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2016-11-15 第192回国会 参議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年十一月十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         秋野 公造君     理 事                 西田 昌司君                 山下 雄平君                 真山 勇一君                佐々木さやか君     委 員                 猪口 邦子君                 中泉 松司君                 古川 俊治君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 元榮太一郎君                 柳本 卓治君                 有田 芳生君                 小川 敏夫君                 仁比 聡平君                 高木かおり君                 糸数 慶子君                 山口 和之君    国務大臣        法務大臣     金田 勝年君    副大臣        法務大臣    盛山 正仁君        厚生労働大臣  橋本  岳君    大臣政務官        法務大臣政務官  井野 俊郎君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  平田  豊君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        法務大臣官房司        法法制部長    小山 太士君        法務省入国管理        局長       井上  宏君        厚生労働大臣官        房審議官     椎葉 茂樹君        厚生労働大臣官        房審議官     土屋 喜久君        厚生労働大臣官        房審議官     中井川 誠君        厚生労働大臣官        房審議官     坂口  卓君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  鈴木英二郎君        厚生労働省職業        能力開発局長   宮野 甚一君        経済産業省製造        産業局長     糟谷 敏秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生  の保護に関する法律案(第百八十九回国会内閣  提出、第百九十二回国会衆議院送付) ○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法  律案(第百八十九回国会内閣提出、第百九十二  回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 秋野公造

    委員長秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省入国管理局長井上宏君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋野公造

    委員長秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 秋野公造

    委員長秋野公造君) 外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 丸山和也

    丸山和也君 自由民主党の丸山和也です。会派を代表して質問させていただきます。  本法案は、日本における外国人受入れあるいは技能実習ということで、非常に大事な法案であるとともに、いろんな過去の経緯もありまして批判もたくさん出ている、そういう注目されている法案でございまして、その改正ということでこれから質疑をさせていただきたいと。それで、もし時間的余裕があれば、後半の方で少し法曹養成と法の支配一般に関する質疑をさせていただきたいということで、よろしくお願いいたしたいと思います。  まず、この技能実習制度に関してはいろんな問題がございます。一つは、もう既に各委員の方から何度もここで取り上げられましたように、技能実習生の扱いに関して、賃金の不払の問題だとか劣悪な環境だとかあるいは人権に関わる問題だとか、いろんなことが質疑されてまいりました。これはこれで私は正しい視点だと思いまして、いいんでありますけれども、もう一つ従来からやや腑に落ちない気持ちがしていますのは、この制度趣旨目的ですね、これが本当はどこにあるのかと。こういう点をやっぱりしっかり見据えて議論をしないと、そこから二次的に発生する個々の問題だけを批判的に取り上げてもちょっと無理があるんじゃないかと思っております。そういう視点から少し質疑させていただきたいんですけれども。  そもそも、この技能実習制度というのはどういう目的制度なんでしょうか、これについてお答えいただきたいと思います。
  6. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  技能実習制度目的につきましては、法案の一条の目的規定にも記載はございますけれども、これは開発途上国等への技能移転を通じた国際貢献目的でございまして、本法案には基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」とも明記されております。  このように、技能実習人手不足対策としての外国人労働者受入れとは別個の目的国際貢献目的とする制度ということでございます。
  7. 丸山和也

    丸山和也君 分かりました。  そういうふうに明確に、いわゆる日本国内における労働力、いわゆる単純労働と言われているような労働力不足を補うためにこの制度は設けられたものではないんだと。あくまで開発途上国等に対する日本での技能実習した技能を持って本国等に帰り、そして、もって国際貢献といいますか、日本国際貢献、それから現地国でのその活用ということ、これを通じた国際貢献に寄与するという目的であるということがかなり明確に法案に書いてあるわけなんですね。だから、非常に立派な制度なんですよ。  ところが、なぜこの立派な目的の下によってつくられた制度が、これだけ、マスコミはもとよりいろんな識者の方から、あるいは関係者の方から問題点指摘されているのかということがまさに問題なんですよね。  それで、私も若干弁護士として関与したり、いろんな形で、この外国人実習生労働者問題について多少は見識があるんですけれども、この制度がそういう趣旨で、今おっしゃったような趣旨で設けられたにもかかわらず、一般的には、むしろ国内日本国内ですね、国内におけるある特定分野労働力不足に使われているというか、そっちに大きく貢献していると、むしろ。それで、一部分制度趣旨に沿った貢献もしていると、こういうことですね。  まさに主客転倒しているといいますか、そういう意味で、本当にこの制度貢献しているのは例えば農業だとか漁業だとか建設だとか、一部のやはり日本における労働者不足の解消に大きく貢献してきたと、皮肉にも、こういう実態があるというふうにむしろ見られているんではないでしょうか、その点についてはどう思われますか。
  8. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  技能実習制度は、いわゆるOJTを通じて技能等修得する制度でございますので、その過程で労働が提供されますので、労働者としての保護を与えるために平成二十一年には入管法改正いたしまして、それまでの研修プラス技能実習制度を一年目から雇用契約に基づくものとして労働法保護を強化するなどしてきたところでございますが、この制度は、お答えいたしましたとおり、国際貢献技能修得移転に伴う発展途上国への移転による国際貢献ということでございますので、そのようなものとして適正化を図りつつ活用を図っていくべきものと考えてございます。
  9. 丸山和也

    丸山和也君 それでは、少し具体的に受入れに関してお聞きしますが、いわゆる監理団体等外国人を例えば五十名なり百名受け入れたいと考えたとしますね。その場合に、最終的にそれを認めるかどうかというのは、どういう技能実習目的にするかということを、やっぱり当局としては当然審査なり判定をして、それについて許可を出すんではないんでしょうか。
  10. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  技能実習につきましては、一号と二号と、一年プラス二年で合わせて三年ということになりますけれども、一号から二号を通してやる場合におきましては、評価、到達、ちゃんと技能修得がされているかということを評価する試験制度が整備されていること等の事情もございまして、そこで対象となる職種、作業というものを定められてございます。  したがいまして、入国、在留を認めるかどうかに当たりましては、どのような内容技能実習をするかどうかということにつきまして、省令等で定めました基準に適合しているかどうかについて審査をして決定していると、そのようなことでございます。
  11. 丸山和也

    丸山和也君 まさにそこなんですよね。技能実習生制度ですから、どういう技能実習しようとしているのか、ここがまさに適合するかどうかが、この制度が本来正当に使われるかどうかにも大きく影響すると思うんですね。  そこで、例えば、じゃ少し具体的な例を、私が知っている例を引用させていただきますけど、例えば、農業分野としてこういう技能実習制度やっている。例えば、オオバってございますね。オオバの摘み取り作業というのがあるんですね、茨城県の方でたくさんやっていますけれども。これ、シソの葉というんですかね、オオバですね。それで、やっている内容というのは、技能実習ということで受入れされているんですけれども、要するに葉っぱの摘み取りなんですよ、手で、手作業で。それが、摘み取るいうことが第一段階、第二段階は摘み取った葉っぱを十枚束ねる、ゴムで束ねると、これが第二段階、そして、第三段階は束ねた十枚を冷蔵庫に入れると、これが全てなんですよ。全てなんですよ。これがいわゆる技能実習一つ実態なんですよね。すると、日本にわざわざ来て、葉っぱの摘み取り、それを十枚数えてゴム輪で留める、それを大型冷蔵庫に入れる、これを延々と、それだけをやるわけなんですよ。これがいわゆるこの制度趣旨としている技能実習国際貢献に寄与すると。日本に来てわざわざ摘み取り作業、十枚数えてゴム束でする、それで冷蔵庫へ入れることを実習する必要性があるんでしょうか。それが一つの、全てとは言いませんけど、一分野における実態なんですよね。これは本当のことなんです。  こういうことについて、そしてその現場ではいろんな問題があるとも言われていますけれども、そもそもこの制度に合った実習生受入れという観点から、先ほど局長がおっしゃいましたけど、そういう観点から見て、そもそもそういうことを国の方で許可しているということ自身が、国が単純労働を認めているということにはなりはしませんか。あるいは、そういうことを批判されても仕方がないんじゃないんでしょうか。ここがいわゆるその建前本音のもう歴然とした違いが、ここだけじゃない、たくさんそういうのがあります。それを私は指摘したいんですよね。  だから、本当に単純労働が必要ならばやっぱりもう少し堂々と、そういう労働力がどうしても日本のために、日本経済活力のために、労働力のために必要だというなら、そういう議論もしていくべき時期が来ているんじゃないかと思うんですけれども、まあそこまでの議論は別にして、そういう作業実態技能実習としてどういう観点から認められるんでしょうか。それについて、少し細かい話ですけど、お聞かせ願いたいと思います。
  12. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  先生が御覧になった実態そのものは承知をしておりませんので個別についてはなかなかお答えできませんけれども、現行の技能実習制度におきましても、まず送り出し国にその業務についてのニーズがあること、それから我が国で行う実際の業務について反復継続した単純作業でないこと、それからきちんと技能を測る仕組みができていること、この三つの要件を満たすものを認定をしているところでございます。  また、この御議論をいただいている法案につきましては、これは先ほど入管局長からも答弁をいたしましたように、具体的にはこの技能実習計画として今度は認定を行うということになります。そして、この実習実施者に一号から三号までの区分ごとに、実習する内容あるいは到達目標を明記をした技能実習計画を作成をさせて認定をする、外国人技能実習機構認定をすると、そういった中でより適正な仕組みにしていきたいというふうに考えております。
  13. 丸山和也

    丸山和也君 それは分かっています。確かに、形式的に当てているんですね、送り出し国においてもそういうニーズがあると。例えばこの例でいうと、送り出し国においてもオオバの摘み取り作業必要性がある、日本において反復継続してやると、その修得度をまた評価するとかいろんなことを当てはめていけば形の上では確かにそうなるかもしれませんけれども、大きなこの制度趣旨からいって、日本に来て農家葉っぱの摘み取り作業をして十枚数えて冷蔵庫へ入れる、これを延々と繰り返す、これは常識的に言えば技能実習ということじゃなくて、要はまさに単純労働なんですよ。それが人手が、なかなか日本人がいないからこそ、そういうところにはめ込んでいるんですね。  だから、こういうことをもう国も分かっていてやっている、監理団体受入れ機関も分かっていてやっている、国も認めてくれると。しかし、建前は違うんだという中で、いびつな構造があって、その中でむしろ賃金問題とか待遇の劣悪さとか、あるいはその他の人権問題だとか、いろんな問題がむしろ起こりやすい構造をつくってしまっているんじゃないかというのが私の心配なんですね。ですから、国が認めた違法、脱法行為みたいな、そこまでは言いませんけれども、そういう認識すら持っている関係者もいると思うんですね。  ですから、そこで例えば賃金不払があったとか残業があったとか、それから劣悪な環境だとかいって、あるいはある作業受入れ機関Aという農家で例えばその仕事が終わったと、しかしまだ働きたいと。すると、そのままその外国人はBという農家に、本来ならその移転ということをきちっと手続して報告もしてやらないかぬのですけれども、それは便宜を図って、働きたいという、それからBという農家の必要にも応じて、そういうふうにすると。すると、やっぱりそれは虚偽報告になったり形式違反だとか飛ばしとかいろんな問題が発生して、それがまたある意味では処罰の対象になるんですよね。  ですから、非常にこの制度、そしてまた、更に言いますと、そういう外国人技能実習生、たくさん不満を持っているんですよ。もちろん、当然正当な不満もありますし不当な不満もあるんですけど、そういう外国人技能実習生に積極的にアプローチして、不満があったら言ってきなさいよと言う、そういう団体もあるんですね。どことははっきり言いませんけど、そういう団体もあるんです。すると、そういう団体は、よし来たということで、そのクレームをその監理団体なり受入れ機関に、こういう問題が発生しているけれどもどうするんだと、解決しないなら入管通報するよと、もし解決するならば一定の手数料でこれを解決してやるよと、これを業としている団体なり、そういう人物というか、ところもあるわけですよね。必ずいろんな問題ありますから。だから、この制度のバック、背後にはそういうことを業として暗躍している人物なり団体もあるように聞いております。  すると、奇妙なことに、そういう人物団体入管の方は基本的に利害が一致するんですね。そして、それを、通報があれば入管も放っておくわけにいかないから現地調査をすると、これは違反じゃないかと、幾ら形式的違反でも違反じゃないかと、こうやると。それを恐れて、通報を免れるためにそういう機関に、団体に一人頭幾らという手数料を払ってみたり、顧問契約してみたり、あるいは個々のケースで示談、弁護士まがい手数料を払ったりということもかなり行われていると聞いております。  そうなると、このゆがんだ制度の下で実際に単純労働が行われ、そういう違反が摘発され、処分はするのはいいんですけれども、そういう本来技能実習に見合わないような単純労働者を受け入れることを入管として認めておきながら、これを今度処罰していくという、非常におかしな国の仕組みが成り立っているという面があるように思うんですね。  だから、これはなかなか、はい、そうですと入管もお答えになれませんでしょうから答えは要りませんけれども、やはりここらを、本音建前をある程度きちっとただしていかないと、この制度というのは、たしか今度介護分野にも拡充されていくそうですけれども、このままこの制度をずっと維持していっても、やっぱり一つの僕はもう本来の制度的な内在的な限界と、それから運用面におけるいろんなトラブルがこれからも出てくると思うんですね。  そういうことで、この制度全般についての抜本的な見通しと、それからやはり労働市場の開放といいますか、そういう、どういうふうにこれを議論していくかということも併せて議論すべきじゃないかと思うんです。  安倍総理も、これは国会質疑なんですけど、二〇一四年の二月十三日、衆議院予算委員会で、当時の民主党の古川元久さんの質問に対して総理は、「国民的な議論を経た上で、多様な角度から検討していく必要がある」と。要するに、国民的議論をして、いろんな角度からいわゆる労働力受入れについて検討していく必要があると、もうそういう時期に来ているという、これは賛成とも反対とも取れる意見でありますけれども、そういう、一般的には議論必要性があるという答弁安倍総理もしているんですけれども。  そこで、大臣、そういう、この点についての大臣の御認識をひとつお聞きしたいと思います。
  14. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 委員のただいまの御指摘、本当に、伺っておって、非常に重要な基本的な部分を御指摘になっているなという思いを持っております。  本来の目的、その趣旨というものをしっかりと、この改正に当たってはしっかりと踏まえた形に実態も持っていかなければいけないと、こういうふうに思っているわけですが、その中で、他方で、専門的な、あるいは技術的な分野とは評価されない分野外国人受入れというものに対しては、やはりニーズの把握とか経済的な効果の検証とか、あるいは日本人雇用の状況に対する影響とか産業構造への影響、あるいは教育や社会保障社会的コストとか治安といった幅広い観点から、国民的なコンセンサスを踏まえて政府全体で検討していく部分が必要なのかなというふうに私は考えております。  したがって、外国人材受入れについては、やはり専門的な技術的分野外国人、これはやっぱり我が国経済社会に資することでもありますから、やはり積極的に受け入れていくということも、これも重要であると認識しておるわけであります。
  15. 丸山和也

    丸山和也君 一般論でお答えいただいたんですけれども、外国人受入れ問題というのは、難民問題も含めて世界的に非常に、一部では、今度の大統領予定、まだ正式には大統領じゃないんですけど、トランプ氏の誕生とかもあって、やや排斥するというような動きとか、非常に激しい議論を再び呼ぶようになっています。  そして、ヨーロッパ諸国辺り見ますと、大体、まあ大ざっぱですけど、十人に一人ぐらいは移民なんですよね。元々アメリカはもう移民で成り立っていますからもっとあれですけれども。そして、そこに更に、近時、難民問題、アフリカ等からの難民問題というのが、シリアの内戦とかを踏まえて大量に、多くの難民ヨーロッパを中心にして来ております。  日本移民鎖国というか、難民も本当に、少し増やすようになりましたけれども、ほとんどクローズされております。そして、一方、片や日本は少子化が世界一のスピードで、少子高齢化といいますか、世界一のスピードで進んでいると。このまま五十年先に行くとどうなるんだろうなと。やっぱり、日本活力経済力、それから精神力文化力、いろんな意味活力ある社会をそれなりに維持していくということで、人口の維持というのはある程度は、人口だけじゃありませんけど必要だということを考えますと、やっぱり余りかたくなに門戸を閉じてこそくな、こそくなと言ったらちょっと言葉があれですけど、技能実習制度をちびちびちびちび切り開いていくようなことでなくて、外国人を受け入れ、それと共存共栄していくという開かれた日本をつくっていくという必要があるんじゃないかと思います。  そして、外国人受入れの中では、とりわけ犯罪が多くなるとか治安が悪くなるとか、それからいろんなことが言われますけど、また、宗教対立を持ち込むとかいろんなことが言われていますけれども、日本というのは比較的宗教対立の少ない国であります。キリスト教であれ、仏教であれ、イスラムであれ、それぞれがそれぞれの分をわきまえてと言うと変ですけれども、共存していく、そういう結構多様性があって、かつ日本化していくと、そういう非常に優れた能力と歴史を持っている国じゃないかと思います、日本は。  だから、必ずしもヨーロッパ、いわゆるヨーロッパ先進国と言われているところにおける移民問題のような激しい対立といいますか問題は、必ずしも日本では起きるとは限らない。むしろ、起きない可能性日本型の移民国家ということも十分成り立つんじゃないかとも思われるんですね。でも、それらも含めてやっぱりそろそろ議論をしていかないと、日本は世界の中で出遅れるんじゃないかとは思います。そういうことを言いまして、これは大変大きな問題でありますので、今後しっかり検討をしていく必要があると思います。  それから、最後数分になってしまいましたけど、法曹養成等について少しお聞きしたいと思うんです。  もう御存じのように、日本法曹人口の増加とそれに伴う問題もたくさん出ていますけれども、資料の方の二の方ですか、知財を守ってくれない日本司法制度と、お配りしていますけれども、これ、ノーベル賞をもらいました中村修二さんの日本での講演の抜粋なんでありますけれども、つまり、日本法治国家司法国家と言われながら、本当は司法の機能が必ずしも活用されていないというふうに、私も弁護士の端くれとして何十年関わりながら感じているんですね。  それで、本当に、その大きな問題は三つあると思います。一つ法曹人口の問題、それと裁判所の問題、それから、訴えを起こすときの訴額に応じた申立て費用貼用印紙といいますけど、申立て費用が非常に高くなるという、この三つが大きなバリアになって、なかなか我々一般人が法的な正義を求めることにバリアになっていると。いろいろなトラブルがあって、正しい解決を司法的に求めると、しかし、やっぱり裁判は大変だと。弁護士の数も、アクセスが非常に難しい。それから、訴えるについてはかなりの金が要ると。  これは、例えば一審で、さっき、仮に一億円の場合は三十二万円の印紙が要るんですね。これが一千万円の場合は五万円ですけど、これが一審であって、控訴する場合は、またその一・何倍とかいう倍の金が要る。さらに、最高裁に行くと、更にもっと高いお金が掛かる。だから、日本では、法的ジャスティスを追求しようと思えば思うほど金が掛かるんだ。金をまず積まない方には裁判所門戸を開いてくれないと、それが段々高くなっていくと。  例えば、アメリカの場合は、基本的に二百ドルから三百ドルですよ、百億請求しようが、百万円請求しようが。控訴したから高くなるというようなこともない。だから、非常に日本は、正義の最後のよりどころである司法的な正義を求めることも金次第というような、こういう、非常に司法が開かれていないんですね、国民に。  だから、法務委員会に所属している我々としても、本当に、最後の判断というのは、やっぱり最終的にはいろんな議論、自由な議論があって、それで対立する場合は、最後のジャスティスは司法の場でしか決着の付けようがない。ここの門戸が非常に厳しいということについて、とりわけ、この訴額に応じて印紙代が高くなっていくこのシステムについて、僕はやっぱり検討して変えていく必要があると思うんですけれども、時間の関係で最後の質疑になってしまいましたが、これについてどう思われますか。
  16. 小山太士

