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2016-02-18 第190回国会 参議院 厚生労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年二月十八日(木曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員氏名     理 事         羽生田 俊君     理 事         津田弥太郎君                 赤石 清美君                 石井 準一君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 丸川 珠代君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 西村まさみ君                 羽田雄一郎君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                佐々木さやか君                 竹谷とし子君                 小池  晃君                 東   徹君                 山口 和之君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君     ─────────────    委員長異動  一月四日三原じゅん子君を議院において委員長  に選任した。     ─────────────    委員異動  一月四日     辞任         補欠選任      石井 準一君     有村 治子君      滝沢  求君     古川 俊治君      丸川 珠代君     太田 房江君      羽田雄一郎君     足立 信也君      白  眞勲君     小西 洋之君      牧山ひろえ君     森本 真治君      竹谷とし子君     長沢 広明君  一月八日     辞任         補欠選任      山口 和之君     川田 龍平君  一月十八日     辞任         補欠選任      森本 真治君     福山 哲郎君  一月十九日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     森本 真治君  二月十七日     辞任         補欠選任      藤井 基之君     堀井  巌君      小池  晃君     倉林 明子君  二月十八日     辞任         補欠選任      倉林 明子君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長        三原じゅん子君     理 事                 島村  大君                 高階恵美子君                 羽生田 俊君                 津田弥太郎君                佐々木さやか君     委 員                 赤石 清美君                 有村 治子君                 石井みどり君                 太田 房江君                 木村 義雄君                 武見 敬三君                 古川 俊治君                 堀井  巌君                 足立 信也君                 石橋 通宏君                 小西 洋之君                 西村まさみ君                 森本 真治君                 長沢 広明君                 倉林 明子君                 小池  晃君                 川田 龍平君                 東   徹君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    衆議院議員        厚生労働委員長  渡辺 博道君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        厚生労働大臣  竹内  譲君        厚生労働大臣とかしきなおみ君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       堂故  茂君        厚生労働大臣政        務官       三ッ林裕巳君        厚生労働大臣政        務官       太田 房江君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      安田 貴彦君        文部科学大臣官        房審議官     伯井 美徳君        厚生労働大臣官        房審議官     堀江  裕君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       加藤 誠実君        厚生労働省職業        安定局長     生田 正之君        厚生労働省社会        ・援護局長    石井 淳子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    藤井 康弘君    参考人        特定営利活動        法人自殺対策支        援センターライ        フリンク代表   清水 康之君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (自殺対策に関する件)  (戦没者遺骨収集推進に関する件)  (自殺対策基本法の一部を改正する法律案に関  する件) ○戦没者遺骨収集推進に関する法律案(第百  八十九回国会衆議院提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。  去る一月四日の本会議におきまして厚生労働委員長選任されました三原じゅん子でございます。  本委員会は、年金、医療、社会福祉、雇用、労働問題など国民生活に密接に関わる重要事項を幅広く所管する委員会であります。  この度、委員長選任され、その責任の重大さを痛感している次第でございますが、皆様方の御指導、御協力を賜りながら、公正かつ円満な委員会運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  3. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 委員異動について御報告いたします。  昨日までに、寺田典城君、福岡資麿君、山本香苗君、大沼みずほ君、行田邦子君、羽田雄一郎君、白眞勲君、牧山ひろえ君、丸川珠代君、滝沢求君及び小池晃君が委員辞任され、その補欠として東徹君、佐々木さやか君、足立信也君、小西洋之君、太田房江君、古川俊治君、有村治子君、川田龍平君、森本真治君、堀井巌君及び倉林明子君が選任されました。     ─────────────
  4. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事島村大君、高階恵美子君及び佐々木さやか君を指名いたします。     ─────────────
  6. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、社会保障及び労働問題等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長藤井康弘君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、特定営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表清水康之君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  今国会、初めてこの厚生労働委員会ということになるわけでございます。例年は三月中旬頃に、まず塩崎大臣所信をやっていただいて、その後、所信に対する質疑、そして予算関連法案質疑ということになるわけでありますが、今日は二月の十八日、衆議院では今予算審議の真っ最中、かなり荒れた状況になっているわけでございます。  そういう中でも、本委員会を開催し、塩崎大臣に対する質疑を行うことになったわけでございます。これはまさに異例中の異例であり、先例とはしないという合意の下に行われる委員会であります。  何ゆえ本日の委員会を開催をすることになったのか。それは、与野党全会派が一致して取り組める重要な二本の議員立法を前に進めるためであります。二つの議員立法に共通しているのは、まさに人の命であります。片や、目の前にある命を守るための自殺対策基本法、そしてもう片方は、さき大戦で失われた命について御霊の安らかならんことを願う戦没者遺骨収集法であります。その意味で、私は、本日の委員会は極めて意義深いものであるとの思いを胸に質問をさせていただきます。  まず、自殺対策でありますが、昨年の六月二日、自殺総合対策の更なる推進を求める決議が本委員会全会一致をもって決定となりました。この案文の中で、二〇一六年は自殺対策基本法の施行から十年の節目となることを踏まえ、我々は自殺対策基本法改正等法整備に取り組む決意である、そのように明言をさせていただきました。それ以降、法改正に向けたまさに全会派の努力が続けられ、今日の日を迎えることができたことを私も大変喜んでおるわけでございます。  そこで、大臣お尋ねをいたしたいというふうに思います。  この昨年の決議の文言の中に、移管後の業務に支障が生じないよう、平成二十八年度予算概算要求前に、内閣府と厚労省合同自殺対策業務移管チーム設置するなど、円滑な業務移管のための措置を講ずること、また、厚労省設置する部署については、専ら自殺対策推進する業務を担うこととするとともに、多岐にわたる自殺対策行政厚労行政の一部に矮小化しないようにするために、厚生労働事務次官又は厚生労働審議官責任者とする省内横断的な組織とすること、その際、警察庁、文科省等関係府省との調整業務を担えるようにするため、課長級を含めて内閣府からポストを移管することによって、専任の課長級管理職を配置することということを宣言をさせていただいたわけでありますが、その四月一日の業務移管が間近となった現在、我々立法府の意思は具体的にどのように反映されることになったのか、お聞きをいたします。
  14. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) まず、今日の委員会を開催していただき、また御審議をいただくことにつきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。  今、津田委員からの御指摘がございましたが、昨年六月二日にこの委員会決議がございました。それを踏まえて、人員と組織移管につきましては、内閣府から厚生労働省大臣官房参事官自殺対策担当振替設置を予定をいたすとともに、省内関係部局連携をして一元的な指揮の下で施策を進めることができるように、事務次官本部長省内関係各部局長構成員といたします自殺対策推進本部、仮称でございますが、これを業務移管に合わせて設置をすべく省内調整をただいま行っているところでございます。  これらの体制整備を含めて、業務移管後の自殺対策推進に遺漏がないように対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  15. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 残された時間、大分少なくなっておりますので、急ピッチで準備を進めていただきたいと思います。  次に、ライフリンク清水代表お尋ねをいたします。  清水代表は、昨年の六月二日の委員会にも御出席をいただいたわけであります。超党派の議連のアドバイザー的な役割、あるいは時には事務局機能の一端を担われ、我が国の自殺対策牽引者としての活動を続けてこられました。  私は、今回、自殺対策基本法改正案が取りまとめられるプロセスにおいて個別の政党の利害が全く入り込むことがなかった、そのことを大変誇りにしております。超党派という言葉、辞書では政党枠組みを超えて協力し合うことというふうに書かれておりますけれども、これなかなか、言うは易しい、なかなか難しいわけでございます。しかし、この自殺対策については、文字どおり全党が参加をし、手柄の奪い合いや足の引っ張り合いもなく、丁寧な議論を積み重ねることができたというふうに自負をいたしております。  清水代表は、この十年余り、そうした現状をつぶさに見てこられた当事者であります。私は、特定の省庁の特定の局がリーダーシップを発揮できない、そういう課題、例えば今回の自殺対策もその一つでありますが、そのような分野においては、今後も政府提出法案ではなく議員立法が貴重な役割を担うことになるものと確信をしておるわけでございます。  清水代表市民活動に長年携わってこられたわけでありますが、そうしたお立場を踏まえ、立法府に属する各党が譲り合う中で一つの結論に達していくことの重要性をどのように認識をされておるか、お伺いをします。
  16. 清水康之

