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2016-03-11 第190回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月十一日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十二号   平成二十八年三月十一日    午前十時開議  第一 国会議事堂内閣総理大臣官邸その他の   国の重要な施設等外国公館等及び原子力事   業所周辺地域の上空における小型無人機等   の飛行の禁止に関する法律案(第百八十九回   国会衆議院提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国務大臣報告に関する件(平成二十八年   度地方財政計画について)  一、地方税法等の一部を改正する等の法律案及   び地方交付税法等の一部を改正する法律案(   趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から今日で五年となりました。  会議を開くに先立ち、震災により犠牲となられた全ての方々に対し、心から哀悼の意を表します。  御遺族の皆様方に衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。      ─────・─────
  3. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  平成二十八年度地方財政計画についての国務大臣報告並びに地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。総務大臣高市早苗君。    〔国務大臣高市早苗登壇拍手
  5. 高市早苗

    国務大臣高市早苗君) 平成二十八年度地方財政計画概要並びに地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げます。  まず、平成二十八年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政現状及び現下経済情勢等を踏まえ、地方創生地方重点課題に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。  あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。  また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。  以上の方針の下に、平成二十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ四千八百八十三億円増の八十五兆七千五百九十三億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ二千二百六十一億円減の一兆七千七百九十九億円などとなっております。  次に、地方税法等の一部を改正する等の法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  現下経済情勢等を踏まえ、経済の好循環の確立に向けた法人税改革一環として、法人事業税所得割税率引下げ外形標準課税拡大等を行うとともに、地方創生の推進に向け、地域間の税源偏在性是正し、財政力格差の縮小を図るための法人住民税法人税割税率引下げ地方法人特別税等に関する暫定措置法廃止等を行います。  また、自動車取得税廃止自動車税及び軽自動車税における自動車環境性能に応じて税率が決定される環境性能割の導入、一定遊休農地等の保有に係る課税強化及び軽減等を行うほか、個人住民税徴収引継ぎ特例対象拡大等納税環境の整備、税負担軽減措置等整理合理化等を行うこととしております。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  地方交付税総額について、平成二十八年度分の通常収支に係る地方交付税総額平成二十七年度とほぼ同額の十六兆七千三億円確保するとともに、普通交付税算定に用いる単位費用改正を行うこととしております。  さらに、平成二十八年度分の震災復興特別交付税について、新たに三千四百七十八億円を確保し、総額四千八百二億円とするとともに、普通交付税特別交付税割合の維持、地方債協議不要対象団体の要件の緩和等を行うこととしております。  以上が、平成二十八年度地方財政計画概要並びに地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)     ─────────────
  6. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤川政人君。    〔藤川政人登壇拍手
  7. 藤川政人

    藤川政人君 自由民主党藤川政人です。  私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十八年度地方財政計画地方税法等の一部を改正する等の法律案地方交付税法等の一部を改正する法律案について、安倍総理及び高市総務大臣質問いたします。  冒頭、一言申し上げます。  五年前の今日三月十一日、東日本大震災が発生いたしました。一万五千名以上の尊い命を失い、いまだ二千五百名以上の方々の行方が分かりません。今なおふるさとに戻ることができず避難生活を続けておられる方々、また復興のために尽力されておられる方々が数多くいらっしゃいます。被災された地域の一日も早い復旧復興を祈り、我々国政に携わる者全員で支援していくことを誓い、質問に移ります。  今年に入ってから世界的に株価が不安定になっており、中国を始めとする新興国経済の減速による世界経済に与える影響懸念されております。そうした中でも我が国の経済は、有効求人倍率が二十四年ぶりの高水準となるなど、アベノミクス成果によって、穏やかではありますが、着実な回復基調が続いております。国と地方税収回復を続けており、平成二十八年度は、前年度に比べて国税は約三兆円、地方税は一・二兆円の増収を見込んでおります。  平成二十八年度地方財政計画は、地方税増収となる中でも地方交付税総額をおおむね維持していること、前年度と比べて臨時財政対策債発行を大きく減らしていることなど、地方の要望が反映されており、評価できる内容だと考えます。また、災害復旧などに充てられる特別交付税割合について、四%に引き下げられるというこれまでの方針を改め、六%を維持することとしたのも、近年の災害の多発を考えれば妥当な措置であると考えます。  このように、今回の地方財政計画は、地方の声も踏まえた適切なものになっていると考えます。しかし、地方財政は、一時期より縮小したものの、いまだに平成二十八年度における財源不足は五兆六千六十三億円となっております。高市総務大臣としては、今後の地方財政が抱える問題をどのように認識しておられるのか、お考えをお聞かせください。  地方税法等改正案では、資本金一億円超の普通法人について、法人事業税所得割税率を引き下げ、外形標準課税割合拡大することが盛り込まれております。  外形標準課税は、赤字法人が多い現状において、所得に基づく課税だけでは一部の企業税負担が偏ってしまうため、公平性を確保するという意味で意義のある制度であると考えます。