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2016-04-22 第190回国会 衆議院 内閣委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十八年四月二十二日(金曜日) 午前九時二分
開議
出席委員
委員長
西村
康稔
君
理事
亀岡 偉民君
理事
平 将明君
理事
武井 俊輔君
理事
中根 一幸君
理事
平井たく
や君
理事
緒方林太郎
君
理事
後藤
祐一
君
理事
佐藤 茂樹君 青山 周平君 池田 佳隆君 石崎 徹君
岩田
和親
君
大隈
和英
君
岡下
昌平君 神谷 昇君
木内
均君
木村
弥生
君
北村
茂男
君
高木
宏壽
君 武部 新君
中川
郁子
君 中山
展宏
君 長尾 敬君 ふくだ峰之君
藤井比早
之君
牧島かれん
君 松本 洋平君 宮崎 政久君
若狭
勝君 大串 博志君
木内
孝胤
君
小宮山泰子
君
近藤
昭一
君 鈴木 義弘君 高井 崇志君
古本伸一郎
君
中川
康洋
君 濱村 進君 真山
祐一
君
池内さおり
君
島津
幸広
君
伊東
信久
君
河野
正美
君 …………………………………
国務大臣
(
科学技術政策担当
)
島尻安伊子
君
内閣
府
大臣政務官
牧島かれん
君
内閣
府
大臣政務官
高木
宏壽
君
総務大臣政務官
古賀 篤君
文部科学大臣政務官
豊田真由子
君
政府参考人
(
内閣官房内閣審議官
)
大島
一博
君
政府参考人
(
内閣
府
大臣官房審議官
)
中川
健朗
君
政府参考人
(
内閣府政策統括官
)
森本
浩一
君
政府参考人
(
総務省大臣官房審議官
)
長屋
聡君
政府参考人
(
文部科学省大臣官房審議官
)
生川
浩史
君
政府参考人
(
文部科学省科学技術
・
学術政策局科学技術
・
学術総括官
)
神代
浩君
政府参考人
(
経済産業省大臣官房審議官
)
星野
岳穂
君
内閣委員会専門員
室井 純子君
—————————————
委員
の異動 四月二十二日
辞任
補欠選任
大隈
和英
君
木村
弥生
君
北村
茂男
君
中川
郁子
君
若狭
勝君
藤井比早
之君
阿部
知子
君
近藤
昭一
君
柿沢
未途君
木内
孝胤
君
江田
康幸
君
中川
康洋
君
河野
正美
君
伊東
信久
君 同日
辞任
補欠選任
木村
弥生
君
大隈
和英
君
中川
郁子
君
北村
茂男
君
藤井比早
之君
若狭
勝君
木内
孝胤
君
柿沢
未途君
近藤
昭一
君
阿部
知子
君
中川
康洋
君
江田
康幸
君
伊東
信久
君
河野
正美
君
—————————————
四月十二日
歳入庁
の設置による内国税並びに
労働保険料
及び
年金保険料等
の徴収に関する
業務
の
効率化等
の
推進
に関する
法律案
(第百八十九回
国会衆法
第三一号)の
提出者
「
今井雅人
君外六名」は「
今井雅人
君外五名」に訂正された。 同月十五日
マイナンバー制度
の廃止を求めることに関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第一四二四号) 同(
池内さおり
君
紹介
)(第一四二五号) 同(
梅村
さえこ君
紹介
)(第一四二六号) 同(
大平喜信
君
紹介
)(第一四二七号) 同(
笠井亮
君
紹介
)(第一四二八号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第一四二九号) 同(
斉藤和子
君
紹介
)(第一四三〇号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第一四三一号) 同(
清水忠史
君
紹介
)(第一四三二号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第一四三三号) 同(
島津幸広
君
紹介
)(第一四三四号) 同(
田村貴昭
君
紹介
)(第一四三五号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第一四三六号) 同(
畑野君枝
君
紹介
)(第一四三七号) 同(
畠山和也
君
紹介
)(第一四三八号) 同(
藤野保史
君
紹介
)(第一四三九号) 同(
堀内照文
君
紹介
)(第一四四〇号) 同(
真島省三
君
紹介
)(第一四四一号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一四四二号) 同(
宮本徹
君
紹介
)(第一四四三号) 同(
本村伸子
君
紹介
)(第一四四四号) 国の保育・教育・
子育て支援施策
の
拡充
に関する
請願
(
阿部知子
君
紹介
)(第一四五一号)
特定秘密保護法
を速やかに撤廃することに関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第一四五二号) 同(
梅村
さえこ君
紹介
)(第一四五三号) 同(
大平喜信
君
紹介
)(第一四五四号) 同(
穀田恵二
君
紹介
)(第一四五五号) 同(
清水忠史
君
紹介
)(第一四五六号) 同(
塩川鉄也
君
紹介
)(第一四五七号) 同(
島津幸広
君
紹介
)(第一四五八号) 同(
田村貴昭
君
紹介
)(第一四五九号) 同(
高橋千鶴子
君
紹介
)(第一四六〇号) 同(
藤野保史
君
紹介
)(第一四六一号) 同(
堀内照文
君
紹介
)(第一四六二号) 同(
真島省三
君
紹介
)(第一四六三号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一四六四号) 同(
本村伸子
君
紹介
)(第一四六五号)
特定秘密
の
保護
に関する
法律
の撤廃に関する
請願
(
赤嶺政賢君紹介
)(第一四九二号) 同(
大平喜信
君
紹介
)(第一四九三号) 同(
斉藤和子
君
紹介
)(第一四九四号) 同(
志位和夫
君
紹介
)(第一四九五号) 同(
清水忠史
君
紹介
)(第一四九六号) 同(
島津幸広
君
紹介
)(第一四九七号) 同(
田村貴昭
君
紹介
)(第一四九八号) 同(
畠山和也
君
紹介
)(第一四九九号) 同(
真島省三
君
紹介
)(第一五〇〇号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一五〇一号) 同(
本村伸子
君
紹介
)(第一五〇二号) 戦時慰安婦問題の
最終解決
を求めることに関する
請願
(
藤野保史
君
紹介
)(第一五七〇号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一五七一号) レッド・
パージ被害者
の
名誉回復
と
国家賠償
に関する
請願
(
清水忠史
君
紹介
)(第一五七二号) 同(
宮本岳志
君
紹介
)(第一五七三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
(
内閣提出
第三二号) ————◇—————
西村康稔
1
○
西村委員長
これより
会議
を開きます。 議事に入るに先立ちまして、
委員会
を代表して一言申し上げます。 このたびの
平成
二十八年
熊本地震
によりお亡くなりになられた
方々
とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、
被災者
の皆様に心からお
見舞い
を申し上げます。 これより、お亡くなりになられた
方々
の御冥福をお祈りし、
黙祷
をささげたいと存じます。 全員の御
起立
をお願いいたします。
——黙祷
。 〔
総員起立
、
黙祷
〕
西村康稔
2
○
西村委員長
黙祷
を終わります。御着席願います。 ————◇—————
西村康稔
3
○
西村委員長
内閣提出
、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
内閣官房内閣審議官大島一博
君、
内閣
府
大臣官房審議官中川健朗
君、
内閣府政策統括官森本浩一
君、
総務省大臣官房審議官長屋聡
君、
文部科学省大臣官房審議官生川浩史
君、
文部科学省科学技術
・
学術政策局科学技術
・
学術総括官神代浩
君、
経済産業省大臣官房審議官星野岳穂
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西村康稔
4
○
西村委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
西村康稔
5
○
西村委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
岩田和親
君。
岩田和親
6
○
岩田委員
改めまして、おはようございます。自民党の
岩田和親
でございます。 改めまして、
熊本
を
中心
とした九州での
地震
に関しまして、亡くなられた方にお悔やみを申し上げ、そして被災された
方々
にお
見舞い
を申し上げたいというように思っております。 私が住んでおります
佐賀
県も、隣地といいますか、
地震
の
揺れ
も大変ひどかったわけですけれども、二回目の
揺れ
のときは、ちょうど私は
佐賀
市の自宅で寝ておったところでありまして、大変大きな
揺れ
にびっくりしたところでございました。
佐賀
県では、今まで震度三とか四でもめったにないような、そういう
地域
でありましたので、皆さん大変驚かれて、不安がっておられたわけでありますけれども、大きな目立った
被害
というものはないと承っております。ですので、
佐賀
県の
人たち
に、とにかく
熊本
を
中心
とした被災された
地域
に何かお手伝いできないか、そういう声をたくさんいただいているわけでありまして、改めて、国、
地方
そしてまた
民間
も通じた形で復興に向けてしっかりと取り組んでいくことを皆さんと共有したいというふうに思っております。 それでは、本日、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
につきまして、
質疑
を進めさせていただきたいと思います。 まず、
日本
の
科学技術イノベーション政策
の
戦略
について、総論的に伺ってまいりたいと思います。 果たして
日本
は
世界
における
科学技術
の
先進国
かという問いに対しまして、国内外を問わず、多くの人が肯定的な答えをされると私は思っております。 そのことを象徴的にあらわすのが、
ノーベル賞
における
実績
であると考えます。二〇一四年の
赤崎先生
、
天野先生
、
中村先生
による
物理学賞
、一五年の
梶田先生
による
物理学賞
、
大村先生
による生理学・
医学賞
と、二年連続の
受賞
、また、
今世紀
における
自然科学系
の
ノーベル賞受賞者
の人数が
世界
第二位という成績は誇るべきものであります。
我が国
の今日までの
科学技術
における蓄積によるものだと、
先人たち
の御
努力
に敬意をあらわしたいと思います。 一方で、その
現状
や将来を不安視する声もあります。
論文
に関してでありますが、
世界
の総
論文数
に占める引用された回数というような統計がありまして、その
トップ
一〇%に入っている
我が国
の
論文
の割合というのが、
世界
全体の八・五%しかないというデータがあります。イギリス、
アメリカ
、
ドイツ
、フランス、こういった国が優位にありまして、
日本
は、中国にもおくれをとって、韓国に追いつかれそうになっているということです。すなわち、
論文
の質、
量とも
に
国際的地位
が低下してきているという
現状
であります。 また、今日までのICTの進展をリードしてきたのは、
アメリカ
を
中心
とした
研究機関
や
企業
であります。また、最近最も注目を集めている
分野
と言えます
人工知能
、
AI
に関しても、
日本
はおくれをとっていると心配されています。 今の
時代
は、
情報通信技術
の
進歩等
により
社会
や
経済
の構造が大きく変化していく大
変革時代
とも言われております。例えば、現在、多くの人が
スマートフォン
を持ち、いつでもインターネットにつながることが当たり前の
社会
となってきましたが、果たして十年前にこのような
社会
を予想できたでしょうか。同様に、今後とも革新的な
科学技術
が誕生し
社会
が大きく変化し続けていく中で、五年後、十年後を予想することは極めて難しいことと考えます。 しかし、だからこそ
日本
は、このような大
変革時代
の
未来
を切り開く
トップランナー
となるために大胆なチャレンジをすべきです。最新の
科学技術
の動向や
社会経済
の
ニーズ
を的確に把握する、また
我が国
の置かれている
現状
を客観的に分析する、そして
スピード感
を持ってその
状況
に応じた
戦略
を描いて果敢に実行していくといった力強い
取り組み
が必要だと考えます。 このような背景の
もと
、本年一月に第五期
科学技術基本計画
が閣議決定されました。これは、今後五年間の
我が国
の
科学技術イノベーション
の方針を示す重要な位置づけにあります。この
基本計画
に基づき、
産学官
、
関係
府省などが一体となって
取り組み
を
推進
することが望まれます。 そこで、第一期から第四期
計画
までの
取り組み
による
成果
についてどのように分析、評価されているのか、お示しをいただきたい。そして、何が現在の
課題
として残っており、それを踏まえ、第五期
基本計画
ではどのような
取り組み
を行うこととしているのか、
説明
をいただきたいと思います。
島尻安伊子
7
○
島尻国務大臣
第一期の
科学技術基本計画
が策定されてから二十年を迎えます。これまで、
世界最高水準
の
人材
が結集する
研究拠点
やあるいは
大型共同利用設備
の
整備
などを通じまして、
世界
に冠たる
成果
を上げてきたと考えております。具体的には
青色LED
や
iPS細胞
など、
国民
の生活や
経済
に大きな変化をもたらす
科学技術
の
成果
が上がっていると考えております。 まさに今、
委員
から御披露いただきましたけれども、
今世紀
に入りまして
我が国
の
自然科学系
の
ノーベル賞
の
受賞者数
が
世界
第二位である、これは、
世界
の中で
我が国
の
科学技術
が大きな
存在感
を有しているあかしでもあるというふうに考えております。 こうした
実績
を生み出してきた反面、もちろんさまざまな
課題
も存在しております。例えば、
研究者等
の
若手
が能力を十分に発揮できる
研究
が
整備
されていないのではないか、
我が国
の
科学技術イノベーション
の
基盤
的な力が近年急激に弱まってきているのではないか、あるいは
大学改革
のおくれなどから
産学官
の
連携
がいまだ
本格段階
に至っていないということなどが
課題
として挙げられております。 このような
課題
を踏まえまして、第五期の
科学技術基本計画
におきましては、
若手
を初めとする
人材力
の
強化
、
大学改革
と
資金改革
の一体的な
推進
、
オープンイノベーション
の
推進
と
ベンチャー
の
創出
を
強化
していくこと、そして
国立研究開発法人
の
橋渡し機能強化
、これらの
取り組み
を掲げまして、それらを強力に
推進
していくこととしております。 今後、この第五期
基本計画
の実行に向けまして、
科学技術イノベーション政策
の
推進
に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
岩田和親
8
○
岩田委員
ありがとうございます。 この第五期の
基本計画
では、新しいコンセプトというものが示されていると聞いております。超
スマート社会
を
未来
の姿として共有し、その
実現
に向けた一連の
取り組み
を
ソサエティー
五・〇として
推進
していくというような文言があるわけですが、超
スマート社会
や
ソサエティー
五・〇、このようなキーワードはまだまだ耳なれないものであろうというふうに感じます。 このような先進的な
ビジョン
を
国民
が広く共有するためにはさらなる
努力
を期待するわけでありますが、超
スマート社会
というのはどのようなものであるのか、できるだけわかりやすく、イメージしやすいように
説明
をしていただきたいと思います。また、
ソサエティー
五・〇というものの今後の
取り組み
を伺いたいと思います。
島尻安伊子
9
○
島尻国務大臣
今お話に出ました超
スマート社会
でございますけれども、これは、現在の
情報社会
の次に来る新しい
未来
の
経済社会
の姿でございまして、この
概念
を国際的に発信していくために、
ソサエティー
五・〇と総称しております。 この
ソサエティー
五・〇でありますが、
地域
、年齢、性別そして言語といったさまざまな違いを乗り越えて、あらゆる人の多様な
ニーズ
に対応できる、
人々
が生き生きと快適に暮らすことのできる
社会
というものでございます。 そして、
ドイツ
の
インダストリー
四・〇というものがこれまで、今も提唱されているわけでありますけれども、
産業面
での
変革
にとどまらず、
社会
の
課題
を解決し、そして
人々
の
暮らし
をよくしていくという
意味
を込めた
概念
が
ソサエティー
五・〇でございまして、
日本
としてこれを自信を持って発信していきたいと考えています。 具体的には、
情報通信技術
を駆使し、そして
サイバー空間
と
現実社会
を高度に融合することで、
地方
における
自動走行車
による
移動手段
の確保でありますとか、あるいは
分散型エネルギー
の
活用
による
エネルギー
の
地産地
消などを
実現
して、
人々
の
暮らし
に新しい
価値観
を生み出していくものでございます。このために、複数のシステムの
連携協調
を
実現
するプラットホームの構築と、それから
AI等
の
基盤技術
の
研究開発
を
強化
していきたいと考えております。 今後とも、
産学官
そして
関係省庁
と緊密に
連携
をとって、
世界
に先駆けた
ソサエティー
五・〇の
実現
に向けて総力を挙げて
推進
していく所存でございます。
岩田和親
10
○
岩田委員
御
説明
いただきましたけれども、一般の
方々
にはなかなか簡単には浸透しないというのが正直な
現実
なのかもしれませんが、ぜひわかりやすくこういうふうな
ビジョン
というものを示していただきたいということを重ねて申し上げておきます。 次に、
研究開発投資
について
質問
をしたいと思います。 第五期
基本計画
の中では、
政府研究開発投資目標
として対
GDP比
一%、二十六兆円という
目標
が掲げられております。
科学技術振興
において、
政府研究開発
に係る
投資
、
予算
、こういったものは
目標
を持ってしっかりと確保していくことが
基本
であり、不可欠であることは言うまでもありません。
日本
の
ノーベル賞
の
実績
においても、特に
梶田先生
の
ニュートリノ
、また
山中先生
の
iPS細胞
などは国の十分な
支援
がそれらの
研究
の
基盤
となっていたと思います。また、
さき
の四月十九日にその
山中先生
が
安倍首相
と面会をされて、
科学技術予算拡充
の要望をされたとも聞いております。 現在の厳しい
財政状況
の中であっても、
我が国
の
未来
にかかわる
政府研究開発投資
また
関係
する
予算
、
資金
を確保していくこと、これをまずもって要望しておきたいと思います。 加えて、
民間企業
と
大学
や
国立研究開発法人
の
共同研究
についても
促進
していくべきだと思います。
共同研究
のさらなる
促進
によって
産学連携
が深まってそれぞれが持つ
知識
や
技術
が相互
活用
される、その結果、
大学
や
国立研究開発法人
の
研究開発資金
の獲得、
企業
の
収益性向上
につながり、さらなる
研究開発
への
投資
を生み出すという好循環が期待をされるところです。 このような
共同研究
にどのように取り組んでいくのか、お示しください。
森本浩一
11
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
委員
御
指摘
のとおり、
政府
の
研究開発投資
というのは
未来
への
投資
でございまして、これが呼び水となって新しい
民間
の
研究開発投資
というものを呼び込む、そういう性格のものであるかと思います。
民間企業
と
大学
、
国立研究開発法人
との
共同研究
の
促進
といった
産学官連携活動
の
強化
は極めて重要でございます。
グローバル競争
がますます激化し、
知識
や
技術
の全てを
個人
や
一つ
の
組織
だけで生み出すことが困難となっている中で、
企業
において
組織
の外の
知識
や
技術
を積極的に取り込んでいく、こういう
オープンイノベーション
の
推進
が求められております。 このため、
民間企業
と
大学
、
国立研究開発法人等
の本格的な
連携
と
ベンチャー企業
の
創出
、
強化
などを通じまして
知的資源
の
流動性
を高めて、
世界
を先導する
我が国発
の
イノベーション
の
創出
を
促進
して、
世界
で最も
イノベーション
に適した国の
実現
を目指してまいりたいと考えております。 そういう
意味
で、
国立研究開発法人
に関しましては、
民間企業
との
共同研究
、
受託研究等
が
促進
される仕組みを
整備
強化
いたしまして、
企業
からの
共同研究
の
受け入れ金額
を第五期
科学技術基本計画
の期間中に五割増加するということを
基本計画
の中に掲げておりまして、これをしっかり
実現
してまいりたいと考えております。
岩田和親
12
○
岩田委員
産学官
の
連携
についてはまた後ほど
質問
で触れたいと思いますけれども、特にここでは、先ほど御答弁をいただきましたように、
民間
の
資金
というものをしっかりと
活用
していく、このことをぜひお願いしたいというように思います。 次に、ここから
特定国立研究開発法人
の
法案
について幾つか
質問
してまいります。 本
法案
は、
国際競争力強化
のため、
国立研究開発法人
の中でも
世界水準
で競争できる
トップレベル
の
実績
を持つ
法人
を
特定国立研究開発法人
と位置づけ、
世界最高水準
の
研究開発成果
をつくり出し、かつ、その普及や
活用
をするための
業務運営
に関するさまざまな特例を講ずるとされています。 この点、
平成
二十七年十二月に
総合科学技術
・
イノベーション会議
にて決定された「
特定国立研究開発法人
(仮称)の
考え方
について《
改訂
》」におきまして、
理化学研究所
、
産業技術総合研究所
、
物質
・
材料研究機構
の三
法人
が
特定国立研究開発法人
として
選定
されました。 さまざまな
観点
から検討された結果だと思いますが、なぜこの三
法人
が選ばれたのか、その
優位性
について、検討のあり方も踏まえて、具体的に
説明
