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内閣総理大臣(安倍晋三君)
野田佳彦議員にお答えいたします。
熊本地震及び一連の
台風被害からの復旧
復興についてのお尋ねがありました。
まず、改めて、お亡くなりになった
方々に哀悼の意を表し、被災された全ての
皆様にお見舞いを申し上げます。
熊本地震については、インフラの復旧や住まいの確保、なりわい、産業の
復興をきめ細やかに推進するため、第二次
補正予算案に約四千百三十九億円を計上しているところであり、
早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
北海道、東北
地方を襲った一連の
台風による
災害については、九月十六日、激甚
災害に指定し、広範な分野での財政
支援等の特例
措置を講じたところです。
できることは全て行うという決意のもと、
被災者に寄り添いながら、
政府一丸となって、一日も早い
被災者の
生活再建、
被災地の復旧
復興に全力を挙げるとともに、今後の
台風等に備えるため、とるべき
避難行動について、配慮を要する
方々を初め、
住民へわかりやすく周知すること等の
対策を進めてまいります。
今後とも、
自然災害が起こりやすい
我が国において、
国民の生命と財産を守るため、
発生した
災害から得られた貴重な教訓をしっかりと踏まえ、法制度のあり方も含め、ハード、ソフト一体となった総合的な防災・減災
対策の体系的な見直しを不断に行ってまいります。
民進党提出
法案に対する
見解についてのお尋ねがありました。
東日本大震災からの
復興については、住まいの再建やなりわいの
再生など、着実に進展し、
復興は新たなステージを迎えております。
引き続き、閣僚全員が
復興大臣という意識のもと、必要なことは全てやり遂げるという強い決意を持って、現場第一主義で、
被災者に寄り添いつつ、
被災地の生活環境の整備、
復興に向けて全力で取り組んでまいります。
御指摘の住宅再建加速化、用地問題の
解決などについても、累次にわたる取り組みを進めてきたところであります。その上で、
民進党などから提出された
復興加速四
法案が本当に必要なのかどうかについて、
国会で御
議論いただければと思います。
福島の
原子力災害についてお尋ねがありました。
世界にも前例のない東京電力
福島第一原子力発電所の
廃炉・汚染水
対策については、長期にわたって安全かつ着実に進めるため、国が前面に立って全力で取り組んでまいります。
また、風評の払拭、
除染の確実な実施、迅速な
賠償の確保、なりわい
再生への
支援などにより、生活の再建、
帰還支援に取り組んでまいります。
子ども・
被災者支援法の趣旨に沿って、
福島県の県民
健康調査の
支援、家族と離れて暮らす母子、
父子避難者に対する
支援などを引き続き進めてまいります。
福島の
復興なくして東北の
復興なし。東北の
復興なくして
日本の
再生なし。
被災者の
方々の気持ちを大切にし、なりわい、生活、心のケアなどについてそれぞれきめ細かく
支援し、安心して戻れるふるさとを一日も早く取り戻せるよう、全力で取り組んでまいります。
プライマリーバランスの黒字化の時期と道筋についてお尋ねがありました。
安倍内閣は、二〇二〇年度に
プライマリーバランス黒字化を
実現するという
財政健全化目標を堅持します。そのためにも、
経済再生なくして
財政健全化なしとの基本
方針のもと、
未来への投資を
実現する
経済対策を初めとする強い
経済の
実現を目指し、取り組みを進めています。
私
たちの
経済政策により、国、
地方を合わせた税収は、野田
政権時代よりも二十一兆円増収をしているところであります。また、これまでも、
社会保障の
改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出
削減にも取り組んできたところです。
引き続き、
経済・財政
再生計画の枠組みのもと、安倍内閣のこれまでの歳出
改革の取り組みを
強化してまいります。
財政健全化に向けた取り組みの実効性の確保については、法制化という手段そのものよりも、
政府として定めた
目標を堅持し、責任を持ってこれを
実現していくことこそが重要であると
考えております。御
提案の
財政健全化責任
法案については、そうした
観点も踏まえ、
国会で御
議論いただければと思います。
今後とも、
経済再生を進めながら、二〇二〇年度の
財政健全化目標に向けてしっかりと取り組んでまいります。
給付つき税額控除や
行政事業レビューについてお尋ねがありました。
御指摘の給付つき税額控除は、所得が低い方に焦点を絞った
支援ができるといった利点はあるものの、
消費税そのものの
負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和の実感につながらないという問題、所得や資産の把握が難しいといった問題等があるものと承知しています。
他方、
