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2016-03-10 第190回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 正久君     理 事                 古賀友一郎君                 塚田 一郎君                 三木  亨君                 榛葉賀津也君                 荒木 清寛君     委 員                 片山さつき君                 中曽根弘文君                 中原 八一君                 大野 元裕君                 北澤 俊美君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 井上 哲士君                 小野 次郎君                 浜田 和幸君               アントニオ猪木君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    大臣政務官        外務大臣政務官  山田 美樹君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       谷脇 康彦君        内閣大臣官房        審議官      福井 仁史君        法務大臣官房審        議官       佐々木聖子君        外務大臣官房審        議官       水嶋 光一君        外務大臣官房審        議官       中村 吉利君        外務大臣官房審        議官       垂  秀夫君        外務省北米局長  森  健良君        外務省経済局長  金杉 憲治君        外務省領事局長  能化 正樹君        国土交通省水管        理・国土保全局        次長       野村 正史君        防衛省防衛政策        局長       前田  哲君        防衛省整備計画        局長       真部  朗君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官谷脇康彦君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 藤田幸久

    藤田幸久君 おはようございます。民主党の藤田幸久でございます。一時間よろしくお願いいたします。  まず、資料をお配りしておりますけれども、昨年、外務省ホームページの中で歴史問題QアンドAという部分が削除をされ、一か月ほどでございますけれども、その後、復活をいたしました。  まず、外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、このホームページ、一旦削除されたのがいつで、復活したのがいつなのか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘歴史問題QアンドAですが、昨年八月十四日から改訂作業を行いました。そして、同年九月十八日に外務省ホームページに新たなものを掲載いたしました。
  7. 藤田幸久

    藤田幸久君 なぜこのQアンドAというものを変えなければいけなかったか、理由をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年八月十四日に内閣総理大臣談話発出をされました。この内閣総理大臣談話内容を踏まえたものにするため、従来のものを整理し直し、掲載する内容について精査を行い、改めて掲載をしたということでございます。
  9. 藤田幸久

    藤田幸久君 今日資料をお配りしておりますけれども、大きく変わったところを三つほど挙げさせていただきました。左側が八月十四日まで、右側が九月十八日以降でございます。  一番上の問い一、さき大戦に対して、日本政府はどのような歴史認識を持っていますかという質問に対して、左側、つまり八月十四日までは、我が国は、かつて植民地支配侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国人々に対して多大な損害と苦痛を与えました、あるいは、その右の方で、痛切なる反省と心からのおわび気持ちを常に心に刻みつつ、等が入っております。  ところが、右へ行って、私も九月十八日、びっくりしたんですけれども、日本政府歴史認識については、これまで戦後五十年にはいわゆる村山談話、いわゆる小泉談話が出されていますが、それに加え、八月十四日、内閣総理大臣談話が閣議決定されました、談話内容については、次のリンクを御覧くださいと三つアドレスが載っています。  つまり、先ほど大臣おっしゃったように、七十年談話理由で削除して、復活をした。この右側の新しいものには安倍総理がどういうふうに考えたかという主語が入っておりません。しかも、村山談話小泉談話という固有名詞が入っているのに対して、今回は安倍総理という名前が入っておりません。内閣総理大臣談話が閣議決定されましたと。つまり、主語がないのでございます。  かつ、左にございますような、これは村山談話小泉談話だけではなくて、歴代日本中曽根総理あるいは小渕総理宮澤総理、ほかの方々が踏襲されてこられました言葉が抜けているんですね。三つリンクを見てくださいということは、皆さん方判断してくださいと言っているわけですから、安倍総理なり今の政府の主観あるいは姿勢というものが反映されていない。何でこういうことになったんでしょうか。
  10. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 歴史問題QアンドAですが、先ほど申し上げましたように、八月十四日の内閣総理大臣談話内容を踏まえたものにしなければならないということで作業を行いました。  そして、御指摘問い一の部分等につきましても、要は、この談話全体としてのメッセージが重要だということを判断いたしました。今回の総理談話ボリュームにつきましても過去の談話と比べまして大変大きなものであります。全体としてのメッセージが重要であるということから、談話全体についてリンクを張って掲載する、こういったことを行った次第であります。  この談話発出前のQアンドA発出後のQアンドAでありますが、基本的な認識については変わらないと思っています。歴代内閣立場を全体として引き継いでいるということ、あるいは我が国さき大戦においての行いについて繰り返し痛切な反省と心からのおわび気持ちを表明してきた、そして、その思いを実際の行動で示すため、隣人であるアジア人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫してその平和と繁栄のために力を尽くした、この点においてはQアンドA、その改訂前と改訂後、変わりはないと認識をしております。
  11. 藤田幸久

    藤田幸久君 であるならば、今おっしゃったことをそのまま書けばよろしいわけで、それをあえて書かないでリンクだけ載せてあること自体が非常に大きな違いでありまして、ボリュームのことをおっしゃるならば、別に今までだってそのリンクを載せればいいだけのことであって、今回あえてそれを直接表現せずにリンクを載せていること自体がいわゆる表現をしたくないということだろうと思っております。  それから、二番目の問い二のところでございますが、これも植民地支配侵略といった具体的な言葉が八月十四日まで書いてあることと同時に、韓国との間ではこういう様々な信頼醸成活動をしてまいりました、中国との間でもこういうことをしてまいりましたと書いてございますけれども、今回はそれが抜けているわけでございます。しかも、またこれを見ておりますと、村山談話小泉談話という固有名詞が入っているのに対して、今回は内閣総理大臣談話の中でと書いてありまして、内閣総理大臣はと主語になっておりません。したがって、今回も安倍総理談話というふうに固有名詞が抜けているわけです。しかも、主語がないということは、いかに今回の、つまり八月十四日以降はこの歴史問題に対して姿勢が違うかということ、これ読めば明らかでございます。  なぜこういうことになってしまったのか。これは外務省ホームページでございまして、対外的に発信、国民の皆さんが見るわけですけれども、これだけ違ってしまったということをもう一度御説明をいただきたいと思います。
  12. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘部分、七十年談話発出前と発出後のこの違いですが、要は、発出前につきましては過去の様々な動きについて列挙するような内容になっております。その後、大分年月がたっております。そういったことから、その辺りを整理した上で、改めてこのQアンドAの答えを掲載したわけですが、その中にありましてもこの基本的な部分は変わっていないと存じます。歴代内閣立場を全体として引き継ぐということ、痛切な反省と心からのおわび、こういった点につきましてはこの談話発出後の部分においてもしっかり明記をしております。基本的な部分は変わりないと認識をしております。
  13. 藤田幸久

    藤田幸久君 まず一番目は、談話が閣議決定されましたと、安倍総理がこういうふうに感じましたとは言っておりません。それから二つ目のところも、内閣総理大臣談話の中で明確にしましたと書いてありまして、主語が入っておりません。ですから、認識が同じならばそう書けばいいわけで、それが書いてないということは明らかに内容が違っているということを指摘しておきたいと思います。  そして、最後に申し上げますが、もう一度、この削除されていたQアンドA復活したのが九月の十八日でございます。私、その前に何回か委員会で、なぜ早くこの削除したホームページ復活しないんですかというのに対して、今準備をしておりますと言っておりまして、九月十八日にこの新しいホームページができたわけですが、九月十八日というのはあの歴史に残る強行採決がございまして、第一委員会室で、議場で、速記録等見ましても採決がない、あの歴史的な強行採決が行われたその日にこのホームページ復活をしていると。まさに、その強行採決といいますか、安保法案のためにこのホームページを削除していたという事実関係があるということも指摘しておきたいと思います。  一方で、三つ目でございますけれども、慰安婦問題に対して日本政府はどのように考えておりますかとございますが、この右側に書いてありますことと、昨年十二月にこの慰安婦問題に対して日韓合意ができましたけれども、その関係については記述がありませんが、いかがでしょうか。
  14. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 慰安婦問題につきましては、まず、QアンドAにおきましては、この慰安婦問題に関する日本政府の基本的な考え方、これは変わりはないということであります。そして、これは今委員からも御紹介いただきましたように、これは昨年九月十八日に外務省ホームページに新たに掲載したものであります。日韓合意につきましては昨年十二月二十八日ですので、日韓合意につきましては事後速やかに外務省ホームページ、この他の部分にしっかり掲載をしたという次第でございます。今後、QアンドAへの記載につきましては適切に検討したいと考えます。
  15. 藤田幸久

    藤田幸久君 十二月二十八日からもう二か月以上たっておりますので、この部分も、せっかくでございますから、この日韓合意について是非記載をされますことを要望しておきたいと思います。  さて、続きまして、今朝五時頃でしょうか、北朝鮮による新たなミサイル発射があったというふうに聞いております。この二発のミサイル発射に関しての事実関係と、それに対する政府対応についてお答えをいただきたいと思います。
  16. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現時点まで得られた情報を総合的に勘案いたしますと、北朝鮮は、本日五時二十二分頃及び五時二十七分頃、北朝鮮の西岸の南浦付近からそれぞれ一発弾道ミサイル東北東方向発射した模様です。発射された弾道ミサイルは約五百キロメートル飛翔し、日本海に落下したものと推定をされます。なお、詳細につきましては現在分析中でございます。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 本日早朝のこの弾道ミサイル発射ですが、これは累次の安保理決議に違反するものであります。我が国としまして、この北朝鮮による挑発行為のエスカレートは、我が国及び地域の安全を脅かすものとして強く非難をいたします。外務省としましては、北朝鮮に対しまして、本日八時十七分頃ですが、北京大使館ルートを通じまして抗議を行いました。  引き続きまして、安保理の場を含め、同盟国たる米国韓国を始めとする関係国と緊密に連携し、関連情報の収集等しかるべき対応に努めていきたいと考えます。
  18. 藤田幸久

    藤田幸久君 大変ゆゆしき事態でございますので、是非適切な対応をしていただきたいと思っております。  そこで、先日、国連安保理におきまして北朝鮮に対する制裁決議案が通ったわけでございます。この背景として申し上げておきたいのは、二〇〇九年の第二次核実験以来、中国は、まずアメリカとの二国間で決議案を詰める、これは安保理の外でですね、米中間で合意した決議案採択の直前に安保理に届けて、ほかの理事国はそれを受け入れるというパターンが続いているのではないかと、その認識から質問いたします。  ですから、米中間の交渉というのは、ニューヨークではなくて、ワシントンなり北京なり首都ベースで行われているために、決議の条項がどんな内容かということも分からないまま実は出てきてしまっている。だから、今回も内容について事前にメディアになかなか伝わらなかったというのも、そういう背景ではないかというふうに私は認識をしております。  その上で質問いたしますが、日本政府決議日本政府の意思が十分反映されたと言っておられますが、具体的にどの部分日本政府意見が反映されたのか、お答えをいただきたいと思います。
  19. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今般の北朝鮮への制裁に関する決議第二二七〇号ですが、北朝鮮による核実験、そして弾道ミサイル発射、これを安保理決議違反と認定し、強く非難をし、そして貿易、金融、人の往来、航空海上輸送等に関する措置の大幅な追加、強化を定めています。これが全会一致採択されたということで高く評価しているわけですが、その中で我が国意見がどのように反映されたかという御質問でございます。  具体的にどの部分がどうだということは外交上のやり取りに関しますので控えさせていただきますが、我が国としまして米国等と精力的に協議を行いました。そして、結果として、この制裁につきましては、特に強化された部分として、例えば特定天然資源北朝鮮からの輸出禁止、そして航空燃料北朝鮮への輸出禁止北朝鮮銀行支店等の開設及び北朝鮮銀行との取引関係の維持、確立等禁止、あるいは北朝鮮関連の全ての貨物の検査実施、こういった辺りが特に強化された分野として挙げられると認識をしています。
  20. 藤田幸久

    藤田幸久君 その強化部分は一番米中間で詰めたのじゃないかと思うんですけれども、この決議内容を把握されたのはいつ頃でしょうか、具体的にお答えください。
  21. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の決議採択に向けての作業ですが、一月六日に北朝鮮による核実験が発表された後、安保理緊急会合が開催され、そして作業を開始することで一致をし、作業が進められ、安保理として強い措置を含む決議採択を目指してきたということであります。  そして、我が国としてこの内容についてどのように把握してきたかという御質問でございますが、安保理のメンバーには、採択前、二月二十五日に非公式会合が開かれまして、その際にこの情報が明らかにされています。我が国は、少なくともそれ以前に米国等と緊密に連携をしてきた次第であります。そうした形で、我が国もこうした強い措置を含む決議採択に向け貢献してきたと認識をしております。
  22. 藤田幸久

    藤田幸久君 今回の制裁が成功するかどうかは中国制裁を本当に実施するかどうかに懸かっていると思っておりますけれども、これまで安保理は、制裁決議制裁実施状況を監視、分析するための専門家パネルを設置をし、定期的に報告を受けているわけですが、例えばこういう専門家パネルが中朝の国境地帯中国側を視察できるとか、そういったことを日本が主張されたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
  23. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今般採択されました決議二二七〇号ですが、我が国としましては、我が国独自の措置を発表したわけですが、我が国措置をしっかりと講じていくことと併せてこの決議を全面的かつ厳格に履行していく、これが重要であると認識をしております。  そして、決議履行につきましては、安保理下部機関であります北朝鮮制裁委員会、一七一八委員会が設けられ、そして各国がとった制裁措置及び制裁違反に関する情報等検討を行い、そして御指摘のこの同委員会専門パネル決議履行を改善するための勧告を行う、このようにされております。  この専門家パネルにつきましては、安保理決議上、関係国等から情報を収集する、このようにされておりますが、この情報収集において効果的な活動をするためにはどのような情報収集が必要なのかという点も含めて、同パネルと緊密に連携していきたいと存じます。なお、この同パネルには日本からも一人参加をしております。緊密に連携をし、そして効果的な履行が行われることをしっかりと確保したいと考えております。中国の取組につきましても、しっかり注視をしていきたいと考えます。
  24. 藤田幸久

