○中山(泰)
委員 外務委員会において
質問をさせていただきたいと思います。
時間がないので、早速、私の意見も含みながらいろいろと
質問を申し上げていきたいと思います。
午前中の
質疑の中で、
質疑者から、金丸信
防衛庁長官が、
ホスト・ネーション・サポートのことをかつてはいわゆる
思いやり予算という表現方法を使用していたと話をされていました。これは、一九七八年度予算で、
米国の財政赤字などを理由に、在
日米軍
基地の労働者の福利費、こういったものを負担したのが始まりで、当時の金丸信
防衛庁長官が、
思いやりを持って対処せよという
発言をしたために、
思いやり予算というふうに呼ばれるようになったというふうに記憶をしております。
しかし、本当は、今、大野さんからも指摘がありましたけれども、新たな
ホスト・ネーション・サポートもしくは違う造語をつくるべきじゃないかという提案もありましたが、私は、本当は、
アメリカに対する
思いやり予算というよりも、
アメリカ合衆国政府から
日本側が逆に思いやられていたんじゃないか、それが実情だったんじゃないかというふうに考えられるとも思います。
要するに、海の外から見た
日本と、国内、中から見た
日本、これは
日本人の勘違いがもしかするとこの言葉を生み出すことになり、ある
意味の平和ぼけの象徴のような言葉にも思えてこないわけでもないわけです。当時の国会に議席を有していた元議員に私自身もインタビューしました。そうすると、そんな話が聞こえてきたのも事実でありました。
当時は、
アメリカとソビエトの冷戦
構造下の中にありました。特に、地政学的に考えても
日本の
リスクは相当のものであったということは、これはもう地球を俯瞰する
外交と言うからには、地球儀を見れば一発でわかるわけであります。
ある
意味、自由主義それから資本主義、民主主義の最前線のとりでというのが
日本そのものの地政学的に置かれた位置であり、この最前線に
日本があって、その
日本が、自分自身の力で自分自身の身を守ることが一〇〇%可能かといえば、それは正直難しいかもしれない。ソビエト連邦の核の傘に近接していた
日本を
アメリカの核の傘で守ることが戦後の
日本の
経済成長にまで実はつながっていること、すなわち、サラリーマンがアタッシュケース
一つで、南米に行こうが
ヨーロッパへ行こうがアフリカへ行こうが北米に行こうが、どこへ行っても安心して
日本ですと言ってビジネス展開ができて、それこそ、宏池会の大先輩、私たちの自民党の大先輩であります池田勇人総裁
時代に所得倍増計画といった高度成長期を支えていたのは、まさにこの
日米安全保障条約というものが背景に、
政治的に見えていた、それがあったから、
日本に変なことで手を出すと
アメリカが後ろについているぞというものが、ある
意味の
日本に対する、
経済まで余力を与えてくれたということも、実はこの
日米安全保障条約の別の
意味での成果であり、
歴史であるというふうに私は考えています。
さて、そんな
日本の目の前には、一九八九年、ベルリンの壁の崩壊によって、当時私は学生
時代でしたけれども、本屋さんに行くと平積みで、もうこれからはイデオロギーは右でもない左でもない、中道だみたいなそんな話の本がいっぱい出ていました。ベルリンの壁が崩壊したことによって、
政治的なイデオロギー闘争、何が右で何が左か、東西冷戦
構造は崩壊したなんというのが当時言われていました。
でも、果たしてそうかなというのを
政治家の勘として私は、鈍らせてはいけない、勘を研ぎ澄ませなきゃいかぬなと余計に、当時学生ですけれども思いました。
民主化したはずのロシアもありますけれども、しかし、例えば、中国も同じだと思います。九七年、九九年、香港、マカオの返還というのがありました。中華人民共和国は、当時、一国二制度というものを唱えていましたけれども、天安門事件なんかも見ていて、本当に今の中国というのが一国二制度たり得るのかな、有言実行しているのかというのが、今現在の中国を見ていても本当に疑わしく思えるときが実はあります。
もしこういった
政治の変化というものを疑わずに見ている
政治家がいるのだとしたならば、イデオロギーとは何なのかというのを私たち
政治家自身が自分たちに問いただすということが、
一つ必要なんじゃないかなというふうに逆に思います。
例えば、中国で、これはCNNの報道ですけれども、香港の書店
関係者五名、相次ぎ失踪、中国
批判が影響かという記事が先日出ていました。これはことしの年頭の報道でした。
ちょっと読みますけれども、香港で中国政府に
批判的な本を取り扱う書店の
関係者が相次いで行方不明になり、警察が捜査に乗り出している、一部で中国当局に拘束されたとの見方が出ており、抗議デモも起きているということです。
こういった本、何を販売しようとしていたかというと、香港で民主派の