軽減税率は、給付つき税額控除とは異なり、日々の生活において幅広い消費者が消費、利活用している商品の
消費税の
負担を直接軽減することにより、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があり、この点が特に重要であるとの判断により、
政府・与党において導入を決定いたしました。
軽減税率制度の導入に伴い、給付つき税額控除は、
消費税率
引き上げに伴う低
所得者対策としては実施することはないと
考えています。
行政事業レビューについては、外部有識者によるチェック対象を重点化したり、新たに基金シートを毎年公表するなど、効果的な取り組みを実施しています。
また、昨年の秋のレビューでは、税金の使い方を
国民に
考えてもらうため、学生を含む傍聴者の前で、オープンに
政策の
議論を行いました。
今後とも、現行の枠組みのもとで、国の事業がさらに効果的、効率的になるよう、しっかりと取り組んでまいります。
議員定数削減についてお尋ねがありました。
衆議院の定数
削減については、当時の民主党は区割り改定法に反対しましたが、私
たちは
政権奪還後、まず〇増五減をなし遂げました。さらに、さまざまな困難を乗り越え、調査会の答申や各党各会派の
議論等を踏まえ、さきの
国会において定数十を
削減するための法律が可決、成立し、現在、
選挙区画の見直しに向けての審議が進められているところであります。
政治の責任とは何でしょうか。それは、
実現させていくことであります。
言葉を幾ら重ねても、ゼロはゼロであります。それでは
政治への信頼は失われます。まずは、この議員定数十
削減をきちんと
実現させようではありませんか。私
たちは、結果を出してまいります。
その上で、さらに議員定数を見直す必要があるかについては、小さな政党にも配慮しながら、各党各会派が真摯な
議論を行うことが重要であると
考えています。
日本銀行の金融
政策についてお尋ねがありました。
政権交代後、
アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、もはやデフレではないという
状況をつくり出すことができました。特に、
国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しています。
今回、
日本銀行は、総括的な検証を行った上で、
金融緩和を
強化するための新しい枠組みの導入を決定したところであり、当面、短期
政策金利を
マイナス〇・一%、十年物
国債金利をゼロ%程度で推移するように長短金利を操作することとしていると承知しています。これは、二%の
物価安定目標をできるだけ
早期に
実現するためのものであると理解しております。
いずれにせよ、金融
政策の具体的な手法は
日本銀行に委ねられるべきであると
考えており、黒田総裁を信頼しております。
引き続き、
政府、
日銀は緊密に連携しながら、二%の
物価安定目標に向かって、デフレ脱却、そして力強い成長を目指していきます。
なお、
金融緩和の
出口戦略に具体的に言及することについて、黒田総裁は、
市場の混乱を招くおそれが高いため時期尚早であると述べているものと承知しています。
TPPについてお尋ねがありました。
自由で公正な貿易を堅持し発展させる、これこそが世界
経済の成長の源泉です。
我が国は、戦後、
自由貿易のもとで
経済成長を遂げてきました。その
我が国こそが、世界の自由で公正な貿易・投資ルールの牽引役であり、提唱者でなければならない、このように確信をしております。
TPPは、その中核です。世界の四割
経済圏において、つくり手が丹精込めた付加価値が正当に評価されるようになります。TPPによって新たにつくられるルールは、単にTPPにとどまらず、日・EU
経済連携協定、RCEPなどにおけるモデルとなるものです。
TPPは、
参加希望を
表明する国々が相次いでおり、潜在的な
参加国が数多くあります。TPPが拡大していく機運を積極的につくっていくことこそ、
我が国の役割であります。
私は、
政権発足後間もない日米
首脳会談で、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないことなどを直接確認した上で、
交渉参加を決断いたしました。
我が国は、交渉を主導することで、農林水産品の約二割について関税等による保護を維持し、自動車部品の対米輸出額の八割以上の即時撤廃を確保しました。厳しい交渉の中で
国益にかなう最善の結果を得ることができました。聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉の
参加に反対するという
自民党の
国民の
皆様とのお約束は、しっかりと守ることができたと
考えております。
攻めるべきは攻め、守るべきは守ることができた以上、後は、決断すべきときに決断し切れないという過去の轍は踏むことのないように全力を尽くしてまいりたいと思います。
米国も発効に向けて