また、景気の変動によって税収が大きく左右されないことから、地方財源の安定に果たす役割も大きいと考えます。  この制度は、現在では資本金一億円以上という大企業のみを対象としております。しかし、将来的に中小企業にまで対象拡大した場合には、経営に与える影響は非常に大きいものとなってしまいます。例えば、設立間もないベンチャー企業というのは赤字で当然であります。もし、こうした企業にまで外形標準課税を適用すれば、成長戦略の柱として起業を支援するという政府方針と大きく矛盾してしまうこととなってしまいます。したがって、外形標準課税は、設立から五年、十年といった若い小規模企業はもちろん、中小企業をその対象とすべきでないと考えますが、いかがでしょうか。総理のお考えを伺います。  今回の改正案では、地方法人課税偏在是正のため、平成二十九年度から法人住民税税率引下げ地方法人税税率引上げを行うこととしております。  これに関して、私の出身である愛知県では、豊田市など七市町村で百四十億円の大幅な減収になると試算されております。頑張って税収を上げている自治体が、豊かだからといって税収を奪われるのでは、せっかくの努力が報われなくなってしまいます。税収偏在是正が必要なことは確かであります。しかし、安易に多いところから取って少ないところに配るというのではなく、頑張った自治体が報われる制度にしなければ、全体としての税収は上がりません。  自助、共助、公助という言葉で支えるこの理念は、個人のみならず地方自治体にも当てはまるものと考えます。頑張っている自治体のやる気をくじかないためにも、まずは自助努力が評価されるべきであり、それがあった上での偏在是正であるという基本理念総理から明確におっしゃっていただきたいと思います。  次に、地方創生について伺います。  先月発表された平成二十七年国勢調査の速報では、東京一極集中が更に進んでいることが明らかとなりました。総人口が初めて減少に転じる一方で、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県、いわゆる東京圏人口は、五年前より五十一万人増えて三千六百十三万人となりました。実に総人口の三割近くがこの一都三県に住んでいるわけです。  政府は、東京一極集中是正を掲げて地方創生を推進しておられるわけですが、この厳しい現実について、原因をどう考え、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。総理の御見解をお聞かせください。  アベノミクス成果によって、地方有効求人倍率求人数は増えております。第二次安倍内閣が成立した平成二十四年十二月には、有効求人倍率が一倍を超えていたのはたった八都県でした。それが今では四十六都道府県となっております。また、求人倍率だけではなく有効求人数も、平成二十四年は百九十万人だったものが、現在では二百四十万人台と大きく増えております。地方から人がいなくなって、求職者が減ったから倍率が増えたのだという意見を一部では聞きますが、数字を見れば求人が増えていることは明らかであります。  仕事のないところに人は住みませんから、雇用をつくるということは地方創生のためにも非常に重要なことです。政府として、更なる地方雇用創出策をどう推進していくお考えでしょうか。安倍総理に伺います。  今回の地方税法等改正では、地方創生応援税制として、いわゆる企業版ふるさと納税創設が盛り込まれております。ふるさと納税制度は、平成二十年の創設以来、徐々に知名度も上がっており、国民の間に定着してまいりました。今年度から、限度額の倍増や確定申告の要らないワンストップ特例制度創設により、一気に利用者が増えております。総務省の発表では、上半期のふるさと納税実績は、金額が四百五十四億円、件数が二百二十八万件となっており、それぞれ前年同期と比べて三・九倍、三・七倍と急上昇しております。  自治体創意工夫をして寄附を集めるという仕組みは、地方活性化にとって大変有意義です。一方で、寄附のお礼となる特典が豪華になり過ぎて、自治体負担になっているという指摘もあります。本来は地方を応援するための税制ですが、地方であっても、入ってくる寄附より特典の方が多く、赤字になっている自治体もあるそうです。ふるさと納税には功罪の両面があるというのが現在の状況ではないでしょうか。  高市総務大臣に伺いますが、これまでのふるさと納税成果をどう評価されているのでしょうか。また、今回の企業版創設によってどのような効果を期待されておられますか。ふるさと納税の今後の在り方も含め、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  地方法人税の問題にもふるさと納税の問題にも共通したことですが、全体のパイが増えないのに分配だけを変えるというのは、必ずどこかで不公平感を持つ自治体が出てまいります。地方創生を目指す政府といたしましては、どのように全体のパイを増やすかという点に重点を置いて今後の政策考えていただきたいと思います。  このことを申し上げまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  8. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 藤川政人君にお答えをいたします。  法人事業税外形標準課税についてお尋ねがありました。  今回の外形標準課税拡大は、企業収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す法人税改革一環として行うもので、資本金一億円以下の中小法人対象外としております。外形標準課税適用対象法人在り方については、地域経済企業経営への影響も踏まえながら、引き続き慎重に検討してまいります。  なお、地域経済雇用を支える中小企業小規模事業者に対しては、生産性向上に向けた設備投資支援として固定資産税の大胆な減税を行うとともに、ものづくり補助金で、製造業だけでなくサービス業における生産性向上も支援してまいります。  また、個人保証の慣行を断ち切るという考え方の下、政府系金融機関において、この二年間で既に十万件を超える個人保証を求めない融資を実施したほか、各都道府県のよろず支援拠点で様々な経営課題の相談に応じ、支援策や新たな情報を提供するなど、中小企業政策を積極的に講じているところであります。  地方法人課税偏在是正についてのお尋ねがありました。  平成二十八年度税制改正において、地方消費税率引上げに併せて、法人住民税法人税割交付税原資化などの偏在是正措置を講じ、都市に偏りがちな税収の再分配を行うこととしております。  もとより、自治体にとって地方法人課税企業誘致等に取り組むインセンティブとなるなど、自治体税源涵養において重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。こうしたことも念頭に置きつつ、引き続き、より安定的で偏在性の小さい地方税体系の構築を図ってまいります。  東京一極集中原因地方創生地方雇用創出策についてお尋ねがありました。  東京圏への人口の過度の集中原因については、大企業や会社の本社機能集中し就職に有利であること、文化施設やイベントが豊富であること、多様な商品にあふれ、流行の先端を行く消費生活が楽しめることなどが東京圏に人を引き付けているためと考えられます。  雇用を増やし、守ることは、政治の最重要課題です。若者が地方移住を希望していても、そこに仕事がなければ移住思いとどまりかねません。