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2016-11-01 第192回国会 衆議院 総務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年十一月一日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       赤枝 恒雄君    池田 道孝君       金子万寿夫君    金子めぐみ君       神谷  昇君    川崎 二郎君       菅家 一郎君    小林 史明君       新藤 義孝君    鈴木 憲和君       高木 宏壽君    谷  公一君       土屋 正忠君    冨樫 博之君       中谷  元君    長坂 康正君       野中  厚君    三ッ林裕巳君       武藤 容治君    宗清 皇一君       山口 俊一君    山口 泰明君       青柳陽一郎君    逢坂 誠二君       黄川田 徹君    近藤 昭一君       高井 崇志君    武正 公一君       福田 昭夫君    稲津  久君       梅村さえこ君    田村 貴昭君       足立 康史君    吉川  元君       長崎幸太郎君     …………………………………    総務大臣         高市 早苗君    総務大臣        原田 憲治君    内閣大臣政務官     武村 展英君    総務大臣政務官      金子めぐみ君    総務大臣政務官      冨樫 博之君    財務大臣政務官      杉  久武君    文部科学大臣政務官    樋口 尚也君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 嶋田 裕光君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君    政府参考人    (警察庁生活安全局長)  種谷 良二君    政府参考人    (総務省自治行政局長)  安田  充君    政府参考人    (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君    政府参考人    (総務省自治税務局長)  林崎  理君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 井上 裕之君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君    政府参考人    (厚生労働省雇用均等児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長)       山本 麻里君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君    総務委員会専門員     佐々木勝実君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   大西 英男君     赤枝 恒雄君   谷  公一君     神谷  昇君   鈴木 克昌君     福田 昭夫君   高井 崇志君     青柳陽一郎君 同日  辞任         補欠選任   赤枝 恒雄君     三ッ林裕巳君   神谷  昇君     野中  厚君   青柳陽一郎君     高井 崇志君   福田 昭夫君     鈴木 克昌君 同日  辞任         補欠選任   野中  厚君     谷  公一君   三ッ林裕巳君     大西 英男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣大臣官房審議官嶋田裕光君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、生活安全局長種谷良二君、総務省自治行政局長安田充君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、財務省大臣官房審議官井上裕之君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、厚生労働省雇用均等児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君及び環境省大臣官房審議官室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 竹内譲

    竹内委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。  この際、足立康史君の質疑に先立ち、前回総務委員会における足立君の行為に関しまして、委員長として一言申し上げます。  十月二十七日の総務委員会では、当日の朝の理事会において、足立君の申し出により、社民党吉川元君と質疑時間を交代することを急遽認めました。それにもかかわらず、足立君は、理事会で合意した時間に委員室にあらわれず、予定されていた質問自己都合で取りやめました。このようなことは前代未聞であり、委員長としてまことに遺憾であります。  委員会における質問は、国民からの負託を受けた国会議員に認められた権利であるとともに、重要な責務でもあります。  また、委員会は公式の会議であるため、その発言会議録として永久に残るものであります。  委員からの質問に答えるため、多くの関係者が時間と労力を費やして準備し、委員室にいる全員が時間を確保した上でこの委員会に臨んでおります。  前回委員会において足立君が招いた事態は、委員長としては、総務委員会そのものを軽んじていると言わざるを得ません。二度とこのようなことがないよう、足立君には猛省を促すとともに、厳重に注意を申し上げます。  それでは、足立君にこの点に関して発言を求めた上で、質疑に入ります。足立康史君。
  5. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  今、竹内総務委員長の方から、厳重注意ということでお話をいただきました。  十月二十七日の当委員会における私の質疑については、皆様もよく御承知のとおり、憲法審査会幹事懇と時間が重複をしていたために、この総務委員会委員としての職務とバッティングするものですから、社民党吉川委員にも労をとっていただいて、事前に時間をひっくり返して、もともと二十分、憲法審査会幹事懇が仮に二十分を超えても対応できるように、もうちょっと言うと、五十分までは両方の職務を両立しながら全うできる、こういうことで、吉川委員の御協力を、御高配をいただきながら、万全を尽くして準備をしておったところでございます。  しかしながら、予期せぬというか、想定を超えて、憲法審査会段取りが八十分という異例の長丁場となったために、この総務委員会への出席がかないませず、その結果、竹内委員長を初め委員各位、また高市総務大臣初め政府関係各位、院の事務局皆様にも大変お手数をおかけしたことは、御迷惑を、委員長初め委員各位そして大臣初め政府皆様に御迷惑をおかけいたしました。今後は、こうしたことがないように、一層、総務委員長初め理事皆様との連携を深めてまいりたいと思います。  ただし、今、委員長の方から自己都合というお話がありました。憲法審査会は、皆様承知のとおり、一年半ぶり再開をされるものでございまして、これは日本の国益にとって大変重要なものでございます。一方で、竹内総務委員長のお立場からすれば、さっきおっしゃったように厳重注意をいただく、これは私も理解できるところでありますが、私の立場からすれば、これは憲法審査会が一年半ぶり再開をされるというときに、その段取りを決める、そのテーマを決める、その時間を決めるところから抜けること相かなわなかった。これはぜひ、同僚の皆様方にも御理解をいただきたいと思います。  また、総務委員会そのもの……(発言する者あり)何か問題ありますか。
  6. 竹内譲

    竹内委員長 足立委員に申し上げます。  後日、この点につきましては理事会協議をしたいと思いますので、質問に移ってください。(足立委員「では、一言で終わります、一言で。委員長一言で終わります」と呼ぶ)ちょっと待ってください。今協議中です。(足立委員報道関係だけちょっと訂正させていただきます、報道関係だけ」と呼ぶ)  速記をとめてください。     〔速記中止
  7. 竹内譲

    竹内委員長 速記を起こしてください。  委員長から申し上げます。  ただいまの、委員会運営に係る重要な事項でございますので、ただいまから理事会を行いたいと思います。  そのため、委員会暫時休憩といたします。     午前九時十分休憩      ――――◇―――――     午前九時三十八分開議
  8. 竹内譲

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。  足立君に陳謝を求めます。足立君。
  9. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  改めて整理をいたしまして、発言をさせていただきたいと思いますが、十月二十七日の総務委員会、これにつきましては、私も、憲法審査会委員でもありますが、総務委員でありますので、その総務委員としての立場から申し上げれば、これは本当に、憲法審査会幹事懇を優先し、事前調整もいただいて質問時間を確保し、また御準備もいただいて、また待機もいただいておりました竹内委員長初め委員各位、それから高市総務大臣初め政府関係者皆様に、改めて深くおわびを申し上げたいと存じます。  なお、けさの報道でも、私が何か無断で欠席したとか、あるいは差しかえ等の調整通告、これを何かしなかったんだとか、こういうことがもう報道されています。これについては、もう既に、理事各位、御理解いただけていると思いますが、そういうことではなくて、無断でもありませんし、いろいろな通告、御調整もさせていただいた結果であると。  ただ、いずれにせよ、委員として、本当に皆様に御負担をおかけした、御迷惑をおかけしたことについては改めておわびを申し上げたいと思います。  また、今後、このようなことがないように、委員長初め理事各位としっかり緊密に連携をとらせていただいてまいりますので、ぜひ引き続き御指導のほどお願いをいたしたいと思います。  では、引き続いて質疑に入らせていただきます。  前回も、本当に申しわけなかったんですが、大変重要な委員会だということは承知をしています。国会は全て重要でして、憲法も重要、でも、総務委員会も負けじ劣らじ重要ですので。特に、今回の法案審議消費税の問題をずっとやっているわけです。きょう、財務省にもお越しをいただいています。  私たちは、先ほど理事会で申し上げましたが、今回の法案、反対します。最大の理由は、やはり三十一年という次の増税の時期を決めていることです。日本維新の会は、消費税については凍結だ、こう言っているわけですね。  財務省、六月一日に安倍総理が、申し上げれば、これは新しい判断だと。新しい判断だということで、増税延期を決められました。すると、三十一年にも改めてもう一度、二回目の新しい判断、あるいは三回目の判断になりますね、二回目の新しいの、だから、これはあると思いますが、そういうことでいいですね。
  10. 杉久武

    杉大臣政務官 お答え申し上げます。  消費税率の一〇%への引き上げは、国民安心を支える社会保障制度を次世代へ引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要なものであり、二〇一九年の十月には引き上げを実施いたします。  政府といたしましては、二〇二〇年度にプライマリーバランス黒字化実現するという財政健全化目標を堅持しております。その実現に向けて、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針もと民需主導経済の好循環を確実なものとすることを通じ、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引き上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期していることとしております。  したがいまして、御指摘のような引き上げ延期判断を行うことは想定しておりません。  以上です。
  11. 足立康史

    足立委員 前回、新しい判断をする前と、今、杉政務官がおっしゃったことはほぼ同じ構造で、前回も考えていないんだけれども、新しい判断をされたわけです。同じ政権です。この同じ政権が同じロジックで、前回判断を新しい判断で上書きしたわけですから、同じロジックを適用すれば、これは否定できないと思いますが、なぜ否定できるんですか。
  12. 杉久武

    杉大臣政務官 御指摘の点は、参議院選挙前に安倍総理判断をされた経緯だと思われますが、その点につきましては、総理は、従来の説明と異なるのではないかという批判も受けとめて、国政選挙である参議院選挙を通じて国民の信を問いたいとし、選挙の結果、国民の信任のもと連立与党としての安定した政治基盤をいただいたところでございます。  いずれにしましても、社会保障の充実、安定化財政健全化観点からは、消費税率一〇%への引き上げが不可欠でございます。政府としては、経済財政運営に万全を期し、二〇一九年十月の確実な引き上げに向けて力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  13. 足立康史

    足立委員 政務官であれば、もう少し踏み込んでいただけると思いましたが、残念ですが、仕方ないので、また財務大臣あるいは安倍総理質問してまいりたい、こういうふうに思いまして、この話は終わりにしたいと思います。  さて、そういう、まさに今、杉政務官がおっしゃったように、日本経済をしっかりと発展させていくことが極めて重要、そのために、私たち日本維新の会は、かつて自民党政権で国鉄を民営化し、道路公団民営化し、電電公社民営化する、そういう大きな民営化の流れで日本経済をここまで引っ張ってきた、こう私は思っていますよ。そうであれば、今これから、我が国経済発展に向けて一番大事なのは、これは地方公営企業ですよ、地下鉄。  原田大臣、これは、地方自治法規定、おかしいと思いますが、いかがですか。
  14. 原田憲治

    原田大臣 公の施設のうちに、条例で定める特に重要な公の施設というのが大阪の地下鉄ということで、位置づけをされておると思います。
  15. 足立康史

    足立委員 私がおかしいと言っているのは、もう御承知だと思いますが、三分の二の特別多数議決を二分の一で外すことができるという今の地方自治法の体系は、三分の二という特別多数議決規定が有名無実化しているんじゃないかということです。いかがですか。おかしくないですか。
  16. 原田憲治

    原田大臣 失礼しました。  どの施設を特に重要な公の施設として特別多数議決の対象とするかは、地方自治法で定めるものではなくて、各地方公共団体条例で定めることといたしております。  特別多数議決制度のあり方については、御党提出法案を含め、さまざまな御議論があるものと承知をしております。住民利用権を尊重する観点から、地方公共団体意見等も踏まえた十分な検討が必要である、このように思います。
  17. 足立康史

    足立委員 今のような答弁では、副大臣にお願いしなくても局長さんにお願いしたらいいので、ちょっと次回、また引き続きこれは詳細をやりますが、時間が来ましたので質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  18. 竹内譲

