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2016-05-20 第190回国会 参議院 東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年五月二十日(金曜日)    午前十時四十七分開会     ─────────────    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      大野 泰正君     高階恵美子君      滝沢  求君     熊谷  大君      三木  亨君     塚田 一郎君      野田 国義君     櫻井  充君  四月十四日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     上野 通子君      長峯  誠君     阿達 雅志君      倉林 明子君     田村 智子君  五月十九日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     大塚 耕平君  五月二十日     辞任         補欠選任      高階恵美子君     石田 昌宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田中 直紀君     理 事                 上月 良祐君                 滝波 宏文君                 堀井  巌君                 森 まさこ君                 石上 俊雄君                 大島九州男君                 風間 直樹君                 浜田 昌良君     委 員                 阿達 雅志君                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 石田 昌宏君                 上野 通子君                 岡田  広君                 片山さつき君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 酒井 庸行君                 高階恵美子君                 塚田 一郎君                 中原 八一君                 林  芳正君                 堀内 恒夫君                 宮本 周司君                 大塚 耕平君                 神本美恵子君                 徳永 エリ君                 浜野 喜史君                 福山 哲郎君                 真山 勇一君                 増子 輝彦君                 新妻 秀規君                 若松 謙維君                 紙  智子君                 田村 智子君                 東   徹君                 山口 和之君                 中野 正志君                 山本 太郎君                渡辺美知太郎君    副大臣        文部科学大臣  冨岡  勉君        経済産業大臣  高木 陽介君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君        常任委員会専門        員        櫻井 敏雄君    政府参考人        内閣府大臣官房        審議官      山本 哲也君        法務大臣官房審        議官       武笠 圭志君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   相川 一俊君        文部科学大臣官        房審議官     板倉周一郎君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      多田 明弘君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       荻野  徹君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房緊急事        態対策監     大村 哲臣君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房核物質        ・放射線総括審        議官       片山  啓君        原子力規制委員        会原子力規制庁        長官官房審議官  山田 知穂君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  櫻田 道夫君    参考人        東京電力ホール        ディングス株式        会社代表執行役        副社長      山口  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○東日本大震災復興総合的対策及び原子力問題  に関する調査  (原子力規制委員会活動状況に関する件)  (原子力問題に関する件)     ─────────────
  2. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ただいまから東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  この度の熊本熊本地方等を震源とする地震により甚大な被害がもたらされ、多くの尊い人命を失いましたことは誠に痛ましい限りでございます。  犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表しますとともに、被災者皆様にも心からお見舞いを申し上げます。  ここに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 委員異動について御報告いたします。  昨日までに、滝沢求君、三木亨君、大野泰正君、野田国義君、倉林明子君、石田昌宏君及び長峯誠君が委員辞任され、その補欠として熊谷大君、塚田一郎君、高階恵美子君、田村智子君、上野通子君、阿達雅志君及び大塚耕平君が選任されました。     ─────────────
  5. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災復興総合的対策及び原子力問題に関する調査のため、本日の委員会東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長山口博君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 東日本大震災復興総合的対策及び原子力問題に関する調査を議題といたします。  まず、原子力規制委員会活動状況について、原子力規制委員会委員長から説明を聴取いたします。田中原子力規制委員会委員長
  8. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 原子力規制委員会委員長田中俊一でございます。  参議院東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会活動状況について御説明申し上げます。  原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて人と環境を守るという使命を果たすため、様々な課題に取り組んでおります。  まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。  東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ制定された新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十六基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十の施設に係る申請が出されております。  このうち、九州電力川内原子力発電所号炉、二号炉及び関西電力高浜発電所号炉について使用検査に合格したと認め、高浜発電所号炉について使用検査を厳正かつ適切に実施するとともに、四国電力伊方発電所号炉について、三月二十三日に工事計画認可、四月五日から使用検査を開始し、高浜発電所号炉及び二号炉について、四月二十日に設置変更許可を行いました。  また、今月十一日には、国立大学法人京都大学原子炉実験所臨界実験装置について設置変更承認を行い、近畿大学原子力研究所原子炉について設置変更許可を行うなど、原子力施設等に関する審査検査を順次進めております。  日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ」については、これまでの保守管理等の不備に係る種々の問題を踏まえ、昨年十一月、原子力規制委員会設置法規定に基づき、文部科学大臣に対し、機構に代わって「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること等について勧告を行いました。  第二に、東京電力福島第一原子力発電所廃炉に向けた取組監視等について申し上げます。  原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の早期かつ安全な廃炉汚染水対策実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視、指導を行うとともに、周辺地域モニタリングに取り組んでおります。  東京電力福島第一原子力発電所においては、事故発生から五年が経過し、様々なトラブルに緊急的に対応していた事態対処型の状態から、現在は、廃棄物管理廃炉に向けた対策全般について、計画一つ一つ十分に検討し、着実に対策を進めることのできる計画的対処状態に移行したと認識しています。  このような認識を踏まえ、安全上の観点からの優先順位を明確にした中期的リスク低減目標マップを改定し、完了した措置と引き続き対策が必要な措置を明示いたしました。  第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリング充実について申し上げます。  原子力規制委員会では、原子力災害対策特別措置法に基づき平成二十四年に策定した原子力災害対策指針充実に努めており、昨年四月には、東京電力福島第一原子力発電所に係る原子力災害対策等を盛り込むとともに、同年八月には、原子力災害時における医療体制について、高度被ばく医療支援センター原子力災害医療総合支援センター原子力災害拠点病院原子力災害医療協力機関等から成る体制へと充実強化を図るための改正を行いました。  また、地方放射線モニタリング対策官事務所における人員の増強等により、緊急時モニタリング体制充実強化を図っております。  最後に、組織体制及び運営継続的改善について申し上げます。  原子力規制委員会組織体制及び運営継続的改善のため、本年一月、国際原子力機関IAEAによる総合規制評価サービスIRRSを受け、四月にはIAEAからIRRSミッション報告書を受け取りました。原子力規制委員会は、IRRSにおいて明らかになった課題の解決に向け、検討を開始しています。  以上、原子力規制委員会活動状況について御説明いたしました。  我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会では、与えられた職責を踏まえ、真の安全文化を構築し、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  9. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 以上で説明の聴取は終わりました。  次に、原子力問題に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 阿達雅志

    阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。本日はよろしくお願いをいたします。  政府は、昨年、平成二十七年七月に、長期エネルギー需給見通しということで、二〇三〇年の原子力比率を二〇%から二二%ということで決定をいたしました。この原子力の二〇から二二%というのを実際にどうやって行うかというときに大事になってくるのは、やはり原子力を再稼働できるかどうか、四十年超の運転がしっかりできるのか、新増設、リプレースの問題どう取り組むのか、この三点が非常に大きな問題になってくると思いますが、とりわけこの再稼働ができるかどうかは、もう一番入口の部分として大事な話ではないかというふうに思っております。  そうした中で、先ほど田中原子力規制委員会委員長お話にもありましたけれども原子力の再稼働について十一の事業者から二十六件の申請を受け、その中で今検討が実際に済んでいるのは、これ新規制基準への適合ということでいくと五基分の検討ということだと思うんです。そうすると、二十六件のうち五件、これ新規制基準が出されたのは平成二十五年七月ですから、三年弱の期間で五基分しか検討できていないと、こういう中で、やはりこの再稼働を本当にこういう調子で検討していってどういうことになるんだろうかというのが非常に不安に思うわけです。  私は、この再稼働が本当にできるのかできないのか、やはりこの結論を出すところはしっかりと時間を考えながら進めていかないといけないのではないかと。時間切れの結果として再稼働できないということ、これはやはり話としてはおかしいのではないかというふうに思いますけれども、この原子力委員会における適合性審査が時間が掛かっている原因と今後の対応についてお聞きをしたいと思います。  私は、この原子力規制委員会における審査に時間が掛かっている原因としては、一つは、適正手続がしっかりと確立していない、そういう中で法律による行政がしっかり行われていないのではないかという印象を持っております。また、それとともに、規制委員会の実際にこういう適合性審査を行うための人的リソースが十分ではないのではないかと。この二つの問題がやはりこの適合性審査が時間が掛かる一番大きな原因になっているのではないかというふうに思いますけれども委員長、いかがでしょうか。
  11. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生から適合性審査進捗が遅いという御指摘でございますけれども、その原因のまず一つは、原子力規制委員会ではこれまでも即戦力となることが期待される経験者を累次にわたり中途採用し、新規制基準適合性審査体制強化を図ってきております。実用発電炉審査体制については、平成二十五年七月八日の審査開始時点で約八十名であったところを、現在では百名を超える体制で行っています。更なる体制強化も重要と認識しており、継続的な実務経験者中途採用関係省庁からの人的支援も得て、順次審査を担当する職員の増強を図るべく努力をしておるところでございます。  なお、審査進捗については、審査体制のみならず事業者対応によるところが大きいことがございます。新しい規制基準は、従来の規制と違いまして事業者にとっては新しい経験をしていますので、それに対する対応がなかなか適切、的確にできていないという問題もあります。様々なことがありますので、その要因は一概には申し上げることはできませんけれども、そういった問題があります。  原子力規制委員会においては、全体を効率的に進めるため、適合性審査の結果のみならず、主な論点等を合わせてまとめた審査書の作成、適合性審査で確認すべき事項の整理、審査をより効率的に進めるための集中審査などの工夫を重ねてきているところでございます。  いずれにしても、原子力規制委員会としては、引き続き効率的に審査を進めるための取組を行っていくとともに、更なる体制充実も図ってまいりたいと思います。
  12. 阿達雅志

    阿達雅志君 ただいま、人的リソースについては八十人から百人への増強と、ただ、まだこれでは全然足らないんだということをおっしゃったというふうに理解をいたしました。  今後、やはりここの人数をとにかく増やして、一日も早い審査ができる体制をつくるということは極めて重要だと思っておりますが、やはりそれとともに、単に人を増やすだけでは十分ではないと。  先ほど委員長、後半の部分で、確かにこの新しい基準対応ということで、事業者対応というのも遅れているんだということを御指摘をされましたけれども、これ実際の審査の中の状況をいろいろ見ていったときに、例えば先ほどおっしゃった集中審査というお話がありました。ですが、今時間が掛かっている中身を、この基準地震動審査、それから設置変更許可工事計画認可と、こう三段階に分けていったときに、基準地震動審査のところで非常に時間が掛かっているわけです。特に、PWRとBWRの中で、BWR柏崎について集中審査をされるということで今集中審査ということを御指摘をされたと思うんですが、ただこの基準地震動というのは、いずれにせよそれぞれのサイトにおいての基準地震動決定していくということですから、そもそも集中してやればいいという話ではないのではないかと。  これ、例えて言うならば、レジに行列がずらっと並んでいるときに、後ろでそのレジのやり取りを見ていたから、だから次の人たちはすぐにお金を出せて、そして手続が速く進むんだという、何かそういうようなお話にも聞こえるんですけれども、ただ、その前の人たちがやっていることを見たからといって決して速くならない手続というのも結構あるわけです。そうすると、やはりこの手続についてもっとしっかりと公表をする、さらに規定をする。  昨年も私ここの委員会委員長説明を求めたときに、法律による行政というところで、委員長は、いや、透明性をしっかり図っておりますと、こういう御答弁をなさいました。ただ、私はこの一年間を見ていると、単に透明性を確保する、公開すればいいということではなくて、手続をしっかりと明記をして、そしてその手続に基づいてやっていくという、法律による行政というのが一番大事なのではないかと。それをしっかり示すことの方が、やはり単に後ろで見ていればいいでしょうという話ではないのではないかというふうに思います。  また、もう一つの大きな問題として、破砕帯に関しての有識者会議の問題というのがあると思います。この破砕帯についての有識者会議結論が出てから委員会の方で適合性審査をやるということで、実際にこの有識者会議というのが前置主義を取っていると。で、これはもう書類上にもはっきりと明記をされていたわけでございますし、そういう中で私が非常に疑問に思うのは、例えば北陸電力の伊方原発のときに、有識者会議決定をされた、それについて今度は規制委員会でもう一度その中身について審査をする、こういうことをやるのであれば二重審査になるのではないかと。  それから、この有識者会議位置付けというところで、その有識者会議意見をそのまま採用するのかしないのかがはっきりしていない。また、その有識者会議で何らかの結論を出したのであれば、これを重要な参考意見として検討するということなわけですけれども、この重要な参考意見として検討するということと、やはり実際にこの規制委員会がもう一度適合性審査を行うということがどうも二重手間になっているとしか思えないんです。  もし、この有識者会議での参考意見というのをしっかり位置付けるというのであれば、この有識者会議というのが法的に根拠がある会議でないとおかしいのではないかと。  原子力規制委員会設置法では炉安審、燃安審という審議会、この規定がございます。この有識者会議というのはこの規定にはのっとっていない、そしてまた、設置法における独立性だとか公平性だとかいう要求を直接法的には受けない中で構成をされている有識者会議というものの、これが法的にどういう意味を持つんだろうか、そして、それがもし二重審査になるということで、その結果として審査が遅れるということであれば、これは非常におかしな話ではないかというふうに思うんですが、先ほどの御答弁でこの辺の適正手続についてはっきりとはおっしゃられませんでしたけれども、この法律による行政適正手続という点についてはっきりとした見解をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) かなりたくさんの御指摘がありましたので、少し御説明申し上げたいと思いますが。  まず、集中審査というのはプラントについての審査であります。御指摘のように、いわゆる基準地震動サイトによって違いますから、それについては別途やるということです。それで、BWRについていえば、そういったサイトごと審査がかなり難しいところがございます。柏崎刈羽もそうですし、浜岡とか女川のような太平洋のプレートのところとか、どういうふうに判断するかというのは非常に難しいところがございますので、そういったこととは別に、プラントとしての共通的なところは、プラント審査の方は共通項がありますので、そういったことを進めてまいりました。  優先的に柏崎刈羽六、七号機について進めてまいりましたけれども、現段階、もう既に、私ども予想外だったのは、東京電力基準地震動が決まった後の耐震設計計算が非常に手間取っていて、半年ぐらい遅れております。  こういったことがありますので、まず事業者が、そういったことについて自分たちが決めた、自分たちが申し立ててきた基準地震動を一応評価したわけですから、それに基づいた耐震設計が、計算がそんなに時間が掛かっているということについては、私どもとしてはかなり予想外ということもあります。  それから、有識者会合位置付けについての御指摘がございました。  破砕帯とか火山ですね、特にカルデラ火山のような、評価のような課題については、やはり私どもだけの専門的知識では少し足らないところがありますので、いわゆる有識者専門家の御意見を活用して、その上で最終的に原子力規制委員会の責任において判断するというのが私どもの基本的な考え方です。  例えば、志賀の破砕帯調査については、有識者会合、その後のピアレビュー等において幾つかの問題点が出されまして、最終的に先月末にその報告書を受け取ったわけでございますけれども、具体的には、本来はサイトサイトというか重要施設ですから、原子炉建屋の下の敷地をきちっと調べることができればいいんですけれども、もう既にそれはないと。建設当時のスケッチの絵で、旧安全・保安院の時代に、これは活断層に違いない、もっときちっと調べるべきだという申し送りがありまして、それについて有識者皆様の御協力を得て調査をしてまいりました。しかし、なかなかそれを、そういった保安院判断を覆すようなデータが出てこないということがありまして、そういったことも有識者会合報告書ではなされております。  さらに、六つの点について、有識者会合としてはこういったデータが出れば判断がもう少し確実にできるんではないかという御指摘もいただいておりますので、私どもとしては、そういったことを糧にして今後の審査を進めていきたいと思います。  そういったことをやることがかえって時間が掛かるかどうかということについては、必ずしもそういう判断になるということではないと思います。同じことが、結局、より専門的な方の方がより問題点の把握が早いわけで、我々がそういうことをやろうと思うと、どういう形にしろ、勉強し、いろんな知見を集めながらやっていくということになりますので、どちらが早いかということはここでは申し上げることはできないというふうに思っています。
  14. 阿達雅志