    政府参考人(小山太士君) お答え申し上げます。  国民が適正な費用で良質の法的サービスを受けられるようにすることは、国民が利用しやすい司法制度の実現という見地から重要な意義があるものと認識しております。  民事訴訟の提訴手数料制度は、裁判制度を利用する者にその制度の運営費用の一部を負担させることが制度を利用しない者との対比において負担の公平にかなうものであるとともに、副次的には濫訴の防止という観点をも考慮したものでございます。そして、訴額に応じて手数料の額が増加するという今先生御指摘のスライド方式でございますが、これは、裁判制度利用者相互間においても取得可能な利益の多寡に応じて手数料の額に差を設け、負担の公平を図るとの観点から合理性があるのではないかと考えているところでございます。  先生御指摘の訴訟費用を一律定額とすること等につきましては、請求額をいたずらに高額なものとする訴訟の提起が増加しないかといった懸念をも考慮しつつ、提訴手数料制度や、この今ありますスライド方式、この趣旨を踏まえまして慎重な検討が必要と考えております。
  17. 丸山和也

    丸山和也君 時間が来ましたので終わりますけれども、濫訴の心配なんて全くないと思うんです。一般民事事件、ずっと低減しているんですね。だから、日本ではむしろもっともっと訴訟が起こしやすくすると。要するに、これは自由な言論、自由社会の最後のとりでですから、そういう意味裁判所も意識改革、我々も意識改革をする必要があるんじゃないかと思っています。そうでないと、本当の意味でも個人の自由と権利は日本では守っていくことが非常に困難になるという危惧を抱いておりますので、その点を申し上げて質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  18. 真山勇一

    ○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。  この外国人技能実習生の問題というのは、本当に議論をしていけばしていくほど問題点がいろいろ出てくるな、そしてそれを一体どうやって解決していけば、こうした実習生に係るいわゆる権利の問題、人権侵害の問題とか様々なことを取り除いていけるのか。これはもうやっぱり決めて、決め事をちゃんと作って、そしてそれを関係者、関係機関がしっかりと守っていくということ以外にないのではないかというふうに思うんですが、その一方で、やはり、今回のこの委員会で先日現地の視察を行いました。それから、参考人から御意見も伺いました。それから、連合審査もやりました。こういうものをやっていけばやっていくほどやはり矛盾点が出てきて、建前本音、つまりこの技能実習生目的、今お話ありましたけれども、国際貢献ということからどんどんどんどん遠ざかっていってしまって、やっぱり本音労働力不足であるとかあるいは若い人たちが足りない、そういう問題に行き着いてしまう。  今、私も、丸山委員の御意見聞いていて本当にそのとおりだなというふうなことを思うんですね。やっぱり建前、この法律が求める建前本音、本当のいわゆる実態ですね、これが本当にもう懸け離れてきてしまっているということを多くの人が感じていらっしゃると思うんですよね。だからこそ、私がとても不自然だと思うのは、やっぱり法律の中で、これは単純作業をやってもらうためじゃないんだよ、人手不足を補うためじゃないんだよ、これは日本の技術を移転させるための国際貢献なんだということをあえてこうやって声を大きくして書かないとその趣旨がなかなか生かされないというのが現状じゃないかというふうに私は思っています。  この審議を通じて、何回か私も質問させていただいているんですけれども、まだまだはっきりさせなければいけないことがたくさんあるなというふうに思っております。今日は、何というんですかね、受け入れるいろいろな機関の話は大分出たんですけれども、やはり実習生の声というのは本当に生かされているのかな、実習生というのはどういうふうに思っているのかなとか、そういういろんなことがまだはっきりしない部分があると思うんですね。  私、先日の視察で本当に感じました。やはり、本当に真面目に受け入れて、そして実習生を真剣に教育しようということでやっていらっしゃるそういう実習実施機関、あるいは受け入れている経営者というのはたくさんいらっしゃると思うんですけれども、そういうところでさえ、日本の例えば高校生、人手が欲しい、高校生を雇う、でもなかなか応募がない。応募があっても、やっと見付かったその従業員が二か月か三か月すると辞めていってしまう。それだったら、やっぱり三年間きちっと真面目に働いてくれる技能実習生を入れた方がいい、そういう声をやっぱり現場から私も聞きました。それが、この技能実習生趣旨に沿った研修をやっている受入先でさえやっぱりそういう現実があるということ。ですから、それを乗り越えて一生懸命受入れ機関はやっているという良心的なところもあるわけですね。ただ、良心的なところよりも、一方的に問題を起こしているところの方が今やはり多いんじゃないか、それがやはりこの制度問題点になっているというふうに考えております。  まず、今日はその実習生の立場に立ってちょっといろいろなことをお伺いしていきたいと思うんですが、やっぱり何といっても実習生日本に来る大きな理由の一つというのは、自分の国よりも日本へ行く、先進的な日本だから賃金水準も高いし、やはりそこで技術も身に付けられればいいけれども、やはり何といっても収入を得たいという希望があると思うんですね。賃金の問題というのは、やはり少し、今はやりの言葉で言えばブラックボックスみたいなところがあって、お伺いしていても本当の賃金体系というか姿がなかなか見えてきていないんですね。  まず、私、質問に入る前に確認したいんですが、技能実習生賃金、平均賃金、これは幾らというふうに捉えられているのか。それから、その一方で、日本の最低賃金というのがありますね、この最低賃金というのはどのくらいなのかという数字、もう一回これは確認のためにお願いいたします。
  19. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えをさせていただきます。  まず、技能実習生賃金でございます。これ、二〇一四年度の数字でございますけれども、技能実習二号移行予定者への支給予定賃金ということで、平均十三・〇万円となっております。  それから、最低賃金でございます。これ、平成二十六年度の数字で申し上げますと、全国の加重平均で時給で七百八十円、これは月給に換算をいたしますと約十二・四万円でございます。ちなみに、最も低い県で申しますと時給で六百七十七円、これは月額に換算をいたしますと約十・八万円という数字でございます。
  20. 真山勇一

    ○真山勇一君 確認させていただいた数字、技能実習生の場合は二号移行の方で十三万円、それからその一方で、日本の全体的な最低賃金と呼ばれるものの、これは時間給を月給に直すと十二・四万円というお答えをいただきました。  これまでも、この審議の中で繰り返し出てくる、賃金、具体的に決められないのかという話をしたときに、日本人の報酬額と同等以上という答えが出てきているんですが、やはり具体的にこのぐらいという一つの目安というもの、それはやはり決めることは無理なんでしょうか。
  21. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  これまでも御答弁申し上げるところでございますけれども、やはり賃金実態、今最低賃金の数字も全国的にも平均と最低のところでもかなり差がございます。それから、職種ですとか、そういった点によっても賃金といいますのはかなり格差がございます。そういう中で、なかなか統計的に一律な形での基準、最低賃金というのはもちろんございますけれども、それとは別に統計的な一律の基準を設けるというのはなかなか困難であるというふうに考えております。
  22. 真山勇一

    ○真山勇一君 やはり技能実習実態というのも複雑なので、ラフな感じでもやっぱり最低ラインを決めるというのはなかなか大変だと思うんですけれども、やはり最低ラインというのは一つはっきりさせるためにも作るべきではないかなということを、私以外の委員の方も皆さんから出ていると思うんですね。  今、金額でいうと平均賃金が十三万ということなんですけれども、実際にこういう調査の中で、それではこの十三万というのはどういう勤務実態ということなのか、これにほかの手当とか時間外とかそうしたものが入っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  23. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  先ほど御答弁をいたしました十三・〇万円でございますけれども、これは雇用条件書における支払概算の月額でございます。したがいまして、基本賃金それから各種手当は含まれておりますけれども、時間外の賃金というものは含まれていないという数字でございます。
  24. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうすると、実態として、実習生に支払われている例えば時間外の実態がどうなっているのかということと、それから、十三・〇万円というのは概算ということなんですが、その中に要するに差し引かれるものがあると思うんですね、いろいろと。例えば寮に入っていれば寮費とか、それから寮で食べる食費ですとか、それからもちろん例えば税金関係もありますよね、そうしたものも引かれると思うんですね。そうすると、その十三万円のうちの実際に技能実習生が手取りとしてもらう額という数字はどのぐらいかというのはつかんでおられますか。
  25. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  実習生の具体的な手取りがどのくらいになるかということでございますけれども、まず、当然、収入といたしましては、先ほどの十三万円に、これは残業があれば所定外時間が加わるということになります。それから一方で、先生が今御指摘ありましたとおり、例えば住居費ですとか食費が差し引かれる、あるいは、当然、技能実習生社会保険、労働保険にも加入いたしますので、そういったものもございます。  ですから、それを差し引いた手取りがどのくらいになるかということでございますけれども、残念ながら現時点において、そういった手取り自体が幾らになるかというようなことを私どもとして統計的に集計をしたようなデータはございません。
  26. 真山勇一

    ○真山勇一君 それでは、今出てきたいろんな数字、具体的な数字ありましたけど、これは一体どこが調査したものなんでしょうか。それから、そうすると、そうしたものの、今私が伺ったような手取りがどのぐらいか、それからどんなものが引かれているのかという実態はつかんでおられないということになりますか。
  27. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  まず、今お答えをした数字でございますけれども、これは国際研修協力機構、JITCOの調査の結果でございます。それから、繰り返しになりますが、手取りが幾らになるかというような数字というのは、このJITCOの調査も含めまして、データというような形では私どもは把握はいたしておりません。
  28. 真山勇一

    ○真山勇一君 データとして把握していないということは、そうすると、実際に実習生がどのぐらいお金をもらうのか、賃金受け取っているのかということは、雇う人、雇用側の実習実施機関ですね、いわゆる、そこと実習生の間でしか分からないんですか。そこは多分雇用契約でそういうものは結ばれていると思うんですが、そうじゃないんでしょうか。
  29. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  個別に、例えば基本手当が幾らになるか、あるいはどういうものが差し引かれるかということについては、入国の時点での審査の書類としてはこうした形になるというものは出てきております。  ただ、現実に実態としてそれが幾らになっているのかというようなことについては、何度も繰り返すように、統計的なデータとしては、私ども全体としては把握をしていないということでございます。
  30. 真山勇一

    ○真山勇一君 例えばJITCO、国際研修協力機構が多分実習生にいろいろなことを説明したり事情を周知徹底すると思うんですが、例えばそういうときに、雇ってくれる実習実施機関の人、そういうところから給料をどのぐらいもらうかということは確認するんですよというような、そういうことはやっていらっしゃるということですか。
  31. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  JITCOは、ただいま現時点でも私どもの委託事業という形で巡回相談をやっております。当然、そういう中では、賃金がどういう形で支払われているのか、あるいは控除としてどういうものが控除されているのかということについてのチェックはし、そういう中で、仮に例えば労働法令上の問題があったときには指導をし、あるいは必要に応じて労働基準監督機関通報をすると、そういったような取組としては行っております。
  32. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうですね。そういうことをやらないとやっぱり実習生の抱えるいろんな問題、様々な問題が出てきてしまうということなので、当然やっているというふうに思うんですけれども、なかなかそれが本当に機能しているのかどうかというのが、先ほど私申し上げましたけど、なかなか見えてこない部分があると思うんですね。  もちろん、給料の問題なので、どこまで公開するかというのは、その実習実施機関の方の事情もあるでしょうから、全部さらけ出せといってもこれは難しいとは思いますけれども、でも、やはりこれはある程度、雇う側、雇われる実習生がしっかりとお互いに信頼関係でやっていかないと、いつまでたってもこうした問題でいろんなトラブルが出てきている。つまり、本来ならばもらえるお金がもらえないとか、あるいはもらってもその中からとんでもないものがいろいろ引かれていて例えば半分になっちゃったとか、そういうことがいろいろあると思うんですね。  そうした実態はやはりどこが調べるかといえば、この国際研修協力機構、JITCOが、今の段階ではここがやっぱりやっていかなくちゃいけないと思うんですが、その辺り、実際に勤務状況、例えば残業がどうなのかとか休日はきちっともらえているのかとか、それから休暇というのはあるのかとか、そうした基本的なところぐらいはやっぱり資料としてまとめる必要があると思うんですが、そういうところは調べていらっしゃるんでしょうか。
  33. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  これも、私どもからJITCOへの委託事業という形で、技能実習生労働条件等に係る自主点検結果というものを取りまとめております。これで、例えば、これまでも御議論になりましたけれども、三六協定を結んでいるかとか、あるいは時間外労働につきまして具体的な数字としてどのくらいになっているのかというような数字については一定の調査はございます。  ただ、もちろんこれは全数調査ではございませんので、あくまでも、冒頭申しましたとおり、自主点検結果として提出をいただいた事業場の調査ということでございます。
  34. 真山勇一

    ○真山勇一君 そういうことをやっているならば、それが守られているかどうかというところが大事だと思うんですよね。三六協定を結んでいる、結んでいると思うんですけれども、じゃ、守られているのかという、やはりそこまで踏み込んだ実態調査というのはしておくべきだと思うんですけれども、それはどうですか。
  35. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  先ほど御答弁したとおり、巡回指導あるいは個別の御相談等によりまして、JITCOにおきまして例えば労働法令上問題があるというような事案を把握した場合については、当然ながら、JITCOにおいて指導をすると、あるいは労働基準監督機関に申告をするというような、通報をするというようなことで対応いたしております。  さらに、これに加えまして、もちろん直接労働基準監督機関通報なり申告なりがあるというケースもございます。そういうケースにつきましても、これもこれまでの御審議の中で担当部局から御答弁させていただいたとおり、労働基準監督機関が把握をした事案としては、労働法違反等があった場合には適切に対応しているということでございます。
  36. 真山勇一

    ○真山勇一君 ちょっと細かいことになりますけれども、例えば、もらった賃金の中から差し引いてもいいよ、認められる、こういうものは引いても問題ないというものと、それから、これは差し引いちゃまずいよというような、そういう一つの基準ですね、こうしたものをやっぱり、それぞれ雇用している側にとってはそれぞれの事情があると思うんですが、その中でもやっぱり、これは差し引いてもいい、例えば最優先のものは税金とかそれから保険ですよね、そういうものはあると思うんですけど、どういうものはいいよと、それからこういうものはいけないよということは、雇う側にはっきりと指導なり監督なり、それは機構からやっているんでしょうか。
  37. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  まず、税金、保険料については、これは国の仕組みとして差引きができるということでございますけれども、それ以外に、例えば食費ですとか住居費等々について賃金から差し引くことができるかどうか、これは労働基準法に規定がございます。事前にこれは労使協定を結んで、こういう経費については差し引けるということであれば差し引くことができるということになっております。  当然ながら、そういった労働法令につきましては、これまでも様々な形で私ども周知をしておりますし、これからも、一方で、例えば差引きの額が非常に大きかったというような事案というのも発生しておりますけれども、そういった点、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  38. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうした今話が出ました労働法令とかそういうものが、なかなか実習実施機関、雇う側に徹底されていない部分がこれまでも指摘されてきているわけですね。  もちろん、人を雇って使うということに慣れている雇い側だったらばそういうことはもう十分承知の上でやりますし、はっきり言えば、指導とか監督で言われなくても、最低これだけは雇う側として守らなくちゃいけないということを分かっていると思うんですけれども、やっぱり、その実習実施機関の中にはそうしたことに慣れていない、特に個人でやっていらっしゃるところ、それから従業員が本当にもう家内工業でやっていらっしゃるところ、あるいは農業ということですね、そうしたところなどではなかなか分からない。  そうすると、実際に、労働協約とかそういった面をどうやって、あるいは賃金の面も含めて、休みのことも含めてどうやって守ってもらうようにするのか、講習が必要。これもこれまでのこの審議の中で出てきましたけれども、その講習はやりますよと言っていらっしゃいますけれども、この雇う側に対するそのやはり実習生の待遇については最低こういうものは守らなくちゃいかぬのだというようなことの徹底というのは、どんなふうにして現在やっていらっしゃいますか。
  39. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  現状におきましては、繰り返し御答弁しているとおり、JITCOの巡回指導等々によりまして、そういった労働法令の内容につきましても事業実施者に周知をしておるところでございますけれども、先生からただいまお話ありましたとおり、新しい制度におきましては、実習実施者は、実習生技能修得ですとか保護ですとか、あるいは生活の支援等の技能実習全般の適正な実施を確保するために、これらを統括する技能実習責任者を事業所ごとに配置をしなければならないということになっております。そして、この技能実習責任者に講習の受講を段階的に義務付けるということを私ども検討をしております。  この技能実習責任者に義務化をいたします講習の内容といたしまして、技能実習制度ですとか入管法令、あるいは、ただいま御議論いただいているような労働関係法令等の知識の習得、理解の向上を図ることができるものにしたいというふうに考えております。
  40. 真山勇一

    ○真山勇一君 実習機関側にそうした責任者をつくるということがこれから行われるということなんですが、これは当然、新しくつくられる外国人技能実習機構でこういうことが実現されていくというふうに思うんですね。  責任者と言う以上は、何かあった場合はやっぱり責任を負うべき立場になるというふうに思うんですけれども、この辺り、もしその労働協約に違反していたり、それから、あるいは問題を起こした場合、やっぱりこの責任者というのはそういう問題に対してどういうふうな処理をするのか、あるいは機構としてはどういうような対応を取るというふうに考えていらっしゃいますか。
  41. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能実習実習実施者において、この技能実習に関して何らかの例えば労働法令上の問題があったというような場合については、これはそもそも企業、法人、それから法人たる事業主、それから場合によってはその当該業務の責任者、恐らくこれが、技能実習責任者がそれに当たるというケースがありますけれども、ケース、ケースに応じてその責任を問われるという形に当然なってくるであろうというふうに考えております。
  42. 真山勇一

    ○真山勇一君 やはり新しい組織をつくって、そして新しいそういう仕組みをつくるんですから、それを是非生かしてやっていかなければいけないというふうに思うんですけれども、やっぱりそれにしても講習というのはなかなか難しいと思うんですね。  講習実施していくけれども、段階的にやるというようなことを有識者会議で決めているようですけど、段階的にと言うんですけれども、講習のやはり何か実施をするに当たっての講習会の仕組み、中身、この辺りは何か考えていらっしゃるでしょうか。
  43. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  具体的な中身についてはまさに今検討をしているところでございますけれども、いずれにしても、現状でも実習実施者約三万五千いるという中で、そういった方々に、そういった実習実施者のところの技能実習責任者に最終的にはこの講習を受けていただくというのが、技能実習責任者の要件としたいというふうに考えておりますので、そうしますと講習の方もかなりの規模でこれを全国的に展開をしていかなければならないというふうに考えております。  したがいまして、現在そういった形でいきなり全国でフルにこれを展開をするというのはなかなか正直困難なところがございますので、どういった形でこれを逐次展開していくのかというようなことも含めて今検討しているところでございます。
  44. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうですね、今おっしゃったことはそのとおりだと思うんですね。  いわゆるいろんな実習生を受け入れる側が法的な問題のことについて全く例えば知らないとか、例えば働くことについても自分がやってきた経験というものしかないとかという、そういう方たちがいきなり実習生を受け入れるというのは大変だと思うんですね。やはり、まず講習で少なくとも受け入れるんならばこのぐらいのことはきちっとまず頭で基礎知識として理解しておいてくださいというのが、まずそれが先決じゃないかなという、本当にそのとおりだというふうに思うんですね。  ですから、これから新しい機構になって、やはりその辺り大変でしょうけど、そうした仕組みをつくっていくべきだと思うんですけれども、大臣、その辺りは、やっぱりこれ、もう一回実習生を受け入れるに当たって、受け入れる側の、特に実習生と向かい合う、いわゆる雇う側、実習実施機関というところが大事だと思うんですが、これは是非やっぱり実現していくべきことじゃないかと思うんですが、どんなふうに考えていらっしゃいますか。
  45. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 今までの委員の御議論を承っておりました、御指摘のとおりだろうと、こういうふうに思っております。  技能実習制度適正化のためには、やはり技能実習生の直接の受入れ機関であります実習実施者においてしかるべき立場の者が労働法令等の知識をしっかり身に付けていることが重要であろう、こういうふうに思うわけでありまして、御指摘のとおりだと思いますが、これについては、先ほどお話に出ていました有識者懇談会の報告書にも出ておりますが、技能実習制度あるいは入管法令、労働関係法令、こういったものを、やはりその受講をやっていくことが大事である、しかし段階的に義務化をしていくべきだというふうにされております。  今、厚生労働省の局長からお話がございましたが、人数の関係、組織の関係、数ですか、三万五千というお話もございました。そういう限界もございますから、事業実施者の数を踏まえた場合には、これを段階的に行わざるを得ないのは実際上の困難というものもあると。しかし、委員指摘のとおり、やはり施行をするに当たって段階的にしっかりと受講を義務化をしていくということは非常に重要だというお話、そのとおりだと思いますので、いずれにしましても、労働関係法令の知識、これは非常に重要だと考えておりますから、制度を共管いたします私ども法務省と厚生労働省、連携をよく取りながら講習の適切な整備に努めていきたいと、このように考える次第であります。
  46. 真山勇一