    竹内委員長 次に、武正公一君。
  19. 武正公一

    武正委員 おはようございます。民進党の武正公一です。  法案についての質疑を行わせていただきます。  この税制抜本改革法案総務省法案をいただきますと、冒頭には、「世界経済不透明感が増す中で新たな危機に陥ることを回避するためにあらゆる政策を講ずることが必要となっていることを踏まえ、」ということで、消費税についての延期二年半、これを法案の骨子として、それに伴う関連税制などが盛り込まれた法案であります。  総務大臣に伺いますが、この法案を御提出されておりますが、「世界経済不透明感が増す中で新たな危機に陥ることを回避するため」、この現状認識はいかがなものか、伺わせていただきたいと思います。
  20. 高市早苗

    高市国務大臣 消費税率一〇%の引き上げにつきましては、安倍総理大臣が先般答弁されていたとおり、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生デフレ脱却に向けた取り組みに万全を期すべきであることから、その引き上げを二年半延期することとし、今回の法案提案理由についても、私からその趣旨説明したところでございます。  引き続き、世界経済の見通しは不透明で、減速リスクが懸念される中、消費税率一〇%への引き上げに向けて、地域に働く場と雇用を生み出し、地域住民皆様景気回復を実感していただけますように、先般成立した第二次補正予算や今後の予算編成を通じまして、地方創生地域経済の好循環の確立を図るために努力をしてまいります。
  21. 武正公一

    武正委員 そもそも消費税は、平成二十四年に、当時の民主党、自民党、公明党の三党合意で、社会保障と税の一体改革社会保障財源を手当てするとともに、将来の税収を当てにした先食いという点を正すために、財政再建のためにというようなことでスタートした法案でございます。  当初の平成二十七年十月一日を延期し、また来年の四月一日を再延期するということでありますが、平成二十七年十月一日の延期のときには、総理からは、再び延期することはない、リーマン・ショック級大震災級事態が発生しない限り、予定どおり、来年四月から一〇%に引き上げると繰り返し約束してきた。来年四月というのは平成二十九年四月であります。  こういった中で、なぜここで延期をするのか、ちょっと今の説明では腑に落ちないんですが、こういうふうに言い切った、そしてまた、景気条項も取っ払って、必ず増税をするんだというふうに言い切って衆議院選挙前回臨んだわけでありますが、それこそ、改めて総務大臣に御認識を伺いたいと思います。
  22. 高市早苗

    高市国務大臣 まず、世界経済リスクにつきましては、中国を初め新興国等景気の下振れによる我が国景気下押しリスクや、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まりなどが考えられると存じます。  また、先ほど内需についても申し上げましたが、十月末の発表におきまして、消費者物価指数について、九月の全国生鮮食品を除く総合は、前年の同じ月に比べ〇・五%の下落全国二人以上世帯の九月の消費支出は、一年前に比べ実質二・一%の減少となっています。  他方、有効求人倍率は一・三八倍、失業率も三%、また、二人以上勤労者世帯の実収入は一年前に比べ実質二・七%増加ということで、私は、アベノミクスの効果は出つつあるけれども、雇用所得は改善したものの、まだ物価下落消費減少が見られるといった状況であるということから、やはり社会保障財源は本当に必要なものに絞り確保しつつも、消費税率引き上げ時期について、柔軟に先送りする判断をされたものだと考えております。
  23. 武正公一

    武正委員 これは、総理も、公約違反ということは真摯に受けとめると言っておられますが、前回衆議院選挙の際に、次回は必ず上げるんだということを言って衆議院選挙に臨んだ政府与党からすれば、これは公約違反ということでよろしいでしょうか。
  24. 高市早苗

    高市国務大臣 そこは率直に認めざるを得ないと思います。  ただ、経済は生き物でございます。成長を確かなものにするために、本当に苦渋の決断であったろうと思います。
  25. 武正公一

    武正委員 一方、政権安倍政権にかわって四年になるわけですし、黒田日銀総裁も就任をして三年半。過日、異次元の金融緩和についても、八十兆円の国債消化なども含めて、方向転換と言われるような見直しが行われております。  また、今の総務大臣発言からすれば、経済がなかなかうまくいっていないということを触れられておりますので、世界経済不透明感理由に持つ消費税延期法案ではなくて、国内経済がうまくいっていないから、そして、政府与党の、今お話があったアベノミクスがやはりうまく回っていないから消費税延期せざるを得ない、これが法案提出趣旨ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 高市早苗

    高市国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、有効求人倍率が一・三八倍、失業率が三・〇%、二人以上勤労者世帯の実収入は一年前に比べ実質二・七%増加ということで、雇用環境そして所得については改善をしつつあるという状況でございますけれども、残念ながら、収入がふえてもなかなかそれがまだ消費に結びついていないという、この現実だけはしっかりと直視をしなきゃいけないと思います。  要因はさまざまあるんでしょうけれども、やはり将来に対しての安心感をしっかりとこれから築いていかなきゃいけませんし、そして、今、就職ができてやっと働き始めた方々がこれからも仕事が続けられる、そういう環境もつくっていかなければならないと思います。  やはりアベノミクスの成果を地方の隅々にまで行き渡らせられる、そういう状況が来るまで、柔軟な判断というものはあり得る、考えられると思っております。
  27. 武正公一

    武正委員 やはり、日銀黒田総裁見直しも含めて、四年を経たアベノミクスが行き詰まって方向転換を余儀なくされているという現状から、消費税、来年四月の引き上げ延期せざるを得なかったというふうに言わざるを得ないと思うんですね。  そこで、総理が六月一日に記者会見をした折には、やはり五月二十七日のG7首脳宣言を踏まえて記者会見をされたというふうに受けとめますが、G7首脳宣言では、債務残高GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長雇用創出及び信認を強化するため我々の財政戦略を機動的に実施し、及び構造政策を果断に進めることに関し、G7が協力して取り組むことを強化することの重要性について合意すると。これがあっての、首脳宣言があっての記者会見と受けとめますが、やはりG7でも、財政再建については引き続き持続可能な道筋に乗せることを確保しつつというふうに言っているわけであります。  今回の二年半の延期によって、果たして、既にもう内閣府から発表がありますように二〇二〇年のPBは五・五兆円の赤字ということで、国際公約を守れないという発表がされたわけですが、これがさらに後退をする懸念は強まると思いますが、御認識を伺いたいと思います。
  28. 高市早苗

    高市国務大臣 政府としましては、消費税率引き上げ延期された中にあっても、二〇二〇年度にプライマリーバランス黒字化実現するという財政健全化目標を堅持していくこととしております。そのために、経済再生なくして財政健全化なしという基本方針もとで、未来への投資を実現する経済対策を初めとする強い経済実現を目指した取り組みをしっかりと進めていくこととしております。  その際ですけれども、地方歳出の大半が法令等により義務づけられている経費や国の補助事業であることから、国の法令補助金制度等見直しを行うことも必要だと考えています。  政府においては、経済財政再生計画の枠組みのもとで、社会保障改革も含めて、重点化効率化など、歳出改革取り組みも進めてまいります。
  29. 武正公一

    武正委員 今のところ五・五兆円赤字というふうに内閣府は見ておるんですが、プライマリーバランスはこのままでは守れません。  これについては、国、地方あわせての財政再建でありますが、総務大臣としては、どのようにこのプライマリーバランスをクリアするために手だてを考えておられますか。
  30. 高市早苗

    高市国務大臣 今御指摘がありましたように、地方財政というところにも目をしっかりと向けなければなりません。  アベノミクス取り組みもとに、地方財政におきましては税収回復基調にございます。それによって財源不足縮小傾向にあるんですけれども、それでも、平成二十八年度においてはなお五・六兆円もの巨額の財源不足が生じていますし、地方の借入金の残高は約二百兆円という状態でございますから、地方財政健全化を進めるということも喫緊の課題だと考えています。  このため、歳入面では、先ほど来申し上げていますようにアベノミクスの成果を全国各地に行き渡らせて地方税収の増を図るということとともに、歳出面では、めり張りをつけて歳出構造を見直すということで、財務体質を強化するということが必要だと考えております。
  31. 武正公一

    武正委員 今、地方の累積債務二百兆円に触れられましたが、国も一千兆円ということで、二〇二〇年PBは堅持をするというお話でしたが、その具体像が見えないだけでなく、こうした長期の累積債務をどうするのかといった観点からは、今回の二年半の消費税延期というものはさらにそれが悪化をすることになりますので、言っていることとやっていることが違うんじゃないかなというふうに思いますし、国全体を挙げて、地方も含めた財政再建取り組みは、確実にこの四年間後退をしていると言わざるを得ません。  それは、社会保障・税一体改革法案が二度にわたって延期をされていることに如実にあらわれているというふうに思うんです。  そこで、社会保障支出、来年四月から、自治体はみんな当てにしているわけですね。消費税が一〇%に上がる、それに伴って、既に質疑の中でも、一・七兆円の税収、これを当て込んで社会保障の支出をもう既に計画しているわけでありますが、その財源の手当てをどうするのかということが問われてこようかというふうに思っております。  特に、全国知事会からは、「平成二十九年度税財政等に関する提案」ということで十月に要望がされておりまして、「消費税地方消費税率の引上げによる増収分は、子ども・子育て支援や医療・介護の充実に向けた施策の実施等の社会保障の充実や安定化などに充てることとされており、税率引上げの再延期により、これらの施策は税率引上げまでその財源を失うことになる。」「財政措置を確実に講ずるべきである。」ということで要望が出ておりますが、総務大臣として、こうした消費税引き上げ延期に伴う財源の確保、地方自治体が特に社会保障で予定をしている財源の確保をどのように担保されるでしょうか。     〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
  32. 高市早苗

    高市国務大臣 地方交付税を含めた消費税引き上げ時期の延期による地方の減収額については、平年度でおよそ一・七兆円と見込まれます。  社会保障の充実施策につきましては、消費税率引き上げ時期の延期に伴い、消費税率一〇%段階で実施する予定であったものを全て実施することは困難だということで、見直す予定はございます。その具体的な見直しについては、今後、予算編成過程で検討されることになると認識していますので、その際には、地方負担分も含めて、所要の財源を確保するということが必要だと考えております。  いずれにしましても、この消費税率引き上げ時期の延期に伴って、予定されていた引き上げ分の地方消費税収等の歳入は得られなくなりますけれども、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるように、年末の地方財政対策において、地方交付税を初めとした地方の一般財源をしっかりと確保できるように、私なりに精いっぱい取り組んでまいりたいと存じます。
  33. 武正公一

    武正委員 そういう中で、先週、財政審で、地方交付税圧縮、こういった指摘があったわけでございます。  先ほど総務大臣も言われたように、リーマン・ショックで激減をした税収、そしてまた交付税、これに対して、ちょうど二〇〇九年に政権交代をして、二〇一〇年の地方交付税は前年比一兆円上積みをしたなど対策を講じてきた。そうした交付税も、毎年減額をしてまいりました。これは、税収が上振れて、先ほど総務大臣が言ったように、確実に地方も、そして、逆に、地方の中でも偏在がありますけれども、税収がふえていった。こういった中で交付税が減ってきたわけでございます。  ただ、来年度の概算要求では七千億円の増ということで、財政審からはこれを削るようにというような指摘が出ている。その理由というのは、一般財源を確保しよう、これは、これまでそうしたリーマン・ショックなどもあった中で、毎年地方財政計画で求めてきた基本姿勢の中で、前年度の繰越金が二十八年度は一・三兆円あったんですが、このままでは二十九年度は繰越金がないといったことでの一般財源総額の確保ということから、国と地方で折半でこの七千億の増といったことが出ている。  しかし、これでは国、地方を合わせた全体での財政バランスからは難しいという指摘が出たわけですが、この指摘についてどのようにお答えになりますでしょうか。
  34. 高市早苗

