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2016-10-20 第192回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年十月二十日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         宇都 隆史君     理 事                 阿達 雅志君                 堀井  巌君                 山田  宏君                 大野 元裕君                 浜田 昌良君     委 員                 佐藤  啓君                 佐藤 正久君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 中西  哲君                 山本 一太君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 浅田  均君               アントニオ猪木君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     稲田 朋美君    副大臣        外務大臣    岸  信夫君        防衛大臣    若宮 健嗣君    大臣政務官        外務大臣政務官  滝沢  求君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣国際平和        協力本部事務局        長        宮島 昭夫君        外務大臣官房国        際文化交流審議        官        下川眞樹太君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        外務大臣官房審        議官       大菅 岳史君        外務大臣官房審        議官       相木 俊宏君        外務大臣官房審        議官       増島  稔君        外務大臣官房審        議官       森 美樹夫君        外務大臣官房参        事官       高橋 克彦君        外務大臣官房参        事官       宇山 智哉君        外務大臣官房参        事官       三上 正裕君        外務省北米局長  森  健良君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        部長       丸山 則夫君        文化庁文化財部        長        藤江 陽子君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      村瀬 佳史君        環境大臣官房審        議官       深見 正仁君        環境大臣官房審        議官       正田  寛君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省整備計画        局長       高橋 憲一君        防衛省地方協力        局長       深山 延暁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    辰己 昌良君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        田中  聡君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (北朝鮮情勢に関する件)  (日露関係に関する件)  (ユネスコ記憶遺産事業に関する件)  (集団的自衛権と憲法との関係に関する件)  (弾道ミサイル防衛に関する件)  (南スーダンPKOにおける自衛隊の活動に関  する件)  (中南米諸国に対する支援に関する件)  (沖縄における北部訓練場ヘリコプター着陸帯  移設事業に関する件) ○パリ協定の締結について承認を求めるの件(内  閣提出)     ─────────────
  2. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君外二十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 阿達雅志

    阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。  本日は、先般の参議院外交防衛委員会における岸田外務大臣挨拶平成二十八年十月十八日で所信的挨拶をいただきましたので、その内容について何点か質問させていただきたいと思います。  まず、この所信的挨拶の中で、岸田外務大臣おっしゃられている、主要国並み外交実施体制実現を含む総合的な外交力を引き続き強化するように努めるということをおっしゃっておられます。  今回の安倍内閣においては、岸田大臣ももう既に千四百日近い在任期間で、もう本当に世界中を飛び回り、また海外から来られた要人との面談をこなしていただいて、本当に総合的な外交力というのを今どんどん日本というのは高めているのではないかと思うんですが、ただその中で、この外交実施体制ということを考えたときに、やはり本省、在外公館人員の問題、そしてまた在外公館整備という問題が大事になってくるのではないかと。  そういう点で見た場合に、現在の在外公館人員数五千九百六十六名、それから在外公館というのが二百二十か所ということで、これについては順次増やしていっていただいているというふうには思うわけですけれども、そういう中で、やはり主要国と比較した場合にこの整備というのはまだまだしっかりと取り組んでいただく必要があるのではないかというふうにも思います。  また、数の上では二百二十ということで、これはもうドイツ並みに近づいてきた、あるいはもうイギリスをほぼ抜くという数字にはなっているわけですけれども、ただ、どうもこの最近の増加の中身を見ると、どうもコンパクト・アンド・ミニマムというのですか、確かに数は増えているけれども、本当に数だけ増やせばいいものなのかどうか。やはり公館としての機能をしっかり果たすためには、それなりのしっかりした人員というのも必要なのではないかというふうに思うんですが、こういった外交実施体制強化するということについての大臣所見をお聞かせいただけますでしょうか。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨今、我が国を取り巻く安全保障環境、ますます厳しさを増しています。また、外交における課題もますます多様化しているという現実があります。そういった中ですので、日本外交の基盤であります外交実施体制、より充実させていかなければいけない、こうした取組は不可欠であると認識をいたします。そして、その中で在外公館は、海外における活動の拠点として総合的外交力強化する上で大変重要な役割を担っていると認識をします。  そして、総合的な外交力強化ですが、今後とも、政府全体の財政状況ですとか、あるいは主要国設置状況なども踏まえつつ、人的体制そして在外公館等物的体制両方においてしっかりと充実を図り、主要国並み実施体制実現を目指していく、こうした考え方に立っています。  そして、委員の方から在外公館規模、数だけではなくして規模内容が大事ではないかという御指摘がありました。  まず、基本的にはおっしゃるとおりだと思います。ただ、適正な在外公館規模というものは、やはり相手国との関係において決まっていくものであると思います。  その上で、一般論として申し上げるならば、安全保障ですとか戦略的な対外発信ですとか、あるいは資源獲得を含む経済上の利益、あるいは日本企業支援、そしてテロ対策及び邦人保護、さらには国際社会における我が国への支持獲得、こうした観点から、その相手国との関係においてどれだけの人員体制を用意しなければならないのか、これを考えていかなければならないと思います。  今申し上げましたような観点から、あるべき在外公館規模というものをしっかり判断し、それぞれの国においてしっかりとした体制を充実するべく努力をしていきたい、このように思います。
  7. 阿達雅志

    阿達雅志君 もちろん相手国との関係でその規模も決まるというのは非常によく分かる話でございますが、実は私、昔商社に勤めておりました。商社海外にいると、日本大使館というのがやっぱり日本一つの象徴なわけです。そういう意味では、やはり確かにその国とのいろんな関係というのもあると思うんですけれども、ただ、民間企業駐在員事務所と比べた場合に、遜色がない、しっかりと、日本人が海外日本大使館を見たときに、ああ、日本って誇りに思えるなというような、やっぱり格の問題というのもあると思うんです。ですから、是非そこは、それぞれの国において在外公館を増やす場合においては、しっかりとそういう国の、日本の国の格という部分も含めた御対応をいただきたいなというふうに思います。  では、次の質問に移らせていただきます。  今北朝鮮脅威ということが言われております。現に、今年に入りましてミサイル実験を十七回、核実験、本年に入って二回、通算で五回ということで、また拉致問題に関しても、ストックホルム合意を一方的に今破棄していると、こういう状態にあるわけですけれども、これに対して、今北朝鮮に対する実効性ある制裁措置をどうするかという議論の中で、今国連安保理事会、また日本独自での制裁ということでいろんな御検討をされていると思いますけれども、それに当たって、つい先日ですけれども、中国北朝鮮との間での貿易取引をやっている中国企業に対して、これはアメリカ政府からの示唆を受けて中国政府が取締りをするという、こういうことがございました。  これ、いわゆるセカンダリーサンクションという、北朝鮮企業取引をしている企業に対して何らかの制限を課すという、こういう制裁方法だと思うんですけれども、これは、アメリカなんかは今までもイランだとかキューバに対して、米国パトリオットアクトの三百十一条ですとか、今年の初めに出した大統領令なんかで実際にやっているわけですけれども、こういうセカンダリーサンクションも含めた日本独自制裁、もちろんこれは海外ともしっかりと手を組んでいかないといけないわけですけれども、こういった議論について今どういう現状にあるのか、また国連安保理で今どういう現状にあるのか、その辺をお聞かせいただけますでしょうか。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮ですが、今日の朝も、日本時間七時にムスダンと推定される弾道ミサイルが発射され、そして失敗したということが確認をされています。こうした北朝鮮挑発行動は、累次の安保理決議、あるいは日朝平壌宣言にも違反するものでありますし、六者会合共同声明趣旨にも反するものであります。これ、北朝鮮に対しましてしっかりと抗議をしなければいけないということで、既に我が国も北京の大使館ルートを通じまして抗議を行い、強く非難をしたところであります。  今年に入って二度の核実験、そして二十発以上の弾道ミサイルが発射されています。こうした北朝鮮対応、これは新たな段階脅威であると認識をいたしますし、今までとは異なる断固たる対応をすべきであると考えます。そして、併せて拉致問題についても、北朝鮮に真剣に対話に応じるよう強い圧力を掛けていかなければならない、こういったことを感じます。  その中で、今、安保理国連安保理において新たな決議議論が行われています。そして、我が国を含む関係国の中で独自の措置検討されています。安保理の新たな制裁措置を含む新たなこの決議につきましては、今議論が引き続き行われていますので、今内容について何か触れるのは控えなければならないと思いますが、是非決議採択のためにしっかりと努力をしていきたいと思います。  そして、あわせて、各国の独自の措置ですが、これも、安保理決議状況も見ながら、適切なタイミングを捉えてしっかり検討していかなければならないと思います。そして、その際に、ただいま委員の方から御指摘がありましたセカンダリーボイコットの制裁、要は第三国企業に対する措置一つ参考にさせていただきながら是非検討を進めたいと思います。今現在も我が国は強い措置を独自で行っているわけでありますが、それらの措置拡大強化を含めて是非可能性検討していきたいと思います。その際に、御指摘の点、参考にさせていただきます。
  9. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  新たな段階北朝鮮脅威に対してはやはり新たな対応制裁措置をしっかりとやっていただく、また、そのためには国際的な協調がなければ実効性がありませんので、是非しっかりと議論を進めていただきたい、検討を進めていただきたいと思います。  では、次の質問に移らせていただきます。  現在、ロシアとの関係において、領土問題を解決平和条約を締結する方向に向けてのいろんな交渉をされているというふうに伺っております。もちろん、この交渉内容については、今新しいアプローチということだけで、その詳細についてはなかなかオープンにできない、明らかにできない、交渉ですから、そういう段階にもあると思うんですけれども、ただ、この日ロ交渉を行う上での幾つかの前提について少しお聞きをしたいと思います。  今まで日本は、特にロシアクリミア半島影響を及ぼして以来、従来の力による現状変更については、従来、非常に強く反対をしてまいりました。また、今回問題になっている北方領土の問題というのも、考え方によっては力による現状変更のはしりの事案であったのではないかというふうにも思われるわけですけれども、そういう中で、今までクリミア半島に関して力による現状変更に反対してきたこの日本立場、そしてまた、それに対して国際社会対ロ国際制裁ということを行ってきた、これとの整合性ですね、今交渉していることによって今までのその立場とどういうふうに整合性が取れるのか、この点についてお聞きをしたいと思います。  また、さらに、最近、アメリカロシア関係が非常に緊迫をしているように思います。非常に、緊張関係、シリアをめぐって高まっている。こういう中で、今のような対ロ国際制裁もありますけれども、それとともに、その米国ロシア関係が更に厳しくなってきたときに、やはり日本外交の中心というのは本来日米関係ということで、先日の所信的御挨拶の中でもありましたけれども、その辺をどういうふうに考えられて整理をされているのか。  その辺について、日ロ交渉に当たる前提部分について所見をお聞かせいただければと思います。
  10. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、法の支配を重視する我が国としては、力による一方的な現状変更は認められない、これは従来からもしっかり訴えてきたところでありますし、これからも変わりはないと考えます。  そして、ウクライナ問題につきましては、ロシアに対してミンスク合意の履行、これに向けてしっかり努力を継続することが大事であるということ、これを強調し続けています。そして、ロシアにこうした平和的な解決に向けて建設的な行動を取るようにとしっかり働きかけを続けている、こうした対応を取っています。  そして、ウクライナ自身に対してもG7連携を重視しながら支援を行っているわけですが、こうした我が国支援は、ウクライナからも、あるいはG7諸国からもこれは高く評価されています。我が国対ロ措置については、これからもG7連携を重視しつつ、今後の情勢を踏まえながら適切に対応していきたいと思います。  そして、その一方で、我が国は、日ロ関係国益に資するという形で進めてまいります。四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こうした一貫した方針の下、粘り強く取り組んでいきたいと思います。  このように、それぞれの課題について、我が国スタンス、今まで大事にしてきたスタンス、これをしっかりとこれからも守りながら、国益に資する形でそれぞれの問題に対応していきたいと考えます。  そしてもう一つ日米関係について御質問がありました。  委員指摘のように、我が国外交にとりまして日米関係、これは基軸であります。日米の間においては、様々なレベルを通じて意思疎通を行っています。総理自身も、オバマ大統領あるいはバイデン副大統領とも、この日ロ政策をめぐってもしっかりと具体的な意見交換を行っているところであります。戦後七十一年たってもまだ平和条約を結ぶことができていない、この日ロ関係における異常な状態を打開するために政治的な対話を積み重ねていく、このことについては理解を得ているものであると思っています。  是非、引き続き米国とも対ロ政策についてしっかりと意思疎通を図りながら、我が国国益を進めて、増進させていかなければならない、このように考えます。
  11. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  日ロ関係においても、やはりしっかりと言うべきところは言う、そしてまた、しっかりと協力するところはするということで、やはり対立アジェンダ協力アジェンダ、これをしっかりと、両方を使い分けながら日ロ関係をしっかり構築していくということも大事でしょうし、また、この外交の問題というのは、日ロ関係が今度はまた世界勢力図にも大きく影響をしてくる部分があると思います。  そういう意味でも、是非、全体を大きなピクチャーで見ながらしっかりと取組をお願いしたいと思いますし、また、今いろんなところで出てきています八項目の協力ということを見た場合に、例えば経済面での協力ということを考えたときに、民間企業が、本当にそういう協力日本企業が付いていけるかどうかというのを考えた場合に、やはり今のような部分について、例えば国際制裁可能性があるんじゃないかとか、そういう金融面で国際的にいろんなことが起こるんじゃないかというような懸念があると、やはりなかなか民間企業というのは付いていけない部分がございます。ですから、是非、やはり政府の方でしっかりとその辺りも方向性を示していただいて、そして民間企業経済協力というときに実際に参加できるようなしっかりした大きな交渉を進めていただきたいというふうに思います。  では、次の質問に移らせていただきます。  今回の大臣の御挨拶の中でも、海における法の支配という話がございました。これについては、今の南シナ海東シナ海の問題において、やはり海においても法の支配というのをしっかりと進めていかないといけないということで今まで日本というのは主張してきたと思うんです。  そういう中で、中国フィリピンの間で領土問題、仲裁裁判の中ではちょっと領土という形は取りませんでしたけれども、そういう仲裁裁定がなされて、それに対して中国が従わないという、こういうことがございました。  そういう中で、この南シナ海の問題、今フィリピン中国と今度は二国間で議論を始めようとしているということで、どうもこの仲裁裁定が必ずしもそのままでは効果がなかったというようなことがあるように思います。  また、その一方で、今、東シナ海において中国による一方的な天然ガス開発というのが進められている。これについては、二〇〇八年の中国日本との間の合意、これから見ると、それ以降の彼らのいろんな開発というのは共同開発しようといったところからは大きく後退する、むしろ、この合意をほごしたようにさえ思えるわけでございます。  こういう中で、じゃ、これから日本が海における法の支配ということを世界に言っていく場合に、具体的にどういうふうに今後考えていけばいいんだろうかということをお聞きをしたいと思います。  それは、やはりなかなか、ほかの国であれば、法による支配、これがもううまく利かなければ軍事力ということがすぐ出てくるわけですけれども、日本というのはそういうことを一切しないということで来ているわけですから、そういう中で、これ、法の支配というのをどういう形でこれから日本は考えて実効性あるものにしていけばいいということなのか、お考えをお聞かせください。
  12. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 自由で、開かれ、そして安定した海、これは我が国を始めとする国際社会の平和や安定、そして繁栄にとって礎であると考えます。しかしながら、御指摘のように、近年緊張が高まるような事例が発生し懸念を深めている、これも事実であります。  その中にあって、南シナ海ですが、この南シナ海の問題は、これは我が国を含めて国際社会全体の関心事であると考えます。そして、この国連海洋法条約に基づく仲裁判断、これは当事国を法的に拘束するものであり、比中仲裁判断当事国が従うことによって今後南シナ海におけるこの紛争の平和的な解決につながっていく、これを期待したいと思います。  そして、東シナ海につきましては一方的な開発が進められているということ。これは、関連の国際法及び東シナ海における日中間協力に関する二〇〇八年合意趣旨に反するものであり、これは極めて遺憾なことであると考えます。  世界あるいは人類の公共財として、我々の海あるいは空、これを保ち続けていく、これは全ての関係者にとって共通利益であると考えます。  そういったことから、法の支配の貫徹という観点から、我が国は海における法の支配の三原則、すなわち、主張するときは国際法にのっとって主張するべきである、そして武力の威嚇や力によって現状変更は行ってはならない、そして三点目として問題を解決する際には平和的に国際法にのっとって解決するべきである、この三原則を繰り返し主張をしているところであり、このことについてはさきのG7伊勢志摩サミットにおいてもG7共通認識として確認されたところでありますし、こうした我が国海洋における法の支配の三原則、これは様々な国際会議においても多くの関係者から理解され、評価されているものと受け止めています。こうした我が国考え方は、国際社会からも理解され得るものだと思いますし、是非、引き続き国際社会に対しまして、この海における法の支配重要性、訴え続けていかなければならないと思います。  こうした訴えと併せて、力による現状変更に強く反対する、こうした方針を今後とも国際社会に訴え続け、是非共有し、そうした輪を広げていくことによって、緊張を高める行動に対してメッセージを送り続けていかなければならない、このように思います。
  13. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  力による現状変更を否定し、そして法の支配を徹底していく、これは国際社会においても非常に大事なことだと思います。ですが、実際にこの法の支配をどういうふうにして徹底するかというのは非常に難しいところもありますし、また、今の東シナ海現状というのを見ると、なかなか、日本が法の支配というのを言っている間にどんどん力によって現状変更されていっているんじゃないかというふうにも思います。やはり、こういう中で法の支配を徹底するために何をすればいいか、これを考えていくことも大事なのではないかと。  この中国フィリピンとの間の紛争というのは、南シナ海をめぐっての紛争というのは、今両国が改めてテーブルに着いて議論をする形になった。やはりそのきっかけというのは、この国際仲裁裁判があってその判決が出たということが非常に大きいんだと思うんです。ですから、法律の議論をしっかりするために、相手をそこへ引っ張り出すためにこういう仲裁あるいは訴訟というのも使われるケース、これは民事裁判なんかでもよくあることですし、稲田防衛大臣、弁護士でいらっしゃいますけれども、こういう法律の世界では、やはり実際にまず訴訟を起こして、そして初めて相手がテーブルに着いて、その中でしっかり議論をするということは、いろんなところでなされているのではないかなというふうに思います。  ですから、この東シナ海の問題についても、なかなか今、中国がテーブルに着いてこない、こういう状況の中で、やはり国連海洋法条約に基づいて、そして国際仲裁裁判所に対して日本が訴訟を提起するというぐらいのことをしても、やっぱり相手方としっかり協議を進める上では必要なのではないかと。そういう、相手と協議をするために訴訟を起こすということも、やはりこれから課題として是非考えていただきたいなというふうに思います。  これについては多分いろんなまた議論もあると思いますし、また、それをやることによるプラスマイナス、あるいはほかへの影響、ほかのいろんな問題への影響というのもあると思いますけれども、やはり法の支配をどうすれば本当に国際社会で貫徹できるのかについては、是非外務省一体となって御検討をいただきたいというふうに思います。  少し時間早いですが、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  14. 山田宏

    ○山田宏君 自由民主党の山田宏でございます。今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私からは、ユネスコにおける世界の記憶、いわゆる記憶遺産事業について何点かお聞きをしてみたいと思っております。  まず、日本政府の今年の拠出金約四十四億円、これがまだユネスコに支払が留保されているということでございました。ユネスコのこういった分担金の支払留保ということがこれまであったのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のユネスコの分担金、そして任意拠出金の支払ですが、一年の中でこの時期まで支払が行われていないという例は、過去にはあったとは承知しておりません。
  16. 山田宏

    ○山田宏君 過去に例のないことだということでございますが、まあ今、いわゆる南京事件の登録ということが二〇一五年に行われて、このことがいかに不透明で、また公平性を欠いたものではないかという議論が起こって、この登録事業については少し改定すべきだということでユネスコの方も決定をしたと聞いております。  そのいわゆる世界の記憶の登録の改革というものが今進行中であるということを考えてみますと、今回のこの留保というもの、やはり私は適切な判断だと考えておりますけれども、なぜ留保をされているか、お聞きをしたいと思います。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国としましては、あくまでもこの世界の記憶事業が加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨そして目的を推進するものになるよう、同事業の制度改善に取り組んでいます。こうした取組は今しっかりと働きかけを行い、努力をしているところです。  そして、一方、この分担金及び拠出金の支払のタイミングについては、我が国としまして総合的な判断をしてまいりたいと考えております。
  18. 山田宏

