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2016-03-23 第190回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月二十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     古賀友一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 正久君     理 事                 塚田 一郎君                 三木  亨君                 榛葉賀津也君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 片山さつき君                 中曽根弘文君                 中原 八一君                 堀井  巌君                 大野 元裕君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 井上 哲士君                 小野 次郎君                 浜田 和幸君               アントニオ猪木君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    武藤 容治君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       芹澤  清君        内閣大臣官房        審議官      緒方 俊則君        外務大臣官房長  山崎 和之君        外務大臣官房外        務報道官     川村 泰久君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        外務大臣官房審        議官       垂  秀夫君        外務大臣官房審        議官       豊田 欣吾君        外務省北米局長  森  健良君        防衛大臣官房審        議官       西田 安範君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省整備計画        局長       真部  朗君        防衛省人事教育        局長       深山 延暁君        防衛省統合幕僚        監部総括官    高橋 憲一君        防衛装備庁装備        政策部長     堀地  徹君        防衛装備庁プロ        ジェクト管理部        長        田中  聡君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十八年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十八年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国  際協力機構有償資金協力部門)     ─────────────
  2. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、高橋克法君が委員を辞任され、その補欠として古賀友一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官芹澤清君外十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 去る十六日、予算委員会から、三月二十三日の一日間、平成二十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  審査委嘱されました予算について、順次政府から説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 平成二十八年度外務省所管予算案について概要説明いたします。  平成二十八年度一般会計予算案において、外務省は七千百四十億千百四十七万円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、約四・二%の増額となっております。  このうち外務省所管ODA予算は、対前年度比約二・四%の増額の四千三百四十一億八千六百八十四万九千円となっており、六年連続増額となっております。  平成二十八年度予算案作成に当たっては、国際協調主義に基づく積極的平和主義を具体的に実践する外交を引き続き展開していくとの考えの下、G7伊勢志摩サミット開催等を見据え、以下申し上げる四本の柱を掲げ、めり張りを付けた上で必要な予算を計上いたしました。  第一の柱は、在外邦人安全対策強化及び情報収集機能強化です。シリアにおける邦人殺害テロ事件等を踏まえ、日本人学校安全対策支援拡充等在外邦人安全対策強化のための施策を強力に推進していきます。  第二の柱は、戦略的対外発信です。今年度に引き続き、日本の正しい姿の発信日本の多様な魅力の更なる発信親日派知日派育成在外公館による発信強化等のための必要経費を計上しております。  第三の柱は、積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献です。平和構築女性、軍縮・不拡散、開発環境気候変動といったグローバルな課題に積極的に取り組みます。  第四の柱は、経済外交地方創生です。経済連携の更なる推進を始めとして、地方を含む日本経済の再生と発展、日本に有利な国際経済環境の創出に資する取組強化します。  また、これらの諸課題を実現するため、外交実施体制の抜本的な強化ODAの飛躍的な拡充に取り組みます。外交実施体制については、欧米主要先進国並み体制の実現を目指し、在外公館公館新設定員九十名の純増を含めた必要経費を計上しております。  ODAについては、開発協力大綱の下で、国益に資する開発協力を一層戦略的に実施していきます。  以上が、平成二十八年度外務省所管予算案概要でございます。  佐藤委員長を始め、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、委員長におかれましては、お手元に配付しております印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
  7. 佐藤正久

  8. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平成二十八年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成二十八年度予算においては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、国民の生命、財産及び我が国の領土、領海、領空を守る態勢強化するため、平成二十六年度以降に係る防衛計画大綱及び中期防衛力整備計画に基づく防衛力整備の三年度目といたしまして、統合機動防衛力構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施することとしております。  具体的には、各種事態における実効的な抑止及び対処並びアジア太平洋地域安定化及びグローバルな安全保障環境改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能の更なる充実に留意をしつつ、必要な事業を計上することができたと認識しております。特に、警戒監視能力情報機能輸送能力及び指揮統制情報通信能力向上を重視するほか、島嶼部に対する攻撃への対応弾道ミサイル攻撃への対応ゲリラ特殊部隊による攻撃への対応宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視したものとなっております。  平成二十八年度の防衛関係費一般会計歳出予算額は五兆五百四十一億四千九百万円となり、前年度の当初予算額に比べ七百四十億九百万円の増となっております。  継続費総額は、平成二十八年度護衛艦建造費で八百五十九億八千八百万円、平成二十八年度潜水艦建造費で六百八十八億五千万円となっております。また、国庫債務負担行為限度額は、武器購入航空機購入弾薬購入武器車両等整備提供施設移設整備等で二兆一千九百六十一億八千九百万円となっております。  また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費平成二十八年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計歳出予算額百十四億六千二百万円を計上しております。  次に、平成二十八年度防衛省関係予算において、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。  第一に、周辺海空域における安全確保です。  広域において常続監視を行い、各種兆候早期に察知するため、周辺海空域情報収集警戒監視態勢強化いたします。  第二に、島嶼部に対する攻撃への対応です。  島嶼部に対する攻撃対応するため、常続監視体制整備、航空優勢の獲得維持、海上優勢の獲得維持輸送能力水陸両用機能を始めとする迅速な展開・対処能力向上指揮統制情報通信体制整備実施をいたします。  第三に、弾道ミサイル攻撃への対応です。  弾道ミサイル攻撃に対し、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制強化するとともに、ゲリラ特殊部隊による攻撃対応する態勢整備いたします。  第四に、宇宙空間における対応です。  各種人工衛星を活用した情報収集能力指揮統制情報通信能力強化するほか、宇宙空間安定的利用確保のための取組実施をいたします。  第五に、サイバー空間における対応です。  サイバー攻撃に対する十分なサイバーセキュリティーを常時確保できるよう、情報収集機能調査分析機能強化等、所要の態勢整備を行うとともに、同盟国との連携等により、サイバーセキュリティーに係る最新のリスクや技術動向の把握に努めてまいります。  第六に、大規模災害等への対応です。  各種災害に際して、十分な規模部隊を迅速に輸送、展開するとともに、統合運用を基本としつつ、要員ローテーション態勢整備することで、長期間にわたり、持続可能な対処態勢構築をいたします。  第七に、情報機能強化です。  各種事態等兆候早期に察知し迅速に対応するとともに、我が国周辺におけるものを始めとする中長期的な軍事動向等を踏まえた各種対応を行うため、情報収集処理体制及び収集した情報分析共有体制強化をいたします。  第八に、アジア太平洋地域安定化及びグローバルな安全保障環境改善です。  アジア太平洋地域安定化に向け、二国間、多国間の協力関係強化し、訓練、演習等各種活動を適時適切に実施するとともに、グローバルな安全保障上の課題等に適切に対応するため、国際平和協力活動等をより積極的に実施をいたします。  これをもちまして、平成二十八年度の防衛省関係予算概要説明を終わります。
  9. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 以上で説明の聴取は終わりました。  この際、お諮りいたします。  外務省及び防衛省関係予算大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 堀井巌

    堀井巌君 自由民主党堀井巌でございます。  参議院のこの外交防衛委員会で初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、通告しておりませんが、外務大臣にお伺いしたいと思います。  昨日、日本時間の午後、ベルギーブリュッセル連続テロが発生いたしました。報道によりますと三十人超の方が亡くなられたということで、大変懸念をしております。邦人の安否も大変心配をいたします。現在把握されている状況、そして邦人状況等について教えていただければと存じます。
  12. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 二十二日ですが、ベルギー首都ブリュッセルブリュッセル国際空港そして地下鉄マルベーク駅におきまして爆弾テロ事件が発生をいたしました。多くの犠牲者が発生しており、強い衝撃と憤りを感じております。まずは、亡くなられた方々、そして御遺族に心から哀悼の意を表し申し上げます。そして、現時点で邦人については一名の重傷、一名の軽傷が確認されています。負傷された方々の一日も早い回復をお祈りしたいと思います。  いずれにしましても、こうした卑劣なテロ、これは許されるものではなく、断固非難をいたします。G7議長国として、テロ暴力的過激主義対策強化のために積極的に取り組むとともに、海外邦人安全確保、万全を期していきたいと考えております。
  13. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  本当にこういう卑劣なテロは絶対に許されるものではありません。国際社会とともに一致結束してこういったテロに対して力強く対応いただきたい、そして今後も邦人安全確保に意を尽くしていただきたいと、このように要望を申し上げます。  それでは、通告に従いまして、今日は予算案委嘱審査ということで、まず外務省の方に質問をさせていただきます。  まず、岸田大臣におかれては、国会対応そしてまた公務御多忙の中、また先週末にはヨーロッパに出張をされたというふうに伺っております。本当に激務をこなしておられる、本当に心から敬意を表しております。  そういった中で、この地球儀俯瞰外交、司令塔として活躍される中で、私は非常に大きな成果も、これは国民が感じる成果も出てきているように思います。例えば、昨年の十二月の日韓合意がその最たる一つの例ではないかというふうに思っているところでございます。  これまでの三年余にわたる外交成果、そしてそれを踏まえて、今回の平成二十八年度の予算案についてどのような特徴があるか、お聞かせいただければと存じます。
  14. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、私は外務大臣に就任しましてから、外交の三本柱として、一つ日米同盟強化、そして二つ目として近隣諸国との関係推進、そして三つ目として我が国経済の成長を後押しする経済外交推進、この三つを掲げてきました。そして、それと併せて、グローバルな課題にも積極的に取り組むことが日本存在感を高める、こういったことを申し上げながらこの責務を果たしてまいりました。結果としまして、日米同盟、昨年の総理訪米ですとかあるいは新ガイドラインの作成等を通じまして、かつてないほど盤石であると感じています。  一方、近隣諸国との関係においては、様々なケースがありますが、その中にありましても、日中韓サミット開催ですとか、それから初めての日韓首脳会談開催ですとか、そして年末の慰安婦問題に関する合意ですとか、こうした進展はあったと感じています。  そして、経済外交につきましては、TPPの署名もありました。様々なトップセールスも行われている成果は上がっていると感じております。  グローバルな課題についても、開発気候変動、人権、女性など様々な課題について取り組んでまいりましたが、本年一月から五年ぶり国連安保理常任理事国に就任したということも、我が国のグローバルな課題に対する取組の国際的な評価一つの表れではないか、このように受け止めています。  そして、今御審議をお願いしている予算についてどうかという御質問の部分ですが、今申し上げましたような成果を土台として積極的に外交を展開していきたいと存じます。そのための予算としまして、外務省予算総額七千百四十億円計上させていただきました。十一年ぶりに七千億円台の要求でありますし、ODA予算についても六年連続増額要求となっております。  重点項目四つを掲げてこの予算作成しておりますが、こうした四つ重点項目を中心とした予算と併せて、外交実施体制についても、五つ在外公館新設実施するとともに、定員の増員、そして省員の質を高めるための研修強化予算についての増額を計上させていただいております。  今年はG7サミット議長国を始め、日本外交にとりまして重要な、そして責任の大きな、そしてチャンスの大きな一年であると思います。是非、御審議いただいている予算、御了解いただきましたならば、しっかり活用させていただきたいと考えます。
  15. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  聞くところによりますと、岸田大臣は、就任以来、もう既に外国訪問四十数回、地球を二十周以上回っておられるというふうに伺いました。本当に頭が下がる思いでございます。今年は、今御指摘がありました特に節目の年、サミット等、大変大事な外交日程が続くだけに、この予算が更にその効用が発揮されることを心から望んでおります。  さて、それに関連しまして、外交力強化ということについて三点ほど外務省の方にお伺いをしたいと思います。  まず一点目は、国際機関との関わりの強化ということでございます。  先般、国連女子差別撤廃委員会から出ました慰安婦問題に関する見解や、また同委員会皇室典範の改正を勧告しようとしたことに対しまして、政府として抗議をするというような事態が生じました。このような事態が生じないように、我が国外交力強化する、国際機関に対する人的、また資金的な関与を継続して高めていくということがやはり重要ではないかというふうに考えております。  例えば、国際機関への任意拠出金について調べましたら、平成十三年度の七百四億円をピークに、今年の厳しい財政事情を反映して、いろいろ御尽力いただいたと思いますが、今度の予算案では二百八十四億円ということで、なかなか苦労もされているんじゃないかというふうに思います。  こういった人的、資金的な関与を更に進めていく必要があることについてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  16. 武藤容治

