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2015-03-30 第189回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月三十日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      若林 健太君    三原じゅん子君      大門実紀史君     仁比 聡平君      吉田 忠智君     福島みずほ君      平野 達男君     荒井 広幸君  三月三十日     辞任         補欠選任      杉  久武君     横山 信一君      室井 邦彦君     儀間 光男君      倉林 明子君     大門実紀史君      中野 正志君     和田 政宗君      中西 健治君    薬師寺みちよ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 石井 準一君                 岡田  広君                 古賀友一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 小川 敏夫君                 那谷屋正義君                 若松 謙維君                 小野 次郎君     委 員                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 島村  大君                 高野光二郎君                 高橋 克法君                 堂故  茂君                 二之湯武史君                 三木  亨君                三原じゅん子君                 三宅 伸吾君                 山下 雄平君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 小西 洋之君                 田城  郁君                 田中 直紀君                 藤田 幸久君                 水岡 俊一君                 蓮   舫君                 長沢 広明君                 矢倉 克夫君                 横山 信一君                 儀間 光男君                 大門実紀史君                 仁比 聡平君                 井上 義行君                 山田 太郎君                 和田 政宗君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君        総務大臣     高市 早苗君        法務大臣     上川 陽子君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣        国務大臣     下村 博文君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   林  芳正君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償廃炉        等支援機構))  宮沢 洋一君        国土交通大臣        国務大臣     太田 昭宏君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     望月 義夫君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (復興大臣)   竹下  亘君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣防災)        )        山谷えり子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、消        費者及び食品安        全、科学技術政        策、宇宙政策)        )        山口 俊一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、少子化対策        、男女共同参画        ))       有村 治子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域))  石破  茂君    副大臣        財務大臣    宮下 一郎君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 亮治君    政府参考人        内閣府政策統括        官        田和  宏君        内閣食品安全        委員会事務局長  姫田  尚君        内閣経済社会        総合研究所総括        政策研究官    丸山 雅章君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      大森 泰人君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       三宅  智君        中小企業庁長官  北川 慎介君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        防衛大臣官房衛        生監       塚原 太郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省地方協力        局次長      山本 達夫君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本放送協会経        営委員会委員長  浜田健一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十七年度一般会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○平成二十七年度特別会計暫定予算内閣提出、  衆議院送付) ○平成二十七年度政府関係機関暫定予算内閣提  出、衆議院送付) ○委嘱審査に関する件     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十七年度暫定予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十七年度暫定予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁黒田東彦君及び日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度暫定予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  質疑は、本日一日間行うこととし、総括質疑方式とすること、質疑割当て時間の総計は六十分とし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会二十分、維新の党八分、日本共産党八分、日本を元気にする会・無所属会八分、次世代の党四分、無所属クラブ四分、社会民主党護憲連合四分、新党改革無所属の会四分とすること、質疑順位につきましてはお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度一般会計暫定予算平成二十七年度特別会計暫定予算平成二十七年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この度、平成二十七年四月一日から四月十一日までの期間暫定予算編成することといたしました。その概要について御説明させていただきます。  まず、一般会計について申し上げます。  歳出につきましては、暫定予算が本予算成立までの応急的な予算であることに鑑み、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限金額を計上することといたしております。  そのうち、社会保障関係費につきましては、必要な年金給付に係る経費等について、所要額を計上することといたしております。  また、地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金等に係る所要額を計上することといたしております。  なお、新規施策に係る経費につきましては、期間中に特に必要になるものを除き、原則として計上しないことといたしております。  歳入につきましては、税収及びその他収入期間中の収入見込額を計上することといたしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳出額は五兆七千五百九十三億円、歳入総額二百六十三億円となります。  なお、歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ財務省証券を発行することができることといたしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましても、一般会計に準じて編成をいたしております。  以上、平成二十七年度暫定予算につきまして、その概要を御説明させていただきました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。
  9. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で平成二十七年度暫定予算三案の趣旨説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。大塚耕平君。
  10. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党新緑風会大塚耕平でございます。  それでは、暫定予算についてまずはお伺いしたいと思います。  暫定予算に至った経緯についての総理の御感想、御所感をまずはお伺いしたいと思います。
  11. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府としては、経済をしっかりと底支えするため、さきの衆議院選挙終了後、直ちに経済対策の策定に取りかかり、年内に取りまとめるとともに、その後、間断なく平成二十六年度補正予算平成二十七年度予算編成を行うなど、早期の予算編成に努めてまいりました。平成二十七年度予算については、当面、国民生活に支障が生じないよう短期間暫定予算を提出することとしましたが、経済の好循環を確かなものとするため、平成二十七年度本予算を一日も早く成立させる必要があることに変わりはございません。  政府としては、引き続き、予算の丁寧な説明に努めてまいる所存であります。速やかな成立に向け、御協力をいただきたいと思います。
  12. 大塚耕平

    大塚耕平君 財務大臣に一点だけお伺いしますが、先ほど支出必要最小限歳入期間中の収入見込額というふうに御説明がありましたけれども歳入については、実際に政府が得る収入を計上しているんですか、それとも何か案分で計算しておられるんですか。案分をして計算しておられるんですか。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この暫定予算期間、一日から十一日までの十一日間といたしておりますが、このうち一般会計歳出の五兆七千五百九十三億円につきましては、暫定予算が本予算成立までの応急的な予算であることを考えて、この期間中におけます行政運営上必要最小限金額を計上することとし、新規施策に係る経費原則として計上しないということにいたしておりますのは今申し上げたとおりです。  歳入につきましては、この期間中の税収及びその他収入収入見込額を計上しているということでありまして、税収及び印紙収入が約二百億円、その他収入六十三億円等々で、公債金収入は計上しているわけではございません。このため、歳出超過になりますので、収支の差額につきましては必要に応じて財務省証券の発行によって対応させていただくことにいたしておる次第であります。
  14. 大塚耕平

    大塚耕平君 暫定予算についてはやむを得ないことと思いますので、私としても是と考えておりますが。  それでは、今日いただいた質問の時間の中で、現下の景気情勢等やあるいは安全保障についての問題について若干お伺いしたいと思います。  まず、お手元資料をお配りいたしましたが、二〇〇九年九月末、つまり七─九のGDP、あるいは二〇一二年十二月末、第四・四半期ですが、さらには二〇一四年の第四・四半期実質GDP及び名目GDP実額、並びに二〇〇九年第三・四半期、二〇一二年第四・四半期、そして二〇一四年第四・四半期実質GDP名目GDP増減率について、政府参考人に、お手元に配った資料参考にしながら、まず数字を御報告いただきたいと思います。
  15. 丸山雅章

    政府参考人丸山雅章君) お答え申し上げます。  お尋ねの二〇〇九年七─九月期、二〇一二年十─十二月期、二〇一四年十─十二月期の実質GDP実額につきましては、最新の速報値によりますと、季節調整値年率で、それぞれ四百八十九・六兆円、五百十六・六兆円、五百二十四・六兆円となっております。名目GDP実額につきましては、それぞれ四百六十九・五兆円、四百七十二・二兆円、四百八十九・五兆円となっております。  また、この実額を用いまして、二〇〇九年七─九月期から二〇一二年十─十二月期、二〇一二年十─十二月期から二〇一四年十─十二月期の実質GDP増加率を計算いたしますと、それぞれ五・五%、一・五%となります。そして、同期間名目GDP増加率を同様に計算いたしますと、それぞれ〇・六%、三・七%となります。さらに、これらの増加率年率換算いたしますと、実質GDPにつきましてはそれぞれ一・七%、〇・八%、名目GDPにつきましてはそれぞれ〇・二%、一・八%となります。
  16. 大塚耕平

    大塚耕平君 政府参考人にもう一度お伺いしますが、そうすると、今述べられた実質GDP増減率、それから年率換算成長率は、民主党政権下安倍政権下ではどちらが高いかを述べてください。
  17. 丸山雅章

    政府参考人丸山雅章君) お答え申し上げます。  実質GDP増減率につきましては、民主党政権下期間でございます二〇〇九年七―九月期から二〇一二年の十―十二月期、そして名目GDPにつきましては、現政権下でございます二〇一二年十―十二月期から二〇一四年十―十二月期の方が高くなっております。
  18. 大塚耕平

    大塚耕平君 経済を良くしたいという思いは与党の皆さんも我々野党も同じでございますので、やはり冷静な現状認識要因分析が必要だという視点からお伺いをいたします。  総理はかねがね民主党政権経済成長しなかったというふうに言っておられますけれども、今の数字御覧になってどのようにお考えになりますか。
  19. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは今までも答弁をさせていただいているわけでございますが、まさにリーマンショックで大きく下がったわけでございます。六%近く下がって、それがまさに鳩山政権菅政権の初めかな、ぐらいがそれが戻ったということでございまして、しかしその後はほとんど成長はしていない、横ばいであったということでございます。  そして、私ども政権を奪還する前の二四半期連続マイナス成長であったものを我々が政権を奪還した後プラス成長に変えたと、このように申し上げてきているところでございます。
  20. 大塚耕平

    大塚耕平君 この全体の数字御覧になってどう思われますか。例えば、実質でいうと、我々の三十九か月では五・五%、安倍政権下では二十四か月で一・五%です。もう一度お伺いします。
  21. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、民主党政権で伸びたというのは、先ほど申し上げましたように、リーマンショックで落ち込んだものが麻生政権時代の、まあこう申し上げると申し訳ないんですが、麻生政権時代の様々な対策が言わば顕在化して、そしてそれによって落ち込んだものが戻ってきたと、しかしその後は横ばいであったということでございます。  安倍政権におきましては、まさにこの実質におきましては、四―六の段階、四月の段階、昨年の三月に、消費税を引き上げていますから、三%引き上げているんですから、この三%引上げの分が、当然これは実質でございますから、これは押し下げていくということになっていくわけでございます。  その中で、しかし、我々の成長戦略、三本の矢の政策によってしっかりと成長はしたなと、プラス成長はお約束どおり果たすことができたなと、こう思っている次第でございますが、今年の四月には消費税が上がらないわけでございますし、十月も、そして来年の四月も上がらないわけでありますから、今後、確実な成長実質においても見込まれるんだろうと、このように思っております。  そして、大切なことは、まさに経済というのは、これは名目で動いているわけでございます。この名目で四百六十九兆円から四百八十九兆円に上がってきた。税収は、まさにこの名目GDPがしっかり上がっていかなければ税収は上がっていかないという中におきまして、十二・二兆円ですね、我々は税収を確保することができたと、こんなように思っています。
  22. 大塚耕平

    大塚耕平君 名目も大事であるということは別に否定はいたしません。  それでは、名目の〇・六と三・七、この民主党政権下数字安倍政権下数字、三・七の名目成長率のうち消費税影響はどのくらいですか。政府参考人にお伺いします。
  23. 丸山雅章

    政府参考人丸山雅章君) お答え申し上げます。  国民経済計算統計各種基礎統計を用いて推計しているものでございますが、消費税率引上げが行われなかった場合の基礎統計情報が存在しておりませんため、名目GDP増減率に占める消費税率引上げ影響につきましては、国民経済計算統計上は推計いたしておりません。
  24. 大塚耕平

    大塚耕平君 推計していないのではなくて、推計するのが適当ではないということではありませんか。
  25. 丸山雅章

    政府参考人丸山雅章君) 先ほど申し上げましたように、国民経済計算統計各種基礎統計を利用した推計でございますので、そうした情報基礎統計にないということでございますと推計ができないということかと考えてございます。
  26. 大塚耕平

    大塚耕平君 それでは、政府参考人かあるいは甘利大臣にお伺いいたしますけれども総理は再三、総雇用者報酬等数字を述べられますけれども、総雇用者報酬賃金における消費税影響はどうやって計算しているんでしょうか。今SNAでは計算できないと彼らは言っているんですけれども
  27. 田和宏

    政府参考人田和宏君) お答えいたします。  総雇用者報酬という言葉で月例経済報告の本文とか資料平成二十六年十月から統計を出しておりますけれども、この際の消費税率を勘案したものというのは、消費税率物価に与える影響を仮置きいたしまして、それを物価からディスカウントして、割り引いて出しているものでございます。
  28. 大塚耕平

    大塚耕平君 仮置きの内容をもう少し詳しく説明してください。
  29. 田和宏

    政府参考人田和宏君) お答えいたします。  消費税率三%に対して約二%程度影響があるものということで仮置きをいたしまして計算しているものでございますけれども、あわせて、消費税率を除かない実質ベース名目ベース併せて統計として表しております。
  30. 大塚耕平

    大塚耕平君 くどいようですが、定量的な根拠があって二%という影響を算出しているわけではないということでいいですね。
  31. 田和宏

    政府参考人田和宏君) 総雇用者所得におきます消費税率影響は、あくまでも仮置きという形でございますので、あくまでも内閣府の試算でございます。
  32. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうすると、GDP統計でも仮置きで二%ぐらいの影響があったと想定しても、今の文脈からいうと間違いではないですね。
  33. 田和宏

    政府参考人田和宏君) お答えいたします。  GDP統計の方につきましては、先ほどの丸山政策統括官が言及されたものだと承知しております。(発言する者あり)
  34. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、もう一回、大塚耕平君。
  35. 大塚耕平

    大塚耕平君 SNA統計でははじいていないとおっしゃったんですが、実質賃金消費者物価や総雇用者報酬における二%程度影響もそう想定した仮置きにすぎず、根拠もないわけですから、GDP統計においても二%ぐらいの影響があったと考えても文脈上は間違いではないですねと聞いているんです。
  36. 丸山雅章

    政府参考人丸山雅章君) 国民経済計算はあくまで統計でございますので、そうした仮置きで消費税率引上げ影響を除いてお示しするということは統計としてはお示しすることができないということを申し上げているわけでございます。
  37. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、あの方に聞いたんじゃなくて、その前の方に聞いたんです。その前の方に聞いていますので。田和さんでしたっけね。
  38. 田和宏

    政府参考人田和宏君) お答えいたします。  私どもの作成しております総雇用者所得につきましては、内閣府の方で、まさに、一人当たりの賃金雇用者数を掛けた数字から、実質ベースではそのもの、それから消費税影響分を除いたもの、そういった名目を、除いたものを、名目の数値を出しているものでございまして、今のSNA統計上は正式な統計としてそういう数字を出しているものだと、そういうふうに承知をしております。(発言する者あり)
  39. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  40. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 速記を起こして。  どなたがお答えしますか。  田和政策統括官
  41. 田和宏

    政府参考人田和宏君) お答えいたします。  SNA統計数字について、先ほどのように大胆に物価への影響額を仮置きいたしまして、こちらで推計をするというのは可能だとは思います。
  42. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、別に今それをしてほしいと言っているわけではなくて、総雇用者報酬根拠はないけど仮置きで二%の影響があるといって、国会ではその見解に基づいてみんな議論しているわけですから。だから、SNAでも、今は推計していないけど大体二%の影響があると考えてもおおむね間違いじゃないですねと聞いているんです。
  43. 田和宏

    政府参考人田和宏君) あくまでも、大胆な推計と申し上げましたのは、消費税率物価だけではなくて実質経済にも影響を与えるという、そういったところまではなかなか推計が難しいということを留保する必要性があるということでございます。
  44. 大塚耕平

    大塚耕平君 聞いていただいている方は政府参考人の心情も多分おもんぱかっていらっしゃると思いますが、おおむね二で問題ないという答弁をすると、安倍さんが名目で三・七%成長していると言い張っていらっしゃる数字も一・七になっちゃうんですね。そうすると、ほとんど、何といいますか、今までのロジックが崩れちゃうんですが、総理はどう思われますか。
  45. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 大塚先生がおっしゃりたいことは、民主党内閣安倍内閣を比較すると、統計上は、実質民主党内閣の方が成長している、しかし名目では安倍内閣成長している、しかし消費税のかさ上げ分があるじゃないかと、それを引いたら名目でもそんなにいかないんじゃないのということがおっしゃりたいんですね。  消費税の三%というのは、CPIに影響するのはカバレッジからいって二パーということが大体はじけます。しかし、経済GDPに与える影響というのは、消費税を導入すれば消費を下押しをいたします。ですから、GDPをマイナスにさせる効果があるわけです。それに対していかに適切な効果を打っていくかという経済対策上の問題があります。そこで、下押し効果を最小限にするというためにいろんな対策や、予算だけじゃなくて、規制緩和やいろんなことを打ってきたわけであります。だから、CPIに影響するものがそっくりGDPのかさ上げに乗っかっていると考えるのはちょっと無理があると思います。
  46. 大塚耕平

    大塚耕平君 その御意見も理解はできますが、しかし根拠はありませんので、推計はできると言ったので推計をしてもらいたいと思いますが、一応確約をしてください。田和さん、やってくれますね。
  47. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 推計をしてくれるかと。  田和政策統括官
  48. 田和宏

    政府参考人田和宏君) 大胆な仮置きかもしれませんけれども、そういう数字で……
  49. 大塚耕平

    大塚耕平君 また仮置きと言っていますよね。だから、あの辺が、ちょっとしっかり御指導いただかないと。
  50. 田和宏

    政府参考人田和宏君) はい。じゃ、総雇用者所得と同じ方法で推計をしたいと思いますけれども
  51. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、違う。それはちょっとおかしいよ。もう一回聞くけど。
  52. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、もう一回質問してください。
  53. 大塚耕平