    ○山田宏君 この世界の記憶遺産登録事業の制度改善が今行われている最中だということでございますけれども、また改めて、なぜこの改善が今行われているのかということを簡単に御説明いただければ有り難いと思います。
  19. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そもそもユネスコの事業というのは、加盟国の友好と相互理解の促進ということを目指すというものであると認識をしています。その中にあって、今の制度においては関係国との意思疎通が十分図れないなど様々な指摘があります。是非このユネスコの本来の趣旨に沿うような形で制度が運用されるように改善をお願いするべきではないか、こういった問題意識の下に働きかけを行っているということであります。
  20. 山田宏

    ○山田宏君 この制度改善のきっかけになったのは、いわゆる南京事件の中国による申請と、それが、登録がいつの間にかというか、我々の知らないところで全部決まっていったという、こういう経緯があったと思うんです。ですから、関係国の意見も聞いてということをするのはユネスコの精神から見れば当然のことだと、こういうふうに考えております。  今後この制度改善というものがユネスコにおいてどのようなスケジュールで行われていくのか、その点についても御説明いただきたいと思います。
  21. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 制度の見直しについては、明年四月に、各国や国際諮問委員会等の意見を踏まえた改正案がユネスコ執行委員会で審議される予定になると承知をしています。
  22. 山田宏

    ○山田宏君 来年の四月にユネスコの意思決定をする執行委員会でこの改善案が議論となり、そして決定をされるかされないかということになるんだと、こういう御説明でございましたよね、はい。  さて、九月十日の朝日新聞では、記事がありまして、このユネスコの世界遺産に、旧日本軍の慰安婦に関する資料の登録を申請した日中韓の民間団体が九日、九月の九日ですね、東京都内でシンポジウムを開いたと。来年の登録を目指している団体でございます。そして、このシンポジウムに、記憶遺産の登録の可否を決める国際諮問委員会の元委員で、現在は今のこの改善の見直し作業に関わっているレイ・エドモンドソンさんも出席と、参加と書いてあります。そして、この慰安婦の申請について、慰安婦の申請は今年行われているわけですけれども、現行のガイドライン、つまり改善前のガイドライン、南京事件を登録したときのガイドライン、このガイドラインに沿って判断する、これは公式指針に基づくと述べ、見直し後の判断基準は適用されないと明言されましたと、こういう記事が載っておりますけれども、この記事を外務省は把握をしておられるでしょうか。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のシンポジウムについては承知しておりますし、このレイ・エドモンドソン氏がこのシンポジウムに出席をしたということ等、これについても情報を得ております。  そして、その見直しとの関係で申し上げるならば、昨年十二月、ユネスコからは、既存のルールの下で新規申請案件を公募する旨、一旦発表はされました。しかしながら、これは、今年六月ですが、ユネスコが発表を行い、来年夏頃の国際諮問委員会の会合、先ほど申し上げました会合ですが、この会合においては、失礼、これは違った、この会合は要するに登録の申請について判断する委員会ですが、この委員会においては、来年四月の執行委員会、これが今申し上げました委員会ですが、この委員会においてのこの制度改善の決定に留意する、このように今年の六月発表されています。  いずれにしましても、我が国としましては、新しい制度の下で審査が行われること、これが望ましいと考えており、引き続き働きかけを続けていきたいと考えています。
  24. 山田宏

    ○山田宏君 ということは、この新聞内容、エドモンドソン氏の現行のガイドラインに沿って慰安婦の申請を判断するというのは、これはユネスコの公式の立場ではないというふうに認識してよろしいですか。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このレイ・エドモンドソン氏ですが、御指摘のように、これは見直しグループ六名のメンバーのうちの一人であります。そして、今のこの発言の背景等についてはちょっと我々確認するすべはありませんが、いずれにせよ、ユネスコは公式的な発表を行って先ほどのような発言を明らかにしています。こうした留意をするということでありますので、今後の動きについては引き続きしっかりと注視していかなければならないと思いますが、我が国としましては、新しい制度での審査が行われることが望ましいと考えておりますので、その趣旨に従って働きかけは続けていきたいと考えます。
  26. 山田宏

    ○山田宏君 この九月の九日の集会は、ユネスコ記憶遺産共同登録日本委員会というところが主催をしております。そして、ここは、日本軍性奴隷制を生き抜いた女性たちの証言を次の世代に残していきたいという思いの下、二〇一六年五月三十一日、韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オランダ、東ティモールと日本の民間団体によって構成される国際連帯委員会と大英帝国戦争博物館が共同で、慰安婦の声というタイトルで二千七百点余りを共同申請している日本側の団体です。  このユネスコというのは、どういう申請がなされたか、どういうものが登録されているかというのはなるべく全員がアクセスできるようにしていかなきゃいけないという、こういう精神の下にあると思うんですけれども、日本政府としては、この五月に、この南京の、南京じゃない、ごめんなさい、日本軍慰安婦の声というこの資料について、どんなものが申請されたのか把握をしておられるでしょうか。
  27. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) ただいま委員から御指摘のございました共同委員会からの申請でございますが、彼らがこの申請を行う前に、五月三十一日にまさにこれから申請を行うという記者発表を行っておりまして、そこでおおむねその要点などは発表されているところでございます。  他方、ユネスコの事務局に提出された後、まだ正式にそれが受理されたかどうかということについてはユネスコのホームページ上も発表されておりませんので、どういう文書がどういう形で申請、登録されたか、公式にはまだ確認されているところではございません。
  28. 山田宏

    ○山田宏君 いや、一回載ったんですよ。ユネスコのホームページに八月三日、一回出たんです、これが。すぐ削除された。その出た内容、これを私は把握しているんですけれども、委員の皆様方にお配りをしております資料の二ページ目に幾つかの絵がございます。これ、かざしてよろしいでしょうか。資料。済みません。  この資料の中で、こういう絵も出されているわけです。例えば、この右側のやつ。これは、「昭和天皇陛下を銃殺する絵」と。何で銃殺するのか。これは、慰安婦たちをレイプした罪だと、最高責任者だと。こんな絵を登録しようとしている。「私が拉致された日」、これは元慰安婦の人が描いた図です。それから、その下、慰安婦の方々をトラックに乗せて、日本軍が穴にこの人たちを入れて、生きたまま「焼かれる処女たち」と、こういったようなおぞましい絵数々を、南京と同じように慰安婦の声として登録をしようとしているということがネット上で私は把握をしております。  そういったものを登録しようとする団体に、先ほどのレイ・エドモンドソン氏、この登録事業を改善をしていかなきゃいけないという中心メンバーの一人、六人のうちの一人、この人がこの日本側の申請団体の集会にて、かの発言をすると同時に、その前に、ここにも資料を付けましたけれども、これ挺対協です、挺対協というのは挺身隊対策協議会、もう反日団体ばりばり。もう全部、韓国の中にどんどん慰安婦の像を建てていって、日本大使館の前の慰安婦像についても毎週のごとくデモをやって絶対に撤去させないとやっている団体ですね。この挺対協の集会に出て、そしてこの集会何なのかというと、ユネスコ記憶遺産登録日本軍慰安婦共同申請書のための第三回国際会議ということで、これは三月のものですけれども、これ挺対協のホームページにアップされていた写真です。これ、ちょっと見にくくて申し訳ないんですが、女の人が背中向けていますが、その一番奥に、黒いチョッキみたいなのを着た赤い袖の、ちょっと顔が消えていますけれども、ひげの人がいるんです。これがレイ・エドモンドソンなんです、レイ・エドモンドソン氏。  つまり、挺対協の集会にも出て、こういったことをやっていると。つまり、この人は、今これから、いわゆるユネスコの記憶遺産の登録をするためのルールブック作りをしている人なんです。ルールブックというのはやっぱり公平公正でなきゃならない。ルールブックを作っている人、又はレフリーが、私ラグビーやっていましたけど、一方のチームのコーチをやっているのと同じことじゃないですか、これ。これは不公平ですよ。どう見たって公正じゃない。  私は、そういうことを見て、このレイ・エドモンドソン氏がこういったユネスコ改革の公平性といった点で非常に問題ではないかと考えておりまして、このことについては外務省としてどう御所見をお持ちでしょうか。
  29. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず一般論として申し上げるならば、世界記憶事業の関係者において、登録申請者の接触については慎重でなければならない、慎重さが求められると考えます。こうした考え方については、我が国からユネスコ側にもしっかり伝えております。  そして、この制度改善につきましては、加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的を推進するものとなるようしっかり取り組んでいかなければならないと思いますし、この見直しのメンバー、他にもたくさんおられるわけですので、そういったメンバーも含めて、あるべき姿についてしっかり御理解いただいた上で、しかるべき制度がつくられていかなければならないと考えます。  是非、本来の趣旨に沿った制度実現のために努力を続けていきたいと考えます。
  30. 山田宏

    ○山田宏君 政府としては、大変センシティブな問題だし、関係者は多いので、なかなか多く御発言が難しいと思いますけれども、是非日本の議会でそういう意見もあったんだということをユネスコ当局の方にお伝えいただきたいと、こう考えております。  そして、その上で、改めてもう一回お聞きをしたいと思いますが、やはりこの南京、じゃない、ごめんなさい、何回も間違えて、慰安婦の歴史的資料というものについての登録は、やはり新しい改善、改定されたガイドラインの下でやるべきというふうに考えております。それは、配慮、考慮をするということで、テークノートすると、こういうことだったと思うんですけれども、是非、この二〇一五年に南京事件の、我々から見ればとんでもない資料が登録をされてしまったと。そして、それを基に、やはりちゃんと関係国の意見聞くべきだとやり始めたところに、どさくさに紛れてこの五月にこういう今度は慰安婦の登録までやると、こういったことになっていますので、去年の十二月、南京のそういうものがあって、そしてその後、ユネスコの経緯を見れば、これはやはり新しいガイドラインでやらなきゃいけないと考えております。  是非、その辺、外務省としても留意をしていただきたいと。改めて御所見を伺います。
  31. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、我が国としましては、新しい制度の下で審査が行われることが望ましいと思っています。まずは、新しいこのユネスコの趣旨に沿ったしっかりとした制度がつくられることが大事だと思っておりますし、その新しい制度の下で審査が進むよう、しっかりと努力を続けていきたいと考えます。
  32. 山田宏

    ○山田宏君 ありがとうございます。  この記憶遺産のことについて、先ほどから申し上げておりますように、いわゆる南京事件の記録は登録されてしまったわけですけど、これずっとどんな資料が登録されたのかというのは公表されてきませんでした。やっと公表されたと聞いておりますけれども、この南京、言わば南京事件の公文書の記憶遺産について、当時十一点と言われておりましたけど、私、十一点といったら十一個なのかと、こう思ったんですが、もっと多いように聞いているんですけれども、一体これ公開されているのかどうか。そしてまた、どういう公開をされているのか、どこにあるのか、何点あるのか。この辺、外務省は把握されているでしょうか。
  33. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この登録された南京事件の資料ですが、中国国内の七つの公文書館で保管されているものと承知しております。しかし、具体的に何点の資料が登録されたかについてはいまだ明らかにされていないと承知をしています。  ユネスコが規定している記録遺産保護のための一般指針には、登録資料へのアクセスが広く一般に対して確保される、これが奨励されています。にもかかわらず、いかなる資料が実際に登録されたかは今現在公開されていないことから、同指針の趣旨を踏まえて、登録資料へのアクセスが認められ、しかるべく調査が行われるよう、中国、そしてユネスコ側にも申入れを行っているという現状にあります。
  34. 山田宏

    ○山田宏君 ということは、まだ調査もできていないということだし、調査できるかどうかも分からないということなんでしょうか。
  35. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現状については今申し上げたとおりですが、いかなる資料が実際に登録されたかについて、中身を調査し検証すること、これは重要であると認識をしています。そのためにも、登録資料へのアクセスが認められるよう、引き続き中国、ユネスコ側に強く申入れを行うとともに、資料の中身を精査するために日本人専門家を中国の公文書館に派遣することも含め検討しているところであります。
  36. 山田宏

    ○山田宏君 是非お願いします。特に、このいわゆる南京虐殺というものについてはもう大分研究調査も進んでいまして、いわゆる彼らがこの虐殺の証拠だとされているような写真についても、何一つ証拠能力はないのではないかということが専門家によって明らかにされつつあります。  それからさらに、様々な出てきた文書、例えば国民党政府が持っている、いわゆる日本軍が南京を攻略した年、昭和十二年、一九三七年の十二月、まあ十一月から一年間にわたって中国国民党政府、我々が戦っていた政府、この国民党政府、蒋介石政府が三百回近い記者会見を行っているんですけれども、一度もその一年間、南京虐殺があったと後から言っているのにもかかわらず、一度も虐殺については触れていないんです。  また、国際安全委員会というのが南京市の中に外国人を中心につくられておりましたけれども、この国際安全委員会というのは、南京に住んでいる方々が安全に住めるように外国人の方々が監視をしてやっている。この安全委員会の資料を見ても、これかなり日本には厳しい団体でしたけれども、昭和十二年の十二月に日本が南京を攻略したときに、そのときの南京安全地帯での人口は二十万と、こう報告をしておりましたけれども、もう翌年一月の上旬には二十五万と報告をしているわけです。何で虐殺があったのに増えるのか、全く解せないと。  とにかくこの問題については多くの疑義が生じておりまして、やはりこの南京虐殺なるものの資料については、もう一点残らず、何年掛かってもいいから、国の予算で全部しらみ潰しに、その資料と称するもの、次から次へとやっぱり反論していくぐらいの気概がないと駄目ですね、これ。  私は、この問題については、日本政府がきちっと言わば、国を挙げて、何年掛かっても、しっかりと漏れなくこういったいわゆる事実検証を行っていくべきだと、こう考えておりまして、このことについても、是非専門家のチームをつくって、ちゃんと日本の事実を明らかにして名誉を守ってもらいたいと、こう思っておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  37. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) いずれにしましても、ユネスコのこの世界記憶遺産の現状の制度から考えましても、いかなる資料が登録されたか、これが確認できない、そして公開されていない、このことはその制度のありようとして問題であると考えます。是非、登録されたこの資料がいかなるものであるのか、これについては、アクセスができるようまずしっかり求めていかなければならないと思いますし、把握するべくしっかり努力を続けていかなければならない、このように認識をいたします。
  38. 山田宏

    ○山田宏君 いや、まあ、私、自民党なので余り言いたくないんですけれども、是非……(発言する者あり)いやいや、是非、私が申し上げたのは、アクセスするだけではなく、日本政府として、我々の国の問題、我々の先祖の問題を取り上げているわけですから、その資料が正しければ何でもいいです。だけれども、その事実が本当の事実かどうかというのは我が国としてきちっと検証すべきだと思っておりまして、そのことについても是非検討いただきたいとお願いを申し上げます。  そして、あと一点ですけれども、この共同登録日本委員会の代表の渡辺美奈さんという人がいらっしゃいまして、この方は女たちの戦争と平和資料館というところの事務局長をやっておられます。そして、この女たちの戦争と平和資料館の正面にこの天皇陛下を銃殺する絵が飾られているわけです。  こういった団体なんですけれども、ここが慰安婦問題解決オール連帯ネットワークという、こういった団体の賛同団体になっておりまして、このネットワークというところが実は九月の三十日にこの参議院議員会館の一〇一号室で集会開いています。それは日韓合意後も賠償は可能という集会でございまして、日韓合意後も個人的に賠償を請求することは可能だという集会なんですけれども、この中の案内状に、オール連帯、この主催団体ですが、オール連帯は今年六月、つまり今年の六月に外務省と交渉した際、日韓合意後も被害者の個人賠償請求権は消滅していないという明確な回答を得ていますと書いてあるんですよ、こうやって。  これ、外務省、こんなことを答えられたんでしょうか。
  39. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日韓間の財産請求権問題については、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって法的には完全かつ最終的に解決済みである、これが我が国政府の一貫した立場であります。御指摘の団体との面会においても、外務省からは政府の一貫した立場について説明を行ったものであると承知をしております。
  40. 山田宏

    ○山田宏君 そうですよね、こんなはずないと思うんです。こういううそを書いて人を集めるというのは本当に問題だと、こう思うんですけれども。  もう時間も迫ってまいりましたので次の最後の質問にしたいと思いますけれども、私、沖縄の問題、沖縄がいつから日本の一部になっているのかということについて、この一点だけお聞きをしておきたいと思います。  委員の皆様にお配りをした資料の中に、琉球新報の二年前、七月十一日の記事がございます。琉球処分は国際法上不正、外務省否定せずと、こういった記事なんですね。その隣に、琉球処分の不当性が明らかになった、これから沖縄の主権回復を追求する、自己決定権を要求していくと、こういった記事なんです。  琉球処分、御案内のとおり、一八七九年に琉球藩を沖縄県にいたしました。廃藩置県によるものであります。その前に、一八七二年に琉球藩を明治政府は設定をして、その七年後に沖縄県の設置をしたわけです。  この処分が実は国際法、不正、違法なんじゃないかと、こういったキャンペーンが行われているんです。そのキャンペーンを基に、沖縄の中の一部の勢力は、とにかく沖縄は琉球民族の国であり、とにかく自己決定権を保障されるべきだと、もっと言えば、主権を回復させるべきだ、もっと言えば、日本から離れて、琉球王国じゃないけど、一つの独立国になるべきだという主張まで存在をしているということなんです。  それは、どんな意見でも構いませんよ。だけれども、この背景に中国がいるんじゃないかと考えておりまして、資料の二番目なんですが、この琉球新報の記事の一年前、二〇一三年五月十二日に人民網、これは何なのかというと、人民日報、中国共産党政府の公式の新聞です。この人民日報の日本版のいわゆるニュースですね。ここに社説を掲載しまして、中国は三つのステップで琉球再議を、再議、もう一度議論する、を始動すると。第一ステップは、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究、議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。第二ステップは、中国政府として正式に立場を変更して、琉球問題を国際的場で喚起するか否かを決定する。そして三番目は、日本中国の台頭を破壊する急先鋒になった場合は、中国は実際の力を投じて沖縄地区に琉球国復活勢力を育成すべき、こういうことを述べているわけです。  この翌年にこの琉球新報の記事なんですね。私は、何かこう、全く無関係とは思えないわけです。要するに、日本を分離する、アメリカから引き離すというのを、日本も二つに、沖縄と本土とを引き離す、こういった策謀がずっと続いてきているのではないかと思うんです。  それに一石投じてしまったのが外務省の、日本政府の判断なんです。平成十八年十一月十日に鈴木宗男衆議院議員の文書質問に対する回答で、琉球がいつから日本の国になったのかというこういった趣旨質問に対して、沖縄についてはいつから日本国の一部であるかということについて確定的なことを述べるのは困難でありますと、が、遅くとも明治初期の琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置のときには日本国の一部であったということが確かですと、こういうふうに言っているんです。こんなことでは駄目なんですよ。これだと、要するに、もう日本は、明治の初期は沖縄は日本の一部だったけど、その前は知りませんよと。そんなことを言い始めたら、もう中国の思う存分やられちゃう。  でも、この問題は、実は、この琉球処分と言われる沖縄県の設置に対して、当時の清国が文句言ってきたわけです。これは独立国であって、そして中国に朝貢をしてきた国だと、こう言い張った。日本は、日本の一部だと言った。今と同じじゃないか。  今と同じときに、寺島宗則という当時の外務大臣は、この沖縄というところはもう古来から日本であるということをいろんな資料を挙げて主張しているんですよ。それが皆さんにお配りした漢文の資料です。なかなか読めませんが、今ちょっと時間がないのでその訳文は申し上げませんけれども、ここまでしてちゃんと日本政府の主張をしているんですね。もう天平時代から関係があって、しかも正式には徳川の時代になってから琉球が日本の一部になったと、はっきり、もう全て、文化から何からいろんな資料を出して言っているわけです。  外務省はやっぱりここまで主張しなきゃ駄目なんですよ。明治の初期には遅くともなっていたけど、それまではどうか分かりませんなんて、こんなことを言っていたら、こういった中国の策謀をただ許すだけになってしまうと私は大変心配をしております。  そこで、最後の御質問なんですけれども、外務省は、この国連の人権何とか委員会というところから、沖縄の琉球民族について、これをきちっと話し合うべきだという勧告に対して、いわゆる琉球民族、日本で民族というのはアイヌ民族だけで、琉球民族というものは認めていないと、そういうのはないという反応をしているんです。じゃ、そう言っているからには、やっぱり昔から日本だというふうにちゃんと言えなきゃおかしいと思うんですよ。やっぱり、寺島外務大臣のときと今とやっぱりつながるような、そういう外務省の見解をきちっとまとめてほしいと、こう思っているんですけれども、いかがでございましょうか。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、委員の御指摘の中で、琉球処分につきましては様々な見解があるとは承知していますが、一般に、明治初期の琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置の過程を示す言葉として用いられている、このように承知をしています。  そして、従来から申し上げているように、この沖縄県については遅くとも琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置のときには日本国の一部であったこと、少なくともこれは確かであるからして、したがってこれらの措置は法的には問題はなかった、これをまず認識をしております。  そして、それ以外の委員の方の御指摘につきましては、御指摘をしっかり受け止めた上で、何ができるのか一度検討してみたいと考えます。
  42. 山田宏

