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2015-04-08 第189回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月八日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員の異動  四月二日     辞任         補欠選任      長峯  誠君    三原じゅん子君      川田 龍平君     片山虎之助君      又市 征治君     福島みずほ君  四月三日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     小西 洋之君  四月六日     辞任         補欠選任      田村 智子君     紙  智子君  四月七日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     堀内 恒夫君      小西 洋之君     浜野 喜史君      蓮   舫君     石上 俊雄君      片山虎之助君     室井 邦彦君      山田 太郎君     松田 公太君      松沢 成文君     江口 克彦君      福島みずほ君     吉田 忠智君      平野 達男君     荒井 広幸君  四月八日     辞任         補欠選任      堀内 恒夫君     石田 昌宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 石井 準一君                 岡田  広君                 古賀友一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 小川 敏夫君                 那谷屋正義君                 若松 謙維君                 小野 次郎君     委 員                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 島村  大君                 高野光二郎君                 高橋 克法君                 堂故  茂君                 二之湯武史君                 堀内 恒夫君                 三木  亨君                三原じゅん子君                 三宅 伸吾君                 山下 雄平君                 石上 俊雄君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 田城  郁君                 田中 直紀君                 浜野 喜史君                 藤田 幸久君                 水岡 俊一君                 長沢 広明君                 矢倉 克夫君                 横山 信一君                 室井 邦彦君                 紙  智子君                 大門実紀史君                 井上 義行君                 松田 公太君                 江口 克彦君                薬師寺みちよ君                 吉田 忠智君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        麻生 太郎君        総務大臣     高市 早苗君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣        国務大臣     下村 博文君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   林  芳正君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償廃炉        等支援機構))  宮沢 洋一君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     望月 義夫君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣防災)        )        山谷えり子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、消        費者及び食品安        全、科学技術政        策、宇宙政策)        )        山口 俊一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、少子化対策        、男女共同参画        ))       有村 治子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域))  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  世耕 弘成君    副大臣        財務大臣    宮下 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 亮治君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣参        事官       小澤  仁君        内閣官房行政改        革推進本部事務        局次長      市川 健太君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局地        方創総括官   山崎 史郎君        内閣大臣官房        審議官      新原 浩朗君        内閣府政策統括        官        平井 興宣君        復興庁統括官   吉田 光市君        外務大臣官房審        議官       岩井 文男君        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    藤井 康弘君        厚生労働省政策        統括官      今別府敏雄君        経済産業省経済        産業政策局長   菅原 郁郎君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君    参考人        日本放送協会会        長        籾井 勝人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委嘱審査報告書に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  本委員会は、平成二十七年度総予算三案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されましたので、お手元に配付しております。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十七年度総予算案審査のため、本日の委員会日本放送協会会長籾井勝人君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、国民生活エネルギー政治理念に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は二百四十分とし、各会派への割当て時間は、自由民主党三十分、民主党・新緑風会六十五分、公明党二十四分、維新の党二十三分、日本共産党二十三分、日本を元気にする会・無所属会二十三分、次世代の党十三分、無所属クラブ十三分、社会民主党・護憲連合十三分、新党改革無所属の会十三分とすること、質疑順位につきましてはお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度一般会計予算平成二十七年度特別会計予算平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、国民生活エネルギー政治理念に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。堀内恒夫君。
  8. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 自民党堀内恒夫でございます。予算委員会は初登板でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。時間も限られていますので、早速質問に入りたいと思います。  まず、安倍総理にお伺い申し上げます。  総理は、二〇一二年十二月に矢継ぎ早に三本の矢、いわゆるアベノミクスを実行されてきました。総理国会で御発言されるとおり、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準企業倒産件数は二十四年ぶりに年間一万件を下回り、企業経常利益は過去最高水準、また今年の春闘の結果は昨年を上回るような回答が続々と出てくる。はっきりと経済の好循環動き出していることが感じられます。  これまで進めてこられたアベノミクス成果と、今後更にアベノミクスを推し進めるためにどのように取り組んでいかれるか、お伺いしたいと存じます。特に、働く方々雇用や安定、能力を発揮できる環境整備について、現在、総理は、労働者派遣法改正労働時間制度見直し労働紛争解決システム整備などに積極的に取り組んでおられると思います。こうした一連の改革が働く人の立場に立ち、一人一人の活躍につながるものと思います。雇用改革全体のことについても明快なメッセージをお願い申し上げます。
  9. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日本はこの十五年間、長く続いたデフレの中で、賃金も上がらず、税収も減少し、社会保障制度などの基盤への不安が国民の中に蔓延してまいりました。  三本の矢の政策、この三本の矢をまさに堀内さんのように直球勝負でど真ん中に投げ込んできたところでございますが、その結果、もはやデフレではないという状況をつくり出すことに成功したと、こう思っています。有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準でありますし、昨年の賃上げは平均二%以上のアップでありまして、過去十五年間で最高となりました。企業倒産件数でありますが、二十四年ぶりの低水準でありますし、企業経常利益は過去最高水準になっており、間違いなく経済の好循環は生まれ始めていると言ってもいいと思います。  一方、消費税率八%への引上げの影響もありまして、景気回復の実感が地方に暮らす方々中小小規模事業者で働く方々に届いていないのも事実でありますし、私たちもそのことは十分に承知をしています。ただ、先日公表されましたGDP速報では、三四半期ぶり実質GDPが前期比プラス成長するなど、景気回復の兆しも見られてきました。また、連合の公表では、本年の賃上げ率中小も含め昨年の水準を上回る勢いであると認識をしています。下請企業価格転嫁支援協力についても取引条件改善動きが出始めていると思います。  さらに、二十七年度地方財政計画における地方税収は、前年度に比べて約二・五兆円、七%増を見込んでおりまして、特に法人二税については、最も伸びが大きい島根県は三二・四%でありまして、全国で三十三道府県が当初予算において二桁増の収入を見込んでいるということでございまして、地方もだんだん良くなっている。堀内委員地元山梨県においても、法人二税は二一・八%増であるということも申し上げておきたいと思います。先週、政労使会議を開催しまして、中小小規模事業者皆さんにも賃上げ最大限努力をしていただくようお願いをしたところでございます。  そしてまた、今、堀内委員の方から、私たちが進める雇用政策について、分かりやすくもっと説明をしろということでございました。  政府が進めている雇用分野改革は、ワーク・ライフ・バランスを確保する、これが言わば目的の柱であるということは申し上げておきたいと思います。誰もが希望に応じた働き方を選択をし、安心して意欲や能力を発揮できる雇用制度実現を目指すものであります。このため、正社員化の道を開くための派遣法改正、そして高度専門職創造性を存分に発揮できるようにする新たな制度創設、そして透明で公正、客観的な労働紛争解決システム検討といった改革を進めています。  ですから、こうした改革に対して、正社員をゼロにするとか、過労死を拡大するとか、解雇を自由にするといった指摘は全く間違っているということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。  もう少し詳しく説明させていただきますと、労働者派遣法改正については、正社員希望する方にはその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方には待遇の改善を図っていきます。  そして、労働基準法改正案については、時間ではなく成果で評価する新たな制度創設に当たりまして、健康確保のための措置を企業に義務付ける仕組みを設けることにしています。  そして、解雇などの労働紛争を解決するシステムについては、国内外の実態に関する調査の結果を踏まえまして、透明かつ公正、客観的な在り方検討を行うこととしておりまして、むしろ今まで、中小企業あるいは小規模事業者、組合がないような会社で働いている方々解雇において泣き寝入りをする場合があったんですが、しっかりと透明性、そしてルールを作っていこうということでありまして、安倍内閣としては、こうした取組によって、あらゆる人が生きがいを持って活躍の場を見出すことができる社会を目指していきたいと、このように思っております。
  10. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。本当に分かりやすく説明していただきまして、感謝申し上げます。  東日本大震災の発生からもう四年がたっております。五年間の集中復興期間最後の年を迎え、復興加速化すべく、様々な課題解決に向けて取り組んでいらっしゃるところだと思います。  私は、所属している東日本大震災復興及び原子力特別委員会におきまして、生活基本である住宅再建整備支援被災者方々の心のケア被災地子供たちの十分な運動の機会の確保など、いろいろな課題に対する政府の対応についてお伺いし、引き続き取組を強くお願いしてまいりました。  そこで一番感じたのは、地域やその方々状況によって抱えている問題、課題は多種多様であると、それぞれに応じたきめ細やかな支援が不可欠であるということです。  総理は、福島県、岩手県、宮城県を訪問され、被災地を視察し、被災者方々意見交換を行ってこられました。どのような感想をお持ちになり、また集中復興期間最後の年である今、どのような決意を持たれていらっしゃるか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  11. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 復興加速化は、安倍政権の最重要課題の一つであります。  東日本大震災発災から四年が経過をしました。特に、地震津波被災地では復興の道筋が見えつつあります。災害公営住宅は、今春には一万戸、そして平成二十七年度末までに二万戸が完成の見込みであります。水産加工施設の八割で業務を再開をし、そして震災前の約七割の農地が復旧しました。住まい再建なりわい再生が着実に進んでいます。また、原子力災害被災地でも復旧が進み、帰還に向けた動きが見え始めてまいりました。やっと希望と未来が見えてきたと言ってもいいと思います。このように、一歩ずつではありますが、復興は確実に新たなステージへと移りつつあると思います。  集中復興期間最終年度を迎えましたが、二十七年度において、復興が最大限加速するように、住宅再建加速化産業なりわい再生仮設住宅にお住まい方々災害公営住宅に移転された方々の心の復興、新たな場所で新たな生活が始まりますから、そういう方々にとってはいろんな不安もあるんだろうと思います。そういう皆さんのお気持ちに寄り添っていくこと、心のケアも大変大切だと思っています。地域被災者の置かれた状況に即して、市町村とも緊密に連携をしながら必要な支援をきめ細かく行っていく考えであります。  二十八年度以降も私たちは止まることはいたしません。これが基本的な姿勢でありまして、必要な事業は引き続き実施し、財源も含めて今後その在り方検討してまいります。二十八年度以降も、被災地方々の心に寄り添いながら、しっかりと対応していく決意であります。
  12. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。  被災者方々は、震災によって大切なものをなくされ、大きな喪失感を抱えながら懸命に頑張って日々を送っていらっしゃいます。復興満塁ホームランは要りません。こつこつとヒットを連ねるような野球のように、被災地復興に資する事業を着々と積み重ねる必要があります。特に財務大臣におかれましては、是非しっかりとした財源確保を心よりお願い申し上げます。そして、全閣僚の皆さんチーム安倍の一員として、全員野球で取り組んでいただくようお願いいたします。  続きまして、防災減災対策についてお伺いします。  近年、これまで経験のないような豪雪、豪雨、土砂災害火山噴火などの自然災害が多発しております。私のふるさと山梨県でも、昨年の二月に豪雪被害がありました。流通がストップして市民生活企業活動が停滞、陸の孤島状態となりました。ハウスの倒壊などの農業施設も大きな被害を受けました。  国民安心、安全な暮らしを守るため、防災減災対策必要性がますます高まっていると思いますが、防災担当大臣より御所見をお伺いします。
  13. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 我が国は、その自然的条件から様々な災害に遭いやすいという特性がございます。その特性の下に、あらゆる災害に備える、被害最小化を図る、そして犠牲者を一人でも少なくということが私たちの最大の使命だというふうに思っております。そのために、最新の科学的知見活用しながら、防災関連施設などハード対策整備、そしてまた情報の伝達や避難訓練などソフト対策、それを総合的に組み合わせて防災減災対策を推進していくことが大事だというふうに思っております。  発災のときは政府一丸となって対応するとともに、その教訓を踏まえて様々不断見直しをしていくということも大事だと思います。今、堀内委員言及されました御出身の山梨豪雪、そうした豪雪や大規模災害教訓を踏まえまして、去年、臨時国会では災害対策基本法改正をして、放置車両対策強化を行いました。  また、このところ報道もされておりますけれども、首都直下地震については帰宅困難者対策強化、また、南海トラフ地震については救助、救命の具体的な活動内容を、国、地方自治体、様々な関係者連携を密にしていくということも進めているところでございます。  今後とも、しっかりと安全な暮らしのために、防災減災、取り組んでまいりたいと思います。
  14. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 山谷大臣、ありがとうございます。  当然のことながら、防災減災にはインフラ整備も重要だと思うんです。国土交通省におかれましては、命を守る防災減災対策お願いしたいと思います。  次に、資源エネルギー政策についてお伺いいたします。  資源の少ない我が国において、豊かで安心、安全な国民生活を支えるためにも、再生可能エネルギーや新エネルギーの開発、活用省エネルギー社会実現などあらゆる可能性を見据え、エネルギー政策を戦略的に展開していく必要があると思います。経済産業大臣の御所見はいかがでしょうか。
  15. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 四年前、大震災が起きまして、その後、五十四基ありました原子力発電所が全て今止まっているという状況の中で、我が国は大変厳しいエネルギーの制約がございます。中東を中心とした化石燃料に対する依存度が増加しているということ、また原発停止によって燃料費の増加が起こっている、さらに電気料金が上昇している、さらにCO2排出量も増加しているというような大変いろんな問題が起こってきております。  そういう中で、昨年四月にエネルギー基本計画を閣議決定いたしました。その計画においては、安定的な資源確保、徹底した省エネルギー社会実現再生可能エネルギー導入加速原子力政策の再構築などを示しておりまして、そういう基本計画に基づいて今取り組んでいるところであります。  そして今、今後、恐らく二〇三〇年を目標としたエネルギーミックスの取りまとめの作業をしているところでありますけれども、当然のことながら、この前提は徹底した省エネルギーであります。その上で、再生可能エネルギーを最大限導入する、そして原発依存度を可能な限り低減するというのが政府の方針であります。  昨日、自民党原子力政策需給問題調査会から貴重な提言をいただきましたけれども、自給率の向上、さらに電力料金の抑制、CO2大幅削減といった提案にありました考え踏まえながら、できるだけ速やかにエネルギーミックスを決めていきたいと思っております。
  16. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。  資源エネルギーの安定的な確保、よろしくお願いを申し上げます。  ちょっと色合いが違いますけれども、次に、国立公文書館についてお伺いします。  長い歴史を持つ我が国は、重要な歴史的記録を数多く保有しています。それらは、現在、北の丸にある国立公文書館で保存されていますが、超党派議員連盟活躍される先輩、同僚議員皆さんより、世界に誇れるような充実した機能を持つ新たな国立公文書館建設必要性について私も聞き及んでおります。  記録を保管し、展示し、将来へつなげていくためにこういった施設は非常に重要であると考えます。有村大臣はどのようにお考えでしょうか。
  17. 有村治子

    国務大臣有村治子君) お答えいたします。  公文書は、政策決定過程、時代の変遷をたどる歴史的事実の集積であり、民主主義の根幹を支える国民共有知的資源です。その利活用環境を整え、生きた歴史に親しむことができる国立公文書館は、世代を超えて受け継がれるべき大事な財産だと認識をしています。  御指摘のように、与野党で、国会において超党派議員連盟による新たな国立公文書館の建設実現に向けて要請が、総理、衆参両院議長に対して行われました。その要請案を受け取られた総理からは、建国の精神が感じられる、そういう国立公文書館をしっかりと充実していきたいと、心強い御発言がありました。  政府においても、国立公文書館の機能・施設在り方に関する調査検討会議から先月提言を出させていただいております。委員が御指摘いただきましたように、展示、学習機能に注力すべき、立法、行政、司法、全ての三権から公文書を保存、利活用できるようにすべき、そして、新たな国立公文書館国会議事堂周辺に立地を求め、国を象徴するようなナショナルモニュメントにすべきという御提言でございます。  現在、JFK展、その生涯と遺産ということで、終戦七十年の今、キャロライン・ケネディ大使の御支援もいただきながら日米の友好に思いをはせる展示をしておりまして、連日、五月十日までですが、多くの方々公文書館に訪れていただいておりますが、その準備の中で、アメリカからお借りする資料を受け入れるそのセキュリティーがどうか、湿度の管理はどうかと、国際水準を満たすことが本当に厳しい状況だということを目の当たりにいたしました。  そういう意味では、御指摘も受けまして、今後、主権者たる国民に果たすべき国立公文書館の役割ということを更に議論を含めてしっかりと前進させるように、担当大臣として取り組んでまいります。
  18. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。  私は、これまで野球の世界で人生の大半を過ごしてまいりました。スポーツに支えられたからこそ今の私があるんではないかなというふうに感じております。スポーツは、健康維持、増進するだけでなく、時に人々に夢を与え、人生を豊かにし、心身共に充実させる力を、国民生活に必要なものだと思います。  以上を踏まえて、スポーツの観点から質問させていただきます。  国民の健康増進及び医療費の抑制を図るためにも、スポーツの力の活用は不可欠であると思います。また、地方創生の観点からも、スポーツを観光資源とした地域活性化の取組支援していくことが有効であると思いますが、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。
  19. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 私も、堀内委員がプロ野球で大活躍をされていた頃、励まされた、そういう思いを持っております。  それだけスポーツというのは、青少年の健全育成だけでなく、国民の心身の健康増進、また、これによる医療費の抑制にもつながる、そして観光資源としてのスポーツの活用、こういうふうに社会全体の活力の創造、スポーツを通じた国際交流など、国民生活において多岐にわたる役目、これを果たすものであるというふうに思います。  文科省として、これまでも、年齢や性別、障害等を問わないライフステージに応じたスポーツ活動の推進のための環境整備に努めてきたところでございますが、特に平成二十七年度予算におきましては、新たなスポーツによる地域活性化推進事業、これを計上いたしまして、地方公共団体が実施するスポーツを通じた健康増進やスポーツを観光資源とした地域活性化の取組を国として積極的に支援していくことといたしました。  また、今国会に設置のため法案を提出しておりますスポーツ庁、ここにおきまして、関係省庁との連携を一層強化し、スポーツによる健康増進、観光振興、地域振興など重要な政策目標としての施策を進めることを考えております。  二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。今後とも、スポーツ立国ということを日本が目指すことによりまして、スポーツによって国民が、全ての方々が生涯にわたって心身共に健康で文化的な生活を営むことができる、活力ある社会実現を目指してまいりたいと思います。
  20. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。是非、生涯スポーツ社会実現を目指して頑張っていただきたいと思います。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催は、スポーツの振興と国際交流、国際親善にとって極めて重要なものであると思います。我が国が新たな日本へと発展していく大きなチャンスになると確信しております。財政が厳しい状況の中でありますが、できる限りの支援をしていただきたいと切に願うところでございます。  特に、メダルの獲得は国民に夢と希望を与えます。スポーツ議員連盟の会長でもありオリンピアンでもある麻生大臣に対し、選手力強化に向けてお考えを伺いたいと思います。
  21. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会というのは、これは、これが獲得できたときをちょっと思い出していただけると思いますけれども、あのときに、やったというのでえらく国中が沸いたと思いますけれども、やっぱりいろんな意味で国民を元気にしてくれる一つの大きなきっかけになった、今回の安倍政権の中において非常に大きなイベントとして多分位置付けられるほどの大きな一つの機会だったと思いますが。  いずれにしても、選手の強化というのは極めて重要な課題でありまして、たらたら運動、スポーツしていればうまくなるというほど、今はそんな時代ではなくて、きちんとした科学的なトレーニングを受け、そのために強化をする等々いろんなことをやらないと、なかなか今のあれではうまくいかないんですが。  スポーツ団体というのは、どこでもそうですけれども、そのスポーツはうまいけど、そのスポーツ全体の組織を運営することが上手という保証は全くありませんから、そういった意味では、これはなかなか組織運営というものも非常に大事なものなんであって、きちんとしたいわゆる組織運営のための経営感覚とかいろんな表現があるんでしょうが、そういったものも改善をしていかにゃいかぬということなんだと思います。  同時に、メダルというのであれば、やっぱり取れる種目、そういったものにターゲットを絞っていくということが重要で、例えば水泳ですかね、北京オリンピックのときはたしかメダルは五個だったと思うんですが、あの後、オリセンなんかのあれで科学的なものをいろいろ取り入れて、十条であれをきちっとした結果、その後のロンドン大会ではたしか銅を十一個取れたというのが現実ですから、もうはっきりした答えが出ているという、成果を上げたんだと思っておりますので、そういった意味では、今文部大臣からお話があっておりましたが、平成二十七年度の文部省の予算においては競技力向上タスクフォースというものを設置して、戦略的かつ一元的に選手強化というものをやるということで、きちんとPDCAのサイクルもつくってやりますということでやらせていただくことになりつつあります。  また、二〇二〇年って今から五年ありますので、そのときに活躍が期待される次世代のアスリートというものを発掘する、育成するという点も考えておかないと、ジュニアから上がってくるのと同じことで、きちんとしたもの、そういった意味ではコーチとか指導者とか、そういったところの充実を図るというのに一番大事なところだと思いますので、その点では予算額を充実させるということで新たに二十五億円増額をして、今、質、量双方から大幅な充実を実現したところであります。  これらの取組が実を結ぶようにするためには、これは関係機関とスポーツ団体等々が連絡を密にしながら、効果的な選手強化ということで、一応今組織が一元化されましたので、どこから何するかばらばらなような状態から一元化ということがきちんとでき上がっておりますので、そういった意味ではこの点をしっかり、何でこれ一元化したかということ、そもそものところを遡ってきっちり頭に入れてやっていただけるということを期待しております。
  22. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございます。財政支援、よろしくお願い申し上げます。  最後になります。  総理は、二〇二〇年のオリンピックを復興五輪にしたいというお考えをお持ちでいらっしゃいます。大会の開催基本計画には、聖火リレーが被災地を一周するというようなことも実施されるようなことをお伺いしました。これはすばらしいことだと思います。  私も、野球、ソフトボールの復活を願っている一人でございます。でも、野球だけではございません。このオリンピックは、やはり東京に一極集中じゃなくて、いろいろなところで種目をやったりしながら、私はこのオリンピックをオールジャパンで盛り上げていくことが必要じゃないかなと思います。その考えを、総理のお考え、今お持ちであるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ブエノスアイレスにおけるIOC総会で、私たちは、スポーツの力、パワー・オブ・スポーツを訴えました。被災地にたくさんのアスリートが足を運んでいただき、そういうアスリートの皆さんがいかに被災地子供たちに夢や勇気や力を与えたか、そのことをブエノスアイレスで私たちは訴え、東京オリンピックを引き寄せることに成功したのであります。  先ほど文科大臣は、堀内さんが現役時代活躍していたとき勇気を与えられたという話をしましたが、堀内さんが活躍していた頃、私はアンチ巨人でありまして、堀内さんに私が応援しているチームが痛い目に遭って、本当に憎たらしいピッチャーだなと思いながらも、この人はすごいなと思ったのも事実であります。子供たちをわくわくどきどきさせる力があるのが私はスポーツなんだろうと、こう思っています。  二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、復興五輪として、東日本大震災被災地復興の後押しとなり、見事に復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信する大会としたいと思います。  本年二月にIOCに提出した基本計画では、被災地において聖火リレーを行うことを明記いたしました。また、宮城県においてはサッカーの競技を行うこととしています。昨年七月には、被災三県と政府、組織委員会等の関係者による被災地復興支援連絡協議会が設置をされまして、被災三県と連携した取組についての検討を進めています。  東京大会の開催まで残り五年でありまして、今後、被災地の声を十分伺いながら、引き続きオールジャパンでしっかりと準備していきたいと思います。
  24. 堀内恒夫