    阿達雅志君 今いろいろな御答弁がありましたけれども、やはり私は、この三年弱で二十六件申請があって、そして実際にちゃんとそれに対する審査が終わったものが五件しかない、この状態というのはやはり非常に問題なんではないかと。こういうことが続くことによって、審査を終えて再稼働できるかできないかというところは、もちろん安全審査ですからしっかりやっていただくというのはあるんですけれども、やはりこのスピード感というのはちょっと余りにも問題ではないかというふうに思っているところでございます。  ちょっと問題を変えさせていただきます。実際に審査が通って再稼働がなされた中で、関西電力の高浜原発については大津地裁の方で再稼働禁止の仮処分が出されました。その結果、一旦再稼働した高浜原発が今また再稼働をやめて止まっているわけです。  これについて、あくまでこれは住民の方と関西電力との間の民間の訴訟だからということで、規制委員会、それから内閣府はこの裁判手続の中には入っていないわけですけれども、ただ、ここで裁判所がはっきり示した中に、規制基準が合理的であるかどうかについての疑義があると、それから避難計画が十分であるかについて疑義がある。つまり、国のこういう許可あるいは国の判断そのものについての疑義を裁判手続で言われているわけです。  これについて、やはり規制委員会、内閣府としても、しっかりと何らかの形で、裁判手続で今後は表明していくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  15. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 裁判のことですので、私から特段申し上げるということは基本的に差し控えさせていただきたいと思います。  私どもとしては、新しい規制基準、これは福島第一事故の反省を踏まえて相当厳しい基準を設けておりますし、それに福島の経験も踏まえて、避難についても相当、私どもの役割としては指針までですけれども、それに基づいて内閣府防災等が中心になって地方自治体と相談して作っているというふうに判断しております。  ただ、裁判は私どもが当事者でありませんので、今ここで何かそれについて申し上げることはないと思います。
  16. 山本哲也

    政府参考人山本哲也君) 内閣府は避難計画の方を担当しておりますので、その立場から申し上げます。  御指摘の仮処分については、先ほど田中委員長からありましたように、国は当事者でございませんので、それに対する直接なコメントは難しいというふうに考えておりますが、ただ、私ども内閣府といたしましても、その原発が再稼働しているか否かにかかわらず、住民の皆様の安全あるいは安心の観点から、地域の防災計画あるいは避難計画、これをしっかり策定して、それで更にそれを引き続き改善をしていくということが極めて大事だというふうに考えているところでございます。  それで、こういう避難計画とか防災計画につきましては、自治体任せにするのではなくて、策定段階から国がしっかり関与するという仕組みを設けております。最終的には、総理が議長でおられます原子力防災会議でその計画内容の確認をするということでしっかり対応しているところでございます。さらに、その策定後も訓練などを通じて継続的な改善をしていくということをやっているところでございます。  したがいまして、こうした取組について、しっかりと様々な機会を利用いたしまして、地域の皆様を始めとして御理解いただくように努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  17. 阿達雅志

    阿達雅志君 今、規制委員長それから内閣府の方からのお話を聞きましても、確かにこの基準それから計画についてしっかりしたものをもう作っていただいているというふうに私も信じておりますが、それを、やはり国民に対してもその信頼をどうやって得るかということを考えたときに、せっかく皆さんがこれを国民に対してもうこれだけしっかりしたものを作っているんだからということで説明をされても、こういう裁判でひっくり返されると、裁判に対する国民の信頼というのももちろんありますから、やはり行政側が言ったことというのが疑義が付いてしまうという、疑義を持たれてしまうということは十分起こり得るんだと思うんです。  この部分というのは、やはり行政と司法との間でのある意味綱引きの部分でもありますし、そこでどういうふうに、じゃ、行政の側がこの司法とで関与していくかということが大事になるのではないかというふうに思いますが、私はもう一つ、今回のこの仮処分というものを見たときに幾つか問題があるなというふうに思っております。  一つは、この仮処分というのが効果という点において、実は民事訴訟によって行政による許可取消しと同じ効果が生じてしまっているのではないか、本来だったら行政訴訟でやるべき話をこういう民事訴訟でやっていることによって、しかも仮処分という即時に効力を発する手続を原告側が用いたことによって行政訴訟と同じ効果が生じてしまっていると。しかもまた、この問題の根本的解決ということを考えたときに、電力会社自体はさっきの規制基準だとかあるいは避難計画、この合理性を十分に証明できるだけの立場にないという問題があると思うんです。結局、当事者でないから国はこの裁判に入っていかない、ところが裁判で取り上げられている中身は国の一種の許可あるいは計画ですから、行政処分であるにもかかわらず、それが民間としては証明し切れないと、こういう非常に厄介なことになっているように思うんです。  こういう中で、しかもこれ仮処分が実際に将来上級審でひっくり返った場合には、民間企業としては損害賠償の請求を考えざるを得なくなる可能性がある、こういう損害賠償を仮に経営陣が行わないとしたとしても、株主代表訴訟で損害賠償をしろということで訴えられた場合に損害賠償ということが現実に起こり得ると、そうすると、これは訴えられている住民の方にとっても利益にならない、こういう非常に何か矛盾した状況ができているんじゃないかというふうに思います。  そうすると、やっぱりこの紛争を根本的に解決するためにはもう少し法律の枠組み、仕組みを考えていかないといけないのではないかというふうに思います。その一つとしては法務大臣権限法第四条というのがございます。これは、私、去年の委員会でも一度指摘をさせていただきましたが、ここでは、「法務大臣は、国の利害又は公共の福祉に重大な関係のある訴訟において、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、自ら意見を述べ、又はその指定する所部の職員に意見を述べさせることができる。」と、こういう規定があるわけです。  過去これは実際には一件しか使われていませんし、また、裁判所側から要求があった場合に使うというような運用がなされているように聞いておりますけれども、ただ、今回の事態というのは、やはりこの日本にとってのエネルギーの問題、それから住民の方にとっての安全というのはまさに国の利害又は公共の福祉に重大な関係のある訴訟でないんだろうかというと、やはり私はこれはもうこういう重大な関係のある訴訟であるんではないかというふうに思います。また、実際に、これ民間企業同士の話だとはいっても、政府が証人として訴訟に参加するということはあるわけですし、その中で基準あるいは計画の正当性というのをしっかり議論をしていただくということもあるんではないかと思います。  また、こういう科学的、技術的な問題についての考え方というところで、例えば専属管轄化を図るとか、あるいはこういう仮処分について、行政事件訴訟法第四条の考え方を類推してこういう問題については仮処分の例外にするんだと、こういうことがあってもいいんではないか。今起きている事態というのは、紛争の根本的解決というところからいくと、どうもいろんな法律のエアポケットに落ちてしまっているような気がいたします。  そういう中で、法務省にお聞きをしたいんですけれども、やはりこういう国自体がしっかり本来決めた基準あるいは計画、そして一種の行政処分と言えるようなものについてのこういう民間の間での訴訟の在り方について何らかの対応というのを考えるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  18. 武笠圭志

    政府参考人武笠圭志君) お答えいたします。  国が当事者となっておりません私人間の訴訟に国が関与することにつきましては、紛争解決についての私的自治というところや、あるいは三権分立の中での司法と行政との関係等から慎重な判断あるいは配慮というものが求められるものでありますところ、委員指摘の法務大臣権限法四条によります法務大臣意見陳述も、この観点から、裁判所から法務大臣意見陳述の機会が与えられたときに限ってするべきものとして運用されておりまして、実際、御指摘もございましたけれども、これまで一件の例があるということでございます。  一般論として申し上げますと、裁判所から求めがございました場合には、法務大臣といたしましては、本条の趣旨、目的に照らしまして、意見陳述をすべきか否かについて慎重に判断していくことになろうかと考えております。  それから、委員指摘されました政府関係者が証人として証言することにつきましては、当事者じゃないという立場でございますので、証人として政府関係者が証言すべきかどうかにつきまして法務省としてお答えできる立場にはないということは御理解いただいた上で一般論として申し上げますと、関係者が証人として証言することにつきましては、訴訟当事者がこれは証明すべき事実、立証趣旨というものでございますけれども、こちらを特定して申請をし、裁判所が必要であるということで認めたときには行い得るというふうに考えております。  もっとも、仮処分の手続というのは簡易、迅速な手続という形で構成されておりますので、判断の資料というのはその場で即時に取り調べることができる証拠に限るということにされておりますので、証人尋問についてもそういった意味での制約はあろうかということになると思います。  それから、専属管轄につきましては、確かに現行の法制度の下では委員指摘の訴訟について認める規定はございませんので、新たにこの規定を設けるべきか否かという問題になろうかと思います。この点につきましては、委員が御指摘されたような専属管轄を認めることのメリットあるいはその範囲でございますね、それから訴えを提起する方の、原告の便宜、それから訴訟の審理、手続に及ぼす影響、あるいは裁判所の体制など、いろいろな様々な事情を考慮する必要がございますので、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、国は当事者ではないのでございますけれども、訴訟当事者の訴訟活動あるいは裁判所の訴訟指揮というものを踏まえまして適切に対応していくことになろうかと思います。その上で、訴訟に関しては、法務省といたしましては法務大臣権限法に基づいて対応していくということになろうかと思います。  以上でございます。
  19. 阿達雅志

    阿達雅志君 確かに、民間の訴訟ですから、そういう訴訟の私的自治という点、それからやっぱり行政が司法に対して自制的でないといけない、これは非常によく分かるんですけれども、今回起きている問題というのは、民事訴訟によってやはり行政による許可取消しと同じ効果のことが起きると。本来だったら行政訴訟でなされるべきものが民事訴訟で同じ効果が出るということですから、これ別に、原発の再稼働に限らず一般的に起こり得る話ではないかというふうに思います。  そうすると、やはり行政訴訟と民事訴訟との間の関係というのを今後是非検討いただいて、何が本当に根本的解決になるのか、そして当事者として誰が本当に議論するのがその争点を整理をするために適切なのか、こういった手続を是非御検討いただきたいというふうに思います。  今、原子力規制委員会、内閣府、そして法務省の皆さんに今の原子力稼働に当たっての幾つかの問題点をお聞きをいたしました。こういう状況をお聞きすればするほど、じゃ、本当にこういう流れの中で長期のエネルギー需給見通し、二〇から二二%を達成していくことができるんだろうかと。しかも、現在のエネルギー基本計画では原子力発電所の新増設、リプレースということは言及をされていないわけですし、また、今、再稼働の問題だけでもこれだけいろんな問題が起きている、こういう中で、一方でCOP21のパリ協定では二〇三〇年に二〇一三年比二六%のCO2削減ということも国際公約として出しているわけですし、こういういろんなことを考えたときに、やはり国策としての原子力政策の今後というのをしっかりと現実的な道筋で考えていかないといけないのではないかというふうに思うんですけれども、その点について経済産業省の御意見をお願いいたします。
  20. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  原子力発電所の再稼働の問題につきましては、これまでも繰り返し申し上げておりますとおり、高い独立性を有する原子力規制委員会、ここが科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でございます。  今御指摘のございました新増設、リプレースにつきましては、これにつきましては各方面から御意見をいただいているということは十分承知をしておりますけれども、こちらにつきましても、従来から申し上げておりますとおり、政府としては現段階において新増設、リプレースは想定していないと、こういう立場でございます。  その上で申し上げますと、政府といたしましては、まず何よりも東京電力福島第一原発におけます事故後に失われました社会的信頼の回復、これを図るための取組に力を注ぐということが重要であるというふうに認識をしております。引き続き安全最優先の姿勢で真摯に再稼働対応していくことを通じまして、国民の方々の理解、そして社会的信頼を回復すべく取り組んでまいりたいと考えております。  私どもといたしましては、御指摘のありましたエネルギーミックス、これが地球温暖化の関係からも実現していかなければいけない重要な課題であると思っておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  21. 阿達雅志

    阿達雅志君 福島の問題をしっかり処理して、そして原子力に対する社会的信頼をもう一度取り戻すと、これはもう本当に原点であろうかというふうにも思います。  ただ、やはりこの原子力の再稼働というのを考えたときに、先ほどお話がいろいろ、御説明はありましたけれども、やはり私は、この再稼働に向けてのどうも結論の出し方が余りにも遅いんではないかと。それぞれの炉について、本当に再稼働できるのかできないのか、こういった結論を早く出していかないと、これ電力会社というのも、今もう自由化の下では完全な民間企業です。  この民間企業の経営ということを考えたときに、例えば本当に再稼働できるかどうか分からない、再稼働しても裁判によって止められてしまうようなもののために、安全対策ということで二千億だとか何千億単位というお金を払っていけるのかどうか、これ経営陣が仮に国策としての原子力協力するんだと言ったところで株主が納得しないんではないかと、こういうことが起きてくるように思うんです。  そしてまた、こういうことがどんどん続いていくと、今まで立地というところで、非常にいろんな意味で、やっぱり都会に電気を送るためにそれぞれ苦労をされてきた地域、この地域の方々も、いつまでたってもこうやって再稼働しない、それだったら自分たちが今まで貢献してきたと思っていたのは何なんだという話になるわけですし、しかも、こういうことが、時間がたてばたつほど、だんだん自分たちがやってきたことについても、本当にこれは国として評価をしてもらっているんだろうか、こういう懸念が出てくるんだと思うんです。  そうすると、やはりこの電力会社あるいは住民の皆さんが、こういう再稼働についての結論が出ない状態、その結論がどっちであるかというのは別にして、結論が出ない状態がこんな何年も続いていることに相当疲れてきておられるんじゃないかというふうに思うんです。やはりそういう点についてもしっかり取り組んでいただきたいというふうに思うんですが、経産省、お願いします。
  22. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  大変重要な御指摘だと思います。電力の自由化のお話も御指摘ございました。  政府といたしましては、エネルギー基本計画の中でこの問題についても一つアドレスをいたしております。国は、電力システム改革によって競争が進展した環境下におきましても、原子力事業者が、こうした課題と書いてあるんですが、こうした課題というのは、廃炉の推進、それから迅速かつ最善の安全対策、それから地球温暖化対策、さらにはベースロード電源による安定的な供給への貢献、こうした課題対応できるように、海外の事例も参考にしながら、事業環境の在り方について検討を行うと、こういった趣旨が書かれているところでございます。  今、立地地域の住民の方々のお気持ちについても御指摘がございました。  これまで原子力という重要なエネルギーに対しまして御協力をいただいた地域の方々への感謝でありますとか敬意の気持ちというものを忘れることなく、今後のエネルギー政策の中での原子力位置付けというものにつきまして、電力の自由化という大方針の下でしっかりと両立しながら取り組んでいくと、こういうことで私ども努力を重ねてまいりたいと思っております。
  23. 阿達雅志

    阿達雅志君 ただいまお話しの中で、廃炉という問題についての御指摘もございました。  これ、今もう既に実際に原子力発電所があるわけですから、このある原子力発電所をいずれは必ず廃炉をしていかないといけない、そのための廃炉技術というのもあるわけですし、また、福島の廃炉の問題というもっと大きな問題も抱えております。  そういう中で、これ冒頭の原子力規制委員会にお尋ねした人的リソースの問題にも絡むんですけれども、もうこれからは廃炉部分しかないんだという産業の中では、なかなか優秀な人材というのがこれからこの原子力の世界に入ってくれない可能性もあると。ただ、やはりこの廃炉を日本がしっかり進めていくためには、一方で、こういう原子力を再稼働をする中で、優秀な人材にも入ってきてもらって、そしてしっかりとその廃炉の技術を確立していくという、こういうことも要るんではないかというふうに思います。  こういう人をしっかり雇える状況をつくるということも大事ですし、また、今実際問題として、これ電力会社さんは、人の採用というところもそうですけれども、現在何とか電力需給賄っているというのは火力をフル稼働しているからなんですね。ただ、こういう火力も相当老朽化をしている。この老朽火力の発電所を一体どうすればいいのか。新規に再び火力発電所を造るのか、それとも原子力発電所の再稼働を待つのかということで、非常に経営判断としても難しい部分があると思います。  こういう民間企業の経営というものについての予見可能性をできる限りはっきり与えて、しっかりした経営判断をさせられるように、資源エネルギー庁としてもしっかり国策としての原子力政策を進めていただきたいと思います。  最後に、ちょっとこの点について、資源エネルギー庁としての決意をお聞かせいただきたいと思います。
  24. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  非常に目まぐるしい環境変化の中で、電力事業者が今後とも原子力事業についてしっかりと取り組んでいただけるような環境整備を整えることは国の役割として大変重要な役割であると認識をしております。様々な可能性あろうかと思いますが、海外の事例も参考にしながら、しっかりと検討してまいりたいと思っております。
  25. 阿達雅志