東京一極集中是正し、地方創生を推進するため、地方における若い世代にとって魅力ある仕事創出企業本社機能移転政府関係機関移転を進めてまいります。  具体的には、企業東京からの移転税制措置により促進するとともに、移住先生活に関する情報ワンストップで提供する窓口を開設しました。  議員地元愛知県では、水資源が豊富な豊根村と地元の名古屋大学と最先端のプラズマ技術水質浄化技術を研究する幸田町が、地方創生先行型交付金を活用して連携し、チョウザメの養殖を目指しています。両自治体が特色を生かして連携することで、キャビアを新たに地元特産品にしようとする先駆的な取組であります。  昨年末には、まち・ひと・しごと創生総合戦略を改訂し、今申し上げたような地方の自主的かつ先駆的取組を支援する新型交付金企業版ふるさと納税制度などの財政支援情報支援人的支援を盛り込みました。  これらを始めとしたあらゆる施策を連携させ、民間の力も大いに生かしながら、地方への新しい人の流れを生み出し、地方創生の動きを加速化してまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣高市早苗登壇拍手
  9. 高市早苗

    国務大臣高市早苗君) 藤川政人議員お答えをいたします。  まず、今後の地方財政が抱える課題についてのお尋ねがございました。  今回の地方財政対策におきましては、地方団体が安定的な財政運営を行えるよう、地方一般財源総額について前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保しました。あわせて、地方交付税について前年度とほぼ同程度となる十六・七兆円を確保しつつ、臨時財政対策債発行額を〇・七兆円減と大幅に抑制し、地方一般財源の質を改善し、地方財政健全化を進めました。  一方、地方財政は、平成二十八年度においても五・六兆円の財源不足が生じているとともに、借入金残高が二百兆円程度で高止まりしており、更なる地方財政健全化に向けて、歳入歳出両面における最大限の努力が必要であると考えています。そのため、歳入面では、アベノミクス成果全国各地に行き渡らせ、地方税収等の増を図るとともに、歳出面では、めり張りを付けて歳出構造を見直すことで、更なる財務体質強化を図ってまいります。  次に、ふるさと納税についてお尋ねがございました。  ふるさと納税は、ふるさとに対する納税者思いを実現する観点から創設され、近年大きく実績が伸びています。地方団体からも、地方財源確保につながるだけではなく、地域地域産業の発展につながる、観光客増加等人的交流につながるなどの評価をいただいており、地方創生を進める上でも大きな成果が上がっています。  また、ふるさと納税に対する返礼品については、良識ある対応を各地方団体に要請しています。多くの地方団体において見直しを進めていただいていますが、今後とも各地方団体において制度趣旨に沿った取組が行われるよう、総務省としても引き続き取り組んでまいります。  さらに、今回の税制改正において、企業地方団体の行う地方創生への効果が高い事業寄附した場合、その約六割の税負担を軽減する企業版ふるさと納税創設し、官民挙げての取組を進めることとしています。  ふるさと納税企業版ふるさと納税を活用いただきながら、各地方団体において地方創生取組を積極的に進めていただきたいと考えています。(拍手)     ─────────────
  10. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 藤末健三君。    〔藤末健三登壇拍手
  11. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三です。  本日、東日本大震災発災よりちょうど五年という節目の日を迎えました。改めて、多くの犠牲者哀悼の意を表するとともに、被災者皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、被災地復興を今後も全力で応援させていただくことをお誓い申し上げます。  さて、私は全国比例選出議員として、離島や過疎地、それらを含む全国各地において、多くの皆様から地域の生の声をお伺いしております。  私は、そうした地域の声も受け止めながら、会派を代表して、平成二十八年度地方財政計画地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、御質問申し上げます。  地方団体住民福祉の増進という本来の役割を果たし、住民生活の安心、安全を確保するためには、地方交付税財政調整機能が適切に発揮される必要があります。他方、近年、地方財政制度抜本改革として地方交付税制度廃止などを求める主張がなされることもあります。安倍総理は、地方財政計画地方交付税制度意義についてどのようにお考えでしょうか。  また、地方交付税算定に当たっては、特定の政策に誘導することなく、地域がその実情に応じ、自主的、主体的に必要な施策に取り組めるようにしなければなりません。しかし、この点について、本改正案により地方交付税に導入しようとしているトップランナー方式については多くの疑問がございます。  トップランナー方式は、地方団体一定の業務について民間委託等による歳出効率化を行うことを前提に交付税算定を行うものです。もとより歳出効率化は重要でございますが、仮に民間委託等外部委託が可能であったとしても、地域住民に直接触れ合い、そして生活を感じ、思いを酌み取るために、あえて職員が自ら行う部分を残している地方団体もあるのではないでしょうか。現実地方行政はこの両面のバランスを取りながら運営されているものと思います。  しかし、トップランナー方式は、経費節減が最優先、民間委託が最善という価値観に基づいているように感じます。地方団体は国の定める算定基準に自らの施策を適合させる義務はありませんが、これらと乖離すれば結果的に地方交付税算定が厳しくなることになります。  地域住民にとって何が最適なのかを常に考えながら、地域住民に寄り添った行政を実現できるよう各々の地方団体に選択肢を与えることが地方創生地方分権の核心であるとするならば、このトップランナー方式は、地方創生地方分権理念に反する側面があるのではないでしょうか。安倍総理見解をお伺いいたします。  地方交付税は標準的な水準行政を行うために財源保障するものですが、高市大臣は、全ての地方団体が一律に民間委託等を行うことが標準的であり、地方行政のあるべき姿であるとお考えなのでしょうか。また、トップランナー方式による算定基準地方行政を画一的なものにしてしまうというおそれがあるのではないでしょうか。それぞれ高市大臣の答弁を求めます。  平成二十八年度地方財政計画では、地方一般財源総額は六十一兆七千億円とされ、平成二十七年度、前年度と比較し一千三百億円程度上回る額を確保していると言われております。  しかし、この地方一般財源総額の中には、政策的経費に充てることができない、過去に発行された臨時財政対策債元利償還を行うために発行する臨時財政対策債三兆三千億円も含まれていることに注意しなければなりません。この三兆三千億円を除いた地方一般財源総額は、五十八兆四千億にまで目減りすることになります。全く印象が変わってしまいます。  臨時財政債発行残高は累増を続け、平成二十八年度末にはその残高は五十一兆七千億円と見込まれております。地方税増収を背景に折半対象財源不足額は減少していますが、増嵩した残高償還については全くめどが立っていないのが今の現状であります。  