実行に直接かかわる犯罪を列挙してくださいということを言ったわけでありますけれども、先ほどの列挙では二十に満たないぐらいの例示があったかというふうに思います。しかも、マスコミ報道の百十というのは、大臣は承知はしている、だけれども、そのことは法務省としては公式には発表していないという理解でよろしいかと私は感じました。  だけれども、事務レベルでどういうやりとりがあったかについては大臣は承知していないということでよろしいですか。
  142. 金田勝年

    金田国務大臣 私は、そういうふうな公式発表があったという事実を知りません。
  143. 逢坂誠二

    逢坂分科員 私が質問したのは、公式発表のところはもう整理がつきました。でも、百十というのはなぜ出たのかなというふうに思うわけです。  本来的には、マスコミの皆さんが自分独自で、マスコミ独自で専門家を雇って、あるいはお願いをして、今回の二百七十七が五類型のどれに該当しますかということを専門家に頼んで意見を聞くというふうには一般的には思いがたいんですよね。やはり、法案をつくっている政府に、どれに該当しますかというふうに聞く、まず取材をするというのが筋だと思うんですが、法務省事務的にもこのことを出しているかいないか。大臣は先ほど、それは事務的にはわからないというふうに言いましたけれども、その理解でよろしいですか。
  144. 金田勝年

    金田国務大臣 そういう理解につながる私の言い方だと思いますが、法務省として正式に発表した事実はないものと認識をいたしておりますので、そういう理解につながるのかなと思ってお聞きをしておりました。  なお、こういう非常に先生の厳密な分析を踏まえた質問でございますから、こういうのは、できれば実務方の責任者を呼んでこの場でお聞きいただくのもありがたいなとは私の立場では感じて、今お聞きしておりました。
  145. 逢坂誠二

    逢坂分科員 私はさほど難しい質問をしているつもりはなくて、五つの分類が出されて、そのうちテロに該当するのは百十だという報道があった、それは法務省が発表したものですかと言ったら、それは法務省は発表していないと。それでは、事務方がそういう情報を流しているのかどうか、そういう事実は非公式にあるのですか、ただこれだけを聞いているだけで、さほど難しいことを聞いているわけではないんですね。  ただ、大臣は、その後段のところ、事務方がそれを出したかどうかについては大臣は承知していないということでありますので、その事実は否定していないというところがきょうまでのぎりぎりの事実だというふうに私は受けとめさせていただきました。  この問題は、それでは、ここでちょっとひとまずおくことにしましょう。  私はなぜこういう質問をするかというと、共謀罪法案については最初からイメージ戦略が多過ぎるんですよ。最初からテロ等準備罪と言って、一般の人は該当にならない、前の共謀罪とは全く違うんだということを一月段階で言っていて、そこまで明言するんだったらその中身を聞かせてもらいたいと言ったら、それは法案ができるまでちょっと待ってくれというのが大筋の流れだったというふうに思っています。  でも、テロ等準備罪という言葉を流布させて、随分と国民の皆さんには、私は、法案の中身と違ったイメージを振りまいてしまったのではないかという印象を持っているんですね。  それから、今回の、テロに該当するのも百十というのも、本当に百十、それではどれなのかというのがわからないうちに、ああそうか、二百七十七のうち百十もテロに該当するのか、それは重要かもしれないなと思う人もいるかもしれない。だけれども、物を伝えるときにはちゃんとその事実をはっきりさせて伝えなければ、私は、まずいだろうというふうに思うんです。だから、ここを丁寧に聞かせてもらっているんです。  事前に、法務省に百十のリストを出してくれと言ったら、それは法務省は出せないというふうに、うちの事務的なやりとりの中では言っておられました。では、百十のリストが出せないんだったら、本当に百十、該当しているかどうかもわからないわけでありまして、マスコミ報道が間違っているかもしれない。そのところを私は確認したいわけであります。  きょうはこの程度にとどめさせていただきますけれども、もし百十でないのに百十という言葉がひとり歩きしているのであれば、これもまた事実のはっきりしないイメージ戦略というふうに言わざるを得ないというふうに思います。  さてそこで、次ですが、薗浦副大臣にお越しをいただいております。  我が国の法律の中には、予備罪ですとか陰謀罪ですとか、そういうものは既に現在の法律の中にあるわけですね。であるにもかかわらず、なぜ、TOC条約の求める義務が果たせずに、今回新たに共謀罪法案なるものをつくらなければいけないのか、なぜ、TOC条約を締結するために、これを有効にするために共謀罪法案をつくらなければならないのか、もう既に予備罪や陰謀罪があるではないか、それではなぜ不十分なんですかという点を教えていただけますか。
  146. 薗浦健太郎

    ○薗浦副大臣 お答えを申し上げます。  この条約の第五条は、締約国に対して、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂と別にして犯罪化することを義務づけております。  しかし、我が国には、現行法上、参加罪というものは存在をいたしません。また、重大な犯罪の合意罪に相当する罪も、内乱罪等、ごく一部でございます。  また、予備罪について申し上げますと、そもそも、条約上の重大な犯罪、これに当たります罪の一部にしか規定されておりません。また、予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものでなければ処罰できないというふうに我が国ではされております。  したがって、重大な犯罪の合意を犯罪化することを求めております第五条の趣旨にこのままでは反するおそれが高いというふうに考えておりまして、したがって、現行の国内法ではこの条約の義務が履行できない、したがって、新たな立法措置が必要であり、このテロ等準備罪を新設しなければ本条約は締結できないというふうに我々は考えております。
  147. 逢坂誠二

    逢坂分科員 この間、外務大臣の答弁の中に、国内法の中に、予備罪ですとか、要するに、既に実際に犯罪を犯さなくても罰することのできる規定はあるけれども、それがごく少ないんだ、だからだめなんだという趣旨の答弁もあったかというふうに思います。それは、数が多ければいいということなんですか。少ないとだめだという、その基準みたいなものというのは何かあるんですか。
  148. 薗浦健太郎

    ○薗浦副大臣 基本は、重大な犯罪、これの合意を処罰するようにということを求めているものでありまして、そこは、重大な犯罪について処罰をしなければならないという規定を我々がつくらなければならない。そこに網がかかっていない以上、五条の趣旨というものをクリアできないというふうなのが我々の考え方であります。
  149. 逢坂誠二

    逢坂分科員 副大臣、各国、実は、刑法に定められている犯罪というのは一緒じゃないんですよ。それぞれまちまちなんですよ。だから、それは各国の事情によって随分違うんですよね。  例えば、日本が、今、薗浦副大臣のおっしゃるように、重大な犯罪、四年以上、しかも組織犯罪に通ずるようなもの、それを定めた、その結果、二百七十七だというその主張はわからなくもないんですけれども、でも、よその国を見ると、必ずしも、日本にあってよその国にない犯罪もあるでしょうし、よその国にあって日本にないものもあるんですよね。だから、そういう中で国際条約を結ぼうとするならば、私は、この二百七十七というのにあえて無理してこだわる必要はないのではないかという気がするんですけれども、そういう論法というのは成り立ちませんか。
  150. 薗浦健太郎

    ○薗浦副大臣 ベースにあるのはあくまで重大な犯罪というものに規定されるものですが、先生今御指摘いただいたように、その中で我が国が独自に判断をし、この重大な犯罪を、こちら側、つまり、罰するというような形で規定をすることによってこの条約を締結するということは、我が国の独自の判断で行うことが認められているというふうに我々は解釈をしております。
  151. 逢坂誠二

    逢坂分科員 そういうことであるならば、例えば、立法府において、二百七十七の犯罪のうち、これとこれは外してもいいんじゃないか、あるいは、諸外国の例を見て、諸外国にない、例えば日本独自の犯罪が仮にあったとするならば、世界の共通という観点から見てこれは外してもいいなと思われるものがあった場合には、それを外してもいいということでしょうか。
  152. 薗浦健太郎

    ○薗浦副大臣 基準はあくまで、この中に書いてございます、組織的な犯罪集団が関与するものとの要件を国内法で付した場合に犯罪化が義務づけられるということでございまして、この合意の対象というのは、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪ということでありますから、この両方の条件を満たす必要がある。そこに我が国が、逆に言うと、これは違うとか、これはそうじゃないという話ではなくて、あくまで国際的にその二つの条件が満たされるという判断を必要とされるものというふうに解しております。
  153. 逢坂誠二

    逢坂分科員 そこが私はわからないんですよ。  薗浦副大臣も御理解いただけると思うんですが、各国の刑法犯罪の制定状況というのは一緒じゃないんですよ。それぞればらばらなんですよね、共通している部分もあるかもしれませんけれども。そのときに、なぜ各国が独自の判断で、今、形式的に見ると二百七十七というふうに政府は判断したんでしょうけれども、立法府の判断としてそれを減らしたりふやしたりというようなことができない仕組みなのかというのは、そこの合理的な説明が私にはよくわからないんです。
  154. 薗浦健太郎

    ○薗浦副大臣 今申し上げました、いわゆる組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪というものがまず基準としてあります。我々が条約を締結し、基準を満たすためにこの中に盛り込まなければならないものということで判断をさせていただいております。
  155. 逢坂誠二

    逢坂分科員 やはりきょうの答弁では私は理解できないので、これ以上は、きょうこの問題はやめますけれども、ぜひ考えてみてください。各国とも状況が違っているんだというところを踏まえた上で、真に何が要るのかということを主権国家として判断するということがあっていいのではないかと私は思うんですよね。だから、そこのところを丁寧に考えていただきたいなというふうに思います。  大臣、改めて大臣の方ですけれども、結局、きょうの議論を通じてわかったのは、二百七十七のうち、テロに直接該当するのが百十であるということは、少なくとも法務省としては根拠が今のところはないということでよろしいですね、報道ベースのものについては。
  156. 金田勝年

    金田国務大臣 今委員から御指摘がありました。  私は、報道ベースのお話であるということを申し上げましたが、そのとおりに思っております。
  157. 逢坂誠二

    逢坂分科員 大きな一点を確認させてもらったと思っています。百十がテロに該当するんだというのは、法務省としては必ずしも公式な見解ではなくて、それは単なる報道ベースのものであるということを大きく確認をさせていただきました。(金田国務大臣「ちょっと、一点つけ加えさせてください」と呼ぶ)
  158. 金田勝年

    金田国務大臣 先ほども申し上げておりますが、五つのうちのどの類型に入るかというものが、ダブっていたり、それをどちらかにするというものが、非常にまだいろいろな議論があったりという部分はありますことを御理解いただきたい。その前提の上に立って、そういう状況になっているということであります。
  159. 逢坂誠二

    逢坂分科員 終わります。
  160. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  161. 伊藤渉

