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会計検査院長(
河戸光彦君)
会計検査院は、
会計検査院法第三十条の二の
規定により
国会及び
内閣に対して、
平成二十八年七月二十七日、九月十五日及び二十九日に計四件の
報告書を
提出いたしました。その
報告書の
概要を御
説明いたします。
最初に、「米の
生産調整対策の
実施状況等について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、生産調整目標の達成
状況につきましては、達成した都道府県の割合が最大で約六割、達成した市町村の割合が約七割にとどまっていたり、転作作物に係る農業者
収入の
状況につきましては、転作作物のうち麦及び大豆に係る農業者
収入において交付金による
収入が大きな割合を占めていたり、生産調整の見直しに向けた取組の
状況につきましては、地域協議会ごとにその
状況が区々となっていたりしておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、農林水産省において、米の生産調整の見直しを含む米政策の改革を確実に実行するために、今回の
検査で明らかになった
生産調整対策の
実施状況を十分に踏まえて、各産地において需要に応じた米の生産が円滑に行われるよう必要な取組を更に進めていくこと、転作の推進に当たっては転作に係る交付金について農業者
収入における
状況等にも留意し施策を行うこと、地域協議会に対して優良
事例等を参考として示すなどして、生産者等が自主的な経営判断により需要に応じた生産を行うことができるよう取組を進めることなどに留意して、米の生産調整を見直すこととされている三十
年度に向けた取組を推進していくことが肝要であると考えております。
会計検査院としては、米の生産調整の見直しを含む米政策の改革の
実施状況について引き続き注視していくこととしております。
次に、「
国立大学法人が
大学に設置する
附属病院の
運営について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、一部の
国立大学法人では、会計規程等や
政府調達に関する協定等を
実施するために定めた規程等に反して随意契約としていた事態などが見受けられました。また、
附属病院全体における臨床研修医の募集定員に対する内定者数の割合が低下しておりました。さらに、群馬
大学医学部
附属病院の医療事故に伴う特定機能病院の承認取消しによる影響等の額は、合計十億五千八百四万円となっておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、各
国立大学法人において、医薬品の調達について、会計規程等にのっとった適正な契約方式により
実施すること、
附属病院は臨床研修医の内定者数を
増加するための取組等を推進していくこと、群馬
大学医学部
附属病院の医療事故が特定機能病院の承認取消しなどにより
附属病院の経営等に影響を与えていることに鑑み、各
附属病院においては、特定機能病院の
管理者が確保することとされている医療安全
管理体制等のより一層の充実に努めることなどに留意することが必要であると考えております。
会計検査院としては、
附属病院の
運営について今後とも多角的な観点から引き続き
検査していくこととしております。
次に、「
政府の
情報システムを統合・集約等するための
政府共通プラットフォームの
整備及び運用の
状況について」を御
説明いたします。
検査しましたところ、
政府情報システム改革の目途である三十三
年度末においても、システム数で六一・四%の
政府情報システムが
政府共通プラットフォーム以外で運用される予定となっていたり、
政府共通プラットフォームにおいてサーバー台数の削減効果が見受けられず、仮想化提供サーバーの割合が三九・八%にすぎなかったり、各府省において情報セキュリティーに係る要件を定義する際にリスク評価を
実施していなかったりなどしておりました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、
内閣官房は
政府共通プラットフォームを含めた
政府全体の
情報システムの数及び運用コストの削減により一層努めたり、総務省は仮想化技術による仮想CPUコア数の割当てなどを更に活用するよう各府省と連携して技術面、運用面の検討を行ったり、各府省はリスク評価等を確実に
実施したりすることなどの点に留意して
政府共通プラットフォームの
整備、運用等に取り組んでいく必要があると考えております。
会計検査院としては、
政府共通プラットフォームの
整備及び運用並びに
政府情報システムの
政府共通プラットフォームへの移行について引き続き注視していくこととしております。
最後に、「
独立行政法人における
民間委託の
状況について」を御
説明いたします。
独立行政法人九十七法人における
民間委託の
状況について
検査しましたところ、総合評価落札方式等を
実施していた法人において、要領、マニュアル等を
整備していない法人や、加点評価した受託者の提案
内容の履行を契約上担保していない法人が見受けられました。また、官民競争入札等の対象とされた対象公共サービスに係る
民間委託において、サービスの質の設定が適切なものとなっていなかったものや、入札参加者が
減少し競争性が低下したことにより経費が
増加したものなどが見受けられました。
検査の
状況を踏まえた
会計検査院の所見といたしましては、各法人においては、
民間委託の
実施に際して、業務の特性等に応じた要領、マニュアル等を
整備すること、加点評価した提案
内容の履行を契約上担保すること、また、対象公共サービスについて官民競争入札等を
実施する際には当該業務を委託する目的から見て適切なサービスの質を設定すること、経費の削減について包括化や複数年化の取組を行う場合には類似の
事業を参考にするなどして総合的に検討することなどの点に留意することが必要であると考えております。
会計検査院としては、
独立行政法人の
民間委託の
状況について、今後とも多角的な観点から引き続き注視していくこととしております。
これをもって
報告書の
概要の
説明を終わります。