    阿達雅志君 では、少し早いですが、これで質問を終わります。
  26. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 おはようございます。民進党・新緑風会の増子輝彦でございます。  会期末を控えて、この委員会開かれるのかなと心配しておりましたところ、委員長始め理事の皆さんの御努力によってこの委員会開かれたこと、原発被災の県民の一人として、議員として感謝を申し上げたいと思います。できれば関係大臣においでいただければなおよかったんですが、さはさりながら、今日、限られた時間の中で質問させていただきたいと思います。  福島県の現状は、もう私が言うまでもなく、この原発災害によって依然として厳しい状況にあることは言うまでもありません。依然として十万人近くの方々が県内外に避難生活を強いられているという現状、そして、様々な風評被害始め除染、これからのなりわい回復、人間回復、環境回復と、いろんな課題があるわけであります。こういう状況の中で、今日は、実は廃炉、この問題に焦点を絞りながら、今国会最後でございますから、ちょっとおさらいをしながら今後のことについても質問をさせていただきたいと思っております。  先ほど田中委員長からの御報告もありましたとおり、廃炉に向けた取組監視等については、事態対処型から計画的対処に移行したというような御報告もありました。私も基本的にはそういう形でいいんだろうというふうに思っております。と同時に、プラント状況把握と使用済燃料のいわゆるプールからの燃料取り出し、そして燃料デブリ取り出しということが極めて重要な課題であることは言うまでもないと思っております。  そういう状況の中で、まず汚染水対策について御質問させていただきたいと思います。このことについては随分今日までいろいろ質疑がなされてまいりましたけれども、最近ちょっとこのことがなかなか世間的にも余り表に出ていませんので、汚染水対策として私の方からも端的に質問させていただきますので、今日は、東京電力山口社長、そして高木経産副大臣に御答弁をいただくことになっておりますので、ひとつ、限られた時間ですので、端的に重要な形で御答弁をいただければ有り難いと思っております。  まず、ALPSで処理して今タンクに保管している汚染水の量は増える一方であるというふうに大変憂慮しているわけでありますが、現在保管している汚染水の量はどのぐらいになっているんでしょうか。
  27. 山口博

    参考人山口博君) お答えを申し上げます。  建屋への地下水の流入あるいは汚染水の処理は日々行っているところでございますので、汚染水量自体は日々変動しているところでございます。ALPSでこれらを処理しておりますけれども、建屋への地下水の流入量、地下水のバイパス、サブドレーン、そして凍土壁の効果によりまして今後減少していくものと考えてございます。現在、福島第一のタンクに貯留しております水の総量が約八十四万立米でございます。  以上でございます。
  28. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ということは、タンクはお幾つあるんですか、現在。
  29. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  約九十六万立米でございます。  以上です。
  30. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 大分前でしたが、当時の廣瀬社長ともいろいろこの件について議論をさせていただきましたが、必ずこれは減らしてまいりますということでしたが、いずれにしても、僅かの量であっても今も増えているということは事実であります。  しからば、トラブル続きだったALPSも今は比較的順調に機能しているというふうに聞いておりますが、このALPSを通してトリチウムほか放射性物質の除去は現在どのように除去しているのか、お答え願いたいと思います。
  31. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  ALPSは現在三基設置しております。汚染水に含まれるトリチウムを除いた六十二種類の放射性の核種が除去可能でございます。  最初に設置いたしましたALPSは、これは世界初の試みであったということもございまして、御指摘のとおり初期トラブルはありましたが、その後適宜改良を加えまして、現在では大きなトラブルもなく運転しているところでございます。  後から設置いたしました二基につきましては、最初に設置いたしました設備で経験しました知見を反映いたして設計改良しておりまして、現在までに大きなトラブルはなく運転をしているところでございます。  以上でございます。
  32. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 大変結構なことだと思って、私も安心をしております。  かなりのここには国費も投入されているわけであります。そういう状況の中で、トリチウムの除去ができる可能性はあるんでしょうか。また、そのような研究開発は現在行っているんでしょうか。
  33. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 御指摘のように、トリチウム水の分離技術についてトリチウム水のタスクフォースにおいて技術的な検討を行っております。また、トリチウムの分離技術に関する最新の知見を得るとともに、技術的成立性を検証することを目的として、国際公募で採択したアメリカ、ロシアの企業を含む七社において技術の検証試験を行いました。昨年度までの成果について専門家レビューをいただきましたけれども、現時点では直ちに実用化できる段階にある技術は確認できておりません。
  34. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 現時点ではできないということですが、しかし、これは何としてでもトリチウムを除去するという方向をつくらないと、これが実は処理できないんですね。  今後については、もしこのような研究開発を更に進めていく場合には、経産省とも積極的にこのことについては当然やっていくおつもりなんでしょうけれども、その考えをお聞かせください。
  35. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 委員指摘のように、今タンクの方にトリチウム水がたまっておりまして、それの処理について、今申し上げましたように、汚染水処理対策委員会の下でこのタスクフォース、ここで議論を進めております。そういった中で、分離できる技術、これは研究を進めていかなければいけませんけれども、これがすぐにできるものであればそれを待っていればよろしいんですが、なかなかそういう現状でない段階で、様々なケース、どういうようにしてこれを処理していくかということを今検討している段階でございます。
  36. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 このトリチウムを含む水の処理、様々なケースがあると思います。先頃、資源エネルギー庁が五十五のケースについて評価を行ったというふうに聞いておりますし、また報道されておるところでありますが、この中の一つとして、希釈して海洋放出するのが最も安価であるというような、何か経済性だけを優先するという報道が独り歩きをしたということを大変私、憂慮しているんです。  五十五のケースのうちの一つだと思うんです。しかし、やはりここがどうしてもマスコミ的には取り上げられる。経産省あるいは国は、もう経済性の問題を考えたら、安くて放出できるには希釈すればいいんだろうということだけを取り上げるということについて、報道の仕方も問題はあるんだろうと思うんですが、やはりここは、高木さん、慎重にやらないと。  実は、福島県漁連の皆さんもサブドレーンを容認するまでの間の様々な難題はよく御存じだったと思います。これは田中委員長もよく御存じだったと思いますが、ここで認めてくれたということ。これが、海に放出する、それも安い、一番経済的に安いからだと。経済性だけを何か重視されて、このことがいかにも放出される可能性が一番強いというような報道にあったことについて、県漁連の皆さんも、先日もお会いしてまいりましたが、かなりやっぱり怒り心頭ですよね。  このことについて、絶対そういうことがあってはならないんだろうというふうに私は思って、私はどちらかといえば経産省の立場に立って、国の立場に立って考えているんですが、しかし、こういう報道が独り歩きして県民の皆さんや漁連関係者の皆さんにそういう、やっぱり問題を更に複雑にさせるような、怒り心頭になるようなことがあってはならないと思うんですが、この事実関係についてお尋ねしたいと思います。
  37. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今御指摘ありましたように、四月十九日にこのタスクフォースを開催して、海洋や大気に放出する場合など、五十五の評価のケースごとに技術的成立性、処理期間、コスト、規模、二次廃棄物の発生量等について試算結果を示しました。ところが、翌日のマスコミの報道を見ますと、このコストの部分だけがクローズアップされたということで大変遺憾なことだと思います。現時点では、政府としてはその具体的な方針はまだ決めておりません。  ただ、海洋放出に関しては、中長期ロードマップにおいても、地元関係者の理解を得ながら対策実施することとし、海洋への安易な放出は行わない、このように記載しておりますし、御指摘のあったサブドレーンのときでも、大変漁連の皆様方が御苦労されました。そういった思いをしっかりと受け止めながら、今後も丁寧な説明をする。特に、関係者の御理解を得ない限りはこれはできないんだと、そういうことを私たちも認識をしておりますので、この点、マスコミも含めまして、報道も正確な形で報道していただきたい、そういうことも思いながら、一方で、国の方もそういったこともしっかりと踏まえて丁寧に行ってまいりたいと思います。
  38. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 副大臣、誤解のないようなきちっとしたやっぱり説明も必要だと思いますから、そこはしっかりと対応してください。  正常な原発が動いているとき、もちろんトリチウムを含むこれは希釈をして海へ放出するということは当たり前のことなんですが、しかし、なかなかこれは、こういう事故があった後は皆さんそんなことは全然理解もできませんし、基準値は数字で示されて安全だとなっても、安心基準はまた違うんですね。田中委員長も何回か、希釈をして海に放出することが一番いいんだというような発言をされたという記憶がありますが、それは理屈上、安全上の基準は分かるんですが、しかし、原発災害を受けている福島県民からすればそれはちょっと違うんじゃないかということですので、十分ここは注意深く丁寧な説明をして、関係者ともよく協議をしてしっかりと対応していただきたいということをあえて重ねて申し上げておきたいと思っています。  次に、サブドレーンの汚染水低減に関する効果と凍土壁の今後の見通しについて、これは山口社長、お尋ねしたいと思います。
  39. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  まず、サブドレーンにつきましては、昨年の九月に稼働を開始をいたしておりまして、地下水の状況を確認しながら慎重にかつ段階的に稼働の水位を低下させてきているところでございます。その結果、地下水のバイパスなどの対策実施する前には一日当たり四百トン程度あった地下水の流入量が、現在では、建屋の止水の効果でありますとか地下水のバイパス効果、サブドレーンの効果で一日当たり百トンから二百トン程度に抑制されていると評価しているところでございます。  一方、凍土方式の遮水壁でございますけれども、その陸側につきましては、今年の三月の三十一日に第一段階のフェーズ1でございます海側の全面、それから北側の一部、山側の部分先行凍結箇所を対象に凍結を開始しているところでございます。  面的に凍結させております北側の一部並びに海側の全面では、遮水壁の内外で地下水の水位差が凍結開始前よりも拡大してきておりますし、また、地中の温度は大部分は零度Cを下回ってきているということから、当社といたしましては、遮水効果が現れ始めていると考えているところでございます。  今後は、次のフェーズ2と、これは凍結範囲が山側の凍結予定範囲の九五%となるまでの段階でございますけれども、そこへの移行に向けまして、しっかりと当社の評価原子力規制委員会に御説明し、御意見をいただきながら、安全第一に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  40. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 サブドレーンについて、私も一定の効果があるというふうに評価をしていますが、しかし完全ではないということもあるわけですから、このことについても、東電としてもしっかりと対応していただきたいと思っています。  田中委員長、実は、大変申し訳ありません、通告はいたしておりませんでしたが、この凍土壁の効果等について、一部報道では田中委員長が少しここについては懐疑的だというような報道もなされたと記憶しております、間違っていたら訂正していただきたいと思いますが。  実は、フランスの原発関係者に、以前この話が出たとき言われたんです。増子さん、あれは全く成功しないよ、無理だよということを言われた記憶が強く印象に残っているんです、原発関係者から。しかし、あらゆる可能性をやっぱり私どもは追求していかなければいけないというふうに思い、国もこれは前面に立って凍土壁ということについて対応しているわけですから。  田中委員長、この凍土壁についての効果あるいは考え方等について、現時点で田中委員長はどのような見解を持っているか、お尋ねしたいと思います。
  41. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私の発言の趣旨が少し誤解されて伝わっているところもあろうかと思います。  まず、私どもが凍土壁の運用に当たって注意してきたことは、それをすることによって、リスクを拡大しない。つまり、炉心、溶けた溶融燃料を冷やしている高濃度汚染水が外に出ないようにするということのために、順次ステップを踏んでやっていただきたいということであります。  それから、今汚染水の量を減らすということが非常に言われていますけれども、私としては、やはりあそこの、原子炉の中をドライアップして、最終的に、先ほど先生が御指摘のように、溶けたデブリ燃料を取り出すようなめどを付けなきゃいけないと。そういう意味で、本当に成功していただきたいと思いますけれども、現段階においてその効果がどの程度うまくいくのかどうかというのは予見できませんので、慎重にステップを踏んで進めていただくよう、私どもとしては監視していきたいというふうに思います。
  42. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 高木副大臣、今の委員長の話がありましたとおり、国が前面に出てこのことをやるということですから、ここも田中委員長とよく連携を取りながら、しっかりと対応していただきたいと思います。  次に、トリチウム水の処理を含め、これは、一連の汚染水の実施については誰が責任を負っているのか、ここが私は明確ではないような気がするんです。国も前面的に出る、しかし、やっぱり一義的には電気事業者である東電なのかなと思うんですが、ここは明確に誰がこの責任を負っているのかということを端的にお答えをいただきたいと思います。
  43. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  福島第一での事故を発生させました当事者といたしまして、当社が汚染水対策実施する責任を負っていると考えてございます。  御指摘いただきましたトリチウム水の処理につきましても、対策の方針であるとか技術開発などにつきましては、国の有識者会議等での議論も十分に踏まえ、最終的には当社が責任を持って対応してまいります。  なお、対策の方針でありますとか技術開発につきましては、原子力災害対策本部や経済産業省等、国からの御支援をいただいているところでございます。  以上でございます。
  44. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 東電の責任において、しっかりとここはやっていただきたいと思っています。  次に、廃炉関係に移りたいと思っております。  実は、地元の「みんなのひろば」という声の欄に次のような投書があったんです。これは五月十六日、福島民報ですけれども廃炉作業の休止、東電に怒り爆発、サミット期間中廃炉作業を中止、小さな記事だったが、読んだ途端、怒りが込み上げた、これが東京電力福島第一原発事故に遭った福島県民に対する東電の姿勢だと。東電は政府に求められたわけではないが、安全上念のために、主要国会議期間中、福島第一原発の廃炉作業を休止すると発表したのだということなんですね。原発事故後五年以上も福島に住み、これからも住まざるを得ない県民の安全を保障しないという宣言に等しいと。各国首脳よりも福島県民の命は軽いのかというような実は内容であることでございます。  このことについて、サミット期間中は廃炉作業中止と聞いているが、その理由は何なんでしょう。そして、ふだんは安全ではないということなのか。このことについての見解を東京電力にお答え願いたいと思います。
  45. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  インフラ設備を所有する企業といたしまして、国から警備体制あるいは連絡体制強化の要請を受けまして、福島第一原子力発電所におきましても、警備・連絡体制強化を図るべく、伊勢志摩サミット前日から三日間、定例的な作業以外は休止する予定としてございます。  休止する理由でございますけれども、全体的な作業量を減らしまして、何か通常とは違うことが発生した際に、ふだんにも増して早期にそれを発見いたしまして早期に対応できる体制とするためのものでございます。  廃炉作業を行うに当たりましては、ふだんから、登録されました作業員のみが作業場所に入域できるように管理もいたしておりますし、作業状況につきましても、適宜パトロールによりまして確認をするといったことで、安全確保を第一に図っているところでございます。  以上でございます。
  46. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ちょっと理由になっていないような気がしますよね。  いずれにしても、この投書の中には、事故後も東電は大小の事故を重ねてきた。二日、三日間といえども事故を起こさない自信を持てない東電が、アンダーコントロールと宣言した首相に各国首脳の前で恥をかかせてはならぬとおもんぱかった措置だろうというふうに書かれています。  県民のやっぱり気持ちを十分私は考えていただきたい。もしこういうことが本当に実施されるなら、事前にきちっと県民に向けて私は説明する必要があるんだろうというふうに思っているんです。ここがやっぱり東電の体質の私は一つ考え直さなければいけない、福島県民に対する、被災者に対する配慮が足りないということだと思いますので、しっかりと今後ともこのことについては対応していただきたいと思っております。  次に、やはり、先ほど来申し上げているとおり、廃炉、大変な作業であります。これについては様々な課題があります。  廃炉には何年掛かると考えているのか、現時点で。副大臣、お答え願いたいと思います。
  47. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 昨年六月の廃炉汚染水対策関係閣僚会議におきまして改訂しました政府、東電一体となった中長期ロードマップでは、二〇一一年十二月のステップ2完了から三十年から四十年後の廃止措置終了を目指すこととしております。
  48. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 燃料デブリの取り出し、先ほど申し上げたとおり極めて重要だと思います。  燃料デブリを取り出した後はどのように保管するのか、そして最終的な処分場はどのように考えているのか。このことについては、東電、お答え願いたいと思います。
  49. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  燃料デブリの保管につきましては、燃料デブリ取り出し方針の決定に向けて検討を現在実施中でございます。取り出しました燃料デブリの処理、処分方法については、現在設計を行っております放射性物質分析・研究施設の活用も視野に入れながら、必要な技術の検討を進めまして、燃料デブリ取り出しから廃止措置終了までの間に決定することとしております。  以上でございます。
  50. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 これ、大変なことなんですね。燃料デブリを取り出すこと、さらにそれを一時保管をして、最終どういうふうにするか。これは、田中委員長も最もこれから重要な課題一つだということは認識されていると思います。今日は余り時間がないのでこれ以上質問はいたしませんが、ここにしっかりと対応していただかなければならないと思っております。  それから、一号機から三号機の使用済燃料棒、これは、今後これも大変重要な課題でありますが、これについてはいつまでに取り出す予定か、端的に、東京電力、お答え願いたいと思います。
  51. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  一号機、二号機、三号機の使用済燃料プールからの燃料取り出しの開始につきましては、中長期ロードマップに定めております目標工程であります、一号機及び二号機は二〇二〇年度内、三号機は二〇一七年度内の取り出し開始を目指しまして、安全を最優先に取り組んでおるところでございます。  以上でございます。
  52. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 二月にチェルノブイリに行ってまいりました。三十年です。現場にも入りました。これから百年掛けて、新しいシェルターを事故のあった四号機にかぶせて、百年掛けて燃料デブリ取り出しとそれから使用済燃料棒の処理と廃炉に向けというんです。  今の計画計画です。しかし、そんな簡単ではないと思います。ここはしっかりと、経産省はもちろんです、国挙げて東電と一体となってしっかりと頑張っていただかなければならないと思います。私もそんな簡単にできることではないと思いますが、しかし、このことはやっぱりオール福島、オールジャパンでしっかりやっていかなければいけないと思っていますので、我々もできる限りの協力をさせていただきたいと思います。  最後に、賠償の問題だけをお聞きしたいと思っています。  農林業の賠償は平成二十八年十二月までのことになっているわけですが、その後どうする予定、どのように対応していくのか。一部ではもう既にいろんな対応を関係者とやっているというふうに承知しておりますが、改めてこの場でお答えを願いたい。それから、商工業の賠償の問題も全く同じ状況でありまして、東電の対応が極めて不親切であり不誠実だという怒りも、県民の中に、商工業者の中にもあります。これも実は時期が同じような時期にやってまいります。  この農林業と商工業の賠償について、今後どのように対応していくのか、経産副大臣、お答え願いたいと思います。
  53. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今御指摘いただきましたように、まず農林業の賠償につきましては、避難指示区域内につきましては二十八年十二月末まで六年分の逸失利益の一括でお支払しておりまして、区域外につきましては出荷制限指示やいわゆる風評被害などによる減収に係る損害について賠償しておりますが、二十九年一月以降の取扱いにつきましては、農林業を取り巻く状況、さらに福島の復興の状況、中間指針等も踏まえた上で、これできるだけ早い段階で具体的な方向性をお示ししないと、やはり農家の方々は大変御心配されていると思いますので、ここは鋭意努力をしてまいりたいと思います。  もう一つ、営業損害につきましても、これも二年分を一括して払うということがございましたが、その後については個別の事情を踏まえて適切に対応するとしておりますけれども、やはり今御指摘ありました事業者の方々の不満ありますので、事業者の方々に直接訪問し対面での御説明や丁寧な御事情、これを伺いながら、現地での対応強化、これを今努めておりますし、しっかりと指導してまいりたいと思います。
  54. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 終わります。  最後に、是非、ここにおられる国会議員の皆さんも霞が関の皆さんも、福島の現場に足を運んでいただきたい。行っていない方がたくさんおられます。現場を見なければやっぱり分からない状況だと思います。是非そのことを私、福島県選出国会議員の一人として心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございます。     ─────────────
  55. 田中直紀