    伊藤主査 次に、国土交通省所管について審査を進めます。     〔主査退席、田畑(裕)主査代理着席〕
  162. 田畑裕明

    田畑(裕)主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下智彦君。
  163. 木下智彦

    木下分科員 日本維新の会、木下智彦です。  本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。  また、せっかく大臣に来ていただいたんですけれども、事務的な確認をさせていただきたいので、ほとんど御答弁を求めないことになってしまいますが、申しわけございませんが、おつき合いください。  私の方から質問させていただきたいのは、例の大阪・豊中市の国有地の問題。というのは、もう既に皆さん御存じのとおりなんですけれども、前回の質問でもさせていただきましたが、私は、森友学園の疑惑の言われている土地の目の前に住んでおりまして、こういう機会に事務的に事実を確認するということはとても重要なんじゃないかなと、私、地元の者として、そういうことでこういった機会を与えていただいたということです。  前回もちょっと話したんですけれども、これは繰り返し私はいつも言っているんですけれども、今回の件、もう既に二カ月ぐらいたっておりますが、ずっと聞いていて、国会の中、予算委員会等々で聞いている話をしていると、地元の者からしたら、非常に迷惑。なぜ迷惑かというと、事実がちゃんと伝えられていない。  これを言うとまたあれなんですけれども、一番最初に出てきたのが何かというと、九億円ぐらいの土地を八億円減額して、一億ちょっとで売った。隣の土地は、同じぐらいの広さ、ちょっと大きいですけれども、十四億円で売られているのにと。これは国会議員がそこらじゅうでいっぱい言っていたんです。  いい悪いというのは別にして、これはあれなんですけれども、その隣のところは、私たち豊中市民からすると、豊中市はどうなっているんだ、十四億円で買いやがってというふうに言われているんですけれども、いや、そうじゃないです、十四億円は、価格は十四億円だけれども、補助金、交付金が十四億円入って、二千万ほどしか豊中市は負担していない。これを言わずに議論がされていたというのが非常に残念だなと。  ただ、これを言うと、それはそれ、減額した埋設物とは全く関係ないじゃないかと言う人もいるんですけれども。  そもそもこの土地は、私もここで大きくは言えませんけれども、過去の経緯を戦前から含めてずっと洗っていくと、非常に難しい土地であることは確か。  というのは、ごみが本当に相当埋まっている、不法投棄等もあった、昭和三十年ごろの土地の価格を見てみても、周りと全く金額に差があるという状態であったり、そういうことの経緯も含めて、これを国がどういうふうに処理していくかというのが過去からあった経緯だろう。  前回、先週質問させていただいたところで、皆さんが注目していなかったところで、新たに言わせていただいたのが、ちょうど森友学園に売却をする前に当該土地を交渉していた別の学校法人、こことの間の契約交渉が決裂をした。ちょうどその前後、合わせるかのごとく、関空と、通称伊丹、大阪国際空港の経営統合等々もあって、コンセッションがあるとかそういうことの流れの中で、新関空株式会社という会社に基本的に事業をやってもらうということで、もともと空港の騒音対策で買収された国の土地を現物出資する。そういうときと、別の学校法人との交渉は、同じ時期に流れていた。そのせいで、たまたまなんですけれども、その別の学校法人との契約交渉が決裂したがために、唯一空港対策の土地として残った、唯一の国有地として宙ぶらりんで残ってしまったのが当該土地だった。こういう流れだったと。  そこから先はちょっと私が推論で話をさせていただきましたが、それを考えると、もともとのオーナーであった国交省大阪航空局は、財務省近畿財務局に売却を依頼している、委託しているというふうな流れもある中で、しかも大阪国際空港にいる人間はほとんど役は御免というふうになっている時期に、そこの国有地が一個だけ宙ぶらりんで残ってしまった。そうなると、当然、近畿財務局は売り急ぐ、そういう理由の一つになるんじゃないかなというような話を前回させていただきました。  長々と話して申しわけないんですけれども、それで、そこの流れでいろいろな話を教えていただいたんですけれども、もう一度ちょっと教えていただきたいことがあるんですね。  それは、新関空株式会社に対して国が現物出資をするという形になった、そのときというのは、法律としては関空・伊丹経営統合法によって、もともと行政財産だったのが普通財産になったけれども、これは、普通財産だけれども、もしもそれが売られる場合には、一般会計で引き継がない、名前は変わりましたけれども、いわゆる空港特会で処理するというふうになったということだったんですけれども、その辺の経緯と、それから、どうしてそういうふうな話になったのか、その理由と時期、そういう観点でちょっと教えていただけますか。
  164. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  森友学園に売却した本件土地でございますけれども、そもそも、伊丹空港周辺の騒音対策の一環として、法律に基づきまして、騒音対策区域内の住民からの求めに応じまして、大阪航空局が昭和五十年より順次買い入れを行っていたものでございます。  一方で、航空機の低騒音化の進展によりまして、平成元年に本件土地が属する騒音対策区域が解除されたことによりまして、行政財産から普通財産に組みかえております。  国有財産法の規定によりますと、行政財産の用途を廃止し、普通財産となった場合には、空港整備勘定のような特別会計につきましては、当該普通財産を、一般会計に引き継がずに、そのまま当該特別会計で所管することとされております。その結果、本件土地につきましても、空港整備勘定で所管をしているということでございます。
  165. 木下智彦

    木下分科員 ありがとうございます。  ということは、平成元年ぐらいから、もうそういうふうな話があったということですね。  そうすると、一つ問題が解けるかなと思っているんですけれども、そこから先、もともと私の聞いているところでは、売却云々というのをどうするかという話をしたときに、その学校法人が出てきた。これは、森友学園とは別の学校法人が出てきた。  これは、聞いているところによると、どこかに売るよとか、そういうふうなことを示すのではなくて、向こうから言ってきたというふうに以前お話を聞いているんですね。向こうから言ってきて、何度か書類の不備等々があって、その経緯の中で、最後には、近畿財務局が間に入った形になって、交渉が決裂するというふうな話だったんですね。  そこで、ちょっと教えていただきたいんです。ここは何度か、事前の話であるとかいろいろなところで国交省さんの方から確認をしているんですけれども、なかなかちゃんとした答えが返ってこないので聞きたいんです。  そもそも、土地のオーナーは、空港特会も含めて、勘定もそうですね、会計上もそうですけれども、国交省なんですよね。そうしたら、財務省近畿財務局に販売の委託をする、販売というのか、売却の委託をする、その経緯。一回目、書類不備であったときに、どっちの方に書類を持ってきたのかとか、そういうのも含めて、その交渉経緯を、もう一度、わかる範囲内で結構です。  なぜこれを聞くかというと、オーナーは国交省さんなので、窓口が近畿財務局であったとしても、これは国交省さんが恐らく報告を詳細に受けていると思っておりますので、わかる範囲内で結構ですが、教えてください。
  166. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず最初に、国有財産の処分について、財務局に委任すると今委員の御指摘がありましたけれども、そこのところについての基本的な原則といいますか、ルールについてまず最初に御説明をいたします。  普通財産である国有地の処分につきましては、国有財産管理及び処分の統一化を図るとともに、国有財産全体の有効活用を図る観点から、財務局に対する処分事務の委任を積極的に進めるとされております。これが政府全体としてのルールでございます。したがいまして、このルールにのっとりまして、地方航空局におきましては、全ての普通財産である国有地の処分の事務を地方財務局に委任しているということでございます。これがまず基本的なルールでございます。  それで、本件土地と森友学園以外の別の学校法人との関係でございますけれども、当該学校法人からは、三回、私ども大阪航空局に対して、当該土地の買い取り要望書の提出というものがなされております。  一回目と二回目、一回目が平成二十二年七月、二回目が平成二十三年七月でございますが、このときは、買い取り要望書の中身がまだまだ未成熟であったということがございまして、大阪航空局としては受理に至っておりません。三回目の買い取り要望書の提出があった、これは平成二十四年一月でございますが、このときに、中身をチェックさせていただいて、大阪航空局は初めて買い取り要望書を受理しているということでございます。  それで、受理をいたしましたので、先ほど申し上げました基本的なルールに従いまして、平成二十四年三月十三日に近畿財務局に対して当該土地の処分依頼を行ったというものでございます。
  167. 木下智彦

    木下分科員 わかりました。  では、そうしたら、二十四年三月十三日以降なんですけれども、結局、聞いているところによると、その年の七月には、七月二十何日だったかな、交渉が決裂したと。その理由は、売却をしようと思っていた金額と合わなかったからだというふうな、そんな感じのことを言われていたんですけれども、結局、どれぐらいの金額で売ろうとしていたのに、どれぐらいの金額でしか向こうが言ってこなかったのか、その辺を教えていただけますか。そういう内容について近畿財務局から報告があったかと思うんですけれども、その辺を教えてください。
  168. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  本件土地の処分依頼後は、近畿財務局におきまして売却に向けた調整が行われていたというふうに承知をしてございます。その中身については詳細を私ども承知してございませんけれども、今委員御指摘のように、平成二十四年七月に当該学校法人が要望を取り下げ、売却に至らなかったということを聞いてございます。  それで、この要望を取り下げられたときに、ある種、取り下げ書というものの提出を大阪航空局にも受けてございますけれども、この取り下げ書の記載によれば、経済的な状況変化による経営判断というのが取り下げた理由だというふうに記載されているところでございます。
  169. 木下智彦

    木下分科員 結局、そういうことは、金額は提示されているはずなんですよね。金額が提示されていて、いや、合わないよというふうな話がなかったら、例えば、そこの土地が森友のときのように一億幾らだったら、経済的にどうかもしれないけれども、自分の財布を見てみたら幾らあったとわかるわけですから、そういう話になるわけですよね。  ということは、何らかの、幾らぐらいだったら売却しようと思っていたことがあり、それで、相手側はそこまで出せなかったからだということだと思うんですけれども、そこの金額というのはお答えできないですか。
  170. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  申しわけございませんが、土地の処分依頼後は、近畿財務局において売却に向けた調整を行っていただいておりましたので、その詳細については私どもは承知をしてございません。
  171. 木下智彦

    木下分科員 いや、だから、それがちょっとわからないんですよね。  オーナーが国交省です。そうしたら、自分が持っている土地を幾らで売りたいかということも言わずに、近畿財務局に売ってくれとするんですか。それはどうなんですか。
  172. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど政府部内での基本的なルールをお話しいたしましたけれども、普通財産である国有地の処分の事務の委任というのは、その事務全てを委任するということでございますので、今委員御指摘の点も含めて近畿財務局に委任をさせていただいているということでございます。
  173. 木下智彦

    木下分科員 おもしろいですね。  まあ、そうだったとします。そうだったとしても、結局、どうだったからだめだったかと、向こうが取り下げしたからだめだったと言いながら、取り下げするときに、これぐらいの提示だったけれども、こっちがこれぐらいの金額で売ろうと思っていたから売れなかったと、そこは何らかの結果の報告はないんですか。それがないというのが、そこがちょっと私にはわからないんですよ。  私がなぜそんなことを言っているかというと、私は、正直思います、国交省さんにほとんどそこは罪はないと思っているんですよ。ちゃんと提示さえすれば、国交省さんの考えていることを明らかにすれば、私はほとんど罪はないと思っているのに、何で、わけのわからないというのか、金額も報告を受けていないかのようなことを言うのかがよくわからない。これは追及してもしようがない。ないとしか言われないでしょうから。  ただ、私が聞いているところによると、ちまたで言われているのは、七億ぐらいと言いながら、七億強、八億近い金額まで出されようとしていた。しかも、出されようとしていたのは、そうじゃなくて、ごみというのか埋設物の除去も含めて、それを二億数千万円差し引きする。それで、別の学校法人が出そうとしていたのは、実質的に五億数千万円だったというふうな話を聞いているんですね。その話をここで言ってもらわないと、私、ちょっと実際には先へ進めないんですけれども。  きょう聞きたかったことはどういうことかというと、そのときに、もう既に減額するごみが幾らぐらいあったかというようなことはわかっているから、二億数千万円の減額部分で、別の学校法人は五億数千万円出そうというふうな話をしていたんだろうと。しかも、その五億数千万円出そうというふうに言ったその根拠は何かというと、平成二十二年に調査をされているんですよね。ごみの調査をされていて、その調査に基づいた金額を引いているということなんです。その調査に基づいて引いた金額は二億数千万円、二億五千万円近くだったというふうに私は聞いているんです。  ここまで勝手にしゃべらせてもらいました。というのは、お答えされないから。  そうしたら、そうなのに、森友学園に売るときにはどうだったかというと、有益費、これは有益費というのは何かというと、もともと埋まっているところで、排水管だとかマンホールだとかアスファルトとかコンクリート殻だとか、そういうものを有益費として引かれているということなんですけれども、僕は、そこと、その他の学校法人が最初に減額した部分、そこが合致するかどうかはわからないと思っているんです。  二億数千万円に対して、こっちの森友学園は有益費というのは幾らだったんですか。
  174. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘になっておられるのは、この土地を売る前に、私ども大阪航空局が、その土地の持ち主として、いわゆる商品化調査と言ってございますけれども、平成二十二年から二十四年にかけまして、その土地がどんな土地なのかという調査をしてございます。その際に、表層近くの地下埋設物の存在が確認をされていたということでございます。  その後、森友学園の方に、この土地が、やはり同じように近畿財務局に処分を委任した上で、まず貸し付けられたわけでございますけれども、そのときに、森友学園の判断で、この表層近くの地下埋設物のうち、特にコンクリート殻を中心として除去をされまして、有益費の対象になった工事の額は一・三億円というふうに認識してございます。
  175. 木下智彦