    堀内恒夫君 ありがとうございました。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  25. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で堀内恒夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  26. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、小川敏夫君の質疑を行います。小川敏夫君。
  27. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。  私は、アベノミクス、もう当初からこれは失敗するということで一貫して主張してまいりました。先般の三月の質問の際も、そうした観点から質問させていただきましたが、今日は、貿易収支の赤字、これについて質問させていただきます。(資料提示)  総理は、アベノミクスについて、アベノミクスによってどんどん輸出が増えて、そして日本は豊かになる、近い三年ぐらいの時期に貿易黒字は八兆円になると、このようにおっしゃっておられました。しかし、現実は、お示しのこの表の上のように、貿易赤字は非常に拡大する一方であります。平成二十五年が八兆円余り、平成二十六年が十兆円余り。総理直球勝負とおっしゃいましたが、投げる球投げる球が毎回ホームランを打たれているような、こんな大失点に当たるような大変な貿易赤字をつくっておるわけです。  総理、どうして、アベノミクスになれば輸出がどんどん増えて日本は豊かになると言ったのに、結果はこの貿易赤字、黒字どころか大赤字になっている、この原因についてどういうふうにお考えですか。
  28. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 二〇〇九年以降、二〇一二年末にかけまして為替が大きく円高方向に推移をしていったのは事実でありまして、その中で、二〇一一年以降、輸出数量は大きく減少をしました。その後、安倍政権になってから為替が円安方向に動く中で、輸出金額は二年連続で増加をしております。また、輸出数量においても、二〇一四年は四年ぶりに増加に転じるなど、減少に歯止めが掛かり、緩やかに増加しつつあります。  さらに、経常収支は八か月連続の黒字が続いておりますし、今、貿易赤字は安倍政権で拡大しているではないかという御質問でございましたが、最近六か月連続で貿易赤字は前年比で縮小を続けています。そして、直近の二月は前年比七五%の減少となっているわけでございまして、輸出につきましては、国際状況やあるいは為替、様々な要因があるのでございますが、その意味におきましても、今しっかりと、総合的に見ましても輸出が増えていく、そういう状況をつくり出しつつあると、このように思います。
  29. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 総理、輸出金額が増えたといっても、それ以上に輸入金額が圧倒的に増えたから赤字になっておるわけです。  私が聞いているのは、総理は、アベノミクスによって輸出がどんどん増えて、貿易黒字も三年ぐらいのうちには八兆円になりますよと言っておったのが、現実にはマイナス十兆円という、ですから見込み違いがあったと思うんです。その見込み違いの原因は何かとお尋ねしたんですけれども、総理は、残念ながら部分的に御都合のいいところしか主張されないようであります。  私は、この問題は今年の三月も昨年の十月も聞きました。そこで、この貿易赤字の赤字のことをお尋ねしますと、総理は二回とも、民主党政権時代に円高を放置したから国内の生産設備がどんどん海外に出ていったと、まさに何か今の貿易赤字の原因が民主党政権時代の円高の放置が原因だというようなことをこれまで一貫して述べておられたわけです。前回、三月にもそのようにおっしゃいました。  それで、私は政府にこの根拠を尋ねました。そうしたところ、海外設備投資の金額を基にそういうふうに説明しているんだというお話でした。  それで、海外設備投資の資料、これ経産省の資料でございますが、民主党政権時代というものを取り出しました。麻生政権からリーマン・ショックによって非常に減少した海外設備投資が回復していったというのが民主党政権時代でございます。そこだけを取り出せば増えたという表現は当たるかもしれませんが、全体から見れば、これ、減ったのが回復したというだけであります。そしてさらに、民主党政権時代よりも安倍政権時代になって更に上回っておるわけです。  これまで安倍政権は、貿易赤字がなぜ増えたのかというと、常々、民主党政権時代に円高を放置して、民主党政権時代に海外設備投資が増えたから、それが原因かのように言っているけれども、実はこの表を見る限りそれが原因ではない。むしろ安倍政権時代、もしこれが、海外設備投資に民主党政権時代に増えたことが悪いんなら、それを更に増やしている安倍政権の方がもっと悪いわけで。  ですから、私は、アベノミクスによって輸出がどんどん増えて日本は八兆円も貿易黒字になりますよと言っておられた、そのことが現実には十兆円の赤字という当初の説明と違う結果になった、なぜそういう当初の見込みとは違う結果になったのかをお尋ねしておるわけです。
  30. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 大変いい質問をしていただいたと思います。  まず、日本企業が投資先として日本国内と海外のどちらを選択しているのかを把握するには、海外設備投資比率を用いることが適当と考えております。海外設備投資比率は、これは国内と海外の市場の伸びの違いを勘案すれば緩やかに上昇するのが自然ではありますが、民主党政権時代の下、二〇〇九年七—九月期の一二・八%から二〇一二年の十—十二月期の二四・一%へと急激に上昇をしているのは事実であります。  こうした動きの背景としては、民主党政権の下で、産業界からは円高を始めとするいわゆる六重苦ということが挙げられている中において、国内設備投資は低迷をしている。つまり、国内設備投資と海外への投資、これを比較考量してみることが大変重要であるということを今私は申し上げているわけでありますが、海外設備投資は増加する一方、国内設備投資は低迷したのは事実でありまして、例えば自動車産業では、海外市場向けの現地生産を超えて、円高環境に対応して国内販売用の一部車種について逆輸入を始めました。また、この時期、東芝は半導体や液晶テレビの四工場を閉鎖したというのはもう皆様御承知のとおりであろうと思います。  一方、安倍政権が発足をして為替が円安方向で推移する中、海外設備投資よりも国内設備投資が増加し始めたわけでありまして、国内回帰の動きも見られます。  例えば、二〇一三年以降の円安方向への動きを始めとする事業環境改善をしていく中、まさに直近では日産がこれまで全て現地生産で対応していた北米事業の一部を国内生産に振り分ける、あるいはキヤノンは年内に国内製造比率を四三%から五割以上に引き上げる、そしてパナソニック等の白物家電メーカーが国内市場向け製品の生産を海外から国内に回帰させる事例も出ています。そして、円高期に四つの工場を閉鎖した東芝は、これよく聞いてください、この東芝は新たな半導体の生産ラインの建設に数千億円の投資を国内に行う、これは雇用を生み、まさに国内の景気の好循環を生み出すわけでございます。  そこで、先ほど民主党政権時代から安倍政権になっても海外設備投資は増えているではないかという表を、グラフを説明されましたが、この民主党政権時代に決断してしまった設備投資は、これは当然その後も続いていくわけですよ、しばらくの間は。半年間は続いていきましたが、しかし、先ほど申し上げましたように、全体としてしっかりと我々安倍政権になってから国内の投資が増えているわけでありまして、ここにこそ私は注目すべきではないのかなと思います。  安倍政権発足後の半年間も海外設備投資比率は二〇一三年四—六月期に三〇・九%まで上昇が続きましたが、今、それは私が申し上げたとおりでありまして、しかし、その後、企業の設備投資の動きは、急に変化しないことによると考えられますが、実際、二〇一三年半ば以降は頭打ちとなっています。  大事なことは、今申し上げましたように……(発言する者あり)
  31. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 静粛に願います。静粛に願います。
  32. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国内設備投資の動きが具体的な形になって現れ、地域経済の活性化や雇用の下支えに資すること、引き続き国内の事業環境整備に努め、更なる国内の設備投資につなげてまいりたいと、このように思います。  今申し上げたとおり、間違いなく安倍政権になって雇用が増え、その結果、有効求人倍率も良くなっているわけですから、数字が示しています。そして、昨年は十五年間で最高賃上げ実現したじゃないですか。つまり、こうした動きを確実なものにしていきたいと、このように考えております。(発言する者あり)
  33. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  34. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 速記を起こして。
  35. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 総理は私の質問に端的に答えないで、断片的に都合のいいことだけ取り出して独演会をやっておりましたけれども、貴重な質問時間を余り食べないようにしていただきたいと思いますが。  ただ、何しろ、総理が言われているような都合のいい事実を含めても、しかし、それを上回るマイナスがあるから十兆円という赤字が出ているわけですから、それについて説明がなかったのは大変残念であります。私が監督ならこうした投手はすぐに交代させるんですけれども、なかなかそうはいかないのが大変残念であります。  次に、文科大臣にお尋ねいたします。  今、文科大臣を応援するという博友会という団体が地方に六つほどございます。これが実質政治団体であるのに政治資金規正法上の登録をしていない、そのために収支も分からないと、こうしたことが問題となっておるわけでありますが、これについて大臣は、そうした地方の博友会に関しては一切関与していないと、このような答弁をいただいておりますが、この地方の博友会、六つありますが、こうした団体について、一切関与していないという答弁はそのままでよろしいんでしょうか。
  36. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) それは正確ではございません。今まで申し上げていたのは、地方の博友会について、人事やそれから会則、規約、それは私も私の事務所もタッチしておりませんということを申し上げました。  ただ、年に一度、地方の博友会の代表者の方々にも集まっていただいて、二月ぐらい、年間スケジュールを決めさせていただいております。これは、ある時期に集中しないように全般的にバランスを取っていただいて、年に一度私が地方に行って、教育それから政治、そういう話をさせていただくということでお願いをさせていただいているということであります。
  37. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これまでは一切関与がないかのような御趣旨でしたが、ちょっとニュアンスが変わったように思うんですが、その点はおきまして、しかし、この地方の博友会そのものは、結局は大臣の集金組織ではないかと、このように思われますので、そうした観点から質問させていただきます。  まず、このパネルを見てください。「博友会のご案内」というこれは近畿博友会の勧誘ビラでございます。そして、まず一番の表紙でありますけれども、博友会東京。これは大臣が既に政治団体として登録している団体、大臣が管理する団体だと思うんですが、この地方の六つはまさにその東京の博友会の傘下にある支部であるかのような位置付けになっておる。  そしてもう一つ、更に大事なことは、この会則の中、この下の段ですけれども、その当該部分を抜粋しました。各地方の博友会の会費は、「会費は年払いとし、「自由民主党東京都第十一選挙区支部 下村博文」宛てに振り込むものとする。」と。すなわち、地方の博友会は、会費は大臣の総支部に寄附として納める。これじゃ、地方の博友会は大臣の集金組織以外の何物でもないと思うんですが、いかがですか。
  38. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) まず、冒頭のお話ですが、終始一貫して今までと同じような地方の博友会の関係についてはお話しさせていただいていますから、ニュアンスが変わったとかいうことは全くございません。  それから、今の資料というのは近畿博友会の御案内ということでありますが、これは、前回もお話しさせていただいたと思いますが、衆議院の文部科学委員会のときに資料として出されたものでございまして、二週間、三週間ぐらい前でしょうか、これは率直にそのときも申し上げましたし、今もそうでありますが、そのとき初めて見たものでありまして、これは私が隠すとかそういうことではございません。つまり、それだけ、この地方の博友会の規約とか会則とか人事についてはそれぞれが作っていただいているということでございます。  これは、ですから、近畿博友会としてのパンフレットをこのように作られたということでありますが、これについては私も私の事務所も全くタッチしているわけではございません。ここに書いてあったとしても、実態的には、先ほどから申し上げていますが、年に一度私が地方に行ったときに、例えば近畿に行ったときに講演をして、そしてその中のお付き合いということでありまして、それ以上のこと、以下もございませんし、それから、ここに書いてあることについては事実ではございません。  それは、東京十一選挙区支部から、二月、一月ぐらいですね、これは全国の、よろしいでしょうか、小川委員よろしいでしょうか。(発言する者あり)全国の私に縁がある方々に対して、その中には地方の博友会の方々も入っております、十一選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいて、その中でそれぞれ寄附をいただいているということでありまして、この近畿の博友会の皆さん、これはその上に、第四条のところに「本会は、第二条の目的に賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。」と書いてありますが、この近畿博友会からは、二十六人会員がいると、この方々に対して東京十一選挙区支部から、自民党から寄附のお願いをしていいということで寄附のお願いをさせていただいて、そして十二人の方が寄附をしていただいています。  これは政党支部からお願いをし、領収書も政党支部として寄附の領収書を出させていただいているということで、これは会費でなくて寄附ということは処理上も明らかでございます。(発言する者あり)
  39. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと御静粛に願います。
  40. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 近畿博友会の方ですね、会費を寄附として納めていると。  一方、大臣の方で地方の博友会の幹事を集めて開いた会、全国博友会幹事会というものを、大臣の方でお作りになった資料があります。これがその記載です。ここで、真ん中の表です、御協力状況、あるいは一番下の表で年会費納入一覧表とあります。これは年会費として表示されております地方の博友会のものですけれども、しかし、ここに表示されているこの金額、該当者は、第十一総支部への寄附を受けたその数字を年会費として表示しておると、こういうふうに大臣からは直接聞いております。  ですから、払う方の近畿の人は規約にあるとおり年会費を寄附として納めますと、受け取った大臣の側の方も寄附として受け取ったものについて年会費として資料を作っている。まさに年会費を寄附として受け取っているということ、間違いないじゃないですか。大臣の言っていることはおかしいですよ。
  41. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 近畿博友会の、先ほど申し上げましたが、会員が二十六人いると。それから、今、小川委員のこの資料で例えば群馬博友会、二〇一四年に九人の方が、ここでいう年会費は寄附でありますが、納めていただいていますが、案内を、寄附のお願いをさせていただいた方は群馬博友会では三百九十人います。  ですから、もし全員が寄附イコール会費だという御主張であれば、これぐらいしか会員がいないのかということでありますが、繰り返すようですけれども、もっとたくさんの方々がいらっしゃって、そしてその方々に対して政党支部から寄附のお願いをさせていただいている、実際に寄附の領収書をお送りさせていただいていると。ですから、全員ではなくて、寄附をしていただいている方々はそのうちの何割か、一部の方々でありますから、これはそれぞれの方々が、それぞれの地方の博友会の会費ということではなくて、政党支部に対する寄附ということを認識して振り込んでいただいている、そしてそういう案内を出させていただいている、領収書もそういう領収書を出させていただいているということですから、これはもうお分かりの、地方の博友会の方々も、とおりでございまして、そういう意味でこれはあくまでも寄附でございます。  それにもかかわらず、なぜ年会費と書いたのかという御質問でありましたけれども、これは、今まで地方の博友会の方々がこれを総称して年会費年会費という言い方をされておられたので、私の事務所の方でそれをそういうふうな通称ということで書かせていただきましたが、実際は、これは寄附というのは書類上も明らかで、そして実態的に地方の博友会の方々も寄附として認識されているというのは書類上も明確だと思います。
  42. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣の話はおかしいですよ。だって、十一支部で寄附で受け入れた、収支報告もしている、寄附だと言うんです。だったら、寄附として書けばいいわけです。年会費として誤解している人がいるといったら、誤解している人に対して、年会費じゃありませんよ、寄附だといって説明するのが筋でしょう。誤解している人がいるからといって、何で誤解している方に合わせちゃうんですか、年会費として。おかしいですよ。  すなわち、大臣の方でもお認めになったですよね、十一支部で寄附だと。寄附を年会費と思っている方がいらっしゃるから年会費として書いたんだと言うけど、年会費として思っているというのは、まさに払う方が年会費を寄附として納めたということからじゃないですか。もうお話聞きましたから。  それで、何か大臣の御説明ですと、会員が千人以上いらっしゃると、各地域で。それで、支部から寄附のお願いを出したということですね。これ、郵便で出したんですか。
  43. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 先ほどの話ですけど、年会費と誤解しているとかいうことは言っておりません。それを総称して年会費という言い方を今までされてこられたので、それで年会費という書き方にしていますが、誤解はしていない。それは明らかに書類上も寄附ということで出していて、そして十一選挙区支部としてもそういう請求、お願いをさせていただいていますから、これは明らかであります。  それから、年に一度、年会費ということでないということを明確に申し上げたいと思うんですが、政党支部からの寄附のお願いは郵送でお願いをさせていただいています。
  44. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 昨日の文科委員会でも、年の初めに千人以上の方に寄附のお願いをして、そして二月、三月に寄附があるということでしたけれども、収支報告書を見ました、十一総支部の。そうしたら、郵送に当たる郵便費用の計上がありません。郵送なんかしていないんじゃないですか。
  45. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 郵送しております。
  46. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 郵送すれば当然郵便費が掛かるわけです。でも、大臣のこの第十一総支部の収支報告書の支出を見ました。該当するその郵送代の計上がありません。どうですか。
  47. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) それは私チェックしていませんので、調べてみます。
  48. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私はチェックの上お話ししているわけでね。だから、そうすると、どうも大臣のお話が本当のことをしゃべっているのかという話になる。  次に行きます。  結局、この地方の博友会は大臣の所管する地方組織じゃないかと思うんですが、これは中四国博友会のホームページ、これ問題になってからホームページから消されちゃいましたけれども、まだあります。見てください、このホームページのお問合せという欄、上の欄ですね、お問合せというところに大臣国会事務所、それから板橋事務所が連絡先になって表示されている。  まさにこれは、大臣のいわゆる掌握するそういった組織だから、連絡先が大臣国会事務所や板橋事務所が表示されているんじゃないですか。
  49. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) これは掌握云々ということではないと思います。これは、中四国博友会の方がホームページとしてそういうふうに作られたんだと思いますが、事前にこういうことでいいかというような問合せとか確認というのは、私にも、私の事務所にもありませんでしたので、内容については中四国博友会が独自に作られたのではないかと思います。
  50. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 このパネルの下の表も同じ中四国で、やはり連絡先は板橋事務所と。しかし、大臣の方に連絡もなく勝手に大臣の事務所を連絡先にしちゃったら、電話が掛かってきたら応対しようがないじゃないですか。  じゃ、次に行きますが、今度は東北博友会のものであります。  この東北博友会の案内文の中のこの一節、上の段の下です。「博友会とは 下村博文議員を応援する人々による全国組織で、北海道・東北から沖縄まで主要な地域で六支部ございます。」と言っているわけですよ。つまり、東北博友会の人は、自分の博友会も含め地方の六博友会は大臣の所掌する東京の博友会の支部だと、こういうふうに認識して表示しているわけです。  あるいは、この下の段、これは大臣が文科大臣になられたときの挨拶状であります。その中の一節であります。「そのためにも、全国博友会のネットワーク強化と共に、支援の輪を広げていただき、国政での活動をお支えいただきたく存じます。」と。大臣御自身が全国博友会のネットワーク強化と言っておられるわけですよ。  すなわち、大臣御自身がネットワークを強化すると、こういう方針の下でまさにネットワークが強化されてできているのがこの地方の博友会六つじゃないですか。違いますか。
  51. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) この私の挨拶状、何が問題なんでしょうか。  そもそも、東京の博友会、これは選挙管理委員会へ届け出ている政治団体であります。それから、地方にある博友会、これは任意の団体でありますが、支部ではございません。ですから、厳密に言うと、この支部というところはこれは事実ではないということで、これは東北博友会の方が書かれたということでありますが、そういう意味で、全国的にいろんな形で私を支援をしていただいている方々を抱えているというのは、私にとっては有り難いことでございます。その方々に対して、年に一度、私が伺って、そして教育や政治の話をさせていただいているということで、そういう関係でありまして、私にとっても是非そういう輪を広げていただければ有り難いと思っております。
  52. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 今、問題は、地方にある博友会が実質政治団体でありながら政治団体としての登録をしていないと。ですから、収支報告もしていないと。しかし、実際には、年に一回大臣をお迎えして講演会や懇親会を開いていると。しかし、その収入、支出は、政治団体であれば報告されなければならないのに報告されていないという、まさにそうした問題があるわけです。  それについて大臣がどのように関与しているのかということが問題なわけです。大臣は、基本的には関与がないと、団体は御自分のものじゃないと言っていらっしゃる。私は、そうじゃなくて、いや、団体に大臣が直接関与していると、資金もまさに集金組織のように大臣のところに行っていると。  実際に大臣が関与されているネットワークという、大臣大臣の挨拶のどこが悪いと言うから、ネットワークだと言っているところが問題なんですよ。すなわち、東京があって、六つの支部がネットワークとして大臣の所掌下にあるというふうに読めるから問題にしているわけです。  もう一つ、文科大臣大臣自身のこれはフェイスブックです。ここでも、まず左の方は、全国後援会の一つであると、近畿博友会の講演会で大阪に来ていますと。ですから、大臣自身がもう地方の博友会、大臣とは無関係の団体じゃなくて、やはり全国のこのネットワーク化された博友会だという御認識を持っていらっしゃるんじゃないですか。だからこそ、こういうフェイスブックで投稿しているんじゃないでしょうか。
  53. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 私と無関係というのはちょっと語弊がありまして、先ほど申し上げましたように、地方の博友会がその内容、規約とか会則とか人事ですね、それについては私も私の事務所もタッチしていない、そういう点においては直接の関係はないということを申し上げていますが、しかし、地方の博友会も私を支援をしていただいている会であることは事実でございまして、その方々が今までも継続的に支援していただいています。  ただ、今回問題になったきっかけというのは、東北博友会の方で会合を開いたときに、写真週刊誌にあたかもそれが政治資金集めのような会のように書かれて、そしてそこで相当裏献金なりあるいは偽装献金が下村のところへ行っているのではないかと。事実は全く違います。ましてや、その講演料とかお車代もいただいているわけではありません。これは公正公平でございます。しかし、そういうふうな誤解を与えられるような記事が書かれたと。  二月になってから週刊誌でもそのような記事が書かれたということの中で、二月の十三日に全国の代表者の方々が集まっていただいて、今日の小川委員の資料の中には入っていませんが、その八枚の中の一つにそれが入っているんですが、その中で地方の博友会の方々の何人かの声をお聞きして私の事務所でまとめたものが改善策であります。  それが三つありまして、その中の一つとして、独自に政治団体として届けるという考え方もあると。それからもう一つは、東京の博友会の下部組織のような形で、年に一度行われるその講演会の収支報告をそこに掲載すべきであるという考え方もある。それから、所詮やっぱり年に一度しか行かないから、何とか制作委員会、実行委員会みたいな形で開けばいいという三つの案の中で、その中で東京の博友会の下部組織のような形で入れたらどうかということがそこで、代表者の方々ではまとまりつつあります。  ただ、実際は、それぞれの地方の博友会でどうするかは判断されることですので、持ち帰っていただいて今検討していただいているという状況でございます。
  54. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 事が問題になってからこれからどうしようという話をしているということは関係ありませんし、私も聞いていません。  大臣が今の答弁の中で一つ大事なことを言われました。東北の方で会が催された、それが利益が出て裏献金になっているんじゃないかということが雑誌に書かれたというようにお話しになりました。実は、裏献金があったかどうかということは別にして、この地方博友会の問題点は何かといえば、そのように講演会なり催しがされて収入、支出があったと。であれば、当然これは収支報告されて国民の前に全てオープンにならなきゃいけないものが、政治団体として登録されていない、収支報告もされていない、だから見えないままになっている。もっと悪い言葉を使えば、闇の中に放置されているわけですよ。  立食パーティーで二万円だ、一万五千円だ、一万円の会費で、黒字が出ているんじゃないかと思う。だけど、大臣は赤字だとおっしゃるけど、確認しようがないじゃないですか。それを国民の前に全部収入と支出をオープンにしましょうと言っているのが政治資金規正法の趣旨であり、政治団体なんですよ。なのに、地方の博友会は政治団体としての登録がないから、収支報告もないから、全くお金の流れが見えない。そこが問題なんですよ。そこに下村大臣がどういうふうに関与しているかということで私はお尋ねしているわけです。  フェイスブックの右側を見てください。私の全国にある後援会の一つであると大臣御自身が言っているんですよ。つまり、地方大臣の数ある後援会の一つだと大臣御自身が言っているじゃないですか。大臣のまさに所掌するこうした会の一つなんじゃないですか。
  55. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) いや、私は今までもずっと終始後援会だと言っていましたよ、後援会だと。後援会であるけれども、地方の博友会というのは、直接私の事務所がタッチして人事とか、それから会費とか会則を作っている会ではないということは申し上げてまいりました。当然、私を応援するための会としてあるわけでございます。  それから、小川委員が過大評価していただくのは有り難いんですが、地方の博友会は二、三十人ぐらいの集まりをずっとやってきた会なんですね。ただ、私が文科大臣になってから大勢の方々が集まっていただいて、それで今のような疑惑的な話が出てまいりましたから、それはきちっと整理しましょうということで、先ほど申し上げたとおりでありまして、何かそこで不正をするとか、裏献金とか偽装献金ということは全くなかったから、そういうことを考える必要はなかったというのが地方の博友会の方々の思いだと思います。しかし、それは整理しましょうということに今なっております。
  56. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この表の上の右側ですけれども、これは先ほどお話しした、今年の二月十三日に地方の幹事会を集めて、全国博友会ですか、これを開催された際に大臣の側で作った資料です。ここで、地方の博友会がいつ講演会をやろうかという行事を、結局大臣側が取りまとめているじゃないですか。あるいは、大臣は会員の方全てに寄附の御案内をしたと。つまり、地方の博友会の会員を全部把握しているじゃないですか。そして、大臣は率直にはそのことを認めないかもしれないけれども、しかし資料から見れば、会費は大臣への、十一総支部への寄附として処理されている。  まさに、行事を取りまとめ、会員を把握し、会費は大臣の方で受け取っていると。まさに、大臣の掌握するそうした団体にほかならないと、こういうふうに誰が見たって思いますよ。だから、こういうふうに私は質問させていただいておるわけです。まあ、大臣はお認めにならないでしょうけれども。もう答弁は結構です。  次に質問を移ります。山谷国家公安委員長にお尋ねします。  これ、山谷大臣は、竹島の日に行かれた際、講演された。そのときに、ヘイトスピーチを行っている在特会という方々と記念写真を撮られているということが話題になりました。そのときの写真が上の写真であります。大臣を真ん中にして、周囲に写っている方、在特会の方であります。京都朝鮮学校事件で有罪判決を受けた方二人もこの中に写っております。  大臣は、こうした在特会の方々とどのようなお付き合いをされているんですか。
  57. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 政治家でございますから、特に私は全国を選挙区とする政治家でございます、様々な場所でいろいろな方々から写真撮影を求められる。そのときに、あなたはどういう組織でどういう考え方の持ち主ですかと一々聞くことはないということは、小川委員も政治家でいらっしゃいますので御理解をいただけると思います。  いわゆるヘイトスピーチなど、特定の国や民族を誹謗中傷し、名誉を損なわせる、対立をあおる、憎悪をあおっていく、こうしたヘイトスピーチは本当に憂慮に堪えません。私は、愛と調和に満ちた社会をつくりたいということを信条としておりますので、ヘイトスピーチというのはあってはならないことだというふうに思っております。  今、各党様々御議論があると承知しておりますし、小川委員も熱心にそのことに取り組んでおられるというふうに承知をしておるところでございます。国民の議論が深まって、本当に愛と調和に満ちたヘイトスピーチのない社会になっていってほしいと思います。  その方が在特会の関係者だとは私は全く知らなかったことでございますし、また、在特会とは私は何の関係もないということは繰り返し御説明させていただいているところでございます。
  58. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 大臣、この写真を撮った場所はどこですか。
  59. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 六年以上前のことで私は記憶になかったんですが、なぜか民主党の方たちがお調べくださって、竹島の日の記念式典の近くのホテルということだというふうに教えていただいています。
  60. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 平成二十一年二月二十二日の竹島の日のことであります。まあ確かに六年ぐらい前ではありますけれどもね。  この写真のことが話題になった際に、世耕官房副長官、お越しいただいていますが、このように、写真は大臣から、山谷大臣から報告を受けた話として、講演会の場で撮られたものだと、このように記者会見で説明していました。これはどうなんでしょうか。
  61. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) お答えいたします。  当日、九月十八日、これはたしかその当該週刊誌が発売された日だと思うんですが、その日の午前の菅官房長官の会見を何らかの都合で私が代行することになっておりました。当然会見のときに答弁をしなければいけませんから、山谷大臣のこの週刊誌の記事についても大臣サイドに確認をさせていただきました。そうしたところ、大臣の側からは、お尋ねのこの当該の人物といつどこで撮影をしたかは覚えておらず、ただ、写真が撮影されたとされる日が竹島の日の式典当日であるということから、その際に写真撮影に応じたものではないかという旨の報告を受けました。それに基づいて私は記者会見で、記者の質問が出ましたので答えさせていただきました。  私の日本語の使い方が間違っていてはいけないと思いましたので、辞書で確認をしました。これ、確かに講演会の場で撮られたもので、また写った人物がこのいわゆる在特会の関係者であるとは承知していなかったという報告を大臣から受けているということでありました。この、場という言葉には、当然物理的な場という意味もありますが、一方で、機会とか何々の折にという意味もあるわけでありまして、講演会の折にとか講演会の機会でというふうに述べていれば誤解を招くことはなかったわけでありますが、私は、場という言葉はそういう意味で記者会見で使わせていただいております。
  62. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 じゃ、この続きを読んでください。「講演会の現場などで、いちいち一人ひとり確認をして、」と書いてありますから、講演会の現場なんじゃないですか。
  63. 世耕弘成

