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2016-05-10 第190回国会 参議院 外交防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年五月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      高野光二郎君     宇都 隆史君      浜野 喜史君     大野 元裕君      杉  久武君     石川 博崇君  五月十日     辞任         補欠選任      大野 元裕君     牧山ひろえ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 正久君     理 事                 古賀友一郎君                 塚田 一郎君                 三木  亨君                 榛葉賀津也君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 片山さつき君                 中曽根弘文君                 中原 八一君                 堀井  巌君                 小野 次郎君                 大野 元裕君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 牧山ひろえ君                 石川 博崇君                 井上 哲士君                 浜田 和幸君               アントニオ猪木君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    武藤 容治君    大臣政務官        外務大臣政務官  山田 美樹君        厚生労働大臣政        務官       太田 房江君        防衛大臣政務官  藤丸  敏君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       谷脇 康彦君        外務大臣官房審        議官       大菅 岳史君        外務大臣官房審        議官       相木 俊宏君        外務大臣官房参        事官       大鷹 正人君        外務大臣官房参        事官       吉田 朋之君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        外務省経済局長  金杉 憲治君        外務省領事局長  能化 正樹君        防衛大臣官房審        議官       山本 達夫君        防衛大臣官房審        議官       辰己 昌良君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君        防衛装備庁長官  渡辺 秀明君        防衛装備庁装備        政策部長     堀地  徹君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        田中  聡君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○投資相互促進及び相互保護に関する日本国と  オマーン国との間の協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○投資相互促進及び相互保護に関する日本国と  イランイスラム共和国との間の協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○外交防衛等に関する調査  (北朝鮮情勢に関する件)  (世界エイズ・結核・マラリア対策基金に関す  る件)  (戦没者遺骨収集事業に関する件)  (日中関係に関する件)  (日露関係に関する件)  (フィリピンへの海上自衛隊練習機の貸与に関  する件)  (領事業務の代行に関する件)  (普天間飛行場移設問題に関する件) ○刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイ  ラン・イスラム共和国との間の条約締結につ  いて承認を求めるの件(第百八十九回国会内閣  提出、第百九十回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、杉久武君、浜野喜史君及び高野光二郎君が委員辞任され、その補欠として石川博崇君、大野元裕君及び宇都隆史君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  投資相互促進及び相互保護に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官谷脇康彦君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 投資相互促進及び相互保護に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件及び投資相互促進及び相互保護に関する日本国イランイスラム共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。  今日は、まず冒頭に、先週六日行われました日ロ首脳会談中心的議題となりました北方領土問題について伺いたいと思います。  安倍総理プーチン大統領との会談は三時間以上にわたって精力的に行われ、通訳のみを交えた両首脳一対一会談も行われたということでございまして、安倍総理のこの難問に対する一方ならぬ熱意を感じますとともに、解決に向けた期待を抱かせる会談結果と受け止めており、心から敬意を表するところでございます。  その中で一点お尋ねしておきたいのは、この一対一会談において共有されたと報じられております、今までの発想にとらわれない新しいアプローチとはどのようなアプローチかということでございます。これは、これまでの交渉の停滞を打破して双方受入れ可能な解決策を得るための手法と言われておりますけれども、私が思いますに、これまでは北方領土問題だけをスコープしてきたために交渉も行き詰まってしまったけれども、これからは、経済問題や安全保障問題など、より範囲を広げて交渉することによって双方が納得できる結論を得ようということと受け止めておりますけれども、そういう理解でよいのかどうかということでございます。  その際、最も気になるのは、今までの発想にとらわれないとはいっても変えてはいけない部分も当然あるわけでございまして、特に、我が国固有領土であります北方四島は我が国主権下にあるという我が国としてこれは譲れない一線を変更するものではないということでよいのかを確認させていただきたいと思いますので、これは岸田大臣から御答弁いただきたいと思います。
  7. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘日ロ首脳会談ですが、まず、五月六日の日ロ首脳会談に先立って、四月十五日に日ロ外相会談を行いました。その外相会談段階において、この北方領土問題について、双方の歴史的な解釈あるいは法的な立場、こうした違いはあるものの、その上に立って双方受入れ可能な解決策を作成していくことを確認いたしました。従来、日ロ間においては、歴史的な解釈ですとか法的な立場の違い、こうした議論が行われてきたわけですが、この四月十五日の外相会談において、そういった違いはあるものの、その上に立って双方受入れ可能な解決策を作成していく、これが確認されています。  五月六日の首脳会談は、その外相会談での確認を踏まえて行われたわけです。そして、これまで停滞してきた交渉に突破口を開くために、今までの発想にとらわれない新しいアプローチ交渉を精力的に進めていく、こういったことで一致をしました。そして、この平和条約交渉の次回会合を六月に東京で実施すること、こういったことで一致をした次第であります。  経済との関係ですが、首脳会談我が国が提示したこの協力プランは互恵的な形で経済分野での協力促進することを意図したものですが、御指摘の新しいアプローチとは、この平和条約締結交渉におけるアプローチに関するものであって、当該協力プランとは直接は関係ないという位置付けになっております。  具体的な内容については、今の段階で、交渉という事柄の性質上、具体的なものを申し上げることはできませんが、いずれにしましても、この四島の帰属の問題を解決して平和条約締結するという日本側の基本的な立場は何ら変更はありません。この四島は我が国固有領土であるという我が国立場、これは全く変わりませんし、そして交渉においては、今申し上げたように、四島の帰属の問題を解決して平和条約締結すること、これは日ロ間でしっかり確認をしている、これも変わらないということであります。
  8. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  双方、主張の違いはあるけれどもということを前提に、我が国はこれまでの固有領土であるということを変えることはないと、そういうふうな御答弁だということで、ここは我が国としては本当に譲れない一線だと思います。  先ほど八項目の協力については直接は関係ないというお話ではございましたが、逆を言えば、この譲れない一線の代わりにと言ってはなんですけれども、そういった、範囲を広くして交渉していこうということではないのかなと私は思っておりますし、そういったこともよくよく政府におかれては考えていただきまして、今後、精力的に交渉をしていただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。  それでは、今日、本来の議題でありますオマーンイラン投資協定に関して伺いたいと思います。  この協定は、お互いに安心して投資できる環境を整備するための条約ということで、私も推進すべきと考えておりますけれども、一点確認しておきたいことがございます。それは、双方食料安全保障は担保されているのか、すなわち、投資受入れ国食料難に陥った場合に自国内で生産された食料国外に持ち出すことを、輸出することを阻止できるのかということであります。  今、世界では、将来の食料不足を見据えまして、企業等農業投資として国外農地を囲い込むランドラッシュと言われる農地争奪戦が繰り広げられておりまして、農民が土地を取り上げられたり必要な食料を確保できなかったりと様々なトラブルを引き起こして、新植民地主義との批判もなされております。  農業投資をどう秩序あるものにしていくかは世界的なテーマでございまして、我が国も責任ある農業投資のコンセプトを提唱し、国連食糧農業機関など四つの国際機関取組支援しているようでございますけれども、私は、この問題は、途上国支援の側面だけではなくて、食料自給力の弱い我が国自身食料安全保障としても警戒すべき問題だと思っているところでございます。  そうした観点から今回の協定を見てみますと、イランとの協定では、いわゆるパフォーマンス要求は禁止されておりまして、投資受入れ国自国内で生産された農産物を国外輸出されるのを止めてはいけないわけでございますけれども、一定例外措置は認められているようであります。  他方オマーンとの協定では、パフォーマンス要求は禁止されておりませんけれども、この協定上の制限よりも、WTO加盟国としての輸出制限禁止の方がどうなっているのか確認しておく必要があると思っております。  そこで私がお尋ねしたいのは、これまで我が国締結してきた投資関連協定三十五本、そして今回の二協定TPPなど署名済・未発効のものが六本あるということのようでございますけれども、これらの投資関連協定投資受入れ国食料安全保障というのは担保されているのかどうか、またWTO協定上はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。
  9. 金杉憲治

    政府参考人金杉憲治君) お答えいたします。  これまで我が国が署名いたしました投資協定あるいは投資章を含む経済連携協定では、投資受入れ国公共の福祉に関する正当な目的のために必要かつ合理的な措置を講ずることを妨げるものではございません。したがいまして、こうした投資関連協定によって我が国食料安全保障上必要な措置が妨げられることは想定しておりません。このことは、本日お諮りしておりますイラン及びオマーンとの投資協定についても同様でございます。  ちなみに、イランとの投資協定では、先生御指摘のとおり、輸出制限に関する一般的な規定はございますけれども、同時に、第十三条において国家一定公共目的のために必要な措置をとることを妨げられないとする一般的な例外が定められておりまして、食料安保目的とする必要な措置が不当に制限されることはございません。  また、オマーンとの投資協定につきましては、オマーンイランと違いましてWTO協定当事国でございます。したがいまして、WTO協定上、ガットの第十一条において食糧危機等の際の輸出入制限例外とされているほか、同じくガット第二十条に一般的例外規定が置かれておりますので、食料安保目的とする必要な措置が不当に制限されることはないという理解でございます。  以上でございます。
  10. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  ややちょっと抽象的な表現なものですから少し心配だったわけでありますが、今、しかと御答弁いただきましたので、安堵いたしました。現在交渉中のものもこれ十五本あるというふうに伺っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。  次に移ります。今日の議題とはそれて恐縮でございますが、慰安婦問題に関する日韓合意について伺いたいと思います。  昨年末の日韓外相会談におきまして、両国の懸案でありました慰安婦問題につきましては、最終的かつ不可逆的に解決されることが確認をされました。困難な交渉に当たられた岸田大臣始め政府当局の皆様に対し、心から敬意を表する次第でございます。  私は、今回の合意の中で最も重要な部分は不可逆的な解決という文言だと、このように思っておりますので、まず、この不可逆的にという言葉意味について確認をさせていただきたいと思います。  不可逆というのは、私も化学の授業でぐらいしか聞いたことがなかったので少し驚いたんですけれども、元に戻れないという意味でございますので、今回の不可逆的に解決されるということは、もはや蒸し返されることのない解決であるという、そういう意味だと理解してよろしいんでしょうか。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年末の日韓合意ですが、この日韓政府合意によって慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される、このようになった次第です。そして、委員の方から、これは蒸し返されることがないということでいいのかという御質問ですが、この言葉を別の言葉に置き換えることが適切かどうかは分かりませんが、趣旨としては委員がおっしゃる趣旨と同じではないかとは思います。  ただ、いずれにせよ、もうこの合意両国外相が発言したとおりであり、それが全てであります。韓国政府もこの最終的、不可逆的な解決等文言を含んだ合意に基づいて対応されるものであると我々は認識をしておりますし、我が国もこの合意文言を誠実に履行することが重要であると考えております。
  12. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  趣旨はそういうことだということでございまして、両国がそのことをしっかりとやっぱり確認をしながらやっていくことが重要だと思っております。  この問題については、本来、既に一九六五年の日韓請求権協定において両国間の請求権問題は完全かつ最終的に解決されていたはずであるにもかかわらず、吉田清治という人物の虚言と、それを利用した朝日新聞の虚偽の報道によって国際的な政治問題化していったといういきさつを考えますと、大変これは複雑な思いを禁じ得ないところではございますけれども、今回の合意が政治的にも真に最終的な解決になるのであれば、私は、何としても両国政府にはこの合意内容をしっかりと履行していただきたいと、このように思っております。  そのためには、まず韓国政府に、元慰安婦支援のための財団設立とともに、ソウルの日本大使館前にある少女像移転に取り組んでもらう必要があるわけでございますけれども、韓国政府も相当苦労しているようでございまして、報道によりますと、財団については来月の設立を目指して調整が進められているとのことでございますけれども、少女像移転についてはかなり難航しているようでございます。  もちろん、我が国としては、少女像移転された上で設立される財団に十億円拠出するのが理想でございますけれども、報じられているとおりに事が進んだとすれば、財団設立めどは立ったけれども少女像移転めどは立っていないという状況に直面すると思われるわけでございます。  その場合に我が国はどうすべきかということであります。少女像移転がなければ十億円を拠出すべきでないという意見もございます。確かに、国民の貴重な税金から支出するわけでございますし、この問題のシンボルとなっている少女像を撤去することこそが最終解決だという意見も私は十分理解をできます。  しかし、大局的見地に立って我が国国益を考えれば、少女像移転よりも重要なことは、この問題の最終解決のために我が国がなすべきことを誠実に履行したことを、韓国側はもとより、広く国際社会に認識してもらうことであると、このように考えております。  もしも我が国少女像移転しない以上拠出しないという姿勢を取れば、今回の合意移転と拠出が特にリンクされているわけでもない以上、我が国合意の履行を停滞させたということになってしまい、より大きな国益を損ねるのではないかと懸念をいたしております。  したがって、韓国政府移転を求め続けることはこれは当然であるとしても、韓国政府が特に移転取組を怠っているという状況にないのであれば、たとえ移転がまだ実現できていなくても、財団設立されることになれば十億円を拠出するほかないとこれは考えますけれども、岸田大臣のお考えを伺いたいと思います。
  13. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の合意においては、日本側は、韓国政府が元慰安婦の方々の支援目的として設立した財団に資金を拠出し、韓国側は、日本政府日本大使館前の少女像に対し公館の安寧、威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても適切に解決されるよう努力する、こういった内容になっております。  この今回の合意は、日韓外相共同記者発表の場で発表した内容に尽きているのであって、それ以上でも以下でもありません。この発表した文言に従って日韓それぞれが今回の合意を責任を持って実施をする、これが重要であり、これが全てであります。  今の御質問に対しては、それぞれがこの内容を誠実に履行するべく努力をする、それに尽きているということでございます。
  14. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  私自身も、まだ公の場で白黒言う段階ではないかもしれないなと、そういうのは分かっております。ただ、やっぱり政府としては腹はくくっておく必要はあるのではないかということでございまして、是非適切な御判断をなされますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、次に移ります。中国輸入税引上げ問題についてでございます。  先月八日、中国政府は、中国人が国外で購入して中国内に持ち込む製品に対する関税、正確には関税でなくて輸入税と言うようでありますけれども、そうした税金を大幅に引き上げる措置をとりました。例えば、テレビは二〇パーから三〇%へ、化粧品やお酒は五〇パーから六〇%、高級時計ゴルフ用品に至っては三〇%から六〇%へと倍増させるといった内容であります。その狙いは、日本などでのいわゆる爆買いに歯止めを掛けて中国国内の消費を活性化させたいということのようでございます。  この点、もちろん中国政府としても相当危機感があるようでございますが、先週の報道では、我が国大手百貨店の売上げが落ちたという報道もございました。それぞれの国にそれぞれの事情はございますけれども、いずれにしても、中国WTOに加盟している国として最低限そのルールは守ってもらう必要があると思っております。  そこで、今回の輸入税引上げWTO上問題がないのか検証をして、必要とあれば是正を求めていくべきと考えますけれども、政府対応を伺いたいと思います。
  15. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) お答え申し上げます。  中国税務当局発表によりますと、中国政府は、中国国外から個人によって携帯される、あるいは郵送で運ばれる物品に対して課せられる輸入税の一部の税率を四月八日付けで引き上げたというふうに承知をしておりますけれども、この輸入税の詳細については現在調査中でございます。調査の結果を踏まえて、要すれば必要な対応を実施したいと思っております。  一般論ですが、WTO加盟国関税等に関する措置について疑義がある場合には、日中間協議、それからWTO等のあらゆる機会及びルートを通じて中国に対して確認を行い、WTO協定に違反している可能性がある場合には、WTO物品理事会物品の貿易に関する理事会等に提起をして是正を求めることも可能であります。  いずれにしても、まずは調査の結果を踏まえて必要な対応を検討し、実施していくところでございます。
  16. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 終わります。ありがとうございました。しっかりやっていただきたいと思います。
  17. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民進党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  日・オマーン、日・イラン投資協定について質問させていただきたいと思います。  オマーンイラン共我が国へのエネルギー資源の貴重な供給源でございます。  イラン世界第四位の原油埋蔵量天然ガス世界第一位の埋蔵量でございます。資源のまさに超大国、日本原油輸入先としては第六位、歴史的にも、我が国は、米国との外交一線を画してでもイランとの独自の外交関係を築いてまいりました。まさに伝統的な友好国でございます。  他方オマーンは、我が国原油輸入先としては第八位、天然ガスは第九位と。ただ、このオマーンという国は、皆さんには釈迦に説法ですけれども、まさにホルムズ海峡を通らずにエネルギー我が国に供給できるという点では極めて地理的には重要な国だと思っています。  しかし、オマーンというのは、資源埋蔵量は必ずしも豊富ではございません。しかし、だからこそ、エネルギー産業に依存しない産業多角化、これを国家プロジェクトとして、例えば漁業であるとか観光分野であるとか、まさに国家プロジェクトとして投資促進している、受入れ促進をしているというふうに把握をしております。極めて重要な二か国との投資協定だと思っています。  先ほど古賀理事からもございましたが、我が国はこれまでに二十四か国、投資協定、それぞれ微妙に中身は異なるわけでございますが、EPAの中にも投資章を設け、またTPPの中にも投資章が設けられていると把握をしております。  私は、大臣経済連携協定だとか投資協定、こういうものを本当に現場で緻密に交渉されている外交官、本当に尊敬いたします。かつて麻生先生が外務大臣のとき、ガットの議論を私が、当時、まだ政権交代する前の野党でございましたが、させていただきました。大臣が、榛葉君、ガットのことを交渉する外交官をガッチャマンと言うんだ、このガッチャマンというのは非常に大事なんだとおっしゃっていました。TPP交渉も、それぞれ各党思いはありますけれども、現場で交渉された方々は並々ならぬ努力だったと思います。  大臣、私、つい先月四十九になりまして、昨年他界した松田誠経済連携課長と同い年になりました。松田さんに恥じない存在になるように、しっかりとこの問題の議論をしていきたいと思います。  具体的に質問をさせていただきたいと思います。  日・オマーン投資協定におけるいわゆる紛争解決手続、ISDS手続でございますが、これでは、通常、アンブレラ条項に関する投資紛争が、ISDS手続による解決が相手国の同意がなくても普通できるんですけれども、オマーンの場合はその事案ごとに同意が必要になってくる、どうしてこういうふうになったのか、その背景はどうなんでしょうか。
  18. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、我々、オマーンとの投資協定交渉におきましては、いわゆるアンブレラ条項、一方の締約当事国他方の締約国の投資家の投資財産及び投資活動に関して義務を負うこととなった場合には当該義務を遵守するといういわゆる包括的規定、それから紛争解決手続、ISDS条項、このいずれも投資家の保護に関する規定であるということで、基本的な目標として据えて交渉に当たりました。この過程で、オマーン側の立場、いろいろ厳しい立場を表明される局面もございました。  交渉を進めていく中で、結果的には、全体のパッケージの中でISDS条項という骨格は維持しつつも、アンブレラ条項、いわゆる国家が契約当事者となるような場合については、一応紛争手続に係る場合には同意を得てほしいと、こういう妥協になってしまったと、これが今御質問の理由いかんということに対するお答えでございます。御理解をいただきたいと思います。
  19. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これはあれですか、上村さん、オマーンは全ての投資協定をこのようなラインでやっているのか。これですと、いわゆるISDS規定によるアンブレラ条項、これ空文化するんじゃないかと思うんですが、その懸念はどうでしょうか。
  20. 上村司

    政府参考人(上村司君) 私ども、過去のオマーンの第三国との協定について全て網羅して承知しているわけではございませんけれども、その上で申し上げれば、過去一九九〇年代から二〇〇〇年代の初めにかけまして結ばれたオマーン投資協定の中には、いわゆるこのISDS条項とアンブレラ条項が丸まま除外規定なしに結ばれている例はあると承知しております。他方で、それから我々が交渉を始めました二〇一三年までの間に、恐らくオマーンの中で投資協定に関する交渉スタンスがかなり強硬なものに変わったと思われます。  そこで御質問の、じゃ実質的にどうやって救済ができるのか、もしかすると不利益があるんじゃないかという御質問に関してでございますけれども、仮に投資受入れ国政府の同意が得られない場合でありましても、いわゆる政府政府関係協定で申し上げますと二十一条に規定いたします協議の枠組み、これは政府間の協議の枠組みでありますけれども、これを活用いたしまして、日・オマーン政府間で真摯にこういった投資に関連する事項を取り上げるという仕組みがございます。さらに十四条では、投資国間の紛争解決手続に基づきまして、政府間で協定解釈及び適用に関する紛争として提起することは、これは確保されてございます。  したがいまして、いわゆる日本投資家が不利益を被るような場合でありましても政府が真剣にこれをバックアップする体制、これは協定上でも確保されているということで御理解をいただきたいと思います。
  21. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  我が国がこれまで結んできた協定の中には、先ほど古賀理事からも話がございましたパフォーマンス要求の禁止に係る条項、これが入っているわけでございますが、オマーンのこの投資協定にはパフォーマンス要求禁止条項がございません。オマーンはずっとこの条項を入れていないわけでございまして、今回も、日・オマーン協定もそのようになっているわけでございますが、その理由は何なんでしょうか。
  22. 上村司