    木下分科員 ということは、一・三億円で、片一方の方は二億幾ら。その二億幾らがコンクリートとかそういう部分かどうかというのは別にして。  きょう、たまたま新聞を見ていたら、その表層の部分、言われているのは、有益費の対象としたのは三メートルまでということだったんですけれども、そこの中の生活ごみについては分別してそのまま入れていたというふうな、そういうことを、処分をしようとしている会社が何か証言したりとかしているらしいですね。そもそも、分ける必要があるのかどうか、分けてとる必要があるのかどうか、そこはあえてきょうはもう問わないつもりなんですね。  そこで、三メーター部分がそういうふうにして対象になっていた。そうしたら、今度は、いよいよ森友学園が、それを見ていただいた方がいいかもしれないですね、森友学園が校舎を建てると言って、くいを、何本ですかね、相当数、二百八十本かそれぐらい打っている。九・九メートル。そこの掘ったところからごみが出てきました。というのは、九・九メーターというのは、支持層まで到達するのが九・九メートル。  その上で、全部ほとんど、九・九メートル、二百八十本、掘りながらコンクリートを入れていくんですよね。その出てきたごみについて、出てきましたよということを言われたといって、聞いた話によると、国交省さんは現地へ行かれているんですよね。現地へ行かれたんだけれども、現地へ行ってみたら、隣に、近くに三・八メートル掘ってあった。三・八メートルまで見てみたら、ごみが入っていたというふうなことを確認したということですけれども、それは基本的に前後関係は正しいですか。
  176. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。  ちょっと順を追ってお答えをさせていただきますと、まず、平成二十八年三月十一日に、森友学園から近畿財務局に対しまして、地下の深いところから新たなごみが出てきた、そういう連絡がございました。この連絡を受けて、三月十四日に大阪航空局の職員と近畿財務局の職員が現地を確認してございます。このときは、実際に廃材等を含む土砂が積み上がっていることをみずからの目で現地確認をするとともに、工事関係者からのヒアリングを行っているということでございます。  それで、それとは別に、そういった新しいごみが出てきたということで、今度は、工事関係者が試掘をしてみた、くい掘削箇所以外のところについても試掘を行ったという連絡が、これはまた近畿財務局の方にありまして、それで、三月三十日に近畿財務局がまず現地確認に行かれ、その後、四月五日の日に大阪航空局の職員と近畿財務局の職員とで現地確認を行いました。このときの報告というのが、試掘をしてみたら、三・八メートルの深さで廃材等が発見されましたということでございます。  この四月五日の日に現地を確認したときには、もちろんその土砂は確認をしているわけでございますけれども、あわせて、メジャーで三・八メートルを指し示しているような工事写真というものもその際に見せていただいて確認しているということでございます。
  177. 木下智彦

    木下分科員 いいんですよ、別にそれでも構わないんですけれども、結局、減額するのに使ったのが、要は、九・九メートルのくいを掘った部分。これは、実際にやられているから、そこの部分はわかる。それ以外は全部三・八メートルなんです。建物の部分の上の部分、それから土地の部分も三・八メートル掛けることの係数を掛けて、その分を出していく部分が計算されている。  これは何でかというと、全部合わせると、間接工事費も合わせると、減額されたのが八億一千九百万円。そのうち、くいの部分、二百八十何本というところは九・九メートルですけれども、実質的にはこれは六千五百万円程度。建物、土地の部分を合わせると四億五千万円弱です。それで、それは三・八メートルでやられているということなんです。しかも、それをやったのは、試掘をしたのはあなた方ではない。業者がやって、メジャーでこうやってはかって、実際ありましたよと。それはありますよ。下手したら五メートルあるかもしれない。下手したら九メートルあるかもしれない。  そうしたら、もし相手が九メートル掘っていたら、その分も減額していたのかというと、この今の理屈だったら減額しているということになるんです。  何で三・八メートルにしたのというふうに言ったら、何を事前に言われているかというと、認可の問題がある、早くしなきゃいけないという状態の中で、三・八メートル、実際に現物を確認したからそういうふうにしたと言うだけで、そもそも何で三・八メートルにする必要があると思ったのと、もうこれは話していると時間がなくなるので、言います。そうしたら何と言ったかというと、いやいや、学校だから、それぐらいと。いやいや、学校だからって、隣はもっと小さい子供も遊ぶ公園なんです。そんなことは一切していないんですよ。  これはちゃんとルールをやはり決めなきゃいけないと思うんですけれども、それがちゃんとやられていないということ。  それから、もう一つは、三・八メートルと九・九メートル掘ってやった部分については、これは国交省さんの中で見積もりをされて、実際にこれが通常のやり方ではなかったというのはもう以前から聞いている話だという、そこなんです。  私は、お答えされたいのはわかりますけれども、時間がないのでほとんど言っちゃいます。きょうはそれぐらいの事実確認で僕はいいと思っているんですけれども、何をしたいかというと、ここは大臣にちょっと聞いていただきたいんです。  今の状態の中で聞いていても、何でそんなことをするんだろう、どうしてこういうふうなことをやっているんだろうというふうなことは、やはり誰もがみんなちょっと不思議な部分だと思うんです。そこをちゃんと、書類がないんだったら書類がないで、調査大臣みずから国交省内でやっていただきたいんですよ。こうすることによって、これが正しかったか正しくなかったか、これは正しかったら一番いいんですよ、いや、無理はしていないというんだったらそういう結論でも構わない。それをちゃんとやって表に出すべきだと思うんです。  大臣、終わるときにこれを最後に差し上げますけれども、先日、大阪で、大阪の私学審議会の審議の内容、それから大阪の私学課が実際にどういうふうに認可するときに動いたかというのを、大阪府みずから全部調査しました、担当だった全部の人間を。そこの中の証言を全部調べた上で結論を出し、これを公表しています。  こういうことは、大阪府でできるんですから、国はもっと真摯にやっていくべきだと思うので、それ以上のことは詳しいことは言いませんが、後でこれを見ていただいて、ああ、こういうことをやったら、もしかすると、国交省に本当に罪がないんだったら、罪がないというふうなことは言えると思うので、そういうことを積極的にやっていただきたいと思います。見ないとそれも判断できないと思いますので、後でお渡しします。  最後に、何かお答えされたいことがあれば。いいですか。なければ終わりますけれども。いいですか。  では、時間を残しますけれども、以上で終了させていただきます。ありがとうございます。
  178. 田畑裕明

    田畑(裕)主査代理 これにて木下智彦君の質疑は終了いたしました。     〔田畑(裕)主査代理退席、主査着席〕
  179. 伊藤渉

    伊藤主査 次に、玉木雄一郎君。
  180. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 玉木雄一郎です。  決算行政監視委員会ですので、きょうは、特に森友学園に対する一億三千二百万円の有益費の支払いの根拠について、少し焦点を絞って質問したいと思います。  その前に、まず冒頭お伺いしたいのは、年度がかわりました。年度がかわったことによって、三月三十一日までに小学校の用途に供することができない場合については原則更地にしてこの国有地を戻すという約束だったと思いますが、もう三月三十一日が過ぎております。一部報道によりますと、上物二十億円、土地十一億円、総額三十一億円で買い手がつくとの報道もありますが、確認させてください。更地に戻すことなく転売することも可能でしょうか。
  181. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  まず、御指摘の報道なるものについてちょっと承知をしておりませんけれども、その上で申し上げますと、森友学園の売買契約上の義務、すなわち平成二十九年三月三十一日までに本件土地を小学校の用に供する義務は履行できないことが確定しております。  これを受けて、土地の返還等を森友学園に求めていくことになりますけれども、具体的な対応については、契約に基づく当事者間の交渉によるものであり、交渉の妨げとなりますため、申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。
  182. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 質問にお答えいただいていないんですが、更地に戻すことなく転売することも、つまり上の建物を壊すことなく転売することも、契約上は可能ですか。
  183. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  売買契約上、買い戻しや契約の解除を行った場合には、本件土地を原状に回復して返還しなければならないとされております。  原状回復につきましては、森友学園に対し、建物等の撤去を求めることが基本になると考えておりますけれども、具体的な対応については、交渉の妨げとなりますため、申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。
  184. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 お答えいただいていないんですが、契約上、原状、つまり更地に戻すことなく転売することも可能ですね。これだけ答えてください。
  185. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  売買契約上の文言として、先生が御指摘になりました条文があることは承知しておりますけれども、我々としては、原状回復については、森友学園に対して建物等の撤去を求めることが基本になると考えております。
  186. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 いや、そういう契約があるのは承知していますけれども、契約の当事者じゃないですか。それはそういうこともあり得るということを一言お答えください。
  187. 北村信

    ○北村政府参考人 契約書上は今御指摘になったようなことができるというふうに書いてございますので、適切に判断してまいりたいと思います。
  188. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 何かえらいこだわりますね。  法律上というか、契約上はできるようになっているということですから、あれは建物を壊すことなく転売することも可能だということですね。もうこれ以上聞きませんが。  では、次に、一億三千二百万円の有益費についての質問をしたいと思います。  これも一部報道でありますが、どうやら二千万円近くを不正に受給しているのではないかというような報道もありました。これはよくわかりませんから、まず国交省にお伺いしたいんですが、一億三千二百万円を支払う際には、産廃マニフェスト等、どういう埋設物をどのように撤去したのか、これを当然確認した上で一億三千二百万円を支払っていると思うんですが、その中で、二千万円どうも過剰に払っていた、あるいはひょっとしたら不正があるんじゃないかと言われていますけれども、一億三千二百万円の有益費の支払いの際、産廃マニフェスト等きちんと確認して支払っていますね。
  189. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の有益費でございますけれども、これにつきましては、まず、森友学園の方で、平成二十七年七月から十二月にかけて、コンクリート殻等の埋設物除去の工事、それから土壌汚染除去を行って、それはある種、立てかえ払いでございますので、その実費というものを支払ったということでございます。  それで、この森友学園が実施をした工事の実費につきまして、大阪航空局は検証を行っております。  具体的に申し上げますと、まず、工事内容は適正かどうかという点につきまして、工事写真などの工事関係書類により検証を行っております。それから、今御指摘のございました産業廃棄物が適切に処分されているかどうかという点につきましては、マニフェストにより検証しているということでございます。
  190. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 検証した結果が一億三千二百万円ということでよろしいですか。
  191. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  検証につきまして、ちょっとさらに補足して申し上げますと、今申し上げた二点のほか、工事事業者に工事代金が支払われているかどうかということについて領収書により検証し、また、工事金額が適正かという点について、森友学園が実際に支出した工事の実費を、同内容の工事を行う場合の他の工事事業者の見積もりと比較をして検証いたしました。  その結果、森友学園が実際に支出した工事の実費、これが一・三億円ということでございますけれども、これについて適正な費用であるということを確認したということでございます。
  192. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 国交省としては、一億三千二百万円は適正な費用と確認が行われているわけですね。  一方で、これも済みません、報道ベースですが、建設業法上求められる工事経歴書には税抜きで約一億円ということで記載があるようでありますけれども、この事実関係はいかがでしょうか。
  193. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  森友学園から埋設物の撤去等の工事を請け負った中道組から提出された工事経歴書でございますけれども、これは、四月五日に大阪府を経由して近畿地方整備局に届いてございます。その金額でございますけれども、記載の金額でございますが、森友学園を発注者とする小学校新築工事に伴う附帯工事の請負代金の額が、税抜きで一億五万円というふうに記載されていることを確認しているところでございます。
  194. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 では、伺います。  国交省としては、先ほどの一億三千二百万円は適正なものとして確認をする一方で、工事経歴書は一億五万円。なぜこの差が生まれるんですか。
  195. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 今御指摘の点なんですけれども、大阪地方検察庁が森友学園に対する国有地の売却に係る告発を受理しておりまして、四月五日に、航空局に対しても関係機関より協力の要請があったところでございます。  それで、御指摘の点につきましては、まさになぜそういう差が生じるのかということにつきまして、現在、関係機関とも相談をしながら必要な対応を行っているところでございますけれども、捜査にかかわり得る事柄でもございますので、詳細なお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  196. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 捜査にかかわるんでしょうが、ただ、いずれの数字も、あるいは行政手続を適正に踏んで提出されるべき資料、数字ということですね。地方整備局に工事経歴書の数字は出されていますし、一億三千二百万円の有益費は、まさに皆さんがしっかりと、いろいろな領収書、工事の内容、コンクリート殻等の埋設物の中身を確認した上で支払った。  この二つがなぜずれるんですかね。これはもちろん捜査機関が明らかにしていく話もあるんでしょうが、これは行政としても、国交省としても速やかに明らかにすべき話ではないでしょうか。大臣、いかがですか。なぜこれは異なるんでしょうか。
  197. 石井啓一