臨時財政対策債償還財源地方税増収に頼るのではなく、国としても、法定率見直しを始め、制度的に対応し、財政の責任を果たすべきではないでしょうか。安倍総理の認識をお伺いさせていただきます。  また、臨時財政対策債計画的な償還について、早期に具体的な道筋を整理し、明らかにすることが総務大臣高市大臣の務めだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。  また、法人税改革一環として法人事業税外形標準課税拡大が進められております。  外形標準課税拡大については、従来、応益税としての法人事業税の性格の明確化税収安定化などが期待されるとともに、地方団体自主性を高めることになると期待され、地方からも一定の支持がされております。しかし、外形基準報酬給与額が用いられている点で、これは賃金課税である側面は否定できません。雇用給与水準影響を与える懸念がありますが、いかがでしょうか。  地域経済回復には差があります。不況から脱していない地域は全日本に至る所にある、そのことは、ここにおられる議員皆様こそが肌身に感じておられると思います。まさに地域経済の再生への巻き返しを後押ししなければならない局面である中、今このタイミングで外形標準課税拡大を行うことの意義は何か、地域雇用にどのような影響を与えるのか、その雇用に対する影響懸念はないか、安倍総理見解をお伺いいたします。  また、今般の外形標準課税拡大により税収が安定的になるとの根拠は本当にあるかどうか、地域間の税収格差に一体どのような影響を与えるのか、高市大臣に伺わさせていただきます。  そして次に、中小企業の行う生産性を高める設備投資について固定資産税を三年間半減すると安倍総理は所信表明演説でアピールしておられました。これは、償却資産に対する地方税である固定資産税設備投資減税を創設するものとなります。地方からは、税制の根幹を揺るがす見直しには断じて賛成できない、断じて行うべきではない旨の意見が繰り返し強調されております。  確かに、与党税制改正大綱においては、償却資産に対する固定資産税制度は堅持すると明記され、今般の設備投資減税も時限的な特例措置と位置付けられておりますが、しかし、これが今回限りで終わるという保証はどこにもない状況です。むしろ、今後、なし崩し的に固定資産税における設備投資減税が拡大していくことを大きく強く懸念しております。  そもそも、設備投資減税のような国の経済政策一環として行われる特例措置については、国税や国の補助金により対応すべきではないかと考えます。ましてや、財政状況が厳しい市町村の貴重な財源である固定資産税に導入すべきでは断固ありません。  安倍総理は、経済政策の実現と地方団体の自主財源の確保との関係をどのように捉えておられるか、是非認識をお聞かせください。  このような税負担軽減措置等が法律に規定されますと、地方団体はこの法律に従って税条例を定めなければなりません。つまり、地方団体の判断の余地なく税収が減少するという結果になります。したがって、地方税財源を守る観点から、このような特例措置が安易に導入されないように我々はしなければならないのではないでしょうか。  その観点から、償却資産に係る固定資産税設備投資減税を導入することについて、高市大臣の率直な意見を伺わさせていただきます。これは税の根底に係る議論でございます。あわせて、今後このような特例措置がなし崩し的に拡大しないようにどのように歯止めを掛けるか、是非教えてください。  各地方団体財政の状況を見渡すと、企業集中し、人口流入が続くなどして税収が突出して高い地方団体がございます。その一方、人口は減少し、高齢化が進み、財政状況が今後も悪化すると見込まれる地方団体が数多くあります。財政力の格差の是正地方交付税の基本的役割でございますが、現在の制度では十分に対応できないほど地方団体間の格差は大きくなっています。地方経済の二極化がどんどんどんどん進んでいる状況になります。地域間の税財政の格差が地域経済の発展に大きく影響し、格差が格差を生むという、そういう構造を強い決意を持って打開しなければなりません。  少子高齢化社会における地方団体のあるべき姿を描き、これにふさわしい地方税地方交付税とすべく、地方税と国税の税源交換など、地方税地方交付税の大きな枠組みを転換すべきであります。今すぐ安倍総理におかれましては検討を始めていただきたいと思います。それだけ地域の格差は非常に大きくなっている。  最後に、離島や過疎地を含め全国津々浦々に広がり、地方創生地域活性化を進める上で重要な役割が期待され、国民生活にとってもかけがえのない存在である郵便局ネットワークの維持強化のための支援策について伺います。  昨年十一月に日本郵政と金融二社が上場しました。国内外の投資家の目にさらされる中、採算性の低い過疎地の郵便局は廃止すべきというような安易な議論さえも起きております。郵便局ネットワークが地域社会で果たしている役割の大きさを我々は改めて確認する必要があります。皆さん、いかがでしょうか。  平成二十四年に成立させた改正郵政民営化法の七条の二には、郵便局が地域社会で果たすべき使命として、郵便と金融のユニバーサルサービスの提供義務と公益性、地域性の発揮ということを書き込んでおります。また、改正郵政民営化法の第七条の三においては、その郵政の責務の履行の確保が図られるように政府が必要な措置を講ずるということを明記しております。  こうした状況の中、昨年九月に、情報通信審議会郵政政策部会が郵政のユニバーサルサービスコストの試算結果を示しました。これによると、郵便役務、銀行窓口、保険窓口ごとの試算額を合計すると、実に二千六百三十一億円ものユニバーサルサービスコストを郵便局が負担しているということが明らかになりました。  黒字エリアも合わせた全体の収支では赤字ではないとしても、先ほど述べた改正郵政民営化法の趣旨に照らせば、赤字エリアのユニバーサルサービスの維持に必要な費用に対し、政府が何らかの支援措置を早急に検討し、実行すべきだと私は考えます。是非法律を実行していただきたい。  郵便局ネットワークが果たしている役割をどのように評価しているか、安倍総理高市大臣にお聞きします。  また、ユニバーサルサービス支援策をどのように具体化していくかを安倍総理にお伺いします。  そして、高市大臣には、郵便局ネットワークの維持強化にどのように取り組んでいくかを具体的に示していただきたいと思います。  我々は、地方の多様な価値観を重視し、地域や文化を尊重する、人に優しい経済地域から実現する観点から、また、地域に根差した人材や資源、英知を最大限生かすという観点からこの法案の審議を行っていくことを表明しまして、質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  12. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 藤末健三議員お答えをいたします。  地方財政計画地方交付税制度意義についてのお尋ねがありました。  地方財政計画は、地方が法令で義務付けられた事務を始め、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を地方全体に保障することなどの役割を果たしています。また、地方交付税制度は、地方税収について地域間に大きな格差がある中にあって、財源の均衡化を図るとともに、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を全国の各地方団体に保障する役割を有しています。