    藤田幸久君 同じ決議で一八七四というのがありまして、その本文の十二条で、公海上を航行する船舶制裁対象物資を運んでいる疑いがある場合、その船が所属する国の了解がある場合には臨検することを要請するとありますけれども、例えばアメリカ軍日本海などの公海上で北朝鮮に向かう船を臨検する可能性があるかどうか、もしその場合に、何か衝突した場合に存立危機重要危機事態と認められる可能性があるか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  25. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、船舶検査活動につきまして、これは重要影響事態又は国際平和共同対処事態に際して、貿易その他経済活動に係る規約の措置の厳格な実施を確保する目的で、船舶の積荷、目的地検査、確認する活動、また必要に応じて船舶の航路、目的港、目的地の変更を要請する活動でございまして、こうした活動国連安保理決議に基づいて、又は旗国の同意を得て行われます。  そして、特定の事案が存立危機事態、また重要影響事態の場合に対するお尋ねでございますが、これに該当するか否かにつきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案して客観的、合理的に判断するということになるために一概にお答えすることは困難でございますが、その上、あえて一般論として申し上げれば、存立危機事態に該当する場合には、行動関連措置として物品及び役務提供、補給、輸送、修理・整備医療等が可能になります。また、重要影響事態に該当する場合におきましては、後方支援活動としての物品及び役務提供船舶検査活動等が可能になります。
  26. 藤田幸久

    藤田幸久君 次の質問に移ります。  資料の二枚目に先週の私の予算委員会議事録が出ております。この中段の左の方に線が引いてありますが、海兵隊における訓練場航空部隊距離制約というものがこの数年話題になっておりますが、実はアメリカにおいては、ここに書いてありますように、空地センターが所在するトゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地キャンプ・ペンデルトンとの距離が九十・四海里。それから、もう一つございますけれども、同じように九十八・五海里というふうに中谷大臣が答弁しておられます。  つまり、こういうアメリカにおいては、六十五海里どころか九十海里実際離れているんだというこの情報防衛省はいつ把握されたんでしょうか。
  27. 中谷元

    国務大臣中谷元君) せんだっての御質問につきまして、具体的にトゥエンティナイン・パームズ米海兵隊基地とまたキャンプ・ペンデルトン米海兵隊基地ミラマー米海兵隊航空基地との距離についてお尋ねがありましたので、お答えをしたところでございます。  この普天間飛行場の各種の県外移設案検討していた平成二十二年当時、海兵隊航空部隊支援連携する陸上部隊から一定距離以上に離れると運用支障を来すということについては米側から説明を受けてまいっております。  日米間には様々なやり取りを行っておりますけれども、それも踏まえまして政府内で様々な検討を行ってきていますが、こうした政府内における検討の詳細につきましては対外的に明らかにすることは適切でなく、御指摘の点につきましては、防衛省がいつ把握したかも含めましてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  28. 藤田幸久

    藤田幸久君 こういう、何というんですかね、ごく簡単なことをいつ把握したか分からないというのは、非常に不思議な気がいたしますけれども。  ところで、当時、二〇一〇年頃でございますけれども、この距離の問題が話題になりまして、当時の事務方が当時の閣僚に説明したということが最近、委員会でも取り上げられております。  その一つの事例がこの四枚目に、これは朝日新聞が掲載をいたしました「「六十五カイリ基準」米軍否定 普天間外移設断念の根拠」というふうに書かれておりますけれども、当時、防衛省は、そうすると、今のお話ですと、九十海里以上の距離があるということを把握しているかどうか含めまして今答弁があって、明らかにできないということだろうと思いますけれども、であるならば、実は昨年の九月に、陸上自衛隊オスプレイ佐賀空港への配備が実現した場合に、米海兵隊オスプレイ訓練移転には佐賀空港利用が望ましいという見解を示されたわけですが、じゃ、この際には、海兵隊ヘリ部隊とのいわゆる距離的制約について政府はどのような検討を行ったのでしょうか。
  29. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 本件佐賀空港の件は、平成二十七年の九月に原口議員からの質問主意書に対しまして、沖縄負担軽減、これを日本全体で分かち合っていく観点から、米海兵隊による佐賀空港利用が行われることが望ましい旨回答いたしましたが、ここで言う利用というのは海兵隊配備ではなくて、一時的な利用念頭に置いたものでございます。  これは、全国全ての自治体や地域に、可能性があるところに対しましては沖縄負担軽減という見地で検討しているところでございますが、これはあくまでも一時的な利用念頭に置いたものでございまして、海兵隊航空部隊配備に関して課題となる支援連携する陸上部隊から一定距離以上に離れると運用支障を来すという点につきましては、米海兵隊による佐賀空港利用に関して特段に問題があるということは考えていなかったということでございます。
  30. 藤田幸久

    藤田幸久君 端的に聞きますと、そうすると、配備であるならば距離的制約があるけれども、訓練であるならば距離的制約はないということですね。
  31. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは佐賀空港に関してのお尋ねでございましたので、防衛省が考えていたのは、これは一時的な利用訓練等の利用に関して佐賀空港にお願いしたということでございます。
  32. 藤田幸久

    藤田幸久君 次の三枚目の、これも同じように先週の私の予算委員会議事録でございますが、いわゆる距離的制約ということに関しまして、まず大臣は、これ右側の方にラインを引いておりますけれども、この六十五海里が基準であるというふうには認識しておりませんと。それから、左の方の線でございますけれども、こういう六十五海里が基準であるということは米国が決定することでありまして、日本政府としては承知していないという答えでございます。  ということは、まず、この承知していないという意味を説明いただけませんか。
  33. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私が答弁いたしました真意は、米国における海兵隊の部隊の配置に係る基本的な考え方については米国が決定することであるということでございまして、そういう意味で承知していないということでございます。
  34. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうすると、日本における在日米軍の海兵隊のいわゆる基地とヘリ部隊距離制約については、アメリカがそういう基準を設けていようが設けていまいが、日本においてはそういう距離基準というのは適用されないというのか、それとも、日本においてもその配備に関しては距離的制約というものがあると、どちらでしょうか。
  35. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは当時の政権内の議論でございましたが、当時は、平成二十二年、海兵隊航空部隊支援連携する陸上部隊から一定距離以上に離れると運用支障を来すということについて米側から説明を受けていたわけでございます。  他方、これ以上の詳細につきましては米政府から、米軍の運用に関するものであることから、対外的に明らかにしていないということを承知をいたしておりまして、日米間で様々なやり取り、これが行われていた、そしてそれを踏まえて政府内でも検討が行われていたと。こういったやり取り、詳細につきまして、これはやはり対外的に明らかにすることは適切でなく、特定の基地、演習場の間の距離につきましても、検討していたかも含めましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  36. 藤田幸久

    藤田幸久君 先週私が質問しましたのは、今アメリカでは実は九十海里以上という事実関係も明らかになった以上、その距離的制約というものは必要ではないといいますか、したがって、今でも距離的制約というものが、今の政府がですよ、距離的制約というものを認識しているか、あるいはそれが要素に入っているかどうか、かつてのことじゃなくて今の段階で。つまり、アメリカは六十五海里以上の距離のある基地が存在するわけですね。それが分かった以上、今距離的制約というものは考えているのかいないのか、現段階でお答えいただきたいと思います。
  37. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは基本的にアメリカの中の規則でございます。アメリカ海兵隊がやはり機動性また即応性といった特性を維持していくためには、その構成要素である陸上部隊航空部隊、後方支援部隊等が相互に近傍に配備され、平素から合同で効果的、効率的に訓練実施する必要がありますが、この点、アメリカ側からも、海兵隊航空部隊支援連携する陸上部隊から一定距離以上に離れると運用支障を来す旨の説明を受けているということでございます。
  38. 藤田幸久

    藤田幸久君 ということは、現在は九十海里以上という理解でいいんですか。
  39. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 米側からは、一定距離ということで、数字においては明らかに私は聞いておりません。
  40. 藤田幸久

    藤田幸久君 この新聞記事が朝日新聞によって開示されておりますけれども、これには、当時、この文書の中には、船越外務省日米安保条約課長それから芹澤防衛省日米防衛協力課長、この方々にこの文書の有無について調べたと聞いておりますけれども、まず外務大臣、この船越当時の課長は現在は国家安全保障局に勤務していると言われますが、その事実、間違いないかということと、この船越さんに、当時の文書に関係する文書の存在と、それからその説明があったかどうかについて確認をされましたか。
  41. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、船越健裕元外務省北米局日米安全保障条約課長は、現在、内閣官房国家安全保障局に勤務をしております。委員のおっしゃるとおりであります。  そして、それを確認したのかということですが、関連ファイルの確認の必要な作業を行いました。そして、念のため当時の関係者にも照会を行いました。そして、その当時の関係者の中には船越元日米安全保障条約課長も含まれております。
  42. 藤田幸久

    藤田幸久君 当時の、そうしますと関係の方々及び政務三役等も含めまして確認をされたんでしょうか。
  43. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 確認作業を行いました当時の関係者ですが、これは当時、普天間飛行場の移設案に係る文書の作成に関わった可能性のある事務方関係者を対象として照会をした次第であります。
  44. 藤田幸久

    藤田幸久君 防衛大臣も同じ答えをされると思いますので、一つだけ。じゃ、芹澤さんはやはり国家安全保障局に現在勤務しているかどうかだけお答えいただきたいと思います。
  45. 中谷元

    国務大臣中谷元君) お尋ねの芹澤清は、現在、内閣官房国家安全保障局に勤務いたしております。
  46. 藤田幸久

    藤田幸久君 それで、この関係原口議員が衆議院の方で質問されて要求されたところ、外務省の方から、これ五枚目の資料に入っておりますが、回答が寄せられました。  回答は、要するに、一つは検討内容に関わる文書、一種の説明文書で、これはあるけれども公表できないと。二つ目は、公文書と言っているものについては存在は確認できなかったと。  公文書の扱いについて内閣府の方にお伺いしたいと思いますが、公文書というものが確認ができないということはあり得るのかどうかについてお答えいただきたいと思います。
  47. 福井仁史

    政府参考人(福井仁史君) 内閣府でございます。御質問に答えさせていただきます。  少し重箱の隅をつついたような説明をさせていただきますが、一般に公文書と言われておりますけれども、公文書等の管理に関する法律での定義では公文書等という言い方になっております。  公文書等の中身を簡単に御説明させていただきますと、三種類ございまして、一つは、行政機関が職務上作成し取得した文書、これは行政機関が組織的に用いるものとして現在保有しているものを行政文書と言っております。その次に、同様に、独立行政法人等が保有しております文書を法人文書。それと、歴史資料として重要な文書であって、国立公文書館等に移管をされた後の文書を特定歴史公文書等と言っておりまして、この三つを合わせて公文書等と言っております。  その中で、ここで話題になっておりますのは行政文書のことであろうと思います。  行政文書につきましては、先ほど定義で申し上げましたとおりですが、職員が職務上作成し取得した文書ということであれば、それは組織的に用いるものとして公文書管理法上適切な管理がなされるものということになります。
  48. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、端的にお答えいただきたいと思いますけれども、公文書を実際に作成していたのであれば存在が確認できないということはないんだろうと思うんですけれども、つまり、作成していなかったか、あるいは作成していて文書が満期になって廃棄していたか、どちらかだろうと思うんですが、それは間違いないですか。
  49. 福井仁史

    政府参考人(福井仁史君) 一般論として申し上げれば、文書が不存在であるということは、おっしゃられるとおりでございます。作成、取得されていないか、保存期間が満了して廃棄されたかということになると思います。
  50. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございます。  ということでございますので、この確認されてないということに関しまして、大臣の方でもう少し作業を是非進めていただきたいということを要請しておきたいと思います。  それで、時間の関係で次に進みたいと思いますが、資料のこれ五枚目になるんでしょうか、普天間飛行場代替施設の建設費、これは国交省と防衛省の協力もいただきまして、ほかの飛行場との比較の表を入れております。非常にこれやっぱり高いなという気がするんですね、比較をしてみましても。  それで、例えば岩国飛行場の二千五百億円、あるいは北九州空港の千二十四億円に比べても大変高いと思いますけれども、それから護岸延長工事に関わるケーソンの長さ、これが例えば岩国の三百六十メートル、北九州の五百三十メートルに比べても、千四百十メートル。なぜこれだけ高いか、なぜこれだけ長いかについて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ケーソンの護岸の延長が長くなっておりますが、これは普天間飛行場の代替施設が、岩国飛行場、北九州空港と比べて水深の深い箇所が多く存在するということなど、この護岸工事に必要な条件等を勘案いたしましてケーソンが長くなったということでございます。
  52. 藤田幸久

