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2016-04-21 第190回国会 参議院 外交防衛委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年四月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     宇都 隆史君      中泉 松司君     中原 八一君  四月二十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     柳澤 光美君  四月二十一日     辞任         補欠選任      三木  亨君     舞立 昇治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 正久君     理 事                 古賀友一郎君                 塚田 一郎君                 榛葉賀津也君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 片山さつき君                 中曽根弘文君                 中原 八一君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小野 次郎君                 大野 元裕君                 北澤 俊美君                 藤田 幸久君                 柳澤 光美君                 平木 大作君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 糸数 慶子君                 浜田 和幸君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    武藤 容治君        厚生労働大臣とかしきなおみ君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        牧島かれん君        外務大臣政務官  山田 美樹君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       相木 俊宏君        外務大臣官房参        事官       山田 重夫君        外務大臣官房参        事官       吉田 朋之君        外務省アジア大        洋州局南部アジ        ア部長      梨田 和也君        外務省中南米局        長        高瀬  寧君        財務大臣官房審        議官       土井 俊範君        厚生労働大臣官        房審議官     伊原 和人君        防衛大臣官房衛        生監       塚原 太郎君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省整備計画        局長       真部  朗君        防衛省人事教育        局長       深山 延暁君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君        防衛省統合幕僚        監部総括官    高橋 憲一君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   岡村  肇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障に関する日本国フィリピン共和国と  の間の協定締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、高橋克法君、中泉松司君及び福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として宇都隆史君、中原八一君及び柳澤光美君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障に関する日本国フィリピン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官相木俊宏君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 社会保障に関する日本国フィリピン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大野元裕

    ○大野元裕君 おはようございます。民進党・新緑風会の大野元裕でございます。  まずもって、熊本大分地震に際しまして、お亡くなりになられました方にお悔やみを申し上げますとともに、おけがになられた方、そして今も被害が拡大する中で多くの方々が不安な日々を過ごされておられますこと、心よりお見舞いを申し上げたいと思っています。  さて、まずその関連で少し中谷防衛大臣にお伺いをしたいんですけれども、防衛大臣報道によりますと、今月末にフィリピン並び東ティモールを往訪し、特にフィリピンではTC90の練習機を貸与する、こういったことについて合意する予定であったという報道がありました。その後、十八日になってからだと思いますが、これを取りやめるという報道もありました。  大臣東ティモールあるいはフィリピン、いつ行かれるのを取りやめることを決意をされたんでしょうか。
  7. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私といたしましては、フィリピン東ティモール我が国安全保障上大変重要な国でございます。特に東ティモールにつきましては、大野委員友好議連事務局長もされておりまして、両国友好発展のために御尽力いただいておるわけでございますが、今週末にフィリピン東ティモールを訪問すべく調整しておりました。  しかし、十六日の土曜日に熊本地震本震が発生したことを踏まえまして、十八日の月曜日、両国の訪問を中止することにしたわけでございます。
  8. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣フィリピン東ティモール重要性、全く同じ気持ちですし、大臣は特に友好議連、私、下で事務局長をやらせていただいていますが、東ティモール友好議連の会長でございますので、是非行っていただきたいという思いは正直強いです。  ただ、今、熊本大分地震に際して二万人規模の自衛隊員があそこで必死に頑張っておられます。捜索、支援活動、本当に重要な時期だと思っています。そうだとすると、大臣、十八日ではなくて、遅くとも十六日の本震の直後には外遊の取りやめ、御自身で決断をすることが隊員に対する責任であり、そして大臣としての私は責務だろうと思いますけれども、改めていかがでございましょうか。
  9. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この度の震災に対しましては、防衛省自衛隊挙げて省一丸となって災害対応実施をいたしております。十六日の深夜一時二十五分に本震と見られる地震が発生いたしまして、私は同日の深夜二時四十五分に大臣指示を発出、十七日も災害対応をいたしておりました。この両日は全力でもう精いっぱい災害対応をいたしておりました。  この出張につきましては、月曜日にもう各役所も正常な勤務をする上で相手国国防省も平日になったということがありまして、事務的に、十八日になりまして、その日のうちに両国国防省に正式な決定ということで連絡をしたわけでございます。
  10. 大野元裕

    ○大野元裕君 取組の是非については私、今この段階でお話しするべきものではないと思っています。ただ、大臣是非自衛隊員のことをおもんぱかっていただきたい、これだけは是非お願いをさせていただきたいと思っています。  それと、気になっているのは、健軍熊本自衛隊病院なんです。防衛省からの報告の中には、今回、その熊本自衛隊病院が果たした役割というのが含まれていなかったんです。  そこでお伺いしますが、この病院がいかなる役割を果たしたのか、また、同病院、私も実際見てきましたけれども、かつて、昭和三十年代の建築なんです、五十年ぐらいたっている建物ですけれども、同病院への被害があれば教えてください。
  11. 塚原太郎

    政府参考人塚原太郎君) お答えいたします。  自衛隊熊本病院につきましては、一般患者の受入れ、いわゆるオープン化された病院ではございませんので、この四月十六日付けで通知文書を発出いたしまして被災住民方々診療を行えるような体制といたしました。平成二十八年四月二十日の現在ですけれども、被災住民方々約二十名、部内の患者約百八十名の診療実施をしております。  自衛隊熊本病院被害状況については、病院の内壁及び廊下にひび割れ等がございまして、また、給水、トイレあるいは医療機器の一部に使用できないというような状況ではございますけれども、診療は可能でございますので、引き続き被災住民方々診療を行ってまいりたいと考えております。
  12. 大野元裕

    ○大野元裕君 今回の地震の深刻な状況にもかかわらず、熊本病院、私も本当懸念していたんですが、軽微な被害であったということは不幸中の幸いだったと思っていますが、是非これはしっかりお使いをいただくことが重要だと思っています。  築五十年のたった病院なんです。これ、自民党政権防衛費拡充をしたといいながら、目立つところは確かにそのとおりですが、自衛隊病院を含めた衛生分野については、拠点化機能統合と称して、実は、現実には縮小、そして地域自衛隊病院役割を減じ、さらには自衛官衛生への配慮をなおざりにしてきたのではないかと私は懸念していて、大臣、覚えていらっしゃいますかね、昨年の三月、この話、私、この委員会でさせていただいたこと覚えておられるかもしれません。  何と申し上げたかというと、例えば熊本健軍病院などを拝見すると昭和三十年代の建物なんですと、ちょっと中略いたしますけれども、要するに、何かあったとき、有事あるいは大災害があったときにこれを使おうと思っても、正直使用に堪えるものなのかどうかということは、今後考えたときに私は疑問なんですということを実は当時言っているんです。大臣、そのときに大臣は、拠点化を進める中で老朽化状況に応じて検討していきますというふうに答弁されておられますけれども、実はその後、何の対策も講じられていません。  実際に熊本地震が発生しました。地震を止めることはできません。ただ、我々が対応することはしっかりやらなきゃいけないし、自衛官衛生福利厚生も我々しっかりと後押ししなければなりません。そういった中で、今後、朝鮮半島の有事の際には九州は重要な拠点になっていきます。そういった問題に考えれば、やはり大臣、もう一度、自衛隊病院への予算拡充して、これまでの方針を変えて、この病院の建て替えと近代化、全体の統合、実質的な後退ですから、これを見直すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年三月に大野委員の方から同様の御質問いただきました。その際、私も答弁といたしまして、近代化、また高機能化、これは必要だと認識をしていると、お答えしたとおりでございます。  改めまして、この病院老朽化の更新の必要性、これも必要だと認識をいたしておりまして、現在、十六病院、十程度の病院に集約して質の高い病院整備をするという方向で進めてきておりますので、改めまして、この熊本病院の件につきましても、衛生関連予算、これを拡充してまいりたいと考えております。
  14. 大野元裕