このような地方財政計画地方交付税制度の有する意義は今後とも重要であると考えております。  地方交付税トップランナー方式についてお尋ねがありました。  トップランナー方式は、地方財政が依然として厳しい状況にある中で、自治体においても、アウトソーシングなどを進めることにより行政の効率化を進めることが重要であるとの観点から行うものであります。  地方交付税一般財源であることから、業務をどのような手法で実施するかは、各自治体において地域の実情を踏まえて自主的に判断されるものであり、トップランナー方式の導入が地方創生地方分権理念に反するものとは考えておりません。  臨時財政対策債についてお尋ねがありました。  平成二十八年度の地方財政対策においては、アベノミクスにより来年度の地方税収や地方交付税法定率分が増となったことに伴い、財源不足が大きく減少し、これによって臨時財政対策債発行額を〇・七兆円減と大幅に抑制しました。  今後とも、法定率見直しなど制度的な対応の議論も行いつつ、歳入面では、アベノミクス成果を全国津々浦々に届けることにより、地方税収等の更なる増収を図るとともに、歳出面では、めり張りを付けて歳出構造を見直すことで、臨時財政対策債のような特例債に頼らないよう、財務体質強化を図ってまいります。  法人事業税外形標準課税についてのお尋ねがありました。  今般の法人税改革は、企業収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。また、我が国においては、一部の企業税負担が偏っているとの指摘もあることから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。  この法人税改革一環として、大法人向けの法人事業税所得割税率引下げ外形標準課税拡大を行うこととしております。外形標準課税拡大は、資本金一億円以下の中小企業対象外としており、また、二十七年度税制改正において、外形標準課税所得拡大促進税制を導入し、賃上げへの配慮も行っているところであります。  経済政策の実現と地方団体の自主財源の確保との関係についてお尋ねがありました。  地域経済活性化は重要な課題であり、地域経済を支える中小企業経営力を向上し、生産性を高めることで、その収益の拡大を実現し、経済の好循環を確かなものとすることが重要です。そのため、中小企業の生産性を高める設備投資について、固定資産税を三年間半減する減税を行うこととしています。  また、地方団体の自主財源の確保も重要な課題として取り組んできており、来年度の地方税収については、アベノミクスによって、政権交代前から五兆円以上増加し、過去最高となっています。各都道府県平成二十八年度当初予算においても、平成二十四年度当初予算と比べて、全ての都道府県税収増加しており、特に法人関係税については全ての都道府県で二桁増の収入を見込んでいます。  今後とも、地域経済活性化地方団体の自主財源の確保に努めてまいります。  地方税地方交付税在り方についてお尋ねがありました。  アベノミクスによって、来年度の地方税収は政権交代前から五兆円増加し、過去最高となりました。この果実を全国津々浦々にお届けするため、消費税率引上げ時に法人住民税交付税原資化を一層進め、都市に偏りがちな税収の再分配を行うことで、過疎に直面する地方でも財源をしっかりと確保してまいります。  また、地方交付税制度は、地方税収について地域間に大きな格差がある中にあって財源の均衡化を図るとともに、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を全国の各地方団体に保障する大変重要なものと考えています。  今後とも、地方税の充実と偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に努めるとともに、地方交付税の財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう取り組んでまいります。  郵政事業のユニバーサルサービス確保についてお尋ねがありました。  郵便局ネットワークは、その公益性、地域性を発揮して、地域における生活インフラとして機能を果たしており、その維持強化を図っていくことが地方創生の深化にも寄与するものと評価しています。  郵便事業につきましては、平成十九年に民営化され、平成二十四年に郵政民営化法が改正され、民営化は着実に進捗しております。その中で、郵便局で提供される郵政事業のユニバーサルサービスについては、現状、適切に提供されているものと認識しており、郵便業務、金融窓口業務とも収支は黒字と承知しております。  まずは、郵政民営化の趣旨に沿って、日本郵政及び日本郵便が収益力強化及びコストの削減等の経営努力により、ユニバーサルサービス提供の責務を果たしていくことが基本と考えております。  政府としては、日本郵政及び日本郵便のユニバーサルサービス提供の責務の履行状況等を注視し、所管大臣において適切に対応していくことが重要と考えています。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣高市早苗登壇拍手
  13. 高市早苗

    国務大臣高市早苗君) 藤末健三議員お答えをいたします。  まず、トップランナー方式の導入についてお尋ねがございました。  地方財政が依然として厳しい状況にある中で、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地方団体においても、地域の実情に応じ、民間委託等の活用を検討すべきだと考えております。  また、地方交付税算定において、多くの団体が民間委託等の業務改革に取り組んでいるものについて、その経費水準単位費用の積算基礎とすることとしました。  一方で、地方交付税は使途の自由な一般財源であり、各地方団体において業務をどのように実施するかは、地域の実情等を踏まえ、地方団体が自主的に判断するものでございます。  次に、臨時財政対策債償還のための取組についてお尋ねがございました。  地方においては、巨額の財源不足が継続しているため、臨時財政対策債発行残高増加しており、平成二十八年度末には五十二兆円程度となる見通しですが、本来は臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要です。このため、歳入面では、アベノミクス成果全国各地に行き渡らせ、地方税収等の増を図りつつ、歳出面では、国の取組基調を合わせ、めり張りを付けて歳出構造見直し財務体質強化することが必要です。  平成二十八年度の地方財政対策においては、臨時財政対策債発行を前年度から〇・七兆円の大幅減とするなど、地方財政健全化に努めました。  今後も、地方財政健全化に努め、まずは国と地方で折半すべき財源不足が解消され、折半分の臨時財政対策債発行しなかった平成十九年度及び平成二十年度の状況をなるべく早く実現することを目指してまいります。  次に、法人事業税外形標準課税についてお尋ねがございました。  外形標準課税課税標準は、景気に左右される所得ではなく、安定的な付加価値額等であり、導入後の外形標準課税税収は安定的に推移をしています。今回の外形標準課税拡大により、税収の更なる安定化が図られると考えています。  また、外形標準課税拡大は、地域間の税収に大きな影響を与えるものではございませんが、平成二十六年度税制改正に引き続き、法人住民税法人税割交付税原資化を更に進めるなどの税収偏在の是正のための改革を進めてまいります。  