    藤田幸久君 加えて、そもそもなぜ深いところを選ばなかったのかということもありますけれども。  次に移りますけれども、普天間飛行場の移設費用に関しては、平成十八年度から平成二十六年度までの経費が約四百七十億円、それから平成二十七年度の予算計上が千七百三十六億円、契約ベース、それから平成二十八年度が契約ベースで千七百七億円です。これは、一千百億円ぐらいの繰越しもありますけれども、少なくてもこの平成十八年から平成二十八年度予算まで足しますと、二千八百億円以上になるんですね。ということは、総工費約三千五百億円以上ということになっていますが、この八割ぐらいになるんですね。  なぜ、これだけ、まず二千八百億円程度が既に計上されていると、三千五百億円に対して、この事実関係は間違いございませんですね。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘のとおり、平成十八年度から平成二十六年度までの支出済額は約四百七十億円であり、平成二十七年度予算では約千七百三十六億円、これは契約ベースであります。そして、平成二十八年度予算案では約千七百七億円、契約ベースを計上しております。さらに、平成二十八年度予算案までに支出が見込まれる金額は、これらの金額から平成二十七年度の執行取りやめ分、約千百二億円を減じた約二千八百億円となっているわけでございます。
  54. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、総工費約三千五百億円以上の八割が既に使われると、今年の年度まで。これ八割なんですけれども、ということは、お聞きしたいんですが、工事全体の何%完成したと、あるいは今年中に、年度中に何%完成するんでしょうか。
  55. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 今の予算の数字で、今委員がおっしゃいました予算のベースでいえば、今委員がおっしゃったとおりになろうかと思っております。
  56. 藤田幸久

    藤田幸久君 それは工事全体でどのぐらいできるんですかと。三千五百億円に対して二千八百億円。
  57. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 数字以外でなかなか何%工事ができているかということを申し上げる適当な指標というのは私ども持ち合わせていないところでございます。(発言する者あり)  数字ということであれば、今委員がおっしゃったとおりの、先ほど申し上げた三千五百億円以上と言っておりますけれど……
  58. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 藤田委員、では質問してください。
  59. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、三千五百億円のうち二千八百億円を使って、例えば、普通に考えれば、飛行場の単純に考えれば八割の埋立てが終わって、実際に滑走路ができて、そして、八割ができていなければおかしいですね、来年の三月まで。そういう見通し、あるんですね。
  60. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 先ほど、私ども総額が三千五百億円以上というふうに見積もっているわけでございますが、そのうち、二十八年度まで、予算案までで二千八百億円の支出見込みがあるということでございまして、その割合につきましては、まさに二千八百億円、三千五百億円と比べますと八割程度の建設工事の進捗が見込まれるということになろうかと思います。
  61. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうすると、あと七百億円程度で、平成二十九年度予算を使って、埋立ても終わり、滑走路もでき、建物も全部できるという予定でいいんですね。七百億円、以上でできるわけですね、これから埋立ても滑走路建設も建物も含めて。それでよろしいですね。
  62. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 先ほど申し上げたように、まず全体の大まかな見積り、この移設に要する経費の大まかな見積りといたしまして三千五百億円以上と見込んでいるところでございますが、これに関しまして、平成二十九年度以降の必要経費ということにつきましては、環境影響評価などに要する経費、それから埋立て、護岸工事それから安全対策等に要する経費、滑走路、駐機場、格納庫及び燃料施設等の飛行場施設整備に要する経費等々が必要になると見込んでおりまして、これらの経費につきましては、今後、施設の仕様あるいは構造等を日米間で調整いたしまして、具体的な設計を経た後に決定されるものであることがございます。  それに加えまして、実際の現場の状況等によりこの所要額は変動し得るものというふうに考えております。さらに、安全対策の経費、あるいは土砂の調達に要する経費などにつきましても、その時点での警備の所要あるいは調達の単価、こういった各種の条件に左右されるために、恐縮でございますが、現時点で確たる見積りということを申し上げることは困難であることを御理解賜りたいと思います。
  63. 藤田幸久

    藤田幸久君 全く現実に合わない話で、滑走路を造るんですよね。滑走路というのは大体V字で千二百メートルプラスアルファ、千八百メートルですね。例えば、滑走路とそれから主な施設等々、大体これ、国の予算なんですから、税金ですから、大体このぐらいになるということを、何か環境対策とかそういうことよりも、本体ですよね、飛行場の、そのものについてまず数字を出してくれませんか。じゃないと、国民の皆さんに対してこれ三千五百億円なのか、これは一兆円とかいう話もありますけれども、そういう数字を是非出していただきたいということを委員長の方に要請をしておきたいと思います。
  64. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 後刻理事会の方で協議をしたいと思います。
  65. 藤田幸久

    藤田幸久君 本当にひどい話で、どんどんどんどん予算が膨らんできていると。八割予算を使いながらまだ滑走路もできていないという状況については、とにかく今申し上げましたように是非数字を出していただきたいと思います。  ところで、辺野古基地建設に関する政府沖縄県の和解について伺いたいと思います。  まず、和解条項では、沖縄防衛局が埋立工事を直ちに中止するとありますが、中止の対象には代替施設の建設に関わる全ての作業が含まれるのか、それは二〇〇六年五月のロードマップにおけるシュワブの施設あるいは隣接する水域等に関わる事業も含めてこの事業に含まれるというふうに考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  66. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしましては、福岡高裁の那覇支部の和解勧告を受け入れて和解をすることを決定して、埋立工事、これを直ちに中止をすることといたしました。  一方で、ロードマップに基づいて、平成十九年以降、この埋立工事とは別に、キャンプ・シュワブ内におきまして代替施設の飛行場区域とは異なる区域で代替施設建設事業とは直接関係のない建物の整備工事等も実施をしておりまして、和解に伴う防衛省対応の具体的なところは、和解の当事者間の認識に異なることがないように、和解の内容をよく確認をした上で適切に対応していく考えでございます。  いずれにしましても、防衛省といたしましては和解内容は全て誠実に実行する考えでありまして、手続を進めまして、沖縄県と協議をいたしながら、今後、この進め方等につきまして速やかに実行に移したいと考えております。
  67. 藤田幸久

    藤田幸久君 国による埋立ての設計変更を沖縄県知事が承認するか否か、これは和解の対象に入っているのかどうか、入っているとすれば、それはこの合意文書のどこに明記されているんでしょうか。
  68. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今般、国と地方が和解をしたその条項につきましても、これはやっぱり国と沖縄県が訴訟合戦を延々と繰り広げられるような関係となることを避けることを意図したものでございまして、判決で司法の判断が示された場合には、それを受けて双方が誠実に対応することになると承知をいたしております。  その上で申し上げれば、防衛省としては、今後、和解内容は全て誠実に実行する考えでありますが、仮に設計変更の申請に対して沖縄県が承認するか否かといった沖縄県の個々の対応につきまして、防衛省として確たることをお答えする立場にはございません。
  69. 藤田幸久

    藤田幸久君 いや、要するに、この合意文書の和解の対象に入っているかどうか、それは書いているんですかという質問です。それだけお答えいただきたい。
  70. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この設計変更につきましては、沖縄県が承認するか否かは判決で司法の判断が示された後の対応の話でございます。和解条項には、判決を受けて、双方が互いに協力して誠実に対応することを確約するということが明記をされております。
  71. 藤田幸久

    藤田幸久君 そんな中で、三月の七日でしょうか、石井国土交通大臣は沖縄県知事に対して、埋立承認の取消処分に対する是正の指示文書を出しました。なぜこのタイミングで出したんでしょうか。
  72. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) お答え申し上げます。  三月四日に沖縄県と合意した和解条項においては、まず、国土交通大臣は代執行訴訟を、そして沖縄県知事は国の関与取消し訴訟をそれぞれ取り下げる。そして、沖縄防衛局長は行政不服審査法の審査請求及び執行停止申立てを取り下げ、埋立工事を直ちに中止する。そして、国土交通大臣は沖縄県知事に対し埋立承認取消しに対する是正の指示をするなどとされているところでございます。  この和解条項に従いまして、代執行訴訟は三月四日に終了の取扱いとなり、また、三月七日に沖縄防衛局長より昨年十月になされた審査請求及び執行停止申立てを取り下げる旨の文書の提出があったところでございます。これらを踏まえ、三月七日に、国土交通大臣から沖縄県知事に対し、地方自治法に基づき法令違反を是正する、つまり埋立承認取消処分を取り消すよう指示する旨の文書を郵送したところであります。  いずれも和解条項に基づく手続として行われたものでございます。
  73. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうおっしゃいますが、これ、和解条項を見てみると、すぐにとか、いつとかいうことは書いていないんですね。だから、どこかの段階で是正の指示をということを書いているだけで、先ほど来、中谷大臣は、様々に誠意を持っていろいろと話合いをしながら、認識の異なりがないようにとさんざんおっしゃっていて、であるならば、まず一旦これは沖縄側と協議をした上でこの文書を出して全然遅くないわけで。  これ、速やかにとか、全然入っていません、和解条項の中に。それをなぜ、これだけ丁寧に協議をする、例えば工事についても、どこを止めるのか止めないのか自体について防衛省側と沖縄側でこれから話し合うという話がありますね、そうやって話し合おうとしている最中に文書を問答無用ですぐ出しちゃったというのは、私は非常に、やり方とすれば逆をやっているんじゃないですか。つまり、和解して話し合うとしながら、これをたたきつけるような文書を出したということじゃないんでしょうか。国土交通省、どうですか。
  74. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、和解が成立した三月四日以降取られてきたそれぞれの手続は、政府沖縄県が合意した和解条項、その内容を実現していく上で必要な手続であると承知をしてございます。  三月七日、国土交通大臣から沖縄県知事に対し法令違反を是正するよう指示する旨の文書を送付いたしましたけれども、これにつきましても、合意された和解条項に基づき必要な手続を順次取っていったということでございます。
  75. 藤田幸久

    藤田幸久君 ですから、和解条項には是正の指示と書いてありますけれども、一方で協議しているわけでしょう。協議中に何で出すんですかと聞いているわけですね。  先ほど来、防衛大臣は丁寧にと、それから、実際に防衛省事務方に聞いても、どこを実際に止めるのか、これは沖縄側と協議しながらと言っているわけですね。協議をしているときに、こういうたたきつけるような文書を、まして、この合意条項を読んでみても、すぐに出さなきゃいけないとかいうこと書いていないわけですよ。それを、そういうたたきつけるような、つまり和解をして協議をしようと言っているときになぜこういったものを出してしまったのかということを聞いているんです。
  76. 野村正史

    政府参考人(野村正史君) 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、三月七日、法令違反を是正するよう指示する旨の文書を郵送しましたのは、和解条項の内容を実現していく上で必要な手続を和解条項に基づき順次取っていったものでございます。  なお、政府沖縄県の協議につきましては、和解条項にあるとおり、同時並行的に司法の判断が出るまで円満解決に向け行われていくものと認識をしているところでございます。
  77. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、同時並行ということは、片方で話合いをしながら片方で文書をたたきつけるということを同時並行と。つまり、片方では仲よくしようと、片方ではたたきつけると、まさに上意下達のようなことをやっているということではないかと思いますので、それではなかなか難しいんだろうと思うんですね。  実際、昨日ですか、おとついですか、自民党の国防部会において防衛省の担当者は、今回の円満解決は非常に難しいというふうに答えたということでございますが、防衛省の誰がそういう発言をされたのか、その真意を伺いたいと思います。
  78. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 三月八日の自民党の国防部会で御指摘の発言をいたしたのは、私、真部でございます。  その発言は、和解条項に従いまして、対立が基調となる訴訟などの手続と、協調を基調とする円満な解決に向けての協議、これを並行して行うことには一般論としては難しい面が考えられるところでございますが、むしろ、まさにそれゆえに和解条項を誠実に遵守し実行していくことに全力を挙げていく必要があるという旨を述べたものでございます。
  79. 藤田幸久

    藤田幸久君 思い出しますのは、昨年、防衛省沖縄県との間で工事の一時中断がございましたですね、約一か月ぐらいだったでしょうか。その工事中断が終わって再開した、ボーリング調査ですか、再開したのは九月ですね。いつ頃か大体覚えていらっしゃいますか。
  80. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 九月の半ばよりボーリング調査の再開をしております。
  81. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほどの外務省QアンドA、これも一旦削除して、再開されたのが九月十八日。沖縄政府との間の工事中断、中断が再開されたのが九月中旬。要するに、安全保障法案が強行採決をされた辺りであります。したがって、去年も、何か一旦話合いをしていながら、安保法案がいよいよとなってきた段階で再開をした。だから、この外務省ホームページも、それからこの防衛省沖縄の中断も、安保法案のためだったのかなと。ですから、今回の和解も、和解というよりも何か一時休戦のような雰囲気が、せっかく合意をされた後も続いている。  私は、これはアメリカの方でも、この間、マケイン上院議員が委員会の中で、こういう形で長々とするということについては非常にまずいと。それから、アメリカの議会調査局の方でも、とにかく今のような形だとますますこの工事期間も延びてしまってというような発言あるいは報告も出ております。  つまり、本当に誠実に話合いをしながらいい解決方法をということでやっていかないと、真部さん自身がおとつい言われたように、非常にこれ困難な、また続いてしまうと。よもや、この今回の一時休戦といいますか和解というものが、例えば参議院選挙が終わったらまた再開というようなことにならないように、そういうレベルではなくて、本当にいい解決をもたらすように是非努力をしていただきたい。そういうことでなければ、今までいろんな方が努力をされたこの大変重要な問題でございますので、是非そういう観点から取り組んでいただきたい。  最後に申し上げますけれども、とにかく三千五百億円のうちの八割投入しながら、まだボーリング調査も終わっていない。そして、今度、本体工事といっても、まだ滑走路自体がどのくらい掛かるのか、少なくともこれから完成までに、まあ適当な形で準備をされているわけじゃないでしょうから、普天間、辺野古の基地建設に関してどういう要素があって、滑走路が、それから対策費が、そして埋立てが、土砂の運搬が、そしてその空港施設といったもの、護岸も含めて、どういう要素があってどのぐらいの予算が必要なのかについてしっかり、佐藤委員長が今委員長をされておられるわけですから、これ出していただかないと国民に対しても説明が付かないと思うんです。是非それを、つまり予算及び構成要素の割合に対するどのぐらいの予算か、それが何年掛かりで、今のところですと二〇二五年ですか、そうすると、それぞれ大体、いわゆるスケジュールも含めて、これ、やっぱり工事というのはプロジェクトマネジメントも重要なわけですから、東京オリンピックの国立競技場と同じように……
  82. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  83. 藤田幸久