    委員長田中直紀君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、高階恵美子君が委員辞任され、その補欠として石田昌宏君が選任されました。     ─────────────
  56. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 民進党の浜野喜史でございます。  本日は、原子力発電所の敷地内の破砕帯評価についてお伺いをいたします。  まず、北陸電力の志賀発電所についてお伺いをいたします。  今後の適合性審査についてであります。今後の適合性審査につきましては、評価書をベースに行うのではなく、事業者と十分な議論を行いながら科学的、総合的な審査を進め、白紙の状態から判断されるものと考えますが、どのようにお考えでしょうか。  まず、田中委員長に見解をお伺いします。
  57. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 本年四月に志賀原子力発電所サイト内の破砕帯についての評価書を受領しております。  既にそういったことも踏まえ、プラント審査はその前から始めておりますけれども、今後の審査の進め方については、科学的、総合的な審査をベースに進めていきたいと考えております。  白紙からという御指摘ですけれども有識者会合の専門的な知見を得て大体問題の整理がされてきておりますので、その整理については既に事業者の方も十分認識しておると思いますので、そういった必要なデータを提示をしていただき、それに基づいて原子力規制委員会の責任において審査を進めて最終的な判断をさせていただきたいと思います。
  58. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 予断なく審査がなされるものであるというふうに理解をいたしました。  その上で、評価書につきましては数々の疑問がございます。お伺いをいたします。  志賀の評価書では、発電所建設時に問題ないとされたトレンチ調査時の壁面のスケッチ、写真を持ち出してきて、北西部につきましては変位したと解釈するのが合理的と評価をしております。  見解の分かれるスケッチや写真によりある部分だけを判断するのではなく、今回行われました調査部の調査結果を基に、北西部も含めたS—1全体としての評価をすべきであるというふうに考えますけれども、いかがお考えか。これは参考人で結構でございます。お願いいたします。
  59. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  まず旧トレンチというお話ございましたが、これが調査をされたのは、志賀発電所一号炉の設置許可、これは昭和六十三年八月でございますけれども、この時点の調査でございました。当時は、平成十八年耐震設計審査指針の改定の前でありまして、活断層であるかどうかという判断の目安は、五万年前以降に活動したかどうかということで考えておりました。その後、耐震設計審査指針が、これは原子力安全委員会において改定をされて、十二から十三万年前以降に活動したものを活断層とするということでございますので、当時と今とでは基準が異なっているということは御理解いただきたいと思います。  その上で、S—1のシーム、この破砕帯の活動性の評価につきましては、有識者会合評価においては、御指摘のとおり、南東部についてはトレンチ調査の結果から活動性がないとの判断になってございますが、一方、北西部につきましては、過去の今申し上げたスケッチや写真のみならず、一号炉原子炉建屋付近で新たに掘削された調査坑における調査の結果、あるいは、北陸電力が活動性を否定しているわけでございますけれども、その根拠とする調査結果や北陸電力の主張、これらについてもきちんと検討をしていただきまして、その結果として、やはり北西部については活動性があると解釈するのが合理的という判断になったものと承知をしております。  このように、南東部と北西部で違うという、二つに分けて評価するということも含めて有識者会合の御判断ということでございますので、規制委員会といたしましては、これを参考としつつ、最終的な判断をするための審査の中できちんと検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  60. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 この際、志賀の評価書につきまして三件の資料要求をさせていただきたいと思います。  三月二十三日の環境委員会におきまして、S—1破砕帯の北西部のみが活動したことを評価説明した資料を要求いたしました。  その結果、提出いただきました資料を見ますと、北西部が動いたと判断した根拠、南東部が動いていないと判断した根拠、それぞれについて記載はありますものの、一本のシームにおきまして動く部分と動かない部分があることについての説明がありません。  改めて、S—1という一本のシームの一部のみに活動性があるとする説明評価書においてどのようにしているのか、資料として本委員会に提出していただきたい。一部のみの活動性についての説明をしていないというのであれば、その旨を資料として提出をいただきたい。  二つ目です。  第八回の評価会合での議論を踏まえ、四月二十七日の最終的な評価書では四十二ページに解析モデルの記載が復活をしております。  第八回評価会合から原子力規制委員会への報告までの間、この四十二ページの解析モデルの記載に関して誰がどのような判断決定をしていったのか、その経緯が分かる資料を提出をいただきたい。  三つ目です。  S—1の評価に関する結論部分につきまして、三月三日の第八回評価会合では、南東区間は活動性なし、北西区間は活動性が否定できないという順で記載がありましたが、四月二十七日の最終版ではその順序が逆になっております。  第八回評価会合における議論のどの部分を踏まえて書換えがなされたのか、また、第八回評価会合から規制委員会報告までの間に有識者との間でどのようなやり取りを経て変更がなされたのか、その理由、経緯が分かる資料を提出していただきたい。  以上三件、よろしくお願い申し上げます。
  61. 田中直紀

    委員長田中直紀君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  62. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 本件については様々な疑問がありますが、今後質疑をさせていただくということで、本日はこれぐらいにさせていただきます。  いずれにいたしましても、予断なく適合性審査を進めていただくように求めておきたいと思います。  次に、日本原電の敦賀の関係についてお伺いをいたします。  四月の環境委員会におきまして、ピアレビューコメントのどの部分をどのように解釈をし、どのような経緯で原子炉建屋直下のいずれかという重要な言葉の入った結論が提案されたのかが分かる資料を要求をいたしました。その結果、出てきました回答が本日配らせていただいています資料の三ページ、四ページというところでございます。御覧をください。昨年の四月に提出をいただいた資料の一部を、全く同じものとして提出を今回もいただいたということでございます。  その上で質問をさせていただきます。  四ページのところの結論部分原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかという表現が四ページの評価での対応部分にございます。この原子炉建屋と表現されております原子炉は二号炉であるというふうに理解をいたしますけれども、これも参考人で結構でございます、お答えをいただきたいと思います。
  63. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、ここで言っている原子炉建屋というのは二号炉原子炉建屋のことでございます。
  64. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 先ほども申し上げましたように、結論部分が書き換えられたというところでございます。  本日も資料を配らせていただいております。二ページでございます。  二十六年の十一月十九日におきましては、K断層はD—1破砕帯と一連の構造である可能性が否定できないと考えているという表現でありました。これが最終的には、D—1破砕帯等、等という表現が加わりました。さらにもう一つは、原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかと、この二つの記述が追加をされたわけでございます。  その根拠を説明求めたところ、ピアレビューアーのお二人のコメントであるという御答弁でありましたので、ピアレビューアーコメントのどの部分をどのように解釈をして変更の提案をしたのかということを求めた結果、出てきたのが昨年と全く同じ今回の資料というところでございます。ページ四ページでございます。  コメントの中、十行でございます。この中を私も説明がどのような説明になっているのか見させていただきました。あり得るとすれば、二行目でございます。例えば、浦底断層が屈曲したところから延びている断層があるが、むしろ、このような断層の方が連動して動く可能性が強い。これが二号炉の直下の破砕帯であれば、私は規制庁の説明は筋が通った説明になっていくというふうに思いますけれども、この浦底断層が屈曲したところから延びている断層があるというこの断層は、二号炉の直下の断層であるのか、一号炉の直下の断層であるのか。これは通告しておりますので、参考人、お答えいただきたいと思います。
  65. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  この資料に書かれている今委員指摘部分については、明示的に確認したわけではございませんけれども、恐らく一号炉建屋の下に延びている断層のことを指してコメントされたのではないかというふうに考えてございます。
  66. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 通告させていただきました。通告させていただいていますので、もう一度、定かではないけれども号炉だというふうにおっしゃいましたけれども、通告をいたしています、もう一度答弁ください。
  67. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 答弁が少し舌足らずで申し訳ございませんでした。  発言された方に直接明示的に確認したわけではないということを申し上げたわけでございまして、私どもといたしましては、委員の御指摘のとおり、ここで指摘されているのは一号炉建屋の下を通っているものを指しているというふうに理解をしております。
  68. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 この十行のコメントの中で、原子炉建屋直下、これは二号炉なんです、原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかという記述を加える根拠になり得るのは、私は先ほどの部分だけだというふうに理解をいたしました。ただ、これは二号炉じゃないんです。一号炉の下を走っている断層のことを指しているんです。にもかかわらず、なぜ二号炉の記述につながるのか、全く分かりません。御説明ください。
  69. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  先ほど来、委員からは、この結論部分の修正の根拠、根拠としてピアレビュー会合の指摘お話しされていますが、過去の答弁でもちょっと舌っ足らずだったのかもしれませんけれども、ピアレビュー会合での御指摘だけを根拠としてこのような提案をしたということではないということは再三申し上げておりますし、この今御提示された資料の中でも、過去の評価会合での議論などもきちんと踏まえた上でやってございます。  さらに、ちょっと申し上げますと、評価書の原案を作るというのは事務局の仕事でございますが、その際には、評価書のその内容がこの破砕帯調査の目的にふさわしいかどうか、それから、それまでの有識者会合の議論をきちんと適切に踏まえた形になっているかどうか、こういったことが重要であるというふうに考えてやってきたわけでございます。  そもそも、この有識者会合というのは、保安院時代の意見聴取会の調査を引き継いでおりまして、当時から原子炉建屋直下を通るD—1あるいはH—3aといった破砕帯について、活断層の可能性が否定できないという指摘があったということでございますので、それがそもそもの問題意識にございました。  さらに、このK断層につきましては、D—1破砕帯の延長部が浦底断層という第一級の活断層に近接する場所で掘ったトレンチで発見された、こういうことがございますので、当然のことながら、KとD—1あるいはその他の原子炉建屋直下を通過する破砕帯との関係が議論の的になっているということは当然でございますし、私ども有識者との間ではその共通認識があったというふうに考えて、このような提案を行ったということでございます。
  70. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 私の質問にまともに答えていただいておりません。  資料二ページも配らせていただいております。二十六年の十一月の十九日には、結論部分の記述についての議論はあったんです。D—1破砕帯等、こういう表現を入れようじゃないかということがありましたが、最終的には記述は変えないということで結論付けをされました。  そして、それ以降、御説明を求めたところ、結論はあったんだけれども、ピアレビューアーのコメントを踏まえて検討したんだ、提案したんだというふうにおっしゃっているんです。過去に議論があったことは私も認めます。ただ、二十六年の十一月十九日に結論は出たんです、記述の。それ以降、なぜなのかと問うたときに、ピアレビューアーのコメントだと。  それじゃ、更にどの部分をどのように解釈して提案したのかということをお願いしたところ、出てきたのがこれなんです。十行、しっかり見てみました。提案の材料になりそうなのはあの部分だけなんです、先ほど申し上げた部分だけ。これは、廃炉が決断された一号炉のことを言っているんです。これがなぜ二号炉の直下の記述につながるのか、合理的に説明をしていただきたいと思います。  こだわるのは、これは発電所の存続を左右する問題につながることなんです。それを、ピアレビューアーのコメントを材料にして提案したという説明をずうっと環境委員会等々でやってこられたんです。  なぜ一号炉の断層を二号炉に当てはめて記述をするのか、説明ください。
  71. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  委員が配付された資料をお借りして恐縮でございますが、四ページでございますが、このコメント、今委員は、先ほど御紹介された、二行目のところを御指摘されましたけれども、私ども評価での対応というところに書いて、左の指摘というふうに書いたところはその部分ではなくて、敷地内にはD—1破砕帯以外にも多くの断層があるので、K断層の延長としてD—1破砕帯だけを議論するのは明らかに不適当という部分でありますとか、下の方のコメントのK断層とD—1破砕帯が全く違うものではないのかというコメント、こういったことを踏まえて、先ほど来申し上げておりますが、それまでの議論の経緯から判断をいたしまして、ピアレビュー会合でこのようなコメントがあったので、K断層と結び付くのはD—1だけだという当初の評価書案ではなくて、D—1破砕帯のみならず、ほかに存在する原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかと関連付けることが適切であろうというふうに考えまして、有識者の方々にも御紹介してコメントなく採用されたという、そういうことでございます。
  72. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 これ、この部分は通告していないんですけれども、提出をしていただいた資料の中にも書いてありますので、少し質問させていただきます。  先ほども申し上げましたけれども、D—1破砕帯等という等が書き加えられたんです。これが一つです。もう一つ原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれか、こういう表現が加わったんです。この二つが加わったんですけれども、等という表現と、原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかと、この二つの記述は私は意味合いが違うというふうに理解するんですけれども、これは専門的な意味合いではございません。記述の内容の問題でございます。参考人で結構です、お答えください。
  73. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) 申し訳ございません、意味合いが違うという意味がちょっと私には分かりかねますので、ちょっとお答えいたしかねます。
  74. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 同じ意味なんですかということです。
  75. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) D—1破砕帯等という等というのは、D—1破砕帯以外のものも含まれるという意味でございます。それから、原子炉建屋直下を通過するというのは、まさに文字どおり原子炉建屋直下を通過するものと、そういう意味でございますので、同じ意味ではないというのはそのとおりでございます。
  76. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 残り時間も僅かですので、この件をもう少し質問させていただきたいと思いますけれども、違う意味なんです。これを、この十行をいろいろ私も読んでみました。櫻田部長もずうっと答弁いただいています。櫻田部長は大体こういうことをおっしゃっているんです。KとD—1は違うということ、Kと関連付けるのはD—1以外もあるのではということ、さらに、D—1以外にも建屋の下には破砕帯があると、こういう三つのピアレビューアーのコメントを踏まえて書き換えたんだということなんです。  私は、この三つを材料として、D—1破砕帯等というところまでは説明が可能だと思います。KとDとは違うんだと、Dに特定するな、等を付けた。Kと関連付けるのはD—1以外もあるのではないか、だから等を付けた。D—1以外にも建屋の下には破砕帯がある、したがってDだけじゃない、等を付けた。これはまだ提案の説明が付くんです。  しかしながら、原子炉建屋直下の破砕帯のいずれかというところは、先ほど申し上げた部分が二号炉の断層のことを指してあるんであれば成り立つんです。しかし、廃炉を決断した一号炉なんです。説明できないということなんじゃないんですか。お願いします。
  77. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 櫻田規制部長、明確に答弁してください。
  78. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答えいたします。  先ほど来委員指摘のそのレビューアーのコメントの二行目のところですね、浦底断層が屈曲したところから延びている断層、これが原子炉建屋、一号炉原子炉建屋の方に延びているものだというふうに理解してございますが、これは、K断層は、先ほど申し上げましたとおり、D—1破砕帯の延長部で見付かったものでございますので、それとは異なる断層とつながるのではないかというコメントをこの先生がなされたというふうには私ども考えてございません。  D—1破砕帯とか二号炉建屋の直下のものだけではなくて、一号炉建屋の直下にも別に破砕帯がある、それは見なくていいのかと、こういう御指摘だったと思います。これは、裏返して申し上げますが、したがって、そのK断層と一号炉建屋の直下を通るものが関連するのではないかというコメントではないというふうに考えてございます。  それから、先ほど来申し上げておりますが、K断層とD—1破砕帯との一連の可能性が否定できないというふうに評価書で書いてございましたが、こういったKとD—1は違うんじゃないかとか、それ以外にもあるんじゃないかというコメントがございまして、さらに、KとD—1以外にも、ほかにも原子炉建屋直下を通過する破砕帯はいろいろあって、それとの関係も考慮する必要があると、その一連の構造という言い方というのはそういう意味であるというような議論はずっとこの有識者会合の中で議論されてまいりました。  先ほど申し上げましたとおり、そもそもこの破砕帯有識者会合が持っていた問題意識というのが、元々、二号炉原子炉建屋の直下を通過する破砕帯の活動があるのかないのかということでございましたので、そういったことを全体を考えまして、K断層とD—1破砕帯等、原子炉建屋直下を通過する破砕帯のいずれかは一連の構造である可能性が否定できない、このような形にしたということでございまして、これは当時の有識者にずっと共有されていた認識であろうというふうに考えてございます。
  79. 浜野喜史

