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2016-02-10 第190回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年二月十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         山崎  力君     理 事         猪口 邦子君     理 事         島村  大君     理 事         渡邉 美樹君     理 事         長浜 博行君     理 事         倉林 明子君                 井原  巧君                 衛藤 晟一君                 古賀友一郎君                 酒井 庸行君                 高橋 克法君                 武見 敬三君                 柘植 芳文君                 堀井  巌君                 足立 信也君                 江田 五月君                 風間 直樹君                 浜野 喜史君                 吉川 沙織君                 秋野 公造君                 新妻 秀規君                 儀間 光男君                 松田 公太君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君     ─────────────    委員異動  一月四日     辞任         補欠選任      足立 信也君     津田弥太郎君      江田 五月君     水野 賢一君      風間 直樹君     田城  郁君      長浜 博行君     野田 国義君      浜野 喜史君     安井美沙子君      吉川 沙織君     石橋 通宏君  一月二十日     辞任         補欠選任      松田 公太君     柴田  巧君  二月九日     辞任         補欠選任      柘植 芳文君     石田 昌宏君      堀井  巌君     三木  亨君      石橋 通宏君     森本 真治君  二月十日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     柘植 芳文君      秋野 公造君     矢倉 克夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         山崎  力君     理 事                 猪口 邦子君                 島村  大君                 渡邉 美樹君                 野田 国義君                 新妻 秀規君                 倉林 明子君     委 員                 井原  巧君                 石田 昌宏君                 衛藤 晟一君                 古賀友一郎君                 酒井 庸行君                 高橋 克法君                 武見 敬三君                 柘植 芳文君                 三木  亨君                 田城  郁君                 津田弥太郎君                 水野 賢一君                 森本 真治君                 安井美沙子君                 秋野 公造君                 矢倉 克夫君                 柴田  巧君                 儀間 光男君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    事務局側        第三特別調査室        長        宮崎 清隆君    参考人        政策研究大学院        大学教授     飯尾  潤君        同志社大学法学        部教授      勝山 教子君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国の統治機構等に関する調査  (「時代変化に対応した国の統治機構の在り  方」のうち、二院制議会における今日の参議院  の役割立法及び行政監視活性化への視点)  )     ─────────────
  2. 山崎力

    会長山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、清水貴之君、横山信一君、行田邦子君、長浜博行君、江田五月君、足立信也君、風間直樹君、吉川沙織君、浜野喜史君、柘植芳文君及び堀井巌君が委員辞任され、その補欠として儀間光男君、新妻秀規君、野田国義君、水野賢一君、津田弥太郎君、田城郁君、安井美沙子君、柴田巧君、森本真治君、石田昌宏君及び三木亨君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎力

    会長山崎力君) まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎力

    会長山崎力君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事野田国義君及び新妻秀規君を指名いたします。     ─────────────
  5. 山崎力

    会長山崎力君) この際、本調査会の三年目の調査について御報告いたします。  本調査会は、平成二十五年十一月に今期調査テーマを「時代変化に対応した国の統治機構在り方」とすることに決定し、調査を進めております。  三年目の調査につきましては、理事懇談会等で協議いたしました結果、引き続き、本調査テーマの下、三年目は、「二院制議会における今日の参議院役割」について調査を進めていくことになりました。  何とぞ委員各位の御協力をお願い申し上げます。     ─────────────
  6. 山崎力

    会長山崎力君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の統治機構等に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山崎力

    会長山崎力君) 御異議ないものと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山崎力

    会長山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 山崎力

    会長山崎力君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国の統治機構等に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山崎力

