○黄川田徹君
民進党の黄川田徹であります。
私は、
民進党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
社会保障の
安定財源の
確保等を図る
税制の抜本的な
改革を行うための
地方税法及び
地方交付税法の一部を
改正する
法律等の一部を
改正する
法律案について
質問いたします。(
拍手)
まずもって、冒頭、
消費税の
引き上げ再
延期の原因について
伺います。
安倍総理は二年前、
消費税の再
延期はないと断言していたにもかかわらず、再
延期を決めました。総理は、
世界経済の
リスクを
理由とした新しい判断であると居直っておりますが、再
延期の原因は、
アベノミクスが行き詰まり、
実質賃金は低下、消費は低迷し、格差が拡大するなど、
国民生活が厳しさを増したことにあることは明らかなのではないですか。このことについての所見を
石原経済財政担当大臣に
伺います。
次に、
消費税率の
引き上げと低
所得者対策について
伺います。
本
法案により
導入が
延期されるとはいえ、
政府が
導入を進める
軽減税率制度は約一兆円の
財源を必要とし、
社会保障の安定とそして
充実のための地方
財源の
確保が大きな
課題となることは明らかであります。
政府は、安定的で恒久的な
財源を
確保すると
改正税制大綱に明記し、国税収入は一年かけて
財源を探すとしておりますが、住民サービスに直結する地方
財政には特に
安定財源確保の要請が強く働きます。よって、もはや猶予はありません。
麻生財務大臣には、この場で
財源を明示するよう求めます。
さらに、地方自治と地域活性化に関する基本的認識について
伺います。
安倍政権では、地方創生の名の
もとに、まち・ひと・しごと総合戦略を策定し、東京一極集中を是正し、活力ある
日本社会の維持を目指すとしています。しかしながら、地域活性化の手法としての現状の地方創生総合戦略には大きな懸念を持たざるを得ません。
国が定めた総合戦略を勘案して地方創生総合戦略を地方につくらせる国主導のやり方は、国の
目標を
もとに当てはめる中央集権的な手法となっております。このような手法では、地方発の自主的な
取り組みが十分に発揮されません。中央省庁が握っている
財源と権限を大胆に移すという地方分権とは、似て非なる
取り組みと私は言わざるを得ません。
そして現在も、東京一極集中の流れはとまっていません。住民基本台帳人口移動報告の
平成二十七年結果では、東京圏の転入超過数は約十一万九千人であり、東京圏の転入超過は二十年連続となっております。
政府が一極集中是正策として鳴り物入りで打ち出した中央省庁の地方移転についても、四十二道府県から六十九の機関を誘致したというのにもかかわらず、文化庁、総務省、
消費者庁で移転が具体化する方向になっただけ。しかも、総務省は統計局の一部を和歌山県に移し、
消費者庁は徳島県に一部拠点を設ける程度でしかありません。
中央省庁の権限や
財源は現状のまま、単に一部の役所の場所を移すということしかできない現
政権には、権限や
財源も移す真の地方分権などできるはずもありません。現状を見る限り、
安倍政権の地方創生は、
アベノミクス同様にかけ声倒れに終わるのではないか、こう思っております。
地方創生施策の現状をどのように捉え、地方創生が進まない根本原因と
改善策、さらには、地方分権への道筋をどのように考えているのか、山本地方創生担当大臣に明快な
答弁をいただきたい、こう思います。
次に、本
法律案について幾つかお
伺いいたします。
まず一点目であります。
消費税、地方
消費税率引き上げ再
延期により失われる
財源についてであります。
消費税、地方
消費税率の
引き上げによる増収分は、子ども・子育て
支援や医療、介護の
充実に向けた施策の
実施等の
社会保障の拡充や
安定化などに充てるとされておりました。税率
引き上げの再
延期により、これらの施策は、税率
引き上げまでその
財源を失うことになります。
政府は、税率の
引き上げを再
延期しても、
保育の受け皿五十万人分の
確保など、可能な限りの
社会保障の
充実を
実施するとしておりますが、その費用については、国の責任において
安定財源を
確保できるのでしょうか。
消費税、地方
消費税率の
引き上げ分は、地方交付税原資分も含めると、その約三割が地方の
社会保障財源であります。地方が必要な住民サービスを十分かつ安定的に提供し、地方
財政の運営に支障を来さないよう、地方交付税原資分も含め、必要な
財政措置を確実に講ずるべきと考えます。
仮にも、
財源が不足し、地方に
負担を転嫁するような制度
改正を行うことがあってはならないと考えますが、