    ○副大臣武藤容治君) この件に関しては私の方から答弁をさせていただきます。  御指摘のとおり、先般の女子差別撤廃委員会最終見解に関しては、日本政府から発出に先立ち、皇室典範への言及の削除の申入れや、慰安婦問題の書きぶりについて遺憾の意を申し入れました。  我が国といたしましては、国際社会に対し影響力を有する国際機関に対し、我が国の立場について理解が得られるよう引き続き積極的に発信するとともに、御指摘のとおり、我が国外交力を一層高めていくために人的、資金的な面で必要な関与を積極的に行っていくべきだと考えております。  このような観点から、国際機関における邦人職員を増強すべく、二〇二五年までに日本人職員数を現在の約八百人から千人とする目標を達成するため、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、いわゆるJPO派遣制度による若手日本人職員の送り込み、広報活動応募支援を通じた潜在的候補者の発掘や育成などに取り組んでおります。  また、国際機関への拠出に際しましても、平成二十八年度予算案においては、我が国重要外交課題遂行上の有用性我が国実施事業との相互補完性、また国際機関等意思決定における我が国のプレゼンスといった基準に基づき、定量的、多面的な評価実施し、その評価結果に基づいためり張りを付けた予算要求を行っているところであります。  今後もこうした取組を通じ、国際機関における外交力強化を図っていきたいと思っております。
  17. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  是非とも、国際機関への人の派遣、そして資金的な関与、これはやっぱり国民方々のより一層の理解を得ていくことも大変重要だと、そして若い人たち国際機関を目指そうというような、そういう機運をもっともっと盛り上げていくことも必要だと思います。これは、政府のみならず、我々に課せられた課題でもあるというふうに私も存じております。微力ながら自分自身努力をしたいと思っております。  次に、二つ目に、外交実施体制強化ということについてお伺いをいたします。  先ほど、外務大臣の方から、今度の予算案では五つ在外公館新設する、また外務省定員について九十人純増するというようなお話がありました。大変すばらしい方向だというふうに思っております。しかしながら、まだまだ主要先進国と比べますと我が国外務省定員、そして在外公館体制というのは及ばないのが実情ではないか、欧米主要先進国あるいは隣国の中国等と比べてもまだまだ及んでいないのではないかというふうに思います。  自由民主党では、外務省定員について、二〇二〇年までにイギリス並みの六千五百人体制とすべきというふうな決議も行っているところでございます。  外交力強化外交というのは、一番の武器は、唯一の武器と言ってもいいかもしれません、やっぱり人だというふうに思います。人がいて、公館があって、そして相手国と様々なやり取りをして初めてそこに外交力が出てくるというふうに思います。もちろん、様々な国内的ないろんな厳しい状況もあろうとは思いますけれども、山積する外交課題にしっかりと取り組むためにも、私は、この外務省定員、しっかりと大幅に増員していくことが極めて重要だ、不可欠だと考えますが、いかにこのような方向定員増強等図っていかれるか、お伺いしたいと存じます。
  18. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外交力強化については、ただいま委員から御指摘がありました、自民党からいただいた決議が存在いたします。また、昨年十一月に外務人事審議会からも同様の趣旨の提言をいただいております。  人が重要だということ、そのとおりだと思います。そういった考え方を踏まえて、平成二十八年度定員要求においては、安全対策情報収集機能強化グローバル課題への対応強化、あるいは経済外交推進、こういった課題対応するため、人的体制強化としては九十名の定員増を認めていただきました。そして、来年度予算が成立すれば、平成二十八年度の外務省定員数五千九百六十六名となる予定であります。  厳しさを増す安全保障環境、あるいは多様化する外交課題、こうしたものに対処するためには、先ほど委員からも御指摘ありました国際機関への関与、さらには外交実施体制拡充、極めて重要だと認識をしております。人的体制整備外交要員競争力向上も含めまして、総合的な外交力強化、しっかりとこれからも取り組んでいきたいと考えています。
  19. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  これ私の理解で、今、国、地方を合わせて、皆さんの努力によって公務員の定員、数自体はどんどん減ってきている、全体としては減ってきている状況だというふうに認識しています。その中で、限られたこの定員、どこに振り向けるか、やはり今喫緊の課題でありますこの外交強化につなげるべきだろうと私は思っております。  また、昨日、榛葉委員の方からも防衛駐在官の配置についての御質問もございました。そういったことをしっかりと解決していこう、前に進めていこうとすれば、この外交実施体制の大幅な強化、不可欠であるというふうに思いまして、一層の御尽力を期待を申し上げます。  次、三点目に、既存の在外公館機能強化についてお伺いをいたしたいと思います。  一人職員海外派遣すると、いろんな費用を入れればやっぱり数千万円のコストが掛かると言われます。これは、民間の海外派遣される方も、いろんな機関派遣される方も多分トータルとしてそのぐらい掛かるんじゃないかと思いますけれども、だからこそ、そういったそれぞれの人たちが現地に行ったならば思う存分に活躍してもらいたいと、このように思うわけでありますけれども。  私が例えばアメリカ等に出張させていただいたときに聞いたら、とある在外公館で住居の値段が高騰してなかなか在外公館の近くに住めないというような事態も生じていると。でも、例えば総領事館の一番の業務は在留邦人の保護ですから、何かあったときの危機管理対応のためにもやっぱり近くに住むということが必須の条件だろうと思いますし、そういった問題は東南アジアの諸国等でも、同じように家賃が高騰して、そういう体制で苦労されているという話も聞きました。  また、どうしても日本の場合、恐らく外務省の方は苦労しながら予算作っておられると思いますけれども、どうしても、人を配置することは決めても、今度そこで、一人の方の旅費が十分でなければ、たくさんの国を兼轄している場合に、なかなか現地で兼轄している地域にあるいは国に出張したりすることが困難になる。本当は、領事出張サービスも一回ではなくて年に二回の方が皆さんに喜ばれるでしょうし、広報文化活動も一回よりも二回、二回よりも三回の方が必ず外交力の私は強化に役立つんだと思います。  まさしくこれは在外公館にとってのいわゆる兵たんだと思うんですけれども、住居手当については今日成立しました外務公務員の給与に関する法律一部改正によって少し改定はされたと思いますけれども、こういった在外公館のいわゆる兵たんの部分、しっかりと目を向けながら既存の公館機能強化に努めていくことが大事だと私は思っておりますが、御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  20. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、在外公館の数を増やすという量的な視点と併せて、在外公館の機能を強化するという質的な視点、重要であると認識をいたします。質の点からもそして量の点からも、両方から充実を考えていかなければならないと考えます。  そして、御指摘の住居の話ですが、在外公館職員の住居というのは、単に職員の住居という側面のみならず、緊急時に事務所に迅速に駆け付けられる、また任国政府関係者等を招き、人脈形成、情報収集を行う、こうした外交活動のインフラの一部であるということが求められると考えます。  こういった観点から、この住居環境を整えていくことが重要だと思いますし、さらには、御指摘の出張の在り方、また在外公館の警備ですとか、それから建物の維持管理、こういったことも含めまして、是非在外公館機能強化、しっかりと目を配っていきたいと考えます。
  21. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  まさに、昨日のこの場での法律案の質疑のときでも私も強く感じましたが、やっぱりこういった手当てというのは、まさしく今大臣指摘のとおり、危機管理をいかにどうしていくかという、そういうところに直結しているんだというふうに思います。  今後とも、こういった在外公館の質の向上、同じ派遣をされるんであれば、是非それぞれの外交官の方がそこで思う存分にその能力を発揮できるように御配慮いただければというふうに思います。  次に、防衛省の方にお伺いをしたいと存じます。  今、厳しい安全保障環境の下で着実に防衛力整備していくこと、これはもう必要不可欠だというふうに思っておりますけれども、平成二十八年度予算案におけるこの防衛力整備の特徴について教えていただければと存じます。
  22. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 平成二十八年度予算案におきますところの防衛力整備の特徴について申し上げますと、防衛大綱それから中期防に基づく防衛力整備の三年目といたしまして、周辺海空域における安全確保、あるいは島嶼部に対する攻撃への対応などを重視することといたしておるところでございます。  具体的に申しますと、周辺海空域安全確保のためといたしましては、哨戒ヘリコプターのSH60K十七機、それから、新早期警戒機E2D、イージスシステムの搭載護衛艦の建造、こういったものに必要な経費を計上いたしております。  また、島嶼部に対する攻撃への対応といたしましては、迅速な展開・対処能力などを向上させるためにV22オスプレイを取得するとともに、航空優勢獲得維持のために戦闘機のF35A、新空中給油・輸送機KC46A、こういったものの取得に必要な経費を計上させていただいておるところでございます。
  23. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  少し個別の観点で質問させていただきます。  まず、北朝鮮が、今月に入りましても毎週のようにロケット、ミサイル、飛翔体を発射をしております。この北朝鮮の核開発、ミサイル開発、大変我が国安全保障、そして国際社会全体にとっても重大な懸念であるというふうに考えております。  こういった北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を踏まえますと、我が国の弾道ミサイル防衛、これは極めて重要であるというふうに考えております。先ほど、大臣予算案の御説明の中でも重点事項として弾道ミサイル攻撃への対応ということが述べておられまして、意を強くしたところでございますが、この辺の弾道ミサイル防衛についての取組状況についてお伺いしたいと存じます。
  24. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  北朝鮮、先生御指摘のとおり、本年一月に四回目となる核実験を実施いたしましたほか、二月以降も弾道ミサイルの発射を繰り返す等々、核開発、そして弾道ミサイル開発、これを進展をさせていると、このように認識をしております。この北朝鮮の弾道ミサイル能力の増強でございますが、核兵器開発の進展と併せ考えますと、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であると、このように認識をしてございます。  このような脅威に対しまして、我が国はこれまで、弾道ミサイル防衛システム、これを着実に整備をしてまいっております。具体的には、一つは、海上自衛隊のSM3ミサイル搭載のイージス艦四隻によりまして、上層、これは高度でいいますと百キロ以上でありますけれども、この上層での迎撃を行う。あわせまして、航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層、これは高度でいいますと十数キロということになりますが、ここでの迎撃。この二つを組み合わせた多層防衛によりまして我が国全域を防護すると、こういう体制を取っているわけでございます。  さらに、防衛大綱におきましては、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえまして、弾道ミサイル防衛システムについて、我が国全域を防護し得る能力を更に強化をすると、こういう観点で、即応態勢、同時対処能力、そして継続的に対処できる能力、こうしたものを強化をすることといたしてございます。  具体的に申しますと、中期防の中では、保有するイージス艦の能力を向上させる、そして増勢、隻数を増やす、あるいはSM3ブロックⅡAという新しいミサイルを開発をする、それからPAC3につきましても、MSEミサイルという、これも能力向上型を導入する、そして、固定式の警戒管制レーダーにつきましてもFPS7というものを整備向上していくと、こういった取組によりまして能力の強化を図っているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き、防衛大綱、中期防に基づきまして種々の取組を行いつつ、弾道ミサイルの脅威から国民の生命、財産を守るべく万全を期してまいりたいと、このように考えてございます。
  25. 堀井巌

    堀井巌君 取組について、もう是非とも心より期待を申し上げたいと思います。  次に、平和安全法制についてお伺いをいたします。  昨日の閣議において、今月二十九日からこの法制を施行する旨の閣議決定がなされたというふうに承知をいたしております。改めて、新たな法制度の下で我が国の平和と安全をしっかりと守っていくんだということについて、防衛大臣の御決意をお伺いしたいと存じます。
  26. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしましては、まずもって、外交をもって平和を守る、そのためには今後とも積極的な平和外交を展開していくという方針に変わりはございません。その上で、万が一の場合に備えて、今後ともいかなる場合においても国民の命と平和な暮らしを断固守り抜いていくことができるように万全を期してまいります。  平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、戦争を未然に防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なものでございます。昨日、関係政令等、この平和安全法制の施行に伴い措置すべき事項について閣議決定を行い、三月二十九日から平和安全法制が施行されることとなりますが、この施行によりまして、法制に基づく様々な新たな任務を実行し得る基本的な体制整備されることとなると考えております。  防衛省といたしましては、隊員の安全を確保しつつ、適切に新たな任務を遂行することができるように必要な教育訓練を重ねるなど任務遂行のための能力を不断に高めることによりまして、引き続き準備に万全を期してまいりたいと考えております。また、この内容、必要性につきまして国民の皆様方から一層理解が得られますように、引き続き丁寧に分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。
  27. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  拙い経験ですが、私も法案が成立した後に、アメリカ、中国、それから台湾、オーストラリアといった国や地域の方々とこの平和安全法制について、特に向こうの議員の方々と話をする機会がございました。一言も、これは日本が戦争するための法律であるというふうな懸念が示された例はございませんでした。我が国が平和と安全をしっかりと守っていこう、更に連携を深めていこうということについての歓迎の言葉をいただいたことが、この間強く印象に残ったことを御報告を申し上げます。  次に、防衛交流、防衛協力について伺います。  一昨日、私も出席をさせていただきましたが、防衛大学校の卒業式においても、安倍総理が訓示の中で、ちょうどたくさん留学生の方が防衛大学校を卒業された、その方々に向けてということもあったと思いますが、防衛協力防衛交流の重要性について言及をされました。やはりこのアジア太平洋地域の安定をそして繁栄を確保していくためにも、特にシーレーンの要衝を占める地域に位置する東南アジア諸国との防衛協力防衛交流の強化というのが私は重要ではないかと思いますが、どのように取り進めていかれるお考えかをお伺いしたいと思います。
  28. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  東南アジア諸国でございますが、近年は安定した経済成長を見せておりまして、世界の成長センターとして今後の発展が見込まれている地域であると、このように考えております。  また、東南アジア諸国、主要な国際海峡を擁するなど戦略的な意味でも重要な地域に位置をしておりまして、安全保障面においても地域の平和と安定にとって重要な役割を果たす存在と認識をしてございます。また、先生今御指摘になりましたが、資源エネルギーの多くを海上輸送に依存する我が国にとりまして、シーレーンの安全確保、これはもとより重要な関心事項でございます。その要衝を占めます東南アジア諸国、これらとの防衛協力、交流の強化というのは、これはその意味でも重要な課題であると認識をしております。  防衛省としては、こうした考え方に基づきまして、東南アジア諸国との間で、まず防衛大臣の会談といったハイレベルの交流、それから事務方でありますが防衛当局間の協議、こうしたことを行うとともに、能力構築支援、キャパシティービルディング、それから共同訓練あるいは防衛装備・技術協力、こうした実質的な協力推進をいたしてきております。また、これらの二国間協力に加えまして、ADMMプラス、これは拡大のASEAN国防大臣会議でありますけれども、こうしたものやARFといった多国間の枠組みでの協力、これらも強化をしてきてございます。  今後とも、こうした二国間、多国間の協力を積極的に推進をいたしまして、アジア太平洋地域安全保障環境安定化させる観点から東南アジア諸国との防衛協力、交流の強化を図っていきたいと、このように考えてございます。
  29. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  次に、私の地元の話を少し申し上げさせていただきたいと思います。  私は奈良県の出身でございますが、奈良県は陸上自衛隊の駐屯地が全国で唯一ない県でございます。唯一ないのが奈良県でございます。ところが、平成二十三年、東日本大震災の年でありましたが、この九月に紀伊半島大水害が起きました。皆様も映像で覚えておられると思いますが、たくさんの土砂ダムができて、山の深層崩壊等も起きまして本当に多くの人命が失われたんですが、そのときに自衛隊の方々災害派遣活動、本当に多くの命を助けていただきました。もちろん、その前からずっと我々切望してきたわけですけれども、改めてこの自衛隊の存在の重要性について再認識をいたしました。  そしてまた、拠点ができれば部隊運用にも資するのではないかと、このようにも考えて、今地域の方々、そして、これは紀伊半島の交通の要衝、古来からの交通の要衝であります五條市というところで今誘致活動を続けておりますけれども、地域の方々、そして五條市、奈良県、多くの関係方々が今一体となって陸上自衛隊の誘致活動を実施をしているところでございます。  今、この辺は防衛省の方にも何度も要望活動、行かせていただいておりますけれども、現在の検討状況について、まずお伺いできればと存じます。
  30. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 現在の検討状況について申し上げます。  平成二十五年六月以降、奈良県知事から、災害などへの迅速な対応のためということで陸上自衛隊の駐屯地の誘致、それからヘリポートの設置につきまして直接御要請をいただいてきておるところでございます。ただ、防衛省といたしましては、率直に申しますと、駐屯地を新設するといったことにつきましては、直ちにお答えすることは困難であるというふうに今現在考えているところでございます。  ただ、他方におきまして、また防衛省におきましては、大規模災害等に際しまして十分な規模部隊を迅速に輸送、展開いたしまして初動対応に万全を期すことが必要だと思っておりまして、平成二十六年度から、奈良県それから五條市と自衛隊の展開基盤としてのヘリポートの確保のための調整を実施させていただいているところでございます。  平成二十七年度の予算では、奈良県が広域防災拠点として選定いたしました候補地につきまして自衛隊の大型ヘリが離着陸可能なヘリポートの設置に関する調査などを実施しておりますし、平成二十八年度の予算案におきましては、二十七年度に引き続き、奈良県が行いますところの広域防災拠点の基本構想業務の資とするため、自衛隊ヘリの運用を踏まえたヘリポート配置案の作成などを行うための予算を計上しておるところでございます。  引き続き、防衛省といたしましては、奈良県における自衛隊の展開基盤としてのヘリポートの確保に向けまして、奈良県、五條市と連携して検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  31. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  是非大臣、この自衛隊の存在というのは県民にとっても本当に大きな災害の際の安心、安全につながります。また、自衛隊に対する理解の更なる増進にもつながります。また、ヘリポートという話ですけれども、うまく運用の仕方によっては今後の主たる任務のいろんな部隊運用にも様々なプラスの側面が、拠点ができるということはプラスの側面が出てくるんじゃないかというふうに期待をしておりまして、是非とも大臣、前向きな、拠点を確保するぞ、奈良県にしっかりとこの拠点をつくるんだということについての大臣の前向きな御決意をお聞かせいただければと存じます。
  32. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先日も、荒井知事さんが防衛省へ来られまして御要望をいただきました。奈良県また五條市において、自衛隊の活動も念頭に置いて広域防災の拠点の整備について検討を主導していただいていることにつきまして感謝をいたしたいと思います。  非常に紀伊半島は台風が直撃をしたり、また南海トラフ巨大地震が予想されておられまして、こういった点におきまして、大規模災害が発生した際に自衛隊が奈良県の広域防災拠点を有効に利活用できるよう、現在奈良県が行っておられます広域防災拠点整備に関する調査検討、これに積極的に協力をさせていただきたいと。  今後とも、奈良県また五條市と緊密に連携をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  33. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  まず冒頭、昨日のベルギーにおきます連続テロを受けまして、いかなる形のテロをも断固として容認することはできない、また被害に遭われました皆様に対し、心よりのお見舞いを申し上げたいと思っております。  その上で、本日は、予算委嘱ということで、外交そして防衛に関する予算について議論をさせていただきたいと思っています。  まず、外務大臣にお伺いいたします。国連あるいは国際機関に対する分担金、拠出金に関する当初予算と補正予算の在り方について少し議論させていただきたいんですが、財政法の第二十九条によれば、国は、国の義務に関する経費不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費等に関するものに限り補正予算作成を認めています。それにもかかわらず、見てみますと、非常に多くの国際機関等への拠出金や分担金が本予算ではなくて補正予算から拠出されているんです。この理由はどういった状況でしょうか。また、大臣、このような状況は適切とお考えでしょうか。
  34. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、補正予算につきましては、財政法上、ただいま委員から御紹介がありましたような規定になっております。  その上で、国際機関拠出金あるいは分担金についての取扱いですが、まずは、国際機関によりまして会計年度の始まりの月ですとか会計年度の長さは我が国政府の会計年度とは異なるケースもあります。そして、何よりもこれ、当初予見できなかった事態というのは国際社会の中で次々と発生しております。  そして、その中での国際機関に対する分担金、拠出金への対応ですが、我が国の当初予算編成時で判明しているもの、あるいは高い確度で予測することが可能なもの、これにつきましては当初予算要求をしております。要は、例年でいきますと、八月の概算要求、さらには十二月に政府原案を確定するわけですが、その間、判明しているもの、あるいは高い確度で予測することが可能なもの、これにつきましては当初予算に取り込む形で計上させていただいております。そして、そういった形で取り込むことができなかったもので翌年の当初予算を待たずに迅速に対応することが必要なもの、分担金、拠出金につきまして補正予算で計上するという取組を行っております。  こういった整理で当初予算、補正予算において国際機関拠出金、分担金に対応しているということであります。よって、これは我が国として適切な対応をしていると考えております。
  35. 大野元裕

