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2016-03-10 第190回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      熊谷  大君     吉川ゆうみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         若林 健太君     理 事                 山田 修路君                 山田 俊男君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 熊谷  大君                 中泉 松司君                 野村 哲郎君                 長谷川 岳君                 馬場 成志君                 舞立 昇治君                 吉川ゆうみ君                 郡司  彰君                 田中 直紀君                 徳永 エリ君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君    国務大臣        農林水産大臣   森山  裕君    副大臣        農林水産大臣  齋藤  健君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    事務局側        常任委員会専門        員        大川 昭隆君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣地方創生        推進室室長代理  川上 尚貴君        文部科学大臣官        房審議官     伯井 美徳君        厚生労働省医薬        ・生活衛生局生        活衛生食品安        全部長      福田 祐典君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 速水君        農林水産大臣官        房総括審議官   大澤  誠君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官兼農林水産技        術会議事務局長  西郷 正道君        農林水産大臣官        房統計部長    佐々木康雄君        農林水産省消費        ・安全局長    小風  茂君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        農林水産省生産        局長       今城 健晴君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     末松 広行君        農林水産省政策        統括官      柄澤  彰君        環境大臣官房審        議官       早水 輝好君        環境大臣官房審        議官       亀澤 玲治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成二十八年度の農林水産行政基本施策に  関する件)     ─────────────
  2. 若林健太

    委員長若林健太君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若林健太

    委員長若林健太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 若林健太

    委員長若林健太君) 農林水産に関する調査を議題とし、平成二十八年度の農林水産行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山田俊男

    山田俊男君 久しぶりの委員会質疑でありまして、要領がよく分からない、とりわけ時間がどんなふうであればちょうど間に合うのかどうかというのも分かりませんでして、大変戸惑っておりますが、どうぞよろしくお願いします。  大臣におかれましては、就任早々課題山積の中で、ともかく地方の現場をどんどん見て回るという取組をされていることがよく分かります。よく土日にかけましてあれだけずっと回って勉強されていると、これはもう負けちゃうなという思いがあるわけで、本日はできるだけ負けないように一生懸命質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。  それでは、まず最初に、国家戦略特区における農外企業農地所有による農業経営の問題についてお尋ねしたいというふうに思います。  国家戦略特区諮問会議農外企業農地所有による農業参入を認めるという議論がなされて、これは驚きました。前々からそういう議論があるやには承知していたわけでありますが、こんなに急速に、ましてや四月一日から農地所有による企業参入を二分の一未満まで緩和する形で進めようという政省令が出てくるという中におきまして、そしてこれが出てくることについて本当に驚いた次第であります。  結果的には、相当の制約を行った上で養父市に限って実施するということになったようでありますが、本当に養父市に限った形で実施できるのかどうか、そういう規定になっているのかどうか、これから法案が出されるということでありますけれども、そういうことになっているのかどうか、ここをしっかりお聞きしたいというふうに思います。どなたでありますかね、内閣府、お願いします。
  6. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  三月二日の国家戦略特区諮問会議におきまして、追加の規制改革事項として、企業による農地所有特例が盛り込まれております。ここでは、喫緊の課題である担い手不足耕作放棄地などの解消を図ろうとする特区においてこの特例を設けるものとされてございます。  具体的には、与党とも御相談をさせていただきまして、国家戦略特区内の地方公共団体のうち、農業担い手が著しく不足していること、このままでは耕作放棄地が著しく増加する恐れがあることという二つ要件を満たすものとして政令指定する地方公共団体のみ適用することを考えております。政令指定する地方公共団体は、当面、兵庫県養父市のみではないかと考えております。  以上でございます。
  7. 山田俊男

    山田俊男君 今の、養父市だけではないかと考えておりますということでありますが、だけではないという可能性もあるということですか。
  8. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  特区諮問会議におきましては、養父市以外の地方公共団体における特例活用について議論されたことはないというふうに承知をしてございます。このため、仮定お尋ねについてお答えするのは控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、今回の特例適用対象となる地方公共団体政令指定するということになっております。  以上でございます。
  9. 山田俊男

    山田俊男君 政令指定する政令はどんな内容になっているんですか、ないしはするつもりですか。それをお聞きします。
  10. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) 繰り返しになりますが、今決まっておりますのは、与党とも御相談させていただいた結果といたしまして、農業担い手が著しく不足していること、このままでは耕作放棄地が著しく増加するおそれがあるという二つ要件を満たすものというのが政令指定内容でございます。
  11. 山田俊男

    山田俊男君 それは先ほども聞きましたから分かりました。そういうことであれば、その二つ要件はいろんなところで出てくる可能性があるじゃないですか。その点についてはどんなふうに扱うんですか。
  12. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) 今回の特例措置でございますけれども企業農地所有を認める必要性効果を確認することを目的に、期間を限って試験的、実証的に行うものであることから、本特例措置効果を的確に検証する上で特に必要と認める地域に限って政令指定することを想定してございます。  また、地方公共団体を経由して法人所有権を移転し、当該法人が取得した農地を不適切に使用する場合は地方公共団体がその所有権を再取得する必要があることから、この特例活用する場合には地方公共団体にも大変重い責任が発生いたします。その意思を十分に踏まえる必要もあると考えております。  したがいまして、本特例措置を適用する地域を定める政令は、先ほど申し上げた二要件を満たす地方公共団体を機械的に定めるものではないというふうに考えております。
  13. 山田俊男

    山田俊男君 どうも分からないんですが、これは、そうすると、農林水産省齋藤大臣にお聞きしていいですかね。  政令内容要件二つだということは分かりました。その際、具体的に言うと、例えば養父市に限るんだということはどこかで明記されるんですか、それとも、きちっとそれは類推できるという内容のものなんですか。お聞きします。
  14. 齋藤健

    ○副大臣齋藤健君) 政令の考え方は今内閣府の方からお答えしたとおりでありますが、私どもは、その政令を制定するに際しましてきちんと判断をしていきたいというふうに思っております。
  15. 山田俊男

    山田俊男君 それじゃ、きちっと判断してくれるという齋藤大臣の言を確認したいというふうに思います。  さて、これは五年間に限った措置ですよという規定があるやに承知しているわけでありますけれど、この五年間のうちに特区諮問会議が、こことここが手が挙がったから、ないしはこことここにやりますよといって介入して、そして特定の自治体を決めて、その要件がありますねと。それじゃ、そこでやることになりますよというようなこともあり得ると見ていいんですか。これは内閣府。
  16. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  先ほどの若干繰り返しになりますけれども特区諮問会議におきましては、養父市以外の地方公共団体における特例活用について議論されたことはこれまでないところでございます。このため、仮定お尋ねにお答えすることは控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほど来の御趣旨を踏まえて政令指定するということでございます。
  17. 山田俊男

    山田俊男君 私も、この話はこれで終わりますが、大変、養父市ということが入らないことで法令を定めたり政令を定めたりすることで大丈夫なのかという心配を実は持ちます。  とりわけ、特区諮問会議等のこれまでの運営状況からしまして、五年間というふうにしているんだけど、五年間の間にしかるべく自治体が手を挙げて、やりたいと。もちろん自治体が手を挙げるときに、自治体に対して、どうぞやったらいいですよ、ちゃんと特区はそれを応援しますからみたいようなことをやって、そしてこういうことが進んでくるんじゃないかと。当然、そういうことは持っていると思うんですよ、私が心配するのは。だから、五年間につきましても、そういうことはちゃんとないということで今回の整理はなっているんだということで考えていいんですかね。齋藤大臣、お聞きします。
  18. 齋藤健

    ○副大臣齋藤健君) 法律の解釈につきましては内閣府が申し上げたとおりですけれども、今後の政令指定に当たりましては、この要件に合致するかどうかについては、農水省としては厳しくきちんと判断をしていきたいと思っています。
  19. 山田俊男

    山田俊男君 もう一点、私が大変危惧するのは、このことが、特区諮問会議の動向が発表された後、さらに、これは総理発言内容を聞き及びますと、規制岩盤、これを崩すんだと、そしてこれは世界的に公約した話なんだというふうなことをおっしゃっているわけで、そういうことになると、今言いましたように、法令政令でそういうふうに定めたにしても、また出てくるんじゃないかという心配が大変あるわけであります。  この岩盤規制を取り外すんだという内容は、考えますと、農地はそれを耕す者が所有するという戦後の農地改革、そしてそれ以降の戦後七十年の農地法の理念や思想を否定しかねないことになるんじゃないかと。とすると、今、多くの関係者がこの農地日本という狭い国土の中の農地を利活用しながらこうして生計を立てて、さらにまた一層の発展を果たしていきたいというふうに思って努力している、そこを潰しかねないんじゃないかという心配なわけでありますが、内閣府にもう一回聞きますが、岩盤規制というのは、総理発言されている岩盤規制、これはどういう内容のことを農業面では捉えておっしゃっていることなんですか。それは承知されていますか。お聞きします。
  20. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  岩盤規制という言葉でございますが、一般には、通常長年にわたり改革ができていないような規制をいうものというふうに理解をしてございますけれども、具体的にそれに何が当たるかということについてはいろいろな見方があるものと存じてございます。  お尋ねの、企業による農地所有につきましては、農業生産法人出資要件の緩和や今回の特区における特例措置など、機動的に規制の見直しを行っていただいているというふうに承知をしてございまして、関係者皆様方に感謝を申し上げている次第でございます。
  21. 山田俊男

    山田俊男君 ともかく今回のことで多くの関係者が大変な混乱と、それと思い思いといいますか、苦しみを感じております。  簡単に、内閣府、まさか岩盤規制企業農地所有だと、これを解禁することだということを総理に示唆したり、また、この挨拶をまさか書かれたり、自分たちでということじゃないんでしょうね。それ、もう一回確認しますが、(発言する者あり)まあこの辺はずっとやっているよ、やっているよということでありまして、何ともはや、お聞きします。
  22. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答えいたします。  特区諮問会議において、会議の締めくくりにおいて、通例、議長である総理の御判断で御発言をいただくことになってございまして、これまでの諮問会議におきましても通例に従って総理が御発言をされたものというふうに認識をしてございます。
  23. 山田俊男

    山田俊男君 もうこれはこれでやめますけれど、ともかく総理に、何というのか、みんな責任をおっかぶせるみたいような話で事を進めるということについては本当に将来を誤るというふうに思いますから、内閣府、よほどのことを、決意を持って、ちゃんと関係方面ともしっかり連絡を取って、歴史も考えて、そして仕事を進めてもらいたいと。一部の有識者と言われる委員ですか、それらの意見だけを捉えて総理に物を言わせて、そして進ませようという姿勢は、もしもそういうことであれば絶対に許せないというふうに思いますから、ちゃんとしてもらいたいと、こんなふうに思います。(発言する者あり)  いずれにしても、手を挙げて言いたいことがあったら、あるそうですから、内閣府。
  24. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答えいたします。  御指摘の御趣旨をしっかりと踏まえて、これから私どももまた改革を進めていきたいと思ってございます。ありがとうございます。
  25. 山田俊男

    山田俊男君 いや、このことも大変大事なことでありまして、ひとつ小川先生、許していただきたいというふうに思います。  さて、こうした問題が出てくる背景が私はあるというふうに思います。それは何かといったら、地方における農業担い手が圧倒的に高齢化して少なくなってきていると。だから、それを捉えて資本力のある企業参入することで収益を上げることができるという、こういう期待といいますかムードといいますか、言いぶりがなされているんじゃないかということを心配しております。  本日お出ししましたこの資料最初の一ページです。これは農林水産省が作って、そして自民党骨太方針策定PTに出された資料であります。  各国と比較して、これ見て驚きませんか。驚きますよね。何で日本だけが六十五歳以上がこんなに高い比率になっているんだと。これ見れば、この表を見れば、日本はもうこれじゃ駄目じゃないか、一体どうするんだ、企業参入ということだって一つの手法だぞということになりかねないわけです。現にこれを議論した党の会合でも、そういうムードといいますか、日本担い手、若い就農、これが十分できていない、そこに原因がある、だからもっと市場原理を入れて、そして伸ばすべきは伸ばすということだという議論がやっぱり出てきていたと、こんなふうに見ております。  この資料の狙いといいますか、これ、こんな形でお出しになったのは、私が今言ったような背景ですか、それとも、そうじゃなくて単純に年齢示しただけですか。資料を執筆したのはどちらでございますかね、お願いします。
  26. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今御指摘いただきましたこの資料は、自民党農林水産業骨太方針策定PTにお出しをしたものでございます。通常、我々が作ってお出しをしている資料とはちょっと違うものですけれども、今回、先生方の方から、こういう形で各国の比較をしてほしいという御要請がございまして、その御要請に応じて海外のデータ整理をしてお示しをしたものでございます。  我々は、企業農業参入を進めるために殊更に農業担い手高齢化あるいは減少を強調しているというつもりはございません。ですが、高齢化が進展しているのは間違いない事実でございます。六十五歳以上の方が六割を超えている、それから耕作放棄地がかなりの面積になっている、これはもう事実でございますので、実際に各地で人・農地プランの話合いをしていましても、やっぱり自分たち地域担い手が十分いないというふうに考えられているところが相当な数ございます。そういったところでは、地域農業を維持していく上では企業農業担い手として考え得る存在であるというふうに思っているところでございます。
  27. 山田俊男

    山田俊男君 これだけじゃ駄目だということを私は言いたいんです。  といいますのは、我が国農業構造はこの十年間で相当変わっています。地域の中で若い担い手がおれば、若い担い手に、よく頼むぞと、俺の田んぼも預かってくれ、作業も預かってくれということが急速に進んでいます。だから、担い手利用面積、これは所有権だったり賃借権集積面積ですが、これは全農地面積の五〇%をもう既に占めているという状況なわけです。  確かに、平均耕地面積は二・五ヘクタールしかないんですが、それはこの六十五歳以上の皆さんも、みんなで割るわけですから二・五ヘクタールになるんですが、ところが二十ヘクタール以上の経営体が耕作する面積シェアは三七%です。だから、これはもう相当進んでいるというふうに見ていいんです。  ところで、聞きますが、六十五歳以上の基幹的農業従事者、この六一・一%に含まれているメンバー、それから七十歳以上、これは四七%ぐらいになるんですが、これらの層が占めている耕地面積販売金額はどういうことになっていますか。これ、数字ありますか。じゃ、お願いします。
  28. 佐々木康雄

    政府参考人佐々木康雄君) お答え申し上げます。  今御指摘基幹的農業従事者という点で見ますと、一戸の農家に複数いる場合ですとか、あるいはいらっしゃらないという場合がありますので、一戸当たりの経営面積とは必ずしも対応関係にない面があるわけでございます。  そこで、農家経営主の方、農業経営者の方の年齢に着目をいたしまして、その方々経営面積ということで申し上げますと、平成二十二年の農林業センサスの結果でございますが、六十五歳以上の農業経営者の方が経営されている耕地面積は、販売農家経営している面積全体の経営耕地面積の三一・四%を占めているという実態でございます。また、これを七十歳以上の農業経営者方々ということで見ますと、そのシェアは二〇・五%ということに相なっております。
  29. 山田俊男

    山田俊男君 当然、こうした年齢農業者、これは基幹的農業従事者という整理になっていますよね。その上でやると、息子さんが後を継いでおられて、おやじさんと一緒に農作業をやっておられる。例えば三十であったり四十であったり、しておられるということですね。その三十とか四十とかという歳の基幹的農業従事者がどんな経営をやっておられるか、これは独自に調べることができるんですか。
  30. 佐々木康雄

    政府参考人佐々木康雄君) 年齢階層別にどういう類型経営をされているかということにつきましては、センサス調査の中で、年齢と、それからどういう作物、類型をされているかということを調査で把握いたしておりますので、組替え集計等を行うことによりましてお示しすることが可能でございます。  今ちょっとその組替え集計データについては持ち合わせておりませんけれども、必要なものにつきましては御指示をいただきますればお示しをさせていただきたいと思っております。
  31. 山田俊男

    山田俊男君 結局は、六一・一%、この層のおやじさんたち高齢化しながらも基幹的農業従事者として農業を担っておられるわけです。そして息子さんもおいでになる。多分こういう形態なんだろうというふうに思うんです。そのことをしっかり頭に入れた上で、そして後を継いでおられる若い農業者にどんな形で仕事をしてもらうかということを本当によくよく考えて、そして政策推進するということがなきゃいかぬわけだから、ベースとして、是非今統計部長が申し上げたような形で、若い世帯主になろうとする世帯主がどういう経営になっているかということをきちっと示せるようにしてもらいたいというふうに思います。  御案内のとおり、日本はかつては隠居制度がありまして、大体この年齢になったら隠居する、夫婦で。そして、孫を育てる役割を自分たちがやるんだみたいなことにして、しかし農作業はちゃんと手伝っておられたんですよ。そういうことで、経営の主体を若い人に譲る形で推進してきたということが現にあるというふうに思います。今そういうことになっているのか、それともそうじゃなくて、おやじさんが引き続き全部会計握って、そしてやっていますよというときに、一体どう我々は今後考えたらいいのかということなんです。  フランスの例を申し上げますと、フランスなんかは離農給付金というのを出しまして、そして、それら皆さんが大体は都会ないしは農村部の町に出て、そして生活される。そして、持っていた、所有されていた経営地については、担い手がおれば担い手に渡しますが、そうでなければ外部の、隣の農家であったり、それから新規参入する農家であったり、そういう皆さんに分けていく、売却していく。その世話をしているのはサフェールという公的な機関なんです。そういう売出しに係った農地のおよそ二割程度はそのサフェールがきちっと売買にあずかっているという仕組みがあります。我が日本は、残念ながらそうした仕組みがないゆえをもって、それでこういう整理になっているんだろうというふうに思います。この表を見ても明らかですが、フランスやドイツと比べて、我が国実態が大変よく分かってもらえるというふうに思います。  これから、私が言いたいのは、担い手がいないから、零細だから、それから高齢化していくから、だから企業参入させるんだという単純な方向に向かわない政策推進を着実に進めるということを何としてもやってもらいたいと、こんなふうに思っているところでありますが、どうぞ、大臣、今の私のこの思いと論調なんですが、どんなふうに受け止めておられますか。お聞きしたいと思います。
  32. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 農地につきましては、農業の基幹的な資産でありますから、その管理の在り方については間違いなき運営というものが大事であるというふうに考えております。そのことをしっかり心して今後も農政を続けてまいりたいと考えております。
  33. 山田俊男

    山田俊男君 文部科学省に来ていただいておりますね。  お聞きしますが、最近、アベノミクスで雇用環境が比較的改善してきたということがあります。数字的にも失業率の割合がずっと下がってきているわけです。地方へ行きますと、いろんなところの仕事があって、実は人がいなくて困るんだみたいような話も聞くくらいですから。  だから農業高校の卒業生、どうなっているかといいますと、今までの統計では、農業高校の卒業生は卒業者の五%程度だというふうに聞いておりましたが、どうも今年の場合、ある農業高校で関係者に話を聞きましたら、実はその卒業生、誰も農業に就業しなかった、今年はゼロだという話なんです。この八月の段階で、しっかりした農業高校の卒業生でありますOBが、しっかり農業生産法人つくってやっていますから、彼が二人どうしても後輩の生徒を欲しいと、しっかり育成して、それを自立農家に仕上げるための努力も自分でもやっていきたいと、二人だと言っていたのに、その人のところにも卒業生は回ってこなかったと。それはゼロですから回ってこないわけです。  そういう環境にあることを文科省御存じですか。お聞きします。
  34. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) お答えいたします。  平成二十七年三月現在の農業高校卒業者の農業、林業に就職した者の割合というのは四・九%ということになっております。ただ一方で、その関連産業、食品製造であるとか農業土木の関連産業に就職した者を含めますと、就職者のうちの約半数が従事していると、こういう状況でございます。  いずれにせよ、農業高校における進路指導におきましては、生徒の興味、関心というのを喚起しながら、しっかりと農業担い手育成という観点から進路指導をしていただくべきものというふうに考えております。
  35. 山田俊男

    山田俊男君 その進路指導ですが、私のお聞きしたところによりますと、それは一つの事例ですから一般化するつもりは毛頭ありませんが、しかし、進路指導の先生が、いや、大企業に入りなさい、農業じゃなくて大企業に行きなさいという指導になっているというんです。その結果がゼロだということで、大変、みんな話題になっているわけです。  この進路指導の在り方も、本当によくよく考える。逆に言いますと、一体どうして若い担い手をちゃんとつくり上げるかということについて関係者一丸となって、そして手当てを講じていかないと、これはもう本当に、一番最初の話に戻りますが、企業参入でいいんじゃないかということになってしまうということを申し上げておきますので、どうぞ、我々も含めてでありますけれど、しっかり取り組んでまいらなきゃいかぬと、こんなふうに思います。  さて、次にテーマ移りまして、経営安定制度の充実対策について少し触れさせていただきたいというふうに思います。  御案内のとおり、TPPの合意によりまして、重要五品目についても関税削減がなされたこと、これは、とりわけ全くそのことを余り予測していなかった果樹や野菜の皆さんにとっても、一部関税撤廃がなされたから、大変な不安がそれら地帯から出ているというのは事実であります。  五品目の中でもとりわけ関税削減が大きかった牛肉と豚肉については、御案内のとおり、従来のマル緊の仕組みを豚肉、牛肉一緒にして補填の割合を高めると同時に、農業者の負担割合も下げると、こうしたことで制度を、ましてや法制化するというふうにおっしゃっていますから、私は、このことについてだけは極めて安定的な仕組みをちゃんと考えてもらったというふうに評価しております。  特に牛肉、豚肉の場合は、従来のマル緊の仕組みがそうだったということもあるわけでありますけれども、標準的な生産費と標準的な販売価格に着目してその差額を補填するよという仕組みにしているから、これは、経営安定の仕組みとしては多々ありますけれども、画期的な仕組みなんですよ。だからこれを、何度も言うようですが法定化するわけですから、この意味は、ほかの作物に今後いろんな影響が出てきかねないというときに大きな取組の指標に私はなると、こんなふうに思っているわけであります。  とりわけ今後、ヨーロッパとのEPAも話題に上っておりますし、場合によったらアジアのほかの国々との間の交渉も俎上に上ってくるということになれば、それこそ欧州やそれからアメリカがやっておりますように、欧州やアメリカはやっているんですよね、今手元に私もこれ出しておりますが、EUの農業政策、それからアメリカの価格・所得政策の概要の表を出しておりますけれども、これを御覧になっていただいてもまさにそうでありますが、市場価格と、それと支持価格、さらにはその上に直接支払をきちっと加えると。これは小麦の例ですが、こういう仕組みをちゃんとつくっております。さらにはアメリカの場合も、いろんな手だてでありますが、価格支持融資による補填、直接固定支払、それから価格変動対応型支払による補填という仕組みを積み上げて、そして目標価格、市場価格との差額を補填しているという仕組みがあるんです。  まさに、我々はというか、我が日本はここの仕組みをきちっと準備していくということが今後の圧倒的な市場開放の世界、圧倒的な市場開放の世界を全部私は是認しているわけでは決してありませんが、しかし、その世界に現在もTPP大筋合意の中で入ってきている。さらには、将来はそれが一層進みかねないというときには、これらのことが念頭に置かれなければいかぬのですよ。と考えると、牛肉と豚肉の経営安定対策の今回の仕組みと法案設定というのは、私は高く評価するゆえんであります。とすると、ほかの作物どうなんだということが今後議論に私はなってくるというふうに思います。  米について申し上げたいんですが、米は収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシという仕組みでやっておりますが、加入者は面積ベースでいまだ五〇%でしかないわけであります。当初は対象農家を、都府県では四ヘクタール、個別農家の場合四ヘクタールに絞っていたわけでありますが、これをやめまして、対象農家を認定農家や認定新規就農者や集落営農、そしてこれらについて市町村の認定があれば規模要件を廃止して対象にするという要件緩和をやったんですよ。やったけれども面積に対して五〇%なんですが、その実態でよろしいですかね。お聞きします。
  36. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) 今御指摘のいわゆるナラシ対策につきましては、特に米につきまして非常に有効な経営安定対策ということでございます。  私どもとしまして、昨年、一昨年と相当の労力を投入いたしまして加入促進をやってまいりまして、関係者に納得していただいた上で御指摘のような状況に至っているというふうに理解しております。
  37. 山田俊男

    山田俊男君 しかし、この仕組みをもう一度丁寧に見てみますと、連続して価格が下がったような場合、連続して価格が下がったような場合は、だって、最高年、最低年はこれは計算から除いて、中庸三年で、平均で、そして支える価格といいますか、補填基準価格を定めることになっていますよね。だからそれが傾向的にみんな下がっていく、そして下がる心配はあるわけですね。何でかと。  今回のTPPの大筋合意の中で、米についてもSBSで一定割合が入ってきます。これは、それぞれ、何といいますかね、相対入札で米が入ってくる。間違いなく米国系の大スーパーマーケットで小袋に入れて売られる心配があります。多分、値段は相当低いもので出してくるかもしれません。まだ分かりません。ただ、その心配があるから、森山大臣は、今回のTPP対策の一環として、そして米については輸入が、数量が増えた分を、これを隔離するといいますか、備蓄に充てることでその数字の調整というか需給均衡を図るという取組をおやりになったから、それはそれで若干引下げの部分について、下がっていく傾向について何とかの歯止めになるかもしらぬというふうに思います。  しかし、需要がかくのごとく減っているわけだし、それからアメリカの低い価格がやっぱり魅力だ、こういう食べ方をしようということで、アメリカの小袋に詰めたそれを買ってくるという人が増えるかもしらぬという心配もこれは出てくるわけであります。そういう形で価格がこうして下がっていく、全体として市場価格が下がっていくという傾向が現れたら、補填基準価格もずっと下がっていくんですよ。  だから、ナラシという仕組みの全体像について私は悪い評価はしておりません、それなりにつくっていただいたというふうに思いますが、ここの価格が傾向的に下がるということを前提にした補填でしかないということについてだけ十分考えていただいた上で、それじゃどうするか。それじゃどうするかといったら、牛肉と豚肉並みの平均生産費が、コストがあって、それと市場価格との間の補填をするという、ここの仕組みが物すごく意味を持つということを言いたいわけで、この理解、間違っていないと思いますが、いかがでございますか。
  38. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) 今御指摘ございましたいわゆるナラシ対策の関係でございますが、米について状況を見てみますと、十分な国境措置があり、諸外国との生産条件格差から生ずる不利はないということ、あるいは生産コストが外的な要因によって大きく変動するようなコスト構造にはなっておりません。そういうことから、生産者自らが基本的に需要に応じた生産を的確に行っていただくことによって収入を確保していただくことをまず基本として政策体系を組み立てているわけでございます。  一方、御指摘のように、米価というものは外的な要因で変動することはそのとおりでありますけれども、そういったことで、米価の変動というようなことで経営の安定が図られなくなるということは防がなければなりません。したがいまして、今の政策体系の中におきましては、生産コストではなくて、過去の平均的な収入でありますいわゆる標準的収入額からの下落分を補填するということで経営の安定を図る仕組みになっているわけでございます。  もし御指摘のように仮にコストに着目した補填の仕組みとするような場合には、どのような生産を行ってもコストに応じた補填が一定程度なされるということになりますので、自らの経営判断によって需要に応じた生産を行うインセンティブが阻害されてしまうという問題があると考えております。
  39. 山田俊男