    ○大野元裕君 拡充するとの御明言、本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。  そして、行政機関、消防、警察とともに自衛隊が果たす役割地域に寄り添って、被災地に対して寄り添う役割、とても大事だと思っていますので、大臣におかれましては是非とも全力でお務めを賜りたいと思っております。  その上で、フィリピンとの社会保障協定について外務大臣にお伺いをさせていただきます。  外務大臣両国間で二重支払が防止をされる、若しくは支払期間通算が成し遂げられること、これ、全体の流れとしては、民主党政権時代も含めてこれまで我が国が進めてきたことでございますので、これは歓迎をしたいと思っています。  その一方で、フィリピンとの社会保障協定については、フィリピン独自の与件に対する懸念も私は抱いています。そこで、そこについてちょっとお話をさせていただきたいと思うんです。  一つ目懸念というのは、この協定悪用をされて、例えば、我が国年金の継続的な制度維持に今疑問も付されているじゃないですか。そのような中で、我が国社会保障制度に対して悪影響が及ぶことがないかという点なんです。  日本人の中には老後フィリピンで過ごしたいという者がいまして、フィリピン政府も、一定預託金、お金を預けることによってSRRVという退職ビザを発行し老後フィリピンで過ごす、こういうPRを一生懸命行っているんです。  個人的な話ですが、実は私の友人も、実はこの人タガログ語も英語も話せませんし海外に住んだこともないんですけれども、その彼の友人が既にこの制度を利用してセブ島にいまして、その人から話を聞いて移住を決断して準備進めているんです。彼によれば、現地の人は優しいと、しかも物価も安い、気候も良い、日本年金で十分ぜいたくな暮らしができる。正直、いいことばっかり話し、まあいいところだけでは私はないと思いますが、いいことばかり話を聞いているために、そこで彼は決断をして準備を進めているんです。  そこで、それを前提としてつまり海外に移住する、特にフィリピンがそうやって進めているものですから、世界最強退職プログラムなどと称して進めていますから、そこで是非少し検討したいんですが、資料のこのA4の横長の図を見ていただきたいんです。  我々、一般には二十歳で年金に入って六十歳まで年金支払を続け、その後年金を満額受け取るということをいたします。これ、例一がそうなんですね。これ、フィリピンに住もうが住むまいが日本年金行政には関係がないというか、満額払って満額もらうわけですから同じです。例二を見ていただくと、年金納付期間満たさない人は、これ、フィリピン老後過ごそうが過ごすまいが、これ残念ながら支払われませんので、これも同じでございます。そこまではいいんだと思います。  他方で、例三の場合には、今回、二十四年間しか納付を国内でしていなくても、かつて七年間仮にフィリピン納付をしていたとすれば、この年金納付していたものが復活したというか合算されて、両国のそれぞれの納付期間がそれぞれに定める二十五年、十年満たさなくとも、案分で相応に支給されるということに今度の協定以降なるということでまずよろしいかどうか、確認させてください。
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の日・フィリピン社会保障協定意義ですが、御指摘のように、この掛け捨て問題、これを解決する、これはこの意義の大変大きな一つであると考えます。  そして、この内容について御質問いただきましたが、協定発効後、これは、企業駐在員等は、両国での年金保険期間通算し、それぞれの年金制度での年金受給資格期間が満たされれば支払った年金保険料に見合った年金がそれぞれの年金制度から支給される、こういった制度になっております。
  16. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、ちょっと質問と答えが若干ずれている。  それぞれを満たさなくても、合算して、結果として、いいです、いいです、そういうことですよね。はい、済みません。  そういった企業の方が結果として救われると、これはとてもいいことだと私も思っています。  他方で、悪用されると困ると思うんです。これが実は例四のケースと例五の、まあ悪用と言っていいのか分かりません、法的には正当なんですけれども。  どういうケースかというと、例えば、十八年間しか日本年金納付していなかったと。将来、老後フィリピンに行こうと思っていると。そのときに、早くフィリピンに行って、そこで例えば自営業で何か仕事すると。何年かやると、一一%の保険料なので向こうで払う方が安いと。そうすると、実はもらえなかったはずの日本年金、復活するという今度制度になりますから、つまり、今まではもらえなかった年金が、日本年金も含めて、ただしそれ案分ですよね、払った分だけです、払った分だけだけど、フィリピンでもらう分には、十分かどうかは知りませんが、少なくとも日本で過ごすよりも生活費が安いのでこの年金を当てにできるというふうになるのではないかというふうに思うんです。  そうしますと、この例四のようなケース、つまり、六十歳までに一生懸命納付しても二十五年満たない、そこでフィリピンに行って七年足した、そうすると足して二十五年なので日本からもフィリピンからもこれ案分で相応に受給されると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、基本的には委員おっしゃるとおりだと思います。  ただ、御指摘のようなケースにおいて、選択肢として、日本年金制度においては、六十歳以降日本支払うことによってこの受給期間を満たす、こういった選択肢もあります。その選択肢もある中で、フィリピンにおいて御指摘のような対応をされたならば通算されるということであります。  ただ、フィリピンにおける負担日本に比べて少ない、これは御指摘のとおりだと思いますが、支払も少ない代わりに受取も少ないというのが現実であります。そういった実態の中で、様々な選択肢が、今言ったような選択肢がある、そういったことをどのように考えるかということかと思います。
  18. 大野元裕

    ○大野元裕君 おっしゃるとおりですけれども、しかしながら、定年を前にして、自分で仕事をする、フィリピンで永住するということを決断する人にとっては、一定の金額、幾らだか私には分かりません、多少安いんでしょう、それをもらうことで満足をするというふうになるのかもしれませんが。  そうすると、これは厚生労働省にお伺いをさせていただきますけれども、これ日本側年金支払の対象とならないような、今までであれば、そういった人が途中で支払を切り上げて、仮に、あっちの方が安価だから、日本で払ってもいいんでしょうけれども、あっちの方が安価だから向こう行って払うと。そして、結局、そこから最終的にいただく年金を元手に老後生活フィリピンで送るということになると、ある意味、年金制度、僕らも厳しい年金制度をこれ運用していますけれども、そういったものを毀損をするというか抜け穴、抜け道になるというか、日本側年金にも負担を強いるような状況になりかねないのではないかと思うんですが、こういったことについて厚労省は何らかの措置若しくは指導みたいなものをお考えなんでしょうか。
  19. とかしきなおみ

    ○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。  今回の社会保障協定は、本来保険料の二重負担の解消をするということと、あと老齢年金の基礎となる最低加入期間を満たさない場合にも両国保険期間通算することで受給に結び付けやすくするという、この目的が二つございます。  この目的から鑑みますと、今委員指摘の場合ですけれども、日本において最低加入年金の要件を満たさない日本人フィリピンに移住し、フィリピン年金制度に加入して保険料納付した場合には、こうした保険協定目的に鑑みれば、その実績を日本年金受給するための最低加入年金期間として通算することはこれは適切であると、このように考えております。  ということで、年金制度というのは国境を越えて移動する方々にもできる限り年金受給できるように外務省と協力していきたいと思っておりますので、引き続き社会保障協定締結厚労省としては取り組んでいきたいと、このように考えております。
  20. 大野元裕

    ○大野元裕君 法的には確かに適切だと私も思います。ただ、制度を考えたときに、本当にこれでいいのかというのは私は疑問なしとはしないところでありまして、特にこれから、一生懸命フィリピンPRしていますから、うちへおいでおいでと、そういう状況で、悪用とは言いません、法的には合っていますから、ただ、その本来の目的とはちょっとずれているのではないかなということは指摘をさせていただきたいと思うんですが。  今お答えいただいた中で通算をするという話がありました。実は、昨日の議論を聞いていても、フィリピン側日本側ケース通算していろいろ考えてみましたけれども、六十歳を超えた後には、基本的には我が国支払うことはできますけれども義務としては終わるわけであります。フィリピン側については、六十歳を超えて支払うことが義務としてそれは求められているんでしょうか。外務省なのかな。
  21. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) お答え申し上げます。  フィリピン社会保障法では、六十歳以下の方はその国籍を問わず強制加入という規定はございますが、六十歳を超えた場合、外国人を含めて任意保険料支払うことができるかということについては、明示的な規定は確認できておりません。  引き続き、この詳細については、現地連絡を取り、確認をさせていただきたいと思っております。
  22. 大野元裕

    ○大野元裕君 昨日の実はお昼までの段階では、六十歳までに入れば六十歳以上でも支払えるって聞いていたんです。ところが、昨日夜、お電話いただいて、いや、払えませんと、逆に。六十歳を超えると支払えませんと、外国人は。フィリピン人は払えるけど外国人は払えませんと、そういうふうに伺ったんですが、そこはまず認識としてはいいんでしょうか。
  23. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 言葉足らずだったかもしれませんが、今議員が御指摘になったのは、フィリピン政府関係者がそのような、要するに六十歳を超えた外国人任意支払うことができないという口頭での説明は受けたことをお伝えしたものだと承知しております。  一方で、それを、明文の規定上どこに書いてあるのかという根拠をまだ探し出せていないという状況でございます。
  24. 大野元裕

    ○大野元裕君 調べていただいて、口頭で聞いていただいたことは感謝いたします。  私も、お配りしましたけど、ちょっと英文ですけれども、共和国法の八二八二というのがあって、これは途中しか書いていませんけれども、セクション12というのが、三枚目でしょうか、ありますけれども、そこには、要するに百二十か月をまず払いましたと。つまり、十年間の年金支払いましたと。(1)のところで、六十歳に達した者で、そして既に退職をしているか若しくは自営業者の場合には自営業をやめている者の場合である、若しくは六十五歳。  つまり、この間には実はあって、日本人がさっき言ったようにフィリピンに行って自営業で七年間やりますという人、六十五歳まで払うべきなのか、払わなくていいのか、あるいは払う権利があるのか、実はここからは読み取れないんです。私もいろいろこれ法律を見たところ、分からないんですよ。  先ほど申し上げたように、今御答弁いただきました、外務省からも厚生労働省からも御答弁いただきましたが、御答弁に従ってこうやって作ってみて、これを基に、例えば、ああフィリピン行きたいなと思う人もいるかもしれない、あるいは、いやいやこれは制度上おかしいなって考える人もいるかもしれない。ただ、その根拠がないというのは、これないって、ごめんなさい、見出せていませんと梨田さんおっしゃいましたけれども、見出せていないままに、つまり合算してどうなるかが分からないままに協定結んじゃったんですか。これで本当によろしいんですか。  外務大臣、本当にこれ、相手方の国内法理解していなくて、合算の状況すら分からないのに協定結んだというのは適切ですか。
  25. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のようなケースについてしっかり確認する、これは当然大事なことであります。  ただ、基本的な考え方として、日本からフィリピンに派遣される駐在員等が日本フィリピン両国年金受給資格期間を満たされなければその国で支払った年金保険料が掛け捨てになってしまう、この現実に対してしっかり対応する、このことは基本的に大変重要であると考えます。その基本的な部分に対して対応が行えるということにおいてこの協定の存在意義は大変大きいものがあります。  ただ、その現実の中で、今御指摘があったようなケースについてどうなのか、この辺は確認していく。これは相手があることでありますから、その辺につきましてもしっかり確認をし説明をする努力を併せて行う、これは大変重要なことではないかと考えます。
  26. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、大臣、僕、冒頭申し上げました。この協定のその趣旨の部分は賛成だと申し上げたんです、僕。賛成だと申し上げたけれども、これ、確認する相手があるって、相手があるから外務省いるんですよね、交渉されるんですよね、そうですよね。しかも、それは当然法律に従って、相手方の法律なのか規定なのかは分かりませんが、こういうことになっているから我々はこういう制度を細かいところをつくります、あるいは全体の制度ではなくて、個別の国についてはこういう法律があるからここについてはこう対処するんだというのをこれ審議するんじゃないんですか。  外務大臣、法案提出者として今の僕答弁恥ずかしいと思いますし、正直その規定がないまま我々ここで審議しろと言われても審議できませんので、そこは是非ちょっと協議してください。
  27. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  28. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を起こしてください。
  29. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう一度お伺いしますが、フィリピン日本を、年金支払期間、これを通算をするということが実は可能になる条約でありますので、この通算の仕方について、あるいは向こうの、フィリピン政府側の義務規定支払の、これについては我々はしっかりと承知をしないと、どういう形で通算するのか、できるのか、しなければいけないのかということが分かりません。  その上でお伺いをさせていただきたいのは、どういった法的根拠に基づいてこれらの通算ができる規定、特に六十歳から六十五歳までの間の自営業の人たちが支払うべきなのか、支払わなければいけないのか、支払わなくてもいいのかということについて、私が読んだこの共和国法の限りにおいては法律に定めがないんですが、どこに規定があるか、教えてください。
  30. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の御指摘は、極めて限られたケースにおいて、六十歳以上の支払についてどう対応するのか。日本においては、御案内のとおり、六十歳以降支払いすることによって通算期間を満たす方法がある。ところが、フィリピンの部分においてどうなのかということについて確認をしたのかと、こういった御指摘だと思います。  今、先ほど梨田部長から答弁させていただきましたように、その部分について、今しっかりと法的根拠について確認をしています。  是非、こうした制度を運用する際に、その部分について確認をし、そして現状について国民にしっかり説明をし、もし注意するべきことがあるとしたら注意をしていく、こういった対応はしっかりと行っていかなければなりません。その上で全体をしっかり運営するべきものであると考えます。
  31. 大野元裕