    ○大野元裕君 なるほど、取り込むことができなかった、予測をすることができなかった、なおかつ緊要なものと、こういうことだろうというふうに理解をさせていただきました。  では、具体的に、本当にそうなっているかどうか少し検証をさせていただきたいんですが、大臣、国際連合パレスチナ難民救済事業機関、いわゆるUNRWAにつきまして取り上げたいんですが、UNRWAに対しては、近年見てみると、本予算、当初予算ではなく補正予算に多くの拠出が振り分けられています。例えば、平成二十六年度を言いますと、本予算では約二億円なんです。ところが、補正予算では約三十一億円、十五倍付けられています。  そういった中で、UNRWAの事業、これは私、大変重要な事業だと思っています。ところが、この事業の多くは毎年繰り返されているルーチンの事業です。本来であれば本予算対応するべきものではないかと私は思っています。近年の補正予算編成のときには、実はシリアあるいはガザ情勢の緊迫等が理由として取り上げられるんですね。ところが、これ、シリアやガザ情勢の不安定化は今に始まったことではありませんし、予測できない話でもありません。そういったにもかかわらず、なぜ本予算拠出金がそもそも盛り込まれないのか、教えてください。
  36. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のUNRWAですが、一九五三年から我が国は一般予算への拠出を開始し、その活動の基礎を支えてきております。そして、平成二十八年度当初予算にも拠出金を計上しているわけですが、このUNRWAの予算の在り方に関わる話だと思っています。  UNRWAは、シリアやガザにおける情勢が毎年大きく変化するのを受けて、自らの一般予算を組むわけですが、この一般予算とは別に、それぞれ緊急ニーズに基づいて緊急アピール予算というものを自ら編成しています。一般予算とその緊急アピール予算、UNRWA自身がこの二つの予算を編成するということを行っているわけです。ですので、我が国としましては、この緊急アピール予算の部分を補正予算において対応しているということでございます。結果として補正予算の金額が大きくなっているということになっていると理解しております。
  37. 大野元裕

    ○大野元裕君 緊急アピールの予算がその時期に組まれるからそれに対応している、緊急アピールの予算が自ら組まれているのかどうかというのは、少し私、お調べになった方がよろしいかと思います。私もかつて公務員でしたから、しかもUNRWA担当していましたから、これ以上は公務員の守秘義務があるので申し上げませんけれども、いろいろと中で御精査をされた方がよろしいかと思っています。  その上で、大臣、お伺いしますが、一昨年度及び昨年度の補正予算で、緊急アピールの予算とおっしゃいますが、UNRWAに拠出された補正予算、この支出のうち、UNRWAがそれ以外で通常行っているのは母子支援、例えば医療支援の中でですね。母子支援や妊産婦の支援、予防接種の普及及びこれらの人件費に関わる割合というものは、UNRWAの補正予算から拠出された中でどの程度か。つまり、特別にその年に緊要で別なことをやったのではなくて、通常のオペレーションに使われたものというのはどのぐらいの割合か、教えていただけますでしょうか。
  38. 豊田欣吾

    政府参考人(豊田欣吾君) お答えいたします。  我が国は、補正予算といたしましてUNRWAに、平成二十五年度は千六百二万ドルを、平成二十六年度は三千二百二万ドルを拠出してございます。このうち、母子保健や予防接種を含めた保健分野への支援といたしましては、平成二十五年度は二百九十万ドル、平成二十六年度は千六百七十八万ドルを拠出しております。以上を踏まえますと、平成二十五年度の割合でございますが、約一八%、平成二十六年度の割合は約五二%ということになります。  これらの支援につきましては、UNRWAの一般予算ではなく、UNRWAがそれぞれの緊急ニーズに基づいて編成する緊急アピール予算対応するものでありまして、UNRWAの通常事業とは異なる特別の活動のための資金拠出というふうな位置付けでございます。
  39. 大野元裕

    ○大野元裕君 局長、まだ言いますか。緊急アピールとおっしゃいますけれども、これ実は、母子保健とか例の母子手帳の事業とか、それから予防接種、これ通常のオペレーションだと私は理解をしていますよ。通常のオペレーションだと私理解していますよ。通常やっている、いつもと違うものが補正予算で組まれて、毎年と違うものがそこで行われているんですか。  私、しかも、質問は、医療に関する予算のうち、緊急で組まれた補正予算から拠出された通常と違うオペレーションの割合はどのぐらいですかと聞いているんですけれども、ちょっともう一度お答えください。
  40. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 誰が、どなたが答えますか。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  41. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 速記を起こしてください。
  42. 豊田欣吾

    政府参考人(豊田欣吾君) お答えいたします。  ただいま申し上げました母子保健あるいは予防接種を含めた保健分野の支援でございますけれども、こういった中身は緊急アピール予算の中に入っております。日本政府といたしましては、そういった緊急アピール予算に入っているものに対応させた形で先ほど申し上げたような金額を拠出させていただいているということでございます。
  43. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません。話進まないので。  通常やっているものとどこが違うんですか。毎年ずっと同じことを、これ十年ぐらいやっているんじゃないですか。
  44. 豊田欣吾

    政府参考人(豊田欣吾君) あくまでも緊急アピール予算といいますのは、その時々の状況に応じてUNRWAが緊急ニーズがあるということで編成されるアピール予算ということでございますので、日本政府といたしましては、それに対応する予算として補正予算を講じているということでございます。
  45. 大野元裕

    ○大野元裕君 話が進まないので、これ進めますが、大臣にちょっと感想をお伺いしたいんですが、例えば母子手帳の話なんかは物すごく確かに現地で評価されているんです。毎年毎年積み重ねていったおかげで、地域も広がりながらとてもいい成果をこれは行われています。これ、緊急アピールの予算に組み込むべき、若しくは我が方が緊要の予算として拠出するべき本来ものではなくて、これ、いいオペレーションなんです、すごく。だからこそ私申し上げているわけで、通常の行われているオペレーションだと私は思っていますけれども、これを我々は腰を据えて本来やるべきものだと、筋からいってもお思いになりませんか。
  46. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今、委員のお話も聞いておりまして、緊急アピール予算の中には緊急性ということにおいて線引きをするのは大変難しいものも含まれていると存じます。  ただ、先ほど来答弁させていただきますように、我が国の補正予算による対応につきましては、このUNRWAの予算、一般予算ではなくして緊急アピール予算として別建てで組んできた予算そのものに対して対応しているということであります。中身については様々な議論がありますが、UNRWA側が緊急アピール予算として整理して計上してきた予算に対しては補正予算我が国対応していくという対応を取っております。タイミングの問題等も含めて、補正予算対応するのが適切ではないかと考えます。
  47. 大野元裕

    ○大野元裕君 そこで、大臣に改めてお願いをさせていただきたいんです。  私が問題としているのは、財政法にのっとり国民の血税を必要なところに適切に充当しているか、こういう観点から申し上げています。  他方で、UNRWAの貢献ですとか代替が利かないすばらしい役割、こういったことについて、それからUNRWAというのは通常のいわゆる経費が国連から計上されていないんですね、そういったことに鑑みれば、日本政府のUNRWAに対する支援というのは私はとても重く考えていいと思っています。  他方、UNRWAに対する拠出を始めとする、これ、今日は一例だけしか取り上げませんでしたが、必要な拠出については補正に回すという前提で、そうじゃないと継続しないというような前提で当初予算を組むと、もしそうだと思っているとすれば不適切だと私は思うんです。  そこで、御提案なんですけど、これらの拠出金や分担金については補正から拠出することの適否はもう一度抜本的に検討をされて、国際機関や国連が行っている必要なオペレーションに供される資金というものは本予算に可能な限り回せるように御検討をいただくわけにはいかないでしょうか。これはあくまで御提案でございます。
  48. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御提言、しっかり受け止めたいと思います。  この緊急アピール予算の中身についてもしっかり吟味する必要があるのかもしれませんが、あわせて、緊急アピール予算が一年の中でどのタイミングに出されるのか、こういったタイミングの問題においても、補正予算ではなくして本予算対応できるのかどうか、こういった点も検討しなければならないと思います。  中身、そしてタイミング、両方において本予算対応可能なものがあるのかどうか、こういった点を検討するということは意味あることかと思いますが、最終的に可能かどうかは検討してみないと、今この場では何ともお答えできかねるかと思っております。
  49. 大野元裕

    ○大野元裕君 検討に検討を期待いたします。  別な質問にさせていただきますが、前々回の委員会日韓合意に関して少し議論をさせていただきました。大臣にお伺いいたしますが、そこで大臣の方からも御説明がございました十億円の拠出金ですけれども、来年度予算に盛り込まれていないようですけれども、この合意、両国政府に対し適切に対処を求めています。この拠出が盛り込まれていないのはなぜでしょうか。来年度には適切な対処は行わないという表明でございましょうか。教えてください。
  50. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の合意におきましては、韓国政府が元慰安婦の方々支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府予算で資金を一括で拠出する、このようになっております。  この合意を日韓両政府が責任を持って実施することが重要だと思っていますが、現在は韓国側が国民説明に努めている段階であり、この財団の設立時期を始めとする細部、確定しておりません。よって、該当する予算は今御審議をお願いしている予算には計上していないということであります。  今後、財団の設立など、日韓外交当局間の調整状況も踏まえて適切に対応していきたいと考えております。
  51. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。  時間もないので、今度は防衛大臣にお伺いをさせていただきたいと思っています。  先ほど、真部局長の方から、来年度の予算についての特徴は島嶼部日本の領土、領海という話だとお伺いをして、つくづく言っていることとやっていることが違うなと。領域警備法等の日本の領土、領海、島嶼部を守る法律は出さずに予算だけ付けると、やはりここはちぐはぐだなというふうに思わざるを得ません。  別なところで少しちぐはぐかなと思う案件もあるものですからお伺いさせていただきますが、まず事実関係ですが、平成二十八年度の予算のうち米国の対外有償軍事援助、いわゆるFMSに関する調達に関わるものはどの程度かを教えてください。
  52. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 平成二十八年度予算案におきます物件費といたしましては約三兆七百四十八億円、これは契約ベースでございますが、これを計上いたしております。このうちでございますが、FMSの調達につきましては約四千八百五十八億円、これも同じく契約ベースというものを計上いたしておるところでございます。
  53. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、今お伺いになられたと思いますけれども、FMS契約は、ライフサイクルの一貫した管理、この対象に含まれるとお考えでしょうか。
  54. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年十一月に、装備品等のライフサイクルを一貫して重点的に管理する装備品といたしまして、まず統合運用の観点、技術的な成熟度、国際共同開発・生産、防衛生産・技術基盤の維持強化、そして防衛力整備の観点から重要なものを考慮いたしまして、十二品目の装備品等をプロジェクト管理重点対象装備品等に選定をいたしました。それら選定した十二品目の中には、FMS調達をいたしておりますグローバルホーク、オスプレイ、F35Aの三品目が含まれております。
  55. 大野元裕

    ○大野元裕君 FMS契約は、米国政府側からの提供そのもの、あるいは提供時期、さらにはスペアパーツの確保等が確保されていないというふうにこれまでも指摘をされている契約であります。相手方にこれだけ委ねなければいけない部分が多いにもかかわらず、ライフサイクルの一貫した管理として責任を持ってやらなければいけないと私思いますけれども、これ、責任を持ってライフサイクルコスト、プロジェクト管理ができるというふうに大臣は明言されるんでしょうか。
  56. 中谷元

    国務大臣中谷元君) FMS調達というのは、購入国が米国政府の定める条件を受諾をして初めて必要な物品の提供を受けられるというものでございまして、一般の国内契約とは異なる特性を有しております。  しかしながら、防衛省といたしましては、FMS調達する装備品等につきましても、価格の交渉、納入促進、部品枯渇対策など米国政府と調整及びまとめ買い等によるコスト縮減策の検討などライフサイクルの一貫した管理を行う必要があると考えておりまして、このプロジェクト管理の強化、これに努めてまいっているわけでございます。  例えば、装備品をFMSで調達する場合であっても、この強化のために、オスプレイにおきましては日米共通の整備基盤を国内に整備する方向で米国と調整を進めており、F35の取得に際しては国内企業の製造参画に努めているほか、F35の整備拠点、リージョナルデポの立ち上げに向けた調整を進めているということで努力をいたしているということでございます。
  57. 大野元裕

    ○大野元裕君 御努力評価します。価格の交渉とか調整といった努力評価します。ただ、我々は、血税をお預かりした上で責任を持ってプロジェクト管理を行うということが行政府の義務であり、そして監視する側としての我々の義務だと思っているからこそ議論をさせていただいているんです。  それでは、ちょっと具体的に伺いますけれども、例えばFMSの調達には多く付随しているのが役務提供契約、人件費等が含まれています。その単価の適正さなどについて、我が方がLOA、交換公文ですね、交換合意を行う前にチェックが例えばできるんでしょうか。人件費としては高価じゃないかなと思うものがしばしば含まれておりますし、しかも未精算額の役務提供費、既に物品は引き渡されても役務提供費だけ積み残されているとかそういったものもある中で、このままでライフサイクルの一貫した管理、プロジェクト管理ができると、対象として責任が果たせるというふうに大臣はお思いでしょうか。
  58. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘をいただきました、まず人件費、役務等につきまして、これは、FMS調達では、装備品だけじゃなくて、装備品を適切に使用するための教育訓練とか技術支援等の役務の提供も併せて受けておりまして、これらの役務は装備品の機能を最大限引き出すために必要不可欠なものでございます。  米国政府との取決めによりまして、米国政府自身が、調達するときに同じ契約管理、監査の手続を米国政府が取るということにされておりますが、日本側の取組といたしまして役務の内容や価格について確認をしておりまして、さらに米国政府に人件費等の裏付けとなる資料も求めて確認をいたしております。  今後、日米間の協議におきまして、こういった点におきまして更なる日本側の主張をいたしまして、こういった点に対して少しでも削減できるように努力をしてまいりたいと思いますが、例えば、今年、先月、防衛装備庁長官とFMSの責任者である米国防省の安全保障協力庁長官との間でFMSをめぐる諸問題について定期的に協議を行うように話し合ったところでございまして、今後とも防衛装備庁を中心といたしまして、ハイレベルから事務的なレベルまであらゆる機会を通じて必要な協議を行ってまいりたいと考えております。
  59. 大野元裕