をいただきたいと思います。
森本浩一
13
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 ただいま御
指摘
いただきましたように、昨年の十二月に
総合科学技術
・
イノベーション会議
において決定されました
特定国立研究開発法人
の
考え方
、
改訂
におきまして、
選定
の基準、
考え方
を示しております。 二つのカテゴリーに分けて
選定
をいたしておりまして、
学術論文
の被
引用数
や
国際特許
の
出願件数
などの
国際ランキング
を
もと
にしまして、
一つ
は、
世界水準
で
総合力
にすぐれた
法人
として
理化学研究所
と
産業技術総合研究所
、また、
日本
が強い
分野
で卓越した
法人
として
物質
・
材料研究機構
を
対象法人候補
といたしました。 具体的には、総合的な
研究機関
の
選定
に当たりましては、
論文
の被
引用数
の
世界ランキング
の
総合順位
が
上位
二十位
程度
までに位置するもの、それから
論文
の被
引用数
の
研究分野別
の
世界ランキング
が三
分野
以上で百位
程度
以内に入るものという
要件
を
理研
と
産総研
が満たすことを確認いたしました。 また、
特定分野
で卓越した
研究機関
の
選定
に当たりましては、
論文
の被
引用数
の
研究分野別
の
世界ランキング
が一
分野
で十位
程度
以内に入るものという
要件
を
物材機構
が満たすことを確認いたしました。 加えて、
研究成果
の
実用化
の
観点
から、
国際特許出願件数
の
世界ランキング
が
上位
二十位
程度
までに位置することという
要件
も加えまして、
産総研
、
理研
、
物材機構
、それぞれが
要件
を満たすことを確認いたしました。 このほか、
成果
の
社会経済
への貢献に向けた
取り組み
であるとか、多様ですぐれた
人的資源
や
成果最大化
のための
体制
を備えていることについてもあわせて考慮した結果、
特定国立研究開発法人
として
選定
をしたということでございます。
岩田和親
14
○
岩田委員
この
法案
によりまして
特定法人
が
世界レベル
で競争するための
環境整備
がなされるわけでありますが、この
特定法人
だけが頑張るというものではなくて、
日本
の
科学技術
に関するあらゆる
組織
や
個人
などが
一丸
となって強力に
推進
をしていく、それが重要だというふうに考えます。 まず、
国立研究開発法人
におきましても、
特定
となる
法人
以外で二十四
法人
あるわけですから、これらと
連携
した
取り組み
を進める必要もありますし、そしてまた産官学の
連携
、この言葉の
もと
で、
さき
に
質問
しました
共同研究
を初めさらに高い
レベル
での
連携
を期待するところであります。 大
企業
、
中小
・
ベンチャー企業
、
大学
、
国立研究開発法人等
の
公的研究機関
にそれぞれ存在する
イノベーション
に必要な
人材
、
知識
や
技術
、
資金
などは、相互に
連携
をしてフル
活用
していただきたいということであります。
我が国
が
一丸
となって
科学技術イノベーション
をさらに強力に
推進
していくための
体制
についてどのように考えているのか、その中で
総合科学技術
・
イノベーション会議
と
特定国立研究開発法人
が果たす役割はどうなっているのか、ここも含めて
説明
をいただきたいと思います。
森本浩一
15
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 今御
指摘
がございましたように、
イノベーション
を起こすためには、
分野
や
組織
の壁を越えまして、多様な
人材
が出会って切磋琢磨していくということが不可欠でございます。 このため、大
企業
にとどまらず
中小企業
や
ベンチャー企業
、
大学
、
公的研究機関
といった
各種主体
がそれぞれの強みを
連携
、融合させて、
相乗効果
を生み出しやすい仕組みや環境を構築していくということが重要であろうかと思っております。 こうした
イノベーション
を生み出しやすい仕組みや環境を構築するためには、
分野
間や
組織
間の交流の障壁となっている諸制度や
組織
文化の違いを乗り越えて、柔軟な制度運用によって相互の触発を
促進
していく、そういうことが求められているかと思います。
特定国立研究開発法人
は、
総合科学技術
・
イノベーション会議
の定める
基本
方針に沿いまして、複数の機関が共同で
研究開発
を進める
オープンイノベーション
を
促進
するということになっておりますが、そのためには
研究開発
活動の迅速化や柔軟性の確保が不可欠でございまして、これらを阻害している隘路の解消を図ってまいりたいと思います。 さらに、基礎
研究
のみならず
実用化
を見据えまして、
民間
や
大学
のみでは対応できない
研究開発
を加速させられる
イノベーション
システムの構築に向けて
政府
一体となって
取り組み
を
強化
していきたい、こういうふうに考えております。
岩田和親
16
○
岩田委員
時間の
関係
もありますので、ちょっと駆け足に
質問
を進めていくことをお許しいただきたいと思います。 先ほど御答弁の中でもいただきました
若手
研究
者の育成、確保について
質問
していきたいと思います。 今回、
特定法人
が
世界
的に
トップレベル
の
研究
者を獲得する、こういうふうな方針、それができる制度もできたわけでございますけれども、それだけでは
日本
の
科学技術イノベーション
が将来にわたって安泰だと言えるわけではないというふうに思います。 答弁にもありましたように、
若手
研究
者をどれだけしっかりと育成、確保することができるのか、これは国の大事な方針として位置づけるべきだと考えます。 ことしの三月に開催されました自民党の党大会のゲストスピーカーに
ノーベル賞受賞者
の
梶田先生
がお越しになったわけでありますが、恐らく大臣もお話を聞かれたと思いますけれども、そこでも、テーマは自由ですよという中であえて先生が触れられたのが、まさに
若手
研究
者の
現状
と待遇改善についてというふうな内容であったわけでございます。 この点について、
我が国
の
研究開発
を担っていく
若手
研究
者の育成、確保について、現在の
課題
認識と今後の
取り組み
についてお伺いします。
森本浩一
17
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
科学技術イノベーション
の重要な担い手は、
若手
研究
者でございます。
イノベーション
を
創出
して
我が国
の持続的発展を支えていく上で、その活躍は不可欠でございます。 一方で、今御
指摘
がございましたように、
若手
研究
者のキャリアパスが不透明で雇用が不安定な
状況
にあって、自立的に
研究
を行う環境も十分に
整備
されていない、こういう御
指摘
がございます。 このため、
科学技術基本計画
におきましては、
若手
研究
者のキャリアパスを明確化するとともに、キャリアの段階に応じて高い能力と意欲を最大限発揮できる、そういう環境を
整備
していきたいと考えております。その
一つ
として、本年度から卓越
研究
員制度という新しい仕組みを創設いたしまして、
若手
支援
の
強化
を図ることとしております。 今後とも、
我が国
の
科学技術イノベーション
力を持続的に確保していくため、
若手
研究
者の育成と活躍
促進
に向けて、
関係省庁
と
連携
して取り組んでまいりたいと考えております。
岩田和親
18
○
岩田委員
ぜひこの
特定法人
には頑張っていただきたいと思いますが、ここでちょっとあえて
一つ
聞いておかなければならないのは、いわゆる
理化学研究所
におけるSTAP細胞問題であります。
理化学研究所
は
我が国
を代表する
研究機関
であって、その
科学技術
の水準の高さに関しては疑うところはないわけでありますが、国の
科学技術イノベーション政策
推進
において重要な役割を担っていただくためには、単に
技術
力だけではなく、
組織
ガバナンス、コンプライアンスなど、
国民
の信頼を得るに足る
体制
がなければならないということを改めて申し上げておきます。 問題が明るみになって約二年が経過するところでありますが、この問題を受けての
理研
改革について、現在の
取り組み
を簡潔にお答えいただきたいと思います。
生川浩史
19
○
生川
政府参考人
STAP細胞問題を受けまして、
理化学研究所
におきましては、外部の有識者から成る
研究
不正再発防止のための改革
委員会
の提言を踏まえ、
平成
二十六年八月に
理研
改革に関するアクションプランという
計画
を策定し、改革に取り組んできたところでございます。 具体的には、過半数の外部有識者から成る経営
戦略
会議
の設置等による経営への外部の目を入れる仕組みの構築、
研究
不正の防止を実効あるものとするための
研究
コンプライアンス本部の設置、実験データの記録、管理方法の点検や
研究
倫理教育を徹底するための
研究
倫理教育責任者の設置などに
取り組み
、ガバナンス改革や
研究
不正の再発防止策を進めてきたところでございます。 これらの改革の実施
状況
につきましては、外部有識者
委員会
であります運営・改革モニタリング
委員会
において確認、検討され、昨年三月の時点で、
理研
改革に道筋がついたとの評価をいただいたところでございます。また、文部科学省としても、独立行政
法人
通則法上の
業務
実績
評価において、
理研
の改革について着実に
取り組み
が進められているということを確認いたしております。 今後も引き続き
理研
の全役職員が
一丸
となって改革の
取り組み
を継続し、
取り組み
の実効性を高めていくことが重要であるというふうに考えております。また、文部科学省としてもしっかりとフォローアップをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
岩田和親
20
○
岩田委員
時間でありますので、最後に大臣に決意を伺いたいと思います。 この
法案
によって
体制
強化
が図られるわけでありますが、今後の
科学技術イノベーション政策
の
推進
について、決意を伺います。
島尻安伊子
21
○
島尻国務大臣
安倍
内閣
が掲げます
世界
で最も
イノベーション
に適した国に向けまして、本年一月に閣議決定した第五期
科学技術基本計画
に基づいて、超
スマート社会
の
実現
に向けた
取り組み
、
ソサエティー
五・〇を
推進
することとしております。 また、この
特定国立研究開発法人
制度を創設するということによりまして、
我が国
の成長
戦略
の一環として、
特定国立研究開発法人
が
我が国
の
イノベーション
システムを強力に駆動していく中核機関としてオール・ジャパンでの
研究開発
活動を牽引し、知財、
人材
、知それから
資金
の好循環システムを牽引する橋渡し役として
我が国
全体の成長、競争力の向上に大きな効果を上げることを期待しているところでございます。
岩田和親
22
○
岩田委員
質問
を終わります。ありがとうございました。
西村康稔
23
○
西村委員長
次に、濱村進君。
濱村進
24
○濱村
委員
おはようございます。公明党の濱村進でございます。 本日は、
特定国立研究開発法人
の特措法ということでございますが、まず冒頭に、九州、
熊本
、大分で起きました
地震
でお亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈りするとともに、
被害
に遭われた皆様に心からお
見舞い
を申し上げたい、このように思うところでございます。 私も兵庫県に住んでおりますが、二十一年前、阪神・淡路大震災のときに非常に多くの皆様がお亡くなりになり、そしてその中で皆さんが必死になって次の生活をしっかりつくっていくということに取り組んでこられたわけでございますが、東
日本
大震災も含めて、そうした知見が積み重なりつつあるところではございます。しかしながら、これは与野党を問わずしっかりとまた取り組んでいかなければいけないことが数多く残されていると思いますので、しっかりと我々も取り組んでまいるということを冒頭に申し上げて、
質問
に入りたいと思います。 きょうは
科学技術イノベーション
ということでございますが、先ほどもございました、
日本
を
世界
で最も
イノベーション
に適した国にしていく、この力強い宣言はしっかりと進めていただきたいし、私もそのために何ができるかというふうに思っておるわけでございます。 そこで、
イノベーション
というのは何なんだろう。 私はずっとずっとこの
イノベーション
ということについては少し
研究
をしておりまして、まず、三つぐらいの要素があるのかなと。
一つ
には世の中にまだないもの、もう
一つ
には賛否両論があるもの、そして三つ目には
実現
可能なもの、こういった要素があれば恐らくそれは
イノベーション
なんだろうというふうに言われていると思っております。 そういうことから鑑みると、今、
日本
はまさに、
経済
成長のためにもしっかりと
イノベーション
を起こしていかなければいけない、そういう環境にあるわけでございまして、そのための
科学技術
の
イノベーション
というのは非常に大事で、どうやってビジネスに反映していくかというところに落とし込むのもすごく大事なんですが、そのためには核となる要素
技術
あるいは基礎
研究
、こうしたところがしっかりと足元として存在しなければいけない。この足元をしっかりと
推進
していくという
意味
で、今回の特措法は非常に重要であるというふうに思っておるわけでございます。 この二十八年度から第五期の
科学技術基本計画
が開始されました。この
推進
に当たりまして、
特定国立研究開発法人
には
科学技術イノベーション政策
の中でどのような役割を果たしていくことが期待されるのか、大臣にお伺いできればと思います。
島尻安伊子
25
○
島尻国務大臣
第五期
科学技術基本計画
では、
世界
的に
オープンイノベーション
の
取り組み
が進みつつある中で、国内外の
人材
そして知、
資金
を
活用
して新たな価値の
創出
とその
社会
実装を迅速に進めていくことが国の競争力を左右するという考えに立ちまして、
世界
を先導できる
我が国発
の
イノベーション
が次々と生み出されるシステムの構築を
戦略
的に進めることとしております。 このシステムを構築していく上で、
特定国立研究開発法人
は、みずから
世界最高水準
の
研究開発成果
を
創出
いたしまして新たな
イノベーション
の種を持続的に生み出すということとともに、
産学官
の
人材
、
研究
、
資金
等の結集する場を構築し、
産学官
の橋渡し機能を発揮するということで
イノベーション
システム全体を牽引していく中核機関としての役割を果たすことが期待されていると考えております。
濱村進
26
○濱村
委員
オープンイノベーション
を
促進
し、そしてそれを担う
人材
をしっかりと育成していく、非常に大事な
取り組み
であるというふうに認識いたしました。 その上で、この
法案
では
日本
再興
戦略
や
科学技術基本計画
などの国家
戦略
との連動性を向上させるとしているわけでございますが、今後策定される
基本
方針においては
特定
国立研発
法人
に対してどのような方向づけをしようと考えているのか、確認をしたいと思います。
森本浩一
27
○
森本政府参考人
お答えいたします。
特定国立研究開発法人
における
研究開発等
につきましては、第五期
科学技術基本計画
等の国家
戦略
の
実現
のため、
我が国
全体の
科学技術イノベーション政策
の司令塔である
総合科学技術
・
イノベーション会議
の方針の
もと
に、
政府
全体で取り組んでいくことが必要でございます。 そのため、この
法案
におきましては、
特定国立研究開発法人
は、国家
戦略
との連動性を高めて
我が国
の
科学技術
水準の著しい向上を図り、国際的な産業競争力の
強化
を
実現
するため、三
法人
に共通の指針としまして、
政府
全体としての
基本
方針を定めることとしております。その内容といたしましては、
法律
において、
研究開発等
の
促進
の意義や
基本
的な方向、
政府
が講ずべき措置、
法人
の
体制
整備
等を盛り込むこととされています。 今後、
政府
において検討した後、閣議決定を行う予定でございますが、例えば合理的で迅速な調達など、
研究開発等
の実施の円滑化のために
政府
が講ずべき措置であるとか、
我が国
の競争力
強化
に向けた、
特定国立研究開発法人
を
中心
とした
大学
や産業界等との
連携
による
研究開発等
を
促進
するための
環境整備
などについて言及することを想定しております。 これらは、
基本
方針の
もと
に定められる中長期
目標
が主務大臣によって定められますが、これを通じて
特定国立研究開発法人
に対して具体的に効力を発揮する、こういうことになります。 よろしくお願いします。
濱村進
28
○濱村
委員
推進
体制
という
意味
では、しっかりとこれを
社会
実装していくという部分にまで目をぜひ向けていただきたいというふうに思うわけでございますが、
日本
の産業の国際競争力の
強化
という点では、
特定国立研究開発法人
だけではなくて、
大学
や産業界の行う
研究開発
も重要な役割を果たしているわけでございます。これらの
関係
者の皆様としっかりと
連携
しながら、
分野
とかセクター間の枠を超えて密接な
連携
や適切な役割分担を図ることによってオール・ジャパンで
世界
トップレベル
の
研究開発成果
を生み出すことが
イノベーション
の
実現
だというふうに考えております。 その中で、
特定国立研究開発法人
は、みずから
世界最高水準
の
研究開発
を行いながら、
大学
と産業界のハブとして
産学連携
の
中心
的な役割を担うことを期待しているんですけれども、大臣の見解をお伺いできればと思います。
島尻安伊子
29
○
島尻国務大臣
まさに
委員
の御
指摘
のように、
民間企業
、
大学
そして
国立研究開発法人
との
共同研究
の
促進
といった
産学官連携活動
の
強化
は大変重要だというふうに考えています。
グローバル競争
が激化をし、
知識
や
技術
の全てを
個人
や
一つ
の
組織
で生み出すということが困難となっている中で、
企業
において、
組織
外の
知識
や
技術
を積極的に取り込む
オープンイノベーション
の
推進
というものが求められております。
特定国立研究開発法人
が
産学官
連携
の
中心
的な役割を担って、
大学
と産業界をつなぐ橋渡し機能の
強化
、そして国内外のすぐれた
研究
者の結集、さらにはクロスアポイントメント制度などによるセクター間の
人材
交流を
推進
することによって
イノベーション
システムを強力に駆動できるように、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
濱村進
30
○濱村
委員
ありがとうございます。 先ほど
岩田
先生からも少し
質問
があったんですが、なぜこの三
法人
なんだというような話がございました。
特定
とついていない
国立研究開発法人
もあるわけでございまして、少しちょっと先ほどの話ともかぶりますが、この三つの
法人
についての妥当性については先ほどありました。一方で、この三
法人
以外についてはなぜ指定しないのかというところについてもちょっと確認したいなと思うんですね。 なぜかといいますと、例えば、
オープンイノベーション
という
意味
では情報通信
研究
機構、NICT、こうしたところも、例えば音声翻訳
技術
とかは非常に普及をしていますし、そしてまた
スマートフォン
とかでもその
技術
が
活用
されているという
状況
もございます。あるいは、宇宙航空
研究開発
機構、JAXAについても、本当に今、衛星も飛ばし、しっかりと結果を出しているわけでございますが、なぜ対象に入らなかったんだろうというふうにも思ったりはするわけでございます。 その点をちょっと、どういう理由があるのか、確認させていただければと思います。
森本浩一
31
○
森本政府参考人
御
指摘
いただきましたように、
特定国立研究開発法人
制度は、
我が国
の
科学技術イノベーション
が
世界
と競争するに当たりまして、
世界最高水準
の
実績
と実力を持った極力少数の
法人
にまず対象を絞った上で、いわば特区的に新たなルールの
もと
で運営することによって、
イノベーション
を阻害している隘路の
特定
や解消を図っていこう、こういうアプローチをとったものでございます。
もと
より
イノベーション
は
関係
者が総がかりで
実現
するものでございますので、
民間企業
、
大学
、
国立研究開発法人
が
人材
や知恵を結集して初めて
世界
に伍するような
研究開発
ができるようになるのは、御
指摘
のとおりでございます。
論文
の被
引用数
や
国際特許
出願の件数を基準としておりますけれども、これを基準として
選定
された対象三
法人
が牽引役となりまして、ほかの機関と
連携
して
相乗効果
を生み出して全体の
イノベーション
の仕組みを
強化
していきたい、こういうことを考えてございます。
濱村進
32
○濱村
委員
わかりました。恐らく、これを特区的にしっかりとやって
成果
を出して、その上でさらに力強く
推進
していくということであろうかというふうに思います。 そういった一方で、今ある
国立研究開発法人
についてお伺いしたいんです。 調達の柔軟化とかクロスアポイントメント制度の普及については、普通の、要は
特定
とつかない一般の
国立研究開発法人
にもしっかりと適用させていっていただきたいというふうに思うわけでございますが、この普通の
国立研究開発法人
に対する制度的隘路の解消に向けては具体的にどのような貢献が可能になるのか、御確認させていただきます。
森本浩一
33
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 今申し上げました
科学技術イノベーション
の
創出
には、すぐれた
人材
の確保が不可欠であります。
委員
御
指摘
のとおり、クロスアポイントメント制度を最大限に
活用
して、
大学
と産業界等との間の垣根を低くして、相互の
人材
交流によって
連携
を
強化
して
研究開発等
を
促進
することが極めて重要ではないかと考えております。 また、特に産業界との協力を進める上で、激しい国際競争の環境下におきましては、
研究開発
に必要な資機材について合理的な迅速な調達を行うことが死命を制することになるというふうに認識しております。このため、合理的な調達を
実現
し、
スピード感
あふれる
研究開発等
を
推進