    ○大野元裕君 我々はここで条約を審議をすることを求められています。当然、国民に対して説明するべきことについてはここで議論をし、ここで確認をし、そしてその上で我々は承認をするなりそうではないという結論を出すのは当然の話でありますので、確認をされるのであればお待ち申し上げますので、どうぞ。
  32. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  33. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を起こしてください。
  34. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、先ほど申し上げたとおり、法の規定といったものはしっかりと確認をしてからここにお出しをいただいて、国民の皆様に対して御理解をいただくための審議の場でもあるし、我々の、我が方の税金使って向こうに持っていかれるかもしれない、そういう制度になるかもしれない話ですから、やはりそこは確認をしっかり取ってからここに持ってきて議論をいただくということが筋だと思っておりますので、この、先ほど申し上げたように、大筋の制度は賛成です。はっきり言います、我々賛成です。ただ、そうではなくて、この制度を運用するに当たって外務省としての責任をしっかりとお取りをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  35. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘いただきましたこと、大変重要なことだと思います。それについて、フィリピン政府側、あるいはフィリピン側に確認ができていなかったことは不十分であったと感じます。  是非、御指摘をしっかり踏まえて口上書を交換し、この協定が発効するまでの間にしっかり事実を確認し、国民の皆様方に必要であればしっかりと指摘を行い、現実において不都合が生じないよう、政府として万全の対応をしていきたいと考えます。
  36. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非、発効するまでにこの点については御確認をいただくことを確実におやりをいただきたいと思っております。  大臣、少しちょっと違う観点からお伺いしますが、フィリピンという国は、親日と言われながらも、銃によって邦人殺害される件数が実は何年もの間世界の中で最大の国であります。しかも、テロとかあるいは偶然の物取りとかの犯行で邦人の方が被害に遭われるというよりも、縁故者とかあるいは近親者、従業員、こういった人たちによる犯行、その人は要するに特定をしてそれを犯行に及ぶと、こういった犯行が特徴と理解をしています。  その背景には、日本人から見れば、フィリピン人日本人に優しいなと思いながらも、フィリピン人の側では必ずしも、もちろんそういう人もいると思います、必ずしもそう思っているわけではなくて、日本人が落とすお金や将来自分に来るであろう利益、これを期待している。そうすると、その期待が裏切られると結果として恨みになってしまう。こういうことも過去にはあったようです。  このSRRVというビザでフィリピンに渡航をし滞在をする、そういった場合に日本人が例えば不動産を持つ。この不動産、例えば私であれば私の奥さんに渡すこともできるんですが、私をフィリピンで面倒見てくれた人、これにあげることもできるんです。そういった制度が実はあって、そこでいい話ばかりを信じていると、逆に彼らが家くれるんじゃないかとか、そういったことまで実はあります。  今回の合意が結果としてフィリピン生活を、老後生活の元手となる年金を仮に供給すると、そういった人たちが、さっき私の友人の話しましたけれども、いいところばっかり見ていますから、そういった人が増えるようなことになる場合には、やはり決して邦人の安全上、安穏としていられる状況ではないと思うんです。  だとすると、外務大臣、お伺いしたいんですが、政府として、渡航者、特に年金生活老後を過ごすような人たちに対する適切なアドバイス、特にこれマニラだけではないと思いますけれども、そういった別々のところに行かれる方についてもアドバイスを行う措置を強化するべきと考えますが、いかがでございましょうか。
  37. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、邦人の安全確保、これは政府にとりまして大変重要な課題であります。御指摘のように、SRRV等を利用して渡航される方、滞在される方、こういった方にもしっかりと注意喚起をし、そして安全対策を講じる、これは非常に重要であると認識をしております。  フィリピンにおきましては、危険情報、スポット情報の発出、あるいは安全対策基礎データ、安全の手引などを通じて積極的に情報発信をしているわけですが、加えて在留届の提出、たびレジへの登録、あるいは海外安全虎の巻、こうした様々な手段を通じて安全対策強化の注意喚起を行っている次第です。そして、現地の在留邦人の方々とのコミュニケーション、フィリピン日本大使館におけるコミュニケーションということで安全対策連絡協議会あるいは安全対策セミナー、こうした開催等を通じても情報提供、注意喚起に取り組んでおります。  在留邦人の方、様々な立場で、様々な理由でそこに滞在しておられます。そうした現実の様々なケース対応できるよう、様々な切り口からこの安全対策に万全を期していかなければなりません。SRRV利用の年金受給者を含む邦人安全対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えます。
  38. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣大臣も在外におられたことがありますからお分かりと思いますけれども、例えば商社の方とかメーカーの方とか企業で来ている人とか、あるいはマニラ、首都に住んでいる人たちは一遍に集まる機会が多かったりして割とコミュニケーションよく、あるいは様々な情報が行くんです。私もかつて外務省お世話になりましたのでやはりそういう状況ですが、やはり個人の方、特に現地の人と結婚された方とか、あるいは首都に住んでおられない方にはなかなか情報が届きにくいし、大使館側としても把握が難しい。  これは現実の問題だし、なおかつ先進国であればまだまだそうでもないかもしれないけれども、現実に銃で殺害されているのが一番多い国ですから、フィリピンなどには是非これまでの既存のツールではないところもお考えいただきたいし、例えばフィリピン、SRRVで行った方々日本人向けのコミュニティーを向こうでつくっています。そういったところに例えば情報を流すとか、これはもう御提案でございますけれども、どれをやれとは言いませんが、是非そこは様々な形で御検討いただきたいと申し上げて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  大臣、まずお礼とねぎらいを申し上げますが、広島でのG7外相会議、本当にお疲れさまでした。このG7外相会議について少しお伺いをさせていただきます。  全体の評価としては、もう本当にお疲れなことだったと思いますが、日本で開催されたこと、これはもう喜ばしいと思っております。日本を取り巻く問題についてコミュニケで少し増えてきたというのは、これはもう評価します、率直に。他方で、国際社会全体の取組については、我が国が議長国としてイニシアチブを発揮できたとは評価は残念ながらできない状況だと私は思っています。この評価を述べさせていただいた上で、例えばそのうちの一つであるシリアについてお伺いをさせていただきたいんです。  昨年のリューベックにおけますG7の外相会議を、例えばコミュニケを見て、そして今年の広島の外相会議のコミュニケを比較すると、実は相当、アサド政権、現シリア政権に対する態度というのは弱くなっています。例えば昨年のG7の外相会議のコミュニケにおいては、アサド政権をきちんと明示をした上で、に対する強い非難を表明をし、人道上の責任、人権侵害、政治改革要求に耳を傾けないと言っています。そしてその上で、アサドと呼び捨てにした上で、そのアサドがテロとの闘いにおいてパートナーとはなり得ない、つまり軟着陸なんかない、パートナーとはなり得ないということを言っているんです。  ところが、今回のG7の首脳会議では、確かに、シリアの状況や人権状況等について政権の人権上の義務遵守を要請する等、これは入っています、中身は。ただ、相手が明確にされていないとか、呼び捨てにするかどうかが適切かは分かりません、ただ、相当印象として昨年よりもアサド政権に対する態度が大きく後退したように見られます。  これは外交の話ですから、もう大臣よく御存じのとおり、メッセージというのがありますからね、当然、G7としてどういうスタンスで臨んだかと。これも含めて、このような変更の理由を教えていただきたい、また、我が国が議長国としてこういった変化においていかなる役割を果たしたかを教えていただきたいと思います。
  39. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国のシリア情勢に対する認識、シリアの情勢悪化の責任はこのアサド政権にあるという基本的な立場は変わっておりません。  そして、G7外相会談において昨年と今年において違いがあるのではないか、こういった指摘がありました。これはまさに、昨年、リューベックで行われましたG7外相会談から今日までの間のシリア情勢の変化、こういったことが反映されたものであると認識をしています。  昨年四月、リューベックで行われましたG7外相会談後、シリア難民を含む大量の難民、移民の欧州への流入等がありました。こうした状況に対しまして国際社会として政治的な解決が求められるということで、安保理におきましても、安保理決議二二五四あるいは二二六八、こういった決議が採択をされ、そして、そうした状況を受けて本年一月末から国連の下でシリア政府と反体制派の協議が開始された、こうした事実が存在いたします。こうしたシリア政府と反体制派の協議に基づいて事態を平和的に解決していこうという努力が続けられている中での今回のG7外相会談でありました。  いずれにしましても、共同コミュニケは、これG7各国が一致をして、そしてこうした表現までは全てが認める、こうした合意に基づいてコミュニケが作成されています。今申し上げましたような昨年から今年にかけての動き、そして現状におけるシリアにおいての取組、こういったものを反映した上で各国が合意した結果が共同コミュニケであると考えております。昨年との違いについては、そういった様々な要素があり、今回の共同コミュニケにおいて昨年との違いが出てきたということだと考えます。
  40. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非お願いしたいのは、シリアの問題はシリア人の手によってしっかりと決めていただくということが大事だと思っています。このスタンスは去年からずっと一緒だと思っていますが、他方で、シリア政権が、アサド政権が国際環境を自分たちが変えて勝利したというふうに思われないような、そういうメッセージを明確に発することだけは確実に必要だと思っていますので、そこはお願いをし、時間が、済みません、相当先ほどの件でなくなってしまったので、一点だけお伺いします。  先週、内閣委員会で、これは当時、黄川田政務官がお越しになってお答えをいただきましたが、一昨年九月、NATOのウェールズ首脳会議におきまして、サイバー上のNATO加盟国一か国に対する攻撃は、NATO憲章の五条適用、つまり集団的自衛権の適用対象となるという声明を最終的に採択をいたしました。  これについて実はお伺いしたところ、いや、ケース・バイ・ケースと書いてありますというのが当時の政務官のお答えですが、これ、集団的自衛権をNATOが行使するということは、万が一の場合我が国攻撃されるわけですから、一年半以上もほっぽっておいて、実は確認していないというんです、これもNATOに、聞いていないというんです。  そこで、きちんと聞いてくれという話をお願いを申し上げ、政務官はイエスというお答えをいただきましたので、そこで、先週の話ですからお伺いしたいんですけれども、NATO側に対して確認をし、どのようなケースで集団的自衛権の行使の対象、つまり、もしかすると我が国が攻撃されるかもしれない要件になるかということを引き出したか、教えてください。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、NATOウェールズ・サミットにおける首脳宣言においてケース・バイ・ケースだという記述があるということについて更に確認しろという御指摘をいただきました。そして、結果として確認をいたしました。  そして、御質問のNATO憲章第五条の具体的な適用範囲について確認しましたところ、NATO側の回答は、サイバー分野において全ての起こり得る事態を予見することは困難であり、どのようなサイバー攻撃が北大西洋条約第五条の援用に至るか否かについての決定はケース・バイ・ケースにて検討される、こういった回答を得ております。
  42. 大野元裕