    藤田幸久君 最低のことについては、委員長の方に、委員会の方に出していただきますことを要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  84. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 本件については理事会協議事項といたします。
  85. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 日本のこころの浜田和幸です。  まず最初に、技能実習生の失踪問題についてお尋ねしたいと思います。  我が国はいろんなところで今労働力不足ということが言われていますし、また途上国からは、日本の先進技術を学んで自国の国づくりに役立てたい、そういう意味で技能実習生を二十万人ほど受け入れていますよね。ところが、昨年、日本にせっかくやってきた外国人技能実習生で失踪をした人数が五千八百人を超えたという、十八万人来たうち五千八百人もがいなくなってしまった。これはこの制度そのものに重大な問題があると思わざるを得ないんですね。何が原因でこういうことになってしまったのか。  また、こういうことが積み重なると、アメリカの国務省が毎年公表しています人権問題、人権違反に対する報告書の中で、我が国はこの十年、毎年のように外国人の実習生をスレーブレーバーとして扱っているというような指摘を受けているんですね。これはかなりオーバーな表現かも分かりませんが、実際にこれだけ多くの外国人実習生が研修現場から失踪、脱走をしているということはゆゆしい問題だと思います。  外務省としても、法務省としても、どういうような取組が必要だと考えておられるのか。また、アメリカのそういう批判に対してこれまでどのような対応というか、説明をされてきたのか、説明をお願いしたいと思います。
  86. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) まず、法務省から御説明を申し上げます。  技能実習生の失踪者は年々増加しておりまして、平成二十三年に千五百三十四人であったものが、ただいま委員指摘のように、平成二十七年は五千八百三人と急増をしてございます。失踪者がこのように増加していることにつきましては、法務省といたしましても深刻な事態認識をしてございます。  これまでの私どもの調査では、失踪の動機は、多数の場合、技能実習意欲が低く、より高い賃金を求めて失踪をしていたことが判明してございまして、一部には技能移転による国際貢献というこの制度本来の趣旨を理解しない受入れのあることが一因とも考えられます。  この失踪の防止に向けましたこれまでの対策といたしましては、失踪者を多く発生させている送り出し機関や管理団体等からの技能実習生受入れに係る申請については厳格に審査をするということはもとより、管理団体等に対しまして技能習得意欲の高い技能実習生の選抜をより一層行うよう指導する等の対応を行っておりますほか、失踪者が発生している送り出し国の政府要人と会談をするような機会がございましたら、技能実習生がより高い賃金を求めて失踪する場合が多いことを御説明し、送り出し機関や技能実習希望者に対して制度の趣旨を正しく指導をするよう申し入れるなどをしているところでございます。  さらに、技能実習生の逃亡を防ぐためには、我が国による対応のみでは十分でなく、送り出し国や送り出し機関側の対応も不可欠であると認識をしてございます。今後、現在国会に提出しております技能実習法案が成立して、送り出し国政府との間で取決めを作成をするに当たりましては、制度趣旨の周知徹底や、習得した技能等が帰国後生かされる予定であることの確認なども盛り込む方向で交渉することが予定をされています。  このほか、同時に、現在国会に提出しております入管法の改正法案には、技能実習生の失踪にも対応できる新たな在留資格取消し事由の創設を盛り込んでいるところでございます。  また、受入れ機関における不適切な扱いが失踪の原因となっている場合もあることから、技能実習法案には、技能実習生に対する人権侵害行為の禁止規定や罰則を設けておりますほか、技能実習生からの相談の受付体制や所定の受入れ機関での技能実習を継続することが困難となった技能実習生の転籍を支援する体制を整備することなどが盛り込まれているところでございます。  いずれにいたしましても、法務省といたしまして、技能実習が一層適切に行われるよう努めてまいります。
  87. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 外務省、補足ございますか。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 基本的には、今、法務省から説明がありました、答弁がありました内容につきまして、外務省としてしっかり連携しながら対応していきたいと存じます。送り出し国との間においてしっかり意思疎通を図り、そして、今継続審議となっています法律の成立あるいは審議の結果、こういったものを踏まえて送り出し国との間で取決めの作成を目指し、改善を図っていきたいと考えております。  そして、米国の反応についての御指摘がありました。それにつきましては、大臣政務官から答弁させていただきます。
  89. 山田美樹

    大臣政務官(山田美樹君) 浜田議員から御質問ありました米国務省人身取引報告書の指摘に対して外務省がどのように対応しているかという点でございますけれども、我が国米国の視点も踏まえつつ、これまで刑法の一部改正、人身売買罪の創設を行いましたし、それから人身取引対策行動計画二〇一四の策定など様々な具体的取組を実施しており、米国に対しそれらの取組を含む我が国の人身取引対策の進捗について説明をするとともに、我が国の取組、進捗が正確、公正に評価されるようあらゆるチャンネルを用いて累次にわたり申し入れているところでございます。  また、一例としましては、昨年の報告書に向けては、昨年の三月に関係省庁から成る政府協議団を米国に派遣しまして、我が国の取組について丁寧に説明をし、米国による正当な評価というのを強く求めたほか、米国側の責任者であるアメリカ国務省人身取引監視対策部長が訪日された際にも同様の働きかけを行っております。  外務省としては、米国に対し、引き続き技能実習制度の見直しも含めた我が国の取組、それから努力を伝達してまいるとともに、見解を異にする点については理解を得られるよう説明を行っていく所存でございます。
  90. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、送り出し政府との間でも、悪徳ブローカーの取締りですとか、そういうことをきちんと政府間で取決めを結んでいただいて改善していただきたいと思います。  それと、次に、今朝ほど北朝鮮からの弾道ミサイル発射がありましたが、これは、今同時にアメリカ韓国が過去最大の合同軍事演習を展開していますよね。これの中身を見ますと、OPLAN五〇一五、従来は北が攻めてきたときにどう反撃するかが主体だったのが、今回は先制攻撃を含む、北朝鮮の金正恩の首も取るためのシミュレーションも含んでいるような、そういう中身になっていると韓国側では報道がされています。  金正恩の暗殺計画まで入っているとなると、北朝鮮が過剰反応と言われるような反応をすることもやむを得ないかなという面もあるような気はするんですが、その辺り中谷防衛大臣は、今回の米韓の合同軍事演習、今までと違う、そういうことが背景にあって北が不測の動きをしているんじゃないかというような見方に対してどう思われますか。
  91. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在行われているような米韓の合同連合演習につきましては、これは米韓の中で協議をして実施されていることでございますので、我が国としてはこれに関するコメントは差し控えさせていただきます。  その上で、この北朝鮮対応等につきまして、やはり現下の朝鮮半島の情勢を加えますと、まず、核実験を行ったことに対する新たな安保理決議、そして国際社会からの圧力、そして御指摘のありました三月七日に開始された米韓合同演習、これに反発するなどして局地的な挑発を含む挑発行動に出る可能性、これは否定できないということでございまして、今後も北朝鮮の動向につきましては、我が国としては米国韓国と緊密に連携しながら必要な情報収集、分析に努めまして、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいるということでございます。
  92. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 その関連で、日韓米ですね、日本韓国アメリカの三か国で北のミサイルの動向に関する情報共有メカニズム、リンク16と言われていますけれども、これは実際、今稼働しているんでしょうか。
  93. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日米韓に関しましては、情報の共有におきましては三か国の間の協定はございます。しかしながら、日韓におきましては、GSOMIAと言いますけれども、情報保護協定、これはいまだ締結をされていない現状でございまして、こういった面におきまして情報が必ずしも共有ができていない部分はございますが、お尋ねリンク16等につきましては、これは運用に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  94. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 核の開発とかミサイル以外にも北朝鮮は様々なサイバー攻撃にも関与していると言われています。北朝鮮のハッカーが今年の一月、二月も、これは韓国に向けての鉄道のシステムをサイバー攻撃を仕掛けたとか、そういうことを鑑みますと、日本に対しても、ミサイルを撃ってくるだけではなくて、サイバー攻撃によって日本のインフラ、これを破壊するというか壊滅的な状況に持っていく、あるいは二〇二〇年の東京オリンピックに向けての日本のインフラを攻撃する、これは原発に対する攻撃もあり得るでしょう。そういうことに対する今の防御体制についてはどういう具合に取り組んでおられるのか。北朝鮮のサイバー攻撃の能力についてどのような評価をされているんでしょうか。
  95. 谷脇康彦

