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2016-03-30 第190回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月三十日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十六号     ─────────────   平成二十八年三月三十日    午前十時 本会議     ─────────────  第一 地域再生法の一部を改正する法律案(趣   旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これより会議を開きます。  日程第一 地域再生法の一部を改正する法律案趣旨説明)  本案について提出者趣旨説明を求めます。国務大臣石破茂君。    〔国務大臣石破茂登壇拍手
  3. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  我が国の地方創生をめぐる現状は、若者の雇用環境が改善する一方で、二〇〇六年から上昇傾向にあった合計特殊出生率が九年ぶりに低下に転じ、また、東京一極集中傾向に歯止めが掛からないなど厳しい状況が続いております。  このような状況を踏まえ、国においては、まちひと・しごと創生総合戦略に掲げられた基本目標重要業績評価指標KPI達成に向けた進捗状況を検証し、政策パッケージ個別施策の拡充を盛り込んだまちひと・しごと創生総合戦略二〇一五改訂版を昨年末に閣議決定したところであります。  地方公共団体においては、地域実情に応じて地方創生に取り組むための地方版総合戦略の策定が進められており、今後、これに基づく地方創生事業が本格的に実施されていくことになります。  この法律案は、そのような地方公共団体の自主的、主体的な事業で先導的なものを支援する地方創生推進交付金交付や、地方公共団体が行う地方創生プロジェクトに対する企業寄附を促進する地方創生応援税制中高年齢者希望に応じて地方まちなかに移り住み、多世代地域住民と交流しながら健康でアクティブな生活を送りつつ、必要に応じて医療介護を受けることができるコミュニティーづくりを目指す生涯活躍まち推進のための措置を講ずるものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、次の措置を追加することにいたしております。  第一に、認定地域再生計画に記載されている事業地方版総合戦略に位置付けられた先導的なものに対して交付するまちひと・しごと創生交付金規定を追加することとしております。  第二に、認定地方公共団体に対してまちひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附をした法人に対する課税の特例を追加することとしております。  第三に、生涯活躍まち形成事業計画の作成及びこれに基づく介護保険事業者指定等手続特例等を追加することとしております。  また、地域再生担い手となる地域再生推進法人指定の際に求められる政令で定める要件を削除することとしております。  このほか、所要の規定整備を行うこととしております。  以上が、地域再生法の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに成立いたしますようお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。安井美沙子君。    〔安井美沙子登壇拍手
  5. 安井美沙子

    安井美沙子君 民進党の安井美沙子です。  私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地域再生法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。  石破大臣は、安倍内閣が進める地方創生について、従来の取組とは大きく異なるものであると認識している、かつてのような高度経済成長が望めず、人口減少少子高齢化が同時並行している中、過去の延長線上の政策はもはや通用しないと、参議院地方消費者問題に関する特別委員会で述べられました。私も全く同感です。  しかし、石破大臣が就任されて以来の政策を見ますと、従来のものと比べ、特段異次元とかパラダイムシフトと言えるようなものがあるようには思えません。