    参考人清水康之君) NPO法人ライフリンク代表清水康之です。  冒頭で、まず、本日、自殺対策基本法改正案について、こうして参議院厚生労働委員会において御審議いただく運びとなりましたことに対して、議員皆様に心より感謝申し上げたいと思います。  皆様御承知のとおり、十年前の自殺対策基本法成立の立て役者であられます故山本孝史議員は、御自身にとって最後の代表質問となりました平成十八年五月二十二日に、抗がん剤の副作用に耐えながら、自殺対策基本法がん対策基本法成立をこのように訴えられました。  私は、命を守るのが政治家仕事だと思ってきました。がん自殺も、共に救える命がいっぱいあるのに次々と失われているのは、政治行政社会対応が遅れているからです。年間三十万人のがん死亡者、三万人を超える自殺者の命が一人でも多く救われるように、何とぞ議場の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。  私は、今回の法改正に懸ける議員皆様の一連の御奮闘ぶりを目の当たりにして、改めて、政治家は、その一人一人が政党のために存在するのではなく、国民の命を守るために存在するのだ、存在するべきだと、そう強く実感しております。  自殺の問題だけでなく、日本社会現場で起きている様々な問題が今どんどん多様化しています。これまでのように、一つ制度一つ分野一つ組織だけでは到底太刀打ちのできないものになってきています。しかし、その一方で、行政というのは、性質上どうしても縦割りにならざるを得ません。ですので、重要になるのは、現場の実情に合わせて様々な制度を連動させ、組織連携させる枠組みを整えること、そうした連動や連携推進させる法律を作ることであって、これは紛れもなく政治仕事、いや、政治にしかできない仕事です。  全国現場では、自殺対策に取り組む私たち仲間たちが、二十四時間体制で、自殺危機に直面する多くの命を守ろうと日夜奮闘しています。私たち現場でできることは精いっぱいやっていますし、これからもやっていく覚悟です。ただ、政治にしかできないことは政治に担っていただくしかありません。  その意味で、今回、自殺対策現場議員皆様が二人三脚で、まさに一人でも多くの命を守るために、自殺対策を更に強力に推し進めていくための新しい枠組みをこうしてつくろうとしている動き、挑戦というのは、しかもそれを超党派で、政権いかんによって左右されることなく党派を超えて推し進めてくださっているということは、私はこれは非常に貴い重要なことだと思いますし、同時に、これからの日本社会においてますます必要とされてくる動きだろうと、そのように考えております。
  17. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございました。  是非、これからも御活躍を期待をいたしております。  次に、遺骨収集法案関係して大臣お尋ねをしたいと思います。  法案の九条、戦没者遺骨収集により収容された遺骨について、鑑定等に関する体制整備等が明記をされております。これは大変私は高く評価をしておるわけでありまして、身元特定のためのDNA鑑定対象拡大が加速化するのではないかということで期待をするわけでございます。  この戦没者遺骨DNA鑑定対象拡大について、今後どのような手順で実施されようとしているのか、対象地域等を含めて、塩崎大臣答弁を求めます。
  18. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) DNA鑑定対象拡大でございますけれども、これにつきましては、御遺族がまず高齢化をされていることに加えて、国会での御議論、それから関係団体等からの御要望もたくさんございまして、これらを踏まえて、戦後七十年を契機に議論、検討を加速化いたしまして、遺留品等がなくても、部隊記録等の資料により、ある程度戦没者特定できた場合に、当該戦没者関係すると思われる御遺族に呼びかけを行ってDNA鑑定実施することとしたところでございます。  具体的には、平成二十八年度のできる限り早い時期に、部隊記録等が残っており、ある程度戦没者特定ができる沖縄につきまして実施する方向で検討しておりまして、その結果を踏まえて、他の地域における実施について検討してまいりたいと思います。
  19. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非、取組の促進をお願いをしたいというふうに思います。  私は、去る二〇一二年の三月十四日、厚労省大臣政務官として硫黄島に行きました。日米硫黄戦没者合同慰霊追悼式出席するためであります。日本軍戦死者二万二千人、アメリカ軍も六千八百二十一人という大変多くの方々がこの硫黄島で亡くなられているわけでございます。この硫黄島につきましても、遺骨DNA鑑定が拡大していくことになるだろうというふうに信じておるわけでございます。  そこで、お尋ねしたいわけでございますが、さき大戦においては、多くの朝鮮半島出身者が旧日本兵又は軍属として各地で戦死をしているわけであり、その実態については厚労省保存ファイルでも一定程度明らかになっております。御遺骨が戻られる日を心待ちにしている遺族思いというのは国による違いはないはずであります。補償問題や慰安婦問題とは絡めることなく、また費用についても適切に韓国側が負担する、そのような前提の下で、韓国側から遺骨に関するDNA鑑定をお願いされた場合には、日本政府としてこれを拒絶するようなことはあってはならない、しっかり協力すべきであると私は考えておるわけでございますが、御遺族の御高齢化、これも大変大きな課題でございます。  人情派塩崎大臣というイメージがあるわけでございますので、是非そういう答弁をしていただきたいと思います。
  20. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 御遺族気持ちは国境に関係なく同じであるという先生の今の御指摘はそのとおりだというふうに思っているわけでありまして、今のこの朝鮮半島出身方々につきましては、外交交渉に関わる問題ではございますけれども、御遺族気持ちに強く配慮をしていくべきという今の御指摘、その御意向もしっかりと受け止めて、韓国政府から具体的な提案がございましたら真摯にそれを受け止めて、政府部内で適切な対応を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  21. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 日本人の戦没者特定という点でも、これ間違いなく前進をするわけでありますので、是非とも早期の問題解決を求めて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  22. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  厚生労働委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私からは、自殺防止対策について今日は伺いたいと思います。  日本自殺者数は近年減少傾向にございますが、いまだ多くの方が命を落としております。特に若年世代はほかの世代と比べて減少の幅が小さく、十代後半、二十代、三十代の死因の第一位は自殺であります。日本若年世代自殺率は、主要先進七か国の中でも突出して高い状況にございます。この点に関しまして、超党派自殺対策推進する議員の会の若者自殺対策ワーキングチームによりまして、これまでも、関係団体へのヒアリングですとか、それから政府への要望書取りまとめ等が行われてきております。  今回の改正案でもその要望書にも盛り込まれた内容が反映をされております。具体的には、第十七条三項なんですが、特に重要なのが、困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育又は啓発を行うように努めるものとするという部分でございまして、いわゆるSOSの出し方教育自殺のゼロ次予防ということについて、非常に重要であるというふうに思っております。この点については、我が党の青年委員会が作成した青年政策アクションプラン二〇一五というものでも、全ての児童生徒への実施というものを政府に申し入れさせていただいております。  そこで、文科省にお伺いしたいんですが、子供たちが困難な事態に直面した際の対処方法SOSの出し方を教える教育、この重要性についてはどのように認識をしていらっしゃるでしょうか。
  23. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) お答えいたします。  学校におきまして子供たち自殺の危険とその対応について正しい知識を伝える、そういう自殺予防教育は重要であるというふうに認識しております。例えば、自分自身が心の危機に陥った場合の対応、あるいは友人からの心の危機を打ち明けられた際への関わり方などをしっかり教えていくことが非常に重要であるというふうに考えております。  文部科学省といたしましては、学校における自殺予防教育導入の手引というのを平成二十六年七月に全国の全学校に配付し、研修会等を通じ普及啓発に努めてきているところでございますが、まだ十分に実施できていない学校もあるというふうに承知しております。  引き続き、一層自殺予防教育普及啓発に努めていきたいと考えております。
  24. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今、非常に重要だと認識していただいているというお話でしたけれども、今もおっしゃっていましたが、しかしながらやはり、一部熱心にやっていただいているところはあると思うんですけれども、全国的には進んでいるとは言えないと思うんですね。ですから、こうした教育の積極的な推進というものと、全国でどういう取組が行われているのか、そういう現状もしっかりと把握をもっともっとしていただきたいというふうに思います。  そこで、清水参考人にお伺いしたいと思いますが、若者の自殺対策におきまして、こうした教育というのはどれぐらい効果的だというふうにお考えでしょうか。また、今回、自殺対策基本法改正案に盛り込まれたことについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
  25. 清水康之

    参考人清水康之君) 非常に効果的だと思います。というのも、以前、自殺未遂をした若者たちへの聞き取り調査を行った際に、問題を抱えて追い詰められていたにもかかわらず相談しなかった、あるいは相談できなかった、その理由として多く挙げられたことが三つありました。一つは、単純に相談先を知らなかったということです。もう一つは、自分が抱えている問題が相談すべきものだと気付いていなかったということ。三つ目が、うまく整理して相談できそうにないと思った、相談したら相手に迷惑を掛けてしまうと思ったからということです。子供たちには相談するスキルを身に付けさせてあげる必要があると思います。相談してもいいんだよと安心させてあげる必要もあると思います。  したがって、今回、自殺対策基本法改正案にこうして盛り込まれたということは極めて重要なことだというふうに思っています。
  26. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 非常に重要だという御認識ですが、具体的に参考になる取組など、例がありましたら教えていただきたいと思います。
  27. 清水康之

    参考人清水康之君) 自殺対策の先進地として知られる東京都の足立区では、全ての公立小学校と中学校で、自分を大切にしようという授業を行うことにしています。学校の先生の負担にならないようにとの配慮もあって、区の保健師が学校を回って、子供たちに対して具体的な相談方法、あるいは相談してもいいんだよというようなことを伝えています。  また、その際にアンケートを行って、悩みを打ち明けてくれた子には保健師が学校連携して支援に入るようにもしています。子供にとっては、ふだん学校や先生に言えないことであったとしても、学校とは直接の関係のない保健師にだったら言えるというようなこともあるようで、その意味では、こうした授業が子供たちSOSをキャッチする機会にもなっているようです。
  28. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございます。  今の例ですと、保健師の方が学校教育現場でそういう授業といいますか、子供たちと接していただいていると。教師だけではなくて、いろんな関係者の方が取り組んでいただいているという例だと思います。  こういう例を是非広めていきたいと思いますけれども、こういうSOSの出し方教育というものは、今現在悩みを抱えている子供たちにとって効果的だと思いますけれども、それだけではなくて、子供たちが将来学校を卒業して大人になって社会に出ていくわけですが、そうしたときにも、困難なことがあったとき、そういったときにその教育を受けていたということが助けになるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 清水康之

    参考人清水康之君) 非常に助けになると思います。子供たちへのこうした教育自殺のゼロ次予防と呼ばれているのも、将来的な自殺対策に資する、重要であるというふうに考えられているからだと思います。子供のときに相談できなければ、きっとその子が大人になってもなかなか相談できないと思うんです。  ですから、子供たちがやがて大人になり実社会の中で命や暮らしの危機に直面したとき、速やかに助けを求めることができるようになってもらうためにも、こうした教育というのは極めて重要であるし、実際に非常に役に立つというふうに思います。
  30. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今、清水参考人からもありましたとおり、こうした教育というのは非常に子供たちにとっても、また大人になってからも、命を大切にする、自分の命を大切にして、自殺予防自殺を防ぐということに効果的であるというふうに思います。  そこで、文科省にもう一度お伺いしたいんですが、今聞いていただいたように非常に重要だと思うんですね。最初にもう重要だと認識していると言っていただきました。しかしながら、まだまだ不十分なところがあるということも認識をしていただいているようでございますので、自殺対策基本法改正案がこれから成立をしたという場合には更に進めていっていただきたいわけですけれども、どのようにしてこの十七条三項のSOSの出し方教育、また、全ての児童生徒是非受けていただきたいと思いますので、どういうふうに取組を実現をしていくかということ、ちょっとこの点だけまずお答えいただいても大丈夫ですか。
  31. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) 改正案成立いたしました場合、それを踏まえまして、学校において自殺予防教育、一層充実していくという視点が重要であると考えております。その際、あらかじめ学校が適切な教育内容を準備しつつも、先ほどありました外部の専門家や地域関係者との連携を一層進める必要があるというふうに考えております。また、自殺予防教育の担い手であります教員への研修も重要でございます。  このため、文部科学省といたしましては、教員や教育委員会に対する研修会の拡充、あるいはスクールカウンセラーの教育相談体制整備、あるいはスクールカウンセラー等の一層の活用、関係機関との一層の連携の在り方について検討し、それを教育委員会に周知してまいりたいと考えております。
  32. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 まず子供たちSOSの出し方を、教育をしっかりしていただくと。それを、せっかく出してくれたそういうメッセージをしっかり周りの教員の方を始め、周りがしっかりと受け止めて予防につなげていく、対策につなげていくということが重要だと思います。  今回の改正案には、十七条の一項に、「学校の教職員等に対する国民の心の健康の保持に関する研修の機会の確保等必要な施策を講ずるものとする。」と、こういう条文も入っております。これどうやって実現していくんですかと聞こうと思ったんですが、今の答弁の中に含まれていると思いますので、時間もありませんのでちょっと省略しますけれども、これもしっかりとやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後に、大臣にお伺いをしたいんですが、厚労省におきましてもこの自殺予防対策、しっかりと取り組んでいっていただきたい、今後ですね、お願いしたいと思いますけれども、こういう子供たちが出したSOSを周囲がしっかりと受け止めて、そして、いろんな専門家いらっしゃいますから、対策、支援につなげていただきたいと思います。そういう連携をしっかりやっていっていただきたいと思いますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 新たに自殺対策を担うことになります厚生労働省学校現場がしっかりと連携をしていくということは大変大事だというふうに今御指摘のとおり思うわけでございまして、子供がいつでも不安や悩みを打ち明けられるような環境を整え、必要に応じて精神保健医療や心のケア、これを提供するということなど、私どもとして適切な支援がしっかりと提供できるようにしていくことが大変重要だというふうに考えております。  現在、厚生労働省では、悩みの相談とか、自治体そして学校地域医療機関などの連携調整などを行う地域自殺予防情報センター、これを設置をいたしまして、地域における総合的な支援体制整備をしてまいっているところでございますけれども、立法府において今検討され、今日の御審議を賜っている法案によりますと、本年四月からは、学校、医療機関を含む地域内の関係者の連携も盛り込んだ自殺対策行動計画を全ての市町村で作成していただく、そして地域における取組が強化されるということになっているわけでございます。  政府としては、全国にございます三十六か所に設置をしている地域自殺予防情報センターを市町村の計画作成への支援機能を追加をした新たなセンターとして改組し、市町村の取組を支援をするということとしているわけでございまして、また、政府としては、地域教育現場も巻き込んだ支援体制を構築している好事例を収集をいたしまして、その情報を発信するなどの取組も併せ行うということにしているわけでございます。  これらの取組によって、自治体や関係機関の積極的な連携をより一層深めて、子供のSOS、これをしっかりとキャッチできる社会に向けて政府一丸となって取り組んでいかなければならないというふうに考えているわけでございまして、今日先生お取り上げの、子供のSOSをしっかりと受け止める体制、そして対応ができる体制をつくってまいりたいというふうに思います。
  34. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 是非よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  35. 川田龍平