    政府参考人(上村司君) これはもう御指摘のとおりでございまして、このパフォーマンス要求の禁止条項に関しましては、オマーンは第三国との間で締結した過去の投資協定に前例がないということで、我々も交渉のさなかでは再三これを主張はいたしましたけれども、そういう説明でございます。  他方で、WTOの貿易に関連する投資措置に関する協定、いわゆるTRIMs協定にはオマーンは入っておりますので、WTO加盟国であるオマーンにつきましても、これらのTRIMs下の義務、これは変更されることなく引き続き履行されるものと理解をしております。  これらを踏まえまして両国間で交渉した結果、今回の協定におきましては、いわゆるパフォーマンス要求の条項は二国間の協定の中には求めないと、こういう最終的な決断で合意に至ったものでございます。
  23. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その合意は尊重したいと思いますが、このWTO協定ですと、いわゆる現地調達要求、輸出入均衡要求、為替制限を通じた貿易制限措置、そして輸出制限などの措置、これらが禁じられていると理解しているんですが、日・オマーンとの協定にはないんですけれども、そのパフォーマンス要求の禁止の中に、国によっては自国民雇用の要求というものが入っております。例えば日・カザフスタン、日・ウクライナ投資協定、そして日・モンゴルのEPA、これには自国民雇用の要求の禁止条項が入っているんですね。  参議院の調査室は極めて優秀でございまして、私、幾つか調べてくれと言ったら調べてくださいました。実は、貿易・投資円滑化ビジネス協議会というのがございまして、ここで報告書を出しています。オマーンは雇用創出を国家政策としていて、現地雇用の義務で大変企業が苦労されているという報告が企業から上がっています。  具体的に要求されている法人名は申し上げませんが、現地人雇用の義務では、オマーン自国民比率が七七%で、雇用創出が重要課題となっている。アラブの春のデモの際、政府は雇用創出と待遇改善を国民に約束して、その結果、運転手も含めオマーン人しか新規採用できないものの、教育水準が低いこと、毎年のように給与アップの省令が出ること、パフォーマンスが悪くても給与を減らせないこと、解雇は訴訟覚悟になることから、有用なオマーン人雇用が当社給与水準では困難、かつパフォーマンスが悪くても雇用し続けなければならない、特に運転手さんはプライベート優先の感覚が強くて、休日や夜の運用に極めて支障を来しているというふうな問題が指摘をされています。  恐らく外務省にも要望出ていまして、既に在留各社等の依頼を受けて日本大使館が人的資源省と折衝するも、国家政策のため改善は困難だ、引き続き日本政府の努力に頼るしかないのが現状だ、残念ながら、内政干渉に当たるため同国自らの政策転換がない限り改善は困難な見込みだという指摘がされています。その他、外国人排除の風潮に対しましても、外国人を排除すればオマーン人の雇用が増えるとの短絡的な発想から、なかなか日本人に対するビザが下りないということが出ているんですね。  こういう具体的な現地法人の困っている声にどのように対応されているんですか。
  24. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  我が方大使館は、現地進出企業との間で定期的に経済関係に関する協議を行っておりまして、そういう御要望につきましても承っております。  確かに、今御指摘のとおり、オマーンの国策としてのオマーニゼーション、これは、湾岸諸国それぞれ自国民を何とか労働力に組み込もうという、こういう政策につきましては我々も理解できるところでございます。他方で、ミクロの各個別のケースにつきまして各企業がいろんな、ビザの発給の問題ですとか不都合に逢着されておられるのはよく承知しておりまして、そのたびごとに個別にイラン政府に対して今申入れをしたりして、改善に御協力しておるところでございます。  今回、この協定を御承認いただきますと、いわゆる政府間の協議の枠組みが正式に協定の中でつくられることになります。今後は、オマーンによる例えば現地調達の要求、あるいはオマーニゼーションの要求、その他様々な投資阻害要因が出てまいりました場合には、この協定に基づく協議等によりまして今後とも更に一層投資環境改善のための働きかけを強めていくつもりでございます。御理解をいただきたいと思います。
  25. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日・オマーン協定、これは一九九〇年代から協議をしてきた投資協定でございまして、まさに二十年越しの締結ということで、本当に御苦労さまと申し上げたいと思いますが、他方イランとのこの投資協定交渉が始まったのは二〇一五年の九月、一か月後の十月には実質合意に至っているんですね。これほど短期間にイランとの協定締結合意に至った、この背景は何なんでしょうか。
  26. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 投資協定交渉、過去の例を見ますと、数か月でまとまるものから数年を要するものまであります。これは、我が国及び先方がそれぞれの相手国との関係で求める内容、国内制度との関係の整理、交渉体制、様々な要因があります。  今回の日・イラン投資協定ですが、この協定交渉促進した最も大きなポイントは、やはり昨年七月のイランとEU3プラス3との間の包括的共同作業計画の合意、いわゆる核合意、これが大きなポイントであったと認識をしております。  この合意を受けて制裁が解除された後は、まず、各国がイランに対して様々な経済的な働きかけを行います。また、我が国企業、投資家のイランにおける活動が活発化する、こういったことも見込まれます。よって、まず我が国の企業の投資を法的に保護すること、さらには他の国との関係において劣後することがないように、こうした問題意識があります。  こうした問題意識を日本イラン双方が共有することによって、昨年九月七日から交渉が開始され、そして十月、私自身イラン訪問の際に実質合意に至り、そして本年二月五日に署名に至った、こういった経緯をたどったと認識をしております。
  27. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日・イラン投資協定パフォーマンス要求禁止条項ですが、これ、三点しかございませんね、上村さん。輸出についての要求と輸出入均衡についての要求、そして輸出制限に係る措置の三項目です。  WTOで禁じられている現地調達要求の禁止であるとかその他の技術移転の要求の禁止、これは盛り込まれていないんですが、投資家に不利益は生じないんでしょうか。
  28. 上村司

    政府参考人(上村司君) 御指摘のとおり、日・イラン投資協定の第七条では、投資の阻害要因として三点のみを明示的に規定をしております。  イランは、交渉の経緯を申し上げますと、我が国を除きまして五十二か国との間で投資協定を発効させておりますが、いずれの国との協定におきましても投資の阻害要因となり得る要求に関する規定を盛り込んでおらないという主張をずっと繰り返してまいりました。そのような中で、我が国として鋭意働きかけをした、粘り強く説明をして働きかけを行った結果ですが、これらの三項目を盛り込むことの合意に至ったものでございます。  これ以外の、WTOで書かれておりますようなものが若干抜けておりますけれども、例えば現地調達要求、これを禁止する明示的な規定を置くには至りませんでしたが、投資の阻害要因となる場合には、これは今回のこの協定によって設置されますいわゆる合同委員会、この討議などを通じまして投資環境改善のための働きかけを行っていくということでございます。  お許しをいただきまして、先ほどの私の答弁で、オマーンと答えるところをイランと答えてしまいました。訂正を申し上げます。よろしくお願いします。
  29. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 我が党は、我が会派はこの二つの条約、賛成でございます。  さて、別件に入りたいと思いますが、ゴールデンウイークの間、いろんなことがございました。三十六年ぶりに北朝鮮で第七回朝鮮労働党大会が行われた。若しくは、先ほど自民党の同僚からもございました、ロシアのソチで十三回目の安倍さんとの日ロ首脳会談。緊張感の中にも、何か知らないけど、安倍さん、プーチンさんといるといい顔しているんですよね。これはケミストリーが合うのか知りませんが、同じ日本語をしゃべるうちの代表とも今度しっかりQTやってほしいと思いますけれども。この問題は先ほど古賀先生も触れられましたので、前に進みたいと思います。それから、トランプ氏がいわゆる共和党の代表にほぼ決定をしたということでございます。  その他、私ちょっと気になったのが、時同じくしてアメリカを訪れていた石破大臣がワシントンで講演されているんですよ。こう言っているんですね。三月に施行された安全保障関連法について、これで全てが足りるものではない、憲法改正を行い、日米安全保障条約と日米地位協定の見直しを検討すべきだ、また、集団的自衛権を行使できる範囲を更に拡大させた上で、日米が守り合う形の同盟を実現させることが大事だと講演されているんです。  これ、現職閣僚にしては大分踏み込んでいると思いますけど、これ、大臣政府の考えなんですか。
  30. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の石破大臣の講演の中身、詳細まで私は今現在承知をしておりませんが、ただ、政府立場は、平和安全法制につきまして、昨年、衆参におきまして二百時間を超える時間御審議をいただき、そして御承認をいただきました。国民の命や暮らしを守るために必要な法制ということで御承認をいただいたわけですので、引き続きこの法案につきまして国民あるいは国際社会にしっかり説明をしていく、これが政府にとって必要な対応であると認識をしております。この平和安全法制が国民の命や暮らしを守るために必要であるということをしっかり説明し続けていきたいと考えます。
  31. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣、それは駄目ですよ。石破さんは、岸田外務大臣の次に総理大臣になる可能性のある人と言われているんですよ、次の。  これ、北朝鮮が七回目の朝鮮労働党大会をやり、安倍さんがプーチンさんと日ロ首脳会談をやり、トランプさんがああいう発言をされている、共和党のほぼ候補に決定しているその同じ六日ですから。この日にまさに石破さんがこのような発言されているというのは、現職閣僚ですからね、しかもワシントンでやっている。これは、どこかの政務官が公務だ政務だという話がございましたが、これは現職閣僚としてはしっかり政府内で私は精査する必要があると思いますね。  ほかにも聞きたいことがあったんですけど、ちょっと時間の関係で次に進みたいと思います。  防衛大臣、お伺いしたいと思います。  石破さんが発言した中で私は納得できるところもあるんです。それは、日米のミリミリがしっかり連携して、もっと連携強化しなきゃいかぬと。これはそのとおりだ。しかし、他方、私が前回指摘をしたように、あれだけ強引に通した安全保障関連法案、これが現場では一向に訓練でも履行されない。本年一月十二日から二月二日、キーンエッジが行われましたね。このときでもやらない。  大臣、次のリムパック、このときはあの法案を反映した演習が行われると把握していいんでしょうか。
  32. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 委員が御指摘のとおり、日米同盟につきましては、こういった共同訓練や共同開発、また人的交流、様々な面においての日米同盟の強化というのは必要でございます。  そういう意味で、日米間におきましては累次共同訓練を実施しているわけでございますが、この夏のリムパックにおきましては、昨年、こういった内容等を日米間で協議をいたしまして実施をするわけでございまして、こういった時程的な関係もございますが、米国との調整をしている中で、その当時の時点での調整に基づいて実施をするということでございますので、新たな法案に基づく内容の訓練等を実施する予定は持っていないということでございます。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 キーンエッジでもやらない、ヤマサクラでもやらない、そしてこのリムパックでもやらない。  リムパックというのは、大臣には釈迦に説法ですけど、日、米、豪、ニュージーランド、カナダ、そして、かつてはロシアや中国も参加している。これ、極めて外交的なメッセージ、そして日米、日豪、日米豪との防衛協力では、またとないチャンスなんですね。皆さん方、あれだけ強引に通したじゃないですか。なぜ先送り先送りやるんでしょうか。  そして、日豪の関係も少し隙間風が吹いていますね。過日、いわゆる潜水艦の共同開発の問題、見事にフランスに逆転されました。防衛大臣、この敗因は何なんでしょうか。
  34. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日豪間におきましては、これはパートナーシップの面におきまして、以前から防衛協力、また装備の協力等について協議をしてまいりました。  今回、こういった防衛協力の意義を踏まえまして、日本としてはオーストラリア政府に最大限協力をしてきたところでございますが、今般選定をされなかったことにつきましては大変残念に思っていることでございます。  具体的には、オーストラリア政府がこれ決めることでございますので、オーストラリア政府の主権に基づく決定になるわけでございますが、しかし、選定プロセスにおきましては、我が国関係省庁や関係企業が連携をいたしまして、特に現地の雇用確保につながるオーストラリア企業の参画のための取組なども検討して、総力を挙げて努力をした結果でございます。  選ばれた理由につきましては、オーストラリア政府もコメントを上げておりますが、フランスのDCNS社の能力が優れたセンサーの性能、ステルス特性、航続距離・時間を含む豪州特有の能力要求に最も適合していたということ、また、オーストラリア政府としては、コスト、スケジュール、事業実施、維持整備、豪州企業の参画も考慮したと説明をしておりまして、今後とも、こういったことにつきましてオーストラリア政府に対して今回の選定結果の理由について更なる説明を求め、またその結果、今後の装備協力等について反映をさせていきたいと考えております。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、大臣、それはオーストラリアの言い分でしょう。私は、大臣として敗因は何かと、分析されているかと聞いているんです。
  36. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 我が国としては、精いっぱい現在の三原則に基づく装備移転、また企業側がなし得る努力等について、これまでも政府と民間で協議をしながら実施をしたことでございまして、全力を挙げてまいりました。しかし、結果として選定に及ばなかったことにつきましては、どこが至らなかったのかにつきましてオーストラリアからもしっかり説明を求めてまいりたいと思いますが、今後こういった点を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 極めて心配ですね。うちが勝てなかった理由をオーストラリアに説明を求めるって、うちが分析しなきゃ駄目でしょう。頑張ったけど駄目でしたと。これは、決して約五百億豪ドル、四兆三千億円、これ、防衛産業のことだけ言っているんじゃないんです。日米豪のこの関係、これ中国、ほくそ笑んでいるんですよ。しかも、コリンズ級からまさに日本の潜水艦になれば、相互性や運用性、極めて日米豪、連携が良くなる、ミサイルシステムや、これアメリカの魚雷が入るんですから。中国側は日本に取られるの嫌に決まっているんですよ。相当妨害していますよ。  現実的にも政治的にも、敗因は何だったと大臣はお考えでしょうか。オーストラリアの問題ではないです。大臣としてどう思っていらっしゃいますか。
  38. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) オーストラリア政府から選ばれなかった理由につきまして説明を受けましたが、ユニークな要求にフランスは応えたということが象徴的でありまして、オーストラリアの特有の要求を満たしていたかという点でございます。  ただし、中国の影響ではという御指摘がございましたが、オーストラリア政府の話によりますと、特定の第三国の発言や考え方に左右されたものではないというふうに説明を受けておりますし、また、ビショップ外務大臣がこのことにつきまして、他国の見解は関係ないと、オーストラリアの主権による決定だったという説明をいたしております。
  39. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、大臣、一番の理由は、アボットさんから総理がターンブル首相に替わった、これが一番だと思いますよ。安倍さんとアボットさんの蜜月関係に、これに頼って、日本が勝つに決まっていると思っていた。しかし、一転してターンブル首相になって、一気に情勢が変わった。しかし、アボットさんからターンブル首相に替わる蓋然性、可能性というのはこれ前々から指摘をされていたんです。つまりは、新聞紙上やマスコミでは内政問題が一番の理由だと言われているけれども、この先を読んで次の手を打ってこなかった我々の油断や慢心にあるんじゃないですか。  確かにアボットさんは極めて親日的でした。しかし、オーストラリア国内の事情からターンブルさんに替わった。この方は極めて親中ですよ。一九九四年からつい最近まで中国河北省の鉱山ビジネスに自ら携わっていらっしゃった。息子のアレックス氏は、中国に留学して江沢民の側近と言われていた中国共産党の要人の娘と結婚されている。  そして、極めて、この五月には解散をして七月には総選挙をやると言われている。この潜水艦を建造する南オーストラリア州がまさに鍵を握っているんですけれども、これ、選挙勝つには地元の雇用をどうするかと、二千八百人の雇用をどうするんだとずっと言われていた。こんなのちょっと調べれば我々だって分かったはずなんですね。  結局、我が国にとって貴重な安全保障の協力問題、安保の協力問題がオーストラリアの国内問題にいつしかすり替わって、見事に相撲で言ったらうっちゃりですよ、まさかの逆転負けです。そして、私、信じられないのは、フランスは機密の極めて高いステルス技術、プロペラではなくてジェット水流の装置、この提供を決めたということなんです。完全にフランスの戦略若しくは戦術勝ちだと思います。  我が国の油断があったんではないですか、大臣
  40. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御発言のように、オーストラリアの政権、また政局、これは時とともに変わっていくものでありまして、あくまでも現政権が判断をすることでございます。  相手方の事情や、また考え、立場もございますが、我が国としては、そもそも我が国の優れた潜水艦、これの技術等につきまして当時の政権の方から求められて協力をするというところから始まったわけでございますが、この間も、昨年八月以降、官民のチームがオーストラリアの主要都市、特に工場のあるアデレード、私も訪問をいたしましたが、累次にわたって専門のチームが、我が国の潜水艦の技術につきましての優位性又はオーストラリア企業の参画の最大化について提案をし説明をして、インダストリーブリーフィング、開催をしてやってまいりました。  我が国としては最大限努力をしたつもりでございまして、決して消極的であったというふうな認識はいたしていないわけでございます。
  41. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣、頑張ったけど駄目だったじゃ駄目なんです。  我が国は確かに頑張りましたよ。しかし、遅いんです。九月に首相がアボット氏からターンブル氏に交代する前後、慌てて我が国は行動しているんです。独、仏は二〇一五年年初めからずっとロビー活動をやっている。しかし、我が国はターンブルさんになる直前の八月下旬になって初めてプレゼンやっている。そして、ターンブルさんになってからの九月末に初めて慌ててオーストラリア国内で建造すると表明しているんです。全て私は後手だと思っています。  加えて、フランスの戦略が上手なのは、現地法人のトップにショーン・コステロ、豪海軍省の潜水艦乗りでジョンストン前豪国防相の側近ですよ、これを充てているんです。ショーン・コステロさんは日本から声が掛かればいつでも協力したと言っているんですね。  確かに我が国も頑張った。特に経産省から防衛省に行った石川議官がチームリーダーになった、特に加えて、草賀在オーストラリア大使、まさに孤軍奮闘とも言ってもいい努力を現場でされています。  ただ、私驚いたのは、草賀大使が四日付けのオーストラリアン紙のインタビューでこう言っているんですね。日本がどうも戦況厳しいぞ、フランスかドイツに負けるかもしれない、現地の新聞では日本最下位と出たんですから、日本取れないと、これは草賀さんも防衛省も慌てたと思いますよ。そして、草賀大使はこう言っているんです。日本が提供するのは先端技術をつぎ込んだもので、低品質の輸出仕様ではないと明言、日本が共同開発に参画する場合、ステルス機能など最先端の技術を豪州に一〇〇%伝授すると約束したんですね。  大臣我が国の虎の子のこの潜水艦のステルス技術、一〇〇%本当にオーストラリアに提供する、これが我が国の方針だったんでしょうか。
  42. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回は相手の、CEPといいますけれども、いろんな条件に基づいた各国のコンペといたしまして、我が国なりのプレゼンテーションを行いまして提案をしたところでございます。  ただし、我が国のやり方におきましては、今回のケースを大いに研究、検討することはございます。例えば、オフセットといいますが、単なる装備品同士の貿易ではなくて、防衛の装備品に加えてほかの貿易品、これをセットにして交渉するというのが各国、ほかの国でやっているやり方でありまして、我が国にとりましては、装備品の輸出におきましてはこれまでまだ経験がございません。このような形で、各国のやり方などは今後研究、検討して、今後に応用すべきことがないかどうか研究してまいりたいと考えております。(発言する者あり)
  43. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 榛葉君、もう一度お願いします。端的に。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣大臣は政治家であると同時に私は軍事のスペシャリストだと思っている。これが本当に我が国の方針だったんですかと。  私は友人がイスラエルの空軍にいます。F22欲しいなと言っていた。オーバースペックかもしれない。しかしアメリカは絶対出さない。各国とも虎の子があるんですよ。我が国は潜水艦がまさに我が国防衛の命綱ですよ。海底の忍者とも言われている、その技術を一〇〇%提供すると。ユニホームの専門家や軍事の専門家や大臣がおっしゃるならまだしも、これ外交官が本当にそれをおっしゃって、それが政府の方針だというふうに理解をしていいんでしょうか。
  45. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これにつきましては、我が国は確かに潜水艦の能力、技術におきましては長年研究をした、他国に比して優れた開発能力を持っておりますし、またこれは国家としてもしっかり守るべき分野として保有をしているわけでございます。そういう中で、他国との装備品の生産また輸出等におきましていかなるやり方で実施をしていくのか、これはまさに国と国との信頼関係に基づく話合いや、いろんな他の貿易品等も含めた相互の国と国とのやり方等も検討していかなければならないわけでございます。  いずれにしましても、今回、CEPというコンペ方式に基づく審査がされたわけでありまして、我が国としましてはベストの提案、現地における生産の在り方も含めて、考えられ得る提案をしたつもりでございます。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣らしくない答弁だと思います。  この結果が出て、在日オーストラリア大使館のブルース・ミラー大使から丁寧なお手紙と御連絡が私のところにもありました。日本のことをよく分かっているオーストラリアの外交官や軍事関係者は必死ですよ。日豪関係、やっぱりしっかりやらなきゃいけない。  私、今回の一連のこの流れを見て、政治が前のめりに号令を掛けて、いわゆるミリタリーや防衛産業が後から付いてくる、これは安倍さんとアボットさんの信頼関係、安倍さんが行くんだと号令掛けたんで慌ててみんな付いていったと、そういう感が否めないと思っているんです。  ある防衛産業、この事案に関与した方がこう言っていました。防衛省や経産省は売れ売れと言う、政府には反対できないので一生懸命指示どおりの資料を作るが、オーストラリアに現地生産する技術があるのか、技術者をどこまで訓練できるのか、秘密が守られるのか、技術や情報が漏れないのか、それを十分に検証する時間もないと。  もう大臣には釈迦に説法ですけど、潜水艦はもうたくみの技ですね、ねじ一本から溶接まで。これは十年、十五年やってやっと半人前になるかどうかという、まさにたくみの技で我が国の潜水艦は造っているんです。私は、緻密にユニホームの皆さんの声や産業界の声をしっかり聞いて、戦略を練って、まさに政治と防衛省、現場と業界が三位一体になってやらなきゃいけない。しかし、余りにも政治主導で前のめりにやった結果、このような非常に残念な、しかも取り返しの付かない私は事態になったと把握をしています。  今後、日豪関係、相当念を入れて構築し直す必要があると、そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  47. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  イランオマーンとの投資協定に関して質問をいたします。  投資協定は、日本の多国籍企業が海外で最大級の収益を上げるための投資促進目的締結をされるものであります。安倍内閣は経済政策の柱として大企業優先の成長戦略を進めてきましたが、日本再興戦略は、積極的に世界市場への展開を図っていくためとして、経済連携協定や租税条約と並んでこの投資協定締結拡大に取り組むことを明示をしております。  その下で、岸田大臣の今国会の外交演説では、日本外交の三本柱の一つに日本経済の成長を後押しする経済外交が強調されました。対イラン外交はその典型とも言えるわけで、先ほどもありましたように、昨年十月に同国との投資協定締結の大筋合意をした際には、岸田大臣経済ミッションを同行して同国を訪問をしております。  まず、このときの同行企業数と人数、そしてこの訪問での合意された中身についてお示しいただきたいと思います。
  48. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年十月のイラン訪問には、商社、自動車、エンジニアリング、医療及びエネルギー等に関連する企業を中心に約二十社から約六十名が同行しております。
  49. 井上哲士

