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柚木道義君
民進党の
柚木道義でございます。
私は、
民進党・
無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
公的年金制度の
持続可能性の
向上を図るための
国民年金法等の一部を
改正する
法律案に対して
質問いたします。(
拍手)
冒頭、
三笠宮崇仁親王殿下の御薨去の御訃報に接し、
国民の
皆様とともに、謹んで心からの
哀悼の意を表します。
さて、冒頭、先ほど、とかしき議員の
質問の中に、
民主党政権時代に
年金カット新ルール以上のカットを進めようとしていたというような全く事実ではない指摘があったことについて、こういう場でまさにそのような
レッテル張りをすることに厳重に抗議をし、また、
物価が上がっても
賃金が減少すれば、
賃金減少額に合わせて問答無用に
年金カットをするような
年金カット新ルールについてももちろん
議論すらしていないことを、まず冒頭明言しておきます。
さて、
民主党政権時に決定した、
年金受給に必要な
保険料の支払い
期間を二十五年から十年に短縮する無
年金者救済
法案を、我々
野党の求めに応じ、
年金カット法案と分離、先行審議をし、本日、衆議院本
会議で
可決できたことは、全国約六十四万人の無
年金者の
方々にとって大変大きな前進であり、巨大
与党に対して
野党の提案が実現をした特筆すべき成果だと考えます。
こうした中、本日、
安倍政権による
年金カット法案が審議入りとなったわけですが、この間、我々の再三再四にわたる試算要求に出してきたその試算が、
国民の
皆様に大変大きな
誤解を招く問題試算であって、この試算では、十年前から
年金カット法案が発動していた場合に、直近の
年金受給額が
基礎年金で一人当たり三%カット、月額二千円カット、年額二万四千円カットとなっていますが、将来の
基礎年金は、驚くべきことに何と七%アップ、月額五千円アップ、年額六万円のアップと、減額分の二・五倍もアップするとの大変な
誤解を招く試算を発表されました。
しかし、我々の試算では、
基礎年金で五・二%、つまり年額四万円の減額、
厚生年金で十四万二千円の減額と、
政府試算と二%もの差額が生じました。
原因は、我々の試算では、可処分
所得割合の減額マイナス〇・二%が、現行ルールのもとでも
年金カット新ルールのもとでもひとしく
適用される
改定である以上、当然マイナス〇・二%の影響を含めるべきと考えます。
ところが、
政府試算では、新ルールの試算をするときだけ意図的にこのマイナス〇・二%の影響を除いているために、我々の試算より二%程度減額幅が少なくなっているのです。
安倍
総理、現行ルールと新ルールの比較をする際に、双方ともマイナス〇・二%にするか、双方ともマイナス〇・二%を除いて比較をするか、どちらにしても基準を同じにしなくては、
年金新カットルールによる影響額は測定できません。これは基本的な
前提です。
安倍
総理、なぜ
政府は意図的に、減額幅の少ない試算を出されたんですか。また、基準をそろえて比較をすれば、
民進党の試算どおり五・二%の減額、つまり
基礎年金で年額四万円カット、
厚生年金で十四万二千円カットになることをお認めになられますよね。
先ほどの減額試算も過小評価で大問題ですが、増額の試算も過大かつ
年金カット法案の影響額とは無関係の試算ということで、これは減額の試算以上に
国民の
皆様に大いなる
誤解を生んでおり、訂正、謝罪、試算の出し直しが不可欠です。
政府の将来試算では、
現役世代の将来の基礎
年金水準は七%アップ、月額五千円のアップとあります。これは過去十年間に
年金カット新ルールを
適用したと仮定した場合の試算ですが、まず、この増額試算自体が、過去十年間に
年金新カットルールを
適用したと仮定した場合に導き出された試算でありますから、これは
年金カット法案の影響額とは無関係な試算であることを厚労省
年金局も認めました。
次に、この試算は、
平成二十六年度
財政検証ケースEをもとに計算していますが、このケースEというのは、今後約百年間ずっと
賃金が上がり続ける、
物価上昇率を
賃金上昇率が上回り続けるあり得ない
経済前提と
年金局も認めました。
さらに、この
経済状況のもとでは、そもそも
年金カット法案自体が発動いたしません。
これらの点を指摘し続けた結果、先月二十六日の衆議院
厚生労働委員会で、私への答弁で
塩崎厚生労働大臣も、七%上がるわけではないと初めて公式に認める答弁をされたわけでございます。
安倍
総理、厚労省
年金局は、先月二十六日の私への塩崎大臣の答弁以降、ここに来て急遽、今回の計算の
構造は将来に当てはめても同様と逃げの回答をし始めました。さらに、塩崎大臣の答弁も、数値はさておきというのがもはや枕
言葉のようになってまいりました。
ここは、今回
政府が示した
基礎年金七%、五千円アップ、年額六万円アップの試算は
国民に大きな
誤解を与える数字であったと、安倍
総理御本人が
政府を代表してお認めになり、訂正、謝罪され、所管の