    大塚耕平君 総雇用者報酬と同じやり方であったら、根拠のない仮置きになるじゃないですか。
  54. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 質問の意味分かりましたか。  甘利国務大臣
  55. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 消費税を幾ら上げるとGDPにどういう影響をするかというのは一律に測ることはできないと思います。時の政府が打つ政策によって下振れ効果が薄くなったりしますからですね。ですから、我々は適宜適切に財政出動やあるいは規制緩和や金融政策を担当してきました。そして、インフレ期待を起こすようにしてきたわけであります。そういう総合政策でやっていますから、一律に消費税を何パー上げたときにはGDPを何パーかさ上げするという、定量的にはなかなか難しいんじゃないかと思います。  併せて申し上げますと、総理答弁させていただいていますとおり、発射台が、民主党政権に移ったときにはリーマンでどんと落ちたときが発射台になっているわけであります。それを引き上げる政策対策というのは、麻生政権のときにやっているわけです。その五か月後に政権を取られているわけですから、それが発現してくるわけであります。でありますから、リーマンの世界的な経済恐慌の影響を受けているところからいくと。  恐らくそう言うと、我々だって三・一一の影響を受けているじゃないかと、それを補修して安倍政権に渡したんだとおっしゃりたいんだと思います。(発言する者あり)あっ、そこまでは言わない。それに対してはちゃんと答弁もさせていただきますから。
  56. 大塚耕平

    大塚耕平君 さっきも申し上げましたが、経済を良くしたいというのは、これ党派に全然違いはありませんので、つまり現状認識をお互いに共有をして、誤りなき政策対応をするために国会で議論をしているわけですから。  甘利さんおっしゃるように、リーマンショック影響から立ち上がる局面で麻生政権も努力されたし、当然我々も努力しましたし、その文脈でずっと実は上がってきているんです。だから、安倍政権でやったことが、もちろん大胆な金融緩和をやったことは事実ですからそれは理解していますが、何も安倍政権だけで立ち上がったわけではないということを、そこは冷静に認識しないと、ひょっとするとこの先また何か予期せぬ政策的そごが生じる可能性があると私は思っているので議論をさせていただいているんですが、総理はここまでは認識共有していただけますか。
  57. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 基本的にはさっき甘利大臣答弁したとおりでございまして、まずリーマンショックを受けて累次の補正予算を組んで、この補正予算の成果が発現してきたのがちょうど鳩山政権であったと思います。もちろん鳩山政権が何にもやらなかったとは言うつもりはございませんが、しかし、その間にもデフレは脱却できていないわけですよ。そして、デフレの脱却をするために何が必要かということについては、これは政策的にこれを明らかに、その方法論については明らかにしてこなかったのは事実なんだろうと思います。  安倍政権においては、大胆な金融緩和が必要である、はっきりとした物価安定目標を持つことが必要であるということは安倍政権において初めてこれは行ったわけでございまして、日銀と政策協定を結んで二%という物価安定目標を設け、そして大胆な金融緩和を言わば日本銀行において行ったところでございます。そして、その結果、十五年続いてきたデフレはまだ脱却はできていませんが、デフレではないという状況をつくり出すことができたのは事実でございます。  そして、その結果、何回も申し上げますが、既に雇用と賃金、実体経済はここが大切であります、雇用と賃金。また、株式の指標を言う人もいます。これは明らかに大きく変わってきているのも事実でありまして、そこのところも皆さんにも見ていただかないと政策の分析はできないのではないかと、このように思います。
  58. 大塚耕平

    大塚耕平君 我々の政権下ではデフレ脱却はできていなかったというのも繰り返し答弁しておられますが、ここもちょっと軌道修正のために議論をさせていただきます。  お配りした資料の二枚目、何度も使わせていただいておりますが、青い線はマネタリーベースであります。②のところでマネタリーベースが大きく下がっているんですが、これは前の安倍官房長官、第一次安倍政権のときでございますが、この二番の局面でなぜ安倍官房長官、安倍総理金融引締めを実行されたんですか。
  59. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは当時、政府日本銀行との間で様々な議論を行ったところでございます。これは、大胆な金融政策が導入される前の日銀の金融政策では結果として長引くデフレから脱却できなかったということは確かでありますが、二〇〇六年の判断についても二〇〇七年の判断についてもやはり早かったと考えているわけでございますし、私は当時、官房長官として、これはまだ早過ぎると、早過ぎるということは明確に日本銀行に対して申し上げていたところでございます。  ですから、その経験も踏まえて、一昨年一月に、政府日本銀行の間の緊密な意思疎通を行った上で共同声明を取りまとめたわけでございます。当時はこういう共同声明を取りまとめるということではなくて、政府政府としての意見を申し上げます。もちろん決定会合の中に政府から出ていますが、しかしそこで果たしてそれ以上議論すべきかどうかということについては、当時は慎重な姿勢を取るということになっていたわけでございます。  その反省から、今回はしっかりとした政策協定を共同声明として取りまとめを行ったということでございまして、我々はこうした政策協定を取りまとめて二%という物価安定目標を掲げたと。この物価安定目標に向かって政策については日本銀行が取っていくわけでございますが、これうまくいかなかったときには、これは説明責任を負うということでございます。何が何でもそうだということではなくて、そうなっていくことについて、この道程について、道筋を進んでいるかどうかということについてしっかりと説明責任を果たして、政府に対してですね、日本銀行が、そういう共同声明をまとめたわけでございまして、これが大きな違いとなっていると、このように思っております。
  60. 大塚耕平

    大塚耕平君 デフレ脱却はやはり我々も目指してしっかり行動しましたので、だから菅政権のときにそれまでの自民党政権さんでは余り明確におっしゃらなかったデフレ宣言をしたわけですよ。そこから一%の物価上昇率の目標の金融緩和をした結果が三番の局面で、我々の政権の最後の局面では、竹中大臣がおられた頃の、つまり安倍総理金融引締めに同意されるその直前の水準をちょっと超えるところまで戻したわけですね、我々は。その間に、ブレーク・イーブン・インフレ率とか、あるいはインプライドボラティリティーはかなりデフレ脱却の方向に動いていると思いますが、日銀総裁、多分データをお持ちだと思いますので、ブレーク・イーブン・インフレ率が二〇〇九年ぐらいから二〇一二年末までどういうふうになったか、ちょっとお答えいただけますか。
  61. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 突然のお尋ねですので正確な数字は申し上げられませんが、このおっしゃる物価連動国債を使って計算されるブレーク・イーブン・インフレーション・レートというのは、二〇〇八年のリーマンショックで大幅にマイナス方向に移った後、二〇〇九年以降徐々に回復し、二〇一二年にはプラスになっております。  その後、一三、一四と上昇してきておりましたが、途中で御承知のように新物価連動国債が出てまいりまして、旧物価連動国債から計算するものとまた違った数字になっておりますので若干見にくいとは思いますけれどもリーマンショック後、大幅に下落してマイナス三%ぐらいになったものが、だんだん上昇してきて二〇一二年度にプラスになり、二〇一三、一四と引き続き上昇していったという姿になっております。
  62. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ちょっとよろしいですか。
  63. 岸宏一

  64. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど、私が同意したというお話でございましたが、私が別に同意をしたのではなくて、物価については、食料やエネルギー等を除いたいわゆるコアコアでありますが、消費者物価はマイナス圏内の動きであり、総合指数もゼロ近傍で推移していたことから、デフレから脱却したとは言えないという状況になったというのが私の認識でございました。  そこで、福井総裁と二人の食事の席等で、政府としては、金融緩和はまだ早いということで、思いとどまってもらいたいということを申し上げてきたところでございます。また、金融政策決定会合の場においても政府からの出席者が、金融面から経済を十分に支えることが必要であるとして、金融引締め政策について慎重に対応することを期待するという見解を表明をしております。  その上で、最終的には金融政策の具体的な運営については日本銀行に委ねているということも踏まえ、総理とも相談の上、政策決定会合の御判断を尊重し、政府からは議決延期請求権は行使しなかったというのが経緯でございます。
  65. 大塚耕平

    大塚耕平君 日銀総裁、ブレーク・イーブン・インフレ率は、今、日銀にとって重要な指標であって、これはどういうものを意味しているかというのを、ちょっと私を含めた委員の皆さんに簡単に御説明いただけますか。
  66. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 物価上昇期待、予想物価上昇率というものが経済あるいは金融にとって非常に重要な意味を持っておりまして、予想物価上昇率を知るための方法としては基本的には二種類ありまして、一つは、マーケットのいろんな指標から一種の逆算をして、マーケットの人たちがどういった物価上昇期待、物価上昇予想を持っているかというのを計算するものであります。その一つがまさに物価連動国債から計算されるブレーク・イーブン・インフレーション・レートであり、ほかにもスワップ市場から計算される物価上昇予想というものもございます。  もう一つ、たくさんありますのは、マーケットの関係者あるいは企業、家計等にアンケート調査をいたしまして、その中で物価上昇予想をどのように持っているかというものを測ると、両面あるわけでございます。  市場の予想という面ではブレーク・イーブン・インフレーション・レートというのは一つの重要な要素だと思いますけれども、これだけに頼って物価上昇予想というものを決め打ちするというのは難しいと思います。いろいろな指標を総合的に判断する必要があると思っております。
  67. 大塚耕平

    大塚耕平君 やや専門的な議論に聞こえていらっしゃる委員の方も多いかもしれませんが、日銀は今出口がだんだん模索できない状況になりつつある中で、これは大変に重要なポイントだと思いますので、もう少し議論を続けさせていただきます。  総裁、直近のブレーク・イーブン・インフレ率、旧物価連動国債を基準にしたものでどのくらいか、数字ございますか。
  68. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 旧物国で計算したものですと、一時二%を超えていましたが、今は二%を割って一%台の後半ぐらいだと思います。  なお、新物国で計算したものですと、一%強といったところだと思います。
  69. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理、ちょっとグラフを見ていただきたいんですが、我々のときも、いや、我々だってデフレ脱却したいわけですから、一生懸命それなりに頑張ったんですよ。三番の局面では、三十九か月の間に、我々はデフレ宣言をし、マネタリーベースを過去を上回る水準まで戻すことによって、今総裁がおっしゃったブレーク・イーブン・インフレ率は、マイナス一%から政権末期はプラス一%に、二%改善したんですよ。  今、総理は、四番のオペレーションを日銀が行うことを是認し、ある意味今一緒に共同歩調でやっておられて、プラス一%から今総裁がおっしゃったように今一%台後半で、青い線をここまでやっていますけれども、一%ぐらいしか改善をしていないんですが、我々の三十九か月では二%分のデフレ脱却に向けた数値の改善を行い、安倍政権では三十九か月でこの四番のオペレーションをやっているんですが一%分の改善しか起きていないんですが、この辺についてはどういうふうに理解しておられますか。
  70. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) このブレーク・イーブン・インフレーション・レートの分析はなかなか難しい部分もあるんですけれども、私ども見るところ、先ほど申し上げたように、二〇〇八年のリーマンショックによって、それまで〇・五%ぐらいだったブレーク・イーブン・インフレーション・レートがマイナス三%まで落ちまして、そこから徐々にマイナス幅を縮めてきていたと。そして、先ほど申し上げたように、二〇一二年の中頃にプラスに転換して一%程度になっていったと。  その後、一三年、一四年と上がっていき二%台の半ばまで行っていたんですが、今は二%を切って一%台の後半ぐらいになっているというわけでして、この間のそれぞれの時期のブレーク・イーブン・インフレーション・レートが上下したことの分析というのはそう簡単ではないと思いますが、マーケットの人たちの、物国債のマーケットの人たちの物価予想というものがこういうふうに動いていたのではないかというふうには見ております。
  71. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、総裁、もう少し平たくお伺いします、それでは。  随分大胆なことをやっている割には、意外に効果が出ていないなと思われませんか。
  72. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 量的・質的金融緩和によって経済全体の好循環というのが進み、基調として景気回復が続いていると思いますけれども物価に関しましては、確かに、昨年の四月に消費税の直接的影響を除いたベースで見て一・五%に達したものが、その後だんだん下がってきて、特に夏以降、原油価格の大幅な下落によって低下しておりまして、そういったことが若干BEIにも影響している可能性はございます。  というのは、日本だけでなく、欧米でもこのブレーク・イーブン・インフレーション・レートは下がっているわけです。そういう意味では、そういう影響は出ているとは思いますけれども、あくまでも私どもとしては二%の物価安定目標を実現して安定的に持続できるようになるまで現在の政策を続けるということでございますので、最終的には物価上昇期待も二%程度にアンカーされることが望ましいというふうに考えております。
  73. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理、一枚目の資料に戻って、ちょっと表に目をお通しいただきたいんですが。  経済は生き物ですので、やはり冷静に分析し微調整をしながら政策も行っていかなきゃいけないと思います。私たちも、今こうして下野してから二年以上たって改めて数字を見てみると、多分、我々のときは非ケインズ効果などという言葉も随分飛び交いましたけれども物価が上がるということは国民の皆さんにとって所得の面で必ずしもプラスではないので、物価については、デフレ脱却しつつもそう大きく物価が上昇することのないようにしながら、実質所得や実質GDPを伸ばすという、我々はどちらかというとそっちを選択したんですね。  今の安倍さんたちは、名目GDPを増やす、名目所得を伸ばすことで、後から実質が付いてくればいいという発想でやっておられるんですが、これは、かなり方法論としては対照的なやり方であります。  我々としては、随分非ケインズ効果が起きていたんだなということを、この五・五と〇・六という数字を見ると改めて感じているんですが、甘利大臣、今、甘利大臣を含む内閣の皆さんはケインズ効果的経済政策をやっぱりやっておられると私は思うんです。非ケインズ効果的要素は、我々の時代にある程度出ていたというふうに、ここはお認めいただけませんかね。
  74. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ううん、素直にそうすとんと入ってこないんでありますけれども、我々もそのケインズ効果に頼ってやっているというつもりはありません。財政の見通し、健全化、社会保障の安定性、そのために消費税を上げているわけでありますし、そして、夏までに二〇二〇年PB黒字化の工程についても示さなければならないわけであります。  あわせて、二〇一五年のPB赤の半減というのは、グラフを見ていただければ分かりますけれども安倍政権になって急激に改善をしています。二〇一〇年がマイナス六・六、一五年が、五年後が三・三ですけど、その改善工程は、恐らく安倍政権になって一年で一・二%ペースで改善をしていると思います。それは、財政健全化、財政の将来見通し、国債管理政策、あるいは社会保障の安定性への信頼感、そういうものにもしっかり目配りをしながら、経済成長と財政の健全化は表裏一体ということで取り組んでいますから、合わせ技でやっているつもりでございます。
  75. 大塚耕平

    大塚耕平君 この質問は、麻生大臣にも是非御所見をお伺いしたいと思います。
  76. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、なかなか、今、甘利大臣もううんと言われたんだと思いますが、誰に聞いても、ううんというのが正式な、正しいところなんじゃないのかなと思いますけれども、なかなか効果の測り難い、これは後で歴史家がこれをどう言うかというような方にちょっと私は物すごく興味があるといえば興味があるというほど、これはなかなかいわく言い難いところだというのが正直な実感です。  したがって、今の段階で、私どもとしては、きちんとした、名目でやるか実質でやるかとかいろんな御意見の分かれるところだとは思いますけれども、私どもはやっぱり国民の気分というものを、まずはデフレというマインドから解放して上げていくということをしない限りは、これはもう絶対駄目だというのが確信の底にありますので、まずは名目とか株価とかいろんなもので、きちっとした分野でというんで、やっぱり給料が上がらぬと、使い前は増えているじゃないかといったって、給料は全然上がっていないじゃないかというのはやっぱり駄目なんで、やっぱり基本的には給料がある程度上がっていったというような形の名目が見えてきた方がより大きい効果が上がりやすいと、私どもは基本的にそう思っているというのが一番底にありますので、今の御質問に対する答えとしては、なかなか、これが今の現状としてというと、なかなか正式にこれですということは言いにくいというのが実態です。
  77. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、そこ、さすが麻生大臣ですが、大事なポイントをおっしゃったんですが、名目が上がっても実質が上がらないと、どういう経済影響を与えるかというのを日銀総裁にお伺いします。実質所得が上がらないということになりますと、どういう影響経済に出ますでしょうか。
  78. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 私どもの二%の物価安定目標の実現ということに向けて最大限の努力をしているわけでございますが、この二%の物価安定の目標の実現に当たっては、単に物価が上がればいいということではなくて、やはり生産、所得、支出の好循環の下でバランスよく成長するということで、企業収益やあるいは雇用、賃金の増加を伴いながら物価上昇率が次第に高まっていくということが望ましいと、そういう状況をつくり出していくということが好ましいというふうに考えております。
  79. 大塚耕平

    大塚耕平君 総裁にお伺いしたいのは、実質所得が上がらないと結局消費にはマイナスではないでしょうかということなんですが、いかがでしょうか。
  80. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) そこは、委員よく御承知のとおり、消費を決定するものとしては、これは、実質消費を決定するものとしては、実質所得とかあるいは実質的な資産とかあるいは将来の実質的な所得の伸びとか、そういうものがあると思いますけれども、極めて大きな要素として実質所得があるということはそのとおりであります。
  81. 大塚耕平

