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2015-03-19 第189回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月十八日     辞任         補欠選任      室井 邦彦君     藤巻 健史君      田村 智子君     辰巳孝太郎君      山口 和之君     山田 太郎君      江口 克彦君     浜田 和幸君      又市 征治君     吉田 忠智君  三月十九日     辞任         補欠選任      田中 直紀君     森本 真治君      野田 国義君     大野 元裕君      荒木 清寛君     長沢 広明君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岸  宏一君     理 事                 石井 準一君                 岡田  広君                 古賀友一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 小川 敏夫君                 那谷屋正義君                 若松 謙維君                 小野 次郎君     委 員                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 島村  大君                 高野光二郎君                 高橋 克法君                 堂故  茂君                 二之湯武史君                 三木  亨君                三原じゅん子君                 三宅 伸吾君                 山下 雄平君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 田城  郁君                 藤田 幸久君                 水岡 俊一君                 森本 真治君                 蓮   舫君                 長沢 広明君                 矢倉 克夫君                 横山 信一君                 藤巻 健史君                 大門実紀史君                 辰巳孝太郎君                 井上 義行君                 山田 太郎君                 浜田 和幸君                薬師寺みちよ君                 吉田 忠智君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        麻生 太郎君        総務大臣     高市 早苗君        法務大臣     上川 陽子君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣        国務大臣     下村 博文君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   林  芳正君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償廃炉        等支援機構))  宮沢 洋一君        国土交通大臣        国務大臣     太田 昭宏君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (復興大臣)   竹下  亘君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        山谷えり子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、消        費者及び食品安        全、科学技術政        策、宇宙政策)        )        山口 俊一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、少子化対策        、男女共同参画        ))       有村 治子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域))  石破  茂君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務大臣    宮下 一郎君        農林水産大臣  小泉 昭男君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  菅野 雅之君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 亮治君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       辻  義之君        警察庁刑事局長  三浦 正充君        復興庁統括官   熊谷  敬君        総務省統計局長  井波 哲尚君        財務省主計局長  田中 一穂君        国税庁次長    佐川 宣寿君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       安藤よし子君        厚生労働省政策        統括官      石井 淳子君        農林水産大臣官        房総括審議官   今城 健晴君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        資源エネルギー        庁次長      高橋 泰三君        国土交通省総合        政策局長     瀧口 敬二君        国土交通省鉄道        局長       藤田 耕三君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        観光庁長官    久保 成人君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本放送協会経        営委員会委員長  浜田健一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから予算委員会開会いたします。  公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十七年度総予算案審査のため、来る三月二十六日午前九時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十七年度総予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁黒田東彦君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また、本日の委員会日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、一般質疑を百二十三分行うこととし、各会派への割当て時間は、自由民主党十分、民主党・新緑風会四十八分、公明党十一分、維新の党十分、日本共産党十分、日本を元気にする会・無所属会十分、次世代の党六分、無所属クラブ六分、社会民主党・護憲連合六分、新党改革無所属の会六分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  9. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 平成二十七年度一般会計予算平成二十七年度特別会計予算平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行います。二之湯武史君。
  10. 二之湯武史

    二之湯武史君 自由民主党二之湯武史でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、チュニジアで武装勢力の襲撃により日本人が死亡したとの報道があります。心から哀悼の意を表するとともに、政府におかれましては、事態を把握し、しっかり対応に当たっていただきたいと思います。  では、まずマクロ経済についてお尋ねをいたします。  お配りの資料のように、雇用者報酬名目賃金増加をしております。実質賃金はいまだマイナス圏でありますが、消費税による二%の物価上昇を除くとプラス転換をしております。また、消費税効果が剥落する四月以降は、過去最高水準のベアと併せて実質賃金プラス圏突入とも言われております。  四月以降の経済の見通しを、甘利大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
  11. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 賃金に関する用語というのはちょっと分かりづらいんですけれども、雇用者報酬というのは日本雇用者全体が受け取る賃金の話です。名目賃金は一人当たりどう変化するか。それぞれ前の年の同じ月と比較してどうなっていくかの変化です。  雇用者報酬、つまり全体が受け取る賃金は前の年の同じ月と比べて二十二か月連続プラスが続いています。これは、物価がそのままゼロで動かなければ、それがそのまま実質所得になるわけですけれども、我々はデフレを脱却するために物価が少しずつ上がっていくという政策を取っています。ですから、その上がっていくのを差っ引きますとどういうことになるかということが大事なことで、実は、その一般物価の上がっていく分だけを差っ引いていきますと、ここ八か月連続前年同月比プラスになっています。  ただ、問題は、消費税を引き上げた分も換算するとプラスになっていないという点であります。それが一月の速報値ではプラスの〇・〇になりました。まだ速報値ですから分かりません。それが安定的にプラスになっていくということが大事で、そのために大事なのはやはり賃上げであります。  昨日、十八日ですか、に集中回答日回答がありました。そこでは、昨年は十五年ぶりの高い数字、それをかなり上回る数字が出ております。まだ全体像がつかめていません。全体像というのは、これから自動車、電機以外の業種とか、それから中小企業回答が夏に向けてこれがずっと出てくるわけでありますけれども、同じ時期と比べてみますと、去年の一・五倍ぐらいになっているわけであります。そうしますと、それが賃金に反映されてくると実質賃金プラスになっていく。つまり、夏場辺りからそうなっていくのではないかというふうに見通されます。そうすると、それが消費に反映されてGDP押し上げ効果につながっていくということになろうかと思います。
  12. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  引き続き、アベノミクス所期目的にしていたそういう好循環を実現していただくために、よろしくお願い申し上げます。  地元を回っておりますと、一見、アベノミクス目的がうまく浸透していないように思います。つまり、デフレ脱却、二パーの物価安定目標などの専門用語国民が余り聞き慣れない言葉でありますので、実質賃金プラス転換が見えてきた今、アベノミクスというのは国民所得を増やす経済政策なんだと、そういった国民に分かりやすいメッセージを今まで以上に発信していただきたいというふうに思います。そして、国民所得を上げていくには労働生産性向上が不可欠だと思います。ましてや、人口減少を迎える我が国ではなおさらです。  資料の二ページを御覧いただきますと、これからサービス業の規模、従業員数増加をしていきます。一方で、三ページにありますように、卸売・小売、宿泊・飲食などのサービス産業労働生産性は他の産業と比べても大変低い水準にあるのが事実です。これだけ低いと、なかなか所得水準も上がらない。もちろん、失業率労働時間も考慮する必要はありますが、我が国サービス産業が相対的に労働生産性が低く見える、そういった原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 産業全体の七割がサービス産業が占めています。製造業生産性を上げることはもちろん大事ですが、シェアの多いところの生産性を上げるということが経済全体に大きな影響を与えます。  実は、私が経産大臣のときにサービス産業生産性協議会という生産性を上げる協議会をつくりました。牛尾治朗さんに頭になっていただいて、いろいろ問題点を洗い出しました。例えば、IT投資サービス産業以外の分野に比べて少ない、昔ながらの手法でやっているとか、あるいはサービス産業自身が、何というか、割とドメスティックな産業で、輸出入の度合いは製造業ほどないわけですね、もちろん海外展開していくのもありますけれども、外から入ってくるのもありますけれども。競争にさらされていないとか、あるいは外からの投資サービス産業部門で少ないから競争製造業ほど出てこないとか、幾つかの問題が指摘をされました。  実は、私が非常に改善点が必要だなと思うのは、そこで提示されたことが、ベストプラクティスが展開される体制が取れていないんですね。実は、航空機産業で、お客さんを機内に入れていく、その時間が掛かり過ぎると生産性が悪いということになるわけなんですけど、昔を思い起こしますと、その当時、機内誘導するやり方はラッパ型というかトランペット型に入れていくのがいいと。つまり、奥の席から先に誘導していって、前のビジネスクラスは一番最後にしていくと。なぜかというと、ビジネスを先に入れちゃうと、荷物を取ったりしたらそこが邪魔になって誘導路を塞いでしまうと、そういう提言がなされました。私、それ以降、その航空会社誘導体制を見ますと、余り反映されていない。先にビジネスから入れて、荷物を出し入れしていたらエコノミーの人が塞がっちゃって中通れないとかいうのを、要するに実施体制がちゃんとできていないなということを痛感したものですから、ベストプラクティスはどうやって展開していくかということをもっと考えた方がいいぞということも提言した次第でございます。  いずれにいたしましても、今まで出てきた手法、それから今政府としても考えている手法、それをしっかりつくったら、しっかり展開していくというところまで工程図を引いていく必要が、必要かと思います。
  14. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  では、私の仮説を述べさせていただきたいと思うんですが、資料の四ページを御覧ください。  これは、労働生産性要素、基本的には労働、資本、TFPと三つの要素があると思います。人口減少社会を迎える我が国では、労働投入量増加は期待できません。TFPが最も重要だと思います。  TFPというのは全要素生産性といいますが、設備IT投資であったり、技術革新であったり、ブランドマーケティング戦略であったり、高度人材育成であったり、規制緩和などのビジネス環境整備であったりしますが、私は、特に人材育成、そしてそれを通じたマーケティングブランド力向上が重要だと思っております。  我が国の製品、サービスというのは世界屈指の質を誇ると思いますが、高く売ることが苦手なようだと思います。安く売り過ぎだと思います。また、技術で勝ってビジネスで負けるという姿も見受けられます。情報化社会グローバル化社会に必要な能力、つまりクリエーティブな発想力戦略的思考力問題解決能力、そしてビジネスセンス、こうした要素日本サービス産業にはやや欠けているのかもしれないなと思っております。そうした問題を解決する最重要の成長戦略高等教育改革だと思っております。  五ページを御覧ください。  世界専門職大学院の例です。例えばホテル経営流通業飲食業、そのほかにも映画産業病院経営など特化した専門職大学院がたくさんあります。諸外国ではこうした高等教育を通じてサービス産業生産性を上げていると思っておりますが、大臣高等教育成長戦略として重要性を認識しておられるでしょうか。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 極めて重要な視点だと思います。  日本経済が中長期的に持続的発展を実現するためには、それぞれ若者、女性、高齢者などの人材がその能力最大限発揮をして活躍できるという社会を築くことでありますし、生産性を高める必要があると。そのためには、イノベーションを生む土壌としての多様な人々の知の融合ということが極めて重要であります。  このために、安倍内閣成長戦略におきましても、大学橋渡し研究機関、例えば産業技術総合研究所のようなですね、あるいは理研のようなところをいいますけれども、この橋渡し研究機関、そして民間企業の間のクロスアポイントメント制度、それぞれ所属している人間が研究機関企業研究所、それを移動して、それぞれから社会保障を得られるというようなシステムでありますけれども、そのクロスアポイントメント制度整備、それから日本人留学生倍増等の施策に取り組んでいるところであります。  また、本年一月の産業競争力会議で取りまとめられました成長戦略進化のための今後の検討方針に基づいて、我が国世界で最もイノベーティブな国にしていくためのイノベーションナショナルシステムを実現すると。その実現に、つまり、上流から下流まで、大学大学院それから企業研究基礎研究から実用化までをつないでいく、そのつなぎ役産総研理研のようなそういう国の研究所が行うということでありますけれども、このイノベーションナショナルシステムを実現していくと。そのための上流改革としての大学改革を、例えば、国立大学類型ごと機能強化による競争促進であるとか、世界水準大学院学位プログラム教育研究環境整備することを目的とした卓越大学院の創設とか、こういうものでありますが、就社、会社に就職するということから、就職、職務に就くへの構造変化を受けて、人材への投資が行われる経済社会システムの再構築等課題について今検討を進めているところであります。  生産性向上を図る上では、一人当たり労働の質を高めることが不可欠であるというふうに考えておりまして、これらの検討を年央に予定をしております成長戦略の改訂に反映をしてまいりたいと思っております。
  16. 二之湯武史

    二之湯武史君 是非よろしくお願いを申し上げます。  続きまして、次の六ページを御覧ください。  そういった、企業側は既にこうした高等教育必要性を感じていると思っております。これに見られますように、ちょっと字が小さいんですが、大学専門知識の教授というところに重点を置いているのに対し、企業は、いわゆる戦略的思考、若しくは理論にとどまらない実学というものを大学に期待をしております。つまり、両者に今ギャップが存在をしているわけです。  こうした社会企業ニーズを踏まえた高等教育改革、こういったものが大変大事になっていくと思いますし、是非、下村大臣のこれについての御決意をお聞かせいただけますでしょうか。
  17. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 二之湯委員の御指摘は大変重要であるというふうに思いますし、そのとおりだと思います。  これから更に少子高齢化が進み、労働力人口減少を見込まれる我が国が今後も世界に伍して発展していくためには、一人一人の力を最大限に高めていくことが不可欠でありまして、そのために教育再生、特に高等教育、大変重要だと思います。現状では対応できないというふうに思います。特に、知識基盤社会と言われる二十一世紀においては、社会の様々な分野で活躍できる高度人材育成を担う高等教育の役割、今までの延長線上じゃなくて、質も中身も含めて抜本改革をしなければ対処できないということだと思います。  このような観点から、特に、一つは他者と協働しながら価値の創造に挑んで、そして未来を切り開く力を身に付けるような能力、それから、社会経済変化に伴うニーズに対応できる柔軟な、シャープな能力を持った人材育成をしていく。そのためには、高等教育も含めあらゆる段階で課題の発見と解決に向けた主体的、協働的な学習、アクティブラーニング等充実を図る、あるいは職業意識技術を身に付けた、御指摘がありましたがプロフェッショナル人材育成もしていく、また実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関制度化、これも資料で提示していただいていますが、こういう検討をしっかり取り組む必要があると思います。  文科省として、日本再生のためにも高等教育、質、量、充実に努めてまいります。
  18. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  下村大臣のこの高等教育改革に懸ける思いは常にお聞きしているところでございますので、是非強力に進めていただきたいと思います。  次に、農産物輸出について伺います。  私は、国会議員になる十年前から和食海外普及活動を行ってまいりました。昨年の三月には、自民党の中ですが、日本食文化普及推進議員連盟を立ち上げ、事務局長もしております。世界文化遺産である和食ブランドを活用した農産物輸出は非常に有望な成長戦略であり、農林水産省は二〇二〇年に一兆円輸出目標を掲げています。  資料の七ページにありますように、世界には、これ一年半ぐらい進化していますので、約六万軒の日本食レストランがあると言われています。私は、これは大きな資産であり、潜在的なマーケットだと思っております。非常に単純計算ですが、例えばこうしたレストランに毎日一万円の日本酒を売ったとしますと、六万軒掛ける三百六十五日掛ける一万円で、ざっと約二千億円になります。日本にある、例えばフレンチレストランのオーナーというのはフランス人ではありませんが、フランスワインがちゃんと置かれています。その逆をやりたいわけですね。  現在、こうした海外日本食レストランへの日本農産物輸出状況、またこの六万軒という非常に大きな潜在的マーケットをどのように今生かしておられるのか、その取組状況、若しくは今後の取組についてお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 議員御指摘のとおり、海外日本食レストランは潜在的に我が国農林水産物、食品の大きな市場となっており、輸出拡大の一兆円目標を大きく超えて達成していくためにも、この需要を取り込んでいることは重要だと考えております。  このため、これまでも海外日本食レストラン等と連携し日本食文化の普及に取り組んできたところでありますが、より戦略的に推進するため、本年二月に日本食文化普及・継承のための官民合同協議会を立ち上げ、輸出促進につながるようオールジャパンで食文化普及に取り組んでいるところでございます。  また、海外日本食レストラン日本の食材がどのくらい流通しているかという点でございますけれども、現在、網羅的には把握していないところでございます。点的な、事例的なものは持っておりますけれども、御指摘のこともございますし、来年度からは海外における日本食材の調達ルート等の調査を行う考えであり、このような食材の流通にしても把握していけるよう努めてまいる所存でございます。
  20. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  在外公館やジェトロといった他省庁との連携もしっかりとしていただきまして、大きなこの潜在マーケットをもっと積極的に掘り起こしていただきたいと思います。そうすれば、一兆円どころか、私は三兆円、五兆円という規模が可能になると思いますので、よろしくお願い申し上げます。私どもは、議員連盟としてしっかり提言をしていきたいと思っております。  次に、八ページを御覧ください。  これは、各国の農産物輸出、フランス、オランダ、イタリアを取り上げました。フランスは約九兆円、オランダは十兆六千億円、イタリアは四兆八千億円と、非常に大きな規模で輸出をしているわけです。こうした国々がワイン、たばこ、チーズなど、しっかりとした戦略的品目を持っています。では、我が国の戦略的品目は何なのかと。私は、これは日本酒、ワインを取り上げたいと思っているんです。  資料の九ページを御覧ください。  これの中で、チリ、オーストラリアという国に注目していただきたいんです。この二か国はワイン輸出新興国と言われております。現在でももう二千億円を超える規模でワインを輸出しているわけですけれども、実は、この二か国は、九〇年代半ばに原産地表示制度などを含むいわゆるワイン法というものを整備してから飛躍的に、爆発的にこの輸出を伸ばしておるわけでございます。  そういった取組、今我が国ではどのようになっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  21. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  まず、我が国の現行の酒類の表示の制度につきましては、いわゆる酒類業組合法によりまして、酒類の製法とか品質などの表示基準を定めることができるとなっておりまして、その中で、いわゆる清酒の製法品質表示基準、あるいは今委員がおっしゃいました原産地を特定するための表示であるような地理的表示に関する表示基準などの基準を定めているところでございます。  そうした中で、この日本産酒類の輸出の振興でございますが、政府が推進しますクールジャパンの一環としまして、官民連携して積極的に取り組んでいるところでございます。具体的には、各国の大使を対象としました酒蔵ツアーの実施とか、国際会議等のイベントなどを活用した日本産酒類のPRなどを行っておりまして、現在、日本産酒類の輸出金額でございますが、近年三年連続で過去最高を記録しているところでございます。  引き続き、関係省庁としっかり連携しまして取り組んでいきたいというふうに考えております。
  22. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  大変頑張っていただいているということで敬意を申し上げたいんですが、オーダーでいうとまだ百億円というところでございますので、先ほど申し上げましたように、六万軒のレストランで毎日一万円売れればそれだけで二千億円なんですね。だから、このマーケットを十万円、百万円とすることによって、二兆円、二十兆円と市場が拡大していくわけですから、非常に大きな私は有望的な市場だと思いますので、今後とも是非取組をお願いを申し上げます。  続きまして、インバウンドについてお伺いをいたします。  昨年、訪日外国人が千三百四十万人に上ったとのことで大変喜ばしいことでございます。そうした、これも国籍も年齢も性別もばらばらな千三百四十万人という大きな消費者に対して、いわゆる訪日外国人全体に対する満足度調査というようなものは観光庁として行っておられるのでしょうか。もしあれば、その結果を教えていただきたいと思います。
  23. 久保成人

    政府参考人(久保成人君) お答え申し上げます。  私ども観光庁では、訪日外国人消費動向調査というのを行っておりまして、日本滞在中での活動の満足度をお尋ねしております。その中で、例えば日本の歴史、伝統文化体験だとか、レジャーに対する対応だとか、そういった満足度を聞いております。  二〇一三年の調査結果によりますと、おおむね期待以上あるいは期待どおりという回答をいただいておりますけれども、日本に来て良かったと満足してお帰りいただく、あるいは再度リピーターとして来ていただくことが極めて大切でありますので、より満足度を上げるための必要な取組に積極的に今後も努めていきたいというふうに考えております。
  24. 二之湯武史

    二之湯武史君 ありがとうございます。  これからは、より綿密なマーケティングというものが大事になってくると思います。是非、引き続きもう少し詳細な調査をお願いをいたします。  一方で、十ページなんですが、これはある一民間旅行会社の調査でありますが、東京が世界一位になったと。しかし、東京の評価の高い項目というのが、例えば人が親切だとか町が清潔だとか、電車の時間が正確だとか治安がいいとか、そういうところは大変評価が高いんですが、一方で、例えば文化とか観光やアクティビティーという本当に評価をしていただきたいような項目がちょっと低くなっているのが気になっております。これはあくまで一民間の調査なんですが、そういう傾向があるということをお知りおきいただきたいと思います。  次の十一ページを見てください。  タイトルにあります、これは侘び寂び若しくは老朽化、これをどう見るかということなんですが、私は、これは老朽化にほかならないというふうに思っております。  訪日外国人、ましてや日本文化に大変関心が高く、日本に来る前にある程度の情報収集、予備知識を持っておられる方からすれば、この状態の文化財を見られたときにどのように思われるかと。こういった方々が本当に中長期的にリピーターになっていただいて、定期的に日本にお越しいただいてお金を落としてもらえるのか、そういうことをこれからはしっかり見ていかなきゃいけないと思うんですが、こういった文化財への投資、これは私は、いわゆる観光投資というものだろうと思っております。  次のページを御覧いただきますと、これはよく言われていることでもございますが、国家予算に占める文化予算の割合というのは大変低い水準にあります。また、文化財のこういった、これは国宝、実は世界遺産、どことは言いませんけれども、これは世界遺産、国宝の写真なんですが、こういった文化財の修繕予算というのもイギリスと比べても六分の一以下という状況でございます。  これは、やはり国会議員の中でもこういった文化というものがいかにこれからの社会にとって必要な要素なのかということを考えて、そして、そういったものを是非踏まえていただいて、下村大臣には文化予算を飛躍的に増やしていただく。そういったお力を、是非リーダーシップを取っていただきたいと考えますが、この現状若しくはその御決意について最後にお聞かせいただきたいと思います。
  25. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 全くおっしゃるとおりでありまして、是非御支援していただきたいと思います。  この資料の小西美術工芸社というのは日本でも本当に伝統のある美術工芸社ですが、この社長がイギリス人のアトキンソンさんで、この社長はイギリス人がしているということ自体が、逆に、有り難いことですけれども、もっと日本が文化を大切にしろというメッセージではないかと思います。  今御指摘の、特に国宝、重要文化財建造物、これはその価値をしっかり保ちながら次世代に継承していくこと、これは重要なことであります。二十七年度予算案におきましては、保存修理のための経費として八十三億五千万円計上していますが、まだまだ十分ではありません。文化財建造物の確実な継承のためには、木造建造物については適切な期間内に修理を行う必要がある、しかしそれが適切な期間内じゃないと、それかられんが造りや鉄筋コンクリート造り等の近代化遺産についてはそれぞれの特性に応じた修理方法が必要なため、修理に多額の費用が必要になってくるということがあります。  したがって、今後とも、あるいは今まで以上に、文科省としては、文化的に価値の高い国宝、重要文化財建造物の保存修理に必要な予算の確保にしっかり努めたいと思っております。  そして、これらの文化財建造物は、地域の観光資源としても大きな可能性を有し、また日本文化の特色を表すものとして外国の方々の関心も高いと考えられますので、今後、観光産業の観点からも、関係機関と連携を図ることによって、入場料等の自己負担の増加につなげるなど、このことによって日本が新たな魅力をつくって、観光立国として文化芸術立国が牽引すると、そのようなことを是非してまいりたいと思いますので、御支援をよろしくお願いいたします。
  26. 二之湯武史

    二之湯武史君 これは政治家の責任だと思います。  私も、党で今文化伝統調査会というものの事務局次長をしているんですが、まあ文化というのは部会に人集まらないんですね。だから、やっぱりしっかりとそれは認識をして頑張っていきたいと思っております。  どうもありがとうございました。終わります。
  27. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で二之湯武史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  28. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、田城郁君の質疑を行います。田城郁君。
  29. 田城郁

    田城郁君 こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁でございます。  まず、チュニジアの首都チュニスにおきましてテロ行為が起き、日本人複数名の死傷者が出るという報道がされております。改めて、犠牲になった皆様方に御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。  私は、改めて、このような蛮行に憤りを覚えると同時に、テロや戦争という暴力では問題は解決しないんだと、そういうことを訴えて、そして、国際的にもそういうものを共有化し、しっかりと日本世界の平和を目指していくと、そのためにも日本の平和主義を貫いていくべきだと、そういう思いに立っております。  本日は、地方創生とそして公共交通の関係、そのようなことを中心に質問させていただきますが、その前に、下村大臣に二点ほどお伺いしたいことがあります。よろしくお願いします。  下村大臣は、地方の博友会が塾の経営者など民間教育者らの有志の方で構成する懇親のための任意団体であるとしていますが、博友会が会費を徴収していたこと、下村大臣の講演会を開催し、大臣に対して講演料を渡していたなどという活動も報じられております。また、毎年一度、全国の博友会の代表が集まり年間行事を決定している旨、答弁もされております。  こうした状況を鑑みると、地方の博友会が、政治団体として届出が行われている東京の博友会とともに組織的に活動し、下村大臣の後援会としての実態を有していたのではないかとも考えられますが、大臣の御見解をお願いします。
  30. 下村博文

    国務大臣下村博文君) まず、博友会というのは東京にありまして、東京都の選挙管理委員会に届出をしている政治団体でございます。それから、それ以外に任意の博友会、地方にありますが、これが六つございます。任意の博友会については、それぞれ会費を取っているところもございます、それは事務運営費としてですね。  私との関係で今回誤解されている報道があるのは、それぞれの任意の博友会に対して、東京十一選挙区支部から寄附のお願いをしております。寄附に御協力をいただいた方々がそれぞれの博友会の中にもいらっしゃると。それを年会費というふうに書いてあったということで誤解を生じている部分がございますが、これは寄附でございまして、そういう年会費を私どもの方でいただいているということではないと。  その寄附ということについては、全てのそれぞれ所属されている会員の方々からいただいているわけじゃなくて、個別的にいただいているということと、それから十一選挙区支部からお願いをして、その領収書も寄附として領収書を書いているということでございますし、それから、先ほど申し上げたように、それぞれの任意の博友会の中では会費として、事務経費として取っているところもあるということから、いわゆるそういうふうな誤解ということが出たのではないかと思いますが、そういうことではないということであります。  それから、講演料をいただいたということはございません。しかし、その中で、今御指摘は、年に一度東京で代表者の方々が集まって一緒にやっているじゃないかと、一体ではないかと、御質問だと思いますが、これは年に一度、私が任意の博友会であっても伺って、そしてお話をさせていただくと、それの日程調整のために、それからその年々の私の教育やあるいは政治に対するいろんな近況の話をさせていただくというために来ていただいておりますが、それぞれの任意の博友会の中身の運営とか人事とかいうのをそこで決めているわけでは全くありませんので、そういう意味で、これは組織的に内部まで介入してやっているということではないということを申し上げさせていただきたいと思います。
  31. 田城郁

    田城郁君 先日の予算委員会において大臣は、先月十三日に全国の博友会の代表が集まり、その場において今後の後援会の在り方について検討してもらうために秘書が取りまとめた資料を提示した旨を答弁をしております。  博友会の在り方がここまでの議論になってまいりますと、また、政治団体の公明と公正を確保するという政治資金規正法の目的に鑑みれば、全国の各地の博友会について、それぞれ政治団体として届出をして活動していくべきだと考えますが、届出を行う予定はございますか。また、行う予定がなければ、なぜなのでしょうか。お聞かせください。
  32. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 先ほど申し上げましたように、元々、年に一度、年間スケジュールを決めるために、それから私の近況報告等お話をさせていただくということでお集まりいただいております。  しかし、昨年の末に写真週刊誌で地方の博友会が政治資金集めの団体であるとか事実無根の記事が掲載されたことや、その後も週刊誌の取材などが地方の博友会の幹部の方々にあったということから相談を受けておりまして、それら各地方の博友会の現状を一部の幹部からお聞きして、そしてその聞いた結果を踏まえて事務所の方で取りまとめたものを今年の懇親会の場において皆様方と議論をいたしました。  その議論の中で、今後この任意の博友会をどうするかということの中で改善点三つ絞って、一つは、東京の博友会が、これは政治団体として届け出ておりますので、年に一度であってもきちっとしたその講演会の収支報告を東京の博友会の下部組織にして、そして届け出るべきではないかという改善案の一と、それから改善案の二は、それぞれ別個に政治団体として届けるべきではないかというのが改善案の二で、それから改善案の三というのは、年に一度の講演会ですので、何とか制作委員会というような形で一度限りでやるので、一度限りの会としてやったらどうかということが議論のテーマになりました。  その中で、改善案の一の、つまり東京の博友会の下部組織のような形で年に一度の講演会、それの収支報告を東京の博友会でまとめて出すような形がいいのではないかということがその中の議論としてはなりましたが、元々任意の博友会ということですので、それぞれの代表者が持ち帰ってそれぞれの会でどうするかということを今後決めていただくと、そういうふうになりました。
  33. 田城郁

