○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏です。
数回前の
委員会で私はブロックチェーンの話を取り上げまして、これは、恐らく今というよりも未来、この分野でも重要になってくるのではないかという課題なんですけれども、同じような
趣旨の課題として、今ももちろんそうなんですけど、未来により大きな影響を与える
可能性があるのがBEPSの問題だと思っていますので、今日はまずその問題について先に質問させていただきたいと思います。
昨年の九月、OECDの租税
委員会で税源浸食と利益移転の行動計画、BEPSの行動計画が取りまとめられまして、十一月のG20の
財務大臣・中央銀行
総裁会議に報告をされました。これまでは、税に関する国際的な課題というのはどちらかというと二重
課税の問題が多かったと思うんですけれども、
企業の活動が世界的に広がり、多国籍
企業の一部が国際的な
税制の隙間とか抜け穴というのを利用して租税回避を随分やっているといったことが政治問題になりまして、いわゆる二重非
課税というんですかね、そういった問題に対して取組が必要だということになりました。
OECDの試算によると、毎年一千億から二千四百億ドル、ですから、日本円にするともう十兆単位だと思うんですけど、その
法人税が失われているということのようですので、BEPSプロジェクトはこういった問題を解決に導くための行動計画として立てられました。
概要が結構、全体を言うと難しいのですが、この最終報告に当たって
麻生財務大臣のコメントが非常に分かりやすいので、ちょっと一応ここで紹介をさせていただきたいと思いますが。
このプロジェクトというのは、グローバルな
経済活動の構造変化に各国の
税制や既存の国際
課税ルールが追い付かず、多国籍
企業の活動実態とルールの間にずれが生じている。こうした中、多国籍
企業がこのようなずれを利用することで
課税所得を人為的に操作し、
課税逃れを行うことがないよう、各国の
税制の調和を図るとともに、国際
課税ルールを経済実態に即したものとする必要がある。その実現のため、実体面及び
企業の
透明性の向上や不確実性の排除といった手続面も含めた十五の行動計画の下、包括的にBEPSに対する諸措置を勧告している。日本は、本プロジェクトにこのような問題意識を強く共感し、また、取りまとめられた
対応策を高く評価している。これら
対応策により、
企業間において公正な競争条件が整い、納税者の公平感や
税制に対する信頼が確固たるものとなるであろうというコメントでした。
このとおりであって、本当にこのことは進めていっていただきたいし、いかなければならないと思っています。さらに、これにつきましては、日本がかなり主導的な役割を果たしたということを聞いておりまして、国際社会の中で非常に高い評価が得られています。これは是非とも実行に移していただきたいですし、日本もそれを更に主導していっていただきたいと思います。
ただ、この概念全体は分かりやすい話ではあるんですけれども、実際はかなり複雑なプロジェクトになっています。十五のプロジェクトが、行動計画があるという話ですけれども、今回の
所得税法等の改正の中では、そのうちの行動十三という多国籍
企業の情報の報告
制度を法改正で取り上げているんですけれども、これだけ見てもかなり複雑です。
例えば、報告の中で国別報告事項というのがありまして、確かに、
対象は連結のグループの収入が一千億円以上、大
企業、かなり大きな
企業が
対象になっているだけに見えますけれども、実際、こういった会社はMアンドAとかを繰り返しながらたくさんの子会社を持っていたりとか、いろんな国にいろんな小さな
事業所も持っていて、そういったところにまで影響が及びます。そういった意味で、関係者みんながこの行動計画を詳細に
理解するというのはかなり難しいと思いますが、これを何とかクリアしなければなりません。
行政としても、当事者に分かりやすく
説明を続けるということが大事だと思いますので、ちょっと一つやってほしいことがありまして、
資料一を御覧いただきたいんですけど、この
資料一は
財務省がよくプレゼンテーションに使っているいわゆるポンチ絵というやつなんですけど、確かにこれに、全てではないんですけど、大体このBEPSの行動計画全体が網羅されている
事例になっていると思いますが、これをぱっと見て
理解できる人がどのくらいいるかというと、かなり難しいんだと思います。
キャッシュボックスという会社がタックスヘイブンの国に置かれていて、そこでいろんなやり取りをしているという話なんですが、これをまず分かりやすく
説明できないとそもそも関係者にちゃんと伝えられないと思いますので、これは
政府委員にお伺いしたいんですけど、これを誰でも分かるように、できれば三分間で
お話をいただきたいと思います。