    ○石井国務大臣 我々も、関係機関協力をしながら、その違いがなぜあるのかということは調べていかなきゃいけないと思うんですけれども、そこはまさに捜査にかかわることなんですね。なぜ違うのか、どう違うのか、どうしてこういうふうになったのかということは、詳しくは捜査にかかわり得る事柄でありますので、その詳細なお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  198. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 これは、捜査機関が明らかにすると同時に、やはり行政としても、我々立法府としても明らかにしていかなければいけません。ここは決算行政監視委員会ですね。これは既に支払われたもの、支払い済みのものでありますから、それが適正かどうかというのはまさにこの委員会で議論すべきこと。それが、捜査があるといってお答えいただけないのは非常に残念だと申し上げておきたいと思います。  次に、安倍昭恵夫人付であった谷氏が籠池氏に送ったファクスの中に、この有益費の支払いに関しての記述があります。森友学園と国土交通省航空局との調整に当たり、予算措置がつき次第返金する旨の了解であったというふうな記述があります。こうした了解を航空局との間でしたのかどうか、事実関係を教えてください。
  199. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今御指摘のそのファクスの文言の航空局というのが国土交通省本省の航空局だとすれば、私ども本省の航空局が森友学園と調整をしたことは一切ございません。  以上でございます。
  200. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 その航空局が大阪航空局であった場合にはどうですか。
  201. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  平成二十七年五月に、そもそも、この土地を森友学園に貸し付ける際に近畿財務局、大阪航空局それから森友学園の三者が締結をいたしました貸付合意書におきましては、本件土地の埋設物撤去工事及び土壌汚染工事については森友学園において行い、その費用を国が有益費として返還するということにされてございます。  この有益費を国が返還するに当たりましては、概算要求に始まる一連の手続が必要となることから、その旨の事実の説明をしたことはありますけれども……(発言する者あり)失礼しました。その旨の事実の説明をしたことはあり得ますが、個々のやりとりにつきましては確認はできてございません。
  202. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 菅官房長官が、この谷氏から籠池元理事長に宛てたファクスを公開されて、これはある意味真正なものとして認めておられますが、ということは、ここに書いていることについては正しくない可能性があるということでしょうか。
  203. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  このファクスの内容につきまして、谷氏から直接に大阪航空局に対して問い合わせはございませんでしたし、また、間接的に近畿財務局や理財局を通じた問い合わせもございませんでした。  ただ、先ほど申し上げましたように、大阪航空局は、理財局とともに、この有益費に関する、有益費を返還するに当たりまして情報は共有していたということでございますので、このファクスに対する回答というのは、そういった共有された情報に基づいて近畿財務局ないしは理財局が行われたものと私どもは推測をしてございます。
  204. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 よくわからない答弁ですね。  では、もっと具体的にお伺いしますが、この契約書、平成二十七年五月二十九日に結ばれた有償貸付合意書、三者で結んでいますね。この中の六条の二項にある、「前項の有益費は、本契約終了の時に、」「乙が支出した費用のうち甲の基準による検証を踏まえて乙と合意した額」を返還するとなっていますね。  本契約終了時というのは、当時は、買い受け条件つき有償貸付契約ですから、買うと決めたとき、買ったときが終了時ですね。そうではなくて、これは、二十八年の四月六日に払うことになるんですが、この六条の二項ではなくて、むしろ三項の規定を適用して支払うことになったんですが、そのように決めたのはいつですか。  また、繰り返しになりますが、先ほどある、この六条二項にある、「支出した費用のうち」、全部を見るわけじゃありませんね、「甲の基準による検証を踏まえて乙と合意した」というふうにありますけれども、この甲の基準による検証をしたのはいつですか。
  205. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  御指摘のありました契約書の二項及び三項を踏まえて、航空局において判断されたものと考えております。(玉木分科員「ちょっととめてください。ちょっと整理して」と呼ぶ)
  206. 伊藤渉

    伊藤主査 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  207. 伊藤渉

    伊藤主査 速記を起こしてください。  北村理財局次長。
  208. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  平成二十八年三月三十日に、有益費について近畿財務局、大阪航空局、森友学園の三者が合意をいたしまして、そのときに、この貸付契約書第六条の三項に定める時点で支払うことに決したものでございます。
  209. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  後段の御質問の、検証した時期でございますけれども、平成二十八年の二月の下旬から三月の上旬にかけて検証してございまして、最終的には、三月の八日に大阪航空局から近畿財務局にその検証の結果を回答してございます。
  210. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 これは、なぜ二項ではなくて三項を適用することにしたんですか。  私はここは、原則は、買い受けするときにその代金から差し引くのが原則だと思いますね、六条二項。それが、とにかく早く払ってあげようということで、二十七年度、求められ、それは難しいから二十八年度予算にしたということがこのファクスの中でもやりとりがあるんですが、ここの意思決定が極めて不透明ですね。不透明です。  では、もう一つ聞きます。六条の二項の、先ほど言った甲の基準による検証、何を対象として支払うのかというこの基準ですが、何か具体的な紙になった基準がありますか。
  211. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど、私は検証の内容について四点ほど御答弁を差し上げましたけれども、それがまさにその検証でございまして、基準そのものが何かに明文化されているわけではございません。
  212. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 明文化されたものがないんですね。  では、ちょっと伺います。  資料をお手元にお配りしていますが、いろいろややこしいので、ちょっとまとめてまいりました。まとめてきたのは何かというと、この有益費の支払いがどのような基準で行われたのか。情報が不十分なので、私はできる限りの資料を集めてこれをつくったんです。  まず、赤で書いている、真ん中からちょっと下の方に書いているものですが、これは、有益費の工事をして、それで埋設物撤去工事で廃材、ごみというのはこのときは撤去していないんですね。ここに書いているように、いただいた資料だと、配水管、マンホール、アスファルト、コンクリート殻のみを撤去しています。これで工事内容を確認した上で、国が一億三千二百万円を立てかえ払いして、それを国が翌二〇一六年の四月六日に支払ったということになっていますね。  この有益費の中身、ごみの撤去に関しては、四月四日の財務金融委員会で、佐川局長が、一億三千二百万円の有益費に係るごみの撤去工事において、一定の埋設物については処理しましたが、全部を取り切れていないと答弁されました。  全部を取り切れていないということは事実ですか。改めて。
  213. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  この有益費の対象になった工事におきましては、かつて住居、道路等があったことなどに伴う地表工作物、地中埋設物を実際には処分してございます。具体的には、配水管やマンホール、アスファルト、それからコンクリート殻といったようなものでございまして、廃材等につきましては、一部は撤去してございますが、それ以外のところについては残っているということでございます。
  214. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 ということは、廃材、ごみについては、これはもちろんそのときに認識されているわけですね。当時は三メートルまででしたけれども。  ただ、それは、有益費の計算においては、全部取り除かなくてもいい、つまり、撤去費用の対象に廃材、ごみについては含めていないわけですね。含めていないんです。これはなぜですか。  想像するに、コンクリート殻とか大きいものは、そんなものがあったらくいも打てませんし、建設に支障がありますけれども、マヨネーズのケースとかサンダルとか、そういうものであれば、取り切ると切りがないので、そこまでは建設に支障がないということで、そこは有益費の対象にしなかった。つまり、仮に残っていたとしても、それは建設の支障にはならないという判断があったのかなと思うんですが、廃材、ごみを全て取り除かなかった理由、有益費の計算において廃材、ごみを全て取り除かなかった理由は何でしょうか。
  215. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  有益費の計算においてということではなくて、有益費は、まさに実際に行われた工事の実費を返還するというものでございますので、工事でなぜ廃材等が残されたのかということが多分御指摘の点だと思いますけれども、本件土地の地下埋設物につきまして、その後の土地利用を踏まえ、どのような時期にどのように除去するのかにつきましては、土地の借り主である森友学園が判断するものというふうに考えてございます。
  216. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 これは不思議ですね。  でも、二十七年五月二十九日の契約書においては、有益費の対象とは何かというと、第六条一項に、「前条第一項記載の土壌汚染、地下埋設物の除去を行い、それによって貸付財産の価格が増大した場合」には撤去費用は有益費とすると書いていますね。この前条一項の土壌汚染、地下埋設物というのは何かというと、いろいろ、るる幾つかのものを並べて書いていますが、廃材、ごみも入っているんですね、ここは。  ある意味、それを全部取り除けば、それは契約上は有益費の対象になるし、国に対して請求もできると思うんですけれども、それは業者がしなかったからしなかったということなんですか。何を対象にして、何を対象にしないのか、そこで航空局等とそれはちゃんとそれなりの協議をした上で、これは対象にしましょう、これは対象にするものじゃありませんと決めたんではないんですか。
  217. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  先ほども答弁いたしましたが、どのような時期にどのように地下埋設物を除去するかということにつきましては、土地の借り主の判断であるというふうに考えております。  具体的にどういったやりとりを、あるいは例えば大阪航空局職員としたかということについては、事案が既に終了しているために残っておらず、確認ができないということでございます。
  218. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 税金の支払いの根拠になったものですよ。どういう協議をしてどういうやりとりをしたのか答えられない、記録も残っていないということで、税金の支出の根拠の説明として、それで本当に十分だと思っておられるんですか。  ちょっとこれを見ていただきたいんですが、もう一度。  なぜこういうことを言うかというと、この一億三千二百万円、これは有益費ということで、砒素、鉛、そして先ほど来例示があったコンクリート殻とかマンホールとかアスファルトとか、いわば非常に大きなごみを撤去して、その撤去費用を払っているんです。  私が申し上げたいのは、そのときに、少なくとも表層三メートル未満のところについては、いわゆる廃材、ごみも認識しているんです、これは。認識しているんです。しかも、平成二十二年一月の調査によると、六十八カ所、これは運動場も含めて全部レーダー調査した上で、廃材、ごみの存在も認めた上で、それは有益費に入れないとして計算しているんです。それを国交省も、航空局も財務局も認めて一億三千二百万を一旦払っているんですね。  問題は、その後、二〇一六年三月十一日に、何度も取り上げました、新たなごみが発見されたと連絡があって、それを同年三月十四日に現地に確認に行って、そして、写真を見せていただきましたけれども、重機もない、穴も掘っていないのが三月十四日。それで八億円をディスカウントすることにつながっていくわけですけれども、その根拠が、廃材、ごみを撤去するためなんですね。  伺います。この有益費の計算の際には、廃材、ごみの存在を認識した上で、一部それは取っているのもありましょう、取っていないのもあるという答えが今ありました。それで一億三千二百万円の支出を決めておきながら、つまり、もう廃材、ごみの存在は認識しているのに、一六年の三月十四日になって、通報があったのは十一日ですが、既知の、つまり既に知られている廃材、ごみが新たなごみとして連絡があって、それを航空局も財務局も、はい、新たなごみですねといって、三メートルから今度三・八メートルまでそれを深くして、さらに、くいを打っているところは九・九メートルまで全部除去しなければいけないということで、一万九千五百トンを除去するということで八億円を計算しているんですね。  これは私、非常に不可解に思うのは、有益費の計算の際には、あえてちょっと限定しましょう、条件が違ったらいけないので。表層から三メートルまでの話に限定しましょう。ここの廃材、生活ごみについては、もう何度も申し上げているように既に存在が知られたごみです。これを、八億円の計算をするときには新たなごみだといって、それを全て撤去しなければならないという根拠のもとに八億円を計算しているんですね。  この地表から三メートルまでにあった廃材、ごみは新しいごみでも何でもないのに、なぜこれを新しいごみと名づけて八億円も値引きする根拠の一つに使っているのか、その理由を教えてください。
  219. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  撤去費用の見積もりにつきましては、御指摘のあった、二十八年三月に新たな埋設物が発見された後、新たに発見された埋設物への対応が原因となり、学校が開設できない、あるいは開設がおくれることとなった場合、国はその責めを問われるおそれがあった中で、新たな土壌汚染など、本件土地における国の一切の責任を免責する特約を付すことを念頭に、大阪航空局における公共工事の知見、経験を活用し、学校の建設、運営に支障となる埋設物の撤去費用を合理的に見積もったものでございます。
  220. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 若干補足をさせていただきます。  有益費の支払いが実際の工事でかかった実費を返還するものに対しまして、この八・二億円の見積もりというのは、土地の価格、時価、あるいはその土地の価値を算定するための計算でございます。  今財務省から御説明がありましたように、本件土地の売却の契約におきましては、売り主の瑕疵担保責任を全て免除する、そういう特約がつけられて売却がされるわけでございます。すなわち、将来、地下からどのような埋設物が出てきたとしても、買い主は売り主である国の責任を追及できないということでございます。  このため、売り主の責任を追及できないかわりに、土地の価格を決めるに当たりまして、将来、埋設物が出てくるリスクの分だけ土地の価格を下げておく必要がある。そこで、売却時点のみならず、将来見込まれる分も含めまして、将来、地下埋設物が出てくるリスクを見込んでどれだけ価格を下げておくべきかということを、地下埋設物の撤去、処分費用という形で見積もったということでございます。  このような前提のもとで、委員御指摘の、有益費関係工事で撤去されなかった廃材等のごみについて考えてみますと、くい掘削の過程でくいに木くず等が混入した場合、その後、木くずが腐食し、くいの強度が低下するおそれが否定できないこと、それから、廃材等の腐食により、工事やその後の利用の中で、地下水の汚染や異臭、風評被害等を引き起こすおそれがあることなど、施工上の課題のみならず、小学校の校舎や児童の生活の安全性の確保という観点から、売却時点のみならず、将来にわたってのリスクがあることから、地下埋設物の撤去、処分費用として見積もりの対象とすることが合理的であるというふうに判断をしたものでございます。
  221. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 理解できませんね。  もし今おっしゃったようなリスクがあるのであれば、それはなぜ最初の有益費の計算のときに、それを踏まえて有益費の支払いをしていないんですか。学校建設することは最初からわかっているわけであって、しかも、廃材、ごみは、先ほど申し上げた、契約書の五条一項の対象物として既に規定されています。一番最初の有益費の一億三千二百万円のときにはそれを入れないで、それが後から新たなごみが発見されたということで、そのときには、前の計算のときには入れなかった廃材、ごみを入れて、しかも、ごまかさないでほしいのは、瑕疵担保責任を免除するからディスカウントしましたと言いますけれども、八億円もディスカウントする必要はあるんですか。  確かに、瑕疵担保責任の免除をするためには、ある程度ディスカウントしなければいけないでしょう。ただ、それが八億円であるかどうかの……
  222. 伊藤渉