    ○真山勇一君 このやっぱり技能実習生の問題を考えると、手が欲しいという側は、もうとにかく一刻も早く欲しいという方が多いと思うんですよね。だから、講習なんかまどろっこしいことよりも、とにかく実習生を受け入れさせてくださいみたいな話になってしまうと思うんですが、やはり、今回のこの改正を目指している制度、これをしっかりと定着させるには、そういうことを一つずつ確実にしていくことというのが大変大事じゃないかというふうに思います。  それで、皆さんにお配りしてある資料の話にちょっと行きたいんですけど、この青い小さなパンフレットあります、本があります、冊子があります、技能実習生手帳というのが。これ、先日の委員会でもお話の中に出ましたけれども、実習生日本へやってきたときにこれを渡して、何かあったときによく読んで、何かあったらここにいろんなことが、情報がいっぱい入っているよと、これをしっかり読んでくださいということで渡すというふうに伺っております。  この技能実習生手帳の、何というんですかね、役割、これはどういうものかということをまずお伺いしたいと思います。
  47. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  この技能実習生手帳でございますけれども、これ、厚生労働省が委託事業により作成をいたしまして、技能実習生入国時に入国審査官から技能実習生に一冊ずつ無料で配付をしている携帯用の手帳でございます。日本において健康で充実した技能実習生活を過ごすことができるように、技能実習生の心構え、生活、衛生面における情報、あるいは御議論いただいているような労働関係法令等を記載をするとともに、行政相談窓口の案内など実習生に役に立つ情報を分かりやすくまとめたというものでございます。
  48. 真山勇一

    ○真山勇一君 分かりやすく、必要な情報を分かりやすくまとめたということで、これ、実習生にとっては結構、私は、これいただいて中を見たら非常によくできているという印象を持っております。多分、私が実習生だとして渡されれば、これ読んでみて、ああ、自分がこれから日本で働くに当たってはこういう義務を果たさなくちゃいけないんだ、それから、こういう法律で自分は守られているんだとか、それから、もし病気になったときはどうするんだとかという、割と丁寧な案内になっていると思います。  私も、前の仕事、メディアの仕事をしていたときに特派員ということで外国で生活したことあるんですが、やっぱり外国へ行くと一番大事なことは、まず子供の学校ですね、教育のことがどうなっているのかとか、それから病気になったときお医者さんどうしようかとかなるんですが、それから、そうした問題がこれにはぎっしりと、小さな本ですけれども、私は書かれているというふうに思っています。  そして、このベトナム語版、今皆さんにお配りしたのはベトナム語版というふうに書いてあるんですが、これ、日本実習生の多い五か国の分を今作っていらっしゃるということなんですけれども、ただ、それ以外にも、最近、実習生いろんな国から来ておりますね。これだけ大事なものなので、ほかの言葉でも作るというような予定、考えというのはありませんでしょうか。
  49. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能実習生手帳、今先生からお話ございましたとおり、中国語、ベトナム語、フィリピン語、インドネシア語、タイ語、それから英語でも作っておりますけれども、中国語、ベトナム語、フィリピン語、インドネシア語、タイ語の五か国語で、現在実習生全体の九六・四%をカバーをしております。  さらにまた、現在この技能実習生手帳を用意をしていない言語につきましても、その実習生が増えた場合には新たにそうした言語による手帳を作成するということも検討してまいりたいというふうに考えております。
  50. 真山勇一

    ○真山勇一君 大部分をカバーしているということなので、やはり言語というのは大変だと思いますね。今こういう実習生を受け入れれば、それだけいろんな国から来れば、本当に少ない人数でもその言葉が必要になってくるということがあると思います。是非そういうことにも対応していっていただきたいというふうに思うんですが。  例えば、今お配りしたベトナム語版、私はベトナム語って全然分からないので、この技能実習生手帳と書いてある下にベトナム語がありますけれども、これどういうふうに読んでいいのか、ちょっとなかなか、この上にいろんなマークが付いてあるので、こういうときはどういう発音をするのかなというふうに考えているんですけれども。やっぱりそれは、言葉はそれぞれのところで難しいと思うんですが、この中身開いて見ると、左側には日本語で書いてあるということなので、それを読んでみますと、一ページの目次というところを見ると、本当に親切に項目が並んでいます。法令の適用、雇用契約労働時間、休日、賃金のこと、社会保険のこと、健康診断のこと、それから相談する窓口のこと、こうしたことがいろいろ書いてあります。  この中に、やっぱり大事なのは、七ページにある技能実習に当たっての心構えというところを見ると、技能実習という在留資格で来ている皆さんには労働基準法など日本労働者と同じ法令が適用されますということがはっきり書いてあるし、日本人労働者と同じようにあなたの権利が保護されると同時に、果たさなければならない義務もありますということを書いてありますね。  あと、それ以外に、例えば二十一ページを見ると、賃金の計算というのがあります。この賃金計算書というのを交付しなければならないとされている、これは支払う側ですね、それはそういうものを交付しなければいけないというふうに書いてあります。これを実習実施機関側と、これも私アイデアとしてこれ実施機関の方にもこういうものを実習生に渡しているよと、雇う側にもこういうようなことを守ってもらうんだよということを実習生に周知させていますよという意味で、これ雇う側にも配ったらどうかと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
  51. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能実習生手帳、先ほどお答えしたとおり、技能実習生に役立つ情報をまとめたものでございます。現時点におきましては実習実施機関には配付はいたしておりませんけれども、手帳の内容についてはJITCOのホームページで入手をすることができるということにはなっております。  技能実習手帳は技能実習生本人向けに作成をしているものではございますけれども、先生今御指摘ありましたとおり、実習実施機関においても関係法令等を十分に理解した上で、適切な実習環境の下で技能実習を行わせる必要があることから、この手帳の内容を十分に理解していただくということは当然ながら望ましいことだというふうに考えております。  このため、新しい制度におきましては、外国人技能実習機構がこの手帳を自ら作成をするということになりますけれども、この手帳の存在ですとか内容については、実習実施機関に対して積極的に普及啓発を行う、また技能実習計画認定手続あるいは実地検査の際にもこの手帳の内容を周知をしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 真山勇一

    ○真山勇一君 これ本当にコンパクトにまとまっていると思うんですよ、必要なことがきちっと書かれている。私はこれ大変評価しています。  ですから、受入れ側に講習をやる。講習をやれば講習の教材必要ですね。例えば労働関係、細かいそれはもちろん法規も必要です。ですけれども、今そういうことをも、大事な基本的なことですらなかなか守られていないということがあって問題になっているわけですから、むしろ実習実施機関の講習、教育のときにこれを教材にして使ってやるということは、私は非常に、実習生用に書かれているから分かりやすいんですよ、とにかく。だから、分かりやすいということはとても大事だというふうに思うんですね。やはり受入れ側の方たちもいろんな方がいらっしゃいます。もう法律苦手だという人はいらっしゃいます。法律のこましい条文を読むよりはこちらの方が多分理解度も早いし、ああ、なるほどと思っていただけるんじゃないかなと、私はこれ見た途端にそういう気がしました。  それから、今ホームページで公開されてダウンロードできます。これ、最近、いろんなこと資料要求すると、大抵それはホームページにありますからそっちを見てくださいと言われるんですね。それでいいと思います。私もそれ言われたら、ああ、そうですか、じゃ、ダウンロードして見てみますと言えると思うんですけど、皆さんがそうでしょうか。特に、町工場だとか農業をやっていらっしゃる方、農家で、若い方なら今はもうインターネットやっていらっしゃるかもしれません。だけど、今は農家というのはお年寄りが多いわけですね。それから、中小企業の経営者も大体、お訪ねしてみると高齢の方が多いですよね。なかなかインターネットやっていないし、やっていたって、例えばダウンロードする暇がないんだよという人もいる。  やっぱり、私の世代なんかもそうなんですが、ネットで引くよりも、やっぱりこうやって一つの具体的な形でもらった方が、ああ、なるほどと、受け取った、その受け取った感が分かるんですね。ですから、やっぱりこれを作る製作費はあるでしょうけれども、やはりそのぐらいは惜しまずに、逆にこうしたものを利用するという。  私は、いつもこの委員会でいろんな資料を請求してもったいないなと思うのは、とってもいい資料があるんですが、そこだけには行っているけど周知徹底全然されていない、ほかの人は知らないんですよ。そういうふうに、ああ、こんな資料があったのかというのが、私、これもらったときもそういう印象なんですよ。ああ、こんなコンパクトな資料を作っているのかというふうに、そういう思いがしたんですね。  この使い道、せっかく作ったのならたくさんの人に見てもらって、たくさんの人に利用してもらった方がいいと思うんです。これは生徒用だけに配っているから講習やるときはまた別な教材作りますじゃなくて、これが私は立派な教材だと思います、本当に。実習生にこういうことを言っているんですよ、だからその実習生を使うあなたもこういうことを守ってくださいねと、一目瞭然じゃないですか。両方の共通事項ですよ、これは。そんなふうに思います。  ちょっとこれいただいて、私はこんないいものあるとびっくりしちゃって、それから、今までもその資料請求したときに、ああ、もったいないな、例えば法務省が作っていらっしゃる人権関係のパンフレットなんかは本当にいいものがあります。それから、私は保護司をやっているので、保護司のことを説明した、紹介したパンフレットもあります。本当にいいものなんですが、見たことないんですよ、関係者以外。これがやっぱり一番問題かなというふうに思っています。  ですから、技能実習生というのも、言葉としては知っていても、やっぱりなかなか世間の人知らないですね。お隣の町工場に何か新しい外国人の若い人が来たよ、うん、何かあそこ、ほら、前から人手が足りない足りないと言っていたから、きっとそれで雇ったんだよ、多分そのぐらいの認識ですよね。技能実習生という言葉でつながるかといったら、なかなかつながらないというふうに思います。  だから、そういうときに雇っている方から、やっぱり例えばそれこそ御近所から、何か最近おたくの工場に外国人の若い人来ていますね、何か元気もいいし挨拶もするし、いい人ですね。これ、ちゃんと実習生の心構えというのがあって、それが書いてあるんですよね、一日の始まりは挨拶からとか、ルールを守るとか。  だから、やっぱりこういうものを徹底させていくということは、やはり実習生を受け入れなくちゃいけないと思いますので、こういうことを是非積極的に取り組んでいただきたいなというふうに思っております。  それから、ちょっと時間なくなったので先へ行きたいと思うんですが、新しくできる外国人技能実習機構、これまでもいろんなこと、これまでよりも改善されますというのがこの実習機構の創設だというふうに思っているんですね。JITCOはやはり法的権限がこれまでないというふうに言われていましたけれども、外国人技能実習機構の方は認可法人ということなんですが、監督指導の権限もあるというふうに伺っています。  この中に、例えば実習生のいろんな悩みとか問題点トラブルを相談する窓口として相談員制度をつくるというふうに書いてあるんですが、この相談員制度というのは、そのJITCOの中ではどういうものになるんでしょうか。
  53. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  現時点においてはJITCOの中にこういった相談員を置いているというものでございます。JITCOとしての相談窓口というのがございますので、そこで相談に応じる体制ということでございます。
  54. 真山勇一

    ○真山勇一君 その体制がそのまま新しいところでも引き継がれるということですね。  それで、やはり相談の実態が本当に、じゃ、JITCOで効力を発しているのかどうかという点も含めて、その新しい体制への移行をちょっと説明してください。
  55. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  これまでの委託事業によりますJITCOにおける相談等の体制でございますけれども、これ、母国語相談を実施をしておりますけど、これが主に電話で行われていたために対応時間の面等で利便性に改善の余地があったということがございます。それから、実習生自身は受入れ機関からの強制帰国等の報復を恐れて、なかなか受入れ機関に不利となるような訴えというのを行うということは差し控えるというような問題点があったということが指摘をされております。  このため、新制度において新たに設立をされます外国人技能実習機構におきましては、まず、母国語相談については、電話による対応に加えまして、専用メールアドレスを設置をいたしましていつでも受付ができるということを考えております。それから、相談を通じてなされた申告を理由とする不利益取扱いの禁止、これは法律で規定をしております。これによって、実習生がより安心して相談できるようにするということがまず新しいものとしてございます。さらに、実習生がちゅうちょすることなく訴え出ることができるように、技能実習の継続が困難になった場合におきまして、当座の住むところがなくなるという危険がございますので、新たな受入れ機関による宿舎の確保等までの間、技能実習生が一時的に利用することができる宿泊先の確保、提供を行うと、こういった新たな取組を機構において行うということにしております。  こういった取組によりまして、技能実習生がより安心して相談あるいは申告等を行うことができるという環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
  56. 真山勇一

    ○真山勇一君 そういうふうにできるといいなと私はちょっと感じるんですよ。というのは、実態というのはなかなかそうじゃなくて、自分に不利になることとかやっぱり相談しにくいことというのはなかなかそういうところへ相談しに行かないと思うんですね、きっと、仲間とか友達とは話をするかもしれないけど、なかなかそういうところへ行かない。自分が不利益を被ったら大変だ、やっぱりそういう心配とか懸念、恐怖感、あると思うんですね。だから、それを取り除いてあげて、本当にあそこへ行けば問題解決できるんだというやっぱり体制をつくることが必要だと思うんですね。  そのためには、やっぱり実習生の口コミだと思うんですね。あそこへ行ったら解決してくれたよとか、親身になって相談に乗ってくれたよということがあれば、どんどんどんどん、それこそ実習生というのは横の連絡もとても皆さん取っていらっしゃるというふうに伺っているので、たちまちのうちに多分口コミで広がりますね。機構がパンクしちゃいますね、恐らく、駆け込み寺みたいになってね。そのぐらいなってもいいんじゃないかというふうに思うんですが、今は逆だと思うんですね。そこへ行ったら何かかえって不利になっちゃうんじゃないかという、そういうことだと思うので、それをなるべくなくしていくことがこれからの大きな課題。  やっぱり、私申し上げたように、実習生側に立ったもの、環境実習生の声を聞くというところが、今回のこの法案、いろいろ整備されても、その周辺はいろいろ整備されているんですが、肝腎のそこが、中が抜けているというような気がするんですね。ですから、是非こうした相談員制度というものをしっかりつくっていっていただくということは、今あるよということじゃなくて、どういうふうに運用するかということが大事じゃないかなというふうに思っています。  それから、その実習生の問題について、ちょっとこれも確認をしたいんですけれども、実は、先日の委員会で牧野委員がお尋ねになったところの回答の中で事業協議会という言葉が出てきたんですね。ちょっといろいろひっくり返してみたら、まだ委員会で余り扱われていないようなことなので、私、どういったものなのかなという、そういう疑問をちょっと持っております。  この事業協議会。これ、事業協議会というのと、これ法案を見ましたら五十四条に事業協議会という項目があります。それから、五十六条には同じような中身で地域協議会というのがあるんですね。この事業協議会と地域協議会というものについて、これ、どういったものか、まずお伺いしたいというように思います。
  57. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  まず、事業協議会でございますけれども、これは、技能実習制度により実習生を受け入れている業種を所管する事業所管大臣のほか、その業種で実習生を受け入れている実習実施者、あるいは監理団体を構成をしている業界団体等により構成されるということを想定しております。  次に、地域協議会でございますけれども、これは、地域において技能実習に関する事務を所掌する出入国管理機関労働基準監督機関、職業安定機関を始めとした国の出先機関のほか、地方公共団体機関等により構成されるということを想定をしております。  いずれの協議会につきましても、外国人技能実習機構を始め、協議会が必要と認める者を構成員として加えることができるということにしております。業種レベルあるいは地域レベルでの技能実習に係る課題解決のために必要な者によって構成されていくものというふうに考えております。
  58. 真山勇一

    ○真山勇一君 そうすると、こうやって法律の中に書いてあるわけですけれども、事業協議会、地域協議会というのは、これは常設機関というふうに考えてよろしいんですか。
  59. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 御指摘のとおり、基本的にはこういった協議会をつくり、例えば定期的に関係者が集まって協議をしていくと、そういったものであるというふうに考えております。
  60. 真山勇一

    ○真山勇一君 ちょっと確認させていただいたのは、五十四条を見ると、「組織することができる。」、「できる」と書いてあるんですね。だから、しなくてもいいということだと思うんですね。だから、必要があればつくるのかなというふうに思ったんですが。  そういうことで、組織をつくって、技能実習生に対するいろいろな問題を話し合うという場だと思うんですけれども、これ、せっかくこういうものをつくったら、やっぱり役立てていく、何か成果を、どういうことでやるのか、やっぱり意図というのが今の説明ではちょっとはっきりしないんですが、この要するに組織の、協議会の意図というのは一体どこにあるんですか。
  61. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  例えば、具体的な例で申し上げた方が分かりやすいと思うんですが、事業協議会ですと、牧野先生から御質問があった例えば漁業ですとか農業のようなものでありますと、労働基準法の時間法制の適用除外になっているというような特殊性がございます。例えばそういう業種において、事業所管大臣が中心になって関係業界団体を構成員としてこうした協議会を立ち上げていただきまして、その漁業なら漁業の分野技能実習適正化について御議論をいただくと。例えば労働基準法の労働時間法制の適用ではないけれども、やはりこの技能実習労働時間についてどういうふうにやったらいいのかということを議論をして取りまとめをしていただくというようなイメージで考えております。
  62. 真山勇一

    ○真山勇一君 やっぱり技能実習生、いろいろな問題があると思うんですが、その中から、何というんですかね、雇っている側のそこの独特の問題というのとそれから共通した問題があると思う。その共通したいろんな問題点トラブルを解決するためにはこういうもの必要ではないかというふうに思うんですが。  ただ、私がちょっと疑問に思ったのは、今お伺いしたようなことであれば、こうした法律にこうやって書き込むほどのものなのかなと。やらなくてもそういう組織をつくろうということでできるんじゃないかと思うんで、やっぱり法律に書き込んだ以上はかなりこれを重要視しているというふうな感じを受けるんですけれども、そういう認識でよろしいんですね。
  63. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  まさに技能実習、それぞれ業種ごとの特性、あるいは地域ごとの様々な問題というのが想定をされておりますので、こういった形で業種ごとの事業協議会あるいは地域ごとの地域協議会をつくって関係者議論をしていくということは極めて重要であるというふうに考えております。
  64. 真山勇一