    会長山崎力君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  11. 山崎力

    会長山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。  「時代変化に対応した国の統治機構在り方」のうち、「二院制議会における今日の参議院役割」について調査を行うに当たって、本日は「立法及び行政監視活性化への視点」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、政策研究大学院大学教授飯尾潤君及び同志社大学法学部教授勝山教子君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず飯尾参考人勝山参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、飯尾参考人からお願いいたします。飯尾参考人
  12. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。大変、諸事多端な折でございますけれども、急がば回れということもございまして、このように参議院議員皆様自分たち在り方について考えてみようというのは大変貴重な機会だと思いまして、お招きいただきまして大変光栄だと思います。  ただ、時間がやや限られておりますので、先生方御自身のことについてやや断定的なことを申して失礼に当たるところもあるかもしれませんが、その点はお許しいただきまして、後ほどの質疑で疑義をお確かめいただければと存じます。  それでは、私は政治学を専門にしておりますので、参議院役割について少し制度的な側面と実態をどのように考えるのかという点から考えを述べさせていただきます。レジュメをお配りしておりますので、それに沿ってでございますけれども。  まず、二院制という問題でございます。ちょっと前段の話でございますけれども、議院内閣制日本は取っております。内閣総理大臣を基に内閣が成立しておりますが、一般的に政治学を申しますと、議院内閣制というのは、有権者は国会議員を選び、国会議員が首相あるいは内閣を選び、内閣官僚たちをつくって行政をするという点では非常にシンプルな権限の連鎖があるというふうに政治学では考えております。  ところが、一つだけ例外がございます。二院制を取った場合においては、二院関係の整理のいかんによってはこのデモクラシー民主制の原理が貫徹しなくなるという問題が実は指摘されておりまして、多くの国で実は、歴史的には、二院を置いている国では様々な試みがされてきて、悩んでいる国もあるということでございます。  そういうときに、大問題からすると、そもそも二院制が定められた頃、大昔の頃でございますけれども、どういう考え方かというと、せっかく法律を作るのであればみんなの意見が一致するまで議論をすればよいという考え方でございます。ところが、実はこれが元々二院制にはあった考え方でございますが、後ほど御説明しますように、福祉国家化行政国家化しますと法律の数が増えてきて、考えがまとまらなければ法律がなくてもいいではないかという考え方がなかなか通りにくくなる。もう日頃からするとそれはなかなか行政停滞するという問題があって、そういうことになってくると二院制役割も少し変わってくるということでございます。そのことはちょっと後でもう一回戻りますので、布石のためにお話をいたしますが。  そう考えてもなお、現代二院制を取るのはどういうわけだろうかといいますと、多くの場合は、日本の場合、衆議院ですが、下院とは違うタイプ上院、違う意見を代表させることによって、違うちょっと観点を導入しようということでございます。  代表的な例は連邦制を取っている国、多くの国では、現代民主制の国では一人一票ということを前提にしておりますけれども、連邦制を取ると、連邦制を構成する各州というのは立派な国家でございますので、それの代表をそれぞれ大小にかかわらず選ぶというようなことをしている国があるのは御存じのとおりでございます。ただ、その場合においては、幾らかデモクラシー原則は曲げられるというわけですね、小さな州の方がたくさん代表されるというようなことが起こってくる。そのときに、そのチェック機能はどこまでかということです。  アメリカのように、現在でも、まとまらなければ法律がなくてもいい、あるいは、予算案についてまとまらなければ政府を閉じてしまえばよいという考え方の国もあれば、いや、それは現実的でないのでそこは調整しよう、話合いをやろうという国もあれば、話合いがまとまらなかったときにおいてはどちらかの院を優越するということ、日本もその類型ではありますけれども、衆議院に、下院優越を与えるというようなタイプのことはございます。  にもかかわらず、チェック機能というのはどういうことだろうかというと、やはり一つは、審議において採決の結果はともかくとして、様々な意見を検討した結果、その結論が出されるということは重要だろうということが一つ。あるいは、採決の結果はいずれ調整されてどこかのことになるとしても、修正ということもあるかもしれない。大枠のところでは意見は押し通すことがあっても、修正してより良いものにするということはあるかもしれないということが一般二院制の意義として知られているわけでございます。ただ、これは国によっていろいろでございます。  ただ、日本の場合を見てみると、実は、後からお話をしますが、衆参は極めて似た状況選挙制度も似ておりますし、それから議事手続も似ておりまして、そうすると衆議院は、大体どこの国でも下院の方は内閣を選出しますので与野党関係極めて厳しいんですね、そうすると、数の論理が働いて多数決でということになりがちでございます。  ところが、それで第二院はそうではないという、上院はそうではないという例も多いんですが、日本の場合は、実は参議院衆議院に似ているという、まあ向こうが似ているという考え方もありますが、というために、ちょっと同じような数の論理参議院にも働いてなかなか独自性が発揮できないということです。それを端的に示すのが、言葉はあれですが、いわゆるねじれと言われるのは、これは両院の多数派が異なる状況でございますが、そのときにこれは参議院権限が非常に強く意識されるときです。  ところが、数年前までございましたが、そういうときに何を見るかというと、実は参議院は意外と審議がされなくなるというわけですね。なぜかというと、衆議院のものをそのまま参議院に持っていって、それでもめたりすると戻ってしまうからもう衆議院修正をしてしまおうということ、しばしば行われたわけです。  意外と権限が強いときに参議院機能をなかなか果たせない、自由な議論ができないというのは、ちょっと私にとってみれば参議院機能を果たすという点では残念なことだというふうに考えております。そういう点では、参議院衆議院と違うという場所になって、しかもその数の論理が余り出てこないという場所にする必要は、そういうことをしないとなかなか審議はできないんではないかというふうに考えます。  そのときに、まあ学者の議論ですが、ちょっとこれ古い政治学で、最近は実は違う言い方をすることが多いんですが、やや複雑ですので簡単にお話をいたしますと、国会を始めとする議会は世界中、大体二つの類型がございます。一つアリーナ型議会といって与野党対決が非常に盛んだという議会、もう一つ変換型議会と言っておりますが、これは与野党横断合意型ということです。  実は、アリーナ型の方は非常に議会の公開が盛んでございまして、テレビなんかで中継する。逆に言うと、与野党横断合意型は委員会なんかはほとんど非公開にしておりまして、そこで与野党もう入り乱れて議論を尽くしてどんどん修正すると、こういう国会であります。あるいは、公開されているようでも、アメリカなんかもそうですが、非公式の協議会が多用されるという、それで何とかもう法案ずたずたになるまで修正して通していくと、こういうやり方でございます。  じゃ、日本はどちらかというと、御案内のように与野党対立型でございます。ただし、与野党対立型でそのまま二院制をやっていると、これなかなか大変なことになるということが今の話でございます。そういう点から考えると、何がポイントかというと、そこは変えられないとすると、その大枠のところは変わらないとして、じゃ、参議院に何ができるのかというと、もう少し具体的なところでちょっと違った問題があるというわけです。  日本与野党対決型でございますが、実は最終的に普通、与野党対決型の国会を持っている国は、ほとんどの場合、採決をどんどん政府側がやってしまいます。ですから、法案成立率非常に高いんですね。ところが、日本は、最近ちょっと高くなっておりますけれども、時期によっては法案成立率高くないのは、実は会期不継続の原則を始めとする会期制の縛りがあって、審議未了廃案ということが起こる、そういうタイプの国だからでございます。  そうすると、実は、審議はともかく、時間を使えば法案がブロックできてしまうという、野党に意外な権力ができてしまいまして、慎重審議を求めると表向きは言っているけど、実は廃案を狙うという作戦が取れてしまう。そのために、採決時期をめぐる攻防が非常に熱心になる。しかも、そういうことになると、政府側の、与野党対立でございますから、政府提出法案審議中心にして、しかも、それも質疑だということでございまして、自由討論なんかは余りできないという、これは政府側からすると、自由討議されると時間を取ってしまって自分法案成立しなくなるものですから、自由討議じゃなくて、もう一生懸命大臣出ますから質疑にしてくださいと。野党側からすると、大臣が出てくると追及の場が出るものですから、まあそれでいいよということになりまして、立場の違う者同士が非常に質疑という形でやり取りをするということが特徴になっているというわけであります。ただ、こういうことを衆参共にやると、参議院独自性というのはなかなか発揮できないという、先ほど申し上げたとおりでございます。  そういう点で、参議院チェック機能とは何かというと、しばしば誤解されますけれども、法案を止めてしまうとか成立させないというようなことを中心にすると、チェックをやや超えておりまして共同責任になってしまうということからすると、チェックというと、まあ与野党対立を超えたチェック与野党ということはあるけど、衆議院に対して、参議院議員の良識からすると、与党議員であっても政府議案をちょっと修正した方がいいんではないかと、野党議員であっても、どうせ成立するのであればそれを前提に少し改良しようということをするということが恐らく参議院チェック機能ということではないだろうかという点から考えると、大枠内での修正をするということをどう考えるかということでございます。  ただ、これなかなか容易ではないのは、修正してしまいますと、また例えば衆議院の先議ですと再び衆議院に戻っていく、時間が掛かるということを考えて、大体、普通、政府側はこれ嫌うわけでございます。もう大体参議院会期末ぎりぎりに議論をしているところで修正されると、もう一回衆議院に行くものですから、そうすると成立しないと同様だということになってしまうということでございます。  そこで、二番目の点でございますが、審議活性化のために、大きな制度はこのままで審議活性化するためにはどういうことを考えるかというと、まずは審議時間の確保をしないといけない。それは、そのためには会期制のやや緩和。これは、野党側から見ると人質に取るということは難しくなることを意味しますけれども、参議院審議活性化するためには幾らかそういうことをやっていかないといけないということです。会期を長くするということもありですし、あるいは、継続された案件については今よりもそれまでの審議が生きるようなそういう考え方を取るとか、いろいろ考え方があり得ますが、そういうことをして、そうすると会期末になって時間がないからどんどん採決するということは避けられるということでございます。  それから二番目は、先ほどお話をしました、日本の場合、やや国会法は特別、諸外国に比べて非常に不思議なというのは、実は、衆参それぞれには議院自律権があるのに、議事の基本は両方とも法律で決めてしまっているということでございます。  法律で決まってしまっているものですから、両方とも同じということになって似てしまう。そういう点でいうと、どこまでやるかは別ですけれども、国会法というのを両院関係調整法みたいにしておいて、それぞれの議院の、参議院とか衆議院議事やり方はそれぞれが議事規則で決めるというのがやり方で、そうすると、衆議院とは全然違うやり方参議院が取ることができるというわけです。  これが、国会法がとりわけ参議院に負担を掛けているのは、参議院議員の皆さんは定数が少ないんです。そうすると、衆議院と同じやり方をしていると委員会を回すのが非常に大変になるという問題がありまして、少ない人数でも審議をするためには違うやり方を取るということも大切で、そのためには少しこのことを考える必要がございます。  それから三番目には、そうなってくると、人数が少ないということを考えれば、やはり重点的に同じように審議していては難しいかもしれない。  予算委員会国会の華ではありますけれども、これは衆議院に優先が認められている分野。それに物すごい手間を掛けることがよいのかどうかということもあります。むしろ法案審議中心にして並行してでもやるということもあり得るかもしれません、衆議院やり方を変えれば。あるいは、日常的立法日切れ法案等については、もっと簡略化するということもあり得ます。そうすると、これを審議したいと参議院議員の方がお考え議案については、少し重点的にやるということも考えられるのではないか。  それから最終的に、しばしば言われます両院協議会の活用ですが、与野党対立型では一般両院協議会というのは御案内のとおり機能しないわけですね。両方の多数がぶつかったりするということです。  ですから、そういう点では、両院協議会機能させようとすると与野党対立を緩和しないといけないということで、そうすると、衆議院の方は与野党対立強いから、議案に賛成した会派から全員出てくる、全員がそちらの会派だということはあるかもしれませんが、参議院は違うやり方を取るということで幾らか妥協を図るということがあり得るかもしれません。にもかかわらず、やはり両院協議会は、使われるというのは先ほどの参議院役割と同じでございまして、大枠内の修正ぐらいしか両院協議会は使えないと。根本原則で対立しているものを両院協議会でということはなかなか難しいということがございます。  そこで、今お話をしたことは現在の制度前提にするという改良策でございますが、これは憲法改正の課題にもなりますけれども、やっぱり衆参権限再分配をして、より参議院参議院らしくなることによって、少し役割を変えていくことによって問題を解決するということです。これ、しばしばどうもこの話をすると衆議院の優位と言われるわけですが、世の中バランスでございますから、衆議院優越があれば参議院優越がある分野もあるという、言わば衆参の取引みたいなことがないと成り立たないのではないかというふうに思います。  福祉国家行政国家化のことはお話をしましたが、ここでポイントは、そういう法律政府提出法案になるということなんです。  かつて二百年前の三権分立が熱心だった頃は、大体法律というのは余り日常生活関係なかったものですからゆっくりやっておったんですが、ほとんどは、今、日常生活関係するものは、実際に法律を実施する行政機関が立案しないとそういう具体的なことはできないということなんです。ということは、法律のかなりの部分が政府提出法案になるということでございますから、そういう点でいうと、政権運営に関わる責任立法とが重なってくる分野について参議院がブロックしてしまうということは、実は、憲法上、衆議院優越内閣は成立しているのに、それが実は原則が崩れてくるということであります。  そういう点でいうと、そこに幾らか参議院、とりわけ参議院野党側の自制が必要になってくるということでございます。しかしながら、これはなかなか、権限があれば使うものですから、ねじれてしまえばブロックする。これは、与野党立場を変えればどの党でも一緒だというのは、この十年間観察したところでございます。  そういう点でいうと、重大なことを申し上げますが、そうした立法行政に必要なような立法については、参議院は幾らか権限を放棄するということが、実は参議院審議を充実させる非常に重要な意味を持っている、ちょっと矛盾のようなことを言っております、ということでございます。  そのことは、御案内のように再議決要件の問題でございまして、再議決要件三分の二というのは、実はこれ、憲法の制定過程でもございますが、ややアメリカ流の考え方が入っておりまして、議院内閣制とは異質でございます。議院内閣制は過半数あれば内閣成立しているのに、三分の二がないと再議決ができない。たまたま今のように三分の二があるときもございますが、それはちょっと憲法上の矛盾がここに生じているために、政府は成立しているのに予算関連法案が通らないというのは、予算案について衆議院優越を定めた日本国憲法の立法者の意思等とは反することが実際生じた。やや条文に問題があるというふうに考えざるを得ないわけであります。  ただ、そういうふうに考えると、条文に少々問題があっても、やはりここはお互い譲り合うと。再議決可能であっても参議院議決を尊重するというふうに衆議院がすれば、逆に言うと参議院の方もメンツも立って、参議院の方では重要な予算関連法案はブロックしないというようなこともあり得ると。そういう慣例をやっぱりつくり上げていくと。いずれその慣例が成立した上に、併せて憲法の条文を変えるということもあり得るだろうというふうに私など思っておりますけれども。  そういう点で考えますと、やはり参議院法案成立、予算関連法案に限定してもいいかもしれませんが、まあまあいろいろこの区別が難しいと考えると、予算成立に関わる権限を放棄する。例えば、もう過半数で通ったものを否決することはしないとか、修正はしても審議未了にはしないとか、そういうことでございます。  しかしながら、これは取引でございます。その代わり参議院についてはこういう権限を、我々が衆議院の議決を尊重するんだから衆議院参議院の議決を尊重してほしいという分野をつくるということでございます。  じゃ、どういう分野かということでございます。  実は、与野党対立でなくて、そうでないような処理が必要な分野はどんな分野があるか、これが参議院にとって非常に必要な分野だと考えていますが、一つは、立憲的保障と言っていますが、参議院議員は任期も固定で長いということからいうと、憲法というのは与野党を超えたゲームのルールでございますが、そのルールの守り手になるというのは一つでございます。これが与野党対立でなければ、お互いに立場は違ってもまあやっていこうということでございます。これは具体的に次に申し上げます。  それから、それと同様のことですが、そういう憲法に関わらなくても超党派で議論した方がいいよという人権問題みたいな問題は、例えば少数者の権利どうするのかというようなタイプのことは、そんな与野党でどうこうと争うものじゃなくて、みんなで知恵を集め、国民の意見も分かれてくるからじっくり議論をして、国民の理解を得た上で立法しようというようなことは参議院に非常に向いている分野でございます。  あるいは、選挙で多数を決めたからといって、結論が出るかどうか分からないような専門的な分野は、こういう調査会を開かれて、勉強されて、専門知識を身に付けられた参議院議論をすると。そうすると、専門家の意見として衆議院はそれを尊重するというのもあり得るかもしれません。  あるいは、時間の掛かるもの。衆議院はどうしても次の選挙が、もう二年ぐらいで選挙があると気になってしまいますが、任期の長い六年任期であると、じっくり議論をしましょうという、こういう、この調査会なんかもそういう場だと思いますけど、そういう問題はもう衆議院じゃなくて参議院に任してほしいというのも一つであろうかというふうに思います。  じゃ、具体的にどういうことかというと、順番に、時間そろそろありませんが、お許しいただいて少しお話をいたしますと、参議院のみに付される立法以外の権限、例えば決算を、後からお話ありますが、決算、行政監視については、もう衆議院よりも参議院の権能を物すごく尊重するような立法の立て付けにするということ。あるいは、人事における独自の機能国会承認人事っていろいろありますけれど、大体ほとんどは行政府が任命する人事についてです。行政府にそれを任命する人事を多数派を持っている衆議院議論してもしようがないところがあって、例えば政治的中立を必要とされるようなそういう機関の人事については、実は行政府政府と近いことが問題であるから、政府を離れて与野党の共通のそういう参議院が持つということです。  それから二番目は、先ほど御説明した立憲主義ですが、例えば日本国憲法を改正するとすると、憲法改正の発議は参議院だけが持つというのも一つ考え方でございます。  それから三番目は、参議院においては与野党対立でないんだから、与野党を超えて議員立法に熱心に取り組む、そういう議員立法については衆議院も尊重するということでございます。  さらに、そういう点でいうと、四番目、参議院については、こういう案件参議院を尊重しよう、政府も、じゃ参議院先議に、政府案を参議院に出すから、参議院でどんな修正をされてももう政府衆議院も受け取りますよ、御自由に修正してくださいと言って参議院に出されるというのは一つでございます。それは、先ほどの衆議院の議決を尊重する分野との取引ということになります。  申し上げたいのは、こうした日常的な国会運営ということを、衆議院とは違う国会運営をしているうちにこの両院関係は新たなものになってきて、必要であれば憲法改正もあってもよいかもしれませんが、そういうことをしなければ、再びねじれたときには参議院無用論が出てきたり、あるいはねじれないと、誰も参議院に注目しないと参議院無用論が出てくると。どちらにしても困ったということをなくするためには、違うタイプ審議の工夫が必要ではないかというのが私の意見でございます。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  13. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  次に、勝山参考人にお願いいたします。勝山参考人
  14. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 同志社大学の勝山でございます。  本日は、このような席で発言する機会を与えていただき、大変光栄に存じております。どうぞよろしくお願いいたします。  では、説明を早速始めさせていただきます。  まず最初に、参議院における行政監視活性化というテーマをいただきましたので、特にその基本的な視点というのを少し考えるところをお話しさせていただきます。  今、飯尾先生からお話がありましたように、日本国憲法が定める議院内閣制においては、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議の規定にも見られますように、内閣は実質的には衆議院の多数派の支持に基づいて成立しているという存在です。したがって、その関係から当然衆議院の方では、政府・与党と野党との対決色というのが濃厚になってくるわけです。参議院が、特にその存在意義を発揮しつつ政府統制活動を行うという、そういう観点からすると、衆議院のような対決色一辺倒ではなく、そこから一歩距離を置いた客観的な立場から行政を監視する、そういう活動に力点を置いて活動を進めていくことが重要なのではないかというふうに思っているところです。  つまり、官僚の不正行為などを取り上げて、批判型、対決型で政府追及を行うような、そういう統制の仕方ではなく、レジュメにも挙げましたように、例えば法律の執行の適法性、妥当性、予算の適正処理、政策の有効性といった問題について客観的な基準が引き出せるような、そういう事項について客観的に評価、分析する。そして、それを基に行政の行為や事業の見直し等の必要があれば政府に対して説明を求めていく。そして、必要な場合には、そういった情報を集めて参議院の方から立法提案を行っていける、そういったような統制活動というのが重要になってくるのではないかというふうに考えているところです。  もちろん、こうした調査活動というのは、質疑政府を追及するようなそういう華々しいような形のものではありませんので、注目を集めるものではありません。確かにうまみというものはないのかもしれませんが、長期的に考えれば、参議院の立案能力というのを非常に向上させる、そういった活動だというふうに思っております。特に情報が入手の点で若干与党には劣る野党にとっては、法案の起草に関する影響力であるとか政権担当能力を向上させる、そういったことにも役立っていくものだと思います。  こういった活動を通して衆議院とは違う参議院の存在意義というのを示していく、そういった方向性が取られるべきなのではないかというふうに考えているところです。  そこで、本日は、政府の統制手段の中から、レジュメにも挙げましたように、政策評価と法律の施行状況調査を取り上げて、行政監視活性化ということについて考えてみたいと思います。その上で、監視活動の仕組みづくり、どうやって効果的につくっていくのか、これも非常に大事なことですので、例を示しながら御説明申し上げたいと思っております。  まず最初に、政府統制における少数派の役割ですが、先ほど参議院では対決型姿勢ではなくというふうに申し上げまして、やや矛盾するところかとは思いますけれども、やはり政府統制という活動になりますと、野党側役割、これが非常に重要になってくること、これは否めないところだと思います。現実問題として、与党議員政府を困窮させるということ、これは望んでいませんので、やはり野党が積極的に関われるようなそういう仕組みづくり、これが大事なんだと思います。  そうした例として非常に有名なものにドイツの少数者調査権というものがあるわけなんですけれども、近年私が研究対象としておりますフランスの方でも少数派による調査委員会の設置要求権というようなものが制度化されていましたので、例としてそこに挙げさせていただきました。  フランスでこういう野党権限強化ということが最近行われているわけなんですけれども、その背景には、二〇〇八年に憲法改正が行われまして、かなり大規模な改正でございまして、このときに憲法の条文の中に野党の権利を承認するというそういう規定が明記される、そういうことになりました。この今お話しさせてもらっている政府統制との関連からいえば、つまり、効果的に議会がその任務とする統制活動を行っていくためには野党の主導性を強めなければならないんだ、そのためには権限を付与しなければならないんだということが憲法で明文で確認されたというふうに考えることができるということです。  そのような観点から、日本行政監視ということを、政府統制の仕組みを考える上でもやはり野党に積極的に関われるような、そういう仕組みづくりというのを模索していくべきだろうというふうには思っております。  次に、先ほど御指摘しました、参議院として、特に政策評価や法律施行調査といった、そういった客観的な視点から検討し得るような、そういう活動に取り組むべきだということを申し上げました。その点についてもう少しお話をさせていただきます。  この政策評価でありますとか法律の施行状況調査というのは、元々立法者たる議員のそもそもの責務なんではないかというふうに私は思っているところです。といいますのも、政策の多くというのはもちろん政府・与党側から提示されてくるわけなんですけれども、その実施を最終的にオーソライズしているのは議院ですから、参議院衆議院も、その後の結果についてはそれを監視し、もし自分たちがオーソライズした内容と違うものであればそれについて是正を図っていくような、そういう活動をするということは元々の職務だというふうに考えているところであります。  それに加えまして、こういった政策評価、法律施行調査というものは、元々の法律自分たちが制定した法律の目的が何であったのか、法律に規定された条文に何が書いてあったのかというような比較的政策論争とは別の客観的な基準によって判断が下されるということが可能になるものですから、そういった意味では対決色が弱い統制活動に位置付けられるんではないかというふうに思っております。  先ほども申し上げましたように、こういった形の情報を収集していくことによって、今後、もしかしたら提出されるかもしれない法案に対する資料を十分に整え、議員審議能力、立案能力というのを高めていく、そういう非常に重要な活動だというふうに思っているところです。  次に、そうであれば、ではその活動を、そうした政策評価であるとか法律の施行調査又は広く政府統制という形の活動をどのように効果的に行うのか、仕組みづくりも重要になってくるところですので、次にこの点についてお話をさせていただきます。  レジュメのところには、フランスで、やはり先ほど紹介しました、二〇〇八年の憲法改正を受けまして下院に設置された公共政策評価・統制委員会の内容をお示ししております。  このときの憲法改正では、先ほどは野党の権利を保障するという条文が盛り込まれたのだということを御紹介しましたけれども、それと同時に、憲法条文の中にまた別に議会の任務として、立法だけではなく、政府活動の統制、公共政策の評価、これも議会の任務なのだと、憲法上の任務なのだというふうに規定されたところです。非常に大事だという、そういうことがここでも確認されているということです。  その上で、その憲法改正を受けまして、政策を評価する、そういうための機関として新しく公共政策評価委員会というものが設置されたわけですが、この組織を見ますと、組織方法や活動方法について非常に注目されるところがあるということで、ここではこれを紹介させていただきます。  まず、この組織を設計するに当たって何に注目したかというと、フランスがそれまで行ってきた、フランスの議会が行ってきたことに対する反省に基づいて設計されていたというところです。政策評価といいましても、新しく二〇〇八年の憲法を受けてこの機関が設置されたわけなんですが、もちろんそれ以前からフランスの議会も政策評価活動というのは行ってきていたところです。  ところが、その当時、以前はどういう形でやっていたかといいますと、各常任委員会がそれぞれ個別に所管事項について政策評価的なことを調査を行ったり又は一定の重要事項についてはそれ専門の政策評価組織というものを両院合同の機関として設けたりして活動を行ってきたわけです。ただ、総じて期待に応えることができなかったということから、それ以前の、それまでのこうした組織の活動方法の反省点というのを列挙しながら、二度とそれにはならないぞという形でつくられたというところです。  では、以前の組織、組織方法、活動方法に何が問題があったかということを御紹介しますと、まず失敗の原因として第一に挙げられたのが、多くの場合これが、両院合同の組織、政策評価のための専門組織というのが両院合同でつくられていたというところで、日本にもありますように、やはりねじれ現象になった場合には全く機能しないということがあったというところです。  第二番目の点としましては、やはり政策評価であるとかいった問題については議院の力だけで行っていくことは非常に大変であると。したがって、外部組織の専門家に要請を求めるのが一番効率的な方法なんですけれども、それ以前は、以前はそういった外部に対しての支援要請を行わなかったということです。  第三の点として挙げられますのが、こうした政策評価であるとか立法の施行調査であるとかいったことというのは、政府に対する質疑で華々しく責任追及するというあのような姿からすると、そうではなくて、調査活動をやっていくということですから非常に地味であって、余り、とはいえ、労力が掛かるということ。まあ議院としてもそういった活動に余り積極的ではなかったということも挙げられています。  また、反対派、野党側役割を、特に積極的な役割というのを認めていたものでもなかったので、そういう仕組みも組み込まれていなかったということ、それから、それまで常任委員会であるとか各種政策評価の専門組織がそれぞれで行っていたその評価活動、これに連携を持たせなかったという、そういった失敗原因というのが挙げられていたところです。  そこで、新たに設置された公共政策評価・統制委員会というのは、こういった点を改めて、参考にしながら、反省を踏まえてつくられた、そういったものです。  まず、レジュメにお示ししましたように、調査事項ですけれども、従来、常任委員会が、その壁となっていた省庁別の所管という限界、これを取り払いまして、横断的、総合的な調査を行うことができるというような形にしております。これは、こちらの参議院調査会であるとか行政監視委員会であるとかいったところもやはり同様にそのような観点から行っているというふうに存じております。  さらに、注目されるのが、フランスのこの公共政策評価・統制委員会の組織方法及び活動方法です。  組織方法のところですが、お手元のレジュメに構成員となる者を列挙して記載させていただいております。これを見ますと、議長が委員長になりまして、そして各常任委員長も全員入る、各種評価局長も全員入るんだと、その他政策評価に携わる組織の長であるとか会派の長も入ってくると、そういった者で構成されておりまして、実はこの組織というのは、議院が行う統制、評価の活動を総体的に、総合して全体としてのプログラムを調整する、そういう評価・統制活動も取りまとめていく、そういう機関として設置されているということです。  さらに、この機関の活動方法ですけれども、先ほど言いましたように、政策評価を行うなんということになりますと、技術的、専門的な知識というのが非常に必要になってきますし、労力的にも議院だけで行うというのはなかなか限界があるところですので、外部に対しても協力を求めるということを自由に行っていくと、かなりの予算措置も付けられています。  また、この委員会のメンバーだけで調査を行うというのではなく、調査対象となっている事項の関連常任委員会委員、専門性を持つ委員を招いてきて実際には調査を主導してもらうというようなことをしております。例えば、ほかの委員会が行った法律の実施の施行調査などに関する評価報告なんというのは、やはり全てここの委員会に提出されて集められるというようなことになっているところです。  このような形で、この組織を中心としまして議院の内外の機関と連携を持たせながら組織的に調査活動を進めていくという、そういう手法を取っているということが非常に注目されることなんだというふうに思います。  さらに、重要なことなんですけれども、調査活動というのは地道なものではありますけれども、やはり調査するだけに終わるのではなくて、報告書に取りまとめて、それをホームページに掲載して国民にその情報を提供するという、そういったことも行われているところです。  時間がかなり少なくなってしまいましたが、もう一点、申し訳ないんですけれども、一点追加させていただきますと、この組織の非常に最も注目される点として最後に一つだけお示しさせていただきます。  この組織の調査活動の方法としまして、実際には二名の議員が指名をされまして調査の報告者として活動を進めていくということになっているんですが、この二名のうち一名は必ず野党議員でなければならないということになっておりまして、与野党議員二名が共同で調査を進め、そして、最終的にはこの二人が議論を重ねて一つの報告書を作成するという、そういう形を取っているところです。  もちろん、見解も対立する議員ですので一つの報告書にまとめることにはなかなか難しいところがあるんですけれども、協力を与野党議員が行って議論を重ねるうちに最終的に合意形成がなされることが多いというふうにされるところです。ですので、こういった与野党議員二名のペア方式によって最終的に取りまとめられた調査結果というのは非常に客観的、公正的、中立な内容のものとなっており、非常に信頼の置ける資料として議院に蓄積されていくということになっております。  この形を見ますと、実は、言ってみれば政府統制というのは、実際は政府・与党対野党というような、そういう対立図式を描きがちなんですが、この形の統制方法というのは政府・与党対野党ではなくて、与党と野党が一体となって議院として内閣に対立軸として存在し、そして統制を行っていくという、そういう形のものであって、非常に、参議院の一体的な形で政府に対抗していくというような、そういう仕組みづくりにも参考になるのではないかというふうに思い、挙げさせていただいたところです。  済みません、かなりお時間を超過してしまいましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。
  15. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  島村大君
  16. 島村大

