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2016-02-24 第190回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年二月二十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月二十三日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     高野光二郎君      武見 敬三君     滝波 宏文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         山崎  力君     理 事                 猪口 邦子君                 島村  大君                 渡邉 美樹君                 野田 国義君                 新妻 秀規君                 倉林 明子君     委 員                 井原  巧君                 衛藤 晟一君                 古賀友一郎君                 酒井 庸行君                 高野光二郎君                 滝波 宏文君                 柘植 芳文君                 堀井  巌君                 石橋 通宏君                 田城  郁君                 津田弥太郎君                 水野 賢一君                 安井美沙子君                 秋野 公造君                 柴田  巧君                 儀間 光男君                 山本 太郎君    事務局側        第三特別調査室        長        宮崎 清隆君    参考人        駒澤大学法学部        教授       大山 礼子君        政策研究大学院        大学教授     竹中 治堅君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国の統治機構等に関する調査  (「時代変化に対応した国の統治機構の在り  方」のうち、二院制議会における今日の参議院  の役割参議院の目指すべき姿))     ─────────────
  2. 山崎力

    会長山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、高橋克法君及び武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として高野光二郎君及び滝波宏文君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎力

    会長山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。  「時代変化に対応した国の統治機構在り方」のうち、「二院制議会における今日の参議院役割」について調査を行うに当たって、本日は「参議院の目指すべき姿」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、駒澤大学法学部教授大山礼子君及び政策研究大学院大学教授竹中治堅君でございます。  この際、参考人方々一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず大山参考人竹中参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、大山参考人からお願いいたします。大山参考人
  4. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 大山でございます。本日は、意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。  それでは、早速ですけれども、二枚物のレジュメを用意してございますので、それを御覧いただきまして話を聞いていただければと思います。  まず、テーマ、「参議院の目指すべき姿」ということですけれども、キャッチフレーズ的に一言で申し上げれば、拒否権の院から正論の院へということだと思います。拒否権の府という言い方もありますけれども、そういうことじゃないかと考えております。要するに、拒否権を行使することによって存在感を示すのではなくて、審議内容、言論の力で独自性発揮すべきでしょうと、こういうことでございます。これは当然のことですけれども。  そして、まずは「与野党対決一辺倒衆議院とは異なる審議を」と書いておきました。日本衆議院は、ちょっとよその国の下院と比べましても本当に与野党対決一辺倒でございまして、これ自体少しおかしいのですけれども、とかく下院、第一院というのはそういう傾向を持つのはやむを得ないところでございます。それに対しまして、上院、第二院である参議院では、そうではない、もう少し党派を離れた客観的、実質的な議論をしていただきたいと存じます。  そして、実は今でもなさっているわけでして、この調査会活動などはその最たるものだと思うんですけれども、こういう辺りをもうちょっと充実させていくことと、それから、残念だと思いますのは、せっかくいい審議されていますのに余り伝わっていないんですね。それをどうやって国民に伝えるかというようなことをこれからも考えていただくのがよろしいのではないかと思っております。  それからもう一つは、行政監視でございます。これも、議会というのは全体として行政を監視すべき立場でございます。国民代表でございますし、納税者代表でもありますので、そういう立場にいるわけですけれども、とかく衆議院ではどうしても与野党対立の文脈で審議を行いますので、客観的な行政監視というのができにくい。それに比べますと、参議院政府からやや距離を置いた立場にいるという、これが利点になりますので、行政監視活性化していただきたいと考えております。  予算関連法案を、言葉は悪いですけれども、人質に取るようなやり方ですとか、あるいは問責決議を乱発するというようなことがかつて見られたわけですけれども、こういったことは国民有権者の信頼を損ねることにつながりかねないと存じます。  二番目の方に参ります。  私、前からこういうことを申し上げているんですけれども、実は、日本参議院権限というのは、国際比較の観点から見ましても、第二院としてはかなり強力でございます。強力なら独自性発揮して審議できればよろしいんですけれども、実はそうなってはいなくて、権限の強さがかえって独自性発揮を妨げている、独自性発揮の足かせになっているのではないかというふうに考える次第でございます。  権限の強さというのは、もう言うまでもなく事実上の拒否権を持っているということでございます。このことがあるために、参議院独自性発揮しまして独自の審議を展開しますと、政権の側から見ると自らの法案が通らないということになってしまいます。もちろん修正をされたり時間を掛けて審議することはよろしいんですけれども、ここで全部ブロックされてしまうというような事態は、やはりこれは政権としては避けたいことだと思います。そうなると、なるべく政府としては参議院独自性発揮させないようにしようと、こういうことになってしまいがちでございます。  それからもう一つのことは、これから竹中先生の御報告にもあるかと存じますけれども、権限が強いものですから、選挙制度については非常に厳格な人口比例原則の遵守が求められております。これは最近裁判所の方の判断が厳しくなっているわけですけれども、これも近年のねじれ国会等々で参議院の強さが認識されてきたことと無関係ではないと考えております。結局、参議院の強さが制度設計自由度を低下させているという感じがいたします。  そうしますと、もっと自由な改革をするためには権限を見直すということが必要になるのではないでしょうか。抜本的には憲法改正も必要かと思いますけれども、少なくとも単年度適用特例公債法案等々については衆議院議決を優先するというようなことも考えるべきではないでしょうか。  ただ、もちろん、そういったことで参議院権限を見直す場合には、当然のことですけれども、参議院審議権を確保してきちんと審議をする時間を取る、こういった工夫も同時に必要になります。このことは、別に権限が少し引き下げられたとしましても、参議院が本当に国民にとって納得のできる審議を行っていればそれを無視することはできないはずでございますので、そういったところに力を発揮していただきたいと考えております。  以上が基本認識なんですけれども、結局独自性発揮のために一番簡単な方法は、議員構成を変えるということでございます。そうしますと、選挙制度を変えることが早道でございますので、次の項目としまして、じゃ、どんなふうな改革が考えられるかということを、たたき台以前のものですけれども、何か議論のきっかけにしていただければと思いまして考えてまいりましたので、そのお話をしたいと思います。  選挙制度と申しましても非常に多種多様でございますので、どういうことを目標に選挙制度を変えていくかということによって議論の仕方が変わってまいります。ですけれども、ここでは、最近の議論で特に参議院の中でも御要望が強いように思います都道府県代表の確保ということを一つ目的とする、それからもう一つは、これは今回の御依頼を受けるときに事務方の方からもそういうお話あったんですけれども、もう少し女性議員を増やすにはどうしたらいいか、議員多様化を図っていくにはどうしたらいいかと、この二つ優先課題とした場合にはどんなことが考えられるかというのを二つ考えてまいりましたので、二枚目の方に参りまして、そのお話をしたいと思います。  まず、これちょっと大胆な案の方からお話をしたいと思います。大胆なというのは、憲法を改正しないと難しい案ということになります。  A案でございますけれども、これは都道府県を全て二人区にして男女各一名を選出するというものです。お笑いになると思うんですけれども、これは実はフランスの県議会で同じことをやっております。そんなに絵空事ではないんですね。  具体的には、四十七掛ける二の九十四人の定数にするのでしたら、都道府県二つのグループに分けて、三年ごと半数都道府県選挙をすればいい。もし定数をその倍の百八十八にするのでしたら、三年ごとに全ての都道府県で二名を選挙すればいいということになります。男女はそれぞれ独立して立候補してもよろしいんですけれども、ペアで立候補しても構わない。ペアの場合は、同じ政党でもよろしいですが、立場の近い政党、これから連立を組んでいこうとする政党選挙協力のような形でペアを組んでも構わない、そういう選挙でございます。  これは利点二つありまして、もちろん、地方代表議院としての独自性が非常に明確になるということです。それから、女性議員比率は必ず五〇%になります。これぐらいのことをやっていただきますと、それこそ十八歳、十九歳も含めて国民の関心がアップすることは間違いないので、余りに絵空事とお思いにならずに検討していただきたいと思います。  ただし、これはもちろん人口比例原則を無視した選挙制度でございますので、実現には、憲法を改正して参議院権限も含めて二院制在り方を抜本的に見直す必要がございます。  では次に、もうちょっと穏やかな、それでも結構ある意味過激でございますけれども、現行憲法下で実現可能ではないかと思われる案を御紹介したいと思います。  B案でございます。これは、拘束名簿式比例代表都道府県代表を併用するという案でございます。  どうするかといいますと、具体的に申し上げると、拘束名簿式比例代表制都道府県を単位とする小選挙区制を併用するわけです。小選挙区の候補者は全て比例代表との重複立候補者とします。そして、各名簿への議席配分は完全に比例代表によるんですけれども、先に小選挙区での候補者当選になりますので、それの残りの数を名簿登載順当選とするということになります。これ、計算の仕方は、連用制案がございますけれども、ああいった計算の仕方でもよろしいかと思います。もちろん、一人名簿を認めることも可能ですので、無所属の立候補も決して禁ずるものではございません。そして、この場合、比例代表を全国一区としますれば特に選挙権の平等の問題は生じないわけですけれども、幾つかのブロックに分けることももちろん可能だと思います。しかし、その場合は人口比例原則を守った定数配分が必要になります。  この案にはどういう利点があるかと申し上げますと、最初に書いておきましたのが言わばこの案のセールスポイントのようなものなんですけれども、選挙権不平等の問題を生ずることなしに都道府県代表を確保できるのではないかということです。もちろん、これはある程度定数が多くなくてはいけません。こうなりますと、これも本当は憲法学者の方の御意見も伺わなくちゃいけませんけれども、結局、政党議席配分は全く比例代表の方でやっておりますので、都道府県代表比例代表で決まった当選者の中から、我々の都道府県はこの人を指名しますよと、そういう形になりますので、あるいは選挙権不平等の問題をクリアできるのではないだろうかというふうに私は考えております。  それから、拘束名簿式というのは、これは議員多様化を促進する効果が期待できます。これは諸外国の研究でも明らかですけれども、女性議員拘束名簿式の場合には増える可能性が非常に高いと思います。  それから、現在の選挙制度問題点を解消するという効果もございます。  一つは、非拘束名簿式問題点でございます。これはいまだになかなか有権者方々が理解してくださっておりません。それから、それ以外にも、例えば選挙費用の増大であるとか、政党の中で極端に個人票が少ない政党があった場合には本当に僅かな個人票当選順位が決まってしまうといった問題もございます。こういった問題点を解消できるという利点がございます。それから、もう一つ選挙選挙の方ですけれども、現在の参議院では小選挙区制と中選挙区制が混在しておりまして、このことの問題というのはいろんな識者の方が御指摘になっているとおりでございます。ですが、このように変えてしまえば、その問題点も解消できるということになります。  それから、これは実は後でお話しになる竹中先生が前から御指摘になっているところなんですけれども、現在の衆議院参議院選挙制度ですと、衆議院で多数を取った政党参議院過半数を取った政党が真っ向から対立するという事態が起きかねないわけですけれども、このように比例中心とした、全体を比例で決めるという選挙制度にしてしまえばそういう事態は回避できるのではないかと思われます。  ただし、この案にも留意点がございまして、ある程度の定数がなければいけません。多分、現行定数がぎりぎりだと思います。ですので、定数削減ということは困難になろうかと思います。特に、半数改選というのを維持するのであれば、最低限現行定数ぐらいは必要、あるいはもうちょっと多い方がよろしいかもしれません。そういったことが留意点としてあるかと存じます。  以上、少し、今まで言われていないような提案ということで、今後の議論活性化ということで考えてみましたので、御参考になれば幸いでございます。  以上で私の発言を終わります。
  5. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  次に、竹中参考人にお願いいたします。竹中参考人
  6. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 竹中でございます。  今日は、国の統治機構に関する調査会にお招きくださいまして、とても光栄に感じております。大変勝手なことを言うかもしれませんが、一つ意見として参考にしていただければ、一研究者として、そして一国民としてとても光栄に感じる次第です。どうぞよろしくお願いいたします。  そして、何か今までにない改革案ということで大山先生がすばらしい案を出されて、自分もかなり考えてきたつもりなんですが、ちょっと大山先生には及ばないかもしれないなと思っているところでございますが、始めさせていただきます。  まず前提は、既に大山先生もさんざん強調されたことなんですけれども、参議院はとても強いということですね。参議院の目指すべき姿を考える前提として、参議院独自性を考えなければならないと思っております。  日本議院内閣制を取るということを習ってきているわけですが、その中でも、参議院は独特の地位があるということでございます。議院内閣制はどういうものかといえば、内閣の存立は議会の信任によると。要は、議会の多数派から支持を得られる人が首相になって、その首相になった人が内閣構成する、そして内閣議会解散可能だし、議会内閣不信任案を可決することができると、これが議院内閣制だと思うんですね。  この関係が実は日本国で成立しているのは衆議院内閣の間だけでございまして、参議院内閣の間にはそういう関係は全く存在していないわけですね。首相指名選挙というのはもちろんございますが、これは衆議院議決が優先する、そして参議院議員方々の任期は六年間保障されていますので解散がないと。  ですから、議院内閣制というのは、基本的には立法府の多数派が行政権をコントロールしておりますので、行政府と立法府が対立して国政が停滞するということはそもそも考えられていない制度だと私は理解しています。ただし、日本国の場合、日本統治制度の中では内閣参議院が、要は、内閣は必ずしも参議院の多数派によって支持されるということを保障している制度ではないわけですね。  憲法は、内閣参議院の多数派が異なる場合に、要は、内閣参議院の多数派によって支持されていない場合にどういう解決策を用意しているかというと、これは衆議院参議院に優位させることによって解決しようとしているわけです。ただし、御案内のとおり、衆議院参議院に対する優位性というものは極めて弱いわけですね。三分の二の再議決要件、そして三分の二が確保されている場合でも、御案内のとおり六十日ルールというものがございますので、再議決を使うのはかなり難しいということがございます。  なので、考え方によっては、参議院解散されないので内閣の最重要法案を仮に否決した場合でもペナルティーはない、ペナルティーという言い方は変ですけれども。もし仮に衆議院内閣の最重要法案を否決した場合には、内閣解散・総選挙をすることによって国民に信を問えるわけですけれども、参議院に対してはそういう手段はなかなかないと。もちろん、小泉さんはいろいろなことを考えられて衆議院解散したわけですけれども、それはやはり。ただし、参議院自体解散されない、ペナルティーがない。ですから、考え方によっては参議院の方が衆議院よりも強いかもしれないと、その法案を否決するというか、法案をブロックするという意味においては参議院はより強いかもしれないということですね。  そして、予算条約衆議院が優位するわけですけれども、大体関連法案を伴っておりますので、ですから関連法案とセットじゃないと、予算が承認されても、あるいは条約が批准されても実際に執行はされないので、参議院はそこでも、予算条約に対しても強い影響力を及ぼしていると。ですから、考え方によっては、首相を指名するという権限を除けばむしろ参議院の方が衆議院に優位しているぐらいの力を持っているというのが参議院の、これが現実だと思います。  なので、一九九九年以来、参議院政権構成にも強い影響力を及ぼしていると。これは今に始まった話じゃなくて、ワンマン首相と言われた吉田茂首相も、参議院で多数派の支持勢力を確保していなかったのでとても御苦労をされて、参議院で何とか多数派を組むために連立工作参議院少数政党に対して働きかけるという歴史的事実がありますので、これは今に始まったことではないということですね。  参議院影響力を見る場合に、ともすれば参議院における法案審議というものが、世論というか我々一般のマスメディアなどでは注目されることが多いと思うんですが、この政策決定過程政治過程全般について参議院影響力というのは見るべきであろうというのが私の考えです。  そうしますと、では平成年間に、平成になってから参議院はどういう影響力を行使できたのかというと、多くの重要法案を否決したり、あるいは修正してきました。そして、先ほども少し申し上げましたけれども、政権構成に大きな影響を与えております。これは、基本的には参議院過半数を獲得するために組まれてきている連立内閣です。  そして、大山先生も既にお話しになりましたけれども、この平成、特に二〇〇〇年代に入ってからの特徴は、参議院の多数派と衆議院の多数派が異なる、そして、二大政党が衆参をまたぐ形で浸透しまして、自民党政権の福田、麻生内閣自民党政権に対しては、参議院民主党中心とする野党が過半数を取ったことを利用して徹底的に政策立案を妨害すると。そして、そういうふうにやられたからというわけではないと思うんですが、今度は民主党政権に対して自民党公明党はやはり多くの政策立案を妨げたということがございます。そして、さらに野田内閣に対しては、参議院重要法案を、言い方は悪いかもしれませんが、人質に取って解散を要求すると。ということで、政権の命運すらも参議院が握るというような強い影響力を保持してきたわけです。  そして、第二次、第三次安倍内閣になってからは参議院はどういう影響力を及ぼしているかというと、一番顕著な例は、先般来注目されてきました集団的自衛権の行使に関する憲法解釈変更及び安保法制内容について、これはもちろん、連立内閣の内部で公明党がより厳しい条件を求めたことによって、実際自民党が考えていたよりもより厳格な内容になったと私は理解しております。これも、公明党自民党が何で連立内閣を組んでいるかといえば、それは大きな理由があるかもしれませんけれども、その最大の理由はやはり参議院過半数を獲得することが目的なので、こういう形でもやはり参議院影響力を行使しているんだというふうに理解するべきだと私は考えております。  基本的にこれまで参議院がどういう役割を果たしてきたかということをまとめますと、参議院は、内閣衆議院が一体となって行う政策立案、特に立法を抑制してきたということで、その抑制すると同時に、一種の多様な意見反映させてきたということだと思います。  これは、そもそも二院制を設けている目的は何かといえば、それは抑制均衡、そして多様性反映ということなので、その目的に沿う形で参議院は機能を果たしてきたと思うんですが、ともすれば、やはり特例公債法案人質に取るとか重要法案人質に取って解散を要求するとか、ここ近年ではやや行き過ぎていて、これは必ずしも国民の理解を得られるものではないのではないかと、これはもう大山先生が先ほどおっしゃったとおりでございまして、私もそのように考えております。  ということで、政策、要は参議院における法案審議だけを見ると必ずしも参議院影響力というのは注目されないかもしれないですけれども、その全過程を見ることによって、参議院はとても強い影響力を果たしているということが分かるということです。  それでは、参議院はどういうことを目指すべきなのかというと、基本的には二院制目的を果たすこと、これは抑制均衡と多様な民意の反映ということだと思うんですが、やはりある程度影響発揮しているということを国民に分かりやすく見せないと、参議院は何をやっているんですかということにやはりなってしまうので、この見える化ということが必要なのではないかと。  もちろん、政治家方々、閣僚、首相政治のプロですから、参議院影響力を織り込んで、その前の、参議院法案審議に至る前に、もう内閣の中で法案を準備する過程、それが駄目ならせめて衆議院法案修正ということで、参議院に来る前に決着させようとする強いベクトルが働くわけだと思うんですね。ただ、一部の重要法案については、やはりある程度参議院法案修正をしないと、国民にはやはり参議院影響力を行使しているということは伝わらないんだと思うんですね。  私は参議院のことを研究しておりますと言いますが、多くの人は、そういう話を聞いて参議院って何やっているんですかと、大変失礼な言い方かもしれませんが、そういうことを言うわけですね。これは、もっと重要法案を、例えば安保法制だって参議院で修正というのが一面トップに飾るようなことが続けば、国民は、ああ、第二院はちゃんとチェックしておるじゃないかということになると思うんですが、そういうことを果たしていないということがあります。  それから、やはり一層の政策立案、提言、多少センセーショナルな形でもいいかもしれません。調査会が三つありますから、そこを利用して国が抱える問題に関して積極的に提言されれば、やはり参議院存在感というのは更に増すのではないかと思います。  そして、この抑制均衡と多様な民意を反映させるために更に細かく見ていきたいんですが、まず考えるべきは、現行憲法の枠内で何ができるかということです。これは、やはり更なる選挙制度改革をする必要があるだろうと。  多くの参議院議員の方からすると、四・七五から三・〇まで行ったんだから、もうこれで十分ではないかと思われている方は多いかもしれないんですが、しかし、まだ較差は残っているわけですね。そして、多くの一人区があります。一人区があるので、今は必ずしもそうなっていませんけれども二大政党制が成立しやすくなって、二大政党制が成立しやすいがゆえに、参議院で強い勢力を取った野党第一党が、参議院で与党が過半数割れした場合にその状況を利用して次の総選挙で自分たちが政権を取れるように、有利な状況にするために徹底的に政権を追い込むというベクトルが働いてしまうので、やはり一人区は解消していくべきではないかと思っています。  そして、何よりも強調したいのが、先ほど来大山先生と私が言っていることなんですが、参議院が強いからこそ、そういう強い権限を有している院に代表される方々は平等原則を徹底する形で選出されるべきであると。なので、一票の価値の平等は原則として貫かれるべきで、三・〇二では不十分でありまして、これは限りなく一に近い数字に持っていくべきだろうということで、あと、衆議院選挙制度との関係も考えるべきだと思っています。ですから、衆議院の小選挙政権選択、参議院選挙は多様な民意を反映させるということですね。ですから、私がふさわしいと思うのは、ブロック別の大選挙区制にして、ブロックの定数をブロックごとにすれば、かなり一対一に近い一人一票の原則を貫く形で定数配分もできますし、大選挙区にすることによって中小政党当選しやすくなるので、そこで多様な民意も反映させやすくなるのではないかということですね。  あともう一つは、これはもういろいろ改革案は既に出尽くしているなと思っているんですが、一つ言われていないことが両院協議会ですね。  これ、今の両院協議会だと、衆議院で賛成した側と参議院で反対した側から十対十ずつ出てきて、また三分の二以上の人が賛成しないと成案ができないので、これじゃ成案まとまるわけがないんですね。なので、両院協議会は、これは国会法で内容を規定できますので、両院協議会を全国会議員集会にしてしまうと。そうすると、衆議院参議院で、基本的には多分衆議院意見が通りやすくなるんですが、衆議院の間でもかなり意見が割れているような非常に競ったような状況ですと、参議院議員方々がどう判断を下すかというのがその成案を取れるかどうかということに影響力発揮できるので、これはちょうどバランスが取れた二院制二院制目的を考える上でバランスの取れた両院協議会になるのではないかなと考えております。  そして、憲法改正、もう今の現行憲法にとらわれず、憲法改正も考えて参議院のどういうことを目指すべきかと考えた場合に、まず一つは、六十日ルールの再検討が必要でしょう。これは、この目まぐるしく変わる今日、基本的に六十日ルールが使われる場合はどういうことが起きているかというと、六十日間法案がたなざらしにされる危険性がかなり多くて、そんなに待っていられないのではないかと、やはりこれは三十日ぐらいに短縮するべきではないかと。  それから、再議決要件をどう考えるかということがとても重要だと思います。三分の二の再議決要件を維持するのであれば、やはり平等原則は徹底していただきたいと。三分の二再議決要件を緩和して再議決要件を二分の一にするんだったら、最終的には、衆議院選挙制度が最近進んでおりまして平等原則が徹底される方向に行っておりますから、民主主義の基本である多数決原理が働く衆議院意見が最終的には通るということを前提とするならば、様々な選挙制度を考える、一人一票にとらわれず、定数較差にとらわれず様々な選挙制度を検討する余地が出てくるのではないかと。  一つは、大山先生もおっしゃっていたように、純粋な都道府県代表制にしてしまうということですね。それからもう一つは、年齢別選挙区制ということも可能なのではないかと。これは、ゼロ歳から十歳、十歳から二十歳、二十歳から三十歳、三十歳から四十歳、四十歳から五十歳、大体十歳置きに代表を決まった数を選ぶということでございます。日本はシルバーデモクラシーということが言われておりますけれども、このままいくと、高齢者の方々の方が未来を担う若者よりも多数になってしまうかもしれないということですね。それはやはりいろいろ問題が多いのではないかということで、各年代ごとに平等の発言権を認めるということも参議院で考えてもいいのではないかと思います。  そして最後に、憲法改正する場合には、日本参議院独自性を分かりにくくしているのはやはり参議院首相指名選挙を行っているということだと思いますので、これはいっそ廃止してしまうということで参議院はもう内閣から独立しているんだということをより明確に、自らこの権限を手放すことによってというか、参議院の独立性というものがよりはっきりして、独立した立場から政策立案に関与するんだということを、参議院の独立宣言みたいなものかもしれませんけれども、そういう改正も考えていただいてもいいのではないかなと思いました。  以上、簡潔ではございますけれども、私の意見を述べさせていただきました。  どうもありがとうございました。
  7. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度質問に対する答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  井原巧君。
  8. 井原巧