次に、償却資産に対する固定資産税についてお尋ねがございました。  地域経済活性化に向けて、地域中小企業による設備投資の促進を図ることが重要です。そのため、中小企業者等が生産性向上に資する一定の機械装置の取得をした場合、固定資産税課税標準を、最初の三年間、価格の二分の一とする特例措置を講じることとしています。  償却資産に対する固定資産税は、住民サービスを支える市町村の重要な財源であり、与党税制改正大綱において制度を堅持するとされた趣旨を踏まえ、特例措置対象を極めて限定した上で時限的な措置といたしました。このような特例措置については、応益課税の原則や税負担公平性の確保の観点から、その必要性については今後も十分に吟味をしてまいります。  最後に、郵便局ネットワークについてお尋ねがございました。  郵便局ネットワークは、郵便及び基本的な貯金、保険のサービスなどを一体的に提供するものであり、国民生活地域社会のインフラとして貴重な役割を果たしていると評価しています。また、日本郵政グループが、今後もより一層地域の実情、ニーズにきめ細かく対応し、そのネットワークを活用して国民生活の向上に資する取組を行っていかれることを期待しています。  この郵便局ネットワークについては、日本郵政及び日本郵便が、郵便局をあまねく全国に設置し、ユニバーサルサービスを提供する責務を負っています。総務省としては、現在、郵便局があまねく設置され、ユニバーサルサービスが適切に提供されていると認識をしていますが、将来にわたって郵便局ネットワークが維持され、ユニバーサルサービスが安定的に提供されるよう、引き続き日本郵政及び日本郵便の取組状況や経営状況を注視し、しっかりと監督をしてまいります。(拍手)     ─────────────
  14. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 吉良よし子君。    〔吉良よし子君登壇拍手
  15. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  私は、会派を代表して、地方財政計画ほか二法案に関連して、総理並びに総務大臣質問します。  初めに、東日本大震災から丸五年が経過しました。改めて、犠牲となられた皆様哀悼の意を表し、被災者皆様に心からお見舞いを申し上げます。  劣悪な住環境のプレハブ仮設住宅を含め、いまだに十七万人をはるかに超える被災者避難生活を強いられています。仮設住宅だけでなく、ようやく入居できた復興住宅での震災関連死や孤独死は後を絶ちません。再建への希望を失わせ、被災者の生きがいを奪うことがあってはなりません。支援金を少なくとも五百万円に引き上げることを始め、被災者の置かれた実態に応じた支援に国の総力を挙げるべきではありませんか。総理大臣の答弁を求めます。  東京電力福島原発事故により、福島の皆さんはふるさとを奪われ続けています。この重大事故の収束はおろか、原因究明も行われていない下で、原発の再稼働などあり得ません。おととい、関西電力高浜原発三、四号機の運転停止を命ずる仮処分決定が出ました。政府はこの画期的な判断こそ重く受け止めるべきです。  また、政府は、居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示を来年三月までに一律に解除し、様々な賠償を打ち切っていく方向を示しています。住民を分断する一方的な期限や線引きによる原発損害賠償の打切りをやめ、掛け声だけでない具体的な取組こそ必要なのではありませんか。  日本共産党は、今後も被災された方々生活となりわいの再建のため力を尽くす決意です。  次に、地方税改正案について総理に伺います。  本改正案は、消費税一〇%を前提にしたものです。総理は、消費税八%への増税で家計消費が予想以上に落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実と認めておられます。それならば、国民の暮らしを破壊し、地域経済に打撃を与える消費税一〇%への増税は今すぐきっぱりやめるべきではありませんか。答弁を求めます。  外形標準課税は、資本金一億円超の企業に一律に課税、適用されます。法人税制改正によって法人実効税率引下げを行うこととされていますが、赤字の中堅企業からも負担を求めることでその穴を埋めようというのでしょうか。  さらに、政府は、資本金一億円以下の中小零細企業外形標準課税対象にすることを検討するとしています。地域経済を応援するというのなら、対象拡大などやめるべきです。  総理住民福祉の増進という自治体役割に関わって伺います。  待機児童の解消は待ったなしです。この四月から保育所に入所できない多くの親たちが、先週末、保育園に落ちたのは私だと国会前に集まり、ネットの署名は約一週間で二万八千筆に達しました。この切実な声を総理はどう受け止めているのでしょうか。  全国の市町村では、待機児童解消加速化プランに沿って二〇一七年度末までに四十五万人分の整備計画を持っていますが、それでも保育所は足りません。四月からの保育所入所を希望している全ての家庭の願いに政府は具体的にどのように応えるのですか。  私も含め、多くの親の願いは、設備が整い、子供の成長を一緒に喜び合える保育士がいて、保育の質が保障されている保育所に預けたいということです。にもかかわらず、保育士の給与が全職種の平均と比べても大幅に低いことが保育士不足の要因となっているという認識はお持ちでしょうか。保育士の給与を専門職にふさわしい水準に抜本的に引き上げるという決断が必要ではありませんか。お答えください。  また、全ての自治体で実施されている子供医療費助成制度がありますが、これは自治体独自の制度であるため、対象年齢や所得制限の有無、一部負担の有無など、制度内容に大きな格差があります。住んでいる地域によって子供の命と健康に差があってはなりません。国の制度として子供医療費の無料化を決断すべきではありませんか。母親の一人として強く求めます。  ましてや、子供医療費助成を行っている市町村に対し、国保の国庫負担額の減額調整というペナルティーを掛けることは言語道断です。ペナルティーは今すぐにやめるべきではありませんか。  さらに、地方自治体に必要な財源について総務大臣に伺います。  国が果たすべきことは、地方が必要とする財政基盤の確保にしっかりと責任を持つことです。そのためには、地方交付税の二つの役割、財源保障機能と財政調整機能を拡充し、あわせて地方の自主財源である地方税を豊かに発展させることです。ところが、不交付団体分を除いた来年度の地方財源は僅か六百七億円の増額にすぎません。これで住民福祉の増進という地方自治体の最も重要な役割を果たせるとお考えですか。  安倍内閣は、来年度からの三年間、地方の財源を二〇一五年度と実質的に同水準に抑える方針を定めています。安倍内閣が進める大企業減税や軍事費の大幅増のしわ寄せを地方に押し付けるものではありませんか。地方財源不足は二十一年連続です。地方交付税法は、財源不足が続く場合、法定率引上げなどで対応することを定めています。なぜこの規定に基づき法定率の抜本的な引上げをしないのですか。答弁を求めます。  最後に、放送法に対する総理の認識について伺います。  高市総務大臣は、一つの番組のみでも政治的公平性が遵守されていないと総務大臣が判断する場合には電波停止もあり得るとの答弁を繰り返しています。  