    ○大野元裕君 一年半ほったらかしたというのがまず問題なんです。実は、僕、これNATOに二回聞きに行っています。同じ答えをもらっています。日本、攻撃されるかもしれないんですよ。それを一年半、声明を読んでそれで終わり、確認もしない、こういう対応は絶対に受け入れられないと思いますので、是非こういった機微な問題についてはしっかりと御対応いただきたいと思っています。  先ほど話が、実は審議が若干もめたこともあって、牧島先生にはお越しをいただきながら大変申し訳ございませんが、これで私の時間は終わりましたので、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  43. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。
  44. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、外相に、日ロ外相会談についてお尋ねいたします。  十五日にラブロフ・ロシア外相と岸田大臣との外相会談が行われました。会談後の共同記者会見では、大臣は、今後の日ロの交渉に弾みを与える前向きな議論をした、このように述べておられます。一方で、ラブロフ外相の会見を聞きますと、どうも必ずしもそうでもないニュアンスもあるわけでありますけれども、今般の外相会談における前向きな議論とはどのようなものであったのか、御説明を願います。
  45. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 四月十五日、ラブロフ外相と、私自身五回目になりますが、日ロ外相会談を行いました。会談とワーキングディナー合わせて四時間半にわたりましたが、幅広い分野につきまして突っ込んだ意見交換を行いました、議論を行うことができたと考えています。  そして、御指摘の北方領土問題について前向きな議論とはどういうことかということでありますが、この北方領土問題につきましては、昨年九月、モスクワで行いました日ロ外相会談、その成果を踏まえまして、日本とロシア双方の間においては、歴史的な解釈あるいは法的な解釈、こうした問題において立場の違いはあります。しかし、こうした立場の違いはあるものの、その上で双方に受入れ可能な解決策を作成していく、こうした方針で一致をしております。こうした意味で前向きな議論ができたという説明をさせていただいております。  そして、今後の日ロの政治対話ということにつきましても、近く行われます安倍総理の非公式訪ロに向けて具体的な日程も含めて様々な調整と準備を精力的に進んでいく、こういったことでも一致ができたということであります。  是非、今後とも、こうした政治対話を積み重ねつつ、幅広い分野でロシアとの協力を深めて日ロ関係を国益に資するよう進めていきたいと思いますし、その中で、北方領土問題につきましては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、この基本方針の下で交渉を粘り強く続けていきたいと考えます。
  46. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、本協定につきましてお尋ねします。  この日・フィリピン社会保障協定が発効しますと、年金保険料の二重払いが解消されますのは日本フィリピンでそれぞれ何名になるのか、特に、そして日本企業側の負担軽減額はどの程度であって、またその金額というのはどういう計算で推定といいますか算出しているのか、お尋ねします。
  47. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 日本からフィリピンに派遣されている企業方々で二重払いの解消で恩恵を被る方は約四千五百名いらっしゃると推計しております。その四千五百名の方々が合計で負担軽減効果は年に約三億円と計算しています。これは、実際に幾つかの企業方々に対外不公表という前提でアンケートを取りました。その御負担額をいろいろ集計した上で、五年以内フィリピンに駐在される方々の数が約四千五百名ということで掛け合わせた数字でございます。  あと、日本にいるフィリピン国籍の方々は約二十三万人もおられまして、残念ながらこちらの方につきましては個々の方々保険料納付状況とかを把握できていない状況でございますので、どれだけフィリピン側で恩恵を被るのかという今数字は手元にございません。
  48. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 本協定によりますと、企業によりまして相手国に一時的に派遣される被用者につきましては原則として就労地国の法令を適用するということになりますが、派遣期間が五年を超えないと見込まれる場合、五年以下ということですね、その場合につきましては、母国の年金保険料のみを支払えばいいと、就労地国における支払義務が免除されるということです。  この五年以下と、五年以内ですね、五年以内と五年を超えるということで、この五年が区切りになっているわけでありますけれども、この五年以内あるいは五年を超えるという、この五年とした根拠といいますか、何かあるいは国際的なそういう標準にこれがなっているんでしょうか。
  49. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) お答え申し上げます。  五年とした根拠というのは、まず、我が国がこれまで締結した社会保障協定十八全て原則五年以内ということになっております。  この根拠は、日本から駐在される企業方々、国によって若干統計は異なりますけれども、九割前後が五年以内という方々が大半でございますので、五年という形でまず原則をつくりました。
  50. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 九割以上の方がそういう意味ではこれまでは二重負担を強いられていて掛け捨てになっていたと、そういう方が救済といいますか、されるということかと思います。  次に、日本経団連が二〇一三年四月に発表しました通商戦略の再構築に関する提言におきましては、社会保障協定締結を推進すべきである、このようにしております。そして、現在政府間交渉などが行われている国々のほかに、現在政府間交渉が行われている国々の一覧は資料でいただいているわけでありますけれども、それ以外にも、ポルトガル、メキシコ、ロシアとの間で交渉を開始すべきである、このように提言をしております。  もちろん、こちら側の人的なそういう制約というのもあるわけで、厚生労働省、また外務省で交渉するのかと思いますけれども、一遍にそれはもう多くの国と交渉していくというのはなかなか難しいかとは思いますが、経団連がこのような要請をしているということは、こうした国々で必要性といいますか、日本企業側のニーズが高いということかと思います。  現在交渉中の国々以外にも、こうした経済界が提案をしている国々との交渉についてはどういう方針なのか、政府にお尋ねします。
  51. 相木俊宏

    政府参考人相木俊宏君) お答え申し上げます。  我が国社会保障協定締結するに当たりましては、我が国社会保障協定締結方針に従いまして、具体的なニーズなどを考慮しつつ、優先度が高いと判断される相手国から順次締結交渉を行うこととしてございます。  御質問のポルトガルにつきましては、制度上、外国人については、派遣元国の強制加入社会保障制度が適用されていることを証明すればポルトガルの制度の適用が免除されるという例外措置がございます。そのため、我が国から派遣される駐在員などにつきまして、基本的に二重加入の問題は生じないというふうに承知をしております。  メキシコにつきましては、これまで累次にわたりまして我が国から社会保障協定締結の要望を提示したところでございます。しかしながら、メキシコ側からは、国家財政への影響を理由といたしまして社会保障協定締結は難しいという旨の回答があったところでございます。我が国としては、引き続きメキシコ政府に対しては働きかけを続けていく考えでございます。  ロシアにつきましては、同国に進出している日系企業には、社会保険料の二重負担や掛け捨ての問題が生じている駐在員がおられるものと承知をしております。今後、さきに申し上げました我が国締結方針に基づきまして、締結の可能性について検討、協議を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  52. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 三月現在で政府間交渉中は四か国でありまして、スウェーデン、中国、トルコ、スロバキアである、このように報告を受けております。  そこで、中国についてお尋ねしますが、昨年十一月には三年七か月ぶりに日中社会保障協定に関する政府間協議が開催をされました。今後の交渉の見通しあるいは妥結の見通しについて教えてください。
  53. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国との間におきましては、日中社会保障協定締結に向けて、平成二十三年十月以降四回政府間交渉を行ってきております。そして、委員から御指摘いただきました昨年十一月東京で行われました第四回政府間交渉では、前回交渉以降、双方の国の社会保障制度の現状及び運用状況について確認した上で、いかなる社会保険制度を日中社会保障協定の対象に含めるか等について集中的な議論を行いました。日中双方は、今後とも積極的に協議を推進していく、この点では一致をしております。  政府としましては、引き続き協定の早期締結に向けて精力的に交渉を進めてまいりたいと考えております。
  54. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 中国における日本企業駐在員の社会保険料負担は重いとされております。総所得に対する割合も高いし、当然、中国の年金受給資格は何年間か私承知をしませんけれども、恐らくは掛け捨てになっている駐在員がほとんどであろう、このように思っております。  そこで、外務省、政府として、中国に進出をする日本企業駐在員の社会保険料負担の実態を把握をしているのか。これは、一人当たり年間どのぐらい事実上掛け捨てになっているという話か、あるいは日本企業全体で何億円ということでもよろしいんですけど、そういうデータといいますか、見積りはしているんでしょうか。
  55. 梨田和也