    ○井原巧君 大山竹中両先生、本当に貴重な御意見ありがとうございました。  多分多くの議員の皆さん方が我が意を得たりというか、いつもそういうふうに感じているんだよと思う人もたくさんいらっしゃると思うんですが、しかしながら、その理想と現実のギャップにそれぞれが悩んでいて、こういう調査会の議題にもなっているのではないかなというふうに思っております。  私も、地方の議会から今度首長をして国政の方に参画したんですけれども、基本的に憲法では、やっぱり二院制にすることによってその異質性を発揮して、国民の多様な意見をできる限り吸い上げていくということ。やっぱりその議院内閣制、まあ憲法でどういうふうに参議院が入っていったかはちょっと私分かりませんが、基本的に議院内閣制というのは衆議院内閣の中に成り立っているものだから、それに対して、権力の暴走じゃないけれども、慎重審議を求める上での二院制の必要性とか、そういうことを理念としては求められていると、こういうふうには思うんです。  だけれども、ですから行政府側というか内閣側からいえば、よくよく参議院なんか要らねえやという意見が出るのは、意外と権力側から出るのは、私も首長していましたから、うっとうしいやつはやっぱりいない方がいいわけですよ。すっと決まる方が楽ですからね。だから、そういう意見である参議院不要論というのもあるけれども、そういう意見ということになれば、逆に言うと、政権側から見るとうっとうしいということは民主主義から見るとひょっとしたら了とするところなのかも分からないと、そういうふうには思ってはおりますけれども。  ただ、その多くの議員の皆さん方がジレンマ抱えているというのは、そういう求められているものと、しかし現実に、一つ政党政治というのが完全に今根付いちゃって、地方議会から始まって、基本的に全て政党選挙をやっていくので、私たち参議院の人間も衆議院の人間も実は同じ支持母体に支えられて選挙を戦ってきているということなんですね。ですから、その異質性を発揮したり、あるいは内閣と距離を置いてというのは、理念としてはよく分かるんだけれども、現実の話として、同じ政党の中で生きているという現実があります。  ですから、さっき竹中先生が見える化という話をされましたけれども、なぜ見えないかというと、やっぱり政党政治の中で、実は両院、真ん中の中央塔から向こうにはお互いが入れないように完全にセパレートされている割には、ちょっとそこ行くと、党本部に行くと、衆議院参議院が一緒に席を並べて同じ部会の中で政策立案にまさに責任を持って関わっているわけなので、党議拘束というか、自然として、議会に上がってくるときには、それぞれ政党政治という矛盾の中でどうしてもその審議が衆参共に単調にならざるを得ないという、こういうジレンマが一つあります。  もう一つは、やっぱり選挙ですね。これは竹中先生が、限りなくやっぱり一票の較差、一、二という話と、大山先生は、また憲法改正も含めた、強い参議院を少し弱くする代わりにもう少し参議院の選出方法をという話、両方されたんですけど、実際今の憲法下の中で、極めて法の下の平等を実現しようとしたら、ほぼ衆議院参議院、もうまさに類似の選挙制度に近づきつつあるというか、特に参議院の方なんかは、各県代表がありましたけれども、複数区は一人区かあるいは東京のような大選挙区か、両極端に今後なっていくと考えると、選挙制度自体が衆参共に類似の形に、本当に似通ってきていますから、参議院だけでこれ改革できる問題ではないというふうにも思ったりするわけですけれども、二院制の異質性を担保していく上で、その理想と政党政治、あるいは今の選挙制度についての先生の御見解を、大きい意味でありますけれども、お聞かせいただけたらと、両先生にお願いしたいと思います。
  9. 大山礼子