    ○大野元裕君 防衛装備庁の長官とカウンターパートの間の協議も行った、それから必要不可欠なところについては努力をしたいと、そういう御答弁だろうと私も理解をいたします。  他方で、大臣防衛装備庁の長官とやる前に、本来は大臣がしっかりとこれ議論していただくべきものだと思っているんです。なぜならば、資料でお配りを申し上げましたが、FMS調達の予算が、この三年間と言えばいいんですかね、大きく増えてきています、資料でお配りをしていますが。しかも、その割合も、かつて平成十九年、二十年、二十一年辺りは大体、全体の装備品等の購入額の一〇%程度であったのが、今三割から四割にまで急激に増えてきているんです。  それと並行して防衛装備庁を新設されたわけで、これは国会で議論をさせていただいたときに大臣がおっしゃったのは、ライフサイクルの一貫した管理を行いますと、これ、大きな理由の一つとしておっしゃったんです。私もプロジェクト管理やるべきだと思います。ただ、その範囲が努力目標になってしまうような、あるいは本来大臣がきちんと議論していただければいいんですが、装備庁の長官、外局の長官が議論をされているそうですけれども、こういったFMS契約が逆に増加しているということは、個別具体のところにまで、細部に立ち入ることがなかなか難しい、FMS契約ですから。つまり、装備庁の設置とFMSの増加というのは、実際、言っていることとやっていること、これも違うんじゃないんですかね。  大臣防衛装備庁設置の理由とこれ相反するような動きが実際には起こっているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘のとおり、防衛装備庁というのはライフサイクルを通じたプロジェクト管理を実施することを目的といたしまして設置をしたものでございます。防衛省におきましては、FMS調達対象装備品についても防衛装備庁を中心として米国政府と緊密な調整を行いつつ、プロジェクト管理の強化に努めてまいっております。  お話がありましたとおり、この予算が、事業費、非常にこの二、三年急激に増加をしたということは私も認識をいたしております。ただ、内容が、オスプレイ、イージスシステム、またSM2、F35、KC46A、E2D、グローバルホークといった非常に高性能の、また我が国防衛上必要不可欠なものを購入をいたしておりまして、こういう点につきましてまとめ買い等を行うことによって少しでも軽減の努力をいたしているわけでございますが、非常に予算が増えてきているという点におきましては私も同じ認識を抱いておりますので、今後少しでもこういった点において縮減また改善がされるように努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 大野元裕

    ○大野元裕君 是非お願いをしたいんですが、もう少し議論をしたいところですが、FMS、お店広げてしまいますと二時間でも三時間でも続いてしまうものですから、大臣、そうしたらちょっと具体的なお話を伺いたいんです。質問の順番が若干変わりますが、御容赦いただきたいと思います。  今、大臣が個別の調達品の名前を挙げられましたので、そこでF35Aについてお伺いをしたいと思っています。  まずお伺いしたいのは、X2というんでしょうか、先進技術実証機、これF2戦闘機の後継になるのではないかというふうに目されていますけれども、この試験機のフライト試験が近く行われると承知をしています。この試験機、伺うところによればステルス性能あるいは機動性等に関して優れた双発エンジンの航空機、将来F2戦闘機の後継になるのではないかと。これが採用されるとすれば、来年度予算に盛り込まれている単発のエンジンの方のF35A戦闘機と将来における役割分担、どう考えておられるのか教えていただけますか。
  62. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私もせんだって、X2の走行試験、そして今後飛行試験を行うところでございまして、現地へ行ってそれを視察をしてまいりました。  この戦闘機の体制につきましては、最新鋭のF35Aの計画的な導入を進めるとともに、F15の近代化改修、F2の空対空能力の向上など、既存の戦闘機の能力向上を組み合わせることによってバランスよく整備を行っているところでありますが、F2後継機としての将来戦闘機につきましては、中期防を踏まえて、国際共同開発の可能性も含めてF2の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるように、国内において戦闘機関連技術の蓄積、高度化を図るためにX2等の実証研究を含めた検討を進めているところでございます。  将来的な戦闘機体系の在り方につきまして、委員の御指摘も踏まえつつ、我が国の防空等を総合的な体制で行い得るよう、生産体制、技術基盤の育成維持といった観点も含めてしっかり検討してまいりたいと考えております。
  63. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、F35Aも相当長期間にわたり調達をし運用していくと聞いておりますので、だから聞いているんですが、F35Aと将来のF2の後継機、このX2がそうなるかどうかは分かりませんが、どういうふうにお考えかということをお伺いしているんですが。
  64. 中谷元

    国務大臣中谷元君) F35AとF2の後継機との役割分担について現時点でお答えすることは困難でありますけれども、F2後継機としての将来戦闘機や、F35Aを含めた戦闘機の将来体制について、我が国の防空を全うするための重要な課題であると認識をいたしているわけでございます。  F2の後継機としての将来戦闘機につきましては、共同開発の可能性も含めてF2の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるように、国内において戦闘機関連技術の高度化を図るために今実証研究を含めた検討を進めているところでありますが、まだ具体的な在り方については決まっておりません。  防衛省といたしましては、我が国の防空等の任務を確実に遂行するため能力の高い戦闘機の整備に努めてまいっているわけでありまして、そのために今X2でいろんな実証研究を進めておりますので、この研究の成果を踏まえまして考慮してまいりたいと考えております。
  65. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、確かに能力の高い戦闘機は必要だと思います。ただ、こういう目的でこういう防衛力構想があって、だからこういうものが必要だというのが普通の考えだと私は思いますので、その中にどう当てはまっていくかということが実は、大臣、我々も含めた政務の役目ではないかと私は思うんですが、この日本の戦闘機技術については、やっと推力が先進国並みに追い付いてきたとも言われています。  そんな中で、ステルス性能あるいは機動性能、こういったところについては長所も見出すことができるのではないかという指摘もあり、今まで青息吐息であった我が国防衛産業の基盤技術を維持育成するのみならず、外国製品と比較して一般に透明性が高い、あるいは長期の使用に耐える、さらには民生技術の転用がこれまでも多くあった、そういった長所があるんです。  大臣、先ほどのFMSの話、我々、細部にまで入れられない。先ほどALGSの話もおっしゃっておられましたけれども、つまり、新しいところに新しいシステムができるが、逆に言うと、我が国が、我が方が参画できる余地というものは、実はそれまでの補修とか調達の制度に比べると少ないとも言われています。  そういった中で、F35Aについても確かに中期防で書かれています。そしてその後の構想もあるんでしょう。そこについてタブーなき見直しというもの、あるいは余地を残さないで議論をするよりは、今、これから確かにフライト検証するわけですから大きなことは言えないとはしても、しかしながら、大臣、政治の役割として、やはりそこはしっかりと戦闘機についても構想を固めて、我々がこういうふうにやっていくということのアイデアぐらいはお持ちであった方がいいと私は思いますけれども、そこについてコメントがあればお願いいたします。
  66. 中谷元

    国務大臣中谷元君) せんだって、F35AのFACO、組立て工場も視察をしてまいりました。これは、現在は組立てということでございますが、その作業を通じて、米側からいろんな技術の提供や、また我が国の民生品の活用などを念頭に、改良などにおいても働きかけをしていければと考えております。  次の後継機につきましては、これは現在、X2などによりましてその技術の検証体制等を実施をいたしまして、F2の後継機としての役割、退役の時期までに開発を選択肢として考慮できるように国内においてこの技術の高度化を図って、将来のために資するようにいたしております。  委員の御指摘踏まえまして、防空体制を総合的な体制で行い得るように、様々な観点も含めましてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
  67. 大野元裕

    ○大野元裕君 またこの議論をさせていただきたいと思いますが、まずよろしくお願いいたします。  その上で、少し質問戻りますけれども、FMSで試験用車両を導入をした、そして来年度予算に計上されております水陸両用の走行車両、AAV7についてお伺いをしたいと思っています。  まず、防衛省に伺いますが、AAV7の最大速度、輸送能力及び上陸の際にどのような制限があるかについて教えてください。
  68. 田中聡

    政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。  防衛省が調達するAAV7の最高速度は、海上では時速約十三キロメートル、陸上では時速約七十キロメートルでございます。一方、輸送能力につきましては、人員輸送型の車両の場合、操縦手、射手及び車長を含めまして、最大で二十四名の隊員を輸送を可能としているところでございます。海上から陸地への着上陸の際の制限といたしましては、上陸地点の状況によって、例えばサンゴ礁の形状など、地形の特性が障害になる場合があるというふうに考えておるところでございます。
  69. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうしますと、これ、十三キロ、七ノットぐらいなんでしょうかね、ということは、戦闘下でAAV7を仮に運用するとした場合、そのスピードの遅さ、あるいは上陸地点を容易に想定できる、こういったことから考えると、容易に相手側の火力の集中砲火を浴びる、簡単な標的になるのではないでしょうか。
  70. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 万が一島嶼が占領された場合の水陸両用作戦につきましては、航空機や艦艇による対地攻撃によってまず敵を制圧をして、海上優勢、航空優勢、これを確保した上で陸上部隊を上陸をさせるということを想定としておりまして、このAAV7は諸外国の類似の装備品と比較して速度が遅いとか速いとかいったことではございません。  この水陸両用作戦の際の陸上部隊の上陸につきましては、AAV7の海上からの上陸のみならず、LCACそして潜入ボート、これを航空機から投入をする、またCH47、V22オスプレイといった航空機による空中からの上陸など様々な複合的な組合せで、手段を組み合わせて実施することでございまして、AAV7の上陸地点が相手方に容易に想定できるというわけではございません。  したがいまして、AAV7の速度が遅くて上陸地点を容易に想定できるから容易に標的になるといった御指摘には当たらないと考えております。
  71. 大野元裕

    ○大野元裕君 防衛省からいただきました資料をお配りしています。資料二というやつです。大臣のおっしゃるとおり、航空優勢や海上優勢を確保する、その上で上陸作戦を行うということがイメージとして示していただいています。  そうしますと、大臣、今御自分でおっしゃいました、海上自衛隊のホバークラフト、LCACですね、これも使うんだというお話ですが、ちなみに、防衛省にお伺いしますが、LCACの最高速度、輸送能力及び着上陸の際の制限について、先ほどと同じ質問ですが、教えてください。
  72. 田中聡

    政府参考人(田中聡君) お答え申し上げます。  海上自衛隊のエアクッション艇、LCACの最高速度は、気象、海面の状況及び地形等にもよりますけれども、海上では約四十ノット、陸上では約二十五ノットであり、輸送能力は約五十トンというふうになっております。海上から陸地への上陸の制限といたしましては、上陸地点等の状況にもよりますけれども、五度以上の傾斜面や、高さや深さが一・二メートル以上の障害がある場所では上陸が制限される場合があるというふうに考えているところでございます。
  73. 大野元裕

    ○大野元裕君 そういたしますと、これ単純に比較をしてみますと、最大速度で五倍ぐらい、五倍以上ですかね、LCACの方が。輸送能力もはるかに高い。それから、制限も実はほとんど、AAV7よりは少ないと、そういう状況になります。  そういたしますと、海上優勢、航空優勢が確保されていますから、装甲はないんですよね、このLCACには。ところが、これ十分に使えると思っています。そうしますと、AAV7が全く必要ではないとは思わないんですが、組み合わせて使う場合に、はるかにLCACの方が私は使える装備になるのではないかと思っています。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、少し調べてみますと、我が方の最大の輸送艦は「おおすみ」ですけれども、これの約倍の規模がある排水量二万六千トン規模のアメリカの輸送艦がAAV7をどうやって運用しているのかなと調べてみました。実は、これには十四両しか載りません。  島嶼部の奪還作戦などは何度も繰り返すものではなくて一遍に行うと私は理解をしていますけれども、今回、我が方が全体で、中期防によると五十二両のAAV7を調達をします。つまり、「おおすみ」の倍の船ですら十四両しか運べませんから、その約四倍分ぐらいが必要であると。なおかつ、三個連隊三千人の人員、五十二両のAAV7、これ調達すると言っているんです。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、一度、航空優勢、海上優勢を確保してしまえば、もちろんAAV7もその後にしか投入できないんですけれども、LCACやほかの輸送手段の方が大きなものがたくさんあります。  大臣、三個連隊分の三千名の人員と五十二両のAAV7、問題があると言われているのに、これだけ調達する必要があるんでしょうか。
  74. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、LCACとか潜入ボートというのは防御力の点で十分ではないということで、AAV7では、自ら防護しつつ海上から着上陸するための防御力を備えた装備であるということの利点がございます。  いかに輸送するかということで、五十二両整備することといたしておりますが、具体的には、着上陸する際に二個中隊規模の普通科単位及び小銃、機関銃といった装備を輸送するために、水陸両用車四十四両、これが必要になります。さらにAAV7の基本的な操縦、運用要領を教育するために八両で、合計五十二両ということでございます。  輸送につきましては、「おおすみ」型輸送艦に搭載して輸送することを想定しておりまして、平成二十六年度以降、「おおすみ」型の輸送艦の改装、改修、これを進めております。実際の水陸両用作戦におきましては、教育車両の八両を除いた四十四両のAAV7を必要に応じて運用することになりますが、「おおすみ」型輸送艦三隻を活用することによりまして、性能上は四十四両全て輸送することが可能であると考えております。
  75. 大野元裕

    ○大野元裕君 なるほど。アメリカの要するに倍を載っけるということですね、排水量当たり。それだけ載っけて一遍に投入をすると。  しかしながら、これ、戦闘が行われていれば、なかなか海上自衛隊の船は陸に近いところに行きたくありません。なるべく遠いところで降ろす。しかしながら七ノット。逆の風が吹けばよりスピードは遅くなるでしょう。ところが、LCACは、より早く、しかもより多くのものを輸送できる。しかも、海上優勢、航空優勢が確保された後というふうに言われているわけですから、私は、これだけのものは必要であるというふうに国民に対して説明するには残念ながら説得力が欠けていると思わざるを得ません。よもや陸上自衛隊のポストや人員を獲得するために、AAV7を活用して海上自衛隊のLCACを排除すると、こういうロジックでは、まさか大臣、ないとは私も思います。  しかしながら、日本の安全をきちんと確保をし、なおかつコスト、それから適性、こういったものをしっかりと見極めていくためには、大臣、全くAAV7が必要じゃないとは言いません、ただし、この規模だとか運用の仕方をもう一度御検討いただき、現実的な運用にされるべきではないかというふうに思いますけど、いかがでしょうか。
  76. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど、なぜ五十二両かという説明をさせていただきましたけれども、この水陸の両用作戦につきまして、航空機、艦艇による対地攻撃によって敵を制圧して航空優勢、海上優勢、これを確保した上で上陸をさせるということを想定しているものの、島嶼部を奪回、確保するに当たって島嶼部に敵兵力が残存している可能性も否定できないために、陸自部隊が自らを防護しつつ海上から着上陸するためには防護力を備えたAAV7は必要不可欠な装備でありまして、中期防で五十二両整備をするということでございます。  なお、二個中隊規模の普通科部隊は、本来はAAV7に搭乗して適切な防護力を備えながら着上陸することになりますが、仮に四十四両より少ない数で対応することになりますと、潜入用ボート等により上陸をせざるを得ないということなど、水陸両用作戦の円滑な遂行に支障が生じるおそれがあると考えております。
  77. 大野元裕

    ○大野元裕君 そうすると、不思議なんですよね。これ、水陸両用作戦の流れで航空優勢、海上優勢が確保されたら、併せてV22やボートやLCAC使うことになっているんです。大臣、危ないんだったら、このボートの人たち危なくなっちゃいますよね。まだ残存勢力がいて、併せて使えないじゃないですか。違いますかね。大臣のおっしゃっていること、僕にはよく正直理解ができません。併せて使うことができないような状況であればAAV7だけになるのかもしれないし、この防衛省の説明資料は併せて使うことになっています。ボートの人は死んでも構わない、こういうことでしょうか。
  78. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 死んだら困ります。したがいまして、その二個中隊規模の普通科部隊は本来はAAV7に搭乗して適切な防護力を備えながら着上陸することになるということで、四十四両を切りますとボートにより上陸せざるを得ないということで、これでは円滑な遂行に支障が生じるということでございます。
  79. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう時間が余りないので、大臣、最後にお願いだけします。ヘリコプターの件です。  新しい哨戒ヘリの検討も進められています。SH60KへのJからの転換も進められています。今のイージス能力をしっかりと生かして日本を守っていただきたい、これは是非お願いをしたいんですが、他方で、艦艇に積載されるヘリの数というものは、これ実は稼働率も含めて考えるとかすかすじゃないかと僕は思っています。  来年度の予算を見ていると、どうもスクラップ・アンド・ビルドの様相を呈しているようですけれども、是非これ、中期防にもありますけれども、拡充をしっかりと急いでいただいて、日本を守るということについて、我々がつくった動的防衛力、済みません、自民党では名前だけ変えられちゃいましたけれども、これもしっかりと充実させていただくために、最後、お願いだけでございますので、大臣から御感想だけ述べていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 中谷元