そもそも、安倍内閣地方創生に流れる通奏低音が相も変わらず国主導中央集権である限りは、東京への過度な一極集中を是正し、疲弊が進む地方を活性化することなどおぼつかず、むしろ地方疲弊を加速するのではないかと懸念しております。  こうした問題意識の下、以下、具体的に質問をさせていただきます。  今回創設される地方創生推進交付金交付を受けるためには、地方公共団体が、国の地方創生総合戦略を勘案して作った地方版総合戦略に沿って地域再生計画を作るというスキームになっています。国の顔色をうかがいながら作る計画で、本来の地域自主性を十分に発揮されるものとなり得るのでしょうか。石破大臣にお伺いします。  そういえば、平成二十六年度補正予算措置された地域消費喚起生活支援型交付金においても、国が用意した事例を参考に地方発意で自由に使えるにもかかわらず、千七百八十八自治体のうち九八%に当たる千七百五十の自治体が、申し合わせたかのようにプレミアム付き地域振興券の発行を選択しました。  そろそろ商品券も使い終わり、各自治体集計がなされている頃と思います。これらの交付金として血税二千五百億円をばらまいた結果、地域消費はどの程度喚起され、経済効果はどのくらいあったのでしょうか。最終的な集計はまだかと思いますが、この事業を実施した効果について、石破大臣の御所見を伺います。  交付対象となる先導的な事業について、先駆タイプ横展開タイプ隘路打開タイプといった事業対象にするという方針ですが、分かりにくいです。先導的と国が認め交付金交付するに当たって、客観的な指標なり基準なり制度は担保されているのでしょうか。石破大臣にお伺いします。  地方創生推進交付金一千億円には、現行地域再生法における道路、汚水処理施設、港を複合的に整備する地域再生基盤強化交付金が四百十六億円含まれています。継続事業予算が削られると地方にとっては痛手が大きいと思いますが、計画どおり確保されるのですか。石破大臣に伺います。  民主党政権時の一括交付金は、一年目でも五千百二十億円、二年目は六千七百五十四億円でしたが、今回の交付金はたったの一千億円です。その中でも、実質新たに交付できる額は五百八十四億円にすぎません。幾ら何でも少な過ぎるのではないですか。今後、各府省個別補助金を廃止しつつ拡充していくおつもりがあるのでしょうか。石破大臣の具体的な答弁を求めます。  安倍政権になって民主党政権時代一括交付金を即座に廃止した理由として、使い勝手が悪いからと必ず言われますが、交付対象である都道府県政令指定都市に行ったアンケート調査によれば、およそ七割の自治体が、従来の補助金交付金に比べ自主裁量が拡大したと答え、約八割の自治体から一括交付金取組評価する声がありました。  一方で、新型交付金制度設計が見え始めた昨年八月、ある通信社が行った四十七都道府県知事へのアンケートによれば、二十五人の知事新型交付金について評価できないと答えています。  今また新たな交付金を創設して現場の混乱を招くよりも、ひも付き補助金の縛りを廃した民主党政権の功績を素直に認め、継続したらいかがですか。一括交付金交付対象市町村まで拡大させ、対象事業ソフト事業の割合を拡大し、手続簡素化を図りつつ、客観指標を用いた配分や地方議会の監視や住民監査などのガバナンスの強化を行って、復活、拡充すべきであると考えます。石破大臣の御見解を伺います。  それでも、どうしても地方創生推進交付金の方が圧倒的に優れているとおっしゃるならば、これまでの個別補助金一括交付金と何が異なり、どこが第三のアプローチなのか、画期的なのか、国、地方双方にどのような利点をもたらすのか、石破大臣にお聞きします。  次に、地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税についてお聞きします。  この企業版ふるさと納税は、個人版ふるさと納税制度と同様に、寄附を通じた地方への税収移転を狙ったものであると推察します。各地方地方創生取組を応援することで地域を活性化させるという発想はいいとしても、余りにも多くの懸念が残ります。寄附金額の三割相当額を税額控除し、現行損金算入による軽減効果と合わせて六割の負担軽減企業が受けることになりますが、寄附を行った会社の所在地の地方公共団体は大幅な減収となります。この減収分は補填されるのでしょうか。国からの補填があるのでしょうか。石破大臣にお聞きします。  