    参考人大山礼子君) まず、政党政治のジレンマということをおっしゃったんですけれども、それは確かにそのとおりだと思いますが、実は日本のように国会の審議が党派対立一辺倒という国は余りないんです。党派対決的な審議もあるけれども、そうではなくて、もう少し超党派的な審議もするというところの方が多くございます。ですので、その辺は、今までの、特に五五年体制以降の日本審議というものがもう皆様の常識になってしまっているんですけれども、その辺をもう少し問い直してみる必要があるかと思います。  それから、党議拘束の話もございましたけれども、それも結局、参議院権限が強いので、参議院の中で独自の審議をされると収拾が付かなくなるので党議拘束を前もって掛けておこうということになる、そうすると見える化ができないと、こういう話だと思うんですね。ですから、どちらが先かということでいうと、やはり権限の見直しによってその辺も変えてくる余地があると思います。  それからもう一つは、今までのお話に出てこなかった論点なんですけれども、私は、参議院で実質的な審議ができない、修正なんかができないということは、一つは国会法の問題があると思っています。と申し上げるのは、要するに、今は内閣提出法案について内閣自身が修正する場合に国会側の許可が要ります、御承知のとおり。しかも、最初に審議をした、多くの場合、衆議院で先議をするわけですが、そこが可決をした後、次の参議院に送られてきた後は、全く内閣は自分の出した法案なのに修正できなくなります。こうなりますと、実質的に参議院の中で内閣参議院議員がいろいろと議論をして法案をもう少し変えていこうということができないんですね。だから、その辺の議事手続の問題も考えていただく必要があるかと思います。  それからもう一つの方は、投票価値の平等の要請があるので両院が類似してくるという話だったと思いますけれども、これもやはり権限の強さと関係があるので、投票価値の平等は守っていても結構いろんなことが考えられる、私がさっき申し上げたB案の方は投票価値の平等は守るというつもりで作りましたので、いろんなことを考えられると思います。それが自由に発想できないのは、やはりなるべく衆参同じにしておいた方がいいだろうという要請があるためなので、そちらを併せて、権限の問題を併せて考えていかないとなかなか難しいのではないかと考えております。  以上でございます。
  10. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 竹中でございます。  見える化の話ですけれども、確かに内閣側からすると、不測の事態が起きることを避けるために党議拘束を掛けてしまって、もう全部事前に分かるようにしたいという希望が働くと思うんですね。ただ、それはやはり、党の中で参議院議員方々が主張されて、ここは参議院で修正させてほしいということまで織り込んだような形でしないと、国民の間でやはり、まあ全部の法案に対してそうする必要はないと思うんですが、特に注目度が高い法案に関してはある程度そういう話を付けておいてでも、実質的には参議院のために修正するような、修正があらかじめ必要になるような話はやはり参議院できっちりとした方がいいのではないかと。なかなか難しいかもしれないですけれども、そういうことを党内で働きかけていただくのがいいのではないかなと思います。  それからもう一つは、先ほどの一票の平等原則を徹底すると衆参両院同じような選挙制度になるという話がありましたけれども、私は必ずしもそうではないと思っております。要は、参議院の方がどうしても選挙区のサイズが大きいので、仮に小選挙区になったとしても、小さな単位で選ばれている、小さな地域から選ばれている衆議院議員方々に比べたら、やはりどうしてもその個々の参議院議員の方が考えられる利益や権利というものは違ったものになると思うので、そこは多様性反映されると。あと、それから、東京や大阪など大きなところで中選挙区制がどんどん広がっていけば、そこではまた、小選挙区で吸い上げられない少数政党というか少数意見がそこでは反映されるようになるので、やはり、それは多様性がそこでは確保されるので、別に一人一票原則を衆参両院で徹底しても、そこで反映される意見というのは異なるものになるのではないかと考えております。
  11. 井原巧

    ○井原巧君 ありがとうございました。  次に、これは私は決して賛成じゃないんですけれども、こういう意見があったということなんですけれども、よく二院制参議院不要論ということがあって、私は前職は市長で、たまたま平成の大合併のときの市長だったんですけれども、地方が国に対して、デフレの不況下もありましたけれども、様々不満が噴出しているようなときで、地域主権という言葉が躍ったり、国と地方の協議の場という言葉が躍ったりした頃に、ちょうど五十歳以下の若手の市長で全国青年市長会というのがあって、七十数市ありまして、私そのちょうど会長をしていたんですね。だから、時があたかもそのときは維新ブームの頃で、ある大きな政令指定都市のある市長さんから何度か接触があって、井原さん、政党に一緒に加わらぬかという話は何度もいただきました。  その理念は、全国の首長とか知事が今度の参議院選挙に立候補して、そしてその過半数を取って、参議院を廃止することをしようじゃないかと、それに是非加わってほしいというのでかなり何度か接触もされたんですけれども、そういう、参議院を不要というよりは、どちらかというと衆議院を強くして、参議院の方は、まあ言うなればちょっとドイツみたいな方式だと思うんですけれども、間接選挙みたいな感じで、重要広範とか大事な決められたものだけは両院で審議する、そうじゃないときは衆だけでやって、参議院の方は兼務というか、首長さんとか知事さんとか、そういう有識者が間接で加わっていくような制度にしようという趣旨でそういうお誘いだったと思うんですけれども。  まあ、そんなにうまくいくとは思いませんけれども、そういう、二院制の上院をそういうふうに間接選挙で選ぶような、軟らかいというか弱い二院制ということについての両先生の御意見、いただけたらというふうに思います。
  12. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私、確かにドイツの例は承知しておりますけれども、ドイツは連邦制を取っているので、日本とはやはり権限が違うと思うんですね。ですから、そういう国で間接的な形で第二院というか連邦参議院議員を選ぶというのと、日本のようにそこまで徹底した地方分権していない国では、やっぱり直接で選ぶということでよろしいんじゃないかと。  ただ、一つあるのは、あの維新さんの話を聞いていたときに、首長と参議院議員の兼職は認めてもいいんじゃないかなというのは思いましたね。これは、ちょっと私、憲法の規定なのか法律の規定なのかどこなのか分かりませんけれども、それは認めるというのはあり得べしなのではないかと思いました。  以上です。
  13. 大山礼子

    参考人大山礼子君) それも憲法改正を含む問題なので、かなり実現は難しいと思いますけれども、地方代表議員のようなことを構想するというのは、それはもちろんあり得る話だと思います。ですけれども、大改革の一環としてということだと思います。  私は、参議院不要論というのは、ねじれのときにどうも弊害が大きいから不要だというような話の文脈で出てきたような気がしております。そういうことであれば、もうちょっと小さな改革で改善できることがいろいろあるわけでございまして、何も不要論を持ち出さなくてもいいのではないかなというのが私の率直な感想です。
  14. 井原巧

    ○井原巧君 両先生、本当にありがとうございました。  五十分までということなんですけれども、私も決して賛成ではないんですけれども、感想としては、やっぱりこの統治機構については、参議院改革も必要なんだけど、やっぱり両院での本当に深化させた審議をこの時代だからこそやっぱりしなければならないと、そういう感想をもって質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  15. 山崎力