    伊藤主査 委員に申し上げます。  申し合わせの時間を過ぎておりますので、御協力をよろしくお願いします。
  223. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 八億円であるかどうかについての説明は一切なされていません。  お願いがあるのですが、最後に、資料の提出をお願いしたいと思います。  先ほど申し上げたような、合意書六条二項に定める「乙が支出した費用のうち甲の基準による検証を踏まえて乙と合意した額」ということで有益費が計算されましたが、この甲の基準による検証のプロセス、これがしっかり組織の中で決裁書があるはずですから、この提出を求めて、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  224. 伊藤渉

    伊藤主査 本件につきましては、主査より委員長に申し添えます。
  225. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 終わります。ありがとうございました。
  226. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、田村貴昭君。
  227. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。  最初に、昨年十一月、福岡市の地下鉄七隈線の延伸工事によって生じました博多駅前道路陥没事故について質問をしたいと思います。  この事故の原因調査に当たっていた国の、国土交通省第三者委員会は、三月三十日に最終報告書を提出いたしました。この事故の原因について簡単に報告していただけますでしょうか。陥没のメカニズムについては結構ですので。お願いします。
  228. 五道仁実

    ○五道政府参考人 お答えいたします。  御指摘の博多駅前の道路陥没事故につきましては、福岡市からの要請を受け、土木研究所において検討委員会を設置し、三回の委員会審議を経て、先月三十日に、原因や工事再開に当たっての留意事項等が取りまとめられたところでございます。  取りまとめでは、今回の事故の要因は必ずしも一つではなく、さまざまな要因が複合的に作用し陥没に至ったと考えられ、その中でも、トンネル上部の難透水性風化岩層の強度や厚さ、地下水圧の影響の二つの要因について、陥没の原因になった可能性が高いものと推定されています。  さらに、トンネル断面形状の変更や補助工法の施工方法の変更は、通常の地質状況では要因となる可能性は低いものの、今回のような厳しい地質条件下においては、その影響度合いを強めることとなり、結果的に事故発生の副次的な要因となった可能性が高いと推定されております。
  229. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 主要因と副次的な要因について御説明がありました。  この第三者委員会報告の後に、地元の報道では、こういった報道です。市、JVの責任示さず、責任所在示さずなどの報道がありました。ここに今、市民の注目が集まっているところであります。  なぜ、福岡市やジョイントベンチャーの責任所在が明示されていないんでしょうか。
  230. 五道仁実

    ○五道政府参考人 お答えいたします。  本来、このような工事中の事故に関する原因究明につきましては、当事者により行われるものと考えております。  今回の検討委員会は、事業者である福岡市長からの要請を受けて土木研究所に設置したものです。今回の委員会の設置に当たり、福岡市からは、道路陥没事故の原因を明らかにし、その原因を踏まえた事故の再発防止策を提案することを要請されております。  これを踏まえて、今回の検討委員会の目的は、陥没の発生原因の把握や再発防止策等について専門的見地から検討することとしたものであり、事故の責任を明らかにするという趣旨ではないと承知しております。
  231. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 それはなかなか納得できない話であります。  今度の陥没事故は三回目でありました。過去二回の事故では原因究明に至りませんでした。そして、前回の事故では、福岡市が出した報告書では、この原因については明らかになりませんでした。だからこそ、今回は国が究明の任務を担ったということではないんですか。  事故原因についてはわかったんだけれども、では、どういうことが責任として問われなければいけないのか、そこが明示されていないと、市民的には納得できない話であります。  例えば、原因として、トンネル上部の岩盤の強度を十分に考慮せずに設計や施工をしたことが挙げられています。だとするならば、岩盤調査とか設計上の問題ですので、福岡市の責任に属する範囲ではないかなと思います。  それから、トンネルの岩盤へ打ち込んだ鋼管と補強についても言及が行われています。ならば、予定よりも鋼管を短くしたJVの仕事がストレートに問われてくるのではないでしょうか。  大臣もお聞きいただきたいと思うんですけれども、これは天災ではございません。責任の所在というのはおのずと明らかになっていると思います。しかとそこを明示しないと、今後の工事の再開に当たっての改善策に結びつかないのではありませんか。この設計、この工法、行政と施工者との仕事の判断でどこが悪かったのか、ここを明らかにしないと次につながらないと思うんですけれども、いかがですか。
  232. 五道仁実

    ○五道政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、今回の検討委員会は、陥没の発生原因の把握や再発防止策等について専門的見地から検討するものでございます。  このため、今回の検討委員会の取りまとめでは、事故原因の推定を踏まえて、福岡市が地下鉄工事を再開するに当たっての主な留意点として、事故後に実施されたボーリング調査結果を踏まえるとともに、陥没箇所の埋め戻しなどの事故後の措置も考慮しつつ、再度、地質、地下水の状況を把握する必要があること、また、トンネル坑内の水抜きや土砂撤去に当たっては、地下水等の計測を行うことにより、周辺への影響が生じないようにする必要があること、再掘削の工法選定に当たっては、都市NATMのほかに、シールド工法などの他の工法や新技術の活用も含め、安全性を重視して行う必要があることが示されております。  この委員会の取りまとめを受け、福岡市長からは、福岡市として真摯に受けとめるとともに、その御意見を踏まえて、今後、万全な再発防止対策を講じ、安全を最優先に取り組むとのコメントが出されております。今後、福岡市において再発防止に向けた具体的な検討が進められるとともに、事故の責任についても福岡市や関係者の間で協議されるものと認識しております。
  233. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 そういった処方箋まで出しているんだったら、原因とそして責任の所在というのは明らかじゃないですかと言っているわけです。これは私だけが言っているんじゃないんですよ。  西日本新聞の三月三十一日付に、谷本親伯大阪大学名誉教授が厳しくこの報告書についてコメントされています。紹介します。「地盤のもろさなど第三者委員会指摘したことは専門家であれば知っているような内容ばかり。原因究明というなら、もろかった地点など特殊事情を明らかにするべきなのに、一般論に終始している印象だ。着工前に十分に把握しておけば起きなかった事故だと言わざるを得ず、第三者委としての役割を果たしたとは言えない。原因が具体的に示されなければ、工事再開に必要な具体策を考えることもできないのではないか。」トンネル工学の専門家がこういう指摘をしているわけであります。  大臣にお伺いします。  過去二回の陥没事故があって、それで、福岡市から、今度は国の方で原因究明を求められたわけであります。そして、今回の陥没の事故の前に、トンネルの天端高を引き下げる重要な設計変更も行われていました。しかし、国土交通省は、その福岡市からの変更届を事後でよしとしたわけであります。こうした点もやはり改める必要があるんじゃないですか。  再発はもう許されません。これからは、鉄道建設の許可権者として、国土交通省は、事故原因の検証を委ねられた者としてしっかりと技術支援をしていくべきであると思います。それから、今後の調査、設計、施工の各段階ごとにチェックを果たしていくべきだと私は考えますけれども、石井大臣、いかがでしょうか。
  234. 石井啓一

    ○石井国務大臣 福岡市交通局の地下鉄七隈線延伸工事で発生をいたしました今回の道路陥没につきまして、福岡市はこれまで二回の道路陥没を発生させており、市自身が原因究明することについて市民の納得を得ることはできないのではないかとの懸念があり、第三者による原因究明を国土交通省お願いしたいとの意向が市長より直接国土交通省に示されたところであります。  これを受けて、国土交通省所管の土木研究所におきまして、原因究明や再発防止対策検討のための委員会が設置をされ、調査検討が行われたところであります。  今後は、工事再開に向けた手順等の検討が行われることになります。当該検討については、基本的には当事者である福岡市において行われるものと考えておりますが、福岡市から検討における協力の要請等があれば、引き続き協力してまいりたいと存じます。  また、工事再開に当たりましては、福岡市から検討結果の報告を受け、その内容等をしっかりと確認をしたいと思っております。
  235. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 陥没によって損害を受けた方々から不満の声は上がっています。ある飲食店の店長は、新聞のインタビューにこういうふうに答えています。発生一週間で復旧したことがよい話として語られているが、当時はいつまで休業が続くか不安だった、補償交渉も長引いており、事故の責任は明確にされなければいけない。この責任を市民は求めているわけなんですよね。  第三者委員会の検証は終わりましたけれども、工事再開のめどは立っておりません。国交省が引き続き、事故原因の究明と、二度とトンネル事故、陥没事故を起こさないために力を尽くすことを求めて、次の質問に入りたいと思います。  九州新幹線についてお伺いします。  長崎新幹線は、全線フル規格ではなく、新鳥栖—武雄温泉間の在来線をフリーゲージトレーン、軌道可変電車で運行させる計画であります。しかし、この肝心のフリーゲージトレーンが完成されていません。  フリーゲージトレーンを使った長崎新幹線の開業予定時期は二〇二二年、平成三十四年春とされていましたけれども、二〇一四年の耐久走行試験でふぐあいが生じ、二〇一五年十二月、国土交通省は開業に間に合わない見解を出しました。  そこで、お伺いします。  今後の再評価、耐久走行試験、そして量産化と開業予定時期についての見通しについてお伺いします。
  236. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  フリーゲージトレーンの技術開発につきましては、車軸の摩耗対策等を検証するための検証走行試験がことしの三月二十六日に終了いたしまして、現在、台車の分解調査等を実施するとともに、コスト削減策などの経済性検討を実施いたしております。  今後は、ことし初夏を目途に、台車の分解調査でありますとか経済性検討の結果などを学識経験者で構成されます軌間可変技術評価委員会報告をいたしまして、耐久走行試験の再開に向けた評価を受けることといたしております。  この評価委員会における評価を経て、耐久走行試験の再開、さらには営業車両の設計、製作へと進み、先行車の導入については平成三十四年度、量産車の導入は平成三十六年度末になる見通しとなっております。  なお、開業見込みについては、現在のところ、平成三十四年度ということで変わっておりません。
  237. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 いずれにしても不透明な話で、今から再評価していく、耐久走行試験をやっていく。耐久走行試験は二年半もかかりますね。それからいろいろな手順を踏んで、量産化が平成三十六年と、大変先の長い話であります。  大臣に率直にお伺いします。  六十万キロ走行の耐久試験に合格して、量産化、そして営業できる、この年度で営業できるという保証はあるんでしょうか。
  238. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今局長が答弁をしたところでありますが、フリーゲージトレーンにつきましては、平成二十六年十一月に、耐久走行試験中に車軸の摩耗等が確認されたことから、試験を一旦中断し、原因の究明や対策の検討をしてまいりました。  その後、昨年十一月の軌間可変技術評価委員会において対策案が了承され、昨年十二月より車軸の摩耗対策等を検証するための検証走行試験を開始し、約三万キロメートルを走行した後、三月二十六日に終了しました。  現在、台車の分解調査等を実施するとともに、引き続き、コスト削減策などの経済性検討を実施しております。  国土交通省といたしましては、本年初夏をめどにこれらの結果を取りまとめて、改めて軌間可変技術評価委員会を開くこととしておりまして、引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携をしながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
  239. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 お伺いしたのは、フリーゲージトレーンの開発が成功して、量産化できる、営業ができるという保証はどこにありますかという質問なんです。お答えいただきたいと思います。
  240. 石井啓一