また、そもそも地方税地方公共団体が提供する行政サービスに対する会費的な性格であり、応益負担の原則に鑑みても、企業版ふるさと納税制度は本来の税制の在り方として妥当と言えるのでしょうか。地方税制を所管する高市総務大臣にお聞きします。  個人版ふるさと納税では返礼品をめぐる過熱化が問題となり、総務大臣返礼品について大臣通知を出したことは記憶に新しいところです。また、大震災後は被災地への寄附額が全国の寄附総額の三九%を占めましたが、復興優先返礼品の余裕がなく、平成二十六年度には五%に激減したということです。改めて、個人版ふるさと納税にも問題があると思いませんか。いつまで続けるのですか。高市大臣に伺います。  企業版ふるさと納税も、企業寄附をした地方自治体に対して便宜供与を求めるようなモラルハザードを生むおそれが考えられます。寄附代償として経済的利益を伴わない事業対象とするとしていますが、様々な分野で考え得る便宜供与可能性について十分に排除し切れるのでしょうか。石破大臣にお伺いします。  また、企業版ふるさと納税は時限的なものと理解しており、いつまで、何を達成するまで続けるおつもりですか。KPIはどのように設定していらっしゃいますか。石破大臣に伺います。  次に、生涯活躍まち制度日本版CCRCと言われる制度についてお聞きします。  制度対象となる生涯活躍まち形成地域の定義が余りにお粗末です。どんな地域かといいますと、「人口及び地域経済の動向その他の自然的経済的社会的条件からみて、地域住民が生涯にわたり活躍できる魅力ある地域社会を形成して中高年齢者の居住を誘導し、地域持続的発展を図ることが適当と認められる地域」。これでは何でもありじゃないですか。業界本位のルールなき規制緩和とも見えてしまいます。もう少し具体的なイメージを共有してください。石破大臣にお伺いします。  CCRCでは、地域活動担い手として、あるいは介護サービス担い手として、中高年も元気に働ける地域づくりを目指すと理解しています。これにより地域包括ケアシステムとの連携が生まれ、市町村の新しい総合事業としての地域支援事業が充実すればいいのですが、厚労省社会保障審議会が要支援切りの検討を行っているとの報道もある中、CCRCが万能の受皿になると期待しているとしたら問題です。自治体の中での環境整備はまだ緒に就いたばかりで、地元でも不安の声を聞きます。CCRC地域包括ケア連携の具体的なイメージについて石破大臣にお伺いします。  さて、冒頭の問題提起に戻ります。  石破大臣分権や道州制について、それが、結論が出るまで何もしないというわけにはいかぬ、今回の地方創生取組は、いろんな潜在的な能力というものを最大限に引き出すものだと答弁されました。つまり、地方創生一辺倒になってしまって地方分権改革をやめたわけではないというお考えと理解しております。しかし、現実には、地方分権改革の勢いはそがれ、むしろ中央集権の色彩が濃くなっているように思えてなりません。  今国会に提出された第六次地方分権一括法案にしても、平成二十六年度から提案募集方式を導入した結果、地方の声が反映しやすいという利点はあるものの、国がどのように分権を進めていくのかといった絵姿が全く見えなくなりました。十五の法律改正の中身を見ても、分権と呼ぶのが恥ずかしくなるくらいごくごく小さな改正にとどまっています。なぜ委員会方式をやめたのですか。提案募集方式と並行してでも続けるべきではないですか。石破大臣に伺います。  安倍内閣地方創生はあべこべです。国がしっかり分権ビジョンを描いて地方を誘導していくべきところは地方に丸投げし、逆に、地方裁量に任せるべきところを国ががちがちに縛ってしまっているからです。地方丸投げの最たるものは、中央省庁地方移転です。せっかくまちひと・しごと創生本部ができたのですから、中立、客観的な立場から各省庁の特性を分析し、地方移転しても大丈夫な、あるいは地方移転した方がかえってメリットが大きいと思われる省庁を選び出した上で地方に提示すべきです。各省庁の使命や仕事の実態を詳細に知らない地方に一から提案させるから、消費者庁移転などというとんでもないアイデアが出てきてしまったのです。地方に丸投げすることが地方創生ではありません。石破大臣見解を伺います。  一方の、地方をがちがちに縛っている最たる事例が、プレミアム付き商品券に代表される地域住民生活等緊急支援のための交付金や今回の法案にある新型交付金です。事例を示して地方発意をそぎ、KPIPDCAだと地方を萎縮させ役人的な発想の型にはめてしまっては、金太郎あめ的なスモールビジネス幾つ幾つ線香花火のように打ち上がるだけです。