    大塚耕平君 今、総裁は実質消費という言葉を使われたんですが、経済財政諮問会議でどういう議論が行われているか私存じ上げませんが、消費に実質値と名目値という違いはあるんでしょうか。
  82. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) それは、まさにGDP統計で、通常、名目の消費、投資等が出ると同時に実質の消費や投資が出、それぞれの伸び率も四半期ごとに示されているところでありまして、名目消費について、その名目値でずっといけば、確かに名目所得とか名目的な資産とかあるいは名目的な将来の所得の伸びということが決定要因になるというふうには言えると思いますけれども、普通、ケインズ経済学がいいかどうかは別として、マクロ経済学では、実質消費について、実質所得とか資産とか将来の実質所得の伸びとかいうことを変数にして現在の実質消費の動きを推計するという方式を取っていると思っております。
  83. 大塚耕平

    大塚耕平君 経済が良くなることは我々も願っておりますので、正しい過去の分析と現状認識、本当に大事なことだと思いますので、もう二、三点、経済の問題をお伺いさせていただきます。  総理、また二枚目のグラフなんですが、第一次安倍政権以後の、我々のときもそうでしたが、一ドル九十円以下の円高の背景を総理はどのように認識しておられますか。
  84. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この為替については、為替に与える影響を一概に申し上げることは困難でありますが、円高方向への動きの背景の一つとしては、二〇〇八年秋の金融危機以来の欧米経済の低迷、欧州債務問題の長期化等があったのではないかと考えています。いずれにせよ、このような円高の方向の動きは二〇一二年末まで続き、第二次安倍政権になってから為替が円安方向に推移したと認識をしています。  もちろん、我々の政策は為替を、言わば円を安くするということを目的としているのではなくて、あくまでも二%の物価安定目標に向けて適切な、そしてこのデフレマインドを払拭するという意味において大胆な金融緩和を行っていると、こういうことであります。その結果として現在のこの為替相場となっているんだろうと、このように思っております。
  85. 大塚耕平

    大塚耕平君 この点も後世の分析対象になると思いますのでちょっと意見を述べさせていただきますが、今総理御自身もおっしゃったように、あの我々の時期を含む第一次安倍政権以降の円高は、欧州の経済や財政の危機的状況の反射効果として相対的に安心な円がどんどん買われていったわけですよ。その中で、我々も御覧いただいたように大変な金融緩和をやってきた結果のその中で、我々の時代にはインフレ予想というものも二%改善した。その後に安倍さんが出てきて、この青い線の四番目のところを今、黒田さんと一緒にやっておられるんですが、そこは一%弱の予想インフレ率の改善しかまだ起きていないと。  その中で、本丸であるそこには余り影響が出ないんだけれども、為替の方に大変大きな影響が出て結果として株価も上がっているというのは、これは別に悪いことじゃないんですが、そういう状況だという認識でいいかどうかということと、その状況を生み出すために現下の大胆な金融政策を日銀は行っているわけでありますので、その金融政策の抱える潜在的リスクについて、二点について黒田総裁にお伺いします。
  86. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御案内のとおり、一般論として、円安が輸出の増加あるいはグローバルに展開している企業の収益の改善、あるいは委員も指摘されたような株価の上昇といったプラスの効果を持つ一方で、輸入コストの上昇、あるいはその価格転嫁を通じて非製造業の収益あるいは家計の実質所得に対する下押し圧力として作用するということでありまして、影響経済主体によって異なり得るものでありますけれども、一般論として言えば、経済金融のファンダメンタルズを反映した形であれば、全体として見れば景気に対して悪影響が及ぶということはないとは思いますけれども、やはり為替市場の動きというのは、委員も御案内のとおり、いろいろな要素によって影響されますので、その動きは十分注視していく必要があろうというふうに思っております。  なお、日本金融政策もそうですし、あるいは欧米もそうでございますけれども金融緩和、それが量的緩和であろうと伝統的な緩和であろうと、金融緩和の目的というのはあくまでも物価安定目標を達成するためでありまして、為替レートをターゲットにしたものではございませんので、私どもとしては、あくまでもその為替の動きが経済金融にどういう影響を与えるかという面はずっと注視してまいりますけれども、何か金融政策によって為替レートを動かそうとか、あるいは特定のレンジに持っていこうというようなものではないわけでございます。  なお、委員も先ほど少し触れられましたように、出口との関連もございますけれども、やはり大幅な金融緩和というものが長期にわたって続きますと、その金融システムに対する影響というものも十分考慮しないといけないということでありまして、この点は、また日本のみならず欧米の中央銀行もそうでございますけれども、常に金融システムに対する影響というものをよくモニターし、一部の国はいわゆるプルデンシャルな規制を発動したりしておりますけれども、そういったことは十分考慮し、注視し、行き過ぎた金融システムあるいは金融機関の強気化が起こって行き過ぎた状況にならないようにするということは、どの中央銀行も十分考慮して、配慮しているというところだと思います。
  87. 大塚耕平

    大塚耕平君 それでは、次に外交・安保の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、総理、官房長官、お二人にお伺いしますが、安保法制の関連事項に関して、総理と官房長官は憲法と国際法における概念を使い分けて御発言しておられますか。
  88. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 昨年の七月に閣議決定で示したとおり、我が国による武力行使が国際法を遵守して行われるのは当然でありますが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要があるというふうに考えています。
  89. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 何か使い分けるという言い方は、何か割と一つのことを別の根拠で、それぞれ適当にその根拠を当てはめているかのごときの印象を与えますが、そんな使い分けはもちろんいたしません。  国際法上、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当とされる権利をいうと解釈をされています。このため、国際法上、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃が発生したことをもって行使することが可能であると。  我が国による武力行使が国際法を遵守して行われることは当然でありますが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要があると、こう考えております。  あくまでも、何回もここで議論させていただいておりますが、集団的自衛権につきましては、言わばこれは国際法上の概念でもあるわけでございますので、この国際法上における集団的自衛権ということの説明と、そして、今まで憲法との関わりの中においてそれが違憲とされるかどうであるかということについては、それは憲法との関係において整理をしていく必要があると、こう考えてきたところであります。
  90. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、総理が冒頭おっしゃったような懸念や印象を多くの人が感じているのでこの論争になっていますので、ちょっとこれを続けさせていただきたいと思います。  官房長官も、国際法上の根拠と憲法上の根拠は違うというふうに上手に言い分けられましたけれども、例えば今の三要件、自衛権発動要件、この三つは国際法上の根拠はありますでしょうか。どなたでも結構です。
  91. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) そもそも、国際法上、我が国は集団的自衛権を保有しているというのが従来からの政府答弁でございました。  そこで、憲法との関係で、我が国は行使できるかどうかということでありました。権利として、世界中の国々は国際法上この権利を持っているわけでありまして、普通、権利を持っていれば行使ができるということでございますが、日本は、国際法上権利として保有しているといえ、しかし憲法上この行使が制約をされているという考え方を取ってきたのでございますが、この三要件において、これ三要件に当てはまるということについては、これ国際法上との関連ではありません、あくまでも憲法との関係においてこの三要件に当てはまれば合憲であると、こういうことであります。
  92. 大塚耕平

    大塚耕平君 もう一回聞きます。  自衛権の三要件のこの国際法上の根拠はありますか、ありませんか。
  93. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 憲法上、我が国が集団的自衛権を行使できるのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生するのみでは足りず、あくまで、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることを始め、新三要件を満たす場合でございまして、国際法ではなくて、我が国の憲法上この新三要件を満たす場合のみということでございます。
  94. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは先ほども申し上げておりますように、国際法上は既に我が国は持っているわけであります。集団的自衛権においては持っているわけでありまして、そしてこの三要件、三要件については、これは言わば集団的自衛権の行使を行う際に憲法との関係において三要件を挙げているわけでありますが、国際法上はそもそも我が国にはこの集団的自衛権の行使の権利があるわけでありまして、権利があれば行使ができるわけでございます。  ですから、今、大塚委員の論点自体がこれは少し違うのではないかと、申し訳ないんですけれども。これは、憲法上の……(発言する者あり)ですから、もう少し、じゃ説明をしていただく必要があると思いますよ。
  95. 大塚耕平

    大塚耕平君 ちょっと違うという点は看過できませんので、訂正していただいた上で、私は何度も聞いています。個別的自衛権に関する現行の三要件の国際法上の根拠は何ですかと聞いているんです。集団的自衛権のことなどまだ聞いていません。(発言する者あり)
  96. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 大塚耕平君。
  97. 大塚耕平

    大塚耕平君 現行の三要件の国際法上の根拠は何でしょうか。
  98. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、国際法上は個別的、集団的自衛権を我々は持っている。そして、それは行使できるわけであります。そして、個別的自衛権、先ほど個別的自衛権というふうにおっしゃらなかったので、まさに議論になっているのは集団的自衛権。ですから、ちゃんと……(発言する者あり)いや、言っていませんよ。だって、我々、いや、それは理解できるようにゆっくりとちゃんと質問していただかなければ、コミュニケーションが取れていないということだと思います。  そして、その上で申し上げますと、これ同じこと、同じ理屈であります。集団的とにかかわらず個別的自衛権においても、国際法上これは保有をしているわけでございまして、国連憲章にも書いてあるわけでございますし、安保条約の前文にも書いてあるとおりでございます。  そして、三要件、今までの三要件あるいは個別的自衛権の三要件は、まさにこれは憲法上の理由において我々が個別的自衛権を発動できる、九条との関係で発動できるのは、まさに憲法上との関係において整理したところでございます。
  99. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理、私は一貫して比較的真摯に御質問をさせていただいているつもりでありますので、もう一回聞きますよ。  新三要件、現行の三要件と、こういう言い方をさせてもらいます。現行の三要件、これまでの、これの国際法上の根拠は何ですかとお伺いしているんです。であれば、法制局長官にお願いします。
  100. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 法制局は、国際法上の解釈をする場所ではございません。国際法については外務省が有権解釈をするわけでございますが。  繰り返しになりますが、三要件は、憲法との関係において我々が武力を行使できるのはどういうときかということを定めたものでありまして、国際法上はそもそも、そもそも自衛権においては、これは自衛権を行使できるわけであります。集団的自衛権においても、そうであります。
  101. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国際法上は、集団的自衛権、個別的自衛権、定義があり、そして要件が定められております。  ただ、御質問の現三要件、これ新要件、これはあくまでも我が国の憲法との関係において武力行使が認められる場合を要件として明確にしたものであります。よって、その要件が国際法上何か根拠があるのかという御質問については、これは別物だとお答えするしかないと考えます。
  102. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、これは驚いた。  外務大臣、じゃ、一八三七年のカロライン号事件のウェブスター見解というのは何ですか。  これは驚いた。いや、これはもう基本的なことですよ。
  103. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 済みません。御指摘の件、ちょっと確認してからお答えさせてください。
  104. 大塚耕平

    大塚耕平君 これ、是非大事なことですから、今、秘書官、ちゃんと外務大臣にお伝えください。これが、今の個別的自衛権の三要件、従来の三要件の国際法上のルーツなんですよ。ちゃんと教えてあげてください。(発言する者あり)
  105. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止
  106. 岸宏一

    委員長岸宏一君) じゃ、速記を起こして。  安倍内閣総理大臣
  107. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この三要件、個別的自衛権の行使に係る三要件については、当然、国際法の許す範囲内であるということは明確なことであります。  そして、新三要件も言わば国際法の許す範囲内であるということは、それは当然のことであります。
  108. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、あのね、総理、まず前段は分かりました。今までの三要件は国際法上の根拠があるから是認をされてきたわけです。  じゃ、今度の新三要件は国際法上の根拠はありますか。もう一回お伺いします。
  109. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 新しい新要件についてですが、集団的自衛権の国際法上、一般的な定義は先ほど総理答弁の中にありました。そして、要件としても定められています。こうした国際法上の議論の中にあって、我が国におきましては、新しい新要件ということで極めて限定的な形で今この集団的自衛権の行使について議論をしている、こうした関係にあると思います。その限定的な議論の一つの明確な目安として新三要件というものをお示しさせていただいております。(発言する者あり)
  110. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国際法にはないんだよというやじが飛びましたが、それは当然なんです。つまり、憲法との関係で我々は三要件を付しているわけでございまして、そして、行使に当たっては、これは当たり前のことなんですが、国際法の範囲内で行使をするというのは当然のことでございます。
  111. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、外務大臣、一九八〇年代のニカラグア事件の判決のことは当然御存じですよね。ちょっと簡単に御説明ください。国際司法裁判所の判決です。
  112. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のニカラグア事件ですが、国際司法裁判所における判決として、この事件の判決の中で、慣習国際法上、武力攻撃の犠牲者とみなす国の要請がない場合に集団的自衛権の行使を許容する規則はないと認定する、こういった判決が含まれており、国際法上、この武力を受けた国からの要請や同意が集団的自衛権を行使するための一つの要件であるということを示した判決だと承知をしております。
  113. 大塚耕平

    大塚耕平君 つまり、攻撃を受けたという事実、助けてくださいという意思表示、この二つがなければならないと言っているんですが、今度の新三要件、ここからようやく議論がつながってくるんですが、攻撃を受けたという事実はなくても、それに類する状況だと政府が判断すれば集団的自衛権を行使できるという、こういう組立てですよね。今度の新三要件についてです。
  114. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今一部申し上げましたが、国際法上の集団的自衛権の要件としましては、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、武力をもって阻止することが正当化される権利とされています。  そして、要件といたしましては、一般国際法上、ある国家が集団的自衛権を行使するための要件は、武力攻撃を受けた国からの要請又は同意があること、そして他に適当な手段がないこと、そして必要最小限度の実力の行使であること、このように一般的に考えられております。  これ、国際法上は、集団的自衛権を行使する際には、今申し上げました要件が満たされなければ行使は認められないと考えます。
  115. 大塚耕平

    大塚耕平君 つまり、ニカラグア事件の判決を読む限りでは、現実に武力攻撃をその同盟国が受けているときという、限りなくそういう状況に近いことを言っているわけですが、今回政府が閣議決定された新三要件は、つまりニカラグア事件のICJの判決よりもより広い概念を採用しているということでいいですね。
  116. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、言わばこのニカラグア判決にある考え方も含めてですが、国際法上認められている集団的自衛権の行使しか、もちろん、これは当たり前でございますが、日本はできませんし、やらないということを明確にしております。  その中において、我が国は九条との関係における制約の中で一部が容認されているという中で、これ一部になるのは、この三要件によって一部の容認が認められているということでございますから、当然それは広くなるということでは全くないわけでありまして、この三要件自体は、三要件自体にこの国際法上求められている要件が一々書き込まれていないのは、それを前提としているわけでございまして、その中において我が国が行使できるものは憲法との関係で限られている、これがこの三要件であると、新三要件であるという整理にしていただければ分かりやすいのではないかと思います。
  117. 大塚耕平

    大塚耕平君 いやいや、皆さんにとっては分かりやすくても、我々にとっては分かりにくいですよ。  武力攻撃を現に受けていなくても、受けると予想されるような事態も含めて皆さんは対象にするという新三要件を決められたんですよねということをお伺いしているんです。
  118. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは、事実上、この新三要件の中にもこう書いてあるんですが、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、」と、こう書いてありますので、そこは明確、この新三要件の中でも既に、これは、この新三要件は憲法との関係でございますが、この中にもそのことは、「発生し、」ということが書いてあるということは申し上げておきたいと思います。
  119. 大塚耕平

    大塚耕平君 五月以降もまた議論させていただきますが。  岸田大臣、ニカラグア事件の判決は、事実と意思表示と。三番目の、集団的自衛権を行使する国にとっても実体的利益の侵害があるかどうかについては裁判所は見解を示さなかったんですが、我が国は、この我が国にとっての実体的利益の侵害を要件としているんですか、していないんですか、新三要件は。
  120. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御質問の実体的利益の侵害ということの意味について明確に承知しているものではありませんが、国際法上様々な学説があります。その学説の中には様々な要件を求めている学説もあるようでありますが、一般的に集団的自衛権に求められている要件は、先ほど申し上げました要件であります。その要件の範囲内でなければならない、これは当然のことであります。  そして、こうした議論の中で、我が国におきましては極めて限定的に集団的自衛権の一部について行使を考える必要があるのではないか、こういった問題意識の下で議論が行われ、その限定的な部分を明確化するために新三要件という要件を明らかにし、お示しさせていただいている、このように承知をしております。
  121. 大塚耕平

    大塚耕平君 今後の議論でまた深めさせていただきますが。  我が軍発言で軍隊と自衛隊の違い等にも関心が集まっております。  防衛大臣にお伺いします。軍隊と自衛隊、戦力と自衛力、戦力と武力、戦争と武力行使の違いをここで明確に定義しておいてください。
  122. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、軍隊と自衛隊の違いですか。  軍隊については、その定義が一義的に定まっているわけではないと承知をしております。  憲法九条二項は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定していますが、自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であることから、陸海空軍その他の戦力には当たりませんということです。  また、戦力と自衛力の違いについては、憲法九条二項は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定していますが、戦力とは、自衛のための必要最小限度を超えるものを指すと解しております。  また、憲法九条の下で保有することが認められる自衛力とは、自衛のための必要最小限度のものでなければならないと解しておりまして、自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限の実力組織であるから、憲法で保持が認められる自衛力である一方、憲法九条第二項で規定する陸海空軍その他の戦力には当たりませんということです。
  123. 大塚耕平