することが不可欠であろうかと思います。 それで、ほかの
研究開発
法人
との
関係
でございますが、今般、
内閣
府に新たに
国立研究開発法人
イノベーション
戦略
会議
という
組織
を設けました。これは、
研究開発
の現場における直面する
課題
を吸い上げまして、制度面、運用面から情報収集をしたり、あるいは
関係
機関への働きかけを行ったりして、まず
特定国立研究開発法人
において先行的に新しいルールの適用を行って、その後ほかの
法人
にも広げていく、こういうことで制度の運用面における改善に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
濱村進
34
○濱村
委員
国立研究開発法人
イノベーション
戦略
会議
をしっかりと推し進めていただきたいと思いますが、
人材
を垣根なく
活用
していくということは非常に大事で、そういう
意味
では、私は、いわゆる兼業禁止規定、そういうのはなくしていったりとか、あるいはコワークする
体制
づくり、こうしたものを非常に強く進めるべきだというふうに従来より訴えておりますので、ぜひそういった点も含めて措置をしていただきたい、このように思うところでございます。 最後に、
人材
育成についてお伺いしたいと思います。
世界最高水準
の
成果
を
創出
するということでございますので、
世界
トップレベル
の
研究開発
を担うことができる
人材
を確保していかなければいけない。そうなりますと、
研究
者の皆さんというのは、
世界
最高といいながらも、給与に関しては、果たしてそれに見合ったものを提供できているのであろうかというような話もございます。 実はこの
法案
では
研究
者の給与に対しては特例が盛り込まれているわけでございますが、卓越した
人材
、
研究
者がしっかりと集えるような拠点にしていくことがこれで可能になるのかなというふうにも思うわけでございます。そうはいっても、現行制度の中においても
法人
が自主的に定めることが可能になっているわけでございますので、現行制度と比較しても、この
法案
で特例を置く
意味
というところはどういった点にあるのか、確認をしたいと思います。
森本浩一
35
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 現行制度におきましては、独立行政
法人
の給与等の支給の基準は、国家公務員、
民間企業
の給与等、
法人
の
業務
実績
や職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情を考慮するということになっております。これは、国内の水準を念頭に置きまして給与等を考慮するということが含意されているのではないかと認識しております。 他方で、
世界最高水準
の
研究開発成果
を
創出
してその普及、
活用
を
促進
するという
観点
からは、国際的に卓越した能力を有する
人材
が必要不可欠となります。このため、国際水準の報酬、給与等の支給が求められているところでございます。
世界
的な
人材
獲得競争に打ちかつため、この
法律
におきまして規定を明確化いたしまして、給与を初めとした処遇面の改善を図って、国際的に卓越した
人材
の受け入れ環境を
整備
することによってすぐれた
人材
を確保しやすくしようということを特例として定めているものでございます。 このことによりまして、
研究開発
に係る国際的な頭脳循環に対応して報酬、給与等において必要な措置をとることができることが明確となって、
国民
、
社会
に対する
説明
責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができるようになると考えております。
濱村進
36
○濱村
委員
最後に、リサーチアドミニストレーターについてお伺いしたいと思います。 私は、
研究
者はどちらかというとやはりI型
人材
なのかなと思うんですが、リサーチアドミニストレーターというのはT型
人材
なのかなというふうにも思ったりするわけでございます。 私自身もT型
人材
を育成するような
大学
の学部を卒業しておりますので、こうした
分野
を充実させていくのは非常に大事だというふうに思っておるわけでございますが、リサーチアドミニストレーターについても、今回さまざま位置づけられているというわけでございます。 国家
戦略
との連動性を高めて
研究開発
の
成果
の
創出
、普及、
活用
の
促進
を図るということに目的がされているわけでございますが、多様な
人材
育成や
活用
について本制度が
整備
されるということで、リサーチアドミニストレーターの育成、
活用
についてはどのような効果が期待されるのか、確認したいと思います。
森本浩一
37
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
イノベーション
を起こしていく上におきまして、
研究開発
機関におきまして高度な知の
創出
と
社会
実装を
推進
するために、
研究開発
プロジェクトの企画とか管理を担ういわゆるプログラムマネジャーであるとか、
研究
活動全体のマネジメントをしようとするリサーチアドミニストレーター、さらには
技術
移転の
人材
や
大学
の経営の
人材
といった多様な
人材
が必要となってまいります。 そのため、
特定国立研究開発法人
制度におきましては、
研究
者はもちろんのことでございますが、これらの
研究
支援
人材
、
イノベーション
を担う
人材
につきましても、報酬、給与の支給基準を定める際に、国際的に卓越した能力を有する
人材
を確保する必要性を考慮することができるようになります。 この制度の
整備
を通じまして、国際的に卓越した多様な
人材
が高度な専門性を生かしながら適材適所で能力を発揮できる、そういう環境の
整備
が可能となって、
世界最高水準
の
研究開発成果
の
創出
、普及、
活用
、こういったものが期待できるのではないかと考えております。
濱村進
38
○濱村
委員
大いなる期待を申し上げて、
質問
を終わりたいと思います。ありがとうございました。
西村康稔
39
○
西村委員長
次に、
河野
正美
君。
河野正美
40
○
河野
(正)
委員
おおさか維新の会の
河野
正美
でございます。 十五分間の時間でありますので、早速
質問
に入りたいと思います。
質問
をたくさん用意しておりますので、どこまで行けるかわかりませんが、頑張ってやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 独立行政
法人
を創設することが決まったのは、一九九八年、
平成
十年六月の中央省庁等改革
基本
法制定にさかのぼるのかなと思います。その後、いろいろ議論がなされてきたというふうに思いますが、
研究開発
業務
に見合った
法人
のあり方などについてどのような議論が行われてきたのか、
政府
の見解を伺いたいと思います。
森本浩一
41
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 独立行政
法人
制度は、中央省庁等改革の柱の
一つ
として
平成
九年十二月の行政改革
会議
の最終報告におきまして提言が行われ、この提言に基づいて創設された制度でございます。 その制度の趣旨は、行政機能の減量、
効率化等
のため、国立の試験
研究機関
、美術館、病院など、一定の
要件
を満たすものを国とは別の
法人
格を持つ
法人
として設立し、当該
法人
に当該事務及び事業を担わせることで
業務
の効率性等の向上を図るということにあったと承知しております。 行政改革
会議
の最終報告書では、独立行政
法人
化の検討に当たりまして、各
業務
類型ごとに留意すべき点が掲げられておりまして、試験
研究
につきましては、「直接行政活動に携わるなど特別な
業務
に当たるもの及び政策
研究機関
を除き、原則として独立行政
法人
化を図る。その際、可能な限り統廃合を進める。」、それから、独立行政
法人
化に当たりましては、「
研究機関
間で柔軟な資源配分等を図る必要性等を勘案し、複数機関を括り
法人
格を付与することを検討する。」といった点が掲げられていたと承知しております。
河野正美
42
○
河野
(正)
委員
見直しをしてこられた中で、独立行政
法人
の運営が始まった後に、
研究開発
にかかわる独立行政
法人
の運営に問題が生じてきたというようなことから、こういった新たな制度をつくっていこうということだと思いますが、その経緯についてもお聞かせいただきたいと思います。
森本浩一
43
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
科学技術イノベーション
を
推進
するに当たりまして、
我が国
全体の
研究開発
力の
強化
を図るために、超党派の議員立法によりまして、
平成
二十年に
研究開発
力
強化
法が成立いたしました。また、
平成
二十五年に、
我が国
の
研究開発
力をさらに
強化
して
イノベーション
の
創出
を図るために、
研究開発
力
強化
法が議員立法で改正されまして、
研究開発
を行う
法人
が
世界最高水準
の
成果
を
創出
するために、
政府
が必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の規定が新たに追加されたところでございます。 この背景といたしまして、独立行政
法人
制度の中では、給与面での制約があって優秀な
人材
の確保が難しいであるとか、調達の
観点
からの
課題
があるとか、こういう
研究開発
の現場が直面する
課題
を解決して、
世界最高水準
の
研究開発等
を行って最大の
成果
を
創出
するための運営を行うことを可能とする、そういう新たな制度の創設に向けた規定が盛り込まれたものだと承知しております。
河野正美
44
○
河野
(正)
委員
今御答弁いただきましたように、
研究開発
力
強化
法等々によっていろいろ議論がされてきたんだというふうに思います。 これまでの議論の経過を踏まえて、
組織
のあり方の議論にこれぐらいかなり時間がかかってきたということでありますが、なぜ時間がかかってきたのか、
政府
としての認識を伺いたいと思います。
森本浩一
45
○
森本政府参考人
独立行政
法人
通則法に規定されます
国立研究開発法人
、これが今制度として確立されているわけでございますが、
研究開発
の特性を考慮して
研究開発成果
の最大化を第一目的とする
法人
として、ほかの独立行政
法人
とは違うものとして類型化が行われました。 さらに、
国立研究開発法人
のうち、国家
戦略
に基づいて
世界
トップレベル
の
成果
を生み出すことが期待される
法人
については、国と
法人
が一体となって
科学技術イノベーション政策
に取り組んでいくということで、新しい
特定国立研究開発法人
制度を創設しようということで今回
法案
を提出させていただいている次第でございます。
河野正美
46
○
河野
(正)
委員
本
法案
では、独立行政
法人
制度の
もと
、今お話があった
特定
研究開発
法人
という枠組みを新たに設けるということであります。 議論の過程で、例えば
平成
二十五年十一月に出された「成長
戦略
のための新たな
研究開発
法人
制度について」という
研究開発
法人
制度創設に関する有識者懇談会報告書では、独立行政
法人
制度とは異なる新たな法制度を創設すべきという意見が出されています。 独立行政
法人
制度の
もと
に位置づけることについて賛否両論あったのだと思いますが、なぜ独立行政
法人
制度に置くこととなったのか、お聞かせください。
長屋聡
47
○
長屋
政府参考人
お答え申し上げます。 まず、
研究開発
型の
法人
の扱いでございますけれども、
法人
の長のリーダーシップの
もと
で自主的、
戦略
的な運営を行うようにすることが必要だろう。それから、ミッションとしましては、
研究開発成果
を最大化していくというミッションがございます。 こういったものを
実現
していくためには、国からまず使途が
特定
されないような
資金
を得ることは有用だろう、それから、複数年度にわたって繰り越しが行えるような仕組みというのも非常に有用であろうということで、中期
目標
管理型の運営費交付金制度の仕組みを導入している独立行政
法人
制度というものが最適な枠組みであるという結論に至りまして、独立行政
法人
の一類型としまして、
国立研究開発法人
として位置づけているものでございます。 その中で、
特定国立研究開発法人
制度といいますのは、
国立研究開発法人
制度のうちで特に
世界
トップレベル
の
成果
を生み出すことが期待される
法人
ということでございますけれども、これにつきましても、やはり国の
科学技術
政策に係る
研究開発
を実施する機関だということで、運営の透明性とかガバナンス、PDCAサイクルなど、こういったものが必要でございます。 ということからいたしますと、
特定国立研究開発法人
につきましても、独法制度の
基本
的な仕組みであります
目標
管理とか運営費交付金、ガバナンスといったものを適用させた上で、さらに特例措置ということで、大臣の強い関与など特別の措置を講じていく、こういったつくりにしたものでございます。
河野正美
48
○
河野
(正)
委員
問題は、独立行政
法人
とされた
研究開発
組織
をどうするかということではなくて、
我が国
の
科学技術
政策の
目標
、理念の
もと
、国としてはどのような
組織
を設けることが必要なのか、そうした議論だと思います。
我が国
の
科学技術
力を高め、
イノベーション
を進めていくために設けられる
特定
研究開発
法人
という新たな枠組みがふさわしいと考える理由について、島尻大臣の見解を伺いたいと思います。
島尻安伊子
49
○
島尻国務大臣
第五期の
科学技術基本計画
におきましては、
世界
的な
オープンイノベーション
の
取り組み
が進みつつある中で、国内外の
人材
、知そして
資金
を
活用
して新たな価値の
創出
とその
社会
実装を迅速に進めていくということが国の競争力を左右するという考えに立ちまして、
世界
を先導できる
我が国発
の
イノベーション
が次々と生み出されるシステムの構築を
戦略
的に進めることとしております。 その中で、
特定国立研究開発法人
制度の意義については、
世界最高水準
の
研究開発成果
が
創出
されて新たな
イノベーション
の種を持続的に生み出すとともに、
産学官
の
人材
、
研究
そして
資金
などの結集する場を構築して橋渡し機能が発揮されて、
イノベーション
システム全体を牽引する中核機関を創設するということで、
我が国
の
科学技術イノベーション
システムの改革を
実現
するというところにございます。 本制度の創設によりまして
我が国
の
研究開発
力の
強化
が図られて、
世界
で最も
イノベーション
に適した国の
実現
に向けて、
人材
、知、
資金
の好循環の仕組みが
強化
されるということを期待しているところであります。
河野正美
50
○
河野
(正)
委員
医療
分野
について若干お聞きしたいと思います。
我が国
の今後の成長
戦略
を考えていく上で、医療関連
分野
は大きなポテンシャルを持っているというふうに思っております。
特定
研究開発
法人
として指定される
理化学研究所
が医療
分野
の
研究
の最先端を担っていることは理解できますが、医療にかかわる
研究開発
法人
は、
平成
二十七年に新設された
日本
医療
研究開発
機構や六つのナショナルセンターなど、多岐にわたるかと思います。 医療
分野
の
研究
や
技術
開発力を高めるためには、
現状
のように
研究開発
法人
にとどめるのがよいのでしょうか。むしろ、
特定
研究開発
法人
に位置づけることで、より医療
分野
の
研究開発
力を高めるのではないかと思いますが、
政府
の見解を伺いたいと思います。
森本浩一
51
○
森本政府参考人
医療
分野
は、健康長寿
社会
の
実現
に向けて非常に重要な
分野
であるということを認識しております。 その中で、
日本
医療
研究開発
機構につきましては、
研究
資金
の配分機関、いわゆるファンディングエージェンシーでございますので、
理研
とか
産総研
のような、みずから創造的
業務
を実施する
研究機関
とは少し性格を異にしております。そういう
意味
で、今回は、創造的
業務
をみずから生み出す、そういう機関を対象として
選定
をしたということでございます。 それで、
論文
とか特許とかさまざまな指標に照らしまして、こういう
分野
、これから
世界
情勢も変わりますし、それから
分野
の重要性、こういったものも推移していくと思いますので、今後、この
法律
の施行後適当な時期に、施行
状況
を勘案して、対象
法人
の範囲を含めて、制度のあり方について検討を加えて、必要な措置を講ずるということを附則にうたっておりますので、御
指摘
の点も含めて、改めて検討してまいりたいと考えております。
河野正美
52
○
河野
(正)
委員
医療
分野
では多くの
研究開発
法人
が存在します。 本
法案
が成立した後に、医療
分野
の
研究開発
力を高め
イノベーション
を進めるための
研究開発
組織
のあり方についてどのような
課題
があるのか、
政府
の見解を伺いたいと思います。
大島一博
53
○
大島
政府参考人
医療
研究
分野
の
研究開発
につきまして、御
指摘
いただきましたとおり、
理研
ですとか六ナショセンなど国立の
研究開発
法人
もございます。加えて、
大学
、
民間
機関などの
研究機関
もありまして、多岐にわたっております。 こうした中、これまでは文科省、厚労省、経産省、ばらばらに
研究開発
を助成してきておりまして、基礎から
実用化
まで切れ目なく
支援
するという
体制
ができていないという
課題
がございました。 このため、一昨年、健康・医療
戦略
推進
法等を
整備
いたしまして、
内閣
を司令塔として、総理を本部長とする健康・医療
戦略
推進
本部を設置しました。それから、同本部で決定した医療
分野
研究開発
推進
計画
というのをつくりまして、これに基づいて
研究開発
を
戦略
的に
推進
することとしております。 昨年四月には、
日本
医療
研究開発
機構、AMEDと呼んでおりますが、を設立いたしまして、国の
研究
費を集約して、基礎から
実用化
まで切れ目ない
研究
体制
を一体的に行う
体制
をつくったところでございます。 こうした新しい
推進
体制
ができましたので、今後の
課題
としましては、このAMEDを
中心
に他の
研究機関
ともしっかり
連携
しながら、
我が国発
の医薬品あるいは医療機器の
研究開発
を進め、
成果
を実際に出していくということが
課題
であると考えております。
河野正美
54
○
河野
(正)
委員
私も
大学
院に行かせていただいて、僕は医学部でしたので、患者さんを診ながら、そのデータをとっていろいろな
研究
をしてきましたし、また、動物実験をされる先生とかをたくさん見てまいりました。そういった中で、やはり
若手
の
研究
者の育成というのが大事であるなというふうに思うわけでございます。 さまざまな制度、奨励金等がありまして、今年度から卓越
研究
員制度というのもあって、制度の改善充実は進んでいるとは理解しておりますけれども、
若手
研究
者にとって厳しい環境であることは変わらないと思います。 本
法案
では、
特定
研究開発
法人
の長が多額の報酬を受けられるというようになります。海外からいわばスタープレーヤーを招くことも重要であるということで、それは否定しません。 しかし、
我が国
の
若手
研究
者の置かれた
研究
環境をより充実させることも、
我が国
の
研究
人材
の土台を上げてしっかりとした土壌をつくっていくということで必要だと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
島尻安伊子
55
○
島尻国務大臣
委員
御
指摘
のように、まさに
科学技術イノベーション
の重要な担い手というのは
若手
研究
者でございまして、
イノベーション
を
創出
して
我が国
の持続的な発展を支えていくという上で、その思い切った活躍を後押ししていくということが不可欠であると考えております。 このため、第五期
科学技術基本計画
におきましては、テニュアトラック制度の導入の
促進
を初め、
若手
研究
者のキャリアパスを明確化するとともに、キャリアの段階に応じて高い能力と意欲を最大限発揮できる環境を
整備
していくこととしております。 御披露いただきました卓越
研究
員制度の創設も含めまして、本年度から
若手
支援
の
強化
を図ろうというふうに思っております。 今後とも、
我が国
の
科学技術イノベーション
力を持続的に確保していくために、
若手
研究
者の育成と活躍の
促進
に向けて、各省と
連携
して取り組んでいきたいと考えています。
河野正美
56
○
河野
(正)
委員
ありがとうございます。 将来世代が希望を持って
研究
に励めるようにしっかりとやっていっていただきたいと思います。 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
西村康稔
57
○
西村委員長
次に、後藤
祐一
君。
後藤祐一
58
○後藤(祐)
委員
民進党の後藤
祐一
でございます。 きょうは、松本副大臣と酒井政務官は災害の担当と
科学技術
の担当が重なっていて、当然、
熊本地震
の対応ということで、そちらに専念いただくということではないかと思いますので、島尻大臣、いろいろと、本来は副大臣、政務官が答弁するようなことも大臣にお願いすることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。 条文に即して幾つかお伺いしたいと思います。 まず、七条、主務大臣の要求という規定がございます。 これは、
特定国立研究開発法人
に対して、内外の情勢に著しい変化が生じた場合に、こういったことをやってくださいということを求めることができるとありますが、これは、こういう
分野
についての
研究
をしなさいということはやっていただいていいと思うんですけれども、例えば、こういう
分野
の
研究
をしなさい、ついては、こういう
分野
は撤退しなさいとか、この
組織
とかこの
予算
はやめなさいとか、そういったことまでこの措置要求で、七条で認めることになってしまうと、独立行政
法人
制度のまさに自律性という根幹にかかわってしまうと思うんですね。 この七条で措置を求めることができる対象を限定すべきだと思うんです。ここに書いてあるように、「著しい変化が生じた場合」だとか「迅速に行うことが必要である」といった条文に書いてあることはわかるんですが、こういう