    内閣官房長官世耕弘成君) その今引用された頭に「(中略)」と書いてあるわけですね、小川委員のパネルは。その中略のところで私は非常に重要な一言を言っていますよ。例えば講演会の現場などで、一々一人一人確認して、あなたはいいです、あなたは駄目ですなんてことは現実的にできないわけでありますというふうに言っているわけで、これは、記者が一般に政治家のライフスタイルは分からないわけですから、官邸の若い記者はですね。ですから、我々は、一々写真を撮ってくれと言われたときに、例えば講演会場なんかで言われることが多いけれども、それを一々あなた誰ですかなんてことは言えないんですよということを私は一般論として説明をさせていただいているんです。  しかも、「(後略)」となっています、そのパネルで。後略となっているところに私は実は記者からの質問に対する一番結論を申し上げているわけですが、そこでは、何分御本人も在特会の関係者であるということは承知していなかったとおっしゃっておりますので何ら問題はないと考えていますと。これが一番記者の質問に対する核心の部分でありました。  ですから、場所がどこだから問題がないなんてことは言っていません。在特会ということを知らなかったから問題がないというふうに私は記者の質問に答えさせていただいております。
  64. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 あのね、まあその長い文章をやり取りすると時間がないから、またゆっくりしましょう。  ただ、先ほどの大臣の答弁でも今の世耕長官の答弁でも、ポイントはここなんですよ。すなわち、講演会のようにいろんなたくさんの方が来る場で写真を求められたら、一々確認しないで写真を撮りましたよと、ですから、余りよく知らない方から頼まれたから写真を撮りましたというのが、大臣の今の答弁でもそうだし、官房副長官の話の御趣旨なんです。  ところが、講演会の場あるいはパーティーの場ならそういうお話が通用するかもしれないです。だけど、民主党の方で調べました、この写真の場はそういう場ではなくて、大臣が宿泊されたホテルのロビーなんですよ。ホテルのロビーでお会いする方となると、こんな講演会やパーティーのように知らない方がやあっと寄ってきて写真をお願いしますというような場じゃないんです。だからお尋ねするわけです。  大臣、これは大臣が宿泊されたホテルで、ホテルのロビーで朝撮った写真ということはよろしいわけですね。
  65. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) その宿泊したホテルは竹島の日の記念式典の会場の近くの大きなホテルでありまして、一般に国会議員が宿泊するときは皆さんそのホテルに泊まられるというところであります。  また、これも民主党の方に教えていただいたんですが、その方たちは何か教育再生キャラバンで全国を歩いていらしたということでございまして、私は在特会のメンバーとも知りませんでしたし、そのようなことを聞いて撮ったわけではございません。
  66. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 初めの趣旨で、あたかもたくさん講演会の場で知らない人が来たから写真を撮ったというようなお話でした。しかし一方、写真を公表した方の在特会の関係者の方は、山谷先生の宿泊されているホテルへ押しかけと書いてあるから、場所が違うんじゃないかと思ってどこのホテルか写真から調べたわけです。つまり、この在特会の方の言っている方が事実は正しかった。曖昧な言い方をしている大臣の説明が不正確であって、在特会の人が言っている、この山谷先生の宿泊されているホテルへ押しかけというのが事実であったと。  この人が言っているのがあります。山谷大臣ともろもろの事案を相談し、いつものことながら先生ハイテンションと書いてある。ですから、この日、大臣が宿泊されているホテルに行ってもろもろのことを相談したんじゃないですか。そして、いつものことながらと言うのだから、それ以前に繰り返し会っているから、いつものことながら山谷先生ハイテンションという、こういう言葉が出たんじゃないでしょうか。どうですか。  ですから、初めてお会いした方じゃなくて、もう何回も会っている方で、しかもこの日はいろいろもろもろの事柄をお話しした、その前か後か知らないけれども、そして記念写真を撮られたと、こういうことじゃないですか。
  67. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) その方がどのようなキャラクターでどのようにお書きになっていらっしゃるか、私が何か説明をする立場にはございません。
  68. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 この方とは、大臣は議員会館でも写真を撮られていますよね。
  69. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 繰り返し民主党の議員さんからそのような質問をいただいておりますので、私どもの事務所で調べましたところ、別の方を訪問する、何というか、許可証を得て、ざあっといろいろな議員会館の事務所を回られたと聞いております。
  70. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 何の裏付けもないことを言われても困りますよね。少なくともそういう方は私の事務所には来ませんよ。やはり山谷大臣だからお訪ねしたんじゃないですか、いつものことながらということで。いかがですか。もう最後ですから、もう一回答えてください。
  71. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) いわゆるヘイトスピーチをするような過激な言動は許されるものではないと考えております。
  72. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 これまでも総理にはお尋ねしましたが、ヘイトスピーチに対する大臣のお考えを、時間がないので短めで結構ですけれども、基本的に御説明していただければと思いますが。
  73. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 他の国や、あるいは民族、文化に対して、そうした国々あるいは人々に対して憎悪をあおるような、そういうヘイトスピーチは断じてあってはならないし、日本の国内において行われることのないような国にしていきたいと、このように考えております。
  74. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 そうした対応を直接するのがまさに警察であり、そのトップである国家公安委員長が、やはりそういうヘイトスピーチをやっている団体の方と記念写真を撮るというのは大変好ましくないことだと思いますが、そうした指摘をして、次の質問に移らさせていただきます。  先般、イスラム国とかISISあるいはISILといいます、日本人が二人殺害されるという大変に悲惨な、そして深い怒りを覚える事件がございました。  私は、総理が、あるいは政府が、中東に二十五億ドルあるいは二億ドルですか、そうした人道支援をすることについて何の異論もございません。あるいは、このいわゆるイスラム国、こうした非道なテロ組織に対して各国が協調してこれに立ち向かうということも全く賛成でございます。  しかし、幾らそういう状況であっても、現実に日本人が、二人が人質に取られているという状況があれば、そうした何をするか分からないテロ組織が人質に対して危害を加えるというような口実を与えたり、あるいは刺激を与えたりすることがないような、そうした配慮は当然あってしかるべきだと思うんですが、こうした総論的な考え方については、総理はいかがでしょうか。
  75. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今委員がお話しになったシリアにおける邦人の殺害テロ事件、またチュニジアにおける銃撃テロ事件で浮き彫りになったように、今や全ての国がテロの脅威にさらされている、そういう時代となったと認識をしています。  したがって、事の本質は、テロのリスクをいかに低くしていくかという点であろうと思います。テロの脅かしに屈するような態度を取れば、テロには効果があると思われ、日本人がテロに巻き込まれる可能性が更に高まっていくものとなると、こう思います。  カイロでのスピーチに関しては、ISIL自体が一月二十日に公開した動画において、我が国支援を非軍事的支援であると、これはもう明確にそう認識し、彼らの出しているホームページ等で、あるいは動画等に明確にそのことをアラビア語あるいは英語で表示をしているわけでありますから、私のカイロにおけるスピーチが、人道支援を行っていく、あるいは非軍事支援であるということは明確に理解した上においての行動であろうと、このように思います。  一千万人以上の難民、避難民のために食糧、医療など命をつなぐための人道支援を表明すること自体がISILに対して刺激的であり、やめるべきだったと考えるのであれば、そのこと自体がまさにテロの脅威を恐れる余りテロリストの思うつぼにはまっていくと、私はそう考えます。  国際社会は、安保理決議を累次にわたって採択をし、テロと闘う決意を鮮明にしています。この過激主義の流れを何としても止めなければならないわけでありまして、各国から人質を取ってしまえば、テロとしっかりと闘っていくという決意が揺らぐ、あるいは団結が揺らぐ、そして、そういう中で頑張っている穏健派に対する支援すら表明できなくなってしまうという状況をつくれば、まさにテロリストの思うつぼではないでしょうか。  私は、日本はそうであってはならないと、このように思うわけでありまして、大切なことは、過激主義と最前線で直面している穏健イスラム諸国を日本も国際社会の責任ある一員として支援をしていく、彼らは一人ではない、我々も一緒にいるというメッセージを出し続けていくことではないかと、このように思います。
  76. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 総理は私の質問に何も答えていないですよね。  私は、このイスラム国、テロ組織として、決して容認できない、各国が協調してこれに対処するのは当然だと言っているわけですし、援助することも何の異論もないと言っておるわけです。  ただ、そうした考え、姿勢があるとしても、人質が取られているんであれば、人質の生命、身体に危害が加えられないような、そうした配慮をするべきじゃないですか、あるいはした方がいいんじゃないですかと聞いているわけでして、今のように、総理のテロに立ち向かう覚悟、決意を聞いているんじゃありません。テロに立ち向かう、テロに屈する必要はないですよ、全く同感です。私は、そのことについて総理に聞いているんじゃないんです。  もっと具体的にお尋ねしましょう。このパネルで示しました。カイロでの御発言です。これは、そのカイロでの記者会見の際に述べられたことのうちの二つを取り出しました。  一つが前半ですね。「日本政府は、中東全体を視野に入れ、人道支援インフラ整備などの非軍事の分野で二十五億ドル相当の支援を、新たに実施いたします。」。この表現について、私は何の異論もありません、何の批判も持っておりません。  しかし、その後ですね。「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、」、ここからです、「ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。」と。そして、「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、」と、このように表現されていらっしゃる。これはやはりISILを刺激する言葉じゃないかと私は思うわけでありまして、現実に、総理のこの発言があった後、あの悲惨な、非道な殺害が起こったわけであります。  どうでしょう。私は、この後半部分、総額で二億ドル程度と言っていますけれども、これは上にある二十五億ドルの中の一部の二億ドルです。なぜ重ねてここでISILがということを強調した発言をする必要があったのか。あるいは、そういう目的があってもいいですよ。だけど、日本人が人質に取られているという現実を踏まえれば、これは言葉に出さないで、そして、しかしテロには厳しく対応する、こういった姿勢が私はあるべきだったと思うんですが、総理はいかがでしょうか。
  77. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私は中東を訪問し、カイロにおいて言わば政策スピーチを行ったのであります。これは中東世界において注目されるスピーチでありました。そこで、日本は世界の課題にどう立ち向かっていくのか、あるいはどう課題に、解決に向かって貢献をしていくのか、解決に向けて貢献をしていくのか、そのメッセージをしっかりと出していく必要がある、そう考えました。  そして、ISILこそ今イスラムの人々にとって大きな脅威になっているものはないんだろうと思います。人々を平気で殺し、人々からお金を巻き上げ、生活を塗炭の苦しみの中に突き落としているのはまさにISILであります。そのことに触れない、あるいは彼らに対してどう対応していこうかということを述べない、これこそ私はまさに日本のメッセージをゆがめるものになると、こう思います。  先ほど私は明確にお答えをしました。人質を取られているからといってそういうスピーチをしない、人質を取られていなければそういうスピーチをするということであれば、人質を取っていればその国の言論を変えることができる。あるいは、まさにISILに対して、ISILの侵食に対して頑張っている、あるいは難民を受け入れるということに対してもISILは脅かしを掛けている。しかし、その脅かしに屈せずに頑張っている国々に対して、私たちもあなたを支援していきますよということをメッセージとして出していくのは私は当然のことであろうと思います。  それは、たとえ日本人の人質を取ろうとも私たちはそれを曲げることはない、このことによって国際社会はISILの動きを止めることができるのだろうと、この信念は私は変えることはありません。
  78. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 何か総理のお話をお聞きしていますと、そうした大きな国家の目的のためには一人一人の国民の命は顧みなくていいんだと、このように言っているように聞こえますが。  例えば、総理、同じ時期、ヨルダン軍は兵士が人質に取られました。その瞬間、空爆を取りあえず中止しています。やはり、人質が取られれば、取られている人質の生命への危害、身体への危害ということを配慮した、そうした対応、これは決してテロに屈すると言っているんじゃないですよ。言いなりになれと言っているんじゃないですよ。  それはそれで厳然たる姿勢で臨まなくてはいけないけれども、私が一言言っているのは、人質が取られているんだったら、それに対し、人質に危害が及ぶような、そうした言質を与えるような、あるいはそうした口実を与えるような、そうした言葉はなるべく控えて、そして国民一人一人のこの生命を守るような配慮を、これをすべきだったんじゃないですかとお尋ねしたわけです。
  79. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私は、今、小川さんの発言に民主党から拍手が出たことに唖然といたしました。まさに、日本から人質を取れば日本の意思をくじくことができる、それでいいんだと宣言したようなものなんだろうと、このように思います。  ヨルダンは空爆に参加し、そしてパイロットを人質として取られた。しかし、彼らは決してISILを非難することはやめていません。空爆は、一時、もちろん作戦上のいろんな理由があったんだろうと思います。しかし、私はヨルダンの国王と会談を行い、しっかりと、このISILこそ、この動きを止めていくことこそ、イスラム穏健派、イスラム諸国の責任であると自分は考えているということをはっきりとおっしゃっておられたわけであります。そういう諸国をこそ私たちは応援していかなければいけない。そのヨルダンに対して、難民を受け入れている、私たち支援を表明していくということは当然ではないですか。  では、人質事件が長引いていけば、我々はずっとそういうメッセージを出すことができないということになっていくわけであります。日本はそういう国になっては決してならないわけでありますし、全ての国がもしそういう国になったとしたら、ISILはどんどんどんどんどんどんどんどん彼らの支配地域を増やしていくでしょう。(発言する者あり)場外から汚いやじを飛ばしている人がいますが、我々はそういうやじにも屈するわけにはいかないと思っています。  大切なことは、しっかりと、我々は国際社会連携をしながら、このISIL、過激主義の動きを止めていくわけであります。カイロにおけるスピーチのメーンテーマは、中庸こそ最善ということであります。中庸こそ最善というテーマは、イスラムの人たちと共有できる、共有しながらこの考え方を広げていくことによって中東の地域を平和と繁栄の国に、地域にしていきたい、これこそ私のメッセージ、スピーチのメーンテーマであるということは申し上げておきたいと思います。
  80. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、あるいは民主党のメンバーも、テロに屈しろとは全く考えていません。この問題についても、この二億ドル程度の支援をやめろとは言っていません。もう冒頭に言いました、これは支持しますと。だけど、人質が取られているなら人質が取られているという状況下において、やはり一つ一つの言葉の使い方についても配慮する必要があるんじゃないかと言っているわけです。私も民主党も、このISILと闘うのをやめろとか、ISILに屈しろとか、人質を解放するために何でもかんでも要求に応じろなんてことは全く言っていません。  私は、総理のお言葉の中に、大きな目的のため、国家の目的のためには国民の一人一人、全く生命も配慮しないという、そうした姿勢が表れたんだなと、こういうふうに感じました。  今日はNHK会長をお呼びいたしました。もう残り少ないんですけれども、ガバナンス委員会調査で、弁護士に対する多額の報酬を支払ったことが問題となっております。この委任報酬をする際に、一時間当たり幾らという単価は決めたけど、上限を決めない契約をしています。  これは、契約の発注の仕方として、幾ら請求をされるか分からないような契約の発注の仕方、これはやはり好ましくないんじゃないか。しかも、そうした発注した相手方の弁護士が、会長の以前からの御面識のある方だとなると、これはやはり情実が伴う発注じゃないかと、このような誤解を招きます。いかがですか、会長。
  81. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) お答えします。  私どもは、このガバナンス調査委員会に、弁護士に仕事をしてもらったわけですが、その仕事については、我々は適切な料金を払ったわけですが、これにつきましては単価に基づいて払わせていただきました。  我々としましては、今青天井になるんじゃないかとおっしゃいましたけれども、契約でしっかりと、三月十八日から九月末までと、こういう取決めをしておりますので、議員が御心配になるような、青天井になるようなことは全くないわけでございます。
  82. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 時間が過ぎておりますから、答弁おまとめください。
  83. 籾井勝人