    政府参考人梨田和也君) 中国におきまして日本企業方々負担している社会保険料の正確な額、残念ながら詳細を確認するのが極めて容易ではないという状況です。  一方で、民間企業関係者の数、それから中国は都市によって保険料が違ったりする事情もございますけれども、各都市における保険料率などを勘案すると、恐らく年間で数百億円規模に上るんではないかと推察されます。
  56. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。     ─────────────
  57. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、三木亨君が委員辞任され、その補欠として舞立昇治君が選任されました。     ─────────────
  58. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  議題となっていますフィリピンとの社会保障協定締結は賛成であります。  その上で、広島市で今月十日から十一日に開かれたG7外相会談についてお聞きいたします。  会合は、被爆地広島で開かれたことから、核兵器の廃絶に向けて、唯一の戦争被爆国である議長国の日本政府がどのような取組を行って、どのような成果を上げるか、内外から注目をされました。  まず、この核兵器廃絶に関して、会合に臨んだ日本政府の取組及びその成果について外務大臣から伺いたいと思います。
  59. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回のG7外相会合ですが、まず、G7の外相会合ですから、今現在の国際社会の喫緊の課題についてしっかり議論を行った、これは当然のことであります。そして、八年ぶりにアジアで開催されるG7外相会談ですので、アジアの問題にも議論が多くの時間を割かれました。  そしてあわせて、御指摘のように初めて被爆地広島で開催されるG7外相会談ですので、核軍縮・不拡散、この部分につきましても突っ込んだ意見交換が行われた次第であります。  そして、この議論は、昨年来核兵器のない世界に向けての国際的な機運がしぼんでいると指摘をされています。NPT運用検討会議においても、五年ぶりに開催されるこの会議においても、核兵器国と非核兵器国が鋭く対立することによって成果文書を採択することができなかった。さらには、今年に入ってからも北朝鮮の核実験が行われるなど国際的な不拡散体制に対する挑戦と言えるような動きもある。こういった中で行われたG7外相会談ですので、まずは核軍縮・不拡散について突っ込んだ議論が行われたわけですが、その成果を独立の文書として広島宣言という形で発出することができた、そして、この宣言は、今鋭く対立している核兵器国と非核兵器国、それぞれの主要国が含まれるG7の枠組みの中で採択をし、発出することができた、ここに意味があったと思います。  今回、初めて核保有国の外相を含めてG7の外相そろって平和公園を訪問し、資料館を訪問し、そして原爆ドームも訪問したわけですが、こうした訪問と平和宣言とが相まって、是非、今国際的に核兵器のない世界に対する機運がしぼんでいると言われている中でありますので、再びこうした機運を盛り上げる、再稼働させる転機にしたいと考えております。
  60. 井上哲士

    ○井上哲士君 核兵器国も含むG7の外相が広島で会議を持ち、そして私も子供のときから何度も行きましたが、この原爆資料館を訪問をして、原爆の惨禍をその目で見られたということは大変私は重要なことだと思っております。  核兵器のない世界への国際社会の前進ということは被爆者の願いであり、それを訴えてこられました。その皆さんがどう見ていらっしゃるのかということは大変大事だと思うんですね。  広島宣言について広島県被団協の佐久間邦彦理事長は、核兵器廃絶ということが明確にうたわれていない、広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしているとはとても言えないというコメントを出されました。それから、やはり県被団協の坪井直理事長は、広島で開催されたにもかかわらず各国外相が被爆者の直接声を聞く機会がなかった、これについて聞いてほしいという思いがあって残念だったと、こういうことも言われております。  こうした被爆者団体の意見について、見解はいかがでしょうか。
  61. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の広島宣言ですが、核軍縮・不拡散の取組において是非簡潔かつ明確で力強いメッセージを出すべきであるということで各国と調整を続けてきました。  内容について御指摘がありましたが、その中には、核兵器のない世界に向けた更なる進展のため、全ての国に努力を要請するということ、また、核兵器は二度と使用されてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている、こうした内容をG7各国そろって一致し、この広島宣言の中に盛り込むことができた次第です。内容においても、今申し上げましたような内容が盛り込まれたことは大変重要だと思っています。  そしてあわせて、被爆地における様々な関連行事のありようについて御指摘がありました。関連行事につきましても各国と調整を続けてきました。  まずは、被爆地で外相会談を行うわけですから、被爆の実相に触れてもらう、そういったことにおいて意義ある関連行事、そして日程を組まなければならないということで、ぎりぎりの調整をしてまいりました。過密な日程の中で調整をしたわけでありますが、その調整の結果が御案内のような平和資料館訪問あるいは原爆死没者慰霊碑への献花、こういったことになったと考えております。
  62. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非被爆者の声を直接聞いていただきたかったと私も思うんですが、さらに、この宣言について被爆者から出されている声は、核兵器の非人道性ということが盛り込まれなかったということであります。  私、三月十日、この委員会での質問で、昨年の国連総会での日本提出の決議案が、人道的結果への深い配慮は核兵器のない世界を目指す全ての国の努力の基礎というふうに述べたことが理由になって米英仏など核兵器国が賛成から棄権に転じたという問題を取り上げました。その際、今後、これを受けて、日本としてはこういう同様の文言を盛り込んだ決議を提案するのかどうかと、こういうことをお聞きしますと、大臣からは明確な答弁はなくて、今後核兵器国と非核兵器国の協力を得て具体的な結果につながる道筋をつくるにはどうしたらいいかを考えていくと、こういう答弁でありました。  その中での今回の宣言なわけですが、せっかく核兵器の非人道性を最もアピールできる機会を得ながら、その非人道性が盛り込まれなかったと。そうしますと、今後、核兵器国に配慮して、唯一の戦争被爆国としての原点とも言えるこういう文言を今後は使わないと、こういうことなんでしょうか。
  63. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 被爆の実相を伝える言葉についてですが、これは、今後とも、文脈あるいは機会に応じて最も適切な言葉が何なのか、こういった観点から判断していくべきものであると考えます。    〔委員長退席、理事塚田一郎君着席〕  今回の広島宣言におきましては、被爆の実相について具体的に記すべきであるという判断の下、極めて甚大な破壊、そして非人間的な苦難、こうした表現を用いた次第であります。言葉として、極めて甚大な破壊と非人間的な苦難と、非人間性とどちらが適切なのか、あるいは強いのか、こういったことなのかと思いますが、こうした極めて甚大な破壊と非人間的な苦難という言葉において、より強い表現になったと受け止めております。是非、こうした言葉遣いにつきましても引き続きしっかりと検討し、適切な言葉を使っていきたいと思います。  ちなみに、昨年のリューベックG7外相会談におきましては、壊滅的な結末、こういった言葉だけでありました。それが、極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難、こういった言葉に今年は変わったということも指摘しておきたいと考えます。
  64. 井上哲士

    ○井上哲士君 訳語についてはいろんな議論もあったわけでありますけど、それだけじゃなくて、今回の広島宣言では、核兵器のない世界が漸進的なアプローチを取ることのみにより達成できるというふうに強調しております。  今、国際社会では核兵器の法的禁止を目指す流れが大きく広がっておりまして、国連総会でも多くの支持を得ておるわけですが、これはこういう動きには全く触れずに、漸進的アプローチのみだと、こういう強調をしたわけですね。そうしますと、結局、この宣言の立場は、核兵器国にこれまで以上に配慮をして、核兵器の法的禁止を目指す国際世論の多数派とむしろ溝を広げることではないかと、こういう指摘もありますが、いかがでしょうか。    〔理事塚田一郎君退席、委員長着席〕
  65. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 核兵器のない世界を実現するためには核兵器国と非核兵器国が協力をすること、これは不可欠であると考えます。この協力なくして具体的な結果にはつながっていかないと考えております。そういった考え方に基づいて現実的かつ実践的な取組を着実に積み重ねていくことこそ、一見遠回りのようで、実は核兵器のない世界に向けた最短の道であると考えて、我が国としましても取組を行ってきました。  広島宣言には、まず、こうした我が国の従来からの立場をしっかり反映したわけでありますが、あわせて、この広島宣言においては核兵器国と非核兵器国との間の対話促進を求める文言があり、その直後には、NPT第六条に従い、我々は、今後も世界規模での継続的な核兵器の削減に関する永続的かつ積極的な支持者である、こうした文言を盛り込むことでも一致をしました。  このNPT第六条、御案内のとおり、これ核兵器国の削減努力、これを明記した条文であります。これについても核兵器国と非核兵器国が共に一致をして文言の中に盛り込むことができた、こういった点においては意義があったと思います。  いずれにしましても、こうした広島宣言、大きな意味がある、それ自体意味があるとは思いますが、今後の具体的な結果につなげていくことが何よりも重要です。こうした宣言をしっかり活用しながら、国際社会において引き続き具体的な結果を出すために日本政府としましても議論をリードしていきたいと考えます。
  66. 井上哲士

    ○井上哲士君 二月二十六日に、オープンエンド作業部会に関する記者会見の際に、岸田大臣は、核兵器禁止条約の交渉開始については現時点ではまだ協力関係が整っていないと、こういう言い方をされたんですね。今回はそうでなくて、漸進的アプローチのみだと、明らかに私は踏み込んでいると思うんですね。  日本が唯一のやっぱり戦争被爆国として核兵器廃絶、役割を果たすというならば、やっぱり最大の核兵器国であるアメリカの今の核戦略についてきちっと物を言うことが必要だと思うんですが、アメリカは、あのオバマ大統領のプラハ演説への世界からの注目にもかかわらず、現実に今核兵器近代化計画を進めておりまして、今後三十年間に核兵器に掛ける費用は一兆ドルにもなろうとしておりまして、トマホークミサイルの後継に当たる長距離スタンドオフミサイルなどなど進めております。  二〇一七会計年度予算案では、大規模な核配備プログラムの新たな資金は十億ドル以上を追加をするということになっておりまして、アメリカはやはり廃絶ではなくて核兵器堅持、こういう方向に向かっていると考えますが、これにしっかり物を言う必要があるんじゃないでしょうか。
  67. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 米国のオバマ大統領は二〇〇九年のプラハ演説におきまして、核兵器のない世界を目指すとしつつ、米国は核兵器が存在する限り安全で防護された効果的な核兵器を維持していく、このようにも述べております。  米国のいわゆる核兵器の近代化ですが、近代化というのは、今、オバマ大統領のこの演説の中にも触れていた政策に基づいて、今後老朽化が見込まれる核兵器の信頼性を維持するために行っているものであると承知をしております。  いずれにしましても、大きな核兵器のない世界を目指すという目標に向けて、現実的なそして漸進的なアプローチが求められていると我々は認識をしています。
  68. 井上哲士