    島村大君 自民党の島村です。  本日は、飯尾参考人勝山参考人、お忙しい中、御貴重な御意見をいただき本当にありがとうございました。  トップバッターですので、本来であれば総論を聞こうと思ったんですけど、ちょっと変更させていただきまして、飯尾参考人に教えていただきたいと思います。  先ほど、参議院立法過程における審議活性化について多方面からお話しいただきまして、本当に感謝しております。資料をいただきましたように、二院制と我が国における議会審議の特性、それから二番目として審議活性化のための工夫の余地等は詳しく教えていただきまして、三番目の衆参権限再分配と参議院優越分野の確立についてのところから大分はしょったと思うので、その辺からちょっと教えていただきたいんですけど。  一番ちょっと私が飯尾参考人お話聞きまして非常に興味を持ったところは、やはり参議院法案成立に関してある程度権限を放棄する、放棄して、その代わり独自の権限を得るべきではないかということで、例えば予算に関しても少し放棄して修正並びに審議拒否はしないとか、またその分、権限を得るところで、対立しない分野で、例えば基本法や議員立法、そして決算、行政監視、人事における等々の機能を強化するべきではないかというお話を聞いたんですけど、ここを少し深掘りしていただいて、もう少し教えていただきたいと思います。
  17. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。少々時間配分を間違えまして、大変失礼いたしました。  今の島村議員の御質問でございますが、これをどうするかは選択の問題でございますけれども、基本的には予算関連法案というのは、基本的な部分で通るか通らないかというのは衆議院を尊重すると。逆に言うと、ほかの法案についても、日常行政に関わることは衆議院の方を尊重するけれども、例えば基本的人権に関わるとか非常に長期的な外交とかそういう方針に関わる問題であるとか、そういう問題についてはやはり参議院の方をちょっと尊重してほしい。逆に言うと、衆議院参議院意見を尊重しないのであると衆議院の方の優先権を尊重するというわけにもいかないということだし、ですから、衆議院ではしばしば多数決に持ち込まれるということはあるけれども、まあ参議院では与野党協力して慎重審議をしようと。  ただ、慎重審議をするためのちょっとブロックになっているのは会期制なものですから、先ほどもお話が出ましたように、少しその時間をつくるということを工夫をしないと、これ、だけど政府側が一方的に不利になるということではいけませんので、そのバランスを取るのがどうだろうかということでございまして、これはなかなか考え方が、どれぐらいの範囲、予算関連法案だけ優先するのか、もう法案は全て大体優先するけどその代わりに修正案を聞いてもらおうというふうにする、あるいはその代わりにその法案以外のことをどうするかということを考えるかということで、逆に言いますと、今お話をしたのは、参議院審議採決以外の部分を重視するということが、やはりどうしても日本国会採決中心になってしまっていまして、それが衆議院でありますので、採決以外の部分をちょっと充実させると。結論は同じでも、恐らくどうせ通るとしても、参議院審議があったから違う側面が明らかになったというふうなことも含めて、こういうちょっとこの権限をということを申したわけでございます。
  18. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。非常に分かりやすい御回答をいただき、本当にありがとうございます。  としますと、例えば我々も与党、野党分かれていますし、党に入っているわけですよね。そうしますと、その各党の中での衆議院参議院がいるわけですけど、この関係はどういうふうに今後、その話合いとかそういうのはどうお考えなんでしょうか。そこをちょっと基本的なことで教えていただきたい。
  19. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  ちょっとこれは長くなると思って今日お話をしなかったのでございますが、実は、日本国憲法上議院内閣制を取っているのに上院が強いという、そのことはもう政治家の皆さんは実は肌で感じておられて、戦後長らく、実はこれ自由民主党が政権時代でございますけれども、衆参の問題を党内で処理するということをしてこられました。つまり、党議拘束を掛ける国会法案が出る前に問題を処理してしまうということを長年やってこられた。実は、そのことが日本国会審議のやや空洞化を招いた、とりわけ参議院議事の空洞化を招いた側面があると。ですから、もしもそうだとすると、これは衆議院側からいうと参議院議員が心配で仕方がないということでございます。  ただし、逆に言うと、先ほどのような権限再分配があるとすると、与党側であっても参議院議員についてはちょっと自由にさせてよということがあるということでございまして、そうすると、ちょっと党内で、まあ、それは否決まではしないけど修正ぐらいはさせてほしいということを与党側の参議院議員の皆さんは与党側の衆議院議員の皆さんと議論をするということがやっぱりあってしかるべきかなというふうに思いますし、逆に言うと、野党側議員の皆さんも、衆議院では徹底抗戦をして反対しているんだけどもう参議院では協力することになっているから、そういうことから考えるとこれぐらい歩み寄ることはちょっと参議院だから許してほしいということは、野党側の方は党内でまた議論するということ、両方相まってちょっと参議院は違うことができるよと。とてもじゃないけどまとまらないものが参議院に行くとまとまったということを見ると国民の方も理解をするということではないでしょうか。
  20. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  そうしますと、国民は、衆議院を選ぶ場合、参議院、もちろん我々も選挙をやっているわけですけど、衆参が決めることが別になりますと、国民はどの票をどのようにして、例えば、同じ党として例えば我々自民党なら自民党を応援する場合に、衆議院の選挙と参議院の選挙をどのように国民は考えて投票すればよろしいことになるんでしょうかね。
  21. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) すばらしい御質問でございまして、実はこのことがポイントでございます。  実は、先ほど申しましたように、役割が違うということなのに役割が変えられない理由の大きなところは、どちらも同じような選挙をしてしまって、とりわけ与野党の対立するようなタイプの選挙をしてしまっていることが問題でございまして、与野党対立あるいは政党間の競争が表に出ないような選挙ということがないかということです。  ところが、選挙ということをやりますと、必ず政党というものがないと選挙はできません。そこで、実は世の中のどこの国も苦労はするので、例えばそういうときには任命制とかにしているんですけれども、直接選挙をするときには、もうこれは解決できないということを諦めて上院に解散権を入れるということが一つですけど、私は、日本の場合は解散権を入れるのではなくて、選挙のときに、これは与野党対立ではないから人物本位で選ぶんだというタイプの選挙に移行するか、あるいは、これは受け入れ難いかもしれませんが、任期を長くして再選を不可能にするというのもございます。そうすると、もう次の選挙を考えませんものですから、党の言うことを聞かなくても怖くないといって皆さん好きにされる。この場合はもう随分長い任期、十年とか、こういう任期になるということもあり得ますが、これなかなか政治学上難問でございまして十分なお答えはできませんが、ヒントだけでございます。
  22. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。人物本位というのが非常に私の心に響きまして、ああ、人間形成が必要だなということです。ありがとうございます。  さて、次に、勝山参考人に教えていただきたいと思います。  私もちょっと勉強不足また理解不足もありまして、今回のフランスの行政統制についてお話ししていただいたんですけど、このお話にありました公共政策評価・統制委員会というんですか、これに関しまして、先ほどのお話ですと、今まで従来の議会による政策評価活動が必ずしもうまく機能しなかった反省に立って設置されたというふうにお聞きしたんですけど、いわゆる反省の下に置かれてこの統制強化のための取組について、これを例えば我が国のところに入れた場合に特に一番参考になるもの、また取り入れるべきものはどのようなものが一番だと思っているか、教えていただきたいと思います。
  23. 勝山教子

