○
菅家委員 自民党の
菅家一郎です。質問の機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。
さて、
東日本大震災から五年を経過したわけでありますが、今でも
風評被害は大変深刻であります。
その要因を振り返って考えてみますと、あの
原発事故後、旧政権ではありますけれども、まず、
福島県内の農林水産物のモニタリング
調査をされたわけであります。品目はホウレンソウですね。ホウレンソウが一番
放射性物質が吸収されるということでありますから、これを実施された。
当時は暫定規制値、これは三月十七日に設定されて、それ以降だと思うんですが、この
福島県内の農林水産物、ホウレンソウをモニタリングした。しかし、きめ細かな
調査ではないんですね。限られたポイントで
調査される。会津
地域におけるサンプリングはないんですね。その結果が、五百ベクレルを超えたということになったんですね。
しかし、対応が問題ですね。このホウレンソウが出荷並びに摂取制限だというならわかるんですけれども、
福島県内にある全ての農林水産物を、ホウレンソウ以外もそうですよ、対象にしたわけですね。
福島県の農林水産物はだめですよ、これで実はやはりみんな大変ダメージを受けたわけですね。これを知った国民は、
福島県の農林水産物はだめになったというふうに受けとめるんじゃないですか。
それで、会津でも、これはモニタリングしていないわけですから、モニタリング
調査を実施したわけです。当時の五百ベクレル、全てが範囲内だったんですね。ああ、よかったと。だけれども、一方的に
福島県のものはだめですと出された後に、いや、ここは大丈夫ですと言っても、ダメージを受けるのは当然じゃないですか。
だけれども、我々はやはり実際の規制値以下だというものを証明しなくちゃならない。マスコミを呼んで安全宣言もしたんですよ。会津
地域の農林水産物は安全ですよというふうにしたんですが、やはりそういうスタートから始まっていますから、大変なる
風評被害が発生したということですね。これも私は要因の
一つかなと今でも思っているんです。
福島県産品はだめだという不安ですね。
次は、実は食品中の
放射性物質の基準値の設定にあるのではないかと思うんです。
資料一を見ていただきたいと思うんですが、当初は暫定規制値五百ベクレル、これが、新基準値は百ベクレルに実は見直しをされたわけであります。
放射性物質を含む食品からの被曝線量の上限を年間五ミリシーベルトから年間一ミリシーベルトに引き下げたことを踏まえた規制値、新基準値が示されたわけであります。
資料二をごらんになっていただきますと、これは
世界との比較で、皆さん御承知のとおり、一般食品を例にとれば、
日本は百ベクレル、コーデックスは一千ベクレル、EUは一千二百五十ベクレル、米国は全ての食品が一千二百ベクレルなんですね、
世界の基準が。
日本は十分の一じゃないですか。
ですから、いわゆる当初の暫定基準値の五百であっても、
世界の基準からすると半分か半分以下ですから、全く問題のない数値であった、私はそう思っているんです。
平成二十三年四月四日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の食品中の
放射性物質に関する当面の所見というのがあるんですが、これでも、
現状においてはこの暫定規制値を維持すべきものと考える、このように言っているんですね。
しかし、この新基準値を見直すに当たりまして、資料三をごらんになっていただきたいと思うんですが、ここで、モニタリング検査から得られている実測値や流通食品に輸入食品が多く含まれる実態から、流通する食品の汚染割合を、一般食品については五〇%であると仮定したということが述べられているんですね。
これは、
日本の自給率が四五%ということを踏まえますと、国内の農林水産物は残りですから、全てが汚染されているということを前提。これはあり得ないですよね。国内で生産された農林水産物は全て汚染されているんだという前提で五〇%にしているわけですね。これはあり得ない前提で、とんでもなく厳しい計算式で基準値を示しているとしか言いようがありません。あり得ないと思っている。これが百ベクレルになった根拠になるんですね。
平成二十四年四月三日の参議院予算
委員会で、山田俊男議員の質問に、旧政権、民主党政権の当時の小宮山洋子
大臣は、放射線の線量が低下している
現状の中から、この基準、つまり新基準ですね、百ベクレルでやってもほとんどの農作物には影響がないという中でこういう基準を安全プラス安心ということでつくらせていただいた、このように答弁しているんですね。
こういう認識なんですが、実は、先ほど申し上げた、ホウレンソウでやられた暫定規制値、だから地元でもモニタリングをやろうということで、当然、会津でも農林水産物のモニタリング
調査を独自に実施したわけです。当然これはホウレンソウも入っているんですけれども、しかし、全てが五百ベクレル以下だったんです。これで、やはりマスコミを呼んで安全宣言をしたんですよ、ああ、よかったと、みんなほっとして。
だけれども、事前にだめだと言われていますから、
風評被害の中での戦いなんですね。戦ってきた。だけれども、それでみんなで頑張ろうと思っていた。しかし、新基準値百ベクレル、先ほど申し上げたような見直しをされた。これによって、やはりもう一回モニタリング
調査が実施されるわけですね。
会津
地域においては、
福島県もそうですけれども、大事な食品は何とか免れた食品もあるんですけれども、しかし、キノコとか山菜とか、川魚は例えばワカサギなんか、今までは大丈夫だったのがだめ。イワナとかヤマメなんかだめだめ、山菜もだめというのが新聞に載るんですよ、見出しで。何々が基準値を超えました、出荷並びに摂取制限ですと書かれるんですよ。これが出されれば出されるほど当然ながらダメージを受け、
風評被害に実はつながってきた。まさに認識が全く違っていたのではないか。
このような
状況が、ある
意味では現在の
風評被害につながっている要因だと私は思うんです。そして、それが農産物の膨大な損害賠償につながったというのは、このような対応によって引き起こされたものであると私は
指摘をしておきたい、このように思うわけであります。非常に残念だったというふうに思うわけであります。
そのような御
指摘をさせていただいて、質問をさせていただきたいと思います。
まず、第一
原発事故で
福島県から自主
避難した
生徒への
いじめですね。これもいわゆる
風評被害の
一つだと思うんですね。
ここで私が気になるのは、
横浜、新潟もそうなんですけれども、
避難児童が名前に菌をつけて呼ばれた。複数の児童から
いじめを受けて不登校になった。ただ、
子供たちだけではなく
先生も
いじめていたというのに実は私は大変なショックを受けたんですね。
いわゆる新基準によって
世界一安全だ、そして、資料四で見ていただけますように、
環境放射線量も、これは
世界の比較ですね、ソウルとか台北あるいはシンガポールなどと比べますと、
福島県内のモニタリングの
調査で、同じか低いわけですね。
だから、
福島県が不安だといったって、このような
世界的なデータをしっかりと伝えてあるのか、あるいは、資料一のような全く問題のない安全な基準値で取り組んでいるんだ、
世界の比較もそうですね、こういったものが伝わっていないのではないか、これは大きな問題だと私は思うんですよ。
ですから、
避難児童が通っている
学校ぐらいは優先して、やはり教職員ですよ。
子供、
子供もいいけれども、
先生が
いじめているわけですから。やはり教職員、
先生方のセミナーとか研修会とかそういったものをして、実際の今の安全対策であったり放射線対策であったり、食品も含めた
環境放射線量、この辺の資料ぐらいはしっかりと研修してまず
先生方に伝えるべきではないか、このように思いますとともに、当然、やはり児童、
子供たちにも放射線
教育、こういったことに取り組んでいることをしっかりと
教育すべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。