分野
の
研究
をしなさいというのはやっていいと思うんですけれども、逆に、こういうのをやめなさいとか、そういったネガティブな方の要求というのはしてはならないというふうに理解してよろしいでしょうか。 この七条の制約、こういったことはやってはいけないということについての基準を具体的に示していただきたいと思います、島尻大臣。
島尻安伊子
59
○
島尻国務大臣
今の御
質問
は、七条の措置要求を定める趣旨についてのことというふうに思っております。
法人
の活動を規定している、今の
研究
の内容いかんもこの中に含まれるというふうに思いますけれども、中長期
目標
及び
計画
の変更については、各省の
研究開発
に関する審議会の意見を聞くなどの手続を経ることによって通例三カ月以上かかる、時間がかかるということでございまして、国内外で画期的な
成果
が
創出
された場合など国内外の情勢に大きな変化が生じた場合に、即時に対応することが難しいというふうに考えております。 このような場合等におきまして、主務大臣が
法人
に対して迅速な対応を要求することで、その
成果
の
創出
、普及、そして
活用
に遅滞なく取り組んで、
世界
に先駆けた
実用化
が可能となるというふうに考えているところでございます。
後藤祐一
60
○後藤(祐)
委員
そういう趣旨はわかっているんですが、その上で、だから、こういう
分野
のことをほかの国におくれないでやってくださいというのはやっていただいていいんです、七条に基づいて。 ですが、資源は有限ですから、ついては、こっちはやめなさいとか、ここの人は首にしなさいとか、この
組織
は廃止しなさいとかというのはやってはまずいんじゃないんですか。そういうことはしないということを約束していただけますか。
島尻安伊子
61
○
島尻国務大臣
独立行政
法人
通則法第三条において、
法人
の自主性が十分に配慮されなければならないとされているほか、本
法案
によりまして、
研究開発等
の特性への配慮というものが定められております。 これにより、主務大臣は、独立行政
法人
の自主性及び
研究開発等
の特性を損ねない範囲でのみ措置要求を行うことができるとされております。
後藤祐一
62
○後藤(祐)
委員
これは通告してあるので、ちゃんと答えていただきたいんですが、そんなことができると、独法通則法そのものがおかしなことになってしまいます。 こういったことを
研究
としてやってほしい、ついては、こっちはやめなさいとか、この
予算
は廃止しますとか。いや、中期
目標
を変えるときにそういったやり方があるのはもちろんなんですよ。でも、これは突然何か急ぐ場合の話ですよね。急いでこれをやらなきゃいけないといったときに、新たに追加するのはいいんですよ。ですが、ついては、あなたは首ですとか、ここの
組織
はやめなさいとかというのは、それはやっちゃいけないでしょう。そこはちょっと明確に言ってくださいよ、大臣。
島尻安伊子
63
○
島尻国務大臣
本
法案
は、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
を
促進
するということを目的としていることから、
研究開発成果
の
創出
、普及、
活用
に関する措置のみが要求可能であるということでございます。
後藤祐一
64
○後藤(祐)
委員
ちょっと中途半端ですが、これは通告してありますからね。そんなことまでできてしまうとすると、この七条はすごくオールマイティーな規定になってしまって、大変懸念をいたします。 何か、もうちょっとはっきり言えるところはありますか、事務方。はっきりしたことを言えないんだったら、やめてください。では、はっきりしたことが言えるなら。
中川健朗
65
○
中川
政府参考人
お答えいたします。 ただいまの措置要求を行う際の
要件
としては、本
法案
第七条の規定において、迅速に行うことが必要であると認めるときでなければならない旨が明記されております。いわゆる緊急時のみに当該規定による措置要求が行われる、この趣旨にのっとってですね、ものが明記されているところでございます。
後藤祐一
66
○後藤(祐)
委員
はっきりしたことが言えると言うから答弁をお願いしたんですが、これということは。 ということは、逆に言うと、こういう
分野
を
研究
してくださいと七条に基づいてやった場合に、ついては、こっちはやめてくださいとか、あなたは首ですとか、この
組織
はやめてくださいと言うこともできるということですね。できるのかできないのか、はっきり言ってください。事務方でいいです。
中川健朗
67
○
中川
政府参考人
繰り返しでございますが、本
法案
は、
特定国立研究開発法人
の
研究開発等
を
促進
する、このような目的に合致しているものしかやりませんので、
研究開発成果
の
創出
、普及、
活用
に関する措置のみが要求されるというものでございます。
後藤祐一
68
○後藤(祐)
委員
はっきりは言えないところが、これから、与党の方でもちょっとこれはしっかり詰めていただきたいなと思います。 続きまして、五条、改善のところに行きたいと思います。
業務運営
の効率化といったことを中長期
計画
に定めているのが今の独法通則法ですが、今回の
特定
研発については
業務運営
の改善及び効率化という形になっております。配付資料の一枚目でございます。 これについて、改善という言葉は当たり前のことであって、例えば、
地方
独法は全て改善という言葉が入っています。あるいは国立
大学
病院でも
法律
上入っています。ということからすると、
特定
研発以外の独立行政
法人
についても、改善というのは本来、
もと
もと
あってしかるべきで、入れるべきではないかという中で、これは与党とも議論をしてまいりました。 まず、改善であって効率化でないもの、つまり、今、一見するとできないように見えるものというのは、現行の独法通則法三十五条の四第二項第五号というところで、「その他
業務運営
に関する重要事項」というもので全部読めるのでしょうか。 もうちょっと言うと、今、配付資料で三枚目、四枚目に、効率化と改善のベン図があります。効率化に入らないけれども改善には入るというものは、全て「その他
業務運営
に関する重要事項」で現行も読めているのでしょうか。まず、それを確認したいと思います、島尻大臣。
島尻安伊子
69
○
島尻国務大臣
国立研究開発法人
の
業務運営
の改善は、独立行政
法人
通則法第三十五条の四の第二項第三号の「
業務運営
の効率化に関する事項」または同項第五号の「その他
業務運営
に関する重要事項」において読むことが可能でございます。
後藤祐一
70
○後藤(祐)
委員
そうしますと、今回の改善というところを五条でくくり出している部分は、現行で既に可能であった、つまり「その他
業務運営
に関する重要事項」で読めていたもののみがくくり出された、効率化の方からくくり出された部分もあると思いますが、現行可能なものを確認までにくくり出して規定した確認規定にすぎないのであって、今回の改善が加わったことによって新たに可能になるものはないという理解でよろしいですか。
島尻安伊子
71
○
島尻国務大臣
今回の
法案
第五条第二項は、
特定国立研究開発法人
については、中長期
目標
に
業務運営
の効率化に関する事項とあわせて改善に関する事項も必ず記載しなければならないこととする法的効果を生ずるものでございます。 これに対して、他の
国立研究開発法人等
については、改善に関する事項を記載するということを必ず求められているわけではなく、この点において
特定国立研究開発法人
とは異なることから、
法案
の改善に関する事項はいわゆる確認的な規定ということではないということでございます。
後藤祐一
72
○後藤(祐)
委員
確認規定ではない。つまり、新たに可能になることがあるということですね。現行法では可能ではないけれども、この法改正で可能になるものが
概念
上あるということですね、島尻大臣。
島尻安伊子
73
○
島尻国務大臣
ですから、今回の
法案
第五条第二項は、
特定国立研究開発法人
については、中長期
目標
に
業務運営
の効率化に関する事項というものとあわせて改善に関する事項も必ず記載しなければならないこととする法的効果を生ずるものでございます。
後藤祐一
74
○後藤(祐)
委員
今の
法律
でできないことで、この法改正によってできることはないということでよろしいですね、今の答弁とは別に。大臣に聞いています。これは全部通告していますから。
西村康稔
75
○
西村委員長
ちょっと事務的にまず答えて、その上で大臣に答えてもらいます。
中川健朗
76
○
中川
政府参考人
ただいま後藤先生から二つの問いがございました。 まず
一つ
目は、
業務運営
の改善について、現行独法通則法で読めるか。これは、「その他
業務運営
に関する重要事項」あるいは「
業務運営
の効率化」、どちらかにおいて読むことが可能であると先ほど大臣が答弁申し上げたとおりでございます。 一方、これが確認規定であるのかという御
質問
でございました。ここについては、先ほど御答弁申し上げましたように、改善に関する事項について、今回の
法律
の趣旨に鑑み、必ずそれを記載しなければならないという法的効果を新たに生ずるものでございます。したがいまして、他の
国立研究開発法人
については、改善に関する事項を記載することを必ず求められているわけではございませんので、この点において
特定国立研究開発法人
とは異なることから、
法案
の改善に関するこの事項は、いわゆる確認的な規定ということではございません。
後藤祐一
77
○後藤(祐)
委員
今の答弁の整理の方がわかりやすいので、最初から、大臣、そういうふうに答弁してくださいよ。 逆に言うと、改善については必ずしも記載しなくてよい独法と、必ず記載しなきゃいけない
地方
独法、国立
大学
病院、そして
特定
研発という整理だということですよね。 なぜ改善についてはほかの独法は規定しなくていいんですか。きょうは総務省から政務官にお越しいただいておりますけれども、
特定
研発以外の国の独法について、改善について中期
目標
の中に書かなくていい理由は何でしょうか。
古賀篤
78
○古賀
大臣政務官
直接のお答えになるかわかりませんが、現行の通則法の規定で、
業務運営
の改善に関する事項というのが読めるということでありますので、そういう
意味
では、改善を書かなくていいというか、そこで書けることにはなっております。
後藤祐一
79
○後藤(祐)
委員
質問
に答えていません。 なぜ書かなくてもいいんですか。
古賀篤
80
○古賀
大臣政務官
済みません、
質問
の御趣旨がいまいちわかりませんが、
業務
の効率化の中で改善も読めるところもありますし、あるいはその他の
業務運営
に関する重要事項の中で書けることになっておりますので、そういう
意味
で、書かなくていいという趣旨がわかりませんが、書けるということでございます。
後藤祐一
81
○後藤(祐)
委員
特定
研発、
地方
独法、国立
大学
病院については、改善について書かなきゃいけないという解釈だということは、さっきはっきりしました。しかし、それ以外の国の独法については、その他重要事項で書いてもいいけれども、でも書かなきゃいけないというわけではないという違いだという答弁がありました。 なぜ、その他の国の独法については、改善について書かなくていいんですか。
古賀篤
82
○古賀
大臣政務官
書かなくていいという御表現ですけれども、まず、
特定国立研究開発法人
においては、国際競争の中で
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
を
創出
して、普及、
活用
の
促進
を図るということで、特にその
業務運営
の改善が求められているところであります。一方で、書かなくていいと
委員
御
指摘
されましたけれども、効率化あるいは重要事項の中で各独法が判断をして書くというふうに認識をしております。
後藤祐一
83
○後藤(祐)
委員
質問
に答えていないんですが、こんなところはこだわるところじゃないと思うんですね。
現実
に、現行既にある中期
計画
でも、多くの国の独法は書いているんですよ。 改善についてはうちは知りませんというのは、私は本来あるべき姿じゃないと思っていて、このあたりを、配付資料の二枚目なんですが、私は、独法通則法本体にこの改善をそもそも書くべきではないかということを主張させていただいてまいりました。与党側とも交渉してきて、一定の共通理解に達して、この後修正案として提出をさせていただく予定のものを今、二枚目で配付させていただいております。まだこれはそういう状態のものということを前提に、本日配付資料として認めていただいたものでございますので、まだこれは決まったわけではないんですけれども。 仮に、第五条の検討規定、つまり、独法通則法の改正そのものを今回の
特定
研発法の附則か何かで改正するのはちょっと難しいということで、この五条の検討をして、それを受けて独法通則法そのものの改正についてちゃんとやってほしい、二段階でやってほしいということで共通理解に達しているわけでございますが、ちゃんと二段階目をやっていただくことをこの場で確認するというのも、その共通理解の前提、もう
一つ
の条件なんですね。それを今議論させていただいているんです。 この二枚目の附則の検討、第五条の中で、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるというふうになっております。これは読みようによっては、
特定国立研究開発法人
の範囲を含めという言葉が入っているので、三つだけじゃなくて、四つ目、五つ目はどうなんだということを議論するのは大いにやっていただいたらいいと思うんですが、そこにとどまることなく、今申し上げた五条の改善のところについて、独法通則法の中に、国の独法全体について、改善についてもちゃんと規定しなきゃいけないという形にすることも含めて検討して、必要な措置を講じていただくということでよろしいでしょうか。 これは総務省になるんじゃないでしょうか、担当としては。
古賀篤
84
○古賀
大臣政務官
今
委員
がお話しされましたこの資料の修正案についてでありますけれども、修正案附則の第五条は、
特定国立研究開発法人
制度の施行の
状況
を勘案しまして、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずることを法的に明確にしたものと認識しておりまして、その対象として通則法も排除されているものではないというふうに考えております。 通則法につきましては、
平成
二十六年に独法の改革の集大成として改正が行われまして、
平成
二十七年四月から新たな制度がスタートしているところでありますけれども、今後、
特定国立研究開発法人
制度の施行
状況
を踏まえた検討の中で何らかの改善すべき点が見出され、これに通則法が関連する場合には、通則法の改正の要否を検討することとなると考えております。
後藤祐一
85
○後藤(祐)
委員
進歩した回答だと思います。これは、与党の平井
理事
、中根
理事
を初めとして、御尽力の中で、当初はそういう考えではなかったと私は理解しておりますが、柔軟に対応していただいた結果の答弁だと理解いたします。 検討したからいいやではなくて、実際に、政務官は財務省の出身でいらっしゃいますよね、まさに、各独法がきちんと、
組織
あるいは
研究
のあり方、あるいはほかの独法も含めて、
組織
のあり方を改善し続けるというのは当然のことであって、これを一律に規定するということは、これに規定することで誰か困るということは
現実
にはないことだと思いますので、ぜひ、これを加える方向で検討を進めて、法改正をしていただきたいというふうに思います。 幾つかそれに関連するものがありまして、給与の特例というのが六条でございます。 先ほど若干審議であったようですが、今も次官以上の給料というのは制度上は可能になっています。「その他の事情」というところで可能になっていますが、先ほどの答弁ですと、この「その他の事情」というのは、主に国内の給与を念頭に置いたもので、国際的に卓越した
人材
を採ってくるという
意味
においては、国際的な水準といったものも云々というような答弁がありましたが、別にこれは、国際的な水準も含めた、国際的な卓越した
人材
を採るという
意味
でも、現行制度上、この「その他の事情」で既に可能であるということでよろしいですか。これも通告してありますよ、大臣。
中川健朗
86
○
中川
政府参考人
お答え申し上げます。 ただいま御
指摘
のとおり、ここについては現行法で可能ではございますが、本
法案
の趣旨は、国際的に卓越した能力を有する
人材
を確保する必要性、これがほかの
国立研究開発法人
と比較して、より高いと考えられるため、報酬、給与の支給基準を定める際に考慮すべき事情の代表的な例示として、そうした
人材
を確保する必要性を特に明示的に規定したものということでございます。 これにより、
特定国立研究開発法人
は、
研究開発
に関する国際的な頭脳循環に対応して国際水準の報酬、給与等を定めることができることが明確となり、
国民
、
社会
に対する
説明
責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができる、こういうものでございます。
後藤祐一
87
○後藤(祐)
委員
現行でも可能であり、かつ、これを確認的に規定したものだということでございましたが、だとすれば、
特定
研発に限らず、ほかの
研究開発
法人
であっても当然そうであって、現行も可能であり、そして、これらも認めるべきなんですね。 ただ、私は、三つの
特定
研発がそういう国際的に高い人を採ってくるために
予算
を特につけてあげるというような判断をするのは、それは
政府
の中の裁量としてやったらいいと思いますよ。ですが、例えば四つ目以下のところで、総枠は余りいじらないけれども、人数が少なくなっても高い人を採りたいということは、当然あってもいいんです。 ですから、
予算
制約についての
程度
問題というのは
予算
査定方針にすぎないのであって、四つ目以下の
研究開発
法人
だって現行もできるんですから、確認規定として、この六条に当たるものを、独法通則法の中の
研究開発
法人
について、独法通則法の中で規定すべきだと思いますが、これはどっちになるんでしょうか、独法通則法ですから、総務省古賀政務官、お願いします。
古賀篤
88
○古賀
大臣政務官
独法通則法についてでありますけれども、五十条の十の第三項で給与の定めがあるところであります。「その他の事情」というところでそういったことが読めるということでありまして、
特定国立研究開発法人
以外の
国立研究開発法人
についても、適切に
説明
責任を果たしていただいた上で、国際的に卓越した能力を有する
人材
確保の必要性に応じて報酬、給与の水準を設定することは可能だというふうに考えております。
後藤祐一
89
○後藤(祐)
委員
ですから、それを独法通則法の中で、
特定
研発以外の
研究開発
法人
についてもきちんと同じような規定を
法律
上置くべきではありませんかということを聞いています。
古賀篤
90
○古賀
大臣政務官
済みません、ちょっと重なる部分もありますが。 ですから、現行法で読めるということで、あえて通則法を改正して新たに規定を置く必要はないというふうに考えております。
後藤祐一
91
○後藤(祐)
委員
現行で読めるから規定する必要がないのであれば、この六条も必要ないということになってしまうので、今の答弁は大変問題だと思いますね。 そういう理由でいいんですか。これはむしろ大臣に聞きます。
島尻安伊子
92
○
島尻国務大臣
この第六条の報酬、給与の特例については、人件費の確保を目的としたものでは必ずしもありませんけれども、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の特性を踏まえて、国際的に卓越した
人材
を確保する必要性を特に明示的に規定することによって、国際水準に照らして
人材
獲得に必要な人件費を獲得する必要性も、先ほどおっしゃった
予算
編成の過程において考慮されるものというふうにも認識をしております。 また、
研究開発
に関する国際的な頭脳循環に対応して国際水準の報酬、給与等を定めることができることが明確となり、
国民
、
社会
に対する
説明
責任も、法令上の根拠を用いて明確な形で行うことができるものになります。 これら二つの理由を勘案いたしまして当該規定を置くものでございまして、頭脳獲得競争における
研究開発
、
現状
の裁量が大きく広がるというふうに期待をされます。 他の
国立研究開発法人
への展開についても、三
法人
における経験を踏まえて検討を進めていくということを期待しております。
後藤祐一
93
○後藤(祐)
委員
予算
制約と
説明
責任の回避なんですね。これはきのう、事務方から
説明
いただきました。 要は、物すごく高い給料の方を採っちゃうと、それで結果が出なかったときに、何であんなのを採ったんだとか言われるのを非常にちゅうちょして、だから高い人を採ってこないというのが
現実
には起きていることで、
法律
にこれを書くと、そこにちゅうちょなく採れるんだという、これは非常に積極的だと思います。
予算
制約については、三つとその他に多少差があっていいと思うんです。ですが、それは
法律
に書くことではないと私は思う。
説明
責任の回避のために
法律
に書いてあるんだからいいだろうという話は、これは四つ目以降の
研究開発
法人
においても同じであって、差はないんです。 ですから、これも含めて、先ほどの附則の五条に基づいた検討の中で、
説明
責任の回避の方であれば差は実は余りない話だと思いますので、政務官、これも含めて積極的な検討をしていただくことをお約束してください。
古賀篤
94
○古賀
大臣政務官
この場の
委員
初め皆様方の御議論、御審議、御
指摘
を踏まえて、しっかりと検討していきたいと思います。
後藤祐一
95
○後藤(祐)
委員
ありがとうございます。 時間が短くなってきましたが、あと八条、特性への配慮というところで、配付資料の一枚目の一番下ですが、
研究開発等
の特性を常に配慮するのが
特定
研発で、その他の
研究開発
法人
は十分配慮と。十分配慮には入らないけれども、常に配慮になると新たに入ってくる具体的なことというのは何ですか。 これは、事務的に聞いたときには、ハイリスク・ハイリターン型の
研究開発
なんかが、常に配慮だったら多少
成果
が出ていなくても引き続き認められやすいというような
説明
がありましたけれども、それを言ったら、例えば、相模原というところは私の選挙区なんですが、私の選挙区の隣にJAXAというのがあるんですけれども、「はやぶさ」プロジェクトなんて、あんなものはハイリスク・ハイリターン以外の何物でもないわけです。 つまり、四つ目以降の