    参考人勝山教子君) ありがとうございます。  私としましては、この組織の中で特に注目に値する、参考にできる、すべきなのではないかと思うところは、まずは、組織的な体系的な一つの統制を取りまとめるような形の組織をつくっていって、いわゆる常任委員会の個別に分断されがちなそういう調査活動をしておりますと、せっかく時間掛けて調査したんだけれども、なかなかうまくほかに利用できないというようなことが出てきますので、それはやはり効果を高めるという点では、一つ全体を取りまとめていくそういう組織をつくっていくというのは非常に参考になるのではないかというふうに思っています。  そして、もう一点は、最後にちょっと時間切れで申し訳なかったんですけれども、与野党が二名で、二名ではなくてもいいんですけれども、与野党で共同で調査を行っていって、そして最終的に一つの報告書を取りまとめていくという、こういう形のものが非常に、いわゆる客観的な事実、客観的な評価に基づいて政府統制を行っていけるという、そういうものにつながるだろうというふうに思っておりまして、憲法の観点からいいましても、政府に対して統制を行っていけるのは議院全体という、一丸となった議院政府を統制するという、そういう構図ですから、こういった与野党対決型の調査方法ではなくて、与野党が共同で政府の監視を行っていくという、そういう仕組みづくり、非常に参考になると思いました。
  24. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  与野党共に国民のために政府に対して必要なものはしっかりと言っていけるような対応をできれば一番いいということでよろしいんでしょうか。  たくさん御質問の方もいらっしゃると思うので、ここで終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、野田国義君。
  26. 野田国義

    野田国義君 民主党の野田国義でございます。  飯尾先生、それから勝山先生の方にちょっとお聞きしたいと思います。  私、衆議院も経験させていただきまして、参議院とどこが違うかと、よく議員からもあるいは地元の方々からも聞かれるんですが、一番の違いを私が感じるところは金曜日の風景でございまして、本当に、衆議院におりますと、みんなかばんを持ち込んでいつ抜け出すかとタイミングを計っておりまして、本当に、常在戦場と申しますか、選挙選挙と、それが一番だと、まず勝ち残らなくてはいけないと、その辺りが違うんじゃないですかとよくお答えするわけであります。  その中で経験したことでもありますけれども、ねじれ国会、二〇一一年ですか、ちょうど三年前ですか、民主党が負けて、そこで、参議院の方がねじれたということでございまして、今ちょうど特例公債法案が、昨日ですか衆議院の方に出されたということでございますけれども、このことですごくもめました。結果的には、八月の二十六日ですか、八月の二十六日に成立をしたというような結果で、やっぱりこれはもう先ほど飯尾先生がおっしゃったねじれ国会のたまものであると、人質に取られてということでございまして。  本来だったら、本当は当然政策政策と、今日も衆議院で政治とお金の審議が行われております、自民党の議員さんが政策をやろうじゃないかとおっしゃっていた。しかし、当時のことを思い出すと、とてもそんなことじゃなかったと、もっとひどかったんじゃないかと私は思っております。政策どころじゃなかったということですね。  そこで、そうすると、今の逆に政局というか、この政治の形態を見てみますと、一強多弱と言われますように、今はもう自民党さんが両方圧倒的な多数を取っておるものですから、何事もなく通っていくような状況にあるということで、参議院においては、よく言われておりましたように、政局の参議院とか、以前はですね、それもないような状況になっております。  そこで、そういった二つの現象が、現実、政権交代ということが日本で起こりました。しかしながら、そういう二つの現象が起こっております。だから、ここをどう捉え、変えていくかということが、私、現実的な二つのこの事例じゃなかろうかなと思っておるところでございまして、その辺りのところのねじれの感想、それからどう解決していったらいいのかということを飯尾先生、それから、よかったら勝山先生の方もお答えいただければ有り難いなと思います。
  27. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 御質問ありがとうございます。  大変大きなお話でございまして、お答えも難しいのでございますが、実は、先ほど御説明したことも、当然でございますが御質問のその二つの事例を念頭に置いたものでございます。  いわゆるねじれということになると、やはり数の論理が出てくると。自民党、公明党が野党のときでございましたが、民主党が野党のときも、ねじれればそれはブロックされるということ。やはり、どちらがどういうお立場であってもそうなってしまうということは残念なことでございまして、やはり憲法の民主制ということからいうと、衆議院の総選挙で勝利した政権が政権を運営をするということを余り邪魔するということはよろしくないだろうという点でいうと、そういう場合においては、予算関連法案であるとか、今御紹介あったような法案は、やはり衆議院の決定を尊重するという慣行を成立させなければいけない。  ただし、幾ら政権であっても、少しそれは難しい、政権だけで進めてはいけない問題があるかもしれない。例えば、基本的人権の保障であったり、憲法の原則を守るということであったり、そういう問題については、少数者であっても参議院はやはりそのとりでになるということ。そういうときには、議会の議決をするのは多数決によるという原則をちょっと外してみるということでいうと、やはり違う姿が出てくるということであれば、やはり参議院にもいい点。  ただし、これが、与党が言うんだから野党が反対するというふうに少数者の権利を使われてはこれはなかなか成り立たないので、与野党とも、参議院議員として共通の立場で慎重に審議を求めるであるとかいうふうなことをやり取りしていくというその段階で国民にとっては安心感を与えるというふうなことですので、これはやはり、先ほどバランス、権限の削減、それと独自の優越する分野のバランスだと申し上げましたが、まさにこの両方の場合についてもこのバランスということが言えるんじゃないかというのが私の考えでございます。
  28. 勝山教子

    参考人勝山教子君) ねじれ国会の際なんですけれども、確かに、政党の対立図式という、そういうところで考えてみると、もう既に法案が提出される前から結論は決まっているわけですから、どうしても進まないということになってしまうわけだと思います。  ただ、例えば、国会審議の仕方を変えることによって政党の対決色というのを薄めていって、合意するところは野党側もこの法案に合意するんだというような、そういうやり方もあるんではないかなと思っているところです。  例えば、法案審議におきまして、今のような質疑形式のような形でいくのではなくて、例えば委員会であれば、委員の間で自由討議を行っていって、政党の観点から離れた形で法案の内容を精査していくことによって、また政党対立とは別の結論に持っていくということもあり得るんではないかなと思いまして、そういうことも一つの方策かと思っております。
  29. 野田国義

    野田国義君 それから、役割分担、これ両先生とも一緒かと思います、衆参の。その中で、役割分担をするということになりますと、どうしてもその選出方法、ここを僕は抜本的に変えないことには、今みたいな形で、衆議院と同じような形というか、選挙区と比例の方で選ばれてくるということになりますとなかなかできないんじゃなかろうかなと思っておりまして、よく知事や地方の市町村長なんかを入れたらどうだとか、いろいろそういった案も出ておるようでございますけれども、その辺りのところをどう思っていらっしゃるか。  それからもう一つは、これは執行部、いわゆる総理、大臣、私も思うんです、これは自民党さんが今もうおっしゃっていると思いますけれども、与党になるとどうしても時間が縛られると。また、逆に衆議院と同じようなことを二回参議院でも繰り返さなくてはいけないということで、余計に時間が縛られるというこの問題ですね。この問題も何とか解決をしないと本来の仕事というものができないということもよく分かりますので、この二点について何か解決方法があればなと思っておるんですが、いかがでしょうか。
  30. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  先ほど時間がなくて、ややレジュメに書いたのに省略した選挙の話でございますが。  まず、おっしゃることはもっともでございまして、ただし、選出のやり方から入るのではなくて、権限に合わせてということだと思います。大前提でございます、最近、最高裁判所の判決もございますけれども、なぜ最高裁判所が参議院にまで人口比例を非常に厳しく言うかというと、それはまさにねじれ国会権限が強いことが分かったからでございますね。政権が立ち行かないということまであるような強いところが一票の格差があるということではおかしいではないかということです。ですから、これをひっくり返すわけでございます。  つまり、やはり権限政府が成立するのはそれは民主主義で成立するけれども、チェック機関というのはちょっと別の観点ですよということであれば、別に人口比例を厳しく言わなくてもよろしいということ、まずこのことですね。権限を手放さなければ、やっぱりその可能性は出ないと思います。  じゃ、それを手放してどういうことがいいのかというと、衆議院の方はやはり政権の安定ということから考えるとどうしても多数代表的になります。そう考えたら、それをバランスを取るためには参議院は少数代表的だということになりますので、少数者がたくさん出てくるような選挙制度考えるということ。これはなかなか、世の中の選挙制度はいろいろ考えても難しいことは多いのでございますが、そういうことを考える。  ただし、そのときも大前提、少数代表にすると過半数を取れる政党がなくなるということが参議院では起こりますから、それでも法案がちゃんと困らないようにするためには、衆議院優越を強めるとか参議院では与野党でもう衆議院で通ったものをブロックしないとかいう慣例ができるとか、そのことなしに選挙だけ変えても、どんな選挙制度、逆に言うと、よその国は任命制もございます。しかし、任命されると任命してくれた人の意向を聞くものですから、任命をしても時の政府がやっぱり自分考えの近い人を任命したりして、だからやっぱり権限の方を変えないとどんな選び方をしてもこの問題は解決できない。まず権限の方を解決して、その次に、じゃ、選挙制度を選ぶ自由度が広がったら、そうすると衆議院とは違うようなタイプ選挙制度を選ばれるというのがいいのではないかというのが第一でございます。  第二の問題でございますけれども、基本的には、内閣総理大臣大臣等がこれほど国会出席している国は非常にまれでございます。これはなぜかというと、議院内閣制諸国では大体本会議中心でございまして、本会議にしか来ないわけでございますが、日本は戦後改革でアメリカ流のやり方をやるという委員会中心になったので、そうすると、委員会に呼ぶということになるとこれ大変になっているということでございます。  しかも、もう一つの特徴がございまして、日本国会では質疑中心になっているものですから、議員間討論ということを、多くの国ではほんの短い間だけ政府側から出てきて、あとは議員間討論が中心だという国が大半を占めております。そうすると、そういうことから考えると、与野党対立を旨とする衆議院は、それは衆議院議員大臣多いこともありますから、総理大臣大臣は出てくるけれども、参議院は、それはもういいから自分たち議員間の討論をするよということはあり得るかなと。そういうことにするとやはり随分合理化してくるということです。  まあ、そのことは、先ほどお話しになったように、選挙のたびに大臣追及するという機会を放棄されるということと裏腹ではございますが、もう金曜日になってもかばんを持ってということでないとすると、そういうことをしてから議員同士でじっくり話し合えば折り合いの付くことも出てくるということではないだろうかというふうに思います。  以上でございます。
  31. 野田国義

    野田国義君 ありがとうございます。
  32. 勝山教子

    参考人勝山教子君) まず第一番目の問題ですけれども、選挙制度の話と権限の話です。  これはなかなか憲法規定を見ますと非常にどうしたらいいのかが難しいところでして、やはり憲法上の権限からしますと、ほぼ参議院衆議院も対等の権限があると。これを標準に、実際のところ、この憲法上の規定がありつつ実際の権限をどう変えていくかというのはなかなか難しいところで、最終的には憲法改正に行き着くのかなというようなところも考えざるを得ないかもしれません。済みません、この点についてはなかなかお答えがいいものが考えられないところです。  二番目の点ですけれども、飯尾参考人もおっしゃいましたように、大臣が忙しいのは、日本国会運営の仕方が立法の活動と統制活動のこの二つの区別がやはりうまくいっていないから、なかなか区別をしていないからなんだと思います。常に法案審議の中で大臣質疑でずっと出席していなければならないと。これが諸外国とは全く異なるところであります。  例えば、私が研究しておりますフランスの議会では、大臣出席するのは統制の活動としての口頭質問の時間に定例会で週二回ほど必ず出席すると。それ以外は、本会議では呼ばれますが、委員会の方にはほとんどこれまでは出席しなかったという、特に委員会から要請がある場合を除いては出席しないということで、審査自体は議員に委ねるというそういう形を取っていたというところで、そういった審議の仕方を変えていくという必要があろうかと思います。  以上です。
  33. 野田国義

    野田国義君 どうもありがとうございました。
  34. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、秋野公造君。
  35. 秋野公造

    秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。  今日は、飯尾先生そして勝山先生、ありがとうございます。お役に立てるように質疑したいと思います。  まずは最初に両先生に、議員立法とそれから政府提出法案の、何といいましょうか、差異といいましょうか、役割分担についてお考えをまず伺いたいと思います。立法が仕事である以上ということで伺いたいと思うんですが。  私は平成二十五年十二月に成立をいたしましたがん登録推進法の発議者として、私にとっては初めて発議者として成立させた法律ということになりました。これは、準備に大体一年半ぐらい掛かりまして、法律の作成作業とともに、途中いろいろありまして、自民党と公明党で実務者を務め、そして全会一致を目指しましたので、各党各派の御了解を得る、その際に法案修正も行いながら、最終的に全会一致で提出することができ、成立を見たものです。  これは、政府提出法案は、先ほど先生は、特に飯尾先生は多数決を目指すものであるという御表現をされ、議員立法より多い多数決が必要になると。そして、先ほど身近なものは行政も作らなくてはならないといったようなコメントもございましたけれども、そういう差を、政府提出法案も、今であれば与党内の法案審査等もありますので、与党の中における修正といったようなものは提出前に行われているところではありますが。  特に、まず飯尾先生には、参議院から提出する意義も含めて、議員立法政府提出法案役割分担、差異について御説明いただきたいということと、勝山先生からは、先ほど、フランスでお二人で与野党役割分担があるということでありますが、まさに議員立法提出に当たっては与野党の垣根なく合意形成を図るという作業が一貫して行われてまいりました。こういったものは先生が今日御説明されたものと同類に値をするかということを含めて見解をお述べいただければと思います。
  36. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 御質問ありがとうございます。立法の貴重な経験もお話をいただいて感銘を受けたところでございますが。  まず、先ほど御説明したとおりでございまして、議院内閣制を取りますと、多くの法律政府提出になる、とりわけ成立する法律の多くが政府提出法になると。これはもうやむを得ないことだし、これは望ましいことでございます。三権分立を厳しく決めているアメリカですら、多くの法律について行政に関わることは大統領は法案の原案を議会に示すということは最近行われるようになったということからいうと、ああいう国でももう議会だけで多くの法律を決めるということはなかなか難しいということを示しております。  ただ、議員立法というのは二つの意味がございます。一つは、自らの立場を表明するために提出するということでございまして、多くの国で、これはたくさん出ますけれども、ほとんど審議の対象にならないというものはございます。これは提出されるのは当然として、今のお話は本当に成立を目指すということでございます。  そうしますと、これは厳選をしないといけないのは、議員立法だから何となくその雰囲気だけでよいという感じがあるとするとやや安易なことになりますので、やはり与野党対立ではできないようなことを議員立法に求めていくという、与野党のその何か分かれ目がございますね、意見の対立、それ以外のところにちょっと国民に対立があるとか、あるいはもうほとんど一致しているものは政府も出すだろうと思いますので、そういう意見の対立の図式が与野党と違うものを与野党の垣根を越えて議論をするということですので、議員立法だからといって全会一致的でなければならないとは思っておりません。  道徳的なもので、倫理的な法案で国民の意見が違いがあれば、各党とも自由投票にしてみたところ、それぞれが、いや、立場がばらばらになったけれども成立したということもあり得ることだと思っておりますが、そういう点でいうと、そういうことを、しかも参議院から出す意義ということになると、やはり選挙ということを少し棚上げをして長期的に展開ができる、それから、この調査会があるような仕組みをお持ちですので、ある程度その専門家の知見を入れて法案を作っていくということもできるという点からいうと、この二点を加味して、先ほど与野党対立では違う対立ということにこの二点を加味すれば、参議院の意義を発揮する場として議員立法というのは一つあるんではないかというふうに考えております。
  37. 勝山教子