    政府参考人谷脇康彦君) お答え申し上げます。  通信、電力、鉄道などのいわゆる重要インフラ分野につきましては、平成二十六年五月に決定をいたしました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第三次行動計画を踏まえて、官民の情報共有などを推進しているところでございます。  こうした重要インフラに対するサイバー攻撃の現状でございますけれども、重要インフラ事業者等から各所管省庁を通じてNISCへ報告された件数が、平成二十六年度ベースで百二十四件ございます。そういった意味で、攻撃は一層深刻化、巧妙化をしてきているところでございます。  こうした中、重要インフラ分野におけるIT障害が国民生活等に影響を及ぼさないよう、IT障害の未然防止あるいは再発防止の双方の観点から、情報共有体制の強化に加えまして、必要な情報セキュリティー対策を盛り込んだ安全基準等の整備、浸透、あるいはIT障害発生時における対応能力向上のための分野合同での演習などの施策を推進しているところでございます。  加えて、委員指摘のとおり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を四年後に控えているということを考えますと、こうした重要インフラ防護の必要性は一層高まっているというふうに認識をしております。  そこで、昨年の九月に閣議決定をされましたサイバーセキュリティ戦略等におきまして、現行の取組に加えて、重要インフラ防護範囲の不断の見直し、より迅速かつ効果的な情報共有体制の実現、国際連携強化などを進めることとしており、その具体策について現在検討を進めているところでございます。  引き続き、重要インフラ所管省庁とも密接に連携しながら、重要インフラ分野におけるサイバーセキュリティーの一層の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、委員から御質問がございました特定国のサイバー分野における攻撃能力等についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  96. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 最後に、三月八日にカムラン湾が国際港としての開港式典が開かれました。四月には日本の潜水艦「うずしお」、駆逐艦二隻が海外の軍艦としては初めてカムラン湾に訪問すると。そのときには中谷防衛大臣も同行されるんではないかと推察いたしますが、こういうことを進める背景には、やはり中国の南シナ海での軍事拠点化があると思うんです。中国は何を狙って、これだけ国際的な批判が集中しているのに、着々、確実に軍事化を進めていると分析されているんでしょうか。
  97. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 中国の戦略的意図につきましては、防衛省として確たることを申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、まず、中国における南シナ海の大規模かつ急速な埋立て、拠点構築、その軍事目的での利用背景は、海洋権益の獲得、そのほか、中国が独自に領有権を主張している地形に対する他国の支配を弱めて、自国の領有権に関する主張を強めるということ、そして、自国を防衛するために可能な限り遠方の海空域におきまして敵の作戦を阻止することといった目標が存在すると考えられるわけでございます。  この南シナ海をめぐる問題につきましては、我が国にとりましても非常に大事な問題で、国際社会全体の関心事でございますので、引き続き、中国活動を含めて南シナ海における情勢に注目をしていきたいと思っております。
  98. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。終わります。
  99. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、質問に入る前に、女性差別撤廃条約の日本政府報告審査について一言申し上げたいと思います。  国連女性差別撤廃委員会第六十三会期が二月十五日から三月四日までスイスのジュネーブで開催されました。日本政府の審査は二月十六日に行われ、私も傍聴し、審査に先立って行われましたNGOの主催したブリーフィングでは、沖縄の基地と女性への性暴力についてお話をさせていただきました。  今回、政府代表を務めたのは外務省の杉山審議官ですが、全ての女性が輝く社会を目指し、女性の活躍を推進する安倍政権で政務三役のどなたも出席されなかったことは極めて残念です。女性の活躍推進には積極的でも、女性差別の撤廃には消極的との印象を与えかねません。  杉山審議官は、審査において、慰安婦問題の強制性について極めて政治的な発言をされました。審議官に批判が集中していますが、政治的な発言とそれに対する回答はやはり役人には限界があり、政務三役あるいは与党議員が行うべきだったというふうに思います。杉山審議官の発言は、安倍総理が昨年七月に受け入れた自民党の日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会からの提言が大きく影響していると思います。  提言では、慰安婦問題をめぐる吉田証言を虚偽と指摘し、国際機関などの広報活動強化策を求めています。申入れを行った稲田朋美政調会長から、強制連行、性奴隷二十万人などと言われていることについて政府が反論するよう求められたというふうに承知しています。戦時下の女性への性暴力は世界のあらゆる地域で行われていますが、慰安婦問題がこれほど広く知れ渡り、国内外でのこの問題に関する決議へと広がったのは、やはりこれを否定する活動があったからとも言えます。  例えば、二〇〇七年六月十四日付けのワシントン・ポスト紙における慰安婦強制連行の証拠はないとする意見広告です。それに賛同する人がいたかもしれませんが、批判の声が瞬く間に世界に広がりました。  最近では、昨年七月、NATOに派遣された自衛官がウエブサイトに書いたクマラスワミ氏の人柄について好意的な記述を削除したことです。クマラスワミ氏は一九九六年に慰安婦を性奴隷と指摘する国連報告書をまとめたことで知られているため、自民党議員が国防部会でこれを問題視し、削除を求めていました。しかし、ウエブサイトでは報告書の内容には全く触れておらず、日本政府立場も否定していませんでした。むしろ、過剰に反応したこと、そして削除したことに国内外で批判の声が上がりました。  今回の杉山審議官の発言を評価する方々には慰安婦の存在そのものを否定する方もいらっしゃいます。そのお一人である元議員は、審査の傍聴もされていましたが、二〇一四年五月九日の衆議院内閣委員会では、女性差別撤廃条約の政府報告について、アジア女性基金などを通じて謝罪や賠償は終わっているという答弁では通用しないところに来ている、慰安婦はなかったと踏み込んだ答弁をしないと根本的な解決にはならないと驚くような主張をされています。  杉山審議官の発言はそういった方々の発言の延長線上にあるため、これまでの政府の取組、特に河野談話を踏襲する政府立場まで否定するかのような印象を与えてしまったということを強く指摘しておきたいと思います。  それでは、質問に入ります。  一点目でありますが、代執行訴訟における和解案受入れとその是正指示について伺います。  辺野古埋立承認取消しをめぐる代執行訴訟で国と県の和解が成立しました。埋立工事が中断し、多くの沖縄県民は安堵していましたが、裁判所の指示した協議も始まらないうちに政府は翁長知事の辺野古埋立承認取消処分の是正を指示しました。不誠実極まりない対応だと思います。  和解し協議を行うということは、お互いの意見を聞くということではないでしょうか。和解案を受け入れると発表しながら、安倍総理は辺野古が唯一の選択肢であるという国の考え方に変わりはないと既に発言しています。政府として、今回の協議にどのような姿勢で臨まれるつもりですか、防衛大臣にお伺いいたします。
  100. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府といたしまして、やはり普天間飛行場の抱える危険性、また住民の皆様方の心配を一日も早く除去していくということにつきましては、これは沖縄県と政府の共通の認識でございますけれども、残念ながらいまだにこの問題が決着せず、しかも訴訟合戦という状況の中で、このまま進めばこの問題が膠着をいたしまして、普天間基地が固定化をされかねないというようなことがございましたので、今回、裁判所が提示をいたしました和解で合意をいたしたことでございます。  この和解につきましては、和解条項が示されまして今後の和解を進めるプロセスが明記をされているわけでございますが、この和解条項の三項に、国交大臣が沖縄県知事に対して埋立承認取消しに対する国の是正措置をするとありまして、これはあくまでも沖縄県も合意をした和解条項で示された手続を行ったものでございます。  この和解条項にはその後の手続も書かれておりまして、この是正指示をした後、一週間以内に、不服のある場合は沖縄県は国地方係争処理委員会に審査を申出をする、またその後、審査を通じまして出された結論については、それぞれ一週間以内に沖縄県の高等裁判所に提訴をするということまで書かれているわけでございますが、その一方で、判決確定まで円満解決に向けた協議を行うということも書いておりますので、国といたしましては、和解条項に従って、県との協議につきまして、政府として近日中に今後の進め方などにつきまして沖縄県と調整をして、速やかに実施に移していきたいと考えておりますが、いずれにしましても、和解条項に従いまして誠実に対応してまいりたいと考えております。
  101. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほど藤田議員からも細かく詳しく質疑ございましたけれども、やはり前回行われた集中協議、これは非常に形式的で選挙対策のパフォーマンスとしか考えられませんでした。  今回の協議においても、まさに政府沖縄県民の声を受け止め、国の安全保障という点では、これ全国民で負担し、沖縄県だけに負担を強いることがないような解決策を示していただきたいと翁長知事もずっとおっしゃっております。その点についてお答えください。
  102. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、和解が進行しておりまして、これは今後、この条項に従って執り行われるということでございますので、こういったプロセスを通じて考え方も説明もし、また円満な解決に向けた協議も行っていくということで、沖縄県の皆様とは手続また協議を誠実に行っていくということにいたしたいと考えております。
  103. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 誠実に沖縄県民の声を受け止めるとおっしゃる割には全く誠実に受け止めていないという手法を政府は今取っているんじゃないでしょうか。辺野古新基地建設は県民の反対がある限り不可能であるということを改めて強調させていただきたいと思います。  次に、日米地位協定の環境補足協定について伺います。  日米地位協定の環境補足協定ですが、これは二〇一五年の九月に岸田外務大臣とカーター米国防長官が環境補足協定に署名をしております。政府は、環境補足協定によって情報共有、環境基準の発出、維持、立入り手続の作成、維持等を通じて米軍施設・区域内外での環境対策が強化されるというふうにしています。  ところで、本年一月以降、沖縄県企業局の調査によって、沖縄県北谷町にある浄水場や嘉手納基地周辺の河川、また普天間飛行場に隣接する公園の湧水から残留性有機汚染物質のフッ素化合物PFOSが高濃度で検出されたことが明らかになりました。特に水道水の取水源となる河川、浄水場からの検出には大変な驚きと怒りを覚えます。  この件について、政府として把握していることをお示しください、中谷防衛大臣
  104. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、平成二十六年二月から翌年の十一月までの間に沖縄県が実施をしました水質調査におきまして、北谷浄水場付近の河川等から比較的高濃度の有機フッ素化合物PFOSが検出されたということは承知をいたしております。  本件につきましては、本年一月の二十一日、沖縄県から沖縄防衛局に対して、PFOSの発生源は米軍嘉手納飛行場である可能性が高いといたしまして、同飛行場におけるPFOSの使用実態及び履歴の確認、使用の中止、基地内への立入り及びサンプリング採取等につきまして要請がなされたために、防衛省から米側に回答を求めたところであります。  二月十七日、米側から、基地内の井戸におけるサンプル採取のために立ち入ることができること、PFOSを含む泡消火剤を有するものの、現在PFOSを含まない製品に取り替える作業実施をしているということ、PFOSを含有する泡消火剤は業界の標準的な慣行に従って使用しているということなどについて回答がございました。  防衛省といたしましては、二月二十三日、米側の回答に関する沖縄県からの再照会事項につきまして米側に回答を求め、あわせて、米側に対してはPFOSの含有可能性のある物質が漏出した場合の封じ込めの措置等の対策に一層万全を期すように要請をするとともに、PFOSを含む泡消火剤の使用の可能な限りの抑制とPFOSを含まない製品への早期の転換を求めたところでございます。  防衛省としては、引き続き、本件の早期の解明に向け、米側に対して働きかけ、今後米側から得られた情報につきましては関係者の皆様方に早期に伝達をし、必要な調整をして対応してまいりたいと考えております。
  105. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 汚染源がまだ特定されておりませんが、やはり嘉手納基地の排水から高濃度が検出されていることから、嘉手納基地内に汚染源がある、その可能性が高いとされています。浄水場の汚染は深刻な環境汚染であり、住民の不安を払拭するためにも早急な原因究明が必要であります。  環境補足協定第四条及び立入りに関する日米合同委員会合意に基づいて米側に立入り許可要請を行うべきだというふうに考えますが、岸田大臣、いかがでしょうか。
  106. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいまの経緯につきましては中谷大臣から説明がありました。  要は、現時点においては米側情報提供を求めている段階であり、この嘉手納飛行場におけるPFOSの漏出についてまだ確認ができていない段階であります。この段階ですので、環境補足協定に当てはめた場合、これは環境に影響を及ぼす事故、すなわち漏出が現に発生した場合と定められていますので、この環境補足協定に当てはめて立入り申請の対象と判断することは現時点では困難であると判断いたします。  その上で、一般論として申し上げれば、仮にこのPFOS含有の可能性のある物質が漏出した場合、現行の合同委員会合意、これは一九九七年の合意ですが、これに基づいて、米側当局からの通報を受け、日本側は環境補足協定に基づいてサンプル調査のための立入り申請を行うことができる、こういった対応が考えられます。  また、米側から通報がない場合、日本側として環境汚染を疑う場合は、日米合同委員会、一九七三年の合意があります。この合意に従って米側調査要請や立入り許可申請等を行うこと、これは可能になると考えます。  いずれにしましても、今の段階では米側情報提供を求めている段階ですので、引き続き米側に確認をしっかり求めていきたいと考えます。
  107. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今回のこの環境汚染についてでありますが、この責任を明確化する必要がありますが、誰がどのような責任を取るのか、中谷防衛大臣にお伺いいたします。
  108. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在調査をいたしておりまして、沖縄防衛局におきましては、これに対して文書を出して検出状況について開示をいたしております。  このPFOSが検出されたということで、因果関係についても問合せをいたしておりまして、現時点で本件の責任の所在について申し上げることは困難でございますが、早期解明に向けまして米側に働きかけをいたしておりますので、米側からの情報内容を踏まえまして、必要に応じて関係者とも調整しつつ対応してまいりたいと考えております。
  109. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 立入りに関するこの日米合同委員会合意によりますと、環境補足協定第四条に基づく環境事故、立入りが認められるためには、先ほど岸田大臣からもありましたが、米側から日本側への環境事故発生の通報が必要とされています。しかし、これでは米側が汚染源であることを認めた場合にしか日本側は立ち入れないことになるわけです。  しかし、今回の水質汚染のように、米軍に起因するおそれの極めて高い深刻な環境汚染が現に発生している場合であっても、米側の通報がない限り日本側は立入りの申請すらできないというのでは、環境対策の強化にはつながらないのではないでしょうか。通報がなくても、米軍に起因するおそれのある環境事故が現に発生している、その状況であれば、日本側が立入りをすることができるようにすべきではないですか。改めて岸田外務大臣の御所見を伺います。
  110. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、環境補足協定に基づく環境に影響を及ぼす事故が現に発生した場合の立入り申請については、米側からの情報提供が端緒となっております。  ただし、米側から通報がない場合であっても、既存の日米合同委員会合意、一九七三年の合意に従って考えた場合に、日本側として環境汚染を疑う場合には米側調査要請や立入り許可申請等を行うことは可能であると考えます。  ただ、今、現状につきましては、先ほど来説明がありますように、米側情報提供を求めている段階ですので、まずはこの情報提供をしっかり求めていく、米側に確認を求めていく、これに努力をするべきであると考えます。
  111. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 では、今、米側に調べていただいている、その結果は、いつ頃これは公表できるんでしょうか。
  112. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) 先ほど来大臣からも申し上げておりますように、米側には事実関係について問い合わせておりますけれども、現時点で米側の方からめどについて示されているということはございませんので、ちょっとこの場で申し上げることは困難でございます。
  113. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この浄水場の汚染もそうですけれども、沖縄県内では基地周辺、基地跡地における環境汚染の問題が深刻化しております。更に申し上げたいのは、この事後処理にも問題があるということです。  例えば、高濃度のダイオキシン類を含むドラム缶が発見された沖縄市のサッカー場の汚染土を覆っていたブルーシートが台風で剥がされたことがあります。私も何度も現場に足を運びましたが、そこを視察した専門家がダイオキシン発見後の管理のずさんさにも非常に驚いておりました。研究室でも厳重に扱われる物質を風雨にさらしたまま、二次汚染対策もきちんと行われなかった、そのこともあるわけですが、これについて御所見をお伺いいたします。
  114. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年の七月に台風九号が沖縄県に来襲した影響によりましてブルーシートが一部剥がれましたが、ブルーシートは速やかに張り直したところでございます。また、この試料採取を行いまして排出調査を行いました結果、周辺環境への影響につきましては確認をされませんでした。  防衛省としまして、今後も沖縄市等と調整を行いながら、適切に廃棄物混じりの土砂等を管理した上で、事後速やかに土砂等の処分を実施する予定でございます。
  115. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、防衛省調査とそれから沖縄市の調査、そして専門家の調査をいろいろ聞いてみますと、国やそれから市の対応についても多くの疑問がございます。  なぜこの環境汚染の問題が次々出てくるのか。これは、やはり米軍にきちんと責任を負わせていないからではないですか。米軍による環境汚染が発生したとしても、米軍にその原状の回復義務がないという、これは日米地位協定に問題があると思わざるを得ません。  今回の環境補足協定は不十分だと言わざるを得ませんが、常識的に考えて、例えば土地を借りている場合に、その土地を返すときに原状回復をするのは当然、土地を借りた人の義務だと思います。なぜ米軍には原状回復義務がないのか、御説明をお願いいたします。
  116. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現状の日米地位協定におきましては、これは第四条に明記されていますが、施設・区域の日本への返還に当たり米側に原状回復の義務がない、その代わりに日本側においても残される建物、工作物等について米側に補償する義務を負わない、こういった形で双方の権利義務のバランスを取っているという構図になっております。  環境補足協定におきましても、こうした日米地位協定の構造はあえて変えておりません。この返還地において原状回復のための措置が必要であれば、これまで同様、日本政府が責任を持って行う、こうしたことになると考えます。
  117. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 では、諸外国ではどうなんでしょうか。ドイツや韓国、そして米軍のその他の外国軍隊による環境汚染が認められた場合に米軍等はどのような義務を負っているのか、また、基地を提供している国や自治体にはどのような権利があるのか、お示しいただきたいと思います。
  118. 森健良