そもそも放送法は、戦争遂行に協力し、多くの国民を戦争に導いてしまったという痛苦の反省に立ち、戦後、憲法二十一条に基づき、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」という原則を定めています。  この原則を守るべきは、政府などの公権力にほかなりません。政府が、政治的な立場から放送に介入することを防ぎ、真実を曲げるよう圧力を掛けるのを防ぎ、放送内容への規制や干渉を排除することを保障し、放送による表現の自由を確保しようというのが放送法です。この原則の下で、放送法第四条一項の各号は、放送事業者が自律的に守るべき倫理規定として定められたものです。時の政府が放送に介入する根拠には絶対になりません。  憲法二十一条と放送法の原則に対する総理の認識を伺います。  今、著名なジャーナリストや在京キー局の社長、会長ら放送事業者、憲法やメディア論の専門家から、政権による放送介入に対する強い懸念や批判の声が起きています。  私が議員になって以来、安倍政権は秘密保護法、戦争法など違憲の立法を行ってきました。それに続く表現の自由と放送の自由を踏みにじる言動は断じて容認できません。  高市大臣の発言並びに政府統一見解の撤回を強く求め、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇拍手
  16. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 吉良議員お答えをいたします。  東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。  本日、東日本大震災から丸五年を迎えました。まず冒頭、改めて、大震災によってお亡くなりになられた全ての方々に心から哀悼の意を表したいと思います。  安倍内閣では、東日本大震災からの復興を最重要課題と位置付けて取り組んでまいりました。三年前、計画すらなかった高台移転について、ほぼ全ての事業が着工し、この春には全体の四分の三の地区で造成が完了するなど、住宅再建は着実に進んでいます。  他方、いまだに多くの方々が仮設住宅を始め不自由な生活を送られています。また、原発事故のため、住み慣れた土地に戻れない方々も多数いらっしゃいます。仮設住宅での生活の長期化する中で、閉じこもりがちになる方や災害公営住宅に移っても孤立してしまう方もおられます。  こうした方々が一日も早く安心した生活を送ることができるように、被災者の心に寄り添い、心のケアやコミュニティーの再生など、地域ごとのニーズに応じたきめ細かな支援に内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。  なお、被災者生活再建支援金の引上げについては、他の制度とのバランス、国や都道府県財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えています。  原発再稼働についてお尋ねがありました。  原子力発電所の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことであります。高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発でない限り、再稼働することはありません。今後とも、この方針に変更はありません。  その上で、高浜原発三、四号機については、今回の仮処分決定を受けて、関西電力は更に安全性に関する説明を尽くすべきであり、政府としてもそのように指導してまいります。  福島の復興東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、最優先の課題として引き続き政府を挙げて全力で取り組んでまいります。  原発損害賠償の打切りについてお尋ねがありました。  避難指示の解除は、放射線量の低下、日常生活に必要なインフラや生活関連サービスの復旧を確認し、復興一定程度進んだ段階で、自治体や住民の方々との様々な場における対話を積み重ねた上でなければ実施することはありません。  避難指示は、ふるさとに戻りたいと希望する方々に対しても一律かつ強制的に避難を強いる措置です。長期化すれば、避難生活による心身の健康への懸念を始め、様々な弊害が生じるおそれがあります。  損害賠償は、東京電力福島第一原発の事故と相当因果関係がある損害に対して支払われるものであり、避難指示解除によって一律に打ち切られるものではありません。  政府としては、東京電力に対し、引き続き、被害者の個別の状況を丁寧に把握した上で、迅速、公平かつ適切に損害賠償を行うよう指導をしてまいります。  消費税率引上げについてお尋ねがありました。  一昨年の消費税率八%への引上げが消費に大きな影響を与えたのは事実であります。だからこそ、我々は、一〇%への引上げを一年半延期しました。  この間、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めてきました。その結果、全ての都道府県有効求人倍率が上昇し、また税収も増え、中小企業の業況DIも改善し、倒産件数は約三割減少するなど、地方中小企業にも明るい動きが広がっています。  来年四月の消費税率一〇%への引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会から国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。経済の好循環を力強く回していくことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。  法人事業税外形標準課税についてお尋ねがありました。  今般の法人税改革は、企業収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。また、我が国においては、一部の企業税負担が偏っているとの指摘もあることから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。  この法人税改革一環として、大法人向けの法人事業税所得割税率引下げ外形標準課税拡大を行うこととしておりますが、いわゆる中堅企業負担増となる場合には、軽減措置を講ずることにより十分配慮しております。また、外形標準課税適用対象法人在り方については、地域経済企業経営への影響も踏まえながら、引き続き慎重に検討してまいります。  待機児童の解消についてお尋ねがありました。  厚生労働大臣に届けられた署名を受け取って拝見しました。子供が生まれたのに保健所に預けられない、仕事を続けられない……(発言する者あり)子供が生まれたのに保育所に、子供が生まれたのに保育所に預けられない、仕事を続けられないという大変な御苦労、切実な思いが伝わってまいります。安心して子供を産んでいただくために、仕事と子育てが両立できるよう、働くお母さんたちの気持ちを受け止め、待機児童ゼロを必ず実現させる決意です。  待機児童の数は地域によって差があることから、特に待機児童が集中している地域と連携し、対応策を検討することとしています。  保育士不足の要因としては、御指摘のとおり、給与も含め待遇の問題があると認識しています。この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇の改善策を示し、不足している人材を確保してまいります。  子供の医療費についてのお尋ねがありました。  