    会長山崎力君) 石橋通宏君。
  16. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。  両参考人、今日は本当に貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。  事前にいただきました資料も含めていろいろと読ませていただきまして、大変参考になる勉強をさせていただいたと思っております。その理解を深めさせていただく、さらには確認も込めて質問を幾つかさせていただきたいと思います。  両参考人とも、参議院権限というのが実はかなり強力であって、強力であるがために人口比例原則若しくは一票の価値の平等性の確保、必要であると、そのために何らかの制度改正、改革が必要なのではないかという御意見で、おおむね方向性としては一致されているのかなというふうに思っておりますが。  まず、大山参考人に確認をさせていただきたいのですが、とすると、現行の制度上、この一票の価値の平等性の確保、それから我々が考えている多様な民意の反映ですね、特に選挙制度を考える上でこれ重要な点だと思いますが、現行の制度上は一票の価値の平等性の確保と多様な民意の反映、両立できていないというお考えであるということでよろしいのか、だから改革が必要なのか、その辺ちょっとお考えを改めてお聞かせをいただければと思います。
  17. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 投票価値の平等は、最高裁にも指摘されているとおり実現できていないわけですよね。従来は衆議院よりは裁判所側の基準も緩かった時期がございますけれども、これだけ権限が強いことが認識されてくるとなかなかそうでは通らなくなってくるというのが現状で、これは権限を変えない以上は対応しなくてはいけないことだと思います。  そして、多様な民意の反映の方ですけれども、これもいろいろな政治力学で衆参同じような選挙制度になっていますので、衆議院と違う多様な民意の反映という意味では、全然できていないわけではないですけれども、もうちょっと工夫の余地はあるかもしれません。そういうふうに思っております。
  18. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。後ほどちょっともう少し更問いをさせていただければと思いますが。  竹中参考人には、今のような観点、つまり、多様な民意の反映、そして一票の価値の平等性含めて、今定数削減ということが非常に言われているわけですが、一方で、逆に本当に今の定数が適正なのかどうかという議論もあります。我々も考えております。竹中参考人はどういうふうにお考えでしょうか。  むしろ、日本は人口比で国会議員の数は少ないという御意見も強くあります。この点について、この問題考える上で、選挙制度改革を考える上で、竹中参考人御自身は、これ定数という観点からどのようにお考えですか。やっぱり削減していく方向で考えるべきなのか、この二つを考えたときには、むしろより多い人数を確保すべきなのではないかという意見に対してどのようにお考えかということです。よろしくお願いします。
  19. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 結論からいえば、私は、国会議員の数をやみくもに減らせばいいという考えは反対で、増やすことも考えていいんじゃないかと。  要は、イギリスは、これは人口十万人当たり一人ぐらいいるわけですね。日本は、衆議院議員が小選挙区では四十万人当たり一人ぐらいですから、そうするとやっぱり国会議員国民の間の距離がどうしてもできてしまうと思うんですね。ですから、参議院議員を含めたとしても、もうちょっと数は、人口比で見た場合にはイギリスに比べたら国会議員一人当たりの人口というのは多いわけですから。  特に、これは参議院選挙制度参議院選挙制度改革の話にもつながってくるんですが、どうしても都道府県代表を確保したいということであれば、参議院議員定数を増やすということによって問題の解決、一人一票の原則を確保するという改革案は僕は全然いいと思いますね。  ですから、だからそのためにはやっぱり、ちょっと長くなって恐縮なんですが、多くの人たちと話すと、でも、じゃ、国会議員ってどういう仕事をしているのか見えないということが大体その反論として来るので、やっぱり国民ともうちょっと接触する機会を増やすほかはないんじゃないかなと思います。
  20. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。  その辺、非常に大事な御意見だと思いますので、我々もその辺を踏まえた議論というのは必要だというふうに思っております。  その上で、大山参考人に、先ほどの御意見の関連も含めて、現行の非拘束名簿式比例代表全国区制について若干意見は述べていただいておりますが、これ、多様な民意の反映という観点から、私は現行の制度比例代表全国、私自身がその選出であるということも含めて、かなり民意の反映という、多様な選挙制度が衆参両院全体で盛り込まれている。つまり、比例も、衆議院のブロック制と選挙制度の違う比例代表の全国であるということは、かなり意味を持っているのではないかと私自身思っております。  改めて、この非拘束式の名簿方式で現下やっている全国比例、これ、先生が指摘された分かりにくさとかいうこと以上に、多様な民意の反映という観点からどのようにお考えですか。
  21. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 一つは、比例代表選挙区の大きさの話がありますよね。それと拘束名簿式か非拘束名簿式かと、二つ論点があると思います。  前者の方でいいますと、確かにおっしゃるとおり、衆議院比例代表選挙区は比例代表をやるにはちょっと小さ過ぎます。ですので、全国を一区にしている方が、定数が多い方が多様な民意の反映ができる。これは確かで、今もその効果はあると思います。  じゃ、拘束名簿と非拘束名簿とどちらが多様な民意を反映できるかということですけれども、これはなかなか議論のあるところだと思いますけれども、私は必ずしも非拘束名簿の方が多様な民意を反映できるとは思いません。なぜかというと、拘束名簿というのは、それこそ男性、女性交互にするとか、いろんなことができます。かつては少数民族代表の方を一位にしたとか、いろいろなやり方がありましたけれども、非拘束にしてしまうとなかなかそういうことができない。ある意味、多様な民意の反映が難しくなる可能性もあると考えています。
  22. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大変参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございました。  その意味で、再度、大山参考人に。  二つ改革試案を提示をしていただいております。逆に、今の多様な民意の反映という観点からいきますと、先生が提案をされた二つの試案、とりわけ都道府県二人区案、これは多様な民意の反映になるんでしょうか。  一方で、これ、例えばペアのということになりますと、ペアでやると同じ政党が独占する可能性、危険性が高まるのではないかと思ったりもしますが、そうすると逆に多様性と反するのではないかというふうにも思いますけれども、この点について、民意の多様性と、この先生の都道府県二人区案、とりわけペア制、どう両立するんでしょうか。
  23. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 多様性という言葉もいろいろ解釈があるわけで、政党を、いろいろな政党から出してくるというのも一つ多様性ですし、議員構成議員の属性が、いろいろな多様な人、人材が出てくるという多様性もございます。二人区でもし男女ペア制になりましたら、こういうのが日本でできたら本当に画期的ですけれども、後者の方の、議員構成の属性の多様性というのは非常に貢献すると思います。
  24. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 私も、多様性、民意のというときには、やっぱり国民の多様な意見、つまり国民の中には、それは地域性もあれば、職域もあれば、多様な国民のいろいろな意見があります。それをどううまく国会に代表制として反映するのかということが問われていると思います。だから、衆議院参議院と異なる制度を使う、衆議院にはない全国比例というものを先ほど先生も言われたとおり採用すると。それによって、小選挙区や衆議院側では代表され得ないかもしれない国民意見参議院の全国比例という制度で代表として国会に送ってくるということ、そこに私はすごく大きな意義があると思っています。  それが、じゃ、果たして都道府県二人区案にしたときに、むしろ政党的な政治に逆に縛られてしまって多様な民意の反映にならないのではないかなというふうに私自身は考えたものですから、今のようなちょっと質問をさせていただいたところです。  もし御意見があれば、大山参考人
  25. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 今のお返事、ちょっと補足したいんですけれども、おっしゃることよく分かりました。結局、今の衆議院の小選挙中心選挙制度を維持しているときに参議院を二人区にしたら、おっしゃるとおりだと思います。ですけど、もうちょっと両方総合的に考えまして、例えば衆議院の方をもう少し比例代表中心の方にするというようなことであれば、こういう考え方も成り立つのかなというのが私の感じでございます。
  26. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございました。  これは、先ほど井原委員も言われましたとおり、やっぱり衆参両院で全体的な制度設計考えるべきなんだろうなというのは私も同意をさせていただきます。  あと、竹中参考人が年齢別の選挙区制ということを提案をされております。大変興味深い考えだなということを思う一方で、これも法の下の平等を考えたときに、果たしてそれを踏み込めるのだろうかということが考えるわけですが、これやはり年齢別選挙区制やるということになりますと、憲法改正含めた抜本的なその対応が必要だという理解でよろしいでしょうか。
  27. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 年齢別選挙区を設ける場合には憲法改正が必要でしょう。かつ、やはり参議院権限を、この三分の二再議決要件を見直して二分の一にして、最終的には衆議院意見が通るようにする、通るんだからそこでは平等原則を緩和してもいいということが必要だと。まあ憲法改正が必要であるということです。
  28. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 その際に、どういう具体的な年齢別の代表制があり得るんでしょうか。もしそこで補足的にお考えがあればお聞かせいただけないでしょうか。
  29. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私が考えているのは、ゼロ歳から九歳、十歳から十九歳と、十歳ごとに代表を送れるようにするということで、そして十八歳以下は親権者が代理行使すると、選挙権をですね。そういうことをイメージしております。
  30. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。興味深いお考えだと思います。またいろいろと議論を深めていければと思いますが。  あと、最後、若干時間がありますので大山参考人に。  実は私ども、超党派の議員連盟がございまして、まさにクオータ制の導入含めていろいろと議論をさせていただき、提言もさせていただいているところですけれども、一つの考えとして、例えば現行制度の枠内でどこまで男女の、クオータ制に近いより公正な比の代表制が確保できるのかというところで、先ほどの比例代表全国の名簿を、例えば各政党二つ名簿を用意をして、その二つ名簿を、例えばそこに一つを男性にし、一つを女性にし、そこから比例で交互に代表が選ばれるという方式にしてはどうか。  それをすると、例えば今、竹中参考人が年齢別とおっしゃいましたが、一つ名簿を一定の年齢層を中心にして、もう一方の名簿を若年層中心にするとか、その政党ごとに独自に工夫をした形の名簿代表制反映意見というものをむしろ色を出すことができるのではないかと、そういう議論をさせていただいておりますけれども、この点について、もし、大山参考人、御意見があればお聞かせをください。
  31. 大山礼子

    参考人大山礼子君) そんなに複雑なことをしなくても、拘束名簿にすればその政党考え方が並び順に表れますので、例えば若い人を、三人に一人ぐらいは若者を入れるとか、女性と男性は大体交互ぐらいにするとか、これは別にそういうふうに法律で縛りを掛けるのではなくて、政党の判断でいろいろなさると思いますし、当然そういうことでアピールするという競争になれば多様性がもうちょっと推進されるのではないかと期待しております。
  32. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 時間が参りましたのでこれで終わりにさせていただきますが、拘束名簿方式についても我々もいろいろ議論させていただいております。そのメリット、デメリットも含めていろんな課題がありますので、今日いただいた御意見参考に、また引き続きしっかり議論をしてまいりたいと思います。  今日は大変ありがとうございました。
  33. 山崎力

    会長山崎力君) 新妻秀規君。
  34. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 大山先生竹中先生、大変貴重な御意見、ありがとうございました。  私からは、まず竹中先生に質問をしたいと思います。  私も、先生が五ページで提案されているように、参議院に求められる役割均衡抑制なんだと、多様な民意の反映なんだと、おっしゃるとおりだと思います。その結果導かれる六ページの選挙制度改革案に同意をしたいと思います。  これまで参議院も、先ほどもありましたとおり、我々自身の役割は一体何なんだということを累次にわたって検討しておりまして、昭和六十三年、参議院制度研究会、また平成十二年、参議院の将来像を考える有識者懇談会、また平成十七年、参議院憲法調査会の下の二院制参議院在り方を考える小委員会、こうした下で数々検討されておりまして、二つほぼ共通した意見が同意をされていると認識をしております。一つは、参議院は多様な民意を反映する、もう一つは、議員個人の意見を重視をすると、この二つが同意をされていると思います。  先生が六ページでおっしゃっているブロック別大選挙区制なんですけれども、このもうちょっと詳細な姿と、先生が提案をされるこのブロック別大選挙区制、それが今申し上げた多様な民意の反映議員個人の意見を尊重する、どういうふうにこれをかなえているのか、もうちょっと詳しく教えてもらってよろしいでしょうか。
  35. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 御質問ありがとうございます。  ブロック別大選挙区制というのは、ブロック別にする場合には、基本的に私、これは北海道、東北、北関東、東京、南関東、中部、近畿、中国、四国、それから九州・沖縄ということを考えております。ですから、全国を十ブロックに分けると。なぜ大選挙区制にするかというと、それは、今、新妻先生がおっしゃったように、個人の活動を重視するという意味では、やはり無所属議員方々に、無所属の方に当選しやすいような制度にするべきではないかと。  ですから、ブロック別にする場合にも比例代表制と大選挙区制に行くという二つのオプションがあるんですが、比例代表制にしてしまうと政党に所属している人しか当選できないわけですね。ですから、多様な意見といったら、その最たるものは個々の方、個人、政党に所属していない人たちが自由に当選できるようにすると。大選挙区制だと当選のハードルが低くなっていくと思いますから、無所属の方でも当選しやすくなるのではないかと、そういうことを考えております。
  36. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 この、先生がおっしゃるブロック別大選挙区制においては、比例ブロックというのはどういうふうになるんでしょうか。
  37. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 比例は考えておりません。
  38. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 じゃ、これは比例ブロックを廃止をした上で全国を地域ごとの大ブロックに分けるということですね。
  39. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) おっしゃるとおりです。
  40. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 はい、分かりました。  引き続き、竹中参考人にお尋ねしたいと思います。  先ほど来申し上げましたとおり、先生が六ページでおっしゃるとおり、衆議院が民意の集約に軸を置く小選挙区制を基本とした政権選択の院なんだと。それに対して、参議院は多様な民意の反映が求められる院だと考えるため、地域代表制、この参議院を地域代表の院にしようという提案には、若干私、懸念を抱いています。これは、先ほど大山先生がおっしゃった案のAもこれに当たるものなのかなというふうに思います。  竹中先生も七ページでは都道府県代表制を挙げていらっしゃいますが、参議院を地域代表制の院とする構想について御意見を賜ればと思います。
  41. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私は、地域代表制にしなくてはならないとは考えてはおりません。ただ、ブロック別大選挙区制にした場合に、というか、私は、要はとにかく無所属の人が当選できるような選挙制度にするということが重要だと考えております。  そして、かつて参議院は全国区制というのをやっていて、それに関しては様々な批判があったところでございますので、やはり日本全国を一ブロックにして、そこで個人名を投票するというのはかなり難しいのかなと。ですから、これは地域代表よりも、ただこれだけ、九州であるとか東京、南関東とかなり地域の規模を広くすれば、そんなに地域地域と特殊性を強く主張するような形にはならないのではないかということを考えてこのような制度を提案している次第です。  そして、この七ページ目の都道府県代表制をやる場合にも、私は、これは年齢別選挙区制と都道府県代表制をこれセットでやればいいんじゃないかと。だから、一定定数都道府県代表にすると同時に、一定の定数は年齢別選挙区に反映させるということで、そういうことによって多様な意見反映させられるのではないかと考えている次第で、何も憲法改正する場合でも完全に単純な都道府県代表制にするべきだとは思っていません。
  42. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  続いて、大山参考人にもお尋ねをしたいと思います。  先生は、強い参議院であるからこそ選挙制度には厳格な人口比例が求められるというふうにおっしゃいました。ここで先生は憲法改正前提としてのA案とかを提案されていらっしゃるわけですけれども、もし、現行憲法を遵守するという前提で先生はB案を提案されていますけれども、ここでその選択肢の一つとして、かつての西岡議長が提案されたような、また、今、竹中先生が提案されたのもまさにかつて西岡議長が提案されたようなものだと思うんですけれども、大ブロック制、この大ブロック制というのは、一票の較差とともに、中小とか小さい、無所属の意見も逆に言えば重視していくという、こういうメリットがあるんじゃないかなと思われるんですけれども、この大ブロック制については先生はどう思われますでしょうか。
  43. 大山礼子