    田城郁君 しっかりと政治資金規正法に基づいた活動をしていかなければいけないと、私自身もしっかり思い、決意を述べて、そしてお互いに活動していきたいと思います。  国交関係についての質問に入っていきますが、国土交通委員会の視察、先日、広田国土交通委員長の出身地であります高知に行ってまいりました。津波の対策、あるいは大洪水の被害の状況、とさでんの再建、あるいは四万十市に宿泊をして地元のカツオなどを楽しみました。すばらしい四万十市の町でした。土佐清水市というのは広田委員長の出身地でありまして、更にそこから一時間ほどバスで揺られて移動しなければいけないと。本当に遠い、中央、東京からすれば遠い場所に位置しているところで日本を支えて頑張っている高知の方々、四国の方々がいるということを改めて感じました。  高速道路のまだまだ全部つながっていない場所もあります。あるいはJR四国、なかなか利便性を持ったダイヤになっていないということ、あるいは、バスもタクシーもそうですけれども、改めて公共交通、地方にも充実しておかなければ地方の発展というのはないんだなと、私は地方の発展なくして日本の未来はないと、そのように考えております。  地方の町づくりと交通政策、そして、当然にも人々の営みの源泉は雇用であるという観点から、まず、地方創生と地方交通、雇用についてお伺いをいたします。  少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めを掛け、東京圏の人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力を、日本社会を維持していくため、まち・ひと・しごと創生法が制定され、まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。同戦略においては、地方都市における経済生活圏の形成において地域公共交通の再構築が大きな役割を果たすものと位置付けられていると思われますが、同戦略における地域公共交通の再構築の役割とその再編が地域にとってどのような雇用創出につながるのかについて、石破地方創生大臣に確認をさせていただきます。
  34. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員と問題意識は全く一緒でございます。そのような観点から、地方創生というものを国、地方協働でやっていきたいと考えております。  高度経済成長期に町は随分と広がりました。あるいは、地域においても、町とは言えない、いわゆる郡部と言われるところでも多くの集落が点在をしておりましたし、今でもそうです。しばらく人口は減るのでありまして、その伸び切った形の町あるいは集落群というものを維持したままでは全体の機能が低下をしかねないと。そこにおいてあらゆる経済の活力が低下をし、そしてまた人口減少に歯止めが掛からないということが予想されますので、これは国交省において進められていることでございますし、また今国会に法律を提案しようと思っておりますが、いかにしてコンパクトな町をつくるか、あるいは小さな拠点というのを核にしながらその地域全体の活力を維持していくかということは避けて通れない課題だと思っております。それは何も強制的にやるのではなくて、いろんなインセンティブを設けながらやっていくという、こんなものに強権的な手法はなじみませんのでそういうことになろうと思っていますが、そのときに核となるのは、いかにして交通ネットワークをきちんと維持をしていくかということだと思います。  それは、幾らコンパクト化を図っても相変わらず住み続ける方は当然おるわけでありますし、そこにどいてくれなぞと言うことはできません。集落もコンパクトにしても、やはり自分のいたところに住みたいという方々はおられるわけで、そういう方々をつないでいくのが地域交通だと思っております。それをいかにして維持していくかということは地方創生にとって最も大事な課題であります。  そういうことをやることによって地域の活力が維持される、そこに雇用が生まれてくるのだと思います。地域交通を維持するための雇用というのは、その地域の活力が維持されて初めて生まれるものでありますし、東北の例えば岩手県北バスのみちのりバスですか、あれの話を聞きましても、高齢者の方々に携わっていただくというような試みもございます。  これから先、そういうような地方の交通機関の生産性も上げていかねばならないことでありますが、そのことによって雇用が減るのではなくて雇用が増えるということを実現したいと。また、地方の総合戦略におきましてもその点はきちんと御認識をいただき、総合戦略の中に盛り込んでいただきたいと考えております。
  35. 田城郁

    田城郁君 では、国交大臣にもお伺いいたします。  国土交通省は、昨年七月に国土のグランドデザイン二〇五〇を策定し、本年二月には交通政策基本計画も策定しておりますが、町づくりや地方創生と連携することで我が国においてどのような交通体系を実現し、その実現の中で交通分野においてどのような雇用創出をもたらすおつもりでしょうか。太田国交大臣にも確認をさせていただきます。
  36. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 国土のグランドデザイン二〇五〇を昨年七月四日に発表し、一昨年、御協力をいただきましたが、交通政策基本法を作らせていただいて、その上で先月十三日に交通政策基本計画を閣議決定させていただきました。  三つ基本方針を立てています。一つは、生活交通という国民生活に資する使いやすい交通の実現です。二番目には、経済成長を支える交通。三番目には、安心、安全な交通、持続可能で安心、安全ということです。これらについて、五十六項目にわたりまして数値目標を設定し、施策を推進していくということにしています。  町づくりや地方創生につきましては、第一点目の豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現という柱の下でのスタートでありますし、居住や医療、商業等の各種機能の立地を集約するとともに、コンパクト・プラス・ネットワークという構成にしているところです。  また、雇用につきましてもお尋ねがございましたが、このような地方、地域の公共交通ネットワークを確保していくためには、担う運転手や自動車整備士等の人材の確保、これ非常に今少ないと言われておりまして、ここに力を入れるということが大事で、女性の活用も含めまして地域公共交通の確保、維持のための雇用の創出にも十分配慮をしていきたいと考えております。
  37. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  次に、地方創生における地方鉄道の役割についてお伺いいたします。  三月十四日に北陸新幹線が開業し、整備新幹線の整備計画が前倒しで進むなど、我が国の新幹線鉄道網は着実に整備をされています。一方で、在来線などの地方鉄道は、旅客の減少などで採算性が悪化し、廃線の憂き目に遭う線区もあり、新幹線と地方鉄道は光と影の関係にあるとも言えます。  しかし、明治の近代化から百五十年近く経過しますが、この間整備されてきた我が国の地域の鉄道網は、我が国経済社会を発展させる上で長期にわたって計り知れない貢献を果たしてきたと考えております。それにもかかわらず、近年はその衰退が著しく進んでおります。旅客の減少に伴い、交通事業者にとって赤字路線を廃止をするというのは合理的な経営判断だとされているようですが、一度鉄道のような公共性の高い社会資本が廃止をされると、地域全体の衰退が加速をしていくということも予想されます。  こうした流れを止めるために地方創生が行われているものとも認識をしておりますが、いかがお考えでしょうか。石破大臣に地方創生における地方鉄道の果たす役割について確認させていただきますとともに、地方鉄道を中心とした公共交通と地方創生の在り方についてお伺いをいたします。
  38. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 別に鉄道ファンだから申し上げるわけではありませんが、委員指摘のように、鉄道の果たす役割というのはもう一度きちんと評価をすべきだし、それを使った地方の創生というものがそれぞれの地域地域において論ぜられてしかるべきものだと思っております。  一回やめちゃうとこれもう一回という話になりませんので、今残っている地方鉄道をどのように使うか、あるいは在来並行線の活用をどういうふうに行うかということを考えましたときに、新幹線というのはとにかく速達性を旨とするものでございまして、一つの移動手段だと思っております。飛行機に伍するようなスピードで東京から北陸まで行く、そこにおいて鉄道と飛行機にどれだけの差があるかというと、そこはいろんな議論があるんだと思いますが、問題はそこから先でございまして、並行在来線を使ってどのようにして地域地域の魅力を発掘していくかということは、それは新幹線にはできない技でございます。各駅に止まりながらその地域の産物あるいは文化、人情、そういうものに触れていくというのは、各駅に止まることができるそういう在来並行線であればこそできるお話だと思っております。  また、地域においてこれから高齢化が進んでいきますときに、また自動運転も進んでいくのでしょうけれど、鉄道であれば、そこに乗って、高齢者の方々、車が運転できなくなった方々、そういう方々にきちんとした交通の利便を提供することもできるわけであります。  御指摘のように、地方鉄道を残したところとやめちゃったところとございます。富山のようにLRTを十分活用しているところ、あるいはもう要らないんだということで路面電車を撤去しちゃったところ、いろんな例をよく検証していかなければいけないと思っております。  鉄道の持てる優位性というものを最大限に生かしながら、飛行機あるいは自動車とトレードオフ、どっちかが残ればどっちかがなくなるということではなくて、両方の長所を生かしながら地域を再生していく、創生していくということは、必ず可能なことだと思っております。  もうからないからやめちゃうという発想ではなくて、それをいかに生かしていくかという発想はもっとあってしかるべきだと思っておりまして、また委員の御教導を賜りたいと思うゆえんでございます。
  39. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。私も全くそのとおりだと思っておりまして、ななつ星などが今話題になっておりますが、先日も江島先生、もっともっとそういうものをほかの鉄道会社もということもおっしゃられておりました。  JR東日本でいきますと、八戸線、被災した八戸線がいち早く復旧しましたけれども、今レストラン列車というものが走っております。もう半年後まで予約がいっぱいだと。こういう地元の食材などを使って中で料理をしてそれを振る舞うと、こういうことで非常に人気が出ておりますし、どんどんそういうものを生かせばよいのだろうと思います。  また、一部やっているところもあるのかもしれませんが、多くは、自転車をそのまま改札を抜けてそのまま車両に乗せて、そして一、二駅、三駅飛ばしてまたそのまま降りてサイクリングをし、また次のところで、駅でそのまま自転車を解体せずに乗れると。そんなようなことを実現すると、かなりのサイクリスト、それも国際的にも話題になって、ますます訪日外国人にも結び付くのではないかなどということもありますので、是非一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、国交大臣にお伺いいたします。  地方創生のために、今まで影の部分であった地方鉄道に光を当てる必要があると考えます。地方鉄道に対しては、地方創生という観点から、これまで以上に財政支援を強化をしていく必要があるのではないかと。もちろん事業者との、地域の自治体や住民が中心になっていろいろなアイデアを出し合って、鉄道の駅を中心としてタクシーやバス、デマンド交通などが、公共交通と町づくりが融合するということ、地域の活性化をしていくということ、あるいは経営的な自助努力もするということは大前提なんでありますが、しかし、なかなかそれでも経営がきついという状況も踏まえますと、是非財政支援ということも含めてお願いしたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  40. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 並行在来線、地方鉄道、極めて大事だというふうに思っておりまして、今、石破大臣、また田城先生からのお話のとおりです。  地域公共交通活性化再生法に基づきまして、地元の自治体が鉄道施設を保有する上下分離を行うなど、経営形態の変更も含めて地域が一体となっての取組を進めていくことが重要だと考えておりますし、駅というのは昔は乗って降りるというだけでありましたが、人が集まってそこでまた物を売ったり買ったりというような、そういう場になっているということも、コンパクトシティーそのものであるというようなことも、最近大きく変わってきたんだと思っています。  そういう意味からいきまして、新駅への補助とか、あるいはバリアフリーや車両への補助とか、様々な形で支援をしていきたいと、このように考えています。
  41. 田城郁

    田城郁君 是非よろしくお願いをいたします。  次に、被災線区の鉄路での復旧という観点から質問をさせていただきます。  まず、東日本大震災から四年がたちました。現在の被災線区の鉄路での復旧という状況について、太田大臣にお伺いをいたします。
  42. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) やっと進んできまして、JR東日本山田線、大船渡線、気仙沼線、石巻線、仙石線、常磐線の一部区間が現在運休している状況ではありますが、山田線につきましては、三陸鉄道への運営移管について合意が形成されまして、着工ということが三月七日行われました。大船渡線及び気仙沼線につきましては、鉄道復旧に関する個々の課題につきまして今後も引き続き復興調整会議等において十分議論する必要があるという状況でございますが、ここも話合いが進み始めたという状況だと考えます。石巻線につきましては、三月二十一日に全線運転再開される予定になっています。仙石線については、今年の五月三十日に全線運転再開される予定でございます。常磐線につきましては、先般総理からこれはつないでいくんだという明確な表明がありまして、それぞれ区間があるわけですが、それぞれの区間についてスタートをさせていただき、最後残ったところもつなぐ努力をしていくという構えでございます。
  43. 田城郁

    田城郁君 着々と鉄路での復旧が進んでいるという御報告だったと思います。  さて、私は当時、二〇一一年ですが、発災から八日目に仙台に、そして九日目に釜石に入りまして、緊急援助物資の支援と港や鉄道、市街地の被災状況の現地調査を始めました。そこで、あめのように曲がりくねった山田線の線路を前にして、市民の方々から、山田線を元に戻してほしいと、私ら、東京から遠く離れた釜石で生活していても線路をたどりたどれば日本の中央につながっている、だから頑張れるんだ、山田線が元に戻らなければ見放されたも同然だという言葉を聞きました。  その山田線は、国からの町づくり部分の援助、あるいはJR東日本が残りの復旧費と当面の保守管理の負担をするという中で三陸鉄道に移管をするということが決まったということでありますが、鉄路で復旧できるという目的は達成されつつあります。被災地の皆さんは大変喜んでおります。自治体の負担、すなわち被災地の負担が増えるというわけですから手放しで喜んでいいものかどうかというものもありますが、しかし、国とJR東日本、そして地元がしっかりと協力をして、あるいは努力をして、山田線を鉄路での復旧に向けて努力していることに改めて敬意を表したいと思います。是非実現をしていただきたいと思います。  一方で、現在、東日本大震災で被災した気仙沼線と大船渡線は、バス高速輸送システム、BRTによる仮復旧がなされた後、鉄路での復旧議論が停滞している状況にあります。確かに、BRTにも運行本数の増加による利便性の向上というメリットがありますが、鉄道の存在というものは地域や地域住民にそれ以上の価値をもたらすと私は考えます。  例えば、リダンダンシーの観点からは、同一規格の線路が国土全体に行き渡っていることで、地震などの災害が発生したときに、一度に大量の燃料や物資を被災地に届けることが可能です。  事実、三・一一の震災時には、お手元の資料一の写真にあるように、JR貨物の労使が、ふだん走らない線区を想定し、訓練メニューまで準備をして、JR東日本と協力をして、計画停電で電力不足の中、私が当時、電力をJRに優先的に回していただけないだろうかということを民主党の震災対策本部を通じて国交省とエネルギー庁にお伝えをし、それらの連携の下に、根岸から日本海を通り、青森回りで盛岡へ、あるいは、燃料を十八両のタンク貨車に積んで運んだということを皮切りに、磐越西線を通して郡山へも連日大量の燃料や物資が鉄道貨物によって運ばれました。そして、一気に東北の燃料不足、物資不足というものが解消していくわけですけれども。  資料二は、そのときの絵本「はしれディーゼルきかんしゃデーデ」ということで、磐越西線を走ったデーデがタンク貨車を引っ張っている、そういうところのエピソードなどが紹介されている絵本なんですけれども、このようなものが発刊もされております。  これは、磐越西線での石油列車のエピソードの一部を紹介した絵本なんですが、それが先日、三月十五日の日曜日にNHKでも放送されました。「ガソリン不足を救え!臨時石油列車」という番組の舞台になった磐越西線、ふだんは旅客列車の運行のみで、貨物列車は運行はされておりませんでした。  震災直後、石油を関東から新潟経由で運ぶ計画が立てられましたが、磐越西線は急勾配、カーブがきつく、タンク貨車の運行には困難が伴うことが予想されました。さらに、震災後、線路の補修がされていなく、タンク貨車の計画が立てられてから僅か四日間で七十八か所の線路を補修する、そういう必要がありました。その保線の係員も不足し、福島などから応援を依頼し、通常の七倍の七十名体制で線路の復旧に当たりました。機関車の機関士も、ディーゼル機関車の運転訓練をする必要があり、JR貨物の会社は、経験者を中心に運転士を選び、愛知県の稲沢機関区で臨時の訓練を行いました。  様々な困難を乗り越えて発車した一番列車は、途中の急勾配の区間で止まってしまいました。長時間放置された線路のさびと雪のため、車輪が空転をしたわけです。その事態を予想していたJR東日本は、あらかじめ別のディーゼル機関車を準備していたので、直ちに救援列車を発車させました。停車してしまったタンク貨車の後ろに、機関車、ちなみにDE10と言いますが、を連結をし、合計三台の機関車で急勾配を登り、峠を越えました。郡山に到着した貨車は、一回でタンクローリー三十台分、二十二日間で合計千台分の石油を運ぶことができました。  列車を目撃した人は、これでみんなが助かると感じ、また別の方は、希望と一筋の光が差し伸べられたと述べられております。ある日、機関車を運転していた運転士が沿線に目をやると、ありがとうというボードを掲げた女性が立っていることに気付いたと、運転士は鳥肌が立ったような感覚になったと、そのように言っています。  起こってほしくはありませんが、仮に今日本海側で同様の事態が起きたとき、BRTでは仮復旧のために線路がつながっていませんから、太平洋回りでは日本海側に燃料や物資を送るということはできないのが現状です。これは国土の設計上、早急に克服すべきだと考えます。  また、手元の資料三と三の一の新聞報道でも、気仙沼から仙台間が鉄道で二時間のところ、BRTでは四時間、なおかつ、一部で一般道を走るため渋滞に巻き込まれることから、定時性も鉄道に比較し著しく落ちるということです。  私も、昨年秋、気仙沼線、大船渡線の状況を視察し、被災線区の復活を目指す市民の会の方々と意見交換をしてまいりましたが、同様の思いを述べられておりました。地元の首長さんは、とにかく早く復旧してもらわないと人口が流出して町づくりどころの話ではなくなるというふうにも訴えられております。  鉄道の駅は、地方の生活や経済の拠点ともなり得るとともに、これはBRTの簡易な停留所ではなし得ないものであります。地元のタクシー業界からも、鉄道の駅でないとタクシーの拠点にはなり得ないという声が上がっております。さらに、岩手県立大の研究グループが気仙沼市民を対象に実施したアンケートでは、気仙沼線について鉄道復旧を望む意見が八割を超えており、重視するべき地元の方々の御意見も、鉄道での復旧という方向になっております。  一方で、鉄道への復旧が進まない理由として、莫大な復旧費用を要することが挙げられます。JR東日本は、安全が確保された鉄道の復旧費用として、気仙沼線で七百億、大船渡線四百億の概算工事費を示し、この通常の復旧費を超える分の費用それぞれ四百億、二百七十億を公的資金でということを求めております。  このような状況について、国による支援スキームの創設など財政支援が必要だと考えますが、国土交通大臣、そして財務大臣、それぞれにお伺いいたします。
  44. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 当時、油が不足をしている中で大変貢献をしていただいたということをはっきりと記憶しておりますし、JR東の現場の作業員のメンバーがいかに活躍をされたかということも承知をしているつもりでございます。  今御指摘のありましたJR気仙沼線につきましては、昨年二月五日の第八回気仙沼線復興調整会議におきまして、JR東日本より、復旧工事費について、原状復旧費が約三百億円、安全や町づくりを考慮した総事業費が掛かり増し費四百億を足しまして約七百億円との概算額が示されました。JR大船渡線につきましては、昨年二月十九日の第六回大船渡線復興調整会議におきまして、同社より、復旧工事費について、原状復旧費が約百三十億円、安全や町づくりを考慮した総事業費が約四百億円との概算額が示されました。  この二つの線につきましては、JR東から提示されましたルート移設案も含め、鉄道復旧に関する個々の課題について、今後、県、地方自治体、JR東など関係者間で十分議論する必要があると考えています。また、経営が黒字であるJR東日本におきましては原則自らの責任で復旧することになりますが、町づくりに伴うかさ上げ費用といったいわゆる掛かり増しの費用の負担につきましては、関係者間で議論を進める必要があると考えているところでございます。  国交省としましては、関係自治体、首長さん等との意見交換を通じて関係者の意向等の把握に努めているところでありますけれども、この点も含め、引き続き関係者間の議論を促進してまいりたいと、このように考えています。
  45. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) まず最初に、鉄道の重要性の話が最初出ていましたけれども、これは、地方に限らず都市においても、東京の鉄道補完率、補完率という言葉を御存じだと思いますが、鉄道補完率、多分七六%ぐらい超えましたでしょう、今。それくらい超えていると思いますから、もちろん鉄道補完率世界一、ニューヨークは二一か二だと思いますので、その三倍以上になっておりますので、これは東京がこれだけ、一都三県で三千万を超える、東京に通ったりなんかされる方、ヒンターラントで三千万超えるにもかかわらず交通渋滞も少なく、空気がこれだけきれいなのは、最大の理由は鉄道です。それはもうはっきりしていると思いますね。自動車とかいうことではなくて、CO2やら何やらの面でも圧倒的に東京がきれいな最大の理由は、これ鉄道、地下鉄、モノレール、いろいろあろうかと思いますが、それが一番大きな理由だと思っておりますので、その点で重要な役割を果たしているということには認識は共通しておると思いますね。何も地方に限ったことではないということだと思っております。  それから、今、地方鉄道の支援の話を国交大臣の方からお話があっておりましたけれども、この大船渡、気仙沼等々につきましては、BRT、いわゆるバスラピッドトランスポートでしたっけ、あのBRTによっていろいろやっておられるのは知っています。知っていますけれども、これは専用道を一部造ったりなんかして、随分、三割、四割専用道がつながっておりますので、そこは従来の鉄道の跡を専用道路にして、極めて、運行は十分いろいろ使っておられるのだと理解をしておりますけれども、掛かる金の経費が、ただの復旧ではなくてより完全に復興しようということになると、今大臣が言われましたように、プラス何百億の金が掛かるというところを誰がどう負担するかという話になりますので、利便性だけからいえば、もう既に今までより運行数が多いものですから、それで十分だという方もいらっしゃるし、もうこれ以上金を払うつもりはないという方もいらっしゃったり、いろいろされると思いますので、国とこれは県、それからJR等々の関係者間でこれ十分に議論をしていただく必要があろうと思っておりますので、財務省としては、そうした議論というものをよく拝聴させていただいた上でいろいろお話をさせていただければと思っております。
  46. 田城郁

    田城郁君 国交大臣、議論をしている最中ということですが、その結果はいつ頃出るのでしょうか。
  47. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 現在、それがいつまとまるかということについては、決まっていません。その進捗状況というものを私たちとしては促進をしたいと、このように思って、今努力をしているところでございます。
  48. 田城郁

    田城郁君 財務大臣、JR対象外ということもこの記事を見ると書いてありまして、そういうことの中で、五年間の復興集中期間、これからどうしようかという議論もあると思うんですが、そこら辺も含めて、対象外ということから、これからしっかり踏み込むというような思いはあるのかないのか、是非。
  49. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この復興期間が終わった後の五年後はどうなるというお話はよく出ますが、これは田城先生、もう言うまでもなく、これは最初に金額ありきの話ではありませんで、どういうプロジェクトが出たというものに対して幾ら付くという積み上げ方式という形になろうと存じますので、先ほど申し上げましたように、そこのところのお話合いがどうなるかというので、それが重要だという結論が出るんであれば、それはそれなりのまた考え方だろうと存じます。
  50. 田城郁

    田城郁君 是非よろしくお願いします。  では次に、技術継承ということに焦点を当てて質問させていただきますが、太田大臣、今の、JR全般に限らず、世の中全体の企業、特に技術企業技術継承のことについて、今どのように、うまくいっているのかいってないのかも含めてお聞かせください。
  51. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 最近は、私も例えばJRの現場を見たりして、事故がないようにということで、どういうふうに、また雪のときにはどういうことをしているのかということを見ますと、かなり外注というのが多くなってきている。そして、一時、JRの場合は技術者が一旦途切れたという、民営化の中でございまして、この技術の継承というものを、そうした下請という外注が多くなったということと、四十代辺りの一番力のある技術者がどう若者に継承していくかというこの二つの問題が大きいんだと思います。  同時にまた、若い人たちが魅力のある職場として現場で働くということは大変尊い社会なんだという意識を社会全体で持っていかないと、パイロットの不足、整備工の不足、そして自動車の運転手も不足をしている、その整備も不足している、建設関係の労働者も不足をする、電力関係で現場の人も不足をしているということの中で、技術継承ということは、若い人が入ってくるような職場にしていくということが併せて必要だというふうに思っています。  私は三つ申し上げましたが、それらを含めて、若い人が入ってきて技術が継承されるということなくして、幾らすばらしいビジョンを立てても日本は担い手がなければ成り立たない社会であるということを十分認識をしていかなくてはいけないと、私はそのように思っています。
  52. 田城郁

    田城郁君 それでは、技術継承に関して、国の最大、一番大きな国としての課題技術継承の中の国としての課題は何だというふうに、国交大臣、思われますか。
  53. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 私は今三つ申し上げましたが、やはり意欲のある人たちが入ってくる、そして外注という仕組みの中でもしっかりそこは管理をするという、目が届くということを国としてもしていかなくてはならないと、このように思っているところでございます。
  54. 田城郁

    田城郁君 もう少し具体的に何か踏み込んだ回答をお願いいたします。
  55. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 鉄道ということについて申し上げますと、例えば外注を活用する場合でも適切な管理監督を行えば安全上の問題が生ずるとは考えておりませんですから、そこをしっかりやることが大事だというふうに思います。  また、人材育成ということでは、これは時間が掛かります。その時間が掛かる中で、若い人が入ってくるということになりますと、一つは処遇が改善されていかなくてはいけないと。外注の場合、小さいところからいきますと保険に入っていないとかそういうところもいっぱいありますから、そうした保険ということも含めた処遇の改善というものが必要になってくると思います。  同時に、企業側からいきますと、雇う場合に、その自分の企業が成り立つようにどういうふうに仕事がこれからあるかという、これは設備投資の問題も同じなんですが、より人を雇うという場合には、予算とかそういうこととか、これから我が企業はどのようにいくか、例えば東京オリンピック・パラリンピックのときまでは、二〇年までは何とかなるなと思ったがその後どうかというような不安がいっぱいあれば、なかなか若い人を雇うというようなことができないと思います。  もう一つ、技術者にとって大事なのは、誇りということだと思います。見事なことをやったんだという、建物を造ったにしても、様々な意味でのそうしたことの誇りというものがなくてはならないと。鉄道マンということからいえば、夜中に本当に保線作業をしているということを世の中の人は余り知らない。私は、走っているときばかりを目にしているわけですが、私たちはですね、それが止まった後、JR北海道の問題等がありましたけれども、私はよく言われたんですが、夜中に雪の中で零下三十度、四十度のところでしっかり働いていけるというようなことについてよく理解してあげるということが実は若い人たちを育てることになると。  技術の継承は、そうした体で見せて一緒に働いてチームの中で体で覚えていくということをしっかりしていかなくてはいけないんで、私は、そういう面も含めてしっかりした適切な管理監督というものが大事で、それがあって輸送の安全というものが得られると、このように考えています。
  56. 田城郁

    田城郁君 ちょっと通告はしていないんですが、この分野について、地方創生大臣という立場から、この技術継承とかそういう中で地方創生あるいは雇用に結び付く政策などあったらお願いいたします。
  57. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 技術の伝承ということが必要なのですが、そういう技術を持たれた方々がほかの職業並みあるいはそれ以上の所得が得られるというインセンティブは私は必要なことなんだろうと思っています。一回失った技術というのは戻りませんので、技術の伝承ということについて、これは、文科大臣もいらっしゃいますが、教育の在り方も含めて、一番大事な技術というものをきちんと伝承するということが必要だと思っております。  鉄道も、外注も、それは、今国交大臣から答弁がありましたとおり、それはもう決して、それが危ないとかなんとか、そういうことを申し上げるつもりはありませんが、鉄道なら鉄道の中での技術の伝承というのは、それはやはり鉄道魂みたいなものを共有しておられる方々は多いんだろうと思っております。そういうような方々がおられて、地域に独特の技術が伝承され、そして、財務大臣から答弁がありましたように、日本のとにかく寸分狂わぬ速達性とか定時性とかいうものが全国で維持されているということは地方創生にとって極めて肝要なことかと存じます。
  58. 田城郁

    田城郁君 同じ視点で、文科大臣技術継承というところで、何か教育の観点でこう思っているというようなことがあったらお願いします。
  59. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 私、NASAの長官と話をしたことがあるんですが、今アメリカは月に人を送れないというんですね。それは、科学技術は発展したけれども、その技術の継承がなかったと。そのために人材育成をしてこなかったということを言われたのが象徴的だと思いますが、そういう意味で、高等教育も含めた、あるいは職業専門学校を含めた技術の継承、特に日本はすばらしい伝統文化がたくさんありますので、この時期に途絶えないような対応をしっかりしてまいりたいと思います。
  60. 田城郁