    川田龍平君 維新の党の川田龍平です。  また参議院の厚生労働委員会に戻ってまいりました。故山本孝史議員のいたこの参議院の厚生労働委員会において、十年の節目にこの法改正に当たり、この立場に立ち会えたことを大変うれしく思っております。  山本孝史議員との関係については、昨年六月の決議質疑の際にも述べさせていただきました。今日は時間がありませんので割愛させていただきますが、会議録にも残っております。私自身、命を守る政治家として、特に山本孝史議員の遺志を引き継ぎ、引き続きこの厚生行政、しっかりと私も国会議員として頑張ってまいりたいと思っております。  昨年六月にも質問した地域自殺予防情報センターについて改めて質問させていただきます。  改正案においては、市町村も自殺対策計画を作り、それに基づいて実践的な取組を行っていくことになるわけですが、自治体の関係者からは、ほかにも業務があり、自分たちで計画なんて作れないであるとか、計画作りが目的化しかねないなどと懸念する声が一部あると聞いております。  地域自殺対策推進センターは、市町村の担当者がそうした懸念を抱かずに済むように、計画作りに必要なデータの提供や地域の特性に応じた対策パッケージの提供、全国で行われている先進的な取組に対するノウハウの提供など、市町村への支援を徹底して行っていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  36. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) お答えを申し上げます。  自殺対策推進するためには、地域レベルでの実践的な取組によりまして、地域の実情に応じたきめの細やかな対策を講じる必要がございます。そのためには、まさに市町村への支援が重要であると考えております。  私ども、これまで地域自殺予防情報センターの設置を進めてまいりまして、地域地域における自殺対策の総合的な支援体制整備してきたところではございますけれども、この地域自殺予防情報センターは、本年の四月から地域自殺対策推進センター、まだ仮称でございますが、こういうふうに改組をいたしまして、全ての都道府県、指定都市への計画的な設置に向けて取り組ませていただきますとともに、市町村等の自殺対策を支援する体制あるいは機能を強化をすることといたしておりまして、地域自殺の実態把握、分析、情報発信、あるいは自殺対策計画の策定及び市町村の自殺対策計画の策定の支援等が今後しっかりと行えるようにしていきたいというふうに考えております。  また、あわせまして、国立精神・神経医療研究センターに設置をしております自殺予防総合対策センター、これを自殺総合対策推進センター、これも仮称でございますが、このように機能強化をいたしまして、地方公共団体が自殺対策計画を策定する際の参考事例等の把握と分析、あるいは地域自殺対策推進センターの職員に対する研修等を強化をすることとしておりまして、これらによりまして地域レベルの実践的な自殺対策を一層推進してまいりたいと考えております。
  37. 川田龍平

    川田龍平君 厚労省地域自殺対策推進センターに関して作成した資料を見ますと、様々な業務を担うとありますが、センターの主要な任務は、市町村の計画作りを支えること、市町村の対策を後押しすることだと周知徹底していただきたいと思いますが、大臣、よろしいですね。
  38. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま御指摘のとおり、この地域自殺対策推進センターは、市町村の計画作りの支援などの市町村に対する支援が重要な業務であるというふうに考えているわけでございまして、平成二十八年度の予算案におきまして、地域自殺対策推進センターの設置、運営の費用につきまして必要な予算を確保をしているところでございまして、今後とも、同センターの全都道府県、指定都市への計画的な設置を進めて、自殺対策計画作りなどにつきまして市町村支援にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
  39. 川田龍平

    川田龍平君 この相談業務は精神保健福祉センターや保健所の本来業務ですので、そちらの方に任せ、くれぐれも地域自殺対策推進センターの仕事が相談業務で手いっぱいといったことにならないようにしていただきたいと思います。  続いて、清水参考人に伺います。  実際に自治体の自殺対策計画作りに関わってきた経験がおありになるわけですが、計画を作ることのメリットについて、何でしょうか。
  40. 清水康之

    参考人清水康之君) 大きく二点あると思います。  一つは、関係部局関係機関の役割が明確になるということです。全国自殺対策の担当者が最も苦労しているのは、自殺対策関係するほかの部局や関係機関を巻き込むということなんですね。例えば庁内の連絡会議一つ開催するについても、ほかの部署の人たちからは、いや、何で自分たち自殺対策会議に出なきゃならないんだと、自殺対策はあなたのところの仕事だろうというふうなけげんな顔をされたりすることもあるというふうに聞いています。ですから、計画を作るということは、それぞれの部署がいつまでに何をするかということを明確に決めるということにもなりますので、計画ができれば自殺対策の担当者は関係部局の進捗を管理することができるようになる、これは非常に大きな助けになるだろうと思います。これが一つです。  もう一つは、計画作りのプロセスを通して関係部署や関係機関が危機意識、問題意識を共有し、関係部署同士のつながりが深まるということです。地方自治体の現場でも、分野や部局が変わればお互い何をやっているのか分からないというようなことが多々あります。当然、そんな中で連携が進められるわけがない。ですから、こうした計画作りを通して、それぞれの部局が何をやっているのか、どういう支援ができるのか、そうしたことをお互いに知り合うということができるようになって、これはすなわち計画を作ることのもう一つのメリットになるだろうというふうに考えています。
  41. 川田龍平

    川田龍平君 足立区などが先進的な自治体の取組として注目されていますが、昔、全国で同じような取組をしたときに、長野県であるにもかかわらず海岸線に沿ってどうのこうのとか、長野県には海岸はないのに全国同じように作ろうとして、結局長野県にそういった計画を作ったりなんかしたこともあったそうですけれども、そういったことにならないように、金太郎あめのようにならないようにこういう計画をしっかり地域ごとに作っていただいて、計画が作っただけで終わらないように、国は市町村の支援にも是非取り組んでいただきたいと思います。  次に、遺骨収集推進法案について伺います。  大臣、戦後七十年が経ておりますけれども、海没者を除いても八十三万人もの御遺体がミャンマーなどの異境の地に眠っておられるという現実についてどのようにお考えでしょうか。憲法の前文にあるように、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにするという、そのためには、犠牲者を一人でも多く御遺族の元にお帰りいただき、この努力を抜きには語れないと思います。  時の為政者によって傷つけられた個人の尊厳を回復するという点では、私は、自分自身薬害の被害者として、こうした亡くなった後も個人の尊厳を回復するための国の責任というものを大変重いと感じております。国のために犠牲となった戦没者の御遺骨の収集は国の責任であり、この法案第二条にあるように、ただ収集をするのではなく、御遺族の元にお返しするところまでしっかり行うのが国の責任であるということについて大臣の見解を求めます。
  42. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の法案の第二条に、今御指摘もございましたが、戦没者遺骨収集とは、いまだ収容され、又は本邦に送還されていない遺骨を収容し、本邦に送還し、及び当該戦没者遺族に引き渡すこと等をいうというふうに定められておるわけでございます。厚生労働省としても、これに沿って遺骨収集実施していくべきというふうに考え、また、今般の法案は、戦没者遺骨収集を国の責務として明確に位置付けをしているわけでございまして、更に加速させるための法案と承知をしております。  厚労省としても、法案の趣旨を踏まえて、一柱でも多くの御遺骨を早期に可能な限り収容し、御遺族にお引渡しができるように取組を一層強化してまいりたいというふうに思っております。
  43. 川田龍平

    川田龍平君 この法案議員立法ですけれども、閣法として出すべき、国の仕事としてしっかりやる仕事だったんではないかと思っております。  そこで、鍵となるのがDNAの鑑定です。政府は、まず沖縄から、遺留品などがない遺骨からもDNAを抽出し、データベース化する方針を表明しています。二〇一三年に浦添市で見付かった遺骨の例では、遺留品の印鑑とDNA鑑定で身元が判明し、御遺族遺骨が返還されましたが、この御遺族が保管していた死亡通知書には別の市での戦死ということになっていました。  部隊記録等の軍の資料でさえも死亡場所が正確に記録できていないほどの沖縄戦の過酷な実情を踏まえれば、そして今後のDNA鑑定技術の発達、そして御遺族の方の高齢化をも考慮するならば、今のうちに、希望する全ての御遺族DNA鑑定を認めるか、少なくとも検体をいただいて保管しておくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
  44. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) DNA鑑定におきましては、歯が表面が硬く湿気の影響を受けにくいなどということから、比較的容易にDNA抽出作業ができ、なおかつ得られるDNAデータの情報量が安定しているというDNA鑑定の専門家の御意見に基づきまして、検体として歯を用いて鑑定を実施するということをしてございます。  御家族のことを先行してということでございますけれども、個人の情報を行政の方でお預かりするということに注意をしながら進めていかなきゃいけないということから、現時点においては少し慎重に考えてございます。まずは、先ほど大臣からもお答えいただきましたような方針で沖縄から実施してまいりたいと、こういうふうに考えてございます。
  45. 川田龍平

    川田龍平君 御遺族の方ももう高齢になられておられます。そして、DNAを採取するところというのは、髪の毛の毛根のところですとか、口の中のものですとか、いろいろ粘膜ですとか取って、ちゃんと保管しておくことが重要だと思います。孫の世代になるとまた、このDNAの今のところはまだ精度が落ちるということもありますので、御遺族の方が希望する場合には是非やっていただきたいと思います。  といいますのは、DNA鑑定には、遺骨側で一検体につき五万円、遺族側では三万円掛かると聞いていますが、限られた遺族としか照合しないということであると、この遺骨側のデータベースが無駄になりかねません。そういった意味では、このDNAの技術というのは日進月歩で、偶然の一致というものも減るはずですので、是非、一部自己負担などということでもって、知恵を絞って、希望者だけとか、希望者全員のDNA鑑定か検体を保管すべきと考えます。  沖縄県では、これまで遺骨の焼骨方針を示していましたが、県議会が二〇一四年の七月に保管を求める決議全会一致で可決をしまして、一昨年の六月には国に対して当面焼骨を停止する方針を伝えています。この沖縄以外の太平洋地域の全域から収容した遺骨についても、集中実施期間は焼かずに保管をする方針を基本計画で明確にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  46. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  お答え申し上げましたように、DNA鑑定、現時点におきまして、歯が表面が硬く湿気等の影響を受けにくいということで、比較的容易にDNAの抽出作業ができ、なおかつ得られるDNAデータの情報量が安定しているという見解でございまして、検体として歯を用いて鑑定を実施することとしてございます。  一方で、厚生労働省といたしましては、外国で祖国のために尊い命を犠牲にされました戦没者の御遺骨に対しましては、礼をもって向き合うことが大切というふうに考えてございまして、収容されました御遺骨について、早期かつ丁重に取り扱い、火葬し、可能な限り御遺族の元にお返しできるよう、また、できない方につきましては千鳥ケ淵戦没者墓苑等にお納めするというふうにすべきと考えてございまして、DNA鑑定に必ずしもつながらない御遺骨を保管するということは現在考えてございません。
  47. 川田龍平