KPIPDCA地方に求める前に、まずは、国こそ隗より始めるべきと考えます。これまでの地域活性化施策において、一度でも評価結果を次の政策に反映させた実績がありますか。石破大臣に伺います。  地方を本当に活性化させたいのであれば、地方権限財源を移譲するしかありません。ドイツやイタリア、フランスといったヨーロッパ各国が、一極集中を免れ地方都市がそれぞれ魅力的な個性を発揮できているのは、州政府にそれなりの権限があるからです。日本国憲法八章では、地方自治を行うのは地方公共団体であり、地方自治体とは書いてありません。地方公共団体はあくまで中央から委託された業務を行うだけで、地方議会法律の範囲の条例しか作ることができません。地方創生を本気で実現するならば、憲法八章改正も視野に入れた地方への権限財源の移譲を検討すべきではないでしょうか。石破大臣憲法改正への御関心を確認し、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣石破茂登壇拍手
  6. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 安井議員より十六問頂戴をいたしました。  まず、地方創生推進交付金に係る自主性への配慮についてであります。  本交付金は、地方創生推進のため、各地方公共団体地方版総合戦略に位置付けられた自主的、主体的で先導的な取組支援するものであります。その交付金申請の前提として作成される地域再生計画につきましては、国が押し付けるものではなく、地方公共団体がそれぞれの地域実情に応じて自主性を発揮して作成することができるものであります。本交付金も、地方創生全般の中でどの分野重点を置くかといった選択や、どのような手法で実施するかといった事業構築の点で、地方公共団体地域自主性を十分に発揮できるよう使い勝手の良い仕組みにしておるところであります。  プレミアム付き商品券における経済効果についてであります。  平成二十六年度補正予算における地域消費喚起生活支援型交付金では、助成した金額以上の消費喚起が期待できるプレミアム付き商品券を始め、高い消費喚起効果が期待できる施策を各地方公共団体に推奨しており、従来の施策と比べてもより高い消費喚起効果が得られるものと考えております。  一例を御紹介すれば、愛知県を始め一部の自治体については、旅行券利用者の約七割が新規宿泊客であり、近隣の家族利用中心新規宿泊客獲得が進展し、宿泊単価上昇傾向にあるとの中間報告を得ております。また、ネット販売を利用した一部の自治体においては、ふるさと名物商品事業に参加した店舗は、参加していない店舗と比べ約二倍の新規顧客獲得に成功している状況が見られます。  さらに、先日、プレミアム付き商品券ふるさと名物商品旅行券主婦皆様中心とした約十万人の女性読者の投票によって、昨年最もこれがあって便利、助かったと実感した商品サービスの金賞に選ばれ、三月十四日には主婦皆様を代表される方が直接表彰状とトロフィーをお届けいただきました。  自治体によるアンケート調査集計分析結果などを事業終了を受けて速やかに取りまとめ提出するよう三月九日に各自治体に依頼を発出したところであり、その結果が集まり次第、全国的な規模での事業効果集計分析を進めていくことといたしております。  国自身はもとより、地域自身による今後の消費喚起市場開拓に向けた取組にも資するよう、極力客観的なデータに基づく検証作業を進めてまいります。  次に、地方創生推進交付金先導性審査についてお尋ねをいただきました。  先導的な事業とは、KPI設定PDCAサイクルを備えたものであって、官民協働地域間連携政策間連携等先駆的要素が含まれた先駆タイプ、先駆的・優良事例横展開を図る横展開タイプ既存取組制度上の隘路を発見し、それを打開するための隘路打開タイプの三タイプを想定しております。  地方創生推進交付金交付対象とする個別事業の選定に当たりましては、官民協働地域間連携政策間連携といった基準を明示した上で、その公平性を確保するため、内閣府の事務局における参事官クラス次長クラスなど複数人及び複数のレベルでの審査に加え、先駆タイプについては知見を有する外部有識者審査を経ることといたしております。  地域再生基盤強化交付金継続事業についてであります。  これまで地域再生基盤強化交付金により実施してきた道、汚水処理施設、港を政策間連携により総合的に整備する事業に加え、継続事業についても、地方創生交付金一千億円のうち四百十六億円により対応していくこととしております。