    ○浜野喜史君 これで終わります。  本日のも含めて、これまで質疑を通じまして、敦賀の評価書は、公開原則にのっとらず、密室で、規制庁、事務局が、ピアレビューアーの意見、コメントを適切に取り扱わずに勝手に結論を書き換えるような案を作り、有識者からはそれに対して全面否定の意見も出されたにもかかわらず、それに対し適切な説明、了解の有無などの痕跡を一切残さず作成されたものとみなされても仕方ないというふうに思います。  重要な知見の一つとして参考とされるべきようなものではあり得ない、このことを指摘して、質問を終わります。
  80. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 先ほど田中委員長からの御報告にもありましたとおり、原子力規制委員会規制庁は本年の一月に、前回二〇〇七年から九年ぶりに、IAEAIRRSのミッション、すなわち国際原子力機関総合規制評価サービスのミッションを受け入れました。今、規制委員会規制庁、そして、その際の指摘事項に真摯に取り組んでいると承知をしてございます。その姿勢に敬意を表し、取組を高く評価したいと思います。  この四月には、IRRSよりミッション報告書規制委員会に対して提出をされました。この報告書には、調査の結果として、二つの良好事例、まあよくやっているじゃないかと、あとは十三の勧告、そして十三の提言としてまとめられています。この報告書を受けまして、規制委員会規制庁は課題への対応方針を四月二十五日付けにて示しております。  本日は、この報告書指摘及び規制庁の対応方針について質疑をしていこうと思います。  まず、勧告の十一番目について質問をさせていただこうと思います。  勧告の内容はこのようなものです。勧告、原子力規制委員会は、以下を行うべきである。一つ、規則及びガイドを定例的に、また、新たな必要性が生じた場合に評価、見直すためのプロセス改善及び文書化、二つ、必要な場合、規則のガイダンス文書による補完、三つ、安全性の向上のための評価に係るガイダンスの改善、こういう勧告です。  規制庁は、規制庁の対応方針では、ここに対して三つの課題としてまとめています。一つ目に、定期的な規制要件及びガイドの見直し、二つ目、安全性向上に関するガイドの改善、三つ目、放射線源に関するガイドの充実、こういうふうにまとめています。  まず、この課題のうちの一つ目、定期的な規制要件及びガイドの見直し、これは二つの部分に分かれています。その一つ目が、規制やガイドを定期的に評価し見直す体系的なプロセスの構築と文書化であります。  この課題に対して規制庁の対応方針は以下のとおりです。基準規則、規則の解釈及びガイド等において、適宜、評価、見直しを行う際の基本方針、スクリーニング手法、プライオリティー付け及び体制を明確化した文書を作成し、順次見直しを実施、このようにございます。そして、その際のポイントとして三つ掲げてあります。旧の組織、旧原子力安全・保安院、旧原子力安全委員会からの指針、内部規定類の見直し計画の策定及び見直し、二つ目、学協会規格の活用の在り方、学協会規格の見直し計画の策定及び見直し、三つ目、IAEA、OECD・NEA等の国際知見を反映するためのプロセスの策定、このような対応方針です。  ここで質問なんですが、ここに示された対応方針の具体的な作業を詳しく示した上で、どのようなスケジュールで作業を進めていくのか示してください。また、スケジュールが示せない場合には、いつまでにスケジュールを示せるかについて教えていただければと思います。御答弁お願いします。
  81. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  原子力規制委員会としましては、規制基準等の見直しの検討を継続的に行っていくということが非常に重要であるというふうに認識をいたしております。今回のIAEAの勧告を踏まえまして、まず、規制基準等の見直しのプロセスに関する文書及び規制基準等の見直し計画を今年度中の早い段階で作成をするということとしたいと考えてございます。  それから、規制基準等の見直しに関する作業についての御質問でございますが、これは旧組織、旧原子力安全委員会であるとか保安院でございますが、こういう指針、それから内部規定類、それから学協会規格、この取扱い等も含めて、まずは現在の基準類の全体の点検をするという必要があるというふうに考えてございます。  その上で、海外での基準等の見直し事例を参考にしながら、さらには安全研究の実施等で最新の科学的、技術的な知見というものも収集をしてございますので、そういうものを、それからあと、IAEA等の国際的な知見、それから、新規制基準への適合性の審査を進めてございますので、その実績等、こういうものを総合的に踏まえて計画を策定をする、その上で見直しを進めると、こういうことを考えているところでございます。
  82. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今年度中の早い段階という今お話がありましたが、具体的には何月ぐらいというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  83. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申します。  現時点におきましてはできるだけ早くというふうにしかちょっと申し上げられないと考えてございますが、これはやはり、規制委員会としてもかなり根幹的な基準の今後の見直しということになりますので、委員会でもしっかりとした議論をしていただく必要があるというふうに考えてございます。  現在、鋭意今準備をしているというところでございますが、その準備にももう少し時間が掛かるということで、できるだけ早めに対応したいというふうに考えてございます。
  84. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 はい、分かりました。  次に、原子力施設に係る審査ガイドの充実について伺いたいと思います。  先ほどの定期的な規制要件及びガイドの見直しの二つ目の課題が、原子力施設に係る審査ガイドの充実に当たります。これに対しての規制庁の対応方針はこのようなものです。次の原子力施設に係る審査ガイドの充実を図る。これには二つあります。一つ目が、基準を補完するガイドです。これにもまた二つありまして、平成二十八年六月をめどに原子炉制御室の居住性に係る有毒ガス影響評価ガイドの策定、平成二十八年九月をめどに維持規格の技術評価及び規則の解釈への反映。二つ目が、審査手順を示すガイドです。具体的には、これまで新規制基準適合性審査の進め方については、体制審査の進め方等の文書を個別に制定し業務を実施してきたが、個別の業務文書を統合し、業務マニュアルを策定、このようにございます。  まず、基準を補完するガイドについて伺います。  この二つのガイド以外に原子力施設に係る審査ガイドで充実を図るべきものはないのか、また、ガイドの充実を図るために事業者など関係者の意見を聞くことはよいことだと思いますが、どのようにしていくのか、御答弁をお願いします。
  85. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  御指摘の二件のガイドは今年度の対応の一部ということでございますので、このガイドの策定、見直しにつきましては、これは来年度以降も継続的に順次進めているということでございます。  今年度の対応、予定といたしましては、これら以外に、例えば今回のIAEAの提言も踏まえまして、人的、組織的要因を考慮した原子炉制御室に関するガイド、それから、事故とかトラブル時に活用する根本原因の分析評価ガイド、こういうものを策定するということで取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  それから、基準を補完するガイドにつきましては、審査を円滑に行うために審査官等が判断する際の参考とするというのが基本的な考え方でございますけれども、今後一体どのような内容のガイドが必要かということにつきましては、実際の審査状況でありますとか、その中での事業者との意見交換等を踏まえてこれは検討していくということになろうかと考えてございます。
  86. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 やはり関係者が読んで分かりやすい、迷わないということは非常に重要だと思うので、是非とも、最後におっしゃっていただいた事業者始め関係者との意見交換、充実したものにしていただければというふうにお願いをいたします。  次に、審査手順を示すガイドについて伺いますが、個別の業務文書を統合した業務マニュアル、一体どのような位置付けの文書になるのか、またいつ頃までにまとめるのか、また、まとめる際に、先ほどと同様ですけれども事業者など関係者の意見を聞くのかどうかについて御答弁をお願いします。
  87. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  審査手順を示すガイドと申しますのは、これは、規制庁の職員が審査に係る業務を行う際の標準的な手順を示すような、そういうものを考えてございます。  これまで、新規制基準適合性審査の進め方に関しましては、体制でありますとか審査の進め方について個別の文書を作って業務を行ってきたところなんですけれどもIRRSでレビューを受けて、そのときの御指摘を踏まえまして、こういった個別の文書も統合し、更にもっと細かいところまで含めて業務マニュアルを策定するということを考えてございます。  したがいまして、規制庁の職員の業務の際の標準的な手順ということでございますので、事業者意見聴取をするという必要はないというふうに考えてございますが、制定した暁には事業者にもお示しするというようなことはあり得るかなというふうには考えてございます。  時期的なものにつきましては、具体的な内容についてまだ検討始まったところでございますので、相当分量もあるかもしれません。できるだけ早い時期に制定できるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  88. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 次に、安全性の向上に関するガイドについて伺います。  これは、先ほどのIRRSの十一番目の勧告に対しての二番目の課題なんですけれども、それが安全性向上に関するガイドの改善です。  これには二つポイントがあります。まず一つ目が、原子力施設の事業許可等において前提としたサイト特性全ての再評価実施。今のところは、現状では地震、津波のみを評価の対象としております。二つ目は、原子力施設サイト外への潜在的影響評価のために必要となる十分なサイト特性の調査、そしてそれを踏まえたサイト外に対するリスク評価実施、こうした課題があるんですけれども、それに対しての対応方針として、規制庁は二つを挙げております。  一点目が、安全性向上評価のガイドの改正において、まずは、設置許可において評価対象とした原子力施設のリスクに影響を与えるサイト特性の再評価、次に、運転段階からの廃止措置計画の策定及びその改定を盛り込む検討を早急に開始すること。二点目、原子炉施設による敷地境界外へのリスクの評価手法の一つとして、レベル3確率論的リスク評価、PRAを活用したリスク評価の導入に向けた検討を開始、このような対応方針です。  このそれぞれの取組について、具体的な中身の詳細、スケジュール、また、スケジュールが示していない場合にはいつ頃までにスケジュールが示せるのか、そして、これやはり事業者など関係者の意見を聞くのかどうか、これについても示してほしいと思います。御答弁をお願いします。
  89. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  今委員の御指摘のとおりの計画を今立ててございますが、まだ検討を開始したところということでございますので、ちょっと詳細については、まだそこまで至っておらないということは御理解いただければというふうに思います。  ただ、スケジュールについてまず最初に申し上げますと、今委員の御指摘のあった一点目と二点目は少しタイミングが違うだろうというふうに考えてございます。内容に応じて段階的にガイドを改正していくということを考えてございまして、最初の改定は今年度内に何とかできるようにしたいというふうに考えてございます。そして、具体的な内容につきましては、これはまさに事業者評価をしていただくもののガイドということになりますので、事業者からの意見もきちんと聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
  90. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 次に、放射線源に関するガイドの充実について伺いたいと思います。  これは、IRRSの十一番目の勧告に向けた三番目の課題に当たります。この課題としては、放射線源に関するガイドの充実、具体的にはこのようなものです。RI法に基づく規則及びガイドを定期的に評価、見直すためのプロセス、また、新たな必要性が生じた場合のプロセスの改善及び文書化並びに必要に応じて規則のガイド文書による補完、こうした課題なんですけれども対応方針としては二つあります。一つ目が、RI法に基づく規制手続による文書を作成し、原子力規制委員会のマネジメントシステムの中に位置付け、定期的な更新を実施。二つ目が、過去の放射線規制室からの事務連絡等を統合した文書を作成し、事業者に有用なものはウエブサイト等において公表する、また、当該文書を原子力規制委員会のマネジメントシステムの中に位置付け、定期的な更新を実施する、こういう対応方針です。  これも、それぞれの取組について、中身の詳細、そしてスケジュール感、まあスケジュールが示せない場合はいつまでにスケジュールが示せるか、また、事業者など関係者との意見交換を行うかどうかについて示していただければと思います。御答弁をお願いします。
  91. 片山啓

    政府参考人片山啓君) お答え申し上げます。  IRRSにおきましては、RI法、放射線障害防止法でございますが、に基づく規制につきまして、委員指摘ございましたように、例えば法改正があったたびに発出するような個別の規制内容を改正する通知文書というのはこれまでも出しておったわけでございますけれども、その規則、基準をしっかりと補完するガイダンス文書というものが存在してこなかったという課題があったというふうに認識をしております。  このため、これまで発出してまいりました通知文書などの内容を整理、拡充をいたしまして、審査でございますとか検査でございますとか、そういった分野ごとに統合されたガイダンス文書をまずは作っていくということが肝要かと思っております。その上で、それをホームページなどで公表していくということを考えてございます。  他方で、そのRI法に基づく規制につきましては様々な課題がございます。例えばセキュリティー対策IAEA基準を十分に満たすものとなっていない、あるいは事故を想定した準備と対応についての規制要求が限定的なものになっているといった課題がございます。したがいまして、これらの課題について、RI法を改正をしてリスクの高い放射線源による事故時の対応制度の整備やセキュリティー対策の追加を含めて放射線源に対する規制を再構築しろという方針が規制委員会から示されているところでございます。  したがいまして、事務局といたしましては、近々、まずはこういった課題検討体制について規制委員会の方にお諮りをしたいというふうに考えてございます。御指摘のガイダンス文書の作成の件もこの規制の再構築の一環として進めたいというふうに思ってございまして、事業者との意見交換というのも新たに設置する検討体制の下で進めていきたいというふうに考えてございます。
  92. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今の御答弁にあったように、これはかなり大掛かりな作業なんだなということが分かりました。  検討体制の構築とか様々な作業項目があろうと思うんですけれども、これはやはり工程表のようなものを作って具体的に進めていくのかどうかについて教えていただけますでしょうか。
  93. 片山啓

    政府参考人片山啓君) お答え申し上げます。  RI法の法改正も必要かもしれないということも視野に入れた検討でございます。したがいまして、まず検討の順番としては、その規制要求を国際的な基準に沿ったものにしていくために法改正が必要なのかどうかという点からまずは議論をし、その上で、必要だということになれば国会にお諮りをしなければいけないというプロセスになろうかと思いますし、その上で、それに基づく規則、さらにそれを補完するガイダンス文書の作成、そういったプロセスで物事は進めていきたいというふうに考えてございます。
  94. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 分かりました。  次に、規制機関と許認可取得者、つまり事業者とのコミュニケーションについて伺います。  これは、IRRS報告書の三番目の提言です。提言の内容は以下のようになっています。原子力規制委員会は、規制審査及び評価の結果を受けて、一層の規制上の期待事項、現在の課題について、許認可取得者、つまり事業者申請者とのコミュニケーションに関するメカニズムの有効性について評価することを検討すべきである、このような提言です。  規制庁は、課題の設定をこのようにしています。規制に係る審査評価の結果、更なる規制当局としての期待、現行の課題を許認可取得者、つまり事業者に連絡するためのメカニズムの実効性の評価、このような課題設定としております。この課題に対しての対応方針として規制庁はこのように示しています。原子力規制委員会内規、すなわち、括弧の中ですね、原子力規制委員会の業務運営透明性の確保のための方針における文書による行政の徹底を推進するとともに、新規制基準適合性審査審査結果やヒアリングでの指摘事項のウエブサイトでの公開を引き続き実施、なお、現状から向上すべき点につき、許認可取得者、つまり事業者に確認をする、このように対応方針を示しています。  ここで質問なんですが、事業者とのコミュニケーションに関するメカニズムの有効性についてどのようにまず自己分析をされているのかどうか。次に、現状から向上すべき点等につき許認可取得者に確認とありますが、規制の独立は確保しつつも、事業者からの意見に真摯に耳を傾けることがより良い審査のためには重要なんだろうと考えます。聞きおくのような姿勢ではなくて、改善に向けてしっかりと意見交換、議論をしてほしいと思うのですけれども、具体的にはどのように取り組んでいくのか、御答弁をお願いいたします。
  95. 櫻田道夫