    川田龍平君 さき大戦で亡くなった方々の御遺骨を御遺族に返すというところまでがやっぱり国の仕事、責務だと思いますので、是非しっかりそこを、時間の経過とともに返せないということにならないように、特に集中期間にしっかりやるように、厚生労働大臣そして関係各位の皆さん、是非力を尽くしていただきますようよろしくお願いいたします。  今日は本当に、こういった法律を作ることで、また、こうしたことを国の責務としてしっかり法にのっとって行っていただくようによろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  48. 東徹

    東徹君 おおさか維新の会の東徹でございます。  まず、戦没者遺骨収集推進に関する法律案の方から質問させていただきたいと思います。  この法律案さき大戦から今年でもう七十一年が経過するわけであります。戦没者遺族はもちろん、その戦争を体験した方々も大変高齢化が進展していっているということで、先ほども話がありましたが、残された時間は余り多くないというふうに思っております。一柱でも多くの遺骨が収集することができ、そして家族に引き渡すことができれば言うことはないというふうに思っております。  そんな中でありますが、この戦没者遺骨でありますけれども、非常に数も多いということであります。全体で海外の戦没者の概数が二百四十万人という状況であります。そんな中で、遺骨収集ができたのが百二十七万柱ということでありまして、そしてまた、未回収なのが百十三万柱ということになっております。  今回、集中実施期間ということで、十年間を掛けて集中的に取組を行っていくということでありますが、この十年間の中でどれぐらいの遺骨収集が可能と予想されるのか、お聞きしたいと思います。
  49. 竹内譲

    ○副大臣(竹内譲君) お答えいたします。  海外戦没者約二百四十万人のうち、これまでに約百二十七万柱の御遺骨を収容しているところでございます。海没遺骨や相手国の事情により収容が困難であるものを除く未収容遺骨は最大で約六十万柱と考えておりますが、御遺族や戦友等が高齢化し、当時の状況を知る方々が少なくなっておりまして、遺骨に関する情報が減少してきていることも事実でございます。  このため、厚生労働省といたしましては、法案の趣旨を踏まえ、平成二十七年度からの三年間は、諸外国の国立公文書館等が保有する埋葬地などに関する海外資料調査を強化し、集中的な情報の収集に取り組むこととしております。  法案に規定する集中実施期間における遺骨収容の見込みにつきましては、現時点でお答えすることは困難ではございますけれども、海外資料調査を含む遺骨収集推進に資する施策を総動員をいたしまして、一柱でも多くの御遺骨を早期に収容できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  50. 東徹

    東徹君 十年間でどれぐらい想定されているのか、非常に数として難しいということでありますが、もちろん一柱でも多く収集したいという思いは我々も同じでありまして、その思いは変わらないわけでありますけれども、ただ、来年度の厚生労働省予算を見させていただきますと、遺骨のDNA抽出、解析を含む遺骨収集帰還事業等に二十三億円の予算が計上されております。来年度、非常に答えづらいのも分かるんですが、やはりある程度の目標を持ってやっていくということも非常に大事だというふうに思っておりまして、二十八年度、来年度はどれくらいの遺骨収集を目標としているのか、お伺いしたいと思います。
  51. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  御指摘の二十三億円でございますけれども、これは平成二十八年度予算案におきまして、遺骨収容帰還事業の強化、御遺骨のDNA抽出、解析の強化、海外・国内民間慰霊碑への対応、戦争の経験の次世代継承といったことを含めまして計上したものでございます。  遺骨収集帰還事業に係る経費といたしましては、平成二十八年度は平成二十七年度に比べまして約四・九億円増額して約二十一・三億円を計上してございまして取組を進めることとしており、その中には、具体的には、海外公文書館資料調査の強化、現地情報収集事業の実施地域を追加すること、南方地域遺骨収集帰還実施地域を追加すること、そして硫黄島の滑走路地区の掘削に係る経費ということで盛り込んでいるものでございます。  お尋ねの二十八年度の遺骨収容数について、現地の状況、それから遺骨情報の収集、分析結果など様々な要因がございまして、現時点で遺骨収容の目標数をお示しすることはなかなか困難でございますが、厚生労働省といたしまして、遺骨収集推進法案の趣旨も踏まえまして、一柱でも多く御遺骨を早期に可能な限り収容できるよう取組を更に進めてまいりたいと考えてございます。
  52. 東徹

    東徹君 一柱でも多くは当然のことでありますけれども、ある程度のやはり目安というか、そういったものを是非持って、一柱でも多く収集するためにはより効果的なことも検討していくべきだというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  未収容の遺骨についてでありますけれども、未収容の遺骨百十三万柱あるわけでありますが、その百十三万柱のうち、二十三万柱が相手国の事情によって収容困難というふうに区分がされております。大半が中国東北部、旧満州の地域にあるというふうに聞いております。御遺族高齢化が進んでおるわけでありまして、遺骨のできる限り早い収容が求められておりますけれども、現在、中国政府との交渉状況、今後の対応、この点についてお伺いしたいと思います。
  53. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、相手国の事情により収容困難と区分しております約二十三万柱の未収容遺骨のうち、旧満州地域であります中国東北部におきまして約二十万六千柱を占めているものでございます。  中国におきます遺骨収集については、中国側にも多数の犠牲者、遺族がおりまして、中国側の国民感情などから実現していないというのが実情でございます。戦没者遺骨収集法案成立した場合には、法七条の規定に則しまして、戦没者遺骨収集の円滑な実施を図るため、関係国の政府等の理解と協力が得られるよう、外務省等関係省庁との連携協力を進めていきたいと、こういうふうに考えてございます。
  54. 東徹

    東徹君 ということは、現状は、なかなかまだ中国政府とはその辺の話は付いていなくて、非常にここはまだまだ困難な状況にあるということでよろしいんでしょうか。
  55. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 今御指摘のとおりでございまして、過去には、遺骨収容が困難であれば、せめて慰霊巡拝だけでも実現させてほしいというようなことで、そちらの方の道を開いていったというようなこともございまして、今の時点で具体的な遺骨収集について進められていないという状況にございます。
  56. 東徹

    東徹君 しっかりと外務省の方とも連携していただきまして、取組を前へ進めていただきたいと思います。  続きまして、自殺対策のことについてお伺いをしたいと思います。  自殺者数の推移でありますが、これはもう御存じのとおり、平成十年以降十四年連続で三万人を超える状態が続いておりましたけれども、二十四年には十五年ぶりに三万人を下回って、二十六年では二万五千四百二十七人ということになっております。そんな中ではありますが、まだまだ自殺者数が多いということでありますし、自殺というのは本当に、自分の命を絶つということで、これほどつらいものはありません。一人でも多くの命を救うことができればというふうに思います。  そんな中で、昨年、平成二十七年八月の国立精神・神経医療研究センターの調査報告によりますと、政令市を除く一千七百二十一市区町村のうち五百三十九市区町村が自殺対策を総合計画等の中に位置付けているというふうに回答をしており、全体の三割にとどまっておるという状況であります。  今回の自殺対策基本法改正案では、第十三条第二項におきまして、市町村は市町村自殺対策計画を定めるというふうにされておりますけれども、この趣旨は、現在、各市町村において自殺対策への取組に大きな差があるため、これを是正するということにあります。  今回の法改正でどのように市町村ごとの取組の差をなくしながら効果的な対策を進めていくのか、その状況をお伺いしたいと思います。
  57. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今先生御指摘のように、自殺対策推進に関する計画を作成している市町村、これは指定都市を除いたベースでございますけれども、確かに約三割にとどまっているわけでございます。計画を策定していない市町村においても自殺対策実施していただいておるところではございますけれども、現在、立法府に御議論いただいて、今日御審議を賜っておりますこの法案によりますれば、全市町村に計画策定が義務付けられる、そういう際には、各市町村において地域の実情に応じた実効性のある計画を作成して、それを実行していただくということが重要であるわけでございます。  このため、先ほど来何度か出ておりますが、地域自殺対策推進センター、これに市町村の自殺対策計画の策定を支援をさせることとして、所要の予算平成二十八年度予算案に確保しているわけでございます。  政府としては、こうした取組を通じて、地域の実情に応じた実効性のある自殺対策が各市町村において展開されるように取り組んでまいりたいと思っております。
  58. 東徹

    東徹君 しっかりと進めていただきたいと思います。  続きまして、今回の自殺対策基本法改正案の第八条では、新たな関係者の連携協力というのが定められております。自殺の中でも非常に多いのは、鉄道で自殺をされるという方が多いです。関東では、人身事故のうち六割が自殺ということでして、一番多いのが、こう見ますと、JRの中央線、年間、二〇一二年で四十九件の方がJRの中央線で自殺をされているという状況です。この連携協力の中に鉄道事業者、これは含まれているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  59. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) これ、現在なお自殺対策基本法を所管しております内閣府でございますが、内閣府に確認をいたしましたところ、現行の自殺対策基本法第二条第四項におけるその事業主は、特段これ限定が付されているものではございませんので、鉄道事業者も含まれているというふうに解釈されるところでございます。
  60. 東徹

    東徹君 鉄道事業者も含まれておるということでありますけれども、一日の利用者が十万人以上の大規模なターミナル駅におきまして、ホームドアなんですけれども、全国二百五十一駅あるうち六十駅しかこれ整備されていないわけでありますけれども、まだまだ十分な状況であるというふうには言えません。  このホームドアについてですが、今回の法改正によってホームドアの設置、進捗、どのように変わるのか、鉄道事業者にどのように設置を求めていくのか、お伺いしたいと思います。
  61. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 先生御指摘のホームドアの設置の今後の進捗につきましては、今回の法改正による影響を現時点で把握、予測をするということはなかなか難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、ホームドアの設置を始めとする鉄道の駅における転落防止対策は、これは自殺予防に大いに資するというふうに考えられますので、今後とも自殺総合対策大綱に基づきまして、鉄道業者を所管をいたします国土交通省とも連携しつつ、こうした自殺予防に資する施策、しっかりと推進してまいりたいと考えております。
  62. 東徹