    高市国務大臣 十月二十七日に開催された財政制度等審議会で、財務省が、地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度上回っているという試算を提示して、この試算をもとに地財計画の精査、見直しを進めるべきだという主張を行ったということは承知しています。  この地財計画は、翌年度の標準的な歳入歳出の見込み額でありまして、決算額とは異なり、超過課税や法定外税による歳入、標準的な水準を超える歳出、年度間調整のための基金からの繰り入れ、積み立て、前年度からの繰越額及び翌年度への繰越額、年度途中の補正予算に伴う歳入歳出などは計上されていません。  したがって、地財計画を決算と比較するためには、計画額と決算額のそれぞれについて調整を行う必要があるんですけれども、今回財務省が試算した調整方法には疑問がございます。  例えば、平成二十五年分の財務省の試算におきましては、計画額が決算額よりも〇・六兆円程度過大であるとしていますけれども、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、〇・六兆円程度は地財計画に計上されている非常勤職員分の歳出でございますから、これを控除することは妥当ではございません。  また、基金からの取り崩し分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除していますが、基金からの取り崩し分のうち、〇・五兆円程度は通常収支分の対象とならない東日本大震災に係る市町村の取り崩し分でございますので、控除することは妥当ではございません。  こういった二つの要因を調整するだけでも、地財計画の歳出規模が決算規模を〇・五兆円程度下回ることとなります。  なお、総務省においても、この計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行って地財計画の歳出規模と決算額を比較しておりますけれども、近年では、地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度下回っていると試算をしています。  ですから、いずれにしましても、これは、年末の地方財政対策に向けて、地方団体が地域に必要な行政サービスを提供しながら安定的な財政運営を行っていけるように、経済財政再生計画も踏まえて、一般財源総額を適切に確保してまいります。  財務省の試算については、私はとても納得できるものじゃないと考えております。
  35. 武正公一

    武正委員 たしか、基金が積み上がっていることも指摘があったと思います。  これは、今社会保障も含めてかなり地方団体は基金を増額しているということは大臣も御承知だというふうに思いますが、この指摘に対してはどのようにお答えになられますか。
  36. 高市早苗

    高市国務大臣 近年、地方税収の決算が上振れしている状況にありますけれども、長期的に見れば、上振れも下振れもあって、相殺されております。  また、地方税収の決算額が計画額を上回っている場合に財政調整基金への積み立てを行っておくことは、財政運営の年度間調整観点からも妥当な対応だと考えています。  地方財政審議会でも、このような意見がなされております。
  37. 武正公一

    武正委員 これは政府内のやりとりでもありますので。私も、先ほど触れた内閣府のプライマリーバランス見通しなどを見ても、先ほど触れた二〇〇九年政権交代時に地方交付税一兆円増額など地方に手厚くやってくる中で、国と地方を見た場合に、長期的に見ると、やはり国の財政地方財政でいうと地方財政の方が余力があるといったことは、内閣府の試算でも正直出ております。  ですから、国、地方あわせてどうやって、全体として、一千兆円の国の借金、二百兆円の地方の借金、この財政再建を行っていくのか、こういった議論の中で、今の議論も内包されるのではないかというふうに思います。その全体像がない中で、今進められている中での話ではないかということは、今回の税制抜本改革法案趣旨説明からも同様のことが言えるのではないかというふうに思います。  そこで、資料の方も用意をしてまいりましたのでごらんいただきたいんですが、国債の格付、これが今、大体Aということで、場合によっては、フィッチ・レーティングスなどは、高い信用力、デフォルトリスクが低いと予想していることを示すということのAを、さらに弱含みということで、Bに下がるのではないのかという懸念がございます。  二ページには、地方債、これもほぼ同様の、なぜかフィッチが総務省の資料にはないんですが、フィッチではAでありまして、それがBに落ちるというぐらい、今、国債の格付は低いランクにあります。  国債格付を政府に問うと、これは民間の格付会社だからそれはいろいろあるでしょうのような答弁がよくあるんですが、やはり大変大きな影響があることは総務大臣も御認識だと思います。すなわち、地方債にも当然連動する。地方での財政、資金繰りなどに影響があるわけでありますし、当然金利が上がれば利払いがふえるわけでございます。  一ページにあるように、マイナス金利ですから、どんどんと地方債の利払いは下がっています。ただ、問題は、国債とのスプレッド、差でありまして、これは拡大をしているわけです。ですから、国債はそれなりの利率を維持するけれども、地方債は利率が高いという、このスプレッド、差が拡大をしているというのもやはり懸念であります。  先ほど来、財政の話、そしてこの法案との関係ということで議論をしておりますが、こうした地方債に与える影響、マイナス金利、あるいはまたそうした財政状況、これは総務大臣として御認識はいかがでしょうか。
  38. 高市早苗

    高市国務大臣 平成二十八年二月の、日本銀行におけるマイナス金利つき量的・質的金融緩和の導入に伴いまして、債券市場全般における金利が低下する中で、地方債の利回りも低下してきております。  十年物国債等の利回りがマイナスであるのに対して、地方債の利回りはプラスとなっていますから、結果として、地方債の国債利回りに対する上乗せ幅、スプレッドは高水準で推移をしています。国債は日本銀行が買い入れていて、利回りがマイナスとなっていますけれども、地方債は民間が引き受けていますから、マイナスとはならないけれども、非常に低い利回りとなっております。  先ほど格付のお話もございましたが、地方債の格付に対する影響については、本年二月以降、一部の格付会社において、格付そのものではなくて、格付のアウトルック、見通しについて、国と連動する形で変更された例があるということは承知をいたしております。
  39. 武正公一

    武正委員 こうしたマイナス金利の影響は、あわせて、地方で自治体のさまざまな財政を預かる金融機関にも当然影響が出てこようかというふうに思います。  地域銀行の平成二十八年六月期決算の概要及び二十九年三月期決算の見通し、これを金融庁からいただきましたが、二十八年六月期では、前年同期比マイナス一九・九%ですね、当期純利益。二十七年六月に比べてマイナス二〇%地域銀行の決算が落ちている、当期純利益ですね。  それから、二十九年三月期見通し、当期純利益合計ということで、地域銀行合計、これは通期計画を公表していない一行を除く百五行ベースで集計をしている。これでいきますと、二十八年三月期実績が一兆一千六百二十三億円の純利益に対して、二十九年三月期は通期計画で九千三百八十四億円ということで、これも二千二百三十九億円純利益が落ちるというふうに予想されております。  それぞれ、地域の金融機関が地方自治体の財政あるいは金融等を預かる団体として機能していることに鑑みると、特にこの六月期決算の二割の落ち込み、そして、来年の三月期決算予想で二千億を超える落ち込み、これはやはりマイナス金利の影響というふうに言わざるを得ないんですが、これについては同様の御認識でしょうか。     〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 高市早苗

    高市国務大臣 マイナス金利のいわゆる指定金融機関、都道府県や市町村の指定金融機関に対する直接の影響については私はお答えする立場にはないと思いますけれども、それでも、地方公共団体における安定した財政運営を確保するという観点から、指定金融機関が地方公共団体の資金調達先及び運用先としての役割を安定的に果たしていただくということを期待しております。
  41. 武正公一

    武正委員 直接的な所管ではないと言われますが、今言われたように、指定金融機関、自治体にとっては大変大事な役割で、日々の資金繰りであったり、当然、共同債など地方債も自由化、緩和、今これだけ資金需要が潤沢ですので、そうした債券の発行なども苦労もしない、そして資金調達も可能であるかもしれませんが、先ほど総務大臣が言われたように、いつ経済環境というのはまた激変していくかわかりません。  金利が上振れて、そしてまた、さまざま資金需要が逼迫をする自治体というのが出てくる可能性は当然あるわけですので、この指定金融機関の経営が非常に厳しくなってくるということは、自治体にとっても、そしてそれを所管する総務省にとっても人ごとではないということで、やはり先ほど触れましたアベノミクスの三つの矢、異次元の金融緩和見直しをしておりますが、このマイナス金利の金利幅は、さらに拡大を総裁は示唆しております。非常に懸念を覚えます。  そして、第二の矢の財政出動は限界に来ている、これは財政再建をさらに遠のかせるような今回の法案といったことも含めて。  そして一方、構造改革成長戦略、これがやはりうまく機能していないということで、アベノミクスは、道半ばではなく転換が必要であり、見直しが必要であり、だからこそ、民進党も対案を出していこうと。  人から始まる経済再生、そして、人への投資ということを参議院選挙では訴えましたが、プラスアルファのものをこの国会ではしっかりとつくっていこうということで、党内での議論も深めていくところでございます。これをしっかりと示して、来るべき解散・総選挙に臨みたいというふうに思います。  この後、選挙の話にも移っていくんですが、いわゆる今のうち解散、そして、公示日までいとまがない解散、これが前回行われておりますので、これについてもあわせて検証したいと思いますが、まずは参議院選挙、投票率は上向いたということで、右肩下がりの傾向に歯どめが打てたということで、今回、投票率が上向いたこと、五四・七%、地方区ですね。前回五二・六一%ですから、漸減してきた右肩下がりのものが上がったこと、これは率直に評価をしたいというふうに思います。  これは、国会で与野党挙げて、やはり投票率がどんどん下がっている現象は民主主義にとって危機的な状況であるという共通認識もと、何とか投票率を上げ、そして投票に、主権者として行使してもらおうということでのさまざまな努力、法改正、そして政府としての取り組み、自治体として、特にそれぞれ自治体また学校などが今回取り組んだ成果が投票率を上向かせた要因ではないかと思うんですが、投票率について、今回の状況総務大臣としてはどう御認識されておりますか。
  42. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の参議院選挙の投票率は五四・七〇%となりました、選挙区の投票率でございます。前回が五二・六一%でございましたので、二・〇九ポイント増加し、平成二十二年参議院選からの減少に歯どめがかかりました。十八歳及び十九歳の投票率は四六・七八%でありまして、二十歳代の投票率に比べて高い水準になりました。  選挙は、国民の声を政治に反映させる最も重要かつ基本的な機会と捉えております。投票率の向上に向けた取り組みを推進していくことは、引き続き大変重要だと思っております。  これまで、与野党挙げてということで御理解、御支援をいただきましたが、総務省としては、政治参加意識の向上を図るために主権者教育を推進するとともに、有権者が投票しやすい環境整備をさらに進めてまいりたいと考えております。
  43. 武正公一

    武正委員 資料三ページには、今お話にあった十八歳、十九歳、初めて実施をされた投票率、各都道府県別のものが出ております。  先ほど触れたように、全体の投票率五四・七〇%、一方、十八歳が五一・二八%、十九歳が四二・三〇%、合計で四六・七八%ということであって、全体では平均より低いものの、十八歳は全体平均に近い数字が出ております。これもやはり、この参議院選挙に向けた、今言われたさまざまな形でのさまざまな主体の取り組みがここまでの投票率になったのかな。しかし、まだ全体平均を下回っているわけですので、さらなる取り組みが必要だというふうに認識しています。  そこで、都道府県別を見てみますと、上位と下位でいきますと、第一位の東京都五七・八四%と高知県三〇・九三%ですから、およそ三割投票率が違うんですね。上位ベストファイブを見ますと、東京、神奈川、愛知、奈良、私の選挙区の埼玉ということでありまして、これがベストファイブということは、都市部が高いのかなというような感じ。一方、ワーストファイブと言わざるを得ないんですが、高知、宮崎、愛媛そして徳島、香川ということで、四国四県が入っておりまして、こういった意味では、やはり投票率を……(発言する者あり)今、合区というお話がありましたが、鳥取、島根はそこそこということであります。  ということで、十八歳、十九歳、最大三割投票率に差がある。これはどのように大臣として御認識されておりますでしょうか。
  44. 高市早苗

    高市国務大臣 これはかなり差が出てきていますけれども、投票率の高低については、まず、主権者教育の実施状況、それから大学などへの期日前投票所の設置、マスコミも含めた十八歳、十九歳選挙権に係る意識啓発など、さまざま地域的な要因があると考えていますけれども、取り組み状況のフォローアップを通じまして分析をしてまいりたいと存じます。
  45. 武正公一

    武正委員 フォローアップということでいえば、例えば主権者教育、どのように実施をされたのか、選挙から三カ月以上たっていますが、もう調査をされておりますでしょうか。その結果はいかがでしょうか。
  46. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の参議院選挙におけるフォローアップとしまして、選挙管理委員会取り組み状況を把握するための主権者教育に関する調査を実施して、年内にその結果を公表する予定でございます。  これらの調査結果も踏まえながら、今後の主権者教育のさらなる推進方策を取りまとめるということにいたしております。
  47. 武正公一