    ○井上哲士君 今後三十年間で一兆ドルの費用を掛けて核兵器の近代化や堅持を目指す保有国の立場に配慮をしていては、私は核兵器廃絶を前に進めることはできないと思います。  大きな転換が必要だということを改めて強調いたしまして、質問を終わります。
  69. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、今回のフィリピン協定のことで思ったことが、戦後三十年間戦い抜いた小野田寛郎さんのことを思い出しまして、投降を何回か呼びかけられましたが、最後にそれに応じて投降しなさいと言ったらオー・ノーだと、言ったか言わないか知りませんけど、小野田さんとはいろんな関係もありましたので、後ほどまた話に触れたいと思いますが。  今回、フィリピン共和国との協定ということで、フィリピンはちょうど、一九八六年ですかね、東南アジアも巡業でいろんなところ行っておりましたが、ちょうどそのときが政治が不安定で治安も悪く、いろんな向こうの人が気を遣ってくれまして、ボディーガードを雇ってくれました。二つのグループからボディーガードが来まして、全部で十人私の泊まっている部屋の横に陣取ってポーカーをやったりなんかしているんですが、食事に行く、お茶も飲みに行く、そのたびに彼らがみんなくっついてきて、その飯代やお茶代を全部払わされたということがありましたが。そんな中で、クーデターがマルコス追放ということで起きまして、突然の政変劇で、私にとって大変非常に感慨深い体験でしたが、その夜、戒厳令が出まして、本当にどうなるかなと思っておりました。  ちょっと話は変わりますが、アメリカに私が住んでいたこともあって、長年アメリカに年金を払っていました。六十歳を過ぎたので現地受給申請をしたんですが、必要な書類があれだこれだといろいろ注文付けられ、もう非常に面倒くさくて、もうそんな面倒くさいならやめるわということで断念をしましたが。  今回のフィリピン協定一定期間は保険料が免除されるという内容ですが、実際に外国で社会保障を受けている日本人も多く存在すると思います。私のように、外国で社会保障の申請に苦労している日本人をサポートできるような制度はあるのか、その辺について詳しくお聞かせください。
  70. 伊原和人

    政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。  今後、社会保障協定締結によりまして、相手国年金受給する日本人が増えていくということが見込まれております。御質問ございましたように、現地にお住まいの日本人への対応につきましては基本的には相手国年金関係機関が対応することになりますけれども、日本側におきましても、こうした在留邦人がその国の年金の請求を容易に行えるように、日本年金機構のホームページで相手国年金の申請様式につきまして日本語を併記したものを掲載しまして、申請書類あるいは添付書類が準備できるような配慮をしております。  それから、今御質問にございましたように、日本に現在帰国されている方がわざわざ相手国に出かけて申請をしなくても済むように、今は年金給付に必要な申請書を日本年金事務所が受け付けまして、それを相手国の方に代わりに転送するというようなことも行っております。  できる限り円滑に年金の支給申請ができるように今後とも努めてまいりたいと思っております。
  71. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 また、私の知り合いですが、区役所でトラブって言い争っているということを見たことがあるそうですが、外国人日本社会保障を受ける場合、申請は理解しやすい内容になっているのか、私も先ほど申し上げたように、外国での言葉の違いもあったり大変難しい問題がありますが、その点についてお答えください。
  72. 伊原和人

    政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。  日本年金受給を希望する外国の方が給付申請などを円滑に行えるように、日本語以外の八か国の言葉に国民年金に関するリーフレットを作成しまして、その内容を日本年金機構のホームページに掲載しております。このリーフレットにつきましては、年金事務所などの窓口において外国人の方が制度の加入するような際に説明に活用させていただいております。あわせまして、日本年金機構のホームページにおきましては、厚生年金などの概要、あるいは今回の対象になっております社会保障協定の概要につきまして、英語による情報提供も行っております。  今後とも、日本側あるいは相手国、外国の方が必要な情報がきちっと手に入り円滑に事務手続ができるように周知広報に努めてまいりたいと思っております。
  73. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 先ほど触れました小野田さんの件ですが、七四年にルバング島から日本に帰ってきまして、それでその後、私もブラジルの方で牧場や農場もやっておりましたので、小野田さんがブラジルに行かれたということでいろいろ我々も何か応援できることがないかということで、一つはブルドーザーが欲しいというのでブルドーザーを贈ったことがあります。本当に、土地を広げたり何かするためにもブルドーザーを活用されて、非常に喜んでもらいました。  この小野田さん、いろんなところで講演されて話も聞いたことがありますが、自衛隊の、もっとも戦時中のあれですが、三十年間も終戦を知らずに任務を果たして活動を続けたという。いろいろ調べてみると、本当は終戦は知っていたという話も書いてある本がありましたが、戦争当時の直属の上官というんでしょうかね、命令解除を受けて帰国することを了承したという記事もありましたが。非常に本人は実直な日本人の気質を持った、思い知らされるような真面目さがありましたが。  今年の三月に安全保障関連法案が施行され、集団的自衛権が行使されるということが可能になると思います。今後、アメリカが戦争を開始した場合、日本も参戦する可能性が少なからずあるのではないかと思います。最近の戦争では傭兵が多く、従事しておる人種も様々、言語も多様化しているようです。現地外国人との合同で行動する場合、どのように対応するんでしょうか。防衛大臣、おられないですね、どなたでも結構ですけどお聞きしたいと思いますが。最初に言っておいてください。自衛隊の言語能力の向上が必然的に求められてきますが、隊員に向けた言語教育はどのようにされているのか、お聞かせください。
  74. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  自衛隊におきましては、在職期間を通じて階級や職務に応じた体系的な教育を行うということによりまして知識や技能を修得させることを基本として各種教育を行っております。近年、国際社会における自衛隊の活動の機会が増加をして外国の軍隊等との接点は増えておりますので、自衛隊における教育の中で語学教育も極めて重要になっていると考えております。  このような状況の下で、まず自衛官について申し上げますと、陸海空それぞれにおいて幹部を対象とした課程と曹クラスを対象とした課程を設けまして英語の教育を行い、基礎的な英語能力の向上を図っております。英語のほか、ロシア語、中国語、韓国語につきましても、それぞれ課程を設けて語学要員や留学候補者に対する教育を実施するとともに、国際平和協力業務等に従事することを予定している隊員に対しては、国際活動教育隊などによりまして任務遂行に必要な現地の言語等の教育も実施しています。また、事務官等に対しましても、防衛省における国際関係業務の増加に伴いまして内局英語研修などを実施しているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、語学教育を含めまして任務遂行に必要な教育を実施してまいりたいと考えているところでございます。
  75. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、ペルーについてちょっとお聞きをしたいと思いますが。  ペルーでの大統領選がテレビでも報道されておりますが、六月の五日が決選投票と、が出るという報道がなされています。今回の候補のケイコ・フジモリ候補は、御存じのとおりフジモリ元大統領の娘さんですが、ちょうど私の娘がボストンの大学に行っているときに彼女と同級生だということで、非常に私も気になっていたというか、今回の、是非、私の個人的な思いは、頑張って勝ってもらいたいと思います。  ペルーといえば、反政府組織のセンデロ・ルミノソ、頻繁にテロを実行して本当に治安が良くないという。昔ありましたが、彼らが日本大使館を襲撃やJICA技術者の殺害事件、記憶に新しくは、ペルーの闇の部分が世界に露見される機会となりましたが。その後、アメリカのCIAも協力し鎮圧に乗り出し、組織は衰退しましたが、全滅には至らず、残党が今も潜伏していると聞きます。  外務大臣にお聞きしたいんですが、このセンデロ・ルミノソの現状とペルーの治安について、分かる範囲内でお答えいただきたいと思います。
  76. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ペルーにおきましては、御指摘のテロ組織センデロ・ルミノソ、かつて一九八〇年代活発なテロ活動を行っておりましたが、一九九〇年代にペルー政府が展開したテロ対策によって組織は著しく弱体化いたしました。結果、過激なテロ活動は減少し、現在は山岳部の限られた地域以外での活動は見られないと承知をしています。  そして、ペルーの治安情勢については、リマ市周辺などでは一般犯罪が多発しており、外務省としましても、レベル一、十分注意してくださいなどの危険情報を発出しております。マチュピチュなどの主要な観光地では、旅行者の脅威となるようなテロ、誘拐事件は確認されておらず、危険情報は発出されておりませんが、旅行者を対象とした一般犯罪が頻発しており、注意する必要があると認識をしております。
  77. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 大統領の結果次第ですが、観光客も非常に日本からも多くの方が行かれていると思いますので、その辺のまた情報を十分取っていただきたいと思います。  最後に、先日、八日から九日、十日、十一という訪朝の申請をしたんですが、自粛をということで見送りましたが、平壌マラソンの、外国から千人ぐらい、そのほかに市民が八百人ぐらいで、千八百人ぐらいの非常にマラソン大会が盛り上がったという。町々にいろんな人が出て、手で、みんな握手をしながら応援したという。武貞さんという方がちょうど行ってこられたので、昨日、おととい報告を受けましたが、本当にその辺の行ってみないと分からない状況というんでしょうかね、一方では、テレビは核とミサイルの問題が報道されていますから、その辺で、できればスポーツ交流、文化交流、総理も言われているように、その辺の窓をできれば開けておいていただければ、もうちょっと自分の目で今の北朝鮮情勢を私なりに分析することができるから、お国のためにも何かお役に立てればと思っております。  一つは、今、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、中国、今回の、五十何か国の選手が参加しております。そういう中で日本が、本当にこういう状況は十分理解はできますが、昨日も、平壌にあるあるところの大使館の大使が来られまして、いろんな分析の話をまた聞きたいというのと、あちらからもいろいろ話を参考に聞かせてもらいました。とにかく対話が私は大事なので一日も、対話ができるような環境になってほしいと思っております。  お答えは結構です。終わります。ありがとうございました。
  78. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。  社会保障に関する日本フィリピン共和国との協定締結については賛成の立場を表明し、質問に入ります。  まず、熊本地震被災地へ米軍のMV22オスプレイが派遣された件について質問いたします。  中谷防衛大臣は、十九日の記者会見におきまして、米軍の支援については、米軍の大変有り難い申出を受け、より効率的かつ迅速な救援活動を行うため、自衛隊の輸送力に加え、高い機動力、即応力を併せ持つオスプレイの活用が必要だと判断したと述べられています。  二〇一五年五月、ハワイのオアフ島で、砂ぼこりを吸い込み着陸に失敗し、死傷者も出す事故があったことは記憶に新しいわけですが、今回の熊本地震において、度重なる余震や避難場所でストレスの多い生活をされている被災者の方々に更に不安な思いを駆り立てかねないオスプレイを導入することになった経緯について、中谷防衛大臣の御説明をお願いいたします。
  79. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の地震に際しまして、米側からは地震発生直後の十五日未明にカービー米国務省報道官による記者会見において支援の申出がありました。また、米軍からの支援につきましても、同日、在日米軍司令部から統合幕僚監部に対する支援の申出等を受けまして、私より事務方に対して、米軍による支援のニーズがあるかどうか検討するよう指示をいたしました。  自衛隊としては、より効率的、また迅速な救援活動を行うためには、自衛隊の輸送力に加えまして米軍の輸送支援が必要だと判断いたしまして、輸送協力を得るべく米側と調整を実施したところ、十七日に米側から航空機による輸送支援が実施可能であるとの連絡がございました。これを受け、私から安倍総理に十七日に報告したところ、総理より、大変有り難い申出であり、速やかに具体的な輸送ニーズを調整するよう指示がありまして、事務方に更に調整を実施をさせました。  現地におきましては、当時十万人を超える避難所で生活をしておられる方、そしていまだ瓦れきの中で助けを求める方がおられましたが、道路の寸断、また大渋滞ということで、直接、水、食料、毛布、これが被災地に届いておらず、やはりヘリを含む航空輸送が一番求められており、自衛隊全力で取り組んでおりますが、このヘリによる輸送手段も有する米軍の支援を得て、避難所で不自由な生活を強いられている被災者の皆様方に一刻も早く生活支援物資を届ける必要があると判断をいたしました。米側との調整につきましても、このような状況、ニーズ等も調整をいたしまして、この今回の航空機の機種、その結果、オスプレイを含む米軍輸送機による輸送が実施をされました。  考え方は、一体どのようにして物資を運べばいいのか、防衛省といたしましても、人命救助やまた避難民の救援第一に考えておりまして、救援のためにやれることは全てやるという決意の下に被災者支援を実施をしたということでございます。
  80. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、十七日の、米軍から航空機による輸送支援が実施可能であるとの連絡があったというふうに実は十八日の参議院決算委員会で述べていらっしゃいますが、その際、航空機にオスプレイは言及されていたのでしょうか。
  81. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 十七日に総理から更に調整をという御指示をいただきまして、その後、調整をいたしました。この調整におきまして、被災地状況対応可能な航空機の能力、運用状況、具体的なニーズ等を総合的に勘案し、輸送する航空機の種類を含めた詳細が決定され、その結果、MV22オスプレイ、これを含む米軍輸送機による輸送が実施をされたわけでございます。この決定は、実施される初日の前日に私の方から記者に公表させていただきました。
  82. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この十八日、オスプレイは熊本空港から南阿蘇村の白水運動公園の約四十キロ間を飛行したというふうにされておりますが、このオスプレイの特徴と近距離の輸送について他のヘリコプターに比べ優れた点があるのか、御説明ください。
  83. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、速度も、また航続距離も、ペイロード、積載可能能力、これも、従来のCH46の後継機でありますが、非常に、倍以上の能力を有しておりますし、また、垂直離着陸ということで、道路が寸断された、また山間部の中山間などにおいて車などが入ることがないようなところで活動することも可能であるというような能力を持っております。
  84. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 オスプレイにつきましては、二〇一五年五月にハワイのオアフ島で、砂ぼこりを吸い込んで着陸に失敗し、死傷者も出す事故がありました。また、日本でも、二〇一四年十月の和歌山県串本町の防災訓練で離陸時の排気熱で火災が発生し、そして、災害派遣でこういう状況で事故が起こっては取り返しが付かないことになるのではないでしょうか。近距離輸送であれば、万が一に備えオスプレイではなく他のヘリコプターを使用するといった選択が賢明だったと思いますが、政府の見解を伺います。
  85. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊は、あらゆる装備、また人員も二万六千人体制を目指して懸命に取り組んでいるわけでございますが、現地ではいまだに水や食料、これが避難所に届いていないというような場所もございます。  やはりヘリを含む航空輸送能力が一番求められておりまして、自衛隊全力で取り組んでおりますが、この輸送力にはおのずと制約もあるために、こういった避難所の不自由な生活をされている被災者の皆様方に一刻も早く生活物資を届けるべく、十八日以降、オスプレイを被災地域の拠点までの物資の輸送、また被災地域内における物資輸送に活用したところでございます。
  86. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間の関係もありまして、辺野古埋立土砂搬出については次の機会にお伺いしたいと思います。  次に、嘉手納基地汚水問題についてお伺いいたします。  米軍嘉手納基地で一九九八年から二〇一五年まで、合計四万リットルのジェット燃料、一万三千リットルの軽油、四十八万リットルの汚水の流出事故が発生していた件について、四月十日の英字新聞ジャパン・タイムズが報じておりますが、この件についてお伺いいたします。米軍から通報があったかどうか、外務省伺います。
  87. 山田重夫