    東徹君 最後に一点お伺いしたいと思います。  現行法十八条でも、「親族等に対する適切な支援を行うために必要な施策を講ずるもの」というふうにされております。今後、自殺者の親族等への支援の在り方、どのように支援が進められていくのか、お伺いしたいと思います。
  63. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 厚生労働省といたしましては、これまでも、都道府県、指定都市に設置しております、先ほど来言及してございます地域自殺予防情報センターにおいて自殺者の親族等からの相談にも応じまして適切な助言を行うなど、地域における自殺者の親族等に対する支援の充実を図ってきたところでございます。  この地域自殺予防情報センター、本年の四月から地域自殺対策推進センターとして改組をいたしますけれども、ここで市町村等の自殺対策を支援する体制や機能をしっかりと強化していく一方で、自殺者の親族あるいは自殺未遂者等への専門的な相談等につきましては引き続き行えるようにしていきたいというふうに考えております。  また、あわせまして、国立精神・神経医療研究センターに設置をしております自殺予防総合対策センターを自殺総合対策推進センターとして機能強化をいたしますが、その中に自殺未遂者・遺族支援等推進室といったものを設置をいたしまして自殺未遂者あるいは自死遺族支援等の取組を強化することとしておりまして、これらによりまして地域レベルの実践的な自殺対策を一層推進してまいりたいと考えております。
  64. 東徹

    東徹君 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  65. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、倉林明子君が委員辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。     ─────────────
  66. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願いいたします。  私も、佐々木委員に引き続きまして、若年者の自殺について質問をさせていただきます。  自殺対策白書によりますと、一三年の十五歳から三十九歳の死因は自殺がトップでございます。二十代前半では死因の五割を超えている、これは深刻な状況なんですね。  子供と大人の傾向というものが全く自殺に対して違うよということは資料一にお配りをさせていただいております。図書館司書のツイッター、ニュースになりましたけれども、この九月一日には突出して自殺者数子供たちは多いということも分かっております。しかし、残念ながら、今回の法案の、自殺予防週間というものは九月十日から十六日、自殺対策強化月間というのが三月ということでございます。これに合わせずに、子供たちのために八月にしっかり集中的に自殺予防、取り組まなければならないと考えておりますけれども、清水さんの方から一言御助言いただけますでしょうか。
  67. 清水康之

    参考人清水康之君) 私自身は、これはむしろ分けて考えた方がいいんじゃないかなというふうに思っています。  WHOが定める世界自殺予防デーである九月十日から始まる世界中で啓発活動に取り組む一週間、これを自殺予防週間として、その一方で、夏休み明けあるいは長期休暇における子供たち危機に対する対応、これは別枠でやった方がいいということですね。というのも、夏休みの終了時期がこれは必ずしも九月一日ではない地域も多数ありますし、また、自殺は問題の氷山の一角で、例えば子供たちが不登校になるタイミングとしてもやはり長期休暇明けが多いんですね。これは平成二十三年七月に文科省設置した不登校生徒に関する追跡調査研究会がまとめた報告書にもそうしたことが書かれています。  ですので、長期休暇明けの子供の危機対応するには、啓発だけでなくもっと総合的な対策を打っていくべきだろうと。どういう子供たちが長期休暇明けに不登校になったりあるいは自殺で亡くなったりしているのか、あるいはその際に何か兆候見られるのか、どういった支援があればそうした事態を回避できるのかといったような実態の解明、分析をしっかりして、その実態分析を踏まえてそれぞれの地域関係者が連携をして、啓発だけでなく実務的な支援も併せてやっていく、そうしたもっと包括的な対策が必要ではないかというふうに考えています。
  68. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、文科省、このような調査研究というものを行っていらっしゃるのかどうか、教えてください。
  69. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) 文部科学省におきましては、児童生徒自殺につきまして約五百件のデータを収集、分析し、平成二十六年七月に実態分析の取りまとめを行っております。その分析におきましては、その背景を調べておるわけですけれども、学校的背景としては進路問題、不登校に関わること、あるいは家庭的背景としては保護者との不和などが多く見られております。  いずれにせよ、友人関係のトラブルによる孤立、学業不振による自尊感情の低下や厳しい家庭環境が背景に考えられる事例などが見られたところでございまして、子供の自殺の実態を可能な限り正確に捉えて、より実効的な対策を講じていくことが非常に重要な課題であると考えておりますので、引き続き実態把握に努めてまいりたいと考えております。
  70. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  先ほどの佐々木委員質問に対してお答えいただいた内容でも、やっぱりスクールカウンセラーというものも重要だというふうに御指摘いただいていたかと思います。このスクールカウンセラー、地域偏在ということが大変問題になっているということを私耳にいたしておりますけれども、地域偏在についてどのような対策を行っていらっしゃるのか、またそのスクールカウンセラーの雇用形態というものも大変多岐にわたり、そして雇用状態というのが不安定だということも耳にいたしております。  この二問まとめて、どのように文科省としてお考えになっているのか、お答えいただけますでしょうか。
  71. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) 御指摘のように、スクールカウンセラーにつきましては、地域によっては臨床心理士とか精神科医などの資格を有する者が少なく、教育相談業務の経験がある者を活用しているというところも多うございます。  我々は、各都道府県に対してそうした偏在を少なくするよう促していくとともに、国といたしましても、スクールカウンセラーの質の確保、向上のため、各自治体で行われる研修に対する経費の補助であるとか、あるいは国としてのその効果的活用事例の発表、意見交換会の開催など努めているところでございます。  また、スクールカウンセラーの雇用形態でございますが、公立小中学校のスクールカウンセラーは教育委員会に採用され、非常勤の職であります。学校には週一回程度派遣されていることが多いというふうに承知しております。
  72. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  多くのスクールカウンセラーの皆様方が、本当は心理職に就きたい、だけれども非常勤しかない、だからいろんなところでアルバイトしながら必死に学んでいらっしゃると。こういう状況の中で、子供たちは本当に安定した心理状態というものをそのスクールカウンセラーに相談できるのでしょうかということを私はここで疑問を呈させていただきたいと思います。  なお、この公認心理師というような国家資格化も議員立法成立をいたしたところでございます。スクールカウンセラーというような資格、皆様方にとりましても、非常勤からやっぱり常勤体制により良く変えていくべきではないのか、そのためにもスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーというような方々について法的にしっかりと位置付けることも必要かと思いますけれども、文科省の方では審議していただいておりますでしょうか、お答えください。
  73. 伯井美徳

    政府参考人伯井美徳君) 昨年十二月、中央教育審議会の答申、チームとしての学校の在り方と今後の改善方策についてにおきまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを学校等において必要とされる職として職務内容などを法令上明確化することを検討することを提言していただいております。  文部科学省といたしましては、現在、協力会議におきまして、スクールカウンセラー等の今後の役割関係機関との連携の在り方なども含めて具体的な方策を検討しているところでございます。
  74. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これからしっかりと私ども、この基本法も改正が成り、SOSの出し方というものも教育され、では誰に相談をしたらいいのか、それはスクールカウンセラーですよというふうにしっかり我々としても広報していきたいものですから、地位の確立というものを文科省におきましても今後とも御検討いただき、前向きに施策を打っていただきたいとお願いをしたいと思います。  今日は、政務官にもいらしていただいておりますのでお答えをいただきたいんですけれども、これからスクールカウンセラーの質を向上させて、活躍の場というものをより多くつくり出していくというビジョン、プランというものを打ち出していただきたいんですけれども、今現在のところ、そしてこれからのビジョン、教えていただけますでしょうか。
  75. 堂故茂

    大臣政務官(堂故茂君) お答えいたします。  薬師寺先生御指摘のように、児童生徒の臨床心理に関する専門家であるスクールカウンセラーが教育相談において果たす役割は非常に重要であり、その拡充が必要であると考えます。  文部科学省としては、スクールカウンセラーの全公立小中学校への配置を進めるとともに、都道府県が行う研修への財政支援を行うなどにより、質の向上も図っているところです。  また、中央教育審議会においてスクールカウンセラーの職務内容等を法令上明確化することが答申されており、それを受けまして文部科学省としても、スクールソーシャルワーカーとともに、チーム学校に必要不可欠な存在としてスクールカウンセラーの位置付けの明確化や効果的な活用等について引き続きしっかりと検討してまいりたいと思っています。  以上です。
  76. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  私は大学で養護教諭を養成をいたしておりましたけれども、今までは全てを養護教員が受けていた、その心理部門というものを専門家の皆様方に受けていただくことになりまして、本来の業務に戻ることができるというような声もいただいているところでございます。  しっかりとそのスクールカウンセラー、安定した雇用の中でより良く仕事をしていただくような環境整備、よろしくお願い申し上げます。  では次に、大臣、お願いをいたします。  大臣には宿題をさき国会の方からお願いをしていたところでございますけれども、やはり二十代前半の死因五割ということは、しっかり入社時にメンタルの教育というものも必要ではないか、そのためには入社時の安全衛生教育でこのメンタル教育をどのような位置付けにしていくのか、しっかり調査、研究していただきたい、そしてマニュアル化もお願いしたいということ、これは宿題だったかと思いますけれども、検討するというふうに前回お答えいただいておりましたので、その検討状況について御報告いただけますでしょうか。
  77. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 薬師寺先生から宿題をいただいておりました。  新入社員に対するメンタルヘルス教育、これについてはもう前回も申し上げたとおり大変重要だということを厚生労働省としても考えているわけでありますが、先生からいただいたこの御指摘を受けて、厚生労働科学研究費、これで、新入社員を始め若年層に対するメンタルヘルス教育に関しまして効果的な教育内容や、それから各事業主が実施する場合のマニュアルの作成などにつきまして、平成二十八年度から研究を行うということで公募を行ったところでございまして、これ平成二十七年の十二月から二十八年の一月二十八日まで公募期間がございまして、目下四課題の応募があったので、現在選定をいたしているというところでございます。  今後、この研究成果等も踏まえながら、企業における雇入れ時のメンタルヘルス教育の充実を図らなければならないというふうに思っておりまして、このような形で宿題を果たしつつあるということでございます。
  78. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  大変心強く今のお言葉を聞いて、私もこれから産業保健が明るいなというふうに考えているところでございますが、まだまだ問題は山積でございます。  企業におきましてもストレスチェックテストというものが義務化され、これが自殺対策の入口になるということは我々も認識をしているところでございます。しかし、この資料三を御覧いただきましたら、残念なことながら、このストレスチェックの実施者になるための看護師、精神保健福祉士の研修はトータルで五時間でいい、五時間一回受ければこれ一生物だと。自殺対策については、実際にこの学科見ましても明確に位置付けられていない。これは様々な団体に振られておりますので、その団体によっては自殺対策というようなところまでもしかしたら講習で踏み込んでいないかもしれないというようなお答えもいただきました。  本当にこれでよろしいんでしょうか。これから厚労省として所管になるのであれば、せっかく行うこのストレスチェックテスト、研修におきましても、自殺対策というものを明確に位置付け、そしてしっかりとこれから厚労省が管轄していくんだぞということを前向きに示す必要があると思いますけれども、大臣、お言葉いただけますでしょうか。
  79. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) このストレスチェック制度そのものは、事業者が働く方のストレスの程度を把握をしておく、そして、そのために、調査票を用いた検査を実施することなどによって、健康な方や、それから自覚症状のない方を含めて広くメンタルヘルス不調の予防を目的とするということで導入をされたわけでありまして、ストレスチェック制度において、調査票を用いた検査は医師などが行うことになっておりますけれども、看護師それから精神保健福祉士が行う場合は研修の受講が必要だということで、これを義務付けておるわけでありますが、委員指摘のとおり、自殺対策について、今これお配りをいただきましたけれども、自殺という言葉も入っていないということで、明確に研修内容には位置付けられてこなかったということが御指摘をされたとおりでございます。  しかし、ストレスチェック制度推進自殺対策にも当然資するわけでありますし、元々この制度ができる背景は、やはり職場における自殺の重みというものを踏まえた上の制度の導入だというふうにも理解をしているわけでありますので、看護師さん、そしてまた精神保健福祉士が受講をいたします研修内容の一部に自殺対策に関する内容も含めるということについて前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。
  80. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  このストレスチェックテスト、多くの職場でも混乱を来しているような状況で、なかなかなじみがないものを企業側でも受け入れ難い。しかし、本来の趣旨としては、しっかり自分のメンタルの状況がどうなのかということを社員一人一人が自覚しながら、こういったメンタルの疾患に陥ることを予防する、自殺予防につなげるという最終ゴールがございます。  ですから、これから先、せっかく入口をつくっていただけたんですから、自殺対策というものを明確に打ち出していかなければ、なかなかこれ、我々が目の届かないところで様々な団体さんにお願いして研修を行っていただきますので、自殺というその一言があるかないかということだけで随分対応が変わってまいりますし、これはそのストレスチェックの実施者でございます。実施者というものがそういう認識がなく本当に実施していいのかということ、これは大変私は問題があると思っておりますので、これから自殺対策についてだけではなく、様々、産業保健につきましても大臣に御協力をいただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  81. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  自殺の背景にある様々な問題の対策厚生労働省が既に行っているという点で、厚労省自殺対策を担当することで、そうした関連施策との連動性を高めることができるようになるというメリットがあります。しかし、他方、内閣府は、総合調整機能、総合的に他の省庁にもまたがって調整することができるというメリットもあり、これまで担ってきた内閣府のようにできるのかという不安もあります。その点についてどうお考えでしょうか。
  82. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) いわゆる内閣官房・内閣府見直し法、これに基づいて、今年の四月以降、厚生労働省自殺対策に関する各省庁に対する総合的な調整機能を法律的にも有するということとなっているわけでございます。  厚生労働省においては、これまでも、自殺対策にもつながるとして、精神保健医療の充実とか、あるいは生活困窮者への支援の充実、あるいは失業者に対する相談などに取り組んでまいっておるわけでございますけれども、こうした取組に係る知見や、それから自治体とのネットワーク、これまで既に構築をしているわけでありますから、こういったものも生かしながら、各府省との調整に関する内閣府の業務ノウハウ等も円滑に引き継いで、自殺対策にしっかりと取り組んでまいらなければならないというふうに思っております。
  83. 福島みずほ