    参考人籾井勝人君) 我々としましては、今情実の話が出ましたけれども、弁護士事務所はやはり利害関係がないところをきちっと選びますから、そういう意味で、我々は、そういうことで選ばれました。  それから、情実と言っておられる意味はよく分かりませんけれども、そういうことは私が選んだわけではございませんので、そういう情実関係は全くございません。
  84. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 終わります。
  85. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  86. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、若松謙維君質疑を行います。若松謙維君
  87. 若松謙維

    ○若松謙維君 公明党の若松謙維です。  今日は、国民生活エネルギー政治理念ということで、国民生活に話題を移したいと思います。  地方創生の観点から、自治体間交流と障害者支援事業の役割についてお尋ねいたします。  人口減少を乗り越えるために、首都圏から地方へ人、金、物が移動する流れができるかが国民の大きな関心事項になっています。その一つに、東日本大震災以降、防災協定等の自治体間交流の効果があると考えます。  資料一を御覧ください。(資料提示)私の小選挙区でありました上尾市のマスコットに、アッピー君、左です、がいます。上尾市と防災協定を結んでいる、現住所郡山市に隣接する本宮市には、まゆみちゃんというマスコットがいます。パネルの、この資料の真ん中を見てください。この二人が昨年結婚しました。(発言する者あり)ありがとうございます。その物語をクッキーにし、自治体間交流のツールとしています。これがその真ん中のクッキーで、後で召し上がっていただきたいと思います。  このクッキーを作ったのは、実はさいたま市の授産施設、杉の子学園の障害を持った園児たちです。また、公明党のネットワークもこの結婚に貢献しております。  自治体間交流と障害者支援事業地方創生への役割について、総理はどのような感想をお持ちでしょうか。
  88. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) このようなキャラクターやマスコットを用いた地域おこしは多数の例がありますが、埼玉県上尾市のアッピー、そして福島県本宮市のまゆみちゃんのようなマスコット同士の結婚というのは画期的なアイデアではないかと、このように思います。是非、私の地元のこうしたキャラクターも、福島県の方で募りたい、長州は割と嫌われているという側面もございますが、是非お願いをしたいと、こういうふうに思います。  両市の連携は、東日本大震災への対応において、上尾市が本宮市に緊急消防援助隊を派遣したことに端を発するというふうに伺っています。県境を越えた自治体間の交流を進めることによって人や物の移動を促進することは、地域の活性化につながっていくと思います。  また、高齢者や障害者が生きがいを持って活躍できる全員参加の社会実現も、地方創生にとっては大変重要であります。両市のマスコットの結婚といった地域の独自性や創意工夫あふれる話題を題材に障害者が商品開発を行うことは、地方創生の実現においても大いに意義があると考えております。
  89. 若松謙維

    ○若松謙維君 またいい事例を是非紹介したいと思います。  次に、自公政権の社会保障、福祉政策の方針についてお尋ねいたします。  資料二の一を御覧ください。昨年四月から、国民健康保険や後期高齢者医療制度におきまして、所得の少ない方々約五百十万人に対して保険料軽減が実施されました。  資料二の二を御覧ください。急がせて済みません。本年一月からは、高額医療制度見直して、年収三百七十万以下の方々に月二万三千五百円の減額。  そして、資料二の三は、難病疾患の場合、医療費助成対象が五十六から三百に拡充するなどの対策が実施されましたが、この高額医療制度や難病疾患の制度拡充については、国民に必ずしも十分に周知されていません。  こうした社会保障、福祉制度改革国民にしっかり伝える必要があると考えますので、是非総理から、どのような改正が行われたか、直接御説明をお願いします。
  90. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 消費税率の八%への引上げによる増収分を活用いたしまして、本年一月から、高額療養費制度見直しと難病、小児慢性特定疾患に関する対策の充実を実施をしています。  具体的には、高額療養費制度というのは、これは、手術等で医療費、お金がたくさん掛かっても、ある程度の限度額を設けて、それ以上お金を患者さん本人は負担をしなくてもいいという制度でございますが、この制度については、負担の公平性を図る観点から、七十歳未満の所得区分を細分化をいたしまして、所得が相対的に低い方、年収三百七十万円以下の自己負担限度額を引き下げました。  難病については医療費助成の対象疾病を五十六から百十に拡大をしたところでありまして、更に本年七月を目指し約三百に拡大することとしています。今まで難病の方々の中において、なかなかこの指定が受けられないという中において大変苦しんでいた方々がおられました。その方々に対して今度はしっかりと、そういう皆さんに対しても国として支援をしていくということを明確にしたと思います。  引き続き制度の周知に努めていきたいと、このように思っております。
  91. 若松謙維

    ○若松謙維君 今、国会でいわゆる税と社会保障の一体改革が議論されておりまして、負担能力に応じた、いわゆる応能負担ですか、という視点から幾つもの低所得者対策が行われておりまして、こうした方向性をきちんと守っていくことが重要であると考えます。  今後の改革におきましても、こうした基本理念を守りつつ、具体的な低所得者対策を更に進めていくという総理決意を伺います。
  92. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安倍内閣としては、自助自立を第一に、そして共助、公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べていく、これが基本的な考え方であります。低所得者の方々生活に対し、しっかりと目配りをしています。  平成二十六年度においては、高額療養費制度見直し等のほか、国民健康保険や後期高齢者医療における低所得者の保険料軽減の拡充、消費税率引上げによる影響を緩和するため簡素な給付措置の実施などを行っています。また、平成二十七年度予算では、低所得者が多い国民健康保険の財政基盤の強化、そして介護保険における低所得者の保険料軽減の拡充、簡素な給付措置の実施、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への相談、就労支援など、包括的な支援などの施策を推進することにしております。  今後とも、社会保障・税一体改革を進める中で、きめ細やかな対応を進めていきたいと思います。
  93. 若松謙維

    ○若松謙維君 公明党といたしましても、引き続きチーム三〇〇〇を使って、いろいろと現場の声をお伝えしてまいります。  次に、本年十二月、パリでCOP21という新しい地球温暖化対策の枠組み、制度設計を決める重要な会議が開かれます。国内では、エネルギーミックスという、我が国エネルギー需要を、化石燃料原子力、水力、再生エネルギー等、どのような構成で賄うか結論を出さなければなりません。  そこで、資料三を見ていただきたいのですが、太陽光や風力による再生可能エネルギー導入が進んでいますが、そのコスト負担分として賦課金があり、現在、標準家庭へ月額二百二十五円負担していただいております。これが四月から月四百七十四円に上がり、家庭当たり年額約三千円、国民全体で一・三兆円負担増と理解しております。  一方、原発再稼働の議論もありますが、廃炉決定、もう既に五基あります。一基当たりの廃炉コストは、経済産業省の見積りでは平成二十五年度では一基五百五十五億円ということで、実は実例はないわけであります。国内に約五十基の原発がありますので、約二・八兆円のいわゆる廃炉コストが見積もられまして、現在、そのうち約一・六兆円の引当金が電力会社十社で負債に計上されています。  また、国内にはガラス固化体を含む高レベル廃棄物等があり、これらの最終処分コストは三・五兆円と見積もられています。  さらには、福島第一原発事故によりまして、現時点は金額が違いますけれども、恐らく今後も含めて九兆円ぐらいの除染又は賠償費用が見込まれると考えております。  これらの廃炉及び最終処分費用のほとんどは、ほとんどですね、電力料金を設定する際の総原価コストに含まれるので国民負担となるわけでございます。経産大臣、私の理解でよろしいですね。
  94. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今お示しいただきました表の上の三つは、これは総括原価に含まれて、最終的には電力料金に乗るということになります。  一方で、除染の費用につきましては、これは最終的に廃炉機構、賠償機構が持っております株を売却して充てる予定でございますから総括原価にはなりません。また、賠償費用の総額につきましては、これは賠償機構に九電力が一般負担金で負担するのと東電が特別負担金を負担しますけれども、一般負担金は原価に乗りますが、特別負担金は乗りません。そういう状況でございます。
  95. 若松謙維

    ○若松謙維君 了解しました。そういう意味で、ほとんどがということですので、御説明ありがとうございます。  そこで、いわゆる再エネ導入もコストが掛かる、また原発廃炉もコストが掛かる、こういうところで今後どういう日本エネルギー政策を目指すべきかと、そういう観点から質問いたしますが、そこで話は福島県に移します。  福島県は、原発事故を受けまして、二〇四〇年までに県内エネルギー需要を再エネで一〇〇%賄うという計画震災一年後に発表いたしました。この福島県の計画に対して国は全面的に支援すべきと考えますが、総理のお考えをお尋ねします。
  96. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 福島県においては、再生可能エネルギーの推進を復興の柱として位置付け、再生可能エネルギーの導入割合を一〇〇%にするという目標に向けて取組を進めておられると承知をしています。政府としても、こうした取組を全力で支援をしてまいります。  このため、福島での再生可能エネルギーの導入を特に後押しをする特別な支援を講じています。具体的には、固定価格買取り制度における優先的な接続枠の確保、そして固定価格買取り制度と併用可能な発電設備等の導入支援、さらには東京電力の送変電設備の改修、活用を通じた導入可能量の拡大等の取組を行っています。  また、福島において再生可能エネルギーの技術を集積をするため、産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所を郡山に開設をし、最先端の研究を行うとともに、地域企業や大学との連携を進めるなど取組を推進しています。  引き続き、福島と緊密に連携をしながら、福島における再生可能エネルギー事業について積極的に支援をしてまいります。
  97. 若松謙維

    ○若松謙維君 私は、この福島県の計画に対して県内自治体の対応を調べたんですが、例えば福島市と郡山市が二〇二〇年までに三〇%の再エネと、会津若松市が二〇二三年まで六〇%、いわき市は、今復興震災で大変なので、今、再エネ対応はこれからというふうに認識しておりまして、県と市町村の一体化した再エネ推進体制にはまだ課題が多いと、そういうふうに理解しております。  そのために、現在もいろいろやっていると思うんですけど、県と国の協議会設置等も進めながら是非国の支援お願いしたいということでありますが、経産大臣、いかがでしょうか。
  98. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今総理からも答弁がございましたけれども、福島県がまさに復興の柱の一つに再生可能エネルギーの一〇〇%導入というものを掲げておりまして、我々としても、もうともかく全力で支援をしていかなければいけないと思っております。  そういう中で、福島県知事が会長を務めます福島再生可能エネルギー関連産業集積推進協議会には、経済産業省を始め関係省庁も参加して、福島県における再生可能エネルギーに関連する産業の集積や導入の促進について定期的に関係機関の取組を情報共有し、連携した取組の推進について議論を行っております。  さらに、国、福島県のほか、電力事業者や再生可能エネルギー発電事業者から成る新たな協議会を五月をめどに設立し、東京電力の送配電設備を活用して再生可能エネルギーを導入する事業については、売電収入の復興事業への還元や福島県からの資本の発電事業への活用などを可能とする枠組みを五月から構築することとしております。
  99. 若松謙維

    ○若松謙維君 是非、引き続きいろんな多面的な御支援をよろしくお願い申し上げます。  先ほど触れましたが、今年末にはCOP21がパリで開催と。世界の主要国、新興国、さらには発展途上国が参加したまさに京都議定書以上のCO2削減の包括的な制度設計が決定されます。  原発が未稼働の我が国は現在化石燃料に頼らざるを得ない状況ですが、世界先進国レベルのCO2削減が難しい状況とは理解しています。しかし、地震、津波、火山、台風等、自然災害リスクが高い日本は、安易に原発再稼働に走るのではなく、国民の三分の二が原発再稼働に消極的ですので、国民の理解を得ながら、再生可能エネルギーのコスト負担増を国民お願いしながら、また吸収しながら、再エネ導入を更に積極的に推進すべきと考えます。  公明党は、以前から再エネ三〇%の実現を主張しております。原発、再エネはお互いに二酸化炭素を発生させない電源でありますが、リスクの低い再エネ導入を加速化すべきと考えますが、総理のお考えを尋ねます。
  100. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府としては、徹底した省エネルギー再生可能エネルギーの最大限の導入を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減させるという基本方針に変わりはありません。我々は、あの福島第一原発の過酷事故からスタートしている、この思いに変わりはないわけでございます。  再生可能エネルギーは、エネルギーの安全保障の強化や低炭素社会の創出等の観点から重要な電源であります。他方、発電コストが相対的に高いなどの課題は確かにあります。固定価格買取り制度を軸に、技術開発や規制改革等を組み合わせて強力に推進をしています。引き続き、国民負担の抑制と電力の安定供給を確保しながら、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて政府として全力を挙げていく考えでございます。
  101. 若松謙維

    ○若松謙維君 これからが実はクライマックスでございます。  資料四を御覧ください。  二〇〇一年、循環社会形成推進基本法が議員立法で成立しまして、廃棄物に対して以前はいわゆるリサイクル政策だけだったんですが、現在はリデュース、リユース、リサイクルの3Rが常識となりまして、社会経済システムが大きく変革し、その結果、廃棄物は資源となり、この資料にもございますが、資源生産性は二倍向上、廃棄物の最終処分量は七割減と劇的に減少しております。  資料五を御覧ください。  昨年六月、二〇四〇年までのCO2フリー、いわゆる二酸化炭素ゼロですね、の水素供給システムの確立を目指した水素・燃料電池戦略ロードマップを取りまとめました。これは、二〇二〇年代半ばまでのフェーズ1は、家庭用燃料電池、いわゆるエネファームですね、又は燃料電池車普及拡大による水素利用の飛躍的拡大です。二〇三〇年頃までのフェーズ2は、水素発電の本格的導入と大規模な水素供給システムの確立、そして二〇四〇年頃のフェーズ3は、再エネを水素に転換し、そして二酸化炭素ゼロの社会実現することであります。  そして、資料六を御覧ください。  実は、ハイブリッドカーのプリウスは一九九六年に販売されたんですが、それ以前の一九九二年には燃料電池が開発されております。しかし、コスト等の面で大衆実用化がされませんでしたが、今後は再エネでつくった電気を水素に転換して車のガソリン代わりに使えるようになります。これがいわゆるこの「創」、つくる、そして「蓄」、ためるであります。トヨタのミライが昨年十二月から発売され、二〇二二年までには現在のプリウス並みの価格になると見積もられております。  「省」、「創」、「蓄」というこの言葉がありますが、省エネの更なる、今総理もおっしゃられましたが、推進と併せまして、再エネや水素でエネルギーをつくる、そしてそれらを蓄電する技術開発を更に進めなければなりません。この水素社会実現こそが日本エネルギー改革の進む道であり、そのような水素社会をつくるため、水素の活用に当たっては、国内の再エネ等から水素を生み出し利用することを優先し、そして化石燃料などから生まれる水素を可能な限り避けることを基本原則とする水素社会形成推進基本法のような法制化を検討し、原子力社会からCO2フリーの水素社会移行へのスタートを切るべきと考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
  102. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 若松委員にも御協力をいただきまして、安倍内閣規制改革によって、昨年、夢の水素社会への幕が開きました。世界に先駆けて日本で燃料電池自動車と水素ステーションが商業化をしました。次はセルフ式の水素ステーションを規制改革により実現するなど、水素利用の拡大に全力を挙げていく考えであります。  さらに、議員御指摘のように、水素を製造段階も含めてCO2を排出しないエネルギー源とすることは極めて有益であり、将来的には再生可能エネルギー等を活用したCO2フリーの水素供給システムを目指してまいります。  一方、現時点ではコストが高い等の課題があることから、研究開発や実証等に力を入れているところであります。このため、水素社会形成推進基本法のような法律が直ちに必要となる状況にあるとは考えておりませんが、CO2フリーの水素社会実現に向けて戦略的かつ着実に取り組んでいく考えでございます。
  103. 若松謙維

    ○若松謙維君 是非、この法律も含めて、いろいろとまた自民党皆さんと協議をしながら、また提言をしていきたいと思っております。  最後の質問に移ります。  安倍政権におきましては、行政事業レビューを通じて行政の無駄の排除に取り組んでおられまして、国の約五千の全事業について、資料七でございますが、各府省が点検、見直しを行う行政事業の総点検が行われております。行政事業レビューは大きな成果を上げておりまして、昨年の秋のレビューの指摘を踏まえて、概算要求から一千億円を削減、また歳入面では、百七十四基金の再点検を実施し、新たに三千億円超の国庫返納を確保いたしました。  こうした成果は評価したいんですが、公明党は、行政事業レビューについて更なる改善の余地があるということで、適切なアウトカムの記載の徹底、政策評価との連携強化、基金の定義の明確化などの改善点を政府に提言としてまとめまして、三月二十七日、有村大臣に提出いたしました。  そこで、総理には行政事業レビューの成果を改めて伺うとともに、その課題及び公明党からの申入れも含めた対応について伺い、最後の質問といたします。
  104. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 委員の御指摘のように、安倍内閣におきましては、行政事業レビューの改善を行いつつ無駄の撲滅に取り組んでまいりました。  具体的な成果としては、今パネルに掲げていただいているように、内閣の重要施策も聖域とせず見直しを行い、約千億円の無駄削減を実現しました。また、法人向け百七十四基金全てに再点検を求めて、結果、新たに三千億円を超える国庫返納を確保しました。  行政事業レビューを更なる税金の有効活用や無駄削減につなげていくためには、委員指摘のように、個別の事業成果に関する具体的かつ適切な目標を設定し、それが達成されているかについての厳格な点検が行われることが重要であると考えています。このため、先月の行政改革推進会議において、各府省に対し、予算要求に際し定量的な成果目標の設定を徹底するよう求めるなど、自己点検の厳格化のための改善策を取りまとめたところであります。こうした取組も踏まえつつ、個々の事業を厳しく点検し、無駄を排除してまいりたいと思います。  また、御党から申入れのございました政策評価との連携強化については、これまで以上に政策評価書などのデータを事業の点検に活用することとしまして、基金の定義の明確化については、まさに基金の定義を明確化することにより、今年度から点検対象を拡大をしていきます。いずれも先月の行政改革推進会議において改善を図ることとしたところでございます。
  105. 若松謙維

    ○若松謙維君 以上です。終わります。  ありがとうございました。
  106. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で若松謙維君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  107. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、室井邦彦君の質疑を行います。室井邦彦君。
  108. 室井邦彦