    ○井上哲士君 そのときの基本的合意内容についてもお願いします。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そのときの合意内容、成果ですが、私自身、ザリーフ外務大臣会談を行い、二国間関係の強化に関しては、新たに包括的共同作業計画の着実な履行を後押しするための協力、そして今回のこの日・イラン投資協定の実質合意、そして両国間の幅広い分野の協力を総覧、総括する日・イラン協力評議会の設置、こういった点について一致をしております。
  51. 井上哲士

    ○井上哲士君 こういうトップセールスは第二次安倍内閣で急増をいたしました。政府のインフラシステム輸出戦略の二〇一五年度改訂版を見ますと、総理、閣僚の外国訪問に民間企業トップも同行する等、政府一丸、官民連携によるトップセールスの精力的な展開ということが強調をされております。  この第二次安倍内閣発足以降の民間人を同行させた総理の外遊について、昨年七月一日の衆議院での答弁では、訪問回数は十回、以下延べ数で、訪問国は二十七か国、会社数は五百二十六社、参加人数は千五百五十六人とされておりますが、それ以降、総理が民間人を同行して訪問をした時期、国、それから同行した会社数、人数、それぞれどうなっているでしょうか。
  52. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年七月以降ですが、昨年十月二十三日から二十七日に安倍総理はトルクメニスタン、そしてタジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンを訪問していますが、その際に、企業、大学など五十団体、計三百二十名が参加しています。そして、昨年十二月十一日から十三日、総理はインドを訪問していますが、その際に、企業、大学など二十三団体、計九十二名が参加をしています。
  53. 井上哲士

    ○井上哲士君 昨年秋は野党が臨時国会の開会を求めましたが、それにもかかわらず政府外交日程を理由に応じないという下で、憲法五十三条に基づく連名の要求書も出したわけでありますけれども、それにも応じませんでした。  一方で総理はトップセールスにいそしんでいたわけでありますが、今のこの二回を合わせますと、経済ミッションが同行した訪問は実に十二回、延べ三十一か国、同行したのは五百九十九社、千九百六十八人という非常に大規模なものになっております。  こうした経済ミッションを伴った外遊で総理専用機に民間企業関係者を同乗させておりますが、こういうことは第二次安倍政権以前も行われていたんでしょうか。
  54. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 安倍政権以前の総理による外国訪問でも、民間企業関係者が同行するケースはありました。しかしながら、民間企業関係者一行は総理一行とは別フライト、つまり商用便若しくはチャーター便を用意し、訪問先において合流していたと承知をしています。
  55. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、極めて異例の対応が第二次安倍内閣から行われております。  こういう総理専用機への同乗も含めて、第二次安倍内閣は歴代政権が行わなかった大規模な経済ミッションを同行させた総理や閣僚の外遊をやっているわけでありますが、これは、どういう理由でこれまでと違うこういうことが行われているんでしょうか。
  56. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、総理外遊に同行する日本企業関係者は商用機を利用して訪問先まで移動すること、これを原則としています。  ただし、訪問地までの利便性の良い商用機がない場合、あるいは訪問地到着直後に総理とともに関係行事に出席する場合など、総理日程を円滑に実施するために、経済ミッションの参加者が所定の料金を支払うことを条件に政府専用機に搭乗する場合があると承知をしています。
  57. 井上哲士

    ○井上哲士君 費用を払うのは当然のことでありますけれども、大半の同行者が乗っているというような場合もあるわけで、これまでやられなかったことを非常にやっているわけですね。  この経済ミッションを同行させた訪問で何が行われてきているか。例えば、二〇一三年四月から五月にかけてロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコに訪問をした際は三菱重工など原発メーカーが参加をしております。トルコとの原子力協定合意をし、その後、トルコのシノップ原発を三菱重工が受注をしたわけですね。  それから、二〇一四年のインド訪問の際には東芝、日立製作所、中部電力など原発関連企業、団体が同行しておりますが、その後、一五年十二月に、インドのモディ首相との首脳会談後にインドへの原発輸出を可能にする原子力協定締結について原則合意をしております。福島事故がいまだ収束しない下でのこうした原発輸出、国内でも批判の声がありますし、現地でも住民の反対運動が今広がっているところであります。  また、こうした訪問を通じて多くの国との防衛協力や防衛交流の合意もされておりまして、これは武器輸出にもつながっていくということなわけですね。経済界はこういう原発であるとかそれから武器輸出促進への支援を求めておりますし、経団連は、二〇一四年十二月に発表した新内閣に望むという文書でも、安倍総理の強いリーダーシップの下で、官民連携の下で幅広い産業の海外展開を支援するよう求めております。  総理や閣僚を先頭としたトップセールスはこういう財界からの要望に全面的に応えたものだと、こういうことではありませんか。
  58. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日本企業の海外展開を支援すること、これは政府が推し進めている成長戦略の下で重要な取組であると認識をしています。  総理自身、このインフラシステムの輸出あるいは新興国市場への日本企業の展開を支援すべく精力的にトップセールスを進めているわけですが、これは、我が国経済成長、こうした成長戦略、これを推進する上で大変重要な取組だという認識の下にこうした取組を行っていると認識をしています。
  59. 井上哲士

    ○井上哲士君 成長戦略というふうに言われましたけれども、その下で今、日本経済がどうなってきているのかと。財界、大企業は、国内では法人税の減税や労働法制の改悪を求めてまいりました。国外では、日本の多国籍企業が多額の収益を上げられるような条件整備の投資協定や租税条約締結を強く求めてきたと。これに応えたのが安倍政権の成長戦略だと思いますが、その下で総理がまるでセールスマンかのように振る舞うと。大企業の経常利益が大幅に増える一方で、国民生活は実質賃金が下がって消費が冷え込んだままのわけですね。  その一方で、経団連は、会員企業の企業献金の呼びかけを再開をして、野党時代に自民党への献金は十三億円でありましたけれども、一五年には二十二億円へと急増をしているわけでありまして、私は、こういう今の経済政策の在り方、これと一体となった外交の在り方、これを転換をする必要があると思うんですね。今の政治姿勢、経済政策の在り方を大企業応援から国民の暮らし応援に抜本的に転換する必要があるということを強く求めておきたいと思います。  その上で、次にフィリピンの海自練習機TC90の貸与の問題についてお聞きをいたします。  まず、防衛大臣、この間のASEAN各国及びインドとの装備技術協力の現状はどのようになっているでしょうか。
  60. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ASEAN諸国と我が国の防衛装備・技術協力につきましては、平成二十六年の五月、安倍総理がシンガポールのシャングリラ会合におきまして、ASEAN諸国との防衛装備協力を推進する旨表明をしたことを受けまして、各国との事務レベルでの協議を継続をしております。  フィリピンにつきましては、平成二十八年二月に防衛装備・技術移転協定に署名、五月二日に電話会談におきまして、TC90の移転を含む防衛装備の技術協力を具体化をしていくことを確認をいたしました。  また、マレーシア、インドネシアとの間でも協定交渉の開始で一致をしておりまして、日・ベトナムにおきましても、こういった協力につきましての事務レベル協議の開始に合意をいたしております。  また、インドとの協力につきましては、US2を含めて事務レベルでの協議を継続をしておりまして、昨年十二月に日印防衛装備品・技術移転協定への署名を行いました。  このような形で、ASEAN並びにインドとの防衛装備・技術協力等につきまして意見交換を継続しているということでございます。
  61. 井上哲士

    ○井上哲士君 今も答弁ありました、五月二日にフィリピンの防衛大臣との間の電話会談で、TC90のフィリピンへの貸与が確認をされておりますが、それも含めて様々な訓練の支援ということもあるようでありますが、この確認がどういう目的で、どういう中身で行われているのか、お示しいただきたいと思います。
  62. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日本とフィリピンとの防衛装備協力におきましては、これは海洋安全保障分野における両国間の連携を強化をする一環として防衛装備・技術協力を推進すべく、特に人道支援、災害救援、輸送、海洋状況把握に係るフィリピンの能力向上のために、このTC90の移転、またフィリピン海軍要員への教育訓練の支援並びにこのTC90の運用を維持していくための維持整備分野に係る支援について協力を具体化をしていくということで一致をしたわけでございます。  この目的は、双方海洋国家でございます、我が国としましても、こういった平和と繁栄の基礎である開かれた安定した海洋の秩序を強化するということは極めて重要でありまして、海上交通の安全の確保に万全を期す必要があり、その観点からフィリピンを始めとする沿岸国自身の能力向上、これは我が国にとりましても非常に重要であると認識をいたしているわけでございます。  また、多数の島々によって国土が成り立つフィリピンにとりまして、人道支援、災害救援、輸送、海洋状況把握に関する能力の向上、これは重要な課題であると承知をしておりまして、フィリピン自身の能力の向上は地域の安定化につながるものであるとも考えております。
  63. 井上哲士

    ○井上哲士君 フィリピンの海軍要員への教育訓練の支援も盛り込まれておりますが、どちらの国でどのような教育訓練を行うんでしょうか。
  64. 田中聡

    政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。  フィリピン海軍は、将来的にはTC90を自立して運用していきたいというふうにしておりますけれども、TC90の貸与を受けた際に直ちに運用を開始できるよう、当分の間、パイロットや整備員の教育訓練において日本側から支援を受けたいというふうに言っております。  これらのフィリピンの要請に応えるために日本側としてどのような方法を取ることが可能か検討を重ねているところでございまして、現段階におきましては具体的な支援方法につきましては申し上げる段階にないということを御理解賜りたいと思います。
  65. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。続きは午後の一般質疑で行いたいと思います。
  66. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 おおさか維新の会に移籍をしました浜田和幸です。  今日はオマーンイランとの投資協定なんですけれども、特にイランに関しては、マーケットとしても八千万人近い人口を抱えて、日本にとってもとても大きな潜在的な関係を強化する必要性があると思っています。そういう観点で、イランにおける日本に対する関心の高さ、これを象徴する事例の一つが、忍者のブームがこの三年近くイランの中で特に女性の関心を集めているということが報道されているんですね。  今日は山田務官にもお越しいただいて、その女性が、特にイランのああいうイスラムの世界の中で、日本の特に忍者という文化あるいは武術を通じて肉体と精神のバランスを図るということが大きな魅力として受け止められているようなんですけれども、日本はこれまで外交努力の一環としてクールジャパンを世界中にアピールしていましたよね。  この度新しく投資協定が結ばれるということも踏まえて、イランの一般の方々に日本のことをもっともっと知ってもらうという意味で、この忍者ブームというのはとても興味深いと思うんですけれども、今後、外務省、文化外交の一環としてそういう忍者ブームというようなものをどのように活用する可能性があるとお考えなのでしょうか。まず、そのことについて政務官のお考えをお聞かせください。
  67. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) お答え申し上げます。  日本イランは、シルクロードを通じた文化交流ですとか歴史的な友好関係を有しておりまして、また過去にイランで放映された日本のテレビ番組ですとか、イランで実施された広報文化事業などによってイラン国民が我が国の文化に関心を寄せて、対日感情は一般的に大変良好であるというふうに伺っております。今年一月以降の核に関する制裁解除を受けて、今後、政治経済を中心に両国関係を強化していく中で、文化分野についても、浜田議員の御指摘のとおり、交流を一層活発化させていくところでございます。  定期的に行われておりますテヘランにおける日本文化週間などを活用して、引き続き、折り紙や書道、武道など様々な日本の伝統文化を披露してまいりますとともに、日本映画の上映会などの様々な日本文化紹介事業を積極的に実施するなどして、御指摘日本文化に対する正しい理解促進についても取り組んでいく考えでございます。
  68. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 日本の武道についてもテヘラン等を通じて紹介されていることですけれども、この三年余りの忍者ブームというのは、きっかけをつくったのは、ロイター通信が現地でいろいろと忍者に扮してトレーニングをしている女性たちのことを取材をしまして、それを世界に情報発信をしたということが背景としてはあるようなんですね。  それで、そのとき問題になったのは、ロイター通信の記事の中に忍者というものに対する理解がどうも少し偏っていたようでありまして、なぜイランがこれだけ女性の忍者を三千人近くも養成しているのかということについて、これは女性の暗殺集団に結び付けるような意図があるんではないかというようなこともロイター通信の中に含まれていたので、イラン政府とすれば、そんなとんでもないことはあり得ないということで、ロイター通信の記者を国外追放にして、そういう対応を取った経緯があるようなんですけれども。  やはりここは、日本のそういう伝統的な、武術にしても文化の一環ですから、そういうものが正しく理解されるということがないと、何か誤解が誤解を呼んで、せっかく日本のそういう文化に対する関心が高くても、何かそれがちょっとおかしな方向に行く可能性もあると思うんですね。  そういうことを含めて、日本の文化外交、クールジャパンとしては、もう少し世界報道の在り方についても、何というか、適切なアドバイスをしたり、誤った情報については訂正をするとか、そういうことも今後必要だと思うんですけれども、その辺りについてのお考えはいかがでしょうか。
  69. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) 御指摘日本文化に対する正しい理解促進ということについても引き続き取り組んでいく所存でございます。
  70. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非そういう方向で進めていただきたいと思います。  それで、実はイランというと、これまで北朝鮮とのミサイルの技術の輸出ですとか核の輸出ですとか、そんなことがいろいろと言われていましたですよね。そういう意味で、韓国の朴槿恵大統領もテヘランを訪問された折に、北朝鮮の今の核開発については深刻な懸念を表明されました。これは日本にとっても大変心強いことだったと思うんですけれども、そういった意味で、北朝鮮と関係の深かったイランが今後国際社会の一員として朝鮮半島の非核化について一定の役割を果たす可能性が出てきていると思うんですが、そういった意味で、韓国がせっかくそういう先鞭を付けているわけですから、韓国と日本協力してイランも巻き込んで北朝鮮の非核化を進めるということは今後の外交課題として考えられるんでしょうか。
  71. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮の非核化は、言うまでもなく、累次の安保理決議、そして六者会合声明、そして日朝平壌宣言、こうしたものを遵守する上でこれはもう大変重要なポイントであると考えます。韓国も含めて、米国など関係国と連携しながら北朝鮮の非核化を求めていく、これは当然我が国として取り組まなければならない課題であると認識をいたします。  様々な具体的な取組を積み重ねることによって、今申し上げました目的達成のために努力をしていきたいと考えます。
  72. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そういう意味で、イラン国際社会からの経済制裁を解除されて、国際社会の一員としてこの北朝鮮の問題にもいい方向で向き合うような、そういう動きを日本としても加速させる必要があると思っています。  そういう観点イランの軍事力というものを検討すると、経済制裁の影響下にあって、特にイランの空軍力というのは八〇%近くが新しい部品の供給がストップしていたのでほとんど機能できないような状況に置かれていると。今回、制裁が解除されたことによって、イランの国防軍、特に空軍力、そういうものを機動的に運用できるようにするために、海外からの技術移転ということに対して積極的に取り組むという姿勢を今イランが示しているんですね。ですから、そういう動きを加味して、今ロシアですとか中国イランの新しい軍事マーケットに雪崩を打って入る動きが出ています。  そういう中で、日本との投資協定も結ばれ、日本がそれだけ多く石油や天然ガスを依存しているイランイランからも日本に対する経済協力の話があるわけで、その流れの中で日本の防衛技術、装備技術といったものが今後イランに提供できる可能性があるのかどうか、その辺りについては、外務大臣、どのように受け止めておられますか。
  73. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国としましては、民生分野における技術協力を含めて、イランと伝統的友好関係を一層発展させていきたいと考えております。  防衛技術分野については、これまでイランとの間で意見交換を実施したことはございません。現時点で具体的な協力を進めることは考えてはおりません。
  74. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 先ほどのオーストラリアに向けての日本の潜水艦技術の協議についてもいろんな議論がありました。やはり、せっかく日本がこれまでに培ってきた防衛技術、装備技術といったものも、その地域の安定という形で役立つのであれば、これは新しい成長産業として捉える必要もあるのではないかと思います。  それとの関連で、イランがそういうものを外国から導入するに当たっての資金のよりどころとして、やはりイランというのは石油も天然ガスも豊富なわけですから、そういうところが財源としては大きく期待されているわけです。ところが、このところの世界的な原油価格の低迷という形で、このイランにとっても虎の子の石油収入といったものが以前と比べればかなり厳しい状況に置かれていると思うんですね。  しかし、やはりここは、日本にとって、せっかく経済制裁も取れたわけですから、今後イランからの石油、天然ガスの輸入の拡大という方向に当然行くと思うんですが、石油や天然ガスの価格についてイランがどのような今後展開を考えているのか。  ちょうど今年初めに、三月ですか、テヘランで世界の石油、天然ガスの展示会が開催されまして、三十八か国、日本を含む二千社がこの展示会に参加し、イラン側と様々な交渉をしたという具合に報道があるんですが、そういう中で、イラン原油天然ガス価格の動向について、経済外交という観点から考えれば、どのような見通しを今立てておられるのか、その辺りについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  75. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 石油価格の見通しについて私の立場から何か具体的なことを申し上げるのは適切ではないかもしれませんのでちょっと具体的なものは控えますが、ただ、委員指摘のように、石油あるいはエネルギー価格がイランを始めとする多くの国の経済にとって大きな影響を及ぼす、こういった視点、認識、これは重要であると思います。  こうしたエネルギー価格の動向が多くの国々の経済にどういった影響を及ぼすのか、またそれによって国際的な経済の動きあるいはエネルギーの動き、こういったものがどうなっていくのか、こういったことについてしっかり注視をしながら我が国として経済外交を進めていく、こういった視点は重要であると認識をいたします。
  76. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そういう意味で、イランとすれば、これまで制裁の下で、原油市場で自分たちのシェアをどんどんどんどん下げてしまっていた経緯がありますよね。今回の制裁解除によって、元の言ってみればシェアを獲得したいという思いがあるわけですから、日本に対しても二百四十万バレル、日産ですね、提供する、輸出する用意があるというとても前向きな対応を今示しているわけですね。  そういうことに対して、日本とすれば、そういうイランが抱えている精製施設ですとか輸出のそういった設備に対してやっぱり協力をしていくということも必要になってくると思うんですが、そういった広い観点イランエネルギー施設、エネルギー環境を整えるという意味での今後の協力の在り方、これについて大臣のお考えをお聞かせください。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こうしたエネルギー、石油を始めとするエネルギーのやり取りについては、基本的には、これは民間ベースで採算も考えながらこうした商談、契約を考えていくということであると思います。そして、政府立場から言うと、そうした民間ベースでのそういったやり取り、契約を進める上で好ましい環境整備に努めるというのが政府立場であると考えます。  この環境整備の一環がこうした投資協定締結でもあるわけですし、またさらに、政府立場から環境整備として考えていかなければならない点、これは民間のニーズ等もしっかり踏まえながらしっかり検討していきたいと考えます。
  78. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 時間が来ましたので終わりますけれども、是非、このイラン日本に対しても世界に対しても原油をこれまで以上に供給するという、そういうプラスの環境を日本経済の安定的な発展のためにも生かしていただきたいと思いますので、是非イランとの関係強化、今回の投資協定がきっかけになって更に一層深化するように期待しています。  ありがとうございました。
  79. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる。昔、私はリングの上でアックスボンバーという技を食らって舌が巻き込んでしまって、半年ぐらい言語障害で言葉がよくしゃべれないときがありました。昨日は実は決算委員会で、元気ですかは言わなかったんですが、大きな声で話をしないと伝わらないかなと思ったら、大きな声を出さないでくださいという委員長から注意を受けまして、だんだん俺も元気がなくなってしまうなというそんな思いですが、国会のルール、ここのルールというのには従わなきゃいけないなと思っています。郷に入っては郷に従え、でも、郷に入ったらひろみに従えと、そっちの方がいいかなと思っておりますが。  本題に入りまして、今回の投資相互促進相互保護に関する協定。  まず、歴史的背景として、一九五九年、西ドイツとパキスタンとの間で最初の投資協定締結されたとありますが、資料を読んでいく中で、パキスタンというとどうしても私もこだわりがあるというか、一九七六年にモハメド・アリと戦って、それが世界中に放送され、その年に最初に挑戦してきたのがパキスタンの英雄でアクラム・ペールワンという。本当にルールも決まらないで、お互いが殺し合いみたいな試合になってしまいましたが。その後、本当にパキスタンの人たちが私に対して尊敬の念を持っていただきまして、つい最近も、三年ぐらい前ですかね、行ったときも、本当に国を挙げてというと大げさかもしれませんが、そのぐらいの歓迎をしていただきました。  その中で、今回の協定が、まず最初に、なぜ西ドイツとパキスタンが最初だったのかということで、その経緯についてお聞かせください。
  80. 相木俊宏