    福島みずほ君 具体的には、今回の法改正においても、十六条や十七条について文科省が深く関わるものになるし、あるいは十三条の計画作りに関しては総務省が深く関わるものになります。当然、警察庁の自殺統計も今後も対策を進める上で非常に重要なものになります。そうした他府省庁との調整を誰がどのように担うのかについてお聞かせください。
  84. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 縦割りにならないようにという御指摘かというふうに思いますが、厚生労働省への移管後においても自殺対策に関する施策については幅広い分野の施策の連携を図ることが重要だということは今御指摘のとおりでありまして、今後、これを受けて、厚生労働省としては、関係府省との調整に関して業務ノウハウを内閣府からしっかりと受け継ぐということも極めて重要であります。そして、内閣府から厚生労働省自殺対策専任の大臣官房参事官振替設置をいたします。そして、総合調整を担う政策統括官とともに関係業務に当たらせる方向で検討をしているわけでございまして、これは四月から法律成立をいたしますれば行うことでございます。  また、同じ四月から、私が今度この法律に基づいて会長を務めることになります関係閣僚で組織する自殺総合対策会議、この場もしっかりと活用して、私自身も先頭に立って総合的な自殺対策実施に各省と連携をしながら取り組まなければならないというふうに考えております。
  85. 福島みずほ

    福島みずほ君 自殺対策強化月間と自殺予防週間について内閣府にお聞きをいたします。  これまで、どれくらいの都道府県、市町村が自殺対策強化月間中に自殺対策の事業を行ってきたでしょうか。
  86. 安田貴彦

    政府参考人(安田貴彦君) 内閣府におきましては、毎年度、自殺対策強化月間の実施に当たりまして、各都道府県知事及び政令指定都市市長に対しまして月間における啓発事業の実施や各種相談支援等の取組を推進するよう依頼をさせていただくとともに、各自治体から内閣府へ情報提供されました相談会等の開催予定につきまして、インターネット上の支援情報検索サイトで公表をしております。  例えば、今年度の自殺対策強化月間に向けて、各自治体から情報提供をいただき、このサイトに登録された事業は、現時点、昨日現在、二十六道府県、十三政令指定都市を始め、市町村及びその附属機関、民間団体等の千百十九の実施主体によりまして二千六百二十二件の事業を行うということで登録をされております。また、これ以外の都県、政令指定都市の取組についても、今後も自治体からの情報提供を受けて随時更新していく予定でございます。  さらには、支援情報検索サイトに登録されている取組以外にも、正確な事業数として把握しているわけではございませんけれども、例えばテレビCM等の広報事業などの様々な取組が各自治体で行われるものと承知をしております。
  87. 福島みずほ

    福島みずほ君 自殺対策強化月間は、私が二〇〇九年から内閣府の特命担当大臣として自殺対策を担当しているときに、やっぱり三月に自殺が多いので何とかできないかと思って三月を自殺対策強化月間に定めることにしました。全国のハローワークを拠点にした総合相談会を開催するなどしました。せっかく今度厚労省が管轄になるので、ハローワークは国の出先機関であり、そこでハローワークを中心に国、自治体、民間という垣根を越えて総合的に相談を行うということが必要ですが、まず厚労省にお聞きをいたします。  ハローワークが現在関わっているそうした様々な分野の専門家と協力して行う自殺対策関連の相談会というのは、全国でどれぐらいあるでしょうか。
  88. 生田正之

    政府参考人(生田正之君) お答えいたします。  ハローワークにおきましては、求職者の方の心の健康状態の改善に取り組むということは非常に重要な課題だと考えてございます。そのために、全国の主要なハローワークにおきまして臨床心理士などの方による心の健康相談等の実施をいたしておりまして、これにつきましては、平成二十六年度で八千十九件の御相談をいたしております。  それから、地方自治体の方からハローワークに来ていただくというふうな形で、弁護士さんあるいは社会福祉士さん、あるいは精神保健福祉士さんなどの方に巡回相談に来ていただいて対応していただくような形での相談というのをやってございまして、それにつきましては九百五十三件の相談をやってございます。  そもそも、ハローワークにおきまして就労支援をしていくということ自体が自殺対策にとって非常に重要な課題だというふうに考えてございます。これにつきましては、生活保護受給者の方ですとかあるいは生活困窮者の方につきまして、自治体とチーム支援をするということで対応いたしております。  これにつきましては二つのタイプがございまして、一つが、自治体の窓口の中にハローワークの窓口をつくって常設的に御相談に乗るような形で対応するということで、これは百八十か所ぐらい全国にございます。それから、自治体の方にハローワークから出向いて巡回相談の形で対応するというのが全国で八百六十七か所ございまして、全体で千四十七か所で自治体とハローワークで一体的に就労支援をやるという形になってございます。実際の就職件数も伸びてきてございまして、平成二十七年度で、去年の十二月までの数字なんですけれども、六万一千件の就職が実現してございまして、前年の同期比で比べますと一七%増えているということでございます。  こういった自治体と一緒になってやる取組というのは非常に大事だというふうに思っております。こういった就労支援自体が自殺対策という観点でも非常に大事だと思っておりますので、こういった対策は強化していきたいというふうに考えてございます。
  89. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、ハローワークを中心にやっていただきたいと。  私が内閣府特命担当大臣だったときに、二〇〇九年、清水さんは内閣府参与として自殺防止対策について非常に重要な役割を果たしていただきました。命を支える強化月間というような形で、三月の自殺対策強化月間中に全国のハローワークを拠点にして各地の自治体や民間団体と協力して総合相談会、足立区に行ったことを覚えているんですが、総合的にやっていて、そこでいろんな相談ができると。実際、多重債務で悩んでいる人がいて、多重債務のことを相談したら弁護士が、あなたのケース時効に掛かっていますよって、もう何というか、五秒で解決じゃないですけれども、やっぱりそういう、ここに行けば大丈夫というのがあって、今回厚労省移管することでハローワークを中心に、でも様々な、そこでいろんな法律相談もできるし住居の相談もできるしとか、あるといいと思うんですね。  こういうことについて、清水参考人の御意見、是非、総合相談室をハローワークを拠点にということについて御意見をお聞かせください。
  90. 清水康之

    参考人清水康之君) 私も、全国のハローワークのネットワークを有効に活用して全国各地で総合相談会を実施するという、これはもう大賛成ですし、必要なことだというふうに思っています。  失業者というのは、失業だけでなく、まさに生活苦あるいは借金、あと心の健康の問題や、場合によっては家族の問題というふうに、問題を複合的に抱えていることが間々あるわけなので、そうしたときに、やはりこれはハローワークだけでは対応できない、ハローワークと自治体と法律の専門家と精神保健の専門家、あるいはNPOといったような人たちがやはり協力して包括的な支援を提供していかなければならない。  その拠点をどこにするかといったときには、やはりこれは失業者の人たちが多く集まるハローワークでやるというのが一番合理的なものだろうと思いますので、そうした取組は是非進めていく必要があると思いますし、また、足立区においては二〇〇九年以降ずっと継続してこの総合相談会実施しておりまして、今年度も年に七回、計四十八日間、総合相談会を開催している。  こうした総合相談会を開催することによって関係者の連携もより密になっていくというような効果もありますので、是非これは、厚労省にせっかく移るわけですから、拠点をハローワークに設けて推進していっていただければなというふうに思います。
  91. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚労省、いかがでしょうか。
  92. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 今し方、ハローワークを中心としたというお話もございましたが、ただ、せっかく二十七年四月から生活困窮者自立支援制度というのがスタートしておりまして、既に全国九百一の福祉事務所設置自治体が実施主体となって総合的な、包括的な相談体制を整えているところでございます。  この十二月までの相談件数、十七万件を超えているぐらいかなり盛況でございまして、そこでは連携通知も出しておりますけれども、ハローワークももちろん、様々な関係機関と連携をしながら、先ほど多重債務の問題というのもございましたけど、そういう問題も含めて対応しているところでございます。これはこれでしっかりと育てていって対応すべきではないかなというふうに考えているところでございます。
  93. 福島みずほ