    参考人大山礼子君) おっしゃるとおり、大ブロック制のメリットというのは十分あると思います。  ただ、ここで私が申し上げましたのは、都道府県代表ということに割合にこだわっていらっしゃる方が多い、それからもう一つは、女性議員をどう増やしたらいいかということにも今回言及してくださいというような御依頼がありましたので、その二つ優先課題とした場合にはこういう案が考えられるのではないかと、そういう御提案を申し上げた次第です。
  44. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  今、大山先生は、都道府県代表という声があるからこういう提案をたたき台として示してくださったというお話だったと思います。  一方で、ちょっと意地悪な申し上げ方になるかもしれないんですけれども、二〇一三年の十一月八日、先生は参議院選挙制度の協議会におきまして参考人としてお見えになりまして、こうおっしゃっていました。衆議院の小選挙制度というのはそのときのムードでがらっと変わる選挙制度なので、それに対して違う民意が参議院では代表された方がいいと思いますと、このようにおっしゃっておりました。  先ほど石橋先生も少し触れられていらっしゃいましたが、先生のA案におきましては、ペアで選ぶといいましても、各都道府県で選ぶのはワンペアだと。これも原則としてはやはり衆議院の小選挙区と同じで、そのときのムードでがらっと変わってしまう懸念があるのかなというふうに思います。B案においても、比例代表はあるものの都道府県は小選挙区であって、やはり程度の問題はありつつも同じ懸念が残ってしまうんではないかなというふうに思うんです。  そこで、先生が三年前の十一月八日におっしゃった、このA案B案とも衆議院と違う民意を代表するものになっていると考えられているかどうか、もしそうでないのであれば衆議院と違う民意を盛り込むためにどのような改善方策が考えられるのか、これについて御教示いただければと思います。
  45. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 失礼ながら、B案については全くの誤解だと思います。B案は、小選挙区でやるのは都道府県の代表を指名するというだけで、全体の議席配分はあくまで比例で決めます。ですから、小選挙区的な、一番有力な政党が非常に議席を取るということはありません。もしそういうふうにしてしまったら選挙権不平等の問題を生じてしまいます。ですから、B案は全くそういう御懸念はないです。  それから、A案については、これはちょっと選挙制度の理屈とは違うんですけれども、定数をすごく減らすことになります、この案は。そうしますと、かなり違うタイプの人材が出てくると思います、私は。そういう予想があると思います。そうすると、今のような政党間の争いとはかなり違った様相を呈することになると私は考えています。
  46. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  A案はかなりドラスチックな御提案だというふうに思いまして、ただ、議論活性化するには非常に、我々がふだん考えていることをいい意味でまた出していく土台になるんじゃないかなというふうに思います。  ただ、ここで、A案でいきますと、中小の政党とか無所属の人が出れないのではないかという懸念が、先ほど石橋先生も触れていらっしゃいましたけれども、思うんですけれども、これについてはどのように先生は考えられますでしょうか。
  47. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 先ほどお答えしたことと重なるんですけれども、かなり違ったタイプの人が出る。ペアの場合も、例えば自民党の方が無所属の方とペアを組む、その方が選挙に強いということはあり得る。無所属の非常に有為の士を選んでペアを組むことによって当選するということも可能性としてはありますし、必ずしもそのような御懸念には及ばないのではないかと思います。  なお、付言しておきますと、こういう本当に考えられない改革というふうに皆さんお受け止めになると思いますけれども、決して世界を見ると考えられなくはないので、もうちょっと日本も大胆な改革を構想していただきたいと考えております。  以上です。
  48. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 済みません、先ほどの話のB案に戻ってしまうんですけれども、B案のこの比例選挙区、これ、もう一回仕組みを説明していただいてよろしいでしょうか。
  49. 大山礼子

    参考人大山礼子君) これは、全体の議席配分はあくまで比例です。ですから、ある意味ドイツでやっている方式と同じです。ですから、ある政党がちょっとの支持、得票率のアップで物すごく議席を増やすというようなことはございません。ですけど、並行して、都道府県で自分たちはこの人を代表に指名したいんですという指名をするということです。その都道府県で投票する相手はそこに出馬しているわけですけれども、同時に、全国での比例代表名簿にも必ず重複して載っています、そういう制度です。  もちろん、これはまだ同じようなことを提案した人はいないと思いますので、私が思い付いたものにすぎませんので、もちろん細部の制度設計はこれから詰めていかなくてはいけませんけれども、そういう案を考えております。
  50. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 それでは、再び竹中先生に質問をしたいと思います。  一人一票の原則について六ページで先生は触れられています。強い参議院だからこそ一人一票、一票の価値の平等を守るべきだとおっしゃっています。  一方で、憲法の四十四条には、両院の議員選挙人の資格について定められておりまして、こうあります。「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」、このようにございます。  この憲法四十四条のこの条文も一票の価値の平等を求めるものというふうに解釈してよいかどうか、先生のお考えをお願いをいたします。
  51. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 憲法四十四条は、ですから、そこの平等原則を更に上書きしているものだと理解します。
  52. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 以上で終わります。ありがとうございました。
  53. 山崎力

    会長山崎力君) 倉林明子君。
  54. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日は、両参考人の皆さん、御意見聞かせていただきましてありがとうございます。  最初に、大山参考人にお聞きしたいと思います。  参議院の目指す姿ということで、女性議員を増やすために大胆な提案というか、こういうこともできるよということをお示しいただいたと思うんですが、女性議員を本当に増やすということは私も重要な課題だというふうに思っています。日本で女性が参政権を獲得してもう七十年ということなんだけれども、日本の国会議員の女性比率というのは先進国では最下位という状況が続いています。いろいろ参考人発言されたこととか読ませていただいたんですけれども、あるシンポジウムで参考人が、私は遺産、自分の遺産ですよね、を、女性議員を増やすよう呼びかける全面広告を出す遺言を残したいと。私、この発言触れたときに大変並々ならぬ思いを感じたんですね。  改めて、女性が増える意義、女性議員が増えれば政策決定にどんな影響が与えられるということをお思いかというのを御紹介いただきたいと思います。
  55. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 女性議員が増える意義というのは、政策の中身が変わるということと、それから有権者の信頼を回復するという二つがあると思います。  前者の方で申し上げますと、現在の国会議員の中でも男性議員女性議員考え方というのはかなり違う。これはいろいろな調査で明らかになっておりまして、家族関係ですとか、そういうことについての政策課題についての意見が違う。ですから、当然女性が増えれば政策も変わってくるはずです。  それから、私、最近ちょっと調べたんですけれども、EUの中で女性議員の比率と財政赤字とをちょっと比較してみたんですね。そうしましたら、二〇一五年の財政赤字と二〇一五年の女性議員比率では何の相関関係も見出せなかったんですけれども、二〇一五年の財政赤字の対GDP比と二〇〇〇年の女性議員比率を比較したらきれいな相関が出ました。ということは、女性議員が多い方が財政赤字が少ないんですね。こういうこともございます。いろんな説明が可能かと思います。  それから、もう一つ有権者に対するアピールの問題ですけれども、私も国会研究者ですので、国会議員は減らした方がいいとか議員歳費なんか要らないとかというような、今ちまたで蔓延している議論に対してはもう全く反対なんでございますけれども、でも一般の国民方々はそういうふうに思っている方が多いのが事実です。  これの大きな原因は、やはり議員構成が偏っているということです。これは私たちには関係ないよというふうに女性や若者は思っています。ですから、もうちょっと危機感を持っていただいてそこを何とかしていきませんと、代議制民主主義の危機であるというふうに私は案じております。
  56. 倉林明子

    ○倉林明子君 代議制民主主義の危機という御指摘は本当にそのとおりだと思います。憲法改正までの合意に至るには相当なやっぱり時間も掛かろうかと思いますけれども、現行憲法やそして現行の選挙制度の下でも各政党間での真剣な努力が求められる問題ではないかというふうに改めて思いました。  そこで、両参考人にお聞きしたいと思うんですが、選挙制度についていろいろ御意見もありました。そこで、選挙制度というのは、改めて言うまでもないと思いますが、民主主義の根幹であり、国民の参政権の問題、国民の多様な民意をできる限り正確に反映する制度であるべきだというのは憲法の要請でもあろうかと思います。  そこで、現在、衆議院で消費税の増税と一体に議員定数十削減ありきという議論が進んでおります。議員定数の削減ということは、やっぱり、議員の身を切ると言うんだけれども、結局切り捨てているのは国民の民意であり権利じゃないかというふうに思うわけで、実施すべきじゃないと思うんですね。  参議院では、定数の問題の議論もありましたけれども、維持しながら一票の較差をどう是正するかと、いろんな意見ありましたけれども、見直しの方向が一定進んだということになりました。  定数削減ということでお聞きしたいんですが、改めてお聞きしたいんですけれども、国会の政府監視機能を低下させることにもつながる問題ではないかと思います。両参考人の御見識を伺いたいと思います。
  57. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 私もおっしゃるとおりだと思います。やみくもに議員定数を削減することは、内閣に対するチェック機能も弱まりますし、それから政策立案の幅も狭くなるというふうに考えます。もし身を切るということであれば、ほかにいろいろやることはあるはずで、特に、歳費は余り削ってしまうとお金持ちしか議員になれなくなりますので、これはこれで問題だと思いますが、そのほかの諸経費、諸手当については、例えば実費弁償方式にするとか、いろいろやることはあると思います。
  58. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私は、一般論としての、今ちまたで、大山先生がおっしゃったとおり、議員は何でもいいから削減するべきだ的な風潮があることには強く危機感を持っています。ただし、今回の衆議院の削減に関しては、二〇一二年の党首討論で、そのときの首相と野党第一党がそう言明してしまった以上、信なくば立たずじゃないですけれども、それはやむを得ないのではないかと思っています。  それから、やはり議員削減するよりも、むしろ今、大山先生がおっしゃったとおり、議員方々一人当たり幾ら出ているかということを算出して、その額を減らすからむしろ議員の数を増やしてぐらいのことを言うというのもありなのでは、とも考えられるのではないかなと考えています。
  59. 倉林明子

    ○倉林明子君 今、削るならば様々な諸経費、諸手当というお話ございました。我々はやっぱり、切るのであれば、支持政党のいかんを問わず税金で交付されている政党交付金、ここにこそメスを入れるべきじゃないかと申し上げているんですけれども、御意見ありましたらお聞かせいただきたい。  両参考人にお願いします。
  60. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) それは、共産党の御主張はよく理解しているつもりですが、私は、政党交付金を削減するということに関しては、特に今は現状のままでいいのではないかと考えております。
  61. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 私は、政党交付金は、より良い民主政治の発展のためにということが法文上も書かれてありますので、ただ単に議員数だけで配分するのではなくて、もうちょっと頑張っている政党に配分するというような方法もあり得る。  具体的に申し上げますと、これもフランスの例なんですけれども、女性候補者が少ないところには減額支給しています。それから、ドイツなどでは、国民有権者教育、特に若者に対する有権者教育にお金を使っている政党にはそこの補助金を少し多めに出しているというようなこともございます。  ですから、ただ単に廃止するとか削減するというのではなくて、もうちょっと良い使い方を議論するということは大賛成でございます。
  62. 倉林明子

    ○倉林明子君 そもそも政党交付金が始まった経緯ということもはっきりしておりまして、民主主義を確保するために、やっぱり当時議論になっていた政治腐敗、政治献金が根っこにあるということとのセットだったと思うので、この点については別途議論していきたいとは思います。  そこで、選挙制度にも関わる問題として両参考人に御意見伺いたいと思うのは、新たに導入されることになりました十八歳選挙権についてなんですね。  私、昨年、地元の女子校である平安女学院に招かれまして、他の政党の皆さんとも一緒に招かれたんですけれども、高校三年生の皆さんの御意見を聞く機会があったんです。とってもよく勉強されていて、真剣に政治について考えて、自らの意見というのを伸び伸びとしっかりと発言されていたんですね。非常に頼もしいと思いましたし、非常に感心もしました。  そこで、昨年来の新しい動きだというふうに思っていますのが、安全保障関連法制をめぐって、若い世代の人が民主主義って何だというふうに声を上げる、そういう声を上げる若い人たちに突き動かされるように、これまで発言されなかった大人といいますか、人たちも発言をするという大きなやっぱり私、画期的な変化日本で起こってきたなというふうに思っているんですね。  改めて、今野党は、共闘という声に押される格好で野党の党首の合意も進んでいるという実情あるわけですが、私、主権者が政治を動かしているということを強く感じているんですね、この間の動きを通じて。そういう今の状況がある中で、この十八歳選挙権も非常に意味もあるし、値打ちあるなと思うわけですが、十八歳選挙権が多様な意見反映すると、こういう観点から見て今回選挙年齢が引き下げられたということについて御見解をそれぞれにお聞かせ願えればと思います。
  63. 大山礼子

    参考人大山礼子君) これもあちこちで既にお話ししていることなんですけれども、私、実は大学一年生の日本政治入門という講義担当しておりまして、そこで、ここ数年、毎年十八歳選挙権についてどう思うか是非を答えなさいみたいな質問をしてまいっております。  実は、おととしまでは七割ぐらいの学生が反対でした。三割の者だけが十八歳にしてほしい、あとは、僕たちはまだ何も分かりませんから結構ですみたいなことだったんです。ところが、去年、十八歳選挙権が実現することになりましたら、がらっと変わりまして、七割がいいことだと言っております。それぐらい若者の意識を変える効果はあったんじゃないかと思います。  やはり高校まででいろいろ、政治・経済ですとか現代社会とかそういうことを勉強してきて、すぐ選挙に行けた方が政治に対する関心も持ってくれると思いますので、いいことだったなというふうに私は思っております。
  64. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私も、十八歳選挙権に関しては全面的に賛成です。大学一、二年生に私も日本政治の授業をしておりますので、これで授業が更にしやすくなったと。もう君たちの問題だと、すぐ、直ちに選挙あるかもしれないと言えるようになったなと。  ついでに言えば、私は、今日のプレゼンテーションには入れていませんが、被選出権も引き下げるべきだと考えております。ベンチャー企業の社長、二十歳や十代の社長もいるような時代です。ですから、むしろ参議院は若者の院とアピールして二十歳ぐらいまで引き下げてしまってもいいんじゃないかと、そのように考えております。
  65. 倉林明子