    政府参考人(相木俊宏君) お答え申し上げます。  御質問の点は第三国間の協定に関するものでございまして、日本政府としてその詳細な経緯についてコメントする立場にはないということをまず御理解をいただければと存じます。  その上で一般論として申し上げますれば、一九五〇年代当時、アジア、アフリカの植民地が独立をしていく中で、一部の旧植民地諸国が正当な補償なく外国人の財産を収用する事例が発生しておりました。こうした背景を踏まえまして、西欧諸国と旧植民地諸国との間で外国人の投資財産の保全を主な目的としまして多数の投資協定締結されていったというふうに承知をしております。  御指摘の西ドイツとパキスタンとの間の協定につきましては、戦後、ドイツの経済活動がアジア諸国にまで広がっていく中でドイツの投資家の財産の保全が必要とされ、早い段階でその必要性が認められ、締結されたものと理解をしてございます。
  81. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、協定のメリットについてお聞きしたいと思いますが、今後、イランオマーン投資協定を結ぶことにより最大のメリットは何かと。先ほど同僚議員からも、イランに関しては非常にこれからの可能性という部分で期待している部分が大きいと思います。  私も、ちょうど湾岸危機の後、イラク戦争が始まる前にちょうどイランのテヘランからレンタカーを借りてホスラビというイラク・イラン戦争が激戦だったところを通りまして国境を越えたことがありましたが、当時は本当に閉鎖的で、何というのか、それがこういう状況に変わってきて、本当に国というのはある一瞬で変わるなと。前にもお話ししたとおり、中国の上海の三十五年前を知っている人、そういう意味では今の上海を見たら想像も付かないと。同じように北朝鮮も今大きく町並みが変わってきている。そういう意味では、本当に行ってみなきゃ分からないということがたくさん私はあると、自分の足で自分の目で確かめようというのが私のポリシーです。  そこで、今投資協定結ぶことによってのメリット、これは何かということに分かりやすく説明をいただきたいと思います。
  82. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、イラン及びオマーンとの投資協定、いずれにも投資の許可後の投資家及び投資財産にしかるべき保護を与える規定、これが盛り込まれています。これらの規定締結することにより、相手国における投資環境の透明性、法的安定性、そして予見可能性が向上します。これらによって我が国からの投資の更なる促進、保護につながることも期待されます。これらが本協定締結の最大のメリットであるとまず考えます。  イランは、先ほど来の議論の中にも出ておりますように、世界有数の資源国です。また、人口七千八百五十万の巨大市場であります。新規投資としての潜在性が極めて大きいわけですが、この度の包括的共同作業計画の履行の日が到来したことを受けて、各国の経済関係強化の動きが進んでいくことと思います。我が国の企業の投資を保護し、そして他国の企業との競争条件において劣後しないことを担保する、こうしたことを、この投資協定を結び投資促進することを狙っている、こういったことであります。  そして、オマーンの方につきましては、第八次五か年開発計画によって大規模なインフラ整備が進められています。日本企業の参画等も予想されます。こういったこの日・オマーン経済関係を強化する、こういった意味協定は重要であると考えております。
  83. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 石油以外の投資についても今お話を伺いましたが、今アメリカで活躍していますダルビッシュのお父さんはたしかイランだったと思いますが。彼の弟が事件を起こしましたが、格闘技やっていたものですから、これもスターにしようということでいろいろ話をしていたんですが、なかなか兄貴のようにはいかないようでかなり事件を起こしています。そんな中で、人的な交流というのも非常に大事だし、言葉の問題もあります。でも、非常にイランの人たちは親日的であるということを私も付き合いの中で感じております。  次に、協定国の治安ということで、イランオマーンホルムズ海峡を結んで向かい合う位置にありますが、安保法案の審議で度々話題に上がりましたが、ホルムズ海峡が付近の海賊による犯罪が多発し危険だと認識している、そういう話が出ましたが。  ちょうど私も、ソマリアに、たしかあれは九三年でしょうかね、行ったときに、アイディドという将軍がいましたが、本当に、この人に会うのに大変な迷路みたいなところを通って案内されて、その中の事情をよく分からないから、今になると、本当にこの人なら人を何人殺してもおかしくないなというような形相の、すごい雰囲気の人でしたが。あちらの人にアイディド将軍に会ったんだよと言うと、みんなびっくりするんですけどね。そんなホルムズ海峡のソマリアという問題、そして、今後、この協定が結ばれ、当然また日本人のビジネスマンが渡航増加が見込まれると思います。  イランオマーン、それぞれの国内治安について、分かる範囲内でお聞かせください。
  84. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  まず、イランでは、二〇一三年に発足しましたローハニ政権、これが国際社会との対話路線を取りつつ、経済社会成長の鈍化、インフレ率の上昇、通貨リアルの大幅下落など、若年層の失業問題もございます、こうした社会不安に対して適切に対応してきております。  イラク、アフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯や地方の一部で確かに治安状況が依然として不安定でございますけれども、これらの地域を除きまして、首都テヘランを含めて治安状況はおおむね平穏に推移していると認識しております。  また、オマーンにおきましては、一九七〇年代、カブース国王がオマーンの伝統及び慣習を尊重した内政を図って、経済開発にも積極的に取り組んでおられます。二〇一〇年十二月以降のアラブの春の影響を受けまして、オマーン国内でもやや不安定な動きが見られましたけれども、結果的に、様々な措置発表することによりまして治安は比較的安定しております。  もちろん、かように申し上げましても、御指摘のとおり、イランオマーン共に紛争地や不安定な地域に非常に近いところにもございます。また、盗難等の一般犯罪が散発的に発生していることも事実でございます。  これらを踏まえまして、邦人の安全確保に向けましては、外務省の海外安全ホームページなど、あるいは大使館からの注意喚起などで適切に情報発信をして万全を期していきたいと考えております。
  85. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 質問が終わってしまいましたが。じゃ、質問のあれに入っておりませんが、私の体験だけちょっと話をさせてもらうと、さっきソマリアの話が出ましたが、ソマリアに自衛隊の皆さんが来る前だったんですが、ちょうど案内されたところが元大蔵大臣の自宅だった。大変豪邸でしたが、そこでフランスから来た料理人さん、それから各国から来た人たち、ちょうどあそこはマグロも捕れるしエビも捕れるし、大変、ボランティアというかそういうことで私が行ったにもかかわらず、初日からごちそうが出てきて、こんなのでいいのかなと。しかし、夜になると町では銃撃戦みたいな、本当にピストルの音が聞こえたり。  そんな一つの、NPOというか、いろんな世界中の人たちが、本当に善意でそういうものに立ち向かって頑張っている人たちとそうじゃない部分、いろいろなものを見てまいりましたが、本当に私も、ソマリアの経験というのは、難民基地に行ったときに、もう本当に、お母さんが乳も抱く力もなくて、子供が地べたに寝て、それを抱く力がなく、そしてそれをお父さんらしい人がぼうっと見ている。それで、国連の職員が来て、脈を取って、白い敷布みたいなあれを、くるくるっとくるんでそのまま持っていくという、そういう場面を見て、写真機は持っていったんですが、写真機のシャッターが切れないような、まさにこの世の生き地獄というのはこういうものかなというものを見させてもらいました。  持っていった医薬品を、今でいう赤チンはありませんが、消毒薬やなんかを、かきむしった肌が、黒人ですけど、下から脂肪が出ていて血が出ない、そのかきむしったところをその薬品を付けてくれと言うので、はいずりながら寄ってくる姿を見まして、本当に、もっと言えば国連の皆さんもいろいろやられていると思いますが、なかなか手が回らないのも分かりますが、その辺の本当に、もっともっと世界各地に今そういう状況が起きているということも我々は、他人事じゃなくて、そういうことも知っておくということも大事かなと。  テレビが今本当に普及されて、毎日とは言いませんが、そういうような放送も流れています。そういうメディアを通じるだけじゃなくて、なかなか危険地帯の訪問は難しいんですが、できる範囲内で、我々も自分の肌で、身で、足で、目で見てきたいと思っております。  質問を終わります。ありがとうございました。
  86. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  日本国オマーン国、それから日本国イランイスラム共和国とのこの協定締結につきましては、いずれも賛成の立場を表明し、質問に入ります。  まず、在沖米軍基地周辺の学校への空調維持費補助の廃止についてお伺いをいたします。  二〇一六年の実施設計分から、沖縄県内の一部の学校、保育所で防音事業の空調維持費が、その補助が廃止されるということですが、空調維持費補助はこれまでどのような考え方の下に行われてきた政策であるのかをまず御説明いただきまして、その廃止の決定に至った経緯、その理由をお聞かせください。
  87. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省は、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第三条第二項に基づきまして、米軍機等の騒音による影響を防止又は軽減するために、学校等に対し空調機の設置を含めた防音工事の助成を行っております。また、防音工事実施後、経年によりまして空調機の機能が低下したものにつきましては、空調機能復旧工事といたしまして、空調機の更新、これを実施をいたしております。さらに、騒音の防止等のために、防音工事により学校等に設置されている空調機を稼働させ、また稼働し得るよう維持する事業といたしまして、予算措置によって電気料金等の維持費の助成を行っております。  このように、空調機に係る助成制度は騒音防止を目的としているところ、近年、公立学校施設における空調機の設置率が騒音の発生いかんにかかわらず全国的に向上していることを踏まえまして、防衛省としては、昨今の厳しい財政状況にも鑑みまして、空調機に係る助成制度の見直しを行うということにいたしました。  この見直しに当たりましては、これまでの助成対象としてきた施設への影響を考慮いたしまして、騒音区分のうち比較的騒音の影響が小さい三級、四級の学校等につきまして、平成二十八年度以降に設計、設置、更新工事を実施する空調機の維持費から順次補助対象外とすることといたしておりますが、他方で、それ以前に設計をし、設置、更新された空調機の維持費につきましては、更新等がなされるまで引き続き助成をしてまいります。  また、自治体等への影響を緩和するために、助成制度の見直しにおきましては、三級、四級、この学校等に対しまして、平成二十八年度以降に実施する空調機能の復旧工事の補助率を最大一割引き上げるということといたしておりまして、空調機設置に係る初度経費、これの軽減が図られます。  例えば三級につきましては、本土におきましては十分の六・五を十分の七・五に、沖縄においては十分の八・五を十分の九に、四級につきましては、本土は十分の五・五を十分の六・五に、沖縄におきましては十分の七・五を十分の八・五、これに一割引き上げるということにいたして、空調機の設置に係る初度経費の軽減を図るわけでございます。  このように、防衛省といたしましては、助成制度の見直しに当たっては地元自治体への影響等に最大限配慮をいたしまして、できる限り財政負担が最小限となるように措置したものでございます。
  88. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 空調維持費の補助に関しては、例えば普天間飛行場、嘉手納基地、そしてキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、その周辺、そして米軍機の飛行ルートとなっている学校が対象になっています。  この補助の内容はうるささの度合いによって、今も御説明ありましたけれども、四等級に分かれており、今回は三級と四級への補助が廃止されるとのことですが、等級分けの基準をお示しください。
  89. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 学校等の防音工事につきましては、一授業の単位時間において一定の強度の音響が一定の回数を超える場合に、そのような授業単位時間の総数が一週間において二〇%以上あり、かつこの状態が通常継続していると認められる場合に補助の対象となるものでございます。なお、一授業単位時間は五十分の場合を標準といたしております。  この補助の内容につきましては、一授業単位時間における音の強さと回数によりまして四等級に分かれております。例えば、同じ十回以上という回数を前提とする場合の音の強さについては、一級は八十五デシベル以上、二級は八十デシベル以上、三級は七十五デシベル以上、四級は七十デシベル以上となっているところでございます。  今般の空調機に係る助成制度の見直しにおきましては、このうち比較的騒音の影響が小さい三級及び四級の学校等を対象とするということにいたしております。
  90. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回、三級と四級を補助対象から外したわけですが、これまで補助対象としていたところをなぜ今回対象から外すのでしょうか。  例えば、昨年まで、三級、四級の騒音に対して、限度を超えたうるささなので補助対象としますとしていました。昨年と変わらない同じレベルの騒音や頻度でも今年から急にうるさくなくなったかのように扱われるのはどうしてでしょうか。
  91. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) それは、全国的にクーラー、空調機を教室に設置するというのはもう常識になってまいりまして、公立学校の施設における空調機の設置率、これが騒音の発生いかんにかかわらず全国的に向上いたしました。この昨今の厳しい財政状況に鑑みまして、この空調機に係る助成制度、これを見直しを行ったわけでございますが、その中で、この影響を考慮いたしまして、比較的騒音の影響の小さい三級、四級の学校につきましては、二十八年度以降に設計して設置、更新工事を実施する空調機の維持費から順次補助の対象外とすることといたしておりますが、それ以前に設計した空調機の維持費につきまして、更新がなされるまでは引き続き助成をされるものでございます。  また、自治体の影響を緩和するために、三級、四級の学校等に対して、平成二十八年度以降に実施する空調機の機能復旧工事の補助率、これは先ほど申し上げましたけれども、最大一割引上げをいたしまして、空調機の設置に係る初期の費用の軽減が図られるということで、これはやはりトータル、セットでお考えをいただきまして、このような助成措置に際しまして、特に三級、四級の学校につきましては、防音工事自体を廃止するものではなくて、米軍機による一定の騒音が発生する場合につきましては引き続き当該の学校等に対しまして必要な防音工事、これは実施してまいるというふうに区分をして考えているところでございます。
  92. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄防衛局が出したこの学校等の防音工事のあらましにはこのように書かれております。  防音工事とはというその章の中で、国は、地方公共団体その他の者が自衛隊等の航空機の離陸、着陸等の頻繁な実施そのほか政令で定める行為により生ずる音響で著しいものを防止し、又は軽減するため、次に挙げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部又は一部を補助するものというふうにしています。また、補足として、補助は、音響の強度及び頻度がそれぞれ防衛大臣が定める限度を超える場合に行うものというふうにしているわけです。  例えば、三級では一授業当たり七十五デシベル以上の騒音が十回又は八十デシベル以上の騒音が五回以上測定される学校と報道されていますが、七十五デシベルという音は、例えば七十デシベルが電話のベルの音、八十デシベルが窓を開けた状態での地下鉄車内の音ですから、その中間でかなりうるさいわけです。これが十回程度授業中に起こって、そして授業が中断され生徒の集中力をそぐという、こういうふうな問題が発生しているわけですけれども、こうした状況の中で、政府対応というのは、在日米軍には思いやり予算と称して莫大な予算を割く一方で、沖縄県の子供たちにはこの対応であれば思いやりがないと言わざるを得ません。  中谷大臣、この件についてどのように感じられるか、お示しください。
  93. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先ほど御説明させていただきました、等級によって区分をいたしておりまして、例えば一授業単位時間において八十デシベル、これが十回以上発生する場合にはこのような授業単位時間の総数が一週間において二〇%以上あり、かつこの状態が通常継続をしていると認められる場合には、騒音の区分において二級の施設として防音工事の補助の対象となるわけでございます。  比較的騒音の影響が小さいと分類をしております三級、四級の学校につきましては、空調機に係る助成制度の見直しを行うということにしたものでありますが、これらの施設におきましても、防音工事自体を廃止したわけではなくて、米軍機による一定の騒音が発生する場合には引き続き当該の学校に対して必要な防音工事、これを実施をしていく考えでございます。  また、空調機の復旧工事の補助率の引上げ、これは行いました。空調機の設置に係る初度費用の軽減が図られたということで、今後設置される空調機につきましては従前に設置された空調機と比較して省エネタイプとなっておりまして、ランニングコスト、これが一定程度軽減されるものと考えておりまして、地元の自治体等の財政負担が最小限になるというふうに措置をして考えたものでございます。
  94. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回補助が打ち切られる学校、それは宜野座村、そして恩納村、伊江村、中城村、浦添市、西原町、那覇市とされているわけですが、その補助が廃止されるそれぞれの学校そして保育所などでは今後、米軍機の騒音はないというふうに言い切れるのでしょうか。米軍が飛行ルートを守るという前提でこれまでもお話をされておりましたけれども、そもそも防衛省は米軍機の運用ルートを把握しているのでしょうか、お伺いいたします。
  95. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては、飛行場の周辺の騒音軽減対策、これは重要な課題であると認識しておりまして、米側に対しては、累次の機会に、航空機の運用に当たりまして安全な飛行の確保に努めるとともに、航空機騒音規制措置等の遵守を徹底をして周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように申入れをいたしております。  こういった形で、一般に、米軍機の飛行経路につきましては米軍の運用に関わるということで全容を把握することは困難でございますが、防衛省といたしましては、毎年、普天間飛行場において目視、撮影することによりまして回転翼機やオスプレイのルートを調査するなど、できる限りの把握に努めているところでございます。  そのような苦情や御要望がありました場合には、その都度、米軍に対して申入れ等を行って是正を求めているところでございます。
  96. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今御答弁の中で、例えばオスプレイの飛行ルートなど、あるいはその騒音の内容など絶えず定点観測をしてちゃんとやっているとおっしゃいますけれども、これ、地元の自治体が調査したのと防衛省が調査したのとはかなり乖離があります。  今おっしゃったように、米軍機の運用ルート、あるいはまた、それは軍事機密なので言えないということがこれまでの答弁の中でも数々出てまいりましたけれども、しかし沖縄は、御存じのとおり沖縄本島の一八%が米軍の基地であるわけです。そして、そこは昼夜を問わず米軍機は県民の頭上を飛んでいるのであります。  例えば、地上の方から私たちが目測をしても、まるっきり飛行ルートを外れてオスプレイが飛ぶというのは通常であり、しかも、夜の十時以降も随分住宅地をオスプレイが飛んでいるという、そういうふうな状況から考えていきますと、本来の約束を全く守らない状況で飛行しているというのが実態であります。住宅地のその上空を軍用機が飛ぶこと自体まさに許し難いことでありますし、それから、米軍用の住宅地、そこの上空を低空飛行しないというのはよく聞くわけでございます。  ですから、これを考えますと、飛行ルート一つ考えましてもちゃんと政府が本当に把握してチェックしているかどうか甚だ疑問でありますが、日本の安全を守るためといって沖縄の子供たちの頭上を米軍機が低空飛行する、そのことは絶対にあってはならないと思いますし、またもう一つ、今回のこの空調設備をこうやって等級ごとにカットしていくということは、沖縄の立場からすると本当に許し難いものです。  なぜならば、この軍事費、かなり大変だとおっしゃいますけれども、しかし、五兆五百四十一億円の軍事費、それを今、日本が自衛隊あるいは米軍両方に使用するということから考えていきますと、さらには、辺野古新基地に伴う費用も過去最高の五百九十五億円……
  97. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
  98. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 というふうに考えていきますと、米軍に対する、自衛隊に対するその思いやりがある中で、なぜ沖縄県内の子供たちに対するこういう空調施設をカットしていくのか、これ、改めて再考していただくことを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  99. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  100. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、日本オマーン投資協定及び日本イラン投資協定承認に反対の立場から討論を行います。  二つの協定は、いずれも相手国への投資促進するために、投資設立後の投資家の権利の保護や環境整備に関するルールを定めるものであり、安倍内閣が経済政策の柱と位置付ける大企業優先の成長戦略の下、日本の多国籍企業が海外で最大限の収益を上げる投資促進のために締結されるものであります。  日本の財界は、国内では法人税減税や労働法制の改悪を、国外では日本の多国籍企業が多額の収益を上げられるような条件整備、投資協定や租税条約締結を強く求めています。安倍政権の日本再興戦略は、財界の強い要請と一体となって、積極的に世界市場に展開を図っていくためとして、経済連携協定や租税条約と並び、投資協定締結拡大に取り組むことを明示しております。中東二か国を対象とする本二つの協定は、まさにこの一環であります。  さらに、質疑指摘したように、首相や外相を先頭に、安倍内閣の閣僚による企業の海外進出のためのトップセールスが展開をされております。こうした下で、大企業は史上最高益を上げる一方、実質賃金の低下や消費増税で景気と国民生活は悪化をしております。今求められているのは、一層の大企業支援や海外進出の後押しではなくて、国民生活支援への抜本的転換であり、格差を正し、公正な社会を実現をすることであります。  また、二つの協定にはISDS条項が含まれております。一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながることが懸念をされます。  以上を指摘し、討論を終わります。
  101. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、投資相互促進及び相互保護に関する日本国オマーン国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、投資相互促進及び相互保護に関する日本国イランイスラム共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  105. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大野元裕君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえさんが選任されました。     ─────────────
  106. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官大菅岳史君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  108. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 福山でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  防衛大臣とは安保法案以来でございまして、なかなか質問するのも、どういう立場質問するか難しいなと思いながら今立たせていただいておりますが、北朝鮮情勢が、三十六年ぶりに党大会が開催されたと。金正恩氏が責任ある核保有国を明言した、自衛的な核戦力を質的、量的に強化をしていくと強調したと。これは国際社会、特にNPT、核不拡散に対する非常に大きな挑戦で、僕は大問題だというふうに思っておりまして、一方で、核拡散防止義務を誠実に履行して世界の非核化を実現するため努力すると、よく言ったものだなというふうに考えております。  外交防衛委員会でございますから、直近、この発言等について、防衛大臣、そして外務大臣の見解をまず御披瀝をいただければと思います。
  110. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今月六日に、第七回の朝鮮労働党大会において、核保有について大きく三つのことを言いました。まず一つは、経済建設と核武力の建設の並進路線、これは一時的な対応策ではなくて恒久的に堅持すべき戦略的路線であるということ、第二に、北朝鮮は責任ある核保有国であるということ、第三に、自衛的な核武力を質量共に更に強化していくという一方的な主張、これを行ったものと承知をしております。  北朝鮮は、二〇〇三年にNPTを脱退をしまして、これまで四回核実験をし、憲法においても自ら核保有国である旨を明記をし、そして国際社会に自ら核保有国としての地位を認知させるための動きを繰り返しておりまして、こうした一連の動向につきましては、安保理決議の違反、また六者協議の共同声明を遵守することなく、自らの核兵器開発を今後とも継続をする意思を示したものでありまして、我が国としては到底受け止めることはできないと考えております。  また、北朝鮮のこのような核兵器の開発の進展は、ミサイルの増強と相まちまして、我が国及び地域の安全に対する重大かつ差し迫った脅威と認識をしておりまして、我が国としましては、北朝鮮がこのように一方的に主張を行う前に、安保理決議を遵守をして、自らの非核化、これを実現する必要があるというふうに考えております。
  111. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 五月の六日から九日にかけて開催されました朝鮮労働党の第七回党大会ですが、大会の全体、さらには詳細については今引き続き情報収集をし、分析をしているところです。  ただ、委員指摘のこの発言につきましては、こうした核開発、そしてミサイル開発、これを続けるということでありますので、これは累次の安保理決議、六者会合声明、そして日朝平壌宣言、こうしたものに反するものであり、これは断じて容認することはできないと考えます。  また、あわせて、朝鮮半島に対する再侵略野望というような、日本に対する全く根拠のない発言も行われたという報道を聞いております。こうした発言も全く受け入れることができない、このように考えます。
  112. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 お二人の大臣の御答弁は本当にごもっともだと思います。  岸田大臣が重要なことを言われまして、これは日朝平壌宣言に明確に違反するというのが日本国政府立場でよろしいんですね。先ほど反するとおっしゃったので。
  113. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、核開発あるいはミサイル開発、これは日朝平壌宣言に反すると考えます。
  114. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 引き続き、北朝鮮の動向については注視をしていただいて、先ほど大臣言われました分析も含めて、よろしくお願いしたいと思います。  続いて、これは岸田外務大臣と関心が僕はずっと共通しているというふうに思っておりまして、これは応援も含めての質疑でございますが、グローバルファンドについてでございます。  二〇〇〇年に我が国の沖縄サミットで小渕総理、また森総理に引き継がれてできたグローバルファンドがエイズ、結核、マラリアの三大感染症について非常に大きな貢献をこの十五年余りしてきました。約千七百万人の命をこの三大感染症から救済をしてくれました。  私が官房副長官のときに当時国連で第三次のプレッジ会合が開かれまして、五年間で総額八億ドルの増資の表明をし、菅当時の総理に演説をしていただきました。その演説の草稿を私も検討させていただいたことも含めて、このグローバルファンドについてはずっと注視をしていき、政治家としてはずっと与野党関係なく応援をしていきたいと考えてきています。  昨年来、SDGsへとMDGsが変化していく中で、グローバルファンドも四月の理事会でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、つまり全ての人に必要な医療を、我々の日本は、ずっと保健、特に母子保健等について大変な貢献を国際的にしてきたわけですが、グローバルファンドも今後五年間、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジを一つの柱にしていただいています。  これは、安倍政権でも我々民主党政権でも同様のことを国際社会に訴えてきたはずでございますが、今年の九月に再度のプレッジ会合があります。G7の外相会議で岸田外務大臣は引き続き支援していくと合意をされましたが、伊勢志摩サミットではこのグローバルファンドへの支援の位置付けはどうなるのか、何らかのコミットを発出する予定があるのか、そして増資会合についてどのような決意で臨まれるのか、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  115. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、本年の伊勢志摩サミットにおきましては、かの感染症対策やこのユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進を含む保健分野を優先アジェンダの一つとしてしっかり光を当てる、こうした考えでおります。  そして、グローバルファンドとの関係ですが、具体的に次回プレッジに向けたコミット等については引き続き今調整を続けておりますし、どういった内容にするのかまだ調整中でありますが、しかし議長国として日本はしっかりと議論をリードしていかなければならない、このように考えております。  我が国はこのグローバルファンド設立に際してリード役を務めたということを自負しております。言わば生みの親であり、引き続き相当の貢献を行っていくべきであるという考えの下、前向きに取り組んでいきたいと考えます。
  116. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 前向きな御答弁ありがとうございます。  実は、九日、カナダのトリュード首相が記者会見を行っておりまして、本年の九月の増資会合をケベックで行うということを発表し、カナダとしては三年間のプレッジとして七億八千五百万カナダ・ドル、プレッジ額としては二一%増やす、これは増資会合を開催する国としての責任を果たすというような類いの発言を九日、つい最近されたところでございます。  日本も、今大臣言われたようにサミットの議長国でございますし、グローバルファンドの生みの親でございます。確かに国内の財政状況は厳しいですが、だけれども、やっぱりしっかりこの分野については日本は責任を果たしていくんだという強い意思表示を大臣お願いしたいと思いますし、日本のこれまでの貢献に対して国際社会も大変評価をしていただいておりまして、ビル・ゲイツ、サミュエル・エトー、これは元カメルーン代表のサッカー選手ですし、エルトン・ジョン、こういった歌手とかも含めてこのグローバルファンドについての期待感が表されていますので、是非大臣、もう一言、金額の面も含めて頑張るとおっしゃっていただければ有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) グローバルファンドにつきましては、委員が御指摘のように国際社会からもこれは評価されていると思っておりますし、我が国としてもしっかり取り組まなければならないものであると思っています。  確かに財政など様々な課題は存在いたしますが、新規プレッジの額あるいは対応、こういったものについて国際的な三大感染症対策に対してしかるべき貢献を行う、こうした思いで前向きに取り組んでいきたいと私は考えます。
  118. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それ以上答弁しにくいと思いますので、これ以上申し上げません。  ただ、もう一個、実は課題が残っています。  前回、大臣がコミットしていただいた八億ドルのコミットメント、三年間の増資ですが、本年の二〇一六年十二月が期限となっているのですが、日本はコミットした八億ドルのうち一億四千二百万ドルがまだ未払の状況です。残っています。残っている状況で増資会合があります。  ですから、この残っている増資の分も含めてどういう議論になるのか。もちろん、熊本の震災もあり、補正予算を組まなければいけないということで財政的に厳しいのは重々よく分かっておりますが、それは国際社会への約束も含めて、この残っているものについて、大臣、今どういう見解でいらっしゃるのか、御答弁いただければ有り難いと思います。
  119. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、残っている分ですが、我が国は二〇一三年十二月に当面八億ドルの拠出をプレッジしましたが、これは当面の間については拠出の年限は区切っていないというのが基本的な考え方であります。残り一・四億ドルほどの金額になるわけでありますが、それも一応念頭に置きながら、新規のプレッジについても、様々な条件はありますが、しっかりと前向きに検討していきたいと考えます。
  120. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう前向きに御答弁いただいていると受け止めて、是非、調整大変だと思いますし、財務省との交渉も大変だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。これで救われている本当に多くの三大感染症の方々がたくさんいらっしゃいます、僕は現場も見に行っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、日本人の戦没者の遺骨の収集についてお伺いします。  太平洋戦争で亡くなった戦没者の遺骨収集を加速する法律が先月四月一日から施行されました。これは良かったと思っております。いまだにまだ百十三万人もの遺骨が収容されておりません。御遺族の高齢化も進んでいて、一日も早く一人でも多くの御遺骨をお返ししていかなければいけないということだというふうに思っております。  戦没者遺骨収集推進法では国の責務でこのことを行うことを明記しておりまして、厚生労働省は、海外の事業で相手政府との関係もありますし、外務省との協力が欠かせないというふうに考えておりまして、厚生労働省も御苦労いただいていると思います。  そのうち、フィリピンは、何と百十三万人のうち三十七万人の御遺骨がフィリピンにあると見られています。残念ながら、フィリピンにおける遺骨収集をめぐっては、二〇一〇年十月、我々が政権を担わしていただいているときでございますが、NHKで、いわゆるこれは日本人の遺骨ですよという宣誓供述書の内容が虚偽であるとか、他の国の遺骨が混じっているのではないかというようなNHKの報道があって、それ以来、若干これ止まっている部分がありますが、結果として検証が行われました。検証結果について御報告いただけますでしょうか。
  121. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 今委員指摘のようなことに基づきまして、私ども二〇一一年十月にその検証を行った報告書を出しております。この中では、持ち帰った御遺骨の方に日本人以外の御遺骨が混入しているという事実は認められなかったわけでございますが、このときに遺骨収集事業を中断をいたしましたので、これを進めるためには、このフィリピンにおける遺骨収集事業の在り方を再検討する必要があるということで、その方向性についてもこの中で触れております。  大きなところで申し上げますと、一つは、遺骨の収集はフィリピン国立博物館職員の同行の下でのみ実施するとともに骨学等の研修を受けた当省の職員を現場に派遣すること、それから、遺骨の鑑定はフィリピン側専門家と日本側関係者が合同で実施することなどの改善策を取りまとめました。  そして、この改善策を外交ルートを通じてフィリピン政府の方に今提示しております。覚書の締結に向けて協議を行っているところでありまして、できるだけ早期に遺骨収集事業を再開したいと考えております。
  122. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  宣誓供述書の内容も虚偽であることは確認されなかったし、先ほど太田政務官が言われたとおりだったと思います。ただ、このことでフィリピンの遺骨帰還事業が止まっています。  先ほど、見直しをして覚書を締結と言われていますが、実はこのときに、報道されて止まって、フィリピンの国立博物館にはまだ日本に送られず一時保管されたままの御遺骨があります。一体どのぐらいの数ありますか。
  123. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  124. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を起こしてください。
  125. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 失礼いたしました。  今、フィリピン国立博物館で一時保管していただいております御遺骨は二百四十八箱、柱の数は不明でございますけれども、箱の数で二百四十六ということでございます。
  126. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ、二百四十箱の、ある意味箱にずっと保管をされています。普通、このレベルでいうと、柱の数は一般的にはどの程度になりますか、政務官
  127. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 正確にお答えしなくてはならないので、現時点では分からないというふうにお答えしておきたいと思います。
  128. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ、一般的に言うと、推定三千柱なんですね。  これ一体、じゃ、何年間もう国立博物館に保管をお願いしていますか。
  129. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 一度中断をいたしましたのが、今御指摘のように二〇一〇年でございます。  そして、現在、二十八年三月現在で先ほど申し上げたような数字でございます。(発言する者あり)
  130. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  131. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を起こしてください。
  132. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 失礼をいたしました。  先ほどお答え申し上げましたように、二十二年十月にフィリピンでの遺骨収集帰還事業を中断し、その後、フィリピン国立博物館の方に一時保管をしていただいている御遺骨が、先ほど申し上げた二百四十六箱でございます。  この保管につきましては毎年更新をいたしまして、現在に至っているということでございます。
  133. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これね、中断したときはしようがないんです、検証しなきゃいけないから。でも、検証は二〇一一年の十月に行われているんです。それから実はもう五年以上たっています。何で五年以上国立博物館にこの遺骨が保管をされたまま、ある意味でいうとほったらかしなんでしょうか。先ほど覚書の締結という話がありましたが、覚書の締結は一体どこで誰が交渉していたんでしょうか。そして今後、この覚書の締結は誰がどこでやるんでしょうか。  法律が施行、四月、されました。他の国にもある遺骨収集をやることも重要だと思いますが、まず目の前に、ここに保管されたまま放置されている国立博物館のこの遺骨があります。これも誤報だということ、先ほど政務官認めていただきました。メディアの誤報によって止まって、検証したけれどもそのまま放置されている。  このことは早くやるべきだと思いますし、これ外務省がどの程度協力できているのか僕よく分かりませんが、これはやっぱり外務省と厚生労働省の連携をしっかりやってフィリピン政府と早急に覚書を交わして、この二百四十箱の遺骨のまずだびに付することをしっかりやらないと、これ放置したままでは、遺族も含めて、遺骨来ているのに、そこ置いたまま五年ほったらかしですよ。このことについて政務官大臣、いかがですか。
  134. 太田房江