    田城郁君 国交大臣、二〇二〇年に二千万、最終的には三千万という訪日外国人、実現するための御決意、是非お願いいたします。
  61. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 昨年の今頃は、一千万を超えまして、二〇二〇年には二千万人の高みを目指すとか、私は、正直申し上げまして、瞬間風速でもいいから二〇二〇年にはその年だけでも二千万人ということを言っていた時期でありましたが、昨年、千三百四十一万人というところまで外国人の方たちが来られまして、この千三百四十一万人、そして、昨日、一月—二月のデータがまとまりましたが、何と四〇%昨年よりも増えているという状況からいきまして、千五百を超えるということはほぼ間違いないのではないかという状況でございます。  二千万人を二〇二〇年にということを超える勢いで今いっていることは間違いないわけでありまして、もう一度、空港ということについての容量というものを獲得するにはどうするか、クルーズ船が来た場合の町というものを、迎える側は真っ暗であったなんていうわけにはいかないからどうするのか、空港と港を始めとするCIQ体制というものが並んでいるというようなことのないように、外国人の方が来たときに、鉄道とかそういうことでいいますと、どういうルートでどう行ったらいいのかということがよく分からないから、外国の言葉の問題への対応、あるいはWiFi環境の拡充、そうした、それでホテルというものを見通しを聞いて確保するということはどうしたらいいのか、様々な、増えたということの中で喜んでいるだけではなくて、どういうふうにそれをトラブルなしにしっかり対応していくかという、攻めの部分と守りの部分と両面相まって今検討を進めているところでございます。  ビザの緩和とか、あるいは世界遺産が非常に多く認定され始めてきたんだとか、また日本が元気になってきたということ等、様々な要因はありますし、また、免税店を拡大したということもありまして、大変買物をしていただくということもあるわけですが、様々な今急増しているがゆえに出ているそうしたもの等への対応と、それから、よりこの東京、富士山、京都、大阪というゴールデンルート以外というところの点から線へ、線から面へという展開、北陸新幹線が走ることによって違うルートができてきたと、このように私は思っておりますし、東北ということについて、この東北だけが実は内外の観光客がまだ元に戻っていないという状況でありますものですから、是非ともお力添えをいただいて、JR東の方たちにも協力をいただいて、東北の復興ということについて、具体的に観光というのが前進するようにということを強く考えているところでございます。
  62. 田城郁

    田城郁君 もう一つだけなんですが、すごく外国人の方々は荷物を多く持っていらっしゃるという中で、非常に車両の中で、あるいは駅でトラブルが増えているとか、そういうことも含めて、地方へ移動するときのそういう荷物の問題などについてもどのようにお考えでしょうか。
  63. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) まず、この乗換えというようなことについても、大変これ、日本の方が成田なら成田へ行くという場合でも、そういう意味では非常に鉄道ということの在り方というものは極めて重要だというふうに思います。それから、全部荷物を持っていかなくてはいけないというんじゃなくて、最後は送るという形をどうするか、そして途中で買ったものを空港に直接持っていくというような様々なこと。  また、バリアフリーの町づくりというものを更に展開していかなくてはいけないと。私たちの想像を超えるような荷物を山ほど買っていかれるということを考えますと、そこのところは急速度に、オリンピック・パラリンピック、パラリンピックの方のバリアフリーということは極めて大事。これからまた高齢社会になるということから考えますと、バリアフリーの町づくりということも含めて今いろんな角度で申し上げましたが、全てについて前進をさせていかなくてはならないと強く思っているところでございます。
  64. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  どうやって地方に外国人の方々に行ってもらうのか、あるいは、地方でどのように利便性を持って鉄道あるいはタクシー、バス、利用していただくのか。  ローカル線、もっと停留所的な簡易に乗り降りできる、そういう駅を逆に増やしていく、それがもっと利便性を上げる一つの方法ではないか、タッチして乗れる、そういうことも停留所的なものをつくればできると思います。そういうようなものも含めて、カットしてくるのではなくより利便性を上げていくことが地方鉄道あるいは公共交通の充実に資するのではないかと思います。  最後に、鉄道を始めとする公共交通機関が人に優しいおもてなしの心を体現する魅力あるものとして今後も存続し発展し続けることが肝要であるという思いを共有できたものだと、私は今のやり取りで受け止めさせていただきました。確認させていただき、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  65. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で田城郁君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  66. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、水岡俊一君の質疑を行います。水岡俊一君。
  67. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。  早速質問に入ってまいります。  今朝、チュニジア・チュニスにおける襲撃事件の悲しいニュースが舞い込んでまいりました。日本人も含めて複数の方がお亡くなりになり、またけがをされた方がたくさんいらっしゃると、こういう報道でございます。お悔やみとお見舞いを申し上げる次第でありますが、このニュース、まだ不確かなところがたくさんございます。外務大臣から詳しい御報告をいただければと思いますが、よろしくお願いします。
  68. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 三月十九日、チュニジア首都チュニスにおきまして銃撃テロ事件が発生をいたしました。チュニジア政府の発表によれば、観光客十七名を含む被害者十九名及び実行犯二名が死亡し、三十八名が負傷したということであります。そして、我が国としましては、邦人の安否確認に全力を今注いでおります。現状確認している数字としましては、邦人三名死亡、三名負傷が確認されております。引き続きまして実態把握に努めているところであります。  こうしたテロ事件、強い憤りを感じますし、決して許すことはできません。我が国としましては、引き続き国際社会と連携しながらこうしたテロとの闘いを進めていかなければならないと考えます。
  69. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今日の質問、期せずして、誘拐とかテロ、そういったものにどのように対処をしていくか、このことについて外務大臣にお尋ねをする予定でありました。こういったニュースに非常に憤りを覚えるところでございます。  改めて外務大臣にお伺いをしますが、外国における誘拐、テロが増えていることに鑑みて、外務省としての改めての政策を是非御紹介をいただきたいと思います。
  70. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、先ほどの答弁で、済みません、日にちを三月十九日と申し上げたようですが、現地時間三月十八日でございます。訂正しておわびを申し上げます。  そして、委員指摘のように、今、国際社会の中にあって、多くの日本人海外で居住し、多くの日本人海外に様々な理由で渡航をいたします。こういった時代にあって、我が国政府としまして、この邦人の安否確認、これは大変重要な課題となっています。ますます大きな課題となっています。政府としましては、先日のシリアにおける邦人殺害テロ事件等を踏まえて、邦人の安全確認には全力を今注いでいるところです。  現状において、今までの体制、制度においてできること、これについて改めて再点検する、これは当然のことでありますが、加えて、今こうした現実を前にして新たに何かやることがないのか、こういった視点から三月三日に外務省の中に検討チームを立ち上げまして、検討を開始しております。早速、ショートメッセージシステムを活用した一斉情報発信制度をスタートをさせる、あるいは日本人学校の安全確認について、警備員ですとかあるいは設備ですとか更に加えるということについてこの検討チームにおいて結論を公表させていただいていますが、これらにつきましては既に実施済みでございます。これからも様々な検討を加えて、できるところから邦人安全のために具体的な努力を実施していきたいと考えております。
  71. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 たしかチュニジアには補習校があったのではないかなと、こんなふうに思っているところでありますが、チュニジアも含めて海外日本人学校の子供たち、また職員の皆さんの安全確保も非常に大きな課題となってきているわけでありますが、その点についてどのように対策を進めているのか、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。
  72. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘ありましたように、チュニジア所在の補習学校、チュニス補習学校がありまして、今、十五人の生徒が通っているということであります。海外に在住する子供たちが安心、安全に学べる環境を確保する上で、日本人学校それからこの補習授業校、しっかりとした対応を取ることが必要だと思います。  このため、文科省としては、従来から児童生徒の安全確保や安全指導のための教員用資料の作成、配付、安全対策の巡回指導のための危険地域への専門家の派遣、派遣教員への安全確保のための手当の支給などを行っております。また、各在外教育施設におきましても、それぞれの所在地の状況を踏まえまして、警備員の配置や防犯カメラ等の警備機器の設置、現地警察への警備要請など、安全確保に努めております。  さきのISILによる邦人殺害テロ事件を受けまして、文科省では、全ての日本人学校について在籍する児童生徒や派遣教員の安否確認を行うとともに、安全確保などについての通知の発出、それから警備状況等についての調査、二十四時間体制のホットラインの設置による緊急連絡体制の強化などを行いまして、外務省等の関係機関との情報共有にも努めているところであります。  引き続き、日本人学校等の児童生徒、派遣教員の安心、安全な環境の確保に万全を尽くしてまいりたいと思います。
  73. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 下村大臣、チュニスの補習校は派遣教員はいるんでしょうか。
  74. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 残念ながら、派遣教員はおりません。
  75. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 世界各国の補習校に全て派遣教員がいるわけではないので、そういったところで学ぶ子供たちの安全を確保するという意味での日本からの職員がなかなか配置ができていない、このことも大きな問題だろうと思うんですね。  在外公館に警備の専門家がいるとしても、なかなかこの警備を強化することは現実的に難しい部分があると思いますね。そういう意味では、在外公館あるいは日本人学校、補習校に更に日本からの派遣する人員の強化、これは考えていませんか、文科大臣
  76. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 文部科学省として更にグローバル化教育をしていきたいと思っておりますので、一時留学生の数も減りましたが、これから日本海外にどんどん出る、そのバックアップをしていきたいと思っております。  そういう意味で、この補習授業校とか日本人学校、手薄の部分があるというふうに率直に思っておりまして、是非財務省、御協力いただきながら充実をさせるように努力をしてまいりたいと思います。
  77. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私が日本人学校に赴任をしていた時代から考えてみますと、かなり職員の数が減っているという状況にあると思います。財政上の問題もあろうかと思いますけれども、是非、財務省のお力もいただきながら、こういった安全確保という観点からも、日本からの派遣職員、派遣教員の増強を強く要望するところであります。  現地で、先ほど外務大臣からも、警備員の強化あるいは設備の強化、そういったことのお話がございました。日本と違って、海外で一定のレベル以上の警備員を確保するというのは並大抵のことではありません。そういった中ではかなりの資金が要るように思いますが、そういった意味では、外務省、その資金的な面で十分と言えますか、外務大臣
  78. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました日本人学校の安全対策といたしましては、たちまち要望がありました三十四校の日本人学校に対しまして、警備員の増員に伴う追加の財政支援約一千万円を行いました。そして、あわせて、こうした体制を強化するために、外務省の警備専門官を中東地域と欧州地域にある日本人学校に派遣し、学校の警備、安全対策の現状を把握するとともに、学校の危機管理体制等を確認し助言を行う、こういった対応を行ったところであります。  内容においても、あるいは財政においても、できる限りのことをしていかなければならないと認識をしています。
  79. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 是非大臣にも御理解いただきたいのは、海外における在外公館、これはいろんな意味でその当事国との間で守られている部分はあろうかと思いますが、世界各国の多くの日本人学校あるいは補習校の場合は、大使館、領事館の外にあって、それは在外公館扱いをされていないのがもうほとんどだというふうに思います。そういった意味では、銃器を持った警備員を配置することすら無理だというふうに思いますし、そういった意味では厳しい状況があります。  これ、大臣、この機会に世界各国の在外公館、加えて日本人学校、補習校、そういったところの安全管理について更につぶさに大臣に見ていただいて、そのことについての対応を考えていただきたいと思いますが、いかがですかね。
  80. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 海外にある日本人学校あるいは補習校のありようですが、私自身も一九六〇年代、ニューヨークで補習校に通った経験がございます。そして、かつて文部科学の副大臣をさせていただいたときに幾つか海外日本人学校を視察をさせていただいたことがあります。  それぞれ、様々な厳しい環境の中で、様々な事情の中で御苦労されている、その一端を感じたところでありますが、おっしゃるように、こうした邦人の安全が今改めて強く問われている時代ですので、特にこの日本人学校の現状について、安全体制について、いま一度しっかり点検する必要はあると認識をいたします。どういった形でそれを進めるのか、是非検討したいと思います。
  81. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣が行かれたというニューヨークの日本人学校は世界の中でも最も裕福な日本人学校でありますので、そういった意味では、世界の各地で頑張っている日本人学校、補習校、大変資金難だというふうに思います。是非、外務省、文科省の資金をこの際しっかりと送っていただいて対応していただきたいと強く要望し、その点について財務大臣から是非大きなお支えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  82. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 在外公館、また日本人学校に対してこれは安全対策を講じるということは、従来とはちょっと異なった問題だとは思いますけれども、極めて重要な課題だと考えておりますので、この予算案、今御審議いただいている予算においても所要の予算というものを計上させていただいております。  まず、警備対策のために前年度比一一%増の五十八億、それから日本人学校の安全対策のための経費として対前年比三七%増の三・四億というのを計上させていただいて、警備員の確保、また監視カメラの設置などを行うことといたしておりますので、是非こうした予算というものを有効に御活用いただいて、海外におけます日本人の安全確保のために努めていただきたいと思っておるところですけれども。  随分時代が変わってきて、その地元の人たちが自分の子供を自分の国の学校にやらずに日本人学校にやりたいという希望というのがございまして、これをどうするか。一番困っちゃうのは日本人の先生なんですよ。対応し切らない。向こうは希望しているんだから。そういうのにどうするんですかと聞かれて、先生が対応すればいいじゃないですかと言ったら、それはできませんと言うわけ。  どうしてそういうのにいいかというと、これは例えば日墨学校という日本で最も古い日本人学校の一つで、日墨学校というのは、メキシコのどこにありましたかね、メキシコシティーの南の方にあったと記憶していますけれども、日本人の学校に子供を入れると、早い話が、週番はあります、食事当番はあります、掃除当番はあります、もう金持ちも何もみんな一緒。しつけのため極めてよろしいというんで、皆、日本人の学校に入れたがる。そっちの方の数が多くなって、その数としては場所が小さいからとても入れませんと言うと、足し増す分はうちが金出すというような人も出てくるというような具合に、もう全然こういういい話は新聞に載らないんですけれども、間違いなくそういった話があちらこちらにあるというのは現実ですよ。  僕は、そういった意味で、いい先生というのを出してきたおかげでこうなっているんだと思いますが、その先生に聞くと、いや別に日本と、普通のことをやっているわけで、別に特別なことをしているわけではありませんと。いや、極めて淡々と、肩に気合が入って、もう日本をしょって立つなんてそんな気合の入った先生はいませんから、もっと淡々とやっておられるところがいいところだなと思って、海外に行くたびによく行くところの一つなんですけれども。  そういった意味で、私どもとしては、こういったものに関して、学校が襲われるということがないのは地域から受け入れられているからだと、私はそう思っておりましたんで、今回のような形で日本人の学校とか日本人の子供が狙い撃ちされたという例をちょっとこれまで知りませんものですから、今、外務省としても、また文部省としても、同様なことから、そういった意味の対策という意味からいきますと、そういったものに対策をしなくても安全が保たれていたという状況から、今少しずつ、ISIS始め、まあISISというんだかISILというんだか知りませんけれども、こういったものが少しずつ変わりつつあるのかなと思っております。
  83. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 メキシコの例は極めて珍しいケースで、現地の子供たちも受け入れる中で御苦労されて、また成功している学校ですが、先ほどから話に出ております補習校というのは、まず学校というような校舎がありません。まずないと思います。現地のビルであるとか、あるいは現地の学校の一部を借りているとか、あるいはアパートの一部を借りるとか、そういうような形でやっているケースが多いんですね。そこにやはり日本からのお金はなかなか行っていないんですよ。非常に難しい状況なんです。  ですから、今回、学校運営そのものということに加えて安全管理ということで文科省あるいは外務省からも強い希望が出ると思うので、是非、麻生財務大臣としては、分かったと、俺に任せと、こういうふうに言ってほしいんですが、いかがでしょうか。
  84. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 頼まれもしないのに、金をこっちから出しますからいかがですかなんということは財務省としてはありませんから、要請があれば検討させていただきます。
  85. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。要請があればということですから、外務大臣と文科大臣、是非要請を厳しくしていただきたいと思いますが、そういった意味では、文科大臣、いかがでしょうか。
  86. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 厳しくとかいう立場ではないとは思いますが、ISIL等の問題があって、本当に邦人の安全確保というのを学校を中心として対応していくことが必要だと思いますし、是非、そのために、万全たる体制、資金面においても財務省にこれからお願いをしてまいりたいと思います。
  87. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、次の問題に参りたいというふうに思います。  昨年十一月四日だったと思いますが、当予算委員会で私質問に立ちました。そのときに、高等学校等の就学支援金のことについてお尋ねをした記憶がございます。そのときに、所得制限によって捻出をされた財源が、恵まれないといいますか、収入がなかなか少ない御家庭の子供たちにちゃんと行っているのかどうかと、こういうような話をしたところ、何かとんでもないお話が出てきて、非常に、予算委員会委員の皆さんもそれは駄目だろうと、こういうような御意見があったというふうに思いますが、その件について、二〇一五年度はどういうふうに文科省としては対応する予定なのか、お話をいただきたいと思います。文科大臣
  88. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘の高校無償化制度に導入した所得制限、これによりまして、平成二十七年度におきましては二学年分で約五百九十六億円が捻出されることになります。この財源は、主に平成二十六年度から開始した新制度の学年進行を着実に実施するための財源に充てることとしております。  具体的には、まず高校生等奨学給付金の財源として七十九・三億円を充てております。学年進行に伴い、平成二十六年度は一年次のみが対象であったのに対しまして、平成二十七年度は二年次まで対象になるなどに伴いまして大幅な増額を図ったほか、通信制に通う高校生等への支援については第一子と第二子の給付額を同額とするなどの拡充も図ることといたしました。  また、私立学校の就学支援金の加算の充実の財源として二百十四・七億円を充てております。加えて、高校生等への修学支援事業として十九・一億円。また、所得確認のための事務費交付金ですが、三十二・五億円。そして、マイナンバー制度の導入に対応したシステム整備等五・四億円。また、従来の地方負担分、調整率、これの国庫負担分、負担額でありますが、二百四・二億円。その他、高校の教育費負担の軽減等四十一億円を充てることとしております。
  89. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 昨年の議論の中で、所得制限によって捻出をされた財源は二百九十五億円と見込まれていて、そのうち百七十億円ぐらいは子供の側に渡っていないんではないかと、こういうような指摘がされて、それは問題だという話がございました。例えば、ソフト開発に百億円が使われるというような、とんでもない状況であったわけです。今でも私たちは所得制限には反対でありますけれども、今の法律でいけばそういうことになります。  今年の所得制限によって出てくるお金の額と、それが本当に子供のところに幾ら行っているのか、端的な数字でお答えをいただきたいと思います。
  90. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘の昨年十一月四日の参議院予算委員会で私が申し上げた百億円、これは平成二十六年度の制度改正に伴いまして、新たな地方が事業を実施する際の地方負担分に充当するために地方財政措置を行ったものでございます。  地方においては、高校生等奨学給付金を始めとして、新たな事業の実施に伴い支出が増えるというところでありまして、百億円のうち大部分は奨学給付金を含む生徒に対する経済的支援のための経費に充てられているものと理解をしております。  具体的に地方において支出が増えている例として、高校生等奨学給付金等、これが五十六億円ですが、このような例えば家庭急変の支援とか、それから補習等のための指導員等派遣事業とか、合わせますと七十・九億円になります。その中で、地方の一般財源として各自治体の判断で支出されることもあり、実態として奨学給付金を実施するためのソフト開発や人員などに経費を使用しているところもありました。その一例として申し上げたものでございます。それもソフトがもうできたということで、更にこれから直接、高校生等の教育費の負担に充てられるということになります。
  91. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私がお尋ねしたかったのは、昨年の場合、二百九十五億円が捻出をされて、そのうち子供の手に渡ったというのか、子供の支援になった額というのは僅か百二十億円だったということ、ここに問題点があるというふうに申し上げたんですね。ですから、二〇一五年度予算の中でいえば、幾ら捻出される額があって、そのお金のうちどれだけ子供たちの支援に回るのか、そこのところを端的に数字でお答えをいただきたいと思います。
  92. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のように、平成二十六年度分、捻出財源が約二百九十五億円。その中の、具体的に今申し上げたような制度改正分、これは公立高校分を就学支援金の対象に変更したために、ソフトを作る、これが九十九・八億円でありますが、これがソフトができたということで、その部分については二十七年度から直接の子供たちに対する教育費として増えるということであります。
  93. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私、ちょっと今の御答弁、理解できなかったです。  だから、幾ら捻出できて、そのうち幾らが子供たちの支援に実質的に回っているのか、額をお答えください。
  94. 下村博文

    国務大臣下村博文君) ちょっとこれ、事前通告受けておりませんでしたので、調べ次第、すぐまた御報告いたします。(発言する者あり)
  95. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ちょっと待ってくださいね。  下村大臣
  96. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 失礼いたしました。  二十七年度捻出財源が五百九十六億円でございます。この中で、従来の地方負担分、調整率、これは国費の負担分が二百四・二億円でございますので、残りが直接教育費として給付される、あるいは使われるということになります。
  97. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私は、ペーパーでこのように、二〇一五年度所得制限による捻出される財源額と支援策についてということでお尋ねをしておりますので、通告がなかったというようなことは、おっしゃっていただくことは私にとっては非常に残念でございます。  それから、文科省は質問取りにも来られませんでした。一体どういうことなんだか私には分かりませんが、その辺りも含めて午後にまた再度お伺いをしたいと、こういうふうに思います。  以上です。
  98. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  99. 岸宏一

    委員長岸宏一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二十七年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。     ─────────────
  100. 岸宏一