研究開発
法人
にもハイリスク・ハイリターンのものというのはいっぱいあって、そこというのは余り差がないんじゃないか。つまりこれも、
研究開発
の特性に常に配慮という形は
研究開発
法人
全てにそうすべきだ、独法通則法の改正をすべきだというふうに思いますが、これについて総務政務官の御見解をいただきたいと思います。
古賀篤
96
○古賀
大臣政務官
今、後藤
委員
がお話しされたいわゆるハイリスク・ハイリターン、JAXAもそうだというのは、そういった一面はあるというふうには認識をいたしております。 しかしながら、この
法案
につきまして、やはりきっちりと開発
法人
を定めて、そしてハイリスク・ハイリターンな
研究
にしっかり挑戦していただこうという趣旨の中で、今回、常に配慮ということの規定を置かせていただいたというふうに認識をいたしております。
後藤祐一
97
○後藤(祐)
委員
ちょっとよくわかりませんね。 では、はっきり言いますよ。現行の十分に配慮には入らず、今回の
特定
研発で常に配慮という言葉が規定されたことで新たに可能になることというのは何ですか。そして、その新たに可能になることは、四つ目以降の
研究開発
法人
でなぜ認めてはいけないんですか。
島尻安伊子
98
○
島尻国務大臣
研究開発
の特性に常に配慮する規定が設けられることで、
研究開発
の重要性や特質がより重視され、
業務運営
においてこれにふさわしい手法やルールが適用されるということが期待されます。 例えば、長期的な
研究
の継続が欠かせず、結果を予見することが困難で、
成果
が出される確実性が高くない
研究開発
テーマやプロジェクトについては、
研究開発
の特性に常に配慮されることでより挑戦しやすくなるというふうに考えています。
後藤祐一
99
○後藤(祐)
委員
今、後段の方で答弁された部分は、
特定
研発以外の研発でもまさにそうじゃないですか。常に配慮してあげてくださいよ。実際、国立
大学
法人
には明確に、常に配慮となっているんです。教育だとかそういったことにちゃんと配慮というふうになっているんですね。 では、常に配慮と書いちゃうと困ることは何ですかということなんです。そうすると、
予算
査定の面で、効率化とこういう
研究
をやらなきゃいけないという、お金がない中でこういう
研究
もやりたいというバランスをどこでとるかといったときに、常にか十分かで違ってくる話なんだとすれば、要は、しょせん
予算
査定方針の話でしかないのか。あるいは、それ以外に、常にと書いてあることで定性的に何か可能になることがあるのか。
予算
査定方針にすぎないのであれば、それは別に
予算
査定方針として書けばいいのであって、今、島尻大臣がおっしゃったようなことというのは、四つ目以降の
研究開発
法人
でもぜひ認めてあげなきゃいけないことではありませんか。 大臣、もう一回ちょっと答弁していただけますか。
島尻安伊子
100
○
島尻国務大臣
今の御
質問
は、
法人
の事務及び事業の特性に十分配慮では読めず、
特定法人
による
研究開発等
の特性に常に配慮で初めて読める事象を
特定法人
以外に認めてはいけない理由は何かということだというふうに思っております。
特定国立研究開発法人
以外の
国立研究開発法人
に対して、
研究開発
の特性である長期性、予見不可能性、不確実性などに配慮することを認めていないわけではございません。
特定国立研究開発法人
の方が、
予算
の配分や
目標
設定、評価の仕方等において、
研究開発
の特性がより考慮されやすくなるという趣旨でございます。
後藤祐一
101
○後藤(祐)
委員
認めていないわけじゃないわけですから、常に配慮してあげればいいじゃないですか。 結局、
予算
を初めとしたリソースの配分において、より認められやすいということにすぎないのか、それ以外に何かあるんですか、どっちですか。
中川健朗
102
○
中川
政府参考人
先ほど大臣から申し上げましたように、
特定国立研究開発法人
の方が、
予算
の配分のみならず、
目標
設定、評価、多々そういう面がございますので、こういうものにおいて
研究開発
の特性がより考慮されやすくなるという趣旨でございまして、この常に配慮するという規定は、将来的な成功の見通しが不透明であってもこういうことを実施していく、
社会
情勢等を踏まえて
研究開発
の内容や
連携
協力
体制
を随時見直していくことを意図するものでございます。 今回、この
法案
では、
世界最高水準
の
研究開発成果
の
創出
の必要性に鑑み、政策的意図を持って措置するものであるため、このように
法律
において定めることによってそれがより
促進
されるものと期待しているということでございます。
後藤祐一
103
○後藤(祐)
委員
政務官、いろいろ議論があります。私は、
予算
配分は
特定
研発が優先的であっていいと思うんです。ですが、定性的にこういうことを可能にする。
法律
というのは、ここまでやっていいですよということを授権するのが
法律
なんです。それは広く認めてあげて、自由度を与えるというのが独法制度の根幹なんです。それをちゃんと合理的にやるとか効率的にやるとかというのを見るのがまさに評価制度であり、まさに政務官は財務省出身でもあるし、やるべきことであって、
予算
査定方針は閣内でしっかり決めてくださいよ。 ぜひ、きょうの議論を踏まえて総務省できちっと評価をした上で、独法通則法の改正案をきちっと出していただくことを御要望申し上げまして、私の
質問
を終わります。 いろいろと御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
西村康稔
104
○
西村委員長
次に、
小宮山泰子
君。
小宮山泰子
105
○小宮山
委員
民進党の
小宮山泰子
でございます。 まず、冒頭ではございますが、
熊本
県、大分県、九州
地方
を
見舞い
ました
地震
により、多くの被災された方、お亡くなりになられた
方々
に心からお悔やみとお
見舞い
を申し上げたいと思います。 今回のことで、全国どこでも巨大な
地震
、大規模な
地震
というものが起きるんだということを改めて実感しております。 そこで、ちょっと通告にはないんですけれども、閣内のことでございます。 激甚災害の指定を早急にするべきだと思っております。閣内において大臣にもぜひ御協力いただきたいと思います。 民進党からはかねてから、非常災害対策本部、もちろん
河野
大臣も一生懸命本部長として頑張っていると思いますが、震度七という記録になかった、こんな、同じ場所で二回も起こるということは今までなかったことでもあります。この規模の大きさから見ても、やはり総理大臣にも本部長になっていただき、陣頭指揮を改めてとっていただきたいと考えております。 ぜひ閣内におきましても大臣の御協力をいただきたいと思いますが、この点に関しましてどのようにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。 〔
委員長
退席、平
委員長
代理着席〕
島尻安伊子
106
○
島尻国務大臣
小宮山
委員
の思いに私も大変同感するところもございます。 閣内、
政府
挙げてできることは全てやるという中で今進めているところでございまして、私も閣僚の一人としてしっかりとこれは対応していくということを考えているところでございます。
小宮山泰子
107
○小宮山
委員
ぜひ、対応していただいたのか、いただいていないのかわからないところではございますが、改めてお願いしたいと思います。 そして、この一週間、月曜日のTPP特別
委員会
の開催、ここにも
河野
大臣はお見えでございました。国会においても今さまざまな
委員会
が開かれております。きょうも、いつもであれば分館でやっているこの
委員会
も本館の
会議
室を使わなければならないほどに
委員会
が立っている。それぞれの
委員会
で恐らく、
関係
があると思われるところは防災担当の
方々
をお呼びになられて、その
関係
の
質問
をされたりしていると思います。 でも、今、国会でやるべきことというのは、やはり激甚災害の指定を
内閣
ではしていただき、そして
支援
のためには、ある
意味
、この問題に関して触れるような場はない方が本来はいい。一週間、正直言って、
委員会
質疑
等がこんなに立て続けに行われるということにも違和感を感じてなりません。国
会議
員として、この点に関しましては、本当の
意味
で
政府
も国会も
一丸
となって対策をとるべきだということを改めて
指摘
させていただきたいと思います。 そこで、本日は、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する特別措置法の中身に入りたいと思います。
世界
最高
レベル
の基礎
研究
、応用
研究
を行っている
国立研究開発法人
を
特定国立研究開発法人
に指定して、
研究成果
による
科学技術
水準の向上により、豊かで安心して暮らすことができる
社会
の
実現
へつなげようとする特別措置法でもあります。 対象となる三
法人
、
理化学研究所
、
産業技術総合研究所
、
物質
・
材料研究機構
はいずれも、国内のみならず国際的に見て
トップ
クラスの
研究機関
とは思いますが、そこで取り組まれている全ての
研究
が一様に最高
レベル
であるとまで言い切ることは難しいのではないでしょうか。また、これら三
法人
以外の
研究機関
にも
トップレベル
の
研究
テーマ、
研究
者、
研究
チームが奮闘しているからこそ、物づくり
日本
の礎になっていると私は認識をしております。 そこで、
法律
の目的で、産業競争力を
強化
するとともに、
国民
が豊かで安心して暮らすことができる
社会
を
実現
することなどに触れられておりますが、これら表現から感じられる
研究
は、応用
研究
、
実用化
研究
といったニュアンスが強いのではないでしょうか。これら表現に加えて、基礎
研究
の意義についても記述、触れられていた方が妥当ではないかと考えております。あわせて、
法人
単位で指定し、特別の措置を規定することの妥当性は何か、お聞かせください。
森本浩一
108
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 ただいま
委員
から御
指摘
がございましたとおり、
国民
が豊かで安心して暮らすことができる
社会
を
実現
するためには、
科学技術
の水準の著しい向上を図って、
経済社会
情勢の変化に対応して産業競争力の
強化
を図ることが重要でございます。 このためには、応用
研究
や実用
研究
はもちろんのことでありますけれども、
イノベーション
の源泉となる基礎
研究
がまさに新しい種を生み出していく源でございます。したがいまして、この基礎
研究
を着実に実施することで
世界最高水準
の
研究開発成果
の
創出
を図っていくということが重要であると認識しております。 こうした認識に基づきまして、本
法案
の目的には
科学技術
の著しい向上ということを入れておりますし、先ほど来御議論がございますように、
研究開発
の特性の中に長期性、予見不可能性、不確実性、これがまさに基礎
研究
の備えている大きな特徴であるというふうに考えております。 したがいまして、基礎
研究
の重要性をないがしろにしているということでは決してございません。
小宮山泰子
109
○小宮山
委員
ないがしろにしているわけではないのはわかってはおりますし、
基本
の
基本
でありますから当然重要だとは思いますが、やはり基礎
研究
の意義というものは入れた方が適切だったのではないかというふうに感じております。 本
法案
起草に至るまでのさまざまな議論の中で、新たな
研究開発
法人
に対して、
大学
や
企業
とは違った役割を担うものと位置づけられております。
大学
での
研究
も、理学部などの基礎
研究
、工学部、薬学部、農学部、医学部、歯学部などさまざまなところで応用、
実用化
研究
が行われております。
企業
においても、基礎から
実用化
まで、それぞれの専門
分野
、そのほかの
分野
についてもさまざまな
研究
が
現実
に行われています。
特定国立研究開発法人
に指定する
法人
がとにかく特別な機関であって、特別扱いするために出された条件を
もと
にした論議になっているのではないかと推測される条件も随分出ているような気がいたします。 例えば、
論文
被
引用数
世界ランキング
の
総合順位
が
上位
二十位
程度
、
論文
被
引用数
世界ランキング
で、
研究分野別
に三
分野
以上で
上位
百位
程度
以内、
論文
被
引用数
世界ランキング
で、一
研究
分野
において十位
程度
以内、
国際特許出願件数
が
世界ランキング
上位
二十位
程度
、
成果
を
ベンチャー企業
などを通じて
社会経済
へ貢献していることなどを挙げられております。 このうち、
論文
被
引用数
などにおいては、
法人
規模が相対的に大きければ
上位
に数えられやすい指標でもあるのではないかとも思いますし、新
法人
の検討当初の二
法人
である
理化学研究所
と
産業技術総合研究所
が評価が出やすい指標であるというふうにも捉えられます。 また、
研究
者の人数当たりの
論文
被
引用数
とか
国際特許出願件数
といった視点に立てば、同
程度
以上の
実績
を上げている
研究機関
やチームも当然ながらあるのではないか、この条件でやると選ばれる
研究
者の
日本
人の割合が激減する可能性もあるのではないか等、さまざまな想像をめぐらすことが可能になります。 今回とられる特別の措置は本来、
研究開発
法人
であればいずれの
法人
にも同様に設けられるべきと考えておりますが、見解はいかがでしょうか。
島尻安伊子
110
○
島尻国務大臣
国立研究開発法人
は、国家的または国際的な要請に基づき、基礎・
基盤
的
研究
のほか、実証試験、
技術
基準の策定に資する
技術
開発、他の
研究機関
への
資金
配分などのミッションに取り組む
組織
でございます。 こうした多様な役割や特性を有する
国立研究開発法人
は、各
法人
がミッションを果たす上でふさわしい制度の
もと
、各
法人
の自主性及び自律性が生かされた活動が行われる必要があると認識をしております。 このような認識の
もと
で、本
法案
は、
世界最高水準
の
研究開発成果
の
創出
が特に見込まれる
国立研究開発法人
を
選定
し、
我が国
の
イノベーション
システム全体を強力に牽引する中核機関に位置づけて、国家
戦略
との連動性を高め、効果的に
科学技術イノベーション
を
推進
する
体制
を構築していくものでございます。
小宮山泰子
111
○小宮山
委員
一部の
トップ
クラスの
研究機関
をさらに
レベル
アップ、
強化
していくということ自体の重要性は私も否定はいたしません。しかし、同様のことは
大学
への
支援
にも通じることだと思っておりますし、国立
大学
運営費交付金、科学
研究
費など、
世界
の各
大学
との競争の先頭に立っていくところに多くつけているというのも特徴かと思います。
研究開発
においては、ほかの
国立研究開発法人
の
研究
者も、
大学
などの教育機関に付随する
研究
者も、
企業
など
民間
の
研究
者も皆
努力
をしております。この三
法人
が勝ち組となって、そのほかは蚊帳の外となるような、そんな
法案
の趣旨にある産業競争力の
強化
は、
国民
が豊かな
社会
の
実現
に果たしてつながるのでしょうか。
トップ
を引き上げる政策を行うときには、まずボトムアップこそが本来重要な政策だと思います。
日本
全体の割合でいえば、例えば、
企業
となりますけれども、〇・三%の大
企業
には利用しやすいさまざまな制度もありますが、九九・七%を構成する
中小
零細、
個人
企業
では、情報へのアクセスや手続上の問題など、
研究開発
への補助金、雇用
関係
への助成金などを生かすことができなかった事例は多々見受けられます。 また、近年では、
地方
大学
の出身者が
ノーベル賞
を
受賞
するという事例はたくさん起きております。私の地元のことでありますが、地元の川越高校卒業の、そして埼玉
大学
を卒業されました梶田博士も、昨年ノーベル
物理学賞
を受け、最近のトレンドは
地方
大学
出身ということも言われるようになりました。 基礎
研究
、
実用化
研究
を
推進
する上でもボトムアップの視点が必要である、
トップ
の三
法人
には特別優遇するが、あとのところは自助
努力
でやってくれでは国全体の底上げには結びつかないと考えます。優秀な
人材
、
研究
の海外流出に拍車をかける結果になるのではないかと危惧をしております。 ほかの
国立研究開発法人
、さらに
大学
や
民間企業
での
研究
も含めて、柔軟な発想が
研究
者の能力を発揮させ、そして、そういった制度を整えるのが政治だと考えております。 このボトムアップを図るような施策はどのようなことをお考えなのか、お聞かせください。
島尻安伊子
112
○
島尻国務大臣
小宮山
委員
御
指摘
のように、やはり
研究機関
の
研究
者が能力を発揮しやすい環境を整えるのは大変大事だというふうに私も考えております。
我が国
が、産業構造及び国際的な競争条件の変化、そして急速な少子高齢化の進展その他の
経済社会
情勢の変化に対応して、産業競争力を
強化
するとともに、
国民
が豊かで安心して暮らすことができる
社会
を
実現
するためには
我が国
の
科学技術
の水準の著しい向上を図ることが重要と認識をしております。 このような認識の
もと
で、先般閣議決定されました第五期の
科学技術基本計画
におきましては、
科学技術イノベーション
の
基盤
的な力の
強化
に向けまして、
人材力
の
強化
あるいは知の
基盤
の
強化
を進めることとしております。 御
質問
の具体的な施策でございますけれども、例えば高度
人材
や
イノベーション
の
創出
を加速する多様な
人材
の育成、確保、
分野
や
組織
、セクターなどを超えた
人材
の流動化、そして
研究開発
活動を支える施設あるいは設備などの
強化
や共用の
促進
、またそれを
支援
していくことなどによって、
研究
者が能力を発揮しやすい
研究
の
整備
というものを
推進
していくこととしております。
小宮山泰子
113
○小宮山
委員
今、島尻大臣がおっしゃられたのは、具体的というよりか、今まで言われてきたことかと思いますし、具体的というほどには具体的な事例ではなかったという
指摘
もさせていただきたいと思います。 そうはいっても、結局、手続の煩雑さといったものによって本来の
研究
というものがどうしてもうまく遂行できない、そんな
研究
者も随分いるんではないか。 過去に、
ノーベル賞
を
受賞
された方が議運
委員長
の招きによって講演をする、それを聞く機会がございました。その中で、やはり
研究
費など、そういったさまざまなことをして
研究
費を集める
努力
をされているというお話もした。また、
研究
助手の
方々
に対しての身分保障、安心して、そして安定した
研究
ができる環境が
日本
はないというようなお話、提言を随分とされておりました。この点に関しましても
指摘
をさせていただきたいと思います。 さて、
法律案
の七条における主務大臣の要求では、主務大臣は、
研究開発
その他の対応を迅速に行うことが必要であると認めるときは、
特定国立研究開発法人
に対して必要な措置をとることを求めることができるとされており、
特定国立研究開発法人
はその求めに応じなければならないものとされております。 似通っているものでは、
研究開発
システムの改革の
推進
等による
研究開発
能力の
強化
及び
研究開発等
の効率的
推進
等に関する
法律
では、非常事態における安全確保のための措置であるのに対して、本
法案
では、
研究開発
そのものに対して、主務大臣の要求に応じなければならないとされております。
研究開発
は、安全確保の措置と異なり、要求どおりに結果が出るといった性質のものではないと考えております。求めに応じることを義務づける規定は強過ぎるのではないか、本規定起草までの議論と経過の
説明
を簡潔にお願いしたいと思います。見解を求めたいと思います。 また、あわせまして、主務大臣が専門家である可能性は低く、誰がどのように判断を行って主務大臣による必要な措置の要求に至るのか、見解を求めます。
森本浩一
114
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 独立行政
法人
制度におきましては、
法人
の自主性、自律性を重んずるというその制度の趣旨から、大臣の
法人
に対する一般的な指揮監督権というものを排しております。 大臣関与につきましては、
法人
の
業務
の性格等を踏まえまして、必要最小限のものに限定した上で、個別の法令において特別の関与に関する根拠規定を定めている、こういうことでございます。 この
法案
では、このような個別の法令における大臣関与と同様に、
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
の
創出
並びにその普及、
活用
の
促進
を図るという
法案
の目的を踏まえて、厳しく限定された
要件
を置いておりまして、
特定国立研究開発法人
の
業務運営
に特段の混乱とか萎縮というのをもたらすものではないのではないかと考えております。 もちろん、主務大臣が
特定国立研究開発法人
に対してこの条文に基づきまして要求を行う場合には、その理由等について必要な
説明
責任を果たさなければならない、こういうふうに認識しております。 それからもう
一つ
の、必要な措置の要求を専門家でない方がどうやって出すのかということでございますが、主務大臣は、
法人
に対して中長期
目標
を指示するという立場にいらっしゃいます。
特定国立研究開発法人
に対する迅速な対応を要求する場合にも、その者は当該
法人
の主務大臣とすることが適当ではないかと考えております。 この当該要求に当たりましては、主務大臣が必ずしも持ち合わせていない最新の
知識
とか専門的な情報、こういうものを補うためにも、国際的な情勢に応じて、当該
法人
を初め
総合科学技術
・
イノベーション会議
、あるいは他省庁、有識者、さまざまな情報のソースから情報を入手し、そして事前に調整を図るということになるのではないかと認識しております。
小宮山泰子
115
○小宮山
委員
例えばですけれども、大臣、もし大臣がこのような措置を要求する立場であったとして、何十年かしてから、結局あれは余り必要でない
研究
だったと。もちろん場合によってはですよ。全ての
研究