    大塚耕平君 戦力と武力、戦争と武力行使、全部通告してあります。
  124. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 戦力と武力の違いにつきまして、憲法九条二項の規定する戦力とは、自衛のための必要最小限度を超えるものを指すと解しております。  他方、憲法九条は、我が国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではなく、自衛のための必要最小限の武力の行使は禁じられていないと解しておりまして、自衛隊は、憲法九条二項の規定する戦力には当たらない一方、自衛のための必要最小限度の武力の行使は行うことができます。  また、戦争と武力行使の違いにつきましては、憲法九条一項の戦争とは、国家の間で武力を行使し合うという国家の行為をいいます。また、憲法九条一項の武力の行使とは、基本的には、国家の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいいます。一般的に、武力の行使は戦争よりも広い概念とされていると承知をしております。  憲法九条は、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなくて、自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められておりますので、自衛隊が自衛隊法に基づいて必要な武力を行使したとしても、憲法九条で禁止される戦争には当たらないと考えております。
  125. 大塚耕平

    大塚耕平君 ありがとうございます。  今の御答弁、よく読み返して、今後の議論を組み立てさせていただきたいと思います。  総理にお伺いします。  新三要件では、現に戦闘が行われていない地域には自衛隊を派遣する可能性があるということになっております。戦闘が行われている地域と戦闘が行われていない地域をどのような基準で区別いたしますか。
  126. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 用語の定義に関わりますので申し上げますが、閣議決定でこういう区分けをいたしましたが、我が国の実施する支援活動について、まず、武力の行使との一体化論、これ自体は前提とした上で、この議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでの自衛隊による実際の活動の経験、国際連合の集団安全保障措置の実態を勘案すれば、他国が現に戦闘行為を行っている現場でない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、武力の行使と一体化するものではないと判断するに至ったものであります。  したがって、現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為、すなわち、国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し物を破壊する行為が現に行われていない場所のことでありまして、そのような現場であるか否かの判断の前提となる事実関係につきましては、自衛隊の部隊が活動している地点において、そのような、人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている否かという明らかな事実により客観的に認識できるものと考えております。  その上で、実際に自衛隊が活動する範囲については、現場の部隊で判断する事項と政府として判断する事項の整理を含め、支援活動の実施に関する具体的な手続を法整備の作業の中で十分検討してまいりたいと考えております。
  127. 大塚耕平

    大塚耕平君 検討中であるとは思いますが、じゃ、現に殺傷行為が行われているそういう地域から距離的にどのぐらい離れていたらいいんですか。
  128. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) もう一度申し上げますが、現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為、すなわち、国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し物を破壊する行為が現に行われている場所のことでございまして、その判断につきましては、先ほどお話ししたのを基準に考えてまいりたいと思っております。
  129. 大塚耕平

    大塚耕平君 もちろん五月以降にしっかり議論させてもらいますが、距離的な判断基準があるのかどうかというのは私は重要だと思っているんですが、距離的な判断基準は採用される可能性がありますか、ありませんか。
  130. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 法整備はこれから検討してまいりますが、そのような現場であるか否かの判断の前提となる事実関係につきましては、自衛隊の部隊が活動している地点において、そのような、人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている否かという明らかな事実により客観的に認識できるものと考えておりまして、実際に自衛隊が活動する範囲につきましては、この現場の部隊で判断する事項と政府として判断する事項の整理を含めて、支援活動の実施に関する具体的な手続を法整備の中で十分検討してまいりたいと考えております。
  131. 大塚耕平

    大塚耕平君 お手元資料の最後のページ、前回の質問で時間が足りませんでしたところを改めて防衛大臣にお伺いします。  文民統制と文官統制、どちらの図が正しいかとお伺いしたところ、どちらでもないとおっしゃいましたが、では、どういう図が一番現状に即しているのか、教えてください。
  132. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 前回の表では、まず文官の幹部が幕僚幹部の上に位置しておりましたが、これは、防衛省設置法十二条は上下関係を定めたものではありません。いずれも大臣の補佐者、補佐でありまして、上下関係はございません。  それから、もう一つの右の方の図にありました、事務次官が防衛大臣の下にあって、その事務次官が幕僚幹部の上位に立つとなっておりましたが、これも、事務次官は、大臣を助け、省務を整理し、各部局、機関の事務を監督するということで、大臣の補佐者であり、幕僚や部隊の上司は大臣でございます。  もう一つ、事務次官の下に文官幹部と幕僚幹部が並べられて図が描かれていましたが、元々これは上下関係がございません。この十二条は、従来から、政策見地からの内部部局による防衛大臣の補佐と軍事専門的見地による幕僚監部の防衛大臣の補佐を調整、吻合する規定でありまして、これによって並立になるとかいうようなものではなくて、元々上下関係がないわけでございます。
  133. 大塚耕平

    大塚耕平君 もう一点だけお伺いします。  現行法では、大臣の行う指示、承認、一般的監督についても文官幹部が補佐するとなっていたんですが、改正法ではそれらの文言がなくなっていますが、そのことによってどういう変化が生じるんでしょうか。
  134. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、むしろ広くなると考えていただいて結構です。現行の防衛省設置法十二条は、官房長、局長による政策見地からの防衛大臣の補佐と各幕僚長による軍事的、専門的見地からの防衛大臣の補佐を調整、吻合するという規定でございまして、今回、防衛省改革で統合幕僚監部の改編、また防衛装備庁の新設を予定しておりまして、防衛省の組織構成が変更されることから、この設置法の十二条においても、全体の、従来の十二条の趣旨自体を変更しないままで新たな組織構成に適切に対応した規定といたしております。  具体的には、この政策的見地からの大臣補佐の対象となる事項は、各幕僚や各自衛隊に対して防衛大臣が行う指示、承認、一般的監督に限定をされるものではないことから、これらを含んだものとして新たに、防衛省の任務達成のため、防衛省の所掌事務が法令に従い、かつ適切に遂行されるよう、その所掌事務に関し、防衛大臣を補佐するものと規定をいたしました。  これによりまして、政策見地からの防衛大臣の補佐は防衛省の所掌事務全般にわたることが明確になりますが、言わば車の両輪として文官と自衛官が大臣を補佐するという両者の関係は何ら変更されるものではございません。
  135. 大塚耕平

    大塚耕平君 防衛問題の残りの質問はまた改めてさせていただきます。  NHK経営委員長に伺います。  NHKビジネスクリエイト、NHK出版に関わる不祥事の概要を御説明ください。
  136. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) お答えいたします。  NHKビジネスクリエイトの件では、平成二十三年の三月に、印刷関連事業に担当していた部長と顧問の契約をしていた社員の二人が、およそ一億四千万円に上る売上げの水増しをしていたことが分かり、担当の部長を懲戒解雇、顧問の社員は契約を解除いたしました。このほかにも多額の売掛金が未回収になっていることが分かり、合わせておよそ二億七千万円を特別損失として処理したというものでございます。  二番目に、NHK出版につきましては、放送・学芸図書編集部の編集長が、平成十五年から平成二十五年にかけて、親族二人に対して本の校正業務を架空発注し、NHK出版から合わせておよそ九百万円を支払わせていたものでございます。また、私的に利用した飲食代を作家などとの交際費としてNHK出版に請求するなど、合わせて四百五十万円余りの経費を不正請求していたことも分かりました。この編集長は昨年三月に懲戒解雇されております。
  137. 大塚耕平

    大塚耕平君 本件の調査を依頼した弁護士に弁護士報酬として幾らを支払われましたか。
  138. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 浜田参考人、簡潔にお答えください。時間が押しています。
  139. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) はい。  執行部によれば、調査費用につきましては、弁護士が所属する事務所の報酬基準により、時間制で支払った、金額的にも適正な額だと考えているが、個別の契約についてはお答えできないということでございました。
  140. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、幾らですか、お答えください。
  141. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 執行部として依頼先の弁護士に確認をしましたが、同意が得られないということなので開示できないということでございました。
  142. 大塚耕平

    大塚耕平君 それでは、政府参考人にお伺いします。  証券取引監視委員会が強制調査に入ったグローバルアジアホールディングスに関する事件の概要についてお答えください。
  143. 大森泰人

    政府参考人(大森泰人君) お答えいたします。  証券取引等監視委員会は、金融商品取引法違反が疑われる場合には当然必要な調査を行っておりますが、従来から個別の調査については言及を控えておりますことを御理解賜りたく存じます。
  144. 大塚耕平

    大塚耕平君 時間が参りましたので終わりますが、この強制調査の対象となった企業の役員を現NHK会長がしていたということも今日の午前中の衆議院でも明らかになっております。NHKの問題については、今後も議論をさせていただきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  145. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で大塚耕平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  146. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、儀間光男君の質疑を行います。儀間光男君。
  147. 儀間光男

    儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  総理始め皆さんに御質問させていただきますけれど、委員長にお願いがあるんですが、質問の通告はいたしておりませんけれど、今沖縄の辺野古の問題で実にリアルタイムで、タイムリーなことがありますから、一言聞かせていただくことをお許しを願いたいと思います。
  148. 岸宏一

    委員長岸宏一君) もし答えられる範囲内であれば、許します。
  149. 儀間光男

    儀間光男君 はい。  総理、いかがでしょうか。総理は、昨日、シンガポールのリー・クアンユー元首相の国葬に参列されて、それはそれはお疲れのところでありますが、御苦労をねぎらいながら質問をさせていただきたいと思います。  沖縄の今、辺野古の問題、もっともっと先に総理も官房長官も関係大臣もお会いしていろいろなことをお話ししてくださったらよかったと思うんですが、とうとう、ここへ来て泥仕合の様相を呈している。大事な行政、大事な国防問題を扱おうというのに、双方が意思疎通のないままにそれぞれの行政権を執行していく、みっともない話じゃありませんか。私は残念でならないんですね。  前の仲井眞県政時代に合意されたものであっても、今沖縄の民意で知事が替わったんですから、やはり総理が韓国に対していつもおっしゃるように、いつも扉はオープンであり、問題を前提としないように話し合いましょうという心を沖縄県知事に回すならば、そういうことがあったにしても、やはりお会いをして声を聞いて、実はしかじかかくかくだからやるならやっていくよ、粛々といくよなどといって通告したりいろんな話をすべきだと思うんですが、これがなされていない。いかがでしょうか。
  150. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 尊敬する儀間委員のお話でございますので重く受け止めたいと、このように思っております。  昨年、総選挙あるいは組閣、そして予算編成と大変仕事が詰んでおりまして、残念ながらまだお目にかかっていないわけでございますが、官邸としてはしっかりと対応していたところでございます。今後、機会があれば官邸として意思疎通を図っていきたい、そのためにも信頼関係を構築をしていきたいと、こう思っているところでございます。
  151. 儀間光男

    儀間光男君 総理、機会があればじゃなしに、機会をつくってくださいと申し上げているんですよ。機会があれば会うなんて、そんな突き放した、あれだけの基地を負担させておる沖縄県知事に、機会があればおまえ会うぞなどという冷たいことはおっしゃらず、機会をおつくりになっていただけませんかと、こういうことを申し上げているんです。
  152. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 機会があればという言葉の響きが冷たく聞こえたのであれば、そういう意味ではございませんで、我々としては、今後、沖縄の皆様に御理解をいただく上においても沖縄県庁側に御理解をいただくことは非常に重要であると、このように考えております。
  153. 儀間光男

    儀間光男君 総理、私、日頃は虫も殺さぬ優しい男で通っているんですよ。ところが、この頃、苦い虫ばっかりかみ潰しているんですよ。  官房長官、一番よく沖縄知っていて、しかも軽減担当する大臣として、同じ質問になるかも分かりませんが、担当者として一歩踏み込んで、いつ頃機会をつくりたいよ、つくるよということをせめて言ってくださいませんか。
  154. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) まず、御理解をいただきたいのは、沖縄担当大臣であります山口国務大臣が知事と複数回お会いをさせていただいて、沖縄県の予算等の要望は聞かせていただいているところであります。そして、官邸におきましても、沖縄の連絡室長を務めています官房副長官がお会いをさせていただいて、これも複数回ですね、御要望は伺っているところであります。  そして、私に対して二回、実は面談の要請がありました。そのときは、まさに組閣の最中のときでありました。そしてもう一点は、決算委員会で一日あったときでありましたのでお断りをさせていただきましたけれども、この国会審議の状況の中で、そんなに遠くないうちにこれはお会いをさせていただきたいということを私は先週予算委員会の中で、これは衆議院の方で申し上げてきたところであります。
  155. 儀間光男

    儀間光男君 とにかく、大事な国防の問題を政府と地方がけんか腰で泥仕合しては、隙間風を吹かせていては隙間に何がしかが入って余計おかしくなってはいけませんから、どうぞ早い時期にお会いしていろんな話をしていただきたいと、こういうふうな要望をして、次の質問に関連して移りたいんですが、通告の一、二と並べたんですが、二を先に、ほんのちょっぴり時間を取りたいと思いますから、二を先にさせていただきたいと思います。  米軍基地関係収入と沖縄の経済でございますが、お手元にグラフの資料を付けてございます。御覧のとおり、青い、水色のは米軍基地収入、緑の三角棒線は県民総所得に占める米軍基地からの受取収入です。赤が観光で、黄色は県民の総所得ということでなっております。  このグラフを御覧いただきたいのは、実は私、浦添で市長をさせていただいたり、県議会議長をさせていただいたり、ここへ来ても本土各地たくさん回る機会があったんですが、会うたびに沖縄はいいねとおっしゃる。観光でいいねと言うのかと思ったら、基地があるゆえに基地交付金がいっぱいもらえて、財政が豊かで、景気が良くていいね、沖縄は米軍基地がないと暮らしは成り立たないんでしょうと、こういう言い方をされるんです。  大変残念ですが、恐らく私たちの発信不足からくる国民の多くの誤解だと思うんですが、これを是非見ていただきたいんですね。復帰四十七年当時、基地収入、基地からの受取は七百七十七億円、かなりのものだったんですよ、一五・五%あったんです。これが平成二十三年実績で見るというと、GDPが三兆九千億ぐらいになっておって、米軍受取は二千億ぐらいなんですね、五%なんです。だから、これから透けて見えるのは、沖縄の経済はまあ国の手助けもあってのことでありますけれども、ここまで来ますというと、基地収入は余り要らないということですね。ただ、五%を一〇〇として子弟の教育をしたりする県民もいらっしゃいますから無視はできませんが、占める数値はこんな程度ですと。  したがって、もう基地は不必要で、私どもが誘致をしたものでも何でもないですということをここで見て取れるんですが、その辺、是非総理からも、それはそのとおりであると、したがって、基地にはもう頼らぬでもいい、国と提携してやっていこうと。基地問題、基地を受けるのは別のファクターなんですね、安保というファクター。その辺、少し情報発信して発言していただけませんか。
  156. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 儀間委員のおっしゃるとおりだというふうに私どもも思っております。  総理とオバマの両首脳会談が行われて、初めて具体的にこの米軍の基地が沖縄に返還される見通しというものが明示をされました。まさに、世界で一番危険だと言われる普天間の飛行場、この危険除去と、まさに我が国を取り巻く安全保障環境が厳しい中にあって、日米同盟の抑止力の維持、そういう中で辺野古移設を今お願いをさせていただいておるわけでありますけれども、同時に、冒頭申し上げましたが、総理とオバマ大統領の首脳会談において、嘉手納以南の土地、日本に返還をされる時期が明示されました。特に、沖縄の人口の八割が集中すると言われています中部、南部の土地の七割がこれ返還をされるわけであります。東京ドームにしますと二百二十個分と言われますが、そのうちの十一個分、まさに今月中に、あの普天間の近くにあります瑞慶覧ですか、これの土地が返還をされることになりました。  そして、地元の皆さん、地元の市長を始め皆さんとの協議の中で、国際医療拠点をそこに建設をしたい、そういう要望にもお応えをさせていただきたいと思っていますし、今申し上げましたけれども、これから二百二十個分、東京ドーム、と同じような、非常に有効な土地が一日も早く返ってきて、そのことが沖縄経済の発展のために資することができるように私どもも全力で取り組んでまいりたいと思いますし、安倍政権になってから沖縄の観光客は百二十万人、この二年間で増えております。昨年は初めて七百万台を超えて、まさに沖縄の魅力というのは国内だけでなくて、海外の人からも大きな集客を集められる。こうしたことについて、政府としても沖縄と連携をして全力で御支援をさせていただきたいというふうに思います。
  157. 儀間光男

    儀間光男君 もう二分しか残らぬでびっくりしているんですが。  今おっしゃったように、嘉手納以南の基地が返ると、もう時間ないから言うんですが、五百一億円の現在の基地収入が、これが返ってきますと、五基地で八千九百億の使用収益が見込まれるんですよ。とんでもない話なんです、十八倍なんですよ。返った新都心、金城地区、北前で八十九億円だったのが二千四百五十九億円、二十八倍になるんですね。こういうことを見てみますというと、基地がいかに沖縄県発展のために阻害要因になっているかがうかがえるんですよ。だから、過重な負担であるから何とかしてほしいというのが沖縄県の声ですね。それが翁長さんですよ。いま一度きちっといただけないかをお答えください。
  158. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど官房長官からお答えもさせていただきましたが、まさに明日返還されますキャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区を含め、これは十五年を掛けて、人口が集中する県中南部の千ヘクタール、東京ドーム二百二十個、ディズニーランドにして二十個分でありますが、を超える大規模な返還が予定をされています。これを有効に活用していくことこそまさに沖縄の振興につながっていくと、このように考えております。
  159. 儀間光男