    参考人勝山教子君) ペアシステムの件についてなんですけれども、今お伺いしましたように、議員立法の提出に当たっては非常に与野党間の協力を求めていかなければならないということで大変な御苦労をされたというふうに存じます。    〔会長退席、理事猪口邦子君着席〕  ただ、先ほど申しましたこのペアシステムというのはフランスの方では統制活動に導入している制度でありまして、言ってみれば、統制といいましてもやはり客観的な情報に基づいて政府在り方を批判するという、そういうところで導入されているものですから、調査活動の客観性、中立性を保つためにペアシステムを導入しているんだというところですので、法案を提出するということになりますと一定の政策的見地からのものが多くなるかと思いますので、ややその点では違うと。  ただ、今関連して思い起こしましたのが、このフランスのペアシステムで政策評価を行っていた与野党議員が最終的に報告書を取りまとめ、そしてその二名が共同で法案を提出するというようなそういうケースも幾つか出てまいりまして、言ってみれば、与野党が合意するような内容の事項であれば、こういう統制活動を通じて与野党間で協調できる議員立法の提出というのが可能になってくるという、そういうことはあり得るかと思います。  以上です。    〔理事猪口邦子君退席、会長着席〕
  38. 秋野公造

    秋野公造君 もう少し、同じ点でちょっと深掘りした質問をしたいと思います。  先ほど御紹介しましたがん登録推進法は、民主党政権のときのねじれの状態のときに検討を始めまして、今度は自公政権のときのねじれの状況を経まして、最終的には成立をしたということであります。ねじれというのがよく問題になることはあるんですが、確かに審議が止まってしまって、審議が行われないようなこと、それが止まってしまうようなことはもう絶対に避けなくてはならないと思いますが、一方で、ねじれているときも、例えば東日本大震災の後などは、議員立法の枠組みを使って、政府提出法案ではなく議員立法がそれを補う形で合意形成が図られていったという背景もあるんだろうと思います。  よって、例えば飯尾先生でありますれば、(1)の三のところ、権限が強く意識されるとき、参議院審議が低迷するとあるんですが、そうでもないときもこの十年間の中にはあったんじゃないかと思いますので、まずは飯尾先生の方に、この最近のねじれの状況を踏まえて、その中でも合意形成がうまくいった時期とうまくいかなかった時期があるんじゃないかという問題意識でちょっと御見解を伺ってみたいと思います。
  39. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) おっしゃるところはもっともでございます。  ただ、低迷というのは、やはり法案審議はほとんど政府提出法案でございますから、そのことについては先ほどお話をしたように、荷崩れを起こさないようにといって衆議院での修正が優先されるということがあったのは事実で、そのことだけでございまして、もちろん政府側野党側に配慮しないといけない状況なものですから、野党側から出た議員立法が尊重されるというふうなこともあったことは、これはまあ、ただしこれは副産物でございまして、と申しますのは、このねじれという言葉でございますが、これはやはり日本独特でございますね。もしも多数でも少数でも議論を尽くせば結論が出るというと、ねじれということを特に言わなくてもよろしいわけですし、参議院与野党を超えた協力関係が常にあるようであれば、別に選挙結果にかかわらず結論が出せるということでございますから、ねじれを問題にする必要がないけれども、あれほど問題になるという、先ほどちょっと別の議員の方からもお話のあったような、やっぱり時間が掛かったり、ついにできなかったということもたくさんございます。  あるいは、それを見越して提出法案が減るということもありますので、やはりそのことと、ですから、今お話の出たような議員立法で培ったような信頼関係参議院が大切にされていくことによって、そういう事態になっても混乱が少なくなるという点では改良の余地は十分にあると。必ずこうなると言っているわけではございませんが、まあちょっとこの十年間、残念な例が多かったという意味でございます。失礼いたしました。
  40. 秋野公造

    秋野公造君 常に合意形成をする場だと思いますので、私どもは議員立法を使いながら合意形成を図っていきたいと思います。  勝山先生にお伺いしたいと思います。  先ほどフランスの御説明は大変私も興味深く伺いました。これは、大統領制におけるフランスと我が国で直接当てはめることがまずできるものなのか。もうちょっと聞くと、大統領制における下院と大統領との距離感というのは随分異なる状況なのか。であるならば、その上院役割というのは、何といいましょう、首相と衆議院が近い我が国と、その中での今参議院議論をしているところでありますけれども、フランスにおける上院役割みたいなものは、この中で何か見直されたものというのはあるんでしょうか。ちょっと複雑で済みませんが。
  41. 勝山教子

    参考人勝山教子君) そうですね、この二〇〇八年の憲法改正のときには、大統領が非常に強過ぎるということで、逆に議会権限を高めようという、そういう趣旨が一番のところでした。ですので、野党権限の強化というのもその一環の中で出てきているというところがございます。  参議院衆議院下院上院との関係ですね、につきましては、済みません、話がまとまっていないんですが、まず、フランスの場合、大統領制とはいえ議院内閣制を取っておりますので、直接議会との交渉に当たるのは首相であるというところで、大統領というのは結局政党のリーダーになりますので、その政党を通じて議院をコントロールするという、そういう形になっているところで、直接の交渉相手というのは、議会が交渉するのは首相であるというところですね。  その上で、あと、そうですね、下院と大統領又は首相との関係と、上院と首相との関係というところですね。  フランスの場合、上院というのは、そもそも選出方法も異なっておりまして、地方代表ということになっておりますので、その意味では、大統領や時の政権との関係で議席が左右され得る、衆議院とは全く異なった位置付けにありますので、地方代表という性格付けで参議院が、その選挙制度もそういう形でつくられて、あっ、参議院ではないですね、上院がつくられておりますので、たとえ大統領が左派であり、そして下院も左派であっても、常に上院の方は右派なんだという、そういうのが長く続いてくるということで、かなりその関係性というのは、上院下院で行政府との関係というのは違うところはあります。
  42. 秋野公造

    秋野公造君 終わります。  先生、ありがとうございました。
  43. 山崎力

    会長山崎力君) 倉林明子君。
  44. 倉林明子

    倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日は、両参考人、御参加いただいて、御意見ありがとうございました。  この調査会も三年目ということになりますけれども、参考人で女性に来ていただいたの初めてということでありまして、活性化という観点からも政策決定の場にどう女性が進出していくのかというのは非常に大きな課題であろうかと思うんですね。  国連でも一貫した方針だということであるのと同時に、この参議院では、九七年ですね、一九九七年に創設五十年ということで女性国会というのが開催されたと。同時に、DV法の制定についても調査会での議論などを土台にして法制定に至ったというような経過や歴史があるということで、私は非常に意義があることだなというふうに思っているわけです。しかし一方、日本国会を振り返ってみますと、国会議員の女性比率が極めて低いということになっておりまして、最下位クラスを抜け出せていないという実態、変化ないんですよね。  今日は、せっかく女性ということで、御出席もいただきましたので、勝山参考人にこういう女性議員が少ないというこの日本状況について、参考人の問題意識について御紹介いただければと思います。
  45. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 国会議員の方々というのはやはり国の代表、国民の代表ですので、やはり男女の共同の社会を築いていくということに関しては、まず代表となって表に立つ議員の中で女性が増えていくというのがまずは望ましいことだと思いますし、それによって社会全体の男女間の格差というものも変わっていく一つの象徴的なものになるんだろうというふうに思っております。  その意味で、諸外国も、議員にも女性の数を増やそうという、そういう動きは進められているところでありまして、フランスにおいても、近年、女性が国会議員の立候補者の中で一定割合を占めなければならないという、そういう改正がなされまして、実際上はフランスは国会議員で女性の方というのはまだまだヨーロッパの国の中では低い方なんですけれども、それもありましてクオータ制というのを取って、必ず一定数は候補者、女性でなければならないという、そういう制度をつくっております。
  46. 倉林明子

    倉林明子君 ありがとうございます。  次は、両参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、今回テーマともなりました立法及び行政監視活性化ということで、立法機能で極めて私重要だなと思っているのは、質疑の内容が国民に広く知らされる、それに対する国民のフィードバックといいますか、審議に更に反映する、で、合意形成を図っていくと。つまり、徹底審議ということが極めて求められることであろうと。さらに、行政監視ということになりますと、国会に連帯して責任を負う内閣、ここが法律を誠実に執行すると。憲法上の義務に違反していないかどうかと、これを常時監視するということが求められているんだろうというふうに思うわけです。  そこで、今日の参議院役割考えるという観点からすれば、現状の議会二院制議会が現状どうなっているだろうかというところの認識を深める必要はあると思うわけで、そこで、今、第二次安倍政権の下で強行可決された安全保障関連法及び原発の再稼働、これは極めて世論を二分しているし、各種世論調査を見てみましても反対が賛成を上回ると、こういう状況が続いているかと思うわけです。  そこで、こういう状況というのは、かつてなく国会に主権者たる国民の意思が忠実に反映されていないという現状ではないかと思うわけですけれども、そういう原因、こういう状況になっているという原因について、要因はどこにあるというふうにお考えか、お示しをいただければと思います。
  47. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 御質問ありがとうございます。  まず、これは、御質問のうち、前段と後段がちょっとあったように思いますけれども、後の方からお話をしますと、民意というのは様々な表れ方をするものであって、現状が全く具合が悪いのかどうかは、これは判断によるものですので、これは党派によってもお立場が違うし、これについての国民の評価もまた違うんだろうというふうに私なんかは思っております。そういう点からいうと、議会というのは何らかの形で民意というのを形にするための手段、選挙という手段を使ってそれを形にする。そして、二院制ということからいうと、その民意というのを二つの表れ方を取ろうという、先ほどお話をしたような形であります。  そういう点で、一つ問題があるとすると、先ほどお話をしましたように、衆議院与野党対立が基本になるのはこれはやむを得ないことでございますけれども、そうして国論が二分されたときにその間を取り持つことがやはり参議院に求められている役割であって、現状の私の評価からすると、そのような印象を持たれる方が多いとすると、参議院役割がやや不十分だと。与野党を超えてやはり合意できるもの、妥協できるところはないかという努力をする場所としての参議院が弱くて、参議院でもやはりどうしても多数決で採決だというふうになってしまうというところがちょっとやや欠けるところかなというふうに思っておりまして、そういう点でいうと、参議院役割の弱さということ、妙な話ですけど、権限が強いからこそこのようになったというふうに先ほど御説明したわけですけれども、そういうふうに思っておりまして、できるだけ国論が二分する問題が二分されにくいように持っていくというのが参議院役割ではないかと思います。  ただ、その前段の御質問の方に一言だけお話をいたしますと、実は、世の中、先ほど国会与野党対立型と与野党合意型という話をしましたが、与野党合意型で少数者の意見が通る国会というのは公開の度合いが低いことが多いんです。なぜかというと、審議の様子が丸見えになってしまいますと与党側が譲りにくいものですから、そうすると委員会を非公開にするなどして与野党で妥協案を作るということがしばしばそういう国では行われておりまして、その点でいうと、余り派手な動きをしてしまうとなかなか間を取るようなことができないという矛盾がございまして、確かにおっしゃるとおり、国民にフィードバックするというのは極めて重要でございますが、二院ということを考えるとフィードバックのされ方が違う、衆議院のフィードバックの仕方と参議院のフィードバックの仕方は違うのではないかというのが私の意見でございます。
  48. 勝山教子

    参考人勝山教子君) まずは国民の意見法案の結果が違うんではないかというお話ですけれども、確かに、どの点で評価し得るか、本当に違うのかどうかというのもなかなか評価が難しいところというのはまずはあるのかなというところはあります。  さらに、国会議員議員の皆さんですけれども、やはり一旦選挙で代表された以上は、民意も測りつつ独自の考えによって最終的な決断を下していくという、そういう存在ではありますので、したがって、一つ一つ法案の結果が今回の民意とは違うという、それとの完全な一致を求めるというのはなかなか難しいことであるとは思いますし、理屈としても、そこまでは求められるものではないんだろうかというふうに思っている次第です。
  49. 倉林明子