    ○倉林明子君 様々な御見識も伺いまして、ありがとうございました。  時間早いですけど、終わります。ありがとうございます。
  66. 山崎力

    会長山崎力君) 柴田巧君。
  67. 柴田巧

    ○柴田巧君 維新・元気の会の柴田巧です。  今日は、両参考人の先生方に本当にありがとうございました。私からも感謝を申し上げたいと思います。  大変勉強になりましたが、やや詳しく教えていただきたい、御見解をお聞きをしたいと思いますが、まず、大山参考人からお聞きをしますが、参議院が目指すべき姿として、拒否権の院から正論の院ということでおっしゃいました。その中で、調査会活動の充実及び国民へのアピールの強化、また、政府から距離を置いた立場からの行政監視活性化ということをお述べになったわけですが、これ具体的に、実際に、じゃ国民へのアピールを強めていく上でどういう具体的な手だて、方策、工夫というものがあるのか。  また、行政監視活性化する、政府から距離を置くべきだとすると、目の前に与党の先生方いらっしゃって次は自分かと思っていらっしゃる方いらっしゃいますが、大臣や副大臣や政務官というのは基本的には参議院から入るべきではないんじゃないかという意見もありますが、この考え方についてどう考えていらっしゃるかということをお聞きをしたいと思います。  それと、関連をするので同様に竹中参考人にもお聞きをしますが、竹中参考人も一層の政策立案、提言のことをお触れになりました。ちょっと私聞き漏らした部分があるかもしれませんが、同様に、そのためにはどういう具体的な手だてがあるか、今、衆と参と同じような国会スタッフ、調査機能になっていますが、もっとある意味参議院は強めるという方向があってもいいんではないかと個人的には思いますが、参考人がお考えになっているのはどういうようなイメージのものか。  あわせて、竹中参考人も、参議院の独立の明確化、首相指名選挙衆議院のみとするとおっしゃっていますが、大山参考人にお聞きしたと同様に、参議院から政府とか内閣に入ることの是非についてどうお考えか、お聞きをしたいと思います。
  68. 大山礼子

    参考人大山礼子君) まず、調査会活動の方ですけれども、本当にいい仕事をしていらっしゃると思うんですね、私は。  ですけれども、調査会というものがあるということさえ、ほとんど国民は知りません。ちゃんと調査会は報告書も出していらっしゃいますけれども、白表紙の、余りアピールしないんですよ。ですから、もうちょっと表紙付けるとか、中をもうちょっと写真を入れるとか、幾らでもやることはあると思います。それで、それをホームページにアップしていただければ少しはよろしいんじゃないでしょうか。それから、報告書のタイトルなんかも、もうちょっとアピールするようなタイトルにしてサーチエンジンに引っかかりやすいものにするとか、いろんなことが考えられると思います。  地方議会の方はこの頃結構頑張っていらっしゃいまして、漫画を入れたりするのを結構やっていらっしゃるんですよ。ですので、そういうことも、国会が地方議会参考にするというのも逆転しておりますけれども、参考にされてお考えいただければと思います。  それから、行政監視の問題に絡めて入閣の是非ということですが、やめられるんだったらやめた方がいいんじゃないでしょうか、入閣は。そうすると、もっと自由な立場から物が言えるようになると思います。
  69. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私は、今、政策立案をどう強化するのかという御質問だったと思うんですが、調査会の機能を更に充実させるということではないかと。それから、もちろん大山先生がおっしゃったとおり、ここも見える化していただいて、より積極的にその成果をアピールするということが重要なのではないかと思います。  あとは、入閣の御質問ですが、私は、むしろ入閣してもいいのではないかと思っています。それはなぜかというと、参議院議員方々の任期は六年間が保障されておりますので、その間、じっくり腰を落ち着けて政策に費やす時間が恐らく衆議院議員方々に比べたら多いのではないかと。なので、そのエキスパティーズ、専門性というものを入閣することによって生かせるのではないかと思っております。  特に、一部の政党は、明らかに参議院議員方々がその政党政策を立案する上で大きな役割を果たしたことは間違いがないと考えておりますので、ですから、そういう方々政府の中に入ってその知識を政策立案に生かすというのは、むしろ国民のためになるのではないかと考えております。
  70. 柴田巧

    ○柴田巧君 どうもありがとうございました。  大山参考人にお聞きをすればいいのかと思いますが、今我々は、あるべき参議院の姿ということで、フランスやドイツの例等々、他の二院制の国々の実例やら、あるいはそこにあるべき姿を見出そうと今勉強を調査会はやっているわけですが、逆に、そういうものがあるのかどうか分かりませんが、海外の研究家で、日本二院制に対する評価とか、あるいは日本参議院のここがすばらしいというようなことを述べている、あるいは研究をしている、その対象にしている、そういうものというのがあるのかないのか、あるとすればどういうところにそういう人たちは注目をしているか、研究対象としているか。もしあれば教えていただければと思います。
  71. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 残念ながら、存じません。  ただし、日本参議院はそんなに強くないというような評価をしている人はいます。いろいろだと思います、それは。
  72. 柴田巧

    ○柴田巧君 余り研究対象になっていないので、ちょっと残念なあれでしたが、ありがとうございます。  じゃ、両参考人にお聞きをしたいと思いますが、今回来られた参考人の方にそれぞれ今まで御見解をお聞きをしておりますが、今年はどうなるか分かりませんが、衆参ダブルの話も聞こえたりもします。本来、衆議院参議院というものがあって、期待される役割も異なる中で、この衆参同時解散というのはあってしかるべきものだとお考えか。そこが一つと、それと関連するといえば関連しますが、衆議院のことになるかもしれませんが、総理の解散権について、我が国は比較的自由に、総理の考えによって自由に解散ができる度合いが強いわけですが、そういう国は逆に先進民主主義国の中には少ないわけで、むしろ、近年はそれを縛る傾向にあるわけです。  イギリスにしても、任期固定法でしたか、二〇一一年にそういうものができ上がっておりますが、もちろん例外も、例外というか、下院の三分の二が要求したり、不信任案が可決をされて十四日以内に下院の信任における内閣が発足しない場合に解散は限るとしていますが、この解散権を縛るという考え方について両参考人はどのようにお考えになっているか、併せてお聞きをしたいと思います。
  73. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私は、同日選挙は別に禁じられていないので、それは別に問題ないと考えております。  それから、首相解散というか、正確には内閣が自由に解散権を行使できるという現行の慣習も、別にそれで問題ないと考えております。
  74. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 同日解散については、選挙制度がもしかなり異なるものであれば、同日解散にしても同日選挙にしても違う民意が代表されますので、その辺も併せて考える必要があるかと思います。  もう一つ解散権の方ですけれども、私は日本は少し自由に行使し過ぎていると思います。ただし、これを縛るのはなかなか難しいです。仮に不信任決議のときに限るとした場合は、与党が、なれ合い解散というのもかつてございましたけれども、不信任決議を形式的に通してしまえば解散できますので、完全に縛ることはできません。それよりも、解散についてもうちょっと、首相の大権事項みたいな形でいつでもいいんだということでなくて、もうちょっと違う在り方があるんじゃないかということを国民が考えていくことの方が大事ではないかと思っています。
  75. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  あと、最後の質問になるかと思いますが、両参考人にお聞きをしたいと思いますが、これはある意味、先ほど院としての政策立案調査活動の活性化という観点でお聞きをしましたが、議院のそういう政策立案をある意味高めるということにもつながる、あるいはその透明化を図るということにもつながるのではないかと思っていますが、私どもはいわゆる文書通信交通滞在費の使途の公開をしております。その法案も出してきた経緯があるんですが、野々村何がしの事件で地方議会の政調費の問題が大きくクローズアップされましたが、本来、これは御案内のとおり、その名のとおり、いろんなそういう政策活動に充てられるもので、期待されているわけで、であるならば、それがどういうものに使ったか、どういう効果を現したかというのは本来公開されてしかるべきだと思っていますが、両参考人の御意見をお聞きをできればと思います。
  76. 大山礼子

    参考人大山礼子君) おっしゃるとおりだと思います。地方議会は全て政活費が公開になっておりますので、国会だけが公開しないでいいとは思いません。  それと、さっきもちょっと申し上げましたけれども、上限額を決めて実費弁償方式にした方が妥当であると思っています。
  77. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私も公開するべきではないかと思います。国民、我々の税金を使っているわけでございますし、我々研究者も科研費というものがありますが、それは厳しく使途が的確かどうか審査されていますから、そういう形でやるべきなのではないかなと思います。
  78. 柴田巧

    ○柴田巧君 これで終わります。ありがとうございました。
  79. 山崎力

    会長山崎力君) 儀間光男君。
  80. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  今日は、両先生方、お忙しい中をおいでを賜っていろいろ御教示をいただくこと、心から感謝を申し上げます。  おおさか維新の会の儀間と申します。  まず、今日は二院制度の中での参議院の果たす役割というテーマですから、我々おおさか維新の会が言っている一院制あるいは身を切る改革、これからするというと少し場違いな話になるんですけれど、現状の状況を鑑みまして、二院制の意義あるいは参議院の果たす役割などをちょっとお尋ねいたしますから、どうぞ教えていただきたいと、こう思います。  両先生の参考資料を読ませていただきましたから、その中からも含めていろいろお尋ねさせていただきたいと思うんですが。  まず、竹中先生参考資料の中で、いわゆる河野謙三元議長先生あるいは斎藤十朗先生の御見解が示されておりました。これ、現在にも通ずるような非常にいい意見だと思って感心して、見させていただいて感謝をしておるんですが。いわゆる河野さんは、衆議院で可決された法案をそのまま参議院を通るものと自他共に参議院の皆さんが思っていると、したがって参議院は第二衆議院という陰口でやゆされるようになったということで、これは恐らく五五年体制の中で参議院が見えないというような状況だったと思うんです。したがって、今度は、斎藤十朗先生は、一九九〇年代に入ってからのようですが、衆議院に対して抑制均衡、補完という機能を果たさなければならないけれども、与党が過半数に足りていないのであれば参議院法案を修正するのが筋なのに、連立を組んで衆参一気通貫しようとするのは邪道であるとありますね。これも恐らく参議院の姿が見えない時期の話だったのかなと思ったりいたしております。  対して、先生は、いわゆる抑制均衡、あるいは多角面の必要性から、参議院与党に他の政党も一緒になって連立を組む方が、むしろ国民世論というか、吸い上げることができていいのではないかという御見解だと理解をしましたけれども、その辺、そういう形でいいんでしょうか。
  81. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) いや、私は、連立内閣を組まなくても別にいいと。要は、衆議院過半数を取っている政党参議院過半数を確保するために連立を必ず組まなくてはならないと言っているつもりはないです。別に、連立を組むのは、それはもちろん政治運営の選択肢の一つとしてはあり得べしだと思うので、別にそれがいけないとも言うつもりもないですし、必ずしなきゃならないと言うつもりもないですね。  ただ、私が言いたいのは、連立内閣を組んでいる中で衆参すいすい通るといっても、そこで参議院影響力というのは、連立内閣を組んで、その政権の内部の中ではちゃんと参議院影響力というのは確保されていますよということを言いたいだけですね。ただ、国民の目から見るとなかなか分かりにくいので、時には分かりやすい形で参議院法案修正をするということは必要なのではないかなと考えておりますということです。
  82. 儀間光男