    国務大臣中谷元君) おっしゃるように、SH60K、非常に能力が高いです。私も最近搭乗いたしまして、特にその内部の機材の能力の向上、これは著しいものでありまして、非常に探知するソナーの能力、新たに付与されているということで、必要な所要の量は整備する必要があると確信をいたしました。  これと併せて、新たに新型の新哨戒ヘリコプターといった今後のヘリコプター等におきましても充実させるように検討してまいりたいと考えております。
  81. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございました。終わります。
  82. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 一連の北朝鮮による弾道ミサイルの発射は断じて許されません。最近の毎週のような短中距離弾道ミサイルの相次ぐ発射、あるいはより挑発的になっている北朝鮮側の言動を見ると、何か大きな変化があった、このように考えざるを得ません。どのように分析をしておられるか、まず防衛大臣から伺います。    〔委員長退席、理事塚田一郎君着席〕
  83. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 北朝鮮は、今月に入りまして、二月七日に人工衛星と称する弾道ミサイルを発射したほか、三月十日、三月十八日にも弾道ミサイルの発射を繰り返しております。  また、北朝鮮は、三月七日に発表した国防委員会声明におきまして、米国とその追従勢力の核戦争挑発に全面対応するために総攻撃に突入するとともに、先制攻撃的な軍事的対応方式を取る旨、また十五日には、朝鮮中央放送を通じて、早い時期に核弾頭爆発試験と核弾頭装着が可能な弾道ミサイルの発射実験を断行するなどの発言を繰り返すとともに、小型化した弾頭と見られる物体、また大気圏再突入環境模擬試験の模様などの映像を公開をいたしました。  北朝鮮による意図、目的につきましては様々な見方があると承知しておりますが、あくまでも一般論として申し上げれば、本年五月の党大会に向けた実績づくり、弾道ミサイルや核兵器開発関連技術の進展のアピール、国連安保理による新たな対北朝鮮制裁決議をめぐる協議の牽制や新たな決議への反発、そして米韓連合演習に対する軍事的示威行為などの可能性があると考えられておりまして、昨今、北朝鮮においては、幹部の処刑、降格、解任に伴う萎縮効果により、幹部が金正恩第一書記の判断に異論を唱えることが非常に難しくなっていることや、かかる人事異動に伴いまして、北朝鮮が十分な外交的勘案がなされないままに軍事的挑発行動に走る可能性も含めまして、不確実性が増していると考えられております。  現下の朝鮮半島情勢を踏まえますと、北朝鮮が更なる挑発行動に出る可能性は否定できず、防衛省としては、情勢を注視するとともに、いかなる事態にも対応できるように、緊張感を持ちまして情報収集、警戒監視に万全を期してまいります。
  84. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 外務大臣にお伺いします。    〔理事塚田一郎君退席、委員長着席〕  先般のかつてない厳しい国連安保理決議は、アメリカ、韓国と日本がよく連携をした結果である、このように承知をしております。今後、この北朝鮮情勢に関しては、米韓と引き続き緊密に連携し万全の対策を取っていただきたいですが、いかがでしょうか。
  85. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) おっしゃるように、北朝鮮のこうした挑発行動に対しまして、米国、韓国とともにしっかり連携をしていく大変重要な取組であると考えます。  北朝鮮の核実験あるいは弾道ミサイルを受け、既に米国、韓国との間においては首脳電話会談、実施しております。また、私自身も、ケリー国務長官、尹炳世外交部長官との間で電話会談を行い、意見交換を行うとともに、緊密な連携協力を確認いたしました。また、核実験後の一月十六日には、我が国において日米韓次官協議を開催いたしまして、連携を確認するとともに、各国の独自の取組についても意見交換を行った、こういった次第であります。  この度、採択されました強い内容の安保理決議二二七〇号、これ高く評価するところですが、この実効性をしっかり確保しなければなりません。その際にも、米国、韓国を始めとする関係国との緊密な連携、重要だと考えております。
  86. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 昨年の九月に国連サミットで採択されました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、SDGsについて外務大臣に尋ねます。  SDGsの意義や内容をどのように評価をしておるのか、改めて大臣にお尋ねします。
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年九月に国連で採択されました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダですが、国際開発目標は、十七の具体的な持続可能な開発目標、すなわちSDGsを含んでいるという構成になっています。内容的には、貧困、保健、教育等の伝統的な途上国開発課題、もちろん含まれていますが、あわせて、経済成長、環境問題、社会問題といった先進国も共に取り組むべき課題、こうした課題も含んでおります。  持続可能な世界を実現するための国際社会共通のグローバルな目標として大きな意義があると認識をしております。
  88. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、SDGsに関するドラフトの採択、あるいはその実施に向けた議論に我が国はどのように貢献をしてきたのか、また今後どのように貢献していくのか、その姿勢をお尋ねします。
  89. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のSDGsにつきましては、ドラフト策定段階から我が国は積極的に関与してきました。例えば、私自身も二〇一三年九月の国連総会において、ポスト二〇一五年開発目標と保健に関するサイドイベント、主宰をさせていただきまして、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジをSDGsに盛り込む努力をいたしました。  それ以外にも、我が国は、保健、女性、防災、質の高いインフラ、こうした分野を重視してきましたが、こうした分野を中心に、実施におきましても引き続き取り組んでいきたいと考えます。
  90. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほど大臣から御報告がありましたが、今回のSDGsの大きな特徴として、先進国も含む達成目標が策定をされたということがございます。そこで、そうしたことに先進国自らも達成すべき国際開発目標が採択されたことによりまして、我が国開発協力やあるいは国内施策体制の変更や整備が新たに必要になるのか、そういう措置が必要であればどう取り組むのか、お尋ねします。
  91. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、SDGsには、開発途上国に対する開発協力のみならず、我が国を含む先進国が国内的に取り組むべき課題も多く含まれています。よって、我が国としましても体制をつくらなければならないと考えています。関係省庁と緊密に連携しつつ政府一体となって取り組んでいる必要がありますので、ただいま内閣官房を中心に体制の在り方について調整を行っております。  是非、調整を行って、我が国としてしっかりとこのSDGsに取り組んでいけるような体制をつくっていきたいと考えます。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党が推進してきました人間の安全保障の観点からお尋ねします。  この人間の安全保障は、今回のSDGsにも、人間中心、誰一人取り残さないといった表現で反映をされてきたところであります。これを含めて、我が国が重視をしてきたこれまでの考え方というのが、思想というのがSDGsにどのように反映をされたのか、先ほど一部御説明はありましたけれども、お尋ねします。
  93. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、SDGsには、人間中心、誰一人取り残さない、こういった考え方を根底に据えています。これは、まさに人間の安全保障の考え方がSDGsの基本理念として位置付けられていると考えます。  そして、先ほども少し紹介させていただきましたが、我が国がこれまでの開発協力において重視してきた保健、防災、質の高いインフラ、こういった分野があるわけですが、こういった分野がSDGsに反映されています。是非こうした分野を中心に、実施に向けても我が国としましてしっかり尽力、貢献をしていきたいと考えます。
  94. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 外務省の新年度予算ではODAに四千三百四十二億円が計上されまして、対前年比百四億円、プラス二・四%でありまして、平成二十三年度以降、当初予算ベースでは六年連続増となったことは評価されます。  グローバルな課題への貢献やSDGsの推進のためにODA予算をどのような分野で具体的に活用していくのか、大臣にお答え願います。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま御紹介いただきました外務省所管分のODA予算ですが、そのうち約二千三百六十一億円については積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献のために活用することを見込んでおります。この中には、我が国が重視してきた保健、防災、女性、教育、質の高い成長、こういった分野が含まれています。SDGsの積極的な推進に貢献する予算であると考えています。  是非こうした分野を中心に、しっかりと我が国も貢献をしていきたいと考えます。
  96. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、先ほども議論がございました国際機関への義務的・任意的拠出金、分担金について、昨年に続いてお尋ねいたします。  我が国の多国間外交、グローバルな課題への取組の上で国際機関の活用や国際機関との連携は不可欠であります。一年前と比べましても円安は更に進行したわけでありまして、それだけでも外務省予算は必然的に増額をしなければいけないということで、公明党も官房長官に申入れをさせていただきました。自民党におかれても総理にそうした申入れをされた、このように聞いております。  そこで、国際機関への分担金、義務的拠出金及び任意拠出金について新年度予算ではどのような方針で取捨選択を行ったのか、お尋ねします。
  97. 山崎和之

    政府参考人(山崎和之君) お答え申し上げます。  我が国は、グローバルな課題の解決に積極的に貢献していくために、二国間ベースのODAの効果的な実施に加えて、御指摘のように、専門的な知見や幅広いネットワークを有する国際機関を最大限活用していくことが重要であると考えております。他方、厳しい財政的制約ある中で重要な政策課題について適切に対応するために、必要性を精査の上、めり張りを付けて予算配分をする必要性もございます。  このような観点から、平成二十六年の行政事業レビューの指摘も踏まえて、平成二十八年度概算要求に際し国際機関等に対する拠出についての評価実施し、その結果を公表させていただきました。平成二十八年度概算要求におきましては、この評価結果に基づき予算要求をさせていただいております。
  98. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成二十八年度の任意拠出金額は前年度比で十億円増となっております。義務的拠出金は当然減らせない中でどうしてもこの任意拠出金の方にしわ寄せが来るということで、私は昨年も警鐘を鳴らしたところでありまして、今回十億円増となっていることは評価し得るわけであります。  そこで、そうした中で、増額の対象とされた機関任意拠出金ですね、についてはどのような基準で選択をされたのか、SDGsあるいは人間の安全保障推進という観点が反映をされておるのか、その取捨選択の基準について大臣にお尋ねします。
  99. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外務省における平成二十八年度の任意拠出金の概算要求に当たりましては、定量的そして多面的な評価をまず実施いたしました。この評価に基づいて精査を行ったわけですが、この精査の上、めり張りを付けた予算案を計上したと考えております。その際、高い評価結果となった国際機関に限り増額の形で予算要求を行いました。  SDGsの積極的推進に貢献し、かつ人間安全保障にも資するため、保健、防災、女性、教育、質の高い成長、こういった分野を重視しているわけですが、こういった要素は国際機関に対する評価においても考慮されており、例えば国連人口基金、UNFPAですとか、国連国際防災戦略事務局、UNISDR等への拠出金を重点的に要求した結果でございます。
  100. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 防衛関係予算につきまして、防衛大臣にお尋ねします。  新年度予算案におきましては、防衛関係費として五兆五百四十一億円が計上されました。一般会計予算として初めて五兆円を超え、過去最高額となったわけでありますけれども、一部批判も行われております。高額な装備品の購入が特徴的な軍拡予算であるという言い方でありますとか、中期防を上回るペースで防衛関係費が増加しておるでありますとか、厳しい財政状況の中での防衛予算の聖域化は許されないといった批判を目にしております。  私は、現行の防衛大綱、中期防の策定にも与党として関わったわけでありますので、あくまでもそれに沿った予算の内容であって、着実に防衛力整備を進める内容となっている、このように認識をしております。また、二十七年度から二十八年度にかけての防衛関係費増額は、人件費、糧食費等の増加によるところが大きいとも承知をしております。  そこで、防衛大臣に、新年度の予算案防衛関係費につきまして、国民にしっかりと理解をしていただけるよう改めて丁寧な説明を求めたいと思いますので、答弁を願います。
  101. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 米軍関係再編経費などを含めまして、平成二十八年度の防衛関係費が五兆五百四十一億円でございます。前年度に比べて七百四十億円の増加となっておりますが、このうち、人事院勧告を踏まえた自衛隊の人件・糧食費の増加が三百五十一億円、そして米軍再編経費の増加が三百四十億円、その大半を占めておりまして、軍拡であるという御指摘は当たらないのではないかと考えております。  また、中期防対策経費につきまして、中期防において五年間で実質毎年平均〇・八%伸ばす計画になっており、これを踏まえて、中期防で計画したとおり前年度に比べて〇・八%増の四兆八千六百七億円を計上し、この中で着実かつ効率的な防衛力整備を行うということにいたしております。  防衛関係費につきましては、引き続き、安全保障が厳しさを増す中で国民の生命、財産を守るために中期防に基づき着実な防衛力整備を図りつつ、厳しい財政事情を踏まえまして、聖域視することなく調達改革等を通じてその合理化に努めてまいりたいと考えております。
  102. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  103. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、ベルギーでの連続爆破事件について、こうしたテロ行為、厳しく批判をするとともに、犠牲者のお悔やみとお見舞いを心から申し上げます。  今日は、横須賀を母港とする米原子力空母に関する原子力防災対策についてお聞きいたします。  ロナルド・レーガンは、合計熱出力百二十万キロワットの原子炉を二つ積んでおります。福島第一の出力が百三十八万キロワットですから、人口密集の首都圏に原発があるに等しい状況なわけですね。二〇一一年の福島の原発事故以降、事故が起きたらどうなるのかと住民の皆さんの不安は一層広がっております。  このアメリカの原子力艦船に関する原子力災害対策マニュアルは二〇〇四年に作られたままなんですね。私は、二〇一三年に質問主意書を出して、福島原発事故の深刻な被害から原発の避難基準が見直されているということを踏まえて、この原子力艦についてもマニュアルを抜本的に見直すことを求めました。横須賀の市長も、二〇一四年にこの問題で政府に考えを示すように外務大臣に要請をされております。  そこでまず、外務大臣にお聞きしますけれども、昨年三月の予算委員会外務大臣は、政府として適切な対応をしなくてはならないと、要望をもらった外務省としてしっかり責任を果たすよう奮闘する旨の答弁をされました。政府のこの問題での基本的な姿勢、そして外務省としてはどういう責任を果たそうとされているのか、いかがでしょうか。
  104. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の原子力艦の原子力災害対策の見直しについては、商業原発に係る規制の検討結果等を踏まえて対処していく、こうした方針で臨んでおりました。そして、昨年、商業原発の災害対策指針である原子力災害対策指針が改正されました。ですので、商業原発の規制に係る検討には一区切り付いたわけです。  これを受けて、今度は原子力艦の原子力災害対策に係る検討のため、昨年十一月、この対策を主管する内閣府の下に原子力艦の原子力災害対策マニュアル検証に係る作業委員会が設置され、現在まで有識者及び関係省庁による議論が続いております。外務省はこの委員会のメンバーです。この議論に積極的に参加をしているところですが、この委員会における議論の結果、昨年十一月には、緊急事態の判断基準ですとか通報基準など、こうした基準が国内の原子力災害対策指針に合わせる形で改訂をされました。  この議論、引き続き続くわけですが、国民の高い関心について十分認識、意識しながら、この作業委員会において適切な結果が得られるよう、引き続き関係省庁とも協力しながら尽力をしていきたいと考えています。
  105. 井上哲士