    倉林明子君 妥協できるかどうかが参議院に問われているのかということについてはここで反論をしようとは思いませんが、ちょっと別問題ではないのかなというふうに思います。やっぱり国民の民意に踏まえた徹底した議論参議院にも求められている大きな役割ではないかというふうに思います。  そこで、最後の質問ですけれども、参議院がどう役割を果たしていくかということで、国民の声に応えて徹底審議するという観点からなんですけれども、安全保障関連法でいいますと、憲法学者の圧倒的な多数、九五%という数もありますが、反対、違憲だということを表明されているという下で、さらに、安倍首相は進んで憲法九条二項の明文改憲にまで踏み込まれた発言をされているわけです。国民の意見国会に反映する、権力の暴走に対して抑制的な役割をどうやっぱり発揮できるか、私はこれ大きく問われているということを強く意識しているわけですけれども、最後、見解を両参考人に伺って、終わりたいと思います。
  50. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今の御質問は先ほど少しお話をしたところと関係しますけれども、日本国憲法については私は少し、尊重するという意見と変えろという意見が成立しているという点からいうと、これがちょっと問題で、日本国憲法は自らを守る力がやや弱い。逆に言うと、もしもそれを自ら守る力が弱いとすると、私は、その憲法秩序を守る重要なとりでとして参議院はあり得るということ、しかしながら、これは国民の意見が分かれる、どちらが多いかは別にしまして、分かれる問題は、やはり国民でございますので、主権者でございますから、その間の和解、協調ということをしないと、改憲と護憲で真っ二つに国論が割れるというのは極めて残念な事態だというふうに思っておりまして、その間の橋を架けるというのが参議院役割だというふうに私なんかは思っておりますものですから、そういう点で参議院が果たすべきことは多いし、憲法上そういう規定を欠くことは少し残念なのではないかと。  もしも憲法を改正するとすると、そういう積極的な役割を、憲法を守るための役割参議院に与えるということも選択肢ではないかというふうに思っておりますが、現状では衆参極めて似た形になっておりまして、余りその役割を果たせないということが現状ではないかというふうに思っております。
  51. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 権力の暴走をどのように食い止めるかというお話ですけれども、最終的には、例えば安保、安全保障の関連法案についても、国会で最終的に成立をした、国民代表がこれを通したということになるわけなんですね。そうしますと、やはり国民の代表者が決定したものをこれ以上食い止めることはなかなか難しいんだろうという、それは憲法構造上、なかなかできないところでありまして。  確かに、世論の中ではそれに対する批判が強いんだということがあり得ると思いますけれども、そうであれば、それは、例えば憲法改正というものを逆に形として行って、そして国民の意思をそこで示す、又は次の選挙において、その批判というものを選挙の場において、安保関連法案は駄目だったんだという形の意見が強いんであれば、そこできちんと示すということで、権力の暴走というのをその時点、そのときには抑制できなかったとしても、その後にきちんとそれを示し、そして、経験を積んでいって、逆に権力側の、いわゆる抑止力、抑止的な効果というのを高めていくしかないんだろうというふうに思っております。
  52. 倉林明子

    倉林明子君 ありがとうございました。
  53. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、柴田巧君。
  54. 柴田巧

    柴田巧君 維新・元気の会の柴田巧です。  今日は、両参考人先生方には、お忙しい中、大変貴重な、そして示唆に富むお話をしていただきまして、私からも感謝を申し上げたいと思います。  まず、飯尾参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほどから我が国の参議院在り方二院制の問題についてお話をいただきました。実際どうなんでしょうか。他の先進諸国で二院制を取っている国の中で、じゃ、実際、我が国の参議院がモデルとできるような、参考にできるようなといいますか、あるべき二院制をやっているなとお思いの国、議会はどこかというのが一つと、もう一つは、全然別の質問になりますが、衆議院参議院、先ほどからもお話あるように、役割をやっぱり変えていかなきゃならないということだと思っています。したがって、選挙制度の話もありましたが、そんな中で過去に二回、衆参同時選挙というのがございました。今年あるのかどうかは何とも分かりませんが。本来、役割が違うならば、二院制を取っているならば、やっぱり別々の機会に選挙があってしかるべきじゃないのかなという考えがあるわけですが、この点、飯尾参考人はどのようにお考えになっておられるか。まず、この二つをお聞きをしたいと思います。
  55. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  実は、大変良い質問なんでございますが、答えは容易ではございません。  まず、私の立場としまして、日本参考にすべき理想の国というのはないと考えております。実は、政治制度には一方を立てれば一方立たずということもございまして、いいところもあれば悪いところもあるのが各国の状況。しかも、その国柄が違いますので、余り海外のものをそのまま取り入れてよいということは恐らくないということです。  ただし、それだけでお答えするのはあれですから、二院制を取っている国は、両院権限を、歴史的に見て各国とも苦労をしております。とりわけ、権限の似た二院制を取っている国では、今イタリアは憲法改正をしようとしておりますけれども、非常に苦労が多くて、この二十年間に何回も改正しておるんだけれどもなかなか落ち着かないという、そういう国もございます。  そういう点からいうと、これはなかなか永遠の課題的なところがありますが、私は、日本の実態から考えると、議会与野党対立を基本としている以上、どちらかというと、衆、下院優越型、助言機関あるいは再考の府として参議院が存在するという形がどちらかというとよいのではないかと。そうすると、そういう国は多くの場合、間接選挙であったりしますけれども、直接選挙であっても権限を放棄する、自発的にするということはあり得るのではないかというのが今のお話でございます。  それから二番目の点、これ実は大変難しゅうございます。実は、日本以外で両院が選挙で選ばれる国というのは少のうございますが、実は両院選挙で選ばれる国は、先ほどのように、もめたりすると、ついつい両院同時に選挙をすることによってそれを解決しようとする例がイタリアあるいはオーストラリアで見られております。そういう点では、別々のはずなんだけれども、もめてしまうとどうにもならなくなって同時に選挙をするということが行われております。  ところが、にもかかわらず今イタリアで憲法改正をしておりますのは、同時に選挙をしても違う結果が出たりすることがあったりしまして、それでなかなか難しいことが多いので、私の結論からいうと、やはり両院別々にしておいて、権限も分けるし、選挙も別にして、それで与野党対立で華々しい衆議院に対して参議院の選挙はもう少し静かに行われるというふうなこともあり得るかなということですが、ただ、それだけを言えないのは、一つだけ加えますと、ただし、日本は諸外国に比して、そういうこともあって選挙は極めて多い国なんです。これは参議院選挙は三年に一遍ずつして、しょっちゅう衆議院の方も解散するからで、ただ、今別々に選挙をすることをそのままにしておくと、このまま選挙が多いという欠陥を逃れられないので、それでちょっと私も考えあぐねておりまして、先ほどちょっと選挙の性格を変えた方がいいんじゃないかとお話をしたのはそれと関係しております。
  56. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございました。  もう一つ飯尾参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほどもお触れになりましたけれども、参議院の独自機能を高めていく上で決算を重視する、もとより参議院は決算重視では頑張っているところではありますが、実際それを、更にその機能を高めていく上においては、やっぱり日本の会計検査院の在り方もいろいろ見直すべき時期に来ているのではないかなと思っております。いろいろ会計検査院も努力をしている向きはないわけじゃありませんが、アメリカの会計検査院と比べてもいろいろ規模も小さいですし、何よりも議会のやっぱり中にあってしかるべきではないか、あるいは参議院が決算重視で本当にその機能を高めるなら参議院にこそ会計検査院があってもしかるべきじゃないかと思ったりしますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  57. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) この点は、実は多々ますます弁ずということもあるので難しい問題でございますが、現状の会計検査院をどうするかという問題以上に、やはり参議院中心となって検査機能を高める、会計検査院が今あっても参議院でそういう機関をおつくりになるということもあるし、場合によっては今の会計検査院の機能の一部が移るということもあるかもしれない。これは、あれかこれかではなくて、まずどういう役割を果たすかという点でいうと、そういう点では、会計検査院はより、政府参議院衆議院、対等ではなくて、やはり参議院に対してより重い責任を持っていくというふうな、そういう権限構成にするということも可能でございます。  ただ、そのときに重要なのは、参議院にそういう権限があることをやはり法的にも位置付けることではないかなと。参議院の決算というのは、ただ全体を認める認めないではなくて、個別についてもう少し意見を述べて、それが実効性のある調査をするとか、あるいはそれに対して政府が一定の責任を持つということ、そういうことを地道に法整備を進めていった上で調査機能の方が付いてくるということがやはりあるべき改革かなというふうに思っておりますが、基本的な方向性についてはかなり共感いたします。
  58. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございました。  次に、勝山参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほど時間がなかったので触れられなかったところかなと思いますが、行政監視を高めていく上でいろんな、我が国も議会制度あるいはもろもろ見直すところがあると思っていますが、一つは、やはり口頭質問というものを、文書でしか基本的に緊急質問以外はできないということになっていますが、この口頭質問の制度というのをもっとやれるようになってしかるべきじゃないかなと思っているわけですが、具体的にどういうふうに導入を図っていけばいいかというのが一つと、国政調査権も、これもなかなか少数派には非常に不利というか、多数派の皆さんが了解、理解をしてもらわないとできないというのがありますが、最近少し改善のされている向きもありますけれども、この国政調査権がもっともっと少数派にも十分利用できるようなものに変えていく必要があると思いますが、ここら辺どのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
  59. 勝山教子

    参考人勝山教子君) ありがとうございます。  一点目の点ですけれども、口頭質問の制度制度化の仕組みづくりですけれども、これは諸外国比較的似たような形で行っておりまして、例えばフランスですと、フランスの下院の例を紹介しますと、週に二回の定例会、定例日もして、一時間ずつ週二回、政府の閣僚全員を招くことが多いんですけれども、質問を行っていくと。その中で、統制という性格の活動ですので、フランスの場合には、発言時間については単純な会派比例ではなくて、野党側により多くの発言時間が配分されるような、そういう仕組みを設けて行っているところです。  口頭質問はどの国でも国民の目にも非常に触れるところで、国民からも注目されていますので、対政府質問以外の例えば事項別質問の日を設けようなんというようなこともしていたりするところです。  これが一点目のお答えです。  二点目の質問としまして、何でしたっけ。済みません、国政調査権ですね、申し訳ありません。  国政調査権の点ですけれども、やはり日本の場合には実際に調査権の設置、国政調査を使えるかどうかというのが全会一致方式で決まるということで、どうしても与党側の賛成を全部取り付けないとできないということで、これは非常に統制手段としてはなかなか、やはり仕組みを変える必要があるんだろうというふうに思っております。  先ほど紹介しましたように、ドイツでも少数派だけの数によって設置要求権が通るというような仕組みを行っていますし、フランスの場合ですと、各会派が必ず一回設置要求ができると、会期一回ごとにというような形で、与党の賛成を取り付けられなくても発動できるような、そういう仕組みづくり、諸外国で工夫しているところでございます。
  60. 柴田巧

    柴田巧君 ありがとうございました。  もう一つ勝山参考人にお聞きをしたいと思いますが、私もちょっと十二分に勉強していないんですが、今、いわゆる議会留保という考え方がございますが、いわゆる政府単独による決定を許さずに議会の承認を決定の要件とするという制度、最終的な決定権は議会に留保されなければならないということのようですが、ドイツなどでは、国防軍の海外派遣やユーロの救済といったことなども議会留保という考え方の中で考えられて取られているということをお聞きをしていますが、この行政統制というもので、この議会留保という考え方はある意味大変意義のあるものではないかと思うんですが、実際ドイツなどで取られている、ドイツでですかね、取られているこの議会留保の考え方についての、やり方についての御評価と、これはもし、日本で導入できるものか否か、その可能性があるものかどうか、そこら辺の是非について御意見があればお聞かせをいただければと思います。
  61. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 議会留保という、そうですね、ドイツの仕組みについては私も余り専門的な知識というのを持たないものですから、なかなかうまいお答えができないかと思います。  ただ、やはり議会、国民代表の議会としましては、最終的に監視という形であっても権限を持っているべきなのだという、そういう形での在り方というのがやはり望まれるところなのだと思っております。  以上です。
  62. 柴田巧

    柴田巧君 質疑はこれで終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  63. 山崎力

    会長山崎力君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、石田昌宏君及び秋野公造君が委員辞任され、その補欠として柘植芳文君及び矢倉克夫君が選任されました。     ─────────────
  64. 山崎力