    委員長岸宏一君) この際、下村文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣
  101. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 午前中、事前通告がなかったと申し上げましたが、間違いでございまして、事前通告はございました。おわびして訂正させていただきます。     ─────────────
  102. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 水岡俊一君。
  103. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党の水岡でございます。午後、引き続きの質問、よろしくお願いを申し上げます。  今大臣からお話がありました。再度お聞きをしたいと思います。来年度の予算案におきまして、所得制限によって捻出をされる額、そして、それがどのくらい実際に子供たち、高校生の手元に渡るのか、そういった観点からの端的な数字をお示しください。
  104. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 高校授業料無償化制度見直しにおける平成二十七年度捻出財源でございますが、五百九十六億円でございます。  具体的な活用内容でありますが、高校生等奨学給付金、奨学のための給付金が七十九・三億円、私立学校の就学支援金の加算の拡充で二百十四・七億円、高校生等への修学支援事業十九・一億円、また所得確認のための事業費、これは事務費交付金でありますが、三十二・五億円、それから本省事務費、これはマイナンバー経費でありますが、五・四億円、また従来の地方負担分、調整率の国費負担額が二百四・二億円、それから、受給資格者数の増加等によって〇・七億円、その他の高校の教育費負担の軽減等で四十一億円でございます。
  105. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。  今年度に比べれば、事務経費等に当たる率は下がっているということで一定の理解をしたいというふうに思いますが、地方にお渡しをいただく金額がきちっと地方の段階で支援策に回るかどうか、ここもポイントだと思いますので、大臣のお力で高校生の支援に是非使っていただきたいと、このように思うところです。  続いて、昨年、大臣は同じ日の御答弁の中でこういうふうに述べられております。申請書、この就学支援金の申請書の様式等について、簡素化しながら、できるだけ精神的な負担増にならないような配慮については十分これから創意工夫をしてまいりたい、こういうふうにお答えになりました。この申請書の様式、事務処理要領等の簡素化について御答弁をいただきたいと思います。
  106. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 今年度から実施をしております新・高等学校等就学支援金制度の手続事務につきましては、都道府県、学校へのヒアリング、関係団体と意見交換などによりまして各方面から御意見をいただき、また委員からも御指摘をいただきまして、実態や課題の把握に努めてまいりました。その中では、所得を確認すべき保護者を特定する際の手続について、プライバシー等への配慮や学校現場の事務の簡素化について多くの御要望をいただきました。  これらを踏まえ、平成二十七年度からは、従来は保護者の所得を確認する際、家庭の状況について記述式で詳細に申告を求めていたものをプライバシーに配慮した簡便なチェックボックス式に改めました。また、DV、ネグレクトなどの事情により必要な書類が提出できない場合は、当該保護者を所得確認の対象から除外できることを周知徹底をすることにいたしました。都道府県、学校の事務負担を軽減するため、生徒への通知発出の回数も削減するということなどによりまして改善を行っているところでございます。
  107. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。引き続き細やかな対応を是非お願いをしたいと思います。  次の問題に参りたいと存じます。国連の人権機関についてお伺いをしたいと思います。  国際連合の人権理事会を始め、幾つかの人権機関がございます。委員の皆さんのお手元には、資料一で皆さん御存じの人権機関を幾つか例示をしておりますが、こういった人権機関に対する政府の評価そして対応について外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
  108. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国連におきましては、人権問題への対処能力の強化を目的にして二〇〇六年に人権理事会が設立されました。人権の保護、促進のための審議、勧告を行っており、我が国は現在、同理事会の理事国を務めております。また、国連は人権諸条約等を通じ、人権の保護、促進や人権問題への対応に重要な役割を担っていると認識をしています。  我が国は、自由、民主主義、基本的人権を重視する外交を推進し、これまで人権分野に積極的に取り組んでおり、こうした国連の人権機関の活動にも積極的に参加し、協力をしています。我が国としましては、国際社会における人権の保護、促進のため、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  109. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 積極的に取り組んでいきたいと、こういうお話も今あったところでありますが、通告では、個人通報制度をなぜ取り入れないのかということで法務大臣にお聞きをしたいということで申し上げておりました。  大臣、御存じない方もいらっしゃるので、個人通報制度とはまず何かというところからお話をいただければと思います。
  110. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 個人通報制度につきましては、人権条約上の権利等を侵害されたと主張する個人等が条約に基づき設置された委員会に権利侵害等を通報し、委員会はこれを検討の上、見解を各締約国及び通報者に通知する制度と承知しているところでございます。
  111. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 法務大臣、それでは、その個人通報制度をなぜ日本は取り入れないのでしょう。
  112. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) この個人通報制度につきましては、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から見ると大変注目すべき制度というふうに認識しているところでございます。  他方、個人通報制度の導入につきましては、通報事案への具体的対応の在り方を含めまして様々な形で検討が必要であるというふうに考えておりまして、こうした検討につきましては法務省だけで検討解決できる問題ではないというふうに考えております。各方面の御意見をしっかりと承りながら、この制度の導入の是非につきましては真剣に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  113. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 法務大臣、どのくらいの期間があったら真剣に検討いただけるのでしょうか。
  114. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 御質問のどのくらいの期間ということでございますが、期間をこの場所で申し上げるということにつきましては、今すぐにというわけにはございませんですけれども、積極的に検討を、こうした条約の動きにつきまして真摯に取り組んでいくということでございます。
  115. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 委員の皆さん、資料二を御覧いただきたいと思います。  資料二に重要な国際人権条約を九つ記載をしております。このうち、七番を除いて八つの条約については日本は批准をしているところであります。しかし、これらの条約に付いております個人通報制度、選択議定書という形でのものもありますが、そういったものは何一つ批准、受諾をしていないのが日本の態度であります。  先ほどの外務大臣のお考えと、今法務大臣のお答えとは、私はそぐわないように思いますが、いかがですか。
  116. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 外務省、外務大臣の御指導をいただきながら、また、それぞれの関係する機関とも十分に協議をしながら、意見を十分に聞きながら、この導入の是非について真剣に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  117. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 委員の皆さん、御覧ください。  二番、市民的及び政治的権利に関する国際規約、これ、いわゆる自由権規約といいますが、これに付いております同規約の選択議定書、これを締約している国の数がその右側の欄に書いてございます。元々の規約を締結しているのが百六十八か国、選択議定書、つまり個人通報制度も含んでの制度を締約するということで百十五か国あります。  同じく三番、四番の条約についても、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約についても、いずれも百か国以上の国がこの個人通報制度を締結をしているという状態にありますが、法務大臣、いかがですか。
  118. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 様々な御指摘の条約等ございます。それぞれの批准ということでございますけれども、法務省といたしましては、関連するところのテーマにつきましては十分に関係機関と審議をしながら、積極的にまた真摯に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  119. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 関係機関とというふうにおっしゃいました。関係機関とはどこのことでしょう。
  120. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 外務省等としっかりと検討してまいりたいと思っております。
  121. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、外務大臣、いかがでしょうか。
  122. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の個人通報制度ですが、各国にはこの個人通報制度につきまして独自の事情、背景があり、これは単純に比較することはできないと考えています。例えばヨーロッパ、欧州におきましては、国連の人権諸条約が成立する以前から、個人通報制度に基づく欧州人権裁判所が存在し、その管轄権を多くの欧州諸国が受け入れている、こうした事情も存在いたします。  今、政府としましては、この人権関係の諸条約に基づく国連等に設置された委員会等に対する個人からの通報事例、具体的にどんな事例があるのか、これを可能な限り今収集をしております。  そして、この委員会や関係国の対応等について研究するための個人通報制度関係省庁研究会、これを開催し検討を行っています。この研究会には、外務省のほか内閣府、法務省、文科省、厚労省、国交省、農水省、あるいは総務省、また防衛省も参加をしています。  こうした研究を行い、検討を続けているわけですが、例えば、この人権関係の諸条約に基づき国連等に設置された委員会が国内判決とは異なる見解等を示した場合の対応、これをどうするか、こうした課題等についてまだ今議論が行われていると承知をしております。
  123. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 この場で個人通報制度がなぜ必要なのかという議論をする時間がありませんので、大変残念でありますが。  法務大臣にお聞きをしたいと思います。法務大臣は袴田事件というのを御存じだと思いますが、袴田事件について、大臣としてのお考えはいかがでしょうか。
  124. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 個別の事案につきましては、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  125. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 袴田事件が個別の事案としてコメントできないというのは、日本の法務大臣としては、それはおかしいんじゃないですか。もう一度お願いします。
  126. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) お尋ねの事件でございますけれども、現在、即時抗告審に係属中の刑事事件に関わるということでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  127. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、お聞きしましょう。  そのほかにも日本における冤罪というのは数多くありますね。確定している冤罪、冤罪ともう確定してしまっている事案もございます。それらについて法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
  128. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 当然のことでございますけれども、犯人でない者を処罰するということにつきましては、あってはならないことだというふうに認識しているところでございます。  具体的な事件につきましては、無罪判決が言い渡される理由については様々であるということでございまして、一般論としてその理由を申し上げるということはなかなか難しいということではございますけれども、いずれにいたしましても、検察当局におきましては、徹底した客観証拠の収集、分析に努める、そして消極証拠を十分に検証する、基本に忠実な捜査、公判ということの適正な遂行に努めるということが必要であるというふうに考えております。
  129. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 今、法務大臣は幾つかのポイントを述べられて、これらを遂行することが大事だというふうにおっしゃった。  では、これまでの捜査あるいは裁判の中でそれがされてこなかったということですか。
  130. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 基本につきましては、徹底した客観証拠の収集、分析に努める、そして消極証拠を十分に検討するなど、基本に忠実な捜査、公判の適正な遂行に努めるということが必要であるというふうに考えております。その上で、犯人でない者を処罰をすることにつきましては、あってはならないというふうに考えております。
  131. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは、大臣、冤罪はなぜ生まれるんでしょう。
  132. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 繰り返しでございますけれども、犯人でない者を処罰することについては、あってはならないと。先ほど申し上げたようなそうした基本に忠実な捜査、公判を十分に尽くした上で、適正な捜査、公判が行われることができるようにしていくということが大切であるというふうに思っております。  そして、そうした上で、実態について様々な具体的な事案があるということでございますので、そういう中での具体的な理由につきましては私の方から申し上げることはできませんが、そうしたことが、ならないようにしていくということが何よりも大事であるというふうに考えております。
  133. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 一つ一つの具体的な事例の中でなぜということはお聞きをいたしません。なぜ冤罪が生まれるんでしょうか。それをお答えください。
  134. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 犯人でない方を処罰をするということについてはあってはならないということでございます。捜査、公判におきましても、そうしたことが行われないように適正に対応していくということ、このことの基本をしっかりと守っていくということであるというふうに思っております。  具体的な事件が起きるということにつきましては、様々な具体的な事件がございますけれども、それぞれの事案に際しての理由ということになりますと、そのことについては申し上げられる立場ではございませんが、基本に忠実にしていくということを十分にしていくということが大事ではないかと思っております。
  135. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣のお考えであれば冤罪は生まれないはずなんですが、生まれてきました。ですから、冤罪の中で苦しみ、もしかするとお亡くなりになった方もいらっしゃったかもしれない。そういった御本人や御家族や関係者の方々は今の大臣の御答弁を本当に理解できるでしょうか。  違う聞き方をしましょう。司法救済の限界という言葉があります。日本の司法が全知全能であれば、これは問題はありませんね。しかし、司法の限界、これについて大臣はどういう基本的なお考えをお持ちですか。
  136. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 制度論ということでのお尋ねであるというふうに思いますが、司法手続が適正に行われ、そして、今申し上げたような犯罪人でない人を処罰することがないように三審制というような形での制度論もございますし、そして、検察につきましては、捜査、公判等におきましてそうした事態の生じないようにしっかりと適正に動いていくということが何よりも大切であるというふうに思っております。検察につきましても、そうした視点を大切に、日常の活動の中で丁寧に対応していくということが何よりも大事であるというふうに考えております。
  137. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 一般的なお話としてそれは理解できるかも分かりませんが。  袴田事件、これは何年間勾留されていましたか。四十七年間ですよ。再審制度があるからということで、その方々、冤罪に巻き込まれた方々の御理解いただけると思いますか。
  138. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) ただいま御質問の件でございますが、現在、即時抗告審に係属中の刑事事件に関わる事柄であるということでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  139. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 立場としてのお答えはそういうことであるのかもしれませんが、人間としての心を私は感じることができない、私はそういうふうに感じているところであります。日本政府の閣僚として、一個の人間であるところから物事をスタートしていただきたいということを強く申し上げる次第であります。  そういった中で、国連の人権機関は日本に対して厳しい勧告、最終見解を次々に述べています。皆さん、資料一をもう一度御覧ください。  社会権規約委員会、自由権規約委員会、拷問禁止条約委員会、人種差別撤廃委員会、それぞれ、これ、第二次安倍内閣以後の日本の報告に対する審査が行われているその開催月を書いております。その開催により、最終的な勧告、最終見解というものが日本に出されているんですが、この中には、例えばパリ原則に沿った国内人権機関の設立を求めるというものが全ての委員会の勧告の中に含まれているわけであります。  ことごとく日本に対していいかげんにしろと、こんな状態いつまで続けるんだという勧告、厳しい勧告が出ていることについて、外務大臣、どういうふうにお考えですか。
  140. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国が提出した政府報告書に関する対日審査を踏まえて人権諸条約の委員会から公表される最終見解につきましては、法的拘束力を有するものではありませんが、関係省庁とともに内容を十分検討した上、政府として適切に対処していかなければならないと考えています。  様々な対日審査がありますが、例えば昨年七月には人権規約の、そして八月には人種差別撤廃条約の対日審査がそれぞれ条約委員会より行われました。これらの対日審査を踏まえてそれぞれの委員会から最終見解が公表されましたが、その中で、特定の項目に関し一年以内にフォローアップに関する情報を提出することが求められています。提出する文書の作成について今調整を行っております。  それぞれの項目に関する関係省庁の取組、見解等を外務省として取りまとめを行い、委員会に対しましてこうした要請に基づいてまとめた書類を提出したいと考えています。
  141. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 引き続きこの問題については追及をしていきたいと、このように考えているところでございます。  次に、NHKの籾井会長のハイヤー利用について、ここのところ連日お話が出ております。私からも何点かお聞きをしたいと思います。  今日は、NHKの経営委員長においでをいただいております。お忙しい中、どうもありがとうございます。  十六日、当予算委員会におけるNHK籾井会長の答弁と昨日の報道との間には大きな違いがあるように思います。改めて経営委員長にお尋ねをしたいんですが、監査委員会側から督促をした後に会長がお支払いになったという報道でありましたが、これは事実でしょうか。
  142. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) お答えいたします。  監査委員会からは、三月六日に事実確認の聴取をした際、会長は、当初からハイヤー代金は自分で負担する意向であったと説明し、直ちにその場で代金を支払うことを申し出たという報告を受けております。
  143. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 委員長、もう一回聞きますね。  監査委員会側から督促状あるいは督促をした後に会長が支払ったという報道でありますが、それは事実ですか。
  144. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 督促ではないという認識をしておりまして、事実確認の聴取の際、そういうやり取りがあったというふうに聞いております。
  145. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 督促をしていないということでよろしいですか。
  146. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) はい。そのとおりでございます。
  147. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 もう一度、それでは、報道は間違いであるということですか。
  148. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 監査委員会からそういう報告を受けております。
  149. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 もう一度お願いします。
  150. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 先ほども申し上げましたけれども、監査委員会からは事情聴取の際のやり取りであったというふうな報告を受けております。
  151. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 何の事情聴取ですか。督促の意味じゃないんですか。
  152. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) ハイヤー利用についての事実確認だったというふうに聞いております。
  153. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 いや、監査委員会が動くことになるというのは、お支払が滞っていたということではないんですか。
  154. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) そういう内部通報があって監査委員会が調査のために動いたというふうに聞いております。
  155. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 監査委員会が事情聴取したということは事実なようですから、それはそれで受け止めましょう。  それでは、一月二日以外で公用のハイヤーを籾井会長がプライベートで利用したということがあったでしょうか。
  156. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 監査委員会の報告書には、会長が就任した平成二十六年一月から平成二十七年二月までの間に会長名で休日にハイヤー乗車票が使われた事例は他にないことを確認していると記載をされております。
  157. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 細かい点、聞きたいことは山ほど出てきますが、では、違う聞き方をしましょう。  公用車をプライベートなゴルフでお使いになったことは確認されているでしょうか。
  158. 浜田健一郎

    参考人浜田健一郎君) 確認されておりません。
  159. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 また改めてお聞きをする機会があろうかと思います。  私の方の質問、会長に対する質問は終わりましたので、委員長の御判断によって退席いただいて結構でございます。
  160. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 浜田参考人は退席されて結構でございます。
  161. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 次に、下村文部科学大臣、もう一度お尋ねをしたいというふうに思っております。  この間、ずっと塾関係者からの寄附という問題が取り上げられており、寄附なのか会費なのかということで、それが政治資金規正法に私たちはやっぱり抵触するのではないかという考え方を持っておりますが、そのことをひとまずここにおいておいて、私は、利害関係者から寄附をもらうということ自体が問題だというふうに思うんですが、これは大臣、どうでしょう。
  162. 下村博文

    国務大臣下村博文君) これは政治資金規正法にのっとって適切に処理をしております。
  163. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 政治資金規正法にのっとっていれば利害関係者から寄附をもらっても何の問題もないというお考えでしょうか。
  164. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 何をもって利害関係というのかというのはそれぞれ個々によっても違うと思いますが、直接、あっせん利得とか、そういうような利害関係者から寄附をいただくということはございません。
  165. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 文部科学大臣が教育関係者、それは塾関係者もあろう、あるいは私立学校の関係者もあろうと思いますが、そういった方から寄附をもらうということについて、あらぬ疑いを掛けられるというおそれがないかどうか、それは大臣はどうでしょう。
  166. 下村博文

    国務大臣下村博文君) あらぬ疑いが掛からないように十分に注意する必要があるというふうに思います。  ただ、私が進めようとしている、これから考えている、あるいは今までやってまいりました教育改革等に対して同じ志、賛同を持って応援をしたいという方々、これは業種を問わず、個人、法人問わず、そういう方々から広く浅く御協力いただければそれは大変有り難いことだと思っておりますが、いずれも政治資金規正法にのっとって適切に対処いたします。
  167. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 皆さん、資料三を御覧ください。  資料三には、下村大臣がこの間御答弁なさった内容が日が変わると次々に変わってくるということを、私なりに予算委員会あるいは大臣の記者会見を通じての御発言を整理したものであります。これについては、大臣の当初の答弁から後の答弁が著しく変わっているということを記載をしておりますが、これは大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  168. 下村博文

    国務大臣下村博文君) これは答弁だけ取ればそういうふうに取れるような表現になっているかもしれませんが、一つ一つ丁寧に御説明をさせていただければと思います。
  169. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 例えば、一番上の暴力団関係者に六億円を融資した豊川さんからの献金ということで、「一切そういうことはありません。」、しかし、三月三日には、「寄附を受けたという事実が判明しました」、こういうような例を含めて、これ全部、一々御説明いただけますか。
  170. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 一番の項目については、二月二十七日、そういう認識でございました。それというのも、ここからは団体でしか寄附をいただいたことがないという事務方の調査でありましたが、三月三日時点で、個人から寄附をいただいたということが分かったということで、これは訂正させていただきました。
  171. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 あと四つあります。それぞれ御説明ください。
  172. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 一つ一つ質問していただきたいと思いますが、まず、この二番目のことをおっしゃっているというふうに思いますが、この二番目についての、「この地方の博友会は、各地域の有志の皆さんで運営をしていただいておりまして、私の事務所では一切タッチしておりません。私は、財政面も含め、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切承知しておりません。」、これは二月二十六日の答弁であります。  次が三月十二日ですが、毎年この時期に、つまり二月の時期に全国の代表の方々に集まっていただいて、そこで年間スケジュールをそれぞれに決めていただいている、同じような月に重ならない。これと最初の答弁が矛盾しているということにはならないと思います。  任意博友会、ここにも書いてありますが、それぞれの内容、財政面において、それから人事とか、そういう内容面についてタッチしているわけではない。ただ、スケジューリングについてはみんなで決めさせていただいていますということで、これは矛盾している内容ではないと思います。
  173. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 じゃ、三番目の項目について説明ください。
  174. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 三番目については、これは言葉だけを取っているというふうに思います。会費と寄附の問題でありますが、なぜこれが寄附であると、会費でなくて寄附であるということについては、会員の一部の人のみが支払っているものであると。それから、振り込み先及び領収書の名義は東京自民党の十一選挙区支部であるということであります。それから、任意の博友会の中におきましては別途事務運営費ということで会費を徴収しているということを聞いております。  そういう意味で、これはそれぞれの会に所属している方が一律年会費で、イコール寄附ということではなくて、個々に所属している会員の方々から、お願いして、そしていただいているということで、寄附というのは、この領収書の部分、それから届け出ている部分、それからごく一部の方々が支払っているという部分からも明らかであるというふうに思います。
  175. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 大臣の論理はそういうことかもしれませんが、政治資金規正法における寄附と会費というのは明確に区別をしている事柄でございますが、それについて大臣はどうお考えですか。
  176. 下村博文

    国務大臣下村博文君) おっしゃるとおりでありまして、政治資金規正法にのっとって十一選挙区支部においても寄附として処理をさせていただいています。
  177. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 寄附、御本人がする方が会費として申し出ているものが寄附に取り扱われる、あるいは寄附と思っているものが会費であるというのは、これは問題が起きると思います。これ、後ほど同僚がまた別の日にでもお尋ねしたいと思います。  四つ目の項目、これについて、領収書のただし書、御説明ください。
  178. 下村博文

    国務大臣下村博文君) これは二〇一四年に限ったことでありますが、本来は、私に縁がある全国の方々、その中にはそれぞれの任意の博友会に入っていただいている方々もいらっしゃいますが、年に一度、東京十一選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいております。  たまたま二〇一四年に限って経理担当者が替わったということがございまして、ある一人の方からその寄附の領収書のところのただし書に年会費としてということを書いてほしいという要望を受けたということで、その経理担当者が気を回して、二〇一四年についてのみ寄附の領収書にただし書のところに年会費ということで書いてしまったということであります。それは、分かった時点で、適切ではないので、ただし書についてはこれは書かないように指導し、現在に至っているということでございます。
  179. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 元々それほど大した数ではないという御発言があって、後ほどそれは八十一件、合計五百九十九万八千円だったという御答弁がございました。これ、いかがでしょう。
  180. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 私としてはそういう認識でございます。
  181. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 これほどの数、金額が大したことではないという御認識だということで、その点については私は理解ができたわけじゃありませんが、御答弁ですので、それは受け止めたいというふうに思っております。  五番目のところについてお聞きをしたいんですが、時間がございません。  タクシーも含めて一切いただいておりませんというお話ですが、これ公務員の倫理規程に置き換えると、いかがでしょうか。国家公務員が利害関係のある会社から宿泊代を払っていただいたりタクシーを手配をしていただく、これについては、恐らく大臣としては厳しく追及されるはずではないかなと、こんなふうに思うわけであります。しかし、大臣は、直接自分がお金を受け取ったことではないということで答弁をされておりますが、そういった意味では今後また追及していきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  182. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で水岡俊一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  183. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、横山信一君の質疑を行います。横山信一君。
  184. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  初めに、チュニジアで起きましたテロに日本人が巻き込まれたとのことでございます。犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々にはお見舞いを申し上げます。政府には適切な情報収集と対応を望みます。  それでは、質問に入ってまいります。  現在、北海道石狩市において、高温超電導直流送電システムの実証事業というのが行われております。この超電導直流送電の技術というのは、世界の中でも我が国技術は大変に優れておりまして、近年では電導線材の開発が進んで、実用化段階に入ってきております。  私、石狩市で育ったものですから、この実証事業への期待が非常にありまして、二〇一三年にはこの予算委員会で取り上げさせていただいたこともございました。そのときには、総理からは、政府としては、超電導は我が国が強みを有する分野で、この分野で引き続き世界をリードできるよう、実証研究など実用化に向けた取組を進めてまいりますという御答弁をいただいたところでございます。  しかし、この実証事業が現在危機に直面をしております。実証研究の実施期間は本年三月までとなっていますが、今後の国の支援のありようによっては、あっという間に、今これは世界で本当に激しい競争が行われているわけですけれども、アメリカや韓国も日本に追い付けということで大変な勢いで研究を進めているわけですが、こうした国々に追い付かれる、そしてまた、今後支援がないと、実るはずだった果実がそっちの国々に取られてしまうということであります。  そこで、平成二十五年度の補正以来途絶えている予算を含め、この石狩プロジェクトの、特に千メートル施設ですけれども、この施設を利用した実用化のための国の支援が必要というふうに考えますけれども、経産大臣のお考えを伺います。
  185. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 御指摘の実証事業、高温超電導直流送電システムの実証事業でありますけれども、たしか私どもが政権に就いた二十四年度の補正で二十五億円、そして二十五年度の補正で十五億円手当てをして今進めているものでございまして、二十七年度、来年度までの予定で実施をしております。おっしゃるとおり、送電時のエネルギー損失を大幅に低減することが可能になるということで、大変期待の持てる技術でございます。現在、現場の工事はほぼ終了したと聞いておりまして、来年度は速やかに完成した設備を利用して実際に送電をしながら各種の試験等を行っていく予定でございます。  今、二十八年度以降というお話だったと思いますけれども、ともかく来年度の研究成果というものをまず十分に評価し検証するということが第一だと思っております。したがって、その後につきましては、その検証の結果いかんではございますけれども、二十八年度以降の予算編成で、私どもとしても、いい結果が出れば是非とも財務省、麻生大臣いらっしゃいますけれども、いろいろ交渉していかなければいけないことなのかなというふうに思っております。
  186. 横山信一

    ○横山信一君 この事業、非常に優れておりまして、また、この電導線材そのものは各国でも需要があるというふうにも聞いております。そういう意味では、日本の今後の産業をリードしていくものに成長していく可能性が強いものでございますので、今ここで手放さないということでしっかりと支えていただきたいということを麻生大臣にもお願いをしておきたいというふうに思います。  では、次の質問に移ります。  予算案には、グローバル・フードバリューチェーン戦略の推進というのが新規事業で一・五億円計上されております。私も農林水産省の政務官をしておりましたときに、この、FVCというふうに通常言っておりますけれども、FVC構築のために南アフリカに行かせていただきました。その分思い入れのある事業でございますけれども、このFVC戦略というのは、我が国が、強みの持つ食産業を生かして急速に拡大する世界の食市場を取り込もうと、そういうものであるんですが、その事業の内容というのは非常に幅が広くて、どうすれば世界の食市場を取り込めるのかというのがよく見えてこない部分がございます。  そこで、このFVC構築とは一体何をするものなのか、これを総括審議官にお聞きをしたいと思います。
  187. 今城健晴

    政府参考人(今城健晴君) お答えします。  フードバリューチェーンの構築についてでございます。これは農林水産物の生産、製造、加工、流通、消費の各段階を整備してチェーンでつなぐという体制をつくり上げ、より大きな付加価値をつくり出すということでございます。  グローバルということでございますので、グローバルフードチェーンにつきまして、具体的には、途上国等におきまして生産面での農業あるいは食のインフラ整備、食品加工団地の造成への協力ですとか、あるいは流通面で低温物流などコールドチェーンの整備、また消費面では日系スーパー、和食レストランの進出の支援など、そういうことを官民連携でつくり上げていくということを推進していこうと、こういうものでございます。  委員指摘のとおり、世界の食の市場規模は二〇〇九年の三百四十兆円から二〇二〇年には約二倍の規模になるということも予想されておりまして、その中で我が国産業海外展開と成長、食のインフラ輸出日本食の輸出環境の整備、そして、ひいては経済協力との連携による途上国の経済成長への協力と、こういうことを狙いとしておるということでございます。
  188. 横山信一

    ○横山信一君 今の説明を聞いても非常に幅があるということでありまして、今の中でも話もありましたが、やはり途上国への経済支援という側面もあり、また一方で、世界が急速に拡大している食産業の中に日本が飛び込んでいって、その中で活躍をしていこうと、そういう事業でありますが。  日本国内にいるとなかなか理解しづらいんでありますけれども、コールドチェーン一つ取ってみても、おいしいものを産地から直接消費者に届くという仕組みは非常に私たちの国では整っているわけでありますが、それが、この日本の優れた農産物輸出しようとしたときには、そういったものがない国が多いということでありますので、そこをしっかりと支えていこうということは分かるんでありますが、一方で、技術支援で終わってしまって投資回収にまでたどり着けないのではないかと、そういった懸念も考えられるわけでありますけれども、今後、農林水産省としてどのような取組を進めるのか、これは小泉副大臣にお願いしたいと思います。
  189. 小泉昭男

    ○副大臣(小泉昭男君) 横山先生、御指摘いただきまして、先生は昨年六月、南アフリカに行っていただいたようでありまして、大変な御尽力をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。  途上国のことでございますけれども、フードバリューチェーンの構築には我が国産業海外展開の推進が極めて重要だと考えているところでございまして、農林水産省といたしましては、昨年六月に策定されまして、グローバル・フードバリューチェーン戦略に基づきまして、民間企業が関係府省や機関の持つ企業支援施策を活用しやすいように、官民協議会を通じて情報の共有を進めているところでございます。  また、昨年六月にはベトナム、それと九月にはミャンマー、十二月にはブラジルと、二か国間の政策対話を実施をいたしまして、我が国企業が事業展開する際に直面している課題を官民一体となって先方政府と議論しているところでもございます。  今後も官民協議会と二国間政策対話を実施するとともに、平成二十七年度予算によりまして、新たに官民ミッション派遣と各種調査を実施し、我が国産業海外展開が円滑に進められるよう支援をしてまいりたい、このように考えております。
  190. 横山信一

    ○横山信一君 御紹介いただきましたように南アフリカに行ってまいりましたが、そのときにはやはり日本の種苗会社が非常に頑張っておりました。  政務官をしておりましたときに、アジア種子会議という、これ神戸で開かれたんですが、そこにも参加をさせていただきまして、正直、世界で活躍する日本の種苗企業というのは世界のトップテンに入るような非常に優れた企業が入っているんでありますけれども、政府の支援を受けないで頑張ってきたということが自慢のようでございますが、そうしたグローバル企業がこうした農業分野の中で頑張っている姿を見たというのは本当にうれしく、また誇らしくもあったわけであります。  そうした種苗会社がJICA事業を活用して、市場志向型ではなかった現地の農業者に、市場に受け入れられるような農産物の栽培と経営指導というのを行っておりました。  この優良種苗の提供というのは、農業生産を増大させるだけではなくて生産コストそのものを低減させることができますので、こうした途上国において小規模農業者が活躍できる機会を提供するということは、種苗を核としたフードバリューチェーンの構築が進むというふうにも考えられるわけですが、現地で展開しているこうした企業への支援、あるいは現地の農業生産における種苗の役割というのは重要というふうに考えておりますけれども、これらに対し今後どのように取り組んでいくのか伺います。
  191. 小泉昭男

    ○副大臣(小泉昭男君) 種苗の関係でございますね。  我が国の種苗産業、野菜、花につきましては、当然、現地の気候、これは大きな問題でございますので、それに合うような、ニーズに合わせた品種を開発する、そういう技術で、世界的にも強みを持っていることは御指摘のとおりでございまして、いわゆるF1、雑種第一代ですね、この種子の委託生産を五十か国以上で行っているわけでございまして、世界各地に種子を提供、供給をしているわけであります。  具体的には、ある種苗会社でございますが、世界のブロッコリーの約六五%、トルコギキョウの約七五%のシェアを有する。また、別の種苗会社を見てみますと、キャベツについて、インドネシアで約七〇%、タイで五〇から六〇%のシェアを有すると承知をいたしております。これは、種子になりますと高い発芽率も評価の一番大きな基準になってまいりますので、種苗会社の努力が認められているんではないかな、こういうふうに思います。  種苗、食関連企業を含めまして、海外展開する法人が活動をするに当たりまして、現地の人材確保が重要なことでございますので、農林水産省といたしましては、本年一月から、重点輸出先国ですね、ASEAN諸国の大学に順次寄附講座を開設をいたしております。この講座につきましては、日本民間企業の専門家を講師といたしまして、種苗生産から食品の加工、流通、消費、当然川上から川下までということになりますが、フードバリューチェーン全般について実質的な知識、技術を伝えて人材育成を進めているところでございます。  優良種苗から生産される高品質な野菜、そしてその品質を生かしつつ、加工、流通、外食などの川下の産業において活用されることでフードバリューチェーンが構築されると考えております。このために、引き続き、本取組の着実な実施によりまして種苗生産を含むフードバリューチェーンの強化をしっかりと支援してまいりたい、こういうふうに考えております。
  192. 横山信一

    ○横山信一君 フードバリューチェーン、二国間政策対話等を官民一体の協議会で進めていくということで、この種苗産業も非常に重要なプレーヤーの一つというふうに考えておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  ところで、輸出をしますと当然入ってくるわけでございまして、輸入ということが出てくるわけでありますが、農林水産物の輸出入にとって欠かせないものがあります。それは検疫でございます。貿易と防疫と、日本語で言ってしまうと同じ発音になっちゃうんですが、いわゆるトレードとそれからサニタリーという、その貿易と防疫というのはアクセルとブレーキのようなもので、どちらが勝っていてもいいものではなく、バランスが重要だというふうに考えております。  我が国の家畜伝染病の防疫体制は、口蹄疫や鳥インフルエンザの対応などにおいて、地方公共団体と連携して迅速に対応するための体制の構築が進められております。しかし、東日本大震災以降注目されてきた実は防疫がございます。それは魚介類の防疫でございます。  震災で被害を受けた宮城県では、実はカキ種苗の大部分がこの宮城県で生産をされていたと、生産を担っていたという経緯がございまして、このカキ種苗が一時大変に不足してしまったと。そんなところから海外から種苗を輸入しようという動きが出たわけなんですが、実は当時、フランスあるいはオセアニア地域ではカキヘルペスウイルスというのが蔓延をしておりまして、このカキが大量死する状況が見られておりました。そこで、農林水産省では、昨年八月と十二月に水産防疫専門家会議を開催して、この水産防疫の省令改正に向けて準備を進めてまいりました。  そこで、この水産防疫、今後どのように変わるのか、そしてまた防疫体制はどうなるのか、伺います。
  193. 小泉昭男