    ○真山勇一君 これも、新しいこういう組織つくるんですから、是非これも機能して、そして効果を上げていただきたいというふうに、つくっただけで、話し合っただけで終わっちゃやっぱりいけないんじゃないかなというふうに思います。  それから、時間がなくなりましたので、法務大臣にちょっと一点だけお伺いしたいんですが、いわゆる強制帰国についてなんですけど、先ほどの技能実習手帳を見ていただくと、六十一ページに、日本での滞在や出入国に関する相談というのが一番下にありまして、その下から四行目、「あなたの意思に反して」、私、この「反して」が大事だと思うんですが、「帰国を促された場合にあっては、空海港での出国手続の際に入国審査官にその旨を申し出ることができます。」と書いてあるんですね。本当にこれだけ一言なんですが、技能実習生が自分の意思に反して帰国しなくちゃいけないときに、最後の最後のとりで、頼りになるのがこの入国審査官の事情聴取というのか、話を聞いてくれる、本当に聞いてくれるのかと。これまでいろいろ伺ってみますと、なかなかそこまでやっていなかったんじゃないかという感じが一つします。  やはり本人がどういう理由で帰国をしなくちゃいけないのかというのは、もちろん機構ですとか雇う側からの話もあるわけですけれども、やっぱり最後の最後はやはり本人が納得して帰国できるのかどうか、本当にこれはしようがないと思えるのかどうか、いや、でもこの帰国はおかしい、何とかしてほしいと思っているのかどうか、その辺りの大変この入国審査官の最後の事情聴取というか、これ大事だと思うんですね。  これ、是非、今までよりも新しい機構になったら本当に良くなるのかというものも踏まえて、是非大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  65. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) ただいまの御指摘に対しましては、本年の九月から空港等で技能実習生に対して実施している入国審査官によります出国の意思確認において、技能実習生の母国語で作成した意思確認票を用いながら、帰国を強制されているか否かを経緯も含めて丁寧に聴取をするということにしておるわけであります。  委員が御指摘されたただいまの点は非常に重要なものと思っております。というのは、技能実習生保護という観点から非常に重要であるというふうに認識しておりまして、今度この制度ができました際にも、技能実習生が不当な理由で強制帰国をさせられたりすることを防止するために、しっかりと実効的な方策として行っていきたいと、このように考えております。
  66. 真山勇一

    ○真山勇一君 ありがとうございました。終わります。
  67. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  技能実習制度につきまして、今日も各委員の先生方から問題点指摘がございました。  やはり、本来の制度趣旨に反して単純労働、安い単純労働力として使われているような、そういった実態があるということがこの制度の最も大きな問題の一つではないかと思っております。  他方で、この日本の優れた様々な技術を実習生の皆さんに学んでいただいて母国の発展に生かしていただくと、この制度について十分理解をして、また評価をしてくださる、こういう声もあるのが実際でございます。ですので、この審議を通じて、また、この法律が成立した暁には、しっかりとこの制度趣旨に沿った技能実習制度を実現をしてまいりたいと思うところでございます。  じゃ、どうしたらいいのかということが問題でございますけれども、この点について、先日、参考人質疑の中で一つヒントをいただいた気がしております。  ベトナムの送り出し機関であるエスハイ社のレロンソン参考人をお呼びしてお話を伺ったんですけれども、重要なことは何だと思いますかと、こういった質問に対して、やはりその送り出し機関、そして監理団体実習実施者、また技能実習生、各関係者がしっかりと目的意識を持つと、この実習を通してそういったことをしていくのかということを目的意識を持つことが重要だと思いますと。また、そのためにやはりマッチングが重要ですと、こういうことをおっしゃっておりました。そのとおりだというふうに思います。  参考人として来ていただいたこのエスハイ社、レロンソンさんは、送り出す前にもしっかりと実習生候補者に対して教育をして、また実習期間中も様々フォローをして、帰国してからもフォローを続けていると、こういうお話でございましたけれども、本来はどういった送り出し機関であっても、また監理団体であっても実習実施者であっても、全ての技能実習生がそうした中で実習を行っていけるようにしていかなければならないと思います。  そうした意味で、やはり、この制度を行っている我が国政府として、この適正化のためにしっかり責任を持って取り組んでいっていただきたいと思っております。やはり本来の目的への理解、これをいかに浸透させていくかということが重要だというふうに思っております。  これまでも、もちろん取り組んできていただいたとは思います。また、啓発活動というものもJITCOを始めとして行ってきているとは思いますけれども、やはり十分であったかというと疑問もあります。  今回の法律案に、私は、この技能実習制度目的ということは明文化されましたけれども、広報啓発、また関係法令の理解の促進というところもしっかりと、趣旨としては盛り込まれていると思います。しかしながら、明文の規定はないかと理解しております。国としては、国の責任といたしましては、四条で必要な施策を総合的かつ効果的に推進をしていくと。また、主務大臣は基本方針を定めるということが七条に規定をされております。ですので、この広報啓発、関係法令の理解の促進というところを具体的にどのようにやっていくかということは一見して明確になっていないのではないかなと思っているわけですが、やはりここは非常に重要な部分でございますので、是非しっかりと行っていっていただきたいと。  そこで、法務大臣に改めてお聞きしますけれども、これまでのこの制度理解の促進の取組というのはどのようにやってこられて、この改正に、改正といいますか、制度改正に当たっての本来の目的への理解というものをどのように促進して改善をしていかれるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。
  68. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) ただいま委員が御指摘ありました点は全くそのとおりであります。  したがいまして、御質問にお答えを申し上げますと、これまでは法務省では、お話にもございましたが、やはり制度の適正な運用を図るという観点から、監理団体やその実習実施機関受入れ機関に対するガイドラインとして、技能実習生入国・在留管理に関する指針を策定、公表をしてきたわけでありまして、受入れ機関が集まる説明会などの場には職員を積極的に派遣するなど、制度趣旨や運用上の留意点を周知を図るように努めてきたわけであります。  また、厚生労働省でも、JITCOに対する委託事業という形で、労働条件通知を確保するためのモデル労働条件通知書とか、そういったものを作成、普及をさせるといった取組を行ってきたものと私どもは承知をしておりますし、こうした取組をしてきたんですが、今後も、新しい制度では今後どうしていくかということになるわけですけれども、法務省と厚生労働省において、受入れ機関に向けた新たなガイドラインの策定とそして公表を行っていくということになると。  そして、法務省・厚生労働省合同有識者懇談会の報告書に指摘がございます。これを踏まえまして、この法案で新たに選任が義務付けられる監理責任者、あるいは技能実習責任者に対する技能実習制度入管法令、労働関係法令といったその知識の向上、これを図るための講習を実施していく、整備していくと、その受講を段階的に義務化をする予定であるわけであります。  このように新しい制度の下、私ども法務省と厚労省の連携をより一層強化をしながら、本制度の、技能実習制度趣旨の徹底を図っていきたい、そして、制度のより一層の適正化を図るための方策を検討をして実施をしていきたいと、このように考えております。
  69. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 御説明いただきました中に、新しい取組として講習を実施をしていくと御説明いただきました。大切な取組だと思いますので、是非お願いしたいと思います。  その講習も、具体的に何回出ていただくのかとか時間とか、そういったものはこれからだと思いますけれども、やはり一度だけ聞いていただいて理解していただければいいですけれども、例えば定期的に開催をしていくとか、また、講習を受けた後のフォローアップといいますか、実際にきちんとそれが実施されているのか、こういった点も是非チェックをしていっていただきたいというふうに思います。  また、今日の議論の中でも少しありましたけれども、関係者制度に対する理解というのがもちろん最も重要だと思いますが、広く国民の皆さんにも、日本はこうした国際貢献を行っているんだということをよりもっと認識をしていただくということも私は大事なんじゃないかと思っております。そうすることで本来の制度趣旨、広く認識をしていただく、これが遠回りなようでもその適正化に資することにもなるのではないかと、このようにも感じております。そういった点も是非考慮をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  この技能実習制度、先ほどから申し上げているように、日本の優れた技術を技能実習生に学んでいただいて、そして母国の発展に活用していただく、この趣旨を実現をしていくためには、当然でございますけれども、どういう技能について実習制度を行っていくのかということについての送り出し国側のニーズをきちんと把握をしていく必要があると思います。  この対象職種につきましては、平成二十七年四月現在で七十一職種百三十作業ということで、この対象職種を法律で決めるべきではないかと、こういう声もあることは知っておりますけれども、ある意味、きちんとニーズに合っているという前提であれば、法改正というのはやはり結構な時間と労力が必要になりますので、送り出し国側のニーズを的確に把握をして、必要があれば見直しをしていく、また追加をしていく、こういったことを適宜行っていけるということでもあると思いますので、これをしっかりと行っていただきたいと思います。  この点について、今議論になっております介護などについては本当に送り出し国側のニーズがあるのか、こういう声もございます。私としては、日本というのは世界の中でも大変高度な高齢化社会を先に経験をしているわけですから、その中で日本が経験したことをほかの国に伝えていくというのは非常に意味があることだとは思っておりますけれども、この点についても、本当に送り出し国側にニーズがあるのか、こういう疑問の声にきちんと答えられるように、ニーズをこうやって把握をしているんですよと、こういったことも説明をしていく責任があると思います。  そこでお聞きをしたいと思いますけれども、技能実習制度において、送り出し国側のニーズの把握というのはどのように行っているのか、お聞きしたいと思います。
  70. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能実習に係る送り出し国側のニーズについてのお尋ねでございます。  御承知のとおり、技能実習制度は、我が国先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的としております。  この制度目的を達成するため、まず、技能実習二号に移行する対象職種を新たに追加する際には、送り出し国として当該職種による技能実習ニーズがあることを把握することとしており、具体的には、実習生の送り出し国となり得る複数国の公的機関から要望書を提出していただくということで確認をいたしております。  また、個々実習生につきましても、実習生の本国において修得等が困難な技能等修得しようとすることのほか、実習生が本邦において修得しようとする技能等を要する業務と同種の業務に従事した経験を有すること、又は実習生が当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること、帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていることを確認することとしております。  こうした取組を的確に実施するとともに、新制度においてもこれを踏襲することにより、送り出し国のニーズに根差した技能実習制度の適切な運営を図ってまいりたいと考えております。
  71. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 送り出し国のニーズだけではなくて、個々実習生ニーズについても把握をして、その上で行っていると、こういう御説明でございました。  このニーズということに関して一点お聞きしたいと思いますが、この技能実習の職種また技能の幅をもう少し柔軟に解釈をしてほしいと、こういう声もお聞きをいたしました。いわゆる多能工化に対応していくべきという声だと思いますけれども、この点については、現行制度というのは単一の職種という考え方が強いと。溶接であれば溶接だけ、塗装であれば塗装だけ。本来は、じゃ、溶接をしてどういうものを作っていくのか、塗装というのは塗装といってもいろんなものがあると。高度な技術になればなるほど、その前後の工程ですとか、そういったことも把握をしていく必要がある。ですので、多能工化に対応させていくべきではないか、こういう声がございます。  ここで重要なのは、多能工化ということを名目として、受入れ側の都合でほかのところでも働かせるとか、そういったことがあってはならないと思っておりますけれども、先ほど御紹介しました、先日お話をお聞きしたレロンソン参考人も、例えばプラスチック成形というだけではなくてゴム成形とかいろんな技能修得できるようにしてほしいと、こういう声もあったところでございます。  この多能工化というところについて、今回の法改正に伴う制度改正では対応をどのようにしていくのか、また、その場合には、実施者側の都合にならないようにしていかなければならないと思いますけれども、その点についてどういった措置がとられるのか、お聞きしたいと思います。
  72. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  多能工化のニーズについてのお尋ねでございます。  現行制度では、技能実習二号移行対象の職種、作業といたしまして、七十四職種、百三十三作業がございます。実習生は、この中から一つ作業のみを選択して、最長三年を掛けて当該作業に係る技能、技術、知識を修得することとしております。  一方で、近年の技術革新に伴いまして、これはいずれの国におきましても、作業現場では関連する複数の技能等修得する、いわゆる多能工化が求められているのに対しまして、現行の技能実習制度では今申し上げたとおり対応できておらず、実習生においても受入れ側においても、双方にとって非効率的な場合が生じているという指摘もされております。  こうした中、今回の制度見直しに向けて開催をされました技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会の報告書におきましても、送り出し国側の多能工化のニーズに関して、産業ごとの変化や実態に応じて複数の技能等修得できるようにするため、複数職種の技能実習を行うことができるように措置すべきであるという提言がなされております。  これらを踏まえまして、新制度におきましては、同一の技能実習実施者の下での実習を前提といたしまして、作業上の関連性や、同時に、実習を行う必要性、合理性が認められる場合には複数の職種、作業にわたる実習を認めることとし、今後、詳細については検討してまいりたいと考えております。
  73. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 詳細についてはこれからであるけれども、そうしたニーズにも対応できるようにしていくという御説明でした。  技能実習制度趣旨を実現をしていくためには、技能をしっかりと修得をしていただいているかどうか、これを確認をしていかなければならないと思いますが、その重要な方法として技能検定がございます。  現行では、基礎二級と一級と、また三年目が修了したときに三級と、この受検が可能となっております。しかしながら、この基礎二級、一級というのはかなり受けていただいていると思うんですけれども、三年目修了時に受けていただくことができる三級、この受検率は大変低くなっております。平成二十五年で見ますと〇・三%にすぎないと。これでは、三年間せっかく技能修得をしていただいても、それがきちんと修得できたのかどうかという確認もできませんし、やはりこの受検率が低いというのは問題ではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  74. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能評価試験の受検についてのお尋ねでございます。  現在の技能実習制度におきましては、技能実習一号では技能検定基礎二級に相当する技能、また技能実習二号では、一年経過時に技能検定基礎一級相当、二年経過時に技能検定三級相当の技能を適切に習熟できるものとするということとされており、実際に、それぞれの職種、作業でこうした各等級の技能評価試験が設けられております。一方で、これらの技能評価試験のうち、技能検定基礎二級相当の試験の合格が技能実習二号に移行するための要件とされているものの、これ以外の試験の受検につきましては事実上任意とされているということから、先生御指摘がございましたように、技能検定三級相当試験の受検率は非常に低調なものというふうになっております。  こうした中、平成二十六年六月に公表されました法務省第六次出入国管理政策懇談会、外国人受入れ制度検討分科会の報告におきましては、三年間の技能実習修了時の技能検定の受検については義務付けられておらず、受検率が著しく低い状況にあるが、技能等移転のためには教育訓練効果が重要であり、技能等の評価、効果測定の体制整備、確立が非常に重要であるという指摘がなされております。  また、その後、今回の制度見直しに向けた詳細を検討するために開催をされました法務省・厚生労働省合同の有識者懇談会の報告書におきましても、技能実習二号修了時には技能検定三級相当の技能評価試験を受検することを義務とし、実習生修得した技能等の評価が適切に行われるようにすべきであること、技能実習二号修了時に実習生に対し受検させる必要のある技能評価試験については、本人の負担軽減を図る観点から、母国でより直接的に活用できる実技面の試験のみを必須とすべきであるという提言が盛り込まれたところでございます。  これらを踏まえまして、新制度におきましては、技能実習二号修了時には技能検定三級相当の、また技能実習三号修了時には技能検定二級相当の技能評価試験の実技試験の受検を義務化をいたしまして、技能実習計画の策定に当たっては、目標に各技能評価試験の合格を記載をしなければならないこととし、新たに設ける技能実習三号への移行に当たっては、技能検定三級相当の実技試験に合格しているということを要件とするということといたしております。  今後これらが適切に履行されるよう、外国人技能実習機構におきまして、技能実習計画認定を行う際には、前段階における試験の合格や、当該計画に係る技能実習の修了時に必要とされる試験の受検が予定されているか確認をするとともに、実習実施者監理団体への実地検査の中で必要に応じ受検申請準備等の指導を行ってまいりたいと考えております。
  75. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 これまでは任意だった受検について、実技面については義務化をするというお答えでした。これによって目的意識を持って技能修得していただく、その技能自体のレベルについてもアップをしていくということを期待をしたいというふうに思います。  ただ、この技能検定だけでこの技能実習の効果を全て測ることができるかというと、必ずしもそうとも言えないかもしれません。  このフォローアップをどのようにしていくかという観点から申し上げますと、過去四回、これまで技能実習生について帰国した後にフォローアップ調査を行っているというふうに承知しております。このフォローアップ調査の結果から、技能移転の成果、また課題についてどのように分析をしているのかということをお聞きしたいと思いますけれども、また改善が必要と思われる事項といたしましては、このフォローアップ調査、残念ながら非常に回答率が低くなっております。平成二十七年度の調査では一二%の回答率と、二十六年度では九・二%にすぎないということになっております。  今回提出されました法案には、この技能移転の成果というものをどういうふうに確認していくかというものについて明文の規定はないわけでありますけれども、今後どのようにこの技能移転の成果、確認をしていくつもりなんでしょうか。
  76. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  技能実習生の帰国後フォローアップ調査でございますけれども、まず、調査結果につきましては、御指摘平成二十四年度から二十七年度までの四回の調査結果、おおむね同様の内容になっておりますけれども、直近の二十七年度の調査結果で申し上げますと、技能実習の期間に学んだことが役に立ったとの回答が九六・四%であり、役に立った具体的な内容としては、修得した技能が六八・四%で最も多くなっているということから、帰国した技能実習生から高い評価を得ているものというふうに考えております。  さらに、帰国後の進路といたしましては、雇用されたあるいは雇用される予定と回答した方と起業したと回答した方を合わせて、その四分の三以上が実習と同じ仕事か同種の仕事に就いていると回答しております。多くの実習修了者が日本での実習の成果を有効に活用しているものと考えております。  一方、このフォローアップ調査から浮かび上がります課題といたしましては、保証金等を送り出し機関監理団体に預けたという回答も平成二十七年度の調査において一六・五%と、人権侵害等につながる問題が今なお残っていることを示唆する結果となっております。  このため、今後は、送り出し国との間で二国間取決めを作成し、こうした保証金等を徴収する不適正な送り出し機関の排除に努めることとしているところでございます。  また、これも御指摘がございましたこの調査自体の問題でございますけれども、回収率が過去四年間で九・二%から一七・一%と低い水準で推移をしております。実習生の帰国後の実態を正確に把握する上での課題であると認識をしております。  このため、今後は、新たに設立される外国人技能実習機構が調査の実施主体となりまして、監理団体実習実施者に対し、実習生が帰国後、調査に着実に協力していただけるよう働きかけることを要請するとともに、二国間取決めを作成する際にも、送り出し国政府からも実習生が調査に協力するよう送り出し機関を含めて指導していただくよう交渉するなど、回収率を高める工夫をしてまいりたいと考えております。
  77. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 フォローアップ調査の内容を見ると、この技能実習で学んだことが役立ったというふうに回答してくださっている方が多いということで、一定の成果は認められるかとは思います。しかし、申し上げたとおり、回収率は極めて低いですので、そういった回収が、回収というか、提出をしない方々がどう思っているか、そこの部分がむしろもしかしたら重要かもしれません。  このフォローアップ調査、これまで行っていただいていたものは、調査対象者の方に郵送でその調査票を送っていただくと、JITCOの方にでしょうか、郵送で送っていただくということだそうです。しかしながら、まあ郵送でもいいかもしれませんけれども、この時代に、インターネットがこれだけ発達しているわけですから、調査票に記入をして郵送するというよりは、やはりインターネットなどで回答できるようにした方が回答率というのは上がるのではないかと思いますし、集計も早いでしょうし、そういった効率化というのも私は進めていくべきだと思いますので、検討していただきたいと思います。  送り出し機関適正化の問題について、残りの時間で、一問ぐらいでしょうか、聞きたいと思いますが。  今説明の中にもあったように、このフォローアップ調査でもまだ保証金の問題があると。過去四回、一番、平成二十年ですかね、その調査に比べれば減っていますけれども、しかしながら、平成二十五年、二十六年、二十七年度を比べても余り減っていないと、こう認識しております。この送り出し機関適正化、どう図っていくかというのも、この制度趣旨の実現のために非常に重要であります。  この点について、今御説明の中でも、二国間取決めを行っていくことで適正化を図っていくという説明がありましたので、では、その二国間取決め、早期成立をお願いしたいと思いますが、それが成立するまでの間、その間にはどのように適正化を確保していくのか、この点について、最後、お聞きしたいと思います。
  78. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  政府間の取決めの作成は急ぐわけでございますが、それが作成されるまでの間、どのように送り出し機関適正化のための措置を講ずるかというお尋ねでございました。  その間につきましては、監理団体の許可、あるいは技能実習計画認定の手続が新しい制度の下で行われることになりますので、保証金の徴収等がないことも含めまして、送り出し機関に関する資料を個別に提出していただきまして、必要な証明を求めた上で、適正な送り出し機関かどうかを外国人技能実習機構及び主務大臣がよく吟味いたしまして、不適正な送り出し機関の関与を排除することに努めてまいる所存でございます。
  79. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 保証金を取られているかどうか、そういったことについて、技能実習生本人はなかなか話すことは難しい状況にあります。ですので、そうした情報をいかにきちんと把握するか、難しい面もあるかもしれませんが、適正化のためにしっかり取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  80. 秋野公造