政治家として活動するアルバート・ホー氏はCNNに対し、上記の出版社が中国の習近平、シー・チンピン国家主席の過去の女性
関係に関する書籍の出版を計画していたと説明、今回失踪した男性は強制的に中国本土に連れ去られたのではないかとの見方を示すと。
日本で昨今いろいろ週刊誌報道を見ていると、これは中国だったら大変なことになるな、マスコミも恐ろしくて出版もできないなというそんな気もいたします。
産経等々もいっぱい出ています。特に、失踪した五人のうちの一人は英国国籍、一人はスウェーデン国籍を所有していることも判明して、当時訪中したハモンド英外相が中国政府に対して情報
提供を求めるなど、事態は
外交問題に発展しつつあると。
最近報道は見ませんけれども、そういった状況を見ていると、お隣の国の人権状況等々もどうなっているのか、不思議だと思わざるを得ません。
きょうは
ホスト・ネーション・サポートの
質疑でありますので、ここからはちょっと国内と、今申し上げたロシア、中国の
関係に話を移していきたいと思います。
要は、ついせんだって、東
日本大震災五周年追悼式典がございました。ここにいるほとんどの議員の皆さんが参列されて、みたまに対して哀悼の誠をささげられたというふうに思います。
しかし、忘れちゃいけないのは、この三・一一の五年前の震災直後に、例えば中国軍がどんな動向をしていたかということであります。
二〇一一年、震災から三カ月後、震災の爪跡がまだ深く残っていたとき、六月ですけれども、中国国籍の艦艇が八隻、沖縄本島、宮古島を通過して太平洋に進出、これは八日です。それから、中国艦艇三隻が沖縄本島、宮古島間を通過して太平洋に進出、九日です。中国海軍が南シナ海の海南島周辺海域において国家海洋局所属公船などとの
共同訓練を実施、そんなことをやっていました。
ロシアはどうか。ロシア軍は、二〇一一年三月の十七日、震災からたった六日後です、それから二十一日、二十九日、IL20電子偵察機という偵察機が三度にわたって
日本海を飛行するという事案等々、三月だけでももう一回、ICBMトーポリM、SS27の多弾頭型と見られるRS24の部隊配備を開始したり、そしてまた、五月にはイワノフ副首相当時が、国後島及び択捉島を訪問と。
それ以外にも物すごく活動を活発化させている実情というのがありますし、過日も、約十七時間ほどかけて戦略型爆撃機ですか、これがずっと
日本列島の周りを回るような報道もあったり、要するに、不気味なことがたくさん起きているという事実があるわけであります。
他方で、では、今回、
ホスト・ネーション・サポートをしっかりと、私たちがこうやって審議をする対象になっている
米軍、これは、沖縄にいる
米軍は、東
日本大震災のとき、トモダチ作戦と称して実はたくさんのオペレーションを行ってくださいました。
例えば、
米軍の捜索救助支援及び救援物資支援においては、ロナルド・レーガン等が米艦やヘリによる捜索、援助支援を実施、十名の被災者を救助。
米軍ヘリが岩手沿岸を捜索活動中、小学校グラウンドにSOS表記を発見し、付近の野球場に着陸し、救難員の捜索により二名の被災者を発見、救助した。それから、米海軍P3哨戒機オライオンが捜索活動を実施、支援を求める地上のサインを
自衛隊に通報する等の活動を実施した。
自衛隊及び
米軍等による行方不明者の沿岸部集中捜索を実施。
それからあと、食料約二百四十六トン、水約八千百三十一トン及び燃料約百二十トンを
提供、輸送。それから、米
海兵隊揚陸艦エセックス等による救援物資の輸送を実施、三月二十七日、エセックス部隊は
大島、気仙沼市への電源車や燃料の輸送を支援。米揚陸艦トーテュガが北海道の陸自隊員約二百四十名及び車両約百両を被災地へ輸送。米空母ロナルド・レーガンの乗員がコート七百着、靴百足、生活必需品を寄附。
その他、言っていたら切りがないぐらい、これは
防衛省の資料ですけれども、たくさんの復興支援、被災地のインフラの復興支援。
何よりも仙台空港。私、あの後、ボランティアで、ちょうど浪人していた最中でした。そのとき、亀岡偉民君という現地の人たちと、奪還の会という会をつくって、バッジのない浪人の国
会議員みんなで行ってボランティア活動をやっていて、仙台空港におり立ったとき、壁に折り鶴がいっぱいかかっていて、誰々さん、天国でまたいつか会えるよなんていう寄せ書きが壁に書かれている姿を見て涙しました。大阪市も当時、飛行場でお客さんを輸送するのに市バスを持っていったりすること、雪の降る中でしたけれども、忘れ得ぬ思い出となっています。
しかし、そういったこと、そしてまた同時に、福島原発に対しても、原子炉の冷却支援、消防車の東京電力への車両
提供二両、消火ポンプ五台の貸与、それから放射能防護服なんかを百着、そういったものをどんどん、情報分析も含めて、