この予算につきましては、地方公共団体における事業進捗状況要望を踏まえ計上したものであり、地方公共団体において円滑かつ安定的に事業が実施されるよう必要な予算を確保したものであります。  地方創生推進交付金総額についてであります。  本交付金は、地方からの要望を踏まえ、平成二十八年度予算編成プロセスにおいて、関係府省の協力を得て、新たに国費一千億円、事業費ベース二千億円規模予算を確保したものであります。地方団体からも、地方が強い決意と覚悟を持って地方創生をスタートできる額が確保されたことを評価するとの共同声明が発出されております。  平成二十九年度以降の具体的な予算につきましては、今後の予算編成過程で議論してまいりますが、地方公共団体取組状況等を踏まえ、地方創生取組が安定的、継続的に推進していけるよう前向きに取り組んでまいります。  なお、民主党政権時代地域自主戦略交付金一括交付金は、各府省の一部の公共事業関連補助金を束ねたものと承知しておりますが、地方創生推進交付金は、地方創生推進目的とし、ソフト事業中心既存補助事業を超えて地方公共団体が自主的、主体的に事業構築できるものであり、両者は目的対象事業からして性格を異にしているため、同列に取り扱うことは適当ではないと考えておる次第でございます。  次に、一括交付金復活についてのお尋ねをいただきました。  民主党政権時代に、地域の自主的な選択に基づく事業の実施を目指し、各省庁投資補助金等の一部を一括化し、都道府県指定都市対象とする地域自主戦略交付金を創設したものと承知しております。  これにつきましては、運用される中で、対象事業が従来の補助金に限定されていることや、事業規模の年度間の変動や地域間の偏在を考慮すると交付対象一般市町村に拡大することが困難であったこと、手続の煩雑さといった様々な問題点アンケート等を通じて地方公共団体から指摘されておりましたことから、平成二十五年度に廃止し、各省庁交付金移行をいたしました。その際、地方からの意見も踏まえ、移行先の各省庁において、事業別に細分化されていた整備計画をより大きな政策目的別にまとめることや事務手続簡素化するなどの運用改善を行ったところであります。  このように、地方意見を踏まえ、今回の地方創生推進交付金も含め、真に地方にとって効果が高く使い勝手の良い施策仕組みづくり推進することが重要であると考えております。  地方創生推進交付金の特徴についてであります。  今回の地方創生推進交付金は、地方版総合戦略に基づく地方公共団体の自主的、主体的で先導的な事業支援する点、KPI設定PDCAサイクル整備を組み込み、縦割りを超えた事業支援する点、地域再生法改正案に基づく交付金とし、安定的な制度運用を確保する点で、これまでの個別補助金一括交付金とは異なる新しいタイプ交付金であると考えております。  各省の個別補助金等と異なり、どのような分野重点を置くか、ソフト事業ハード事業をどのように組み合わせるかといった事業構築地方公共団体に委ねられており、自由度の高いものとなっております。また、本交付金先導性を有する効果の高い取組に対して支援を行うものでありますので、国と地方総合戦略双方成果目標達成に資するものであると、かように考えておる次第でございます。  地方創生応援税制による減収についてであります。  地方創生応援税制控除額は、法人住民税及び法人事業税の税額の二割を限度としており、その団体に所在する企業がほかの地方公共団体地方創生事業寄附をした場合であっても、税収に過度な影響を与えないような制度とすることとしております。また、その減収額については地方交付税基準財政収入額に反映されますので、地方交付税交付団体にあっては地方交付税によって適切に補填されることになります。  地方創生応援税制寄附に伴う便宜供与についてであります。  地方創生応援税制は、志のある企業寄附という形で地方創生プロジェクトを応援していただくための制度であることから、企業経済的利益供与を期待して寄附を行うという認識には立っておりません。その上で、地方公共団体寄附代償として企業に対して経済的な利益供与する行為は不適切と考えておりますことから、内閣府令において、こうした行為を禁ずる規定を置くことといたしております。地方公共団体は当然に法令に従って地方創生事業に取り組むものであり、御指摘の便宜供与の御懸念は当たらないものと考えておるところでございます。  