    政府参考人山田重夫君) お答え申し上げます。  米側は、平成九年の在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続に関する日米合同委員会合意に基づきまして、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合には日本政府に通報することとされております。  この手続に基づきまして、嘉手納飛行場における漏出などの事案についても過去五年間で十三件の事案につき米側から通報を受けております。これらの通報を受けた事案については、その都度米側に対して、原因究明、安全管理の徹底及び再発防止を申し入れているところでございます。
  88. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 同じことですが、防衛省はこの件について承知していらっしゃいますか。
  89. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) まず、報道の件でございますけれども、報道によりますれば、嘉手納飛行場におきまして一九九八年から二〇一五年の間に、先生御指摘のとおり、ジェット燃料、軽油及び汚水が流出されたことに関する文書が米側の情報公開制度に基づいて開示されたとされておりまして、こういう報道がなされたことについては承知をしております。  それと、流出事案の詳細についてでございますけれども、先ほど外務省から御紹介がありましたとおり、我が方が流出事案として平成二十二年度以降米側から通報されたのは十三件というふうになっておりまして、防衛省といたしましても、その都度米軍に対して、安全管理の徹底、原因究明、再発防止について申入れをしてきているところでございます。
  90. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今年一月に沖縄県の企業局は、嘉手納基地の排水が流れる中で高い濃度のPFOSが検出されたと発表されています。嘉手納基地から比謝川に流出した可能性が高いとも指摘されておりますが、比謝川は那覇市など県内七市町村が水源としておりますけれども、今新聞紙上ではこの未処理の汚水が流出して衛生上も問題になっているというふうに報道されております。  やはり米軍に起因する、川、そして土地、海の汚染等によって沖縄県民の安全な暮らし、そして基本的人権が侵害されていると私どもは受け止めておりますが、この米軍基地周辺に住む県民の安全を守るために、政府として、この基地周辺の環境調査を常に行うこと、そして基地内でどのような有害物質が扱われているか、またその管理についても監視し、環境汚染を未然に防止していく必要があると思うわけですが、その件について政府の見解をお聞かせください。
  91. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) まず、先生御指摘のPFOSの件でございます。  防衛省といたしましては、沖縄県が平成二十六年二月から翌年十一月までの間に実施されました水質調査におきまして、北谷浄水場付近の河川等から比較的高濃度の有機フッ素化合物が検出されたこと、また、沖縄県の方で記者会見におきまして嘉手納基地が発生源である可能性が高いという旨発表されたことは承知をいたしております。  これを受けまして、防衛省としては米側に対して事実関係等について累次確認を行っているところでおりまして、この中で、PFOSと呼ばれるフッ素化合物、この含有の可能性がある物質が漏出した場合の封じ込めの措置などの対策に一層万全を期すよう米側に要請をしているところでございます。  それから、米軍施設周辺における河川等での水質調査につきまして従来より地元の自治体の方で定期的に実施されているものとは承知しておりますけれども、今回のPFOSに係る事案におきましては、沖縄県から嘉手納飛行場の中の河川における水質調査に係る照会を受けておりまして、米側に対してその可否について照会をしているところでございます。
  92. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、沖縄からPCBの汚泥が福島に運ばれた問題についてお伺いいたします。  沖縄から福島へ、PCB汚泥ドラム缶が二〇一三年から二〇一四年にかけて福島県に運ばれていた問題を週刊金曜日が四月八日に報じております。この週刊誌になっておりますが、こういう福島県に運ばれた、これは恩納村の米軍恩納通信所が返還された際に汚水処理槽内から検出されたものでありますが、日米地位協定によって米軍には原状回復義務がないため、米軍はドラム缶約七百本分の引取りを拒否しています。そのドラム缶を福島に送ったということですが、沖縄の汚泥を福島に運搬したことも驚きでございますが、もう一つ驚いたことがあります。  今お手元に資料をお配りしてございますけれども、これは沖縄から福島への運搬と処理、焼却を受注した業者の落札結果の一覧ですが、照屋寛徳衆議院議員の質問主意書に対する政府の答弁を基にして作成いたしております。一件目の恩納分屯基地は予定価格と落札が同額、落札率が一〇〇%となっております。二件目の恩納通信所分も落札率が九九%以上となっています。  一般競争入札で予定価格と落札額が同額あるいは同額に限りなく近い額というのはちょっと不自然に思いますが、中谷防衛大臣、この数字をどう思われるでしょうか。
  93. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このPCBにつきまして、この恩納通信所、そして平成十四年の恩納分屯地の発見をされた上での処理でございますが、このPCBを含む汚泥を処理するに当たりまして、防衛省において会計法の規定に基づいて予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方として適正に契約が行われたものと承知をいたしております。  落札率につきましては、御指摘のとおり、この旧米軍恩納通信所では九九%、航空自衛隊恩納分屯地では一〇〇%となっておりますが、これは一般競争入札という競争性、透明性を確保した契約手続を実施した結果であると考えております。
  94. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 本日は会計検査院にも来ていただいておりますので、この数値をどう受け止められるのか、お伺いします。
  95. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に御答弁願います。
  96. 岡村肇