    ○山田宏君 照屋寛徳先生も文書質問を出されて、琉球国としては、江戸の末期にいろんな国々と条約を結んだんだから国としてそうなんじゃないかと言いますけれども、その条約を結ぶときには薩摩藩の人たちがみんないるんですね、そこに。ちゃんと薩摩藩の了解を得てやってくれと、こうやっているわけです。ですから何ら問題ないんですね。  ですから、私はやはりそういったことも含めて、この寺島外務大臣の述べた、清国に対して述べたとうとうたる論拠を踏まえながら、もう一度外務省としての見解を整理していただきたいと改めてお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  43. 小西洋之

    ○小西洋之君 民進党・新緑風会の小西洋之でございます。七月の参議院選挙以降初めての質疑でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  冒頭、質問通告させていただいていないんですけれども、いわゆる土人発言について稲田大臣の御見解を一言伺わさせていただきたいと思います。  報道等あり、また官房長官も会見で認めているようでいらっしゃいますけれども、十八日に大阪府警の機動隊員が土人という発言をしたということ、差別的表現であり、断じて許されないものだと考えますけれども、こうした事態について、稲田大臣、どのようにお考えでしょうか。
  44. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 防衛省として、報道にある警察官の発言についてお答えする立場ではありませんけれども、でも、官房長官がおっしゃったように、不適切な発言であり、大変残念な発言である、私も全く同じ思いでございます。  その上で、防衛省としては、沖縄の負担軽減のため一日も早い北部訓練所の過半の返還に向けて、引き続き環境の保全及び施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を着実に進めてまいりたいと考えております。
  45. 小西洋之

    ○小西洋之君 まさにそのヘリパッドの移設工事の関係で起きている事件でございますので、防衛省が政府として答える立場にないという答弁は極めて不適切だと思います。こうした発言以外にも、この沖縄の現場では、果たして法治国家として許されるのであろうかというような様々な言動があるというようなことがネット上の動画などでも確認されるところでございますので、政府にありましては、当たり前のことではございますけれども、法を守ると、そうしたことをきちんと踏まえていただきたいと思います。  今、こうした沖縄で大きな問題が起きているその根本でございますけれども、今日の質問でございます先日の所信で、稲田大臣、また岸田大臣の方から安保法制、特に稲田大臣の中でこの安保法制の施行についてのお話がございました。  我が国の最高法規である憲法、憲法が、法論理ではない解釈、法論理ではない解釈でございますので分かりやすく言えば不正でございますけれども、不正の手口によって最高法規の規範が変えられて、そして国家権力最大の発動である武力行使、集団的自衛権の行使が解禁をされている。まさに世界史に残るような暴挙が行われているということを、私はこの外交防衛委員会、昨年から追及をさせていただいておりました。新しく大臣になられました稲田大臣に、その問題について質問をさせていただきます。  委員の皆様のお手元に三部の資料をお配りさせていただいております。カラーの資料、また二年前の七月一日の閣議決定、そして関係の議事録のものでございます。この白い方の資料ですね、カラーでない資料はカラーの資料の一次資料というような位置付けで御覧をいただければというふうでございます。  では初めに、簡単に、七月一日の閣議決定、集団的自衛権の解釈変更の安倍政権の合憲の主張について確認をさせていただきたいと思います。こちらのカラーの資料を御覧いただきたいと思うんですけれども、政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる、したがって、従来の政府見解における憲法九条の解釈の基本的な論理の枠内で論理的な帰結を導く必要があるということをおっしゃっております。  政府の憲法解釈には、九条からの論理的整合性、また歴代政府の積み上げられた、議院内閣制の下での、この国会の内閣監督の下での歴代政府の、各政府の憲法解釈、九条解釈との論理的整合性、またそれらを総合したところの法的安定性が求められる、これを逸脱してはならない。なので、解釈変更するに際しても、この枠内で行わなければいけない。じゃ、枠内は何かというと、基本的な論理というものをおっしゃっているわけでございます。つまり、憲法九条解釈の歴代政府の変わらない解釈の肝、基本的な論理というものがあるんだということを言っているわけでございます。  じゃ、その基本的な論理は、下の二番で示されております。青い文字の部分ですね。この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の武力の行使は許容される。で、続けて、これが、憲法九条の歴代政府安倍内閣認識するところの解釈の肝、すなわち基本的な論理であり、それが昭和四十七年十月十四日に政府から提出された資料、集団的自衛権と憲法の関係に明確に示されている。今申し上げました昭和四十七年十月十四日の政府から提出された、参議院の決算委員会に提出された資料が私の今手元にありますいわゆる昭和四十七年政府見解でございます。  皆様のお手元の七月一日の閣議決定のこの紙を一枚めくっていただきますと、これのフルページが出てまいりますので御覧をいただきたいと思います。  つまり、安倍内閣が七月一日の閣議決定で明記し断言していることは、限定的な集団的自衛権なるものを許容する憲法九条の基本的な論理がこの昭和四十七年政府見解の中に示されている、つまり存在しているというふうに言っているわけでございます。  それを、じゃ、今から確認させていただきます。一枚このカラーをおめくりいただけますでしょうか。  これは、昨年の六月十一日に、私が横畠長官にこの外防委員会で確認をした答弁でございます。また、その次は八月三日の答弁でございます。ちょっと続けて確認をさせていただきたいんですけれども、それぞれの答弁ですね、先ほど配付しました議事録資料の一ページから二ページにわたって掲記をさせていただいているところでございます。  私の質問に対して、昭和四十七年見解を作ったときに限定的な集団的自衛権行使を容認する法理が、この昭和四十七年政府見解のときに、これを作ったときにですね、昭和四十七年のときの時点で含まれているんですねという問いに対して、横畠長官は、法理としてはまさに当時から含まれているというふうに言っているわけでございます。  さらに、これを分かりやすく言うと、この昭和四十七年政府見解、当時の内閣法制局長官、吉國長官たちが作って決裁して参議院の決算委員会に提出したものでございます。作成者がいるわけでございます。つまり、この四十七年見解の中に限定的な集団的自衛権の法理が存在するという意味は、当時これを作った吉國長官、また真田次長、角田第一部長、また起案をした早坂参事官、この四名の頭の中に、憲法九条において集団的自衛権を許容する基本的な論理というものが頭の中にあって、それがこの四十七年見解の中に書き込まれたんですねということを私が聞きましたところ、横畠長官は、そういう考え方を当時の担当者は皆持っていたということであろうというお答えをしているというふうに答えております。  今確認させていただいた政府の二つの答弁ですね、稲田大臣政府の答弁として引き継がれるということでよろしいですか。
  46. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 政府が再三説明しております昭和四十七年見解の基本的論理とは、憲法第九条の下でも、自国の平和と安全を維持し、存立を全うするために必要な自衛措置をとることを禁じているとは解されない。そして、一方、この自衛権の措置は、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためやむを得ない措置として初めて容認されるもの、そのための必要最小限度の武力の行使は許容されるというものでございます。  この四十七年の政府見解の論理の組立てからすると、御指摘の外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限定されないということでございます。
  47. 小西洋之

    ○小西洋之君 聞かれた、お尋ねしたことだけに簡潔にお答えください。  先ほど私が読み上げた二つの私の質問ですね、平成二十七年六月十一日、また平成二十七年八月三日の私の横畠長官に対する質問かつその答弁、その答弁の法理は、政府として稲田大臣は引き継いでいるということでよろしいですね。イエスかノーか。自衛隊員の命が懸かる質問をしています。どうぞ。
  48. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) そういうことでございます。
  49. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  今、稲田大臣が先に私の次の質問をおっしゃってくださったんですけれども、答えてくださったんですけど、昭和四十七年政府見解の中に、これを作った当時から、集団的自衛権の、限定的な集団的自衛権の法理が、なぜ含まれる、なぜそういう読替えをできるのかということについて、安倍内閣は驚くべき説明をしているわけでございます。  この資料の、私の先ほどのこのパワーポイントの絵の資料の右の上の方を御覧いただけますか。それと同時に、皆様のお手元の昭和四十七年政府見解の資料を一枚おめくりいただきまして、下にマジックでページ番号を付与しておりますけれども、四ページ御覧いただけますでしょうか。四ページですね。この四ページ、マジックを引いたところに「外国の武力攻撃」という言葉がございます。昭和四十七年政府見解の中に、「あくまで外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、」という言葉があります。この言葉は、先ほど私がお示しした七・一閣議決定の中にそのまま入れられております。  安倍内閣は、今まさに稲田大臣がおっしゃいましたけれども、外国の武力攻撃、誰に対するって書いていないじゃないかというふうに言い始めたんですね。確かに書いていないんです。確かに書いていない。ただ、まともな日本語の読み方を論理的にできる方であれば、これは、我が国に対する外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるためにやむを得ない手段として必要最小限度、すなわち限定された個別的自衛権を九条の下でぎりぎり発動できるという解釈、読み方しかできないはずなんですが、安倍内閣の皆様は、誰に対するって書いていないんだから、同盟国など他国、我が国の同盟国など他国に対する外国の武力攻撃もここに読めると言っているわけでございます。  じゃ、読めたらどういう文章になるかといいますと、同盟国に対する外国の武力攻撃によって国民の生命などが根底から覆される急迫不正の事態。同盟国アメリカ、外国イランと当てはめてみますと、同盟国アメリカに対する外国イランの武力攻撃によって日本国民の生命などが根底から覆される急迫不正の事態、安倍総理が言っているホルムズ海峡の事例ができ上がる。つまり、集団的自衛権の法理が、この昭和四十七年政府見解の中に作った当時から存在することになると言っているわけでございます。  じゃ、稲田大臣にもう一度確認をさせていただきます。この絵の右下の質問の答弁ですね、横畠長官の答弁。昨年の、平成二十七年三月二十四日の私の質問ですけれども、同盟国に対する外国の武力攻撃ということもここに概念的に含まれる。マジックで二ページでございます、二ページの右下でございます、二ページの右下の横畠長官の答弁でございますね。私の質問、同盟国に対する外国の武力攻撃ということもここに、昭和四十七年政府見解の先ほどお示しした外国の武力攻撃という文言、ここに概念的に含まれるという理解でよろしいですかという質問をしています。それに対して横畠長官は、昭和四十七年政府見解そのものの組立てから、そのような解釈、理解ができるというふうに答弁しております。  政府の解釈として、また、稲田大臣の解釈として、考え方として、この横畠長官の考え方を認めて引き継いでいるということでよろしいですか。
  50. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) これは、昭和四十七年の政府見解の、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというような急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである、ここの論理を今、横畠法制局長官も述べられたものだと解釈をいたしております。
  51. 小西洋之

    ○小西洋之君 もうイエスかノーかで簡単にお答えいただけますでしょうか。  今私がお示しした平成二十七年三月二十四日の私の質問と横畠長官の答弁は、この議事録の資料の二ページにそのまま書いてあります。政府の答弁ですから、この政府の答弁、横畠長官が述べている法理を稲田大臣政府の一員として、また安倍政権も政府として引き継いでいるということでよろしいですか。イエスかノーかでお答え。
  52. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほど述べたとおりでございます。
  53. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございます。お認めいただきました。  つまり、安倍内閣は、この昭和四十七年政府見解の中の、確かに誰に対すると書いていない「外国の武力攻撃」という文言を、我が国に対するとしか読めないはずのものを、同盟国に対する外国の武力攻撃とも読み替えることができると勝手に考えて、それによってこの昭和四十七年政府見解の中に集団的自衛権の論理を捏造して、憲法九条の下で禁止されているはずの集団的自衛権ができるという解釈をつくって、その基で昨年法律を強行採決しているわけでございます。四十七年見解の中に集団的自衛権の論理を捏造している、その証明の追及をこれからさせていただきます。  このカラーの資料、これを一枚おめくりいただけますか。昭和四十七年九月の十四日の吉國法制局長官、この四十七年見解を作った長官の答弁が出てまいります。この議事録の白い資料の方には二ページから続いております。  実は、この昭和四十七年政府見解、皆さんのお手元にカラーでありますけど、御覧いただけますように、作られたのが昭和四十七年の十月の七日の決裁でございます。私も、かつて霞が関でこういう文書をたくさん作っておりました。吉國長官が決裁したのが十月の七日、国会に提出をしたのが一週間後の十月の十四日、そして、この昭和四十七年政府見解、作るきっかけになった国会の質疑がございます。この昭和四十七年見解の表紙に書いてありますけれども、参議院決算委員会、当時の参議院の決算委員会の昭和四十七年九月の十四日、社会党の水口宏三さんという先輩議員の方からの質問に対して、吉國長官がそこで集団的自衛権は絶対にできません、憲法九条を変えない限りできませんという法理を繰り返し繰り返し述べて、その結果作られたのが実はこの昭和四十七年政府見解でございます。作るきっかけになった国会答弁が九月の十四日であることは、横畠長官始め安倍内閣は何度も安保国会を通じて答弁をしているところでございます。  では、稲田大臣に、このカラーの資料をちょっと御覧いただければ、三ページのカラーの資料の一番左上の、まず吉國長官の答弁ですね。我が国に対する侵略が発生して初めて自衛のための措置をとり得るのだということからいたしまして、集団的自衛のための行動は取れないと、これは私ども政治論として申し上げているのではなくて、憲法九条の法律的な憲法的な解釈として考えておるというふうに述べております。  安倍政権の、外国の武力攻撃を同盟国に対する外国の武力攻撃と読み替える、その恣意的な読替えをこっぱみじんに打ち砕く完璧なる答弁でございます。我が国に対する侵略、外国の武力攻撃が発生して初めて、初めて、それ以前にはできないけど、それ以外にもできない、初めて自衛のための措置をとり得る、つまり限定された個別的自衛権のみをとり得るのだということからいたしまして、集団的自衛のための行動は取れないと言っています。しかもこれは、いや、日米同盟がどうだ、いや、我が国を取り巻く安全保障環境がどうだ、そういう政策論、政治論ではなくて、最高法規である憲法九条の法律論、憲法解釈として考えているというふうに言っております。  稲田大臣に伺います。  昭和四十七年政府見解を作った吉國長官が作るきっかけになった国会答弁で、同盟国に対する外国の武力攻撃の段階では自衛の措置はとれないと言い、ゆえに集団的自衛のための行動は取れない、集団的自衛権は発動できないと明言しています。これは憲法九条の法律的な解釈論だと言っています。この答弁がありながら、なぜ安倍内閣はこの昭和四十七年政府見解の外国の武力攻撃を同盟国に対する外国の武力攻撃と読み替えて、この中に限定的な集団的自衛権が、吉國長官たちが作った当時の頭の中にあって書き込んだと、そういう主張ができるんでしょうか。  論理的に、自衛隊員の命が懸かっています、あなたの、安倍内閣あるいはこれから将来の内閣集団的自衛権の出動命令で自衛隊員は戦死に直面する戦いを強いられます。命が懸かっています。論理的にお答えください。
  54. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 何度も恐縮ですけれども、四十七年の基本的論理は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認をされる、そしてその措置は、右の事態を排除するためのとらるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきだ、これが基本的論理でございます。それを、今御指摘の吉國長官は、当時の安全保障環境の事実認識に当てはめられたということでございます。  昭和四十七年当時の安全保障環境は、北朝鮮弾道ミサイルや核兵器を保有していなかった、弾道ミサイルに対抗するミサイル防衛という手段もなかった、当時の米軍の兵力数は現在に比べ強大であった、当時は米ソ冷戦構造時代であった、これが吉國長官が答弁をされたときの時代背景であります。その時代背景、その当時の安全保障環境に照らして昭和四十七年見解に言う基本的な論理に当てはめれば、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるというのが当時の事実認識であったわけであります。  しかしながら、しかしながら、今日、我が国を取り巻く安全保障環境は、その昭和四十七年の政府見解がまとめられたときから四十年も過ぎて、想像も付かないほど変化をしており、今や脅威は容易に国境を越えて、もはやどの国も一国のみで自国の安全を守ることはできない時代となったわけであります。  具体的に、昭和四十七年当時と、その政府見解がまとめられ、今委員がおっしゃった長官の答弁がなされた当時と比べれば、例えば、米軍の規模は、兵員数、艦艇の隻数、航空機の機数のいずれも半分になっております。北朝鮮は、当時保有していなかった弾道ミサイルを大量に保有し、数百発が我が国の大半を射程に収めて、ミサイルに載せるための核開発も行っております。同時に、我が国は当時存在しなかった弾道ミサイル防衛システムを保有するに至り、その運用には従来にない日米の極めて緊密な協力が不可欠となっております。中国は、東シナ海において、尖閣諸島周辺の領海において公船による侵入を繰り返し、また境界未画定海域における一方的な資源開発を行っているところであります。  そういった安全保障環境の変化を踏まえて、昭和四十七年見解の基本的論理に当てはまる場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきた従前の事実認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものでございます。
  55. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 稲田防衛大臣に申し上げます。答弁は簡潔にお願いをいたします。
  56. 小西洋之

    ○小西洋之君 稲田大臣に、今日質問通告で自衛隊の服務の宣誓という紙を配らせていただいております、こちらの七月一日の閣議決定の紙の十二ページですけれども。  ちょっと時間があれですので私が読み上げますけれども、自衛隊の服務の宣誓ですね、入隊する自衛隊員が全員行う宣誓です。「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、」、日本国憲法及び法令を遵守し、次、割愛させていただきます、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」という、まさに命の宣誓をしているところでございます。  私が質問しているのは、全自衛隊員が事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める、こんな宣誓をしているのは、警察官も消防隊員も誰もしていません。私もかつて公務員でしたけど、自衛隊員だけです。命懸けで戦うという自衛隊員が誓っている、日本国憲法及び法令を遵守し、安倍内閣の解釈変更によって安倍内閣が作り出した日本国憲法を遵守し、そして昨年強行採決した安保法制を遵守し、その下で命を懸けて戦うというふうに誓っているんです。誓わせている相手はあなた、あなたと言って恐縮ですけれど、稲田大臣です。誠実な答弁をしてください。法論理に基づかない不正によって捏造した解釈、それによって法律を強行採決した、そうではないかということを私は追及しているんです。そうでないという説明をちゃんと自衛隊員にできるような、自衛隊員の命、尊厳が懸かった質問をしているというふうに捉えていただきたいと思います。  じゃ、今、稲田大臣が長々答弁したものは後で簡単に論破させていただきますので、今のこの資料の七ページを御覧いただけますか。七ページ、あと八ページ、九ページでございます。  七ページは、今年の九月の十九日、昨年安保法制が強行採決されて一年がたった日でございます。朝日新聞の社説でございます。朝日新聞の社説。昨日、防衛省にはお届けして、質問通告もさせていただいておりますのでお目通しされていると思いますけれども、七ページですね。朝日新聞の社説、「まだ「違憲」のままだ」と。これは、日本の報道機関が初めて、憲法学者が違憲だと言っているからではなくて、報道機関自らの見識で安倍内閣の解釈変更は違憲だと断じた記事の一つでございます。その理由、線を引っ張っていますけれども、一九七二年の政府見解、昭和四十七年政府見解であるということでございます。  次、おめくりいただけますか。翌日の九月の二十日東京新聞ですね。「違憲性は拭い去れない」というタイトルでございます。やはり違憲だと断じているんですが、その根拠は昭和四十七年政府見解のこの読替えでございます。「それはあまりにも乱暴で、粗雑な議論である。当時、この見解作成に関わった人は、集団的自衛権を想定したものではないことを証言している。」というふうなことを言っております。「安倍内閣の手法は、歴史の検証には到底、耐えられない。」と言っております。  次の九ページ、共同通信の七月一日の配信記事、参議院選挙のど真ん中です。タイトル、「崩される「立憲主義」 危機感持って投票を」というふうにおっしゃっております。この昭和四十七年政府見解、実は、作った三人のうちの角田さんは御健在でございます。角田さんに、作った御本人にこの共同通信の太田さんという、有名な編集委員の方ですけれども、取材をされております。作った角田さんは、攻撃の対象は日本のこと、さっきの外国の武力攻撃の対象は日本のこと、同盟国のことは考えていなかったというふうにおっしゃっております。よって、共同通信の記事として、崩される立憲主義、危機感を持って投票をということを書かれております。  これは、安倍政権の解釈変更の合憲性の法理、主張と真っ向から反する、それを否定する朝日新聞の社説であり東京新聞の社説であり共同通信の記事なんですけれども、これらの新聞記事は、安倍内閣、そして自衛隊・防衛省を所管する稲田大臣として間違っている、法理として間違っているということを述べているというお考えでよろしいですか。
  57. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) マスコミ各社の社説について政府としてコメントをすることは差し控えたいと思います。  その上で、平和安全法制は、国権の最高機関である国会において二百時間超の審議の上で成立をした、現行憲法の下で適切に制定され、憲法に違反するものでないことは、砂川判決に照らしても私は明らかだと思います。また、与党だけでなく野党三党の賛成も得て、野党、十党のうち五党の賛成も得て、より幅広い合意を形成することができたというふうに思っております。  一昨年の総選挙において平和安全法制を速やかに整備することを公約として掲げ、信任を得ることができ、この夏の参議院選挙でも改めて平和安全法制の意義を全国各地で訴え、再び信任を得ることができたわけであります。私は、この平和安全法制は憲法に合致するものだと考えております。
  58. 小西洋之