    室井邦彦君 維新の党の室井です。よろしくお願いを申し上げます。  早速でありますけれども、今回の質問に対しまして、私は、国民生活とそしてエネルギー、この二点について政府に質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、国民生活、高齢化の、厚生労働省に対する質問をいたしますけれども、今日、朝、宿舎を出る前にテレビを見ますと、このようなことが報道されておりました。高齢者の方々に診断をされて、調剤薬局がおじいちゃん、おばあちゃんたちにお薬を配合したものをお渡しすると。そうしたら、やっぱり痴呆症にかかっている方もおられたり独居老人の方もおられたり、結局、家に持ち帰って、その薬を引き出しに入れたまま飲んでおられないと。どのような算出をされたのか分かりませんが、そのような薬が計算すると約五百億円あるというふうに、どう算出されたのか私はちょっと分からないんですが、そういうことが報道されておりました。これはもう半端なことじゃないな、このように感じております。  今日はその件についてもちろん御回答は結構ですが、そういうことがあったということで、よく薬剤師さんが非常にこれに対していろいろと前向きに取り組んでいただいているようであります。是非その方も御検討、これから対応していただかないといかぬな、こう思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  早速でありますけれども、なぜこのような質問をといいますか、実は私は高血圧、減塩ということに非常に、私自身も薬を飲んでおるわけでありますけれども、(資料提示)ここの表にもありますけれども、約四千万人の方々がそういう高血圧の病気を抱えておられると。血圧が高い、ここからイギリスは国策として減塩政策を成功しましたというふうに評価されております。それを、いろんな例を出して、今厚生労働省としてはどのような、消費者庁も対応されているのかお聞きしていきたい。  こういうことで、我々維新の党は、ともかく歳出を抑えよう、我々は、自ら身を切る、身を削る改革をしなくちゃいけないということで、小さな政党ではありますけれども、歳入も大事でありますけれども、まず歳出から、できる限り身近なことからそういう歳出を抑えていこうと、こういう方向で今進んでおります。是非御理解をお願いをしたいと思いますけれども。  そして、私は昭和二十二年の団塊の世代の生まれでありまして、我々の団塊の世代、二十二年、二十三年、二十四年、約六千四百五十万人、十年後は後期高齢を迎え、七十五歳。そういうことになると医療費だけでもう五十四兆円を超えてしまうと。実際毎年一兆円ずつが加算されるというか、こういうことで増えているということでありますけれども。  こういう現状を今厚生労働としてどのような政策でどう対応していこうかとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 持続可能な医療制度を達成するためにも、今先生がおっしゃった論点は大変重要だと私どもも思っているところでございまして、特に、健康増進法がございますが、これに基づいて、国民の健康の増進の総合的な推進を図るために、基本的な考え方を健康日本21というので定めておりまして、後ほどいろいろ出てくると思いますけれども、食生活改善とか、運動習慣の定着とか、あるいは生活習慣病の発症の予防や重症化予防に重点を置いた施策を私どもとしては推進をしているところでございます。  将来の医療費の抑制という観点からも大変重要だと思いながら、高血圧等の生活習慣病の予防、それから医療費の適正化、これを図るために、平成二十年度より医療保険者においてメタボリックシンドロームに着目をいたしました特定健診、保健指導というのを実施をしてまいっております。  特定健診の結果、例えば、先ほど先生もお薬を飲んでいるとおっしゃっておられましたけれども、血圧が高いなどの一定の基準を満たしている場合、条件を満たしている場合には運動指導や栄養指導の保健指導を行ってきているということでございまして、厚労省としては、高血圧を始めとした生活習慣病の対策というのは極めて重要だと認識をして、こうした取組を今後とも進めていきたいと思っておりますし、今年一月にダボスに行ったときにも、やはり各国共通に生活習慣病をどうコントロールしていくのかということは極めて大きな議題にもなっておったところでございます。
  110. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  生活習慣病で亡くなっている方々、これは約百二十六万人おられるわけでありまして、その中で、塩の摂取、要するに血圧、その取り過ぎでお亡くなりになられている方が三十二万二千人、約二五%が生活習慣病の中での塩分の関係でお亡くなりになられていると、高血圧とかですね、いろいろと疾患病がございますけれども、診療医療費で申し上げると、御承知のとおり、八・九兆円この生活習慣病で掛かっているわけでありますが、その中で、脳血管疾患とか心疾患、高血圧性疾患、ここの関係で四・四兆円の診療医療費が掛かっていると。非常に大きいウエートを占めておるわけであります。  何とか歳出を抑え込もうというときに、この状況を見られて、特に厚生労働省だと思うんですけれども、この食塩摂取量、生活習慣病についてどのように、具体的に、少し、今こういうことをしているんだというような政策があればお聞かせをください。
  111. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 我が国の成人一人一日当たりの平均の塩の摂取量、食塩摂取量は平成十二年から平成二十五年にかけて減少にありますけれども、実は平成二十五年の摂取量というのは十・二グラムということで、健康増進法に基づいて理想的な摂取量として食事摂取基準というのがございますが、これに示されました目標値、これ、男性八・〇グラム未満、女性七・〇グラム未満となっておりますけれども、これと比較をいたしまして、今十・二でありますから、依然として高いという状況にあって、厚労省としては、これまで減塩に向けた取組の一環として、まず第一に、平成二十五年度から開始をいたしました第二次健康日本21、ここにおきまして食塩の摂取量の減少というのを目標として設定をし、そして減塩に向けた普及啓発を行っているところでございます。  二番目に、毎年実施しております国民健康・栄養調査というのがありますが、ここで食塩相当量を把握をいたしまして公表するということになっておりまして、それが今の十・二グラムになっていて、まだ高いということでございます。  こういうふうな取組でこの摂取量を塩について減らしていく努力をしているところでございます。
  112. 室井邦彦

    室井邦彦君 イギリスではこのような運動の展開が二〇〇四年から始まっておりまして、日本は二〇〇〇年からということを聞いております。イギリスは非常に高い効果を上げておるように聞いておりますし、このことで私も何度か英国大使館から資料をいただいたり、それなりの、短い時間でありますけれども、勉強いたしまして、なかなかの成果を上げております。  そういう中で、塩というのは、一つは麻薬みたいなもので、人間というのは、調べると、約千年ほど前はもう全く塩分の味を知らなかった、塩分を取っていなかったと。その後、急激に、塩分中毒といいますか、塩の力というかおいしさに、人類はこういうことで塩分の取り過ぎによって随分亡くなられておられるんですけれども。  イギリスでは今そういうことで、イギリスの場合、日本の場合もほぼ一緒、ほぼ変わりはないんですけれども、外食産業で食をする、そしてまた、ほとんどが、七五%、日本の場合は七〇%ほどですけれども、大した変わりはありません、加工食品が塩分を非常に含んでいると。ですから、私もいろいろと議員宿舎で自分で生活しておりますけれども、ついつい、塩分を控えめ控えめと思っても、買うものに対して全てが塩分が高い、その方がおいしいんだと、そういうことですね。イギリスはこれを徹底しております。後ほど申し上げますけれども、そういう現状であります。  この英国の、もう御承知だと思うんですけれども、減塩キャンペーン、食品業界の取組をいろいろとしておりますけれども、我が国においてはどのように、もう既にそういう対応をしつつあるということを、質問の通告をするときに若い人たちがいろいろと来られました、ですから聞いておりますけれども、ひとつその減塩キャンペーン、食品の業界に対してどのような対応を国として、政府としてされておられるか、お聞きをいたします。
  113. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今イギリスのお話が出ましたけれども、二〇〇三年から減塩のための国民的運動というのがイギリスでは実施をされて、二〇一一年までに食塩の摂取量が一五%減少したという報告を聞いているわけでございます。  食塩の過剰な摂取というのは、高血圧とかそれから脳血管疾患などのリスクを高めるということがありまして、我が国は欧米に比べて一日当たりの食塩の摂取量が、やはりしょうゆとかみそ汁とか、そういうことで高い傾向にあることから、生活習慣病を予防して健康寿命の延伸を図るために減塩に向けた取組は極めて重要だという先生の指摘はそのとおりだと思っております。  このため、厚労省ではこれまで、国民健康づくり運動でございます、さっき申し上げた第二次の健康日本21において、一日当たりの食塩摂取量を、先ほど申し上げたように、今度はこれ二〇二二年まで、平成三十四年までの、八グラムに低減させる、今、先ほど申し上げたように十・六というのが二十二年度でありますけれども、この目標を掲げておりまして、幅広く普及啓発を進めながら、食品中の食塩低減に取り組む食品企業数を平成三十四年度に百社、今は、平成二十四年度では十四社でございますけれども、これを目標として掲げて企業の対応を促進するとともに、企業との協働を主体とした健康づくりの取組としてスマート・ライフ・プロジェクトというのを推進をしておりまして、減塩に向けて優れた取組を行う企業を表彰をしているということもやっているわけでございます。  これらによって一日当たりの食塩の摂取量は徐々に減少する傾向にあるわけでありますけれども、まだ水準としては高いということなので、こうした動きを更に加速をして目標達成を目指したいというふうに思います。
  114. 室井邦彦

    室井邦彦君 目標は持っていても、何が何でもやらなくちゃいけないんだというそういう意気込みがないと、男性が八、女性が七グラムというのも聞いております。こういう目標値はあるんだということもお聞きしています。だけど、目標は目標として、その戦略、そして何が何でもやっていくというそういう魂を入れていただかないと、目標だけではもう達成しない、私はこのように思っておりますので、国民が幸せにいつまでも元気で働けるような環境政府はつくっていくべきである、このように思っておりますので、大きく期待を掛けておりますから、頑張って是非いただきたいと思います。  もう最後の質問になりますけれども、この減塩の部分ですけれども、一グラムの減塩でこのようなことが、イギリスの担当者は言われました。四千百四十七人の循環器疾患による死亡を食い止めたと、そして国民健康サービスの毎年二億八千八百ポンド、恐らく五百億円以上の費用削減の効果があったんだということを言っておられます。  そして、この減塩で難しいのは、食品業界が嫌がるんですよね。塩の加減を落としていくとおいしくないということで、そんなことは付き合うことはできない、幾ら国の指示でもできない。そうしたら、若い科学者が、じゃ段階で落としていこうと、三段階ぐらいでね。そうすると、おかしなもので、これはマジックじゃないんですが、人というのは六週間から四週間で薄味に慣れてくるというんですね。  ですから、国民をだますという表現はいけないですが、そういう方法が取れるんですよね。是非そういう方法を取っていただいて、もう一方では、その結果、心臓病の患者が減り、毎年二千六百億円もの医療費の削減につながったと、このようなデータも出ているんです。  今この厳しいときに、是非私は総理お願いしたいんですが、先ほど申し上げましたように、高齢化社会で、私も十年後は七十七になるのかな、それでも元気よく、現役は引退しておりますけれども、幸せのために孫のために、ちょっとは……(発言する者あり)ああ、そうか、ごめんなさい。そういうことで、何とかこれを、一つの法案を是非総理お願いしたいと。がん対策基本法とか肝炎対策基本法とかあります。アレルギー疾患対策基本法、アルコール健康障害対策基本法。この減塩対策基本法、仮称ですけれども、これをすることによって国の財政を支える、こういうことができると思うんですよね。  是非、総理、今までの議論をした中で感じておられることがあれば、是非ひとつコメントを聞かせてください。
  115. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、室井委員の御指摘を伺っていて、私も少し減塩しようという、そんな気持ちになってまいりました。まだ血圧は高くはないんですが、まあ委員会中はちょっと高いかもしれませんが。  我が国は欧米に比べまして一日当たりの食塩摂取量が高い傾向にあることから、生活習慣病を予防し、健康寿命の延伸を図るため、減塩に向けた取組を進めることは重要と考えています。  このため、これまで、食塩摂取量の低減に向けた目標を定め幅広く普及啓発を行っていくとともに、減塩に向けて優れた取組を行う企業等を表彰するといったことを実施をしてきておりますが、これらによって、一日当たりの食塩摂取量は徐々に減少する傾向にあると承知をしています。  今後、そうしたものを法制でやっていくのか、あるいは、今までのこうした減塩を進めていく、企業も巻き込んで国民運動的に進めていくことをパワーアップしていくのかということについてはまた議論をしていきたいと、こう思うのでございますが、まずは今後、目標の達成に向けて、厚生労働大臣の下、こうした動きを加速していくとともに、一人一人の健康指導の中で食生活改善に関する指導を強化するなど、幅広く施策を展開することによって国民の健康長寿につなげるよう努力をしていきたいと、このように考えております。
  116. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  是非、国民が幸せに笑顔で、高齢化社会は既にもう来ておりますけれども、健康で働けるように、歳出削減のために、ひとつ是非政府の方も御努力をお願いをしたいと思います。  じゃ、続いて、原発、エネルギーの件で御質問させていただきます。  時間が少なくなってきましたので、まとめてと申しますか、質問をしたいと思いますが、このようなことはもう御存じだと思いますが、私は関西でありますけれども、関西の黄砂、黄砂はゴビ砂漠からタクラマカン砂漠、これ五千キロメートルぐらいあるんですけれども、そこから、尼崎なんですけれども、黄砂が来たときに、ガレージで屋根もあるんですけれども、車の上に黄砂とかそういうものが積もるというか、字が書けるんですよね。  その現状をいろいろと考えたときに、今、中国はすごい勢いで原子力発電所の建造、建設を計画をしておりまして、この資料によりますと、結論から申し上げますと、四百基分相当に当たる四億キロワットの原発を建設するという計画があるんです。それはそうでしょう、十三億、十四億の人間をグレードアップして文化的な生活をさせようと思ったら、エネルギーが必要だと。  そうすると、やはり四川地震もありましたし、何も地震だけじゃなく、人的災害もありますし、いろんなテロもある。そんなときに、あさっての国の問題だから日本は知らんでというわけにはいかない。やはり日本も、これ日本全土の避難計画をしておく必要も出てくると。非常に大げさなような話をしておりますけれども、実際そういう問題出てくると思いますし、もう一点は、安倍総理がよくおっしゃっている中で私も気になっているんですけれども、日本の国は世界一、最高の基準だということを口にされ、その世界一、最高の基準をクリアしたところに対しては再稼働を許すというか、再稼働をさせるんだと。  しかし、これだけ言っておきたいんですけれども、コメントは結構ですけれども、日本の国は世界一危険なところに原発を建設しているということを是非忘れないでほしいんです。ですから、世界一、最高基準の基準だといっても、私は、それは当たり前で、それほど自慢する言葉じゃない、このように思っております。ドイツやフランスは、火山が一つぐらいで、地震があるかないか皆無に等しいところ、日本とは全く条件が違いますし、島国でありますし、火山が百十、今現に活発に、気象庁が観測、いつ噴火するか分からない火山が四十七もあるということでありますから、いつどこでどういう火山が爆発して、一トンぐらいの岩石が原発の上に落ちてくるというようなことも考えられるんですから、その点を十分に考えていただきたい。  そういうことで、我々は、原発再稼働責任法案というのを今考えておりまして、出させていただきたいなというふうに思っております。  そこで、質問をいたしますけれども、今、将来の電気業界は、それぞれ自由化され、非常に経営状況が厳しくなり、収入もやはり以前のようなわけにいかない。そうなってくると、一つこういう事件、こういう事故を起こすと、有限責任と無限責任ということで、政府と業者と地域の責任をしっかりとこれは法律で定めて決めていかないと、後々どういう、今後、賠償の交渉もまだまだ多く抱えておる、こういう現状でありますので、是非、時間もありませんので一つにまとめて、我々は新しい法案出そうとしておりますけれども、ひとつ、経産大臣になるんでしょうか、これに対してのコメント、お考え、御意見をお聞かせいただければ。
  117. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 手短にお答えいたしますけれども、まず国の権限の明確化につきましては、現在、原子力委員会検討を進めるということになっておりますので、有識者の参加を得た上で検討していきたいと思っております。  それから、原発を再稼働させるための条件なりプロセスの明確化ということにつきましては、まず、立地自治体だけではなくて周辺自治体の同意もというお話につきましては、私どもといたしましては、それぞれの立地ごとに条件が、いろいろ状況が違っておりますので、やはり各地の方と、国が一方的に決めるのではなくて、よく各地の方と相談しながら決めていくということがいいと考えております。  また、関係閣僚会議をという話につきましては、これは昨年の四月にエネルギー基本計画を閣議決定いたしまして、新しい規制基準に適合していると原子力規制委員会において認められた原発については再稼働をしていくということでありますが、なぜ再稼働をするかといいますと、それは今、日本で行われているエネルギーの安全保障の関係、またCOP21をにらんだ対応等々でございまして……
  118. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 時間が過ぎております。簡潔な御答弁をお願いします。
  119. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) たくさん質問があるものでございますから。  ということで、専門的、科学的に規制委員会検討されたことに政治的判断を上乗せする必要はないと考えております。  最終処分につきましても、全国の自治体の、強制する法的責任、協力義務を課すということは、文献調査だけ協力義務を課していても、その後の調査等々について自治体となかなかうまく進んでいかないのではないかなという危惧がございます。
  120. 室井邦彦

