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徳永エリ君 なぜ保秘義務が掛かっているかということについてはお答えいただけないようですね。
メリット、メリットというお話をしておりますけれども、じゃ、誰にメリットがあるのか、どんなメリットがあるのかということでありますが、
日本の今この国内の
状況を見てみますと、少子高齢化、人口減少が大変に深刻な問題です。
企業、特に製造業に関しては、マーケットがどんどんどんどん、人口が減っていけば縮小していく。だから、
企業は海外に出ていくわけですね。海外に出ていって、新興国はこれから
経済がどんどんどんどん
成長していく
可能性もある。そして、平均年齢も二十代、三十代と若い、人口も非常に多い。現地で安いコスト、安い賃金で物を作って、そしてそれを現地で販売していく、どんどんどんどんビジネスを
拡大していく。どんどんどんどん利益を得ていきたい、これが恐らく
企業の目的だと思うんですけれども、そのときに、進出していった国の法律や
ルールが邪魔になって、なかなか
企業が
拡大できない、障壁になっている場合があります。
そのときに、その法律を改正させる。そして、
規制を緩和あるいは撤廃させる。それを
TPPの十二か国、参加している国の間でやって、そして
企業がこの十二か国のどこに行っても利益を
拡大し、お金をもうけることができる、その
企業のための新しい共通の
ルールを作ろうとするのが
TPPということだと思うんです。だから、
企業にとってはメリットがあると思いますし、
経済的な効果、成果は出るかもしれません。
しかし、
国民生活を見てみなければなりません。
農業にダメージが出るということははっきりしています。それから、今回、最後の最後までバイオ医薬品のデータの保護期間の延長ということで
TPP交渉ではもめておりましたけれども、これが米国では延長されることになったと。
国民の皆さんは、この
TPPで
国民皆保険
制度が壊されるんではないかということを
心配していたんですね。
総理も
国民皆保険
制度は壊さないとおっしゃっておりましたし、それから、今回の
TPPでも
国民皆保険
制度は守れました。ところが、米国の製薬会社が、高額の薬を保険対象薬として、そして
政府の補助金を得て暴利を貪っていくと、そういう仕組みになるんじゃないですか。それから、データの保護期間が延長したことによってどうなるかというと、安価なジェネリック薬品が作れなくなりますよね。そうすると、
日本国内の医療費が恐らく膨らむと思うんですよ。財政が圧迫されるということになります。
あと、ちょっと気になるのは、直接
TPPではありませんけれども、来年の四月から患者申出療養
制度というのが始まります。これは、混合診療全面解禁に道を付けるものだと思うんですね。混合診療が全面解禁されれば保険外のメニューがどんどん増えていく。そうなると、保険会社あるいは製薬会社あるいは医療に参入したい
企業、こういったところが大きな利益を得ることはできるけれども、
国民の皆さんは、医療格差ができる、あるいは医療費が高くなる、そういうことにつながっていかないでしょうか。いや、
TPPのこの
交渉文からはなかなかストレートには分かりませんよ。でも、いろんなことを分析していかなければいけないと思うんですね。
例えば協定の概要の十九章の労働の章なんですけれども、これを読んでみますと、各締約国は自国の法律等においてILO宣言に述べられている権利を採用し及び維持することを規定する。これは、強制労働の撤廃とか、それから児童労働の実効的な廃止並びに
雇用及び職業に関する差別の撤廃というふうに書いてありまして、働く人
たちにとってこれは非常にいい話のように見えるわけですよ。
ところが、労働法令の執行というところでは、いずれの締約国も貿易又は
投資に影響を及ぼす態様により自国の労働法令を効果的に執行することを怠ってはならないこと等を規定、あるいは強制労働のところでは、各締約国は強制労働によって生産された物品を輸入しないよう奨励する旨を規定というふうに書いてありまして、これは結局、先進国が新興国に対して、児童労働、強制労働あるいは婦女子労働、こういったもうただ同然で働かせているような労働条件を改善させる。そうじゃないと、その労働賃金が安い部分が製品にメリットになって、新興国では安い製品を作って
輸出することができる。先進国は、コストも掛かる、そして労働賃金も高い、それが製品の上に乗っかる。要するに、競争条件が公平にならないということで、競争条件を公平にするために新興国に対して労働
規制を強化しろと言っているんではないかと私は思うんです。
一方、じゃ、
日本に対してどうかというと、外国の
企業が
日本に
投資をします、
日本でビジネスをやろうとする。でも、ゆっくりとビジネスをやるつもりはないんですよ。短期間で一気にもうけて撤退する、あるいはうまくいかなかったら即撤退する。そのときに問題になるのが従業員、労働者なわけです。
日本は厳しい労働
規制で縛られていますから簡単に解雇するわけにはいきません。だから、
企業の都合で人を雇ったり首を切ったりできるようにしたい、それが
企業の思惑なんではないでしょうか。だから、もう恐らく国内法の改正しなければいけないもの、かなり少なくなっていますけれども、今まで
安倍政権になってから、この
TPPを見据えていろいろな法改正が行われているんじゃないかと思うんですね。
今回の通常国会で成立した改正労働者派遣法、これも労働者にとっては低賃金の不安定
雇用がますます広がるということで、とんでもない法案であります。恐らく、来年の通常国会では労基法の改正が行われる。ホワイトカラーエグゼンプション、これ評判が悪いので高度プロフェッショナル
制度と呼び方を変えましたけれども、残業代ゼロ法案ですね。それから、裁量労働制の
拡大あるいは限定正社員、こういったことを
企業のメリットのために進めようとしているんではないでしょうか。
ですから、
TPPは、私は、まさに
企業のための新しい
ルール作りであり、
国民にとっては何のメリットもない、むしろ
心配な要素がたくさんあるのではないかと思うんですが、この分析は間違っているでしょうか。