    委員長秋野公造君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  81. 秋野公造

    委員長秋野公造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  82. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  せんだって、十一月の八日に法務委員会技能実習生を受け入れていらっしゃる実習実施先を視察をさせていただきまして、入管局長も御同行いただいたわけですけれども、それぞれ立場は違っても委員の皆さん取り上げておられるように、私は率直に申し上げれば、出稼ぎ労働だという実態が、政府・与党の皆さんが適正な受入れになっているとおっしゃる事業所でもはっきりしたというふうに思うんですね。  そこで、お手元に、そのとき実習実施機関の会社で、板金職種の技能実習をしている実習生受入れ状況として事業所から配付をされました資料をお配りをいたしました。この会社では様々な工程があるわけですけれども、技能実習の一年目そして二年目と進む中でそれなりの技能を身に付けていって、三年目にはその工場で必要とされる技能、これ言わば多能工的に身に付けて戦力となっていると。今日、真山理事もお尋ねになりましたけれども、高卒の求職がなくなっていく中で、実質この技能実習生がいないと仕事が回らないということをおっしゃっていたんだと思うんですね。ですから、一番上に書かれている実習生が三年目の期限を迎えて来年一月に帰国をされるわけですけれども、それと同時に、その言わば代わりとして新しい二人の実習生を迎えられるよう手続を進めているところだと、そうしたお話があったわけです。  その技能実習生三人に私たちインタビューをさせていただくことができたわけですが、局長も御記憶だと思いますが、私、来日をしていなければ母国でどんな仕事に就いてどんな賃金だったかという趣旨のお尋ねをしましたら、それぞれその暮らしている地域の最低賃金だったというふうにお答えになったんですね。ちなみに、帰国をしての夢というのは何かと与党の理事からお尋ねがありまして、お一人はレストランを経営したいとおっしゃいましたし、農園を営みたいという方もあった。お一人は、父親の製造関係あるいは整備関係だったと思いますけれども、会社を大きくしたいというお話だったと思うんですね。  その私の問いに地域の最賃ですというお話があったので、調査室の力も借りてちょっと調べさせていただきましたけれども、それが二枚目の表です。インドネシアの月額法定最低賃金、単位はルピアですけれども、で、例えば一番低いスマランという地域では百九十万九千ルピア、ジャカルタ特別区で三百十万ルピア、桁は大変大きいんですが、日本円に換算しますと、スマランのその百九十万云々というのは一万四千六百七十二円程度なわけです。  あの工場で実習生にどれぐらい払っていますかと、これは歩きながらの問いでしたけれども、社長さんがおっしゃったのは、およそ年収三百万円ぐらいになると思いますというお答えだったわけですが、これが母国の最低賃金とどれぐらい違うかということを計算しますと、スマランに住んでこちらに来られた方だったらば、一年分で約十七年分の最賃に当たるんですね。ジャカルタでも約十年分ということになるわけです。これが三年分ということになれば、もちろんいろいろ日本で暮らしているわけですから差引きはあるでしょうけれども、母国にいる三十年分か五十年分かというものを稼ぐぐらい技能実習生の母国での賃金との格差というのはすごく大きいものがあると。  だから、日本に来てそうした稼ぎを上げて、帰国したらちょうど三十前ぐらいになりますから、お国では一人前にならなきゃいけないお年頃なんだと思うんですよね。だから、レストランを経営したいとか農園を経営したいとかいうお話になってきて、実習生目的というのはそういうことだと思うんですよね。一方で、実習機関人手不足というのが現にあって、これの解消のニーズというのも極めて強いと。  これを素直に見たら、局長実態はまさに出稼ぎ労働なのではありませんか。
  83. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  法務委員会で視察に行っていただいた場で、今委員が御指摘のようなやり取りがあったことは承知してございます。  出稼ぎ労働と評価すべきかどうかにつきましては、ちょっと個別具体的な案件を前提にして答弁するのは差し控えたいと存じます。
  84. 仁比聡平

    仁比聡平君 前提として私が申し上げたやり取りがあったことは承知をしているというふうに局長もおっしゃったわけですよね。私は、素直に物事を見れば出稼ぎ労働なんだと思うんです。  これを移民政策を取るとか取らないとかという議論に結び付ける大きな議論が必要だと今日与党の議員からもありましたけれども、何にせよ、その実態技能移転という建前というものが乖離をする中で、技能移転建前だということによって、労働者保護対象だとされながら、労働者が権利侵害から逃れる最大の中核になる職業選択の自由、実習先選択の自由が制度実習生には認められていないわけですね。そこに付け込んで、送り出しから入国実習、それから強制帰国を始めとした出国に至るまでというふうに言っていいでしょうけれども、それぞれのプロセスで様々なやからが実習生を食い物にする、こういうブローカーが横行する構造になっていると。そこが参考人からも指摘をされた、私は技能実習制度の根本的な問題なのではないかと思うんです。  そこで、本会議の代表質問で、世耕大臣、世耕経済産業大臣実態調査を約束をされました岐阜県のアパレル縫製産業をめぐる実習生実態について少し伺っていきたいと思うんですが。  本会議でも指摘したように、極めて深刻な低賃金、長時間労働が横行をしています。愛知県労働組合連合会がユニオンをつくっていますけれども、そこの組合員として、七月以降だけで計七件、実習生の数で二十四人に上る労働基準監督署に対する申告だとか、あるいはもちろん団体交渉だとかということが行われているんですが、二つだけ政府認識を確認したいと思いますけれども、まず一点目は、著しい最賃違反、労基法の割増し賃金違反実態です。  この二十四人の実習生たちがいずれも最低賃金を大きく下回る賃金で働かされています。岐阜県の最賃は七百七十六円ですけれども、三百円だとか四百円だとかという時給になっていると。しかも残業代が四百円から六百円というような幅で、割増しがされないどころか最賃を下回る残業代なんですね。しかも、土曜日は無給だとか一か月間休みがないとか、そうした業者がたくさんあると。  もう一つは、そうした権利侵害に怒りを感じて、あるいは苦しんで、労働組合に入ってこのやり取りを始めたら、この組合を辞めろという不当労働行為が行われ、挙げ句に、あなたは整理解雇だと言って首にするということまで横行しているわけです。  政府はこういう実態を把握していますか。
  85. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。  今委員指摘のございましたように、岐阜の縫製業におきまして、外国人技能実習生について長時間労働が行われている事案や時間外手当が法定額未満で支払われている事案、賃金が法定額未満で支払われている事案、こういったものがあることは私どもとしても把握をしてございます。  個別の事業場に係ることについてはお答えは差し控えさせていただきますが、一般的には、こういった働く方から労働基準法等の法令違反があるとして労働基準監督署に申告がなされた場合には監督指導を実施をし、その結果法令違反が認められた場合には、その是正を指導をしているところでございます。  また、組合に加入をすることについての御指摘ございましたが、技能実習生の方が労働組合に加入をしたことを理由に使用者が解雇あるいは不利益取扱いといったようなことを行うことは、御指摘のとおり、不当労働行為として労働組合法で禁止をされているところでございまして、仮に不当労働行為が行われた場合には、労働組合は、都道府県労働委員会に救済命令の申立てを行うことができると、こういうことになってございます。
  86. 仁比聡平

    仁比聡平君 実態をお認めになられているわけですよね。  このベトナム人実習生たちの状況というのは極めて深刻です。もとより、この実習に耐えられずに途中で辞める、あるいは失踪してしまうということになれば、母国での担保が取り上げられる。しかも、せんだっての参考人質疑で、とりわけ斉藤参考人などが述べておられたように、母国の送り出しに当たって大きな借金をさせられているわけですね。日本円で百万円とか百五十万円とかいうような闇金融的なところからの借金を背負わされて日本にやってきている若いベトナム人実習生が大変多くなっていると労働組合の関係者はおっしゃっています。だから、最賃違反で四百円なんという残業代でも、これを百時間残業しないとその月々の借金返済のための仕送りができないと、どうにもならないところまでがんじがらめにされているわけです。  こうした実習生が、入国時の技能実習計画、これに全く反していることは明らかなわけですから、だから技能実習計画どおりの実習が続けられないという事態なのであれば、解雇するとかいうことではなくて、新しい適正な技能実習先をしっかり定めるというのが政府の今でも責任だと思いますが、いかがですか。
  87. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  現行の制度における解釈でございますが、入管当局で行っている不正行為の通知の制度の中には解雇ということは直接規定しているものはございませんが、先ほど厚労省から御答弁がございましたように、その解雇が労働法違反になるということであればこれは労働法違反という不正行為に当たるものでございまして、受入れ停止等の措置が講ぜられるところになります。  そして、もう一つのお尋ねの受入れ側、実習実施機関側の事情で継続が困難になった場合、これは現行制度の下におきましても、本人に責めがなくて引き続き技能実習を行うことが本人が希望しているような場合であると思われますので、その場合には監理団体に対して新しい実習機関を確保するよう指導するとともに、状況に応じましてJITCOの協力も得るなどして新しい実習先の確保に努めて、その間の在留を継続させた上で、引き続き技能実習生として計画どおりの技能修得ができるよう、できる限りの配慮をしておるということでございます。
  88. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、できる限りの配慮といって、技能移転のために入国してもらっているというのが建前なんですから、これは新しい実習先を確保する、そのときまで、そこまでちゃんと政府が責任を負うと、生活の問題も含めて、これが受け入れている国の責任だということを私強く改めて申し上げておきたいと思うんです。  問いたいのは、この件で監理団体は一体何をしてきたかということなんですね。この監理団体が求められているような適正な監理をしていれば、こんな最賃違反実態がずっと続いていく、しかも業界に蔓延するというようなことはあり得ないと思うんですけれども、一体、入管としてどのような実態調査をしているのか、こういう場合にはどう臨むんですか。
  89. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 現行法におきまして、入管局といたしましては、不正行為に関する情報を入手した場合には、実態調査を積極的に行うなどいたしましてその現状の、実情の把握に努めているところでございますが、一つ監理団体の下で多数の不正行為が発生するような状況が例えば把握されましたら、それはその監理団体において実効性のある監査が行われていない疑いが非常に強くなりますので、そういう場合にも実態調査を行うなどして厳正な対処に努めるようにしておるところでございます。
  90. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、そうおっしゃるけれども、現にとんでもない、実習生を食い物にするやり方が横行しているわけですね。  私が今申し上げている実習実施先というのは、これはファッションあいという企業だったんですけれども、実習生の給料から毎月、水光熱費と称して八千円が天引きされているということが大問題になってきました。実習生がこの天引きというのは一体何なのかということを繰り返し尋ねるわけですが、その中で、実習実施先は、八千円は関係ない、つまり自分の実習実施先の会社とは関係ない、それは組合だということを技能実習生に言っている。組合というのは監理団体のことです。監理団体はアジア共栄事業協同組合というところですけれども、つまり、実習生の僅かな給料から水光熱費と称して八千円を天引きさせて、これを監理団体が全部我が手にするということをやってきているわけですね。  もう一点、監理費と称して、このファッションあいから監理団体は毎月実習生一人当たり三万円の監理費を取っているということを認めているわけです。  結局、監理業務の名によって実習生を食い物にするやからを排除できずに、現在進行形でベトナム人実習生たちが苦しんでいると、これが実態ではありませんか。こんなことを許すのかと。局長、いかがですか。
  91. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 監理費の徴収につきましては、現行制度におきましては、これは法務省令におきまして、これ技能実習生に直接又は間接に負担させてはならないということを定めているほか、運用上も、当局から監理費徴収明示書というものの様式を示しまして、適正な監理費として徴収できる費目の例なども示しておるところでございます。  御指摘の案件の中で、何か別の名目で、光熱水費の名目で天引きしているという指摘ございましたが、それが監理費を実質、技能実習生に負担させているということに当たることであるといたしますと、それは法務省令の規定に違反することとなると考えております。
  92. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、当たるとすればなんて言っている場合じゃないということなんですよ。  そのガイドラインには実費という概念があるでしょう。監理業務の実費というのは一体どういうものなんですか。監理団体実習先に対して月三万円だとか、五万円という監理団体だってありますけど、そういうふうに言って、実習先が、ああ、そうですか、それでも人手不足ですから欲しいですと。工賃は低いんだけれども、その中から監理団体に五万円、水光熱費で八千円天引きする、それで残業代は三百円、四百円でずっとやらせると。  そういう構造になっている根本というのは、結局、ブローカー的に実習生一人一人を物のように入れてですよ、そこから食い物にしているということじゃないですか。それを現に許している、現に容認しているこれまでの制度というのは一体何なんだと私は聞いている。
  93. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  監理団体による監理費の徴収でございますが、これは、監理団体は営利を目的としない団体ということにしてございますので、監理業務に通常伴う適正な金額の実費の負担を実習実施者に求めるということは認められるところでございまして、例えば、入国当初に行う講習に要する費用でありますとか、訪問指導、監査に要する費用等々の費目を先ほど申し上げました監理費徴収明示書というものの中に掲げまして、その中で適正額を徴収するように指導しておるところでございます。  そのようなことで適正に努めておるところでございますが、新制度におきましても、その適正な額の監理費の徴収が行われるよう、できるだけ基準を明らかにして、適正な徴収が行われるように努めてまいりたいと思います。
  94. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、適正な額というのがどんなものなのか、基準を明らかにして、できるだけ明らかにしてと今御答弁がありましたけど、つまり、現在は適正と言いながらその基準がない。しかも、監理団体をチェックすると。実際、適正かどうかということを、例えば帳簿なんかも含めて洗いざらいチェックするなんていうことはこれ、していないでしょう。  この基準やあるいは点検のルールというのは、これ、今あるんですか。あるいは、今から作るんですか、どうするんですか。
  95. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 監理費の適正につきましては、いわゆる実費の中で個別具体的な案件に基づいて評価するということになります。  入管当局が適正な監理費かどうかを審査する場面といたしましては、これは定期的には、現状の制度におきましては、個々技能実習生の上陸の段階、あるいは二号への資格の変更、あるいは期間の更新の段階が定期的なものでございます。あとは個別具体的に、不正行為の情報が入った場合には個別に実態調査をして、その場合にはまさに現場に赴いて帳簿を見たり直接に聴取をしたりして、その実態の解明に努めておるところでございます。
  96. 仁比聡平

    仁比聡平君 そうしたこれまでの運用の下で、あるいはルールの下で、営利であってはならないとか監理業務適正化すると言いながら、そこにブローカーが介入していくことが容認をされてきたわけですよ。その典型は、監理業務を株式会社に丸ごと委託するということを政府が容認してきたということです。  私は、平成二十六年の三月十七日のこの委員会で、労働者派遣事業を目的としている株式会社が監理団体の委託を丸ごと受けて不当な、実習生の、食い物にしているではないかという問いをしたことがあります。そのときの当時の局長答弁に、「監理団体が外部の機関に講習や監査などの業務を言わば丸投げしているような場合は、監理する体制を有していないとして不正行為に該当することとなりますが、外部の機関を指揮命令しながら業務の一部を分担させていた場合は必ずしも不正行為に該当するものではありません。」という答弁があるんですね。  この必ずしも不正行為に該当するものではない場合があると言わんばかりのこの答弁が口実になって、現場では、営利目的の株式会社が既に潰れた、あるいは実体のない監理団体の名義を買うなどして、そこから業務委託を受けたといって介入し食い物にすると、こういう実態が横行しているわけです。  まず局長、こういうやり方、許すんですか。
  97. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  まず現行制度におきまして、監理団体が行う業務のうち、監査や訪問指導など、まさに監理業務の根幹を成す部分につきましては、監理団体が自ら行う必要があると考えております。したがいまして、このような業務監理団体が外部の機関に言わば丸投げしているような場合には、それは監理する体制を有していないとして不正行為に該当することになると考えております。
  98. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、そうおっしゃるけれども、お手元の資料の、ちょっと十枚目以降になりますが、この日本に現在活動している受入れ関係の機関のホームページから資料を作っています。SKモールド株式会社、これはもちろん営利を目的とする株式会社ですが、十枚目のリードの部分にあるように、当社では技能実習生受入れの管理業務を行う監理組合から業務委託を受け云々とした上で、次のページですが、実習生募集及び管理の流れとして十一項目を挙げています。求人、監理組合への手続、送り出し機関との手続、現地送り出し国内に臨んでの実習生の選考、面接、入国入管との手続、そして、当社が毎月一回受入れ企業様に訪問し、仕事、生活指導を行いますと堂々と述べているわけですね。  三枚目見ていただければ、連携している監理組合として岐阜県日中友好技能実習協同組合連合会が挙げられていますが、これは、私が繰り返し指摘している岐阜アパレルにおいて中国人などの実習生受入れを行ってきているところですよ。つまり、こういう監理団体業務委託を受けてやっているんですとホームページに堂々と述べているじゃないですか。その上に、もう一つ連携している組合として協同組合首都圏コンストラクトというのがありますが、これは、私が前回の質問で不正行為認定がされたではないかというウィルユニオンと一体の監理団体です。  その首都圏コンストラクト中国支部という企業情報、次のページですけれども、ハローワークに求人情報を出しています。この応募は既に終了しているということですが、御覧いただきたいのは賃金のところ、技能実習生に係る総務全般を担う職員を募集しますというんですが、その賃金として営業歩合給ありと書いてありますよね。新しい会社で技能実習生受入先を探した場合は支給しますというので、一万円から十万円というわけですよ。実習生を受け入れさせるということがかなえばそういうボーナスをどんどん出していく、だから、もっともっとということになってブローカー行為の温床になっているわけで、そのものと言ってもいいかもしれない。  その次のページにはORJという、これもまた株式会社のホームページですけれども、二枚目見ていただくと、現地面接、実習生の決定、書類準備、空港への出迎え、寮の手配、備品準備、生活サポート、緊急時、トラブル発生時の対応、日本語教育、試験対策に帰国後の就職支援、これ全部自分のところが一手に引き受けますというふうに宣伝しているわけですね。  最後、SHIMADAという株式会社ですが、ここは自分の株式会社への管理部長を募集をしているわけですが、これは、取引先の管理部長として協同組合関西技術協力センターへ出向となりますということが前提なわけですね。つまり、労働者派遣を始めとした営利を目的とする株式会社がこのように人的体制も整えて、マージンまで出して人を組織して、監理団体に出向させることも含めて送り出すと、そうやってブローカー行為を今の制度の下で、制度を隠れみのにしてやっているというのが実態ではありませんか。堂々とこれが野放しになっている。  局長は不正行為認定するなんと言うけれども、実際に野放しになっている、現に実習生を受け入れている、その構造を一体どう正すのかと。  ちょっとほかにも通告がたくさんあったんですけれども、持ち時間の関係でこれが最後の議論にならざるを得ないんでしょうけれども、まず局長、どうですか。
  99. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 御指摘のホームページの記述等につきましては、個別具体的な案件でございますので詳細のコメントは差し控えたいと思いますが、要するに、技能実習制度における監理団体としての求められた機能から逸脱した、その趣旨を完全に履き違えた宣伝が行われているということであれば、それは全く不適当なことでございますので、その点については、その旨を説明して、適切な対応を取るように指導してまいりたいと思いますし、それを端緒として、不正行為の事実の調査もできる限りしてまいりたいと考えております。
  100. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、宣伝の問題じゃないんですよ。実際に生身の実習生をこういう考え方と、もうけの手口の下で扱って、皆さんの入国審査をくぐり抜けて奴隷的な働かせ方をしているわけじゃないですか。これをどうやってなくすというんですか。最後、一問聞いておきます。
  101. 井上宏