    ○儀間光男君 後でまたちょっと教えていただきたいんですが。  今度、大山先生の資料にも、あるいはこのレジュメも見ましたけれども、このA案の具体案ですね、四十七掛ける二、男女半分半分と、非常に私興味があって、いい案だなと、こう思っているんですね。  そこで、私も実は首長上がりなんですけれども、ここ来てまだ三年にもならないんですが、都道府県や市町村は皆一院制ですよ。ここで二院制で少し戸惑いもあります。見づらいという、国民からあるいは主権民からするとですね。そういうこともあると思うんですが、この二院制、つまり、参議院衆議院の中でいわゆる優越の条項があったりしますけれども、大山先生の、都道府県、つまり地方からの代表も参議院に入れて、都道府県の首長が参議院を兼務する、それもあってもいいのではないかというようなことがありましたし、あるいはフィフティー・フィフティーというのはいわゆるクオータ制にも思えるんですが、その辺を教えていただければと思います。
  83. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 最後の御質問二つあったと思いますが、兼務の話は私は余り賛成しません。というのは、地方の自治体の長の職というのは本当に忙しいので、それと実際に兼務するということはなかなか難しいと思います。兼務している議員が多いのはフランスなんですけれども、フランスの場合は、元々は自治体の仕事というのは割合少なかったんですね。で、兼務している方が多かったんですけど、だんだんやはり、今分権が進みますと、そうはいかないということになって、どんどん兼職は制限あるいは禁止される方向になっております。日本ではちょっと無理じゃないかと思っています。  それからもう一つの方の、クオータになるんじゃないかとおっしゃいましたが、ちょっとよく分からなかったんですが、A案の方は、クオータというよりも、フランス流に言うとパリテといいまして、男女同数という提案だと思います。
  84. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  次ですが、両先生にお尋ねしたいんですが、衆議院参議院参議院は相当の権力を持っているとおっしゃられていて、そのとおりだとも思いますが、ただ、衆議院に優越性がある、その必要性もあってのことだということは理解します。その中にあって、例えば衆議院で優越性が保障されている、予算であるとか条例その他等々であるんですが、今まさに予算審議の時期で、衆議院で一日に恐らく本会議で採決されて参議院に来ると思いますが、自然成立制度があることから、参議院議論するのは無意味とは言いませんけれども、何の力も出せないんですね。ただ、否決されたら困るから優位性があって、それは非常にいいことですが。  僕が言いたいのは、何を言おうとしているかというと、つまり、衆議院の優越性のある法案については参議院が先議をして、そして衆議院に送って衆議院で決着を、政争をしてもらうと。今、参議院に来て、自然成立という条項の下でやるんですが、その意義はたくさんあるんですが、例えば一般国民が、こういうことをこうして変えてほしい、あるいはこういう予算をこう組み替えてほしいということで要請や陳情や請願や、あるいはデモったりするんですが、参議院に来てからはその国民のそういう請願は、願意は届かないんですね。ああそうか、じゃそこを我々でやってみようと言ったって、自然成立の時間がたてば成立していく。非常に無力を私感じてならないんですね。  国民の目から見ると、もっと不思議だと思うんです。何で衆議院で終わったのに参議院でやるんだろう、無駄な議論をしているんじゃないかと。私は無駄とは思いません、意義あると思うんですが、国民からすると、そういう経費を掛からぬようなことをやってしまうべきである。それなら参議院先議で、例えば参議院で反対意見が出ても、可決されても、衆議院が優越ですから衆議院で多数であればそれはそれでいける。しかも、今、自公連立ですから、衆参どっちでも多数で通しますから、参議院が隠れてしまうと。  見える化を図るには、その逆の効果が出ているというように思えてならないんですが、両先生の御意見を、まず大山先生からいただければと思います。
  85. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 今の、予算議論しても、なかなか陳情や請願を受けても反映できないということをおっしゃいましたけれども、それは衆議院でも多分同じではないでしょうか。衆議院で請願を受けても、それを予算反映できているとは思いません。それをどうしたらいいかというのは大問題なんですけれども、日本予算審議は本当にもう予算のことを余り審議していないんですよね。そこが問題なのでございまして、衆議院審議の方が実は問題なのではないかと思います。  ただし、予算というのはどうしても、あるときまでにできないとこれどうしようもないわけですので、そこで強く衆議院の優越が掛かっているというのは、これはやむを得ないことではないかと私は思います。
  86. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 今、予算委員会で確かに予算以外のことがたくさん審議されているという問題が、もうこれは衆参共にそうだと思うんですが、私は、別に参議院予算を最終的に否決する権利がないとしても、やれることはまだあると思っております。  それは、私のような者が、どこの省とは言いませんけれども、省の予算内容を見ると、こんなのにこんなお金を使っているとは、これは果たして多くの国民がそれで納得いくようなものなのかなというものが、額はそんなに多くないかもしれませんけれども、あります。ですから、そういうものを予算委員会で取り上げて、担当大臣に本当にこれは必要なんですかというのを理路整然と説明すれば、その年の予算は難しいかもしれませんけれども、恐らく次の年の予算には何らかの形で、そういう質問をして、結構大臣苦しい答弁しちゃったなというようなときには、と思うので、別にそれは、むしろ国民にそういうことを知らせるということの意味では参議院予算委員会も十分その機能を果たす、行政監視の機能を果たせるのではないかと考えております。
  87. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  もう一つ教えていただきたいんですが、これも両先生にお尋ねしたいと思います。  参議院は昔からよく良識の府と、こう言われてまいりました。あるいは、そのための独自性が必要だと。それを失わせているように思うんですね。恥ずかしながら、良識の府であったか理性の府であったか、時たま矛盾、何というかな、自己嫌悪に陥るときがあるんです。それは、恐らく私は、政党政治政党選挙、こういうものが参議院の中にも入ってきて、さっきも議論出ましたけれど、どうしても衆議院参議院、同じ政党で同じ支持基盤の下で参議院はやっていますから、これはそういうところでは仕方のないことなのかなと思ったりするんですが。  参議院選挙でしたら、政党じゃなしに独立性を持った、いわゆる良識の府、理性の府を保つためにも政党政治参議院に持ち込まない。これは、どこか法律を触らぬといかぬ、制度を触っていかなければならないし、あるいは憲法を触ることにもなるかも分かりませんが、そういうことを思えてなりませんが、これはまあ理想といえば理想ですけれど、先生方、現実問題としてどう捉えていらっしゃるか、教えていただければと思います。
  88. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) これは、今先生がおっしゃったことは、河野謙三元議長がさんざん問題視されていたことだと思います。  ただ、参議院が強いので、内閣側から見ると、あるいは衆議院側から見ると、参議院に所属されている方々をできるだけ自分の政党に取り込んでいく、あるいは自分の政党に所属している人を参議院議員として出馬させて、そこに対する影響力を確保しようとする力学が働くのは、これは自然なことで、このような力学が働いた結果、元々は、戦後直後は、御案内のとおり、緑風会という無所属議員の集まりの会派があったわけですが、そこは基本的に政党に取って代わられるということが起きたので、これは致し方のないことなのではないかと。  ですけれども、選挙制度を少しでも工夫することによって、無所属議員当選しやすくなるような選挙制度を考えることはできるのではないかと考えておりまして、ですから、ここで今考えられるのは、ブロック制大選挙区制というのはそういうことにつながる一つ改革案なのではないかなと思って、ここで御披露させていただいた次第です。
  89. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 竹中先生がおっしゃってくださったこととほぼ同意見でございますけれども、選挙ということを何度もやっていきますと、どうしても政党選挙を遂行するための組織という側面がありますから、政党が前面に出てくるということもあろうかと思いますし、それから、再三申し上げているように、権限がかなり強いので、衆議院と同様の政党政治の場になりやすいということもあろうかと思います。
  90. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  時間ですので終わります。
  91. 山崎力

    会長山崎力君) 山本太郎君。
  92. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎と申します。  両先生方、本当に御貴重な御意見をありがとうございました。是非、引き続き、中学生でも、山本太郎でも分かるように御説明いただくと助かります。よろしくお願いいたします。  参考資料の方を読ませていただきました。両先生とも、二院制での参議院役割、意義について述べられております。  私事なんですけれども、参議院議員になりまして二年七か月がたったところでございます。昨年の夏、七月、八月、九月と、平和安全法制特別委員会の委員にさせていただきました。本来ならば、私たちの政党、ミニ政党とも言われますけれども、は入れないような状況だったんです、審議には。けれども、参議院の先生方の努力があって、多様な民意を反映させるんだというお気持ちが形になったということだと思うんですね。総理大臣を始め、外務大臣、防衛大臣にも直接するような機会を与えていただいたと、大変に勉強になりました。  参議院でこの特別委員会での質疑というのは、議論衆議院よりもより深まったんじゃないかなと、それだけを見ても参議院役割はある程度は果たせたんじゃないかなというふうに新米なりに思うんですね。けれども、何点か気になる部分というものがありまして、そのうちの一つについてお聞きしたいんですけれども、参議院の与野党共に、六十日ルールは適用させないということに結構必死になっているような感じを受けたんです、当時。参議院では与野党とも、六十日ルールを適用することは参議院無用論につながるということも言われていたんですよね。マスコミとかでもしきりにそういうことが言われていました。そのために与野党とも、六十日ルール適用にならないように、とにかく九月の十九日未明までに採決するんだというような、ひょっとして暗黙の了解があったのかなというような、そういう感じも受けたんですよね。  ただ、採決そのものにつきましては、もちろんそのままいったとしても廃案にはできなかったかもしれませんけれども、少なくとも九月の二十日、それから二十三日までの連休明けまで参議院の採決を延ばして、六十日ルールの適用で衆議院で再議決させるということができたんじゃないかなというふうに思うんです。  私的には、憲法違反ですよと憲法学者の多くが口をそろえるような、本当に国の根幹に関わる法律に対しては参議院で採決させない、良識の府としてのそれが役割であり、六十日ルールによって衆議院に再議決をさせるというのが、参議院独自性発揮といいますか、参議院役割だったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、両先生方のお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか。
  93. 大山礼子

    参考人大山礼子君) お話はよく分かったんですけれども、この話は、衆議院参議院を問わずに、政府が出してきた法案を国会側が全く修正しないというところに実は問題があるんじゃないかと私は思っています。  前から申し上げていることなんですけれども、与党の議員は基本的には内閣提出法案を成立させるということになる、それはそれでもちろん当然なんですけれども、細部については全ての与党議員の方が賛成していらっしゃるわけじゃないわけです。別にこの法案に限らず、全ての法案についてそうだと思います。ですので、大筋では賛成できるんだけれども、ここのところは少し変えましょうよということを国会の場で議論して、それこそ見える化をして、国民にこれだけこういうふうに変えましたよということが分かるようになれば、随分国民の受け取り方も違ってくると思います。  ですけれども、日本の場合は、これはいろいろ手続的な問題、理由とか、いろいろあるんですけれども、どうも、事前に全て与党の賛成を取り付けてしまってそこから国会審議がスタートとするというやり方が定着してしまっているがために、そういう審議ができていない、そこの方がむしろ大問題ではないかというふうに考えております。
  94. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私は、その三分の二再議決するというのは、これは、そうですね、参議院で与党が過半数を持っていなければそういうことは考えられますが、今回の場合には自公で過半数を持っているわけなので、それを、だから、しなかったのはいけないという話にはならないんじゃないかと思います。極めて与党サイドとしては、ですから、それは自民党公明党参議院議員の方がどう考えていたかは分かりませんけれども、しかし、彼らからしたって二分の一で通せるものをわざわざ三分の二にしなくてもいいじゃないかと思うというのはあったんではないかと思います。  ただ、私は、政策決定過程を見ておりますと、結局連立内閣の中での調整で若干内容自民党の元々の原案からすると変わっていたところはあるので、そこは国会で修正するということはあり得たのではないかなとは思いますということです。
  95. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございました。  もう一度短めにちょっとお聞きしたいんですけれども、六十日ルールを適用するということは参議院は無用ということのあかしになりますかね。
  96. 山崎力

    会長山崎力君) どちらに御質問、両方。
  97. 山本太郎

    ○山本太郎君 失礼しました。両先生にお聞きしたいです。ありがとうございます。
  98. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 六十日ルールは本来の、本来というか、どう使うかまでは憲法には書いていないのでどう使おうが自由というところはあるんですが、本来想定していたのはその六十日間の間で徹底的に議論してくださいということで、その上で参議院衆議院と異なった判断を下すんだったら衆議院で再議決すれば法案は成立しますよということだと理解しているので、その間に徹底して議論をして法案問題点があぶり出せて、再議決に行ったときに衆議院サイドも、いや、ちょっとやっぱり問題あったかなと思うようなところまで持っていくということも考えられなくはないわけですね。  ですから、六十日ルールがあるから参議院が無意味だということにはならないんじゃないですか。六十日ルール、だから要は、仮に衆議院で三分の二の議席を与党が持っていて法案を通せる場合であっても六十日間議論することには意味があるんではないでしょうかということですね。
  99. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 私、憲法学者ではございませんけれども、あの六十日ルールというのは、本来は衆議院参議院でそれぞれ独自の審議をして、政府法案についてもそれぞれが修正をするというような国会審議前提にしていると思います。衆議院がある程度修正をして参議院に回ってきたものについて、そこで修正を加えるのはよろしいんですけれども、場合によっては何か引き延ばしのようなことが行われたりとか、どうしても六十日ではなかなか決着が付かなかったときに、それをずっと待っているわけにはいかないので一つの切れ目として六十日ルールというのを作ったということだと思いますので、両方の、両院共の審議活性化ということが問題なのであって、六十日ルール自体が問題なわけではないと思います。
  100. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございました。  現在、憲法改正ということが言われていまして、テーマの中では緊急事態条項のことがよく議論に上がると思うんですけれども、与党の中では、衆議院選挙が災害と重なった場合に国会に議員の空白が生じるため特例で任期延長を認める必要があるなどの意見が聞かれるんですけれども、でも日本国憲法五十四条の二項などを見てみると、参議院の緊急集会の規定を見れば、もうそれって必要がないことじゃないかというふうに感じるんですね、明らかなんじゃないかな、必要がないことはというふうに感じるんですけれども、議員の空白が生じるという理由で緊急事態条項が必要だなというふうに先生方はお感じになられますか。
  101. 大山礼子