    ○井上哲士君 原発に対する指針が私たちはこれで十分とは思っておりません。しかし、それを踏まえて今行われている作業が果たして十分なのかが問われるわけですね。  今お話のあった検証作業の委員会で、避難判断の基準は毎時五マイクロシーベルトに変わりました。従来は原子力艦は百マイクロシーベルトだったわけですが、原発に合わせた、これは当然だと思うんですね。問題はやっぱり避難範囲だと思います。  内閣府、お聞きしますけれども、原発の新しい指針では、半径五キロ圏内がPAZ、お手元に資料ありますように、予防的防護措置区域です、そして、半径三十キロがUPZ、緊急時防護措置準備区域。PAZは直ちに避難をする、UPZは屋内退避など、避難計画の策定を地方自治体に求めているわけですね。一方、資料にありますように、現行の原子力艦のマニュアルは、PAZは一キロ、UPZは三キロでありますから、新基準、原発と比べますと大幅に少ないわけですね。同じ原子炉なのに二重基準じゃないかと、こういう非難が出ております。  この範囲の見直しに当たって、二月の第三回の検証作業委員会が二つの試算を示しております。お手元にあるとおりですが、いずれも現行マニュアルよりも狭くなっておるんですね。見直したのに逆に狭くなってしまったと。これに対して住民から、試算の条件が恣意的ではないかと疑問の声が出ました。特に、原子力空母は二基原子炉を搭載しているのに、一基だけで事故が起きたと、こういう前提になっております。しかし、福島の事故を見ても二基同時に事故になるというわけでありますから、これは過小評価だという強い批判が出されました。  そこで、三月の第四回の検証委員会でこの試算三が示されたわけであります。これ、二つの原子炉が同時に事故を起こしたと、こういう条件にはなりました。しかし、比較対照の原発が三百万キロワットだったのが六百万キロワットに変わるというようなこともありまして、依然として現行マニュアルの枠内になっているんですね。PAZは試算三では六百四十メートル、UPZは二千八百メートルと現行よりも狭いし、原発指針から見ますと大幅に狭いと。  これ、UPZを例えば原発並みに三十キロにしますと、横須賀だけではありませんで、東京、神奈川、千葉、三都県二十市町村を含むところで対応が必要になるということですから、結局なるべく広くしないということが前提で議論をされているんじゃないかという、こういう声も出るわけですね。  様々な指摘がされておりますが、今日は二点についてお聞きいたします。  まず、原子力艦船についてはメルトダウンであるとかメルトスルー、こういう最悪の事故の想定が全くされておりません。福島ではあり得ないと言われていたメルトダウンが起きたわけでありまして、こういう想定というのは福島の原発事故に基づかない安全神話ということになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  106. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  今回の試算でございますけれども、資料にお配りいただいたとおりの試算で今回出ていっているわけでございます。今回の試算の特に二、三につきましては、専門家により認められましたスケーリングといった手法を使って試算を行っていった結果でございます。原子力艦の原子炉につきましては、商業用原子力発電所の原子炉に比べていきますと、そもそも規模も小さい、また運転状況も違っております。また、炉内に蓄積されております放射性物質の量も少ないといったところでございまして、こういった点を勘案した結果でございます。
  107. 井上哲士

    ○井上哲士君 いやいや、私は、メルトダウン、メルトスルーをなぜ想定していないんだということを聞いているんですね。  原子力空母というのは、原子炉を非常に狭い艦内に設置するために、放射能を防ぐ構造上の余裕がない、それから絶えず波とか着艦の振動にさらされています。そして、事故が起こりやすい出力の頻繁な変動を行うなど、原発よりも危険性が高いと、こういう指摘もあるわけですね。しかも、原発の場合は下にコンクリートの厚い構造がありますけれども、艦船の場合はこれはないわけですね。ですから、何かあれば、メルトダウンが起きれば艦底を貫通して爆発を起こしてしまうんじゃないか、こういう指摘もあるわけです。こういう想定をなぜしていないのかということをお聞きしています。
  108. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) 原子力艦の原子炉でございますけれども、もし究極的に必要となってくれば、緊急の冷却及び遮蔽のために海水を艦内に取り入れていきまして艦内にとどめておくといったことが可能になっているというふうに承知をいたしております。  仮に何らかの理由で海水を取り込むことができず、原子炉を冷却することができずに炉心損傷に至るような場合があったといたしましても、原子炉におきます異常事態の発生から炉心損傷、さらに環境中への放出に至るまでには相当程度の時間を要するというふうに考えられまして、その間に必要に応じてタグボートの補助を得まして原子力艦を外洋に移動させることができるというふうに考えられております。
  109. 井上哲士

    ○井上哲士君 福島の事故を見た者にとっては、何とも、そんな想定があり得るのかなということを改めて思うわけですね。何らかの攻撃による事故というものも想定もされておりません。  もう一点は、この試算の条件が、空母の原子炉の運転状況について、入港前の四日間における一〇〇%出力運転は考慮しておりますけれども、平均出力を一五%としている問題です。これは、二〇〇三年、前回マニュアルの検討のときは二五%で検討していたわけですから、これよりも後退しているんですね。この平均出力によりまして短寿命のヨウ素の内部蓄積量が変わってくるわけで、何を根拠にこの一五%に下げたんですか。
  110. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  出力につきましては、客観的に示されております事実を踏まえまして、ファクトシートにおきまして平均的な出力レベルは最大出力の一五%以下であるというふうにされております。こういったことを勘案いたしまして定めていったものでございます。
  111. 井上哲士

    ○井上哲士君 ファクトシートで言っているのは、就役期間を通じた平均的な出力レベルなんですよ。実際には、空母というのは、横須賀にいる場合も半分は原子炉を停止しているわけですね。ですから、就役期間の平均といいますと、この一五%の倍ぐらいのことを想定しなければこれはおかしいと思うんですね。  そもそも、今ファクトシートだけ言われましたけれども、住民団体の皆さんが原子力空母ジョージ・ワシントンやロナルド・レーガンの航海日誌を最近入手をされておりますが、それを見ますと、二基とも稼働しているのがほとんどです。出力は三分の一、三分の二、全出力、こういう三段階が繰り返されているわけですね。この点から見ましても、そのファクトシートだけで平均出力を一五%にするというのは、私は全く違うと思うんですね。  こういう航海日誌というのは、既にもうアメリカ海軍が情報公開しております。これを入手されているんでしょうか。それとも、ファクトシートのみに基づいて先ほどのような判断をされているんですか。
  112. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) 米軍の方から示されておりますファクトシートがございまして、それに基づきまして作業を進めていっております。
  113. 井上哲士

    ○井上哲士君 今のこの公開されている米海軍の航海日誌については全く把握されていないということですか。
  114. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) 御指摘の航海日誌につきましては、市民団体の方から要望書と一緒にいただいております。
  115. 井上哲士

    ○井上哲士君 つい最近だと思うんですね。これは、今回の見直し作業によって活用されるべき極めて重要な知見なんですよ。そういうことなしに、ファクトシートというのはうんと前の出されたもの、それだけを見てやっている、私はここに一番根本的な問題があると思うんですね。  そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、結局、米軍はこの原子炉、それから艦船の運転状況について詳しい資料を何も出さないんですね。ファクトシートだけなんですよ。それに基づいて言わば想像でやっているというところに私は一番の問題があると思うんです。  これは国民の命と安全に関わる問題でありますから、そういう必要な資料についてはしっかり出せということを外務省としてアメリカに求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 政府としましても、米国の原子力艦の安全性につきまして、米国における秘密保全に関する国内法の制約がある中ではありますが、可能な限り透明性を確保するよう米国に対して様々な機会を通じて求めてきております。  原子力艦の原子力災害対策マニュアルの改訂をめぐるこれまでの検討過程においても、作業委員会における議論を踏まえつつ、事務局である内閣府と連携し、米側に対し、周辺住民の避難等の防災対策の検討に必要となる情報について確認を行っております。  例えば、平成十八年に米側から提出されたファクトシートでは船上の緊急事態に関する記載がありましたが、周辺住民の防災対策等を検討する上で米側が具体的にいかなる緊急事態を想定しているかを把握する必要があったことから、米側に確認を行い、こうした事態には艦内火災が含まれる、こういった確認を行った、こういった事実も存在いたします。  外務省としましては、今後も、作業委員会において適切な結果が得られるよう必要な米側の協力、しっかり求めていきたいと考えます。
  117. 井上哲士

    ○井上哲士君 秘密を盾に極めて不十分な情報しか出ていないというのが実態なんです。これでは国民の命と安全は守れません。  ほかにも様々な問題が指摘をされておりますけれども、今の検証委員会だけで結論を出すのではなくて、住民団体であるとか、そして更に広い専門家の意見をしっかり聞いて検討するべきだと、そのことを強く求めまして、質問を終わります。
  118. 小野次郎

    ○小野次郎君 小野次郎です。  昨年の九月、いわゆる安保法案は極めて強行的手段によって採決され、成立したわけでございます。今日は、そういった力ずくの採決が行われただけではなくて、その裏で、甚だ後になって検証できないような不適切な対応を取っているんじゃないかという、手続の面についても指摘させていただきたいと思います。  九月十九日には安保会議の決定、閣議決定がございました。その紙は今日同僚議員の皆さんにもお配りしていますけれども、この四に、政府は、五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するものとするというふうになっています。  そこでお伺いしますけれども、この五党間の合意を踏まえて、政府部内において具体的にはどのような点について対応を行ったのか、中谷防衛大臣にお伺いしたいと思います。
  119. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしましては、昨年九月十九日の「平和安全法制の成立を踏まえた政府取組について」、これは閣議決定でございますが、そこにおきまして、平和安全法制の施行に当たって、同月の十六日に、自民党、公明党と新党改革、そして日本を元気にする会、次世代の党との間で結ばれた五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処することを明らかにいたしております。  閣議決定というのは内閣がその意思決定を行う最高の形式でありまして、政府意思決定をする方法の中で最も重い決め方でございます。その閣議決定において明らかにしている事項につきまして、政府がそれを守るというのは当然のことでございまして、この五党合意において示された事項は、今後、法律が施行され、法律を実際に適用する必要が生じた場合におきまして、政府としてその趣旨を尊重し、適切に対処するということとなるものであり、政府として閣議決定で明らかにする以上に何らかの対応を行ったというわけではございません。
  120. 小野次郎

    ○小野次郎君 この五党合意には、今日はお配りしていませんけど、合意事項というのがくっついていまして、この合意事項を読んでいくと、法律の明文には書いていない運用の仕方について一定の理解を五党の間でしたというふうになっています。  これはあくまでも五党間の合意のことなので、私は政府の方にお伺いしているんですけれども、一体この、尊重し、適切に対処すると閣議決定を行い、安保会議で決定された結果、政省令など下位法令にはこの合意事項の内容というのは盛り込まれているんですか。
  121. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、政府としては、閣議決定におきまして、この五党の合意の趣旨を尊重して適切に対処することを明らかにしております。その後、政府としては、例えば今年の一月二十日の参議院本会議において安倍総理から、政府としては、閣議決定で示したとおり、五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処してまいりますと答弁をいたしました。さらに、五党合意で示された平和安全法制に関する合意事項と同様の内容である附帯決議に関する質問につきまして、参議院の山田太郎議員の質問主意書に対する答弁書におきまして、こちらも閣議決定という形でお答えをしているところでございます。  政府といたしましては、既に閣議決定で立場を明らかにいたしておりまして、いずれ国会で御質問がされた場合にはしっかりと答弁をさせていただくということは当然でございます。
  122. 小野次郎

    ○小野次郎君 何か、質問がないので答弁はないという点をお答えになっているように思います。  そして、もう一つは、趣旨は尊重し適切に対処するということは繰り返し本会議でも答弁してきたが、私の質問は、政省令など下位法令に合意内容を盛り込んだという形跡はないように受け取りますけれども、それでよろしいですか。
  123. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 閣議決定をいたしたとおりでございまして、この五党合意に示された事項につきましては、今後、法律が施行されて、法律を実際に適用する必要が生じた場合におきまして、政府としてその趣旨を尊重し、適切に対処するということとなるものでありまして、政府としては閣議決定で明らかにする以上に何らかの対応を行ったというわけではございません。
  124. 小野次郎

    ○小野次郎君 念のためにお伺いしますけれども、政省令ではなくて、じゃ、訓令、通達、執務資料など、合意の内容をこれらに盛り込んだということはあったんでしょうか。
  125. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 閣議決定というのは非常に政府の行動を表すものでございまして、実際法律が施行された場合に、その適用を生じた場合におきましては、政府はその趣旨を尊重して適切に対処するというものになることでございます。
  126. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは別の角度からお伺いしますけれども、先ほど大臣は一月二十日の本会議の総理答弁でお答えになった趣旨を繰り返し説明されましたけれども、私の質問は違う角度からお伺いします。  この合意事項、附帯決議には同文、同じ内容が書いてあるわけですが、この内容について、逐条で国会での質問と答弁という形で記録に残されているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  127. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一月二十日の参議院本会議におきまして安倍総理から答弁をいたしましたが、さらに、五党合意で示された合意事項と同様の内容である附帯決議に対する質問がございました。これは参議院の山田太郎議員の質問主意書に対する答弁書におきまして、こちらも閣議決定という形でお答えをしているところでございます。
  128. 小野次郎

    ○小野次郎君 念のためにお伺いしますが、そうすると、議事録に残っている形でこの合意事項の各条について逐条的に問いを発し、それに対して政府見解、解釈を記録に残したということはないということですね。
  129. 芹澤清

    政府参考人芹澤清君) お答えいたします。  今大臣の方からもございましたけれども、五党合意で示されました平和安全法制に関する合意事項、これと同様の内容でございます附帯決議に関する質問が参議院の山田太郎議員から質問主意書が出てございます。その中におきまして、内容につきまして、この附帯決議そのものの全部の逐条ということではないかもしれませんけれども、中身につきまして内容を、例えば国会の承認ですとか、そういったことにつきまして個別にお答えをしているものでございます。
  130. 小野次郎

    ○小野次郎君 参考人がせっかくお越しですからお伺いしますけど、各条について、じゃ、どこにどういうふうに答えているか教えてくれますか。
  131. 芹澤清

    政府参考人芹澤清君) 山田太郎参議院議員から附帯決議に関しての質問が来てございます。これは平成二十七年の十月六日に閣議決定されてございます。  これにつきまして内容を少し御紹介いたしますと、例えば、事前承認についてというのがございますけれども、政府は、集団的自衛権を含む存立危機事態が武力攻撃事態等と重ならない場合には必ず国会の事前承認を求めるということかということが書いてございます。  これ、質問主意書でございますけれども、これにつきまして、非常に長い、読み上げますけれども、例えば、平成二十七年九月十九日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律、これ以下改正法といいます、による改正後の武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第九条第四項の規定は、武力攻撃事態又は存立危機事態において、改正法による改正後の自衛隊法第七十六条第一項の規定に基づき内閣総理大臣防衛出動を命ずるに当たり特に緊急の必要があり事前に国会の承認を得るいとまがない場合における例外的な手続も定めているが、お尋ねの存立危機事態が武力攻撃事態等と重ならない場合におけるこれらの規定の運用に当たっては、「平和安全法制の成立を踏まえた政府取組について」の下、政府としては、平成二十七年九月十六日に自由民主党、公明党、日本を元気にする会、次世代の党及び新党改革の五党により合意された平和安全法制についての合意書及び我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案に対する附帯決議の趣旨を尊重し、適切に対応していく考えであるというふうに答えをしてございます。
  132. 小野次郎