厚生労働大臣に改めてきちんと試算を出すことを指示されるべきだと考えます。答弁を求めます。
年金カット法案が発動された場合の影響額試算の公表を、せめて
厚生労働委員会での審議入りまでに、
基礎年金、
厚生年金も
年金カット新ルールを将来に向けて
適用した場合の
年金受給額についての試算を公表いただきますように、これは、我々はこの間何度も何度も要望してまいりましたので、ぜひ安倍
総理からこの場で
厚生労働大臣に御指示をお願いいたします。
国民に大きな影響を及ぼす
厚生年金の将来試算についても、ぜひきちんとお示しをいただきたいと思います。
基礎年金については、わざわざ七%、五千円アップと
国民の
皆様に
誤解を与える試算を出したにもかかわらず、
厚生年金を出さないのは、そもそも三%、七千円カットの減額幅に比べて増額幅がとても少ないからではないかと想定しますが、違いますか。
本
法案は、
年金積立金管理運用独立行政法人、
GPIFなどでも問題があります。
安倍
内閣が二〇一四年十月に株式投資を五〇%まで倍増させた後、
GPIFは昨年度と今年度の十五カ月で十兆円以上の
運用損を出しております。十兆円以上損を出しても誰も
責任をとらず、誰も賠償もせず、
理事長は独法でトップの年収三千百三十一万円という高年収を受けられる。私は業績連動性にすべきだと思いますが、そのような無
責任体制を見直すべきだと考えますが、安倍
総理に伺います。
また、本
法案では、国内株式インハウス
運用の検討を示しています。これは、
GPIFが、信託銀行など投資機関を通さずに直接、国内株式に投資することで、
年金資金を高いリスクにさらし、市場への政治介入のおそれもあります。
GPIFの国内株式インハウス
運用はやるべきではないと考えますが、
総理の見解を伺います。
平成二十六年の
年金財政検証では八パターン全てで、
賃金上昇は常に
プラスで、しかも
物価上昇を上回るという
前提で計算しています。しかし、足元の
経済では、直近十年のうち六年は
賃金がマイナスで、かつ
物価の伸びをも下回っております。
安倍政権における
経済の状況を見ても、
平成二十五年度と二十八年度は
賃金がマイナスとなり、
物価の伸びよりも下回っていて、これは
年金カット法案の新ルールが
適用される見込みになる状況になっています。
だからこそ、現実的な数字に基づいて
年金の
財政検証をやり直すべきだと考えますが、
総理の見解を伺います。
年金カット法案による
年金カット新ルールで、
年金の
最低保障機能が大幅に損なわれていきます。加えて、
安倍政権では、医療費や介護費用の
負担増メニューオンパレードが検討されております。
こうしたトータルでの
負担増や
年金カット法案の影響などによって、
高齢者の生活保護受給者の激増が心配されます。
政府としては、きちんと
高齢者の貧困率を調査すべきです。
そして、
年金カット法案の影響も含めて、トータルでの
負担増でどれだけ生活保護受給者がふえていくのかをきちんと試算、想定をして、必要な対策を前倒しで準備をして実施していくのが
責任ある政治だと考えますが、安倍
総理の認識を
お答えください。
年金生活者
支援給付金はこれまで二回にわたって延期されましたが、仮に消費税一〇%がさらに先送りされた場合でも、
給付金は実施されるのでしょうか。
また、
給付金以外にどのような具体策で
年金受給者の
最低保障機能を
強化するお考えか、御答弁をお願いいたします。
厚労省の試算でも、二〇一四年の
基礎年金の
所得代替率が三六・八%であるのに対して、二〇四三年、これはマクロスライド
調整が終わる、我々の
世代がちょうど受給
世代になるころです、このころには二六%、約三〇%も減少するんです。これでは、将来
世代の老後の生活は成り立たなくなるのではないかと心配しますが、安倍
総理の所見を伺います。
安倍
総理、将来
世代の
年金額を守るには、焼け石に水の場当たり的な
年金カット法案でお茶を濁すのではなくて、将来
世代がまともな
年金額をもらえるように、
年金制度の真の抜本
改革に取り組んでいくお考えはおありでしょうか。
最後に、安倍
総理、この週末、私も地元で何人もの
高齢者の
方々から、柚木さん、
年金をこれ以上減らされたら生活できませんと切実な訴えをいただきました。
今回の
年金カット法案が
施行された場合、仮に
年金制度は守られても、現在、そして将来の
年金生活者は守れません。
年金制度と
年金生活者の両方を守ってこそ、将来はもとより現在の
年金生活者を守ってこそ
責任ある政治であり、未来への
責任だと考えます。そのためには、現実的な試算をきちんと
政府が示し、
責任ある
議論を与
野党が進められる環境を整えることが不可欠です。
総理、老後の
最大かつ人によっては唯一の生活
保障である
年金、万々が一にもこの
年金カット法案の強行
採決はこの
国会では絶対に行わないとこの場で
国民の
皆様にお約束いただきますようにお願いをして、私の代表
質問を終わります。
なお、答弁が不十分な場合には、再
質問、再々
質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