    政府参考人井上宏君) この件につきましては、入国管理当局として鋭意努めるほか、労働基準監督機関等々とも連携いたしまして、適切な対応に心掛けてまいりたいと存じます。
  102. 仁比聡平

    仁比聡平君 そんなことではどうにもならない。  終わります。
  103. 高木かおり

    高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。  先日、本委員会で、特別養護老人ホームの浅草ほうらいさんと、それから株式会社の三功工業所さんを視察させていただきました。本日の委員会でも視察についてお話が出てまいりましたけれども、受入れ側とそれから実習生側、お互いに人と人とのつながりやコミュニケーションができていて、本当にいわゆる成功例を視察させていただいたと実感しております。EPAで来られていた介護福祉士の候補生の方々、本当に向上心があふれる感じがいたしましたし、インドネシアから来られている技能実習生の皆さん方のお話からは夢や希望が感じられまして、まだまだ若い彼らが、例えば日本から帰ったら、母国へ帰ったら家族と会社を経営したり友達とレストランを経営する約束をしているんだなどとお話をしてくださいました。  また、先日の参考人質疑の折には、例えばレロンソン参考人、ベトナムの方でございますけれども、高い技術や技能はもちろんのこと、品質や納期、コストなどの物づくりの精神や、信頼それから人間関係のつくり方などベトナムが学ぶべきことが多くあると発言をされておられましたし、そのほか、斉藤参考人からは、ベトナムで幾つかの日系企業を調査すると、技能日本語というのは余り期待はしていないんですけれども、日本での働き方やその文化や、時間を守るですとか片付けをすると、そういったところが若干評価をされているというような御答弁もございました。  こういったことからも、やはり厳密に言いますと、今まで議論されてきました本来の技能実習制度目的に沿った意味合い、いわゆる技能移転という意味では実習が行われているかというと、必ずしもそうだと言えない部分があるように感じました。  今回、何度も議題に上がっております今の日本労働力不足の中での本音建前の問題がございますが、今後も人口減少をしていく中でどのようにこの労働力不足というものを改善していくのかと、そういった問題は避けては通れないのではないかと思っております。今、現実、どうするのかということに直面をしているわけですけれども、できるだけこの本音建前の距離を小さくすることが今求められているのではないかと考えております。  実習生の皆さん方は、日本の会社の働き方、先ほども申しましたが、人間関係のつくり方、そういった日本式の生活や言語、文化、こういった様々なことを学んで自国へ帰っていっているわけです。そこで学んだピンポイントの技能や技術ということではないかもしれませんけれども、確実に様々な形で日本を本国へ持ち帰っているんだと実習生たちのお話を聞いて感じたところでございます。  この技能実習制度は特定の技能等移転するための制度ではありますけれども、先ほど来申し上げますように、広い意味で、これも大きく考えれば発展途上国への国際貢献だと。技能実習生日本の企業の文化ですとか働き方、それから日本語等を学んでもらうための機会として捉えてもよいのではないかというふうに考えております。  できれば、こうした広い観点も含めながら、日本国内ですとか送り出し国にも積極的に今回の視察で訪問したような良い事例を広めていく、これによって本来の趣旨もしっかりと理解をしていただくべきではないでしょうか、金田大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 金田勝年

    国務大臣金田勝年君) 高木委員からただいま御指摘ありましたように、私も同じ思いを持つものであります。  実習生にとりまして、我が国において技能実習を行うことによって、実習の場面で特定の技能修得するだけではなくて、やはり日本企業の文化というか、そういったようなものも学ぶことができる。例えば、品質の管理のやり方、あるいは納期の厳守というか、そういうものとか、安全衛生管理といったような日本の文化というものを、企業文化というものを学ぶことができるとともに、生活の場面でやはり我が国の人々や文化に接して日本語や日本の文化を学ぶことができるということが非常に有意義であると、このように思っております。  実習生我が国技能実習を行うことが、技能修得移転を核としながらも、これに加えて、日本企業のあるいは日本社会の文化、ただいま申し上げたようなものを国際交流あるいは国際理解という面からも捉えて学んでいただければ大変重要であるなと認識しておりまして、そういう側面からこの制度を今後とも関係各国、関係機関へのしっかりとしたそういう意義を周知していく、図ってまいることが重要であると、このように考えています。
  105. 高木かおり

    高木かおり君 今、金田大臣の方から御答弁いただきました。本当に広い視野を持って、そういった観点から御理解を、そして認識をしていていただけるんだなということに私もうれしく思っております。  さて、先ほどからそういったお話がある中、様々な事例ですとかで、先日私の事務所の方にも陳情に来られた水産業者の方々からのお話から拝察するには、とはいえ、やはり夢を抱いて稼ぎたいという思いを持ちながら日本に来た、働きにきた外国人技能実習生、それから労働力確保を考える日本企業のメリット、いわゆる本音建前本音部分、これが合致しているということが感じられるわけですけれども、この状況についての御見解をお聞かせください。
  106. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 高木委員にお答えをいたします。  本音建前という御表現をされましたけれども、まず確認をさせていただきたいのは、もう御案内のとおりと思いますが、技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等への経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度であり、我が国国際貢献において重要な役割を果たしているものと考えております。  ただし、しかしながら残念なことに、現行制度において、一部の実習実施者制度趣旨を理解せずに国内人手不足を補う安価な労働力の確保策として利用してしまっている、そういう事業者の方も一部おいでであるということも言われておりますし、またその御本人方も、もちろん夢を持って日本に来ていただくこと、そのことは別に悪いことだとは思いませんが、さはさりながら、やっぱり技能実習制度というものでこちらで学んでいただいた上で、そのお国にお帰りになって御活躍をいただくというのが制度趣旨でございますから、そこのところが必ずしも徹底されていないというような御指摘もあるんだろうというふうには受け止めております。  今般の、そこで、技能実習法案におきましては幾つか対応をしたいと思っておりまして、まずその技能実習制度人手不足対策として利用されることのないように、今回御提出を申し上げている法律の第三条に基本理念というものを掲げておりますが、その第二項において「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」ということを法律上に明記をしております。それから、技能実習生については第六条というところで技能実習生の責務ということを課しておりまして、「技能実習に専念することにより、技能等修得等をし、本国への技能等移転に努めなければならない。」という責務を法律上明記をさせていただいているところでございます。  ただ、あとはそれをちゃんとお知らせをするということはしなければいけないのでございまして、制度趣旨に沿った運用の確保を図るために、まず技能実習計画認定制を導入をする。それによりまして実習内容技能実習生の待遇等について事前に確認をする仕組みとするほか、あわせて、監理団体について許可制を導入し、問題が多いと言われてまいりました団体監理型の技能実習について規制を抜本的に強化をさせていただく。さらに、新たに外国人技能実習機構を設立し、法律上、同機構が監理団体実習実施者に対して定期又は不定期に実地検査を実施する権限を与えるということによりまして、機構が是正指導を行い、これに従わない場合には主務大臣による改善命令や技能実習計画の取消し等につなげていく、こういうことできちんと徹底をしていきたいということでございます。  また、さらには、送り出し国の政府との間で二国間取決めを順次作成をしていくということで、送り出し国政府において適切な送り出し機関認定し、問題のある機関を排除する仕組みを構築するとしておりますが、この中で、送り出し機関には、実習生に対して技能実習制度趣旨を周知徹底することを送り出し国側において求めていくということにしたいということでございます。  こうした取組通じまして、実習生実習実施者双方に対して国際貢献という技能実習制度趣旨を徹底するとともに、誤解のないように、制度本来の目的に沿った活用がなされるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  107. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。技能実習制度について本当に詳しく御説明をいただきまして、また本来の趣旨についても詳しく御説明をいただきました。なんですけれども、ちょっと重ねて申し上げさせていただきますけれども、先日の参考人質疑の折に、かなり現実的な、今日もほかの先生方の御質問の中にもございましたけれども、様々な意見がございました。  技能実習生さんたちがたくさん入っている業界、地域、それから、これから入ってくるような介護、そういった中にも、いずれも、どうしても外国人の皆さんに自分たちのすばらしい技術を移転したいと、本当にそういうふうに思って熱意に燃えた業界、そういった地域じゃなく、誰もが日本人労働者が来てくれないからやむを得ず受け入れているというところが大変多いというふうに認識している、そのほか、本来の国際貢献技能をちゃんと伝授すると、そういうところから見たら、そんな意識でやっている受入れはほぼないんじゃないかと、そういった参考人の方の御意見等もございました。  こういったところばかりでないことはもちろん承知をしておりますが、やはりまだまだこういった部分が根深く残っている、こういったところが問題なのかなというふうに感じております。  こういった実態もあるというところを、参考人の皆さんから様々な御意見を伺ったわけですから、やはりこの法案を成立し、そして運用していく際には、今の現状を少しでも先ほどおっしゃっていただきましたような形に変えていく努力をしていかなければならないと思いますが、そのためにはまずどういったところから始めていけばよいか、御見解をお聞かせください。
  108. 橋本岳

    ○副大臣(橋本岳君) 今、先ほど御答弁を申し上げたような形で法律、制度等を改めさせていただくということを御説明をさせていただきました。ですから、あとは、法律を成立をお許しをいただきましたならば、しっかりとその施行までの間に細部についてちゃんと詰めをさせていただき、それをきちんと実現をしていくということに政府として尽力していかなければならないというのはもう当然のことだろうと思っております。
  109. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございます。しっかりとその運用面の方も徹底して是非ともやっていっていただきたいなと思っております。  今回の技能実習制度で大きな問題となっているのは、今日も議論の中に何度も上がっておりましたけれども、やはり技能実習生が受入先で不当な扱いを受けたり、そもそも技能実習制度を利用して不法就労を目的とするような事態が起こっている、それをいかに回避して失踪者を出さないようにするためには、今までも議論を重ねてまいりましたけれども、幾つかの点をきちんと、先ほどもございましたが、法で定め、運用をしっかりしていくということがやはり一番重要であると私も考えておりますが、今回の法改正で新しく設置される予定の外国人技能実習機構がしっかりと管理をして取り締まる役割という点から非常にこの機構というのは重要だと考えますけれども、実習生保護観点から、機構ではどのような業務を行い、またどのような人材が機構の発起人ですとか役員、それから職員さんに選任されるのか、お聞かせください。また、あわせまして、地方事務所の方ではどのような人材配置になるんでしょうか、お聞かせください。
  110. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  外国人技能実習機構の組織等についてのお尋ねでございます。  まず、この技能実習制度でございますけれども、これ先ほど橋本副大臣からも御答弁をいたしましたとおり、開発途上国・地域等への技能移転、その経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度ではございますけれども、一方で、御議論をいただいているとおり、一部において、制度趣旨を理解せず、国内人手不足を補う安価な労働力の確保策として使用されており、労働関係法令の違反ですとか人権侵害が生じている等の指摘がされております。こういう中で、今のような問題を改善し、制度趣旨に沿った運用の確保を図るため、新たに法律に基づきまして外国人技能実習機構を設立をして、技能実習制度を管理監督する中核組織として位置付けるということとしております。  具体的なこの機構の業務でございますけれども、この法律に基づきまして、技能実習計画認定実習実施者監理団体への実地検査、実習実施者の届出の受理、監理団体の許可に関する調査などを行うものとしております。  さらに、この機構の体制でございます。こうした今申し上げたような業務に対応するために、実習実施者監理団体が全国各地に所在していることも踏まえまして、本部はもとより、全国十三か所に地方事務所を設置をするということとしております。また、その人員体制でございますけれども、本部には約八十名、地方事務所には二百五十名、合計で三百三十名程度を配置をすることとしております。  具体的に配置をされる職員でございますけれども、今申し上げたような業務を担当するということでございますので、入管法令あるいは労働関係法令に精通をし、かつ実地検査等についても経験を有するような職員を配置をしてまいりたいと思います。そういった観点から、入国管理行政あるいは私ども労働行政の関係職員の現役出向というものも併せてこの中で検討しているところでございます。
  111. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  今、数の方もお答えをいただきました。全体で三百三十人を配置するということで、地方事務所の方は十三か所で、本部の方に八十人と地方に二百五十人という配置でございましたけれども、これで運用をしていくというわけですけれども、この人数で本当に適正な管理ができていくのかというのは、やっていく中でのことになるかとは思いますけれども、きちんと管理ができないような状態になるようであればまた検討をいただいて、人員を増やすですとか配置転換をするですとか、そういった対応策の方も考慮をしていただきたいというふうに要望をしておきます。  それでは次に、現行のJITCOに技能実習制度を今は委託をしているわけですけれども、どういった点が新しく今回設置される外国人技能実習機構と違うのでしょうか、明確にお答えください。
  112. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 新しく設置をされます機構と現行のJITCOとの違いでございます。  現行制度におきましては、公益財団法人でありますJITCO、国際研修協力機構が厚生労働省から技能実習制度推進事業を受託をいたしまして、制度の適正かつ円滑な推進を目的として監理団体実習実施機関に助言、指導等を行っております。その事業の一環として巡回指導を行っておりますけれども、巡回指導では不正を的確に発見できないという指摘があり、さらに法令上の権限がないため指導にも強制力がなく、あくまでも支援、助言の事業にとどまっていることから実効性の点で問題があるという指摘をされているところでございます。  一方、新制度におきましては、技能実習法案に基づきまして、先ほど来申し上げているとおり、新たに認可法人として外国人技能実習機構を設立をいたしまして、先ほど御答弁したとおり、法令に基づきまして様々な業務を行うということにしているところでございます。  このように、法的な権限のないJITCOによる巡回指導とは異なりまして、法律上明記された業務外国人技能実習機構実施をするということで実効性のある制度運営が可能になるものというふうに考えております。
  113. 高木かおり

    高木かおり君 今御答弁いただきました、様々変わるところはあるということですけれども、一番大きな部分というのはやはりこの技能実習機構の方に法の権限ができるというところかと思います。  この技能実習機構は、監理団体実習実施者等の実地検査の権限が与えられるわけですけれども、どのような頻度で、またその頻度の根拠、理由というのをお聞かせください。
  114. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  まず、外国人技能実習機構が実地検査を行います頻度でございますけれども、監理団体実習実施者、まず監理団体については年に一回必ず監理団体、実地検査を行う、それから実習実施者につきましては全数について三年に一回実施を行うということでございます。  まず、監理団体につきまして、年に一回ということでございますけれども、監理団体につきましては一たびこれ不適切、監理団体について一たび不適切な対応があれば、その影響につきましては、多くの場合、複数の実習実施者に及び、そこで実習を受ける多くの実習生に不利益が生ずるということを踏まえまして、制度適正化においてその役割は極めて重要であるということから年に一回ということにしているところでございます。  引き続きまして、実習実施者についてでございますけれども、実習実施者につきましては、今申し上げたとおり、監理団体実習実施者に対する実地監査がございます。それから、そもそもそれぞれの実習計画を認定をするという時点でのチェックがございます。さらに、労働基準監督機関等々によります必要に応じた検査を行うというところを、全体的なところを踏まえまして、一号、二号の研修期間というのは三年でございますので、全て三年に一回、この検査を行うということとしているところでございます。
  115. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございます。回数的に決して少なくないという認識であるということかと思います。  ただ、先日の参考人質疑の折に旗手参考人は、監理団体については年に一回のチェック、それから実習実施者は三年に一度、先ほど御答弁いただきましたように実習実施者に関しては監理団体の方からのチェック機能もあるということではございましたけれども、なかなか、この参考人の方のお話によりますと、非常に心もとないというふうに思うというような表現をされておりました。こういった上からの規制の一形態、そのやり方ではなかなか限度があるのじゃないかというふうに危惧をされておられました。  その上記の回数で機構の監視、監督の実効性の担保というのが保たれるんでしょうか。それについて再度御見解をお聞かせください。
  116. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  監理団体につきまして年に一回、それから実習実施者につきまして三年に一回ということでございますけれども、先ほど来御答弁をいたしましたとおり、研修実施計画につきましても、認定制ということでまず最初にチェックをいたします。それから、監理団体につきましても、新しい法律によりまして監理団体自身の許可制というものを導入をいたすところでございます。  こういった今回の新しい制度全体の体制を踏まえまして適正な運用ができるものであるというふうに考えております。
  117. 高木かおり

    高木かおり君 そのほかにもいろいろとチェック機能があるということでございました。  この外国人技能実習機構、先ほどからお話に出ております実地検査、この実地検査を行うこととされておりますけれども、この実地検査というのはどのように具体的に検査をするんでしょうか、お聞かせください。
  118. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  実地検査は具体的にどういう形で行うのかということでございますけれども、実地検査につきましては、具体的には、基本的に申し上げますと、研修実施計画のとおり実際上の研修が行われているかという観点からチェックをするというものでございます。  当然これは、それぞれの実習実施者に実地に訪問をいたしまして、実習実施者の責任ある方からヒアリングをする、あるいは、例えば賃金台帳等々の諸帳簿を直接確認をする、さらには、技能研修生御本人、あるいは同じところで働いている日本人の従業員の方も含めてお話を伺う、そういったような内容を全体的に行いまして、実習が適正に行われているかというところをチェックをするというものでございます。その上で、指導の必要があるものについては指導を行い、例えば重大な労働関係法令の違反があるような場合については労働基準監督機関等に通告をする、そういったような対応も含まれるというものでございます。
  119. 高木かおり