    政府参考人(森健良君) お答えいたします。  米国と他の国との間の地位協定につきましては、政府として必要な範囲で情報収集を行っておりまして、例えば米国とドイツや韓国との間でも、協定あるいは関連の合意議事録などにおきまして、駐留軍の派遣国が環境保全の重要性を認識し確認する旨規定するなど、環境分野についての一定の規定はあると承知しております。  一方、それぞれの法律関係は各国におきまして極めて複雑でございまして、例外規定や除外規定がありますなど一概には申し上げられないという状況だと思います。
  119. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、細かいことはおっしゃいませんでしたけれども、この日米地位協定は諸外国の地位協定と比べて、私が調べた範囲でもかなり不平等です。地位協定によって日本国民の暮らしが脅かされている現状、政府としてどのように受け止められるのか、岸田大臣にお伺いします。
  120. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米地位協定と他国と米国とが結んでいる地位協定、この比較ですが、やはりこの規定ぶりだけではなくして、実際どのように運用されているか、あるいは背景がどうであるかなど、この全体像の中で検討する必要があります。この優劣を一概に論ずるというのは困難なものがあります。  その上で申し上げれば、日米地位協定、これは協定そのものに加えまして数多くの日米合意を含んだ大きな法体系です。政府としては、手当てすべき事項の性格に応じて合同委員会を通じた取組などによって不断の改善を図ってきています。刑事分野においては、これまでも様々な取組を行ってきました。直近では二〇一三年十月に米軍人等が起こした事件について米側での処分結果を被害者側にお知らせする新たな日米合意を作成したところですし、環境分野につきましては、先ほど来議論の中に出ております環境補足協定を締結をしました。  地位協定について様々な意見があること、これは承知しておりますが、引き続き個々の問題について、是非目に見える改善、これを一つ一つ具体的に積み上げていく、こうした姿勢でこの地位協定についてあるべき姿を追求し、国民の理解を得ていきたいと考えます。
  121. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この安保、それから地位協定によって日本国民の生命や財産が脅かされている現状、政府はきちんと把握すべきではないでしょうか。  環境補足協定は、米軍による環境汚染の防止や早期の解決には今のやり取りを聞いても不十分な協定だと思います。環境汚染が発生した場合の日本側の立入り権限の強化、そして米軍の原状回復義務はもとより、日米地位協定、抜本的に改定すべきだということを強く申し上げ、そして先ほど代執行訴訟の和解のこともありましたけれども、本当の意味で政府沖縄に寄り添って、そして沖縄の理解を得たいというのであれば、もっと誠実に中身のある協議をしっかりしていただきますように強く要望して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  中谷防衛大臣にお伺いしますけれども、今回、辺野古埋立てに関して政府が裁判所の和解案を受け入れるに至った認識と、受け入れることでどういうことを目指したのか、意図ですね、それをお伺いしたいと思います。
  123. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 普天間基地問題というのはもう二十年来になりますけれども、この基地が抱える危険性、また騒音など、住民の皆様方が抱える心配や懸念などに応えるために政府として取り組んでまいってきたわけでございます。しかしながら、近年、国と沖縄県とが訴訟合戦を延々と繰り広げるような状況に至りまして、結果として膠着状態が続きますと、この普天間飛行場を始め沖縄の現状が更に何年間も固定をされるということになりかねないと考えたわけでございます。  そのような状況の中で裁判所から和解勧告という新たな状況が提示をされまして、それを踏まえまして安倍総理がリーダーシップの下に熟慮した結果、国と沖縄県の将来にとって最適な選択であると判断をいたしまして沖縄県と和解をするとしたわけでございます。  政府といたしましては、裁判所が提示をし沖縄県と合意をした和解条項が定める手続に従って、誠実に対応してまいりたいと考えております。
  124. 小野次郎

    ○小野次郎君 和解勧告を受け入れるに至った認識についてもお伺いしました。また、誠実にこれを履行してまいりたいというお考えもお伺いしました。  それでは次にお尋ねしますけれども、本件についての最終判決が確定するまでは埋立工事などの作業は中断するという理解でよろしいんでしょうか。
  125. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、和解勧告を受け入れまして、それに伴って対応いたしております。防衛省といたしましても、埋立工事、これを直ちに中止をするということといたしました。  現在、この内容等につきまして、和解の内容、よく確認をした上で適切に対応すべく今検討いたしておりますが、この埋立工事とは別に、キャンプ・シュワブの中において、代替施設の飛行場区域とは異なる区域で代替施設建設事業と直接関係のない建物の整備工事、これは米軍の隊舎でありますけれども、そういった工事も実施をいたしておりまして、今回和解の内容をよく確認をした上で、いかなる事項が埋立工事と考えられるのか、こういう点について今検討をしているということでございます。
  126. 小野次郎

    ○小野次郎君 全く、キャンプ・シュワブの中ではあるけれども、別の作業についてはやっていますという話だったと思うんですけど、埋立てというのは普通に言うと土砂を埋める作業なんですけど、それに付随して、まずその前にどこかを掘る作業だとか、ボーリングというんですかね、そういうものはこの中止には含まれないという理解ですか。
  127. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、防衛省としては、埋立工事を中止するということで、その他の事項も含めましてボーリングの調査、そしてキャンプ・シュワブの陸上部における工事など、各種の現場の作業、現時点で全て止めている状況でございます。  その上で、このボーリングの調査、これが和解に伴う防衛省対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者であります沖縄県側との認識が異なることがないようによく確認をした上で適切に対応してまいりたいと考えております。
  128. 小野次郎

    ○小野次郎君 いわゆる文脈が違うその工事をやめなさいと言っているわけではないんですけれども、さっき大臣が最後におっしゃったように、何をするにせよ、こういう和解勧告を受け入れるということの立場に立ったわけですから、何かする際には沖縄県側の理解を、理解って変ですけれども、趣旨が違うんだよということであれば違うということについて、相手方に驚かせることのないような説明をしながら進めていただくことをお願いしておきたいと思います。  それから、こうした工事の中断というのは、これは沖縄県の対応にもよると思いますが、あるいは裁判所自体の、どれぐらい時間が掛かるかということにもよるんですけれども、最大どの程度この工事中断は継続する見通しなのか。断定的におっしゃることは難しいと思いますけれども、どんな見通しなんでしょうか。
  129. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましてはこの和解条項に沿って行ってまいりたいと思いますが、この手順におきましても、今、承認取消しの是正措置があった後、不服がある場合は一週間以内に沖縄県が国地方係争処理委員会に審査を申出をし、また、出た結論につきましてそれぞれ一週間以内に沖縄県が高裁に提訴、また国が提訴というようなことで行われているということでございますので、移設作業を再開するまでの期間につきましては現時点で予断を持って申し上げることが困難な段階でございますが、国といたしましては普天間飛行場の一日も早い返還に向けて全力で取り組むという姿勢には何ら変わりはございません。
  130. 小野次郎

    ○小野次郎君 私どもでさえ、どれぐらい中断されるのかなと、結果的に言えば工期が遅くなるのかなということを思うわけですから、この和解案受入れについて米国政府側にはどのような説明を行っているのか、そしてまた米側からは理解を得られているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  131. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、外務省の方もこの決定が行われた後、直ちに米側説明をいたしております。様々な外交ルートを通じて行いました。  私自身も三月の七日、防衛省を訪問したシアー国防次官補に、日本政府としての今回の和解の決断と普天間飛行場の全面返還を実現するための考え方を改めて伝えたわけであります。シアー国防次官補からは、今回の決定は日本政府は極めて慎重に検討した上で下した決断だと承知しているとの発言がございまして、日米間におきましては、返還作業日米合意に基づいて進められているものでありまして、引き続き日米間で緊密に連携していくということを確認をしたわけでございます。
  132. 小野次郎

    ○小野次郎君 和解案受入れというと、普通は裁判を取り下げて和解を受け入れるのかと思ったら、説明を今日聞きましたら、幾つかある訴訟を整理して、何というか訴訟合戦の部分を割愛というかカットしたので、訴訟、争訟手続は続くみたいですけれども、そのこれから行っていく、和解案に沿って進めていく争訟手続の間にも沖縄県側と円満解決に向けた協議実施するようにというのがこの和解案の中にあるわけですが、この協議というのはいつから始めるお考えなのか、またこの協議開始について、始まっていないなら始まっていないとして、調整はもう沖縄県側と始めたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  133. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府としては、協議によりまして円満解決できるように粘り強く取り組んでまいる所存でありますが、近日中に、政府沖縄協議会など既存の枠組みを活用するかどうかも含めまして、今後の進め方につきまして沖縄県と調整をして速やかに実施に移したいと考えております。
  134. 小野次郎

    ○小野次郎君 国交大臣の是正の指示というんですかね、それが出て、その日の沖縄県知事の報道、マスコミの取材の対応を見ていましたら、やはりちょっと唐突というか、驚いている感じのコメントをされておられました。  円満解決に向けた沖縄県との協議開始前に国交大臣が知事に対して取消処分の是正を指示したというのは、ニュースを見た私なんかも思ったんですけど、あれ、円満解決になったんじゃないのと思っていただけに、政府姿勢に対する、やっぱり沖縄県知事もそうだったし、私たちもそうなんですけど、一般の信頼を損なうおそれもあったんじゃないかと思うんですが、どうしてこういうふうに、こんな取り上げられ方をしたのか。  今後もまたこういうことが続くと、やはりそれは、せっかく和解案を受け入れたと言っているのに、何か全然両者の緊張関係がほぐれていないなというのは困ることだと思うんですけれども、どうしてこういうことになったのか、またこれからもこういうこと起きるんでしょうか。
  135. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、沖縄県と成立をいたしました和解条項に沿って行っているところでございまして、この和解条項の三項に、国交大臣は沖縄県知事に対し、埋立承認取消しに対する是正の措置をするとあります。その後の手順も和解条項の中に明記されておりまして、不服の場合には国地方処理委員会に申し出るというようなことが書かれているわけでございますので、あくまでも沖縄県も合意をした和解条項で定められた手続、これを行ったものでございます。  したがいまして、今回の是正の指示は円満解決に向けた政府姿勢に対する信頼を損なうものではないと考えているわけでございますが、今後とも協議実施をしてまいりたいと考えております。
  136. 小野次郎

    ○小野次郎君 信頼を損なうものではないって、信頼というのは外から見た目のことですから、大臣がそうおっしゃる、あるいは防衛省がそう認識しているんではなくて、やっぱり多くの人があれっと思うようなことをやっていたら、やっぱりそれは信頼は損なわれてしまうと思うんですね。  手順を進めるについて、円満解決に向けた協議においてもやっぱりインフォームドというか、ちゃんと相手方に説明しながらやっていかないと無用のまたトラブル、トラブルというか緊張が高まったりすると思うので、もう一度お伺いしますけれども、こういう手順については沖縄県側と既に細かい打合せはしていないんですか。
  137. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府としては和解条項の手順に従ってやっているわけでございまして、まず工事を中止をする、そしてこの訴訟、これを取下げをするということで、その上、国が沖縄県知事に辺野古埋立承認取消しの是正指示をすると、これは和解条項に定めた手順に沿ってやってきているわけでございますので、国といたしましてもこの手順に沿って実施をしているという認識でございます。
  138. 小野次郎

    ○小野次郎君 もうそろそろ終わりにしますけれども、私が聞いているのは、国は和解条項に沿ってやっていると繰り返しおっしゃりますけど、そういう手順についてもやはり沖縄県側とよく理解をした上でやらないと、どちらも和解条項に沿っていると言っていても、やはり唐突な感で受け取られるような対応を取っていたらちっとも円満解決の方向に向かわないと思いますので、そこは、だから、国は間違っていないというのじゃなくて、沖縄とよく相談してやっていますという答えをいただきたかったんですけど、その打合せは進んでいるんですか。
  139. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この和解が成立しまして、直後に知事にも私もお目にかかりましたし、名護市長にも会いました。官邸の方でも総理と官房長官と知事との面会も行われまして、今後協議をしましょうということでございます。  協議におきましては、政府の考え方、こういった負担軽減、目に見える形で実現するという取組について改めて丁寧に説明をしまして、理解を得られるように粘り強く取り組んでまいる所存でございます。
  140. 小野次郎