    ○石井国務大臣 今お答えしたとおりでありまして、引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携をしながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでいく、こういう段階でございます。
  241. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 頑張るけれども、量産化、営業できる保証というのは示されませんでした。そういうことなんです。  完成は五里霧中であります。車両の見込みもない新幹線計画が動き出しています。フル規格部分の建設はどんどんと進んでいます。橋脚ができ、そして線路を敷き、おかしな話だというふうに思います。  フリーゲージトレーンの開発に要している時間と費用、そしてその原資について説明していただけるでしょうか。
  242. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  フリーゲージトレーンにつきましては、平成年度より必要な技術開発に着手をいたしまして、安全に軌間を変換するための技術、新幹線区間において時速二百七十キロで高速走行するための技術、在来線区間において時速百三十キロで走行するための技術等について、おのおの開発をしてまいりました。  このフリーゲージトレーンの技術開発に要する費用につきましては、整備新幹線建設推進高度化等事業費において、平成年度から平成二十八年度までの二十年間で総額約四百九十億円を支出しているところでございます。
  243. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 二十年間で総額四百九十億円の国民の税金が費やされているにもかかわらず、車両は完成していないということでありました。フリーゲージトレーンを使った新幹線の計画そのものが無理ということではないんでしょうか。  JR九州の青柳社長は、昨年十二月二十日、フリーゲージトレーンの開発がおくれるなら、長崎ルートのフル規格を導入することも検討するよう国に働きかけていく考えを明らかにしたと報道されています。  国土交通省は、九州新幹線長崎ルートについて、フル規格を選択肢に入れておられるんですか。お答えください。
  244. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  昨年十二月二十日のJR九州の社長定例会見において、その前月に開催をされました技術評価委員会の結果を踏まえ、社長より、安全性は十分に確認できるレベルではなく、保全性、経済性も事業者として受けられる状況ではなく、当社も協力して一刻も早く経済性がクリアすることを希望している、フリーゲージの方向性が示されていない中でフル規格の話をするのは適切でない等の発言があったというふうに承知をいたしております。  この定例会見におけますこれらの発言につきましては、JR九州より、九州新幹線西九州ルートの営業主体として、フリーゲージトレーンの開発について、今後、安全面、コスト面の課題についてさらに検討を進めていく必要がある旨を発言したものというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、九州新幹線西九州ルートの整備につきましては、国土交通省といたしましては、「フリーゲージトレインの技術開発を推進し、完成・開業時期を平成三十四年度から可能な限り前倒しする。」との平成二十七年一月の政府・与党申し合わせに基づき整備を進めているところでございます。  引き続き、鉄道・運輸機構やJR九州と連携しながら、フリーゲージトレーンの実用化に向けて取り組んでいくとともに、武雄温泉—長崎間の工事を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
  245. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 それはそうでしょうね。フル規格にするというんだったら、佐賀県の負担はふえる一方でありますし、この整備新幹線計画そのものを長崎ルートは白紙に戻さなければならないということであります。  石井大臣にお伺いします。  フル規格は不可能である、そしてフリーゲージトレーンは暗礁に乗り上げている、これは完全に行き詰まっているのではありませんか。見通しのない事業に対して公金をこれだけ注ぎ込むやり方について、私は国民の理解は得られないと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  246. 石井啓一

    ○石井国務大臣 九州新幹線西九州ルートにつきましては、平成二十七年の政府・与党申し合わせ等に基づき、フリーゲージトレーンを導入することを前提に、武雄温泉—長崎間の工事を進めてきているところであります。  しかしながら、その後、フリーゲージトレーンの開発のおくれが生じたという状況を踏まえ、平成三十四年度の開業のあり方については、関係者間での丁寧な議論を経て、武雄温泉駅での対面乗りかえ方式とすることで昨年三月に関係者間の合意を得たところであります。  国土交通省といたしましては、この対面乗りかえ方式による整備は、武雄温泉—長崎間の新幹線施設を活用して平成三十四年度に開業するための最善の方式であると考えており、政府・与党申し合わせ及びこの合意を踏まえ、九州新幹線西九州ルートの着実な整備を進めてまいりたいと存じます。
  247. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 びっくりする話ですよね。  平成三十四年に対面乗りかえ方式、これはリレー方式ですよね。フル規格の新幹線は武雄温泉駅と長崎間は走る、その他の部分は在来線の特急を走らせる、それをリレーでつなぐというだけでしょう。これは新幹線計画とは言いませんよね。こういうのを世の中では見切り発車と言います。  フリーゲージトレーンが実用化しなかった場合は、二十年間で約五百億円かけたというこの巨費は水泡に帰すわけなんですよ。私は、こんな無駄遣いが許されていいと思いません。わずか六十七キロのフル規格の部分、時間にしてわずか二十七分から二十八分、ここだけを新幹線を走らせる、そのために今から幾らかけるんですか。  このフル規格の部分、総工費と、それからこれまで支出した費用について教えてください。
  248. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  九州新幹線長崎ルートの総工事費は約五千億円でございます。また、これまでにかかった建設費につきましては、平成二十八年度までの予算ベースで千九百七十一億円となってございます。
  249. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 飛行場で言うならば、飛行機が完成していないのに滑走路をつくっているような話ですよ。  もしこのフリーゲージトレーンが完成したとしても、どういう走行になっていくのか。軌間変換区間については、接続線で時速十キロメートルまでスピードを落とさなければならないんです。そして、車軸、幅を広げる、あるいは狭める、このやり方をやらなければ、軌道敷が違う、幅が違うところでフリーゲージトレーンというのは走ることができないんです。一千四百三十五ミリと千六十七ミリ、これを入れかえるわけなんですよね。この装置を新鳥栖と武雄温泉駅にそれぞれ設置するわけで、博多から長崎の利用客はいずれこの操作に二回立ち会うということを経なければ、新幹線は全線走らないという仕組みになっています。減速二回、加速二回、時間を要しますよね。  現在の長崎線を利用した場合、「かもめ」とかの特急を利用した場合は、博多から長崎までは一時間四十八分で移動できます。このリレー方式、在来線特急を使うというやり方は、乗りかえ時間を五分と仮定しても一時間三十五分、これはほとんど変わらないんですよ。  このリレー方式、ほとんど変わらないのに、それを新幹線と言っていいのか。平成三十四年、このリレー方式をやる意味はどこにあるんでしょうか。この意味合いについて教えてください。
  250. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  武雄温泉駅におけます対面乗りかえ方式での開業によりまして、博多—長崎間の所要時間は約一時間二十六分となりまして、現行の再速達特急の所要時間の約一時間四十八分より二十二分早くなるものと想定をいたしております。  昨年三月の「九州新幹線(西九州ルート)の開業のあり方に係る合意」によれば、平成三十四年度の開業のあり方については、平成三十四年度には武雄温泉—長崎間の新幹線施設が完成することや、地元自治体やJR九州からの開業効果の早期発現を求める御意見等を踏まえた上で、関係者の間での丁寧な議論を経まして、武雄温泉駅での対面乗りかえ方式とすることとされたところでございます。  したがいまして、国土交通省といたしましては、この対面乗りかえ方式による整備により平成三十四年度に開業することは、博多—長崎間の時間短縮効果や、その沿線地域における開業効果を早期に発現させる観点から最善の方式であると考えておりまして、政府・与党申し合わせ及びこの合意を踏まえ、九州新幹線西九州ルートの着実な整備を進めてまいります。
  251. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 それは納得できませんよ。  今も言いましたね、現在の長崎線の特急を利用したら、最速で一時間四十八分です。局長は長崎線の特急に乗られるか、乗られたか私は知りませんけれども、私はしょっちゅう乗っています。もう何十回、何百回乗りました。一時間四十八分ぐらいで行きます。  これにかわるリレー方式というのは、乗りかえ時間を五分と仮定しても一時間三十五分です。全然変わらないじゃないですか。これをどうして時間短縮と言えるんでしょうか。リレー方式をやる意味が私はないと思うんです。時間短縮にはならないということは考えていないんですか。お認めにならないんですか。
  252. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 先ほど申し上げましたように、対面乗りかえ方式での開業と現行の最速達特急の所要時間との比較、約二十二分早くなるというふうに申し上げましたが、これはそれなりの時間短縮効果を発現しているというふうに考えております。
  253. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 それはやってみないとわかりませんよね。接続の時間がどれぐらいかかるかもわからないし、また、いろいろなふぐあいが起こってくるかもわからない。しかし、今報道も、民間からの指摘も含めて、これは大した時間差にはならないというふうに指摘されているわけであります。  もう一つは、新鳥栖—武雄温泉駅間というのは八十一・九キロあるわけであります。これは、計画区間の五五%、半分以上であります。半分以上を在来線の特急が走る。そして、長崎県を中心とする部分だけをフル規格の新幹線で走らせていく。このリレー方式というのをそれでも新幹線と言っていいんでしょうか。どうなんですか。
  254. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 それにつきましては、累次の経緯によりまして、そういった方式で新幹線として整備をするということとされておりますので、さよう理解していいものと理解しております。
  255. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 そのリレー方式であっても、長崎新幹線開通、営業開始というふうに言われるんでしょうか。
  256. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 平成三十四年度、九州新幹線西九州ルートの開業ということかと思います。
  257. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 それはむちゃくちゃな話ですよ。  もう一問聞きます。  リレー方式を始めたら、今の長崎線の特急というのはどうなっていくんでしょうか。
  258. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  現在、JR長崎本線におきましては、博多から佐賀、肥前山口、肥前鹿島、諫早を経由いたしまして長崎に至る特急「かもめ」号が運行されております。  このうち、長崎本線肥前山口—諫早間の取り扱いにつきましては、平成二十年三月の九州新幹線武雄温泉—諫早間の着工に先立ち、佐賀県、長崎県及び九州新幹線の三者は、平成十九年十二月の基本合意等によりまして、JR九州は、長崎本線肥前山口—諫早間について、経営分離せず、上下分離方式により運行することとし、新幹線開業後二十年間運行を維持する、さらに、博多—肥前鹿島間の特急列車については、片道五本程度運行させるということとしておりました。  その後、フリーゲージトレーンの開発状況を踏まえまして、昨年三月の対面乗りかえ方式による開業に係る関係者間の合意には、長崎本線肥前山口—諫早間の取り扱いについても、あわせて盛り込まれております。  具体的には、JR九州は、博多—肥前鹿島間の特急列車については、平成三十四年度の新幹線開業時点から三年間は片道七本程度、その後は片道五本程度運行するとともに、当該開業後二十三年間は運行を維持するとされたところでございます。  平成三十四年度の九州新幹線西九州ルート武雄温泉—長崎間の開業後における長崎本線の特急列車については、この合意に基づき運行されるものと考えております。
  259. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 いずれにしても、市民、県民、国民が利用している今の長崎線の特急は、縮小の方向あるいはなくなっていくという状況にあります。それも全て、フリーゲージトレーンが開発される、そして営業されるという前提のもとでの話ではないですか。今完全に行き詰まっている中で、こういう事態がリレー方式で生まれていったらどうなっていくのか。厳しく指摘したいと思います。  フリーゲージトレーンがもし仮に実用化されたところで、これは最大速度二百七十キロであります。山陽新幹線の時速は三百キロであります。山陽新幹線への乗り入れは困難ではありませんか。JR西日本は難色を示しているというふうに聞いていますけれども、実際どうなんでしょうか。
  260. 奥田哲也