    山田俊男君 自らの判断経営をやってもらうんだと。それを判断させるために十分な補填の仕組みはつくっておけないんだみたいように聞こえちゃうんですよ。  私は先ほど来言っていますが、担い手、ちゃんとそれなりに育っているんです、大規模な担い手がそれなりに育っているの、苦しい中でも。そして、ひいては、この担い手が持っている五〇%のシェアを、だって八〇%に持っていこうとする約束事があるわけでしょう。そうしたら、そこへ持っていくためには、きちっと若い担い手が気合を込めて、そしてやっていける条件をこそつくり上げるのが基本じゃないですか。ましてや過剰なんですよ、需要が落ちているんですよ、生産調整に取り組んでいるんですよ。このことを踏まえた上での経営安定対策のありようについて検討が必要だということを申し上げます。  さて、追加して、米について申し上げますと、これは大臣に是非お聞きしておきたいんですが、平成三十年産から国による米の生産調整が廃止、国による取組が廃止されることになっています。だから、今、皆さんもお聞きだというふうに思いますが、地方へ行きますと、生産調整が名実ともこれは廃止されるんだと、じゃ、後は自由に作っていいんだみたいな議論があるんですよ。いや、とんでもないんですよと、これは、生産調整はちゃんとやるということなんですよと。ただ、国が目標面積を、まだ具体化していませんが、目標面積を示すというだけじゃなくて、これをしっかり、まさに自主的な取組として水田フル活用も含めて選択の取組をしていただくことになるんですよというふうには言っておりますけれど、大変な不安があります。  それから、生産調整の目標達成と連動している七千五百円の支払がありますよね。これも実は廃止になるそうじゃないかというふうに言われている。それからさらには、需給調整に大きな役割を果たしている飼料米の作付け助成金、これもどうも大幅に減額されるんじゃないかという声が出ているわけであります。  これが重なりますと、それこそ、もう作付け始まるんですよ、田植始まるんですよ、もう皆さん苗を作っている段階であります。だから、もう二十八年産すぐ作付けで、収穫になりますよ。この年末から秋に二十九年産の取組が始まりますよ。そして三十年ですよ。二年たって三十年に急遽、国は生産調整の目標数量の配分やらないんだ、七千五百円はこうするんだといっていた日にはもう大混乱です。  もう既に、今の段階からどんなふうにしていくのかという方向を私は出さないといかぬというふうに思います。早く議論して方向を出すべきではないかというふうに思っておりますが、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  40. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 先ほど議論の中で、豚肉、牛肉と米は同じにした方がいいのではないかという議論がございましたが、牛肉と豚肉と米の一番の大きな違いは、牛肉、豚肉はどうしても輸入に頼らざるを得ないというのが現状であります。米は今のところ余っているというのが現状でございます。そうしますと、納税者の皆さんから、国民の皆さんから、同じ政策で御理解をいただけるのかどうかというところが非常に大事なことでございまして、国民の理解なき農政は長続きをしないのだろうと思います。  国民の皆さんの御理解をいただける政策をしっかりやっていくということが大事なことではないかなというふうに思っておりまして、そこで、生産費と標準的収入額で取るかというところが大きく違ってきているということを是非御理解をいただきたいと思っております。  また、米政策の見直しにつきましては、山田委員が言われるとおり、私も現場に行かせていただいて、確かにそこに御心配があるなというのはよく分かります。また、中山間地、本当に大丈夫かねと皆さんも御心配をいただいているなということもよく分かります。ですから、我々としては、そのことを今からしっかりと御理解をいただく努力をさせていただかなければならないと思っておりますが、三十年産を目途に、行政による生産数量の配分に頼らずとも、生産者の経営判断により需要に応じた生産が行われるようにするということが大事なことだと思っておりまして、全国の需要見通しに加え、各産地における販売や在庫の状況など、きめ細かな情報提供というのはしっかりやらせていただきたいと思っておりますし、また、麦、大豆、飼料米等の戦略作物の生産に対する支援等の環境整備も進めておりますし、この方向性は既に明確になっております。  現場に参りますと、本当に飼料米は大丈夫かねと、こう言われますけれども、これはもう三十七年百十万トンというのは閣議決定をしているわけでございますから、この目標に向かって我々はまっしぐらに進まなきゃなりません。ただ、飼料米の生産をできるだけ低コストでできるようにするという努力は怠ってはならないと思っておりますが、百十万トンの達成に向けてはしっかりやるということでございますし、それは財務大臣も、昨日の参議院の予算委員会でも今申し上げたような御答弁をいただいているところでございますので、ここは我々としてはしっかりやらせていただきたいと考えております。  このような中で、二十七年度産においては、各産地の自主的な判断により主食米から飼料米への転換が進むなど、需要に応じた生産に取り組まれているところであります。いわゆる三十年産に向けた予行演習が既に現場では始まっているというふうに理解をしておりますし、二十八年度以降もこのような産地の自主的な取組によって、需要に応じた生産を定着させるということが重要なことでございます。  一方、三十年度産以降の姿について、生産現場の皆さんが不安な気持ちを抱いておられることは承知をいたしておりますので、農林水産省としても、生産者自らマーケットの動向を見ながら、需要に応じた生産を的確に行えるように、引き続ききめ細かな情報提供や戦略作物の生産に対する支援を行っていく考えであります。  こうしたことを踏まえて、生産現場の皆さんに丁寧な説明をさせていただき、不安を払拭をしてまいりたいと考えておりまして、今、農林水産省としても、各県をお訪ねさせていただいて、米政策についての御理解をいただくべく努力をしております。そうすることによって、三十年産への移行というものをスムーズにできるようにさせていただきたいと考えております。  どうか農家皆さんに御理解をいただきたいことは、需要と供給のバランスの取れた生産ということが非常に大事なことでありますし、我々も需要拡大には今後も努力をさせていただかなきゃなりませんし、また、米の輸出についても団体の皆さんと一緒に取組をさせていただいておりますが、このことはこのことでしっかりやらなきゃなりませんが、当面の需要の動き等については的確に農家皆さんも捉えていただいて、御理解と御協力を是非いただきたいと考えております。  以上であります。
  41. 山田俊男

    山田俊男君 大臣から、確かにおっしゃるように、米は国内供給はできているわけでありますからね。だからといって、米を過剰にしていっては何にもならないわけですから、おっしゃいますように、米以外の作物をどう定着させるか、そのために飼料米についてもちゃんと手を打つよと、百十万トンまであるんだから大丈夫だと、こうおっしゃっていただいた大臣の御意見、姿勢は大いに評価しますが。  といったって、米を作付けされている皆さんからして、やはり価格がずっと下がっていくという心配の中で、コストはもちろん下げる努力はしますけれども、おい、どこまでいくんだと。制度の仕組みとして、ナラシは、やはり少なくともコストを補填できる仕組みというやつを考えていかなきゃいかぬのじゃないかと。これはもう切なる思いだというふうに思いますし、そのことと、やはり七千五百円といいますかね、こうした追加で支払っているこれらの手だてと、それと目標達成の取組が連動しないと、これまた効果が出ないということだというふうに思います。  これ、大変大事な問題であって、将来的には食糧法の私は見直しにまで進んでいかざるを得ないことになるんじゃないかと見ておりますので、どうぞ早速にも検討を開始していただきたい、こんなふうに思います。  続いて、酪農のことについて触れておきたいわけであります。  酪農の乳製品、液状乳製品等を中心にしながら、TPPの大筋合意の中で一定の輸入枠が拡大されたわけでありますが、それは、加工原料乳の補給金制度の対象にして支えていくよという話でありますので、そこはそれで評価したいというふうに思います。  ところが、今生じていることは、一番最初に私が申し上げた国家戦略特区とも関連しますが、国家戦略特区そのものではないんですけれど、規制改革会議の場において指定団体制度の見直しの議論が出ているやに仄聞しております。指定団体制度のより合理的な運営、より酪農家にとってベターな運営、さらに、指定団体がきっちり活動することによって、そして計画出荷を続けていくことによってメーカーとの間の価格形成を行っていくことの重要性、これは考え考えた上でこれらの仕組みが長年にわたって運用されてきているということがあるわけであります。  しかし、この計画流通制度について、規制改革会議が、これは一部の自由流通の皆さんの主張も一方的に取り入れながら自由流通をやっていけばいいんだと、計画流通制度が自由なかつ効率的な牛乳生産を阻害しているんじゃないかと、コスト高だけになっているんじゃないかというふうに議論がなされていることを承知しております。  そこの中で、そこの規制改革会議の方向でこれらが実施せられるということになると、私は、この大事な大事な、毎日、生産者からとってみると、乳を搾っています。そして出荷されています。出荷したものを冷蔵しながらメーカーに運んでいます。そして、安全、安心な牛乳を消費者の下に届けるという仕組み、これは世界各国どこを見ても大事な仕組みとしてみんな守って維持しているんです。  この意義、計画流通制度も含めたこの意義について、もっと規制改革会議関係者に申し入れて、そしてこの制度の維持を、もちろん改善しなきゃいかぬところは改善しようじゃないですか。だけれども、この基本は守っていくんだぞ、そしてこのことがあって加工原料乳の補給金制度、牛乳の仕組みが曲がりなりにも成り立っているんだよと。これが、まさに酪農におきます、乳製品におきます経営安定制度なんだぞということをやっぱり主張し続けていかなければいけないと、こんなふうに思っているわけでありまして、このことについても、規制改革会議の一方的な議論を放置していくわけには毛頭まいらぬと、こんなふうに思いますから、この点についても、大臣、御見解があればお聞きしたいと思います。
  42. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 山田委員にお答えをいたします。  生乳は、毎日生産をされる上に、液体で腐敗しやすいという特性を持っております。委員承知のとおり、今日は搾らないというわけにいかないわけでございますから、毎日生産をされます。しかし、それは非常に腐敗性の高い製品でありますから、ゆえに、適切な需給調整というものがなされないと生乳を廃棄しなければならないといったような事態を招きかねない。  このような中で、指定生乳生産者団体は、飲用乳と加工用原料の需給計画調整を行うなどを通じて、酪農経営の安定のみならず、牛乳、乳製品の消費者への安定供給に大きな役割を果たしてきている制度なのだろうと思っております。農林水産省としては、昨年十月の生乳取引のあり方検討会の報告等を受けまして、指定団体の合理化や生乳流通の効率化を計画的に進めるように指導してきているところであります。  一方、委員指摘になりました規制改革会議農業ワーキング・グループにおいて酪農に関するヒアリングが行われ、指定団体に関しても、その役割等については農林水産省から丁寧に説明をしてきているところでございます。  指定団体が引き続きその機能を適切に果たせるように、今後、経費削減や集送乳の効率化などの更なる合理化に向けた不断の見直しを行って、我が国の酪農が長期的に発展をして酪農家が安心して経営を継続できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 山田俊男

    山田俊男君 大臣おっしゃいますように、規制改革会議、ここ一年前、二年前にも痛い目に遭っておりますので、だから、彼らが自由に発言して、それを政府がといいますか、官邸が受け止めて、そして推進してくる、こういう形にならないように、大臣のところで止めてもらわないと私は崩されかねないという心配をしております。どうぞ今の取組でしっかりおやりいただきたい、こんなふうにお願いする次第であります。  さて、収入保険のことの議論も出ているんですね。今日は、大分勉強しましたが、しかし詳細は省きますけれども、米政策のこと、それから果樹対策のこと、とりわけこれらについて経営安定対策をどんなふうに仕組んでいくかというときに、収入保険の検討をやるぞということがTPP対策大綱の項目の中に入っているわけであります。その内容について、よほどこれ注意深く丁寧に対処してもらいたいというふうに思います。  まだ検討状況が表に出せるような状況じゃないんだろうというふうに思いますが、ただ懸念は、どうも前もどこかの場面で、規制改革の関係のテーマだったのじゃないかという気もしますが、ないしは場合によったらアメリカから言われていた話だったんじゃないかというふうに思ったりもするんですが、農業共済の仕組みを民間保険にやらせていいんじゃないかという議論がかつてあったように思います。私はそこまで調べ切れなかったんですけれども、更にしっかり調べてみますけれども、今、収入保険の検討に当たって、民間の保険会社と、それと共済協会の両方に事業を委託して、フィージビリティー調査というんですか、それを終えられたというふうに聞くものですから、ちょっと心配していまして、これ、農業共済も収入保険も一緒くたにして民間保険にやらせるみたいな話じゃないんだろうなというふうに私は危惧を持ちましたので、これはよくよく注意して見ておってもらいたいということをお願いしておきます。  それからもう一つ、チェックオフシステムについても、これは農林水産物の輸出拡大と関連してTPP対策大綱の中で検討を示しているわけでありますが、これ、私、今日お見えの小川委員も一緒にTPPの調査でオーストラリアへ行ってまいりました。その際、オーストラリアのチェックオフシステム、これはお手元の資料の中に出しておりますので、後刻見ていただきたい。  これはオーストラリアからいただいてきた資料でありまして、こういう体系的な取組として、まさに生産者だけじゃなくて、流通業者、製造業者、政府一体となって輸出対策を、需要拡大対策をやろうという取組になっています。日本はどうかといったら、この県がやっていますよ、この産地がやっていますよ、この農協がやっていますよと、わっとやっている、みんな、あたふたしながらやっている。  こういうことをきちっと、やはり一定の考えでもって、そしてTPP対策関連としましても、輸出の拡大を大きな成長の一つのテーマとして支えていくんだということであれば、私は、国としての戦略目標を持った取組が必要だし、その一環としてこのチェックオフシステムが大きな意義を持つんじゃないかというふうに思いますので、この点についての検討状況を最後にお聞きして、大臣の決意もお聞きしたいと思います。
  44. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) お答え申し上げます。  昨年決定されましたTPP関連政策大綱におきまして、委員指摘のとおり、チェックオフ制度の導入について検討することとされたところでございます。このため、現在、チェックオフ制度を参考に、生産者等が主体的に取り組む国産農林水産物の需要拡大や輸出促進の仕組みを検討するための調査を実施しているところでございます。  具体的には、まずチェックオフ制度に関する国内外の文献等の公開情報について収集いたしまして今月中に中間的な報告を整理するとともに、こうした報告を踏まえまして、アメリカやカナダなど諸外国への現地ヒアリング調査や、国内で販売促進活動に取り組んでいる酪農や豚肉などの生産者団体等へのヒアリング調査を行っていく予定としているところでございます。  また、こうした調査を通じまして、今年の夏を目途に調査結果を取りまとめ、生産者の特定をどのように行うのか、あるいは生産者からの拠出金をどのように徴収するのかといったような整理すべき論点の洗い出しを行うとともに、導入する場合の目的を明確にいたしまして、制度の検討を進めていきたいと、かように考えている次第でございます。
  45. 森山裕

    国務大臣森山裕君) チェックオフ制度について申し上げます。  国産の農林水産物の需要拡大を更に進めて農家の所得を向上させていくということは非常に大事なことだと思っております。そのためには、生産者が自ら生産をしている生産物がどういう価値のものであるかということをしっかり認識をしていただくことが大事なことだと思いますし、それをPRをしていくということが需要拡大につながることだというふうに思っております。  さらに、販路の拡大や輸出促進をしていくことによって、生産者の所得向上につなげることができるのではないかというふうに考えておりまして、私は、チェックオフ制度というのはやはり、いいものを作っていることをどう自らがPRするかということの視点が大事だと思いますし、そのことによって需要拡大をさせていくということも大事なことだと思いますし、そのことによって農家の所得の向上につなげていくということが最も大事なことだと考えておりますので、チェックオフ制度につきましては、今後しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  46. 山田俊男

    山田俊男君 中泉先生から二分ほどいただきまして、大変済みません、恐縮です。  最後に、本当に大臣思いも聞きたいというふうに思うんですが、私は、国家戦略会議規制改革会議の動きについて今日触れさせていただきました。ややもすると、経済界中心のどうも主張を、農業の成長産業化と言いつつも、農業の合理化を求めているような動きを大変心配しているものですから申し上げさせていただいたんです。  最近、本当に思いますのは、日本の将来像を共有しなきゃいかぬのじゃないかと。経済界も、それから総理もです、それから各政党も、国民全体も、産業界ももちろんです。日本の将来像を共有することが必要なので、農業を合理化、第一次産業を合理化すればいいんだ、成長産業化すればいいんだ、そのために企業が入って活動するんだと言っていて、本当に家族農業地域や、それから地域の様々な協同や多面的機能や、そして大事な日本というのを守れるのかという気がするんです。  何としてもここは、みんなが、国民がといったって難しいんだというふうに思いますけれど、極力、やはり政府、それから党はこのことを念頭に置いて、日本の将来像をどう共有するんだ、それで頑張ろうじゃないか。  TPPやった、十三兆円もGDPが伸びると言っているんですよ、工業界、そうでしょう。だったら、それをどんなふうに、大変苦しい条件を抱えている日本の国土の形成や、さらに第一次産業や、それから、そこで営々として頑張っている農林漁業者に対してどういう手だてをするんだと。そのために、直接所得補償や欧米並みの直接支払の仕組みも考えていかなきゃいかぬのじゃないかと。何でそういう立場で絵を描けないのかということをやっぱり是非主張をいただきまして、いい日本をつくり上げようじゃないですか。  終わります。
  47. 若林健太

    委員長若林健太君) よろしいですね。
  48. 山田俊男

    山田俊男君 大臣のお答えをいただけたら幸いです。
  49. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 先日、官邸で官民対話が行われました。経済界の方々も、農業の取組についていろんな御意見を述べてくださいました。また、全中の会長も御出席をいただいて、いろんな考え方を述べておられました。  私は、やはり農政新時代というのは、全ての人たちの知恵をいただいて日本農業を発展をさせていくということが大事なことなのだろうなというふうに思っております。  ですから、今、農林水産省としては、農林水産関係団体との定期的な懇談会も開かせていただいておりまして、テーマがなくても、今からどんな問題が出てくるんだろうか、今それぞれの団体でどんな問題があるんだろうかということをお互いに共有しようということでやらせていただいております。また、経済団体とも商工会議所の連合会とも議論をさせていただきましたし、また全国の商工会の連合会とも意見の交換をさせていただきました。  それぞれ、六次化に向けても大変積極的なお取組をいただいておりまして、そういう意味では、やはり経済界と農業団体との私はもう壁はなくなりつつあるのかなというふうに思っておりますが、ここはしっかりと、みんなが日本農業の発展のためにお力をいただけるようなことを考えていくということが大事なことだなというふうに思っております。  また、いろんな政府が持っておられます会議においても、農業のことについて御議論をいただくことは私は有り難いことだと思っています。ただ、我々は、やはり農林水産省として、いろんな御意見をしっかりと述べさせていただくということは更に大事なことでございますので、そういう努力を今後も続けさせていただきたいと考えておりますので、どうか議員各位のお知恵も是非お聞かせをいただき、お力も賜りたいというふうに考えておりますから、よろしくお願い申し上げます。
  50. 山田俊男

    山田俊男君 大変ありがとうございました。  中泉委員、どうも大変ありがとうございました。  終わります。
  51. 中泉松司

    ○中泉松司君 自由民主党の中泉松司でございます。  本日は、私のような若輩に貴重な質問の時間をいただきましたことに心から他の議員の皆さんに感謝を申し上げます。  時間が減ってしまいましたので前置きは長くしない方がいいのかもしれませんが、私、地方議員上がりでありまして、大学時代は東京にいたんですが、東京は二十三区の端の方でありまして、この永田町かいわいというのは全く足を踏み入れたことがありませんでした。  地方議員から参議院議員になったときに、私、党の青年局長というのを県連でやらせていただいておりましたので、こちらに上がってきたときに、県連局長時代の仲間や、先に衆議院の選挙があったものですから、先に当選された方々とささやかに、じゃ元青年局長で祝勝会をやろうということになりまして、それで連れていかれたお肉屋さんがありました。  本当に、どの農家さんが作ったお肉で、そしてどういうものなのかということをきちんと説明をしていただいて、店員さんの対応もすばらしくて、いや、さすが都会のお店だなというふうに感激をいたしました。そのときに、誰の紹介なんですかという話をその誘っていただいた先生にしたら、森山先生ですというふうに言われまして、鹿児島産のお肉のすばらしさというものを味わわせていただきました。  それ以来、鹿児島の牛肉の消費にも協力をさせていただいておりますので、今日は是非とも前向きな答弁をいただければ有り難いと存じます。また、秋田牛も今、次の共進会で一等を取ろうということで頑張っておりますので、是非そちらの方も御協力をいただければと思っております。  さて、今大変厳しい局面にある農政でありますけれども自民党内でも農林水産業骨太PTということで、今、将来的に持続可能な農業をどうやって確立していくかということで議論をしている真っ最中であります。そこに私も参画をさせていただいておりますけれども、まさに今そこで議論をしていることや私の思いなんかを踏まえて今日は御質問させていただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  まず初めに、その前に大臣の基本的な考え方についてお考えを伺いたいというふうに思っております。  今申し上げたように、TPP等農業を取り巻く環境というものは非常に厳しさを増している中で大臣には御就任をいただきました。また、今日の農業新聞にも載っていましたが、被災地、農業復興はまだ五割というふうな話もありまして、大震災からの復興も道半ばという状況にあります。そういった中にあって、大臣には、本当に農政に精通された先生でありましたので、是非活躍をしていただきたいというふうに心から願っております。  元々農政を熟知された大臣でありますが、所信にあるように、全国を訪問されて、現状をどのように感じられたか。また、全国の皆さんの声を聞いて、この難しい局面にある農業にどのように立ち向かっていかれるおつもりか、決意を聞かせていただければと思います。
  52. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 私は、農林水産大臣に就任をさせていただきまして、できるだけ現場を見させていただきたいと思っていろんなところにお邪魔をしておりますが、まず自ら反省をしなきゃいけないことがあるなと最初思いましたのは、やはり日本はそれぞれの地域で長い歴史に育まれて、それぞれの地域農業というのがあるんだなということを強く認識をしました。  私は鹿児島でございますから、鹿児島の農業は幾らか分かっているつもりでおりましたけれども日本全体の農業が分かっているなどと思ってはいけないな、ここは謙虚になって現場をしっかり見詰めることが大事だ、そして現場の皆さんの御意見をしっかり聞くことが大事だなというふうに実は思いました。それは、恐らく皆さんもいろんな視察に行かれて、私と同じ思いをしておられるのではないかなというふうに思っております。  今、総合的なTPP政策大綱と、それに伴います補正予算等につきまして、全国、ブロック別あるいは品目別にいろんな説明会をさせていただいてきたところでございます。これ、私もミニキャラバンとして何か所かで説明会をさせていただきました。  まず、今はTPPというものがどういうものであるかということをしっかりと御理解をいただくことが大事なことだと思って、その努力をしているところでありますが、おかげさまで、少しずつ御理解をいただきつつあるのではないかというふうに思っておりまして、当初とは少し変わって一定の理解が進んできているというふうに考えております。  また、それぞれ現場に参りましてびっくりすることが実はあります。中山間地でどうしようもない地域だったんだろうなと思うところが大変な産地に生まれ変わっているというところも実はあります。  例えば、よくお話し申し上げますけれども、奈良の五條の柿とか愛媛の真穴のミカンとか、これ現場を見ますと、段々畑で大変昔は条件の厳しいところだったんだろうなと思いますが、ここに昭和四十九年、農業農村整備事業が導入されて、水のある果樹栽培ができるようになったということが地域を変えていったんだと思います。これは現場の皆さんの大変な努力があったと思いますけれども日本を代表するようないいものができるようになった、輸出にも取り組めるようになったということでございます。  また、最近、なるほど、こういうことだなと思いますのは、飼料米を今からどうしていくかというのは日本の米政策にとって大変大事なことなんでありますが、減反政策としての飼料米の生産から、そうではない、やはり飼料米の持っている特性を生かして、例えば養豚農家だったら、うちの豚の品種にはこの米がいい、これぐらいのたんぱくの含有量のある米がいいという選択が始まっているということに実は驚きました。そこで非常に銘柄豚ができておりますし、肥育の期間も非常に短くなっているということもあります。なるほど、そこまで頑張っていただいているんだなと思いましたし、また、例えば、鶏に飼料米を与えますと、鶏が非常に元気になるそうです。鶏が飲む水の量が非常に少なくなるそうです。ですから、鶏ふんの処理が非常にやりやすくなって非常にいい堆肥ができるという話も伺いました。  ですから、そういうところまで現場の皆さんは頑張っていただいているんだなということを思いましたし、また、輸出の方も随分伸びているなと思いまして、実は、シンガポールに参りましたら、シンガポールで日本の農産物を随分、伊勢丹が頑張っていただいているわけでありますけれども、本当に、ああこういうものまでシンガポールまで来ているんだなということに驚きましたし、また、我々政府が頑張らなきゃいけませんのはやっぱり検疫のところだろうと思いますけれども、一月の十五日から、シンガポールから日本に来られた方は、五キロまでは豚肉か牛肉をお土産として持って帰っていただけるような仕組みもできてまいりましたし、また、クロネコヤマトさんとANA Cargoと伊勢丹が組んで、農家に直接福岡の「あまおう」というイチゴを注文すると翌日にもう届くと。値段は伊勢丹で売られている値段の半分以下だということでございますから、これは農家の所得につなげる話としては非常に大事なことだなというふうに思っておりまして、やはり日本農家皆さんが安心、安全でいいものを作るということに全力投球をしてこられて、それが成果として現れていることは間違いありませんから、これを最大の武器として輸出にも更に取り組んでいかなきゃいけないなというふうに思っております。  それと、一番やっぱり頼もしく思いますのは、非常に、現場で若い人たちが、異業種から入ってこられた人たちが新しい考え方で農業に取り組んでおられてびっくりすることがあります。  新潟で、異業種から来られた八名だけで米の生産を集落営農として頑張っておられるんですけど、百ヘクタールぐらい作っておられます。それで、どういうお米を作っておられますかと聞きましたら、早期米から、いわゆるわせから晩生まで幾つかの品種を作っておられるものですから、この品種は何で選ばれたんですかと聞きましたら、我々は百ヘクタールまではワンセットの機械でやることが一番効率的だというふうに計算をしたと。そうすると、同じものだけ作っていますと田植も収穫も集中するものですから、できるだけ長く田植の期間が取れるように、収穫の期間が取れるようにやっているんですと。そうすると、米のもちろん値段は少しずつ違いますけれども、機械の償却を考えると経営としてははるかにこっちの方が大丈夫ですという話を聞かせていただいたり、そういう若い人たちがおられるということも大変頼もしいことだと思いますし、こういう人たちがしっかり希望を持って農業に取り組んでいただくということが大事なことだと思いますし、中山間地といえども、やはりそこに知恵を絞り、何が適地適作なのかということを考えていくともっとやれることがあるんじゃないかなというふうに最近考えておりまして、今申し上げたようなことで農家皆さんをしっかりと支えていくということが大事なことではないかなというふうに思っております。  少し長くなりましたが、よろしくお願いします。
  53. 中泉松司