    ○小野次郎君 円満解決の糸口というのはいろんなところに見付けることができると思いますので、その意味で、今回の政府の和解条項を受け入れるという判断については、多分私も含めて多くの人間がいい決断をされたというふうに思っておりますので、そこがいい結果につながるように、是非これからも細かく沖縄県とは連絡を取って進めていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  141. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる。元気があれば水風呂にも入れるということで、今日も水風呂に入ってきましたけど、人よりも早く季節の変わり目を知るということで、おかげで風邪も引きませんが。  連日テレビも、去年は国立競技場でもめにもめて、やっと設計図も決まったかなと。決まった暁には聖火がなかったという、誰も考えない、おかしいなと思いますけれども、とにかくいい方向に向かうように願っていますが。  連日やはりテレビで報道されておりますアメリカの大統領選、それからまたTPPについてお伺いをしたいと思いますが。  トランプ氏はかつて、二〇〇七年でしたかね、プロレスのリングに上がって、マクマホンというプロモーターと髪切りマッチということでパフォーマンスをやったことがありましたが、大変ちゃめっ気というかパフォーマンスが好きなのかなと思います。今の流れを見ていくと、クリントンさん、そしてトランプ氏の決戦になっていくのかなという情勢が見えてきました。  そんな中で、先日、参議院での答弁で安倍総理は、それぞれの候補について内政干渉になるので答弁は差し控えると、多分、トランプ氏と会ったことがあるかという質問だったと思いますが、多分これは答弁としてもっと深くは考えていると思いますが。  かつて、アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪を引くという言葉もありましたが、そんな中で、この両候補もTPPに関しては反対ということが報道されています。どちらが当選されてもTPP成立がしなくなる可能性があるのではないかという思いもあるんですが、もしそのような場合が出たときに政府はどのような、例えば一つの、戦略というのは一つじゃありませんから、幾つかの、これが駄目だったときにこうだとか、その辺について外務大臣の見解をお聞かせください。
  142. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、基本的には、米国大統領選挙、米国の選挙ですし、今選挙が行われている最中ですので、その具体的な候補者について、あるいは発言について私の立場から何か評価、コメントするのは控えなければならないとは思いますが、御指摘のTPPにつきましては、米国を始め基本的な価値を共有する国、地域との間において経済のきずなを深め、その輪を広げていくことで地域の平和と安定にも資する、こうした戦略的な大きな意義を有しているものであると認識をしています。  そして、この大統領候補、来年以降、誰が大統領になるかということも関心はもちろん十分あるわけですが、今、現職のオバマ大統領がこのTPP協定の議会通過については本年度の貿易に関する最優先事項と位置付けて取り組んでおられるわけですから、まずはこれをしっかりと見守りたいと思います。  そして、我が国としましても、八日の日にTPP協定の国会への提出及びこの整備法案の閣議決定をいたしました。日本が率先して動くことによって早期発効に向けた機運を高める、そしてそのことによって関係各国で一致しているよう、米国を含む各国が責任を持って国内の支持を得て手続を進める、こうした動きにつながることを是非期待したいと考えます。
  143. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、地球防衛軍という、先日、目にしましたが、先日、NASAが地球防衛軍を立ち上げるという発表がありまして、表向きは地球に衝突し災害を起こす可能性のある小惑星やすい星などを早期発見できるようにするとありました。  以前、科学技術分野での研究について、誰だったですかね、質問で、世界一じゃなければいけないんですかという、二番目でもよいんじゃないんですかという議論があったことを記憶していますが、まず、NASAが地球防衛軍について、多分それだけではなくいろんな戦略的なものもあると思いますが、知っている範囲内で結構ですが、その辺について意見あるいは見通しをお聞かせください。
  144. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  本年の一月でございますが、アメリカ航空宇宙局、NASAは、太陽を周回する地球の近くを通過し地球に脅威をもたらすおそれのある小惑星あるいはすい星などの天体を探知、追跡をするために地球防衛調整室というものを創設したと、このように承知をしてございます。  NASAによりますと、現在、地球の近くに接近するおそれのある天体というのは約一万三千五百個ほどあるということでありまして、このような天体の一部が将来的に地球に接触するなど、地球にとって潜在的な脅威になり得ると指摘をされているところであります。このような問題意識に基づきまして、NASAは地球防衛調整室を設置をし、地球に潜在的な脅威をもたらすおそれのある天体、これを早期発見、探知、追跡をして、潜在的な影響について注意喚起を行うとともに、実際の脅威がある場合には米国政府内で省庁横断的な対策の立案を支援するということにしていると、このように承知をしてございます。
  145. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 ヒラリー候補が大統領になったらエリア51の情報を公開すると。去年、予算委員会でUFOの話をしたら結構笑っている人もいましたが、世界的に見るとかなりこれが存在するだろうというような見方の人が増えてきておりまして、そんな中で、地球外生命体の話だけでなく、衛星を使ったこれから攻撃、あるいはあらゆるケースを想定していく。  今は、中国であり北朝鮮であり、その辺の防衛という部分ですが、今ロボットの時代になって、まさに大進化というのか、その辺も、恐らく兵士の問題も、人間が戦わなくてロボットが出ていくという時代も来るんではないかと思うんですが、その辺について、この地球防衛軍ですか、もう一回、日本としても何か関わることができるのか、お聞かせください。
  146. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省としましても、宇宙空間、これが新たな戦略的領域でありまして、安全保障上の重要な比重が増大していると認識をいたしております。  現在、宇宙からの攻撃等に対しては具体的な取組を行う計画は有しておりませんけれども、宇宙空間については、対衛星兵器、またスペースデブリといいますけれども、破片ですね、こういうものなどに対しまして、持続的かつ安定的な宇宙空間の利用を妨げるリスク、こういうものが各国にとっての安全保障上の重要な課題となっているということで、今後、米国を始めとする国際社会と連携しつつ、宇宙状況監視、SSAなど、安全保障分野で宇宙における取組、これに取り組んでまいりたいと考えております。
  147. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、北朝鮮問題にちょっと触れたいと思いますが、先ほど浜田議員からも質問がありました。日本北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射実験を受け独自に制裁決議したと。  この件に関しては、私なりの思いなんですが、国連制裁が出た後に日本制裁ということでもよかったのではないかと。なぜかというと、そういう意味で北朝鮮がどう反応するかというのはもう御存じのとおりだと思いますが、当然、一番大きな問題、拉致問題を抱えていますから、その拉致の問題がこの問題でますます難しく、恐らくドアが閉まってしまった以上、これからどういうふうにその最初のドアを開けるかということで、外務大臣の見解をお聞かせください。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先般の北朝鮮による核実験、そして弾道ミサイル発射、これは我が国の平和と安全に対する重大な脅威でありますし、また累次の安保理決議等にも違反するものであり、我が国独自の措置と相まって安保理の強い決議発出することによって北朝鮮に対しまして強いメッセージを発すること、これは大変重要なことであると認識をしています。  一方、我が国にとりまして、拉致問題、これは最重要課題の一つです。そして、拉致問題においては、やはり拉致被害者の全員帰国を果たさなければなりませんので、対話という部分がどうしても必要になります。事実、一昨年、我が国北朝鮮との対話を再開することによって、それまでは北朝鮮は拉致問題は解決済みだと主張していました。そういった北朝鮮に対して、対話の窓口をこじ開けて、そしてストックホルム合意に基づいて調査を約束させた、こういった経緯もあったわけであります。  ですから、我が国は従来から、核、ミサイル、拉致、こうした諸懸案を包括的に解決していくんだという方針を示しています。よって、対話と圧力、これは共に必要だと考えます。この対話につきましても、我が国から対話の窓口を閉ざすことはありません。是非、引き続き対話と圧力の方針に基づいて、さらには行動行動の方針に基づいて、拉致問題を解決するべく全力で取り組んでいきたいと考えます。
  149. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 ちょうど昨日は北朝鮮の女子サッカーと日本のチームがやって、日本が勝ったのでよかったなと思うんですが、かつて、二〇一二年ですかね、U20女子サッカーワールドカップが日本で行われた際に、北朝鮮チームを入国させないということでちょっと問題になり、サッカー連盟から政治とスポーツは別だという批判が出たことを覚えています。  今後、スポーツの国際大会など、北朝鮮選手が入国できる、私はやはり、今回、恐らく扉が、全部とは言いませんが、その扉が閉まってしまった中で、どこかの扉を開けておく必要があると前からも言っているわけですが。本当に、一つには、窮鼠猫をかむじゃないが、そこのところのやっぱり人の流れをつくっておかなければ、確かな情報というのも日本には今入ってきていないんじゃないか、北朝鮮が発表したいろいろメッセージもありましたが。  そんな中で、今後、日本のチームが、あるいは向こうの北朝鮮のチームがいろんな分野で入ってきた場合に、それはこれからも続けていくお考えでしょうか。
  150. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先般発表いたしました我が国北朝鮮に対する独自の措置によりまして、北朝鮮籍者の我が国への入国、これは原則として認められない、このようになっています。また、我が国から北朝鮮への渡航についても自粛を要請しているところです。  一方、国際スポーツ界においては国籍等による差別は禁止という共通の考え方が浸透しており、例えば国際サッカー連盟規則においても差別を許容してはならない、このように規定をしています。スポーツの国際大会における北朝鮮チームの入国については、このようなことも勘案した上で、例外的に入国を認めるべき特別な事情に当たるか等を個別に検討していくことになります。  また、今後、スポーツの国際大会が北朝鮮で開催される場合の政府としての対応について、現時点で予断を持ってお答えすることは控えたいと思いますが、いずれにせよ、国際スポーツ界における共通の考え方も踏まえつつ、我が国から北朝鮮への渡航の自粛を要請していることも念頭に置いて適切に対応されるべき問題であると考えます。
  151. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間が来ました。ありがとうございます。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  核兵器廃絶の問題についてお聞きいたします。  岸田大臣、広島御出身で、私も広島育ちの被爆二世でありますから、この問題は繰り返しお聞きしてまいりました。  この間、核兵器の非人道性を告発をして、その禁止、廃絶を求める国際的流れが大きく一層広がっております。二〇一二年三月のNPT再検討会議準備委員会で、オーストリア、ノルウェー、スイスなど十六か国によって発表された共同声明が出発点で、人道性のイニシアチブと呼ばれております。専ら安全保障という観点から議論されてきた核兵器の問題を、人類に対する被害、人道的問題として議論することでこの核軍縮の交渉の停滞を打破して前進を図ろうというものでありますけれども、まず、この核兵器の非人道性という問題についての大臣の御認識を伺いたいと思います。
  153. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の核兵器の非人道性に対する認識ですが、核兵器に関する立場、あるいはアプローチに関しましては、国際社会様々であります。しかし、こうした違いを超えて、この国際社会を結束させる触媒となるべきものがこの核兵器の非人道性の認識であると考えます。核兵器のない世界に向けたあらゆるアプローチを下支えするものであると考えます。  かかる認識の下、我が国は唯一の戦争被爆国として、被爆の惨禍を世代や国境を越えて伝える取組があります。是非、この核軍縮に関する現実的そして実践的な取組、しっかり進めていきたいと考えます。
  154. 井上哲士

    ○井上哲士君 この人道性に関わる共同声明への賛同は急速に広がりました。当初、核兵器国はこの共同声明に反発をしていたわけですが、しかし、核兵器国といえども核兵器を人道的兵器だと言うことはできないわけで、頭ごなしには否定できなくなって一定の理解を示す発言も生まれてまいりました。  一方、非人道的兵器と認めればそれを持ち続けることは正しいことではない、禁止し廃絶するのが筋だということになるわけで、核兵器国はこの非人道性の議論に神経をとがらせてきたというのがこの間だと思うんですね。その中で開かれたのが昨年の第七十回国連総会でありました。核兵器の非人道性を告発し、その禁止、廃絶を求める大きな国際的な流れと核保有国などの対決が新しい段階に入ったと私は思っております。  総会では、この核兵器の非人道性について三本の新しい決議、それから作業部会の設置を求める決議採択をされましたが、それぞれのタイトルと票数、日本の態度はどうだったでしょうか。
  155. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  まず、御指摘いただきました非人道性に関する三つ決議でございますが、一つ目が、いわゆる核兵器の人道上の結末に関する決議でございます。これにつきましては、賛成が百四十四、反対十八、棄権二十二、我が国は賛成をしております。次が、人道の制約に関する決議でございます。これにつきましては、賛成が百三十九、反対二十九、棄権十七、我が国は棄権をしております。三つ目が、いわゆる核兵器のない世界のための倫理的責務に関する決議でございます。これにつきましては、賛成百三十二、反対三十六、棄権十六、我が国は棄権をしております。  次に、オープンエンド作業部会の設置を定めた決議でございますが、これはいわゆる多国間核軍縮交渉の前進、これに関する決議と言われております。この決議に関しましては、賛成百三十八、反対十二、棄権三十四、我が国は棄権をしているというところでございます。
  156. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本三つ決議に棄権という態度を取ったことは大変残念であります。ただ、四つの決議はいずれも圧倒的多数で採択をされました。これまでは共同声明という形だったものが国連総会の決議になったということは新しい局面であり極めて重要だと考えますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。
  157. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 核兵器の人道上の結末に関する共同ステートメントについては、二〇一二年以降、NPT運用検討会議準備委員会国連総会第一委員会実施されてきており、我が国のアプローチと整合する文言となった二〇一三年十月以降、我が国も参加してきております。そして、昨年の国連総会ですが、初めて核兵器の人道上の結末に関する国連総会決議が提出され、多数の国の賛同を得て採択されました。このことは、核兵器の非人道性に関する国際社会の意識の高まりを表すものとして意義を有すると認識をしております。  いずれにしましても、我が国は、核兵器の非人道性の認識について、国際社会を結束させる触媒となるべきものであり、核兵器のない世界に向けたあらゆるアプローチを下支えするものであると考えております。
  158. 井上哲士