    政府参考人(櫻田道夫君) お答え申し上げます。  まず、自己分析、有効性、コミュニケーションに関するメカニズムの有効性に関する自己分析でございますけれども、私ども、今まで、新規制基準適合性審査において、会合後に面談を実施して指摘事項を整理する、こういうことによってお互いの認識を共有するということでありますとか、過去の審査について、審査書の公開だけではなくて、審査の視点とか確認事項をまとめた文書を作って公開するといった取組を行ってきております。  それによってだんだんコミュニケーションも良くなってきたのかなというのが現時点における自己評価でございますが、やはりこれは、相手方である事業者にどのように課題があるかということについてもお伺いする必要があるだろうということで、現状から向上すべき点等について許認可取得者に確認をしていくということでございます。  したがいまして、こういったことを事務レベルでも、社長さんのような経営トップの方々が規制委員会意見交換をしていただく際に、こういった文書化の御要望がありますので、具体的にどのようなことが考えられるのかということについては、事務レベルでも事業者とよく話をさせていただきながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
  96. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今おっしゃったように、事業者など関係者と綿密な連携を取りながら、より良い規制実施していただけるようお願いをして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  高速増殖原型炉「もんじゅ」について、昨年十一月十三日、規制委員会は、原子力研究開発機構には「もんじゅ」を運転する能力はないとして、新たな運営主体を具体的に特定すること、それが困難であるならば「もんじゅ」という発電原子炉施設の在り方を抜本的に見直すことを勧告いたしました。    〔委員長退席、理事大島九州男君着席〕  報道では、本日、文科省が諮問した「もんじゅ」の運営主体の在り方検討会が報告案を示すということですけれども、この報告案では原子力機構に代わる運営主体を具体化しているのかどうか、お答えください。
  98. 冨岡勉

    ○副大臣(冨岡勉君) お答えします。  文科省としては、勧告を発出される状況に至ったことを大変重く受け止めております。これまでの課題の総括、「もんじゅ」の在り方の検討、具体的な運営主体の検討という三段階検討を進めることとし、実行してまいりました。  馳文部科学大臣の下に設けた「もんじゅ」の在り方に関する検討会では、委員に「もんじゅ」の現地を視察していただき、これまで計七回にわたる会議で大変精力的に議論をいただいたところであります。本日午後に開催される検討会では、三段階のうち、「もんじゅ」に係るこれまでの課題と新たな運営主体が備えるべき要件について、取りまとめ案について議論されることとなっていると聞いております。
  99. 田村智子

    田村智子君 この検討会の報告骨子案というのを私も見ましたが、結局、新たな運営主体について何一つ具体的に指摘をしていません。  それでは、今後、文科省が具体的な運営主体について検討し、特定をするということなんでしょうか。それはいつまでにやるつもりなのか。それとも、具体的な運営主体を特定できなかったことから、「もんじゅ」の在り方そのものについて抜本的な見直しを行うということになるんですか。
  100. 冨岡勉

    ○副大臣(冨岡勉君) 委員指摘の、御質問にありました、文部科学省としては、「もんじゅ」のこれまでの課題の総括及び新たな運営主体が備えるべき要件についての検討会の取りまとめを踏まえて、可能な限り早期に具体的な運営主体を示せるよう、課題の解決に向け、関係省庁、関係機関と相談しながら対応を進めてまいりたいと考えております。
  101. 田村智子

    田村智子君 これ、仮に新たな運営主体ということになれば法律が必要になるわけですよ。これ、もういつになるのかなんて全く分かりません。  田中委員長にお聞きをいたします。  勧告では、おおむね半年を目途として、新たな運営主体を具体的に特定すること、それができなければ在り方を抜本的に見直すことを求めています。おおむね半年がたって、結局文科省は、いつまでに新たな運営主体を特定するか、これも答弁ができません。にもかかわらず、「もんじゅ」の在り方の抜本的な見直しもしようとしていません。このままでは現状のまま来年度の予算要求も行われるのではないのかと。  規制委員会の勧告が余りに軽く扱われていると思いますが、規制委員会は今後どのように対応なさるのでしょうか。
  102. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生御指摘のように、勧告ではおおむね半年ということを述べさせていただきましたけれども、現在、それに基づいて文部科学省においては鋭意検討を進められているというふうに承知しております。  まあ、おおむね半年ですので、半年でなきゃいけないということではありません。実施主体を特定するというのはそう容易なことではないだろうということも私ども議論しまして、おおむね半年とさせていただいていますので、文部科学省からの回答をお待ちしたいと思います。
  103. 田村智子

    田村智子君 この報告骨子案では、「もんじゅ」に係る主な課題、つまり問題点として、高速炉の実用化に向けた道行きが不明確な中での将来に向けた人材育成の困難さということが指摘をされています。もう高速増殖とも書かないんですよ。高速炉としても実用化を目指すのかも不明確と、まさに存在意義に関わる問題です。二〇一四年のエネルギー基本計画を見ても、高速増殖炉については言及がありません。一体、「もんじゅ」は、何のために存在をして、何を目指しているのか、お答えください。
  104. 冨岡勉

    ○副大臣(冨岡勉君) お答えいたします。  エネルギー基本計画において、「もんじゅ」は、廃棄物減容、有害度低減等の国際的な研究拠点と位置付けられており、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、国の責任の下、十分な対応を進めるとされています。  このもんじゅ研究計画では、「もんじゅ」の運転を通じて、高速増殖炉としての成果を取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減化、高速増殖炉、高速炉の安全性を確保することの三つの研究開発を柱として研究開発を進めているところであります。  文部科学省としては、「もんじゅ」が果たすべき研究成果の取りまとめに向けて、対応をこれまでどおり進めてまいりたいと考えております。
  105. 田村智子

    田村智子君 この高速増殖でいいますと、二十年間全く成果がない。こんな研究聞いたことありませんね。  日経新聞、二月八日付け、「「巨大な迷子」もんじゅの命運」というタイトルで、戻れる家も目指すべき目的地もはっきりしない迷子のようだと報道されています。  この「もんじゅ」って何のためにあるのかとお聞きしましたら、今や減容というのが先に出てくるんですよね。これ、もう高速増殖が行き詰まったために新たな稼働目的として加えられたものですけれども、放射性廃棄物の中の寿命が長い核種を寿命の短い核種に変換しようと、こういうのが新たに付け加わったわけですけれども、これ、昨年十一月二日、原子力規制委員会臨時会議、更田委員長代理も次のように指摘をしています。  「もんじゅ」利用のアイデアとして、廃棄物の減容、無毒化、核変換は理屈としてあり得るが、前提として、分離をするところもない、燃料を作るところもない、ペレット一個作るだけでも大騒ぎの技術であり、「もんじゅ」が動けば廃棄物問題の解決に貢献するかのように言うのは誇大広告だと、こういうふうに発言されているんです。  そもそも発電も、二十年間止まったままの原子炉なんというのはほかにはないわけで、周辺機器の老朽化もあるでしょう。保有している核燃料の品質がどうなっているかも、冷却材であるナトリウムの状態がどうかも分からない。これを動かすとなれば、核燃料を新たに作るということさえも必要になってくると考えられるわけです。  そうなると、この「もんじゅ」の実用化を目指すというのならば、今後、運転開始までに一体どれぐらいのお金が掛かるのか。これは全体像を私は明確に示すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  106. 冨岡勉

    ○副大臣(冨岡勉君) お答えいたします。  もんじゅ研究計画では、「もんじゅ」は、高速増殖炉プラントとして最低限必要な技術を取得できるファイブサイクル終了時点、六年程度を成果の取りまとめ時期と定め、技術達成度やコスト、安全性などの観点から評価し、その後について判断されることとされております。  また、「もんじゅ」の運転再開に今後係る予算や期間については、高速炉の新規制基準原子力規制委員会において明確になっていないこと、周辺地域基準地震動が定まっていないこと等の不確定要素があるため、現時点では明確にお答えすることは困難ではないかと考えております。
  107. 田村智子

    田村智子君 もう、動かしたら幾ら掛かるかのかも分からない、動かすまでにも幾ら掛かるかも分からないということなんですよ。これ、欧米諸国は、高速増殖炉計画を先送り、あるいは今や撤退をしています。その理由は、軽水炉よりもコストが掛かり過ぎる、ナトリウムの扱いが技術的に困難である、軽水炉よりも純度の高いプルトニウムが大量に生成され、核不拡散にも逆行する、こういう理由が述べられているわけです。  プルトニウムについて言えば、これはもはや外交問題に発展する危険性があります。日本が保有するプルトニウム、既に約四十八トン。これは、世界各国の保有量の約二割に達し、核兵器約五千五百発分に相当いたします。  昨年十一月、科学と国際問題に関する会議、通称パグウォッシュ会議では、プルトニウムを分離する再処理は、エネルギー目的であれ兵器目的であれ、全ての核兵器国を含め全ての国で止めるべきである、国際安全保障に与える影響に鑑み、各国は核燃料サイクルに関する主権に対する制限について相互に合意しなければならないと、こういう声明を発表して、日本政府に対しても使用済核燃料再処理の中止を要請しています。  今、韓国が、米韓原子力協定、これ交渉の過程で日本と同じ権利を主張して、使用済核燃料の再処理、これをやるんだと言っている、アメリカはこれを認めないと、こういう交渉になりました。中国も民生用再処理の導入を検討するなど、日本がやっているからということで、近隣諸国が同じことをやる権利が私たちにもあると、こう主張する事態にまでなっているわけです。  改めて、文科省、お聞きいたします。  規制委員会の勧告は、「もんじゅ」の新たな運営主体を特定できなかった場合にはもう在り方を抜本的に見直しなさいというものなんですよ。だったら、もう行き詰まった「もんじゅ」の延命を図るのではなくて、廃炉を含めた「もんじゅ」そのものの在り方を検討する、これ、もうやるべきだと思いますが、いかがですか。
  108. 冨岡勉

    ○副大臣(冨岡勉君) お答えします。  エネルギー基本計画において、核燃料サイクルの推進は我が国の基本的な方針とされております。「もんじゅ」は核燃料サイクルに関する研究開発において重要な施設であることであります。  今回の原子力規制委員会からの報告も安全規制の観点からなされたものであり、「もんじゅ」そのものの廃炉をすべきとの指摘はないと理解しております。「もんじゅ」を含めた高速炉は、限られたウラン燃料を有効に使い、また放射性廃棄物をより少なくすることが可能となる等の特徴を有しており、その研究開発は、我が国のみならず世界のためにも重要であると考えております。    〔理事大島九州男君退席、委員長着席〕  文部科学省としては、検討会の議論を踏まえ、速やかに課題が解決されるよう前面に立って対応を今後も進めてまいりたいと考えております。
  109. 田村智子

    田村智子君 もう高速増殖もナトリウム冷却も後から付いてくる電力会社は皆無ですよ。本当にどこから見てももう行き詰まっているとしか評価のしようがありません。  田中委員長にもう一度お聞きをいたします。  これ、やっぱり、おおむね半年という期間が過ぎて、文科省の対応は事実上現状維持の延命策を探っているにすぎないと思います。骨子案を委員長も御覧になっていると思いますが、既に規制委員会原子力機構との間でさんざんやり取りされて、この二十年間改革改革と言われてきたものと何ら変わらないような中身がまたもまとめられたにすぎないと私には読めます。  規制委員会の今後の対応として、これは中身によっては再勧告あるいは設置許可の取消しなども排除されないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  110. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私どもが出した勧告の趣旨は、安全を確保するということが基本であります。  ですから、今後、まだ文部科学大臣からの勧告に対する回答をいただいておりませんので、現段階においてその中身も承知しておりませんので、先生御指摘のようなことについては今お答えできないということであります。回答をいただいた上でしかるべき対応検討していきたいと思います。
  111. 田村智子

    田村智子君 これはオールジャパン体制でなどなどが恐らく報告案の中に盛り込まれるんでしょう。しかし、ナトリウム冷却にしろ高速増殖にしろ、研究をしてきたのはもう原子力機構しかありません。民間の力入れようとも、それを安全に取り扱えるなんという知見を誰も持っていません。その機構に落第点が出された以上、「もんじゅ」はもう廃炉するしかない、このことを申し上げまして、質問を終わります。
  112. 東徹

    ○東徹君 おおさか維新の会の東徹でございます。  前に誰もおられませんので、向こうを向いてちょっと質問をさせていただきたいと思います。  まず高浜原発についてでありますけれども、高浜原発、運転から四十年を超えた高浜原発の一、二号機についてでありますけれども原子力規制委員会審査の結果、今年、二十八年四月二十日に設置変更許可が行われました。  まず、この四十年を原子炉運転期間として、その上で二十年の運転期間の延長を一度だけ可能にするという原子炉規制法第四十三条の三の三十二というのがありますが、まずこの趣旨についてお伺いしたいと思います。
  113. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生御指摘のように、原子炉規制法第四十三条三の三十二においては、発電用原子炉運転することができる期間は四十年と定められており、その期間の満了に際し、原子力規制委員会認可を受けて、一回に限り最長二十年延長することができるとされているところであります。  四十年の運転期間の年限に対しては、国会審議において、経年劣化等に伴う安全上のリスクを低減する観点から設定されたと認識しております。また、運転延長期間を二十年とすることについても、国会審議において、高経年化の技術評価では運転開始後六十年を見通した経年劣化の評価を行っていること、米国の事例として運転許可の更新について二十年を超えない期間としていること等を考慮した結果設けられた旨の説明があったと認識しておるところでございます。
  114. 東徹

    ○東徹君 国会審議で決まったということはよく分かりましたですけれども、この運転期間についてですけれども、延長がこれは認められると六十年になるわけですけれども、六十年もたつと原子炉そのものが古くなっていくというのは、これは当然だと思うんですね。  今回いろいろと、設置変更に基づいていろいろなケーブルを取り替えたりとか、そんなのが言われておりますが、私も、三、四号機、一回視察に行ったことあるんですけれども、見て思ったのは、分電盤がえらい古いなというのをすごく感じました、一、二号機は見ていませんのでよく分かりませんけれども。  ただ、原子炉というのは、取り替えることがこれはできないわけでありまして、そもそも造るときに、六十年をめどに、六十年間使うんだ、六十年以上使うんだということで原子炉を造っていたのであれば当然これは六十年間いけるのかなと思うんですけれども、当初四十年運転することを想定していたのであれば、二十年間延長というのは、そもそも劣化していてこれはもう難しいというふうに思うんですけれども、元々これは六十年以上運転することを想定して原子力発電所原子炉を造られたのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  115. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 原子力発電所の寿命ですけれども、元々、原子炉規制法において原子力発電所運転期限を定めた規定はございません。許認可に際して、運転期間を想定した評価はそういう意味で行われていなかったというふうに認識しております。また一方、事業者が個々の原子力発電所運転期間を何年というふうに考えていたかどうかということについては、申し訳ありませんが承知しておりません。  原子炉規制法においては、従前から、事業者が、発電所の運転開始後三十年以降は十年ごと、いわゆるペリオディックレビューと申しておりますけれども、定期安全レビューを行いまして、施設の経年劣化の現状と今後の見通しを評価し、その評価に基づいて、それ以降十年間において安全に運転を継続するための追加的な点検の実施や部品の取替えなどの保守管理の方針を定め、国の認可を得る制度となっております。  高経年プラントの安全確保について、そういうことを通して順次十年ごとにきちっと確認していくということになっておりまして、この制度は現在でも踏襲されておるところでございます。
  116. 東徹