    ○中泉松司君 全国を回っていただいているということがよく分かる御答弁をいただきました。ありがとうございます。  私も、雪国秋田の出身なものですから、びっくりしたことがやっぱりあります。例えば、一番最初にこの世界へ入ってびっくりしたのは、九州の農家出身の先生とお話しして、私も農家出身なものですからお話をしたときに、東北の人間、秋田の人間はもうからなくて駄目だ駄目だと嘆いているけれども、裏で何も作らないで何も努力していないじゃないかみたいなことを言われまして、いやいや、裏作れないんですよ、単作なんです、雪が降るんですと言ったら、お互い、えっとなったことがあるんです。やっぱりそれぐらい地域によって、なりわいとしている業としての農業というものが多種多様なものだということを是非御理解をいただきたいと思いますし、今の答弁を聞いて、いろいろ御理解をいただいていると思いますけれども、是非またこれからも全国を回って歩いていただければと思います。  ちなみに、先日、齋藤健大臣は秋田を訪れていただきまして、ありがとうございました。政務の皆さん、本当に全国を回って現場の声を聞いていただきますようにお願いをいたします。  私も最近、全国各地ではありませんけれども、いろいろ回らせていただいていたり、あと秋田県内各地を回らせていただいて、特に、私、若い世代なものですから、若者、若手の農業者といった方々と意見交換を是非したいということでいろいろやらせていただいております。そんな中で感じたんですけれども、TPP対策に関してなんですけれども、今までは交渉には参加しているけれども合意の内容が見えてこなかった、そういった中でのいわゆるTPPを前提としない農業政策でありましたけれども、これからは、合意の内容も見えてきて対策も内容がしっかり分かってきたということでありますので、そういった上で、TPPを前提とした農政の議論というものをどうしてもしていかなければいけないのだというふうに考えています。  ただ、その上で、特に若者が多いんですけれども、地元の方々と話をしていると、そもそも米の対策というのは今回こういうふうな内容になったんですよというお話をしても、初めて聞いたという方が非常に多く感じます。これは、そもそも農協さんが反対をしていたとか、様々な理由があると思いますけれども、なかなかその情報というものがしみ渡っていないんだなということを感じますし、話をして、こういう内容なんですよ、どう思いますかということを言うと、意外とすごくいい意見が出てきたりというものがありますので、そういったところを大切にしていかなければいけないんだなというふうに感じています。  所信の中でも、ブロック地方説明会を行っているというような話がありましたけれども、その反応はどういったものだったか。そしてまた、先ほど申し上げたように、しみ渡るように、より一層内容について説明、周知をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、そこに関して伺いたいと思います。
  54. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 今年の一月七日から二月十日まで、農政新時代キャラバンとして全国九ブロック及び全都道府県で説明会を開催をしたところでございます。私自身も、東北ブロックを始め九州・沖縄ブロック、北海道ブロックの各説明会に出席し、率直なやり取りを行ったところでございます。委員御地元の秋田県におきましても一月の二十八日に開催をさせていただき、延べ四百八名の参加があったところでございます。  参加された現場の関係者皆様方からは、TPPの影響を懸念をするお声とともに、個別の対策の詳細な内容について、また影響試算の考え方について、検討継続項目の検討の方向性などについて率直な御意見や御要望等をいただいたところでございます。  こうした御意見や御質問に対しては真摯に回答をさせていただいところでありますけれども、全体としては理解が一定程度進んできたのではないかと感じているところでございます。ただ、現場の理解度がまだら模様の状況の中で、現場と農林水産省が大きな方向感を共有して進んでいくことが極めて重要と考えております。  このため、引き続き、現場からの要請を踏まえつつ、地方参事官を中心に市町村別、集落別など、よりきめ細かく丁寧に説明してまいりたいと考えております。さらに、キャラバン等で寄せられた質問への回答をQアンドA集として整理し、ホームページで掲載をしております。また、地方参事官ホットラインを開設し、メールでの問合せフォームを作成したところでありまして、今後とも丁寧に現場との双方向の情報交換を進めてまいりたいと思います。
  55. 中泉松司

    ○中泉松司君 是非積極的に進めていただきたいと思います。まだまだその内容、いわゆる対策の内容についてそもそも御理解を、御理解といいますか、分からないという状況であると話にならないと言ったら失礼ですけれども、分からない中でこういうことをしていくんですけれどもどう思いますかという話をしてもなかなか難しいところがありまして、そういったところは、そういった皆さんの意見も聞けるような下地として、是非皆さんにそういった説明をしていくということは必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  特に秋田県は米生産県、米偏重というふうに言われることもありますけれども、米どころでありまして、漠然とした不安というものはまだまだ大きいものがございます。TPP対策の内容が分かる以前、また合意内容が分かる以前は、全く漠然とした不安として、TPPが米価を下げるというような大きい不安があったように思います。その不安というものは今も何となく漠然と続いているものというのがあるんだというふうに感じています。  ただ、合意の内容を見ましても、基本的な関税には手を付けない、そして市場に流れる米の量は入ってきた分を備蓄に回すということなので、ある程度一定の評価をできるものだと思います。その上で、ただ、やっぱりやっていく上であれば、例えば三年ペースで備蓄をしていくのであれば、三年程度であれば食えるから主食に回すとか、そういった制度の何か穴を突くようなことがあってはいけないと思いますし、そうなると、価格に対する影響を遮断するという効果が得られないというふうに思いますので、そういったところは徹底してまずきちんとやっていただきたいというふうに思っていますけれども、今回の合意の内容、そして対策の内容というのが分かった上で考えるべきことがあるんだというふうに思います。  TPPは、十三年目にアメリカから七万トン、オーストラリアから〇・八四万トンが入ってきて、大体八万トン弱のお米が日本に入ってくる可能性があると、SBS枠という方式ですので、可能性があるということですけれども、その分市場から出すということであれば、TPPにおける市場に対する影響は遮断できるというのはこれは説明が付くんだというふうに思いますし、地元で説明をしても、ああなるほど、そういう仕組みなんですねという話をしていただくことは多々あります。  我が国における米政策の問題の本質ということを自分なりに考えてみますと、八万トン弱入ってくる可能性がある外国産米というふうな話ではなくて、年間八万トンペースで減っていく消費、それに対してどういうふうに需要と供給のバランスを取っていくのかというところが一番の問題の本質なんだというふうに思います。  先ほど説明をしていただきたいというふうに言ったのは、やっぱり今の現状を理解していただいて、TPPの対策の内容を理解していただいた上で、本来の問題である八万トンペースで減っていく需給をどういうふうに調整していくのかということを議論していかなければいけないんだというふうに感じておりまして、説明をした上で、一番の問題はそこにあるんだということを是非農業者皆さんにも現状として理解をしていただく必要がある、はっきりさせる必要があるというふうに私は考えています。それに対して是非お考えを聞きたいというふうに思っております。
  56. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) お答えいたします。  御指摘のとおり、TPPのいかんにかかわらず、主食用米の国内の需要が毎年おおむね八万トン減少しております。そういった中で、需要に応じた米の生産、販売を行うことが最も重要な政策課題と認識している点、全く御指摘のとおりでございます。  このため、三十年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも生産者自らがマーケットの動向を見ながら需要に応じた生産を的確に行えるよう、全国の需要見通しに加えまして、各産地における販売や在庫の状況などのきめ細かな情報提供や、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する支援、こういった環境整備を進めております。  こういった中で、実際の二十七年産の結果を見てみますと、各産地の自主的な御判断によりまして主食用米から飼料用米などへの転換がかなり進んだわけでございます。需要に応じた生産に取り組まれているところであります。  農林水産省といたしましては、TPPの政策大綱に基づきまして、国別枠の輸入量の増加の影響を確実に遮断する中で、きめ細かな情報提供や戦略作物の生産に対する支援などを行うことによりまして、TPP合意に左右されることなく農業者が安心して需要に応じた生産に取り組めるように引き続き努めてまいりたいと存じます。
  57. 中泉松司

    ○中泉松司君 先ほど申し上げたように、TPPの内容が分かる以前、そして対策の内容が分かる以前は漠然と米価が下がるのではないかというふうな不安があったと思いますし、自分も正直感じておりました。基本的な関税に手を付けられるのではないか、大量な外国産のお米が入ってくるのではないかというふうな思いがすごく強くありました。  ただ、今、その内容が分かって対策も分かった上ですべきことというのは、今までのように漠然と、TPPが来たら何となく黒船来襲で日本農業、米価は下がるんじゃないかというふうな漠然とした不安に基づいた議論をするのではなくて、こういう対策を取ります、こういうふうな内容になっています、その上で、課題は別として、国内問題としてそういう問題があります、その上で皆さんどう考えますかという話をやっぱり農業者を巻き込んでしていかなければいけないのではないかなと、このことを強く感じています。  加えて、実際自分がやってみますと、特に若手の農業者は理解が早いなというふうに思うのは、そういう話をすると、なるほどねということで、じゃ、米の生産を調整していく上ではやっぱりチャレンジをしていかなきゃいけないというような頭の切替えというものもできるんだなということを最近感じております。これ、みんながみんなできるわけではもちろんありませんですけれども、そういったことを踏まえてやっていかなければいけないと思います。  また、加えて、よく地元でそういう話をしますと反論みたいな話で出てくるのは、八万トン食わなくなった日本が悪いんだ、日本人が米を食べなくなったんだと。ラーメンが入ってきた、ピザが入ってきた、パスタが入ってきた、日本人が米を消費しなくなったから、米を消費するようにしたらその問題は解決するじゃないかという話にもなるんです。ただ、そこでやっぱり私、申し上げたり気を付けなければいけないなと思っているのは、御飯をたくさん食べる層が日本人の中で減ってきていて、御飯をたくさん食べない方々がどんどん増えてきているということをきちんと踏まえなければいけないんだというふうに思います。  日本は、団塊の世代は年間二百七十万人ぐらい生まれていたはずですけれども、今、年間百万人ぐらいしかお子さんは生まれていないはずです。秋田県というのは少子高齢化が一番進んでいるというふうに言われていますけれども、団塊の世代で大体四万八千人ぐらいの方が秋田県で生まれておぎゃあというふうに産声を上げました。今、秋田県、出生数六千人切ってしまいまして、五千九百九十八人だそうです。子供の数が七分の一になっています。人口は百万人ちょっとでありますけれども。  昭和三十七年頃に日本人はお米を二俵食べていた、百二十二キロぐらい食べていた。今は五十七キロしか食べていないというデータがあるんですが、昭和三十七年というと、団塊の世代がいわゆる中学生ぐらいの頃です。その頃に、やっぱりあした頑張ろうということで、お代わりお代わりといって、もしかすると食べるものがそれしかなかった時代かもしれませんけれども、お代わりお代わりといって食べていた時代が、今、子供の数が激減をして、お代わりをする人が少なくなって、そしてお代わりをしなくても十分だよという方々がどんどんどんどん増えてきている。その人たちが今度これから人口減少社会で天寿を全うしていなくなっていくというのが今の日本の置かれている現状だと思います。  こういう話を積み重ねていって、農家を追い込むのではなくて、やっぱりきちんと、現状こういうふうな状況なんです、だからこういうふうな対策が必要なんですということを説明していかなければならないと思いますし、そういうことをきちんと積み重ねていけば、感覚優れた農業者皆さんはきっちり議論に付いてきていただけるのではないかなというふうに感じております。ですので、是非ともそういったところを意識していただいて、これから、TPP対策も含めてですけど、やっていっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  どんどん時間がなくなってまいりまして困っておりますが、いろいろ飛ばしまして、次に、農協改革関係についてお伺いをしたいと思います。  昨年までの農協改革議論における様々な課題がありましたけれども、その議論を経て、大体の形というものが決まってまいりました。その上で今粛々と進めていただいているのだと思いますけれども、気になるところが一つ二つありますので、是非ともそこに関してお聞かせをいただきたいというふうに思います。  まず、准組合員の利用制限の問題に関してです。昨年のこの准組合員の利用制限の議論、私も当農林水産委員会で質問をさせていただきましたけれども、当時の林大臣から、単純に正組合員と准組合員の数を比較して議論すべきではない旨のお答えをいただきました。  今日は資料をお配りしていると思いますけれども、正組合員と准組合員数の見込みということで資料をお配りしております。これ、平成二十五年までは見込みというか実績に基づく数字なんだというふうに思いますけれども、そこから先、将来的な部分に関しては、現在のトレンドを加味して係数を掛けてやったということでありまして、このとおりにいくかは分からないけれども、おおむねこういうふうな方向でいくのだろうなと、逆転をして、その逆転をしたままという状況は続くのだろうなというふうに考えています。  そもそも、この准組合員の利用制限の議論をした際には、一番の取っかかりの部分で、准組合員と正組合員の数が逆転してしまいましたというところがやっぱり議論のスタートの大きな要因としてあったんだと私は思っております。そういった中にあって、じゃ、正組合員を維持できるかというと、国は今、担い手に集約をしていって効率化を図っていく、集積を図っていくということをしていますので、正組合員というのはある意味農業者ですから増えようがない、ある程度の数は維持しなければいけないけれども減少傾向はどうしても続く、これは国がそうやって進めているんですから、当然そうなるんだというふうに思います。  准組合員というのは今増えていますけれども、このペースが鈍ったとしても、やはりその差は埋まらないのではないかというふうなことを感じております。そういった中にあって、前大臣からは、そういった数の比較では、数の比較だけではないですね、正確に言うと、だけではないというお答えをいただいておりますけれども、きちんとそういったことを踏まえて検討を進めていただきたいと思います。  今は予算審議の真っ最中でありますけれども、二十八年度の予算で、この実態調査を行うということで千五百万円の予算が要求されています。今申し上げたような背景を踏まえてどのような実態調査をされるのか、お考えを伺います。
  58. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 准組合員の事業利用規制の在り方の問題でございます。これは昨年も御議論いただきましたけれども、農協はあくまでも農業者の協同組織でございますので、正組合員である農業者のメリットを拡大する、これが最優先でございます。  したがって、准組合員へのサービスに主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならない、こういうことと、それからもう一つは、これも御議論を随分いただきましたけれども、過疎化、高齢化が進行する農村社会において、農協が実際上地域のインフラとしての側面を持っているのも事実ということでございます。  こういった状況背景に准組合員の利用規制について議論がされてきたわけでございますけれども、これまで規制がなかったこともありまして、正組合員と准組合員の利用実態が把握できていないということ、それから今回の農協改革による農業所得向上の成果を見極める必要もあるということで、五年間の調査を行った上で決定するということになったわけでございます。  このための調査に関しまして、今御指摘もいただきましたけれども、二十八年度の予算案の中で一千五百万円、これを計上してございます。この調査事業では、五年間調査をいたしますけれども、その五年間の調査の一年目の実態調査を行うということにしておりますけれども、詳細につきましては現在検討中でございます。  元々、法律の中に書いてあることは、正組合員、准組合員の利用実態をどういうふうに把握するかということからスタートしますので、そういった利用量の把握の仕方を含めて、一年目の調査をきちんと設計をしていきたいというふうに考えております。
  59. 中泉松司

    ○中泉松司君 精査中ということでありますけれども、是非とも今申し上げたようなことを踏まえて検討していただきたいと思います。  もう今更言うまでもありませんけれども局長さっきおっしゃいましたけれども、過疎地域においては重要な生活のインフラとしてなくてはならない存在としてある場面も多々見受けられます。そういったこともきちんと踏まえた実態調査をしていただけますように、五年間調査をして議論をして、そして五年後にまたお話をするということになっていますけれども、是非ともそこはそれにつながる実態調査をしていただけるようにお願いをいたします。  加えて、森山大臣にもお考えを伺いたいと思います。  先ほど申し上げたように、林大臣からは、数だけの比較ではないというような旨のお話をいただいております。よくよく地域の実情ということを理解しておられる森山大臣だと思いますので、是非とも大臣のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
  60. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 准組合員の利用制限に関してのお尋ねでありますが、改正農協法附則の五十一条三項では、准組合員の事業の利用に関する規制の在り方については、五年間調査を行った上で検討を加え、結論を得ることとされております。私もこれには幾らか党の立場で関わってまいりましたので、非常にそこに現場の皆さんの不安なお気持ちがあることはよく理解をしております。  また、この五年間の調査につきましては、正組合員、准組合員の利用状況と農協改革の実施状況について行うことが明記をされているところであります。仮に正組合員、准組合員の人数のみを基準に判断するのであれば、今もう分かっているわけですから、あえて調査をすることもないわけであります。これとは別に調査事項を法律に明記してあることからいたしましても、正組合員、准組合員の人数のみを基準にして規制をするということにはならないと考えておりまして、林前大臣の考え方と同じ考え方であります。
  61. 中泉松司

    ○中泉松司君 今、大臣として頑張っておられますけれども先ほど大臣自身がおっしゃった、党の立場でも関わったというお話がありましたが、そこら辺の今までの経緯も踏まえて是非考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  また、もう一つ、農協の監査の在り方についてお伺いをしたいと思います。  これも昨年の農協改革議論で公認会計士監査を入れるということが決定をされましたけれども、三年半の移行期間を設けて、二十八年四月からですか、やっていくということになります。  これも、実態調査ということで九千六百万円の予算が要求されておりまして、三年半を掛けて、農水省、金融庁、そして全中と公認会計士協会の四者で協議をして内容を詰めていくということになるのだと思いますけれども、この予算の内容はどういったものになるのか、また、今後のいわゆる移行するに当たっての四者協議の見通しというものはどういったものになっているのか、お伺いをいたします。
  62. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農協の監査の問題でございますけれども、改正農協法の附則第五十条第一項におきまして、公認会計士監査への移行に関しての配慮事項、これが決まっております。その中には、農協の実質的な負担が増加することのないことということも書かれているわけでございます。この配慮規定を踏まえまして、二十八年度の予算案の中で農協の監査費用に関する調査事業というのが仕組まれておりまして、九千六百万円を計上しているところでございます。  この調査事業では、監査法人調査をするときに、実際の監査に要する人数がどのくらいかとか日数がどのくらいか、こういった見積もることも必要ですし、農協が公認会計士監査を受ける場合の費用、これを試算した上で、監査費用を左右する要因、これにどういったものがあるかと、こういったことも確認をする必要があると思っております。こういうようなことを調査いたしますが、これも調査の詳細については現在まだ検討中でございます。  一方で、改正法の附則の五十条二項のところでは、四者協議ですけれども農林水産省と金融庁、それから日本公認会計士協会、それと全中による協議の場を設けるということになっております。この場を設けまして公認会計士監査への円滑な移行のために必要な事項について協議をすると、こういうことになっておりまして、既にこの四者協議の場は立ち上がっておりまして、監査報酬を抑制するための環境整備に関する事項、こういうものも含めて、先ほど申し上げました、今年からやる調査の結果も踏まえて検討していくということになります。  御指摘ありましたように、この監査制度の移行は三年半の猶予期間がございますので、平成三十一年九月末までに移行すると、こういうことになりますから、これまでに新しい方式に円滑に移行できるということを旨として協議を進めていくと、こういうことでございます。
  63. 中泉松司

    ○中泉松司君 議論をぶり返すつもりは全くありませんので、きちんと決まった方向性に沿って進むということは必要だというふうに思います。  その上で、実質的な負担が増えないようにということがやっぱりポイントになるというふうに考えておりますので、そういった観点から分析をしていただきたいと思います。やっぱりそれぞれの地域で一番心配をしているのは、監査の実質的負担が増えてしまうというのは避けたいというのが一番強い思いだというふうに思いますので、是非ともその思いに応えるような格好の調査にしていただきますようにお願いをしたいと思います。  次に、次にというか、もう最後になると思いますが、農地中間管理機構、いわゆる農地集積関係についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど山田先生からもいろいろお話があったので内容は省きますが、平成三十五年まで十年間を掛けて担い手への八割集積を目指すということでありまして、平成二十六年度からは農地中間管理機構の事業もスタートをして、更に加速をしていくということであります。  八割に対しての現在の状況と今後の取組についてお伺いをいたします。
  64. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農地の中間管理機構でございます。  農業の成長産業化を図っていくためには、担い手への農地利用の集積、集約化、これが極めて重要でございます。このために、十年間で現状担い手が五割利用しておりますのを八割に引き上げるということで、各都道府県に農地中間管理機構を整備をさせていただいたわけでございます。  初年度は平成二十六年度ということになりますが、二十六年度の実績を見てみますと、機構が借り入れた面積が二万九千ヘクタール、それから機構が転貸した面積が二万四千ヘクタールと、こういう状況でございました。それから、二十六年度の担い手農地利用面積ですけれども、これは機構を経由しないものも含めてでございますけれども、前年度から約六万ヘクタール増加をしております。十年間で五割から八割といいますと、一年間で大体十四万ヘクタールが移動するということですけれども、二十六年度は機構以外含めて六万ヘクタールが増加をしたと、こういうことでございます。担い手への集積率も四八・七%から五〇・三%へ、一・六%上昇したということでございます。  したがいまして、この機構の整備によって近年停滞をしておりました農地流動化が再び動き出した、これは間違いございませんけれども、初年度の実績は目標に照らして十分とは言えないというふうに我々も総括をしております。  このため、事業開始二年目、これが二十七年度ですけれども、これにつきましては、五月、六月の段階で、一年目の実績の問題点も踏まえて改善策を決めて取り組んでおります。例えば、機構の意識改革とか役員体制の改善を進める、それから現場でコーディネートを行う担当者の増員を図る、あるいは地域担い手との話合いを進めていく、それから農地整備事業との連携を強化する、こういったことを決めて推進をしているところでございます。  この結果として、二十七年度、本年度でございますけれども、県によって濃淡はございますけれども、多くの県では、初年度、やっぱり一年目は手探り状態ということがございましたが、この手探り状態を脱しまして、自信を持って取り組む県が増えてきているところでございます。本年度の機構の借入・転貸面積の実績は、昨年度の実績に比べて大幅に増加するのではないかというふうに思っております。  今後とも、各都道府県の取組状況を注視をいたしまして、全都道府県で機構を早期に軌道に乗せるように全力を挙げていきたいと考えております。
  65. 中泉松司

    ○中泉松司君 大変厳しい目標だと思いますので、是非とも頑張っていただきたいというふうに思います。  加えて、二十六年度なんかの実績を見ますと、手前みそで恐縮ですが、秋田県は一応全国で三番目ぐらいの実績を上げていたと。ただ、目標に対して考えると、まだまだそれでも全然足りないという状況でありまして、これ、全農地の八割を集積していくということになりますと、担い手に集約していくということになりますと、本当にまだまだ高いハードルがあるんだなというふうに考えています。  加えて、実際、全国各地いろいろお話を伺ってみますと、水田県が非常に進んでいて、進んでいる県と進んでいない県の差が結構あるなということを率直に感じています。  今年度までのいわゆる基金でやる部分の協力金ということに関して言うと、秋田県でも枯渇をしましたし、岩手県でも花巻市にお伺いをしたら、枯渇をしてしまったと。元々、真水、いわゆる新規の部分だけでなく付け替えの部分も認めますよという話で進めてきて、それぞれの自治体によっては、そういうことだからということで優先順位を付けずにやってしまったところがもしかしたらあるのかもしれません。  秋田県なんかは、優先順位をきっちり付けた上で付け替え部分は一番優先順位を落として、北海道さんなんかは、詳しく聞いたわけではありませんけれども、そもそも集約がされているから基本的には新規の分しか認めないとか、そういった優先順位を付けた上でやってきたのだというふうに思いますけれども、これからまた来年度以降は取組を進めていかなければいけないわけでありますので、是非とも、そこに関しては我々も協力をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  時間がほぼ参りまして、最後にちょっと一言。先ほど山田先生の、企業農地所有の問題でありますけれども、ちょっとすごく思うところがあります。  今の現状においては、やはり余りに拙速なのではないかなというふうに感じます。というのは、私も農家息子なんでありますけれども、そもそも無意識に、根底に農家には今現状として、御先祖様から我が土地は受け継いだものだというふうなプライドというか意識といったものがあるんだというふうに思います、これは良い悪い別にして。  実際のところ、そういうことを言いながらも、農家は一方で、自分の息子にはこんなつらい思いはさせたくないなんて言いながら、公務員にしようとしたり様々な企業に入れようとしたりして、私の場合は国会議員になってしまいましたけれども、そういうふうな、私自身も、農家のせがれとしておまえは将来専業で農業をやるんだというふうに育てられた覚えがありません、正直に言って。そういうものなんだと思います。そういうものな中で、だから後継者をつくることができなかった、それで高齢化してしまった、先ほどの話でも、それが現状なんだというふうに思っております。その上で、今後将来的に変えていかなければいけない。  今の現状からいくと、所有のプライドというものをうまく活用していくのがリース方式というものだというふうに思っておりまして、そのリース方式というのは、やっぱり農家の自分の土地ですよというプライドを守ってあげた上で、でもあなた作れませんよね、やっぱり活用していただける人にやってもらいましょうというのが、これがその気持ちとの折り合いを付けた上での現段階での最善の方法だと私は思っています。  将来的に、経営感覚に優れた若者が次の世代にバトンを渡す六十代、七十代になったときには、それよりももっと早くかもしれませんけれども、そのときにはまた意識というものは変わっているかもしれない、変わっているべきだというふうに思います。そのときには、きちんと所有をしていただいてこういうふうにやっていくんだというような話が出てきてもいいと思いますし、それに向けての議論はしていくべきだと思います。  ですけれども、今、現段階においてそういう気持ちをないがしろにして議論を進めてしまうということが、政治はやっぱり我々農家のことを分かってないなみたいな、そういうふうな不信につながっていくものだと私はちょっとすごく強く感じていますので、もう時間が参りましたので答弁をいただけませんけれども、是非ともそういったところを念頭に置きながらこういった議論を進めていただければというふうに思います。  時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
  66. 若林健太

    委員長若林健太君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  67. 若林健太

    委員長若林健太君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、平成二十八年度の農林水産行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 小川勝也