    ○小西洋之君 もう答弁拒否で時間稼ぎをされるので。  新聞各社は違憲だと断じていますので、稲田大臣は最後に私は合憲だと考えているというふうにおっしゃいましたので、この新聞の記事が間違っているという答弁を国会でいただいたものだと理解を、趣旨の答弁をいただいたものだというふうに理解をさせていただきます。  この昭和四十七年政府見解の読替えが法理でも何もない単なる暴挙であることは、実は今、憲法学者の皆様も論文で発表されるようになっております。この十一ページですね。  今年の岩波書店の「世界」という月刊誌の八月号ですね。野坂泰司先生という憲法学者、これ、司法試験の憲法問題を作る委員会の座長も務められたような著名な憲法学者ですけれども、この線を引っ張ってあるところですね。昭和四十七年政府見解のこの読替えは、もう牽強付会のそしりを免れない。  稲田大臣、牽強付会ってどういう意味かは御存じですか。
  59. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 自分の都合のいいように論理をねじ曲げることですが、しかし私は、今回の平和安全法制がそういったものだとは考えておりません。
  60. 小西洋之

    ○小西洋之君 牽強付会は、まさに広辞苑でそのとおり書かれておりました。さすがでございます。さすがでございます。  では、重ねて先ほどの質問に戻らせていただきますけれども、吉國長官が作るきっかけになった国会答弁で、先ほどお示ししましたカラーの資料ですね。ほかにも、この昭和四十七年の九月の十四日、もう吉國長官もこれでもか、これでもか、これでもかと、集団的自衛権はもう絶対にできないという答弁をされているんですね。  かいつまんで申し上げますと、左の下ですけれども、憲法九条の戦争放棄の規定によって他国の防衛をやるということは、どうしても憲法九条をいかに読んでも読み切れない、九条をいかに読んでも読み切れない。(発言する者あり)三ページの左下ですね。
  61. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 横紙のポンチ絵です。
  62. 小西洋之

    ○小西洋之君 委員長、ありがとうございます。  よろしいですか。もう時間があれですので、三ページの横紙の、さらに、この右上の方の答弁ですね、右上の方の答弁を読みますから見ていただけますか。  憲法九条の規定が容認しているのは個別的自衛権の発動としての自衛行動だけだ。昭和四十七年見解を作った人ですよ、作るきっかけになった国会答弁ですよ。個別的自衛権しか九条の下では自衛権の発動として許されないというふうに言っているんですね。で、さっきの話、政策論として申し上げているのではなくて、法律論として言っているということをおっしゃっております。さらに、集団自衛のための行動は憲法の認めるところではないという法律論を説明しているというふうにおっしゃっております。  この政治論、政策論、法律論の違いなんですけれども、安倍政権の主張はこういうことなんですね。この昭和四十七年政府見解には作ったときから二つの法理が、法的な論理が含まれていた。一つはこれまでの個別的自衛権を認める法理、そしてもう一つは限定的な集団的自衛権なるものを認める法理が作られたと言っていたんですね。四十年間誰も気付かなかったんだけれども、一昨年の七月一日に安倍内閣はそれを発見したというふうに言っているんですね、言っている。  私の質問は、だって、作るきっかけになった国会答弁で、作る人たちが全否定しているんだから、かつ、今御健在の方も生き証人として否定しているんだから、これはそういう文書じゃあり得ないでしょうということを聞いているわけでございます。  ところが、稲田大臣は、いや、当時は北朝鮮のミサイルとか、こういう危機がなかったとかいうことを先ほどさんざんおっしゃったんですが、関係ないんですね。憲法九条の下で自衛隊がどのような自衛権の発動ができるか。法治国家ですから、その自衛隊に限定的な集団的自衛権を許す法理がこの中に書かれているという安倍内閣の主張だけれども、書かれているかどうかを聞いているんですよ。これを作った当時に北朝鮮の問題があったかなかったか、そんな話じゃないんですよ。この中に集団的自衛権の基本的な論理がない限り、ない限り、安倍内閣集団的自衛権を合憲とする理屈を持っていないわけですから、そのことを私は聞いているわけでございます。  じゃ、稲田大臣に、最後に伺わさせていただきます。  作った真田次長は、よもや憲法九条が集団的自衛権を許しているとは思えないと言っています。角田当時第一部長は、集団的自衛権は全然行使できない、ゼロ、一切行使できない、絶対できない、憲法九条の条文を変えない限り集団的自衛権はできないとも後におっしゃっております。  作った方々が全否定している文書から、作った方々が集団的自衛権が九条の下では絶対許容できないというふうなことを、作るきっかけになった国会答弁、その前の国会答弁、その前後の答弁で、これでもか、これでもかとおっしゃられて作られたこの文書から、なぜ安倍内閣集団的自衛権を合憲だと論理的に主張できるんでしょうか。その一点だけ簡潔に、さっきの服務の宣誓、自衛隊の服務の宣誓を思い浮かべながら答弁ください。
  63. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 簡潔にとおっしゃいましたので簡潔に申し上げますが、昭和四十七年当時と今とは安全保障環境を取り巻く状況が変わっております。(発言する者あり)それは関係あるんです。なぜなら、基本的な論理に当てはめる場合において安全保障環境が大きく変わっているということは、私は重要だと思います。  さらに、その吉國法制局長官は、昭和四十七年九月十四日の委員会において、例えば侵略が現実に起こった場合に、これは平和的手段では防げない、その場合に生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が根底からくつがえされるおそれがある、その場合に自衛のための必要な措置をとることを憲法が禁じているものではないと述べるなど、この基本的な論理を含む答弁をされております。安倍内閣の、四十七年見解の基本的論理と軌を一にし、また、最高裁の砂川判決と軌を一にする解釈であるというふうに考えております。
  64. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  今の、この資料、皆様の五ページです、あっ、四ページの左上を御覧いただけますか。  今、稲田大臣が紹介された吉國長官の答弁が載っております。外国の侵略が現実に起こった場合に生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が根底からくつがえされる、新三要件の言葉ですね、ここで吉國長官が日本の議会で初めて言っているんですね。国会の議事録検索から一発で分かります。言葉の生みの親なんです。言葉の生みの親。その場合に、自衛のために必要な措置をとるということを憲法は禁じているものではないというのが憲法九条に対する解釈の論理の根底でございますと、ここまで稲田大臣も読み上げました。  ただ、続きがあるんです、続き。その論理から申しまして、集団的自衛の権利という言葉を用いるまでもなく、他国が侵略、他国が侵略されるということは、まだ日本国民の幸福追求の権利なり生命なり自由なりが侵されている状態でないということで、まだ日本が自衛の措置をとる段階ではない。他国が侵略、同盟国に対する外国の武力攻撃という局面では、九条の下で日本は自衛の措置をとる段階ではない、とれないと言っているんです。じゃ、いつになったらとれるかというと、続き、日本への侵略、我が国に対する外国の武力攻撃、その局面が発生して、日本への侵略が発生して、そこで初めて自衛の措置が発動するというふうに言っております。  これ、実は、安倍内閣の読替えを否定する最強答弁の一つなんですけれども、重ねて伺います。  この吉國長官の答弁は、憲法九条の下において我が国に対する外国の武力攻撃の発生、すなわち我が国に対する外国の武力攻撃の着手、そこに至った局面以外には、九条の下で自衛権の行使、自衛権の発動はできないということを法理として明確に示しておりますけれども、なぜ安倍内閣は、四十七年見解、外国の武力攻撃を同盟国に対すると読み替えれると主張しているんでしょうか。論理的に、法理としてお示しください。
  65. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 基本的な論理は、今述べられたところと全く変わっておりません。ただ、当てはめにおいて、当てはめにおいて、当時の安全保障環境と今と大きく変わっているわけであります。  したがいまして、吉國長官が当時答弁された時代には、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態というのは、我が国に対する急迫不正の侵害以外はなかったというのが昭和四十七年の当てはめであって、今の当てはめはそれだけではない、他国に対する侵害であったとしても、新要件の下で、我が国の国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される場合があるということでございますので、何ら矛盾するものではないと考えます。
  66. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  稲田大臣から、まさに牽強付会、自分に都合のいいように無理に理屈をこじつけることを終始されて、自衛隊員の尊厳、国民の尊厳、そしてかつての悲惨な戦争の下で作られた憲法前文の平和主義の具体化である憲法九条の法理を安倍内閣はじゅうりんしている。  自民党の先生方、また、恐縮ですが公明党の先生方、これが解釈変更の実態なんです。こんな政治を許していいんでしょうか。国会の、国会議員の矜持に懸けてこの安倍政権に退陣をさせる、それが与野党を通じた憲法の義務であることを申し上げて、質問とさせていただきます。  終わらさせていただきます。
  67. 大野元裕

    ○大野元裕君 民進党・新緑風会の大野元裕でございます。  両大臣、若干質問について順番が変わること、御了解いただきたいと思っております。  さて、稲田大臣、この臨時国会前で閉会中審査がこの委員会、行われました。大臣、あのとき小生からエールを送らせていただいた言葉、覚えていらっしゃいますでしょうか。私は当時、この域内国の中に稲田大臣の過去の発言を取り上げて批判する向きがあるが、日本の一国の大臣に対する発言としては笑止千万、大変失礼だというふうにまず申し上げました。そして、その上で、ただしこれからは、大臣の行い、あるいは発言、品性が問われるところですという、そういうお話をさせていただいたんです。当時の私の思いとしては、この委員会の理事になる見通しもあったわけですから、政局ではなく政策できちんと議論をさせていただきたい、こういう思いを申し上げたつもりでございます。  ところが、それにもかかわらず大臣は、この臨時国会の開会日に発行された新聞紙上で、民進党は政権担当能力がない等、挑発的な発言をされました。政策論争ではなく政局に終始したいというのであれば、この所信に対する質疑、十日ほどやらせていただきたいと私正直思っておりましたが、パリ協定を迅速に審議することも民進党の立場でもあり、今日は四時間で済まさせていただきますが、今後、あなたの大臣としての資質についてはみっちりと議論をさせていただくことを最初に申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、まず、稲田大臣防衛三役が偏っていることについて指摘させていただきたいんです。  さきの通常国会で私は、情報漏えいの疑いを持たれた藤丸防衛政務官の問題を取り上げたときに、当時の外務防衛の政務三役全員が衆議院議員、これはバランスを欠いていませんかという議論をさせていただきました。  解散時や、解散が取り沙汰されるわけでございますが、衆議院の政務三役だけで危機管理体制に遺漏なきを期すというのは、やはり私は無理があるのではないかと思っています。自民党の中には、憲法に緊急事態条項を盛り込む意向との報道もありますけれども、まずはやれるべきことから手を付ける、言っていることとやっていること全然違うじゃないですか。  私が防衛政務官時代当時には、実は衆議院選挙の直前及び選挙期間中にも当時の大臣と、私、参議院議員ですので、当時、防衛省に詰める、あるいはすぐに行けるようにするということで、二人がどちらかが行ける体制をしきました。この例に従えば、衆議院議員の三役のうちの少なくとも一から二名は選挙になっても防衛省に詰めなきゃいけない、これはやはり無理があるのではないか。また、私は先輩の議員から、政務三役というのは国会内で汗をかくことも仕事だと教わりました。衆議院議員の方が参議院で汗をかく、根回しするというのもおのずとやはり限界があるのではないかというふうに思っています。  そこで、大臣にお伺いします。  自民党は人材が払底しているとお考えかもしれません。でも、参議院にも、見てください、人材いますよ。そういう中で、野党ですから、どのような人事が行われたかはあずかり知らぬところではありますが、大臣、危機管理の観点から鑑みても、こんな政務三役人事でいいというふうにお考えでしょうか、お聞かせください。
  68. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 大野委員指摘のように、しっかりと私も政策議論やってまいりたいと思っております。  その上で、今お尋ねの防衛三役が衆議院だけに限っているという点についてのお尋ねでございますが、防衛大臣防衛大臣政務官の任命については、衆議院議員からの任命を前提として行っているのではなく、職責にふさわしい者を適材適所の観点から内閣として任命をされているものと認識をいたしております。  なお、政府においては、緊急事態への備えとして、閣僚が東京を離れる場合にはあらかじめ副大臣又は大臣政務官が代理で対応することといたしております。  これを受け、防衛省においては、衆議院議員選挙中であっても、大臣が東京を離れる場合には、副大臣又は大臣政務官が分担して不測の事態に対して速やかに対応できる体制を整えているところであります。また、情勢の緊迫が予想される場合にあっては、それに応じて対応体制強化を図ることとなっております。  したがいまして、副大臣大臣政務官が衆議院議員である場合についても、衆議院選挙などの際に危機管理上問題が生じないようにしっかりと対応してまいります。
  69. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣是非、総理に対する影響力、御意見を申し上げて、危機管理も大臣の大事な分野でございますので、御検討をいただきたいと。今質問しているのを聞いて、俺がいるぞというふうに待っている顔の方もおられましたので、是非検討いただきたいと思います。  さて、外務大臣にお伺いをします。  十二月十五日のプーチン・ロシア大統領訪日が取り沙汰されています。その関係で、いろんな報道が出されています。  その一方で、本来は次の通常国会にかけられるのではないかと見られていた独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法改正が今次臨時国会にかけられる見込みであります。この法律は、石油等、石炭、地熱及び金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資するとともに、金属鉱業等による鉱害の防止に必要な資金の貸付けその他の業務を行い、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全並びに金属鉱業等の健全な発展に寄与することを目的にするものであります。  つまり、政治的な目的に使われるべきものではありません。もしも、政治的な妥協のためにこのJOGMEC法、政府による保証を付けたJOGMECの資金が供されるようなことがあれば、私は本来の目的とは違うと思いますし、なおかつ、譲ることができない主権、我が国の主権の対象であります四島のうちの、五六年日ソ共同宣言に示された二島の引渡しは追加条件なしに行われるべきと外務省は常々主張してまいりました。そのことにも反します。  大臣にお伺いします。ロシアとの外交取引のために、あるいは訪日される大統領を喜ばせるために、日本利益を毀損するような形で貴重な税金を浪費するようなことは万々が一のことがあってもあり得ないと思いますけれども、ロシアとの交渉に臨まれる外務大臣としての御見解を賜ります。
  70. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、JOGMECの活動そのもの、この具体的な活動については、これは経済産業大臣が所管しておりますので、外務大臣として触れることは控えなければなりませんが、その上で一般論として外務大臣立場から申し上げるならば、五月、ソチで行われました日ロ首脳会談において日ロの両首脳が一致した八分野の協力プラン、この中にエネルギー分野も含まれています。  この分野の協力ですが、これはあくまでも日本企業が裨益するような、互恵的な形で進められるものであると認識をします。そして、まさに委員が御指摘になられましたように、このJOGMECの基本的な理念、設立の目的ということを考えますと、資源の安定供給の確保、あるいは産業の発展、国民生活の向上、こういったものが挙げられているわけですから、こういった設立の目的に反する形でこうした協力が進められることはないと考えます。  こういった基本的な考えに基づいて、具体的な対応については経済産業大臣等が中心になって対応を考えていくものであると認識をいたします。
  71. 大野元裕

    ○大野元裕君 信頼してお待ち申し上げています。  もう一問、別な質問ですけれども、今日は高橋事官もお越しになっていますが、大臣にお伺いいたします。  南スーダンのみならず、これ中東・アフリカ地域の紛争は現在も継続していますよね。このような地域の不安定は、ひいては世界の不安定にもつながりかねないということは論をまちません。  このような中、現在、ISILの掃討作戦がモスルで行われていますが、その北部のバーシカという場所に七百名規模のトルコ軍が駐留をしています。これに対して、イラク政府はこれを違法な侵略として国連に報告し、アラブ連盟は本年七月に首脳会議でトルコ軍の撤退を求め、十月にはイラク国会が満場一致でトルコを非難しているんです。そして、深刻なことに、イラク政府が国連憲章第五十一条に基づく自衛権の行使まで表明しています。  もちろん紛争解決も重要なんですが、それ以前に武力行使を伴うような事態の発生を予防するというのもとても大事だと私は思っています。このような意味で、中東地域における責任あるステークホルダーとして、我が国も武力衝突を未然に防げるよう本件について外交的な努力を行うべきと考えますけれども、大臣、具体的に何か行うつもりがあれば、是非お聞かせください。
  72. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず御指摘のように、イラク北部にはトルコ軍が駐留しており、それに対しまして、イラク政府はトルコ政府に対しまして撤退を求めている、こうした現状にあります。  このモスルの解放作戦が実施されている中、今御指摘いただいた件につきましては、これは両国による協議を通じて平和的に解決されることが重要であると考えますし、そういった観点から我が国としましてもメッセージをしっかり伝えていかなければならない、このように思っています。  そして、このモスルの解放作戦そのものにつきましては、これは、我が国はこれまでもISILの脅威に対抗するために、周辺国への支援ですとか解放された地域への安定化支援、着実に実施をしております。今後ともこの非軍事分野において我が国の強みを生かした可能な限りの貢献を行っていかなければならないと考えます。  こうした両国への働きかけ、そして非軍事分野における国際社会との連携に基づく貢献、こうしたことによってこの地域におけるこうした紛争状況を平和的に解決する結論に導くべく、努力をしていきたいと考えます。
  73. 大野元裕

    ○大野元裕君 メッセージを送らなければならないではなくて、送ってください。是非お願いします。  稲田大臣にお伺いします。  ちょっと一問、頭のところを飛ばしますけれども、今日にもまた発射をされたという話もありましたけど、本日打ち上げが失敗されたと言われているのは、例のムスダンと言われるミサイルではないかと言われていますが、このムスダンについては、六月二十二日にロフテッド軌道というので打ち上げられて日本海に着弾したとされています。  この資料に従ってちょっと説明させていただきたいんですが、通常、こういう弾道ミサイルは最も距離を稼げる適切な角度で打ち上げられる。ちょっとイメージしていただきたいのは野球なんですけれども、思いっ切りスイングしてもうちょうどいい角度で上がれば遠くまで飛んでホームランになります。ところが、上がり過ぎたポップフライではなかなか飛ばずに内野で降りてきてしまいます。このロフテッド軌道とはまさに高く打ち上げる、そういう軌道のことであります。この高い軌道で打ち上げることによって、弾道ミサイル対処のための迎撃ミサイルが届かない、あるいは落下しているときにスピードが速くなる、そういった意味で対処が困難になるというふうに一般論では言われています。  そこで、まずお伺いをさせていただきたいんですが、大臣、六月二十二日のロフテッド軌道で撃たれたとされる北朝鮮のミサイルについて、スピードが落ちるミッドコース、一番上ですね、これに対処する場合には、現在自衛隊が保有しているSM3ブロックⅠAミサイルでは高度が不足し、迎撃対処ができないという理解でよろしいでしょうか。
  74. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今御指摘のロフテッド軌道を含め、弾道ミサイル攻撃に対して迎撃が可能か否かについては、飛来する弾道ミサイルの性能、発射地点、着弾場所等の様々な要因によって変化するものであることから、一概にお答えすることは困難だと思います。また、SM3ブロックⅠAの個別具体的な性能については、我が国の手のうちを明かすことになり、また特別防衛秘密に該当することから、お答えは差し控えます。  ただし、一般論といたしまして、ロフテッド軌道を取ることにより迎撃を回避することを企図して発射された弾道ミサイルについては、迎撃はより困難となります。  現在、防護範囲を拡大し、ロフテッド軌道を取るものも含め、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させるため、SM3ブロックⅡAの日米共同開発が最終段階に入っており、これに全力を挙げて取り組むなど、国民の生命、財産を守るため、BMDシステムの着実な能力向上を図ってまいりたいと考えております。
  75. 大野元裕