    高木かおり君 今のお話の中で、様々その実地検査の方をいろいろと行っていただいているということなんですけれども、この実地検査を、今から行くよというような通告をしてからの実地検査では、なかなか、準備をしたり隠蔽体質ということが形成されるんじゃないかというような懸念もございますけれども、この点についてどのように実施をしていかれるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  120. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) お答えいたします。  実地検査でございますけれども、現行制度では、国からの委託事業によりましてJITCOが巡回して行っているわけでございますけれども、法的な権限もございませんし、突然の訪問では対応を拒まれるという場合があることから、事前に訪問日時を調整するということを原則としてやっております。  したがいまして、その実効性に限界があったということでございますけれども、このため、新制度におきましては、度々御答弁をいたしております外国人技能実習機構を設立いたしまして、この機構に法的な権限を付与するということにしております。  具体的な実地検査でございますけれども、特に証拠隠滅あるいは事実の隠蔽のおそれがあるような事案については、先ほど来御答弁しているように、年に一回あるいは三年に一回ということではなくて、積極的に抜き打ちによる検査を行う必要があるというふうに考えております。  仮に、こうした予告をしない検査を拒むような場合ということも考えられますけれども、その場合については、技能実習計画認定に必要な情報が得られないということから新しい計画の認定はできないということになります。またさらに、必要に応じて主務大臣がその職員に立入検査を行わせた上で、既に認定をした計画についても取消しを行うというような対応を予定をしております。  これらによりまして、実地検査の実効性を確保してまいりたいと考えております。
  121. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  様々法改正がされることによって、今まで以上にしっかりと取り締まっていけるような体制が構築されるということでございます。今後もきちっとやっていっていただきたいと思います。  質問の時間が参りましたので、また引き続き後日質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。  十一月の十一日、福岡拘置所において一名に対して死刑が執行されました。日弁連は、本年十月七日に開催されました第五十九回人権擁護大会において死刑制度の廃止を含む処罰制度全体の改革を求める宣言を採択し、二〇二〇年までに死刑制度の廃止を目指すべきであると宣言しております。  犯罪により命が奪われた場合、失われた命は二度と戻ってこないわけですから、このような犯罪は決して許されるものではなく、犯罪により身内の方を亡くされた遺族の方が厳罰を望むことはごく自然なことであり、その心情は十分に理解できます。  人権を尊重する民主主義社会であろうとするこの社会において、犯罪被害者あるいはその遺族に対する十分な支援を行うとともに、死刑制度を含む刑罰制度全体を見直す必要があるというふうに思います。国際社会においては死刑廃止に向かう潮流が主流であり、死刑制度を残し、現実的に死刑を執行している国は世界の中では少数にとどまっているということを申し上げて、質問に入りたいと思います。  外国人研修制度適正化策についてお伺いいたします。  技能実習生が問題を訴えやすい環境の整備について伺います。  十一月十日の参考人の意見陳述では、旗手明参考人の発言として、下からの規制といいますか、問題があったら技能実習生がそのことを訴えることができるという体制づくりということが重要ではないかというふうに考えておるところです、簡単に強制帰国されないような環境、あるいは問題があれば実習先の変更が可能であるような環境、それから権利行使の場合に、多くの技能実習生実習実施機関の有する寮のようなところにいることが多いわけですので、非常に声を上げるのは大変です、ですから、シェルターのような、身を守りながら訴え出るということが可能なような措置を具体的に講ずる必要があるだろうというふうに考えておりますと指摘をされました。  法務省、厚労省において、この点についてどのように検討されているか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  123. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 旗手参考人から幾つかの提言がございました環境づくりに関しまして、まず最初に、簡単に強制帰国されないような環境づくりという御指摘がございました。この点につきまして、本法案におきましては、実習実施者監理団体に対し、技能実習生技能実習を行わせることが困難となったときは、遅滞なく、技能実習継続のための措置等を主務大臣に届け出なければならないこととしております。そして、その届出は技能実習生の帰国前に行わせることを予定しておりますことから、事前に主務大臣がその状況の確認を行うことが可能になると認識しております。また、入国管理局におきましては、本年九月から、空港等で技能実習生に対して入国審査官による出国の意思確認を行っておりまして、帰国を強制されているか否か、経緯も含めて丁寧に聴取することとしております。  もう一つ、問題があれば実習先の変更が可能であるような環境づくりの御指摘もございましたが、新法案におきましては、実習の継続が困難となった場合には、実習実施者監理団体実習の継続のための措置を主務大臣に届け出る義務を課した上、主務大臣外国人技能実習機構において必要な支援を行うこととしております。
  124. 宮野甚一

    政府参考人宮野甚一君) 残りの御指摘二点についてお答えをいたします。  まず、技能実習生が問題を訴え出ることができる体制につきましては、新たに設立をいたします外国人技能実習機構の相談窓口におきまして、使用する実習生数の多い母国語での相談を受け付け、内容に応じて適切に申告につなげていくよう検討しているところでございます。  続きまして、もう一点、シェルターの関係でございますけれども、実習実施者等による人権侵害等により、実習生がそれまでの受入れ機関が用意した宿舎に滞在し続けることが困難な事情があると認められる場合、新たな実習実施者等による宿舎の確保等までの間、安心して利用することができる宿泊先を確保、提供する等の援助を予定しているところでございます。
  125. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、受入れ人数枠の拡大について伺います。  受入れ人数枠の拡大については、法案第九条十一号において主務省令に委ねられています。受入れ人数枠は、現在、実習実施機関の常勤職員数の数が二十人、これに対して技能実習生が一人、これが原則となっておりますが、特別枠が設けられ、五十人以下の実習実施機関で一律三人、これ三年間で九人の受入れが可能というふうにされております。  この点に関して、有識者懇談会報告書では、優良な受入れ機関では現行の二倍程度まで拡大するとしています。その結果、優良な実習実施機関では、期間延長と受入れ枠拡大の結果、例えば、常勤職員十人未満の企業でも、従来の三人掛ける三年は九人、そして六人掛ける五年、これは三十人の技能実習生を受け入れることが可能となりますが、これではとても制度目的が果たせるとは思いません。ちなみに、団体監理型の実習実施機関の規模を見ますと、二〇一四年で十人未満のところが五〇・九%と半数を超えています。他方、百人以上は六・五%にすぎません。  技能実習制度目的を達成する観点からは、例えば実習実施機関受入れ可能な技能実習生総数を実習実施機関の常勤職員を超えてはならないとするなど、受入れ人数枠の上限を法律で定めるべきであるというふうに考えます。適正化策が効果を発揮し、制度改善が確認される状況となってから実施すべきものと考えるが、どうでしょうか、お伺いいたします。
  126. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  まず最初に、受入れ人数枠の上限を法で定めるべきではないかというお尋ねがございました。  受入れ人数枠の拡大につきましては、技能を的確に修得させることを含め、適正な技能実習実施が可能かどうかという観点から検討すべきものと考えておりまして、適正に技能修得させる高い能力を有する優良な実習実施者が、監査等の業務の遂行に高い能力を有する優良な監理団体の下で実施する場合に限り、拡大された人数枠での受入れを認めることを想定しております。  すなわち、優良な受入れ機関の基準を定める中で、技能検定の合格率や技能実習生に対する相談体制、指導体制等を考慮要素とすることによりまして、技能移転による国際貢献という制度趣旨に沿って適切に技能実習実施できる機関だけを優良な機関として取り扱うような仕組みとすることを考えております。具体的には、より多くの技能実習生を受け入れた結果、技能検定の合格率が一定程度下がるなどすれば、優良性の要件を欠くことにもなるような優良基準を検討することとしております。  なお、現行制度におきましては、監理団体の法人形態や対象職種によって技能実習一号で受け入れることができる技能実習生の人数の上限を定めておりますが、例えば常勤職員数が五十人以下の場合は三人までなどと定める際には、常勤職員の総数を超えてはならないという要件も付加しているところでありまして、この付加要件につきましては、新制度における優良な受入れ機関受入れ人数枠についても同様の上限を設ける予定でございます。  それからもう一つ受入れ人数枠の拡大は適正化策が効果を発揮してから実施すべきではないかとのお尋ねもございました。  受入れ人数枠の拡大等の今回の制度拡充は、優良な受入れ機関に限って拡充を認めることによりまして技能実習制度活用を促進するものであり、速やかにこれを行うことが国際貢献という制度趣旨にかなうものであります。また制度の拡充は、技能実習の適正な実施へのインセンティブを高めることにもつながることから、新制度の施行と同時に実施するのが相当と考えております。
  127. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 有識者懇談会の報告書では、実習実施機関受入れ人数枠の均斉化として、これは、常勤職員数が五十人以下の場合について、三十人以下は三人、三十一人以上四十人以下は四人、四十一人以上五十人以下は五人までという提案もなされています。これは、優良な機関でなくても受入れ人数増を図ることにもつながり、ただでさえ問題山積みの現状のまま、単なる拡大を許容するものとなっています。  こうした拡大策は適正化とも結び付かないものであり、やめるべきだと考えますが、どうでしょうか、伺います。
  128. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  現行の上陸基準省令で、実習実施機関の常勤職員数を基準として技能実習生受入れ人数枠を設けているのは、実習実施機関における十分な指導体制を確保するためのものであります。この点、現状で発生している不正行為の多くは賃金不払等の労働関係法令違反でございまして、これは受入れ機関の常勤職員数が少ないために十分な指導体制を確保できていないことに起因して生じているものではなく、指導体制の観点からは、現行制度受入れ人数枠に特に問題はないと考えられます。  御指摘の有識者懇談会報告書における人数枠に係る提言は、現行制度における受入れ人数枠が五十人以下は一律で三人となっており、よりきめ細かな人数枠の設定が必要であるとの指摘を受けているところでありまして、優良な監理団体に認められる受入れ人数枠の拡大とは趣旨が異なるものでございます。すなわち、現在の枠組みでの技能実習生受入れ人数枠は、常勤職員数三人から五十人までの場合は一律に三人、五十一人から百人までの場合は一律に六人とされておりまして、その結果、実習実施機関の常勤職員数が五十一人から五十人に一人減少した場合に受入れ人数枠が六人から三人に半減することとなるわけでございます。  このように、実習実施機関の常勤職員数が僅か一名変動することにより技能実習生受入れ可能枠が大きく変動することは、受入れ機関の安定した技能実習実施影響を生じることとなり、好ましくありません。したがいまして、受入れ人数枠の変動が大きくなり過ぎないよう、常勤職員数が四十一人から五十人の受入れ機関については五人、三十一人から四十人の受入れ機関は四人とし、変動幅を抑えたきめ細かな均斉化を図った結果として、受入れ人数枠が現行より増えることとなるものでございます。  このように、受入れ人数枠の均斉化は、安定した技能実習制度の適正な運用に資するものであると考えております。
  129. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 では、次に出入国管理及び難民認定法改正案についてお伺いいたします。  仮放免取消しの際に、入国管理局が禁止するという在留活動があるというふうに伺いました。そのレベル分けについてお尋ねいたします。具体的には、次の活動は禁止されるべき在留活動に当たるのでしょうか。一、呼吸をすること、二、睡眠を取ること、三、食事をすること、四、家族、知人と会話をすること、五、運動すること、六、買物をすること、七、就労すること、以上について伺います。
  130. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 仮放免取消しの際の条件につきましてのお尋ねでございます。  退去強制令書が発付された者を収容するのは、送還可能なときまで身柄を確保し、その在留活動を禁止することが目的でございます。仮放免の許可は、諸般の事情を勘案して一時的にその者の収容を解くことですが、あくまで仮の放免であることから一定の条件が付されます。この一定の条件につきましては、入管法の施行規則によりまして、住居の指定、行動範囲の制限、職業又は報酬を受ける活動に従事することの禁止などと定められておりまして、お尋ねの七項目のうち就労活動につきましては、職業又は報酬を受ける活動として当該規則により禁止されるものでございます。そのほかの六項目につきましては禁止するような活動ではございません。
  131. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、難民認定の具体的なプロセスはどうなっているのかをお伺いいたします。  蓋然性の高い案件はどのように検討されるのでしょうか。具体的には、難民調査官が聴き取りを行った後に法務大臣認定若しくは不認定とするまでの、このプロセスについてお伺いをしたいと思います。
  132. 井上宏

    政府参考人井上宏君) まず、難民認定の具体的なプロセスについてのお尋ねがございました。  難民認定申請が行われますと、これは地方入国管理局等におきましてこれを受理することになります。そして、難民調査官が面接による事情聴取等の必要な調査を行いまして、その調査の結果を踏まえた難民調査官の意見を付しまして、地方入国管理局長等から法務大臣に対して案件が進達されてまいります。進達された案件につきましては、難民認定に関する事務を所掌する法務省入国管理局内の難民認定室におきまして難民該当性に係る検討を行って、法務省内での決裁を行って最終決定するということになるプロセスでございます。  次に、難民認定申請の中には今いろいろなレベルのものがございますが、その中で特に、難民認定の蓋然性の高い案件についてどのような取扱いかというお尋ねでございました。  そのような難民認定の蓋然性が高い案件に係る判断につきましては、これは、基本的には他の案件と同様に、先ほど申し上げましたプロセスで事務を行うことになりますけれども、昨年九月に策定いたしました第五次出入国管理基本計画におきまして、「真に庇護すべき者とそうでない者を明確に区別し、事案の内容に相応した適正・迅速な案件処理を行っていく」としておるところでございますので、それに従って、真の難民を迅速に保護する観点から、そのような蓋然性の高い案件は優先的に処理するように努めております。
  133. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、保護対象の明確化についてお伺いしたいと思います。  上川元法務大臣が、二〇一五年の九月十五日に制定した第五次出入国管理基本計画においては、「保護対象の明確化に関しては、いわゆる「新しい形態の迫害」の申立てについて、入管法第二条第三号の二に規定する「難民」、すなわち難民条約の適用を受ける難民への該当性を的確に解釈することにより保護を図っていくべく、そのための仕組みを構築する。」とあります。  この仕組みの構築の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、新しい形態の迫害により認定をされた人の人数は何人か、そして、どのようなケースがこれに当てはまるのでしょうか、説明をお願いいたします。
  134. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  委員の御指摘の件につきましては、昨年九月に法務省が公表した難民認定制度の運用の見直しの概要の中で、まず、保護対象の明確化による的確な保護を図る一環といたしまして、いわゆる新しい形態の迫害を申し立てる者が難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすか否かの判断に関しまして、難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるようにするための仕組みを構築することとしております。  具体的には、女性に対する重大かつ深刻な性的虐待を始めとしたジェンダーに起因する迫害のおそれが認められるものなどを想定しておるところ、既に幾つか難民審査参与員からの御提言をいただいておりまして、それを恒常的に判断の基準とするか否かについて、諸外国の実例なども参考にしながら検討を行っているのが現状でございます。  なお、個別の事案におきましては、こうした新しい形態の迫害という観点をも考慮いたしまして、人道配慮による在留を認めた案件がございます。
  135. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、難民問題について提言するために設置された政策懇談会があるわけですが、第六次政策懇談会難民問題専門部会から提言があった検討内容実施されているのでしょうか。具体的に申しますと、先ほどちょっとお話もありましたが、新しい形態の迫害、例えばそのジェンダーに起因する迫害なども含む補完的保護制度活用すべきとの提言があったわけですが、現在、それはどうなっているのでしょうか。
  136. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  第六次出入国管理政策懇談会の下に設置されていた難民認定制度に関する専門部会からは、保護対象の明確化による的確な庇護、手続の明確化を通じた適正・迅速な難民認定認定判断の明確化を通じた透明性の向上及び認定実務に携わる者の専門性の向上のこの四分野に関する提言がございまして、入国管理局におきましては、これらの提言を踏まえて運用の見直しを検討し、昨年九月に第五次出入国管理基本計画にその方向性を盛り込むとともに、難民認定制度の運用の見直しの概要としてその内容を取りまとめ、現在、その実現に向けて取り組んでいるところでございます。  委員の御質問では、新しい形態の迫害の点と補完的保護制度の点について特に言及がございましたが、第六次出入国管理政策懇談会の提言におきましては、このうち、新しい形態の迫害の問題と補完的保護の問題につきましてはそれぞれ別の対応が求められているところでございます。このうち、新しい形態の迫害につきましての検討状況は、先ほどの答弁で御説明したとおりでございます。  そこで、補完的保護の関係につきまして御説明申し上げますと、補完的保護につきましては、一般的に、難民条約の解釈によっては難民とは認定されないものの、各種の理由から重大な危害に直面するおそれがあるため本国への帰還が可能でないか望ましくない者に対しまして、国際的な人権、人道上の規範によって国際的保護の機会を付与する考え方と理解しておるところでございます。  当局におきましては、例えば平成二十三年以降、シリア人の難民認定申請者に対しましては、難民認定をしない場合であっても我が国での在留を認めておるところでございますが、このように従来から、紛争避難民など本国情勢等を踏まえて人道上の配慮が必要と認められる場合には我が国への在留を認める措置をとっているところでございます。  また、先ほど申し上げました運用の見直しにおきましては、武力紛争による本国情勢の悪化による危険などから我が国に逃れてきた者等について、我が国での紛争待避機会として在留許可を付与すべき対象を明確にするため、人道上の配慮により在留許可を行った事案及び判断のポイントについて公表するとしておりますが、本年三月、その事案及び判断のポイントについての公表をしたところでございます。  入国管理局といたしましては、引き続きこのような取組を通して、国際的な保護を要する者の適切な保護に努めてまいります。
  137. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 難民申請者の出身国が現在どのような状況にあるかは、難民該当性を判断するに当たり非常に重要なことであります。その出身国情報拡充のために、国連、UNHCRなどとの情報の共有はどこまで図られているのでしょうか、お伺いいたします。
  138. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  入国管理局におきましては、各国政府機関報告や出身国に関する報道、UNHCRが保有する情報等、申請者の出身国情報や国際情勢に関する情報を幅広く収集し、それを法務省及び地方入国管理局等が共有しておりまして、難民調査官等はこれらの情報を十分に参照、活用しておるところでございます。  UNHCRからの情報提供につきまして説明いたしますと、例えば、国際的保護に関するガイドライン等の文書の提供を受けて審査活用できるようにしておるところでございます。また、UNHCR等の国際機関や諸外国の政府等が公表する関連情報にアクセスできるウエブサイトのリストも法務省及び地方入国管理局等において共有しておりまして、審査活用できるようにしております。
  139. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 第五次出入国管理基本計画では、認定判断に関する諸外国の事例についても幅広く収集、参照することにより、認定実務における調査、判断の質の向上を図るとあります。また、諸外国の事例、これは認定事例、不認定事例などあるわけですが、その資料を有効活用するための仕組みを構築するべきであるとされておりますが、出身国情報の共有、そして翻訳は進んでいるのでしょうか。また、民間に何か公表する予定はあるのでしょうか、お尋ねいたします。
  140. 井上宏