    ○副大臣(小泉昭男君) 御指摘の部分でございますけれども、近年、世界各地から我が国に水産動物が輸入されているわけでありますけれども、横山先生御指摘のとおりでございまして、海外では、養殖業に多大な被害をもたらすリスクの高い疾病が大変発生をいたしております。これら疾病の侵入を未然に防ぐことが極めて重要であると、こういう認識は共有をいたしていきたいと思います。  そのため、科学的知見に基づきまして防疫体制を強化するため、昨年八月でございますけれども、水産防疫専門会議を立ち上げまして、カキやホタテガイなどの貝類等の疾病のリスク評価を行いまして、その結果を近く取りまとめていくことといたしております。  今後につきましては、リスク評価の結果を踏まえまして、水産資源保護法に基づき、貝類等の疾病を新たに輸入防疫対象疾病へ追加するなどをいたしまして必要なリスク管理措置を検討するとともに、動物検疫所の関係機関と連携をいたしまして輸入防疫体制の強化を進めてまいりたい、このように考えております。  また、産地におきまして、都道府県及び養殖業者等の関係者に対しまして貝類等の疾病の侵入を未然に防ぐ取組の重要性を丁寧に説明をし、国内の水産防疫体制の強化を進めてまいりたい、このように考えておりますので、今後とも御指導のほどお願いいたします。
  194. 横山信一

    ○横山信一君 実は、貝類の防疫体制というのは遅れていた分野でございまして、いろんな専門家からの指摘もあったわけでありますけれども、これを機会にこの防疫体制整備が進むことを期待をしております。  それでは、厚労省の質問に移らせていただきたいと思いますが、最初に、障害者雇用の定着支援について伺います。  障害者の雇用は平成二十六年に四十三万人を超えておりまして、十一年連続で過去最高を記録するということで、着実に進展をしていることは大変に喜ばしいことだというふうに思います。一方で、就労後の障害者に対する定着支援というのが重要だと、就職をあっせんするところまでは今たくさんいろんなものがございますが、実は定着をさせるというところが今後重要な課題になってくるというふうに考えております。  それは、自閉症や発達障害の人たちにとってみれば、例えば自分を担当してくれていた上司とかが人事異動でいなくなったりする、あるいは職場の机の配置を変えるとか、それだけでもう全く別の職場に変わってしまうわけでありまして、自分が勤めていた会社から全く別の会社に変わるぐらいの大きな変化ということで、健常者にとっては当たり前のことが、こうした障害者にとっては大きなギャップに変わってしまうということがございます。  そういうときに新たにジョブコーチを頼んでも、期間が切れていればもう来ないわけでありますから、そういう意味では、そうした定着支援が今後重要になってくるというふうに考えますけれども、この就労後の定着支援についての取組、そしてまた障害者の身近な地域において就業面と生活面の一体的な相談と支援を行う障害者就業・生活支援センター、この体制強化も必要というふうに考えますけれども、大臣の見解を伺います。
  195. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先生今御指摘のように、障害者の雇用が増える一方で、定着でいろいろ困難に直面しているという障害者がたくさんおられることも事実でありまして、今先生御指摘いただいたように、二つの主なルートでこの定着支援を行っているのが現状でありまして、一つはジョブコーチ、もう一つは障害者就業・生活支援センターということでございます。  職場に専門のスタッフが出向いて障害者及び事業主に対して個別具体的な事案に対する助言とか指導を行うのがジョブコーチでありまして、今お話があったように、ずっといるわけではないというような問題も抱えながら、しかし有効な手だての一つとしてやってまいりました。  もう一つの障害者就業・生活支援センターにおきましては、今お話があったように、就業面と生活面の両方を幅広い観点から相談に応じる、あるいは事業所への助言をするということをやってまいりまして、二十七年度の予算では、定着支援担当者の増員配置、それから職場定着が難しい事例などに対応するために新たに職場定着に係る高度な経験と知識を有する人材を、まだスタートでありますから若干少ないわけでありますけれども、二十名盛り込んで、二十七年度予算に入れているところでございます。  今後とも、こうした取組によって障害者の職場定着を推進してまいりたいというふうに思います。
  196. 横山信一

    ○横山信一君 もし御紹介していただければ、この定着支援担当者、今何人いて、二十人新たに増やした部分はどういうところなのかということを御説明いただければと思います。
  197. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先ほどの定着支援担当者は、去年大分増やしまして、二十五年度は三十人だったわけですけれども、二十六年度は二百人、そして二十七年度は、これは若干ですけれども、二百五名まで増やしております。それから、主任職場定着支援担当者と呼んでいますが、今申し上げたように、少し高度な経験と知識を持った方に来てもらうということで、二十名配置をしているわけでございます。  そういうことで、主な支援策は、中身についてはもう先生御案内のとおりであろうかと思いますので、こういうような形で今増やしつつあるということでございまして、これを更にこのセンターにつきましては増やしていく方針でございますけれども、取りあえず今回そこまで増やしているということでございます。
  198. 横山信一

    ○横山信一君 このセンターを利用できる地域がますます増えるように、この支援担当者の増員も、またセンターの拡充も是非お願いしたいというふうに思います。  今日、私、ここにバッジ付けているんですが、このバッジ、「あかりちゃん」といいまして、これは実はてんかんを持っている人たち、社会の中でてんかんがあるという、そういう社会の実現をということで、てんかんは実は難しい病気ではないんだということと、それから、どこにでもいる、百人に一人というふうにも言われておりますけれども、実はそのてんかん患者の多くは薬でコントロールできるということでございます。  今回の予算の中に、てんかんの地域診療連携体制整備ということが盛り込まれております。一方で、今、日本は高齢化社会を迎えております。また、高齢者にはてんかんが増えるという海外の知見もございます。  そういうことで、高齢者のてんかんの実態の調査と早急な対応ということを大臣にお聞きをして、質問を終わりたいというふうに思います。
  199. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 高齢者のてんかんの有病率につきまして厚生労働科学研究において調査を行っておりまして、現在この結果の取りまとめが進められているところでございますので、追ってその結果が出てきたときには全体像が分かると思います。現在、これ取りまとめ段階ではありますけれども、今先生御指摘のように、六十五歳以上の方のてんかんの有病率が高いということは、示唆をされているということは、もう既に分かっているところでございます。  厚労省としては、平成二十七年度からの新規のてんかん地域診療連携体制整備事業というのをやっておりますけれども、そこにおいて、これからスタートするわけでありますけれども、てんかんに関する普及啓発、それからてんかんの方に対する医療機関の情報提供、それから地域における診療連携体制整備などを二十七年度から新たにこの事業の中で行うということにしておりまして、この中で高齢者のてんかんの方々についても適切な医療が行われるようにいたしたいと思っているわけでございます。  全国で五か所程度のてんかん診療拠点機関というのを置いて、その周りに、言ってみれば医療機関、それから保健所、あるいは精神保健福祉センター、かかりつけのお医者さん、そういったところのネットワークをきっちり組むという中で、てんかんの方々が安心して暮らせるようにということでやってまいりたいというふうに思っております。
  200. 横山信一

    ○横山信一君 以上で終わります。
  201. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で横山信一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  202. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、藤巻健史君の質疑を行います。藤巻健史君。
  203. 藤巻健史

    藤巻健史君 維新の党、藤巻です。よろしくお願いいたします。  質問通告とちょっと順番を変えましてやらせていただきたいと思いますが、まず最初に、日銀の買いオペについてお聞きしたいと思います。  日本では、財政法第五条で日銀引受けを禁止されていると思いますけれども、どうしてなのか、財務大臣にお聞きしたいと思います。私も一応資料を用意しましたので、一ページ目を見ながら御説明いただければと思います。
  204. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、財政法第五条で日銀の国債引受けを禁じておるということを聞いておられるんだと存じますが、これは戦前、戦中を通じまして、これは国債を日銀が引受けにより発行した結果、急激なインフレにつながっていったという歴史があります。一ドル二円が結果として三百六十円と百八十倍ぐらいになった、単純計算すればそういうことになろうと思いますが、国債の日銀引受けを原則として禁止する、国債の市中消化の原則を定めたものだと理解しております。
  205. 藤巻健史

    藤巻健史君 引受けは禁止されております。まさにおっしゃるとおりだと思うんですけれども、日銀は国債の買いオペなら許されていることを、私の作りました表だと右側の形だったらば許されているわけですが、ということは、右側の国債買いオペならばハイパーインフレを起こす可能性がないというふうに理解されるのでしょうか。日銀総裁、お答えください。
  206. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行の現在行っております量的・質的金融緩和の下で国債を買い入れているわけですが、これはあくまでも金融政策上の目的、つまり二%の物価安定の目標の実現のために行っているものであります。  また、国債買入れは、国債の直接引受けとは性格が異なっておりまして、市場から金融機関等を相手として買い上げているというものであります。
  207. 藤巻健史

    藤巻健史君 要するに、市場を通して買うと市場のチェックを受けるからハイパーインフレになることはないという御回答だったと私は理解いたしますが、実質的に今、日銀のやっていることは引受けと同じではないか。  要するに、実質的に財政法五条に抵触しているのではないかというふうに思うのですが、というのは幾つか理由がありまして、例えば、私は昔ロンドンで、日本の銀行に勤めていてロンドンにおりましたけれども、ユーロ円債というのがありました。ユーロ円債というのは発行日に邦銀は買うことできなかったんですね。そういう通達だったかな、通達がありましたので、私どもは外国の銀行に頼んで、一日、二日持っていてね、要するに、百で発行したものを外国の銀行に百で売っておいて、二日後ぐらいに百一で買うと、あうんの呼吸でそういう了解を得て買っていたわけです。これは、実質的に日本の銀行が、一日か二日遅れましたけれども、発行日に直接買っているのと同じなんですよね。まさにそれと同じようなことで、確かに財政法第五条は回避しているかもしれませんけれども、実質的に同じではないか。  特に、この前、財政金融委員会、二月の二十何日かに、私、二十六日だったんですけれども、日銀の方に聞きました。来年の満期、二十七年度の満期国債、幾らあるか。三十・一兆円とおっしゃっていましたよ。それで、八十兆、今度買い増すように買うというんですね。一昨日の金融政策決定委員会でもそう決まりました。ということは、三十兆分、三十・一兆円分の満期を買い増して、もう一回買って、更に八十兆買わないと八十兆円増えないわけです。ということは、平成二十七年度、日銀は百十兆円買うわけです。  政府の発行額、平成二十七年度、新規国債三十七兆、借換債百十六兆、合計百五十三兆なんですよ。百五十三兆円中百十兆も買っていて、これ引受けと言わないんですか。まさにマネタイゼーションだと思うんですよね。私、これ外国人に聞いたら、これマネタイゼーションどころか、もうフルサイズのマネタイゼーションだと言っていましたけれども、それについて、日銀総裁、どうお答えでしょうか。
  208. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、日本銀行が行っております国債の買入れ、これは市場からの買入れですので、どのような国債でも構わないわけですけれども、市場にある国債は相当な規模に上っております。そういうものを金融政策上の目的、つまり二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するという目的のために行っているわけでありまして、先ほど申し上げたように、日本銀行による国債の引受けではないし、そもそも金融政策のために、物価安定のために行っているものであり、法律上の問題その他は全くないというふうに思っております。
  209. 藤巻健史

    藤巻健史君 法律上は回避しても、実質的に極めて危険な状況じゃないかと思うわけですね。百五十三兆中百十兆買う、これはまさに日銀が政府のお財布に、打ち出の小づちに変わったようなものですよね。要するに、政府が例えば石油を買いたい、中近東から石油を買いたい。お金がない、税収は半分しかないからお金がない。国債を渡して日銀が後ろで紙幣を刷って、その紙幣を国債と交換で政府に渡して、それで中近東の油買っていたら、中近東なんてもうしばらくしたら売ってくれなくなりますよ、そんな紙切れみたいなお金で払っていたら。  ということは、物すごいハイパーインフレが実態的に来るリスクがあるということだと思うんですが、それでも法律に適合しているから日銀はお金を刷るというのは、外国人に言わせればフルサイズのマネタイゼーションをやっていてもいいとおっしゃるんでしょうか、お知らせください。
  210. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、日本銀行の量的・質的金融緩和の下での国債の買入れというのは、あくまでも金融政策上の目的、つまり二%の物価安定の目標の実現のために行っているわけでありまして、ハイパーインフレをもたらすつもりもありませんし、ハイパーインフレのようなものは全くあり得ない。必ずそういったことにならないように金融政策は運営してまいります。
  211. 藤巻健史

    藤巻健史君 異次元の量的緩和、まあ確かに今、株も上がって、ベアも上がってなかなかいい傾向ありますけれども、この量的緩和の評価というのは事後的に決まるわけですね。要するに、今総裁がおっしゃったように、うまくハイパーインフレにならなければ、結果としてあの量的緩和は大成功だったということになりますし、万が一ハイパーインフレになるようなことがあれば、これは大失敗もいいところで、今までのプラスが吹っ飛ぶどころか、国民に大変な生活、地獄を味わわせることになるかと思うんで、本当に出口政策があるかについてお聞きしたいと思うんですが。  私、今まで黒田総裁に聞いて、いつも時期尚早としかお答えになっていませんけれども、私思うに、方法は一つしかないですよ。方法は一つしかない。それは、FRB、アメリカの連邦準備制度委員会が公表している方法、要するに、二ページ目で見ますと、これ日本銀行の例ですけれども、この右側の当座預金、ここの、今〇・一%利息を付けていますけれども、ここの利息を上げていくという方法で金利を誘導するという方法、FRBが提唱していてやろうとしている方法、日銀もそれしかないと私は思うんですね。  この前、実は参議院の調査会、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会で三人の日銀OBの方をお呼びしたんですね、参考人として。岩田元日銀副総裁、それから菅野さん、早川さん、優秀なる日銀OBの方に聞いて、まさに、口裏を合わせるわけではないんでしょうけれども、やっぱり同じ方法しかないようなことをおっしゃっていたわけですよ。私もそうだし、日銀OBの方もみんなそれしかないと思っているわけです。黒田総裁は時期尚早とおっしゃいますけれども、基本的にはみんなそれしかないと思っているわけですが。  ここで、総裁にお聞きしたいんですけれども、これ、アメリカの場合は、先ほどの表で見ると左側にある資産、国債の利回りは極めて高いものを持っていますから収入が多いわけですね。収入が多ければ、当然当座預金の方に金利を付けていって高くしても、これは何とかもちますけれども、日銀が持っている国債、べらぼうに低いですよ。私もやっぱりこの前、財政金融委員会で聞きましたところ、二〇一三年度の平均、〇・四八二%だって言うんですよ。これ、〇・四八二%しか金利がなかったら、収入が少ないわけですから、負債の方を金利上げていったら一発で赤字垂れ流しになっちゃいますよね。  それで、二〇一三年度末で〇・四八二、それ以降、ぐんぐん国債の利回りは下がっているわけです。今なんて二年債で〇・〇%だし、五年債で〇・一%、十年債で〇・三六ですよ。もう全然収入がないときに、支払の、負債の方で金利を上げていったら、日銀、損の垂れ流し、そして倒産の危機だってあると思うんですが、そういう危機というのは日銀は考えていないんでしょうか、お答えください。
  212. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 従来から申し上げていますとおり、量的・質的金融緩和の出口の具体的な方法、時期等につきましては、現時点では時期尚早だということでありまして、具体的なことを申し上げて、かえって市場に不測の影響を及ぼすということも好ましくないと思いますので、そのようにお答えしているわけでございます。  日本銀行の収益に及ぼす影響ということにつきましては、これも以前申し上げましたけれども、中央銀行のバランスシートが拡大する過程では収益が押し上げられる、それから縮小していく、あるいは出口の過程では収益が押し下げられるという方向はあるわけでございますけれども、出口についての具体的な議論自体がまだ時期尚早でございますので、どのような手段をどのような順序で取っていくかという進め方に、あるいはその時点での金利、金融情勢などによって収益の動きは変わりますので、現時点で具体的にお話しするということはやはり適当でないというふうに思っております。
  213. 藤巻健史

    藤巻健史君 出口まだ見えていないとおっしゃいましたけれども、やはり財政金融委員会でしたかね、アメリカが先行していますので、金融緩和終了についてはアメリカが先行しているので、アメリカを参考にしながら進めるとおっしゃっておりましたが、FRBの場合は二〇一三年の段階で、テーパリングが終わった後にFRBは潰れないかどうか、すなわち収益的に赤字にならないかどうかということをシミュレーションを行っていますけれども、日銀は行っているんでしょうか、お答えください。
  214. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、具体的な出口の手法、順序、あるいはそのときの金融情勢等によって収益の動きというのは変わり得るわけですので、具体的に今何か申し上げるということは適当でないと思います。言わばエクササイズとしていろいろなことが考えられることは委員の御指摘のとおりでありますが、具体的なことを申し上げるのは適当でないというふうに思っております。
  215. 藤巻健史

    藤巻健史君 申し上げられないというふうにおっしゃっていましたけれども、やっているというふうに理解しました。  それで、ちょっと時間がなくなってきたので、次にバーゼル委員会での議論についてお聞きしたいんですが、三月十日の日経新聞で、国債保有ならば資本増強をという記事が出ました。これ、バーゼル委員会の議論が出ますと、国債の売却の可能性が出てきて、かなり財政は、長期金利が上がっちゃいまして日本の財政はめちゃくちゃになる可能性もあるし、マーケットもトリプル安になっちゃう可能性あると思いますが、バーゼル委員会での議論の進行状況を財務大臣にお聞きしたいと思います。
  216. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) バーゼル銀行監督委員会において、国債に限らず銀行勘定で保有する資産、負債全体の金利リスクの規制の枠組みに関する検討というものが行われているというのは、これ公表されているとおりであります。引き続き国際交渉中の真っ最中の事項でもありますので、この議論の方向性等々についてコメントするというのは差し控えさせていただきます。  記事にもありますように、邦銀のというか、日本の銀行の資本の積み増しを迫られているというような感じのことを心配しておられるんだと思いますが、そういうように方向性が固まっているわけではありません。
  217. 藤巻健史

    藤巻健史君 時間がないので次の質問に入りたいと思いますが、一九八五年から一九九〇年というのはあの狂乱経済と言われたバブルの時期なんですが、そのときの消費者物価指数、特に全国、生鮮食料品を除く総合で結構ですので、八六年から八九年までのCPI、消費者物価指数の経緯をお教えください。
  218. 井波哲尚

    政府参考人(井波哲尚君) お答えをいたします。  御指摘の一九八六年、昭和六十一年から一九八九年、平成元年までの消費者物価指数、全国、生鮮食品を除く総合の年平均でございますが、現在、基準年を二〇一〇年として公表しておりますので、その年を一〇〇とした指数で見ますと、一九八六年が八九・〇、八七年が八九・二、八八年が八九・六、八九年が九一・七でございます。これを対前年比、前年との比較で見ますと、八六年が〇・八%、八七年が〇・三%、八八年が〇・四%、八九年が二・四%のそれぞれ上昇でございます。
  219. 藤巻健史

    藤巻健史君 この数字は、今お聞きすると、黒田日銀総裁が目標としている二%よりもはるかに低いわけですね。それで狂乱経済が起きたわけです。  昨日、国土交通省から公示価格が出まして、東京銀座の山野楽器前、一平米三千三百八十万円、上昇率一四・二%に及びます。バブルの九割の水準に戻ってきたということですね。それと、かつ、株価も今、昨日で一万九千五百四十四円ですが、これ、大体八六年末の日経平均と同じ。そして、その三年後には、八九年十二月がまさにピーク、三万八千九百十五円まで、二倍に行っちゃったんですよ。  このように、消費者物価が安定していても土地と株が上がっていくとバブルになるというか、経済が狂乱して後でとんでもないことになっちゃう可能性があるんですが、そういうふうに土地とか株が狂乱していても二%に固着するつもりなのか、日銀総裁、お答えください。
  220. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 現在、日本銀行は、二%の物価安定の目標の早期実現を目指して量的・質的金融緩和を進めております。その際には、経済物価見通しに加えて、上下双方向の様々なリスクを点検し、展望レポートなどで公表をいたしております。  こうした枠組みの下で、御指摘のような資産価格の動向などについても点検をいたしておりますけれども、現時点で、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていないというふうに思いますが、引き続き、今申し上げたような枠組みの中で様々なリスク要因を点検していくということはお話しできると思います。
  221. 藤巻健史

    藤巻健史君 当時の日銀総裁でした澄田総裁が辞められた後、日経BP社の「バブル」という本でこういうことをおっしゃっているんですね。  澄田さんの話ですよ。確かに八七年頃から東京の地価は二桁の上昇率を示し、株価もかなり速いペースで上昇してきました。それなのに、すぐに金利引上げを実行しなかったのは、後から考えると認識が不十分だと答えるしかありません。ただ、土地や株、それに書画、絵といった資産の価格だけが急速に上昇している意味を早く見抜けなかったことについては、私がその責めを負わなければならないと思っておりますと書いていらっしゃいますので、まさか、土地と株の値段は上がっているのにそのまま量的緩和を続けるということのないように、是非御注意していただきたいと思います。  ただ、そのときに、量的緩和が、やめたときに政府のポケットはどうなるか。今、ほとんどが日銀が政府にお金を貸しているわけですから、ほとんど以上が貸しているわけですから、果たして日本の財政はもつのかということを非常に私は危惧いたします。  これで質問を終わりたいと思います。
  222. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で藤巻健史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  223. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、辰巳孝太郎君の質疑を行います。辰巳孝太郎君。
  224. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 乗客乗員五百二十名が犠牲になった御巣鷹山の事故から今年で三十年。日本航空の経営破綻、そしてJALの再建過程で行われた整理解雇、空の安全についてお聞きいたします。  まず、政府はJALにどのような支援をしたのか、説明してください。
  225. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 日本航空の再生に当たりましては、二〇一〇年一月に企業再生支援機構が支援決定を行いまして、同時に、東京地方裁判所において会社更生手続の開始決定が行われたものと承知しております。企業再生支援機構による支援といたしましては、三千五百億円の出資が行われたほか、同機構と政策投資銀行による三千六百億円のつなぎ融資等が行われたものと承知しております。
  226. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 なぜJALに支援をしたんですか。
  227. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 日本航空の経営破綻に際しましては、当時の政権下におきまして、同社が我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っており、我が国国民生活、経済社会活動にとって必要不可欠であることから、企業再生支援機構による全面的な支援の下、その再建を図ることとしたものと認識をしております。
  228. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 JALの更生計画では、一万六千人もの大量の人員削減を伴うものでもありました。労働行政に責任を負う厚生労働大臣ですが、企業再生機構の支援、買取り、出資の決定に当たり、どのように対応したんでしょうか。
  229. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 企業再生支援機構日本航空に対する支援決定を行う際に、厚生労働省にも事前に機構より意見照会がございました。その際、厚生労働省からは、日本航空、日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルに対する支援決定については、念のため申し上げると、これは民主党政権下のことでありますが、この支援決定については異存がない、それから支援決定後速やかに労働者との協議を行うよう指導するとともに、事業再生計画の実施につき助言、指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする旨の意見を提出をいたしております。また、機構の買取り決定、それから出資の決定の際にも事前に意見照会があり、同様の趣旨の意見を提出してございます。
  230. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 雇用の安定等に配慮した労働者との十分な協議の状況への配慮ということになっているんですが、労働大臣、それは尽くされたんでしょうか、配慮を尽くされたんでしょうか。
  231. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今の機構が日本航空に対する支援、買取り、出資を行うか否かを決定するに際して、厚生労働省から提出した意見も踏まえて行われたものと認識をしております。
  232. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、これ実際には十分な協議、労使協議ですね、尽くされていなかったわけなんです。人員削減目標も、希望退職、自主退職などで、既にパイロットで百十名、客室乗務員で七十八名も超過達成をしていたわけなんですね。にもかかわらず、その年の二〇一〇年十二月三十一日の大みそかに、パイロット八十一名、そして客室乗務員八十四名の合計百六十五名が整理解雇されたわけであります。この整理解雇の無効を求めて裁判が行われ、昨年六月の東京高裁で原告敗訴の判決、今年二月には最高裁は上告棄却、そして不受理の決定をしたわけであります。  ところが、機構がこの整理解雇直前に行った不当労働行為が東京都労働委員会で認定され、昨年八月、地裁でも認められました。それがどのようなものだったのか。平成二十三年(行ウ)第五一〇号五十七ページの「本件発言は、」以降の一文を読み上げてください。
  233. 菅野雅之