努力を続けていると承知しています。
米国にその
努力を続けてもらうためにも、交渉をともに牽引してきた
日本が、このタイミングで国内手続を前進させていくことが不可欠だと
考えています。
他の署名国の多くも
日本の動きに注目し、
日本に期待しています。この
国会でやらなければならない、こう
考えています。
TPP交渉は、合意された結果が全てです。合意された結果は、全て公表しております。今後の
国会審議において、引き続き丁寧に説明してまいります。
国会における審議の進め方については、
国会の御判断に従うべきものと
考えています。
政府としては、わかりやすく丁寧な説明に努めてまいります。その上で、熟議の後に、決めるべきときは決めなければならない、それが
民主主義のルールであると
考えます。
安倍政権の
中小企業政策についてお尋ねがありました。
日本経済を支えているのは、全国三百八十万の
中小企業であります。老舗
企業も多くあり、三千三百万人を超える
方々が
中小企業で働いています。
民主党が
政権を担った三年間、行き過ぎた円高は多くの
企業を海外へ追いやり、空洞化が進みました。
中小企業は取引先を失い、どんなに頑張っても、どんなに汗を流しても、どんなによいアイデアを出してもやっていけない。連鎖倒産という
言葉が
日本じゅうを覆っていました。その強い危機感が、私
たちの
政権交代へとつながりました。
そして、この三年間で、
中小企業の倒産は、民主党
政権時代と比べて三割減少させることができました。現在の
中小企業の業況は、経常利益が過去最高水準で推移するなど、全体としては改善傾向にあると
考えています。他方で、地域や業種によってばらつきが見られることから、現場の感覚についても、同様にばらつきがあるのは事実であります。
中小企業の
関係者や
国民の
皆様が、できる限り
早期に、一層景気がよくなってきたと実感できるよう、経営の実態に目配りしながら、
最大限の取り組みを進めてまいります。
経済の好循環を確実にするため、取引条件の改善を図ります。親事業者が
負担すべき費用等を下請事業者に押しつけることがないよう、年内をめどに、下請法の
運用強化などを進めてまいります。
今般の
経済対策では、革新的な物づくり、サービスの開発
支援等の事業を盛り込んでおり、これらの事業を通じて、中小・
小規模事業者の生産性向上、販路開拓などの
努力を後押しします。
御指摘のあった
マイナス金利につきましては、
日本銀行による
マイナス金利導入以降、貸出金利はさらに低下しており、
中小企業を含む
企業の資金調達コストの低下にしっかりとつながっていると
考えています。
なお、
平成二十七年度、二十八年度
税制改正における
外形標準課税の拡大は、資本金一億円以下の中小法人は対象外としております。
外形標準課税の適用対象法人のあり方については、地域
経済、
企業経営への
影響も踏まえながら、引き続き慎重に対応してまいります。
社会保険料の事業主
負担は、働く人が安心して就労できる基盤を整備することが事業主の責任であるとともに、事業主の利益にも資するという
観点から事業主に求められているものです。御党の
法案は、
社会保険料の事業主
負担を十年もの長期にわたり公費に転嫁するものであり、適当ではないと
考えます。
年金積立金の
運用についてのお尋ねがありました。
年金積立金については、将来の安定的な
年金の給付に向けて、長期的な
観点に立って、安定的かつ効率的に
運用することを基本としています。
平成十三年度の自主
運用開始以降、十五年間、
年金積立金の累積収益は約四十兆円となり、
安倍政権の三年間では二十七・七兆円となっています。
年金財政上必要な収益を十分に確保しています。
したがって、
市場動向等による短期的な評価損によって
年金財政上の問題は生じず、
年金額に
影響することも全くありません。
国民の
皆様には御安心をいただきたいと思います。
短期的な評価損を殊さらに取り上げ、
年金制度に対する
国民の不安をあおるような声も一部にはありますが、そのようなことは厳に慎むべきであると
考えています。
GPIFの基本ポートフォリオは、長期の
経済見通し等に基づき、専門家による検討の結果として定められています。
一昨年のポートフォリオ変更は、デフレから脱却しつつある
経済状況において、国内債券に偏ったポートフォリオでは長期的に必要な利回りを確保できないという
考え方のもと、専門的検討の結果、
株式等への分散投資をさらに進めたものです。現時点で見直す必要が生じているとは
考えておりません。
また、
運用状況の公表日については、
GPIFの作業日程等により
GPIF自身が決めたものであると承知しています。
政治的な日程を勘案した事実は一切なく、
損失隠しとの批判は全く当たりません。
GPIFでは、本年度から保有資産の銘柄の全面開示に踏み切るなど、情報の開示に積極的に取り組んでいます。
政府としても、引き続き適切な情報開示に取り組んでまいります。
年金の受給資格期間短縮についてのお尋ねがありました。