    大臣政務官(太田房江君) 先ほども申し上げましたように、こちらから既に改善策を提示し、覚書の締結に向けて協議を行っている最中でございますが、この点については外務省の御協力を是非お願いしたいと思っております。  さらに、この間どうして放置したのかと、こういう御指摘ごもっともでございますけれども、実は私どもが一度提示をいたしましたのが平成二十三年でございましたけれども、その後、フィリピンの政府の側からフィリピンの国内の事情、すなわち我が国のみならず世界各国から、アメリカを始めとして、あると言われている御遺骨に対して、その遺骨収集事業についてのガイドラインの策定をしたいという申出もございましたので、この中断が続いたということであり、現在鋭意早期再開に向けて努力をしておるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  135. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 覚書の方について答弁させていただきます。  まず、覚書は、我が国の厚生労働省と先方の関係当局との間で結ぶものでありますが、外務省としてもしっかり支援しなければならないということで、日本側としましては今年三月に覚書の案文を提示いたしました。これを基にフィリピン側と今鋭意協議を進めております。  そして、総理親書の発出あるいは外相会談等での申入れを通じましてフィリピン側にこの協議の加速化、これを申し入れているということであります。一日も早く、これ作業を進めたいと考えます。
  136. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 私は早くやっていただきたいので、詰めはしません。じゃ、この五年間、交渉本当に何回、誰がフィリピン政府側に言って、本当にフィリピン政府側に交渉が進むように促したのかとこれ詰めていったら、ほとんど何もやっていない。今の御答弁ですと、フィリピン側が何か理由があって止めていたように見えますが、じゃ日本側から何かの働きかけをしたのかと。ましてや、その分、一年一年更新して、実はこれ保管料を支払っています。別に保管料の多寡を言っているわけではありません。その都度ちゃんと交渉できる余地はあったはずです。そのことは僕は詰めませんが、とにかく早くこのことは、日本に遺骨を御帰還いただいて、御遺族にお渡しするなり、しっかりだびに付すというようなことが必要だと思いますので、早急に交渉を進めていただくことをお願いしたいと思います。  大臣、もしよければ御決意だけお願いします。
  137. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これは一日も早く覚書の締結に向けて努力しなければならないと考えておりますし、結果として一日も早い事業再開に結び付けなければなりません。外務省としましても、しっかり厚生労働省を支援して作業を加速化させます。
  138. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 続いて、もう非常に気分の悪い質疑をしたいと思います。  藤丸政務官の佐賀の講演の発言についてでございます。  私も出回っている藤丸政務官の発言録を拝見しました。まあ政務官という立場でよくこれだけのことをお話しになられましたね。これ、各委員会の議事録も全部拝見しました。皆さん、これ、この中身を伝えるのをちゅうちょされているんです。なぜか。この中にひょっとしたら、特定秘密が入っていたら、この委員会で追及した自分が逮捕されるんじゃないかと思うからです。そのぐらい本当にいろんなことを言われましたよ。これ一個一個やっていったら、私、多分二時間ぐらいできると思います。  これ、申し訳ありませんけど、政務官、あなた防衛省の政務官ですよ。あなた、自衛隊のナンバースリーですよ。どこに自覚があるんですか。国会の審議では、不徳の致すところだとか、間違っていましたとか、政務でしたからと。じゃ、大臣が自分の地域やほか全国行って発言したものを、大臣が政務でしたと言って通用するんですか。そんな使い分けが通用するんですか、本当に。  一個だけ焦点絞ってお伺いします。  あなたは、北朝鮮のミサイルの発射について、私、言いません、これ、どういう秘密の類いか分からないから。○時○分に撃ったんですが、○分後の○時○分の段階では何とかのレーダーが捉えるんですという発言があります。  これ、お伺いします。藤丸政務官、この発言はなぜ秘密に当たらないんですか。
  139. 藤丸敏

