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三木参考人 情報公開クリアリングハウスの
三木と申します。
本日は、このような
機会をいただいて、大変ありがとうございます。
私は、
特定秘密保護法案の
国会審議においては、反対の
立場から
意見を
参考人として申し述べる
機会もいただきまして、基本的には賛成ではございませんが、一方で、
特定秘密に限らず、
政府は
秘密指定というものをこれまでもやってきておりまして、
秘密と
公開というものは、従来から
情報公開における大きな問題であったというふうに
認識をしております。
秘密がある以上は、どのように民主的にコントロールしていくのかという
視点で
制度そのものを見ていく必要もあるというふうに考えておりまして、
特定秘密保護法が
施行され、
運用されている
現状において、どのように
国会あるいは
政府の中で
監視活動が行われていくのかということには非常に大きな
関心を持っております。
その一環といたしまして、私
たちは外から
運用を見るということしかできませんので、
公開情報で
制度の枠組みなり
実態がどの程度わかるのかということを、この間、
情報公開請求を通じていろいろと
資料を
収集しまして
調査をしてまいりました。その結果をまとめたものが、
皆さんのお
手元に冊子としてまとめた形でございます。
要は、
公開情報でわかる以上のことをぜひ
監視活動としてやっていただきたいというところで、
公開情報でどこまでわかるかということをまず
自分たちが学ばなければいけないという
趣旨でまとめてございます。ですので、きょうは、多少細かいことになりますが、ぜひ、ここまでは
監視活動できるのではないかということから
意見を申し述べたいというふうに思います。
それから、この間、
政府から
二つの
報告書、先日
公開されましたので三つになりましたけれども、それと、
あと衆参両院の
報告書というのが出てまいりまして、実は
衆議院が一番
報告書として
内容があり、かつ
特定秘密の
状況を理解するのに有意な
情報を提供いただいたということで、
監視結果の
報告がこのような形で
公開されない限り、私
たちは
実態についてよく知ることができないということがございますので、ぜひ
衆議院の
情報監視審査会はこのまま頑張っていただきたいということを思っておりまして、そういう
観点からも、大変細かいことで恐縮なんですけれども、きょうは
意見を申し述べさせていただきたいと思います。
監視活動について、
二つの
視点が必要だというふうに私は思っております。
一つは、
特定秘密に関する
監視活動をどのように行うかということであります。もう一点は、
特定秘密の
実態を効果的に把握できる仕組みと
運用をどのように構築していくかということ。
二つの
視点が必要だと思います。つまり、
運用が
監視にたえる形で行われていないと、逆に
監視がしにくいということになるかと思いますので、
二つの
視点から、ぜひ
特定秘密の
運用に関して
審査会として取り組んでいただきたいというふうに考えております。
最初に、
監視活動をどのように行うかという点で
意見を申し述べさせていただきます。
秘密は勝手に生まれるものではないと私、理解をしておりまして、
政府の
活動や
方針、
政策に伴って、必要な
情報が
作成され、
収集、取得をされてくるということであると思います。ですので、
特定秘密が妥当かどうかということは、
政府活動そのものが適切かどうか、妥当かどうかということと切り離せない問題ではないかというふうに考えております。ですので、
特定秘密の
指定情報だけを見てそれが妥当かどうかを判断することは、恐らく非常に困難なのではないかと思っております。
報告書を拝見しますと、
政府活動について
大分皆さんが御質問されているという様子がうかがえまして、恐らく
委員の皆様も同じような御
認識をお持ちで
活動されているのではないかというふうに思っておりますが、そもそも
政府の
活動が妥当、適切であれば、
秘密の
妥当性もそれなりに
信頼性を持ってくるということであると思いますので、そういう
説明を
行政機関もしなければならないという
認識を持っていただいて、ぜひこの場に来ていただくということをしていただければと思います。
と申しますのは、
報告書を見ますと、
行政機関側から、答弁を差し控えるという場面が幾つかございまして、それはやはり
準備として、みずからの
活動の
適切性を
秘密の
適切性とともに
説明しなければならないという御
認識を持っていらっしゃらないのかなというふうに思うところがございますので、そういう
行政機関側の
準備についても、ぜひ
審査会としてのお考えを十分に示していただければというふうに考えております。
監視すべきと考えるポイントについて申し上げます。
特定秘密は、
指定と
表示と
二つのものを通じて形のある
秘密ができるという構造になっております。両方とも
法律上は
行政機関の長が行うというふうになっておりますけれども、
表示に関しては
保全責任者が行うというふうに
特定秘密保護規程上はなっております。
お
手元に別紙として
参考資料を提供させていただきましたが、これは
内閣官房から
情報公開請求を通じて
公開された
文書でございます。一ページと二ページが
保全責任者ということになっておりまして、基本的には課長級が
保全責任者となっております。この
保全責任者が
特定秘密を含むと判断した
文書に
特定秘密と
表示をして初めて実体のある
秘密ができるという構造になっているということであります。
ですので、
情報を
審査するだけでは、
秘密が適切な範囲で実体化されているかということを確認することができない構造になっているということだと考えております。
指定する
情報が明確であるということは大
前提でございますが、それとともに、それが適切な範囲にとどまって
表示をされているかということの確認をどうしてもしていただかなければならないということになろうかと思います。
そう考えますと、
特定秘密保護法のもとではさまざまな
簿冊類が
作成をされますし、独立公
文書管理監の
監視活動というものもございますので、そういう
情報をぜひ十分に御活用いただけないかというふうに考えております。
作成される
簿冊類としましては、
指定管理簿というものは
皆さんのところに届くものだと思います。それ以外に、