    儀間光男君 もう最後になりますけれど、申し上げたいのは、沖縄のこの現状を、基地がなければ生活できないでしょう、経済は成り立たぬでしょうといって誤解されている国民がいらっしゃいますから、これには、事あるごとに、総理や官房長官、担当大臣、皆さんが声を上げて、実は沖縄の現状はこうなんだよと、基地は実は阻害要因になっているけど、お願いをして負担をさせているんだというようなことを是非とも正確に発信をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  160. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それはまさにそのとおりでございまして、我が国全体の安全保障上の要請により沖縄に今多くの米軍基地が集中をしているわけでございますが、この米軍の用地が返還されることはこれは地域の皆さんにとっては間違いなくプラスであるということでございまして、その意味におきましては嘉手納以南の返還を更にしっかりと進めていきたいと、このように思っております。
  161. 儀間光男

    儀間光男君 国家安全保障上重要な土地等に係る取引、これの法制化に向けて実はメーンでやろうと思ったんですが、思わぬところに展開して、残しておりますから、次の機会でさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  162. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で儀間光男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  163. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、仁比聡平君の質疑を行います。仁比聡平君。
  164. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党仁比聡平でございます。  資料をお配りをしておりますけれども、昨年の十二月十五日、高知県香美市物部の庭先で、超低空飛行をする米軍機の動画が撮影されました。全国各地で繰り返される傍若無人な米軍の低空飛行訓練の確たる証拠です。  私も訪ねましたが、静かな谷から飛び出した米軍機がほんの目の前を爆音とともに谷をなめるようにして旋回していき、その恐ろしさに泣き出す三歳の男の子が写っています。上京したお母さんは、日本の法律では私たちを守れないのかと政府に訴えました。県知事は十二月、十二月になって二十二回、ほぼ毎日のような訓練だ、子供が泣くような過剰な訓練はやめてもらいたいと記者会見をしております。  そこで、まず防衛大臣、中谷大臣の御地元ですけれども、まさに。知事が届けた動画を御覧になりましたか。やめさせなければならないとは思いませんか。
  165. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まさに私の地元の問題でございます。  これは、DVDが送られる前にユーチューブでこれを、インターネットで流れましたが、そういう話を聞きましてこの映像を見ましたし、また防衛省に参りましたDVDも拝見させていただいて、同じ動画でございますが、見た感想といたしましては、非常にこの飛行によって住民の皆さんが苦情を寄せ、そして子供さんが恐怖で泣いておられたところもございますが、改めて住民の皆様方の思いを実感したところでございます。
  166. 仁比聡平

    仁比聡平君 国交大臣に航空法を確認したいと思います。  動画を御覧になったか。そして、航空法上、自衛隊や民間機ならこんな低空飛行は許されますか。
  167. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 動画は私は今回見させていただきました。  航空法上でありますと、この基準は全てのものに適用されるわけで、低空飛行は、でありますが、米軍機に対しては除外されていると承知しています。
  168. 仁比聡平

    仁比聡平君 航空法では禁じられているのに、米軍には配慮を求めるだけだというのがこれまでの日本政府であります。  防衛大臣、いつ、どう、この件について米側に申し入れたか、米側はどう答えましたか。
  169. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 私が就任しましたのは昨年十二月二十四日でございますが、本件はその前に発生しておりまして、昨年の十二月十五日、これの米軍機の飛行については米軍に地元の中・四国防衛局が申入れをいたしたというふうに聞いております。
  170. 仁比聡平

    仁比聡平君 何を申し入れて、米側はどう答えたのかを聞いています。
  171. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 昨年十二月十五日の高知県香美市上空の航空機の飛行に関し、地元の方から高知県を通じて中・四国防衛局に苦情が寄せられたことを受けまして、米軍に問い合わせた結果、十二月二十三日に米軍機であるとの回答を得ました。  この件に関しましては、中国四国防衛局から第五空軍司令部に対して、米軍機の飛行に関しては地元住民に与える影響を最大限にとどめるよう申入れを行っております。(発言する者あり)地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう申入れを行っております。
  172. 仁比聡平

    仁比聡平君 それだけかと。どこの所属機が何のためにどう飛んだのか、事を明らかにさせるというのが当然じゃありませんか。防衛大臣
  173. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 中・四国から第五空軍司令部に対して、この飛行に対しては住民に与える影響を最小限にとどめるよう申入れを行っておりますし、また、同月の二十三日に米軍機であるという回答を得ましたので、この事実に対して、住民に与える影響を最小限にとどめるよう申入れを行ったということでございます。
  174. 仁比聡平

    仁比聡平君 そんな態度で主権国家と言えるのかと私は思います。  県議会は三月、そもそもこのような住宅地での低空飛行訓練は米本土では認められていないと、県民の命を危険にさらし、平穏な暮らしを脅かす米軍による低空飛行訓練の中止を強く求める意見書を全会一致で採択をしております。  そこで、総理総理にも動画を見ていただくように私通告をいたしました。御覧になったか。こんな飛行訓練はやめさせるのが政府の責任ではありませんか。
  175. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私、写真では拝見しておりますが、まだ動画では見ておりませんが、米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持及び向上を図ることは即応態勢を維持する上で不可欠な要素であります。日米安保条約の目的達成のため、極めて重要であると考えています。他方、米軍が全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではないわけでありまして、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動をすべきことは言うまでもございません。  御指摘の昨年十二月十五日の米軍機の飛行について、高知県からの連絡を受け、防衛省において米軍に対し地域住民に与える影響を最小限にするよう改めて要請したものと承知をしています。  政府としては、今後とも、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限配慮するとともに地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう、米軍と連携を密にし、万全を期してまいりたいと思います。
  176. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理、九九年の日米合同委員会の文書、これを踏まえた御答弁ですけれども、この文書は、在日米軍の航空機は、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、学校、病院等に妥当な考慮を払うとしているんですね。  この動画撮影された飛行は、直線距離でいうと二百四十メートル程度、ここを亜音速、マッハ〇・八で飛んだというんですよ。この飛行が妥当な考慮を払った飛行だったと、総理、おっしゃるんですか。
  177. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米側にも問合せをいたしました。米側からの回答は飛行の有無のみでありまして、当該米軍機の飛行の詳細が含まれていたわけではありませんが、防衛省としては、低空飛行訓練の実施に当たっては、平成十一年の日米合同委員会合意を尊重し、地元の住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き米側に働きかけてまいりたいと考えております。
  178. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理、尊重し働きかけてまいりたいって、ずうっと幾ら妥当な考慮を求めても、危険な低空飛行を規制する実効性ないじゃないですか。前提として、総理、この飛行、妥当だと考えるのか、妥当ではないと考えるのか、はっきり答えなさいよ。
  179. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米軍の飛行訓練は全国各地で行われているわけでございますが、平成十一年の日米合同委員会の合意を尊重してこの飛行訓練が実施されると認識しております。(発言する者あり)
  180. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと、防衛大臣、妥当かどうかということを答えてください。防衛大臣から。
  181. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) お尋ねの米軍機の所属部隊、また具体的機種については、米軍の運用に係る事項であるために全てを承知できる立場にございません。また、昨年十二月十五日の高知県の上空の航空機の飛行に関する米側からの回答には所属部隊及び具体的な機種が含まれておらず、防衛省としては承知をいたしておりませんが、前年の日米合同委員会、これの指定を尊重して飛行訓練が実施されているというふうに認識をいたしております。
  182. 仁比聡平

    仁比聡平君 今の答弁は、妥当だと考えているという判断ですね。
  183. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 平成十一年の日米合同委員会の合意を尊重して訓練が行われているというふうに認識をいたしております。
  184. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  在日米軍は、訓練を通じてパイロットの技能の維持及び向上を図っていく、そのことによって即応態勢を維持しているわけでございまして、こうした訓練は不可欠な要素でございます。日米安保条約の目的の達成のために極めて重要であるというふうに認識をしております。もとより、米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を図って活動すべきものであることは言うまでもございません。  政府といたしましても、従来から、米側に対しまして安全確保に万全を期するよう申入れを行ってきております。米軍も安全面に最大限配慮を行うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう努力している旨、明らかにしているところでございます。
  185. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理、動画見て、子供が泣き叫んでいるんですよ。これが妥当だというんだったら、全国どこでもこんなことやらせるというんですか、総理。何で答えられない。やめさせなさいよ。
  186. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 在日米軍による低空飛行訓練に関する平成十一年の日米合同委員会合意においては、在日米軍は、国際民間航空機関、ICAOや日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍の飛行高度規制を現在適用いたしております。  我が国の航空法により規定される最低高度水準は、住宅等については最も高い障害物から三百メートル、その他については百五十メートルとされており、米軍が低空飛行訓練を実施する際にはこれと同一の飛行高度規制、これを適用しているものと承知をいたしております。
  187. 仁比聡平

    仁比聡平君 これ、守っていないということが動画ではっきりしていますよ。  幾ら九九年合意をそうやって繰り返しても、以来どんどんひどくなっていると。しかも、そういう政府の姿勢の下で事態は激化し、傍若無人ぶりは増長しております。  三枚目の資料御覧いただきたいと思うんですが、総理、低空飛行訓練中に動画を自撮り撮影したパイロットが、その動画を編集しBGMを付けて、ザッツ・ア・シャック、あれが掘っ建て小屋だというタイトルでネットに公開をしています。  総理、これが妥当な考慮だと言うんですか。
  188. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この指摘は、本年の二月二十二日の新聞記事についてでございますが、米軍に対しては事実関係を照会中でございます。  米軍の飛行訓練に際しては、パイロットが画像を撮影しているか否かといった事実関係を承知していない現段階について、お尋ねについてコメントすることは差し控えたいと考えておりますが、いずれにせよ、防衛省としては、米軍の運用に係る事項ではありますが、米軍機の飛行に際しては、安全に配慮するとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう米側に働きかけてきたところであり、この点については米側の理解が得られているものと承知をしております。
  189. 仁比聡平

    仁比聡平君 事実関係を照会する以上、その結果は当委員会に報告されますね。
  190. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米軍に対して事実関係を照会中でありまして、現時点においては事実関係を承知しておりません。今後、米軍等について事実を引き続き照会してまいりたいと思っております。
  191. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  今大臣が御答弁いたしましたように、現在、米側に照会中でございます。その米側からの回答が得られた後、その取扱いについて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  192. 仁比聡平

    仁比聡平君 強く提出を求めます。  腕自慢や一瞬の油断で操作ミス、重大事故に至るわけでしょう。九四年に米軍機が墜落した早明浦ダムというのは、つい、この写っている谷の先ですよ。日米地位協定と米軍特例法こそ見直して、規制をすべきです。問題は、政府当局はこうした低空飛行訓練を十分把握し得るということです。  国土交通大臣に確認をしますが、米軍機も飛行計画、いわゆるフライトプランを日本政府に通報する義務がありますね。
  193. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 米軍機につきましては、航空法第九十七条及び日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、飛行する場合には国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となります。
  194. 仁比聡平

    仁比聡平君 二枚目に、米軍機のフライトプラン通報の仕組みを図にしてみました。  航空局長に確認をしますが、米軍機の通報はどう行われて、その飛行計画はシステム上どう扱われますか。
  195. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 飛行計画の通報等に関する事務につきましては、空港事務所又は空港出張所で行われていますけれども、米軍機につきましては、自衛隊の飛行計画を取り扱うシステムを経由して国土交通大臣の飛行計画を取り扱うシステムへ通報されます。そして通報後、当該飛行計画に記載されている出発空港及び到着空港に配信されることになっております。
  196. 仁比聡平

    仁比聡平君 防衛省に伺いますけれども、米軍厚木基地から米軍岩国基地への低空飛行訓練の場合、通報と飛行計画はシステム上どう扱われますか。
  197. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答えを申し上げます。  米軍機がお尋ねのように厚木から岩国に飛行する際には、当該フライトプランは米軍機が所属する部隊から厚木基地の海上自衛隊厚木航空基地に通報されます。その通報された後については、ただいま国土交通省航空局長がお答えしたとおり、最終的には国土交通省の飛行情報管理システムに配信することになります。
  198. 仁比聡平

    仁比聡平君 外務大臣に伺いますけれども、こうした仕組みというのは日米間でいつ合意されたんですか。
  199. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 飛行計画の提出に関する航空法の規定、第九十七条ですが、これが米軍機に適用されることについては、昭和三十五年に日米地位協定が締結された際に米側との合意が成立をしております。
  200. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理、つまり、どの米軍機がどういうルートを飛ぶのかということを日本政府は一九六〇年の地位協定以来ずっと把握しているということなんですよ。にもかかわらず、先ほどの答弁のように、これまで、米軍の運用だとか政府としては承知していないだとか、国民を欺き続けてきたのかと、それは国民の安全、平和を守るべき政府の不作為ですよ。  中谷大臣、あなたは二〇一三年の九月十三日の高知新聞のインタビューでこう言っている、当然、何時頃に通過する予定ですということは地元に言っておくべきだと思います。防衛省や国交省が地元に伝えるべきとお考えですかという記者の問いに、自衛隊はそうしてますからねと答えています。大臣になったんですから、地元に伝えるんですね。
  201. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米軍の飛行経路につきましては、米軍が飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあることは承知をいたしておりますが、具体的経路の詳細等は米軍の運用に係る事項でございまして、承知はいたしておりません。
  202. 仁比聡平

    仁比聡平君 政治家として新聞のインタビューに答えておいて、何という情けない答弁だ。  総理、この米軍機が飛び回っている高知県の嶺北地域と物部町だけで防災ヘリやドクターヘリがヘリポートを使用したのは十か月間で四十二回に上るんですよ。二〇一一年の十一月には、防災ヘリの訓練とともに、同時間帯に三機の米軍機が低空飛行しているんですよ。ヘリのパイロットは命の危険を感じたと言っている。この米軍機のフライトプランなどの情報を関係自治体に提供せよという地元の声も本当に強く上がっている中で、やらないんですか。
  203. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米軍機のフライトプランにつきましては、米軍の運用に係る情報でありまして、こちらの方の開示等については差し控えさせていただきたいと思います。
  204. 仁比聡平

    仁比聡平君 住宅地上空の低空飛行をそのようにして認めておいて、妥当な考慮なんてあり得ないですよ。即刻やめさせるほかありません。  今日はもう一問聞きます。  辺野古新基地建設の強行に関わって、翁長県知事の海底調査を実施するまで作業を一時停止するようにという指示に対して、農水大臣、どんな対応をしましたか。
  205. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) この県の指示に対して、沖縄防衛局長から審査請求それからこの指示の執行停止の申立てがなされておりまして、これにつきまして、農林水産省においては、行政不服審査法に基づいて、三月二十四日でございましたが、処分庁である沖縄県に対して、沖縄防衛局の審査請求に対する弁明書、それから同防衛局の執行停止の申立てに対する意見書、これを提出をしてもらいたいということを求めましたところ、三月二十七日に沖縄県から農林水産省に対して、執行停止の申立てに対する意見書の提出がございました。本件の審査庁である農林水産省としては、行政不服審査法の規定に基づいて、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を十分検討しまして、本日付けで、沖縄県知事が沖縄防衛局長にした指示について、裁決があるまでの間その効力を停止することとしたものであります。  行政不服審査法では、執行停止をしないと重大な損害を避けるための緊急な必要性があるときに該当すること、執行停止をしても公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき等に該当しないことが執行停止の要件とされております。  まず、この重大な損害を避けるための緊急の必要性について、審査請求人は、工事を停止した場合、普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の除去に遅れが生じ、また外交防衛上の重大な損害等が生ずると、こういう主張をしておられまして、この点は相当と認められるということでございます。一方、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるのではないかということについて、沖縄県知事の方からは、工事を停止しなければ岩礁破砕の確認調査ができなくなると、こういう御主張でございます。この点は、工事を停止しなくても確認調査を実施することは可能であり、必ずしも認められないという判断をいたしました。  こういう理由で執行停止の要件に該当するとの判断をいたしたところでございます。
  206. 仁比聡平

    仁比聡平君 とんでもない決定であります。断固抗議をいたします。  基づくという行政不服審査法一条には何と書いてありますか。この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする、こう書いてあるでしょう。  そこで確認をしますが、防衛大臣、沖縄防衛局の辺野古埋立申請は米軍への施設提供業務という国の職務に基づくもの、間違いありませんね。
  207. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  辺野古におけます事業は普天間飛行場の移設事業ということで、キャンプ・シュワブ沖に滑走路を建設し、米側に提供することを目的としているものでございます。
  208. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、国の業務なんでしょう。
  209. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  防衛省として実施をしておりまして、事業主体は沖縄防衛局でございます。
  210. 仁比聡平

    仁比聡平君 業務の性格が米軍への施設提供業務という国の職務でしょうと問うている。
  211. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  米軍への施設・区域の提供という国の事務でございます。
  212. 仁比聡平

    仁比聡平君 肝腎なのは、国の埋立申請は防衛省の業務に基づくものだということなんですよ。  総理、国の機関がその固有の資格に基づいて行政処分の名宛て人になる場合、行政不服審査法は使えない、それが学界の通説です。法手続を防衛省が濫用して農水省がお墨付きを与える、こんな安倍政権の追い詰められたお手盛りでしかない。  丁寧に説明し、理解を得たいなんか言いながら、法を曲げてでも強行する、こんなことは直ちにやめて、知事とまず会って、正面から民意を受け止めて、辺野古新基地建設計画はきっぱりやめると、そうすべきじゃありませんか。
  213. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 一般に、国や地方自治体の機関が、その固有の資格においてではなく、一般私人と同様の立場で処分を受ける場合には、行政不服審査法に基づく不服申立ての資格を有すると解されております。  沖縄県漁業調整規則において許可が必要であることは、国であっても特に区別はなく、沖縄防衛局は私人の事業者と異なるところはないから、沖縄防衛局が農林水産大臣に対し審査請求等を行うことは可能であると考えております。
  214. 仁比聡平