    武正委員 ちょっと私は遅いんじゃないかなと思うんですね。  歴史的な、七十年ぶりの大改正で、そしてまた、国会も、憲法改正国民投票法、四年後ということの中での附則ということで二年以内にということもあってこの法改正を急いだわけでありますし、また、十八歳選挙権のみならず民法の改正についての議論も今行われているというふうにも聞いております。大変影響のある十八歳選挙権についての評価、この検討、調査がやはりおくれているというふうに私は言わざるを得ません。  これは文科省の方にも聞いてみたんですけれども、文科省の方もやはりこの調査、評価がおくれておりまして、こういったところはやはり政府としてしっかりと取り組みをしていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。  そこで、次のページをあけていただきますと、今、大学の期日前投票について触れられましたが、前回と今回の期日前投票所の設置場所については約四百九十八カ所ふえております、参議院選挙について。特にふえたのがショッピングセンター、百二十六カ所。それから大学等は、前回これは調べていなかったんでしょうかね。いずれにせよかなりふえたということでありまして、これがやはり大きかったということであります。  高校の期日前投票については、熊本県で二カ所行われたなどの報道にも接しておりますが、どうだったんでしょうか。
  48. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の参議院選挙で期日前投票所を高校に設置した団体は十五団体で、二十一カ所に設置されました。高校に設置した期日前投票所への投票者数は、都道府県からの速報によりますが、五百六十人となっています。  なお、先ほど委員の方から、主権者教育のフォローアップが遅いじゃないかという御指摘も賜りましたが、選挙が七月に施行され、そして、九月から調査に入っています。主権者教育に関して選挙管理委員会には九月から十月、そしてまた、実際の十八歳、十九歳、二十の有権者の方々に対して九月から十二月ということで行っておりますので、年末、年内には公表いたしますから、しっかりとこちらの対応も進めてまいります。
  49. 武正公一

    武正委員 先ほどちょっと文科省の話をしたんですが、文科省には同じこの主権者教育、これは総務省と共管でやっていますので、聞きましたら、各学校に任意に御協力をいただいている学校基本調査などと異なった実施状況調査を行っているので、各県ごとに回収の状況は異なるので、例えば都道府県別のデータをもとに検討することは困難であると考えておりますなど、そういった答えをいただいております。  文科省と協力をして、学校の状況をやはりぜひ主体的に、そして果断にお取り組みをいただいて、発表をお願いしたいというふうに思います。  高校、今お話があったんですが、報道によると五百何人、確かに少ないんですね。  ただ、いろいろ聞いてみますと、例えば、これは熊本県ですか、大津町内にある県立高校、一日開設ということで、四十二人、うち高校生十二人。大津の高校は何時間かちょっとわかりません。  奈良県立橿原高校、一日限りで二時間、午後四時から六時。だから放課後にやったんでしょうね。投票者は、生徒七人それから近隣住民、三十人。確かにそれも少ないかもしれません。また、生徒九人が市の選管の腕章をつけて投票用紙を交付した。これは主権者教育にとっても非常にいいことだなというふうに思いますね。選挙運営する、そういう経験も高校生にさせる。  千葉県立富里高校、これも一日、時間は十二時半から十六時半、四時間、応接室で行ったそうです。ただ、ここが、一つやはりポイントになるのは、高校三年生二百三十二人、うち、その富里町の高校で投票権を持っているのは二十九人なんだそうですね。すなわち、選挙区でないと投票できないとしておりますので、そのうち十三人が投票。  この後触れますけれども、公選法改正をしてこの選挙に臨んだわけですが、期日前投票所の弾力的な設定、あるいはまた、五ページにありますような共通投票所四カ所、二百自治体は検討したいと言っていたんですが、四カ所といったこともありますので、例えば、期日前投票を高校でやるときに、高校生、その選挙区じゃなくても投票できるような、そんなことが可能にならないのかな、これは法改正も必要かもしれませんが。もっともっと、せっかく始めた高校での期日前投票も、さっき言ったように、運営側でもかかわって、主権者教育にもプラスになる。  この点、投票者五百人、その理由が、実は所在地以外投票できないということにもしあったとすれば、改善の余地があるというふうに思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
  50. 高市早苗

    高市国務大臣 共通投票所というものが、例えば高校の中に設置されるということであれば、その選挙区内の方であれば投票できるということになります。今回は、共通投票所の制度をお認めいただいて設置できた団体はまだ四団体でございましたが、今後設置を検討してくださる団体も多いですので、共通投票所などがふえていくということが、一つは、これは投票環境の向上になると思います。  ただ、期日前投票所ということの御議論でございましたら、なかなかこれはまだ難しい、全然選挙区が違うところの高校生が投票するというのは難しい、できないということになります。  少し、高校についても大学についても、ようやく設置してくださった団体が出てきましたので、特に大学では、七十九団体、九十八カ所に設置して、期日前投票所での投票者数が、これも都道府県からの速報ですが、二万四千三百七十八人ということで、一定の効果がありますので、この期日前投票の投票時間の弾力化ということをさらに進めていくということからかなと考えております。
  51. 武正公一

    武正委員 今、期日前投票の投票時間の弾力化、ただ、四ページにあるように七十三カ所にとどまっているんですね。それから、共通投票所、四カ所ということで、平川市は投票率は一〇%伸びていますが、函館市が三・六%、高森町と南阿蘇村は減っている。南阿蘇はまた震災の影響もあったのではないかというふうに思いますが。こういう中で、今どうやって弾力化を進めていくのか、これがまず一点。  それから、共通投票所は、先ほど触れたように、以前、検討したいという自治体が二百カ所近くあるということなので、それを、今、参議院選挙が終わってもう三カ月ですよ、共通投票所、ではどうやってふやしていけるのか。  たしか、函館なんかは電話で確認をして二重投票を防いだというような話も伺っていますので、そういったノウハウも当然周知をする中で、せっかく法改正したこの共通投票所、もっとやりましょうということで、この三カ月間どんな取り組みをされているのか、お答えいただきたいと思います。
  52. 高市早苗

    高市国務大臣 まず、投票時間の弾力化でございますけれども、期日前投票の投票時間の弾力化によって、二十二時まで閉鎖時刻を繰り下げた団体が四団体でございます。それで、十七日間繰り下げた大阪府箕面市の全体の投票率は五六・八二%でありまして、それぞれ三日間ずつ繰り下げた三団体全体の投票率もかなり上がっております。  これから弾力化を進めていくということなんですが、今回、やはり投票率が上昇した要因につきまして、延長した日数や時間帯などさまざまな要因があるようでございますけれども、延長された時間帯に投票された有権者からは、仕事帰りに投票ができてよかったというお声もあったと聞いておりますので、非常に効果のあった団体につきまして、数字もしっかりと出てきておりますから、そのような事例をしっかりと横展開していくということでございます。  それから、共通投票所でございますけれども、これが今回四団体の設置にとどまった理由につきましては、これまでもこの総務委員会お話をしてまいりました。やはり二重投票を防止する観点から、投票済み情報を共有するためのオンラインシステムを原則として全ての投票所間で結ぶ必要があって、さきの参院選ではその検討に要する期間が短期間だったことと、多額の費用負担が見込まれるといった理由が考えられます。  それで、投票所というのは、公共施設や体育館など災害時の避難所に指定されている施設を活用する団体が多いので、こうした施設へのオンラインシステムの整備については、選挙事務のためのみならず、災害対応なども含めて、市町村全体のICT活用の中において効果的に進めるという考え方もあるかと思っております。  これまでの私の答弁では、これまで共通投票所の設置に向けた取り組みについての経費の財政措置の周知ということでお話を申し上げてまいりました。それでも限定的なものでございましたので、やはりこれから災害時の避難所になり得るという視点も見ながら、市町村全体のICT活用の中で投票所における環境整備も進められる、こういった視点で応援を考えていきたいと思っております。
  53. 武正公一

    武正委員 昨今、若干修正をされているようですが、与党幹事長あるいは官房長官などの発言で、すわ解散・総選挙かということが随分喧伝をされました。若干、今トーンダウンに努めておられるようですが。  そうすると、せっかく法改正して、もしここで解散・総選挙となれば、依然、共通投票所は四カ所のみ、それから弾力化もこの程度ということになってしまうんでしょうか。
  54. 高市早苗

    高市国務大臣 済みません、解散に関しましては、これはもう総理の専権事項でございますので、それを前提とした答弁は差し控えさせていただきます。
  55. 武正公一

    武正委員 与党幹事長や官房長官まで発言していますので、当然、内閣選挙を所管している総務大臣はさまざま御承知というふうに理解をしております。  そこで、六ページをごらんいただきたいんですが、前回、解散・総選挙は、今のうち解散と私ども命名をしておりますが、解散から公示まで十日間、小選挙区制度が導入されて最短ということでありましたので、投票入場券が到着した指定日が公示後八日以降の自治体が、特に大都市、私のさいたま市だったり横浜市だったり、あるいは大阪市に見られました。  私も、選挙中随分、まだ投票入場券が届かないよというふうに言われまして、いや、投票入場券がなくても期日前投票できるんですよと言いましたが、やはりあれが届くことで選挙につながってくるということでもありますし、また、政令でも、平成十五年改正ですが、公職選挙法施行令三十一条、特別の事情がない限り、これは自治体ですね、選挙の期日の公示または告示日以降できるだけ速やかに選挙人に投票入場券を交付するよう努めなければならないとされている中で、一週間以上たってから届いた。ですから、期日前投票、最初の土日なんか大いなるチャンスなんですが、その前には届かないということで、翌週の火曜日、あるいは遅いところは水曜日になってしまったわけなんですね。  これはやはり解散権の濫用であったというふうに、総理の専権事項と言われますが、憲法七条の解散が戦後四回を除いて全てでありますので、憲法論議でも行うべきというふうにも私は考えておりますが、この点、特に選挙を所管する大臣として、これはこの委員会でも取り上げましたが、改めて、解散と公示までの期間が短いことの弊害、自治体がまさにこうむるわけですね、これについて、大臣としての、投票入場券がおくれたことも含めてどのような御認識を、解散権は総理の専権事項だからわかりませんとお答えになるんでしょうか、御認識を伺いたいと思います。
  56. 高市早苗

    高市国務大臣 公職選挙法第三十一条、衆議院議員の総選挙は解散の日から四十日以内に行うこととされ、総選挙の期日から少なくとも十二日前に公示しなければならないとされています。ですから、解散の日から公示日までの期間が適切かということにつきましては、これは法律の範囲内にある限り、適切だとか不適切だとかいうことは私からは申し上げられません。  その上で、やはり解散の日から公示日までの期間が短いことで、今委員がおっしゃったように、投票所入場券の発送がおくれているんじゃないかというようなことにつきましては、これは公職選挙法施行令第三十一条第一項ですが、市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、選挙の期日の公示日以後できるだけ速やかに選挙人に投票所入場券を交付するように努めなければならないとされています。  これは、投票時における選挙人の整理、確認の迅速化のほか、投票日や投票所の場所の周知にもこの入場券は効果がありますから、できるだけ速やかに選挙人に交付するように総務省から各選挙管理委員会に要請をしております。  なお、実際の投票においては、投票所入場券を持参しなくても的確な本人確認のもとに投票できます。  現在、法律に定められている範囲内のことでしか答弁はできませんけれども、できるだけ円滑、確実に入場券を交付できるように総務省から要請をしてまいるということでございます。
  57. 武正公一