    ○東徹君 三十年をめどに十年ごとに延長していこうという考え方なんだと思います。  私が一番気にしているのは原子炉なんです、原子炉原子炉というのは、これは取替えがやっぱり利かないわけですよね、原子炉は取替えできないわけですから。その原子炉、取替えすることができない原子炉、これはだんだんだんだんと古くなっていくわけですよね。  ただし、その原子炉の例えば中の状態がどうなっているかというのは、これ確認できませんよね。目で見ることはできないですよね。
  117. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 原子炉の中は全く見れないわけではありませんで、定期安全レビューの際には、燃料等を抜いて、中をいわゆるファイバースコープのようなものでよく点検するとか、それから、先生御指摘のように、原子炉の一番心臓部になります圧力容器、その中に原子炉燃料が入っているわけですけれども、その圧力容器が中性子の照射によってだんだん年とともに劣化、脆化していきます。そういった脆化の度合いにつきましては、試験片みたいなのを中に入れておいて、それを定期検査のたびに取り出して試験をして、脆化の評価をしながら原子炉プラントの劣化状況を把握していくというようなことを行っております。  ですから、全く十年間何もしないというわけではなくて、十年には、非常に定期安全レビューとしてきちっとした総合的な評価も行いますし、十三か月ごとの定期検査においてもそういったことはきちっと評価をした上で次の運転に入る、許可をするというようなことを踏ませていただいておるところでございます。
  118. 東徹

    ○東徹君 試験的に見ることはできても、中の構造部が一体どうなのかというのは、これ取り出して見ることはなかなかできないんだろうというふうに思っておりまして、本当に六十年以上これ運転することが想定していたわけでもないんだろうし、ここは本当にどうなのかなという懸念があります。  もう一つ、ちょっと発電コストについて次に質問させていただきたいんですけれども、二〇一四年にモデルプラントにおける発電コストの試算結果が発表されておりますけれども、石油火力の発電コスト、一キロワット当たり三十・六円から四十三・四円というふうになっておりますけれども、石油価格の、一バレル何円でこれ試算したのか、お聞きしたいと思います。
  119. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  二〇一四年のモデルプラントの発電コストの試算において使いました石油価格でございますが、二〇一四年暦年のCIF価格の平均ということで、一キロリットル当たり六万九千三百三十七円を使用しております。これを一バレル当たりに換算いたしますと一万一千二十三円となります。
  120. 東徹

    ○東徹君 何ドルですかね。
  121. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) ドルに換算をいたしますと、二〇一四年の平均で百五・一一ドルとなります。
  122. 東徹

    ○東徹君 百五・一一ドルですね。これ、五月十六日の取引では一バレル四十七・九八ドルですから、言ってみれば半分なんですね、もう。  だから、コストが原発が一番安いといういつものあの表を出していただけるんですけれども、やっぱりここは、燃料のコストが安くなったらこうなりますよという試算をやっぱり随時出していくべき、一年ごととか二年ごととかやるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  123. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  私ども、この発電コストの試算というものにつきましては、エネルギーミックスの策定時、その検討の参考とするために最新のデータを使いまして発電コストの検証を行った次第でございます。あくまで中長期の見通しを検討するために発電コストの検証を行うものでございまして、随時検証するということは考えてございませんけれども、他方で、エネルギーミックスの検討を行うに当たりましては最新のデータを用いて検証していくことは必要であると考えておりますし、加えまして、検証した際には、化石燃料価格の感度分析というものをやりまして、石炭、LNG、石油、それぞれ価格が一〇%変動したらどうなるかといったことも併せて出しております。  ちなみに、石油につきましては、一〇%上下した場合にはキロワットアワー当たり約一・五円変わると、こういうふうなことを示させていただいているところでございます。
  124. 東徹

    ○東徹君 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  125. 山口和之

    山口和之君 日本を元気にする会・無所属会の山口和之でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  IAEA国際原子力機関のピアレビューである総合規制評価サービスIRRSミッション報告書が四月二十三日に日本政府に届けられました。このことについて質問させていただきます。  報告書は、日本の原子力規制が福島第一原発事故の教訓を取り入れて安全確保上必要な水準に達していることを前提に、更なる改善を求めるものという位置付けで、具体的には、検査制度を改善すること、放射線源のセキュリティー対策強化すること、能力と経験のある人材の確保、育成に努めることなどを指摘していますと理解しています。  そこで伺いますが、今回のIRRS報告書を受けて原子力規制委員会はどのような対応を取るのか、お伺いしたいと思います。
  126. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生御承知のように、福島第一事故を受けて発足した新しい規制機関ですので、できるだけ速やかに国際的なレビューを受けようということでIRRSのレビューを受けさせていただきました。  そのレビューでは、事故後に我が国が独立した規制機関を設置して事故の教訓を迅速かつ実効的に規制に反映させたことを高く評価しつつ、こうした規制強化取組を継続し、今後更に改善が可能な分野、具体的には、事業者による安全確保の取組をより強化するための監視検査制度の整備、それから今御指摘がありました放射線源規制の再構築、それから人材の確保といったようなことに取り組むよう、具体的な提言を受けております。  本委員会としましては、これらの指摘への対応を、より機動性と実効性の高い、機動性と実効性を確保するため、現在、規制庁、規制委員会一体となってその取組対応しているところでございます。
  127. 山口和之

    山口和之君 IRRSについては、二〇〇七年にも規制委員会の前身である原子力安全・保安院に対して報告書が出されています。その提言の一、S1にはどのようなことが記載されていたのか、規制庁からお願いします。
  128. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) お答え申し上げます。  二〇〇七年のIRRS報告書提言一には、原子力安全・保安院は実効的に資源エネルギー庁から独立しており、これはGSR1に一致している。かかる状況は、将来、より明確に法令に反映させることができ得るものであると記述されています。
  129. 山口和之

    山口和之君 東電福島第一原発の事故を受けて、原発を推進する資源エネルギー庁や業界から保安院が独立していない、むしろとりこになっていたということが満天下に明らかになっています。  この反省に立ち、今日の規制委員会ができたのだと思いますが、そのとりこであった保安院に対し、前回のIRRSは、実効的に資源エネルギー庁から独立していると肯定的に評価しているわけですが、これについて委員長の感想を伺いたいと思います。
  130. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 当時、私自身はそこに全く関わっておらなかったわけで、詳細は分からないんですが、IAEAとしては、実効的に独立しているとの表現、このほか、将来、より明確に法令に反映でき得るという、少し持って回った言い方をしているように思います。これは、裏を返せば法的には独立性が担保されていないということをIAEAとしては認識していたもので、早急に法的にも独立すべきということがその表現の中には読み取れるのではないかというふうに私は思います。
  131. 山口和之

    山口和之君 全くそのように読み取れると思います。  当時、保安院独立性を疑問視する国は複数ありましたが、IAEA指摘を逆手に取った日本政府は、実効的に独立しているとの指摘を引用し、国際的にアピールしたと国会事故調の報告書でも述べられています。  事故調は、さらに、二〇〇七年のピアレビューについて、良好事例とされている事項についても、必ずしも実態が正確に把握されていない点に留意する必要があるとまで述べています。  つまり、IAEAのピアレビューといっても限界がある。むしろ過去に大きな見逃しをしている。褒められたからといって浮かれているようなものではない。言い過ぎかもしれないですが、むしろそんなIAEAに改善をはっきり求められているということは相当問題があると思います。深刻なことかもしれません。最低限のこととしてレビューに基づく改善はきちんと実行し、フォローアップを受けなければならない、このように思います。  そこで、検査制度の改善について具体的に伺いますが、二〇〇七年の、〇七年のピアレビューの勧告七、R7にはどのように記載されているのかを伺いたいと思います。
  132. 荻野徹

    政府参考人(荻野徹君) お答え申し上げます。  二〇〇七年のIRRS報告書、勧告七でございますが、原子力安全・保安院は、その検査官がサイトでいつでも検査する権限を有していることを確保すべきである、これにより、検査官はサイトへの自由なアクセスが可能となり、法律規定された検査期間中というよりも任意の時間に職員とのインタビュー、文書審査要求などができるようになる、これは建設検査運転検査の両方に適用されると記述されています。
  133. 山口和之

    山口和之君 検査の在り方については〇七年から改善を指摘されてきています。九年たってようやく今回動き始める、このスピード感のなさはどうなのか。規制委員会も福島事故対応に終始し、なかなかそこまで手が回らなかったかもしれないですが、少なくとも再稼働を認めていくならば、せめて検査制度を改善してからにするのが普通だと思いますが、改善が遅れたことについてどのように考えるか、委員長に伺いたいと思います。
  134. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 検査制度の以前のIAEAIRRSの御指摘については、私どももきちっと認識して、内部においていろいろ勉強も含めて検討してまいりました。  IRRSレビューを受けるということは、大体三年以内に再度再レビューを受けてきちっとフォローアップレビューを受けるということが原則とされてきております。そういった意味において、私どもとしては、今、休日返上で規制委員会規制庁が一緒になって検査制度の見直しを具体的に進めるべく努力しております。この検査制度の見直しは法律改正というようなことも伴うと考えられますので、相当きちっとやるという方向で今進めさせていただいております。  いずれにしても、こういった、まさにIRRSのときにもジャメ委員長から御指摘ありました。審査の次には検査が非常に重要になるから、そのことについて十分対応するようにという御指摘がありましたので、そういった方向で私どもはそういった努力を重ねていきたいと思います。  以上です。
  135. 山口和之

    山口和之君 最後にもう一問質問させていただきますが、先ほどの改善の指摘事項の中に、能力と経験のある人材の確保、育成に努めるということがあります。  日本の検査官候補者は二週間の研修を受けるのに、米国では検査官候補者は二年間の集中研修を受けると、この差はすごく大きいと思います。この差をどのように埋めていくのか。人材の確保と能力の向上、これについて委員長の見解を伺っておきたいと思います。
  136. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) IRRS報告書においては、我が国の検査制度の在り方と併せて検査官の素質と能力を更に強化する必要があること、特に検査官が受ける初期訓練は時間が極めて限られているとの指摘がなされました。  現在、検査官の人事発令を行う要件として、二週間の研修を受けること及び二年以上の原子力規制行政経験があること等を求めております。発令後も、その専門性を高めるため運転管理専門技能研修など複数の専門研修を順次受講することを求めており、用意している研修時間の総計は大体百日程度にはなっております。  しかし、今御指摘がありましたような、米国では二年の研修を行っているということでございます。  私どもとしては、こういった米国の経験あるいは米国NRC規制委員会協力を得まして、近々、米国原子力規制委員会へ職員派遣を行って、検査官の研修実態と実務内容などを精緻に習得する機会をつくることとしております。こうした習得の機会は短期ではなくて、年単位で研修をさせていただいて、質の高い検査官の育成、確保を図ってまいりたいと思います。
  137. 山口和之

    山口和之君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  138. 中野正志

    ○中野正志君 日本のこころの中野正志でございます。  先月に発生した熊本地震では、現在、全国で唯一稼働中であります鹿児島の川内原発一、二号機への影響について、地元から不安の声があるのも事実ではあります。  しかしながら、九州電力が発表した実際の計測値を見ると、四月十六日一時二十五分に発生した本震でも、原発の補助建屋最下階、岩盤上ですね、八・六ガルだったとのことであります。これは、川内原発で原子炉が自動停止する設定値であります百六十ガルを大幅に下回っている数値であります。  川内原発の再稼働をめぐっては多くの議論がなされてまいりました。重要なことは、科学的な数値に基づいた冷静な議論であろうと考えます。  そこで、今回の熊本地震を踏まえた川内原発の安全性の評価について、科学的な判断に基づいた田中委員長の御見解を是非国民の皆様に詳しくお示しをいただきたいと思います。
  139. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 今般の熊本地震は、布田川断層帯と日奈久断層帯で、おおむね大きく分けると三か所のところが中心になって地震動が起きまして、最大でマグニチュード七・三の地震が発生しております。  この際、川内原子力発電所審査においては、これらの二つの断層帯全部合わせると大体九十二・七キロメートルになりますが、これが一気に動いて地震動をもたらすと、そのときのマグニチュードは大体八・一の地震が生じるということ、先ほど申し上げました、今回七・三ですが、八・一です。ですから、数十倍、十倍以上大きいと思います。  それで、そういった地震が発生すると想定して評価しても、川内原子力発電所に与える地震の影響は百ガル程度としてあります。川内原子力発電所により近い別の活断層による地震に比べると、いわゆる布田川・日奈久断層帯の地震動よりも、より近いところの断層帯の地震の方が大きいということで、水平で六百二十ガルというふうな基準地震動になっております。  また、川内原子力発電所では詳細な調査を行いまして敷地内に活断層の存在は認められておりませんけれども、その上で、我が国においては活断層の存在が認められない場合でも地震が起こっているという例がありますので、そういった地震動についても、いわゆる震源を特定せず策定する地震動ということも評価しております。具体的には、過去、国内十数か所で発生した震源と活断層を関係付けることが困難な地震のうち、川内については、北海道の留萌支庁南部の地震を基に評価して、その結果として、近辺の断層よりはそれによる地震動が一番大きいということで、先ほど申し上げましたように六百二十ガルという基準地震動になっております。  基準地震動、これはちょっと専門的になりますが、かなり地下百メートル、二百メートル下の固い岩盤のところで設定するわけですが、こういった地震動、上に来ればもっと大きな揺れになりますけれども、そういったものに対しても安全上重要な設備の機能が損なわれないということを審査では確認させていただいております。今回の地震で観測されましたのは、川内原子力発電所では水平で地震加速度が数ガルから十数ガルであります。  それから、ちょっと念のため申し上げておきますが、千五百八十ガルという地震動が観測されたというあれは地表面に置かれた地震研究所のいわゆるKiK—netの値でありまして、実際には地表と二百五十メートルぐらいのところの岩盤の上に置かれたものと二つあります。それの地震動を比べてみると、大体十倍、十一倍程度表面の方で大きくなっています。つまり、百数十ガルぐらいの地震動が起こったということであります。これは上載層の地盤の状況によってその大きさは違いますけれども、川内の場合と、だから六百二十ガルと比べて千五百八十は大きいという表現も多々あるわけですけれども、それは直接比べられるものではないということだけは申し上げたいと思います。  こういったことで、私どもとしては、いろいろ検討させていただきまして、一応、現在の状況では川内の原子力発電所を止める、止めなければいけないような状況ではないという判断をさせていただきました。  いずれにしても、まだ地震が続いておりますので、その状況の進展については注意深く見守りながら、必要な措置は、原子炉の停止も含めて考えていきたいというふうに思っております。
  140. 中野正志

    ○中野正志君 三月九日、大津地裁で注目すべき決定が出されました。一つ、債務者は、福井県大飯郡高浜町田ノ浦一において、高浜発電所三号機及び同四号機を運転してはならない。二、申立て費用は、債務者の負担とする。これがその決定の主文であります。  高浜原発の運転差止めを命じたこの仮処分決定に対しては、痛烈な批判があります。当然です。例えば、ジャーナリストの櫻井よしこさん、再稼働差止めに走る余り、論理に整合性を欠くことにも気付かないのではないか、この仮処分はどう見ても不公正だと思えてならない、反原発イデオロギーに染まった結論ありきの判断だったのではないかと断じております。  そこでまず、この新しい規制基準に従った原子炉の設置審査は現在どのようなプロセスでなされているのか、簡潔な御答弁をお願いしたいと思いますし、時間の関係でございますので次の質問も申し上げます。  原子炉の再稼働を含めた設置審査については極めて高度な専門的判断要求されることから、専門的見地に基づき、中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会判断審査プロセスの中核に据えられるというのがまさに国としての判断であり、法のそもそもの趣旨であります。  しかるに、そうしたプロセスを無視するかのように、今回、滋賀県内に住む住人二十九人の申立てを受けて、大津地裁の裁判官三人の判断によって仮処分命令が下され運転停止を余儀なくされるに至ったわけであります。この決定によってどのような現実が生じているか。高浜原発三、四号機の運転が停止された結果、この二か月余りの間、一日当たり三億円の損失が生じていると言われております。現時点でおよそ二百十億円相当であります。それらの損失は、いわゆる総括原価方式と言われる旧来の下では、結局のところ、全て関西の消費者が支払うことになります。これが果たして妥当と言えるのでありましょうか。  今回の仮処分決定のように、民間企業に対する民事差止め訴訟で簡単に原発再開そのものがストップさせられてしまうというのでは、実質的に言えば一裁判所の判断が我が国のエネルギー政策に甚大なる影響を与えることができるということになります。果たしてこのような制度は本当に妥当と言えるのでありましょうか。この点について委員長の見解をお伺いします。
  141. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 審査プロセスと裁判の件と二点の御質問があったというふうに思いますので、まず最初の審査プロセスについてお答えさせていただきます。  事業者からの申請に対しては、この新規制基準への適合性を認識するべく、担当委員に加えて様々な分野の専門性を有する規制庁の職員により審査を進めております。  高浜発電所三、四号機の設置変更許可に当たっては、審査会合を六十七回実施し、事実関係を確認するための事業者とのヒアリングを四百回程度実施しております。その他、現地調査実施しているほか、審査上必要があると認められれば事業者に追加の調査や実証試験を求めてその結果を確認するなど、審査基準への適合性の科学的、技術的知見に照らして厳格にしているところでございます。
  142. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 申合せの時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
  143. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) こうした経験を踏まえて、最終的に原子力規制委員会として審議し、許可の判断を行っております。  裁判につきましては、私どもが何か申し上げる立場にありませんので、お答えは控えさせていただきたいと思います。
  144. 中野正志