    仁比聡平君 何が一般私人と同じかと。強大な行政権力に対して国民の権利を救済するためにつくられた手続を、オール沖縄の民意と知事権限をじゅうりんする国の強権手段として使う、そんなことが許されるはずがない。  この決定は撤回をすべきだと断固求めて、質問を終わります。
  215. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  216. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、山田太郎君の質疑を行います。山田太郎君。
  217. 山田太郎

    ○山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎です。  この国会、非常に集団的自衛権、それから軍事的な側面が多いんですが、国民の不安は何も軍事ばかりではありません。前回の予算委員会でも年金の話をやらせていただきましたし、今日は実は農薬の話を少しやらせていただきたいと思います。前回も少しやったんですが、積み残したところがたくさんありますので、引き続きお願いしたいと思っております。  今、ニコチノイド系農薬、これを緩和するということで、非常に多くのパブコメ、千六百件以上を超えるものがあって、国民的な関心事というふうにもなっておりますが、前回の三月十九日の予算委員会で、農林水産大臣の方は、使用方法を遵守している限り人の健康に悪影響を及ぼすことはないというふうにお答えをいただいているんですが、実は、このネオニコチノイド系農薬、浸透性、残効性、神経毒性ということでは、実は非常に問題があるのではないかという指摘がたくさんの方から、学界等を含めて専門家からも寄せられています。  水溶性でもって植物内に浸透するために、洗っても落ちない。それから、ニコチノイド系のうち、低濃度でも人間の脳、子供の神経の発達に悪影響を及ぼすと。実際、欧州の食品安全委員会、EFSAが発表し、その基は、元々二〇一二年の東京都医学総合研究所が発表した論文によって、実はEUでは使えないという措置になったわけであります。  一方、複合毒性ということも考えられるわけでありまして、他の農薬と混ぜると蜜蜂致死量の一千倍の毒性があるという研究結果もあります。  そこで、関連のことについて、農林水産大臣、厚労大臣、それから消費者担当大臣にお伺いしたいんですが、政府がそもそもこのネオニコチノイド系農薬は安全だと言う根拠は何なのかと。ADIとARfDの検査さえすれば本当に安全なのかと。さらに、人間の脳や子供の発達に本当に影響はないのか。それを調べているのか。農業関係者の利益ばかりを優先に、国民が犠牲になっていないか。それぞれの大臣から、お立場がありますので、所見をいただけないでしょうか。
  218. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) それでは、まず私から簡潔にお答えいたしますが、食品の安全確保、それから食品に対する消費者の信頼確保に向けた取組が大事だと、こういうふうに思っておりますので、農薬の登録に当たっては農薬取締法に基づいて、適用病害虫に対する薬効に関する試験成績だけでなくて、今ちょっと触れていただきました毒性や残留性といった人体に対する安全性に関する試験成績を農薬メーカーに提出させておるところでございます。この試験成績に基づいて、食品安全委員会、厚生労働省が行った科学的な評価を踏まえて、品質及び安全性が確保された農薬のみを登録を農林水産省でしていくと、こういうことにしております。
  219. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 厚生労働省としては、残留農薬の基準値に合っているかどうかということが大事なわけでありますけれども、この農薬の残留基準値につきましては、食品安全委員会による科学的な評価の結果を踏まえた上で、子供や妊婦を含め国民の健康に影響が出ないように、薬事・食品衛生審議会での審議を踏まえて設定をしておりまして、その設定に当たっては、事前にパブコメを行って国民の声を聞くということにしております。  今先生御指摘のクロチアニジンの残留基準値につきましては、農林水産省からの依頼を受けて一部の食品について引き上げる方向で検討を進めておるわけでございますけれども、パブリックコメントの結果等も踏まえて、この一連の手続を二回繰り返して慎重に進めてまいりました。  厚労省において、これまでパブリックコメントの御意見等も踏まえつつ、食品安全委員会の健康影響評価など科学的根拠に基づいて慎重に審議を重ねてきたものでありまして、今回の改正案については人の健康に対する安全性が確保されているものと考えております。  今先生御指摘のARfDについてでありますけれども、農薬の残留基準値につきましては、これまではADIというのを考慮して設定してまいりましたけれども、去年の十二月からARfDも考慮をして設定するために薬事・食品衛生審議会での審議など必要な作業を進めているところでございます。
  220. 山口俊一

    国務大臣(山口俊一君) 私の方からもお答えをさせていただきます。  今御指摘のネオニコチノイド系農薬クロチアニジンのお話でございますが、これは他の農薬と同様に、食品安全委員会におきまして最新の科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に食品の安全性についてリスク評価を行っておるところでありまして、その評価結果というのは適切であると考えております。そして、この評価結果に基づきまして厚生労働省、農林水産省等において適切なリスク管理措置が実施されれば、食品を介した人への安全性は担保されると理解をいたしております。
  221. 山田太郎

    ○山田太郎君 実はそのパブコメの中でも最も質問が多かったのは、国際基準に比べてもどうしてこんなに緩和するのか、この段でと。例えば、ホウレンソウは今三ppmが四〇に、国際基準の二十倍なんですね。コマツナは一ppmを一〇ppm、国際基準の五倍です。米は〇・七を一ということで、国際基準の倍に緩和すると。  前回、農水大臣は、ほかの殺虫剤に比べて人や生物に対する毒性が弱いという御回答をいただいたんです、答弁いただいたんですけれども、毒性が弱いから基準を緩めるというのはちょっと理屈に合わないというふうに思っておるわけですね。今までその基準でやってきたわけですから、何もどうしてここでいわゆる基準を緩めて危険な状態にさらすのか。この辺り、パブコメでも一千六百件中千四百件がその質問に集中しているんですね。是非その件、もう一度お答えいただけないでしょうか。
  222. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 今回のクロチアニジンの緩和の検討の理由ということでございますが、今ホウレンソウの例を出していただきましたけれども、毎日、収穫、出荷が行われて、害虫被害、これが生じやすいのがホウレンソウでございまして、生産者の方からは収穫間近まで使用できる農薬が少ないと、こういう声があったところでございます。このため、農薬メーカーから、他の殺虫剤に比べて人に対する毒性の弱いクロチアニジンを収穫間近に使用できるよう申請が行われたところでございます。
  223. 山田太郎

    ○山田太郎君 つまり、今までだと効き目が薄いから農薬の効き目を強くするということなのか、又は基準値にもう近いあるいは超えている可能性もあるから今回緩和してそれに合わせていったのか、その辺りはどうなんですかね。
  224. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) これは作物によって様々でございますが、例えばホウレンソウやカブというのは新たに使用できるように追加をしたということでございますし、サトウキビとかワケギ等々は従来から使用することができた作物ですが、新たな使用方法を追加すると、こういうことでございます。
  225. 山田太郎

    ○山田太郎君 論点は、新たな作物に適用するというのは分かるんですけど、今まで使っていた例えば米なんですけれども、どうして今回〇・七から一にしなければいけないのか、その理由が全然分からないんですよね。今まで効いていたそれで使えたらそれはそれでよかったんじゃないかと、何でメーカーから要請されたからといってどうして緩和するのか。その辺り、農水省、どう聞いていらっしゃるのか、もう一度教えていただけますか。
  226. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) これは先ほども触れていただきましたように、高温多湿な我が国において、安定供給の面で、ヨーロッパ等と比較してこの農薬の使用によって病害虫の被害を防ぐ必要があると、こういうことでございます。  農業者が、各々の営農体系の中で防除の必要性、農薬の使いやすさ、費用、こういうものを考慮して農薬を選択できるようにすることが必要だと考えておりまして、そういう意味では、農薬メーカーから提出されたデータを審査して、防除上の効果があって、かつ食品の安全や環境への影響について問題のない農薬、これを登録するということが必要だと考えております。
  227. 山田太郎

    ○山田太郎君 何回聞いてもかみ合わないんですが、緩和の理由というところを聞いているので、どうして今回緩和したのかということをもう一度お答えいただけないですか。
  228. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 先ほどホウレンソウの例はそういうことでお答えいたしましたが、従来から使用することができた作物に新たな使用方法を追加等をする作物、サトウキビ、ワケギ等ということでございます。  例えば、サトウキビは、使用方法、茎や葉の散布を追加するということですが、今までは土壌処理、植付け時のみでありましたけれども、追加的に、茎、葉散布の追加、収穫二十八日までを追加してほしいと、こういうことでございまして、カメムシ、メイ虫等の適用害虫があると、それぞれの作物についてそれぞれの現場の要請があったと、そのことに基づいて申請が出されているものと、そういうふうに承知をしております。
  229. 山田太郎

    ○山田太郎君 ちょっとまたこれは引き続きやりたいと思います。  もう一つ、二月五日に、これは厚労省にお伺いしたいんですが、食品安全部からちょっと驚くべき回答をいただいているんですが、ちょっとその辺りをお答えいただきたいと思っていますけれども。  農薬クロチアニジンについては、その使用方法の変更について農水省から申請されたと、農水省から厚労省に要請があったことから現在審査を行っていると。今回の残留基準の変更は、上記以外、まさに農水省から厚労省に申請があったこと以外にも、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会において残留基準が設定されている食品について、国際規格に合わせて日本の残留基準の変更、拡大を行う予定もありますと。日本の残留基準が国際規格よりも厳しい場合、貿易上の妨げになるおそれがあるというふうに回答してきているんですね。  これ、農水省が貿易促進のためにこういうことを言うなら分かりますが、審査をし、国民の健康を守る厚労省がどうしてその海外のいわゆる基準に合わせるまで緩和をするということを示唆するのかと。農水省からいわゆる要請も受けていないものを勝手に厚労省はこういう形でもってどんどんどんどん緩和をしていくんですか。
  230. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 厚生労働大臣。(発言する者あり)  三宅食品安全部長。
  231. 三宅智

    政府参考人三宅智君) お尋ねの農薬に関してですけれども、国内で使用するものにつきましては農林水産省から農薬についての基準の改正等の申出がございます。一方、輸入する食品につきましては、相手国、生産国の方ですとか、あるいはそういった外国の企業から厚生労働省に対しまして農薬の基準について改正の依頼がございまして、そうしたことを踏まえまして改正の手続を行うことになります。  もちろん、その基準につきましては、先ほど大臣から御答弁ありましたように、食品安全委員会でその基準について、ADI等につきまして問題がないかどうかをチェックして検討を行うということになります。
  232. 山田太郎

    ○山田太郎君 この文書はそういう要請があったと書いていないんですよ。要は、国際規格に合わせて拡大を行うと。これはもしかしたらTPPなんかが絡んでいるんですかね。  食品のこうやって安全が今侵されそうな状況の中で、最後のとりでである厚労省の安全部局がそんな回答じゃ困るんですが、もう一度いかがですか。
  233. 三宅智

    政府参考人三宅智君) 先ほどお答えしましたように、国内で基準がないようなものにつきましてもコーデックス等の国際的な基準等のデータ等も参考にしながら、食品安全委員会にそうしたADI等の評価をしていただき、それに基づいて残留基準等を検討しているということでございます。
  234. 山田太郎

    ○山田太郎君 ちょっとこれはまた引き続きやっていきたいと思います。  次は、玄米の検査規格についてのちょっとお話をしたいと思います。  資料をお手元の方にお配りしていると思うんですけれども、これは今のお米の一等、二等という、まさに農家が幾らで米を買ってもらうかという重要な決まりになる等級を表しています。見ていただきたいのが着色粒というところなんですけれども、一等で〇・一、二等で〇・三。これは何を意味しているかというと、玄米千粒当たり〇・一個以上の着色粒が付いている米については、いわゆる一等にならなくて二等になってしまうと。この金額差が、いろいろ調べましたら、今農協で一俵当たり六百円違うと、こういうことなんですね。  ただ、実は農家が、じゃどうしてこういうものをこだわって、特にクロチアニジンを使うのかということに関してはこんな指摘があります。農家が残効性の高いクロチアニジンを利用し、斑点カメムシ防除に熱心なのは、玄米千粒に着色粒が二粒あると等級検査で一等から二等に格下げになり、農家の売価が下がるためだという指摘があるわけですね。  調べましたところ、一俵当たり農薬の価格というのは三百円程度だということでありまして、もしかするとこの等級のために過度に農薬を使っているんではないか、こういうふうにも疑われるわけでありますけれども、そのことについて、特に、しかも着色粒ですよ、異物は二個入っていてもいいし、もみ殻付きのものは三粒入っていてもいいんですね。どうして着色粒だけこんなに、しかも、別に着色粒のお米は食べられないものでもありません。食べられないもみ殻とか異物が入っているものについては基準が甘くて、どうして着色粒だけこんなに基準が厳しいのか、お答えいただけないですか。
  235. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) この農産物の検査規格は、米のように大量流通する農産物について、現物を一つずつ確認することなく効率的な取引を可能とするための仕組みでございまして、国が生産者、流通業者、消費者等関係者の意見を聞いて定めておりまして、今御指摘のあった玄米の着色粒、色の付いた粒でございますが、その混入が消費者からのクレームの主な要因になっておりますことから、関係者の御意見を聞きまして、昭和四十九年に今御指摘のこの規格を設定をしております。一等が〇・一、二等が〇・三、三等が〇・七ということでございます。  現行の玄米規格が昭和五十三年に改正されましてから相当の期間を経過しておりますので、生産者、実需者、消費者等の関係者を集めて、今年の一月から三月にかけて三回にわたってこの農産物検査規格に係る情報交換会を開催をしました。この中でも、この今の着色粒の検査規格について、生産者からは、着色粒の厳しい規格設定が生産者に過度な生産管理を強いているという意見がある、そういう一方で、実需者の方からは、着色粒は依然として消費者からのクレームの主原因でありまして、流通段階での着色粒の除去に多額のコストが掛かるために生産段階での十分な対策が必要と、こういう意見があったと、こういうことでございまして、こういうように多様な意見の中で、引き続き関係者の御意見を伺った上で対応をしてまいりたいと思っております。
  236. 山田太郎

    ○山田太郎君 これは精米した後の選別機でも簡単に取れまして、実際、選別機で分けた後、一等、二等は混ざって実は流通しているんですよね。  是非、この際、この等級を廃止したらと思いますけれども、いかがですか。
  237. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) これは、先ほど申し上げましたように、生産者、流通業者、消費者、それぞれの関係者と意見交換を行いながら、この見直しの必要性の有無も含めて検討してまいりたいと思っております。
  238. 山田太郎

    ○山田太郎君 こういうことが過度の農薬を使わせる仕組みになっているんじゃないかと、うがった見方をすれば、農協から農薬が売れるいわゆるシステムになっているんじゃないかというふうに疑いたくなります。是非改善していただきたいと思っています。  最後に、総理にお伺いしたいと思うんですが、先日の決算委員会で、OECDの中でも日本の農薬の使用率は韓国に次ぎ二位だと。それから、三月十九日の予算委員会でもやったんですが、台湾における残留農薬の通関の不合格は日本がナンバーワンと、中国よりもひどい状況だと、こういうレッテルなんですね。先月、徳島の勝浦町からフランスに向けて出荷した貯蔵ミカン、満を期して頑張って輸出したということですが、日本基準では受け入れられないということでEUには出せなかったと。有機野菜のシェアも非常に日本は低い、中国よりも低い。こんな話を実はさせていただきます。  総理、二〇二〇年までに農業の輸出一兆円目指すというふうに言っているんですが、この食の安全、下手をすると日本の食品は必ずしも安全ではない、こういうふうに世界から疑われてしまうと思います。その辺り、是非農業を発展させるためにも総理の決断いただきたいと思いますが、この農薬問題についていかがですか。
  239. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 総理、時間が過ぎておりますので、簡潔にひとつお願いします。
  240. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) はい。  消費者ニーズに応えた強い農業を実現していくためには、食の安全と消費者の信頼を確保していくことが重要であると考えています。  高温多湿な我が国において、農産物を安定供給していくためには農薬の使用により病害虫による被害を防ぐ必要があります。一方で、環境への負荷をできるだけ軽減するため、環境保全型農業に対する直接支払などを通じ有機農業等を推進していきたいと考えています。  また、農産物検査は、米など大量流通する農産物の効率的な取引を可能とするための仕組みであり、今後とも生産者、流通業者、そして消費者等の意見を聞きながら適切に対応していく必要があると考えております。
  241. 山田太郎

    ○山田太郎君 前向きな答弁がいただけたと思います。  どうもありがとうございました。
  242. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で山田太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  243. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、和田政宗君の質疑を行います。和田政宗君。
  244. 和田政宗

    和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  まず、防衛医科大学病院や自衛隊病院の予算について聞きます。  これらの病院の予算は防衛費で賄っていますので、年度末近くになると使えるお金が少なくなり、手術ができにくくなるとの話があります。その話は事実かどうか、また現状はどうなっているか、お答えください。
  245. 塚原太郎