    武正委員 選挙を所管する大臣ですし、先ほど来、投票率を上げようということで取り組んでいる、また、公選法改正も受けての取り組みも急いでやります、あるいは主権者教育についても調査もやりますと明快に言っておられる、若干時間がかかっているなという印象はありますが、進めている大臣からすると、歯切れが悪いなというふうに思います。  また、このように参議院選挙からまだまだ取り組みが十分でないこの状況で、すわ解散・総選挙というのは、やはり解散権の濫用、一体何を争点にやるのかもわかりませんし、また、こういうような投票環境が、参議院選挙で七十年ぶりの法改正をして、そしてまた国会も法改正をして、それに政府が応え切っていない、国会の要請に政府が応え切っていない、対応していない、そういう中で解散ということは、やはり重ねて解散権の濫用ではないかなというふうに指摘をしたいと思います。  そこで、ちょっと時間も制約されておりますが、防犯カメラについて、警察庁も来ていただいています。  七ページには、都道府県警察設置の街頭防犯カメラの個数、それから、経産省が補助金を出しておりますので、その件数を挙げておりますが、私は、防犯カメラ、各自治体が積極的に設置をしておりまして、あるいは自治会や商店街もやはり防犯上大変有用だということで取り組んでいるだけに、もっと総務省がこの防犯カメラに積極的にかかわっていいんじゃないか。  商店街ということも、地域のコミュニティーの中心をなして、防犯であったりあるいは交通安全であったりお祭りであったりPTAであったり、さまざまな権能を担っていただいていますので、この防犯カメラについても総務省はもっと積極的に取り組むべきではないかなと思うんですが、大臣の御認識を伺いたいと思います。
  58. 高市早苗

    高市国務大臣 商店街などにおける防犯カメラの設置状況というものは承知していませんけれども、地方自治体においては、地域の安全、安心を守るために自治会や商店街と連携して防犯カメラの設置を進めておられる団体もあるということは承知しております。  地域の安全、安心住民生活に密着する重要な課題でございますので、基礎自治体たる市区町村において創意工夫を凝らして御対応いただいていますし、総務省としましても、住民の防犯活動に対する支援等に対しては地方交付税措置を講じておりますから、ここは引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。
  59. 武正公一

    武正委員 総務省に防犯カメラのことを聞いても、担当部署がない、担当者がいないということでお答えいただけなかった。極めて残念であります。ぜひ総務省としても、地域コミュニティーの核である商店街に設置をされる防犯カメラについて、積極的に経産省、警察庁などとも連携をとってお取り組みをお願いしたいと思います。  最後に、九ページ。  今回、極めて残念な港南区での事故が起きてしまいました。心から御冥福をお祈りし、けがをされた方の御回復をお祈りしたいと思っております。  そこで、警察庁、今回の港南区の事件の概要を伺いたいのが一点。  それから、九ページにありますように、過去、実は平成二十四年に同じく亀岡でも事故があったことを踏まえて、当時、民主党政権でしたが、三省庁でこういった調査を行ったんですが、どうも話を聞いてみると、この対策箇所というか調査箇所に今回の港南区の道路は入っていなかったということも聞いております。  私は、この三省庁、取り組んでいますが、管理主体でもある横浜市ということもあると、やはりこれは総務省も一緒にやるべきではないかなというふうに思うんですが、今回の事故の御所見もあわせて総務大臣にもお伺いしたいと思います。  警察庁、総務大臣、よろしくお願いいたします。
  60. 長谷川豊

    長谷川政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の交通事故の概要についてでございますけれども、本年十月二十八日午前八時ごろ、神奈川県横浜市港南区内の市道、横浜市の市道において、軽四貨物自動車が停止中の軽四乗用自動車に追突したはずみで横転し、集団登校中の小学生九人の列に突っ込むなどいたしたものでございます。  この事故で、小学生男児一名が死亡されたほか、重傷二名、軽傷四名の被害となったものでございます。
  61. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の事故につきましては、本当にかわいい盛りのお子さんが、それも本当に一生懸命愛情を込めて育ててこられたお子さんが一瞬にして命を奪われたということで、親御さん、御家族のお気持ちを考えますと、本当に痛ましいことだと思います。  現在、捜査中だということでございますから、これは適切な捜査が行われるということを期待いたします。  それから、委員からの御質問で、通学路の交通安全の確保に向けた取り組みということで、文部科学省、国土交通省、警察庁が行っているものについて総務省も一緒にやるべきではないかということでございますけれども、これは文部科学省、国土交通省、警察庁で連携して、通学路の交通安全の状況を確認された上で、市区町村が例えばカーブミラーであったり、またガードレールであったり、そういった安全対策を進めていかれるというときに、やはり私どもとしては、先ほどの防犯もそうですけれども、交通安全、住民の安全を守るということについても適切に地方財政措置を講じていくということでしっかりと支援をさせていただきたいと思っております。
  62. 武正公一

    武正委員 もう時間が参りましたので終わりますが、教育基本法も改正されて、いよいよ首長が教育行政に主体的に関与するようになっております。  当時はまだ、そういった意味では、法改正後でありますが、文科省、学校、それから教育委員会というような形での三省庁でありますが、より今そうした取り組みが流布しておりますので、一般になってまいりましたので、やはり総務省が主体的にこの通学路の交通安全の確保に向けても取り組むべきということを申し上げ、質問にかえさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  63. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  64. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  消費税地方税について質問をします。  消費税の八%増税が、国民消費マインドを大きく低下させました。  先日、我が党の梅村さえこ議員が取り上げました経済財政白書、平成二十八年版でありますけれども、「個人消費は二〇一四年の消費税率引上げ以降、力強さを欠いた状態にある。」と、ここでもちゃんと書かれているわけであります。  地域経済にも大きな打撃を与えているこの消費税増税。自治体も、この消費税増税を反映した産業連関分析を行っているところであります。  例えば三重県ですけれども、五%から八%への引き上げで、家計消費支出減少額は六百九十八億円としました。県内産業にもたらす経済波及効果は、生産誘発額でマイナス五百六億円としたところであります。  一〇%になればどうなるのか、新潟県が試算しました。減少する民間の消費支出が五%とした場合、GDPはおよそ二%縮小するというふうにしています。  また、宮崎大学の入谷貴夫教授は、八%増税における宮崎県の経済影響を試算いたしました。三百二十七億六千万円の消費減少することになり、宮崎県全体で三百九十三億一千六百万円の生産減少が生じるとしました。付加価値は二百六十三億七千七百万円減少、うち雇用所得は百七億八千六百万円の減少、就業誘発者は四千百六人の減少としたわけであります。  そこで、高市総務大臣にお伺いをいたします。地域経済にとっても、住民生活にとっても大きな負担をかぶせることになったこの消費税増税について、自治体や学者の方がこのような試算と指摘をされています。どう受けとめておられるでしょうか。
  65. 高市早苗

    高市国務大臣 地方消費税は、地域間の偏在性が小さく、税収の安定性も高いことから、社会保障制度を支える地方団体の財源としてはふさわしいものだと考えています。ですから、その税率の引き上げは必要なものだと認識をしています。  平成二十四年十二月の政権復帰以来、一貫して経済再生に取り組んできております。また、平成二十六年に消費税率を五%から八%に引き上げる際には、五兆円規模の経済対策を実施しています。  これらの結果、各都道府県の平成二十八年度当初予算において、平成二十四年度当初予算と比べて、全ての都道府県で法人関係税が増加するなど、アベノミクスの成果が徐々に地方にも波及している状況でございますので、今回、一〇%への引き上げを二年半延期することとしていますが、平成三十一年十月の引き上げ時期に向けて、さらに政策を総動員して、引き上げが確実に実施できる環境を整えてまいりたいと存じます。
  66. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 やはり二回にわたる延期というのは、もうできないということを実証しているにほかならないと思います。  消費税と自治体の関係でいいますと、公共料金への転嫁というのが求められてまいります。自治体の首長におかれては、苦渋の選択を迫るものでもあります。そして、住民生活への影響を考慮して、転嫁を見送った自治体もあります。  地域自治体、それから地方経済雇用、そして地域住民の生活に大きな打撃となる消費税の一〇%増税は、延期ではなくて、この際中止とすべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  67. 高市早苗

    高市国務大臣 消費税率引き上げは、安倍総理が先般答弁されたとおり、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要であると考えております。  消費税率引き上げを確実に実施するために、私としましても、経済の好循環を拡大して、地域住民皆様景気回復を実感していただけるように、地域に働く場、雇用を生み出していけるローカルアベノミクスを一層推進してまいります。
  68. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それがうまいこといっていないから、増税すべきではないというふうに主張をしたいと思います。  先ほど述べました経済財政白書なんですけれども、消費に力強さが見られない階層として、総務省の家計調査をもとに、世帯主が三十九歳以下の世帯、若年子育て期世帯を第一に挙げているわけであります。そして、その背景として、「子どもに対する保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中で、将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった将来不安が考えられる。」この白書ではそういうふうに指摘しているわけであります。  そこで、子供の教育にかかわる消費支出の負担軽減策として、きょうは就学援助制度について質問をさせていただきたいと思います。  子供の貧困率が上がる中で、さまざまな支援措置が必要になってまいります。その中で、就学援助制度というのは、欠くことのできない根幹の制度と私は考えます。  今日の状況もとで就学援助制度の果たす役割について、説明をしていただきたいと思います。根拠法である憲法とそして教育基本法、ぜひそのところも引用していただきたいと思います。お願いします。
  69. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  就学援助制度は、憲法第二十六条「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」及び教育基本法第四条第一項「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、」、第三項で「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」と。これらに基づきまして、さらに学校教育法の十九条において「経済理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を」行わなければならないと規定されております。  このように、就学援助制度は、義務教育段階におきます教育の機会均等を実現するために重要な制度であると考えております。
  70. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 まさに重要な制度であります。  今答弁いただいたところでいきますと、公立小中学校の授業料とそして教科書が現在の無償化の範囲となっています。憲法が要請する義務教育無償化については、一部実施されているだけであります。  この中で、就学援助制度というのは、義務教育無償化につながるものとして実施されてきて、そして、それがひとしく就学困難な児童生徒に対して適用される、このことが今求められているというふうに思います。  資料をお配りしています。資料1は、就学援助受給者、要保護者と準要保護者の推移を記したものであります。著しい増加傾向にあることが読み取れます。直近の二〇一三年度では、一五・六八%の援助率であります。百五十四万人が受けています。準要保護者の受給率は、全体の九割近くにまで及んでいます。  要保護者については、二分の一の国庫補助金がつきます。  準要保護者については、二〇〇五年、平成十七年に一般財源化されました。市町村の事業となったわけでありますけれども、これはなぜ一般財源化したのでしょうか。大臣、お答えいただけるでしょうか。
  71. 高市早苗