    ○大野元裕君 なぜかというと、これは若宮副大臣が、当時、防衛省のパンフレットを作るときにやはり副大臣であったのでちょっとお伺いしておきたいんですが、これ防衛省のパンフレットを基に書いてあります。日本全体を三隻若しくは将来的には二隻のイージス艦でカバーができるというふうに書いてあるんですが、これは、前提は通常弾道のミサイルということでよろしいですか。
  76. 若宮健嗣

    ○副大臣(若宮健嗣君) 大野委員におかれましては、私も防衛大臣政務官を仰せ付かったことございますが、自らも防衛大臣政務官をお役目なされ、また外務省にもおられたということで、この外交安保に関しては非常に御造詣深く、また本委員会でも度重なる質問でも非常に前向きな、積極的なお話されていることに大変敬意を表するところでございます。  それで、今の御質問でございますけれども、今、稲田防衛大臣からも御答弁をさせていただきましたんですが、この確かに図で示してございます白書にございます絵でございますが、これあくまでも、この図の中にも表示をされてございますが、イメージというふうに書いてございまして、具体的なところ、実際の例えば楕円形の輪っかがこの地図の中にも表示、表記されてございますんですが、このエリアを一つの船でカバーをしているということではなくて、大体こういった形で日本全体を網羅して防御しておりますんですよということを、皆様方にある意味絵で分かりやすく御説明申し上げたというところが真意でございます。  今、大臣からも申し上げましたように、果たして、じゃ、これでどういった形でやるのかという個別具体の内容につきましては、ミサイルの弾道ですとかあるいは発射角、それからまた着弾地、様々な要素を考慮しながら対処していかなければいけませんので、その内容につきまして、個別具体のミサイルの種別による性能というのをこの委員会の場で申し上げるのは不適当ではないかなというふうに考えているところでございますので、そういった形での御理解というふうに受け止めていただければ幸いでございます。
  77. 大野元裕

    ○大野元裕君 丁寧な御説明ありがとうございます。  大臣、実は、やはり国民は不安だと思うんです。六月二十二日に違う形で撃たれた、それから核の小型化についても進められているという報道がある。これ見ていただくと、ちょっと見にくいんですけど、緑の線で書いてありますが、通常弾道であれば相当広い範囲で対処できるものが、実はロフテッドで撃たれると、このエリアというんでしょうか、面積だけでも実は狭くなるというのが一般論として言える。そうすると、これ二隻か三隻でカバー、今できないんじゃないかというふうに考える国民の方も多くおられるし、私もそう思ってしまうんです。  そこで、大臣、ちょっと質問何問か飛ばしますけど、先ほどブロックⅠAについてはMDAにかかることもあってその能力言えないとおっしゃいましたが、大臣、その後、質問もしておりませんでしたが、わざわざブロックⅡAの話までしていただきましたけれども、そのブロックⅡAで共同開発しているところに全力を挙げているということは、高度千キロ以上に達するムスダンのロフテッド軌道で撃たれた場合にはブロックⅡAならば対応できると、そういうことでよろしいでしょうか。
  78. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) ブロックⅡAの共同開発、最終段階に入っていて、迎撃能力は格段上がるというふうには考えております。ただ、現在、日米共同開発中のSM3ブロックⅡAの個別具体的な性能についても特別防衛秘密に該当し、我が国の手のうちを明らかにすることから、お答えは差し控えたいと思います。  その上で、SMブロックⅡAは現在のSM3ブロックⅠAと比べ、迎撃可能高度や防護範囲を拡大し、ロフテッド軌道を取るものも含め、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させる迎撃ミサイルであり、これが配備されれば、通常の軌道よりも高い軌道、ロフテッド軌道を取ることにより迎撃を回避することを企図して発射されたミサイルに対する迎撃能力も向上すると考えております。
  79. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、もう一度聞きますけど、国民を安心させるためです、ブロックⅡAミサイルが導入されれば対応できるとは言えないんですか。
  80. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 個別具体的な性能については、お答えを差し控えたいと思います。
  81. 大野元裕

    ○大野元裕君 不思議ですね。  実は、先ほど若宮副大臣には褒めていただいたので言いにくいんですけど、九月三日放送の週刊安全保障というネット番組があります。そこで若宮副大臣は、ブロックⅡAミサイルに変更するとロフテッド軌道ミサイルに対応しやすくなると言われていますがという質問に対して何とおっしゃったか。かなり軌道の高いものについては脅威が高まるということでございます、ブロックⅡAに変更するとロフテッドに対応できるということが言えると思いますと述べられているんです。  国会で述べるのは差し控えたいとおっしゃって、マスコミで言うことはこれは差し支えないんでしょうか。大臣、これでよろしいんでしょうか、お聞かせください。
  82. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほど申し上げましたように、通常の軌道よりも高いロフテッド軌道を取ることで迎撃を回避することを企図して発射されたミサイルに対する迎撃能力は、このSM3ブロックⅠAと比べSM3ブロックⅡAは、迎撃可能高度、防護範囲を拡大をして、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力は向上するということでございます。
  83. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、聞いていることに答えてください。対応できないんですかと私聞きました。二回聞いています。ここでは述べられないとおっしゃいました。MDAにもかかると言いました。  それで、若宮副大臣はマスコミで、対応できるというふうに述べていらっしゃいます。これで適切な対応と言えるんでしょうか。大臣、お答えください。
  84. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) ロフテッド軌道を含めて、弾道ミサイル攻撃に対して……(発言する者あり)えっ、あの……
  85. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 稲田防衛大臣、どうぞ。
  86. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) はい、済みません。  飛来する弾道ミサイルの性能、発射地点、着弾場所等の様々な要因について変化するものであることから一概にお答えすることは困難でありますけれども、今副大臣がおっしゃったことは、先ほど申し上げたとおり、SM3ブロックⅠAと比べ、迎撃可能高度、防護範囲を拡大し、ロフテッド軌道を取るものも含めて、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させる迎撃ミサイルであるということでございます。(発言する者あり)
  87. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  88. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を起こしてください。  どちらがお答えになりますか。  若宮副大臣
  89. 若宮健嗣

    ○副大臣(若宮健嗣君) 今、大野委員から御指摘のありました点、私がその番組の中でお話をさせていただいた内容、手元に具体的な内容をちょっと用意しておりませんのですが、私がもしも、その中で申し上げて、対応できるというふうに明言をしているというような内容的なものとしては、もちろん、ⅡAになったときに、様々ないろんな、もちろん弾種あるいは高さ、いろんなものありますけれども、ⅠAよりはより広範囲のもの、あるいはその対応能力が広がる、あるいは性能が上がるという意味で申し上げているかと思います。  個別具体的なことにつきましては、やはり、この場でももちろんそうでございますけれども、もちろんテレビの場ですと更に広い方々が御覧になっておられますので、今大臣がおっしゃられましたように、個別具体的な内容につきましてはお答えできないけれども、より高度な性能が上がるということはテレビのその番組の中では私の方から申し上げたかと思っております。そういうふうに御理解いただければと思います。
  90. 大野元裕

    ○大野元裕君 ブロックⅡAに変更するとロフテッドに対応できるということが言えると思いますと述べられておられます。  本来言うべきことでないことを仮に述べたというのであれば、当然これ、漏えいの可能性があります。自衛官に対しては、意図的でないにもかかわらず、これ、漏えいした場合には、当然の話ですけれども免職を含む罰則規定があります。MDAの場合には懲役があります。そしてさらには、これ、仮にマスコミに対して適切な対応ができていないということであれば、副大臣としての資質が疑われることになります。  そこで、大臣、お願いでございますけれども、今確認されるとおっしゃっていますので、是非御確認をいただいて、どのような措置をとられるかということを本委員会に御報告をいただき、委員長、それを受けまして御審議をお願いをしたいと思います。  以上、私の質問を終わります。  ごめんなさい、大臣からちょっと答弁を求めて、私の質問を終わります。
  91. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) ただいまの提案につきましては、後刻理事会において協議をいたします。  よろしいですか。稲田防衛大臣
  92. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) ただいま副大臣が答弁したように、性能が上がることによってロフテッド軌道のミサイルの中で……(発言する者あり)個別具体的な性能については特別防衛機密に該当いたしますけれども、SM3ブロックⅡAと比べてSM3ブロックⅡA、あっ、ⅠAと比べてⅡAが迎撃可能な高度や防護範囲を拡大をし、ロフテッド軌道を取るものを含めて、より高性能化、多様化した弾道ミサイル攻撃への対処能力を向上させる迎撃ミサイルであるということだというふうに理解をいたします。(発言する者あり)
  93. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  94. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 速記を起こしてください。  もう一度答弁願います。稲田防衛大臣
  95. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 再度、再度というか、副大臣の発言を確認した上で答弁させていただきます。
  96. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  まず初めに、南スーダンのPKO活動への自衛隊の派遣についてお伺いしたいと思います。  南スーダンにおいては国連南スーダン共和国ミッション、いわゆるUNMISSがPKO活動を展開中でありますが、我が国も自衛隊を参加をさせて活動を継続しております。しかし、この今派遣されている活動は、今月末、十月三十一日で派遣期間が終了するという予定になっております。一方で、その基になる国連のUNMISSの活動そのものは活動期間が更に延長されておりますので、我が国としてその後どうするかということがいずれ判断を問われるわけであります。その前提となる基本的なことを何点か私からお伺いしたいと思います。  まず、稲田防衛大臣に伺いますが、大臣は去る十月八日、南スーダンを訪問し、首都のジュバ周辺を視察をし、また、南スーダン政府や国連南スーダン共和国ミッション、いわゆるUNMISSの要人などとも会談をされたと伺っております。  日本ではこの南スーダンで時折起こる武力衝突の模様などが報道されたりしますから、国民の皆さんの中には治安状況について不安を覚える方もいらっしゃると思います。  そこで、実際に現地に行かれたことを踏まえて、この南スーダンの情勢について大臣としてどう認識されておられるか、お答えいただきたいと思います。
  97. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今委員指摘のとおり、南スーダン、最も新しい国連加盟国であり、独立も間もない世界で一番若い国の一つでございます。反政府勢力の存在や部族間の対立があること、また、約二十年にわたるスーダンとの武力紛争を経て独立に至ったものの、その間に使用された多数の武器が国内に出回っていることなどから、治安情勢は極めて厳しいというふうに承知をいたしております。現在も、地方を中心に武力衝突や一般市民への襲撃が度々生じているところは、先ほど御指摘になったとおりでございます。  私自身、首都ジュバ市内を視察をしてまいりました。現在は落ち着いている、比較的落ち着いているというふうに認識をいたしました。子供たちや女性も単独で行動し、店も開いているような状況でありましたが、七月に大規模な武力衝突が発生していることもあり、今後の治安情勢については楽観できる状況にはないというふうに認識をいたしております。政府といたしましても、邦人に対して首都ジュバを含め南スーダン全土に退避勧告を出しており、これは最も厳しいレベル四の措置です。  いずれにせよ、治安情勢が厳しいことは十分認識しており、引き続き緊張感を持って注視をしていく必要があると考えております。
  98. 山口那津男

    山口那津男君 南スーダンが独立したのは五年前のことであります。この間、順調に統治する能力あるいは自立していく能力、この国家としての能力が育っているというわけにはいかない状況であろうかと思うわけであります。だからこそ、国連がその初期段階の国づくりのためにPKO活動支援をしていくということが大切だろうと思います。  この南スーダンのミッションにはカンボジアも参加をしております。カンボジアはかつて内戦を終結して、最初にUNTACというPKO活動を展開し、日本の自衛隊も施設部隊を送ってこの自立を支援した。今では立派に自立して、こうした南スーダンにも参加をできるようになったわけであります。そういうカンボジアと日本がこの南スーダンの自立のためにPKO活動を共にするということも私は歴史的な意義があるのではないかと、このように思っております。  しかし、また一方で、日本からかなり遠い国であります。また、内陸の国でありますから、いろいろ支援、補給するのも容易ではありません。そうした状況も見た上で、これから果たして継続していく必要があるのかと、こういう見方をする人もいないわけではありません。  さて、この南スーダンPKOに自衛隊を派遣をする基本的な意義について大臣としてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  99. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 厳しい状況にある南スーダンは、自らの力だけでは平和と安定を確保することができず、だからこそ国連による平和維持活動が行われており、我が国も、専門的な教育訓練を受け、厳しい環境でも活動できる自衛隊を派遣しております。私も、現地に訪れたときに、南スーダン政府からも、また国連からも大変日本活動が評価をされ、感謝をされているということを身をもって感じたところです。  国連の旗の下、国際社会協力して南スーダンの平和と安定のため力を合わせています。具体的には、アジア、大洋州、北米、南米、欧州の世界のあらゆる地域から六十二か国が部隊等を派遣し、南スーダンのために力を合わせています。七月の武力衝突事案の後も部隊を撤退させた国はありません。むしろ、国連は新たに四千人の地域保護部隊の創設を決めるなど、国際社会取組強化しています。  南スーダンは六か国と国境を接し、アフリカ大陸を東西南北に結ぶ極めて重要な位置にあります。南スーダンの平和と安定は、南スーダン一国のみならず、周辺諸国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものです。また、アフリカの多くの国が苦しんでいる不安定と治安の問題を解決するという意味で、アフリカ全体の希望にもつながります。  国際社会の平和と我が国の平和は分かち難いものです。自衛隊による国際社会の平和と安定のための取組は、南スーダン政府や国連を始め国際社会から高い評価を受けており、自衛隊の派遣は大きな意義があるというふうに考えております。
  100. 山口那津男

    山口那津男君 今大臣がお述べになられたように、大きな意義があると、本来あると、このように思います。しかしまた、最初に述べられたように、厳しい現在の情勢認識からして、今後どう継続していくべきか否か。この点については、初めて出すときは、そもそもPKOの五原則の適用が問題となるような紛争当事者というのは存在しなかったんですね。ですから、厳格な五原則の適用云々というよりも、不安定な治安の状況は確かにあった。そこをよく配意をしながら、注意を払いながら活動しようということでPKO活動に参加をしたのだと私は思っております。  さて、そういう中で改めて、これからどうするかということについて、このPKOに自衛隊を派遣、あるいは派遣を継続する、そういう場合の判断の要素、どういうメルクマール、基準によって判断をしていくのか、これを国民の皆さんに分かりやすく、改めて御説明いただきたいと思います。
  101. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 自衛隊をPKO派遣をするのか、また、今派遣を継続するかどうかの判断要素、二つあると思います。  一つは、PKO参加五原則を満たしているかどうか、そしてもう一つは、PKO参加五原則を満たした上で、自衛隊員の安全を確保して更に意義ある活動が行われるか、この二つの判断基準があるというふうに思います。  このうち、PKO参加五原則は憲法に合致した活動であることを担保するものです。南スーダンPKOについて申し上げますと、PKO法上は、武力紛争の当事者である紛争当事者がいないことから、停戦合意は問題とならず、法律要件ではありません。三条の一号ロによる派遣でございます。こうした考え方から、当時の民主党政権が南スーダンへ自衛隊派遣を決定したときから、いささかここは変わるところはありません。  ただ、南スーダンの治安状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態が生じていたり、また、武力紛争の当事者、紛争当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておらず、当該事態は戦闘行為が発生したと評価し得るものではありません。また、我が国における法的意味における武力紛争が発生したとは考えておりません。  したがって、現在、参加五原則は引き続き維持されているものと考えており、今後も引き続き緊張感を持って現地情勢を注視していきたいと思っています。  一方、自衛隊の活動については、厳しい状況下でありますが、国連施設内において道路整備、また避難民向けの施設構築を行うなど、安全を確保しつつ意義ある活動を行っており、これは国際的にも非常に評価をされている活動を行っております。  現行の南スーダン国際平和協力業務実施計画においては我が国活動期限は本年十月末までとされているところですが、今申し上げたことを踏まえながら自衛隊派遣の継続について検討してまいりたいと考えております。
  102. 山口那津男

    山口那津男君 今お述べになられたように、我が国の憲法上の問題を生じるかどうかというこの五原則の適用の在り方、しかし、この南スーダンのPKOについてはそうした問題はそもそもなかった、しかし、その不安定な治安状況対応していこうと、こういうことだと伺いました。  そこで、外務大臣に伺いますが、この治安状況については注意すべきものがあるわけですね。しかし、日本の施設部隊、これは、防衛大臣もお述べになったように、本来の国づくり、道路や橋を造ったり国づくりを支援する、あるいは避難民を保護するためにトイレを造ってあげたり、あるいは防護柵を設置してあげたり、そういう人道的な支援をする、こういうことが仕事であります。直接治安の維持強化に当たる仕事ではないわけですね。  しかし、現実にはその不安定な治安の状況はある。この治安に対応するのはそもそも自衛隊ではなくて、ほかの仕組みがあるはずであります。それはどういう仕組みで南スーダンで行われているか。南スーダン政府対応するところもあるでしょう。UNMISSが対応するところもあるでしょう。それらを整理して御説明いただきたいと思います。
  103. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、南スーダンにおいて、凶悪犯罪への対処等の治安維持業務ですが、国家警察、SSNPS、これが対処、対応いたします。そして、警察力で対応できない、対処できない事態について、国軍、SPLAが対応する、こうしたことになっていると承知をしています。  一方、UNMISSの方ですが、UNMISSにおいては、歩兵部隊がパトロールや事態対処等の任務を担っており、国連警察も文民保護、地域内におけるパトロール、こうしたことを行っている、このように承知をしております。  御指摘課題については、今申し上げますように、南スーダン、そしてUNMISS、それぞれが具体的な状況に応じて適切に対応する、こうした体制になっていると承知をしております。
  104. 山口那津男

    山口那津男君 今大臣がお述べになられたように、南スーダン政府においても言わば二重の治安を守る体制がある、UNMISSにおいても独自の治安を守る部隊、組織がいる、また、最近では治安を更に強化するために部隊を増派して厚くすると、こういうことも伺っているわけであります。  そうしますと、これらがうまく機能すれば自衛隊が施設部隊としての本来の活動を安全に実行することが可能なはずでありますが、それでもなおかついろいろな新たな仕事を与えるべきかどうか、これは今後の課題だと思いますので、政府として様々な前提を踏まえながら慎重に検討をして結論を出していただきたいと、このように思います。  さて、次の質問に参りますが、外務大臣の所信の一端として、中南米との協力関係強化すると、こういう所信が述べられました。  私は、今年の八月三十日から九月の八日まで、パナマ、コロンビア、キューバ、三か国を訪れ、特に、言わば冷戦の名残といいますか、こうした状況の残っているこの地域が、今安定へ向かう方向にあります。そういうところをこの目で確かめ、そして日本がどういう支援が必要かということを確認するために訪問してまいりました。  まず、コロンビアについてお伺いしたいと思います。  コロンビアは九月一日から三日訪問し、政府と反政府ゲリラが六十年近く紛争を続けてまいりましたが、このほど和平合意が成立をいたしました。その後の国民投票で僅かな差で否決はされたんですが、なお新たな和平合意をつくろうということで、今様々な当事者が前向きな活動を開始していると、このように伺っております。  その和平合意政府の側で推進したのがサントス大統領であります。この大統領と会談した折には、この長年の紛争の負の遺産ともいうべき対人地雷、これが国土に広く分布している、しかも、その量は世界で埋設量第二位という膨大な量に上る、これらを処理していくことが和平のプロセスを進めるに当たっても大事なことだ、そして、この地雷除去に対する日本支援を自分は確認をしている、大変有り難い、感謝すると、そして新たな支援にも期待を示していらっしゃったわけであります。  私たちは、この会見の後に、コロンビア国軍のトレマイダという基地に赴きまして、地雷除去部隊の訓練状況活動状況を視察してまいりました。そこでコロンビア側が求めていたのは、既に日本から供与された地雷除去機があるわけですが、この優れた機材を更にもっと供与してもらいたいと、そして、これをどう使ったらいいのかという経験、技術、これも是非教えてもらいたいというのがコロンビア側の要望でありました。  この和平合意は、十月二日、否決されたわけでありますが、その後の七日に、和平合意を推進したサントス大統領に今年のノーベル平和賞が授与されました。このことによって、新しい和平プロセスを更に進展させようという機運が今起きてきているわけであります。  そこで、今年の十月十一日、本院の予算委員会で我が党の平木大作議員が安倍総理に質問をいたしました。この合意ができた、国民投票で否決された、ノーベル平和賞が授与された、その後、日本はどういう支援をすべきかという質問に対して、安倍総理からは大きく二点お答えがありました。一つは、和平合意の国民投票否決の後でも和平プロセスを我が国としてしっかり支援をしていくという意思を表明されたことであります。二点目は、和平合意を、新たな合意を形成する後押しになるような支援をやろう、この間成立しました第二次補正予算、これも活用して積極的に行うと、このような御答弁をされたわけであります。  そこで伺いますが、ノーベル平和賞受賞後、国民投票否決後も和平合意を目指すとしている、否決した側、推進した側、双方の当事者の理解を得て新しい合意を促していくためにも、日本が地雷除去や、あるいはそれによって傷ついた被害者のリハビリ支援など、人道支援を適切なタイミングでやっていくことが今後も有効だと私は考えますが、外務大臣認識を伺いたいと思います。
  105. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国は、コロンビアにおける和平プロセス、これまでも一貫して支援してまいりましたし、これからも引き続き支援をしていきます。ノーベル平和賞を受賞されましたサントス大統領、半世紀を超える国内紛争を終結させるために粘り強く努力をされてこられました。改めて敬意を表し申し上げるところです。  そして、これまでも日本の高い技術と経験を活用した地雷除去の支援、そして紛争被害者の社会復帰への取組の後押しに取り組んできており、こうした取組は現地から高く評価されていると認識をしています。  また、今月十八日には地雷除去関連機材の供与等を内容とする草の根・人間の安全保障無償資金協力案件三件、総額約一・八億円の贈与契約、署名したところです。こうした取組に加えて、先般御承認いただきました補正予算も活用して、新たな和平合意の形成を後押しするよう支援を積極的に行っていきたいと考えております。
  106. 山口那津男