来年四月に予定していた
消費税率一〇%への
引き上げについては、
平成三十一年十月まで
延期することといたしました。
こうした中で、
年金の受給資格期間の短縮は、現在の法律では
消費税率一〇%への
引き上げ時に行うこととされていますが、無
年金の問題は喫緊の
課題であることから、できる限り
早期に実施すべきであると判断したものです。民主党が主張したから実施するわけではありません。
今回の受給資格期間の十年への短縮で、新たに約六十万人を超える
方々が
年金受給権を得ると見込んでいます。こうした多くの
方々が間違いなく
年金を受給できるよう、その対応に万全を期するため、
平成二十九年八月施行としているものです。
消費税率の
引き上げに伴う
社会保障の充実についてお尋ねがありました。
社会保障の充実については、給付と
負担のバランスを
考えれば、
消費税率の
引き上げを
延期する以上、全てを行うことはできません。また、
赤字国債を財源に
社会保障の充実を行うような無責任なことは私
たちは行いません。
しかし、
安倍政権の子育て
世帯を応援する決意は揺らぎません。
消費税財源を活用して行う
社会保障の充実のうち、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目指した保育、介護の受け皿整備は
予定どおり着実に進めます。また、無
年金の問題は喫緊の
課題です。
年金の受給資格期間の十年への短縮を実行します。さらに、保育士、介護職員などの処遇改善など、一億総活躍プランに関する施策については、
アベノミクスの果実の活用を含め、財源を確保し、優先して実施していきます。
その他の施策についても、優先順位をつけながら、税収の動向や、重点化、効率化の効果を見きわめつつ、今後の
予算編成過程の中で
最大限
努力をしてまいります。
児童扶養手当についてお尋ねがありました。
子供たちの
未来が、
家庭の
経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。
経済的にもさまざまな困難を抱えている一人親
家庭や
子供の多い
世帯には、きめ細かな
支援が必要です。
児童扶養手当の支給対象年齢については、高校
進学率が九割を超え、卒業までの間、実質的に稼得能力がないことを考慮したものであり、その年齢の
引き上げについては、高校を卒業して就職する道を選ぶ方とのバランス等を踏まえる必要があるため、十八歳までとしています。
一方で、
多子加算については、必要な財源を確保し、
子供が二人以上の一人親
家庭の加算額を倍額にする
改正を行いました。第二子の加算額については約三十六年ぶり、第三子以降の加算額については約二十二年ぶりの
引き上げとなります。
今後とも、
子供の貧困
対策に全力で取り組んでまいります。
給付型奨学金についてお尋ねがありました。
既に、ニッポン一億総活躍プランや
未来への投資を
実現する
経済対策を踏まえ、具体的な検討を進めており、
平成二十九年度
予算編成過程を通じて、制度内容について結論を得、
実現いたします。
いずれにせよ、若者の将来が
家庭の
経済事情によって左右されることがないよう、教育費
負担軽減に向けて、スピード感を持って取り組んでまいります。
三十五人以下学級についてお尋ねがありました。
これまでも、全ての
子供たちが世界トップレベルの学力と規範意識を身につけることができるよう、
教育再生実行
会議を設置し、教育内容の改善などに取り組んできました。
今後、
家庭の
状況や障害などの制約を克服し、自信を持って学ぶ環境をつくるため、少人数教育も含めた教職員の指導
体制の充実、教員の資質、能力の向上、専門スタッフなども参画したチーム学校の構築を一体的に推進してまいります。
北朝鮮の核、ミサイル問題についてお尋ねがありました。
北朝鮮の
核実験及び
弾道ミサイルの発射は許しがたい暴挙であり、断じて容認できません。
北朝鮮は、核弾頭の爆発実験を実施したと発表しており、潜水艦からの
弾道ミサイル発射や、三発の
弾道ミサイルを同時に発射し、三発とも
我が国の排他的
経済水域内に着弾させるなど、ことしに入って二十一発の
弾道ミサイルを発射していることと相まって、今回の
核実験は新たな段階の
脅威であります。これに対する対応も、全く異なるものでなければなりません。
北朝鮮に対して、このまま核やミサイルの開発を続けていけば、ますます
国際社会から孤立し、その将来を切り開くことができないということを理解させなければなりません。
我が国は、非常任理事国として、新たな
安保理決議の採択に向け、
米国、韓国、
中国、
ロシア等と緊密に連携しながら、リーダーシップを発揮してまいります。
北朝鮮への物資、資金の流れを厳しく規制する新たな
安保理決議、そして
我が国独自の
措置により、
断固たる対応をとっていく決意です。
核、ミサイル、そして、引き続き最重要
課題である拉致問題に関し、
北朝鮮が問題の
解決に向け具体的行動をとるよう強く求めてまいります。