    高市国務大臣 三位一体改革の中で、平成十七年度から一般財源化することとされました。  まず、なぜかということですが、準要保護児童生徒に対する就学援助に係る国庫補助金については、長年にわたって地方自治体において実施されてきた事業であり、既に地方の事務として定着しているものであること、地方団体が税源移譲対象に挙げていること、一般財源化すれば、地方自治体において地域の多様なニーズを踏まえ、より柔軟な対応が成ることなどを踏まえ、当時、一般財源化を決定したと承知をしています。
  72. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 その国庫補助制度の廃止によって、少なくない地方自治体の中で認定基準の引き下げが行われてまいりました。  例えば、二〇〇七年、市町村の就学援助制度の運用実態について、全国の市町村教育委員会へ調査票を送付して行った民間の結果がございます。一般財源化で認定基準を引き下げた自治体が百四十三に上りました。引き下げた理由としては、全体としての歳出削減策を挙げたところが四一・三%、準要保護分補助金の廃止を受けた、それを理由としたところが三九・九%とされています。  このように、認定基準を引き下げた、そういう傾向にあったことについて、文部科学省は掌握されているでしょうか。
  73. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  一般財源化後の平成十七年度における準要保護児童生徒に係る認定基準等の変更状況について、文部科学省で平成十八年一月から三月に調査を行いました。その結果、平成十七年度に準要保護児童生徒の認定基準等の変更を行った市区町村は百二十三市区町村あり、このうち、認定基準の引き下げ、または認定要件の縮小を行ったものが八十七市区町村ございました。
  74. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 文科省の調査によっても、認定基準の引き下げあるいは縮小があったというふうに今お答えいただいたところであります。  本来援助しなければならない小中学生の就学援助というのが、財源がないからといって抑制しようということは、これは私はあってはならないというふうに思います。自治体の財政力によって認定基準に大きな格差が生まれ、そして広がっている事態について、今から述べていきたいと思います。  資料の2がそのグラフでありますけれども、文部科学省の平成二十六年度就学援助実施状況から、これは私の地元であります福岡県下の六十市町村についてグラフ化したものであります。給与収入をとっているところでは最大四百万円台、そして一番低いところは二百万円台、課税所得をとっているところが一番大きいところで三百万円台、下が百万円台といったところです。大きな差があるわけです。ある自治体では就学援助を受けられていたんだけれども、転勤とか引っ越しによってよその自治体に行ったら、あら、受けられなくなってしまったよといったところが、この今の状況を示しているところであります。  子どもの貧困対策推進法が、二〇一三年、全会一致で成立をいたしました。この子どもの貧困対策推進法の一条には、次のような条文があります。「この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」と書かれています。  貧困の状況にある子供が生まれ育った環境によって左右されてはならない、こういう法律のもとで、今、就学援助、非常に根幹となる施策でこのような自治体格差があるということは、これはやはり正さなければならない。私は、低い方に合わせよと言うつもりはもちろん毛頭ありませんけれども、これはやはり国の責任において改善をしていくべきであるというふうに思っています。  なぜ自治体でこうした格差の拡大が生まれているのか、その要因について、文科省はどのように受けとめておられるでしょうか。
  75. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  その前に、大変申しわけありません。一点、おわびがございます。  先生に配付いただいた資料2の下の課税所得のデータでございますが、先ほど先生から言及がございました一番下の百から百四十九万円、一自治体ですが、福岡県のある町でございましたが、私どもの確認を先ほどまでしておりましたが、確認の結果、大変申しわけありません、この一自治体というのをこの区分で先生の事務所に御提出したのは文部科学省でございますが、二つ上の区分の二百から二百四十九万の誤りでございました。大変申しわけありません。つい先ほど確認されました。申しわけありません。  御質問の方にお答えさせていただきます。  就学援助制度は、学校教育法第十九条の規定により、市町村に実施義務が課されているものであります。準要保護の認定基準につきましては、従来から各市町村が定めているものでございまして、各市町村が地域の実情に応じて判断をして決めているためと認識をしております。
  76. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 数字の訂正は了承いたしました。その町は引き上げたということで、これはよかったのではないかなと思います。  それでも、二百万円台と三百万円台、課税所得ではこれだけの差があるということなんですね。それは事実ですね。  そして、今御答弁いただいたんですけれども、自治体の判断ということを理由にしてはだめですよ、これだけ開きがあるんですから。その要因をやはり曖昧にしてはいけません。なぜこれだけの開きが出てきているのか。頑張ってやっている自治体もありますし、どうしてもやはりこれだけの基準を設けることができない、それは財政難であるから、こうして述べる自治体も少なからずあるわけなんですよね。財政困難な自治体は、限りなく生保基準に近づけていくわけですよ。これはもうよく御存じのことだと思います。  私は福岡なんですけれども、西日本新聞とNHKが、九州、沖縄の全市町村調査を行いました。五月三十日付の西日本新聞に大きく報道されているんですけれども、ここでは地域差三倍と報道されています。生保基準一・一で、収入基準が最も低い額の宮崎県高鍋町の担当者はこういうふうに述べています、財政が厳しく、予算確保が困難、国庫補助を復活させてほしいと。  財政難で認定基準を低くせざるを得ないと自治体が言っているじゃないですか。国庫補助の廃止と一般財源化によって、自治体間に制度の運用差が生まれてきたんです。そのことについては、これはシビアな現実なんですよ。  お認めになりますか。文科省、いかがですか。
  77. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  準要保護の認定基準につきましては、三位一体の改革の以前から各市町村がその基準を定めているものでございまして、各市町村が地域の実情に応じて判断をして決めてきたという経緯があるものと認識をしております。
  78. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 文科省から樋口政務官にお越しいただいております。事務方の答弁は、これだけの自治体間格差があると言うんだけれども、それは自治体の自主性だと言うんです。先ほど言いましたように、ある市では就学援助を受けられたんだけれども、隣町に行ったら受けられない。これはやはり、憲法、学校教育法、教育基本法、そして今おっしゃっていただいたところの意義からいっても、貧困対策推進法の趣旨からいってもおかしいということも含めて、後で御答弁いただきたいと思います。  お認めにならないので、また数字を挙げざるを得ないんですけれども、準要保護者の減少というのは、補助金削減前の七年間、ここにおいてはわずかに一県、二年連続のこの一県だけだったということなんですよ。しかし、一般財源化された二〇〇五年は三都県にふえたんです。  政務官、今からずっと言いますね。二〇〇七年度、二〇〇八年度は、七都府県と大きくなってきた。そして、二〇一一年度は十四都道府県にふえて、二〇一二年度は二十五都道府県。そして、資料をいただいた直近の二〇一三年度では三十三都道府県に、前年度比で、この基準、引き下げてきたわけなんですよね、就学援助を受ける人の数が下がってきたということなんです。  なぜそうなっているのか。やはり、就学困難な状況にあるにもかかわらず、住んでいる自治体の基準が厳しくて就学援助が受けられないという子供がいることは、間違いのない事実であります。だから、私は、まずここを調査すべきだというふうに思うわけなんです。  実際に、例えば、先ほどは西日本新聞を挙げましたけれども、ほかの地方紙では、琉球新報の八月十三日付に、財政難を理由に基準のハードルを上げ、財政力の弱い市町村ほど援助枠を狭める傾向にある、こう指摘されています。援助対象を狭める傾向は全国でも同様というふうに報道もされています。これは事実であります。  政務官、るるお話しさせていただいたんですけれども、子供の貧困がこれだけ重要な問題となってきています。義務教育無償化に向けた、この役割を持つ就学援助制度というのは非常に大事で、その財政措置のあり方に今十分な検討が求められてきているのではないかな。一般財源化による影響と、そのふさわしい財政措置のあり方、まず調査する、検討を始めていく、そこを私は必要性を感じますけれども、政務官、いかがでしょうか。
  79. 樋口尚也

    ○樋口大臣政務官 先生から、認定基準の引き下げがふえているというお話、そして、調査したらどうかという御提言をいただいております。  準要保護児童生徒に対する就学援助については、総務省において適正に地方財政措置が講じられているという認識をしております。その上で、各市町村における準要保護認定の基準、また支給の内容については、市町村の判断で実施をしているところでございます。  一方で、平成二十六年八月に閣議決定をされました子供の貧困対策に関する大綱において、国として就学援助の実施状況を定期的に調査し、公表するとともに、就学援助ポータルサイトを整備するなど、就学援助の適切な運用、きめ細やかな広報等の取り組みを促し、各市町村における就学援助の活用、充実を図ることとされておりまして、現在、この対応を実施しているところでございます。  文部科学省といたしましては、引き続き、就学援助実施状況等調査などを実施することによりまして、各市町村の就学援助の充実に向けた検討に資してまいりたい、このように思っております。
  80. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 政務官、今の大綱に基づく文科省の取り組みについてはわかりました。  それでは、今の現状については、やはり改善するところは改善しなければいけないし、ふさわしい財政措置も地方交付税で総務省が行っていると聞きました。それは、その割合が上がっていることについては私も認めています。しかし、自治体の現実はこうである、こうした問題があるということについてはやはり手を打たなければいけない、そういう認識は共有していただけるでしょうか。政務官、いかがですか。
  81. 樋口尚也

    ○樋口大臣政務官 先生の御認識は共有させていただきたいと思います。  御案内のとおり、これは地方からの御要望を受けて三位一体改革を行っているところでありまして、その際に一般財源化されたものだというふうに思っております。  いずれにしても、私どもは就学援助制度を所管する文部科学省として、各自治体が地方の実情に応じて、経済理由により就学困難な児童に援助できるよう、地方財政制度を所管されています総務省連携しながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  82. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 高市大臣、同じ質問でございます。御所見があったら、お願いします。
  83. 高市早苗

    高市国務大臣 文部科学省が毎年度実施している各市町村の実施状況調査の決算額も踏まえた上で、就学援助の所要額が児童生徒数に比例するという考え方のもとで、各市町村の児童生徒数に応じて普通交付税によって措置をさせていただいております。  つまり、準要保護児童生徒に対する就学援助については、一般財源化された従来の国庫補助分も含めた地方負担の全額について地方財政措置を講じているということです。  さらに、普通交付税の算定上、一般財源化された国庫補助金相当分の地方負担額については、従来の国庫補助金の配分基準も踏まえた補正を行うなど、きめ細やかな措置を講じておりますので、今後も、地域の実情に応じて、経済的に厳しい児童生徒に援助ができるように適切に対応してまいります。
  84. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 子供の貧困の状況もとで、就学できない児童生徒があまねくこの制度が受けられるように、そして、自治体が安心してこの制度が適用できるように、財政面を含めた措置をぜひ文科省にも総務省にもお願いしたい。以上を主張させていただきたいと思います。  残った時間で、被災者と消費税について質問させていただきます。  今から三年後には一〇%への増税になるんですけれども、これからの被災者の生活となりわいの再建にとって、これはまた消費税増税が重大な障害になるというふうに思うわけです。  資料の3であります。ことしに入ってからの主な災害と、それによる住家の被害件数をまとめました。先月の鳥取地震を含めて、ことしに入って主なものだけでも十四もの雪害、地震、台風、豪雨等が全国を襲っているわけであります。被害がこれだけ出ています。全壊、半壊、一部損壊を含めて実に十八万五千七百五十六棟。  そのほかに、東日本大震災で今もなお十三万人の方が避難生活を送られています。今後の生活と、そして住宅の再建の上で消費税の一〇%というのが重くのしかかってくるわけであります。  そこで、お尋ねします。財務省にお伺いします。  消費税増税というのは、家も失った、そうした被災者にも例外なく課税されてまいります。家となりわいの再建で、この被災者の消費支出にかかわる上で減免制度というのはあるんでしょうか。
  85. 井上裕之

    井上政府参考人 お答えいたします。  消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める税でございます。取引段階ごとに、前段階で負担した税額を控除する仕組みとなってございます。こうした消費税の性格や仕組みに鑑みまして、特定の地域や特定の方に配慮した措置は設けていないところでございます。
  86. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 そうなんです。厳しい制度なんです。  総務省にもお伺いします。  例えば、自治体が、被災をされた方の消費税一〇%の負担、その支出を軽減する措置をとる工夫は何かありますか。そういう施策はありますか。
  87. 林崎理

    林崎政府参考人 お答え申し上げます。  税制という意味で、地方消費税制度においては、国の消費税と同様に、税の性格や仕組みに鑑みまして、特定の地域や特定の方に着目した特例措置といったものは講じられてはおりません。  その上で、例えば、東日本大震災の被災者の生活再建について、消費税率引き上げのときに、地方公共団体の施策についてのお尋ねというふうに受けとめまして申し上げますと、地方税制を担当する立場でございますので、各地方団体の施策を詳細に把握しているわけではございませんけれども、地方団体の対応の中には、住宅再建時の借り入れに係る利子補給、住宅移転時の引っ越し費用補助などについて、消費税率引き上げに伴って、その影響を勘案して、それまでの補助額を増額した、そういった例があるというふうに承知をしているところでございます。
  88. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 だから、この消費税の一〇%を減免する制度はないんですよ。  例えば、熊本県の被災者でいいますと、三年後といいますと、仮設住宅を出て、そして住む家を決めて、家具や調度品をそろえていく。一番物入りのときに大課税を課していく。傷口に塩をすり込むようなこういうやり方は、やはり間違った政治だと私は思います。  熊本だけではありません。もうことしだけでもこれだけの災害があって、そして何の罪もない人が、家を失い、財産を失っているわけですよね。そして、二年たったら仮設住宅は出ていかざるを得ない。そして、家を見つけ、あるいは家の再建のためにまたローンを組んで、また新たに家をつくる、そこに消費税というのは重くのしかかってくるわけです。そんな塗炭の苦しみを被災者にも味わわせる、そんな消費税一〇%というのは行うべきではありません。  朝から晩までの買い物にかかるこの消費税。だからこそ、この人に、この買い物だけは減税するということは、今答弁がありましたように、制度上難しいんです。できないんですよ。だとするならば、こういう状況下にあって、冒頭申しました、地方経済雇用、そして住民の暮らし、加えて、災害が起こってこれだけ大変なときに、三年後であろうとも、消費税増税というのは間違いであります。  延期ではなく、きっぱり中止することを強く強く求めまして、きょうの質問を終わります。
  89. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  90. 吉川元

    吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  今回、再び、消費増税が再延期をされました。これは、恐らく財政再建計画にも影響を与えるのだろうというふうに思いますので、最初に内閣府にお聞きをしたいと思います。  内閣府は、七月二十六日の経済財政諮問会議に、消費増税の二〇一九年十月までの延期を勘案した中長期の経済財政に関する試算を提出いたしました。  来年四月からの消費税増税、再引き上げを前提としたことし一月の試算と比較すると、私は見てちょっとびっくりしたんですけれども、二〇二〇年度のプライマリーバランスが、経済再生ケースで一兆円、ベースラインケースで三・二兆円、収支が改善をするというふうに試算をしております。  増税を見送ったのにプライマリーバランスがより改善をするのであれば、そもそも消費税増税なんというのは、これは財政再建立場から見れば必要ない、全く必要がないのではないか。何でこういうことになっているのか、まず簡潔に御説明ください。
  91. 武村展英

    ○武村大臣政務官 お答えいたします。  七月試算と前回一月の試算を比べ、改善をした要因ということですが、昨年七月試算と同様の考え方を踏まえまして、来年度、二〇一七年度の予算の歳出につきまして、一定の歳出削減効果等を勘案した、このことが原因でございます。
  92. 吉川元

    吉川(元)委員 確かに、読ませていただきますと、一月と七月の試算では前提条件が違っております。  社会保障関係経費に関して言いますと、一月の試算では、社会保障歳出は高齢化要因等で増加、それ以外の一般歳出は物価上昇並みに増加すると仮定をしておりましたが、七月の試算では、二〇一七年度の歳出については、高齢化等を除く歳出の増加率が賃金、物価上昇率の半分程度となると仮定して機械的に計算するものとされております。  要するに、来年度予算で歳出の伸びを抑制する。例えば、これはベースラインのケースで、二〇一八年度には、以前の試算よりも〇・五兆円プライマリーバランスが改善される見通し、これによってなっております。  お聞きしたいのは、高齢化を除く歳出の増加率が賃金、物価上昇率の半分程度におさまるという仮定、何を根拠にして二〇一七年度だけこのように出されているのか。自然にそうなるのか、それとも、何らかの歳出カット、社会保障のカットをすることを前提にしてこうした試算が行われているのか。この点はいかがでしょうか。
  93. 嶋田裕光

    嶋田政府参考人 お答え申し上げます。  七月の試算におきましては、昨年の七月の試算と同様に、翌年度の概算要求基準について議論する経済財政諮問会議の審議に資するため、翌年度の歳出の前提につきまして、委員指摘のような仮定を置きまして、機械的に計算しているものでございます。  この根拠でございますけれども、これは、昨年の骨太方針二〇一五年におきまして、「一般歳出については、安倍内閣のこれまでの取組を基調として、社会保障の高齢化による増加分を除き、人口減少や賃金・物価動向等を踏まえつつ、増加を前提とせず歳出改革に取り組む。」ということを踏まえて、機械的に前提を置いたものというふうにしておるところでございます。
  94. 吉川元

    吉川(元)委員 これは前回も副大臣とやらせていただきましたけれども、税と社会保障一体改革というのは、今の社会保障、高齢化によって年々自然増でふえていく、それを後代にツケ回しをしないということで、消費税増税がその一つの、それを要因として行われているわけで、実際、それに七兆円強を充てるというふうにもなっております。  今の話だと、これはまた繰り返しになりますけれども、消費税増税はする、だけれども、別の方法で、別の形で、今度、社会保障はカットをする。だとすれば、もともとの税と社会保障一体改革の前提が全く崩れていると言わざるを得ません。  きょうはちょっと余り時間がないので、次の質問に移らせていただきます。  次に、いわゆる経済再生ケース、前提条件についてお聞きをいたします。  経済成長率が実質二%、名目成長率が三%、消費物価上昇率は中長期的には二%付近で推移するとした前提ですが、これは余りにも現実離れしているとしか思えません。  名目成長率三%以上を記録したのは一九九〇年度、今からもう四半世紀前でありますが、そのときに三%を上回って以降、それ以降はそうした状態にはなっておりません。一九九〇年度というのは、まさにバブルの最後の局面であります。また、実質成長率でも、安倍政権の三年間の平均を見ますと〇・六三%にとどまっていて、この数字、ベースラインケースの想定は実質一%弱、これにさえ届いていません。  これは非常に前提に無理があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  95. 武村展英

    ○武村大臣政務官 お答えいたします。  経済再生ケースでのGDPの成長率は実現可能性がないのではないか、そういう御質問でございますが、私は必ずしもそうではないのではないかなというふうに思っております。  経済再生ケースといいますのは、デフレの前の日本経済のパフォーマンス、これを取り戻すということであります。目標といたしましては実質二%、名目三%以上の経済成長ということですが、アベノミクスでは、あらゆる施策を総動員しながら、こうした目標を達成していくというところであります。  未来投資会議におきましては、構造改革の総ざらいを行い、イノベーションの社会実装を強力に進めていく。  経済財政諮問会議におきましても、経済成長の最大限の起爆剤となる研究開発投資の拡大策についても現在議論を進めているところであります。  足元につきましては、先般、未来への投資を実現する経済対策、これを具体化する補正予算を成立させていただいたところでございます。  こうしたあらゆる施策を総動員しながら、中長期的に実質GDP成長率二%程度、名目成長率三%程度を上回る経済成長実現を目指していきたいと考えます。
  96. 吉川元

    吉川(元)委員 これは机上の空論ではなくて、実現可能だという御答弁です。  では、別な観点からお聞きしたいと思います。  消費物価上昇率二%、名目三%ということの高い成長を設定したせいか、名目長期金利、来年度は〇・八%、二〇一九年度では二・七%、そして二〇二〇年度には三・四%まで急騰する見通しを立てておられます。事務方に伺ったところ、この長期金利は何を指すのかというと、十年物の国債だということを想定しているというふうにお話を伺いました。  そうしますと、日銀、つい最近、量的緩和と並行して金利ターゲットを打ち出しました。国債金利のイールドカーブをコントロールするために、十年物国債をゼロにするという政策を決定いたしました。  そうしますと、内閣府の長期金利の見通し、これは、いわゆる消費物価上昇率が二%に届いていなくても、十年物国債はゼロでなくて〇・八あるいは二・七等々にしていくのか。これは日銀の政策と矛盾していると思うんですけれども、この点、いかがですか。
  97. 嶋田裕光

    嶋田政府参考人 お答え申し上げます。  中長期の経済財政試算における長期金利でございますけれども、これは、内閣府の計量モデルに基づき、経済財政が整合的になる一つの姿といたしまして一定の前提のもとで試算を行ったものでございまして、今後の日本銀行の金融政策等について、まだ予断を持って想定を置いているものではございません。  ちなみに、経済財政モデルにおきましては、長期金利というのは、金利に関しますいろいろな諸変数に基づいて試算された短期金利に一定のリスクプレミアムを乗せる形で定式化しているということでございます。
  98. 吉川元

    吉川(元)委員 いや、日銀とは関係ないんだとおっしゃいますけれども、例えば、十年先はどうなっているか、それはわからないと思います。  少なくとも、ベースラインケースで見ますと、二〇一七年度は消費物価一・四。まだこれは二%には届いておりません。ただ、名目の長期金利、十年物国債だというふうに私は聞いたんですが、〇・八。  現在は、イールドカーブコントロールによって、直近の十年物国債というのはマイナスになっております。日銀は、少なくとも二%、安定的に二%の物価上昇に行くまではこのイールドカーブのコントロールをやるんだというふうに決定をしているわけです。  これは前提条件になぜ入らないんですか。
  99. 嶋田裕光

    嶋田政府参考人 日銀の政策決定はまだ九月でございますが、この試算を行った段階が七月でございます。したがいまして、日銀の政策とか、あるいはもろもろの市場の動きというのを捉まえまして、次回の試算において、その影響を織り込んで試算することとしたいと思っております。
  100. 吉川元

    吉川(元)委員 先ほど政務官、これは実現可能であるとおっしゃられましたけれども、既に一つ前提条件が崩れております。日銀の政策が織り込まれていない。それなのにもかかわらず、これは実現可能な試算であると。  私は、どう見てもこれは、今の一つの指摘、大体、二%、三%というのも非常に高い目標でありますけれども、今の日銀の政策との整合性をあわせて考えても、完全に机上の空論としか言いようがないというふうに思います。  次に、これは非常に無理なケース、経済再生ケースを前提にしても、二〇二〇年度段階で五・五兆円の赤字が残るというふうになっております。これはどういうふうにするつもりなのでしょうか。二〇二〇年、プライマリーバランスを均衡させるといった場合に、五・五兆円はどこかから持ってこなければいけない。これはどのように考えておられますか。
  101. 武村展英

    ○武村大臣政務官 お答えいたします。  財政健全化についてでございますが、やはり、徹底的な歳出の重点化効率化、こういったことによって歳出削減にこれまでも取り組んできておりまして、実際に成果も上げているところだというふうに考えております。  また、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標につきましては、二〇一八年度の時点で目標達成に向けた歳出改革等の進捗状況を評価する。そして、必要な場合には、デフレ脱却経済再生を堅持する中で、歳出歳入等の追加措置等を検討することとしております。  今後とも、経済財政計画の枠組みのもと改革工程表に基づきまして、社会保障改革を含め、徹底的な重点化効率化など、歳出改革を継続していく考えであります。
  102. 吉川元

    吉川(元)委員 今の答弁、結局何を言っているかというと、二〇二〇年度までに五・五兆円歳出を削る、つまり、社会保障を削っていくというふうにしか聞こえないわけであります。  税と社会保障一体改革は一体何だったのか。我々は、もちろん、消費税増税に反対をいたしました。所得税や法人税、取れるところはいっぱいある、担税能力のある方にきちんと負担していただければ可能だというふうに言いましたけれども、それでも、少なくとも消費税増税によって、世界に冠たるというふうに言いますけれども、今の社会保障を守ると言ってきたんでしょう。  ところが、五・五兆円結局削るというのは、羊頭狗肉といいますか、もうこれは全く破綻をしてしまったと言わざるを得ません。  次に、社会保障関係経費、前回質問しようと思って時間がなくなった部分についてお聞きしたいと思います。  財源不足によって、一体改革で予定していた制度の見直しは、事実先送りになったり、あるいは断念せざるを得なくなるのではないかというふうな危惧を持っております。  私が一番危惧しているのは、昨年四月から始まった子ども・子育て支援新制度に与える影響であります。  一億総活躍プランともかぶる部分はありますけれども、新制度は、認定こども園や保育所など地域型保育の拡充、それから子ども・子育て支援事業の拡充、質の面でも、職員の配置基準の改善など、重要なメニューが大変並んでおります。既に自治体レベルでは着々と準備に入っております。その際、この再延期による財政確保のおくれが自治体での計画に支障を来すことがないのかどうか、この点を非常に心配しております。  さらに、この子ども・子育て支援新制度に必要な財源一兆円のうち消費税増税分一千億円、それから追加で必要となる財源三千億円が、いまだに確保のめどが立っていないということであります。既に始まっている子ども・子育て新制度、このサービスを提供するのは現場の自治体です。めどが立っていない四千億円の財源、今後どうしていくのか。  それから、加えて、増税延期が自治体で提供するサービスに支障を来すことはないのか。この点について伺います。総務省
  103. 冨樫博之