    小川勝也君 午後一番の質問をさせていただきます民主党・新緑風会の小川勝也です。  大臣所信に対する質疑ということでございますけれども、我々の抱えている課題は山積をしておりまして、特にTPPに関する課題、そして、TPPに備えたであろう農地の集積に関する中間管理の法律の後どうなっているのか、あるいは、この委員会でも大変多くの議論の時間を費やしました農協改革の行方がどうなっていくのか、そしてその後、農村と我が国農業がどうなっていくのか、大変大きな課題があるわけであります。衆議院の方でも特別委員会の設置を議論しているようでありまして、参議院の方でもTPPの閣議決定に基づいて特別委員会を設置して議論するということも予定されているようでありますので、そちらの方で濃密な議論をまたさせていただこうかと思っております。  私の方からは、大臣所信に関して大まかな点を質問させていただいた後、余り参議院の委員会でも議論されていない課題について、大臣の所信についてお伺いをしたいというふうに思っています。  まずは、私の感想でありますけれども、攻めの農政という言葉に若干の違和感を持っています。農業というのは、一番大事なのは私は持続という言葉なのではないかというふうに思っています。世界の人口がずっと生きてこられたのは、人たちが生きてこられたのは、農業が持続をしてきたからであります。そして、特に我々の国も、瑞穂の国という安倍総理の言葉を使わせていただきますと、縄文、弥生から農業が定着をして、そのことによって、成功によって人口を増やしてきたわけであります。持続可能ということが一番大事であるということと、そして、持続可能な農業を支えるのはまさに農業だけなのかという問題であります。農業だけで地域が支えられるわけではないということに着目したときに、私は、再三この委員会でも申し上げているとおり、農業を支える農村集落の大切さを身にしみて痛感をしているところであります。  私の選挙区は北海道、今日この委員会には北海道選出議員が多数おりますけれども、北海道は農業専業地帯ということでいち早く効率的な農業を目指してまいりました。その反面、戸数をどんどん減らしていく中で、農村集落の維持が大変困難になってきた歴史をたどってきています。  今、私の懸念は、先ほど申し上げましたTPPの懸念もありますけれども農地の中間管理の法律、あのことによって、農村集落、すなわち定年になってからまた集落に戻って農業をやろうとか、あるいは都会から田舎に戻って農業をやろうとする人たちにそのインセンティブを失わせ、ひたすら大型化あるいは大規模化を目指すことによって全国の農村集落が大きなダメージを受けるのではないかというふうに私は懸念をするものであります。  この懸念は、まさしく森山大臣も共通のものとして御認識をいただけるものと思いますが、大臣の、農村集落の大切さと施策との関係において、今後どうなっていく懸念をお持ちなのか、所見をお伺いをしたいと思います。
  69. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 小川委員にお答えをいたします。  我が国農業は、生産者の高齢化耕作放棄地の増大等、課題が山積をしておりまして、農業を活性化していくということは待ったなしの課題だと思います。  ただ、委員がおっしゃいますとおり、農業は持続性が非常に大事なものであることはそのとおりだと思います。ただ、持続をしていくためにどう農業を魅力あるものにしていくかということもまた一つの大事な課題なんだろうなというふうに思っています。また、持続性を持たせるために、中山間地を含めてどう農村集落を維持していくのかという課題も大変大事なことだなと思っております。  何遍も申し上げますが、いろんなところを訪ねさせていただいて、一番皆さんが気にしておられるのは、米政策大丈夫かなということと、中山間地を含む農村集落が維持していけるんだろうかというところに現場の皆さんの御心配があるなということはよく理解ができます。私は、このことをしっかりと理解をしながら政策を務めさせていただかなければならないというふうに思っているところでございます。  申し上げるまでもありませんけれども農林水産業・地域の活力創造プランに基づいて政策を進めさせていただくということもそのとおりだと思いますし、また、TPP政策大綱に基づいてTPPへの備えも怠りなくやらせていただくということも大事なことだなというふうに思っております。  また、日本型直接支払制度の創設をさせていただいておりますので、このような共同活動をしっかり支援するということも大事なことだと思いますし、また、鳥獣被害というものがやはり都市部の方々には御理解いただけないぐらいひどいものがありますので、そのことにもしっかりと取組をさせていただかなければならないと思っております。  今後とも、総合的な取組をさせていただいて、新たな国際環境の下でも強くて豊かな農林水産業、そして美しく活力ある農山漁村をつくり上げていくべく努力を続けてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  70. 小川勝也

    小川勝也君 持続ということでの御評価もいただいたわけであります。  それから、攻めの農業でいいますと、いわゆる輸出が成功した農産物について記述が総理の答弁書にもよく出てまいります。輸出を否定するわけではありませんけれども、これはまさに点であります。私は、農業にとって大事なのは、持続ということと面という点だろうというふうに思っています。  一人だけが輸出で成功してもうかればいいというものは農業の分野では大変小さい価値でありまして、複数の経営者が、あるいは複数の農業者が面的に持続可能であるということが大事だろうというふうに思っています。そのことについてはまた後刻議論をさせていただければというふうに思います。  次に、農薬の問題についてお伺いをしたいと思います。  かつてこの委員会で、私もネオニコチノイド系農薬について質問をさせていただきました。これはもう御案内のとおりでございますけれども、蜜蜂が世界的に減少していることとネオニコチノイド系農薬がいわゆる使われたことに因果関係があるのではないかということであります。  おさらいからスタートをさせていただきたいと思います。  私たちの国において、まずは、特定の農薬を使用した農産物の輸入許可がどのようになされるのかということと、それと、特定の農薬の使用許可を得るまでにどういう手続によってもたらされるのか、確認をさせていただきたいというふうに思っています。  まずは、これは一般論でありますけれども、特定の農薬を使用した農産物の輸入許可がどのように得られるのか、厚生労働省からおさらいの意味で答弁をいただければと思います。
  71. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  我が国に輸入される農産物は残留農薬が日本の基準値の範囲内でなければ輸入することができないため、例えば国内で使用されていない農薬を使用した農作物を輸入する場合には、その農作物の摂取が健康に影響が及ばないことを確保するための農薬の残留基準値を設定する必要がございます。  その具体的な手続といたしましては、厚生労働省が関係企業等から基準値設定の申請を受け、食品安委員会による科学的な評価の結果を踏まえ、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて食品中の残留農薬の基準を設定することとなります。これにより、輸入される農作物の残留農薬が設定された基準値の範囲内になれば輸入することができるものでございます。  以上でございます。
  72. 小川勝也

    小川勝也君 今のは農産物の輸入でございます。  次に、農薬については、農林水産省から厚生労働省へとリレーというような手続がなされるように伺いました。農林水産省、厚生労働省の順で答弁をお願いしたいと思います。
  73. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) お答えいたします。  農薬の登録の仕組みでございます。  農薬につきましては、農薬取締法に基づきまして農林水産大臣の登録を受けた農薬でなければ、製造、輸入、販売、使用などができない仕組みになっております。農薬の登録の申請に当たりましては、薬効、薬害に関する試験、残留に関する試験、毒性に関する試験、環境影響に関する試験などの試験成績をメーカーに提出させております。これらの試験成績に基づきまして、食品安委員会が食品健康影響評価を実施、あるいは環境省が水産動植物への影響評価を実施、また、厚生労働省では食品中の農薬の残留基準値を設定しております。これらを踏まえまして、農薬の安全性、また品質が確保されることを確認した上で農林水産省が農薬の使用基準を定め、登録しております。
  74. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  農薬の登録に当たり、その農薬について新たに食品中の残留基準を設定する必要がある場合には、農林水産省から厚生労働省に対し残留基準値の設定依頼がなされるところでございます。農林水産省からの依頼を受け、厚生労働省は、食品安委員会によります科学的な評価の結果を踏まえ、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、国民の健康に影響が及ぶことがないよう、食品中の農薬の残留基準を設定しているところでございます。
  75. 小川勝也

    小川勝也君 ということで、特定の農薬を指すということではなく、一般論としてお伺いをいたしました。  冒頭申し上げましたとおり、蜜蜂との関係において、EUなどでは様々規制をしているような薬品が増えている、あるいは、お隣の国、韓国などでも規制を強化しているというふうにも伺っております。また、アメリカ合衆国においては、詳しい制度まで知悉しているわけではありませんけれども、一部の州では、いわゆる使用禁止の拡大をいろいろ図っているということも聞いているわけであります。  そんな中で、今一番注目されている薬品名といたしましては、ネオニコチノイド系農薬とほぼ同じ働きをされるというふうにも言われておりますスルホキサフロルという農薬であります。このことにつきましては、今まさにパブリックコメントが終わった段階というふうに伺っておりますけれども、ちょっと経緯についておさらいをしたいというふうに思っております。  まずは、アメリカ合衆国で使用されるということから、アメリカ合衆国においてスルホキサフロルを使用した農産物について、我が国において輸入が可能であるか審査したという結果、事実はございますでしょうか。
  76. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 私の方からは、スルホキサフロルのアメリカの状況についてお答えしたいと思います。  アメリカにおきましては、平成二十五年にスルホキサフロルを有効成分といたします農薬を、EPA、アメリカの環境保護庁でございますけれども、これが登録をいたしましたが、昨年十一月に登録が取り消されております。これは、養蜂団体などの申立てを受けました裁判所の方が、農薬のメーカーから蜜蜂の影響に関する十分なデータの提供を受けずにEPAが登録を行ったことは無効であるということで、EPAに対して登録の取消しを命じたためと承知しております。現在、農薬メーカーは、アメリカにおきまして再度登録申請を行い、EPAが評価を行っているというふうに承知しております。
  77. 小川勝也

    小川勝也君 うまく通告がなされなかったかもしれませんけれども、今局長から御答弁いただいたとおりであります。  アメリカ合衆国では禁止されました。禁止される前にアメリカ合衆国でその農薬がもし使われたとすれば、アメリカによって生産された農産物が、我が国に輸出したいという希望を持って、我が国においてそのことを審査したという事実はございますでしょうか。
  78. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  スルホキサフロルの残留基準値につきましては、農林水産省からの依頼及び関係企業からの申請を受けまして、食品安委員会によります科学的な評価の結果を踏まえ、昨年九月の薬事・食品衛生審議会農薬・動物用医薬品部会で基準値案が一旦了承され、残留基準の設定に向けた手続を進めてきたところでございます。その後、昨年十一月に米国におきまして同農薬の登録が取り消されましたが、その理由は蜜蜂への影響に関連したものであり、食品を通じた人への安全性に懸念があったものではないと承知をいたしております。  一方で、今回の基準設定の理由の一つは、米国で同農薬を使用した食品を我が国に輸入できるよう対応する基準値の設定について申請があったものであるところでございまして、今回の登録の取消しにより現在米国では同農薬が原則使用できない状況を踏まえれば、このまま基準値の設定を進めるのではなく、まずは米国での状況を見極める必要があるというふうに考えてございます。  現在、先ほど御答弁ありましたが、米国では、同農薬の再登録の申請が行われていると承知をしてございまして、我が国としては、米国の再登録の状況を踏まえた上で、改めて残留基準値の設定について検討する予定でございます。
  79. 小川勝也

    小川勝也君 わざわざ御足労いただいてまどろっこしい言い方をさせていただいて、御答弁をいただいております。  すなわち、アメリカで使用したいと思ったスルホキサフロルについて、日本に輸出を前提に許可をお願いをしていたけれども、アメリカ合衆国自体で使用禁止になったので、そのこと自体がもう不要になったということであります。そのことが起きた後、アメリカで使用禁止になったものを日本で使えないだろうかということで今審査をしているというふうに私は伺っています。  これは考えたら分かるわけで、アメリカでも使って安心、安全なので日本も使ってどうだというなら私どもも聞く耳があるわけであります。しかし、アメリカで安全性が確認できていないから使用禁止になったものを日本で使わせろというのは、僕は変な話だと思う。これがまず皆さんに御理解をいただきたかった一点であります。  そして、答弁の中で、今聞いていただいた方は分かると思います。基準が蜜蜂なのか人なのか、残留の基準は人になのか蜜蜂なのかであります。厳密に言うと、今のこの基準を、仕組みを、わざわざ答弁をいただきましたけれども、蜜蜂に対してという基準はないんですね。けれども、残留の濃度を人体に対してということであれば辛うじてあるわけであります。まあ人が一番大事だといえばそれまででありますが、まずは、ネオニコチノイド系農薬が蜂に非常に影響があるということは様々な知見がもう出ています。  このことについて、野生の蜂は環境省が所管であります。それから、いわゆる飼われている、養蜂にされている蜜蜂は、これは農林水産省の所管でありますので、いわゆる蜂に対するネオニコチノイド系農薬がどのように影響を与えているのか、現在まで把握しておられる知見について、両省からお伺いをしたいと思います。
  80. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) まず環境省からお答えいたします。  環境省では、今御指摘のあったように、ネオニコチノイド系農薬等が環境中で野生の蜜蜂等に与える影響についての調査を支援しております。この調査は、競争的資金であります環境研究総合推進費というもので、平成二十六年度から平成二十八年度までの三か年の予定で実施をしているものでございます。内容といたしましては、野生の蜜蜂等の昆虫類について、フィールド調査などによりまして、農薬による野生の蜜蜂など様々な昆虫類への影響についての調査をしているということでございます。  なお、このほか、環境省では、我が国の水域生態系の重要種であり、影響が懸念されているトンボについても影響調査を行っておりまして、これらの調査によりまして、ネオニコチノイド系農薬等の野生蜜蜂などに対する影響に関する科学的知見の充実に今努めているところでございます。
  81. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) お答えいたします。  委員からも御指摘ございました農薬による蜜蜂の影響の状況につきまして、発生状況を正確に把握いたしまして、その要因を踏まえた対策を検討するということで、平成二十五年度から二十七年度までの三か年間、蜜蜂の被害と周辺の作物の作付け状況、それから農薬の使用状況、この関連性につきまして調査を行っております。  二十六年度までの調査におきまして分析をいたしましたところ、蜜蜂の被害は水稲の開花期及びその前後に多く発生いたしております。水稲のカメムシの防除に使用した殺虫剤、これを浴びたことが原因ではないか、可能性があるのではないかと考えられております。これに対しまして、水稲のカメムシ防除の時期に養蜂家の方がそこに巣箱を置かないようにとか、その情報共有を図ることを徹底いたしております。  二十六年度に呼びかけを行いました結果、水稲のカメムシの防除の時期におきましては情報共有が徐々に図られておりますけれども、これも更に徹底するという対策を今講じているところでございます。
  82. 小川勝也

    小川勝也君 今言われた話は、前の委員会でのやり取りでも私は聞きました。カメムシの防除に一番多く使われているので、カメムシの防除をするときには養蜂家に近くに寄らないでくれというふうに宣伝をすると。やらないよりはいいかと思いますけれども、非常に消極的であります。一つは、使用中止に向けて知見を重ねていただきたいというのが一点。  そして、国立研究開発法人農業環境技術研究所というところが、全て数字に表すのは私は好きではありませんけれども、いわゆる花粉を運ぶ昆虫、蜂などが経済、農業に与えている価値が非常に大きいというふうに研究をしております。誰か数字を言える人いますか。
  83. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 済みません、数字はちょっと手元に持ち合わせがございませんが、独立法人の農研、研究開発機構の草地研究所が試験研究を行っています。蜜蜂の水田への飛来を低減する技術の開発、あるいは花粉を、水田の水に由来した農薬暴露の可能性の解明、これに向けた試験研究を実施しております。これによりまして、農薬に由来しますものが蜜蜂に対してどういう生態系への影響を及ぼしているかということにつきましても今分析を進めているところでございます。
  84. 小川勝也

    小川勝也君 ここの私が持っている数字で言いますと、耕種農業生産額五兆七千億円の約八・三%、四千七百億円が送粉貢献、蜂などの昆虫によってもたらされている価値だというふうに言われています。これはこれで蜂を大事にしていただきたいということが一点。  今少し答弁半分していただきましたけれども、ネオニコチノイド系農薬が怪しいというふうに言われておりますので、ほかの農薬、ほかのやり方でいわゆるカメムシ等の防除や果樹の防除に代替政策があれば私は望ましいというふうに思っております。  そういう研究に力を入れていこうという思いはあるかないか、御答弁をいただきたいと思います。
  85. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 委員指摘ございました先ほどの研究開発機構の方の成果といたしまして、例えば稲の開花時期には蜜蜂は花粉を取りにいくと。その花粉に対して農薬を散布した場合、それがどういうような、蜜蜂に移行するかと、こういう成果につきましても、防除の、蜜蜂に対する影響はどのように与えるかと、こういうものも相互の情報交換とかあるいは情報共有にどういうふうに役立っているか、蜜蜂の被害を低減するためにはどうしたらいいかと、そういうことを、効果を生かしていきたいというふうに考えております。
  86. 小川勝也

    小川勝也君 今のは、先ほども評価いたしましたけれども、蜂には二種類います。それは、野生の蜂といわゆる飼われている蜂であります。今農林水産省が答弁したのは飼われている蜂であります。そして、環境省にも来ていただいて先ほど御答弁いただきました。  額にするのは私は好きではないというふうに申し上げましたけれども先ほど御理解もいただきました国立研究開発法人農業環境技術研究所の試算によると、四千七百億のうち、野生の蜂が三千三百三十億、そして飼われている蜂の価値は約一千億と、こういうふうに言われています。ですから、開花時期にネオニコチノイド系農薬をまかないというのを養蜂者に通報するというのは、まさに三分の一に対する施策でしかないわけであります。  ですから、私は、今まで相当ネオニコチノイド系農薬と蜜蜂に関しては知見がそろってきているので、なるべくならば使わない方がいいというふうに思っています。  資料の一ページを見てください。  これは少し前の二〇一四年の十月十六日、韓国の平昌でのFAOの研究チームのプレスリリースです。この黄色いところだけ読んでいただければもう分かるとおり、大変大きなコンセンサスになっています。  そして、先ほどの原点に戻るわけでありますけれども、農薬に対するいわゆる許可については、人体に対する影響ということをベースにした残留農薬基準しかないわけであります。ですから、なかなか、蜜蜂に影響があるからといって、一概に規制できないというのが今の我々の国の歯がゆいところであります。  しかし、ベストではありませんけれども、私たちにはいい法律があります。農薬取締法の第三条一項三号、答弁者に渡せる人はいますか。農薬取締法の第三条一項三号。誰か答弁できますか。
  87. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 三条につきましては、農薬取締法第三条、記載事項の訂正又は品質改良の指示ということで、農林水産大臣が記載事項、これに対する訂正あるいは品質の改良を指示することができるという規定でございます。
  88. 小川勝也

    小川勝也君 まだ捨てたものじゃないんですよ、この国は。いい法律があるんです。  今御答弁をいただいたように、農林水産大臣の権限で、当該農薬を使用するときは、使用に際し、危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に危険を及ぼすおそれがあるときに、保留をしたり品質の改良を指示することが農林水産大臣ができると書いてあるんです。  なお、その人畜の畜の中に蜜蜂は含まれますか。人畜の畜の中に蜜蜂は含まれますか。農林水産省、どうぞ。
  89. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 先ほど御答弁いたしましたけれども、農薬の登録の申請に当たりましては、環境影響、言わば、その残留性に関する試験成績の中で、水産動植物の影響に関する試験成績、例えば水生動物、ドジョウとかです、そういうものに対しても試験成績を出すということになっております。もちろん、水産動植物以外の有用生物の影響に関する試験成績、こういうものも評価のデータの対象になっております。
  90. 小川勝也

    小川勝也君 蜜蜂の担当は生産局の畜産部でしょう。だから、人畜の畜の中に蜜蜂が含まれますかと聞いているんです。
  91. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 蜜蜂は、もちろん養蜂として有用な動物でございます。これは畜産物として対象に入っております。
  92. 小川勝也

    小川勝也君 だから、先ほど申し上げましたように、アメリカ合衆国でもう禁止したものを日本で使ってどうだと言っています。残念ながら、私たちの国は、アメリカ合衆国以上に蜜蜂に対する影響を審査、研究、あるいは成果として出す能力がありません。アメリカで使っているから日本も使えというなら百歩譲って分かりますけれども、アメリカで使っては駄目だというものを日本で使えるわけがないんですよ。  ということを含めて、この責任の所在は、農薬取締法に書いてあるとおり、農林水産大臣にあるんですよ。ですから、農業生産が大事だと思う農林水産大臣は、蜂も大事だし、しっかりと判断をしていただきたいと私はお願いをする次第であります。大臣の御所見をお願いします。
  93. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 農業というのは、ある意味、自然との対話が必要なことなのだろうと思います。そういう意味では、蜜蜂との問題というのは非常に大事な課題だなと思っておりますし、蜜蜂をもって受粉をする農家というのは三万五千戸ぐらいに上がっておりますから、蜜蜂をどう守っていくか、育てていくかという視点も大事でございますし、また、その農薬の問題は更にまた大事な課題でございますので、ただいまの御意見をしっかり受け止めさせていただいて、間違いのない判断をさせていただきたいと思います。
  94. 小川勝也

    小川勝也君 ありがとうございます。  大臣の所管は大変広くて、いろんなことを勉強していただかなきゃいけないので大変だと思いますけれども責任も権限も重大であるということをしっかり御認識をいただきたいと思います。  また、次に、余り御関心があるのか知見があるのか分かりませんけれども、アニマルウエルフェアについて大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  これも、私も勉強して間が浅いものですから全てを知っているわけではありません。幾つか例示をさせていただきます  私たちが学んだときは、日本は先進国だというふうに習ってきました。ですから、私たちはこの祖国に誇りを持って育ってまいりましたけれども、実は近年、私たちの国が世界の中で置いていかれているな、劣っているなと思う分野が幾つか出てまいりました。  この委員会には関係ありませんけれども、私の個人の思いをちょっと羅列させていただきますと、一つは教育を受ける権利。これは、世界の中で私たちの国は大変ぼろいというか、おぞいという、これは北海道の言葉なんですけれども、劣っている国になりました。それから、後にこの委員会議論させていただきますけれども、水産大国日本の船がぼろくなってきました。お隣の韓国や中国の立派な漁船に比べて、私たちの国が持っている漁船が高船齢化して、少し劣ってくるようになりました。  一番劣っているのがこのアニマルウエルフェアの概念だというふうに思っています。一番進んでいるのはヨーロッパの考え方であります。そして、それに倣ってどんどんその考え方を進化させてきたのは、そのヨーロッパに輸出をしようと思っている国々であります。ヨーロッパにいわゆる畜肉を輸出しようとする国は、ヨーロッパの高い基準に合わせて輸出をしなければならないので、様々な基準を満たしていく国になりました。  今、先ほど、所信にも述べておられましたとおり、私たちの国はいわゆる牛肉を中心に輸出にもこれから力を入れていくんだというときに、ヨーロッパまで肉が行くかどうかはまた別でありますけれども、いろいろと研究していかなければならないんだと思っています。残念ながら、私たちの国の牛肉も豚肉も鳥肉も、諸外国に比べて価格競争力がなかったので、輸出のいわゆるメリットのある品目ではありませんでした。ですから、このアニマルウエルフェアの概念がなかなか進んでこなくて、言葉で言うとガラパゴス化してきました。  世界動物保護協会の評価が、いわゆる特定の国の名前を挙げてしまうのはちょっと恐縮ですけれども、中国やフィリピンよりも評価が低い、ランクDの国であります、私たちの国。様々なヨーロッパの基準や、あるいはOIEが様々な指針を示しております。  大臣にもまず実感として思い浮かべていただきたいので、質問をさせていただきます。  牛が屠畜されるときに、多分車で屠畜場まで運ばれます。そして、屠畜場からいわゆる屠畜ラインにまでスタンガンで追いやられる。そして、屠畜の順番を待つまでの間に自由に水を飲ませてもらえる環境にない。こういう牛がいるときに、OIEは、その畜肉に対して、あるいは屠畜の方法に対して、基準を満たしていないというレッテルを貼ります。そんな大事な点は、大臣、御認識がおありになったでしょうか。
  95. 森山裕

    国務大臣森山裕君) OIEの基準について私が詳しく理解をしているわけではありませんが、現場を回らせていただいて、畜産農家あるいは養鶏農家、養豚農家等を見させていただいて、アニマルウエルフェアの基準というものをしっかり認識をしなければいけないなというところは多々あると理解をしております。
  96. 小川勝也

    小川勝也君 これを機に意識を高めていただければと思います。  OIEの福祉基準では、しっかりと水を飲む自由を与えて屠畜に向かわせろという基準を作っています。残念ながら、今の日本の現状では、牛の屠畜現場で水を飲めない牛の割合が約五〇%、豚においては八六%が水を飲めないというふうに言われています。もっと悲惨な話をしますと、水が飲めない中で、あるいは劣悪な環境の中で屠畜に向かう中で、いわゆるほかの豚のし尿を飲む豚がいるのも我々の国の現実なんです。  ですから、私たちは、あるいは私は、日本の牛肉が一番好きだし、日本の豚肉が一番好きだし、日本の鳥肉が一番好きだ。けれども、世界基準からいうと、そういう残念な部分があるというのも大臣に理解をしていただかなければなりません。  資料の二ページを見てください。  様々な基準を列挙いたしました。EUの事例が比較的進んでいます。豚の妊娠ストールの禁止。豚の麻酔なしの去勢についても、終了目標を掲げています。豚の歯の除去、豚の尾の切断、採卵鶏のバタリーケージ、採卵鶏のくちばしの切除、これを例示をさせていただきました。余り心地いい時間ではありませんけれども、若干言及を加えさせていただきたいと思います。  三ページの資料を見てください。  繁殖用の雌豚です。大体身動きができない中で育てられているのが私たちの国ではほとんどであります。一部、分娩については、子豚に対する間違いが起こらないようにということでストールの使用が、ヨーロッパなどでも使われておりますけれども、この妊娠ストールの禁止もヨーロッパでは進んでいます。  そして、豚に関してでありますけれども、麻酔なしの歯の切断、これは悲惨です。ニッパーみたいなもので歯を切断するというんですけれども、人間の歯と豚の歯とそう違いはありません。想像してみてください。麻酔なしで歯をニッパーでカットしようとしたらどういう現状になるでしょうか。歯が砕けます。神経がぼろぼろ出ます。そこからばい菌が入って病気になるやつもいます。あるいは、ずっと痛みにさいなまれる豚もいます。これが私たちの国で行われている豚の飼養なんです。  それから、何で豚の尾っぽを切らなきゃいけないか。これは、いわゆる負のスパイラルという言葉があります。豚にストレスが多いと、かみついたりかみつかれたりということが起きていきます。豚というのは、御案内のとおり清潔好きでありますし、どれだけ清潔に保たれた豚舎などでもハエが結構蔓延しています。そのハエを追い払うために大変重要なのが牛や豚の尾っぽです。これを私たちの国では、知見が足りないのか農林水産省の指導がないのか分かりませんけれども、八〇%切断している。これが私たちの国。  それから、バタリーケージ。御案内のとおり、これは前もこの委員会でも説明をいたしました。なるべく狭いケージで小さい鶏で卵をたくさん長期間産むように改良に改良を重ねてきたのが私たちの国の鶏卵生産現場です。そのおかげで物価の優等生だというふうに言っています。私たちは、鶏から生まれた卵によって栄養をいただいて、子供たちが大人になっていきます。私たち人間の都合だけで、物価の優等生だということで鶏を不幸せにしていいんでしょうか。くちばしを切断します。神経があるので痛いのではないかというふうに言われています。  鶏という動物はどういう動物かというと、一日に一万五千回地面をつつく、そして彼らも生まれてきた特徴があります。止まり木が必要である、砂場が必要である、そして地面をつついて餌があるかどうか探したい、これを全部人間の欲望だけでくちばしをカットしてバタリーケージに押し込めているのが世界に冠たる経済大国、農業大国日本の姿なんです。ですから、私たちは、日本の鶏卵を信用しているし、日本の鳥肉を一番おいしいと思っているけれども、もっともっとすばらしい農業や養鶏や畜産にしていただきたいと思います。  ここまで、大臣、所見があればお伺いをしたいと思います。
  97. 森山裕

    国務大臣森山裕君) アニマルウエルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針というのは、実は割と早いタイミングでずっと示してきております。しかし、これが現場で徹底されているのかどうかということが大事なことだと思いますので、先生の御指摘を踏まえまして、現場がどうなっているかをしっかりと見させていただいて、この指針に沿った飼養管理をしていただくようにさせていただきたいと考えております。
  98. 小川勝也

    小川勝也君 今大臣から前向きな答弁をいただきました。  生産局長、OIEの指針はしっかり和訳されていますでしょうか。それから、牛について、豚について、鶏についてしっかりと指導がなされていますでしょうか。御答弁お願いします。
  99. 今城健晴