    室井邦彦君 終わります。
  121. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で室井邦彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  122. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙智子さん。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  安倍総理は、辺野古の新基地問題を始め国の重要な政策国民の意見をまともに聞かず、強引な政治を続けているということを私は至る所で聞いております。TPP交渉や農協改革についてもそうです。  まず、TPP交渉の秘密保持義務についてお聞きをいたします。  三月十八日に米政府は、環太平洋連携協定、TPPに関する閲覧条件を緩和する方針をUSTRのホームページで公開しています。(資料提示)それが、パネルにあるように、これであります。  これは、オバマ政権が国民の代表である国会議員と緊密に協力をして貿易協定に取り組むために行うということで、以下の五つの内容を出しているわけです。  その一番目のところ、赤線で引いてありますけれども、見ていただきたいと思います。  全ての国会議員に、議会内で都合の良いときに、しかるべきアクセス権限を持つ議員スタッフとともに閲覧することを含め、全交渉テキストへのアクセスを提供するとあります。  日本では、政府はこれまで、秘密保持義務があることを錦の御旗にして、我々国会議員にも国民にも一切内容を明らかにしませんでした。日本でも、アメリカと同じようにこのテキストを議員やスタッフに公開すべきではありませんか。
  124. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 大臣会合を行いますと、必ずこの交渉上の、特にTPPはこの点が一番うるさいんですけれども、秘密保持義務と、それから自国の関係者や議会に対してどうやって情報を開示していくか、そのはざまでみんな悩んでいて、私もほかの大臣からも相談を受けます。  そして、アメリカ自身が極めて厳しくそのことを他国に対して言っているわけであります。でありますから、米国自身も、秘密を保持しつつ、どうやって議会の要請に応えるかということは苦労しているんだと思います。  アメリカ自身、何も今回初めて議会に対して情報を開示をしていくということを初めて言ったわけじゃなくて、以前からこれはホームページに、全ての交渉テキストを連邦議員の誰にでもアクセスできるようにしているという旨を掲載してきているんです、今までも。しかし、この運用をどうしているかというのは外からなかなか見えないんですけれども、現状として、建前上そう言っていることに対して議会からは不満が出ているんだというふうに思います。  各国ともそういう縛りの中でそれぞれ、日本日本なりに工夫して運用しているわけでありますけれども、国ごとに運用というのは様々であると思います。必ずしも全ての交渉テキストを議員に開示しているわけじゃないようであります、アメリカも含めてですね。そういうことに対して、連邦議員が不満をあらわにしているんだと思います。アメリカの議員への情報提供に係る実際の運用について、引き続き精査をしていく必要があると思います。  我々も、できる限りこの交渉の縛りの中で工夫をして、できることは開示をしているつもりであります。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 秘密保持義務って一体何なんですか。今の話聞きますと、全然各国ばらばらでいいんですか。どういう基準だったのかなということを改めて疑問に思うわけですよね。  それで、いろいろどうやって出せるかという話なんだけど、情報を出すという、少しだけ出せばいいという話じゃないわけですよ。国民生活のあらゆる分野で重大な影響を与える問題なのに、秘密にされたままこれ妥結に至るというのは交渉の在り方としても異常だと。だから米国でも、ほかの国でもそうですけれども、批判が高まっていて、それに応えざるを得なくなったわけです。  米国はこの秘密保持義務をほかの国には厳しく迫ってきたと。ところが、自分は国内の反発に配慮して開示をすると。秘密保持義務を錦の御旗に掲げながら、安倍総理はそれに対して別に何とも抗議もしないということで、アメリカの様子を見て、それを見ていろいろ考えようなんというのは全く情けない話だと思うんですよ。  改めて言いますけれども、やっぱりこれテキストは開示すべきじゃありませんか。
  126. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) TPP交渉に加盟するときに秘密保持義務というのは厳しく問われて、言ってみれば誓約をして入っているわけなんです。アメリカも、今までも申し上げましたように、開示はしているし、していくということをおっしゃっているんです。ただ、もちろん秘密保持義務の制約の中でという縛りが付くんだと思います。  でありますから、言ってみれば要約みたいなものは開示しています。その中身については、我々がホームページで出している、あるいは議会で答弁しているものとさして変わらないというふうに思います。どこが変わっているのか、じゃ、おっしゃっていただきたいと思いますが。  現実にアメリカの議員からも具体的な言葉は出てきておりません。これは、日本だけじゃなくて、ほかの大臣からも私は度々日本はどうしているんだということをよく聞かれます。事実、開示ができないんだから、その概要や方向性についてできることは一生懸命答弁していますよということを申し上げているんです。  最終的には議会を通らないと、承認をいただけないとこれは成立しないわけでありますから、そこではしっかりどういう交渉をしてきたかというのは当然開示をして議会の承認をいただくということになるんだと思います。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 先ほど見せたこのパネルの中の一番上のところの赤線引いてあるところというのは、明らかに前回発表しているものと違っているんですよ。全ての国会議員に、都合の良いときに、全交渉テキストへのアクセスを提供するというのは新たに加わっているものなんですよ。だから、変えているということははっきりしていると思いますよ。  それで、国民の理解を得る努力をしない、閉鎖的で時代遅れの交渉にいつまでしがみつくのかというふうに思うわけです。  総理に伺いますけれども、四月下旬に日米首脳会談が行われるというふうに聞いております。米国は、日本に牛肉・豚肉などで聖域の撤廃を迫っていると。米の輸入枠の拡大も含めて要求を強めているわけです。日本は譲歩を重ねているということが報道されている。  総理にお聞きしますけれども、まさか日米の首脳会談で安易に妥協するようなことはありませんね。
  128. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) TPPについては、もう申し上げるまでもございませんが、成長著しいアジア太平洋地域に人と物と資本が、お金が自由に行き交う大きな一つの経済圏を構築していくという野心的な試みであります。  交渉は最終局面でありまして、早期妥結に向けまして交渉に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。日米間に係る協議についてはまだ多くの課題が残っておりまして、現在まさに着地点を探っているところでございまして、訪米に合わせて必要のない妥協をすることは、当然それはないということははっきりと申し上げておきたいと、このように思います。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 国会決議では、農産物の重要五品目は交渉枠からは排除又は再交渉だと、守られない場合はTPPからの撤退も辞さないというふうにしているわけです。守られているかどうかも分からず、情報も開示することが約束できないという、こんな交渉からは撤退するということが国民にとっては一番ためになるというふうに思います。  農協改革でも非常に強引なやり方が際立っているということなんです。  総理は、施政方針演説で、まず第一番目に農協改革を掲げました。この改革については、雑誌「選択」というもので、安倍首相や官房長官ら政権中枢がTPP交渉で最大最強の抵抗勢力である全国農業協同組合中央会の権限を奪う農協法の改革に突き進んだのも、TPP交渉妥結に向けた米側への配慮の一環と見ていいというふうに指摘をしているわけです。この指摘どおり、これTPP推進に反対する勢力の権限を奪うところに本当の狙いがあるのではありませんか。
  130. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、農業について申し上げますと、我が国の農業の活性化は待ったなしの課題でありまして、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出促進や六次産業化の推進など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めているところであります。  ちょうど昨日も全中の萬歳会長が官邸を訪問されまして、全中の幹部の皆様と和やかに歓談をさせていただいたところでございますが、農村、農業の所得を増やしていく、この目的は同じですねと、若い皆さんが農業という分野を成長産業と思って新たに参入してくるような、そういう農業にしていきましょうということを誓い合ったところでございますが、今般、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行うこととしております。  特に、農協改革については、マスコミ報道では現行の全中制度の廃止といったことのみが強調されていますが、中身について申し上げますと、地域農協について農業者のメリットが最優先されるよう理事の過半数を認定農業者などにすると。そしてまた、連合会、中央会について地域農協をサポートする観点から見直しをし、全中は一般社団法人として、全中監査の義務付けも廃止します。そういった農協システム全体の見直しを行うこととしております。  これによって、意欲ある……(発言する者あり)あと簡潔に申し上げます。  これによって、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせて創意工夫を発揮をして、企業連携した加工品の開発、地域ブランドの確立、新たな需要を開拓するための輸出への取組など、自由な経済活動を行うことにより農業者の所得向上に全力投球できるようにしていきたいと思います。  こうした改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がり、農業の所得も増えていくものと考えております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 表向きはにこやかだったと思いますけれども、懸念されていることは全然解決したわけじゃないというふうに思います。  それで、政府が閣議決定した農協法の改正案、これ本則から中央会の規定を削除するわけですよ。それで、今おっしゃったように農協全国中央会は一般社団法人に移行すると。そうなると、全中が中央会としてのリーダーシップを発揮して行う米価集会とか、今までやってきたようなTPP集会などを行うのが難しくなるんじゃないか。いかがですか。
  132. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 必ずしもどういう趣旨でおっしゃっておられるかよく分かりませんが、全中ということがなくなるわけではございませんので、法的な性格が変わったとしても、いろいろな活動の地域単協のためにやるということは可能ではないかというふうに考えております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 全中がなくなることではないというふうに言ったんですけれども、実際には、これ中央会がリーダーシップが発揮できなくなるんじゃないかと。  それは、農林法規解説全集に書いてあるんですけれども、中央会が行う農政活動について次のように述べています。中央会が組合全体の健全な発展を図るため、立法府や行政庁に働きかける、建議など組合に関する利益代表行為を行うことができると解説しているわけですね。つまり、農協法から中央会の規定が削除されるわけです、真っ白になるわけですよね、そこの部分は。削除されるわけです。そうすると、法律に基づいた取組が困難になって監査もできなくなると。結局、これ司令塔潰しそのものじゃないかというふうに言わざるを得ないんですね。  本来、農協というのは協同組合なわけですよ。自主的な組織なわけです。改革が必要だったらば組合が自主的に行うべきものです。  しかし、昨年の十一月に、JA中央会が作った自主的な改革案に対して、当時は西川農水大臣でしたけれども、このできたものに対して政府案とずれがあるというふうにおっしゃいました。全中で改革案をまとめた方は、自らまとめた改革案でこれから議論を深めようとしていたやさきに、言わば頭ごなしに政府がずれがあるというふうに言って政府案を押し付けたというふうに思っているわけですよ。全中が単協の自由を奪っているという、そういう声もある、そういう人もいると。しかし、九五%の単協の組合長はそうは思っていないというふうに言っているわけですよ。  農協は、家族農業や地域経済を支えている、スーパーやガソリンスタンドや病院、そして郵便局と同じように地域の金融を支えているわけです。農業関係者の意見も聞かないで、一体誰のための、何のための農協改革なんでしょうか。
  134. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、農協法上の中央会というチャプターがございますが、ここはなくなるということでございますが、その上で、一般社団法人として中央会が存続するということは当然認められているわけでございます。  一方で、この中央会制度というのは昭和二十九年に導入されておりますが、当時は農協経営が危機的な状態に陥っていたことを背景とする特別なものであって、行政に代わって農協の経営を指導することにより農協組織を再建する、こういう特別な制度であったわけでございます。  もう委員も農水委員会おられますから御案内のとおりでございますが、当時一万を超えていたこの単位農協、今七百程度で、一県一JAも増加している。こういうようないろんな制度発足時と状況が変わっておりますので、地域農協の自立と自由な経済活動を促して適切にサポートするという自律的な制度に移行していただくと、こういうことでございます。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 社団法人として残るって、それは、だからいろいろ変わらないというのはそうだと思いますけれども、ただ、やっぱりリーダーシップを取ってやるというのはできなくなると思うんですよ。  政府は、農協改革を農家の所得を増やす改革だというふうに言いました。なぜこの改革で農家の所得は増えるんでしょうか。政府案には、農協は、農業者の所得の増大を目的とし、的確な事業活動で利益を上げて、農業者等への還元に充てるとしていました。出された法案でも、農業所得の増大に最大限配慮するとあります。なぜ配慮するだけで農家の手取りが増えるのか。米価が暴落しているのに、この改革案で農家の手取りが増えるんでしょうか。
  136. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) この改革をやってこの監査のところを変えただけで全国の農家の方の所得が上がるというふうには我々も考えていないわけでございます。  これは仕組みをいじるということでございますから、何のためにやるかといえば、地域農協をサポートする側に全中が回っていただくということで、これからは地域農協がそれぞれの地域特性を生かして創意工夫しながら、まずは、地域農協におかれて自由に経済活動を行って、農産物の有利販売をする、資材の廉価購入を図るということで、農業者の所得向上に今まで以上に全力投球をしてもらう、これを連合会や中央会がサポートしていくと、こういうことにしていこうということでございまして、そういうための環境整備というのは、おととしからずっと六次産業化、輸出拡大等々で農政の改革をやってきたところでございます。それに併せて、この農協や、お尋ねありませんでしたが、農業委員会法人というものも変わっていただこうと、こういう趣旨でございます。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 ということは、今の話の中でも、農協改革だけでは所得は増えないということですよね。いろんなことをやってということで、結局、農家の手取りが減ると、農協は事業活動をやって利益を上げて農業者に還元する支援をすると。所得の増大に配慮するというふうに言っているだけで、それで所得が増える保証というのは全くないですよ。所得倍増というのは安倍政権の看板だったじゃありませんか、倍増と言っていたんですから。これでは、所得を増やす政府の責任をただ農協に押し付けるだけのことになると思います。  それから、准組合員制度見直しについてもこれ質問しようと思ったんですが、ちょっと時間がなくなってきて、一言言っておきたいと思います。  准組合員は、離農に追い込まれた農家がたくさんいるわけですよ。准組合員は、農山村の地域の農協のガソリンスタンドや金融の窓口を利用しないと生活できないわけです。利用できないというふうになって、地域の支え、サービスがなくなるということで一斉にいろんな反対があったものですから今回見送りになったけれども、しかし五年間の猶予を与えただけだと。八割が准組合員で北海道の場合は成り立っているわけで、言ってみればライフラインになっているんですね。それがなくなったら地域に何もなくなると、そういう重要な役割があるわけで、これは強い不信が生まれていて、やっぱり脅しのようなことはするなということが上がっていますので、付け加えておきたいと思います。  それから、政府の農協改革案は、誰のための、何のための改革なのかと。これ、国民や農民のためではないんじゃないか、財界とアメリカの要求に応えるものじゃないですか。  ちょっともう一回パネルを見てほしいんですけれども、この表ですね、安倍政権になって以降、二〇一三年に日本経団連はリース方式で参入した企業を認定農業者にするよう求めました。それから、経済同友会は農業委員会廃止など企業参入への緩和を要求しています。しかも、経済同友会の農業改革委員会委員長として提言をまとめた当時のローソンの社長であった新浪氏は、政府産業競争力会議の農業分科会の取りまとめ役になっています。そして、在日米国の商工会議所は農協金融の規制緩和を求めているわけですよ。  まさにこれ、財界やアメリカの規制緩和の要求に応えた内容じゃありませんか。
  138. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 先ほど総理からも御答弁いただきましたように、JAの皆さんともこの改革案でもって一緒にやっていこうということを、この改革案の作成に先立って実は与党との協議でも一致したところでございます。したがって、いろんな方がいろんなことをおっしゃるのは言論の自由がございますから、これはこれで、やめろと言うわけにはいかないことでございますけれども、我々としてはしっかりと、当事者の団体の皆さんや、それから農業者そのものの皆様の意見も十分ヒアリングした上で今回の改革をまとめてきたと、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほどちょっと御指摘があったように、この法案、農協の改革そのものが押し付けという言葉がございましたが、そうではなくて、全体として、いろんな農政の中で、農政の新しい方向に合った方向にやっていただこうと、こういうふうに考えているところでございます。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 財界と政府は、企業が一番活躍しやすい国を、日本をつくるという総理と一体となって改革案を押し付けたんじゃないかというふうに言わざるを得ません。しかも、在日米国の商工会議所は、この施策の実行のために日本政府規制改会議と密接に連携して成功に向けて支援を行う準備を整えているということまで言っているわけです。  しかも、総理がやろうとしている農協改革というのは世界の流れにも逆行していると思うんですね。国連は、二〇一二年を国際協同組合年にしました。そして、二〇一四年の十月九日に、国際協同組合同盟、ICA理事会は、日本政府のこの農協改革動きを捉えて、こうした法改正は、日本の農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろうと。国連にも認知された協同組合原則の番人として、ICA理事会は、協同組合原則を侵害するものだと、こう表明しているわけです。  この指摘を、総理、どのように受け止めますか。
  140. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の農協改革は、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、企業連携した加工品の開発、地域ブランドの確立など、自由な経済活動を行うことにより農業者の所得向上に全力投球できるようにするため行うものであります。こうした改革は、地域農協自らが改革に取り組むことを前提とするものであり、自主自立、組合員による民主的管理などの協同組合原則にも合致するものと考えております。  現在、農家の平均年齢は六十六歳を超えているわけでありますから、まさに、我々、農業をしっかりと大切なものとして支援していくためにもこの改革は避けて通れないと、このように考えております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 ICAは協同組合の原則を侵害するものだというふうに指摘しているわけですよ、今度の農協改革の中身を。そこのところをしっかり受け止めて改善をしなければならないだろうということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  142. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で紙智子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  143. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、松田公太君の質疑を行います。松田公太君。
  144. 松田公太

    松田公太君 日本を元気にする会・無所属会松田公太でございます。  参議院では、このように予算委員会が四月に入っても続いておりますけれども、先月二十六日から統一地方選挙が始まっているわけでございます。今年できたばかりの日本を元気にする会でも、時間が余りにもなかったため果たして人が集まるかなと心配したんですけれども、ビジネスマン、ビジネスウーマン、また経営者、また銀座の筆談ホステスとして有名になったような聴覚障害を持った方、そういった方々が集まってくれまして、三十人以上集まってくれて、大変うれしく思っている次第でございます。  私も毎日各地を回っているところでございますが、これは以前からですけれども気になっていることがありまして、それは選挙ポスターなんですね。余りにも実物と懸け離れているような方が多いと私感じておりまして、中には本人だと判別が付かないレベルの人もいるんじゃないかなというふうに思っております。これはまずいと思っているわけですね。  学歴詐称や経歴詐称、それによって辞職にまで至った議員も過去にはいるわけですけれども、言ってしまえば、これも写真詐称のようなものじゃないかなというふうに思っております。民間でも販売している商品の写真が違ったら詐欺罪で訴えられることもあるわけですけれども、有権者は、チラシの写真の印象とか投票に行く途中に見たポスターの印象で投票先を決める人が多いということも、いろいろ研究結果もあるわけです。(資料提示)  皆様、お手元の資料を見ていただきたいんですが、二枚目になりますけれども、現在、画像の修整ツールというものが非常に発達しておりまして、素人でもこのように簡単に画像を修整することが可能なんです。これは本当に驚異的だなと思っております。プライベートでこのような自分の写真を撮って修整して楽しむのはもちろんいいと思いますけれども、それをもとに選挙の勝敗が決まってしまうようではやはりアンフェアじゃないかなというふうに思っております。むしろ正直者がばかを見るようになってしまいますので、こんなことが際限なく続いてしまったら、国民から見てますます議員や政治家が信用されなくなってしまうんじゃないかなというふうに思うわけですね。  公職選挙法の改正が私は最終的には必須だというふうに考えているわけですけれども、原則全ての会派の同意が必要と考えられておりますその改正の大変さは、私もインターネット選挙の解禁のときに実務レベルで関わりましたのでそれは分かっておりますけれども、高市大臣にお聞きしたいんですけれども、高市大臣はおきれいですからこのような修整をされたことはないと思いますけれども、まずは総務省として、画像修整をしないように促すようなガイドライン、これを設定していただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  145. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 私もメークを取ったら別人かもしれませんので、そういう意味では、お化粧してポスターに写っていること自体、批判を先生からはされてしまうかもしれませんが。  公職選挙法百四十四条の規定では、選挙運動のために使用するポスターの記載内容につきましては、「掲示責任者及び印刷者の氏名及び住所を記載しなければならない。」ということのほか、他の法律などに触れる場合を除いて特段の制限はございません。そもそも選挙ポスターに写真を載せなければならないという規定もございませんので、候補者によってはお名前だけの場合もあります。あと、キャッチコピーとお名前だけの場合もあるし、あと、イラスト風の似顔絵とお名前だけの場合もあって、様々でございます。  写真と実物が異なるかどうかというのもかなり主観的な判断要素が含まれてまいりますので、この選挙運動用ポスターに関する候補者本人の写真について何らかの制限を設けるかどうかというのは、これも各党各会派でやはり御議論をいただく、選挙運動の在り方に関わる問題ですから。その上で、もしも、写真を掲載する義務はないけれども、掲載した場合において何か制限をすべきだという御意見が国会の中でまとまった場合には、また総務省の方で何ができるのかを考えさせていただくと、そういうことになります。
  146. 松田公太

    松田公太君 私も約五年前に初めて選挙を戦ったわけですが、日本の公職選挙法はもう本当に世界でも類を見ないほど厳しいなというふうに感じているわけですね。  ポスターについても、確かに中身については規定がほとんどないんですけれども、大きさとか枚数とか掲示の場所とか、そういったものは非常に厳しいルールがあるわけです。なのに、一番重要と言ってもいい写真の内容については規制がないということですので、私は、やはり選挙をより公正なものにするためにこの部分の改正を進めていきたいと、このように思っております。今後、投票に行かれる有権者の皆様にも是非御注意していただければと、このように思っている次第でございます。  それでは、がらっと話を変えまして、国にとって重要な事項を決める場合の国民投票や住民投票についてお聞きしたいと思います。  日本を元気にする会は、国論を二分するような重大な政策や法律は、このパネルを御覧いただきたいんですが、一、国民にメリット、デメリット、プラスの面、マイナス面をしっかりと説明し、二、国民に議論に参加してもらい、三、最後国民、我々の場合は登録していただいた会員ですが、に投票していただいて賛否を決めるという新しい直接民主型の政治を実践している政党です。  これは、実は既にヨーロッパで幾つかの先進民主主義国家においては地方政治においては実現されていて、例えばスイスも頻繁に住民投票や国民投票を行いまして、その制度のことを半直接民主制と呼んだりもしているんですね。半というのは半分の半という意味です。  私は、以前の政党にいたときから、国民の意思を尊重する政治を実現したいと、このように思ってまいりました。二〇一一年に起きてしまった東京電力の福島原発事故、当時は民主党政権でしたが、自民党はタッグを組んで、原発を推進する東京電力をいかなる状態であっても国民の負担によって存続させるという法律をどんどん推し進めてしまったわけです。  これに待ったを掛けるために、当時のみんなの党では、原発を推進するべきか否かはまず国民に聞いてみようじゃないかということで、原発国民投票法案を作りまして提出をさせていただきました。残念ながら、他党の賛同を得られることができずに審議すらしていただけなかったわけですが、今でもその思いは私は変わりません。  私は、今年の二月十八日の参議院本会議の代表質問で安倍総理に、原発の再稼働に当たっては、地元同意の中にUPZ三十キロ圏内の自治体も入れて、最終的には住民投票を行って決めるべきだと思いますが、いかがでしょうかと質問をしました。残念ながら、これについては答弁をしていただけなかったわけですね。  今日は時間がありませんので、原発についてはまた後日議論させていただきたいと思っておりますが、同じ観点から、辺野古への基地移設についてお聞きしたいと思います。  まず、私のスタンスを申し上げますと、辺野古へ移設する以外は難しいのが現状だと考えております。その部分においては安倍総理と同じかもしれません。  しかし、連日の報道を見ていても、はっきり言って、辺野古への移設問題はますます難しくなってきているんですね。菅官房長官も先日翁長知事に会われましたが、話は平行線どころか、どんどん開きが大きくなってきているのかなというふうに見られます。前回の予算委員会のときに菅官房長官は記者会見ということで途中退席されてしまって、本日もいらっしゃいませんが、私、官房長官総理のこの件に関する御心労というものは大変なものだろうと察する次第でございます。  そこで提案なんですけど、私は、この件で総理と官房長官を中心とした政権のみに責任を押し付けるようなやり方はそろそろやめるべきだというふうに思っているんですね。つまり、これは沖縄対現政権という構図であってはいけないというふうに思っているんです。翁長知事は、この辺野古問題を県政の重要事項だと位置付けておりますけれども、国全体の安全保障の問題がこれは本質なわけですから、私は、これは言うまでもなく国政の重要事項でもあると考えているんです。  それについて安倍総理はどうお考えか、教えていただければと思います。
  147. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日本の安全保障をめぐる様々な課題については、当然これは国の責任としてその課題に取り組んでいかなければなりません。  その上において、例えば米軍基地をどこに置くのか。自衛隊の基地も同じことでございます。そうした基地を置く上において、その基地周辺の人々が、例えば飛行場であれば騒音の問題があります。そうしたことも踏まえながら、もちろん地元の意見を無視するとかいうことではないわけでございますが、安全保障については、この政策基本的な政策については国が責任を負うというのは当然のことであろうと、こう思うわけでございます。  その中において、国全体において安全保障上必要という中において基地を建設していく上において、地元の皆様の説得、説明を行いながら進めていかなければならないと、このように考えておりますが、もちろんこれは責任は政府が負うのは当然のことであろうと、このように思っております。
  148. 松田公太

    松田公太君 国が責任を負うのは当然のことだというふうにおっしゃいましたので、ある意味、国政の重要事項であるというふうにお考えだというふうに捉えてもよろしいでしょうか。
  149. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安全保障は国政の当然最重要事項の一つであろうと、このように思います。  そこで、例えば普天間基地の移設、辺野古への移設については、住宅地の真ん中にある普天間基地の固定化は断固としてこれは避けなければならない、これは共通認識なんだろうと思うわけでございます。その中において、果たして県外が可能かということで、例えば民主党政権でずっとこれは検討したそうでありますが、結局それは他に選択肢はなかったという結論も出ています。もちろん、その前に自民党政権時代にも、自民党・公明党連立政権時代にも検討を重ねてきた結果、辺野古への移転ということが決まったのでございます。  しかし、当然、国の責任において沖縄全体の負担を軽減をしていくために、普天間の三つの機能のうち一つ、これは空中給油機十五機全部は、これは岩国に移転をしていくことになるわけでございます。国全体を見ながら、そうした地域におきましても説得をし、移転を受け入れていただいた。そして、緊急時の利用も辺野古では行わないわけでございますし、そしてさらに、オスプレイの運用についてもなるべく訓練等は県外でということで、様々な場所でお願いをしているところでございます。  まさに、こうしたことは国にしかできないのは当然のことであろうと。そもそも安全保障政策について、国民の命を守っていく、領土、領海、領空をしっかりと守っていく、国益を守っていくのは国の責任であることは言うまでもないと思います。
  150. 松田公太

    松田公太君 ありがとうございます。  総理は、この辺野古の問題は、その国という定義が今若干かみ合っていないのかなという感じもしましたけれども、国政の重要事項だということはお認めになっているわけですね。そうであれば、全国民の代表である国会でこれについて審議をして、例えば辺野古基地設置法のような法律を制定して、法律事項として進めるべきだと私は思っているんです。  それについてまず一つお聞きしたいのと、また同時に、その場合は、特定の地域、つまり名護市に負担を強いる立法となるわけですから、憲法九十五条によって最終的には名護市の住民投票、これが必要となるわけですから、これをもって決する必要があるんじゃないかなと私は思いますが、総理、いかがでしょうか。
  151. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、政府として、まさに行政の責任として、当然、もちろん国会にも様々なそのための法律を作る際には御議論をいただきますが、行政の責任として、国民の命と幸せな暮らし、領土、領海を守っていくというのが政府の責任であります。そして、日米同盟の中において条約上の義務を果たしていくのもこれは行政でございます。  その中において、これは橋本政権のときに日米で合意をしたことでございます。この合意にのっとってまさに普天間の移設をしていく、それは辺野古に移設をしていくということで合意をしたわけでございます。これが残念ながら十六年間動かなかった。しかし、その動かないものを安倍政権においてしっかりと、日米同盟の機能を強化をしていく、地域の安全保障環境が厳しくなる中において同盟の能力を向上させていくという観点からも、あるいは、実際にこれは嘉手納以南の基地の米軍用地の返還を進めていくためにもそういう判断をしたわけでございます。  そして、一日も早く普天間の危険を除去しなければならないという観点から今工事等を進めているのでございますが、既にある法令にのっとってこれは粛々と進めているわけでございますので、これに上乗せして法律を作っていく必要は私はないのではないかと、このように思っているところでございます。  その上において、住民投票等のお話がございましたが、一般的に、住民投票は多様な住民ニーズをより適切に地方公共団体の行政運営に反映させるために住民の意思を把握する手法として代表民主制を補完するものであると考えております。一方、住民投票の制度化については、住民投票の対象とすべき事項、選挙で選ばれた長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力の在り方等、種々の論点があり慎重な検討が必要と考えているところでございますが、繰り返しになりますが、言わばこの辺野古への移転については、これは今申し上げましたような本来の住民投票の目的とは異なるのではないかと、このように思っております。
  152. 松田公太