報告書にも言及がございますが、
特定秘密文書等管理簿というものもございます。それから、
指定理由点検記録簿というものもございます。それから、
特定行政文書ファイル等というのは、
行政文書ファイルの中で
特定秘密が含まれるものということになっておりますので、こうしたものを十分に御活用いただいて、全ての
秘密を皆様にごらんいただくということは合理的ではないと私、思いますので、効果的な
監視の
方法をぜひ御検討いただきたいというふうに考えております。
それから、
特定秘密の
情報の性質への着目というものは必要ではないかというふうに考えております。
特定秘密に
指定された
情報を拝見しますと、技術的
情報であったりとか、それから、
収集した
情報とそれを
分析した
情報ですとか、交渉や
政策に係る
情報とか、あるいは手段に関する
情報など、ある程度カテゴリー化できそうな
秘密の
指定というものがあるというふうに考えますし、一方で、多様な性質の
秘密が含まれているというふうにも理解をいたしました。
ですので、
情報が定型的なものであれば、それをどう
監視するかという
方法論をつくっていくことは可能なのではないかなというふうに考えています。
例えば衛星画像などは、割と多くの案件がこれに該当しているのではないかというふうに言われております。
別紙の
資料をごらんいただきますと、これは
特定秘密保護法施行前のものでありますので、現時点でも生きているかどうかわかりませんが、
内閣衛星情報センターにおける
秘密指定に関するガイドラインというものをお配りさせていただいております。
右下のページ数、五ページから見ていただきますと、かなり具体的な機密区分というものが出ておりまして、割と定型的、定性的にこういうものがあるということが
説明できる
状況なんだということが、過去に
情報公開された
資料から私自身が理解できているところでございます。ですので、このようなものを
監視する
方法をぜひ確立していただけないかなというふうに考えてございます。
それからあと、十一ページ、十二ページをごらんいただきますと、これは特別
管理秘密という
特定秘密の前段階のものになりますが、これについても、実は、十二ページの方は、衛星
情報に関してはこのような形で数字をかつて出していたということがございます。割と把握しやすいのではないかなとも思っておりますので、ぜひその辺は、性質に着目した
監視活動というものも
お願いをしたいというふうに考えております。
それから、
特定秘密に関しては、どの事項に該当するかというものが
公表されております。
指定している事項なんですけれども、これは主たる
指定事項についての取りまとめが現在されているという
状況でございます。
ただ、
指定管理簿をごらんいただきまして皆様御承知だとは思うのですが、複数の事項、細目を実は
一つの
特定秘密に対して適用させているという
状況がございます。これはどの範囲で
秘密を使うかという
意味でもあるのかなというふうに私自身は理解をいたしまして、それを整理したのが、レジュメの方の二ページに一覧にしたものでございます。
主たる
指定事項は、二〇一四年十二月末は三百八十二件でございますが、副次的に
指定されているものを見ますと、かなりいろいろなところにばらけて存在をしているということがわかりましたので、どの範囲で用いられる
情報であるのかということの
特定も十分かどうかということが、これは
監視すべき
対象であるのかなというふうに考えているところでございます。
それから、ぜひ御活用いただきたいというふうに考えているのが、
行政機関は
特定秘密の
管理に関して点検等を行うというふうに規定上なってございます。年に一回以上、
指定理由の点検を行うということになっていること、年に二回以上、定期検査を行うということになってございます。検査の結果は必ず
書類にまとめられるという構造にございます。さらに、
内閣衛星情報センターにおける内規を拝見しますと、
保全責任者が月に一回、保管
状況の検査を行うというふうにもなってございました。
ですので、いろいろな形で検査を
行政機関の内部で行っているということがございます。検査を内部でしっかり適切に行っていただくことは
監視活動にとって非常に有益ではないかというふうに考えておりますので、この辺も
一つ着目点ではないかというふうに考えてございます。
特定秘密の
実態を把握するために、ぜひ改善をしていただきたいという点がございます。
指定管理簿でございますが、
特定秘密指定書の方には、
指定理由の中に
解除の条件というものを記載するということになってございます。これは
指定管理簿には記載がないということになっておりますので、
解除条件が記載をされている
特定秘密に関しては、ぜひ
指定管理簿に記載をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
それから、先ほど定期点検について申し上げましたが、実は、異なりますが、公
文書管理法でも定期的な点検と監査を行ってございます。その点検、監査項目を私、調べましたところ、別紙の
資料の十七ページをごらんいただきますと、
行政機関ごとに、どの程度の点検が行われているかをスコア化した一覧表がございます。例えば金融庁は、点検すべき事項のうち九点しか点検をしていないなど、各
行政機関ごとにかなり点検項目にばらつきがあるということがわかってございます。
ですので、何を点検、監査するのかということなども、ぜひ
実態を把握いただいて、適切に
対応していただけるように
行政機関側に注文をつけていただきたいというふうに考えてございます。
それから、
文書の保存期限の問題につきましては、
報告書で
意見として述べられておりましたけれども、最大の問題は、
特定秘密を含む
行政文書ファイル、あるいは
特定秘密だった
情報を含む
行政文書ファイルに関しては、どこが廃棄の
審査を行うかといいますと、
現状の仕組みですと、公
文書管理課という内閣府の一部門になります。
特定秘密が含まれていたことを知らずに廃棄
審査を行うという構造に今なっております。
私は、これは独立公
文書管理監が責任を持って廃棄
審査を行うべきというふうに考えてございます。ですので、ここも、
制度上の改善、
運用上の改善でできることであると私は思っておりますので、ぜひ改善を
お願いしたいというところでございます。
細かくなり恐縮でございますが、以上でございます。(
拍手)