が実を結ぶわけではないことを考えると、政治的判断を間違えるということもあり得るんだと思います。そういうことにおいては、この要求に関しては全て情報を公開できるようにしなければならない。 これは通告しておりません。しかし、そのときの主務大臣の責任というものは大変重いですし、そこに至った過程は、やはり先ほどから独法のさまざまな問題点もございます、全て情報は保存をし、後日公開をする。そして、失敗があった、その中から後世が学ぶことがきちんとできるように情報を保存し、その指揮命令をした、提言をした、その
分野
に至るまで全て情報が公開できるように、そしてそれが公開にたえるようなものであってほしいと思います。 ぜひ、これは
法律
の部分ではないかもしれませんが、大臣のイニシアチブでこの点はそろえるということをお約束いただけないでしょうか。
島尻安伊子
116
○
島尻国務大臣
この当該要求に当たっては、おっしゃるように、主務大臣が必ずしも持ち合わせていない最新の
知識
とかあるいは情報等、こういったものを補うために、情勢に応じて、当該
法人
を初めCSTI、あるいは他省庁の
関係
機関と十分に事前に調整を図って判断していかなければならないというふうに思っております。 その上で、やはり主務大臣としての責任が大変重いということは認識をしておりますし、その場その場でどういった議論が行われたかということはできるだけクリアにしていかなければならないというふうにも考えております。
小宮山泰子
117
○小宮山
委員
公文書の保存期間は五年でもございます。
研究
が五年で終わるとは限りません。そういった
意味
においても、その保存期間を過ぎたものもぜひ保存するようにしていただけないでしょうか。改めて大臣にお伺いします。
島尻安伊子
118
○
島尻国務大臣
繰り返しになりますけれども、やはりこの当該要求に当たっては、しっかりと主務大臣がその責任の
もと
で果たされなければならないものだというふうに思っておりますし、繰り返しになりますけれども、そこに至るまでの議論についてはできるだけクリアにし、
説明
の責任が果たせるように努めていかなければならないというふうに考えております。
小宮山泰子
119
○小宮山
委員
考えているのであれば、それを実行に、形にしていただきたいと思います。 時間の限りがございます。多くの
政府参考人
の方にも来ていただいておりますが、最後の
質問
は、人文科学、
社会
科学
分野
の学術
研究
、基礎
研究
についてお伺いさせていただきたいと思います。 本
法律
検討の参考ともなる諸外国の
研究機関
において、
ドイツ
のマックス・プランク協会やスペインの高等科学
研究
院では、人文学、
社会
科学、人類学などの
分野
に関しても
研究
範囲としております。 近年、人文系の国立
大学
などの縮小議論や廃止案、削減案などが散見されます。国際競争、国際的
論文
発表、ありとあらゆる面で
日本
語以外の英語を初めとした外国語の
もと
で議論され、また産業発展に
科学技術
の発展が求められていることは間違いございません。 しかし、教育においても、
研究
あるいはその
もと
となる物事について考える、思考することに当たって
基本
となるのは母国語たる
日本
語でもあるし、自然科学の究極の先は哲学などに行き着くのではないでしょうか。昔も今も、この点は真理として変わらないのではないかと思います。 人文科学、
社会
科学の
分野
のような
研究
分野
もある種の基礎
研究
となり得ると思いますし、この
分野
が深まることによって
研究
も深まるのではないかと考えております。 人文科学などいわゆる文系
分野
の
大学
を初めとした
研究
が軽視される傾向に大きな懸念を感じておりますが、この点を充実させていくのか、この点に関しまして
政府
の見解をお聞かせください。
生川浩史
120
○
生川
政府参考人
お答えいたします。 人文学、
社会
科学は、人間文化、
社会
を
研究
対象とし、人間の精神生活の
基盤
を築くとともに、
社会
的諸問題の解決に寄与するという重要な役割を担っているというふうに認識をいたしております。 人文学、
社会
科学の振興につきましては、
大学
共同利用機関
法人
人間文化
研究
機構におきまして、人間文化に関する総合的
研究
と
世界
的拠点の形成に取り組むとともに、多くの
研究
者や機関が参画をする
組織
的な共同利用、
共同研究
拠点について、人文学、
社会
科学の拠点形成への
支援
を行っているところでございます。 また、従来から、科学
研究
費助成事業によりまして、人文学、
社会
科学を含む全ての
分野
にわたり、
研究
者の独創的な発想に基づく多様で質の高い学術
研究
を
推進
してきているところでございます。 さらに、人文学、
社会
科学に特化した施策でございます、
課題
設定による先導的人文学・
社会
科学
研究
推進
事業という事業がございますが、これにおきまして、この
分野
の
共同研究
の先導的なモデル形成に取り組んでいるところでございます。 今後とも、このような施策を通じて、人文学、
社会
科学の振興に文部科学省としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
小宮山泰子
121
○小宮山
委員
ありがとうございます。 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、この点に関しましては、さまざまなことにつながっていく基礎となると思います。そういう
意味
では、人類の豊かな
社会
づくりというのにも大きく寄与すると思いますので、御
努力
いただくことを改めて私からも御要望いたします。 さて、時間がなくなりまして、本当に多くの方に来ていただいて
質問
できなかった点、申しわけなく思いますが、新しく特別な
法人
ができるわけであります。この点がしっかり
成果
が出るようなことを願ってやまないのですけれども、やはりさまざまな、今、
熊本
、大分を
中心
にした本当に震災が起きております。政治において、やはり過去の歴史に学ぶ、失敗を繰り返してはならないということは多くあるかと思います。
研究開発
の
分野
でも、さまざまな事件、事故も起こっております。この
分野
に関しましても、ぜひ歴史に学び、そして哲学や人間にさらに目を向けていただくこと、そのことに注視していくことをお伝えさせていただきまして、私の
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
平将明
122
○平
委員長
代理 次に、鈴木義弘君。
鈴木義弘
123
○鈴木(義)
委員
民進党の鈴木義弘です。
熊本
の
地域
の皆様方に、心からお
見舞い
とお悔やみを申し上げたいと思います。 先日、
政府
は、
エネルギー
・環境
イノベーション
戦略
を発表しました。地球温暖化対策として、CO2の削減に
技術
的に取り組むために、省
エネルギー
、蓄
エネルギー
、創
エネルギー
等、インパクトの大きい革新的な
技術
、大きな削減ポテンシャルが期待できる
技術
、中長期を要し、かつ
産学官
の総力を結集すべき
技術
等が有望
分野
とされています。
研究開発
体制
の
強化
で、CSTI、
総合科学技術
・
イノベーション会議
が統括し、一体的に本
戦略
を
推進
する
体制
を
強化
するとしているんですが、果たして、
内閣
や政権がかわったとしてもこのプロジェクトを
推進
することができるのか。また、
推進
する人がかわるんですよね。この
総合科学技術
・
イノベーション会議
の
トップ
になっている
人たち
は、三年の任期でかわっていきます。先ほども議論になっていた、いろいろな
社会
的、
世界
の情勢が変わったときに、変えられるかという話ですね。でも、中長期でこれはやらなくちゃいけないというふうに言い切って発表しているわけです。 その人、財源、
体制
の維持をどういうふうに考えているのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
島尻安伊子
124
○
島尻国務大臣
まさに、今、鈴木
委員
の御
指摘
は私も全く同感でございまして、
内閣
や政権がかわったとしても、気候変動対策という地球規模の
課題
に対して
日本
としてしっかりと
推進
できるようにすべきということは、私は全く同感でございます。 COP21で言及されました二度
目標
を
実現
するためには
イノベーション
というものが不可欠でございまして、
エネルギー
・環境
イノベーション
戦略
に基づく長期的な
取り組み
が重要でございます。 本
戦略
は、従来の延長線では達成できない困難な
課題
に果敢に挑戦していくという
観点
から、有望な革新
技術
を
特定
いたしまして、長期的な
研究開発
の
推進
の方向性を取りまとめたものでございます。 御
指摘
のあります人あるいは
体制
につきましては、CSTIの有識者議員は八名おりますが、産学それぞれの立場からしっかりと継続的に関与いただきつつ、各
大学
、
研究機関
、産業界そして
政府
が一体となって取り組むことができる仕組みの構築が重要というふうに考えております。 さらに、財源についてでございますが、限りある財源をいかに、さらには有効に使っていくかということが重要でありまして、
科学技術基本計画
あるいは
科学技術イノベーション
総合
戦略
に基づく
課題
の重点化などを通じまして、中長期的視点からしっかりこれらを確保していくというところをしっかり頑張っていきたいというふうに思っています。
鈴木義弘
125
○鈴木(義)
委員
では、それを誰が担保するのかということなんですよ、一番の問題は。 それと、きょうの議論を聞いていたり、この三
法人
を指定するに当たって、結局、税金を投入して
研究開発
していくのに力点を置いていこうとするのか、
予算
がないから
民間
の
資金
を
活用
していこうとするのか、そこの問題なんです。
民間
の
資金
を
活用
とすれば、全部ひもつきになってくる。それを独法がやっていいのかどうかという
考え方
なんです。 それを広く進めていこうというふうにやっていくのがこの
法律
なんでしょうから、
民間
の
資金
をどんどん入れることによってひもつきになりますよ。国内だけじゃなくて海外の
企業
からも
資金
提供してもらって運営していきましょうという
考え方
で三つ指定しているんだと思うんですけれども、まず、とりあえずそれを先にお尋ねしたいんです。
政府
がそういう
考え方
に立っているかどうかということですね、
予算
がないから。だから、公的なお金を入れるということは、逆に言えば、みんなの幸せのためにお金を使うということなんです。でも、一
企業
で百万でも一千万でも補助金をもらえる、助成金をもらえるというふうになれば、そこの
企業
に利益供与するという話になるわけです。 だから、どちらの考えでこれからやっていこうとするのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
森本浩一
126
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。 今の、国から出る
予算
による、いわゆる
基盤
的経費と呼ばれている、運営費交付金を初めとするしっかり
基盤
を支える経費と、それから外部から競争的な環境の中でとってくる競争的
資金
、この二つが
研究開発
法人
における大きな財源でございます。それに加えまして、今おっしゃったような
民間企業
からの受託
研究
であるとか
共同研究
、財源は大きく分けてこの三種類があろうかと思います。 これらのバランスでございますが、特に長期的な視点でやっていかなければいけないものは
基盤
的経費でしっかりと支えていく、それから、短期的あるいは中期的な
観点
で
課題
の解決をする、あるいは
大学
や
研究機関
のポテンシャルをうまく
活用
してそれを事業化、
実用化
につなげていく、こういうことにつきましては
民間
の
資金
も積極的に導入していくということで本格的な
産学連携
が促されるのではないか、こういうバランスを全体としてとっていくことが重要かと思います。
鈴木義弘
127
○鈴木(義)
委員
では、個別に、三つの団体についてちょっとお尋ねしたいと思います。 まず初めに、
産総研
。 中鉢
理事
長ともう一人が
民間
のメーカーの役員の経験者なんですけれども、ほかの
理事
さんは
研究
所の
関係
者か省庁からのOBさんなんです。
産総研
の中長期
目標
があるんですけれども、これを経産省の名前で掲げているんですね。これは、
法律
でそういうたてつけになっているんだと思うんです。 この中長期
目標
に掲載されている事項は、どの団体でも
計画
として通用する内容になっているようにしか見られないんです。アバウトなんです。言っている
意味
はわかりますよね、通告書を出していますから。 では、
産総研
のオリジナルというのはどこからくるんだという話なんです。主務大臣が方向を決めるのは結構なことなんですけれども、その文章を見ても、この三団体、どこに当てはめてもできるような文章のつくり方になっているんです。では、
産総研
のオリジナルは何なのかということです。その後の
理研
もそうです。
物質
・材料も同じです。当てはめられちゃう。そこでどうやって
イノベーション
が起きるのか不思議でならない。 もう
一つ
、二十七年度の第四期の中期
目標
の五年間は橋渡しの役割を強調しているんですけれども、当たり前だと思うんですね。だって、自分のところで商品化して、それを売っていくわけじゃないんだから。 では、第三期の中期
目標
期間の事業報告を見ても、中期
計画
と中期
実績
の報告があるが、どれだけ橋渡し役に役立ったのかということです。 どのぐらいの件数が例えば工業所有権を取得したのか、また、秘匿にしなければならないんだったら、国際標準としての
戦略
で事業展開したのかどうか、そのぐらい考えてやらなければ、
日本
は
技術
立国
日本
だと思ったら大間違いですよ。 今は
ノーベル賞
をとっている人が
日本
人から何人かここ何年か出ていますけれども、これが二十年先、三十年先まで、毎年毎年
日本
人が
ノーベル賞
を
受賞
できると思ったら大間違いだと私は認識しているんですけれども、今のお尋ねについて、まず初めに、これは
政府参考人
。
星野岳穂
128
○
星野
政府参考人
お答え申し上げます。
委員
御
指摘
のとおり、
産総研
の中長期
目標
については、独立行政
法人
通則法に基づきまして、主務大臣である
経済
産業大臣がそれを定めておりますけれども、他方で、独自性にも
関係
しますけれども、この中長期
目標
を達成するための
取り組み
内容を定めました中長期
計画
、あるいはそれを受けて毎事業年度ごとに作成される年度
計画
というものはそれぞれ、これも独立行政
法人
通則法に基づきまして、
産業技術総合研究所
がみずから作成しているものでございます。 それにつきまして、独自性はどういうものなのかということでございますけれども、
産総研
につきましては、他の
国立研究開発法人
に先行いたしまして、「
日本
再興
戦略
」
改訂
二〇一四におきまして、革新的な
技術
シーズを事業化に結びつける橋渡し機能の
強化
ということに取り組むこととされておりまして、それを受けて、現在の中長期
目標
を受けた
計画
におきましては、橋渡し機能を
強化
するということを最大のミッションに掲げておるところが独自性と考えてございます。 特に、
産総研
におきましては、
民間企業
からの
資金
獲得額というものを最も重要な
目標
として掲げて取り組んでおりまして、こういう面につきましては、
民間企業
からのコミットメントを得て
研究開発
を行うという非常に難しい
分野
でございますが、そこに取り組んでいくということで独自性が高いと考えてございますし、また、
技術
のマーケティングの力を
強化
するということを明確に打ち出しているところも独自性を出していると理解しております。 もう
一つ
の御
指摘
でございます、そういった橋渡し機能の役割ということが具体的にどういう
成果
かということでございますけれども、具体的には、例えば
平成
二十六年度までの第三期の中長期の
目標
期間におきましても、例示は幾つかございますが、例えば夢の革新素材と言われております単層カーボンナノチューブを大量生産する
技術
の確立、これによって
共同研究
先の
企業
が工場の建設に至りました。あるいは、大幅な省エネを
実現
いたします炭化珪素パワー半導体につきましても、同じく
共同研究
先の
企業
が工場建設に至った等々、橋渡しの革新的な
研究開発
の
成果
というものが生まれているところでございます。
鈴木義弘
129
○鈴木(義)
委員
ここは
内閣
委員会
だと思うんですね。
内閣
の中で
科学技術
を担当しているのは島尻大臣だと思うんですけれども、結局、何を申し上げたいかといったら、その統括を全部この
内閣
府がきちっとできているのかということだと思うんです。その
計画
をして、今私が
質問
して答弁が明確な答弁ではなかったんですけれども、
一つ
の事例を挙げられましたけれども、だから、結局、結果をきちっと出すということだと思うんです。
研究開発
はいろいろな
分野
がありますから、
研究開発
をしようとする人は、誰もやっていないことをやりたいんです。誰かがやっていることをやるんじゃないんです。誰もやらないことをやりたいんです。だから、評価が難しいんです。 だって、そうじゃないですか。対比する人がいるんだったら、この人と比べたらどうなのというふうに結果が出るのに、何がいいかがわからないから、対比をする誰かがいればいいですよ、だから評価の仕方が難しいんです。結局、税金を投入してやるということは、いつかきちっと結果を出さなくちゃいけないだろう、そういう評価でやっていかなくちゃいけないし、それを統括するのが
内閣
府なんだと思うんですね。 そこについて、もう一度大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
島尻安伊子
130
○
島尻国務大臣
おっしゃるとおり、
内閣
府として、
科学技術
政策の司令塔としてしっかりとこれはやっていかないといけないというふうに思っているところでございます。 今回の
特定国立研究開発法人
の対象三
法人
につきましては、CSTIの意見を聞いて、
政府
が
研究開発等
を
促進
するための
基本
的な方針を定めるとともに、これに基づいて中長期
目標
あるいは中長期
計画
が定められることになります。 このように、この
特定国立研究開発法人
制度は、CSTIの
会議
が対象三
法人
の
目標
や
計画
に関与する制度となっていることから、その事務局である
内閣
府として、対象三
法人
の
目標
や
計画
について確認をすることとしております。 なお、他の
国立研究開発法人
に対しましては、CSTIが中長期
目標
の策定及び評価に関する指針の案を策定し、この指針の案が、総務大臣が策定する独立行政
法人
全体の指針に適切に反映されることとなっております。 CSTIの事務局でございます
内閣
府といたしましては、
特定国立研究開発法人
のみならず、
国立研究開発法人
全体について目配りをしつつ、適切な制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
鈴木義弘
131
○鈴木(義)
委員
ちょっと順番は違うんですけれども、
物質
・
材料研究機構
の役員さんは、橋本さんという
理事
長さんなんですけれども、
総合科学技術
・
イノベーション会議
の議員にもなっているんですね。これは同じ人がやっているんですよ。この団体だけなのかもしれないんですけれども、よっぽどたけた人なんだと思うんです。
科学技術
に関する内外の情勢に著しい変化が生じた場合において対応できるようにこの
法律
をつくったんだというんですけれども、これは同じ人がやっているんですよ。何かちょっと矛盾していませんか、大臣。どちらでも。
豊田真由子
132
○豊田
大臣政務官
先生御
指摘
のとおり、
物材機構
の現行役員につきましては、橋本
理事
長が
大学
で、ほかの三名の
理事
が同校の職員あるいは省庁職員であることは事実でございます。 一方で、これらの役員につきましては、これまでも、みずからの御
研究
活動のみならず、各種プロジェクトのリーダーや所属機関の責任者としてさまざまな
研究開発
のマネジメントや、海外を含みます学界などのネットワーク活動などを積極的に行ってきておりまして、内外の情報収集やこれを踏まえた
組織
のマネジメントなどに関しましても十分な
実績
、経験を有しているものというふうに認識をしております。 また、先生御
指摘
の橋本
理事
長につきましては、市場を意識いたしました酸化チタン光触媒の
実用化
に先鞭をつけ、また東大の先端研の長としまして
組織
マネジメントを行い、また
科学技術振興
機構などの各種プロジェクトのプログラムディレクターなどを務めまして、豊富な
研究
マネジメントの経験を有するのみならず、先生の御
指摘
のような、
政府
においてもさまざまな議員を務めるなど、産学界の幅広いネットワークを有しているところでございます。 こうした
観点
から、先生御
指摘
の、
科学技術
に関する内外の情勢に著しい変化が生じたような場合でも迅速な対応ができる
体制
になっているというふうに認識をしております。
鈴木義弘
133
○鈴木(義)
委員
おととしまでは、
総合科学技術
・
イノベーション会議
は
予算
を持っていなかったんですよ。おととしから
予算
がつくようになって、五百億あるんです。そこで方向づけを出す議員でいながら、
一つ
の団体の
理事
長をやっているというのは矛盾していないかということですよ。そうでしょう。 まだ私は幾つも
指摘
していないので、私が
指摘
した、
指摘
したと言われると、では、それは答弁を含めて一緒にお願いしたいんですね。
世界最高水準
の高度な
技術
は、ある
意味
において、それを分析、解析できる機器があって初めて
世界最高水準
だと言えるんです。 この三団体の分析機器の稼働率がどのぐらいなのか。すばらしいものをつくりましたと。目に見えるものだったらいいんです。目に見えないものだったらどうするか。それを分析、解析していかなくちゃいけない。それを三
法人
ばらばらでやっていても
意味
がないだろう。 各団体の生い立ちがみんなばらばら、違います。それで、独法をつくるときに統廃合したりしたんだと思うんですね。ですから、そこの文化が各団体で違うんだと思うんですけれども、
世界
ナンバーワンのスペックというんですか、分析とかそういうものを、だから、効率化というのはそういうところだと思うんです。 例えば、この先に出てきてお尋ねしたいんですけれども、ちょっと前に話題になったポスト「京」の開発。これも新しい機種を開発する、着手するんだというのが話題になったんです。これは、商業化して初めて
意味
が出てくるんだと思うんですね。
世界