    松田公太君 今本当に多くのことを一気にお話しされましたが、ちょっといろんな話が一気に来てしまいましたので、一つ一つ整理をしてお話をしたいと思うんですけれども、まず一つ、条約上の話であったりとか、日米協定ですね。また、橋本元首相が日米合意にのっとってというお話がありました。それはそのとおりだと思います。  ただし、それは外交上の例えば問題であって、それはもちろん中の話、国内の話というのはまた個別に国会で私は決めてもいいんだろうというふうに考えているわけですね。ですから、例えば国政の重要事項、これは認められているわけですけれども、これ立法によらず決めるということは、ある意味、私、憲法四十一条にもこれ反するんじゃないかなというふうに考えているわけです。  釈迦に説法ではございますけれども、憲法四十一条は、国会を国の唯一の立法機関と定めているわけですね。実質的意味の立法、つまり国政の重要事項について決定するということは、国会が法律の制定という形で行わなければこれは規定に反するんじゃないかなと私思いますが、いかがでしょうか。
  153. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府は、日本は議院内閣制でありまして、国会によって私は首班指名をされ、行政権を今行使をしているわけであります。国民の幸せを守っていく、生活を向上していくためにこの行政権を活用しているのでございますが、当然それは法律にのっとって、憲法があり、そしてその上において法律にのっとって行政権を行使していくのは当然のことであろうと、このように思うわけでございます。そして同時に、もし政府が行おうとする政策について法令が必要であれば当然法律を作っていく、国会の議決を得て法令ができれば、その法令に従って政府は行政権を行使をしていくということではないかと、こう思うわけでございます。  議院内閣制でありますから、当然、政府と与党は一体でございます。そして、政府が行った行政に対する評価は選挙において国民から御判断をいただくということではないかと思います。
  154. 松田公太

    松田公太君 この話をずっと続けても堂々巡りになってしまうと思いますけれども、今の安倍総理の見解で、辺野古基地移転の件はある意味法律事項じゃないというふうにおっしゃっているわけでございますけれども、逆に私お聞きしたいんですが、かといって、立法してはならないという決まりはないと思うんですよね。例えば、イラク特措法も外交、防衛に密接に関連する話ですけれども、これは立法されたわけです。  つまり、法律事項にしてもよいと、これだけ話が入り組んでしまって、橋本政権の先ほどお話しされましたが、もう二十年たっているわけですね。ぐるぐるぐるぐる何か同じようなことを繰り返しているというような状況だと思いますので、これ私、冒頭に申し上げましたように、国会としてしっかり、国全体の代表として国会が責任を持って話を進めた方が私はいいんじゃないかなというふうに思っておりますが、これ法律事項にしてもよいというところはお認めになりますね。
  155. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず申し上げておきますが、テロ特措法にしてもイラク特措法にしても、あの特措法がなければ政府は自衛隊を送ることはできません。あの法律がなければできないわけでございますので、政府として閣法として提出をさせていただき、国会で御審議をいただき法律となったわけでありまして、あの法律にのっとって自衛隊は活動しているわけでございます。  そして、この普天間の辺野古への移設でございますが、我々、現行法にのっとって、今までもそうでございますが、のっとって行ってきたわけでございます。その上において、どういう法律を出すのも、これはまさに立法府の決めることでございますから、松田委員が必要だと考えられればお出しになって、国会で御議論をいただくということではないか。内閣として、政府として法律を出す必要はないと、こう考えているわけでございます。
  156. 松田公太

    松田公太君 それでは、先ほどちょっとお話もいただきましたが、憲法九十五条、これについてもう一度お聞きしたいんですが、これはどのような趣旨で規定されたとお考えか、教えていただければと思います。
  157. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 憲法九十五条、一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することはできないということでございますから、仮に今総理が答弁されましたように、松田委員が法律案を出されるというときに、国会が一の地方公共団体のみに適用されるような内容の法律を定めようとされたら、これは住民投票にかかるものです、過半数の賛成が必要となります。
  158. 松田公太

    松田公太君 それでは、同じく憲法四十一条、これも高市大臣で結構でございますが、どのような趣旨でこれは規定されたものかということをもう一度教えていただければと思います。
  159. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほどは地方自治に関わることでございますから高市大臣が答弁をいたしたわけでありますが、四十一条はそうではございませんので私が申し上げますが、四十一条は、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」ということでございます。
  160. 松田公太

    松田公太君 それでは、外務大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、外務省のこれは担当者に確認させていただいたところ、移設先が辺野古とされているのは、特に条令に、法令上の根拠があるからじゃなくて、日米の政府間で決めたからであるということだったんですね。日米政府間では、移設先が辺野古であることについては特に法令上の根拠はないという認識外務大臣もよろしいでしょうか。
  161. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 普天間飛行場については、十九年前、平成八年に、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に全面返還することについて日米で合意をいたしました。そして、あらゆる側面からの日米間の検討を経て、十六年前、平成十一年ですが、当時の辺野古沿岸案に関して、沖縄県知事及び名護市長の同意を得て閣議決定をいたしました。そして、その後、取組が進められてきたわけですが、その過程において、沖縄県外を移設先とする案も含め様々な案が検証されたものの、この現行計画が唯一の有効な解決策であるということが日米間において累次確認されてきたところです。  そして、法的な根拠という御指摘がありましたが、日米安保条約は第六条において、米国に対し、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために、我が国施設・区域を使用することを認めています。すなわち、同条に基づいて我が国に駐留する米軍に施設・区域を円滑かつ安定的に提供することは、我が国の条約上の義務と考えられます。  ただ一方、個々の具体的な施設・区域の提供については、日米間で協議の上、日米地位協定の定めるところにより、日米合同委員会において合意が行われることとなるものであり、普天間飛行場の代替施設についても同様であると考えております。
  162. 松田公太

    松田公太君 条約もその地位協定のこともよく存じ上げておりますけれども、それはあくまでも協定であって、それは国会内で進めてはいけないという話は、私、繰り返し申し上げたいんですが、ないというふうに思うんですね。  やはり現政権にこの問題を押し付けるのをやめるという意味合いでも、国会でしっかり審議をして、採決をして、国全体で私は決めるべきことだと思っております。そして、最後は住民投票にかける。このままでは、沖縄県民は、ほかの日本国民は対岸の火事で全く無関心だと私は思ってしまっていると思いますよ。そんなところが、私は沖縄県民の心に更に傷を付けているんじゃないかなというふうに思います。  辺野古の基地問題をオール沖縄にするのではなくて……
  163. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 時間が過ぎております。
  164. 松田公太

    松田公太君 オール日本の議論にして解決策を探らないと、今まで二十年掛かって、また同じことがこれから先二十年も四十年も私は続いてしまうことになるんじゃないかなと思います。是非、安倍総理には視点を変えていただいて、ありとあらゆるオプションを検討して考えていただきたいと思います。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  165. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で松田公太君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  166. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、江口克彦君の質疑を行います。江口克彦君。
  167. 江口克彦

    江口克彦君 安倍総理に最初に御質問をいたします。  地方創生はアベノミクスにおいて重要課題の一つであるというふうに私承知しておりますし、私も、これが成功するかどうかということが将来の日本の盛衰を決定付ける極めて重要な政策であると評価し、また期待をしているわけでございます。  しかし、今までの地方再生とか地方活性化という用語を使わなかったのはなぜかと。私は、今までの地方再生地方活性化とは違って、総理は今までの地方政策を超えた異次元の発想をせよと、そういう切なる思いで考えられ、発想をされたと思いますけれども、いかがでしょうか。改めて、今までの地方再生地方活性化との違いについてお伺いしたいと思います。  さらに、確認のために、地方創生を進めることで日本をどのように変え、どのような日本に変えていくのか。すなわち、地方創生のビジョンについて御説明をいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
  168. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 現在、日本は、日本全体としては人口の減少、そして地方においてはまさに地方が消滅をしていくという、そういう大きな危機感が国民にはあるわけでございます。こうした危機感をしっかりと共有をしながら、今こそ、今まで累次にわたる政策を打ってきましたが、そうした政策とは次元の異なるものを国民みんなで地域と一体となって進めていかなければもう日本の未来はないんだとの思いで、この地方創生、これはもう国民運動的に展開をしていきたいと、こう考えているところであります。  これまでの地方活性化策では、府省ごとの縦割り構造であるということ、そして全国一律の手法を取っているということ、あるいは効果検証を伴わない、とにかくやってみようということでそのままであったということであります。地域に浸透しない表面的な施策があるということ、あるいはまた短期的な成果を求めるということもあったと思います。  このため、今回は国の示す枠組みに一律に当てはめるという手法はやめまして、自立を目指す地方の主体的な取組を国が強力に後押しをしていくと、こういう基本的な姿勢といたしました。また、全ての政策に具体的な成果目標を設定をしまして、国、地方とも徹底した効果検証を行っていきます。十分な成果が出るまで粘り強く施策を実施してまいりたいと思います。  また、地方創生の取組によって、全国一律ではなくて、地方自らが地域資源を掘り起こして活用することによって個性あふれる地域社会をつくっていく。今までは、国が全体のあるべき地域像的な形で一律に政策をぽんと出して、それを受け取って、国が示したメニューの中でこれをじゃやりましょうということでやってきたのでございますが、まさに地方自らがしっかりと想像力、イマジネーションを生かしながら、地域の未来をこういうふうにつくっていきたい、自分たち地域はこういう地域にしていきたいという個性あふれる地域をつくっていかなければならないと、このように思います。  また、外部人材の取り込みや国内外の市場との積極的なつながりによって、活力ある地域経済実現していきたいと思います。地域はどうしても地域に住む人たちだけで行おうとします。もちろん、地域のことを一番よく考えている、あるいは思っているのは地域に住む皆さんです。しかし同時に、地域が伸びていくためにはやっぱり人材も必要であります。そういう刺激的な人材を地域が得ることによってその人材を活用していく。例えば、日本も明治期にはお雇い外国人として海外から人材が来ました。そうしたこともしっかりと行っていきたいと思います。そして、海外の市場とも地方が直接つながっていくということも大切なんだろうと思います。  そしてまた、東京圏は世界に開かれた国際都市へ発展することを目指すこととしているということでございます。特に地方においては、地方に住む方々が情熱を持って地域に仕事をつくり、仕事が地方への人の流れをつくり、町に活力を生み出すという好循環実現し、若者を引き付ける地方をつくり上げていきたいと、このように思っております。
  169. 江口克彦

    江口克彦君 ありがとうございました。  石破大臣にお尋ねしたいというふうに思うんですけれども、創生の創の字がどういう漢字であるかということは、これはもう十分に御存じだと思います。創設、創業、創刊、要するに初めてつくるという意味の漢字でございますね。この漢字を初めて今回使われているということでありまして、私は、ところが、地方創生が、いろいろ聞いているんですけれども、従来の発想あるいは対策と余り異なっていないんじゃないかというふうに思うんですね。  プレミアム商品券とか宿泊券、子育て手当の増額、あるいはイベントとか箱物とか、そして交付金、補助金が欲しいというようなことしか言わないと。これはもう三十年、四十年前に私が地方自治とか地方の発展ということで取り組んだときに、こんなことはずっと出ていたわけですね。これは創生でも何でもないんですね。こればっかりではないと思いますし、これはこれで私は一定の効果はあると思います。これはこれで私は承知いたしておりますけれども。  今の総理の実に明快なお話があった、今までと違った次元で考えて取り組まなければいけないということで。そういう意味から、私は異次元の発想というものを大事にしなきゃいけないんじゃないかという、この地方創生って。  ですから、例えば、そこでお手元の資料で、これはいつも申し上げていますけど、BNCTだとか、あるいはまたこれは筑波大学の熊田先生からいただいた資料、それからもう一つロボットの方は経営コンサルタントの高橋憲行さんからいただいた資料でございますけど、一例として見ていただければ有り難いと思うんですが、例えばこういう先端医療技術の導入であるとか、あるいはまたロボット技術の拠点をつくるとか、あるいはまた四国の八十八か所、これを世界に誇る仏教の巡礼ルートにしてしまうとか、あるいはまた国連平和研究所の提案とそして誘致をするとか、あるいはまたそういう発想をするというか提案をしてほしいというような、いわゆる誘い水を政府が、大臣がされるということも必要ではないか。  私は、経営者としてその誘い水経営をやってきた経験からして、ただ単に社員にやれやれと言っても、やっぱり社員は分からない、どういうふうな開発をしたらいいのか、どういう新製品を出したらいいのかということは分からない。そこで、私は経営者として、社長として、例えばこうだといって出して示したわけですよ。それに沿って社員の人たちがわあっとヒット商品を出してくれたということもありますので、政府がやるべきじゃない、地方の自主性を尊重しなければいけないということはまたよく分かりますけれども、そういういわゆる例えばということで誘い水を、そういう考え方を提示するということも必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。よろしくお願いします。
  170. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私も三十数年前から江口先生がいろんなものに書かれたものの愛読者の一人でございました。いろんなことを御教授をいただいた覚えがございます。  今回の、今総理も答弁申し上げましたが、地方からの発意であって、国が同じものをやってくださいとか言うつもりは全くございません。  もう一つは、やりっ放しで検証しないのをばらまきと世の中では言うのであって、必ず検証の仕組みも入れていただくということは今までと全く違う点でございます。総合戦略づくりにいたしましても、産官学金労言といつも言うのですが、まさしく民間の方々の発想というのを必ず入れてくださいと、金融機関の検証というのを必ず入れてくださいという話であって、お役所仕事でお役所が考えるのではないということだと思っております。  もう一つ私ども非常に危機感を持っておりますのは、あと十年ぐらいしますと、いわゆる団塊の世代の方々が七十五を超えられるわけで、そのときに一体何が起こるであろうかということを考えますと、おっしゃいますように、農業もそうです、医療、介護もそうです、そこにロボットというものを入れていかないとこの国の構造自体がもたなくなるという危機感がございまして、そういう先端技術、あとは先生がおっしゃいました仏教の巡礼のような、海外からインバウンドでどうやって人を呼ぶか等々、やっぱりいろんな発想というのがあってしかるべきだということでございます。  ですから、経済団体の方々お願いしているのは、この総合戦略づくりに必ず参画してくださいということをお願いし、自治体の長の方々にも必ず入れて総合戦略をつくってくださいとお願いしておるところでございます。
  171. 江口克彦

    江口克彦君 そのときに、是非、石破大臣としての、例えばこんなものというようなものを誘い水として提示していただきたいと思います。  最後の質問をさせていただきます。  先ほども、総理もそれから大臣も言われましたけれども、地方自らの発意で進められるべきであると、国主導ではないんだと。これは総理も常々言われていますし、石破大臣も常々言われている。また、今回もおっしゃいましたけれども。それは十分承知しておりますが、そのためにも、地方創生を、その政策だけでは、大臣がおっしゃるだけではなかなか、掛け声だけではうまくいかないんじゃないか。  要は、そったく同機という言葉がありますけど、外からつつくのと中からひながつついて、両方がないといけない。要するに、大臣がつついても、地方とか国民がどうつつき返すかというところが大事。要するに、国民の意識革新とか地方の意識革新というものを、これを強く訴えなきゃいけないんじゃないだろうかというふうに思うんですね。アイデア出せ出せと言うよりも、どういう意欲を持たないと駄目なのか意識革新をしないとね。地方の問題ですよと、国民の側の問題ですよということを政治家は言いたがらないんですよね。そうすると、国民だとか地方の責任だと言うと票が減るなんて、まあそういう思いはないんでしょうけれども、何か、でもやっぱり言うべきことは言わないといけないというふうに思うんですね。そういうふうな内からと外からのつつきががちっとしたときに、やっぱり地方創生はこれは成功する。  私は、安倍総理がこの地方創生という言葉というか、この政策を打ち出したというのはすごく大事だと思うんですよ。これが成功するかどうかがこれからの日本の大きな発展を左右するんじゃないかというふうに思っております。  一言、総理大臣からコメントをいただければと思います。
  172. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさにこの地方創生というネーミングに恥じないように我々結果を出していきたいと。若い皆さん地域で、地域を発展させていくために頑張っていこう、活力を俺たちが引き出していくんだ、そういう地域創生を進めていきたいと思います。
  173. 江口克彦

    江口克彦君 ありがとうございました。
  174. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で江口克彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  175. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、薬師寺みちよさんの質疑を行います。薬師寺みちよさん。
  176. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブ薬師寺みちよでございます。  先ほど、江口克彦先生は大変地方創生に思い入れがあるということでございますけれども、私は私で女性政策に大変強い思い入れがございます。  安倍総理は、平成二十五年六月に、日本再興戦略で女性の活躍が成長戦略の中核であると位置付け、ウーマノミクスという言葉まで生まれてまいりました。  これまでも多くの女性政策を打ち出してくださっておりますけれども、一般の女性たちがどのようにその政策を評価しているのか調査なさっているのかどうかを教えていただけますでしょうか。
  177. 有村治子

    国務大臣有村治子君) お答えいたします。  全ての女性が輝く社会実現のためには、まさに委員指摘のように、当事者である女性の声に耳を傾けて施策に反映すること、また講じた政策がどのような政策効果をもたらしたのか、しっかりと検証をしていくことが重要だと認識をしております。  男女共同参画基本計画を策定する際には、専門委員会政策の進捗状況を検証すると同時に、全国各地で公聴会を開催するなど広く国民の意見を聞く機会を設けてきました。  今回、第四次男女共同参画基本計画についても市井一般に耳を傾ける公聴会を予定しておりまして、今後とも、国民の皆様、とりわけ女性政策に関しては、様々な立場に置かれる女性の声に丁寧に耳を傾けていきたいと考えております。
  178. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今、公聴会を行いながら多くの女性の声を聞いているということがございましたが、どうも私が調べた結果とは違うようでございます。  日経・CSISバーチャル・シンクタンクが都会で働く女性についてのアンケート調査を行ったところ、安倍政権の女性活躍支援策を七割の女性が評価していないという調査結果が出ております。私の地元でございます中日新聞の調査結果でも同様に、活躍の掛け声への期待よりも、むしろ不安がる声というものが多く集まっておりました。  これは、我々野党議員がその女性政策を評価するよりも更に辛口の結果ということになっているかと思うんですけれども、総理、どうでしょう、この調査結果を受けて、効果を実感できていないということだというふうには受け止めていらっしゃいませんでしょうか。御意見をお聞かせくださいませ。
  179. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 様々な評価があるんだろうと思いますし、それぞれ女性の皆さんもライフスタイル、自分の生き方が違うんだろうと思います。  しかし、この二年間で八十万人の方々が仕事という面においては新たに仕事を始めています。八十万人の方、今まで仕事をしていなかった方が、女性が増えてきた。そしてまた、言わば上場企業において六年間で九十人役員が増えましたが、安倍政権、二年間で倍の百八十人増えています。  しかし、そういう結果というのはそういう方々しか分からないわけでございまして、ですから、意欲を持っている女性の皆さんにしっかりと伝わるようにしていきたいし、また、これは働かなければならないということではもちろんありません、家庭におられる方々も、家庭において自分は子育て頑張りたいという皆さんにもしっかりと応援をしていきます。  その上において、例えば子ども・子育て支援制度はスタートしました。消費税の引上げは一年半先延ばしをしたのでございますが、これはスタートしているところでございます。仕事でしっかりと頑張っていきたいというところにおいては、各企業においてしっかりと努力目標もできてきたわけでございます。大きな変化ではないのかと、こう思っているところでございますし、また、国際社会からは我々のこの女性政策は注目を浴びているのではないかと、このように思っておりますが、しかし、直ちに皆さんが良かったという結果というのは政治の世界においてはそう簡単に出るものではないと、粘り強くこの政策を進めていきたいと思っております。
  180. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私もなるべくこの数字を上げていきたいと考えている一人でございまして、実は今日、御提案をしたい内容がございます。資料をお願いいたします。(資料提示)皆様方のお手元にもお配りいたしましたけれども、ジェンダー予算という考え方がございます。これについて提案をさせていただきます。  ジェンダー予算、名前のとおりに、政府予算を、性差、男性と女性、いわゆるジェンダーの視点から分析いたしまして、男性と女性に及ぼす影響について検証する手法でございます。決してこれは女性のための予算ではございません。何に優先的に予算を配分するかは、いまだ男性中心社会である以上、成人男性の視点に立って決定されることが多いため、あえて政策実現する予算にジェンダーの視点を反映させる努力をしなければ、本物の男女共同参画というものが実現されるとは私は思っておりません。  例えば、介護報酬、今回引き下げられますけれども、これがジェンダーに関係するのかという問題です。介護事業者の収入が減ってサービスが低下すると介護の担い手である女性の負担が増えると、そういう視点も必要です。  税制におきましては、所得税の配偶者控除、これ配偶者が男性であっても女性であっても適用されますけれども、ジェンダー的に分析をすれば、控除される配偶者のほとんどが女性でございます。働く既婚女性にとってその百三万円というのが大きな壁となりまして、女性の社会での活躍を阻んでいるという報告もなされているところでございます。  ジェンダー予算は、予算の過程の透明性の向上、それから政府の説明責任の強化にも効果を上げていることから、今では六十か国以上で適用されているという報告もございました。我が国におきましても、第三次男女共同参画基本計画の中で、早急に対応すべき課題としてジェンダー予算在り方について調査研究が挙げられておりました。  安倍総理が在任中に女性活躍推進に本気で取り組んでいただけるというのであれば、このジェンダー予算という手法を実際の予算編成に反映される時期がもう既に来ているのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  181. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 平成二十二年に策定された第三次男女共同参画基本計画を踏まえ、政府では、その翌年、海外におけるジェンダー予算の実施状況等の調査を行ったところであります。全ての女性が輝く社会実現に向けまして、女性活躍推進のための施策を充実させることは大変重要であります。一方で、いわゆるジェンダー予算の手法はまだ確立したものはないと認識をしておりまして、更に政府内で検討してまいりたいと思います。
  182. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私もいろいろ文献を調査いたしましたけれども、日本に適用できるものというものも、これから調査研究も必要だと思いますが、もうそろそろ、調査をしてもう何年もたっておりますので、実際に反映をさせていただかなければというので、次に一例挙げさせていただきたいと思います。  現実の女性が置かれた状況というものが反映されていないために今まで見逃されてまいりましたけれども、今後数年でこれは大きな社会的な問題になる可能性が高い一例を皆様方にも御紹介をさせていただきたいと思います。それがダブルケアと呼ばれているものです。  かつては、子供の手が離れた後、両親の面倒を見るというのが普通でございましたけれども、少子化によって親を介護する子供が少なくなる、女性の晩婚化によって出産の高齢化が進み、女性は育児と介護、同時進行、ダブルケアという状況に直面をいたしております。共働きで男性の協力がないと、母親そして娘として女性が抱える負担というのは精神的にも肉体的にもこれ過大なものになってきております。既に社会や行政からの支援としては、子育ては子育て、介護は介護、それぞれに制度がございますけれども、支援対象者別の縦割り、この計画では子育て支援と高齢者介護を同時に効果的に支援することは大変難しいという現状もございます。  ダブルケアに関しましては、これ困っていても相談する窓口すら存在はいたしておりません。横浜国立大学の相馬先生の調査によれば、数年後にダブルケアの問題に直面する不安を抱えている子育て中の女性、既にもう四割にも達するんではないかということでございます。このダブルケアの問題は、一人の女性を取り巻く困難な状況をどうやったら解決できるかという視点で取り組む必要もございます。  このような女性を取り巻く大変複雑な問題に対応するためにも、政策を立案する視点、そしてそのプロセスを見直さなければならないんではないかと考えておりますけれども、御意見いただけますでしょうか。
  183. 有村治子