    ○中野正志君 終わります。ありがとうございました。
  145. 山本太郎

    山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表山本太郎と申します。質疑時間十分、張り切ってまいりたいと思います。  資料の一なんですけれども、今年の四月十二日、日本経済新聞の記事からでございます。東電原発事故から五年が経過する直前のお話です。  今年の二月、東京電力は、原発事故当時、炉心溶融、メルトダウンしているかどうかを判定する社内マニュアルが実は存在しましたと、その基準に従っていれば事故発生から三日後の二〇一一年三月十四日にはメルトダウンを判断できたと発表いたしました。東電が事故前に作った原子力災害対策マニュアルには、炉心損傷割合が五%を超えていれば炉心溶融と判定すると明記されていたそうです。この公表があるまで東京電力は、社内マニュアルのメルトダウン基準の記載を見落としていたために二〇一一年五月まで公表が遅れましたと、公表が遅れたんですと、そのように説明してきたんですよね。  ある東電幹部はこの記事の中で、二〇一一年三月十一日の時点で、五%を超えると炉心溶融だというメルトダウンの判断基準を長年の仕事の中で知っていたと発言しています。当時は事故対策要員として四号機の使用済核燃料プールへの注水策などを検討しており、自分は炉心溶融を判断する立場にはなかったと説明をしています。二〇一一年三月十一日の時点でメルトダウンの基準を知っていた幹部が、東電にたった一人しかいなかったわけがないですよね。これ、メルトダウン、組織的に隠蔽していたと見ることが自然でしょう。  この大問題を徹底追及し、東京電力に公表させたのは、国でも規制庁でも国会事故調でも政府事故調でもありません。この大問題を追及そして公表させたのは新潟県の技術委員会です。柏崎刈羽原発をどうしても動かしたい東京電力柏崎刈羽原発を動かしたいなら福島第一原発事故の検証をすべきだという新潟県、そのせめぎ合いの中で新潟県が出させた情報だった。これ、国何やっているんですかと、規制庁何やっているんですかと。  今年の三月二日、原子力規制委員会記者会見において、この問題について記者から質問された田中委員長の回答は、その原因を追求したことで何かポジティブなことが起こるというか、もう十分そういうことを踏まえて対応しているので、私自身はそこまでそういうことをやるだけの時間的余裕もないし、やって何か生み出すということでもないと思う、これがコメントなんですよね。記者会見はこんなコメントをしちゃったという話なんですけど、規制委員会、じゃ何のためにあるんですかと、メルトダウン隠蔽の手助けしているんですかと、それともただぼけているだけですかという話だと思うんですよ。何のために規制委員会があるんですかと。ここに関して情報を出させたのは新潟県だったという話なんですよね。  東京電力にお聞きしますね。現在、このメルトダウン基準の隠蔽疑惑について検証は行っているんでしょうか。
  146. 山口博

    参考人山口博君) お答え申し上げます。  まず、新潟県の技術委員会におきまして、福島事故の総括と検証の一つとしてメルトダウンの公表問題について議論をしていた中で、事故当時の当社の通報、報告の情報発信の事実関係をエビデンスも含めて改めて調査、確認をしておりました。その過程で、当時のマニュアルに炉心溶融の判定基準の記載があったことを発見したものでございます。事故当時のマニュアルを十分に確認せず、これまで炉心溶融の判断根拠、判定基準がないと説明をしてきたことは誤りでございまして、改めておわび申し上げます。  詳細は、現在、第三者検証委員会にて調査をいただいているところでございます。調査結果が出ましたら、それも踏まえ、更なる改善に努めてまいりたいというふうに思ってございます。  以上でございます。
  147. 山本太郎

    山本太郎君 今東電からお話があったとおりなんですよね。これ、東電が第三者検証委員会を設置したわけですもんね、そうですよね。設置したのは東電なんですよ。ここに問題があるんじゃないかという話だと思うんです。  資料の二を御覧ください。今後の検証の進め方となっています。今回東電が設置した第三者検証委員会が客観的な検証を行うそうなんですよ。これ、下の方に委員と書かれた部分があると思います、委員と書かれた部分。上から二名の弁護士の名前を皆さんに覚えていただきたいんです。この二名何なのかという話なんですけどね。以前、何ですかね、情報を隠蔽しようとしたのか、データにドリルを空けたという事件がありましたよね。ドリル優子とも呼ばれていました小渕優子さん、この小渕優子さんの第三者検証委員会のメンバーでもあったわけですよ、この二人、この二人の弁護士の方ね。これ、名前覚えていただけました、皆さん。  じゃ、もう一枚おめくりください、資料三。あれっ、さっきと同じ名前ありませんか。これは国会事故調への東電の対応に関する第三者検証委員会の検証結果報告書、今から三年前です、東電が設置した検証委員会。そのときの委員も同じ二名の弁護士が担当している、この一点だけでもおかしくないですか。前に検証委員会立ち上げたメンバーが今回もその検証委員会、それを設置したのは東電で、それを選んでいるのも東電、おかし過ぎますよね、こんなの。  話戻りますと、この国会事故調に出された検証結果報告書は、東電が国会事故調に対して虚偽の説明をしたかどうかの内容なんです。肝腎の検証結果は、事実に反する説明をしたのは、勘違いに基づくものだ、故意ではないし、組織的関与はない、こんな報告がされているんです。  随分と自分たちに優しいメンバーそろえて検証していません、これ。百歩譲ってそれが事実だということにしても、第三者検証委員会設置しましたといいながら、おなじみのメンバーですよ。これ、あり得ませんよ。誰か突っ込んであげてくださいよ。これ、メンバー替えるべきじゃないですかってお話なんですね。  第四回新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会、これ吉川委員という方がこんなことをおっしゃっています。検証委員会の人選について、技術関係者が東電社内だけだと、司法の方だけだと内容が分からず、東電技術者の説明するトーンも合わせられる可能性もあるので、何でそういうふうになっていったのか、第三者委員会に技術者も入ってもらい、経緯がちゃんと分かるようにしていただきたい、こうおっしゃっているんですよ。  お友達の弁護士だけじゃない、お友達ではない技術関係者などを入れないと、検証なんてできるはずないですよね。自分たちを検証する人間を自分たちで選べるなんて、東電やりたい放題じゃないですか、これ。あり得ないでしょう。何で何も言わないんですか。  規制庁、時間ないし、ポジティブでないし、やりたくないのは三月二日の田中委員長の記者会見の発言で十分理解しました。けれども監視して指導するというのが規制庁のお仕事ですよね。これエネ庁に丸投げなしですよ。二月に東電からこの話を聞いて、そのままエネ庁に丸投げですよね、これ。第三者検証委員会の人選からやり直すべきだと思います。いかがですか。規制庁。
  148. 大村哲臣

    政府参考人(大村哲臣君) お答え申し上げます。  本件は、事業者内部での判断や対外連絡の問題ということでございますので、原子力規制委員会といたしましては、これについては特段のコメントをする立場にないというふうに考えてございます。
  149. 山本太郎

    山本太郎君 言っていることおかしいと思いませんか。何の事故も起こしていないような一般的な事業者であるならばその話は通用するかもしれないけれども、これだけこの国を巻き込む大事故、どれだけ税金投入されているんですか、この東電に対して。何のために規制庁いるんですかと、監視するんでしょう、こういう事業者を。そのためには絶対に必要なんですよ。とにかく、この検証委員会のメンバーをもう一度これシャッフルする以外ないんじゃないですか。中身入れ替えるしかないですよね。技術者入れるべきですよ。  もう一つ言いたいのが、もう一枚おめくりいただいたら、資料を。これは、メルトダウンの基準が実はあったんですよということを報告する内容になっているんですけれども、その真ん中辺り、ごめんなさい、線引いていなくて、こう書かれているんですね。  書かれている内容は、事故当時の経緯を説明する中で、上記マニュアルを十分に確認せずに、炉心溶融を判断する根拠がなかったという誤った説明をしており、深くおわび申し上げますと書いてあるんです。これ、誰に対してって、新潟県の技術委員会に深くおわび申し上げているんですよ。  メルトダウン隠しで謝らなきゃいけないのは、福島県の皆さんに対してであり、そして、この国に生きる皆さんじゃないですか。どうして深くおわびするのが新潟県の技術委員会なんですか。技術委員会にこれとにかく再稼働させるためだったら何でもするという、これTEPCOの、表れじゃないですか。  最後に聞きたいんです、社長さんに。このことも含めて、そして、この第三者委員会のメンバーの選定のやり直し、技術者を入れた上で、お友達じゃなく第三者、明らかな第三者を含めたこの検証委員会の再構成をお願いしたいんですけど、いかがでしょうか、社長さん。副社長さん。
  150. 山口博

    参考人山口博君) 今回の検証は、関係法令を始めといたしまして、事実の認定とその評価をすることと原因分析が主眼でございますので、独立性の高い法律専門家をお選びしまして、お願いとしましては、社会における第三者委員会の優れた取組の事例も踏まえた上で、これと同等以上の客観性、中立性を持って検証していただくというようにお願いをしているところでございます。  私どもは、第三者評価委員会の御指摘に従って十分改善を進めてまいりたいと、かように考えているところでございます。  以上でございます。
  151. 山本太郎

    山本太郎君 あり得ない話でした。  ありがとうございました。
  152. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。  今日は、原子力政策と日米原子力協定についてお伺いをしたいと思います。  まずは、国内の原子力政策について伺います。  五月十一日、再処理等拠出金法が成立をいたしました。私は質疑をする機会はありませんでしたが、電力自由化後も核燃料サイクルを推進し使用済燃料の再処理を進めるためには不可欠な法律であると考えております。しかし一方で、六ケ所再処理工場も今稼働していない状況で本当に核燃料サイクルが実現ができるのか、経済産業省に伺いたいと思います。
  153. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  核燃料サイクルにつきましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、つまり量の減少、それから有害度の低減、放射能レベルの低減でございます、そして資源の有効利用、そうした観点から、エネルギー基本計画で閣議決定いたしましたとおり、自治体や国際社会の理解を得ながら推進する方針でございます。  今御指摘のございました日本原燃の六ケ所再処理工場でございますけれども、これまでガラス固化施設のトラブルなどがございましてその竣工が延期されてきたことは事実でございますが、既に技術的課題は克服をいたしまして、実際の使用済燃料を用いて行うアクティブ試験も終了したところでございまして、その上で、二〇一四年一月、原子力規制委員会に新規制基準への適合性確認を申請し、現在委員会による厳格な審査が継続していると、このように承知しております。  その後、二〇一五年十一月に、竣工予定の時期が二〇一八年度上期に変更されたわけでございますが、これは新しい技術的な課題やトラブルが起こったというものではございませんで、規制委員会によります審査進捗も踏まえまして、一層の安全性向上の観点から見直しが行われたものと認識をしております。  引き続き、日本原燃には、安全を最優先にいたしまして六ケ所再処理工場等の竣工へ向けて着実に取り組んでもらいたいと考えておりまして、経済産業省といたしましてもしっかり指導してまいりたいと思っております。こうした直面する課題一つ一つ解決しながら、安全確保を大前提に核燃料サイクルを推進してまいりたいと思っております。
  154. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 安全性を最優先して核燃料サイクルを着実に進めていく旨の答弁をいただきました。しっかりと進めていただきたいと思います。  一方で、一部の近隣諸国からはプルトニウムバランスの観点から懸念の声が示されています。再処理等拠出金法はこうした懸念の払拭になるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  155. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、我が国は利用目的のないプルトニウムは持たないと、こういった原則を堅持しているわけでございます。プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しながら、プルサーマルの推進等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行うものでございまして、この趣旨は先ほど申し上げましたエネルギー基本計画にも明記をしているところでございます。  この原則を遵守するために、まずは事業者がこの原則の下でプルサーマルや再処理等を実施するよう指導する、そして原子力委員会が、事業者が策定いたしますプルトニウム利用計画の妥当性を確認する、さらには核不拡散条約に基づきましてIAEAとの協定を締結し、その厳格な監視の受入れなどを行っている、こういった状況でございます。  その上で、御指摘をいただきました再処理等拠出金法でございますが、これが成立したわけでございますが、これに基づきまして経済産業大臣が再処理等事業の実施計画認可することとなるわけでございます。私どもといたしましては、政府の方針に反するような計画が策定されることは想定し難いと考えておりますけれども、万が一そのような計画が策定された場合には、当然のことながら認可しないということ等を考えております。  このため、この法律でございますが、国際社会との関係でも核不拡散という観点から、我が国のプルトニウム管理に対する信頼性、これをより高めるものと考えておりまして、今後ともプルトニウムの適切な管理と利用を行っていきたいと思っております。
  156. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 核燃料サイクルをしっかり進めていくためには、そうした国際的な信頼感をより強くしていただきたいと思っております。  では、二〇一八年七月に期限を迎える日米原子力協定について外務省に伺いたいと思います。  この協定は、日米の原子力の平和的利用分野における協力を実現する上で必要となる法的枠組みを定めたものであります。先ほど来の答弁ありましたが、この協定、日米で移転される原子力関連資機材の不拡散、平和的利用を法的に確保するものでありまして、特定のビジネスやプロジェクトについての取決めではなく、日本の原子力政策を安定的に進めていくためにも重要な協定だと私は認識をしております。  そこで、外務省に伺います。  二〇一八年七月に期限を迎えますが、この協定を今後どうするのか、外務省に伺いたいと思います。
  157. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) お答え申し上げます。  先生御指摘の日米原子力協定でございますが、一九八八年の発効の当初の有効期間は三十年ということでございますので、二〇一八年七月十六日まででございます。その後は自動的に失効するということではございませんで、日米のいずれかが終了通告を行わない限り存続するということでございます。  日米原子力協定につきましては、我が国の原子力活動の基盤の一つを成すものであると考えておりまして、極めて重要であると認識しております。そうした認識の下で、政府といたしましては、御指摘の今後の協定の在り方や不拡散の観点を含む日米原子力協定に関する様々な課題について米国との間で緊密に連携してきておりますし、今後も連携していきたいと考えています。
  158. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 今御答弁いただきました。今後もこの協定は存続していくとのことでありますが、先ほどもちょっと指摘をさせていただきました我が国のプルトニウム保有量について、一部の近隣諸国から指摘がある中で、原子力政策を安定的に進めていくためにも同協定を改定する必要はあるのではないかと思うんですが、外務省はどのようにお考えでしょうか。
  159. 相川一俊

    政府参考人(相川一俊君) プルトニウムに関しましては、先ほども答弁がありましたが、我が国の保有するプルトニウムを含む全ての核物質はIAEAの厳格な保障措置の下で平和的にあると、平和的活動にあるという結論が得られているわけでございます。  政府といたしましては、先ほどの答弁のありましたとおり、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、回収と利用のバランスを十分に考慮し、プルサーマルの推進等によってプルトニウムを着実に利用するとともに、高いレベルの透明性を確保しつつ、国際社会にも明らかな形で適切な管理と利用を行っていく所存でございます。こうした方針を、米国を始め国際社会に引き続き丁寧に説明していく考えでございます。  その上で、日米原子力協定に関しましては、先ほど申しましたとおり、こうした協定の在り方、不拡散の観点を含む日米原子力協定に関する様々な課題についてアメリカとの間で緊密に連携していきたいと考えております。
  160. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 日米ということで、今アメリカの方も大統領選控えております。  協定をしっかりと存続していただいて、特に日米原子力協定は、我が国の原子力政策のみならず経済政策や環境政策などにも大きな影響がある協定であります。しっかりと取り組んでいただきますよう要望しまして、私からの質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  161. 田中直紀

    委員長田中直紀君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時五十九分散会