    大臣政務官(藤丸敏君) お答えさせていただきます。  佐賀県での講演において、私は、我が国防衛、周辺の、国周辺の安全保障環境の厳しさと自衛隊の活動を紹介する中で、北朝鮮における発射の対応について言及いたしました。  その発言の、その防衛省の公式の説明を行おうとしたものの、その発言中の表現や数値が必ずしも正確ではなくて、間違えて発言してしまったことでありまして、これが不適切な発言であったと大変反省しているところであります。  具体的に、北朝鮮によるミサイル発射への自衛隊の対応に関する私の発言については、公になっても運用に、若しくは、公にしておりまして運用に支障のない情報であり、例えば特定秘密等に該当するような情報は含まれておりません。ただし、正確さを欠く表現や数値が発言されたことについては、間違いであったとしても誤解を招きかねませんので、不適切であったと思っております。  国会議員として行う政務の一環とはいえ、関係者の方々をいたずらに混乱させたことは極めて遺憾であります。既に防衛大臣から私に対して、今後、公の場における言動を慎むよう厳しく注意を受けたところでございます。
  140. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、防衛大臣、お伺いします。  日本のレーダーが、SEW情報じゃありませんよ、日本のレーダーが北朝鮮の発射についていつ捕捉したのか、ここでお答えできますか。今、政務官は、自分の発言は一切防衛の秘密には関わらないから大丈夫だと、公表したものだとおっしゃったので、あえて大臣にお伺いします。大臣、お答えください。
  141. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 発言につきまして、レーダーで捉えた時間を言ったような気がすると述べておりますが、公表では、二月の七日午前九時三十一分、北朝鮮西岸の東倉里付近から南方に向け人工衛星と称する弾道ミサイルが発射され、防衛省としては、九時三十三分頃にレーダー情報を入手をし官邸の危機管理センターに連絡したと公表をいたしております。  このように、防衛省としては、秘密保全には非常に厳に大事な問題として捉えているわけでありますが、その一方で、国民等に与える情報につきまして、必要なものにつきましては自衛隊の部隊の運用に支障のない範囲で公表する一方で、手のうちを明らかにする場合は秘密に指定をいたしておりますが、このレーダーの情報につきましては、当時の状況等に鑑みまして、九時三十三分頃にレーダー情報を入手をして危機管理センターに連絡したというふうに公表しております。
  142. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大臣、ごまかしちゃ駄目ですよ。  SEW情報を入手して、どのアセットで入手したかは明確にしなくて、公表情報は官邸からの公表情報しか出ていなくて、そこには、防衛省からレーダーによる情報を入手なんです。何のレーダーか、何かについて、どこが主体としてレーダーで捕捉したかは何の公表情報には出ていないんです。今防衛大臣は微妙な表現をしましたが、微妙な表現をしましたが、それ絶対に違うんです。  ましてや、二〇一二年、我々の政権のときも同じことがありました。あのときも、我々はどのレーダーで何で捕捉したかは一切外には出していません。今回の公表情報にも一切出てきません。SEW情報から入手したという一般論としては公表していますが、どこで捕捉したかは何も発表していないんです。  ところが、僕がさっき申し上げたとおり、政務官の発言はそれがしっかり言われている。これは問題じゃないですかと。さっき、そのことは秘密だと大臣おっしゃった。だけれども、今までは秘密じゃないとか省秘じゃないと委員会で答弁されている。これどういうことですか、大臣
  143. 辰己昌良

    政府参考人(辰己昌良君) この日に、二月七日に公表している情報の中には、九時三十三分頃、防衛省からレーダーによる情報を入手というのも公表しておりますので、そのことを政務官は間違えて説明したということでございます。
  144. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そんなの通じるわけないじゃないか。時間も違うんだよ。ましてや、防衛省からという話だって言っていないんですよ、政務官は。大臣は見事に、今回の記者会見、発射直後の記者会見で、自衛隊の各レーダーによりまして必要な情報収集も行っておりましてと言っているんですが、それ以上のことは言われていないんです。どのアセットで探知したのかにつきましては、具体的な探知状況については、我が方の手のうちを明らかにするおそれがあることによって、お答えの方は差し控えさせていただきますと言っているんですよ。ところが、政務官は言っているんですよ。  もしそれが情報じゃないというんだったら、いいですよ、我々は何が特定秘密かどうか分からないんだから、どこのレーダーでどういう形で探知したものか、特定秘密かどうか、二〇一二年、我々のときにはもう秘密指定しているはずですから、情報審査会を開いて秘密かどうかを確認しましょう。  委員長お願いします。理事会において、情報審査会を開会して、この問題について特定秘密かどうかについて確認するように理事会で協議いただきたいと思います。
  145. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 後刻理事会で協議をいたします。
  146. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 という話を詰めていくと、政務官、駄目なんです、これ、アウト。アウトなんですよ。  それで、実は防衛省の中に、情報管理者等義務違反についてのちゃんとあれがあるんですよ、処罰規定があるんです。これ、実は三役じゃないんです、管理者、つまり官僚の皆さんです。官僚の皆さんが、部下が秘密漏えいしたときには、みんなそれを隠蔽したりそれを隠そうとしたら、当然免職処分なんです。  いいですか。特定秘密保護法案を安倍政権が強硬に作った。管理もそして開示も曖昧でまずいと我々は主張したけれども、作った。それを最初に公で漏らしたのが防衛大臣政務官なんて、笑い話にもなりませんよ。  いや、認識がなかった、それが問題なんですよ、あなた。じゃ、何か反論できるなら反論してみてください、政務官
  147. 藤丸敏

    大臣政務官(藤丸敏君) 私が言ったことは、四月の二十一日の衆議院の総務委員会においてもお話ししましたが、公表して、二月の七日午前、三十一分頃に北朝鮮西岸の東倉里付近から南方に向けて人工衛星と称する弾道ミサイルが発射された、防衛省としては九時三十三分頃にレーダー情報を入手しております。官邸危機管理センターに連絡したと公表しております。したがいまして、私は、講演の場で表現や時間を、三十二分と言っていますが、間違えて発言していたと思います。そういうふうな答弁をしております。
  148. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 誰が国会であなたが弁解した答弁を教えてくれと言ったんですか。だって、あなたが間違えたかもしれないと言っているけれども、間違いかどうか証明できないんですよ、委員会では。  じゃ、あなた、その講演の場でどういう発言したか、御自身で、ここで委員の皆さんに私はこう言いましたと、それが今のあなたの抗弁とどう違うか、委員の皆さんに御披瀝ください、あなたがどういう発言をしたのか。
  149. 藤丸敏

    大臣政務官(藤丸敏君) 私自身、録音しておりませんので正確には分かりませんが、いろんなもので三十二分と言ったと、多分三十二分と言ったという思い起こしはあります。
  150. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 いいですか、ごまかしちゃ駄目ですよ。僕は時間のことを言っていないでしょう、さっきから。時間のことを言っているわけじゃないでしょう。だから、私、ここでしゃべれないんですよ、ひょっとしたら特定秘密かもしれないから。いいですか、申し訳ないけど、あなたはまだ当選回数も若い、これからまだ先がある、こんなことでもう居続けちゃ駄目。  防衛大臣、これもう防衛省の官僚みんな、この人には情報を上げられないと思っていますよ、絶対。それは、ガス田の話にしてもアメリカとの関係の話にしても、防衛大臣政務官として呼ばれた講演会でこんな、僕、ほかにもいっぱいありますよ、言いたいこと。ひょっとしたらほかにも特定秘密に関わりそうなこと幾つかあります。しかし、これはもうあなた、防衛大臣政務官として、官僚の皆さん、信用してあなたに情報を上げない、仕事にならない、日本の国防に対して大問題です。  防衛大臣、彼の先のことを考えても、ここはすっと引いた方がいいと僕は思いますよ。じゃないとこれ延々と続きますよ。こんなのは、本当に情報監視審査会開いて、特定秘密かどうか確認して、特定秘密だなんといったらこれ大騒ぎになりますよ、ひっくり返って。大臣の責任問題にもなりますよ。こんなもの口頭注意で済まないですよ。  私、こんなのは本当は余りやりたくないんだけど、ちょっと余りにもひどいので、これを政務だと、政務ですと言って通用したら、悪いけど、政務三役、外で何言ったって通用しますよ。これは国家の機密ですよ。  今日、北朝鮮が核を保有するみたいな発言をしたとか、その話の最中にこれですよ。ましてや、僕はたまたま、今日、本当に遺骨収集の話をしていました。あなたは古賀先生の後継でしょう。古賀先生は、遺族会に寄り添い、本当に日本のリベラルの旗頭としてやってこられたわけじゃないですか。どんな自覚を持ってあなたは政務官やっているんですか。  防衛大臣、これは本当、引いた方がいい、引かせた方がいい。それの方が政権のためにもなるし、そこは、別に首を取るとか取らないじゃなくて、まずいですよ、これ。だって、官僚みんな信頼しないもの、もう。日本の本当に安全保障についてすごく大きな問題になりますよ。大臣、いかがですか。
  151. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては様々な情報に接するわけでありまして、その中で、我が国の防衛、手のうちに関わることにつきましては、これは厳に秘匿をすべき情報でありますが、逆に、いち早く国民に知らせなければならない情報もございまして、このミサイルの情報につきましては、防衛省として九時三十三分頃にレーダー情報を入手して、危機管理センターに連絡した上で、それで官邸からいろいろとアラートなどが伝達されたということでございます。  したがいまして、この当時の本人の発言につきましては、九時三十三分にデータ情報を入手したということは、これはもう公にしたことでございますので、この点につきまして法に触れるような情報漏れがあったとは認識をいたしておりません。  ただし、この表現の中の数字が正確ではなくて間違えて発言をしてしまったということは本人も認めておりまして、これは不適切な発言であったと認識をいたしておりまして、私の方からも直後に本人に対して注意をし、また、その後の会見でこれを正確に国民の皆様にお伝えをしたところでございまして、こういった面におきまして非常に本人の注意力が欠けていたということにつきましては非常に遺憾であると考えているわけでございますが、今後、公の場における発言を厳に慎むように私の方から注意をさせていただいたということでございます。
  152. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう時間ですから残念ながらやめますが、さっきの答弁だってある意味ごまかしているのは明確なんですからね。これは、議事録精査すればすぐ分かりますよ。  それから、私、時間のことばかり言っているんじゃありませんよ。大臣、これは大臣にだから今回は詰めないけど、時間もないから。三十三分に情報を入手したじゃないでしょう。防衛省から三十三分に官邸に報告したんでしょう。それ、違うじゃないですか。公表情報と違うことを国会で答弁して、大臣まで一緒になってごまかしてどうするんですか。  これは結構微妙なんですけど、大切なことが、いっぱい国防の機微に触れることがあるんです。本当に情報審査会まで行ったら大変になりますよ。二〇一二年にちゃんと例があるんだから、もう秘密多分指定されているはずですから。そういったことも含めて、ちょっと身の処し方を、政治家なんですから御自身で考えていただくことをお願いして、質問を終わります。
  153. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 外務大臣にお尋ねします。  四月三十日の日中外相会談を始めとする訪中の成果について御報告を求めます。  訪中前の記者会見で大臣は、新しい時代にふさわしい二国間関係を構築していくために、二国間関係を前進させる一歩になるような訪問にしたい、このように抱負を述べられましたが、その所期の目的は達したのでしょうか。外相会談での政治対話は具体的にどのような点で成果が上がったと言い得るのか、お尋ねをいたします。
  154. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回、日本外務大臣として約四年半ぶりに中国を二国間訪問させていただきました。王毅外交部長、李克強国務院総理、そして楊潔チ国務委員会談をいたしました。  中身、そして評価ですが、私からは、私自身、先月二十五日、講演で提起しました新しい時代にふさわしい日中関係に関する私の考え方を説明し、率直な意見交換を行った次第です。その結果として、各会談において、日中関係の重要性を確認するとともに、更なる日中関係改善のために双方が努力していくということで一致することができました。今回のこの訪中を通じて、今後の外交日程について日中間でしっかりと意思疎通を進め、ハイレベルの交流を組み立てていく、こうしたことでも一致をいたしました。  こういったことから、今回の訪問、意義あるものであったと思いますし、今後、日中間の歯車を回す端緒になることを期待しております。
  155. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 岸田大臣は、今回の外相会談等で五つの協力分野及び三つの共通認識を提起されましたが、これを提起した狙いはどこにあるんでしょうか。また、これに対する中国側の受け止め方と、また、大臣のこうした問題提起が今後の日中関係改善にどうつながっていく、促進をする効果があると期待をしているのか、お尋ねをいたします。
  156. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員指摘のように、今回の訪中において私から、当面日中両国が力を入れるべき五つの協力分野、すなわち、一つはマクロ経済、財務、金融、二つ目として省エネ、環境、三つ目として少子高齢化、四つ目として観光、五つ目として防災、これを提起しました。さらに、三つの共通課題ということで、一つ目、北朝鮮、二つ目、国連での協力、三つ目、テロ対策、中東情勢、こうした協力を提起した次第です。  こうした協力を提起した意図ですが、これは、日中間の共通利益に基づく協力を深化させ共通課題に取り組むことによって、両国関係の肯定的な側面を増やしていくべきであるという考えに基づいたものであります。  そして、中国の反応ですが、中国側からは、この五つの協力分野、三つの共通課題における具体的な協力においても前向きな反応があったと受け止めています。  そして、御質問の効果の部分ですが、日中間には互恵的な協力が可能な分野が非常に多く、まだ十分に発揮されていない潜在力があると考えています。また、地域、国際社会への責任を果たし、グローバルな課題の解決に貢献するとの観点から協力すべき分野も数多くあります。こうした分野での協力を一層進展させ、日中関係の更なる改善、発展につなげていくことを期待しております。
  157. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 歴史認識の問題の隔たり等は容易に解消するものではありませんので、こうした共通の課題につきまして具体的な協力を積み重ねていくことは私も極めて重要であると思いますので、是非具体的に協力を進めていただきたいと思っております。  今般の日中外相会談におきましては、南シナ海問題についても率直な意見交換がなされたということでございます。中国側は、日本中国脅威論をまき散らしたり同調すべきではないなど主張し、しかしながら議論は平行線をたどったと伝えられております。  そこで、我が国は、ASEAN、米国を始めとする国際社会のこの南シナ海問題についての懸念をどう中国側に伝えたのか、また、こうしたことも踏まえながら、今後、日中のハイレベルな対話というのをどう構築、実現をしていく方針であるのか、お尋ねをいたします。
  158. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、資源エネルギーの多くを海上輸送に依存する我が国にとって、輸入原油の約九割、天然ガスの約六割が通過する南シナ海における航行の自由及びシーレーンの安全確保、これは極めて重要であると考えます。そして、その南シナ海における一方的な現状変更の試みは国際社会共通の懸念であり、我が国として、国際社会と連携し、開かれた自由で平和な海を確保していくことが重要だと考えています。  今回の訪中において王毅外交部長との間で南シナ海情勢について率直な意見交換を行いましたが、私からは、今申し上げたような我が国立場、これをしっかり伝えた次第であります。今後とも、様々な機会を通じて、中国を含む関係国との間で我が国立場に基づいて南シナ海情勢について率直な意見交換を行っていきたいと考えております。
  159. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いよいよ今月二十六、二十七のG7伊勢志摩サミットが間近に迫っております。安倍総理は今月一日から五日にかけまして欧州五か国を訪問いたしまして、G7サミット成功に向けての幅広い意見交換を行ったわけであります。  そこで、今回の総理の訪欧はいかなる成果があったのか、また、このことを踏まえて外務大臣としてもG7サミットの成功に向けて我が国がどうリーダーシップを発揮できるように準備をしていくのか、お尋ねをいたします。
  160. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 安倍総理の今回のこの欧州訪問を通じて、欧州のG7メンバーの首脳との会談を総理は実施をいたしました。G7伊勢志摩サミットに向け、世界経済、テロ、難民、あるいは安全保障問題など、世界が直面する様々な課題について忌憚のない意見交換を行い、力を合わせて行動する、こういったことを確認いたしました。特に、このサミットの最大のテーマであります世界経済に関しては、金融政策、機動的な財政出動、構造改革を、それぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく協力して進めていくことが重要である、この点で各国首脳と一致できたと考えています。  そして、その各国訪問の際の二国間関係に関しましては、各国・機関の首脳との間の信頼関係を更に強化するとともに、特にイタリア及びベルギーにおいては、国交樹立百五十周年を祝し、一層の協力関係の発展が確認されたと考えます。  そして、G7伊勢志摩サミットにおいては、さきに述べた世界経済を始め、首脳が一堂に会して更に議論を深め、G7として明確な力強いメッセージを発出できるよう、議長国として指導力を発揮していかなければならないと考えます。そうした考えに基づいて、是非しっかり準備を進めていきたいと考えます。
  161. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 午前の質疑日ロ首脳会談についても取り上げられました。これは、四月十五日の日ロ外相会談双方受入れ可能な解決策をという合意に至った、これを受けての首脳会談であるということで、大臣はそういう意味ではしっかりとお膳立てをされた、このように聞いていた次第でございます。  そこで、私も、今回の首脳会談一致をしました今までの発想にとらわれない新しいアプローチ交渉を進めていく、この新しいアプローチについてお尋ねをしたいと思います。  午前中の答弁にもありましたように、これは、北方領土固有領土であるという我が国立場、あるいは北方四島の帰属問題を解決して平和条約締結するという日本の方針には、立場には何ら変わりはないということをはっきりとお聞きをしまして安心をしたわけであります。  ただ、私は、この新しいアプローチということは、様々な報道を踏まえますと、まあそれはそれとしてもちろん譲れないわけでありますけれども、未来志向の様々なアプローチをしていこう、こういうことではないかと思いましたが、午前中の質疑でも、今回総理が提言をされました経済協力プランとは直接関係をしない、八項目の協力とは直接関係するものではない、このようなことでございましたので、そうしますと、新しいアプローチというのは一体どういうアプローチなのか、なかなか我々イメージが湧かないわけでありますけれども、しかし、もう六月には東京で平和条約締結に向けての交渉をするということでありますから、相当両国間では何らかのそういう前進があっているんだろうと思います。  この新しいアプローチにつきまして、更に分かりやすくお話をいただけますでしょうか。
  162. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 新しいアプローチについてですが、まず、先ほど委員の方からも御紹介いただきましたが、四月十五日の外相会談での議論、これがまずベースになっています。外相会談において、北方領土問題について、双方の歴史的な解釈あるいは法的な立場、これは違いがある、しかし、違いはあるけれど、その上に立って双方受入れ可能な解決策を作成していくことを確認したということであります。  これを踏まえて首脳会談行われたわけですが、今言った外相会談での考え方をベースに、首脳会談で更に議論を行って新しいアプローチというものを打ち出したということであります。その上乗せした新しい要素について具体的に今の段階で申し上げることは、交渉という事柄の性質上ちょっと難しい、控えなければならないということはあると思います。  いずれにしましても、先ほど申しました外相会談での考え方を基に、この首脳会談において今後の交渉に対する考え方を確認したということでございます。
  163. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今後の進展に期待をいたしますし、特に総理とプーチン大統領がかなり強い個人的な信頼関係を築いているところに期待を掛けたいと思っております。  一方で、ロシアにクリミアの一方的併合など力による現状変更は容認しないという、ウクライナ問題についての連携を強化するとのG7の方針が一方であるわけでありまして、そうした中で、我が国が対ロ交渉、対ロ外交をかなり積極的に進めていくということをG7各国にはどう理解をしてもらうのか、このことについてお尋ねをします。
  164. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) お答え申し上げます。  ウクライナ情勢については、我が国としてウクライナの主権及び領土の一体性を尊重しており、情勢の平和的解決に向けてG7の連帯を重視しながら、G7議長国として引き続き積極的な役割を果たしていく所存です。  日ロ関係については、最大の懸案である北方領土問題を解決するためには首脳間のやり取りが不可欠でございます。また、北朝鮮情勢、テロ、シリア、ウクライナなど、国際社会が直面する様々な問題についてもロシアの建設的な関与を得ていくことが重要であります。そうした観点から、先般のソチでの首脳会談においても、安倍総理からプーチン大統領に対して、国際社会の重要なプレーヤーであるロシアが世界の諸問題に建設的な役割を果たすことを強く期待していると申し述べたところであります。  政府としては、引き続き日ロ関係国益に資する形で進めてまいります。その中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約締結すべく、ロシア側との間で粘り強く交渉に取り組んでいくという考えに変わりはありません。
  165. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  午前中に続きまして、フィリピンの海軍への海上自衛隊の練習機の貸与に関連してお聞きいたします。  冒頭、岸田外務大臣も来ていただいておりますので、フィリピンの大統領選挙の問題で一言お聞きしたいと思うんですね。  アキノ現職大統領の後継ではないロドリゴ・ドゥテルテ氏が当選確実だというふうに報じられております。報道では、南シナ海への対応も含めて外交姿勢などに一定の変化があるのではないかというものもあるわけでありますが、現時点で外務省としてどのような認識をされているか、いかがでしょうか。
  167. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、ドゥテルテ候補が当選確実になったという報道、これは承知しております。ただ、この大統領選挙の選挙管理委員会の公式発表はまだ行われておりませんので、引き続き推移は注視していきたいと考えております。  ただ、いずれにしましても、どの候補が当選しようともフィリピンは地域の重要な戦略的パートナーであると考えています。これまで同様、フィリピン新政権との間で戦略的パートナーシップ、一層進展させていかなければならないと考えております。こうした基本的な方針は変わらないと考えます。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 ありがとうございました。  それで、海自練習機の貸与の問題でありますが、国是とされてきた武器の禁輸政策から武器輸出促進の新三原則に転換をいたしまして、防衛装備品の共同開発や部品の提供が行われてきました。  ただ、今回のTC90のように、災害支援派遣のときの重機などの汎用品でない防衛装備品を外国の軍隊に直接提供したという例がこれまであったんでしょうか。
  169. 堀地徹

