○中川(正)
委員 次に、再び
日本語の
世界へ向いて
議論を移していきたいというふうに思います。
皆さんの手元に、こういう、これはカンボジアの紙幣なんですけれども、五百リエルの紙幣を配付させていただきました。これは、橋が二つ写っているのと同時に、このシンボルの中に、日の丸と向こうの国旗とが並行してあります。これはカンボジアの五百リエルの紙幣の裏側なんです、表の方は王様が写っているんですが。
実は、この橋が大事でして、
日本のODAでつくった有名な橋でして、きずなとつばさという橋がこうして紙幣になっています。
日本の援助姿勢にこうした形で感謝と評価が出てきているというのは、
日本のODAが生きている証左だというふうに思っています。
問題は、こうした部分での評価というのは非常に高いんですけれども、政治的に、あるいは、それこそ
経済的にもということになってきますが、特に東南アジアについては
中国の影響力が色濃く出てきておりまして、カンボジアについても具体的にはそうですね、南シナ海の領有権の問題を、ASEANでトータルで物を言おうといったときに、やはりカンボジアというのは
中国に遠慮をしたというような過去がありました。
これは、
中国の様子を見ていると、ASEANを
中心に、孔子学院というような、本当にベースになる、言葉とそれから文化を戦略的に広げていこうというような、そういうところ。これは
世界展開しているんですよね、孔子学院、よく御存じのように。というようなものであるとか、あるいは、それぞれの援助政策の中で、
中国理解を進めていけるような、その文化を
中心にしたいわゆるソフトパワー的なものですね。これは、
中国は
軍事力をぐうっと伸ばしていますけれども、それ以上に、実はこのソフトパワーに対する金の使い方というのは非常に大きいんですね。
アメリカは、どっちかというと、今回はソフトパワーをぐっと縮めてしまって、それで
軍事力を見てもっといこうということなんですが。これは、全く過去とは逆さまな
状況になってきているということも、私は一番気になるところなんです。
そういう意味で、
日本が非常に、これまで東南アジアに広げてきた我々の
努力というのが
中国に置きかえられているという現実があるということを、実は、
現地の人
たちが私のところへ来て説明をしてくれて、そのときに持ってきてくれたのがこの五百リエルのお札なんですよ。こういうことがあるにもかかわらず、
日本は何しているんですかと、こういうことなんですね。
実は、そのベースになるのが言葉ということ、これはもう言うまでもないことだと思うんですが、いろいろな形で、今、
日本語というのが改めてブームになっているというか、広がってきております。特に、
中国の北東部の各省、三省ぐらいでは、高等
学校、中
学校で、第一
外国語として
日本語が勉強されている。それから、あと、ベトナムも第一
外国語を
日本語にするということで、最近決めて、そして、それが、各中
学校、高等
学校へ向いて広がっている。第二
外国語に至っては、七十二カ国が、
世界で、第二
外国語は
日本語をやっている、こういうことなんです。
こういう
状況であるにもかかわらず、恐らくほかの国でもさまざまに
日本語というのを子供に教えていきたいというところがあるんですが、さっき言ったように、これが
中国語に置きかわってきているということですね。これに対して、
日本としてやはり戦略を持たなきゃいけないということだと思うんですが、一番足りていないのは何かといったら、ネイティブ、私
たち日本語をしゃべる人
たちが
海外に出ていって
日本語を教えていくという、要は、量と質というのが完全に欠落している。
国際交流基金は、
現地の人
たちを
日本語の教師に仕立てようということで大学で
日本語を教えているんですけれども、これは点です、点でしかない。だから、そうじゃなくて、面的に、戦略的に
海外へ向いて
日本語をしっかり教えていくそのベースをつくっていかなきゃいけない。これは国家戦略だと私は思うんです。
そういう意味で問題点を指摘したんですけれども、
大臣、共有していただけませんか。