    政府参考人(塚原太郎君) お答えします。  防衛医科大学校病院や自衛隊病院は、国の機関であるため一般会計予算により運営しております。防衛医科大学校病院は、平成二十四年度にがん診療指定病院の指定を受け、新たな高度医療を提供したことなどから予想以上の患者の増加がありまして、平成二十四年度末及び平成二十五年度末におきまして診療に留意する状況が生じました。  これらを踏まえまして、平成二十六年度予算は、平成二十五年度対比四・八億円増の五十二億円を計上させていただいております。具体的な診療計画に基づき、患者数の増加や各種の検査、薬剤等の単価上昇などを適切に見積もりまして必要な予算を確保しているところでございます。
  246. 和田政宗

    和田政宗君 本年度はそうだということですけれども、これ、例えば予算が年度末に至る前になくなってしまった場合にはどうするんでしょうか。
  247. 塚原太郎

    政府参考人(塚原太郎君) 現在、防衛医科大学校病院及び自衛隊病院におきましては、患者の診療が適切に行えるよう予算を確保しているということは今申し上げたところでございますが、適切な見積りをさせていただいておりまして、今年も残り一日でありますけれどもそのような事態は生じておりませんし、来年もそういった具体的な事業計画に基づきまして必要な診療費を確保しているというところでございます。
  248. 和田政宗

    和田政宗君 ごめんなさい、病院予算で賄えない場合には、これ、防衛費の中でやりくりするんだと思うんですけれども、その点、どうですか。
  249. 塚原太郎

    政府参考人(塚原太郎君) かなりテクニカルなお話になると思いますけれども、まずは、防衛医科大学の中の予算の中で足りない部分と少し余裕がある部分が仮にあるとすれば、その中で対応するというようなことも方法の一つとしては考えられるのではないかというふうに思います。
  250. 和田政宗

    和田政宗君 ごめんなさい、これ単純なことでお答えいただければというふうに思うんですけれども、これ防衛予算内でやりくりするんですよね。
  251. 塚原太郎

    政府参考人(塚原太郎君) はい、御指摘のとおり、防衛予算の中でやりくりをさせていただきます。
  252. 和田政宗

    和田政宗君 初めから簡潔にお答えいただければというふうに思うんですが。  では、大規模災害や有事があった場合、防衛予算内で防衛医科大学、自衛隊病院の運営費が確保できない場合にどうするのか。いかなる場合にもしっかり手術や必要な医療行為が行えるように予算を確保すべきだと思いますが、防衛大臣、どうでしょうか。
  253. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 平成二十四年は極端に予算が減りましてああいった事態が起こりましたが、その後は必要な予算を確保しているところでございます。  そこで、万が一、大災害などの未曽有の大規模災害が発生した場合には、その状況に応じて予算確保も含めて政府全体として適切な対応が図られるものと考えておりまして、御指摘いただいた点も踏まえまして、今後しっかり予算確保に努めてまいりたいと思っております。
  254. 和田政宗

    和田政宗君 これ、実際のところの話を防衛医大のOBなどに聞きますと、やはり年度末近くになりますとカテーテル手術ができにくくなるといった面ですとか、そもそもカテーテル手術自体を年間を通してほとんど行えない診療科もあるというふうに聞いております。  また、単年度予算のために検査が年度をまたげないという問題点もあるというふうに聞いておりますので、防衛大臣言われたように、おっしゃられたように、必要な予算をしっかり確保して、適切な医療行為を制約を受けずに行えるような体制にするように求めます。  次に、米国による我が国への原爆投下について聞きます。  安倍総理は、去年八月六日の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式及び八月九日の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典において、人類史上唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を体験した我が国には、確実に核兵器のない世界を実現していく責務があります、その非道を後の世に、また世界に伝え続ける務めがありますと挨拶しました。その非道とは具体的に何を指すのか、総理、お答え願います。
  255. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 七十年前、原子爆弾の投下により、広島で十数万人、長崎で七万人とも言われる尊い命が失われました。また、生き長らえた方々も、病気や障害の、また生活上の言葉に尽くせぬ苦難を強いられたわけでございます。唯一の戦争被爆国としてこの惨禍を経験した我が国は、核兵器のない世界を実現していくため、原子爆弾によりもたらされた言葉に尽くせぬ悲しみ、苦しみを、後世にまた世界に伝えていく責務を負っていると考えています。  御指摘の挨拶の中では、こうした惨禍について非道と申し上げたわけでございます。
  256. 和田政宗

    和田政宗君 そうすると、原爆投下のその惨たんたる犠牲者、さらには惨状のことが非道だということであるというふうに思いますが、我が国に原爆を投下した当時の米国政府はその非道を行ったものと政府は認識しているのか、お答えください。
  257. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 広島及び長崎に対する原爆投下、これは大変多くの尊い命を奪い、そして病気や障害などで言葉に尽くせない苦難を強いました。人道上極めて遺憾な事態をもたらしたものと認識をしております。  そして、政府としての考え方ですが、これはかねてから申し上げております。この核兵器の使用は、その絶大な破壊力、そして殺傷力ゆえに、国際法上の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しない、このように考えております。こうした原爆投下、原爆使用についての考え方は、我が国の考え方は以上でございます。
  258. 和田政宗

    和田政宗君 非道な行為を当時の米国政府が行ったか行ってないのか。はいかいいえですと、どうでしょうか。
  259. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 原爆の使用については、国際法の思想的基盤である人道主義の精神に合致しない、これが我が国の考え方であり、過去、国際司法裁判所の場等においてもこうした我が国の考え方を重ねて示しております。
  260. 和田政宗

    和田政宗君 ちょっとお答えいただけないようですのでそれに関連して聞きますけれども、米国による我が国への原子爆弾の投下は当時の国際法に違反するものであったか、政府の見解を聞きます。国際法違反であったかどうか。違反であった、違反ではない、二択でまずお答えいただけますでしょうか。
  261. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) この核兵器の違法性に関しましては、一九九六年に国際司法裁判所におきまして議論が行われています。その議論の際にも、我が国の核兵器の使用に対しての考え方は先ほど申し上げたとおりであります。そして、その議論の際に、この国際司法裁判所自身の勧告的意見の中で、核兵器による威嚇又はその使用は、武力紛争時に適用される国際法の規則、特に人道法の原則と規則に一般的に相入れないが、国家の存続自体が問題となるような自衛の究極的状況における威嚇又は使用が合法か違法かについて判断することはできない。国際司法裁判所自身がこのような勧告を示しております。  いずれにしましても、我が国のこの核兵器使用に対する考え方は、先ほど来重ねて申し上げているとおりでございます。
  262. 和田政宗

    和田政宗君 そうすると、国際法違反とまでは言えないということでしょうか。
  263. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 核兵器の使用に関する違法性の議論においての我が国の考え方は、先ほど申し上げたとおりであります。そして、違法性の議論につきましては、これは法律上、あるいは歴史的にも大切な議論なのかもしれませんが、我が国としましては、核兵器の使用について、先ほど申し上げましたような考え方に立ち、これから未来に向けて、唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界を実現するために、現実的そして実践的な取組を一歩でも進めていかなければならないと考えています。被爆七十年のこの年、大切な年であります。是非努力を続けていきたいと考えています。
  264. 和田政宗

    和田政宗君 そうしますと、国際法違反とまでは言えないけれども国際法の精神には合致しないということでよろしいでしょうか。
  265. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど来申し上げておりますように、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力ゆえに国際法の思想的基盤である人道主義の精神に合致しない、このように我が国は考えております。
  266. 和田政宗

    和田政宗君 ここ、なかなか現段階では米国との関係もありますので踏み込むことができないというのは分かるんですけれども、やはり戦後七十年でありますので、そういったところをしっかり正しく検証していかなくてはならないというふうに私は思っております。  今質問した点を含めまして、米国占領以降言えなかったことをしっかり言っていくこと、そして、さきの大戦、大東亜戦争について吹聴されているうそを正していくことが戦後七十年以後につながっていくというふうに思います。戦後七十年談話につきましても、大東亜戦争に言及する場合には、しっかりと事実に基づいて、そして戦後レジームからの脱却を行って未来志向の内容となるようお願いしたいですが、総理の見解いかがでしょうか。
  267. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私は歴史に対しては謙虚でなければならないと、こう考えております。同時に、歴史については歴史家、専門家に任せるべきだろうと、このように考えております。  いずれにせよ、日本は、さきの大戦の深い反省の上に、戦後、平和国家として自由で民主的な国をつくり、人権を守り、そして法を遵守してきたところでございまして、この歩みは今後とも変わらないわけでございます。  戦後七十年における談話につきましては、こうした考え方を世界に発信していきたいと、このように思っております。
  268. 和田政宗

    和田政宗君 この原爆投下と国際法の問題につきましては、更に私、国会審議で質問をしていきたいというふうに思います。  時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  269. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で和田政宗君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  270. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、薬師寺みちよさんの質疑を行います。薬師寺みちよさん。
  271. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブ薬師寺みちよでございます。  本日は、超高齢化社会に避けて通れない問題について質疑をさせていただきたいと思います。  年間死亡者数というものは年々増加をいたしております。平成十五年には百万人であったものが、平成二十三年は百二十五万人、平成四十年は百六十、平成五十年は百七十万人にも達する見込みとなっております。まさにこの日本というのは多死社会に入っているわけです。  現在、高齢者の生活の質や尊厳を基本に置いて、地域包括ケアというシステムも構築が急がれているところでございます。であれば、同時に、尊厳死や死生観に関する社会的合意に向けて国民的な議論をしていく必要があると私は考えております。  今月、厚労省より、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインというものが出されました。これは、平成十九年度に出された終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを改訂したものでございますけれども、厚労大臣、この人生の最終段階における医療の定義を教えていただけますでしょうか。
  272. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 人生の最終段階における医療につきましては、患者や家族と医療従事者が最善の医療やケアをつくり上げていくための合意形成のプロセスを示すものとして厚生労働省はガイドラインを策定をし、その普及に努めてまいりました。  このガイドラインにつきましては、厚労省の有識者検討会がまとめたガイドライン解説編においては、人生の最終段階につきまして、がんの末期のように、予後が数日から長くとも二、三か月と予測ができる場合、それから、脳血管疾患の後遺症や老衰など数か月から数年掛けて死を迎える場合など、患者によりまして異なっておりまして、どのような状態が終末期かは、患者の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべきとされているところでございます。
  273. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、大臣、ちょっともう一問お尋ねさせていただきたいんですけれども、この終末期医療から人生の最終段階へということで、言葉を変えて何か新しいエッセンスがその中に盛り込まれましたのでしょうか。
  274. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、厚労省で検討会で議論を重ねていただきまして、表現としてよりふさわしいということで、先ほどお話がございましたように、終末期医療という言葉から人生の最終段階における医療という言葉に変更したということでございます。
  275. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これ、まだまだ国民には認知をされていないということで、是非これからしっかりと言葉の定義、大切になってまいりますので、お願いをしたいと思います。  また、日本人の八〇%近くは今現在病院で亡くなっている状況でございます。欧米諸国などでの死亡という方は五〇%程度が病院、かなり格差がここにはございます。  厚労省がうたう地域包括ケアの実現には、地域でのみとり、すなわち脱病院死というものが欠かせないはずでございます。このような状況の中で、人生の最終段階における医療というものはどのようにあるべきだということで今回厚労省は打ち出されましたのでしょうか、教えてください。
  276. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 人生の最終段階におきます医療については、患者、家族に十分情報が提供された上で、これに基づいて、一義的にはやはり患者が医療従事者と話し合うと、これが大事であって、そして患者本人の意思決定を基本として行われることが重要だというふうに考えておるところでございます。
  277. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、もう一問。  今、大臣答弁の中にはなかったんですけれども、やっぱりこういった状況になってしまった日本というのは、日本独特の雰囲気がございます。いわゆる医療に依存する、医師にお任せ医療ということもございます。そういうものに対して、大臣、どのように今後臨んでいかれるおつもりなのか、ちょっと、私見でも結構でございますので、お答えいただけますでしょうか。
  278. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 様々なケースがあり得るというふうに思っておりまして、そもそも患者中心ということはこれが大原則でありますけれども、そもそも患者が判断をできるかどうかということももちろんあるわけでありまして、確認できる場合には、やはり患者を中心に医療関係者、従事者が集って十分に話し合うという中で、患者が意思決定を自ら行うということが大事だろうというふうに思います。  一方で、その患者の意思を確認できない場合には、患者の意思、言ってみれば推定意思を尊重する、そんたくをするということを家族や周りの方々がやって、そして医療関係者とともにどうするかを決めていくということだろうというふうに思います。  もちろん、そういった方々もおられないような方々もおられるわけでしょうけれども、そういう際には、やはり最善の治療を患者に施すというためには、医療・ケアチームで慎重に判断をして、最大限の配慮をしながら医療の在り方について考えるべきかなというふうに思っております。
  279. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、今お答えいただいたような内容で、その次に進ませていただきたいんですけど、本年度、十か所の医療機関で人生の最終段階における医療体制の整備事業というものが行われたかと思います。どのような成果を得たのか、教えていただけますでしょうか。
  280. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今年度、今先生御指摘のように、十か所で、人生の最終段階における医療に関する適切な相談体制の在り方を検討するために、医療機関に患者の相談に乗る看護師等の相談員を配置するモデル事業を実施をしておるところでございます。  この事業の成果については、各医療機関からの成果報告を受けて今後取りまとめるということになっておりますけれども、医療機関や患者あるいは家族から、意思決定プロセスへの医療従事者の理解が深まってチームとしての患者の意思決定支援への対応力が向上をした、あるいはこれまでの人生を振り返るきっかけとなって家族とのきずなが深まったというような意見が上がっていると聞いております。  二十七年度予算でも、これ五か所予定を今しているところでございます。
  281. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、今後の課題について教えていただきたいと思います。このままでいくと年間で二十万人、三十万人が孤独死です。死に場所がないんです。どうやって誰がどのように意思を決定していくのか、そして、どのような場所で我々は尊厳を持って死ぬべきなのかということ、どのような課題が今後あるのか、少し教えていただきたいと思います。
  282. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今回の事業を通じていろいろな議論を重ねてまいりまして、どのような課題が見えてきたかということでございますけれども、この事業の課題についても、各医療機関からの成果報告を受けて今後取りまとめをやっていかなきゃいけないということになっておりますが、現在のところ、医療機関から、相談員の育成だけではなくて、医師、看護師等への教育、医療教育ですね、それからふだんの教育も行って、病院全体としての支援体制というのがやっぱり大切だなということ。それから、地域の開業医や行政とも連携できる体制が必要などの意見が上がっておりまして、先ほど先生、どこで亡くなるかということでありますけれども日本も今お話の八割が病院でということですが、元は自宅でかかりつけ医の先生方にみとられながらとか、家族にみとられながらというのが多かったわけであります。  この事業については、今申し上げたように平成二十七年度予算にも盛り込んでおりますので、今年度の事業の成果と課題も踏まえつつ、より効果的な相談体制の在り方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  283. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  総理にお尋ねしたいと思います。  二〇一三年に社会保障制度改革国民会議の中で初めて審議会が死というものに触れました。クオリティー・オブ・デスです。この人生最後の段階における医療提供体制というのは、今御説明いただきましたように着々と進んできております。しかし、国民の意識がそれに付いてきておりません。  このクオリティー・オブ・デスを高めるために、尊厳死や死生観に関する社会的合意に向けて総理にイニシアチブを取っていただいて、国民的議論を喚起すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  284. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 人生の最終段階における医療の在り方については、一人一人の国民の生命観や倫理観に関連する大きな問題であります。幅広く国民の間で議論されるべきものと考えています。確かに、薬師寺委員が御指摘になったように、ほとんどそれを医師に任せていたというのがかつてであったのではないかと思います。  そこで、現在、超党派の国会議員によって終末期医療に係る法案の提出を含めた議論がなされているものと承知をしておりますが、政府としては、これらの議論や国民の間での議論を踏まえ、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備に努めてまいりたいと思います。
  285. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  総理、もう一問ちょっとお尋ねしたいんですけれども、国民的議論を喚起していく、とてもこれ難しいことだと思います。先ほど総理の御答弁にもありましたように、個々人かなり考え方が違う中でどういった医療というものが一番最善なのかということを突き詰めていく、何かもしいいアイデアございましたら教えていただけますでしょうか。
  286. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは非常に難しい問題でありまして、終末期といっても、これはもう大体人生で様々なことを成し遂げてまさに天寿を全うするという寸前における終末期と、他方、非常に困難な病気に若年で罹患した状況の中でそうした最終段階を迎えた方、若い方、あるいはお子さんということもあり得るわけであります。  その中で、果たしてそうした医療を受け入れることができるかどうかということもあるんだろうと思いますが、これはまさに、哲学、倫理、宗教観等も含めてこれは議論を深めていく必要があると、このように思っております。
  287. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これで終わりますけれども、是非この死の問題、多死時代に入ってくる、これは本当に現実的にもう数年先に起こってくるかもしれません。関係各位の皆様、そして官僚の皆様方も御一緒にまたお考えいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  288. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で薬師寺みちよさんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  289. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島みずほさん。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、TPPについてお聞きをいたします。  アメリカの国会議員は、TPP交渉テキストの全文の閲覧が可能です。日本ではなぜできないんでしょうか。
  291. 甘利明