で最速のコンピューターをつくりました。すごいんです、いろいろなシミュレーションをするんです、
地震
に対応できるように、何かあったときに、気候変動のときにも対応できるように、すばらしいことなんです、何千億もかけてつくった。では、このコンピューターは売れたのかといったら、どこも買う人がいない、コストパフォーマンスが合わないから。だから、次にポスト「京」をつくるといったときには、商業ベースに乗せていこうとして開発するのかということです。 だから、先ほどお尋ねしたように、橋渡し役をするというのがこの三つの団体であれば、
理研
に今、ポスト「京」というより、「京」があるんだと思うんですけれども、それを売っていかなければ
意味
がないだろうということです。 だから、ナンバーワンになったとか
世界最高水準
ですばらしいだろうといっても、それが売れなければ
意味
がない。それが
実用化
に近いところにいるこの三つの団体の役割なんだと思うんですけれども、あわせて、大臣、政務官でも、ちょっとお尋ねしたいんです。
豊田真由子
134
○豊田
大臣政務官
ポスト「京」の商用化でございますが、開発参画
企業
、具体的には富士通株式会社におきまして具体的に検討しているというふうに聞いております。 なお、「京」の商用化につきましては、富士通が製造、販売いたしましたFX10が十六カ所に、またFX100が六機関に納品をされているというふうに承知をしてございます。 そして、このスーパーコンピューター「京」でございますが、ここは、競争力のあるスーパーコンピューターとして、例えば医療ビッグデータの解析によります
個人
ごとのがんの予防、治療あるいは
戦略
の
実現
、また観測のビッグデータを
活用
いたしましたリアルでピンポイントな豪雨予測の
実現
、またナノスケールでの特性を予測いたしましての次世代のデバイスの設計といったような、
世界
を先導する
成果
を
創出
することで
社会
的また科学的な
課題
の解決に貢献することをまた引き続き目指してまいりたいと思っておりますので、御指導をお願いいたしたいと思います。 〔平
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
鈴木義弘
135
○鈴木(義)
委員
先ほどお尋ねした、同じ人が違う役職をやっているというところもあわせて御答弁いただきたいと思うんです。
森本浩一
136
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
総合科学技術
・
イノベーション会議
の有識者議員は、議員
個人
として
科学技術
に関してすぐれた見識をお持ちの方を選んでいるということでございます。したがいまして、個別の所属機関を代表する、そういう立場で任命されるものではございません。 一方で、学界とか産業界等からそれぞれの
分野
の第一線で活躍されている
方々
が選ばれることなので、結果的に、
会議
の審議テーマあるいはプロジェクトの
推進
におきまして対象となる活動に
関係
する立場というのがあり得る、それが利益相反との誤解を生じさせかねない場合があるというのは、御
指摘
のとおりでございます。 これまでも我々は、そういう危険性といいますか懸念を払拭するために、運営上、非常に注意を払っております。具体的には、事前に自分がどこと利益相反があるのかということをあらかじめ申告していただいたりして、そのときには審議に参加しない、あるいは評決に参加しない、こういうことを徹底しております。 そういう形で我々としては対応しておりますので、御
指摘
の点については、懸念がこれからも生じないよう運用してまいりたいと考えております。
鈴木義弘
137
○鈴木(義)
委員
日本
人というのは人の気持ちをおもんぱかるというのがすごく好きな民族だと思うんですね、相手の立場をとか、その人物を。それとあと、権威に対してはすごくおもねる。ですから、何々先生がそこにお座りになっていると、その人の弟子さんたちが大体ピラミッドをつくるんですよ。
研究開発
なんか特にそうだと思いますよ。何々先生に師事された、だからここにいます、あそこにいますと、みんな横のつながりを持っている。 だから、前にもお尋ねしたかもしれませんけれども、これは文部科学
委員会
で発言したと思うんですけれども、
日本
人が
アメリカ
の工科系の
大学
で博士号を取るのはどのぐらいいるんですかというのが文部科学省の
科学技術
白書というのに、
平成
二十二年か三年版ぐらいのところに載っています。中国の方が四千人ぐらいいます。韓国が千百人。
日本
人が二百人。それは、人数が多いとか少ないとかじゃなくて、人的ネットワークが構築されてしまうということなんです。だから、
日本
もそういう
意味
で大きく変わっていかないと、今は
科学技術
立国だと思っていてもやられますよという警鐘なんです。 だから、今御答弁いただきましたけれども、すばらしい方なんだと思います、私はお会いしてお話ししたこともないんですけれども。でも、そういうふうにやって懸念をされるのであれば、今後、次に選任をされるときには、わざわざ気を使わなくてもいいようなポジションで一生懸命、一〇〇%、一二〇%働いてもらって能力を発揮してもらった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、最後にちょっと御答弁いただきたいと思うんです。
島尻安伊子
138
○
島尻国務大臣
御
指摘
のところに関しましては、やはり誤解を与えないような対応というのが大事かというふうに思っております。 他方、今回のこのような特措法を通じても、やはり
我が国
の
科学技術
を高めていくという中にあって、
我が国
の国際的なプレゼンスを高めていくことをしっかりと進めていかなければならないというふうに思っているところでございます。 鈴木
委員
におかれましては、常日ごろから
科学技術
に対する御指導をいただいておりますので、また引き続き今後ともよろしくお願いしたいというふうに考えております。
鈴木義弘
139
○鈴木(義)
委員
次に、このパンフレットをいただいたんですけれども、三つの団体で、わかりやすいからということで、特許の出願や
論文
の
引用数
を
実績
として団体のランキングや評価することを
日本
はよくしているんですけれども、出願じゃなくて、実際そのうちどれだけ利用されているのかということですね。千本特許を出願しましたというよりも、その特許を使って幾つ製品をつくったのか、その特許を利用されたのかということをベンチマークにした方がいいと思うんです。それと、なおかつロイヤリティーがどのぐらい入ってきているのか。 先ほど申し上げましたように、
研究
分野
で仕事をされている方は、誰もやらないことをやるんです。だから、特許を出せば、誰もやっていないんだから特許になるんです。それがどこまで実
社会
に役立つのかということなんです。そこを評価としてやらないと。
大学
は別です。アカデミックなところを追求していくのが
大学
だと私は思っていますから、そこは、特許でランキングをするしないというのとはまた別だと思うんです。 ただ、こういった産業界に近いような三つの団体は、産業として芽を出していって実を結ぶということが最終
目標
だと思うんです。だから、特許を出すということとか引用されているということは、アカデミックの
世界
ではいいとしても、そうじゃないんだと思うんですね。それをこのパンフレットで
実績
として声高々に載せられている。それを違う視点にしていかないと、実際は、先ほどから何回も申し上げていますように、産業競争力を持たせるために
イノベーション
を起こそうとしているということなんです。だから、今までとは違った指標を示して、
研究開発
にいそしんでいる
人たち
に喚起を促すということを今回の
法案
で出しているんだと思うんです。だから、給料ももっと大幅に上げてもいいでしょう、もう少し自由度を上げてもいいでしょう、そのかわり結果をきちっと出してくれ、そういうことなんだと思うんです。 どうですか、大臣、それは。御決意というのかな、
目標
をきちっと変えてもらいたいということなんです。
島尻安伊子
140
○
島尻国務大臣
御
指摘
のように、
研究開発
力をあらわす指標というものは、特許の出願数あるいは
論文
の引用件数のみではかられるべきものではありませんで、特許の実施許諾数あるいは特許料収入なども要素の
一つ
だというふうに認識をしております。 今回の
特定国立研究開発法人
の対象三
法人
につきましては、
委員
の御
指摘
の指標も含めて、より多面的な指標で評価が行われていくように検討してまいりたいと思っています。
鈴木義弘
141
○鈴木(義)
委員
こういう公式な
委員会
で検討すると言うと大体検討しないのが常なんですけれども、ぜひ検討していただきたいというふうに思って、終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
西村康稔
142
○
西村委員長
次に、
池内さおり
君。
池内さおり
143
○池内
委員
日本
共産党の
池内さおり
です。 私は、まず初めに、
熊本地震
で犠牲となられた
方々
に心からお悔やみを申し上げます。また、避難所などで不安な毎日を過ごされている
被災者
の皆様にお
見舞い
を申し上げるとともに、救助、救援のために日夜を分かたず奮闘されています消防、警察、自衛隊の皆さん、役場の職員、医療
関係
者、ボランティア、こうした
方々
にも敬意を表します。 一日も早い生活再建のために国を挙げて全力を尽くす、
日本
共産党もそのために力を尽くしていく決意です。
質疑
の方に入ります。 提案理由の中にいろいろあるんですけれども、
我が国
の
科学技術
の水準の著しい向上を図ることが重要、
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
の
創出
並びにその普及及び
活用
の
推進
を図るために、
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
の
創出
が見込まれている
物質
・
材料研究機構
、
理化学研究所
、
産業技術総合研究所
を
特定
研究開発
法人
に指定するというふうにしています。 大臣にお伺いしますが、
特定
研究開発
法人
に指定をしたら、どうして
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
が得られるのか、まずお答えください。
島尻安伊子
144
○
島尻国務大臣
この
特定国立研究開発法人
の
業務運営
につきましては、より国家
戦略
との連動性を高めて行うこととしております。このために、主務大臣や
総合科学技術
・
イノベーション会議
、CSTIは、本
法案
の対象
法人
の
研究開発等
を
促進
するために必要な措置を講じることになります。 具体的には、本
法案
に基づきまして、対象
法人
による
研究開発等
を
促進
するための
基本
的な方針の策定、そして国際的な水準で卓越した
人材
の確保、主務大臣の要求に応じた
研究開発等
の迅速な対応、長期的、挑戦的な
研究開発等
への配慮がなされることなどによりまして、対象
法人
と国が一体となって
研究開発等
を
推進
することとしております。 これらの措置により、対象
法人
において
世界最高水準
の
研究開発成果
が
創出
され、その普及や
実用化
が
促進
されていくというふうに考えております。
池内さおり
145
○池内
委員
内閣
総理大臣が
基本計画
を定めたら
研究成果
が飛躍的に向上するなどというのは、私は、どこかの国の指導者ならばいざ知らず、誰も信じないというふうに思うんです。 私は、
日本
の
研究
水準を引き上げるためには、それを阻んでいる根本的な問題点を大胆に解決しないといけない、それこそ大切だと思います。 そこで、具体的に聞いていきますけれども、今回、
特定
研究開発
法人
に指定される予定の
産総研
の
論文数
について、推移を述べてください。
森本浩一
146
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
産総研
の
論文数
の推移について、同
研究
所が個々の
研究
者の登録を
もと
に集計した数値を御回答申し上げます。
平成
十三年、三千七百六十二本、
平成
十七年、五千二十八本、
平成
二十年、四千五百九十五本、
平成
二十三年、四千二百五十六本、
平成
二十六年、三千五百四十四本。 以上でございます。
池内さおり
147
○池内
委員
二〇〇五年をピークにして、今お話しいただいたように、発表
論文数
というのが低下をしています。これは、三つの
研究機関
特有のことではなくて、国立
大学
でも同様のことが起こっています。二〇〇四年をピークに発表
論文数
が低下していると。 国立
大学
協会の政策
研究
所がまとめた報告書を読んでみると、
世界
の中で唯一
日本
だけが、二〇〇二年ごろから
論文数
が停滞、減少して、二〇一二年では
世界
の五位にまでなりました。これは、人口の多寡がありますので単純に比較できないので、人口百万人当たりの
論文数
で比較をしてみると、
日本
は
世界
で三十五位になってしまいます。到底、
先進国
とは言えない
状況
だというふうに思うんです。ちなみに、先日シャープを買収して話題になった台湾は
日本
の一・九倍、韓国は一・七倍もある。
日本
の停滞というのはもう明らかだと思います。 大臣、なぜこのようになったか。
島尻安伊子
148
○
島尻国務大臣
研究開発
力をあらわす指標は、
論文数
のみではかられるべきではない、
論文
の質は
もと
より、特許や
企業
等との
共同研究
の数なども重要な要素だというふうに考えております。
委員
御
指摘
の
我が国
の
論文数
に関しては、二〇〇〇年ごろから横ばい傾向でございまして、また、引用回数が各年、各
分野
で
上位
一〇%に入る
論文数
についての指標でございます
トップ
一〇%の補正
論文数
も、同じく横ばい傾向でございます。 しかし、諸外国に比べて
論文数
の伸びが十分でないという
指摘
があるということは承知をしておりまして、その原因はさまざまな要因があり得るわけであります。例えば、中国などの新興国の台頭による国際競争の激化、あるいはグローバル化の進展によります欧州の国際共著
論文
の増加などが考えられます。 このように国際競争が激化している中で、
世界
における
我が国
の
存在感
をさらに発揮していくために、
特定国立研究開発法人
制度を初めとする
科学技術イノベーション
のシステム改革というものを
推進
していくことで、
我が国
全体の
研究開発
力の
強化
というものをしっかりと図ってまいりたいと考えています。
池内さおり
149
○池内
委員
今、さまざまな要因があるとおっしゃったわけですけれども、やはり現場の困難に向き合う政策でなければ
意味
がないと思います。 今回
法案
に示されているような、
政府
が
研究
課題
を押しつけたり、思うような
成果
が上がらなければ責任者の首を切る、こうしたことでは私は両立しない、前進しないと思うんです。 国大協が政策
研究
所の
研究
でこのような表題の
研究
をされています、運営費交付金削減による国立
大学
への影響・評価に関する
研究
。この中を見てみると、こうした今の
現状
になってしまった結果、原因というのがさまざま語られていますが、公的
研究
資金
が
先進国
で最も少ないこと、博士課程修了者が
先進国
で最も少ないこと、G7主要国に対する
論文数
の国際競争力の低下は、一九九八年ごろから始まった高等教育機関への公的
研究
資金
の相対的減少から約四年のタイムラグを経て、二〇〇二年ごろから顕在化した、このように
指摘
をしています。 もう一度大臣にお伺いしますけれども、
研究
力の低下には、公的
資金
の減少、運営費交付金を減らしてきたという国の責任が大きいんじゃないでしょうか。
島尻安伊子
150
○
島尻国務大臣
科学技術
関係
予算
につきましては、
科学技術基本計画
に
政府研究開発投資
の
目標
を掲げまして、その確保に努めてまいりました。 年度によって多少のばらつきはあるものの、第一期から第四期の
基本計画
期間中の
科学技術
関係
予算
の
実績
総数で見ると、
実績
総数自体は増加傾向にございます。また、
大学
及び
研究開発
法人
への運営費交付金につきましては減少傾向にございますが、
研究
や教育を支える
基盤
的経費が果たす役割というものは大変大きいというふうに認識をしております。 第五期
基本計画
では、
政府研究開発投資
の
目標
といたしまして、
経済
・財政再生
計画
との整合性を確保しつつ、対
GDP比
一%を目指すとしたところでございまして、その
目標
達成に向けて、
科学技術
関連
予算
の確保にしっかり努めていきたいというふうに思っております。その際、PDCAサイクルを機能させて、
予算
の質というものを高めていくことも重要だと考えております。 特に、運営費交付金につきましては、各機関の一層効果的そして効率的な運営を可能とするための改革を進めて、確実な措置を行うように努めていきたいと考えています。
池内さおり
151
○池内
委員
今大臣も、運営費交付金というのは
基盤
的経費で大事だというふうにおっしゃったので、ぜひこれは減らさずに、
拡充
の方向で今政治が責任を果たすべきだというふうに思います。 文科省が行った調査で、
科学技術
の
状況
に係る総合的意識調査、いわゆるNISTEPの定点観測では、
研究開発
に係る
基本
的な活動を実施する上での
基盤
的経費が十分でないという認識が急激に増したという結果が示されています。そして、それは
公的研究機関
においてとりわけ甚だしい。どのような声が上がっていますか。
神代浩
152
○
神代
政府参考人
お答え申し上げます。 お尋ねいただいた調査は、
科学技術
・学術政策
研究
所が第四期
科学技術基本計画
期間中の
科学技術
や
イノベーション
の
状況
変化を把握する目的で、
研究
者や有識者の意識の変化を継続して調査してきたものでございます。 今お尋ねのございました
基盤
的経費の
状況
につきましては、十分ではないという認識が急激に増加しております。 その理由の例として、学長裁量経費の重点化により
基盤
的
研究
費が減額されたこと、運営費交付金の大幅減額に伴い固定費を切り込まざるを得ないこと、施設の維持費のみで
研究
費は捻出できないこと、実験活動維持のために必要な額を下回っていること、コピー代や郵便代だけで経費はなくなってしまうことといった声が
研究
者から上がっているところでございます。
池内さおり
153
○池内
委員
今お答えいただいたように、本当に惨たんたる
状況
だと思います、
日本
の
研究
者が置かれている
状況
。コピー代や郵便代だけで経費がなくなってしまうなどという痛切な声まで上がっている。私は、やはり今求められているのは、上から目線の政治じゃなくて現場の実態に応える姿勢だと思うんです。
ノーベル賞
を
受賞
した京都
大学
の山中伸弥教授は、近年自然科学の
分野
で
日本
人が
ノーベル賞
を連続
受賞
しているということを問われて、このようにお話しされています。 最近の
受賞
は誇らしいことですけれども、注意しなければいけないことは、
受賞
は現在の
日本
の科学の水準をあらわしているものではないということです、多くの
受賞
が二十年、三十年前の
研究
の
成果
によるものです、
世界
の科学雑誌などに発表された
研究
論文
の数、中でもインパクトある
論文
で見ると、印象としてはアジアのほかの国に追い越され、中国の方が先に行っている、やはり中長期の
計画
を立てて
研究
への
支援
というものをしっかりやらなければいけないときだと思いますとおっしゃっている。 その上で山中教授は、今は競争に傾き過ぎていて、数年単位で
成果
を出さないと
研究
費もそれから自分の身分さえ保障がされない、小さなことでもいいから短期的に
成果
を出さないとだめということになっている、
日本
の雇用では、
研究
者は教授や准教授などの形で比較的安定した地位にありますが、
研究
支援
者のほとんどは
大学
のポストがなくて、国の競争的な
資金
で数年単位で雇用されている、そうしたことが安心して
研究
に打ち込めない要因だと
指摘
をされている。 大臣、
日本
を代表するこの
研究
者の
指摘
を科学政策担当の大臣として重く受けとめるべきだと思いますが、いかがですか。
島尻安伊子
154
○
島尻国務大臣
委員
の御
指摘
、この内容について、例えば、三
法人
の
研究
職全員の正規職員化に踏み出すべきではないかといった……(池内
委員
「それは次の
質問
です。受けとめなので。山中教授の発言、受けとめ、どうですかという
質問
です」と呼ぶ) そうですね。あらゆるところで、
ノーベル賞
を
受賞
された
研究
者の先生方のお声も聞きます。やはり
研究開発
をするのは人でございますので、そういう皆さんが
研究開発
しやすい環境をつくっていくというのは大事だというふうに考えています。
池内さおり
155
○池内
委員
ならばこそ、やはり、そういうことがちゃんと反映される
法案
にしていただかないといけないし、学問
研究
の発展というのは、どこまでも
研究
者自身の自主性、創造性に委ねられるべき領域だというふうに思います。繰り返しますけれども、今回の
法案
は、目先の
成果
だけを求めて現場をないがしろにするものだということは重ねて
指摘
をします。
研究
費を削る、そして外部
資金
に頼るということになれば、短期的な
成果
を求められるようになってしまう。そういう中で、
研究
体制
が長期的な
研究
にたえるものでなくなっているということなんだというふうに思うんです。その具体的なあらわれが、
研究
に携わる職員の非正規化の問題。 そこで、また具体的に聞きますけれども、今回、
特定
研究開発
法人
に指定をするそれぞれの
研究機関
の
研究
体制
はどうなっているか。
研究
職の総数、そのうち任期つき職員と非常勤職員の人数及び比率をお答えください。
森本浩一
156
○
森本政府参考人
お答え申し上げます。
特定国立研究開発法人
の対象である三
法人
における
研究
者の総数、
研究
者のうちの任期つき職員数、非常勤職員数及びその比率について、各
法人
が集計したことしの一月一日時点の数値をお答え申し上げます。 まず、
物質
・
材料研究機構
につきまして、
研究
者の総数は千二百十六名、うち任期つき職員数は二百六十名で二一・四%、非常勤職員数は五百名で四一・一%でございます。
理化学研究所
につきましては、
研究
者の総数三千四百十五名、うち任期つき職員数二千四百三十七名で七一・四%、非常勤職員数は六百四十六名で一八・九%でございます。
産業技術総合研究所
につきましては、