    冨樫大臣政務官 子育てや介護など社会保障の多くは地方自治体を通じて国民に提供されており、その役割も極めて大きいことから、社会保障の充実施策に係る地方負担分を含め、所要の財源を確保することが重要と考えております。  また、消費税財源を活用して行う社会保障の充実施策については、待機児童ゼロを目指した保育の受け皿整備は予定どおり進めること、加えて、保育士の処遇改善など一億総活躍プランに関する施策については、財源を確保しながら優先して実施することが総理から答弁されております。  総務省としては、消費税地方消費税率引き上げ延期に対応した社会保障の充実施策や保育士の処遇改善など一億総活躍プラン関係施策の実施に関し、地方負担分も含めた安定財源を確保することについて関係府省に要請しております。  いずれにしても、財政負担のあり方も含め、具体的には今後予算編成過程で検討されることになりますが、社会保障施策の取り扱いに係る地方財政への影響については、年末の地方財政対策の中で、歳出歳入の両面において、地方自治体の財政運営に支障を来すことのないよう対応してまいります。
  104. 吉川元

    吉川(元)委員 しっかり対応していただきたいと思います。  本来であれば厚生労働省にもお聞きしたかったんですが、これはまた別の機会に譲りたいと思います。  以上で終わります。
  105. 竹内譲

    竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  106. 竹内譲

    竹内委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。
  107. 左藤章

    左藤委員 私は、ただいま議題となりました社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表し、賛成の立場から討論を行います。  まず、今回の法案には、地方消費税率引き上げの実施時期を平成三十一年十月一日に変更する措置が盛り込まれております。このことは、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生デフレ脱却に向けた取り組みに万全を期するべきとの観点から行われるものであります。与党としても、政府と一体となって、確実に成果を上げているアベノミクスを一層加速させるとともに、経済財政運営に万全を期してまいります。  また、今回の法案においては、地方消費税率引き上げ時期の変更に合わせて、平成二十八年度地方税法等改正法において措置した地方法人課税の偏在是正に係る措置及び車体課税の見直しに係る措置についても、その施行を二年半延期することが盛り込まれております。これらは、いずれも与党税制改正大綱において、消費税率一〇%段階の措置とされてきたものであり、今回の措置は妥当な判断に基づくものであると考えます。  なお、消費税率引き上げ時期の変更に伴い、子育てや介護など社会保障に果たす役割の大きい地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう、所要の財源を確保するとともに、ローカルアベノミクスを加速し、地域経済の好循環のさらなる拡大を後押しすることが重要であります。  総務大臣におかれましては、これらの課題について最大限努力されることを求めますとともに、与党としても全力で支援することをお約束申し上げ、私の討論といたします。(拍手)
  108. 竹内譲

    竹内委員長 次に、奥野総一郎君。
  109. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 民進党・無所属クラブの奥野総一郎です。  民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出、社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。  安倍総理は、二年前の記者会見消費税引き上げの再延期はないと断言したにもかかわらず、今回、再延期を決めました。再延期そのものは、今の経済情勢ではやむを得ないと考えています。問題は、その経緯、原因であります。総理は、世界経済リスクが原因としていますけれども、ずばり、アベノミクスの行き詰まりが原因ではないでしょうか。  また、税率引き上げ時に導入される軽減税率制度も、不足する恒久財源のめどを立てないまま、今回も先送っています。低所得者対策とならない等多くの問題を抱えていることは明らかであり、一体改革にあるように、給付つき税額控除導入を検討すべきときであります。  リスクを抱えているのは、世界情勢ではなくて、我が国経済であり、ひいては国民の生活であります。アベノリスクを乗り越えるため、我が党が主張している人への投資へと経済政策を抜本的に転換しなければなりません。  以下、本法律案に反対する理由を具体的に申し述べます。  第一に、消費税率引き上げ延期により、社会保障充実のための財源が失われますが、この代替財源が明確に示されていません。既に社会保障充実のための準備地方公共団体が進めている中で、財源を確保できず、地方に転嫁する事態が生じることは許されません。  第二に、税源の偏在是正措置まで先送りされている点です。地方税収財源の偏在是正は、地方消費税率引き上げ延期にかかわらず取り組むべき問題です。地方創生の看板を掲げながら、税源の偏りを放置したまま。安倍内閣政策は、かけ声倒れと言わざるを得ません。  安倍総理は、消費税率引き上げ経済状況もつくり出せず、地方創生もかけ声倒れ。将来の国民生活よりも目の前の選挙を重視するアベノミクスではなく、地方が主体性を持って住民のために行政サービスを提供するための地域主権改革を進める我が党こそ、地域皆様安心して暮らせる社会を実現できることをお約束申し上げて、私の反対討論といたします。  以上です。(拍手)
  110. 竹内譲

    竹内委員長 次に、梅村さえこ君。
  111. 梅村さえこ

    ○梅村委員 私は、日本共産党を代表して、本法案に対する反対討論を行います。  本法案は、消費税一〇%への増税を再延期して、二〇一九年十月一日から増税を実施することに伴い、自動車取得税の廃止や地方法人課税の偏在是正措置について、その実施時期を変更するものです。  消費税八%への増税が、低所得者、子育て世帯、高齢者世帯に重い負担を強いて、個人消費を大きく落ち込ませていたことは、政府経済財政白書からも明白です。どうして経済の好循環などと言えるのでしょうか。  子供の貧困が大問題となっていますが、八%増税が、学校給食を初め、就学援助にも重大な影響を与えています。  消費税八%増税は、地域消費を冷え込ませ、地域経済の活性化の妨げとなっています。被災者の住宅再建を初め、生活となりわいにも容赦なく襲いかかるのが消費税増税です。  消費税一〇%は、再延期ではなくきっぱりと断念すべきです。  自動車業界は、消費税増税に合わせ、自動車取得税の廃止を求めてきました。こうした車体課税の見直しには反対です。  消費税率引き上げにより、その一部が国税として地方交付税の原資となっても、各自治体では、地方消費税の増収分は地方交付税が減ることになります。  政府は、消費税増税によって拡大する自治体間の税収格差を、地方の自主財源である法人住民税の一部を国税化し、地方交付税として配分するとしています。こうした本末転倒のやり方は行うべきではありません。  地方財政の確立は、消費税増税に頼るのではなく、内需の拡大と累進税制の強化で行うべきです。地方財源を十分に確保するために、地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、その財源保障機能と財政調整機能を発揮させた道を進むべきであることを強調して、反対討論といたします。(拍手)
  112. 竹内譲

    竹内委員長 次に、足立康史君。
  113. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史です。  私は、ただいま議題となりました法案について、反対の立場から討論いたします。  まず、我が党は、消費税率を直ちに引き上げるべきではないという立場であることを明言しておきます。我が党は、消費税率引き上げのためには、国会議員の身を切る改革、公務員人件費削減等の徹底行革、そして景気回復が必要と主張しております。こうした改革はいまだ進んでおらず、ことしになっても内外の経済状況は予断を許さないことから、消費税率を当面引き上げないことには賛成です。  しかし、景気への配慮も身を切る改革も行わずに、平成三十一年に無条件で税率引き上げを行うことを決めている本法案には、到底賛成できません。消費税増税は凍結すべきであります。  今回の改正案では、消費税率の一〇%引き上げの時期を平成三十一年十月と明記しております。もともと法の附則に盛り込まれていた景気条項は、二年前の消費増税延期のときに削除されました。にもかかわらず、今回も景気への悪影響を理由に、消費増税延期されております。どのような場合に延期するのかを景気条項として明記し、改革が断行されるまでは消費税率引き上げの時期は示さない法案とすべきであります。  平成二十四年に消費税率の一〇%への引き上げを決定した際、民主党政権下で決められた社会保障・税一体改革大綱には、「議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で、税制抜本改革による消費税引上げを実施すべきである。」と明記されました。この大綱のもと、民主党、自民党、公明党の三党合意税制抜本改革法が成立しました。政府と三党は、その後、大綱で示した国民との約束を十分に守ったとは言えません。  まず、議員定数の削減は、ことしようやく決まりましたが、衆議院で定数を十減らすのみでありますし、その際に我が党が要求した国会改革実現していません。議員歳費と公務員人件費について、復興財源のための議員歳費と公務員給与の削減は二年余りで終了する一方、国民への復興所得課税は平成四十九年まで続きます。平成二十七年、二十八年には公務員給与を引き上げる給与法が成立し、今国会には三年連続の引き上げを求める法案が提出されております。社会保障と税の一体改革大綱に定めた議員定数削減と公務員総人件費削減は、まだまだ不十分と言わざるを得ません。  以上の理由から、我が党は、今回の法案には反対であります。  以上であります。(拍手)
  114. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  115. 吉川元

    吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表して、本法案について、反対の立場から討論を行います。  安倍総理の新たな判断によって、消費税率一〇%への引き上げが二〇一九年十月まで延期されることになりました。二回にわたる延期によって、一体改革の決定から、この財源を最終的に確保するまでに実に七年という期間を要することになりました。その間、集中改革期間において、社会保障費の自然増が大きく抑制され、負担増、給付削減が予定されるなど、社会保障制度の維持、充実という増税目的が大きく揺らぎつつあります。  この事実を踏まえれば、増税延期ではなく、税制全般と社会保障制度抜本改革をやり直すことが筋と考え、本法案に反対することとします。  消費増税延期によって、住民へのサービスを実際に提供する自治体の社会保障財源が安定的に確保できるのか、地方は強い懸念を抱いています。ところが、いまだに軽減税率実施時の恒久財源の確保にめどが立たず、子ども・子育て支援制度の財源でも約四千億円が不確定のままです。増税延期によって、これらの財源確保を先送りするのではなく、地方が不安なく社会保障サービスを提供できるよう、一刻も早く財源を明確化することを政府に求めます。  また、消費指標を中心とした地方消費税の配分が、人口一人当たり税収で一・七倍の格差を生み出していること、軽減税率導入時に、軽減税率の一般財源分、地方交付税財源分の双方の割合が、同じ八%であっても、現行より下回ってしまうことは極めて問題であり、その是正を求めるものです。  なお、本来地方の固有財源である地方法人課税でその税収の一部を交付税原資化すること、消費税率一〇%への引き上げ段階でさらにその割合を引き上げることは、地方の課税自主権並びに分権の趣旨をゆがめるものとして反対いたします。  以上を指摘し、討論とさせていただきます。(拍手)
  116. 竹内譲

    竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  117. 竹内譲

    竹内委員長 これより採決に入ります。  社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  118. 竹内譲

    竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  119. 竹内譲

    竹内委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、葉梨康弘君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。小川淳也君。
  120. 小川淳也

    ○小川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     社会保障安定財源確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 地方消費税率の引上げの再延期に当たっては、社会保障の充実に係る施策の実施に関し、国の責任において安定財源を確保し、地方公共団体財政運営に支障を来すことのないよう、地方交付税原資分も含め、必要な財政措置を確実に講ずるなど、地方に負担を転嫁しないこと。  二 地方税の税源の偏在是正については、不断に取り組むことが重要であることに鑑み、実施することが適当と認められるときには、必要な措置を講ずること。  三 地方消費税率の引上げ時に導入される自動車税及び軽自動車税への環境性能割について税率区分を設定するに当たっては、廃止される自動車取得税に見合う財源が確保されるものとし、地方財政に影響を及ぼすことがないようにすること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  121. 竹内譲

    竹内委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 竹内譲

    竹内委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣
  123. 高市早苗

    高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。     ―――――――――――――
  124. 竹内譲

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  126. 竹内譲

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会