高市総務大臣の所見を
伺いたいと思います。
二点目であります。税源の偏在是正
措置について
伺います。
地方
消費税は、地方法人課税などと比べると、地域間の税収の偏在が比較的小さい税でありますが、そうはいっても、一人当たりの税収で最大二倍の格差が存在しております。さらに、交付税の不交付団体には、
社会保障給付支出の増加額を上回る地方
消費税の増収が生じる一方、交付団体には、地方交付税の振りかえである臨時
財政対策債の減少等により相殺される結果、不交付団体と交付団体の間の
財政力格差がさらに拡大するといった
課題が生じております。
今後、増加する
社会保障関係費の
財源を
確保するため、
消費税、地方
消費税率をさらに
引き上げる場合、国と地方の配分をどう考えておるのでしょうか。
偏在の是正を重視すれば、
引き上げ分の全てを国の
消費税とし、そのうちの一部を地方交付税とする考え方も出てきますが、他方で、地方の独自
財源を重視するという地方分権の
観点からは、地方
消費税率の
引き上げが望ましいことになります。
この偏在是正と地方の独自
財源確保のバランスを今後どう図っていくのか、
高市総務大臣の所見を求める次第であります。
三点目であります。車体課税の見直しに係る
措置についてであります。
自動車税は都道府県の基幹税でありますが、車体課税に係る地方税収は、
平成二十一
年度の自動車取得税へのエコカー減税の
導入等により大幅に減少しています。
消費税、地方
消費税引き上げ時に自動車取得税を廃止し、自動車税、軽自動車税に環境性能割を
導入する際には、地方
財政に影響を及ぼすことがないよう、必要があれば
平成三十一
年度の
税制改正で見直すことになっております。しかしながら、地方
財政の
安定化の
観点からは、事前に具体的な代替
財源の
確保を前提として行うべきと考えます。
そこで、現在予定している代替
財源はあるのか、なければ、早急に
確保するべきではないのか、
高市総務大臣の所見を
伺いたいと思います。
結びであります。
東
日本大震災の発災から五年と七カ月余りが経過いたしました。大震災は、地震、津波、
原発事故、そして風評被害をもたらし、復旧復興にはさまざまな困難を伴っています。岩手にあっては、八月末の台風十号の豪雨被害が追い打ちをかけています。集中復興期間の五年間では完遂せず、道半ばの自治体はまだまだあります。特にも、福島は次の五年間が正念場であります。
一方、熊本大震災の発生から半年余りとなりました。
避難先で体調を崩すなどして震災関連死に認定された方は五十五人と直接死を上回り、犠牲者は計百十人となっています。また、応急仮設住宅が約四千戸完成し、今月中には県内の全ての避難所は解消される見込みであります。しかしながら、仮設からの退去はいつになるのか。住みなれた
もとの場所での住宅再建は望めるのか。
資金不足で
見通しの立たない人も少なくないのではないでしょうか。容易でない実態が熊本でもあるのではないかと感じております。
まさに、これからが本当の復興への戦いになってきます。復興期間の長さが被災者の人生を大きく変えていく、その姿を私は目の前で見ております。復興の時間の流れに翻弄される被災者をつくらないためにも、災害の風化をとめていかなければなりません。
私は、大規模災害の復旧復興には
与党も野党もないと常に問うてまいりました。被災地の現場と現状を酌み取る力のない、ごく一部の閣僚の振る舞いには落胆し、そして憤りを覚えるわけであります。
また、
政府は、去る十月十一日に、地球温暖化対策の新たな国際枠組みであるパリ協定の批准案を閣議決定し、国会に提出いたしました。参議院先議の
法案となっておりますが、国際社会の動きからは大きく出おくれたのではないでしょうか。正式メンバーの締約国とは認められないのではないでしょうか。COP22の開催前に全ての手続を終えることは難しく、発言力も低下するのではないでしょうか。
気候変動による大災害の発生は明らかになってきていると私は思っております。
政治は、仮想の
現実から目を覚ます必要があります。人口減少、それに伴う税と
社会保障の
一体改革、
財政再建、そして大規模災害対策、地球温暖化対策などには正面からしっかりと向き合わなければならないと思います。
最後に、ライバルがいない世界は本当に閉塞感を強く感じるわけであります。我が
民進党は、代表もかわりました、
政権を担い得る政党として
成長していかなきゃなりません。しっかりと頑張ることを
国民の皆さんに約束し、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣石原伸晃君
登壇〕