    国務大臣有村治子君) 薬師寺委員の粘り強い的確な問題意識に心を込めて敬意を申し上げます。  高齢化が進展する一方で、先生御指摘のとおり、第一子を抱く母親の年齢が全国平均で三十歳を超えました。上昇傾向にまだあります。結果として、お父さん、お母さんの面倒を見なきゃいけない、子供の育児をしなきゃいけないという、それが重なる状態になる、いわゆる、先生のお言葉をお借りすると、ダブルケアというのは今日的課題だと認識をしております。  政府では、全閣僚で構成されたすべての女性が輝く社会づくりで子育て支援、また介護との両立支援ということを打ち出しておりますけれども、御指摘のように、今、第四次男女共同参画基本計画を策定する予定で今年中ありまして、この育児と介護を同時に結果的に一人の女性が担っている、そして本人が思う以上に負荷が掛かっているその状況に、政府もしっかりとその状況を直視して、女性をめぐる複合的な課題の対処についても関係省庁と連携をしてその記述を拡充させたいというふうに私も明確に指示を出しました。そして、その現状ということについて、ダブルケアということの危険性や負荷が掛かっていることを世の中の人に言葉も含めて広げていくことも大事な役割だと思っております。
  184. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今御答弁いただきましたけれども、厚労省においても、この現状把握をまだしていない、調査も行っていない。調査をどのようにしていくかということを研究をさせてくれということで、前回、塩崎大臣からも御答弁いただいたところでございます。  最後に、ちょっと総理に一問お尋ねをしてみたいと思います。  予算というものは、政策ごと、そして省庁ごとに積み上げてまいります。そうすると、今回のジェンダーというこの横串のような切り方、いわゆる分析が行われてもしいけば、少ない財源というものを効率的に使用もできます。ダブルケアのように縦割り行政のはざまに落ち込んだ問題というものも上手に拾い上げることができるのではないかと思います。このように、新たな予算分析の仕組みというものを早期に研究開発して、予算の編成過程の中で組み込んでいただくということも今後日本のとても大事な政策ではないかと考えておりますけれども、御意見ございましたらいただけますでしょうか。
  185. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 御指摘のように、育児と介護を同時に一人の女性が担うという場合があるといった問題も含めまして、女性が置かれた状況は多様でございます。各種の状況に応じて、女性が個性と能力を十分に発揮できることができる社会をつくっていかなければならないと考えております。その中において、予算を編成する際に、そういう女性一人一人に着目をしながら、その女性のためにどのような予算的な配分が行われているのかという視点から予算全体を見ていくという考え方も重要な一つの視点だろうと、このようには思います。  現在、私を本部長として全閣僚から成るすべての女性が輝く社会づくり本部をつくりまして、この下で、全ての子育て家庭への支援の充実や介護を必要とする家庭等を支えていく女性の負担軽減など、様々な状況に置かれた女性を応援する政策政府一丸となって検討、推進をしていきたいと、このように思います。  今後とも、社会情勢の変化の中で新たに生じる問題にも横断的に取り組んでいく考えでございます。
  186. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今日はジェンダーという視点で皆様方にお知らせいたしましたけれども、諸外国では、環境、教育という横軸で切るような分析の仕方ももう既に行われているようでございます。  限られた予算でございます。有効に使っていけますよう、今後とも研究開発いただけますよう政府の方に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  187. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で薬師寺みちよさんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  188. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
  189. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。  戦後七十年談話について、まず質問をいたします。  戦後七十年談話への総理のこだわりは、安倍総理が、国内三百十万人、海外二千万人を超える犠牲者を出した日本の侵略戦争を謝罪したくないのではないか、国策を誤ったと反省していないのではないかとの疑念を生んでいます。(資料提示)  このパネルのとおり、昨年十一月、日中両国で合意された四項目の第一項に、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守することが掲げられています。四つの基本文書の一つが、小渕総理と江沢民国家主席による一九九八年、ここにありますけれども、十一月の、平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言ですが、この中には、一九九五年八月十五日の内閣総理大臣談話、いわゆる村山談話を遵守することが明記されています。仮に七十年談話が村山談話に反すれば、日中共同宣言を否定をして、日中関係を大きく傷つけることは明らかであります。  総理は、歴代内閣歴史認識を全体として引き継ぐと度々答弁をされておられます。私はもう七十年談話は出す必要がないのではないかと思いますが、総理が七十年談話をどうしても出されるとすれば、私は、この村山談話、この歴史認識のキーワード、これを引き継ぐことは当然ではないかと考えますが、いかがですか。
  190. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 戦後五十年には村山談話、戦後六十年には小泉談話が出されています。安倍内閣としては、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。  戦後七十年の談話はそれを前提として作成するものであります。その上で、新たな談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくべきか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になることを目指すのかといった点について、世界に発信できるようなものを英知を結集して書き込んでいく考えでございます。  まずは、先般発足をした二十一世紀構想懇談会において、二十一世紀の世界の在り方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論していただき、幅広い有識者の方々から様々な御意見を伺った上で、政府として新たな談話について検討していきたいと考えています。  そして、今委員がおっしゃった、村山談話について踏襲するかということにつきましては、今私が申し上げたとおりでございます。
  191. 吉田忠智

    吉田忠智君 私が資料で示しております一九九八年十一月二十二日、小渕総理と江沢民国家主席の日中共同宣言、この中に、一九九五年八月十五日の内閣総理大臣談話を遵守しという一項があるわけでありますが、このことについて総理はどのように受け止めておられますか。
  192. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日中政府間で一致した四項目には、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守する旨が書かれているわけでありまして、今引かれましたのは、これは小渕総理のときの日中共同宣言でございます。当然、これは両国間によって出された共同宣言であると、このように認識をしております。
  193. 吉田忠智

    吉田忠智君 いや、だから、それを認識して、これをどういうふうに総理としては踏まえて行動されるんですか、対応されるんですか。
  194. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 当然、それを踏まえているということでございます。政府としては、当然、日中のその共同宣言を踏まえているということを今申し上げているところでございます。
  195. 吉田忠智

    吉田忠智君 遵守というのは、国語の辞書を見ますと、言い付け、決まり、法律などに背かず、それをよく守ることというふうに書かれています。  私は、非常に七十年談話が世界中から注目をされておられますし、七十年談話の内容が、改めて申すまでもなく、今後の日中、日韓の、アジア関係に大きな影響を及ぼすわけでありますから、この四項目の合意、そしてこの小渕総理と江沢民国家主席の日中共同声明も踏まえて総理御自身が賢明な判断をされるように、そのことを強く申し上げたいと思います。  次の質問に移ります。安全保障法制に関する国会承認についてでございます。  社民党は、憲法九条の下、平和外交を軸とした安全保障こそが今日の日本をつくり上げてきたと評価をしておりますし、戦後七十年間、平和国家としての日本の礎を築いてきたと思っております。改めて、憲法違反の昨年七月の閣議決定の撤回を求めます。  その上で、密室の与党協議では、自衛隊の海外派遣国会承認を求めることが歯止めであるかのように宣伝をされています。しかし、三月二十日の与党合意でも、国会の事前承認を基本とするとされ、例外として事後承認を許容しており、全く歯止めになっておりません。イラク特措法による自衛隊のイラク派遣に当たっては、私たちは強く反対をしましたけれども、事前の国会承認のために、基本計画は全文が、実施要領と一般命令は概要が公表されました。特定秘密保護法の下、こうした情報すら開示されなくなるのではないか。このパネルは、明日の自由を守る若手弁護士の会の皆さんが作ったイラストでございますが、国民の不安を端的に表しています。  この間の質疑で、国会承認の判断材料が特定秘密に指定される可能性があること、国会の情報監視審査会が国政調査権の行使として情報開示を求めても、国会法百二条の十五第三項、第四項のように、行政機関の長が理由を疎明したり、情報提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣声明を出せば情報が開示されない場合があることが判明しているわけであります。  また、イラク派遣では、メディアの調査報道によって初めて航空自衛隊の活動が武装米兵の輸送であることが判明し、これが米軍の武力行使との一体化に当たるとして、二〇〇八年四月の名古屋高裁による憲法九条一項違反、イラク派兵違憲の判決につながったわけでございます。  特定秘密保護法の下で安全保障に関してメディアが取材しようとすると、特定秘密の取材や漏えいの教唆という犯罪になる。おかしいと思った公務員などが内部通報しようとすると、過失漏えい罪に問われる危険性もあります。この間の安倍官邸の種々の働きかけもメディアの萎縮に拍車を掛けていると思います。  自衛隊海外派遣、特定秘密保護法、そして恒久法、事後承認の組合せは最悪だと思います。国会安倍暴走政権の追認機関になってしまうのではありませんか。少なくとも、必ず事後承認ではなくて事前承認にすべきだと、そのように考えますが、いかがですか。
  196. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) そのパネルについて申し上げれば、国民の不安を表しているのではなくて、国民の不安をあおっているのだろうと、このように思います。  政府としては、海外における活動を含め、自衛隊の活動に関しては、関連する情報を国民国会の皆様に適切に公開し、その御理解を得ていくことは極めて重要と考えております。  かかる観点から、先般、与党で取りまとめられた安全保障整備の具体的な方向性についてにおける方針の一つといたしまして、自衛隊の海外における活動への参加に当たっては、国民の理解が得られるよう、国会の関与等の民主的統制が確保されることとされました。政府としても、自衛隊の活動に関連する情報を可能な限り適切に公開をしていく考えであります。  そして、安全保障関連の情報に関し、国会から政府に対し特定秘密の提供を求められた場合には、特定秘密保護法に従い、それぞれの行政機関の長が個別具体的に判断することとなります。
  197. 吉田忠智

    吉田忠智君 全く歯止めがありません。自衛隊海外派遣の濫用に対する歯止めを具体的に私は条文に書き込むべきだ、百歩譲って思いますが、総理、いかがですか。
  198. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 自衛隊派遣について今委員はざくっと言っておられますが、この安保法制におきましてはグレーゾーンも含みますし、あるいは国連のPKO活動に関わることもございます。そしてまた、後方支援活動に関わることもございます。そうしたことを一緒くたに言っておられるわけでございますが、いずれにいたしましても、今進めております安保法制については国会で御議論をいただきたいと、このように思っているところでございます。
  199. 吉田忠智

    吉田忠智君 やはり去年の七月一日の閣議決定以降、私も役目柄全国を回っていますけれども、自衛隊の海外派遣、派兵、これが歯止めがなくなるんじゃないかと。あの小泉内閣のときにイラクに派遣されたときも、政府皆さんの中でも随分心配されたと、あれでもですよ。非軍事部門の活動に限定するという中で、でも政府部内で、もし自衛隊に犠牲者が出たらどうしようか、そういう懸念が強くあったわけです。  それで、国民皆さんも、私も全国回って、もう去年の閣議決定の内容からすると、またその後、自民、公明の密室協議内容、密室協議と言います、私たちは報道でしか知る由がありませんから、テレビ、新聞で。そうしたら、それよりもまた広げるような議論がどんどん起こっている。で、恒久法を作るんだと。もう何かあったときに、これまではイラク特措法、テロ特措法、その都度国会で議論して特措法を作ってきました。しかし、もう恒久法、そういう国会で議論する必要ない、法律作る必要ないよと。恒久法ということになったら、じゃ、国会の事前承認をどうするのか、国会がどういう役割を果たすのか、そのことを私は言っているわけですよ。  そういう国民の懸念に、総理、どういうふうに応えますか。
  200. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いずれにいたしましても、法律ができ次第、提出をさせていただきたいと思います。そして、それぞれの自衛隊の行動に関わることについて御議論をいただければと思います。
  201. 吉田忠智

    吉田忠智君 過去の侵略戦争を反省していないというふうに思われる安倍総理の、安倍政権の戦争ができる国づくり、断固反対するということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  202. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  203. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
  204. 荒井広幸

    荒井広幸君 新党改革荒井広幸です。  自衛隊の海外の出動に当たっては、国民の理解を得るため、そして同時に、国会の事前承認、これを、ここに後ほどお示ししますが、この四つの事案に対して、これらに対して例外なく事前承認とするべきであるということを今日は御相談申し上げたいと思います。  というのは、総理政府国会が分かち合うべき判断だと思うからなんです。政府国会が分かち合って、自衛隊の出動を、これをどうするか。これは分かち合うべき、政府国会が分かち合うべき重大案件だろうと思うからです。  早速お尋ねいたしますけれども、官房長官、お越しいただきましたが、問い四番目になりますけれども、せんだって中谷大臣から、国会閉会中、そして国会衆議院の選挙のときです、衆議院の選挙のときと国会閉会中というのがありますよと、このときは事前に国会に相談して承認を取るわけにいかないじゃないかという事例があったんですが、(資料提示)ここに、この間、総理皆さんに前回御提案しました、お手元に配付しましたけれども、今までは五日掛かって国会を召集していました。しかし、やりくりによって、ルールにのっとって、最短三日目で国会が召集できるんです。こういうやり方をやれば恐らく、この四つの、法案ですね、皆様方に見ていただいております四つのこのA、B、C、D、この事態において十分間に合うと思います。間に合わないときは直接日本が攻撃されているときですから、Eの部分に当たるんです。  ここについて官房長官に、十分三日で国会を召集できると思いますが、御見解をお聞かせください。
  205. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今、荒井委員から御指摘をいただきました。  国会等の関係もあって一概に申し上げることはこれできませんけれども、しかし、今日までそうした例がありますので、そこについては、召集詔書から、公布を行った日から中二日での今事例がありましたので、そうしたことは十分に議会の皆さんとこれ会談をすることによって可能になるだろうというふうに思います。
  206. 荒井広幸

    荒井広幸君 中二日の事例、二回あるんです。ですから、五日目に召集していたんですが、中二日を、これを短縮することができるので、三日間で召集できるということなんです。  ですから、そんなに急を要するということはなかなか考えづらいと思います。というのは、イラク特措法でも二十日以内に国会承認なんです、事後承認ですけど。あのときは十一日目で国会を開いているんです。三日目で開くということは非常に、できることなんですね。この事態を言っているわけです。ですから、国会が閉まっているとき、衆議院が解散しているとき、十分に対応できるということを申し上げたいと思います。  続いて、これは総理を経験した麻生副総理にもお尋ねしたいんですが、なぜ事前が必要かということになりますと、政府国会が分かち合って責任を負うと、こういうことですが、もし事後で、これはやっぱり、国会をやって、不適当だと、自衛隊出動は不適当だったと、こうなったときに、戻すときというのは大変な危険ですよ。しかも、各国とオペレーションを一緒にしていますから、外交上、軍事上、自衛隊の安全上も大変なリスクがあると思うんです。  麻生副総理、結局、そうなれば、国会に承認を求めると言われても、危険のリスクを伴うので、結局、各派各党議員が、ああ、じゃ、反対なんだけど、これ認めるしかないなといってなし崩し的になったり、現状追認をせざるを得なくなるという問題点が出てくるんです。この点について見解をお聞かせください。
  207. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 国会において自衛隊にいわゆる出動を命ずることというのは、自衛隊が活動することの関与を総合的に判断するということなんだと思いますが、事後において不承認の投票を行うことが難しくなるとか、あるいはなし崩し的に危ないからとかなんとかいうことで現状を追認することしかできなくなるという御指摘は当たらぬと思いますね。それは、議員がしっかりしていれば、それはそんなことにはならぬのであって。  仮に国会において自衛隊に出動を命じるということや、いわゆる自衛隊が活動することについて不承認ということの議決があったときは、それは自衛隊は直ちに撤収するということにならざるを得ないのだと思いますけど、速やかに活動を終了するとか撤収するとかいろんな表現があると思いますが、そういうことになると思いますので、いずれにしろ、自衛隊を海外に派遣するというような事態になったときには、それは民主的統制の観点から国会の関与が重要であるということ、これは荒井さんの言うこと、何というか、もちろんなことなのであって、今後の法整備において、与党と御相談をしつつ、国会の適切な関与について議論を政府との間でしていく、これは当然のことだと思いますが。
  208. 荒井広幸

    荒井広幸君 法制化している今最中ですから、副総理のお話でも、十分議論をして検討したいということだと思うんです。  私は、このA、B、C、Dについて例外なき事前承認というふうに申し上げましたのは、前回も、アメリカの例もイギリスの例もあるんですね。やっぱり国会と責任を分かち合って、そして国民の理解をいただいて、自衛隊の皆さんにその使命感に基づく活動をしていただくということなんだと思うんですね。ですから、私はそういう観点で申し上げているんです。  そして、ここで、じゃ、どうして出すのかなという、その理由や目的がありますね。そして、どういう対応をしていくのかという。今までは十分に国会には出されておりません。国の名前であるというようなことと、多少なんです。ほとんどは閣議決定の中の基本計画に書かれていくんです。  中谷大臣にお尋ねします。  自衛隊の海外派遣には国会基本計画を出して事前承認をもらう、こういう姿勢でよろしいですか。
  209. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これまでの自衛隊の海外での活動につきましては、一般的には、基本計画は閣議決定をし、国会に報告をするということとされておりまして、自衛隊を海外に派遣する措置のうちの一定のものは国会の承認を求めなければならないことになっております。  具体的には、事態対処法におきましては、武力攻撃事態に至ったときは対処に関する基本的な方針、対処方針、これを閣議決定し、国会の承認を求めなければなりません。周辺事態法においては、基本計画を閣議決定し、国会に報告しなければならず、基本計画に定められた対応措置を実施することについて国会の承認を得なければならないとなっております。旧テロ法、旧イラク特措法においては、基本計画を閣議決定し、国会に報告しなければならず、基本計画に定められた対応措置の実施について国会の承認を求めなければならないとなっております。また、PKO法におきましても、実施計画を閣議決定し、国会に報告しなければなりませんが、いわゆるPKF本体業務を実施する場合には国会の承認を得なければならないということになっております。
  210. 荒井広幸

    荒井広幸君 延長がありました、過去に。テロ特もイラクも、いろんな形で。そういう中で、閣議決定で基本計画を変えていくということがあってはならないんです。国会にきちんとかける、そしてこの場合は事前にかける。  これは、ドイツ、非常に参考になります。ドイツには議会関与法というのが二〇〇五年にあります。この中で、派遣の理由、根拠、派遣の規模や内容、活動地域、準備内容、これを国会と共有をして決めていくんです。こういったことをしっかりやっていただきたいと私は思うんです。そういう姿勢であるということを確認できたことは、私は今日は成果です。  では、基本計画の中に、防衛大臣、仮に特定秘密とされるようなものがあって、国民に伝えると都合悪い、国会に言うと問題になるというようなことで隠されていく、特定秘密という名によって隠されるということはありませんか。
  211. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先ほど総理が御答弁をされておられましたけれども、こういった閣議の実施計画については、いずれも閣議決定を経て公表をされております。こういった内容等につきましては、現在、法制について作業を継続中でありますが、基本的には同様の扱いにする考えでありまして、その内容が特定秘密扱いとされ隠される可能性があるとの御懸念はございません。閣議決定をして公表するというふうにしております。
  212. 荒井広幸

    荒井広幸君 いや、閣議決定して基本計画作るんです、今までも。しかし、それが国会にかかっていないんです。案件名と地理的、どこに行くか的な話しか出ていない場合もあるんですよ。場合もあるんです。そこを私言っているんです。  最後に、総理、お尋ねしたいんですが、総理の正義感と使命感は私は十分知っている者の一人だと私も思っているんです、私自身が。どうでしょうか、これだけリスクが高い、自衛隊を出すということがA、B、C、Dで起こるわけです。政府だけで判断するのではなくて、国民に理解を得る、私たち政治家や政党も含めて国会と責任を分かち合って、そして自衛隊の皆さん活躍をしてもらう、それが例外なき国会の事前承認という趣旨なんです。総理の御見解をお聞かせください。
  213. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 自衛隊が様々な任務を十全に果たしていく上においては、国民の理解と支持が不可欠であると思います。そのためにも、自衛隊の活動に対する民主的な統制が適切に確保されることが重要であると考えています。そのような観点から、集団的自衛権の行使など憲法上許容される武力の行使を行うために自衛隊に出動を命ずるに際して、また我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態への対応や国際平和協力活動などについては国会の関与が重要であると考えています。  具体的な関与の在り方については、武力の行使を含むものであるかどうか、そして国民の権利義務に直接関係あるものであるかどうか、迅速な対応が必要なものであるかどうか等を、それぞれの活動の内容、趣旨、目的等を踏まえて検討していく必要があると考えています。  法整備の具体的内容についてはまだ検討中でありますが、先般与党から示された方向性に即して引き続き検討を深め、国会の関与が適切に確保されるよう法案化作業を進めていく考えであります。
  214. 荒井広幸

    荒井広幸君 総理、その方向で進めてください。行政府と立法府が共同でこの決定責任を負う、この新しい国会運営のルールを作らなければなりません。  今日は衆参の事務総長にも来ていただきましたが、時間がありませんので、あしたの締め総でさせていただきます。  ありがとうございました。
  215. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて国民生活エネルギー政治理念に関する集中審議は終了いたしました。  次回は明九日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会