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  フリーゲージトレーンの山陽新幹線への乗り入れが難しい旨の新聞報道があったことは承知しておりますが、それについて、JR西日本から私ども国土交通省に対してそのような意向が伝えられたことはありません。  いずれにいたしましても、具体的な鉄道ネットワークの中でどのようにフリーゲージトレーンを活用するかについては、今後、ダイヤ設定など、基本的には関係する事業者間で調整されるべきものというふうに考えております。
  261. 田村貴昭

    田村(貴)分科員 乗り入れの見込みはないということです。  これまでのいろいろ世論調査があったんですけれども、九州新幹線長崎ルートについては反対が賛成を上回っています。「かもめ」でいいじゃないかと言っている県民、市民が多いわけなんですよ。そして、フリーゲージトレーンが完成されても、行き詰まっても、リレー方式であっても、この時間差というのは余り変わらないわけなんですよね。今からでも見直しは遅くないというふうに私は思っているわけです。  フリーゲージトレーンが、今のフル規格の新幹線の車両建設費よりもコストが二・五倍から三倍にかかるということも指摘されているじゃないですか。本当にこれから五里霧中の中で、こうしたやり方に、どんどん税金をフル規格の部分もフリーゲージトレーンにも使っていくことに、私は、国民の理解は得られないというふうに思うわけであります。  今からでも遅くはないと思います。長崎新幹線の計画は白紙撤回することを強く求めて、私の質問を終わります。
  262. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎岳志君。
  263. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 宮崎でございます。  早速、質問に入らせていただきます。  まず、午前中の質問でも出たかもしれませんが、森友学園への土地払い下げに関連し、産業廃棄物の撤去と土壌改良費をめぐって、国交省が一億三千万円の有益費を森友学園に支払いましたが、実際には一億一千万円しかかかっておらず、二千万円が不当に学園側に流れた疑いがあるというような報道がなされております。  これについて、ちょっと状況現状確認だけお願いしたいのですが、まず財務省にお伺いします。これについてはどのような事実関係を把握されているでしょうか。
  264. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  そのような報道があったことは承知しております。  本件につきましては、国土交通大臣が記者会見におきまして、中身の詳細については捜査にかかわる事柄ですので、コメントは控えたいと説明しているものと承知しておりまして、財務省としても、コメントは差し控えたいと考えております。
  265. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 国土交通省にもあわせて伺います。  大臣の方が記者会見で述べられたという話は既に伺っておりますけれども、大臣、これについては、具体的に捜査要請があって答えられない部分があるというふうなことなんでしょうか、あるいは、答えられる部分はどこまでなんでしょうか、お伝えいただけますか。
  266. 石井啓一

    ○石井国務大臣 答えられる部分はどこまでかという質問は難しい質問で、具体的にどういうことかと聞かないと、それについてはちょっとお答えは難しいので、そこはちょっと省かせていただきますが、事実関係を申し上げますと、森友学園から埋設物の撤去等の工事を請け負った中道組から提出された工事履歴書につきまして、四月の五日に大阪府を経由して近畿地方整備局に届いております。森友学園を発注者とする小学校新築工事に伴う附帯工事の請負代金の額が、税抜きで一億五万円と記載されていることを確認してございます。  委員御指摘のとおり、大阪地方検察庁が森友学園に対する国有地の売却に係る告発を受理し、四月の五日に、航空局に対しましても、関係機関より協力の要請がございました。  したがって、今後は、関係機関とも相談の上、必要な対応を行ってまいりたいと考えますが、詳しい内容につきましては、捜査ともかかわり得ることから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  267. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 大臣、この中道組から一億五万円というものが提出されたと。そして、それを受けて、どうも数字が違うなということを国土交通省として認識されたというのはいつなんでしょうか。
  268. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  本年三月、報道機関から、中道組が昨年提出をした工事経歴書に記載されている森友学園を発注者とする小学校新築工事に伴う附帯工事の請負代金の額と、有益費の支払い額とが合致していない旨の問い合わせがあった、そのときに、私どもとしては、まずそういった認識をしてございます。  その後、先ほど大臣からも答弁をいたしましたけれども、国土交通省といたしましては、四月五日に、中道組から提出された工事経歴書において、当該請負代金の額が税抜きで一億五万円であることを確認したということでございます。
  269. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 私ども民進党の調査チームの方で、そのような有益費の支払いに係る領収書の提出を求めて、提出をいただいておりました。その間に、どうも数字が、いろいろ足し合わせても、どこがどこに対応しているのかよくわからない。何枚かに分けられていたということだと思うんですが、それを整理してくださいということを言って、そして、最終的にそのお答えはまだいただけていないわけであります。その最中に今回のようなことになっているんだと思うんですが、そうすると、かなり早い段階でわかっていたということではないんですか。
  270. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず、領収書の方でございますけれども、これは何枚かに分かれているというのはまさに御指摘のとおりでございますが、全部足し合わせますと一・三億円という額になってございます。  それから、先ほど、報道機関からそういった情報提供、問い合わせがあったということでございますけれども、その時点では、実は、その前の年度の工事についての工事経歴書が提出されていたという段階でございまして、その後、この中道組というのは十一月末を締めにした決算でございまして、平成二十八年度の方の工事経歴書につきましては、今回、四月五日に近畿地方整備局の方に届いたということでございます。
  271. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 それで、ちょっと話は変わりますけれども、サステナブルの建築物補助金について、評価委員会の、いわゆる私どもが評価シートと呼んでいるものを速やかに公開していただきたいということで、前回、国土交通委員会での質疑お願いしました。その後の状況お願いいたします。
  272. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  お尋ねの資料は、書類審査のために、第一回の評価委員会に先駆けて、その時点での各委員の所見を記載した資料を事務局が作成して、同委員会で参考資料として使用したものでございます。  四月五日の国土交通委員会において大臣が御答弁申し上げましたとおり、評価委員全員の意向を確認していってきているところでございますが、今般、先ほどでございますけれども、一部の情報を除いて開示することについて全員の御同意をいただきましたので、この後お届けしたいというふうに思っております。
  273. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 では、本日御公表いただけるということですけれども、一部の情報を除いてということですが、その除かれる一部の情報というのはどんな情報でしょうか。
  274. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  評価委員の御意向によりまして、個々の評価委員の名前の部分は除いてほしいということでございましたので、その部分は非開示というふうにさせていただきたいと考えております。
  275. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 では、個々の評価委員の名前を除いては基本的に御開示いただけるということで承りましたので、後で拝見をさせていただきます。  それでは、そのところにかかわりますが、前回の私の国土交通委員会質疑で、補助金が二十七年度、二十八年度にわたっているのに、ほとんどが二十七年度に支払われているのはおかしいのではないかという御質問をいたしました。そもそもの申請書ではそんな配分にはなっていない。そのときに、お答えは、二十七年十月の交付申請書類とか二十八年三月の実績報告書とか、そういうものに基づいてそうなったんだ、こういう御説明でありました。  その交付申請書類と実績報告書ですか、こちらは、そういうことであれば公表願えるということでよろしいんでしょうか。
  276. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  まず、サステナブル先導事業では、事業採択を行った後、おおむね一月以内に、採択の際に示された補助上限額を採択の際に決めますので、それを前提に当該年度分の補助金について交付申請を提出していただいて、それに基づいて交付決定を行うという手続になっております。  また、複数年度にまたがる事業の場合には、初年度分の支払いについては、年度末に当該年度分の実績報告を提出いただいて補助金の支払いをするということになっております。  先般、この経緯について、本件に個別具体的に当てはめた場合について御説明申し上げましたが、事業採択そのものは平成二十七年九月四日に出しておりまして、この際に、補助の上限額約六千二百万円、これを決定して通知をしております。  この金額に基づいて、これから約一カ月後の十月二日に、平成二十七年度分といたしまして五千六百四十四万八千円の交付申請がなされております。これに基づいて十月八日に同額の交付決定が行われております。  二十七年度末の支払いにつきましては、二十八年の三月十五日に四千八百二十九万八千円の実績報告が提出されて、三月二十二日に同額が支払われております。  この結果、交付決定をいたしました五千六百万余と、それから、実際、二十八年三月に支払われた四千八百万の間に差額がございます。八百十五万ございますが、これにつきましては、二十八年度に支払いを繰り越すという手続をとっております。  この支払いを繰り越した八百十五万円につきましては、二十八年の十一月二十五日に現地調査を行って出来高の確認を行いまして、提出された実績報告書の審査を経て、平成二十九年二月二十一日に第二回目として支払いが行われているということでございます。  この間の年度割りについて前回御質問いただきました。まず、補助採択のときの六千二百万余については、年度割りは審査の対象にしておりませんので、したがいまして、年度割りは示しておりません。  約一カ月後の交付申請とそれに基づく交付決定、これは五千六百四十四万八千円でございますが、これに基づいて、残額は五百四十九万六千円となりますので、年度割りを算定いたしますと九一対九になります。  それで、実際に二十八年三月に払われた額、申請に基づいて四千八百二十九万八千円払っておりますが、この額を二十七年度の支払いとして考えますと、比率は七八対二二になるということでございます。  それで、お尋ねをいただきました、この支払いのもとになっております交付申請書あるいは実績報告書でございますけれども、これは、三月三十日に、国土交通省に対しまして、捜査当局より補助金適化法違反の事案について告発が受理されたと承知しておりまして、これについての捜査当局からの協力要請がございました。まさに偽りその他不正の手段によって補助金が交付されたか否かという捜査にかかわる事案でございますので、国土交通省としては、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますし、また、公開は差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  277. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 それも変な話じゃないですか。それは公的な書類ですよね。公的な書類として申請をされ、実績報告書が出され、それについて補助金が交付をされた、その書類について、捜査中だから出せないというものではこれはないんじゃないですか。出すと何か捜査に差し支えるんですか。それとも、具体的に、捜査当局の方がこの書類については出すなと言ったんですか。その書類について出すなとは言っていないと思いますよ、これは公的な書類ですから。出すなと言いましたか。
  278. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  今申し上げましたように、交付申請書や実績報告書等につきましては、まさに補助金の交付に関して相手方が提出をしてまいった書類でございます。これについては、まさに相手方の偽りその他の不正の手段により補助金が交付されたか否かということにかかわる事柄でございまして、捜査にかかわる事柄であるということから、公開やお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。
  279. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 質問に答えていませんが、その書類を公表しないでくださいというふうに地検からお話があったんですか。それとも、地検からお話があったことを受けて、こちら側で、国土交通省側で判断されて、これは出さないと決められたんですか。
  280. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  捜査当局より当方に対してございました協力の要請の内容については、大変恐縮でございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  281. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 私も、事件記者を結構長くやりましたので、そういう裁判中の事案とか刑事事件の取材もやりました。秘密の暴露というのが大切なんですね。つまり、自供をとったときに、その自供の信憑性があるかどうかというのは、秘密の暴露というものがありまして、その人本人しか知り得ないことが供述をされた、これが秘密の暴露という。ですから、その秘密の暴露の余地を残すために情報を隠すわけですね。  しかし、この場合は、申請書類の公的な書類であって、受け取った方は全員それを見ているわけですね。これは隠す意味自体が全然ないと思います。  今言われましたけれども、これは、国土交通省側で出せないと判断しているだけで、別に地検が出すなと言っているものじゃないですよね。ちょっとおかしくないですか。
  282. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  重ねての御答弁になって恐縮でございますが、捜査当局より三月三十日にございました当方への協力の要請の内容については、お答えを差し控えさせていただきます。
  283. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 この問題について、私は、国土交通省の対応がずっとおかしいな、おかしいなと思ってきたんですけれども、例えば、複数契約書があったという問題で、それが報道されてから、当然国土交通省としては、調査すべきだということを調査する。  まず、申請者、森友学園ですけれども、その代理人となる設計会社に聞き取りをした、ここまではわかります。ところが、その話が余りつじつまが合わないというか、報道されている事実ともなかなか違う。確認しなきゃいけない。次に、では、森友学園にちゃんと聞けばいいじゃないですかと私どもも幾度か指摘をさせていただきました。ところが、森友学園には聞かない。  そして、今度は工事会社に聞いた。工事会社に聞いたけれども、何か捜査が始まったのでどう聞いたかは言えないということなんですけれども、この間、二十日ぐらいあるはずですけれども、結局、森友学園、申請者そのものですよ、当事者ですよ、その森友学園に一度も聞いていないんですよ。我々は何度もその間に、なぜ聞かないんですかと聞いたけれども、そこに聞かないで、飛ばして聞いている。  これはどういう対応なんですか。森友学園には何で聞かなかったんですか。それとも、聞こうとしたけれども、断られたんですか。
  284. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  サステナブル建築物等先導事業に関しまして、特に国土交通省に対してなされた申請についての事実関係の詳細を明らかにするために、補助金のもとの申請代理人でございます設計事務所に対するヒアリングを三月十日に行いました。  そのヒアリングにおきまして、この設計事務所から補助金の申請に当たり提出された工事請負契約書、これは額面で二十三億八千万のものでございます。それから、関西エアポート株式会社に提出された工事請負契約書、これは額面で約十五億六千万円のものでございます。これは二つともに施工業者が作成したとの説明があった旨明らかになっております。  このヒアリングの結果は、実はこの点以外にも不明な点が多く残されておりましたので、さらに事実関係の確認を行うために、この設計事務所に対して追加の資料の提供を要請いたしますとともに、複数の工事契約書を作成したとされる施工業者に対しましてヒアリングを行うということで、三月三十日にヒアリングを行ったという経緯があるものでございます。
  285. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 お答えになっていないんですけれども、申請者は森友学園なんですよね。その代理人が設計会社です。そして、この契約書をつくるのに、当事者の一方が当然工事会社ということにはなるわけですが、本体はどこまで行っても森友学園ですよね。その森友学園に聞かずにずっとその周りを聞いている。設計会社の方はそれでも申請代理人ですからわかりますけれども、なぜ森友学園に一言も聞かずにほかの工事会社に聞くのかというのは、私にはちょっとお話が今理解できませんでした。  これは何度聞いてもそのような理解できない対応で、しかも、途中で私どもは何度も森友学園にこれを聞くべきだということを言っているのに、それを最後まで聞いていただけなかったということは、極めて今でも不可解な思いがしております。  ちょっと違う論点に行きたいと思います。  学校用地、これまでの契約に基づけば、買い戻しあるいは契約解除ということになって、所有権が国に移転をされることになると思います。しかし、過去に、このような大きな建物が建っているというようなものについて、取り壊して返させたような例はない。理屈からいえば、更地にして返してくれという話ですけれども、これまでにそういう例はない。  当然、先方等といろいろなお話し合いをして、今後どうするのかということを決めなければならないと思うんですが、現況、この取り扱いについて今後どうされるつもりでしょうか。これは財務省の方がよろしいのかな、財務省お願いします。
  286. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えいたします。  森友学園の売買契約上の義務、すなわち、平成二十九年三月三十一日までに本件土地を小学校の用に供する義務は履行できないことが確定しております。  これを受け、土地の返還等を森友学園に求めていくこととなりますけれども、具体的な対応については、契約に基づく当事者間での交渉によるものであり、交渉の妨げとなりますため、申し上げることは差し控えたいというふうに考えております。
  287. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 何も言えないというお答えかと思うんですが、もろもろ、いろいろ臆測を呼んでいる問題でもございます。各種の報道等もいろいろありますので、ここは本当に疑いを招かないようにきちんと厳正にやっていただきたいということを一言申し上げておきます。  その関係で、また今度、土地が最終的に国に戻ってくるということはいろいろあっても確定だろうというふうに思いますが、戻ってきた後、当然、大阪航空局の管理下に再び入るんだと思います。  その際に、地下にはごみが埋まっている状態、今の状況でいえばそういうことだと思います。どのようなごみが埋まっているのか、どういう状況なのか、確認する必要があると思いますが、これについては、戻った後、例えばボーリング等を行って地下のごみの状況を確認されるんでしょうか。
  288. 石井啓一