    政府参考人(今城健晴君) お答えいたします。  委員指摘のOIEにおける指針でございますけれども、これは和訳されております。  それで、私ども先ほど大臣から御答弁ございましたように、団体でございますけれども、そこにアニマルウエルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針というものを作って、それを普及拡大していくということに努めております。  OIE指針ができましたのは、二〇一三年五月にブロイラー、肉用牛、それから乳用牛につきましては二〇一五年五月にできたということでございますが、私どもの飼養管理指針、私どもと申しますか団体に作成いただいている指針につきましてはそれより早い段階でできておりました。ただ、最新のこのOIE指針を反映させたものになるよう現在改定作業をさせておりますので、またこれを速やかに改定した上で普及拡大していくということに努めたいというふうに考えております。
  100. 小川勝也

    小川勝也君 僣越ですけど、一気にヨーロッパと同じになれるわけがありません。ですから、ヨーロッパではこうしている、日本なりにそれをいわゆる加工して日本なりの基準を作っていかなければならない。それから、全部の経営者がそれをやれるかどうかは別問題なので、いろいろな考え方があろうかと思います。きっちりその基準を満たした生産者については、その生産品についてそれだけの価値が認められるように啓蒙するとか、いろんなやり方があろうかと思います。一朝一夕にゼロから一〇〇%に行くとは思えませんので、様々な努力をいとわないでやっていただきたいと思います。  欧米ではいろんな考え方があります。例えば飲食店で、そういう畜肉は使わないという飲食店があります。あるいはそういう畜肉を販売しないという小売店もあります。いろんな観点がありますので、これはいろんな企業が努力をしています。すなわち、生産由来のはっきりしない原材料は輸入しないという様々なメーカーもありますので、農林水産省も大事なセクションでございますので、最新の知見を勉強しつつ、日本に合った指導をしていただければというふうに思っています。  残念ながら、日本ではまだまだ有機農産物とか、本当にアニマルウエルフェアに基準を満たした畜肉とか生産品というような区別がまだないようでありますので、一層の御努力をお願いをしたいというふうに思っているところであります。  冒頭申し上げました、輸出が大事、成長が大事、もうかる農業、これは全部否定しません。しかし、私たちの国の農業は、持続、点、それから共存、これが大事であります。人間さえよければ家畜はどんなことをしてもいいんだという概念は私は間違っていると思う。もっともっといい国にしようじゃありませんか。家畜に焦点を当てた畜産政策について、大臣、今発想、何か思い浮かんだら御答弁をお願いしたいと思います。
  101. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 御答弁申し上げます。  畜産、酪農の経営安定を図りまして生産性を向上させていくためには、規模拡大や法人化を目指すだけではなくて、家畜の能力を最大限発揮させ、品質の高い畜産物を生産することができるようにきめ細かな飼養管理を推進することが重要であるというふうに考えております。  このために、畜産におきましては、乳用牛の飼養期間の延長による生乳生産量の確保、快適で衛生的な飼養管理による受胎率の向上など、取組を支援をしてきております。今後も、畜産クラスター事業とか、あるいは飼養管理の改善や熱対策等をしっかりと支援をさせていただきたいというふうに考えております。  このような支援は、家族経営や中規模の生産者も広く支援をしているところでございまして、今後とも品質の高い畜産物を生産できるように、現場の意見を踏まえながら必要な施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
  102. 小川勝也

    小川勝也君 大臣から前向きな御答弁もいただきました。  いわゆる酪農における牛を大事にしてほしいというのは私も何度もここでお願いをしている話であります。また、今日はアニマルウエルフェアについて大臣にも御認識を聞かせていただきました。日本というすばらしい農業国でありますので、誰からも指を指されるということがない、そして世界のお手本になるような我が国農業であってほしいと、私のみならず、みんな思っているんだというふうに思っています。  人間のみならず、自分のみならず、相手も、そして市場もお客さんも家畜も、みんな幸せになれるような日本農業を目指して共に努力をさせていただきたいと思います。  今日は議論、ありがとうございました。
  103. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。  同じ党でこういうことを言うとおかしいかもしれませんが、小川議員の質問、大変勉強になりましたし、生物多様性国家戦略を具体化するというのは、いろんなところでいろんなことがあるんだなということを今改めて感じさせていただきました。    〔委員長退席、理事山田修路君着席〕  森山大臣、御就任おめでとうございます。初めて質問をさせていただきます。私ども、野党という立場でございますので、政策、法案に対しては厳しい批判の目でより良い内容のものを作っていきたいというふうに思いますと同時に、森山大臣にはしっかり頑張っていただきたいなというふうに思っております。先日、所信表明をお聞きをしておりまして、少しお疲れぎみかなというような感じもいたしました。鹿児島の黒酢でもお飲みになって元気を出していただければなというふうに思っております。  今日は、所信の中で、最初の一ページ、二ページ、三ページぐらい、大きくこれからの考え方について記されております。その中で、強くて豊かな農林水産業というような言葉がございまして、現内閣はおおよそ、強いあるいは攻める、こういう言葉が結構好きなのかなという感じがしておりまして、しかし、それは一方的に良しあしということではなくて、攻めなければいけない部分というのは当然これから日本の力として持っていなければいけないんだろう、このように思っております。  そういうことの考えの中で、私自身はこれまでも、GAP、HACCP、コールドチェーン、トレーサビリティーというような一連のものを国内の中でどういうふうに定着をさせるか、このことも大変重要なことではないかなという思いを持っておりました。  まずこのことについて、大臣の方から総体的な御意見をいただければと思いますが。
  104. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 郡司委員にお答えをいたします。  郡司委員、私はいつもこう思っています。強いということは、優しさがなければ真の強さではないんだろうと思います。攻めるということは、しっかり守っておかなければ攻めるということができないのだろうと思います。ですから、農業においても、攻めるということは、守るべきものをしっかり守るということが大前提であろうと思いますし、強いということは、やはり優しさがあって初めて強いという評価をいただけるのではないかなというふうに思っておりますので、私が農林大臣を務めさせていただいている間はそのような考え方で農林行政を進めさせていただきたいと思います。  GAP、いわゆる農業生産工程管理は、農業生産活動の持続性を確保する上で非常に必要なことでありまして、これによって各工程の管理、改善を行う取組ができるということでありますが、GAPに取り組んでいる地域は、平成十九年の四百三十九産地から平成二十六年には二千七百十三産地に増加をしてきております。GAPに取り組んだ農家へのアンケート結果によりますと、販売先への信頼が改善をした、品質が向上した、資材の不良在庫が削減された、従業員の責任感や自主性が向上したなどの効果があったとの回答が寄せられております。  一方、GAPの取組の水準にばらつきが見られているところでありますが、このため、農林水産省では平成二十二年にガイドラインを策定をしまして、一定水準以上のGAPの普及拡大を推進してきましたが、こうしたGAPの導入は千十産地にとどまっております。このため、平成二十七年三月に官民共同でGAP戦略協議会を設置いたしまして、取組の拡大に当たってどういう課題があるか、解決に向けた議論を行っているところであります。同時に、ガイドラインに即したGAPの習得経費や指導者、農業者のリーダーの養成に関わる研修の開催経費等を支援をしております。  今後とも、なお一層農林水産省のガイドラインに即した一定水準以上のGAPの普及拡大の推進に努めてまいりたいと考えております。
  105. 郡司彰

    ○郡司彰君 GAPについてお答えをいただきました。今年の関連予算からすると、どのようなことになっているんでありましょうか。これも前年との比較等でおおよそのことについてお話しいただければと思います。
  106. 今城健晴

    政府参考人(今城健晴君) 二十八年度におきまして、国内におけるGAPの普及拡大、それから国際的な取引にも通用する規格の検討や普及ということでございますので、これを支援するため、五千六百万円の予算を確保させていただいております。
  107. 郡司彰

    ○郡司彰君 額が多いから少ないからということではありませんけれども、これから、強い、攻めるという先ほど大臣からのお考えがありました。私は、強い、攻めるということは、前々から言っておりますけれども、消費者が信頼をしているということが強い、攻めるということなんだと、こういうようなことでございまして、GAPも、これからの日本のいろんなところで取り組んでいくためには、予算的にはそうそう大幅な伸びが期待できるようなものではないんではないかなという感じがしております。  この後、先ほど午前中の議論もありましたけれども、直接支払とかそういうこともどうするかという議論の中で、EUのGAPというのは、直接支払の対象を、受ける方についてはそれがきちんとやらなければいけないとかというようなことがございます。輸出になると、グローバルギャップはまた、率は低いけれども、マーケットのシェアで言うとかなり高いとか、いろんな意味で日本という国もこれからこのGAPについては更に取り組んでいただきたいなというふうに思っております。  続いてHACCPの関係でありますけれども、これも御存じのように、FAO、WHO合同のコーデックス委員会の中での基準であります。こういう中で、GAPと同じように、ここ十年来ぐらいの普及率の状況、それから、これは平成十年だったでしょうか、HACCPの支援法が作られておったと思いますけれども、それ以降の予算の流れ、成果等について伺いたいと思います。  これは厚労省と農水省の共管ということでございますので、厚労省の方は七日の日に会合を開いてこれからの方向性も決めたなどという報道がございましたけれども、厚労省、農水省、それぞれから御答弁をいただければと思います。
  108. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) HACCPにつきまして、これまでの導入率についてまず御答弁させていただきます。  食品製造業者のHACCPの導入について、平成十八年度と平成二十六年度、当省の統計で調べてみました。全事業者の平均が、十八年度が一五%、二十六年度が二九%、この中で事業規模の大きな層でございますけれども、これは七三%から八八%、一方で、大宗を占めます中小の事業者につきましては一六%から三四%と、HACCPの導入率は三割程度となっております。  それから、予算につきまして、平成二十八年度の予算をお願いしていますけど、まずは人材育成、情報提供につきましては、研修会の開催等につきまして一億六千九百万円、それから水産加工業者、産地市場へのHACCPの研修、現地指導等でございますが、これ水産庁でございますけれども、二億四千四百万円の内数となっております。  そのほか、HACCPにつきましては施設整備の支援がございまして、HACCP支援法に基づく食品製造事業者への長期低利融資、これは日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫等でございますが、そういった金融的な支援、それから水産加工業流通施設の改修支援ということで、平成二十七年、これは補正でございますけれども、二十億円。それから、農畜産物輸出に向けました、輸出先国がHACCPを求めておりますので、その衛生条件を満たすために必要な施設の整備支援、これ生産局でございますが、平成二十七年度補正予算額で四十三億円となっているところでございます。
  109. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  食品衛生管理の国際標準でありますHACCPは、事業者自らが使用する原材料や製造方法に応じて管理の方法を策定、実行するものであるため、従来の画一的な衛生管理の基準と比較いたしまして、異物混入でございますとか食中毒の防止など、食品衛生の確保を図る上で有効性が高いものと認識しています。このため、欧米等を始めとした諸外国では、HACCPに基づく衛生管理の義務化を含めた制度化が進んでおるところでございます。  厚生労働省では、引き続き、国内流通する食品に加え、輸出入する食品の安全性確保のために、農林水産省と連携してHACCP普及策を推進するとともに、先ほど御質問ございましたが、新たに食品衛生管理の国際標準化に関する検討会を立ち上げたところでございます。  この検討会では、食品事業者等の意見を聴取しつつ、義務化の対象となる食品業種や事業規模等、制度の在り方を検討し、我が国の食品の安全性の向上につなげてまいりたいと考えております。
  110. 郡司彰

    ○郡司彰君 それぞれからの御答弁をいただきました。進んでいるといえば、大体倍ぐらいに率としては伸びてきているのかなというふうに思います。  総体としての話ですけれども、コーデックス委員会というものを、私は、日本の場合、全てうのみにすればいいというものではないという感覚をちょっと持っております。  例えば、元々の国民性で、お豆腐屋さんに行ってお豆腐を買うときに、ここの豆腐は安全なんだろうか、清潔なんだろうかというのを私どもは感じないで買えるような中での生活を当たり前のようにしています。そういうような国の中でコーデックスの基準というものを当てはめようとすると、何というんでしょうね、高温多湿やその他のこともいろんな意味でありますけれども、直ちにそれが全ていいということにはならないというふうなことを自覚をしつつも、ただ、これからの世界との取引その他を考えると、義務付けをしているというところが相当増えてきているんだろうというふうに思っております。  これを導入をするときには何が問題かというと、もうこれは決まっているんですね。簡単に言うと、大変だ、お金も掛かる、人も増やさなくちゃいけないし、本当にそれだけの費用対効果が生まれるんだろうかというようなことがある。したがって、規模の大きなところから導入が多分なってくるんだろうというふうに思いますけれども、これからの目玉でありますTPPその他のことを考えると、日本についても今検討中ということでありますけれども、いつ頃までにどのような形で具体的な結論に導き出すのか、もし今のところのお考えがあれば教えていただきたいと思います。
  111. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、実際の義務化導入に当たりましては様々な課題があるというふうに考えております。そのため、先ほど御答弁申し上げましたとおり、検討会では食品事業者等の意見も聴取しながら、義務化の対象となる食品業種や事業規模、また制度の在り方をその中で検討していきたいというふうに考えております。  具体的な時間的なタイムラインでございますけれども、一応現時点では、この年内、平成二十八年十二月をめどに一定の取りまとめをしてまいりたいということでスケジュールとしては考えているところでございます。    〔理事山田修路君退席、委員長着席〕
  112. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 今後とも、HACCPの導入は加速化すべく、関係団体や民間団体とも協力をしながら、省庁間の連携もしっかり取らせていただきまして取り組んでまいりたいと考えております。
  113. 郡司彰

    ○郡司彰君 確認でありますけれども、それは、今後のTPPの進展の度合いとの兼ね合いというものはどのようなことになりましょうか。
  114. 森山裕

    国務大臣森山裕君) TPPに関係なく、HACCPの対応というのは必要なことであろうと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  115. 郡司彰

    ○郡司彰君 私どもからすると、いろんな意味で、食品の安全だけではなくて、今お話をしたような部分も含めて、厚労省あるいは農水省、内閣府なども関連をするところが多いわけでありまして、私自身は、食品安全庁のような、国として食品の安全その他をつかさどる一つの省庁というものを考えていくべきではないかということを思っておりますので、これは答弁を求めるということではなくて、私どもの考え方としてそのようなことを常々申し上げてまいりました。  次に、コールドチェーンの関係でありますけれども、コールドチェーンは鮮度の保持あるいは温度の管理その他で取り組まれるわけでありますけれども、国内においては当たり前のように競争社会の中での生き残りを懸けましても含めて、日本人の勤勉さも含めて、相当程度普及をしてきているのではないかなというふうに思っております。  しかし、これが対輸出輸入という関係になりますと、私たちの国から出るとき、出た後ということに関して、私たちの国内で行っているようなコールドチェーンというものが生かされないということになれば、それは相手方の都合であっても、結果としては日本の食ということに関しての不信や不安を招くことにもなりかねない。このコールドチェーンのそのつながりについて、どのような考えを持ち、そしてどのような対策を取られているんでしょうか。
  116. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 農林水産物の輸出促進のためにはコールドチェーンが大切なものであることは、郡司委員と全く同感であります。  このコールドチェーンの整備につきましては、流通、運輸業など各種業界にまたがる話でございますので、各省庁としっかりと連携をさせていただいて取り組んでいくということが重要なことであろうと思っております。こうした中、農林水産省では、官民から成る輸出戦略実行委員会において国際輸送に関する課題を解決する技術や事例の収集、整理等を今行っております。また、海外においてもコールドチェーンの整備にも資するよう、官民参加による二国間対話を通じて相手国への輸出環境の整備等、側面支援をしているところでございます。  今後とも、関係省庁とも連携しつつ、コールドチェーンの整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
  117. 郡司彰

    ○郡司彰君 素材を生かすという意味では、コールドチェーンきちんとやっていただきたいというふうに思いますと同時に、日本にはコールドチェーンによらなくてももしかすると販路が広がるような、例えば魚の干物でありますとか、この前テレビでちょっと見ておりましたら、ふりかけなどというのもすばらしい技術力というものがあるんだそうでありまして、こういうふうなところに広げるというのも、コールドチェーンの対極といいますか、同じような考え方の中で品物を生かしていく、販路を広げるということではお考えをいただくということも必要なのかなという感じがしております。  次に、トレーサビリティーでございますけれども、これはこれまでBSEあるいはお米をめぐるいろいろな事件等がございまして、牛と米についてはでき上がっているわけでありますけれども、それ以外のところの検討状況ということが二十二年、二十七年の基本計画にも書かれておったと思います。どういう状況になっておるんでありましょうか。今後の見通しについてお答えいただきたいと思います。
  118. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 食品トレーサビリティーの取組状況でございますけれども平成二十六年度の調査結果によりますれば、約七割の生産者及び流通加工業者が出荷記録の保存の取組を行っております。  委員指摘ございました平成二十七年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画では、「食品産業事業者等による、入荷品と出荷品の対応関係も含めて入出荷記録を作成し、保存する取組の拡大を推進する。」というふうにされております。農林水産省としましても、業種ごとの特性に応じました食品トレーサビリティーのマニュアルを作成し、その普及を進めているところでございます。  食品トレーサビリティーは、食品事故などがございましたときの原因究明、あるいは商品回収等の円滑化、あるいは表示信頼の向上に寄与する重要な取組と考えております。都道府県などと連携いたしまして、きめ細かな取組を推進してまいりたいというふうに考えております。
  119. 郡司彰

    ○郡司彰君 これは私の思い違いかもしれませんけれども、以前に比べてこのトレーサビリティーの全体的に広げていくんだということについての取組が思ったよりも進んでいないというか、若干後退局面の感じがいたしております。今の答弁の中でこれからも検討して前向きにということでありますけれども、もうちょっと積極的な対応がないと、牛、米以外のところについてなかなか普及がしづらいのではないかなというふうに思っています。  これ、先ほどのHACCPもそうでありますけれども課題というのはこれまで余り変わっていないんですね。例えば、入荷の記録を保存する必要性が認められない、入荷の記録を保存するのは手間が掛かる、伝票類の量が多く、それを保存する場所が確保できない、伝票類のやり取りがなく食品を入荷しているなどというのと合わせて、内部トレーサビリティーの取組を行うと作業量が増加をする、取り組む必要性が認められないなどなど、規模とか業種によってもほとんど同じような要件が阻害しているんだということが出ております。  これ、もう一つ、先ほど言いましたように、強い農林水産業、それは国内だけではないんですよと。対外的なものも含めて日本全体の、何というんでしょうね、価値観を高めるためには、一連のものとして必要だというようなことを感じておりますけれども、もう少し前向きな形での取組ということにならないんでしょうか。予算的にはどのような形になっておるんでしょうか。
  120. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 委員指摘ございました、確かにその普及を進めるためには、特に中小零細企業ほど取組率が低いとか、あるいは記録を保存するには手間が掛かる、こういう問題も御指摘のとおりございます。これを踏まえまして、実践的なマニュアルとして、製造加工業であるとか、あるいは漁業、外食、中食でありますとか、あるいは農業、畜産業、こういう業態別の実践的なマニュアルというものを策定いたしております。これを地方公共団体自治体などを通じまして着実に推進してまいりたいと思います。  そのために、先ほどの優良事例を含む実践マニュアルにつきましては、平成二十五年から二十七年まで毎年約千六百万円ほどの予算を計上いたしまして作成しております。このマニュアルを使いまして、農林漁業者あるいは食品事業者に対するセミナー、講習会の開催をしております。これに対しては、消費・安全対策交付金の内数でございますけれども、交付金約十七億円程度を計上しておりますけれども、その内数でセミナー、講習会、これの推進を進めておるところでございます。
  121. 郡司彰

    ○郡司彰君 冒頭も申し上げましたけれども、私は、このGAP、HACCP、コールドチェーン、トレーサビリティーというのは、一環のものとして全体が底上げをしていかないといけないのではないかなという感じがしております。  一方、攻める、強いということに近づいた言い方をすれば、GAP、HACCPの方がより直接的なことが国際的な中では起こってきているような感じもしております。例えばGAPに戻りますと、日本能率協会が、ISOの関係についてこれまで行ってきたようなところが行うということも何か一つの動きなのかもしれませんし、HACCPについては、先ほど言いましたように、義務付けをしているところというのは、逆に言うと、あなたの国もやっているのならば私のところがオーケーですよという相互的な関係が多分できてくるんだろうというふうに思うんですね。  こういうことからして、その辺のところの、強い、攻める、こういうようなことに関して大臣の方からもう一度お答えいただければと思いますし、ほかの方でも結構でございますけれども
  122. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 食品のトレーサビリティーについては大変大事なものであるというふうに認識をいたしておりますが、中小零細企業ほど取組率が低いというのが現状でございますし、記録を保存することは非常に手間が掛かること等もその一つの原因ではないかと思っておりますが、全ての食品事業者に対して直ちに義務付けることは困難ではないかなというふうに考えております。  このため、引き続き食品事業者による自主的な取組を推進をすることが大事だというふうに考えておりまして、具体的には、食品トレーサビリティーの意味や効果、業種ごとに段階的な取組の進め方などを解説した実践的なマニュアルを活用し、地方自治体を通じて着実な普及を図ってまいりたいというふうに思っております。  トレサの話をいたしますと、最初から最後まで全部やらなきゃいかぬのかというふうに皆さん思っておられるものですから、そうではなくて、段階的な取組というものも大事であるということをよく御説明を申し上げて、できるだけの普及に努めてまいりたいと考えます。
  123. 郡司彰

    ○郡司彰君 今いろいろとお話をさせていただきましたけれども、消費者からすると、余りGAP、HACCP、トレーサビリティーという言葉も耳にする回数が少ないのかもしれません。生産者の方も、俺のところではGAPというのをやっているということを、やっている方について、例えば消費者の方から、あなたのところはGAPをやっているんですねと言われて褒められるという機会も余りないのではないかなというような感じがしておりまして、お互い何か、大事かもしれないけれども、お互い消費者も生産者もそれほど、やったから褒められるというか、そういうものがないようなところに置かれているんではないかなという感じがしております。  それをどうすればいいのかというのは、一つの御提案でありますけれども、これ、トレーサビリティーが入るときもいろいろと、日本語で簡便な言い方で生産者や消費者が分かりやすい表記がないんだろうか、そこに括弧をして、HACCPでもGAPでもいいですけれども、逆でもいいですけれども、ここにいられる方々が分かるというのとちょっと違う部分があるんだろうというふうに思うんですね。  GAPだったらば、例えば農場管理基準、農管基準でも、縮めてもいいですし、それからトレーサビリティーだったら、昔は生産履歴というのが分かりやすいかとか、いろんなこともありました。HACCPも、何と言えばいいんでしょうね、単純に言えば食品の工程管理とか、もうちょっと分かりやすい言葉でもいいんですけれども、何かそれぞれがやっていることがほかからも認められるし、そのこと自体が普通の会話として聞いただけで理解ができる、こういうようなことを、これは厚労省、農水省、どこでも結構なんですけれども、お考えいただくというようなことはいかがでございましょうか。
  124. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 横文字はいかがなものかなと思いまして、例えばHACCPにつきましては、日本語の略として危害要因分析重要管理点と、こういうふうに書いてございますし、GAPにつきましては農業生産工程管理とか書いておりますけど、いずれにしてもなかなか分かりにくい話でございます。  ですから、農業者や食品関係業者の間では、実際の取組をしていただいたり、あるいは輸入の場合なんかでも、GAP、HACCPというのは用語はかなり御利用いただけるようになってきているのではないかなというふうに思っておりますが、今後も消費者に分かりやすく情報提供していくということは大事なことだと思いますので、トレサは少し分かりやすかったんですけど、なかなかHACCPとGAPは日本語にしても非常に分かりにくいものですから、ただしかし、非常に大事な、理解をいただかなきゃならないことでございますので、今後も消費者に分かりやすい情報提供をしてまいりたいというふうに考えております。
  125. 郡司彰

    ○郡司彰君 繰り返しのようですけれども先ほど、例えばGAPだと、改善された良いところがありますねということになると幾つかあるんですね。ところが、それが消費者と生産者の間のコミュニケーションとしては余りない。ということは、先ほどちょっとわざわざ読み上げましたのは、HACCPでもトレーサビリティーでもそうですけれども、こういう理由で面倒だとか手間が掛かるとかというのが、逆にそれを乗り越えるような、やればやったでそれ以上の良かったところがあるんですよということにつながっていかないというところが普及が進まないところの一番大きな変わり目だと思うんですね。  そういう意味で、先ほどのHACCPのことも、英語を順番に訳していくとさっき大臣がおっしゃったようなことになるんでしょうけれども、ちょっとその辺は、優秀な方々がたくさんいらっしゃるので、何かそういうことを真剣にというか、真面目に考えていただいて、これからはこういうようなことにするよということを近々お聞きできればなというようなことを思っております。  それでは、ちょっと時間の関係で、それ以外のことについてお話をさせていただきます。  企業農地所有について、先ほど特区の関係についてのやり取りがありましたけれども、私からも幾つか質問をさせていただきます。  まず最初に、今回特区の法案に関しまして、内閣府の方でこのようなことをやりますよというようなことが関係をする農林水産省にも投げかけられたと思っております。投げかけられたときに、それはというような口頭でお返しをするのではなくて、多分に農林水産省としての見解をまとめて、内閣府といいますか、官邸その他のところにお持ちをするような形になるんだと思いますが、そのときの農林水産省の見解というのを教えていただきたいと思います。
  126. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 国家戦略特区の問題でございますけれども、これ、政府の中でいろんな意見交換をやってきております。特に、国家戦略特区につきましては、特区関係のワーキンググループというものもできておりまして、そこでの意見交換と、そういったものもございます。ですが、ここについて特に文書でのやり取りとか、そういうことは基本的にはやっておりません。
  127. 郡司彰

    ○郡司彰君 文書ではやり取りはしていないということでありますから、だとすると、これまでの農水省の企業の土地所有に対する考え方と変わらないという理解でよろしいんでしょうか。だとすると、そのときの考え方というのはどういうものでしょうか。
  128. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) これは企業農業参入の問題でございます。これはこの場でも何度も御議論になったかと思いますが、企業農業参入については、リースの方式とそれから所有の方式とございます。  リースの方の方式については、平成二十一年の農地法の改正で、これ、一般企業についても全面的に解禁をされているという、こういう状態でございます。その後、解禁されてから従来に比べて五倍のペースで実際に企業の方がリースで参入されているということも間違いない事実でございます。  その上で、平成二十五年には農地中間管理機構、これも国会で法律を通していただきまして、二十六年度から動き出しているわけです。これもリースの方式を使って担い手の方に農地を集積する、集積だけではなくて、更にまとまった面積が使えるように集約化を図ると。リースを中心として農地についての問題を解決をしていく、こういう大きな方針で取り組んでいるわけでございます。  それから、大きな流れはこのリースの方ですけれども、一方で所有の方についても、これまでもいろんな改善を図ってきているわけでございまして、特に昨年のこれは農協改革と一緒にやりました農地法の改正でございますが、農業生産法人、今名前を変えて農地所有適格法人と言っておりますけれども、この要件を満たせば農地所有できる。この要件を決めている部分ですが、これにつきましても要件を改正をして、従来農業者以外の方の議決権の比率、これは四分の一以下ということになっておりましたけれども、これを二分の一未満のところまで広げるという改正をやったわけでございます。これがこの四月から施行されると、こういう状態でございますので、基本的に全国ベースの話として、企業所有方式での参入を更に改善するという条件はないというふうに考えているということでございます。
  129. 郡司彰