    最高裁判所長官代理者(菅野雅之君) お答えいたします。  ただいま委員指摘の部分には、本件発言は、使用者(更生三社の更生管財人)である機構の労務担当のディレクター及び管財人代理が、参加人らの各執行部に対し、労働組合の内部意思形成過程である争議権確立のための一般投票が行われている最中に、参加人らが争議権を確立したときは、これが撤回されるまで、機構は、更生三社に対する三千五百億円の出資を行わない旨意思決定したことを伝えるもので、争議権を確立したことによって原告の二次破綻、ひいては参加人らの組合員らの解雇にもつながるという参加人らにとって不利益なことが生じる旨伝えるものであるから、労働組合の運営である争議権の確立に対して抑制を加える行為にほかならず、労働組合法七条三号に言う労働者の労働組合の運営に介入する行為であると認めるのが相当であるとの記載がなされております。
  234. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 機構、管財人が行った行為がはっきりと断罪されているわけであります。機構は虚偽の説明までして不当労働行為を働いたということも、この同判決では指摘をされております。  厚生労働大臣、この判決をどのように受け止めておられますか。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 本件につきましては、今お話がありましたように、二〇一四年の九月九日にJALが控訴をして、現在、東京高等裁判所に係争中でございまして、コメントは差し控えたいというふうに思います。
  236. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 これ、政府が出資する支援機構の管財人による不当労働行為ですから、私は全く無責任な答弁だと思います。  この整理解雇の必要性については、元会長の稲盛氏が必要なかったと裁判でも言っております。さらに、手続の妥当性についても、この不当労働行為で欠いていると言わなければなりませんし、そのことを全く考慮せずにこの解雇を追認した高裁判決、最高裁の上告棄却は不当判決だと言わなければなりません。  では、このJALで、この現場で、今一体何が起こっているのかということを質問していきたいと思います。  今、JALでは客室乗務員の退職が後を絶ちません。確認しますけれども、JALは整理解雇後、客室乗務員を何名採用していますか。
  237. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 日本航空における客室乗務員の採用は二〇一二年度から再開しておりまして、二〇一二年度は約六百五十名、二〇一三年度は約六百六十名、二〇一四年度は約五百八十名を採用していると聞いております。
  238. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 これは皆さんの手元の資料二に付けております。  つまり、二〇一二年、二〇一三年合わせて千三百十名を採用しながら、二〇一四年現在で四百九十四名しか増えていない。つまり、六割以上は辞めているわけですね。JALはベテランを切りましたから、これ、定年退職で辞めている人は基本的にはいません。四千九百十五人のうち契約社員が七百七十三人、つまり入社三年未満の新人ばかりなんですね。二〇〇六年と比較しても、比率が三倍になっている。この後、更に採用していますから、この比率は更に高くなっております。  二〇一五年の採用まで含めると、二千二百八十名を新規に採用することになっております。しかし、新規で雇っても辞める、そしてまた雇う、採用する。辞めたらまた採用すればいいというのは、私はブラック企業の典型やというふうに思うんですね。  JALの平均勤続年数も見ておきたい。  二〇〇八年は十三・八年だったわけですが、二〇一四年は九・五年。つまり、七割に落ち込んでいる。これで現場の労働者が新人の非正規に置き換わっているということが私言えると思うんです。  ですから、経験者が減って、現場では余裕がなくなっている。JALでは、カートの転倒や飛び出しなど基本的なミスが相次いで、今年に入っても、ドアモードの変更を忘れてドアを開けてしまい、緊急脱出用のスライドが危うく出る直前までなりました。  国交大臣にお聞きします。新人が多くベテランが少ない職場では、運航の安全に影響を与えると思いませんか。
  239. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 日本航空を含めまして、航空会社で採用された客室乗務員は、認可された運航規程に従い適切な教育訓練を実施し、必要な能力を有していることを確認した上で客室業務に従事させることとしています。また、航空会社において客室乗務員として任用された後も会社において定期訓練を行っており、国土交通省といたしましても、定期及び随時の安全監査を通じまして、運航の安全が確保されていることを確認しているところでございます。
  240. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 事故がないことイコール安全であるとは私は限らないと思うんですね。  私自身の聞き取り、組合が行ったアンケート調査を紹介したいと思います。かつては複数で一人の新人を見ていたけれども、今は一人で複数の新人を見なければならない。新人ばかりで自分がミスを犯すのではないかとの焦燥感に駆られる。深刻なのは、現場全体に余裕がなくなり、新人がベテランに気軽に分からないことを尋ねにくくなっている。私は、こういう声だと思うんですよ。ですから、現場からも、解雇されたベテランに帰ってきてほしいという、そういう切実な声が出ているわけであります。  これ、客室乗務員だけじゃないんです。パイロットもこれ深刻です。パイロット不足はどのように政府は認識していますか、その対策も含めてお答えください。
  241. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 現在、我が国におきまして、LCCの急速な事業拡大等を背景に、LCCや中小の航空会社におきまして短期的なパイロット不足が課題となっております。さらに、大手航空会社を含めた我が国航空業界全体では、今後の航空需要の増大やパイロットの大量退職に起因して、二〇三〇年頃にかけて中長期的なパイロット不足の発生が懸念されております。  現在、我が国航空会社への新規のパイロット供給数は年間百五十から二百名程度でございますけれども、こうした中長期的なパイロット不足に伴いまして、二〇三〇年には年間三百から四百人規模で新規パイロットの供給が必要になると見込まれております。そのため、こうした短期的、中長期的なパイロット不足に対応していくために総合的な対策を講じていくことが必要とされております。  このような状況を踏まえまして、国土交通省におきましては、パイロット等の不足に対応するため、交通政策審議会の下に設置された小委員会において、昨年七月にパイロット等の養成確保策を取りまとめました。  これを受けて、短期的には、即戦力となるパイロットの確保のために、自衛隊パイロットの割愛、それから外国人パイロットの活用促進のための制度の見直し、それから健康管理体制充実等による現役パイロットの有効活用の三本の柱を中心といたしまして、必要な対策に既に着手しております。中長期的には、若手パイロットの供給拡大を図るために、航空会社による自社養成の促進、それから奨学金制度の充実等による民間養成機関の供給能力の拡充、そして航空大学校の更なる活用、この三つの柱を中心に必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
  242. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 先ほど、二〇三〇年問題というのがありました。JALはベテランを軒並み解雇しておりますから、それよりも六年早く、二〇二四年問題となるわけですね。あと九年です。問題は、整理解雇以降にこのJALでは百四十四名のパイロットの退職があり、グループも合わせますと二百五十人にも上るということであります。  じゃ、なぜ辞めていくのか。組合のアンケートを紹介しますが、ここでは会社の信頼関係を理由に挙げて転職を考えるとの回答が多いわけです。整理解雇を挙げて、乗員は大切にされていると思えるような職場環境をつくるべきだという声が上がっており、整理解雇が乗員のモチベーションをも低下をさせているということがうかがえると思います。  大臣にもう一度聞きますが、モチベーションも下がる、乗員が流出するようなこういう事態にJALはなっている、これでは運航の安全に支障が出るんじゃないでしょうか。
  243. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 航空需要の増大に対しましてパイロットが不足している、若い人をどう参入していただくかということについて、航空局長から今お話があったとおりです。  日本航空におきまして、整理解雇の問題によってパイロットのモチベーションが下がっているとは聞いておりません。  日本航空も含めて、航空会社のパイロットは、航空会社において操縦業務に従事させるに当たりまして、認可された運航規程に従い適切な教育訓練を実施し、必要な能力を有していることを確認をしているところでございます。また、その後も航空会社において定期訓練、審査を行い、必要な能力が維持されていることを確認しておりまして、国土交通省も定期及び随時の安全監査をやっておりまして、安全運航に必要な航空会社体制が確保されていることを確認しているということでございます。
  244. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、モチベーションの低下ということは聞いていないということをおっしゃいましたけど、会社がそんなの言うはずはないわけですね。実際にはぎりぎりなんですよ。訓練という話がありましたが、稼働が上がって、乗務時間制限に迫るパイロットが続出して、シミュレーション訓練に当たっていた教官などを路線運航に投入せざるを得なくなっていると。ですから、訓練が進まないという弊害が出ているわけでありますね。  繰り返しますが、事故がないということイコール安全ではないということであります。JALの現場で起こっている事態を私は重く見るべきだと思います。  それから、割愛制度がありましたけど、もう一度ちょっと、政府、割愛制度の概要を教えてもらえますか。
  245. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 一時停止をしておったわけでございますけれども、自衛隊におきまして操縦士をやっておられた方、一定の年齢を超えるとなかなか戦闘機などの操縦に適さない、そういう方でもまだ民間の航空機の操縦というものは十分にしていただけると、こういう方について希望を取って、支援協会が民間航空会社とのマッチングをしていただくと、こういうことで割愛をする制度でございます。
  246. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 整理解雇されたパイロット八十一名中、実は二十四名が割愛制度を利用してJALに行かれた自衛隊出身者であります。  防衛大臣、あなたは元自衛官。かつての同僚がまたあの空に帰りたいと闘っているわけであります。割愛制度で送り出す側として整理解雇問題の解決は必要不可欠だと思いますけれども、どうですか。
  247. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 平成二十二年十二月に日本航空が行った操縦士の整理解雇に元自衛官が含まれている事実については承知しておりますけれども、本件は個別企業における雇用関係に係る事案でありまして、当省としてはコメントする立場にはありません。  いずれにせよ、割愛制度というのは、自衛隊操縦士の無秩序な流出を防止し、適切な年齢構成を確保することに加え、民間航空業界の発展という観点からも意義があると考えておりまして、今後もこの制度を本人と民間航空会社双方の希望を踏まえた形で活用してまいりたいと思っております。
  248. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 非常に冷たい対応、答弁だと思いますね。  これだけ人員が足りない、しかも新規採用しているのに戻さない。私は、常識的に考えて理解できません。JALには、では全くお金がないのかと。  改めて聞きますが、JALの二〇一一年度以降の営業損益はどうなっていますか。
  249. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 二〇一一年度以降というお尋ねでございますけれども、日本航空における連結営業利益、二〇一一年度が約二千四十九億円、二〇一二年度は約千九百五十二億円、二〇一三年度は約千六百六十七億円、そして二〇一四年度の見通しは千六百七十億円となっております。
  250. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 莫大な利益ですね。  続けて聞きますが、じゃ、そもそもJAL破綻の原因は何だったんですか。
  251. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 日本航空の破綻の原因につきましては、経営破綻前の同社というのは、不採算路線の存在に加えまして、燃費効率の悪い大型機の大量保有等の構造的な高コスト体質となっていたものと考えております。それから、当時、同社におきましては、硬直的な組織体制や意思決定の遅れが指摘されておりまして、これらが抜本的な改革の遅れにつながったものと考えられます。  これらに加えまして、二〇〇八年以降の世界同時不況、それから新型インフルエンザによる影響、こういったものを受けて航空需要が著しく減少し、特に国際旅客収入が減少したと承知しております。  以上の結果、厳しい経営状況に至ったものと判断しております。
  252. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 つまり、いずれも労働者の責任ではないということですね。  では、続けて聞きますが、この整理解雇された人たちはなぜ解雇されなければいけなかったんですか、その基準を聞きます。
  253. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 日本航空によりますと、整理解雇対象者の人選基準につきましては、病気欠勤日数や休職期間等による基準を設定しまして、それでも目標人数に達しない場合は年齢の高い者から順に対象とする、そういう基準を設けたというふうに聞いております。
  254. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 つまり、ベテランから切ったと。病気を自己申告した、体調が悪いことを自己申告して休職した人も対象になったということであります。つまり、解雇された方々は技術や勤務態度で劣っていたからではないわけです。能力もあった人たちであります。会社側の論理でいっても、解雇になることで再建に貢献をした人たちであります。  さらに、今JALが空前の大もうけを上げている中で、解雇以降、客室乗務員であれば二千名以上を採用し、パイロットは不足し、定年を延ばしてまでベテランに飛んでもらおうとしているわけです。なぜ彼らを、彼女たちを戻さないのか、誰も理解できない。余りにも冷たく、理不尽ではないかと私は思います。  政府はこの間、円満に解決を図っていただきたいという立場と繰り返し述べておられます。そして太田大臣も、解雇ということに遭った人たちの気持ちというのは、私は思いをはせていると答弁をされています。  国交大臣、彼らに戻って働いてもらうことが望ましいと思いませんか。
  255. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 日本航空を二〇一〇年末に整理解雇されました客室乗務員及び運航乗務員が解雇の撤回を求めた訴訟におきまして、最高裁は、それぞれの上告を棄却し、整理解雇は有効であるという判決内容は確定したものと承知しています。  いずれにしましても、日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に係る問題であることから、日本航空において適切に対処すべきものと考えております。このため、行政としての関与をすることは適切ではないと考えております。
  256. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣政府が関わった解雇ですからね。これ、絶対無責任な答弁は許されないと思います。  では、塩崎大臣、JAL再建の過程で公的資金が入り公正な競争が損なわれていると、大臣、警鐘を鳴らしてこられましたけれども、今は労働行政の長として、JALの健全な再建には整理解雇された労働者を戻すことが必要だと思いますけれども、どうですか。
  257. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) これ、今国交大臣からお答えになったとおりで、個別企業の採用に係る事案でございますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。
  258. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 この整理解雇問題というのは国際的にも注目をされております。  二〇一三年十月のILOからの勧告、パラグラフ六十六はどのようなものですか、紹介してください。
  259. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 御指摘の第三百七十次結社の自由委員会報告書のパラグラフ六十六でございますが、さらに、申立人によれば、会社が二〇一二年、九百四十人の客室乗務員の採用を発表したことに留意しつつ、委員会は、前回の本案件に関する審議のときから、会社が再生計画を策定する際に労働組合との十分かつ率直な協議を行うことが重要としてきたことを想起し、経済的理由のため雇用契約終了となった労働者の再雇用に関する、関係する労働組合の見解が考慮されるよう、新規の採用活動においてそのような協議が全ての関係する労働組合とともに実施されることを期待する、このような内容が記載されていると承知いたしております。
  260. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 つまり、新規にも採用されている、整理解雇された人たちを戻すための協議をと、ここまで踏み込んでいるのがこのILOの勧告であります。  では、この勧告に対して政府はどのような具体的な対策を取ったんですか。
  261. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 労使が自主的な協議を確保するために、我が国では、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否することなどを不当労働行為として禁止をするとともに、労働委員会による救済制度を整備をしております。  ILO第三百七十次勧告のパラグラフ第六十六において指摘をされております、経済的理由のため雇用契約終了となった労働者の再雇用に関する事項についても、労使の協議事項となり得ると思います。仮に、使用者が正当な理由なく交渉を拒否した場合、組合が救済を申し立てれば、労働委員会が公平中立な立場で個別の事案に即して判断する仕組みを既に設けているところでございまして、この仕組みによってILO結社の自由委員会の勧告についても対応できているものと考えております。
  262. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、再雇用のための協議は一切していないんですよ。一般的な団交の話をしているんじゃないんです。ここではっきりと、JALが新規採用を行っている下で整理解雇された人たちを戻すための協議をILOは求めているわけですね。これは政府に対してですから、法的な枠組みが整っているからといっていいというのであれば、私は労働行政は必要ないと思います。  最後に一問。会社は組合に対してこうも言っております。ILOの勧告に関しては、当局の要請に応じて今後とも適切に対応していく考えです。大臣、これは知っていますね。
  263. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 労働組合から、会社側が今御指摘のような当局の要請に応じて今後とも適切に対応してまいりたいと発言をしているとの情報はいただいておるところでございます。
  264. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 情報はあるんですから、これは政府が主体的に動くべきだと思います。政府が協議の場の設定のために動くべきだと、JALで整理解雇された人たちをもう一度空に戻すべきだということを訴えて、私の質問を終わります。
  265. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で辰巳孝太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  266. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、山田太郎君の質疑を行います。山田太郎君。
  267. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会山田太郎でございます。  本日は、表現の自由を守り、漫画、アニメ産業を盛り上げる、そして農産品の輸出を増やす、そんな観点から日本を元気にするための質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、TPPに関して、著作権の非親告罪についてお伺いしたいというふうに思っております。  西村内閣府副大臣にお伺いしたいんですが、thinkTPPIPは、三月十三日に知財条項への緊急声明ということで記者会見をやっております。その前に、六十八団体、二百八十三名連名による緊急声明を西村副大臣に手渡しておりますが、その内容をどのように理解されているのか、お答えいただけますでしょうか。
  268. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、関係の皆様が私のところに来られまして、知的財産権の交渉についての意見書を私自身受け取りました。  いろいろ意見交換をさせていただく中で、この著作権について、権利者の保護とそれから利用の促進という両方の視点でバランスの良い結論となるように是非やっていただきたいと、そういうお話でしたし、私自身もそういう趣旨でお答えをさせていただきました。
  269. 山田太郎

    山田太郎君 ちょっとばっくり言われちゃったんですけれども、著作権の非親告罪については海賊版対策などに限るべきというのが骨子だったというふうに思います。  さて、その後、西村副大臣はツイートされていますが、どのような内容でしたでしょうか。
  270. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 私のツイートの内容は、津田大介さん始めコンテンツ関係の方々が、TPP交渉における知的財産権の交渉に関する意見書をまとめ意見交換、知財は最も難航している分野、御意見も踏まえ、また国内の制度との整合、調整も考えながら、国益を最大にすべく粘り強く交渉を続ける、こういう内容でございます。
  271. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  それでは、その国益を最大にする国益とは何を意味するのでしょうか。
  272. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) TPP交渉における国益については、次のように考えております。  まさにTPPによって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と経済連携に関する二十一世紀型の新たなルールをアジア太平洋地域に作り上げること、そして、同地域の活力を取り込むことで我が国の力強い経済成長を実現すること、また、美しい田園風景、農村の伝統、文化、国民皆保険を基礎とした社会保障制度といった世界に誇るべき我が国の国柄を守るということなどを念頭に置いております。  以上です。
  273. 山田太郎

    山田太郎君 今、西村副大臣の方、お話しいただいたのは、お手元にお配りした紙のとおりであります。政府がこの国益に対して回答した内容なわけでありますが、それでは、海賊版対策以外に非親告罪にすることによる国益は何があるのか、お答えいただけないでしょうか。西村副大臣
  274. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 先ほど申し上げたとおり、知的財産については、その権利者の保護ということと利用の促進とのバランスの取れた合意を目指しているところでありまして、このバランスというものが大事だというふうに考えております。
  275. 山田太郎

    山田太郎君 もう一度ちょっと質問をしたいんですが、国益を守るということは具体的に何が当たるのか、もう一度具体的に教えていただけないでしょうか。
  276. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 国益とは、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、我が国の国柄も含めて、そして我が国経済成長をしっかり実現すること、こうしたことが国益でございます。
  277. 山田太郎

    山田太郎君 まさにその内容は、多分新たなルールを作るということと国柄を守るということがポイントだと思うんですね。  その国柄についてなんですが、日本には、守破離ですとか、習うより慣れろ、学ぶより盗め、それから写経、写本などのまねる文化があると思っております。  それで、コミケも含めたまねる文化、パロディーの文化を守ることは、これは西村副大臣が言う国益、つまり日本の国柄を守ることだと思いますが、西村副大臣、いかがでしょうか。
  278. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 様々なこと、日本の国の文化、そして社会でのいろんな意識、人々の意識、こうしたことも含めて全体として国柄を守っていくということが大事だというふうに認識しております。
  279. 山田太郎

    山田太郎君 やっと西村副大臣とかみ合ってきましたので、今度は経産大臣の方にもお伺いしていきたいと思いますが、コミケなどの同人誌即売会とか、今月はアニメジャパン、オタクサミット等があります。そんな中で著作権の非親告罪化によってこういった同人誌マーケットや同人文化は打撃を受けると言われていますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  280. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 私も御質問を受ける前までコミックマーケットって何かと知らなかったのですが、そう言われてみると、ワイドショーとかニュースで若い女性なんか来て本当に楽しそうにたくさんの人が集まっている場面見たなと思っておりました。  恐らく麻生大臣の方が答弁されるのに適当かと思いますけれども、コミックマーケットの関係者からは、仮に著作権侵害が非親告罪化された場合には、厳密に言えば違法だが、権利者に実害がない限り、強いて問題視はされていない多くの利用を萎縮させるおそれがあるといった懸念が表明されていることは承知を、認識をしております。  全面的に著作権侵害が非親告罪化されるとなると、そのコミケ、コミックマーケット等の参加者に影響なしとは言えないという気がいたします。
  281. 山田太郎

    山田太郎君 実は、今月末のオタクサミットはまさに経産省が後援しているイベントでございまして、アニメとか漫画を広めようとする経産省のトップがその程度の理解では非常に困りますし、特に若者は今の答弁を嘆いているんではないかなと、こんなふうに思いますので、是非この辺り、今後御理解いただければと思っておりますが。  さて、今経産大臣の方から積極的な御発言いただきましたが、じゃ逆に、著作権法の実は担当である文化庁にそのことをお伺いしたいんですが、そういった経産省の考え方を実は言ったことがないと。つまり、これ、事務方の方の経産省の担当にお伺いしたところ、著作権を非親告罪化して一律に扱うと、アニメ、漫画など同人の文化には大きな影響があるんだ、これを今まで文化庁等には言ったことがないということなんですが、文科大臣がここにいらっしゃいますので、アニメ、漫画振興の担当省として、そこでこの趣旨を伝えてはどうかなというふうに思うわけでありますけれども、経産大臣、いかがですか。
  282. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) まだ仮定の話でございますので、仮に著作権法の改正の検討が行われるという場合には、コンテンツの権利保護と利用促進とのバランスを踏まえて総合的に判断される必要があると考えておりますので、そうした点も含めて、必要あれば文部科学省と適切に相談していきたいと思っております。
  283. 山田太郎

    山田太郎君 やっと文科省と話をするということになったわけでありますが、さて、じゃ、文科大臣にお伺いしたいと思いますが、海賊版対策以外の著作権の非親告罪化に対しては慎重にしてほしいという意見があるという話なんですけれども、これについてどのように対応されていくんでしょうか。
  284. 下村博文

    国務大臣下村博文君) まず、我が国の著作権法では、著作権等の侵害罪は、原則として著作権者等の告訴がなければ検察官が公訴を提起することができないいわゆる親告罪となっているわけでございます。  著作権等の侵害罪の非親告罪化につきましては、文化審議会著作権分科会において検討が行われました。その結果、平成二十一年の著作権分科会報告書では、著作権等の侵害が著作権者に与える影響は著作物の利用形態や規模によって多様であることなどから、一律に非親告罪化することは適当でない旨の結論が示されました。  したがって、このような文化審議会での検討の経緯や国内外の諸状況を踏まえつつ、適切に対応していくことが必要であると考えております。
  285. 山田太郎

    山田太郎君 今文科大臣にも経産大臣にも、あるいは西村副大臣にもお伺いしまして、まさにTPPの著作権に対する非親告罪に関しては影響があるということを大臣御認識だと思います。ただ、その大臣方々が、実は今、TPPの交渉、特に著作権の問題についてどこまで情報を知っているのか、どんな交渉にあるのか。  その辺り、各大臣ですね、文科大臣、経産大臣、西村副大臣、御認識あるのかどうか、知っていらっしゃるのか、この辺り、是非それぞれお答えいただけないでしょうか。
  286. 下村博文

    国務大臣下村博文君) そのことについては、今お答えできる立場ではございません。
  287. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 私もTPPに関係する閣僚でありますけれども、TPPの交渉の中身については申し上げるわけにはまいりません。
  288. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 私はTPP交渉の担当副大臣でございますので、様々な報告を受けております。
  289. 山田太郎

    山田太郎君 海外との交渉結果によっては、実は国の極めて重要な商習慣、国内の整備、整合性が問われると。各大臣からはいわゆる文化に対しても影響があるというふうに言っているわけですから、これで我が国は主権国家なのかというふうに思いますので、中身についてはしっかり大臣はよく理解していただいて、聞いていただいて、やっぱり国内の問題は国内の問題として、是非、所管の大臣の方々はこの問題しっかり守っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。もしかしたら西村副大臣だけが知っていると、あるいは甘利大臣だけが知っているという状況では、日本の私は文化は守れないというふうに思っております。  さて、これまでの国益議論を踏まえて、TPPの担当大臣である甘利大臣の方からも、この非親告罪の交渉にどう取り組むのか、お答えいただけないでしょうか。
  290. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この著作権侵害の非親告罪化、主要国で親告罪を取っているのは日本とドイツと韓国でありまして、韓国も非親告罪化の方向にかじを切るやの情報があります。TPP十二か国のうち、親告罪化を取っているのは日本とベトナムだけであります。世界的な分布図でいうと、親告罪の方が圧倒的に少ないということであります。  全体的な世界の流れはそっちの方に向かっているのかなとも思うわけでありますが、いずれにいたしましても、西村副大臣が最終的な結論を、我が国が取る立場についてお話をさせていただきましたとおり、これは権利者それから利用者、権利者はできるだけ権利を守ってもらいたいと。しかし、余りがちがちに守りますと利用ができませんから、結局流通しないということにもなるわけです。利用者に余り偏りますと権利保護が失われるということで、このバランスが非常に大事だと思っております。  パロディー文化というお話もありましたけれども、欧米にも広く一般的にパロディー文化というのはあるわけでありまして、日本と共通の認識の下にいろんな制度が国内的に取り組まれているんだと思います。  結論といたしましては、西村副大臣が申し上げましたように、権利保護と利用促進のバランスを取りながら共通のルールを作っていきたいというふうに考えております。
  291. 山田太郎

    山田太郎君 バランスを取るということは考慮するということだと解釈したいと思います。  もう一つ、解決策として、例えば自由利用マークとか同人マーク、著作物の二次利用に関する事前の承諾マークというものを付すということがあるかと思います。  そこで、これについては警察庁それから法務省にお伺いしたいんですが、そのマークが許諾する範囲で二次利用を行うことはどんな場合でも捜査や起訴はされないのかどうか、この辺り、お答えいただけますでしょうか。
  292. 辻義之

    政府参考人(辻義之君) お答えをいたします。  一般的には、著作者が許諾する範囲内での二次創作行為については著作権法上の問題は生じないと考えておりますが、お尋ねの事前許諾マークを付した作品の二次創作行為について著作権法違反としての捜査の対象になるかどうかにつきましては、どの範囲での使用を許諾したのかなどを確認する必要があるから、個別の事案ごとに判断されることになるというふうに考えております。
  293. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) そもそも、犯罪の成立するか否か、また捜査機関が捜査するか否か、起訴するか否かというような判断につきましては、捜査機関によりまして収集された証拠等に基づきまして個別に判断される事柄であるということではございます。一概にお答えすることがなかなか難しいということでございます。
  294. 山田太郎

    山田太郎君 今のお話だと、要は、ケースによっては、それが本当に許諾されたかどうかということを確認しなきゃいけないんで、捜査をする可能性はあるということなんですが、そうなると、これは文科大臣、お答えいただきたいんですが、文化庁が推進している自由利用マークでもいわゆる捜査、起訴される可能性はあるということになっちゃうんですけれども、これはいかがでしょうか。
  295. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のような事前許諾マークは、著作物の積極的な活用を図るため、著作権者があらかじめ一定の条件の下に著作物の利用を許諾する意思を表示するものであると考えます。著作権者によりこのようなマークが付された著作物については、その許諾された利用方法や条件の範囲内であれば、著作権法上、適法に利用することが可能であると考えられます。要は、その利用方法、それから条件の範囲内、それをどう判断するかということだと思います。
  296. 山田太郎

    山田太郎君 まさにこの問題、被害者の告訴なき例えば起訴とか処罰を可能にするかもしれない非親告罪というのは、権利者に実害のない限り、強い問題視をされていない多くの利用の文化まで萎縮する可能性があるということですから、特に政府並びに捜査機関はしっかりそのことを理解して対処していただきたいと思っております。  さて、ちょっと時間が迫っていますので、次に農業と農薬の話を少しいきたいと思っております。食の安全ということでいきたいと思っております。  先日の決算委員会、二月十日に行われた決算委員会で、OECDの加盟国における単位当たりの農薬使用率、使用量ですね、日本はとっても高くて韓国に次ぎ二位であるという話をさせていただきましたが、まず農水大臣、この辺り、御感想いかがですか。
  297. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 農薬の使用ということですが、やはり気候や風土の違いによりまして病害虫の発生状況、それから農作物の生産、流通における事情等が異なっておりまして、それらに応じて農薬の使用方法が異なっております。  一般的に言いますと、日本は高温多湿なため、病害虫が発生しやすいため、防除に必要な農薬の使用量が多くなる場合があると、それから日本流通業者、また消費者がきれいな野菜等を好む傾向がある、こういう事情があるのではないかというふうに考えております。
  298. 山田太郎

    山田太郎君 逆に、農薬を使わない有機栽培のシェアということについても少し触れておきたいと思います。  本当は資料を作ったら分かりやすかったんですが、例えば、口頭で数字を言わせていただきますと、イタリアは有機栽培の割合が九%、ドイツは六%、アメリカは〇・六、フランスは三・六なんですが、何と日本は〇・二しかないんですね。二〇〇七年が〇・一で、何とか二〇一一年まで〇・二にしたということであります。  じゃ、高温多湿である同じお隣の韓国はどうかというと、親環境農業ということで、二〇〇七年当時〇・五だったものが、今、二〇一一年で一・〇まで増えているということであります。よく食の不安をされる中国においてもどうかというと、二〇一一年段階で〇・四あるということで、日本の〇・二に対して何と有機野菜の比率は中国に負けていると。  じゃ、日本の個別のJAS規格における有機野菜の割合はどうかというと、野菜においては〇・三五、果実においては〇・〇九、米は〇・一三と、主要な項目でも〇・四以下だということが言われるわけであります。  この状況を、もう一度、林大臣、いかがお考えでしょうか。
  299. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 有機農業などの環境保全型農業は、農業生産に伴う環境への負荷を低減するということがありまして、農業の持続的な発展に資するとともに、安全でかつ良質な農産物に対する需要というものにも対応した農産物の供給に資するものと考えております。  実は平成十八年に、有機農業の推進に関する法律、これが制定されておりまして、この法律に基づきまして、耕地面積ベースですが、有機農業の取組面積の割合を倍増すると、これ〇・四%から一%ということでございますが、こういう目標を有機農業の推進に関する基本的な方針ということで定めまして、これを推進していこうとしているところでございます。  御審議いただいているこの二十七年度予算においても、二十七年度から新たに法律に基づき実施される環境保全型農業直接支払、二十六億円でございますが、さらに研修カリキュラムの作成等、有機農業の参入支援、それから、有機農産物、少し割高になりますので、販売先を確保するためのマッチングフェア、こういう開催支援、こういうものを行って、また、産地において有機農業技術の確立のための実証圃設置支援、こういうものを行うと、こういうことにしております。  また、表示の面からも、適正に表示して消費者の選択に資するということのために、農業者の有機JAS認定取得の支援、こういうことをやっておりまして、環境と調和の取れた農業生産である有機農業を着実に推進してまいりたいと思っております。
  300. 山田太郎

    山田太郎君 安倍政権は農業を輸出産業にするんだということで一兆円を目指しているということですが、じゃ、お隣の台湾に輸出されたということで少しお話をしたいんですが、平成二十六年、台湾の通関検査において残留農薬が原因で不合格になった食品を多い国から並べるとどうなっているのか。例えば、アメリカ、中国、韓国、日本で、日本は何番目だったか御存じでしょうか。林大臣
  301. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 済みません、ちょっと手元に資料がないものですから、確認してお答えしたいと思います。
  302. 山田太郎

    山田太郎君 実は、残念ながらこれ一番なんですね。日本が一番多いと。  もう一つ、先月の二月に、徳島県の勝浦町からフランスに向けて出荷されたはずだった貯蔵ミカンも、欧州の加盟国の検疫基準を超えた残留農薬が検出されたということで、実は欧州は〇・〇二ppm以下でなきゃ駄目なんですが、国内は五ppmというのが基準なんですね。これで、結局輸出ができず国内に向けられたということなんですが、このような状況を林大臣、どうお考えでしょうか。
  303. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げたように、高温多湿等の理由もあって、農薬の使用という状況がヨーロッパ等に比べて違っているということは申し上げたとおりでございますが、農薬を登録するときに科学的な見地に基づいて評価、審議を行っておりまして、やはり使用方法、それから使用上の注意事項、これを遵守して農薬を使用する限り、食の安全はまず確保されると考えております。  その一方で、やはり環境への負荷をできるだけ軽減するということは重要でございますので、化学合成農薬のみならず、IPMというのがございまして、天敵、それからフェロモン剤、防虫ネット、こういった様々な技術を組み合わせた総合的病害虫・雑草管理、これを推進を図っていくということが重要であると認識しております。
  304. 山田太郎

