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国務大臣(
森山裕君)
森林法等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
我が国の森林は、戦後造林された人工林が成熟して本格的な
利用期を迎えており、この森林資源を循環
利用していくことが重要な課題となっております。その際、需要面においては、住宅用等の従来の需要に加え、中高層建築物に
利用可能な新たな製品の開発や木質バイオマスの
利用の広がり等を受けて、国産材の需要につきましては
拡大の兆しが見られております。一方で、供給面においては、収益性の悪化や世代交代等により、森林所有者の
経営意欲や森林への関心が低下し、国産材の安定的かつ低コストでの供給が十分に行われていない
状況にあります。
このような
状況に対処するために、森林施業の集約化を促進する観点から、林地の境界情報の整備や森林組合の
事業の見直しを行うとともに、広域にわたる木材の集荷の円滑化を図ることにより、国産材の安定供給体制を構築することが重要であります。
また、近年、伐採後の再造林が行われない土地が増加している
地域があることも踏まえ、森林資源の再造成を確保する必要があります。
さらに、奥地水源林等の木材の
生産条件が悪い森林についても適切に整備を推進することにより、森林の有する公益的機能の維持増進を図る必要があります。
こうした取組を一体的に行うことにより、森林資源の循環
利用を促進をし、林業の成長産業化を後押しするため、この
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、森林法の一部改正であります。
共有林における森林の施業を円滑化するため、所在不明の森林所有者がある共有林において、都道府県知事による裁定手続、補償金の供託等を経て、所在不明の森林所有者の立木持分の移転等ができる制度を創設することとしております。また、森林の土地の所在、所有者の氏名、境界に関する測量
状況等を記載した林地台帳を市町村が作成することとしております。
さらに、森林資源の再造成を確保するため、森林所有者等に対し、伐採後の造林に係る
状況報告を義務付けることとし、市町村が森林の
状況を把握しやすくすることとしております。
第二に、分収林特別
措置法の一部改正であります。
分収林契約において、所在不明の契約当事者がある場合等であっても、契約変更を円滑に行うことができるよう、契約当事者の十分の一を超える
異議がないことをもって、契約を変更できる制度を創設することとしております。
第三に、森林組合法の一部改正であります。
森林組合等による森林施業の集約化を促進するため、森林組合が、組合員の利益の増進を目的として、自ら森林の
経営を行うことができることとするとともに、森林組合が森林の
経営を行う際の手続を緩和することとしております。さらに、森林組合連合会においても、森林の
経営を行うことができることとしております。
第四に、木材の安定供給の確保に関する特別
措置法の一部改正であります。
大規模な製材工場等が広域的に木材を集荷しやすくし、国産材の安定供給体制の構築を促進するため、都道府県域を超える木材の安定取引に関する
事業計画について、
農林水産大臣が認定できることとしております。
また、従来の木材製造業者に加えて、木質バイオマス
利用事業者等を
事業計画の作成者に追加することとしております。
第五に、国立研究開発法人森林総合研究所法の一部改正であります。
早急に施業が必要な奥地水源
地域の保安林の整備を推進するため、水源林造成業務について、本則に位置付けることとし、育成途上の森林の整備を行うことができることとしております。
これに伴い、研究所の名称を国立研究開発法人森林研究・整備機構に、
法律の題名を国立研究開発法人森林研究・整備機構法に改称することとしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますように
お願い申し上げます。