地方創生応援税制達成目標についてのお尋ねであります。  地方創生応援税制は、雇用の創出、移住、定住、働き方改革町づくりなど幅広い分野から地方公共団体がそれぞれの地域における課題に応じて取り組む様々な地方創生事業支援するものであります。  地方創生応援税制活用に当たりましては、地方公共団体において、個々の事業ごとKPI設定し、PDCA整備していただくこととなっており、数値目標目標年次を定めて地方版総合戦略目標達成に取り組んでいただきたいと考えております。地方創生応援税制KPIにつきましては、地域ごとに展開される多種多様な事業について、国においてあらかじめ画一的、統一的に設定することはなじみにくいものと考えております。  次に、生涯活躍まち形成地域についてであります。  生涯活躍まち構想は、中高年齢者希望に応じて地方や町中に移り住み、多世代地域住民と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要な医療介護を受けることができるコミュニティーづくりを目指すものであります。  今般の改正法案においては、地方公共団体が策定する地域再生計画に生涯活躍まち形成事業を位置付けた上で事業者による手続簡素化を行うものであります。対象となる生涯活躍まち形成地域につきましては、中高年齢者が自らの希望に応じて東京圏などから地方に移住するものや地域内で近隣から町中へ住み替えるものなどを想定し、人口雇用サービス状況等の各々の地域の特性に応じて地方公共団体において適切な地域設定されるものと考えております。  国といたしましても、昨年十二月に公表した手引きの作成などの情報支援地方創生推進交付金による先駆的な取組に対する財政支援などを通じ、地域の創意工夫により魅力的なコミュニティーづくりがなされるよう積極的に支援を行ってまいります。  地域包括ケアシステムとの連携についてのお尋ねをいただきました。  生涯活躍まちは、中高年齢者の御希望に応えるとともに、移り住んでこられた入居者が地域社会に溶け込み多世代と協働ができるような環境整備を行い、地域で継続的なケアが受けられることを目指すという点で、まさしく地域包括ケアシステムと同じ方向を目指すものであります。  このため、地方公共団体において地元住民へのサービスと入居者へのサービスが一体的に提供される環境整備として、既存の福祉拠点を活用した集いの場づくりや、生涯活躍まちコーディネーターと地域包括ケアシステムにおける生活支援コーディネーターとの兼任などによります生活支援サービスの一体的な体制整備などを行うことにより、地域包括ケアシステムとの連携を積極的に取り組まれるよう国としても支援をいたしてまいります。  次に、地方分権改革に関する委員会勧告方式についてのお尋ねを頂戴をいたしました。  第一次から第四次までの地方分権一括法により、国から地方及び都道府県から市町村への権限移譲、並びに義務付け・枠付けの見直しを推進し、延べ三百六十六法律改正を実現いたしました。これにより、地方分権改革推進委員会の勧告事項については一通り検討し対処したところであります。  このような成果を基盤とし、平成二十六年六月に地方の代表の皆様も参画していただいた地方分権改革有識者会議において、それまでの地方分権取組の総括を行いました。  そこで、個性を生かし自立した地方をつくるため、国主導による集中的な取組から地方発意に根差した息の長い取組とすることといたしました。具体的には、委員会勧告方式に替えて、国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権改革を目指し、提案募集方式を導入することといたしたところであります。提案募集方式を通じた取組については、全国知事会から地方分権改革の力強い前進が図られたことに感謝する、また、指定都市市長会からも地方自治体政策実現の幅が広がる大変意義のある取組と御評価をいただいております。  地方からの提案は、まさに地に足の付いた、現場で困っている課題を解決するためのものであり、住民サービスの向上など、その自治体や住民にとって大きな意味があるものと考えております。今後とも、地方からの御提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って取り組んでまいります。  中央省庁地方移転についてであります。  