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大串(博)
委員 今、百年先まで持続するという
意味はこういう
意味だということをお述べいただきました。すなわち、保険料の上限は固定する、そしてマクロ経済スライドという制度を入れて給付を調整する、五年に一度財政の検証を行いますと。
さらに、触れられはしませんでしたけれ
ども、必要な給付は確保するという
意味、それは所得代替率を五割確保するということですね。百年間という期間で安定する、これは百年後に
積立金が給付の一年分残っているということですね。そういう仕組みだということを今述べられました。そういう
意味で百年先まで続く。つまり、マクロ経済スライドもかけて給付をずっと調整していった結果、百年後には
積立金が一年分残っているという
意味での安定ですね。
かつ、私が質問する先のことも答えていただきましたけれ
ども、現在も百年先まで確実に持続するという形になっているんですかということを次に問おうと思っていたんですが、それもあわせて今お答えいただきました。
財政検証がこの後二回行われています。ここにあるように、財政検証が、一番最初の財政再計算が法律改正時、そして二回目、三回目、こういうふうに行われている。この一番直近、一番下にあります
平成二十六年の財政検証を通じても、百年先まで持続する制度であることが確認されているということを言われました。
つまり、ここに書かれているのが、先ほど
総理が一番最後に言われた経済がうまくいっているケース、つまり経済再生ケースのケースEというものをここにとっています。先ほど
総理が答弁されたケースです。その場合でも所得代替率が五〇%、つまり現役世代の所得の五割を確保するようなレベルを維持できますよという
意味で百年間安心の制度となっております、そういう答弁でありました。
ちょっとフリップをかえまして、今回
政府が提案しているいわゆる
年金カット法案ですけれ
ども、今回何がどう変わるかといいますと、これまでの法律に比べて、四番と五番のところが新しくつけ加わるんですね。すなわち、物価の伸びと賃金の伸び。
御案内のように、
年金を受け取るとき、裁定のときといいますね、六十歳から六十五歳、これから
年金を受け取りますよというときの
年金の
基本的な額は賃金スライド、賃金の額で決まってくる。
年金を受け取ることが決まった御高齢の皆様は、毎年毎年の
年金の更改は物価によって決めていく、つまり物価によって決まっていくことによって購買力が維持される、こういった考え方でなっていた。これは根幹です。
総理、今回の審議の中で私はあれっと思ったんですけれ
ども、物価にスライドする、賃金にスライドする、このスライド制は実は
年金制度の根幹なんですね。全く小さい話じゃないんです。だから
総理に答弁を求めているんです。
今回、その根幹をさわります。四と五、賃金が
マイナスの場合。これまでは、賃金が
マイナスである場合には、そこまでは下げない、物価程度までしか下げない、あるいは
プラス・
マイナス・ゼロのところまでしか下げないという程度にとどめておった。それを、今回、四と五、賃金が
マイナスの場合には、
マイナスの賃金のボトムのところまで下げるという提案になっているわけですね。
私はこれを見て、あれっと思ったんです。
年金は百年安心になったんじゃなかったっけかな。二年前の財政検証の際、
年金は百年安心となったんじゃなかったっけかなと私は思ったんです。
ちょっと先ほどのフリップに戻ってみますと、これが過去三回の
年金財政再計算、財政検証です。一番直近は一番下にあります。
御案内のように、二〇一四年から始まってずっと
数字がありますが、名目賃金上昇率のところを見てください。毎年、二〇一四年から始まって、一・〇、二・五、二・五、三・六、三・七、三・八、三・九、三・九、四・二、四・一、二・五、二・五、二・五。どれもきれいに
プラスの領域なんです。しかも、極めて高い
プラスの領域なんです。
名目賃金上昇率というのは、
年金財政の安定に対しては極めて重要な指標です。すなわち、名目賃金上昇率が高ければ
年金財政は安定します。しかし、これが低かったり
マイナスになったりすると
年金財政は極めて厳しく傷みます。そういう
意味で、高い
数字が並んでいる、これは将来
年金は大丈夫なんだなと思わせるシグナルです。これをベースに、二年前の財政検証のときには、所得代替率、現役世代の所得五割を守れる、百年後には安定している、そういうものだというふうな説明がなされました。
しかし、今回提案されている法律は、先ほど言いましたように、賃金が
マイナスになるということを前提としている法律です。明らかに矛盾しているんです。
年金が百年安心だということで二年前に出されたこの
数字、全て名目賃金の上昇率は
プラスの領域。しかも、極めて高い
プラスの領域です。これが守れなかったら、
年金財政は百年安心とは言えないんです。にもかかわらず、今回、賃金が
マイナスのことが起こることを前提とした法律が出てきている。これは明らかに矛盾しているんじゃないかというふうに思われますが、
総理、ここについての御説明をいただきたいと思います。
〔
委員長退席、葉梨
委員長代理着席〕