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杉尾秀哉君 私は三十五年近くテレビ局で飯を食ってきましたけれ
ども、第一次安倍政権のときもそうだったんですが、特に第二次安倍政権になってから、これメディアと政権をめぐる問題が次々と起きている。本当に次々と起きている。
私は一種異常な状態だと思っているんですが、例えば、おととし暮れの解散・総
選挙の際、私も、「NEWS23」の担当ではなかったですけれ
ども、安倍総理が解散の当日、当夜、「NEWS23」に出演して、生放送中に、街頭インタビューを意図的に編集したと、こういうふうに文句を言った。
実はこれ、この街頭インタビューは四人だったんですけれ
ども、四人中三人がアベノミクスの恩恵を感じていない、こういうふうに答えている。一人はアベノミクスで景気がいいですよと、こういうふうに言っている。この恐らく編集は、当時の世論
調査の
数字をベースにして作っていると思います。大体七〇%から八〇%近くの方が景気が良くなったと実感していない、だから四人中三人がそういう厳しいインタビューを使い、そして一人はやっぱりアベノミクスの恩恵を感じていると、こういう人も実際にいらっしゃるわけですから、そういう意見も入れたということです。それに総理は生放送中にかみついたということです。
そして、その二日後、自民党からテレビの各局に、私もこの文書を見ました、局にいるときにですね。政治的公平を期してほしい旨のこういう文書が出されて、この中で、今言った街頭インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的
立場が強調されることがないよう、こういうふうな文書を書かれている。
これまでもこういう申入れというのはありました。野党側からの申入れもあります。だけど、具体的に街頭インタビューだとか資料映像だとか、ここまで書いている文書って、私見たことないです。最後にこう書いてあるんですよ、以上、御無礼の段、御容赦賜りと。これ、どういうことなんですか。これは
総務省と直接
関係あるわけじゃないです。これは自民党としての申入れですけれ
ども、こういうことも実際には物すごく影響している。
そして、今度は去年の四月、自民党がテレビ朝日とNHKの幹部を呼んだ。そして、二十八日には
総務省がNHKに対して厳重注意した。これに対して、この
国会でも取り上げられておりますけれ
ども、BPO、このクローズアップ現代、出家詐欺
報道に関する意見、この中で非常に厳しい、
政府・自民党に対して圧力だと断定するような非常に厳しい意見を出している、こういうことです。これは異例のことだと思います。
さらに、もっとあります。去年の十一月、放送法の遵守を求める視聴者の会なる組織が、これ実は安倍総理のいわゆる応援団というか、応援している
皆さんですけれ
ども、「NEWS23」の岸井キャスターの安保法をめぐる
報道を取り上げて、違法な
報道を私たちは見逃しませんと、こう言って違法な
報道だと断定している、そういう意見広告です。しかも、この目見てくださいよ。僕、これ見てぎょっとしましたよ。俺たちは見ているぞということですね。
こういうことがあって、こういうことが続いて、そして
高市大臣の先ほどのあの
予算委員会でのやり取りになるわけです。
ちなみに、この意見広告、御存じだと思いますけれ
ども、政権寄りの読売新聞と産経新聞の二紙にしか出ていない。二紙にしか出ていない、これは事実です。
こういったことが繰り返されていて、今テレビ
報道の現場に萎縮、自己規制、それから、政権に盾突くのはやめよう、事なかれ主義、こういうのが広がっている。これは一義的にメディアの側の責任です。私にも責任があると思う。みんな、やっぱりびびっちゃっているんですね、面倒なことにはやっぱり関わりたくないと。だから、これは今、日本で、やっぱり商業ジャーナリズムですから、個人個人で生きていくのはなかなか厳しい時代でもありますけれ
ども、商業ジャーナリズムの限界かもしれませんけれ
ども、やっぱりまずメディアの人間が気概を持たなきゃいけない。それでも、だけど、外形的な事実としては、こういうことが繰り返されて自粛ムード、そして事なかれ主義が広がっているのは間違いないんですよ。
私が冒頭に申し上げた、
選挙報道が減っている、例えば街頭インタビューやなんかにしても、
選挙に行きますかとか行きませんかとか、そういうインタビューはしているんですけど、
選挙の争点については、例えばアベノミクスがどうですかとか、それから安保法どうですかとか、こういうインタビューが本当になかったんですよ。なかったか、若しくは物すごく少なかったんですよ。これがリンクしているんじゃないかという、その危惧の念があるから私は聞いているわけです。
高市大臣、
見解いかがでしょう。