国においては、就学前の子供の医療費の自己負担を三割から二割に軽減しているところですが、子供の医療費の無料化については、財源の問題もあり、慎重な検討が必要と考えています。国保の減額調整措置については、地方団体から見直しの要望もあり、現行制度趣旨を考慮しながら、その扱いを検討する必要があると認識しています。  いずれにせよ、こうした点も含め、子供の医療の在り方については、厚生労働省の検討会で幅広い観点から検討していると承知しております。  憲法二十一条と放送法の原則についてお尋ねがありました。  憲法二十一条における言論の自由を始め、表現の自由は、日本国憲法で保障された基本的人権の一つであるとともに、民主主義を担保するものであり、それを尊重すべきことは言うまでもありません。放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくことが原則と考えています。放送法第四条については、これまで総務大臣が答弁してきたとおり、法規範性を有すると理解しています。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣高市早苗登壇拍手
  17. 高市早苗

    国務大臣高市早苗君) 吉良よし子議員お答えをいたします。  まず、平成二十八年度の地方財政対策についてお尋ねがございました。  地方団体地方創生等の重要課題に取り組みつつ安定的に財政運営を行っていくためには、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが必要でございます。  今回の地方財政対策におきましては、地方一般財源総額について前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保し、交付団体ベースにおきましても前年度を〇・一兆円上回り、過去最高となる六十・二兆円を確保しました。あわせて、地方交付税について、前年度とほぼ同程度となる十六・七兆円を確保しつつ、臨時財政対策債発行額を〇・七兆円減と大幅に抑制し、地方一般財源の質を改善し、地方財政健全化を進めました。今回の地方財政対策については、地方六団体からも評価をいただいており、地方団体が必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行えるよう、必要な一般財源総額をしっかり確保できたものと考えております。  次に、地方一般財源総額の確保と法定率引上げについてお尋ねがございました。  地方一般財源総額については、骨太方針二〇一五で示された方針を踏まえ、地方財政計画の歳出において、国の制度等の見直しや国の一般歳出の計上の動向などを適切に反映させ、所要額を確保することとしており、地方負担を押し付けるとの御指摘は当たりません。  地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向と考えています。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高財源不足を抱えていることから、平成二十八年度地方財政対策においては、法定率引上げによらず国と地方が折半して補填することを基本に、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方臨時財政対策債発行により対処することとしました。その上で、地方交付税についてはほぼ前年度同額を確保しました。  今後とも、法定率見直し等による交付税総額の安定的確保について粘り強く主張をし、政府部内で十分に議論をしてまいります。(拍手
  18. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  19. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 日程第一 国会議事堂内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等外国公館等及び原子力事業所周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律案(第百八十九回国会衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長神本美恵子君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔神本美恵子君登壇拍手
  20. 神本美恵子

    ○神本美恵子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、第百八十九回国会において衆議院から提出され、本院において継続審査となっていたものであります。  本法律案の内容は、国会議事堂内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等外国公館等及び原子力事業所周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持並びに公共の安全の確保に資することとするものであります。  なお、衆議院におきまして、対象施設として危機管理に関する機能を担う行政機関の庁舎及び原子力事業所の追加、飛行を禁止する対象の追加等を内容とする修正が行われております。  委員会におきましては、発議者を代表して衆議院議員古屋圭司さんから法律案趣旨説明を、次いで修正案提出者を代表して衆議院議員泉健太さんから衆議院における修正部分の説明を聴取し、法第一条に規定する危険の意義、取材・報道活動への影響対象施設に原子力事業所を追加した理由等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了した後、自由民主党及び公明党を代表して上月理事より、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律が施行されることに伴い必要となる規定の整理その他所要の規定の整理を行うことを内容とする修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、日本共産党の山下理事より反対の旨の意見が述べられました。  次いで、順次採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  21. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これより採決をいたします。  本案の委員長報告は修正議決報告でございます。  本案を委員長報告のとおり修正議決することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  22. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  23. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十九     賛成            二百十四     反対              十五    よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  24. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十四分散会