今回の取組は、東京一極集中の是正を図るため、地方の自主的、主体的取組を国が支援することを基本とする地方創生の考え方に即し、自らの地域の強みを最も把握している地方が提案を行い、それが国と地方の双方にとってメリットをもたらすかの観点に立って、国として、有識者会議や道府県、関係省庁からのヒアリング等を通じ、地方の理解を深めながら検討を行ってきたものであります。  このように、今回の取組は、地方に丸投げしたという御指摘に該当するものではなく、御提案いただいた道府県や関係府省庁など、国と地方との共同作業を進めてきたものであります。その結果、国の機関としての機能の維持向上が図られ、かつ地方創生に資する国と地方の双方にとってメリットの見込める成案が得られ、先週三月二十二日に、まちひと・しごと創生本部において政府関係機関移転基本方針を決定したところであります。  今後、同方針に基づき国と地方連携を図り、取組の具体化を進める中で、仕事と人の好循環を形成し、地方の新産業、雇用創出を図り、東京一極集中の是正、地方創生の実現につなげてまいります。  次に、政策評価結果の反映についてのお尋ねをいただきました。  御指摘の地域活性化施策を含め各省庁が実施する個別の施策については、政策評価法に基づき、毎年度自ら評価を実施し、公表するとともに、その評価結果を政策に反映してきております。  例えば、地域再生計画の認定については、平成二十五年度実施施策政策評価において認定件数の実績五十九件が目標値九十五件に達していないことについて、地域再生計画と連動する施策が限定されている点を要因として指摘しております。この結果を踏まえ、地域の自主的な取組をより一層促進するため、小さな拠点形成支援企業地方拠点強化を促進する税制等、地域再生計画施策メニューを増やしてまいりました。今後とも、政策評価結果を政策に反映し、効果的な施策推進に努めてまいります。  最後に、憲法改正についての認識についてのお尋ねを頂戴をいたしました。  憲法改正については国民の御理解が必要不可欠であり、憲法八章を含め、具体的な改正の内容や時期につきましても、国会や国民的な御議論との理解の深まりの中でおのずと定まってくるものと考えております。  個別の議論につきましては、憲法審査会において政党間で大いに議論を深めていただくべきものと考えておる次第でございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  7. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 安井美沙子議員からは、まず地方創生応援税制についてお尋ねがございました。  少子高齢化の進展に的確に対応し、人口減少に歯止めを掛けるためには、各地方団体において地方創生取組を進めていくことが重要です。この度創設される地方創生応援税制では、地方団体への寄附金について、現行損金算入措置に加え、法人事業税法人住民税及び法人税の税額控除を導入することとしています。この税制により、地方団体が各地域の特性を生かし地方創生のために効果的な事業を進めるに当たり、その趣旨に賛同する企業寄附が促進され、官民挙げての取組が進むことが期待されます。  なお、地方税におきましては応益課税の考え方が重要でございます。企業が各地方団体から行政サービスを受けていることも踏まえまして、税額控除額には上限を設けることとしています。  次に、個人のふるさと納税についてお尋ねがございました。  ふるさと納税は、ふるさとに対する納税者の思いを実現する観点から、平成二十年度に創設されたものです。東日本大震災後には年間のふるさと納税の四割近くが被災三県の地方団体に対して行われ、その後も被災地への支援として御活用をいただいています。  被災地へのふるさと納税が減少したとの御指摘でございますが、その人口規模などを考えますと、国民の皆様からは継続的にふるさと納税を通じ温かい御支援をいただいていると考えています。  また、返礼品につきましては、昨年四月に総務大臣通知により良識ある対応を各地方団体に要請し、これらを踏まえて多くの地方団体が必要な見直しを進めています。  ふるさと納税は期限を定めた制度ではなく、これからも各地方団体における積極的かつ制度趣旨に沿った取組を通じ、ふるさと納税が引き続き一層活用され、その健全な発展が進むことを期待しています。(拍手
  8. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十分散会