研究
者の総数は四千二百九十四名、うち任期つき職員数三百三十八名で七・九%、非常勤職員数は二千三十六名で四七・四%でございます。
池内さおり
157
○池内
委員
お答えいただいたとおり、
政府
が最も評価をしている
研究機関
の
研究
体制
が、そのほとんど、九割に迫る勢いで任期つきの非常勤
研究
者で支えられているという
状況
です。こうした実態が、
研究
論文数
の減少という現在の深刻な結果に結びついているという認識が大事だと思います。 構造的とも言える問題を解決することなしに、何だか高額な報酬を条件に外国からすぐれた
研究
者を招聘しても、安定的な
研究
の
成果
というのは上がっていかない、わかり切っている問題だと思います。
日本
の
科学技術
水準の向上は望めないと思います。 文科省にお伺いします。 昨年、文科省の
科学技術
・学術政策
研究
所が博士
人材
追跡調査というのを行っています。その調査で、博士課程修了者のうち、
大学
、短大、高専、
公的研究機関
等に就職した人がどれくらいいて、その
人たち
の任期制雇用の割合がどうなっているか。また、
民間
に雇用された人の雇用形態がどうなっているか、お答えください。
神代浩
158
○
神代
政府参考人
お尋ねいただきました追跡調査でございますが、
科学技術
・学術政策
研究
所が二〇一二年度の博士課程修了者を対象に、一年半後の二〇一四年秋時点の雇用
状況
等をアンケート調査したものでございます。 雇用先については、
大学
及び
公的研究機関
等アカデミアへの就職者が約六割で、
民間企業
は約三割となっております。アカデミアの場合、約六割が任期制の雇用でございます。また、
民間企業
への就職先ですが、従業員数五百人以上の
企業
が六割強を占め、就職者の九割弱が正社員または正職員として雇用されているという
状況
でございます。
池内さおり
159
○池内
委員
今お答えのとおり、アカデミア、
研究
分野
に進んだ若者というのは任期制が六割で、その一方、
民間
に進んだ
人たち
というのは九割近くが正社員になっている。こういう雇用
状況
の
もと
で、若い優秀な
人材
が
研究
者の道を選択しないという大問題が起きています。 文科省のNISTEP定点観測の中で、望ましい能力を持った
人材
が博士課程後期を目指しているかという問いがありますけれども、その回答はどうなっていますか。
神代浩
160
○
神代
政府参考人
望ましい能力を持つ
人材
が博士課程後期を目指しているかという点でございますが、これについては、そうではないという認識が継続して示されております。 その理由としては、就職
状況
の好転により就職を選択する学生が増加したこと、優秀な
人材
は修士課程から
企業
へ就職し、それ以外の
人材
が博士課程後期に進学する傾向があること、
経済
的理由によって進学を断念する事例が見られること、キャリアパス不安から優秀な
人材
が博士課程後期への進学を敬遠すること、一般学生で博士課程後期を目指す学生がほとんどいないこと、専門医制度との競合が見られること等が
研究
者から挙げられております。
池内さおり
161
○池内
委員
リアルな声だと思います。若い優秀な
人材
が
研究
者の道では食べていけない、生活できない、
研究
職の道へ進むことをためらっておられる。そして、実際にその道を選ばないという傾向がずっと続いているということ。さらに、任期制、非常勤などという細切れの雇用形態は、
研究
の多様性や独創性をも阻害している実態があるということを
指摘
したいと思います。 同じくNISTEPの定点観測の中で、過去十年の
大学
と
公的研究機関
における
研究
者の行動の変化という項目では、どのような回答が得られましたか。
神代浩
162
○
神代
政府参考人
お尋ねの過去十年間における
研究
者の行動の変化についてでございますが、設けられた選択肢に対しまして、短期的な
成果
が出ることを強く志向する
研究
者、
成果
が出やすい
研究
や
論文数
を重視する
研究
者、細切れに
成果
を発表する
研究
者、この三者につきましては増加を選択する傾向が見られ、また、
研究成果
として
論文
以外のアウトプットを出す
研究
者が増加を選択する傾向が見られました。 その一方で、長期的な
研究
戦略
を重視して
研究
テーマにじっくりと取り組む
研究
者については減少を選択する傾向が見られたところでございます。
池内さおり
163
○池内
委員
短期的な
成果
を強く志向して、本当であったら継続的に自分の
分野
を深めたいという
研究
者はたくさんいらっしゃいますけれども、それでは食べていけない、評価に対応するために
研究
の
成果
を細切れで発表する、こんな事態まで生まれている。 私はとても深刻だと思うし、大臣にお伺いしますけれども、
研究
者がこうしてじっくり
研究
できない、
日本
の
科学技術
の発展にとって憂慮すべき事態だと思いますが、いかがですか。
島尻安伊子
164
○
島尻国務大臣
イノベーション
を起こしていくという
意味
で、これは人がやるということでございます、やはり
若手
の
人材
育成ということは必要でございまして、その点につきましてはこれからもしっかりと対処していきたいと考えています。
池内さおり
165
○池内
委員
若手
の
人材
育成が大事だとおっしゃったので、実際の声を
紹介
します。
若手
、中堅
研究
者が独立した
研究
を実施する際に障害になることは何かと問われて、同じこの調査ですけれども、出た声が、短期間の
成果
が求められるため、みずから発案した
研究
テーマに挑戦することができない、大型プロジェクトによる任期つき雇用のため、
研究
テーマを自由に設定できない、雇用が不安定であるため、みずから発案した
研究
テーマに挑戦することができない、こういう回答が
公的研究機関
を含めて
上位
三つを占めている。これは共通しています。 私は、実際に、
研究
に携わっている任期つきの
研究
者のお話を聞きに行ってきました。雇用が五年で一度切れて、違うプロジェクト
研究
の中で雇用してもらっているのですが、最初の五年間でやっていたことを継続することができなくなってしまった、自分の
実績
をできるだけ積み重ねて、いずれパーマネントの
研究
者になりたいと思うんだけれども、五年ごとの雇用ですから、せっかく積み重ねても継続できずに捨ててしまわなくてはならない
状況
があり残念だと語っていらっしゃいました。 現在は、外部
資金
の
予算
で雇用してもらっているために、以前やっていた実験や
研究
には参加ができない。いずれ仕事がなくなる
研究
者というのは本当に深刻で、何とか改善する道筋を見つけないと、これが三十年続いたら一世代ですから、
研究
者は滅んでしまいます。
研究
者だけではなく
技術
者なども、結局
技術
が継承できなくて滅んでしまう。昔のことを知っている人がいなくなったらどうなってしまうんだろうと、現場の
研究
職の皆さんのお話を私は聞いてきました。 大臣にお伺いしますけれども、
政府
が
科学技術
の水準の発展を本当に
推進
しなければならないと考えているなら、この雇用の非正規化の問題を解消して、運営費交付金もふやすし、大胆に正規職員をふやしていく、こういう方向性を目指すべきではないですか。
島尻安伊子
166
○
島尻国務大臣
先ほどお話の中でございました、何度も繰り返しになりますけれども、やはり
人材
の育成は大事である。 今回の第五期
科学技術基本計画
の中でも、特に
若手
の
人材
をどう育成していくか、それから女性の
研究
者をどうふやしていくかというところも
一つ
項目に掲げさせていただいたところでございます。この
基本計画
を
実現
すべく、
一つ
一つ
対処して頑張っていきたいというふうに考えているところです。
池内さおり
167
○池内
委員
私は、やはりこうした非正規化の問題は、安定した
研究
ができるという改善なしには問題の本質的な解決というのは果たされないと思うんです。
日本
の基礎
研究
というのが本当にだめになってしまうところまで来ているんじゃないかと危惧をしています。 京都
大学
の山中教授は、基礎
研究
の重要性を問われて、このように述べました。 多くの
科学技術
の新発見、いわゆるブレークスルーは、出そうと思ってもできるものではありません。セレンディピティー、これは思いがけない発見をする能力というそうなんですけれども、この能力は、
研究
から偶然に生まれて、思いがけない展開をして、それが画期的な
成果
につながるというものが多いというふうに
指摘
をされています。 さらに、二〇〇八年にノーベル化学賞を
受賞
した下村脩博士のエピソードも
紹介
したいと思います。 下村博士の功績というのは、クラゲから光るたんぱく質のGFPを発見したことによるということは本当に有名な話だと思うんです。この細胞の発見によってがん細胞の転移の様子がわかるようになったし、
iPS細胞
などの重要な発見もこのGFPなしにはあり得なかったと。もっとも、下村博士御自身は最初からこうしたことを意図していたわけではなくて、博士が目指したのは純粋にクラゲの発光原理の解明だった。そのために、十七年間もかけて八十五万匹のクラゲを用いた壮絶な
研究
を行っていらっしゃる。その過程で発見されたGFPがたまたま細胞観察に応用可能であったために生物学の革命が起きたということだったと思います。 なので、目の前の今重要に見える
課題
だけに取り組むことが
研究
ではない、一見すぐには役立たないような基礎
研究
の厚みなくして学問の進展はないというふうに思うんですけれども、その事実をこの事例は雄弁に語っていると思うんですが、大臣、いかがですか。
島尻安伊子
168
○
島尻国務大臣
おっしゃるとおり、基礎
研究
の継続ということは大変大事だと思います。いつブレークスルーするかわからない、過去に私もいろいろな
研究
者とお話をさせていただいておりますけれども、百十三番元素の発見等いろいろあったわけでございまして、そのチームの皆さんとお話をする中で、本当に日々日々気の遠くなるような
研究
を続けていらっしゃる。これがある日突然表に出る、これが大発見につながるということでございまして、やはり基礎
研究
というのは大事だというふうに私も認識をしております。 なので、
委員
御
指摘
の、やはり
人材
をどう育てていくか、しっかりと対応していくという中で、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、第五期
科学技術基本計画
で、例えば
大学
及び
公的研究機関
に対して、ポストドクターなどとして
実績
を積んだ
若手
研究
者への任期を付さないポストの
拡充
を求めているところでございます。
政府
としては、
特定国立研究開発法人
が、他の
公的研究機関
に先駆けて、
若手
研究
者の競争的な環境を図りつつ、雇用の安定性の向上、あるいは
若手
研究
者が自立的に
研究
を行う環境の
整備
に取り組むということを期待しているところでございます。
池内さおり
169
○池内
委員
大事なことは、
トップ
ダウンじゃなくて、
政府
が
研究
課題
を押しつけたりせずに、やはり
研究
者の皆さんの自主性とか創造性に現場が委ねられることだと思います。そして、基礎
研究
にしっかりと取り組むことができるように、安定的な運営費交付金をふやしていくということが必要だと思います。 今提出されている
法案
というのは、こうした理念、
研究
体制
とは全く異なる、
科学技術
の発展には到底寄与しないものだということを強く
指摘
して、
質問
を終わります。ありがとうございました。
西村康稔
170
○
西村委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
西村康稔
171
○
西村委員長
この際、本案に対し、
平井たく
や君外五名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会の共同提案による修正案が提出されております。
提出者
から趣旨の
説明
を聴取いたします。中根一幸君。
—————————————
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕
—————————————
中根一幸
172
○中根(一)
委員
ただいま議題となりました
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
に対する修正案につきまして、
提出者
を代表して、その趣旨を御
説明
申し上げます。 第一に、
特定国立研究開発法人
の
研究者等
の給与その他の処遇については、優秀な
人材
の確保並びに若年の
研究者等
の育成及び活躍の
推進
に配慮して行うものとすることとしております。 第二に、
政府
は、この
法律
の施行後適当な時期において、この
法律
の施行の
状況
を勘案し、
特定国立研究開発法人
の範囲を含め、関連する制度のあり方について検討し、その結果に基づいて、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとすることとしております。 以上であります。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願い申し上げます。
西村康稔
173
○
西村委員長
これにて修正案の趣旨の
説明
は終わりました。
—————————————
西村康稔
174
○
西村委員長
これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。
島津幸広
君。
島津幸広
175
○
島津
委員
私は、
日本
共産党を代表して、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
に反対する討論を行います。 本来、
科学技術
の発展は、
研究
者の自主性、創造性に委ねられるべきものです。それを安倍
内閣
の
科学技術振興
策に丸ごと動員し、その司令塔である
総合科学技術
・
イノベーション会議
直轄の実施機関に改変しても、
成果
が得られるとは考えられません。 本
法案
は、総理を議長とし、財界、大
企業
の代表者が直接参加する
総合科学技術
・
イノベーション会議
の
もと
に、
物質
・
材料研究機構
、
産業技術総合研究所
、
理化学研究所
の三つの
研究機関
を置き、産業界が目先の利益につながる
研究
に
予算
、
人材
等を集中させようというものです。 これでは、真の
意味
で、将来の
イノベーション
につながる基礎的
研究
の
基盤
を弱体化させ、
日本
の
科学技術
の
未来
に大きく禍根を残すことになります。
法案
第四条では、
世界最高水準
の
研究開発成果
の
創出
が見込まれない場合には、
法人
の長を解任することができるとしています。こうしたやり方こそ、
科学技術
の発展に最も反するものと言わなければなりません。 また、
法案
第七条は、主務大臣が
法人
に対し、具体的な
研究
の
促進
や中止などの措置を求め、
法人
は、前項の規定による求めがあった場合は応じなければならない、こう規定しています。
研究
を
政府
の統制の
もと
に置く、このようなやり方にも反対です。
研究
者及び将来
研究
者を目指そうとする若者が安心して本格的な
研究
に打ち込める環境を
整備
することこそ、
政府
の責任であることを強く
指摘
しておきます。 なお、修正案についても、冒頭に
指摘
した
科学技術
の発展と、
研究
の本来あるべき姿に鑑みて、賛成できるものではありません。 以上、反対討論といたします。(拍手)
西村康稔
176
○
西村委員長
これにて討論は終局いたしました。
—————————————
西村康稔
177
○
西村委員長
これより採決に入ります。
内閣提出
、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、
平井たく
や君外五名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の
起立
を求めます。 〔賛成者
起立
〕
西村康稔
178
○
西村委員長
起立
多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の
起立
を求めます。 〔賛成者
起立
〕
西村康稔
179
○
西村委員長
起立
多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————
西村康稔
180
○
西村委員長
この際、ただいま議決いたしました本案に対し、
平井たく
や君外四名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者
から趣旨の
説明
を聴取いたします。後藤
祐一
君。
後藤祐一
181
○後藤(祐)
委員
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、
提出者
を代表して、その趣旨を御
説明
いたします。 案文の朗読により趣旨の
説明
にかえさせていただきます。
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
に関する
特別措置法案
に対する附帯決議(案)
政府
は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。 一 本法の運用及び今後の独立行政
法人
制度の見直しに当たっては、一定の共通的規律を設けることで透明性・適正性を確保すること等を目的として独立行政
法人
制度を創設した行政改革の趣旨に反することがないよう、十分留意すること。 二
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
を
促進
するための
基本
的な方針の策定や同方針に基づく中長期
目標
の策定に当たっては、本附帯決議を踏まえるとともに、
法人
の自主性及び自律性を最大限尊重すること。 三
特定国立研究開発法人
が取り組む基礎
研究
が、
イノベーション
創出
のためには重要であることに鑑み、
特定国立研究開発法人
の長の解任に関する特例及び主務大臣の要求の規定の運用に当たっては、これを濫用することなく、
特定国立研究開発法人
の自主性及び自律性が損なわれないよう最大限配慮すること。 四
特定国立研究開発法人
については国家
戦略
との連動性を高める
観点
から
総合科学技術
・
イノベーション会議
の関与が
強化
されていることに鑑み、主務大臣は、
特定国立研究開発法人
の評価の結果に係る
総合科学技術
・
イノベーション会議
及び独立行政
法人
評価制度
委員会
の意見を次期中長期
目標
に適切に反映させること。 五 独立行政
法人
通則法における
特定国立研究開発法人
以外の
国立研究開発法人
の役員の報酬等の支給の基準について、当該基準に係る規定が本法の施行により反対解釈されることなく、役員のうち
世界最高水準
の高度の専門的な
知識
及び経験を
活用
して遂行することが特に必要とされる
業務
に従事するものについて国際的に卓越した能力を有する
人材
を確保する必要性を考慮して定めること。 六 独立行政
法人
通則法における
特定国立研究開発法人
以外の
国立研究開発法人
の職員の給与等の支給の基準について、当該基準に係る規定が本法の施行により反対解釈されることなく、専ら
研究開発
に従事する職員のうち
世界最高水準
の高度の専門的な
知識
及び経験を
活用
して遂行することが特に必要とされる
業務
に従事するものについて国際的に卓越した能力を有する
人材
を確保する必要性を考慮して定めること。 七 国際的な頭脳獲得競争の中で、
科学技術イノベーション
創出
力
強化
に不可欠な優れた
人材
の養成・確保のため、
研究
人材
及び
研究
支援
人材
に係る適切な人件費の確保に努めること。 八
我が国
の産業競争力の
強化
に向けて、
特定国立研究開発法人
が
中心
となり、
大学
、産業界等との
連携
による
研究開発等
を
促進
するための環境を
整備
するとともに、
特定国立研究開発法人
が本法で求められる
世界最高水準
の
研究開発
の
成果
の
創出
等の使命を十分に果たせるよう、必要な
予算
の確保に努めること。 九 独立行政
法人
の基礎
研究
に対する取組が軽視されることのないよう、長期性、不確実性、予見不可能性、専門性等の
研究開発等
の特性を踏まえて、適切な資源配分を図ること。 十
研究開発
における外部
資金
等の積極的な受入れを
促進
する
観点
から、毎年度の運営費交付金の算定に際して、経営
努力
による収入の増加を積極的に評価すること、次期中長期
目標
期間への繰越しを幅広く認めること等によりインセンティブを最大限機能させるなど、独立行政
法人
制度の運用の改善に努めること。 十一 独立行政
法人
における公正性、透明性が確保された合理的な調達の実施の重要性を勘案しつつ、
特定国立研究開発法人
による
研究開発等
の
促進
を図るため、迅速かつ効果的な調達ができるよう取り組むこと。 十二
特定国立研究開発法人
が、
我が国
の
イノベーション
システムを強力に駆動する中核機関として重要な役割を担うことを踏まえ、
科学技術イノベーション
への
社会
的な信頼や負託に応えるため、
研究
不正の防止
体制
を
整備
するなど、ガバナンスの一層の
強化
に努めること。 以上であります。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
西村康稔
182
○
西村委員長
これにて趣旨の
説明
は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の
起立
を求めます。 〔賛成者
起立
〕
西村康稔
183
○
西村委員長
起立
多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し、
政府
から発言を求められておりますので、これを許します。
島尻国務大臣
。
島尻安伊子
184
○
島尻国務大臣
ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
—————————————
西村康稔
185
○
西村委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西村康稔
186
○
西村委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
西村康稔
187
○
西村委員長
次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十六分散会