    ○小野次郎君 いずれにしても、結局、最後は尊重し適切に対処するという趣旨を繰り返し答えているということ以上に踏み込んではいないように私は受け取りました。  次の問いに入りますけれども、この五党合意に関して野党側は、自衛隊の活動に対しては国会の例外なき事前承認を勝ち取ったんだと、これを求めていて、これが可能になるんだということが前提で採決で賛成に回ったと承知していますけれども、政府はこの点について十分に認識しているんでしょうか。
  133. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 野党三党の考え方につきまして政府の立場で申し上げることは差し控えますが、この成立に際しまして、与党のみならず、日本を元気にする会を始めとする野党三党の皆さんの賛成も得て幅広い合意がされたということは大きな意義があったと考えております。  この成立前になされた五党合意の趣旨を尊重して適切に対処するということは閣議決定で明らかにいたしているところでございますが、御指摘の自衛隊の活動に関して国会の例外なき事前承認となるかについては、五党合意においても、例えば、重要影響事態において、国民の生死に関わるような極めて限定的な場合を除いてなどとされているように、例外はあり得るものと認識をされているのではないかと考えております。  また、その合意の中に、二項目めに、存立危機事態に該当するが、武力攻撃事態等に該当しない例外的な場合における防衛出動の国会承認について、例外なく事前承認を求めること。現在の安全保障環境を考えれば、存立危機事態に該当するような状況は、同時に武力攻撃事態等にも該当することがほとんどで、存立危機事態と武力攻撃事態等が重ならない場合は、極めて例外であること。  この合意文書、これにつきましても添付をいたしておりまして、閣議決定の中に、上記の五党の合意の趣旨を尊重して適切に対処するものとするというふうに文書で明記をいたしているところでございます。
  134. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、別の質問をさせていただきますが、合意書には、協議会を設置した上で法的措置を含めて実現に努力するという条項があるんですが、九月十九日以降、五党間の協議は何回行われているんですか。
  135. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 五党の合意の中に、平和安全法制に関する合意事項において、今後検討すべき事項につきましては、協議会を設置した上で法的措置も含めて実現に向けて努力を行うということとされ、平和安全法制に関する合意事項におきまして、平和安全法制に基づく自衛隊の活動に関する常時監視及び事後検証のための国会の組織の在り方、重要影響事態及びPKO派遣の国会関与強化については、本法成立後、各党間で協議を行い、結論を得るということとされているということは承知をいたしております。  この合意内容につきましては、五党間で実現に向けて努力をすべきものでございまして、御指摘の五党間の協議の状況等につきまして政府としてお答えする立場にはございませんが、その上であえて申し上げれば、そうした協議会は開催されたとは承知をされておりません。  政府といたしましては、御指摘の内容等につきまして承知はしているところでございます。
  136. 小野次郎

    ○小野次郎君 協議が進まなきゃ具体的内容が決まらないということはあるんでしょうけど、ただ、これは閣議決定して、安保会議でも決定しているんですからね。  もう一問だけ聞かせていただきますけれども、政府の方においては、じゃ、今国会会期中に法改正、修正の準備を行っているんですか、政府として。
  137. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしましては法改正のための準備などは行っておりません。
  138. 小野次郎