    会長山崎力君) 儀間光男君。
  65. 儀間光男

    儀間光男君 飯尾先生、勝山先生、御多端の折、おいでを賜り御教示をいただき、感謝を申し上げます。  私は、維新の会、隣とややこしいんですが、維新の会で根本は一緒でした、最近都合悪くなって別れたんですが。御理解をいただきたいと、こう思います。  まず、両先生に教えていただきたいんですが、私、実は二十五年の七月に行われた参議院選挙で国政へ参りまして、まだ二年ちょっとなんです。それ以前は地方行政やったり地方議会におったりして、いつも国会討論、衆参見ていて、国民の一人として、また地方行政の一人として常に疑問に思ったことがあって、衆参二院制度にずっと疑問を持ってきたんですね。そういうことで、我が党は一院制を党是としておって、その方法は、いわゆる統治機構の地方への移転、道州制による、それで憲法改正をして一院制にしていこうと。  ただ、問題は、一院制にするときでも、選挙の制度でいろいろやっていきますから、一院制にしてどう今の両院機能を持たせるかはこれからの議論になると思うんですが、今まで見ていての、両先生のお話にもあったんですが、例えば衆院の優越議案、例えば予算ですね、衆院ででき上がって参議院に来るんです、ここが疑問だったんですね、国民の一人として。しかも、優位性がありますから、自然成立の期間がありますからね。それを無駄ではないのかと見てきたんです。さっき、飯尾先生のお話で、それはそれで、また参議院議論することによって新しい視野が開けて、認識が開けて、それはそれとして意味はあるとおっしゃったんですが、国民、我々がじかに見て、ここのところが実に無駄じゃないか。  私、参議院に来て、昨年の法案審議の中で、衆議院ででき上がって自然成立要項も過ぎて、なおかつ議論して、口角泡を飛ばしていたわけですよ。その間に院外を見るというと、いわゆる法案に反対する国民のいろんな団体の方々が来てシュプレヒコールをしながら願意を訴えるんですが、既に願意届かないんですよ。こういう国民の願意を届かないものを制度として置いておっていいのかどうか非常に疑問に思ったんです。  その辺、両先生のこれは御教示をいただければと思います。
  66. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  大変もっともな御意見ではありますけど、なかなか事態は難しいように思います。一つ、国民が分かりにくいのは、これは実は国会の仕組みにもよりますけれども、審議ということがやはり余りに採決に結び付けられ過ぎていて、そのような報道がなされるものですから、採決と別の審議の意味ということがやはりまだ理解されていないということからいうと、そういうことをお考えになるのも当然で、しかしながら、審議は、結論はともかく様々な観点で検討してみるということも、それで、もしもそれが失敗であったら、それをやり直すときに違うものを作るためにやはり記録に残すということも、いろいろな御意見がございますから、という意味はございます。  ただし、大枠のところで、予算案について、参議院が今ほど手間をお掛けになることについては私はやや同意するところがございまして、なぜしかし、そうかと。例えば、もう通ることは分かっていても、逆に言うと大臣出席を求めるがために会議を開かれるような方向があって、これがちょっといかがかなと私は思っております。それで、先ほどの御提案では、決算を重視するのであれば予算審議を簡潔化するのも一つだと。  ただし、このときに、研究者の目から見ますと、日本予算委員会はどうしてあのように頻繁に開かれ、注目されるのかというと、先ほどお話をしたことと関係していますが、日本の本会議が余り開かれないことの代わりなんでございます。だから、本会議の代わりにあの予算委員会をしているものですから、何でも議論をできるといってやっています。  じゃ、なぜ本会議が開かれないかというと、やや定足数規定が厳し過ぎるということで、先ほどのような口頭質問のようなことがあるときには、多くの国では本会議といっても十人やそこらしか出ていないということが多い。ところが、日本では、憲法の規定で三分の一いないと開かれないので、これはもう全て出る。しかも、政府側もみんな出るということになるとなかなか大変だということがあるものですから、予算委員会で代替しているということ。  そこを変えていくということでやはりだんだん予算委員会機能も変わってきて、そして衆参予算委員会機能も変わってくれば予算委員会の簡略化ということもあり得る。そうすると国民の理解はもう少し見られるだろうというふうに思っておりまして、私自身は、参議院が独自の機能を発揮すれば国民の皆さんも一院制でなくて二院制という意見もあり得るのではないかというふうに思っておりますものですから、このようなお答えをしておりますが。  以上でございます。
  67. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございます。  勝山先生にも。
  68. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 私の方も、やはり参議院衆議院と違う役割審議の仕方というものがあり得るのであれば、やはり一院制による危険、暴走という危険、これを抑止するものとして非常に意義のあるものだというふうに思っています。  やはり制度自体の問題点として、先ほどから言われておりますように、両院権限自体、憲法上の権限が同じだというようなところから、なかなか現状の運用を改めるのも難しいところではあるんですけれども、しかし、やはり運用の方が今改めるべきものなのではないかと。やはり党議拘束を法案審議前から掛けてしまう、そうすれば、当然、参議院というのは衆議院与野党構造が同じでしたら同じ結果を出すだけのものになってしまいますから、その意味では、全く本来期待されている役割が果たせないわけで、そうした、せめて委員会の審査が終わるまでは党議拘束を掛けないというような形でしっかりと、衆議院は通ったんだけれどももう一回参議院の方でしっかり審議を行う、審査を行うという、そういう抑制、マイルドな形かもしれませんが抑制を働かせるという、そういう意義があるんだというふうに思っております。
  69. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございます。  飯尾先生にまたお尋ねしたいんですが、例えば仕組みの問題なんですが、衆議院優位、優越で行われる議案法案については、二院制度、今はこういうことがありますからそれはいいとして、仮にそうであるならば、衆議院で最終決定ですから、参議院でノーが出ても最終衆議院の決定に従うわけですから、むしろそういう法案などというのは参議院先議にして参議院から衆議院に送るという仕組みを取れば、国民の理解も得られて、ああ、衆参両方議論がよく分かったということで、なるほどということが、同意が取られると、理解が。その逆の場合もあって、参議院優位で参議院先議のものがあるとすると、それは先に衆議院に持っていく。例えば今、柴田先生おっしゃったけど、参議院が決算を重んじて決算を先議にするんだったら、衆議院は先議にして参議院で最終決定をするというような方法等あったって、仕組みやり直したっていいというような思いがあるんですが、その辺の、それについては、勝山先生も、お二人、どのような見解か、教えていただければと思います。
  70. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  これは非常に貴重な御意見だと思いまして、ある前提を置かなければいけませんが、問題によっては議員御指摘のような方法はあり得ると。先議案件を、先ほどちょっと私が御説明した参議院を優先するものは参議院先議にするという、これは逆に言うと、それを自動的にするという意味です。逆に言うと、修正があり得るとすると、決定権のない方に先に出すというのも、私が提案したのと逆の考え方ですが、これもあり得るわけですが、ただ、二つだけ、あり得ると申し上げながら、二つだけ考えるべきことがございます。  一つは、日本の場合は会期制が厳しいために、両院のやり取りということをほとんどしていないんですが、多くの国では意見が変われば法案はあっち行ったりこっち行ったりしながら修正するという、何回も修正するということをしているのに、我が国だけがこれをしていないという、ほとんどしていないという、このことについてはやはりちょっと考える必要があると。今でも結構なことはできるではないかというのが一つでございます。  それともう一つでございますけれども、優越があったからといって、じゃ、ほかの院の審議が無意味かというと、そうではないと思っております。例えば、現在のように衆議院優越があるとしても、参議院、例えば衆議院議論をして送ってきた、それで法案は再議決できるとしても、参議院修正するとすばらしい修正だというふうに衆議院議員が思ったり、あるいは国民一般にそういう評判が来たら、再議決を取らずに参議院が送り返した修正された法案衆議院が可決するというのも実はあり得ることでございまして、私、先ほど再議決要件下げた方がいいのではないかという話をしましたが、そういうときでもやっぱり参議院役割があり得ると思うのは、そういう修正、ちょっとプロがうなるというタイプのものが多くなると思うんですけれども、そうすると参議院の独自の機能というのを果たせるので、対立しているからといって一から皆全部対立しなきゃいかぬわけじゃなくて、これは譲れるよということが日本では余りに少な過ぎるので、ちょっと硬直化しているかなというのが私の意見でございます。ちょっと補足させていただきました。
  71. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 先議権の問題ですけれども、例えばですが、フランスの場合ですと上院の方は地方代表制という形の選出になっておりますので、地方公共団体が問題になるようなそういった法案は当然、先議権として参議院に譲るという、又は大局的な問題については上院の方から先議するというような形も取られたりすることもあるそうですので、おっしゃられたように、参議院先議という、そういう形の考え方、運用というのをつくっていくというのも一つだと思います。  もう一つは、今も飯尾先生の方からお話出ましたように、会期制の縛りが非常に厳しいというところもありますので、やはり運用として、参議院に先議を委ねるべきものというものをある程度合意を図りつつ、そういった形で国会審議全体の効率化を図っていくという、そういう意味でもとても大切な御提案だったのかなというふうに思います。
  72. 儀間光男

    儀間光男君 いま一つ、もうこれで最後になりますが、勝山先生にお願いしたいんですが、さっきも出ましたけれど、政府統制に留保された本会議で議論されて、週一遍の本会議で審議がされるというお話がありましたが、その際、日本の、我が国の今本会議の審議は、質問一回やると答弁が一回で、キャッチボール一回しかしないんですよ。  この場合、キャッチボールを一問一答で本会議でもやっておられるのかどうか、それとも言いっ放し、聞きっ放しで終わるのか、どういう状況でしょうか。
  73. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 補充質問というのが認められておりますので、一問一答だけではなくて、それに、概括的な質問をまず出しておいて、それから実際には質問したいことを補充でどんどん聞いていくという、そういう形を取っている次第です。
  74. 儀間光男

    儀間光男君 飯尾先生、何かありませんか。
  75. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 今のお話、もうそれに尽きておりますけど、やっぱり、先ほどお話ししたことと、大前提で、本会議であっても関係者しか出席していなければ、これは時間を取ってもさほど困らないのでございますけれども、多くの人が出席を義務付けられていると、余りいつまでも質問をされるとほかの方が迷惑して、ほかのことができなくなるものですから、それとのバランスでそんなことが起こっているのではないかというふうに考えております。
  76. 儀間光男

    儀間光男君 ありがとうございました。
  77. 山崎力

    会長山崎力君) 山本太郎君。
  78. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎と申します。  本日は本当に貴重な御意見ありがとうございました。私からは両先生方に同じ質問をさせていただこうと思います。お答えをそれぞれ聞かせていただければ助かります。  最初の質問は、参議院議員内閣総理大臣になることについて。  日本国憲法の規定では、第六十七条で、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」と書いてあるんですけど、総理大臣衆議院議員でも参議院議員でもどちらでもいいってことのように思うんですが、日本国憲法制定以来、参議院議員の総理大臣というのは存在していないのかなというふうに思うんですね。  そこで両先生に、参議院議員内閣総理大臣になるということをどのように考えられるか、また、参議院議員内閣総理大臣に指名されるとしたら、制度上どのような点が問題となるのかということをお伺いしたいんですけれども、飯尾先生からお願いできますか。
  79. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 大変貴重な御質問で、初めて伺って、私も大変勉強になる質問でございます。  ただし、この解釈は二つできると思います。日本国憲法は、御案内のとおり、原案が貴族院の修正によって成立したものが現憲法でありまして、原案が一院制であったのに対して、貴族院修正二院制に改正しています。そのときに、実はやや改正ミスでは、条文ミスではないかという条文が日本国憲法にはございます。天皇の国事行為の中に国会の総選挙と書いておりますが、そのようなものはございませんので、それはミスです。これも同様のもので、国会が一院制のときのことが残ってしまったんだという解釈があって、そういう解釈をするとすると、衆議院議員が望ましいと考えることもあるんですが。  しかしながら、憲法の条文を生かすとすると、やはり何かの理由で総理が欠けたときに代わりを任命するときに参議院の方が望ましいということが、非常にまれなケースですけどあり得ることを考えますと、非常事態とかのことをいろいろ考えると選択肢を広げておくのも一つのアイデアでございまして、参議院議員内閣総理大臣になるのは妨げないというのは、それでよろしいんではないかというのが私の答えでございます。  ただし、そのとき重要なことは、参議院の代表として内閣総理大臣になるのではなくて、それは個人としてたまたま衆議院の多数を基盤にして内閣総理大臣になるべきであって、それは逆に参議院代表としてなるべきではないというふうに思っておりまして、一般的には、先ほどのように、私は参議院は政権とは距離を置くべきだというふうに考えておりますので、余りそのようなことは望ましいとは思いませんが、個人としての力量で選ばれて、それは会派とか何とかの関係をちょっと乗り越えている問題があるという場合においては認められるというふうに考えるべきではないかというふうに私は思っております。
  80. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 参議院から内閣総理大臣が指名されるということですが、憲法上の解釈としてはこれは違憲だというところまでは言えないということで考えておるところですが、ただ、先ほども申しましたように、内閣総理大臣の指名につきまして衆議院の議決が優越するであるとか内閣不信任の決議権については衆議院のみ認められているということからしますと、やはり衆議院内閣との距離というのが非常に近いということがどうしてもありますので、そういったことからすると、法的には違憲ではないけれども、解釈上はやはり衆議院から内閣総理大臣が選出される、指名されるのが望ましいということにはなってくるんだろうかというふうに思っております。
  81. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。違憲ではないと。ということはこの調査会先生方にもチャンスは巡ってくる可能性もあるということですね。是非皆様、仲よくしてください。よろしくお願いします。  続きまして、勝山先生の資料の中に、我が国では、衆議院に予備的調査制度が導入され少数者調査権の代替機能を果たすと評価されるものの、調査主体が議院スタッフであり強制力に関する制約もあるということが書いてあったんですけれども、私は、昨年の三月の参議院行政監視委員会参考人質疑で、二〇〇八年に衆議院で民主党が国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の報告を求めて、その結果、四千五百四の独立行政法人や公益法人に二万五千二百四十五人の国家公務員のOBが再就職、天下りして、それらの天下り先法人に合計十二兆千三百億円余りの税金が交付されているということが報告されたということを御紹介したんですけれども、しかし、この天下りの実態というのが現在詳細は不明の状態だと、そこから先進んでいないんだと。  私は、行政監視機能が重要な参議院こそ予備的調査制度が必要であると、参議院議員十人若しくは二十人以上の要求で予備的調査ができるようにすべきじゃないかなと思うんですけれども、両先生の御意見はいかがでしょうか。次は勝山先生の方からお願いできますか。
  82. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 予備的調査制度ですね。確かに、参議院の場合、元々定数が少ないですから、衆議院の要件よりは更に低くするという形が望ましいんだろうと思いますし、最初の御説明で申し上げましたように、こうした統制活動においては、野党側の活躍が期待できるような仕組みづくりというのが望まれてくるというのは申し上げたとおりですので、委員御指摘のとおりの形の、そういうより要件を引き下げた形での予備的調査制度のようなものの導入等を考えていくのが望まれるというふうに思っております。
  83. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) この点については一般論だけですが、先ほどお話をしましたような参議院に期待する役割からすると、参議院にこそ今お話しになった予備的調査権であるとか、あるいはむしろ少数者調査権を整備されて、少数の野党であっても独自に強力な調査ができるということを参議院のみ、衆議院ではなくて参議院のみ備えるというのはあり得る解決策ではないかというふうに考えております。
  84. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  立法府と行政府関係一つでもあると思うんですけれども、国会法三十五条、議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受けると規定されていると。国会議員の歳費は事務次官の給与以上とするということらしいんですけれども、私は、つい先日ありました給与法の改定、内閣総理大臣を始めとする特別職の給与アップと、一般職の中の指定職、すなわち部長、審議官クラス以上の幹部公務員の給与アップということに反対したところなんですけれども、今はもう格差がどんどん開いていっている。日本ばかりじゃなく、世界の情勢も厳しくなっている現在、特別職の幹部公務員の給与を上げている場合じゃないじゃないかというのが反対の理由だったんですけれども。  私は、むしろ国会法三十五条の規定に従って、国会議員の歳費を二割削減し、同時に幹部公務員の給与も二割削減すべきじゃないかと思うんですよね。幹部公務員の給与が削減されれば、天下りOBの給与も削減されるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について両先生はどう思われますか。
  85. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 大変貴重な御提案ではございますが、私は明確にその御意見には反対でございます。むしろ、国会法三十五条の規定が問題であると考えております。  なぜかといいますと、一般職の公務員は、労働の対価として給与を得ております。そして、その専門能力、一般の労働市場に得られる能力の対価として受け取っているわけですから、それは勝手な都合で下げたりするようなものではないし、逆に言うと、下げると必要な労働力は得られません。だから、そういう点でいうと、むしろ国会議員が高い方があれで、国によっては実は幹部の公務員よりも国会議員の方の給料が安い国もございます。これは、なぜかというと、国会議員の歳費というのは労働の対価ではちょっとないからでございまして、その国会議員の活動を支えるに足るということを全体として勘案するわけですから、御自身で安くてもやっていけると御判断になれば、それは違っていて、だから、この国会法三十五条で一般職の公務員と国会議員の歳費が連動していることはむしろ問題ですねというふうに思っております。  以上でございます。
  86. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 公務員との連動については確たるお答えがないんですけれども、国会議員の歳費が高いかという、その点についてですけれども、単純に諸外国と歳費のみを比較すれば日本は高い、かなりの高額になってはいるところではありますけれども、それとは別に、いろんな手当であるとか議員のスタッフ等の計算方法、また諸外国で異なりますので、単純な歳費だけでの比較というのはできないんだろうなというふうには思っております。  国会議員が歳費高いので下げろ、下げろということなんですけれども、これは単純に下げればそれで国民は万々歳だということには全くならないんではないかと思っておりまして、やはり、いわゆる高給取り、お金の裕福な方ではなくても国会議員になっていけるということになれば、それ相応の歳費をしっかりと保証しないと、一回当選しても次は駄目なのだということもあり得る、そこに懸けていくということになりますと、やはり一般的に国会議員になるための立候補の権利の保障という、議員になるその機会、チャンスを平等に認めるという、そういう観点からは、国会議員の給与削減というのをそれほど簡単に認めるべきだという意見にはなれないのかなというふうに考えておるところです。
  87. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  飯尾先生の資料の中に、参議院の長期的視点からの調査提案として、例えば生命倫理問題、死刑制度の是非、皇室制度などの問題は、激しい党派対立から離れてじっくり議論されることが望ましいということが書かれてあったんですけれども、そこで、皇室制度について御質問をさせていただきたいんですけれども、私は、皇室典範を改正して、日本でも女性天皇が認められるというような状況というのはあってもいいのではないかというふうに考えるんですけれども、両先生方はどのようにお考えでしょうか。  飯尾先生からお聞きしてもよろしいでしょうか。
  88. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) これは我が国の統合の象徴をいかなる方にお願いするかということでありますので、私自身はその答えについてこれと決めているわけではございません。まず大切なことは、国民全体が、できるだけ多くの方が納得するような、そういうものであって、どこかで決めたからこれが一方的だということにはならないと思っています。  ただ、一言だけ申し上げると、皇統を続けるためには非常な危機にあるというふうに、あと百年、二百年を考えると現在の状況は危機的状況でありますから、御提案のことも一つ考え方だというふうには思っております。
  89. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 女性の天皇の問題ですけれども、今もお話にありましたように、最終的には国民が決めることであって、自分たちの象徴を誰に、女性というものとして認めるかという、そういうことになりますので、これも国民に委ねられるというお話にしかならないのかなというふうには思いますが、ただ、これを変えていくときの改正のタイミングというのは非常に難しいのかなと。そこの点は慎重に、いわゆる具体的な状況が見えている中でその改正作業というのを行うことも非常に難しいという、そこは慎重に考えていくべきなんだろうというふうに思っております。
  90. 山本太郎