    山田太郎君 まさに、いわゆるしっかり農薬の基準を抑えていくということなんですが、ただ、実は足下でネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンの残留基準が緩和されるということがありまして、今回、カブ等葉っぱ物、ホウレンソウではEUの二十倍の四〇ppmに、米はEUの二倍、アメリカは一・〇ppmなど、大幅に残留基準を緩めちゃうということなんですよね。世界の流れに逆行しているんではないかと。  農薬メーカーから、このような要請に、この段で残留基準を緩和して農薬を強めることを検討されている理由は何なのか、この辺り、林大臣、お願いできますか。
  305. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 現在、ネオニコチノイド系の農薬であるクロチアニジンにつきましては、厚生労働省において薬事・食品衛生審議会における審議、それからパブリックコメントの結果を踏まえて残留基準値の設定を検討しておられると、こういうふうに聞いております。今後、厚生労働省において薬事・食品衛生審議会の答申を受けまして残留基準値が設定されれば、農林水産省は農薬取締法に基づきまして使用方法及び使用上の注意事項を定めて登録を行うということにしております。  先ほどの繰り返しになりますが、こうして定められた使用方法を遵守して農薬を使用する限りは、人の健康に悪影響を及ぼすことはないと考えております。
  306. 山田太郎

    山田太郎君 実は、聞いているのは、緩和を求めたのは農水省なんですね、メーカーからの要請で。その理由は何かということをお伺いしているんですが、いかがでしょうか。
  307. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) このネオニコチノイド系の農薬というのは、水稲のカメムシの防除のために大変重要でございまして、ほかの殺虫剤に比べますと人や水生の生物、水の中に生きている生物ですが、に対する毒性が弱いということでございまして、そういうことからこの要請をさせていただいているということであろうと思います。
  308. 山田太郎

    山田太郎君 私は、この理由は二つあるのかなと。一つは、農薬が効かないために、効き目を強くする、又は、実際はかなり濃いものをまいてしまっているので、それに合わせにいっているんじゃないかなと、そんな疑問さえ持つわけでありますが。  さて、この基準をきちっと精査しているのが内閣府の食品安全担当、それから委員会、それから厚労大臣だと思いますが、それぞれ、このネオニコチノイド農薬、人体にも悪影響をすると言われておりますけれども、それを緩和すべきでないと私は思いますが、その辺り、いかがでしょうか。
  309. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) お答えをいたしますが、先ほど林大臣の方のお話にありましたように、厚生労働省の方でパブリックコメント、これを実施をいたしておりますが、これへの対応につきましては厚生労働省において適切に行われるものであろうと理解をいたしております。  私どもの食品安委員会、このリスク評価につきましては、科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に行われたものであると承知をしておりまして、評価結果を変える必要はなかろうと。  食品安全担当大臣としましては、今後とも、関係省庁と連携をして、科学的知見に基づいて食品の安全を確保してまいりたいと考えております。
  310. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 食品中の農薬の残留基準値につきましては、食品安委員会による科学的な評価の結果を踏まえた上で、子供や妊婦を含め国民の健康に影響が出ないように薬事・食品衛生審議会での審議を踏まえて設定をしており、その設定に当たっては、事前にパブリックコメントを行い、国民の声を聞くということになっております。  クロチアニジンの残留基準値につきましては、農林水産省からの依頼を受けて、一部の食品について引き上げる方向で検討を進めておりますけれども、パブリックコメントの結果等も踏まえ、この一連の手続を二回繰り返して慎重に進めてきているところでございます。  厚生労働省においては、これまでのパブリックコメントの御意見なども踏まえつつ、食品安委員会の食品健康影響評価など科学的根拠に基づいて慎重に審議を重ねてきたものでありまして、今回の改正案については、人の健康に対する安全性が確保しているものと考えているところでございます。
  311. 山田太郎

    山田太郎君 時間が来ましたのでまとめますと、私が調べたところによりますと、日本の国内のトップ農薬メーカー、住友化学さんですが、実はここから自民党さんに政治資金として五年間で一億三千七百万円の献金がされているんですね。  やっぱり疑いを持たれないように、しっかり、メーカー側に立ってではなく、審査を国民側に立ってしていただきたい、そういうふうに思っておりますので、是非、今日ちょっと質問もこれ半分以上できなくなったんですが、次回、また機会を捉えてこの辺りやっていきたいと思っていますので、どうかよろしく行政の方お願いします。  以上です。
  312. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で山田太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  313. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、浜田和幸君の質疑を行います。浜田和幸君。
  314. 浜田和幸

    浜田和幸君 次世代の党、浜田和幸です。  最初に、岸田外務大臣に。  チュニジアで三人の日本人が殺害され、負傷者も出ているということなんですけれども、シリアでのああいう事件の後、ISの動きについての情報収集、これに何か不足があったんではないかと。  と申しますのは、ISは地中海周辺の国々、そして地中海周辺の国々の国民をターゲットにするんだと。なかんずくチュニジアというのは、あの地域の中では唯一例外的にアラブの春以降順調な経済発展をしているわけですよね。彼らからすると、テロ集団からすると、余り面白くない。  日本もチュニジアのために様々な経済支援、技術支援をしている。また、例のアラブの春以降の最初の国政選挙、我が国も国際選挙監視団を送って、民政化のためにいろいろと応援してきた。そういうことを快く思っていないテロ組織があるということが、もう少し、地中海クルーズで日本の平和な環境から行った人たちに事前にそういう注意勧告を徹底しておく必要があったんではないかと思うんですけれども、その点についての評価と、今後、このチュニジアをきっかけにしてもっともっと敵対的な関係が起こってくる、テロに日本人が巻き込まれる可能性もあると思うんですけれども、その対策、どういうことをお考えでしょうか。
  315. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、十八日、チュニジアにおいて銃撃テロ事件が発生し、邦人を含む多数の死傷者が発生しました。強い憤りを感じ、断固非難をいたします。犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御家族に対し心からお悔やみを申し上げ、そして負傷された方々の一日も早い回復を祈りたいと存じます。  そして、こうした事態に対して、我が国の邦人の安全に対する対応ですが、まず、今年一月のシリアにおける人質殺害テロ事件を受けて、改めて我が国政府としましては、邦人の安全確保のために従来の対応をまず再点検をし、そして一月の二十二日、そして二月の一日、旅行者を含む全世界の在外邦人に対しまして注意喚起を行う、こうした対応を取ってきました。  チュニジアに対しては、チュニス市について、従来より十分注意をしてくださいとの危険情報を発出して注意喚起をしてきたところですが、今回の事案の発生を受け、本日、スポット情報、国民会議事堂及び博物館における襲撃・人質拘束事件の発生に伴う注意喚起、こうした注意喚起を発出いたしました。また、危険情報の見直しも検討をしていきたいと思います。  いずれにせよ、シリアのテロ事件を受けて、今、政府としましても、検討チームを立ち上げ具体的な対応を検討し、そして結論が出たところからもうどんどんと実施に移す、こういった対応を続けていきます。今回のチュニジアにおけるこのテロ事件もしっかりと踏まえた上で、引き続き検討チームにおいてしっかりとした検討を行い、具体的な対応を実施に移していきたいと考えています。
  316. 浜田和幸

    浜田和幸君 是非、その具体的な対応を捉える際に、やはりこのISISのようなテロ組織の持っている、彼らが何を意図しているのか、そこを十分情報収集、関係国とも共有した上で、北アフリカの中では比較的安全と言われていたチュニジアですけれども、しかしそういう比較的順調に推移しているということ自体がイスラム国にとっては余り面白くない。だから、頻繁にイスラム国のネット上ではチュニジアをターゲットにするということを繰り返し述べているわけですね。  にもかかわらず、地中海のクルーズということからすると、一般の日本の観光客からするとそういう危機意識はほとんどなかったんじゃないかと思うんですね。それが今回の被害に遭った一つの原因ではないかと思いますので、是非ここのところは、危険情報というものを、もっともっと日本の旅行代理店や日本の人全てにきっちりと情報を提供するということで外務省にイニシアチブを取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  317. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、今回のチュニジアの事件については、まだ背景なり、また犯行グループについて確たるものを得ているものではありませんが、おっしゃるように、注意喚起、危険情報の発出についてはよりきめ細かくしっかりと発出をしていかなければならないと存じます。  そして、このクルーズへの参加者に対する情報提供という点にも、委員の方から今触れていただきましたが、この情報提供をする際に、旅行会社というのは情報を提供し、そして発出してもらう際に大変重要な拠点の一つと位置付けられています。こうした旅行会社等もしっかり活用しながら、旅行者、こうしたクルーズ旅行への参加者も含めて、しっかりとした情報提供に心掛けていかなければならないと考えます。  是非、そうした方針で努力をしたいと思います。
  318. 浜田和幸

    浜田和幸君 関連して、ウクライナの情勢についても質問をさせてください。  昨年、日本とウクライナでは投資協定調印しましたよね。これから国会で審議されることになっていますけれども、やはりウクライナ、せっかく投資協定が結ばれることになるとすると、日本企業がもっともっとウクライナに進出する、またウクライナ政府もそれを是非ともお願いしたいということを言っているわけですよね。  しかし、今、ウクライナの情勢というのは、ロシアとの間のある意味では戦闘状態、これは一部かも分かりませんけれども、いつ何どき、日本企業日本の社員の人たち、その家族が紛争、戦争に巻き込まれるリスクもあるわけですよね。そうしますと、せっかくの投資協定が結ばれたとしても、日本からの訪問客や企業というものが本当に安心して進出できるのかどうか大いに疑問だと思うんですね。  そのためにも、ロシアとの関係をどう取り結んでいくのか、これは日本外交にとって極めて重要だと思うんですけれども、ウクライナとの関係を考えて、ロシアとは、一日も早い平和な、法の下での安定ということをどういう形で日本はイニシアチブを取ろうとしているのか、その点について大臣のお考え、プーチン大統領、いつ日本に来られるか分かりませんけれども、そういうことを含めて、ウクライナからすると、困ったときの友人が真の友だ、日本に力になってくれという切実な要請があるわけです。でも、ロシアが控えているからなかなかそうはいかない。その辺り、どういう方法で日本は独自の外交を展開されようとしているのか、是非お考えをお聞かせください。
  319. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、ウクライナの問題につきましては、我が国としまして、ウクライナの主権及び領土の一体性、これを尊重しなければならない、力による現状変更は認めるわけにいかない、こうしたことをしっかりと発信をしています。  G7との連携を重視しながら、ウクライナ問題が平和的に外交的に解決するべくしっかりと努力をしていかなければならないと思いますし、是非、ロシアを始めあらゆる関係国に平和的な解決に向けて建設的な対応をしっかり求めていかなければならないと考えます。  そして、そのためにもロシアとの政治的な対話は重要であると認識をしています。ロシアに建設的な役割を果たすべく促していくためにも、日ロ間の政治的な対話は重視していかなければならないと思いますし、その政治的対話につきましては、日本とロシアとの間においては、もう既に安倍政権になりましてから八度首脳会談を行っています。そして、最後の首脳会談が昨年の十一月のAPECの際の首脳会談でありましたが、その際に両国の首脳間で、今年のしかるべき時期にプーチン大統領の訪日を実現するために努力をしていくという点で一致をしたということでありました。  プーチン大統領の訪日については、様々な要素を勘案しながら総合的に判断していかなければなりませんし、今の段階では全く何も決まっているものではありませんが、政治的な対話は引き続き重視しながら、ロシアとしっかり意思疎通を図り、日ロ二国間の関係についても是非国益にかなう方向で推進していかなければならないと思いますし、ウクライナ問題においても、ロシアに平和解決に向けて建設的な役割を果たすべくしっかり促していきたいと考えています。
  320. 浜田和幸

    浜田和幸君 次に、中国からの日本訪問客、ビザの問題。  今年の春節でももう大変多くの中国の観光客が来て、三十六万人、二月のビザの申請二十五万人、昨年の二月と比べると五倍近く日本に行きたいという中国人の数は増えているんですね。それで、ほぼ連日一万件以上のビザ申請があるのに、例えば、上海の総領事館でビザの、査証の審査をしている人は、日本人とローカルスタッフ入れて三十人いない。もうほとんど徹夜状態で休日返上。これ、何とかもう少し人員を補強しないと、せっかくの機会損失になるんじゃないか。たくさんの中国人は二十五万円、一人当たり使ってくれているわけですよね。  そういう意味で、もっともっとスピーディーな対応をするためにはスタッフの補強が必要だと思うんですけれども、同じことは、外国人の技能実習生、これも日本に申請すると早くても三か月から四か月、下手すると六か月待たされる。せっかく日本で技能を学びたいという人たちが、そんなに時間が掛かるんだったらもうシンガポールへ行っちゃうよということになっているんですけれども、そちらの方も含めて受入れ体制を強化する必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  321. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、訪日観光客の方ですが、日本政府は、訪日外国人二千万人の高みを目指し、政府全体で観光立国推進に戦略的に取り組んでおります。  そして、ただいま委員の方から御指摘いただきましたように、観光庁の発表によりますと、二〇一三年には百三十二万人であった訪日中国人の数が、二〇一四年には前年比八三%増の二百四十一万人となりました。また、二〇一五年二月の訪日中国人数は、前年同月比一六〇%増の三十六万人になったと承知をしております。  これに伴いまして、在外公館における査証発給件数、これ急増しています。査証審査体制の強化、これは急務であると認識をしています。そして、その強化のために、関係各省庁とも協力の上で体制強化、努めていきたいと考えています。  そして、技能実習生の方ですが、外務省としましては、技能実習生について、法務省での審査を経て在留資格認定証明書が交付されている場合には、可能な限り迅速にビザを発給しております。  外国人材の活用は日本再興戦略の柱の一つとして掲げられています。将来には審査体制の強化も視野に入れつつ、引き続き速やかなビザの発給に努めていく考えであります。
  322. 浜田和幸

    浜田和幸君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  323. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で浜田和幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  324. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、薬師寺みちよさんの質疑を行います。薬師寺みちよさん。
  325. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブ薬師寺みちよでございます。本日もよろしくお願いいたします。  昨日、チュニジアで邦人がテロの犠牲となってしまいました。犠牲となられた方の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様方には心からお悔やみを申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。  今年の三月十一日で東北大震災から丸四年がたち、昨日まで国連防災世界会議が仙台で開催されておりました。本日は、災害時医療、防災と女性について質問をさせていただきます。  さきの通常国会で医療・介護総合法案が成立し、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム、構築することとなりました。是非資料一を御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。  地域包括ケアシステムは、おおむね歩いて三十分以内、いわゆる中学校単位というもので一つの町を形成するということが想定されております。災害時の避難所を想定いたしましても、このような範囲というのは大変有効な基礎的な単位になってくると思いますけれども、防災担当大臣、どうでしょう、この地域包括ケアとこの防災計画を一体化するというような思いをちょっとお聞かせいただければと思いますが、お願いいたします。
  326. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 御質問への答弁に先立ちまして、一言お礼を申し上げます。  この度、岸委員長、理事を始め委員の皆様方の御配慮のおかげをもちまして、無事に国連防災世界会議において各国の合意を得て、成果を上げることができました。誠にありがとうございます。  災害時において、高齢者や障害者の方々の被害の状況や医療や介護などの必要な支援策などを行政が的確に把握し、住み慣れた地域で安心して生活できるようにしていくことは大変重要なことだと考えております。  内閣府においても、災害対策基本法に基づき、平成二十五年度から、被災者個々人の被害の状況、支援の実施状況、支援に当たっての配慮事項等を一元的に集約した被災者台帳の仕組みを制度化しています。地域包括ケアシステムにより提供される医療、介護、住まいなどの個々の支援内容等をこの被災者台帳の中に速やかに盛り込むことによりまして、各市町村において被災者一人一人の被害状況から支援内容までを一元的に把握し、より適切かつ迅速な被災者支援を行うことができるよう、今後、市町村の中で、医療・介護部局と被災者台帳を所管する防災部局との的確な連携、調整が行われるものと考えております。  また、地域防災計画においては、防災基本計画に基づき、高齢者、障害者等の要配慮者対策も含め、災害応急対策等について定めています。一方、地域包括ケアシステムの構築に当たっては市町村の関連計画と調整することとされておりまして、その内容は必要に応じて地域防災計画とも調整されたものとなると承知をしています。  高齢者、障害者等の要配慮者に応じたきめ細かな施策を行っていくためには地域包括ケアシステムも含めた福祉政策としっかりと連携していくことが重要でありまして、引き続き、厚生労働省と連携し、防災対策を推進してまいりたいと考えております。
  327. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 大臣、ありがとうございました。  私も一日だけ参加をさせていただきまして、新幹線の駅で海外の方とお話をさせていただいたところ、大変すばらしい会議であったと。私も大変うれしく思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。  じゃ、次に、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。  今、山谷大臣からお言葉をいただきましたけれども、残念ながら、こちらの図の中にはいわゆる防災、いわゆる災害事業というふうな提案はございません。この中に織り込んでいくという考えについてどのように思われますでしょうか。
  328. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 市町村を中心として、医療、介護、予防、そして住まい、生活支援が包括的に確保されるこの地域包括ケアシステム、この構築を進めておるわけでございますけれども、その中で、例えば介護保険の計画と医療や住まいの計画との連携の推進等、他の分野との連携にも積極的に取り組んでおります。  災害弱者ともいうべき高齢者あるいは障害者、これに対して適切な支援が行われるような環境を整備することは、これは極めて重要であることはもう間違いないわけでありまして、災害時における要援護者の把握とか支援方法が盛り込まれている地域防災計画と必要に応じ連携を図ること等を通じ、高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる体制の構築を引き続き進めてまいりたいというふうに思っております。
  329. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  実は、その一日だけ訪れました女性と防災のところで、スピーチリレーというものがございました。そこで、やはり障害を負った皆様方が本当に困られたような現実というものをお話しいただきまして、医療、介護、そして防災というものが一体化する必要性について私も認識を新たにいたしましたので、是非お願いをしたいと思います。  では、次の質問に移らせていただきます。資料二を御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。  皆様方に是非御紹介させていただきたいと思います。空飛ぶICUでございます。有事、災害時には多数の負傷者が発生します。残念ながら地域の医療提供体制というものは崩壊いたしておりますので、遠方までけがを負われた方、病の方を運ばなければならないという必要性がございます。ここで、実は私、愛知県でございますけれども、愛知県の小牧基地に二台だけ、全国で二台しかないんですけれども、この空飛ぶICUがございます。  残念ながら、これ定期的に点検に出さなければならない、定期点検に出すと一台しかこれは日本にないということになります。  空飛ぶICUという名前のとおりに、集中治療室レベルの医療がこの中で確保される、これとても大事なことだと思うんですけれども、この二台と、大変私、心細く思いますけれども、防衛大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
  330. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 薬師寺委員におかれましては、先日、小牧基地を視察をしていただきまして、誠にありがとうございました。  災害医療体制整備として、航空自衛隊におきましては、機動衛生ユニットをC130Hの貨物室に搭載し、医官等の要員を搭乗させるということで、遠隔地への重症患者、これの搬送を実施をしております。  その上での御指摘でありますが、現状において、災害派遣要請時に十分対応可能な体制であると考えておりまして、現時点において保有する機動衛生ユニットの数を増加させるという具体的な計画はありませんが、いずれにしましても、航空機動衛生隊による患者搬送も含めて、防衛省・自衛隊の大規模災害時等における衛生機能の在り方については不断に検討をしてまいりたいと思っております。
  331. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これ、災害時だけではなくて、やっぱり有事ということも想定するとこれでは不安でございます。一機について三名しか運べません。私も入ってみましたけれども、三名の治療をそこで行うことは到底不可能です。一名がやっとのスペースでございますので、これはしっかりと検討していただきまして、こういうことこそ備えなければならないと私考えておりますので、是非御協力いただきたいと思います。  では、次の質問に移らせていただきたいと思います。資料三を御覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。  災害時の外国人医師の受入れについてです。東日本大震災直後に来日した外国人医師、実は日本の医師免許がないために被災地で待たされる、近所の地域で待たされるという事態が起こっておりました。せっかくいらしていただいたにもかかわらず、その力が発揮できない。ようやく三月十四日、外国人医師の医療行為は違法性が阻却されるという事務連絡を出して、対応があったということです。  次に大規模な災害が起こったら、これどうなるんでしょうか。厚労大臣、お答えいただけますでしょうか。
  332. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 医療の提供というのは、患者の当然、生命、身体に直接影響を及ぼすものでありますので、医師法の規定で先生御案内のように外国医師であっても日本の医師免許を有していなければ日本で医療行為はできないと、行うことが認められていないということになっております。しかし、東日本大震災は医師法が想定していない緊急事態が発生をしてしまったわけでありまして、外国の医師の御支援を受けて医療を提供するために、阪神・淡路大震災の例を踏まえ、外国医師が被災者に対して必要最小限の医療行為を行ったとしても医療法違反の違法性が阻却される旨の見解を、今お示しをいただいておりますように、三月の十四日、つまり三日後ということになりました。これは阪神のときは六日たっておりましたが、今回三日でありました。  今後、大規模な災害が万が一起きてしまったときの場合については、東日本大震災や阪神大震災のような教訓を踏まえて、あらかじめどのような場合に医師法の違法性が阻却されるかをお示しをするということにしたいというふうに思います。
  333. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  じゃ、次に、資料四を御覧ください。薬剤についてです。  海外から提供された医薬品についても同様に、日本で承認されていないために、当初使えませんでした。厚労省からは、震災から一週間後の三月十八日になって、海外からの支援医薬品というものは通関手続を省略するという対応を事務連絡で行っております。今後同じような事態になったときにもやはりこのように時間が掛かるんでしょうか。大臣、お願いいたします。
  334. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今お話ございましたように、この東日本大震災の際に、緊急援助部隊が持ち込む医薬品については発生から三日後、三月の十四日、そして、諸外国からの支援物資としての医薬品については発生七日後、三月の十八日に手続なしで通関を可能とする事務連絡を発出をし、受入れ体制を速やかに講じたわけでありますけれども、今後の震災対応に当たりましては海外からの医薬品支援を円滑に受け入れることも極めて重要でございますので、今後、大規模災害が発生した場合には速やかに通関手続の簡素化措置をとって、その簡素化措置の内容について外務省が迅速に関係各国に通知をすることを合意をいたしました平成二十四年の五月三十一日の関係省庁申合せというのがございまして、この申合せに基づいて関係省庁との連携を深めてまいりたいと思っております。
  335. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  こういう災害時というのは、一分一秒で何名の命が失われてしまうか分からない事態なんですね。何日間待たされるなんていうことがあってはならないんです。ですから、関係省庁と申合せをしましてというだけでもこれ大変な時間が掛かりますので、是非法制化の整備についてもお願いをしたいと思っております。  実は、東日本大震災災害対策の主要な課題ということについてもこの課題が取り上げられて、報告をなされているところでございます。医薬品については、日米合同軍事演習の際にも米国から要求が何度も何度も来ているかと思うんですね。どうでしょう、法制上の対応をすべきだということの考えはございませんでしょうか。お願いいたします。
  336. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) その前に、今先生、申合せをやっていたんじゃ間に合わないというお話でありますけれども、この申合せはもう既にできていますから、いつ何どき大災害が起きても、この申合せは生きておりますので、ゼロからもう一回申し合わせようという話を言っているわけじゃなくて、もうこれにのっとってできますよということを申し上げているということでございます。  それで、今の法令改正についてでございますが、外国医師に関しては、ですから、医薬品については今申し上げたとおり申合せはもう既にできているということで、外国医師に関して法令を改正するなどの対応を行うことについては、先ほど申し上げましたとおり、あらかじめどのような場合に医師法の違法性が阻却されるのかというのをお示しをすることにしたいというふうに思っています。  医薬品の輸入については今申し上げたとおりで、この申合せによって通関手続の簡素化のルールを既に定めているものでありますので、これに基づいて関係省庁と連携して迅速に対応してまいりたいというふうに思っております。
  337. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  じゃ、次回はタイムラグなく、しっかりと対応していただけることを私も期待しますし、国民も期待していると思いますので、よろしくお願いいたします。  では、次の資料資料五を御覧いただきたいと思います。  山谷大臣、もう本当に御苦労あったかと思いますけれども、本当に盛会のうちに終わりました会議、女性と防災というテーマ館が設けられました。私も中を拝見いたしまして、地域の皆様方ともお話をさせていただきました。この地域の皆様方の取組というものを更にこれからの施策を生かしていくためにどのようなことを今後お考えなのか、男女共同参画担当大臣、防災担当大臣復興大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  338. 有村治子

    国務大臣(有村治子君) お答えいたします。  薬師寺委員のブログも拝見させていただきました。去る三月十五日、国連防災世界会議、女性と防災テーマ館を訪問し、防災における女性のリーダーシップに関するシンポジウムに参加いたしました。  シンポジウムに先立って国連開発計画のクラーク総裁とも率直な意見交換をしまして、防災、復興には女性の視点の反映が必要なこと、また、災害から粘り強く回復する力、レジリエンスを持つ社会をつくっていくためには女性がエンジンになることを価値観として共有をいたしました。  パネル展示では、災害時に女性や子供がより深刻な影響を受けること、例えば避難所においても、残念ながら安全なはずのシェルターが性犯罪の現場になってしまうとか、それぞれの極限の状態で、この災害においてもジェンダーという視点での問題解決が必要だということを改めて痛感した次第でございます。  同時に、自然災害の多い日本において、男女共同参画の視点から災害対応に関する英文資料を国際社会にも発表しておりまして、災害に国境はございません。日本が災害が多いからこそ苦しい苦しい経験の中で編み出した具体的、実践的な草の根のそういうヒントというのは世界に対して貢献できるものもあるなということを強く実感したのも学びでございました。  教訓を国内外で役立てて、防災、復興の取組に女性の視点がより生かされることが家族の健康、地域の安全、国の活力につながるよう、男女共同参画担当としても引き続き取り組んでまいります。
  339. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 第三回国連防災世界会議、百八十七か国が参加くださいまして、二十五か国の世界の大統領や首相、首脳、そしてまた百名を超える閣僚、国際機関代表、認証NGO等六千五百人以上、関連事業も含めますと、延べ十五万人の方々に参加をいただきました。  最初は四万人ぐらいかなと思っていたのが約十五万人の方々に御参加いただいたという、国際会議として日本で行われたものとしては過去最大級であったということでございます。それだけ自然災害とか様々な、都市化、災害の頻発化、大規模化、局地化、いろいろなことで世界の多くの国々が心配をして、被害の最小化を図りたい、防災の主流化を図りたいということで非常に関心が高いのだということを改めて感じているところでございます。  この会議において、新たな国際的な防災の枠組みである仙台防災枠組二〇一五—二〇三〇、及び枠組みの推進に向けて高いレベルでのコミットメントを示した仙台宣言を合意することができるなど、大きな成果がございました。  十四日から十八日までのはずだったんですが、実は十九日の、今朝午前零時半まで開いておりまして、私、記者会見を議長として終えたのが今朝の午前一時半でございました。それだけ丁寧なプロセスを各国で取るようにいたしまして、最後は満場一致で、とにかく防災の主流化を世界中で成し遂げようという熱い気持ちの中で次の具体的な行動に向けて閉会することができました。  この会議の中で、女性のリーダーシップ発揮について議論されたハイレベル・パートナーシップ・ダイアローグには安倍総理御自身が出席されまして、地域の防災のためには女性の視点が不可欠であり、家族を災害から守る知恵と知識を持ち合わせている、被災者の身体と心のケアにきめ細やかに対応できるなど、防災対策における女性の重要性を訴えられまして、出席した各国、各機関から強い支持がございました。  同会議では、そのほか各出席者から、女性の視点に立った防災訓練の実施、統計データの収集、分析、男性の意識改革等の重要性について発言があったところです。  我が国では、例えば十年前には約半数の都道府県の防災会議に女性のメンバーがいませんでした。現在では、全ての都道府県の防災会議に女性が参加しているほか、避難所における良好な生活環境の確保に向けたガイドラインにおいても女性の視点を取り入れてきているところでございます。  今後とも、このシンポジウムでの成果も踏まえ、防災分野において一層の女性の活躍を推進することができるように尽力してまいりたいと思います。
  340. 竹下亘