    ○井上哲士君 核兵器の非人道性についての国際社会の認識の高まりを示す、大変意義あるものだという答弁でありました。  ただ、この四つの決議について、米英仏ロは全て反対しました。中国は、三つには棄権、そして作業部会の決議には反対という態度であります。米英仏がこの決議に反対をした理由をどのように承知をされているでしょうか。
  159. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  核兵器の非人道性に関する三つ決議案につきましては、御指摘のとおり、アメリカ、イギリス、フランス、この三か国は反対票を投じております。  この理由でございますけれども、この三か国は共同で投票理由説明を行っておりまして、まず一点目が、これらの決議案が目指しているのは、たとえ核兵器を保有している国が核兵器禁止条約を締結しなくとも核兵器の保有及び使用を禁止すること。二点目が、核兵器禁止条約は、核兵器不拡散条約、いわゆるNPT条約でございますが、こういったものを損なうものであり、懸念をする。三点目が、核軍縮は現実の国際安全保障上の懸念への対処なしには実現をしないと、こういった点を挙げて反対をしているというように承知をしております。
  160. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、一連の共同声明やこの決議に対して核保有国が反対をしてきた一番の理由は、核兵器の非人道性の問題なわけですね。人道的イニシアチブを背景にした一連の共同声明そして決議には、こういう文言が共通して出てきます。いかなる状況においてもこれらの兵器が決して使われないということが人類の利益だと。核兵器国は、この文言が核抑止の政策と相入れないということを主張し、反対をしてきました。  では、日本政府はどうなのかと。このいかなる状況においても核兵器が決して使われないということが人類の利益だと、こういう立場に立っていると、同じ認識だということでよろしいでしょうか。
  161. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の核兵器がいかなる状況においても二度と使用されてはならないことが人類の生存にとっての利益であることを強調するという文言ですが、先ほど賛否を確認されました幾つかのこの決議の中で、人道上の結末の決議、この決議においては、今御紹介があった文言に加えて、核兵器の非人道性の認識が全てのアプローチの取組を下支えする、このような文言があります。要は、これらの文言は、核兵器のない世界に向けた大きな目標そして理想を掲げたものであるということを捉え、我が国として賛同したということであります。
  162. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういう立場で賛同したということでありました。  しかし、核兵器国はこの文言に反対をしてきたわけですね。核抑止論というのは、結局のところは核兵器使用政策なわけですね。だからこそ、核兵器国は、いかなる状況においても核兵器は決して使われないということは人類の利益だという文言に反対をしてきたと。しかし一方で、この間の三つ決議の反対理由の中でも、核兵器の使用が破滅的な結果をもたらすということは認めているわけですね。そのことを認めながら核兵器を使う政策を取るというのは一体どういうことなのか、どういう事態であれば利益につながるのかということが問われると思います。  ですから、日本が、核兵器が決して使われないということが人類の利益だと、これに賛同するという立場と、結局のところ核兵器使用政策である核抑止論に依存をするということは甚だしく矛盾をする、そのことが一層明らかになっていると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  163. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 当然のことながら、我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を目指すべく国際世論をリードしなければならないと考えます。  そして、その際に大変重要なポイントは、具体的な結果を出すためには核兵器国と非核兵器国が協力をしなければならないということです。昨年のNPT運用検討会議においても最終文書が結果的に採択されなかったというようなこと、あれはまさに核兵器国と非核兵器国の対立が深まった一つの例ではないかと思います。  我が国としましては、様々な決議あるいは議論に臨むに当たって、具体的な結果を出す、そして、そのためには核兵器国と非核兵器国が協力する国際環境をしっかりつくっていかなければいけない、こういったことをしっかり念頭に取り組んでいかなければならないと考えます。そういった方針に基づいて現実的そして実践的な取組を進めていくというのが我が国立場であり、そうした考え方に基づいて、様々な決議に対する対応あるいは議論のありよう、しっかり考えていきたいと思います。
  164. 井上哲士

    ○井上哲士君 今のような対応を、核兵器国と非核兵器国の橋渡しをするというようなことも言われてまいりました。しかし、今日の最初に申し上げたような非人道性をめぐる核兵器国と非核兵器国の対決の下で、そういうことが私はもう矛盾と破綻を来していると思うんですね。そのことは、日本が提出をした決議についても表れました。  日本は、昨年の総会に核兵器廃絶に向けた統一行動という決議案を出しておりますけれども、これはどういう中身でしょうか。
  165. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) 御指摘いただきました我が方の核廃絶の決議案でございますけれども、昨年の我が国核兵器廃絶決議は、現実的かつ実践的な取組によって核兵器国と非核兵器国が協力していくことをしっかりと促し、核兵器のない世界の実現に向けた共同行動を求めるものになってございます。  具体的に申し上げますと、核戦力の透明性を一層高めていくこと、二点目としまして、北朝鮮に対して更なる核実験を行わず、全ての核兵器及び既存の核計画を放棄するよう強く求めること、三点目としまして、核兵器の非人道性への深い懸念が全ての取組の基本にあること、四点目が、世界の指導者や若者による被爆地訪問などを通じて核兵器の実相への認識を広めることといったような内容を含んでいるものでございます。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本は、二〇〇〇年から毎年決議案を提出をしてきました。今回の決議案も、これまでと同様に核兵器国に配慮して、核兵器禁止条約の交渉開始を始め拘束力のある法的な措置には一切触れておりません。核兵器国は、これまでこういう日本の提出の決議に賛成をずっとしてきたわけですね。ところが、昨年の日本提出の決議には棄権ということに賛成から転じました。一体なぜそうなったのか、どう把握されていますか。
  167. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、アメリカ、イギリス、フランスにつきましては、昨年の決議に関して棄権に転じております。このうち、アメリカ及びイギリスにつきましては、投票理由説明を行っていないため、これら両国が我が国決議に棄権した理由についてコメントすることは差し控えたいと思っております。一方、フランスにつきましては、その際の投票理由説明によりますと、核兵器使用の非人道的結末に関する認識が核軍縮に向けた努力を下支えをすると、こういった記述が我が方の決議案にありますけれども、こういう事実についてコンセンサスがないといったような理由で棄権をしたと承知をしております。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 まさに日本が被爆国として大切にしてきた核兵器の非人道性、そのことの文言についてフランスは態度表明でこれが問題だということで反対をしているわけですね。結局、やっぱり核兵器国は非人道性の議論というものに非常に神経をとがらせていて、随分配慮をした日本のこの決議すら許容範囲外だという判断をしたということだと思うんですよ。  日本はこれまで核保有国と非核保有国の橋渡しをするといってきたわけですが、その橋渡し役を果たすのがどちらの国も賛成できる決議を出すということだったと思うんですね。  ところが、被爆国としてゆるがせにできない非人道性ということを盛り込んだこの日本提出の決議に核保有国が賛成をしなかったと。ですから、日本が橋渡しの橋だと言っていたのが、通行不能になっているわけですよ。  私は、今、核保有国と核兵器禁止を求める国々との対立が非常に鮮明になっているときに、この橋渡し役というのが実際にもう成り立たなくなっているんではないか、そのことをこの決議のてん末は示していると思いますが、いかがお考えでしょうか。
  169. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の点、さらには昨年、五年に一度開催されたNPT運用検討会議での議論などを見ておりまして、御指摘のように核兵器国と非核兵器国の対立は深まっているということを感じています。しかし、だからこそ、協力なくして結果が出ないと考えた場合に、核兵器国と非核兵器国の協力を促していく努力はより重要になり、貴いものであると我々は認識をいたします。  是非、こうした状況もしっかり念頭に置きながら、核兵器国と非核兵器国の具体的な協力を得て具体的な結果につなげる、こうした道筋をつくるにはどうしたらいいか、こうしたことを唯一の戦争被爆国としてしっかり考えていく、これが我が国立場ではないかと思います。是非、これからもこうした現実をしっかりと見ながら具体的な結果を出すためにしっかり汗をかきたいと思います。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういう立場でずっとこの間決議がされてきたものが、昨年はこの非人道性を盛り込む中で棄権に核兵器国が回ったというこの現実こそ私は見るべきだと思うんですね。  来年の総会にも同様の文言を入れた決議を提案をされるんでしょうか。それとも、こういうものを外した決議を提案されるんでしょうか。
  171. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 来年というか、本年の国連総会になると思いますが、それまでまだ時間があります。そして、その間も様々な場で様々な軍縮・不拡散に関する議論が行われるものと想像いたします。  是非、そうした様々な動きをしっかりと注視しながら、その時点で最も核兵器国と非核兵器国の協力を得るためにはどのような決議なり対応が効果的なのか、こういったことをしっかりと考えた上で我が国対応を考えて決定するべきであると思います。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 同様の文言を入れるとは明言をされないわけですね。ですから、核兵器国の許容範囲でなければ被爆国日本としてゆるがせにできない態度さえ示すことを言えないということは、私は、これでは結局、核兵器国に被爆国としてふさわしく迫るということにならないと思うんです。  さらに、二月にジュネーブで国連の核軍縮部会が開かれました。昨年の総会の決議に基づくものでありますが、この部会をつくる決議日本は棄権をいたしました、その理由、そして、一方、作業部会には開催直前に参加をするということを表明をいたしました、その理由も併せてお聞きします。
  173. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、オープンエンド作業部会、この設置の段階での決議採択に当たりましては、双方の、要するに核兵器国と非核兵器国の協力を得て採択される、そういった見通しは低いと判断いたしました。こうした対立のまま強行することはより対立をあおってしまう、こういった判断に基づいて採択は棄権をいたしました。  しかし、結果としてこのオープンエンド作業部会は設置をされました。設置をされた以上、我が国として核軍縮に向けて建設的な議論を行うよう貢献していく、これは重要なことであるという考えに基づきまして参加については決断をしたという次第であります。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 この際の理由にも、核保有国と非核保有国の橋渡しをするということが言われております。先ほど言った日本提出の決議で橋渡しということが矛盾と破綻を、私、示していると思いますが、それでもなおかつ、こういうことを言われているわけですね。  じゃ、作業部会でどういう発言をしているのかと。  日本の佐野軍縮大使は、こうした核兵器の法的禁止に向けた交渉開始について、現在の安全保障環境を見渡せば、我々はそういう法的な手段の協議を核保有国を交えて始める段階には至っていないと、こういう発言でありました。ですから、橋渡しといっても事実上、核保有国の代弁者になっているんじゃないか、こういう批判が上がっております。  さらに、作業部会で佐野大使は、こうした交渉の開始が、核兵器国と非核兵器国の間のみならず、非核兵器国にも不和をもたらしかねないと、こういうことも言われております。  しかし、日本政府がやっているのはどういうことかと。オーストラリアなどの核の傘に依存する非核兵器国と連携をして、むしろこうした非核兵器国が核の非人道性を告発するという動きを抑える側に回っているのではないか。  オーストラリアのNGOが情報公開を請求して入手した文書がありますが、例えば昨年のNPT再検討会議の前の二月の十五日、オーストラリアのジュネーブの国連代表部から本国への打電がありますが、ジュネーブで志を同じくする国々では、人道の誓約が軍備縮小、撤廃に向けてNPTの枠を超えた代替的な法的道筋を追求する国を活気付かせるのではないかと、こういう懸念の電報が送られております。志を同じくする国として日本も同じ懸念を持っていると、こういうことなんでしょうか。
  175. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国が唯一の戦争被爆国として核軍縮・不拡散に臨むに当たりまして、大切な考え方として従来から私が申し上げているのは、核兵器の非人道性に対する正確な認識と、そして厳しい安全保障環境における冷静な認識、この二つをしっかりと踏まえなければならないということを申し上げています。それに基づいて現実的そして実践的な取組を進めていく、こうしたことを申し上げています。  こうした我が国の方針をしっかり今後も確認した上で、先ほど申し上げました核兵器国、非核兵器国との協力の国際環境をつくるためにはどうしたらいいのか、こういったことを我が国としてはしっかり考えていかなければならないと思います。両者の対立が深刻化しているという指摘があるのであるならば、なおさら我が国のこうした取組は重要だと考えます。そのためにどうあるべきなのか、具体的な文言や決議等に対する対応につきましては、今申し上げた考えに基づきまして真剣に今後検討していきたいと思います。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 オーストラリアの公開資料によりますと、先ほど紹介した電報の前に、ジュネーブのオーストラリア代表部で志を同じくする国々の特別会合が開かれたと、NATO諸国とともに日本も参加をしたということが報告をされております。  ですから、結局日本は、核兵器国、そして核の傘に依存する国々と共同して、今、核兵器の非人道性を告発し、そしてその禁止、廃絶をする条約の交渉開始を始める、その流れを阻むために共同して行動しているわけですね。私は、これは核兵器のない世界への障害物以外の何物でもないと思うんです。  被爆国である日本は、どの国よりも厳しく非人道性を迫力を持って訴えることができる、そういう立場にあるわけですから、核兵器の禁止と廃絶のための法的措置を主張できる一番強い立場にあるわけでありますから、私はそういう方向に、今日本は、核抑止論を退けて被爆国にふさわしい外交にかじを取る、切り替えるときだと、そのことを強く岸田大臣に求めまして、質問を終わります。
  177. 佐藤正久

    委員長佐藤正久君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会