    ○郡司彰君 今回は特区のことについてですよということなのかというふうに聞いておきました。  内閣府からもおいでをいただいておりますので、幾つかお聞きをしたいと思います。  各国農地の売買、貸借の規制について、概略お分かりでしたらば教えてください。
  130. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  諸外国の制度につきましては、規制所管省庁であります農水省さんの方が御専門かと承知してございます。  私どもといたしましては、諸外国の農地に関する規制、地理的、社会的、文化的な条件により様々でございまして、我が国の制度の在り方を考えるに当たって、単純に当てはめるのはなかなか一概には困難な面もあるのかなというふうに承知しているところでございます。  以上でございます。
  131. 郡司彰

    ○郡司彰君 これ、農水省ですかね、作っていただいた資料を持っておりますが、これを見ると、農地の権利移動に関して行政委員会が関与しているのは日本とオランダだけというような記載がございまして、オランダの方は貸借のみで売買はしないというようなことですが、農水省、これはそのとおりですか。
  132. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 海外の農地の関係の制度でございますが、やはりこの農地というのは、どこの国にとりましても農業生産上極めて重要なものでございますので、多くの国ではこの売買なり貸借についてのルールを設けているわけでございます。  その中で、オランダは委員会制度を取っておりますけれども、オランダでの規制は基本的には貸借関係が中心になっておりまして、賃借料の基準、こういったものをベースにして貸借についてのコントロールをしていると、こういうふうに承っております。それから、ほかの国では、例えばこれアメリカですけれども、アメリカは州ごとに違っているんですけれども、幾つかの州におきましては、法人が取得する場合に、その法人が家族経営を基本としているかどうか、こういったことの判断がされる、こういう規制を行っている国もあるというふうに承知をしております。
  133. 郡司彰

    ○郡司彰君 これ、アメリカの場合は、名前からして合衆国ですから、それぞれの州によって相当違いがあるのは、いろいろな事例がそうだというふうに思います。それ以外の国も売買に対してはかなり厳密な規制というか基準を置いているところが多いのではないかなという感じがしております。  それから、これまではリースがほとんどというか、制度としてあったわけでありますけれども、その所有をするということがリースに勝る理由について、内閣府の方でお答えいただきたいと思います。
  134. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答えいたします。  私ども、兵庫県養父市の方から真摯な御要望をいただいているわけでございますけれども、その背景として、企業が大規模経営や六次産業化の促進等によりスケールメリットを生かしながら高い収益を見込む場合などにつきましては、より安定的、長期的な経営を行うため農地を保有するということが選択肢の一つではないかという考え方に立っていると思います。一方、リース方式につきましては、中途解約のほか、所有者の代替わりにより契約が更新されない等のリスクも考えるところでございまして、思い切った事業展開ができないとの具体的な声があるのも事実でございます。  このような背景の下、提案者である養父市からは、同市に農業参入している企業から農地所有に関して具体的なニーズが上がっており、さらには地元経済団体からも前向きな声が上がっているというふうに伺っているところでございます。  もとより、リース方式を否定するわけではございませんけれども企業参入の促進には経営判断の選択肢を広げることが必要ということで、選択肢の一つとして今回御議論いただいているわけでございます。
  135. 郡司彰

    ○郡司彰君 今お答えをいただきましたように、いろんな声がありますよというのは、それは何かの要望でありましょうか、アンケートでありましょうか。そのお話しになった基の資料というのはどういうものなんでしょうか。
  136. 川上尚貴

    政府参考人川上尚貴君) お答え申し上げます。  企業農地所有のための特例措置につきましては、これまでも国家戦略特区の提案募集等におきまして、これまでの三年間で二十件に上る企業農業生産法人への出資、事業要件の緩和に関する提案をいただいているところでございます。具体的には、一番本格的に御要望をいただいているのは養父市でございますけれども、新潟市、大阪府、茨城県、佐賀県等、特区内外の自治体や民間事業者から数々の提案をいただいているところでございます。  以上でございます。
  137. 郡司彰

    ○郡司彰君 要望があったというようなことで、そのような形に今しているということでございます。  全体のそのアンケートというのは、これは随分古いんですけれども平成二十年、農業会議所が行ったので言うと、規模拡大の方法で、リースがいいが七三%、売買がいいが一〇%。リースがいいと考える理由は、簡単に言えば、農地を購入しても採算的に合わないというのが六六%、購入がいいと考える法人の理由について、投資がしにくい、それから返還を申し出されるおそれがあるというのがそれぞれ六〇%、四〇%。それから、農地を資産として保有したいというのも二〇%ぐらいあるということで、いろんな声があるということについては分かりましたが、午前中のやり取りがありましたので繰り返しをいたしませんが、そういうこととは別に、国の考え方として農地をどのように考えていくかということは、これはまた別な議論が必要なんだろうというふうに思っております。  次に、これはお尋ねをするのがちょっと恐縮なんでありますけれども、三月八日の日本経済新聞の社説に、「意欲的な農家企業農地を生かせ」という社説がございました。私は、偏見を持っているわけではありませんで、日経新聞が農業の記事は一般紙と比べて格段に多いなというふうに思っております。  これ、農林水産委員会用に参議院の調査室が毎月作ってくれている農林水産をめぐる主な動きというのがありまして、例えば一番新しいのは八ページ、九ページ、いろんなところの記事がありますよというのを、これ全てこのページは十二項目、日経新聞の記事でございます。このぐらい日経新聞は農業の記事が多いんですよ。  ですから、私も非常によく読ませていただいて参考にしておりますが、この中にこういう文章がございました。「農業委員会が相変わらず農地の有効活用に障害となるのであれば、機能を自治体に移管すべきだ。」というような御意見がございまして、先ほど奥原局長のお話の中で、行政委員会が関与しているのは日本とオランダ、それ以外は、アメリカの例もおっしゃいましたけれどもフランス、ドイツ、韓国などもこれは自治体ですね、判断というのが。  こういうようなことを含めて、この日経新聞の書きよう、もし農業委員会農地の有効活用に障害ということが事実であれば、私はこれ、農業委員会をやはり改革していかなければいけないというふうにも思いますが、実態としてそのようなことは農水省としてどのようにお考えでしょうか。
  138. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) この三月八日の日経の社説でこういうふうに書かれた、この根拠は何であるか承知はしておりませんけれども、昨年、農協改革と一緒にこの農業委員会制度についても改革の法律を通していただいたわけでございます。  そこの背景には、やっぱり現状の農業委員会に一定の問題があるという認識の下に改革をしたわけでございまして、農業委員会は、農地についての市町村の独立行政委員会でございます。担い手への農地の集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止、あるいは新規参入の促進、こういったことをやっていくのが一番重要な仕事でございますが、これも昨年いろいろ御紹介いたしましたけれども、この農業委員会の活動状況については地域によって様々でございます。平成二十四年に実施をしたアンケート調査によりますと、農業委員会の活動を評価している農業者の方は三割という状況でございまして、特に、農地集積などの農家への働きかけが形式的である、あるいは遊休農地等の是正措置を講じない、農業委員が名誉職となっている、こういった意見もかなりいただいているところでございます。  このために、昨年、農業委員会法を改正をして農業委員会の使命がより良く果たせるようにするという観点で、農業委員につきまして、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めましたし、それから各地域農地の最適化、あるいは担い手の支援を行う農地利用最適化推進委員、こういった制度を設けていただいたところでございます。この改革によって農業委員会の機能が更により良く果たせるようになるというふうに我々は考えております。
  139. 郡司彰

    ○郡司彰君 農業委員会が改善すべき点があれば、それは改善をしなくちゃいけない。しかし、そのことと農地企業所有するかどうかという判断は、これは別物だという認識をみんなが持っていかないといけない。  それから、ほかの国の例を見ると、先ほど言ったように、国の考え方と自治体判断というのは必ずしも一致をしないこともあるわけでありまして、ここのところはその自治体判断ということに移管をすべきだというのは、私は、これはもっと慎重な議論をすべきだというふうな考えを持っています。  最後に、ちょっと時間の関係で簡単にお聞きをいたしますが、今後、このことにかかわらず、いろんな法人の方や何かが参入をしてきて、法人の数、農業者、家族農業の方、それぞれの比率というものも変わってくる可能性があります。その後、農村という機能の定義というものも変わってくるかもしれない。水利権、あるいはそれに関する賦課金なども含めて、もう少し公共的な側面を持った形に農地というものを考えていかなければいけないという感じを私はしておりますが、これに対しての御意見がありましたらばお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  140. 若林健太

    委員長若林健太君) 末松農村振興局長、時間が来ていますので、簡潔に。
  141. 末松広行

    政府参考人(末松広行君) はい。  先生御指摘のとおり、担い手への農地集積の進展や法人経営体の増加など、農業構造の変化に伴っていろいろな変化が生じております。このことが農業水利施設の保全管理のための合意形成や賦課徴収等に影響を及ぼす可能性があるというふうに認識しておりまして、これらのことに関する土地改良制度についても、農業、農村の構造変化を見極めつつ、現状やニーズを把握、分析して、その在り方を検討、検証していくということとしております。  以上です。
  142. 郡司彰

    ○郡司彰君 終わります。
  143. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  済みません、今日は聞き取りにくいところもちょっとあるかと思うんですが、風邪ぎみでございまして、済みません。  私の方からは、先日、森山大臣の所信をお伺いをいたしまして、一つまずは大変心強く思った点からお伺いをしていきたいというふうに思っております。  所信の中で、大臣、五つこれから主に取り組まれる政策を中心にお話しになっているんですが、その中の一つに東日本大震災からの復興復旧というところを取り上げていただきました。  まず、ちょっと二問ほどお伺いしていきたいと思うんですが、大臣、この所信の中で、東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題です、私も復興大臣であるとの覚悟の下、原子力災害に対する風評被害対策、輸入規制の緩和、撤廃に取り組むと、このように力強く表明をしていただいたわけでございます。  この風評との闘い、あるいは輸入規制の解除、本当に難しい問題でありまして、ちょっと最近残念な事件がありましたので一つ御紹介させていただきますと、先月、二月の二十日、二十一日に韓国のソウルで予定をされておりました、被災地の風評被害の払拭を目的とするイベントがあったわけでありますけれども、これが開催直前で中止に追い込まれてしまいました。  これは主に外務省が中心になって準備を進められていたというふうに伺っていますけれども、エクスプローラー・リアル・ジャパンということで、いろんな取組、例えば韓国の人気ブロガーの方が実際に被災地に足を運んで、その被災地の例えば観光の様子ですとか、あるいは地元の食材、食べ物、こういったものをツイートでつぶやかれたり、向こうからリポートすると。こういうような形で、いろいろ今の被災地の現状ですとか風評被害払拭に向けた企画を基に、大変被災地の魅力を届ける大事な取組だったわけですが、残念なことに、開催前日になりまして一部市民団体の反対の声を受けて、地元の自治体が開催の中止を要請してきたということでございました。  もうこれは、この件についてどうだったんですかということをお伺いしたいということではございません。これは日韓両国の政府が本当に大事に思っていろいろ準備を進められてきたと、そういう中で思わぬ事態になってしまったということだと思うんですが、やはり改めて風評被害の根深さですとか払拭の難しさ、これを象徴する出来事になったんだというふうに思っております。  これ、当然、風評被害というのは海外だけの話ではございません。国内に目を転じても、例えば、昨年八月、消費者庁が行った意識調査によりますと、購入をためらう産地として福島県を挙げた消費者というのはまだ一七・二%に上ると。過去五回の調査の中でもこれ実はほとんど数字変わっておりませんで、なかなか下がっていく、低減するというところが見えていないわけですね。  こういう中において、ある意味、より正確な情報というのが伝わりにくい海外において風評被害を払拭するってやっぱり難事業なんだなということを改めて思うわけで、現時点でも、例えば海外におきますと、一部食品の日本からの輸入停止措置、こういったものに取り組まれている国というのはまだ十二か国・地域残っている。更に言えば、例えば、放射性物質の検査証明書を出すようにとか、あるいは検疫を強化したり、何らかの形で輸入規制日本の農産品に対して課しているところも四十近くあるというふうにお伺いをしております。  改めて、これ難事業でありますけれども、政府として、国内外の風評の払拭、また外国の輸入規制の解除をどのように進めていかれるのか、是非これ、農林水産大臣の被災地の農林水産業復興に向けた決意とともにお伺いしたいと思います。
  144. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 被災地を訪れるたびに、本当に大変な御苦労をいただいているなというのが実感でございます。また、せっかく作物を作れるようになっても、水産物を漁獲できるようになっても、それがなかなか正しく評価をされないということは、非常に現場の皆さんは大変な思いをしておられるんだろうなというふうに思いますし、何としても風評被害の対策というのは安倍内閣を挙げて努力をしなければならない大事な課題だというふうに思っておりまして、復興庁が中心に取りまとめました風評対策強化指針に基づきまして、農林水産省としてもしっかりした取組をさせていただきたいと思います。  また、消費者庁と連携をさせていただきまして、科学的データに基づいて正確で分かりやすい情報を提供していくということが大事なことでございますので、例えば福島県産のPRのためのテレビコマーシャルの放映とか、あるいは食品流通業等の関係者との交流会とか商談会の開催とか、福島県が行っておられます広報活動の支援もさせていただいているところでございます。また、食べて応援しようのキャッチフレーズの下、官民による被災地の食品の積極的利用の推進に取り組んでいただいておりますし、我々も御協力を申し上げているところでございます。  また、先生御指摘のありました諸外国や地域の輸入規制に対しましては、農林水産物・食品の海洋のモニタリングデータを提供させていただきながら、二国間あるいはWTOのSPS委員会の場でも再三にわたりまして規制の撤廃、緩和を働きかけてきております。  さらに、今年一月に、EUが一定の期間、基準値の超過がなかった産品を規制対象から除外をするということを決めていただきまして、これは非常にインパクトのある話でございますので、先日、シンガポールに私出張いたしました際もこのようなことをお話を申し上げて、できるだけ早く撤廃をしていただくようにお願いをしたところでございますが、これまでの取組によって幾らか規制を設けている国は少なくはなっておりますけれども、三十七国・地域がまだ規制を掛けておりますので、できるだけ全ての国・地域で御理解をいただくように努力をしなければならないと思っています。  被災地の農林水産業あるいは食品産業の復興を進める上でも風評被害の払拭及び輸入規制の撤廃というのは重要な課題でありますし、今後とも、被災地や関係省庁と連携をさせていただきまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  145. 平木大作

    ○平木大作君 今、森山大臣から御答弁いただいたように、これ、海外に対する輸出というところも含めて考えていきますと、本当に農水省だけではやっぱりできない。復興庁ですとか消費者庁との連携、厚生労働省あるいは外務省、様々な省庁が力を結集して取り組んでいかなければいけないということでございます。その意味では、本当にある意味、農林水産大臣に是非リーダー役になっていただいてこれを進めていただきたい。  一点だけ補足させていただきますと、韓国で行われる、まあ中止になってしまったこのイベントでありますけれども、翌週、台北の方では無事成功裏に終わったというふうにお伺いもしております。こういったイベント、この失敗にめげずというか、どんどんどんどんこれ海外でもやっていただきたいということを改めてお願いしたいと思います。  大臣に、もう一問、復旧復興に関連してお伺いしたいんですが、所信の中で、大臣、すごく絵が浮かぶというか、やはり日本全国いろいろなところを歩かれてきたんだなという、こう絵が浮かぶ私は所信だったなというふうに思っております。その中で、特におっしゃっていたのが、やっぱり生産者が農業経営の発展に意欲的に踏み出していくためには、そのための明るい将来像、しっかりと農業をやっていく、農林水産業に取り組んでいくということに未来があるなということをやっぱり具体的にイメージしていただけるかどうか、ここが本当に大きな私ポイントだろうなというふうに思っております。  引用されていましたけれども、私の孫にも農業をやらせたい、僕もやるんだと、愛媛のミカン農家の本当にほほ笑ましい家族の会話なわけでありますけれども、この会話の裏に何があるんだろうなと考えたときに、それはやっぱり両親ですとか祖父母ですとか、そういった方たちが代々やってきたことをしっかり受け継ぐということとともに、例えば、自分の代になったらこの本当に日本一おいしいミカンをもっともっと世界中の人に知ってもらうんだとか、あるいは、ミカンを使ってこの地域の何か振興に役立つような新しい例えばスイーツを作っていこうだとか、やっぱり自分なりの将来のプランというものが描けるから担い手が出てくるということでありまして、この発展の姿というものをいかに見ていただくか。なかなかそこが逆に描けないと、これ被災地にとってもやっぱり前進がなかなか図れないんだろうなというふうに思っております。  その意味では、輝かしい将来像といったときに、被災地というのはやっぱり大きな今ハンディキャップを抱えているのは事実でありまして、なかなか全国一律に使えそうなというか、簡単にイメージできるような輝かしい農林水産業の将来像のカーボンコピーみたいな、それを単純に広げていけば、持ち込めば被災地の復旧復興につながるんだというのは、やっぱり甘い考えなんだろうと。  結局のところ、特に福島県、今大変まだまだ深刻な状況が残っております。原子力災害による影響というものをしっかりと踏まえて、それを克服した上で、じゃ、農林水産業がどうその地域で復興していくのか、ここをやっぱり、難しい仕事でありますけれども、描いていただくということが仕事になるわけでありまして、その意味で、私は改めて、福島イノベーション・コースト構想というのは本当に大きな使命を担っているプロジェクトであるというふうに思っております。  同構想、なかなか、実はこの構想、本当に様々なプロジェクトあるんですが、私、農林水産業プロジェクトはちょっと存在感がまだまだ薄いかなというふうに思っておりまして、このプロジェクトの中でどのような福島の未来を描き、また具体的に何に取り組んでいかれるのか、是非これも御答弁いただきたいと思います。
  146. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 平木委員指摘のとおり、このイノベーション構想についてでありますけれども、福島県は現在、福島イノベーション・コースト構想の農林水産プロジェクトに水稲超省力・大規模生産、作業支援、水産研究拠点施設等の八つのプロジェクトを位置付けているところでございます。  農林水産省におきましては、これらのプロジェクトの実現のために、平成二十八年度予算におきまして、トラクターの自動走行技術、のり面用除草ロボット、農業用アシストスーツ、苗木植栽ロボットの研究開発及び現地実証、さらには、放射性物質に関連する研究や水産業の復興に資する研究を行う水産試験研究施設の調査及び設計に要する経費を計上しているところでございます。  今後とも、県や地元の市町村等と連携をしつつ、これらの取組を着実に推進していくことにより、プロジェクトの実現に向けて支援してまいります。
  147. 平木大作

    ○平木大作君 なかなか農林水産業プロジェクトがまだ余り姿が見えないなと思うのは、一つは、福島イノベーション・コースト構想、いろいろな取組があるんですけれども、その中でも、今御紹介いただいたこの農林水産業のプロジェクトは、基本は県が主管するということになっております。そういう意味で、まだ準備段階のものも多いというふうに伺っているんですが、是非ともこれ、やっぱり担い手の方にどう戻っていただけるかということを考えたときに、本当にこれは県だけでやれと言われてもなかなか難しい。国も本当にできることを全力でサポートしていただきたいなと思っております。  これ、地元で元々農業をやられていた方とか、例えば、風評被害が残っている中においては、なかなか口に入れるものをもう一回作っても受け入れてもらえないんじゃないかみたいなやっぱり葛藤があるわけですね。その中で、でも、福島でもう一回やっぱり農業をやりたいということで、例えばオーガニックコットンを今一生懸命生産されているところですとか、そういう思いを持った方たちがたくさんいらっしゃるわけでありますので、そういう方たちに是非寄り添ったイノベーション・コースト構想にしていただきたいと強くお願いしたいと思います。  続きまして、農業の体質強化について何点かお伺いをしていきたいというふうに思います。  昨年のこの委員会におきましても、これから未来の農業を考えていったときに、担い手がどうしてもどんどん減っていっている、あるいは高齢化しているという現状を踏まえた中で、例えば全国平均で一人当たり十ヘクタールとか二十ヘクタールとか、大きな農地をやっていかなきゃいけないんだという話が出たときに、そんなのできるんですかという話が何度か議論されたわけであります。  これ多分、現状の延長線上で何%ずつ生産性を上げてきましたみたいなところの将来にやっぱりなかなかないと思っておりまして、ある意味、生産性をぎゅっと引き上げるような大きなジャンプがないと、なかなか日本農業というのは未来、将来像が描きにくい今状況にあるんだろうと思っています。  その中で、私は、例えばICT技術の活用ですとかロボット技術ですとか、こういったものってやっぱり大きな力になる、是非これを活用していかなきゃいけないなという思いでおりまして、昨年の十月、福井県福井市で行われておりますICTを活用したロボットトラクターの実証実験、私も足を運んで見てまいりました。すごく期待して行ったんですけれども、若干違和感を抱えて実は帰ってまいりました。  このロボットトラクター自体は、GPSを活用してタブレット端末で手元で操作をしながら遠隔操作で無人で動作させることができるんですけれども、実はどういうふうに使うかという立て付けは、あくまでも一人まずトラクターに乗り込んでいて、人が乗っているトラクターに伴走する形で無人のトラクターが、ある意味一人で二台を操っているというような形で基本的に使うことを想定されておりまして、それを見て、これで作業時間が三〇%短縮されますみたいな説明を受けたんですけれども、こうじゃないんじゃないかと。現場からもそれを是非早く実用化してほしいという声をいただいて、どうしてですかというふうにお伺いしたら、これでトラクターの操作に不慣れな人を一人乗っけておくことが必要になるから、地元に若者向けの雇用も生まれるみたいな話があったんですね。そうすると、一体これ何のためにやっているのかなという話にやっぱりなってしまう。  私も、このロボットトラクターの開発をされた方がいらしたので、ちょっと違うんじゃないですかと、もっと今見えている技術力を使えば、完全無人化みたいなものも含めてこれ実証実験をここで本当はやるべきじゃないんですかというふうにお伺いをしましたら、一言言われましたのが、それは政治で決めていただかないと私たちにはどうにもなりませんという答えでございました。  その意味で、改めて、実は先日、三月四日に行われました官民対話におきまして、安倍総理から、無人自動走行トラクターのシステムを二〇二〇年に実用化するんだという方針が示されました。ああようやく出たなと、政治が決めたんだなというふうに私は心強く思ったわけですが、この取組の意義、そして二〇二〇年というのはもう結構すぐやってまいりますので、ここに向けたスケジュール、もし見えているようでしたら御紹介いただきたいと思います。
  148. 西郷正道

    政府参考人(西郷正道君) 御指摘の衛星測位システムを活用いたしました農業機械の自動走行技術は、運転支援装置といたしましてもこれは既に実用化されておりまして、作業の効率化だとか、御指摘のあったように、経験がない方でも精度の高い作業ができる技術として生産現場で活用されているところでございます。  こうした技術を生かしまして無人走行などに取り組むことによりまして、更に大幅な作業の省力化、効率化を実現することが期待されておりますが、その一方で、今後、技術面や安全面で解決すべき課題が残されているところでございます。  一方、御指摘のとおり、三月四日に開催されました未来投資に向けた官民対話におきましては、総理から御指示をいただきました。これを踏まえまして、運転支援装置の普及に努めるとともに、まずは二〇一八年までに有人監視下での自動走行システムの市販化に向けて安全性確保のガイドラインの策定などを進めますとともに、二〇二〇年までに遠隔監視による無人走行の実現に向けて研究開発による技術の確立などに取り組んでまいりたいと存じているところでございます。
  149. 平木大作

    ○平木大作君 これ、是非二〇二〇年までに、公道においていわゆる自動車の自動走行みたいなところはもうあったわけでありまして、ある意味ようやくそこに少し肩を並べるという話なのかなと思っております。当然、これは、安全面というのは二重三重に検証していただかなければなりませんので、そこに慎重に慎重を期していただきたいということは当然でありますけれども、二〇二〇年のこの実用化に向けて是非これ全力で取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。  次に、一つちょっと別のトピックになるんですが、昨年の六月、千葉大発の植物工場ベンチャーである株式会社みらいが民事再生法の適用を申し立てて倒産をいたしました。ちょっと名前がややこしいんですけれども、まさに未来の農業の代表例ともてはやされた植物工場なわけでありますけれども、現在、実は国内で稼働するプラント、植物工場に関しては四分の三ぐらいが赤字というふうにも言われておりまして、ちょっと最近経営がうまくいっていないところも幾つか出てきているというふうにお伺いをしております。  私も以前、柏にある株式会社みらいの植物工場を訪ねまして、現地で、今は注文、引き合いが結構たくさんいただいていますよという話ですとか、海外でも展開しているんですと、あるいはこのプラントごとシステムで輸出するんですというようなすごく前向きなお話を伺って、本当にこれはすばらしい取組だなとお伺いしていただけに、ちょっと残念な思いがいたしたわけであります。この株式会社みらい自体は今また新しい方たちに事業承継して再度チャレンジを続けられているようでありますけれども、この取組、今回は倒産してしまったということだったわけでありますけれども。  改めて今、政府として、農林水産省として、農業の支援にどう取り組むのか。当然、まずはつくるという本丸のところ、生産するというところをしっかり支えていただいているわけですが、同時に、昨今は、しっかりと経営力を向上させようと。例えばマーケティングの考え方ってもっともっと入れていこうじゃないかですとか、あるいはコスト低減のためにしっかりと生産管理していこうと。こういう経営力を付けるというところに今一生懸命力をある意味尽くしていただいておりまして、私は、この方向性は本当に大事だなというふうに思っているわけであります。  しかし、今回のみらいの倒産って何で起きちゃったのかなということをつぶさに見ていきますと、結局のところ、注文はあったわけですね。マーケティングみたいな、あらかじめ例えば売る先を見付けるだとかそういうことは割とできていた。ですけれども、ある意味、身の丈に合わないようなちょっと過剰な設備投資、工場二軒ぐらいぼんぼんと大きなものを造ってしまいまして、しかも補助金を入れて造っちゃったんですけれども、そうやって最終的には予定していた生産量が実は工場の中で確保できないで、ある意味、売り先はあったんだけれども、売るものが作れなかったのでキャッシュがショートして倒産してしまったということでありまして、これ、本当にベンチャー企業が一般に抱える実は経営上のつまずきの代表的な倒産の仕方でございます。  そういう意味では、今まさにマーケティングですとか生産管理ですとか、様々経営力強化の取組をしていただいているんですが、特にスタートアップ、こういうところに対する支援って実はまだまだ薄いんじゃないかなというふうに思っております。こういう創業期特有の経営課題への取組、支援ですとか、スタートアップへの支援、これをもっと充実していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  150. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) ちょっと十分なお答えになるかどうか分かりませんけれども農業ベンチャーを含めまして、新規に事業を開始するという場合には、やはり必要な事業資金が円滑に融通されることが重要であるというふうに考えております。  ベンチャーと言われる法人企業の中にもいろいろなタイプのところがあると考えられますので、一概には言えませんけれども、条件を満たせば日本政策公庫のスーパーL資金あるいは農林漁業施設資金等の長期低利の資金が可能でございます。それから、アグリビジネス投資育成株式会社、こういった農業法人に対する投資の制度、これもかなり充実をしておりますので、こういったところも利用することが可能だと思います。  こういった投資あるいは融資、こういったものを受ける場合には、当然、審査過程で投資規模が過大ではないかとか資材の調達が合理的かとか、いろんな形の事業計画の妥当性の審査が行われるということになるというふうに考えております。  それから、日本政策金融公庫では、農業経営アドバイザーという制度をつくっておりまして、これは経営改善に必要なノウハウを持つ金融機関の職員、必ずしも公庫だけではなくて、一般の民間金融機関、農協も含めて、こういった金融機関の職員の方ですとか、あるいは税理士の方、公認会計士の方、こういった方々にいろいろ研修も受けていただいて、農業経営アドバイザーとして就業していただいております。これが全国で合計で現在三千五百七十四人、アドバイザーの方がいらっしゃいまして、この方々は、必ずしも資金調達の場合だけではなくても、経営上の様々な相談に対応していただいているというふうに承知をしております。  今後とも、意欲のある農業者が更なる経営安定化を図ることができるように、それぞれの農業者の方のニーズに応じて適切な経営支援が行われるように配慮してまいりたいと考えております。
  151. 平木大作