    福島みずほ君 生活困窮者自立支援法ももちろんそうですが、私は、先ほど清水参考人がおっしゃったように、やっぱりハローワークに仕事がないというので行く人も多いので、総合相談室、あそこに行けば大丈夫だよねという仕組みを、是非厚生労働省がこれを機会にもっともっと本腰を入れ、かつ自治体とも連携しながらやっていただきたいというふうに思っております。  遺骨について一言お聞きをいたします。  この法律案における遺骨収集の対象者は我が国の戦没者となっておりますが、戦時中の日本の兵隊として動員されたアジア各国の方々遺骨収集や御遺族への返還作業というのについてはどのように取り組んでいかれるでしょうか。
  94. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。  日本政府が行っております戦没者遺骨収集帰還事業は、海外で戦没した我が国の戦没者の御遺骨日本へ送還することを目的として行っているということで、法案第二条に定義されている考え方と一緒でございます。一方で、収集作業の過程において遺留品等により我が国の戦没者以外と思われる御遺骨があった場合には、日本政府の一存で取扱いを決めることもできませんので、現地政府機関に通報の上、適切に対応することになると考えてございます。
  95. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇一五年六月八日の琉球新報の報道によれば、沖縄県での戦没者遺骨について焼骨方針から全ての遺骨を保存する方針に転換したとのことでありますが、その後、この方針どおり、保管しDNA鑑定を行う体制となっているでしょうか。先ほども質問がありましたが、一言お願いします。
  96. 堀江裕

    政府参考人(堀江裕君) 先ほど川田委員のところでも御質問がございましたけれども、新聞は、国の方でDNA鑑定の対象を拡大するという方針、あわせまして沖縄県の対応、受け止めについて報道されたものというふうに承知してございます。  この問題につきましては、一柱でも遺族の元にお戻ししたいという要請と、それから、私先ほど申し上げましたけれども、海外に眠る戦没者遺骨について早期に火葬しお弔いをしていかなければいけないという両方の要請がございまして、政府といたしましては、DNA鑑定に必要な歯の保存をし、それを鑑定に掛けるという方針で取り組んでいるところでございます。
  97. 福島みずほ

    福島みずほ君 時間ですので、終わります。
  98. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  厚生労働委員会というのは、ともすれば対決、激論、強行採決というようなことが起こるんですが、少なくともこの自殺対策については、本当に党派を超えて、この間、十年前から私もこの法案作りにも関わったし、昨年ここでも議論をして、こういった形で、そして実際に法律作ったことによって自殺者の数も減ってきているという、国会がやったことが目に見える形で成果になっているという点では希有な、本当は全部こうじゃなきゃいけないと思うんですけれども、非常に大事な取組だということで議論させていただきたいというふうに思います。  自殺者、そうはいっても、減ったとはいっても二万五千四百二十七人ということで、一日七十人近くということで、非常に深刻なわけです。理由の最も多いのは健康問題ですが、二番目は経済・生活問題ということになっている。無職者が全体の半数以上を占めているというのも、これは大きな特徴ではないかと思います。  やはり、全ての人がかけがえのない個人として尊重され、生きがいや希望を持って暮らすことができるように、その妨げとなる諸要因を取り除く、これはまさに政治責任だと言わなければいけないと思うんですね。  大臣にお聞きしますが、これは基本的な問題ですけれども、やっぱりそのために政治行政ができることは無数にあるわけで、何よりも求められるのは、やはり貧困と格差をなくし縮小していくような経済政策であり、賃上げ、安定した雇用の実現、社会保障の充実ということではないかと思うんですが、大臣認識をお伺いしたいと思います。
  99. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、自殺の原因について御指摘がございました。これは確かに、警察庁の統計による複数回答のデータを御覧になってのお話ではないかというふうに思いますが、平成十九年度以降、警察庁の統計において比較可能な形で把握をしているわけでございますが、自殺者数平成十九年の三万三千九十三人から平成二十六年の二万五千四百二十七人と二三%減少してきたこと自体は大変いい傾向ではあると思います。  この複数回答で見ますと、今お話があったとおり、健康問題が一番ということで、一万四千六百八十四人から、最近、直近では一万二千九百二十人と、これも一二%減少しておりますし、それから経済・生活問題、今先生がおっしゃった経済でありますが、これは七千三百十八人から四千百四十四人ということで四三%減少しているということで、傾向としては最近減少が、特に経済でも減ってきているということで、健康問題が原因であるという方が引き続き経済・生活問題を原因としている方の約三倍おられるということでございます。  経済・生活問題を原因とする自殺者数を減らしていくことには、御指摘のとおり、経済の発展と安定した雇用というもの、それをつくっていくことが大事だということだと私どもも考えておりますが、さらに、これは社会保障制度を通じて厳しい状況にある方にはしっかりと援助の手を差し伸べるということが重要であって、一人親家庭や生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への相談、就労支援、こういったことを総合的な支援として提供をしっかりしていくということが大事であり、そのように取り組んでいるところでございます。  今後、厚労省としても、自殺対策移管をされるわけでございますので、それに伴って、各省庁とも連携しながら、より自殺に関するデータを詳細に分析をし、自殺を考える方を減らすべく、様々な角度から対策を打っていきたいというふうに思っております。
  100. 小池晃

    小池晃君 そこで、昨年ここでも質問した自殺未遂者あるいは未遂者家族支援問題について聞きたいんですが、自殺未遂というのは自殺の最大のリスクファクターとも言われています。つまり、未遂を経験している人は再びそういう行動に至るリスクが非常に高い。裏を返せば、自殺対策においてそうした自殺未遂者に対する対策というのが非常に重要な柱になるということだと思います。  清水参考人にお伺いしますが、一年前この委員会決議したときに、大臣は、しっかりと、自殺未遂者支援を行うためには情報収集が大変重要だということと、それから、救急搬送データのより細かな分析、医療機関、関係省庁と連携して、そして更に情報収集、共有の強化を図って未遂者支援に取り組むと答弁されたんですね。  参考人は様々自治体で関わってこられたと思うんですが、この、大臣は重要だというふうに一年前おっしゃったことが実際現場では進んだというふうにお感じになりますか。
  101. 清水康之

    参考人清水康之君) 自殺未遂者支援を行うに当たって、その実態の把握が極めて重要であるということは、これは間違いないと思います。  ただ、その一方で、じゃ、そうした実態の把握が各地域で行われているか、進んだかというと、私はそれはとてもそうは思えません。自治体によっては、自殺対策の連絡会あるいは協議会などでその当該地域の消防署が部外秘という形で提供してきた自損、自殺未遂に関する情報を共有し、それを基にして対策を立てるということもあることはあるんですが、ただ、極めて例外的であって、それが全国で行われているかというと、決してそうは思いません。  ですので、あらゆる地域自殺未遂に関する、自損に関するデータがしっかりと共有されて、その実態に基づいてそれぞれの地域自殺未遂者支援ができるような枠組みを、これは地域現場でつくるということは無理ですので、これはしっかりと国の方でつくっていただく必要があるんではないかというふうに思っています。
  102. 小池晃

    小池晃君 一年前ここで質問したときは、厚労省としては未遂者の数は把握していませんと、総務省に聞いたら数字が出てきたというような議論があったんです。今あったように、まだまだその連携が不十分ではないかという指摘大臣、どう受け止めますか。やっぱり、厚労省と総務省との間で情報を共有するための必要な枠組みというのは整備する必要があるんじゃないかと。そういう協議やっていらっしゃいますか。
  103. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今御指摘のとおり、私の方からこの委員会で、救急搬送データを収集し活用するということが極めて大事だということを申し上げました。  内閣府では、消防庁からの情報によって、自損行為による救急車の出動件数、それから、搬送人数を把握すると同時に、自損行為による救急搬送率の男女別、年代別の分析とか重症度評価を行うなどの情報の共有と連携を行ってきたというふうに理解をしております。  厚労省としても、これは内閣府から業務移管をされるわけでありますから、その後は、救急搬送データ等を含めて、今お話を申し上げたとおり、総務省と内閣府が情報共有をしていたのと同じように引き続いて連携をし、そしてこのような情報共有とか、それから更に深い分析をするということを続けていかなければならないというふうに思っておりますので、そういう中で自殺未遂者の支援をどうやるのかということも更に考えていかなければならないというふうに思っております。  基本的に、今先生がおっしゃったとおり、厚労省としても今まで以上にこういった情報を入手をして分析をし、総務省とも一緒になって対策をどう打っていくかということについて考えていかなければならないというふうに思います。
  104. 小池晃

    小池晃君 かつて自殺の統計は警察が持っていたんだけど、それが出されなかったと。これはここでも問題になって、やはりそれが生かされるようになった。それで全面的に提供されるようになった。これは地域自殺対策推進させる大きな力になったと私は思うんですね。やっぱりマクロのデータだけじゃなくて個別のデータも含めて、これは綿密に連携取り合いながらやっていくことが私は非常に効果的だし、それは本当に待ったなしの課題になっているということを改めて強調したいと思うんです。  それから、自殺未遂者対策も含めて財源なんですが、これも昨年この場で質問しまして、安定的な恒久財源が必要ではないかと私言ったんですけど、そうしたら大臣は、来年度分は何とか頑張りますみたいな、そういう答弁だったんですが。来年度分は初めて当初予算として内閣府が地域自殺対策交付金を要求したわけですね。これ確認ですが、厚労省としても再来年度分要求する際は、これは当初予算でしっかりやるとお約束いただけますか。
  105. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、今回、今までの補正から当初で要求するということをやったわけでありますから、当然その次も同じようにやっていくという心構えで今臨んでいるところでございます。
  106. 小池晃

    小池晃君 厚労省移管されて後退したなどということはまかり間違ってもないようにしていただかないといけないというふうに思うんですね。  それから、現場の声で、この交付金なんですけれども、もっと使い勝手を良くしてほしいという声なんですよ。負担率、これをもっと自治体の声が反映されるような仕組みにすべきなんじゃないかと。  例えば、自殺未遂者支援は、今年度はこれ重点課題だということで十分の十付けているんですね。しかし、じゃ来年度以降はどうなるのかということはよく分からないということがあるわけですよ。来年度分はこれ国からの補助三分の二に減らされるということになって、今年度は十分の十だったけど来年度は三分の二だと、こういう困惑が起こっております。ほかにも、対面相談、電話相談事業も、今年度は四分の三補助なのが来年度は二分の一だと。私は、こういうふうにころころ変わると、自治体としてはやってはみたものの、その後ちゃんと続けられるかどうか不安になるわけで、これではいけないんじゃないかと。  自殺対策の到達点というのは自治体によって全然違うわけです。自治体によってやっぱり必要な施策というのはそれぞれ自治体ごとに違うと思うんです。だから、私は、自治体がその時々で重点課題だと位置付けるものについてはこれは十分の十出す、思い切って自治体の判断でやっていけるような仕組みをつくっていく、そういう工夫が必要なのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
  107. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これまで地域自殺対策緊急強化交付金として補正予算でやってきたわけでありますが、来年度予算については当初から地域自殺対策強化交付金ということで、自殺対策計画策定とか、あるいは自死遺族支援といった新しい事業もこの対象に加えるということにしております。  今回の法律でもございますが、国と地方の責務、あるいは地方自治体において計画を策定するといった役割を新たに明定をするということをしていただいているわけでございまして、こういうことで地方自治体の役割というものも法律の中でも明記をされ、位置付けられたわけでございます。  そういうことで、私どもとして、自治体の応分の負担というものも考え、今申し上げたように交付金の対象ももちろん広げていくわけでありますが、地方自治体の応分の負担というものも法律にのっとって考え方を広めていくということで補助率を見直したわけでございまして、その結果、二十六年度の補正予算と同額の二十五億円を二十八年度の当初予算として計上して、事業規模自体は三十四億円から四十億円へ増加をさせているわけでございます。  当該交付金の運用に当たっては、地域の実情に応じた事業が実施できるように配慮をしてまいりたいと思いますし、地方公共団体にも当然それぞれに応じた事業もやっていただければというふうに思います。  地域において行われる自殺対策を継続的に実施していくことは重要な課題であることは言うまでもないわけで、今後とも、地方公共団体とともに国においても必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思います。
  108. 小池晃