グレーゾーン事態への対応についてお尋ねがありました。
政府においては、昨年五月、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる
不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動等の発令手続の
迅速化のための閣議決定を行ったところです。
また、警察や海上保安庁など
関係機関において、対応能力の向上、情報共有、連携の
強化、各種訓練の充実など、必要な取り組みを一層推進しているところです。
切れ目のない対応を確保する上で大切なことは、意思決定、判断が迅速的確に行われ、それに従って
関係機関が整々とその役割を果たすことができる
体制をしっかり整えることであります。
その意味において、現下の
安全保障環境において、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない十分な対応に必要な
体制を整備したところであり、現時点では新たな
法整備が必要であるとは
考えていません。
北方
領土問題と日ロ
関係についてお尋ねがありました。
戦後七十年以上を経てもなお平和条約が締結をされていない異常な状態を打開するため、首脳同士の信頼
関係のもとに
解決策を見出していく必要があります。
プーチン大統領との間では、五月のソチにおける
首脳会談で、これまで停滞してきた交渉に突破口を開くため、
未来志向の
考え方に立って、今までの発想にとらわれない新しい
アプローチで交渉を精力的に進めていくことで一致しました。
そして、今月のウラジオストクにて行った通算十四回目となる
首脳会談では、二人で突っ込んだ
議論を行い、交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような手応えを強く感じました。
経済分野では、先般の
首脳会談においては、八項目の協力プランの具体化を含む日ロ協力の現状や今後の見通し等について意見交換を行ったところです。
経済分野を含め、幅広い分野で日ロ
関係を
国益に資するような形で進めていく中で、四島の帰属の問題を
解決して平和条約を締結すべく、引き続き
ロシア側との間で粘り強く交渉に取り組んでまいります。
法の支配を重視する
我が国として、力による一方的な
現状変更の
試みは認められず、この
観点から、ウクライナや
中国との
関係を含め、
ロシアの行動は常に注視しています。
特に、ウクライナ情勢については、私からプーチン大統領に対して、全ての当事者がミンスク合意の履行に向けた
努力を継続することの
必要性を強調しつつ、
ロシアが建設的な役割を果たすよう直接働きかけてきています。
ウクライナのポロシェンコ大統領とは、四月の訪日の際に会談し、今月も国連総会の際に会談を行いました。ウクライナに対してG7と連携しつつ
支援を行っていることは、ポロシェンコ大統領からもG7各国からも高く評価されています。
我が国の対ロ
措置については、今後の情勢を踏まえ、引き続きG7連携を重視しつつ、適切に対応していく
考えです。
対ロ
政策をめぐっては、私自身、オバマ大統領や先般のバイデン副大統領との会談で意見交換をしてきており、引き続き
米国とは緊密な意思疎通を行ってまいります。
憲
法改正についてお尋ねがありました。
憲
法改正は、最終的には
国民投票によって
国民が決めるものですが、まずは、
国会の
憲法審査会という静かな環境において各党が真剣に
議論し、
国民的な
議論につなげていくことが必要と
考えております。
その際、大切なことは、各党がそれぞれの
考え方を示すことであります。
自民党は
草案という形でこれをお示ししているところであり、それを撤回しなければ
議論ができないという御主張は理解に苦しみます。
特定の党の意見への批判を繰り返し、取り下げを求めるのではなく、みずからの
考えをしっかりと
提案した上で
議論を闘わせることにより、初めて建設的な
議論をするようなことが可能になるものと
考えております。
天皇陛下の御公務の
負担軽減等に関する検討の進め方についてお尋ねがありました。
今般設置した有識者
会議は、公務の
負担軽減等について、予断を持つことなく静かに
議論を進めていただく場として開催するものです。さまざまな専門的知見を有する
方々からヒアリングを行い、高い識見を有する
方々に、幅広い意見を反映した提言を取りまとめていただくことを予定しております。
議論を経て一定の方向性が示されれば、それを踏まえ、
政府としてしっかり対応していく
考えであり、
政府が方向性を誘導するということはありません。
また、この有識者
会議では、
今上陛下が八十二歳と御高齢であることも踏まえ、公務の
負担軽減等に絞って
議論していただくこととしております。
まずは、有識者
会議で静かに
議論を進め、一定の段階で与野党も交えた
議論を行うことも
考えております。
残余の質問につきましては、
関係大臣から
答弁させます。(拍手)
〔
国務大臣麻生太郎君登壇〕