    参考人大山礼子君) その理由だけからでは必要ないと私も思います。
  102. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私も、議員のおっしゃるとおりですね。大山先生と同じで、議員の空白が生じるというのは緊急集会で手当てされているはずなので必要ないんではないでしょうか、その理由からは。
  103. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  その続きのお話なんですけれども、参議院の緊急集会というのを始め、災害時にも災害対策基本法であったり自衛隊法であったり警察法であったり災害救助法などなどなど、いろいろな法律が存在していると、もう既に緊急事態時に必要な権力の集中、権限拡大のためのルールというのはもうそろっているんだよと、わざわざ緊急事態条項を憲法で新設する必要というのはないんじゃないかなと思うんですけれども、済みません、何度も、先生方のお考え、お聞かせ願えますか。
  104. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 済みません、私は、申し訳ないんですが災害対策基本法とかそういう法律に詳しくないので、それに対してはまだ今後勉強したいと思っているので、お答えできません。申し訳ございません。
  105. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 私も専門家ではありませんので自信を持ってお答えすることはないんですけれども、憲法に至らなくても手当てできることは十分にやってから憲法改正議論をした方がいいでしょうということは言えるかと思います。
  106. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございました。  大山先生参考資料に、「議会に女性を送ろう」というタイトルでフランスの取組について書いてありました。先ほどもお話を少し伺いましたけれども、女性議員比率が必ず五〇%になる、ペアでというような、本当、劇的な方法だと。これ、すぐにでもやっていくような検討に入るべきじゃないかと私は思うんですね。  例えばなんですけれども、このペアでというような劇的な方法以外にも例えば世界で女性議員を増やすために行われている取組というようなことを御存じでしたら、是非、大山参考人にお伺いしたいんですけれども。
  107. 大山礼子

    参考人大山礼子君) すぐにでも取り組むというのは残念ながら無理で、これはやっぱり憲法を改正しないと無理だと思います。  そのほかの取組は、もうどこでもやっていることなんですけれども、政党が競争し合って女性候補を立てています。そこの競争が日本では全くこれまでなかったということが致命的だったと思います。
  108. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  先ほどの議論の中で、女性議員を多く出している党には補助金が出たりとかというお話がちょっとあったと思うんですけれども、例えばそういうようなインセンティブを与えるというようなことで例がございましたら、また、助成金のことでもいいんですけれども、そのほかにもそのような取組みたいなものを御存じでしたら教えていただけますか、大山参考人
  109. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 政党助成金でインセンティブ付けているのはまさしくフランスの、ここにも書きましたけれども、その例でございまして、国会議員下院が小選挙区制なんですね、二回投票ですけれども。小選挙区では比例代表のように男女交互の名簿を作りなさいというようなことは義務付けられませんので、その政党候補者のうち女性議員の比率がどれぐらいいるかということで、差が付いた場合にはその差の、今は何と、差が例えば一〇%付いたとしますと、その掛ける一五〇%で一五%政党助成金を減額しています。
  110. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  時間が少なくなってきたのでちょっと端的にお伺いしたいんですけれども、日本国憲法の規定では、六十七条で、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決でこれを指名すると。衆議院でも参議院でもどちらでもよいという話だとは思うんですけれども、日本国憲法制定以来、参議院議員の総理大臣は誕生していないと。  そこでお伺いしたいんですけれども、参議院議員内閣総理大臣に指名されたとします。制度上、それ以外でも結構です、どのような点が問題になるとお考えになられますか。両参考人にお伺いしたいです。
  111. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私、この問題はかつて自分の頭の中で一生懸命考えたことがありまして、参議院議員の方が首相になっても別に問題ないでしょうと。ただ、参議院議員の方がなった場合に、いや、特にない。そうですね、多分、自分の選挙をしなくていいので、解散により踏み切りやすくなるかなということはちょっと考えました。それぐらいじゃないでしょうか。法的な問題は全くないと思いますね。
  112. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 私も特に法的な問題はないと思いますし、多分今の御質問は、イギリスのようなタイプの国会ですと議員の中に首相がいて最前列に座っているわけですので、そうなりますとやっぱりちょっと参議院議員首相になると困るなということになるかと思いますが、日本はそうではなくて、内閣は、衆議院議員であっても衆議院議員の活動はしておりませんので、ほとんど。ですから、ちょっと、内閣と国会との距離が日本の場合はございますので、別に参議院議員首相になっても構わないということになろうかと思います。
  113. 山本太郎

    ○山本太郎君 調査会の先生方、チャンスですね、これは本当に。この先、参議院議員から誕生するという可能性もあるかもしれませんね。  ありがとうございました。終わらせていただきます。
  114. 山崎力

    会長山崎力君) 島村大君。
  115. 島村大

    ○島村大君 両参考人の先生方、長時間ありがとうございます。二順目なので、少しちょっと各論をお話を聞かせていただきたいと思います。  先ほどから選挙制度お話とか行政監視活性化とか教えていただいたんですけど、一つ私が再度お聞きしたいのは、やはり審議活性化についてちょっとお聞きしたいと思います。  やはり先ほどから言われていますのは、参議院が何をやっているか見えないとか、国会審議の空洞化を招いているその一つ理由として、やはり我が国では一旦提出した議案を内閣が修正することに制約があるということを大山参考人お話がありました。特にこの国会法第五十九条ですか、第五十九条の「但し、」の文で、「一の議院で議決した後は、修正し、又は撤回することはできない。」と、この一文があるので、内閣が一度提出した分はできない。  それによって今は何をなされているかというと、法案を大幅に修正する事態を避けるために、内閣としては、国会審議の開催の前に与党議員意見を聞いて修正して法案を提出している。この方法が国会審議の空洞化又は参議院が何をしているか見えないのではないかというふうにお話しであると思いますけど、大山参考人に教えていただきたいんですけど、こういうお話ですと、この国会法第五十九条のただし文を変えさえすれば、変えれば、今、大山参考人お話ししていることは活性化できるのではないかということでよろしいのでしょうか。それをまず教えていただきたいと思います。
  116. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 審議の空洞化を招いている事前審査の問題ですけれども、これの原因というのはそれだけではありません。ほかにもいろいろ原因はございます。そもそも、憲法内閣が国会審議に関われるという条項が全くない、議院内閣制としては非常に特異な憲法ですので、その辺りも含めて本当は問題なんですけれども、一つの取っかかりとしてはそこの条文を変えるだけでも違いが出てくる可能性はあると思います。
  117. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  そうしますと、大山参考人竹中参考人に教えていただきたいんですけど、ということは、海外に目を向けて、海外ではその活性化のためにどのようなことをやっているか教えていただきたいと思います。
  118. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) いや、私、済みません、海外で審議活性化させる事例というのは、私はイギリス議会のことは、下院のことは結構勉強しているんですが、海外のことはそれほど詳しくないので、なので、お答えできません。申し訳ございません。
  119. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 日本の国会改革とよその国の議会改革論議を比較しました場合に非常に大きな違いがございまして、それはどういうことかといいますと、内閣提出法案審議の充実についてほとんど語られないんです、日本の国会改革案では。ここが一番問題点だと思います。日本の国会改革では、議員立法の活性化ですとか、議員の待遇の問題ですとか、こういうことばかりでございまして、内閣提出法案をどうやってきっちり審議するかということはほとんど語られていない。そこが一番問題で、本当はよその国ではそこが議会改革のメーンテーマなんですね。  もう一つは、先ほどから何度も話が出ていますけど、見える化です。これも議会改革の大きなテーマなんですけれども、こちらも残念ながら国会改革ではほとんど議論されてこなかったと思います。
  120. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございました。本当に参考になる御意見をありがとうございます。  それから、竹中参考人に教えていただきたいんですけど、いわゆる、今お話しさせていただきましたように、審議活性化の観点から、今現状で、いわゆる提出される議案のほとんどが、国会法に規定されている本会議において趣旨説明要求ですね、いわゆるつるしについてほぼ全部付いていると。これに関しまして、ちょっと参考人から教えていただければと思います、お考えをちょっと教えていただきたいと。
  121. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 御案内のとおり、これは議院運営委員会、国会法のちょっと条文は忘れましたけれども、議院運営委員会がその趣旨説明をするかどうか決定する権限を持っているので、結局、要求が出た場合には議院運営委員会が判断するまでは趣旨説明に入れないということで、これは事実上、私は議院運営委員会にいる与党議員に力を持たせるための法案の条文になっていると思っております。  ですから、そのつるしの問題は、私は率直に言って国会審議の停滞の一つの原因になっていると思うので、ですから、そこの条文を改正して、内閣側に法案審議をいつ始めさせるかという権限を持たせてもいいのではないかと。  更に言えば、イギリス議会のように、プログラム動議を提出する権限内閣側に認めて、法案審議をいつまでに終結させるかという権限内閣側に認めてもいいのではないかと。そうすると、今のように日程闘争ではなくて、法案政策内容そのものに対する問題点を野党は指摘して、そこで勝負するようになると思うので、そのような改正を是非衆参併せて検討していただきたいと思います。
  122. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  そうしますと、いわゆるつるしの問題もあるんですけれども、審議時間を確保するという考え方からは、竹中参考人としてはどのような考えがあるか、教えていただきたいと思います。
  123. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 大山先生の前で私がしゃべるのも恐縮なんですが、イギリスの場合ですと、趣旨説明が終わった後、プログラム動議というものを内閣側が提出して審議時間を決めるわけですね。そうすると、もはや野党にとっては日程闘争をする余地がなくなるわけですね。そうすると、審議時間を確保というか、その中で法案の問題をあぶり出さなければならなくなるので、むしろ、多分日本の野党の発想からすると、大変失礼ながら、そうすると審議時間が確保できないじゃないかという発想になるかもしれないんですが、実は逆で、その限られた時間の中でいかに国民にその政策問題点を示すかという方向に多分力学が変わると思うので、それは結局、審議時間を確保していないように見えつつ、実際は審議時間の確保につながるのではないかと考えております。
  124. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  大山参考人はどうでしょうか、今の審議時間の確保という観点からは。お考えを、もしあれば教えていただきたいと思います。
  125. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 先ほど申し上げましたけれども、諸外国の議会議会改革をする場合は、内閣提出法案をどうやって実質的に審議するかというのがメーンテーマであるということを申し上げましたけれども、同時に、やはり余り時間が掛かっては困りますので、審議の効率化ということも同じように議論しております。効率化と実質化をどうやって両立させるかという問題なんですね、これは。  今まで日本の国会はなるべく内閣に介入させないという立場で戦後来たと思うんですけれども、ある程度内閣に出てきてもらわないと実質審議というのはできないんです。ですから、ある程度内閣に、先ほど竹中先生おっしゃいましたように、プログラムの権限とかそういうものを認めて、修正もそうでございます、そういうものを認めることによって内閣審議に出てきてもらって、そこで実質的に審議をして国会と内閣との意見をすり合わせて法案を修正していくというような審議が本当は望ましいと思います。  もうちょっと少し小さめの話にいたしますと、つるしの問題なんですけれども、実はよその国の議会ですと、今はほとんど審議委員中心で、特に常任委員会でやっている、分野別でやっているところが多いんです、イギリスはちょっと違いますけれども。ただ、その場合も、一旦本会議で法案こういうのが出ましたということをやって、それから常任委員会に付託するところが多いです。それに対して日本の国会は、戦後改革によってもう全く本会議を経ずに委員会付託をするようになりました。それの、それではちょっと落ち着きが悪いということで、揺れ戻しのような形で国会法改正をして趣旨説明をするようになったという、そういう経緯がございます。  ですから、考え方ですけれども、いっそ全部の法案は本会議で趣旨説明をしてから付託するようにしてもいいかと思います。ただし、その場合は、今のように年間数十時間しか本会議をしていないのではどうしようもないですから、本会議の定足数をもうちょっと緩くするとか、そういうような手段でもって本会議を毎日やるようにしなければこれはできません。そういうことだと思います。
  126. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございます。  厳しい御意見と、なるほどなという御意見と、本当にありがとうございます。  最後に一点だけ、済みません、もう時間もあれなので。先ほどちょっと、この調査会を含めまして参議院の、いわゆる国民とか皆様方に情報発信が少ないというのか下手だというのか、考えるべきだというお話をいただきました。参議院としても、インターネット審議とか、もちろんこれは中継をやらせていただいているとかあるんですけど、報告書を出させていただいているとかあるんですけど、最後に両参考人に、いや、もっとこういうことを、先ほどちょっと漫画とか表紙を付けてはどうかとかお話ありましたが、それ以外にもし何かありましたらお二人から御意見をいただきたいと思います。
  127. 大山礼子

    参考人大山礼子君) 先ほどは、調査会についてはもう立派な報告書を作っていらっしゃることが分かりましたので、もう少しビジュアル化するというようなお話をいたしましたけれども、そもそもは常任委員会の報告書がないんです、日本は。常任委員会で審議をした結果が全く報告書が出ておりません。こんな議会はほかにございません。ですので、常任委員会で報告書をお作りになって、きちんと本会議に報告なさることをお勧めいたします。
  128. 竹中治堅

    参考人竹中治堅君) 私が一つ考えられるのは、もうちょっと新書、新書というのもなんですが、一般出版物を増やすというのが一つ考えられるのではないかと思います。参議院調査会内容をかみ砕いた文にして新書などで出版すれば、参議院著という形でちまたに出れば、かなり分かっている人は参議院仕事しているじゃないかということになるのではないかと思います。
  129. 島村大

    ○島村大君 時間になりましたので、以上です。
  130. 山崎力

    会長山崎力君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  大山参考人及び竹中参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会