    ○石井国務大臣 本件土地の今後の具体的な対応は、基本的に契約当事者である近畿財務局が行うこととなります。  売買契約上、買い戻しや契約の解除を行った場合には、本件土地を原状に回復して返還しなければならないとされており、買い戻しや契約の解除を行った後、原状回復を行うこととなると思っております。  原状回復としては、森友学園に対し、建物等の撤去を求めることが基本になると考えておりますが、原状回復がなされていない状況では、校舎が存在しているため、調査は物理的に難しいと考えております。  ただ、原状回復がなされた後に、地下埋設物に係る調査については、この土地の現況を十分に把握した上で、その必要性について検討してまいりたいと考えております。
  289. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 ちょっと今の御答弁はおかしいんじゃないでしょうか。  例えば、校庭にもごみが埋まっているとの報道もある、それをボーリングをして確認するということは十分校舎が建った状況でもできる。また、ある面ではこれは大臣も御存じだと思いますけれども、私も国土交通委員会質問させてもらったことがありましたが、横浜のマンションの傾斜、マンションがくいが未達で岩盤に届いていなくて傾斜をしたという話があったときに、斜めにボーリングをやって現状を確認するという作業を実際に行われております。それは国土交通省の皆さんもよく御存じのことだと思います。  大臣、建物が建ったままであっても、それは土地さえ戻ってくれば調査する方法は幾らでもあるんじゃないでしょうか。
  290. 石井啓一

    ○石井国務大臣 まず、本件、原状回復がなされた後に、本件土地の現況を十分に把握した上で、地下埋設物に係る調査については、その必要性について検討してまいりたいと考えております。
  291. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 ここまで大きな騒ぎになって、実際この土地、今後貸すにしても売るにしても、地下にどんなごみが埋まっているのかということを確定しなければ売ることも貸すことも現実的にはできないわけです。かつ、この八億円の根拠が妥当かどうか、こういうこともずっと言われているわけでありまして、今まさに土地が戻ってこようとしているわけですから、戻った後で調査をするのは当たり前じゃないですか。何でその調査をやるかどうかはっきり言えないのか、私は理解に苦しみます。  大臣、もう一度お願いします。
  292. 石井啓一

    ○石井国務大臣 本件土地の所有権が返還された後、いろいろ検討してまいりたいと考えています。
  293. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 ちょっと、大変後ろ向きな御答弁だなというふうに感じております。  それからもう一点、この点について確認しておかなければいけないと思いますが、籠池理事長が谷査恵子氏に送ったとされる手紙というのがございます。これは公表されているものでありますし、籠池理事長の証人喚問の際にも、自民党の葉梨委員が何か手に封筒のようなものを持って振りかざしていた、その手紙のことですけれども、その中で、平成二十七年二月契約事前の段階で、財務局と航空の調整の中で学園側が工事費を立てかえ払いして平成二十七年度予算で返金する約束でしたが、平成二十七年度予算化されていないことが九月末発覚し、平成二十八年度当初に返金されるという考えられないことも生じていますという文章があります。  それを結局、夫人付の谷査恵子氏がいろいろなところに問い合わせて、その結果をファクスで籠池氏に返す、こういう流れになっているんですが、この手紙を信じるとするならば、平成二十七年度で返金する約束というものを財務局と国交省航空局と籠池理事長側で合意をしていたということになります。  予算仕組みからしてちょっと不可解な点もあるなと思うんですが、これについて、国交省の認識をお伝えください。
  294. 佐藤善信

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  ちょっと時系列で整理をいたしますと、平成二十七年度予算措置するためには、その前年の平成二十六年八月末の段階で概算要求に盛り込んでおく必要があるということになります。この手紙は平成二十七年二月というふうに書いてございますので、この時点で、事実関係として平成二十六年八月末の概算要求には盛り込まれておりませんので、そもそも約束が行われることはあり得ない、これがまず時系列的な整理でございます。  それから、当時の担当者に、担当者というのは大阪航空局の担当者でございますが、確認をいたしましたところ、籠池さんを初めとする森友学園側との間で、有益費に係る工事費を平成二十七年度予算で返金すると約束した事実は一切ないということでございました。
  295. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 そうすると、この手紙に書いてあること自体が不正確だということを国交省としては言われるということでありますね。それはわかりました。  時間もありませんので、ちょっと次の質問に行きますが、サステナブルの補助金についてもう一度戻りますけれども、森友学園と同時期にいろいろな幾つかの申請者に補助金の交付が決まっておりますが、二十七年度分の補助金が交付された段階というのはそれぞれいつ時点になりましょうか。それをお教え願えますでしょうか。
  296. 由木文彦

    ○由木政府参考人 お答えいたします。  サステナブル建築物等先導事業の平成二十七年度、これは二回公募しておりますけれども、第一回の公募、これは森友学園の公募があったときでございます、このときにおいて採択された案件は六件でございます。  採択された六件のうち一件は、補助金の交付に至る前に事業が中止となっておりますので、補助金が支払われたのは残りの五件でございます。  補助金の支払い時期につきましては、五件とも、補助金の支払い日は平成二十八年三月二十二日となっております。
  297. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 最後に一点、財務省にお伺いをいたします。  学校設置認可を大阪府がおろすのと、学校用地の貸し出しを、国有審ですか、近畿財務局が決める、その事前のやりとりがどのようなものであったかについて、財務省側と大阪府側が完全に言い分が食い違っております。  大阪府は、四月六日に、学校法人森友学園瑞穂の国小学校設置認可に関する検証報告についてという検証報告を発表いたしまして、それによりますと、事前に近畿財務局側と非常に綿密な打ち合わせが行われ、また、ある意味、近畿財務局の側から積極的に設置認可をしてくれというような働きかけに近い状況であったんではないかという、そのような報告書だというふうに読んでおるんですけれども、これに対して、財務省のこれまでの主張とは食い違っております。  これは正式な文書でございますから、財務省としても、そうであればそう、違うであれば違うということを言っていただきたいと思いますが、どのような認識でしょうか。
  298. 北村信

    ○北村政府参考人 お答えをいたします。  まず、大阪府におきましては、小学校の認可についての基準の適合性に関し、職員の対応がどうであったのか検証を行ったものと承知をしております。  その詳細を承知しているものではございませんけれども、近畿財務局と大阪府において、公的な国有地の処分に際して必要となる通常のやりとりを実施したところと認識をしております。  すなわち、私立小学校という公的な用途での国有地の取得の要望であったことから、その前提となる私立小学校の認可主体である大阪府の判断を伺うとともに、近畿財務局として、近年、私立小学校が新たに認可される事案はなく、事業内容、関連する法令、大阪府における基準、手続等、全般について一から内容の確認が必要であり、大阪府との間でさまざまな情報交換を行っていたものと承知をしております。  大阪府の検証の詳細を承知しておりませんけれども、お尋ねの点についてはコメントを差し控えたいと思います。
  299. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 詳細を承知していないという発言でしたが、これは公的に既に出されている書類であります、四月六日付で。マスコミには発表していますし、恐らくホームページ等にも載っているのかもしれませんが、いずれにせよ、これはもう公式見解ですから、この詳細を把握していないということはあり得ないし、していないんだったら把握していただきたい。そして、違うところがあるんだったら、ここが違うとかあそこが違うとかいうことを言っていただくしかないんじゃないでしょうかね。  何となく言えませんみたいなお答えをされても、もう最終見解でしょう、これは大阪府側の。そこは、間違いがあるんならここが間違いだと、違うんであればここは違うというふうにきちんと明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  300. 伊藤渉

    伊藤主査 申し合わせの時間を経過しておりますので、簡潔な答弁をお願いいたします。
  301. 北村信

    ○北村政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、大阪府の検証報告の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございまして、我々の方の認識はこれまた先ほど申し上げたとおりでございますので、その間にそごがあったかどうかということについてはコメントを差し控えたいと思います。
  302. 宮崎岳志

    宮崎(岳)分科員 わけのわからない答弁だと思います。  終わります。
  303. 伊藤渉

    伊藤主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国土交通省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査は全て終了いたしました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会