    ○平木大作君 既存の制度も今御答弁いただいたようにしっかり活用していただきたいんですけれども、改めて、やっぱりスタートアップ特有の経営課題に対する支援というのは結構実は特殊なものでありまして、例えば今申し上げた例みたいに、もう売るという契約自体は成り立っているんだと、あともうちょっと大きくなるまで、ある意味資金繰りさえ付けば倒産しないで済んだみたいなことがやっぱりあり得るわけですね。ここを是非注目していただいて、メニュー、更に更に充実していただきたいなと思うんです。  例えばですけれども、私、みらいの倒産を受けて、例えば農業版のビジネスプランコンテストみたいなのってどのくらい行われているのかなと思ってざくっと調べてみると、いろんなところで実は小規模に行われているんですね。  プランコンテスト、新しいアグリビジネスみたいなものを提案して、賞金が三十万円から多くて百万円ぐらいなのかなというふうに何となく感覚としてはつかんだんですけれども、確かにスタートアップするために最初の資金は必要だ。でも、その先ってやっぱり必要かなと思っていまして、一般的なビジネスプランコンテストでも、最近ではいわゆるシードマネー、最初の投資のためのお金を用意しますよということと同時に、例えば手を挙げたところ全部に経営の細かいところまで支援の手というのはやっぱりなかなか難しい、資源が限られているわけですから難しいんですけれども、まさにこういう優勝したところに、こういうスタートアップの企業を支援してきたという方を例えばアドバイザーとして一年とか二年とか見ていただくとか、そういうことを例えば賞金だけじゃなくてセットにするだけで、実は結構いろんな芽って出てくるんじゃないかなというふうに思っております。  こういう形で、必ずしもお金をたくさん積めばということではなくて、まさにコンテストを勝ち抜いた方にはそういう特典を付けるみたいな、そんな工夫もできるんじゃないかなということを少し申し述べさせていただきたいと思います。  今回の植物工場の件を見て改めて私感じましたのが、やっぱり新しい試みというのはまだまだ分からないことだらけなんだなということだと思うんですね。  植物工場というのは、結局、閉鎖した空間の中で光の量だとか水の量だとか温度だとか湿度とか全部管理して、大体何日後ぐらいに芽が吹いて、いつぐらいに収穫できてということが、まさに外の天候と関係なく切り離して管理できるという、そこが一番のポイントのはずなわけですけれども、結局、今回の倒産の例を見ても、予定どおりにはやっぱり作物は育たなかったということでありまして、まさに今回の、でも、失敗をもって植物工場はやっぱり駄目だということじゃなくて、この失敗をしっかり、データもありますし、今回の経験もありますし、こういったものにまた新しい知恵をしっかりと注ぎ込んで次に生かしていくということがやっぱり何よりも大事なのかなというふうに思っております。  この中において、今後のいわゆる産学連携の在り方、ここについて、今の見えている方向性についてお示しいただけたらと思います。
  152. 西郷正道

    政府参考人(西郷正道君) 御指摘のとおり、農林水産と食品分野のイノベーションを進めるというためには、今御指摘のあった、過去の失敗事例などを踏まえまして、最先端のアイデアとか技術を取り入れて革新的な研究成果を生み出して、それを利用していくといった新たな仕組みづくりが必要というふうに考えてございます。  このため、産学官が様々な知、知識を集積して、連携して研究開発に取り組む場をつくるといったことに向けまして、食品産業の方、生産者、大学等、多様な主体による協議会を立ち上げるということを準備しております。平成二十八年度予算におきましては、幾つかのテーマごとの、研究開発プラットホームと呼んでございます、いろんな方にお集まりいただいて、そういった方の形成を支援していく、そういったプラットホームの形成を支援するために約二十億円を計上しているところでございます。  こうした新たな仕組みを早急に具体化いたしまして、我が国農林水産・食品産業のイノベーションの創出促進に努めてまいりたいと思います。
  153. 平木大作

    ○平木大作君 この植物工場もそうなんですけれども、例えばオランダで確立されたものを日本にそのまま持ってきてもやっぱり駄目なんだなというところからスタートされた。その試行錯誤の中で、幾つか今失敗例もあるかもしれませんが、必ずこれ糧になるというか、この失敗の分、データも経験も次に生かして、是非、今度、日本発の植物工場二・〇みたいな新しいモデル、これつくっていただきたいと思います。  ちょっと時間が押してまいりました。輸出の促進についてもちょっとお伺いをしていきたいというふうに思います。  昨年の農林水産物あるいは食品の輸出額、七千四百五十二億円と中間目標を大きく超えて、一兆円というものの前倒しも見えてきた。これも所信の中でおっしゃっていただいたわけでありますが、この点について、改めてゴールが見えてきた段階でやっぱり現状をしっかり見直すということも大事だなというふうに思っております。  これまでの額だけ見ていけば順調な推移に映るわけでありますけれども、例えば輸出が増えているのは、実はほとんどが円安の効果なんじゃないか、いわゆる戦略によるんじゃなくて為替なんじゃないかみたいなことをおっしゃる方もいらっしゃる。あるいは、輸出先が大分偏っている、アジアに偏ってしまっているんじゃないかとか、あるいは国内の地域間で、まだまだ日本の中である意味競争してしまっているようなところもあるんじゃないかと、こういう指摘もあるわけでありますが、目標達成に向けて、今後何に、どういったところに注力をされていくのか。また改めて、もうこの時期に私は一兆円の次みたいなことも検討を始めていいんじゃないかと思うんですが、その点、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  154. 齋藤健

    ○副大臣齋藤健君) 午前中も中泉議員始め御指摘がありましたけど、これから人口が減っていく中で国内のマーケットは縮小せざるを得ないということでありますので、これから海外のマーケットを取りに行く輸出というものがこれからの農林水産業の発展にとって極めて大事だということで、今一生懸命取り組んでいるところでありますが、今委員の御指摘のように、様々な課題があるのも事実でございます。  輸出については、平成二十五年に初めて国別、品目別の戦略を定めて、各産地や官民の主体が連携をしてオールジャパンの体制で今取り組んでいるところでございます。その結果、輸出が伸びてきているというのは委員指摘のとおりであります。  今後のことでありますが、今一兆円の先も見据えた検討のお話がありましたけれども、まずは二〇二〇年の一兆円の目標の前倒し達成ということを目指して全力を挙げていくのが筋だろうと思っておりますし、具体的には、TPP交渉の合意を受けて策定させていただきました政策大綱に基づきまして、米、牛肉、青果物、水産物等の重点品目ごとの輸出促進対策の推進ですとか、検疫手続の円滑化など輸出阻害要因の解消ですとか、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売の促進ですとか、さらには地理的表示の活用等によるブランド化の推進ですとか、様々なことをやっていかなくちゃいけないというふうに考えております。  政府において、関係閣僚と有識者から成ります輸出力強化ワーキンググループを設置いたしまして、戦略的な輸出体制の整備を含めて更なる輸出促進に向けた議論が今行われているところでございます。本ワーキンググループにおいて、供給サイドだけではなくて、海外市場のニーズの把握や販路の開拓をどうするか、あるいは流通業者等と生産サイドとの連携をどうするか、物流をどうするかなどなどにつきまして議論がなされているところでございます。  こうした議論も踏まえつつ、あらゆる政策を動員いたしまして、関係省庁、関係団体、民間企業等と連携しまして、更なる輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
  155. 平木大作

    ○平木大作君 もう時間が押してまいりましたので、ちょっと最後のポイントに触れながら次の問いに行きたいんですが、今、まさに流通ですとか輸送ですとか、そういったところとも連携してというお話がありました。  私、この一兆円という目標は本当に明るいすばらしい目標で、必ずこれを達成しなきゃいけないと思うんですが、一方で、輸出額はどんどん伸びているんだけれども、結局、生産者の所得が上がっていないんじゃないかというやっぱり御指摘があるわけであります。  報道の中ではすごくすばらしい例、例えばリンゴが一個千円で飛ぶように売れているみたいな話を聞くとわくわくするんですけれども、例えばその輸送の部分だとか流通の部分で実は大分マージンが抜かれていて、生産者のところには全然変わらない、国内で売っているのと変わらない分しか残らないんじゃないかと、こんな指摘もあるわけでありまして、この状況を政府として今どのように認識されているのか、どう取り組まれるのかについて最後お伺いしたいと思います。
  156. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 先生御指摘のとおり、農林水産物・食品の輸出額が農家の所得にどのように寄与するかというのを統計的に把握することは結構難しい問題であることは御理解いただきたいと思いますが、ただし、事例的に一つ一つ追いかけている部分がございます。  例えば、イチゴ等の青果物でございますが、輸出相手先国の価格が日本の二倍以上になっているにもかかわらず、農家の出荷額は国内に販売するのと同程度という事例が散見されておりますが、これは、輸出先国におけるマージン等の諸経費が相当程度に上っているという具合に見られているためと思っております。  これらの事例を踏まえまして、物流費を含めました諸経費を低減させつつ、それによる効果が適正に生産者に還元される仕組みを構築することが重要だと考えております。  午前中、大臣の方から御紹介ございましたけれども、シンガポールにおけるイチゴの例でございますけれども、これは、宅配予約販売方式によりまして流通コストを削減し、イチゴの店頭販売価格を半分以下にした反面、農家の生産者の手取りが二〇%ほど増加しております。  こういった取組も非常に注目しているところでございまして、今後の輸出促進におきましては、このような成功事例を横展開し、他の品目や国に広めていくとともに、輸出による農家の所得向上につなげることが政府としてどういう支援ができるか、更に検討を深めてまいりたいと思っております。
  157. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございました。  最終的に、まさに流通の部分ですとか、売るという部分ですとか、そういったところ、今事例で研究されているというお答えがありましたけれども、これ是非、より細かく見ていっていただきたいと。大きなロットを確保することによってやっぱり圧縮できる部分って当然ありますし、私、最終的には生産者が末端のいわゆる海外で売っているときの価格決定にやっぱり携われる、関与できるというところが一番大事だと思っていますので、そこを全力で取り組んでいただきたいと思います。  ちょっと済みません、たくさん質問を残してしまいましたが、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  158. 若林健太

    委員長若林健太君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、熊谷大君委員を辞任され、その補欠として吉川ゆうみ君が選任されました。     ─────────────
  159. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  明日三月十一日は、東日本大震災、原発事故から五年目を迎えます。震災で亡くなられた方に改めてお見舞いを申し上げるとともに、復旧復興のために日々奮闘されている関係者皆さんに心から敬意を申し上げたいと思います。  まず、農業についてお聞きします。  津波で大きな被害が発生した仙台市の東部、あるいは冠水で大きな被害を受けた特産イチゴの「もういっこ」という、もう一個食べたくなるから「もういっこ」という命名をしたという亘理町、それから、放射能汚染で肉牛を出荷できなくなった奥州市とかいうところで農家皆さんの苦しみにも接してきましたし、復旧事業が終わって作付けの喜びを本当に語っておられる農家の方にも接してきました。それから、福島原発事故によって大きな被害を受けた福島では、人類が経験したこともない本当に困難な中で農業の再建に取り組む農業関係者の方の努力も見てきました。  大臣は、所信で、東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題です、私も復興大臣であるとの覚悟の下、将来を見据えた農林水産業の復興に取り組みますと述べられました。  復旧復興の現状をつかんで農林漁業者に寄り添い、従来の枠にとらわれない支援が政治に求められているというふうに思うんですけれども、ちょっと通告していなかったんですけれども、まず大臣の御認識を伺いたいと思います。
  160. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 被災地を訪れますたびに、やはり福島ではまだ特別なことを感じますし、また宮城にいたしましても岩手にいたしましても、いろんな地域で想像に絶する被害だったんだなというふうに思っております。  農地の復旧につきましても随分進んでまいりましたし、また漁港の整備についても幾らか進んでまいりましたけれども、ここに戻ってきていただいて再生産にどう励んでいただけるかということが今からの大変大事な課題だろうというふうに思っております。  そのためには、今までのことに余りとらわれないで政策を考えるということは大事な視点ではないかなというふうに思っておりまして、今からどういうことが創造できるかということすら考えが及ばないところでありますけれども、その局面局面で現場の皆さんの御意見も聞かせていただいて、自治体と一緒になって復興復旧に努めさせていただきたい、創生に努めさせていただきたいと、そう考えております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 原発事故、原子力災害から五年、この間、本当に様々なことがあったと思います。やっぱり今まで行ってきた施策の在り方をしっかりと必要な見直しをしていく、検証する、見直しをするということが求められていると思うんです。  そこで、原発事故による農業被害についてなんですが、原発事故によって放射性物質がどこに飛散したのか、拡散したのか、汚染の広がりを測定をし、汚染マップを作成して公表するということや、除染が必要なんですけれども、どこまで進んだのか、農林水産省と環境省、現状を簡潔にお答えいただきたいと思います。
  162. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 福島第一原発の放射能放出による汚染状況の把握に今しっかりと努めているところでありますが、農地につきましては、平成二十三年度以降、毎年モニタリング結果を公表させていただいております。また、平成二十六年度は、福島県内の四百十七地点を調査をさせていただきまして、水田は前年より約一〇%の濃度の低下が認められたところでございます。  森林につきましては、空間線量率は徐々に低下してきており、平成二十六年度では森林の調査地点の九割において、県が伐採、搬出を可能としている毎時〇・五マイクロシーベルト以下となっている状況であると承知をしております。  また、農業用水につきましては、平成二十六年度に福島県内の約二千六百か所のため池の水質調査を実施をさせていただきまして、避難指示区域外では放射能セシウムはほとんど検出をされなくなりました。  引き続き汚染状態の把握を行うということは大事なことでございますので、その結果も引き続き広く広報をさせていただき、情報提供してまいりたいと考えております。
  163. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) 環境省から除染の進捗状況についてお答えいたします。環境省では農地あるいは生活圏の森林、宅地といった分類で集計しておりますので、農地及び森林の除染実施計画に対する進捗率としてお答えいたします。  環境省が直接、直轄で除染を行っております除染特別地域につきましては、二月十五日現在の除染の進捗率は、農地が五六%、森林が八五%となっております。また、市町村が除染を行っております汚染状況重点調査地域につきましては、福島県内の一月末の時点の除染の進捗率は、農地が八三%、森林が五五%となっております。また、福島県以外の県では、昨年十二月末の時点で農地、森林とも終了しております。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 森林・林業についてもお聞きしたいと思うんですけれども、昨年十二月に環境省は、生活圏から二十メートルの範囲と日常的に人の出入りがあるキャンプ場などを除いて除染しない方針を固めたことから、福島県や農林漁業者から、政府はなぜ山の問題を放置し続けるのかと怒りの声が噴出しました。  環境省に伺いますけれども、この除染方針を見直すべきではありませんか。
  165. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) 森林の除染についてお答えいたします。  昨日、九日でございますけれども、福島の森林・林業再生のための関係省庁プロジェクトチームを開催いたしまして、復興庁、農林水産省とともに、除染以外の取組も含めまして、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組を取りまとめたところでございます。  環境省といたしましては、この総合的な取組に基づきまして、住居等の周辺に加え、里山等の森林内の日常的に人が立ち入る場所について、地元の具体的な御要望や現場の状況を勘案しながら適切に除染を実施してまいります。これまで、日常的に人が立ち入る森林の除染の対象としましてはキャンプ場やほだ場などをお示ししてきたところでございますけれども、散策道、林道、休憩所、広場、駐車場なども含め、地元の御要望をよくお聞きした上で、対象範囲や実施方法などを検討して、適切に除染を実施していきたいと考えております。
  166. 紙智子

    ○紙智子君 今の御発言は、困難だということで今まで区切っていたところを除染区域を広げるということで確認をしてよろしいでしょうか。  そして、今ずっといろいろおっしゃったんですけれども、例えば落ち葉の除去だとか、あるいは放射線量のマップの作成とか、間伐なんかも含めてやるということで確認してよろしいでしょうか。
  167. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) 森林の問題につきましては、昨日のプロジェクトチームで、除染だけではなくて、放射線対策と林業再生を一体とした形で総合的に進めるということになっております。  このため、環境省では可能なところの除染を、それから林野庁さんでは森林再生という形で連携して取り組んでいきたいと思います。また、里山を対象としたモデル事業も実施していきたいと考えております。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 区域もそれでは今までよりも広げてということではあるわけですよね。
  169. 早水輝好

    政府参考人(早水輝好君) お答えいたします。  先ほどもお答えしましたように、いろいろ御指摘をいただきましたので、日常的に人が立ち入る里山道などの場所につきまして、地元の御要望もお聞きしながら対応してまいりたいと思っておりますし、今までの例示を増やす、あるいは自治体の御意見をよく聞くということで、実質的に広がっているというふうに考えております。
  170. 紙智子

    ○紙智子君 生活再建、林業の復興に直結する問題だと思うんですね。現場の声に応えてやっぱり方針を見直されたというふうに理解をしています。引き続き現場の声に寄り添った対策をお願いしたいと思います。  現場の要望に敏感に丁寧に対応するということは、これは福島の復興のためにますます大切になると思います。  そこで、農林業に従事する農林業者が外部被曝を防護する対策や健康管理が必要です。農林水産省は、住居制限区域あるいは帰還困難区域以外の地域は特別な線量管理をしなくても農作業に従事することは可能だと言っています。また、政府は、来年三月には年間で二十ミリシーベルト以下の区域は帰還させると言っているわけです。  しかし、本当に安心して田んぼや山に入れるのかと。畑作では舞い上がった土を吸うこともありますし、それから、農家が不安を抱えているときに対策を国に要請しても、これまででいえば、例えば環境省は、健康管理というのは福島県がやっているからそちらで聞いてくれと、対応してもらってくれと言うし、じゃ、厚生労働省はというと、厚生労働省は、労働者だったら所管するけれども農家は対象じゃないというふうに言って引き取らないと。五年もそういう状況がずっと続いてきているわけですよね。  やっぱり第一次産業の所管である農林水産省が真剣にそういう不安の声に耳を傾けて健康管理への支援を検討する必要があるというふうに思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  171. 森山裕

    国務大臣森山裕君) お答えいたします。  現在、居住制限区域や帰還困難区域以外の地域においては、特別な線量管理を行うことなく営農に取り組んでいただける状況にあると認識をしております。  一方、不安を持っておられる農業者がおられることも踏まえ、農林水産省では、これまで現場の声を聞きつつ労働安全の確保のために必要な情報を盛り込んだ農業生産工程管理、GAPの導入を進めてきたところであります。また、これに加え、被曝に関する知識を普及する観点から、有識者による健康講座の開催、農作業に当たり放射線の影響を減らすために注意すべき事項を盛り込んだチラシの配布等の取組を支援をしてきたところでございます。  平成二十八年度におきましても、このような取組を継続して行うことが重要だと考えておりまして、現場の要望も踏まえ、引き続き農業者皆さんの不安の払拭には努めてまいりたいと考えております。
  172. 紙智子

    ○紙智子君 今大臣紹介された農業生産工程管理、GAPですね。これは、実は自己管理が基本なわけですよね。だから、自営業でやっておられる農家皆さんは自分でやってくださいという話なわけですよね。  政府は、二〇一七年の三月に、避難指示解除の準備区域、それから居住制限区域については避難指示を解除する方針を打ち出していますけれども、放射能に対する不安にも応えるべきだと思うんですね。ふるさとが大切だと思うのは、誰でもそう思うわけです、私たちも同じだと。しかし、郷土愛だけでは本当に帰りたくても帰れないという現実があるわけですよね。この現実をしっかり見据えて、もう一歩踏み込んで是非対応していただきたいということを強く求めておきたいと思います。  それで、次に漁業、水産業なんですけれども、大震災で家族を奪われて、家屋、それから漁港や市場、漁船、水産加工場、漁協の施設というのは壊滅的な被害を受けました。漁業者は、船があれば漁は再開できるというふうに訴えて、国や全国からの支援、後押しで漁業を再開しました。  岩手県や宮城では、一部を除いて復旧復興が進みました。引き続き復旧を進めることが大切だと思いますけれども、同時に、被災地では、現在の漁業の水準をどう維持するかということが非常に課題になっているわけです。その鍵を握るのは、やっぱり担い手づくりというふうに思うんですね。  水産庁が行っている青年就業準備給付金というのは、これ、漁家の後継者というのは認められていませんよね、今。新規就農者というのも大事なんだけれども、やっぱり漁村に戻ってくる可能性が高い後継者こそ支援を欲しいと。うちの息子に戻ってきてもらってやるのはどうしてできないのかという声もたくさん寄せられているわけなんです。岩手県の沿岸部の市町村では支援が行われているというふうにも聞いています。国の支援を是非拡充すべきではないかというふうに思うんです。これがまず一点。  それから、岩手県の沿岸の漁業、とりわけ小型漁船漁業では生活できない状況があるということを聞いています。漁で生活が成り立つように支援すべきだというふうに思いますけれども、この二点についてお答えをお願いします。
  173. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 漁業就業人口の減少する中で、漁村の内外を問わず、漁業の担い手を確保していくことは大変重要な課題であると考えております。このため、漁業の新規就業者に対しましては、漁業学校等で学ぶ若者に対する就業準備資金の給付、漁業現場での長期研修に対する支援を実施してきております。本事業は、漁家子弟であっても、親元などから離れて就業する場合は支援の対象としております。なお、これらの支援は、限られた財源の中で効果的な新規就業者を確保することが重要であり、経営基盤を有している親元に就業する場合は対象外としているところでございます。  あと、岩手県の漁業の在り方につきましては今お話を承りましたので、どういう対応ができるか検討させていただきたいと思います。
  174. 紙智子

    ○紙智子君 担い手の問題は、これずっと長い間壁になっていまして、たくさん要求はあるんだけれども、やっぱりそこのところで今までも抑えられてきているんですけれども、実際の現場の実態を見れば、担い手がたくさん余っているわけじゃなくて、足りない、不足しているという現実があるわけですから、やっぱりそこのところを見れば、即効性のある支援策が必要だというふうに思います。  それから、福島の漁業については、宮城、岩手とは異なりますよね。福島県は原発災害への対応が第一で、水産業の本格的な復興というのができていないと。それで、原発で、建屋の中はいまだ高レベルの汚染が続いていますし、非常に危険な状態です。汚染水が増え続けていると。福島第一原発は、まあ言ってみれば綱渡り状態というか、今もそうだと思うんですね。そういう状態じゃないかというふうに思うんですけれども、このことについての大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  175. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 福島の漁業振興のためには、二十キロ圏内をどうするかという課題が一番大きな課題ではないかと考えております。この取扱いにつきましては非常に慎重な取扱いが必要でございますので、地元の自治体とも、また漁業者の関係団体の皆さんともよく協議をさせていただきたい、そしてまた、関係省庁とも連携した取組をさせていただきたいと考えております。
  176. 紙智子

    ○紙智子君 とてもコントロールされているような状況だというように言える状況じゃないというように思うんですね。復興の道筋を示して、やっぱり福島の漁業を再建するための特別の手当てが必要だと思います。もう五年間漁をできないままの人たちも、本当に苦しみを抱えながらやっているということになっていますから、是非そこのところも特別の手だてということを考えていただきたいということを申し上げておきます。  それから次に、TPPです。三月七日の予算委員会で私取り上げましたTPPにおける農林水産物の影響試算についてお聞きします。  アメリカは、二月五日の署名から百五日以内にアメリカの国際貿易委員会が経済効果分析、評価書を公表します。日本は、署名する前、調印もしていないのに農林水産物の影響試算を出しました。アメリカは百日掛けて第三者機関が影響評価を出すといいますから、日本が客観的な試算というふうに言えるのかどうかということも問われてくると思います。  内閣府はGTAPモデルを使って経済効果を発表しましたけれども、なぜ農林水産物はGTAPモデルを使って試算しないのでしょうか。
  177. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答えいたします。  GTAPは応用一般均衡モデルと呼ばれているものでございまして、基本は価格メカニズムで経済のシミュレーションを行うものでございます。  我が国農林水産物につきましては、農地に係る用途などの様々な制約、国家貿易制度、生産流通管理などの様々な政策的要因に影響を受けること、また、個別品目それぞれについて生産流通の実態などを十分に踏まえる必要があることなど、生産に関して価格以外の要素にも大きく影響を受けることから、三年前の政府統一試算におきまして、農産品については農林水産省において試算をしたというところでございます。  今回の経済効果分析におきましても、三年前と同じ理由で同様の対応をしたものでございます。
  178. 紙智子

    ○紙智子君 一度やってみてほしいなと実は思うんです。それで出してみてほしいなというふうに思います。  それで、大臣にお聞きしますけれども、このFTAの影響評価をGTAPモデルで試算した場合に、日本の米や砂糖などの生産量が減少するという指摘もあるんですよね。農水省の試算では生産量は減らないというふうに発表しているので、その根拠が崩れることを避けたんじゃないのかなと。内閣府は経済効果をGDPで十四兆円だということで試算しましたけれども農林水産省の試算とこれ整合性が取れたものじゃないんじゃないかと。いかがでしょうか。
  179. 若林健太

  180. 紙智子

    ○紙智子君 これは大臣に聞きました。農林水産省との整合性だから。
  181. 森山裕

    国務大臣森山裕君) それではお答えいたします。  内閣官房が実施したモデルによる評価結果は、TPPが我が国経済全体に与える効果を分析したものであります。  その際、農林水産物につきましては、国家貿易等通常の関税と異なる複雑な国境措置があることから、その影響については、農林水産省において示した個別品目ごとの生産流通の実態等を基に精査し、積み上げた生産量の見込みをGTAPモデルに組み入れて試算をしたと承知をしております。
  182. 紙智子