    山口那津男君 今大臣が十八日に草の根・人間の安全保障無償資金を使って供与をしたと新たな供与についてお述べになりました。確かにこれも大事なことでありますが、量、規模としては決して大きいものではありません。このコロンビアの国土が広大であり、その地雷の埋設地域が広く分布していること、そしてまた地形が複雑です。山岳地もあれば低地もあります。  そうした状況対応していくためには、その草の根無償のみならず一般無償資金なども使いながら、もう少し規模の大きいもの、しかも、相当数の除去機の数とともに、これらを運ぶための手段、トレーラーなどの手段、あるいはそれらを継続的に補修してメンテナンスしていけるような手段、そうしたものも伴った総合的な支援をやっていく必要があるし、また、コロンビア側にもそれは歓迎されることだと思います。  是非、こうした一般無償資金も活用した規模の大きな支援、これについてやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  107. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国としましては、コロンビアの地雷被害の大きさに鑑みて、これまで草の根・人間の安全保障無償資金協力を継続的に実施し、コロンビアの地雷除去を積極的に支援をしてきました。そして、ただいま御指摘がありましたように、コロンビアの国土の大きさ、それから対象地域の大きさ、こういったものに加えまして、コロンビアにおける和平合意プロセスが進展したならば、これは地雷除去を行っていく対象となる地域、ますます拡大することが見込まれます。必要とされる機材等の数も増加しなければならないと思いますし、補修のニーズ、これまで以上に高まる、こうしたことも見込まれます。  こうした状況対応していくという観点から、先般御承認いただいた補正予算を活用して、相当数の地雷除去機、そしてトレーラー等の移動手段等の供与、そして機材の補修等の支援、こういったことを行うべく、今調整を行っております。  こうした支援を通じまして、引き続きコロンビアの地雷除去、強力に後押しをしていきたいと考えます。
  108. 山口那津男

    山口那津男君 その際、コロンビア側は、実際に機材を使って除去した経験、技術、取り除く経験、技術、これも授けてもらいたいと、こういう要望もあったわけであります。  我が国においては自衛隊のOBの皆さんが国際NGO等を組織してボランティアベースでカンボジアなどで活動した経験はあります。また、カンボジアで我が国支援して育てた地雷除去機関、CMACといいますが、ここも豊富な経験を持っております。むしろこのカンボジアのCMACのような組織を、部隊をコロンビアに派遣をして、そして共にお手伝いをすると、そういうことを日本協力したらどうかと私は思うわけであります。そうすると、この経験が機材とともに大きく生きていくだろうと、コロンビア側もそれを受けて自らの技術、経験を磨いていくことができるだろうと、こう思います。  是非この点でも御一考いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  109. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま御指摘いただきましたように、我が国はこれまでカンボジアの地雷対策センター、CMACの協力を得て、同センターにおいて、つまりカンボジアにおいてコロンビア大統領府対人地雷対策庁の職員の研修を行うことで、コロンビアにおける地雷除去に関する人材育成等の技術協力を行ってまいりました。こうした取組に加えて、先般御承認いただきました補正予算等を活用して、CMACの協力によって、コロンビアにおいて地雷除去に従事する職員のトレーニングを行うことも視野に入れて今調整を行っているところです。  我が国の高い技術そして経験に加えて、CMACを始めとする関係機関の知見も活用しながら、引き続きコロンビアの地雷除去、強力に後押しをしていきたいと考えます。
  110. 山口那津男

    山口那津男君 地雷除去、負の遺産の処理という側面でありますが、もっと前向きにコロンビアとの経済協力を進めていくべきだと思います。  いわゆる太平洋同盟、これはメキシコ、チリ、ペルー、コロンビアと加わっているんですが、コロンビア以外の国々はAPECにも参加していますし、TPPにも参加をしております。コロンビアが少し後れを取っているんですが、しかし、その資源や人材や様々な総合的な能力は大変高いものがあると思われます。そうしたコロンビアと我が国の間で経済連携協定、EPAのようなものを早く結ぶ。そして、無償資金協力だけではなくて、円借款もコロンビア側と合意を結んでこれを供与できるようにする。こうした経済協力が今後必要ではないかと思うわけであります。それと相まってこそ両国の関係が一層強化されるものと確信をいたしております。  この点について大臣所見を伺いたいと思います。
  111. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、コロンビアとのEPA交渉ですが、今年九月、ニューヨークにおきまして、日・コロンビア首脳会談が開催されました。その際に両首脳間で、交渉が最終段階にある、こういった点で一致をいたしております。コロンビアは高い経済的潜在性を有しており、両国の経済関係強化のみならず、コロンビアの平和定着、国づくりを後押しする観点からも、早期妥結に向けて交渉に鋭意取り組んでいきたいと考えます。  そして、もう一つ指摘いただきました円借款の方ですが、円借款については、コロンビアの経済成長にとって重要な役割を担う公共インフラ整備に寄与することができるものであり、対コロンビア円借款の供与を可能とする環境の整備是非取り組んでいきたいと考えます。  コロンビア、豊富な天然資源、そして南米第二の人口を有する潜在力の高い国だと考えます。和平が進展していく、こういった点も踏まえながら、コロンビアとの二国間関係経済発展に資する形で強化していきたいと考えます。
  112. 山口那津男

    山口那津男君 コロンビアの後、キューバを訪れました。ディアスカネル副議長やロドリゲス外務大臣とも会談をし、また、安倍総理からお預かりした親書をラウル・カストロ議長にもお届けさせていただきました。その後、安倍総理大臣御自身が九月二十二日からキューバを訪問されて首脳会談等行ったところであります。また、岸田大臣におかれましても昨年キューバを訪問されていらっしゃいますし、要人の往来が相次ぐ今こそ関係強化する絶好のチャンスだと、このように思います。  昨年はアメリカと国交正常化を果たしました。日本人の観光客も急激に増えております。こうやって関心が高まっているところであればこそ、本格的な経済協力検討すべきだと考えます。  総理が訪問した折には、債務問題を処理したり、あるいは医療機材を供与するなど、無償資金協力の第一号案件も実現をいたしました。今後のことを考えますと、この無償資金の第二弾、第三弾はもちろん、円借款、これも前提を整えることも必要でしょうし、また、それらを推進するためのJICAの事務所、現在はないわけでありますが、この拠点を設けるということも必要になってくるのではないでしょうか。また、長年社会主義の体制でありまして、経済開発特区なども今つくりつつありますが、日本企業が投資やビジネスをしていくための環境整備など、いろいろ取り組まなければならないことがあると思います。  どのように進めていらっしゃるおつもりか、それをお伺いしたいと思います。
  113. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、昨年、私は、日本の現職の外務大臣としては初めてキューバを訪問させていただきました。その際に、先方ロドリゲス外務大臣と外相会談を行いまして、経済関係強化に向けて日・キューバ官民合同会議、この立ち上げについて合意をして帰ってきました。昨年十一月に第一回会合を開き、そして来月末に第二回会合を開くことを予定しております。  そして、先月、安倍総理が現職総理として初めてキューバを訪問し、ラウル・カストロ議長と首脳会談を行いました。その際に、経済協力を本格化させ、官民一体でキューバの旺盛な成長需要に応えていく、こうしたことで合意をしています。  そして、具体的には、がん診療に必要な医療機器を供与するための無償資金協力の交換公文を締結するとともに、本格的な経済協力の推進のためにJICAの事務所を開設すること、これを表明いたしました。さらに、日本企業のキューバ進出を支援するべく、投資環境整備に向けたカストロ議長の指導力を要請したということであります。  是非、引き続きまして、両国のビジネス投資環境整備努力をしていきたいと考えます。
  114. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。
  115. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  南スーダンのPKOについて聞きます。  政府は来週にも派遣の五か月延長を決め、さらに、今後十一月から派遣をする部隊に対して、安保法制、戦争法に基づく駆け付け警護や宿営地の共同防衛などの新任務を付与しようとしております。  南スーダンはもう事実上の内戦状態になっていて、自衛隊が紛争の当事者となって初めて外国の人を殺害し、また自衛隊員の戦死者が出るのではないか、国民の不安や懸念、何よりも自衛隊員の家族からの不安の声が上がっております。ところが、政府からは、こういう危険な実態を小さく見せるような言葉ばかりが出ているんですね。  まず、防衛大臣にお聞きしますけれども、十月八日に七時間の現地視察をされまして、ジュバは比較的落ち着いていると、こういうふうに言われました。しかし、同じ日にジュバに向かう幹線道路で二十一人が死亡する襲撃事件が起きましたし、UNMISSは、大臣が訪問された直後の十二日に、ここ数週間、南スーダン各地で暴力や武力衝突が増加しているという強い懸念を示す声明を発表いたしました。さらに、十四日には、南スーダンの政府軍の報道官も、政府軍とマシャール前副大統領派の戦闘等で過去一週間に少なくとも六十人が死亡したと、こういうことも発表しておりますが、これでも平穏と、こういう御認識でしょうか。
  116. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 十月八日に南スーダンを訪問して、ジュバの市内、トンピン地区からUNハウス地区、さらにはJICAが造っていた橋の地区等々を視察をしたところですが、現地は落ち着いているということはこの目で確認をしたところです。ジュバ市内の状況については、現時点でも同じ認識をいたしております。  しかしながら、七月には大規模な武力衝突が、また、今御指摘になったように、ジュバ以外の地方においては武力衝突、さらには一般市民への襲撃が度々発生しているということは把握をいたしております。南スーダンに訪問したときに、ロイ国連事務総長特別代表と会談をしたときにもこの点については言及がございましたが、更に加えて、衝突解決合意の履行は維持されていて、衝突はあるもののエスカレートはしていないという旨の発言もあったところでございます。  南スーダンは独立から間もない世界で最も新しい国家の一つであり、日本のような国と比較すれば治安情勢は比較にならないほど悪いというのは事実でございます。だからこそ、国連はPKOを設立して、我が国は自衛隊の施設部隊を派遣して、国際社会協力して南スーダンの安定に向けて汗を流しているところであります。  いずれにせよ、引き続き現地情勢については緊張感を持って注視をしていきたいと考えております。
  117. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほど、PKOの派遣継続の一つの基準に安全が確保できるのかという話がありました。まさに大臣の判断に自衛隊員の命や安全が懸かっているわけでありますが、十四日の夜にも北東部のマラカルで事件が発生し、死者が六十人発生しております。大体、過去、政府が楽観的な答弁をした後に、それを覆す深刻な事態が発生してきたわけですね。  今年二月四日の衆議院予算委員会で当時の防衛大臣は、政府、反政府勢力、双方共に敵対行為の停止について合意に達するなど、事案の平和的解決を求める意思を有していると、こう言いました。ところが、その一週間後にマラカルの国連キャンプで、少なくとも二十五人が死亡して百二十人が負傷する武力衝突が起きました。同じ予算委員会で、やはり当時の中谷防衛大臣は、ジュバは平穏であると報告を受けていると、こう言ったわけですが、その半年もたたないうちに、七月にこういう大規模な戦闘があって三百人以上が死亡したわけですね。  楽観的な答弁をして、それを覆す深刻な事態が発生するということを私は繰り返してはならないと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
  118. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほど答弁申し上げたとおり、ジュバ市内、私はこの目でも比較的安定をしているというふうに確認をさせていただきました。  しかしながら、委員指摘のとおり、例えばマラカル、ジュバから北にかなり離れたところですけれども、そこで武力衝突があり、また南側で襲撃があったりしていることも事実でございます。しっかりと緊張感を持って、PKO五原則は維持をされている状況だと思いますが、隊員が安全を確保しつつ、施設隊として有意義な活動ができるかどうか、緊張感を持って情勢を見極めていく必要があると考えております。
  119. 井上哲士

    ○井上哲士君 その瞬間は落ち着いているように見えても、実は非常に極度の緊張状態の上にある状況だと思うんですね。そこをしっかり見なくてはいけないと思うんですが。  外務大臣にもお聞きしますけれども、これまで和平合意は保たれていると。停戦合意履行を監視する合同監視評価委員会の設立をその一つとして、努力として答弁をされてきました。ところが、この評価委員会のフェスタス・モハエ委員長が、九月十九日の国連の南スーダンのパネル報告でこういうふうに言っているんです。我々は、両当事者及びそれと同盟する他の部隊が引き続き南スーダン全土でより大規模な戦闘の可能性を高めつつ衝突するのを承知していると、こう述べております。こういう状態でも和平合意が保たれているという認識でしょうか。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の方から先ほど七月の衝突についても御指摘がありました。そして、南スーダンの地方においては散発的な偶発的な衝突が発生している、これも事実であると思います。  ただ、先ほど防衛大臣からお答えさせていただきましたように、ジュバ周辺においては比較的平穏な状況にあると我々認識しておりますし、こうした衝突の後において、南スーダンにおきましては、これも先ほど御指摘ありましたが、昨年八月に合意されました衝突解決合意、この合意に基づいて反主流派から副大統領が指名をされて、そして政府が維持されているという動きがあります。キール大統領とタバン・ダン第一副大統領、主流派と非主流派が昨年八月の合意に基づいて解決合意を履行していく、こういったことを繰り返し述べながら政府を維持している状況にあります。  こうした政府状況等も考え合わすときに、我が国としましてジュバの状況は比較的落ち着いているという認識に立っていると考えております。
  121. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、今の認識は間違いだと思うんですね。  去年の八月の和平合意にサインしていたのはキールとマシャールなんです。ところが、片方の当事者であるマシャールをもうやっていけないということでキールが武力で排除したというのがあの七月の事件ですよ。そして、その代わりにこのダバン・ガイ氏を任命をしたわけですけれども、これ現地では寝返ったと言われていますよ。ですから、これに対してマシャール派が反発を強めて、九月二十五日までに声明を発して、キール大統領の独裁政治に武力で抵抗すると、こういう宣言をしているんですよ。ですから、和平合意の片方の者を武力で排除しておいて、ほかの者を据えて、これで合意が維持されているなど私はとても言えないと思います。こういうことをしっかり見ることが今必要だと思うんですね。  そして同時に、こういう問題だけじゃありません。現に起きている武力紛争の評価も小さく小さくすると。戦闘と認めず衝突と言い張ってきたわけでありますが、七月のジュバでのこの大規模武力紛争の際に、当時の中谷防衛大臣は散発的発砲事案と記者会見で述べましたけれども、防衛大臣、今も散発的発砲事案という認識でしょうか。
  122. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今年七月に首都ジュバにおいてキール大統領派とマシャール第一副大統領派との間で武力の衝突が発生をして、治安は悪化したところです。中谷前大臣が会見で散発的に発砲事案が生じていると発言をされましたが、これは、当時ジュバでキール大統領派とマシャール第一副大統領派との発砲事案が複数発生したことを捉えて発言をされたということでございます。七月の武力の衝突が発生した後、現在新たな武力紛争が発生したとは考えていないという評価は当時も今も変わりはないというところでございます。  しかしながら、引き続き、現地情勢については緊張感を持って見極めてまいりたいと考えております。
  123. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、当時の会見で、ヘリとか戦車まで出ている、それでも散発的発砲事案なんですかと聞かれても、そうだと言っているんですよ。そういう、つまり、ヘリや戦車まで出るような事態なのに散発的発砲事案という認識は変わらないのかということをお聞きしています。
  124. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 七月の衝突に関しては、政府軍が戦車を出した、武力衝突であったこと、で、治安が悪化したことはそのとおりでございます。  しかし、それがPKO法上の武力紛争が新たに発生した、すなわちPKO法上の三条のロを崩すような武力紛争が発生したとは考えていないという意味においては当時も今も変わらないということでございます。
  125. 井上哲士

    ○井上哲士君 過去の答弁では、過去の武力紛争政府全体が関与したものでない、だから散発的だと、こういう答弁もあるんですね。これは、私はとんでもない認識だと思うんですね。  国連のやはりパネル報告は、この七月の事案についてこのように述べております。比較的大規模な敵対的行為は、地上部隊と調整され、装甲部隊で補強されたMI24攻撃ヘリの展開を特徴としたもので、戦闘が政府軍の指揮構造の最高レベルによって指示されたものであったとの結論を裏付ける、政府軍の多くの上級将校が本パネルに対して認めたところでは、このようなヘリコプターの展開はサルバ・キール及び政府軍のポール・マロング参謀総長のみが命令する権限を有しているとされ、さらに、本パネルは、政府軍の上級の人員及び南スーダンの有力な政治家からキールの完全な承知の下でマロングが七月十日及び十一日の戦闘を指図したとする数多くの報告を受けたと。つまり、キール大統領の承認の下で、軍の最高司令官のその指揮の下で行われているということなんですよ。これがまさに政府全体の関与じゃありませんか。これでも散発的だと。国連の報告読んでいないんですか。大臣、いかがでしょう。
  126. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほども山口代表に答弁いたしましたように、PKO法における、PKO五原則における武力紛争、すなわち国又は国に準ずる組織が新たに出現をしたという状況における武力紛争ではないという評価でございます。
  127. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、散発的かどうかということをお聞きしているので、全く今答弁になっておりませんけれどもね。  こういう事態の下で本当に不安が高まっているという中で、今、自衛隊の家族への説明が行われております。第九師団司令部の家族説明会の資料もいただきましたけれども、私、これとは別に家族の質問に答える応答要領を示した平和安全法制家族説明資料というのを入手をいたしました。これは部内限りとされている二十ページの資料でありまして、八月下旬に新任務の訓練開始が発表されたのに合わせて全国の部隊に配付されたものと聞いております。  この文書の中で、南スーダンの治安情勢が悪化している中で自衛隊自身が駆け付け警護を行えば、自衛隊自身が武力紛争に巻き込まれることになるのではないか、こういう質問が家族から出たら、南スーダンが国連PKOの活動に同意し受け入れている状況においては、武力紛争に巻き込まれることはないと答えるように指示をしております。  しかし、現実には、今、例えば国連事務総長の報告によりますと、今年の二月から六月の間に、UNMISS要員及び関連パートナーに悪影響を及ぼすような活動制限が四十二件あったと。その中には、国連の要員に対する攻撃や脅迫及び嫌がらせがあったと報告されているんですね。この違反行為は政府機関によるものだとしておりますし、二月のマラカル・キャンプでの襲撃は政府軍だと国連報告書は指摘しているんですね。ですから、政府が同意しているからということではなくて、政府軍によるPKOへの敵対行為が続発していると。  こういう中で、駆け付け警護や宿営地共同防衛政府軍と交戦するようなそういう可能性があるんじゃないですか。このこと示しているんじゃないですか。いかがですか。
  128. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 様々今御指摘になられましたので、まずPKO法上の五原則の武力紛争は七月も発生をしておりませんし、今も発生していない。また、ジュバ市内については比較的落ち着いているということは私もこの目で見てきたところでございます。その上で、隊員が安全を確保しながら有意義な活動ができるかということはしっかりと見極めていかなければならないと思っております。  その上で、今御指摘政府軍によるPKO、NGOに対する敵対行為が続発しているということでございますけれども、国連や人道支援関係者に対する脅威があるとの報告がなされていることは承知をいたしておりますが、南スーダン政府等からUNMISSの撤退を要求するような発言等はなされておらず、このような妨害は現場レベルの偶発的なものであり、南スーダン政府としての組織的な行為ではないというふうに認識をいたしております。  また、我が国のUNMISSへの貢献に対しては、私が先日南スーダンを訪問した際も含め、数次にわたり南スーダン政府高官から謝意が示され、我が国活動は高く評価をされていることも事実でございます。  いずれにいたしましても、南スーダンに派遣される部隊にいかなる任務を付与するかは、現地の情勢、さらには訓練の進捗状況等を慎重に見極めながら政府部内で総合的に検討してまいりたいと考えております。
  129. 井上哲士