    ○小野次郎君 時間ですので、質問は終わりにしてまとめに入りますが、私は、この採決の手段が強行的な手段だけでなく、ある意味で人の目を欺くような詐欺的とも言っていい手段によって成立させた、内容的には違憲性が強く指摘されている安保法制は速やかに廃止して、憲法適合性の範囲内で我が国安全保障を改めて充実させる法案を出し直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  139. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 日本のこころの浜田和幸です。  まず、尖閣に関する質問なんですけれども、三月十九日付けのロシアのスプートニクというネット配信を読みますと、在ワシントンの我が国の駐在武官の山本雅史氏が、尖閣諸島に中国人の漁民を装った軍人が上陸したという証拠を入手している、アメリカともそういう情報を共有しているという趣旨のインタビュー、ディフェンス・ニュースに出たものが若干、何というかな、補足情報とともに掲載されていました。  そういうまず事実があったのかどうか、また、もしそういう事実がないにもかかわらず、そういう情報日本のワシントン駐在武官の発言として世界に配信されているとなると、これはゆゆしい事態だと思うのですけれども、もしそうであったとするならばどのような対応策を考えておられるのか、この点についてまず確認させていただきたいと思います。
  140. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の記事ですが、在米国大使館の山本防衛駐在官が米国の情報誌ディフェンス・ニュースの取材を受けて掲載された記事がロシアの通信社スプートニクのウエブサイトに引用されている、こうしたことについては承知をしております。  在米国大使館に確認をいたしましたところ、当該記事は同防衛駐在官の発言を不正確な形で引用したものであるということであります。そして、ディフェンス・ニュースに対して抗議をするとともに、当該部分の削除を求めているということであります。
  141. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、これはかなり意図的な情報操作ではないかと思われますもので、速やかな削除及び訂正を強力に申し入れていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事塚田一郎君着席〕  次に、北朝鮮に関する国連安保理の非難決議二二七〇についてお伺いしたいと思います。  この二二七〇の内容を見ますと、これまでにないような厳しい北朝鮮に対する制裁の内容となっております。そういう内容を熟読したアメリカの元司法長官ラムゼイ・クラーク氏の発言がアメリカのメディアに紹介されておりましたが、それによると、本来、世界の平和を求める国連、その国連の安保理の北朝鮮決議案というのは戦争を起こすような中身になっていると、そういう指摘があるんですね。  確かに決議案を見ると、かなり厳しい北朝鮮の経済活動ですとかそういうものを規制するという中身になっているんですが、北朝鮮が今地下の核実験を繰り返したりミサイルの発射を繰り返しているということは、こういう国際社会による北朝鮮を締め付けるような、そういうことに対する過剰反応というか、窮鼠猫をかむというような側面もあるのではないかと思われるんですけれども、アメリカの元司法長官がそういうような指摘をしているということは、やはり日本としても、この北朝鮮の動きを、対話と圧力という形で進めてきたんですけれども、圧力が余りにも強過ぎることによってかえってエスカレートしていくというような危険性があるのではないかと思われるんです。  そういう意味で第三の道というようなことも考えるべきではないかと思うんですが、その点について大臣のお考えをお聞かせください。
  142. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘決議二二七〇ですが、これは各国の独自の措置と相まって、国際社会としての北朝鮮に対する断固たる姿勢を示すものであると考えています。  我が国は、この採択に至る交渉において、安保理の非常任理事国として各国と連携をしてきました。その結果、我が国の主張も相当程度盛り込まれた強い内容になったと判断されたことから共同提案国になりましたし、賛成票も投じた次第です。  そして、これ、内容として大変強いので北朝鮮を追い込むことになるのではないかという御指摘でありますが、この決議の中身を見てみますと、北朝鮮によるこの決議の遵守の状況に鑑みて、制裁措置を強化、調整あるいは停止、さらには解除する、こういった用意があるという内容も盛り込まれています。要は、北朝鮮の対応に応じてこの決議の内容は変化する、対応する、こういった内容になっているわけであります。よって、この決議が北朝鮮を追い込むことになるという御指摘は当たらないのではないかと我々は考えております。
  143. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そう願いたいんですけれども、これは日本だけではなくて安保理の決議でございますから、アメリカがかなり中心になって進めた、そう承知しております。  そのアメリカなんですけれども、これまでやはり北朝鮮に対する核攻撃の恫喝と思わざるを得ないような発言が相次いでいるんですよね。一九九三年、二〇〇一年、二〇〇二年、北朝鮮をバーベキューのように丸焼きにするというような発言があったり、二〇〇二年のペンタゴンの文書を見ましても、北朝鮮を核の先制攻撃のターゲットに指定しているというような文書も明らかになっています。そういうようなことを見ますと、やはり北朝鮮の側からすると、自国の生存を考えた場合にどうしても核に頼らざるを得ないというような方向に動いているんではないかと思われます。    〔理事塚田一郎君退席、委員長着席〕  アメリカのプロンプト・グローバル・ストライク、これは世界どこでも一時間以内に核攻撃ができるというような力をアメリカは蓄えているわけですから、北朝鮮からすると、瞬時に自分たちの国が消滅してしまうこともあり得る、それを防ぐには自ら核を持つしかないという核のエスカレートにつながっているような気がするんですけれども、どうやれば最終的に北朝鮮が核を放棄し、あるいは世界全体から核のない世界に導くことができるのか、そういったことを平和国家日本とすればやはり世界に訴えるべきだと思うんですけれども、アメリカと同じように北朝鮮を追い詰めるだけでは本当に危険な状況になりかねないと思うんですけれども、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
  144. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま委員の方からアメリカの言動について御指摘がありました。  一方、北朝鮮の方の言動を見てみますと、二〇〇五年の六者会合共同声明において、米国は、北朝鮮に対して核兵器又は通常兵器による攻撃等を行う意図は有しないことを確認しました。そして一方、北朝鮮は、この声明において、全ての核兵器及び既存の核計画を放棄することを約束しました。にもかかわらず、北朝鮮は自らの約束を破り、二〇〇六年十月に核実験を実施した。こういったこともありました。  そして、それを受けて、同月に採択された安保理決議一七一八号を始めとする一連の安保理決議、北朝鮮に対して核実験や弾道ミサイル技術を使用した発射を実施しないように求めていますが、北朝鮮はその後、累次の安保理決議にも明白に違反して、核実験、弾道ミサイルを繰り返しています。  そして、本年に入ってからも四回目となる核実験あるいは弾道ミサイル発射、これを強行しています。そして、決議が採択された後も、核・ミサイル開発を放棄する姿勢を示すことなく挑発的な行動を行っています。  我が国として、こうした北朝鮮の言動を断じて容認することはありません。こうした状況の中で、米国が北朝鮮に対する独自の制裁を科すとともに、安全保障分野での備えを強化していること、このことにつきまして我が国は支持をしております。
  145. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今回の決議案の中で、北朝鮮の企業のオーシャン・マリタイム・マネジメント・カンパニー、通称OMM、それの航行に関する規制ということがうたわれているんですが、これ、中国がこのOMMについての解除の要請をしたことによって、三十一の船舶のうち四つの船に対する言ってみれば制裁が解除された、昨日、おとといの話ですけれども。  ですから、これ何か、せっかく国連の安保理で中国も同意をしてそういう制裁が決定したにもかかわらず、中国が少し水面下でいろんな働きかけをするところっと抜け道ができてしまうというような状況は、これは我が国としても国連決議の有効性というものが疑われるということになりかねないと思うんですが、そういうことについては大臣はどういう具合に受け止めておられますか。
  146. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回の安保理決議につきましては、採択されたことは評価しておりますが、この実効性をどう確保するか、これが大事だと思います。その際に、北朝鮮と経済を始め深い関係にある中国の役割というのは大変大きいものがあると認識をしております。ただ、中国のみならず、各国がしっかりと連携して実効性の確保に努めなければなりません。  安保理の下部機関に北朝鮮制裁委員会、一七一八委員会というものが設けられているわけですが、各国が措置を効果的に実施するために取った行動及び制裁違反に関する情報収集、検討を行う組織とされています。また、その委員会には専門家パネルということで、決議の履行の改善を勧告する、こういった役割を担っている組織もあります。この専門家パネルには日本人も一人参加しているということであります。  是非、こうした仕組みもしっかり活用し、我が国も貢献することによって、この安保理決議の実効性、確保していきたいと考えます。
  147. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 せっかくのそういう制裁が採択されても、その抜け穴をきちんと塞いでおかなければ北朝鮮に対する圧力にはならないと思うんですね。  それとの関連で、北朝鮮が六者協議に参加していない国々との間の経済関係を極めて強化しているという報道が相次いでいます。  一昨日のジャパン・タイムズの報道でも、例の金正恩さんが名指しで造ったスキー場、このマスクパススキー場にはイギリスのツアー会社が何千人とツアー客を連れてきている。そういうところが外貨をどんどん落としている。また、イギリスの会社が北朝鮮の水をメード・イン・コリアと称してアメリカにどんどん売っている。そういう状況があれば、この経済制裁なんかちっとも怖くないという具合に北朝鮮が誤解をする、あるいは国際社会の制裁を過小評価するということになると思うんですね。そういう意味で、六者協議に参加していないヨーロッパの国々や、場合によってはアメリカの企業も北朝鮮の支援に対する関心を高めているという報道もあります。  そういうことに対して、日本とすれば、どうやって北朝鮮の動きを牽制できるような活動をしていくのかどうか、そこをやっておかないと、拉致の問題も含めてなかなか北朝鮮が日本に目を向けないということになると思うんですけれども、大臣、お考えをお聞かせください。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今般の安保理決議二二七〇号ですが、これは六者会合に参加している国のみを縛るものではなくして、これは国連の安保理決議でありますので、国連加盟国に対して働きかけるものであると認識をしております。よって、六者会合に参加していない国に対しても、先ほど申し上げました一七一八委員会を始め、様々な仕組みを通してこの決議の実効性の確保を確認していかなければなりません。  是非、しっかりとした実効性が確保されるように、我が国としてもしっかりと貢献をしていきたいと思いますし、結果を出していきたいと考えます。
  149. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  150. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があればどこへでも行けるという、昔こんな言葉がはやりましたね、狭い日本、そんなに急いでどこに行くと。オバマ大統領、急いでキューバかなと。  キューバとの関係も昨日お話ししましたので、今日は、二十八年度の防衛関係費が五兆円を超えたということで、過去最高ということなんですが、本当に世界の軍備がますます進化して、本来なら戦争がなくなる時代、逆戻りして、戦後七十年、ますます対立構造ができているというのが現状かなと思います。日本もそれに対して装備の拡充を図るのは分かるんですが、より慎重で効率的な施行をお願いしたいと思います。  二十八年度の主な事業周辺海空域における安全確保が挙げられていますが、これは日本海や東シナ海海域の警戒監視能力強化を目的としているものと認識しています。北朝鮮対策としてイージス艦が六隻から八隻に、尖閣諸島、島嶼部安全確保のために戦闘機が六機から追加するのも、現状を鑑みれば世界の流れかなという気もいたしますが、また「そうりゅう」型を含む潜水艦は十六隻から二十二隻に増えています。  「そうりゅう」型の燃料が、現在リチウムイオン電池が使用されていますが、近い将来、水素を燃料としたシステムになると軍事に詳しい人から伺いましたが、防衛大臣にお聞きいたします。「そうりゅう」型の燃料システムの変更を検討しているのか、水素式が採用されるとするならばいつ頃になるのか、膨大な費用を掛けて取得した潜水艦が無駄にならないように既存の潜水艦の燃料システムの変更は可能なのか、また潜水艦の耐用年数についても併せてお答えをください。
  151. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) まず、「そうりゅう」型潜水艦につきましては、これまで鉛蓄電池とスターリング・エンジン、これを搭載しておりましたが、先ほど委員指摘のとおり、平成二十七年度以降に建造いたします「そうりゅう」型につきましては、これに替えましてリチウムイオン電池を搭載することとしております。それによりまして、これまでの「そうりゅう」型に比べまして水中持続力等の向上を図っているところでございます。現時点においては、潜水艦のこの燃料システムについて更に変更を加えるということについては検討いたしておらないところでございます。  その上で申し上げますと、御指摘の水素を燃料としたシステムへの変更につきましては、平成十八年度から平成二十二年度にかけまして、「そうりゅう」型潜水艦の後継艦への適用を見据えまして、燃料電池を用いて発電効率等の向上を図った新型のAIPシステムを研究いたしておりました。ただ、水素を貯蔵するための水素吸蔵合金、これが予想よりも高価となりまして、研究から開発への移行は見送ったところでございます。  それから、既存の潜水艦の燃料システムの変更ということについて申し上げますと、一般論で申し上げますと、潜水艦はその性質上、搭載できるスペースが限られておりまして、また水中における耐久性を保持する高度な設計技術が必要であるということですので、大幅な改修を要する電力源のシステム変更というのは困難と考えております。  また、潜水艦の耐用年数、これにつきましては、個別の艦艇ごとに船体、エンジンなどの腐食状況、劣化の状況、そういったものについて技術的な調査を行いまして、その結果を参考に個々に除籍時期を決定しているところであります。ただ、おおむねで申しますと十八年程度運用しているというのが現実でございまして、更に艦齢延伸のための改修を行うことによりまして約二十四年程度運用が可能となるという状況がございます。  以上でございます。
  152. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、無人機、最近よく耳にする無人機ですが、装備品の中に滞空型無人機、グローバルホークの取得とありました。このグローバルホークについて、特に入手した場合のメリット、どのような場合で使用する想定なのかを踏まえ、できるだけ詳しくお聞かせください。
  153. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 滞空型の無人機のグローバルホーク、これにつきましては、例えばP3Cといった通常の航空機が滞空時間は約十時間程度でありますところに対しまして、約三十六時間という長時間飛行できる高い滞空能力を有しております。また、搭載された電子光学カメラあるいは赤外線カメラによりまして、高高度から、夜間あるいは悪天候下におきましても、相手国及びその周辺における艦艇、航空機の状況を的確に把握する能力を有している、こういった特徴を有しているところでございます。  従来の情報収集につきましては、例えばAWACSあるいはP3Cなどによりまして、我が国周辺海空域において行動中の艦艇、航空機、これらを発見することによりまして対処することとしておりますが、グローバルホーク導入後におきましては、広範囲における常時継続的な情報収集体制構築されることによりまして、相手国及びその周辺における艦艇や航空機の状況、あるいは各種事態等兆候を察知することが可能となるところでございまして、これによりましてより適切な政策決定あるいは任務遂行が可能となるというメリットがあると考えております。  更に申しますと、グローバルホークは、現有の装備品では十分に実施することが困難な我が国領海、領空から比較的離れた地域での情報収集、あるいは事態が緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視などの場面で使用することを想定しているところでございます。
  154. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 現実には、パキスタンもそうですが、ノーベル賞を取ったマララ女史も、是非アメリカにそれをやめてくれという注文を付けたようですが。  次には、宇宙監視ということで、宇宙監視に関わる取組についてお聞きしたいと思います。  日米連携に基づく宇宙空間状況把握に向けた準備態勢強化とあります。以前、アメリカのNASAによる地球防衛軍について質問もさせてもらいましたが、今回は、防衛省の資料を読む限り、NASAの計画と類似点が多く見られます。そこで、日米連携に基づくとは具体的にアメリカのどの機関との連携になるのか、お聞かせください。
  155. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 最近、宇宙空間におきまして、デブリといいますけれども、宇宙ごみ、また衛星の対兵器が開発中でありまして、安定的に宇宙を利用するために、SSAといいますけれども、スペース・シチュエーショナル・アウェアネスということで、宇宙状況監視、この能力向上を図るということが重要でございます。  このSSAにつきまして、米国では、戦略軍統合宇宙運用センター、JSpOCといいますけれども、これが実施しておりまして、防衛省としては、今後、宇宙監視システムを整備運用するに当たってはこのJSpOCと緊密に連携をしていきたいと考えております。日米間で今協議の枠組みということで日米宇宙協力ワーキンググループ、こういう場を活用いたしまして今検討しているところでございます。
  156. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 私も、八九年に議員をやっているとき、宇宙ごみの話を随分真剣に取り組んで、北方領土にその宇宙ごみの回収基地を造ったらどうかとロシアの要人にお話ししたことがありますが、本当に今、私が何か言うと二、三十年早いことがあったり、今本当に大変な問題になっています。是非その辺を、また日本としてもできる限りのことを協力していただきたいと思います。  次に、戦略的対外発信。まず、昨年度から大きく予算が付けられている戦略的対外発信についてお伺いをいたします。  まず、親日派知日派育成とありますが、二十七年度以前は、各国のマスコミや有識者の働きかけが中心で、国際論争になった際に日本の言い分を理解してくれる国を増やしていく動きがあったと認識しています。今後は、戦略的対外発信によって、農業の技術習得やスポーツ外交など交流を通して日本についての理解を深めてもらいたいと思います。帰国後、交流を継続していくことで日本の良さを広めてもらう狙いがある、そういう中で、ある意味、民間に向けたロビートークを展開していくことが大事かと思います。  慰安婦の問題、記憶に新しいですが、史実や日本の本当の知らない外国人が間違った日本の姿を理解されている、そうでなければいいんですが、外務大臣にお聞きいたしますが、一過性でなく、確実に親日派知日派を増やしていくためにどのような施策があるのか、具体的に説明してください。
  157. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、一過性でなく長期的な視野に立って親日派知日派を増やしていくという取組、これは広報文化外交推進していく上でも大変重要な取組であると認識をしております。  このような認識の下に、従来も在外公館を通じまして様々な文化行事等を実施してきたわけですが、戦略的対外発信予算、これを活用しまして、一つ日本語教育拠点の抜本的拡充二つ目として親日派知日派育成のための交流拡充、そして三つ目として日本研究支援実施、こうした取組実施しております。  日本語教育拠点の抜本的拡充としましては、世界各地に存在する日本語研究機関のネットワーク、さくらネットワークと呼んでおりますが、これを百二十七から二百八十三に拡充し、そして支援実施するということ。また、親日派知日派育成のための交流拡充につきましては、招聘派遣事業一つとして将来を担う人材の交流プログラム、従来から行っておりましたが、その実施地域を拡大していく。さらには、外国人留学生JETプログラムの参加者について、帰国留学生会、元JET参加者の会、こうした会の組織化に努めていく。また、スポーツ選手やコーチの派遣や招聘なども実施する、こういった内容を盛り込んでおりますし、三つ目日本研究支援については、米国のコロンビア大学、マサチューセッツ工科大学、ジョージタウン大学を始め、世界の主要大学等において日本政治、外交など現代日本に関する研究を支援していく、こういった内容を盛り込んでおります。  是非、こういった取組を通じても、確実に親日派知日派、増やしていきたいと考えます。
  158. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間もなくなってきましたので、分担金についてちょっとお聞きしますが、いつも思うことは、日本は真面目に国連に分担金を払って、アメリカは滞納している、中国は僅か、ロシアも僅か、そういうあれを見たときに、日本の発言もなかなか世界に届かないということを感じておりますけれども。  そんな中で、時間も来ましたので、本当にこれから、外務大臣伺いますが、今後日本の発言力を維持していくためにもしっかりもっと世界に分担金をアピールすべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
  159. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 二〇一六年から一八年の国連通常予算分担金につきましては、我が国の分担率、一〇・八三三%から九・六八〇%に下落をいたしましたが、ただ、引き続き米国に続いて第二位となっております。  そして、こうした財政的な貢献、もちろん大事ですが、我が国は、あわせて、平和と安全、核軍縮・不拡散、平和構築環境開発気候変動、人権など、人的、知的貢献を含めて様々な貢献を行ってきていると自負をしております。国連安保理常任理事国にも就任しました。国連安保理改革にも積極的に役割を果たしていきたいと考えます。  また、今日も議論になりました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダ、これにも積極的に関与していきたいと存じます。  こうした具体的な人的、知的貢献も含めて、積極的に我が国は貢献をしていきたいと考えております。
  160. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 終わります。ありがとうございました。
  161. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、女性差別撤廃条約、日本政府報告審査最終見解について質問いたします。  女性差別撤廃委員会が、今月の七日、第七そして八回日本政府報告審査最終見解を公表いたしました。肯定的な評価がある一方で、五十一項にわたる懸念と勧告が示されました。まず、女性の婚姻年齢の引上げ、それに選択的夫婦別姓の導入、再婚禁止期間の撤廃などの民法改正とマイノリティー女性に対する差別撤廃がフォローアップの対象となっています。  このフォローアップ制度は、勧告の履行を確実なものにするため、特定の項目を二年という期限を区切って報告を求めるもので、民法改正は、前回の二〇〇九年に続き、今回もフォローアップの対象とされました。この制度は二〇〇八年に新たに導入されましたが、日本政府は、フォローアップ対象となっても差別撤廃を行わないために、制度を形骸化させているというふうに指摘されています。批判もされています。このことについて、岸田大臣の御見解をお伺いいたします。
  162. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 三月七日、国連の女子差別撤廃委員会から、女子差別撤廃条約の我が国における実施状況に対するフォローアップ事項を含む最終見解が発表をされました。最終見解、法的拘束力を有するものではありませんが、我が国は誠実に対応してきております。  前回、二〇〇九年ですが、最終見解が出されています。二〇〇九年の最終見解指摘されたフォローアップ事項のうち、今回の最終見解でも再度フォローアップの対象になったものが、ただいま委員から御紹介がありました、婚姻年齢の男女差をなくすこと、あるいは選択的夫婦別氏制度の採用、女性に対する再婚禁止の廃止を内容とする民法及び戸籍法改正の勧告、こうしたものに関しましては、前回の最終見解の発出後、二〇一一年八月にフォローアップ事項に関する日本政府のコメントを委員会提出し、同年十一月に同コメントに対する委員会からの見解が出されました。これに対しまして、さらに二〇一二年十一月に日本政府から追加情報提供を行い、これに対して二〇一三年九月に委員会見解が示される、こういったやり取りがあった次第であります。  このように、指摘された事項につきましては、累次情報提供を行うなど誠実に対応を行っている次第であります。
  163. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 国連のこの制度を形骸化させ、人権後進国と言われることのないようにしていただきたいということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、代執行訴訟暫定和解案、この受入れに係る埋立工事の中止について質問したいと思います。  今月四日、日本政府と沖縄県は、名護市辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部が示した和解案を受け入れ、和解が成立いたしました。和解案は沖縄防衛局長に対し埋立工事の即時中止を求めており、これを受けて沖縄防衛局は埋立工事を中止いたしました。和解案受入れに伴う日本政府と沖縄県の協議が本日始まりましたが、政府が県民の声に真摯に耳を傾け、辺野古新基地建設計画を撤回することを強く望み、次の質問をいたします。  まず、協議が公正に行われるためには、議事録の作成と公開が必要であります。議事録を作成し公開されるのかどうか、中谷防衛大臣にお伺いいたします。
  164. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 本日、総理大臣官邸におきまして、沖縄、政府の協議会が開催されまして、私も出席いたしました。本日の協議におきましては、普天間飛行場の五年以内の運用の停止、普天間飛行場負担軽減推進会議の存続、北部訓練場の早期返還、和解協議の進め方が取り上げられました。この協議におきましては、普天間飛行場の危険性の除去と辺野古移設に関する政府の考え方や、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の考え方等につきまして協議をしたところでございます。  この協議におきましては率直な意見交換を行うということにしておりまして、今後政府と沖縄県との間におきまして協議をしていくわけでございますが、お尋ねの件につきまして、これらの点も考慮しつつ、沖縄県と協議しながら適切に対応してまいりたいと思っております。協議の内容等につきましては、会見等で適時お答えすることになると考えております。
  165. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 前回もそうでしたけれども、きちんと議事録の作成を改めてしていただきますように、そしてこれをもう一度、メディアでもちゃんと会見されていますけれども、きちんと公開をしていただくように改めて強く要望したいと思います。  次に、沖縄防衛局は、政府のこの和解案の受入れをした後、大浦湾の埋立工事に関係する全ての工事を中止しているのでしょうか、また埋立工事に関連する資材調達などは中止しているのでしょうか、防衛省にお伺いいたします。
  166. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 三月四日でございますが、政府として、福岡高裁那覇支部の和解勧告を受け入れまして、沖縄県と和解することを決定いたしまして、防衛省といたしましても、埋立工事を直ちに中止することといたしまして、資材調達などを含みます各種の現場での作業というものも現時点で中止をしておる状況でございます。また、埋立土砂につきましては、現時点において具体的な採取場所等まだ全てが決まっているわけではございませんこともありまして、これまでも採取とか調達等の実施はいたしていないところでございます。  他方におきまして、この埋立工事とは別に、キャンプ・シュワブ内において代替施設の飛行場区域とは異なる区域におきまして、代替施設の建設事業とは直接関係のない各種の建物の整備工事等も実施してきておるところでございます。  和解に伴います防衛省の対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者間の認識に異なることがないように、和解条項の内容をよく確認した上で適切に対応していく考えでございます。  いずれにいたしましても、防衛省としましては、今回の和解内容については全て誠実に実行していく考えでございます。
  167. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 大浦湾の埋立てには沖縄県内や日本各地から土砂が採取されて調達されることになっているわけですけど、工事の中止を受けて埋立土砂の採取、調達も中止したのかどうかお伺いしようと思っていたところ、もう既にお答えがありましたので、これは元々やっていないということでよろしいんですね。  じゃ、次に参ります。  沖縄防衛局は、埋立工事準備のためのボーリング調査の船舶やオイルフェンス、そして臨時制限区域を示すフロート、それからブイ、コンクリートブロック、また、キャンプ・シュワブ前の山形鉄板、フェンス等を撤去されたのでしょうか、防衛省にお伺いいたします。撤去されていない場合はその理由もお示しください。
  168. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、防衛省といたしましては、先ほど申し上げたように、和解決定を受けまして埋立工事を直ちに中止することといたしました。その上で、その他のボーリング調査、キャンプ・シュワブ陸上部における工事、そういった各種の現場の作業、これにつきましても現時点で中止している状況でございます。  今後の対応ということ、具体的な対応につきましては、和解の当事者間の認識に異なることがないように、和解条項の内容をよく確認した上で適切に対応していくという考えでおるところでございます。
  169. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今質問を申し上げましたけれども、山形鉄板とかフェンス等は撤去されたのでしょうか。
  170. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 現時点では、繰り返しになって恐縮ですが、各種の現場の作業を中止しているということでございます。例えば、フロートとかブイといったものにつきましては撤去という新たな作業は行っていないということでございます。
  171. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 埋立工事、そのことに関する和解案を受け入れて全てを中止するのであれば、是非そういうのも撤去していただくように申入れをしたいというふうに思っております。  それから、沖縄防衛局がキャンプ・シュワブ陸上部にコンクリートプラントの設置工事を進めているのではないかというふうにメディアを通して報じられておりますけれども、これはどうなっているのでしょうか。
  172. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) キャンプ・シュワブ内におきましては、代替施設の建設事業とは直接関係のない建物を機能的かつ効果的に再配置するということのために、平成十九年度以降、代替施設の飛行場区域とは異なる区域におきまして隊舎等の整備に係る工事を実施してきております。また、そのための生コンプラントの設置も計画をいたしております。  一方におきまして、先日の和解決定を受けまして、防衛省として埋立工事を中止することとしたところでございまして、その他の生コンプラントの設置を含むキャンプ・シュワブ陸上部における工事など、各種の現場での作業も現時点で中止している状況でございます。  先ほどの繰り返しになりますが、和解に伴う防衛省の対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者である沖縄県側の認識と異なることがないよう、よく確認し、適切に対応してまいります。
  173. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ただいまお答えがありましたけれども、キャンプ・シュワブの陸上部にコンクリートプラントの設置工事、これがあるのではないかというふうに報じられておりますが、それはないということでよろしいですね。
  174. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 先ほどの答弁の繰り返しになって恐縮でございますが、隊舎等の整備に係る工事を従来から実施してきておりまして、キャンプ・シュワブ内におきましてですね、そのための生コンプラントの設置も計画はいたして持っております。
  175. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 沖縄県にとりましては、県知事を始めとして県民の八割が辺野古の新基地建設というのは反対をしております。裁判を取り下げて和解案を受け入れたわけですから、こういうことから考えても、埋立工事は全て中止をする、そしてそれ以外の基地建設工事は進めないというのが、その和解案を受け入れた知事の立場だというふうに思います。  そういうことを考えていきますと、今日から話合いが始まっているわけですが、防衛大臣にお願いを改めてしたいと思います。先ほどの交渉の中身に関しましては、しっかりと議事録を作って県民にも国民にも公表することを強く申入れをしたいと思います。  そういうことであれば、この基地建設工事は、和解案は受け入れたけれども、それを進めるというような状況であれば、決して沖縄県民は政府を信用しない、そういう立場に立つと思いますが、その件に関して防衛大臣の御見解を改めて伺いたいと思います。
  176. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今後の進め方につきましては沖縄県側と引き続き話し合っていくということになりまして、政府としても誠実に対応してまいる所存でございます。  そして、協議におきましては率直な意見交換を行うことといたしておりまして、今後、政府と沖縄県との間におきましても真摯な姿勢で協議をして対応していきたいと考えております。
  177. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今後、またこの協議の結果については改めて質疑をさせていただきたいと思います。  以上です。終わります。
  178. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 以上をもちまして、平成二十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会