    ○紙智子君 様々なやり方もあるんだというふうに聞いていますので、是非いろんなやり方をしていただきたいなと思うんです。  次に、予算委員会でお聞きした牛肉、豚肉の調製品の試算についてお聞きします。  私は、牛肉、豚肉の調製品の数量を農林水産統計を使って紹介をしました、先日ですね。農林水産省からその後、統計上、調製品と輸入肉の区別が不明確だ、明確になっていなかったんだということで説明がされました。しかし、それにしても、新たに聞いた数字で見ても、豚肉でいうと二十三万トンが調製品ということですから、これは決して影響は小さくないというふうに思うんですね。  そこで確認したいんですけれども農林水産省の試算で、牛肉の生産減少額は三百十一億円から六百二十五億円、豚肉は約百六十九億円から三百三十二億円というふうになっています。農家の所得は確保されて、国内生産量は維持されるとしているわけですね。この試算に牛肉、豚肉の調製品は入っているのでしょうか。
  183. 森山裕

    国務大臣森山裕君) お答えいたします。  牛肉、豚肉の調製品については、ビーフカレー、ビーフジャーキー等の牛肉調製品は輸入量が約七千トンと、牛肉の輸入量五十二万トンに比べて僅かな量であります。また、ハム、ソーセージ等の豚肉調製品は、輸入が増えれば、輸入豚を使って国内で生産される国産の豚肉調製品の量が減り、輸入豚肉そのものの使用量が減少するという、輸入製品と輸入原料の置き換わりの関係にあるというふうに考えております。  このため、牛肉及び豚肉の調製品の関税撤廃の影響はいずれも限定的と考えられることから、牛肉及び豚肉の影響試算には含まなかったところでございます。
  184. 紙智子

    ○紙智子君 今そういうふうに大臣は答えた。要するに、影響が少ないという話で、試算には入れていないというわけですよね。  実は、予算委員会でもやりましたけれども、重要五品目の中の三割が関税撤廃になったと。その中のほとんど調製品というふうに私たちは思っているわけですけれども、そんなに小さな影響なのかと。これもやっぱり全部出すべきだというふうに思っております。  それで、影響は小さいから対象にしていないんだと言われるんだけれども、実は二〇一三年の十一月に決算委員会で、当時、農林水産大臣、林さんですか、林さんに私が、重要五品目のうち、加工品、調製品の関税を撤廃した場合にどのような影響が出るのかということで質問をしています。  そうしたら、加工品、調製品の関税が仮に一般論として撤廃された場合、国内市場において国産品が安価な輸入品に代替されることが考えられます、その結果、たとえ加工品、調製品以外の品目の関税が維持されたとしても、原料としてのこれらの品目の需要が減少するため、その生産が減少し、国内の農畜産業に影響が及ぶおそれがあるというふうに答弁していたわけですよ。山田俊男先生もこの質問を私の質問の前にしておられたと思うんですけれども、こういう答えをされていたわけですよ。  つまり、調製品以外の関税が維持されても、調製品の輸入が増えれば国内生産量が減少し、影響があるというふうに答えていたわけです。なぜ、輸入実績は少ないから影響がないなどと見解を変えたんでしょうか。
  185. 大澤誠

    政府参考人(大澤誠君) 今回、TPPにおきまして、重要五品目の中で関税を撤廃したラインというのは、最近、HSコードの転換に伴って数字を若干、結果が異なっておりますけれども、今百七十ラインでございますけれども、それぞれ調製品の全てを撤廃したわけではございません。  例えば米でいきますと、約二十四ラインが調製品等でございますけれども、撤廃したものは十五ライン、撤廃しなかったものは九ラインということで、非常に本体に近いものについては撤廃ではないという解決方法を取っているわけでございます。  そういうものでございまして、撤廃したものにつきましても、幾度か答弁させていただいておりますとおり、撤廃の影響が少ないものということを一つ一つ見ているわけでございますので、そういうものとして、今回撤廃したものも調製品全てではないということではないかと思っております。
  186. 紙智子

    ○紙智子君 予算委員会でもやったんですけれども、要するに、限られた品目で試算をしているんですよ。そこから外れているものについては分からないわけですよ、みんな。県独自にその範囲に入っていないものも含めて試算しているところありますけれども、長野県とかその他の県でもありますけれども、極めてそういう意味では大きな影響があるというふうに心配しているところ、多々あります。ミカンなんかもそうですね、和歌山なんかもそうですし。  私は、今の説明だけだったら全然分からないと。農産品で十九品目、林水産品で十四品目だけをやってきているわけだけれども、今回の影響試算で対象から外れている十九品目以外の品目も、調製品も全て影響試算をやるべきじゃないかと、そうやって試算をやり直すべきだと。それもやらないで、まだみんなが納得していないうちにどんどん進めていくということはやめるべきだと。ちゃんと出して、そしてやっぱり議論に掛けて国民の皆さんにもちゃんとお知らせをして進めなきゃ駄目だということを申し上げたいと思うんですけれども大臣、最後に一言お願いします。
  187. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 牛肉、豚肉を始めとした加工品や調製品の関税削減が国内の生産に与える影響は、どう考えても限定的だと考えております。  現在、公表している試算を見直すことは考えていないところでございます。
  188. 若林健太

    委員長若林健太君) 時間が来ていますので。
  189. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  今の答弁では全然納得できません。やっぱり全てやるべきだということをこれからも引き続き要求していきます。ということで、質問を終わります。
  190. 儀間光男

    ○儀間光男君 おおさか維新の会の儀間でございます。今日は七番、最終バッターでありますが、どうぞあと三十分、お付き合いをいただきたいと思います。  僕は、人のなりわいで偶然はないといつも思っているんですよ。必ず必然性がある、こう思っているんですね。何を言おうとしているかというと、農林水産大臣が山口の林から鹿児島の森と山に帰ってきた、受け継がれたということなんですね。このことは、日本人の氏の名の取り方が、日本の地形、地勢、形、こういうものから取っているからそうなるんですよ。だから、偶然じゃなしに必然。今日質問された人たち、皆田んぼや畑や木やということでありまして、それでしっかりと、森や山は林より広いわけですから、広い農政を期待したいと、こういうことを申し上げておきたいと思います。  通告はしておりませんが、今、タイムリーというか、トピックスなんで聞きたいんですが、一昨日ですか、内閣はTPPの全ての法案を閣議決定しましたね。それで国会へ送ってきましたが、一方見ると、アメリカは今ちょうど大統領選挙のさなかにあって、民主党、共和党、両方の有力候補者たちはそれぞれ皆TPP反対を公言しているわけですよ。アメリカが参加しないという前提があるかどうか分かりませんが、アメリカが参加しないTPPなんて、なかなかその目的達成を困難にする、極めて困難にする状況になると思うんですね。  そういう中で、私に言わせると、拙速に過ぎないかと、もう少しやはりアメリカの動きを見る。さらに、閣内、あるいは民間でもいいですから、TPPに対する、今、紙委員が言っていましたが、そういう審議ももっともっと深めてやるべきじゃなかったかなというようなことを思えてならぬですね。  そういうことで、何でこう早いんだろうと思って、これも邪推かもしれませんが、消費増税といい軽減税率といい、何かみんな先送りしそうな話ですが、総理はそう言っていませんが、このTPPの法案も、アメリカの十一月の大統領選挙をする前に日本で決めるというよりは、七月以降に先送りした方が七月の参議院選挙やりやすかったんじゃないのかなと思ったりして邪推しておるんですが、その部分は答えなくていいんですが、どうしてこう拙速と思われる部分になったんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  191. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 儀間議員にお答えをいたします。  アメリカでいろんな議論があることは承知をいたしておりますが、まず、アメリカか日本が参加をしなければTPPというのは成り立たない枠組みになっておりますので、日本とアメリカは何としても責任を持って大筋合意ができたわけでございますから、TPPに参加をするということが大事なことだと思っております。  また、大筋合意のできました閣僚会議でも、またその後行われましたASEANの首脳会議でも、関係国首脳会議でも、国内手続を進めるということが国際公約になっておりますので、その考え方の下で今お願いをしていることだと思います。  参議院選挙にどういう影響があるかということは、いろんな考え方があると思いますけれども、そういうことに関係なく、成長産業の一つの大事な武器だとしてTPPを捉えてきて今までみんなで努力をしてきたわけでございますので、法案を提出をさせていただいておりますので、できるだけ急いで御審議をいただき、御結論をいただきたいと、それが内閣の考え方であります。
  192. 儀間光男

    ○儀間光男君 余計なことを言いまして、ありがとうございました。TPPは政局にしないと、こういうことで信じていきたいと思っております。  さて、今日は、大臣の所信表明がありましたから、それを中心に少しく質問させていただきますが、まず政府は、平成三十七年までに食料の自給率、これを生産額ベースで七三%、カロリーベースで四五%に引き上げると、こういう算出をしておりますが、これの根拠となった式は何でしょうか、方程式は。
  193. 佐藤速水

    政府参考人佐藤速水君) 食料自給率目標につきましては、食料・農業・農村基本計画におきまして、主要品目ごとに一人一年当たりの消費量を基にいたしまして消費動向を見通しております。それとともに、趨勢ですとか政策効果を織り込んだ生産努力目標というのをお示しいたしまして、その品目ごとの努力目標の積み上げとして食料自給率目標を計算したところでございます。  具体的には、この生産努力目標ですが、小麦については平成二十五年に八十一万トン、これを平成三十七年に九十五万トンにする、大豆や野菜、飼料用米等々につきましても、平成三十七年にそれぞれ三十二万トン、一千三百九十五万トン、百十万トンに増やしていくと、こういうような努力目標を設定いたしました。  こういった主要個別品目の積み上げといたしまして、食料自給率目標をカロリーベースで四五%、生産額ベースで七三%というふうに設定をいたしたところでございます。
  194. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。確認の意味でさせていただきました。後で算出基準を取りたいと思います。  次に、食料の自給率、これはどうなんでしょう、取り組んで十年を過ぎたと思うんですが、十年前と現在とでこの自給率は上がったんでしょうか、下がったんでしょうか。お示しをいただきたいと思います。
  195. 齋藤健

    ○副大臣齋藤健君) 食料の自給率につきましては、少し前になりますが、昭和四十年度にはカロリーベースで七三%ございました。また、生産額ベースでも八六%でありました。  その後、食生活が随分変わってまいりまして、洋風化が進むですとか、そして自給率の高いお米の消費が残念ながら減ってくるという傾向が見られました。その一方で、餌ですとか原料を海外に依存している畜産物ですとか油脂類の消費が増大をしてくるという、そういう消費傾向の大きな変化がございました。そうした変化に、率直に申し上げまして、国内の生産の対応が追い付いてこれなかったという面が正直ございました。こうしたことを要因として長期的に低下傾向にあるんだろうと考えております。  今後は、昨年度策定した食料・農業・農村基本計画に基づきまして、国内外での国産農産物の消費拡大や食育の推進ですとか、飼料用米の推進や、消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大ですとか、優良農地の確保や担い手の育成の推進、こういった各種の施策を通じて何とか自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。
  196. 儀間光男

    ○儀間光男君 今お話があったように、米の消費量が毎年八万トンぐらい減ってきて、今八十万トン切るか切らないかということでございますけれども、米の消費量が減ると同時に食品嗜好も変わってきた、あるいは同時に人口も減少してきた。そんな中で生産を落としたということはどういうことなんでしょうね。需要が低くなっているのに生産も同時に落としていく、減反の影響かどうか分かりませんが、その辺ちょっと納得がいかぬのですが。需要が減れば、順調に生産しておれば自給率は上がっていっていいような、単純に思うんですが、その辺どうなんですか。
  197. 佐藤速水

    政府参考人佐藤速水君) お米の自給率について申し上げますと、昭和四十年当時、全体のカロリーベースの自給率は七三%でございましたが、この当時、米の自給率は一〇〇%でございました。それが、先生御指摘のとおり、米の一人当たりの消費量、生産量、減り続けまして、現在のところ、平成二十六年度では米の自給率九八%というふうに下がっております。  それに対しまして、畜産物の割合が大分減少しております。昭和四十年代に畜産物は四七%の自給率がございましたが、その後、畜産の発展とともに、畜産に使う餌、これがほとんど大部分輸入に頼っているというところから、現在の平成二十六年度の畜産物の自給率が一七%という低い水準に低下をしてまいりました。  そのほか、油脂類が消費が大幅に伸びたにもかかわらず、この油脂類の原料となるものにつきましても、これは輸入が大宗を占めるということで、この自給率も大分低下をしているというような、一言で言いますと、副大臣が答弁申し上げましたように、食生活の変化、それに生産側の対応がなかなか追い付かなかったという要因が重なって自給率が低下したのではないかというふうに考えてございます。
  198. 儀間光男

    ○儀間光男君 これも後でもっと時間を取って議論を深めていきたいと思いますが。  次に、非常にうれしいことなんですが、私、ここへ来て三年になんなんとしますけれども、来ると同時に、農林水産物の海外マーケットを目指すべきであるということを言い続けてきたんですよ。    〔委員長退席、理事山田修路君着席〕  昭和三十二年に当時の岸総理が米の増産運動をやって、田畑が足りないんだといって秋田県の大潟村をつくりまして、昭和四十二年頃にこれが完了しまして、いよいよ入植をしてたくさん生産を上げていこうというときに、昭和四十四年、たしか佐藤総理大臣、実弟だと思いますが、減反をしき出したんですね。  そこから私は、そのとき日本の農政が米を外へ出すという視点になかったということが残念でならなかったんですね。そのとき誰かが、いや、どんどん作って増産させて余った分は海外展開しようよということになっておれば、ああいう農政の矛盾は出てこなかったと思うんですね。ところが、結果としてそうなって、ずっと農産物の海外輸出を促進した方がいいということを言い続けて、今、二〇年を前倒しにして一兆円やろういうことで、非常にいいことだと喜んでおりますが、さすがやるなと、こういうふうに思っておるんですが。  同時に、これ私、実は真逆のことを考えているんですが、この一兆円の海外マーケットへ出した農産物を、出さず国内に置いておけば自給率は上がったでしょうか。その辺、どうなんですか。私は実は真逆を考えているんですね。いや、そう言う人がおるから、ちょっと確認しておきます。
  199. 佐藤速水

    政府参考人佐藤速水君) 自給率の計算に当たりまして、率でございますので、分母と分子がございます。分母について申し上げますと、国内生産マイナス輸出プラス輸入と、これが分母になります。分子が国内仕向け量ということになります。したがいまして、輸入が増えますと分母が増えます。輸出が増えますと分母が減るという関係になりますので、輸出分を全部国内消費の方に回したら上がるかどうかといいますのは、輸入との関係もあり、また在庫との関係もありますので、それは一概に増えるとも減るとも申し上げにくいのではないかというふうに思っております。
  200. 儀間光男

    ○儀間光男君 そうだと思うんですよね。私は実は、輸出が増えていけば国内生産が増えますから、輸入がある程度減ってくるというようなこと等からすると、輸出を大いに伸ばした方が、国内生産を大いに太らせた方が自給率は伸びていくよと、そういうような感じを持っているんですが。何か修正はあるんですか、追加の答弁はあるんですか。
  201. 佐藤速水

    政府参考人佐藤速水君) 申し訳ございません、先ほどの分母と分子の御説明で、分子を国内仕向けと申し上げましたが、国内生産の間違いでございましたので、そこは訂正させていただければと存じます。
  202. 儀間光男

    ○儀間光男君 それはそれでいいとして、決して輸出量を増やしたから国内の自給率がその分マイナスになるんだという理論は私は成り立たぬと思います。実際、政治仲間や国民、あるいは地方へ行けばそういうことを聞く人がいらっしゃるんですよ。というようなことで、これは是非政府答弁を取っておこうというふうに思ったからしたんですが、副大臣、何かありますか。どうぞ。
  203. 齋藤健

    ○副大臣齋藤健君) 先ほど委員指摘の、輸出が増えたら国内の生産も当然増えて自給率が上がってくるんじゃないかというお話がありましたけど、その輸出をしないで国内に回したときというのは、いろんな複雑な要素があるので一概には言えませんが、国内に回す分の生産が減ってしまうという効果もあるかもしれませんので、ですから、国内に回したら直ちにどんどん供給が増えるということではないと思うんですけど。    〔理事山田修路君退席、委員長着席〕  今、でも、委員指摘の、輸出がこれから増えていけば、いろいろ難しい要素はあるんですけど、例えば畜産物の輸出が増えます、しかし、その畜産物は輸入の餌を食べていたりするわけでありますので、非常に複雑な要素はあるんですけれども、一般論で言えば、輸出が拡大していけば食料自給率は上がっていく、そういう傾向にあろうかと思います。
  204. 儀間光男

    ○儀間光男君 よく分かりました。畜産は後で出てくるんですが、今の議論は畜産のところで少しやろうと思います。  次に、農林水産業の、これも施政方針の中で出てきますけれども担い手づくりですね、これについて少しく聞いてみたいと、こう思うんですが、この担い手も、もう長年、農林水産業関係、担い手づくりに腐心して政府はいろんな施策を展開してまいりましたが、なかなか順調にいかない。かてて加えて、今、農業企業参入するようになって、六次産業などという流通過程もできまして、生産する担い手不足の中で、今度は流通、販売の担い手も同時に育成していかなければならないと思うんですね。  そういうことなんですが、政府は、その担い手の育成をどのようにやろうとしているのか。つまり、生産と販売、流通と分けてやるのか。六次産業できる人は生産から一貫してマーケットまでやるわけですが、あるいはそれができないのはJAや系統から流していくわけですけれど、これは、農家個人が、自分は農家個人で両方やるんだと。  例えば、昨年、私どもこの委員会で茨城のれんこん三兄弟のところへ行ってきたんですね。行ってみると実にびっくりしましたよ。長男は学校の先生だったけど辞めてレンコン作りに入った。次男が商社におったけど辞めて営業に回った。三男が銀行におったけど辞めて経理に回った。じいさん、ばあさんは従業員であると。東京市場の八割ぐらい占めているんだと。それで外国を目指すということで、こういうことでビジネスマン、これも育成していかなければなりませんが、育成事業の中でこういうのがちゃんとあるのか、あるいはこれから何か進展というのがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  205. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 今委員がおっしゃるとおり、今後の担い手は、生産のみでなくて、流通、販売、輸出まで視野に入れた経営感覚を身に付けることが非常に大事なことではないかなというふうに思っております。  このため、これまでも農業界と産業界が連携して、次世代の農業経営者の育成に取り組むアグリフューチャージャパンによるセミナーとか、トッププロを目指す経営者を育成するためのオンラインアグリビジネススクールへの支援などを通じて、マーケティングや六次産業化、事業戦略の策定など、幅広い経営力を身に付けるために必要な研修機会の確保に努めてきたところでありますが、今後とも、このような研修の内容の充実など、必要な施策の強化に努めてまいりたいと思っております。  それと、先生、私は沖縄を見ていて一つ思うことがあります。  沖縄に碧というステーキ屋がありまして、先生御存じなんだろうと思いますが、女性だけで店の運営をしておられるところが、都心にも全国進出を果たして上場もなされたように聞いておりますが、こういうやはり女性の六次産業化への感覚というのを本当に大事にしなければいけないなというふうに思っておりますし、そういう人たちと、沖縄にはすばらしい銘柄豚があるわけですから、そういうところと、あるいは沖縄の石垣牛等々とどう連携させていくかということが付加価値を高めるということにつながっていくんだなと思って、最初に店にお邪魔をしたときに、ああ、この店は面白いなと思って見させていただいて、順調に発展をしておられることを知り、何よりだなと思っておりますが、今からはやはり農業においてもそのような取組というのが必要なのではないかなというふうに考えております。
  206. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  とんでもないところへ答弁が行きましたが、それはそれでいいですね。私もよく知っていて、西里さんという人が経営者で、専務以下全部女性なんですね、ホールの係まで、シェフまで女性がするんです。  それで、余談ですが、いろいろ聞いてみたら、農林高校か調理師学校へ行ったのかと聞いたら、いいえ、そうではありませんと。学生の頃、大学生もおりましたが、この店にアルバイトしてきて見よう見まねでやっているうちに好きになって調理師学校へ行って今日がありますという、非常にレベルの高い店。ついで、牛肉はどこからかというと、伊江島産でございます。行かれていて、ありがとうございました。感謝申し上げます。  さて、話がどこまで行ったんでしょうか。そんなようなことであるんですが、時間が余りないので、また次にこれは、人材育成は深めるとして。  農地改革、これも施政方針にありましたから聞きたいんですが。  農地の集積、集約を図っていくには、どうしても農地の中間管理機構の働きが大事になってくるんですが、私が危惧するのは、農地が集約化、大型化、大区画化していくというと、コミュニティーが消えていく。いい面もたくさんあるんですが、農村のコミュニティーが消えていくという寂しい面もあるんですよ。それをどう調和して日本の自然を、あるいは瑞穂の国を維持していくか。これ非常に難しい操作が要るなと思うのですが、その辺どうお考えか、どなたか御答弁ください。
  207. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 確かに、農地担い手のところに集積、集約化を進めてまいりますと、そこで働く農業者の数も当然減ってくるわけでございます。  この農地の集積、集約化は、基本的に産業政策として、本当に競争力のある生産性の高い農業をつくるということでやっておりますが、それと同時に、やっぱり産業政策とそれから地域政策、この二つが車の両輪となってバランスを取ってやっていくということが非常に重要でございます。  この地域政策といたしましては、中山間の直接支払ですとか多面的機能支払をやっておりますが、こういったものをきちんと継続をしていくことで地域社会を維持をしながら農業の生産性を高めていくと、こういう考え方でございます。
  208. 儀間光男

    ○儀間光男君 なぜそれを取り上げたかというと、私の友人、先輩で、終戦直後、カナダのレスブリッジに農業移民した人がおるんですよ。十数年前、来いというので訪ねていったんですが、実に見渡す限りの畑で、ビッグファーム、トウモロコシをやっていたんですが、四方、地平線ばかりなんですね。その代わり、この農家一戸しかおらないんですよ。沖縄出身ですから、歌好き、踊り好き、遊び好きだろうに、なかなかそういうこともできぬで寂しくはないかと言ったら、植物を見ているから寂しいことはないけれど、二度とこういう農業はしたくないとおっしゃっていました。人とのコミュニケーションが不足して文化をすっかり忘れてしまったというんですね。  こういう現象があるいは起こってくるのは、北海道、私、見学しただけですが、ここもだだっ広くて、農家が、集落がぽんぽんとあって、寂しくないのかなと思ったりしたんですが、生活はしていませんからよく分かりませんけれども、そういう思いをするんです。こういうことが起こりはせぬかという心配があって尋ねたわけですから、どうぞ日本の里山が残ってバランスのいい地域にしていただきますよう、農村にしていただきますようにお願いをしたいと思います。  さて、時間も余りないので早めに行きたいんですが、畜産、これについては、これもありましたけれど、やはり飼料用米、飼料のコストいかんによって畜産の成功、不成功につながるんですね。  施政方針にありましたように、高品質の豚肉生産のための飼料として専用品種で生産された米があるということで方針にありましたけれど、こういう餌用の米、大豆、麦、こういうものをもっともっと自給率を高めていかぬというと、なかなか、TPPが入ってきて国際競争力では勝てないような状況、もう誰でも知っていることなんですが、優良米とか、あるいは主食米から飼料用米に作付け転換がなかなか進んでいないようですが、その辺の現状をちょっと教えていただきたいと思います。
  209. 柄澤彰

    政府参考人柄澤彰君) 今御指摘ございましたように、我が国では、主食用米の需要を見てみますと、残念ながら毎年八万トンずつ減少しております。そういった中で、食料自給率や自給力の向上を図るために、主食用米から飼料用米などへの転換をいろんな形で推進し、転換を図っております。昨年は、飼料用米生産、一昨年の倍以上伸びまして四十二万トンまで生産が増えているところでございます。  そういった中で、飼料米につきましては、昨年三月の食料・農業・農村基本計画におきまして、平成三十七年度に百十万トンまで生産を伸ばしていくという明確な生産努力目標を掲げた上で、そのために水田活用の直接支払交付金による支援などによる生産性向上ですとか、生産努力目標の確実な達成ということを明確に位置付けて、政府全体として支援申し上げているところでございます。
  210. 儀間光男

    ○儀間光男君 とうとう時間が押してきましたから、一つ飛ばします。  大臣、せっかく沖縄の牛の話をやられましたから、次いで沖縄の畜産の話をさせていただきますが、沖縄の畜産、豚、大型動物、牛、沖縄だとヤギもおるんですが、この辺よりは、本州あるいは四国、九州、北海道よりは遠隔地にあって、飼料代が更に大変なんですね。牛で五割から六割ぐらい、豚で六割から七割ぐらい。これみんな飼料コストなんですよ。ロット物が大きければ直接入れることもできるんでしょうけど、ああいう地域ですから非常に少ない。したがって、ユニットプライスが非常に高いんですよね。それが圧迫してなかなか農業ができない。  石垣島に石垣肥育センターという牛のセンターがあって、これJAの系統ですが、五百頭余りおって四名でやっていますが、これは素牛はやらないでずっと肥育牛です。やはり限界は飼料なんですね。民間で五百頭ぐらいやっている、宮古島におりますが、これもやっぱり飼料代が限界。  特に、大臣は鹿児島の奄美なんかよく御存じですから、あの地域というのは、ああいう小さな島で台風常襲地ですから、換金作物はキビ以外にないわけですよ。向こうで換金して農家経済を豊かにしようと思うと、どうしても大型動物が必要なんです。TPPがうまくいけば、東アジアに近いし、そういうことを支援として、今は振興策でやっておりますけれど、振興策は内閣府が担当しておって、沖総局でやっていますけれど、なかなかこの委員会にはぱあんと跳ね返ってこないですよ。  そういう意味では、そこの現状をよく御認識いただいて、飼料に対する支援、例えばサイロを大きく持てとか、そういう支援など、あるいは草地を大きく作れとか、方針にも草地の話がありますけれど、そういう施策をより具体的に下ろしていただけたら、もっともっと自立した畜産農家が誕生すると思います。  御所見をいただきたいと思います。
  211. 森山裕

    国務大臣森山裕君) 沖縄の畜産におきましては、やはり飼料を輸送するコストが余りにも掛かり過ぎるというところは大きな課題であろうと思います。ただ、沖縄の強みは、牧草の収穫というのは十アール当たり北海道の三倍ぐらい取れますので、ここは非常に強みだなというふうに思っております。  それと、今、沖縄は急いでやらなきゃなりませんのは、豚と鶏の飼料工場はあるんですけれども牛の飼料工場がないものですから、牛の飼料工場をどう造るか、どうするかというところが一つの課題であろうというふうに考えております。  それともう一つは、今、志布志から運んでおりますが、ブラジルとかアメリカとかから志布志まで運んでくるのが、バルクの時代になってまいりますので、今、志布志港をバルク港として指定をされて整備を急いでおりますから、外国から来るコストをどう下げるかということと、内地におけるコストをどう下げるかということは大変大事な課題だと思っておりますが、強みは牧草をたくさん作れるというところでございますので、そこの強みも是非生かした畜産に取り組んでいただきたいと考えております。
  212. 若林健太

    委員長若林健太君) 儀間君、時間が来ておりますので、おまとめください。
  213. 儀間光男

    ○儀間光男君 はい、時間になりました。
  214. 森山裕

    国務大臣森山裕君) ちょっと済みません、訂正でした。  私は牛の飼料の工場はないかと思っておりましたら、最近一工場稼働しているようでございますので、そこは訂正をさせていただきたいと思います。
  215. 儀間光男

    ○儀間光男君 終わります。ありがとうございました。
  216. 若林健太

    委員長若林健太君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会