米軍はやってくれているわけですね。
そして同時に、トモダチ作戦というのはこれに終わらず、当時、被災して両親を亡くして、言うなれば、父親、母親を亡くして、一人で生きていけない子供たちを
米軍の人たちが救助してくれて、そして今その子たちがだんだん大きくなってきて、その大きくなった子たちを、沖縄の
米軍の兵隊の官舎、みずからの自宅を開放してその子たちにホームステイさせて、中にはそのファンドから、逆に言うと
アメリカ留学の資金を米兵たちがボランタリーに集めて、いろいろな支援をやってくれている。
私、さっきから申し上げていますけれども、中国、ロシアが震災後にとった行動と、私たちの
同盟国である
アメリカ合衆国政府の軍人たちがとってくれた行動、これを比較するに、私たちは、どちらがしっかりと信頼できる政府であり、軍人そして軍属、そういったものであるのかというのを、私たちが正々堂々とここできちっと
議論して、意見していかなきゃいけない。そして、同時に、
ホスト・ネーション・サポートというものは当たり前であるということを逆に申し上げなければならないと思います。
午前中の審議で、米兵が女性を強姦したという事件がありました。これはこれで、信賞必罰、犯罪は犯罪としてきちっと裁かれればいいわけであります。今まで
日米のこの
条約下の中で犯人の引き渡しというのもなかなか行われない
時代もありましたけれども、今はきちっとそれを話し合いで解決してきているという政府間の
努力もあるわけですから、こういったものをきちっと私たちは考えていかなければならないというふうに思います。
そして同時に、今申し上げたような国対国の戦いということもありますけれども、これからは新たな闘いというものを
我が国に対して挑んできている人たちもいます。
これはもう、昨年一月、言わずもがな、言わずと知れた、シリアにおける邦人人質事件というものが起こりました。これは、とうとい二人の
日本人の命がテロリストの無慈悲な行為、残忍、残虐、卑劣な行為によって奪われたわけであります。
また、邦人人質の解放に必死の
努力を重ねてくださり、自
国民の命と
日本人の命を平等に取り扱ってくださったヨルダン政府、そのヨルダン空軍に所属する勇敢なパイロットであったムアーズ・アル・カサスベ中尉、殉職後、昇進して大尉になられましたけれども、その方も同じくとうとい命を奪われました。
また、ダーイシュと呼ばれる、いわゆるISILは、
日本人人質とサジダ・アル・リシャウィ死刑囚との人質交換が起こり得るとのデマ情報を流出させて、ヨルダン政府が自
国民であるムアーズ中尉を助けずに
日本人の命を助けようとしている、ムアーズ中尉はどうでもよいのだ、
日本政府とのつき合いの方がムアーズ中尉の命を助けることよりもヨルダン政府にとっては重きを置いていることなんだとのうそのプロパガンダを逆にダーイシュたちは行って、テロとの闘いに挑むヨルダン国家の転覆を、メディア等を間接的にコントロールすること、外部からの情報戦、宣伝戦等により、ヨルダン
国民の心に対し動揺するような働きかけを行い、扇動し、政府に対し革命勢力的な動きを、火種を起こそうとヨルダン内政に介入を試みるといった巧みな戦略、戦術に出ていたことは特筆すべきことであったと思います。
大臣、かつての戦争は国家対国家の戦いでありました。しかし、二十一世紀、現在における戦争は、新たな形式の戦争が加わったと私は考えるべきだと思います。これからの戦争は、国家対国家じゃなくて、一人の技術を持ったテロリストが
一つの国家に対して闘いを挑んでくる、まさに伝統的な
意義とは全く違う新しい戦争の形態が始まった、残念ながらそういうことだと思います。
そしてまた、同時に、テロリズムとハイテクの出会いというのは私たちが最も恐れるシナリオであって、警戒すべきコラボレーションだと考えています。二〇〇一年にニューヨークで起こった九・一一テロ、ビンラディン型テロと比較するに、
国際的なテロは私たちの想像以上に進化を遂げてきているということを事実として重く受けとめなければならない。
現代技術と市場
経済体制により変わりつつある戦争は、戦争らしくない戦争のスタイルで、今後は加速度がつく形で展開されていくことを想定しておかなければならないと思います。私は、間違いなく準戦争というか類似戦争、第二種戦争、そういった新たな形態が誕生したという
認識をしっかりとしておくべきだと強く思います。
軍事的暴力が相対的に減少する一方で、
政治的暴力、
経済的暴力、技術的暴力が増大していく可能性も政府は想定しているとは思いますが、いかなる形の暴力であれ、戦争は戦争という事実を解釈して
理解すること、現実を
認識することの重要性、必要性を感じますけれども、今後は政府もそのような
認識を持つ必要があると考えますが、政府の御見解を伺いたいと思います。