    政府参考人(堀地徹君) ただいまの御質問でございますけれども、重機、汎用品以外に外国の軍隊に装備品を使用した例があるかということですが、これまで防衛省といたしまして、外国の軍隊に防衛装備品を提供した例といたしましては、平成二十五年十二月、国連南スーダン共和国ミッション、UNMISSを通じ、韓国隊の隊員等の生命、身体を保護するために自衛隊の弾薬、五・五六ミリ弾でございますが、を提供しております。また、昨年の五月、米国から輸入して海上自衛隊で使っておりました掃海輸送ヘリコプターMH53Eを、用途廃止済みになったものでございますけれども、その部品等を在日米軍に売却した例がございます。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、今、弾薬と部品というお話がありましたけれども、言わば完成品というんでしょうか、こういうものを提供したのは初めてだと、こういうことでよろしいですか。
  171. 堀地徹

    政府参考人(堀地徹君) そういう意味で、防衛省から完成品という形での提供というのは、先ほど申しました二例でございます。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、例えば海上保安庁の船とかいう提供ありましたけれども、非軍事の分野での支援、そして部品などにとどまっていたものから大きく踏み込んだものになっているわけですね。  午前中の答弁にありましたこの目的の中に、海洋状況把握というのがありましたけれども、これはいわゆる警戒監視活動も含むということでよろしいでしょうか。
  173. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この海洋状況把握というのは、MDAといいますが、マリタイム・ドメイン・アウェアネスということで、これは、海洋安全保障、海洋安全、海洋環境保全、海洋産業振興、科学技術の発展に資する海洋に関する様々な多様な情報を集約、共有をすることによりまして、海洋の状況を効果的かつ効率的に把握することとして定義付けられているわけでございます。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、警戒監視活動、いわゆる警戒監視活動は含まれると、排除されていないと、そういうことでよろしいですね。
  175. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 一般的に、その活用分野の中に海洋監視等がありまして、事態への対処、未然防止、情報収集、警戒監視、偵察等がございます。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 この練習機であるTC90には武器も警戒監視レーダーも搭載をされておりません。ただ、貸与後にフィリピン側が例えば武器を搭載するであるとか、それからレーダーを搭載をすると、これは可能なんでしょうか。
  177. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) フィリピンとの話合いにおきまして、フィリピン海軍というのはTC90を人道支援、災害救援、輸送及び海洋状況把握のために使用する予定であり、武器を搭載するということは想定していないと承知をしております。  また、これは、日本・フィリピン防衛装備品・技術移転協定、これを結んでおりまして、この第三条に、いずれの一方の締約国政府も、該当防衛装備品及び技術を他の目的のために転用してはならないとされておりまして、これで、貸与後のTC90につきましても、フィリピン側においてレーダー等を搭載することは使用目的に合致する限りにおいて可能となるわけでございますが、このレーダー等を搭載するかということの詳細につきましては現時点で何ら決まっておりませんが、日本・フィリピン防衛装備品・技術移転協定に基づいて適正に対応していく考えでございます。武器を搭載するということは想定していないということでございます。
  178. 井上哲士

    ○井上哲士君 報道では、アメリカがレーダーの搭載を支援をすると、こういうものもありました。  今、協定等で目的外使用とかが禁じられているというお話がありましたが、第三国移転も含めて、そういうものをしっかりとチェックをする体制というものはどのようになっているでしょうか。
  179. 堀地徹

    政府参考人(堀地徹君) 装備移転三原則に定めますNSCの決定等に基づきまして、適切に関係省庁、防衛省においては防衛装備庁、また経済産業省、外務省と連携しながらチェックをしていくということになります。
  180. 井上哲士

    ○井上哲士君 フィリピン側にそういうのを受け入れていく体制があるのかということも含めて、疑問を呈する報道もされているわけでありまして、今後注視をしていかなくちゃいけないと思うんですが、フィリピンの方は無償貸与を求めたけれども、財政法は、国有財産については無償又は適正な価格なくして譲渡してはならないとしている関係で有償の貸与となったというふうに報道されておりますが、こういう事実関係なのかということ。それから、今後、貸与価格はどのように決めていかれるんでしょうか。
  181. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現行の法制におきまして、国の財産である防衛装備品を他国に譲渡するためには、適正な対価を得る必要があるとされております。これに伴いまして、防衛省の中で今後の検討ということで有識者の検討会を開催をしていただきまして、その報告書の中には、不用となった中古装備品、部品について、能力構築支援に必要なものも含めて相手国のニーズに応じて無償又は低価で移転することも可能とする制度を整備する必要があると指摘をいただきました。  防衛省といたしましては、この提言を踏まえて情報収集を行っているところでございますが、今後、不用となった中古品の防衛装備品を無償、低価で移転する制度を創設すべきか否かを含めまして、検討をしていく必要があると考えております。
  182. 井上哲士

    ○井上哲士君 ちょっと今のは次の通告の答弁になるんですが、今お聞きしたのは、今のこのフィリピンに対する貸与、有償貸与についてどのように、つまりこれは適正価格で貸与するということになるわけですね、現行法の下では。それはどのようにして今後決めていくのかということであります。
  183. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ただいまお話ししたように、財政法によりまして、法律に基づくほかは適正な対価なくして譲渡若しくは貸付けを行ってはならないということにされておりまして、具体的な貸付料につきましては、この財政法の規定を十分踏まえまして、現在の価値を民間の専門家によって鑑定をした上で、フィリピン政府との今後の協議によって決定をしたいと考えております。  現在、フィリピン政府協議を行っているところでありますので、現在の価格等につきましてはまだ協議中ということで、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  184. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほどの答弁で、有識者検討会の報告書に盛り込まれた、不用な中古装備品を無償、低価格で移転できる制度が必要ということについていろんな検討をしていると、こういうお話がありました。  実際、ASEAN加盟国を含む新興国から自衛隊が使用する装備の提供を求める声が高いという報道もあるわけですね。そうしますと、これは法律上の問題になってくるわけですが、武器輸出を財政法の例外扱いにする法案を作って一七年以降の国会提出を検討していると、こういう報道もありましたけれども、こういうことなんでしょうか。
  185. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) このフィリピンのケースは無償で供与を希望されているわけでございますが、それができないということでございまして、現在は有償貸付けという方向で協議をしております。  先ほどお話がありましたけれども、有識者会議の報告などを踏まえて、こういった不用となった防衛装備品を他国から求められた際に、防衛装備品を無償又は低価で移転する制度につきまして創設すべきであるか否か、これは検討をしていく必要があるということでございますので、今般のフィリピンの要望につきましては、今後の検討の際の考慮要素の一つであると考えておりますが、防衛省といたしましては、平和国家といたしまして、防衛装備移転三原則に基づきまして、防衛装備・技術移転に対して厳正に対応していくということは当然のことであると考えております。
  186. 井上哲士

    ○井上哲士君 中古品の無償貸与などが広がりますと、際限なく武器輸出が、武器輸出といいますか提供が広がるんではないかと懸念を持つんですが、こういう検討や、また今回の貸与がこの地域での自衛隊の活動の拡大と一体となっております。  去年の十一月に、日米首脳会談安倍総理は、南シナ海における自衛隊活動を、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討すると、こういうふうに発言をされております。昨年、米国が発表しているアジア太平洋海洋安全保障戦略によりますと、この地域での領有権問題は中立の立場を取りつつも、米軍の優位性を堅持する方針が示されて、具体的には、他国軍との共同訓練、演習、それから寄港、航行の自由作戦と、こういうものが示されております。  今年四月に入って、非常に自衛隊のこの地域での活動が活発になっておりまして、四月の三日に海自の潜水艦が十五年ぶりにフィリピンのスービック基地に寄港し、その後、十二日にベトナムのカムラン港に護衛艦が初寄港をすると。そして、同じく十二から十六日にインドネシアの多国間訓練に海自艦が参加をし、そして二十六日には海自最大級の護衛艦「いせ」が同じくスービックに寄港をしていると、こういうことが続いているわけでありますが、この間の動きは、昨年の首脳会談で言われているような南シナ海における自衛隊活動を、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討した、その結果としてこういう四月の大きな動きになっているということでよろしいんでしょうか。
  187. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 基本的に日本は海洋国家でありますので、この南シナ海も我が国のシーレーンの一部でございますので、この海域の安全、そして安定航行というのは大事なことであります。その上で、この海域の平和と繁栄の基礎におきましては、開かれた安定した海洋の秩序、これを強化するということは重要でありまして、海上安全の確保に万全を期する必要がございます。  この観点から、まずフィリピンを始めとする沿岸国自身の能力向上は我が国にとっても非常に重要でありまして、こういったフィリピン自身の能力向上は地域の安定化になるものと考えておりますし、また、米軍との共同訓練等におきましても、こういった各種訓練等につきましても、非常に我が国にとりまして必要なものというふうに認識をいたしておりまして、このフィリピン近海におきましても、練習航海や、またASEAN諸国等を始めとする共同訓練等の内容としてコモドという共同訓練が開かれました、インドネシア海軍主催の。  こういったものに護衛艦の「いせ」が参加をいたしたり、こういった防衛協力交流を促進、強化することを通じまして、地域の海洋安全保障に資するこういう行動、行為に参画をしているということでございます。
  188. 井上哲士

    ○井上哲士君 私たちも中国による一方的な現状変更や軍事的緊張を強める行動の中止は求めてまいりました。  ただ、今盛んに地域の安定と言われますが、日本が軍事的関与を強めることがこの地域の紛争問題の解決につながるのかどうかと。我々はやはり、これは外交交渉による平和的解決に徹するということが必要でありますし、対話によるそういう解決にこそ日本が役割を果たすべきだということを強調いたしまして、質問を終わります。
  189. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 アメリカの大統領選挙、たけなわですよね。共和党はドナルド・トランプ氏が候補、ほぼ固まった。そのトランプ氏が、最近の演説の中で、ロシアのプーチン大統領と自分は大変ウマが合うということをよくおっしゃっています。加えて、これはトランプ氏が言っているんですけれども、プーチン大統領は自分のことを天才だと認めてくれている。この天才という表現についてはアメリカでもロシアでもいろいろと議論が巻き起こっておりまして、いわゆる我々がイメージするような天才とは若干違うニュアンスでプーチン大統領は将来大統領になる可能性の高いトランプ氏のことをかなり持ち上げているということは間違いないんではないかと思うんですね。  そこで、アメリカにとってもロシアにとっても、そしてまた日本にとっても大事な領土問題、北方領土帰属及びその開発について今日は質問したいと思っております。  まず、岸田外務大臣、いろんな外交ルートでアメリカの大統領選についても関心を持って大統領候補、民主党、共和党を問わず注視をされていると思うんですけれども、このトランプ氏の一連の発言ですよね、特にロシアとの関係において、ロシアとアメリカが力を合わせて日本領土問題について打開策を講じることができる、そういうような創造的外交ができるのはアメリカでは自分だけだというようなことをトランプ氏は殊更のように強調しているんですが、そういうトランプ氏の台頭というか、このロシアとの関係、そしてまた、ロシアとの関係の中で日本領土問題に打開策を見出そうとする、そういう動きについて外務大臣としては今どのような受け止め方をされているのか、ちょっと御自分の御感想を含めてお知らせいただければと思います。
  190. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) アメリカ大統領選挙の動きについては、アメリカの民主主義のダイナミズムを感じる部分もありますし、大変関心を持って注視をしております。ただ、これはアメリカの内政問題である大統領選挙、なおかつこの選挙はまだ継続中でありますので、この段階で私がその一候補者の発言について何か具体的に申し上げることは控えるべきであると考えます。  引き続き、この大統領選挙については大きな関心を持って注視をしていきたいと考えます。
  191. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非注視をしていただくと同時に、もうある意味では二人に絞られてきているわけですよね、共和党であればトランプ、民主党であればヒラリー・クリントン氏。だから、フィフティー・フィフティーでこのトランプ氏がアメリカの大統領になる可能性も日々日々高くなっていると思うんで、そのトランプ候補が日本との関係でどのような発言をされて、その背景にどのような考えや過去の日本との経験があるかということはやっぱり十分情報収集をされた上で、効果的なアメリカに対する働きかけを今から準備をされておくことが必要だと思います。  それで、ちょうど今から十年ほど前にトランプ氏が日本に来られたときの発言、覚えておられるかどうか分かりませんが、そのときトランプ氏は、自分はアメリカで不動産王としてリゾート開発やカジノの経営で大成功を収めた、そういう経験を踏まえて、北方四島にアメリカがロシアと協力をしてカジノリゾートをつくりたい、そのことによって北方四島の経済的な安定を図ることによって、領土問題が膠着状態であるけれども、そういう観光とかそういう産業を育成することで日本にとってもロシアにとってもウイン・ウインの関係がもたらせるんではないか、その言ってみれば仲介役をトランプ氏が自分でやりたいけれどもどうかという日本に対する売り込みがあったんですが、そのことを今改めて思い起こしていただいて、そういう可能性が今後あり得るものかどうか、お考えをお聞かせください。
  192. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、基本的には、先ほど申し上げたように、進行中のアメリカ大統領選挙の候補者の発言について今の段階で何か申し上げるのは控えます。  ただ、一般論で申し上げるならば、北方領土における、北方四島におけるこの共同経済活動については、我が国の法的立場、これを害さないということが大前提であると考えます。一般論として申し上げるならば、第三国を巻き込んだ形で共同経済活動を行うということになりますと、日ロ二国間の協力に比べて法的整理がより複雑になり困難になることも考えられると思います。  そういった、一般的には、一般論としてはそのように考えるべきであると思っております。
  193. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 一般論は分かるんですけれども、もう間近に大統領、ホワイトハウスの座を控えているトランプ候補が過去においてそういう発言を行い、自分自身が今もロシアとのパイプがある、プーチン大統領とはとてもウマが合うということを言っているということは、ある意味では、日本としても、そういうアメリカ、ロシアとの関係をうまく味方に付けることによって、もう七十年間膠着状態が続いているこの領土問題、さきのソチでのプーチン大統領安倍総理首脳会談においても、新しいアプローチでこの問題を解決し、そのことによって平和条約を結ぶんだということが合意をされているわけですから、その新しいという観点でいくと、まあ十年前のトランプ氏の発言ですが、日本にとっては新しいという捉え方もできるんじゃないかと思うんですけれども。  その辺りの柔軟な対応ということは、確かに三か国になると法的な面でなかなか複雑な面も出てくるでしょう。しかし、これまでの経緯で、二国間でやっても、せっかくプーチン大統領は引き分けでやろうといっても引き分けの中身が全く合意できていないというんであれば、ロシアにとってもメリットがある、そしてまたアメリカにとってもメリットがあるような、そういう新しいアプローチを考えるべき時期ではないのかと思うんですが、いかがでしょうか。
  194. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) アメリカ大統領選挙のこれからをにらみながら、我が国として様々な情報を収集し、そして分析をする、これは大変重要なことだと思います。ただ、その分析なり評価を今の段階で私がこうした公の場で公言すること、これは控えなければならないということを申し上げております。  御指摘の点等も含めて、様々な情報を収集し分析していくことは、これからもしっかり行っていきたいと考えます。
  195. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非そういう検討を進めていただきたいと思います。  さきの日ロ首脳会談でも八項目にわたる合意事項、特に日本が誇る健康長寿に関する技術、そういったものもロシアに提供するということが一番最初に合意事項としてうたわれているわけですから、今プーチン大統領が国内の人口減少という状況の中で、シベリア極東方面に移住するんであれば政府が全部この経費持ちましょう、土地も提供しましょう、言ってみれば、シベリアや北方四島を含めたそういうところに人を移住させるということも今進めようとしているわけでありまして、そういった意味でこっち方面にどんどん関心が高まっている、極東方面にですね、高まっている。  そういう背景があるので、第二シベリア鉄道から始まって、シベリア、カムチャツカ、そして北方四島、北海道まで、ロシアが鉄道を造ることによってロシアと日本を結び付けよう、昨年、ロシアの鉄道大臣が来てそういう提案がありましたよね。  また、同時に、いわゆる北極圏航路、これも地球温暖化の影響で氷がどんどん解け始めていることによって、南のスエズ経由と比べてはるかに、北極圏航路で行けば二週間物流の時間が短縮できる。今まではロシアは日本をその協定の枠組みに入れようとしませんでしたけれども、このところ日本にオブザーバーの、そういう状況を提示するので、一緒にこの北極圏航路開発に向けて話し合おうじゃないかという新しい機運が生まれてきていると思いますので、是非、ロシアのそういう国内事情、また、ロシアが日本に対して、一方では北方四島の軍事拠点化、地対空ミサイルの配備を含めてかなり我々の神経を逆なでするようなことをやっていながら、同時に日本に対して極めて柔軟なアプローチで提案をいろいろとしてきておりますので、ここは防衛の観点外交、通商の観点でうまくロシアの新しいアプローチというものを包み込んでいく、アメリカとも協力しながら、そういうことが是非必要だと思いますので、両大臣にはそういう面でチームワークをよく働きかけ、ロシアに対するそういうことを考えていただきたいと思うんですけれども、両大臣、いかがでしょうか。
  196. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日ロ関係については、我が国国益に資する中で幅広い分野における協力を進めていく、これは我が国としても基本的な取組の姿勢であると思っています。その協力の中において様々なアイデアもあると思います。その中で、我が国として法的立場等に鑑みて対応できるものがあるのかどうか、そうした検討はしていかなければならないのではないか、このように考えます。
  197. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日ロ間の領土問題につきましては、現在、日ロ両国間におきまして真摯に協議をし、また交渉も行われているわけでございますので、私といたしましても、幅広い分野でロシアとの協議協力、これを含めまして、日ロ関係国益に資するように進めていく中でこの北方四島の帰属問題、これを解決をし、そして平和条約締結するという基本方針の下に行っていくべきであると考えております。
  198. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、安全保障の面と外交、通商の面でロシアをうまく巻き込むという、そういうシナリオを検討していただきたいと思います。  それで、今、北方四島に暮らしているロシア人、ウクライナ人、人口が大分減り始めているようなんですよね。当初は三万五千人ぐらいいたのが、もう三万人を切って二万人台、どんどん人口が減り始めています。そういう中で、ウクライナ出身のロシア人というか、が大きな比重を占めていることでありますもので、ウクライナ情勢ということを鑑みますと、ここは、北方四島に住んでいるウクライナ出身のロシア人で強制的に移住させられたウクライナ人たち、その彼らが今ロシアとのクリミアの問題でいろいろと対立が激化しているわけで、何かそのウクライナの人たちの気持ちを日本がうまく受け止めて、北方四島の開発という面でもロシアとちょっと違うアプローチ日本の味方に付ける、そういうような発想日本外交としてあり得るものでしょうか。それとも、それはまだ時期尚早ということでしょうか。  ウクライナとの関係という意味で、この北方四島の問題を解決する何か新しい切り口、新しいアプローチができるかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
  199. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 様々な取組可能性については予断を持つことなく検討をしていく、こういった姿勢は大事だと思います。  ただ、北方領土問題とウクライナを直接結び付ける形で何か具体的なことを私自身考えたことはございません。
  200. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、ウクライナ人も強制的にロシア、ソ連によって北方四島に移住をさせられたという経緯、また、日本の旧島民の方々は無理やり祖国を追われて移住させられた、何かそこに共通の、人道的な観点でも何か連携できる部分があるんではないかと思っていますので、引き続き御検討をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  201. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 今トランプ氏の話が出ましたが、この委員会でも申し上げたとおり、大変パフォーマンスがすごいというか、プロレスのリングに上がりまして髪切りマッチというのをニューヨークのプロモーターでやったことがありますが、トランプカードをやったらトランプ氏はばば抜きが好きなのか嫌いなのか分かりませんが、最初の予想と変わって、かなり有力になってきたなと思います。  今日は、先日、私の事務所に在北朝鮮スウェーデン大使が訪ねてこられまして、北朝鮮問題の話を聞かせてくれということで、いや、北朝鮮に住んでおられるあなたの方が私より全然詳しいんじゃないですかと、一時間ほど話をさせてもらいました。  その中で一つ気が付いたというか、外交のすごさというか、スウェーデンがカナダとオーストラリアとアメリカの領事代行をやられていると。友好国同士が領事業務を代行するシステム、これは非常に合理的だなと思いました。アメリカが北朝鮮で領事代行を活用しているというのは全く私も予想していなかったんですが、日本は北朝鮮と正式な国交がないので在外公館が存在しないのは当然だと思います。万が一、北朝鮮で邦人が領事認証を必要とする場合、どうすればよいのか。また、日本国が渡航自粛要請を出している国に勝手に渡航した者の自己責任とする厳しい意見もありますが、在外公館のない国では同様の問題があります。  外務省にお伺いいたしますが、仮に日本人が北朝鮮でパスポートを紛失したりトラブルに巻き込まれた場合、どのように対処するのか。また、今後、在外公館のない国で領事代行を検討する考えはあるのか、お聞かせください。
  202. 能化正樹