    国務大臣(竹下亘君) 復興の観点あるいは災害が起きてしまった後の対応について、感じていることをお話をさせていただきますと、例えば避難、今回のときも最初は四十七万人の方が避難生活、それは例えばトイレの問題一つを取りましても大変な苦労を特に女性の皆さん方はされたと。それから、復興を進めていく局面で女性の皆さん方、女性の保健師の皆さん方、看護師の皆さん方が大変気配りの利いた健康や心のケアをしていただいた。もっと言いますと、政府の言うことなんか信用できないけれども、あの保健師さんの言うことは信用できるというぐらい大変な信頼を得ている保健師さんがいて、特に川内村で早期に帰還ができたのはまさにその女性の力、たった一人の女性ですが、大変な力を発揮していただいた。  さらには、今被災地各地で、例えば布ぎれで袋を作ってプレゼントをする企業を立ち上げたり、あるいは手編みのニットのセーターを作る企業を立ち上げたり、女性ならではの視点の企業というのは数多く出てきております。  我々は、今回の震災の復興を進めるに当たり、そうした記録をしっかりと残して、今後の復興にどれだけ女性の力が大切かということを引き継いでいかなければならないと、こう考えております。
  341. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございました。  ここがスタートだと思っておりますので、是非今後とも御協力よろしくお願いいたします。  以上で終わります。ありがとうございました。
  342. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で薬師寺みちよさんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  343. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
  344. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。  まず、沖縄での米軍辺野古新基地建設問題について質問をいたします。  昨日、社民党は、お手元の資料にありますけれども、辺野古新基地建設に反対し、普天間飛行場の県外、国外移設を求める立場から、海底ボーリング調査等、辺野古新基地建設に係る全ての作業の即時中止、陸上、海上で非暴力の抗議行動を展開する市民らに対する不法、不当な過剰警備の即時中止、翁長知事との面談と辺野古新基地建設の断念を安倍総理に申し入れました。  選挙で住民の民意を託された自治体の首長との面談を政府が断るというのは、民主主義国として極めて異常であります。申入れの内容、特に翁長知事との面談についての見解を求めます。
  345. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現時点で私が沖縄県知事にお会いする決まった予定というものはございませんけれども、今後とも政府全体で連携しつつ様々なレベルで地元との対話を行っていく中で、私と知事との対話の機会が設けられていくものと考えております。  その際には、日本の安全保障や沖縄県の負担軽減の全体像の中で、普天間移設の位置付けや意義をお話をしていければと考えております。
  346. 吉田忠智

    吉田忠智君 実は官房長官に通告をしておりましたが、ちょうど今定例記者会見ということで、防衛大臣に代わってお答えをいただきました。  一昨年、仲井眞前知事が埋立ての承認をして、その後の名護の市長選挙、そして知事選挙、そして衆議院選挙、沖縄の皆さんの民意がそういう形で示されて、情勢は大きく変わっているわけでありますから。そしてもう、新たな新基地を造るというのは、沖縄県民の皆さんにとって受忍の限度を超えていると思っております。  いずれにしても、この申入れの趣旨をしっかり踏まえた対応を求めたいと思いますし、翁長知事と早急に面談をしていただくことを強く申し入れたいと思います。  後ほど、今後の予算委員会でまた取り上げたいと思っております。  次に、一人親世帯への支援について伺います。  川崎市での十三歳の少年殺害事件は誠に残念でありまして、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。同時に、最愛の息子を失った母親に対して心ないバッシングも行われております。不当なバッシングに抗議するとともに、政治に関わる者として一人親をきちんと支えていたかが問われていると考えております。  我が国の一人親の子供の相対的貧困率は、OECD諸国の中でも非常に高い五四・六%であります。貧困格差の連鎖を断ち切るのはまさに政治の責任であります。事件についての大臣の所信、並びに一人親家庭の現状、一人親への支援施策について説明をいただきたいと思います。
  347. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) まず、川崎で起きました上村遼太さんの、この事件で悲惨な犠牲になられたわけでございまして、本当に残念であり、御冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に対して心からお悔やみを申し上げたいと思います。  事件につきましては警察において今捜査中でございますので、個別の事案についてはコメントは差し控えたいというふうに思っておりますけれども、文部科学省で設置をされましたタスクフォースに厚生労働省も参画をいたしまして、検証や再発防止策、これらについての検討を行うこととしておるところでございます。  一人親の家庭の置かれている現状については、先生お配りをいただいておりますけれども、平成二十三年度の全国母子世帯等調査を見ますと、母子家庭の母親の就業状況については、約八一%が就業していると。その内訳を見ますと、正規の職員、従業員が約三九%にとどまって、パート、アルバイトが約四七%と非常に高い比率になっております。また、母子家庭の母の平均年間就労収入は百八十一万円ということでございます。  一人親家庭は、言うまでもなく、子育てとそれから生計の維持というこの二つを一人で担うと、就業面も含めて様々な困難に直面をしている方が多いわけでありまして、きめ細かな支援が当然必要であると認識をしておりまして、これも先生お配りをいただいておりますけれども、この一人親家庭に対する支援については、まず、子育て・生活支援、保育所の優先入所とかヘルパー派遣など、子育ての、それから生活の支援、そして資格、技能の取得支援などのいわゆる就業支援、そして養育費の取決めに関する相談等通じた養育費の確保、そして児童扶養手当の支給や母子父子寡婦福祉資金貸付金による経済的支援の四本柱によって総合的な自立支援を行っているところでございます。
  348. 吉田忠智

    吉田忠智君 シングルマザーの八割以上が就労して、女性の平均よりも正規の割合も低くなっているわけであります。就労自立に偏重しているという、施策がですね、そのように考えますが、いかがですか。
  349. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、就労比率が八一%であるということを捉えて先生御指摘だと思いますけれども、母子家庭の母の就業率が高い一方で、最終学歴は中学卒という方々が一三・三%と極めて高い水準だと思うんです。それから、母子世帯になる前の就業状況を見てみますと、就業していなかった、つまり専業主婦だった方が二五・四%。それから、パート、アルバイトなどであって非正規で働いていた人たちが三九%ということでございます。それから、雇用者に占める非正規雇用者の割合が、雇用者全体で三五・一%であるのに対して、母子家庭の母は五七・〇%とかなり高い水準であるなど、教育や訓練を十分に受けていない方が、就業経験が少ない方も含めて非正規雇用で就業する者が大変多いということで、母子世帯の平均稼働所得は全世帯の平均所得に比べると極めて低いということになっているわけであります。  そういうことで、こうした状況を踏まえ、一人親家庭の自立を支援するためにやっぱりキャリアアップが大事だろうということで、非正規雇用労働者の正規化あるいは処遇改善などに向けた取組、さらには一人親家庭の親が就職に有利な資格を取ることを支援する高等職業訓練促進給付金の利用促進、あるいは高等学校卒業程度認定試験の合格を支援する施策などに取り組んでいるところでございまして、加えて、社会保障審議会の児童部会のひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会という場がありますけれども、こういうところで当事者団体を含めた関係者の意見をお聞きして、今後も幅広く関係者の意見を聞き、さらには施策の効果の検証と推進に努めてまいりたいと、このように思っているところでございます。
  350. 吉田忠智

    吉田忠智君 施策の効果検証ということが今大臣からありましたけれども、就労支援につきましては、高等技能訓練促進費のように評価されている事業もある一方で、他の多くの就労支援と同様に、受託する民間事業者になじみの人材派遣会社が紛れ込んでいるなど効果を危ぶむ声もあるわけであります。  当事者や支援団体などユーザー目線での効果の検証が必要ではないかと考えますが、いかがですか。
  351. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今お話しのとおり、確かに、今さっき申し上げたような学歴が大変低い、それから仕事についても十分経験がない、パートでのお仕事ということでキャリアを積んでいないとかそういうところがあって、まさにこういったニーズを持っている方々に対して就労自立支援をするためには、やはり先ほど申し上げたようなキャリアアップの効果が出るような支援策というのが意味があるだろうということでございますので、私どもとしては、ユーザー目線をしっかり踏まえた上でやっているというつもりでございます。
  352. 吉田忠智

    吉田忠智君 二十代、三十代の若い一人親は新たなキャリアに向けて頑張れるかもしれませんけれども、残念ながら中高年の方には困難であるということも事実であります。  現金給付である児童扶養手当はまさに命綱であります。児童扶養手当制度の概要についてお聞きします。
  353. 安藤よし子

    政府参考人安藤よし子君) 児童扶養手当制度の概要についてお答え申し上げます。  児童扶養手当は、離婚等による一人親家庭の稼得能力の低下を補い、その家庭の生活の安定と自立に寄与することを目的とするものでございます。  平成二十六年度の児童扶養手当の額は、児童が一人で全部支給の場合、月額四万一千二十円となっております。児童が二人以上の場合は、第二子については五千円が加算され、第三子以降については児童一人につき三千円が加算されます。  児童扶養手当の第二子加算額及び第三子以降の加算額につきましては、児童扶養手当制度発足時に類似の制度でございました母子福祉年金等の水準との均衡を踏まえて設定されておりまして、その後、社会情勢の変化や給付を賄うための財源といった要素を踏まえて現在の支給額が設定されているところでございます。  また、所得制限限度額というものもございまして、母と子の二人世帯で収入が百三十万円未満の場合は全部支給である四万一千二十円となり、収入が百三十万円以上三百六十万円未満の場合は、その収入額に応じまして十円刻みで減額がされていくという仕組みになっております。  児童扶養手当が全部支給となる収入百三十万円未満という所得制限限度額につきましては、制度の目的が離婚等による稼得能力の低下を補うというものでございますことから、生別母子世帯の母の平均的な所得水準などを考慮して設定したものでございます。
  354. 吉田忠智

    吉田忠智君 制度の歴史的な経緯だけではなくて、やっぱり合理的な説明の付く金額に増額する必要があると思うんですね。  所得制限限度額というのは、せめてやっぱり百八十万程度までに引き上げるべきだと思いますが、いかがですか。
  355. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) この児童扶養手当についての増額という御提案かと思いますけれども、自立への効果というものを含めて、一人親家庭に対する支援策、先ほど四本柱ということを申し上げましたけれども、様々な支援策をやっているわけでございますので、その一つの柱ではございますけれども、児童扶養手当だけではなく、やはり支援策全体の中でどう位置付けていくのかということなどを踏まえて検討すべき課題だというふうに考えているところでございます。
  356. 吉田忠智

    吉田忠智君 次に、一人親の相談に対応する母子・父子自立支援員の役割も大きいと思います。どのような現状か伺います。そして、認知率、利用率が大変低いと考えますが、その点についても伺います。
  357. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 母子・父子自立支援員は、自治体の福祉事務所とか子育て支援窓口に配置をされておりまして、地域の一人親家庭の支援の要として役割を担っていただいているところでございまして、一人親家庭に認知をされていないという今御指摘がございました。それから、研修への参加機会が確保されておらず、資質向上が図られていないといった御指摘が聞かれているわけでありまして、一人親家庭への周知、そして資質の向上というものがこの支援員について求められているんだろうというふうに思います。  このため、平成二十六年の母子寡婦福祉法の改正で、母子・父子自立支援員による相談支援を含めた都道府県等が講じる支援措置の周知、それから母子・父子自立支援員の資質向上等を図る努力義務規定というのが新たに定められたところでございまして、自治体に対して、今後また更にこの法の改正を踏まえた対応を求めていきたいと思っております。  常勤、非常勤にかかわらず、やはりこの自立支援員の皆さん方には、まず第一に資質の向上、そしてまた待遇の改善といった取組も重要でありますし、何よりもやはり人材を確保するということが大事であるわけでございまして、これから更に資質向上やその専門性にふさわしい処遇について自治体に検討していただくとともに、自治体が行う研修に対する補助等の支援も厚労省としてはやっていきたいというふうに思っております。
  358. 吉田忠智

    吉田忠智君 大臣から今、人材の確保、資質の向上という答弁があったわけでありますが、月給十万円程度、五年程度の非常勤職員ということで、支援員自身の待遇も非常に不安定であります。母子・父子自立支援員は原則非常勤とするというこの法の立て付けもあるわけですね。これそのものも見直していかなければならない、そのように考えています。  厚生労働省としても、しっかり財源を手当てをして、自治体の人材確保、資質の向上、待遇の改善を支援すべきだというふうに考えますが、改めて伺います、法の立て付けも含めて。
  359. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今お話ございましたように、そしてまたさっき私の方から申し上げましたように、この母子・父子自立支援員は、一人親家庭にとっても大変重要な相談の窓口でもあるわけでございまして、要になってくるわけでありますので、常勤、非常勤にかかわらず、資質の向上を、そしてまた待遇の改善というものをしっかりやっていかなきゃいけないというふうに考えております。
  360. 吉田忠智

    吉田忠智君 具体的にどういうふうになされますか。
  361. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、この自立支援員の増員について、人材確保ということでやるということでありますから、それについて自治体がどういうふうにするかということを一義的にはまず検討していただかなきゃいけないというふうに思っておりまして、今申し上げたように、常勤である非常勤であるとにかかわらず、人の数とそれから資質の向上というのが求められているということでありまして、それは、自治体がどういうふうに配分をしていくのかということはお決めになるんだろうというふうに思っております。
  362. 吉田忠智

    吉田忠智君 財源の手当てをしっかりしなければ自治体もできませんので、その点を検討していただくように強く求めます。  それから、平成二十六年度から厚生労働省は、一人親の相談のワンストップサービスとして総合的な支援のための相談窓口強化事業に取り組んでいますが、現状どのようになっていますか。
  363. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今先生御指摘の総合的な支援のための相談窓口につきましては、一人親家庭のニーズに応じて、就業支援、それから子育て・生活支援等の様々なメニューを組み合わせて提供するために二十六年度から設置をしておるところでございまして、窓口には従来から自治体に配置をしております先ほどの自立支援員に加えて、就業支援専門員というのが配置をされております。  この事業の予算については百九か所分を確保しているところ、現時点ではまだ実績は二十二か所となっておりますが、自治体で予算や人員の確保などの準備が必要なために現段階では多くの自治体が事業の実施に至っていないものだというふうに理解をしているところでございます。  なお、既に事業を実施している自治体においては、一人親家庭のニーズを把握し、個別の状況に応じた支援をできるようになったという評価とか、あるいは就業支援専門員による模擬面接等の就業対策、つまり面接のまあ言ってみれば練習みたいなものですね、それが好評を得ているといった効果も上がっていると聞いているところでございまして、現在、好事例集を作成中でございまして、今後各自治体にその周知を図っていかなければならないし、また、せっかくつくった制度でありますので、しっかり使っていただいてこの効果を出していくようにということで力を入れてまいりたいというふうに思っております。
  364. 吉田忠智

    吉田忠智君 周知というお話がありましたけれども、やっぱり制度が支援を必要としている方に届いていないという実態があるんだろうと思います。自治体によっても一人親支援の実施状況に差がありまして、広報、周知は急務であります。毎年八月には自治体から一人親に対して児童扶養手当の書類を郵送しております。こうした機会に支援制度を解説したパンフなど同封すればいいと考えます。  改めて、広報をどのように改善していくのか、伺います。
  365. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 児童扶養手当の受給者が、今お話ありましたように、八月頃に自治体から書類の送付を受けた後、受給資格の有無の確認を受ける、そのために自治体の窓口を訪問をいたしまして現況届を提出するということになっているところでございまして、この各種支援策の周知に当たっては、一人親の方の御本人に直接説明するということがやはり大事だろう、また効果があるだろうということで、現況届を提出をするためには窓口に来られますから、その機会を捉えて生活や就業の支援に関する情報、これは各地方団体によっていろいろそれぞれ味を出したりしているわけでありますので、そういうものを、情報を提供し、必要な支援につなげていくことが極めて重要だというふうに考えておりまして、今後、自治体と連携をして、支援施策の周知や、それから一人親のニーズ把握が更に効果的に窓口で行われるようにしていくように、私どもとしても工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
  366. 吉田忠智

    吉田忠智君 聞きますと、やっぱり一人親の方はなかなか役所に行きたがらないというところがありますから、やっぱり機会を捉えてしっかり周知を図っていただきたいと思います。  次に、文部科学大臣にお伺いします。  教育こそが子供たちの貧困の連鎖を断ち切る鍵であることは、大臣が平素強調されているとおりでございます。一方で、生活保護費の見直しに伴って横浜市では九百七十七人が対象から外れるなど、就学援助の対象縮小が懸念されております。就学援助の縮小は食い止めるべきであります。あわせて、学生に対する給付型奨学金の創設も急務でありますが、その点について見解を伺います。
  367. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 文部科学省としては、生活扶助基準の見直しに伴う就学援助の影響についてはできる限りその影響が及ばないよう、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を踏まえた対応をするという政府全体の方針を踏まえて対応しております。  要保護者に対する就学援助につきましては、平成二十五年度当初に要保護者として就学支援を受けた人については、平成二十七年度においても引き続き要保護者として国庫補助の対象とできるよう、平成二十七年度予算案においても所要額を確保しております。  地方単独事業である準要保護者に対する就学援助については、国の取組を説明の上、その趣旨を理解した上で各自治体において判断をしていただくよう、文科省としても重ねて依頼してきたところであります。  文科省が昨年四月に千七百六十八の全教育委員会に調査を実施し、各自治体における対応等を確認したところ、経済的に困窮している児童生徒に対する取組など様々な対応を行っているものの、生活扶助基準の見直しに伴う就学援助制度への影響への対応を直接に行っていないと回答した自治体、七十一自治体、四%ありました。これらの自治体名も含め調査結果を同年六月に公表し、併せて再度依頼したところであります。  引き続き、政府全体の対応方針に基づき、各自治体において適切に御判断していただけるよう、関係会議においてもその旨を説明するなど、各自治体に対して更に働きかけてまいりたいと思います。  奨学金については、おっしゃるとおりであります。まずは、有利子から無利子への流れを加速をさせる。そして、返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた詳細な制度設計を進め、その上で給付型奨学金について将来的な導入を目指して検討を進めております。まずは、これらの施策の充実によりまして学生等への経済的支援の一層の充実にしっかり努めてまいります。
  368. 吉田忠智

    吉田忠智君 一人親への支援に政府全体で取り組んでいただくようにお願いをしまして、質問を終わります。
  369. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  370. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 次に、平野達男君の質疑を行います。平野達男君。
  371. 平野達男

    ○平野達男君 本日もクローザーを務めさせていただきます平野達男でございます。  まず、昨日の続きで、田中委員長に確認をさせていただきたいと思います。  日本列島の特殊性、その特殊性のゆえに日本の原発稼働というのは、特に外部事象、自然事象と言ってもいいかと思いますが、という関連で、世界に余り例のない潜在的リスクを持っている、こういう理解でよろしいでしょうか。
  372. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 先生御指摘のように、我が国は自然現象が大変厳しくて、その外的事象については世界でも相当厳しい状況にあるということでございます。
  373. 平野達男

    ○平野達男君 だから、再稼働の前提となる適合性審査基準も世界で厳しいと、こういうことでしょうか。世界で一番厳しいということなんでしょうか。
  374. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 世界で一番厳しいというとなかなかあれなんですけれども、世界で最も厳しいレベルにあるというふうに捉えていただければよろしいんじゃないかと思います。  福島第一の教訓を踏まえて、そういったことについては、昨日来の議論でもありましたように、地震とか津波とか、もちろん台風、竜巻、火山、そういったことについてもこの新しい規制基準できちっと評価をして、その対策を求めております。
  375. 平野達男

    ○平野達男君 最も厳しいか一番か、それはちょっと表現の違いなんですが、それでは、その最も厳しい審査基準でパスした原発が日本列島で稼働する場合は、これは最も安全ということで言えるんでしょうか。
  376. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 最も安全と言い切りたいんですけれども、これはいろんな自然現象がどういったことが起こるか分かりませんというところもありまして、その立地とか炉の形にもよりますので、一概に最も安全だとか安全でないとかということはちょっと申し上げかねるところがあります。
  377. 平野達男

    ○平野達男君 当然だと思います。最も厳しい安全審査基準、だけどその結果最も安全な原発にはならない、そのとおりなんです。  そもそも、七百ガルみたいな揺れを想定しなくちゃならない、十何メートルの津波高さを想定しなくちゃならない、火山降灰で十五センチ、二十センチを想定しなくちゃならない、こんなところに原発を造るということ自体世界でも類例がないんですよ。そのための基準を作って、それで原発を設置する。私は、その条件自体がもう既に非常に大きなリスクだというふうに思っています。このことは何回も申し上げたとおりであります。  そして、図一をちょっと見ていただきたいと思いますけれども、経産大臣、宮沢大臣、これは今の審査基準に適合してリスクを低減させるという概念図であります。これはあくまでも概念図でありますから、定量化はできません。だけど、残るリスクは必ずあります。この残るリスクもかなりの私はリスクだと思っています。これはリスクを引き受けるかどうかというのは誰が決めるんでしょうか。
  378. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 昨日も申し上げましたけれども、一〇〇%の安全ということはないわけでありまして、私ども決して安全神話に陥ってはいけないということを昨日も申し上げました。  そして、誰がリスクを引き受けるかということになりますと、IAEAの基本安全原則には、「安全の一義的な責任は許認可取得者にあり、この責任は委任することができない。」というのが国際的に認められている大原則であります。  ただし、じゃ事業者だけかといいますと、これは昨日も申し上げましたけれども、その前提の下で規制当局と事業者が継続的に、不断に安全性の向上に取り組んでいくということが必要だと思っております。
  379. 平野達男

    ○平野達男君 一義的には、そうすると事業者という理解でよろしいんですか。
  380. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) そのとおりであります。
  381. 平野達男

    ○平野達男君 事業者はリスク引き受けられないでしょう、原発事故が起こったときに。事故が起こったときにどこが一番影響を受けるんですか。原発事故が起こったときにどこが一番影響を受けるかとお聞きしたんです。
  382. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) それはまさに福島県で起こったように原発に近い地域が被害を受けることになります。
  383. 平野達男

    ○平野達男君 その地域のリスクを何で事業者が引き受けられるんですか。
  384. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) リスクを引き受けるのは事業者でありますけれども、例えば鹿児島の川内原発、再稼働の理解を得るために伊藤知事に事前にお目にかからせていただきました。  そのときに、知事からは、万が一事故が起こったとき国が前面に立ってほしいと、こういうお話がございまして、私からは、国が先頭に立って原子力災害への迅速な対応や被災者への支援、賠償など円滑に行われるよう関係法令に基づき責任を持って対処すると、こういうふうに申し上げました。
  385. 平野達男

    ○平野達男君 同じ発電所でも、火力発電所も被災しました。だけど、火力発電所は全部復活して今発電しています。福島第一原発、これ廃炉どころじゃなくて事故処理ずっとやっています。戻るか戻れないかも分からない。まだ放射線の恐怖というものを不安を抱えて暮らしている。  このリスクというのは誰がしょうかといったら全部住民なんですよ。再稼働をするということについてのこの残るリスクを誰が負担するかというのは、その残るリスクを負担してくださいよ、引き受けてくださいよということと同じことなんですよ。電力会社なんかじゃないですよ、これは。そういう観点で皆さんは再稼働を地元に説明しているんですか。もう一回お答えください。
  386. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 私どもは、原子力規制委員会の新規制基準に適合すると認められた原発につきましては再稼働を進めるということにしております。それはまさに今のエネルギー安全保障、化石燃料の輸入が九四%、自給率六%というような状況、そして中東依存度が大変高くなっているというような状況、さらに今年予定されているCOP21、日本としても地球温暖化対策に対して相当な提案をしていかなければいけないというような状況、さらにエネルギーコストが御承知のとおり産業で三割、そして一般の家庭で二割上昇しているということで経済的にも大変な問題になっているというようなことから、再稼働を進めるということにしております。
  387. 平野達男

    ○平野達男君 宮沢大臣、これは答弁難しいかもしれませんけど、福島第一原発の事故で何が起こったかということなんですよ。誰が一番苦しんでいるかということですよ。誰が負担をしているかということですよ。その状況を見たら、誰がリスクを負わなくちゃならないって、答えは明白じゃないですか。  田中委員長、どう思われますか、今の答弁については。
  388. 田中俊一

    政府特別補佐人田中俊一君) 私、再三にわたって申し上げていますように、再稼働については私たちは何らコミットしないと。ですから、実際に稼働できるかどうかということは、その関係者、住民も含めた関係者の合意がなければ多分稼働はできないだろうというふうに感じております。
  389. 平野達男

    ○平野達男君 規制委員会は、そういう意味で審査基準を設定してそこに適合するかどうかだけなんです。  ただ、繰り返しますけれども、残るリスクはあるんです。電力会社が引き受けると言ったって、どうやって引き受けるか、こんなの分かりませんよ。ましてや避難計画なんか、市町村なんかに任せるわけでしょう。そういうリスクというのは誰がしょうか。もう繰り返しになりますけれども、こういうリスクがありますよ、申し訳ございません、しょってくださいと言っているのと同じことなんですよ。そこのところをしっかり言わないと。  誰がそれを本気で言うか。電力会社が言う話じゃないですよ、これは。国が前面に立って言わないと。原発がどうのこうのというのは、それは国が進めてきましたから。再稼働をやるときには、ここまでやりましたけどこういうリスクがあります、このリスクに対してはこういう対策を取りますと、よろしいですか。徹底的な説明して、それで、地元が分かりましたと言ったときに再稼働でしょう。  今のような感じの中で、電力会社ですよということで川内原発と、あと高浜ですか、あんなもので了解取ったのならば、これは私はけしからぬ話だと思いますよ。福島第一原発の事故の反省なんか何も踏まえてませんよ。そこはもう一度考え方、ちょっともう一回整理していただけますか。
  390. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) まず、再稼働をするかどうかの判断というのは、これは事業会社であります。そして、先ほど申し上げましたようにIAEAの基準で、安全の一義的な責任は許認可取得者にあると、こういうふうになっております。  一方で、リスクというようなことにつきまして、例えば、経済産業省におきましても昨年の五月に安全性の取組について議論をいただいて提言をまとめまして、その結果、いわゆる原子力リスク研究センターというものを設立いたしまして、海外から相当な知見を有する者に参加をしていただいて、考え得るあらゆる事故の発生確率とその影響を定量的に評価する方法について検討していただいておりまして、そういうものをしっかりと事業者に伝えていきたいと思っております。
  391. 平野達男

    ○平野達男君 原子力安全神話というのは、私の理解では、原子力は安全ですよと言うから、その事故発生に伴うリスクなんか余り考えなくても良かったんですよ。何か議論したとしても、大丈夫ですよ、大丈夫ですよとやったわけです。だから、福島第一原発周辺の避難計画も実に緩いものでした。何かあればそこに、避難所に移動してくださいだけでした。あんな広域的な避難なんか誰も想定してないんです。だけど、今回、それ実際に起こったんです。そのリスクを誰がしょうんですかといったら、住民なんですよ、ここは。住民以外ないじゃないですか。  そこのところをちゃんと説明するというのは、今回の福島第一原発の再稼働の適合基準の審査の厳格化と併せて、これだけのリスクがありますよということが分かったわけだから。それは川内原発だって、火山噴火して十五センチの降灰が起こったら多分道路だって何だって塞がりますよ。どうやって逃げるんですかという話だって出てくると思いますよ。女川原発はメルトダウンしませんでした。だけど、道路が塞がって一週間孤立したんですよ。福島原発は道路が通行できました。だからラッキーだったかもしれません。ラッキーという言葉は不適切ですね。天災と原発事故が重なるというのは大変なことなんですよ。そういうリスクをもう一回今度はしょってくださいと言うわけですよ。これは、腹固めてやらなくちゃ駄目ですよ、国も。そうでなかったら、福島の第一原発の要するに教訓も何も、何にもならなくなったみたいな、私に言わせればそういう感じがします。  私は福島原発の被災者にいろいろお話ししましたけど、本当にこの方々は原発は安全だと思っていたんですよ。安全だと思って原発の再稼働を許したんです。だけど、今回の審査基準だって、先ほど田中委員長がおっしゃいましたけれども、最も安全だと言われたって、世界で最も基準厳しいと言ったって、最も安全と言えないんです。そのことをちゃんと説明しなかったら再稼働なんかやっちゃ駄目ですよ。それが国の責任だということを私は、時間になりましたから今日はここで。ちょっと激高しています、福島の原発の当時の状況を思い出しまして。だけど、本当にそこだけはちょっと繰り返し繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。  竹下大臣、済みませんでした。今日の質問の残りは必ずさせていただきますので、お願いします。
  392. 岸宏一

    委員長岸宏一君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は明二十日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会