○升田世喜男君
民主・
維新・
無所属クラブの升田世喜男であります。
私は、会派を代表し、ただいま
議題となりました
原子力発電における
使用済燃料の再
処理等のための
積立金の積立て及び管理に関する
法律の一部を改正する
法律案について質問をいたします。(
拍手)
我が国における核エネルギーの民事
利用とは、専ら
原子力発電であって、
政府は、この
原子力発電を、経済性にすぐれ、エネルギー安全保障に貢献し、地球温暖化対策に役立つクリーンなエネルギーとして称揚してまいりました。
しかしながら、国策として進められた原発政策は、経済的な合理性を欠いたプロジェクトの
推進を
民間企業に担わせるため、電力
事業の
地域独占体制の維持がその前提となっておりました。すなわち、電力業界が、七〇年代後半、国策協力に踏み切り、国内での
民間再処理工場建設を引き受けたのであります。
地域独占体制という無競争状態の
もとで、総括原価方式によって一定の利潤を得ることを保障されました。そのことによって、莫大な経済コストを負担することができたのであります。
しかし、電力自由化が進展する今、
民間企業としての電力
事業者にそうした余裕はなく、
原子力発電の高い
経営リスクを回避することが
事業存続の前提となっております。
さらに、二〇一一年の福島原発事故によって安全
基準が
強化され、原発コストも高騰いたしました。当然、寿命を終えたり安全
基準を満たさない原子炉は、自然エネルギーや火力発電によって代替されていくか、もしくは、需要の自然減や省エネにより無用となって、全国の原発が大幅減少となることは避けられないと思います。
原発の寿命は、原則四十年であります。この原則に従えば、二〇三〇年時点で運転できる原発は、建設中も含めて二十三基にすぎず、総発電量に占める割合も一五%程度にすぎません。したがって、かつてのように、年間千トンと言われた
使用済み核燃料を受け入れる必要性はなくなってまいります。
既存の原発が一定期間稼働し続ける以上は、バックエンド関連施設の
整備は不可避であります。我々は、現在、二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指し、
原子力発電事業からの段階的な撤退を模索しております。したがって、バックエンド関連施設の
整備は、そうした政策とも矛盾しないと考えております。
その上で、青森県六ケ所村にある再処理工場は、既に完成予定から二十年近くたってもいまだ完成しておらず、完成時期は二十三回も繰り返し延期されました。建設費は、約七千六百億から約二・二兆円に膨れ上がっております。
九七年三月には動燃の東海再処理工場が火災爆発事故を起こしていることともあわせますと、再処理
事業がなぜこれほどまでに迷走しているのか、このことについて、経済産業
大臣の釈明を求めたいと思います。
一九九五年十二月、動燃の高速増殖炉「もんじゅ」がナトリウム漏えい事故を起こし、無期限停止状態に陥るまで、高速増殖炉を将来の
原子力発電の中心に据えることを予定してまいりました。それは、高速増殖炉によってウラン燃料をほとんど無限大と言ってよいほど再
利用できること、高レベル放射性の体積を約七分の一に低減できること、さらには、有害度が
もとの天然ウランと同じレベルになるまでに、約十万年から約三百年に短縮できるというメリットがあることが
理由でありました。
したがって、核燃料サイクルも
使用済み核燃料の全量再処理を前提としておりましたが、高速増殖炉の実証炉の建設
計画は挫折し、「もんじゅ」自体も、昨年十一月、原子力規制
委員会からの勧告によって、半年以内に新たな運営組織を見つけられるか、あるいはあり方そのものを抜本的に見直すことを余儀なくされております。
そこで、「もんじゅ」をどうするかという問題であります。
既に、本年度末までに建設費と運転維持費で一兆二百二十五億円がかかり、さらに一日当たり五千五百万円の維持費を必要とする中で、「もんじゅ」を存続させることにどのような大義があるのか、誰がその費用を負担するのか、さらには、新たな運営組織のめどがあるのか、文部科学
大臣、お答えください。
二〇一四年のエネルギー基本
計画には、廃棄物の減容、有害度の低減や核不拡散関連技術等の
向上のための国際的な研究拠点として「もんじゅ」を位置づけることと提言しているわけでありますが、果たしてこのような構想が現実的なものであるのか、その根拠とともに、文部科学