    ○井上哲士君 ちゃんと答弁、答えてほしいんですよ。  確かに、政府がPKO帰れとは言っていませんよ。しかし、現実には、先ほど言いましたように、あの七月の戦闘もキール大統領の承認の下に軍の司令部がやっていたと。  そして、深刻なのは、この七月の武力紛争のときに、政府軍が国連施設の近くにあるホテルを襲撃しているんですね。これは、先日、いろんなテレビの報道もありましたけれども、海外のNGOなどの関係者が略奪や傷害、レイプなどの被害に遭って、現場にいた記者は副大統領派の民族だという理由で射殺されているんです。そして、そのときの襲撃を受けたフィリピンの国連職員が言っていますけど、兵士はもう国連に敵意をむき出しにしたと。ある兵士は、俺たちは国連が嫌いだ、国連は反政府軍に肩入れしていると、こういう発言をしたと。こういう形で様々な攻撃が行われているんです。  ですから、日本のPKOは、例えばそういう自衛隊、難民のキャンプなどで駆け付け警護とか宿営地防衛をやったときに、その相手が政府軍である、こういう可能性はないんですかと。戦闘に巻き込まれること、ないと断言しているんですよ、家族への説明では。何でそういうことが断言できるのかと、このことを聞いているんです。
  130. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) まず、最初に述べられた、七月十一日、武力衝突のさなかに、ジュバ市内のテレインホテルにて人道支援関係者及び報道関係者が南スーダン軍兵士等によって襲撃され、一名が死亡した等の被害に遭ったという報道は承知をいたしております。これについては、国連事務総長の指示の下、本件に関する特別調査を実施しているというふうに承知をいたしております。  南スーダン国内において、人権、人道上の問題が生じていることを憂慮しており、引き続き、人権、人道状況を含め、南スーダンの情勢は注視してまいります。  その上で、駆け付け警護の実施については、これは平素は施設活動等の業務を行う部隊が、国連やNGO関係者等から緊急の要請を受け、その人道性及び緊急性に鑑み、本来の業務とは別に、その人員、装備などに応じ、あくまでも安全を確保しつつ対応できる範囲内で行うものであります。  また、駆け付け警護の実施に当たっては、まずは相手方と粘り強く交渉することが大事であり、直ちに武器の使用を行うものではありません。  いずれにいたしましても、南スーダン政府軍と交戦するということは想定されないと考えております。
  131. 井上哲士

    ○井上哲士君 大臣がジュバで視察されたときの画像がニュースで流れていましたよ。難民施設を見下ろしながら現地の自衛官から説明を受けていた。そのときにどう言ったかといいますと、反政府軍の兵士もPKOサイトの方に逃げ込んできて、政府軍側が反撃する、そういうことをしたのは、若干この辺で戦闘が起きたと自衛隊員、説明したじゃないですか。あなた、それ聞いていたじゃないですか。  ですから、そういう、難民施設に反政府軍が逃げ込んできたり、そこを政府軍が攻撃することが起きているんでしょう。それ聞いたんでしょう。そのときに自衛隊が新しい任務を持っていたら、交戦する可能性があるじゃないですか。ちゃんと視察したのなら、私は現実を見るべきだと思います。  こういう、憲法に違反し、危険な新任務の付与はあり得ませんし、私は、もう派遣の前提も崩れている以上、派遣延長ではなく撤退をして、そして非軍事の人道・民生支援に徹底すべきだと、そういうことを強調しまして、時間ですので質問を終わります。
  132. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  通告させていただいておりますが、ちょっと順番を入れ替えて質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  先ほども質問にあったんですが、十四日にまた北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返しております。日本全域と米領グアムまで届く新型中距離弾道ミサイル、ムスダンと見られていると報道されております。  先ほど外務大臣からも御発言がありましたけれども、今日もまた実験をしたと報道されておりますが、防衛大臣は、このミサイル、どの程度のものと認識されているのか、お伺いいたします。
  133. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) これまでに収集した種々の情報を総合的に勘案した結果、本日のムスダンに関しては、午前七時、北朝鮮が北西部の都市亀城付近より中距離弾道ミサイル、ムスダンと推定される弾道ミサイル一発を発射し、失敗したとの認識を有しております。  ムスダンは、北朝鮮開発中とされる新型中距離弾道ミサイルであり、射程については約二千五百から四千キロメートルに達するとの指摘があり、我が国全域に加えグアムがその射程に入る可能性がございます。さらに、発射付き車両、TELに搭載され、移動して運用されると考えられ、固定発射台から発射されるテポドン2に比べれば、その詳細な発射位置や発射のタイミングなどに関する個別具体的な兆候を事前に把握することは相対的に困難でございます。  北朝鮮は新たな中長距離弾道ミサイルの実用化に向けた技術の獲得及びその高度化を追求する姿勢を有しており、我が国安全保障上の重大な脅威と考えております。北朝鮮弾道ミサイルの能力の増強は、核兵器開発の進展と併せ考えれば、我が国を含む地域、国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威認識をいたしております。  防衛省といたしましては、いかなる事態にも対応できるよう、緊張感を持って、引き続き情報収集、警戒監視に万全を期してまいる所存でございます。
  134. 浅田均

    ○浅田均君 何か、これから質問しようとすることまで答えていただきまして、質問がかぶってしまう部分はあるんですけど。  先ほど、外務大臣は新たな段階脅威というふうに認識されているとお答えになっておりますが、防衛大臣も、まあ今御答弁聞きます限り同様の御認識をお持ちだと思うんですが、この点いかがですか。
  135. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 北朝鮮は、今年に入って二回の核実験、さらに弾道ミサイルは二十発を超えて発射をしております。潜水艦からのミサイルの発射、さらには三発同時に発射して三発同時に我が国の排他的経済水域に着弾させる、そういった技術も身に付けておるというところから、新たな脅威に入っているというふうに考えております。
  136. 浅田均

    ○浅田均君 今、またお答え先にいただいたんですけど、新たな段階というのは、先ほどもお話ありましたけれども、ロフテッド軌道に乗せるというお話もありましたが、それ以外に射程の距離とかあるいは精度、そういうことをもって新たな段階脅威であるというふうに受け止めておられるという理解でいいですか。
  137. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) そういうことでございます。
  138. 浅田均

    ○浅田均君 私どもは、朝鮮半島の非核化というのが日本中国共通の戦略目標だと思っておりますが、この点に関しまして防衛大臣外務大臣の御所見をお伺いいたします。
  139. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日本中国、まず共に六者会合のメンバーです。そして、六者会合のメンバーにおいては、二〇〇五年の六者会合共同声明におきまして、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化という目標、これで一致をすることを確認をしています。そして、日中両国はその後も、朝鮮半島の非核化を目指す、繰り返し確認しています。  例えば、昨年十一月の日中韓サミットの共同声明におきましても、朝鮮半島における核兵器の開発に対する確固たる反対を再確認するとともに、関連する安保理決議及び六者会合共同声明の下で国際的な義務やコミットメントを誠実に実施されるべきである、こういった認識を共有しています。北朝鮮による五回目の核実験が行われました九月九日には、中国外交部声明において、国際社会とともに半島の非核化目標を断固として推進する、こうした立場を明らかにしています。  御指摘のように、日本中国、共に朝鮮半島の非核化を目指して努力を続けていると認識をしております。
  140. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 同様の答弁になりますけれども、日中両国を始めとする六者会合のメンバーが、二〇〇五年の六者会合共同声明において、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化という目標を一致して確認をしています。その後も日中両国は朝鮮半島の非核化を目指すことを繰り返し確認をしているところでございます。昨年十一月の日中韓サミットの際の共同宣言においてもしかりでございます。北朝鮮による五回目の核実験が行われた九月九日、中国外交部声明において、国際社会とともに半島の非核化目標を断固として推進するとの立場を明らかにいたしております。  政府としては、引き続き、中国を含む関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮に対する圧力を一層強化し、朝鮮半島の非核化の実現に向けて、挑発行動の自制や安保理決議等の遵守を強く求めていく考えでございます。
  141. 浅田均

    ○浅田均君 今の外務大臣、それから防衛大臣の御答弁、それから先ほどの質問に対する答えを併せて考えますと、もうかなり小型核弾頭、核弾頭って、あのミサイルの先に積む爆弾の小型化が進んでいるだろうと。それから、距離も長く、射程も長くなっている、精度も高くなっている、それからロフテッド軌道を含め、その他の核弾頭技術あるいはミサイル技術もかなり進んでいるという御認識をお持ちで、最悪、日本中国共通の目標として求めている朝鮮半島の非核化、これがもう破られてしまっているかも分からないと、そういう恐怖さえ覚えるわけであります。  また、今、中国に対して共に朝鮮半島の非核化に向けて一緒にやっていくという認識を新たにされているというお答えなんですが、中国という国は、私の個人的な見解ですけれども、歴史的に見ますと、これは法治の国ではなしに人治の国といいますか、日本は法の支配に従っておりますが、中国はそうではなかった、皇帝は法に従わなかったと、そういう伝統を持った国であるということを認識しておく必要があると思います。  そういう認識の上に立って、朝鮮半島の非核化に向けて中国に対してこれからどのようなアプローチが可能であるか、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。
  142. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、北朝鮮から非核化に向けた前向きな行動を引き出すためには強い圧力を掛けていかなければならないと考えます。そして、その際に中国の役割、大変重要であると認識をしております。北朝鮮の貿易の九割を占める中国、そして六者会合の議長国を務める中国の役割、これ、実効的な圧力を北朝鮮に掛ける上で大変重要であると認識をしております。そうした中国に対しまして、まずは国連安保理を舞台として、中国に責任ある常任理事国としての対応を取ってもらいたいという観点から様々な働きかけを行っているところです。  そして、先日、九月十四日ですか、私は中国の王毅外交部長と電話で日中外相会談を行わさせていただきましたが、その際にも中国に対してこの北朝鮮問題における働きかけを行いましたし、そして九月の二十一日、国連総会の際に李克強総理と安倍総理、これ、北朝鮮に係る安保理での緊密な連携、これを確認しています。  今委員の方から人治の国というお話もありました。中国に対してこのように様々なレベルを通じて働きかけを行い、是非国際社会において、そして責任ある安保理の常任理事国としてしっかりとした対応を取ってもらうよう、国際社会連携しながらしっかりとした働きかけを行うことが重要であると認識をいたします。
  143. 浅田均

    ○浅田均君 過去の北朝鮮に対する制裁で一番効果があったと思われるのが北朝鮮関係者の預金口座の封鎖であったと私は理解しているんですが、そういうことも含めて、例えば王毅さんとお話しになったんでしょうか。
  144. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 王毅部長とは、安保理における決議ですとか、それから各国の独自措置について様々意見交換を行いました。ただ、具体的な中身について、安保理においてもまだ今議論が続いておりますので、これを明らかにすることは控えなければならないと考えます。それぞれの考え方立場について説明を行い、そして協力をしていくことについて働きかけを行った、こうしたやり取りであったと記憶しております。
  145. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  それでは、ちょっと、通告をいたしておりますので、パリ協定について、一問ぐらいしか質問できないと思いますが、パリ協定ですね、この中身読ませていただきますと、十五条で、この協定により協定の規定の実施及び遵守を促進するための制度、原文ではメカニズムとなっておりますが、を設立するとされております。各国が様々な約束をしていると。日本日本の約束というのを提出されております。それをどのようにして守るのか、あるいは進めるのかを担保するためのルールを策定するということになっております。そして、その詳細ルールは、協定発効後の最初の締約国会議、CMA1で採択の予定であるとされております。  それでお伺いしたいんですが、このCMA1と呼ばれるパリ協定締約国会議にはどなたが出席されるんですか。外務大臣にお伺いいたします。
  146. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、委員指摘のように、パリ協定第十五条ですが、この協定の規定の実施及び遵守を促進するための制度として委員会を設立すること、また同委員会パリ協定第一回締約国会合において採択する方法及び手続に従って運営されることを定めています。  現在、この委員会の運営に関する手続を含め、同協定の実施指針に係る交渉我が国を含む国連気候変動枠組条約の全締約国の参加を得て行われています。ただし、同交渉は本年五月に開始されたばかりであり、本年十一月のパリ協定第一回締約国会合でこの委員会に関する手続を採択できる段階にはないと認識をしております。今後とも、パリ協定実効性を高めるべく、COP22における交渉の機会を含め、積極的に交渉に臨んでまいります。  そして、この第一回締約国会合に誰が出席するのかという御質問でありますが、まずCOP22には、我が国からは山本環境大臣が国会のお許しをいただければ出席する意向を表明しています。山本大臣が現地に赴くわけですが、具体的にどの会合に誰が出席するのか、これは山本大臣が現地で判断した上で決定することになるのではないかと考えております。
  147. 浅田均

    ○浅田均君 お尋ねしたのは、COP22に山本環境大臣が御出席になると。そこで開催されますCMA1というのにはどなたが出席されるんですかとお尋ねしたんです。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) CMA1への出席ですが、私自身は具体的に誰が出席することが決定したというふうな連絡は聞いておりませんが、現地には山本大臣が行っています。山本大臣が、この会合に出席するのは誰が適切であるのか、それを判断した上で出席者を判断されると思います。御自身も含めて適切な出席者を山本大臣が判断されるものだと認識をしております。
  149. 浅田均

    ○浅田均君 そうしたら、CMA1という会議には誰が出るかというのは山本環境大臣がその場で決定されると、そういう理解でよろしいですか。
  150. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) その場かどうかは分かりませんが、今日からその会議が開催するまでの間に、山本大臣が責任を持って、御自身も含めて誰が出席をするのかを判断されることになると認識をいたします。
  151. 浅田均

    ○浅田均君 時間が来ましたので、この続きは次回の委員会質問させていただきます。  ありがとうございました。
  152. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 挨拶やってもいいですね。
  153. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 許可いたします。
  154. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、元気があれば夏美人ということで、今年の夏は居座ったのか、なかなか秋が来ないという。いやいや、もう飽きが来たんですけどね、早く行ってもらいたいんですが、また今日もやってきましたけど。  今日は、国連の在り方について最初に質問をさせていただきます。  今回、国連事務総長に元ポルトガルの首相アントニオ・グテーレス氏が選ばれましたが、国連の常任理事国から事務総長を出さない、又は非常任理事国にもかかわらず日本、カナダ、イタリア、ドイツ、候補から外されていると聞きますが、その辺のいろんな複雑な事情があるのかもしれませんが、その点について外務大臣にお聞きしたいと思います。
  155. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国連事務総長ですが、歴代の事務総長、ノルウェー、スウェーデン、ミャンマー、オーストリア、ペルー、エジプト、ガーナ、そして韓国、こういった国の出身者が務めてきています。  事務総長は、御案内のとおり、安全保障理事会の勧告に基づいて総会が任命する、このようになっております。結果的に先ほど申し上げたような国の出身者が任命されるということになっているわけですが、出身国に基づき立候補を制限する、こういった規定はございません。何か規定の上で常任理事国を含め特定の国からの立候補が排除されているわけではないと認識をしています。  ただ、安保理が勧告し、そして総会が任命する、その手続に基づいて任命が行われる中にあって、結果としては、常任理事国あるいは大国から任命されることが今まではないということであると認識をしています。
  156. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 国連の人たちとも付き合いがありますけれども、特に、バランスの悪いというか、日本の国連に出向している職員の皆さんの給料が安いと。まあアフリカだと貨幣価値が違いますから、それだけで一年分あるいは一家が賄えると。その辺が多分日本人のなかなか国連に出ていきたがらない理由かなと前にお聞きしたことがありますが、世界平和を実現するためにも、国連事務総長、あるいは思想に偏らない、客観的に公平な判断ができなければならないと思います。  そんな中でこの最近の国連を見ますと、本当に日本は国連中心主義で来ていますから、国連というと、ああ、なるほどとすぐに納得しますが、国連の内部を含めていろいろな問題もあり、今後、国連自体が大幅な改革が必要ではないかと思いますが、外務大臣の見解をお聞かせください。
  157. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際社会がグローバル化する中で国連は、国際の平和及び安全の維持、開発、人権、気候変動、軍縮・不拡散、テロなど、様々な分野でますます重要な役割を果たしています。国連を二十一世紀にふさわしい姿にし、ますます増大するグローバルな課題に対処するために、安保理改革を始め国連改革は喫緊の課題であると認識をしています。  グテーレス次期国連事務総長は、能力、経験共に国連事務総長にふさわしい優れた人物であり、我が国としましても任命は歓迎しております。是非安保理改革を始めとする国連改革を推進する上で、次期国連事務総長と緊密に協力をしていきたいと考えます。
  158. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 是非日本の発言力も高めていただきたいと思いますが、先ほど同僚議員、山田議員からも質問がありましたが、現在、日本はユネスコ分担金三十八億五千万と任意拠出金が五億五千万円と支払を保留していますが、まず、今回保留に踏み切った理由をお聞かせください。
  159. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本年度のユネスコへの分担金及び拠出金の支払については、まだ今現在実施はしておりません。  そして、ユネスコの事業、これは加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的を推進するべきものであると考えます。  そして、その上で、いずれにしましても、この分担金、拠出金の支払のタイミングについては総合的に判断してまいりたいと考えています。
  160. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 ユネスコは国連の機関の一つだと思いますが、公平性、客観性、非常に重要だと思いますが、ここ最近では政治利用される懸念が言われていますが、また日本は国連にも多額の拠出金を払っていますが、その割には先ほども申し上げたように発言力が弱いのかなと。  今後、日本は国連その他国連機関に対してどういう手段で関わっていけるのか、その辺について大臣にお聞きしたいと思います。
  161. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、国際の平和と安全、開発、人権、核軍縮・不拡散、環境、気候変動など、幅広い分野における国連の活動に積極的に参画しています。我が国は、国連においては本年一月から安保理の非常任理事国を務めています。北朝鮮による核・ミサイル問題、中東情勢安保理改革の推進など、国際社会の重要課題解決や進展に向けて引き続き積極的な役割を果たしていく考えです。  また、日本の顔となる国際機関における日本人職員の増強、これも大きな課題であると認識をしています。現在、国連関連機関における日本人職員、約八百名です。国連職員全体で三万二千人ですので、全体の二・五%という状況です。これを是非二〇二五年までに千人まで増やすことを目指し、日本人職員の登用に向けた支援を引き続き行っていきたいと考えています。  是非国際社会を主導する責任ある国家として、財政的支援のみならず、人的、知的貢献を通じて国際機関の活動に積極的に関わっていきたいと考えます。
  162. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、防衛大臣にお聞きしたいと思います。  北朝鮮、ミサイル、核実験などに力を注いでいます。連日テレビ、新聞で報道されているとおりですが。本当にこの危機が、危機じゃなく安全の方に、話合いという方向に向かうような、私の場合は、三十一回、この間訪朝しましたが、スポーツ交流を通じて世界平和というのがテーマでございます。  そこで、幾つか防衛大臣にお聞きをしたいと思いますが、いろいろ専門的なあれになるんですが、ミサイルも今日は質問が幾つか出ておりました、ムスダンも。  その中で、戦艦、空母など、兵器に限らず機械は常時運用するために定期的メンテナンスが必要、例えば戦闘機も、常時スタンバイさせるためには一機につき一基から三基ぐらいの予備エンジンを必要と言われています。空母の場合は一回のメンテナンスが半年掛かるので、せっかく購入しても二、三年で一度は半年間使えないことになり、これを防ぎ常時空母が運用している状態をつくるために三隻くらいが最低限必要というようなことが、軍隊においては運用率、稼働率、整備率というこの三点が一番あれかと思いますが、その辺の大臣の御認識はいかがでしょうか。
  163. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 弾道ミサイル防衛体制ということだと思いますが、我が国のBMDシステムに関しては、イージス艦搭載のSM3による上層の迎撃、あとPAC3による下層での迎撃を自動警戒管制システムにより連動させて行っております。と同時に、北朝鮮弾道ミサイル能力の向上を踏まえて、弾道ミサイル対処能力の総合的な向上の一環として、我が国全域を防護し得る能力を強化させるため、即応能力、同時対処能力、継続的に対処できる能力を強化することといたしております。  中期防において、イージス艦の整備、現有イージス艦の能力の向上、ペトリオットの更なる能力向上、新型レーダーの整備、能力向上、SM3ブロックⅡAの日米共同開発推進、生産、配備段階への移行について検討の上、必要な措置を講ずることといたしております。
  164. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 これからの戦い、戦争、あってはならないことなんですが、そういう中で戦争の形も変わっていくし、先日も申し上げたとおり、多分人間が対峙してやる戦争とまた違った、ロボットが登場するような時代が来るのではないかと思います。  そんな中で、さっき言った仮定ですが、まあ仮定の話はしない方がいいんですが、北がもしアメリカを攻めるとした場合に、さっき言ったように三隻の潜水艦が必要。そうすると、これは非常に迎撃がしにくいということも専門家から聞きましたが、その辺について私ももうちょっと専門的な知識も得たいと思いますが、そういう中で、これからこういう防衛の問題、変化というのが一日一日変わっていくわけで、その辺についての防衛大臣の見解をお聞かせください。
  165. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) では、稲田防衛大臣から。
  166. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 今、北朝鮮米国に対して弾道ミサイルを発射した場合についてのお尋ねがございましたが、これを迎撃するかどうかにつきましては、弾道ミサイル米国に向かうといった場合には、我が国の上空を横切る可能性があるという点を考慮する必要があると思っております。その上で、米国に向かう弾道ミサイルというだけで武力の行使、新たな三要件を満たすということではなく、その時点における状況の全体を評価した結果、これが新たな三要件を満たす場合には、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置として当該弾道ミサイルを迎撃することも可能になると考えております。
  167. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) よろしいですか。両大臣からというお話でしたが、どうですか。防衛大臣からでよろしかったんですか。  済みません、両大臣からと聞こえたように感じますが、防衛大臣だけでよろしいんですか。
  168. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 はい。  次に、外務大臣にお伺いいたします。  日本の、北朝鮮に対していつまでも制裁を行う、こういうことを懸念しておるんですが、今のままだと何も変わらないのではないかと。一つは、やっぱり人的交流、制裁制裁、そういう意味で並行して話合いを行うつもりがおありなのか、その点についてお聞かせをください。
  169. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮核実験、そして弾道ミサイルの発射、これは先ほど来申し上げておりますように、許し難い暴挙であり、断じて容認はできません。そして、先般の核実験、相次ぐ弾道ミサイルの発射と相まって新たな段階脅威であり、従来と異なる断固たる対応をすべきであると考えます。  そして一方で、この安倍内閣の最重要課題である拉致問題が存在します。拉致問題については、全ての拉致被害者の帰国を実現するためには対話という要素を抜きに考えることはできません。ただ、対話のための対話では意味がないわけでありますので、北朝鮮が真剣に対話に応じるよう厳しい圧力を掛けていく、このことも重要であると認識をいたします。  引き続き、対話と圧力、行動行動原則の下に諸課題を包括的に解決していく、こうした方針で臨みたいと思いますし、北朝鮮が問題解決に向けて具体的に行動を取る、このことを是非強く求めていきたいと考えます。
  170. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 先日、拉致と制裁を分けて考えるという新聞の記事を目にしましたが、どのようなルートを、差し支えなければお聞かせ願いたいと思います。
  171. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今も申し上げましたように、拉致問題、これは現政権における最重要課題であると認識をしています。そして、政府としては、対話と圧力、行動行動原則の下で諸懸案の包括的な解決を目指す、こうした方針に変わりはありません。そして、拉致問題の解決のためには対話が必要であるということですが、対話のための対話では意味がない、真剣な対話に応じるよう厳しい圧力を掛けることが必要である、このように考えております。  このように、諸課題を包括的に、諸懸案を包括的に解決する、こうした基本的な方針については、我が国はこれからも変わりなく努力を続けていきたい、このように考えます。
  172. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、北方領土について質問をさせていただきますが、ちょうど私が八九年に議員になってすぐに北方領土問題、それでロシアとの関係ということでいろいろ、先ほどもいろいろ昔の議事録を取り寄せたら、随分質問をさせてもらっています。  その中で、当時私が言ったことは、二島返還、二島平和利用という提案をさせてもらいました。それで、大変そのときは反感というか、四島一括返還というのが一般のあれだったと思いますが、そんな中で、今回、十二月の十五日に総理がプーチン大統領とお会いするということを新聞で目にしましたので、是非是非長年の、七十年でしょうか、時間がたった中で、本当に一人の一生が、あるいは一人の一生よりも長い時間が過ぎている中で、なかなか実現しない。  できれば、是非この際に四島、固執するのかあるいは二島返還なのか、まあその辺について外務大臣のお考えをお聞かせください。
  173. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 戦後七十一年たった今でも平和条約を結ぶことができていないこの日ロ関係は異常な状態であるという認識について、両国首脳間で一致をしています。是非、十二月十五日のプーチン大統領訪日に向けて、この問題の解決に向けて成果が上がるようにしっかり準備をし、努力をしていきたい、このように考えます。  ただ、我が国方針としては、北方四島、これは我が国固有の領土であります。そして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結していく、この方針も全く変わっておりません。よって、この四島につきましても我が国の帰属を求めていく、こうした基本的な方針は従来と変わってはいないと認識をしております。
  174. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 一時、ビザなし渡航という話も出ましたし、もう長年考えていたことなんですが、北方領土の中で平和の祭典をやろうということでいろいろ考えてきましたが一年一年が早いものですから、政府関係がいい、良好な方向に向かうのであれば、是非私も来年は、時期がありますので夏のちょっとした間しかできませんが、プーチンさん、大統領の一番ファンであるヒョードルという格闘技の選手がいますので、彼とも連絡を取りながら、そんな平和の祭典をやりたいと今は計画しておりますが、とにかくいい方向に向かうことを願いまして、ありがとうございました。
  175. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一でございます。  稲田大臣が触れた北部訓練場のオスプレイパッドの建設問題について伺います。  政府は参院選直後から県外機動隊を数百名動員してヘリパッド建設を強行しているが、十月十八日、高江で複数の県外機動隊員が反対する市民に、ぼけ、土人がとか、黙れ、こら、シナ人などの差別発言を行い、昨日、沖縄県警も事実を確認いたしました。  先ほど稲田大臣は、土人、シナ人発言について不適当とおっしゃいましたが、事業者である防衛省の長として機動隊を監督する国家公安委員長に伝達すべきではないでしょうか、伺います。
  176. 稲田朋美