    政府参考人能化正樹君) お答えいたします。  まず、北朝鮮についての質問部分についてでございますけれども、北朝鮮は本年一月に核実験を実施し、また二月に人工衛星と称する弾道ミサイルを発射しております。こういった状況を踏まえまして、政府の方では、我が国独自の対北朝鮮措置の一環といたしまして邦人の北朝鮮への渡航を自粛するよう要請しておりまして、国民の皆様には、目的のいかんを問わず、北朝鮮への渡航は自粛していただきたいとの立場でございます。  その上で申し上げれば、我が国は北朝鮮を国家として承認しておらず、外交、領事関係も設定されておりません。仮に、日本人が北朝鮮で旅券を紛失したりトラブルに巻き込まれた場合には、北京に所在する北朝鮮の大使館ルートでの連絡を含め、北朝鮮側へ適切な対処を求めるということが考えられます。ただ、北朝鮮における邦人保護には多くの制約が存在すると言わざるを得ないという状況でございます。
  203. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御質問、もう一点、領事代行を検討する考えがあるかという部分についてお答えさせていただきますが、我が国は、在外公館が実際に設置されていない国についても、近隣国などに所在し、その国を兼轄する我が国の在外公館が領事業務を実施する、このようにしております。  そして、委員の御質問のケースは、これは外国機関にその代行を求めるというようなケースかと思いますが、この外国機関にその代行を求めるということは、領事業務が様々な個人情報の提供を必要とする以上、国民の個人情報保護の観点などから慎重を期す必要があると考えており、現時点ではそういった取組は検討はしてはおりません。
  204. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 また後で質問しますが、今回の安田純平さんみたいなケースもあります。  先ほども北方領土に関して質問が出ましたが、私も、一九八九年ですかね、まだ鉄のカーテンと言われている時代、向こうのスポーツ交流を通じてということでいろんな方と交流をさせてもらい、また政治関係の人たちも、クレムリンにもまた通されたこともありました。  本当にスポーツ外交、平和ということで言い続けてきましたので、その辺はあちらの方とも意見一致しまして、その都度、一回引退した金メダリスト、その選手たちを日本に連れてきて、世界にもう一回再デビューさせようということで、日本でも有名な勇利アルバチャコフ、金メダルを取りました。この前あれしたナザロフという選手もそうですし、また、レスラーもアメリカに渡って相当活躍をした、そんなこともありまして、いろいろスポーツ交流であれば反対がないという部分で、この前もシルクロードマラソンの話もさせてもらいました。  まあいろんな意見があると思いますが、北方領土問題について、日本政府は四島一括返還を今まで主張してきています。まず、ソ連の提案をする、平和条約締結後、歯舞、色丹二島の返還を進めるべきだとする考えも議論されています。当時、私は、二島返還、残りの二島は平和のために共同利用の道を模索という提案もしておりました。今本当に問題になっている宇宙ごみの問題、これもいつも早過ぎるというか、そういう中で宇宙ごみの回収の基地を北方領土に造ったらどうかという提案もさせてもらいました。  先週、安倍総理はロシア・プーチン大統領首脳会談を行い、北方領土問題の解決を含む平和条約締結について新たな発想による交渉を進めると発表されておりますが、今年の九月に再度日ロ首脳会談が行われるそうですが、日本は北方領土問題について四島返還を主張するのか、またロシアからの経済制裁解除の申入れに対しどのような姿勢を取るのか、外務大臣にお伺いいたします。
  205. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、四月十五日の日ロ外相会談を踏まえて、五月六日、日ロ首脳会談が行われ、そこで新しいアプローチ交渉を精力的に進めていく、こういったことで一致をいたしました。  新しいアプローチの具体的な中身については交渉という性格上明らかにすることはできませんが、この四島の帰属の問題を解決して平和条約締結する、この基本的な立場は何ら変更がないと考えています。  そして、このウクライナをめぐる対ロ措置については、ウクライナ情勢をめぐる問題の平和的解決のためにロシアが積極的かつ明確な行動を行う場合には、我が国が講じた措置を緩和又は解除する用意がある、このことも明らかにしてきています。  ただ、現時点では、停戦合意の履行が十分になされておらず、措置を緩和又は解除する状況にはありません。引き続き、今後の情勢等を踏まえて、G7の連帯を重視しつつ適切に対応していきたいと考えます。
  206. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 是非、話が前向きになりますようにお願いいたします。  次に、人質解放という部分で昨日今日辺り、安田純平さんのニュースが流れております。もう殺されたんではないかという意見もありましたが、最近のあれではまだ健在であるというようなニュースも流れております。ISILに拘束された邦人二名は残念ながら殺害されましたが、今回は生きている可能性があり、またできれば日本にもう一回帰ってきてもらいたいと、そんな思いもするわけですが、どのような純平さんに対する情報と、人質解放に向けての対処というのがどのようにお考えか、お聞かせください。
  207. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 言うまでもなく、邦人の安全確保、これは政府の重要な責務であります。  安田純平氏が行方不明になっていることを認知して以来、そのような認識の下、必要な体制を取り、関係国等とも緊密に連携しながら、様々な情報網を駆使して全力で対応に努めている次第です。  ただ、事案の性質上、これ以上具体的なことについては控えさせていただきたいと思います。
  208. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 本当にいろんな外交チャンネルが大事だと思います。  次に、何回かこの委員会でも質問をさせてもらいましたが、ブラジルのオリンピックの件ですが、本当に前から、去年辺りからルセフ大統領の問題が出ておりましたが、オリンピックは大丈夫なのかと、この委員会でもお答えもらいましたが、問題はないというふうな多分答えがあったと思いますが、もう本当に、今回報道されているとおり、現職の大統領が停職になる、それよりもオリンピック開催国の大統領がその場にいないという異常事態になりかねません。また、大規模な、規模も物価三〇%上昇と、本当に余りいいニュースが入ってきませんが。  もう一つ一番心配するのは、私もブラジルに生活したことがありますから、本当に治安の問題ですね。強盗も、二人、三人組で来て、後ろからばっと両方手をつかまれて、それで腕時計あるいはネックレスだとかそういうのを持っていかれてしまうと。これから日本人の観光客も随分行くと思いますが、その辺も十分気を付けてもらいながら。  もう一つ、カンボジアで頑張って、何とかオリンピック代表になろうと猫ひろし君が、何かどうにかオリンピックの代表に選ばれそうだというニュースが流れていましたね。記録は多分期待はできないと思いますが。前にも、なかなか、一番、二番だけじゃなくて三番、四番、五番、そういう人たちがまたオリンピックに出れるチャンス、あるいはそういうレベルのまだ高くない国がそういう選手たちを迎え入れて、その国のレベルをアップしようということもいいんではないかという、この委員会でもちょっと提案をさせてもらいましたが。  最近の一番新しい情報で、リオデジャネイロのオリンピックの準備あるいは進捗についてお聞かせください。
  209. 大鷹正人

    政府参考人(大鷹正人君) お答え申し上げます。  現在、ルセーフ大統領の弾劾手続でございますけれども、更なる下院での動きもございまして錯綜ぎみではございます。ですけれども、今後、上院の本会議の場におきまして弾劾法廷の設置に係る審議、表決等が予定どおり行えるかどうかが注目されているところではございます。  また、ブラジルの経済についても御指摘いただきましたけれども、中国経済の減速ですとか一次産品の国際価格の低迷によって二〇一五年の経済成長率がマイナス三・八%となりました。また、最新のデータによりますと、インフレ率も九・四%、失業率は一〇・九%に達しているということでございます。  一方、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会の準備そのものにつきましては、主催者側は国際オリンピック委員会、すなわちIOCですね、及び国際パラリンピック委員会、IPC、それらが主催者であって、これら組織の評価や指導を受けながら、リオデジャネイロ大会組織委員会の責任において進められているところでございます。  オリンピックに関しましては、IOCの発表によりますと、四月十三日時点で、同大会組織委員会にはまだ進めるべき仕事は残っているとしつつも、ブラジル側はオリンピック競技大会を提供する準備はできているとの見解を示しております。また、今月三日には聖火リレーが始まりまして、おおむね順調に進んでいると私どもは理解しているところではございます。  現時点におきましては、現下のブラジルの政治経済情勢がリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会の開催自体に影響を与えるというような情報には接しておりませんけれども、他方、リオデジャネイロ州の財政逼迫による警備体制への影響の有無ですとか、あるいはデモ等治安・社会不安情勢にも注目しながら、日本からも多くの関係者が渡航することを十分念頭に置きながら、同大会の準備状況について引き続き情報収集してまいりたいと思っております。
  210. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間が来ました。終わります。  ありがとうございます。
  211. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、辺野古埋立土砂についてお伺いをいたします。  辺野古新基地建設においては、二千百万立方メートルの土砂が埋立てに使われることになっています。埋立て用の土砂は、県内外から来る岩ズリが一千六百四十万立方メートル、そして、大部分をこれが占めておりますけれども、ほかには、辺野古ダム周辺、キャンプ・シュワブ陸上部の山土が四百万立方メートル、そして沖縄島周辺で採取した海砂が六十万立方メートルと言われています。  ところが、防衛局が提出した埋立承認願書によりますと、埋立土砂には、岩ズリ、山土、海砂だけではなくて、ダム堆積土砂やしゅんせつ土を含む建設残土、リサイクル材など、これを優先して使用することとしますと、これは埋立承認願書二の二十九に記されています。  これについて具体的に伺います。  まず、政府は、埋立承認願書に示しているダム堆積土砂やしゅんせつ土を含む建設残土、リサイクル材などを埋め立てて土砂として優先使用する方針を現在も変えていないかどうか伺います。
  212. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 変更はありません。  埋立てに用いる土砂の約二千百万立方メートルのうち、キャンプ・シュワブの中から採取等を予定する分を除いた約千七百万立方メートル程度につきましては、砕石生産に伴い生ずる岩ズリ、ダム堆積土砂、ダムの堆積の土砂、またしゅんせつ土、海から取る土ですね、それを含む建設残土、そしてリサイクル材、これを優先して使用することといたしておりますが、現時点で岩ズリでその大部分を補うということを想定いたしておりまして、この方針は埋立承認願書に記載したとおりでありまして、変更はございません。
  213. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ダム堆積土砂、それからしゅんせつ土を含む建設残土、それからリサイクル材などと、それぞれ具体的にはどのようなものを指しているのでしょうか。優先的に使用するとあえておっしゃっているわけですから、何を使うのか、またどの程度の量なのか、改めてお示しください。
  214. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この代替施設を建設する事業の実施に当たりましては、まず海底を掘ることによって生ずるしゅんせつ土、そして建物を解体することによって生ずるコンクリート塊等の瓦れき類など、工事に伴う副産物が発生することから、環境影響評価の中で、これらの廃棄物について、県内の処理施設の能力、実績、リサイクルの状況等について調査を行うとともに、代替施設建設事業の中で利用の可能性について検討を行いました。  本事業への利用につきましては、具体的に、しゅんせつ土などの土砂については基本的に埋立てに利用することといたしておりまして、コンクリート塊またアスファルト等の瓦れき類は、事業の中でコンクリート破砕機を設置して処理をして利用するほか、県内の処理業者そして処理施設によりましてリサイクルをされることを想をしてきたところであります。  これ以上の詳細につきましては、工事を伴う発生状況を踏まえながら適切に対応していきたいと考えております。
  215. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今懸念されていますのが、この米軍兵舎の解体で発生したコンクリート殻の埋立材としての利用です。先ほどもありましたけれども、二〇一四年七月からこのキャンプ・シュワブ内では新基地建設に向けて米軍兵舎の解体が行われています。新基地建設のために解体が必要となる兵舎の数は何棟でしょうか。また、それにより発生するコンクリート殻の量、どのくらいか、お答えください。
  216. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 埋立承認の願書におきまして、兵舎等の解体数を約百棟と計画をした上で、コンクリート塊等の瓦れき類の発生量はこの計画の上で五万二千立方メートルと記載をしているところでございます。
  217. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 二〇一五年五月十五日に沖縄防衛局が県に出した回答によりますと、解体工事に伴い発生したコンクリート塊については、再生路盤材等として陸上の仮設作業ヤードや仮設道路、建物周りの道路、駐車場、さらには飛行場関連施設等への活用を考えていますというふうにおっしゃっていますが、これに間違いありませんか。
  218. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ちょうど去年の今頃でありますが、平成二十七年の五月八日、沖縄県から沖縄防衛局、これに対して、キャンプ・シュワブの陸上部分での建物の解体工事に伴うコンクリート殻の使用方法に関する質問がございました。これに対して、平成二十七年五月十五日、沖縄防衛局から、御指摘のとおり、解体工事に伴い発生したコンクリート塊につきましては、再生路盤材等として陸上の仮設作業ヤード、また仮設道路、建物周りの道路、駐車場、飛行場関連施設等への活用を考えている旨の回答がなされた旨承知をいたしております。
  219. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今答弁がございましたこの再生路盤材を敷く部分ですが、この大きさはどの程度でしょうか。
  220. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 沖縄防衛局において発注した陸上仮設ヤード整備工事におきましては、この工事の中で発生するコンクリート殻を再生利用した砕石を陸上仮設ヤードに敷く工事が含まれておりまして、使用するコンクリート殻の量は約八百立方メートルでございます。
  221. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 このコンクリート殻が仮設道路にも使用するというふうにあるわけですが、工事用仮設道路はこれ海上に設置されることになるので、結局は、この仮設道路にコンクリート殻を使うということは海にコンクリート殻を投下することと同じではないでしょうか。
  222. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 解体工事に伴って発生したコンクリート塊、これは本事業内で再利用するということとしておりまして、先ほど申し上げましたけれども、再生路盤材等として陸上の仮設作業ヤードのほか、仮設道路、建物の周りの道路、駐車場、また飛行場関連施設等への活用、これを考えているわけでございます。
  223. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 改めてお伺いいたしますけれども、この仮設道路、これは、工事用の仮設道路は海上に設置されることになるのではないですか。
  224. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御指摘のコンクリート殻につきましては、再生路盤材等として仮設道路等への活用をすることを考えております。  なお、御懸念をされておられるかもしれませんが、この答弁書におきましては、このコンクリート殻について、再生路盤材として利用する計画としておりまして、お尋ねのありましたように石材として海に投入をしたり、埋立材料として使用をしたりする予定はないという回答をさせていただいております。
  225. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今の答弁では、海にコンクリート殻を投下するということではないということでよろしいですね。
  226. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 答弁書でお答えをしたとおり、石材として海に投入したり、埋立材料として使用したりする予定はございません。
  227. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 このコンクリートというのは強度のアルカリ性が含まれているわけでして、海に投下すると生態系に大きな影響を与えることになるということで、私たちは大変大きな問題だと考えております。  しかし、今の答弁から伺いましたら、それはないということでいただきましたので、これから県外から運ばれてくる土砂については、私たちは、大浦湾の生態系の破壊とともに、採取される土砂の環境破壊の問題もあるわけでして、そういう面から考えましても、政府にいたしましては、やはりこの辺野古新基地建設、これは沖縄の環境を破壊するだけではなくて、それこそ奄美地方、それから岡山、さらには和歌山、環四国地域の多くの運動をしていらっしゃる皆さんに関しても、そこから土砂を運んでくるのではないかというふうに懸念をしております。それは全くないというふうに考えてもよろしいのでしょうか。
  228. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  埋立てに伴う外来種対策につきましては、環境監視委員会の専門家の先生方の指導、助言を得ながら、使用する埋立土砂が事業区域及びその周辺の生態系に影響を及ぼすものでないことを確認するなど、事業者としての責任において沖縄防衛局が適切に対応することとしております。
  229. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、いろいろアドバイスをいただいて生態系の破壊がないようにというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、やはり違う土地から土を運び、そして岩を運んできて大浦湾に投入をする、そういう投入ができなければここの埋立てはできないというのが現在防衛局を含め、防衛省を含め、それこそこれまでの流れの中での大きな私たちの受け止め方につながっています。まさに今答弁がありましたように、環境破壊が全くないというふうには私は受け止められません。  そういう観点から考えましたら、沖縄だけではなくて近隣の各県から持ってくる土砂、そして先ほど申し上げました岩石などを含めて、やはり政府に対しては、この辺野古新基地建設の撤回をしていただいて、沖縄のすばらしい大浦湾の海、それをしっかり守っていただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  230. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  231. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 次に、刑を言い渡された者の移送に関する日本国イランイスラム共和国との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  232. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました刑を言い渡された者の移送に関する日本国イランイスラム共和国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十五年六月以来、イラン政府との間でこの条約交渉を行いました。その結果、平成二十七年一月に、東京において私が、及びテヘランにおいて先方法務大臣が、この条約の署名を行った次第であります。  この条約は、我が国イランとの間で、相手国の裁判所が刑を言い渡した自国民受刑者等について、一定の条件を満たす場合に、その本国に移送する手続等を定めております。  この条約締結は、両国の受刑者の更生及び社会復帰の促進とともに、刑事分野における二国間協力の進展に資するものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  233. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会