大臣の御見解を求めたいと思います。
仮に、六ケ所村の再処理工場が完成しフル稼働した場合、年八百トンの
使用済み核燃料から約五トンのプルトニウムが新たに分離されることになります。
我が国は、二〇一四年末現在、四十七・八トンのプルトニウムを所有し、さらには、MOX
計画がおくれ続けますと、十年後には日本の分離済みプルトニウムの量は約百トンに達することになります。
五十トン近いプルトニウムを処分するためには、これをMOX燃料に加工して、プルサーマルで燃やす以外に方法がないのでありますが、その見通しも定かではありません。また、余剰プルトニウムをふやさないためには、再処理工場の稼働率を下げれば、処理費用が上がり、MOX燃料代がさらに上昇して、電力会社の
経営リスクが高まるという問題が生じるわけであります。
そこで、今後、日本全体のプルトニウム需給のバランスをどのようにとっていくのかについて、経済産業
大臣及び文部科学
大臣の御見解を伺いたいと思います。
さらに、二〇一八年七月には、現行日米原子力協定の三十年の有効期間が到来しようとしておりますが、これをどのようにして乗り切るのか、外務
大臣の御見解を伺います。
国内で貯蔵されている
使用済み核燃料は、約一万八千トンに達しております。原発の再稼働が進めば、今後も
使用済み核燃料はふえていく一方であります。国が核燃料サイクル
事業を
推進あるいは中止しようが、この
使用済み核燃料の最終処分の問題は、避けて通れない最重要課題であります。
私の地元青森県には、国から、青森県を最終処分場にしないという旨の確約書が届いております。この約束は必ず守っていただきます。
しかし、今日、
政府は、国が前面に出て、不退転の決意で対応する方針を打ち出しているものの、その
言葉以上の具体的な方策が全く聞こえてきません。
国民の不安を払拭するためにも、最終処分場の選定方法や検討
状況、その
手続について、経済産業
大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、本
改正案における
責任の所在の明確化についてお尋ねをいたします。
本
改正案は、自由競争の
もとで、
資金を安定的に確保するための
措置を講じることといたしております。そのことによって当面の
経営破綻を回避するという狙いは、
理解ができるところであります。
しかし、本
改正案では、認可法人は、
法律上、再処理
事業の主体となる一方で、日本原燃に
事業の委託をします。事実上の主体は何ら変わりません。もちろん、引き続き日本原燃の人材や技術の活用が合理的であることは
理解ができますが、むしろ、
責任の所在が曖昧になるのではないかとの指摘もあります。
大臣、エネルギー政策は、経済、そして生活の根幹にかかわる重要な
施策であります。だからこそ、
使用済み核燃料の再処理
事業における全ての
責任を新法人に任せてよいのでしょうか。
国、新法人、電力
事業者、日本原燃、それぞれの
責任のあり方について、経済産業
大臣に明確な御
答弁を求めます。
さらに、その新法人には、外部有識者による第三者
委員会が
設置されます。こうした核燃料サイクル
事業全体を、技術的にも経済的にも客観的かつ継続的にチェックできる仕組みは、非常に重要であります。単なるコストカッターにならぬよう、細心の注意が必要だと思います。
第三者
委員会のあり方についてどのようにお考えなのか、経済産業
大臣にお伺いいたします。
次に、新体制と青森県及び六ケ所村との
関係についてお伺いいたします。
青森県がエネルギーの安定確保に果たしてきた役割は、非常に大きいものがあると思います。
一九八五年、日本原燃と青森県、六ケ所村、電事連が
締結した、
地域振興を定めた立地基本協定がございます。本
改正案によって認可法人が設立された場合においても、当然、
地域振興という協定の
趣旨はそのまま継承されるべきと考えますが、経済産業
大臣の御見解を求めたいと思います。
最後に、本
法律案は、原発政策を半永久的に続けるための
法案ではなく、
原子力発電事業からの段階的撤退を模索する中、既存の原発が一定期間稼働し続ける以上、それに不可欠なバックエンド関連施設の
整備を着実に進める
法案であることを再確認して、私の質問を終わります。(
拍手)
〔国務
大臣林幹雄君
登壇〕