    国務大臣(稲田朋美君) 先ほど答弁申し上げましたように、大変不適切で残念な発言であり、このことは官房長官も申され、私も共有をしているところでございます。  警察官に関してはお答えする立場にありませんが、今委員指摘のように、公安委員長にも私の思いは伝えたいと思います。
  177. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございます。  沖縄の風は、沖縄県民に対する差別発言に強く抗議をいたします。現場の混乱は沖縄県の負担軽減を口実にオスプレイパッド建設を強行している防衛省の責任でもあり、県外機動隊の差別発言と防衛省が工事を強行する姿勢はつながっていると言わざるを得ません。  さて、九月十四日の閉会審査中で私から求めました日本環境管理基準に基づく北部訓練場に関する自然資源管理計画の作成、実行に当たっての米国との調整の有無、その日本側担当者、日時、内容については理事会協議の事項として扱っていただきました。理事各位の御尽力に改めて感謝をいたします。  十月十八日に、防衛省、環境省から回答をいただきました。資料として配付をしてございます。  JEGSには、「しかるべき日本政府当局との調整」と書かれているわけでありますけれども、米軍から問い合わせた窓口を教えてもらって、それを列挙しただけです。日時や内容も記載がなく、何よりも環境保全、特に自然資源及び絶滅危惧種の保護に向けた日本政府の意思が全く感じられません。皆さんのお手元には、国防総省の環境基準の十三章のその章がコピーとしては置いております。  一方、米国防総省は、自然資源保護プログラムで軍事施設内の絶滅危惧種、希少種を保護しております。私が国会図書館外交防衛課に調査を依頼した「米国における軍事施設内の自然保護について」を見ますと、ハワイの陸軍基地では、キツツキの保護のために射撃場の閉鎖や訓練場が移設されるなど、年間三億ドルの国防予算で軍事施設内部において環境を保護する仕組みができております。米軍は、国の内外を問わず絶滅危惧種の保護を義務付けられています。日本における基準がこの日本環境管理基準の十三章になっています。  防衛省は二〇〇七年、アセスを実施しました。北部訓練場の高江オスプレイパッド建設予定地には、四地区合計で、動物種で九十七種、植物種で百十種の希少種が確認されています。動物種の総数は二千種を超えます。この高江周辺の希少種保護のためのアセスを、米国務省やJEGSに規定された国防省環境司令官である在日米軍司令官に渡しましたか、防衛大臣に伺います。それはいつでしたか。
  178. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  北部訓練場におけるヘリパッドの移設工事に関する環境影響評価図書の作成に当たりまして、その調査段階でありました平成十六年六月に在日米軍司令部に対して説明を行いました。また、その案を公表する直前である平成十七年十月に現地の在沖海兵隊司令部に対して内容を説明しております。JEGSによりますと、環境司令官というのはこの在日米軍司令官であると承知しておりますので、在日米軍司令部に対しても説明を行っておるところでございます。  このような機会を活用しまして、北部訓練場における返還計画の策定に際しては自然環境に与える影響が少なくなるように米軍と調整しまして、七つ移設するという当初予定を六つにとどめる、あるいはヘリパッドの直径を七十五メートルから四十五メートルに縮小するなどの対策も併せて講じたところでございます。
  179. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 高江の調査で、沖縄の政府出先機関の関係者から、高江北部訓練場は米軍基地ですから法律は適用されませんとの答えがありました。政府内部にも国民の間にもこのような誤解があります。本当は米軍基地であっても国内法が適用されておりますし、米軍人個々、軍属にも基地の中にいても国内法が適用されております。  このように、今私説明しましたけれども、外務省に伺いますが、文化財保護法や種の保存法など、国内法は在日米軍基地内に適用が及ぶことを確認をしたいと思います。
  180. 森健良

    政府参考人(森健良君) お答えいたします。  在日米軍の施設・区域は日本の領域でございまして、施設・区域内においても我が国の法令は適用されると。ただし、その執行に当たっては、日米地位協定第三条によって、米国に与えられている管理権との調整が必要となると、これが法制でございます。  さらに、個人としての米軍人軍属、その家族の行動に対しては、施設・区域の内外を問わず、日米地位協定上適用除外が認められる場合を除き、我が国の法令が適用されるというふうに理解しております。
  181. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ただいま答弁のとおり、法律は適用されております。是非政府内部においてもそのことをしっかり周知させていただくようお願いしたいと思います。  環境省は、資料のように、九月十五日、やんばる国立公園を指定し、二〇一八年の世界自然遺産登録を目指しています。北部訓練場はこれとモザイクのように接しておりまして、国立公園同等以上の豊かな自然環境が維持されています。アセスが想定した米軍ヘリは、この中にヘリパッドを造るときにどのような影響与えるかということを評価していますけれども、米軍ヘリとして評価をしています。米軍ヘリは八十デシベル台の騒音を出しますが、普天間を見ますと、MV22オスプレイの騒音は百デシベルです。さらに、低周波振動と強力な下向きの熱風が加わり、実際に運用されれば桁違いの環境破壊をもたらします。しかも、年内完成を目指して今現在強行されておりますオスプレイパッド建設工事では、防衛省の自主アセスも無視して四か所で同時に建設作業が行われ、多くの作業員が森に侵入し、二万四千本もの樹木を伐採するなど、想定をはるかに上回る環境負荷を生じています。オスプレイパッドの建設は、基地の固定化をもたらすだけではなく、豊かな自然環境を決定的に破壊するものであり、だからこそ多くの市民が抗議をしているのです。  アセスでは、オスプレイパッド建設四地区に動物種で九十七、植物種で百十種の希少種の生息が明らかになっています。資料で示しております。四地区の希少種の生息数は各地区とも、今米国内の各基地にある生息数、希少種の数は出ておりますけれども、報告されておりますけれども、その数よりもどの地域も多いんです、僅かな地区の中でですね。そのような地区をなぜこのように選定したのか。  資料にありますように、予定地の選定においては米軍運用上の要望が最優先をされております。先ほど報告があった環境の負荷はできるだけ低くするというのは、二つ造るという要求に対して一つ造った、七十五メートルのオスプレイパッドを造るという要求に対して四十五メートル造った。でも、造ることには変わりありません。そこに物すごい風圧、そして熱風のオスプレイを着陸をさせる、このようなことが運用した後は行われるわけです。まさに世界自然遺産級の自然を破壊することが行われていく。  私は、このようなオスプレイパッドを建設をしてそれを運用させる、供用させることはやはりできない、そんな思いがとても強いです。当時、なぜその協議ができなかったのか、JEGSにはそういう仕組みがあって、そういうところは選んではいけないということが明らかであると思いますけれども、外務大臣防衛大臣に伺います。  現在のオスプレイパッド予定地四地区の見直しが必要です。早急に、環境原則、二〇〇〇年九月十一日に2プラス2で発表したこの環境原則共同発表、そして現在のJEGS、このJEGSに基づいて、趣旨に沿って米軍と再協議すべきではないでしょうか。前回の九月十四日の委員会では、外務大臣は米側がJEGSに基づいてしっかり対応するよう働きかけていくと、このように答弁をいたしました。是非、この問題を再度見直していく、そういう思いはないか、伺います。
  182. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) まず、じゃ、深山地方協力局長
  183. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 繰り返しで恐縮でございますが、先生から御要求のありました、先ほど御紹介のありました資料にも記しましたとおり、このJEGSの策定過程においても、米側と我々は情報交換をいたしたところでございますし、また、今回のオスプレイ作成に当たりましては、もちろん、いわゆる自主アセスという位置付けではありますが、環境影響評価も行い、今申しましたように、当初計画からは見直しを行って環境負荷が軽くなるように設置しているところでございますので、私どもは十分環境を評価した、環境の影響も配慮した上で現在工事を行っていると考えております。  したがいまして、我々としましては、今の工事を整々と行いまして約四千ヘクタールの返還につなげたいと考えておるところでございます。
  184. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 外務省側、御答弁になりますか。
  185. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) このJEGSに関する取組については、二〇〇〇年の環境原則に関する共同発表において日米間で確認し、これまで継続して実施されてきていると承知しており、そして、このJEGSの発出及び維持については、昨年締結されました日米地位協定の環境補足協定において規定されています。そして、これの運用につきましては、今防衛省からありました具体的な取組の中でこれが、この基準が活用されていると認識をしております。
  186. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 今防衛省は、アセスを在日米軍司令部に出したということですが、アセスはヘリでアセスされているんですよ、ヘリで。米軍ヘリでアセスされているんですよ、全て。防衛省はオスプレイを前提にしていないんですよ、そのアセスも含めて。  防衛省がオスプレイを配備すると言ったのは二〇一一年か一二年でしょう。それまでは全部ヘリでやっているんですよね。ヘリでやっていて、この全ての、二千ページに及ぶ資料ですけれども、全てヘリで評価をされております、ヘリで。ですから、アメリカの国内でも、皆さんの資料、お渡ししている米国内の資料にも書いてありますけれども、オスプレイについては動物や遺跡への影響を踏まえて訓練が禁止される措置がとられている、そういうことが事前アセスで、あそこのレビューで来ているんです。今の答弁では納得できないんです。  なぜかというと、皆さんがオスプレイでアセスをしているのならば、それはそれで通るでしょう。でも、実際にやったのはヘリのアセスですよ。ヘリのアセスをやって、どうしてオスプレイを持ってこれるんですか。ここは砂漠とかなんじゃないんですよ。今申し上げたように、二千の動物種がいる、そして希少種だけで百を超える希少種がある。そういうところにそういうアセスでオスプレイ配備してオッケーだということを日米合意したというのでは、余りにも無責任じゃありませんか。答弁を願います。
  187. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  当時の那覇防衛施設局が環境影響評価図書の案を作成した平成十八年二月の時点におきましては、米側よりオスプレイの沖縄への配備を含めた使用機種の変更の予定ということを確認しておりませんでしたので、当時の環境影響評価図書においてはオスプレイの使用に関わる検討は行っておりません。  その上で申し上げますと、この環境影響評価は、当時米軍が使用していたヘリコプターの中で騒音レベルが最も大きいCH53を対象機種としております。で、このほかに、CH53を対象としていたんですけれども、オスプレイの機種更新、オスプレイによって機種更新された元のヘリであるCH46、これと比較しましてもオスプレイの騒音はおおむね低くなっているということで、言わば、より騒音としては大きなCH53を対象としたということからこの環境影響評価をやり直すという必要はないのではないかと私どもは考えております。  ただ、自主的に行っているアセスではありますが、今後実施していくことを予定しております事後調査において、オスプレイ等の飛行運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施することとしておりまして、これによりまして適切に対応できると我々は考えておるところでございます。
  188. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 私はこの件については継続して話をしますけれども、今の答弁では納得できません。何といっても、普天間の周辺を見ればすぐ分かるんです。オスプレイ、CH53で九十まで行かない、八十台なのに、今は百超えるんですよ、その周辺の住宅で。いかに違うかということは現場で分かっています。ですから、今の発言では納得できない。もしそれをそのまましてアメリカ軍に運用させるということになると、アメリカ軍に罪を着せることになる。だから、アメリカ軍自身もこれは運用できないという判断をせざるを得ないと思うんです。実際のところ、これだけ希少種がいる中でオスプレイを運用させることはアメリカ自身もできないでしょう。  オスプレイ予定地には、沖縄の県鳥であり、JEGSの方でも絶滅危惧種として指定されている国の特別天然記念物ノグチゲラが生息しています。特にG、H地区には二十七か所のノグチゲラの営巣木があり、アセスで確認されています。ノグチゲラは沖縄本島のみに分布する一属一種の、この沖縄だけにしかないキツツキなんですね。地上に下りて餌を取るのが特徴で、現在の個体数は、平成九年の調査で三百二十から三百九十羽程度だと言われております。  このような絶滅危惧種に指定されているエリアについて、先ほど外務省が答弁したように、文化財保護法が適用されます。この文化財保護法の適用について、普天間へのオスプレイ配備後、二〇一三年から北部訓練場でオスプレイは飛び回っているんですけれども、バードストライクが五体起こりました。五羽が学校等に当たって亡くなっています。これは今までに、かつてないことなんですね。  環境省、文化庁、このようなノグチゲラの死亡事例とか異変を把握していると思いますが、あわせて、このような把握事例に対して県が調査をするということになればどのような支援ができるのか、答弁ください。
  189. 正田寛

    政府参考人(正田寛君) 御指摘ございました。お答え申し上げます。  環境省では、平成二十五年から二十七年にかけて発生した御指摘の計五羽のノグチゲラの死亡事例については承知しております。このうち、平成二十七年十一月に地元の学校にて救護され後に死亡した事例については、発見された際に東村の博物館からやんばる野生生物保護センターが連絡を受け、状況を把握したものでございます。また、その他の四羽の死亡事例につきましては、地元東村からの情報を得ているところでございます。
  190. 藤江陽子

    政府参考人(藤江陽子君) 文化庁といたしましては、今環境省さんの方からお答えいただきましたように、やはり五羽の滅失の報告を受けております。これは沖縄県の教育委員会を通じて状況を把握しているところでございます。  もう一点先生から御質問ございました、県が調査をするときの支援ということにつきましては、文化庁におきましては、地方公共団体が行う天然記念物に係る調査に要する経費を補助するための予算を計上しているところでございまして、各都道府県から相談があれば、その内容を精査の上、必要な支援を行っていくこととしております。
  191. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 天然記念物の鳥というのは十種しかありません。日本全体で六百種ある鳥のうち、十種だけです。タンチョウヅルだとかそういうものと一緒なんです。だから、極めて貴重です。  この調査するに当たって、外務省はやはり、県がもしそれを求めれば、北部訓練場内に立ち入って調査することを米軍に対して求めてもらえるでしょうか。
  192. 森健良

    政府参考人(森健良君) 現時点においてそうした要望が出てきているわけではございませんので、あくまでも一般論として外務省の対応を申し上げますと、日本側の職員が在日米軍施設・区域に立ち入り、調査を行うという場合に、当該施設・区域を管理する米軍の同意を得て立入りを行うということでございますので、そうした立入りに関しまして協力を行ってきている事例はございます。  一般的な方針といたしましては、要望がございます場合には、必要な調査を実施できるように、その個別の事案の状況に応じて支援を行うということといたしているところでございます。
  193. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 まとめますが、残りの質問等についてはまた次回の委員会で継続していきたいと思います。
  194. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  195. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 次に、パリ協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  196. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりましたパリ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、平成二十七年十二月にフランスのパリで開催された気候変動に関する国際連合枠組条約の第二十一回締約国会議において採択されたものであります。  この協定は、気候変動の脅威に対する世界全体での対応強化することを目的として、温室効果ガスの削減に係る取組、その実効性を確保するための措置等について定めるものであります。  我が国がこの協定を締結することは、気候変動に対処するための我が国取組を一層推進するとともに、この分野での国際的な取組に積極的に貢献するとの見地から、極めて有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定を締結することについて御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  197. 宇都隆史

    委員長宇都隆史君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会