    国務大臣甘利明君) その中身がどこまでということがありまして、アメリカの関係者からも詳細が漏れてくるということはないんですね。どの国も、条約上の秘密保持義務と、それから国内から情報開示を迫られている、これに今悩みながら対処しているところでございまして、日本としてもできる限り、条約上抵触しないような範囲を探りながらホームページに提示したりいたしております。  アメリカのUSTRのホームページ見ましても、日本から特にですね、詳細なことが、より詳細なことが出ているということは把握しておりませんけれども、今後とも、交渉上の守秘義務、この制約の中でどう工夫ができるかを模索しながら取り組んでいっているところであります。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 国会議員へのTPPテキスト全文の閲覧可能という措置を、アメリカ政府は三月十八日、方針を議会に示しました。  アメリカでできて、何で日本でできないんでしょうか。
  293. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今までアメリカ、特にUSTRは議会の要求に応えていろいろ開示すると言ってきましたけれども、実際は中身が全部分かるというわけではないんですね。  アメリカ政府自身も条約上の守秘義務というのは他国にかなりきつく言っているところでありますから、その中でどういう開示の仕方をしていくんだろうと。全て公表しますということが本当にそのまま通るとは、なかなか額面どおり理解できないところでありますから、アメリカの開示がどういう形になっていくのか注視をしているところであります。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 アメリカがこのテキストの全文開示をすれば、日本の国会議員にも同じような措置がとられるという、そういうことでよろしいでしょうか。
  295. 甘利明

    国務大臣甘利明君) まずアメリカがどういう開示をしていくのか、それと、当然、アメリカと日本の秘密保持義務が掛かる掛かり方も違ってくると思いますから、その辺のことをしっかり精査をしたいと思っております。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 もう少し前向き答弁してくださいよ。国民によって選ばれた議員に対して、アメリカは議員に対しては開示する、日本では何で開示しないのか。  これは開示してくださいよ。お互いに保持義務があって、どの程度開示するかは国内、というか議会に対しての問題なんで、よろしくお願いします。
  297. 甘利明

    国務大臣甘利明君) アメリカもそういう表明を今までもされてきました。しかし、実態は我々が開示している内容とそんなに変わらないんですね。これから国会議員にはそうしますと、突き上げを受けておっしゃっていますが、それがどういう形になるのか、それをしっかり見守っていきたいと思っています。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本の国会議員にも同程度の開示がされるようにお願いをいたします。  次に、辺野古の問題で、農水大臣が今日決定を出したことについて説明をお願いします。
  299. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 沖縄防衛局長からの審査請求、それから指示の執行停止の申立てにつきましては、行政不服審査法に基づいて、まず沖縄県に対して弁明書、これは審査請求に対してですが、それから意見書、執行停止の申立てに対して、それぞれ提出を求めておりましたが、三月二十七日に沖縄県から農林水産省に対して執行停止の申立てに対する意見書の提出がございました。  本件の審査庁である農林水産省として、行政不服審査法の規定に基づいて、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を十分検討しまして、本日付けで、沖縄県知事から沖縄防衛局長にした指示について、裁決があるまでの間、その効力を停止することとしたものでございます。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 行政不服審査は広く国民を対象としているもので、国は申請人としての性質を持たないと考えますが、総理、いかがですか。
  301. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 沖縄県の漁業調整規則では、岩礁破砕等を行うに当たり必要な沖縄県知事の許可については、国が事業者である場合を除外しておりません。国が事業者である場合も県知事の認可が必要であり、私人が事業者である場合と変わりがないために、国に申立人としての適格が認められたものであると承知をいたしております。
  302. 福島みずほ

    福島みずほ君 どこが私人なんですか。公権力中の公権力じゃないですか。
  303. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この工事に伴いまして岩礁破砕等を行うに当たりまして必要な沖縄県知事の許可については、国が事業者である場合を除外しておらず、県知事の許可が必要でありまして、私人が事業者である場合と変わりがないために、国に申立人としての適格が認められたものと承知をいたしております。
  304. 福島みずほ

    福島みずほ君 原告と裁判長が一緒なんですよ。  じゃ、これは質問通告しておりませんが、中谷防衛大臣、今まで行政不服審査法を使った例がありますか。国が、自治体がありますか。分からなければ分からないで結構です。
  305. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 急なお尋ねでございますので、調べてまいります。
  306. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問通告してなくて済みませんが、名護市が環境現況調査を許可しなかったということについて行政不服審査法を使った例が一度だけあるんですが、これは結論が出ていません。出てないんですよ。今日の農水大臣のこれが初めてなんですね。これはなぜかというと、やっぱり行政不服審査法は、行政法の通説は、国や公共団体はこの行政不服審査法に基づく不服申立てをすることはできないと考えられてきた。今まで、もし私人と同じ行為だったらできるよと言ったらたくさんできたかもしれないが、違うんですよ。裁判官と原告を同じにしてはいけない。だから、今日こういう結論が出したことは、そもそも行政不服審査法として適当、妥当ではないというふうに思います。  次に、これはサンゴ礁が破壊されていないか、沖縄県に調査をさせることがまず先決ではないでしょうか。
  307. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 事実関係につきましては審査請求の中で審査をすることになりますが、今回は必ずしも、この工事を停止しなければ岩礁破砕の確認調査ができなくなるという主張、これは必ずしも工事を停止しなくても確認調査を実施することは可能でございましたので、この主張、沖縄県の主張については取らないという理由で執行停止を認めたところでございます。
  308. 福島みずほ

    福島みずほ君 この決定書に、執行停止により調査ができなくなるという関係は必ずしも認められないことから、指示の効力を停止したとしても公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとは言えないとしていますが、沖縄県、調査が今までできてないんですよ。調査ができなくなるという関係は必ずしも認められない。調査ができるんですか、調査させるんですか。
  309. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、今やっておりますボーリング調査、これを止めなくてもこのアンカーの設置状況を確認するということは可能であると、こういうことであろうかというふうに思っております。
  310. 福島みずほ

    福島みずほ君 農水大臣、分かってないですよ。調査ができないから沖縄県困っているんですよ。調査をじゃ許してくれるんですね。よろしいですね。
  311. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) この件につきましては、沖縄防衛局が申立人でそういう主張がございました。一方で、沖縄県からは今先生がおっしゃっておられるような御主張があったところでございますが、我々としては、必ずしも工事を停止しなくても確認調査を実施することが可能であり、認められないという判断をしたということでございます。
  312. 福島みずほ

    福島みずほ君 この決定書に、調査ができなくなるという関係は必ずしも認められない、調査ができるんですね。沖縄県は調査ができるということでよろしいですね。
  313. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 何度も繰り返しになりますが、知事側、知事側というか沖縄県側が申立てで、意見でおっしゃっておられます工事を停止しなければ岩礁破砕の確認調査ができなくなるという主張、これは必ずしも認められないという判断をしたということでございます。
  314. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、沖縄県が岩礁破壊のサンゴ礁がどうなっているか調査ができないということについてはどう考えているんですか。
  315. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) これは書面で審査をすることになっておりますので、まず沖縄防衛局の方の申立て、それから先ほど申し上げました中身ですね、それから、今の沖縄県知事は調査ができなくなるという主張をされておられるということでございますが、その両者の書面での主張を確認した上で、この工事を停止しなくても確認調査を実施することは可能であると、こういうふうに判断をしたということでございます。
  316. 福島みずほ

    福島みずほ君 防衛大臣、制限区域内も調査できますね、沖縄県が、それだとしたら。
  317. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 沖縄県の調査につきましては、県が米軍に立入り申請中と承知をいたしております。
  318. 福島みずほ

    福島みずほ君 できないんですよ。沖縄県が政府に対して言ったら米軍に言えと言って、米軍に言ったら制限区域内は駄目だと言われて、沖縄県はサンゴ礁のことが心配で、壊れているんじゃないかという調査ができないんですよ。だから、この指示を出したんですよ。にもかかわらず、できるとか言うのは間違っていますよ。サンゴ礁は一旦壊れたら回復ができません。だから、とにかく一旦中止して調査をさせてくれという沖縄の声をなぜ聞かないんですか。  中谷大臣、そんなこと言うんだったら、調査させてくれるんですね、米軍と話付けるんですね。いいですか。
  319. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省としては、工事、またブイのコンクリートブロックにつきましては、この許可が要らないという前提で作業をいたしております。  沖縄県の調査につきましては、先ほどもお話しいたしましたけれども、県が米軍に立入りを申請中ということで承知をいたしております。
  320. 福島みずほ

    福島みずほ君 今まで調査ができなかったから、この指示を出したんです。  農水大臣、ここの決定書に、調査ができなくなるという関係は必ずしも認められない、政府、責任持って沖縄県の調査をさせなければ、こんな決定書は本当にひどいですよ。だから、沖縄県がやっていると。  これは政府がしっかり民意をちゃんと受け止めてちゃんとやるべきだと。そして、菅官房長官が、沖縄県知事選挙はこの辺野古の移設が主要な争点ではなかったというふうに記者会見で言ったことは全く間違っていると思います。民意をどこまで踏みにじるのか。ちゃんと調査させてくださいよ。一旦ストップしてサンゴ礁の調査をしなければならない、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  321. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  322. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井広幸君。
  323. 荒井広幸

    荒井広幸君 新党改革荒井です。暫定予算に賛成をいたします。  本日は、予算に絡みまして、アベノミクスの効果がまだ及んでいないというような話の中の一つの原因だろうと思います、金融機関が中小零細企業に十分な融資、資金提供しているのかという問題がありますね。これはアベノミクスに邪魔しているようなものです。それから二つ目の課題は、大企業から中小企業、そして中小企業が親企業になる場合があります、これ下請ですね、零細企業があります。それぞれのこの段階において、十分に下請の代金、そういう単価が十分に上げられるような当然の配慮がされているか。この二つを今日はお聞かせいただきたいと思います。  まず財務大臣にお尋ねいたしますけれども金融モニタリングで随分銀行に対する貸出し姿勢というものを積極的に、適正に、こういう指導をしていただいているわけでございますけれども、もう一段、金融緩和のこの成果を中小企業、零細企業に行き届くような金融機関の資金、これらを調達あるいは融資、そうしたことができるように銀行に指導させるべきと思いますが、いかがでしょうか。
  324. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう荒井先生御指摘のとおり、過度に担保また個人保証に偏ってこれまで融資というものをやってきたという長い、戦後特にお金がなかった時代の歴史が日本の場合ありますので、それがリーマンショックを受け、何を受けといって、ますます金融収縮したという状況のままで私ども政権になりましたものですから、私どもとしては、駄目と、これは金融処分庁という評判は変えてもらいたいと、金融育成庁に変えるというのが大方針ということで、検査監督を通じて事業性の評価というものを優先順位として考えてもらわなきゃならぬ。  したがって、融資を促すとともに、営業現場の第一線までということで、頭取とか理事長が分かっていても、全然下が、そういった者に伝えなければ意味がありませんので、そういった意識を浸透させるように、去る三月二日にも金融機関に対してその旨要請をいたしたところでありまして、引き続き、金融機関が企業のニーズ、いわゆる中小零細企業の資金繰りというのは特に必要になるんですが、そういったものを捉えまして、金融仲介機能を円滑に果たすように促してまいりたいと思っております。
  325. 荒井広幸

    荒井広幸君 強力に促していただきたいんです。  そして、これに関連しますが、総理にお尋ねいたしますけれども、先ほどの、大臣御苦労をいただいている中で、こういうこともあるんですね。  いわゆる消費税滞納しているじゃないかと、滞納しているところに貸すわけいきませんよ、とにかく難癖を付けるんですね。それはもうリーマン以降、十五年、二十年、デフレ下で不況でした。アベノミクスが今こうして成果を上げてきてはいるものの、立ち所に良くなるなんていうことは、望む方も、やっぱり我々もちょっと望み過ぎだと思うんですね。しかし、今やるべきことといったら、そうした十年、十五年、非常に苦労をしてきた企業に対して、零細企業に対して、貸さないわけですよ。その理屈をやっぱり探していますよ。  そういう意味で、総理、税金の滞納などをもって貸し渋るような、一律にもうそういう理屈を付けて個別の事業を見ないような金融機関、これらを徹底して、きちんと貸せということを指導すべきと思いますが、いかがですか。
  326. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど麻生大臣から答弁をさせていただきましたように、金融庁の姿勢を我々は大きく変えたわけでございます。  そこで、金融機関は、個々の借り手の状況をきめ細かく把握をして円滑な資金供給に努めることが重要でありまして、これが基本であります。このため、金融庁より金融機関に対し、財務データ等に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業内容や成長可能性を適切に評価をし融資や助言を行う。まさに、金の卵を産む可能性を持っている鶏は、調子悪いときにもう餌はやらないということではなくて、餌をやったらこれ金の卵を産んでいくのであれば、そこはちゃんと餌を食べさせるという、そういう姿勢が大切ではないかと、こう思うわけでございます。  中小企業に対しては、きめ細かく対応し、元金の据置きや利息の引下げなど、円滑な資金供給等に努めるといった旨の方針を示しているところであります。  政府としては、引き続き金融機関に対し、御懸念の点も含めて、借り手企業の事情、背景を個別に見極めて様々な資金需要に可能な限り応えていくよう促してまいりたいと思います。
  327. 荒井広幸

    荒井広幸君 総理金融緩和をして結構足引っ張っているのは金融機関なんですよ。もう少ししっかり見ていただきたいですね。先ほど総理が言ったような視点でやっていただきたい。  金融円滑化法がありましたね。あのときは義務で開示したんですよ、どれぐらいの貸出ししているかと。九〇%開示して、そしてやらせていたという実績があります。そういうことも一つ知恵としてあるんじゃないかなということがあると思いますね。どれだけ貸しているかということを開示させる、これも一つだろうと提案をしておきます。  続いて、甘利大臣にお尋ねをいたします。  先ほど冒頭しゃべり過ぎましたので、簡単に申しますと、内部留保がございますんで、内部留保から取引先の下請企業に対する支援としていろいろな支援をする、適正な下請単価でやってくれましたよという、そういう企業に関して補助金や税制の優遇をさせるというやり方がいいタイミングになってきたんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  328. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 昨年の総選挙後、総理指示で直ちに政労使会議を開催をいたしました。総理から今春の、今やっております今春の賃上げを要請したわけでありまして、経済界の皆さんには、設備投資はもちろんしていただく、それ以外に賃上げに向けて最大限の努力、それから御指摘の原材料の高騰に苦しむ下請企業の価格転嫁、そういった取組に合意をしていただいたわけでありまして、これを受けまして、経団連は賃金引上げに前向きな方針を表明をいたしております。前年を上回る好回答が出ているところでありますが、加えて、原材料価格、エネルギーコストの上昇の影響を受けている中小・小規模事業者に配慮して取引の適正化等に総合的に取り組んでいく姿勢を明らかにしたところであります。  政府といたしましても、原材料コスト高への対策パッケージを講じているところでありまして、総理から、近々に政労使会議を、選挙後二回目の政労使会議を開催をしてこれをフォローアップするよう指示が出ているところであります。つまり、最初の政労使会議にはとにかく賃上げしっかりやっているのを見ていって、それから原材料価格の転嫁、下請の企業も賃上げできるように環境が整うか、それの背中を押していくという意味で、総理から今御指示が出ているところであります。  また、税制では、これまでも所得拡大促進税制であるとか、あるいは設備投資促進税制によりまして、賃上げ、設備投資を促してきたほか、今般の成長志向型の法人税改革と、それからコーポレートガバナンスの強化であるとか政労使の連携といった取組が相まって、企業の積極的な投資、さらには賃上げや下請企業の価格転嫁といった取組につながっていくものと考えております。  現在、こうした取組を総動員しているところでありまして、まずはこれらの取組の効果というのをしっかりと見定めてまいりたいと考えております。
  329. 荒井広幸

    荒井広幸君 効果を見定めてると、遅い、遅いというふうになるんです。やっぱり、下請に対して、今大体、調査をしますと、消費税は大体これは転嫁できている、原材料、エネルギー費は五〇%ぐらいがまだもらってない、こういうことですね。そして、一番は、何よりも中小企業の皆さん、働いている皆さんに賃上げするための普通の単価を、もうかっているんですから上げるということをしてもらわないといけないんですよ。上げる企業に減税するというやり方に徹底していただけませんか。甘利大臣、いかがですか。
  330. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 麻生財務大臣、時間が過ぎていますので、簡潔にお願いいたします。
  331. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 後でゆっくり話そうかというような答弁は成り立ちませんので、今のお話はそんなに簡単な話じゃないんで、時間を少々いただかぬとお答えはできないと存じます。
  332. 荒井広幸

    荒井広幸君 アベノミクスの効果があるのに、旧来の旧態依然のやり方とか、それから将来が見えないなんというもう悲観的なことで縮こまっているからできないんです。中小企業、零細企業にもっと太陽政策を与えるような、そういう活気ある体制にしていただきたいと思います。  終わります。
  333. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言は全て終了いたしました。  以上をもちまして、平成二十七年度暫定予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  334. 岸宏一

    委員長岸宏一君) それでは、これより討論に入りますが、討論の通告がございませんので、討論はないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  平成二十七年度一般会計暫定予算平成二十七年度特別会計暫定予算平成二十七年度政府関係機関暫定予算、以上三案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  335. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 多数と認めます。よって、平成二十七年度暫定予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  336. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  337. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、平成二十七年度総予算三案の審査の委嘱についてお諮りいたします。  本件につきましては、理事会において協議の結果、次のとおり決定いたしました。  一、審査を委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりとする。  一、審査を委嘱する期間は、特別委員会については四月六日の一日間、常任委員会については四月七日の一日間とする。  以上でございます。  ただいま御報告いたしましたとおりとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る四月一日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会