    政府参考人井上宏君) まず、委員指摘の提言でございますが、認定判断に関する国内の実務先例や裁判例のみならず、諸外国の事例についても幅広く収集、参照することにより、認定実務における調査、判断の質の更なる向上を図る等、当該資料を有効活用するための仕組みを構築すべきであるという旨のものでございますが、これは第六次出入国管理政策懇談会から平成二十六年十二月に提出された報告書にあるものでございます。  いずれにいたしましても、出身国情報及び諸外国の認定、不認定事例に関する情報の共有につきましては、これは従来より法務省及び地方入国管理局等が取得した情報を共有して、難民調査官等が活用できる環境を整備しております。また、諸外国の政府やUNHCR等の国際機関等が公表する出身国情報や諸外国の難民認定関係の裁判例等にアクセスできるウエブサイトのリストを共有し、難民調査官において最新の情報を審査活用できるようにしていることも述べたとおりでございます。  なお、出身国情報等の翻訳につきましては、米国国務省報告及びイギリス内務省報告等について翻訳したものを共有しております。出身国情報等の公表につきましては、法務省のウエブサイトにおきまして現在四十三か国に関する米国国務省報告及びイギリス内務省報告を翻訳したものを公表しておるところでございます。
  141. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今四十三か国の情報があるということでありますが、それを調査官や難民審査参与員が参照する運用は始まっていますでしょうか。諸外国事例からの規範的要素の明確化のための抽出作業は行われているのでしょうか。また、既に構築は終了しているのでしょうか。あわせて、どのようなタイムスケジュールでこのような行程を予定しているのか、お決まりでしたらよろしくお願いしたいと思います。
  142. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 順次お答えを申し上げます。  まず、出身国情報等の参照・活用状況でございますが、入国管理局におきましては、積極的に出身国情報を収集しているのは、まさに難民調査官や難民審査参与員が申請者の難民該当性を的確に判断するためでありまして、当然のことながら既に十分に参照、活用されております。また、UNHCRの協力も得つつ、難民調査官等が申請者の出身国情報等を適切に活用できるようにするための研修も実施しております。  次に、規範的要素の明確化に関してでございますが、規範的要素の明確化につきましては、昨年九月に法務省が公表した難民認定制度の運用の見直しの概要における、保護対象認定対象及び手続の明確化の中で、明らかに難民認定又は難民認定とすべき事案に係る判断要素、例えば迫害主体や迫害要因などですが、そのような判断要素に関しまして、難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるようにするための仕組みを構築するとともに、難民該当性に関する判断の規範的要素を可能な限り明確化するよう、認定、不認定事案の公表を拡充し、判断のポイントについても公表することとしております。  そこで、当局といたしましては、難民審査参与員から諸外国の難民認定手続に関しても提言をいただくこととしているとともに、本年三月には認定、不認定事案について、事案数を拡充した形で判断のポイントを付記したものの公表を行ったところでございます。  入国管理局としましては、引き続きこのような取組を通して、難民該当性に関する判断の規範的要素の明確化に努めてまいります。  また、タイムスケジュールについてのお尋ねもございました。  規範的要素の一般化、明確化についてでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、昨年九月に公表した運用の見直しの概要におきまして、明らかに難民認定又は不認定とすべき事案に係る判断要素に関して、難民審査参与員が法務大臣に提言して、それを難民審査の判断に用いるようにするための仕組みを構築することとしておりまして、その際には、諸外国の実例についても提言の中に含めていただいた上で、当局において検討を行っているところでございます。そして、判断のポイントを明確にした認定、不認定等の事例を取りまとめた上で定期的に公表することとしてございます。  いずれにいたしましても、政策懇談会などからの報告書、提言の趣旨を踏まえまして、難民認定申請の審査の適正を期するため、難民該当性に関する判断の規範的要素の一般化及び明確化に継続的に取り組んでまいりたいと考えております。
  143. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりますが、通告をしておりますまだ積み残しがございますが、次の機会にお伺いします。  ありがとうございました。
  144. 山口和之

    ○山口和之君 無所属の山口和之でございます。  今日の午前中の丸山委員の、葉っぱを十枚集めて冷蔵庫へ入れると、この話が頭からちょっと離れないんですが、正直言うと、外国人受入れ制度にして、単純労働受入れ分野技能実習受入れ分野、あるいは専門、そういったものにした方がいいのではないかというふうに午前中思いましたが、これをいくのであれば、例えば農業全体を幅広く学んでステップアップで転籍ができるとか総合的に日本で学んで帰れるようにできたら、それはそれで技能実習としての目的が果たせるのではないかと思いますが、これについても是非検討していただきたいと思います。  気を改めまして、今回も新しく技能実習対象となる介護実習について伺いたいと思います。  在留資格の変更について伺いたいと思います。  これまでの答弁では、転籍については個々の事情を判断して認められる場合もあるということでしたが、例えば介護の技能実習日本に来た方が実習しているうちに介護の専門学校でちゃんと勉強し直したいと思ったときに、在留資格を留学に変更したいという希望を持った方が仮にあった場合、どのように対応になるのか教えていただきたいと思います。
  145. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  これまで技能実習制度の中で転籍の可否を議論しておりましたのは、技能実習という在留資格の中で別の実習実施先に移ることができるかどうかという観点でございましたが、ただいまの御質問は在留資格を別の在留資格に変更できるかどうかということになるわけでございます。在留資格の変更につきましては、法律上、大臣は変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可できるという裁量行為で定められてございます。  ところで、技能実習制度につきましては、これまで累次御答弁申し上げているとおり、技能等開発途上国等への移転を図って、その経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度でございますので、我が国で学んだ技能等を生かして本国で活躍することが予定されております。したがいまして、基本的には我が国に在留したまま技能実習から留学へ在留資格を変更するということは想定していないところでございます。  そこで、仮に技能実習から留学への在留資格の変更許可申請がなされた場合にどうなるかといいますと、そこは、今申し上げました技能実習制度趣旨を踏まえつつ、ただ個別の事情、特段のものがあるかどうかというものも考慮いたしまして、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由の有無という法律上の要件を判断していくことになります。
  146. 山口和之

    ○山口和之君 在留資格の変更に相当する内容になるんでしょうかね。
  147. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 技能実習趣旨につきまして申し上げましたとおり、基本的には、我が国で学んだ技能等を本国に持ち帰って活躍していただくことが予定されていますので、日本に在留したまま技能実習から留学へそのまま変更するということは基本的には想定していないところでございます。
  148. 山口和之

    ○山口和之君 ということは、一旦帰ってもう一度資格を取り直して日本に来て学んでくださいということになるんですよね、恐らく、そういう話ですね。  例えば、介護福祉士を、受験資格が得られるんですけれども、何年間か勤務していればですね、そうなったときに、介護資格、介護福祉士を受験しました。で、介護福祉士を取りました。まあ、そんなに取れるものではないと思いますけれども、仮に取ったとして、そのまま日本に残りたいといった場合は、それはどうなるんでしょうかね。
  149. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 現行法の下で、介護の実務実習をしながら受験の要件を得て国家試験に受かるための在留の資格は、現在のところEPAによる特例的な受入れだけしかございません。  したがいまして、現在は、そのEPAの場合には、その特例の中でございます、二国間の経済連携の特例の中でございますので、介護福祉士の資格を取れた場合にはそのまま更に特定活動ということで在留を継続することができるんですが、仮に技能実習生がその介護福祉士の受験の実務要件を満たしたとして、そして試験に受かったとしても、現行法におきましてはそれの在留を認める在留資格はないわけでございます。  今度の入管法改正で設ける介護の在留資格につきましては、実務経験ルートではなくて、いわゆる留学のルートの場合を認めることを想定してございますので、そういうことで、当面はそういう形で、仮に合格した方がいても引き続き介護という形で在留を認めることはできないということになるわけでございます。
  150. 山口和之

    ○山口和之君 国際貢献であったり日本の中で貢献していただくとかと考えた場合に、余り固く考えなくてもいいような気はしますけれども、是非、そういう方がいらっしゃる可能性もあるので、今後検討していただきたいと思います。  次に、入国前後の業務要件について伺いたいと思います。  技能実習生入国に際しては、母国で同種の業務経験を有すること、帰国後に修得した技能等を要する業務への従事が予定されていることが要件とされております。実際にはこれらは空文化しているようにも見られますが、今後厳格な運用を目指すのかをまず法務省に伺いたいと思います。
  151. 井上宏

    政府参考人井上宏君) お答えいたします。  技能実習制度は、技能等移転による国際貢献目的とする制度でございますので、日本修得した技能を母国に帰って生かすということが確かであるということの一つの証左とするために、原則として、いわゆる前職及び復職の要件について証明を求めておるのが現在の運用でございます。  ただし、前職の要件につきましては、その例外として、その職業に就いていなかったことについて特別な事情がある場合として、例えば本国の職業訓練学校を卒業したなどの事情がある場合、あるいは技能実習を受けることが我が国と外国との間の技術協力上必要である場合、政府派遣の場合などでございますが、このような場合につきましては、本邦において修得しようとする技能等の経験がなくても当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があると認めて、その受入れを認めているところでございます。  新制度におきましてはどうするかということでございますが、これらの要件は基本的には踏襲する予定でございますが、御指摘もありましたが、これを厳格に求め過ぎてかえって空文化することは好ましいことではございません。修得した技能が母国で活用されるとの制度趣旨を踏まえた、その範囲内におきまして適切な運用を検討してまいることとしたいと考えております。  以上です。
  152. 山口和之

    ○山口和之君 もう一度法務省の方にお伺いしたいんですけど、例えば日本の、日本から、向こうで日本語学校を開設して、介護学校とかを例えばつくったとして、そこで一年間学んでから、日本語も学びながら、こちらの方に実習来ると。実際働いてはいないですけれども、向こうでそのような専門学校的なものをつくったとしたら、それは可能になるんでしょうか。
  153. 井上宏

    政府参考人井上宏君) 現在の運用といたしましては、本国の職業訓練学校等の卒業に関しましても、政府等の公共団体等の関与等を求めておるというのが現状でございます。
  154. 山口和之

    ○山口和之君 それでは、厚労省に伺いたいと思うんですが、介護を技能実習に追加するに当たってはそこをどのように整理するのかというか、送り先の国でそれほど介護が普及していない場合等も考えられますし、この辺はどのように整理していくのか、教えていただきたいと思います。
  155. 中井川誠

    政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  厚生労働省サイドといたしましては、今の先生の御指摘についてはまだ検討が十分進んでいないところがございますので、今後、法務省さん、それから関係部局とも相談して対応を考えたいと思っています。
  156. 山口和之

    ○山口和之君 日本は今高齢化社会を迎えているからそういう働く場所がありますけれども、まだ海外においてはこれからというところもあって、実際介護というものがそれほど普及していない。先にこちらの日本の方で学んでおいて母国に帰ってから貢献するというふうに考えたら、やはり先ほど言った介護の学校があって、そこから来て日本で更に、日本としてもすごくやりやすいですよね、向こうで勉強してきてもらって、それからこちらでも実践を、実習していくわけですから、本当の実習制度ですよね。そういう意味で、こういうのはありなのかなと思います。  次に、到達目標について厚労省にお伺いしたいんですが、実習の目標に介護職員初任者研修あるいは実務者研修相当を修得することとしてはどうかと。なぜならば、日本の場合は初任者研修があって実務者研修があって、次に介護福祉士があってというふうにキャリアアップをしていくというふうに考えると、別ルートの別なものがあって、外国人専用のものがあるというのもちょっとおかしな話かなというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  157. 中井川誠

    政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  厚労省の介護分野の有識者による検討会で外国人介護人材の受入れの在り方について取りまとめいただきました。これはもう先生御案内の内容でございますが、その場合、介護分野技能実習制度において、先生固有とおっしゃいましたけれども、各年次ごとの到達水準というものを定めておるところでございます。  一年目の修了時には、指示の下であれば、決められた手順に従って基本的な介護を実践できるレベル、二年目の修了時は、指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル、三年目修了時には、自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベルと設定すべきであると、かように御指摘をいただいたところでございます。  ただ、この取りまとめ内容では、今先生から御指摘ありましたように、例えば、じゃ具体的な評価項目や評価基準の設定に当たりましては、じゃ、初任者研修なり実務者研修、既存の研修の考え方を参考にすべきという御意見があったことも確かでございます。  ただ、やっぱりそれぞれの制度ということもございますし、こうした意見をも踏まえまして、遅くとも二年目修了時においては初任者研修修了程度の知識、技能が身に付いていることを念頭に、実習生が円滑かつ速やかに技能を得ることができるよう、今後、技能の公的評価システムを構築する中で具体的な内容を検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  158. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  日本の介護を学んでいくんですから、日本のレベルをしっかり確保していかなきゃいけないなと思います。そうはいっても、それを成功に導くためには日本語がやはり、毎回言わさせていただいていますけれども、これ大事だということで、介護人材受入れの検討会の中間まとめ、今お話にも出ましたけれども、には日本語教育の指導者を配置することが望ましいとの意見があったと記されております。  国としてそうした配置を支援するなどできないのかということを伺いたいと思いますが、この前視察に行かさせていただきました社会福祉法人の、EPAのところを視察させていただきましたけれども、その中の配付資料の中に、一年目の取組、二年目の取組とか、いろいろ書いてあるんですが、ベトナムのEPAによる介護福祉士候補者については、訪日前に日本語研修十二か月の後、N3をマッチング対象として、更に訪日後二・五か月の日本語等の研修を受入れ施設での就労、研修の前提としております。しかしながら、今回の技能実習制度仕組みを見ますと、二か月間いろんな座学をやるということなんですね。ここに日本語が含まれるのかもしれません。  今度、実習先の社会福祉法人での取組を見ますと、日本語学校派遣講師によるグループレッスン、研修期間に使用した日本語教材の反復学習、学習時間の確保と環境整備、パソコン、電子辞書等、あるいは、二年目になりますと、グループレッスンによる日本語の基礎学習、国際厚生事業団からの添削問題を実施、大学等が主催する研修会への参加、三年目になりますと、同じく講師による個別レッスン、それから専門用語の漢字習得だったり、あるいは、四年目になっても日本語学校からの派遣する個別レッスン等々出てくるんですね。その上で、受入れに当たっての今後の課題というところに日本語学習の在り方というのが課題として載っていると。だから、相当難しい大変なことなんだと思います、現場にとっても。  そういった観点から、日本語教育の指導者を配置するなど、国としてそういう配置を支援することはできないのかということについて伺いたいと思います。
  159. 中井川誠

    政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、先ほどの取りまとめにおきましては、例えば、日本語教育の指導員を配置することがより望ましいという意見があったということは私どもも承知しているところでございます。  ただ、EPAの、いわゆる経済連携協定、これは公的枠組みで特例的に行われているということに対しまして、技能実習制度につきましては、いわゆる民間主導ということ、これは制度、介護以外にもいろいろと職種があるわけでございますけれども、基本的には実習実施機関個々受入れ能力に応じて実施するということが基本になっておりますので、例えば、日本語教育指導者の配置ですとか、そういう授業、実習実施に係る費用等に対して国が支援するということは残念ながら想定していないところでございます。  ただ、先生今御指摘のとおり、介護におきまして日本語におけるコミュニケーション能力が不可欠な要素である中で、実習生実習実施機関において自律的に日本語学習を行うことができる環境づくりをどうしていくのかというのは、当然技能実習制度においても当然大切なことでございます。  こういう技能実習制度の下におきまして、このため、実習実施機関の御負担に配慮しながら日本語学習指導者の配置が推奨されるよう、必要な対応というのは何かないかというのを、これは関係団体との間でも協議をしながら検討していきたいと考えておりますし、実習実施機関において指導がより効果的に行われるように、例えば、その施設で行う日本語学習における標準的なプログラムの策定でございますとか、あとは介護用語、これは専門用語ございますので、その共通テキストでございますとか、実習機関における日本語学習指導者手引を作成するですとか、あと、監理団体の方に日本語教育専門家がおりますので、彼らによる実習機関実習生に対する指導を推奨していく、こういうことにより施設における実習生日本語学習を支援してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  160. 山口和之

    ○山口和之君 現場は忙しくてそれどころじゃないというふうな話になって、結局単純な労働のみをお願いするようになってしまうと、これはまたちょっと本末転倒になってしまいますので、是非検討していただきたいなと思います。  そこで、今、監理団体の話が出ましたけれども、介護の技能実習について監理団体として許可する際の要件についてはどのように考えているのか、また、中間まとめには、今般の制度改正による監理団体の監理の徹底では介護分野では対応できないのではないかという意見も記されていますが、どのように対応していくのか、厚労省にお伺いしたいと思います。
  161. 中井川誠

    政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  まず、監理団体の許可要件でございますが、これは介護に限らず、全体として、例えば非営利であることでございますとか財産的基礎があること等があるわけでございますが、その中に、例えばその技能実習計画の作成指導ができる能力でございますとか、あとは、技能実習生や施設の方から具体的な相談を受けてそれを指導しなければいけない、ということは、それは現場を踏まえた上での当然指導、助言ができるような、いわゆる監理業務を適正に行うに足る能力、介護固有の能力というものがなければならないのではないかと、かように考えている次第でございます。  それで、先ほどの取りまとめによりますと、こうした技能実習本体の見直しにおいて、監理団体による監理の適正化でございますとか、公的機関による監視体制の強化が予定されていると。それで、技能実習本体の見直しにおいて、大幅に適正化等が図られることは、十分に評価できるものであり、介護分野においても、今後具体化されていく本体の見直しの内容に沿った取組を進めるということとされているところでございます。  ただ、先生から御指摘ございましたように、介護分野において技能実習本体の見直しで対応することができるかもう少し見極めた方がいいのではないかという御意見があったことも確かでございます。  そこで、新たな技能実習制度の下におきましては、監理団体は、実習一年目は、月一回以上実習実施者を指導するほか、三か月に一回以上実習実施者を監査し、その結果を機構の方に報告するという形になっているわけでございます。その実習実施者に対する監査、指導を実効あるものとするためには、当然、介護サービスについて的確に状況を把握して適切に指導することが可能な体制というのが監理団体の方に求められるというふうに考えるところでございます。このいわゆる監理団体の監理事業を適正に行うに足りる能力として、例えば監理団体の方に介護福祉士を設置するなど、そういうことも含めまして今後具体的に考えてまいりたいと考えております。
  162. 山口和之

    ○山口和之君 以前に共産党さんから配付された、監理団体として組合をして派遣しますよみたいな雰囲気の資料がありましたけれども、もうあれを見ると物すごく不安になってくるので、是非そんなことがないように、質の高い監理団体でなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。  それから、実習生受入れ人数について伺いたいんですが、介護の実習生受入れについて介護固有の人数枠を設けるということですが、その考え方と具体的な人数について伺いたいと思います。
  163. 中井川誠

    政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。  先ほどの取りまとめにおきましては、実習生受入れ人数につきまして、指導する立場の職員の目の届く範囲で実習が行われ、適切な実習体制を確保するため、常勤職員数の三十人以下の小規模な受入れ機関の場合は受入れ人数は常勤職員総数の一〇%とすること、それでまた、受入れ人数枠の算定の基準となる、まあ分母になりますけれども、常勤職員の範囲につきましては、介護の技能移転趣旨に鑑み、主たる業務が介護等の業務である者に限定することとすべきとされてあり、今後この考え方に基づき具体的に検討することとしておるところでございます。
  164. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  十日の未来投資会議で総理の発言がありました。介護においてもパラダイムシフトを起こしますと強い表明がありました。自分としては、長妻大臣の時代、田村大臣の時代、塩崎大臣に入りまして、介護保険というのは自立支援なんですということをずっとアピールさせてきていただいてきましたが、その間、アウトカム評価とかいろいろ導入され、少しずつ改善されてきました。ただ、今回の総理の発言は、自立支援介護を強化していく、それをしかも介護報酬に反映させていくと、総理の指示として出されたというふうに報道もされております。これを受けて厚生労働省としては今後どのように対応していくのか伺いたいと思います。
  165. 坂口卓

    政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。  十一月十日に開催されました未来投資会議についてということでございますけれども、当日は厚生労働大臣の方も出席をしておりまして、厚生労働大臣から、介護につきましては、介護保険の総合データベースの抜本的改革というものも通じて自立支援指向というものの介護を推進するということ、そして介護報酬によるインセンティブ付けということなどについても検討するということを当日大臣の方からも表明をさせていただいたところでございます。  また、安倍総理の方からも、今後の介護は高齢者が自分でできるようになるということを助ける自立支援に軸足を置くということについて、検討と施策の具体化を進めるというように指示もいただいたところでございまして、厚生労働省としてもこの指示に沿った対応をしっかり対応してまいりたいと考えております。
  166. 山口和之

    ○山口和之君 是非、日本の介護というのは単なるお世話ではなくて、自立を支援するもの、あるいはまた、加えて、予防していくもの、元気な高齢者を支えていくものということをしなければ、ただのお世話で、先ほどの葉っぱ十枚束ねて冷蔵庫じゃないですけれども、そういうことの繰り返しではなく、すばらしいものだということをジャパン・ブランドとしてつくっていただきたいと。  自分は、これを機に大きく変わるんじゃないかなと、何かすごい期待感が強くて、総理から発信されたあの言葉は、聞いているだけで相当自分は感動した次第でございます。是非国一体となって日本のすばらしい技術をここで何とかつくっていきたい、いっていただきたいと思います。  それでは、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  167. 秋野公造

    委員長秋野公造君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会