    説明員(岡村肇君) お答え申し上げます。  会計検査院は、防衛省が発注する役務等の契約については入札契約事務が適切に行われているかなどに着眼して検査を実施してきております。  一般論で申し上げますと、例えば見積額を基に積算されている場合などにおいては落札率が高くなるということもあり得るかとは考えられますが、いずれにいたしましても、会計検査院としては防衛省が発注する契約につきまして引き続き関心を持って検査してまいりたいと考えております。
  97. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間もありませんので簡潔に申し上げますが、今の御答弁でしたら国や自治体の財政を監督する機関としては極めて問題だと思いますので、この問題は今後引き続き取り上げていきたいと思います。  終わります。
  98. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。
  99. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 会派に属さない浜田和幸です。  今日は、フィリピンとの社会保障協定関連してフィリピン日本との関係全般について、主として岸田大臣に質問をさせていただきたいと思います。  まず、フィリピンの人で日本に在留している人が二十三万人、そのうち、今回九州の大地震熊本地方だけで千人を超えるフィリピン方々が被災されたり厳しい状況に置かれているんですね。もちろん日本人の人も大変ですけれども、外国から日本に来ている人で言葉の面ですとかいろんなハンディがある人たち、そういう人たちに対する情報の提供、どこに行けば水が手に入るのか、どこに行けば必要な生活物資が入手できるのか、その辺り、在日の外国人方々の被災された方々に対する支援の状況については今どうなっているのか、その辺りについてまず御質問させていただきたいと思います。
  100. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) お答え申し上げます。  御指摘日本語を解しない外国人への情報発信ということかと思いますけれども、政府としては、総務省、消防庁、気象庁、観光庁などが中心となって、日本語を解しない外国人を対象とする英語による地震関連情報や安全対策等についての情報発信を行っております。  また、外務省は十九日、観光庁が作成した外国人旅行者にとって被災時の初動のために有益である関連ウエブサイトですとか外国人旅行者向けのアプリの紹介を、全ての在日外交団向けに周知をしたところでございます。また、外務省の英文フェイスブックを活用してこれらの政府の情報や取組を発信をしております。
  101. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 政府は、二〇二〇年には四千万人から六千万人の外国の観光客を誘致しようということを目標として掲げているわけですから、是非地震や自然災害がいつ起こるか分からない、そういう状況下で安心して、外国の人で日本に暮らしている人、日本に観光で訪れる方々、そういう方々に対する的確な情報提供、努めていただきたいと思います。  特にフィリピンの場合ですと、アウトソーシングに関してはもうインドを抜いて世界ナンバーワンというお国柄で、経済も順調に推移している。最近、日本のいろんな出版物を見ると、今こそフィリピンの不動産に投資をしてがっぽりもうけましょうみたいな本が随分出ているんですよね。そういう状況下にありますもので、ますます日本から多くの現役の方、リタイアした方々フィリピンに移住する、向こうで仕事をする、そういうケースも増えると思うんですね。そういう観点で社会保障はとても重要だと思いますし、と同時に、双方の国民同士の信頼関係が深まるようなお膳立てを是非進めていただきたいと思います。  それと、フィリピンに若干関連するんですが、米軍が今回、今後十年の契約で、新たに五つの米軍基地の言ってみればリース契約を結びました。そのことによって中国側が相当反発を強めているんですね。フィリピンにすれば、アメリカや日本の協力を得て中国の動きをある意味で封じ込めるという狙いがあるんだと思います。  しかし、アメリカはその一方で、中国に対する厳しい姿勢を見せながら、この六月に予定されているリムパック、これは世界最大の海軍の合同演習ですけれども、そのリムパックに中国も招待するということを明らかにしているんですね。  やはり、問題があるから敵対するだけではなくて、問題を抱えている国との相互理解、そのためのお膳立てはやはり外交的にも強力に進める必要があると思うんですが、日本も、アメリカですら中国とは表と裏と両面で交渉しているわけですから、今の日本が中国とどう向き合うのか、日本にとって最大の通商貿易相手国はアメリカではなくて中国なわけですから、その中国との関係において、このリムパックに対するアメリカの動きというようなものに対して日本としてはどういうような考えで臨もうとされているのか、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  102. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、地域における法の支配に立脚した国際秩序の維持発展は重要であります。中国を始めとする関係国には、法の支配に基づく南シナ海をめぐる問題の平和的な解決、これ引き続き働きかけていきたいと考えます。  そして、中国との関係におきましては、基本的に日中関係、大変重要な二国間関係であり、これは、日本と中国の二国の間の関係が安定するということは地域の平和や安定や繁栄にも大きく影響する、日本と中国はこうした地域に対しても責任を負っている、こういった立場であると認識をしています。こうした日中関係において、まずは戦略的互恵関係に基づいて様々な対話を積み重ね、協力を積み重ね、関係を安定させていく、このことは大変重要であると考えます。  その一方で、先ほど申し上げましたような南シナ海における問題、これは我が国のみならず国際社会全体にとりまして大きな課題であります。海における法の支配、そして事態を平和的に解決する、こうした考え方は国際社会全体にとって大切な考え方であり、こうした考え方を大事にする立場から日本としてどう貢献するのか、こういったことも併せて考えていかなければならない、これが我が国の立場だと思います。
  103. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 これまでの質問の中でも、今回、日本フィリピンに対してTC90の提供を行うと。また、日本の海上自衛隊フィリピンに初の寄港をするという動きがあって、それに中国がある意味過剰な反応をしている部分もあるかと思うんですね。それは、だから、アメリカですらそうですから、やはりそういう過剰な反応を一方で引き出しながら、同時にそれを交渉のてことして中国の動きを封じ込める、そういう観点での外交努力も必要だと思います。  その観点でいくと、さきにフィリピンのアキノ大統領が日本に来られましたよね。そのときの発言の中で、中国の習近平国家主席をドイツのナチスと、何というか、対比するというか、なぞらえるような発言をされたということが中国側ではかなり大きな、言ってみれば中国とフィリピン関係を疎遠にさせる、ASEAN各国との首脳会談においても、習近平国家主席はフィリピンのアキノ大統領だけとは会わないということを露骨に示しているわけですよね。  ですから、そういう意味で、日本の外交のスタンスとすれば、ASEANも味方に付け、アメリカの動きともある意味で連動しながら中国との複合的な関係を築いていくということが必要だと思うんですけれども、今ちょうど、五月九日、来月、フィリピンの大統領選挙ですよね。今のアキノ大統領はこれで任期が終わるわけなんですけれども、今大統領候補として名のりを上げている方々、いずれも今回の大統領選挙では中国との関係をどう取り結ぶのか、外交案件が一番大きなフィリピンの大統領選挙のテーマになっているようなんですね。  そういう意味で、岸田外務大臣にお伺いしたいんですけれども、そういうフィリピンを始めアジアの国々の動き、それをどう日本が、中国との建設的な外交関係に結び付けていくためにはもう少し日本独自の外交というものがアジア、中国に対して必要だと思うんですけれども、その辺りについての大臣のお考えをお聞かせください。
  104. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、フィリピンを始めASEAN諸国など地域関係国との関係を安定させていく、これは大変重要なことであります。そして、その取組としまして、我が国としましては、ASEAN関連閣僚会議ですとかEASですとか様々な地域の対話の枠組み、こうしたものを活用しながら、こうした地域の平和や安定や繁栄について考え取り組んできている、こうしたことであります。  引き続き、こうした取組を通じながら、我が国としまして地域の平和や安定や繁栄を考えていかなければならないと思いますが、その中にありまして、やはり国際法を始めとする法の支配の重要性、そして様々な課題を平和的に解決することの大切さ、こういったことについては各国と考え方を共有できるのではないかと思います。  是非中国もこうした議論や枠組みに対して建設的な取組、態度を取るように日本としてもしっかり働きかけていく、そうしたことによって結果として地域の平和や安定や繁栄を維持していく、こうした結果につなげていきたい、このように考えます。
  105. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今フィリピンは、中国を国際司法裁判所に訴えています。これは南シナ海の領有権をめぐってですね。なかなか、法の支配ということを主張する国際社会に対して中国が残念ながら前向きの対応をしていないという側面もありますので、是非、国際社会とともに、法の支配の下で中国が国際社会の一員として行動できるような、そういう外交的な言ってみれば働きかけを強めていただきたいと思います。  それで、五月九日の大統領選挙に絡んで今フィリピンで大問題になっているのが、フィリピンの選挙管理委員会が所有している五千五百万人の有権者の個人データが流出しているという問題ですね。これは史上最悪のサイバー犯罪、アノニマス・フィリピンが犯行声明を出していますけれども、もしこういうことがしっかりコントロールされていなければ、社会保障年金に関するせっかくの日本人の言ってみれば納めた金額というものが悪用されるというか、きちんと処理されない可能性もあると思うんですが、今回のこの最大のフィリピンにおけるサイバー犯罪問題について、日本としてどのような受け止め方をされているのか、また、今後協力してこういう問題の穴を防ぐという形でフィリピンとの協力の可能性があるのかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。
  106. 山田美樹

    大臣政務官山田美樹君) お答え申し上げます。  フィリピンの選挙管理委員会のウエブサイトに対して不正侵入事案が発生したということ、それから、その選挙管理委員会報道官が今次事案が選挙結果に影響を及ぼすおそれはないと述べているとの現地報道は承知をしております。  来月の大統領選挙は、地域の重要な戦略的パートナーであるフィリピンの新たなリーダーを選出するものであり、我が国として同選挙の帰趨を注目しているところでございます。  来る選挙が公正に実施されることを希望しておりますけれども、御指摘の事案の選挙への影響など、他国の選挙に係る個別事項について見解を述べることは差し控えさせていただければと思います。
  107. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 とはいいながら、日本にとって大事な国でありますし、今の大統領選挙では、かつてのフェルディナンド・マルコス大統領の御子息も副大統領候補として立候補されていますし、独立系のポー上院議員は今回の流出問題に対して、しっかりとした封じ込めが必要だと、さもなければ国際的な信用が得られないということですよね。  バングラデシュの銀行に対するニューヨークのFEDから十億ドルをめぐる不正送金というものもフィリピンを舞台にして展開されている。これは、さきのパナマの文書の問題と似たようなケースがありますので、日本企業日本の個人も、そういうところも言ってみれば被害を受ける可能性も十分あり得るわけですから、そういった意味で、是非フィリピンの大統領選挙、国政選挙だからといって日本が全然関心を寄せなくてもいいということにならないと思うんですね。  これまで日本政府は、世界中の様々な国の選挙の監視団という形で民主的な選挙が行われるように協力をしてきているわけですから、是非フィリピンに対しても、せっかくこういう社会保障協定もできるわけですし、今後ますます関係を緊密にする必要があると思いますので、是非そういう観点から、日本が協力できる、そういう分野を拡大していきたいということを御要望、お願いをして、私の質問は終わりたいと思います。  以上です。
  108. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  社会保障に関する日本国フィリピン共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会