○
委員長(
羽生田俊君)
社会保障及び
労働問題等に関する調査のうち、
がん対策基本法の一部を改正する
法律案に関する件を議題といたします。
本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしております草案を
提出することで意見が一致いたしました。
まず、草案の趣旨及び主な内容について御
説明申し上げます。
がんは我が国で昭和五十六年より死因の第一位であり、
平成二十六年には年間約三十七万人ががんで亡くなっており、生涯のうちに
国民の約二人に一人ががんにかかると推計されております。このように、がんは、
国民の生命と健康にとって重大な問題となっています。
平成十八年に制定された現行の
がん対策基本法は、がんの予防及び早期発見の推進、がん
医療の均てん化の促進、研究の推進等を基本的施策としており、この基本法に基づき、国、地方公共団体、がん患者を含めた
国民などが一体となって、がん
対策が進められてきました。
しかし、がんの早期発見のためにがん検診をより
効果的に活用することや、がん患者の療養
生活の質の維持向上などについて一層の取組が求められています。
また、がん
医療の進歩とともに、我が国の全がんの五年相対生存率は六二・一%となっており、がん患者の中には長期生存し、
社会で活躍している方々が多くおられます。このような中で、がん患者やがんの経験者が適切ながん
医療のみならず、福祉、雇用、教育などについて必要な
支援を受けられるようにすることが必要となっています。さらに、がん患者の
社会生活上の不安を和らげるためには、国や地方公共団体が中心となってがん患者を
支援することにとどまらず、
社会全体でがん患者を支えていくことも求められています。
また、本年一月には、がん登録推進法が
施行されるなど、
がん対策基本法制定時から状況が変化してきています。
本案は、このような状況に鑑み、
がん対策基本法を改正し、がん
対策を更に総合的かつ計画的に推進していこうとするものであります。
次に、本案の主な内容について御
説明申し上げます。
第一に、目的規定において、がん
対策においてがん患者がその状況に応じて必要な
支援を総合的に受けられるようにすることが
課題となっていることに鑑み、がん
対策を推進する旨を明記することとしております。
第二に、基本理念として、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる
社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん
医療のみならず、福祉的
支援、教育的
支援その他の必要な
支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に関する
国民の理解が深められ、がん患者が円滑な
社会生活を営むことができる
社会環境の整備が図られること等を明記することとしております。
第三に、がん患者の雇用の継続等に関する事業主の責務について規定することとしております。
第四に、がんの予防及び早期発見に係る施策として、がんの原因となるおそれのある感染症等に関する啓発、がん検診によりがんの疑いがあると判定された者等が必要な診療を受けることの促進等について規定することとしております。
第五に、緩和ケアのうち
医療として提供されるものに携わる専門的な知識及び技能を有する
医療従事者の育成を図るための施策を規定することとしております。
第六に、がん患者の療養
生活の質の維持向上のために必要な施策としてがん患者の状況に応じて緩和ケアが診断のときから適切に提供されるようにすること等を明記するとともに、がん患者の家族の
生活の質の維持向上のために必要な施策をも講ずるものとしております。
第七に、がんの罹患率及びがんによる死亡率の低下に資する事項並びにがん患者の療養
生活の質の維持向上に資する事項についての研究の促進等の施策を講ずるに当たっては、罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進について必要な配慮がなされるものとしております。
第八に、がん患者の雇用の継続、小児がんの患者その他のがん患者における学習と治療との両立、学校教育及び
社会教育におけるがんに関する教育の推進などについて規定することとしております。
なお、この
法律は、公布の日から
施行することとしております。
以上が、この
法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
それでは、本草案を
がん対策基本法の一部を改正する
法律案として本
委員会から
提出することに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