    小池晃君 いや、だから、地域に応じた課題やっていただきたいといいながら、最初には十分の十付けて、だんだん下げていくというやり方したら自治体は安心してできないでしょうと。やっぱりその辺はもっと思い切って、自治体が裁量を発揮できるような仕組み考えたらどうですかということなんです。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、先ほど申し上げたとおり、今回見直しをしたわけであって、これをまた毎年変えていくみたいなことを考えているわけでは決してないわけでございます。  やはり、法律で、国と地方公共団体合わせて、それぞれ地域で暮らす方々自殺をされる可能性があるということをどう防ぐかということでありますので、それぞれ役割を担いながら力を合わせて自殺対策を行っていくということが大事ではないかというふうに思いますので、十分の十にすることだけが対策ということではないのではないかと。その代わりメニューも増やしていくということも同時にやらせていただいているわけでございます。
  110. 小池晃

    小池晃君 いや、全部十分の十にしろと言っているわけじゃないんだけど、要は、自治体が自分たちの裁量で判断して、後になってはしご外されるみたいな仕組みはやっぱり見直すべきだと言っているので、是非検討していただきたい。  私は、現場でそれぞれ知恵絞ってやっているんだから、それをやっぱり後押し、応援するようなことをやるのが厚労省仕事なので、足引っ張るようなことになってはまずいでしょうということなんですよ。そこをよく考えていただきたいということであります。  遺骨収集の問題、時間来ちゃったので、済みません、じゃ、これは後日改めて質問させていただきます。  終わります。
  111. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  112. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 次に、自殺対策基本法の一部を改正する法律案に関する件を議題といたします。  本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしております草案を提出することで意見が一致いたしました。  まず、草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。  我が国の自殺対策は、平成十八年に自殺対策基本法が制定されて以降、大きく前進しました。それまで個人の問題とされてきた自殺社会の問題として広く認識されるようになり、地域状況に応じた自殺対策全国実施されるようになりました。平成十年に急増し、その後長らく年間三万人を超え続けてきた自殺者数は、平成二十二年以降六年連続で減少し、平成二十七年は約二万四千人となっています。最も多かった平成十五年と比較すると、一万人以上の減少です。  しかし、平成十八年から平成二十七年までの十年間だけでも、我が国の自殺者数は約三十万人に上り、平成二十七年にも一日に平均六十六人が自殺で亡くなっております。人口十万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率についても、我が国は主要先進七か国で最も高く、また、十代後半から三十代の死因第一位が自殺であり、児童、生徒を含む若年世代自殺も深刻な状況のままです。さらに、自殺で亡くなる人の四倍から五倍とも言われる、残された家族の数も増え続けています。  自殺の背景には、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などの様々な社会的要因があることが知られています。  政府自殺総合対策大綱においても、自殺は、その多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題であるとされ、そうした基本認識の下、自殺対策は、国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業、国民等の関係者の連携による包括的な生きる支援として展開されるべきことがうたわれています。そして、これを踏まえ、地域の先駆的な取組を通じて得られた知見や経験を広く全国各地における対策に還元していくこと等が求められており、地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策への転換を強力に推進していくことが必要です。  こうした観点から、平成二十七年六月二日には、本委員会において、全会一致をもって自殺総合対策の更なる推進を求める決議を行いました。この決議において、我々は、非常事態はいまだ続いており、我が国の自殺問題は決して楽観できないとの認識を共有するとともに、誰も自殺に追い込まれることのない社会を実現するため、立法府責任において、政府に対し自殺総合対策の更なる推進を促すとともに、自殺対策基本法改正等法整備に取り組む決意を宣言したところであります。  本案は、この決議を踏まえ、自殺対策基本法を改正し、自殺対策を、地域レベルの実践的な取組による生きることの包括的な支援としてその拡充を図り、更に総合的かつ効果的に推進していこうとするものであります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、目的規定において、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、対処していくことが重要な課題となっている旨を明記することとしております。  第二に、基本理念として、自殺対策が生きることの包括的な支援として実施されるべきこと、関連施策との有機的な連携が図られ総合的に実施されるべきこと等を明記することとしております。  第三に、自殺予防週間及び自殺対策強化月間について規定することとしております。  第四に、都道府県は都道府県自殺対策計画、市町村は市町村自殺対策計画をそれぞれ定めることとするとともに、国は、これらの計画に基づいて当該地域状況に応じた自殺対策のために必要な事業等を実施する都道府県又は市町村に対し、交付金を交付することができることとしております。  第五に、基本的施策を拡充し、自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するための調査研究等の推進及び体制整備自殺対策に係る人材の確保等に必要な施策を講ずるに当たっての大学等との連携協力、困難事態等における対処の仕方を身に付けるための教育又は啓発を始めとする学校における児童、生徒等の心の健康の保持に係る教育又は啓発等について規定するほか、医療提供体制整備として、精神科医とその地域における心理、保健福祉等に関する専門家、民間団体等との円滑な連携の確保等を追加することとしております。  第六に、政府は、自殺対策推進につき、必要な組織整備を図ることとしております。  なお、この法律は、平成二十八年四月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  それでは、本草案を自殺対策基本法の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  115. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 次に、戦没者遺骨収集推進に関する法律案を議題といたします。  提出者衆議院厚生労働委員長渡辺博道君から趣旨説明を聴取いたします。渡辺博道君。
  116. 渡辺博道

    衆議院議員(渡辺博道君) ただいま議題となりました戦没者遺骨収集推進に関する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  今次の大戦の終結から七十年が経過し、戦没者の御遺族を始め自らも今次の大戦を体験した国民高齢化が進展しております。戦没者の御遺骨については、昭和二十七年度以来、政府が収容を実施し、これまでに約百二十七万柱が収容されたものの、いまだ多くの御遺骨の収集が行われていない現状にあります。  本案は、こうした状況に鑑み、戦没者遺骨収集推進に関し国の責務を明らかにするとともに、戦没者遺骨収集実施に関し基本となる事項等を定めることにより、戦没者遺骨収集推進に関する施策を総合的かつ確実に講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、戦没者遺骨収集とは、今次の大戦により沖縄、東京都小笠原村硫黄島その他厚生労働省令で定める本邦の地域又は本邦以外の地域において死亡した我が国の戦没者遺骨であって、未収容又は未送還のものを収容し、本邦に送還し、当該戦没者遺族に引き渡すこと等をいうこと。なお、戦没者には、今次の大戦の結果、本邦以外の地域において強制抑留中に死亡した者を含むものとすること。  第二に、国は、戦没者遺骨収集推進に関する施策を総合的に策定し、確実に実施する責務を有すること。また、国は、平成二十七年度以降十か年間を、戦没者遺骨収集推進に関する施策の集中実施期間として、戦没者遺骨収集を計画的かつ効果的に推進するよう必要な措置を講ずるものとすること。  第三に、政府は、戦没者遺骨収集推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置等を講じなければならないこと。  第四に、政府は、集中実施期間における戦没者遺骨収集推進に関する施策を総合的かつ計画的に行うため、基本計画を策定しなければならないこととし、基本計画は、戦没者遺骨収集推進に関する施策についての基本的な方針等の事項について定めるものとすること。  第五に、国は、戦没者遺骨収集に必要な情報の収集等を推進するため、国内外の施設等において保管されている文献の調査その他の情報の収集に必要な体制整備等の措置を講ずるものとすること。  第六に、国は、本邦以外の地域における戦没者遺骨収集に必要な情報の収集及び戦没者遺骨収集の円滑な実施を図るため、関係国の政府等と協議等を行い、その理解と協力を得るよう努めなければならないこと。  第七に、国は、戦没者遺骨収集が行われるべき地域について、その地域状況に応じ、戦没者遺骨収集を計画的かつ効果的に実施するものとするとともに、収容された遺骨に係る戦没者特定を進めるため、遺骨の鑑定及び遺留品の分析に関する体制整備等の措置を講ずるものとすること。  第八に、厚生労働大臣は、戦没者遺骨収集に関する活動を行うことを目的とし、未収容又は未送還の戦没者遺骨の収容、送還等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる一般社団法人又は一般財団法人を、その申請により、全国を通じて一個に限り、当該業務を行う者として指定することができること。  なお、この法律は、平成二十七年十月一日から施行することとしております。  以上が本案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  117. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について島村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。島村大君。
  118. 島村大

    島村大君 私は、ただいま議題となっております戦没者遺骨収集推進に関する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表して、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  修正の要旨は、この法律の施行期日を「平成二十七年十月一日」から「平成二十八年四月一日」に改めるとともに、これに併せて、戦没者遺骨収集推進に関する施策を集中的に実施する期間を「平成二十七年度以降十箇年間」から「平成二十八年度から平成三十六年度までの間」に改めるものであります。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  119. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) これより原案及び修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに戦没者遺骨収集推進に関する法律案について採決に入ります。  まず、島村君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 全会一致と認めます。よって、島村君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。
  122. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私は、ただいま可決されました戦没者遺骨収集推進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、維新・元気の会、おおさか維新の会、無所属クラブ及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     戦没者遺骨収集推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、戦没者遺骨収集推進に当たっては、戦後七十周年を迎え、戦没者遺族高齢化が進展している現状に鑑み、平成三十六年度までの集中実施期間において遺骨収集が確実に実施されるよう、職員の配置、関係行政機関との適切な連携など、遺骨収集のための体制を十分に確保するとともに、必要な財政上の措置を講ずること。また、事業の実施状況について、定期的に本委員会に報告を行うとともに、有識者会議において検討を行い、その結果や助言等を踏まえ、事業の在り方について適宜是正・改善を行いながら、事業を実施すること。  二、戦没者遺骨収集や情報収集に当たっては、相手国の国民感情にも十分配慮した上で、関係国の政府等の理解と協力を得て実施すること。また、現地の事情に精通し、幅広い情報網を有する民間団体等との連携を強化し、支援すること。  三、戦没者遺骨から抽出したDNA情報のデータベース化に当たっては、できる限り多くの遺骨の身元を特定遺族に引き渡せるよう、遺族からの幅広いDNA検体の提供の仕組みについて検討すること。また、DNA情報を始めとする個人情報の管理に当たっては、漏えい、目的外使用等の事態が生じないよう厳格な措置を講ずること。  四、指定法人の指定に当たっては、遺骨収集及び情報収集に関する経験や知見に十分配慮し審査を行うこと。また、指定法人による業務が適正かつ確実に実施されるよう、指定法人に対する指導・監督に万全を期すとともに、その業務運営の透明性と適正な実施を確保するため、指定法人から厚生労働大臣に提出される事業報告書及び収支決算書を公表すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  123. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) ただいま津田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 全会一致と認めます。よって、津田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎厚生労働大臣
  125. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  126. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 三原じゅん子

    委員長三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会