    山本太郎君 終わります。
  91. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、渡邉美樹君。
  92. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。  本日は、両参考人、御意見ありがとうございました。  この回は参議院役割ということでお話をお伺いしているわけですが、この後お二人にお伺いしたいことは、本当に前提条件なしで、現実的か否かというのは別にして、改善ではなくて、本来どうあるべきなのかということについてお二人に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  なぜそのような質問をしようと今思ったのかというと、例えば、飯尾参考人においては、参議院参議院らしく与野党対立ではない部分で参議院は存在するべきだと。具体的には、決算、行政監視、人権問題、立憲主義、憲法改正など、政党対立しにくいことをこの参議院の主なる議案にするべきだと。そして、勝山先生も、与野党対決型から客観的立場からの行政監視、ここに力を入れるべきだというふうに御意見を言われているわけでありまして、先ほどのお話を聞いておりますと、改善策としてはよく分かるんですが、お二人のお話を聞いておりますと、であるならば、もしかしたらお二人は一院制がいいと思っていらっしゃるんではないかと。若しくは、二院制にしたとしても、片方の院、つまり参議院は政党対立でない存在であるべきだと、そのようにお考えなんではないだろうかと。  つまり、参議院が、当然、参議院のこれ全員が失業してしまいますので、これはまずいわけですから、これは全員衆議院に移るとかまた別のことを考えるとして、どうあるべきかということで御質問させていただくと、どうもお二人の意見はそういうところに収束するんではないかと。であるならば、やはりその意見を基にこの調査会はしっかりと議論を重ねるべきではないのかというふうに思ったものですから、前提条件なしで、お二人に対して、この参議院はどうあるべきだと思っていますか、二院制はどうあるべきだと思っていますかということについての質問をさせてください。
  93. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) ありがとうございます。  政治学者は前提条件について考え過ぎておりまして、大変難しいのでございますが、今、御質問ごもっともではありますが、私は二院が必要だという立場でございます。  それはなぜかというと、一つの院ではできないこと、つまり、私は、衆議院が政権の安定では多数代表的であるべきだと考えております。しかしながら、多数代表的で与野党対立型の下院衆議院があるときに、それが果たせない機能行政監視でありますとか超党派の合意ということが実は世の中には存在するわけでございまして、そうすると、その部分を果たすためには上院というもの、参議院というのは是非必要だと思っています。  そこで、先ほど両院が似ていることについて批判的であったわけで、参議院でも多数決でやっておられることについて否定的ではございますが、ただし、御説明した趣旨は、多数決的でないようにしようと思えば権限を手放さなければいけないということ、日常の法案についての権限を手放すということが非常に重要です。  ですから、そういう点で、ある法案だけ見ると弱い参議院だけど、でも、弱いけれども、弱いからこそ果たせる機能があるということですので、両院が同じような権限を持っているかというのと両院が必要ということとは違うことだというふうに思っていまして、これまで議論が非常に残念なのは、両院対等であろうとすると同じ権限を持とうとすること。でも、逆に言うと、法案については、あるいは予算について衆議院に譲るとすると、代わりに衆議院は持っていない権限参議院はお持ちになるべきだというのが今日お話をしたことでございますので、やはり権限再分配であって、一方的に参議院が弱くなるということを申しているわけではございませんで、そういう二院制の組替えということを私自身は考えております。
  94. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 私も一院制が良いとは全く思っておりませんで、二院制の方が抑止力という点で非常に望ましいんだろうというふうに考えているところです。  その上で、じゃ参議院がどのようにその存在意義を図っていくのかという点ですけれども、これは私は飯尾先生とは少し考えが違いまして、権限参議院が抑制するという、それはできるのかなというところがやはり疑問には少し感じるところでして、自己抑制というのが本当にできるんだろうかという、そこには疑問は感じるところです。  ただ、先ほどからも出ていますように、例えば審議の仕方自体を変えていって、審議の中で多様な民意を反映し得るようなそういう役割を果たしていくという、そういうことで一つ衆議院とは違う、いわゆる政治対決色とは別のやり方をすることで国民代表としての別の位置付けというのも図っていけるのではないかななどというふうに思っています。
  95. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございます。権限を分けることで二院制が必要だという御意見、よく理解できました。  飯尾参考人に重ねて質問させていただきたいんですが、行政監視ということで先ほど一つの事例を出されましたが、それについてはよく分かります。決算ということでもお二人ともその御意見があったわけですが、今、決算の参議院ということで我々も意識はしておるわけですが、実は、私は企業経営者でございました。決算というのは、要するに決算をしてから予算を組むわけでございまして、つまり、決算をして本当にそのお金が大事だったのか、どう使われたのかと、これは無駄じゃないか、無駄じゃないじゃん、それを決算して予算を組むわけでございますが、今この国会では全く違った順番になっておりまして、果たしてこの決算委員会というのは今私は必要なのかということ自体、実は疑問を持っております。  決算の参議院であるべきだと思いますが、決算の参議院であるためにはどのような形で決算委員会機能するべきかということについて飯尾参考人に御質問させてください。
  96. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) 大変重要な御指摘だと思います。  実は決算の機能を果たすときには、古典的に大昔のやり方日本がまだやっているために今無駄だというお話が出たんだろうと思います。  実は、IT化など進んできますと、決算までの距離はどんどん短くなるというのが各国の傾向でございます。日本はまだ紙の時代の、そして一年立てて締めて、それから出てくるということになっていますので、予算には。多くの国では四半期ごとに執行状況の報告があって、それを基にして議論をするということが始まっている国も多数になってきましたので、そういうことになってきますとやはりこれは違うことが起こってきます。  そうすると、これまでの会計のやり方とか政府の報告の仕方なども変えていかないといけないものですから、これは実は時間が掛かります。例えば、代表的な国、アメリカなどで、やはり十数年掛けてここまでというか、九〇年代に始めて二〇〇〇年代の初めにそういう状況になったわけでございますが、やはり十年以上営々としてやらないと、これは大きなシステムなものですから、転換しない。どこから手を付けてもよいか分からないからまだ手を付けずに明治以来の方法を日本ではやっているということでございまして、その点は企業経営とは大きく違うことですけれども、政府が民間に学ぶべきことでございますので、そこはやはり変えていくべきことは一番大きいのではないかというふうに思っております。
  97. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございます。  何か決算の仕組みについては、これは課題だということで捉えさせていただきます。  飯尾参考人ですが、論文から一つ、大変気になる内容があったものですから御質問させていただきたいというふうに思います。  飯尾参考人は、法律の条文によってつくり出されるより当事者の自覚的行動による慣例の積み重ねによって形成されるべきである、参議院役割についてということで書かれているんですが、参議院役割、それぞれ我々が自覚的行動による慣例の積み重ねで役割を変えるというのは具体的にはどういうことを意味されているのか、実際そんなことが我々のこの参議院の中で可能だというふうに思われているのかということについて御質問させてください。
  98. 飯尾潤

    参考人飯尾潤君) これは大変難しいことであります。実は、どこの国でも国会がなければ、国会というか議会がなければ国家もないというのは、主権者に代わって法律制定をしたりするので、実はある意味で主権者を除けば最高の機関なんです。そういう、ほかの人にこれを、物を決めていただくことはできない機関。  そうすると、実はそれが法律を変えるというと何か機械的に見えますけれども、なぜ議事が問題かというと、例えば片方の多数、政府側だけでそういう議事の慣行を変えるというのはよろしくないことだというふうに考えている。これはなぜかというと、ゲームのルールでございますから、野球だと先攻している方がルール変えましたというのはこれは非常に具合が悪いのでみんなでする。そうすると、ところが、法律に書くといっても毎日やっていることですから、それを変えるときにみんなが納得するためには、まずその練習をしてからでないとなかなかということがあるから慣例だということです。  実は、日本でもこういう議事みたいなことは法律に書いただけでは回ることもございませんし、参議院でもあるかと思いますが、先例集なども参考にされるように、実はそういう積み重ねによってどこの国の議会も長年の積み重ねで今の姿にあるわけですので、変えようと思ったら、まず実践をしてから、それに合わせて規則も変えていくということしかないというのが、この国会が非常に最高の機関だということから出てくる難しさでございます。  ですから、より責任は重い、誰かに任せて大丈夫だというわけにはいかないということからそのようなことを考えておりますので、可能かどうかといえば、ここにおられる方も立派だし、国民に選ばれた方だから可能であってほしいという願望も含めて私はこのように考えております。  以上です。
  99. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 大変参考になりました。どうもありがとうございます。  最後に、勝山先生に御質問させてください。  同じように論文からなんですが、勝山先生は政策的観点における妥当性、有効性を含めた統制が必要であると、行政立法の統制は政策的観点における妥当性、有効性を含めた統制も含むと、このようにおっしゃっているわけですが、その政策の妥当性、有効性のチェックを速やかに行うためには、先ほど先生少しお話をされていたんですが、その委員会調査会というのはどうあるべきなのか。もう一度分かりやすくお話をしていただければ幸いでございます。
  100. 勝山教子

    参考人勝山教子君) 政策のチェックといいましても、調査会で政策評価ということになりますと、これはいわゆる技術的な評価手法に基づいて決算のような形と近いものでされるということですので、調査会で具体的にどこまで議員の皆さんでやっていけるかというのは分からないところですが、政策の評価といいましても、そういった技術的、数字的なものだけではなくて、望まれる今後の政策はどういうものであるのか、また、例えば費用対効果の問題からではなくて、実際に権利であるとか自由を保障するためにはその費用とはまた別の観点からの評価というのはなされるべきものだと思います。  ですので、政策評価といったときにどういうものを実際に捉えるかによって異なってはきますけれども、例えば委員会の、調査会というようなことになりますと、費用と効果の問題とはまた違う方向の評価手法ですね、具体的に、実際に望まれる権利の擁護の仕方からしてどういうふうに検討すべきなのかという、そういう形の検討の仕方を行っていくというのをしていくということはできるだろうなというふうに思っております。
  101. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  102. 山崎力

    会長山崎力君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  飯尾参考人及び勝山参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十一分散会